(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】金属含有フォトレジストのリワーク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240816BHJP
G03F 7/42 20060101ALI20240816BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240816BHJP
H01L 21/302 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
H01L21/30 572A
G03F7/42
H01L21/302 104H
H01L21/302 201A
H01L21/302 301Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504920
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022037733
(87)【国際公開番号】W WO2023009364
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】スー・メン
(72)【発明者】
【氏名】リー・ダ
(72)【発明者】
【氏名】ユー・ジェンギー
(72)【発明者】
【氏名】タン・サマンサ・シンファ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ・ウーク
【テーマコード(参考)】
2H196
5F004
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
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2H196HA18
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(57)【要約】
【解決手段】 金属含有フォトレジストのフォトレジストリワークが開示される。リワークは、基板を昇温及びエッチングガスに曝露する熱プロセスを使って達成できる。リワークは、また、基板を無機酸性溶液に曝露する湿式プロセスを使って達成することもできる。残留物やその他の汚染物質は、リワーク後、高温、プラズマへの曝露、又は湿式洗浄によって基板から除去し得る。
【選択図】
図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有レジストを除去する方法であって、
プロセスチャンバ内で、半導体基板の下地層上に金属含有レジストを設けること;及び
前記金属含有レジストを第1の昇温温度でハロゲン化物を含むエッチングガスに曝露して、前記金属含有レジストを除去することを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露することが、前記金属含有レジストを前記下地層に対して選択的に除去することを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露することを、プラズマへの曝露なしに行う、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露することが、プラズマへの曝露を伴う、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを除去した後、前記下地層及び残留ハロゲン化物を除去用ガスに曝露して、前記下地層及び前記残留ハロゲン化物を除去することをさらに含み、
前記除去用ガスが、前記第1の昇温温度よりも高い第2の昇温温度において酸化性ガス又は水素ガスを含む、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを除去した後、前記下地層及び残留ハロゲン化物をプラズマに曝露して、前記下地層及び前記残留ハロゲン化物を除去することをさらに含み、
前記プラズマが、酸化性ガス又は水素ガスのイオン及び/又はラジカルを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを除去した後、前記下地層をプラズマに曝露して前記下地層の表面を処理することをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記半導体基板を希フッ化水素酸(dHF)の水溶液に曝露すること;及び
前記半導体基板を希塩酸(dHCl)の水溶液又は水酸化アンモニウム(NH
4OH)と過酸化水素(H
2O
2)とを含む洗浄液に曝露することをさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジストがフォトパターニングされた金属含有EUVレジストである、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチングガスが、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、水素ガス及びフッ素ガス(H
2+F
2)、水素ガス及び塩素ガス(H
2+Cl
2)、水素ガス及び臭素ガス(H
2+Br
2)、水素ガス及びヨウ化物ガス(H
2+I
2)、又は三塩化臭素(BCl
3)を含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の昇温温度が約60℃から約250℃の間である、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露する間のチャンバ圧が約100mTorrから約2000mTorrの間であり、
前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露する間の前記エッチングガスの流量が約100sccmから約5000sccmの間である、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記下地層が、スピンオングラス(SOG)、スピンオンカーボン(SOC)、アモルファス若しくは結晶性カーボン、又はシリコンオキシナイトライド(SiON)を含む、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジスト上にマスク層をコンフォーマルに堆積させること;及び
前記マスク層の一部を除去し、前記金属含有レジストの上面を露出させることをさらに含み、
前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露することにより、前記マスク層に対して前記金属含有レジストを選択的に除去する、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを前記第1の昇温温度で前記エッチングガスに曝露することが、前記半導体基板の前面を複数の発光ダイオード(LED)からの光に露光することを含む、方法。
【請求項16】
金属含有レジストを除去する方法であって、
プロセスチャンバ内で、半導体基板の下地層上に金属含有レジストを設けること;及び
前記金属含有レジストを少なくとも希釈酸の水溶液に曝露して前記金属含有レジストを除去することを含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを少なくとも前記希釈酸の水溶液に曝露することが、
前記半導体基板を希フッ化水素酸(dHF)の水溶液に曝露すること;及び
前記半導体基板を希塩酸(dHCl)の水溶液又は水酸化アンモニウム(NH
4OH)と過酸化水素(H
2O
2)とを含む洗浄液に曝露することを含む、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
前記金属含有レジストがフォトパターニングされた金属含有EUVレジストである、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを少なくとも前記希釈酸の水溶液に曝露することにより、前記金属含有レジストを前記下地層に対して選択的に除去する、方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法であって、
前記下地層が、スピンオングラス(SOG)、スピンオンカーボン(SOC)、アモルファス若しくは結晶性カーボン、又はシリコンオキシナイトライド(SiON)を含む、方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを少なくとも前記希釈酸の水溶液に曝露することが、前記半導体基板の表側及び裏側を前記希釈酸の水溶液に曝露することを含む、方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法であって、
前記金属含有レジストを除去した後、前記下地層をプラズマに曝露して前記下地層の表面を処理することをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
PCTリクエストフォームは、本出願の一部として本明細書と同時に提出される。同時に提出されたPCTリクエストフォームにおいて特定されているように本願が利益又は優先権を主張する各出願は、参照により、その全体が全ての目的のために本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、半導体作製におけるフォトレジスト材料の除去に関し、特に、半導体作製におけるパターニング可能な金属含有フォトレジスト材料のリワークに関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路などの半導体デバイスの作製は、フォトリソグラフィを含むマルチステッププロセスである。一般に、このプロセスは、ウェハ上への材料の堆積、及び半導体デバイスの構造フィーチャ(例えば、トランジスタ及び回路)を形成するためのリソグラフィ技法を介した材料のパターニングを含む。当技術分野において知られている典型的なフォトリソグラフィプロセスのステップは、基板を準備すること;スピンコーティング等によってフォトレジストを塗布すること;フォトレジストを所望のパターンで露光すること;フォトレジストの露光エリアを、現像液中にある程度可溶にさせること;現像液を塗布することによって現像して、フォトレジストの露光又は非露光エリアのいずれかを除去すること;及び、それに続いて、エッチング又は材料堆積等によって、フォトレジストが除去された基板のエリアにフィーチャを形成する処理を行うことを含む。
【0004】
半導体デザインの発展によって、半導体基板材料上にこれまでよりも小さなフィーチャを作成する必要性が生じ、またそのための技量によってさらなる発展が遂げられてきた。こういった技術の進歩は、高密度集積回路のトランジスタ密度が2年ごとに倍増するという「ムーアの法則」によって特徴づけられてきた。実際、チップの設計及び製造は進歩しており、近年のマイクロプロセッサは、一枚のチップ上に数十億のトランジスタ及び他の回路フィーチャを含み得る。そのようなチップ上における個々のフィーチャは、22ナノメートル(nm)又はそれよりも小さく、いくつかの場合において10nm未満のオーダーであり得る。
【0005】
このような小さなフィーチャを有するデバイスを製造する際の課題の1つは、十分な解像度を有するフォトリソグラフィマスクを、高い信頼性と再現性で作成する技能である。現在のフォトリソグラフィプロセスは、典型的には、フォトレジストの露光に193nmの紫外線(UV)光を使用している。光は、半導体基板上に生成される所望のフィーチャのサイズよりも著しく大きい波長を有しており、これによって固有の問題が引き起こされる。光の波長よりも小さいフィーチャサイズを実現するには、マルチパターニングなどの複雑な解像度向上技術が必要である。従って、10nm~15nm、例えば、13.5nmの波長を有する、極端紫外放射(EUV)などの、より短い波長の光を用いたフォトリソグラフィ技術の開発に高い関心が集まっており、また鋭意研究されている。
【0006】
しかしながら、EUVフォトリソグラフィプロセスは、低電力出力及びパターニング中の光の損失などの問題が起こり得る。193nmUVリソグラフィにおいて使用されるものと同様である従来の有機化学増幅レジスト(CAR)は、EUVリソグラフィにおいて使用される際に、特に、それらがEUV領域において吸収係数が低く、光活性化化学種の拡散によってぼけ又はラインエッジラフネスがもたらされる可能性があることで、潜在的な欠点を有する。さらに、基礎となるデバイス層をパターニングするために要求されるエッチング耐性を提供すべく、従来のCAR材料においてパターニングされた小さなフィーチャが、パターン崩壊のリスクのある高アスペクト比となる可能性がある。したがって、厚さが減少でき、より高い吸光度やエッチング耐性などの特性を有する改良されたEUVフォトレジスト材料の開発が依然として必要である。
【0007】
本明細書において提供される背景技術の説明は、本技術の文脈を一般的に提示する目的として行われる。この背景技術のセクションにおいて述べられる範囲での本発明者の仕事、及び、提出の時点で従来技術として別様に適格でない場合がある本明細書の態様は、明示的にも黙示的にも本技術に対する従来技術とは認められない。
【発明の概要】
【0008】
本明細書では、金属含有レジストを除去する方法を提供する。本方法は、プロセスチャンバ内で、半導体基板の下地層上に金属含有レジストを設けること、及び前記金属含有レジストを第1の昇温温度でハロゲン化物を含むエッチングガスに曝露して、前記金属含有レジストを除去することを含む。
【0009】
いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露することが、前記金属含有レジストを前記下地層に対して選択的に除去することを含む。いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露することを、プラズマへの曝露なしに行う。いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露することが、プラズマへの曝露を伴う。いくつかの実装形態では、前記方法は、前記金属含有レジストを除去した後、前記下地層及び残留ハロゲン化物を除去用ガスに曝露して、前記下地層及び前記残留ハロゲン化物を除去することをさらに含み、前記除去用ガスが、前記第1の昇温温度よりも高い第2の昇温温度において酸化性ガス又は水素ガスを含む。いくつかの実装形態では、前記方法は、前記金属含有レジストを除去した後、前記下地層及び残留ハロゲン化物をプラズマに曝露して、前記下地層及び前記残留ハロゲン化物を除去することをさらに含み、前記プラズマが、酸化性ガス又は水素ガスのイオン及び/又はラジカルを含む。いくつかの実装形態では、前記方法は、前記金属含有レジストを除去した後、前記下地層をプラズマに曝露して前記下地層の表面を処理することをさらに含む。いくつかの実装形態では、前記方法は、前記半導体基板を希フッ化水素酸(dHF)の水溶液に曝露すること、及び前記半導体基板を希塩酸(dHCl)の水溶液又は水酸化アンモニウム(NH4OH)と過酸化水素(H2O2)とを含む洗浄液に曝露することをさらに含む。いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストがフォトパターニングされた金属含有EUVレジストである。いくつかの実装形態では、前記エッチングガスが、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、水素ガス及びフッ素ガス(H2+F2)、水素ガス及び塩素ガス(H2+Cl2)、水素ガス及び臭素ガス(H2+Br2)、水素ガス及びヨウ化物ガス(H2+I2)、又は三塩化臭素(BCl3)を含む。いくつかの実装形態では、前記第1の昇温温度が約60℃から約250℃の間である。いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露する間のチャンバ圧が約100mTorrから約2000mTorrの間であり、前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露する間の前記エッチングガスの流量が約100sccmから約5000sccmの間である。いくつかの実装形態では、前記下地層が、スピンオングラス(SOG)、スピンオンカーボン(SOC)、アモルファス若しくは結晶性カーボン、又はシリコンオキシナイトライド(SiON)を含む。いくつかの実装形態では、前記方法は、前記金属含有レジスト上にマスク層をコンフォーマルに堆積させること、及び前記マスク層の一部を除去し、前記金属含有レジストの上面を露出させることをさらに含み、前記金属含有レジストを前記エッチングガスに曝露することにより、前記マスク層に対して前記金属含有レジストを選択的に除去する。いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストを前記第1の昇温温度で前記エッチングガスに曝露することが、前記半導体基板の前面を複数の発光ダイオード(LED)からの光に露光することを含む。
【0010】
本明細書では、以下の金属含有レジストを除去する方法も提供する。本方法は、プロセスチャンバ内で、半導体基板の下地層上に金属含有レジストを設けること、及び前記金属含有レジストを少なくとも希釈酸の水溶液に曝露して前記金属含有レジストを除去することを含む。
【0011】
いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストを少なくとも前記希釈酸の水溶液に曝露することが、前記半導体基板を希フッ化水素酸(dHF)の水溶液に曝露すること、及び前記半導体基板を希塩酸(dHCl)の水溶液又は水酸化アンモニウム(NH4OH)と過酸化水素(H2O2)とを含む洗浄液に曝露することを含む。いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストがフォトパターニングされた金属含有EUVレジストである。いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストを少なくとも前記希釈酸の水溶液に曝露することにより、前記金属含有レジストを前記下地層に対して選択的に除去する。いくつかの実装形態では、前記下地層が、スピンオングラス(SOG)、スピンオンカーボン(SOC)、アモルファス若しくは結晶性カーボン、又はシリコンオキシナイトライド(SiON)を含む。いくつかの実装形態では、前記金属含有レジストを少なくとも前記希釈酸の水溶液に曝露することが、前記半導体基板の表側及び裏側を前記希釈酸の水溶液に曝露することを含む。いくつかの実装形態では、前記方法は、前記金属含有レジストを除去した後、前記下地層をプラズマに曝露して前記下地層の表面を処理することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、いくつかの実装形態に係るフォトレジストを堆積及び現像するための例示的な方法のフロー図を示す。
【0013】
【
図2】
図2は、いくつかの実装形態に係る金属含有レジストを除去するための例示的な方法のフロー図を示す。
【0014】
【
図3】
図3は、いくつかの実装形態に係る金属含有レジストを除去するための他の例示的な方法のフロー図を示す。
【0015】
【
図4A】
図4Aは、いくつかの実装形態に係る金属含有フォトレジストを除去するための様々な処理技術の断面概略図である。
【
図4B】
図4Bは、いくつかの実装形態に係る金属含有フォトレジストを除去するための様々な処理技術の断面概略図である。
【
図4C】
図4Cは、いくつかの実装形態に係る金属含有フォトレジストを除去するための様々な処理技術の断面概略図である。
【
図4D】
図4Dは、いくつかの実装形態に係る金属含有フォトレジストを除去するための様々な処理技術の断面概略図である。
【
図4E】
図4Eは、いくつかの実装形態に係る金属含有フォトレジストを除去するための様々な処理技術の断面概略図である。
【
図4F】
図4Fは、いくつかの実装形態に係る金属含有フォトレジストを除去するための様々な処理技術の断面概略図である。
【0016】
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実装形態に係る金属含有レジスト除去及びマルチパターニングの様々な段階を示す断面概略図である。
【
図5B】
図5Bは、いくつかの実装形態に係る金属含有レジスト除去及びマルチパターニングの様々な段階を示す断面概略図である。
【
図5C】
図5Cは、いくつかの実装形態に係る金属含有レジスト除去及びマルチパターニングの様々な段階を示す断面概略図である。
【0017】
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実装形態に係る湿式技術を用いた金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す断面概略図である。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実装形態に係る湿式技術を用いた金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す断面概略図である。
【
図6C】
図6Cは、いくつかの実装形態に係る湿式技術を用いた金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す断面概略図である。
【0018】
【
図7】
