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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-16
(54)【発明の名称】高解像度多視野撮像システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20240808BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20240808BHJP
   G02B 21/18 20060101ALI20240808BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20240808BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240808BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/36
G02B21/18
G02B13/00
G03B15/00 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510284
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022075088
(87)【国際公開番号】W WO2023023556
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/260,384
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516312501
【氏名又は名称】オントゥー イノヴェイション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】テハダ ジョン エー
(72)【発明者】
【氏名】ジン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ディン ジアン
【テーマコード(参考)】
2H052
2H087
【Fターム(参考)】
2H052AB01
2H052AB24
2H052AD06
2H052AD09
2H052AF14
2H087KA09
2H087LA27
2H087MA00
2H087NA02
2H087PB04
2H087PB08
2H087PB12
2H087RA28
2H087RA44
(57)【要約】
マルチチャネル調整可能レンズシステムは、環境振動を緩和するためにチャネルの焦点を迅速に調整することができる、流体合焦装置を伴うレビューチャネルを備えてもよい。レビューチャネルは、システムの動作速度を増加させながら、振動又は乱気流によって引き起こされるぼけが低減された高解像度画像を生成してもよい。レビューチャネルは、流体合焦装置内に瞳の実像を生成するために、テレセントリック性を有する望遠鏡対物レンズ及び接眼レンズを含んでもよい。システムはまた、低解像度画像を並行して生成するための検査チャネルと、輪郭情報を決定するための焦点チャネルとを備えてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板検査用の調整可能レンズシステムであって、
基板を拡大するために前記基板に対向して配置された顕微鏡対物レンズと、
レビューチャネルであって、
テレセントリック中間像を生成する少なくとも2つのレンズ構成要素を含む望遠鏡対物レンズと、
前記テレセントリック中間像を再コリメートする少なくとも2つのレンズ構成要素を含む接眼レンズと、
可変屈折率に基づく可変焦点シフトを有し、前記レビューチャネルを設定焦点位置に合焦させる流体合焦装置と、
前記基板のレビュー画像を生成するイメージャと、を含むレビューチャネルと、を備える調整可能レンズシステム。
【請求項2】
検査画像を生成するためのチューブレンズモジュール及び検出器を含む検査チャネルを更に備える、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項3】
前記レビュー画像及び前記検査画像が並行して生成され、前記レビュー画像が前記検査画像よりも高い解像度を有する、請求項2に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項4】
前記基板の輪郭情報を決定するための焦点チャネルを更に備える、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項5】
前記輪郭情報は、検査チャネルの焦点を調整するために使用される、請求項4に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項6】
前記望遠鏡対物レンズは、テレセントリック結像のための4つの球面レンズ構成要素を含む、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項7】
