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特表2024-531218基板領域上の測定データをモデル化する方法および関連装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】基板領域上の測定データをモデル化する方法および関連装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G03F9/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508547
(86)(22)【出願日】2022-07-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022068625
(87)【国際公開番号】W WO2023016705
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】21191008.8
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】テン ハーフ、ガイス
(72)【発明者】
【氏名】ハヴィク、ニールス
(72)【発明者】
【氏名】ローゼ、ヨースト
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ヴ、クアング
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197DA02
2H197EB16
2H197EB24
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
2H197JA17
2H197JA23
(57)【要約】
【解決手段】リソグラフィプロセスで露光される基板に関して基板領域にわたるアライメントデータをモデル化する方法が開示される。方法は、基板に関してアライメントデータを取得することと、アライメントデータを、異なる基板間で相対的に安定な系統的成分と、異なる基板間で相対的に安定でない非系統的成分とに分離することと、を備える。系統的成分と非系統的成分とは、個別にモデル化され、基板についてのプロセス補正は、モデル化された系統的成分とモデル化された非系統的成分とに基づく。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィプロセスで露光される基板に関して基板領域にわたるアライメントデータをモデル化する方法であって、
前記基板に関してアライメントデータを取得することと、
前記アライメントデータを、異なる基板間で相対的に安定な系統的成分と、異なる基板間で相対的に安定でない非系統的成分とに分離することと、
前記系統的成分と前記非系統的成分とを個別にモデル化することと、
モデル化された系統的成分とモデル化された非系統的成分とに基づいて、前記基板についてプロセス補正を決定することと、を備える方法。
【請求項2】
前記分離するステップは、以前の複数の基板のアライメントデータに基づくフィードバックループによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィードバックループは、前記アライメントデータの前記系統的成分のフィードバックを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分離するステップは、以前の複数の基板のアライメントデータの移動平均を減算することによって実施される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
以前の複数の基板のアライメントデータから前記移動平均を決定することを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記移動平均を決定するステップは、
前記以前の基板の各々からのアライメントデータそれぞれに準備モデルをフィッティングすることと、
フィッティングされた準備モデルを対応するアライメントデータから減算して準備モデル残差を残すことと、
前記準備モデル残差の移動平均として前記移動平均を決定することと、を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記準備モデルは、線形モデルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記準備モデルは、4パラメータモデルである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記移動平均は、測定放射波長、測定放射偏光、回折次数、方向、チャック、露光レシピ、および測定レイアウトのうちの1つ又は複数ごとに決定される、請求項5から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
各ウェーハおよび/またはウェーハのロットのリソグラフィ露光後に、前記基板に関して前記アライメントデータの前記移動平均を更新することを備える、請求項4から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記移動平均は、指数加重移動平均である、請求項4から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記基板上のアライメントマークごとの移動変動尺度を決定することをさらに備える、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記アライメントデータからオーバーレイフィードバック情報を減算することをさらに備える、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記基板またはその領域にわたる前記非系統的成分の前記モデル化のスケールされた残差から変動尺度を決定することをさらに備える、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
適切な装置上で実行されるとき請求項1から14のいずれかに記載の方法を実行するように動作可能なプログラム命令を備えるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月12日に出願された欧州出願第21191008.8号の優先権を主張し、その全体が本明細書に参照により援用される。
【0002】
本開示は、例えば半導体デバイスの製造のための基板の処理に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に与えるように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(多くの場合、「設計レイアウト」または「デザイン」とも称される)を基板(例えばウェーハ)に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影しうる。
【0004】
基板にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は、放射を使用しうる。この放射の波長が基板上に形成することのできるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用される典型的な波長は、約365nm(i線)、約248nm、約193nmおよび約13.5nmである。4nmないし20nmの範囲内の波長、例えば6.7nmまたは13.5nmを有する極紫外(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば波長約193nmの放射を用いるリソグラフィ装置よりも基板上に小さなフィーチャを形成するために使用されうる。
【0005】
低kリソグラフィは、リソグラフィ装置の古典的な解像度限界よりも小さい寸法をもつフィーチャを処理するために使用されうる。このようなプロセスにおいて、解像度の公式は、CD=k×λ/NAとして表され、ここで、λは、使用される放射の波長であり、NAは、リソグラフィ装置における投影光学系の開口数であり、CDは、「クリティカルディメンション」(一般に、印刷される最小フィーチャサイズであるが、ここではハーフピッチ)であり、kは、経験上の解像度係数である。一般に、kが小さいほど、特定の電気的な機能と性能を達成するために回路設計者によって計画された形状および寸法に近似するパターンを基板上で再現することが困難になる。こうした困難を克服するために、洗練された微調整のステップがリソグラフィ投影装置及び/または設計レイアウトに適用されてもよい。これには例えば、開口数(NA)の最適化、カスタマイズされた照明スキーム、1つ又は複数の位相シフトパターニングデバイスの使用、設計レイアウトにおける光近接効果補正(OPC)など設計レイアウトの最適化、または、超解像技術(RET)と一般に定義される他の方法が含まれるが、これに限定されない。追加的に、または代替的に、リソグラフィ装置の安定性を制御するための1つ又は複数の厳密な制御ループが低kでのパターンの再現を改善するために使用されてもよい。
【0006】
リソグラフィ装置の制御の有効性は、個々の基板の特性に依存し得る。例えば、リソグラフィ装置による処理の前に第1のプロセスツール(または、製造プロセスの任意の他のプロセスステップ、本明細書では一般的に製造プロセスステップと呼ばれる)によって処理された第1の基板は、リソグラフィ装置による処理の前に第2のプロセスツールによって処理された第2の基板とは(わずかに)異なる制御パラメータから利益を得る場合がある。
【0007】
基板上にパターンを正確に配置することは、リソグラフィによって製造され得る回路部品および他の製品のサイズを縮小するための主要な課題である。特に、既に設けられている基板上のフィーチャを正確に測定するという課題は、高歩留まりで動作するデバイスを製造するのに十分な精度でフィーチャの連続する層を重ね合わせて整列させることができるようにするための重要なステップである。いわゆるオーバーレイは、一般に、今日のサブミクロン半導体デバイスでは数十ナノメートル以内、最も重要な層では数ナノメートル以内で達成されなければならない。
【0008】
