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特表2024-530963極紫外線リソグラフィパターニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-27
(54)【発明の名称】極紫外線リソグラフィパターニング方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240820BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240820BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20240820BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 503
H01L21/30 502D
G03F7/38 501
G03F7/38 511
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509381
(86)(22)【出願日】2022-08-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 US2022040775
(87)【国際公開番号】W WO2023023258
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】17/406,612
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ス ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ラリー,アンジェリーク
(72)【発明者】
【氏名】リ,チュンマン
(72)【発明者】
【氏名】ルウ,チァオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 良裕
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196EA06
2H196EA07
2H196GA01
2H196HA23
2H196JA02
2H196JA03
2H197AB05
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE10
2H197GA01
2H197HA03
5F146AA28
(57)【要約】
半導体デバイスを製造する方法が記載され、方法は、基板の最上層の上にベース層を形成することであって、ベース層は、5nm以下且つ0.5nm以上の厚さを有するシリコン系誘電体を含む、ことと、ベース層の上にフォトレジスト層を形成することであって、フォトレジストは、第1の側部及び反対側の第2の側部を備える、ことと、フォsトレジスト層の第1の部分を、第1の側部から極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することと、フォトレジスト層の第2の部分を、第2の側部から電子流束のパターンで露光することであって、電子流束はEUV放射線に応答してベース層からフォトレジスト層の中に向けられる、ことと、露光されたフォトレジスト層を現像してパターニングされたフォトレジスト層を形成することと、パターニングされたフォトレジスト層のパターンをベース層及び最上層に転写することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを製造する方法であって、
基板の最上層の上にベース層を形成することであって、前記ベース層は、5nm以下且つ0.5nm以上の厚さを有するシリコン系誘電体を含む、ことと、
前記ベース層の上にフォトレジスト層を形成することであって、フォトレジストは、第1の側部及び反対側の第2の側部を備える、ことと、
前記フォトレジスト層の第1の部分を、前記第1の側部から極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することと、
前記フォトレジスト層の第2の部分を、前記第2の側部から電子流束のパターンで露光することであって、前記電子流束は前記EUV放射線に応答して前記ベース層から前記フォトレジスト層の中に向けられる、ことと、
露光された前記フォトレジスト層を現像してパターニングされたフォトレジスト層を形成することと、
前記パターニングされたフォトレジスト層の前記パターンを前記ベース層及び前記最上層に転写することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の部分の体積が、前記第1の部分の体積よりも小さく、前記フォトレジストの総体積の10%よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコン系誘電体は炭化シリコンであり、前記炭化シリコンは、40原子%以上且つ50原子%以下の炭素含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコン系誘電体は炭窒化シリコンであり、前記炭窒化シリコンは、10原子%以上且つ30原子%以下の炭素含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シリコン系誘電体は酸炭窒化シリコンであり、前記酸炭窒化シリコンは、10原子%以上且つ30原子%以下の炭素含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ベース層を形成することは、
前記フォトレジスト層を形成する前に、前記ベース層の主表面を改質し、その結果、前記主表面は疎水性になっていることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ベース層の前記主表面を改質することは、前記主表面を水素ラジカル(H*)に曝すこと、前記主表面の上に炭化水素(CH)コーティングを堆積すること、又は水素ガスを含む雰囲気中で前記基板をアニールすることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ベース層の前記主表面を改質することは、前記主表面の上に自己組織化単分子層(SAM)のコーティングを形成することを含み、前記SAMは、n-オクタデシルトリメトキシシラン(ODS:HC(CH)17Si(OCH)、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロ-デシル-1-トリメトキシシラン(FAS:FC(CF(CH)2Si(OCH)、n-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン(AHAPS:HN(CH)6NH(CH)3Si(OCH、及び、4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン(CMPhS:HClC(C)Si(OCH)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記ベース層を形成することは、前記基板の前記最上層を水蒸気を含むガス混合物に曝すことを含む原子層堆積(ALD)プロセスを実施することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ベース層を形成することは、前記基板をSiOC(N)のための低温酸化物前駆体に曝すことを含む周期的化学蒸着(CVD)プロセスを実施することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記最上層は、スピンオン炭素(SOC)層、有機誘電体層(ODL)、非晶質炭素(a-C)層、又は有機平坦化層(OPL)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
基板の上にエッチマスクを形成する方法であって、前記方法は、
前記基板の主表面に付着する電子ブースタ層を形成することと、
前記電子ブースタ層の主表面を水素含有ガスに曝して前記主表面を疎水性に転換することと、
前記電子ブースタ層の疎水性の前記主表面に付着するフォトレジスト層を形成することと、
前記フォトレジスト層の第1の部分を、極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することと、
前記フォトレジスト層の第2の部分を前記電子ブースタ層からの電子流束で露光することであって、前記EUV放射線の一部が前記フォトレジスト層の下方で吸収されて、前記電子流束が生成される、ことと、
露光された前記フォトレジスト層を現像してパターニングされたフォトレジスト層を形成することと、
