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特表2024-530453リソグラフィマスクのために用いられる蒸着材料の光学特性を決定するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-21
(54)【発明の名称】リソグラフィマスクのために用いられる蒸着材料の光学特性を決定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/72 20120101AFI20240814BHJP
   G01N 21/41 20060101ALI20240814BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G03F1/72
G01N21/41 Z
G01N21/59 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505560
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021071490
(87)【国際公開番号】W WO2023006227
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】アウス ニコル
(72)【発明者】
【氏名】ブダッハ ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマンス クリスチャン フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】トゥ ファン
【テーマコード(参考)】
2G059
2H195
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059BB16
2G059EE02
2G059HH04
2G059KK04
2G059MM01
2H195BD31
2H195BD33
2H195BD38
(57)【要約】
本発明は、リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定するための方法であって、(a)蒸着材料の少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための、基板上に蒸着させられた少なくとも1つの蒸着材料の高さ値を決定するステップであって、少なくとも3つの異なる堆積高さがナノスケール範囲内である、ステップと、(b)少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための少なくとも1つの蒸着材料の反射率値を決定するステップであって、反射率値を決定するステップが、光学検査システムによって発生された光子を用いることを含む、ステップと、(c)シミュレートされた反射率データを、少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための測定された反射率値に適合させることによって、少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定するステップとを含む方法に言及する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料(250)の少なくとも1つの光学特性を決定するための方法(600)であって、
a.前記蒸着材料(250)の少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための、基板(210)上に蒸着させられた前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の高さ値を決定するステップ(620)であって、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)がナノスケール範囲内である、ステップ(620)と、
b.前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の反射率値(530、550、570)を決定するステップ(630)であって、前記反射率値(530、550、570)を決定するステップが、光学検査システムによって発生された光子を用いることを含む、ステップ(630)と、
c.シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記測定された反射率値(530、550、570)に適合させることによって、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも1つの光学特性を決定するステップ(640)と
を含む方法(600)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記高さ値(330、350、370)を決定するステップが、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記高さ値(330、350、370)を測定することを含み、および/または前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記反射率値(530、550、570)を決定するステップが、前記光学検査システムによって発生された光子を用いて前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記反射率値(530、550、570)を測定することを含む、請求項1に記載の方法(600)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光学特性を決定するステップが、屈折率および吸収係数のうちの少なくとも一方を決定することを含む、請求項1または2に記載の方法(600)。
【請求項4】
前記蒸着材料(250)が吸収材料を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記堆積高さ(330、350、370)の上面(270)が、64μm2、好ましくは、16μm2、より好ましくは、4μm2、さらにより好ましくは、1μm2、および最も好ましくは、0.5μm2以下の面積を有する、請求項4に記載の方法(600)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも3つの異なる高さ値(330、350、3709が、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の、少なくとも10個、好ましくは、少なくとも20個、より好ましくは、少なくとも30個、および最も好ましくは、少なくとも40個の異なる高さ値(330、350、370)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項7】
前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の全体高低差が、前記反射率値を決定するために用いられる前記光子の波長よりも大きい、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項8】
前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の間の高低差が、前記反射率値(530、550、570)を決定するために用いられる前記光子の半波長またはその整数倍の周期性を有しない、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項9】
前記光子が極紫外波長範囲の光子を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項10】
前記光学検査システムが、前記リソグラフィマスクの化学線波長を用いる、前記リソグラフィマスクのための検査システム、空間像計測システム、光走査型顕微鏡、および顕微鏡のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法(600)。
【請求項11】
前記少なくとも3つの堆積高さ(330、350、370)のための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)を前記基板(210)上に蒸着させるステップをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項12】
前記シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記測定された反射率値(530、550、570)に適合させることが、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも1つの光学特性を変更し、前記反射率データ(730、750、770)を堆積高さの関数としてシミュレートすることを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項13】
前記シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記測定された反射率値(530、550、570)に適合させることが、前記少なくとも1つの光学特性の少なくとも2つの異なる数値を有する様々なシミュレーション実行のシミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記測定された反射率値(530、550、570)と比較することを含む、請求項12に記載の方法(600)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光学特性を決定する前記ステップが、前記測定された反射率値(530、550、570)への最良適合を有するシミュレートされた反射率データ(730、750、770)から前記少なくとも1つの光学特性を抽出することを含む、請求項13に記載の方法(600)。