そのため、最新のリソグラフィ装置では、基板をターゲット位置で実際に露光し又はパターニングするステップの前に、広範な測定または「マッピング」動作が行われる。いわゆる高度なアライメントモデルは、プロセスステップ及び/またはリソグラフィ装置自体に起因するウェーハ「グリッド」の非線形歪みをモデル化し、より正確に補正するために開発されており、現在も開発が続けられている。しかし、すべての歪みが露光中に補正できるわけではなく、そのような歪みの原因をできるだけ多く追跡し、除去することが依然として重要である。
【0009】
ウェーハグリッドのこれらの歪みは、マーク位置に関連する測定データによって表される。測定データはウェーハの測定から得られる。このような測定の例としては、露光前にリソグラフィ装置内のアライメントシステムを使用して実行されるアライメントマークのアライメント測定がある。
【0010】
これらの歪みのモデル化を改善することが望まれる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の態様では、リソグラフィプロセスで露光される基板に関して基板領域にわたるアライメントデータをモデル化する方法であって、前記基板に関してアライメントデータを取得することと、前記アライメントデータを、異なる基板間で相対的に安定な系統的成分と、異なる基板間で相対的に安定でない非系統的成分とに分離することと、前記系統的成分と前記非系統的成分とを個別にモデル化することと、モデル化された系統的成分とモデル化された非系統的成分とに基づいて、前記基板についてプロセス補正を決定することと、を備える方法が提供される。
【0012】
本発明の第2の態様では、リソグラフィプロセスで露光される基板に関して基板領域にわたるアライメントデータをモデル化する方法であって、前記基板に関してアライメントデータを取得することと、異なる基板間で比較的安定している前記アライメントデータの系統的成分を決定することと、前記系統的成分を個別にモデル化することと、を備える方法が提供される。
【0013】
本発明の更なる態様では、適切な装置上で実行されるとき第1の態様の方法を実行するように動作可能なプログラム命令を備えるコンピュータプログラム、および関連する処理装置、およびリソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、本発明のいくつかの実施形態について、添付の概略図面を参照して例示的に説明する
【0015】
図1】リソグラフィ装置の全体を概略的に示す。
【0016】
図2】リソグラフィセルの全体を概略的に示す。
【0017】
図3図1および図2のリソグラフィ装置およびリソグラフィセルを、本発明の一実施形態に係る制御戦略を実施する例えば半導体デバイスの製造設備を形成する1つ又は複数の他の装置とともに使用する様子を概略的に示す図である。
【0018】
図4】第1の実施形態に係るアライメントフィードバックを実施する方法を説明するフロー図である。
【0019】
図5】第2の実施形態に係るアライメントフィードバックを実施する方法を説明するフロー図である。
【0020】
図6】本発明の一実施形態に係る方法を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、リソグラフィ装置LAを模式的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射、またはEUV放射)を調整するよう構成された照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするよう構成された第1位置決め部PMに接続されている支持体(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するよう構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするよう構成された第2位置決め部PWに接続されている1つ又は複数の基板支持体(例えばウェーハテーブル)WTaおよびWTbと、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つ又は複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するよう構成されている投影システム(例えば屈折型投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0022】
動作時に、照明システムILは、放射源SOから例えばビーム搬送システムBDを介して放射ビームを受ける。照明システムILは、放射を方向付け、形状を整え、及び/または制御するために、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、及び/または他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含みうる。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの平面におけるその断面において、所望の空間的および角度的な強度分布を有するように、放射ビームBを調整するために使用されてもよい。
【0023】
本書に使用される「投影システム」PSという用語は、使用される露光放射、及び/または液浸液の使用または真空の使用などの他の要因に適切である限り、屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、アナモフィック光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、及び/または静電的光学系などの各種の投影システム、またはそれらの任意の組み合わせを包含するものと広く解釈されるべきである。本書における「投影レンズ」という用語の使用は、より一般的な用語「投影システム」PSと同義であるとみなされうる。
【0024】
リソグラフィ装置LAは、基板の少なくとも一部が比較的屈折率の高い液体、たとえば水で覆われ、それにより投影システムPSと基板Wとの間の空間が充填される形式のものであってもよく、これは液浸リソグラフィとも称される。液浸技術について詳しい情報は、本書に参照により援用される米国特許第6952253号に与えられる。
【0025】
この例におけるリソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTaおよびWTbと、2つのステーション(露光ステーションおよび測定ステーション)とを有し、基板テーブルがこれらステーション間を移動可能である、いわゆるデュアルステージタイプのものである。一方の基板テーブル上の一方の基板が露光ステーションEXPで露光されている間に、別の基板を例えば測定ステーションMEAまたは別の場所(図示せず)で他方の基板テーブルにロードしたり、測定ステーションMEAで処理したりすることができる。基板を有する基板テーブルは、様々な準備ステップを実施することができるように、測定ステーションMEAに配置されることができる。準備ステップには、レベルセンサLSを使用して基板の表面高さをマッピングすること、および/またはアライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマークの位置を測定することが含まれる。マークを作成する際の不正確さや、処理中に生じる基板の変形により、マークのセットは、平行移動と回転の次に、より複雑な変形を受ける可能性がある。従って、装置LAが製品のフィーチャを正しい位置に高精度で印刷するために、基板の位置と向きを測定することに加えて、実際には、アライメントセンサは、基板領域全体にわたる多数のマークの位置を詳細に測定することがある。その場合、アライメントマークの測定には時間がかかるが、2つの基板テーブルを設けることにより、装置のスループットを大幅に向上させることができる。位置センサIFが、露光ステーションだけでなく測定ステーションにある間の基板テーブルの位置を測定することができない場合、基板テーブルの位置を両方のステーションで追跡できるようにするために、第2の位置センサを設けることができる。本発明の実施形態は、基板テーブルが1つだけの装置にも、2つ以上の装置にも適用できる。
【0026】
1つ又は複数の基板支持体を有することに加えて、リソグラフィ装置LAは、測定ステージ(図示せず)を備えてもよい。測定ステージは、センサ及び/またはクリーニング装置を保持するように設けられる。センサは、投影システムPSの特性または放射ビームBの特性を測定するように設けられてもよい。測定ステージは、複数のセンサを保持してもよい。クリーニング装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば投影システムPSの一部または液浸液を提供するシステムの一部を清掃するように設けられてもよい。測定ステージは、基板支持体WTが投影システムPSから離れるときに投影システムPSの下に移動してもよい。
【0027】
放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイスMAを横切った放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2位置決め部PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量式センサ)の助けにより、例えば放射ビームBの経路内に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、基板テーブルWTa/WTbを正確に移動させることができる。同様に、第1位置決め部PMと別の位置センサ(図1には明示されない)は、例えばマスクライブラリからの機械的な取り出し後、またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために使用することができる。一般に、支持構造MTの移動は、第1の位置決め部PMの一部を構成するロングストロークモジュール(粗位置決め)およびショートストロークモジュール(微細位置決め)の助けにより実現されてもよい。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動は、第2位置決め部PWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを用いて実現されてもよい。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造MTは、ショートストロークアクチュエータのみに接続されていてもよく、または固定されていてもよい。パターニングデバイスMAと基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2と基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントされてもよい。図示される基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有しているが、ターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これらはスクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイが設けられている状況では、パターニングデバイスのアライメントマークはダイ間に配置されてもよい。
