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特表2024-530639ウレトジオン含有化合物を含む二重硬化樹脂組成物、及び3D印刷におけるその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】ウレトジオン含有化合物を含む二重硬化樹脂組成物、及び3D印刷におけるその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/79 20060101AFI20240816BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20240816BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20240816BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20240816BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20240816BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240816BHJP
【FI】
C08G18/79 080
C08F2/46
C08F290/00
B29C64/314
B29C64/124
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506648
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2022071024
(87)【国際公開番号】W WO2023012000
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/110084
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ティン,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】カイ,チー チョン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユエ
【テーマコード(参考)】
4F213
4J011
4J034
4J127
【Fターム(参考)】
4F213AA21
4F213AA24
4F213AA28
4F213AA32
4F213AA44
4F213AB04
4F213AR15
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL42
4F213WL67
4F213WL96
4F213WW05
4J011AA05
4J011AC04
4J011CA06
4J011CC10
4J011PA36
4J011PA43
4J011PA90
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA06
4J011QA08
4J011QB24
4J011SA84
4J011UA01
4J011VA04
4J011WA07
4J011WA10
4J034CA02
4J034CA04
4J034CA15
4J034CB01
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC61
4J034DA01
4J034DB04
4J034DF01
4J034DF02
4J034DG03
4J034DG04
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4J034DG06
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HC34
4J034HC63
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4J034RA03
4J034RA12
4J034RA14
4J127AA03
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC131
4J127BD481
4J127BE241
4J127BE24Y
4J127BF141
4J127BF14X
4J127BF611
4J127BF61X
4J127BG281
4J127BG28X
4J127CB161
4J127DA17
4J127DA25
4J127EA12
4J127FA06
4J127FA41
(57)【要約】
本発明は、(a)少なくとも1種の光重合性化合物;(b)平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレトジオン含有化合物;(c)少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び(d)少なくとも1種の光重合開始剤を含む二重硬化樹脂組成物;この組成物を用いて3D物体を形成する方法、3D物体を形成するための該組成物の使用方法、及びこの組成物を用いて形成された3D物体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレトジオン含有化合物;
(c)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)少なくとも1種の光重合開始剤
を含む、二重硬化樹脂組成物。
【請求項2】
成分(a)が、1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有する少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマーを含む、請求項1に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項3】
成分(a)の量が、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、10~95質量%、好ましくは15~80質量%、より好ましくは20~70質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項4】
モノマーが、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレート、ビニルアミド、ビニル置換複素環、二置換アルケン及びそれらの混合物を含む、請求項2又は3に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項5】
1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有するオリゴマーが、以下のクラス:ウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、エポキシ、ポリブタジエン、シリコーン、又はそれらの任意の組み合わせから選択され;好ましくは、1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有するオリゴマーが、以下のクラス:ウレタンベースオリゴマー、エポキシベースオリゴマー、ポリエステルベースオリゴマー、ポリエーテルベースオリゴマー、ウレタンアクリレートベースオリゴマー、ポリエーテルウレタンベースオリゴマー、ポリエステルウレタンベースオリゴマー、ポリブタジエンベースオリゴマー又はシリコーンベースオリゴマー、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項2から4のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項6】
成分(a)が、1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有する少なくとも1種のモノマー及びオリゴマーを含み、成分(a)におけるモノマーとオリゴマーとの質量比が、10:90~90:10、好ましくは30:70~70:30、より好ましくは40:60~60:40の範囲である、請求項2から5のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項7】
ウレトジオン含有化合物が、1.2~10、好ましくは2~8、より好ましくは3~6の平均ウレトジオン環官能価を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項8】
ウレトジオン含有化合物が、(シクロ)脂肪族ジイソシアネート、好ましくは1,2-エチレンジイソシアネート;1,4-テトラメチレンジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;1,9-ジイソシアナト-5-メチルノナン;1,8-ジイソシアナト-2,4-ジメチルオクタン;1,12-ドデカンジイソシアネート;ω,ω’-ジイソシアナトジプロピルエーテル;シクロブテン1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート;又は3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、より好ましくは3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネートをベースとする、請求項1から7のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項9】
成分(b)の総量が、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、1~50質量%、好ましくは2~40質量%、より好ましくは5~30質量%の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項10】
成分(c)が、モノアルコール、ジオール及び/又はポリオール、好ましくは2~20個の炭素原子を有するモノアルコール又はジオール、又はポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、250~5000g/mol、又は500~2000g/molの数平均分子量を有するポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)、250~5000g/mol、又は500~2000g/molの数平均分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG)、250~5000g/mol、又は500~2000g/molの数平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、より好ましくは、1,4-ブタンジオール、ポリプロピレングリコール1000(PPG1000)又はポリテトラヒドロフラン2000(ポリTHF2000)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項11】
成分(c)が、芳香族モノアミン、ジアミン及び/又はポリアミン、好ましくはアニリン、C~C-アルキル置換アニリン、ジ-C~C-アルキル置換アニリン、C~C-アルコキシ置換アニリン及びジ-C~C-アルコキシ置換アニリン、1,4-ジアミノベンゼン、2,4-及び/又は2,6-ジアミノトルエン、m-キシリレンジアミン、2,4’-及び/又は4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,5-ジメチルチオトルエン-2,4-及び/又は-2,6-ジアミン、1,3,5-トリエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリイソプロピル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-及び/又は-2,6-ジアミノベンゼン、4,6-ジメチル-2-エチル-1,3-ジアミノベンゼン、遅効性4,4’-メチレンジアニリン、ジエチルトルエンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-4,4’-メチレンジアニリン、又は300~1000g/molの分子量を有するポリテトラメチレングリコールビス(4-アミノベンゾエート)、及びそれらの混合物、好ましくは遅効性4,4’-メチレンジアニリン、ジエチルトルエンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-4,4’-メチレンジアニリン、又は300~1000g/mol、好ましくは400~800g/mol、より好ましくは500~700g/molの分子量を有するポリテトラメチレングリコールビス(4-アミノベンゾエート)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項12】
成分(c)の総量が、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、1~50質量%、好ましくは2~40質量%、より好ましくは5~30質量%の範囲である、請求項1から11のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項13】
二重硬化樹脂組成物が、室温で1、2、3又は4週間保存した後、10%以下、好ましくは9%以下、8%以下、7%以下、6%以下の25℃での粘度の変化;より好ましくは、室温で1、2、3又は4週間保存した後、5%以下、4%以下、3%以下、又は2%以下の25℃での粘度の変化を示す、請求項1から12のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【請求項14】
以下の工程:
(i)放射線を適用して、請求項1から13のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物を層ごとに硬化させて、中間3D物体を形成する工程;
(ii)工程(i)で得られた中間物体から過剰な液体樹脂を除去し、任意にその後、工程(i)で得られた中間3D物体を全体として放射線後硬化させる工程;及び
(iii)工程(ii)で得られた物体を全体として熱処理して、最終的な3D物体を形成する工程
を含む、3D物体を形成する方法。
【請求項15】
3D物体を形成するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物の使用方法。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物から形成されるか、又は請求項14に記載の方法によって得られる、3D物体。
【請求項17】
配管設備、家庭用品、玩具、治具、鋳型、車両内の内装部品及びコネクタを含む、請求項16に記載の3D物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元(以下、「3D」という)印刷用の化学材料の技術分野に関し、特に、1液(1K)二重硬化樹脂組成物、すなわち、ウレトジオン含有化合物を含む二重硬化樹脂組成物、この組成物を用いて3D物体を形成する方法、3D物体を形成するための該組成物の使用方法、及びこの組成物を用いて形成された3D物体に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造(3D印刷)とは、3次元物体を層ごとに構築することであり、フライス加工又は切削加工などのサブトラクティブ製造法とは対照的に、未使用の造形材料による無駄がなく、非常に複雑な形状を作成することができる。3D印刷技術、例えばステレオリソグラフィー(SLA)又はデジタルライトプロセッシング(DLP)では、光硬化性ポリマー樹脂及びそれぞれの光源を使用して、層ごとに樹脂を選択的に硬化させる。