【請求項15】
前記リソグラフィマスクの少なくとも1つの白欠陥を修正するために、前記決定された少なくとも1つの光学特性に基づいて前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の堆積高さ(330、350、370)を算出するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項16】
コンピュータプログラムがコンピュータシステム上で実行されたとき、請求項1~15に記載の方法ステップのうちのいずれかを遂行するための命令を有する、コンピュータプログラム。
【請求項17】
少なくとも1つの欠陥が、請求項1~15に記載の方法ステップのうちのいずれかに従って修復されたリソグラフィマスク。
【請求項18】
リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料(250)の少なくとも1つの光学特性を決定するためのコンピューティング装置(1030)であって、
a.少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の高さ値を決定することであって、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)がナノスケール範囲内である、決定することと、
b.前記少なくとも3つの堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の反射率値(530、550、570)を決定することであって、前記反射率値(530、550、570)が、光学検査システムによって発生された光子を用いることによって測定される、決定することと、
c.シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)のための前記決定された反射率値(530、550、570)に適合させることによって、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも1つの光学特性を決定することと
を行うように動作可能である、コンピューティング装置(1030)。
【請求項19】
リソグラフィマスクのための少なくとも1つの蒸着材料(250)の少なくとも1つの光学特性を決定するための装置(1000)であって、
a.少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための、基板(210)上に蒸着させられた前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の高さ値を決定するための手段(1010)であって、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)がナノスケール範囲内である、手段(1010)と、
b.前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の反射率値を測定するための手段(1070)であって、前記反射率値(530、550、570)を測定することが、光学検査システムによって発生された光子を用いることを含む、手段(1070)と、
c.シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記測定された反射率値(530、550、570)に適合させることによって、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも1つの光学特性を決定するための手段(1030)と
を備える装置(1000)。
【請求項20】
前記装置(1000)が、請求項1~15に記載の方法ステップのうちのいずれかを遂行するように動作可能である、請求項19に記載の装置(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定する技術分野に関する。特に、少なくとも1つの蒸着材料は、少なくとも1つの白欠陥を有するリソグラフィマスクの修復プロセスにおいて用いることができる。
【背景技術】
【0002】
半導体産業において集積密度が絶えず増大する結果、リソグラフィまたはフォトリソグラフィマスクは、感光層、すなわち、ウェハ上に施されたフォトレジスト上にますます微小な構造を投影しなければならなくなっている。この要求を満たすために、リソグラフィマスクの露光波長は、近紫外から、中紫外および深紫外(DUV:deep ultraviolet)を越えて、電磁スペクトルの極紫外(EUV:extreme ultraviolet)領域へ移された。現在は、主として、193nmのDUV波長がウェハ上のフォトレジストの露光のために用いられている。しかし、EUV波長範囲内(おおよそ10nm~15nmの範囲内)で動作するフォトリソグラフィ露光システムの適用が急速に重要性を増している。その結果、さらにいっそう微小なパターン要素を有するフォトリソグラフィマスクの製造はますます複雑になってきており、それゆえ、コストもますます高くなってきている。
【0003】
通例、無欠陥のフォトリソグラフィマスクは、それらの極めて微小なパターン要素のゆえに、妥当な歩留まりをもって製作することができない。フォトマスクの欠陥は可能な限り製造プロセスの最後に修正されなければならない。透過型フォトマスクでは、露光放射線は、通例、マスクの光軸に対して対称的にマスクに入射する。これは、CRA(主光線角(chief ray angle))が0であることを意味する。反射型リソグラフィマスクを用いるときには状況が変わる。入射放射線と反射放射線とを分離するために、放射線(例えば、EUV放射線)は、通例、光軸に対して5°~8°の範囲内のCRAをもって反射型マスクに入射する。その結果、EUVマスクの動作挙動を最適化するときには、3次元(3D)効果が重要な役割を果たす。例示的な3D効果は、ほんの数例を挙げると、シャドウイング、特徴配向へのCD(限界寸法(critical dimension))の依存性、異なるパターン要素のベストフォーカスシフトである。例えば、吸収層のシャドウイング効果は、吸収層の層厚さまたは層高さをできる限り低減したとき、最小限に抑えることができる。しかし、他方で、例えば、ウェハ上に配置されたフォトレジストにおける光学コントラストが劣化しないよう、吸収層の機能を妥協することはできない。
【0004】
吸収層の最適な層厚さを精密に決定するには、EUV光子を吸収するために用いられる材料の光学特性を知る必要がある。しかし、2桁のナノメートル範囲内の高さまたは厚さならびに横方向寸法を有する層である、非常に薄い層の光学特性を決定することは困難である。論文“Validation of optical constants in the EUV wavelength range”, Proc. SPIE 11147, Intern. Conf. on Extreme Ultraviolet Lithography, Sept. 26, 2019, https://doi.org/101117/12.2536644において、著者、Q.Saadehらは、EUVフォトマスク吸収体のための候補材料のための光学定数を決定するためにEUV反射率測定を用いることを説明している。さらに、著者、N.Davidovaらは、論文“Experimental approach to EUV imaging enhancement by mask absorber height optimization”, 29th European Mask and Lithography Conference, edited by U.F.W. Behringer and W. Maurer, Proc. of SPIE, 2013, Vol. 8886, p. 88860A1-88860-A15において、EUVマスクを最適化および微調整することによる、特に、吸収層の高さを最適化することによる、EUVリソグラフィの性能の改善を説明している。両公表文献の著者は、吸収層の屈折率および吸収係数を測定するためにシンクロトロン放射源の放射線を用いることを説明している。しかし、シンクロトロン放射源は半導体産業における一般的な計測ツールではない。これは、それぞれの測定は外部で実行されなければならず、それらは、通例、大きなサンプル表面を必要とすることを意味する。
【0005】
吸収材料が、EUVマスクを製作するために用いられるのではなく、反射型フォトマスクの白欠陥を修正するために用いられる場合には、状況はさらに悪化する。フォトマスク修復プロセスでは、蒸着材料の材料組成をフォトマスク製作プロセスの場合ほど精密に制御することができない。これは、蒸着させられた材料の組成のばらつきをもたらし得る。したがって、蒸着させられた材料の光学特性もばらつき得る。それゆえ、反射型フォトマスクの欠陥を確実に修正することができるよう、蒸着材料の光学特性を精密に知ることは反射型リソグラフィマスクの修復プロセスのためにさらにいっそう重要である。
【0006】
したがって、本発明は、リソグラフィマスクのために用いられる蒸着材料の光学特性の決定を最適化するための方法および装置を提供することを1つの目的とする。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、上述の問題を少なくとも部分的に解決するために、請求項1に記載の方法ならびに請求項18および19に記載の装置が提供される。
【0008】