【0028】
本装置は、リソグラフィ装置の様々なアクチュエータおよびセンサ(例えば既述のもの)の全ての動きおよび測定を制御するリソグラフィ装置制御ユニットLACUをさらに含む。制御ユニットLACUはまた、装置の動作に関連する所望の計算を実施するための信号処理およびデータ処理能力を含む。実際には、制御ユニットLACUは、装置内のサブシステムまたは構成要素のリアルタイムデータ取得、処理、および制御をそれぞれが取り扱う多数のサブユニットからなるシステムとして実現される。例えば、1つの処理サブシステムは、基板位置決め部PWのサーボ制御専用であってもよい。別々のユニットが、粗動アクチュエータと微動アクチュエータを、あるいは異なる軸を扱うこともできる。別のユニットは、位置センサIFの読み出し専用であってもよい。装置の全体的な制御は、これらのサブシステム処理ユニット、オペレータ、およびリソグラフィ製造プロセスに関与する他の装置と通信する中央処理ユニットによって制御されてもよい。
【0029】
図2に示すように、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィセルLCの一部を形成しうる。リソグラフィセルLCは、リソセルまたは(リソ)クラスタと呼ばれることもあり、多くの場合、基板Wに露光前および露光後のプロセスを実行する装置も含む。こうした装置には従来、レジスト層を堆積させる1つ又は複数のスピンコータSC、露光されたレジストを現像する1つ又は複数のディベロッパDE、例えばレジスト層の溶媒を調整するために例えば基板Wの温度を調整するための1つ又は複数のチルプレートCHおよび1つ又は複数のベークプレートBKが含まれる。基板ハンドラまたはロボットROは、入力/出力ポートI/O1,I/O2から基板Wを取り上げ、様々な処理装置間で移動させ、リソグラフィ装置LAのローディングベイLBへと基板Wを配送する。多くの場合トラックとも総称されるリソセルのこれら装置は通例、トラック制御ユニットTCUの制御下にある。トラック制御ユニットTCU自体は、監視制御システムSCSにより制御されうる。監視制御システムSCSは、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置LAも制御しうる。
【0030】
リソグラフィ装置LAによって露光される基板Wが正確かつ整合的に露光されるためには、例えば、後続層とのオーバーレイ誤差、線幅、クリティカルディメンション(CD)、フォーカス誤差などパターン構造の特性を測定すべく基板を検査することが望ましい。そのため、1つ又は複数の検査ツール(図示せず)がリソセルLCに含まれてもよい。誤差が検出された場合、とくに検査が同じバッチまたはロットの他の基板Wが露光され又は処理される前に行われた場合には、調整は例えば、後続の基板の露光又は基板Wに行われるべき他の処理の工程で行われてもよい。
【0031】
検査装置METは、計測装置または計測ツールとも呼ばれるが、基板Wの1つ又は複数の特性、とくに、異なる基板Wについて1つ又は複数の特性がどのように変動するか、または同じ基板Wの様々な層に関連付けられる1つ又は複数の特性が層ごとにどのように変動するかを決定するために使用される。検査装置は、基板W上の欠陥を特定するように構築されてもよく、例えば、リソセルLCの一部であってもよいし、リソグラフィ装置LAに統合されていてもよいし、あるいはスタンドアロン装置であってもよい。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層における像)、半潜像(露光後ベーク工程後のレジスト層における像)、または現像されたレジスト像(レジストの露光部分または未露光部分が除去されている)、あるいはエッチングされた像(エッチングなどのパターン転写工程後)の1つ又は複数の特性を測定しうる。
【0032】
図3は、リソグラフィ装置LAおよびリソセルLCを、例えば半導体製品のための工業的製造設備の文脈で示す。リソグラフィ装置(略して「リソツール」200)内では、測定ステーションMEAが202に示され、露光ステーションEXPが204に示されている。制御ユニットLACUは206に示されている。既に説明したように、リソツール200は、「リソセル」または「リソクラスタ」の一部を形成する。これには、装置200によってパターン形成するために基板Wに感光性レジストおよび/または1つ又は複数の他のコーティングを適用するためのコーティング装置SC,208も含まれる。装置200の出力側には、露光パターンを物理的なレジストパターンに現像するために、ベーキング装置BK,210および現像装置DE,212が提供される。図3に示す他の構成要素は、明確のために省略される。
【0033】
一旦パターンが適用されて現像されると、パターン形成された基板220は、222、224、226に例示されるような他の処理装置に搬送される。広範なプロセスステップが、典型的な製造設備における様々な装置によって実施される。例えば、本実施形態における装置222はエッチングステーションであり、装置224はエッチング後アニーリングステップを実行する。更なる物理的および/または化学的なプロセスステップが更なる装置226において適用される。現実のデバイスを作成するためには、材料の堆積、表面材料特性の変更(酸化、ドーピング、イオン注入等)、化学機械研磨(CMP)等の多種の動作が必要とされうる。装置226は、実際には、1つまたは複数の装置において実行される一連の様々なプロセスステップを代表する。
【0034】
一連のパターニングプロセスステップを備える既述の半導体製造プロセスは、本明細書に開示された技術が適用され得る工業プロセスの一例に過ぎない。半導体製造プロセスは、一連のパターニングステップを含む。各パターニングプロセスステップは、例えばリソグラフィパターニング動作などのパターニング動作と、多数の他の化学的および/または物理的動作とを含む。
【0035】
半導体デバイスの製造は、基板上の層ごとに適切な材料およびパターンでデバイス構造を構築するために、このような処理の多くの繰り返しを伴う。最新のデバイス製造プロセスは、例えば、40または50の個別のパターニングステップを備えうる。従って、リソクラスタに到達する基板230は、新たに準備された基板でもよいし、以前にこのクラスタ232または全く他の装置で処理された基板でもよい。同様に、必要とされる処理に応じて、装置226から出る基板は、(基板232のように)同じリソクラスタでの次のパターン形成動作のために戻されてもよいし、(基板234のように)別のクラスタでのパターン形成動作が予定されてもよいし、(基板234のように)ダイシングおよびパッケージングのために送られる完成品であってもよい。
【0036】
製品構造の各層は典型的に、異なるプロセスステップの組を必要とし、各層で使用される装置は完全に異なるタイプのものであってもよい。更に、装置によって適用されるプロセスステップが名目上同じ場合であっても、大規模設備では、異なる基板上でプロセスを実行するために並行して稼働する複数の実質的に同じ装置があってもよい。これらの装置間のセットアップまたは欠陥におけるわずかな相違は、これらが異なる基板に異なる方法で影響を及ぼすことを意味しうる。エッチング(装置222)のような各層に比較的共通のステップでさえ、スループットを最大化するために、名目上同じであるが並行して稼働する複数のエッチング装置によって実施されうる。また、並列処理は、より大きな装置内の異なるチャンバで実行されることもある。さらに、実際のところ、異なる層には、エッチングされる材料の詳細や異方性エッチング等の特別な要件に応じて、例えば化学的エッチング、プラズマエッチング等の異なるエッチング処理を必要とする。
【0037】
前述のように、以前および/または以後のプロセスが、他のリソグラフィ装置で実行されてもよく、それは異なるタイプのリソグラフィ装置でもよい。例えば、解像度および/またはオーバーレイ等に関して要求が非常に厳しいデバイス製造プロセスにおける1つ又は複数の層は、要求が緩い1つ又は複数の他の層よりも高度なリソグラフィツールで処理されてもよい。このように、1つ又は複数の層が液浸タイプのリソグラフィツールで露光され、1つ又は複数の他の層が「ドライ」ツールで露光されてもよい。1つ又は複数の層がDUV波長で稼働するツールで露光され、1つ又は複数の他の層がEUV波長放射を使用して露光されてもよい。
【0038】
また、図3には、製造プロセスにおける所望の段階で製品のパラメータを測定するために設けられる計測装置(MET)240が示される。現代のリソグラフィ製造設備における計測ステーションの一般的な例は、角度分解スキャトロメータ、分光スキャトロメータ等のスキャトロメータであり、装置222におけるエッチング前の220において、現像済み基板の1つまたは複数の特性を測定するために適用されてもよい。計測装置240を使用して、性能パラメータデータPDAT252が決定されてもよい。この性能パラメータデータPDAT252から、さらに、オーバーレイまたはクリティカルディメンション(CD)などの性能パラメータが、現像されたレジストにおいて特定の精度要件を満たしていないと判定されうる。エッチング工程の前に、現像されたレジストを剥がし、リソクラスタを通して1つ又は複数の基板220を再処理する機会が存在する。さらに、計測装置240からの計測の結果は、時間の経過とともに小さな調整を行うことによってリソクラスタにおけるパターン形成動作の正確な実行を維持するために使用することができ、それによって、製品が規格を外れて製造され、再加工を必要とするリスクを低減または最小化することができる。もちろん、計測装置240および/または1つ又は複数の他の計測装置(図示せず)は、処理済み基板232、234、および/または受入基板230の1つ又は複数の特性を測定するために使用されてもよい。