【0003】
ウレタン(メタ)アクリレートは、ステレオリソグラフィー(SLA)又はデジタルライトプロセッシング(DLP)などの3D印刷技術用の光硬化性樹脂の主成分である。ウレタン化学からのジイソシアネートとポリオールの合理的な組み合わせにより、柔軟性、強靭性から剛性までの機械的特性に一定の調整性を与える。しかしながら、ウレタン(メタ)アクリレートは、オリゴマー鎖中の繰り返しウレタン単位が従来のPU鎖などを形成しることがほとんどなく、多官能アクリレートを介した架橋が効いて機械的特性をトレードオフするため、特性の境界は依然として限られている。
【0004】
光硬化性樹脂の機械的可変性を改善し、物性境界を拡大するために、米国特許第9,453,142号は、二重硬化機構に基づくウレタン(メタ)アクリレート組成物を開示している。この材料は、ブロック化又は反応性ブロック化プレポリマー又はジイソシアネートを含有する、連続液体界面製造に設計された。しかしながら、この組成物は、印刷混合物内での貯蔵安定性が不十分であるため、2液型として使用する必要がある。
【0005】
現在、一般的に1Kシステムとしてウレタン(メタ)アクリレートをベースとする光硬化性樹脂は、機械的特性が満足されていないため、高性能な場面での用途が制限されている。
【0006】
したがって、高い柔軟性で加工が容易である良好な貯蔵安定性を有し、同時に3D物体の開発を可能にする良好な印刷適性及び改善された機械的特性、特に改善された衝撃強度を有する二重硬化1K樹脂組成物を提供することが強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9,453,142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、良好な貯蔵安定性を有し、同時に3D物体の開発を可能にする良好な印刷適性及び改善された機械的特性、特に改善された衝撃強度を有する二重硬化樹脂組成物を提供することであり、ここで、この二重硬化樹脂組成物が、(a)少なくとも1種の光重合性化合物;(b)平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレトジオン含有化合物;(c)少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び(d)少なくとも1種の光重合開始剤を含む。
【0009】
本発明の別の目的は、この組成物を使用して3D物体を形成する方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、3D物体を形成するための組成物の使用方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、この組成物を使用して形成された3D物体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、上記の目的は以下の実施形態によって達成できることが判明した。
【0013】
1.(a)少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレトジオン含有化合物;
(c)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)少なくとも1種の光重合開始剤
を含む、二重硬化樹脂組成物。
【0014】
2.成分(a)が、1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有する少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマーを含む、実施形態1に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0015】
3.成分(a)の量が、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、10~95質量%、好ましくは15~80質量%、より好ましくは20~70質量%の範囲である、実施形態1又は2に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0016】
4.モノマーが、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレート、ビニルアミド、ビニル置換複素環、二置換アルケン及びそれらの混合物を含む、実施形態2又は3に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0017】
5.1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有するオリゴマーが、以下のクラス:ウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、エポキシ、ポリブタジエン、シリコーン、又はそれらの任意の組み合わせから選択され;好ましくは、1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有するオリゴマーが、以下のクラス:ウレタンベースオリゴマー、エポキシベースオリゴマー、ポリエステルベースオリゴマー、ポリエーテルベースオリゴマー、ウレタンアクリレートベースオリゴマー、ポリエーテルウレタンベースオリゴマー、ポリエステルウレタンベースオリゴマー、ポリブタジエンベースオリゴマー又はシリコーンベースオリゴマー、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、実施形態2から4のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0018】
6.成分(a)が、1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有する少なくとも1種のモノマー及びオリゴマーを含み、成分(a)におけるモノマーとオリゴマーとの質量比が、10:90~90:10、好ましくは30:70~70:30、より好ましくは40:60~60:40の範囲である、実施形態2から5のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0019】
7.ウレトジオン含有化合物が、1.2~10、好ましくは2~8、より好ましくは3~6の平均ウレトジオン環官能価を有する、実施形態1から6のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0020】
8.ウレトジオン含有化合物が、(シクロ)脂肪族ジイソシアネート、好ましくは1,2-エチレンジイソシアネート;1,4-テトラメチレンジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;1,9-ジイソシアナト-5-メチルノナン;1,8-ジイソシアナト-2,4-ジメチルオクタン;1,12-ドデカンジイソシアネート;ω,ω’-ジイソシアナトジプロピルエーテル;シクロブテン1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート;又は3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、より好ましくは3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネートをベースとする、実施形態1から7のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0021】
9.成分(b)の総量が、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、1~50質量%、好ましくは2~40質量%、より好ましくは5~30質量%の範囲である、実施形態1から8のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0022】
10.成分(c)が、モノアルコール、ジオール及び/又はポリオール、好ましくは2~20個の炭素原子を有するモノアルコール又はジオール、又はポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、250~5000g/mol、又は500~2000g/molの数平均分子量を有するポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)、250~5000g/mol、又は500~2000g/molの数平均分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG)、250~5000g/mol、又は500~2000g/molの数平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、より好ましくは、1,4-ブタンジオール、ポリプロピレングリコール1000(PPG1000)又はポリテトラヒドロフラン2000(ポリTHF2000)を含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0023】
11.成分(c)が、芳香族モノアミン、ジアミン及び/又はポリアミン、好ましくはアニリン、C1~C8-アルキル置換アニリン、ジ-C1~C8-アルキル置換アニリン、C1~C8-アルコキシ置換アニリン及びジ-C1~C8-アルコキシ置換アニリン、1,4-ジアミノベンゼン、2,4-及び/又は2,6-ジアミノトルエン、m-キシリレンジアミン、2,4’-及び/又は4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,5-ジメチルチオトルエン-2,4-及び/又は-2,6-ジアミン、1,3,5-トリエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリイソプロピル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-及び/又は-2,6-ジアミノベンゼン、4,6-ジメチル-2-エチル-1,3-ジアミノベンゼン、遅効性(delayed action)4,4’-メチレンジアニリン、ジエチルトルエンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-4,4’-メチレンジアニリン、又は300~1000g/molの分子量を有するポリテトラメチレングリコールビス(4-アミノベンゾエート)、及びそれらの混合物、好ましくは遅効性4,4’-メチレンジアニリン、ジエチルトルエンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-4,4’-メチレンジアニリン、又は300~1000g/mol、好ましくは400~800g/mol、より好ましくは500~700g/molの分子量を有するポリテトラメチレングリコールビス(4-アミノベンゾエート)を含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0024】
12.成分(c)の総量が、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、1~50質量%、好ましくは2~40質量%、より好ましくは5~30質量%の範囲である、実施形態1から11のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0025】
13.二重硬化樹脂組成物が、室温で1、2、3又は4週間保存した後、10%以下、好ましくは9%以下、8%以下、7%以下、6%以下の25℃での粘度の変化;より好ましくは、室温で1、2、3又は4週間保存した後、5%以下、4%以下、3%以下、又は2%以下の25℃での粘度の変化を示す、実施形態1から12のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物。
【0026】
14.以下の工程:
(i)放射線を適用して、実施形態1から13のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物を層ごとに硬化させて、中間3D物体を形成する工程;
(ii)工程(i)で得られた中間物体から過剰な液体樹脂を除去し、任意にその後、工程(i)で得られた中間3D物体を全体として放射線後硬化させる工程;及び
(iii)工程(ii)で得られた物体を全体として熱処理して、最終的な3D物体を形成する工程
を含む、3D物体を形成する方法。
【0027】
15.3D物体を形成するための、実施形態1から13のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物の使用方法。
【0028】
16.実施形態1から13のいずれか一項に記載の二重硬化樹脂組成物から形成されるか、又は実施形態14に記載の方法によって得られる、3D物体。
【0029】
17.配管設備、家庭用品、玩具、治具、鋳型、車両内の内装部品及びコネクタを含む、実施形態16に記載の3D物体。
【0030】
本発明による二重硬化樹脂組成物は、ウレトジオン含有化合物を含む1K二重硬化樹脂組成物であり、優れた貯蔵安定性及び優れた印刷精度を示し、同時に3D物体の開発を可能にする良好な印刷適性及び改善された機械的特性、特に改善された衝撃強度を示す。さらに、本発明による二重硬化樹脂組成物は、実質的にイソシアネートを含まない。これは、イソシアネート含有組成物が水に対してより敏感であるため、組成物中のイソシアネート含有量を最小限に抑えると、硬化中の信頼性を向上させるだけでなく、組成物の貯蔵及び取り扱いを簡素化することができるので、有利である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
未定義の冠詞「a」、「an」、「the」は、当該冠詞に続く用語で指定される1つ以上の種を意味する。
【0032】
本開示の文脈では、特徴について言及された任意の具体的な値(端点としての範囲に言及された具体的な値を含む)を再結合して、新たな範囲を形成することができる。
【0033】
本開示の文脈では、3D印刷とは、組成物を使用して3D印刷物体を形成するプロセスを指す。
【0034】
二重硬化樹脂組成物
本発明の一態様は、
(a)少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレトジオン含有化合物;
(c)少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)少なくとも1種の光重合開始剤
を含む、二重硬化樹脂組成物に関する。
【0035】
本発明の二重硬化樹脂組成物は、1K二重硬化樹脂組成物である。本発明の二重硬化樹脂組成物は、優れた貯蔵安定性を示す。
【0036】
