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特表2024-530654大腿骨股関節ステムインプラントおよび対応する整形外科用ブローチ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】大腿骨股関節ステムインプラントおよび対応する整形外科用ブローチ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/32 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61F2/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507024
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022040849
(87)【国際公開番号】W WO2023027952
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/235,858
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510059882
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・オルソペディクス・アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】519295384
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・アジア・パシフィク・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リスター、デイヴィッド ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】エル-チャーフェイ、ムーシン
(72)【発明者】
【氏名】ライト、マーク
(72)【発明者】
【氏名】マクラスキー、カーラ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA05
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC05
4C097DD01
4C097DD06
4C097DD09
4C097EE02
4C097SC01
(57)【要約】
整形外科用インプラントおよび対応する器具が開示される。より詳しくは、股関節を外科的に修復するための、大腿骨インプラントおよび対応するブローチが提示される。大腿骨インプラントは、患者の大腿骨の髄内管内に挿入されるように構成された細長いステムを含む。大腿骨インプラントは、髄内管内の「適合」を最大化するように構成される。整形外科用ブローチは、差動歯パターンを含み得る。例えば、ブローチは、第一、第二、および第三の別個のおよび一意の歯パターンを含み得る。様々な歯パターンは、使用時に、特定の目的を達成するために、ブローチ上の特定の場所に位置し、それによって、患者の髄内管と大腿骨インプラントとの間の係合を最適化する。様々な実施形態では、ブローチは、大腿骨インプラントを模倣するように特異的に合致され、具体的には、ブローチの近位領域上に形成された歯(圧縮歯)は、インプラント上に形成された多孔性被覆に合致される。
【選択図】図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨股関節ステムキットであって、
髄内管内に移植されるように構成された股関節ステムインプラントであって、近位領域、遠位領域、前方側、後方側、内側、および外側を含み、前記近位領域が、そこに施された多孔性被覆表面を含む、股関節ステムインプラントと、
前記股関節ステムインプラントを受容するため、前記髄内管を作成するために使用される整形外科用ブローチであって、近位領域、遠位領域、前方側、後方側、内側、および外側を含み、その上に形成された複数の一意に配置された歯パターンを含み、前記複数の一意に配置された歯パターンが、その前記近位領域上に形成された圧縮歯を含む、整形外科用ブローチと、を備え、
前記圧縮歯を含む前記ブローチの前記近位領域は、前記股関節ステムインプラント上に形成された前記多孔性被覆表面のサイズおよび構成を模倣するようにサイズ設定および構成される、大腿骨股関節ステムキット。
【請求項2】
前記圧縮歯を含む前記ブローチの前記近位領域は、形状および位置を有し、前記股関節ステムインプラントの前記近位領域を画定する前記多孔性被覆表面は、形状および位置を有し、前記ブローチの前記近位領域の前記形状および位置が、前記股関節ステムインプラントの前記近位領域上に形成された前記多孔性被覆領域と同一の形状および位置を有する前記圧縮歯を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記股関節ステムインプラントの前記近位領域は、その前記前方側および後方側に形成された複数の溝を含み、前記前方側に形成された前記溝が、前記内側上の縁の周りを包む、請求項1および2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記股関節ステムインプラントの前記前方側および後方側に形成された前記溝は、前記股関節ステムインプラントの長手方向軸に対して角度付けられる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ブローチの前記前方側および後方側に形成された前記圧縮歯は、前記圧縮歯が前記股関節ステムインプラントの前記前方側および後方側に形成された前記溝に対して角度付けられるように、前記ブローチの長手方向軸に対して垂直に延在する環状歯として配置および構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記圧縮歯は、前記ブローチの前記外側から内側まで水平に延在する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の一意に配置された歯パターンは、
前記患者の骨を切断または除去するように配置および構成された前記ブローチの前記遠位領域上に形成された複数の抜去歯と、
前記ブローチの近位領域の前内側、前外側、後内側、および後外側の側面に形成された複数の抜去歯と、をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ブローチの前記遠位領域上に形成された前記複数の抜去歯は、ダイヤモンドまたは角錐形状の歯を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ブローチの前記近位領域の前記内側および外側に形成された前記複数の抜去歯は、前記ブローチの前記内側および外側の縁部に沿って形成された中断された切断部を画定する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ブローチは、オス型構成要素を受容するための空洞として構成される、接続機構を含む、請求項1~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記股関節ステムインプラントの前記前方側および前記後方側は、前記股関節ステムインプラントの中央長手方向軸に向かってテーパ状である、請求項1~10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記股関節ステムインプラントは、肩部から移行点まで延在する第一の前方-後方のテーパと、前記移行点から前記遠位先端に向かって延在する第二の前方-後方のテーパと、を含む、二重テーパ状の前方-後方のテーパ配置を含み、前記第二の前方-後方のテーパが、前記第一の前方-後方のテーパとは異なる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記股関節ステムインプラントの前記近位領域の前記内側は、プレス嵌合を提供するように構成された一定の湾曲弧を含む、請求項1~12のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により、その出願の全体が、本明細書に組み込まれる、2021年8月23日出願の「Femoral Hip Stem Implant」と題された係属中の米国仮特許出願第63/235,858号の非仮出願であり、その利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般的に、整形外科用装置および器具に関し、より詳しくは、より大きな患者集団内の適合を最適化(例えば、最大化)するために、一つ以上の特徴、幾何学的形状、および/または寸法を含む大腿骨股関節ステムインプラント、ならびに/または大腿骨股関節ステムインプラントを受容するために、患者の髄内管を作成するための整形外科用ブローチに関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科用インプラントは、今日の社会では十分に周知であり、一般的である。整形外科用インプラントは、例えば、損傷を安定させ、骨折部を支持し、関節を癒合し、および/または変形を矯正するために、使用され得る。整形外科用インプラントは、常設的または一時的に取り付けられ得、骨の管または他の空洞内に移植され、軟部組織の下に移植され、骨の外面に取り付けられ、または外部に配置され、ねじ、ピン、および/またはワイヤなどの締結具によって取り付けられるなど、様々な箇所で骨に取り付けられ得る。一部の整形外科用インプラントは、二つ以上の骨片、または二つ以上の骨の位置および/または配向を互いに対して調整可能にする。
【0004】
このような一つの整形外科用インプラントは、股関節を修復するために使用される大腿骨股関節ステムインプラントである。股関節は、関節の損傷および/または外傷が頻発する箇所である。大腿骨股関節ステムインプラントは、外傷を治療し、関節機能を再構成するために、または他の目的で移植され得、または他の方法で骨の解剖学的構造に関連され得る。大腿骨股関節ステムインプラントは、ステム領域などの細長い挿入領域を含み得、これは、患者の近位大腿骨の髄内管内に少なくとも部分的に挿入され得る。
【0005】
一部の事例では、大腿骨股関節ステムインプラントがうまく機能するかは、細長い挿入領域が患者の骨の解剖学的構造(例えば、患者の大腿骨の髄内管)にどの程度適合するかによる。例えば、大腿骨股関節ステムインプラントの細長い挿入領域の近位部分が、髄内管にしっかりと適合する(例えば、インプラントの近位領域と患者の大腿骨の髄内管の内面との間にプレス嵌合を生成する)ことは重要であり、これにより、ステムは、患者の大腿骨の近位部分に負荷をかけて、応力遮蔽および/または再吸収(および、潜在的にその後のインプラントの破損)による骨損失を防止する。また、遠位部分が髄内管内に適切に位置決めされることも重要であるが、適合は、近位負荷を防止するほどに密封であるべきではない。
【0006】
大腿骨股関節ステムインプラントとその関連する骨の解剖学的構造との間の良好な適合はまた、インプラントと骨との間の微細な動きを防止または低減するのに役立ち得る。微細な動きが過度になることでも、インプラントは破損しやすくなり得る。
【0007】