図7は、いくつかの実装形態に係るリワーク操作を実行するのに適したプロセスステーションの例を示す概略図である。
【0019】
【
図8】
図8は、本明細書に記載されている様々な現像、洗浄、リワーク、スカム除去、及びスムージング操作の実施に好適な例示的なマルチステーション処理ツールの概略図を示している。
【0020】
【
図9】
図9は、本明細書に記載されている特定の実装形態及び操作を実施するための例示的な誘導結合プラズマ装置の断面概略図を示す。
【0021】
【
図10】
図10は、本明細書に記載のプロセスの実施に適した、真空搬送モジュールとインターフェース接続する、真空統合堆積及びパターニングモジュールを有する半導体プロセスクラスタツール構造を示す。
【0022】
【
図11】
図11は、いくつかの実装形態に係る乾式堆積装置の一例の断面概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書では、本開示の具体的な実施形態を詳細に参照する。これら具体的な実施形態の例は、添付の図面に図示される。本開示は、これらの具体的な実施形態とともに説明されるが、本開示をそのような実施形態の具体例に限定することは意図されない。逆にいえば、本開示の趣旨及び範囲内に含まれ得る代替例、変形例、及び均等物も本開示に含まれることが意図される。以下の説明では、本開示の十分な理解を提供すべく、多数の具体的な詳細が説明される。本開示は、これらの具体的な詳細のうちの一部又は全部を用いることなく実施し得る。他の例では、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるため、周知のプロセス操作については詳細な説明を省略する。
【0024】
序論:
半導体処理における薄膜のパターニングは、多くの場合、半導体の作製における重要なステップである。パターニングは、リソグラフィを伴う。193nmフォトリソグラフィなどの従来のフォトリソグラフィでは、光子源からマスク上に光子を放出し、感光性フォトレジスト上にパターンを印刷することでパターン印刷を行い、それによってフォトレジストに化学反応を引き起こし、現像後、フォトレジストの特定の部分が除去されてパターンが形成される。
【0025】
先端テクノロジーノード(国際半導体技術ロードマップによって定義される)は、ノード22nm、16nm、及びそれを超えるものを含む。例えば、16nmノードにおいて、ダマシン構造における典型的なビア又はラインの幅は、典型的には約30nmを超えない。高度な半導体集積回路(IC)及び他のデバイス上のフィーチャのスケーリングによって、リソグラフィの解像度改善がさらに促進されている。
【0026】
極端紫外線(EUV)リソグラフィは、従来のフォトリソグラフィ法で達成可能なものよりも小さいイメージングソース波長に移行することによって、リソグラフィ技術を拡張することができる。約10~20nm、又は11~14nm波長、例えば13.5nm波長でのEUV光源を、スキャナとも称される最先端リソグラフィツールのために使用できる。EUV放射線は、石英及び水蒸気を含む広範な固体及び流体材料に強く吸収され、したがって真空中で作用する。
【0027】
EUVリソグラフィは、基礎となる層のエッチングに使用されるマスクを形成するために、パターニングされたEUVレジストを活用する。EUVレジストは、液体ベースのスピンオン技術によって生成されるポリマー系化学増幅レジスト(CAR)であってもよい。CARの代替物として、Inpria社(オレゴン州のコルバリス(Corvallis))から入手可能な、例えば、米国特許出願公開US2017/0102612、US2016/021660、及びUS2016/0116839に記載されているものなどの、直接フォトパターニング可能な金属酸化物含有膜が使用可能であり、これらの公報の、少なくともそれらのフォトパターニング可能な金属酸化物含有膜の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。このような膜は、スピンオン技術又は乾式蒸着によって製造し得る。金属酸化物含有膜は、例えば、2018年6月12日に発行された、そのタイトルがEUV PHOTOPATTERNING OF VAPOR-DEPOSITED METAL OXIDE-CONTAINING HARDMASKSである米国特許第9,996,004号、及び/又は、2019年5月9日に出願された、そのタイトルがMETHODS FOR MAKING EUV PATTERNABLE HARD MASKSである国際特許出願第PCT/US2019/31618号に記載されているように、サブ30nmパターニング解像度を提供する真空雰囲気におけるEUV露光によって直接(すなわち、別個のフォトレジストを使用せずに)パターニングできる。これらの特許・出願の少なくともEUVレジストマスクを形成するために直接フォトパターニング可能な金属酸化物膜の組成、堆積、及びパターニングに関する開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。一般に、パターニングは、レジストにフォトパターンを形成するためにEUVレジストをEUV放射線に露光し、その後現像によってフォトパターンに従ってレジストの一部を除去してマスクを形成することを伴う。
【0028】
本開示は、EUVリソグラフィによって例示されるリソグラフィパターニング技法及び材料に関するが、他の次世代リソグラフィ技法にも適用可能であることも理解されたい。現在使用及び開発中の標準的な13.5nmEUV波長を含むEUVに加えて、このようなリソグラフィに最も重要な放射線源は、DUV(ディープUV(deep-UV))であり、これは、248nm又は193nmエキシマレーザ源、X線範囲のより低いエネルギー範囲におけるEUVを形式上含むX線、及び広いエネルギー範囲をカバーできる電子ビームの使用を一般に指す。この特定の方法は、半導体基板及び究極の半導体デバイスにおいて使用される特定の材料及び用途に依存し得る。したがって、本願において説明される方法は、本技術において使用され得る方法及び材料の例示に過ぎない。
【0029】
直接フォトパターニング可能なEUVレジストは、有機成分内に混合された金属及び/又は金属酸化物で構成されるか又はそれらを含み得る。金属/金属酸化物は、EUV光子吸収を高め、二次電子を生成し、及び/又は基礎となる膜スタック及びデバイス層に対するエッチング選択性を向上できる点で、非常に有望である。これらのレジストは、湿式(溶剤)アプローチ又は乾式アプローチで現像可能である。
【0030】
パターニングされたフォトレジストは、エッチングにおいて基板上にパターンを形成するためのマスクとして使用され、基板の選択された領域を保護する。現像後、ADI(After-Develop-Inspection)などの検査が行われる。この検査によって、フォトリソグラフィプロセスが正しく、指定された公差内で行われたことを確認できる。場合によっては、フォトレジストが位置ずれを起こしたり、許容できない臨界寸法を持っていたり、欠陥のあるパターンを含んでいる可能性がある。欠陥のあるフォトレジストパターンや位置のずれたフォトレジストパターンは、半導体基板の加工に悪影響を及ぼし、デバイスの故障につながることさえある。フォトレジストに位置ずれやその他の欠陥がある場合に、基板全部を廃棄するかわりに、フォトレジストのストリッピング、除去、又はリワーク(再加工)を行うことが可能である。
【0031】
フォトレジストリワーク技術にはいくつかの種類がある。一つの方法として、酸素プラズマを用いて基板からフォトレジストを焼き取る方法を用いてもよく、これは酸素プラズマアッシングと呼ばれる。しかし、アッシングプロセスが完了した後でも、側壁ポリマーや無機物質が残存している可能性がある。別の方法として、有機溶剤を使用し得る湿式ストリッピングを伴い得る方法がある。あるいは、湿式ストリッピングでは、金属層の前に硫酸(H2SO4)などの溶液を用い、金属層の後にアミン溶液を用いることもできる。場合によっては、フォトレジストの除去において、酸素プラズマアッシングの後に湿式ストリッピングを行う場合もある。これらのプロセスは、フォトレジストリワークにおける多くの欠点となり得る。例えば、このような従来のフォトレジストリワークプロセスは、サイクルタイムが長く、コストもかかる可能性がある。さらに、これらの従来のフォトレジストリワークプロセスは、フォトパターニング可能なEUVレジストのような金属含有フォトレジストの除去には適さない場合がある。従来のフォトレジスト除去技術は、スピンコートされたフォトレジストのような従来のフォトレジストを効果的に除去し得るが、このような酸素プラズマアッシング、有機溶剤、硫酸溶液などを含む従来のフォトレジスト除去技術は、金属含有フォトレジストを効果的に除去しない。
【0032】
金属含有レジストのフォトレジストリワーク:
本開示の様々な態様によれば、フォトパターニング可能な金属含有レジストが半導体基板上に提供され、昇温温度でエッチングガスを用いて除去される。金属含有レジストは、プラズマにさらされることなく(すなわち、プラズマフリーエッチングガスで)、熱環境で除去し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、金属含有レジストは、その除去を促進するために、プラズマへの曝露を伴う熱環境で除去されてもよい。昇温温度は、約60℃~約250℃の間であり得る。金属含有レジストは、フォトパターニング可能な金属含有EUVレジストを含み得る。エッチングガスは、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)、水素ガス及びフッ素ガス(H2+F2)、水素ガス及び塩素ガス(H2+Cl2)、水素ガス及び臭素ガス(H2+Br2)、水素ガス及びヨウ化物ガス(H2+I2)、及び/又は三塩化臭素(BCl3)などのハロゲン化物を含み得る。いくつかの実施形態では、金属含有レジストは下地層上に堆積され、金属含有レジストをエッチングガスに曝露することで、下地層に対して金属含有レジストが選択的に除去される。いくつかの実施形態では、下地層及び残留ハロゲン化物は、より高温の昇温温度での酸化性ガス又は水素ガスによって除去し得る。あるいは、下地層及び残留ハロゲン化物は、プラズマによって除去されてもよく、プラズマは、酸化性ガス又は水素ガスのイオン及び/又はラジカルを含むことができる。下地層には、スピンオングラス(SOG)、スピンオンカーボン、アモルファスカーボン、結晶性カーボン、又はシリコンオキシナイトライド(SiON)などが含まれ得る。
【0033】
本開示の様々な態様によれば、フォトパターニング可能な金属含有レジストが半導体基板上に提供され、湿式プロセスを用いて除去される。湿式プロセスは、少なくとも、希釈酸の水溶液を使用して金属含有レジストを除去することが含まれ得る。希釈酸の水溶液への曝露には、希フッ化水素酸(dHF)への曝露と希塩酸(dHCl)への曝露、又は希フッ化水素酸への曝露と水酸化アンモニウム(NH4OH)と過酸化水素(H2O2)からなる洗浄液への曝露が含まれ得る。金属含有レジストには、フォトパターニング可能な金属含有EUVレジストが含まれ得る。いくつかの実施形態では、金属含有レジストは下地層上に堆積され、金属含有レジストを希釈酸の水溶液に曝露することで、下地層に対して金属含有レジストが選択的に除去される。下地層には、スピンオングラス、スピンオンカーボン、アモルファスカーボン、結晶性カーボン、又はシリコンオキシナイトライドなどが含まれ得る。
【0034】
図1は、いくつかの実装形態に係るフォトレジストを堆積及び現像するための例示的な方法のフロー図を示す。プロセス100の操作は、異なる順序で、及び/又は異なる、より少ない、又はより多い操作で実行され得る。プロセス100の態様は、
図2、3、4A~4F、5A~5C、及び6A~6Cを参照して説明され得る。プロセス100の1つ又は複数の操作は、
図7~
図11のいずれか1つにおいて説明されている装置を使用して実行し得る。いくつかの実装形態において、プロセス100の操作は、少なくとも部分的に、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアに従って実装され得る。いくつかの実装形態において、フォトレジストリワークは、フォトレジスト堆積、裏面及びベベルエッジの洗浄、塗布後ベーク、露光、露光後ベーク、又は現像(パターニング)の後に実行され得る。
【0035】
プロセス100のブロック102では、フォトレジストの層が堆積される。これは、蒸着プロセスなどの乾式堆積プロセス又はスピンオン堆積プロセスなどの湿式プロセスのいずれかであり得る。
【0036】
フォトレジストは、金属含有EUVレジストであり得る。EUV感受性金属又は金属酸化物含有膜は、湿式(例えば、スピンオン)又は乾式(例えば、CVD)堆積技法を含む任意の好適な技法によって半導体基板上に堆積されてよい。例えば、説明されたプロセスは、有機スズ酸化物に基づくEUVフォトレジスト組成に関して、商業的にスピンコーティング可能な配合物(例えば、オレゴン州コーバリスのInpria社から入手可能であるもの等)及び以下でさらに説明する乾式真空堆積技法を使用して塗布される配合物の両方に適用可能であることが実証されている。
【0037】
半導体基板は、フォトリソグラフィ処理、特に集積回路や他の半導体デバイスの製造に適した任意の材料構成物を含み得る。いくつかの実装形態において、半導体基板はシリコンウェハである。半導体基板は、その上に不規則な表面トポグラフィを有するフィーチャ(「基礎となるフィーチャ」)が形成されたシリコンウェハであり得る。本明細書において言及されるとき、「表面(surface)」は、処理中に本開示の膜が堆積されることになる又はEUVに露光されることになる表面である。基礎となるフィーチャは、本開示の方法を実施する前の処理中に、(例えば、エッチングによって)材料が除去された領域、又は、(例えば、堆積によって)材料が追加された領域を含み得る。このような前処理は、基板上にフィーチャの2又はそれ以上の層が形成される反復プロセスにおいて、本開示の方法又は他の処理方法を含み得る。
【0038】
EUV感受性薄膜は、半導体基板上に堆積されてもよく、そのような膜は、後続のEUVリソグラフィ及び処理のためのレジストとして作用可能である。そのようなEUV感受性薄膜は、EUVに露光されると、低密度M-OHリッチ材料中の金属原子に結合した嵩高いペンダント置換基の損失などの変化を経て、より密なM-O-M結合金属酸化物材料へのそれらの架橋を可能にする材料を含む。EUVパターニングを介して、非露光エリアに対して物理的又は化学的性質が変更された膜のエリアが生成される。これらの特性は、非露光又は露光エリアのいずれかを溶解させるために、又は露光又は非露光エリアのいずれかの上に材料を選択的に堆積させるために等、後続の処理において利用され得る。いくつかの実装形態において、非露光膜は、そのような後続の処理が実行される条件下で、露光膜よりも疎水性の表面を有する。例えば、材料の除去は、膜の化学組成、密度、及び架橋の差を利用することによって実行されてよい。除去は、以下でさらに説明するように、湿式処理又は乾式処理によるものであり得る。
【0039】
薄膜は、様々な実装形態において、有機金属材料、例えば、酸化スズを含む有機スズ材料、又は他の金属酸化物材料/部分である。有機金属化合物は、カウンター反応物との有機金属前駆体の蒸気相反応で作成され得る。様々な実装形態において、有機金属化合物は、半導体基板上に堆積する低密度EUV感受性材料を生成するように、嵩高いアルキル基又はフルオロアルキル基を有する有機金属前駆体とカウンター反応物との特定の組み合わせを混合すること、及び、この混合物を蒸気相中で重合することを介して形成される。
【0040】
様々な実装形態において、有機金属前駆体は、蒸気相反応を経ても存続できる各金属原子上の少なくとも1つのアルキル基を含むが、金属原子に配位された他のリガンド又はイオンをカウンター反応物によって置換できる。有機金属前駆体は、下記式のものを含む。
MaRbLc (式1)
【0041】
Mは、高パターニング放射線吸収断面を有する元素であり、Rは、CnH2n+1などのアルキルであり、好ましくは、n=1~6であり、Lはリガンド、イオン、又は、カウンター反応物と反応性を持つ他の部分であり、a≧1;b≧1;及びc≧1である。様々な実装形態において、Mは、1×107cm2/molに等しいか、又はそれよりも大きい原子吸光断面積を有する。Mは、例えば、スズ、ハフニウム、テルル、ビスマス、インジウム、アンチモン、ヨウ素、ゲルマニウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。いくつかの実装形態において、Mはスズである。Rは、例えば、式CnFxH(2n+1)を有し、フッ素化されていてよい。様々な実装形態において、Rは、少なくとも1つのベータ水素又はベータフッ素を有する。例えば、Rは、メチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、i-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、t-ペンチル、sec-ペンチル、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。Lは、アミン(ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノ等)、アルコキシ、カルボン酸塩、ハロゲン、及びそれらの混合物からなる群から選択される部分などの、M-OH部分を生成するためにカウンター反応物によって容易に置き換えられる任意の部分であり得る。
【0042】
有機金属前駆体は、多種多様な金属有機前駆体の候補物質のいずれかであり得る。例えば、Mがスズである場合、そのような前駆体は、t-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、n-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、sec-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、n-プロピルトリス(ジメチルアミノ)スズ、エチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、及びt-ブチルトリス(t-ブトキシ)スズなどの類似のアルキル(トリス)(t-ブトキシ)スズ化合物を含む。いくつかの実装形態において、有機金属前駆体は、部分的にフッ素化されている。
【0043】
カウンター反応物は、化学結合を介して少なくとも2つの金属原子を結合させるために反応性部分、リガンド又はイオン(例えば、上記式1中のL)を置換する能力を有する。カウンター反応物は、水、過酸化物(例えば、過酸化水素)、ジ-又はポリヒドロキシアルコール、フッ素化ジ-又はポリヒドロキシアルコール、フッ素化グリコール、及びヒドロキシル部分の他のソースを含むことができる。様々な実装形態において、カウンター反応物は、隣接する金属原子間に酸素架橋を形成することによって有機金属前駆体と反応する。他のカウンター反応物の候補としては、硫化水素及び二硫化水素を含み、これらは硫黄架橋を介して金属原子を架橋することができる。
【0044】
薄膜は、この膜のEUVへの感受性を変更する又はエッチング耐性を高めるためなど、この膜の化学又は物理的特性を変更するために、有機金属前駆体及びカウンター反応物に加えて任意選択の材料を含み得る。そのような任意の材料は、半導体基板上への堆積の前に、薄膜の堆積の後で、又はその両方で、蒸気相形成中にドープすること等によって導入されてよい。いくつかの実装形態において、緩やかな遠隔H2プラズマを、いくつかのSn-L結合をSn-Hと置換するために導入してよく、これによりEUV下でのレジストの反応性を高めることができる。
【0045】
様々な実装形態において、EUVパターニング可能な膜が作成され、当技術分野において知られているものの中の蒸着設備及びプロセスを使用して半導体基板上に堆積される。このようなプロセスにおいて、重合有機金属材料が蒸気相中で又は半導体基板の表面上でインサイチュで形成される。好適なプロセスは、例えば、化学気相成長(CVD)、原子層堆積(ALD)、及び金属前駆体及びカウンター反応物が時間的又は空間的のいずれかで分離されている不連続ALD様プロセスなどのCVD構成要素でのALDを含む。いくつかの実装形態において、EUVパターニング可能な膜が作成され、当技術分野において知られているものの中の湿式堆積設備及びプロセスを使用して半導体基板上に堆積される。例えば、有機金属材料は、半導体基板の表面上にスピンコーティングによって形成される。しかし、そうであっても、金属含有EUVレジストの堆積方法に関わらず、フォトレジストリワーク及びその他の関連リソグラフィ操作が、金属含有EUVレジスト上に続いて行われてもよい。
【0046】
半導体基板の表面上に形成されるEUVパターニング可能な膜の厚さは、表面特性、使用材料、及び加工条件に応じて変動し得る。様々な実装形態において、膜厚は、0.5nm~100nmの範囲であってよく、EUVパターニングの条件下でEUV光のほとんどを吸収するように十分な厚さであり得る。EUVパターニング可能な膜は、30%に等しいか又はそれよりも大きい吸収に対応することで、EUVパターニング可能な膜の底部に向かって利用可能なEUV光子を大幅に減少させてもよい。より高いEUV吸収は、EUV露光膜の底部と比較して、EUV露光膜の上部付近でより多くの架橋及び高密度化をもたらす。EUV光子の効率的な利用は、より高い総吸収を有するEUVパターニング可能な膜で生じ得るが、いくつかの場合において、EUVパターニング可能な膜は約30%未満であり得ることが理解される。比較として、ほとんどの他のレジスト膜の最大総吸収は、レジスト膜の底部におけるレジスト材料が十分に露光されるように、30%未満(例えば、10%以下、又は5%以下)である。いくつかの実装形態において、膜厚は、10nm~40nm又は10nm~20nmである。また、上述したように、堆積膜は、表面フィーチャに緊密に適合し、そのようなフィーチャを「充填」又は平坦化することなく、基礎となるフィーチャを有する基板などの基板を覆うマスクを形成することにおいて、利点を提供し得る。
