(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】生分解性グラフトポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 263/02 20060101AFI20240822BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240822BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20240822BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240822BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C08F263/02
C11D3/37
C11D3/386
C11D3/48
C11D3/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508378
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022072402
(87)【国際公開番号】W WO2023017062
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,ヤン オーレ
(72)【発明者】
【氏名】ベンラーマー,オイダット
(72)【発明者】
【氏名】ワイス,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】エベルト,ゾフィーア
(72)【発明者】
【氏名】フールスケッター,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ジー,ガング
(72)【発明者】
【氏名】ゴルクジンスカ コステロ,カタジナ
(72)【発明者】
【氏名】マクラッキー,ケイト モイラ
【テーマコード(参考)】
4H003
4J026
【Fターム(参考)】
4H003AB19
4H003AB27
4H003AB31
4H003DA01
4H003DA17
4H003EA12
4H003EA19
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB06
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB14
4H003EB24
4H003EB33
4H003EB34
4H003EC02
4H003ED02
4H003ED28
4H003ED29
4H003FA04
4H003FA09
4H003FA16
4H003FA26
4H003FA34
4J026AA11
4J026BA19
4J026DA02
4J026DA15
4J026DB02
4J026GA01
(57)【要約】
本発明は、その上にグラフトされたポリマー側鎖(B)を有するグラフト基体としてのコポリマー主鎖(A)を含む、新規なグラフトポリマーに関する。ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に更なるモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は0.5未満である。コポリマー主鎖(A)コポリマー主鎖は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、コポリマー主鎖内のアルキレンオキシド部分の分布はランダムな順序であり、コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)は、500~7000の範囲内である。更に、このようなグラフトポリマーを得るためのプロセスが特許請求されており、好ましくはフリーラジカル重合により実施される。また、例えば布地ケア及びホームケア製品内でのそのようなグラフトポリマーの使用、並びにそのようなグラフトポリマーを含む布地ケア及びホームケア製品も特許請求されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)グラフト基体としてのコポリマー主鎖であって、前記コポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、
a.前記コポリマー主鎖内の前記アルキレンオキシド部分の分布がランダムな順序であり、
b.前記コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、500~7000の範囲内であり、好ましくは6000以下、より好ましくは5000以下、更により好ましくは4500以下、更により好ましくは4000以下、更により好ましくは3500以下、更により好ましくは3000以下、最も好ましくは2500であり、好ましくは少なくとも1000、より好ましくは少なくとも1200である、コポリマー主鎖と、
(B)前記コポリマー主鎖にグラフトされたポリマー側鎖であって、前記ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比が、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、ポリマー側鎖と、
を含む、グラフトポリマーであって、
前記グラフトポリマーの総重量に対する重量%で、
25~85%、好ましくは30~80%、より好ましくは35~80%、更により好ましくは40~75%、最も好ましくは55~75%の前記コポリマー主鎖(A)と、
15~75%、好ましくは20~70%、より好ましくは20~65%、更により好ましくは25~60%、最も好ましくは25~45%の前記ポリマー側鎖(B)と、を含むグラフトポリマー。
【請求項2】
前記コポリマー主鎖(A)が、
i)エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、若しくは1,2-ブチレンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーであって、好ましくは、少なくともエチレンオキシドが前記モノマーのうちの1つとして選択され、より好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのみがモノマーとして選択されるモノマーの重合により入手可能である、及び/又は
ii)前記ポリマー主鎖AのEOの相対量が、5~95%、好ましくは10~90%、より好ましくは15~85%、更により好ましくは少なくとも20~80%の範囲内である(全て前記ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量パーセントとして表示される)、及び/又は
iii)前記側鎖(B)を得る重合には本質的にモノマー(B2)は使用されない、請求項1に記載のグラフトポリマー。
【請求項3】
i)前記グラフトポリマーが、<5、好ましくは<3.5、より好ましくは<3、最も好ましくは1.0~2.5の範囲にある多分散度Mw/Mnを有する(Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量である[g/mol / g/mol])、及び/又は
ii)前記コポリマー主鎖(A)が、任意選択的に一方若しくは両方の末端基で末端封止され、好ましくは、前記コポリマー主鎖(A)が、両方の末端基で末端封止されておらず、若しくは前記コポリマー主鎖(A)が末端封止されている場合は、前記末端封止はC1~C25-アルキル基、好ましくはC1~C4基により行われる、請求項1又は2に記載のグラフトポリマー。
【請求項4】
前記ポリマー側鎖(B)が、前記少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の、前記ポリマー主鎖Aの存在下でのラジカル重合により得られ、好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、好ましくは本質的にモノマー(B2)が使用されない、請求項1~3のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
【請求項5】
(A)アルキレンオキシドモノマーとしてエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドの重合により入手可能である55~75重量%(前記グラフトポリマーの総重量に対して)の前記コポリマー主鎖(A)であって、前記主鎖の前記アルキレンオキシドモノマー分布がランダムな順序であり、前記コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、1200~2500の範囲内であり、前記ポリマー主鎖(A)のEOの相対量が、20~80%(前記ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)である、コポリマー主鎖(A)と、
(B)本質的にモノマー(B2)は使用されずに、前記唯一のビニルエステルモノマー(B1)として酢酸ビニルから得られる、前記コポリマー主鎖にグラフトされた25~45重量%(前記グラフトポリマーの総重量に対して)の前記ポリマー側鎖と、を含む請求項1~4のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
【請求項6】
前記グラフトポリマーの生分解性が、OECD301Fに基づいて試験された場合、28日以内に、少なくとも30、好ましくは少なくとも35、更により好ましくは少なくとも40%である、請求項1~5のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
【請求項7】
少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の更なるモノマー(B2)とを、少なくとも1種のコポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的に(B2)、(C)、及び(D)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、前記開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的なモノマー(B2)及び開始剤(C)の割合が、前記コポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のグラフトポリマーを生成するためのプロセス。
【請求項8】
少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)とを、少なくとも1種のポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的な(B2)及び(C)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、前記開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的な(B2)及び開始剤(C)の割合が、前記ポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含み、好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは少なくとも90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、-(B2)が存在する場合-任意選択的なモノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記モノマー(複数可)(B1)以外は、モノマー(B2)は本質的に使用されない、請求項7又は8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記プロセスが、i)後重合;ii)精製;iii)濃縮;及びiv)乾燥であるi)~iv)から選択される少なくとも1つの更なるプロセスステップを含む、請求項7~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記プロセスが、以下:
iii)本重合反応の後に実施される後重合プロセスステップであって、好ましくは更なる量の前記開始剤(任意選択的には、前記溶媒(複数可)中に溶解されている)が、0,5時間から最大3時間、好ましくは約1~2時間、より好ましくは約1時間の期間にわたり添加され、前記ラジカル開始剤及び前記開始剤用の前記溶媒(複数可)が、典型的には、-且つ好ましくは、-前記本重合反応の溶媒と同一であり;前記重合反応の後及び前記後重合反応の前に、好ましくは、更なるラジカル開始剤の添加を開始することによって前記後重合反応を開始する前に、前記本重合反応が後は進行するだけになるまで一定期間待機し、このような期間は、好ましくは10分から最大4時間、好ましくは最大2時間、更により好ましくは最大1時間、最も好ましくは最大30分であり;前記後重合プロセスステップの温度が、-好ましくは-前記本重合反応と同じであるか、又は上昇させ、そのような上昇が、前記本重合反応の温度と比較して、好ましくは約5~40℃、好ましくは10~20℃だけ高い、プロセスステップ;
iv)前記本重合又は-実施される場合は、前記後重合プロセス-から得られた前記グラフトポリマーを、濃縮及び/又は乾燥の手段に供して、残留溶媒(複数可)及び/又は残留モノマーなどの揮発性物質の一部又はほぼ全てを(沸点の関係で除去できる限り)除去するステップであって、
a.前記濃縮が、前記溶媒(複数可)及び任意選択的にまた揮発性物質の一部を除去し、好ましくは、熱蒸留又は真空蒸留、好ましくは真空蒸留などの蒸留プロセスを適用することによって、固体ポリマー濃度を増加させ、所望の固体含有量が達成されるまで行われ、好ましくは、揮発性溶媒及び/又は未反応の揮発性モノマーなどの揮発性成分の所望の部分又は全てが除去されるまで行われ;
b.前記乾燥が、残留溶媒及び/又は未反応モノマーなどの少なくとも残留量の揮発性物質を含むグラフトポリマーを、ローラードラム、噴霧乾燥、真空乾燥、又は凍結乾燥、好ましくは-主にコスト上の理由から、噴霧乾燥を使用した乾燥などの、前記揮発性物質を除去する手段に供し;任意選択的に、このような乾燥プロセスステップを凝集又は造粒の手段と組み合わせて、凝集又は造粒されたグラフトポリマー粒子を得ることにより実施され、そのようなプロセスは、好ましくは噴霧凝集、造粒、又は流動床乾燥機、噴霧造粒装置などでの乾燥から選択される、ステップ
から選択される少なくとも1つの更なるプロセスステップを含む、請求項7~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
水の量が低く、総溶媒に基づいて、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1%未満である、請求項7~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、農芸化学的配合物である組成物における、請求項1~6のいずれか1項に記載の、又は請求項7~12のいずれか1項に記載のプロセスにより得られる若しくは入手可能である、少なくとも1種のグラフトポリマーの使用。
【請求項14】
洗浄組成物中並びに/又は布地ケア及びホームケア製品中、好ましくは布地ケア及びホームケア用洗浄組成物中における、請求項13に記載の使用であって、前記洗浄組成物が、好ましくは、洗濯用洗剤配合物又は食器洗い洗剤配合物であり、
任意選択的に、好ましくは、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、キシラナーゼ、オキシドレダクターゼ(oxicoreductases)、ディスパーシン、マンナナーゼ、及びペルオキシダーゼのうちの1種以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせ、好ましくは、
リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼの1種以上から選択される、リパーゼから選択される少なくとも1種の酵素を更に含み、
前記少なくとも1種のグラフトポリマーが、このような組成物又は製品の総重量に対して約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の範囲の量で存在し、
このような製品又は組成物が、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含む、使用。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか1項に記載の、又は請求項7~12のいずれか1項に記載のプロセスにより得られる若しくは入手可能である、少なくとも1種のグラフトポリマーを含有する、洗濯用洗剤、食器洗い組成物、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品である組成物。
【請求項16】
2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤を更に含み;好ましくは、前記抗菌剤を前記組成物の2ppm~5重量%の範囲の量で含み;より好ましくは、フェノキシエタノールを0.1~2%含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
4,4‘-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを、それぞれ前記組成物の重量の0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度で含む、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか1項に記載の組成物を微生物による汚染又は増殖から保護する方法であって、2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤を、溶媒として水を含む水性組成物である前記組成物に添加することを含む、方法。
【請求項19】
布地を洗濯する又は硬質表面を洗浄する方法であって、布地又は硬質表面を、請求項15又は16に記載の組成物で処理することを含み、前記組成物は、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含み、好ましくは4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを、それぞれ前記組成物の重量に対し0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度で含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その上にグラフトされたポリマー側鎖(B)を有するグラフト基体としてのコポリマー主鎖(A)を含む、新規なグラフトポリマーに関する。ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に更なるモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は0.5未満である。コポリマー主鎖(A)コポリマー主鎖は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、コポリマー主鎖内のアルキレンオキシド部分の分布はランダムな順序であり、コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)は、500~7000の範囲内である。本発明は、更に、好ましくはフリーラジカル重合により実施される、このようなグラフトポリマーを得るためのプロセスにも関する。更に本発明は、このようなグラフトポリマーの、例えば、布地ケア及びホームケア製品における使用に関する。本発明の別の主題は、このようなグラフトポリマーを含有する布地ケア及びホームケア製品そのものである。
【背景技術】
【0002】
様々な国で、特に化粧品におけるマイクロプラスチックを禁止するための取り組みが既に始まっている。こうした不溶性マイクロプラスチックの禁止に留まらず、消費者製品に使用される可溶性ポリマーに対する将来的な要件に関し、熱心な意見交換が行われている。したがって、このような用途に用いるための新規なより高い生分解性を有する成分を見極めることが強く望まれている。炭素のみの主鎖は微生物にとって特に分解が難しいため、この問題は、主に、炭素のみの主鎖(酸素などのヘテロ原子を含まない主鎖)に基づくラジカル重合によって生成されるポリマーにとってたいてい深刻である。工業的に重要なポリエチレングリコール主鎖を有するラジカル的に生成されたグラフトポリマーでさえ、廃水中での生分解は限られたものしか示さない。しかしながら、本発明により記載するポリマーは、好ましくはラジカルグラフト重合により製造され、先行技術と比較して生分解性が向上している。
【0003】
国際公開第2007/138053号パンフレットには、グラフト基体としての水溶性ポリアルキレンオキシド(A)とビニルエステル成分(B)を重合させることにより形成される側鎖とをベースとする両親媒性グラフトポリマーが開示されており、前記ポリマーは、アルキレンオキシド50単位当たり平均1個未満のグラフト部位を有し、平均モル質量Mが3000~100000である。しかしながら、国際公開第2007/138053号パンフレットは、そこに開示されているそれぞれのグラフトポリマーの生分解性に関する開示は含まれていない;主鎖として「水溶性ポリアルキレンオキシド」のみが指定されている。
【0004】
国際公開第03/042262号パンフレットは、(A)モノエチレン性不飽和単位を含まないポリマーグラフト骨格と、(B)それぞれ窒素含有複素環を含む2種の異なるモノエチレン性不飽和モノマー(B1)及び(B2)の共重合体から形成されるポリマー側鎖とを含むグラフトポリマーであって、側鎖(B)の量の比率はポリマー全体の35~55重量%であるグラフトポリマーに関する。しかし、国際公開第03/042262号パンフレットによるグラフトポリマーは、主鎖上にグラフトされている各ポリマー側鎖が、ビニルエステルモノマーをベースとするものではない。それ以外にも、国際公開第03/042262号パンフレットには、当該明細書に開示されているグラフトポリマーの生分解性に関する開示がない。
【0005】
米国特許第5,318,719A号明細書は、ビルダー(building)特性、皮膜形成防止性、分散性及び結晶成長のスレッショルド抑制(threshold crystal inhibiting)性を有する新規な種類の生分解性水溶性グラフトコポリマーであって、ポリアルキレンオキシド及び/又はポリアルコキシ化された材料を含む生分解性基材にグラフトされた、(a)酸官能性モノマーと、(a)と共重合可能な任意選択的な(b)他の水溶性モノエチレン性不飽和モノマーとを含む、グラフトコポリマーに関する。しかしながら、米国特許第A5,318,719号明細書は、前記グラフトポリマーの各側鎖は、アクリル酸又はメタクリル酸などの酸官能性モノマーを多量に含むことが必須である。このような酸モノマーは、本発明に関しては有用ではない。
【0006】
米国特許出願公開第2019/0390142号明細書は、(a)ポリエチレンオキシド(PEG)などのポリアルキレンオキシドと;(b)N-ビニルピロリドン(VP)と;(c)酢酸ビニルなどのビニルエステルで構成され得るグラフトコポリマーを含む布地ケア組成物に関する。しかしながら、米国特許出願公開第2019/0390142号明細書は、現在必要とされている主鎖や生分解性については何ら開示していない;全ての実施例が主鎖としてポリエチレンオキシドのみを開示している。
【0007】
未公開の特許出願第PCT/EP2021/053446号は、その上にグラフトされたポリマー側鎖(B)を有するグラフト基体としてのブロックコポリマー主鎖(A)を含むグラフトポリマーに関する。ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択の更なるモノマー(B2)として任意選択的にN-ビニルピロリドンの重合により入手可能である。最も好ましくは、ブロックコポリマー主鎖(A)は、ポリエチレンオキシド(PEG)及びポリプロピレンオキシド(PPG)のトリブロックコポリマーである。しかしながら、現在必要とされている主鎖は開示されていない。
【0008】
国際公開第2020/005476号パンフレットは、グラフトコポリマーといわゆる処理補助剤とを含む布地ケア組成物を開示しており、グラフトコポリマーは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド、好ましくはポリエチレンオキシドに基づく主鎖としてポリアルキレンオキシド、並びに主鎖にグラフトされた側鎖としてN-ビニルピロリドン及びビニルエステルを含み、主鎖と特定の比率で両方にモノマーを備えている。しかしながら、主鎖としてのポリエチレンオキシドのみが明示的に開示されている。
【0009】
国際公開第2020/264077号パンフレットは、酵素とポリマーとの組み合わせを含有する洗浄組成物を開示しており、このような組成物は、汚れた材料から汚れを除去するのに好適である。本刊行物は、ポリ(酢酸ビニル)-g-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)-ポリ(酢酸ビニル)-g-ポリ(エチレングリコール)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、いわゆる「懸濁グラフトコポリマー」を開示している。しかしながら、主鎖は、本発明で必要とされない。
【0010】
国際公開第0018375号パンフレットは、ポリエーテルの存在下で脂肪族C1~C24カルボン酸の少なくとも1種のビニルエステルを重合することによって得られ、ビニルエステルは好ましくは酢酸ビニルであるグラフトポリマーを含む医薬組成物を開示している。最も好ましいバージョンにおいて、グラフトポリマーは、酢酸ビニルをMw6000g/molのPEGにグラフトし、その後酢酸ビニルをアルコールに加水分解することから調製される(その時、これは、仮想のモノマー「ビニルアルコール」から得られるポリマーに似ている)。主な用途は、錠剤などの固形薬剤の投薬形態へのコーティングやフィルムの形成である。
【0011】
国際公開第0018375号パンフレットには、ポリマー主鎖として、500000g/mol未満の範囲、好ましくは300~100000g/molの範囲、特に好ましくは500~20000g/molの範囲、非常に特に好ましくは800~15000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリエーテルが開示されている。更に、エチレンオキシドのホモポリマー又は40~99重量%のエチレンオキシド含有量、従って好ましくは40~100mol%で使用される、エチレンオキシドポリマー中のエチレンオキシド単位の含有量を有するコポリマーを使用することが有利であると述べられている。これらのコポリマーのコモノマーとして好適なものは、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及び/又はイソブチレンオキシドであると言われており、好適な例は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシド及びブチレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び少なくとも1種のブチレンオキシドのコポリマーであると言われている。コポリマー中のエチレンオキシド含有量は、好ましくは40~99mol%、プロピレンオキシド含有量は1~60mol%、コポリマー中のブチレンオキシド含有量は1~30mol%であると述べられている。直鎖だけでなく分枝鎖のホモ又はコポリマーも、グラフト用のグラフト基体として使用可能であると言われている。
【0012】
しかしながら、国際公開第0018375号パンフレットには、「ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー」(「約8000」の平均分子量を有する)であるPEG6000及び9000、並びに「ポリグリセロール」(「2200」の平均分子量を有する)(全てg/mol)のみが例示されている。5つの例は酢酸ビニルのみを使用し、1つの例だけが酢酸ビニルとメタクリル酸メチルをモノマーとして使用している。他のモノマーは例示されていない。全ての例は、最終ステップとして、重合した酢酸ビニルモノマーの加水分解を採用している。
【0013】
従って、国際公開第0018375号パンフレットでは、本発明で特許請求されるような非加水分解酢酸ビニルを含むポリマーは生成されておらず、特徴付けられていない。
【0014】
また、国際公開第0018375号パンフレットには、ポリマー主鎖としてPEG以外のポリアルキレンオキシドポリマーから作られた特定のグラフトポリマーは開示も特許請求もされていない。
【0015】
この開示自体は、医薬用途においてフィルム形成ポリマーとして使用するために、酢酸ビニルでグラフトされ、その後ビニルアルコールに加水分解されたPEGのみを含む異なる組成物に焦点を当てている。
【0016】
また、国際公開第0018375号パンフレットでは、洗剤及び洗浄又は布地ケア用途への、本明細書に開示されるようなポリマーの使用は、開示されていない。この開示では、そのような用途や使用については全く言及されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は新規なグラフトポリマーを提供することである。更に、これらの新規なグラフトポリマーは、洗浄組成物などの組成物において使用される場合、生分解性及び/又は洗浄挙動に関して有益な特性を備えている必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本目的は、
(A)グラフト基体としてのコポリマー主鎖であって、上記コポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、
a.コポリマー主鎖内のアルキレンオキシド部分の分布がランダムな順序であり、
b.コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、500~7000の範囲内である、コポリマー主鎖と、
(B)コポリマー主鎖にグラフトされたポリマー側鎖であって、上記ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比が、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、ポリマー側鎖と、
を含む、グラフトポリマーであって、
グラフトポリマーの総重量に対する重量%で、
25~85%のコポリマー主鎖(A)と、
15~75%のポリマー側鎖(B)と、
を含むグラフトポリマーによって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明によるグラフトポリマーは、例えば、洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア製品中に使用することができる。グラフトポリマーは、例えば、汚れの再付着及びシミの除去に関して、先行技術による相当するポリマー又はグラフトポリマーと比較して、そのような組成物又は製品に少なくとも同等な、好ましくは更に改善された再付着防止及び洗浄性能をもたらす。それ以外にも、本発明によるグラフトポリマーは、このような組成物又は製品、例えば、洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア製品において使用された場合、生分解性の向上をもたらす。
【0020】
本発明による生分解性が向上したグラフトポリマーは、洗い(washing)及び洗浄(cleaning)組成物に有利に使用することができ、その場合、これらは、界面活性剤による繊維製品又は硬質表面からの疎水性汚れの除去を助け、したがって、配合物の洗い及び洗浄性能を向上させる。更にこれらは、除去された汚れを洗い又は洗浄液中により良好に分散させ、被洗浄又は被清掃材料表面の再付着を防ぐ。
【0021】
本明細書において使用される冠詞「a」及び「an」が特許請求の範囲で使用される場合、これらは、特許請求された又は記載された対象の1又は複数を意味することが理解される。本明細書で使用する場合、「含む/挙げられる(include(s))」及び「含んでいる/挙げられている(including)」という用語は、限定することを意図しない。
【0022】
本開示の組成物は、本開示の構成要素「を含む(comprise)」(すなわち、他の成分を含有する)か、「から基本的になる(consist essentially of)」(主として記載した成分を含むか又はほぼ記載した成分のみを含み、主として不純物に限られる他の成分はごく少量のみである)か、又は「からなる(consist of)」(すなわち、言及した成分のみを含有し、それに加えて、技術的環境では回避できない不純物に限り含まれていてもよく、好ましくは言及した成分のみを含有する)ことができる。
【0023】
同様に、「~を実質的に含まない(substantially free of…)」又は「~を実質的に含まない(substantially free from…)」又は「~を本質的に含まない((containing/comprising) essentially no…)」という用語を本明細書において使用することができ;これは、指定された物質が、最低でも、組成物の一部を構成するようにそこに意図的に添加されたものではなく、又は、好ましくは、分析により検出可能な水準では存在しないことを意味する。これは、指定された物質が、意図的に含有させた他の物質のうちの1種に含まれる不純物としてのみ存在する組成物を包含することを意味している。指定された材料は、たとえ存在するとしても、組成物の重量の1%未満、又は更には0.1%未満、又はより更には0.01%未満、又は更には0%のレベルで存在し得る。
【0024】
本明細書において使用される「約」という用語は、例えば、「約X%」などとして記載された場合、正確な数値「X」と、X(この計算では、Xを100%と設定する)からマイナス5~プラス5%、好ましくはマイナス2~プラス2%、より好ましくはマイナス1~プラス1%、更に好ましくはマイナス0.5~プラス0.5%のずれ及びそれよりも小さいずれを含む、Xの小さいずれと、を包含する。言うまでもなく、与えられた数値X自体が既に「100%」である場合(例えば、純度など)、「約」という用語は、明らかに「100」よりも小さい方へのずれを意味し得、したがって、確実に「100」よりも小さい方へのずれのみを意味する。
【0025】
語句「布地ケア組成物」は、布地処理用に設計された組成物及び配合物を含むことを意味する。このような組成物としては、洗濯用洗浄組成物及び洗剤、布帛柔軟化組成物、布帛高機能化組成物、布帛清浄化組成物、洗濯物予洗い用洗剤、洗濯物前処理剤、洗濯補助剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯物濯ぎ用添加剤、洗浄用添加剤、濯ぎ後の布帛処理剤、アイロンがけ助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織シートの表面又は内部に収容された洗剤、並びに本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであり得、組成物を記載する際に以下で詳述する他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として、使用してもよく、又は洗濯作業のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加されてもよく、本発明のグラフトポリマー及びそのようなグラフトポリマーを含む組成物の使用及び用途を記載する際に、以下で更に詳細に説明する。
【0026】
別段の指定がない限り、全ての構成成分又は組成物の量(level)は、その構成成分又は組成物の活性物質の部分に関するものであり、不純物、例えば、このような構成成分又は組成物の市販の供給源中に存在し得る残留溶媒又は副生成物は除く。
【0027】
別段の指定がない限り、本明細書における温度は全て摂氏度(℃)である。別段の指定がない限り、本明細書における測定は全て20℃の大気圧下で実施される。本開示の全ての実施形態において、特に明記しない限り、百分率は全て組成物全体の重量による。特に明記しない限り、比は全て重量比である。
【0028】
グラフトポリマー
従って、本発明の第1の主題は、
(A)グラフト基体としてのコポリマー主鎖であって、上記コポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、
a.コポリマー主鎖内のアルキレンオキシド部分の分布がランダムな順序であり、
b.コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、500~7000の範囲内であり、好ましくは6000以下、より好ましくは5000以下、更により好ましくは4500以下、更により好ましくは4000以下、更により好ましくは3500以下、更により好ましくは3000以下、最も好ましくは2500であり、好ましくは少なくとも1000、より好ましくは少なくとも1200である、コポリマー主鎖と、
(B)コポリマー主鎖にグラフトされたポリマー側鎖であって、上記ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比が、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、ポリマー側鎖と、
を含む、グラフトポリマーであって、
グラフトポリマーの総重量に対する重量%で、25~85%、好ましくは30~80%、より好ましくは35~80%、更により好ましくは40~75%、最も好ましくは55~75%のコポリマー主鎖(A)と、
15~75%、好ましくは20~70%、より好ましくは20~65%、更により好ましくは25~60%、最も好ましくは25~45%のポリマー側鎖(B)と、を含むグラフトポリマーに関する。
【0029】
本発明で例示されるグラフトポリマー内のランダムコポリマー主鎖(A)対ポリマー側鎖(B)の比は、特定の値に限定されない場合があり;原理的には、当業者に公知の任意の比を使用することができる。しかしながら、前に詳述したような比を使用すると、良好な結果が得られる。
【0030】
コポリマー主鎖(A)自体は、例えば欧州特許362688号明細書において、そのようなコポリマー主鎖を生成するための方法と同様に当業者に公知である。そのような方法は、典型的には、既知の手段を使用した、少なくとも2種のアルキレンオキシドの共重合である。
【0031】
従って、本発明内で使用されるランダムな順序で配置されたアルキレンオキシドを有する好適なコポリマー主鎖(A)は、必要なアルキレンオキシドを必要な比率で使用する標準的なアルコキシル化重合プロセスによって容易に得ることができる。
【0032】
本発明によるグラフトポリマーのコポリマー主鎖(A)に関して、コポリマー主鎖(A)は、
i)エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、若しくは1,2-ブチレンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーであって、好ましくは、少なくともエチレンオキシドがモノマーのうちの1つとして選択され、より好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのみがモノマーとして選択されるモノマーの重合により入手可能である、及び/又は
ii)ポリマー主鎖AのEOの相対量は、5~95%、好ましくは10~90%、より好ましくは15~85%、更により好ましくは少なくとも20~80%の範囲内である(全てポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量パーセントとして表示される)ことが好ましい。
【0033】
グラフトポリマーに関して、更に、ポリマー主鎖について前に定義された好ましい選択肢i)及びii)のいずれも、3番目の好ましい選択肢、即ち、
iii)側鎖(B)を得る重合には本質的にモノマー(B2)は使用されないこと、と組み合わせることができることが好ましい。
【0034】
本発明によるグラフトポリマーは、好ましくは多分散度が低い。好ましくは、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーは、<5、好ましくは<3.5、より好ましくは<3、最も好ましくは1.0~2.5の範囲にある多分散度Mw/Mnを有する(Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量であり;多分散度は無単位である[g/mol/g/mol])。Mw及び/又はMnのそれぞれの値は、実験項において後述する通りに決定することができる。
【0035】
本発明による及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマー内に含まれるコポリマー主鎖(A)は、主鎖のそれぞれの末端基で末端封止されていても末端封止されていなくても(未封止)よい。したがって、本発明において、コポリマー主鎖(A)の一方又は両方の末端基を任意選択的に末端封止することが可能であり、好ましくは、コポリマー主鎖(A)は、両方の末端基で末端封止されておらず、又はコポリマー主鎖(A)が末端封止されている場合は、末端封止はC1~C25-アルキル基、好ましくはC1~C4基により行われる。
【0036】
本発明の特に好ましい一実施形態において、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーは、
(A)アルキレンオキシドモノマーとしてエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドの重合により入手可能である55~75重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のコポリマー主鎖(A)であって、主鎖のアルキレンオキシドモノマー分布がランダムな順序であり、コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、1200~2500の範囲内であり、ポリマー主鎖(A)のEOの相対量が、20~80%(ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)である、コポリマー主鎖(A)と、
(B)本質的に他のモノマー(B2)は使用されずに、唯一のビニルエステルモノマー(B1)として酢酸ビニルから得られる、コポリマー主鎖にグラフトされた25~45重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のポリマー側鎖と、を含む。
【0037】
コポリマー(A)は、グラフトポリマーの全体的な特性に影響を与える様々なレベルの親水性エチレングリコールを含有し得る。コポリマーは、洗濯用配合物における生分解特性並びに性能に影響を与える、それぞれ低、中、又は高の%EOにすることができる。従って、適用時だけでなく生分解時にも優れた性能を達成するため、ポリマー主鎖(A)のEOの相対量は、20~80%(ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)であることが好ましい。
【0038】
ポリマー主鎖は、ポリアルキレンオキシドポリマーの調製プロセスが開始するときに存在する追加の開始ブロックを含んでもよい。この開始ブロックはアルキレンオキシドと反応し、それらの鎖は更に成長し、鎖内に開始ブロックを含むポリアルキレンオキシドが生成される。好適な開始ブロックは、アルキレンオキシドと反応することができ、グリコール、アルキレングリコール、及びジオールなどの2つのヒドロキシル基を有するものであり;好ましくは、これらの開始ブロックは、グリセリン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、トリスメチロールプロパン、水、ペンタエリスリトール、ソルビトール、サッカロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、及び類似の化学構造を有する類似の化合物から選択される。原理的には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどのジアミンも可能であるが、これらのアミンは、本発明のグラフトポリマーの生分解時に、特にポリマー構造から再び放出される場合の、生態毒性に関する潜在的な問題を考慮すると好ましくない。
【0039】
より好ましい実施形態において、このような開始ブロックは、本発明のポリマー主鎖内では使用されない。
【0040】
本発明によるグラフトポリマー内に含有されるポリマー側鎖(B)に関して、ポリマー側鎖(B)は、ラジカル重合及び/又は少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)によって得られることが好ましい。
【0041】
ビニルエステルモノマー(B1)として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、又はラウリン酸ビニル以外に、当業者に知られている更なる任意のビニルエステル、例えば、吉草酸ビニル、ピバル酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、デカン酸ビニル又は安息香酸ビニルを使用することができる。
【0042】
本発明によるグラフトポリマー内のポリマー側鎖(B)を調製するために任意選択の更なるモノマー(B2)が使用される場合、必須のビニルエステルモノマー(B1)対上記更なるモノマー(B2)の比は、原則として、当業者に公知の任意の値をとり得る。ビニルエステルモノマー(B1)の量は、通常、1重量%以上である((B1)と(B2)の合計に関して)。
【0043】
しかしながら、好ましい実施形態において、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の、前記ポリマー主鎖Aの存在下でのラジカル重合により得られる又は入手可能であるポリマー側鎖(B)を含み、
好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは少なくとも90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、
好ましくは本質的にモノマー(B2)が使用されない。
【0044】
更に一層、より好ましい実施形態において、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーは、
(A)アルキレンオキシドモノマーとしてエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドの重合により入手可能である55~75重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のコポリマー主鎖(A)であって、主鎖のアルキレンオキシドモノマー分布がランダムな順序であり、コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、1200~2500の範囲内であり、ポリマー主鎖(A)のEOの相対量が、20~80%(ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)である、コポリマー主鎖(A)と、
(B)本質的にモノマー(B2)は使用されずに、唯一のビニルエステルモノマー(B1)として酢酸ビニルから得られる、コポリマー主鎖にグラフトされた25~45重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のポリマー側鎖と、を含む。
【0045】
本発明のグラフトポリマーは、ビニルエステルから、例えば、酢酸ビニルのみが使用される場合はポリ酢酸ビニルから、並びに/又は更なるモノマーが使用される場合は、ビニルエステルと他のモノマーとのホモ-及びコポリマーから形成されている、一定量のグラフトされなかったポリマー(「グラフトされなかった側鎖」)を含み得る。このようなグラフトされなかった酢酸ビニルホモ-及びコポリマーの量は、反応条件に応じて高くも低くもなり得るが、低下させること、したがって低いことが好ましい。こうして低下させることにより、グラフトされる側鎖の量が好ましくは増加する。このような低下は、好適な反応条件、例えば、ビニルエステル及びラジカル開始剤の投入量並びにこれらの相対的な量に加えて存在する主鎖に対する量により達成することができる。これは本分野の当業者に一般に知られている。
【0046】
本発明のグラフトポリマーは、そのグラフト化度(コポリマー主鎖(A)上にポリマー側鎖(B)がグラフト化した部位の数)により特徴付けることができる。グラフト化度は、反応条件に応じて高くも低くもなり得る。好ましくは、グラフト化度は、低~中、より好ましくは低である。本態様における「低」は、統計的には、50個のアルキレンオキシド単位当たり2個未満のグラフト部位が存在することを意味する。
【0047】
グラフト化度及びグラフトされないポリマーの量の調整は、対象とする具体的な分野における性能、例えば、特定の(例えば、洗剤)配合物、適用分野又は洗浄などの所望の性能を最適化するために行うことができる。
【0048】
本発明の別の-好ましくない-実施形態において、本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)は、グラフトポリマー自体が得られた後、完全に又は-より好ましくは-少なくとも部分的に加水分解される。これは、グラフトポリマーのポリマー側鎖(B)の完全な又は少なくとも部分的な加水分解が、ポリマー側鎖(B)の重合プロセスが完了した後に実施されることを意味する。
【0049】
本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)の完全な又は少なくとも部分的な加水分解によって、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)に由来するそれぞれの側鎖単位は、ポリマー側鎖(B)内でそれぞれのエステル官能基からアルコール官能基に変化する。対応するビニルアルコールは、安定性の観点から、ポリマー側鎖(B)の重合プロセス内でモノマーとして使用するのには適していないことに注意しなければならない。本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)内にアルコール官能基(ヒドロキシ置換基)を得るには、典型的には側鎖のエステル官能基を加水分解することによってアルコール官能基を導入する。
【0050】
理論的観点から、ポリマー側鎖(B)の各エステル官能基はアルコール官能基(ヒドロキシ基)で置換され得る。このような場合、ポリマー側鎖は、完全に加水分解(「けん化」)されている。
【0051】
加水分解は当業者には公知の任意の方法によって行うことができる。例えば、加水分解は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの好適な塩基を添加することによって誘導することができる。
【0052】
しかしながら、本発明のこの本実施形態において、ポリマー側鎖(B)の加水分解は部分的にのみにしか行われず、例えば(ポリマー側鎖の総重量に対して)最大20重量%、40重量%、又は60重量%程度までしか行われないことが好ましい。この実施形態において、ポリマー側鎖(B)は、重合後に完全に又は部分的に加水分解され、好ましくは重合内で使用される少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)の量に対して最大50%程度まで加水分解されることが更により好ましい。
【0053】
しかしながら、本発明の最も好ましい実施形態において、ポリマー側鎖(B)は、重合後に加水分解されない。
【0054】
本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーにおいて、ポリマー側鎖(B)を得るためのそれぞれの重合プロセス内で、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)に関連して上に定義される通りのもの及び任意選択的に存在する更なるモノマー(B2)以外に、他のモノマーが用いられないことが好ましい。しかしながら、(B1)に従うモノマー及び任意選択的に(B2)以外に何らかの更なる高分子モノマーが存在する場合、このようなモノマー(B1及びB2以外)は、ポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーの総量の1%未満の量で存在する。好ましくは、上記の追加のモノマーの量は、0.5重量%未満、更により好ましくは0.01重量%未満であり、最も好ましくは、モノマー(B1)及び任意選択的に(B2)以外の追加のモノマーは全く存在しない。
【0055】
それらの更なる好ましい実施形態において、モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満であり;また、更により好ましくは、モノマー(B2)は、ポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーの総量の1%未満の量で存在する。更により好ましくは、モノマー(B2)の量は、0.5重量%未満、更により好ましくは0.01重量%未満、最も好ましくは、モノマー(B1)以外にモノマー(B2)は本質的に存在しない。
【0056】
モノマー(B2)は、原則として、ビニルエステル-モノマー(B1)と重合可能なモノマーである。本発明において、酸官能基を含むモノマーは使用されないことが特に好ましい。特に、本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニル-酢酸、又はアクリロキシ-プロピオン酸などの任意の酸官能性モノマーを含まない。
【0057】
本発明のポリマーは、本発明が標的とする様々な応用分野にうまく使用されるように、以下に示す特性の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上を有する:
a)OECD301F(測定方法は実験セクションも参照)に基づいて試験された場合、28日以内に、少なくとも30、好ましくは少なくとも35、更により好ましくは少なくとも40%であるグラフトポリマーの生分解性であるような、特定のレベルの生分解性。
b)本発明が一般に標的とする適用分野に通常存在する水性環境中でポリマーを使用することができるような、ポリマーのある程度の水溶性。好ましくは、本発明のポリマーは、このような分野において様々な配合物に典型的に使用されている水性配合物、例えば、食器洗い、自動食器洗い、硬質表面の清掃、布地の洗浄、布地ケア、化粧品配合物などの環境中で、中程度から良好な溶解性、より好ましくは非常に良好な溶解性を示すことが必要である。
c)ポリマー溶液の粘度は、任意選択的には、適度に高い固体ポリマー濃度で、製造中及び製造後に取り扱いができ、且つ使用者に提供できるものであることが必要であり、これは例えば、溶媒、典型的には、水及び有機溶媒を含む水溶液、水のみ、又は有機溶媒のみに溶解された「純粋な」(その場合、通常は液体である)製品とすることができ、そのようなポリマー又はポリマー溶液の粘度は、通常の技術的プロセスステップ、例えば、流し込み、ポンプ送液、計量供給(dosing)などを可能にする範囲にある。したがって、粘度は、ポリマー含有量(溶液中のポリマーの総固体含有量を基準とし、これは、ポリマー溶液の総重量に含まれる乾燥ポリマーの重量パーセントで定義される)が、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20、更に好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60、70、80重量%又は90重量%であってさえも、好ましくは約4000mPas未満まで、より好ましくは最大3500mPas、更に好ましくは最大3000mPas、例えば、最大4500、3750、3250、2750又はそれどころか最大2600又はそれよりも低い、例えば、2500、2000、1750、1500、1250、1000、750、500、250、200、150又は100mPasの範囲にあることが必要である。粘度は25℃又は高温のいずれか、例えば、50℃の温度又は60℃でさえ測定することができる。それにより、ポリマー溶液を商業規模で適切に取り扱うことが可能になる。言うまでもなく、添加される溶媒の量に応じて、溶媒の量が増加すると粘度は低下し、その逆も同様であることは明らかであり、したがって、所望に応じて調整することが可能になる。測定される粘度が測定温度に依存することも明白であり、例えば、所与の固体含有量を有する、例えば、80重量%の所与のポリマーの粘度は、より低い温度で測定するとより高くなり、より高い温度で測定するとより低くなるであろう。好ましい実施形態において、溶媒を追加していない調製したままのポリマーの固体含有量は、70~99重量%の間、より好ましくは75~85重量%の間にある。より好ましい実施形態において、溶媒を追加していない調製したままのポリマーの固体含有量は、70~99重量%の間、より好ましくは75~95重量%の間にあり、60℃で測定された場合に、3000mPas未満、より好ましくは3250mPas未満、又は更に2750、2600、2500、2000、1750、1500、1250、1000、750、500、若しくは更に250mPasを下回る。粘度は、そのようなポリマーについて一般に知られているように、好ましくは以下の実験部分で説明するように測定することができる。