骨の幾何学的形状が人によって異なる(また、年齢によって異なる)ため、典型的な整形外科用インプラントは、異なるサイズのインプラントの組、キット、または一連のものの一部として、提供されることが多い。典型的には、インプラントの組は、最初にインプラントの一つのサイズを設計し、その後、そのインプラントを比例的にスケーリングして生成され、他のインプラントサイズの幾何学的形状を画定する(例えば、ステムの全長に沿って、均一な量だけ細長い挿入領域の幅を増加させる)。
【0008】
典型的なインプラントシステムの成長には、異なる骨サイズの幾何学的形状が正確に反映されるものではない。例えば、より大きい大腿骨は、より小さい大腿骨が単により大きな形になったものではない。例えば、患者の髄内管の近位部分(その一部またはすべてが、骨幹と称され得る)が、大腿骨サイズが増加するにつれて、遠位部分(その一部またはすべてが、骨幹と称され得る)よりも速い速度で「成長」し得ることは、見出された。このため、近位部分を、遠位部分と同じ速度でサイズを成長させる大腿骨股関節ステムインプラントの組は、様々なサイズの大腿骨の実際の幾何学的形状を必ずしも反映するものではない。このため、従来の方法論に係り作られたインプラントの組は、場合によっては、移植時に適合不良となり得、上述の理由または他の理由から、インプラントの破損につながり得る。
【0009】
さらに、大腿骨股関節ステムインプラントを移植する場合、大腿骨股関節ステムインプラントを受容するための患者の髄内管の適切な作成が重要である。結果として、例えば、ブローチなどの整形外科用器具が開発されている。ブローチは、使用する際、例えば、股関節形成術中に使用される。外科医は、使用する際、大腿骨股関節ステムインプラントを受容するため、患者の髄内管の内面を作成するために、ブローチを使用する。外科医による髄内管の作成は、患者の大腿骨と股関節ステムインプラントとの間の適切な適合を保証するように設計される。
【0010】
股関節ステムインプラントの移植は、股関節ステムインプラントと患者の骨との間の良好な接触を保証するために、骨または髄内管の正確な作成を必要とする。一般的に、股関節ステムインプラントと患者の骨との間(例えば、インプラントの外面と髄内管の内面との間)の隙間または空間を低減する一方で、前方/後方の方向および内側/外側の方向の髄内管の主要領域における適切なステム接触を確実にすることで、初期安定性および長期の骨の内方成長/固定が改善される。
【0011】
患者の骨(例えば、大腿骨)の髄内管は、近位大腿骨の切除された端部にブローチで穿孔し、リーマーで孔を広げることによって、股関節ステムインプラントの移植のために作成され得る。患者の大腿骨の髄内管は、使用する際、ブローチを使用して作成され得、股関節ステムインプラントのための座部を提供する。一般的に、ブローチは、患者の骨の空洞または髄内管を生成、拡大、作成などするために、軸方向に移動または操作され得る、切断ツールである。ブローチは使用され得、非円形断面を有する空洞を生成する。特に、複雑な不規則な形状であり得る股関節ステムインプラントのテーパ形状が、患者の髄内管の内面の形状によって適切に合致されることを確実にすることは、股関節ステムインプラントを受容する髄内腔の一部分を作成するのに好適である。当業者が理解するように、ブローチは、使用する際、患者の大腿骨の頭部を除去した状態で、大腿骨の髄内管に挿入され得る。軟質でやや海綿状の海綿骨は、髄内管を囲む。該海綿骨を囲むのは、より硬質の皮質骨である。ブローチは、使用時に、骨に切り込むために使用され得る。
【0012】
骨腔の作成が不適切であれば、経時的に股関節ステムインプラントは、緩み得る(例えば、近位に固定された股関節ステムインプラントは、インプラントとの骨固定が股関節ステムインプラント上の意図された固定領域から離れて生じる場合、経時的に緩み得る)。状況をさらに複雑化する事例として、股関節ステムインプラントの近年の開発があげられ、股関節ステムインプラントの被覆および非被覆セクションを含む股関節ステムインプラントがもたらされた。
【0013】
したがって、適合を最適化(例えば、最大化)する大腿骨股関節ステムインプラントまたはインプラントの組を提供することは、有益であろう。さらに、その後に移植された大腿骨股関節ステムインプラントの形状および設計により良好に合致する、改善された整形外科用ブローチを提供することは、有益であろう。さらに、近位に被覆された大腿骨股関節ステムインプラントの遠位固定を回避する、または少なくとも最小限に抑える、改善されたブローチに対するニーズは、依然として存在する。本発明は、これらのニーズを満たし、新規かつ自明でない様式で、他の利益および利点を提供する。
【発明の概要】
【0014】
本発明の概要は、以下の発明を実施するための形態でさらに説明される、簡略化された形態で一連の概念を導入するために提供される。本発明の概要は、特許請求された発明の主題の主要な特徴または基本的な特徴を識別することを意図しておらず、特許請求された発明の主題の範囲を決定するための一助としても意図されていない。
【0015】
本開示は、大腿骨股関節ステムインプラントの様々な実施形態を例示および記載する。一部の実施形態では、大腿骨股関節ステムインプラントは、首部領域および細長い挿入領域またはステムを含む。細長い挿入領域またはステムは、近位領域および遠位領域を含む。大腿骨股関節ステムインプラントは、上部分または肩部、肩部から延在する首部、および遠位先端を含む。さらに、大腿骨股関節ステムインプラントはまた、内側面または内側、外側面または外側、前方面または前方側、および後方面または後方側を含む。様々な実施形態では、大腿骨股関節ステムインプラントは、より大きな患者集団内で適合を最適化(例えば、最大化)するために、一つ以上の特徴、幾何学的形状、および/または寸法を含む。
【0016】
さらに、大腿骨股関節ステムインプラントは、外科的アプローチに無関係であるように構成され得る。すなわち、大腿骨股関節ステムインプラントは、外科医が、その選択の任意のアプローチを使用して、大腿骨股関節ステムインプラントを挿入可能にするように構成され得る。例えば、大腿骨股関節ステムインプラントは、直接前方手術アプローチを容易にするために、一つ以上の特徴、幾何学的形状、および/または寸法を含み得る。使用時に、前方アプローチは、患者の股関節の前方側面への最も直接的なアクセスを提供するため、様々な外科医に好まれることが多い。さらに、直接的な前方アプローチは、筋肉の切離を排除する、または少なくとも最小限に抑え、それによって、回復時間の改善を提供する。
【0017】
一部の実施形態では、大腿骨股関節ステムインプラントは、カラーなしのステムとして構成される。あるいは、一部の実施形態では、大腿骨股関節ステムインプラントは、カラーを含む。
【0018】
一部の実施形態では、上部分または肩部は平坦であり得、または実質的に平坦な表面を画定し得る。
【0019】
一部の実施形態では、大腿骨股関節ステムインプラントは、標準的な首部構成により構成され得る。あるいは、一部の実施形態では、大腿骨股関節ステムインプラントは、高オフセット構成により構成され得る。
【0020】
一部の実施形態では、大腿骨股関節ステムインプラントの細長い挿入領域またはステムは、前方-後方のテーパを含み得る。すなわち、一部の実施形態では、インプラントの前方面または前方側と後方面または後方側は、インプラントの中央長手方向軸に向かって内側にテーパ状になる。このように配置された、大腿骨股関節ステムインプラントの遠位領域は、前方-後方のテーパおよび内側-外側のテーパを含み得る。
【0021】
一部の実施形態では、インプラントは、二重テーパ状の前方-後方のテーパ配置を含む。このように配置された、インプラントは、肩部から移行点まで延在する第一の前方-後方のテーパと、移行点から遠位先端に向かって延在する第二の前方-後方のテーパと、を含み、第二の前方-後方のテーパが、第一の前方-後方のテーパとは異なる。
【0022】
一部の実施形態では、システムまたはキットに提供される場合、大腿骨股関節ステムインプラントの長さが増加する際に、前方-後方のテーパは、減少する。
【0023】
一部の実施形態では、股関節ステムインプラントの近位領域の内側は、使用時に髄内管の内面に対してプレス嵌合を提供するように構成された一定の湾曲弧を含む。
【0024】
一部の実施形態では、股関節ステムインプラントの近位領域は、その上に形成された多孔性被覆または粗面または領域(本明細書で互換的に使用される用語)を含み、それによって画定される。このように配置された、インプラントは、多孔性被覆領域および非被覆領域を含み得る。さらに、近位領域は、大腿骨股関節ステムインプラントの前方側および後方側に形成された複数の溝を含み得る。溝は、外側から内側に向かって下向きに角度が付けられ得る(溝はインプラントの長手方向軸に対して、ある角度で延在する)。加えて、溝、少なくとも前方側に形成された溝は、インプラントの縁の周りを包み得、(例えば、溝は、ステムの前方-後方の側面から内側側面までインプラントの内側ブレンド半径の周りを包み得)、その内側に沿って、部分的に延在し得る。
【0025】
本開示の一つ以上の特徴によれば、改善された整形外科用ブローチはまた、開示される。様々な実施形態では、整形外科用ブローチは、例えば、本明細書に記載される大腿骨股関節ステムインプラントなどの、その後に移植された股関節ステムインプラントと共に、システムまたはキットの一部として、またはそれらと動作可能に関連付けられて提供される。使用時に、ブローチは、患者の髄内管内の股関節ステムインプラントの遠位固定を回避する、または少なくとも最小限に抑えるように配置および構成される。さらに、ブローチは、髄内管の作成を最適化するために、股関節ステムインプラントの近位領域を模倣または合致するように配置および構成される近位領域を含み、その結果、所望のプレス嵌合は、股関節ステムインプラントの近位領域と患者の髄内管の内面との間で達成される。
【0026】
一部の実施形態では、ブローチは、差動歯パターンを含む。すなわち、ブローチは、例えば、第一、第二、および第三の歯パターンなどの複数の歯パターンを含み、歯パターンの各々は、他の歯パターンとは異なる、または一意である。使用時に、様々な歯パターンは、特に、近位に形成された多孔性被覆表面および股関節ステムインプラントの近位領域の前方側および後方側に形成された前方-後方の溝に関して、その後に移植された股関節ステムインプラントとの係合の改善を容易にするために、特定の目的を達成するように、すなわち、患者の髄内管内の残りの骨を最適化するように、ブローチ上の特定の位置に配置および構成される。
【0027】
例えば、一つの好ましい実施形態では、ブローチは、遠位領域および近位領域を含む。遠位領域は、その後に移植された股関節ステムインプラントの遠位固定を回避する、または少なくとも最小限に抑えるために、患者の骨を切断または除去するように、抜去歯として配置および構成された第一の歯パターンを含む。つまり、使用時に、ブローチの遠位領域上に形成された第一の歯パターン(例えば、抜去歯)は、その後に移植された股関節ステムインプラントの遠位領域の髄内管内での骨内固定を回避する一方、遠位領域の適切な位置決めを容易にするため、エンベロープを生成するために(例えば、前方-後方の溝および多孔性被覆領域に対応する領域における大腿骨股関節ステムインプラントの近位部分に優先的なプレス嵌合を生成するために、髄内管内の大腿骨股関節ステムインプラントの遠位の側面または領域のプレス嵌合を最小化または回避するエンベロープを作成するために)、それらが接触する任意の骨に貫通およびそれを除去するように配置および構成される。
【0028】
