(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-23
(54)【発明の名称】シリコン前駆体材料、シリコン含有膜、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/42 20060101AFI20240816BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240816BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
C23C16/42
H01L21/31 B
H01L21/316 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513389
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 US2022036404
(87)【国際公開番号】W WO2023033918
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨンヘ
(72)【発明者】
【氏名】チョ, スンシル
(72)【発明者】
【氏名】キム, ハンスー
(72)【発明者】
【氏名】パク, キジン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030AA14
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA44
4K030CA02
4K030CA04
4K030CA05
4K030EA01
4K030FA10
4K030JA12
5F045AA03
5F045AB32
5F045AC00
5F045AC07
5F045AC08
5F045AC09
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5F045AD06
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5F045BB09
5F058BB04
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5F058BB06
5F058BC02
5F058BF02
5F058BF22
5F058BF29
5F058BF36
(57)【要約】
いくつかの実施形態は、基板上にシリコン前駆体を堆積させるための方法に関する。本方法は、少なくとも1つのシロキサン結合を含むシリコン前駆体材料を得ることと、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を得ることとを含む。シリコン前駆体材料を揮発させて、シリコン前駆体蒸気を得る。少なくとも1つの共反応物前駆体材料を揮発させて、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を得る。シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気は、基板の表面上にシリコン含有膜を形成するのに十分な化学蒸着条件下で基板と接触させられる。いくつかの実施形態は、化学蒸着のためのシリコン前駆体材料に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にシリコン前駆体を堆積させるための方法であって、
少なくとも1つのシロキサン結合を含むシリコン前駆体材料を得ることと、
少なくとも1つの共反応物前駆体材料を得ることと、
シリコン前駆体材料を揮発させて、シリコン前駆体蒸気を得ることと、
少なくとも1つの共反応物前駆体材料を揮発させて、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を得ることと、
基板の表面上にシリコン含有膜を形成するのに十分な化学蒸着条件下で、シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を基板と接触させることと
を含む、方法。
【請求項2】
シリコン前駆体材料が、式:
(A
1A
2A
3)Si-O-Si(B
1B
2B
3)
(式中、A
1、A
2、A
3、B
1、B
2、およびB
3のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、エチニル、フェニル、アリル、ビニル、またはアセトキシである)
の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハロゲン化物がCl、Br、FまたはIである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アルキルが直鎖または分岐C
1~C
4アルキルである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
アルキルが、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソプロピル、t-ブチル、またはsec-ブチルである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
アルキルアミノが、式:
-N(R
aR
bR
c)
(式中、R
a、R
b、およびR
cのそれぞれは、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソプロピル、t-ブチル、またはsec-ブチルである)
を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
アルキルアミノが、アルキルアミン、ジアルキルアミン、またはトリアルキルアミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
アルキルアミノが、-NH(CH
2CH
3)
2または-NHCH(CH
3)
2である、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
シリコン前駆体材料が、ビス(ジエチルアミノ)-1、1,3,3-テトラメチルジシロキサン(BDEA-TMDSO)、1,3-ビス(イソプロピルアミノ)テトラメチルジシロキサン(BIPA-TMDSO)、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
シリコン前駆体材料が、ヘキサクロロジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
シリコン前駆体材料が、2個以上のシロキサン結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
化学蒸着条件が、少なくとも500℃の堆積温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
化学蒸着条件が、少なくとも600℃の堆積温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
接触させることが、シリコン前駆体材料対照の堆積速度よりも2.5~3倍速い堆積速度をもたらすのに十分であり、シリコン前駆体材料対照がテトラエトキシシラン(TEOS)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
化学蒸着のための前駆体であって、
シリコン前駆体材料であって、シリコン前駆体材料が、式:
(A
1A
2A
3)Si-O-Si(B
1B
2B
3)
(式中、A
1、A
2、A