前記4つの球面レンズ構成要素は、シングレットレンズ、トリプレットレンズ、及び2つのダブレットレンズを含む、請求項6に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項8】
前記接眼レンズは、2つのシングレットレンズ及び1つのダブレットレンズを含む4つのレンズ構成要素を含む、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項9】
前記流体合焦装置は、調整可能音響勾配レンズを含む、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項10】
基板の検査を支援する方法であって、
前記基板を顕微鏡対物レンズに対向して配置することと、
望遠鏡対物レンズの少なくとも2つのレンズ構成要素を使用してテレセントリック中間像を生成することと、
接眼レンズの少なくとも2つのレンズ構成要素を使用して前記テレセントリック中間像を再コリメートすることと、
印加された電荷に基づいて流体合焦装置の焦点レベルを調整することと、
前記基板のレビュー画像を生成することと、を含む方法。
【請求項11】
前記レビュー画像と実質的に同時に前記基板の検査画像を生成することを更に含み、前記レビュー画像は前記検査画像よりも高い解像度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
近赤外スペクトルに基づいて前記基板の輪郭情報を決定することと、
前記輪郭情報に基づいて、前記検査画像の焦点レベルを調整することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記望遠鏡対物レンズは、テレセントリック結像のための4つの球面レンズ構成要素を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記4つの球面レンズ構成要素は、シングレットレンズ、トリプレットレンズ、及び2つのダブレットレンズを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記接眼レンズは、2つのシングレットレンズ及び1つのダブレットレンズを含む3つのレンズ構成要素を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記流体合焦装置は、調整可能音響勾配レンズを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
基板に対向して配置された顕微鏡対物レンズと、
前記顕微鏡対物レンズによって生成されたビームを第1セットのエネルギービームと第2セットのエネルギービームとに分割するエネルギービームスプリッタと、
前記第1セットのエネルギービームを受け取り、前記基板の検査画像を生成する検査チャネルと、
前記第2セットのエネルギービームを第1セットのスペクトルビームと第2セットのスペクトルビームとに分割するスペクトルビームスプリッタと、
前記第1セットのスペクトルビームを受け取り、前記基板のレビュー画像を生成するレビューチャネルであって、
テレセントリック中間像を生成する望遠鏡対物レンズと、
前記テレセントリック中間像を再コリメートする接眼レンズと、
可変屈折率に基づく可変焦点シフトを有し、前記レビューチャネルを設定焦点位置に合焦させる流体合焦装置と、
前記レビュー画像を生成するイメージャと、を含むレビューチャネルと、を備える、マルチチャネルレンズシステム。
【請求項18】
前記基板の輪郭情報を決定するための焦点チャネルを更に備え、前記輪郭情報は、前記検査チャネルの焦点を調整するために使用される、請求項17に記載のマルチチャネルレンズシステム。
【請求項19】
前記望遠鏡対物レンズは、テレセントリック結像のための4つの球面レンズ構成要素を含む、請求項17に記載のマルチチャネルレンズシステム。
【請求項20】
前記4つの球面レンズ構成要素は、シングレットレンズ、トリプレットレンズ、及び2つのダブレットレンズを含む、請求項19に記載のマルチチャネルレンズシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年8月18日に出願された米国特許仮出願第63/260,384号に対する優先権の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一般に撮像システムに関し、特に、検査用途に使用される高解像度光学システムに関する。
【背景技術】
【0003】
より要求の厳しい検査用途の1つは、堆積プロセス中に生成される2次元(長さ及び幅)特徴のウェハ検査である。この検査は、欠陥とそれらの位置を定量化及び相関させるために、これらの特徴を異なる高さにある他の特徴と相関させることで、更に複雑になる場合がある。いくつかの欠陥は、低解像度システムが検出するには小さすぎる場合がある。
【0004】