前記電子ブースタ層を前記パターニングされたフォトレジスト層でパターニングして、パターニングされた電子ブースタ層を形成することであって、前記エッチマスクは、パターニングされた前記電子ブースタ層と、前記電子ブースタ層をパターニングした後に残っている前記パターニングされたフォトレジスト層とを組み合わせたものである、ことと、を含む、方法。
【請求項13】
前記電子ブースタ層を形成することは、金属層を形成することを含み、前記金属層は、チタン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化アルミニウム、タングステン、モリブデン、又はルテニウムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電子ブースタ層を形成することは、金属酸化物を含む層を形成することを含み、前記金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化スズ、又は酸化インジウムを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記電子ブースタ層を形成することは、炭化シリコン、炭窒化シリコン、炭素ドープ酸化シリコン、酸炭窒化シリコン、又は窒化シリコンを含むシリコン系誘電体層を形成することを含み、前記シリコン系誘電体層の厚さは、0.5nm以上且つ5nm以下である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
基板をパターニングする方法であって、前記方法は、
複数の試験基板を準備することであって、各試験基板は実質的に同じ最上層を有する、ことと、
前記複数の試験基板の各々の前記最上層の上にリソグラフィスタックを形成することであって、前記リソグラフィスタックは、ベース層と、前記ベース層の上に配置されたフォトレジスト層とを含み、前記複数の試験基板の各々の前記ベース層は、厚さ及び組成の異なる組合せを有する、ことと、
前記フォトレジスト層を焦点-露光量マトリックスにて極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することにより、各フォトレジスト層をEUVリソグラフィプロセスでパターニングすることと、
前記複数の試験基板の各々のパターニングされた前記フォトレジスト層を測定することにより、パターニング測定基準を得ることと、
前記パターニング測定基準に基づいて、第1のタイプのベース層を選択することであって、前記第1のタイプのベース層は、EUVリソグラフィプロセス用のリソグラフィスタックの第1のベース層の作成に関する第1の厚さと第1の組成との特定の組合せを有する、ことと、を含む、方法。
【請求項17】
前記パターニング測定基準は、焦点深度、限界寸法、エッジ配置誤差、ラインエッジラフネス、線幅ラフネス、フォトレジスト側壁角度、若しくはフォトレジストパターンにおける欠陥密度、又はそれらの組合せを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のタイプのベース層を選択することは、
前記パターニング測定基準ごとに、前記測定基準が許容可能となる範囲を定めることと、
前記パターニング測定基準ごとに、各ベース層に関して露光量と前記パターニング測定基準との間の関係を取得することと、
前記関係に基づいて、前記パターニング測定基準の各々が、それぞれの前記範囲内となる露光量が存在する、前記ベース層を特定することと、
特定された前記ベース層から前記第1のタイプのベース層を選択することと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ベース層の各々の組成が、シリコン(Si)、酸素(O)、炭素(C)、及び窒素(N)原子の組成を含み、Siのモル分率、及びO、C及びNのうちの少なくとも1つのモル分率が、10原子%以上である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
炭素のモル分率は、10原子%以上且つ50原子%以下である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月19日に出願された米国特許出願第17/406,612号明細書の優先権を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に半導体デバイスを製造する方法に関し、特定の実施形態では、極紫外線(EUV)リソグラフィを使用して層をパターニングする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、半導体集積回路(IC)は、半導体基板の上に誘電層、導電層又は半導体層を順次堆積させ、フォトリソグラフィ及びエッチングを使用して層をパターニングして、トランジスタ、レジスタ、コンデンサ、金属ライン、コンタクト及びビアのような電子要素及び相互接続要素を1つのモノリシック構造で形成することにより製造される。コストを低減させるために、新技術ノードごとにフィーチャサイズは縮小され、充填密度は2倍になる。より高い解像度のパターンを印刷する直接的な方法が、より短い波長の光源を使用することである。250nm及び130nmのノードにおいて限界パターンを印刷するために使用される248nmの深紫外線(DUV)KrFレーザーは、90nmのノードから始めて193nmのArFレーザーで置き換えられている。35nmまでのフィーチャは、液浸リソグラフィなどの解像度向上技術を用いて193nmのリソグラフィを使用して印刷される場合がある。193nmの光学系は、多重パターニング技術を使用して、14nmノード、更には10nmノードまで更に拡張されるが、追加マスクに関連する高いコスト及び処理の複雑さを伴う。サブ10nmの領域では、DUVは、更に短い13.5nmの波長の極紫外線(EUV)技術で置き換えることが可能である。EUVが、より少ないマスクを用いる高解像度パターニングを約束する一方で、フォトリソグラフィの全ての構成要素(放射線源、スキャナ、マスク及びレジスト)を、製造システムの信頼性及びスループットを有するシステムにまとめるという、工学的ハードルを克服しなければならない。EUVパターニングのスループットを制限する1つの要因は、必要な露光量がDUVパターニングと比較して概して高いことである。半導体ICの大量製造においてEUVリソグラフィの展開を成功させるために、この領域における更なる革新が必要である。
【発明の概要】
【0004】
半導体デバイスを製造する方法であって、基板の最上層の上にベース層を形成することであって、ベース層は、5nm以下且つ0.5nm以上の厚さを有するシリコン系誘電体を含む、ことと、ベース層の上にフォトレジスト層を形成することであって、フォトレジストは、第1の側部及び反対側の第2の側部を備える、ことと、フォトレジスト層の第1の部分を、第1の側部から極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することと、フォトレジスト層の第2の部分を、第2の側部から電子流束のパターンで露光することであって、電子流束はEUV放射線に応答してベース層からフォトレジスト層の中に向けられる、ことと、露光されたフォトレジスト層を現像してパターニングされたフォトレジスト層を形成することと、パターニングされたフォトレジスト層のパターンをベース層及び最上層に転写することと、を含む方法。
【0005】
基板の上にエッチマスクを形成する方法であって、基板の主表面に付着する電子ブースタ層を形成することと、電子ブースタ層の主表面を水素含有ガスに曝して主表面を疎水性に転換することと、電子ブースタ層の疎水性の主表面に付着するフォトレジスト層を形成することと、フォトレジスト層の第1の部分を、極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することと、フォトレジスト層の第2の部分を電子ブースタ層からの電子流束で露光することであって、EUV放射線の一部がフォトレジスト層の下方で吸収されて、電子流束が生成される、ことと、露光されたフォトレジスト層を現像してパターニングされたフォトレジスト層を形成することと、電子ブースタ層をパターニングされたフォトレジスト層でパターニングして、パターニングされた電子ブースタ層を形成することであって、エッチマスクは、パターニングされた電子ブースタ層と、電子ブースタ層をパターニングした後に残っているパターニングされたフォトレジスト層とを組み合わせたものである、ことと、を含む方法。
【0006】