3、B
1、B
2、およびB
3のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、エチニル、フェニル、アリル、ビニル、またはアセトキシである)
の化合物であり、
シリコン前駆体材料が、化学蒸着条件下で、反応生成物としてシリコン含有膜をもたらすのに十分な、少なくとも1つの共反応物前駆体材料との反応性を有する、シリコン前駆体材料
を含む、前駆体。
【請求項16】
アルキルが直鎖または分岐C
1~C
4アルキルである、請求項15に記載の前駆体。
【請求項17】
アルキルが、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソプロピル、t-ブチル、またはsec-ブチルである、請求項15に記載の前駆体。
【請求項18】
アルキルアミノが、式:
-N(R
aR
bR
c)
(式中、R
a、R
b、およびR
cのそれぞれは、独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソプロピル、t-ブチル、またはsec-ブチルである)
を有する、請求項15に記載の前駆体。
【請求項19】
アルキルアミノが、アルキルアミン、ジアルキルアミン、またはトリアルキルアミンである、請求項15に記載の前駆体。
【請求項20】
アルキルアミノが、-NH(CH
2CH
3)
2または-NHCH(CH
3)
2である、請求項15に記載の前駆体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、シリコン前駆体材料、シリコン含有膜、および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)は、シリコン二酸化物(例えば、SiO2)の薄膜を形成するための低温蒸着プロセスにおける前駆体として使用される。低温蒸着プロセスは、200℃未満の温度で行われる。TEOSは、高温蒸着プロセスによるシリコン含有薄膜の形成に適した前駆体ではない。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態は、化学蒸着のための前駆体に関する。いくつかの実施形態では、化学蒸着のための前駆体は、シリコン前駆体材料を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。いくつかの実施形態では、シリコン前駆体材料は、式:(A1A2A3)Si-O-Si(B1B2B3)(式中、A1、A2、A3、B1、B2、およびB3のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、エチニル、フェニル、アリル、ビニル、またはアセトキシである)の化合物を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。いくつかの実施形態では、シリコン前駆体材料は、化学蒸着条件下で、反応生成物としてシリコン含有膜をもたらすのに十分な、少なくとも1つの共反応物前駆体材料との反応性を有し得る。
【0004】
いくつかの実施形態は、基板上にシリコン前駆体を堆積させるための方法に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、以下の工程、すなわち、少なくとも1つのシロキサン結合を含むシリコン前駆体材料を得る工程と、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を得る工程と、シリコン前駆体材料を揮発させて、シリコン前駆体蒸気を得る工程と、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を揮発させて、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を得る工程と、基板の表面上にシリコン含有膜を形成するのに十分な化学蒸着条件下で、シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を基板と接触させる工程と、のうちの1つまたは複数を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。
【0005】
本開示の一部を形成し、本明細書に記載の材料および方法を実施することができる実施形態を示す図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、基板上にシリコン前駆体を堆積させるための方法のフローチャートである。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、シリコン含有物品の概略図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、560℃および650℃におけるオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)と比較したビス(ジエチルアミノ)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(BDEA-TMDSO)の堆積速度のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用される場合、「シロキサン結合」という用語は、式:-(Si-O-Si)n-(式中、nは1~6である)の結合を指す。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のシロキサン結合が会合してシロキサン化合物を形成してもよい。いくつかの実施形態では、シロキサン化合物は、ジシロキサン、オリゴシロキサン、環状シロキサン、ポリシロキサン、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、2個以上のシロキサン結合が存在する場合、シロキサン結合は、1つまたは複数のシリコン原子を共有していてもよい。
【0008】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、1から30個の炭素原子を有する炭化水素鎖ラジカルを指す。アルキルは、単結合を介して結合していてもよい。n個の炭素原子を有するアルキルは、「Cnアルキル」と呼ばれることがある。例えば、「C3アルキル」は、n-プロピルおよびイソプロピルを含み得る。1から30個の炭素原子などの炭素原子の範囲を有するアルキルは、C1~C30アルキルと呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、アルキルは飽和(例えば、単結合)である。いくつかの実施形態では、アルキルは不飽和(例えば、二重結合および/または三重結合)である。いくつかの実施形態では、アルキルは直鎖状である。いくつかの実施形態では、アルキルは分岐状である。いくつかの実施形態では、アルキルは置換されている。いくつかの実施形態では、アルキルは非置換である。いくつかの実施形態では、アルキルは、C1~C12アルキル、C1~C11アルキル、C1~C10アルキル、C1~C9アルキル、C1~C8アルキル、C1~C7アルキル、C1~C6アルキル、C1~C4アルキル、C1~C3アルキル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、n-ペンチル、iso-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなる群から選択され得る。
