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  • 特表-直接打錠補助組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】直接打錠補助組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/20 20060101AFI20240816BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240816BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240816BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240816BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240816BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240816BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240816BHJP
   A23K 40/20 20160101ALI20240816BHJP
【FI】
A61K9/20
A61K47/26
A61K47/34
A61K47/32
A61K47/12
A61K47/14
A61K31/192
A61K8/02
A61K8/60
A61K8/86
A61K8/81
A61K8/37
A61K8/36
A61P29/00
A23L33/10
A23K40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512115
(86)(22)【出願日】2022-08-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2022073172
(87)【国際公開番号】W WO2023025672
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】21192938.5
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲベルト,ジルケ
(72)【発明者】
【氏名】グート,フェリシタス
(72)【発明者】
【氏名】チェフ,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】コルター,カール
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4C076
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AB20
2B150AE02
2B150BE03
2B150BE04
2B150DC13
4B018LB10
4B018MD03
4B018MD10
4B018MD29
4B018ME14
4B018MF08
4C076AA37
4C076BB01
4C076DD41
4C076DD47
4C076DD67
4C076EE06
4C076EE13
4C076EE23
4C076FF02
4C076FF36
4C076GG14
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC371
4C083AC372
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD201
4C083AD202
4C083CC01
4C083DD21
4C083EE01
4C083EE03
4C206AA10
4C206DA24
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206NA10
4C206ZB11
(57)【要約】
本発明は、水溶性ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマー結合剤、錠剤崩壊剤としての架橋型不溶性ポリビニルピロリドン、及び潤滑剤と緊密に混合されたラクトース粉末をベースとする直接打錠補助組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)75~98重量%の打錠用に適切なラクトースと、
B)0.5~10重量%の水溶性ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマーと、
C)1~15重量%の架橋型不溶性ポリビニルピロリドンと、
D)0.5~10重量%の潤滑剤と
を含む球状顆粒の形態の直接打錠補助組成物であって、全成分A~Dの合計が100重量%であり、前記球状顆粒の平均粒径(D50)が50μm~500μmの範囲である、直接打錠補助組成物。
【請求項2】
80μm~300μmの平均粒径を有する、請求項1に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項3】
100μm~250μmの平均粒径を有する、請求項1に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項4】
前記ラクトースがラクトース一水和物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項5】
前記ラクトース一水和物が、5重量%未満の非晶質ラクトース一水和物の含量を有する、請求項4に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項6】
前記不溶性ポリビニルピロリドンが、Kollidon CL-SF及び/又はKollidon CL-Fである、請求項1~5のいずれか一項に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項7】
前記不溶性ポリビニルピロリドンがKollidon CL-Fである、請求項6に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項8】
前記潤滑剤が、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム及び/又はステアリン酸ポロキサマー407(Kolliphor P407 micro)である、請求項1~7のいずれか一項に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項9】