基板をパターニングする方法であって、複数の試験基板を準備することであって、各試験基板は実質的に同じ最上層を有する、ことと、複数の試験基板の各々の最上層の上にリソグラフィスタックを形成することであって、リソグラフィスタックは、ベース層と、ベース層の上に配置されたフォトレジスト層とを含み、複数の試験基板の各々のベース層は、厚さ及び組成の異なる組合せを有する、ことと、フォトレジスト層を焦点-露光量マトリックスにて極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することにより、各フォトレジスト層をEUVリソグラフィプロセスでパターニングすることと、複数の試験基板の各々のパターニングされたフォトレジスト層を測定することにより、パターニング測定基準を得ることと、パターニング測定基準に基づいて、第1のタイプのベース層を選択することであって、第1のタイプのベース層は、EUVリソグラフィプロセス用のリソグラフィスタックの第1のベース層に関する第1の厚さと第1の組成との特定の組合せを有する、ことと、を含む方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明及びその利点のより完全な理解のために、ここで、以下の記載を添付図面と併せて参照する。
【0008】
図1】一実施形態による、基板の上のリソグラフィスタックの斜視図である。
図2】一実施形態による、半導体デバイスを製造する方法を示すフロー図である。
図3A】一実施形態による、半導体デバイスを製造するためのプロセスフローの様々な中間段階における基板の断面図を示す。
図3B】一実施形態による、半導体デバイスを製造するためのプロセスフローの様々な中間段階における基板の断面図を示す。
図3C】一実施形態による、半導体デバイスを製造するためのプロセスフローの様々な中間段階における基板の断面図を示す。
図3D】一実施形態による、半導体デバイスを製造するためのプロセスフローの様々な中間段階における基板の断面図を示す。
図4】一実施形態による、基板をパターニングする方法を示すフロー図である。
図5】一実施形態による、基板をパターニングする方法で使用されるパターニングデータのプロットの概略図を示す。
図6】一実施形態による、基板の上にエッチマスクを形成する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この開示は、半導体集積回路(IC)を製造するためのプロセスフローにおいて極紫外線(EUV)リソグラフィを使用して基板をパターニングする方法について記載する。例示的な実施形態は、露光量を低減させてスループットを増加させ、それにより製造コストを低下させることに役立つ、リソグラフィスタックを選択する方法を利用する。
【0010】
フォトリソグラフィプロセスは、フォトレジストを化学線のパターンで露光することにより、パターニングされたフォトレジストエッチマスクを形成することを含む。EUVリソグラフィプロセスでは、化学線は、典型的には約13.5nmの波長を有する。13.5nmのEUVの短い波長は、遥かに長い波長を使用する193nm深紫外(DUV)リソグラフィ及び液浸DUV(iDUV)リソグラフィの解像能力を延長するために使用される多重パターニング技術の追加コストを払うことなく、高解像度パターンを印刷する場合に有望である。iDUV及び多重パターニングについては、マスク及び付随する処理ステップの数は、例えば5nmの技術ノードにおいて、先端ICデザインを製造するためのプロセスフローにとって極端に高価になる場合がある。しかしながら、当業者に知られているように、1つのマスキングレベルで微細パターン(例えば、30nmピッチのラインアンドスペースのアレイ)を印刷するEUVリソグラフィの単一パターニング能力の見込みは、それ自身のコストを有する。商用のEUVスキャナは、放射線源、光学系、フォトレジスト、及び光学マスク技術などの、EUVリソグラフィ技術の様々な構成要素の開発における進歩にもかかわらず、先進的な193nmのiDUVスキャナと比較して数倍も高価なままである。
【0011】
単一パターニングによって実現可能なコスト削減を相殺する他の要因が、EUVリソグラフィの比較的高い露光量のコストである。フォトレジストを露光する放射線量が多くなると露光時間は長くなる場合があり、それによりスループットが減少し製造コストが増加する。193nmのDUV放射線の6.4eVの光子エネルギーと比較して14.3倍の大きさの光子エネルギー(92eV)を有する13.5nmのEUV放射線は、フォトレジストを露光するために使用されるEUV放射線の用量が比較的高いことの責任を部分的に負っている。例えば、193nmのiDUVリソグラフィプロセスにおいてフォトレジストを露光するために使用される20mJ/cmの典型的な用量を考える。光子エネルギーは6.4eVであり、これは、約200光子/nmでフォトレジストに照射することに相当する。しかし、13.5nmのEUV放射線の高い光子エネルギーでは、20mJ/cmは、わずか14光子/nmにほぼ等しく、これは適切にフォトレジストを露光するには不十分な場合がある。更には、92eVの光子がフォトレジスト膜厚さ約200nmを透過するという確率は、6.4eVの光子のためのそれより高い。
【0012】
フォトレジスト層に化学的に吸収された光子は、未露光のフォトレジスト分子の一部を光化学反応によって露光済みフォトレジストに変える。フォトレジストは、エネルギー電子で露光される場合もある。エネルギー電子の一部は、フォトレジストを透過して下にある層に吸収された光子によって生成される。EUV光子吸収プロセスは、下にある層中でエネルギー光電子を生成し、エネルギー光電子は次いで2次電子を生成する。フォトレジストに吸収されたEUV光子も2次電子を生成するが、下にある層中での光子吸収によって大量の2次電子が生成される場合がある。放出された電子の一部が下層からフォトレジスト層に入り、未反応のフォトレジスト分子と相互作用する場合があり、それにより未反応のフォトレジストが効果的に露光される。EUVリソグラフィで使用されるフォトレジストは、典型的にはポジ型フォトレジストであり、露光されたフォトレジストは、その後のプロセスステップ中に現像されたときに除去されて、パターニングされたフォトレジストマスク層が形成される。本開示に記載される実施形態は、エネルギー電子によるEUVフォトレジストの露光を促進させることにより、フォトレジスト層をパターニングするために必要なEUV放射線用量を低減させる方法の実施例を提供する。
【0013】
図1は、基板100における半導体デバイスの斜視図を示す。この図面は、EUVリソグラフィプロセス200の処理の中間段階における基板100を示し、これは図2及び図3A図3Dを参照して更に詳細に後述される。最上層130を有する入来する基板100が、EUVリソグラフィプロセス200を使用してパターニングされる。最上層130は、例えば、以降のエッチステップにおいてマスク層として使用されるハードマスク層であってもよい。いくつかの実施形態では、最上層130のためのハードマスク材料は、有機層、例えば、スピンオン炭素(SOC)、非晶質炭素層(ACL)、有機誘電体層(ODL)、及び有機平坦化層(OPL)を含んでもよい。他の実施形態では、他のハードマスク層材料が使用されてもよい。例えば、ハードマスク層材料は、誘電体、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、及び金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム及び酸化ハフニウム)、又は金属、例えばチタン及び窒化チタン等を含んでもよい。
【0014】
ベース層120及びフォトレジスト層110を含む2層EUVリソグラフィスタック102が、最上層130の上に形成されていることが示される。リソグラフィスタックは、入来する基板の表面の上に形成された犠牲的な積層された層を指し、この積層された層は、リソグラフィスタックの下方に隣接する層、例えば図1における最上層130に、化学線のパターンを転写する際に使用される処理に関与する。最上層130は、更に下方にあるターゲット層をエッチングするために使用されるハードマスク層であってもよいが、例示的な実施形態では、フォトレジスト層110とベース層120との組合せが、EUV放射線パターンをEUVリソグラフィプロセス200の入来する基板100に転写する際のエッチマスクとして使用されるので、最上層130をリソグラフィスタック102の層と呼ばないと選択したことに留意されたい。
【0015】
図1に図示す斜視図では、フォトレジスト層110が露光及び現像されて平行なラインの高密度パターンが形成されている。フォトレジスト層110は13.5nmのEUV放射線に対して感光性であって、EUV放射線(例えば、密集した線のパターン)パターンはフォトレジスト層110に転写され得る。ベース層120は、複数の目的を担う。通常、EUV放射線パターンをフォトレジスト層110から基板100の最上層130に転写するパターン転写エッチングにおいて使用されるエッチャントに対して、ベース層120はフォトレジスト層110よりも高い耐性を有する。したがって、ベース層120は、最上層130をパターニングする際のハードマスクとして利用できる。加えて、本開示に記載される方法を使用して、フォトレジスト層110をエネルギー電子で露光することを促進することを手助けするようにベース層120の組成及び厚さを選択できる。
【0016】