【0009】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、単結合を介して結合し、環内に3~8個の炭素原子を有する非芳香族炭素環式環基を指す。この用語は、単環式非芳香族炭素環式環および多環式非芳香族炭素環式環を含む。例えば、2つ以上のシクロアルキルを縮合、架橋、または縮合および架橋して、多環式非芳香族炭素環式環を得ることができる。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなる群から選択され得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、式-OR(式中、Rは本明細書で定義されるアルキルである)のラジカルを指す。いくつかの実施形態では、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなる群から選択され得る。
【0011】
本明細書で使用される場合、「アミン」、「アルキルアミノ」などの用語は、式-N(RaRbRc)(式中、Ra、Rb、およびRcのそれぞれは、独立して、本明細書で定義される水素またはアルキルである)のラジカルを指す。いくつかの実施形態では、「アミン」という用語は、本明細書で定義されるアミノを含む。いくつかの実施形態では、アミンは、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、または第四級アミンを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。いくつかの実施形態では、アミンは、アルキルアミン、ジアルキルアミン、またはトリアルキルアミンを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。いくつかの実施形態では、アミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ジ-イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、イソブチルアミン、ジ-イソブチルアミン、ジ-tert-ペンチルアミン、エチルメチルアミン、イソプロピル-n-プロピルアミン、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなる群から選択され得る。アルキルアミンの例としては、限定されないが、第一級アルキルアミン、例えば、限定されないが、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、イソブチルアミン、t-ブチルアミン、ペンチルアミン、2-アミノペンタン、3-アミノペンタン、1-アミノ-2-メチルブタン、2-アミノ-2-メチルブタン、3-アミノ-2-メチルブタン、4-アミノ-2-メチルブタン、ヘキシルアミン、5-アミノ-2-メチルペンタン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、およびオクタデシルアミン;第二級アルキルアミン、例えば、限定されないが、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-t-ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルイソブチルアミン、メチル-sec-ブチルアミン、メチル-t-ブチルアミン、メチルアミルアミン、メチルイソアミルアミン、エチルプロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルイソブチルアミン、エチル-sec-ブチルアミン、エチルアミン、エチルイソアミルアミン、プロピルブチルアミン、およびプロピルイソブチルアミン;および第三級アルキルアミン、例えば、限定されないが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、およびメチルジプロピルアミン、のうちの1つまたは複数が挙げられ得る。ポリアミンの例としては、限定されないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,3-ジアミノブタン、2,3-ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4-ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、トリメチルエチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、トリエチルエチレンジアミン、1,2,3-トリアミノプロパン、ヒドラジン、トリス(2-アミノエチル)アミン、テトラ(アミノメチル)メタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、およびジアザビシクロウンデセン、のうちの1つまたは複数が挙げられ得る。
【0012】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン化物」という用語は、-Cl、-Br、-I、または-Fを指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「エチニル」という用語は、-C≡CHを指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「フェニル」という用語は、-C6H5を指す。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は、-NH2を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「アリル」という用語は、-CH2CH=CH2を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「ビニル」という用語は、-CH=CH2を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「アセトキシ」という用語は、-OC(=O)CH3を指す。
【0019】
いくつかの実施形態は、シリコン前駆体材料に関する。シリコン前駆体材料は、高温(例えば、500℃以上の温度など)での改善された熱安定性および改善された薄膜堆積速度(例えば、従来の前駆体材料の堆積速度よりも2倍速い堆積速度など)のうちの1つまたは複数を示し得る。シリコン前駆体材料は、高温化学蒸着プロセスにおいて改善された性能を示すことができる。本開示のシリコン前駆体材料のさらなる利点は、とりわけ、低圧での改善されたステップカバレッジ、高温での改善されたステップカバレッジ、および不純物の量の減少のうちの1つまたは複数を含み得るが、これらに限定されない。シリコン前駆体材料は、高温化学蒸着(CVD)プロセスで使用され、それから生じるシリコン含有膜の品質を改善することができる。
【0020】
いくつかの実施形態において、シリコン前駆体材料は、1つまたは複数のシロキサン結合を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。例えば、いくつかの実施形態では、シリコン前駆体材料は、1個のシロキサン結合、2個のシロキサン結合、3個のシロキサン結合、または4個以上のシロキサン結合を含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、シリコン前駆体材料は、式:
(A1A2A3)Si-O-Si(B1B2B3)
の化合物を含むか、それからなるか、または本質的にそれからなることができる。
【0022】