前記潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項8に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項10】
前記潤滑剤がステアリン酸である、請求項8に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項11】
前記潤滑剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、請求項8に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項12】
前記潤滑剤が前記顆粒の表面上に位置する、請求項1~11のいずれか一項に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項13】
1.1~1.4のハウスナー比を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項14】
0.31~0.38の充填率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項15】
25°~31°の安息角を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の直接打錠補助組成物。
【請求項16】
ラクトース、ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマー、架橋型不溶性ポリビニルピロリドン懸濁液を噴霧乾燥することを含む、請求項1に記載の直接打錠補助組成物を調製するための連続方法であって、それによって前記潤滑剤が乾燥粉末の形態で投入される、連続方法。
【請求項17】
前記潤滑剤が乾燥粉末として添加され、前記潤滑剤が噴霧乾燥粒子の表面に付着した製品が得られる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
化粧品又は医薬品調製物、農薬活性剤の調製物、食品、飼料、及び食品又は飼料サプリメントの分野での調製物における、請求項1~15のいずれか一項に記載の直接打錠補助組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合剤としての水溶性ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマー、錠剤崩壊剤としての架橋型不溶性ポリビニルピロリドン、好ましくは、Kollidon CL-F、及び潤滑剤と緊密に混合された、ラクトース粉末をベースとする直接打錠補助組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品業界において、API(医薬品有効成分)を送達するために最も一般的に利用されている手段は錠剤であり、これは適切に配合された粉末を圧縮することによって得ることができる。従来から、圧縮可能な混合物は、典型的に、APIと適切な賦形剤材料とのブレンドによって得られる。これらの賦形剤には、希釈剤又は充填剤、結合剤又は接着剤、崩壊剤、流動促進剤又は流動化剤、着色料、香料及びこれらの混合物が含まれ得る。
【0003】
国際公開第2008/020990号パンフレットに記載されているように、これらの材料は単にブレンドされてもよいし、又は乾燥状態又は湿潤状態のいずれかで造粒されてもよい。混合が完了すると、潤滑剤が添加され、材料は錠剤に圧縮される。国際公開第2008/020990号パンフレット自体は、安全性及び有効性のプロファイルに悪影響を及ぼすことなく、APIを製剤化する能力を最大化する普遍的な賦形剤ブレンドを目指すものである。このブレンドは、APIと混合され、任意選択的に潤滑剤と混合され、その後、錠剤へと圧縮される。これは、米国特許第3,344,030号明細書でも確認されている。国際公開第2007/031933号パンフレットの14、15及び17~19ページのフローチャートは、潤滑剤は顆粒を造粒及び粉砕した後に添加されるべきであり、その後に打錠されることが完璧に実証されている。国際公開第2001/41744号パンフレットは、特に31ページにおいて、API及び予混合された賦形剤成分を含むスフェロイドを、API及び予混合された賦形剤を含む懸濁液と、ステアリン酸マグネシウムを含む懸濁液とでコーティングすることによりペレットを調製することを教示している。打錠方法とは無関係に、潤滑剤は圧縮の直前にのみ充填剤及び活性化合物とブレンドされる。
【0004】
同様に、米国特許第5,006,345号明細書では、結合剤及び錠剤崩壊剤と同時混合されたラクトース粉末をベースとする直接打錠補助剤が提供される。これらをAPIと混合した後、潤滑剤を添加し、混合物を圧縮して錠剤を製造する。国際公開第97/44014号パンフレット、米国特許出願公開第2006/0246135号明細書、国際公開第2007/086689号パンフレット、米国特許第6,514,524号明細書及び国際公開第2002/03963号パンフレットにも同様の教示がある。いずれの場合も、潤滑剤は、他の賦形剤成分の予混合後、圧縮の直前に再び添加される。レディトゥユース(ready-to-use)コプロセス(co-processed)錠剤賦形剤成分を提供する分野以外では、国際公開第2004/110406号パンフレット及び米国特許出願公開第2006/0247234号明細書の両方に、API、賦形剤及び潤滑剤を完全に混合するプロセスが開示されている。
【0005】
しかしながら、当該分野では、潤滑剤は、装置からの圧縮形態又は錠剤形態の放出を実現するために必要であると考えられている。しかし、同時に、潤滑剤は、様々な担体成分間の必要な結合に影響を与え、そしてステアリン酸マグネシウムなどの疎水性潤滑剤の場合、錠剤の崩壊特性に悪影響を及ぼす可能性があると考えられている。結合特性に関しては、その理由は、潤滑剤が賦形剤成分をコーティングする傾向があり、これらが互いに付着するのを妨げることにあるであろう。また、疎水性の潤滑剤のコーティングは、崩壊に重要な役割を果たす水を撥水する。したがって、潤滑剤の使用は、実際の圧縮ステップの前に潤滑剤と他の錠剤成分との接触時間を最小にするために、全ての成分の混合が達成されるまで延期される。
【0006】