さらに、ブローチの近位領域は、その前方側、後方側、内側、および外側に第二の歯パターンを含む。第二の歯パターンは、患者の骨を除去するのとは対照的に、それを圧縮するように配置および構成される(例えば、圧縮歯は、より大きな粒子の骨を、局所的な骨組織の貫通および高密度化の程度をより大きくして、骨界面に残すように構成される)。さらに、第二の歯パターンは、第二の歯パターンが、その後に移植された股関節ステムインプラントの前方側および後方側に形成された前方溝および後方溝に対して角度付けられるように、水平に配置され得る。さらに、ブローチの近位領域は、股関節ステムインプラントの前方側および後方側と患者の骨との間の界面(皮質/海綿体)に対処するために、その後に移植された股関節ステムインプラントの近位領域の被覆/未被覆セクションを模倣および/または合致するように配置および構成される。すなわち、ブローチの近位領域(例えば、第二および第三の歯パターン)の形状および位置(例えば、寸法)は、その後に移植された股関節ステムインプラントの被覆された近位領域を模倣および/または合致するように配置および構成される。最後に、近位領域は、その前内側、前外側、後内側、および後外側の側面に形成された第三の歯パターンを含み得る。第三の歯パターンは、使用時に、股関節ステムインプラントの対応する領域において最適化または優先的なプレス嵌合を達成するために、より大きな表面密度の前方骨、後方骨、内側骨、および外側骨により、ブローチの「隅」で隣接する骨から離れてプレス嵌合を優先的に達成することを意図した骨の残渣を効果的に除去するために、通過する角度付きの「カット溝」レリーフを備えた水平歯として配置され得る。
【0029】
様々な実施形態では、股関節ステムインプラントと、股関節ステムインプラントを受容するための患者の髄内管を作成するために使用される整形外科用ブローチと、を含むシステムまたはキットが開示される。股関節ステムインプラントは、近位領域、遠位領域、前方側、後方側、内側、および外側を含む。様々な実施形態では、近位領域は、多孔性および/または被覆粗面の前方側および後方側に形成された複数の溝を含む多孔性被覆および/または粗面または領域を含む。溝は、外側から内側に向かって下向きに角度付けられる(溝は、インプラントの長手方向軸に対して、ある角度で延在する)。
【0030】
ブローチは、近位領域、遠位領域、前方側、後方側、内側、および外側を含む。ブローチは、股関節ステムインプラントの外面に実質的に類似したサイズおよび形状を有する外面を含む。ブローチは、その上に形成された差動歯パターンを含む。一つの好ましい実施形態では、ブローチは、抜去歯または切断歯(例えば、ダイヤモンド歯)、圧縮歯(例えば、環状歯)、および近位-外側歯(例えば、不連続の切断部を備えた環状歯)を含む、三つの異なる種類の歯を含む。
【0031】
様々な実施形態では、ブローチの近位領域は、その前方面および後方面に形成された圧縮歯(例えば、それに切り込むまたはそれを除去するのとは対照的に、髄内管の内面に骨を圧縮するように配置および構成された歯)を含む。様々な実施形態では、圧縮歯の位置決めおよびレイアウトは、股関節ステムインプラント上に形成された多孔性被覆および/または粗面領域の構成およびレイアウトを模倣または合致する(例えば、圧縮歯を含むブローチ上に形成された近位領域は、股関節ステムインプラントの近位領域上に形成された多孔性被覆領域の同一の形状および位置(例えば、距離)に実質的に合致または模倣する形状および位置(例えば、寸法)を有する)。さらに、ブローチの前方側および後方側に形成された圧縮歯は、水平に延在するように配置および構成される(例えば、歯は、ブローチの長手方向軸に対して垂直に延在する)。このように配置された、ブローチは、患者の髄内管の内面に水平に平行な隆起を形成するように配置および構成され、隆起が、その後に移植された股関節ステムインプラントの前方側および後方側に形成された溝に対して角度付けられる。
【0032】
一部の実施形態では、圧縮歯は、ブローチの外側から内側まで水平に延在する環状歯として配置および構成される。
【0033】
一部の実施形態では、ブローチの遠位領域は、患者の骨を切断または除去するように配置および構成された第一の組の抜去歯を含む。
【0034】
一部の実施形態では、第一のまたは抜去歯は、ブローチの遠位領域の周りに円周方向に延在する(例えば、第一のまたは抜去歯は、ブローチの遠位領域の前方面、後方面、内面、および外面に形成される)。
【0035】
一部の実施形態では、第一のまたは抜去歯は、ダイヤモンドまたは角錐形状の歯として配置および構成される。
【0036】
一部の実施形態では、ブローチの近位領域の内側および外側は、第三の歯パターンを有する第三の組の歯を含む。第三の組の歯は、抜去歯として配置および構成される(例えば、第三の組の歯は、ブローチの偏在化を防止するため、任意の骨を除去するために、中断された切断部を、内側および外側ブローチの縁部に沿って形成または画定するように構成される)。すなわち、ブローチの近位領域は、その前内側、前外側、後内側、および後外側の側面に形成された第三の歯パターンを有する第三の組の歯を含み得る。使用時に、第三の歯パターンの位置は、前内側および後内側および外側の側面における同一サイズの大腿骨ステムの近位プレス嵌合セクションに対応するように配置および構成される。
【0037】
一部の実施形態では、ブローチは、ブローチがハンドル、整形外科用インパクタなどに結合され得るように配置および構成された接続機構を含む。一部の実施形態では、接続機構は、患者の臼蓋のその後の作成との干渉を防止するための、例えば、空洞またはポケットなどのメス型構成要素である。
【0038】
本開示の実施形態は、多数の利点を提供する。例えば、本開示の特徴、幾何学的形状、および/または寸法に係り、大腿骨股関節ステムインプラントを利用することによって、患者の髄内管との適合の改善が、集団内のより多くの患者に対し予想され得る。加えて、および/または代替的に、その後に移植された大腿骨股関節ステムインプラントと合致および/または模倣するように構成される整形外科用ブローチを含むシステムを提供することによって、ブローチは、特に、股関節ステムインプラントの前方-後方の溝および多孔性被覆近位領域との長期骨成長に関連するように、その後に移植された大腿骨股関節ステムインプラントとの係合の改善を容易にするために、患者の髄内管を作成するように最適化され得る。ブローチは、皮質の遠位および中間体の擦り取りおよび海綿骨の近位圧縮を可能にすることによって、海綿骨を、股関節ステムインプラントのその後の近位および遠位の対向する表面で除去または圧縮可能にする。さらに、ブローチの遠位領域は、中間体のポッティングのリスクなしに、改善された近位係合を可能にするために、股関節ステムインプラントの中間体を通して患者の大腿骨の遠位部分を作成するように構成され得る(例えば、ブローチの遠位領域は、擦り取りまたは掻き取りを介して、患者の大腿骨のわずかに大きい遠位部分を抜去するように構成され得る)。それによって、遠位固定を回避または少なくとも最小化しながら、インプラントの近位領域と患者の作成された骨との間のプレス嵌合係合の改善を容易にする。
【0039】
本発明の実施形態の少なくとも一部のさらなる特徴および利点、ならびに本発明の様々な実施形態の構造および動作を、添付図面を参照して、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
例として、開示される装置の特定の実施形態を、以下の添付図面を参照して、ここで説明する。
【0041】
図1A図1Aは、本開示の一つ以上の特徴、形状、および/または寸法に係る、大腿骨股関節ステムインプラントの実施形態の前面図を示す。
【0042】
図1B図1Bは、図1Aに示す大腿骨股関節ステムインプラントの側面図を示す。
【0043】
図1C図1Cは、図1Cに示す大腿骨股関節ステムインプラントの上面図を示す。
【0044】
図2A図2Aは、本開示の一つ以上の特徴、形状、および/または寸法に係る、大腿骨股関節ステムインプラントの代替的な実施形態の前面図を示す。
【0045】
図2B図2Bは、図2Aに示す大腿骨股関節ステムインプラントの等角図を示す。
【0046】
図2C図2Cは、図2Cに示す大腿骨股関節ステムインプラントの上面図を示す。
【0047】
図3図3は、図1Aに示す大腿骨股関節ステムインプラントの代替的な前面図を示す。
【0048】
図4図4は、図1Aに示す大腿骨股関節ステムインプラントの代替的な前面図を示す。
【0049】
図5図5は、図1Aに示す大腿骨股関節ステムインプラントの側面図を示す。
【0050】
図6A図6Aは、図1Aに示す大腿骨股関節ステムインプラントの前面図を示す。
【0051】
図6B図6Bは、図6Aに示し、線VIB-VIBに沿って切り取られた、大腿骨股関節ステムインプラントの断面図を示す。
【0052】
図7図7は、本開示の一つ以上の特徴に係る、大腿骨股関節ステムインプラントの代替的な実施形態の斜視図を示し、インプラントが、改善された骨の内方成長のための多孔性被覆表面およびマクロ溝を備えて示される。
【0053】
図8A図8A図8B図8C図8Dおよび図8Eは、本開示の一つ以上の特徴、形状、および/または寸法に係る、大腿骨股関節ステムインプラントの代替的な実施形態の様々な図を示し、図8A図8B図8Cおよび図8Dが、大腿骨股関節ステムインプラントのカラーなしのバージョンを示し、図8Eが、大腿骨股関節ステムインプラントのカラー付きのバージョンを示す。
図8B】同上。
図8C】同上。
図8D】同上。
図8E】同上。
【0054】
図9図9は、患者の骨の髄内管により移植された図8A図8B図8C図8Dおよび図8Eの大腿骨股関節ステムインプラントの内側-外側の断面図を示す。
【0055】
図10図10は、患者の骨の髄内管により移植された図8A図8B図8C図8Dおよび図8Eの大腿骨股関節ステムインプラントの前方-後方の断面図を示す。
【0056】
図11図11は、図8A図8B図8C図8Dおよび図8Eの大腿骨股関節ステムインプラントの代替的な斜視図を示す。
【0057】
図12A図12A図12B図12C図12D図12Eおよび図12Fは、本開示の一つ以上の特徴に係る、様々な断面積に沿って患者の骨の髄内管により移植された、図8A図8B図8C図8Dおよび図8Eの大腿骨股関節ステムインプラントの適合を示す。
図12B】同上。
図12C】同上。
図12D】同上。
図12E】同上。
図12F】同上。
【0058】
図13図13は、本開示の一つ以上の特徴に係り、使用され得る整形外科用ブローチの実施形態の実施例の側面図である。
【0059】
図14図14は、患者の骨の髄内管内に位置決めされた図13に示す整形外科用ブローチの斜視図であり、整形外科用ブローチが、大腿骨股関節ステムインプラント(図8A図8B図8C図8Dおよび図8E)の上部に重ね合わされ、これはまた、患者の骨の髄内管内に位置決めされて示される。
【0060】
図15図15は、患者の骨の髄内管内に位置決めされた、図13に示す整形外科用ブローチの遠位領域の詳細な斜視図である。
【0061】
図16A図16A図16B図16C図16Dおよび図16Eは、図13に示す整形外科用ブローチの近位領域の詳細図であり、図16A図16B図16C図16Dおよび図16Eが、第三の歯パターンを有する歯の構成およびレイアウトを示す。
図16B】同上。
図16C】同上。
図16D】同上。
図16E】同上。
【0062】
図17図17は、図13に示す整形外科用ブローチの近位領域の代替的な詳細図を示す。
【0063】
図18A図18Aおよび図18Bは、本開示の一つ以上の特徴に係る、整形外科用ブローチの代替的な実施形態の様々な図を示す。
図18B】同上。
【0064】