式中、A1、A2、A3、B1、B2、およびB3のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、エチニル、フェニル、アリル、ビニル、またはアセトキシである。
【0023】
いくつかの実施形態では、シリコン前駆体材料は、以下:ビス(ジエチルアミノ)-1、1,3,3-テトラメチルジシロキサン(BDEA-TMDSO)、1,3-ビス(イソプロピルアミノ)テトラメチルジシロキサン(BIPA-TMDSO)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,1-トリエチル-3,3-ジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラ-n-オクチルジメチルジシロキサン、ビス(ノナフルオロヘキシル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(トリフルオロプロピル)テトラメチルジシロキサン、1、3-ジ-n-ブチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジ-n-オクチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジエチルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチル-ジシロキサン、ヘキサ-n-ブチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサビニルジシロキサン、1,1,1,3,3-ペンタメチル-3-アセトキシジシロキサン、1-アリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラフェニルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチル-ジシロキサン、1,3-ジアリルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3-ジアリルテトラメチル-ジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラキス(ジメチルシロキシ)ジシロキサン、(3-クロロプロピル)ペンタメチル-ジシロキサン、1,3-ジビニルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,1,3,3-テトライソプロピル-ジシロキサン、1,1,3,3-テトラビニルジメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラシクロペンチルジクロロ-ジシロキサン、ビニルペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-クロロイソブチル)テトラメチルジシロキサン、ヘキサフェニルジシロキサン、1,1,1トリエチル-3,3,3トリメチルジシロキサン、1,3-ビス(クロロメチル)テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニルジメチルジシロキサン、メタクリロキシペンタメチル-ジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-クロロプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(トリエトキシシリルエチル)テトラメチル-ジシロキサン、3-アミノプロピルペンタメチルジシロキサン、1,3-ジクロロ-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、1,3-ジエチニルテトラメチルジシロキサン、n-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジクロロテトラフェニルジシロキサン、1,3-ジクロロテトラメチル-ジシロキサン、1,3-ジ-t-ブチルジシロキサン、1,3-ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,3-ジビニルテトラエトキシジシロキサン、1,1,3,3-テトラエトキシ-1,3-ジメチルジシロキサン、ビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、白金-[1,3-ビス(シクロヘキシル)イミダゾール-2-イリデンジビニルテトラメチルジシロキサン、ヘキサクロロジシロキサン(HCDSO)、1,1,3,3-テトライソプロピル-1-クロロジシロキサン、1,1,1-トリメチル-3,3,3-トリフェニルジシロキサン、1,3-ビス(トリメチルシロキシ)-1,3-ジメチルジシロキサン、3,3-ジフェニル-テトラメチルトリシロキサン、3-フェニルヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、n-プロピルヘプタメチルトリシロキサン、1,5-ジエトキシヘキサメチルトリシロキサン、3-エチルヘプタメチル-トリシロキサン、3-(テトラヒドロフルフリルオキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、3-(3,3,3トリフルオロプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,5,5-ペンタフェニル-1,3,5-トリメチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,5,5-テトラフェニル-1,3,3,5-テトラメチルトリシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、オクタクロロトリシロキサン、3-フェニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、(3,3,3-トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン、1,3,5トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、3-(m-ペンタデシルフェノキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、リモネニルトリシロキサン、3-ドデシルヘプタメチルトリシロキサン、3-オクチルヘプタメチルトリシロキサン、1,3,5-トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサエチル-3-メチルトリシロキサン、1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン、3-(3-ヒドロキシプロピル)ヘプタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロメチルホスホノキシトリシロキサン、3-オクタデシルヘプタメチルトリシロキサン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン、ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサン共重合体、1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3-ビス(トリメチルシロキシ)-1,3-ジメチルジシロキサン、ジメチルシロキサン-[65-70%(60%プロピレンオキシド/40%エチレンオキシド)]ブロック共重合体、ビス(ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、テトラ-n-プロピルテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタエチルシクロテトラシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリオクタデシルメチルシロキサン、ヘキサコシル末端ポリジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ポリ(3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン)、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-デカメチルペンタシロキサン、トリエチルシロキシ末端ポリジエチルシロキサン、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得るか、またはそれらからなる群から選択され得る。