最上層130の下方の層は、半導体基板層150により集合的に図示されている。半導体基板層150は、単結晶半導体を含んでもよい出発基板の上に形成された様々な誘電体層、金属層、及び半導体層を備える。出発基板は、バルクシリコン、バルクシリコンの上のエピタキシャルシリコン、ガリウムヒ素、炭化シリコン、ゲルマニウム、シリコンオンインシュレータ(SOI)、又はヘテロ構造、例えばシリコン上の窒化ガリウム、サファイヤ上のシリコン等、を含んでもよく、エピタキシャル成長埋込み半導体領域、例えば埋込みシリコンゲルマニウムを更に含んでもよい。
【0017】
最上層130をパターニングするために使用されるEUVリソグラフィプロセス200は、図2のフロー図と、図3A図3Dに示される、処理の様々な中間段階における基板100のいくつかの断面図とを参照して後述される。
【0018】
基板100の最上層130をパターニングする方法は、第1のタイプのベース層を選択するように設計された実験計画法(DOE)を実行することを含む。本明細書では、ベース層のタイプは、ベース層の材料組成と層厚さとの特定の組合せを指す。したがって、第1のタイプのベース層は、第1の組成と第1の厚さとの組合せである。選択された第1のタイプのベース層は、EUVリソグラフィプロセス200において、図1のリソグラフィスタック102のベース層120として使用されてもよい。複数のタイプのベース層に対してDOEを実施することにより第1のタイプのベース層を選択する方法400が、図4に示すフロー図、及び図5に概略的に示す例示的なデータプロット500を参照して更に後述される。方法400は、第1のタイプのベース層を、下方からの電子流束のパターンでフォトレジストを照射することを促進するその能力に応じて選択する。ベース層120は、方法400を使用して選択され、リソグラフィプロセス200においてリソグラフィスタック102中に使用される場合、フォトレジスト層110の下方の層からのエネルギー電子の流入に曝露されるフォトレジストの一部を強化できる。下方からのエネルギー電子で露光されるフォトレジストの一部を増加させることは、上方からのEUV光子の流束によって露光されなければならないフォトレジストの量を減らすことを意味し、それによりEUVリソグラフィプロセス200用の放射線量を、例えば約10%~約50%減らすことが可能になる。
【0019】
図6は、最上層130及び半導体基板層150を備える入来する基板にEUV放射線パターンを転写する際に使用されるエッチマスクを形成する方法600を説明する。エッチマスクは、図3Cのリソグラフィスタック102として示される、パターニングされたベース層120と残っているフォトレジスト層110との組合せであり得る。最上層130にパターンが転写された後のパターニングされた構造の断面図が図3Dに示される。ベース層120は、例えば選択方法400を使用して、フォトレジスト層110の下方からの電子によるフォトレジストの露光を促進するように選択できる。したがって、ベース層120は、図6に示される方法600に関するフロー図において電子ブースタ層と説明されている。
【0020】
ここで図2及び図3A図3Dを参照すると、図2のフロー図における箱210、及び図3Aの断面図で示すように、リソグラフィスタック102のベース層120は入来する基板100の最上層130の上に形成される。ベース層120は、好適な堆積技術、例えば、原子層堆積(ALD)、プラズマ強化ALD(PEALD)、化学蒸着(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、物理蒸着(PVD)等を使用して形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ベース層120を形成することは、基板の最上層を水蒸気を含むガス混合物に曝すことを含むALDプロセスを実施することを含む。いくつかの他の実施形態では、ベース層120を形成することは、基板をSiOC(N)のための低温酸化物前駆体に曝すことを含む周期的化学蒸着(CVD)プロセスを実施することを含む。
【0021】
様々な実施形態では、ベース層120は、以下の2つのカテゴリに広範に属する様々な材料を含んでもよい:(i)金属原子を含む材料、及び(ii)実質的に金属を含まないシリコン系誘電体。金属含有材料は、金属導電体又は金属酸化物絶縁体であってもよい。金属導電体の例は、チタン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化アルミニウム、タングステン、モリブデン及びルテニウムを含む。金属酸化物絶縁体の例は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化スズ、及び酸化インジウムを含む。シリコン系誘電体は、Siのモル分率、及びO、C及びNのうちの少なくとも1つのモル分率が、10原子%よりも大きいことを意味する。実施例は、炭化シリコン、炭窒化シリコン、炭素ドープ酸化シリコン、酸炭窒化シリコン、及び窒化シリコンを含む。
【0022】
ベース層120用の材料の多くは、親水性表面を有して形成される。フォトレジストは疎水性であり、親水性表面に対して弱い付着力を有するので、上述したように、ベース層120の主表面へのフォトレジストの付着力を高めるために、表面改質ステップが一般に実施される。ベース層120を形成した後に、ベース層120の主表面へのフォトレジストの付着力を強化するために、表面改質プロセスステップが実施されてもよい。一般にフォトレジストは親水性表面への付着力が劣るので、表面改質ステップは、ベース層120の主表面を疎水性にすることができる。いくつかの実施形態では、ベース層120の主表面を改質することは、主表面を水素ラジカル(H*)に曝すこと、主表面の上に炭化水素(CH)コーティングを堆積すること、又は水素ガスを含む雰囲気中で基板をアニールすることを含む。いくつかの他の実施形態では、ベース層120の主表面を改質することは、表面を自己組織化単分子層(SAM)でコーティングすることを含む。SAMの実施例は、n-オクタデシルトリメトキシシラン(ODS:HC(CH)17Si(OCH)、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロ-デシル-1-トリメトキシシラン(FAS:FC(CF(CH)2Si(OCH)、n-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン(AHAPS:HN(CH)6NH(CH)3Si(OCH、及び、4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン(CMPhS:HClC(C)Si(OCH)を含む。
【0023】
EUVリソグラフィプロセス200用のフロー図の箱220、及び図3Bに示すように、(上記の)表面改質プロセスステップが完了した後、基板100は、ベース層120の主表面の上がフォトレジスト層110でコーティングされている。ベース層120とフォトレジスト層110との組合せが、2層リソグラフィスタック102を形成する。図3B(及び図2の箱230)では、フォトレジスト層110は、明部と暗部とが交互になったラインを含むパターンで投影されたEUV放射線300で露光されている。図3Bの破線は、明領域と暗領域の境界を描いている。EUV放射線300が存在する領域は、下向きの3本の平行な矢印により示され、暗い領域は矢印の欠如により示される。図3Bに示す実施例では、ポジ型フォトレジストが使用される。したがって、フォトレジストは、EUV放射線300で照射された領域から除去される一方で、暗い領域にはフォトレジストが残ったままであり、その結果、EUV放射線300の明パターン及び暗パターンが、フォトレジスト層110中のライン及びスペースのフォトレジストパターンに転写され、フォトレジストラインは、EUV放射線300のパターンにおける暗領域に位置している。
【0024】
後述するように、EUV放射線300は一般に、フォトレジスト中での光子吸収により、フォトレジスト層110の一部、すなわち第1の部分だけを露光する。EUV放射線300は、第1の側部302と称される一方の側部(上部側)からフォトレジスト層110に入る。残りの部分、すなわち第2の部分は、光子吸収に関与しなかった、又はフォトレジスト中での光子吸収から生成された電子との相互作用に関与しなかった、フォトレジスト分子を含む。フォトレジスト層110の第2の部分におけるフォトレジストは、ベース層120及び最上層130の存在ゆえに露光される。ベース層120及び最上層130において生成されたエネルギー電子310が、第2の側部304と称される反対側(底面)からフォトレジスト層110に入る。1つ以上の実施形態では、第2の部分は第1の部分よりも小さいが、フォトレジスト層110の総体積の10%を超える。
【0025】