図面は、必ずしも縮尺どおりではない。図面は、単なる表示であって、本開示の特定のパラメータを表現することを意図するものではない。図面は、本開示の様々な実施形態を示すことを意図しており、したがって、範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面では、同様の番号は、同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
ここで、整形外科用インプラント、器具、および対応するシステムの様々な特徴または類似のものを、整形外科用インプラント、器具、および対応するシステムの一つ以上の特徴が示され、説明される添付図面を参照して、以下でより完全に説明する。一部の実施形態では、大腿骨股関節ステムインプラント、股関節ステムインプラント、大腿骨インプラント、インプラントなどの様々な特徴、幾何学的形状、および/または寸法(限定または区別する意図なしに、本明細書で互換的に使用される用語)、または大腿骨股関節ステムインプラントの組を、大腿骨股関節ステムインプラントの一つ以上の特徴、幾何学的形状、および/または寸法が示され、説明される添付図面を参照して、本明細書でより完全に説明する。加えて、および/または代替的に、例えば、整形外科用ブローチなどの整形外科用器具の様々な特徴または類似のものを、ブローチの一つ以上の特徴が示され説明される添付図面を参照して、本明細書でより完全に説明する。大腿骨股関節ステムインプラントおよび整形外科用ブローチの様々な特徴が、互いに独立して使用され得、組み合わせて使用され得ることは、理解される。本明細書に開示される大腿骨股関節ステムインプラントおよび/またはブローチが、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載される一つ以上の特徴、幾何学的形状、および/または寸法を選択的に含み得ることは、理解されよう。そのため、大腿骨股関節ステムインプラントおよび/またはブローチは、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、特定の特徴、幾何学的形状、および/または寸法を当業者に伝達するように、提供される。
【0066】
本明細書でより詳細に説明するように、本開示の一つ以上の特徴、幾何学的形状、および/または寸法に係り、大腿骨股関節ステムインプラントは、大腿骨の近位端に隣接する患者の大腿骨の髄内管内に移植されるように配置および構成される。使用時に、大腿骨股関節ステムインプラントは、より大きな患者集団内で適合を最適化(例えば、最大化)するために、一つ以上の特徴、幾何学的形状、および/または寸法を含む。さらに、大腿骨股関節ステムインプラントは、患者の大腿骨の髄内管内の短期および長期の固定を確実に改善するように配置および構成された一つ以上の特徴を含む。
【0067】
加えて、および/または代替的に、本開示の一つ以上の特徴によれば、例えば、大腿骨股関節ステムインプラントなどの、その後に移植された整形外科用インプラントとの係合の改善を容易にするために、患者の骨の除去および/または作成を最適化するように配置および構成された整形外科用ブローチが、示され、説明される。
【0068】
一部の実施形態では、整形外科用ブローチは、差動歯パターンを有する本体を含む。すなわち、一部の実施形態では、ブローチは、患者の骨を作成するように配置および構成された異なる歯パターンを含む。例えば、一部の実施形態では、ブローチは、第一、第二、および第三の異なる歯パターンを含む。使用時に、本明細書でより詳細に説明されるように、ブローチは、近位領域および遠位領域を含む。さらに、ブローチは、内側および外側、ならびに前方側および後方側を含む。一部の実施形態では、遠位領域は、前方-後方の溝および多孔性被覆領域に対応する領域において大腿骨股関節ステムインプラントの近位部分に優先的なプレス嵌合を生成するために、その後の股関節ステムインプラントの挿入をより簡便に容易にし、髄内管内の大腿骨股関節ステムインプラントの遠位側頭領域のプレス嵌合を最小化または回避するエンベロープを作成するために、髄内管にリーマーで孔を広げることを最適化するように配置および構成されたダイヤモンド形状の歯(例えば、ブローチの先導遠位端が接触する任意の骨を除去するように配置および構成されたダイヤモンド形状の歯)などの抜去歯を含む。
【0069】
さらに、ブローチの近位領域の前方側、後方側、内側、および外側は、股関節ステムインプラント上に形成された前方溝および後方溝、ならびに/または股関節ステムインプラント上に形成された多孔性被覆および/または粗面との係合を最適化するために、患者の髄内管の対応する内面を圧縮および/またはならす(患者の骨を除去または抜去するのとは対照的に)ように配置および構成された第二の歯パターンを含む。さらに、ブローチの内側および外側(例えば、前内側、前外側、後内側、および後外側の側面)は、クリアランスの改善を促進するため、および/または偏在化を防止するために、患者の髄内管の任意の骨を抜去するように配置および構成された第三の歯パターンを含む。
【0070】
本開示の一つ以上の特徴によれば、一つ以上の大腿骨股関節ステムインプラントおよび一つ以上の整形外科用ブローチを含むシステムおよび/またはキットが提供され、整形外科用ブローチは、大腿骨股関節ステムインプラントに合致される。すなわち、本開示の一つ以上の特徴によれば、その上に形成された圧縮歯を含むブローチ上に形成された近位領域は、股関節ステムインプラントの近位領域上に形成された多孔性被覆および/または粗面領域の形状および位置(例えば、寸法)と実質的に合致する、またはそれらを模倣する形状および位置(例えば、寸法)を有する。このように配置された、ブローチの近位領域は、股関節ステムインプラントの多孔性被覆および/または粗面領域を模倣するまたは合致する(例えば、圧縮歯のブローチ上の配置は、骨成長の改善を容易にすることによって、長期安定性の改善を容易にするために、股関節ステムインプラント上の多孔性被覆および/または粗面領域の配置を模倣するまたは合致する)。
【0071】
図1A図1Bおよび図1Cに示すように、本開示の一つ以上の特徴に係る整形外科用大腿骨股関節インプラント100の実施形態を示す。記載のように、大腿骨股関節インプラント100は、首部領域110および細長い挿入領域またはステム120を含む。首部領域110は、首部112を含む。図示のように、大腿骨股関節インプラント100が、カラーなしのステムとして配置され得るが、図2A図2Bおよび図2Cに示すように、大腿骨股関節インプラント100は、カラー200を含み得る。
【0072】
当業者によって理解されるように、使用時に、患者の大腿骨は、例えば、近位大腿骨を切除し、患者の大腿骨内の髄内管にブローチで穿孔することによって、大腿骨股関節インプラント100の移植のために最初に作成される。その後、大腿骨股関節インプラント100は、作成された大腿骨の髄内管に挿入される。使用時に、細長い挿入領域120は、大腿骨股関節インプラント100の挿入を容易にし得、またはそうでなければ、大腿骨股関節インプラント100を骨の解剖学的構造と関連付け得る。例えば、一部の実施形態では、細長い挿入領域120は、骨の解剖学的構造の作成されたまたは自然の髄内管に少なくとも部分的に挿入され得る。
【0073】
本明細書に記載される様々な実施形態では、大腿骨股関節インプラント100は、より大きい患者集団内での適合を最適化(例えば、最大化)するために、一つ以上の特徴、幾何学的形状、および/または寸法を含む。さらに、大腿骨股関節インプラント100は、患者の大腿骨の髄内管との短期および長期の固定の改善を確実にするように配置および構成された一つ以上の特徴を含む。さらに、一部の実施形態では、大腿骨股関節インプラント100は、直接前方手術アプローチを容易にするために、一つ以上の特徴、幾何学的形状、および/または寸法を含み得る。使用時に、前方アプローチは、患者の股関節の前方側面への最も直接的なアクセスを提供するため、様々な外科医に好まれることが多い。いずれの場合でも、使用時に、大腿骨股関節インプラント100は、利用される外科手術アプローチに関係なく(例えば、インプラントは、使用される外科手術アプローチに対して無関係である)、より大きな患者集団内での適合を最適化(例えば、最大化)するように配置および構成される。
【0074】
図1A図1Bおよび図1Cに示すように、大腿骨股関節インプラント100は、上部分または肩部130および遠位先端または端部132を含む。図示のように、上部分または肩部130は、平坦であり得、または実質的に平坦な表面を画定し得る。図3および図4を追加的に参照すると、大腿骨股関節インプラント100は、遠位先端または端部132から切除レベルまたは平面Rpまで測定されるように、上位-下位の長さLを含み得る。例えば、一部の実施形態では、大腿骨股関節インプラントのキットが提供され得ることは想定される。一部の実施形態では、キットが、93mm~117mmの範囲の可変長さLを含む様々な特徴を有する合計13個の大腿骨股関節インプラントを含み得るが、これは一つの構成に過ぎず、キットが、より多くのまたはより少ない数のインプラントを有し得、インプラントが、より長いおよび/またはより短い長さを有することは、理解されるべきである。
【0075】
様々な実施形態では、切除平面Rpが、肩部130から18mm~23mmの距離(例えば、切除平面Rpと、図6AのRp1が示すインプラント100の内側または表面150との交差)離れて位置決めされ得るが、これは一つの構成に過ぎず、他の寸法も想定される。使用時に、当業者によって容易に理解されるように、切除平面Rpは、大腿骨股関節インプラント100が患者の大腿骨の髄内管内に移植される場合、近位大腿骨切除平面が内側面または内側150に交差する骨切り術点または平面にほぼ対応する。
【0076】
一部の実施形態では、首部112は、細長い挿入領域またはステム120の中央長手方向軸と首部112の中央長手方向軸との間で測定される角度αを有し得る。一部の実施形態では、角度αは、およそ125~135度であり得る。一つの好ましい実施形態では、角度αが、131度であり得るが、他の角度も想定される。
【0077】
使用時に、首部112は、標準構成および高オフセット構成で提供され得る。様々な実施形態では、首部112は、標準的な構成では、32mm~44mmの首部オフセットN、27.9mm~35.5mmの首部長さN、および26mm~33mmの首部高さNを含み得る。様々な実施形態では、首部112は、高オフセット構成では、38mm~52mmの首部オフセットN、31.7mm~40.5mmの首部長さN、および26mm~33mmの首部高さNを含み得る。これらが、利用可能な構成のうちのほんの数例であるものの、他の寸法も想定される。
【0078】
引き続き図を参照すると、大腿骨股関節インプラント100はまた、内側面または内側150、外側面または外側160、前方面または前方側170、および後方面または後方側180を含む。
【0079】
図5図6Aおよび図6Bを参照すると、肩部130が、前方面または前方側170と後方面または後方側180との間で測定した場合、12mm~24.0mmの幅W(例えば、大腿骨股関節インプラント100の最大幅)を有し得るが、これは、一つの構成に過ぎず、他の寸法も想定される。さらに、図1Bおよび図5を参照すると、断面が、1.0度~10.0度のAPテーパを含み得るが、これは、一つの構成に過ぎず、他の寸法も想定される。
【0080】