しかしながら、いくつかの高解像度システムはまた、重大な欠点に悩まされ得る。例えば、いくつかの高解像度システムにおける画像は、外部及び内部振動源によって引き起こされる焦点外れ及び/又は画像劣化の影響をより受けやすい可能性がある。なぜなら、これらのシステムは、所望の画像解像度をもたらす増分運動を提供するための焦点ステップを生成するために、圧電トランスデューサ(Piezoelectric Transducer、PZT)を使用することができるからである。PZTの移動は、光学収差を引き起こし、画像品質及びシステム解像度を低下させる可能性がある。更に、PZT運動は、システムが移動後に合焦する前に整定するための整定時間を有する可能性があり、これは測定サイクルを遅くする可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
マルチチャネル調整可能レンズシステムは、環境振動を緩和するためにチャネルの焦点を迅速に調整することができる、流体合焦装置を伴うレビューチャネルを備えてもよい。レビューチャネルは、システムの動作速度を増加させながら、振動又は乱気流によって引き起こされるぼけが低減された高解像度画像を生成してもよい。レビューチャネルは、流体合焦装置内に瞳の実像を生成するために、テレセントリック性を有する望遠鏡対物レンズ及び接眼レンズを含んでもよい。システムはまた、低解像度画像を並行して生成するための検査チャネルと、輪郭情報を決定するための焦点チャネルとを備えてもよい。
【0006】
本開示は基板検査用の調整可能レンズシステムについて記載する。調整可能レンズシステムは、基板を拡大するために基板に対向して配置された顕微鏡対物レンズを備えてもよい。調整可能レンズシステムはレビューチャネルを備えてもよく、レビューチャネルは、テレセントリック中間像を生成する少なくとも2つのレンズ構成要素を含む望遠鏡対物レンズと、テレセントリック中間像を再コリメートする少なくとも2つのレンズ構成要素を含む接眼レンズと、可変屈折率に基づく可変焦点シフトを有し、レビューチャネルを設定焦点位置に合焦させる流体合焦装置と、基板のレビュー画像を生成するイメージャとを含む。
【0007】
本開示はまた、基板の検査を支援する方法について記載する。当該方法は、基板を顕微鏡対物レンズに対向して配置することと、望遠鏡対物レンズの少なくとも2つのレンズ構成要素を使用してテレセントリック中間像を生成することと、接眼レンズの少なくとも2つのレンズ構成要素を使用してテレセントリック中間像を再コリメートすることと、印加された電荷に基づいて流体合焦装置の焦点レベルを調整することと、基板のレビュー画像を生成することと、を含む。
【0008】
本開示は更に、マルチチャネルレンズシステムについて記載する。マルチチャネルレンズシステムは基板に対向して配置された顕微鏡対物レンズと、顕微鏡対物レンズによって生成されたビームを第1セットのエネルギービームと第2セットのエネルギービームとに分割するエネルギービームスプリッタと、第1セットのエネルギービームを受け取り、基板の検査画像を生成する検査チャネルと、を備えてもよい。スペクトルビームスプリッタは、第2セットのエネルギービームを第1セットのスペクトルビームと第2セットのスペクトルビームとに分割することができる。レビューチャネルは、第1セットのスペクトルビームを受け取り、基板のレビュー画像を生成することができる。レビューチャネルは、テレセントリック中間像を生成する望遠鏡対物レンズと、テレセントリック中間像を再コリメートする接眼レンズと、可変屈折率に基づく可変焦点シフトを有し、レビューチャネルを設定焦点位置に合焦させるための流体合焦装置と、レビュー画像を生成するイメージャとを含んでもよい。
【0009】
添付の図面の様々な図面は、本開示の例示的な実装形態を単に例解するものであり、その範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】調整可能レンズシステムの例示的な部分を示す。
図2】レビューチャネルの例示的な部分を示す。
図3】検査チャネルの例示的な部分を示す。
図4】焦点チャネルの例示的な部分を示す。
図5】レビュー画像及び検査画像を生成する方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述の問題に対処するマルチチャネル調整可能レンズシステムが開示される。システムは、環境振動を緩和するようにチャネルの焦点を迅速に調整することができる流体合焦装置を有するレビューチャネルを備えてもよい。レビューチャネルは、システムの動作速度を増加させながら、振動によって引き起こされるぼけが低減された高解像度画像を生成してもよい。レビューチャネルは、流体合焦装置内に瞳の実像を生成するために、テレセントリック性を有する望遠鏡対物レンズ及び接眼レンズを含んでもよい。システムはまた、低解像度画像を並行して生成するための検査チャネルと、輪郭情報を決定するための焦点チャネルとを備えてもよい。
【0012】
図1は、調整可能レンズシステム100の例示的な部分を示す。調整可能レンズシステム100は、顕微鏡対物レンズ102と、エネルギービームスプリッタ104と、検査チャネル106と、スペクトルビームスプリッタ108と、レビューチャネル110と、焦点チャネル112とを備えてもよい。動作中、被験体(例えば、半導体ウェハ、デバイスなど)は、顕微鏡対物レンズ102の下に配置されてもよい。