【0058】
これらの要件を達成するために、本発明のポリマーのこうした特性をどのように達成するかについて、以下の指針を示すことができる:
生分解性は、概して、以下に示す条件の少なくとも1つと共に高くなる:
・ ランダムコポリマー主鎖(A)の分子量Mnが、より高い分子量と比較して、より低い;
・ 主鎖にグラフトされるポリマー側鎖(モノマーB)の重量百分率が、より高い重量百分率と比較して、より低い。
【0059】
言うまでもなく、更なる基準として、特定のポリマーの個々の性能を評価し、それにより、特定の適用分野の個々の配合物毎に等級付けを行う必要がある。本発明のポリマーは多岐にわたる有用性を示すため、網羅的な概説を行うことはできないが、本出願及び実施例には、所望の特性を有する有用なポリマーを調製及び選択する方法並びに所望の要求に合わせて特性を調整する方法に関する指針を示す。ホームケア及び特に布地ケアの分野に用いられるこのような基準の一つは、言うまでもなく、洗浄における性能、例えば、特定の物質のシミを有する特定の素材を規定の洗浄手順に付すことである。
【0060】
実施例においては、布地の洗浄、すなわち、一般的な布地ケアの分野に適用するための幾つかの指針を示す。
【0061】
定められた生分解度、水溶性及び粘度(すなわち、取扱い性)を有するポリマーに対する個々の要求に応じて、そのようなポリマーがどのようにして得られるかが、本明細書における一般的及び具体的な教示によって導かれることになるが、提示した特定の実施例に限定することは意図されていない。
【0062】
グラフトポリマーの性能は、曇り点が適用の温度とほぼ同じである場合に優れていると考えられている。低温洗浄が増加傾向にあるため、そのような用途には曇り点の低いグラフトポリマーが好まれる可能性がある。これは、すすぎの際の利点に特に当てはまると考えられる。
【0063】
プロセス
本発明の別の主題は、先に記載した本発明のグラフトポリマーを調製するためのプロセスである。本発明による少なくとも1種のグラフトポリマーを得るための本プロセスにおいて、少なくとも1種のモノマー(B1)及び任意選択的に更なるモノマー(B2)を、少なくとも1種のコポリマー主鎖(A)の存在下で重合させる。
【0064】
コポリマー主鎖などのポリマー主鎖がポリマー側鎖によってグラフトされるグラフトプロセス自体は、当業者に知られていることに留意されたい。これに関連する当業者に知られている任意のプロセスを、本発明に採用することができる。
【0065】
本発明のプロセスにおいて、ポリマー側鎖(B)は、好ましくはラジカル重合により得られる。
【0066】
ラジカル重合自体も当業者に知られている。当業者はまた、本発明のプロセスをラジカル形成性開始剤(C)及び/又は少なくとも1種の溶媒(D)の存在下に実施できることを理解している。当業者は各構成成分自体も理解している。
【0067】
本発明に関連して使用される「ラジカル重合」は、フリーラジカル重合以外に、精密ラジカル重合などのその変形も含む。好適な制御機構は、RAFT、NMP又はATRPであり、これらはそれぞれ、好適な制御剤と共に当業者に知られている。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーを生成するためのプロセスは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の更なるモノマー(B2)とを、少なくとも1種のコポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的に(B2)、(C)、及び(D)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的なモノマー(B2)及び開始剤(C)の割合が、コポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含む。
【0069】
((フリー)ラジカル形成性)開始剤(C)の量は、各場合におけるポリマー側鎖(B)を基準として、好ましくは、0.1~5重量%、特に0.3~3.5重量%である。
【0070】
本発明によるプロセスの場合、好ましくは、平均重合温度で存在するラジカルの定常状態濃度は実質的に一定であり、グラフトモノマー(B1)又は(B2)は、反応混合物中に、常時低濃度(例えば、合計で5重量%以下)でしか存在しない。それにより、反応を制御することが可能になり、グラフトポリマーを、制御された方法で所望の低多分散度で調製することができる。
【0071】
ただし、安全な温度制御を確保するには-特に重合を大量に開始する場合、及び/又は最初から大量のモノマーが存在する場合には-追加の効果的な温度制御手段を使用することが賢明であり、したがって好ましいことである。これは、外部又は内部冷却によって実施することができ;このような冷却は、熱交換器などの内部及び/若しくは外部冷却器によるか、並びに/又は溶媒若しくは溶媒混合物の沸点で操作を行う場合は還流冷却器を使用して実施することができる。
【0072】
もちろん、モノマーが長期間にわたって添加され、従って反応体積中のモノマー濃度が時間の経過とともに常に低い、前述の好ましい実施形態にも同じ手段を使用することができる。
【0073】
しかしながら、このような条件下では、温度は、ラジカル濃度及び重合性モノマーの利用可能な量を制御することによる重合反応の進行によっても少なくとも部分的に制御されるため、通常、温度制御は重要な点ではない。もちろん、重合反応のスケールに応じて、スケールが十分に大きくなり、重合混合物の体積と表面の比率が非常に大きくなる場合、前述のような追加の冷却は、開始時から大量のモノマーが存在するバッチ反応若しくはバルク反応、又は典型的には常に低いモノマー濃度での半連続若しくは連続重合反応の両方の変形で必要になる場合がある。
【0074】
しかしながら、これは、商業規模の重合を行う当業者に一般に知られており、したがって、要求に適合させることが可能である。
【0075】
「平均重合温度」という用語は、本明細書においては、プロセスが実質的に等温であるが、反応の発熱性により温度変動があり得、好ましくは+/-10℃の範囲内、より好ましくは+/-5℃の範囲内に維持されることを意味することを意図している。
【0076】
本発明によれば、平均重合温度における(ラジカル形成性)開始剤(C)の分解半減期は、40~500分、好ましくは50~400分、より好ましくは60~300分とすることが必要である。
【0077】
本発明によれば、開始剤(C)並びにグラフトモノマー(B2)及び/又は(B2)は、有利には、未分解の開始剤並びにグラフトモノマー(B1)及び/又は(B2)が反応混合物中に実質的に一定の低い濃度で存在するように添加される。反応混合物全体における未分解の開始剤の割合は、モノマー添加時に計量添加された開始剤の総量を基準として、好ましくは≦15重量%、特に≦10重量%である。
【0078】
より好ましい実施形態において、プロセスは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)とを、少なくとも1種のポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的な(B2)及び(C)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的な(B2)及び開始剤(C)の割合が、ポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含み、好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは少なくとも90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、-(B2)が存在する場合-任意選択的なモノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満であり、また、更により好ましくは、モノマー(B2)が、ポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーの総量の重量で1%未満、より好ましくは0.5%未満、更により好ましくは0.01%未満の量で存在する。
【0079】
更により好ましい実施形態において、モノマー(B1)以外は、モノマー(B2)は本質的に使用されない。
【0080】
平均重合温度は、適切には50~140℃の範囲、好ましくは60~120℃の範囲、より好ましくは65~110℃の範囲にある。
【0081】
50~140℃の温度範囲における分解半減期が20~500分である好適な開始剤(C)の例を以下に示す:
- tert-C4~C12-アルキルヒドロペルオキシド及びtert-(C9~C12-アラルキル)ヒドロペルオキシド、例えば、過酢酸tert-ブチル、モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-ブチル、ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルオキシネオデカン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸1,1,3,3-テトラメチルブチル、ペルオキシネオデカン酸クミル、ペルオキシ安息香酸tert-ブチル、ペルオキシ安息香酸tert-アミル及びジペルオキシフタル酸ジ-tert-ブチルのO-C2~C12-アシル化誘導体;
- tert-C8~C14-アルキレンビスペルオキシド、例えば、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン及び1,3-ジ(2-ネオデカノイルペルオキシイソプロピル)ベンゼンのジ-O-C4~C12-アシル化誘導体;
- ジ(C2~C12-アルカノイル)及びジベンゾイルペルオキシド、例えば、ジアセチルペルオキシド、ジプロピオニルペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジカプリロイルペルオキシド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(4-クロロベンゾイル)ペルオキシド及びジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド;
- ペルオキシ(C4~C12-アルキル)炭酸tert-C4~C5-アルキル、例えば、ペルオキシ(2-エチルヘキシル)炭酸tert-アミル;
- ペルオキシ二炭酸ジ(C2~C12-アルキル)、例えば、ペルオキシ二炭酸ジ(n-ブチル)及びペルオキシ二炭酸ジ(2-エチルヘキシル)。
【0082】
平均重合温度に応じた、特に好適な開始剤(C)の例は以下の通りである:
- 平均重合温度50~60℃:
ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシネオデカン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸1,1,3,3-テトラメチルブチル、ペルオキシネオデカン酸クミル、1,3-ジ(2-ネオデカノイルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ペルオキシジ炭酸ジ(n-ブチル)及びペルオキシジ炭酸ジ(2-エチルヘキシル);
- 平均重合温度60~70℃:
ペルオキシピバル酸tert-ブチル、ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシネオデカン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル及びジ(2、4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド;
- 平均重合温度70~80℃:
ペルオキシピバル酸tert-ブチル、ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、過酸化ジプロピオニル、過酸化ジカプリロイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン;
- 平均重合温度80~90℃:
ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-アミル、過酸化ジプロピオニル、過酸化ジカプリロイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)、過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジ(4-メチルベンゾイル);
- 平均重合温度90~100℃:
ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-アミル、過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジ(4-メチルベンゾイル);
- 平均重合温度100~110℃:
モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル及びペルオキシ(2-エチルヘキシル)炭酸tert-アミル;
- 平均重合温度110~120℃:
モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサン酸tert-ブチル及びペルオキシ(2-エチルヘキシル)炭酸tert-アミル。
【0083】
好ましい開始剤(C)は、tert-C4~C5-アルキルヒドロペルオキシドのO-C4~C12-アシル化誘導体、特に好ましくはペルオキシピバル酸tert-ブチル及びペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチルである。
【0084】
特に有利な重合条件は、開始剤(C)及び重合温度を正確に調整することによって容易に設定することができる。例えば、ペルオキシピバル酸tert-ブチルを使用した場合の好ましい平均重合温度は60~80℃であり、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチルの場合は80~100℃である。
【0085】
本発明の重合反応は、好ましくは少量の溶媒(D)の存在下で行うことができ、溶媒(D)は有機溶媒及び/又は水であり得る。当然のことながら、異なる溶媒(D)の混合物を使用することも可能である。水溶性又は水混和性溶媒を使用することが好ましい。
【0086】
溶媒(D)が希釈剤として使用される場合は、概して、各場合における構成成分(A)、(B1)、任意選択的に(B2)及び(C)の総和を基準として、1~40重量%、好ましくは1~35重量%、より好ましくは1.5~30重量%、最も好ましくは2~25重量%で使用される。
【0087】
好適な溶媒(D)の例としては、以下に示すものが挙げられる:
- 一価アルコール、好ましくは脂肪族C1~C16-アルコール、より好ましくは脂肪族C2~C12-アルコール、最も好ましくはC2~C4-アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec-ブタノール及びtert-ブタノール;
- 多価アルコール、好ましくはC2~C10-ジオール、より好ましくはC2~C6-ジオール、最も好ましくはC2~C4-アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール及び1,3-プロピレングリコール;
- アルキレングリコールエーテル、好ましくは、アルキレングリコールモノ(C1~C12-アルキル)エーテル及びアルキレングリコールジ(C1~C6-アルキル)エーテル、より好ましくは、アルキレングリコールモノ-及びジ(C1~C2-アルキル)エーテル、最も好ましくは、アルキレングリコールモノ(C1~C2-アルキル)エーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル及び-エチルエーテル並びにプロピレングリコールモノメチル及び-エチルエーテル;
- ポリアルキレングリコール、好ましくは2~20個のC2~C4-アルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C4-アルキレン)グリコール、より好ましくは2~20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール及び2~10個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、最も好ましくは2~15個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール及び2~4個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール;
- ポリアルキレングリコールモノエーテル、好ましくは2~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C4-アルキレン)グリコールモノ(C1~C25-アルキル)エーテル、より好ましくは2~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C4-アルキレン)グリコールモノ(C1~C20-アルキル)エーテル、最も好ましくは3~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C3-アルキレン)グリコールモノ(C1~C16-アルキル)エーテル;
- カルボン酸エステル、好ましくはC1~C6-カルボン酸のC1~C8-アルキルエステル、より好ましくはC1~C3-カルボン酸のC1~C4-アルキルエステル、最も好ましくはC2~C3-カルボン酸のC2~C4-アルキルエステル、例えば、酢酸エチル及びプロピオン酸エチル;
- 好ましくは3~10個の炭素原子を有する脂肪族ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びシクロヘキサノン;
- 環状エーテル、特にテトラヒドロフラン;
- 水。
【0088】
溶媒(D)は、有利には、本発明のグラフトポリマーを(例えば、洗い及び洗浄組成物用として)配合する際にも使用される溶媒であり、したがって、重合生成物中に残留してもよい。
【0089】
このような溶媒の好ましい例は、2~15個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、2~6個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、特にC6~C8-アルコールのアルコキシ化生成物(アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)である。
【0090】
本明細書においては、分枝度の高いC8~C16-アルコールのアルコキシ化生成物が特に好ましく、それにより、40~70℃で自由流動性を有し、ポリマー含有量が非常に低いポリマー混合物を、比較的低い粘度で配合することが可能になる。アルコールのアルキル鎖中及び/又はポリアルコキシレート部分(少なくとも1種のプロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はイソブチレンオキシド単位を共重合させたもの)内に分枝が存在してもよい。このようなアルコキシ化生成物の特に好適な例は、1~15molのエチレンオキシドでアルコキシ化された2-エチルヘキサノール又は2-プロピルヘプタノール、1~15molのエチレンオキシド及び1~3molのプロピレンオキシドでアルコキシ化されたC13/C15オキソアルコール又はC12/C14若しくはC16/C18脂肪アルコールであり、1~15molのエチレンオキシド及び1~3molのプロピレンオキシドでアルコキシ化された2-プロピルヘプタノールが好ましい。
【0091】
代替的実施形態において、重合は、少なくとも1種の有機溶媒及び水の混合物を使用して実施される。
【0092】
更なる代替的実施形態において、重合は、溶媒(D)として水を使用して実施される。
【0093】
ラジカル開始剤(C)は、好ましくは、上に述べた溶媒のうちの1種の高濃度溶液の形態で使用される。言うまでもなく、濃度はラジカル開始剤の溶解度に依存する。この濃度は、重合反応に導入される有機溶媒を可能な限り少なくできるように、可能な限り高くすることが好ましい。開始剤が水溶性であるために開始剤を導入するための溶媒として水が使用される場合、水の残留レベルの観点からは、濃度は重要ではない。
【0094】
好ましい実施形態において、水の量は低く、総溶媒に基づいて、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1%未満である。
【0095】
本発明によるプロセスにおいて、ランダムコポリマー主鎖(A)、グラフトモノマー(B1)及び適切であれば(B2)、開始剤(C)及び適切であれば溶媒(D)は、通常、反応器内で選択された平均重合温度に加熱される。
【0096】
本発明によれば、重合は、反応器内に常時過剰のポリマー(ランダムコポリマー主鎖(A)及び形成されたグラフトポリマー(B))が存在するように実施される。ポリマー対グラフトされていないモノマー及び開始剤の定量的な比は、概して≧10:1、好ましくは≧15:1、より好ましくは≧20:1である。
【0097】
本発明による重合プロセスは、原則として様々な種類の反応器で実施することができる。
【0098】
使用される反応器は、好ましくは撹拌槽であり、ここに最初にランダムコポリマー主鎖(A)の全部又は一部が、適切であればグラフトモノマー(B1)又は(B2)、開始剤(C)並びに溶媒(D)の一部、概して、具体的な総量の15重量%までと一緒に投入され、重合温度に加熱され、(B)、(C)及び適切であれば(D)の残量が、好ましくは別々に計量添加される。(B)、(C)及び適切であれば(D)の残量は、好ましくは≧2時間、より好ましくは≧4時間、最も好ましくは≧5時間の期間をかけて計量添加される。
【0099】
特に好ましい、その変形形態である実質的に無溶媒のプロセスにおいては、ランダムコポリマー主鎖(A)の全量が最初に溶融物として投入され、グラフトモノマー(B1)及び適切であれば(B2)と、これに加えて、好ましくは溶媒(D)の1種の10~50重量%溶液の形態で存在する開始剤(C)とが計量添加され、温度は、選択された平均重合温度が、重合中、とりわけ+/-10℃の範囲、特に+/-5℃の範囲内に維持されるように制御される。
【0100】
更なる特に好ましい変形形態である低溶媒プロセスにおける手順は、反応混合物の粘度を制限するために重合時に溶媒(D)が計量添加されることを除いて、上に述べた通りである。重合が進行した後段の時点で初めて溶媒の計量添加を開始することも、又は少量ずつ添加することも可能である。
【0101】
重合は、標準圧力又は減圧若しくは高圧下に影響を受けることができる。選択された圧力において、使用されるモノマー(B1)若しくは(B2)又は任意の希釈剤(D)の沸点を超えている場合、重合は還流冷却しながら実施される。
【0102】
本重合反応の後に後重合プロセスステップを追加することができる。そのために、更なる量の開始剤(溶媒中に溶解されている)を0.5時間超且つ典型的には最長3時間、好ましくは約1~2時間、より好ましくは約1時間(ただし、その期間は反応器の規模にも依存する)の期間にわたり添加することができ、ラジカル開始剤及びその開始剤用の溶媒は、典型的には、且つ好ましくは、本重合反応の溶媒と同一である。言うまでもなく、異なるラジカル開始剤及び/又は異なる溶媒を使用することもできる。
【0103】
後重合プロセスステップの温度は、本重合反応と同じであってもよいし(本発明においてはこれが好ましい)、又は上昇させてもよい。上昇させる場合は、通常、約5~40℃、好ましくは10~20℃高くすることができる。
【0104】
後重合と本重合との間に一定の期間を置いて、本重合反応を進行させたままにし、その後、更なるラジカル開始剤の添加を開始することにより後重合反応を開始させることができる。
【0105】
大気圧下における沸点が約110~120℃未満の溶媒の場合、このような溶媒は、-精製ステップとして-高温若しくは真空蒸留又は蒸気若しくは窒素などの気体によるストリッピング、例えば水蒸気によるストリッピングにより、全て常圧で又は減圧下で、好ましくは真空蒸留により、部分的に又は基本的に完全に除去することができ、一方、沸点がより高い溶媒は、通常、得られたポリマー生成物中に留まることになる。メルカプトエタノールを連鎖移動調整剤として使用する場合、水蒸気蒸留が好ましい精製ステップである。従って、1-メトキシ-2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、及びトリプロピレングリコールのような高沸点溶媒は、ラジカル開始剤を導入するためだけにそのような溶媒を使用する場合は、ラジカル開始剤をできるだけ高濃度で使用することにより、ラジカル開始剤の量を可能な限り最小限に抑える必要があり、このような溶媒が配合物の一部を形成しない限り、グラフトポリマーはその中で使用されることになる。
【0106】
本発明のグラフトポリマー、即ち、プロセスから得られるポリマー溶液は、濃縮又は乾燥の手段を施すこともできる。
【0107】
得られたグラフトポリマー溶液は、溶媒の一部を除去して固体ポリマー濃度を増加させることによって濃縮することができる。これは、高温又は真空蒸留などの蒸留プロセスを所望の固体含有量に達するまで実施することにより達成することができる。このようなプロセスは、上に開示されたような精製ステップと組み合わせることができ、その場合は、得られたグラフトポリマー溶液から所望の量の溶媒を除去することによって、揮発性溶媒及び/又は未反応の揮発性モノマーなどの揮発性構成成分の一部又は全部を除去することにより、精製される。
【0108】
本重合及び/又は任意選択的な後重合ステップ並びに任意選択的な精製ステップの後に、グラフトポリマー溶液を、揮発性物質を部分的又は完全に除去する手段、例えば、回転ドラム乾燥(roller-drum drying)、噴霧乾燥、真空乾燥又は凍結乾燥、好ましくは、主にコスト面の理由から、噴霧乾燥などの乾燥などに付すことにより、グラフトポリマー溶液を更に濃縮又は乾燥させることもできる。このような乾燥プロセスはまた、凝集若しくは顆粒化プロセス、例えば、噴霧凝集(spray-agglomeration)又は流動床乾燥機などによる乾燥と組み合わせることもできる。
【0109】
使用
原則として、本発明のグラフトポリマーは、同一又は非常に類似した組成を有する(ポリマー主鎖及びグラフトされたモノマーの量という点で、特に、グラフトされたモノマーの種類及び量が、類似しているか又は同等である)従来のグラフトポリマーと置き換えて、任意の用途に使用することができる。このような用途は、例えば:
化粧料、パーソナルケア:このような組成物及び配合物としては、シャンプー、ローション、ジェル、スプレー、石鹸、メークアップ用パウダー、口紅、ヘアスプレーが挙げられる。
【0110】
技術的用途:このような組成物及び配合物としては、任意の種類の接着剤、非水系及び好ましくは水系の液体配合物又は固形配合物、典型的には固体又は液体を他の液体又は固体中に分散させることが必要とされる、油田用途や自動車用途などにおける任意の種類の分散物中の分散剤としての使用が挙げられる。
【0111】
ラッカー、塗料及び着色剤配合物:このような組成物及び配合物としては、非水系及び好ましくは水系のラッカー並びに着色剤、塗料、仕上げ剤が挙げられる。
【0112】
農業用配合物:このような組成物及び配合物としては、液体又は固体環境中に農芸化学的活性物質を含む配合物及び組成物が挙げられる。
【0113】
香料配合物:このような組成物及び配合物としては、液体又は固体組成物中に、例えば、その香りのプロファイルを長時間にわたり維持するために、香料が均一に分散するように及び/又はその安定性が保持されるように溶解又は分散させる配合物が挙げられ;香料を経時的に放出する組成物、例えば、長時間放出する又は遅れて放出する配合物も包含される。
【0114】
したがって、本発明の別の主題は、本発明の並びに/又は本発明の及び/若しくは前に詳述したようなプロセスにより得られる若しくは入手可能なグラフトポリマーの、布地ケア及びホームケア製品中における使用、化粧用及びパーソナルケア配合物中における使用、原油用エマルジョンブレーカーとしての使用、インクジェットインク用顔料分散体などの技術用途における使用、電気メッキ用配合物中における使用、セメント系組成物中における使用、農芸化学的配合物中における、例えば、分散剤、結晶成長抑制剤及び/又は可溶化剤としての使用、ラッカー及び着色剤配合物中における使用、好ましくは、農芸化学的組成物及び洗浄組成物並びに布地ケア及びホームケア製品中における使用、特に、油性及び脂肪性汚れの除去を向上するための、粘土などの固体汚れを除去するための、布地表面の黒ずみ汚れを防止するための、並びに/又はスケール防止剤のための、好ましくは、洗濯用洗剤配合物及び/又は食器洗い洗剤配合物であり、より好ましくは液体洗濯用洗剤配合物及び/又は液体食器手洗い洗剤配合物である、洗浄組成物中における使用、或いは、特に、農芸化学的組成物中に、分散剤、結晶成長抑制剤及び/又は可溶化剤として使用するための使用にある。
【0115】
したがって本発明の別の主題は、また、上に定義した又は本発明の及び/若しくは前に詳述したようなプロセスにより得られる若しくは入手可能な少なくとも1種のグラフトポリマーを含む、洗浄組成物、布地ケア及びホームケア製品、業務用及び企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインク用顔料分散体及びグラフトポリマーを含有するインク、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー又は塗料並びに農芸化学的配合物用分散剤、好ましくは、洗濯用洗剤、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品である。
【0116】
本発明の更なる主題は、布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、農芸化学的配合物、好ましくは洗濯用洗剤、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品であり、各々、本発明の及び/又は上記で記載の少なくとも1種のグラフトポリマーを含有する。
【0117】
洗濯用洗剤、洗浄組成物並びに/又は布帛及び家庭の手入れ用製品自体は当業者に知られている。それぞれの用途に関連する、当業者に公知の任意の組成物などを、本発明に関連して使用することができる。
【0118】
好ましい実施形態において、これは、上に定義した少なくとも1種のグラフトポリマーを含む洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア製品並びに/又は業務用及び企業用洗浄製品である。特に、これは、例えば、汚れの再付着及びシミの除去に関する洗浄性能及び再付着防止性能の向上のための、特に皮脂及び食べ物及び/又は粘土などの粒子汚れの脂を覆った油汚れなどのシミ除去のための、洗浄組成物、好ましくは洗濯用洗剤配合物及び/又は食器手洗い洗剤配合物、より好ましくは液体洗濯用洗剤配合物及び/又は液体食器手洗い洗剤配合物であり、油性及び脂肪性のシミの除去の洗浄/一次洗いの向上のための、より好ましくは皮脂及び食べ物油及び/又は粘土などの粒子汚れを覆った油汚れなどのシミ除去のための、好ましくは洗浄組成物、より好ましくは洗濯用洗剤配合物及び/又は食器手洗い洗剤配合物、最も好ましくは液体洗濯用洗剤配合物及び/又は液体食器手洗い洗剤配合物である。
【0119】
具体的には、本発明のグラフトポリマーは、界面活性剤による繊維製品又は硬質表面からの、様々な疎水性及び親水性汚れ、例えば体の汚れ、食べ物及び油汚れ、粘土又はカーボンブラックなどの粒子汚れ、草の汚れ、化粧品、モーターオイルなどの除去を助け、従って、配合物の洗い及び洗浄性能を向上させる(「洗浄性能の向上」)。
【0120】
また、本発明のグラフトポリマーは、除去された汚れを洗浄又は清掃液中により良好に分散させ、被洗浄又は被清掃材料表面の再付着を防ぐ(「再付着防止性能」)。本明細書において、除去された汚れには、洗濯プロセス中に存在する全ての典型的な汚れ、例えば、体の汚れ、食べ物及び油汚れ、粘土又はカーボンブラックなどの粒子汚れ、草の汚れ、化粧品、モーターオイルなどが含まれる。このような再付着防止効果は、コットン、ポリコットン、ポリエステル、ポリエーテル/ポリ尿素のコポリマー(Spandex(商標))などを含む、様々な布地タイプで観察することができる。加えて、このような再付着防止効果は、また、布地増強剤を使用したことのある布地や、布地増強剤又はフレッシュネスビーズ若しくは漂白剤などの他の洗濯用添加剤の存在下で布地洗いを実施する場合にも効果的である。
【0121】
一実施形態において、本発明において同じく好ましくは、洗浄組成物は更に(上に定義した少なくとも1種のグラフトポリマー以外に)、少なくとも1種の、好ましくは、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、キシラナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ディスパーシン、ペクチナーゼ、オキシドレダクターゼ、クチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼのうちの1種以上、より好ましくは上に述べた種類のうちの少なくとも2種から選択される、酵素を含む。
【0122】
したがって、本発明の別の主題は、上に定義した少なくとも1種のグラフトポリマーを含む布地ケア及びホームケア製品並びに業務用及び企業用(I&I)洗浄製品などの洗浄組成物、特に、前に詳述したような洗浄性能及び再付着防止性能の向上のための洗浄組成物である。
【0123】
本明細書に記載する少なくとも1種のグラフトポリマーは、上記本発明の洗浄組成物中に、このような組成物又は製品の総重量に対して約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の範囲の量で存在し、このような洗浄組成物は、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含んでいてもよく、好ましくはこれを更に含む。
【0124】
好ましくは、こうした本発明の洗浄組成物は、布地ケア及びホームケア製品又は業務用及び企業用(I&I)洗浄製品、好ましくは、布地ケア及びホームケア製品、より好ましくは、少なくとも1種の本発明のポリマーを含み、任意選択的に少なくとも1種の界面活性剤又は界面活性剤系を更に含み、汚れの除去、分散及び/若しくは乳化を向上させ、並びに/又は被処理面を改質する及び/若しくは被処理面の白度を維持する、洗濯用洗剤又は食器手洗い洗剤である。
【0125】
更により好ましくは、本発明の洗浄組成物は、少なくとも1種の本発明のグラフトポリマーを含み、任意選択的に少なくとも1種の界面活性剤又は界面活性剤系を更に含み、-全て前に詳述したとおり-洗濯及び食器手洗い用途の中でも洗浄性能及び再付着防止性能の向上を示し、更により具体的には、洗濯用途、最も好ましくは洗濯用洗剤における洗浄性能及び再付着防止性能の向上を目的とするものであり、これらは更に、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ及びペルオキシダーゼ並びに上述の種類の酵素うち少なくとも2種の組み合わせからなる一覧から選択される少なくとも1種の酵素を含み得る。
【0126】
本発明の一実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、好ましくは洗濯物のケアにおける、洗浄及び再付着防止の向上並びに/又は更に、白度維持のために用いることができる。他の好ましい実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、布地の黒ずみ汚れを低減するため(黒ずみ汚れ防止)、好ましくは洗濯用途に使用することができる。
【0127】
1つの好ましい実施形態において、本発明の洗浄組成物は、液体又は固体洗濯用洗剤組成物である。
【0128】
別の好ましい実施形態において、本発明の洗浄組成物は、食器手洗い又は自動洗い用の液体又は固体(例えば、粉末又は錠剤/単位用量)洗剤組成物、好ましくは液体食器手洗い洗剤組成物である。このような組成物は、当業者に公知である。
【0129】
他の実施形態において、本発明の洗浄組成物は、硬質木材、タイル、セラミック、プラスチック、皮革、金属、ガラスなどの様々な表面の洗浄に使用することができる硬質表面洗浄組成物である。
【0130】
他の実施形態において、洗浄組成物は、シャンプー組成物、身体洗浄料、液体又は固形石鹸などの化粧品、パーソナルケア及びペットケア用組成物に使用されるように設計されている。
【0131】
一実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、界面活性剤主剤としてのC10~C15アルキルベンゼンスルホネート(LAS)と、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性若しくは他のアニオン性界面活性剤又はこれらの混合物から選択される1種以上の追加の界面活性剤とを含む界面活性剤系を含む、洗浄組成物に利用することができる。
【0132】
更なる実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、界面活性剤主剤としての1~5個のエトキシ単位を含むC8~C18直鎖又は分枝アルキルエーテルサルフェートと、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性若しくは他のアニオン性界面活性剤又はこれらの混合物から選択される1種以上の追加の界面活性剤とを含む、任意の種類の洗濯用洗剤などの洗浄組成物に利用することができる。
【0133】
更なる実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、界面活性剤主剤としての5~10個のエトキシ単位を含むC12~C18アルキルエトキシレート界面活性剤と、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性若しくは他の非イオン性界面活性剤又はこれらの混合物から選択される1種以上の追加の界面活性剤と、を含む、任意の種類の洗濯用洗剤などの洗浄組成物に利用することができる。
【0134】
本発明の一実施形態において、グラフトポリマーは、それぞれが少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を更に含む、好ましくは洗濯用又は食器洗い配合物、より好ましくは、液体洗濯用又は食器手洗い用配合物などの洗浄組成物の構成成分である。
【0135】
更なる実施形態において、本発明は、本明細書において上に記載したグラフトポリマーを含む組成物も包含し、本明細書において後に開示する、好ましくは2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤を更に含み、より好ましくは、上記抗菌剤を、組成物の2ppm~5重量%の範囲の量で含み;更に好ましくは、フェノキシエタノールを0.1~2%含む。
【0136】
更なる実施形態において、本発明はまた、水性組成物を微生物による汚染又は増殖から保護する方法も包含し、このような組成物は、本明細書において上に記載したグラフトポリマーを含み、このような組成物は、好ましくは洗剤組成物であり、このような方法は、本明細書において後に開示する本開示の抗菌剤から選択される少なくとも1種の抗菌剤を添加することを含み、このような抗菌剤は、好ましくは2-フェノキシエタノールである。
【0137】
更なる実施形態において、本発明はまた、組成物、好ましくは洗浄組成物、より好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体食器手洗い用組成物、更に好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体洗濯用柔軟剤組成物も包含し、このような組成物は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマーを含み、このような組成物は、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを、それぞれ組成物の重量に対し、0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度で更に含む。
【0138】
更なる実施形態において、本発明はまた、布地を洗濯する又は硬質表面を洗浄する方法も包含し、この方法は、布地又は硬質表面を洗浄組成物で、より好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体食器手洗い用組成物で、更に好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体洗濯用柔軟剤組成物で処理することを含み、このような組成物は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマーを含み、このような組成物は、4、4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを更に含む。
【0139】
これらの実施形態における追加の界面活性剤の選択は、用途及び望まれる効果によって決まり得る。
【0140】
洗浄組成物、配合物、及びそれらの成分の説明
本明細書において使用される「洗浄組成物」という語句は、汚れた材料の洗浄用に設計された組成物及び配合物を含む。そのような組成物及び配合物としては、任意の種類の汚れた材料又は表面を洗浄するために設計されたものが挙げられる。
【0141】
「業務用及び企業用洗浄」組成物としては、タイル、カーペット、PVC面、木製面、金属面、ラッカー塗装面を含む任意の種類の表面用硬質表面洗浄剤など、任意の種類の汚れた材料又は面の洗浄に使用するためのものなどの、業務用及び企業用洗浄で使用するために設計された洗浄組成物が挙げられる。
【0142】
「布地ケア及びホームケア用組成物」としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地柔軟化組成物、布地高機能化組成物、布地清涼化組成物、洗濯物予洗い用洗剤、洗濯物前処理剤、洗濯補助剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯物濯ぎ用添加剤、洗浄用添加剤、濯ぎ後の布地処理剤、アイロン掛け補助剤、食器洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織シートの上又は内部に含まれる洗剤、軽質液体洗剤組成物、重質液体洗剤組成物、洗濯に一般的に使われる洗剤ゲル、漂白組成物、洗濯用添加剤、布地増強組成物、並びに本明細書の教示を鑑みて当業者に明らかとなり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用してもよく、又は、洗濯作業の濯ぎ又は洗浄サイクル中、好ましくは洗濯又は食器洗い作業の洗浄サイクル中に添加してもよい。より好ましくは、このような布地ケア及びホームケア用組成物は、洗濯用洗浄組成物、洗濯用ケア製品、又は洗濯用洗い製品、最も好ましくは、液体洗濯用洗剤配合物又は液体洗濯用洗剤製品である。
【0143】
本発明の洗浄組成物は、任意の形態、即ち、ペースト、ゲル、エマルジョン、発泡体、及びムースなどの液体含有組成物の種類を含む「液体」組成物;粉末、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、真珠光沢のあるボール、凝集物、錠剤、顆粒状組成物、シート、トローチ、ビーズ、繊維状物品、バー、フレークなどの固体組成物;又はそれらの混合物の形態であり得る。単一、2つ、若しくは複数の区画のパウチ又は容器で送達される種類のもの;単相若しくは多相の単位用量;スプレー又は泡洗剤;湿潤ワイプシート(すなわち、洗浄組成物を、Mackey,et al.による米国特許第6,121,165号明細書に述べられているものなどの不織材料と組み合わせたもの);使用者若しくは消費者が水で濡らして活性化させるドライワイプシート(すなわち、Fowler,et al.による米国特許第5,980,931号明細書に述べられているものなどの、洗浄組成物を不織材料と組み合わせたもの);その他の均質、不均質又は単相若しくは多相の洗浄製品の形態とすることができる。
【0144】
組成物は、単区画又は多区画パウチに封入することができる。多区画パウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの区画を有し得る。多区画化されたパウチは、横並び及び/又は重ねられる区画を含み得る。パウチ又はその区画に入った組成物は、液体、固体(粉末など)、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0145】
「液体」/「液体組成物」の非限定的な例としては、軽質及び重質液体洗剤組成物、布地増強剤、洗濯に一般的に使用される洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯用添加剤が挙げられる。懸濁気泡などの気体、又は粒子などの固体が、液体内に含まれていてもよい。
【0146】
本発明の液体洗浄組成物は、好ましくは50~10000mPa・sの粘度を有し、液体食器手洗い洗浄組成物(液体食器手洗い洗浄組成物(manual “dish wash composition”))は、20 1/s及び20℃で、好ましくは100~10000mPa・s、より好ましくは200~5000mPa・s、最も好ましくは500~3000mPa・sの粘度を有し、液体洗濯洗浄組成物は、20 1/s及び20℃で、好ましくは50~3000mPa・s、より好ましくは100~1500mPa・s、最も好ましくは200~1000mPa・sの粘度を有する。
【0147】
本発明の液体洗浄組成物は、任意の好適なpH値を有し得る。好ましくは、組成物のpHは4~14に調整される。より好ましくは、組成物は、6~13、更に好ましくは6~10、最も好ましくは7~9のpHを有する。組成物のpHは、当該技術分野において公知のpH調整成分を使用して調整することができ、これは、25℃の脱塩水中で製品濃度を10%として測定したものである。例えば、NaOHを使用してもよく、NaOHの実際の重量%は変化し得、例えばpH8.0などの所望のpHに整えることができる。本発明の一実施形態において、アミン類、好ましくはアルカノールアミン、より好ましくはトリエタノールアミンを使用することによって7を超えるpHに調整してもよい。
【0148】
布地ケア及びホームケア製品並びに業務用及び企業用洗浄配合物など、より具体的には洗濯及び食器手洗い洗剤などの洗浄組成物は、当業者に公知である。それぞれの用途に関連する当業者に公知の任意の組成物などは、特にこうした組成物をその使用分野で使用する場合、少なくとも1種の本発明のポリマー、好ましくは少なくとも1種のポリマーをこのような組成物内で特定の性質を発現させるのに好適な量で含めることによって、本発明に関連させて使用することができる。
【0149】
本発明の一態様は、洗剤配合物、特に液体洗剤配合物、好ましくは濃縮液体洗剤配合物又は洗濯用の単回用量剤としての本発明のポリマーの使用にもある。
【0150】
本発明の洗浄組成物は、補助洗浄添加剤(本明細書では「補助剤」と省略されることもある)を含有してもよく、好ましくはこれを含有し、このような補助剤は、好ましくは上に定義された界面活性剤系に追加される。
【0151】
好適な補助洗浄添加剤としては、ビルダー、補助ビルダー、界面活性剤系、脂肪酸及び/又はそれらの塩、構造化剤、増粘剤及びレオロジー改良剤、粘度/汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー汚れ放出剤、ポリマー分散剤などの分散剤、ポリマー油脂洗浄剤、可溶化剤、両親媒性コポリマー(ビニルピロリドンを含まないものを含む)、キレート化剤、酵素、酵素安定化系、封入された香料などの封入された有益剤、漂白化合物、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、触媒物質、増白剤、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、真珠光沢剤、色相剤、移染防止剤、柔軟仕上げ剤、担体、泡促進剤、泡抑制剤(消泡剤)、カラースペックル、シルバーケア(silver care)、さび防止及び/若しくは腐食防止剤、アルカリ源、pH調整剤、pH緩衝剤、ヒドロトロープ、スクラブ粒子、抗細菌剤及び抗微生物剤、防腐剤、酸化防止剤、柔軟剤、担体、充填剤、溶媒、加工助剤、プロ香料、及び香料が挙げられる。
【0152】
補助剤は、組成物の意図された用途に好適なレベルで組成物中に存在し得る。典型的な使用レベルは、蛍光増白剤などの補助剤については組成物の0.001重量%という低い量から、ビルダーについては組成物の50重量%までの範囲に及ぶ。
【0153】
液体洗浄組成物は、追加で、界面活性剤系及びグラフトポリマーの他に-レオロジー制御/調整剤、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚若返り活性物質及び溶媒のうち少なくとも1種を含むことができ、好ましくはそれを含む。
【0154】
固形組成物は、追加で、充填剤、ブリーチ剤、漂白活性化剤及び触媒材料のうち少なくとも1種を含むことができ、好ましくはこれを含む。
【0155】
このような洗浄補助剤及び使用量の好適な例が、国際公開第99/05242号パンフレット、米国特許第5,576,282号明細書、米国特許第6,306,812B1号明細書及び米国特許第6,326,348B1号明細書に記載されている。
【0156】
当業者は、洗浄作用のある界面活性剤には、汚れた材料の洗浄、汚れの除去又は洗濯に有益な任意の界面活性剤又は界面活性剤混合物が包含されることを理解するであろう。
【0157】
したがって、布地ケア及びホームケア製品並びに業務用及び企業用洗浄配合物など、より具体的には洗濯及び食器手洗い洗剤などの本発明の洗浄組成物は、好ましくは、上に記載し、後により詳細に記載される界面活性剤系を追加で含み、より好ましくは更に補助剤も含む。
【0158】
界面活性剤系は、1種の界面活性剤から、又はアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される界面活性剤の組み合わせから構成することができる。当業者らは、洗剤用界面活性剤系には、汚れた材料の洗浄、汚れの除去又は洗濯に有益な任意の界面活性剤又は界面活性剤混合物が包含されることを理解するであろう。
【0159】
本発明の洗浄組成物は、好ましくは、界面活性剤系を、所望の洗浄性を付与するのに十分な量で含む。いくつかの実施形態において、洗浄組成物は、界面活性剤系を、組成物の重量の約1%~約70%含む。他の実施形態において、液体洗浄組成物は、界面活性剤系を、組成物の重量の約2%~約60%含む。更なる実施形態において、洗浄組成物は、界面活性剤系を、組成物の重量の約5%~約30%含む。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される、洗浄作用のある界面活性剤を含み得る。
【0160】
洗濯用組成物
洗濯用配合物において、アニオン性界面活性剤は、通常、このような配合物に含まれる界面活性剤の中で、最大の圧倒的に高い割合を占める。したがって、好ましくは、洗濯に使用するための本発明の洗浄組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、任意選択的に、本明細書に記載する界面活性剤の種類のいずれかから、好ましくは非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤及び/又は双性イオン性界面活性剤及び/又はカチオン性界面活性剤から選択される更なる界面活性剤と、を含む。
【0161】
本明細書において有用な2種以上の界面活性剤の組み合わせにも用いることができる、アニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、C9~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C10~C20 1級、分枝鎖及びランダムアルキルサルフェート(AS);C10~C18 2級(2,3)アルキルサルフェート;C10~C18アルキルアルコキシサルフェート(AExS)(xは1~30である);1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルアルコキシカルボキシレート;米国特許第6,020,303号明細書及び同第6,060,443号明細書に記載されている内部分枝アルキルサルフェート;米国特許第6,008,181号明細書及び同第6,020,303号明細書に記載されている内部分枝アルキルアルコキシサルフェート;国際公開第99/05243号パンフレット、同第99/05242号パンフレット及び同第99/05244号パンフレットに記載されている修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS);メチルエステルスルホネート(MES);並びにα-オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0162】
好適なアニオン性界面活性剤の好ましい例は、C8~C12アルキルサルフェートの、C12~C18脂肪族アルコールエーテルサルフェートの、C12~C18脂肪族アルコールポリエーテルサルフェートの、エトキシル化C4~C12アルキルフェノール(エトキシル化:3~50モルのエチレンオキシド/モル)の硫酸ハーフエステルの、C12~C18アルキルスルホン酸の、C12~C18スルホ脂肪酸アルキルエステルの、例えば、C12~C18スルホ脂肪酸メチルエステルの、C10~C18アルキルアリールスルホン酸の、好ましくはn-C10~C18アルキルベンゼンスルホン酸の、C10~C18アルキルアルコキシカルボン酸塩の、並びに例えばC8~C24カルボン酸などのセッケンの、アルカリ金属及びアンモニウム塩である。上記の化合物のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0163】
本発明の一実施形態において、アニオン性界面活性剤は、n-C10~C18-アルキルベンゼンスルホン酸から、及び脂肪アルコールポリエーテルサルフェート、本発明に関しては、特に、エトキシ化C12~C18-アルカノール(エトキシ化:エチレンオキシド1~50mol/mol)の硫酸ハーフエステル、好ましくはn-C12~C18アルカノールの硫酸ハーフエステルから選択される。
【0164】
本発明の一実施形態において、分枝(即ち、合成)C11~C18-アルカノール(エトキシ化:エチレンオキシド1~50mol/mol)から誘導されたアルコールポリエーテルサルフェートを用いることもできる。
【0165】
好ましくは、C12~C18-脂肪アルコールをベースとするアルコキシ化アルキルサルフェートのアルコキシ化基又は分枝(即ち、合成)C11~C18アルコールをベースとするアルコキシ化アルキルサルフェートのアルコキシ化基は、どちらの種類においてもエトキシ化基であり、任意のアルコキシ化アルキルサルフェートの平均エトキシ化度は、1~5、好ましくは1~3である。
【0166】
好ましくは、本発明の洗濯用洗剤配合物は、上に述べた1種以上のアニオン性界面活性剤を、他の成分並びに水及び/又は溶媒を含む具体的な組成物全体を基準として、少なくとも1重量%~50重量%、好ましくは約2重量%以上~約30重量%以下の範囲、より好ましくは3重量%以上~25重量%以下の範囲、最も好ましくは5重量%以上~25重量%以下の範囲で含む。
【0167】
本発明の好ましい実施形態において、アニオン性界面活性剤は、C10~C15直鎖アルキルベンゼンスルホネート、1~5個のエトキシ単位を有するC10~C18アルキルエーテルサルフェート及びC10~C18アルキルサルフェートから選択される。
【0168】
2種以上の他の界面活性剤と組み合わせて用いることもできる非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:C8~C18アルキルエトキシレート、例えば、Shellからの非イオン性界面活性剤であるNEODOL(登録商標);BASFからのPLURONIC(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルコキシレート;米国特許第6,153,577号明細書、米国特許第6,020,303号明細書及び米国特許第6,093,856号明細書に述べられているC14~C22内部分枝アルキルアルコキシレートBAEx(xは1~30);1986年1月26日に発行されたLlenadoによる米国特許第4,565,647号明細書に述べられているアルキル多糖;具体的には、米国特許第4,483,780号明細書及び米国特許第4,483,779号明細書に述べられているアルキルポリグリコシド;米国特許第5,332,528号明細書に述べられているポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びに米国特許第6,482,994号明細書及び国際公開第01/42408号パンフレットに述べられているエーテル末端ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤。