図示のように、一部の実施形態では、外側面または外側160は、近位領域162および遠位領域164を含む。近位領域162の外側面または外側160は、上部分または肩部130の外側端部分から遠位領域164の近位端まで遠位に延在する。図示のように、外側面または外側160は、近位領域162の内側面または内側150から離れてテーパ状であり得る。一方、遠位領域164では、外側面または外側160は、内側面または内側150に向かってテーパ状であり得る。このように配置された、外側面または外側160は、頂点または外側フレアLを画定し得る。図3および図4を参照すると、外側面または外側160の近位領域162は、9~12度のフレア角βを画定し得る。頂点または外側フレアLが、肩部130の外側端から8.3mm~13.7mm離れた水平距離、および切除平面Rpから12mm~24mm離れた垂直距離に位置決めされ得るが、これらは、一つの構成に過ぎず、他の寸法も想定される。使用時に、頂点または外側フレアLは、逐次的にサイズ設定されたインプラント間の可変距離で位置決めされ得る。例えば、一部の実施形態では、大腿骨股関節インプラントの長さが増加する際に、肩部130の外側端と頂点またはフレアLとの間の距離は、非比例的に増加し得る。例えば、キット内の一組の逐次的にサイズ設定されたインプラント間の距離が、0.4mm増加し得る一方、キット内の他の組の逐次的にサイズ設定されたインプラント間の距離は、0.5mmまたは0.8mm増加し得るが、これらは、一つの構成に過ぎず、他の寸法も想定される。
【0081】
内側面または内側150はまた、近位領域152および遠位領域154を含み得る。使用時に、近位領域152は、一般的に、骨幹に対応し得、遠位領域154は、大腿骨股関節インプラント100が患者の大腿骨の髄内管に移植される場合、一般的に、骨幹に対応し得る。
【0082】
図示のように、内側面または内側150の近位領域152は、内側弧または湾曲部Mを含み得る。図示のように、様々な実施形態では、内側弧または湾曲部Mが、一定の曲率半径であり得るが、これは必要ではない。内側面または内側150の遠位領域154は、外側面または外側160に向かってテーパ状であり得る。このように配置された、大腿骨股関節インプラント100の細長い挿入領域またはステム120は、切除平面Rpで、内側面または内側150と外側面または外側160との間の最大の内側-外側サイズまたは幅(「ML幅」)を含み得る(図4)。使用時に、ML幅は、逐次的にサイズ設定されたインプラント間の可変距離でサイズ設定され得る。例えば、一部の実施形態では、大腿骨股関節インプラントの長さが増加する際に、ML幅は、非比例的に増加し得る。例えば、キット内の一組の逐次的にサイズ設定されたインプラント間のML幅が、1.0mm増加し得る一方、キット内の他の逐次的にサイズ設定されたインプラント間のML幅は、0.8mm、0.9mm、1.2mmなどで増加し得る。これは、ただ一つの構成に過ぎないものの、他の寸法も想定される。
【0083】
図1Bおよび図5を参照すると、大腿骨股関節インプラント100の細長い挿入領域またはステム120は、前方-後方の近位領域172および前方-後方の遠位領域174を含み得る。図示のように、細長い挿入領域またはステム120は、前方面または前方側170と後方面または後方側180との間の最大前方-後方サイズまたは深さ(「AP深さ」)を含み得る。さらに、大腿骨股関節インプラント100は、前方-後方のテーパ(「APテーパ」)を含み得る。このように配置され、一部の実施形態では、一般的に示すように、細長い挿入領域またはステム120は、前方-後方の幅ならびに内側-外側の幅の両方でテーパを含み得る。他の実施形態では、細長い挿入領域またはステムは、前方-後方のおよび内側-外側の幅の一方または両方でテーパ状ではない。
【0084】
図示のように、前方-後方の遠位領域174は、APテーパを含み得る。一部の実施形態では、本開示の一つ以上の特徴によれば、従来から公知の従来技術の大腿骨股関節インプラントとは対照的に、大腿骨股関節インプラントの長さが増加する際に、APテーパは、減少する。そのため、本開示に係る、より長い長さの大腿骨股関節インプラント100は、より浅い外形を有する。あるいは、一部の実施形態では、APテーパは、大腿骨股関節インプラントの長さが増加する際に、増加し得る。しかしながら、本開示の一つ以上の特徴によれば、従来から公知の従来技術の大腿骨股関節インプラントとは対照的に、APテーパは、大腿骨股関節インプラントの長さが増加する際に、逐次的に増加しない場合がある。すなわち、大腿骨股関節インプラントの長さが増加する際に、APテーパは、非比例的に増加し得る。例えば、一部の実施形態では、大腿骨股関節インプラントは、3.5度~6.5度のAPテーパを有し得る。しかしながら、インプラントの長さが増加する際に、キット内の一組の逐次的にサイズ設定されたインプラント間のAPテーパが、0.15度増加し得る一方、キット内の他の逐次的にサイズ設定されたインプラント間のAPテーパは、0.20度または0.25度増加し得る。これらが、利用可能な構成のうちのほんの数例であるものの、他の寸法も想定される。
【0085】
様々な実施形態では、大腿骨股関節インプラント100は、追加の骨の内方成長および/または固定のためにそれに当てられる多孔性被覆および/または粗面125(図7)(本明細書で互換的に使用される用語)を含み得る。一部の実施形態では、多孔性被覆125は、大腿骨股関節インプラント100の表面に面する骨に印刷、噴霧、または焼結され得る。例えば、多孔性被覆125は、大腿骨股関節インプラントの表面に面する骨の上にチタン、コバルトクロム、ジルコニウム、酸化ジルコニウム、またはステンレス鋼をプラズマ噴霧することによって、形成され得る。あるいは、多孔性被覆125は、骨の内方成長を改善するために、当技術分野で公知のヒドロキシアパタイトまたは他の類似の被覆であり得る。一部の実施形態では、大腿骨股関節ステムインプラント全体を被覆することができる。あるいは、インプラントのセクションのみが、以下でより詳細に説明されるように、被覆され得る。加えて、および/または代替的に、大腿骨インプラント100は、骨の内方成長の改善を容易にするために、一つ以上の粗面を含み得る。例えば、図7を参照すると、大腿骨股関節ステムインプラント100、またはその少なくとも部分は、一つ以上のマクロ溝126を含み得る。図示のように、溝126は、インプラント100の前方面または前方側170と後方面または後方側180内に形成され得る。
【0086】
図8A図8B図8C図8D図8E図9図10および図11を参照すると、大腿骨股関節インプラント300の代替的な実施形態が開示される。図示のように、大腿骨股関節インプラント300は、近位領域310および遠位領域330を含む。さらに、大腿骨股関節インプラント300は、前方面または前方側302(限定または区別する意図なしに、本明細書で互換的に使用される用語)、前方側302の反対側の後方側304、内側306、および外側308を含む。様々な実施形態では、近位領域310が、例えば、チタンプラズマ噴霧多孔性被覆などの多孔性被覆および/または粗面または領域320を含むが、現在既知または今後開発される任意の好適な多孔性被覆は、本明細書に前述したものを含むように使用され得る。
【0087】
さらに、多孔性被覆領域320内で、インプラント300の前方側302および後方側304は、患者の残りの骨との係合の改善を容易にするために、その中に形成された溝325を含む。図示のように、一部の実施形態では、溝325が、外側308から内側306に向かって下向きに角度付けられるが、溝が上向きに角度付けされ得ることは、想定される(例えば、前方側302および後方側304上に形成された溝325は、インプラント300の中央長手方向軸に対して角度付けられる)。一部の実施形態では、本開示の一つ以上の特徴によれば、溝325は、大腿骨股関節インプラント300の内側306の少なくとも一部分まで、およびそれに沿って延在し得る。すなわち、図8A図8B図8C図8Dおよび図8Eに示すように、溝325は、インプラント300の縁の周りを包む(例えば、溝325は、前方-後方の側面または領域からステムの内側の側面または領域までインプラント300の内側のブレンド半径の周りを包み得る)。例えば、溝325は、前方側302および内側306によって形成された縁の周りを包む。このように配置された、溝325を前方側302から内側306まで包ませる、または延在させることによって、皮質骨との係合の改善が見出されている(例えば、溝325は、ブローチ穿孔プロセスの終了時に患者の残りの骨とより良好に反応し、それによって、長期安定性の改善をもたらす)。
【0088】
さらに、図9を参照すると、前述のように、一部の実施形態では、少なくとも近位領域310内のインプラント300の内側306は、一定の半径または湾曲弧Mを含む。すなわち、図11を追加的に参照して、当業者によって容易に理解されるように、インプラント300は、切除平面Rp、中間体平面MBp、および4分の3の遠位平面Dpを有すると言われ得る。好ましい実施形態では、インプラント300の近位領域310の内側306は、一定の湾曲弧Mを含む。このように配置された、インプラント300は、使用時に、ブローチ穿孔プロセスから残っている患者の骨との改善されたプレス嵌合を提供するように構成される。さらに、溝325を前方側302から内側306まで包ませることと組み合わせる場合、内側弧に沿った成長の改善が見出された。使用時に、溝325は、短期的に大腿骨ステムの沈降に対する抵抗を改善し得、追加の軸方向支持の可能性を提供し得る。長期の骨の内方成長は、ステムを支持することを意図する複数のステップを提供することによって、軸方向安定性を改善し得る。一部の実施形態では、図9を参照すると、一定の湾曲弧Mは、切除平面Rpから移行点MA1まで延在する。一部の実施形態では、一定の湾曲弧Mが、100mm~150mmであり得るが、これは、一つの構成に過ぎず、他の寸法も想定される。一部の実施形態では、移行点MA1は、肩部331から遠位先端340まで測定される、ステム全長の35パーセント~40パーセントの距離であり得る。
【0089】
さらに、一部の実施形態では、インプラント300は、使用時に、患者の骨Bの髄内管IM内に位置決めされる場合、患者のより小さな転子の下に位置決めされたインプラント300の外側308の一部分が、ブローチ穿孔プロセスから残っている患者の骨とのプレス嵌合を提供するように配置および構成されるように、最適化される(図12Aおよび図12B)。
【0090】