【0013】
調整可能レンズシステム100は、検査チャネル106、レビューチャネル110、及び焦点チャネル112の3つのチャネルを備えてもよい。これらのチャネルは同時に動作してもよい。検査チャネル106は、被験体のより高い解像度の画像を生成するレビューチャネル110と比較して、被験体のより低い解像度の画像を生成してもよい。焦点チャネル112は、検査チャネル106の焦点を調整するために使用してもよい。
【0014】
顕微鏡対物レンズ102は、固定倍率を提供するために光学レンズ及び他の光学構成要素を含んでもよい。顕微鏡対物レンズ102は、異なる倍率を達成するために複数の対物レンズから選択可能であってもよい。
【0015】
エネルギービームスプリッタ104は、顕微鏡対物レンズ102からの入射光を2セットの別個のビームに分割するために、プレートなどの光学構成要素として設けられてもよい。エネルギービームスプリッタ104からの一方のセットのビームは、検査チャネル106内に伝搬してもよい。
【0016】
検査チャネル106は、ビームを拡大及び集束させるためのレンズ及び他の光学構成要素と、低解像度画像、すなわち検査画像を形成するための検出器とを含んでもよい。検査チャネル106の例は、以下で更に詳細に説明される。
【0017】
エネルギービームスプリッタ104からの他方のセットのビームは、スペクトルビームスプリッタ108に到達してもよい。スペクトルビームスプリッタ108は、ダイクロイックビームスプリッタとして設けられてもよい。スペクトルビームスプリッタ108は、エネルギービームスプリッタ104からの1セットのビームを2セットのスペクトルに分割するために、プレートなどの光学構成要素を含んでもよい。第1のスペクトルセットはレビューチャネル110内に伝搬してもよく、第2のスペクトルは焦点チャネル112内に伝搬してもよい。いくつかの例では、第1のスペクトルセットは可視波長を含んでもよく、第2のスペクトルセットは近赤外波長を含んでもよい。これらの例では、可視スペクトルビームはレビューチャネル110内に伝搬してもよく、近赤外スペクトルビームは焦点チャネル112内に伝搬してもよい。
【0018】
焦点チャネル112は、被験体(例えば、基板、ウェハ)の輪郭決定を支援する焦点センサを含んでもよい。焦点チャネル112によって収集された情報(例えば、被験体の輪郭情報)に基づいて、検査チャネル106の焦点を調整してもよい。例えば、検査チャネル106内の検査レンズの焦点は、以下で更に詳細に説明するように、それに応じて調整されてもよい。
【0019】
レビューチャネル110は、可視スペクトルビームを集束させるための、流体合焦装置を含むレンズ及び光学構成要素と、より高い解像度の画像、すなわちレビュー画像を形成するための検出器とを含んでもよい。図2は、レビューチャネル110の例示的な部分を示す。レビューチャネル110は、望遠鏡対物レンズ202、接眼レンズモジュール206、流体合焦装置208、イメージャ210、及びコントローラ250を含んでもよい。
【0020】
スペクトルビームスプリッタ108からの第1セットのスペクトルビーム(例えば、可視スペクトルビーム)は、望遠鏡対物レンズ202を通って伝搬してもよい。望遠鏡対物レンズ202は、顕微鏡対物レンズ102によって生成されたコリメート光を集束させて、中間像204を生成してもよい。中間像204は、実瞳を形成する実焦点像(例えば、望遠鏡対物レンズ202の後部に位置する開口絞りの画像)であってもよい。中間像204はテレセントリック画像であってもよい。例えば、テレセントリック画像は、全ての主光線が光軸に実質的に平行であってもよい。望遠鏡対物レンズ202は、テレセントリック中間像を生成し、可視スペクトルにおける色及び像収差を補正するために、複数のレンズ構成要素を含んでもよい。レンズ構成要素は、ガラス基板の球面レンズとして設けられてもよい。例えば、望遠鏡対物レンズ202は、4つのレンズ構成要素202.1~202.4を含んでもよい。この例では、レンズ構成要素202.1は、シングレットレンズとして設けられてもよい。レンズ構成要素202.2は、トリプレットレンズとして設けられてもよく、レンズ構成要素202.3、202.4は、ダブレットレンズとして設けられてもよい。
【0021】
接眼レンズモジュール206は、テレセントリック中間像を取り込み、それを再コリメートさせてもよい(例えば、光線を再び平行にする)。接眼レンズモジュール206は、流体合焦装置208内に瞳の実像を形成してもよい。流体合焦装置208内に形成される実像は、無限焦点であってもよい。望遠鏡対物レンズ202及び接眼レンズモジュール206は、ニュートン式無限焦点を形成してもよい。接眼レンズモジュール206は、複数のレンズ構成要素を含んでもよい。レンズ構成要素は、ガラス基板の球面レンズとして設けられてもよい。例えば、接眼レンズモジュール206は、3つのレンズ構成要素206.1~206.3を含んでもよい。この例では、レンズ構成要素206.1、206.2はシングレットレンズとして設けられてもよく、レンズ構成要素206.3はダブレットレンズとして設けられてもよい。望遠鏡対物レンズ202及び接眼レンズモジュールの組み合わせは、2.5倍などの無限焦点倍率を提供してもよい。