本発明によれば、二重硬化樹脂組成物は、室温で1、2、3又は4週間保存した後、10%以下、好ましくは9%以下、8%以下、7%以下、6%以下の25℃での粘度の変化;より好ましくは、室温で1、2、3又は4週間保存した後、5%以下、4%以下、3%以下、又は2%以下の25℃での粘度の変化を示す。
【0037】
室温とは、一般的に25±2℃の温度を指す。
【0038】
粘度(例えば、二重硬化樹脂組成物の粘度)は、Brookfield AMETEK DV3Tレオメーターを使用して測定することができる。各試験では、約0.65mlの試料を使用し、粘度に応じて1秒-1~30秒-1の間のせん断速度を選択した。
【0039】
本発明の二重硬化樹脂組成物の粘度は、特定の印刷プロセスに依存する。通常、本発明の二重硬化樹脂組成物は、25℃での粘度が8000mPa・s以下、好ましくは6000mPa・s以下、より好ましくは4000mPa・s以下、特に3000mPa・s以下である。
【0040】
光重合性化合物(a)
本発明の二重硬化樹脂組成物は、成分(a)として少なくとも1種の光重合性化合物を含む。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、光重合性化合物の官能価は、1~30の範囲、例えば1.2、1.5、1.8、2、2.2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、好ましくは1~8、又は1.5~6、又は1.5~4であり得る。
【0042】
本発明によれば、成分(a)は、1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有する少なくとも1種のモノマー及び/又はオリゴマーを含むことができる。当業者は、本開示の文脈におけるエチレン性不飽和官能基が放射線硬化性基であることを理解することができる。
【0043】
成分(a)の量は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、10~95質量%の範囲、例えば15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、85質量%又は90質量%、好ましくは15~80質量%、より好ましくは20~70質量%であり得る。
【0044】
モノマーは、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレート、ビニルアミド、ビニル置換複素環、二置換アルケン、及びそれらの混合物を含むことができる。
【0045】
好適な(メタ)アクリルアミドの例には、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、N-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N-(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物を含むことができる。
【0046】
好適な(メタ)アクリレートの例には、単官能(メタ)アクリレート、例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシル化フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート;二官能性(メタ)アクリレート、例えば1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート;三官能性(メタ)アクリレート、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;四官能性(メタ)アクリレート、例えばビストリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)クリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アリールウレタンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタンテトラ(メタ)アクリレート、メラミンテトラ(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物を含むことができる。
【0047】
好適なビニルアミドの例には、N-(ヒドロキシメチル)ビニルアミド、N-ヒドロキシエチルビニルアミド、N-イソプロピルビニルアミド、N-イソプロピルメタビニルアミド、N-tert-ブチルビニルアミド、N,N’-メチレンビスビニルアミド、N-(イソブトキシメチル)ビニルアミド、N-(ブトキシメチル)ビニルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタビニルアミド、N,N-ジメチルビニルアミド、N,N-ジエチルビニルアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、及びこれらの混合物を含むことができる。
【0048】
好適なビニル置換複素環の例には、モノビニル置換複素環(ここで、複素環は、2~7個の炭素原子、及びN、O及びSから選択される1~4個(好ましくは1又は2個)のヘテロ原子を含有する5~8員環である)、例えばビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルモルホリン-2-オン、N-ビニルカプロラクタム及び1-ビニルイミダゾール、ビニルアルキルオキサゾリジノン、例えばビニルメチルオキサゾリジノンを含むことができる。特に好ましいのは、N-ビニルオキサゾリジノン(VOX)及びN-ビニル-5-メチルオキサゾリジノン(VMOX)であり、最も好ましいのはVMOXである。
【0049】
二置換アルケンとは、二重結合した炭素原子に直接結合した置換基のうち2つが水素以外の置換基、好ましくはヒドロカルビル基、より好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル、直鎖又は分岐鎖のアルケニル、直鎖又は分岐鎖のアルキニル、シクロアルキル、アルキル置換シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリールであるアルケンを指し、ここで、ヒドロカルビル基が、ヒドロカルビル基の主鎖中に1個以上のヘテロ原子を含有してもよい。両方の置換基は、炭素-炭素二重結合の同じ炭素に結合することができる。あるいは、1つの置換基を二重結合した炭素のそれぞれに結合させることもできる。好適な二置換アルケンの例には、1,1-二置換アルケン、好ましくはα-メチルスチレン、2-メチル-1-ブテン、2-メチルヘプト-1-エン、及び1,2-二置換アルケン、好ましくはシクロヘキセン又は2-メチルヘプト-2-エンを含むことができる。
【0050】
本発明の一実施形態において、オリゴマーは、任意に結合基を介してエチレン性不飽和官能基に結合されたコア構造を含有する。結合基は、エーテル、エステル、アミド、ウレタン、カーボネート、又はカーボネート基を含むことができる。いくつかの実施態様において、結合基はエチレン性不飽和官能基、例えばアクリロキシ基又はアクリルアミド基の一部である。コア基は、アルキル(直鎖及び分岐鎖アルキル基)、アリール(例えばフェニル)、ポリエーテル、ポリエステル、シロキサン、ウレタン、又は他のコア構造及びそれらのオリゴマーであり得る。好適なエチレン性不飽和官能基は、炭素-炭素二重結合、例えばメタクリレート、アクリレート、ビニルエーテル、アリルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態において、好適なオリゴマーは、単官能及び/又は多官能アクリレート、例えばモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、又はより多官能のもの、又はそれらの組み合わせを含む。任意に、単層又は多層を有する物体を作成するための二重硬化樹脂組成物の硬化性、柔軟性、及び/又は追加の特性をさらに改善するために、オリゴマーはシロキサン主鎖を含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、オリゴマーは、以下のクラスから選択することができる:ウレタン(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するウレタンベースオリゴマー)、ポリエーテル(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するポリエーテルベースオリゴマー)、ポリエステル(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するポリエステルベースオリゴマー)、ポリカーボネート(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するポリカーボネートベースオリゴマー)、ポリエステルカーボネート(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するポリエステルカーボネートベースオリゴマー)、エポキシ(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するエポキシベースオリゴマー)、シリコーン(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するシリコーンベースオリゴマー)、ポリブタジエン(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するポリブタジエンベースオリゴマー)、又はそれらの任意の組み合わせ。好ましくは、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有する反応性オリゴマーは、以下のクラスから選択することができる:ウレタンベースオリゴマー、エポキシベースオリゴマー、ポリエステルベースオリゴマー、ポリエーテルベースオリゴマー、ウレタンアクリレートベースオリゴマー、ポリエーテルウレタンベースオリゴマー、ポリエステルウレタンベースオリゴマー、シリコーンベースオリゴマー又はポリブタジエンベースオリゴマー、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0052】
一実施形態において、オリゴマーは、ウレタン繰り返し単位と、1つ以上のエチレン性不飽和官能基、例えば炭素-炭素不飽和二重結合、例えば(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アリル及びビニル基とを含むウレタンベースオリゴマーを含む。好ましくは、オリゴマーは、オリゴマー分子の主鎖内に少なくとも1つのウレタン結合(例えば、1つ以上のウレタン結合)、及びオリゴマー分子にペンダントしている少なくとも1つのアクリレート及び/又はメタクリレート官能基(例えば、1つ以上のアクリレート及び/又はメタクリレート官能基)を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族、脂環式、又は脂肪族と脂環式混合のウレタン繰り返し単位が好適である。ウレタンは、典型的には、ジイソシアネートとジオールとの縮合によって調製される。繰り返し単位当たり少なくとも2つのウレタン部分を有する脂肪族ウレタンが有用である。さらに、ウレタンを調製するために使用されるジイソシアネート及びジオールは、同一であっても異なっていてもよい二価の脂肪族基を含む。
【0053】
一実施形態において、オリゴマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するポリエステルウレタンベースオリゴマー又はポリエーテルウレタンベースオリゴマーを含む。エチレン性不飽和官能基は、炭素-炭素不飽和二重結合、例えばアクリレート、メタクリレート、ビニル、アリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどであることができ、好ましくはアクリレート及びメタクリレートである。これらのポリエステル又はポリエーテルウレタンベースオリゴマーの官能価は1以上、具体的には1個のオリゴマー分子当たり約2個のエチレン性不飽和官能基を有する。
【0054】
好適なウレタンベースオリゴマーは当該技術分野で知られており、多くの異なる手順によって容易に合成することができる。例えば、多官能アルコールをポリイソシアネート(好ましくは、化学量論的過剰のポリイソシアネート)と反応させて、NCO末端プレオリゴマーを形成し、これをその後、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー、例えばヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートと反応させることができる。多官能アルコールは、1個の分子当たり2個以上のOH基を含有するあらゆる化合物であり得、モノマーポリオール(例えば、グリコール)、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどであってもよい。本発明の一実施形態におけるウレタンベースオリゴマーは、(メタ)アクリレート官能基を含有する脂肪族ウレタンベースオリゴマーである。
【0055】
好適なポリエーテル又はポリエステルウレタンベースオリゴマーは、脂肪族又は芳香族ポリエーテル又はポリエステルポリオールと、(メタ)アクリレート基などのエチレン性不飽和官能基を含有するモノマーで官能基化された脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートとの反応生成物を含む。一実施形態において、ポリエーテル及びポリエステルは、それぞれ脂肪族ポリエーテル及びポリエステルである。一実施形態において、ポリエーテル及びポリエステルウレタンベースオリゴマーは、脂肪族ポリエーテル及びポリエステルウレタンベースオリゴマーであり、(メタ)アクリレート基を含む。
【0056】
少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するエポキシベースオリゴマーとしては、エポキシベース(メタ)アクリレートオリゴマーを挙げることができる。エポキシベース(メタ)アクリレートオリゴマーは、エポキシドと(メタ)アクリル酸を反応させることにより得ることができる。
【0057】
好適なエポキシドの例には、エポキシ化オレフィン、エポキシ化不飽和化合物、芳香族グリシジルエーテル又は脂肪族グリシジルエーテル、特に芳香族又は脂肪族グリシジルエーテルのものが含まれる。
【0058】
可能なエポキシ化オレフィンの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、ビニロキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンが挙げられ、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニロキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はエピクロロヒドリンが特に好ましく、エチレンオキシド及びエピクロロヒドリンが非常に特に好ましい。
【0059】
エポキシ化不飽和化合物の例には、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化パーム油、エポキシ化植物油又はエポキシ化スクロース大豆酸塩が含まれる。
【0060】