【0047】
プロセス100のブロック114では、プロセス100のブロック102において金属含有EUVレジスト薄膜を堆積した後の操作として、フォトレジストリワークを実行する。金属含有EUVレジスト薄膜の除去は、金属含有EUVレジスト薄膜のパターニングの前に行い得る。金属含有EUVレジスト薄膜の除去は、純粋な熱環境下で、又は湿式プロセスを使用して行い得る。いくつかの実施形態では、金属含有EUVレジスト膜の堆積及び除去は、同じプロセスチャンバ内で行い得る。しかしながら、いくつかの実装形態では、フォトレジストリワークは、堆積操作とは異なるプロセスチャンバ内で実行してもよいことが理解できる。実際には、フォトレジストリワークは、ベベルエッジ及び/又は裏面の洗浄、ベーク、露光、現像又はエッチング操作の後に実行してよい。これらの操作は、堆積チャンバと同じである場合もあれば、そうでない場合もある。
【0048】
除去される堆積EUVレジスト材料は、一般的にSn、O、Cで構成されている可能性があるが、膜ストリッピングとフォトレジストリワークは、他の金属酸化物レジストや材料の膜にも拡張できる。
【0049】
ブロック104では、半導体基板の裏面及び/又はベベルエッジを洗浄する任意の洗浄プロセスを行う。裏面及び/又はベベルエッジ洗浄において、EUVレジスト膜を非選択的にエッチングしてもよく、これにより基板の裏面及びベベルエッジ上の様々な度合いで酸化又は架橋された膜を等しく除去することができる。EUVパターニング可能膜の塗布中に、湿式堆積処理又は乾式堆積処理のいずれかによって、基板のベベルエッジ及び/又は裏面上に意図せずレジスト材料の堆積が生じることがある。この意図しない堆積は、不所望のパーティクルを誘発する可能性があり、パーティクルは、後に半導体基板の上面に移動してパーティクル欠陥の原因となり得る。また、このベベルエッジ及び裏面の堆積は、パターニング(スキャナ)及び現像ツールの汚染を含む下流での処理において問題を引き起こす可能性もある。このベベルエッジ及び裏面の堆積の除去は、湿式又は乾式洗浄技術によって達成できる。
【0050】
例として、基板のベベルエッジ及び/又は裏面の洗浄は、乾式洗浄プロセスで行い得る。いくつかの実装形態では、乾式洗浄プロセスは、以下のガス:HBr、HCl、BCl3、SOCl2、Cl2、BBr3、H2、O2、PCl3、CH4、メタノール、アンモニア、ギ酸、NF3、HFの1つ以上を有する蒸気及び/又はプラズマを使用する。いくつかの実装形態では、乾式洗浄プロセスにおいて、乾式現像プロセスと同じ化学反応を使用し得る。ベベルエッジ及び/又は裏面洗浄プロセスでは、蒸気及び/又はプラズマは、基板の特定の領域のみに限定されなければならず、このようにすることで、基板の前面における膜の劣化を回避して、裏面及びベベルのみが確実に除去される。
【0051】
プロセス条件は、ベベルエッジ及び/又は裏面洗浄のために最適化されてよい。いくつかの実装形態では、より高い温度、より高い圧力、及び/又はより高い反応物の流量によって、エッチング速度を増大し得る。乾式ベベルエッジ及び裏面洗浄のための好適なプロセス条件は、フォトレジスト膜及び組成及び特性に応じて、100~10000sccm(例えば、500sccmのHCl、HBr、HI又はH2及びCl2又はBr2、BCl3又はH2、又は他のハロゲン含有化合物)の反応物流量、20℃~140℃(例えば、80℃)の温度、20~1000mTorr(例えば、100mTorr)の圧力又は50~765Torr(例えば、760Torr)の圧力、高周波数(例えば、13.56MHz)での0W~500Wのプラズマパワー、及び約10~20秒の時間であり得る。ベベル及び/又は裏面洗浄は、カリフォルニア州フリーモントのラムリサーチ・コーポレーションから入手可能なCoronus(登録商標)ツールを使用して達成され得るが、処理リアクタの能力によってより広範なプロセス条件が使用され得る。
【0052】
代替的に、ベベルエッジ及び/又は裏面洗浄は、元のフォトレジストが損傷したかさもなければ欠陥がある場合などに、塗布されたEUVフォトレジストが除去されて、半導体基板がフォトレジスト再塗布のために準備される、フォトレジストの全体除去又は本明細書に記載されるようなフォトレジスト「リワーク」に拡張され得る。フォトレジストリワークは、典型的には、下地層半導体基板を損傷することなく達成されるので、酸素ベースのエッチングは通常回避される。代わりに、本明細書に記載されるような、有機蒸気化学物質又はハロゲン含有化学物質の変種を使用し得る。フォトレジストリワーク操作は、プロセス100中の任意の段階で適用されてよいことが理解される。したがって、フォトレジストリワーク操作は、堆積後、ベベルエッジ及び/又は裏面洗浄後、PAB処理後、EUV露光後、PEB処理後、現像後、又はハードベーク後に適用され得る。いくつかの実装形態において、フォトレジストリワークは、下地層に対しては選択的であるがフォトレジストの露光及び非露光領域の非選択的除去のために実行され得る。
【0053】
プロセス100のブロック114では、プロセス100のブロック104におけるベベルエッジ及び/又は裏面洗浄後の操作として、フォトレジストリワークを行う。これにより、ベベルエッジ及び/又は裏面洗浄とフォトレジストリワークを同じプロセスチャンバ内で実行することが可能になる。しかしながら、いくつかの実装形態では、フォトレジストリワークは、ベベルエッジ洗浄及び/又は裏面洗浄とは異なるプロセスチャンバ内で実行してもよいことが理解できる。
【0054】
プロセス100のブロック106では、金属含有EUVレジスト膜の堆積後でありEUV露光前に、任意の塗布後ベーク(PAB)が実行される。PAB処理は、金属含有EUVレジスト膜のEUV感受性を高めるための、熱処理、化学曝露、及び水分の組み合わせを伴ってよく、金属含有EUVレジスト膜にパターンを現像するためのEUVドーズを低減する。PAB処理温度は、金属含有EUVレジスト膜の感受性を高めるように調整及び最適化されてよい。例えば、処理温度は、約90℃~約200℃又は約150℃~約190℃の間としてよい。いくつかの実装形態において、PAB処理は、大気圧と真空の間の圧力、及び約1~15分、例えば約2分の処理時間で行い得る。いくつかの実装形態において、PAB処理は、約1分~2分の間、約100℃~230℃の温度で実施される。
【0055】
プロセス100のブロック114では、プロセス100のブロック106におけるPAB処理後の操作として、フォトレジストリワークを行い得る。これにより、ベーク及びフォトレジストリワークを同じプロセスチャンバ内で実行することが可能になる。しかしながら、いくつかの実装形態では、フォトレジストリワークは、PAB処理とは異なるプロセスチャンバ内で実行してもよいことが理解できる。
【0056】
プロセス100のブロック108では、金属含有EUVレジスト膜をEUV放射線に露光してパターンを現像する。一般に、EUV露光は、金属含有EUVレジスト膜の化学組成及び架橋の変化を引き起こし、後続の現像のために利用できるエッチング選択性のコントラストを生む。
【0057】
金属含有EUVレジスト膜は、その後、典型的には比較的高真空下で、膜の領域をEUV光に露光することによってパターニングされ得る。ここで有用とされるものの中のEUVデバイス及びイメージング方法は、当技術分野において知られている方法を含む。特に、上記で述べたように、膜の露光エリアは、EUVパターニングにより、非露光エリアに対して物理的・化学的特性が変化した領域として形成される。例えば、露光エリアにおいて、ベータ水素化合物脱離を通して金属-炭素結合開裂が生じ得、後続の露光後ベーク(PEB)ステップ中に金属-酸素架橋を介して水酸化物及び架橋金属酸化物部分に変換され得る反応性及びアクセス可能な金属水素化物官能基を生成する。このプロセスは、ネガ型レジストとしての現像のための化学コントラストを生成するために使用できる。一般に、アルキル基中のベータHの数が多いほど、より感受性の高い膜となる。これは、より多い分枝を有するより弱いSn-C結合としても説明できる。露光後、金属含有EUVレジスト膜をベークして、金属酸化物膜のさらなる架橋を引き起こし得る。露光及び非露光エリアの間の特性の差は、非露光エリアを溶解させるために又は露光エリア上に材料を堆積させるために等、後続の処理において利用され得る。例えば、パターンは、金属酸化物含有マスクを形成するように適切な方法を使用して現像できる。
【0058】
特に、様々な実装形態において、表面上に存在するヒドロカルビル終端スズ酸化物は、特にEUVを使用して真空で露光が実行される場合、イメージング層の露光領域において水素終端スズ酸化物に変換される。しかしながら、露光されたイメージング層の真空から空気中への除去、又は酸素、オゾン、H2O2、又は水の制御された導入が、表面Sn-HのSn-OHへの酸化をもたらし得る。露光及び非露光領域間の特性の差は、イメージング層に材料を選択的に追加又はそこから材料を除去するために、照射領域、非照射領域、又は両方を1つ又は複数の試薬と反応させること等によって、後続の処理において利用され得る。
【0059】
本技術の機序、機能、又は有用性を限定しないが、例えば、10mJ/cm2~100mJ/cm2のドーズでのEUV露光は、Sn-C結合の開裂をもたらし、結果として、アルキル置換基の損失、立体障害の緩和、及び低密度膜の崩壊をもたらす。さらに、ベータ水素化合物脱離反応で生成された反応性金属-H結合は、膜中のヒドロキシルなどの隣接する活性基と反応し、更なる架橋及び高密度化をもたらし、露光及び非露光領域間の化学コントラストを生成し得る。
【0060】
EUV光への金属含有EUVレジスト膜の露光に続いて、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストが提供される。フォトパターニングされた金属含有EUVレジストは、EUV露光及び非露光領域を含む。
【0061】
プロセス100のブロック114では、プロセス100のブロック108におけるEUV露光後の操作として、フォトレジストリワークを行い得る。これにより、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストを形成した後、フォトレジストリワークを行うことができる。いくつかの実装形態では、フォトレジストリワークは、EUV露光とは異なるプロセスチャンバ内で実行してもよいことが理解できる。
【0062】
プロセス100のブロック110では、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストのエッチング選択性におけるコントラストをさらに高めるために、任意の露光後ベーク(PEB)が実行される。フォトパターニングされた金属含有EUVレジストは、EUV露光領域の架橋を促進するように様々な化学種の存在下で熱処理するか、又は、例えば1~5分の間100℃~250℃の間の大気中(例えば、190℃で2分間)でホットプレート上で単にベークできる。
【0063】
様々な実装形態において、ベークストラテジは、ベーク雰囲気の注意深い制御、反応性ガスの導入、及び/又はベーク温度のランプレートの注意深い制御を伴う。有用な反応性ガスの例は、例えば、空気、H2O、H2O2、蒸気、CO2、CO、O2、O3、CH4、CH3OH、N2、H2、NH3、N2O、NO、アルコール、アセチルアセトン、ギ酸、Ar、He、又はそれらの混合物を含む。PEB処理は、(1)EUV露光中に生成された有機フラグメントの完全な蒸発を促し、(2)EUV露光によって生成された任意のSn-H、Sn-Sn、又はSnラジカル種を酸化して金属水酸化物にし、(3)より密に架橋されたSnO2様ネットワークを形成するように隣接するSn-OH基間の架橋を促進するように設計されている。ベーク温度は、最適なEUVリソグラフィ性能を実現するように注意深く選択される。低すぎるPEB温度は、不十分な架橋をもたらし、その結果として、所与のドーズでの現像のための化学コントラストが小さくなる。また、高すぎるPEB温度は、非露光領域(この例では、マスクを形成するためにパターニングされた膜の現像によって除去される領域)における重度の酸化及び膜収縮、並びに、フォトパターニングされた金属含有EUVレジスト及び下地層間の接合部における不所望な相互拡散を含む悪影響を有し、これらの両方が、化学コントラストの損失及び不溶性スカムに起因する密度欠陥の増加に寄与する可能性がある。PEB処理温度は、約100℃~約300℃の間、約170℃~約290℃の間、又は約200℃~約240℃の間としてよい。いくつかの実装形態では、PEB処理は、大気圧と真空との間の圧力、及び約1分~15分、例えば約2分の処理時間で行い得る。いくつかの実装形態において、PEB熱処理は、エッチング選択性をさらに高めるために繰り返されてよい。
【0064】
プロセス100のブロック114では、プロセス100のブロック110におけるPEB処理後の操作として、フォトレジストリワークを行い得る。これにより、ベーク及びフォトレジストリワークを同じプロセスチャンバ内で実行することが可能になる。しかしながら、いくつかの実装形態では、フォトレジストリワークは、PEB処理とは異なるプロセスチャンバ内で実行してよいことが理解できる。
【0065】
プロセス100のブロック112では、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストを現像してレジストマスクを形成する。様々な実装形態において、露光領域が除去されるか(ポジ型)、あるいは非露光領域が除去される(ネガ型)。いくつかの実装形態では、現像は、フォトパターニングされた金属含有EUVレジストの露光又は非露光領域のいずれか上への選択的堆積、それに続くエッチング操作を含み得る。いくつかの実装形態では、ドライケミストリへの曝露を用いて現像が行われてよい。いくつかの実装形態では、プラズマを発生させずに現像が行われてよい。あるいは、遠隔プラズマ源や遠隔UV放射線への曝露によって活性化されたドライケミストリのフローを使って現像が行われてよい。現像用フォトレジストは、スズ、ハフニウム、テルル、ビスマス、インジウム、アンチモン、ヨウ素、及びゲルマニウムからなる群から選択される元素を含み得る。上記元素は、高パターニング放射線吸収断面を有し得る。いくつかの実装形態では、上記元素は、高EUV吸収断面を有し得る。いくつかの実装形態では、金属含有EUVレジストは、30%を超える総吸収を有し得る。これにより、オールドライリソグラフィプロセスでは、EUV光子をより効率的に利用できるため、より厚く、よりEUV不透過性の高いレジストの現像が可能になる。
【0066】
現像のためのプロセスの例は、有機スズ酸化物含有EUV感受性フォトレジスト薄膜(例えば、20nmなどの10~40nm厚)がEUV露光ドーズ及び露光後ベークに供され、次に現像されることを伴う。フォトレジスト膜は、例えば、イソプロピル(トリス)(ジメチルアミノ)スズ及び水蒸気などの有機スズ前駆体の蒸気相反応に基づいて堆積されてもよいし、又は、有機マトリックス中にスズクラスタを含むスピンオン膜であってもよい。
【0067】
プロセス100のブロック114では、プロセス100のブロック112における現像後の操作として、フォトレジストリワークを行い得る。これにより、現像及びフォトレジストリワークを同じプロセスチャンバ内で実行することが可能になる。しかしながら、いくつかの実装形態では、フォトレジストリワークは、現像とは異なるプロセスチャンバ内で実行してもよいことが理解できる。
【0068】
図2は、いくつかの実装形態に係る金属含有レジストをドライ現像するための例示的な方法のフロー図を示す。プロセス200の操作は、異なる順序で、及び/又は異なる、より少ない、又はより多い操作で実行され得る。プロセス200の態様は、
図4A~4F、5A~5C、及び6A~6Cを参照して説明され得る。プロセス200の1つ又は複数の操作は、
図7~
図11のいずれか1つにおいて説明されている装置を使用して実行し得る。いくつかの実装形態において、プロセス200の操作は、少なくとも部分的に、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアに従って実装され得る。
【0069】
プロセス200のブロック202では、プロセスチャンバ内の半導体基板の下地層上に金属含有レジストを設ける。金属含有レジストは、半導体基板の表面に堆積してよい。金属含有レジストは、半導体基板上に乾式又は湿式で堆積される。いくつかの実装形態では、金属含有レジストは、現像後、フォトパターニングされた金属含有レジストとして提供される。いくつかの実装形態では、金属含有レジストは、EUV露光後に、EUV露光領域とEUV非露光領域とを有するポジ型又はネガ型レジストとして提供される。いくつかの実装形態では、金属含有レジストは、EUV露光及び現像の前に、フォトパターニング可能な金属含有レジストとして提供される。いくつかの実装形態では、金属含有レジストは金属含有EUVレジストであり、金属含有EUVレジストは、有機金属酸化物又は有機金属含有膜であり得る。金属含有レジスト材料の組成は、例えば、2019年5月9日に出願された国際特許出願第PCT/US2019/31618号に記載されるものであってもよく、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。方法の例としては、重合有機金属材料を蒸気相中で生成し、半導体基板上に堆積させる方法が挙げられる。例えば、金属含有レジスト材料中の元素は、スズ、ハフニウム、テルル、ビスマス、インジウム、アンチモン、ヨウ素、ゲルマニウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0070】
金属含有レジストは、基板の下地層の上に配置される。下地層は、金属含有レジストをマスクとしてパターニングされるデバイス層を含み得る。金属含有レジストの現像後、金属含有レジストのパターンに従って下地層をエッチングしてよい。いくつかの実装形態では、下地層には、スピンオングラス(SOG)、スピンオンカーボン(SOC)、アモルファスカーボン、結晶性カーボン、又はシリコンオキシナイトライド(SiON)が含まれる。例えば、下地層は、炭素、例えばプラズマ強化化学気相成長(PECVD)によって堆積された炭素を含み得る。金属含有レジストは下地層とは異なる材料で構成されているため、その後のフォトレジストリワークでは、下地層に対して金属含有レジストを選択的にリワークし得る。
【0071】
プロセス200のブロック204では、金属含有レジストは、第1の昇温温度でハロゲン化物を含むエッチングガスに曝され、金属含有レジストは除去される。いくつかの実施形態では、フォトレジストリワークは、プラズマへの曝露を伴わない熱環境で行われる。いくつかの他の実施形態では、フォトレジストリワークは、金属含有レジストの除去を促進するために、プラズマへの曝露を伴う熱環境で実施される。フォトレジストリワーク用のエッチングガスには、ハロゲン含有ガスが含まれる。いくつかの実施形態では、金属含有レジストは下地層に対して選択的に除去される。その他のいくつかの実施形態では、金属含有レジスト及び下地層はともに第1の昇温温度でのエッチングガスへの曝露により除去される。
【0072】
フォトレジストリワークには、三塩化ホウ素(BCl3)の蒸気、フッ素ガス(F2)、塩素ガス(Cl2)、臭素ガス(Br2)、又はヨウ素ガス(I2)と混合した水素ガス(H2)などのハロゲンの蒸気、又はフッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、ヨウ化水素(HI)などのハロゲン化水素の蒸気が使用される。しかし、このような蒸気は、現像後に残留物やスカムを残すことがある。残留物は、半導体基板の表面に吸着した残留エッチング副生成物が含まれ得る。例えば、ハロゲンの蒸気は水分や酸素と反応して、除去が困難な残留エッチング副生成物を形成し得る。場合によっては、残留物に高濃度の金属が含まれていたり、金属酸化物(SnOx等)の粒子やクラスタが含まれ、下流の処理ツールを汚染し得る。フォトレジストリワークが進行するにつれて、金属酸化物のクラスタがさらに濃縮され得る。金属酸化物のクラスタは一般に除去が難しい。また、残留物は除去が困難で揮発しにくい場合があるため、プラズマ処理を別に設けるか、プラズマ機能を備えた別のチャンバが必要になり得る。あるいは、残留物を揮発させるために高温変動を行う。いくつかの実施形態では、フォトレジストリワークのためのエッチングガスは、有機酸のような有機蒸気を含む。いくつかの実装形態では、有機酸はカルボン酸を含む。いくつかの実装形態において、有機酸は、トリフルオロ酢酸(CF3COOH)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(CF3CCH2CCF3)、トリフルオロ酢酸無水物((CF3CO)2O)、酢酸無水物((CH3CO)2O)、トリクロロ酢酸(CCl3COOH)、モノフルオロ酢酸(CFH2COOH)、ジフルオロ酢酸(CF2HCOOH)、クロロジフルオロ酢酸などの混合ハライド酢酸、酢酸の硫黄含有アナログ、チオ酢酸(CH3COSH)、又はチオグリコール酸(HSCH2CO2H)を含む。
【0073】