【0169】
好ましい非イオン性界面活性剤の例は、特に、アルコキシ化アルコール及びアルコキシ化脂肪アルコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの二元及び多元ブロックコポリマー並びにソルビタンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの反応生成物であり、更には、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド(グルカミド)である。(追加の)両性界面活性剤の例は、いわゆるアミンオキシドである。
【0170】
アルコキシ化アルコール及びアルコキシ化脂肪アルコールの好ましい例は、例えば、一般式(A):
【化1】
(式中の可変要素を以下のように定義する:
R1は、直鎖C1~C10アルキルから選択され、好ましくはエチル、特に好ましくはメチルであり、
R2は、C8~C22アルキル、例えば、n-C8H17、n-C10H21、n-C12H25、n-C14H29、n-C16H33又はn-C18H37から選択され、
R3は、C1~C10-アルキル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル又はイソデシルから選択され、
m及びnは、0~300の範囲にあり、n及びmの合計は少なくとも1である)の化合物である。好ましくは、mは1~100の範囲内にあり、nは0~30の範囲内にある。
【0171】
本明細書において、一般式(A)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーとすることができ、ブロックコポリマーが好ましい。
【0172】
アルコキシ化アルコール及びアルコキシ化脂肪アルコールの他の好ましい例は、例えば、一般式(B):
【化2】
(式中の可変要素を以下のように定義する:
R
1は、同一であるか又は異なり、直鎖C
1~C
4-アルキルから選択され、好ましくは、それぞれの場合において同一であり、エチル、特に好ましくはメチルであり、
R
4は、C
6~C
20-アルキル、特にn-C
8H
17、n-C
10H
21、n-C
12H
25、n-C
14H
29、n-C
16H
33、n-C
18H
37から選択され、
aは、0~6の範囲、好ましくは1~6の範囲の数であり、
bは、0~20の範囲、好ましくは4~20の範囲の数であり、
dは、4~25の範囲の数である)の化合物である。
【0173】
好ましくは、a及びbのうち少なくとも1つは0を超える。
【0174】
本明細書において、一般式(B)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーとすることができ、ブロックコポリマーが好ましい。
【0175】
更に好適な非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから構成される二元及び多元ブロックコポリマーから選択される。更なる好適な非イオン性界面活性剤は、エトキシ化又はプロポキシル化されたソルビタンエステルから選択される。アルキルフェノールエトキシレート又はアルキルポリグリコシド又はポリヒドロキシ脂肪酸アミド(グルカミド)も同様に好適である。好適な更なる非イオン性界面活性剤の概説が、欧州特許出願公開第A-0851023号明細書及び独国特許出願公開第A-19819187号明細書に記載されている。
【0176】
2種以上の異なる非イオン性界面活性剤の混合物も当然のことながら存在していてもよい。
【0177】
本発明の好ましい実施形態において、非イオン性界面活性剤は、C12/14及びC16/18脂肪族アルコールアルコキシレート、C13/15オキソアルコールアルコキシレート、C13-アルコールアルコキシレート、並びに2-プロピルヘプチルアルコールアルコキシレートから選択され、それらは各々、3~15個のエトキシ単位、好ましくは5~10個のエトキシ単位、又は1~3個のプロポキシ単位及び2~15個のエトキシ単位を有する。
【0178】
1種以上の界面活性剤と組み合わせて用いることもできる両性界面活性剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:約8~約18個の炭素原子を有する1つのアルキル部分と、約1~約3個の炭素原子を含むアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分からなる群から選択される2つの部分とを含む水溶性アミンオキシド;並びに約10~約18個の炭素原子を含む1つのアルキル部分と、約1~約3個の炭素原子を有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分からなる群から選択される部分とを含む水溶性スルホキシド。国際公開第01/32816号パンフレット、米国特許第4,681,704号明細書及び米国特許第4,133,779号明細書を参照されたい。好適な界面活性剤としては、いわゆるアミンオキシド、例えばラウリルジメチルアミンオキシド(「ラウラミンオキシド」)が挙げられる。
【0179】
両性界面活性剤の好ましい例は、アミンオキシドである。好ましいアミンオキシドは、アルキルジメチルアミンオキシド又はアルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、より好ましくはアルキルジメチルアミンオキシド、特にヤシ油アルキルジメチルアミノオキシドである。アミンオキシドは、直鎖又は内部分枝アルキル部分を有し得る。典型的な直鎖アミンオキシドとしては、1つのR1=C8~18アルキル部分と、C1~C3アルキル基及びC1~C3ヒドロキシアルキル基からなる群から選択される2つのR2及びR3部分とを含む水溶性アミンオキシドが挙げられる。好ましくは、アミンオキシドは、
式:R1-N(R2)(R3)-O
(式中、R1は、C8~18アルキルであり、R2及びR3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル及び3-ヒドロキシプロピルからなる群から選択される)を特徴とする。直鎖アミンオキシド界面活性剤としては、特に、直鎖C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖C8~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが挙げられる。好ましいアミンオキシドとしては、直鎖C10、直鎖C10~C12及び直鎖C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが挙げられる。本明細書において使用される「内部分枝(mid-branched)」は、アミンオキシドが、n1個の炭素原子を有する1つのアルキル部分を有し、このアルキル部分上に、n2個の炭素原子を有する1つのアルキル分枝を有することを意味する。このアルキル分枝は、アルキル部分の窒素に対するα炭素上に位置する。アミンオキシドのこの種の分枝は当該技術分野において内部アミンオキシドとしても知られている。n1及びn2の炭素原子数の総和は、10~24、好ましくは12~20、より好ましくは10~16である。1つのアルキル部分の炭素原子数(n1)は、この1つのアルキル部分と1つのアルキル分枝が対称となるように、1つのアルキル分枝の炭素原子数(n2)とほぼ等しくなることが必要である。本明細書において使用される「対称」とは、本明細書において使用するための内部分枝アミンオキシドの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%~100重量%の(n1-n2)の炭素原子数が5以下、好ましくは4以下、最も好ましくは0~4であることを意味する。アミンオキシドは、C1~C3アルキル、C1~C3ヒドロキシアルキル基又は平均約1~約3個のエチレンオキシド基を含むポリエチレンオキシド基から独立に選択される2つの部分を更に含む。好ましくは、この2つの部分はC1~C3アルキルから選択され、より好ましくは、両方が、C1アルキルとして選択される。
【0180】
本発明の好ましい実施形態において、両性界面活性剤は、C8~C18アルキル-ジメチルアミンオキシド及びC8~C18アルキル-ジ(ヒドロキシエチル)アミンオキシドから選択される。
【0181】
洗浄組成物は、2種以上の他の界面活性剤と組み合わせて用いることもできる双性イオン性界面活性剤も含み得る。
【0182】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドアゾリニウム(amidazolinium)ベタイン、スルホベタイン(INCI:スルタイン)に加えて、ホスホベタインが挙げられる。好適なベタイン及びスルホベタインは、以下の通りである(INCIに従って示す):アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘナミドプロピルベタイン、ベヘニルベタイン、キャノーラミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココスルタイン、デシルベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシネート、ジヒドロキシエチルソイグリシネート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシネート、ジヒドロキシエチルタローグリシネート、ジメチコーンプロピルPG-ベタイン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、水素添加タローベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、ミルクアミドプロピルベタイン、ミンクアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイルベタイン、オリーブアミドプロピルベタイン、ヤシアミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、パルミトイルカルニチン、ヤシ核脂肪酸アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルベタイン、リシノールアミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、ソイアミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タローベタイン、タロージヒドロキシエチルベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、及び小麦胚芽アミドプロピルベタイン。
【0183】
好ましいベタインは、例えばC12~C18アルキルベタイン及びスルホベタインである。双性イオン性界面活性剤は、好ましくはベタイン界面活性剤、より好ましくはココアミドプロピルベタイン界面活性剤である。
【0184】
2種以上の他の界面活性剤と組み合わせて用いることもできるカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては:最大26個の炭素原子を有し得る4級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、そのようなものとして、米国特許第6,136,769号明細書に述べられているアルコキシ化4級アンモニウム(AQA)界面活性剤;米国特許第6,004,922号明細書に述べられているジメチルヒドロキシエチル4級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;国際公開第98/35002号パンフレット、国際公開第98/35003号パンフレット、国際公開第98/35004号パンフレット、国際公開第98/35005号パンフレット及び国際公開第98/35006号パンフレットに述べられているポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号明細書、米国特許第4,239,660号明細書、米国特許第4,260,529号明細書及び米国特許第6,022,844号明細書に述べられているカチオン性エステル界面活性剤;並びに米国特許第6,221,825及び国際公開第00/47708号パンフレットに述べられているアミノ界面活性剤、具体的にはアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0185】
本発明による組成物は、少なくとも1種のビルダーを含み得る。本発明の文脈において、ビルダーと、他の箇所で「コビルダー」と称する構成成分とは区別しないものとする。ビルダーの例は、本明細書において、以後、錯化剤とも称する錯化剤、イオン交換化合物、分散剤、スケール防止剤、及び沈殿剤である。ビルダーは、クエン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ホスホン酸塩、アミノカルボン酸塩、及びポリカルボン酸塩から選択される。
【0186】
本発明に関連するクエン酸塩という用語は、クエン酸のモノアルカリ金属塩及びジアルカリ金属塩、特に一ナトリウム塩及び好ましくは三ナトリウム塩、クエン酸のアンモニウム塩又は置換アンモニウム塩に加えて、クエン酸を含む。クエン酸塩は、無水化合物として又は水和物として、例えば、クエン酸ナトリウム二水和物として使用することができる。クエン酸塩の量は、クエン酸三ナトリウム無水物を基準として算出する。
【0187】
リン酸塩という用語は、メタリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム及びポリリン酸塩、例えば、トリポリリン酸ナトリウムを含む。しかしながら、好ましくは、本発明による組成物は、リン酸塩及びポリリン酸塩を含まず、これにはリン酸水素塩も含まれ、例えば、リン酸三ナトリウム、トリポリリン酸五ナトリウム及びメタリン酸六ナトリウムを含まない(「リン酸塩フリー」)。本発明に関連する範囲内における、リン酸塩及びポリリン酸塩に関する「含まない」は、重量分析により求められたリン酸塩及びポリリン酸塩全体の含有量が、各組成物の10ppm~0.2重量%の範囲にあることを意味すると理解すべきである。
【0188】
炭酸塩という用語は、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素塩を含み、ナトリウム塩が好ましい。Na2CO3が特に好ましい。
【0189】
ホスホン酸塩の例は、ヒドロキシアルカンホスホン酸塩及びアミノアルカンホスホン酸塩である。ヒドロキシアルカンホスホン酸塩の中では、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸塩(HEDP)がビルダーとして特に重要である。これはナトリウム塩として使用することが好ましく、二ナトリウム塩は中性であり、四ナトリウム塩はアルカリ性である(pH9)。好適なアミノアルカンホスホン酸塩は、好ましくはエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸塩(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸塩(DTPMP)に加えて、これらのより高級な類似体である。これらは、好ましくは、中性で反応するナトリウム塩の形態、例えば、EDTMPの六ナトリウム塩として又はDTPMPの七及び八ナトリウム塩として使用される。
【0190】
アミノカルボン酸塩及びポリカルボン酸塩の例は、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、ジエチレントリアミンペンタ酢酸塩、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸塩、プロピレンジアミン四酢酸、エタノール-ジグリシン、メチルグリシンジ酢酸塩及びグルタミンジ酢酸塩である。アミノカルボン酸塩及びポリカルボン酸塩という用語は、これらのそれぞれの無置換又は置換アンモニウム塩及びアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩、特に、それぞれの完全に中和された化合物も含む。
【0191】
本発明に関連するケイ酸塩としては、特に、二ケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸塩、例えば、ゼオライト及び層状ケイ酸塩など、特に、式α-Na2Si2O5、β-Na2Si2O5及びδ-Na2Si2O5を有するものが挙げられる。
【0192】
本発明による組成物は、上に述べていない物質から選択される1種又は複数種のビルダーを含むこともできる。ビルダーは、例えば、α-ヒドロキシプロピオン酸及び酸化デンプンである。
【0193】
本発明の一実施形態において、ビルダーは、ポリカルボン酸塩から選択される。「ポリカルボン酸塩」という用語は、コハク酸、C2~C16アルキルジサクシネート、C2~C16アルケニルジサクシネート、エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸、酒石酸二酢酸塩、アルカリ金属マロン酸塩、酒石酸モノ酢酸塩、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、及びシクロペンタンテトラカルボン酸などの、非重合性のポリカルボン酸塩を含む。
【0194】
オリゴマー又はポリマーポリカルボキシレートは、例えば、ポリアスパラギン酸及びそのアルカリ金属塩、特にそのナトリウム塩、(メタ)アクリル酸ホモポリマー及び(メタ)アクリル酸コポリマー並びにそれらのアルカリ金属塩、特にそれらのナトリウム塩である。
【0195】
好適なコモノマーは、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、及びシトラコン酸などのモノエチレン性不飽和ジカルボン酸である。好適なポリマーは、具体的には、好ましくは、重量平均分子量Mwを2000~40000g/モル、好ましくは2000~10000g/モル、特に3000~8000g/モルの範囲で有する、ポリアクリル酸である。更なる好適なポリカルボキシレートコポリマーは、特に、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー及びアクリル酸又はメタクリル酸とマレイン酸及び/若しくはフマル酸、又は無水マレイン酸などのそれらの無水物とのコポリマーである。好適なコポリマーは、特に、重量平均分子量Mwが2000~100000、好ましくは3000~80000の範囲のアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーである。
【0196】
ポリアスパラギン酸の好ましい重量平均分子量Mwは、1000g/mol~20000g/mol、好ましくは1500~15000g/mol、特に好ましくは2000~10000g/molの範囲にある。
【0197】
モノエチレン性不飽和C3~C10モノ若しくはC4~C10ジカルボン酸又はこれらの無水物、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーと、以下に列挙するものなどの少なくとも1種の親水又は疎水変性されたコモノマーとのコポリマーを使用することも可能である。
【0198】
好適な疎水性コモノマーは、例えば、イソブテン、ジイソブテン、ブテン、ペンテン、ヘキサン及びスチレン、10個以上の炭素原子を有するオレフィン又はその混合物、例えば、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン及び1-ヘキサコセン、C22-α-オレフィン、C20~C24-α-オレフィンと1分子当たり平均12~100個の炭素原子を有するポリイソブテンとの混合物などである。
【0199】
好適な親水性コモノマーは、スルホネート基又はホスホネート基を有するモノマーに加えて、ヒドロキシル官能性又はアルキレンオキシド基を有する非イオン性モノマーである。その例として:アリルアルコール、イソプレノール、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(プロピレンオキシド-co-エチレンオキシド)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート及びエトキシポリ(プロピレンオキシド-co-エチレンオキシド)(メタ)アクリレートを挙げることができる。この場合のポリアルキレングリコールは、1分子当たり3~50個、特に5~40個、とりわけ10~30個のアルキレンオキシド単位を含み得る。
【0200】
本明細書において特に好ましいスルホン酸基含有モノマーは、1-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピルアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、3-スルホプロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド及び上記酸の塩、例えば、これらのナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩である。
【0201】
特に好ましいホスホネート基含有モノマーは、ビニルホスホン酸及びその塩である。
【0202】
更なる好適なオリゴマー又はポリマーポリカルボキシレートは、分解デンプンなどの多糖類、カルボキシメチル化セルロース、カルボキシメチル化イヌリン若しくはカルボキシメチル化デンプンなどのカルボキシメチル化多糖類、又はポリエポキシコハク酸及びそれらのアルカリ金属塩、特にそれらのナトリウム塩への(メタ)アクリル酸又はマレイン酸のグラフトポリマーを含む。
【0203】
更に、両性ポリマーをビルダーとして使用することもできる。
【0204】
本発明による組成物、特に固形配合物の場合は、ビルダーを、例えば、合計0.1~90重量%、好ましくは5~80重量%、好ましくは最大70重量%の範囲で含み得る。本発明による液体配合物は、好ましくは、ビルダーを、0.1~20重量%の範囲、例えば、最大85、75、65、60、55、50、45、40、35、30、35、15、又は10重量%で含む。
【0205】
本発明による配合物は、1種以上のアルカリ担体を含み得る。アルカリ担体は、例えば、アルカリ性のpHが所望される場合、pHを確実に少なくとも9にする。例えば、上記のアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、及びアルカリ金属メタケイ酸塩、並びに、追加的に、アルカリ金属水酸化物が好適である。いずれの場合でも、好ましいアルカリ金属は、カリウムであり、ナトリウムが特に好ましい。本発明の一実施形態において、7超のpHが、アミン類、好ましくはアルカノールアミン、より好ましくはトリエタノールアミンを使用することによって調整されてもよい。
【0206】
本発明の一実施形態において、本発明の洗濯用配合物は、追加的に少なくとも1種の酵素を含む。
【0207】
有用な酵素は、例えば、リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼから選択される1種以上のヒドロラーゼ、並びに上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせである。
【0208】
このような酵素は、有効量の洗浄を提供するのに十分なレベルで組み込まれ得る。好ましい量は、本発明の洗剤組成物の0.001重量%~5重量%の範囲の活性酵素である。酵素と共に、例えばカルシウムイオン、ホウ酸、ボロン酸、プロピレングリコール、及び短鎖カルボン酸などの酵素安定化系も用いられ得る。本発明の文脈において、短鎖カルボン酸は、1分子当たり1~3個の炭素原子を含むモノカルボン酸、及び1分子当たり2~6個の炭素原子を含むジカルボン酸から選択される。好ましい例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、HOOC(CH2)3COOH、アジピン酸及び上に述べたものの少なくとも2種の混合物に加えて、それぞれのナトリウム及びカリウム塩である。
【0209】
好ましくは、少なくとも1種の酵素は洗剤酵素である。
【0210】
一実施形態において、この酵素は、オキシドレダクターゼ(EC 1)、トランスフェラーゼ(EC 2)、ヒドロラーゼ(EC 3)、リアーゼ(EC 4)、イソメラーゼ(EC 5)又はリガーゼ(EC 6)に分類されるものである。このEC番号の割り当ては、1993~1999年に出版された補遺を含む、国際生化学分子生物学連合(Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology)の勧告による酵素命名法(Enzyme Nomenclature,Recommendations)(1992)に準ずる。好ましくは、酵素はヒドロラーゼ(EC 3)である。
【0211】
好ましい実施形態において、酵素は:
プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、キシラナーゼ、クチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、ヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ホスホジエステラーゼ、フィターゼ、カルボヒドラーゼ、ガラクタナーゼ、キサンタナーゼ、キシログルカナーゼ、オキシドレダクターゼ、ペルヒドロラーゼ、アミノペプチダーゼ、アスパラギナーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、キチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、インベルターゼ、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、及びディスパーシン並びに上に述べた種類の少なくとも2種の組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ディスパーシン、ペクチナーゼ、オキシドレダクターゼ及びクチナーゼ並びに上に述べた種類の少なくとも2種の組み合わせからなる群から選択される。最も好ましくは、酵素は、プロテアーゼ、好ましくは、セリンプロテアーゼ、より好ましくは、サブチリシンプロテアーゼである。
【0212】
好ましくは、プロテアーゼは、欧州特許第1921147B1号明細書の配列番号22との配列相同性が少なくとも90%であり、アミノ酸置換R101E(BPN残基の番号付けに従う)を有するプロテアーゼである。好ましくは、アミラーゼは、国際公開第2021032881A1号パンフレットの配列番号54との配列相同性が少なくとも90%であるアミラーゼである。
【0213】
本発明の組成物は、1種類の酵素、又は異なる種類の2種以上の酵素、例えばアミラーゼ及びプロテアーゼ、又は同じ種類の2種以上の酵素、例えば2種以上の異なるプロテアーゼ、又はそれらの混合物、例えばアミラーゼ及び2つの異なるプロテアーゼを含み得る。
【0214】
酵素は、本組成物に、有益な効果、好ましくは一次洗浄効果及び/又は黒ずみ汚れ防止若しくはピリング防止効果(例えば、セルラーゼの場合)のような二次洗浄効果を達成するために有効な量を提供するのに十分な水準で組み込み得る。好ましくは、酵素は、組成物中に、酵素タンパク質が組成物の重量の約0.00001%~約5%、好ましくは約0.00001%~約2%、より好ましくは約0.0001%~約1%、更に好ましくは約0.001%~約0.5%となる水準で存在する。
【0215】
好ましくは、酵素含有組成物は、酵素安定化系を更に含む。
【0216】
好ましくは、本明細書に記載する酵素含有組成物は、酵素安定化系を、組成物の重量に対し約0.001%~約10%、約0.005%~約8%又は約0.01%~約6%含む。酵素安定化系は、酵素に適合する任意の安定化系とすることができる。
【0217】
好ましくは、酵素安定化系は、ポリオール(好ましくは、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グリセロール、1,2-プロパンジオール又はソルビトール)、無機塩(好ましくは、CaCl2、MgCl2又はNaCl)、短鎖(好ましくは、C1~C3)カルボン酸又はその塩(好ましくは、ギ酸、ギ酸塩(好ましくは、ギ酸ナトリウム)、酢酸、酢酸塩又は乳酸塩)、ホウ酸塩、ホウ酸、ボロン酸(好ましくは、4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA))、ペプチドアルデヒド、ペプチドアセタール及びペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。好ましくは、酵素安定化系は、塩、ポリオール及び短鎖カルボン酸からなる群から選択される化合物の少なくとも2種の組み合わせ、ホウ酸塩、ホウ酸、ボロン酸(好ましくは、4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA))、ペプチドアルデヒド、ペプチドアセタール及びペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物からなる群から選択される好ましくは1種以上の化合物を含む。特に、組成物中にプロテアーゼが存在する場合、好ましくは、ホウ酸塩、ホウ酸、ボロン酸(好ましくは、4-FPBA)、ペプチドアルデヒド(好ましくは、Z-VAL-H又はZ-GAY-Hのようなペプチドアルデヒド)、ペプチドアセタール及びペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物から選択されるプロテアーゼ阻害剤を添加することができる。
【0218】
本発明による組成物は、1種以上の漂白剤(ブリーチ剤)を含み得る。
【0219】
好ましいブリーチ剤は、無水の又は例えば一水和物として若しくは四水和物としての若しくはいわゆる二水和物の過ホウ酸ナトリウム、無水の又は例えば一水和物としての過炭酸ナトリウム及び過硫酸ナトリウムから選択され、この「過硫酸(persulfate)」という用語は、各場合において、過酸H2SO5の塩に加えてペルオキソ二硫酸塩も含む。
【0220】
これに関連して、アルカリ金属塩は、各場合において、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属過ホウ酸水素塩及びアルカリ金属過硫酸水素塩とすることもできる。しかしながら、各場合において、ジアルカリ金属塩が好ましい。
【0221】
本発明による配合物は、1種以上の漂白触媒を含み得る。漂白触媒は、オキサジリジニウム系漂白触媒、漂白促進性遷移金属塩又は遷移金属錯体、例えば、マンガン-、鉄-、コバルト-、ルテニウム-又はモリブデン-サレン錯体又はカルボニル錯体などから選択することができる。マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、バナジウム及び銅の、窒素含有三脚配位子との錯体に加えて、コバルト-、鉄-、銅-及びルテニウム-アミン錯体も漂白触媒として使用することができる。
【0222】
本発明による配合物は、1種以上の漂白活性化剤、例えば、テトラアセチルエチレンジアミン、テトラアセチルメチレンジアミン、テトラアセチルグリコールウリル、テトラアセチルヘキシレンジアミン、アシル化フェノールスルホネート、例えば、n-ノナノイル-又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネートなど、N-メチルモルホリニウムアセトニトリル塩(「MMA塩」)、トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩、N-アシルイミド、例えば、N-ノナノイルスクシンイミドなど、1,5-ジアセチル-2,2-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(「DADHT」)又はニトリルクワット(nitrile quat)(トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩)を含み得る。
【0223】
本発明による配合物は、1種以上の腐食抑制剤を含み得る。この場合、これは金属の腐食を抑制する化合物を含むと理解すべきである。好適な腐食抑制剤の例は、トリアゾール、特にベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾールに加えて、フェノール誘導体、例えば、ヒドロキノン、ピロカテコール、ヒドロキシヒドロキノン、没食子酸、フロログルシノール又はピロガロールなどである。
【0224】
本発明の一実施形態において、本発明による配合物は、腐食抑制剤を0.1~1.5重量%の範囲の総量で含む。
【0225】
本発明による配合物は、更なる洗浄ポリマー及び/又は汚れ放出ポリマー及び/又は汚れ防止ポリマーも含み得る。
【0226】
更なる洗浄ポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、「多官能性ポリエチレンイミン」(例えば、BASFの Sokalan(登録商標)HP20)及び/又は「多官能性ジアミン」(例えば、BASFの Sokalan(登録商標)HP96)を挙げることができる。このような多官能性ポリエチレンイミンは、典型的には、重量平均分子量Mwが3000~250000g/molの範囲、好ましくは5000~200000g/molの範囲、より好ましくは8000~100000g/molの範囲、より好ましくは8000~50000g/molの範囲、より好ましくは10000~30000g/molの範囲、最も好ましくは10000~20000g/molの範囲にあるエトキシ化ポリエチレンイミンである。好適な多官能性ポリエチレンイミンは、エチレンオキシド側鎖を、材料の総重量を基準として、80重量%~99重量%、好ましくは85重量%~99重量%、より好ましくは90重量%~98重量%、最も好ましくは93重量%~97重量%又は94重量%~96重量%有する。エトキシ化ポリエチレンイミンは、典型的には、ポリエチレンイミンのコア及びポリエチレンオキシドのシェルをベースとする。好適なポリエチレンイミンコア分子は、重量平均分子量Mwが500~5000g/molの範囲にあるポリエチレンイミンである。好ましくは、分子量が500~1000g/molであるものが使用され、更により好ましくは、Mwは600~800g/molである。その場合、エトキシ化ポリマーは、NH官能基当たり平均5~50個、好ましくは10~35個、更により好ましくは20~35個のエチレンオキシド(EO)単位を有する。
【0227】
好適な多官能性ジアミンは、典型的には、更に4級化されており、任意選択的に硫酸化されている、エトキシ化C2~C12アルキレンジアミン、好ましくはヘキサメチレンジアミンである。典型的な多官能性ジアミンの重量平均分子量Mwは、2000~10000g/molの範囲、より好ましくは3000~8000g/molの範囲、最も好ましくは4000~6000g/molの範囲にある。本発明の好ましい実施形態において、更に4級化及び硫酸化されたエトキシ化ヘキサメチレンジアミンを用いることができ、これは、NH基当たり平均10~50個、好ましくは15~40個、更に好ましくは20~30個のエチレンオキシド(EO)基を含み、好ましくは、2個のカチオン性アンモニウム基及び2個のアニオン性サルフェート基を有する。
【0228】
本発明の好ましい実施形態において、洗浄組成物は、洗濯用洗剤の洗浄性能、好ましくは汚れ除去能力、特にポリエステル布帛上の粒子汚れの一次洗浄力などを改善するために、少なくとも1種の多官能性ポリエチレンイミン及び/又は少なくとも1種の多官能性ジアミンを含有し得る。上の記載による多官能性ポリエチレンイミン又は多官能性ジアミン又はこれらの混合物は、洗濯用洗剤及び洗浄組成物に、他の成分及び水及び/又は溶媒を含む具体的な組成物全体を基準として、概して0.05~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.25~5重量%、更には2重量%以下という少ない量で添加することができる。
【0229】
好適な更なる多官能性ポリエチレンイミン、多官能性ジアミン及びオリゴアミンとしては、国際公開第2022/136408A1号パンフレット、同第2022/136409A1号パンフレット、及び同第2021/165468号パンフレットに特許請求されているものが含まれる。
【0230】
したがって、本発明の一態様は、(i)少なくとも1種の本発明のポリマーと、(ii)多官能性ポリエチレンイミン並びに多官能性ジアミン及びオリゴアミン並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物と、を含む、洗濯用洗剤組成物、特に、液体洗濯用洗剤である。
【0231】
本発明の一実施形態において、少なくとも1種の本発明ポリマーと、(ii)多官能性ポリエチレンイミン並びに多官能性ジアミン及びオリゴアミン並びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物との比は、10:1~1:10、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは3:1~1:3である。
【0232】
好適な黒ずみ汚れ防止ポリマーは、アクリル酸又はマレイン酸及びスチレンのコポリマー、マルトデキストリン又はカルボキシメチル化セルロース及びそれらのアルカリ金属塩、特にそれらのナトリウム塩へのアクリル酸のグラフトポリマーを含む。
【0233】
本発明ポリマーを含む洗濯用配合物は、少なくとも1種の錯化剤も含み得る。
【0234】
好ましい錯化剤は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)及びグルタミン酸二酢酸(GLDA)、並びにそれらの塩である。特に好ましい錯化剤は、メチルグリシン二酢酸及びその塩である。本発明によれば、錯化剤は1~50重量%、好ましくは1~20重量%が好ましい。
【0235】
MGDA及びGLDAはラセミ化合物として、又は鏡像異性的に純粋な化合物として存在し得る。GLDAは、好ましくはL-GLDA、又は少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%のL-GLDAが存在するL-GLDAの鏡像異性的に富化された混合物から選択される。
【0236】
本発明の一実施形態において、錯化剤はラセミMGDAである。本発明の別の実施形態において、錯化剤は、L-MGDA、及びL-MGDAが優勢であり、L/Dモル比が55:45~95:5、好ましくは60:40~85:15の範囲にあるL-及びD-MGDAの鏡像異性体混合物から選択される。L/Dモル比は、例えば偏光分析又はクロマトグラフィー手段により、好ましくはキラルカラム、例えば固定相としてシクロデキストリンを用いるか、又はカラム上に固定化された光学活性アンモニウム塩を用いるHPLCにより決定することができる。例えば、固定化されたD-ペニシラミン塩を使用することも可能である。
【0237】
MGDA又はGLDAは、好ましくは、塩として使用される。好ましい塩は、アンモニウム塩及びアルカリ金属塩、特に好ましくはカリウム塩、特にナトリウム塩である。これらは、例えば、一般式(CA I)又は(CA II)を有し得る:
[CH3-CH(COO)-N(CH2-COO)2]Na3-x-yKxHy (CA I)
xは、0.0~0.5の範囲、好ましくは最大0.25である。
yは、0.0~0.5の範囲、好ましくは最大0.25である。
[OOC-(CH2)2-CH(COO)-N(CH2-COO)2]Na4-x-yKxHy (CA II)
xは、0.0~0.5の範囲、好ましくは最大0.25である。
yは、0.0~0.5の範囲、好ましくは最大0.25である。
【0238】
MGDAの三ナトリウム塩及びGLDAの四ナトリウム塩が特に好ましい。
【0239】
本発明のポリマーを含む洗濯配合物は、少なくとも1種の抗菌剤も含み得る。抗菌剤は、微生物を死滅させるか又はその増殖若しくは繁殖を阻害する化合物である。微生物は細菌、酵母又はカビであり得る。防腐剤は、汚染微生物を死滅させるか又はその増殖を阻害することによって製品及び組成物の本来の性能、特性及び完全性を維持するために、水性製品及び組成物に添加することができる抗菌剤である。
【0240】
この組成物/配合物は、特許国際公開第2021/115912A1号パンフレット(「Formulations comprising a hydrophobically modified polyethyleneimine and one or more enzymes」)の35~39頁に列挙されている1種以上の抗菌剤及び/又は防腐剤を含み得る。
【0241】
以下に示す抗菌剤及び/又は防腐剤はいずれも、洗浄組成物並びに布地ケア及びホームケア製品用として、具体的には洗濯用配合物用として特に興味深いものである:
4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(他の名称:5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(Diclosan、DCPP)、Tinosan(登録商標)HP 100(1,2-プロピレングリコール中DCPP30重量%);2-フェノキシエタノール(他の名称:フェノキシエタノール、メチルフェニルグリコール、フェノキセトール、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2-(フェノキシ)エタノール、2-フェノキシ-1-エタノール);2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(他の名称:2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、ブロノポール);グルタルアルデヒド(他の名称:1,5-ペンタンジアール、ペンタン-1,5-ジアール、グルタラール、グルタルジアルデヒド);グリオキサール(他の名称:エタンジアール、オキシルアルデヒド、1,2-エタンジアール);5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(他の名称:5-ブロモ-5-ニトロ-m-ジオキサン、Bronidox(登録商標));フェノキシプロパノール(他の名称:プロピレングリコールフェニルエーテル、フェノキシイソプロパノール1-フェノキシ-2-プロパノール、2-フェノキシ-1-プロパノール);グルコプロタミン(Glucoprotamine)(化学的説明:グルタミン酸及びアルキルプロピレンジアミンの反応生成物、他の名称:グルコプロタミン50);シクロヘキシルヒドロキシルジアゼニウム-1-オキシド、カリウム塩(他の名称:N-シクロヘキシル-ジアゼニウムジオキシド、カリウムHDO、Xyligene);ギ酸(他の名称:メタン酸、Protectol(登録商標)FM、Protectol(登録商標)FM 75、Protectol(登録商標)FM 85、Protectol(登録商標)FM 99、Lutensol(登録商標)FM)及びその塩(例えば、ギ酸ナトリウム);テトラヒドロ-3,5-ジメチル-1,3,5-チアジアジン-2-チオン(他の名称:3,5-ジメチル-1,3-5-チアジアジナン-2-チオン、ダゾメット;2,4-ジクロロベンジルアルコール(他の名称:ジクロロベンジルアルコール、2,4-ジクロロ-ベンゼンメタノール、(2,4-ジクロロ-フェニル)-メタノール、DCBA);1-プロパノール(他の名称:n-プロパノール、プロパン-1-オール、n-プロピルアルコール;1,3,5-トリス-(2-ヒドロキシエチル)-ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(他の名称:ヘキシヒドロトリアジン(hexyhydrotriazin)、トリス(ヒドロエチル)-ヘキシヒドロトリアジン(hexyhydrotriazin)、ヘキシヒドロ(hexyhydro)-1,3-5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン、2,2’,2’’-(ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-1,3,5-トリイル)トリエタノール;2-ブチル-ベンゾ[d]イソチアゾール-3-オン(「BBIT」);2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「MIT」);2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「OIT」);5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「CIT」又は「CMIT」);5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「CMIT」)と2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「MIT」)との混合物(CMIT/MITの混合物);1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(「BIT」);ヘキサ-2,4-ジエン酸(慣用名「ソルビン酸」)及びその塩、例えば、ソルビン酸カルシウム、ソルビン酸ナトリウム;(E,E)-ヘキサ-2,4-ジエン酸カリウム(ソルビン酸カリウム);乳酸及びその塩;L-(+)-乳酸;特に、乳酸ナトリウム;安息香酸及びその安息香酸の塩、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸アンモニウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、MEA-安息香酸、安息香酸カリウム;サリチル酸及びその塩、例えば、サリチル酸カルシウム、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸MEA、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸TEA;塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、サッカリン酸ベンザルコニウム(benzalkonium saccharinate);塩化ジデシルジメチルアンモニウム(「DDAC」);N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン(「ジアミン」);過酢酸;過酸化水素。
【0242】
少なくとも1種の抗菌剤又は防腐剤を、本発明の組成物に組成物の総重量に対し0.001~10%の濃度で添加することができる。
【0243】
好ましくは、本組成物は、2-フェノキシエタノールを0.1~2%の濃度で、又は4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(DCPP)を0.005~0.6%の濃度で含有する。
【0244】
本発明の洗濯用配合物は、上の一覧からの少なくとも1種の抗菌剤及び/又はこれらの組み合わせ及び/又はこの一覧に記載されていない少なくとも1種の更なる抗菌剤との組み合わせを含み得る。
【0245】
本発明による配合物はまた、水及び/又は追加の有機溶媒、例えば、エタノール又はプロピレングリコール、及び/又は硫酸ナトリウムなどの充填剤も含み得る。
【0246】
更なる任意選択的な成分は、粘度調整剤、カチオン性界面活性剤、起泡増進剤又は抑泡剤(foam reducing agent)、香料、染料、蛍光増白剤及び色移り防止剤であり得るが、これらに限定されない。
【0247】
食器洗い組成物
本発明の別の態様は、上記の少なくとも1種の本発明のポリマーを含む食器洗い組成物でもある。
【0248】
したがって、本発明の一態様は、上に記載した本発明のポリマーの、食器手洗い又は自動洗い用途などの食器洗い用途における使用にもある。
【0249】
本発明の食器洗い組成物は、液体、半液体、クリーム、ローション、ゲル、又は固形組成物の形態であってもよく、固体の実施形態は、例えば粉末及び錠剤を包含する。液体組成物は、典型的には食器手洗い用途に好適であり、一方で、固体配合物及びパウチ配合物(パウチは液体成分に加えて固体も含有し得る)は、典型的には自動食器洗い組成物に好適であるが、世界の一部の地域では、液体自動食器洗い組成物も用いられているため、当然ながら、これも用語「食器洗い組成物」に包含される。
【0250】
食器洗い組成物は、飲料用及びその他のグラス、ビーカー、皿、並びに深鍋及び平鍋などの調理器具、並びにフォーク、スプーン、ナイフなどといったカトラリーなどの、食器類並びに金属及びガラス面への直接的又は間接的塗布を目的としている。
【0251】
食器類、金属、及び/又はガラス表面を洗浄する本発明の方法は、好ましくは液体形態の食器洗い洗浄組成物を、直接的、又は洗浄器具を用いて表面に塗布する(すなわち、未希釈形態で)ステップを含む。組成物は、適用前に大幅に希釈することなく(そのまま)、被処理表面に直接適用するか、且つ/又は食器用布巾(dish cloth)、スポンジ又は食器洗浄ブラシなどの洗浄器具若しくは洗浄用具に適用する。洗浄用具又は器具は、組成物が送達される前又は後に湿っていることが好ましい。本発明の方法において、組成物は、希釈形態で適用することもできる。
【0252】
少なくとも1種の本発明ポリマーを含む本発明の配合物は、無希釈でも希釈して適用しても優れた洗浄性能を発揮する、すなわち、極めて優れた脱脂性を示す。本発明のポリマーが存在することにより、たとえ使用される界面活性剤の量が従来の組成物よりも少なくてさえも、食器類、金属及び/又はガラス表面から脂肪及び/又は油性の汚れを除去するための労力が低減される。
【0253】
好ましくは、本組成物は、優れた油脂洗浄(脱脂)性能、長期間持続する泡、及び/又は低温に曝露された場合の粘度調整の改善を提供するように配合され、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全ての性能が、本発明の食器洗い組成物に存在する。任意選択的な-好ましくは存在する-本発明の食器手洗い組成物の更なる利点としては、汚れの除去、光沢、及び/又は手の保護が挙げられ、より好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは3つ全ての更なる利点が、本発明の食器洗い組成物に存在する。
【0254】
本発明の一実施形態において、本発明のポリマーは、少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を追加で含む食器手洗い配合物の一構成成分である。
【0255】
本発明の他の実施形態において、本発明のポリマーは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤並びに好ましくは両性界面活性剤及び/又は双性イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1種の他の界面活性剤を追加で含む、食器手洗い配合物の一構成成分である。本発明の好ましい実施形態において、食器手洗い配合物は、洗剤組成物の起泡力、洗浄力及び/又は低刺激性を支援するために、少なくとも1種の両性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド又は少なくとも1種の双性イオン性界面活性剤、好ましくはベタイン又はこれらの混合物を含む。
【0256】
好適なアニオン性界面活性剤の例は、洗濯用組成物に関して既に上に説明した通りである。
【0257】
食器洗い組成物に好ましいアニオン性界面活性剤は、C10~C15直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、1~5のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエーテルサルフェート、及びC10~C18アルキルサルフェートから選択される。
【0258】
好ましくは、本発明の食器手洗い洗剤配合物は、上に述べた1種以上のアニオン性界面活性剤を、他の成分並びに水及び/又は溶媒を含む具体的な組成物全体を基準として、少なくとも1重量%~50重量%の範囲、好ましくは約3重量%以上~約35重量%以下の範囲、より好ましくは5重量%以上~30重量%以下の範囲、最も好ましくは5重量%以上~20重量%以下の範囲で含む。
【0259】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1種の両性界面活性剤を含み得る。
【0260】
食器洗い組成物に好適な両性界面活性剤の例は、洗濯用組成物に関して既に上に説明した通りである。
【0261】
食器洗い組成物に好ましい両性界面活性剤は、C8~C18アルキル-ジメチルアミンオキシド及びC8~C18アルキル-ジ(ヒドロキシエチル)アミンオキシドから選択される。
【0262】
本発明の食器手洗い洗剤組成物は、好ましくは、両性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド界面活性剤を、組成物の1重量%~15重量%、好ましくは2重量%~12重量%、より好ましくは3重量%~10重量%含む。好ましくは、本発明の組成物は、アニオン性界面活性剤とアルキルジメチルアミンオキシドとの混合物を、約10未満:1、より好ましくは約8未満:1、より好ましくは約5:1~約2:1の重量比で含む。
【0263】
両性界面活性剤を添加することにより、食器洗い組成物中に良好な発泡性を提供する。
【0264】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1種の双性イオン性界面活性剤を含み得る。
【0265】
食器洗い組成物に好適な双性イオン性界面活性剤の例は、洗濯用組成物に関して既に上に説明した通りである。
【0266】
食器洗い組成物に好ましい双性イオン性界面活性剤は、ベタイン界面活性剤から、より好ましくはココアミドプロピルベタイン界面活性剤から選択される。
【0267】
本発明の好ましい実施形態では、双性イオン性界面活性剤はコカミドプロピルベタインである。
【0268】
本発明の食器手洗い洗剤は、任意選択的に、双性イオン性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤を、組成物の1重量%~15重量%、好ましくは2重量%~12重量%、より好ましくは3重量%~10重量%含む。
【0269】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含み得る。
【0270】
食器洗い組成物に好適なカチオン性界面活性剤の例は、洗濯用組成物に関して既に上に説明した通りである。
【0271】
カチオン性界面活性剤が組成物中に存在する場合、これは有効量で存在し、より好ましくは、組成物の0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~2重量%で存在する。
【0272】
本発明による食器洗い組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0273】
食器洗い組成物に好適な非イオン性界面活性剤の例は、洗濯用組成物に関して既に上に説明した通りである。
【0274】
好ましい非イオン性界面活性剤は、ゲルベアルコールと、アルコール1モル当たり2~18モル、好ましくは2~15モル、より好ましくは5~12モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。本明細書での使用に好ましいその他の非イオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、アルキルポリグルコシド、及び脂肪酸グルカミドが挙げられる。
【0275】
本発明の手動食器洗剤組成物は、組成物の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.3重量%~5重量%、より好ましくは0.4重量%~2重量%の、平均アルコキシル化度が2~6、好ましくは3~5の直鎖又は分枝鎖C10アルコキシル化非イオン性界面活性剤を含み得る。好ましくは、直鎖又は分枝鎖C10アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、平均エトキシル化度が2~6、好ましくは3~5の分枝鎖C10エトキシル化非イオン性界面活性剤である。好ましくは、組成物は、60重量%~100重量%、好ましくは80重量%~100重量%、より好ましくは100重量%の、分枝鎖C10エトキシル化非イオン性界面活性剤の合計直鎖又は分枝鎖C10アルコキシル化非イオン性界面活性剤を含む。直鎖又は分枝鎖C10アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、好ましくは、平均エトキシル化度が3~5の2-プロピルヘプチルエトキシル化非イオン性界面活性剤である。平均エトキシル化度が4の好適な2-プロピルヘプチルエトキシル化非イオン性界面活性剤は、BASF SE(Ludwigshafen,Germany)から市販されるLutensol(登録商標)XP40である。平均エトキシル化度が3~5の2-プロピルヘプチルエトキシル化非イオン性界面活性剤を使用すると、発泡レベルの改善及び長期間持続する泡がもたらされる。