【0022】
流体合焦装置208は、その中に封入された流体の可変屈折率に基づく可変焦点シフトを含んでもよい。すなわち、コントローラ250によって流体合焦装置208に電荷を印加して、流体合焦装置208内の流体の屈折率を変化させてもよく、これにより、レビューチャネル110の焦点が調整される。電荷は、電荷又は磁荷であってもよい。流体合焦装置208は、接眼レンズモジュール206から再コリメートされた画像を受信してもよく、画像に倍率を加えてもよく、最終画像がイメージャ210に到達するときに焦点を変化させることを可能にする。コントローラ250は、流体合焦装置208に印加される電荷を調整して、最終画像の焦点を迅速に変化させてもよく、したがって、被験体の異なる輪郭変動を考慮することができる。例えば、流体合焦装置208は、調整可能音響勾配レンズとして設けられてもよい。
【0023】
イメージャ210は、焦点レンズ210.1、イメージャレンズ210.2、及び検出器210.3を含んでもよい。焦点レンズ210.1及びイメージャレンズ210.2は、検出器210.3上に画像の焦点を合わせてもよく、検出器210.3は、レビューチャネルの最終画像を作成するために使用される画素構成要素のアレイを有する画像センサ(例えば、CMOS画像センサ、カメラなど)として設けられてもよい。一例において、焦点レンズ210.1は、ダブレットレンズ構成要素として設けられてもよい。レビューチャネル110によって生成される最終レビュー画像は、より高い解像度を有してもよく、環境振動によって実質的に劣化しない場合がある。例えば、環境振動は、レンズシステムが配置される花崗岩ベース、床、又は他の場所から生じ得る。
【0024】
レビューチャネルの焦点を変更するための機械的デバイス(例えば、PZT)を有するシステムは、画像キャプチャレートが典型的には環境振動よりも遅いので、これらの環境振動の悪影響を軽減することができない場合がある。したがって、床振動は、画像のぼけを引き起こす可能性がある。対照的に、レビューチャネルは、本明細書で説明されるように、はるかに速く合焦することができ(すなわち、より速い合焦時間)、したがって、環境振動の悪影響を低減又は排除することさえできる。
【0025】
更に、被験体及びレビュー画像は、本明細書で説明するように、テレセントリックであってもよい。このテレセントリック性を提供することは、検出器の高さを変更することなく、(例えば、流体合焦装置208によって)焦点を調節するために画像を移動させることができるという利点を提供する。したがって、変倍レンズ(例えば、流体合焦装置208)は、検出器上の画像を横方向に変位させることなく、倍率を導入することができる。
【0026】
図3は、検査チャネル106の例示的な部分を示す。検査チャネル106は、チューブレンズモジュール302及び検査検出器304を含んでもよい。エネルギービームスプリッタ104からの分割されたエネルギービームは、チューブレンズモジュール302を通って伝搬してもよい。チューブレンズモジュール302は、調整可能なレンズ構成要素、例えば、4つのレンズ構成要素を含んでもよい。一例では、チューブレンズモジュール302の焦点は、1つ以上の圧電トランスデューサ(PZT)によって調整されてもよい。チューブレンズモジュール302は、検査チャネルの最終画像を作成するために使用される画素構成要素のアレイを有する画像センサ(例えば、CMOS画像センサ、カメラなど)として設けられてもよい、検査検出器304上にビームを集束させてもよい。最終検査画像は、最終レビュー画像と比較して低い解像度を有してもよい。
【0027】
図4は、焦点チャネル112の例示的な部分を示す。焦点チャネル112は、焦点レンズ402及び焦点センサ404を含んでもよい。スペクトルビームスプリッタ108からの第2セットのスペクトルビーム(例えば、近赤外スペクトルビーム)は、焦点レンズ402を通って伝搬してもよい。焦点レンズ402は、焦点センサ404上にビームを集束させてもよい。例えば、焦点レンズ402は、近赤外スペクトルビームのための近赤外センサとして設けられてもよい。焦点センサ404は、被験体の輪郭を決定してもよい。次に、焦点センサ404の出力を使用して、検査チャネル106の焦点を調整してもよい。例えば、焦点センサ404の出力は、上述のチューブレンズモジュール302の焦点を調整するためにPZTを調整するために使用されてもよい。
【0028】
図5は、レビュー画像及び検査画像を生成する方法500のフロー図である。例えば、方法500は、本明細書で説明される調整可能レンズシステム100によって実行されてもよい。ステップ502において、被験体(例えば、基板、ウェハなど)を顕微鏡対物レンズの下に配置してもよい。ステップ504において、被験体を表す、顕微鏡対物レンズによって生成されたビームを、エネルギーに関して分割してもよい。