本開示のフォトレジストリワークは、プラズマフリーの熱プロセスで実施してよい。つまり、フォトレジストリワーク用のプロセスチャンバにはプラズマ機能がなくてよい。プラズマへの曝露を行わないことで、半導体基板へのプラズマによるダメージを回避し、大幅なコスト削減とスループット向上が実現できる。さらに、プロセスチャンバの内部表面を、プラズマに対する耐性だけでなく、ハロゲン化水素のようなハロゲンの蒸気に対する耐性が保証できないような材料で形成し得る。プラズマフリーの熱アプローチを適用することにより、低コストの熱真空チャンバ/オーブン内で、複数のウェハをバッチとして同時に現像することができるため、生産性を大幅に向上させることができる。しかしながら、いくつかの実装形態においては、熱フォトレジストリワーク処理の後にプラズマへの曝露が行われてよい。後続のプラズマへの曝露は、脱着、スカム除去、処理、又は他の処理操作のために行われてよい。あるいは、いくつかの実装形態においては、熱フォトレジストリワーク処理は、金属含有レジストの除去を促進するためにプラズマへの曝露を伴ってよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、熱フォトレジストリワークは、他のフォトリソグラフィ操作と同じプラットフォーム、ひいては同じプロセスチャンバに統合し得る。このようにすれば、熱フォトレジストリワークを、操作間に真空ブレークを導入することなく実行し得る。一例として、プロセスチャンバは、フォトレジストリワークを行うためのリワークチャンバであってよく、リワークチャンバは、また、フォトレジストの乾式現像及び/又は下地材料のドライエッチングを行うように構成されていてよい。
【0075】
金属含有レジストのフォトレジストリワークは、金属含有レジストの乾式堆積(CVD等)、ドライチャンバ洗浄、下地層のドライエッチング、乾式現像などの他の乾式処理操作と組み合わせてもよい。いくつかの実装形態では、半導体基板の処理は、蒸着による膜形成、EUVリソグラフィパターニング、乾式現像、及び乾式フォトレジストリワークを含むすべての乾式ステップを組み合わせてよい。ベーク操作、ベベルエッジ及び/又は裏面洗浄操作、及びチャンバ洗浄操作も乾式操作となり得る。このような処理操作により、湿式現像のような湿式処理操作に伴う材料コストや生産コストを回避し得る。また、乾式処理は、より多くの調整可能性を提供でき、さらなる臨界寸法(CD)制御とスカム除去の可能性を付加する。全体的乾式処理操作を採用することで、大気やそこに含まれる微量汚染物質にさらされたり汚染されたりすることなく、相互接続された真空処理チャンバ内での処理の統合を容易にし得る。
【0076】
いくつかの実装形態では、プロセスチャンバは、エッチングガスを供給するためのシャワーヘッドを含み得る。いくつかの実装形態では、プロセスチャンバは、エッチングガスを供給するためのシャワーヘッド以外のガス入口を含み得る。ガス入口は、エッチングガスがその供給中にシャワーヘッドを経由して到達しにくいプロセスチャンバの領域に配置してよい。いくつかの実装形態では、ガス入口は、基板支持体の下方に配置されてよく、プロセスチャンバの壁内に配置されてもよく、及び/又はプロセスチャンバの排気の近くに配置されてもよい。エッチングガスをプロセスチャンバに供給するために、複数のガス入口を使用し得る。これにより、金属含有レジストを半導体基板から、さらにはプロセスチャンバ全体から完全に除去することができる。
【0077】
いくつかの実装形態では、プロセスチャンバは、温度制御のための1つ又は複数のチャンバ部を有する熱プロセスチャンバであり得る。いくつかの実施形態では、熱プロセスチャンバは、半導体基板の下に配置された加熱アセンブリを含み得る。いくつかの実施形態において、加熱アセンブリは、複数の独立制御可能な加熱ゾーンを含み得る。いくつかの実施形態において、加熱アセンブリは、発光ダイオード(LED)などの複数の加熱素子を含み得る。これらLEDは、LED基板支持体又はチャックの一部を形成し得る。いくつかの実施形態において、加熱アセンブリは、1つ又は複数の赤外線(IR)ランプを含み得る放射加熱アセンブリを含んでよい。
【0078】
いくつかの実装形態では、熱プロセスチャンバは、半導体基板の上方に配置された加熱アセンブリを含み得る。加熱アセンブリは、基板温度制御のために半導体基板に対向してよい。その結果、熱は半導体基板の裏面ではなく、表側に方向づけられ得る。これにより、半導体基板の裏面からの熱伝達を必要とすることなく、金属含有レジストを加熱することができる。いくつかの実施形態において、加熱アセンブリは、LEDなどの複数の加熱素子を含み得る。加熱素子は、半導体基板を加熱するために、窓又はポートを通してプロセスチャンバの外側から放射線を発し得る。あるいは、加熱素子は、プロセスチャンバ内部から放射線を発してもよく、この場合、加熱素子は、シャワーヘッドの周囲に配置されるか、又はシャワーヘッド上に配置され得る。いくつかの実施形態において、加熱アセンブリは、1つ又は複数のIRランプを含み得る放射加熱アセンブリを含んでよい。
【0079】
加熱アセンブリは、金属含有レジストを除去する際、半導体基板を第1の昇温温度に加熱するために使用し得る。加熱アセンブリは、他の操作において半導体基板を加熱するために使用し得る。例えば、加熱アセンブリは、半導体基板(例えば、下地層)上又はプロセスチャンバ内の他の場所(例えば、チャンバ壁)の脱ハロゲン化(例えば、残留ハロゲン化物の除去)の目的で半導体基板を加熱するために使用され得る。加えて、又は代替的に、加熱アセンブリは、下地層の処理及び/又はエッチング副生成物の揮発促進のために使用され得る。
【0080】
一般に、温度が低いとエッチング選択性のコントラストが高くなり得る一方、温度が高いとエッチング選択性のコントラストが低くなり得る。したがって、より高い温度は、エッチング副生成物の揮発を増加させ、半導体基板上の残留物の形成を制限し得る。さらに、温度が高いと、金属含有レジストと下地層との間のエッチング選択性が低下し得る。
【0081】
基板温度は、エッチングガスによる金属含有レジストの除去を促進するように調整してよい。基板温度は、金属含有レジストと下地層との間のエッチング選択性に影響を及ぼし得る。半導体基板は、第1の昇温温度まで加熱されてよく、第1の昇温温度は、約40℃~約300℃の間、約60℃~約250℃の間、又は約80℃~約150℃の間であり得る。好ましくは、第1の昇温温度は約100℃であり得る。
【0082】
チャンバ圧は調整されてもよく、チャンバ圧は、金属含有レジストと下地層との間のエッチング選択性に影響を及ぼし得る。一般に、圧力が高いと、金属含有レジストと下地層との間のエッチング選択性を含むエッチング選択性が低下する。いくつかの実装形態では、チャンバ圧は、約50mTorr~約765Torrの間(大気圧を超える)、約100mTorr~約760Torrの間(大気圧)、約100mTorr~約2000mTorrの間、又は約200mTorr~約1000mTorrの間である。好ましくは、チャンバ圧は約400mTorrであり得る。
【0083】
エッチングガスの流量は調整されてもよく、ガス流量はフォトレジストリワーク中の金属含有レジストと下地層との間のエッチング選択性に影響を及ぼし得る。いくつかの実装形態では、ガス流は、約50sccm~約20000sccmの間、約100sccm~約10000sccmの間、約100sccm~約5000sccmの間、又は約200sccm~約5000sccmの間であり得る。好ましくは、エッチングガス(例えば、ハロゲン化水素)のガス流量は、約470sccmであり得る。
【0084】
エッチングガスへの曝露時間は、フォトレジストリワークプロセスにおいて調整されてもよく、曝露時間は金属含有レジストと下地層との間のエッチング選択性に影響を及ぼし得る。一般的に、曝露時間が長くなると、金属含有レジストと下地層との間のエッチング選択性を含むエッチング選択性が低下する。曝露時間は、除去される金属含有レジストの量、エッチングガス化学反応、レジストの架橋量、レジストの組成や性質、その他の要因に依存し得る。いくつかの実装形態では、曝露時間は、約1分~約30分の間、約2分~約20分の間、又は約3分~約15分の間であり得る。
【0085】
上述したように、エッチング選択性フォトレジストリワークは、例えば温度、圧力、ガス流、持続時間、ガス組成及びその他の調節可能なプロセス条件を制御することによって調整できる。シングルステップ又はマルチステップにおいてエッチング選択性を調整することで、望ましい結果を達成し得る。より具体的には、下地層のスカム除去、スムージング、脱ハロゲン化、処理、又は除去は、フォトレジストリワーク中のプロセス条件に部分的に依存し得る。
【0086】
本開示の熱プロセスを用いたフォトレジストリワークは、金属含有レジストを効果的に除去し、半導体基板上に残る欠陥や残留物(例えば、残留ハロゲン化物)の痕跡を無くすかほとんどない状態にし得る。いくつかの実装形態において、本開示の熱プロセスを用いたフォトレジストリワークは、金属原子(例えば、スズ原子)が半導体基板の表面上に約1×1010atoms/cm2未満の量で存在するように、金属含有レジストを実質的に除去し得る。
【0087】
ブロック204におけるフォトレジストリワークは、1つ又は複数の後続操作を伴ってもよい。このような操作により、いくつかの実装形態において、半導体基板上に残存する金属含有レジストが除去され得る。例えば、エッチングガスへの曝露後、湿式洗浄ステップを追加することにより、欠陥性を改善し得る。あるいは、1つ又は複数の後続操作は、下地層の処理でもよく、下地層の除去でもよい。前述の操作は、プラズマ又は熱曝露を利用し得る。
【0088】
プロセス200のブロック206では、下地層は任意に第2の昇温温度で除去用ガスに曝露され、これにより下地層は処理又は除去される。下地層は、金属含有レジストの除去後に処理又は除去してもよいし、金属含有レジストの除去と同時に処理又は除去してもよい。下地層の処理により、半導体基板表面の残留物(例えば、残留ハロゲン化物や金属酸化物のクラスタ)やその他の汚染物質を除去し得る。いくつかの実装形態では、第2の昇温温度は第1の昇温温度より高くてもよい。いくつかの実装形態では、第2の昇温温度は、約120℃から約600℃の間、約160℃から約500℃の間、又は約200℃から約400℃の間としてよい。温度上昇は、金属含有レジストと下地層との間のエッチング選択性を低下させる。いくつかの実装形態では、除去用ガスはエッチングガスとは異なり得る。例えば、除去用ガスは、酸素(O2)、オゾン(O3)、二酸化炭素(CO2)などの酸化化学物質を含むことができる。別の例では、除去用ガスは、水素(H2)又はフォーミングガス(H2とN2の混合ガス)などの還元化学物質を含むことができる。
【0089】
プロセス200のブロック208では、下地層は任意にプラズマに曝露され、これにより下地層は処理又は除去される。下地層は、金属含有レジストの除去後に処理又は除去してもよいし、金属含有レジストの除去と同時に処理又は除去してもよい。プラズマは、脱着、スカム除去、脱ハロゲン化、スムージング操作に有用であり得る。下地層のプラズマ処理により、半導体基板表面から残留物(例えば、残留ハロゲン化物や金属酸化物のクラスタ)やその他の汚染物質を除去し得る。プラズマ処理は、後続の金属含有レジスト堆積のために半導体基板の表面を再活性化し得るが、これは「表面リフレッシュ」と称されることがある。場合によっては、フォトレジストリワーク後に残留物やスカムが残ることがある。残留物やスカムは、スピンコート技術で塗布されたものを含め、均質性の低いEUVレジスト配合物のエッチングがより遅い成分によって生じ得る。こういったスカムは高濃度の金属を含む粒子やクラスタを含み得るが、このようなスカムが後続の半導体加工操作において問題となることがある。したがって、フォトレジストリワークは、プラズマ処理などの処理を伴い得る。プラズマ処理中、イオンエネルギーが高くプラズマパワーが比較的低い場合がある。いくつかの実装形態では、プラズマパワーは、約50W~約1000Wの間、又は約100W~約300Wの間であり得る。いくつかの実装形態では、ウェハバイアスは約10V~約500Vの間、又は約50V~約300Vの間である。過剰プラズマを避けるために、プラズマへの曝露時間は比較的短くてもよい。いくつかの実装形態では、プラズマへの曝露時間は、約0.5秒~約20秒の間、又は約1秒~約5秒の間である。いくつかの実装形態では、プラズマは、酸素、オゾン、又は二酸化炭素などの酸化剤のイオン及び/又はラジカルを含み得る。いくつかの実装形態では、プラズマは、水素のなどの還元剤のイオン及び/又はラジカルを含み得る。いくつかの実装形態では、プラズマは、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタ、トランス結合プラズマ(TCP)リアクタ、容量結合プラズマ(CCP)リアクタ、又は当該技術分野で公知の他のリアクタなどのプラズマ生成チャンバ内で生成され得る。
【0090】
いくつかの実装形態では、プロセス200は、半導体基板から残留金属含有レジストを除去するために、半導体基板に対して湿式洗浄を実行することをさらに含む。湿式洗浄は、ブロック204でフォトレジストリワークを行った後、ブロック206で第2の昇温温度で除去用ガスに曝露した後、又はブロック208でプラズマに曝露した後に行い得る。湿式洗浄では、1つ又は複数の無機酸性溶液を使用し得る。いくつかの実装形態では、半導体基板を希フッ化水素酸(dHF)などの希釈酸の水溶液に曝露した後、希塩酸(dHCl)などの別の希釈酸の水溶液に曝露し得る。このような希釈酸は、約10:1以上、20:1以上、又は100:1以上のモル比(混合比)を有し得る。いくつかの実装形態では、半導体基板をdHFなどの希釈酸の水溶液に曝露し、その後、水酸化アンモニウム(NH4OH)と過酸化水素(H2O2)からなる洗浄液に曝露し得る。加えて、又はその代わりに、半導体基板を硫酸(H2SO4)及びその水やH2O2、HFとの混合物(DSP(希硫酸過酸化物)又はDSP+(希硫酸過酸化物-HF)とも称される)に曝露してもよい。いくつかの実装形態では、湿式洗浄は、酢酸のような1つ又は複数の有機酸を使用し得る。いくつかの実装形態では、湿式洗浄は半水性溶媒を使用し得る。
【0091】
いくつかの実装形態では、プロセス200は、不要な粒子を除去するためにプロセスチャンバをパージング及び/又はポンピングすることをさらに含む。有機金属前駆体や残留ハロゲン化物等、プロセスチャンバ内及び半導体基板上の不要な粒子の除去を促進するために、パージガスをプロセスチャンバ内に流してよい。有機金属前駆体や残留ハロゲン化物のパージは、不所望の副生成物を避けるために有用であり得る。パージング及び/又はポンピングによって、プロセスチャンバ及び半導体基板の脱ハロゲン化を行ってよい。
【0092】
熱乾燥環境でフォトレジストリワークを行うのではなく、湿式化学物質を用いて金属含有レジストのフォトレジストリワークを行うことができる。このように、湿式化学物質は、ハロゲン含有ガスのような乾式化学薬品の補助なしに、金属含有レジストを効果的に除去し得る。
図3は、いくつかの実装形態に係る金属含有レジストを除去するための他の例示的な方法のフロー図を示す。プロセス300の態様は、
図4A~4F、5A~5C、及び6A~6Cを参照して説明され得る。プロセス300の1つ又は複数の操作は、
図7~
図11のいずれか1つにおいて説明されている装置を使用して実行し得る。いくつかの実装形態において、プロセス300の操作は、少なくとも部分的に、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェアに従って実装し得る。
【0093】
プロセス300のブロック302では、プロセスチャンバ内の半導体基板の下地層上に金属含有レジストを設ける。金属含有レジストは、半導体基板の表面に堆積してよい。金属含有レジストは、半導体基板上に乾式又は湿式で堆積される。いくつかの実装形態では、金属含有レジストは、現像後、フォトパターニングされた金属含有レジストとして提供される。いくつかの実装形態では、金属含有レジストは、EUV露光後に、EUV露光領域とEUV非露光領域とを有するポジ型又はネガ型レジストとして提供される。いくつかの実装形態では、金属含有レジストは、EUV露光及び現像の前に、フォトパターニング可能な金属含有レジストとして提供される。いくつかの実装形態では、金属含有レジストは金属含有EUVレジストであり、金属含有EUVレジストは、有機金属酸化物又は有機金属含有膜であり得る。
【0094】
金属含有レジストは、基板の下地層の上に堆積される。下地層は、金属含有レジストをマスクとしてパターニングされるデバイス層を含み得る。金属含有レジストの現像後、金属含有レジストのパターンに従って下地層をエッチングしてよい。いくつかの実装形態では、下地層には、スピンオングラス、スピンオンカーボン、アモルファスカーボン、結晶性カーボン、又はシリコンオキシナイトライドが含まれる。例えば、下地層は、炭素、例えばPECVDによって堆積された炭素を含み得る。金属含有レジストは下地層とは異なる材料で構成されているため、その後のフォトレジストリワークでは、下地層に対して金属含有レジストを選択的にリワークし得る。
【0095】
プロセス300のブロック304では、金属含有レジストは、少なくとも無機酸性溶液に曝露され、金属含有レジストは除去される。特に、フォトレジストリワークは、プロセスチャンバとしての湿式洗浄チャンバ内で湿式洗浄を用いて行い得る。したがって、フォトレジストリワークは、プラズマや乾式化学物質の補助なしに、湿式化学物質を用いて実行し得る。無機酸性溶液は、pKaが約3.8以下の強酸を含み得る。いくつかの実施形態では、金属含有レジストは下地層に対して選択的に除去される。その他のいくつかの実施形態では、金属含有レジスト及び下地層は、湿式化学物質への曝露とともに除去される。無機酸性溶液は、半導体基板の片面又は両面に塗布してよい。例えば、金属含有レジストを無機酸性溶液に曝露することは、半導体基板の表面及び裏面を無機酸性溶液に曝露することを含み得る。
【0096】
通常、フォトレジストの除去には、無機酸性溶液ではなく有機溶媒を使用する。フォトレジストの除去には、通常、無機酸性溶液は用いられない。しかし、無機酸性溶液は、フォトレジストリワークのために、有機金属酸化物フォトレジストのような金属含有レジストに適用し得る。無機酸性溶液には、dHFやdHClなどの希釈酸が含まれ得る。このような希釈酸は、約2:1以上、5:1以上、10:1以上、又は20:1以上のモル比(混合比)を有し得る。その他の無機酸性溶液としては、DSP又はDSP+が挙げられ得る。しかしながら、他のいくつかの実装形態では、湿式洗浄によるフォトレジストリワークは、酢酸などの有機酸性溶液又は半水性溶媒を利用し得ることが理解できる。
【0097】
湿式化学物質を用いたフォトレジストリワークは、マルチステップの連続的な方法で実行し得る。いくつかの実装形態では、最初に無機酸性溶液を半導体基板に塗布し、続いて別の無機酸性溶液又は洗浄液を塗布してよい。一例として、湿式洗浄によるフォトレジストリワークは、半導体基板をdHFに曝露した後、dHClに曝露することで行われ得る。dHFのような酸性溶液への曝露は、主にフォトレジストの金属含有レジスト材料を除去する役割を果たす。別の例では、湿式洗浄によるフォトレジストリワークは、半導体基板をdHFに曝露した後、NH4OHとH2O2とを含む洗浄液に曝露することによって実行し得る。このような洗浄液の適用は、RCA社によって開発されたRCA-1クリーン(スタンダードクリーン-1(SC-1)とも称される)を構成し得る。
【0098】
金属含有レジストのフォトレジストリワークは、湿式堆積(例えばスピンオン技術)、下地層の湿式エッチング、又は湿式現像などの他の湿式処理操作と組み合わせてもよい。いくつかの実装形態では、半導体基板の処理は、湿式堆積による膜形成、湿式現像、及び湿式フォトレジストリワークを含む複数の湿式ステップを組み合わせてもよい。
【0099】
いくつかの実装形態では、プロセスチャンバは、流体送出のための1つ又は複数の部品を有する湿式洗浄チャンバであり得る。いくつかの実装形態では、プロセスチャンバは、半導体処理ツール内のスピンリンス乾燥(SRD)ステーションであり得る。湿式洗浄チャンバは、無機酸性溶液などの流体を吐出するための1つ又は複数のノズルを備え得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のノズルは、半導体基板の特定の箇所に位置するために移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、湿式洗浄チャンバは、回転可能な基板支持体又はチャックを備え、洗浄/酸性溶液が回転する基板の端部から外側駆動されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、湿式洗浄チャンバは、湿式フォトレジストリワーク中の温度制御のために1つ又は複数の加熱素子を有し得る。このような加熱素子は、1つ又は複数のLED又はIRランプを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の加熱素子は、半導体基板の下に配置され、半導体基板の裏面に面していてもよい。半導体基板を加熱することで、金属含有レジストの除去を促進し得る。加えて、又は代替的に、半導体基板を加熱することは、半導体基板からの液体の蒸発を促進し得る。半導体基板を加熱することは、また、脱ハロゲン化、脱離、スカム除去、又はスムージング操作を促進し得る。金属含有レジストの湿式洗浄に影響を与えるように調整され得る他の条件には、回転可能な基板支持体のスピン速度とブームスイング(すなわち、半導体基板上のディスペンサーアームの位置移動)が含まれてよく、より速いスピン速度は金属含有レジストの除去を促進し得る。