【0039】
典型的には、リソグラフィ装置LAにおけるパターニングプロセスは、基板W上の構造の寸法と配置について高精度を必要とする処理のなかで最も重要な工程の1つである。この高精度の確保を支援するために、図3に概略的に示されるように、3つのシステムが制御環境に組み合わされてもよい。これらシステムの1つがリソツール200であり、これが計測装置240(第2のシステム)とコンピュータシステムCL250(第3のシステム)に(仮想的に)接続されている。このような環境の目的は、これら3つのシステム間の連携を最適化または改良していわゆる「プロセスウィンドウ」全体を向上させ、1つ又は複数の厳密な制御ループを提供してリソグラフィ装置LAにより実行されるパターニングがプロセスウィンドウ内にあることを保証するのを支援することにある。プロセスウィンドウは、特定の製造プロセスが定められた結果(例えば、機能する半導体デバイス)を生むことになる複数のプロセスパラメータ(例えば、ドーズ、フォーカス、オーバレイなどから選択される2つ以上)の値の範囲を定義する。プロセスウィンドウは典型的には、その内側で、(例えば、CDの許容範囲(公称CDの±10%など)に関して特定される)適切な構造をもたらすとともに、リソグラフィプロセスまたはパターニングプロセスにおけるプロセスパラメータの値を変化させることが許される範囲である。
【0040】
コンピュータシステムCLは、パターニングすべき設計レイアウト(の一部)を使用して、どの1つ又は複数の超解像技術を使用するかを予測し、計算的リソグラフィシミュレーションおよび計算を実行して、どのパターニングデバイスレイアウトおよびリソグラフィ装置設定がパターニングプロセスの最大の全体的プロセスウィンドウを達成するかを決定しうる(第1の目盛りSC1の両矢印で図3に描かれている)。典型的には、超解像技術は、リソグラフィ装置LAのパターニングの可能性に合わせて用意される。また、コンピュータシステムCLは、(例えば計測ツールMETからの入力を使用して)リソグラフィ装置LAがプロセスウィンドウ内のどこで現在動作しているかを検出し、例えば次善のプロセスにより欠陥が存在しうるか否かを予測するために使用されてもよい(第2の目盛りSC2の「0」を指す矢印によって図3に描かれている)。
【0041】
計測ツールMETは、正確なシミュレーションおよび予測を可能にするためにコンピュータシステムCLに入力を提供してもよく、また、例えばリソグラフィ装置LAの較正状態に起こりうるドリフト(第3の目盛りSC3における複数の矢印で図3に描かれている)を特定するためにリソグラフィ装置LAにフィードバックを提供してもよい。
【0042】
コンピュータシステム250は、(i)所定のプロセスステップ(例えば、リソグラフィステップ)で処理される前の基板に関連する「プロセス前計測データ」(例えば、スキャナ計測データLADAT254、および外部プロセス前計測ExDAT260を含む)と、(ii)処理された後の基板に関連する性能データまたは「プロセス後データ」PDAT252との組み合わせに基づいて、プロセスの制御を実施することができる。
【0043】
プロセス前計測データLADAT254(リソグラフィ装置LA200またはスキャナによって生成されたデータであるため、本明細書ではスキャナ計測データと呼ぶ)の第1のセットは、測定ステーション202内のアライメントセンサASを用いてリソグラフィ装置LA200によって従来取得されているアライメントデータを備えてもよい。代替的に、またはアライメントデータに加えて、スキャナ計測データLADAT254は、レベルセンサLSを用いて取得される高さデータ、および/またはアライメントセンサASなどからの「ウェーハ品質」信号を含んでもよい。このように、スキャナ計測データLADAT254は、基板のアライメントグリッドと、基板の変形(平坦度)に関するデータとを備えてもよい。例えば、スキャナ計測データLADAT254は、ツインステージリソグラフィ装置LA200の測定ステーションMEA202(例えば、典型的にはアライメントセンサ及びレベリングセンサを備える)によって露光に先立って生成されてもよく、これにより計測と露光の同時動作が可能となる。このようなツインステージリソグラフィ装置は周知である。
【0044】
リソグラフィ装置での露光前に測定を行うために、(例えばスタンドアロンの)外部露光前計測ツールExM270が使用されることが増えている。このような外部露光前計測ツールExM270は、ツインステージリソグラフィ装置LA200の測定ステーションMEA202とは区別できる。トラック内で実行される任意の露光前測定も、外部測定とみなされる。露光スループットを十分なレベルに維持するために、測定ステーションMEA202によって測定されるスキャナ計測データLADAT(例えば、アライメントグリッドおよび基板変形グリッド)は、望ましいであろうより疎な測定値のセットに基づいている。これは、典型的には、そのような測定ステーションが、高次の補正、特に3次を超える補正のための十分な測定データを収集できないことを意味する。これに加えて、不透明なハードマスクの使用は、アライメント中のウェーハグリッドを正確に測定することを困難にする可能性がある。
【0045】
外部露光前計測ツールExM270は、露光前に各基板上でより高密度の測定を可能にする。これらの露光前計測ツールExM270の中には、スキャナと同等またはそれよりも高速のスループットで、アライメントセンサおよびレベルセンサ(このようなセンサが別個の測定ステーションMEA202内に備えられている場合であっても)を使用して達成できるよりもはるかに高い測定密度で、ウェーハグリッドの変形を測定および/または予測するものがある。露光前計測ツールは、例えば、基板形状検査ツールおよび/またはスタンドアロンアライメントステーションを備える。
【0046】
図3は、性能データPDAT、スキャナ計測データLADAT及び外部前露光データExDATの各々について別々の記憶装置252、254、260を示しているが、これらの異なるタイプのデータが1つの共通の記憶装置に記憶されてもよく、又は、より多数の記憶装置に分散されてもよく、これらの記憶装置から特定の項目のデータを必要なときに取り出すことができることが理解されよう。
【0047】
ウェーハ上および/またはフィールド上のアライメント測定値を表すために、アライメントモデルが使用される。アライメントモデルの第一の目的は、各露光フィールド上に露光グリッドを作成できるように、ウェーハ全体にわたって利用可能な測定データを補間および/または外挿するメカニズムを提供することにある。測定データが疎になるのは、オーバーレイ精度の観点から望ましいほど多くの測定領域を測定することは単純に現実的ではなく、時間ひいてはスループットのオーバーヘッドが大きすぎるためである。アライメントモデルの第二の目的は、ノイズの抑制を提供することにある。これは、測定値よりも少ないモデルパラメータを使用するか、または正則化を使用することで達成しうる。
【0048】
標準的なアライメントモデルでは10個以下のパラメータしか使用しないが、高度なアライメントモデルでは通常15個以上、あるいは30個以上のパラメータを使用する。高度なモデルの例としては、高次ウェーハアライメント(HOWA)モデルや放射基底関数(RBF)ベースのアライメントモデルがある。HOWAは、2次以上の多項式関数に基づく公開技術である。RBFモデル化はUS2012218533A1に記載されており、参照により本書に組み込まれる。これらの高度なモデルのさまざまなバージョンや拡張を考案することができる。高度なモデルは、ターゲット層の露光中に補正されるウェーハグリッドの複雑な記述を生成する。RBFとHOWAの最新バージョンは、数十のパラメータに基づく特に複雑な記述を提供する。これは、十分な精度のウェーハグリッドを得るためには、多くの測定が必要であることを意味する。
【0049】
RBFモデル化は、多項式モデルよりも局所的なウェーハ変形をより良く捉えることができる外挿/内挿モデル化技術である。US2012218533A1で詳細に説明されているRBFモデルのタイプは、薄板スプラインモデルとして知られている。このモデルは関数最小化スプラインであり、最小化される関数はモデルの二次導関数に依存する密度関数の積分を備える。
【0050】
現在のウェーハアライメント戦略は、全てのウェーハについて、以前の露光で印刷されたアライメントマーク上で実行されたアライメントセンサ測定値(アライメントデータ)に基づいて、フィードフォワードのウェーハグリッド補正を提供する。ウェーハアライメントの主な目標は、以前の層とのオーバーレイを最小限に抑えることである。
【0051】
典型的に、オーバーレイ測定(露光後計測)は、将来のウェーハについての補正を決定するために、各ロットの露光された製品ウェーハの(比較的小さな)サブセットに対して実行されることがある。これは、ウェーハアライメント補正に加えて決定される補正であり、ウェーハアライメントによって決定されたウェーハグリッド補正の(移動)平均誤差を補正する。これは、製品上オーバーレイ制御と呼ばれることもある。
【0052】
ウェーハアライメントと製品上オーバーレイ制御に加えて使用され得る更なる補正戦略は、頻繁に(例えば、典型的には数日毎に)更新される機械オーバーレイ較正(安定性監視アプリケーション)を備える。このような安定性監視アプリケーションは、アライメント測定と露光グリッドの両方について補正を提供しうる。製品上オーバーレイ制御とは対照的に、安定性モニタリングは、較正ウェーハの測定に基づいている。
【0053】
ウェーハアライメントは完全ではない。例えば、1枚のウェーハ上のアライメントマーク間で異なるが、ウェーハ間ではほとんど同じである系統的測定誤差に悩まされる。加えて、ウェーハアライメントは、アライメント測定値の疎なセットからウェーハ全体の補正へと(部分的に系統的な)アライメントウェーハグリッドを不正確に変換する、モデルの内挿および/または外挿誤差に悩まされることがある。
【0054】