さらに、図10を参照すると、一部の実施形態では、インプラント300は、二重テーパ状のAPテーパを含み得る。すなわち、前述のように、インプラント300は、肩部331から遠位先端340に向かって延在するAPテーパを含み得る。図示のように、一部の実施形態では、インプラント300は、インプラント300の遠位領域330内の遠位先端340に隣接する、または近接する第二のAPテーパを組み込み得、第二のAPテーパは、第一のAPテーパとは異なる。すなわち、図10の実施形態に示すように、インプラント300は、第一および第二のAPテーパを含み得、第一のAPテーパが、肩部331から遠位先端340に向かって延在する。第一のAPテーパは、移行点(Tp)で終端する。その後、インプラント300は、移行点(Tp)から遠位先端340まで延在する第二の代替的なAPテーパを含み得る。すなわち、一部の実施形態では、前方側302および後方側304は各々、インプラント300の中央長手方向軸に向かって内側にテーパ状になる(例えば、前方側302および後方側304は各々、インプラント300の遠位先端340に向かって進行するにつれて、互いに向かってテーパ状になる)。一部の実施形態では、図示のように、APテーパは、対称である(例えば、前方側302のテーパは、後方側304のテーパと同一である)。一部の実施形態では、APテーパは、約3.5度~6.5度の角度で構成され得る。しかしながら、移行点(Tp)では、APテーパは、移行または変更し得る。一つの好ましい実施形態では、遠位先端340に近接するAPテーパは、APテーパが約4.5度~7.5度の角度で構成され得るように、一度変化し得る。これらは、ただ一つの構成に過ぎないものの、他の寸法も想定される。この配置では、遠位先端340に近接するAPテーパは、インプラント300の遠位領域330に、より顕著なV字形状の構成を与える。さらに、インプラント300の遠位先端340は、図10に示すように、移植の間に、遠位先端の患者の皮質骨との衝突を回避するように配置および構成される。これにより、ステムが髄内管内に完全に着座可能になり、早期の先端の衝突を回避することによって、髄内管のより良好な充填が提供され得る。一部の実施形態では、移行点(Tp)は、肩部331から遠位先端340まで測定されるように、股関節ステムインプラントの全長の15パーセント~25パーセントの点に位置決めされ得る。一部の実施形態では、移行点(Tp)は、遠位先端340からおよそ18mm~35mmに位置決めされた点に位置決めされ得る。
【0091】
さらに、引き続き図10を参照すると、APテーパを提供することによって、インプラント300は、その前方側302および後方側304に沿ってブローチ穿孔プロセスから残っている患者の骨Bを、点接触Cpに提供するように構成される。例えば、図示のように、インプラント300は、その前方側302および後方側304に沿ってブローチ穿孔プロセスから残っている患者の骨Bを、三つの接触点Cpに提供するように構成され得る。第一の接触点CPは、切除平面Rpでインプラント300の後方側304と患者の骨Bとの間に、第二の接触点CPは、中間体平面MBpでインプラント300の前方側302と患者の骨Bとの間に、第三の接触点CPは、インプラント300の後方側304と、遠位APテーパの領域における4分の3の遠位平面Dpの遠位にある患者の骨Bとの間に、提供され得る。
【0092】
このように配置され、本開示の様々な特徴(例えば、内側-外側プレス嵌合および前方-後方の接触点)を組み合わせることによって、患者の骨Bの髄内管IM内のインプラント300の最適化された配置および係合が見出された。すなわち、インプラント300と患者の骨Bとの間の改善された適合は、挿入アプローチおよび/または患者の大腿骨タイプに関係なく、見出された。
【0093】
一部の実施形態では、インプラント300はまた、内側306から延在するカラー350(図9)を含み得る。一つの好ましい実施形態では、カラー350は、前方側302および後方側304の周りを包まない。カラー350を前方側302および後方側304の周りで包ませないことによって、インプラント300は、必要に応じて、復帰手術中により簡単に除去されることが見出された。あるいは、インプラント300は、現在既知または今後開発される任意のカラー構成を含み得、またはカラーなしのインプラントとして構成され得る。
【0094】
本明細書に記載されるように、本開示の一つ以上の特徴によれば、患者の骨Bの髄内管IM内に最適化された適合で配置および構成された大腿骨股関節インプラント300が記載される。本開示の特徴によれば、インプラント300は、特に、複数の異なるサイズのインプラントを含むキット内に提供され得、それによって、外科手術が、患者の骨B用に最適に適合するインプラントを選択可能にする。あるいは、インプラント300は、患者固有であり得る(例えば、患者の骨のスキャンを利用して、インプラント300は、患者のために特別に設計および製造され得る)。
【0095】
いずれの場合でも、図12A図12B図12C図12D図12Eおよび図12Fを参照すると、一部の実施形態では、インプラント300は、CTスキャンなどのスキャンを、患者固有のインプラントが製造されている場合、患者集団にわたってまたは個々の患者に対して利用することによって、設計および構成され得る。その後、患者固有のスキャンは、撮影され得、その後、これらのスキャンは、評価され得、選択されたインプラント300の外面と患者の骨Bの髄内管IMの内面との間の隙間または空間を決定する。本開示の特徴によれば、隙間または空間は、例えば、切除平面Rp、中体平面MBp、および遠位平面Dpなどの、文献内で容易に定義された、患者の骨Bの特定の断面に沿って、内側-外側の方向および前方-後方の方向の両方で評価される。このように構成された、髄内管およびインプラント300の総断面積は、考慮され、これは、内側-外側の適合のみを強調する傾向がある従来の方法論(例えば、大腿骨内の三次元適合の理解なしに、前方-後方のおよび外側の放射線写真における適合を観察する二次元テンプレート研究)とは対照的である。
【0096】
好ましい実施形態では、インプラント300は、沈降の可能性を低減し、緩みを回避するために、断面積が特定の割合の患者の髄内管IMを充填するように配置および構成される。好ましい実施形態では、充填比または充填率は、以下のように最良に特徴付けられ得る。
【0097】
【数1】
【0098】
本明細書で使用する、海綿骨(SVC)の容積は、その密度が皮質骨よりも弁別可能に低い大腿骨の容積である。海綿骨の減算された容積は、ブローチ穿孔プロセスを通して、髄間管から除去された骨の容積を表す。ブローチの容積が、より高密度の皮質骨に過度に突出する場合、海綿骨の容積は、ブローチおよびステムの容積よりも小さく、その比は、1よりも小さくなる。
【0099】
使用時に、インプラント300は、三次元(3D)断面積が最大割合の患者の髄内管IMを、患者の皮質骨との干渉が最小量となるよう充填するように配置および構成される。除去を必要とする皮質骨の量を最小化することによって、インプラント300と皮質骨Bとの間の良好な適合をいまだに確保しながら、挿入が容易に提供される。一部の実施形態では、SFEは、0.90≦SFE≦0.995であり得る。
【0100】
例えば、一部の実施形態では、患者の骨BのCTスキャンは、確立された文献内の当該技術分野で定義された確立される断面積に基づいて選択され得る、様々な断面積に沿って採取され得る。患者の髄内管IMの容積は、スキャンを使用して、測定または計算され得る。その後、最適化された(例えば、最良に適合する)インプラント300は、選択され得る。あるいは、患者固有のインプラントの場合、インプラント300は、例えば、三次元印刷技術を介して、設計および製造され得る。いずれの場合でも、患者の髄内管IMの容積に基づく最適化されたインプラント300は、選択され、移植され得る。すなわち、患者の髄内管IMへの挿入のために最適化されたインプラント300を選択する際、インプラント300は、内側-外側の方向および前方-後方の方向の両方で評価および/または最適化される(例えば、充填比が増加したインプラント300が、患者の髄内管IM内のインプラント300の長期安定性の改善を確実にする一方、ブローチ穿孔プロセス中に過剰な骨除去を回避することをもたらす)。
【0101】
このように配置された、大腿骨股関節インプラント300は、ブローチ穿孔プロセス中に除去する必要のある皮質骨の量を回避または少なくとも最小化しながら、患者の髄内管IM内への適合を最適化するように選択され得る。
【0102】
図13図14図15図16A図16B図16C図16D図16Eおよび図17を参照すると、本開示の一つ以上の特徴に係る整形外科用ブローチ400の実施形態が示される。使用時に、当業者によって容易に理解されるように、整形外科用ブローチ400は、例えば、図8A図8B図8C図8Dおよび図8Eに示す股関節インプラント300などの整形外科用インプラントを受容するために、患者の大腿骨のためなど、患者の骨Bの髄内管IMを作成するために利用され得る。
【0103】
前述したように、股関節ステムインプラント300は、近位領域310および遠位領域330を含み得る。さらに、股関節ステムインプラント300は、前方側302、後方側304、内側306、および外側308を含む。図示のように、様々な実施形態では、近位領域310は、多孔性被覆および/または粗面または領域320(本明細書で互換的に使用される用語)を含み、それらによって画定される。さらに、多孔性被覆領域320内で、前方側302および後方側304は、ブローチ穿孔プロセス後の患者の残りの骨との係合の改善を容易にするために、その中に形成された溝325を含む。図示のように、一部の実施形態では、溝325は、外側308から内側306に向かって、インプラント300の前方側302および後方側304に沿って角度付けられる(例えば、下向きに角度付けられる)。一部の実施形態では、本開示の一つ以上の特徴によれば、溝325は、股関節ステムインプラント300の内側306の少なくとも一部分まで、かつそれに沿って延在し得る。
【0104】
記載のように、本開示の一つ以上の特徴によれば、ブローチ400は、近位領域410および遠位領域430を有する本体401を含む。さらに、本体401は、当業者によって理解されるように、前方側402、後方側404、内側406、および外側408を含み、前方側402および後方側404は、内側406と外側408との間に延在する。図示のように、使用時に、本体401は、股関節ステムインプラント300に実質的に類似したサイズおよび形状を有する外面を含む。以下でより詳細に説明するように、本開示の一つ以上の特徴によれば、ブローチ400は、差動歯パターンを含む。一つの好ましい実施形態では、ブローチ400は、抜去歯または切断歯(例えば、ダイヤモンド歯)、圧縮歯(例えば、環状歯)、および近位-外側歯(例えば、中断された切断部を備えたチップブレーカーまたは環状歯)を含む、三つの異なる種類の歯を含む。
【0105】
図18Aおよび図18Bに示すように、様々な実施形態では、本体401は、ブローチ400がハンドル、整形外科用インパクタなどに結合可能になるように配置および構成された接続機構475を含む。一部の実施形態では、接続機構475は、空洞、ポケットなどの形態で提供され得る。このように配置された、ブローチ400は、使用時に、患者の寛骨臼の作成に干渉しない。すなわち、使用時に、患者の大腿骨が切除され、髄内管がブローチ穿孔された後、ポストとは対照的にポケットまたは空洞を含むブローチを利用することによって、外科医は、患者の寛骨臼を作成するためのより多くの空間または改善されたアクセスを有する(例えば、ポケットまたは空洞を利用することによって、外科医が患者の寛骨臼を作成するのを妨げるポストはない)。あるいは、接続機構475は、ポストの形態で提供され得る。
【0106】
図示のように、一部の実施形態では、および前述のように、遠位領域430は、第一の歯パターンを有する歯432を含む。近位領域410は、第二の歯パターンを有する歯412と、第三の歯パターンを有する歯414と、を含む。図示のように、第二の歯パターンを有する歯412が、前方側402、後方側404、内側406、および外側408に位置決めされ得る一方、第三の歯パターンを有する歯414は、内側面406および外側面408上または隣接して位置決めされる(例えば、第三の歯パターンを有する歯414は、前方側402および後方側404と内側406および外側408との間の隅、縁部、または交点に沿って位置決めされる)。すなわち、近位領域410は、その前内側、前外側、後内側、および後外側の側面に形成された第三の歯パターンを有する歯414を含み得る。
【0107】