【0100】
湿式化学物質を用いたフォトレジストリワークは、金属含有レジストを除去するだけでなく、下地層を処理又は除去し得る。いくつかの実施形態において、少なくとも無機酸性溶液の塗布は、下地層に対して金属含有レジストを選択的に除去する。言い換えれば、無機酸性溶液は、下地層を実質的に保持しながら、金属含有レジストを除去し得る。いくつかの実施形態では、湿式洗浄は下地層の表面を処理し得る。下地層の湿式洗浄処理には、希釈無機酸性溶液又はSC-1などの洗浄液を使用してよい。湿式洗浄処理は、残留物や様々な汚染物質を除去し、後続のフォトレジストの堆積のために表面を再活性化し得る。このようにすることで、湿式化学物質を使用したフォトレジストリワーク後にリソグラフィプロセスを下地層上で繰り返すことが可能となり、その影響はほぼないか無視できる程度とし得る。
【0101】
本開示の湿式化学物質を使用したフォトレジストリワークは、金属含有レジストを効果的に除去し、半導体基板上に残る欠陥や残留物の痕跡を無くすかほとんどない状態にし得る。いくつかの実装形態において、本開示の湿式化学物質を用いたフォトレジストリワークは、金属原子(例えば、スズ原子)が半導体基板の表面上に約1×1010atoms/cm2未満の量で存在するように、金属含有レジストを実質的に除去し得る。
【0102】
いくつかの実装形態において、プロセス300は、本開示に記載されるような熱プロセス又はプラズマプロセスへの曝露をさらに含み得る。熱プロセスやプラズマプロセスは、下地層を除去したり、欠陥を改善するために下地層を処理するために使用し得る。
【0103】
図4Aは、第1の実装形態(ケース1)における金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す概略図である。この実装形態では、基板400は、下地層401と、下地層401上に配置された金属含有フォトレジスト402とを備える。金属含有フォトレジスト402は、パターニングされていてもよいし、されていなくてもよい。いくつかの実装形態では、金属含有フォトレジスト402は、有機金属酸化物フォトレジストを含む。
図4Aでは、金属含有フォトレジスト402が下地層401に対して選択的に除去される。選択的除去は、プラズマに曝露されることなく、熱プロセスで行い得る。例えば、熱プロセスでは、約50℃より高い昇温温度、又は約60℃~約250℃の間の昇温温度で、半導体基板400をハロゲン化物(例えば、ハロゲン化水素)を含むエッチングガスに曝露してよい。あるいは、湿式プロセスを用いて選択的除去を行ってもよい。例えば、湿式プロセスでは、半導体基板400を少なくともdHFなどの無機酸性溶液に曝露してよく、その後にdHClなどの別の無機酸性溶液又はSC-1などの洗浄液への曝露を行ってもよい。選択的除去により、金属原子のレベルは1×10
10atoms/cm
2未満となり、残留物は全く若しくはほとんどなくなる。
【0104】
図4Bは、第2の実装形態(ケース2)における金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す概略図である。この実装形態では、基板410は、下地層411と、下地層411上に配置された金属含有フォトレジスト412とを備える。金属含有フォトレジスト412は、パターニングされていてもよいし、されていなくてもよい。いくつかの実装形態では、金属含有フォトレジスト412は、有機金属酸化物フォトレジストを含む。
図4Bでは、金属含有フォトレジスト412が第1のステップで除去され、下地層411が第2のステップで除去される。一例では、金属含有フォトレジスト412は、第1のステップで熱プロセスを用いて除去され、下地層411は、第2のステップでプラズマプロセスを用いて除去され得る。第2ステップにプラズマプロセスを適用する場合、プラズマは、酸化剤又は還元剤のイオン及び/又はラジカルを含み得る。例えば、酸素ベースのプラズマ又は水素ベースのプラズマは、下流のプラズマプロセスで下地層411を除去し得る。別の例では、金属含有フォトレジスト412は、第1のステップにおいて第1のエッチングガスを用いた第1の熱プロセスを用いて除去され、下地層411は、第2のステップにおいて第2のエッチングガスを用いた第2の熱プロセスを用いて除去され得る。第1の熱プロセスは、ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化水素)を含む第1のエッチングガスで、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し得る。第2の熱プロセスは、酸化剤又は還元剤を含む第2のエッチングガスで、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し得る。さらに別の一例では、金属含有フォトレジスト412は、第1のステップで熱プロセスを用いて除去され、下地層411は、湿式プロセスを用いて除去され得る。熱プロセスは、ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化水素)を含むエッチングガスで、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し得る。湿式プロセスでは、少なくともdHFなどの無機酸性溶液を適用してよく、その後にdHClなどの別の無機酸性溶液又はSC-1などの洗浄液を任意で適用してもよい。
【0105】
図4Cは、第3の実装形態(ケース3)における金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す概略図である。この実装形態では、基板420は、下地層421と、下地層421上に配置された金属含有フォトレジスト422とを備える。金属含有フォトレジスト422は、パターニングされていてもよいし、されていなくてもよい。いくつかの実装形態では、金属含有フォトレジスト422は、有機金属酸化物フォトレジストを含む。
図4Cでは、金属含有フォトレジスト422が第1のステップで除去され、下地層421が第2のステップでパーティクル423の除去のために処理される。一例では、金属含有フォトレジスト422は、第1の熱プロセスを用いて除去してよく、第1の熱プロセスは、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し、ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化水素)を含むエッチングガスを用いる。下地層421の処理においては、パーティクル423、例えば残留ハロゲン化物、残留金属原子若しくは金属酸化物粒子、又は他の残留汚染物質を除去し得る。このような処理は、第2の熱プロセスを含んでよく、第2の熱プロセスは、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し、酸化剤又は還元剤などの処理ガスを用いる。あるいは、このような処理はプラズマプロセスを含んでよく、プラズマプロセスは下地層421の表面を酸化剤又は還元剤のイオン及び/又はラジカルに曝露する。例えば、下地層421の表面をCO
2プラズマに曝露し得る。あるいは、このような処理は湿式プロセスを含んでよく、湿式プロセスでは、下地層421の表面を少なくともdHFなどの無機酸性溶液に曝露し、その後にdHClなどの別の無機酸性溶液又はSC-1などの洗浄液への曝露を任意に行ってもよい。この処理により、下地層421の表面は、その後フォトリソグラフィプロセスを繰り返すためにリフレッシュされ得る。別の例では、金属含有フォトレジスト422を湿式プロセスを用いて除去し、さらに湿式プロセスを用いて処理してよい。具体的には、dHFなどの無機酸性溶液を用いて金属含有フォトレジスト422を除去してもよく、また処理中に、dHClなどの別の無機酸性溶液又はSC-1などの洗浄液を用いてパーティクル423を除去してもよい。
【0106】
図4Dは、第4の実装形態(ケース4)における金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す概略図である。この実装形態では、基板430は、下地層431と、下地層431上に配置された金属含有フォトレジスト432とを備える。金属含有フォトレジスト432は、パターニングされていてもよいし、されていなくてもよい。いくつかの実装形態では、金属含有フォトレジスト432は、有機金属酸化物フォトレジストを含む。
図4Dでは、金属含有フォトレジスト432が第1のステップで除去され、下地層431と残留パーティクル433は第2のステップで除去される。一例では、金属含有フォトレジスト432は、第1の熱プロセスを用いて除去してよく、第1の熱プロセスは、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し、ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化水素)を含むエッチングガスを用いる。下地層431及び残留パーティクル433の除去は、第2の熱プロセスを含んでよく、第2の熱プロセスは、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し、酸化剤又は還元剤などの除去用ガスを用いる。あるいは、下地層431及び残留パーティクル433の除去はプラズマプロセスを含んでよく、プラズマプロセスは下地層431の表面を酸化剤又は還元剤のイオン及び/又はラジカルに曝露する。あるいは、下地層431及び残留パーティクル433の除去は湿式プロセスを含んでよく、湿式プロセスでは、下地層431の表面を少なくともdHFなどの無機酸性溶液に曝露し、その後にdHClなどの別の無機酸性溶液又はSC-1などの洗浄液への曝露を任意に行ってもよい。別の例では、金属含有フォトレジスト432は湿式プロセスを用いて除去されてよく、下地層431及び残留パーティクル433は湿式プロセスを用いて除去される。特に、dHFなどの無機酸性溶液を用いて金属含有フォトレジスト432を除去してもよく、dHClなどの別の無機酸性溶液又はSC-1などの洗浄液を用いて下地層431及び残留パーティクル433を除去してもよい。
【0107】
図4Eは、第5の実装形態(ケース5)における金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す概略図である。この実装形態では、基板440は、下地層441と、下地層441上に配置された金属含有フォトレジスト442とを備える。金属含有フォトレジスト442は、パターニングされていてもよいし、されていなくてもよい。いくつかの実装形態では、金属含有フォトレジスト442は、有機金属酸化物フォトレジストを含む。
図4Eでは、金属含有フォトレジスト442と下地層441とが一緒に除去されている。フォトレジストリワークは、金属含有フォトレジスト442及び下地層441に対して非選択的である。一例では、金属含有フォトレジスト442及び下地層441は、熱プロセスを用いて除去され、熱プロセスは、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し、ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化水素)を含むエッチングガスを用いる。別の例では、金属含有フォトレジスト442及び下地層441は、湿式プロセスを用いて除去され、湿式プロセスは、少なくとも無機酸性溶液を適用し得る。いくつかの実装形態では、湿式プロセスは、dHFなどの無機酸性溶液を適用してよく、その後にdHClなどの別の無機酸性溶液又はSC-1などの洗浄液を任意で適用してもよい。
【0108】
図4Fは、第5の実装形態(ケース6)における金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す概略図である。この実装形態では、基板450は、下地層451と、下地層451上に配置された金属含有フォトレジスト452とを備える。金属含有フォトレジスト452は、パターニングされていてもよいし、されていなくてもよい。いくつかの実装形態では、金属含有フォトレジスト452は、有機金属酸化物フォトレジストを含む。
図4Fでは、金属含有フォトレジスト442と下地層441とが第1のステップで一緒に除去され、基板450上の残留パーティクル453は第2のステップで除去される。第1のステップでは、フォトレジストリワークは、金属含有フォトレジスト452及び下地層451に対して非選択的である。一例では、金属含有フォトレジスト452及び下地層451は第1の熱プロセスを用いて除去され、第1の熱プロセスは、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し、ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化水素)を含むエッチングガスを用いる。別の例では、金属含有フォトレジスト452及び下地層451は、湿式プロセスを用いて除去され、湿式プロセスは、少なくとも無機酸性溶液を適用し得る。いくつかの実装形態では、湿式プロセスは、dHFなどの無機酸性溶液を適用してよく、その後にdHClなどの別の無機酸性溶液又はSC-1などの洗浄液を任意で適用してもよい。第2のステップでは、基板450を処理して残留パーティクル453を除去する。一例では、このような処理は、第2の熱プロセスの適用を含んでよく、第2の熱プロセスは、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度を適用し、酸化剤又は還元剤などの処理ガスを用いる。別の例では、このような処理はプラズマプロセスの適用を含んでよく、プラズマプロセスは基板450の表面を酸化剤又は還元剤のイオン及び/又はラジカルに曝露する。この処理により、基板450の表面は、その後フォトリソグラフィプロセスを繰り返すためにリフレッシュされ得る。
【0109】
図5A~5Cは、いくつかの実装形態に係る金属含有レジスト除去及びマルチパターニングの様々な段階を示す断面概略図である。ダブルパターニングとクワッドパターニングは、リソグラフィパターニング技術を光学的限界を超えて拡張するために使用される技術の例である。
【0110】
図5Aは、第1の材料層520上にリソグラフィで定義又はパターニングされたコア510を有する基板500を示す。当業者であれば、半導体処理に適した多層スタックが第1の材料層520の下層にあり得ることが理解できるであろう。パターニングコア510は、金属含有フォトレジスト材料などのフォトレジスト材料を含み得る。例えば、パターニングコア510は、有機金属酸化物フォトレジスト材料を含み得る。コンフォーマル膜530は、パターニングコア510の上に形成され得る。いくつかの実施形態において、コンフォーマル膜530は、原子層堆積法(ALD)によって堆積され得る。いくつかの実施形態では、コンフォーマル膜530は、酸化シリコン(SiO
2)などの酸化物、又は窒化シリコン(SiN)などの窒化物であり得る。
【0111】
図5Bにおいて、コンフォーマル膜530は、パターニングコア510の上面を露出させるために、方向性エッチング又は平坦化される。コンフォーマル膜530の一部が除去され、パターニングコア510の側壁に沿ってスペーサ532が形成される。スペーサ532のパターンは、後続層のパターニングに使用される。スペーサ532は、パターニングコア510に隣接するマスク材料を指すことが理解できる。
【0112】
図5Cでは、パターニングコア510が選択的に除去されている。パターニングコア510の除去は、本開示に記載されるような熱プロセスを用いて、又は本開示に記載されるような湿式プロセスを用いて行われ得る。いくつかの実装形態では、パターニングコア510は、ハロゲン化物(例えば、ハロゲン化水素)を含むエッチングガスで、約50℃を超える温度、又は約60℃~約250℃の間の温度で、選択的に除去される。いくつかの実装形態では、少なくとも、dHFとdHClとの組合せ又はdHFとSC-1などの洗浄液との組合せなどの無機酸性溶液を適用することによって、パターニングコア510を選択的に除去する。パターニングコア510を選択的に除去することで、第1の材料層520上に自立型スペーサ532が残る。自立型スペーサ532は、第1の材料層520をエッチングするためのマスクとして機能し得る。したがって、本開示のフォトレジストリワークは、マルチパターニング技術に利用し得る。
【0113】
図6A~6Cは、いくつかの実装形態に係る湿式技術を用いた金属含有フォトレジスト除去の様々な段階を示す断面概略図である。基板600は、下地層601と、下地層601上に配置された金属含有フォトレジスト602とを備える。金属含有フォトレジスト602は、パターニングされていてもよいし、されていなくてもよい。いくつかの実装形態では、金属含有フォトレジスト602は、有機金属酸化物フォトレジストを含む。湿式プロセスでは、金属含有フォトレジスト602の除去は、マルチステップの連続的な方法で実行し得る。
図6Aにおいて、dHFなどの第1の無機酸性溶液603は、基板600の表側と裏側の両方に塗布される。第1の無機酸性溶液は、10:1のdHFであってよく、約30秒~約600秒の間、又は約60秒~約300秒の間の時間で適用し得る。
図6Bでは、dHClなどの第2の無機酸性溶液604又はSC-1などの洗浄液604が基板600の表側と裏側の両方に塗布される。第2の無機酸性溶液は、10:1のdHClであってよく、第1の無機酸性溶液を適用した後、約30秒~約600秒の間、又は約60秒~約300秒の間の時間で適用し得る。
図6Cにおいて、金属含有フォトレジスト602は、湿式プロセスの完了後、基板600から選択的に除去される。下地層601は基板600上に残留し得る。基板600の表面における金属原子の残留量は、約1×10
10atoms/cm
2未満であり得る。
【0114】
本開示は、露光及び/又は現像されたEUV感受性膜の除去に言及することが多いが、記載される除去プロセスは、同様の組成の膜(例えば、他のMOxRy系の膜)、例えば、金属酸化物を含む他の膜又は有機金属膜にも拡張することができる。いくつかの実装形態では、EUVレジスト以外の膜、例えばハードマスク、UVレジスト、又は他の用途を有する類似組成の膜などが、この方法によって除去できる。この点で、記載された除去プロセスは、その機能とは対照的に、膜の化学組成に関連する。
【0115】
装置:
本開示の装置は、金属含有フォトレジストのフォトレジストリワークのために構成される。この装置は、堆積、ベベル及び裏面洗浄、塗布後ベーク、EUVスキャン、露光後ベーク、現像、スカム除去、スムージング、硬化などの他の処理操作のために構成され得る。いくつかの実装形態では、装置は複数の乾式操作を実行するように構成されている。いくつかの実装形態では、装置は、湿式操作と乾式操作の組み合わせを実行するように構成されている。装置は、単一のウェハチャンバ又は同一プロセスチャンバ内の複数のステーションを含み得る。同じプロセスチャンバ内に複数のステーションがある場合、本開示に記載されているような様々な処理操作を、同じプロセスチャンバ内の異なるステーションで行い得る。
【0116】
金属含有フォトレジストのフォトレジストリワーク用に構成された装置は、基板支持体を有するプロセスチャンバを含む。装置は、エッチングガスを供給するためにプロセスチャンバに結合されたエッチングガスラインを含み得る。いくつかの実装形態では、エッチングガスはハロゲン化水素などのハロゲン化物を含む。装置は、温度制御のための1つ又は複数のヒータを含み得る。このようなヒータは、プロセスチャンバ内及び/又は基板支持体内に設けてよい。あるいは、このようなヒータはプロセスチャンバの外部に設けてもよい。装置は、フォトレジストリワークの端点をトリガするために、パーティクル数、ウェハ数、厚み、又は他のパラメータを検知するための1つ又は複数のセンサをさらに含み得る。
【0117】
いくつかの実装形態では、プロセスチャンバはプラスチックなどの安価な材料で作られている。他のいくつかの実装形態では、プロセスチャンバは、陽極酸化アルミニウムなどの金属、又は酸化アルミニウムなどのセラミックで作られている。
【0118】
図7は、いくつかの実装形態に係るリワークや他の操作を実行するのに適したプロセスステーションの例を示す概略図である。複数のプロセスステーション700が、共通の低圧プロセスツール環境に含まれ得る。例えば、
図8は、カリフォルニア州フリーモントのラムリサーチ・コーポレーションから入手可能なVECTOR(登録商標)処理ツールなどのマルチステーション処理ツール800の一実装形態を示している。いくつかの実装形態では、以下で詳細に議論されるものを含むプロセスステーション800の1つ又は複数のハードウェアパラメータは、1つ又は複数のコンピュータコントローラ850によってプログラム的に調整され得る。
【0119】
プロセスステーションは、クラスタツールのモジュールとして構成され得る。
図10は、本明細書に記載の実装形態の実施に適した真空統合堆積及びパターニングモジュールを有する半導体プロセスクラスタツール構造を示す図である。このようなクラスタプロセスツール構造は、上述の、及び
図9及び
図10を参照してさらに後述する、レジスト堆積、レジスト露光(EUVスキャナ)、レジスト現像、レジストリワーク、及びエッチングモジュールを含むことができる。
【0120】
再び
図7を参照すると、プロセスステーション700は、プロセスガスを分配シャワーヘッド706に送達するための反応物送達システム701aと流体的に連通している。反応物送達システム701aは、任意に、シャワーヘッド706への送達のための、プロセスガスの混合及び/又は調整のための混合容器704を含む。1つ又は複数の混合容器入口弁720は、プロセスガスの混合容器704への導入を制御し得る。プラズマへの曝露が実施される場合、プラズマもまたシャワーヘッド706に供給されてもよいし、プロセスステーション700において生成されてもよい。上述したように、少なくともいくつかの実装形態では、非プラズマ熱曝露が好ましい。