芳香族グリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、フェノール/ジシクロペンタジエンのアルキル化生成物、例えば、2,5-ビス[(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]オクタヒドロ-4,7-メタノ-5H-インデン(CAS番号[13446-85-0])、トリス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]メタン異性体(CAS番号[66072-39-7])、フェノールベースノボラックエポキシ(CAS番号[9003-35-4])、クレゾールベースノボラックエポキシ(CAS番号[37382-79-9])が挙げられる。
【0061】
脂肪族グリシジルエーテルの例には、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,1,2,2-テトラキス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エタン(CAS番号[27043-37-4])、ポリプロピレングリコール(α,ω-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ポリ(オキシプロピレン)のジグリシジルエーテル、CAS番号[16096-30-3])、及び水素化ビスフェノールA(2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、CAS番号[13410-58-7])が含まれる。
【0062】
一実施形態では、エポキシベース(メタ)アクリレートオリゴマーは芳香族グリシジル(メタ)アクリレートである。
【0063】
少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するポリカーボネートベースオリゴマーは、ポリカーボネートベース(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことができ、このオリゴマーは、例えばEP-A 92 269に記載されているように、炭酸エステルを多価アルコール、好ましくは二価アルコール(例えばジオール、ヘキサンジオール)でエステル交換し、その後遊離OH基を(メタ)アクリル酸でエステル化することによって、又は(メタ)アクリル酸エステルでエステル交換することによって、簡単な方法で得ることができる。また、ホスゲン、尿素誘導体を多価アルコール、例えば二価アルコールと反応させることによっても得ることができる。
【0064】
また、ポリカーボネートポリオールの(メタ)アクリレート、例えば前述のジオール又はポリオールの1つと炭酸エステルの反応生成物、及びまたヒドロキシル含有(メタ)アクリレートも考えられる。
【0065】
好適な炭酸エステルの例には、エチレンカーボネート、1,2-又は1,3-プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート又はジブチルカーボネートが含まれる。
【0066】
好適なヒドロキシル含有(メタ)アクリレートの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-又は3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリルモノ及びジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ及びジ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールモノ、ジ及びトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0067】
少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するシリコーンベースオリゴマーは、官能化(メタ)アクリレートモノマーとシリコーン樹脂との付加又は縮合により得ることができるシリコーンベース(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことができる。シリコーンベースの(メタ)アクリレートオリゴマーの例には、DMS-R18、DMS-R22、DMS-R31、RMS-033、RMS-044、RMS-083(Gelest);CN990、CN9800(Sartomer);Miramer SIU2400、Miramer SIP910(Miwon)が含まれる。
【0068】
少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するポリブタジエンベースオリゴマーは、官能化(メタ)アクリレートモノマーとヒドロキシル末端ポリブタジエンとの付加によって得ることができるポリブタジエンベース(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことができる。ポリブタジエンベースの(メタ)アクリレートオリゴマーの例には、BR-640D、BR-641D、BR-643(Dymax);Hypro 2000X168LC VTB、Hypro 1300X33LC VTBNX、Hypro 1300X43LC VTBNX(CVC)、CN301、CN303(Sartomer)、TEAI-1000、TE-2000(NIPPON SODA CO)が含まれる。ポリブタジエンは、水素添加、エポキシ化、アクリロニトリルと共重合することができる。
【0069】
オリゴマーは、好ましくは200~20000g/mol、より好ましくは200~10000g/mol、最も好ましくは250~3000g/molの数平均モル質量Mnを有する。
【0070】
一実施形態において、オリゴマーは、-130~350℃の範囲、例えば-120℃、-110℃、-100℃、-90℃、-80℃、-70℃、-60℃、-50℃、-40℃、-30℃、-20℃、-10℃、0℃、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、50℃、80℃、100℃、120℃、150℃、180℃、190℃、200℃、220℃、230℃、250℃、280℃、300℃、310℃、320℃、330℃、又は340℃、好ましくは-70~300℃、より好ましくは0~280℃の範囲のガラス転移温度を有する。
【0071】
別の実施形態において、60℃におけるオリゴマーの粘度は、10~100000mPa・sの範囲、例えば20mPa・s、50mPa・s、100mPa・s、200mPa・s、500mPa・s、800mPa・s、1000mPa・s、2000mPa・s、3000mPa・s、4000mPa・s、5000mPa・s、6000mPa・s、7000mPa・s、8000mPa・s、10000mPa・s、20000mPa・s、30000mPa・s、40000mPa・s、50000mPa・s、60000mPa・s、70000mPa・s、80000mPa・s、90000mPa・s、95000mPa・s、好ましくは20~80000mPa・s、例えば100~15000mPa・s、又は1000~80000mPa・sの範囲であることができる
さらなる実施形態において、成分(a)は、1つ以上のエチレン性不飽和官能基を含有する少なくとも1つのモノマー及びオリゴマーを含み、成分(a)におけるモノマーとオリゴマーの質量比は、10:90~90:10、例えば15:85、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、85:15、好ましくは30:70~70:30、より好ましくは40:60~60:40の範囲であることができる。
【0072】
ウレトジオン含有化合物(b)
本発明の二重硬化樹脂組成物は、成分(b)として少なくとも1種のウレトジオン含有化合物を含む。本発明によれば、前記ウレトジオン含有化合物は、1を超える平均ウレトジオン環官能価を有する。
【0073】
ウレトジオンは、2つのイソシアネート基の2+2環化付加反応によって形成することができる。
【0074】
イソシアネートを二量化してウレトジオンを形成することには、通常、触媒を使用する。二量化触媒の例としては、トリアルキルホスフィン、アミノホスフィン、及びアミノピリジン、例えばジメチルアミノピリジン、及びトリス(ジメチルアミノ)ホスフィン、及び当業者に公知の任意の他の二量化触媒が挙げられる。二量化反応の結果は、当業者に公知の方法で、使用される触媒、プロセス条件及び使用されるポリイソシアネートに依存する。
【0075】
ポリイソシアネート化合物を含むことにより、1を超える平均ウレトジオン環官能価を有するウレトジオン含有化合物を調製することができる。本明細書で使用される「ポリイソシアネート」という用語は、1個の分子中に2個以上の反応性イソシアネート(-NCO)基を有する任意の有機化合物、例えばジイソシアネート、トリイソシアネート、テトライソシアネート、及びそれらの混合物を意味する。ウレトジオン含有化合物を調製するために使用することができる例示的なポリイソシアネートには、以下が含まれる:1)(シクロ)脂肪族ジイソシアネート、例えば1,2-エチレンジイソシアネート;1,4-テトラメチレンジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;1,9-ジイソシアナト-5-メチルノナン;1,8-ジイソシアナト-2,4-ジメチルオクタン;1,12-ドデカンジイソシアネート;ω,ω’-ジイソシアナトジプロピルエーテル;シクロブテン1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート;3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-ジイソシアナトメチル-2,3,5,6-テトラメチルシクロヘキサン;デカヒドロ-8-メチル-(1,4-メタノール-ナフタレン)-2,5-イレンジメチレンジイソシアネート;デカヒドロ-8-メチル-(1,4-メタノール-ナフタレン)-3,5-イレンジメチレンジイソシアネート;ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1,5-イレンジメチレンジイソシアネート;ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-2,5-イレンジメチレンジイソシアネート;ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1,6-イレンジメチレンジイソシアネート;ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-2,5-イレンジメチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1,5-イレンジイソシアネート;ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-2,5-イレンジイソシアネート;ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1,6-イレンジイソシアネート;ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-2,6-イレンジイソシアネート;2,4-ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート;2,6-ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート;4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート;2,2’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート;4,4’-ジイソシアナト-3,3’,5,5’-テトラメチルジシクロヘキシルメタン;4,4’-ジイソシアナト-2,2’,3,3,5,5’,6,6’-オクタメチルジシクロヘキシルメタン;ω,ω’-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン;1,4-ジイソシアナトメチル-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン;2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン;2-エチル-1,4-ジイソシアナトブタン;1,10-ジイソシアナトデカン;1,5-ジイソシアナトヘキサン;1,3-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン;1,4-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン;2)芳香族ジイソシアネート、例えば2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート;4,4’-ビフェニレンジイソシアネート;3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート;3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート;3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート;3-メチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;1,1-ビス(4-イソシアナトフェニル)-シクロヘキサン;m-又はp-フェニレンジイソシアネート;クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート;1,5-ジイソシアナトナフタレン;4,4’-ビフェニルジイソシアネート;3,5’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート;ジフェニルエーテル-4,4’-ジイソシアネート;及び3)それらの組み合わせ。使用することができるトリイソシアネートには、例えば、上記のジイソシアネートの三量化イソシアヌレートバージョン(例えば、1,6-へキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体、及びCovestro LLC,Pittsburgh,PaからのDESMODUR N 3300などの関連化合物)が含まれる。
【0076】