【0029】
ステップ506において、一方のセットのエネルギービームを、スペクトルに関して2つのスペクトルセットに更に分割してもよい。例えば、第1のスペクトルセットは可視波長を含んでもよく、第2のスペクトルセットは近赤外波長を含んでもよい。他のスペクトルを使用してもよい。第2セットのスペクトルビーム(例えば、近赤外スペクトルビーム)は、次いで、焦点チャネルを通って伝搬してもよい。ステップ508において、被験体の輪郭に関する情報を、第2セットのスペクトルビームに基づいて決定してもよい。
【0030】
ステップ504の出力に戻ると、他方のセットのエネルギービームは、検査チャネルを通って伝搬してもよい。ステップ510において、検査チャネルの焦点を、ステップ508において決定された輪郭情報に基づいて調整してもよい(すなわち、焦点チャネルにおいて)。ステップ512において、被験体の検査画像を生成してもよい。
【0031】
ステップ506の出力に戻ると、第1セットのスペクトルビーム(例えば、可視スペクトルビーム)は、レビューチャネルを通って伝搬してもよい。ステップ514において、第1セットのスペクトルビームからテレセントリック中間像を生成する。ステップ516において、テレセントリック中間像を再コリメートして、流体合焦装置において実像を形成してもよい。ステップ518において、流体合焦装置の焦点を、流体合焦装置内の流体の屈折率を変化させることによって調整してもよい。ステップ520において、被験体のレビュー画像を生成してもよい。レビュー画像は、検査画像よりも高い解像度を有してもよく、合焦時間がより速くてもよい。検査画像及びレビュー画像は、並行して(例えば、実質的に同時に)生成されてもよい。
様々な注記
【0032】
上記の非限定的な態様の各々は、それ自体で成立することができるか、又は本文書に説明される他の態様若しくは他の主題のうちの1つ以上との様々な並べ替え若しくは組み合わせにおいて、組み合わせることができる。
【0033】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面への参照を含む。図面は、例解として、本発明が実施され得る特定の実装形態を示す。これらの実装形態は、一般に「例」とも称される。そのような例は、図示又は説明されたものに加えて、要素を含み得る。しかしながら、本発明者らはまた、図示又は説明された要素のみが提供される例を企図する。更に、本発明者らはまた、本明細書に図示若しくは説明される特定の例(又はその1つ以上の態様)に関してか、又は他の例(又はその1つ以上の態様)に関してのいずれかで図示又は説明される要素(又はその1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は並べ替えを使用する例を企図する。
【0034】
この文書と、参照により組み込まれる任意の文書との間に矛盾した使用がある場合、この文書での使用が、優先する。
【0035】
本文書において、「a」又は「an」という用語は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上」の任意の他の例又は使用とは独立して、1つ又は2つ以上を含むように、特許文書において一般的であるように使用される。本文書では、「又は」という用語は、非排他的であることを指すのに用いられており、そのため、別段の記載がない限り、「A又はB」は、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、及び「A及びB」を含む。本文書において、「including(含む)」及び「in which」という用語は、「comprising(備える/含む)」及び「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の等価物として使用されている。また、以下の態様では、「including(含む)」及び「comprising(備える/含む)」という用語は、オープンエンドであり、すなわち、ある態様におけるそのような用語の後に列挙された要素に加えて、要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスが、依然としてその態様の範囲に含まれるとみなされる。更に、以下の態様では、「第1」、「第2」、及び「第3」などの用語は、単に標識として使用され、それらの物体に数値要件を課すことを意図するものではない。
【0036】
本明細書に説明される方法の例は、少なくとも部分的に機械実装、又はコンピュータ実装され得る。いくつかの例は、上記の例に説明されるような方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含み得る。そのような方法の実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、より高いレベルの言語コードなどのコードを含み得る。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の部分を形成し得る。更に、一例では、コードは、例えば、実行中又は他の時間に、1つ以上の揮発性、非一時的、又は不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体上に有形的に記憶され得る。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はスティック、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)などが挙げられ得るが、これらに限定されない。