【0121】
図7は、混合容器704に供給される液体反応物を気化させるための任意の気化点703を含む。いくつかの実装形態では、気化及びプロセスステーション700への送達のために液体のマスフローを制御する液体流量コントローラ(LFC)が、気化点703の上流に提供され得る。例えば、LFCは、LFCの下流に位置する熱式マスフロー計(MFM)を含み得る。LFCのプランジャ弁は、MFMと電気的に通信する比例積分微分(PID)コントローラからのフィードバック制御信号に応じて調整され得る。
【0122】
シャワーヘッド706は、基板712に向けてプロセスガスを分配する。
図7に示す実装形態では、基板712は、シャワーヘッド706の下に位置し、台座708の上に載置されている。シャワーヘッド706は、任意の適切な形状を有し、基板712にプロセスガスを分配するためのポートを有し、ポートは任意の適切な数及び配置で設置され得る。
【0123】
いくつかの実装形態では、台座708は、基板712とシャワーヘッド706との間の容積に基板712を露出させるために上昇又は下降させてもよい。いくつかの実装形態において、台座の高さは、適切なコンピュータコントローラ750によってプログラム的に調整され得ることが理解できる。いくつかの実装形態では、シャワーヘッド706は、複数の温度コントロールを有する複数のプレナム容積を有し得る。
【0124】
いくつかの実装形態では、台座708は、ヒータ710を介して温度制御され得る。いくつかの実装形態では、台座708は、開示された実装形態に記載されるように、金属含有レジストのハロゲン化物又は有機蒸気化学物質への非プラズマ熱曝露中に、0℃より高く300℃まで、例えば60~250℃、例えば約80~200℃に加熱され得る。いくつかの実装形態では、台座708のヒータ710は、複数の、独立して制御可能な温度制御ゾーンを含み得る。
【0125】
さらに、いくつかの実装形態では、プロセスステーション700の圧力は、バタフライ弁718によって制御され得る。
図7の実装形態に示すように、バタフライ弁718は、下流の真空ポンプ(図示せず)から提供される真空の制限を行う。しかしながら、いくつかの実装形態では、プロセスステーション700の圧力制御は、プロセスステーション700に導入される1つ又は複数のガスの流量を変化させることによっても調整され得る。
【0126】
いくつかの実装形態では、シャワーヘッド706の位置は、基板712とシャワーヘッド706との間の容積を変化させるために台座708に対して調整され得る。さらに、台座708及び/又はシャワーヘッド706の垂直位置は、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって変化し得ることが理解できる。いくつかの実装形態では、台座708は、基板712の向きを回転させるための回転軸を含み得る。いくつかの実装形態において、これらの例示的な調整の1つ又は複数は、1つ又は複数の適切なコンピュータコントローラ750によってプログラム的に実行され得ることが理解できる。
【0127】
プラズマが、例えば、スカム除去、処理、又はスムージング操作において使用され得る場合、シャワーヘッド706及び台座708は、プラズマに電力を供給するための高周波(RF)電源714及び整合ネットワーク716と電気的に通信する。いくつかの実装形態では、プラズマエネルギーは、プロセスステーションの圧力、ガス濃度、RF源の電力、RF源の周波数、及びプラズマ電力パルスタイミングの1つ又は複数を制御することによって制御され得る。例えば、RF電源714及び整合ネットワーク716は、所望のラジカル種組成を有するプラズマを形成するために、任意の適切な電力で作動され得る。適切な出力の例としては、約500W以下である。
【0128】
いくつかの実装形態では、コントローラ750への指示は、入出力制御(IOC)シーケンス命令を通じて提供され得る。一例として、あるプロセスフェーズの条件設定のための命令は、プロセスレシピの対応するレシピフェーズに含まれ得る。いくつかの場合には、プロセスレシピのフェーズは連続的に配置され、あるプロセスフェーズのためのすべての命令がそのプロセスフェーズと同時に実行される。いくつかの実装形態では、1つ又は複数のリアクタパラメータを設定するための命令が、レシピフェーズに含まれ得る。例えば、レシピフェーズには、エッチングガス、例えばハロゲン化水素など、の流量を設定する命令や、レシピフェーズの時間遅延の命令を含み得る。いくつかの実装形態では、コントローラ750は、以下に説明する
図8のシステムコントローラ850に関する特徴のうちのいずれかを含み得る。
【0129】
上記のように、マルチステーション処理ツールは、1つ又は複数のプロセスステーションを含み得る。
図8は、インバウンドロードロック802及びアウトバウンドロードロック804を有するマルチステーション処理ツール800の一実装形態の概略図であり、これらのいずれか又は両方は、遠隔プラズマ源を含み得る。大気圧のロボット806は、ポッド808を介して装填されたカセットから、大気ポート810を介して、インバウンドロードロック802にウェハを移動させるように構成されている。ロボット806によって、インバウンドロードロック802の台座812にウェハが載置され、大気ポート810が閉じられ、ロードロックがポンプダウンされる。インバウンドロードロック802が遠隔プラズマ源を含む場合、ウェハは、処理チャンバ814に導入される前に、ロードロックにおいて基板表面処理のために遠隔プラズマ処理に供してよい。さらに、ウェハはまた、インバウンドロードロック802内で加熱され、例えば、水分や吸着ガスが除去されてもよい。次に、処理チャンバ814へのチャンバ移送ポート816が開かれ、別のロボット(図示せず)が、ウェハを、リアクタにおける、リアクタ内に示す第1ステーションの台座上に載置して処理が行われる。
図8に示す実装形態はロードロックを含むが、いくつかの実装形態では、ウェハがプロセスステーションへ直接供給され得る事が理解できる。
【0130】
図示される処理チャンバ814は、
図8に示す実装形態では1~4の番号が付された4つのプロセスステーションを含む。各ステーションは、加熱された台座(ステーション1については818で示す)とガスライン入口を有する。いくつかの実装形態では、各プロセスステーションは、それぞれ異なる又は複数の目的を持ち得ることが理解できる。例えば、いくつかの実装形態では、プロセスステーションは、現像プロセスモードとエッチングプロセスモードとの間で切り替え可能であり得る。加えて、又は代替的に、いくつかの実装形態において、処理チャンバ814は、現像及びエッチングプロセスステーションの1つ又は複数の整合ペアを含み得る。図示された処理チャンバ814は4つのステーションを含むが、本開示による処理チャンバは任意の適切な数のステーションを有し得ることが理解できる。例えば、いくつかの実装形態では、処理チャンバは5つ以上のステーションを有し得る一方、他の実装形態では、処理チャンバは3つ以下のステーションを有し得る。
【0131】
図8は、処理チャンバ814内のウェハを移送するためのウェハハンドリングシステム890の一実装形態を示す図である。いくつかの実装形態では、ウェハハンドリングシステム890は、種々のプロセスステーション間及び/又はプロセスステーションとロードロックとの間でウェハ搬送を行い得る。ウェハハンドリングシステムは、任意の適切なものを使用し得ることが理解できる。非限定的な例示として、ウェハカルーセルやウェハハンドリングロボットが挙げられる。また、
図8は、プロセスツール800のプロセス条件及びハードウェア状態を制御するために使用されるシステムコントローラ850の一実装形態を示す図である。システムコントローラ850は、1つ又は複数のメモリ装置856、1つ又は複数の大容量記憶装置854、及び1つ又は複数のプロセッサ852を含み得る。プロセッサ852は、CPU又はコンピュータ、アナログ及び/又はデジタル入力/出力接続部、ステッパモータ制御盤などを含み得る。
【0132】
いくつかの実装形態では、システムコントローラ850は、プロセスツール800のすべての活動を制御する。システムコントローラ850は、大容量記憶装置854に格納され、メモリ装置856にロードされ、プロセッサ852で実行されるシステム制御ソフトウェア858を実行する。あるいは、制御ロジックは、コントローラ850にハードコードされてもよい。これらの用途には、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ又はFPGA等)などを使用し得る。以下の記載において、「ソフトウェア」又は「コード」については、機能的に匹敵するハードコードされたロジックで代替可能である。システム制御ソフトウェア858は、タイミング、ガスの混合物、ガス流量、チャンバ及び/又はステーション圧力、チャンバ及び/又はステーション温度、ウェハ温度、目標とする電力レベル、RF電力レベル、基板台座、チャック及び/又はサセプタ位置、並びにプロセスツール800によって行われる特定のプロセスの他のパラメータを制御する命令を含み得る。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切な形式で構成され得る。例えば、様々なプロセスツール構成要素サブルーチン又は制御対象を、様々なプロセスツールの処理を実行するのに必要なプロセスツール構成要素の操作を制御するために書き込んでもよい。システム制御ソフトウェア858は、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化されていてもよい。
【0133】
いくつかの実装形態では、システム制御ソフトウェア858は、上述された様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス命令を含み得る。いくつかの実装形態においては、システムコントローラ850に対応付けられた大容量記憶装置854及び/又はメモリ装置856に格納された他のコンピュータソフトウェア及び/又はプログラムが採用され得る。このためのプログラム又はプログラムの一部の例としては、基板位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、プラズマ制御プログラムなどが挙げられる。
【0134】
基板位置決めプログラムは、基板を台座818にロードし、基板とプロセスツール800の他の部分との間の間隔を制御するために使用されるプロセスツール構成要素用のプログラムコードを含み得る。
【0135】
プロセスガスの制御プログラムは、有機蒸気組成(例えば、本明細書に記載のトリフルオロ酢酸)及び流量を制御するための、また任意で、プロセスステーション内の圧力を安定させるために堆積に先立って1つ又は複数のプロセスステーションにガスを流すためのコードを含み得る。圧力制御プログラムは、例えば、プロセスステーションの排気システムのスロットル弁、プロセスステーションへのガス流量などを規制して、プロセスステーション内の圧力を制御するためのコードを含み得る。
【0136】
ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するための加熱部への電流を制御するためのコードを含み得る。あるいは、ヒータ制御プログラムは、基板への熱搬送ガス(ヘリウム等)の送達を制御し得る。
【0137】
プラズマ制御プログラムは、本明細書の実装形態に従い、1つ又は複数のプロセスステーションのプロセス電極に印加されるRF電力レベルを設定するためのコードを含み得る。
【0138】
圧力制御プログラムは、本明細書の実装形態に従い、反応チャンバ内の圧力を維持するためのコードを含み得る。
【0139】
いくつかの実装形態では、システムコントローラ850に関連するユーザインターフェースが存在し得る。ユーザインターフェースとしては、ディスプレイ画面、装置及び/又はプロセス条件のグラフィカルなソフトウェア表示、並びにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどのユーザー入力デバイスなどを含み得る。
【0140】
いくつかの実装形態では、システムコントローラ850によって調節されるパラメータは、プロセス条件に関連し得る。非限定的な例として、プロセスガス組成及び流量、温度、圧力、プラズマ条件(RFバイアス電力レベル等)などを含み得る。これらのパラメータは、レシピとしてユーザーに提供されてもよく、またユーザインターフェースを利用して入力されてもよい。
【0141】
プロセスを監視するための信号は、様々なプロセスツールセンサから、システムコントローラ850のアナログ及び/又はデジタル入力接続部より提供され得る。プロセスを制御するための信号は、プロセスツール800のアナログ及びデジタル出力接続部に出力されてもよい。監視対象となり得るプロセスツールセンサの非限定的な例として、マスフローコントローラ、圧力センサ(真空計等)、熱電対などを含み得る。プロセス条件を維持するために、適切にプログラムされたフィードバック及び制御アルゴリズムが、これらのセンサからのデータと共に使用され得る。
【0142】
システムコントローラ850は、上述の堆積プロセスを実施するためのプログラム命令を提供し得る。プログラム命令は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、圧力、温度などの様々なプロセスパラメータを制御し得る。これらの命令は、本明細書に記載される様々な実装形態に係る現像、洗浄、及び/又はエッチングプロセスを操作するためのパラメータを制御し得る。
【0143】
システムコントローラ850は、典型的には、開示された実装形態に従って方法を装置に実行させるように命令を行うように構成された1つ又は複数のメモリ装置と1つ又は複数のプロセッサとを含む。開示された実装形態に従ってプロセス動作を制御するための命令を含む機械可読媒体は、システムコントローラ850に結合され得る。
【0144】
いくつかの実装形態では、システムコントローラ850は、上記で説明した例の一部ともなり得るシステムの一部である。このシステムは、1つ又は複数の処理ツール、1つ又は複数のチャンバ、1つ又は複数の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理構成要素(ウェハ台座、ガスフローシステム等)を含む半導体処理機器を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハ又は基板の処理前、処理中、及び処理後に、その動作を制御するための電子機器と統合されていてもよい。電子機器は、1つ又は複数のシステムの種々の構成要素又はサブパーツを制御し得る「コントローラ」と称してもよい。システムコントローラ850は、処理条件及び/又はシステムのタイプに応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置及び動作設定、特定のシステムに接続又はインターフェースされたツール及び他の搬送ツール及び/又はロードロックへの、及びそれらからのウェハの搬送を含む、本明細書に開示される任意のプロセスを制御するようにプログラムされていてもよい。
【0145】
概して、システムコントローラ850は、様々な集積回路、論理、メモリ、及び/又はソフトウェアを有する電子機器として定義してよく、命令を受信・発令し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、端点測定を可能にする、などを行う。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、及び/又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラを含んでいてもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(又はプログラム・ファイル)の形態でシステムコントローラ850に通信される命令であってもよく、半導体ウェハに対して又は半導体ウェハに関連して、あるいはシステムに対して、特定のプロセスを実行する操作パラメータを定義する。いくつかの実装形態では、動作パラメータは、ウェハの1つ又は複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、シリコン二酸化物、表面、回路、及び/又はダイの作製中において、1つ又は複数の処理ステップを達成するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0146】
いくつかの実装形態においては、システムコントローラ850は、システムと統合又は結合されるか、システムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であるか、あるいは結合されていてもよく、又はこれらを組み合わせた形態であり得る。例えば、システムコントローラ850は、「クラウド」内、又はfabホストコンピュータシステムの全体若しくは一部であってもよく、それによってウェハ処理の遠隔アクセスが可能となる。コンピュータは、システムへの遠隔アクセスを可能にし、作製動作に関する現在の経過を監視し、過去の作製動作の履歴を調査し、複数の作製動作から傾向若しくは性能メトリックを調査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に追従する処理ステップを設定するか、又は新たな処理を開始してよい。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワーク上でプロセスレシピをシステムに提供することができ、ネットワークには、ローカル・ネットワーク又はインターネットを含み得る。遠隔コンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力又はプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでいてもよく、これらのパラメータ及び/又は設定は、次いで、遠隔コンピュータからシステムに伝達される。いくつかの例では、システムコントローラ850は、データの形態で命令を受信し、命令は、1つ又は複数の動作の間に実施すべき処理ステップのそれぞれに対するパラメータを指定する。パラメータは、実施するプロセスの種類、及びシステムコントローラ850がインターフェース接続又は制御するように構成したツールの種類に特有であり得ることを理解されたい。従って、上記のように、システムコントローラ850は、例えば、1つ又は複数の離散型コントローラなどを含んで分散してもよく、1つ又は複数の離散型コントローラは、まとめてネットワーク接続され、本明細書で説明するプロセス及び制御等、共通の目的を持って動作する。このような目的のための分散型コントローラの一例は、(プラットフォーム・レベルで、又は遠隔コンピュータの一部として等)遠隔設置された1つ又は複数の集積回路と通信する、チャンバ上の1つ又は複数の集積回路であり、チャンバ上での処理を制御するように組み合わせられる。
【0147】
限定はしないが、システムの例として、プラズマ・エッチングチャンバ若しくはモジュール、堆積チャンバ若しくはモジュール、スピンリンスチャンバ若しくはモジュール、金属めっきチャンバ若しくはモジュール、クリーンチャンバ若しくはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ若しくはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバ若しくはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバ若しくはモジュール、ALDチャンバ若しくはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバ若しくはモジュール、イオンインプランテーションチャンバ若しくはモジュール、トラックチャンバ若しくはモジュール、EUVリソグラフィチャンバ(スキャナ)若しくはモジュール、現像チャンバ若しくはモジュール、並びに半導体ウェハの作製及び/又は製造に関連若しくは使用され得るあらゆる他の半導体処理システムを含み得る。
【0148】
上記のように、ツールが実施する1つ又は複数のプロセスステップに応じて、システムコントローラ850は、1つ又は複数の他のツール回路若しくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタ・ツール、他のツール・インターフェース、近接ツール、近隣ツール、工場全体に配置されるツール、主コンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場におけるツール位置及び/又は積載ポートへ、又はそこからウェハの容器を運ぶ材料輸送において使用されるツールと通信し得る。
【0149】
以下に、特定の実装形態において、いくつかの実装形態の実施に適したエッチング操作に適し得るICPリアクタについて、説明する。本明細書ではICPリアクタが説明されているが、いくつかの実装形態では、容量結合プラズマリアクタが用いられてもよいことを理解されたい。
【0150】