単官能イソシアネートも使用できる(例えば、ウレトジオン含有化合物の平均ウレトジオン環官能価を変更させるため)。例には、ビニルイソシアネート;メチルイソシアナトホルマート;エチルイソシアネート;イソシアナト(メトキシ)メタン;アリルイソシアネート;エチルイソシアナトホルマート;イソプロピルイソシアネート;プロピルイソシアネート;トリメチルシリルイソシアネート;エチルイソシアナトアセテート;ブチルイソシアネート;シクロペンチルイソシアネート;2-イソシアナト-2-メチル-プロピオン酸メチルエステル;エチル3-イソシアナトプロピオネート;1-イソシアナト-2,2-ジメチルプロパン;1-イソシアナト-3-メチルブタン;3-イソシアナトペンタン;ペンチルイソシアネート;1-エトキシ-3-イソシアナトプロパン;フェニルイソシアネート;ヘキシルイソシアネート;1-アダマンチルイソシアネート;エチル4-(イソシアナトメチル)シクロヘキサンカルボキシレート;デシルイソシアネート;2-エチル-6-イソプロピルフェニルイソシアネート;4-ブチル-2-メチルフェニルイソシアネート;4-ペンチルフェニルイソシアネート;ウンデシルイソシアネート;4-ビフェニリルイソシアネート;4-フェノキシフェニルイソシアネート;2-ベンジルフェニルイソシアネート;4-ベンジルフェニルイソシアネート;ジフェニルメチルイソシアネート;4-(ベンジルオキシ)フェニルイソシアネート;ヘキサデシルイソシアネート;オクタデシルイソシアネート;及びこれらの組み合わせが含まれる。好ましい化合物には、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートに由来するウレトジオン含有化合物が含まれる。
【0077】
単一のウレトジオン環を有するウレトジオン含有化合物の、少なくとも2個のウレトジオン環を有するウレトジオン含有化合物(すなわち、ポリウレトジオン)への変換は、例えばEP 0 669 353、EP 0 669 354、DE 30 30 572、EP 0 639 598、EP 0 803 524、及び米国特許第7,709,589号に記載されているように、遊離NCO基と、モノマー、ポリマー、又はそれらの混合物を含むヒドロキシル含有化合物との反応によって達成される。このような化合物の例には、ポリエステル、ポリチオエーテル、ポリエーテル、ポリカプロラクタム、ポリエポキシド、ポリエステルアミド、ポリウレタン、又は鎖延長剤としての低分子量のジ-、トリ-及び/又はテトラオール、及び所望により鎖終結剤としてのモノオールが含まれるが、これらに限定されない。有用なウレトジオン含有化合物は、任意に、ウレトジオン基に加えて、イソシアヌレート基、ビウレット基、及び/又はイミノオキサジアジンジオン基を含有してもよい。
【0078】
少なくとも2個、例えば2~10個のウレトジオン基を有し、典型的には5~45%のウレトジオン、10~55%のウレタン及び2%未満のイソシアネート基を含有するウレトジオン含有化合物は、米国特許第9,080,074号(Schafferら)に開示されている。
【0079】
1つの好ましいウレトジオン含有化合物は、ウレトジオン官能基を含む材料のヘキサメチレンジイソシアネートベースのブレンドであり、Covestro,Pittsburgh,PaからDesmodur N3400として市販されている。
【0080】
1つのより好ましいウレトジオン含有化合物は、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)をベースとするウレトジオン含有化合物であり、これはEvonikからVestagon BF-1320、Vestagon BF-1321、Vestagon BF-1350、Vestagon BF-1540として市販されている。
【0081】
さらなるウレトジオン含有化合物は、CovestroからCrelan EF 403、Crelan LAS LP 6645、Crelan VP LS 2386、及びIsochem Incorporated,New Albany,OhioからMetalink U/Isoqure TTとして市販されている。
【0082】
好ましくは、ウレトジオン含有化合物は、1を超える平均ウレトジオン環官能価を有する。従って、ウレトジオン含有化合物の少なくとも一部の成分は、1を超えるウレトジオン官能基を含有する。いくつかの実施形態において、ウレトジオン含有化合物は、1.2~10、好ましくは2~8、より好ましくは3~6、例えば1.2、1.5、1.8、2.0、2.2、2.5、2.8、3.0、3.2、3.5、3.8、4.0、4.2、4.5、4.8、5.0、5.2、5.5、5.8、6.0、6.2、6.5、6.8、7.0、7.2、7.5、7.8、8.0、8.2、8.5、8.8、9.0、9.2、9.5、9.8の平均ウレトジオン環官能価を有する。
【0083】
成分(b)の総量は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、1~50質量%、例えば5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%又は45質量%、好ましくは2~40質量%、より好ましくは5~30質量%の範囲であることができる。
【0084】
少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する化合物(c)
本発明の二重硬化樹脂組成物は、成分(c)として、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物を含む。
【0085】
イソシアネート反応性基は、例えば、-OH、-SH、-NH2、-NH-、-C(=O)NH-、又は-OC(=O)NH-であり得る。これらは、他の任意の分子鎖又は基と連結して、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する化合物(c)を形成する。
【0086】
一実施形態において、化合物(c)は、モノアルコール、ジオール及び/又はポリオールを含む。
【0087】
好適な化合物(c)の例としては、2~20個の炭素原子を有するモノアルコールであり、例としては、飽和モノアルコール、例えば、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体のペンタノール、ヘキサノール、オクタノール及びノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体のメチル-シクロヘキサノール又はヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン又はテトラヒドロフルフリルアルコール;ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル;不飽和モノアルコール、例えばアリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコール又はオレイン酸アルコール;芳香族モノアルコール、例えばフェノール、異性体クレゾール又はメトキシフェノール;芳香脂肪族モノアルコール、例えばベンジルアルコール、アニスアルコール又はシンナミックアルコール;前述の任意の2種以上の混合物が挙げられる。
【0088】
好適な化合物(c)の例としては、2~20個の炭素原子を有するジオール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,1-ジメチルエタン-1,2-ジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート、1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキサン)イソプロピリデン、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、ノルボルナンジオール、ピナンジオール、デカリンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジエチルオクタン-1,3-ジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-、1,2-、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジオール、レゾルシノールジ(ベータ-ヒドロキシエチル)エーテル(HER)、レゾルシノールジ(ベータ-ヒドロキシプロピル)エーテル(HPR)、ヒドロキノンジ(ベータ-ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)、レゾルシノールジ(ベータ-ヒドロキシプロピル)エチルエーテル(HPER)が挙げられる。
【0089】
好適な化合物(c)の例はまた、より高分子量のポリマーポリオール、例えばポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエーテルポリオールである。好適なポリマーポリオールは、好ましくは少なくとも1.5、特に少なくとも1.8、例えば1.5~10の範囲、特に1.8~4の範囲の平均OH官能価を有する。平均OH官能価は、ポリマー鎖当たりのOH基の平均数を意味すると理解される。典型的なポリマーポリオール成分は、好ましくは、約250~50000g/mol、好ましくは約500~10000g/molの数平均分子量を有する。好ましくは、ポリマーポリオール成分中に存在するヒドロキシル基の少なくとも50モル%は、1級ヒドロキシル基である。
【0090】
好適なポリエステルポリオールの例は、ポリマー主鎖にエステル基を有し、ポリマー鎖末端に遊離ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐状のポリマー化合物である。好ましくは、これらは、任意に高級多価アルコール(例えば、三価、四価、五価、又は六価アルコール)及び/又は高級多塩基性ポリカルボン酸の存在下で、二価アルコールと二塩基性カルボン酸との重縮合によって得られるポリエステルである。遊離のジ-又はポリカルボン酸の代わりに、対応するジ-又はポリカルボン酸無水物、対応する低級アルコールのジ-又はポリカルボン酸エステル、又はそれらの混合物をポリエステルポリオールの調製に使用することも可能である。ジ-又はポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族又は複素環式であってよく、好ましくは2~50個、特に4~20個の炭素原子を有し、任意に、例えばハロゲン原子で置換されていてもよく、及び/又は不飽和であってもよい。その例には以下が含まれる:スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、アルケニルコハク酸、フマル酸及びダイマー脂肪酸。ポリエステルポリオールの調製に有用なジオールには、好ましくは2~40個、特に2~20個の炭素原子を有する、特に脂肪族及び脂環式ジオール、例えば、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブテン-1,4-ジオール、ブチン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、例えば1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、及びまたジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコールが含まれる。一般式HO-(CH2)x-OHのアルコールが好ましく、式中、xは2~20の数、好ましくは2~12の偶数である。その例としては、エチレングリコール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール及びドデカン-1,12-ジオールが挙げられる。さらに好ましいのは、ネオペンチルグリコール及びペンタン-1,5-ジオールである。
【0091】
ポリエステルポリオールは、環状エステルの開環重合によって得ることができ、好ましくは2~20個、特に4~12個の炭素原子を有し、任意に、例えばハロゲン原子で置換されてもよく、及び/又は不飽和であってもよい。その例には、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、デカラクトンが含まれる。
【0092】
樹枝状ポリエステルポリオールは、特定のコアと2,2’-ジメチロールプロピオン酸の重合によって得ることができる。その例にはPerstorp Boltorn H2004、H311、P1000が含まれる。
【0093】
好適なポリエステルポリオールの例は、例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie,第4版,第19巻、62~65頁から知られるポリエステルポリオールである。
【0094】
さらに、ポリカーボネートポリオールも有用であり、例えば、ポリエステルポリオールの形成成分として挙げた低分子量アルコールを過剰にホスゲンと反応させることによって得ることができる。
【0095】
ポリエーテルポリオールは、特に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンを、例えばBF3の存在下でそれ自身と重合させることによって、又はこれらの化合物を、任意に混合又は連続的に、反応性水素原子を有する二官能又は多官能出発成分、例えばポリオール又は多官能アミン、例えば水、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ソルビトール、エタノールアミン又はエチレンジアミンに添加することによって調製できるポリエーテルポリオールである。また、スクロースポリエーテル(DE 1176358及びDE 1064938を参照)、及びホルミトール-又はホルモース-開始ポリエーテル(DE 2639083及びDE 2737951を参照)も有用である。
【0096】
好適なジオール又はポリオールの例としては、特に1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、約250~5000g/mol、又は約500~2000g/molの数平均分子量を有するポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)、約250~5000g/mol、又は約500~2000g/molの数平均分子量を有するポリプロピレングリコール(PPG)、又は約250~5000g/mol、又は約500~2000g/molの数平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、特に1,4-ブタンジオール(BDO)、ポリプロピレングリコール1000(PPG1000)又はポリテトラヒドロフラン2000(ポリTHF2000)が挙げられる。
【0097】
ポリオレフィンポリオールは、アリルアルコールとブタジエン、イソプレン、ブタジエン/アクリロニトリル、ブタジエン/スチレンとの重合によって得られる。
【0098】
好ましい実施形態において、化合物(c)には、脂肪族及び脂環式のモノアミン、ジアミン又はポリアミン、芳香族及び芳香脂肪族のモノアミン、ジアミン又はポリアミン、及びポリマーアミン、例えばアミノ樹脂、ポリエチレンイミン(PEI)又はポリリジン及びポリアミドアミンが含まれる。
【0099】
好適な化合物(c)の例としては、2~22個の炭素原子を有するモノアミン、例えば二級モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス-(2-エチルヘキシル)-アミン、N-メチル-及びN-エチル-シクロヘキシルアミン又はジシクロヘキシルアミン;複素環二級アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジン又は1H-ピラゾール;及び芳香族モノアミン、例えばアニリン、C1~C8-アルキル置換アニリン、ジ-C1~C8-アルキル置換アニリン、C1~C8-アルコキシ置換アニリン及びジ-C1~C8-アルコキシ置換アニリン、好ましくは、C1~C4-アルキル置換アニリン、ジ-C1~C4-アルキル置換アニリン、C1~C4-アルコキシ置換アニリン及びジ-C1~C4-アルコキシ置換アニリン;上記の任意の2種以上の混合物が挙げられる。