【0024】
シリコン前駆体材料は、化学蒸着条件下で、反応生成物としてシリコン含有膜をもたらすのに十分な、少なくとも1つの共反応物前駆体材料との反応性を有し得る。
【0025】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、基板上にシリコン前駆体を堆積させるための方法のフローチャートである。
図1に示すように、方法100は、以下の工程、すなわち、シリコン前駆体材料を得る工程102と、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を得る工程104と、シリコン前駆体材料を揮発させて、シリコン前駆体蒸気を得る工程106と、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を揮発させて、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を得る工程108と、基板の表面上にシリコン含有膜を形成するのに十分な化学蒸着条件下で、シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を基板と接触させる工程110と、のうちの1つまたは複数を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。
【0026】
工程102は、シリコン前駆体材料を得ることを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。シリコン前駆体材料は、本明細書に開示されるシリコン前駆体材料のいずれか1つまたは複数を含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。得ることは、シリコン前駆体材料を含むコンテナまたは他の容器を得ることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、シリコン前駆体材料は、その中でシリコン前駆体材料が気化され得るコンテナまたは他の容器内で得られてもよい。
【0027】
工程104は、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を得ることを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。少なくとも1つの共反応物前駆体材料は、所望のシリコン含有膜を得るように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、所望のシリコン含有膜は、窒化シリコン、酸化シリコン、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共反応物前駆体材料は、N2、H2、NH3、N2H4、CH3HNNH2、CH3HNNHCH3、NCH3H2、NCH3CH2H2、N(CH3)2H、N(CH3CH2)2H、N(CH3)3、N(CH3CH2)3、Si(CH3)2NH、ピラゾリン、ピリジン、エチレンジアミン、それらのラジカル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共反応物前駆体材料は、H2、O2、O3、H2O、H2O2、NO、N2O、NO2、CO、CO2、カルボン酸、アルコール、ジオール、それらのラジカル、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得る。得ることは、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を含むコンテナまたは他の容器を得ることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共反応物前駆体材料は、その中で少なくとも1つの共反応物前駆体材料が気化され得るコンテナまたは他の容器内で得られてもよい。
【0028】
工程106は、シリコン前駆体材料を揮発させて、シリコン前駆体蒸気を得ることを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。揮発させることは、シリコン前駆体蒸気を得るのに十分なシリコン前駆体材料を加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、シリコン前駆体材料を含むコンテナを加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、化学蒸着プロセスが実行される堆積チャンバ内でシリコン前駆体材料を加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、シリコン前駆体材料、シリコン前駆体蒸気、またはそれらの任意の組合せを、例えば堆積チャンバに送達するための導管を加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、シリコン前駆体材料を含む蒸気送達システムを動作させることを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、シリコン前駆体材料を気化させて、シリコン前駆体蒸気を得るのに十分な温度まで加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、シリコン前駆体材料、シリコン前駆体蒸気、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つの分解温度未満の温度まで加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、シリコン前駆体材料は気相中に存在してもよく、その場合、工程106は任意であり、必須ではない。例えば、シリコン前駆体材料は、シリコン前駆体蒸気を含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。
【0029】