図9は、乾式現像、洗浄、及び/又はエッチングなどの特定の実装形態又は実装態様を実施するのに適した誘導結合プラズマ装置900の断面図概略を示し、その例としては、カリフォルニア州フリーモントのラムリサーチ・コーポレーション製のKiyo(登録商標)リアクタが挙げられる。他の実装形態では、本明細書に記載の乾式現像、洗浄、及び/又はエッチングプロセスを実施する機能を有する他のツール又はツールタイプが、その実装形態に使用され得る。
【0151】
誘導結合プラズマ装置900は、チャンバ壁901及び窓911によって構造的に規定された総合プロセスチャンバ924を含む。チャンバ壁901は、ステンレス鋼、アルミニウム、又はプラスチックで作製し得る。窓911は、石英又は他の誘電材料で作製し得る。任意の内部プラズマグリッド950は、総合プロセスチャンバを上部サブチャンバ902と下部サブチャンバ903とに分割する。ほとんどの実装形態では、プラズマグリッド950が除去されることで、サブチャンバ902及びサブチャンバ903からなるチャンバ空間を利用し得る。チャック917は、底部内面付近の下部サブチャンバ903内に設置される。チャック917は、エッチングプロセス及び堆積プロセスが実施される半導体ウェハ919を受け取り保持するように構成されている。チャック917は、ウェハ919が存在するときは、ウェハ919を支持するための静電チャックとすることができる。いくつかの実装形態では、エッジリング(図示せず)は、チャック917を取り囲み、ウェハ919がチャック917の上に存在するときは、ウェハ919の上面と略平面である頂面を有する。チャック917は、ウェハ919をチャック及びデチャックするための静電電極も備える。このために、フィルタ及びDCクランプ電源(図示せず)が設けられていてもよい。ウェハ919をチャック917から持ち上げるための他の制御システムが設けられてもよい。チャック917は、RF電源923を用いて充電できる。RF電源923は、接続部927を介して整合回路921に接続される。整合回路921は、接続部925を介してチャック917に接続される。このようにして、RF電源923は、チャック917に接続される。様々な実装形態では、静電チャックのバイアス電力は、約50Vに設定されるか、又は、開示された実装形態に従って実施されるプロセスに応じて異なるバイアス電力に設定され得る。例えば、バイアス電力は、約20V~約100Vの間、又は約30V~約150Vの間であり得る。
【0152】
プラズマ生成のための素子は、窓911の上方に設置されるコイル933を含む。いくつかの実装形態では、コイルは、開示の実装形態において用いられない。コイル933は、導電性材料で作られ、少なくとも1つの完全なターン(巻き)を含む。
図9に示されたコイル933の例は、3ターンを含む。コイル933の断面は記号で示されており、「×」を有するコイルは、その回転がページ奥に延び、「●」を有するコイルは、その回転がページ手前に延びる。プラズマ生成のための素子は、RF電力をコイル933に供給するように構成されたRF電源941も含む。一般に、RF電源941は、接続部945を介して整合回路939に接続される。整合回路939は、接続部943を介してコイル933に接続される。このようにして、RF電源941は、コイル933に接続される。任意のファラデーシールド949aが、コイル933と窓911との間に設置される。ファラデーシールド949aは、コイル933に対して間隔をおいて維持され得る。いくつかの実装形態では、ファラデーシールド949aは、窓911のすぐ上方に配置される。いくつかの実装形態では、ファラデーシールド949bは、窓911とチャック917との間に位置する。いくつかの実装形態では、ファラデーシールド949bは、コイル933に対して間隔をおいて維持されない。例えば、ファラデーシールド949bは、間隔なしで窓911のすぐ下方に位置し得る。コイル933、ファラデーシールド949a、及び窓911は、各々、互いに実質的に平行になるように構成されている。ファラデーシールド949aは、金属又は他の種がプロセスチャンバ924の窓911上に堆積することを防ぎ得る。
【0153】
プロセスガスは、上部サブチャンバ902に設置された1つ又は複数の主ガス流入口960を通って、及び/又は、1つ又は複数の側ガス流入口970を通ってプロセスチャンバに流し得る。同様に、図示されていないが、プロセスガスを容量結合プラズマ処理チャンバに供給するために類似のガス流入口が用いられ得る。プロセスガスをプロセスチャンバ924から抜き、プロセスチャンバ924内の圧力を維持するために、真空ポンプ(例えば、1段又は2段機械式ドライポンプ及び/又はターボ分子ポンプ940)が用いられてもよい。例えば、真空ポンプは、パージ動作中に下部サブチャンバ903を排気するために用いられてもよい。真空ポンプによって提供される真空環境の適用を選択的に制御する目的で、真空ポンプをプロセスチャンバ924に流体的に接続するために弁制御導管が用いられてもよい。これは、プラズマ処理動作中に、スロットル弁(図示せず)又は振り子弁(図示せず)などの閉ループ制御流量制限装置を用いて実現され得る。同様に、容量結合プラズマ処理チャンバへの真空ポンプ及び弁制御流体接続部も使用し得る。
【0154】
装置900の動作中に、1つ又は複数のプロセスガスが、ガス流入口960及び/又はガス流入口970を通って供給されてもよい。特定の実装形態では、プロセスガスは、主ガス流入口960のみを通って、又は側ガス流入口970のみを通って供給されてもよい。いくつかの場合には、図に示されたガス流入口は、より複雑なガス流入口、例えば、1つ又は複数のシャワーヘッド、に置き換えられてもよい。ファラデーシールド949a及び/又は任意のグリッド950は、プロセスチャンバ924へのプロセスガスの送達を可能にする内部チャネル及び孔を含み得る。ファラデーシールド949a及び任意のグリッド950のいずれか又は両方は、プロセスガスの送達のためのシャワーヘッドとして機能し得る。いくつかの実装形態では、液体気化/送達システムをプロセスチャンバ924の上流に設置し、液体反応物又は前駆体が気化されると、気化した反応物又は前駆体がガス流入口960及び/又はガス流入口970を介してプロセスチャンバ924に導入されるようにしてもよい。
【0155】
高周波電力がRF電源941からコイル933に供給され、それによりRF電流がコイル933を通じて流れる。コイル533に流れるRF電流は、コイル933を中心とする電磁場を生成する。電磁場は、上部サブチャンバ902内で誘導電流を生成する。様々な生成イオン及びラジカルのウェハ919との物理的相互作用及び化学的相互作用により、ウェハ919上のフィーチャがエッチングされ、ウェハ919上に選択的に層が堆積される。
【0156】
上部サブチャンバ902及び下部サブチャンバ903の両方が存在するようにプラズマグリッド950が用いられる場合は、誘導電流は、上部サブチャンバ902に存在するガスに作用して、上部サブチャンバ902において電子-イオンプラズマを生成する。任意の内部プラズマグリッド950は、下部サブチャンバ903内の熱電子の量を限定する。いくつかの実装形態では、装置900は、下部サブチャンバ903に存在するプラズマがイオン-イオンプラズマになるように設計及び操作される。
【0157】
上部の電子-イオンプラズマ及び下部のイオン-イオンプラズマの両方は、陽イオン及び陰イオンを含むが、イオン-イオンプラズマは、陽イオンに対してより大きい比率の陰イオンを有する。揮発性エッチング及び/又は堆積の副生成物は、ポート922を通って下部サブチャンバ903から除去し得る。本明細書に開示のチャック917は、約10℃~約250℃の間の昇温温度で動作し得る。温度は、プロセス動作及び特定のレシピに依存する。
【0158】
装置900は、クリーンルーム又は作製設備に設置される場合、設備(図示せず)に結合されていてもよい。設備は、処理ガス、真空、温度制御、及び環境粒子制御を提供する配管を含む。これらの設備は、目的の作製設備に設置される場合、装置900に結合される。また、装置900は、一般的な自動操作を用いてロボット装置が半導体ウェハを装置900に対して搬入出できるようにする搬送チャンバに結合され得る。
【0159】
いくつかの実装形態では、システムコントローラ930(1つ又は複数の物理的又は論理的コントローラを含み得る)は、プロセスチャンバ924の一部又は全ての動作を制御する。システムコントローラ930は、1つ又は複数のメモリ装置及び1つ又は複数のプロセッサを含み得る。いくつかの実装形態では、装置900は、開示された実装形態が実施される際の流量及び持続時間を制御するための切り替えシステムを備える。いくつかの実装形態では、装置900は、最大約500ms、又は最大約750msの切り替え時間を有し得る。切り替え時間は、フロー反応、選択したレシピ、リアクタの構造、及びその他の要因に依存し得る。
【0160】
いくつかの実装形態では、システムコントローラ930は、上記で説明した例の一部ともなり得るシステムの一部である。このシステムは、1つ又は複数の処理ツール、1つ又は複数のチャンバ、1つ又は複数の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理構成要素(ウェハ台座、ガスフローシステム等)を含む半導体処理機器を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハ又は基板の処理前、処理中、及び処理後に、その動作を制御するための電子機器と統合されていてもよい。電子機器は、1つ又は複数のシステムの様々な部品又は副部品を制御し得るシステムコントローラ930に統合され得る。システムコントローラ930は、処理パラメータ及び/又はシステムのタイプに応じて、処理ガスの送出、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送出設定、位置及び動作設定、特定のシステムに接続又はインターフェースされたツール及び他の搬送ツール及び/又はロードロックへの、及びそれらからのウェハの搬送を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされていてもよい。
【0161】
概して、システムコントローラ930は、様々な集積回路、論理、メモリ、及び/又はソフトウェアを有する電子機器として定義でき、命令を受信・発令し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、端点測定を可能にする、などを行う。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、及び/又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラを含んでいてもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(又はプログラム・ファイル)の形態でコントローラに伝達される命令であってもよく、半導体ウェハに対して又は半導体ウェハに関連して、あるいはシステムに対して、特定のプロセスを実行する操作パラメータを定義する。いくつかの実装形態では、動作パラメータは、ウェハの1つ又は複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、及び/又はダイの作製又は除去中に1つ又は複数の処理ステップを達成するためにプロセスエンジニアによって定義されたレシピの一部であり得る。
【0162】
いくつかの実装形態においては、システムコントローラ930は、システムと統合又は結合されるか、システムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であるか、あるいは結合されていてもよく、又はこれらを組み合わせた形態であり得る。例えば、コントローラは、「クラウド」内、又はfabホストコンピュータシステムの全体若しくは一部であってもよく、それによってウェハ処理の遠隔アクセスが可能となる。コンピュータは、システムへの遠隔アクセスを可能にし、作製動作に関する現在の経過を監視し、過去の作製動作の履歴を調査し、複数の作製動作から傾向若しくは性能メトリックを調査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に追従する処理ステップを設定するか、又は新たな処理を開始してよい。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワーク上でプロセスレシピをシステムに提供することができ、ネットワークには、ローカル・ネットワーク又はインターネットを含み得る。遠隔コンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力又はプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでいてもよく、これらのパラメータ及び/又は設定は、次いで、遠隔コンピュータからシステムに伝達される。いくつかの例では、システムコントローラ930は、データの形態で命令を受信し、命令は、1つ又は複数の動作の間に実施すべき処理ステップのそれぞれに対するパラメータを指定する。パラメータは、実施するプロセスの種類、及びコントローラがインターフェース接続又は制御するように構成したツールの種類に特有であることができる。従って、上記のように、システムコントローラ930は、例えば、1つ又は複数の離散型コントローラなどを含んで分散してもよく、1つ又は複数の離散型コントローラは、まとめてネットワーク接続され、本明細書で説明するプロセス及び制御等、共通の目的を持って動作する。このような目的のための分散型コントローラの一例は、(プラットフォーム・レベルで、又は遠隔コンピュータの一部として等)遠隔設置された1つ又は複数の集積回路と通信する、チャンバ上の1つ又は複数の集積回路であり、チャンバ上での処理を制御するように組み合わせられる。
【0163】
限定はしないが、システムの例として、プラズマ・エッチングチャンバ若しくはモジュール、堆積チャンバ若しくはモジュール、スピンリンスチャンバ若しくはモジュール、金属めっきチャンバ若しくはモジュール、洗浄チャンバ若しくはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ若しくはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバ若しくはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバ若しくはモジュール、ALDチャンバ若しくはモジュール、ALEチャンバ若しくはモジュール、イオンインプランテーションチャンバ若しくはモジュール、トラックチャンバ若しくはモジュール、EUVリソグラフィチャンバ(スキャナ)若しくはモジュール、乾式現像チャンバ若しくはモジュール、並びに半導体ウェハの作製及び/又は製造に関連若しくは使用され得るあらゆる他の半導体処理システムを含み得る。
【0164】
上記のように、ツールによって実施する1つ又は複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、1つ又は複数の他のツール回路若しくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツール・インターフェース、近接ツール、近隣ツール、工場全体に配置されるツール、主コンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場におけるツール位置及び/又は積載ポートへ、又はそこからウェハの容器を運ぶ材料輸送において使用されるツールと通信し得る。
【0165】
EUVLパターニングは、例えば、ASML社(オランダ、Veldhoven)によって提供されるTWINSCAN NXE:3300B(登録商標)プラットフォームのような、しばしばスキャナと称される任意の適切なツールを用いて行い得る。EUVLパターニングツールは、本明細書に記載の堆積とエッチングのために基板を出し入れするスタンドアロン装置であり得る。あるいは、後述するように、EUVLパターニングツールは、より大きなマルチコンポーネントツール上のモジュールであってもよい。
図10は、本明細書に記載のプロセスの実施に適した、真空搬送モジュールとインターフェース接続する、真空統合堆積、EUVパターニング、及び乾式現像/エッチングモジュールを有する半導体プロセスクラスタツール構造を示す図である。このような真空統合装置なしでもプロセスは実施され得るものの、実装形態によってはこのような装置が有利となり得る。
【0166】
図10は、本明細書に記載のプロセスの実施に適した、真空搬送モジュールとインターフェース接続する、真空統合堆積及びパターニングモジュールを有する半導体プロセスクラスタツール構造を示す。複数の格納設備及び処理モジュールの間でウェハを「搬送する」ための搬送モジュールの配置は、「クラスタツール構造」システムと称され得る。堆積及びパターニングモジュールは、特定のプロセスの要件に従って真空統合される。また、エッチング用などの他のモジュールもクラスタに含まれ得る。
【0167】
真空搬送モジュール(VTM)1038は、4つの処理モジュール1020a~1020dとインターフェース接続し、これらの処理モジュールは個別に様々な作製処理を実施するために最適化され得る。例として、処理モジュール1020a~1020dは、堆積、蒸発、ELD、乾式現像、洗浄、エッチング、ストリップ及び/又は他の半導体処理を実施するために実装され得る。例えば、モジュール1020aは、カリフォルニア州フリーモントのラムリサーチ・コーポレーションから入手可能なVectorツールなどの、本明細書に記載される非プラズマ熱原子層堆積において作動するように操作され得るALDリアクタであり得る。そして、モジュール1020bは、Lam Vector(登録商標)などのPECVDツールであり得る。図は必ずしも正確な縮尺率ではないことに注意されたい。
【0168】
エアロック(別名ロードロック又は搬送モジュール)1042及び1046は、VTM1038及びパターニングモジュール1040とインターフェース接続している。例えば、上記の通り、適したパターニングモジュールは、ASML社(オランダ、Veldhoven)によって提供されるTWINSCAN NXE:3300B(登録商標)プラットフォームであり得る。このツール構造によって、半導体基板又はウェハなどの工作物を露光前に反応しないように真空で搬送できる。EUVLがH2OやO2などの周囲ガスによる入射光子の強力な光吸収を考慮した大幅な減圧も必要とする事実によって、堆積モジュールとリソグラフィツールとの統合が容易になる。
【0169】
上述したように、この統合構造は、説明したプロセスを実施するツールの一つの可能な実装形態に過ぎない。これらのプロセスはまた、より従来のスタンドアロンEUVLスキャナ、及び、スタンドアロン、又は、例えば(統合されたパターニングモジュールはないが)
図10を参照して説明したようにモジュールとしてエッチング、ストリップなどの他のツール(例えば、Lam Kiyo又はGammaツール)とクラスタ構造で統合された堆積リアクタ(例えばLam Vectorツール)を用いて、実装され得る。
【0170】
エアロック1042は、堆積モジュール1020aに仕えるVTM1038からパターニングモジュール1040への基板の搬送を指す「搬出」ロードロックであってよく、エアロック1046は、パターニングモジュール1040からVTM1038への基板の搬送を指す「搬入」ロードロックであってよい。搬入ロードロック1046はまた、基板のアクセス及び撤去のためにツールの外側へのインターフェースを提供してもよい。各プロセスモジュールは、モジュールをVTM1038にインターフェース接続するファセットを有する。例えば、堆積プロセスモジュール1020aはファセット1036を有する。各ファセット内では、ウェハ1026が各ステーション間で移動する際にウェハの通過を感知するセンサ、例えば図中のセンサ1~18が用いられる。パターニングモジュール1040、エアロック1042及び1046は、図示されていない追加のファセット及びセンサを同様に備え得る。
【0171】
主VTMロボット1022は、エアロック1042及び1046を含むモジュール間でウェハ1026を搬送する。一実装形態では、ロボット1022は1つのアームを有し、別の実装形態では、ロボット1022は2つのアームを有する。各アームはエンドエフェクタ1024を有し、移送のためにウェハ1026などのウェハを取り上げる。フロントエンドロボット1044は、ウェハ1026を搬出エアロック1042からパターニングモジュール1040へ、パターニングモジュール1040から搬入エアロック1046へ搬送するのに用いられる。フロントエンドロボット1044はまた、基板のアクセス及び撤去のために、搬入ロードロックとツールの外側との間でウェハ1026を移送してもよい。搬入エアロックモジュール1046は大気圧と真空との間で環境を調和させることができるため、ウェハ1026は損傷することなく2つの圧力環境の間を移動することができる。
【0172】
なお、EUVLツールは、典型的には堆積ツールよりも高真空で動作する。この場合、堆積からEUVLツールへの搬送時に基板の真空環境を高め、パターニングツールへの搬入前に基板を脱ガスすることが望ましい。搬出エアロック1042は、この機能を、移送されるウェハを或る期間の間、パターニングモジュール1040内の圧力以下のより低圧に維持し、脱ガスを排気し、パターニングツール1040の光学系が基板からの脱ガスによって汚染されないようにすることによって提供し得る。搬出脱ガスエアロックに適した圧力は、1E-8Torr以下である。
【0173】