【0276】
したがって、本発明の一態様は、食器手洗い洗剤組成物、具体的には、(i)少なくとも1種の本発明のポリマーと、(ii)平均エトキシル化度が3~5の、少なくとも1種の更なる2-プロピルヘプチルエトキシル化非イオン性界面活性剤と、を含む、液体食器手洗い洗剤組成物である。
【0277】
本発明による食器洗い組成物は、液体食器手洗い洗剤組成物と水との相溶性を確保するために、有効量の少なくとも1種のヒドロトロープを含み得る。
【0278】
本明細書で使用するのに好適なヒドロトロープとしては、アニオン性ヒドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム、及びクメンスルホン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物、並びに米国特許第3,915,903号明細書に開示される関連する化合物が挙げられる。
【0279】
本発明の液体食器手洗い洗剤組成物は、典型的には、ヒドロトロープ、又はこれらの混合物を、合計液体洗剤組成物の0.1重量%~15重量%、好ましくは合計液体食器手洗い組成物の1重量%~10重量%、最も好ましくは2重量%~5重量%含む。
【0280】
本発明による食器洗い組成物は、少なくとも1種の有機溶媒を含み得る。
【0281】
有機溶媒の例は、C4~C14エーテル及びジエーテル、グリコール、アルコキシル化グリコール、C6~C16グリコールエーテル、アルコキシル化芳香族アルコール、芳香族アルコール、脂肪族分枝アルコール、アルコキシル化脂肪族分枝アルコール、アルコキシル化直鎖C1~C5アルコール、直鎖C1~C5アルコール、アミン、C8~C14アルキル及びシクロアルキル炭化水素及びハロ炭化水素、並びにこれらの混合物である。
【0282】
存在する場合、液体食器洗い組成物は、液体洗剤組成物の0.01重量%~20重量%、好ましくは0.5重量%~15重量%、より好ましくは1重量%~10重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の溶媒を含有する。これらの溶媒は、水などの水性液体担体と組み合わせて使用されてもよく、又はこれらはいかなる水性液体担体も存在することなしに使用されてもよい。溶媒の量がより多い系では、粘度の絶対値は低下する可能性があるが、粘度プロファイルに局所的な極大点が存在する。
【0283】
本明細書の食器洗い組成物は、水を含む水性液体担体を30重量%~90重量%を更に含むことができ、その中に、他の必須の及び任意選択的な成分がその中に溶解、分散又は懸濁している。より好ましくは、本発明の組成物は、45重量%~85重量%、更により好ましくは60重量%~80重量%の水性液体担体を含む。しかしながら、水性液体担体は、室温(25℃)で液状であるか又は液体担体中に溶解するその他の物質であって、不活性な充填剤の機能に加えていくつかのその他の機能も果たすことができる、その他の物質を含有し得る。
【0284】
本発明による食器洗い組成物は、少なくとも1種の電解質を含み得る。
【0285】
好適な電解質は、好ましくは無機塩から、更に好ましくは1価の塩から選択され、最も好ましくは塩化ナトリウムである。
【0286】
本発明の液体食器手洗い組成物は、組成物の0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~2重量%の電解質を含み得る。
【0287】
本発明のポリマーを含む食器手洗い配合物は、少なくとも1種の抗菌剤も含み得る。
【0288】
食器洗い組成物に好適な抗菌剤の例は、洗濯組成物に関して既に上に説明した通りである。
【0289】
抗菌剤は、本発明の食器手洗い組成物に、組成物の総重量に対して0.0001重量%~10重量%の濃度で添加され得る。好ましくは、配合物は、0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~2重量%の濃度で2-フェノキシエタノール、及び/又は0.001重量%~1重量%、より好ましくは0.002重量%~0.6重量%の濃度で4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含有する(全ての場合で、組成物の総重量に対する)。
【0290】
更なる成分は、コンディショニングポリマー、洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、汚れ凝集(soil flocculating)ポリマー、レオロジー調整ポリマー、酵素、構造化剤、ビルダー、キレート剤、環状ジアミン、エモリエント剤、保湿剤、皮膚若返り活性物質、カルボン酸、スクラブ粒子、漂白剤及び漂白活性化剤、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、ビーズ、真珠光沢粒子、マイクロカプセル、抗菌剤、NaOHなどのpH調整剤、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン、緩衝手段などであるが、これらに限定されない。
【0291】
一般的な洗浄組成物及び配合物
本発明のポリマーは生分解性であり、また、特に洗浄配合物のpHは通常約7以上であり、それに加えて、このような洗浄配合物は、シミ及び汚れに存在する、洗浄組成物によって除去する必要がある油脂、タンパク質、多糖類などの生分解性の材料を分解することを目的として酵素も含むことが多いので、本発明の生分解性ポリマーの配合を何らかの形で考慮することが必要である。このような好適な配合物は原則として知られており、固形並びに液体及び半液体の配合物があり、固形の場合、酵素及びポリマーはコーティングで分離するか又は別々の粒子を混ぜ合わせて加えることができ、液体及び半液体の場合、ポリマー及び酵素を異なる区画、例えば、複数の室を有するパウチ又は複数の室を有するボトルの異なる区画の中に別々に配合することができ、各室から各構成成分が、個々の使用箇所に応じた適正な量で確実に適用されるように、予め定められた量の液体が同時に注ぎ出される。このような複数の区画を有するパウチ及びボトルなども当業者に公知である。
【0292】
本章で開示される液体配合物は、言及した他の全ての成分に加えて、2-フェノキシエタノールを0~2%、好ましくは約1%含み得る。
【0293】
上に開示した及び以下に開示する液体配合物は、言及した他の全ての成分に加えて、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(hydroxydiphenylethe)を、0~0.2%、好ましくは約0.15%含み得る。漂白剤を含まない固形洗濯用組成物は、言及した他の全ての成分に加えて、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(hydroxydiphenylethe)を、0~0.2%、好ましくは約0.15%含み得る。
【0294】
本章で開示される配合物は、言及した他の全ての成分に加えて、本明細書において上に開示したものから選択される1種以上の酵素、より好ましくは、プロテアーゼ及び/又はアミラーゼを含むことができ、更に好ましくは、このプロテアーゼは、欧州特許第1921147B1号明細書の配列番号22との配列相同性が少なくとも90%であり、アミノ酸置換R101E(BPN残基の番号付けに従う)を有するプロテアーゼであり、このアミラーゼは、国際公開第2021032881A1号パンフレットの配列番号54との配列相同性が少なくとも90%であるアミラーゼであり、このような酵素は、好ましくは、配合物中に、酵素タンパク質が、組成物の重量の約0.00001%~約5%、好ましくは約0.00001%~約2%、より好ましくは約0.0001%~約1%更に好ましくは約0.001%~約0.5%となるレベルで存在する。
【0295】
表中の組成物を含め以下に示す組成物は、世界の様々な地域及び国で通常採用されている典型的な洗浄条件に対応する典型的な組成物に相当する、特定の種類の一般的な洗浄組成物を開示する。少なくとも1種の本発明のポリマーは、本明細書に概説されるように好適な量でこうした配合物に添加され得る。
【0296】
ここに示した組成物のうち、本発明のグラフトポリマーを含まないものは、比較用組成物である。本発明のグラフトポリマーが、特に本明細書に好ましい範囲、より好ましい範囲などと記載した範囲の量で含まれる場合、その組成物は、本発明の範囲に含まれるものとみなされる。
【0297】
好ましい実施形態において、本発明によるグラフトポリマーは、洗濯用洗剤に使用される。
【0298】
本発明による液体洗濯用洗剤は、
少なくとも1種の本発明のポリマーを0.05~20%と、
界面活性剤を1~50%と、
ビルダー、コビルダー及び/又はキレート剤を0.1~40%と、
他の補助剤を0.1~50%と、
水を、全体が100%となる量と、
から構成される。
【0299】
本発明による好ましい液体洗濯用洗剤は:
少なくとも1種の本発明ポリマーを0.5~15%と、
C10~C15-LAS及び1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエーテルサルフェートから選択されるアニオン性界面活性剤を5~40%と、
3~10個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエトキシレートから選択される非イオン性界面活性剤を1.5~10%と、
C10~C18ジ-及びトリカルボン酸、ヒドロキシジ-及びヒドロキシトリカルボン酸、アミノポリカルボキシレート、並びにポリカルボン酸から選択される可溶性有機ビルダー/コビルダーを2~20%と、
洗剤に好適な少なくとも1種の酵素と、好ましくは更に酵素安定化系とを含む酵素系を0.05~5%と、
エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール又はプロピレングリコールから選択されるモノ-又はジオールを0.5~20%と、
他の補助剤を0.1~20%と、
水を、全体が100%となる量と、
から構成される。
【0300】
本発明による固形洗濯用洗剤(例えば、粉末、顆粒又は錠剤など)は:
少なくとも1種の本発明のポリマーを0.2~20%と、
界面活性剤を1~50%と、
ビルダー、コビルダー及び/又はキレート剤を0.1~90%と、
充填剤を0~50%と、
漂白活性化剤を0~40%と、
他の補助剤及び/又は水を0.1~30%と、
から構成され、
成分の合計は100%になる。
【0301】
本発明による好ましい固形洗濯用洗剤は:
少なくとも1種の本発明ポリマーを0.5~10%と、
C10~C15-LAS、C10~C18アルキルサルフェート及び1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエーテルサルフェートから選択されるアニオン性界面活性剤を5~30%と、
3~10個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエトキシレートから選択される非イオン性界面活性剤を1.5~7.5%と、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ゼオライト、可溶性ケイ酸塩、硫酸ナトリウムから選択される無機ビルダー及び充填剤を20~80%と、
C10~C18脂肪酸、ジ-及びトリカルボン酸、ヒドロキシジ-及びヒドロキシトリカルボン酸、アミノポリカルボン酸塩、並びにポリカルボン酸から選択されるコビルダーを0.5~15%と、
洗剤に好適な少なくとも1種の酵素と、好ましくは更に酵素安定化系とを含む酵素系を0.1~5%と、
漂白活性化剤を0.5~30%と、
他の補助剤を0.1~20%と、
水を全体が100%となる量と、
から構成される。
【0302】
好ましい実施形態において、本発明によるポリマーは、食器手洗い洗剤に使用される。
【0303】
本発明による液体食器手洗い洗剤は:
少なくとも1種の本発明のポリマーを0.05~10%と、
界面活性剤を1~50%と、
他の補助剤を0.1~50%と、
水を、全体が100%となる量と、
から構成される。
【0304】
本発明による好ましい液体食器手洗い洗剤は:
少なくとも1種の本発明のポリマーを0.2~5%と、
C10~C15-LAS、1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエーテルサルフェート及びC10~C18アルキルサルフェートから選択されるアニオン性界面活性剤を5~40%と、
コカミドプロピルベタインを2 10%と、
ラウラミンオキシドを0~10%と、
非イオン性界面活性剤、好ましくはC10ゲルベアルコールアルコキシレートを0~2%と、
酵素、好ましくはアミラーゼと、好ましくは更に酵素安定化系とを0~5%と、
エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール又はプロピレングリコールから選択されるモノ-又はジオールを0.5~20%と、
他の補助剤を0.1~20%と、
水を全体が100%となる量と、
から構成される。
【0305】
本発明による洗濯用洗浄組成物のための一般処方(重量%)
【0306】
【0307】
本発明による液体洗濯用骨格処方:(重量%)
【0308】
【0309】
本発明による液体洗濯用骨格処方-続き:(重量%)
【0310】
【0311】
本発明による洗濯用粉末骨格処方:(重量%)
【0312】
【0313】
本発明による洗濯用粉末骨格処方-続き:(重量%)
【0314】
【0315】
更なる典型的な液体洗剤配合物LD1、LD2及びLD3を次の3つの表に示す:(全ての数値は重量%)
[以下の3つの表は全て:*「グラフトポリマー」=(グラフト基体としてのMn6000g/molのポリエチレングリコール、60重量%の酢酸ビニルでグラフト化(ポリマー総重量に基づく;国際公開第2007138054A1号パンフレットの一般開示に従って製造)]
【0316】
液体洗剤1- LD1「優れた」洗剤
【0317】
【0318】
液体洗剤2- LD2「中」性能洗剤
【0319】
【0320】
液体洗剤3- LD3「中」性能バイオベース洗剤
【0321】
【0322】
本発明による液体食器手洗い骨格処方:(重量%)
【0323】
【0324】
ぞれぞれの洗濯用洗剤、食器洗い組成物、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品において、少なくとも1種のグラフトポリマーは、このような組成物又は製品の総重量に関して、各々、このような組成物又は製品の総重量に対する重量%で、約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の濃度で存在し、その間の全ての数値、及び言及され、更に0.2、0.3、0.4、1、1、5、2、2.5、3、3.5、及び4を含む下限値のいずれかを選択し、言及され、19、18、17、16、14、13、12、11、9、8、7、及び6を含む上限値のいずれかと組み合わせることで得られる全ての範囲を含むことが好ましい。
【0325】
本開示全体を通して記載されている特定の実施形態は、本発明に本発明の一部として包含され;特定の実施形態の「任意選択的な」、「好ましい」、「より好ましい」、「更により好ましい」又は「最も好ましい」選択肢として本明細書に開示されている更なる様々な選択肢は、個別に且つ独立して(このような独立した選択が、その特徴の性質に由来して不可能でない限り、又はそのような独立した選択が明示的に除外されていない限り)選択され、それを他の任意の実施形態の範囲内で組み合わせることができ(他のこのような選択肢及び優先度も個別に且つ独立して選択することができる場合)、このような可能な組み合わせのそれぞれ及び全てが、本発明の一部として、個々の実施形態として含まれる。
【0326】
最も好ましい実施形態に関する章
この章における以下の特定の最も好ましい実施形態も本発明の一部を形成し、全ての組み合わせは個々の実施形態内で定義され、それらの間の全ての組み合わせは明示的に本発明の一部を形成する。
【0327】
第1の最も好ましい実施形態において、本発明のグラフトポリマーは:
(A)グラフト基体としてのコポリマー主鎖であって、上記コポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、
a.コポリマー主鎖内のアルキレンオキシド部分の分布がランダムな順序であり、
b.コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、500~7000の範囲内であり、好ましくは6000以下、より好ましくは5000以下、更により好ましくは4500以下、更により好ましくは4000以下、更により好ましくは3500以下、更により好ましくは3000以下、最も好ましくは2500であり、好ましくは少なくとも1000、より好ましくは少なくとも1200である、コポリマー主鎖と、
(B)コポリマー主鎖にグラフトされたポリマー側鎖であって、上記ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比が、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、ポリマー側鎖と、
を含む、グラフトポリマーであって、
グラフトポリマーの総重量に対する重量%で、
25~85%、好ましくは30~80%、より好ましくは35~80%、更により好ましくは40~75%、最も好ましくは55~75%のコポリマー主鎖(A)と、
15~75%、好ましくは20~70%、より好ましくは20~65%、更により好ましくは25~60%、最も好ましくは25~45%のポリマー側鎖(B)と、を含むグラフトポリマーを含む。
【0328】
更に最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは、
i)エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、若しくは1,2-ブチレンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーであって、好ましくは、少なくともエチレンオキシドがモノマーのうちの1つとして選択され、より好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのみがモノマーとして選択されるモノマーの重合により入手可能である、及び/又は
ii)ポリマー主鎖AのEOの相対量が、5~95%、好ましくは10~90%、より好ましくは15~85%、更により好ましくは少なくとも20~80%の範囲内である(全てポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量パーセントとして表示される)、及び/又は
iii)側鎖(B)を得る重合には本質的にモノマー(B2)は使用されない
コポリマー主鎖(A)を含む。
【0329】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは、
i)<5、好ましくは<3.5、より好ましくは<3、最も好ましくは1.0~2.5の範囲にある多分散度Mw/Mnを有する(Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量である[g/mol / g/mol])、及び/又は
ii)一方若しくは両方の末端基で任意選択的に末端封止されるコポリマー主鎖(A)であって、好ましくは、コポリマー主鎖(A)は、両方の末端基で末端封止されておらず、若しくはコポリマー主鎖(A)が末端封止されている場合は、末端封止はC1~C25-アルキル基、好ましくはC1~C4基により行われる、コポリマー主鎖(A)を含む。
【0330】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の、ポリマー主鎖Aの存在下でのラジカル重合により得られる、ポリマー側鎖(B)を含み、
好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、
好ましくは本質的にモノマー(B2)が使用されない。
【0331】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは
(A)アルキレンオキシドモノマーとしてエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドの重合により入手可能である55~75重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のコポリマー主鎖(A)であって、主鎖のアルキレンオキシドモノマー分布がランダムな順序であり、コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、1200~2500の範囲内であり、ポリマー主鎖(A)のEOの相対量が、20~80%(ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)である、コポリマー主鎖(A)と、
(B)本質的にモノマー(B2)は使用されずに、唯一のビニルエステルモノマー(B1)として酢酸ビニルから得られる、コポリマー主鎖にグラフトされた25~45重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のポリマー側鎖と、を含む。
【0332】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは、OECD301Fに基づいて試験された場合、28日以内に、少なくとも30、好ましくは少なくとも35、更により好ましくは少なくとも40%であるグラフトポリマーの生分解性を示す。
【0333】
更なる最も好ましい実施形態において、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の更なるモノマー(B2)とを、少なくとも1種のコポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的に(B2)、(C)、及び(D)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的なモノマー(B2)及び開始剤(C)の割合が、コポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含む、本開示で詳述される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかに詳述されるグラフトポリマーを得るためのプロセスが包含される。
【0334】
具体的には前の段落のプロセスを含む本明細書に詳述されるプロセスの更により好ましい実施形態において、プロセスは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)とを、少なくとも1種のポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的な(B2)及び(C)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的に(B2)及び開始剤(C)の割合が、ポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含み、好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは少なくとも90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、-(B2)が存在する場合-任意選択的なモノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である。
【0335】
具体的には前に詳述されるようなプロセスの最も好ましい実施形態を含む本明細書に詳述されるプロセスの更なる最も好ましい実施形態において、プロセスには、モノマー(B1)以外は、モノマー(B2)は本質的に使用されない。
【0336】
具体的には前に詳述されるようなプロセスの最も好ましい実施形態を含む本明細書に詳述されるプロセスの更なる最も好ましい実施形態において、プロセスは、i)~iv)から選択される少なくとも1つの更なるプロセスステップを含む:i)後重合;ii)精製;iii)濃縮;及びiv)乾燥。
【0337】
具体的には前に詳述されるようなプロセスの最も好ましい実施形態を含む本明細書に詳述されるプロセスの更なる最も好ましい実施形態において、プロセスは、以下から選択される少なくとも1つの更なるプロセスステップを含む:
i)本重合反応の後に実施される後重合プロセスステップであって、好ましくは更なる量の開始剤(任意選択的には、溶媒中に溶解されている)が、0,5時間から最大3時間、好ましくは約1~2時間、より好ましくは約1時間の期間にわたり添加され、ラジカル開始剤及び開始剤用の溶媒が、典型的には、-且つ好ましくは、-本重合反応の溶媒と同一であり;重合反応の後及び後重合反応の前に、好ましくは、更なるラジカル開始剤の添加を開始することによって後重合反応を開始する前に、本重合反応が後は進行するだけになるまで一定期間待機し、このような期間は、好ましくは10分から最大4時間、好ましくは最大2時間、更により好ましくは最大1時間、最も好ましくは最大30分であり;後重合プロセスステップの温度が、-好ましくは-本重合反応と同じであるか、又は上昇させ、そのような上昇が、本重合反応の温度と比較して、好ましくは約5~40℃、好ましくは10~20℃だけ高い、プロセスステップ;
ii)本重合又は-実施される場合は、後重合プロセス-から得られたグラフトポリマーを、濃縮及び/又は乾燥の手段に供して、残留溶媒及び/又は残留モノマーなどの揮発性物質の一部又はほぼ全てを(沸点の関係で除去できる限り)除去するステップであって、
a.濃縮が、溶媒及び任意選択的にまた揮発性物質の一部を除去し、好ましくは、熱蒸留又は真空蒸留、好ましくは真空蒸留などの蒸留プロセスを適用することによって、固体ポリマー濃度を増加させ、所望の固体含有量が達成されるまで行われ、好ましくは、揮発性溶媒及び/又は未反応の揮発性モノマーなどの揮発性成分の所望の部分又は全てが除去されるまで行われ;
b.乾燥が、残留溶媒及び/又は未反応モノマーなどの少なくとも残留量の揮発性物質を含むグラフトポリマーを、ローラードラム、噴霧乾燥、真空乾燥、又は凍結乾燥、好ましくは-主にコスト上の理由から、噴霧乾燥を使用した乾燥などの、揮発性物質を除去する手段に供し;任意選択的に、このような乾燥プロセスステップを凝集又は造粒の手段と組み合わせて、凝集又は造粒されたグラフトポリマー粒子を得ることにより実施され、そのようなプロセスは、好ましくは噴霧凝集、造粒、又は流動床乾燥機、噴霧造粒装置などでの乾燥から選択される、ステップ。
【0338】
具体的には前に詳述されるようなプロセスの最も好ましい実施形態を含む本明細書に詳述されるプロセスの更なる最も好ましい実施形態において、水の量は低く、総溶媒に基づいて、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1%未満である。
【0339】
更なる最も好ましい実施形態において、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られるグラフトポリマーは、布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、若しくは農芸化学的配合物である組成物又は製品、好ましくは布地ケア及びホームケア用組成物又は製品、洗浄組成物、又は業務用及企業用洗浄製品、より好ましくは洗浄組成物、最も好ましくは洗濯用洗剤配合物中の成分として使用され、このような布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品は、好ましくは、好ましくは、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ及びペルオキシダーゼのうちの1種以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせを更に含む。
【0340】
更なる最も好ましい実施形態において、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られたグラフトポリマーは、組成物、即ち
布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、農芸化学的配合物である組成物において使用される。
【0341】
グラフトポリマーの使用における前述の最も好ましい実施形態の更なる最も好ましい実施形態において、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られたグラフトポリマーは、洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア製品、好ましくは布地ケア及びホームケア用の洗浄組成物に使用され、洗浄組成物は、好ましくは洗濯用洗剤配合物又は食器洗い洗剤配合物であり、
-任意選択的に、好ましくは、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、及びペルオキシダーゼのうちの1種以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせ、好ましくは少なくとも1種の酵素はリパーゼから選択され、
-少なくとも1種のグラフトポリマーが、このような組成物又は製品の総重量に対して約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の範囲の量で存在し、
-このような製品又は組成物は、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含む。
【0342】
更なる最も好ましい実施形態において、洗濯用洗剤、食器洗い組成物、洗浄組成物、又は布地ケア及びホームケア製品は、前述の最も好ましい実施形態のいずれかに詳述されている、又は具体的にはそのようなプロセスを開示している前述の最も好ましい実施形態のいずれかを含む、本明細書に開示されるそのような実施形態のいずれかに詳述されているプロセスによって得られる、少なくとも1種のグラフトポリマーを含む。
【0343】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られるグラフトポリマーは、布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、より好ましくは洗浄組成物、最も好ましくは洗濯用洗剤配合物である組成物又は製品中の成分として使用され、好ましくは染料の移動の抑制のためのリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、ディスパーシン、オキシドレダクターゼ(ocidoreductase)、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼうちの1つ以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせを更に含み、少なくとも1種のグラフトポリマーは、各々、このような組成物又は製品の総重量に対する重量%で、0.05%~約20%、好ましくは0,05~10%、より好ましくは約0,1%~8%、更により好ましくは約0.2%~約6%、更により好ましくは約0,2%~約4%、最も好ましくは最大2%の量の濃度でこのような組成物又は製品中に存在し、その間の全ての数値、及び下限値のいずれかを選択し、上限値のいずれかと組み合わせることで得られる全ての範囲を含み、それぞれの割合は、そのような組成物又は製品の総重量に対する重量%で表示される。
【0344】
更なる最も好ましい実施形態において、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られたグラフトポリマーは、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含むこのような製品又は組成物で使用される。
【0345】
更なる最も好ましい実施形態において、洗濯用洗剤、洗浄組成物、又は布地ケア及びホームケア製品は、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの若しくはそれらによって得られた、又は具体的にはそのようなプロセスを開示している前述の最も好ましい実施形態のいずれかを含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかで詳述されているプロセスによって得られる、少なくとも1種のグラフトポリマーを含む。
【0346】
更なる最も好ましい実施形態において、組成物は、布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、農芸化学的配合物、好ましくは洗濯用洗剤、食器洗い組成物、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品である発明の一部に含まれ、各々、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られる、少なくとも1種のグラフトポリマーを含有する。
【0347】
本発明の実施形態のいずれか、具体的には前の段落で詳述されているこのような洗濯用洗剤、洗浄組成物、又は布地ケア及びホームケア製品において、少なくとも1種のグラフトポリマーは-具体的にはこのようなグラフトポリマーを開示している前述の最も好ましい実施形態のいずれかを含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかで詳述されるように-各々、このような組成物又は製品の総重量に対する重量%で、約0.05%~約10%、好ましくは約0.1%~8%、より好ましくは約0.2%~約6%、更により好ましくは約0.2%~約4%、最も好ましくは最大2%の量の濃度で存在し、その間の全ての数値、及び下限値のいずれかを選択し、上限値のいずれかと組み合わせることで得られる全ての範囲を含み、それぞれは、そのような組成物又は製品の総重量に対する重量%で表示され、任意選択的には、更に好ましくはリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、ディスパーシン、オキシドレダクターゼ(ocidoreductases)、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼのうちの1種以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせが含まれ、更に任意選択的には2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤;好ましくは、組成物の2ppm~5重量%の範囲の量で上記抗菌剤を含み、より好ましくは0.1~2%のフェノキシエタノールを含むものが含まれ、任意選択的には、更に、それぞれ組成物の重量に対し、0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度の,4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルが含まれ、更に界面活性剤系は、このような洗剤、組成物、又は製品の約1重量%~70重量%を構成する。
【0348】
更なる実施形態において、本発明は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマー及び/又はポリマー主鎖を含む組成物も包含し、更に、本明細書において後に開示する、好ましくは2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤を更に含み、より好ましくは、上記抗菌剤を、組成物の2ppm~5重量%の範囲の量で含み;更に好ましくは、フェノキシエタノールを0.1~2%含む。
【0349】
更なる実施形態において、本発明はまた、水性組成物を微生物による汚染又は増殖から保護する方法も包含し、このような組成物は、本明細書において上に記載したグラフトポリマー及び/又はポリマー主鎖をそれぞれ含み、このような組成物は、好ましくは洗剤組成物であり、このような方法は、本明細書において後に開示する本開示の抗菌剤から選択される少なくとも1種の抗菌剤を添加することを含み、このような抗菌剤は、好ましくは2-フェノキシエタノールである。
【0350】
更なる実施形態において、本発明はまた、組成物、好ましくは洗浄組成物、より好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体食器手洗い用組成物、更に好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体洗濯用柔軟剤組成物も包含し、このような組成物は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマー及び/又はポリマー主鎖を含み、このような組成物は、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを、それぞれ組成物の重量に対し、0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度で更に含む。
【0351】
更なる実施形態において、本発明はまた、布地を洗濯する又は硬質表面を洗浄する方法も包含し、この方法は、布地又は硬質表面を洗浄組成物で、より好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体食器手洗い組成物で、更に好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体洗濯用柔軟剤組成物で処理することを含み、このような組成物は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマー及び/又はポリマー主鎖を含み、このような組成物は、4、4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを更に含む。
【0352】
以下に示す実施例により、本発明の範囲を限定することなく本発明を更に説明することとする。
【実施例】
【0353】
ポリマーの測定
K値は、希釈されたポリマー溶液の相対粘度を測定したものであり、平均分子量の相対的な尺度となる。特定のポリマーの平均分子量が増加すると、K値も上昇する傾向にある。K値は、H.Fikentscher in “Cellulosechemie”,1932,13,58の方法に従い、23℃における3重量%のNaCl溶液中、ポリマー濃度をポリマー1%として測定される。
【0354】
本発明のグラフトポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び多分散度Mw/Mnを、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、テトラヒドロフラン中で測定した。移動相(溶出液)として、ジエタノールアミン0.035mol/Lを含むテトラヒドロフランを使用した。グラフトポリマーのテトラヒドロフラン中の濃度を2.0mg/mLとした。これを濾過(孔径0.2μm)した後、この溶液100μLをGPCシステムに注入した。分離には4本の異なるカラム(60℃に加熱)を使用した(SDV プレカラム、SDV 1000A、SDV 100000A、SDV 1000000A)。GPCシステムは流量を1mL/分として運転した。検出システムとしてDRI Agilent 1100を使用した。校正には分子量Mnが106~1378000g/molのポリ(エチレングリコール)(PEG)標準物質(PL)を使用した。
【0355】
ポリマーの生分解性の測定方法
排水中の生分解を、OECD301Fマノメーター呼吸計測法を用いて3重に試験した。30mg/mLの被験物質を、Mannheim Wastewater Treatment Plantから採取した廃水に接種し、密閉フラスコ内で25℃で28日間インキュベートする。この期間内に消費された酸素を、OxiTop C(WTW)を使用してフラスコ内の圧力変化として測定する。発生したCO2をNaOH溶液を用いて吸収させる。被験物質が生分解性される間に微生物集団によって消費された酸素の量を、ブランクを用いて補正した後、ThOD(理論的酸素要求量)に対する%で表す。
【0356】
以下に示す手順は、表1及び2に更に示す物質並びに比及び量を使用して実施した。
【0357】
他の本発明及び比較用グラフトポリマーは、これらの手順に従い、ポリマー主鎖の種類及び分子量及び組成、並びにそこにグラフト化するためのモノマーの量及び種類を調整することにより合成することができる。
【0358】
実施例1:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;80重量%)への酢酸ビニル(20重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー480gを投入し、90℃で溶融させた。
【0359】
トリプロピレングリコール25.73gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.99gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル120g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール16.27gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル1.89gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0360】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0361】
実施例2:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;70重量%)への酢酸ビニル(30重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0362】
トリプロピレングリコール25.73gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.99gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル180g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール16.27gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル1.89gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0363】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0364】
実施例3:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー600gを投入し、90℃で溶融させた。
【0365】
トリプロピレングリコール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0366】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0367】
実施例4:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;50重量%)への酢酸ビニル(50重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー500gを投入し、90℃で溶融させた。
【0368】
トリプロピレングリコール41.91gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル500g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール26.85gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0369】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0370】
実施例5:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;30重量%)への酢酸ビニル(70重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー300gを投入し、90℃で溶融させた。
【0371】
1,2-プロパンジオール41.91gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル700g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール26.85gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0372】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0373】
実施例6:EO/PO主鎖B1(Mn2500g/mol;90%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0374】
トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.05gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル1.93gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0375】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0376】
実施例7:EO/PO主鎖B2(Mn2500g/mol;75%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0377】
トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.49gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.20gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0378】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0379】
実施例8:EO/PO主鎖B3(Mn2500g/mol;55%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0380】
トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.70gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.34gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0381】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0382】
実施例9:EO/PO主鎖B4(Mn2500g/mol;35%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー480gを投入し、90℃で溶融させた。
【0383】
トリプロピレングリコール34.30gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.48gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル320g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール21.69gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.83gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0384】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0385】
実施例10:EO/PO主鎖B5(Mn2500g/mol;20%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0386】
トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.36gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.75gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0387】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0388】
実施例11:EO/PO主鎖(Mn2300g/mol;50%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー600gを投入し、90℃で溶融させた。
【0389】
1,2-プロパンジオール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0390】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0391】
実施例12:EO/PO主鎖(Mn3000g/mol;60%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー600gを投入し、90℃で溶融させた。
【0392】
1,2-プロパンジオール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0393】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0394】
実施例13:EO/PO主鎖(Mn4100g/mol;60%EO;80重量%)への酢酸ビニル(20重量%)のグラフト重合
撹拌機及び3つの供給原料を備えた4リットルの容器に1000gのEO/PO統計コポリマーを入れ、90℃に加熱し、窒素でパージした。ラジカル開始剤の溶液(56g;酢酸n-ブチル中のペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル(tert-butylperoxy-2-ethylhexanoat)の混合物;23.8重量%)を、7時間かけて供給原料1を通して供給した。供給原料1の開始から15分後、250gの量の酢酸ビニルを6時間以内に供給原料2を通して連続的に供給した。供給原料2が完了したら、反応混合物を90℃で2時間撹拌した。次いで、供給原料3(2時間、44gのラジカル開始剤混合物の溶液)を開始した。供給原料3が完了したら、反応混合物を90℃で更に2時間撹拌した。次いで、圧力を10mbarに設定し、揮発性成分を100℃及び10mbarで撹拌しながら除去し、次いで撹拌しながら周囲温度まで冷却した。発明のグラフトポリマー混合物を、透明な液体、1270gとして得た。
【0395】
実施例14:EO/PO主鎖(Mn6400g/mol;60%EO;80重量%)ヘの酢酸ビニル(20重量%)のグラフト重合
撹拌機及び3つの供給原料を備えた4リットルの容器に1000gのEO/PO統計コポリマーを入れ、90℃に加熱し、窒素でパージした。ラジカル開始剤の溶液(56g;酢酸n-ブチル中のペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル(tert-butylperoxy-2-ethylhexanoat)の混合物;23.8重量%)を、7時間かけて供給原料1を通して供給した。供給原料1の開始から15分後、250gの量の酢酸ビニルを6時間以内に供給原料2を通して連続的に供給した。供給原料2が完了したら、反応混合物を90℃で2時間撹拌した。次いで、供給原料3(2時間、44gのラジカル開始剤混合物の溶液)を開始した。供給原料3が完了したら、反応混合物を90℃で更に2時間撹拌した。次いで、圧力を10mbarに設定し、揮発性成分を100℃及び10mbarで撹拌しながら除去し、次いで撹拌しながら周囲温度まで冷却した。発明のグラフトポリマー混合物を、透明な液体、1250gとして得た。
【0396】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0397】
実施例15:グリセリン含有ポリアルコキシレート主鎖(Mn3550g/mol;60重量%)ヘの酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
Ex.15a:主鎖:
主鎖はグリセリン及びKOHから出発して調製され、これらを真空中で乾燥させて残留水を除去した。次いで、まずはグリセリンをエチレンオキシドと反応させ、次いでエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物と反応させて、統計コポリマーブロックを得て、次いで再度エチレンオキシドを使用して、次の構造のポリマーを得た
グリセリン[2,25]-PO[5,54]-PO[19,72]/EO[67,49]-EO[5,0]、
括弧内の数字は個々の部分のモル量である。
【0398】
次いで、水及び酸(氷酢酸)を(等モル量で)添加し、水を除去し、結晶化したカリウム塩を濾過により除去した。(Mn3550g/mol)
(Lupranol(登録商標)2048として市販されている)
【0399】
Ex.15b:グラフトポリマー
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEx.15aの主鎖(Mn3550g/mol)600gを投入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール42.88gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル5.60gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール27.11gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.54gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0400】
実施例16:ジエチレングリコール含有ポリアルコキシレート主鎖(Mn2200g/mol;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
Ex.16a:主鎖:
主鎖はジエチレングリコール及びKOHから出発して調製され、これらを真空中で乾燥させて残留水を除去した。次いで、まずはジエチレングリコール(DEG)をエチレンオキシドと反応させ、次いでエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物と反応させて、統計コポリマーブロックを得て、次いで再度エチレンオキシドを使用して、次の構造のポリマーを得る
DEG[4,9]-EO[12,4]-PO[20,9]/EO[47,5]-EO[14,3]、
括弧内の数字は個々の部分のモル量である。
【0401】
次いで、水及び酸(氷酢酸)を(等モル量で)添加し、水を除去し、結晶化したカリウム塩を濾過により除去した。(Mn2200g/mol)。
(Lupranol(登録商標)6000/1として市販されている)
【0402】
Ex.16b:グラフトポリマー
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEx.16aの主鎖600gを投入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール25.73gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.36gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル240g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール16.27gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.12gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0403】
主鎖B1~B5の合成手順
主鎖B1:90重量%のEOを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量2500g/mol
【0404】