当該技術分野において、国際公開第2009/112287号パンフレットは、潤滑剤をコプロセスステップに既に添加することができ、したがって、便利なことに、APIの添加及び圧縮のステップのみを必要とし、なお且つ打錠ダイからの排出を迅速化する、レディトゥユース賦形剤組成物を提供することを開示している。初期の加工段階で潤滑剤を使用しているにもかかわらず、ダイ排出力及び錠剤力は優れている。しかし、このような特性を得るために、国際公開第2009/112287号パンフレットのプロセスでは、粒状成分上に潤滑剤を噴霧し、顆粒を被覆する潤滑剤コートを形成している。したがって、これは、潤滑剤はダイと直接接触すべきであるという当業者の信念を継続させるものであり、これは、賦形剤組成物に外層として潤滑剤を噴霧する場合にのみ達成可能である。
【0007】
国際公開第2011/074961号パンフレットは、一緒に造粒に供された少なくとも1種の充填剤-結合剤及び少なくとも1種の潤滑剤を含み、ラクトースでコーティングされている顆粒を含む、コプロセス賦形剤組成物に関する。崩壊性を犠牲にすることなく、流動性を高めることができることが見出された。開発された賦形剤は、錠剤の製造を複雑にし、打錠性を損なう潤滑剤による賦形剤のコーティングの義務を克服したと言われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、当該技術分野では、新規賦形剤組成物、及びレディトゥユースコプロセス賦形剤組成物を製造するプロセスにおけるさらなる最適化が継続的に必要とされている。特に、当該業界では、連続製造コンセプトが依然として必要とされている。医薬品賦形剤の連続製造コンセプトは、打錠時に許容可能な排出力を可能にし、圧縮剤形の高い硬度及び迅速な崩壊時間を有すると同時に、良好な流動性を示す。このような性能は、鎮痛剤などの様々な薬物含有錠剤に要求される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、一態様において、本発明は、少なくとも1種のラクトース成分、少なくとも1種の水溶性ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマー、少なくとも1種の架橋型不溶性ポリビニルピロリドン及び少なくとも潤滑剤を含む直接打錠補助組成物を提供する。
【0010】
ラクトースは二糖類に属し、β-1,4グリコシド結合によって一緒に結合しているβ-D-ガラクトース及びα/β-D-グルコースの2分子からなる。本発明によれば、ラクトース成分は無水ラクトース又はラクトース一水和物である。ラクトース一水和物は、無水ラクトースと比較して吸湿性が低く、したがって、水に敏感な医薬品有効成分を含有する組成物においてより適切であるため、好ましい。より好ましくは、5重量%未満の非晶質ラクトース一水和物の含量を有するラクトース一水和物である。
【0011】
ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマーは、白色から黄色がかった粉末で、水中に容易に溶解し、粘度が低く、他のポリマーのように、酸素に敏感ではない、過酸化水素を生成しないという利点を有する。これは、25:75の割合で結合したポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールを含むグラフトポリマーである。約45000の分子量を有する。ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマーを添加することにより、粒径分布を最適化することができ、そして予想外であることに、水溶性結合剤を使用しているにもかかわらず、錠剤の崩壊時間を低く保持することができる。ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマーの粉末は、Kollicoat(登録商標)IRとして販売されており、約0.3%のコロイド状シリカを含有している。本発明で使用されるポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールグラフトコポリマーはコロイド状シリカを含まない。この直接打錠補助組成物は、流動促進剤/流動化剤を全く含まないが、極めて高い流動性を示す。
【0012】
架橋型不溶性ポリビニルピロリドンは、その膨潤特性のため、医薬品業界で広く使用されている。したがって、錠剤の崩壊剤として主に使用されている。さらに、医薬品賦形剤としてのそれらの用途は、不溶性薬物を疎水化する能力、懸濁液を安定化する能力、及び複合体を形成する能力、並びに吸着特性によって誘発される。本発明によれば、架橋型ポリビニルピロリドンは、Kollidon CL-SF及び/又はKollidon CL-Fであってよく、Kollidon CL-Fが好ましい。
【0013】
本発明による直接打錠補助組成物は、好ましくは、組成物の全質量を基準として、75~98重量%、より好ましくは80~95重量%、さらに好ましくは83~92重量%の量のラクトース成分を含む。
【0014】
架橋型不溶性ポリビニルピロリドン成分は、好ましくは、組成物の全質量を基準として、1~15重量%、より好ましくは2~12重量%、さらに好ましくは3~10重量%の量で存在する。
【0015】
ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマーは、組成物の全質量を基準として、0.5~10重量%、より好ましくは1~10重量%、さらに好ましくは2~9重量%の量で組成物中に含有まれ得る。
【0016】
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の全質量を基準として、総量で0.5~10重量%、より好ましくは1~10重量%、さらに好ましくは2~9重量%の潤滑剤を有し、組成物の全成分の合計が100重量%になる。本発明によれば、潤滑剤はフマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及び/又はポロキサマー407(Kolliphor P 407 micro)であり、好ましくはフマル酸ステアリルナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムであり、最も好ましくはフマル酸ステアリルナトリウムである。
【0017】
直接打錠補助組成物は、球状の形態を有し、好ましくは顆粒の形態で存在し、それにより、前記顆粒の平均粒径(d50)は、好ましくは50~500μmの範囲、より好ましくは80~300μmの範囲、さらに好ましくは100~250μmの範囲である。