ウェーハアライメント誤差の系統的成分は、アライメント「レシピ」が一定であれば、製品上オーバーレイ制御によって補正することができる。ここで、アライメントレシピとは、すべてのアライメント測定およびモデルパラメータ、なかでも例えば、測定波長/偏光、測定レイアウト/サンプリングスキーム、使用されるアライメントモデルなど、の組み合わせを記述するものである。より具体的には、系統的成分はウェーハ間で大きく変化しないため、それは本質的に、系統的なウェーハグリッド誤差を定義する。この系統的ウェーハグリッド誤差は、露光されたウェーハから(例えば、オフラインのオーバーレイ計測によって)測定することができ、後続のウェーハで補正することができる。
【0055】
しかし、既知のウェーハアライメントアーキテクチャでは、アライメントレシピが変化して安定しない場合、このタイプの補正は不可能である。系統的なウェーハアライメント誤差はレシピに依存するため、このレシピが製品上オーバーレイ制御補正を決定するために使用されたレシピと異なる場合、決定された補正は正しくない。さらに、系統的ウェーハグリッド誤差には製品依存性がある。マークの変形やウェーハグリッドの内挿・外挿誤差は、プロセスステップに影響される。これらの影響は、機械オーバーレイ制御(安定性モニタリング)がこれらの誤差を即座に補正できないことを意味する。
【0056】
この結果、製品上オーバーレイ計測により制御されるプロセス中、アライメントレシピの変更を避ける傾向がある。このようなレシピ変更による系統的ウェーハグリッド誤差の変化は、進行中ウェーハ(WIP)オーバーレイペナルティと呼ばれるものにつながる。このようなレシピ変更に対する消極的な姿勢は、レシピ変更が製品上オーバーレイのばらつき低減に有益であろう場合にも見られる。
【0057】
アライメントモデルの変更に起因するWIPの影響は、変更そのものと平均的なアライメントフィンガープリントに依存する。具体的な例として、正則化(例えば、RBF)アライメントモデルから非正則化(または、別の正則化例えばRBF)アライメントモデル(またはその逆)に変更することが望ましい場合がある。正則化を変更する動機としては、例えば、異なる性質のウェーハ歪みにつながるリソグラフィまたは他の処理装置における変化またはドリフトがありうる。
【0058】
レシピを変更せず維持する傾向の具体的な例として、ウェーハアライメントモデルマッピング(WAMM)をオンにすることに消極的であることが知られている。WAMMは、製品上オーバーレイとアライメントデータに基づく学習方法であり、製品上オーバーレイのばらつきを改善することが示されている。WAMMは米国特許US10331040B2に記載されており、この特許は参照によりここに組み込まれる。この方法がうまく機能するためには、多数のトレーニング用ウェーハ(通常100枚以上)が必要であり、生産開始時には使用できない(または使用するのが望ましくない)場合がある。しかし、生産開始後(例えば、十分な枚数のウェーハからのデータが収集された後)にWAMMをオンに切り替えたり、プロセスの変化に対応するためにWAMMをある時間経過後に更新したりすると、WIPオーバーレイペナルティが発生するため、一般的には避けられる。
【0059】
同じ理由で、現在のアーキテクチャでは、適応的なウェーハアライメント・色レシピとモデル化を実装すること、すなわち、同じウェーハからの測定値に基づいて、ウェーハごとに色レシピ/モデルを変更することは、望ましくないことが多い。このような変更による系統的なウェーハグリッド誤差の伝播は、製品上オーバーレイ制御では補正できない。しかし、ウェーハごとにウェーハアライメントの色レシピとモデルを変更するメリットも存在しうる。色レシピは、個々のウェーハ上のアライメントマークの変形による誤差をより抑制するためにウェーハごとに選択されることが可能となり、また、モデル化は、個々のウェーハのウェーハグリッドの歪みによりよく対応するためにウェーハごとに最適化されることが可能となる。このような適応戦略をとる動機としては、ウェーハグリッドの歪みのレベルがウェーハによって異なることが考えられる。あるウェーハが典型的なウェーハよりも大きなウェーハグリッドの歪みに悩まされる場合、そのウェーハの歪みに追従しやすくするために、そのウェーハの正則化を少なくすることは有益であり得る。動的に変更されるアライメントモデルのオーバーレイペナルティは、既に説明したWIPオーバーレイペナルティ(すなわち、変更が一度しか行われない場合)と同様である。
【0060】
また、現在知られているウェーハアライメントアーキテクチャには、測定値の無効化(残留外れ値除去、または二次測定KPIによる)に関連する欠点がある。ある測定値が無効化され、データから削除されると、モデルがフィッティングされるレイアウトは、実質的にその削除によって変更される。これは、系統的なウェーハグリッド誤差伝播の変化であるため、ペナルティを引き起こす。
【0061】
最後に、外れ値検出は典型的にウェーハアライメントモデル化の残差に基づいて行われるが、この残差には、どのウェーハでも同じである有意な系統的成分が含まれている。この系統的な成分は、残差の分布を、それが存在しない場合よりも広くする。このため、外れ値の検出は、それが存在しない場合よりも難しくなる。
【0062】
提起された問題に対処するために、アライメントデータの系統的成分をアライメントデータの変動成分または非系統的成分から分離するために、歴史的な製品上アライメントデータの系統的成分を計算し、この系統的成分を同じ種類(露光レシピとアライメントレイアウト)の新しいウェーハにフィードバックするウェーハアライメントフィードバックループを導入することが提案される。その後、系統的成分は、安定したアライメントレシピ(例えば、安定したレイアウト(例えば、外れ値除去なし)、色/偏光、およびモデル化レシピ)により監視およびモデル化され、系統的ウェーハグリッド誤差が安定に維持され、製品上オーバーレイ制御で補正できるようになりうる。非系統的成分は、適切または有益な場合には、系統的成分とは異なって扱われてもよい。特に、非系統的成分のためのアライメントレシピは、有益とみなされた場合には実行中に、例えば外れ値を除去した縮小レイアウトを使用したり、別の理由でレイアウトを変更したり、別のモデルを使用したり、および/または別の色/偏光レシピを使用したりする等によって、WIPに影響を与えることなく変更されてもよい。
【0063】
準備モデルは、アライメントデータを準備するために使用され得る。準備モデルは、アライメントデータにフィッティングされたときに、フィッティングされたアライメントデータの変動成分の大部分を記述するようにパラメータ化されてもよい。次いで、このフィッティングされたモデルがアライメントデータから除去され、残りの準備モデル残差の移動平均が計算されてもよい。この準備モデル残差の移動平均(例えば、アライメントデータの推定された系統的成分を備える)は、次に、変動成分のみが残るように、後続ロットのアライメントデータから減算されてもよい。
【0064】
この変動成分は、(適切なアライメントモデルを使用して)通常と同様にモデル化されてもよく、WIPペナルティを負うことなく、実行中(ロット間)またはロット中(ウェーハ間)にアライメントレシピを柔軟に変更できるという利点がある。移動平均(すなわち、系統的成分)は、通常のようにモデル化されてもよいが、安定したアライメントレシピ(すなわち、同じマークレイアウト、アライメントモデル、色/偏光レシピ)が使用される。移動平均は、アライメントマークごとに計算され、補正されてもよい。移動平均は、測定放射の色、測定放射の偏光、回折次数、方向、チャック、露光レシピ及び測定レイアウトのうちの1つ又は複数ごとに追加的に計算及び補正されてもよい。系統的成分と変動成分のモデル化からのモデル係数は、アライメント補正(例えば、露光毎の補正)を決定するために一緒に使用することができる。
【0065】
本開示の文脈では、アライメントレシピを変更することは、レイアウト(例えば、縮小レイアウトを使用すること)、モデル、正則化、色および/または偏光および/または回折次数レシピ、フィッティング重み(モデルフィッティングは、任意選択で重み付けフィッティングであってもよく、フィッティング重みは、モデルフィッティングにおいてそれぞれの測定値に与えられる重みであってもよい)のうちの1つ又は複数の変更を備えてもよい。
【0066】
準備モデルは、主要なモデル化ステップに使用されるモデルよりも単純なモデルであってもよく、例えば、主要なモデル化ステップに使用されるモデル(高次のアライメントモデルを使用すべきであるが、それは任意である)よりも低次のモデルであってもよい。例えば、準備モデルは、4パラメータモデル(例えば、平行移動(xおよびy)、回転およびウェーハ倍率)のような線形モデルであってもよい。もちろん、他のモデル、例えば標準的な線形6パラメータモデルを使用してもよい。前述の4パラメータモデルは、典型的にウェーハ間で最も大きなばらつき(例えばミクロンオーダー)を示すのはこれらのパラメーターであるため、例えば、ウェーハ負荷に通常起因するアライメントデータの変動成分の大部分を捕捉するのに十分でありうる。
【0067】
このウェーハアライメントフィードバック戦略は、リソグラフィ装置/スキャナの内部制御アプリケーション内、または例えばオフツール計算サーバ内の外部制御アプリケーション内に実装され得る。このような外部制御アプリケーションおよびオフツール計算サーバは、例えば、スキャナレシピ最適化、正確なフィンガープリント推定を伴う高度なオーバーレイプロセス制御、および最適化されたスキャナ補正(例えば、製品上オーバーレイ性能を改善するためのオーバーレイ計測に基づくフィードフォワードおよび/またはフィードバック補正)のうちの1つ又は複数のために、既に存在し、使用され得る。
【0068】
図4は、内部制御アプリケーションに基づくフィードバックアライメントモデル化方法を説明するフロー図である。移動平均データベースMADは、露光レシピRECxおよびアライメントデータADに基づいて、移動平均を決定し、追跡する。より具体的には、以前のロット(例えば、ロットn-1まで、ここでロットnは現在のロットである)において、アライメントデータが準備モデルを用いてモデル化され、フィッティングされた準備モデルがアライメントデータから除去される(-PM)。その結果得られた残差(すなわち、フィッティングされた準備モデルが除去されたアライメントデータ)は、これらの準備モデル残差の移動平均UPD MAを更新するために使用される。
【0069】