主鎖B1a:14.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、1.26モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.63gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド634.4g及びプロピレンオキシド73.2gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、815.0gの明褐色ワックスを得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0405】
主鎖B1b:90重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(48.0モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、4.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、14.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、1.26モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例1a)、ジエチレングリコール366.1g及びカリウムtert-ブチレート1.49gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド661.1g及びプロピレンオキシド76.8gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1105.0gの明褐色ワックスを得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0406】
主鎖B2:75重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
【0407】
主鎖B2a:12.1モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、3.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド532.6g及びプロピレンオキシド186.4gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、825.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0408】
主鎖B2b:75重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(40.3モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、10.7モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、12.1モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、3.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例2a)、ジエチレングリコール370.1g及びカリウムtert-ブチレート1.50gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド559.2g及びプロピレンオキシド195.8gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1130.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0409】
主鎖B3:55重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
【0410】
主鎖B3a 8.7モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、5.8モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド381.9g及びプロピレンオキシド334.5gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、822.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0411】
主鎖B3b:55重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(28.9モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、19.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、8.7モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、5.8モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例3a)、ジエチレングリコール370.1g及びカリウムtert-ブチレート1.50gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド370.2g及びプロピレンオキシド351.6gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1128.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0412】
主鎖B4:35重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
【0413】
主鎖B4a:5.3モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、8.3モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド233.9g及びプロピレンオキシド482.6gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、820.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0414】
主鎖B4b:35重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(17.7モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、27.7モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、5.3モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、8.3モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例4a)、ジエチレングリコール370.2g及びカリウムtert-ブチレート1.51gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド245.6g及びプロピレンオキシド506.7gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1119.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0415】
主鎖B5:20重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
【0416】
主鎖B5a:2.8モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、10.3モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド122.9g及びプロピレンオキシド595.9gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、821.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0417】
主鎖B5b:20重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(9.3モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、34.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、2.8モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、10.3モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例5a)、ジエチレングリコール371.2g及びカリウムtert-ブチレート1.51gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド129.0g及びプロピレンオキシド625.7gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1135.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0418】
比較例についての合成手順:
Comp.Ex.1:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;90重量%)への酢酸ビニル(10重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー900gを投入し、90℃で溶融させた。
【0419】
1,2-プロパンジオール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル100g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0420】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0421】
Comp.Ex.2:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;20重量%)への酢酸ビニル(80重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー200gを投入し、90℃で溶融させた。
【0422】
1,2-プロパンジオール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル800g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0423】
【0424】
【0425】
【0426】
いくつかの本発明のポリマーの曇点を以下の表3に示す。本発明のポリマーは、主鎖中のPO含有量を増加させることにより、より低い曇点を示す。
【0427】
【0428】
グラフトポリマーの適用試験
液剤洗剤におけるポリマーの白度及び洗浄性能
以下の水溶性単回用量(SUD)洗剤組成物A及びBは、列挙された成分を混合することにより、当業者に公知の伝統的な手段によって調製される(表4)。
【0429】
本発明のポリマーの白度維持は、基準組成物A及び試験組成物Bの白度性能を直接比較することにより、ポリマーの白度性能を評価する方法に従って評価される。組成物A対組成物BのΔWI(CIE)は、ポリマーの白度性能の利点の指標として表6に報告される。
【0430】
【0431】
洗剤における白度維持性能を評価するための方法
試験調製:
白度の利点試験には、以下の布地が提供される:
・NAポリエステル:PW19、Empirical Manufacturing Company(Cincinnati,OH,USA)から入手可能
・ニットコットン1:試験布地、Inc403コットンインターロック編みチューブ状
・CW120、Empirical Manufacturing Company(Cincinnati,OH,USA)から入手可能
・ポリコットン
【0432】
「洗浄済及びFE処理済」布地を、以下の方法に従って調製した:400gの布地をWE Miniwasher(水3.5リットル)でショートプログラム(45分間の洗いサイクルに続いて3回のすすぎサイクル;全プログラムは90分)を使用して、18.6gのAriel(商標)コンパクト粉末洗剤で、60℃で2回洗い、洗剤なしの60℃でショートプログラムを2回使用し、その後各メイン洗濯物に8.2gのLenor(商標)濃縮物(繊維強化剤)を加えた40℃のショートプログラムを3回使用する。次に、布地を乾燥するまで強力乾燥のタンブル乾燥機で乾燥させる。
【0433】
「洗浄済」布地を、以下の方法に従って調製した:400gの布地をWE Miniwasher(水3.5リットル)でショートプログラム(45分間の洗いサイクルに続いて3回のすすぎサイクル;全プログラムは90分)を使用して、18.6gのAriel(商標)コンパクト粉末洗剤で、60℃で2回洗い、洗剤なしの60℃でショートプログラムを2回使用する。次に、布地を乾燥するまで強力乾燥のタンブル乾燥機で乾燥させる。
【0434】
試験方法:
4つの布地試料を調製する:ポリコットン、洗浄済;ニットコットン、洗浄済;NAポリエステル、洗浄済及びFE処理済;ニット洗浄済及びFE処理済。
【0435】
各試料は、次の条件に従って、磁化ベアリングを使用して典型的な本格的な洗濯機の撹拌をシミュレートする96ウェルプレート模擬洗浄システムで実行される。750ppmの洗剤濃縮物、1ウェル当たり150μLの水、25℃、水硬度2.5mM(2:1 Ca+2:Mg+2のモル比)、pH8.3の洗浄、3000ppmのArizona試験粉塵(PTI,Powder Technology Incにより供給される)。
【0436】
表5/6に列挙されている各ポリマーは、15ppmの洗浄溶液で添加される。各布地を60分間洗って、周囲条件下にて暗所で乾燥させる。各洗浄条件について、2つの96ウェルプレートがあり、1つの96ウェルプレートごとに8つの内部複製があり、洗浄条件ごとに合計16の複製が行われる。
【0437】
試料が乾燥したら、Spectrolinoイメージングシステム(Gretag Macbeth、Spectro Scan 3.273)を使用して、96ウェルプレートの各スポットでL*、a*、b*、及びCIE WIを測定する。各処理について、平均CIE WIを決定する。以下の表で報告されるデルタCIE WIは、試料の平均CIE WIと、試験ポリマーを含まない対照試料の平均CIE WIの差である。
【0438】
いくつかの異なる繊維材料で決定された白度指数(WI-指数)(次の表を参照)は次のように計算された:
【0439】
白度指数については、CIE白度指数式が使用され、デルタWIは次のように計算された:基板上のデルタWI=WIテクノロジー-WI無し。
【0440】
「同等のスケーリング指標」(列挙された実施例について)=(合計(テクノロジーAで試験された全てのWI布地)×100)/合計(テクノロジー無しで試験された全てのWI布地)であり、この比較は、グラフトポリマーを使用しない試験の場合「100」に設定される。
【0441】
【0442】
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その上にグラフトされたポリマー側鎖(B)を有するグラフト基体としてのコポリマー主鎖(A)を含む、新規なグラフトポリマーに関する。ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に更なるモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は0.5未満である。コポリマー主鎖(A)コポリマー主鎖は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、コポリマー主鎖内のアルキレンオキシド部分の分布はランダムな順序であり、コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)は、500~7000の範囲内である。本発明は、更に、好ましくはフリーラジカル重合により実施される、このようなグラフトポリマーを得るためのプロセスにも関する。更に本発明は、このようなグラフトポリマーの、例えば、布地ケア及びホームケア製品における使用に関する。本発明の別の主題は、このようなグラフトポリマーを含有する布地ケア及びホームケア製品そのものである。
【背景技術】
【0002】
様々な国で、特に化粧品におけるマイクロプラスチックを禁止するための取り組みが既に始まっている。こうした不溶性マイクロプラスチックの禁止に留まらず、消費者製品に使用される可溶性ポリマーに対する将来的な要件に関し、熱心な意見交換が行われている。したがって、このような用途に用いるための新規なより高い生分解性を有する成分を見極めることが強く望まれている。炭素のみの主鎖は微生物にとって特に分解が難しいため、この問題は、主に、炭素のみの主鎖(酸素などのヘテロ原子を含まない主鎖)に基づくラジカル重合によって生成されるポリマーにとってたいてい深刻である。工業的に重要なポリエチレングリコール主鎖を有するラジカル的に生成されたグラフトポリマーでさえ、廃水中での生分解は限られたものしか示さない。しかしながら、本発明により記載するポリマーは、好ましくはラジカルグラフト重合により製造され、先行技術と比較して生分解性が向上している。
【0003】
国際公開第2007/138053号パンフレットには、グラフト基体としての水溶性ポリアルキレンオキシド(A)とビニルエステル成分(B)を重合させることにより形成される側鎖とをベースとする両親媒性グラフトポリマーが開示されており、前記ポリマーは、アルキレンオキシド50単位当たり平均1個未満のグラフト部位を有し、平均モル質量Mが3000~100000である。しかしながら、国際公開第2007/138053号パンフレットは、そこに開示されているそれぞれのグラフトポリマーの生分解性に関する開示は含まれていない;主鎖として「水溶性ポリアルキレンオキシド」のみが指定されている。
【0004】
国際公開第03/042262号パンフレットは、(A)モノエチレン性不飽和単位を含まないポリマーグラフト骨格と、(B)それぞれ窒素含有複素環を含む2種の異なるモノエチレン性不飽和モノマー(B1)及び(B2)の共重合体から形成されるポリマー側鎖とを含むグラフトポリマーであって、側鎖(B)の量の比率はポリマー全体の35~55重量%であるグラフトポリマーに関する。しかし、国際公開第03/042262号パンフレットによるグラフトポリマーは、主鎖上にグラフトされている各ポリマー側鎖が、ビニルエステルモノマーをベースとするものではない。それ以外にも、国際公開第03/042262号パンフレットには、当該明細書に開示されているグラフトポリマーの生分解性に関する開示がない。
【0005】
米国特許第5,318,719A号明細書は、ビルダー(building)特性、皮膜形成防止性、分散性及び結晶成長のスレッショルド抑制(threshold crystal inhibiting)性を有する新規な種類の生分解性水溶性グラフトコポリマーであって、ポリアルキレンオキシド及び/又はポリアルコキシ化された材料を含む生分解性基材にグラフトされた、(a)酸官能性モノマーと、(a)と共重合可能な任意選択的な(b)他の水溶性モノエチレン性不飽和モノマーとを含む、グラフトコポリマーに関する。しかしながら、米国特許第A5,318,719号明細書は、前記グラフトポリマーの各側鎖は、アクリル酸又はメタクリル酸などの酸官能性モノマーを多量に含むことが必須である。このような酸モノマーは、本発明に関しては有用ではない。
【0006】
米国特許出願公開第2019/0390142号明細書は、(a)ポリエチレンオキシド(PEG)などのポリアルキレンオキシドと;(b)N-ビニルピロリドン(VP)と;(c)酢酸ビニルなどのビニルエステルで構成され得るグラフトコポリマーを含む布地ケア組成物に関する。しかしながら、米国特許出願公開第2019/0390142号明細書は、現在必要とされている主鎖や生分解性については何ら開示していない;全ての実施例が主鎖としてポリエチレンオキシドのみを開示している。
【0007】
未公開の特許出願第PCT/EP2021/053446号は、その上にグラフトされたポリマー側鎖(B)を有するグラフト基体としてのブロックコポリマー主鎖(A)を含むグラフトポリマーに関する。ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択の更なるモノマー(B2)として任意選択的にN-ビニルピロリドンの重合により入手可能である。最も好ましくは、ブロックコポリマー主鎖(A)は、ポリエチレンオキシド(PEG)及びポリプロピレンオキシド(PPG)のトリブロックコポリマーである。しかしながら、現在必要とされている主鎖は開示されていない。
【0008】
国際公開第2020/005476号パンフレットは、グラフトコポリマーといわゆる処理補助剤とを含む布地ケア組成物を開示しており、グラフトコポリマーは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド、好ましくはポリエチレンオキシドに基づく主鎖としてポリアルキレンオキシド、並びに主鎖にグラフトされた側鎖としてN-ビニルピロリドン及びビニルエステルを含み、主鎖と特定の比率で両方にモノマーを備えている。しかしながら、主鎖としてのポリエチレンオキシドのみが明示的に開示されている。
【0009】
国際公開第2020/264077号パンフレットは、酵素とポリマーとの組み合わせを含有する洗浄組成物を開示しており、このような組成物は、汚れた材料から汚れを除去するのに好適である。本刊行物は、ポリ(酢酸ビニル)-g-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)-ポリ(酢酸ビニル)-g-ポリ(エチレングリコール)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、いわゆる「懸濁グラフトコポリマー」を開示している。しかしながら、主鎖は、本発明で必要とされない。
【0010】
国際公開第0018375号パンフレットは、ポリエーテルの存在下で脂肪族C1~C24カルボン酸の少なくとも1種のビニルエステルを重合することによって得られ、ビニルエステルは好ましくは酢酸ビニルであるグラフトポリマーを含む医薬組成物を開示している。最も好ましいバージョンにおいて、グラフトポリマーは、酢酸ビニルをMw6000g/molのPEGにグラフトし、その後酢酸ビニルをアルコールに加水分解することから調製される(その時、これは、仮想のモノマー「ビニルアルコール」から得られるポリマーに似ている)。主な用途は、錠剤などの固形薬剤の投薬形態へのコーティングやフィルムの形成である。
【0011】
国際公開第0018375号パンフレットには、ポリマー主鎖として、500000g/mol未満の範囲、好ましくは300~100000g/molの範囲、特に好ましくは500~20000g/molの範囲、非常に特に好ましくは800~15000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリエーテルが開示されている。更に、エチレンオキシドのホモポリマー又は40~99重量%のエチレンオキシド含有量、従って好ましくは40~100mol%で使用される、エチレンオキシドポリマー中のエチレンオキシド単位の含有量を有するコポリマーを使用することが有利であると述べられている。これらのコポリマーのコモノマーとして好適なものは、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及び/又はイソブチレンオキシドであると言われており、好適な例は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシド及びブチレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び少なくとも1種のブチレンオキシドのコポリマーであると言われている。コポリマー中のエチレンオキシド含有量は、好ましくは40~99mol%、プロピレンオキシド含有量は1~60mol%、コポリマー中のブチレンオキシド含有量は1~30mol%であると述べられている。直鎖だけでなく分枝鎖のホモ又はコポリマーも、グラフト用のグラフト基体として使用可能であると言われている。
【0012】
しかしながら、国際公開第0018375号パンフレットには、「ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー」(「約8000」の平均分子量を有する)であるPEG6000及び9000、並びに「ポリグリセロール」(「2200」の平均分子量を有する)(全てg/mol)のみが例示されている。5つの例は酢酸ビニルのみを使用し、1つの例だけが酢酸ビニルとメタクリル酸メチルをモノマーとして使用している。他のモノマーは例示されていない。全ての例は、最終ステップとして、重合した酢酸ビニルモノマーの加水分解を採用している。
【0013】
従って、国際公開第0018375号パンフレットでは、本発明で特許請求されるような非加水分解酢酸ビニルを含むポリマーは生成されておらず、特徴付けられていない。
【0014】
また、国際公開第0018375号パンフレットには、ポリマー主鎖としてPEG以外のポリアルキレンオキシドポリマーから作られた特定のグラフトポリマーは開示も特許請求もされていない。
【0015】
この開示自体は、医薬用途においてフィルム形成ポリマーとして使用するために、酢酸ビニルでグラフトされ、その後ビニルアルコールに加水分解されたPEGのみを含む異なる組成物に焦点を当てている。
【0016】
また、国際公開第0018375号パンフレットでは、洗剤及び洗浄又は布地ケア用途への、本明細書に開示されるようなポリマーの使用は、開示されていない。この開示では、そのような用途や使用については全く言及されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は新規なグラフトポリマーを提供することである。更に、これらの新規なグラフトポリマーは、洗浄組成物などの組成物において使用される場合、生分解性及び/又は洗浄挙動に関して有益な特性を備えている必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本目的は、
(A)グラフト基体としてのコポリマー主鎖であって、上記コポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、
a.コポリマー主鎖内のアルキレンオキシド部分の分布がランダムな順序であり、
b.コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、500~7000の範囲内である、コポリマー主鎖と、
(B)コポリマー主鎖にグラフトされたポリマー側鎖であって、上記ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比が、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、ポリマー側鎖と、
を含む、グラフトポリマーであって、
グラフトポリマーの総重量に対する重量%で、
25~85%のコポリマー主鎖(A)と、
15~75%のポリマー側鎖(B)と、
を含むグラフトポリマーによって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明によるグラフトポリマーは、例えば、洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア製品中に使用することができる。グラフトポリマーは、例えば、汚れの再付着及びシミの除去に関して、先行技術による相当するポリマー又はグラフトポリマーと比較して、そのような組成物又は製品に少なくとも同等な、好ましくは更に改善された再付着防止及び洗浄性能をもたらす。それ以外にも、本発明によるグラフトポリマーは、このような組成物又は製品、例えば、洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア製品において使用された場合、生分解性の向上をもたらす。
【0020】
本発明による生分解性が向上したグラフトポリマーは、洗い(washing)及び洗浄(cleaning)組成物に有利に使用することができ、その場合、これらは、界面活性剤による繊維製品又は硬質表面からの疎水性汚れの除去を助け、したがって、配合物の洗い及び洗浄性能を向上させる。更にこれらは、除去された汚れを洗い又は洗浄液中により良好に分散させ、被洗浄又は被清掃材料表面の再付着を防ぐ。
【0021】
本明細書において使用される冠詞「a」及び「an」が特許請求の範囲で使用される場合、これらは、特許請求された又は記載された対象の1又は複数を意味することが理解される。本明細書で使用する場合、「含む/挙げられる(include(s))」及び「含んでいる/挙げられている(including)」という用語は、限定することを意図しない。
【0022】
本開示の組成物は、本開示の構成要素「を含む(comprise)」(すなわち、他の成分を含有する)か、「から基本的になる(consist essentially of)」(主として記載した成分を含むか又はほぼ記載した成分のみを含み、主として不純物に限られる他の成分はごく少量のみである)か、又は「からなる(consist of)」(すなわち、言及した成分のみを含有し、それに加えて、技術的環境では回避できない不純物に限り含まれていてもよく、好ましくは言及した成分のみを含有する)ことができる。
【0023】
同様に、「~を実質的に含まない(substantially free of…)」又は「~を実質的に含まない(substantially free from…)」又は「~を本質的に含まない((containing/comprising) essentially no…)」という用語を本明細書において使用することができ;これは、指定された物質が、最低でも、組成物の一部を構成するようにそこに意図的に添加されたものではなく、又は、好ましくは、分析により検出可能な水準では存在しないことを意味する。これは、指定された物質が、意図的に含有させた他の物質のうちの1種に含まれる不純物としてのみ存在する組成物を包含することを意味している。指定された材料は、たとえ存在するとしても、組成物の重量の1%未満、又は更には0.1%未満、又はより更には0.01%未満、又は更には0%のレベルで存在し得る。
【0024】
本明細書において使用される「約」という用語は、例えば、「約X%」などとして記載された場合、正確な数値「X」と、X(この計算では、Xを100%と設定する)からマイナス5~プラス5%、好ましくはマイナス2~プラス2%、より好ましくはマイナス1~プラス1%、更に好ましくはマイナス0.5~プラス0.5%のずれ及びそれよりも小さいずれを含む、Xの小さいずれと、を包含する。言うまでもなく、与えられた数値X自体が既に「100%」である場合(例えば、純度など)、「約」という用語は、明らかに「100」よりも小さい方へのずれを意味し得、したがって、確実に「100」よりも小さい方へのずれのみを意味する。
【0025】
語句「布地ケア組成物」は、布地処理用に設計された組成物及び配合物を含むことを意味する。このような組成物としては、洗濯用洗浄組成物及び洗剤、布帛柔軟化組成物、布帛高機能化組成物、布帛清浄化組成物、洗濯物予洗い用洗剤、洗濯物前処理剤、洗濯補助剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯物濯ぎ用添加剤、洗浄用添加剤、濯ぎ後の布帛処理剤、アイロンがけ助剤、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織シートの表面又は内部に収容された洗剤、並びに本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであり得、組成物を記載する際に以下で詳述する他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として、使用してもよく、又は洗濯作業のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加されてもよく、本発明のグラフトポリマー及びそのようなグラフトポリマーを含む組成物の使用及び用途を記載する際に、以下で更に詳細に説明する。
【0026】
別段の指定がない限り、全ての構成成分又は組成物の量(level)は、その構成成分又は組成物の活性物質の部分に関するものであり、不純物、例えば、このような構成成分又は組成物の市販の供給源中に存在し得る残留溶媒又は副生成物は除く。
【0027】
別段の指定がない限り、本明細書における温度は全て摂氏度(℃)である。別段の指定がない限り、本明細書における測定は全て20℃の大気圧下で実施される。本開示の全ての実施形態において、特に明記しない限り、百分率は全て組成物全体の重量による。特に明記しない限り、比は全て重量比である。
【0028】
グラフトポリマー
従って、本発明の第1の主題は、
(A)グラフト基体としてのコポリマー主鎖であって、上記コポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、
a.コポリマー主鎖内のアルキレンオキシド部分の分布がランダムな順序であり、
b.コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、500~7000の範囲内であり、好ましくは6000以下、より好ましくは5000以下、更により好ましくは4500以下、更により好ましくは4000以下、更により好ましくは3500以下、更により好ましくは3000以下、最も好ましくは2500であり、好ましくは少なくとも1000、より好ましくは少なくとも1200である、コポリマー主鎖と、
(B)コポリマー主鎖にグラフトされたポリマー側鎖であって、上記ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比が、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、ポリマー側鎖と、
を含む、グラフトポリマーであって、
グラフトポリマーの総重量に対する重量%で、25~85%、好ましくは30~80%、より好ましくは35~80%、更により好ましくは40~75%、最も好ましくは55~75%のコポリマー主鎖(A)と、
15~75%、好ましくは20~70%、より好ましくは20~65%、更により好ましくは25~60%、最も好ましくは25~45%のポリマー側鎖(B)と、を含むグラフトポリマーに関する。
【0029】
本発明で例示されるグラフトポリマー内のランダムコポリマー主鎖(A)対ポリマー側鎖(B)の比は、特定の値に限定されない場合があり;原理的には、当業者に公知の任意の比を使用することができる。しかしながら、前に詳述したような比を使用すると、良好な結果が得られる。
【0030】
コポリマー主鎖(A)自体は、例えば欧州特許362688号明細書において、そのようなコポリマー主鎖を生成するための方法と同様に当業者に公知である。そのような方法は、典型的には、既知の手段を使用した、少なくとも2種のアルキレンオキシドの共重合である。
【0031】
従って、本発明内で使用されるランダムな順序で配置されたアルキレンオキシドを有する好適なコポリマー主鎖(A)は、必要なアルキレンオキシドを必要な比率で使用する標準的なアルコキシル化重合プロセスによって容易に得ることができる。
【0032】
本発明によるグラフトポリマーのコポリマー主鎖(A)に関して、コポリマー主鎖(A)は、
i)エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、若しくは1,2-ブチレンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーであって、好ましくは、少なくともエチレンオキシドがモノマーのうちの1つとして選択され、より好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのみがモノマーとして選択されるモノマーの重合により入手可能である、及び/又は
ii)ポリマー主鎖AのEOの相対量は、5~95%、好ましくは10~90%、より好ましくは15~85%、更により好ましくは少なくとも20~80%の範囲内である(全てポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量パーセントとして表示される)ことが好ましい。
【0033】
グラフトポリマーに関して、更に、ポリマー主鎖について前に定義された好ましい選択肢i)及びii)のいずれも、3番目の好ましい選択肢、即ち、
iii)側鎖(B)を得る重合には本質的にモノマー(B2)は使用されないこと、と組み合わせることができることが好ましい。
【0034】
本発明によるグラフトポリマーは、好ましくは多分散度が低い。好ましくは、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーは、<5、好ましくは<3.5、より好ましくは<3、最も好ましくは1.0~2.5の範囲にある多分散度Mw/Mnを有する(Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量であり;多分散度は無単位である[g/mol/g/mol])。Mw及び/又はMnのそれぞれの値は、実験項において後述する通りに決定することができる。
【0035】
本発明による及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマー内に含まれるコポリマー主鎖(A)は、主鎖のそれぞれの末端基で末端封止されていても末端封止されていなくても(未封止)よい。したがって、本発明において、コポリマー主鎖(A)の一方又は両方の末端基を任意選択的に末端封止することが可能であり、好ましくは、コポリマー主鎖(A)は、両方の末端基で末端封止されておらず、又はコポリマー主鎖(A)が末端封止されている場合は、末端封止はC1~C25-アルキル基、好ましくはC1~C4基により行われる。
【0036】
本発明の特に好ましい一実施形態において、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーは、
(A)アルキレンオキシドモノマーとしてエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドの重合により入手可能である55~75重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のコポリマー主鎖(A)であって、主鎖のアルキレンオキシドモノマー分布がランダムな順序であり、コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、1200~2500の範囲内であり、ポリマー主鎖(A)のEOの相対量が、20~80%(ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)である、コポリマー主鎖(A)と、
(B)本質的に他のモノマー(B2)は使用されずに、唯一のビニルエステルモノマー(B1)として酢酸ビニルから得られる、コポリマー主鎖にグラフトされた25~45重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のポリマー側鎖と、を含む。
【0037】
コポリマー(A)は、グラフトポリマーの全体的な特性に影響を与える様々なレベルの親水性エチレングリコールを含有し得る。コポリマーは、洗濯用配合物における生分解特性並びに性能に影響を与える、それぞれ低、中、又は高の%EOにすることができる。従って、適用時だけでなく生分解時にも優れた性能を達成するため、ポリマー主鎖(A)のEOの相対量は、20~80%(ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)であることが好ましい。
【0038】
ポリマー主鎖は、ポリアルキレンオキシドポリマーの調製プロセスが開始するときに存在する追加の開始ブロックを含んでもよい。この開始ブロックはアルキレンオキシドと反応し、それらの鎖は更に成長し、鎖内に開始ブロックを含むポリアルキレンオキシドが生成される。好適な開始ブロックは、アルキレンオキシドと反応することができ、グリコール、アルキレングリコール、及びジオールなどの2つのヒドロキシル基を有するものであり;好ましくは、これらの開始ブロックは、グリセリン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、トリスメチロールプロパン、水、ペンタエリスリトール、ソルビトール、サッカロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、及び類似の化学構造を有する類似の化合物から選択される。原理的には、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミンなどのジアミンも可能であるが、これらのアミンは、本発明のグラフトポリマーの生分解時に、特にポリマー構造から再び放出される場合の、生態毒性に関する潜在的な問題を考慮すると好ましくない。
【0039】
より好ましい実施形態において、このような開始ブロックは、本発明のポリマー主鎖内では使用されない。
【0040】
本発明によるグラフトポリマー内に含有されるポリマー側鎖(B)に関して、ポリマー側鎖(B)は、ラジカル重合及び/又は少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)によって得られることが好ましい。
【0041】
ビニルエステルモノマー(B1)として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、又はラウリン酸ビニル以外に、当業者に知られている更なる任意のビニルエステル、例えば、吉草酸ビニル、ピバル酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、デカン酸ビニル又は安息香酸ビニルを使用することができる。
【0042】
本発明によるグラフトポリマー内のポリマー側鎖(B)を調製するために任意選択の更なるモノマー(B2)が使用される場合、必須のビニルエステルモノマー(B1)対上記更なるモノマー(B2)の比は、原則として、当業者に公知の任意の値をとり得る。ビニルエステルモノマー(B1)の量は、通常、1重量%以上である((B1)と(B2)の合計に関して)。
【0043】
しかしながら、好ましい実施形態において、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の、前記ポリマー主鎖Aの存在下でのラジカル重合により得られる又は入手可能であるポリマー側鎖(B)を含み、
好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは少なくとも90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、
好ましくは本質的にモノマー(B2)が使用されない。
【0044】
更に一層、より好ましい実施形態において、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーは、
(A)アルキレンオキシドモノマーとしてエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドの重合により入手可能である55~75重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のコポリマー主鎖(A)であって、主鎖のアルキレンオキシドモノマー分布がランダムな順序であり、コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、1200~2500の範囲内であり、ポリマー主鎖(A)のEOの相対量が、20~80%(ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)である、コポリマー主鎖(A)と、
(B)本質的にモノマー(B2)は使用されずに、唯一のビニルエステルモノマー(B1)として酢酸ビニルから得られる、コポリマー主鎖にグラフトされた25~45重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のポリマー側鎖と、を含む。
【0045】
本発明のグラフトポリマーは、ビニルエステルから、例えば、酢酸ビニルのみが使用される場合はポリ酢酸ビニルから、並びに/又は更なるモノマーが使用される場合は、ビニルエステルと他のモノマーとのホモ-及びコポリマーから形成されている、一定量のグラフトされなかったポリマー(「グラフトされなかった側鎖」)を含み得る。このようなグラフトされなかった酢酸ビニルホモ-及びコポリマーの量は、反応条件に応じて高くも低くもなり得るが、低下させること、したがって低いことが好ましい。こうして低下させることにより、グラフトされる側鎖の量が好ましくは増加する。このような低下は、好適な反応条件、例えば、ビニルエステル及びラジカル開始剤の投入量並びにこれらの相対的な量に加えて存在する主鎖に対する量により達成することができる。これは本分野の当業者に一般に知られている。
【0046】
本発明のグラフトポリマーは、そのグラフト化度(コポリマー主鎖(A)上にポリマー側鎖(B)がグラフト化した部位の数)により特徴付けることができる。グラフト化度は、反応条件に応じて高くも低くもなり得る。好ましくは、グラフト化度は、低~中、より好ましくは低である。本態様における「低」は、統計的には、50個のアルキレンオキシド単位当たり2個未満のグラフト部位が存在することを意味する。
【0047】
グラフト化度及びグラフトされないポリマーの量の調整は、対象とする具体的な分野における性能、例えば、特定の(例えば、洗剤)配合物、適用分野又は洗浄などの所望の性能を最適化するために行うことができる。
【0048】
本発明の別の-好ましくない-実施形態において、本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)は、グラフトポリマー自体が得られた後、完全に又は-より好ましくは-少なくとも部分的に加水分解される。これは、グラフトポリマーのポリマー側鎖(B)の完全な又は少なくとも部分的な加水分解が、ポリマー側鎖(B)の重合プロセスが完了した後に実施されることを意味する。
【0049】
本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)の完全な又は少なくとも部分的な加水分解によって、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)に由来するそれぞれの側鎖単位は、ポリマー側鎖(B)内でそれぞれのエステル官能基からアルコール官能基に変化する。対応するビニルアルコールは、安定性の観点から、ポリマー側鎖(B)の重合プロセス内でモノマーとして使用するのには適していないことに注意しなければならない。本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)内にアルコール官能基(ヒドロキシ置換基)を得るには、典型的には側鎖のエステル官能基を加水分解することによってアルコール官能基を導入する。
【0050】
理論的観点から、ポリマー側鎖(B)の各エステル官能基はアルコール官能基(ヒドロキシ基)で置換され得る。このような場合、ポリマー側鎖は、完全に加水分解(「けん化」)されている。
【0051】
加水分解は当業者には公知の任意の方法によって行うことができる。例えば、加水分解は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの好適な塩基を添加することによって誘導することができる。
【0052】
しかしながら、本発明のこの本実施形態において、ポリマー側鎖(B)の加水分解は部分的にのみにしか行われず、例えば(ポリマー側鎖の総重量に対して)最大20重量%、40重量%、又は60重量%程度までしか行われないことが好ましい。この実施形態において、ポリマー側鎖(B)は、重合後に完全に又は部分的に加水分解され、好ましくは重合内で使用される少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)の量に対して最大50%程度まで加水分解されることが更により好ましい。
【0053】
しかしながら、本発明の最も好ましい実施形態において、ポリマー側鎖(B)は、重合後に加水分解されない。
【0054】
本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーにおいて、ポリマー側鎖(B)を得るためのそれぞれの重合プロセス内で、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)に関連して上に定義される通りのもの及び任意選択的に存在する更なるモノマー(B2)以外に、他のモノマーが用いられないことが好ましい。しかしながら、(B1)に従うモノマー及び任意選択的に(B2)以外に何らかの更なる高分子モノマーが存在する場合、このようなモノマー(B1及びB2以外)は、ポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーの総量の1%未満の量で存在する。好ましくは、上記の追加のモノマーの量は、0.5重量%未満、更により好ましくは0.01重量%未満であり、最も好ましくは、モノマー(B1)及び任意選択的に(B2)以外の追加のモノマーは全く存在しない。
【0055】
それらの更なる好ましい実施形態において、モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満であり;また、更により好ましくは、モノマー(B2)は、ポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーの総量の1%未満の量で存在する。更により好ましくは、モノマー(B2)の量は、0.5重量%未満、更により好ましくは0.01重量%未満、最も好ましくは、モノマー(B1)以外にモノマー(B2)は本質的に存在しない。
【0056】
モノマー(B2)は、原則として、ビニルエステル-モノマー(B1)と重合可能なモノマーである。本発明において、酸官能基を含むモノマーは使用されないことが特に好ましい。特に、本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニル-酢酸、又はアクリロキシ-プロピオン酸などの任意の酸官能性モノマーを含まない。
【0057】
本発明のポリマーは、本発明が標的とする様々な応用分野にうまく使用されるように、以下に示す特性の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上を有する:
a)OECD301F(測定方法は実験セクションも参照)に基づいて試験された場合、28日以内に、少なくとも30、好ましくは少なくとも35、更により好ましくは少なくとも40%であるグラフトポリマーの生分解性であるような、特定のレベルの生分解性。
b)本発明が一般に標的とする適用分野に通常存在する水性環境中でポリマーを使用することができるような、ポリマーのある程度の水溶性。好ましくは、本発明のポリマーは、このような分野において様々な配合物に典型的に使用されている水性配合物、例えば、食器洗い、自動食器洗い、硬質表面の清掃、布地の洗浄、布地ケア、化粧品配合物などの環境中で、中程度から良好な溶解性、より好ましくは非常に良好な溶解性を示すことが必要である。
c)ポリマー溶液の粘度は、任意選択的には、適度に高い固体ポリマー濃度で、製造中及び製造後に取り扱いができ、且つ使用者に提供できるものであることが必要であり、これは例えば、溶媒、典型的には、水及び有機溶媒を含む水溶液、水のみ、又は有機溶媒のみに溶解された「純粋な」(その場合、通常は液体である)製品とすることができ、そのようなポリマー又はポリマー溶液の粘度は、通常の技術的プロセスステップ、例えば、流し込み、ポンプ送液、計量供給(dosing)などを可能にする範囲にある。したがって、粘度は、ポリマー含有量(溶液中のポリマーの総固体含有量を基準とし、これは、ポリマー溶液の総重量に含まれる乾燥ポリマーの重量パーセントで定義される)が、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20、更に好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60、70、80重量%又は90重量%であってさえも、好ましくは約4000mPas未満まで、より好ましくは最大3500mPas、更に好ましくは最大3000mPas、例えば、最大4500、3750、3250、2750又はそれどころか最大2600又はそれよりも低い、例えば、2500、2000、1750、1500、1250、1000、750、500、250、200、150又は100mPasの範囲にあることが必要である。粘度は25℃又は高温のいずれか、例えば、50℃の温度又は60℃でさえ測定することができる。それにより、ポリマー溶液を商業規模で適切に取り扱うことが可能になる。言うまでもなく、添加される溶媒の量に応じて、溶媒の量が増加すると粘度は低下し、その逆も同様であることは明らかであり、したがって、所望に応じて調整することが可能になる。測定される粘度が測定温度に依存することも明白であり、例えば、所与の固体含有量を有する、例えば、80重量%の所与のポリマーの粘度は、より低い温度で測定するとより高くなり、より高い温度で測定するとより低くなるであろう。好ましい実施形態において、溶媒を追加していない調製したままのポリマーの固体含有量は、70~99重量%の間、より好ましくは75~85重量%の間にある。より好ましい実施形態において、溶媒を追加していない調製したままのポリマーの固体含有量は、70~99重量%の間、より好ましくは75~95重量%の間にあり、60℃で測定された場合に、3000mPas未満、より好ましくは3250mPas未満、又は更に2750、2600、2500、2000、1750、1500、1250、1000、750、500、若しくは更に250mPasを下回る。粘度は、そのようなポリマーについて一般に知られているように、好ましくは以下の実験部分で説明するように測定することができる。
【0058】
これらの要件を達成するために、本発明のポリマーのこうした特性をどのように達成するかについて、以下の指針を示すことができる:
生分解性は、概して、以下に示す条件の少なくとも1つと共に高くなる:
・ ランダムコポリマー主鎖(A)の分子量Mnが、より高い分子量と比較して、より低い;
・ 主鎖にグラフトされるポリマー側鎖(モノマーB)の重量百分率が、より高い重量百分率と比較して、より低い。
【0059】
言うまでもなく、更なる基準として、特定のポリマーの個々の性能を評価し、それにより、特定の適用分野の個々の配合物毎に等級付けを行う必要がある。本発明のポリマーは多岐にわたる有用性を示すため、網羅的な概説を行うことはできないが、本出願及び実施例には、所望の特性を有する有用なポリマーを調製及び選択する方法並びに所望の要求に合わせて特性を調整する方法に関する指針を示す。ホームケア及び特に布地ケアの分野に用いられるこのような基準の一つは、言うまでもなく、洗浄における性能、例えば、特定の物質のシミを有する特定の素材を規定の洗浄手順に付すことである。
【0060】
実施例においては、布地の洗浄、すなわち、一般的な布地ケアの分野に適用するための幾つかの指針を示す。
【0061】
定められた生分解度、水溶性及び粘度(すなわち、取扱い性)を有するポリマーに対する個々の要求に応じて、そのようなポリマーがどのようにして得られるかが、本明細書における一般的及び具体的な教示によって導かれることになるが、提示した特定の実施例に限定することは意図されていない。
【0062】
グラフトポリマーの性能は、曇り点が適用の温度とほぼ同じである場合に優れていると考えられている。低温洗浄が増加傾向にあるため、そのような用途には曇り点の低いグラフトポリマーが好まれる可能性がある。これは、すすぎの際の利点に特に当てはまると考えられる。
【0063】
プロセス
本発明の別の主題は、先に記載した本発明のグラフトポリマーを調製するためのプロセスである。本発明による少なくとも1種のグラフトポリマーを得るための本プロセスにおいて、少なくとも1種のモノマー(B1)及び任意選択的に更なるモノマー(B2)を、少なくとも1種のコポリマー主鎖(A)の存在下で重合させる。
【0064】
コポリマー主鎖などのポリマー主鎖がポリマー側鎖によってグラフトされるグラフトプロセス自体は、当業者に知られていることに留意されたい。これに関連する当業者に知られている任意のプロセスを、本発明に採用することができる。
【0065】
本発明のプロセスにおいて、ポリマー側鎖(B)は、好ましくはラジカル重合により得られる。
【0066】
ラジカル重合自体も当業者に知られている。当業者はまた、本発明のプロセスをラジカル形成性開始剤(C)及び/又は少なくとも1種の溶媒(D)の存在下に実施できることを理解している。当業者は各構成成分自体も理解している。
【0067】