前述したように、高い光子エネルギーゆえに、図3Bに示すように、EUV放射線300の一部からエネルギー電子310が生成される場合があり、それがフォトレジスト層110を透過し、ベース層120及び最上層130などの下方の層で吸収される。図3Bにおいてエネルギー電子310に付けられた矢印で概略的に示すように、エネルギー電子310の一部がフォトレジスト層に入ることができる。エネルギー電子310の放出は光子吸収の結果であるので、電子流束はEUV放射線300のパターンを模倣する。(図2のフロー図の箱240に示すように)エネルギー電子310を含む電子流束のパターンでフォトレジスト層110に照射することにより、EUV光子により誘起された光化学反応により露光されなかった、フォトレジスト分子の一部を露光させることができる。フォトレジストをエネルギー電子で露光することの結果は、フォトレジストを光子で露光することに非常に類似している。実際、EUV光子がフォトレジストに吸収される場合、光子から放出されるエネルギーが一連の2次電子を生成し、それが次いで、電気化学反応を介してフォトレジストと相互作用する。ポジ型フォトレジストを光子又はエネルギー電子のいずれかで露光することにより共有結合が破壊されて、比較的不溶性の未露光のポジ型フォトレジストポリマーが、化学現像液により溶解され得る形態に転換される。
【0026】
上でも説明したように、電子流束を強化して、フォトレジスト層110のより多くの部分を第2の側部からのエネルギー電子310で露光することが、EUVリソグラフィプロセス200のフォトレジスト露光ステップ(図2の箱230)で使用されるEUV放射線量を減らすことを手助けする。図4図6を参照して更に後述する方法は、ベース層120の組成及び厚さを調整して、エネルギー電子310の生成率と、最上層130からフォトレジスト層110へのエネルギー電子310の輸送とに影響を及ぼすことにより、電子流束を強化することを含む。
【0027】
EUVリソグラフィプロセス200のフロー図の箱250に示すように、フォトレジスト層110は、例えば露光されたフォトレジストを除去する化学溶媒を使用して現像される。図2の箱260に示すように、パターニングされたフォトレジスト層110は、EUV放射線パターンをベース層120に転写するためのマスク層であってもよい。図3Cは、結果として生じるパターニングされたフォトレジスト層110及びパターニングされたベース層120を示す基板100の断面図を表す。図3Cでは、図3Bにおける領域に形成されたスペース320が示され、スペース320は、EUV放射線300、並びにエネルギー電子310の光産生及び2次電子放出によって形成される電子流束により照射されている。パターニングされたフォトレジスト層110におけるスペース320はベース層120の表面を露出させ、その後のエッチステップが、ベース層120を介してスペース320を延長させて、基板100の最上層130の一部を露出させる。図3Cに図示するように、暗領域は、パターニングされたベース層120が形成された後に残っている、パターニングされたフォトレジスト層110のフォトレジストのラインにより保護されている。パターニングされたベース層120と、残っているパターニングされたフォトレジスト層110との組合せが、図3Cにおけるリソグラフィスタック102を形成する。EUVリソグラフィプロセス200のフロー図の箱270と、図3Dの断面図とに示すように、図3Cにおけるリソグラフィスタック102は、EUV放射線パターンを基板100の最上層130に転写するために、その後の異方性エッチステップにて使用するエッチマスクであってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、図2のフロー図の箱260及び箱270に示され、図3Dの断面図で表されるパターン転写エッチプロセスは、例えば、2ステップ反応性イオンエッチング(RIE)プロセスなどの2ステップ異方性プラズマエッチングを使用して実施されてもよい。第1のステップは、ベース層120の露出部分を除去してパターニングされたベース層120を形成することができ、第2のステップは、パターンを最上層130に転写することができる。
【0029】
最上層130(図2の箱270)をエッチングするために使用される異方性エッチステップの間、パターニングされたベース層120を、残っているパターニングされたフォトレジスト層110(図3Cに示す)と組み合わせてハードマスク層として使用して、図3Dに表すように、図3Cにおけるスペース320の深さを延長して、垂直に近い側壁を有する、より高いアスペクト比を有するスペース330を形成することができる。図3Dは、箱270により示されるパターン転写エッチングが完了し、半導体基板層150の表面が露出された後の、基板100の状態の断面図を示す。いくつかの実施形態では、最上層130の露出された領域を除去するために使用されるエッチング化学物質は、特に最上層130が有機材料を含む場合、図3Dのフォトレジスト層110の著しく減少した厚さにより示されるように、フォトレジストに対する選択性があまり高くない場合がある。基板100の一部領域では全てのフォトレジストが侵食される場合があり、パターンの完全性は、パターン転写エッチングがベース層120のベース層材料に対して高い選択性を有することに依存する。
【0030】
図4は、上述したリソグラフィスタック102においてベース層120として使用するベース層のタイプを選択する方法400のフロー図を示す。選択方法400を使用して、図1及び図3A図3Dに示すベース層120を形成するように第1のタイプのベース層を選択してもよい。方法400は、フォトレジスト層110の下方の層からのエネルギー電子310の流入によるフォトレジスト層110の2次露光を促進する(図3Bを参照)第1の組成と第1の厚さとの特定の組合せを有するように、第1のタイプのベース層を選択する。2次露光は、フォトレジスト層110中での光子吸収によって直接露光を補足する。
【0031】
複数のタイプのベース層から第1のタイプのベース層を選択するDOEにおいて変化される要因は、材料組成(例えば、構成原子の原子濃度)及び膜厚であり得る。いくつかの実施形態では、要因は様々な表面処理を含み得る。図4のフロー図の箱410に示すように、方法400は、複数の試験基板を準備することから始まり、各基板は、上述したEUVリソグラフィプロセス200用の入来する基板の最上層130に類似する最上層を有する。
【0032】
方法400のフロー図の箱420に示すように、2層リソグラフィスタックは、リソグラフィスタック102(図3B図3Dを参照)と同様に、複数の試験基板の各々の最上層の上に形成されてもよい。2層リソグラフィスタックは、ベース層と、ベース層の上にコーティングされたフォトレジスト層とを備える。各試験基板において同じフォトレジスト層が使用されるが、実験を実施するために、各試験基板におけるベース層は、DOEに従って、厚さ及び組成の異なる組合せを有するように形成されてもよい。
【0033】
次に、図4のフロー図の箱430に示すように、フォトレジスト層の各々が、EUV投影ステッパを使用して、EUV放射線のパターンで試験基板を露光し、次いで、露光されたフォトレジスト層を現像することによりパターニングされる。フォトリソグラフィプロセスは、各フォトレジスト層が焦点-露光量マトリックスにて露光されることを除いて、パターニングされたフォトレジスト層110を形成するために使用される、図1及び図3Cに示すプロセスに類似している。試験基板のフォトレジスト層を焦点-露光量マトリックスにて露光する場合、ダイのマトリックスの各ダイ上に同じEUV放射線パターンが投影されるが、ステッパが、あるダイ位置から次の位置にステップ移動するにつれて、露光量と焦点面の高さとの異なる組合せを使用する。例えば、行に沿った全てのダイが一定の露光量で照射されてもよいが、焦点面の高さは行内の隣接するダイ間で増加されてもよく、列に沿った全てのダイが同じ焦点面上に投影されてもよいが、露光量は列内の隣接するダイ間で増加されてもよい。試験基板を焦点-露光量マトリックスにて露光する技術を使用して、所与の露光量に対する焦点深度(DOF)を推定することができる。
【0034】
複数の試験基板をEUV放射線で露光した後に、フォトレジストの露光された領域を除去するための好適なプロセスを使用して、フォトレジスト層がパターニングされる。方法400のフロー図の箱440に示すように、様々なパターニング測定基準を得るために、パターニングされたフォトレジスト層に測定を実施した。パターニング測定基準の例として、DOF、極めて重要なパターンのフォトレジスト線幅などの限界寸法(CD)、エッジ配置誤差(EPE)、線幅ラフネス及びラインエッジラフネス(LWR及びLER)、側壁傾斜及びフォトレジストフットなどのフォトレジストプロファイル測定基準、ブリッジ、空所、フォトレジスト崩壊、フォトレジスト剥離及びスカミングなどの様々なパターニング欠陥の欠陥密度、が挙げられる。パターニング測定基準の一部は、破壊的技術を使用して測定できる。
【0035】