第1の実施形態では、リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定するための方法が、(a)蒸着材料の少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための、基板上に蒸着させられた少なくとも1つの蒸着材料の高さ値を決定するステップであって、少なくとも3つの異なる堆積高さがナノスケール範囲内である、ステップと、(b)少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための少なくとも1つの蒸着材料の反射率値を決定するステップであって、反射率値を決定するステップが、光学検査システムによって発生された光子を用いることを含む、ステップと、(c)シミュレートされた反射率データを、少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための測定された反射率値に適合させることによって、少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定するステップとを含む。
【0009】
光学検査システムは、リソグラフィマスクおよび/またはウェハを検査、点検、および/または検証するために用いることができる任意の計測システムであることができる。特に、光学検査システムは空間像測定原理を用いることができる。
【0010】
通例、特定の材料組成およびまたは密度を有する非常に薄い層の光学特性の数値は、反射型フォトマスクの吸収層の層厚さを最適化するために、DUVおよびEUV波長範囲内において十分な精度で知られないか、または全く知られない。本発明の方法は、光子、好ましくは、リソグラフィマスクの化学線波長の光子を用いることによって、3つ以上の異なる堆積高さのための反射率値を決定する。それゆえ、少なくとも1つの蒸着材料の決定される少なくとも1つの光学特性は、リソグラフィマスクが後にさらされる条件で得られる。さらに、それは、半導体産業では一般的でない計測ツールを用いることによる測定の実行を回避し、もっぱら、半導体産業において利用可能である計測ツールに基づくことができる。さらに、光子は、通常、例えば、光学検査システムとしての、リソグラフィ計測ツールにおいて良好に制御することができるため、本明細書において概説される態様によれば、小さい(横方向)サンプルサイズで十分となることができる。さらに、光学検査システムは半導体産業において十分に確立されており、例えば、シンクロトロン放射源として、よりコンパクトである。
【0011】
さらに、本発明の方法は、少なくとも1つの光学特性を可能な限り高精度で決定するために、少なくとも1つの光学特性の数値を変更し、シミュレーションデータを実験値に適合させる。それゆえ、それは、少なくとも1つの光学特性が決定される精度、および結果を得るために必要な労力の両方を同時に最適化するために、実験およびシミュレーションの組み合わせを用いる。
【0012】
例えば、精度が、より限られた程度でのみ必要とされる場合には、3つ以上の代わりに1つまたは複数の値を用いることができる。例えば、蒸着材料の1つまたは複数の堆積高さのための少なくとも1つの蒸着材料の高さ値を決定することができ、少なくとも3つの異なる堆積高さはナノスケール範囲内である。1つまたは複数の異なる堆積高さの各々のための反射率値を決定することができ、反射率値を決定することは、光学検査システムによって発生された光子を用いることを含む。シミュレートされた反射率データを、1つまたは複数の異なる堆積高さの各々のための測定された反射率値に適合させることによって、少なくとも1つの光学特性を決定することができる。
【0013】
例えば、少なくとも1つの蒸着材料の1つまたは複数の光学特性がすでに知られている場合には、1つまたは複数の値を用いることができ、同時に、より高い精度を達成することができる。次に、既知の光学特性を、シミュレートされた反射率データを部分的に決定するために用いることができ、次に、シミュレートされた反射率データを、測定された反射率値に適合させ、少なくとも1つの他の光学特性を決定する。
【0014】
少なくとも1つの蒸着材料の高さ値を決定することは、少なくとも1つの蒸着材料の高さ値を測定することを含むことができる。高さ値を決定することはまた、校正データに基づいて高さ値を決定することを含むことができる。例えば、高さ値は、蒸着ステップの数および/または蒸着時間(ならびにステップおよび/または時間を堆積高さ値に関係づける校正データ)に基づいて決定することができる。
【0015】
加えて、または代替的に、少なくとも1つの蒸着材料の反射率値を決定することは、光学検査システムによって発生された光子を用いて少なくとも1つの蒸着材料の反射率値を測定することを含むことができる。
【0016】
上述された方法は第1の計測ツールから堆積高さ値を得るか、または受け取ることができる。さらに、本方法はまた、外部の計測ツールから、測定された反射率値を得ることもできる。それゆえ、本方法はシミュレーションを遂行することができ、シミュレートされた反射率データと測定された反射率値とを比較することによって少なくとも1つの光学特性を決定することができる。しかし、本方法は両方の種類の実験およびシミュレーションを遂行することも可能である。さらに、本方法は実験の第1の部分を実行し、実験の第2の部分のための実験データを得ること、またはその逆も想到可能である。
【0017】
少なくとも1つの光学特性を決定することは、少なくとも1つの蒸着材料:屈折率、および吸収係数のうちの少なくとも一方を決定することを含むことができる。
【0018】
材料の組成以外に、その密度も少なくとも1つの光学特性に影響を及ぼすことができる。さらに、材料が蒸着させられた基板が、蒸着させられた材料の薄い層の少なくとも1つの光学特性に影響を及ぼすことができる。さらに、EUV波長範囲のためのリソグラフィマスクを製作するために用いられる現在利用可能な材料は、<1である屈折率を示す。さらに、現時点において、EUV波長範囲内で本質的に光学的に透明である利用可能な材料は存在しない。これは、現在知られている材料の吸収係数は0よりも大きいことを意味する。
【0019】
少なくとも1つの光学特性を決定することは、リソグラフィマスクの化学線波長における少なくとも1つの光学特性を決定することを含むことができる。
【0020】
この特徴は、少なくとも1つの光学特性が、リソグラフィマスクが後に半導体工場(ウェハファブ)において動作させられる本質的に同一の条件下で測定されることを確実にすることができる。本出願において説明される方法の利点は、少なくとも1つの光学特性が、本質的に、リソグラフィマスクが後の時点で動作させられる条件下で測定されることである。
【0021】
本出願内において、用語「本質的に(essentially)」は、現況技術の計測ツールを用いるとき、測定結果は異なる場所において得られることを意味する。
【0022】
蒸着材料は吸収材料を含むことができる。吸収材料は極紫外波長範囲内で比較的大きい吸収係数を有することができる。このような大きい吸収係数(k)は、k>0.05である極紫外波長範囲内の数値を有することができる。
【0023】
基板は、多層構造を有する極紫外波長範囲のためのリソグラフィマスクの基板を含むことができ、少なくとも1つの蒸着材料を多層構造上に蒸着させることをさらに含むことができる。また、蒸着材料を蒸着させるための任意の基板を用いることも可能である。さらに、少なくとも1つの蒸着材料が上に蒸着させられる表面と本質的に同一である光学インターフェースを提供する特定の層を任意の基板上に(例えば、リソグラフィマスク上に)蒸着させることも想到可能である。
【0024】
少なくとも1つの蒸着材料の堆積高さの上面は、64μm2、好ましくは、16μm2、より好ましくは、4μm2、さらにより好ましくは、1μm2、および最も好ましくは、0.5μm2以下の面積を有することができる。
【0025】
上述の方法の有益な効果は、少なくとも1つの蒸着材料の様々な堆積高さは、反射率データが上で測定され得る小さい面積を有することができることである。それゆえ、様々な堆積高さを蒸着させる労力はかなり少ない。これと対照的に、シンクロトロン放射源を用いて反射率データを測定することは、おおよそ100倍大きい面積の少なくとも1つの蒸着材料を蒸着させることを含む。さらに、粒子ビーム誘起蒸着プロセスを用いることによって小体積の蒸着材料を蒸着させることができる。したがって、リソグラフィマスクの白欠陥を修復するために用いられる蒸着材料に非常に近い材料組成を有する蒸着材料を生成することができる。
【0026】
ナノスケール範囲は、<200nm、好ましくは、<150nm、より好ましくは、<100nm、および最も好ましくは、<80nmの、少なくとも1つの蒸着材料の堆積高さを含むことができる。
【0027】
厚い吸収層(層厚さ>100・λ)については、吸収層の反射率は、もっぱら、蒸着材料の吸収係数によって決定される。しかし、特に、ナノスケール範囲またはナノスケール波長範囲内における、より小さい厚さ値については、吸収層の反射率挙動は吸収層の厚さまたは高さにも依存する。入射放射線の部分は前面において反射され、別の部分は吸収層の後面において反射される。これは、吸収層から反射された電磁放射線の干渉効果をもたらすことができる。その結果、ナノスケール範囲内では、吸収層の高さの関数として概ね減少する反射率曲線の上にスイング曲線が重ね合わせられる。
【0028】
5°~8°の範囲内のCRAのためのスイング曲線の周期性はおおよそ、
【数1】
によって与えられる。ここで、hは吸収層の高さまたは厚さであり、λは波長(例えば、リソグラフィマスクの化学線波長)を表し、nは吸収層の屈折率を示す。上述の近似は化学放射線の軸外入射の効果を含まないことに留意していただきたい。所定の吸収量を満たす吸収層の最小高さを見出すには、前面と後面との間の干渉を考慮しなければならない。
【0029】