工程108は、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を揮発させて、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を得ることを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を得るのに十分な少なくとも1つの共反応物前駆体材料を加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を含むコンテナを加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、化学蒸着プロセスが実行される堆積チャンバ内で少なくとも1つの共反応物前駆体材料を加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、少なくとも1つの共反応物前駆体材料、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気、またはそれらの任意の組合せを、例えば堆積チャンバに送達するための導管を加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を含む蒸気送達システムを動作させることを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、少なくとも1つの共反応物前駆体材料を気化させて、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を得るのに十分な温度まで加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、揮発させることは、少なくとも1つの共反応物前駆体材料、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つの分解温度未満の温度まで加熱することを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの共反応物前駆体材料は気相中に存在してもよく、その場合、工程108は任意であり、必須ではない。例えば、少なくとも1つの共反応物前駆体材料は、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。
【0030】
工程110は、基板の表面上にシリコン含有膜を形成するのに十分な化学蒸着条件下で、シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を基板と接触させることを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。接触させることは、化学蒸着プロセスに適した任意のシステム、装置、デバイス、アセンブリ、そのチャンバ、またはその構成要素(とりわけ、例えば、限定されないが、堆積チャンバを含む)で行われてもよい。シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体は、同時に基板と接触させることができる。例えば、シリコン前駆体蒸気、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気、および基板のそれぞれは、同時に堆積チャンバ内に存在してもよい。したがって、接触させることは、シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を基板と同時期に接触させることまたは同時に接触させることを含み得る。
【0031】
少なくともシリコン前駆体蒸気、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気、および基板のこの同時期または同時の接触により、本明細書に開示される化学蒸着(CVD)プロセスを原子層堆積(ALD)プロセスと区別することができる。原子層堆積では、基板を各蒸気相前駆体と交互に順次接触させる(例えば、1つまたは複数のサイクルで)。例えば、第1の蒸気相前駆体は、任意の他の蒸気相前駆体が存在しない状態で、第1の期間の間、チャンバ内の基板と接触させることができる。第1の蒸気相前駆体の過剰分をチャンバから除去すると、第2の蒸気相前駆体は、任意の他の蒸気相前駆体が存在しない状態で、第2の期間の間、チャンバ内の基板と接触させることができる。追加の蒸気相前駆体を使用することができ、このプロセスを1つまたは複数のサイクルまたはパルスで繰り返すことができる。本明細書に開示される化学蒸着プロセスでは、両方の蒸気相前駆体を基板と同時に接触させることができ、したがって、原子層堆積プロセスとは異なり、基板と交互に順次接触させない。したがって、接触させることは、シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気のそれぞれを基板と交互に接触させることを含まなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、接触させることは、シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気のそれぞれを基板と順次接触させることを含まない。いくつかの実施形態では、接触させることは、シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気のそれぞれを基板と交互に順次接触させることを含まない。
【0032】
化学蒸着条件は、堆積温度を含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。堆積温度は、シリコン前駆体蒸気、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つの熱分解温度未満の温度であってもよい。堆積温度は、シリコン前駆体蒸気、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つの凝縮を低減または回避するのに十分に高くてもよい。いくつかの実施形態では、基板は堆積温度まで加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、その中で基板がシリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気と接触させられるチャンバまたは他の容器が、堆積温度まで加熱される。いくつかの実施形態では、シリコン前駆体蒸気、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを堆積温度まで加熱することができる。
【0033】
堆積温度は、200℃~2500℃の温度であってよい。いくつかの実施形態では、堆積温度は、500℃~700℃の温度であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、堆積温度は、500℃~680℃、500℃~660℃、500℃~640℃、500℃~620℃、500℃~600℃、500℃~580℃、500℃~560℃、500℃~540℃、500℃~520℃、520℃~700℃、540℃~700℃、560℃~700℃、580℃~700℃、600℃~700℃、620℃~700℃、640℃~700℃、660℃~700℃、または680℃~700℃の温度であり得る。他の実施形態では、堆積温度は、200℃~2500℃を超える温度、例えば、限定されないが、400℃~2000、500℃~2000℃、550℃~2400℃、600℃~2400℃、625℃~2400℃、650℃~2400℃、675℃~2400℃、700℃~2400℃、725℃~2400℃、750℃~2400℃、775℃~2400℃、800℃~2400℃、825℃~2400℃、850℃~2400℃、875℃~2400℃、900℃~2400℃、925℃~2400℃、950℃~2400℃、975℃~2400℃、1000℃~2400℃、1025℃~2400℃、1050℃~2400℃、1075℃~2400℃、1100℃~2400℃、1200℃~2400℃、1300℃~2400℃、1400℃~2400℃、1500℃~2400℃、1600℃~2400℃、1700℃~2400℃、1800℃~2400℃、1900℃~2400℃、2000℃~2400℃、2100℃~2400℃、2200℃~2400℃、2300℃~2400℃、500℃~2000℃、500℃~1900℃、500℃~1800℃、500℃~1700℃、500℃~1600℃、500℃~1500℃、500℃~1400℃、500℃~1300℃、500℃~1200℃、500℃~1100℃、500℃~1000℃、500℃~1000℃、500℃~900℃、または500℃~800℃の温度などであり得る。