ロットnについて、アライメントデータADnが取得される。準備モデル残差/系統的成分の移動平均MAn-1は、アライメントデータADnから減算され(-MA)、アライメントデータの変動成分または非系統的成分AD VARが残る。これは、次に、(オプションの)外れ値除去ステップORを経て、外れ値のない処理された非系統的成分AD VAR’を提供することができる。この非系統的成分AD VARまたはAD VAR’は、次に、適切なアライメントモデルを用いてモデル化される(MOD VAR)。このアライメントモデルは、例えば、WAMM、異なる色/偏光レシピ、異なるモデル化戦略などを実装することによって、必要に応じて変化させることができる。ステップ-MAで除去された移動平均MAn-1は、アライメントデータの系統的成分を備えており、それ自体、実行中安定に維持される適切なアライメントモデルを用いてモデル化される(MOD AV)。このモデル化ステップMOD AVからのモデル係数AV COEFと、非系統的モデル化ステップからのモデル係数VAR COEFは、次にアライメント補正CORを決定するために一緒に使用される。
【0070】
さらに、以前のロットと同様に、アライメントデータADnも準備モデルを用いてモデル化され、フィッティングされた準備モデルはアライメントデータから除去され(-PM)、その結果得られた残差は、これらの準備モデルの残差の移動平均UPD MAを更新するために使用される。
【0071】
このように、本実施形態では、各ステップをスキャナ内で実施することができる。制御アプリケーションは、同じレシピによる以前のロットの準備モデルウェーハアライメント残差の移動平均を供給する。この移動平均は、外れ値除去およびウェーハアライメントモデル化(後者は、場合によっては、動的なまたは変更されたウェーハアライメントモデルまたは色レシピを伴う)が実行される前に、ウェーハアライメント測定値から減算される。別の経路で、測定値から補正された移動平均も、安定したモデル、レイアウト、および色レシピでモデル化される。最後に、モデル係数の両方のセットは、露光ごとの補正のために評価される。各ロット後に、そのロットのウェーハアライメントデータは、使用されたレシピの移動平均を更新するために使用され、次のロットに使用される。
【0072】
図5は、スキャナLAの外部にある外部制御アプリケーションEX CAの使用に基づくフィードバックアライメントモデル化方法を説明するフロー図である。基本的な手順は図4と同じであり、再度の説明は省略する。この実施形態の違いは、移動平均がオフラインの外部制御アプリケーションEX CA、例えば外部サーバ上で計算され、保存されることである。このため、スキャナLAとアプリケーションEX CAを実行する外部サーバとの間には、現在のアプリケーションに使用される場合にそのような外部制御サーバ上に存在するインタフェースと比較して、追加のインタフェースIF2が必要となる。インターフェースIF1とIF3は既存のインターフェースである。
【0073】
すべての実施形態において、重み付け平均は、例えば、指数加重移動平均(EWMA)を備えてもよい。具体的な例として、EMWAは、
MA=(1-λ)MAN-1+λA
に従って計算されてもよい。ここで、MAはロットNまでの移動平均、AはロットNの平均、λは定数パラメータ(重み)である。
【0074】
このコンセプトの利点は、製品上オーバーレイ補正の効果を低下させることなく、系統的成分には製品上オーバーレイ補正を適用し、非系統的成分にはアライメントモデル化とアライメントレシピ選択の柔軟性を高めることができることである。
【0075】
外れ値除去をもつ具体例には、2つの利点がある。第一の利点は、無効な測定値が存在するウェーハ上でオーバーレイペナルティを引き起こす、系統的なウェーハグリッド誤差伝播の変化を防ぐことである。このオーバーレイペナルティは、アライメント測定値の平均フィンガープリントと、どのマークが除去されるかに依存する。第二の利点は、結果として残差分布幅が減少し、外れ値検出が改善されることである。外れ値除去は典型的に、絶対的または相対的な閾値以上の測定値を無効にすることによって、ウェーハアライメントモデルの残差に対して実行される。そのため、アライメント残差が小さいほど、外れ値を通常の測定値から区別しやすくなる。アライメント残差の標準偏差は、系統的な成分を取り除くことで15%ないし80%(典型的な値は45%程度)減少することが期待でき、これは外れ値除去がより高感度であることを意味する。
【0076】
上記において、アライメントデータは、例えば、測定点ごと(アライメントマークごと)の位置値及び/又はモデルフィッティング係数を備えてもよい。また、他の(位置以外の)ウェーハアライメント測定値、例えば、検出信号強度、回折次数強度などのフィードバックも、本開示の文脈内で想定される。
【0077】
一実施形態では、移動変動性能尺度または移動変動主要性能指標(KPI)が決定されてもよい。このような移動変動KPI(σi,t+1 )は、アライメントマークごとに決定されてもよい。移動変動KPIは、追加的に、測定放射色、測定放射偏光、回折次数、方向、チャック、露光レシピ、及び測定レイアウトのうちの1つ又は複数ごとに決定されてもよい。このような移動変動KPIは、例えば、以下のような形式をとりうる。
σi,t+1 =(1-α)×σi,t +α×(resvar,i,t+1
ここで、resvar,i,t+1は、(測定位置iと配列番号t+1の)移動平均についてすでに補正されたアライメント測定値の(変動成分についての)アライメントモデルの残差であり、αは定数パラメータ(重み)である。
【0078】
この移動変動KPIは、例えば外れ値除去や重み付けフィッティングなど、将来の補正を決定する際に使用することができる。例えば、外れ値除去は、残差の大きさabs(resvar,i)をn*σと比較することによって外れ値を決定することによって実行することができる。ここで、iは測定位置を示し、nは設定値である。abs(resvar,i,t+1)>n*σi,tの場合、測定値は無効とされてもよい。
【0079】
代替的または追加的に、外れ値除去は、スケールされた残差の変動尺度または変動KPI(σ、例えば標準偏差)がウェーハにわたりまたはウェーハのある限定された領域にわたり決定されることによって実行されてもよい。スケールされた残差sresは、以下のような形式をとりうる。
sresi,t+1=resvar,i,t+1/σi,t
そのため、スケールされた残差sresが決定された後、ウェーハ(またはウェーハのある限定された領域)上ですべてのsresの標準偏差σが決定されてもよい。スケールされた残差sresi,t+1を例えばn*σと比較して、無効にすべき測定値を決定することができる。abs(sresi,t+1)>n*σの場合、測定値は無効とされてもよい。
【0080】
あるいは、移動変動KPIおよび/またはスケールされた残差は、データの重み付けモデルフィッティングにその後使用される測定値iごとのフィッティング重みを決定するために使用されてもよい。
【0081】
一実施形態では、フィードバックループの破損を防止するために、ロバスト性防御メカニズムが含まれてもよい。そのような第1のメカニズムは、手動メカニズムであってもよく、これは、オーバールール設定またはリスタート設定を露光設定に組み込むことを備えてもよい(例えば、そのようなオーバールールは、ウェーハアライメントフィードバックの適用を防止してもよく、または、リスタートは、フィードバックループの再起動をトリガしてもよい)。オーバールールは、例えば、異なるフィンガープリントを持つ特別なロットが露光される場合に実施されてもよい。リスタートは、永続的なフィンガープリント変化を引き起こす可能性のある重大なプロセス変化(例えば、ウェーハプロセスの変更またはスキャナーのハードウェア交換)が起こった場合に実施されてもよい。それに代えて、またはそれに組み合わせて、ロバスト性防御メカニズムは、自動メカニズムであってもよい。例えば、このようなメカニズムは、準備モデル残差pmresの数xが範囲(例えば、MA+n*σ により設定される)の外にある場合、フィードバック補正モデル化の実行を防止してもよい。
【0082】
高度なプロセス補正または制御(APC)は典型的に、リソグラフィプロセスを制御するために使用される。単一のスキャナ上で様々なコンテキストが組み合わされることがあり、ここでコンテキストは例えば、下層スキャナ、処理ツールまたは処理チャンバ、またはレチクルでありうる。これらのコンテキストは、異なるウェーハフィンガープリントを与え、履歴情報方法に一貫性がなくなる可能性がある。図6は、オーバーレイフィードバック情報(APC Cor)の使用に基づくフィードバックアライメントモデル化方法を説明するフロー図である。オーバーレイフィードバック情報は、外れ値の判定に使用されるウェーハアライメントモデル残差からコンテキスト間の情報を除去するためにリソグラフィ装置に提供されてもよい。オーバーレイフィードバック情報をモデルに提供することにより、第2層露光効果およびオーバーレイ・アライメントマーク間の差異が導入されうる。これらは、モデル残差分布から除去され再清浄化される必要がある。つまり、アライメントされた位置偏差測定値は、製品上オーバーレイのフィードバックまたはフィードフォワード情報を使用して、さらに清浄化されることができる。
【0083】
図示されているように、アライメントモデル化方法は、APC補正を考慮するためのステップにより更新することができる。すなわち、APC補正(オーバーレイフィードバック情報)は、ロットnについてアライメントデータADnから減算される。このモデル化方法は、少なくとも、上述したモデル化方法の1つ又は複数のステップと同様の連続するステップを備える。明確のため、準備モデルおよびアライメントデータから除去された(そしてオーバーレイフィードバック(APC)のために補正された)フィッティングされた準備モデル(-PM)は、結果の残差とともに、これらの準備モデル残差の(APC補正された)移動平均UPD MAを更新するために使用される。
【0084】
オーバーレイフィードバック情報は、外部の計測装置によって、またはリソグラフィ装置内に設けられた、またはリソグラフィ装置に接続された計測システムによって取得されてもよい。オーバーレイフィードバック情報は、データキャリアを介して提供されてもよい。
【0085】
上記において、ウェーハアライメント残差の履歴データは、外れ値を除去するか、または残すかを決定するために使用されてもよい。履歴データから分布がモデル化されてもよく、任意のデータポイントが履歴の分布に適合するかどうか、またどのように適合するかを推定するために使用されてもよい。統計的検定があることは、外れ値の疑いのある測定値を除去することで、データセットが既知の母集団に似てくるか、または似てこなくなるかを判断するのに有益でありうる。外れ値の疑いがある測定値を除去することで、(母集団に属する)可能性が高まる場合は、外れ値は除去されるべきである。そうでない場合は、外れ値の疑いのある測定値は、ウェーハアライメントモデル化のために保持される。