反射型フォトマスクの性能に影響を及ぼす第2の干渉効果が存在する。多層構造(BF、明視野(bright field))から反射された化学放射線は、吸収層(DF、暗視野(dark field))から反射された放射線と干渉する。反射型マスクのパターン要素によって発生される像コントラストは、2つの反射された寄与が180°の位相差を有する場合に最大化される。この要求は、
【0030】
【数2】
である場合に満たされ得る。
【0031】
どちらの干渉効果も吸収層の屈折率nに依存する。特に、BD/DFの寄与は屈折率に強く依存する。それゆえ、吸収層の材料の屈折率は、吸収層の好適な光学的高さを算出するために高精度で知られなければならない。本明細書において説明される態様はこれらの効果を利用して蒸着材料の光学特性を精密に決定する。
【0032】
少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも3つの異なる高さ値は、少なくとも1つの蒸着材料の、少なくとも10個、好ましくは、少なくとも20個、より好ましくは、少なくとも30個、および最も好ましくは、少なくとも40個の異なる高さ値を含むことができる。
【0033】
少なくとも1つの蒸着材料の高さ値は、1nm~150nm、好ましくは、2nm~100nm、より好ましくは、5nm~80nm、および最も好ましくは、10~60nmの範囲を含むことができる。
【0034】
少なくとも3つの異なる堆積高さの全体高低差は、反射率値を決定するために用いられる光子の波長よりも大きいものであることができる。
【0035】
反射率曲線上に重畳されたスイング曲線の周期性を決定するには、少なくとも3つの堆積高さにまたがる高さ範囲が、反射率値を測定するために用いられる光子の波長よりも大きいことが有益になることができる。例えば、全体高低差は、少なくとも3つの異なる堆積高さの最も大きい高さ値と最も小さい高さ値との差として理解することができる。
【0036】
少なくとも3つの異なる堆積高さの間の高低差は、反射率値を決定するために用いられる光子の半波長、またはその整数倍の周期性を有することができない。堆積高さがこのような周期性を有する場合には、反射率曲線上に重畳されたスイング曲線の周期を確実に検出することができない。他の例では、2つの間、特に、2つの隣接した堆積高さの間の高低差は波長の半分またはその整数倍の値を有することができない。
【0037】
光子は極紫外波長範囲の光子を含むことができる。
【0038】
以上においてすでに示されたように、本質的に、リソグラフィマスクをその動作モードにおいて照明する光子の波長範囲を有する光子を用いることによって、少なくとも1つの光学特性を高精度で測定することができる。
【0039】
リソグラフィマスクは少なくとも1つの白欠陥を含むことがある。蒸着材料を用いて少なくとも1つの白欠陥を修復することができる。リソグラフィマスクはEUV波長範囲のためのリソグラフィマスクを含むことができる。例によっては、本明細書において説明される方法は、欠陥が修復されるべきマスクの基板で実施することができる。しかし、それを基板で用い、次に、蒸着材料を、決定された1つまたは複数の光学特性に基づいて算出された(最適な)高さを有するよう、修復されるべきマスク上に蒸着させることも可能である。
【0040】
光子はリソグラフィマスクの化学線波長の光子を含むことができる。
【0041】
光学検査システムは、リソグラフィマスクのための検査システム、空間像計測システム、光走査型顕微鏡、および顕微鏡のうちの少なくとも1つを含むことができる。これらの各々はリソグラフィマスクの化学線波長を用いることができる。
【0042】
深紫外(DUV)波長範囲内のマスクを検査するための検査システムは、レーザ源を、リソグラフィマスクを検査するための光源として用いることができる。EUV波長範囲内のマスクを検査するための検査システムは、プラズマ源を、リソグラフィマスクを検査するための光源として用いることができる。プラズマは、レーザシステムのパルスを高密度のエネルギー源として用いることによって発生することができる。
【0043】
空間像計測システムはリソグラフィ露光システムのスキャナを用いるが、投影レンズを、マスクの強度分布の小区分を高解像度でカメラ上に結像する拡大対物レンズと置換することができる。
【0044】
反射率値を決定することは、極紫外(EUV)波長範囲のための光学検査システムを用いることを含むことができる。EUV波長範囲のための光学検査システムはEUV波長範囲のための空間像計測システム(EUV空間像計測システム)であることができる。
【0045】
本方法は、少なくとも3つの測定された堆積高さの間を補間することによって堆積高さの関数を決定するステップをさらに含むことができる。
【0046】
本方法は、測定された反射率値を少なくとも1つの蒸着材料の高さ値の関数としてプロットするステップをさらに含むことができる。本方法は、測定された反射率値を堆積高さの関数としてプロットするステップをさらに含むことができる。
【0047】
少なくとも1つの蒸着材料の堆積高さを測定することは、走査プローブ顕微鏡およびプロフィロメータのうちの少なくとも一方を用いることを含むことができる。走査プローブ顕微鏡は任意の種類の走査プローブ顕微鏡であることができる。
【0048】
本方法は、少なくとも3つの堆積高さのための少なくとも1つの蒸着材料を基板上に蒸着させるステップをさらに含むことができる。
【0049】
基板は、少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも3つの異なる高さ値が上に蒸着させられる表面の光学インターフェースを提供する層を蒸着させることによって準備することができる。光学インターフェースは、本質的に、例えば、白欠陥を修復するために蒸着材料を上に蒸着させることができるリソグラフィマスクの光学インターフェースとして適合させることができる。
【0050】
少なくとも1つの蒸着材料を蒸着させることは、少なくとも1種の前駆体ガスを用いた粒子ビーム誘起蒸着プロセスを遂行することを含むことができる。少なくとも1種の蒸着ガスは、金属アルキル、遷移元素アルキル、主族アルキル、金属カルボニル、遷移元素カルボニル、主族カルボニル、金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、主族アルコキシド、金属錯体、遷移元素錯体、主族錯体、および有機化合物の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0051】
金属アルキル、遷移元素アルキル、および主族アルキルは、シクロペンタジエニル(Cp)トリメチル白金(CpPtMe3)、メチルシクロペンタジエニル(MeCp)トリメチル白金(MeCpPtMe3)、テトラメチルスズ(SnMe4)、トリメチルガリウム(GaMe3)、フェロセン(Cp2Fe)、およびビスアリールクロム(Ar2Cr)の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0052】
金属カルボニル、遷移元素カルボニル、および主族カルボニルは、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)、トリルテニウムドカデカルボニル(Ru3(CO)12)、および鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0053】
金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、および主族アルコキシドは、テトラエチルオルソシリケート(TEOS、Si(OC254)、およびテトライソプロポキシチタン(Ti(OC374)の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。金属ハロゲン化物、遷移元素ハロゲン化物、および主族ハロゲン化物は、六フッ化タングステン(WF6)、六塩化タングステン(WCl6)、六塩化チタン(TiCl6)、三塩化ホウ素(BCl3)、および四塩化ケイ素(SiCl4)の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0054】
金属錯体、遷移元素錯体、および主族錯体は、銅ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)(Cu(C56HO22)、およびジメチル金トリフルオロアセチルアセトナート(Me2Au(C5342))の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0055】
有機化合物は、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、真空ポンプ油の成分、および揮発性有機化合物の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0056】
さらに、粒子ビーム誘起蒸着プロセスは少なくとも1種の添加ガスを含むことができる。少なくとも1種の添加ガスは、酸化剤、ハロゲン化物、および還元剤の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0057】
酸化剤は、酸素(O2)、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、過酸化水素(H22)、一酸化二窒素(N2O)、酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、および硝酸(HNO3)の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。ハロゲン化物は、塩素(Cl2)、塩酸(HCl)、二フッ化キセノン(XeF2)、フッ化水素(HF)、ヨウ素(I2)、ヨウ化水素(HI)、臭素(Br2)、臭化水素(HBr)、塩化ニトロシル(NOCl)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、および三フッ化リン(PF3)の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。還元剤は、水素(H2)、アンモニア(NH3)およびメタン(CH4)の群からの少なくとも1種の元素を含むことができる。