よって、本明細書でより詳細に説明するように、使用時に、第一、第二、および第三の歯パターンの各々は、その位置に応じて、作成された骨とその後に移植された股関節ステムインプラント300との係合の改善および/または股関節ステムインプラント300の移植を最適化するように、特に配置および構成される。
【0108】
図13図14および図15を参照すると、図示のように、遠位領域430は、遠位先端440で終端し得る。図示のように、一部の実施形態では、ブローチ400の遠位領域430上に形成された歯432は、その周り全体に延在し得る(例えば、歯432は、そのすべての側面で遠位領域430の周りに円周方向に延在し得る)。すなわち、歯432は、ブローチ400の遠位領域430の前方側402、後方側404、内側406、および外側408に位置決めされ得るが、これは、一つの構成に過ぎず、他の構成も想定される。図示のように、一部の実施形態では、遠位先端440は、任意の歯を欠き得る。このように配置され、ブローチ穿孔中の、遠位先端440による患者の皮質の穿孔は、最小化される。
【0109】
さらに、一部の実施形態では、歯432は、以下でより詳細に説明するように、第二および第三の歯パターンとは異なる第一の歯パターンで配置および構成され得る。好ましい実施形態では、歯432、または第一の歯パターンは、挿入時に、患者の骨Bの改善された遠位切断を提供するように配置および構成された角錐またはダイヤモンド形状の歯である。このように配置された、ブローチ400の遠位領域430上に形成された第一の歯パターン(例えば、抜去歯432)は、使用時に、その後に移植された股関節ステムインプラント300の遠位領域330の適切な位置付けを容易にする一方、その後に移植された股関節ステムインプラント300の遠位領域330の髄内管内への骨固定を回避するため、エンベロープを生成するために、それらが接触する任意の骨に貫通し、除去するように配置および構成される。そのため、歯432は、患者の骨を切断または除去するように配置および構成された抜去歯または擦り歯として特徴付けられ得、したがって、骨幹骨を除去するように最適化される。すなわち、使用時に、ブローチ400の遠位領域430上に形成された角錐またはダイヤモンド形状の歯432は、ブローチ400のその中への挿入中に患者の骨Bの髄内管IMの内面に突出する任意の骨部分の除去を容易にするために、ブローチ400を最適化する(例えば、角錐またはダイヤモンド形の歯432は、プレス嵌合のために骨を作成するのにより良好と判定された他の形状の歯と比較して、患者の骨Bにリーマーで孔を広げる際により良好に機能することが見出されている)。加えて、使用時に、鈍いダイヤモンド歯パターンは、骨とのより低い摩擦係数を提供し得、これは、患者の組織に貫通することを意図するブローチの一部分に利点を提供するであろう。
【0110】
使用時に、ブローチ400の遠位領域430上に形成された角錐またはダイヤモンド形状の歯432は、前方-後方の溝325および多孔性被覆領域320に対応する領域における大腿骨股関節ステムインプラント300の近位部分310に優先的なプレス嵌合を生成するために、大腿骨股関節ステムインプラント300の遠位側面または領域330の髄内管内へのプレス嵌合を最小化または回避するエンベロープを作成するように配置および構成される。すなわち、ブローチ400の遠位領域430は、股関節ステムインプラント300の遠位先端340から股関節ステムインプラント300の近位領域310上に形成された多孔性被覆320の終端まで延在する股関節ステムインプラント300の遠位領域330の間にエンベロープまたは接触状態を残す骨を除去するようにパターン化される。この移行は、患者の髄内管の内面と、その後に移植された股関節ステムインプラント300の遠位領域330との間に遠位クリアランスを提供することによって、股関節ステムインプラント300の遠位領域330との任意の種類のプレス嵌合状態を回避することが意図される。次いで、これは、近位プレス嵌合の股関節ステムインプラント300(例えば、緩く適合された遠位領域)を達成および/または促進するのに役立つ。結果として、近位ステム応力遮蔽による遠位大腿部の痛みまたは遠位ステムの緩みをもたらし得る、長期成長中の過剰な適合は、回避され得る。また、ブローチ400の遠位領域430上に角錐またはダイヤモンド形状の歯432を延在させることで、峡部に近位でより小さい転子に遠位の、股関節ステムインプラント300の中間体で皮質骨が除去可能になる。
【0111】
図13図14図16A図16B図16C図16Dおよび図16E、ならびに図17を参照すると、前述のように、ブローチ400の近位領域410の前方側402、後方側404、内側406、および外側408は、第二の歯パターンを有する歯412を含む。すなわち、本開示の一つ以上の特徴によれば、ブローチ400上に形成された近位領域410は、第二の歯パターンを有する歯412を含む。様々な実施形態では、第二の歯パターンを有する歯412は、圧縮歯として最良に特徴付けられ得る(例えば、骨に切り込むまたは骨を除去するのとは対照的に、骨を髄内管IMの内面に圧縮するように配置および構成された歯412)。使用時に、圧縮歯412は、より大きな粒子の骨を、局所的な骨組織の貫通および高密度化の程度をより大きくして、骨界面に残すように意図される。
【0112】
使用時に、圧縮歯412からの骨の残渣粒子の数およびサイズが大きいほど、前方-後方の溝の角度付けされた幾何学的形状が、残渣を、前方および後方の溝により効果的に「剥がす」ために、略正のレーキ角度を生成するように、より大きい程度のブローチ穿孔の残渣を提供する。このプロセスは、インプラントの長期安定性を提供するために、前方-後方の溝への骨導入の機会を提供することを意図する。圧縮歯412からの高密度化のより大きい深さはまた、初期大腿骨ステムプレス嵌合固定のために、より硬い骨界面を提供することが意図される。
【0113】
一部の実施形態では、図示のように、歯412は、ブローチ400の近位領域410の前方側402、後方側404、内側406、および外側408にわたって水平に延在する。例えば、図示のように、歯412は、内側406と外側408との間の前方側402および後方側404にわたって水平に延在し得る(例えば、歯412は、環状の平行なレッジまたは段を含む、または形成する)。歯412は、ブローチ400の内側406と外側408との間に水平に延在する環状歯として配置および構成される。環状歯412は、骨の維持および安定性を可能にするように圧縮歯として構成される。使用時に、ブローチ400の患者の髄内管IMへの挿入の間、近位環状歯412は、患者の骨を押す、または圧縮する(例えば、患者の骨を圧縮または移動させて、股関節ステムインプラント300のその後に移植のための改善されたエンベロープを作成する)。
【0114】
さらに、本開示の一つ以上の特徴によれば、第二の歯パターンを有する歯412を含むブローチ400上に形成された近位領域410は、股関節ステムインプラント300の近位領域310上に形成された多孔性被覆領域320と実質的に合致する、または模倣する形状および位置を有する。このように配置された、ブローチ400の近位領域410は、股関節ステムインプラント300の多孔性被覆領域320を模倣する、または合致する(例えば、第二の歯パターンを有する歯412の配置は、股関節ステムインプラント300上の多孔性被覆領域320の配置を模倣する、または合致する)。すなわち、第二の歯パターンを有する歯412を含む、ブローチ400上に形成された近位領域410は、股関節ステムインプラント300上に形成された多孔性被覆領域320に同一である、または実質的に同一である。
【0115】
使用時に、ブローチ400の挿入の間、近位環状歯412は、股関節ステムインプラント300上に形成された多孔性被覆領域320および前方-後方の溝325と相互作用するように配置および構成された患者の骨にポケットを残す。すなわち、近位環状歯412は、接触された骨を圧縮および移動させる一方、その後に移植された股関節ステムインプラント300上に形成された多孔性被覆領域320および前方-後方溝325に係合するために、一部の海綿骨を残すように配置および構成される。
【0116】
図14および図17に最良に示すように、ブローチ400上に形成された環状歯412は、その後に移植された股関節ステムインプラント300上に形成された前方-後方の溝325に対して角度付けられる、患者の骨に水平に延在する平行な隆起を形成する(例えば、近位前方および後方の環状歯パターンは、その後に移植された股関節ステムインプラント300の長手方向軸に対して略垂直に配置される)。このように配置された、ブローチ400上に垂直に配置された環状歯412は、わずかな階段状のパターンを残す海綿骨を圧縮および/または高密度化する。その後に移植された股関節ステムインプラント300の対応する対向する前方側302および後方側304は、ブローチ400上の垂直に配置された環状圧縮歯412の配置に対して角度付けられる溝325を含み、それによって、以下でより詳細に説明されるように、クロスハッチパターンを生成する。このように配置された、股関節ステムインプラント300の移植により、インプラント300は、ブローチ穿孔プロセスから残された階段段差空洞(例えば、平行な隆起)のピークを、股関節ステムインプラント300の前方側302および後方側304に形成された溝325の凹部に掻き落とし、骨の内方成長を加速させ、沈降および回転運動に対する抵抗の増加をもたらす。
【0117】
すなわち、ブローチ穿孔プロセスによって患者の髄内腔IM上に形成された平行な隆起は、股関節ステムインプラント300の移植の間に、その後、ならされ得(例えば、前方-後方の溝325を備えた股関節ステムインプラント300の移植により、髄内管IMの患者の内面が再びならされる)、これは、股関節ステムインプラント300のならされた骨と前方-後方の溝325との間に残留し得る任意の隙間を最小化し、それによって、長期安定性の改善を容易にすることが見出されている。
【0118】
したがって、本開示の一つ以上の特徴によれば、股関節ステムインプラント300の多孔性被覆領域320を、ブローチ400の近位領域410上に形成された環状圧縮歯412に合致または整列させることによって、股関節ステムインプラント300と患者の骨(皮質/海綿体)との間の界面は、対処される。その結果、プレス嵌合なしで股関節ステムインプラント300の遠位領域330に接触/支持するために、患者の骨の髄内管の骨幹を取り除きながら、その後に移植された股関節ステムインプラント300上に形成された多孔性被覆領域320への骨添加を圧縮および高密度化する。それによって、股関節ステムインプラント300上の近位内方成長面への差動プレス嵌合を可能にし、近位大腿骨の長期応力遮蔽およびインプラントの緩みをもたらし得る遠位の「ペダストオール」またはプレス嵌合を回避する。
【0119】
図13図14、および図16A図16B図16C図16Dおよび図16Eに最良に示すように、本開示の一つ以上の特徴によれば、前述のように、ブローチ400の近位領域410の内側406および外側408は、第三の歯パターンを有する歯414を含む(例えば、第三の歯パターンを有する歯414は、前方側402および後方側404と内側406および外側408との間の隅、縁部、または交差部に沿って位置決めされる)。より具体的には、図16A図16B図16C図16Dおよび図16Eによれば、近位領域410は、図16Dおよび16Eに概略的に示すように、その前内側、前外側、後内側、および後外側の側面に形成された第三の歯パターンを有する歯414を含み得る。第三の歯パターンの位置は、図16Dおよび16Eに概略的に示すように、前内側および後内側および外側の側面または領域における同一サイズの大腿骨ステムの近位のプレス嵌合セクションに対応するように配置および構成される。第三の歯パターンは、使用時に、股関節ステムインプラントの対応する領域において最適化または優先的なプレス嵌合を達成するために、より大きな表面密度の前方骨、後方骨、内側骨、および外側骨により、ブローチの「隅」で隣接する骨から離れてプレス嵌合を優先的に達成することを意図した骨の残渣を効果的に除去するために、通過する角度付きの「カット溝」レリーフを備えた水平歯として配置され得る。