本発明に関連して使用される「ラジカル重合」は、フリーラジカル重合以外に、精密ラジカル重合などのその変形も含む。好適な制御機構は、RAFT、NMP又はATRPであり、これらはそれぞれ、好適な制御剤と共に当業者に知られている。
【0068】
好ましい実施形態において、本発明の及び/又は前に詳述したようなグラフトポリマーを生成するためのプロセスは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の更なるモノマー(B2)とを、少なくとも1種のコポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的に(B2)、(C)、及び(D)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的なモノマー(B2)及び開始剤(C)の割合が、コポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含む。
【0069】
((フリー)ラジカル形成性)開始剤(C)の量は、各場合におけるポリマー側鎖(B)を基準として、好ましくは、0.1~5重量%、特に0.3~3.5重量%である。
【0070】
本発明によるプロセスの場合、好ましくは、平均重合温度で存在するラジカルの定常状態濃度は実質的に一定であり、グラフトモノマー(B1)又は(B2)は、反応混合物中に、常時低濃度(例えば、合計で5重量%以下)でしか存在しない。それにより、反応を制御することが可能になり、グラフトポリマーを、制御された方法で所望の低多分散度で調製することができる。
【0071】
ただし、安全な温度制御を確保するには-特に重合を大量に開始する場合、及び/又は最初から大量のモノマーが存在する場合には-追加の効果的な温度制御手段を使用することが賢明であり、したがって好ましいことである。これは、外部又は内部冷却によって実施することができ;このような冷却は、熱交換器などの内部及び/若しくは外部冷却器によるか、並びに/又は溶媒若しくは溶媒混合物の沸点で操作を行う場合は還流冷却器を使用して実施することができる。
【0072】
もちろん、モノマーが長期間にわたって添加され、従って反応体積中のモノマー濃度が時間の経過とともに常に低い、前述の好ましい実施形態にも同じ手段を使用することができる。
【0073】
しかしながら、このような条件下では、温度は、ラジカル濃度及び重合性モノマーの利用可能な量を制御することによる重合反応の進行によっても少なくとも部分的に制御されるため、通常、温度制御は重要な点ではない。もちろん、重合反応のスケールに応じて、スケールが十分に大きくなり、重合混合物の体積と表面の比率が非常に大きくなる場合、前述のような追加の冷却は、開始時から大量のモノマーが存在するバッチ反応若しくはバルク反応、又は典型的には常に低いモノマー濃度での半連続若しくは連続重合反応の両方の変形で必要になる場合がある。
【0074】
しかしながら、これは、商業規模の重合を行う当業者に一般に知られており、したがって、要求に適合させることが可能である。
【0075】
「平均重合温度」という用語は、本明細書においては、プロセスが実質的に等温であるが、反応の発熱性により温度変動があり得、好ましくは+/-10℃の範囲内、より好ましくは+/-5℃の範囲内に維持されることを意味することを意図している。
【0076】
本発明によれば、平均重合温度における(ラジカル形成性)開始剤(C)の分解半減期は、40~500分、好ましくは50~400分、より好ましくは60~300分とすることが必要である。
【0077】
本発明によれば、開始剤(C)並びにグラフトモノマー(B2)及び/又は(B2)は、有利には、未分解の開始剤並びにグラフトモノマー(B1)及び/又は(B2)が反応混合物中に実質的に一定の低い濃度で存在するように添加される。反応混合物全体における未分解の開始剤の割合は、モノマー添加時に計量添加された開始剤の総量を基準として、好ましくは≦15重量%、特に≦10重量%である。
【0078】
より好ましい実施形態において、プロセスは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)とを、少なくとも1種のポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的な(B2)及び(C)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的な(B2)及び開始剤(C)の割合が、ポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含み、好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは少なくとも90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、-(B2)が存在する場合-任意選択的なモノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満であり、また、更により好ましくは、モノマー(B2)が、ポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーの総量の重量で1%未満、より好ましくは0.5%未満、更により好ましくは0.01%未満の量で存在する。
【0079】
更により好ましい実施形態において、モノマー(B1)以外は、モノマー(B2)は本質的に使用されない。
【0080】
平均重合温度は、適切には50~140℃の範囲、好ましくは60~120℃の範囲、より好ましくは65~110℃の範囲にある。
【0081】
50~140℃の温度範囲における分解半減期が20~500分である好適な開始剤(C)の例を以下に示す:
- tert-C4~C12-アルキルヒドロペルオキシド及びtert-(C9~C12-アラルキル)ヒドロペルオキシド、例えば、過酢酸tert-ブチル、モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-ブチル、ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルオキシネオデカン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸1,1,3,3-テトラメチルブチル、ペルオキシネオデカン酸クミル、ペルオキシ安息香酸tert-ブチル、ペルオキシ安息香酸tert-アミル及びジペルオキシフタル酸ジ-tert-ブチルのO-C2~C12-アシル化誘導体;
- tert-C8~C14-アルキレンビスペルオキシド、例えば、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン及び1,3-ジ(2-ネオデカノイルペルオキシイソプロピル)ベンゼンのジ-O-C4~C12-アシル化誘導体;
- ジ(C2~C12-アルカノイル)及びジベンゾイルペルオキシド、例えば、ジアセチルペルオキシド、ジプロピオニルペルオキシド、ジコハク酸ペルオキシド、ジカプリロイルペルオキシド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(4-クロロベンゾイル)ペルオキシド及びジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド;
- ペルオキシ(C4~C12-アルキル)炭酸tert-C4~C5-アルキル、例えば、ペルオキシ(2-エチルヘキシル)炭酸tert-アミル;
- ペルオキシ二炭酸ジ(C2~C12-アルキル)、例えば、ペルオキシ二炭酸ジ(n-ブチル)及びペルオキシ二炭酸ジ(2-エチルヘキシル)。
【0082】
平均重合温度に応じた、特に好適な開始剤(C)の例は以下の通りである:
- 平均重合温度50~60℃:
ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシネオデカン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸tert-アミル、ペルオキシネオデカン酸1,1,3,3-テトラメチルブチル、ペルオキシネオデカン酸クミル、1,3-ジ(2-ネオデカノイルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ペルオキシジ炭酸ジ(n-ブチル)及びペルオキシジ炭酸ジ(2-エチルヘキシル);
- 平均重合温度60~70℃:
ペルオキシピバル酸tert-ブチル、ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシネオデカン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル及びジ(2、4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド;
- 平均重合温度70~80℃:
ペルオキシピバル酸tert-ブチル、ペルオキシネオヘプタン酸tert-ブチル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、過酸化ジプロピオニル、過酸化ジカプリロイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン;
- 平均重合温度80~90℃:
ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-アミル、過酸化ジプロピオニル、過酸化ジカプリロイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウロイル、過酸化ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)、過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジ(4-メチルベンゾイル);
- 平均重合温度90~100℃:
ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-アミル、過酸化ジベンゾイル及び過酸化ジ(4-メチルベンゾイル);
- 平均重合温度100~110℃:
モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシイソ酪酸tert-ブチル及びペルオキシ(2-エチルヘキシル)炭酸tert-アミル;
- 平均重合温度110~120℃:
モノペルオキシマレイン酸tert-ブチル、ペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサン酸tert-ブチル及びペルオキシ(2-エチルヘキシル)炭酸tert-アミル。
【0083】
好ましい開始剤(C)は、tert-C4~C5-アルキルヒドロペルオキシドのO-C4~C12-アシル化誘導体、特に好ましくはペルオキシピバル酸tert-ブチル及びペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチルである。
【0084】
特に有利な重合条件は、開始剤(C)及び重合温度を正確に調整することによって容易に設定することができる。例えば、ペルオキシピバル酸tert-ブチルを使用した場合の好ましい平均重合温度は60~80℃であり、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチルの場合は80~100℃である。
【0085】
本発明の重合反応は、好ましくは少量の溶媒(D)の存在下で行うことができ、溶媒(D)は有機溶媒及び/又は水であり得る。当然のことながら、異なる溶媒(D)の混合物を使用することも可能である。水溶性又は水混和性溶媒を使用することが好ましい。
【0086】
溶媒(D)が希釈剤として使用される場合は、概して、各場合における構成成分(A)、(B1)、任意選択的に(B2)及び(C)の総和を基準として、1~40重量%、好ましくは1~35重量%、より好ましくは1.5~30重量%、最も好ましくは2~25重量%で使用される。
【0087】
好適な溶媒(D)の例としては、以下に示すものが挙げられる:
- 一価アルコール、好ましくは脂肪族C1~C16-アルコール、より好ましくは脂肪族C2~C12-アルコール、最も好ましくはC2~C4-アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec-ブタノール及びtert-ブタノール;
- 多価アルコール、好ましくはC2~C10-ジオール、より好ましくはC2~C6-ジオール、最も好ましくはC2~C4-アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール及び1,3-プロピレングリコール;
- アルキレングリコールエーテル、好ましくは、アルキレングリコールモノ(C1~C12-アルキル)エーテル及びアルキレングリコールジ(C1~C6-アルキル)エーテル、より好ましくは、アルキレングリコールモノ-及びジ(C1~C2-アルキル)エーテル、最も好ましくは、アルキレングリコールモノ(C1~C2-アルキル)エーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル及び-エチルエーテル並びにプロピレングリコールモノメチル及び-エチルエーテル;
- ポリアルキレングリコール、好ましくは2~20個のC2~C4-アルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C4-アルキレン)グリコール、より好ましくは2~20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール及び2~10個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、最も好ましくは2~15個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール及び2~4個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール;
- ポリアルキレングリコールモノエーテル、好ましくは2~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C4-アルキレン)グリコールモノ(C1~C25-アルキル)エーテル、より好ましくは2~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C4-アルキレン)グリコールモノ(C1~C20-アルキル)エーテル、最も好ましくは3~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C3-アルキレン)グリコールモノ(C1~C16-アルキル)エーテル;
- カルボン酸エステル、好ましくはC1~C6-カルボン酸のC1~C8-アルキルエステル、より好ましくはC1~C3-カルボン酸のC1~C4-アルキルエステル、最も好ましくはC2~C3-カルボン酸のC2~C4-アルキルエステル、例えば、酢酸エチル及びプロピオン酸エチル;
- 好ましくは3~10個の炭素原子を有する脂肪族ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びシクロヘキサノン;
- 環状エーテル、特にテトラヒドロフラン;
- 水。
【0088】
溶媒(D)は、有利には、本発明のグラフトポリマーを(例えば、洗い及び洗浄組成物用として)配合する際にも使用される溶媒であり、したがって、重合生成物中に残留してもよい。
【0089】
このような溶媒の好ましい例は、2~15個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、2~6個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、特にC6~C8-アルコールのアルコキシ化生成物(アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)である。
【0090】
本明細書においては、分枝度の高いC8~C16-アルコールのアルコキシ化生成物が特に好ましく、それにより、40~70℃で自由流動性を有し、ポリマー含有量が非常に低いポリマー混合物を、比較的低い粘度で配合することが可能になる。アルコールのアルキル鎖中及び/又はポリアルコキシレート部分(少なくとも1種のプロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はイソブチレンオキシド単位を共重合させたもの)内に分枝が存在してもよい。このようなアルコキシ化生成物の特に好適な例は、1~15molのエチレンオキシドでアルコキシ化された2-エチルヘキサノール又は2-プロピルヘプタノール、1~15molのエチレンオキシド及び1~3molのプロピレンオキシドでアルコキシ化されたC13/C15オキソアルコール又はC12/C14若しくはC16/C18脂肪アルコールであり、1~15molのエチレンオキシド及び1~3molのプロピレンオキシドでアルコキシ化された2-プロピルヘプタノールが好ましい。
【0091】
代替的実施形態において、重合は、少なくとも1種の有機溶媒及び水の混合物を使用して実施される。
【0092】
更なる代替的実施形態において、重合は、溶媒(D)として水を使用して実施される。
【0093】
ラジカル開始剤(C)は、好ましくは、上に述べた溶媒のうちの1種の高濃度溶液の形態で使用される。言うまでもなく、濃度はラジカル開始剤の溶解度に依存する。この濃度は、重合反応に導入される有機溶媒を可能な限り少なくできるように、可能な限り高くすることが好ましい。開始剤が水溶性であるために開始剤を導入するための溶媒として水が使用される場合、水の残留レベルの観点からは、濃度は重要ではない。
【0094】
好ましい実施形態において、水の量は低く、総溶媒に基づいて、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1%未満である。
【0095】
本発明によるプロセスにおいて、ランダムコポリマー主鎖(A)、グラフトモノマー(B1)及び適切であれば(B2)、開始剤(C)及び適切であれば溶媒(D)は、通常、反応器内で選択された平均重合温度に加熱される。
【0096】
本発明によれば、重合は、反応器内に常時過剰のポリマー(ランダムコポリマー主鎖(A)及び形成されたグラフトポリマー(B))が存在するように実施される。ポリマー対グラフトされていないモノマー及び開始剤の定量的な比は、概して≧10:1、好ましくは≧15:1、より好ましくは≧20:1である。
【0097】
本発明による重合プロセスは、原則として様々な種類の反応器で実施することができる。
【0098】
使用される反応器は、好ましくは撹拌槽であり、ここに最初にランダムコポリマー主鎖(A)の全部又は一部が、適切であればグラフトモノマー(B1)又は(B2)、開始剤(C)並びに溶媒(D)の一部、概して、具体的な総量の15重量%までと一緒に投入され、重合温度に加熱され、(B)、(C)及び適切であれば(D)の残量が、好ましくは別々に計量添加される。(B)、(C)及び適切であれば(D)の残量は、好ましくは≧2時間、より好ましくは≧4時間、最も好ましくは≧5時間の期間をかけて計量添加される。
【0099】
特に好ましい、その変形形態である実質的に無溶媒のプロセスにおいては、ランダムコポリマー主鎖(A)の全量が最初に溶融物として投入され、グラフトモノマー(B1)及び適切であれば(B2)と、これに加えて、好ましくは溶媒(D)の1種の10~50重量%溶液の形態で存在する開始剤(C)とが計量添加され、温度は、選択された平均重合温度が、重合中、とりわけ+/-10℃の範囲、特に+/-5℃の範囲内に維持されるように制御される。
【0100】
更なる特に好ましい変形形態である低溶媒プロセスにおける手順は、反応混合物の粘度を制限するために重合時に溶媒(D)が計量添加されることを除いて、上に述べた通りである。重合が進行した後段の時点で初めて溶媒の計量添加を開始することも、又は少量ずつ添加することも可能である。
【0101】
重合は、標準圧力又は減圧若しくは高圧下に影響を受けることができる。選択された圧力において、使用されるモノマー(B1)若しくは(B2)又は任意の希釈剤(D)の沸点を超えている場合、重合は還流冷却しながら実施される。
【0102】
本重合反応の後に後重合プロセスステップを追加することができる。そのために、更なる量の開始剤(溶媒中に溶解されている)を0.5時間超且つ典型的には最長3時間、好ましくは約1~2時間、より好ましくは約1時間(ただし、その期間は反応器の規模にも依存する)の期間にわたり添加することができ、ラジカル開始剤及びその開始剤用の溶媒は、典型的には、且つ好ましくは、本重合反応の溶媒と同一である。言うまでもなく、異なるラジカル開始剤及び/又は異なる溶媒を使用することもできる。
【0103】
後重合プロセスステップの温度は、本重合反応と同じであってもよいし(本発明においてはこれが好ましい)、又は上昇させてもよい。上昇させる場合は、通常、約5~40℃、好ましくは10~20℃高くすることができる。
【0104】
後重合と本重合との間に一定の期間を置いて、本重合反応を進行させたままにし、その後、更なるラジカル開始剤の添加を開始することにより後重合反応を開始させることができる。
【0105】
大気圧下における沸点が約110~120℃未満の溶媒の場合、このような溶媒は、-精製ステップとして-高温若しくは真空蒸留又は蒸気若しくは窒素などの気体によるストリッピング、例えば水蒸気によるストリッピングにより、全て常圧で又は減圧下で、好ましくは真空蒸留により、部分的に又は基本的に完全に除去することができ、一方、沸点がより高い溶媒は、通常、得られたポリマー生成物中に留まることになる。メルカプトエタノールを連鎖移動調整剤として使用する場合、水蒸気蒸留が好ましい精製ステップである。従って、1-メトキシ-2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、及びトリプロピレングリコールのような高沸点溶媒は、ラジカル開始剤を導入するためだけにそのような溶媒を使用する場合は、ラジカル開始剤をできるだけ高濃度で使用することにより、ラジカル開始剤の量を可能な限り最小限に抑える必要があり、このような溶媒が配合物の一部を形成しない限り、グラフトポリマーはその中で使用されることになる。
【0106】
本発明のグラフトポリマー、即ち、プロセスから得られるポリマー溶液は、濃縮又は乾燥の手段を施すこともできる。
【0107】
得られたグラフトポリマー溶液は、溶媒の一部を除去して固体ポリマー濃度を増加させることによって濃縮することができる。これは、高温又は真空蒸留などの蒸留プロセスを所望の固体含有量に達するまで実施することにより達成することができる。このようなプロセスは、上に開示されたような精製ステップと組み合わせることができ、その場合は、得られたグラフトポリマー溶液から所望の量の溶媒を除去することによって、揮発性溶媒及び/又は未反応の揮発性モノマーなどの揮発性構成成分の一部又は全部を除去することにより、精製される。
【0108】
本重合及び/又は任意選択的な後重合ステップ並びに任意選択的な精製ステップの後に、グラフトポリマー溶液を、揮発性物質を部分的又は完全に除去する手段、例えば、回転ドラム乾燥(roller-drum drying)、噴霧乾燥、真空乾燥又は凍結乾燥、好ましくは、主にコスト面の理由から、噴霧乾燥などの乾燥などに付すことにより、グラフトポリマー溶液を更に濃縮又は乾燥させることもできる。このような乾燥プロセスはまた、凝集若しくは顆粒化プロセス、例えば、噴霧凝集(spray-agglomeration)又は流動床乾燥機などによる乾燥と組み合わせることもできる。
【0109】
使用
原則として、本発明のグラフトポリマーは、同一又は非常に類似した組成を有する(ポリマー主鎖及びグラフトされたモノマーの量という点で、特に、グラフトされたモノマーの種類及び量が、類似しているか又は同等である)従来のグラフトポリマーと置き換えて、任意の用途に使用することができる。このような用途は、例えば:
化粧料、パーソナルケア:このような組成物及び配合物としては、シャンプー、ローション、ジェル、スプレー、石鹸、メークアップ用パウダー、口紅、ヘアスプレーが挙げられる。
【0110】
技術的用途:このような組成物及び配合物としては、任意の種類の接着剤、非水系及び好ましくは水系の液体配合物又は固形配合物、典型的には固体又は液体を他の液体又は固体中に分散させることが必要とされる、油田用途や自動車用途などにおける任意の種類の分散物中の分散剤としての使用が挙げられる。
【0111】
ラッカー、塗料及び着色剤配合物:このような組成物及び配合物としては、非水系及び好ましくは水系のラッカー並びに着色剤、塗料、仕上げ剤が挙げられる。
【0112】
農業用配合物:このような組成物及び配合物としては、液体又は固体環境中に農芸化学的活性物質を含む配合物及び組成物が挙げられる。
【0113】
香料配合物:このような組成物及び配合物としては、液体又は固体組成物中に、例えば、その香りのプロファイルを長時間にわたり維持するために、香料が均一に分散するように及び/又はその安定性が保持されるように溶解又は分散させる配合物が挙げられ;香料を経時的に放出する組成物、例えば、長時間放出する又は遅れて放出する配合物も包含される。
【0114】
したがって、本発明の別の主題は、本発明の並びに/又は本発明の及び/若しくは前に詳述したようなプロセスにより得られる若しくは入手可能なグラフトポリマーの、布地ケア及びホームケア製品中における使用、化粧用及びパーソナルケア配合物中における使用、原油用エマルジョンブレーカーとしての使用、インクジェットインク用顔料分散体などの技術用途における使用、電気メッキ用配合物中における使用、セメント系組成物中における使用、農芸化学的配合物中における、例えば、分散剤、結晶成長抑制剤及び/又は可溶化剤としての使用、ラッカー及び着色剤配合物中における使用、好ましくは、農芸化学的組成物及び洗浄組成物並びに布地ケア及びホームケア製品中における使用、特に、油性及び脂肪性汚れの除去を向上するための、粘土などの固体汚れを除去するための、布地表面の黒ずみ汚れを防止するための、並びに/又はスケール防止剤のための、好ましくは、洗濯用洗剤配合物及び/又は食器洗い洗剤配合物であり、より好ましくは液体洗濯用洗剤配合物及び/又は液体食器手洗い洗剤配合物である、洗浄組成物中における使用、或いは、特に、農芸化学的組成物中に、分散剤、結晶成長抑制剤及び/又は可溶化剤として使用するための使用にある。
【0115】
したがって本発明の別の主題は、また、上に定義した又は本発明の及び/若しくは前に詳述したようなプロセスにより得られる若しくは入手可能な少なくとも1種のグラフトポリマーを含む、洗浄組成物、布地ケア及びホームケア製品、業務用及び企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインク用顔料分散体及びグラフトポリマーを含有するインク、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー又は塗料並びに農芸化学的配合物用分散剤、好ましくは、洗濯用洗剤、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品である。
【0116】
本発明の更なる主題は、布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、農芸化学的配合物、好ましくは洗濯用洗剤、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品であり、各々、本発明の及び/又は上記で記載の少なくとも1種のグラフトポリマーを含有する。
【0117】
洗濯用洗剤、洗浄組成物並びに/又は布帛及び家庭の手入れ用製品自体は当業者に知られている。それぞれの用途に関連する、当業者に公知の任意の組成物などを、本発明に関連して使用することができる。
【0118】
好ましい実施形態において、これは、上に定義した少なくとも1種のグラフトポリマーを含む洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア製品並びに/又は業務用及び企業用洗浄製品である。特に、これは、例えば、汚れの再付着及びシミの除去に関する洗浄性能及び再付着防止性能の向上のための、特に皮脂及び食べ物及び/又は粘土などの粒子汚れの脂を覆った油汚れなどのシミ除去のための、洗浄組成物、好ましくは洗濯用洗剤配合物及び/又は食器手洗い洗剤配合物、より好ましくは液体洗濯用洗剤配合物及び/又は液体食器手洗い洗剤配合物であり、油性及び脂肪性のシミの除去の洗浄/一次洗いの向上のための、より好ましくは皮脂及び食べ物油及び/又は粘土などの粒子汚れを覆った油汚れなどのシミ除去のための、好ましくは洗浄組成物、より好ましくは洗濯用洗剤配合物及び/又は食器手洗い洗剤配合物、最も好ましくは液体洗濯用洗剤配合物及び/又は液体食器手洗い洗剤配合物である。
【0119】
具体的には、本発明のグラフトポリマーは、界面活性剤による繊維製品又は硬質表面からの、様々な疎水性及び親水性汚れ、例えば体の汚れ、食べ物及び油汚れ、粘土又はカーボンブラックなどの粒子汚れ、草の汚れ、化粧品、モーターオイルなどの除去を助け、従って、配合物の洗い及び洗浄性能を向上させる(「洗浄性能の向上」)。
【0120】
また、本発明のグラフトポリマーは、除去された汚れを洗浄又は清掃液中により良好に分散させ、被洗浄又は被清掃材料表面の再付着を防ぐ(「再付着防止性能」)。本明細書において、除去された汚れには、洗濯プロセス中に存在する全ての典型的な汚れ、例えば、体の汚れ、食べ物及び油汚れ、粘土又はカーボンブラックなどの粒子汚れ、草の汚れ、化粧品、モーターオイルなどが含まれる。このような再付着防止効果は、コットン、ポリコットン、ポリエステル、ポリエーテル/ポリ尿素のコポリマー(Spandex(商標))などを含む、様々な布地タイプで観察することができる。加えて、このような再付着防止効果は、また、布地増強剤を使用したことのある布地や、布地増強剤又はフレッシュネスビーズ若しくは漂白剤などの他の洗濯用添加剤の存在下で布地洗いを実施する場合にも効果的である。
【0121】
一実施形態において、本発明において同じく好ましくは、洗浄組成物は更に(上に定義した少なくとも1種のグラフトポリマー以外に)、少なくとも1種の、好ましくは、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、キシラナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ディスパーシン、ペクチナーゼ、オキシドレダクターゼ、クチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼのうちの1種以上、より好ましくは上に述べた種類のうちの少なくとも2種から選択される、酵素を含む。
【0122】
したがって、本発明の別の主題は、上に定義した少なくとも1種のグラフトポリマーを含む布地ケア及びホームケア製品並びに業務用及び企業用(I&I)洗浄製品などの洗浄組成物、特に、前に詳述したような洗浄性能及び再付着防止性能の向上のための洗浄組成物である。
【0123】
本明細書に記載する少なくとも1種のグラフトポリマーは、上記本発明の洗浄組成物中に、このような組成物又は製品の総重量に対して約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の範囲の量で存在し、このような洗浄組成物は、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含んでいてもよく、好ましくはこれを更に含む。
【0124】
好ましくは、こうした本発明の洗浄組成物は、布地ケア及びホームケア製品又は業務用及び企業用(I&I)洗浄製品、好ましくは、布地ケア及びホームケア製品、より好ましくは、少なくとも1種の本発明のポリマーを含み、任意選択的に少なくとも1種の界面活性剤又は界面活性剤系を更に含み、汚れの除去、分散及び/若しくは乳化を向上させ、並びに/又は被処理面を改質する及び/若しくは被処理面の白度を維持する、洗濯用洗剤又は食器手洗い洗剤である。
【0125】
更により好ましくは、本発明の洗浄組成物は、少なくとも1種の本発明のグラフトポリマーを含み、任意選択的に少なくとも1種の界面活性剤又は界面活性剤系を更に含み、-全て前に詳述したとおり-洗濯及び食器手洗い用途の中でも洗浄性能及び再付着防止性能の向上を示し、更により具体的には、洗濯用途、最も好ましくは洗濯用洗剤における洗浄性能及び再付着防止性能の向上を目的とするものであり、これらは更に、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ及びペルオキシダーゼ並びに上述の種類の酵素うち少なくとも2種の組み合わせからなる一覧から選択される少なくとも1種の酵素を含み得る。
【0126】
本発明の一実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、好ましくは洗濯物のケアにおける、洗浄及び再付着防止の向上並びに/又は更に、白度維持のために用いることができる。他の好ましい実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、布地の黒ずみ汚れを低減するため(黒ずみ汚れ防止)、好ましくは洗濯用途に使用することができる。
【0127】
1つの好ましい実施形態において、本発明の洗浄組成物は、液体又は固体洗濯用洗剤組成物である。
【0128】
別の好ましい実施形態において、本発明の洗浄組成物は、食器手洗い又は自動洗い用の液体又は固体(例えば、粉末又は錠剤/単位用量)洗剤組成物、好ましくは液体食器手洗い洗剤組成物である。このような組成物は、当業者に公知である。
【0129】
他の実施形態において、本発明の洗浄組成物は、硬質木材、タイル、セラミック、プラスチック、皮革、金属、ガラスなどの様々な表面の洗浄に使用することができる硬質表面洗浄組成物である。
【0130】
他の実施形態において、洗浄組成物は、シャンプー組成物、身体洗浄料、液体又は固形石鹸などの化粧品、パーソナルケア及びペットケア用組成物に使用されるように設計されている。
【0131】
一実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、界面活性剤主剤としてのC10~C15アルキルベンゼンスルホネート(LAS)と、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性若しくは他のアニオン性界面活性剤又はこれらの混合物から選択される1種以上の追加の界面活性剤とを含む界面活性剤系を含む、洗浄組成物に利用することができる。
【0132】
更なる実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、界面活性剤主剤としての1~5個のエトキシ単位を含むC8~C18直鎖又は分枝アルキルエーテルサルフェートと、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性若しくは他のアニオン性界面活性剤又はこれらの混合物から選択される1種以上の追加の界面活性剤とを含む、任意の種類の洗濯用洗剤などの洗浄組成物に利用することができる。
【0133】
更なる実施形態において、本発明のグラフトポリマーは、界面活性剤主剤としての5~10個のエトキシ単位を含むC12~C18アルキルエトキシレート界面活性剤と、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性若しくは他の非イオン性界面活性剤又はこれらの混合物から選択される1種以上の追加の界面活性剤と、を含む、任意の種類の洗濯用洗剤などの洗浄組成物に利用することができる。
【0134】
本発明の一実施形態において、グラフトポリマーは、それぞれが少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を更に含む、好ましくは洗濯用又は食器洗い配合物、より好ましくは、液体洗濯用又は食器手洗い用配合物などの洗浄組成物の構成成分である。
【0135】
更なる実施形態において、本発明は、本明細書において上に記載したグラフトポリマーを含む組成物も包含し、本明細書において後に開示する、好ましくは2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤を更に含み、より好ましくは、上記抗菌剤を、組成物の2ppm~5重量%の範囲の量で含み;更に好ましくは、フェノキシエタノールを0.1~2%含む。
【0136】
更なる実施形態において、本発明はまた、水性組成物を微生物による汚染又は増殖から保護する方法も包含し、このような組成物は、本明細書において上に記載したグラフトポリマーを含み、このような組成物は、好ましくは洗剤組成物であり、このような方法は、本明細書において後に開示する本開示の抗菌剤から選択される少なくとも1種の抗菌剤を添加することを含み、このような抗菌剤は、好ましくは2-フェノキシエタノールである。
【0137】
更なる実施形態において、本発明はまた、組成物、好ましくは洗浄組成物、より好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体食器手洗い用組成物、更に好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体洗濯用柔軟剤組成物も包含し、このような組成物は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマーを含み、このような組成物は、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを、それぞれ組成物の重量に対し、0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度で更に含む。
【0138】
更なる実施形態において、本発明はまた、布地を洗濯する又は硬質表面を洗浄する方法も包含し、この方法は、布地又は硬質表面を洗浄組成物で、より好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体食器手洗い用組成物で、更に好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体洗濯用柔軟剤組成物で処理することを含み、このような組成物は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマーを含み、このような組成物は、4、4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを更に含む。
【0139】
これらの実施形態における追加の界面活性剤の選択は、用途及び望まれる効果によって決まり得る。
【0140】
洗浄組成物、配合物、及びそれらの成分の説明
本明細書において使用される「洗浄組成物」という語句は、汚れた材料の洗浄用に設計された組成物及び配合物を含む。そのような組成物及び配合物としては、任意の種類の汚れた材料又は表面を洗浄するために設計されたものが挙げられる。
【0141】
「業務用及び企業用洗浄」組成物としては、タイル、カーペット、PVC面、木製面、金属面、ラッカー塗装面を含む任意の種類の表面用硬質表面洗浄剤など、任意の種類の汚れた材料又は面の洗浄に使用するためのものなどの、業務用及び企業用洗浄で使用するために設計された洗浄組成物が挙げられる。
【0142】
「布地ケア及びホームケア用組成物」としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地柔軟化組成物、布地高機能化組成物、布地清涼化組成物、洗濯物予洗い用洗剤、洗濯物前処理剤、洗濯補助剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯物濯ぎ用添加剤、洗浄用添加剤、濯ぎ後の布地処理剤、アイロン掛け補助剤、食器洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織シートの上又は内部に含まれる洗剤、軽質液体洗剤組成物、重質液体洗剤組成物、洗濯に一般的に使われる洗剤ゲル、漂白組成物、洗濯用添加剤、布地増強組成物、並びに本明細書の教示を鑑みて当業者に明らかとなり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用してもよく、又は、洗濯作業の濯ぎ又は洗浄サイクル中、好ましくは洗濯又は食器洗い作業の洗浄サイクル中に添加してもよい。より好ましくは、このような布地ケア及びホームケア用組成物は、洗濯用洗浄組成物、洗濯用ケア製品、又は洗濯用洗い製品、最も好ましくは、液体洗濯用洗剤配合物又は液体洗濯用洗剤製品である。
【0143】
本発明の洗浄組成物は、任意の形態、即ち、ペースト、ゲル、エマルジョン、発泡体、及びムースなどの液体含有組成物の種類を含む「液体」組成物;粉末、顆粒、マイクロカプセル、ビーズ、ヌードル、真珠光沢のあるボール、凝集物、錠剤、顆粒状組成物、シート、トローチ、ビーズ、繊維状物品、バー、フレークなどの固体組成物;又はそれらの混合物の形態であり得る。単一、2つ、若しくは複数の区画のパウチ又は容器で送達される種類のもの;単相若しくは多相の単位用量;スプレー又は泡洗剤;湿潤ワイプシート(すなわち、洗浄組成物を、Mackey,et al.による米国特許第6,121,165号明細書に述べられているものなどの不織材料と組み合わせたもの);使用者若しくは消費者が水で濡らして活性化させるドライワイプシート(すなわち、Fowler,et al.による米国特許第5,980,931号明細書に述べられているものなどの、洗浄組成物を不織材料と組み合わせたもの);その他の均質、不均質又は単相若しくは多相の洗浄製品の形態とすることができる。
【0144】
組成物は、単区画又は多区画パウチに封入することができる。多区画パウチは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの区画を有し得る。多区画化されたパウチは、横並び及び/又は重ねられる区画を含み得る。パウチ又はその区画に入った組成物は、液体、固体(粉末など)、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0145】
「液体」/「液体組成物」の非限定的な例としては、軽質及び重質液体洗剤組成物、布地増強剤、洗濯に一般的に使用される洗剤ゲル、漂白剤及び洗濯用添加剤が挙げられる。懸濁気泡などの気体、又は粒子などの固体が、液体内に含まれていてもよい。
【0146】
本発明の液体洗浄組成物は、好ましくは50~10000mPa・sの粘度を有し、液体食器手洗い洗浄組成物(液体食器手洗い洗浄組成物(manual “dish wash composition”))は、20 1/s及び20℃で、好ましくは100~10000mPa・s、より好ましくは200~5000mPa・s、最も好ましくは500~3000mPa・sの粘度を有し、液体洗濯洗浄組成物は、20 1/s及び20℃で、好ましくは50~3000mPa・s、より好ましくは100~1500mPa・s、最も好ましくは200~1000mPa・sの粘度を有する。
【0147】
本発明の液体洗浄組成物は、任意の好適なpH値を有し得る。好ましくは、組成物のpHは4~14に調整される。より好ましくは、組成物は、6~13、更に好ましくは6~10、最も好ましくは7~9のpHを有する。組成物のpHは、当該技術分野において公知のpH調整成分を使用して調整することができ、これは、25℃の脱塩水中で製品濃度を10%として測定したものである。例えば、NaOHを使用してもよく、NaOHの実際の重量%は変化し得、例えばpH8.0などの所望のpHに整えることができる。本発明の一実施形態において、アミン類、好ましくはアルカノールアミン、より好ましくはトリエタノールアミンを使用することによって7を超えるpHに調整してもよい。
【0148】
布地ケア及びホームケア製品並びに業務用及び企業用洗浄配合物など、より具体的には洗濯及び食器手洗い洗剤などの洗浄組成物は、当業者に公知である。それぞれの用途に関連する当業者に公知の任意の組成物などは、特にこうした組成物をその使用分野で使用する場合、少なくとも1種の本発明のポリマー、好ましくは少なくとも1種のポリマーをこのような組成物内で特定の性質を発現させるのに好適な量で含めることによって、本発明に関連させて使用することができる。
【0149】
本発明の一態様は、洗剤配合物、特に液体洗剤配合物、好ましくは濃縮液体洗剤配合物又は洗濯用の単回用量剤としての本発明のポリマーの使用にもある。
【0150】
本発明の洗浄組成物は、補助洗浄添加剤(本明細書では「補助剤」と省略されることもある)を含有してもよく、好ましくはこれを含有し、このような補助剤は、好ましくは上に定義された界面活性剤系に追加される。
【0151】
好適な補助洗浄添加剤としては、ビルダー、補助ビルダー、界面活性剤系、脂肪酸及び/又はそれらの塩、構造化剤、増粘剤及びレオロジー改良剤、粘度/汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー汚れ放出剤、ポリマー分散剤などの分散剤、ポリマー油脂洗浄剤、可溶化剤、両親媒性コポリマー(ビニルピロリドンを含まないものを含む)、キレート化剤、酵素、酵素安定化系、封入された香料などの封入された有益剤、漂白化合物、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、触媒物質、増白剤、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、真珠光沢剤、色相剤、移染防止剤、柔軟仕上げ剤、担体、泡促進剤、泡抑制剤(消泡剤)、カラースペックル、シルバーケア(silver care)、さび防止及び/若しくは腐食防止剤、アルカリ源、pH調整剤、pH緩衝剤、ヒドロトロープ、スクラブ粒子、抗細菌剤及び抗微生物剤、防腐剤、酸化防止剤、柔軟剤、担体、充填剤、溶媒、加工助剤、プロ香料、及び香料が挙げられる。
【0152】
補助剤は、組成物の意図された用途に好適なレベルで組成物中に存在し得る。典型的な使用レベルは、蛍光増白剤などの補助剤については組成物の0.001重量%という低い量から、ビルダーについては組成物の50重量%までの範囲に及ぶ。
【0153】
液体洗浄組成物は、追加で、界面活性剤系及びグラフトポリマーの他に-レオロジー制御/調整剤、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚若返り活性物質及び溶媒のうち少なくとも1種を含むことができ、好ましくはそれを含む。
【0154】
固形組成物は、追加で、充填剤、ブリーチ剤、漂白活性化剤及び触媒材料のうち少なくとも1種を含むことができ、好ましくはこれを含む。
【0155】
このような洗浄補助剤及び使用量の好適な例が、国際公開第99/05242号パンフレット、米国特許第5,576,282号明細書、米国特許第6,306,812B1号明細書及び米国特許第6,326,348B1号明細書に記載されている。
【0156】
当業者は、洗浄作用のある界面活性剤には、汚れた材料の洗浄、汚れの除去又は洗濯に有益な任意の界面活性剤又は界面活性剤混合物が包含されることを理解するであろう。
【0157】
したがって、布地ケア及びホームケア製品並びに業務用及び企業用洗浄配合物など、より具体的には洗濯及び食器手洗い洗剤などの本発明の洗浄組成物は、好ましくは、上に記載し、後により詳細に記載される界面活性剤系を追加で含み、より好ましくは更に補助剤も含む。
【0158】
界面活性剤系は、1種の界面活性剤から、又はアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される界面活性剤の組み合わせから構成することができる。当業者らは、洗剤用界面活性剤系には、汚れた材料の洗浄、汚れの除去又は洗濯に有益な任意の界面活性剤又は界面活性剤混合物が包含されることを理解するであろう。
【0159】
本発明の洗浄組成物は、好ましくは、界面活性剤系を、所望の洗浄性を付与するのに十分な量で含む。いくつかの実施形態において、洗浄組成物は、界面活性剤系を、組成物の重量の約1%~約70%含む。他の実施形態において、液体洗浄組成物は、界面活性剤系を、組成物の重量の約2%~約60%含む。更なる実施形態において、洗浄組成物は、界面活性剤系を、組成物の重量の約5%~約30%含む。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される、洗浄作用のある界面活性剤を含み得る。
【0160】
洗濯用組成物
洗濯用配合物において、アニオン性界面活性剤は、通常、このような配合物に含まれる界面活性剤の中で、最大の圧倒的に高い割合を占める。したがって、好ましくは、洗濯に使用するための本発明の洗浄組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤と、任意選択的に、本明細書に記載する界面活性剤の種類のいずれかから、好ましくは非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤及び/又は双性イオン性界面活性剤及び/又はカチオン性界面活性剤から選択される更なる界面活性剤と、を含む。
【0161】
本明細書において有用な2種以上の界面活性剤の組み合わせにも用いることができる、アニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、C9~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C10~C20 1級、分枝鎖及びランダムアルキルサルフェート(AS);C10~C18 2級(2,3)アルキルサルフェート;C10~C18アルキルアルコキシサルフェート(AExS)(xは1~30である);1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルアルコキシカルボキシレート;米国特許第6,020,303号明細書及び同第6,060,443号明細書に記載されている内部分枝アルキルサルフェート;米国特許第6,008,181号明細書及び同第6,020,303号明細書に記載されている内部分枝アルキルアルコキシサルフェート;国際公開第99/05243号パンフレット、同第99/05242号パンフレット及び同第99/05244号パンフレットに記載されている修飾アルキルベンゼンスルホネート(MLAS);メチルエステルスルホネート(MES);並びにα-オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0162】
2種以上の他の界面活性剤と組み合わせて用いることもできる非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:C8~C18アルキルエトキシレート、例えば、Shellからの非イオン性界面活性剤であるNEODOL(登録商標);BASFからのPLURONIC(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルコキシレート;米国特許第6,153,577号明細書、米国特許第6,020,303号明細書及び米国特許第6,093,856号明細書に述べられているC14~C22内部分枝アルキルアルコキシレートBAEx(xは1~30);1986年1月26日に発行されたLlenadoによる米国特許第4,565,647号明細書に述べられているアルキル多糖;具体的には、米国特許第4,483,780号明細書及び米国特許第4,483,779号明細書に述べられているアルキルポリグリコシド;米国特許第5,332,528号明細書に述べられているポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びに米国特許第6,482,994号明細書及び国際公開第01/42408号パンフレットに述べられているエーテル末端ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤。
【0163】
1種以上の界面活性剤と組み合わせて用いることもできる両性界面活性剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:約8~約18個の炭素原子を有する1つのアルキル部分と、約1~約3個の炭素原子を含むアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分からなる群から選択される2つの部分とを含む水溶性アミンオキシド;並びに約10~約18個の炭素原子を含む1つのアルキル部分と、約1~約3個の炭素原子を有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分からなる群から選択される部分とを含む水溶性スルホキシド。国際公開第01/32816号パンフレット、米国特許第4,681,704号明細書及び米国特許第4,133,779号明細書を参照されたい。好適な界面活性剤としては、いわゆるアミンオキシド、例えばラウリルジメチルアミンオキシド(「ラウラミンオキシド」)が挙げられる。
【0164】
洗浄組成物は、2種以上の他の界面活性剤と組み合わせて用いることもできる双性イオン性界面活性剤も含み得る。
【0165】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミドアゾリニウム(amidazolinium)ベタイン、スルホベタイン(INCI:スルタイン)に加えて、ホスホベタインが挙げられる。好適なベタイン及びスルホベタインは、以下の通りである(INCIに従って示す):アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘナミドプロピルベタイン、ベヘニルベタイン、キャノーラミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココスルタイン、デシルベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシネート、ジヒドロキシエチルソイグリシネート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシネート、ジヒドロキシエチルタローグリシネート、ジメチコーンプロピルPG-ベタイン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、水素添加タローベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、ミルクアミドプロピルベタイン、ミンクアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイルベタイン、オリーブアミドプロピルベタイン、ヤシアミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、パルミトイルカルニチン、ヤシ核脂肪酸アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルベタイン、リシノールアミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、ソイアミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タローベタイン、タロージヒドロキシエチルベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、及び小麦胚芽アミドプロピルベタイン。
【0166】
好ましいベタインは、例えばC12~C18アルキルベタイン及びスルホベタインである。双性イオン性界面活性剤は、好ましくはベタイン界面活性剤、より好ましくはココアミドプロピルベタイン界面活性剤である。
【0167】
2種以上の他の界面活性剤と組み合わせて用いることもできるカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては:最大26個の炭素原子を有し得る4級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、そのようなものとして、米国特許第6,136,769号明細書に述べられているアルコキシ化4級アンモニウム(AQA)界面活性剤;米国特許第6,004,922号明細書に述べられているジメチルヒドロキシエチル4級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;国際公開第98/35002号パンフレット、国際公開第98/35003号パンフレット、国際公開第98/35004号パンフレット、国際公開第98/35005号パンフレット及び国際公開第98/35006号パンフレットに述べられているポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号明細書、米国特許第4,239,660号明細書、米国特許第4,260,529号明細書及び米国特許第6,022,844号明細書に述べられているカチオン性エステル界面活性剤;並びに米国特許第6,221,825及び国際公開第00/47708号パンフレットに述べられているアミノ界面活性剤、具体的にはアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0168】
本発明による組成物は、少なくとも1種のビルダーを含み得る。本発明の文脈において、ビルダーと、他の箇所で「コビルダー」と称する構成成分とは区別しないものとする。ビルダーの例は、本明細書において、以後、錯化剤とも称する錯化剤、イオン交換化合物、分散剤、スケール防止剤、及び沈殿剤である。ビルダーは、クエン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ホスホン酸塩、アミノカルボン酸塩、及びポリカルボン酸塩から選択される。