【0058】
粒子ビームは電子ビームであることができる。追加のガスは蒸着プロセスを支援することができる。特に、追加のガスは、少なくとも1つの蒸着材料が所定の材料組成を有するよう助けることができる。
【0059】
少なくとも1種の前駆体ガスはクロムヘキサカルボニル(Cr(CO6))を含むことができ、追加のガスは二酸化窒化物(NO2)を含むことができる。
【0060】
少なくとも1つの蒸着材料は酸化クロム(Crxy)を含むことができる。ここで、xおよびyは、0<x<1.5および0<y<3の範囲内で変化することができる。
【0061】
少なくとも1つの蒸着材料は、<30原子%、好ましくは、<20原子%、より好ましくは、<10原子%、および最も好ましくは、<5原子%の炭素部分をさらに含むことができる。
【0062】
少なくとも1つの光学特性を決定することは、少なくとも3つの異なる堆積高さから堆積高さの関数を決定することを含むことができ、少なくとも1つの蒸着材料のための反射率データを少なくとも1つの蒸着材料の堆積高さの関数としてシミュレートすることをさらに含むことができる。堆積高さの関数は、例えば、堆積高さを蒸着ステップの関数として指示することができる。
【0063】
反射率データをシミュレートすることは、文献の少なくとも1つの蒸着材料の(または同様の材料の)少なくとも1つの光学特性の数値を開始値として取ることを含むことができる。反射率データをシミュレートすることは、マクスウェルの方程式を数値的に解くシミュレーションツールを用いることによって、堆積高さ(ならびに、例えば、屈折率および吸収係数)の関数としての少なくとも1つの反射率曲線を算出することを含むことができる。Dr.LITHOは、反射率曲線を吸収層の高さまたは厚さの関数としてシミュレートするために用いることができる例示的なシミュレーションツールである。同様に用いることができるさらなるシミュレーションツールの例は、PROLITH、ProLE、およびHiperLithである。
【0064】
シミュレートされた反射率データを、測定された反射率値に適合させることは、少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を変更することを含むことができ、反射率データを堆積高さの関数としてシミュレートすることをさらに含むことができる。少なくとも1つの光学特性を変更することは、少なくとも1つの光学特性の少なくとも1つの数値を変更することを含むことができる。
【0065】
シミュレートされた反射率データを、測定された反射率値に適合させることは、少なくとも1つの光学特性の異なる数値を有する様々なシミュレーション実行のシミュレートされた反射率データを、測定された反射率値と比較することを含むことができる。
【0066】
以上において規定された方法は実験データを信頼し、少なくとも1つの光学特性の少なくとも1つの数値を体系的に変更することによって、シミュレートされたデータまたはシミュレートされた曲線を実験データに適合させる。
【0067】
少なくとも1つの光学特性を決定することは、測定された反射率値への最良適合を有するシミュレートされた反射率データから少なくとも1つの光学特性を抽出することを含むことができる。
【0068】
以上において規定された方法は、リソグラフィマスクの少なくとも1つの白欠陥を修正するために、決定された少なくとも1つの光学特性に基づいて少なくとも1つの蒸着材料の(最適な)堆積高さを算出するステップをさらに含むことができる。
【0069】
少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を精密に測定することによって、リソグラフィマスクの所定の吸収特性を満たし、同時に、リソグラフィマスクの3D効果を最小限に抑える吸収層を製作することができる。
【0070】
例によっては、本方法は、少なくとも1つの白欠陥を修正するために、算出された(最適な)堆積高さを有する少なくとも1つの蒸着材料をリソグラフィマスク上に蒸着させるステップをさらに含むことができる。
【0071】
コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがコンピュータシステム上で実行されたとき、上述の態様の方法ステップのうちのいずれかを遂行するための命令を有することができる。
【0072】
別の態様は、少なくとも1つの欠陥が、上述の態様の方法ステップのうちのいずれかに従って修復されたリソグラフィマスクに関する。
【0073】
さらなる実施形態では、リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定するためのコンピューティング装置が提供され得る。コンピューティング装置は、(a)少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための少なくとも1つの蒸着材料の高さ値を決定することであって、少なくとも3つの異なる堆積高さがナノスケール範囲内である、決定することと、(b)少なくとも3つの堆積高さの各々のための少なくとも1つの蒸着材料の反射率値を決定することであって、反射率値が、光学検査システムによって発生された光子を用いることによって測定される、決定することと、(c)シミュレートされた反射率データを少なくとも1つの3つの異なる堆積高さのための得られた反射率値に適合させることによって、少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定することとを行うように動作可能であることができる。例によっては、コンピューティング装置は、ステップ(c)を遂行する前に、少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性のための開始値を得るように動作可能であることができる。
【0074】
コンピューティング装置は、反射率値を測定するために用いられる光子と本質的に同じ波長分布を有する光子のために、少なくとも1つの光学特性の異なる数値のための反射率データを堆積高さの関数として少なくとも2回シミュレートするようにさらに動作可能であることができる。コンピューティング装置は、少なくとも2つのシミュレートされた反射率データセットを、測定された反射率値と比較するようにさらに動作可能であることができる。さらに、コンピューティング装置は、測定された反射率値への最良適合を有するシミュレートされた反射率データセットから少なくとも1つの光学特性を抽出するように動作可能であることができる。
【0075】
別の実施形態では、リソグラフィマスクのための少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定するための装置が、(a)少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための、基板上に蒸着させられた少なくとも1つの蒸着材料の高さ値を決定するための手段であって、少なくとも3つの異なる堆積高さがナノスケール範囲内である、手段と、(b)少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための少なくとも1つの蒸着材料の反射率値を測定するための手段であって、反射率値を測定することが、光学検査システムによって発生された光子を用いることを含む、手段と、(c)シミュレートされた反射率データを、少なくとも3つの異なる堆積高さの各々のための測定された反射率値に適合させることによって、少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定するための手段とを備える。
【0076】
高さ値を決定するための手段は、高さ値を測定するための手段、例えば、走査プローブ顕微鏡、およびプロフィロメータのうちの少なくとも一方を含むことができる。走査プローブ顕微鏡はAFM(原子間力顕微鏡(atomic force microscope))を含むことができる。高さ値を決定するための手段はまた、校正データに基づいて高さ値を決定することを含むことができる。例えば、高さ値は、蒸着ステップの数および/または蒸着時間(ならびにステップおよび/または時間を堆積高さ値に関係づける校正データ)に基づいて決定することができる。
【0077】
光学検査システムは光源を含むことができる。光源は、例えば、DUV波長範囲内で放出する、レーザ光源、および/または例えば、EUV波長範囲内の光子を発生する、プラズマ光源であることができる。プラズマ光源は、金属液滴を加熱するためのレーザ源を含むことができる。金属液滴はスズ液滴を含むことができ、金属液滴を加熱することは、金属液滴を蒸発させることを含むことができる。
【0078】
光学検査システムは、光源によって発生された光をリソグラフィマスクおよび/またはウェハ上へ誘導し、集束させるように動作可能な少なくとも1つの光学要素をさらに含むことができる。少なくとも1つの光学要素は、少なくとも1つの光学要素が、所定の横方向サイズを有する蒸着材料を結像することができるよう、十分に大きい開口数を有することができる。少なくとも1つの光学要素は、それがRaleighの解像限界を満たす場合には、概して、所定の横方向サイズの蒸着材料を結像することができる。これは、dが蒸着材料の最小横方向寸法であり、λが光学検査システムの波長である場合、最小開口数(NA)は、