【0120】
一部の実施形態では、歯414、または第三の歯パターンは、ブローチ穿孔の間、歯に接触する患者の骨を切断および/または除去するために、隅歯として配置および構成される。そのため、歯414は、患者の骨に切り込むように配置および構成される(例えば、海綿骨を除去するように最適化される)、切断歯、抜去歯、またはチップブレーカーと称され得る。一部の実施形態では、図示のように、歯414または第三の歯パターンは、その後に移植された股関節ステムインプラント300の対応する近位-外側領域にプレス嵌合を生成または提供するために、近位-外側領域に中断された切断部を提供する一方、骨の高密度化の低減を提供するように配置および構成される。中断された切断部は、ブローチ穿孔の間の骨押し出しの経路と、患者の大腿骨内の近位皮質骨の除去を可能にするより侵襲性のパターンと、を容易にする。図示のように、歯414は、ブローチ穿孔プロセスの間に材料が流れ出ることを可能にするレリーフを組み込む一方、環状研磨を提供するように構成され得る。
【0121】
このように配置された、歯414は、使用時に、患者の骨の髄内管の内側および外側で患者の骨を抜去するように配置および構成される。特に、歯414または第三の歯パターンは、クリアランスを促進する(例えば、ブローチが(例えば、ある角度で)曲がって挿入され得る偏在化を防止する)ために、患者の骨上の髄内管の外側の任意の骨を抜去または除去するように配置および構成される。そのため、歯414は、偏在化を防止または少なくとも最小化することによって、股関節ステムインプラント300の移植の間にクリアランスを容易にする。
【0122】
本開示の特徴によれば、図17を参照すると、患者の骨Bの髄内管IM内に位置決めされた股関節ステムインプラント300とのブローチ穿孔の後、ブローチ400の近位領域410上に形成された歯412は、股関節ステムインプラント300の前方側302および後方側304に形成された溝325とクロスハッチを形成するように配置および構成される。このように配置された、環状歯412は、成長中の骨で充填するために、股関節ステムインプラント300上に形成された溝325のためのポケットを残しながら、股関節ステムインプラント300のステムを受容するための改善されたエンベロープを生成する患者の骨を、股関節ステムインプラント300の移植の間にならす患者の髄内管の前方側および後方側で患者の骨を押すように構成される(例えば、隆起は、股関節ステムインプラント300上に形成された溝325によって掻き取られ得る患者の骨に残され、骨が架橋を要する任意の間隙を排除するまたは少なくとも最小限に抑える)。
【0123】
整形外科用ブローチの特定の実施形態が示され、説明されたものの、代替的な構成も想定される。例えば、一部の実施形態では、ブローチ穿孔の表面の減少または拡大は、股関節ステムインプラント上に形成された対向表面との異なるプレス嵌合を可能にするために提供され得る。一部の実施形態では、これは、表面または直接オフセットの段階的なドラフト生成を含み得る。これはまた、応力遮蔽により、再吸収することが歴史的に周知のグルエンゾーンに関連する可能性がある標的のプレス嵌合を生成するために、股関節ステムインプラント上に形成された異なる被覆厚さによって達成され得る。加えて、および/または代替的に、追加の中断された切断部が、遠位領域の内側および外側に沿って骨を除去するために、ダイヤモンド形状の歯パターン上に遠位に提供され得ることは想定される。
【0124】
要約すると、様々な実施形態において、本開示の一つ以上の特徴によれば、ブローチは、第一、第二、および第三の異なる歯パターンを含む差動歯パターンを含み、ブローチは、(i)エンベロープ高密度化を容易にするために、その前方側および後方側に沿った近位圧縮歯と、(ii)チップブレーカー/フルートを容易にするために、近位領域の隅に沿って形成された抜去歯と、(iii)皮質骨を除去するために、遠位抜去歯と、を含む。このように配置された、ブローチは、股関節ステムインプラントの溝への移植の間の骨のならしを促進するために、近位環状歯によって患者の髄内管上に形成された隆起と、股関節ステムインプラント上に形成された前方-後方の溝との間に交差パターンを確立する、近位プレス嵌合型股関節ステムインプラントを提供するように最適化される。
【0125】
大腿骨股関節インプラントは、整形外科用インプラントの製造に使用される、現在公知または今後開発される任意の好適な生体適合性材料から製造され得る。例えば、大腿骨股関節インプラントは、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン、酸化ジルコニウム、または他の金属合金から作成され得る。あるいは、大腿骨股関節インプラントは、標準ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量プラスチック、他のプラスチック、セラミック、または複合材料から製造され得る。同様に、ブローチは、現在既知であるまたは今後開発される任意の好適な材料から製造され得る。例えば、ブローチは、完全にステンレス鋼から製造され得る。あるいは、他の金属を使用してもよい。さらに、一部の実施形態では、ブローチは、PEEKなどの硬質プラスチックから作成され得る。
【0126】
大腿骨股関節インプラントおよびブローチは、現在既知または今後開発される任意の所望のまたは適切な方法論または技術を使用して、形成され得る。例えば、一部の実施形態では、大腿骨股関節インプラントおよびブローチは、現在既知または今後開発される任意の付加製造技術を使用して、製造され得る。一部の非限定的な公知の技術として、大腿骨股関節インプラントおよびブローチは、選択的レーザ焼結(SLS)、直接金属レーザ焼結(DMLS)、電子ビーム溶融(EBM)、選択的レーザ溶融(SLM)、三次元印刷などから製造され得る。例えば、一部の実施形態では、大腿骨股関節インプラントおよびブローチ全体は、モノリシックまたは一体型の構成要素(インプラント上に形成された任意の多孔性または他の内方成長促進表面または材料を含む)として形成され得る。一部の実施形態では、大腿骨股関節インプラントの部分は、形成され得、その後、追加の内方成長の材料、表面、および/または処理は、インプラントに追加または適用され得る。他の実施形態では、例えば、電子ビーム溶融方法または初期固体材料から選択された材料部分を差し引くまたは除去するために、レーザを使用する方法などの付加製造技術が使用され得る。他の実施形態では、大腿骨股関節インプラントおよびブローチの一部またはすべては、鋳造または他の技術もしくは方法を使用して、形成され得る。一部の実施形態では、大腿骨股関節インプラントなどの非多孔性インプラントは、例えば、SLS技術などの付加製造技術を使用して形成され得、その後、そのインプラントは、酸エッチング、グリットブラスト、プラズマ噴霧(例えば、内方成長を促進するための酸化チタンまたは別の金属の)または他の処理に供され得る。
【0127】
本開示が特定の実施形態を指すものの、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本開示の領域および範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に対する多数の変形、変更、および修正が可能である。したがって、本開示が、説明される実施形態に限定されないが、以下の特許請求の範囲の文言およびその均等物によって定義される全範囲を有することが意図される。いずれの実施形態の考察も、説明のみを目的とし、特許請求の範囲を含む本開示の範囲がこれらの実施形態に限定されることを示唆することを意図するものではない。言い換えれば、本開示の例示的な実施形態が本明細書に詳述されているが、本発明の概念が、別様に様々に具現化され用いられ得ること、および添付の特許請求の範囲が、先行技術によって限定される場合を除き、かかる変形を含むように解釈されることが意図されていることは、理解される。
【0128】
上述の考察は、例示および説明の目的で提示され、本開示を、本明細書に開示される形態に限定することを意図しない。例えば、本開示の様々な特徴は、本開示の合理化を目的に、一つ以上の実施形態または構成で一緒にグループ化される。しかしながら、本開示の特定の実施形態または構成の様々な特徴が、代替的な実施形態または構成で組み合わせられ得ることは、理解される。本明細書の類似のセクション、部分、または構成要素の様々な実施形態に関連して、図示または具体的に記載される任意のセクション、部分、または他のいずれかの構成要素の任意の実施形態または特徴も、本明細書に図示または記載される他のいずれの類似の実施形態または特徴に交換可能に適用され得る。さらに、同一の名称を有する構成要素は、同一でも異なっていてもよく、当業者であれば、各構成要素が、同様の様式で修正される、または同一の機能を果たすように置換され得ることを理解するであろう。
【0129】
さらに、以下の特許請求の範囲は、ここに、本参照により、発明を実施するための形態に組み込まれるが、各特許請求の範囲が、本開示の別個の実施形態として、それ自体で存在する。
【0130】
本明細書で使用する、単数形で列挙され、用語「a」または「an」で先行される要素またはステップは、複数の要素またはステップの排除が明示的に列挙されない限り、複数の要素またはステップを排除しないものとして理解されるべきである。さらに、本開示の「一つの実施形態」と言及する場合、列挙された特徴も組み込む追加の実施形態の存在を排除すると解釈されることを意図するものではない。
【0131】
本明細書で使用する語句「少なくとも一つ」、「一つ以上」、および「および/または」は、運用において、連言的および選言的の両方である非限定的表現である。用語「a」(または「an」)、「一つ以上」、および「少なくとも一つ」は、本明細書では互換的に使用され得る。すべての方向の言及語(例えば、近位、遠位、上、下、上向き、下向き、左、右、外側、長手方向、前、後、頂部、底部、上方、下方、垂直、水平、半径方向、軸方向、時計回り、および反時計回り)は、特に、本開示の位置、配向、または用途に関して、読み手の本開示の理解を助けるための識別目的のみに使用され、限定を生じさせない。接続の言及語(例えば、係合、取り付け、結合、接続、および接合)は、広く解釈されるべきであり、別途示されない限り、要素の集合体の間、および要素間の移動に対する中間部材を含み得る。そのため、接続の言及語は、二つの要素が直接接続され、互いに固定関係にあることを必ずしも意味しない。すべての回転の言及語は、様々な要素間の相対運動を表す。識別の言及語(例えば、一次、二次、第一、第二、第三、第四など)は、重要性または優先順位を示すことを意図しておらず、一つの特徴を別の特徴と区別するために使用される。図面は、例示のみを目的とし、本明細書に添付された図面に反映される寸法、位置、順序、およびサイズに対する相対性は、変更され得る。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17
図18A
図18B
【国際調査報告】