方法400のためのフロー図の箱450において、上述したように、第1のタイプのベース層は、実験的な試験基板から得られたパターニング測定基準に基づいて選択される。第1のタイプのベース層は第1のベース層を指定し、それは半導体デバイスを製造するために使用されるEUVリソグラフィプロセスにおけるベース層120である。選択プロセスの目的は、フォトレジストパターンの品質への悪影響を無視できるほどにしながら、フォトレジストの約10%~約50%をフォトレジスト層110の下方の層からの流入電子により電気化学的に露光することにより、比較的低いEUV露光量を使用することができるように、ベース層120に関する組成及び厚さの特定の組合せを選択することである。上述したように、露光量を減らすことにより、製造においてより高いスループットを実現するという利点を提供できる。
【0036】
1つの例示的な選択プロセスが、図4のフロー図の箱450で概説される。選択プロセスは、関心の対象であるパターニング測定基準ごとに、許容可能範囲を定めることと、露光量と、DOEのベース層の複数のタイプの各ベース層に対して測定されたパターニング測定基準との間の関係を得ることとを含む。ベース層の上に形成されたフォトレジストパターンに関する全てのパターニング測定基準が、それらの対応する許容可能範囲内にあることが判明した場合、ベース層及び対応するEUVリソグラフィプロセスは、半導体デバイスを製造するに許容可能となるであろう。
【0037】
ここで、例示的なパターニング測定基準、例えばCDを考える。図5は、3つのタイプのベース層の各々に関する、露光量に対する測定されたCDの3つのプロット510、520及び530を概略的に示す。プロット510は、基準組成(例えば、10原子%の炭素を有する炭素ドープ酸化シリコン)及び基準厚さ(例えば、2.5nm)を有する基準ベース層の上に形成されたフォトレジストパターンから測定されたCD測定値を示すことができる。プロット520は、例えば、同じ2.5nmの厚さを有するが、30原子%の炭素を有する、炭素ドープ酸化シリコンベース層を使用した試験基板から得た測定値であってもよく、プロット530は、基準組成(10原子%の炭素を有する炭素ドープ酸化シリコン)を有するが、厚さが1.5nmである試験基板からのCDデータであってもよい。CDの許容可能範囲は、水平矢印により示されるターゲットCDを中心とするCDMIN及びCDMAXとマークされた水平破線により示される。測定されたCDが許容可能である露光量の範囲が、垂直矢印により示される中央露光量を中心とする一対の垂直破線により示される。プロット510、520及び530に基づいて、3つのベース層のいずれも拒否され得る。しかしながら、例えば、LWR対露光量のプロットが、図5のプロット510から確認される露光量範囲Eにおいて、基準ベース層からのLWRデータが容認できないほど高いことを示す場合、基準ベース層は拒否されなければならない。
【0038】
例えば、30原子%の炭素を有する厚さ2.5nmの炭素ドープ酸化シリコンベース層、並びに10原子%の炭素を有する厚さ1.5nmの炭素ドープ酸化シリコンベース層が、共通露光量範囲(例えば、プロット520のベース層についてはE2、及びプロット530のベース層についてはE3)に対して、それらの対応する許容可能範囲内に関心の対象である全てのパターニング測定基準を有すると更に仮定すると、両方のタイプのベース層が、第1のタイプのベース層としての選択が考慮される候補である。E2と比較してE3は低い露光量を有するので、図5のプロット530のベース層が第1のベース層として選択することができ、1.5nmの厚さを10原子%の炭素、45原子%のシリコン及び45原子%の酸素を有する炭素ドープ酸化シリコンの組成と組み合わせたものを、対応する第1のタイプのベース層とすることができる。この例は、図4の方法400を示す例示のみを目的としていることを理解されたい。
【0039】
ベース層材料としてシリコン系誘電体を用いるいくつかのDOEが、上述した方法を使用して実行された。ベース層の各々の組成は、シリコン(Si)、酸素(O)、炭素(C)、及び窒素(N)原子の組成を含み、Siのモル分率、及びO、C及びNのうちの少なくとも1つのモル分率が、10原子%を超える。実験は、5つの幅広いグループに分けられると説明できる。1つのグループ内の複数のタイプのベース層は、組成が類似している。第1のグループは、炭化シリコン(Si1-x)に類似したタイプのベース層材料を含む。第2のグループは、窒化シリコン(Si1-x)に類似したタイプのベース層材料を含む。第3のグループは、炭窒化シリコン(Si1-y)に類似したタイプのベース層材料を含む。第4のグループは、炭素ドープ酸化シリコン(Si1-x-y)に類似したタイプのベース層材料を含む。第5のグループは、酸炭窒化シリコン(SiOyC1-x-y-z)に類似したタイプのベース層材料を含む。
【0040】
これらの実験の試験ウェハーと、上述したEUVリソグラフィプロセス200の2層リソグラフィスタック102とを使用して形成されたパターニングされたフォトレジスト層から測定されたパターニングデータを使用して、発明者らは、第1のベース層を形成するための第1のタイプのベース層として選択できるいくつかのタイプのベース層(組成と厚さとの特定の組合せ)を特定した。これら第1のベース層は、エネルギー電子310(図3Bを参照)の電子流束によってフォトレジストの露光を強化して、EUV放射線300(図3Bを参照)の露光量の約10%~約50%の減少を実現できる。例えば、炭素含有量は、炭化シリコンに類似した実施形態については、約40原子%~50原子%であり、炭窒化シリコン又は酸炭窒化シリコンに類似した実施形態については、約10原子%~30原子%であると確認された。
【0041】
第1のベース層の厚さが低減されると、第1のベース層の下方で最上層130において生成されたエネルギー電子310は、第1のベース層の上方のフォトレジストに到達する可能性が高くなる。いくつかの実施形態では、例えば、シリコン系誘電体を使用する実施形態では、最上層130における光子吸収及び2次電子生成は、シリコン系誘電体を含む第1のベース層における光子吸収及び2次電子生成を遥かに超える場合がある。したがって、下方からの電子流束がフォトレジスト層110中に入ることを促進するために、薄い第1のベース層を選択することが有利な場合がある。厚さを減らすことは誘電材料を介するエネルギー電子310の輸送を促進して、(多くの場合、量子トンネリング機構により)第1のベース層のインピーダンスを低下させる。層が厚すぎる場合、最上層130において生成されたエネルギー電子310のごく一部がフォトレジスト層110に到達し得る。様々な実施形態では、低インピーダンス第1のベース層の厚さは5nm以下であってもよく、一実施形態では、低インピーダンス第1のベース層の厚さは2nm未満である。
【0042】
この例では、DOE用に使用される材料は、EUV光子を効率的に吸収できないシリコン系誘電体に制限されることに留意されたい。したがって、最上層130は、フォトレジスト層110中への下方からの電子流束のためのエネルギー電子310の主な供給源であり得る。したがって、フォトレジスト層110の第2の側部を介する電子流入の促進は、低インピーダンス第1のベース層について小さい厚さを選択することにより提供される。更に後述されるように、金属含有材料に対して選択される厚さは、シリコン系誘電材料に対して選択される厚さほど薄くなくてもよい。
【0043】
ベース層120は、電子ブースタ層として機能することに加えて、図3Bの深さスペース320を図3Dのより高いアスペクト比のスペース330に拡張するために使用されるエッチングプロセス中に、ハードマスク層として機能できる。図3C及び図3Dを参照して上述したように、いくつかの実施形態では、最上層130をエッチングするために使用されるエッチング化学物質は、例えば、最上層130がSOCなどの有機材料を含む実施形態では、フォトレジストに対して比較的低い選択性を有する場合がある。したがって、低インピーダンス第1のベース層の第1の厚さを選択する際に使用される最小厚さが存在し得る。さもなければ、ベース層120は、リソグラフィスタック102の一部として使用される場合、エッチマスクとして適切に機能することに失敗する場合がある。様々な実施形態では、低インピーダンス第1のベース層の厚さは約0.5nm~約5nmであってもよい。いくつかの実施形態では、厚さは、0.5nm以上且つ2nm以下であってもよい。
【0044】