【0100】
好適なジアミン又はポリアミンは、例えば以下のものである:
- 脂肪族ジアミン又はポリアミン、例えばエチレンジアミン、1,2-及び1,3-プロパンジアミン、ネオペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノデカン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、2,2-ジメチルプロピレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロパン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)プロパン、4-エチル-4-メチルアミノ-1-オクチルアミン等;
- 脂環式ジアミン又はポリアミン、例えば、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,2-、1,3-、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-メチル-2,4-ジアミノシクロヘキサン、N-シクロヘキシルプロピレン-1,3-ジアミン、4-(2-アミノプロパン-2-イル)-1-メチルシクロヘキサン-1-アミン、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicykan)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,8-ジアミノトリシクロ[5.2.1.0]デカン、ノルボルナンジアミン、メンタンジアミン、メンテンジアミン等;
- 芳香族ジアミン又はポリアミン、例えば、1,4-ジアミノベンゼン、2,4-及び/又は2,6-ジアミノトルエン、m-キシリレンジアミン(MXDA)、2,4’-及び/又は4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3‘-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、3,5-ジメチルチオトルエン-2,4-及び/又は-2,6-ジアミン、1,3,5-トリエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリイソプロピル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-及び/又は-2,6-ジアミノベンゼン(3,5-ジエチルトルエン-2,4-及び/又は-2,6-ジアミン、又はDETDAとしても知られている)、4,6-ジメチル-2-エチル-1,3-ジアミノベンゼン、3,5,3’,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,5,3’,5’-テトライソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,5-ジエチル-3’,5’-ジイソプロピル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,4,6-トリエチル-m-フェニレンジアミン(TEMPDA)、3,5-ジイソプロピル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジ-sec-ブチル-2,6-ジアミノトルエン、3-エチル-5-イソプロピル-2,4-ジアミノトルエン、4,6-ジイソプロピル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジ-tert-ブチル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジエチル-m-フェニレンジアミン、3-イソプロピル-2,6-ジアミノトルエン、5-イソプロピル-2,4-ジアミノトルエン、4-イソプロピル-6-メチル-m-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-tert-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-エチル-6-イソプロピル-m-フェニレンジアミン、4-メチル-6-tert-ブチル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジ-sec-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-エチル-6-tert-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-エチル-6-sec-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-エチル-6-イソブチル-m-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-イソブチル-m-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-sec-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-tert-ブチル-6-イソブチル-m-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-エチル-m-フェニレンジアミン、4-シクロヘキシル-6-イソプロピル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジシクロペンチル-m-フェニレンジアミン、2,2’,6,6’-テトラエチル-4,4’-メチレンビスアニリン、2,2’,6,6’-テトライソプロピル-4,4’-メチレンビスアニリン(メチレンビスジイソプロピルアニリン)、2,2’,6,6’-テトラ-sec-ブチル-4,4’-メチレンビスアニリン、2,2’-ジメチル-6,6’-ジ-tert-ブチル-4,4’-メチレンビスアニリン、2,2’-ジ-tert-ブチル-4,4’-メチレンビスアニリン、4,4’-ビス(sec-ブチル)-メチレンジアニリン、2-イソプロピル-2’,6’-ジエチル-4,4’-メチレンビスアニリン、300~1000g/molの分子量を有するポリテトラメチレングリコールビス(4-アミノベンゾエート);及びそれらの混合物;
- 環状ポリアミン、例えばピペラジン、N-アミノエチルピペラジン等;
- ポリエーテルアミン、特にポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレンオキシド、ポリ(1,4-ブタンジオール)、ポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)又はポリペンチレンオキシドをベースとする二官能及び三官能の第級ポリエーテルアミン、例えば、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,3-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、1,8-ジアミノ-3,6-ジオキサオクタン(HuntsmanからのXTJ-504)、1,10-ジアミノ-4,7-ジオキサデカン(HuntsmanからのXTJ-590)、1,12-ジアミノ-4,9-ジオキサドデカン(BASF SEから)、1,3-ジアミノ-4,7,10-トリオキサトリデカン(BASF SEから)、230の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールをベースとする一級ポリエーテルアミン、例えばポリエーテルアミンD 230(BASF SEから)又はJeffamine(登録商標)D 230(Huntsmanから)、400の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールをベースとする二官能の一級ポリエーテルアミン、例えばポリエーテルアミンD 400(BASF SEから)又はJeffamine(登録商標)XTJ 582(Huntsmanから)、2000の平均モル質量を有するポリプロピレングリコールをベースとする二官能の一級ポリエーテルアミン、例えばポリエーテルアミンD 2000(BASF SEから)、Jeffamine(登録商標)D2000又はJeffamine(登録商標)XTJ 578(それぞれHuntsmanから)、4000の平均モル質量を有するプロピレンオキシドをベースとする二官能の一級ポリエーテルアミン、例えばポリエーテルアミンD 4000(BASF SEから)、プロピレンオキシドとトリメチロールプロパンを反応させて、次いで末端OH基をアミノ化することにより調製される、403の平均モル質量を有する三官能の一級ポリエーテルアミン、例えばポリエーテルアミンT 403(BASF SEから)又はJeffamine(登録商標)T 403(Huntsmanから)、プロピレンオキシドとグリセロールを反応させて、次いで末端OH基をアミノ化することにより調製され、5000の平均モル質量を有する三官能の一級ポリエーテルアミン、例えばポリエーテルアミンT 5000(BASF SEから)又はJeffamine(登録商標)T 5000(Huntsmanから)、プロピレンオキシド-グラフト化ポリエチレングリコールから形成され、600の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)ED-600又はJeffamine(登録商標)XTJ 501(それぞれHuntsmanから)、プロピレンオキシド-グラフト化ポリエチレングリコールから形成され、900の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)ED-900(Huntsmanから)、プロピレンオキシド-グラフト化ポリエチレングリコールから形成され、2000の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)ED-2003(Huntsmanから)、プロピレンオキシド-グラフト化ジエチレングリコールのアミノ化によって調製され、220の平均モル質量を有する二官能の一級ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)HK-511(Huntsmanから)、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとのコポリマーをベースとし、1000の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ-542(Huntsmanから)、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとのコポリマーをベースとし、1900の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ-548(Huntsmanから)、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)とポリプロピレングリコールとのコポリマーをベースとし、1400の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ-559(Huntsmanから)、ブチレンオキシドグラフト化の、少なくとも三価アルコールをベースとし、400の平均モル質量を有するポリエーテルトリアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ-566(Huntsmanから)、ブチレンオキシド-グラフト化アルコールのアミノ化により調製され、219の平均モル質量を有する脂肪族ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ-568(Huntsmanから)、ペンタエリスリトール及びプロピレンオキシドをベースとし、600の平均モル質量を有するポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)XTJ-616(Huntsmanから)、トリエチレングリコールをベースとし、148の平均モル質量を有するポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)EDR-148(Huntsmanから)、プロピレンオキシド-グラフト化エチレングリコールのアミノ化により調製され、176の平均モル質量を有する二官能の一級ポリエーテルアミン、例えばJeffamine(登録商標)EDR-176(Huntsmanから)、及びまたポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)のアミノ化により調製され、250の平均モル質量を有するポリエーテルアミン、例えばPolyTHF-amine 350(BASF SEから)、及びこれらのアミンの混合物;
- 二量体脂肪酸(例えば二量体リノール酸)と、低分子量のポリアミン、例えばジエチレントリアミン、1-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロパン又はトリエチレンテトラミン、又は前述の脂肪族又は脂環式ジアミンなどの他のジアミンとの反応によって得ることができる、ポリアミドアミン(アミドポリアミン);
- 立体障害脂肪族アミン、例えば一級アミンとマレイン酸ジアルキルとのマイケル反応によって得られる二級アミンであるポリアスパラギン酸、例えばDesmophen NH 1220、Desmophen NH 1420、Desmophen NH 1520、Desmophen NH 2850、Desmophen NH 2885、Desmophen NH 2886;
- 立体障害芳香族アミン、例えば4-N,N’-ジ-sec-ブチル-4,4’-メチレンジアニリン(Wanalink 6200)、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニルジアミン(Unilink 4100);
及び前述のアミンの混合物、特に脂肪族、脂環式及び芳香族アミンの群からの二官能アミンと前述のポリエーテルアミンとの混合物。
【0101】
好ましいジアミン又はポリアミンは、芳香族ジアミン又はポリアミン、より好ましくは4,4’-メチレンジアニリン(MDA)、遅効性MDA(Xylink 311)、ジエチルトルエンジアミン(Ethacure 100)及びN,N’-ジ-sec-ブチル-4,4’-メチレンジアニリン(Wanalink 6200)である。また、300~1000g/mol、好ましくは400~800g/mol、より好ましくは500~700g/molの分子量を有するポリテトラメチレングリコールビス(4-アミノベンゾエート)も好ましい。
【0102】