【0079】
【数3】
によって与えられることを意味する。これは、蒸着材料の横方向サイズdが、蒸着材料を解像するために光学検査システムによって必要とされる最小NAを決定することを意味する。蒸着材料を解像するために、少なくとも1つの光学要素の開口数は、
【数4】
、好ましくは、
【数5】
、および最も好ましくは、
【数6】
である必要がある。例えば、最小横方向寸法は、0.5μm、1μm、2μm、4μm、または8μmの値を有することができる(例えば、対応する辺長(直径)をそれぞれ有する、正方形、長方形(円形)等の蒸着幾何形状を用いる)。λについては、(EUVのための)典型的な値は13.5nmの化学線波長であることができる。それゆえ、開口数NAは、各波長、例えば、λ=13.5nmのための蒸着幾何形状の最小横方向寸法に直接関係づけられ得る。例えば、1μmの横方向寸法(およびλ=13.5nm)については、最小開口数NAは、0.016、好ましくは、0.033、最も好ましくは、0.066であることができる。例えば、0.5μmの横方向寸法(およびλ=13.5nm)については、最小開口数NAは、0.033、好ましくは、0.066、最も好ましくは、0.132であることができる。本明細書において概説されたとおりの他の横方向寸法(上記参照)についても、最小開口数値は同じ仕方で得ることができる(および本開示の一部として理解される)。
【0080】
リソグラフィマスクはマスクステージ上に配置することができる。マスクの代わりに、少なくとも3つの異なる堆積高さを有する少なくとも1つの蒸着材料を含む基板をマスクステージ上に配置することができる。
【0081】
さらに、光学検査システムは、リソグラフィマスクから反射された光を検出器内へ集束させるように動作可能なさらなる光学要素、例えば、投影レンズを含むことができる。ただし、それを含むことは必須ではない。検出器はCCD(電荷結合素子(charge-coupled device))カメラであることができる。投影レンズは拡大投影レンズであることができる。投影レンズの倍率は、>50、好ましくは、>100、より好ましくは、>200、および最も好ましくは、>400であることができる。
【0082】
光学検査システムはEUV波長範囲のための光学検査システムを含むことができる。特に、空間像計測システムは、極紫外波長範囲のための空間像計測システム(EUV空間像計測システム)を含むことができる。
【0083】
装置は、上述された態様の方法ステップのうちのいずれかを遂行するように動作可能であることができる。
【0084】
本発明をより深く理解し、その実際の適用を認識するために、次の図面が提供され、以下において参照される。図面は単なる例として与えられているにすぎず、決して本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】反射型リソグラフィマスクの吸収層の光学特性を決定するために適用される方法の全体像を概略的に示す図である。
図2】基板上に蒸着させられた蒸着材料の上面図を概略的に示す図である。
図3】測定された高さ値を、蒸着材料を蒸着させるために用いられた蒸着ステップの数の関数として概略的に示す図である。
図4】光学検査システムの一例としてのリソグラフィ露光システムに基づく空間像計測システムの原理を概略的に示す図である。
図5】測定された反射率値およびシミュレートされた反射率データを吸収層の堆積高さの関数として概略的に示す図である。
図6】リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料の少なくとも1つの光学特性を決定するための方法のフロー図である。
図7図1に示される方法を実行するために用いることができる装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
次に、以下において、本発明の例示的な実施形態が例示された添付の図面を参照して、本発明がより完全に説明される。しかし、本発明は異なる形態で具体化することができ、本明細書において規定される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的になり、本発明の範囲を当業者に伝えることになるよう、提供されている。
【0087】
以下においては、吸収反射型リソグラフィマスクを例にとることによって本発明が説明される。しかし、本発明は位相シフト反射型マスクにも適用することができる。さらに、本出願において説明される方法は、透過型フォトマスクの蒸着材料の光学特性を決定するために用いることもできる。透過型フォトマスクの蒸着材料の光学特性は、透過および/または反射測定を遂行することによって決定することができる。以下の詳細な説明は、反射率データを測定することに限定される。
【0088】
フォトマスク以外に、本提示の方法は、例えば、ミラーおよび/またはレンズとしての様々な種類の光学要素上に蒸着させられた非常に薄い層の光学特性を決定するために用いることができる。概して、本発明は、干渉効果が考慮されなければならない非常に薄い層を形成するために用いられる材料の光学特性を決定するために適用することができる。
【0089】
図1は、本出願において示される方法の全体像を概略的に与える。図1は2つの部分を包含する。上側の部分105は方法100の実験部分を示し、下側の部分195は蒸着材料の光学特性の決定のシミュレーション部分を示す。
【0090】
以下において、方法100の様々な部分が詳細に説明される。実験部分の第1のステップにおいて、様々な高さ値を有する蒸着材料を基板上に蒸着させる。図2の線図200は、様々な高さ値を有する蒸着材料250が上に蒸着させられた基板210上の上面図を示す。図2に示される例では、蒸着させられた材料250は、1μm×1μmの寸法を有する正方形の形で蒸着させられている。図2は、走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)を用いて記録された像を示す。線230は、基板210と、蒸着させられた材料250とを分離している。しかし、蒸着材料250はその上面の様々な幾何学的形態で蒸着させることができる。例えば、蒸着材料250は、長方形、円、または任意の幾何学的形状の形で蒸着させることができる(図2には示されない)。蒸着材料250の上面270は、1μm2、またはさらにそれ未満の面積を有することができる。
【0091】
方法100の利点は、蒸着材料250の表面270は、蒸着材料250を用いることによって修復することができる白欠陥の寸法に近いサイズを有することができることである。これは、粒子ビーム誘起蒸着プロセスを用いることによって蒸着材料250を基板210上に蒸着させることを可能にする。それゆえ、蒸着材料250の光学特性を決定するために用いられる蒸着材料250の材料組成と、白欠陥を修復するために用いられる蒸着材料250の材料組成とは非常に類似することができる。例えば、蒸着材料250は、EBID(電子ビーム誘起蒸着(electron beam induced deposition))プロセスを用いることによって蒸着させることができる。
【0092】
図2において示される例では、蒸着材料250は酸化クロム(Crxy)であり、0<x<1.5および0<y<3である。しかし、蒸着材料250は酸化クロムに限定されない。むしろ、様々な金属酸化物を基板210上に蒸着させることができる。さらに、金属酸化物以外に、例えば、金属窒化物を、薄い吸収層を形成するための材料として用いることもできる。概して、上述の方法は、コーティング材料、またはナノスケール範囲内の厚さを有する任意の材料の光学特性の決定のために適用されることによる。
【0093】
基板210は反射型マスクの多層構造の上面であることができる。代替的に、基板210は、例えば、ウェハとしての、任意の基板であることができる。必要な場合には、リソグラフィマスクの白欠陥を修正するための蒸着材料250が上に蒸着させられる表面と本質的に同一である光学インターフェースを提供する層を基板210上に蒸着させることができる。
【0094】
図3の線図300は、蒸着材料250を蒸着させるために適用された蒸着ステップの数の関数として示される蒸着材料250の高さ値330、350、370の数を示す。蒸着材料250の堆積高さ330、350、370は蒸着ステップの数とともに直線的に増加する。点線の曲線310は、測定された反射率値と、堆積高さの関数としてシミュレートされた反射率データとを比較するための正規化曲線を提供する(以下の図5参照)。したがって、図1において記号的に示されるように、曲線310はシミュレーションツール600への入力パラメータになることができる。
【0095】
さらに、図1における参照符号400によって示されるように、様々な高さ値330、350、370を有する蒸着材料250を有する基板210を光学検査システムによって測定する。図1において示される例では、光学検査システムは空間像計測システムである。図4の線図400は、右側の部分像455内に示される空間像計測システムの測定原理を、左側の部分像405上に示されるリソグラフィ露光システムと比較して概略的に示す。空間像計測システムは光学検査システムの現在好ましい例である。リソグラフィ露光システムでは、化学線波長の電磁放射線がリソグラフィマスク上に集束させられる。投影光学ユニットまたは投影レンズが、フォトマスクを通過した放射線を、大きい開口数(NAW)をもって、ウェハ上、またはウェハ上に分散したフォトレジスト上に、縮小(通例、1:4または1:5)を伴って結像する。
【0096】