いくつかの実装形態では、システムコントローラ1050(1つ以上の物理又は論理的コントローラを含み得る)は、クラスタツール及び/又はその別体のモジュールの一部又は全ての動作を制御する。なお、コントローラは、クラスタ構造に局所的か、又は製造現場又は遠隔位置においてクラスタ構造の外に設置されてネットワークを介してクラスタ構造に接続することもできる。システムコントローラ1050は、1つ又は複数のメモリ装置及び1つ又は複数のプロセッサを含み得る。プロセッサは、中央処理装置(CPU)又はコンピュータ、アナログ及び/又はデジタル入出力接続部、ステッパモータ制御盤、及び他の同様な構成要素を備え得る。適切な制御操作を実施するための命令は、プロセッサで実行される。これらの命令は、コントローラと関連付けられたメモリ装置に記憶されるか、ネットワークを通じて提供され得る。特定の実装形態では、システムコントローラはシステム制御ソフトウェアを実行する。
【0174】
システム制御ソフトウェアは、ツール又はモジュール動作の任意の態様の適用タイミング及び/又は大きさを制御するための命令を含み得る。システム制御ソフトウェアは、任意の適切な形式で構成され得る。例えば、様々なプロセスツール構成要素サブルーチン又は制御対象を、様々なプロセスツールの処理を実行するのに必要なプロセスツール構成要素の操作を制御するために書き込んでもよい。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化され得る。いくつかの実装形態では、システム制御ソフトウェアは、上述された様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス命令を含む。例えば、半導体作製プロセスの各フェーズは、システムコントローラによる実行のための1つ又は複数の命令を含み得る。凝結、堆積、蒸発、パターニング、及び/又はエッチングフェーズのプロセス条件を設定する命令は、例えば対応するレシピフェーズに含まれ得る。
【0175】
様々な実装形態において、ネガパターンマスクを形成するための装置が提供される。装置は、パターニング、堆積、及びエッチングのための処理チャンバ、及びネガパターンマスクを形成するための命令を含むコントローラを含み得る。命令は、処理チャンバにおいて、半導体基板上の化学増幅(CAR)レジスト中のフィーチャをEUV露光によってパターニングして基板の表面を露出させ、フォトパターニングされたレジストを現像し、パターン形成したレジストをマスクとして用いて下地層又は積層をエッチングするためのコードを含み得る。現像は、有機酸などの有機蒸気を用いて行い得る。
【0176】
なお、ウェハの移動を制御するコンピュータは、クラスタ構造に局所的か、又は製造現場又は遠隔位置においてクラスタ構造の外に設置されてネットワークを介してクラスタ構造に接続することもできる。
図7、
図8又は
図9のいずれかに関して上記で説明したコントローラは、
図10におけるツールとともに実装され得る。
【0177】
図11は、いくつかの実装形態による、金属含有レジスト材料の蒸気系堆積用の堆積チャンバの一例を示す。図示されているように、装置1100は蓋1108を含むプロセスチャンバ1102を有する。プロセスチャンバ1102は、基板1122がそこからプロセスチャンバ1102の内部へ通過できる大きさである、プロセスチャンバ1102の壁の1つを通じたウェハ搬送通路1104を含み得る。プロセスチャンバ1102において基板1122はウェハ支持体1124上に載置され得る。ウェハ搬送通路1104は、ウェハ搬送通路1104を封止又は封止解除するように操作され得るゲートバルブ1106又は同様のドア機構を有してよく、それにより、プロセスチャンバ1102内の環境をゲートバルブ1106の反対側の環境から隔離することができる。例えば、プロセスチャンバ1102は、隣接する搬送チャンバに配置されたウェハハンドリングロボットを介して基板1122を供給され得る。このような搬送チャンバは、例えば、その周辺に配置された複数のプロセスチャンバ1102を有してよく、このような各プロセスチャンバ1102は、対応するゲートバルブ1106を介して搬送チャンバと接続している。
【0178】
ウェハ支持体1124は、例えば、基板1122を支持するためのウェハ支持面を提供するために使用され得る静電チャック(ESC)1126を含み得る。ESC1126は、例えば、ベースプレート1134を含んでよく、ベースプレート1134は、ベースプレート1134の上に配置されるトッププレート1128に接着される。トッププレート1128は、例えば、セラミック材料で作られ、その中にいくつかの他の構成要素が埋め込まれていてよい。図示の例では、トッププレート1128には2つの別個の電気系統が埋め込まれている。このようなシステムの1つは静電クランプ電極システムであり、基板1122内に電荷を発生させ、基板1122をトッププレート1128のウェハ支持面に引き寄せるために使用される1つ又は複数のクランプ電極1132を有し得る。
図11の実装形態では、2つのクランプ電極1132を使用して両極静電クランプシステムを提供するが、いくつかの実装形態では、単一のクランプ電極1132のみを使用して単極静電クランプシステムを提供してもよい。
【0179】
別のシステムとしては、処理条件中に基板1122の温度を制御するために使用し得る熱制御システムがある。
図11において、熱制御システムは、互いに同心でクランプ電極1132の下に配置された4つの環状抵抗加熱トレース1130a、1130b、1130c、1130dを特徴とするマルチゾーン熱制御システムである。中央の抵抗加熱トレース1130aは、いくつかの実装形態において、概ね円形の領域を満たしてよく、各抵抗加熱トレース1130a/b/c/dは、対応する環状領域内で概ね蛇行路又はそれ以外の迂回路をたどり得る。各抵抗加熱トレース1130a/b/c/dは、トッププレート1128に様々な半径方向加熱プロファイルを提供するように個々に制御され得る。このような4ゾーン加熱システムは、例えば、いくつかの場合には、±0.5℃の温度均一性を有するように基板1122を維持するように制御され得る。
図11の装置1100は、ESC1126内の4ゾーン加熱システムを特徴としているが、他の実装形態では、シングルゾーン又は4ゾーンより多い又は少ないゾーンを有するマルチゾーン加熱システムを使用してよい。
【0180】
いくつかの実装形態では、例えば上述した温度制御機構において、抵抗加熱トレースの代わりにヒートポンプを使用し得る。例えば、いくつかの実装形態において、抵抗加熱トレースは、その一方から他方へ熱を「ポンピング」するように制御され得るペルチェ接合又は他の類似の装置によって置き換えられるか、又は増強され得る。このような機構は、例えば、トッププレート1128(及び基板1122)から熱を引き出してベースプレート1134及び熱交換通路1136に導き、それによって、必要に応じて、基板1122をより迅速かつより効果的に冷却するために使用し得る。
【0181】
ESC1126はまた、例えば、トッププレート1128の下側に構造的支持を提供するために使用でき、熱分散システムとしても機能し得るベースプレート1134を含み得る。例えば、ベースプレート1134は、ベースプレート1134全体に概ね分散して配置される1つ又は複数の熱交換通路1136を含んでよく、例えば、熱交換通路1136は、ベースプレート1134を中心とした蛇行、円形スイッチバック、又は螺旋パターンに沿い得る。熱交換媒体、例えば、水又は不活性フッ素化液体は、使用中に熱交換通路1136を通じて循環させてよい。熱交換媒体の流量と温度は、ベースプレート1134に特定の加熱又は冷却挙動をもたらすように外部から制御し得る。
【0182】
ESC1126は、例えば、ウェハ支持柱1144と接続され、ウェハ支持柱1144によって支持されるウェハ支持体ハウジング1142によって支持され得る。ウェハ支持柱1144は、例えば、ベースプレート1134及び/又はトッププレート1128の下側にケーブル配線、流体流導管、及び他の設備を配備するための配線通路1148や他の通路を有し得る。例えば、
図11には図示されていないが、抵抗加熱トレース1130a/b/c/dに電力を供給するための配線は、クランプ電極1132に電力を供給するための配線と同様に、配線通路1148を通って配線され得る。他のケーブル、例えば温度センサ用のケーブルも、配線通路1148を通ってウェハ支持体1124の内部の場所に配線され得る。温度制御可能なベースプレート1134を有する実装形態では、ベースプレート1134との間で熱交換媒体を搬送するための導管もまた、配線通路1148を通って配線され得る。
図11では複雑化を避けるために描かれていないが、このようなケーブルや導管が設けられることを理解されたい。
【0183】
図11の装置1100はまた、ウェハ支持柱1144に可動支持を提供し得るウェハ支持体Zアクチュエータ1146を含む。ウェハ支持体Zアクチュエータ1146は、ウェハ支持柱1144、及びそれによって支持されるウェハ支持体1124を、プロセスチャンバ1102の反応空間1120内で、垂直方向に、例えば、最大数インチ、上下に移動させるために作動され得る。そのようにすることで、基板1122とシャワーヘッド1110の下側との間の隙間距離Xを、様々なプロセス条件に応じて調整し得る。
【0184】
ウェハ支持体1124はまた、いくつかの実装形態において、様々なプロセス条件を制御及び/又は微調整するために使用され得る1つ又は複数のエッジリングを含み得る。
図11では、例えば下側エッジリング1140a及び1140bの上に位置する上側エッジリング1138が設けられており、下側エッジリング1140a及び1140bはさらにウェハ支持ハウジング1142及び第3の下側エッジリング1140cによって支持されている。上側エッジリング1138は、例えば、一般に、基板1122と同じ処理環境に置かれ得るが、その一方、下側エッジリング1140a/b/cは、一般に、処理環境から遮蔽され得る。上側エッジリング1138は露出が多いため、下側エッジリング1140a/b/cと比較して、寿命が限られ、より頻繁な交換又は洗浄が必要となり得る。
【0185】
装置1100は、処理中及び処理終了後にプロセスチャンバ1102からプロセスガスを除去するシステムも含み得る。例えば、プロセスチャンバ1102は、ウェハ支持柱1144を包囲する環状プレナム1156を含み得る。環状プレナム1156は、さらに、例えば、装置1100の下の補助床の下に配置され得るような真空ポンプと接続され得る真空フォアライン1152と流体的に接続され得る。真空フォアライン1152とプロセスチャンバ1102との間にレギュレータバルブ1154を設け、真空フォアライン1152への流れを制御するように作動させ得る。いくつかの実装形態では、バッフル1150、例えば、環状プレナム1156への流れをウェハ支持柱1144の円周により均等に分布させる役割を果たし得る環状プレート又は他の構造が、基板1122を流れる反応物において流れの不均一性が生じる可能性を低減するために提供され得る。
【0186】
図示されるように、シャワーヘッド1110は、デュアルプレナムシャワーヘッド1110であり、第1の入口1116を介してプロセスガスが供給される第1のプレナム1112と、第2の入口1118を介してプロセスガスが供給される第2のプレナム1114とを含む。一般に、前駆体とカウンター反応物を放出する前に、前駆体とカウンター反応物の間の分離を維持するために、2つのプレナムを採用できる。シャワーヘッド1110は、いくつかの実装形態では、2つより多いプレナムを有し得る。いくつかの例では、単一のプレナムが前駆体を処理チャンバ1102の反応空間1120に供給するために使用される。各プレナムは、シャワーヘッド1110のフェースプレート(フェースプレートは、最下部のプレナムと反応空間1120との間に介在するシャワーヘッド1110の一部である)を介してそれぞれのプレナムと反応空間1120とを流体的に接続する、対応するガス分配ポートのセットを有し得る。
【0187】
シャワーヘッド1110の第1の入口1116及び第2の入口1118は、本明細書で説明されるように、1つ又は複数の前駆体及び/又はカウンター反応物を供給するように構成され得るガス供給システムを介して処理ガスを供給され得る。図示された装置1100は、複数の前駆体と複数のカウンター反応物を供給するように構成されている。例えば、第1のバルブマニホールド1168aは、第1の入口1116に1つ又は複数の前駆体を供給するように構成され、一方、第2のバルブマニホールド1168bは、第2の入口1118に他の1つ又は複数の前駆体又は他のカウンター反応物を供給するように構成され得る。
【0188】
第1のバルブマニホールド1168aは、1つ又は複数の前駆体を第1の入口1116に供給するように構成され、第2のバルブマニホールド1168bは、他の1つ又は複数の前駆体又は他の反応物を第2の入口1118に供給するように構成され得る。この例では、例えば第1のバルブマニホールド1168aは複数のバルブA1~A5を含む。バルブA2は、例えば、1つのポートが第1の気化器1172aと流体的に接続され、別のポートがバイパスライン1170aと流体的に接続され、第3のポートが別の三方バルブA3のポートと流体的に接続された三方バルブであり得る。同様に、バルブA4は、1つのポートが第2の気化器1172bと流体的に接続され、別のポートがバイパスライン1170aと流体的に接続され、第3のポートが別の三方バルブA5のポートと流体的に接続された別の三方バルブであり得る。バルブA5の他のポートの1つは、第1の入口1116と流体的に接続されてもよく、バルブA5の残りのポートは、バルブA3の残りのポートの1つと流体的に接続されてもよい。バルブA3の残りのポートは、さらに、バルブA3とパージガス源1174、例えば、窒素、アルゴン、又は他の適切な(1つ又は複数の前駆体及び/又はカウンター反応物に対して)不活性なガスとの間に流体的に介在され得るバルブA1と流体的に接続され得る。いくつかの実装形態では、第1のバルブマニホールドのみが採用される。
【0189】
本開示の目的の上で、用語「流体的に接続」は、電気的接続を形成するために共に接続される構成要素に対して「電気的に接続」を使用するのと同様に、流体的接続を形成するために互いに接続され得る容積、プレナム、孔などに対して使用される。「流体的に介在」という用語は、使用される場合、少なくとも2つの他の構成要素、容積、プレナム、又は孔と流体的に接続されている構成要素、容積、プレナム、又は孔を示すために使用され、そのような他の構成要素、容積、プレナム、又は孔のうちの1つから、それらの構成要素、容積、プレナム、又は孔のうちの他のものに流れる流体は、それらの構成要素、容積、プレナム、又は孔のうちの他のものに到達する前に、まず「流体的に介在」する構成要素を通って流れることになる。例えば、ポンプがリザーバと出口の間に流体的に介在している場合、リザーバから出口に流れた流体は、出口に到達する前に、まずポンプを通って流れる。
【0190】
第1のバルブマニホールド1168aは、例えば、気化器1172a及び1172bの一方又は両方からの蒸気を、プロセスチャンバ1102に流すか、又は第1のバイパスライン1170aを通って真空フォアライン1152に流すように制御可能であり得る。第1のバルブマニホールド1168aはまた、パージガス源1174から第1の入口1116にパージガスを流すように制御可能であり得る。
【0191】
例えば、第1の気化器1172aからの蒸気を反応空間1120に流すために、バルブA2は、第1の気化器1172aからの蒸気を最初に第1のバイパスライン1170aに流入させるように作動され得る。この流れは、蒸気の流れが定常の流れ状態に到達するのに十分な時間、維持されてよい。十分な時間が経過した後(又は、流量計が使用されている場合、流量計が流量が安定していることを示した後)、バルブA2、A3、及びA5を作動させて、第1の気化器1172aからの蒸気の流れを第1の入口に方向付け得る。第2の気化器1172bからの蒸気を第1の入口1116に送るために、バルブA4及びA5による同様の操作が行われてもよい。いくつかの例では、パージガス源1174からのパージガスを第1の入口1116に流入させるように、バルブA1、A3、及びA5を作動させることによって、第1のプレナム1112から蒸気の1つをパージすることが望ましい場合がある。いくつかの追加の実装形態では、気化器1172a又は1172bのうちの1つから、パージガスから第1の入口1116にガスを流すのと並行して、同時に蒸気を流すことが望ましい場合がある。そのような実装形態は、そのような蒸気に含まれる1つ又は複数の反応物の濃度を希釈するために使用され得る。
【0192】
第2のバルブマニホールド1168bは、気化器1172c及び1172dからの蒸気を第2の入口1118又は第2のバイパスライン1170bに供給するために、例えばバルブB1~B5を制御することによって、同様の方法で制御され得ることが理解できる。1つ又は複数の前駆体、カウンター反応物、又は他の反応物の第1の入口1116及び第2の入口1118への流れを制御するためのバルブを有する単一の一体型マニホールドを含む、異なるマニホールド構成が同様に利用され得ることがさらに理解できる。
【0193】
前述したように、いくつかの装置1100は、より少ない数の蒸気源、例えば、2つの気化器1172のみを備えてもよく、その場合、1つ又は複数のバルブマニホールド1168は、より少ない数のバルブ、例えば、バルブA1~A3のみを有するように変更され得る。
【0194】
上述したように、膜の乾式堆積を提供するために使用され得る装置1100などの装置は、プロセスチャンバ1102内の特定の温度プロファイルを維持するように構成され得る。特に、そのような装置1100は、基板1122を、1つ又は複数の前駆体及び/又はカウンター反応物と直接的に接触する装置1100のほとんどの機器よりも低い温度、例えば、少なくとも25℃~50℃低い温度に維持するように構成され得る。さらに、1つ又は複数の前駆体及び/又はカウンター反応物と直接的に接触する装置1100の機器の温度は、そのような機器の表面上の気化した反応物の凝縮が抑制されるように十分に高いレベルに維持され得る。同時に、基板1122の温度は、基板1122上の反応物の凝縮、又は少なくとも堆積を促進するレベルに制御し得る。
【0195】
このような温度制御を提供するために、装置1100は様々な加熱システムを含み得る。例えば、プロセスチャンバ1102は、カートリッジヒータ1158を受けるためのレセプタクルを有してもよく、例えば、正方形又は長方形の外部形状を有する一方概ね円筒形の内部容積を有するプロセスチャンバ1102の場合、カートリッジヒータ1158を受けるための垂直孔が、チャンバ1102ハウジングの四隅に設けられ得る。いくつかの実装形態では、シャワーヘッド1110は、ヒータブランケット1160で覆われてもよく、このヒータブランケット1160は、シャワーヘッドの温度を高く保つためにシャワーヘッド1110の露出した上面にわたって熱を加えるために使用され得る。気化された反応物を気化器1172からシャワーヘッド1110に伝導するために使用される様々なガスラインを加熱することも有益であり得る。例えば、抵抗性ヒータテープをそのようなガスラインに巻き付け、ガスラインを昇温温度に加熱するために使用してもよい。
図11では、バイパスライン1170を含め、1つ又は複数の前駆体及び/又はカウンター反応物を流す可能性のあるすべてのガスラインは、加熱されるように図示されている。唯一の例外は、バルブマニホールド1168から第1の入口1116及び第2の入口1118へのガスラインであり、これらはかなり短く、シャワーヘッド1110によって間接的に加熱され得る。もちろん、これらのガスラインも必要に応じて積極的に加熱し得る。いくつかの実装形態では、ゲートバルブ1106に近接してヒータを設け、ゲートバルブにも熱を供給してもよい。
【0196】
装置1100の様々な動作システムは、コントローラ1184によって制御されてもよく、このコントローラ1184は、互いに動作可能に接続された1つ又は複数のプロセッサ1186及び1つ又は複数のメモリデバイス1188を含み、これらが装置1100の様々なシステム及びサブシステムと通信可能に接続されることでそれらシステムの制御機能を提供し得る。例えば、コントローラ1184は、バルブA1~A5及びB1~B5、様々なヒータ1158、1160、気化器1172、レギュレータバルブ1154、ゲートバルブ1106、ウェハ支持体Zアクチュエータなどを制御するように構成され得る。
【0197】
コントローラ1184は、例えば、コンピュータ実行可能命令の遂行を介して、装置1100に、上記で提供された開示と一致する様々な動作を実行させるように構成され得る。
【0198】
金属含有レジスト膜が基板1122上に堆積されると、上述のように、基板1122は、追加の操作(例えば、本明細書に記載される任意の操作)のために、1つ又は複数の後続のプロセスチャンバ又はツールに移送され得る。さらなる堆積装置は、「APPARATUS FOR PHOTORESIST DRY DEPOSITION」と題された2020年6月22日出願の国際特許出願第PCT/US2020/038968号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0199】
結論:
例えば、EUVパターニングの文脈でパターニングマスクを形成するために、金属及び/又は金属酸化物フォトレジストを乾式現像するためのプロセス及び装置が開示されている。
【0200】
本明細書に記載された例及び実装形態は専ら例示の目的のものであり、それに照らして様々な修正又は変更が当業者に示唆されることが理解される。明確さのために様々な詳細を省略したが、様々な設計代替形態が実装され得る。したがって、本例は、限定ではなく例示とみなされ、本開示は、本明細書において与えられた詳細に限定されるものではなく、本開示の範囲内で修正され得る。
【国際調査報告】