一般的には、-C(=O)NH-又は-OC(=O)NH-を含有する化合物はすべて、化合物(c)として使用するのに適している。アミノ基上の水素は、高温、好ましくは100℃超、より好ましくは100~300℃、最も好ましくは120~200℃の温度で、例えばジブチルスズジラウレート(DBTL)のような有機金属化合物下で、ウレジオン含有化合物から放出されるNCO基と反応させることができる。化合物(c)の例は、式R1C(=O)NHR2又はR1OC(=O)NHR2の化合物であり、式中、R1又はR2のいずれかは、1~4個の炭素原子を含有するアルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチル、又は6~10個の炭素原子を含有するアリール基、例えばフェニル、又はポリマー鎖を表す。実施例は、単に化合物(c)を説明するために使用されるが、発明の範囲を限定するものではない。
【0103】
式R1C(=O)NHR2又はR1OC(=O)NHR2の好ましい化合物は、N-メチルホルムアミド、N-N-エチルベンズアミド、メチルN-プロピルカルバメート、エチルN-フェニルカルバメート、HuntsmanからのVersamid 100、115、150、又はBASFからのElastollan AH-620F、AS-120Lである。
【0104】
成分(c)の総量は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、1~50質量%の範囲、例えば5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%又は55質量%、好ましくは2~40質量%、より好ましくは5~30質量%であることができる。
【0105】
光重合開始剤(d)
二重硬化樹脂組成物は、成分(d)として少なくとも1種の光重合開始剤を含む。例えば、光重合開始剤成分(d)は、少なくとも1種のフリーラジカル光重合開始剤及び/又は少なくとも1種のイオン性光重合開始剤、好ましくは少なくとも1種(例えば1種又は2種)のフリーラジカル光重合開始剤を含むことができる。例えば、3D印刷用組成物に使用するために当該技術分野で知られている全ての光重合開始剤を使用することが可能であり、例えば、SLA、DLP又はPPJ(Photo polymer jetting)プロセスで使用する当該技術分野で知られている光重合開始剤を使用することが可能である。
【0106】
例示的な光重合開始剤には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、塩素化アセトフェノン、ジアルコキシアセトフェノン、ジアルキルヒドロキシアセトフェノン、ジアルキルヒドロキシアセトフェノンエステル、ベンゾイン及び誘導体(例えば、ベンゾインアセテート、ベンゾインアルキルエーテル)、ジメトキシベンジオン、ジベンジルケトン、ベンゾイルシクロヘキサノール及び他の芳香族ケトン、アルファ-アミノケトン化合物、フェニルグリオキシレート化合物、オキシムエステル、アシルオキシムエステル、アシルホスフィンオキシド、アシルホスホネート、ケトスルフィド、ジベンゾイルジスルフィド、ジフェニルジチオカーボネート、これらの混合物、及びアルファ-ヒドロキシケトン化合物、又はアルファ-アルコキシケトン化合物との混合物が含まれる。
【0107】
好適なアシルホスフィンオキシド化合物の例は、式(XII)のものである、
【化1】
(式中、R50は、非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり、又は1つ以上のハロゲン、C1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ、C1~C12アルキルチオに、又はNR53R54に置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;
又は、R50は、非置換のC1~C20アルキルであり、又は1つ以上のハロゲン、C1~C12アルコキシ、C1~C12アルキルチオ、NR53R54に、又は-(CO)-O-C1~C24アルキルに置換されたC1~C20アルキルであり;
R51は、非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;又は1つ以上のハロゲン、C1~C12アルキル、C1~C12アルコキシ、C1~C12アルキルチオに、又はNR53R54に置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;又は、R51は-(CO)R’52であり;又は、R51は、非置換であるか、又は1つ以上のハロゲン、C1~C12アルコキシ、C1~C12アルキルチオに、又はNR53R54に置換されたC1~C12アルキルであり;
R52及びR’52は、互いに独立して、非置換のシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり、又は1つ以上のハロゲン、C1~C4アルキル又はC1~C4アルコキシに置換されたシクロヘキシル、シクロペンチル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり、又はR52は、S原子又はN原子を含む5員又は6員の複素環であり;
R53及びR54は、互いに独立して、水素、非置換のC1~C12アルキル、又は1つ以上のOH又はSHに置換されたC1~C12アルキルであり、ここで、アルキル鎖は任意に1~4個の酸素原子で中断され;又はR53及びR54は、互いに独立して、C2~C12アルケニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニルである)。
【0108】
光重合開始剤の具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-N,N-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノンとの組み合わせ、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイ1-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドの組み合わせ、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィネート、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0109】
特に好ましい実施形態において、光重合開始剤(d)は、式(XII)の化合物、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド;2,4,6-トリメチルベンジル-ジフェニル-ホスフィンオキシド;エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィン酸エステル;(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-2,4-ジペントキシフェニルホスフィンオキシド及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドである。
【0110】
光重合開始剤(d)の量は、組成物の総質量に基づいて、0.1~10質量%の範囲、例えば0.2質量%、0.5質量%、0.8質量%、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、8質量%又は10質量%、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%であり得る。
【0111】
一実施形態において、本発明の二重硬化樹脂組成物は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、以下の成分を含む:
(a)10~95質量%の少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)1~50質量%の、平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレジオン含有化合物;
(c)1~50質量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)0.1~10質量%の少なくとも1種の光重合開始剤。
【0112】
一実施形態において、本発明の二重硬化樹脂組成物は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、以下の成分を含む:
(a)15~95質量%の少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)2~40質量%の、平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレジオン含有化合物;
(c)2~40質量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)0.1~5質量%の少なくとも1種の光重合開始剤。
【0113】
一実施形態において、本発明の二重硬化樹脂組成物は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、以下の成分を含む:
(a)30~85質量%の少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)5~35質量%の、平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレジオン含有化合物;
(c)5~35質量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)0.5~3質量%の少なくとも1種の光重合開始剤。
【0114】
一実施形態において、本発明の二重硬化樹脂組成物は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、以下の成分を含む:
(a)15~80質量%の少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)1~50質量%の、平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレジオン含有化合物;
(c)1~50質量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)0.1~10質量%の少なくとも1種の光重合開始剤。
【0115】
一実施形態において、本発明の二重硬化樹脂組成物は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、以下の成分を含む:
(a)15~80質量%の少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)2~40質量%の、平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレジオン含有化合物;
(c)2~40質量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)0.1~5質量%の少なくとも1種の光重合開始剤。
【0116】
一実施形態において、本発明の二重硬化樹脂組成物は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、以下の成分を含む:
(a)25~80質量%の少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)5~35質量%の、平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレジオン含有化合物;
(c)5~35質量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)0.5~5質量%の少なくとも1種の光重合開始剤。
【0117】
一実施形態において、本発明の二重硬化樹脂組成物は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、以下の成分を含む:
(a)20~70質量%の少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)1~50質量%の、平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレジオン含有化合物;
(c)1~50質量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)0.1~10質量%の少なくとも1種の光重合開始剤。
【0118】
一実施形態において、本発明の二重硬化樹脂組成物は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、以下の成分を含む:
(a)25~70質量%の少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)2~40質量%の、平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレジオン含有化合物;
(c)2~40質量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)0.1~5質量%の少なくとも1種の光重合開始剤。
【0119】
一実施形態において、本発明の二重硬化樹脂組成物は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、以下の成分を含む:
(a)30~70質量%の少なくとも1種の光重合性化合物;
(b)5~35質量%の、平均ウレトジオン環官能価が1を超える少なくとも1種のウレジオン含有化合物;
(c)5~35質量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する少なくとも1種の化合物;及び
(d)0.5~3質量%の少なくとも1種の光重合開始剤。
【0120】
助剤
本発明の組成物は、1種以上の助剤をさらに含んでもよい。
【0121】
助剤としての好ましい例としては、表面活性物質、難燃剤、核剤、潤滑ワックス、接着促進剤、レオロジー調整剤、染料、顔料、触媒、UV吸収剤、及び例えば酸化、加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、無機及び/又は有機フィラー、補強材及び可塑剤が挙げられる。加水分解防止剤としては、オリゴマー及び/又はポリマーの脂肪族又は芳香族カルボジイミドが好ましい。エージング及び有害な環境影響に対して本発明の硬化した材料を安定化させるために、好ましい実施形態では安定剤がシステムに添加される。
【0122】
本発明の組成物が使用中に熱酸化損傷に曝される場合、好ましい実施形態では酸化防止剤が添加される。フェノール酸化防止剤が好ましい。BASF SEからのIrganox(登録商標)1010のようなフェノール酸化防止剤は、Plastics Additive Handbook,第5版,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001,98~107頁,116頁及び121頁に記載されている。
【0123】
本発明の組成物がUV光に曝される場合、好ましくはUV吸収剤でさらに安定化される。UV吸収剤は、一般に、高エネルギーのUV光を吸収し、エネルギーを放散する分子として知られている。工業的に採用されている慣用のUV吸収剤は、例えば、桂皮酸エステル、ジフェニルシアンアクリレート、ホルムアミジン、ベンジリデンマロネート、ジアリールブタジエン、トリアジン及びベンゾトリアゾールの群に属する。市販のUV吸収剤の例は、Plastics Additive Handbook,第5版,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001,116~122頁に記載されている。