【0034】
化学蒸着条件は、堆積圧力を含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、堆積圧力は、シリコン前駆体蒸気、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つの蒸気圧を含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、堆積圧力は、チャンバ圧力を含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。
【0035】
堆積圧力は、0.001Torr~100Torrの圧力であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、堆積圧力は、1Torr~30Torr、1Torr~25Torr、1Torr~20Torr、1Torr~15Torr、1Torr~10Torr、5Torr~50Torr、5Torr~40Torr、5Torr~30Torr、5Torr~20Torr、または5Torr~15Torrの圧力であってもよい。他の実施形態では、堆積圧力は、1Torr~100Torr、5Torr~100Torr、10Torr~100Torr、15Torr~100Torr、20Torr~100Torr、25Torr~100Torr、30Torr~100Torr、35Torr~100Torr、40Torr~100Torr、45Torr~100Torr、50Torr~100Torr、55Torr~100Torr、60Torr~100Torr、65Torr~100Torr、70Torr~100Torr、75Torr~100Torr、80Torr~100Torr、85Torr~100Torr、90Torr~100Torr、95Torr~100Torr、1Torr~95Torr、1Torr~90Torr、1Torr~85Torr、1Torr~80Torr、1Torr~75Torr、または1Torr~70Torrの圧力であってもよい。他のさらなる実施形態では、堆積圧力は、1mTorr~100mTorr、1mTorr~90mTorr、1mTorr~80mTorr、1mTorr~70mTorr、1mTorr~60mTorr、1mTorr~50mTorr、1mTorr~40mTorr、1mTorr~30mTorr、1mTorr~20mTorr、1mTorr~10mTorr、100mTorr~300mTorr、150mTorr~300mTorr、200mTorr~300mTorr、または150mTorr~250mTorr、または150mTorr~225mTorrの圧力であってもよい。
【0036】
接触させることは、1~50nm/分の堆積速度をもたらすのに十分であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、接触させることは、10~35nm/分、11~35nm/分、12~35nm/分、13~35nm/分、10~32nm/分、11~32nm/分、12~32nm/分、13~32nm/分、15~32nm/分、16~32nm/分、17~32nm/分、18~32nm/分、19~32nm/分、20~32nm/分、21~32nm/分、22~32nm/分、23~32nm/分、24~32nm/分、25~32nm/分、26~32nm/分、27~32nm/分、28~32nm/分、29~32nm/分、または30~32nm/分の堆積速度をもたらすのに十分であり得る。いくつかの実施形態では、堆積速度は、他の化学蒸着条件の中でも、堆積温度および堆積圧力のうちの1つまたは複数を基準とすることができる。いくつかの実施形態では、接触させることは、1~1500nm/分、1~1400nm/分、1~1300nm/分、1~1200nm/分、1~1100nm/分、1~1000nm/分、1~900nm/分、1~800nm/分、1~700nm/分、1~600nm/分、1~500nm/分、1~400nm/分、1~300nm/分、1~200nm/分、または1~100nm/分の堆積速度をもたらすのに十分であり得る。
【0037】
接触させることは、10%~80%のステップカバレッジをもたらすのに十分であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、接触させることは、30%~45%、31%~45%、32%~45%、33%~45%、34%~45%、35%~45%、36%~45%、37%~45%、38%~45%、39%~45%、または40%~45%のステップカバレッジをもたらすのに十分であり得る。いくつかの実施形態では、ステップカバレッジは、他の化学蒸着条件の中でも、堆積温度および堆積圧力のうちの1つまたは複数を基準とすることができる。
【0038】
接触させることは、シリコン前駆体材料対照よりも1.2~5倍大きい堆積速度をもたらすのに十分であり得、シリコン前駆体材料対照は、テトラエトキシシラン(TEOS)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、接触させることは、シリコン前駆体材料対照よりも1.4~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも1.5~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも1.6~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも1.7~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも1.8~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも1.9~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも2~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも2.1~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも2.2~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも2.3~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも2.4~3倍大きい、シリコン前駆体材料対照よりも2.5~3倍大きい、またはシリコン前駆体材料対照よりも2.6~3倍大きい堆積速度をもたらすのに十分であり得る。いくつかの実施形態では、堆積速度は、他の化学蒸着条件の中でも、堆積温度および堆積圧力のうちの1つまたは複数を基準とすることができる。
【0039】