【0018】
打錠プロセス中、本発明の組成物は、1~75重量%の範囲のAPI濃度で、少なくとも1種のAPIと混合され得る。
【0019】
別の態様において、組成物、好ましくは顆粒は、いかなるAPIも含まない。
【0020】
本発明のさらなる態様において、上記のような組成物を製造する方法が提供される。本発明の方法は、(i)液体媒体中に少なくとも1種のポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマー、少なくとも1種の架橋型不溶性ポリビニルピロリドン及び/又は少なくとも1種のラクトースを含む溶液又は懸濁液を提供するステップと、(ii)ステップ(i)で得られた溶液又は懸濁液を、温度を上昇させ、任意選択的に減圧された環境下で噴霧し、それによって液体媒体を除去するステップとを含む。ステップ(i)において、少なくとも1種のポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマー成分、少なくとも1種の架橋型不溶性ポリビニルピロリドン及び少なくとも1種のラクトース成分は、好ましくは、水、又はエタノール、酢酸及びアセトンなどの有機溶媒、並びにそれらの混合物などの液体媒体中に少なくとも部分的に溶解される。
【0021】
ステップ(ii)において、ステップ(i)で得られた溶液又は懸濁液が噴霧され、これにより、従来技術とは対照的に、潤滑剤が溶液又は懸濁液としてではなく、固体粉末として噴霧乾燥粒子の表面に適用される。
【0022】
追加の調製ステップを伴わずに、この新規プロセスを連続製造プロセスに組み込むことができることは、特に有利である。
【0023】
別の態様において、本発明は、上記のプロセスによって得られる組成物に関する。このプロセスにより、優れた流動性、高い嵩密度及び優れた打錠特性を有する組成物が得られることが判明した。さらなる態様において、本発明は、経口剤形を製造する際の賦形剤としての、特に打錠賦形剤としての、より詳細には直接打錠賦形剤としての、上記の組成物の使用に向けられている。優れた流動性及び高い嵩密度により、本組成物はまた、ハードシェルカプセル(例えば、ハードゼラチンカプセル)に充填されるAPIとの二元混合物用の希釈剤としても非常に適切である。
【0024】
本発明による組成物を標準的な錠剤製剤中の直接打錠賦形剤として使用することによって、錠剤の崩壊時間が非常に短くなると共に、錠剤硬度が著しく向上することが判明した。
【0025】
本発明は、以下の図及び実施例によりさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による顆粒のSEM画像
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施例
方法
直接打錠補助組成物の突き固め密度(tamped density)は、欧州薬局方第9版の2.9.34章方法2に従って測定した。
【0028】
直接打錠補助組成物の嵩密度は、欧州薬局方第9版の2.9.34章方法3に従って測定した。
【0029】
ハウスナー(Hausner)比は、突き固め密度及び嵩密度の商に等しい。
【0030】
充填率は、嵩密度及び真密度の商に等しい。
【0031】
直接打錠補助組成物の流動性及び安息角は、欧州薬局方第9版の2.9.16章及び2.9.36章に従って決定する。
【0032】
直接打錠補助組成物の粒径分布(D10、D50、D90)は、Malvern Mastersizer 2000を用いて決定した。
【0033】
錠剤崩壊性は、欧州薬局方第9版の2.9.1章試験Aに従って測定した。
【0034】
錠剤硬度は、Sotax HT 100錠剤試験機を用い、欧州薬局方第9版の2.9.8章に従って測定した。120mm/分の試験ジョーの速度を用いて20錠で錠剤硬度を連続的に決定する。
【0035】
真密度は、EN ISO 1183-3(ガスパイクノメーター)に従って、23℃で測定した。Gas Pyknometer:Micromeritics,AccuPyc 1340、体積計量チャンバー10cm、鋼球による校正。測定に先立ち、試料を23℃及び5hPaの真空オーブン(Fa.Heraeus)で一晩乾燥させた。
【0036】
実施例1:本発明による直接打錠補助組成物の製造
架橋型不溶性ポリビニルピロリドン(例えば、Kollidon CL-F)、及び水中のKollicoat(登録商標)IR(コロイド状シリカを含まない)の溶液を水に懸濁し、懸濁液を20℃未満に冷却した。撹拌下、ラクトース(例えば、GranuLac)を懸濁液に連続的に投入した。溶媒を除去するために、得られた懸濁液を155℃±5℃の入口空気温度、>80℃の出口空気温度で噴霧乾燥し、それによってステアリルフマル酸ナトリウム(例えば、PRUV又はAlubra)を乾燥形態で噴霧乾燥機に投入し、その後冷却し、それによって微粉をサイクロンによって顆粒から分離した。直接打錠補助剤は表1に示す組成を有した。
【0037】
【表1】
【0038】
異なる結合剤を使用することによって結合剤ポリエチレングリコール-ポリビニルアルコールグラフトコポリマーを置き換え、ラクトースの量をそれぞれ変更、低減又は増強することにより、上記の条件を用いて補助剤のさらなる組成物を製造した(表2)。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
崩壊剤Kollidon CL-Fを異なる崩壊剤Kollidon CL-SFに置き換え、ラクトース量をそれぞれ変更、低減又は増強することにより、上記の条件を用いて補助剤のさらなる組成物を製造した。
【0042】
【表4】
【0043】
表5 潤滑剤を乾燥状態で乾燥噴霧器に投入する(外部)。
【0044】
潤滑剤を懸濁液として崩壊剤懸濁液に添加し、混合して噴霧乾燥する(内部)。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
実施例2:本発明による直接打錠補助組成物の打錠
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
打錠
圧縮シミュレーター STYL’One EVO
パンチ:10mm、フラット
圧縮力:6.3、9.4、14.1、18.8、23.6kN
【0051】
【表9】
【0052】
【表10】
【0053】
打錠
圧縮シミュレーター STYL’One EVO
パンチ:7mm、フラット
圧縮力:2、4、6、8、10、12kN
図1
【国際調査報告】