図4における右側の部分像455は、空間像計測システムの原理を用いる光学マスク検査システム450のいくつかの構成要素を示す。スキャナの、および空間像計測システム450の露光システムは実質的に同一である。これは、例えば、リソグラフィマスクのパターン要素の、像生成は両方のシステムで実質的に同じであることを意味する。それゆえ、空間像計測システム450は、マスクの光強度分布のセグメントを、ウェハ上に配置されたフォトレジストに入射するように、結像する。しかし、スキャナの場合とは異なり、空間像計測システム450の場合には、レンズは、フォトマスクの光強度分布の小セグメントをCCD(電荷結合素子)カメラ上に大倍率で結像する。
【0097】
図4の線図455は透過型フォトマスクのための空間像計測システム450を示す。EUV空間像計測システムは空間像の測定原理を反射型リソグラフィマスクに適合させる(図4には示されていない)。EUV空間像計測システムをEUV光学検査システムの一例として用いることによって、2桁のナノメートル範囲内の堆積高さ330、350、370を有する蒸着材料250の反射率値を非常に高い解像度で測定することが可能になる。
【0098】
図5の線図500は、図4の文脈で説明されたEUV空間像計測システムによって測定された反射率値530、550、570を示す。図5において、反射率値530、550、570は黒丸として示されている。測定された反射率値530、550、570は、EUV空間像計測システムの、またはより一般的には、EUV光学検査システムのいくつかの波長の高さ値330、350、370を包含している。さらに、異なる高さ値330、350、370の間の高低差は等距離ではなく、高低差が、光学検査システム、例えば、図1の空間像計測システムのEUV光子の波長の周期性と偶然に一致することを回避するために、ランダムに選択される。図5から、測定された反射率値530、550、570は吸収蒸着材料250の堆積高さ330、350、370の関数として厳密に単調に減少しない、または低下しないことを明瞭に認識することができる。これは、EUV空間像計測システムは、蒸着材料250の堆積高さ330、350、370の関数として低下する反射率曲線上に重畳されたスイング曲線を明瞭に検出することができることを意味する。
【0099】
再び、図1に関して、線図100の下側の部分像195は、本出願において説明される方法のシミュレーション部分を記号的に示す。図3の点線の曲線310はシミュレーションツール600への入力パラメータとして提供することができる。曲線310は、蒸着材料250の反射率を堆積高さ330、350、370の関数としてシミュレートするためのx軸を形成する。さらに、シミュレーションツール600への入力パラメータは、シミュレートされるべき蒸着材料250の3D情報であることができる。
【0100】
シミュレーションツール695は蒸着材料250の個別の堆積高さ330、350、370または厚さのためにマクスウェルの方程式を数値的に解く。典型的には、屈折率nおよび吸収係数kが蒸着材料250の光学特性を規定する。蒸着材料250の反射率挙動の有用なシミュレーションを遂行するために、nおよびkの数値が開始値または初期値として必要とされる。文献のnおよびkの数値が蒸着材料250のために用いられる。特定の蒸着材料のためのデータが利用可能でない場合には、調査されるべき蒸着材料250に近い材料組成を有する蒸着材料のためのnおよびkの数値が用いられる。
【0101】
図1に示される例では、シミュレーションツールDr.LITHO695が、蒸着材料250の反射率挙動を堆積高さ330、350、370の関数としてシミュレートするために用いられる。しかし、シミュレーション部分195は、マクスウェルの方程式を数値的に解く任意の従来のシミュレーションツールによって遂行され得る。例えば、シミュレーションツールPROLITHがソフトウェアパッケージDr.LITHOの代替になる。
【0102】
蒸着材料250の光学特性nおよびkを決定するために、堆積高さ350の関数としての反射率が繰り返しシミュレートされ、nおよびkの開始値が、図1における参照符号795によって指示されるように、体系的に変更される。様々なnおよびkの組み合わせのためのシミュレートされた反射率曲線が、図5において、反射率データ730、750および770として示されている。予想どおり、シミュレートされた反射率データ730、750、770は、蒸着材料250の高さの増大に伴う反射率の急激な降下を予測する。さらに、シミュレートされた反射率データ730、750、770は、反射率の降下の上に重畳されたスイング曲線を明らかにする。
【0103】
図1の線図100における参照符号800によって指示されるように、様々なシミュレートされた反射率データ730、750、770または反射率データセット730、750、770を測定反射率値530、550、570と比較する。図5に示される例では、反射率データ750が反射率値530、550、570に最良に適合する。反射率データ750は、n=n1の屈折率およびk=k1の吸収係数を用いてシミュレートされた。
【0104】
それゆえ、図1における参照符号900によって記号で示されるように、蒸着材料250の要求された光学特性はn=n1およびk=k1である。また、蒸着材料250の他方の量が高精度ですでに知られている場合には、屈折率または吸収係数のどちらかを決定することも可能である。
【0105】
図6は、リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料250の少なくとも1つの光学特性を決定するための方法のフロー図600を示す。本方法は610において開始する。ステップ620において、蒸着材料250の少なくとも3つの堆積高さ330、350、370の各々のための、基板210上に蒸着させられた少なくとも1つの蒸着材料250の高さ値を決定する。少なくとも3つの堆積高さ330、350、370はナノスケール範囲内である。例えば、堆積高さ330、350、370はAFMによって測定することができるか、またはそれは、例えば、図3を参照して概説されたように、蒸着ステップの数に基づいて決定することができる。
【0106】
ステップ630において、少なくとも3つの異なる堆積高さ330、350、370の各々のための少なくとも1つの蒸着材料250の反射率値530、550、570を決定する。反射率値530、550、570の決定は、光学検査システムによって発生された光子、特に、EUV波長範囲の光子の利用を含む。反射率値530、550、570は、出願人のAIMS(商標)EUVを用いることによって測定することができる。
【0107】
ステップ640において、シミュレートされた反射率データ730、750、770を、少なくとも3つの異なる堆積高さ330、350、370の各々のための測定された反射率値530、550、570に適合させることによって、少なくとも1つの蒸着材料250の少なくとも1つの光学特性を決定する。この方法ステップはコンピューティング装置によって遂行され得る。次に、本方法は650において終了する。
【0108】
最後に、図7は、図1に概略的に示される方法を遂行するために用いることができる装置1000を概略的に示す。装置1000は、走査プローブ顕微鏡の一例として、AFM1010、コンピューティング装置1030、および/または光学検査システムの一例として、EUV空間像計測システム1070を組み合わせることができる。コンピューティング装置1030は接続1015を介してAFM1010に接続され得る。コンピューティング装置1030は接続1015を介してAFM1010を制御することができ、AFM1010から測定データ、特に、堆積高さ330、350、370を得ることができる。
【0109】
コンピューティング装置1030は、シミュレーションツール1050を記憶するための不揮発性メモリ1040を含むことができる。シミュレーションツール1050は図1のシミュレーションツール695であることができる。さらに、コンピューティング装置1030は、シミュレーションツール1050の命令を実行するように動作可能であるプロセッサ1060を含むことができる。プロセッサ1060のハードウェアの実行はシミュレーションツール1050の要求に適合させることができる。
【0110】
コンピューティング装置1030は接続1075を用いてEUV空間像計測システム1070に接続され得る。コンピューティング装置1030は接続1075を介してEUV空間像計測システム1070を制御することができる。さらに、コンピューティング装置1030は接続1075を介してEUV空間像計測システム1070から測定データを得ることができる。特に、コンピューティング装置1030はEUV空間像計測システム1070から反射率値530、550、570を受け取ることができる。
【0111】
装置1000はインターフェース1090をさらに有することができる。装置1000のコンピューティング装置1030はインターフェース1090から接続1095を介して実験データを受け取ることができる。インターフェース1090を介してコンピューティング装置1030によって受け取られる実験データは、蒸着材料250の堆積高さ330、350、370および/または蒸着材料250の反射率値530、550、570を含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料(250)の少なくとも1つの光学特性を決定するための方法(600)であって、
a.前記蒸着材料(250)の少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための、基板(210)上に蒸着させられた前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の高さ値を決定するステップ(620)であって、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)がナノスケール範囲内である、ステップ(620)と、