図6のフロー図は、基板の上にエッチマスクを形成する方法600を示す。方法600は、ベース層120(箱610及び図3A)を形成することを含む。ベース層120は、上述したように電子ブースタ層と称されてもよい。電子ブースタ層は、基板100の主表面に付着して形成されてもよく、フォトレジスト層110は、電子ブースタ層の主表面に付着して形成されてもよい(箱620及び図3B)。箱614に示すように、電子ブースタ層の主表面へのフォトレジストの付着は、表面にフォトレジストをコーティングする前に、電子ブースタ層の主表面を水素含有気体に曝して、電子ブースタの主表面を疎水性に転換する表面処理により改善できる。上述したように、例示的な表面処理プロセスが、水素ラジカルによるプラズマ処理、水素ガスアニール、及び炭化水素によるコーティングを含む。別の表面改質方法が、ベース層120の主表面の上に疎水性材料の薄いコーティング、例えば自己組織化単分子層(SAM)を形成することであり、SAMは、上述したように、ODS、FAS、AHAPS又はCMPhSを含む。
【0045】
電子ブースタ層に付着しているフォトレジスト層110は、EUV放射線300(図3Bを参照)のパターンに曝され得る。EUV光子流束の一部は、フォトレジスト層110を透過し、下方の層(例えば、ベース層120及び最上層130)で吸収され得る。光子吸収プロセスは、EUV放射線300と同じパターンを有する電子流束を生成する。フォトレジストの下方で放出されるエネルギー電子310(図3Bを参照)の一部がフォトレジスト層110に入り、電気化学反応を誘起し、それが未反応のフォトレジスト分子の一部を露光し得る。したがって、フォトレジスト層110におけるフォトレジストの第1の部分が、(箱630に示す)フォトレジスト内でのEUV放射線の吸収によって直接露光される一方で、フォトレジスト層110におけるフォトレジストの第2の部分が、エッチマスクを形成する方法600のフロー図の箱634に示すように、下方からフォトレジストに入る電子流束によって露光される。
【0046】
フォトレジストを、EUV放射線300と、フォトレジスト層110の下方からの電子流束とのパターンで露光した後、フォトレジストは、図6に示す方法600のフロー図の箱640に示すように、適切な現像液を使用して現像されて、パターニングされたフォトレジストエッチマスク110が形成され得る。
【0047】
次いで、図3Cに図示し図6の箱650に示すように、パターニングされたフォトレジスト層110をマスク層として使用して、EUV放射線300のパターンを電子ブースタ層に転写することができる。更に箱650に示すように、図3Cのリソグラフィスタック102の組み合わされた層(パターニングされた電子ブースタ層と、電子ブースタ層をパターニングした後に残っているパターニングされたフォトレジスト層110との組合せ)は、基板の上にエッチマスクを形成する方法600を使用して形成された例示的なエッチマスクである。EUVパターンを基板100の最上層130に転写するために使用される、その後のエッチステップのエッチマスクとして使用されるリソグラフィスタック102の実施例が、図3Dに示す断面図を参照して上述される。
【0048】
フォトレジスト層110(図3Bを参照)の第2の側部304を介する電子流束は、電子ブースタ層(ベース層120)によって2つの方法で促進され得る:電子ブースタ層におけるエネルギー電子310の生成率を促進させること、及び、電子ブースタ層の下方の基板において、例えば図3Bにおける矢印によって概略的に示されるような、基板100の最上層130において生成されたエネルギー電子310に関する、ブースタ層を介する電子の輸送を促進させること。電子流束を強化する2つの方法のうちのどちらが強調されるかに応じて、ベース層120用に異なる材料及び厚さが使用されてもよい。図4及び図5を参照して上述したように、方法400を使用してベース層120用の適切な材料及び厚さを選択することができる。
【0049】
電子ブースタ層(ベース層120)中の電子生成率は、低いイオン化エネルギーを有する原子、例えば多くの金属の原子を導入することにより増加できる。一般に、大きい原子番号(大きいZ)を有する金属原子及び/又は原子がEUV光子を効率的に吸収する。したがって、いくつかの実施形態では、電子ブースタ層は、大きいZ/金属含有の層であってもよい。大きいZ/金属含有の電子ブースタ層は、例えば、チタン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化アルミニウム、タングステン、モリブデン又はルテニウム金属層を含む金属層であってもよい。いくつかの他の実施形態では、大きいZ/金属含有の電子ブースタ層は、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化スズ又は酸化インジウムを含んでもよい。大きいZ/金属含有の電子ブースタ層は、ベース層120内からのエネルギー電子310の供給を促進するために使用されるので、EUV光子が効率的に吸収され得る約3nm以上の厚さが使用されてもよい。しかしながら、ベース層120は犠牲層であり、その層を剥離するために使用される後続のプロセス工程にとって過剰な厚さが望ましくないことに留意されたい。様々な実施形態では、金属層又は金属酸化物ベース層120の厚さは、約3nm~約10nmであってもよい。ベース層120用の材料の選択は、EUVリソグラフィが実施されているパターニングレベルによって限定され得ることに更に留意されたい。例えば、いくつかの用途では、金属汚染に関する懸念により、ベース層120としての金属含有材料の使用が排除される場合があり、大きいZ/金属含有の電子ブースタ層が第1のベース層用の選択肢ではない場合がある。しかしながら、シリコン系誘電体が使用されてもよい。その時、上述したように、第2の側部304からフォトレジスト層110に入る電子流束を促進するために、低インピーダンス第1のベース層が選択されてもよい。前述したように、この場合、最上層130から来て、ベース層120を通過してフォトレジスト層110に到達するエネルギー電子310の輸送を容易にすることにより、電子流束が促進される。厚さを減らして、電子流に対する層のインピーダンスを低下させることにより、ベース層120を通る電子の輸送を促進できる。いくつかの実施形態では、低インピーダンスベース層120は、電子に対する量子トンネリング確率が高くなるように、十分に薄くてもよい。直接トンネリングの領域では、誘電体膜を通る電子流束は、膜厚の減少に伴い指数的に増加する場合がある。一般に、誘電体膜の厚さが約2nm以下に低減されると、直接トンネリングが誘電体膜を通る主要な輸送機構になる。
【0050】
ベース層120の厚さが低減されると、ベース層120の下方で最上層130において生成されたエネルギー電子310は、第2の側部304を通ってフォトレジスト層110に到達する可能性が高くなる。しかしながら、図3C及び図3Dを参照して前述したように、いくつかの実施形態では、パターニングされたベース層120が、基板100の最上層130をエッチングするハードマスクとして使用されてもよい。電子ブースタ層の不十分な厚さが、有効なエッチマスクであるその能力を損なう場合がある。更には、層が薄すぎる場合、製造において層を形成し、堆積プロセスを確実に制御することが困難な場合がある。いくつかの実施形態では、低インピーダンス第1のベース層がベース層120として使用されてもよい。いくつかの実施形態では、低インピーダンスベース層120は、炭化シリコン、炭窒化シリコン、炭素ドープ酸化シリコン、酸炭窒化シリコン、又は窒化シリコンを含むシリコン系誘電体層であってもよく、低インピーダンスベース層120の厚さは0.5nm以上、且つ5nm以下、及び一実施形態では2nm以下であってもよい。
【0051】
上述したように、本開示で説明される実施形態は、EUVリソグラフィを使用して基板をパターニングするコストを低下させる利点を提供する。入来する基板の最上層をEUV放射線のパターンでパターニングするためのリソグラフィスタックを形成する方法により、コスト低減が実現される。本開示で説明される方法を使用して、リソグラフィスタックは、入来する基板の表面の上に形成されたベース層と、ベース層の上に形成されたフォトレジスト層とを含む、2層リソグラフィスタックであってもよい。本明細書で説明されるように、ベース層の厚さ及び組成の組合せを選択する方法は、パターン品質への悪影響を無視できるほどにしながら、EUV放射線量を減らすことを手助けし、それによりスループットが増加し、製造コストが低減される。
【0052】
本発明の例示的な実施形態をここで要約する。他の実施形態も、本明細書の全体及び本明細書で出願される特許請求の範囲から理解することができる。
【実施例
【0053】
実施例1.半導体デバイスを製造する方法であって、本方法は、基板の最上層の上にベース層を形成することであって、ベース層は、5nm以下且つ0.5nm以上の厚さを有するシリコン系誘電体を含む、ことと、ベース層の上にフォトレジスト層を形成することであって、フォトレジストは、第1の側部及び反対側の第2の側部を備える、ことと、フォトレジスト層の第1の部分を、第1の側部から極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することと、フォトレジスト層の第2の部分を、第2の側部から電子流束のパターンで露光することであって、電子流束はEUV放射線に応答してベース層からフォトレジスト層の中に向けられる、ことと、露光されたフォトレジスト層を現像してパターニングされたフォトレジスト層を形成することと、パターニングされたフォトレジスト層のパターンをベース層及び最上層に転写することと、を含む。