上記の説明は、例解的であり、限定的ではないことを意図している。例えば、上記の例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。他の実装形態が、上記の説明を検討する際に、例えば、当業者によって、使用され得る。要約は、読者が、本技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板検査用の調整可能レンズシステムであって、
基板を拡大するために前記基板に対向して配置された顕微鏡対物レンズと、
レビューチャネルであって、
テレセントリック中間像を生成する少なくとも2つのレンズ構成要素を含む望遠鏡対物レンズと、
前記テレセントリック中間像を再コリメートする少なくとも2つのレンズ構成要素を含む接眼レンズと、
可変屈折率に基づく可変焦点シフトを有し、前記レビューチャネルを設定焦点位置に合焦させる流体合焦装置と、
前記基板のレビュー画像を生成するイメージャと、を含むレビューチャネルと、を備える調整可能レンズシステム。
【請求項2】
検査画像を生成するためのチューブレンズモジュール及び検出器を含む検査チャネルを更に備える、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項3】
前記レビュー画像及び前記検査画像が並行して生成され、前記レビュー画像が前記検査画像よりも高い解像度を有する、請求項2に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項4】
前記基板の輪郭情報を決定するための焦点チャネルを更に備える、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項5】
前記輪郭情報は、検査チャネルの焦点を調整するために使用される、請求項4に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項6】
前記望遠鏡対物レンズは、テレセントリック結像のための4つの球面レンズ構成要素を含む、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項7】
前記4つの球面レンズ構成要素は、シングレットレンズ、トリプレットレンズ、及び2つのダブレットレンズを含む、請求項6に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項8】
前記接眼レンズは、2つのシングレットレンズ及び1つのダブレットレンズを含む4つのレンズ構成要素を含む、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項9】
前記流体合焦装置は、調整可能音響勾配レンズを含む、請求項1に記載の調整可能レンズシステム。
【請求項10】
基板の検査を支援する方法であって、
前記基板を顕微鏡対物レンズに対向して配置することと、
望遠鏡対物レンズの少なくとも2つのレンズ構成要素を使用してテレセントリック中間像を生成することと、
接眼レンズの少なくとも2つのレンズ構成要素を使用してテレセントリック中間像を再コリメートすることと、
印加された電荷に基づいて流体合焦装置の焦点レベルを調整することと、
前記基板のレビュー画像を生成することと、を含む方法。
【請求項11】
前記レビュー画像と実質的に同時に前記基板の検査画像を生成することを更に含み、前記レビュー画像は前記検査画像よりも高い解像度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
近赤外スペクトルに基づいて前記基板の輪郭情報を決定することと、
前記輪郭情報に基づいて、前記検査画像の焦点レベルを調整することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記望遠鏡対物レンズは、テレセントリック結像のための4つの球面レンズ構成要素を含み、
前記流体合焦装置は調整可能音響勾配レンズを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記4つの球面レンズ構成要素は、シングレットレンズ、トリプレットレンズ、及び2つのダブレットレンズを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記接眼レンズは、2つのシングレットレンズ及び1つのダブレットレンズを含む3つのレンズ構成要素を含む、請求項10に記載の方法。
【国際調査報告】