【0086】
一例として、ウェーハの母集団について、測定データが母集団平均の周りで変動すると仮定する。言い換えれば、データセットは、多変量正規分布N(μ,Σ)としてモデル化されてもよい。ここで、μは平均フィンガープリントである。
【0087】
より複雑なケースでは、測定データは、多変量正規分布ΣwN(μ,Σ)の混合により形成される。これは、異なるプロセスチャンバが異なる寄与を与える場合の現実的なモデルでありうる。さらに、分布は、ガウス型制限ボルツマンマシンによって記述されてもよく、または、他の尺度、例えば、多変量正規分布の最も単純な場合のZスコア(すなわち、マハラノビス距離)が使用されてもよい。当業者には、本発明が上記のような分布に限定されないことが理解されよう。
【0088】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされている場合があるが、ここに説明したリソグラフィ装置は、その他の用途を有しうるものと理解されたい。ありうる他の用途には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造が含まれる。その点で、処理される「基板」は、製造される製品の種類に応じて、半導体ウェーハであってもよいし、他の基板であってもよい。
【0089】
本書ではリソグラフィ装置の文脈における本発明の実施形態について具体的な言及がなされている場合があるが、本発明の実施形態は、他の装置にも使用されうる。本発明の実施形態は、パターニングデバイス検査装置、計測装置、または、ウェーハ(またはその他の基板)またはマスク(またはその他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する何らかの装置の一部を形成してもよい。これら装置は、リソグラフィツールと総称されてもよい。こうしたリソグラフィツールは、真空条件または環境(非真空)条件を使用してもよい。
【0090】
本文書においては、「放射」および「ビーム」という用語は、紫外放射(例えば約365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)及びEUV(極紫外放射、例えば5nmないし100nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射を包含するために使用される。
【0091】
本書に使用される「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分に生成されるべきパターンに相当するパターン形成された断面を入射放射ビームに与えるために使用可能な一般的なパターニングデバイスを指すものとして広く解釈されうる。この文脈で「ライトバルブ」という用語も使用されうる。古典的なマスク(透過性または反射性、バイナリ、位相シフト、ハイブリッド等)のほかに、こうしたパターニングデバイスの他の例にはプログラマブルミラーアレイとプログラマブルLCDアレイが含まれる。
【0092】
上記では光リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用について具体的な言及がなされている場合があるが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなどの他の用途においても使用されうるものであり、文脈が許す場合、光リソグラフィに限られるものではないことは理解されよう。
【0093】
本明細書で使用される「最適化する」および「最適化」という用語は、結果および/またはプロセスが、例えば、基板上への設計パターンの投影精度がより高い、プロセスウィンドウがより大きいといった、より望ましい特性を有するように、装置(例えばリソグラフィ装置)やプロセスなどを調整することを指すか又は意味する。したがって、本明細書で使用される「最適化する」および「最適化」という用語は、1つまたは複数のパラメータについて、それらの1つまたは複数のパラメータについての1つまたは複数の値の初期セットと比較して、少なくとも1つの関連する尺度における改善例えば局所最適を提供する1つまたは複数の値を特定するプロセスを指すか、またはそれを意味する。「最適」および他の関連用語は、そのように解釈されるべきである。一実施形態では、最適化ステップは、1つまたは複数の尺度における更なる改善を提供するために反復的に適用されてもよい。
【0094】
本発明の態様は、任意の便利な形式で実施することができる。例えば、一実施形態は、有形のキャリア媒体(例えばディスク)または無形のキャリア媒体(例えば通信信号)でありうる適切なキャリア媒体上に担持されうる1つ又は複数の適切なコンピュータプログラムによって実施されてもよい。本発明の実施形態は、具体的には、本明細書に記載の方法を実施するように構成されたコンピュータプログラムを実行するプログラマブルコンピュータの形式をとりうる適切な装置を用いて実施されてもよい。
【0095】
ブロック図では、図示された構成要素が個別の機能ブロックとして描かれているが、実施形態は、本明細書に記載された機能が図示されたように構成されたシステムに限定されない。各構成要素によって提供される機能は、現在描かれているものとは異なる構成のソフトウェアまたはハードウェアのモジュールによって提供されてもよく、例えば、そのようなソフトウェアまたはハードウェアは、混在され、結合され、複製され、分割され、分散され(例えば、データセンター内に、または地理的に)、またはその他の形式で構成されてもよい。本明細書で説明する機能は、有形の非一時的な機械可読媒体に格納されたコードを実行する1つまたは複数のコンピュータの1つまたは複数のプロセッサによって提供され得る。場合によっては、サードパーティのコンテンツ配信ネットワークが、ネットワークを介して伝達される情報の一部または全部をホストしてもよく、その場合、情報(例えば、コンテンツ)が供給されまたは他の方法で提供されるものと言われる範囲において、情報は、その情報を取得する命令を送信することによってコンテンツ配信ネットワークから提供されてもよい。
【0096】
特に断らない限り、議論から明らかなように、本明細書全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「決定する」などの用語を使用する議論は、特殊用途コンピュータまたは同様の特殊用途電子処理/計算装置など、特定の装置の動作または処理を指すことが理解される。
【0097】
読者は、本出願が複数の発明を記載していることを理解されたい。これらの発明を複数の独立した特許出願に分離するのではなく、これらの発明を1つの文書にまとめたのは、関連する主題が出願プロセスの経済性に適しているからである。しかし、このような発明の異なる利点や側面を混同してはならない。場合によっては、実施形態は、本明細書で指摘した欠陥のすべてに対処するが、本発明は独立して有用であり、いくつかの実施形態は、そのような問題の一部のみに対処するか、または本開示を検討する当業者には明らかであろう他の言及されていない利点を提供することを理解すべきである。コストの制約のため、本明細書に開示された発明の一部は、請求項に現在記載されていない場合があり、継続出願のような後の出願において、または現在の請求項を修正することによって、請求項に記載される場合がある。同様に、スペースの制約上、本明細書の「要約」の項も「概要」の項も、そのような発明またはそのような発明のすべての態様の包括的なリストを含むものとみなされるべきではない。
【0098】
本明細書および図面は、本開示を特定の開示された形態に限定することを意図したものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲に属するすべての変更、均等物、および代替物を包含することを意図していることを理解されたい。
【0099】
本発明の様々な態様の変形例および代替的な実施形態は、本明細書に照らして当業者には明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、例示的なものとしてのみ解釈され、当業者に本発明を実施する一般的な態様を教示するためのものである。本明細書に示され、説明される発明の形態は、実施形態の例としてとらえられることを理解されたい。すべては本明細書の利益を得た後に当業者に明らかになるであろうが、要素および材料は、本明細書に図示および記載されたものと置換することができ、部品および工程は、逆にすることができ、または省略することができ、特定の特徴は、独立して利用することができ、実施形態または実施形態の特徴は、組み合わせることができる。以下の特許請求の範囲に記載される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される要素に変更を加えることができる。本明細書で使用される見出しは、整理の目的のみのためのものであり、本明細書の範囲を限定するために使用されるものではない。
【0100】