【0054】
実施例2.第2の部分の体積が、第1の部分の体積よりも小さく、フォトレジストの総体積の10%よりも大きい、実施例1に記載の方法。
【0055】
実施例3.シリコン系誘電体は炭化シリコンであり、炭化シリコンは、40原子%以上且つ50原子%以下の炭素含有量を有する、実施例1又は2のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
実施例4.シリコン系誘電体は炭窒化シリコンであり、炭窒化シリコンは、10原子%以上且つ30原子%以下の炭素含有量を有する、実施例1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
実施例5.シリコン系誘電体は酸炭窒化シリコンであり、酸炭窒化シリコンは、10原子%以上且つ30原子%以下の炭素含有量を有する、実施例1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
実施例6.ベース層を形成することは、フォトレジスト層を形成する前に、ベース層の主表面を改質し、その結果、主表面は疎水性になっていることを更に含む、実施例1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
実施例7.ベース層の主表面を改質することは、主表面を水素ラジカル(H*)に曝すこと、主表面の上に炭化水素(CHx)コーティングを堆積すること、又は水素ガスを含む雰囲気中で基板をアニールすることを含む、実施例1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
実施例8.ベース層の主表面を改質することは、主表面の上に自己組織化単分子層(SAM)のコーティングを形成することを含み、SAMは、n-オクタデシルトリメトキシシラン(ODS:H3C(CH2)17Si(OCH3)3)、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロ-デシル-1-トリメトキシシラン(FAS:F3C(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3)、n-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン(AHAPS:H2N(CH2)6NH(CH2)3Si(OCH3)3、及び、4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン(CMPhS:H2ClC(C6H4)Si(OCH3)3)、を含む、実施例1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
実施例9.ベース層を形成することは、基板の最上層を水蒸気を含むガス混合物に曝すことを含む原子層堆積(ALD)プロセスを実施することを含む、実施例1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
実施例10.ベース層を形成することは、基板をSiOC(N)のための低温酸化物前駆体に曝すことを含む周期的化学蒸着(CVD)プロセスを実施することを含む、実施例1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0063】
実施例11.最上層は、スピンオン炭素(SOC)層、有機誘電体層(ODL)、非晶質炭素(a-C)層、又は有機平坦化層(OPL)を含む、実施例1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施例12.基板の上にエッチマスクを形成する方法であって、方法は、基板の主表面に付着する電子ブースタ層を形成することと、電子ブースタ層の主表面を水素含有ガスに曝して主表面を疎水性に転換することと、電子ブースタ層の疎水性の主表面に付着するフォトレジスト層を形成することと、フォトレジスト層の第1の部分を、極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することと、フォトレジスト層の第2の部分を電子ブースタ層からの電子流束で露光することであって、EUV放射線の一部がフォトレジスト層の下方で吸収されて、電子流束が生成される、ことと、露光されたフォトレジスト層を現像してパターニングされたフォトレジスト層を形成することと、電子ブースタ層をパターニングされたフォトレジスト層でパターニングして、パターニングされた電子ブースタ層を形成することであって、エッチマスクは、パターニングされた電子ブースタ層と、電子ブースタ層をパターニングした後に残っているパターニングされたフォトレジスト層とを組み合わせたものである、ことと、を含む方法。
【0065】
実施例13.電子ブースタ層を形成することは、金属層を形成することを含み、金属層は、チタン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化アルミニウム、タングステン、モリブデン、又はルテニウムを含む、実施例12に記載の方法。
【0066】
実施例14.電子ブースタ層を形成することは、金属酸化物を含む層を形成することを含み、金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化スズ、又は酸化インジウムを含む、実施例12又は13に記載の方法。
【0067】
実施例15.電子ブースタ層を形成することは、炭化シリコン、炭窒化シリコン、炭素ドープ酸化シリコン、酸炭窒化シリコン、又は窒化シリコンを含むシリコン系誘電体層を形成することを含み、シリコン系誘電体層の厚さは、0.5nm以上且つ5nm以下である、実施例12~14のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施例16.基板をパターニングする方法であって、方法は、複数の試験基板を準備することであって、各試験基板は実質的に同じ最上層を有する、ことと、複数の試験基板の各々の最上層の上にリソグラフィスタックを形成することであって、リソグラフィスタックは、ベース層と、ベース層の上に配置されたフォトレジスト層とを含み、複数の試験基板の各々のベース層は、厚さ及び組成の異なる組合せを有する、ことと、フォトレジスト層を焦点-露光量マトリックスにて極紫外線(EUV)放射線のパターンで露光することにより、各フォトレジスト層をEUVリソグラフィプロセスでパターニングすることと、複数の試験基板の各々のパターニングされたフォトレジスト層を測定することにより、パターニング測定基準を得ることと、パターニング測定基準に基づいて、第1のタイプのベース層を選択することであって、第1のタイプのベース層は、EUVリソグラフィプロセス用のリソグラフィスタックの第1のベース層に関する第1の厚さと第1の組成との特定の組合せを有する、ことと、を含む方法。
【0069】
実施例17.パターニング測定基準は、焦点深度、限界寸法、エッジ配置誤差、ラインエッジラフネス、線幅ラフネス、フォトレジスト側壁角度、若しくはフォトレジストパターンにおける欠陥密度、又はそれらの組合せを含む、実施例16に記載の方法。
【0070】
実施例18.第1のタイプのベース層を選択することは、パターニング測定基準ごとに、測定基準が許容可能となる範囲を定めることと、パターニング測定基準ごとに、各ベース層に関して露光量とパターニング測定基準との間の関係を取得することと、関係に基づいて、パターニング測定基準の各々が、それぞれの範囲内となる露光量が存在する、ベース層を特定することと、特定されたベース層から第1のタイプのベース層を選択することと、を含む、実施例16又は17に記載の方法。
【0071】
実施例19.ベース層の各々の組成が、シリコン(Si)、酸素(O)、炭素(C)、及び窒素(N)原子の組成を含み、Siのモル分率、及びO、C及びNのうちの少なくとも1つのモル分率が、10原子%以上である、実施例16~18のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施例20.炭素のモル分率は、10原子%以上且つ50原子%以下である、実施例16~19のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
例示的な実施形態を参照して本発明について説明してきたが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書を参照することにより、それらの例示的実施形態の様々な修正形態及び組合せ、並びに本発明の他の実施形態が明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
【国際調査報告】