【0124】
本発明の組成物が熱処理で熱分解しやすい場合、さらに触媒で促進することが好ましい。ウレタンのための触媒は、反応温度及び/又は時間を効率的に低下させることが証明されている。ここで使用することができる触媒の例としては、有機金属化合物、例えばスズ、亜鉛、チタン、ジルコニウム、鉄、水銀又はビスマスの錯体、好ましくは有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸の第1スズ塩、例えば酢酸第1スズ、オクト酸第1スズ、エチルヘキサン酸第1スズ及びラウリン酸第1スズ、カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジブチルスズマレエート及びジオクチルスズジアセテート、及びまたフェニル水銀ネオデカノエート、ビスマスカルボキシレート、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエート、又はこれらの混合物が挙げられる。他の可能な触媒は、塩基性アミン触媒である。これらの例としては、アミジン、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-メチル、N-エチル、N-シクロヘキシルモルホリン、Ν,Ν,Ν’,Ν’-テトラメチルエチレンジアミン、Ν,Ν,Ν’,Ν’-テトラメチルブタンジアミン、Ν,Ν,Ν’,Ν’-テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ[3.3.0]オクタン、好ましくは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデセン-7-エン、及びアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-及びN-エチルジエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンが挙げられる。触媒は、単独で、又は混合物の形態で使用することができる。
【0125】
本発明の二重硬化樹脂組成物は、任意に少なくとも1種の耐衝撃性改良剤を含むことができる。
【0126】
一実施形態において、耐衝撃性改良剤は、アクリルゴム、ASAゴム、ジエンゴム、オルガノシロキサンゴム、EPDMゴム、SBS又はSEBSゴム、ABSゴム、MBSゴム、グリシジルエステル、ポリスチレン-ポリブタジエン、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)ポリスチレン-ポリイソプレン、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリブタジエン、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレン、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレン、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレン、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリブタジエン-ポリ(α-メチルスチレン)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)及びメチルメタクリレート-ブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレートでグラフトしたポリアルキルアクリレート、スチレン-アクリロニトリルコポリマーでグラフトしたポリアルキルアクリレート、ポリエチルメタクリレートでグラフトしたポリオレフィン、スチレン-アクリロニトリルコポリマーでグラフトしたポリオレフィン、ブタジエンコア-シェルポリマー、ポリフェニレンエーテル-ポリアミド、ポリアミド、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、ポリブタジエンでグラフトしたスチレン-アクリロニトリルコポリマー、又は任意の2つ以上の組み合わせから選択することができる。
【0127】
上記の助剤に関するさらなる詳細は、専門文献、例えばPlastics Additive Handbook,第5版,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001に見出すことができる。
【0128】
本発明によれば、助剤は、二重硬化樹脂組成物の総質量に基づいて、0~50質量%、0.01~50質量%、例えば0.5~30質量%の量で存在することができる。
【0129】
組成物の調製
本開示のさらなる態様は、組成物の成分を混合することを含む、本発明の二重硬化樹脂組成物を調製する方法に関する。
【0130】
本発明の一実施態様によれば、均質で貯蔵安定な混合物の調製は、以下の工程で行われる。まず、ウレジオン含有化合物を、室温又は好ましくは高温(例えば35~80℃、好ましくは40~70℃)で、機械的攪拌を行いながら、少なくとも1種の光重合性化合物(a)に溶解する。ウレトジオン含有化合物が完全に溶解する限り、混合時間及び攪拌速度に特に制限はない。具体的な実施形態において、混合は、100~3000RPM、好ましくは1500~2500RPMで5~60分間、より好ましくは10~30分間行うことができる。次に、残りの成分をウレチオン含有化合物予備混合物に添加し、同じ温度及び攪拌条件で均一に混合する。
【0131】
3D印刷物体及びその調製
本開示の一態様は、本発明の二重硬化樹脂組成物又は本発明の方法によって得られる二重硬化樹脂組成物を使用することを含む、3D印刷物体を形成する方法に関する。
【0132】
一実施形態において、3D物体を形成する方法は以下の工程を含む:
(i)放射線を適用して、本発明による二重硬化樹脂組成物を層ごとに硬化させて、中間3D物体を形成する工程;
(ii)工程(i)で得られた中間物体から過剰な液体樹脂を除去し、任意にその後、工程(i)で得られた中間3D物体を全体として放射線後硬化させる工程;及び
(iii)工程(ii)で得られた物体を全体として熱処理して、最終的な3D物体を形成する工程。
【0133】
具体的な実施形態において、放射線光の波長は、350~480nmの範囲、例えば355、360、365、385、395、405、420、430、440、450、460、470nmであることができる。放射線のエネルギーは、0.5~2000mw/cm2の範囲、例えば1mw/cm2、2mw/cm2、3mw/cm2、4mw/cm2、5mw/cm2、8mw/cm2、10mw/cm2、20mw/cm2、30mw/cm2、40mw/cm2、又は50mw/cm2、100mw/cm2、200mw/cm2、400mw/cm2、500mw/cm2、1000mw/cm2、1500mw/cm2又は2000mw/cm2、好ましくはデジタル光処理の場合は5~50mw/cm2、ステレオリソグラフィーの場合は0.5~400mw/cm2、フォトポリマージェッティングの場合は0.5~2000mw/cm2であることができる。照射時間は0.5~10秒、好ましくは0.6~6秒の範囲である。
【0134】
3D印刷物体を形成する方法には、ステレオリソグラフィー(SLA)、デジタル光処理(DLP)又はフォトポリマージェッティング(PPJ)、及び当業者に知られている他の技術を含むことができる。好ましくは、複雑な形状の硬化した3D物体の製造は、例えば、長年知られているステレオリソグラフィーによって行われる。この技術では、2つの工程(1)及び(2)が交互に繰り返されることにより、二重硬化樹脂組成物から所望の形状の成形品が構築される。工程(1)において、二重硬化樹脂組成物の層(その1つの境界は組成物の表面である)が、形成されるべき成形品の所望の断面積に対応する表面領域内で、適切な画像化放射線、好ましくはコンピュータ制御走査レーザービームからの画像化放射線の助けを借りて硬化され、工程(2)において、硬化された層が二重硬化樹脂組成物の新しい層で覆われ、工程(1)及び(2)の一連が、所望の形状が完成するまでしばしば繰り返される。
【0135】
工程(iii)における熱処理のための手段は、一般的に重要ではなく、材料を加熱するために一般的に利用可能な任意の数の手段から選択することができる。そのような手段の特定の例には、限定されないが、放射加熱、例えばマイクロ波照射、誘導加熱、赤外線トンネル、又はオーブン又は炉、例えば電気又はガス強制空気オーブンでの加熱が含まれる。
【0136】
通常、工程(iii)の熱処理における温度は、80~270℃、好ましくは100~220℃、より好ましくは120~200℃の範囲である。本発明によれば、工程(iii)における処理時間は、0.5~20時間の範囲、例えば1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、好ましくは3~18時間であることができる。
【0137】
場合によっては、最適化された結果を得るために、異なる温度及び時間(例えば、100℃、3時間+200℃、3時間;又は130℃、3時間+160℃、6時間+180℃、1時間)を用いた複数の工程(iii)が行われる。
【0138】
本開示のさらなる態様は、3D物体を形成するための本発明の二重硬化樹脂組成物の使用方法に関する。
【0139】
本開示のさらなる態様は、本発明の二重硬化樹脂組成物から形成されるか、又は本発明の方法によって得られる3D印刷物体に関する。
【0140】
3D印刷物体は、配管設備、家庭用品、玩具、治具、鋳型、車両内の内装部品及びコネクタを含むことができる。
【実施例
【0141】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明されるが、これらは本発明を説明するために記載されたものであり、本発明を限定するものとして解釈されるものではない。特に明記しない限り、全ての部及びパーセンテージは質量によるものである。
【0142】
材料及び略語
成分(a):
BRC-843D:二官能ウレタンアクリレート、Bomar BRC-843D、Dymax社製;
VMOX:N-ビニル-5-メチルオキサゾリジノン、BASF社製;
ACMO:アクリロイルモルホリン、KJ Chemicals社製;
G4247:脂肪族ウレタンメタクリレート、Genomer 4247、RAHN AG社製。
【0143】
成分(b)
BF-1320:ウレジオン含有化合物、NCO含有量(潜在):13.5~15.0%、平均ウレトジオン環官能価:3.5、Vestagon BF-1320、Evonik Degussa社製。
【0144】
成分(c)
BDO:1,4-ブタンジオール、Sigma Aldrich社製;
【化2】
ジオクチルアジペート(DOA)中のメチレンジアニリン/塩化ナトリウム複合体の約47%の分散液である遅効性ジアミン硬化剤、Suzhou Xiangyuan New Materials Co.,Ltd.製;
【化3】
ジエチルトルエンジアミン、Ethacure 100;
【化4】
N,N’-ジ-sec-ブチル-4,4’-メチレンジアニリン、Wanhua Chemical社製;
【化5】
(質量平均分子量:620g/mol)、ポリテトラメチレングリコールビス(4-アミノベンゾエート)、Xylink P-1000、Suzhou Xiangyuan New Materials Co.,Ltd.製。
【0145】
成分(d)
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、Omnirad TPO、IGM Resins社製。
【0146】
方法
(1)引張試験
引張試験は、ISO 527-5A:2009に従い、Zwick社製Z050引張装置を用いて実施した:開始位置:50mm;予荷重:0.02MPa;試験速度:10mm/分。計算結果は6回繰り返しに基づいている。
【0147】
(2)粘度
液体樹脂の粘度は、コーンプレートCP50を有するAnton Paarレオメーター(Physica MCR 302)を用い、100秒-1のせん断速度、25℃で決定した。
【0148】
(3)アイゾットノッチ付き衝撃強度
標準ASTM D256に従って、Zwick Roell HIT25P試験機でアイゾットノッチ付き衝撃強度を測定した。計算結果は6回繰り返しに基づいている。
【0149】
組成物の調製:
表2及び4に示す量の成分を混合することにより、比較例1及び2の組成物を得た。
【0150】
表1~4に示す量の成分を投与することにより、実施例1~11の二重硬化樹脂組成物を調製した。まず、1000 RPMで機械的に攪拌しながら、60℃で、成分(b)が完全に溶解するまで、成分(b)を成分(a)に溶解した。次に、残りの成分を成分(a)と成分(b)の予備混合物に添加し、同じ温度及び攪拌条件で均一に混合した。
【0151】
組成物の安定性-25℃での経時粘度
実施例1~3の二重硬化樹脂組成物を室温で一定期間保存した後の粘度を表1に示している。
【0152】
【表1】
【0153】
表1からわかるように、実施例1~3の二重硬化樹脂組成物の粘度は、室温で一定期間保存した後にわずかに変化する。
【0154】
試料のキャスティング:
実施例1~8の二重硬化樹脂組成物及び比較例1の組成物を、UVキャスト法を用いて試験試料に調製し、その際、組成物を予め規定されたテフロン(登録商標)/シリコーン型中に入れ、次いでUV照射を行った。組成物のUV硬化は、UVコンベアベルト(波長385nm及び405nm)を用いて行った。適用したUV量は、片面3600mJ/cm2であった。次に、NextDentTM LC 3D Printbox(波長315~550nm)を用いて、試料を40分間 UV後硬化した。その後、従来のオーブン、160℃で18時間加熱することにより、熱硬化を行った。
【0155】
実施例1~8の二重硬化樹脂組成物及び比較例1の組成物からキャスティングにより得られた硬化した試料の物性を表2及び表3に示している。
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
試料の3D印刷:
光の波長が405nmの卓上型デジタル光処理(DLP)3DプリンターであるMiiCraft 150 3Dプリンターを用いて、実施例9~11の二重硬化樹脂組成物及び比較例3の組成物を印刷した。典型的な印刷プロセスでは、組成物をプリンター内のバットに装填した。詳細な印刷パラメーターは以下の通りである:印刷パラメーター:40℃(実際のタンク温度は36℃)、層解像度50μm、硬化時間3秒、ベース硬化時間6秒;ベース層1;バッファー層1;出力80%(光強度4.7~4.8mW/cm2)。次に、このようにして印刷した試料をUV後硬化装置NextDentTM LC 3D Printboxで40分間後硬化した。最後に、後硬化した試料を、従来のオーブン、160℃で18時間加熱して、最終的な物体を得た。試験前のコンディショニングパラメーター:1)80℃、24時間;2)25℃、50%の相対湿度(RH)、24時間。試験条件:21.5℃、27%のRH。
【0159】
実施例9~11の二重硬化樹脂組成物及び比較例2の組成物から3D印刷により得られた硬化した試料の物性を表4に示している。
【0160】
【表4】
【国際調査報告】