【0169】
本発明の一実施形態において、ビルダーは、ポリカルボン酸塩から選択される。「ポリカルボン酸塩」という用語は、コハク酸、C2~C16アルキルジサクシネート、C2~C16アルケニルジサクシネート、エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸、酒石酸二酢酸塩、アルカリ金属マロン酸塩、酒石酸モノ酢酸塩、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、及びシクロペンタンテトラカルボン酸などの、非重合性のポリカルボン酸塩を含む。
【0170】
オリゴマー又はポリマーポリカルボキシレートは、例えば、ポリアスパラギン酸及びそのアルカリ金属塩、特にそのナトリウム塩、(メタ)アクリル酸ホモポリマー及び(メタ)アクリル酸コポリマー並びにそれらのアルカリ金属塩、特にそれらのナトリウム塩である。
【0171】
好適なコモノマーは、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、及びシトラコン酸などのモノエチレン性不飽和ジカルボン酸である。好適なポリマーは、具体的には、好ましくは、重量平均分子量Mwを2000~40000g/モル、好ましくは2000~10000g/モル、特に3000~8000g/モルの範囲で有する、ポリアクリル酸である。更なる好適なポリカルボキシレートコポリマーは、特に、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー及びアクリル酸又はメタクリル酸とマレイン酸及び/若しくはフマル酸、又は無水マレイン酸などのそれらの無水物とのコポリマーである。好適なコポリマーは、特に、重量平均分子量Mwが2000~100000、好ましくは3000~80000の範囲のアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーである。
【0172】
ポリアスパラギン酸の好ましい重量平均分子量Mwは、1000g/mol~20000g/mol、好ましくは1500~15000g/mol、特に好ましくは2000~10000g/molの範囲にある。
【0173】
本発明による配合物は、1種以上のアルカリ担体を含み得る。アルカリ担体は、例えば、アルカリ性のpHが所望される場合、pHを確実に少なくとも9にする。例えば、上記のアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、及びアルカリ金属メタケイ酸塩、並びに、追加的に、アルカリ金属水酸化物が好適である。いずれの場合でも、好ましいアルカリ金属は、カリウムであり、ナトリウムが特に好ましい。本発明の一実施形態において、7超のpHが、アミン類、好ましくはアルカノールアミン、より好ましくはトリエタノールアミンを使用することによって調整されてもよい。
【0174】
本発明の一実施形態において、本発明の洗濯用配合物は、追加的に少なくとも1種の酵素を含む。
【0175】
有用な酵素は、例えば、リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼから選択される1種以上のヒドロラーゼ、並びに上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせである。
【0176】
このような酵素は、有効量の洗浄を提供するのに十分なレベルで組み込まれ得る。好ましい量は、本発明の洗剤組成物の0.001重量%~5重量%の範囲の活性酵素である。酵素と共に、例えばカルシウムイオン、ホウ酸、ボロン酸、プロピレングリコール、及び短鎖カルボン酸などの酵素安定化系も用いられ得る。本発明の文脈において、短鎖カルボン酸は、1分子当たり1~3個の炭素原子を含むモノカルボン酸、及び1分子当たり2~6個の炭素原子を含むジカルボン酸から選択される。好ましい例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、HOOC(CH2)3COOH、アジピン酸及び上に述べたものの少なくとも2種の混合物に加えて、それぞれのナトリウム及びカリウム塩である。
【0177】
好ましくは、少なくとも1種の酵素は洗剤酵素である。
【0178】
一実施形態において、この酵素は、オキシドレダクターゼ(EC 1)、トランスフェラーゼ(EC 2)、ヒドロラーゼ(EC 3)、リアーゼ(EC 4)、イソメラーゼ(EC 5)又はリガーゼ(EC 6)に分類されるものである。このEC番号の割り当ては、1993~1999年に出版された補遺を含む、国際生化学分子生物学連合(Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology)の勧告による酵素命名法(Enzyme Nomenclature,Recommendations)(1992)に準ずる。好ましくは、酵素はヒドロラーゼ(EC 3)である。
【0179】
好ましい実施形態において、酵素は:
プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、キシラナーゼ、クチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、ベータ-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、ヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ホスホジエステラーゼ、フィターゼ、カルボヒドラーゼ、ガラクタナーゼ、キサンタナーゼ、キシログルカナーゼ、オキシドレダクターゼ、ペルヒドロラーゼ、アミノペプチダーゼ、アスパラギナーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、キチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、インベルターゼ、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、及びディスパーシン並びに上に述べた種類の少なくとも2種の組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、ディスパーシン、ペクチナーゼ、オキシドレダクターゼ及びクチナーゼ並びに上に述べた種類の少なくとも2種の組み合わせからなる群から選択される。最も好ましくは、酵素は、プロテアーゼ、好ましくは、セリンプロテアーゼ、より好ましくは、サブチリシンプロテアーゼである。
【0180】
好ましくは、プロテアーゼは、欧州特許第1921147B1号明細書の配列番号22との配列相同性が少なくとも90%であり、アミノ酸置換R101E(BPN残基の番号付けに従う)を有するプロテアーゼである。好ましくは、アミラーゼは、国際公開第2021032881A1号パンフレットの配列番号54との配列相同性が少なくとも90%であるアミラーゼである。
【0181】
本発明の組成物は、1種類の酵素、又は異なる種類の2種以上の酵素、例えばアミラーゼ及びプロテアーゼ、又は同じ種類の2種以上の酵素、例えば2種以上の異なるプロテアーゼ、又はそれらの混合物、例えばアミラーゼ及び2つの異なるプロテアーゼを含み得る。
【0182】
酵素は、本組成物に、有益な効果、好ましくは一次洗浄効果及び/又は黒ずみ汚れ防止若しくはピリング防止効果(例えば、セルラーゼの場合)のような二次洗浄効果を達成するために有効な量を提供するのに十分な水準で組み込み得る。好ましくは、酵素は、組成物中に、酵素タンパク質が組成物の重量の約0.00001%~約5%、好ましくは約0.00001%~約2%、より好ましくは約0.0001%~約1%、更に好ましくは約0.001%~約0.5%となる水準で存在する。
【0183】
好ましくは、酵素含有組成物は、酵素安定化系を更に含む。
【0184】
好ましくは、本明細書に記載する酵素含有組成物は、酵素安定化系を、組成物の重量に対し約0.001%~約10%、約0.005%~約8%又は約0.01%~約6%含む。酵素安定化系は、酵素に適合する任意の安定化系とすることができる。
【0185】
好ましくは、酵素安定化系は、ポリオール(好ましくは、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グリセロール、1,2-プロパンジオール又はソルビトール)、無機塩(好ましくは、CaCl2、MgCl2又はNaCl)、短鎖(好ましくは、C1~C3)カルボン酸又はその塩(好ましくは、ギ酸、ギ酸塩(好ましくは、ギ酸ナトリウム)、酢酸、酢酸塩又は乳酸塩)、ホウ酸塩、ホウ酸、ボロン酸(好ましくは、4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA))、ペプチドアルデヒド、ペプチドアセタール及びペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。好ましくは、酵素安定化系は、塩、ポリオール及び短鎖カルボン酸からなる群から選択される化合物の少なくとも2種の組み合わせ、ホウ酸塩、ホウ酸、ボロン酸(好ましくは、4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA))、ペプチドアルデヒド、ペプチドアセタール及びペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物からなる群から選択される好ましくは1種以上の化合物を含む。特に、組成物中にプロテアーゼが存在する場合、好ましくは、ホウ酸塩、ホウ酸、ボロン酸(好ましくは、4-FPBA)、ペプチドアルデヒド(好ましくは、Z-VAL-H又はZ-GAY-Hのようなペプチドアルデヒド)、ペプチドアセタール及びペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物から選択されるプロテアーゼ阻害剤を添加することができる。
【0186】
本発明による組成物は、1種以上の漂白剤(ブリーチ剤)を含み得る。
【0187】
本発明による配合物は、1種以上の漂白触媒を含み得る。
本発明による配合物は、1種以上の漂白活性化剤を含み得る。
本発明による配合物は、1種以上の腐食抑制剤を含み得る。
【0188】
本発明による配合物は、更なる洗浄ポリマー及び/又は汚れ放出ポリマー及び/又は汚れ防止ポリマーも含み得る。
【0189】
更なる洗浄ポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、「多官能性ポリエチレンイミン」(例えば、BASFの Sokalan(登録商標)HP20)及び/又は「多官能性ジアミン」(例えば、BASFの Sokalan(登録商標)HP96)を挙げることができる。このような多官能性ポリエチレンイミンは、典型的には、重量平均分子量Mwが3000~250000g/molの範囲、好ましくは5000~200000g/molの範囲、より好ましくは8000~100000g/molの範囲、より好ましくは8000~50000g/molの範囲、より好ましくは10000~30000g/molの範囲、最も好ましくは10000~20000g/molの範囲にあるエトキシ化ポリエチレンイミンである。好適な多官能性ポリエチレンイミンは、エチレンオキシド側鎖を、材料の総重量を基準として、80重量%~99重量%、好ましくは85重量%~99重量%、より好ましくは90重量%~98重量%、最も好ましくは93重量%~97重量%又は94重量%~96重量%有する。エトキシ化ポリエチレンイミンは、典型的には、ポリエチレンイミンのコア及びポリエチレンオキシドのシェルをベースとする。好適なポリエチレンイミンコア分子は、重量平均分子量Mwが500~5000g/molの範囲にあるポリエチレンイミンである。好ましくは、分子量が500~1000g/molであるものが使用され、更により好ましくは、Mwは600~800g/molである。その場合、エトキシ化ポリマーは、NH官能基当たり平均5~50個、好ましくは10~35個、更により好ましくは20~35個のエチレンオキシド(EO)単位を有する。
【0190】
好適な多官能性ジアミンは、典型的には、更に4級化されており、任意選択的に硫酸化されている、エトキシ化C2~C12アルキレンジアミン、好ましくはヘキサメチレンジアミンである。典型的な多官能性ジアミンの重量平均分子量Mwは、2000~10000g/molの範囲、より好ましくは3000~8000g/molの範囲、最も好ましくは4000~6000g/molの範囲にある。本発明の好ましい実施形態において、更に4級化及び硫酸化されたエトキシ化ヘキサメチレンジアミンを用いることができ、これは、NH基当たり平均10~50個、好ましくは15~40個、更に好ましくは20~30個のエチレンオキシド(EO)基を含み、好ましくは、2個のカチオン性アンモニウム基及び2個のアニオン性サルフェート基を有する。
【0191】
本発明の好ましい実施形態において、洗浄組成物は、洗濯用洗剤の洗浄性能、好ましくは汚れ除去能力、特にポリエステル布帛上の粒子汚れの一次洗浄力などを改善するために、少なくとも1種の多官能性ポリエチレンイミン及び/又は少なくとも1種の多官能性ジアミンを含有し得る。上の記載による多官能性ポリエチレンイミン又は多官能性ジアミン又はこれらの混合物は、洗濯用洗剤及び洗浄組成物に、他の成分及び水及び/又は溶媒を含む具体的な組成物全体を基準として、概して0.05~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.25~5重量%、更には2重量%以下という少ない量で添加することができる。
【0192】
好適な更なる多官能性ポリエチレンイミン、多官能性ジアミン及びオリゴアミンとしては、国際公開第2022/136408A1号パンフレット、同第2022/136409A1号パンフレット、及び同第2021/165468号パンフレットに特許請求されているものが含まれる。
【0193】
したがって、本発明の一態様は、(i)少なくとも1種の本発明のポリマーと、(ii)多官能性ポリエチレンイミン並びに多官能性ジアミン及びオリゴアミン並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物と、を含む、洗濯用洗剤組成物、特に、液体洗濯用洗剤である。
【0194】
本発明の一実施形態において、少なくとも1種の本発明ポリマーと、(ii)多官能性ポリエチレンイミン並びに多官能性ジアミン及びオリゴアミン並びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物との比は、10:1~1:10、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは3:1~1:3である。
【0195】
好適な黒ずみ汚れ防止ポリマーは、アクリル酸又はマレイン酸及びスチレンのコポリマー、マルトデキストリン又はカルボキシメチル化セルロース及びそれらのアルカリ金属塩、特にそれらのナトリウム塩へのアクリル酸のグラフトポリマーを含む。
【0196】
本発明ポリマーを含む洗濯用配合物は、少なくとも1種の錯化剤も含み得る。
【0197】
好ましい錯化剤は、メチルグリシン二酢酸(MGDA)及びグルタミン酸二酢酸(GLDA)、並びにそれらの塩である。特に好ましい錯化剤は、メチルグリシン二酢酸及びその塩である。本発明によれば、錯化剤は1~50重量%、好ましくは1~20重量%が好ましい。
【0198】
本発明のポリマーを含む洗濯配合物は、少なくとも1種の抗菌剤も含み得る。抗菌剤は、微生物を死滅させるか又はその増殖若しくは繁殖を阻害する化合物である。微生物は細菌、酵母又はカビであり得る。防腐剤は、汚染微生物を死滅させるか又はその増殖を阻害することによって製品及び組成物の本来の性能、特性及び完全性を維持するために、水性製品及び組成物に添加することができる抗菌剤である。
【0199】
この組成物/配合物は、特許国際公開第2021/115912A1号パンフレット(「Formulations comprising a hydrophobically modified polyethyleneimine and one or more enzymes」)の35~39頁に列挙されている1種以上の抗菌剤及び/又は防腐剤を含み得る。
【0200】
以下に示す抗菌剤及び/又は防腐剤はいずれも、洗浄組成物並びに布地ケア及びホームケア製品用として、具体的には洗濯用配合物用として特に興味深いものである:
4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(他の名称:5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(Diclosan、DCPP)、Tinosan(登録商標)HP 100(1,2-プロピレングリコール中DCPP30重量%);2-フェノキシエタノール(他の名称:フェノキシエタノール、メチルフェニルグリコール、フェノキセトール、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2-(フェノキシ)エタノール、2-フェノキシ-1-エタノール);2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(他の名称:2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、ブロノポール);グルタルアルデヒド(他の名称:1,5-ペンタンジアール、ペンタン-1,5-ジアール、グルタラール、グルタルジアルデヒド);グリオキサール(他の名称:エタンジアール、オキシルアルデヒド、1,2-エタンジアール);5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(他の名称:5-ブロモ-5-ニトロ-m-ジオキサン、Bronidox(登録商標));フェノキシプロパノール(他の名称:プロピレングリコールフェニルエーテル、フェノキシイソプロパノール1-フェノキシ-2-プロパノール、2-フェノキシ-1-プロパノール);グルコプロタミン(Glucoprotamine)(化学的説明:グルタミン酸及びアルキルプロピレンジアミンの反応生成物、他の名称:グルコプロタミン50);シクロヘキシルヒドロキシルジアゼニウム-1-オキシド、カリウム塩(他の名称:N-シクロヘキシル-ジアゼニウムジオキシド、カリウムHDO、Xyligene);ギ酸(他の名称:メタン酸、Protectol(登録商標)FM、Protectol(登録商標)FM 75、Protectol(登録商標)FM 85、Protectol(登録商標)FM 99、Lutensol(登録商標)FM)及びその塩(例えば、ギ酸ナトリウム);テトラヒドロ-3,5-ジメチル-1,3,5-チアジアジン-2-チオン(他の名称:3,5-ジメチル-1,3-5-チアジアジナン-2-チオン、ダゾメット;2,4-ジクロロベンジルアルコール(他の名称:ジクロロベンジルアルコール、2,4-ジクロロ-ベンゼンメタノール、(2,4-ジクロロ-フェニル)-メタノール、DCBA);1-プロパノール(他の名称:n-プロパノール、プロパン-1-オール、n-プロピルアルコール;1,3,5-トリス-(2-ヒドロキシエチル)-ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(他の名称:ヘキシヒドロトリアジン(hexyhydrotriazin)、トリス(ヒドロエチル)-ヘキシヒドロトリアジン(hexyhydrotriazin)、ヘキシヒドロ(hexyhydro)-1,3-5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン、2,2’,2’’-(ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-1,3,5-トリイル)トリエタノール;2-ブチル-ベンゾ[d]イソチアゾール-3-オン(「BBIT」);2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「MIT」);2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「OIT」);5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「CIT」又は「CMIT」);5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「CMIT」)と2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「MIT」)との混合物(CMIT/MITの混合物);1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(「BIT」);ヘキサ-2,4-ジエン酸(慣用名「ソルビン酸」)及びその塩、例えば、ソルビン酸カルシウム、ソルビン酸ナトリウム;(E,E)-ヘキサ-2,4-ジエン酸カリウム(ソルビン酸カリウム);乳酸及びその塩;L-(+)-乳酸;特に、乳酸ナトリウム;安息香酸及びその安息香酸の塩、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸アンモニウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、MEA-安息香酸、安息香酸カリウム;サリチル酸及びその塩、例えば、サリチル酸カルシウム、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸MEA、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸TEA;塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、サッカリン酸ベンザルコニウム(benzalkonium saccharinate);塩化ジデシルジメチルアンモニウム(「DDAC」);N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン(「ジアミン」);過酢酸;過酸化水素。
【0201】
少なくとも1種の抗菌剤又は防腐剤を、本発明の組成物に組成物の総重量に対し0.001~10%の濃度で添加することができる。
【0202】
好ましくは、本組成物は、2-フェノキシエタノールを0.1~2%の濃度で、又は4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(DCPP)を0.005~0.6%の濃度で含有する。
【0203】
本発明の洗濯用配合物は、上の一覧からの少なくとも1種の抗菌剤及び/又はこれらの組み合わせ及び/又はこの一覧に記載されていない少なくとも1種の更なる抗菌剤との組み合わせを含み得る。
【0204】
本発明による配合物はまた、水及び/又は追加の有機溶媒、例えば、エタノール又はプロピレングリコール、及び/又は硫酸ナトリウムなどの充填剤も含み得る。
【0205】
更なる任意選択的な成分は、粘度調整剤、カチオン性界面活性剤、起泡増進剤又は抑泡剤(foam reducing agent)、香料、染料、蛍光増白剤及び色移り防止剤であり得るが、これらに限定されない。
【0206】
食器洗い組成物
本発明の別の態様は、上記の少なくとも1種の本発明のポリマーを含む食器洗い組成物でもある。
【0207】
したがって、本発明の一態様は、上に記載した本発明のポリマーの、食器手洗い又は自動洗い用途などの食器洗い用途における使用にもある。
【0208】
本発明の食器洗い組成物は、液体、半液体、クリーム、ローション、ゲル、又は固形組成物の形態であってもよく、固体の実施形態は、例えば粉末及び錠剤を包含する。液体組成物は、典型的には食器手洗い用途に好適であり、一方で、固体配合物及びパウチ配合物(パウチは液体成分に加えて固体も含有し得る)は、典型的には自動食器洗い組成物に好適であるが、世界の一部の地域では、液体自動食器洗い組成物も用いられているため、当然ながら、これも用語「食器洗い組成物」に包含される。
【0209】
食器洗い組成物は、飲料用及びその他のグラス、ビーカー、皿、並びに深鍋及び平鍋などの調理器具、並びにフォーク、スプーン、ナイフなどといったカトラリーなどの、食器類並びに金属及びガラス面への直接的又は間接的塗布を目的としている。
【0210】
食器類、金属、及び/又はガラス表面を洗浄する本発明の方法は、好ましくは液体形態の食器洗い洗浄組成物を、直接的、又は洗浄器具を用いて表面に塗布する(すなわち、未希釈形態で)ステップを含む。組成物は、適用前に大幅に希釈することなく(そのまま)、被処理表面に直接適用するか、且つ/又は食器用布巾(dish cloth)、スポンジ又は食器洗浄ブラシなどの洗浄器具若しくは洗浄用具に適用する。洗浄用具又は器具は、組成物が送達される前又は後に湿っていることが好ましい。本発明の方法において、組成物は、希釈形態で適用することもできる。
【0211】
少なくとも1種の本発明ポリマーを含む本発明の配合物は、無希釈でも希釈して適用しても優れた洗浄性能を発揮する、すなわち、極めて優れた脱脂性を示す。本発明のポリマーが存在することにより、たとえ使用される界面活性剤の量が従来の組成物よりも少なくてさえも、食器類、金属及び/又はガラス表面から脂肪及び/又は油性の汚れを除去するための労力が低減される。
【0212】
好ましくは、本組成物は、優れた油脂洗浄(脱脂)性能、長期間持続する泡、及び/又は低温に曝露された場合の粘度調整の改善を提供するように配合され、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全ての性能が、本発明の食器洗い組成物に存在する。任意選択的な-好ましくは存在する-本発明の食器手洗い組成物の更なる利点としては、汚れの除去、光沢、及び/又は手の保護が挙げられ、より好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは3つ全ての更なる利点が、本発明の食器洗い組成物に存在する。
【0213】
本発明の一実施形態において、本発明のポリマーは、少なくとも1種の界面活性剤、好ましくは少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を追加で含む食器手洗い配合物の一構成成分である。
【0214】
本発明の他の実施形態において、本発明のポリマーは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤並びに好ましくは両性界面活性剤及び/又は双性イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1種の他の界面活性剤を追加で含む、食器手洗い配合物の一構成成分である。本発明の好ましい実施形態において、食器手洗い配合物は、洗剤組成物の起泡力、洗浄力及び/又は低刺激性を支援するために、少なくとも1種の両性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド又は少なくとも1種の双性イオン性界面活性剤、好ましくはベタイン又はこれらの混合物を含む。
【0215】
好適なアニオン性界面活性剤の例は、洗濯用組成物に関して既に上に説明した通りである。
【0216】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1種の両性界面活性剤を含み得る。両性界面活性剤を添加することにより、食器洗い組成物中に良好な発泡性を提供する。
【0217】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1種の双性イオン性界面活性剤を含み得る。
【0218】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含み得る。
【0219】
本発明による食器洗い組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0220】
本発明による食器洗い組成物は、液体食器手洗い洗剤組成物と水との相溶性を確保するために、有効量の少なくとも1種のヒドロトロープを含み得る。
【0221】
本発明による食器洗い組成物は、少なくとも1種の有機溶媒を含み得る。
【0222】
本発明による食器洗い組成物は、少なくとも1種の電解質を含み得る。
【0223】
本発明のポリマーを含む食器手洗い配合物は、少なくとも1種の抗菌剤も含み得る。
【0224】
食器洗い組成物に好適な抗菌剤の例は、洗濯組成物に関して既に上に説明した通りである。
【0225】
抗菌剤は、本発明の食器手洗い組成物に、組成物の総重量に対して0.0001重量%~10重量%の濃度で添加され得る。好ましくは、配合物は、0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~2重量%の濃度で2-フェノキシエタノール、及び/又は0.001重量%~1重量%、より好ましくは0.002重量%~0.6重量%の濃度で4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含有する(全ての場合で、組成物の総重量に対する)。
【0226】
更なる成分は、コンディショニングポリマー、洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、汚れ凝集(soil flocculating)ポリマー、レオロジー調整ポリマー、酵素、構造化剤、ビルダー、キレート剤、環状ジアミン、エモリエント剤、保湿剤、皮膚若返り活性物質、カルボン酸、スクラブ粒子、漂白剤及び漂白活性化剤、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、ビーズ、真珠光沢粒子、マイクロカプセル、抗菌剤、NaOHなどのpH調整剤、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン、緩衝手段などであるが、これらに限定されない。
【0227】
食器洗い組成物用の成分として上述した好適な成分の例及び好ましい例は、上記洗濯用組成物に関して既に述べている。
【0228】
一般的な洗浄組成物及び配合物
本発明のポリマーは生分解性であり、また、特に洗浄配合物のpHは通常約7以上であり、それに加えて、このような洗浄配合物は、シミ及び汚れに存在する、洗浄組成物によって除去する必要がある油脂、タンパク質、多糖類などの生分解性の材料を分解することを目的として酵素も含むことが多いので、本発明の生分解性ポリマーの配合を何らかの形で考慮することが必要である。このような好適な配合物は原則として知られており、固形並びに液体及び半液体の配合物があり、固形の場合、酵素及びポリマーはコーティングで分離するか又は別々の粒子を混ぜ合わせて加えることができ、液体及び半液体の場合、ポリマー及び酵素を異なる区画、例えば、複数の室を有するパウチ又は複数の室を有するボトルの異なる区画の中に別々に配合することができ、各室から各構成成分が、個々の使用箇所に応じた適正な量で確実に適用されるように、予め定められた量の液体が同時に注ぎ出される。このような複数の区画を有するパウチ及びボトルなども当業者に公知である。
【0229】
本章で開示される液体配合物は、言及した他の全ての成分に加えて、2-フェノキシエタノールを0~2%、好ましくは約1%含み得る。
【0230】
上に開示した及び以下に開示する液体配合物は、言及した他の全ての成分に加えて、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(hydroxydiphenylethe)を、0~0.2%、好ましくは約0.15%含み得る。漂白剤を含まない固形洗濯用組成物は、言及した他の全ての成分に加えて、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(hydroxydiphenylethe)を、0~0.2%、好ましくは約0.15%含み得る。
【0231】
本章で開示される配合物は、言及した他の全ての成分に加えて、本明細書において上に開示したものから選択される1種以上の酵素、より好ましくは、プロテアーゼ及び/又はアミラーゼを含むことができ、更に好ましくは、このプロテアーゼは、欧州特許第1921147B1号明細書の配列番号22との配列相同性が少なくとも90%であり、アミノ酸置換R101E(BPN残基の番号付けに従う)を有するプロテアーゼであり、このアミラーゼは、国際公開第2021032881A1号パンフレットの配列番号54との配列相同性が少なくとも90%であるアミラーゼであり、このような酵素は、好ましくは、配合物中に、酵素タンパク質が、組成物の重量の約0.00001%~約5%、好ましくは約0.00001%~約2%、より好ましくは約0.0001%~約1%更に好ましくは約0.001%~約0.5%となるレベルで存在する。
【0232】
表中の組成物を含め以下に示す組成物は、世界の様々な地域及び国で通常採用されている典型的な洗浄条件に対応する典型的な組成物に相当する、特定の種類の一般的な洗浄組成物を開示する。少なくとも1種の本発明のポリマーは、本明細書に概説されるように好適な量でこうした配合物に添加され得る。
【0233】
ここに示した組成物のうち、本発明のグラフトポリマーを含まないものは、比較用組成物である。本発明のグラフトポリマーが、特に本明細書に好ましい範囲、より好ましい範囲などと記載した範囲の量で含まれる場合、その組成物は、本発明の範囲に含まれるものとみなされる。
【0234】
好ましい実施形態において、本発明によるグラフトポリマーは、洗濯用洗剤に使用される。
【0235】
本発明による液体洗濯用洗剤は、
少なくとも1種の本発明のポリマーを0.05~20%と、
界面活性剤を1~50%と、
ビルダー、コビルダー及び/又はキレート剤を0.1~40%と、
他の補助剤を0.1~50%と、
水を、全体が100%となる量と、
から構成される。
【0236】
本発明による好ましい液体洗濯用洗剤は:
少なくとも1種の本発明ポリマーを0.5~15%と、
C10~C15-LAS及び1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエーテルサルフェートから選択されるアニオン性界面活性剤を5~40%と、
3~10個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエトキシレートから選択される非イオン性界面活性剤を1.5~10%と、
C10~C18ジ-及びトリカルボン酸、ヒドロキシジ-及びヒドロキシトリカルボン酸、アミノポリカルボキシレート、並びにポリカルボン酸から選択される可溶性有機ビルダー/コビルダーを2~20%と、
洗剤に好適な少なくとも1種の酵素と、好ましくは更に酵素安定化系とを含む酵素系を0.05~5%と、
エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール又はプロピレングリコールから選択されるモノ-又はジオールを0.5~20%と、
他の補助剤を0.1~20%と、
水を、全体が100%となる量と、
から構成される。
【0237】
本発明による固形洗濯用洗剤(例えば、粉末、顆粒又は錠剤など)は:
少なくとも1種の本発明のポリマーを0.2~20%と、
界面活性剤を1~50%と、
ビルダー、コビルダー及び/又はキレート剤を0.1~90%と、
充填剤を0~50%と、
漂白活性化剤を0~40%と、
他の補助剤及び/又は水を0.1~30%と、
から構成され、
成分の合計は100%になる。
【0238】
本発明による好ましい固形洗濯用洗剤は:
少なくとも1種の本発明ポリマーを0.5~10%と、
C10~C15-LAS、C10~C18アルキルサルフェート及び1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエーテルサルフェートから選択されるアニオン性界面活性剤を5~30%と、
3~10個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエトキシレートから選択される非イオン性界面活性剤を1.5~7.5%と、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ゼオライト、可溶性ケイ酸塩、硫酸ナトリウムから選択される無機ビルダー及び充填剤を20~80%と、
C10~C18脂肪酸、ジ-及びトリカルボン酸、ヒドロキシジ-及びヒドロキシトリカルボン酸、アミノポリカルボン酸塩、並びにポリカルボン酸から選択されるコビルダーを0.5~15%と、
洗剤に好適な少なくとも1種の酵素と、好ましくは更に酵素安定化系とを含む酵素系を0.1~5%と、
漂白活性化剤を0.5~30%と、
他の補助剤を0.1~20%と、
水を全体が100%となる量と、
から構成される。
【0239】
好ましい実施形態において、本発明によるポリマーは、食器手洗い洗剤に使用される。
【0240】
本発明による液体食器手洗い洗剤は:
少なくとも1種の本発明のポリマーを0.05~10%と、
界面活性剤を1~50%と、
他の補助剤を0.1~50%と、
水を、全体が100%となる量と、
から構成される。
【0241】
本発明による好ましい液体食器手洗い洗剤は:
少なくとも1種の本発明のポリマーを0.2~5%と、
C10~C15-LAS、1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエーテルサルフェート及びC10~C18アルキルサルフェートから選択されるアニオン性界面活性剤を5~40%と、
コカミドプロピルベタインを2 10%と、
ラウラミンオキシドを0~10%と、
非イオン性界面活性剤、好ましくはC10ゲルベアルコールアルコキシレートを0~2%と、
酵素、好ましくはアミラーゼと、好ましくは更に酵素安定化系とを0~5%と、
エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール又はプロピレングリコールから選択されるモノ-又はジオールを0.5~20%と、
他の補助剤を0.1~20%と、
水を全体が100%となる量と、
から構成される。
【0242】
本発明による洗濯用洗浄組成物のための一般処方(重量%)
【0243】
【0244】
本発明による液体洗濯用骨格処方:(重量%)
【0245】
【0246】
本発明による洗濯用粉末骨格処方:(重量%)
【0247】
【0248】
更なる典型的な液体洗剤配合物LD1、LD2及びLD3を次の3つの表に示す:(全ての数値は重量%)
[以下の3つの表は全て:*「グラフトポリマー」=(グラフト基体としてのMn6000g/molのポリエチレングリコール、60重量%の酢酸ビニルでグラフト化(ポリマー総重量に基づく;国際公開第2007138054A1号パンフレットの一般開示に従って製造)]
【0249】
液体洗剤1- LD1「優れた」洗剤
【0250】
【0251】
液体洗剤2- LD2「中」性能洗剤
【0252】
【0253】
液体洗剤3- LD3「中」性能バイオベース洗剤
【0254】
【0255】
本発明による液体食器手洗い骨格処方:(重量%)
【0256】
【0257】
ぞれぞれの洗濯用洗剤、食器洗い組成物、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品において、少なくとも1種のグラフトポリマーは、このような組成物又は製品の総重量に関して、各々、このような組成物又は製品の総重量に対する重量%で、約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の濃度で存在し、その間の全ての数値、及び言及され、更に0.2、0.3、0.4、1、1、5、2、2.5、3、3.5、及び4を含む下限値のいずれかを選択し、言及され、19、18、17、16、14、13、12、11、9、8、7、及び6を含む上限値のいずれかと組み合わせることで得られる全ての範囲を含むことが好ましい。
【0258】
本開示全体を通して記載されている特定の実施形態は、本発明に本発明の一部として包含され;特定の実施形態の「任意選択的な」、「好ましい」、「より好ましい」、「更により好ましい」又は「最も好ましい」選択肢として本明細書に開示されている更なる様々な選択肢は、個別に且つ独立して(このような独立した選択が、その特徴の性質に由来して不可能でない限り、又はそのような独立した選択が明示的に除外されていない限り)選択され、それを他の任意の実施形態の範囲内で組み合わせることができ(他のこのような選択肢及び優先度も個別に且つ独立して選択することができる場合)、このような可能な組み合わせのそれぞれ及び全てが、本発明の一部として、個々の実施形態として含まれる。
【0259】
最も好ましい実施形態に関する章
この章における以下の特定の最も好ましい実施形態も本発明の一部を形成し、全ての組み合わせは個々の実施形態内で定義され、それらの間の全ての組み合わせは明示的に本発明の一部を形成する。
【0260】
第1の最も好ましい実施形態において、本発明のグラフトポリマーは:
(A)グラフト基体としてのコポリマー主鎖であって、上記コポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、
a.コポリマー主鎖内のアルキレンオキシド部分の分布がランダムな順序であり、
b.コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、500~7000の範囲内であり、好ましくは6000以下、より好ましくは5000以下、更により好ましくは4500以下、更により好ましくは4000以下、更により好ましくは3500以下、更により好ましくは3000以下、最も好ましくは2500であり、好ましくは少なくとも1000、より好ましくは少なくとも1200である、コポリマー主鎖と、
(B)コポリマー主鎖にグラフトされたポリマー側鎖であって、上記ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比が、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、ポリマー側鎖と、
を含む、グラフトポリマーであって、
グラフトポリマーの総重量に対する重量%で、
25~85%、好ましくは30~80%、より好ましくは35~80%、更により好ましくは40~75%、最も好ましくは55~75%のコポリマー主鎖(A)と、
15~75%、好ましくは20~70%、より好ましくは20~65%、更により好ましくは25~60%、最も好ましくは25~45%のポリマー側鎖(B)と、を含むグラフトポリマーを含む。
【0261】
更に最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは、
i)エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、若しくは1,2-ブチレンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーであって、好ましくは、少なくともエチレンオキシドがモノマーのうちの1つとして選択され、より好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのみがモノマーとして選択されるモノマーの重合により入手可能である、及び/又は
ii)ポリマー主鎖AのEOの相対量が、5~95%、好ましくは10~90%、より好ましくは15~85%、更により好ましくは少なくとも20~80%の範囲内である(全てポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量パーセントとして表示される)、及び/又は
iii)側鎖(B)を得る重合には本質的にモノマー(B2)は使用されない
コポリマー主鎖(A)を含む。
【0262】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは、
i)<5、好ましくは<3.5、より好ましくは<3、最も好ましくは1.0~2.5の範囲にある多分散度Mw/Mnを有する(Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量である[g/mol / g/mol])、及び/又は
ii)一方若しくは両方の末端基で任意選択的に末端封止されるコポリマー主鎖(A)であって、好ましくは、コポリマー主鎖(A)は、両方の末端基で末端封止されておらず、若しくはコポリマー主鎖(A)が末端封止されている場合は、末端封止はC1~C25-アルキル基、好ましくはC1~C4基により行われる、コポリマー主鎖(A)を含む。
【0263】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の、ポリマー主鎖Aの存在下でのラジカル重合により得られる、ポリマー側鎖(B)を含み、
好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、
好ましくは本質的にモノマー(B2)が使用されない。
【0264】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは
(A)アルキレンオキシドモノマーとしてエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドの重合により入手可能である55~75重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のコポリマー主鎖(A)であって、主鎖のアルキレンオキシドモノマー分布がランダムな順序であり、コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、1200~2500の範囲内であり、ポリマー主鎖(A)のEOの相対量が、20~80%(ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)である、コポリマー主鎖(A)と、
(B)本質的にモノマー(B2)は使用されずに、唯一のビニルエステルモノマー(B1)として酢酸ビニルから得られる、コポリマー主鎖にグラフトされた25~45重量%(グラフトポリマーの総重量に対して)のポリマー側鎖と、を含む。
【0265】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかのグラフトポリマーは、OECD301Fに基づいて試験された場合、28日以内に、少なくとも30、好ましくは少なくとも35、更により好ましくは少なくとも40%であるグラフトポリマーの生分解性を示す。
【0266】
更なる最も好ましい実施形態において、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の更なるモノマー(B2)とを、少なくとも1種のコポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的に(B2)、(C)、及び(D)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的なモノマー(B2)及び開始剤(C)の割合が、コポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含む、本開示で詳述される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかに詳述されるグラフトポリマーを得るためのプロセスが包含される。
【0267】
具体的には前の段落のプロセスを含む本明細書に詳述されるプロセスの更により好ましい実施形態において、プロセスは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)とを、少なくとも1種のポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的な(B2)及び(C)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的に(B2)及び開始剤(C)の割合が、ポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含み、好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは少なくとも90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、-(B2)が存在する場合-任意選択的なモノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である。
【0268】
具体的には前に詳述されるようなプロセスの最も好ましい実施形態を含む本明細書に詳述されるプロセスの更なる最も好ましい実施形態において、プロセスには、モノマー(B1)以外は、モノマー(B2)は本質的に使用されない。
【0269】
具体的には前に詳述されるようなプロセスの最も好ましい実施形態を含む本明細書に詳述されるプロセスの更なる最も好ましい実施形態において、プロセスは、i)~iv)から選択される少なくとも1つの更なるプロセスステップを含む:i)後重合;ii)精製;iii)濃縮;及びiv)乾燥。
【0270】
具体的には前に詳述されるようなプロセスの最も好ましい実施形態を含む本明細書に詳述されるプロセスの更なる最も好ましい実施形態において、プロセスは、以下から選択される少なくとも1つの更なるプロセスステップを含む:
i)本重合反応の後に実施される後重合プロセスステップであって、好ましくは更なる量の開始剤(任意選択的には、溶媒中に溶解されている)が、0,5時間から最大3時間、好ましくは約1~2時間、より好ましくは約1時間の期間にわたり添加され、ラジカル開始剤及び開始剤用の溶媒が、典型的には、-且つ好ましくは、-本重合反応の溶媒と同一であり;重合反応の後及び後重合反応の前に、好ましくは、更なるラジカル開始剤の添加を開始することによって後重合反応を開始する前に、本重合反応が後は進行するだけになるまで一定期間待機し、このような期間は、好ましくは10分から最大4時間、好ましくは最大2時間、更により好ましくは最大1時間、最も好ましくは最大30分であり;後重合プロセスステップの温度が、-好ましくは-本重合反応と同じであるか、又は上昇させ、そのような上昇が、本重合反応の温度と比較して、好ましくは約5~40℃、好ましくは10~20℃だけ高い、プロセスステップ;
ii)本重合又は-実施される場合は、後重合プロセス-から得られたグラフトポリマーを、濃縮及び/又は乾燥の手段に供して、残留溶媒及び/又は残留モノマーなどの揮発性物質の一部又はほぼ全てを(沸点の関係で除去できる限り)除去するステップであって、
a.濃縮が、溶媒及び任意選択的にまた揮発性物質の一部を除去し、好ましくは、熱蒸留又は真空蒸留、好ましくは真空蒸留などの蒸留プロセスを適用することによって、固体ポリマー濃度を増加させ、所望の固体含有量が達成されるまで行われ、好ましくは、揮発性溶媒及び/又は未反応の揮発性モノマーなどの揮発性成分の所望の部分又は全てが除去されるまで行われ;
b.乾燥が、残留溶媒及び/又は未反応モノマーなどの少なくとも残留量の揮発性物質を含むグラフトポリマーを、ローラードラム、噴霧乾燥、真空乾燥、又は凍結乾燥、好ましくは-主にコスト上の理由から、噴霧乾燥を使用した乾燥などの、揮発性物質を除去する手段に供し;任意選択的に、このような乾燥プロセスステップを凝集又は造粒の手段と組み合わせて、凝集又は造粒されたグラフトポリマー粒子を得ることにより実施され、そのようなプロセスは、好ましくは噴霧凝集、造粒、又は流動床乾燥機、噴霧造粒装置などでの乾燥から選択される、ステップ。
【0271】
具体的には前に詳述されるようなプロセスの最も好ましい実施形態を含む本明細書に詳述されるプロセスの更なる最も好ましい実施形態において、水の量は低く、総溶媒に基づいて、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1%未満である。
【0272】
更なる最も好ましい実施形態において、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られるグラフトポリマーは、布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、若しくは農芸化学的配合物である組成物又は製品、好ましくは布地ケア及びホームケア用組成物又は製品、洗浄組成物、又は業務用及企業用洗浄製品、より好ましくは洗浄組成物、最も好ましくは洗濯用洗剤配合物中の成分として使用され、このような布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品は、好ましくは、好ましくは、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ及びペルオキシダーゼのうちの1種以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせを更に含む。
【0273】
更なる最も好ましい実施形態において、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られたグラフトポリマーは、組成物、即ち
布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、農芸化学的配合物である組成物において使用される。
【0274】
グラフトポリマーの使用における前述の最も好ましい実施形態の更なる最も好ましい実施形態において、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られたグラフトポリマーは、洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア製品、好ましくは布地ケア及びホームケア用の洗浄組成物に使用され、洗浄組成物は、好ましくは洗濯用洗剤配合物又は食器洗い洗剤配合物であり、
-任意選択的に、好ましくは、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、及びペルオキシダーゼのうちの1種以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせ、好ましくは少なくとも1種の酵素はリパーゼから選択され、
-少なくとも1種のグラフトポリマーが、このような組成物又は製品の総重量に対して約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の範囲の量で存在し、
-このような製品又は組成物は、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含む。
【0275】
更なる最も好ましい実施形態において、洗濯用洗剤、食器洗い組成物、洗浄組成物、又は布地ケア及びホームケア製品は、前述の最も好ましい実施形態のいずれかに詳述されている、又は具体的にはそのようなプロセスを開示している前述の最も好ましい実施形態のいずれかを含む、本明細書に開示されるそのような実施形態のいずれかに詳述されているプロセスによって得られる、少なくとも1種のグラフトポリマーを含む。
【0276】
更なる最も好ましい実施形態において、前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られるグラフトポリマーは、布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、より好ましくは洗浄組成物、最も好ましくは洗濯用洗剤配合物である組成物又は製品中の成分として使用され、好ましくは染料の移動の抑制のためのリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、ディスパーシン、オキシドレダクターゼ(ocidoreductase)、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼうちの1つ以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせを更に含み、少なくとも1種のグラフトポリマーは、各々、このような組成物又は製品の総重量に対する重量%で、0.05%~約20%、好ましくは0,05~10%、より好ましくは約0,1%~8%、更により好ましくは約0.2%~約6%、更により好ましくは約0,2%~約4%、最も好ましくは最大2%の量の濃度でこのような組成物又は製品中に存在し、その間の全ての数値、及び下限値のいずれかを選択し、上限値のいずれかと組み合わせることで得られる全ての範囲を含み、それぞれの割合は、そのような組成物又は製品の総重量に対する重量%で表示される。
【0277】
更なる最も好ましい実施形態において、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られたグラフトポリマーは、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含むこのような製品又は組成物で使用される。
【0278】
更なる最も好ましい実施形態において、洗濯用洗剤、洗浄組成物、又は布地ケア及びホームケア製品は、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの若しくはそれらによって得られた、又は具体的にはそのようなプロセスを開示している前述の最も好ましい実施形態のいずれかを含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかで詳述されているプロセスによって得られる、少なくとも1種のグラフトポリマーを含む。
【0279】