b.前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の反射率値(530、550、570)を決定するステップ(630)であって、前記反射率値(530、550、570)を決定するステップが、光学リソグラフィ検査システムによって発生された光子を用いることを含む、ステップ(630)と、
c.シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記測定された反射率値(530、550、570)に適合させることによって、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも1つの光学特性を決定するステップ(640)と
を含む方法(600)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記高さ値(330、350、370)を決定するステップが、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記高さ値(330、350、370)を測定することを含み、および/または前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記反射率値(530、550、570)を決定するステップが、前記光学リソグラフィ検査システムによって発生された光子を用いて前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記反射率値(530、550、570)を測定することを含む、請求項1に記載の方法(600)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光学特性を決定するステップが、屈折率または吸収係数のうちの少なくとも一方を決定することを含む、請求項1または2に記載の方法(600)。
【請求項4】
前記蒸着材料(250)が吸収材料を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記堆積高さ(330、350、370)の上面(270)が、64μm2、好ましくは、16μm2、より好ましくは、4μm2、さらにより好ましくは、1μm2、および最も好ましくは、0.5μm2以下の面積を有する、請求項4に記載の方法(600)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)が、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の、少なくとも10個、好ましくは、少なくとも20個、より好ましくは、少なくとも30個、および最も好ましくは、少なくとも40個の異なる堆積高さ(330、350、370)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項7】
前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の全体高低差が、前記反射率値を決定するために用いられる前記光子の波長よりも大きい、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項8】
前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の間の高低差が、前記反射率値(530、550、570)を決定するために用いられる前記光子の半波長またはその整数倍の周期性を有しない、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項9】
前記光子が極紫外波長範囲の光子を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項10】
前記光学リソグラフィ検査システムが、前記リソグラフィマスクの化学線波長を用いる、前記リソグラフィマスクのための検査システム、空間像計測システム、光走査型顕微鏡、または顕微鏡のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法(600)。
【請求項11】
前記少なくとも3つの堆積高さ(330、350、370)を作り出すための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)を前記基板(210)上に蒸着させるステップをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項12】
前記シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記測定された反射率値(530、550、570)に適合させることが、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも1つの光学特性を変更し、前記反射率データ(730、750、770)を堆積高さの関数としてシミュレートすることを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項13】
前記シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記測定された反射率値(530、550、570)に適合させることが、前記少なくとも1つの光学特性の少なくとも2つの異なる数値を有する様々なシミュレーション実行のシミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記測定された反射率値(530、550、570)と比較することを含む、請求項12に記載の方法(600)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光学特性を決定する前記ステップが、前記測定された反射率値(530、550、570)への最良適合を有するシミュレートされた反射率データ(730、750、770)から前記少なくとも1つの光学特性を抽出することを含む、請求項13に記載の方法(600)。
【請求項15】
前記リソグラフィマスクの少なくとも1つの白欠陥を修正するために、前記決定された少なくとも1つの光学特性に基づいて前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の堆積高さ(330、350、370)を算出するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法(600)。
【請求項16】
コンピュータプログラムがコンピュータシステム上で実行されたとき、請求項1~15に記載の方法ステップのうちのいずれかを遂行するための命令を有する、コンピュータプログラム。
【請求項17】
少なくとも1つの欠陥が、請求項1~15に記載の方法ステップのうちのいずれかに従って修復されたリソグラフィマスク。
【請求項18】
リソグラフィマスクのために用いられる少なくとも1つの蒸着材料(250)の少なくとも1つの光学特性を決定するためのコンピューティング装置(1030)であって、
a.少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の高さ値を決定することであって、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)がナノスケール範囲内である、決定することと、
b.前記少なくとも3つの堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の反射率値(530、550、570)を決定することであって、前記反射率値(530、550、570)が、光学リソグラフィ検査システムによって発生された光子を用いることによって測定される、決定することと、
c.シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)のための前記決定された反射率値(530、550、570)に適合させることによって、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも1つの光学特性を決定することと
を行うように動作可能である、コンピューティング装置(1030)。
【請求項19】
リソグラフィマスクのための少なくとも1つの蒸着材料(250)の少なくとも1つの光学特性を決定するための装置(1000)であって、
a.少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための、基板(210)上に蒸着させられた前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の高さ値を決定するための手段(1010)であって、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)がナノスケール範囲内である、手段(1010)と、
b.前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の反射率値を測定するための手段(1070)であって、前記反射率値(530、550、570)を測定することが、光学リソグラフィ検査システムによって発生された光子を用いることを含む、手段(1070)と、
c.シミュレートされた反射率データ(730、750、770)を、前記少なくとも3つの異なる堆積高さ(330、350、370)の各々のための前記測定された反射率値(530、550、570)に適合させることによって、前記少なくとも1つの蒸着材料(250)の前記少なくとも1つの光学特性を決定するための手段(1030)と
を備える装置(1000)。
【請求項20】
前記装置(1000)が、請求項1~15に記載の方法ステップのうちのいずれかを遂行するように動作可能である、請求項19に記載の装置(1000)。
【国際調査報告】