接触させることは、1~20nm/分のウェットエッチング速度をもたらすのに十分であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、接触させることは、1~19nm/分、1~18nm/分、1~17nm/分、1~16nm/分、1~15nm/分、1~14nm/分、1~13nm/分、1~12nm/分、1~11nm/分、1~10nm/分、1~9nm/分、1~8nm/分、1~7nm/分、1~6nm/分、1~5nm/分、1~4nm/分、2~20nm/分、3~20nm/分、4~20nm/分、5~20nm/分、6~20nm/分、7~20nm/分、8~20nm/分、9~20nm/分、10~20nm/分11~20nm/分、12~20nm/分、13~20nm/分、14~20nm/分、15~20nm/分、16~20nm/分、17~20nm/分、または18~20nm/分のウェットエッチング速度をもたらすのに十分であり得る。いくつかの実施形態では、ウェットエッチング速度は、100:1 HFでの熱酸化を基準とする。
【0040】
接触させることは、10%未満の熱収縮をもたらすのに十分であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、接触させることは、0.1%~10%、0.1%~5%、0.1%~5%、0.1%~4.8%、0.1%~4.6%、0.1%~4.4%、0.1%~4.2%、0.1%~4%、0.1%~3.8%、0.1%~3.6%、0.1%~3.4%、0.1%~3.2%、0.1%~3%、0.1%~2.8%、0.1%~2.6%、0.1%~2.4%、0.1%~2.2%、0.1%~2%、0.1%~1.8%、0.1%~1.6%、0.1%~1.4%、0.1%~1.2%、0.1%~1%、0.1%~0.8%、0.1%~0.6%、0.1%~0.5%、または0.1%~0.4%の熱収縮をもたらすのに十分であり得る。
【0041】
基板は、Si、Co、Cu、Al、W、WN、WC、TiN、Mo、MoC、SiO2、W、SiN、WCN、Al2O3、AlN、ZrO2、La2O3、TaN、RuO2、IrO2、Nb2O3、Y2O3、酸化ハフニウム、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得る。いくつかの実施形態では、基板は、例えば、ポリシリコン基板、金属基板、および誘電体基板のうちの1つまたは複数などの他のシリコンベース基板を含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態は、
図1の方法に従って調製されたシリコン含有膜などのシリコン含有膜に関する。
【0043】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、シリコン含有物品の概略図である。
図2に示すように、シリコン含有物品200は、基板202およびシリコン含有膜204を含み得るか、それらからなり得るか、または本質的にそれらからなり得る。図示の実施形態では、シリコン含有物品200は、基板202の少なくとも一部上にシリコン含有膜204を含む。
【実施例】
【0044】
実施例1
シリコン前駆体材料
シリコン前駆体材料の非限定的な例としては、ビス(ジエチルアミノ)-1、1,3,3-テトラメチルジシロキサン(BDEA-TMDSO)が挙げられる。BDEA-TMDSOの化学構造を以下に示す:
【0045】
実施例2
シリコン前駆体材料
シリコン前駆体材料の非限定的な例としては、1,3-ビス(イソプロピルアミノ)テトラメチルジシロキサン(BIPA-TMDSO)が挙げられる。BIPA-TMDSOの化学構造を以下に示す:
【0046】
実施例3
シリコン前駆体材料
シリコン前駆体材料の非限定的な例としては、ヘキサクロロジシロキサン(HCDSO)が挙げられる。HCDSOの化学構造を以下に示す:
【0047】
実施例4
シリコン前駆体材料
シリコン前駆体材料の非限定的な例としては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)が挙げられる。HMDSOの化学構造を以下に示す:
【0048】
実施例5
堆積速度
テトラエトキシシラン(TEOS)の対照前駆体材料およびBDEA-TMDSOを含むシリコン前駆体材料を用いて、いくつかの化学蒸着プロセスを行った。560℃および650℃のそれぞれにおけるBDEA-TMDSOおよびTEOSそれぞれの堆積速度を測定した。
図3に示すように、BDEA-TMDSOの堆積速度は、650℃におけるTEOSの堆積速度よりも2.5倍速く、560℃におけるTEOSの堆積速度よりも2.8倍速いことが確認された。
【0049】
実施例6
シリコン前駆体材料
実施例1~4のシリコン前駆体材料を使用して、化学蒸着プロセスを行った。比較のために、テトラエトキシシラン(TEOS)を対照前駆体材料として使用した。すべての前駆体材料を、550℃~650℃の堆積温度および3.5Torrの圧力で堆積させた。堆積速度およびステップカバレッジを以下の表1に要約する。
【0050】
表1のデータに基づくと、シリコン前駆体材料の堆積速度は、対照前駆体材料の堆積速度よりも最大4.2倍大きかった。さらに、シリコン前駆体材料のステップカバレッジは、最大で対照前駆体材料のステップカバレッジの1.4倍を超えた。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にシリコン前駆体を堆積させるための方法であって、
少なくとも1つのシロキサン結合を含むシリコン前駆体材料を得ることと、
少なくとも1つの共反応物前駆体材料を得ることと、
シリコン前駆体材料を揮発させて、シリコン前駆体蒸気を得ることと、
少なくとも1つの共反応物前駆体材料を揮発させて、少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を得ることと、
基板の表面上にシリコン含有膜を形成するのに十分な化学蒸着条件下で、シリコン前駆体蒸気および少なくとも1つの共反応物前駆体蒸気を基板と接触させることと
を含む、方法。
【請求項2】
シリコン前駆体材料が、式:
(A
1A
2A
3)Si-O-Si(B
1B
2B
3)
(式中、A
1、A
2、A
3、B
1、B
2、およびB
3のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、エチニル、フェニル、アリル、ビニル、またはアセトキシである)
の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコン前駆体材料が、ビス(ジエチルアミノ)-1、1,3,3-テトラメチルジシロキサン(BDEA-TMDSO)、1,3-ビス(イソプロピルアミノ)テトラメチルジシロキサン(BIPA-TMDSO)、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
接触させることが、シリコン前駆体材料対照の堆積速度よりも2.5~3倍速い堆積速度をもたらすのに十分であり、シリコン前駆体材料対照がテトラエトキシシラン(TEOS)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
化学蒸着のための前駆体であって、
シリコン前駆体材料であって、シリコン前駆体材料が、式:
(A
1A
2A
3)Si-O-Si(B
1B
2B
3)
(式中、A
1、A
2、A
3、B
1、B
2、およびB
3のそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミノアルキル、エチニル、フェニル、アリル、ビニル、またはアセトキシである)
の化合物であり、
シリコン前駆体材料が、化学蒸着条件下で、反応生成物としてシリコン含有膜をもたらすのに十分な、少なくとも1つの共反応物前駆体材料との反応性を有する、シリコン前駆体材料
を含む、前駆体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】