更なる最も好ましい実施形態において、組成物は、布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、農芸化学的配合物、好ましくは洗濯用洗剤、食器洗い組成物、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品である発明の一部に含まれ、各々、本明細書に開示される実施形態のいずれか、具体的には前述の最も好ましい実施形態のいずれかの又はそれらによって得られる、少なくとも1種のグラフトポリマーを含有する。
【0280】
本発明の実施形態のいずれか、具体的には前の段落で詳述されているこのような洗濯用洗剤、洗浄組成物、又は布地ケア及びホームケア製品において、少なくとも1種のグラフトポリマーは-具体的にはこのようなグラフトポリマーを開示している前述の最も好ましい実施形態のいずれかを含む、本明細書に開示される実施形態のいずれかで詳述されるように-各々、このような組成物又は製品の総重量に対する重量%で、約0.05%~約10%、好ましくは約0.1%~8%、より好ましくは約0.2%~約6%、更により好ましくは約0.2%~約4%、最も好ましくは最大2%の量の濃度で存在し、その間の全ての数値、及び下限値のいずれかを選択し、上限値のいずれかと組み合わせることで得られる全ての範囲を含み、それぞれは、そのような組成物又は製品の総重量に対する重量%で表示され、任意選択的には、更に好ましくはリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、キシラナーゼ、マンナナーゼ、ディスパーシン、オキシドレダクターゼ(ocidoreductases)、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼのうちの1種以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせが含まれ、更に任意選択的には2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤;好ましくは、組成物の2ppm~5重量%の範囲の量で上記抗菌剤を含み、より好ましくは0.1~2%のフェノキシエタノールを含むものが含まれ、任意選択的には、更に、それぞれ組成物の重量に対し、0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度の,4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルが含まれ、更に界面活性剤系は、このような洗剤、組成物、又は製品の約1重量%~70重量%を構成する。
【0281】
更なる実施形態において、本発明は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマー及び/又はポリマー主鎖を含む組成物も包含し、更に、本明細書において後に開示する、好ましくは2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤を更に含み、より好ましくは、上記抗菌剤を、組成物の2ppm~5重量%の範囲の量で含み;更に好ましくは、フェノキシエタノールを0.1~2%含む。
【0282】
更なる実施形態において、本発明はまた、水性組成物を微生物による汚染又は増殖から保護する方法も包含し、このような組成物は、本明細書において上に記載したグラフトポリマー及び/又はポリマー主鎖をそれぞれ含み、このような組成物は、好ましくは洗剤組成物であり、このような方法は、本明細書において後に開示する本開示の抗菌剤から選択される少なくとも1種の抗菌剤を添加することを含み、このような抗菌剤は、好ましくは2-フェノキシエタノールである。
【0283】
更なる実施形態において、本発明はまた、組成物、好ましくは洗浄組成物、より好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体食器手洗い用組成物、更に好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体洗濯用柔軟剤組成物も包含し、このような組成物は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマー及び/又はポリマー主鎖を含み、このような組成物は、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを、それぞれ組成物の重量に対し、0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度で更に含む。
【0284】
更なる実施形態において、本発明はまた、布地を洗濯する又は硬質表面を洗浄する方法も包含し、この方法は、布地又は硬質表面を洗浄組成物で、より好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体食器手洗い組成物で、更に好ましくは液体洗濯用洗剤組成物又は液体洗濯用柔軟剤組成物で処理することを含み、このような組成物は、それぞれ本明細書において上に記載したグラフトポリマー及び/又はポリマー主鎖を含み、このような組成物は、4、4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを更に含む。
【0285】
以下に示す実施例により、本発明の範囲を限定することなく本発明を更に説明することとする。
【実施例】
【0286】
ポリマーの測定
K値は、希釈されたポリマー溶液の相対粘度を測定したものであり、平均分子量の相対的な尺度となる。特定のポリマーの平均分子量が増加すると、K値も上昇する傾向にある。K値は、H.Fikentscher in “Cellulosechemie”,1932,13,58の方法に従い、23℃における3重量%のNaCl溶液中、ポリマー濃度をポリマー1%として測定される。
【0287】
本発明のグラフトポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び多分散度Mw/Mnを、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、テトラヒドロフラン中で測定した。移動相(溶出液)として、ジエタノールアミン0.035mol/Lを含むテトラヒドロフランを使用した。グラフトポリマーのテトラヒドロフラン中の濃度を2.0mg/mLとした。これを濾過(孔径0.2μm)した後、この溶液100μLをGPCシステムに注入した。分離には4本の異なるカラム(60℃に加熱)を使用した(SDV プレカラム、SDV 1000A、SDV 100000A、SDV 1000000A)。GPCシステムは流量を1mL/分として運転した。検出システムとしてDRI Agilent 1100を使用した。校正には分子量Mnが106~1378000g/molのポリ(エチレングリコール)(PEG)標準物質(PL)を使用した。
【0288】
ポリマーの生分解性の測定方法
排水中の生分解を、OECD301Fマノメーター呼吸計測法を用いて3重に試験した。30mg/mLの被験物質を、Mannheim Wastewater Treatment Plantから採取した廃水に接種し、密閉フラスコ内で25℃で28日間インキュベートする。この期間内に消費された酸素を、OxiTop C(WTW)を使用してフラスコ内の圧力変化として測定する。発生したCO2をNaOH溶液を用いて吸収させる。被験物質が生分解性される間に微生物集団によって消費された酸素の量を、ブランクを用いて補正した後、ThOD(理論的酸素要求量)に対する%で表す。
【0289】
以下に示す手順は、表1及び2に更に示す物質並びに比及び量を使用して実施した。
【0290】
他の本発明及び比較用グラフトポリマーは、これらの手順に従い、ポリマー主鎖の種類及び分子量及び組成、並びにそこにグラフト化するためのモノマーの量及び種類を調整することにより合成することができる。
【0291】
実施例1:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;80重量%)への酢酸ビニル(20重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー480gを投入し、90℃で溶融させた。
【0292】
トリプロピレングリコール25.73gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.99gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル120g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール16.27gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル1.89gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0293】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0294】
実施例2:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;70重量%)への酢酸ビニル(30重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0295】
トリプロピレングリコール25.73gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.99gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル180g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール16.27gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル1.89gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0296】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0297】
実施例3:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー600gを投入し、90℃で溶融させた。
【0298】
トリプロピレングリコール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0299】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0300】
実施例4:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;50重量%)への酢酸ビニル(50重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー500gを投入し、90℃で溶融させた。
【0301】
トリプロピレングリコール41.91gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル500g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール26.85gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0302】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0303】
実施例5:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;30重量%)への酢酸ビニル(70重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー300gを投入し、90℃で溶融させた。
【0304】
1,2-プロパンジオール41.91gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.98gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル700g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール26.85gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0305】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0306】
実施例6:EO/PO主鎖B1(Mn2500g/mol;90%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0307】
トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.05gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル1.93gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0308】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0309】
実施例7:EO/PO主鎖B2(Mn2500g/mol;75%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0310】
トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.49gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.20gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0311】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0312】
実施例8:EO/PO主鎖B3(Mn2500g/mol;55%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0313】
トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.70gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.34gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0314】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0315】
実施例9:EO/PO主鎖B4(Mn2500g/mol;35%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー480gを投入し、90℃で溶融させた。
【0316】
トリプロピレングリコール34.30gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.48gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル320g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール21.69gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.83gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0317】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0318】
実施例10:EO/PO主鎖B5(Mn2500g/mol;20%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー420gを投入し、90℃で溶融させた。
【0319】
トリプロピレングリコール30.02gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.36gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル280g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール18.98gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.75gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0320】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0321】
実施例11:EO/PO主鎖(Mn2300g/mol;50%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー600gを投入し、90℃で溶融させた。
【0322】
1,2-プロパンジオール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0323】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0324】
実施例12:EO/PO主鎖(Mn3000g/mol;60%EO;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー600gを投入し、90℃で溶融させた。
【0325】
1,2-プロパンジオール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0326】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0327】
実施例13:EO/PO主鎖(Mn4100g/mol;60%EO;80重量%)への酢酸ビニル(20重量%)のグラフト重合
撹拌機及び3つの供給原料を備えた4リットルの容器に1000gのEO/PO統計コポリマーを入れ、90℃に加熱し、窒素でパージした。ラジカル開始剤の溶液(56g;酢酸n-ブチル中のペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル(tert-butylperoxy-2-ethylhexanoat)の混合物;23.8重量%)を、7時間かけて供給原料1を通して供給した。供給原料1の開始から15分後、250gの量の酢酸ビニルを6時間以内に供給原料2を通して連続的に供給した。供給原料2が完了したら、反応混合物を90℃で2時間撹拌した。次いで、供給原料3(2時間、44gのラジカル開始剤混合物の溶液)を開始した。供給原料3が完了したら、反応混合物を90℃で更に2時間撹拌した。次いで、圧力を10mbarに設定し、揮発性成分を100℃及び10mbarで撹拌しながら除去し、次いで撹拌しながら周囲温度まで冷却した。発明のグラフトポリマー混合物を、透明な液体、1270gとして得た。
【0328】
実施例14:EO/PO主鎖(Mn6400g/mol;60%EO;80重量%)ヘの酢酸ビニル(20重量%)のグラフト重合
撹拌機及び3つの供給原料を備えた4リットルの容器に1000gのEO/PO統計コポリマーを入れ、90℃に加熱し、窒素でパージした。ラジカル開始剤の溶液(56g;酢酸n-ブチル中のペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル(tert-butylperoxy-2-ethylhexanoat)の混合物;23.8重量%)を、7時間かけて供給原料1を通して供給した。供給原料1の開始から15分後、250gの量の酢酸ビニルを6時間以内に供給原料2を通して連続的に供給した。供給原料2が完了したら、反応混合物を90℃で2時間撹拌した。次いで、供給原料3(2時間、44gのラジカル開始剤混合物の溶液)を開始した。供給原料3が完了したら、反応混合物を90℃で更に2時間撹拌した。次いで、圧力を10mbarに設定し、揮発性成分を100℃及び10mbarで撹拌しながら除去し、次いで撹拌しながら周囲温度まで冷却した。発明のグラフトポリマー混合物を、透明な液体、1250gとして得た。
【0329】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0330】
実施例15:グリセリン含有ポリアルコキシレート主鎖(Mn3550g/mol;60重量%)ヘの酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
Ex.15a:主鎖:
主鎖はグリセリン及びKOHから出発して調製され、これらを真空中で乾燥させて残留水を除去した。次いで、まずはグリセリンをエチレンオキシドと反応させ、次いでエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物と反応させて、統計コポリマーブロックを得て、次いで再度エチレンオキシドを使用して、次の構造のポリマーを得た
グリセリン[2,25]-PO[5,54]-PO[19,72]/EO[67,49]-EO[5,0]、
括弧内の数字は個々の部分のモル量である。
【0331】
次いで、水及び酸(氷酢酸)を(等モル量で)添加し、水を除去し、結晶化したカリウム塩を濾過により除去した。(Mn3550g/mol)
(Lupranol(登録商標)2048として市販されている)
【0332】
Ex.15b:グラフトポリマー
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEx.15aの主鎖(Mn3550g/mol)600gを投入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール42.88gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル5.60gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル400g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール27.11gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.54gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0333】
実施例16:ジエチレングリコール含有ポリアルコキシレート主鎖(Mn2200g/mol;60重量%)への酢酸ビニル(40重量%)のグラフト重合
Ex.16a:主鎖:
主鎖はジエチレングリコール及びKOHから出発して調製され、これらを真空中で乾燥させて残留水を除去した。次いで、まずはジエチレングリコール(DEG)をエチレンオキシドと反応させ、次いでエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物と反応させて、統計コポリマーブロックを得て、次いで再度エチレンオキシドを使用して、次の構造のポリマーを得る
DEG[4,9]-EO[12,4]-PO[20,9]/EO[47,5]-EO[14,3]、
括弧内の数字は個々の部分のモル量である。
【0334】
次いで、水及び酸(氷酢酸)を(等モル量で)添加し、水を除去し、結晶化したカリウム塩を濾過により除去した。(Mn2200g/mol)。
(Lupranol(登録商標)6000/1として市販されている)
【0335】
Ex.16b:グラフトポリマー
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEx.16aの主鎖600gを投入し、90℃で溶融させた。トリプロピレングリコール25.73gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル3.36gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56重量%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル240g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、トリプロピレングリコール16.27gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.12gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0336】
主鎖B1~B5の合成手順
主鎖B1:90重量%のEOを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量2500g/mol
【0337】
主鎖B1a:14.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、1.26モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.63gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド634.4g及びプロピレンオキシド73.2gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、815.0gの明褐色ワックスを得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0338】
主鎖B1b:90重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(48.0モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、4.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、14.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、1.26モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例1a)、ジエチレングリコール366.1g及びカリウムtert-ブチレート1.49gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド661.1g及びプロピレンオキシド76.8gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1105.0gの明褐色ワックスを得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0339】
主鎖B2:75重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
【0340】
主鎖B2a:12.1モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、3.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド532.6g及びプロピレンオキシド186.4gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、825.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0341】
主鎖B2b:75重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(40.3モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、10.7モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、12.1モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、3.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例2a)、ジエチレングリコール370.1g及びカリウムtert-ブチレート1.50gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド559.2g及びプロピレンオキシド195.8gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1130.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0342】
主鎖B3:55重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
【0343】
主鎖B3a 8.7モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、5.8モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド381.9g及びプロピレンオキシド334.5gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、822.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0344】
主鎖B3b:55重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(28.9モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、19.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、8.7モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、5.8モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例3a)、ジエチレングリコール370.1g及びカリウムtert-ブチレート1.50gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド370.2g及びプロピレンオキシド351.6gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1128.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0345】
主鎖B4:35重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
【0346】
主鎖B4a:5.3モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、8.3モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド233.9g及びプロピレンオキシド482.6gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、820.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0347】
主鎖B4b:35重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(17.7モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、27.7モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、5.3モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、8.3モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例4a)、ジエチレングリコール370.2g及びカリウムtert-ブチレート1.51gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド245.6g及びプロピレンオキシド506.7gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1119.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0348】
主鎖B5:20重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
【0349】
主鎖B5a:2.8モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、10.3モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール
2Lのオートクレーブ内で、ジエチレングリコール106.1g及びカリウムtert-ブチレート1.65gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド122.9g及びプロピレンオキシド595.9gの混合物を、13時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、821.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0350】
主鎖B5b:20重量%のエチレンオキシドを有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダムコポリマー、分子量Mn=2500g/mol
(9.3モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、34.2モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム)、ジエチレングリコール)
2Lのオートクレーブ内で、2.8モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、10.3モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化した(ランダム、実施例5a)、ジエチレングリコール371.2g及びカリウムtert-ブチレート1.51gを混合した。オートクレーブを窒素で3回パージし、140℃に加熱した。エチレンオキシド129.0g及びプロピレンオキシド625.7gの混合物を、15時間以内に添加した。混合物を更に5時間、140℃にて撹拌して、反応を完了させた。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を真空下80℃で除去した。濾過後、1135.0gの明褐色油を得た。CDCl3中の1H-NMRにより、予想された構造が確認された。
【0351】
比較例についての合成手順:
Comp.Ex.1:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;90重量%)への酢酸ビニル(10重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー900gを投入し、90℃で溶融させた。
【0352】
1,2-プロパンジオール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル100g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0353】
残存している量のモノマーを95℃、500mbarで1時間真空蒸留することにより除去した。
【0354】
Comp.Ex.2:EO/PO主鎖(Mn2500g/mol;60%EO;20重量%)への酢酸ビニル(80重量%)のグラフト重合
窒素雰囲気中、撹拌機及び還流冷却器を備えた重合槽に、まずEO/POの統計コポリマー200gを投入し、90℃で溶融させた。
【0355】
1,2-プロパンジオール35.38gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル4.02gを含む供給原料1を、撹拌槽に90℃で6時間10分間かけて投入した。最初の10分間で供給原料1の5.56%を投入し、残りは6時間かけて一定の供給速度で投入した。供給原料1の供給を開始してから10分後に、供給原料2(酢酸ビニル800g)の投入を開始し、90℃で6時間にわたり一定の供給速度で反応槽に投入した。供給原料が完了したら、1,2-プロパンジオール22.44gに溶解したペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル2.55gからなる供給原料3を、90℃で56分以内に一定の流量で供給した。供給原料の添加が完了したら混合物を90℃で1時間撹拌した。
【0356】
【0357】
【0358】
【0359】
いくつかの本発明のポリマーの曇点を以下の表3に示す。本発明のポリマーは、主鎖中のPO含有量を増加させることにより、より低い曇点を示す。
【0360】
【0361】
グラフトポリマーの適用試験
液剤洗剤におけるポリマーの白度及び洗浄性能
以下の水溶性単回用量(SUD)洗剤組成物A及びBは、列挙された成分を混合することにより、当業者に公知の伝統的な手段によって調製される(表4)。
【0362】
本発明のポリマーの白度維持は、基準組成物A及び試験組成物Bの白度性能を直接比較することにより、ポリマーの白度性能を評価する方法に従って評価される。組成物A対組成物BのΔWI(CIE)は、ポリマーの白度性能の利点の指標として表6に報告される。
【0363】
【0364】
洗剤における白度維持性能を評価するための方法
試験調製:
白度の利点試験には、以下の布地が提供される:
・NAポリエステル:PW19、Empirical Manufacturing Company(Cincinnati,OH,USA)から入手可能
・ニットコットン1:試験布地、Inc403コットンインターロック編みチューブ状
・CW120、Empirical Manufacturing Company(Cincinnati,OH,USA)から入手可能
・ポリコットン
【0365】
「洗浄済及びFE処理済」布地を、以下の方法に従って調製した:400gの布地をWE Miniwasher(水3.5リットル)でショートプログラム(45分間の洗いサイクルに続いて3回のすすぎサイクル;全プログラムは90分)を使用して、18.6gのAriel(商標)コンパクト粉末洗剤で、60℃で2回洗い、洗剤なしの60℃でショートプログラムを2回使用し、その後各メイン洗濯物に8.2gのLenor(商標)濃縮物(繊維強化剤)を加えた40℃のショートプログラムを3回使用する。次に、布地を乾燥するまで強力乾燥のタンブル乾燥機で乾燥させる。
【0366】
「洗浄済」布地を、以下の方法に従って調製した:400gの布地をWE Miniwasher(水3.5リットル)でショートプログラム(45分間の洗いサイクルに続いて3回のすすぎサイクル;全プログラムは90分)を使用して、18.6gのAriel(商標)コンパクト粉末洗剤で、60℃で2回洗い、洗剤なしの60℃でショートプログラムを2回使用する。次に、布地を乾燥するまで強力乾燥のタンブル乾燥機で乾燥させる。
【0367】
試験方法:
4つの布地試料を調製する:ポリコットン、洗浄済;ニットコットン、洗浄済;NAポリエステル、洗浄済及びFE処理済;ニット洗浄済及びFE処理済。
【0368】
各試料は、次の条件に従って、磁化ベアリングを使用して典型的な本格的な洗濯機の撹拌をシミュレートする96ウェルプレート模擬洗浄システムで実行される。750ppmの洗剤濃縮物、1ウェル当たり150μLの水、25℃、水硬度2.5mM(2:1 Ca+2:Mg+2のモル比)、pH8.3の洗浄、3000ppmのArizona試験粉塵(PTI,Powder Technology Incにより供給される)。
【0369】
表5/6に列挙されている各ポリマーは、15ppmの洗浄溶液で添加される。各布地を60分間洗って、周囲条件下にて暗所で乾燥させる。各洗浄条件について、2つの96ウェルプレートがあり、1つの96ウェルプレートごとに8つの内部複製があり、洗浄条件ごとに合計16の複製が行われる。
【0370】
試料が乾燥したら、Spectrolinoイメージングシステム(Gretag Macbeth、Spectro Scan 3.273)を使用して、96ウェルプレートの各スポットでL*、a*、b*、及びCIE WIを測定する。各処理について、平均CIE WIを決定する。以下の表で報告されるデルタCIE WIは、試料の平均CIE WIと、試験ポリマーを含まない対照試料の平均CIE WIの差である。
【0371】
いくつかの異なる繊維材料で決定された白度指数(WI-指数)(次の表を参照)は次のように計算された:
【0372】
白度指数については、CIE白度指数式が使用され、デルタWIは次のように計算された:基板上のデルタWI=WIテクノロジー-WI無し。
【0373】
「同等のスケーリング指標」(列挙された実施例について)=(合計(テクノロジーAで試験された全てのWI布地)×100)/合計(テクノロジー無しで試験された全てのWI布地)であり、この比較は、グラフトポリマーを使用しない試験の場合「100」に設定される。
【0374】
【0375】
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)グラフト基体としてのコポリマー主鎖であって、前記コポリマー主鎖(A)が、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド、又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーの重合によって入手可能であり、
a.前記コポリマー主鎖内の前記アルキレンオキシド部分の分布がランダムな順序であり、
b.前記コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、500~7000の範囲内であり、好ましくは6000以下、より好ましくは5000以下、更により好ましくは4500以下、更により好ましくは4000以下、更により好ましくは3500以下、更により好ましくは3000以下、最も好ましくは2500であり、好ましくは少なくとも1000、より好ましくは少なくとも1200である、コポリマー主鎖と、
(B)前記コポリマー主鎖にグラフトされたポリマー側鎖であって、前記ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の重合により入手可能であり、-存在する場合-モノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比が、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、ポリマー側鎖と、
を含む、グラフトポリマーであって、
前記グラフトポリマーの総重量に対する重量%で、
25~85%、好ましくは30~80%、より好ましくは35~80%、更により好ましくは40~75%、最も好ましくは55~75%の前記コポリマー主鎖(A)と、
15~75%、好ましくは20~70%、より好ましくは20~65%、更により好ましくは25~60%、最も好ましくは25~45%の前記ポリマー側鎖(B)と、を含むグラフトポリマー。
【請求項2】
前記コポリマー主鎖(A)が、
i)エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、若しくは1,2-ブチレンオキシドの群から選択される少なくとも2種のモノマーであって、好ましくは、少なくともエチレンオキシドが前記モノマーのうちの1つとして選択され、より好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのみがモノマーとして選択されるモノマーの重合により入手可能である、及び/又は
ii)前記ポリマー主鎖AのEOの相対量が、5~95%、好ましくは10~90%、より好ましくは15~85%、更により好ましくは少なくとも20~80%の範囲内である(全て前記ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量パーセントとして表示される)、及び/又は
iii)前記側鎖(B)を得る重合には本質的にモノマー(B2)は使用されない、請求項1に記載のグラフトポリマー。
【請求項3】
i)前記グラフトポリマーが、<5、好ましくは<3.5、より好ましくは<3、最も好ましくは1.0~2.5の範囲にある多分散度Mw/Mnを有する(Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量である[g/mol / g/mol])、
ii)前記コポリマー主鎖(A)が、任意選択的に一方若しくは両方の末端基で末端封止され、好ましくは、前記コポリマー主鎖(A)が、両方の末端基で末端封止されておらず、若しくは前記コポリマー主鎖(A)が末端封止されている場合は、前記末端封止はC1~C25-アルキル基、好ましくはC1~C4基により行われ、
iii)前記ポリマー側鎖(B)が、前記少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)及び任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)の、前記ポリマー主鎖Aの存在下でのラジカル重合により得られる、請求項1又は2に記載のグラフトポリマーを満たす、請求項1又は2に記載のグラフトポリマーであって、
好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、
好ましくは本質的にモノマー(B2)が使用されない、グラフトポリマー。
【請求項4】
(A)アルキレンオキシドモノマーとしてエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドの重合により入手可能である55~75重量%(前記グラフトポリマーの総重量に対して)の前記コポリマー主鎖(A)であって、前記主鎖の前記アルキレンオキシドモノマー分布がランダムな順序であり、前記コポリマー主鎖の分子量Mn(g/mol)が、1200~2500の範囲内であり、前記ポリマー主鎖(A)のEOの相対量が、20~80%(前記ポリマー主鎖(A)のアルキレンオキシドの総質量に対する重量)である、コポリマー主鎖(A)と、
(B)本質的にモノマー(B2)は使用されずに、前記唯一のビニルエステルモノマー(B1)として酢酸ビニルから得られる、前記コポリマー主鎖にグラフトされた25~45重量%(前記グラフトポリマーの総重量に対して)の前記ポリマー側鎖と、を含む請求項1~
3のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
【請求項5】
前記グラフトポリマーの生分解性が、OECD301Fに基づいて試験された場合、28日以内に、少なくとも30、好ましくは少なくとも35、更により好ましくは少なくとも40%である、請求項1~
4のいずれか1項に記載のグラフトポリマー。
【請求項6】
少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の更なるモノマー(B2)とを、少なくとも1種の
コポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的に(B2)、(C)、及び(D)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、前記開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的なモノマー(B2)及び開始剤(C)の割合が、前記
コポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含む;
好ましくは、少なくとも1種のビニルエステルモノマー(B1)と任意選択的に少なくとも1種の他のモノマー(B2)とを、少なくとも1種のポリマー主鎖(A)と、フリーラジカル形成性開始剤(C)と、所望により、構成成分(A)、(B1)、任意選択的な(B2)及び(C)の総和を基準として最大50重量%の少なくとも1種の有機溶媒(D)と、の存在下において、前記開始剤(C)の分解半減期が40~500分となる平均重合温度で、反応混合物中の、未変換のグラフトモノマー(B1)及び任意選択的な(B2)及び開始剤(C)の割合が、前記ポリマー主鎖(A)に対し常に定量的に不足した状態に維持されるような形で重合させることを含み、
好ましくはビニルエステルモノマー(B1)の総重量の少なくとも10重量%が、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びラウリン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニル及びラウリン酸ビニル、最も好ましくは酢酸ビニルから選択され、ビニルエステルの残りの量が任意の他の公知のビニルエステルであり得、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも70、更により好ましくは少なくとも80、更により好ましくは少なくとも90重量%の酢酸ビニル、最も好ましくは本質的に酢酸ビニルのみ(即ち、約100重量%又は更には100重量%の酢酸ビニル)が、ビニルエステルとして使用され(使用されるビニルエステルモノマーB1の総重量に基づく重量%)、-(B2)が存在する場合-任意選択的なモノマー(B2)対モノマー(B1)の重量比は、0.5未満、好ましくは0.4未満、より好ましくは0.3未満、更により好ましくは0.2未満、最も好ましくは0.1未満である、
請求項1~5のいずれか1項に記載のグラフトポリマーを生成するためのプロセス。
【請求項7】
前記モノマー(複数可)(B1)以外は、モノマー(B2)は本質的に使用されない、請求項
6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記プロセスが、i)後重合;ii)精製;iii)濃縮;及びiv)乾燥であるi)~iv)から選択される少なくとも1つの更なるプロセスステップを含む、請求項
6~
7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセスが、以下:
i)本重合反応の後に実施される後重合プロセスステップであって、好ましくは更なる量の前記開始剤(任意選択的には、前記溶媒(複数可)中に溶解されている)が、0,5時間から最大3時間、好ましくは約1~2時間、より好ましくは約1時間の期間にわたり添加され、前記ラジカル開始剤及び前記開始剤用の前記溶媒(複数可)が、典型的には、-且つ好ましくは、-前記本重合反応の溶媒と同一であり;前記重合反応の後及び前記後重合反応の前に、好ましくは、更なるラジカル開始剤の添加を開始することによって前記後重合反応を開始する前に、前記本重合反応が後は進行するだけになるまで一定期間待機し、このような期間は、好ましくは10分から最大4時間、好ましくは最大2時間、更により好ましくは最大1時間、最も好ましくは最大30分であり;前記後重合プロセスステップの温度が、-好ましくは-前記本重合反応と同じであるか、又は上昇させ、そのような上昇が、前記本重合反応の温度と比較して、好ましくは約5~40℃、好ましくは10~20℃だけ高い、プロセスステップ;
ii)前記本重合又は-実施される場合は、前記後重合プロセス-から得られた前記グラフトポリマーを、濃縮及び/又は乾燥の手段に供して、残留溶媒(複数可)及び/又は残留モノマーなどの揮発性物質の一部又はほぼ全てを(沸点の関係で除去できる限り)除去するステップであって、
a.前記濃縮が、前記溶媒(複数可)及び任意選択的にまた揮発性物質の一部を除去し、好ましくは、熱蒸留又は真空蒸留、好ましくは真空蒸留などの蒸留プロセスを適用することによって、固体ポリマー濃度を増加させ、所望の固体含有量が達成されるまで行われ、好ましくは、揮発性溶媒及び/又は未反応の揮発性モノマーなどの揮発性成分の所望の部分又は全てが除去されるまで行われ;
b.前記乾燥が、残留溶媒及び/又は未反応モノマーなどの少なくとも残留量の揮発性物質を含むグラフトポリマーを、ローラードラム、噴霧乾燥、真空乾燥、又は凍結乾燥、好ましくは-主にコスト上の理由から、噴霧乾燥を使用した乾燥などの、前記揮発性物質を除去する手段に供し;任意選択的に、このような乾燥プロセスステップを凝集又は造粒の手段と組み合わせて、凝集又は造粒されたグラフトポリマー粒子を得ることにより実施され、そのようなプロセスは、好ましくは噴霧凝集、造粒、又は流動床乾燥機、噴霧造粒装置などでの乾燥から選択される、ステップ
から選択される少なくとも1つの更なるプロセスステップを含む、請求項
6~8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
水の量が低く、総溶媒に基づいて、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1%未満である、請求項
6~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
布地ケア及びホームケア製品、洗浄組成物、業務用及企業用洗浄製品、化粧品又はパーソナルケア製品、原油用エマルジョンブレーカーなどの油田用配合物、インクジェットインクなどのインク用顔料分散体、電気メッキ製品、セメント系組成物、ラッカー、塗料、農芸化学的配合物である組成物における、
好ましくは、洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア製品における、より好ましくは布地ケア及びホームケア用洗浄組成物中における、請求項1~5のいずれか一項に記載の、又は請求項6~10のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる若しくは入手可能である、少なくとも1種のグラフトポリマーの使用であって、前記洗浄組成物が、好ましくは、洗濯用洗剤配合物又は食器洗い洗剤配合物であり、
このような洗浄組成物が、好ましくは、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペクチン酸リアーゼ、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、キシラナーゼ、オキシドレダクターゼ(oxicoreductases)、ディスパーシン、マンナナーゼ、及びペルオキシダーゼのうちの1種以上から選択される少なくとも1種の酵素、並びに前述の種類の少なくとも2種の組み合わせ、好ましくは、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼのうちの1種以上から選択される少なくとも1種の酵素、より好ましくは、少なくとも1種のリパーゼを好ましくは更に含み、
前記少なくとも1種のグラフトポリマーが、このような組成物又は製品の総重量に対して約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の範囲の量で存在し、
-このような製品又は組成物が、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含む、使用。
【請求項12】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の、又は請求項
6~10のいずれか1項に記載のプロセスにより得られる若しくは入手可能である、少なくとも1種のグラフトポリマーを含有する、洗濯用洗剤、食器洗い組成物、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア製品である組成物。
【請求項13】
i)2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤であって;好ましくは、前記抗菌剤を前記組成物の2ppm~5重量%の範囲の量で含み;より好ましくは、フェノキシエタノールを0.1~2%含む、抗菌剤
ii)それぞれ組成物の重量に対し、0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度の,4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル
であるi)及びii)のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項
12~13のいずれか1項に記載の組成物を微生物による汚染又は増殖から保護する方法であって、2-フェノキシエタノールからなる群から選択される抗菌剤を、溶媒として水を含む水性組成物である前記組成物に添加することを含む、方法。
【請求項15】
布地を洗濯する又は硬質表面を洗浄する方法であって、布地又は硬質表面を、請求項
12~13のいずれか1項に記載の組成物で処理することを含み、前記組成物は、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含み、好ましくは4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを、それぞれ前記組成物の重量に対し0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度で含む、方法。
【国際調査報告】