本出願を通じて使用される「してもよい」という語は、強制的な意味(すなわち、しなければならないという意味)ではなく、容認的な意味(すなわち、する可能性があるという意味)で使用される。「含む」といった用語は、含むことを意味するが、それに限定されない。本出願を通じて使用される場合、単数形は、内容が明示的にそうでないことを示さない限り、複数の参照語を含む。したがって、例えば、「ある」要素または「1つの」要素といった言及は、「1つ又は複数」のような1つ以上の要素に対する用語および語句の使用にかかわらず、2つまたはそれ以上の要素の組み合わせを含む。用語「または」は、別段の指示がない限り、非排他的、すなわち、「および」と「または」の両方を包含する。条件付き関係を記述する用語、例えば、「Xに応答して、Y」、「Xに際して、Y」、「Xならば、Y」、「Xのとき、Y」などは、先行条件が必要因果条件である場合、先行条件が十分因果条件である場合、または先行条件が結果の寄与因果条件である場合の因果関係を包含する。例えば、「状態Xは条件Yが得られたとき起こる」は、「XはYのみによって起こる」や「XはYとZによって起こる」に当てはまる。このような条件関係は、先行条件が得られると即座に結果が起こることに限定されるものではなく、結果によっては遅延してもよい。また、条件文では先行詞は結果詞と結びついており、例えば先行詞は結果詞が起こる可能性と関連している。複数の属性または機能が複数のオブジェクトにマッピングされるという記述(例えば、ステップA、B、C、およびDを実行する1つまたは複数のプロセッサ)は、別段の指示がない限り、すべての属性または機能がすべてのオブジェクトにマッピングされる場合と、属性または機能のサブセットが属性または機能のサブセットにマッピングされる場合(例えば、すべてのプロセッサがそれぞれステップAからDを実行する場合と、プロセッサ1がステップA、プロセッサ2がステップBおよびステップCの一部、プロセッサ3がステップCの一部およびステップDを実行する場合)の両方を包含する。さらに、別段の指示がない限り、ある値または動作が別の条件または値に「基づく」という記述は、条件または値が唯一の要因である場合と、条件または値が複数の要因のうちの1つの要因である場合の両方を包含する。別段の指示がない限り、あるコレクションの 「各」インスタンスがある特性を持つという記述は、より大きなコレクションの他の同一または類似のメンバがその特性を持たない場合を除外するように読むべきではない。範囲からの選択への言及には、範囲の端点が含まれる。
【0101】
上記の説明において、フローチャート中の任意のプロセス、記述またはブロックは、プロセス中の特定の論理機能またはステップを実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメントまたは部分を表すものと理解されるべきであり、代替的な実装は、当業者によって理解されるであろうように、関係する機能に応じて、実質的に同時または逆の順序を含む、図示または議論された順序とは異なる順序で機能を実行することができる、本発明の進歩の例示的な実施形態の範囲内に含まれる。
【0102】
本発明の態様は、以下の条項に記載される。
1.リソグラフィプロセスで露光される基板に関して基板領域にわたるアライメントデータをモデル化する方法であって、前記基板に関してアライメントデータを取得することと、前記アライメントデータを、異なる基板間で相対的に安定な系統的成分と、異なる基板間で相対的に安定でない非系統的成分とに分離することと、前記系統的成分と前記非系統的成分とを個別にモデル化することと、モデル化された系統的成分とモデル化された非系統的成分とに基づいて、前記基板についてプロセス補正を決定することと、を備える方法。
2.前記分離するステップは、以前の複数の基板のアライメントデータに基づくフィードバックループによって実施される、条項1に記載の方法。
3.前記フィードバックループは、前記アライメントデータの前記系統的成分のフィードバックを備える、条項2に記載の方法。
4.前記分離するステップは、以前の複数の基板のアライメントデータの移動平均を減算することによって実施される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
5.以前の複数の基板のアライメントデータから前記移動平均を決定することを備える、条項4に記載の方法。
6.前記以前の複数の基板は、同じ製造連での以前の複数の基板である、条項5に記載の方法。
7.前記移動平均を決定するステップは、前記以前の基板の各々からのアライメントデータそれぞれに準備モデルをフィッティングすることと、フィッティングされた準備モデルを対応するアライメントデータから減算して準備モデル残差を残すことと、前記準備モデル残差の移動平均として前記移動平均を決定することと、を備える、条項5または6に記載の方法。
8.前記準備モデルは、前記アライメントデータにフィッティングされたとき前記アライメントデータの非系統的成分の大部分を記述するようにパラメータ化される、条項7に記載の方法。
9.前記準備モデルは、線形モデルである、条項7または8に記載の方法。
10.前記準備モデルは、4パラメータモデルである、条項7から9のいずれかに記載の方法。
11.前記4パラメータモデルは、基板平面内の第1の方向への平行移動、基板平面内の第2の方向への平行移動、回転、および基板倍率によってパラメータ化される、条項10に記載の方法。
12.前記移動平均は、前記基板上のアライメントマークごとに決定される、条項5から11のいずれかに記載の方法。
13.前記移動平均は、測定放射波長、測定放射偏光、回折次数、方向、チャック、露光レシピ、および測定レイアウトのうちの1つ又は複数ごとに決定される、条項5から12のいずれかに記載の方法。
14.各ウェーハおよび/またはウェーハのロットのリソグラフィ露光後に、前記基板に関して前記アライメントデータの前記移動平均を更新することを備える、条項4から13のいずれかに記載の方法。
15.前記移動平均は、指数加重移動平均である、条項4から14のいずれかに記載の方法。
16.前記系統的成分を個別にモデル化することは、現在の製造連での以前のすべての基板の前記系統的成分をモデル化するために使用されたものと同じアライメントレシピに従って、前記系統的成分をモデル化することを備える、先行する条項のいずれかに記載の方法。
17.前記アライメントデータから外れ値を除去する外れ値除去ステップを備え、前記外れ値除去ステップは、前記非系統的成分に対してのみ実行される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
18.前記基板上のアライメントマークごとの移動変動尺度を決定することをさらに備える、先行する条項のいずれかに記載の方法。
19.前記移動変動尺度は、重み付け移動変動尺度である、条項18に記載の方法。
20.前記移動変動尺度は、測定放射波長、測定放射偏光、回折次数、方向、チャック、露光レシピ、および測定レイアウトのうちの1つまたは複数ごとに決定される、18または19に記載の方法。
21.前記移動変動尺度は、前記非系統的成分の前記モデル化の残差から決定される、条項18から20のいずれかに記載の方法。
22.前記非系統的成分の前記モデル化の前記残差の大きさを、前記移動変動尺度または依存する尺度と比較することによって、外れ値を識別するために前記移動変動尺度を使用することを備える、条項21に記載の方法。
23.前記モデル化するステップの少なくとも1つにおいて重み付けフィッティングのための重みを決定するために前記移動変動尺度を使用することを備える、条項18から22のいずれかに記載の方法。
24.前記基板またはその領域にわたる前記非系統的成分の前記モデル化のスケールされた残差から変動尺度を決定することをさらに備える、先行する条項のいずれかに記載の方法。
25.前記変動尺度は、前記スケールされた残差の標準偏差を備え、前記方法は、前記変動尺度またはそれに依存する尺度を、前記スケールされた残差の大きさと比較して外れ値を識別することをさらに備える、条項24に記載の方法。
26.フィードバックループの破損を防止するためにロバスト性防御メカニズムを備え、前記ロバスト性防御メカニズムは、ウェーハアライメントフィードバックの適用を防止し及び/又はフィードバックループの再起動をトリガする、前記リソグラフィプロセスの露光設定におけるオーバールール設定又はリスタート設定を備える手動メカニズム、及び準備モデル残差の閾値数が範囲外である場合にフィードバック補正モデル化の実行を防止する自動メカニズムのうちの1つ又は両方を含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
27.前記非系統的成分を個別にモデル化することは、現在の製造連での少なくとも1つの以前の基板に使用されたものとは異なるアライメントレシピで前記非系統的成分をモデル化することを備える、先行する条項のいずれかに記載の方法。
28.前記異なるアライメントレシピは、測定レイアウト、モデルおよび/またはその正則化、フィッティング重み、色および/または偏光および/または回折次数レシピ、のうちの1つ又は複数において異なる、条項27に記載の方法。
29.前記非系統的成分をモデル化するために使用されるアライメントモデルに対してモデルマッピング操作を実行することを備え、該モデルマッピング操作は、現在の製造連での少なくとも複数の以前の基板に対して実行されていない、先行する条項のいずれかに記載の方法。
30.前記基板に対して専用にアライメントレシピを最適化することを備え、前記最適化されたアライメントレシピは、前記非系統的成分のみをモデル化するために使用される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
31.1つまたは複数の以前に露光された基板からのオーバーレイ計測に基づいて、前記基板の更なる補正を決定することを備える、先行する条項のいずれかに記載の方法。
32.リソグラフィプロセスで露光される基板に関して基板領域にわたるアライメントデータをモデル化する方法であって、前記基板に関してアライメントデータを取得することと、異なる基板間で比較的安定している前記アライメントデータの系統的成分を決定することと、前記系統的成分を個別にモデル化することと、を備える方法。
33.前記系統的成分を決定するステップは、現在の製造連での複数の以前の基板の各々からのアライメントデータそれぞれに準備モデルをフィッティングすることと、フィッティングされた準備モデルを対応するアライメントデータから減算して準備モデル残差を残すことと、前記準備モデル残差の移動平均を決定することと、を備える条項32に記載の方法。
34.前記準備モデルは、前記アライメントデータにフィッティングされたとき前記アライメントデータの非系統的成分の大部分を記述するようにパラメータ化される、条項33に記載の方法。
35.前記準備モデルは、線形モデルである、条項33または34に記載の方法。
36.前記準備モデルは、4パラメータモデルである、条項33から35のいずれかに記載の方法。
37.前記4パラメータモデルは、基板平面内の第1の方向への平行移動、基板平面内の第2の方向への平行移動、回転および基板倍率によってパラメータ化される、条項36に記載の方法。
38.前記移動平均は、前記基板上のアライメントマークごとに決定される、条項33から37のいずれかに記載の方法。
39.前記移動平均は、色、偏光、回折次数、方向、チャック、露光レシピ、および測定レイアウトのうちの1つ又は複数ごとに決定される、条項33から38のいずれかに記載の方法。
40.各ウェーハおよび/またはウェーハのロットのリソグラフィ露光後に、前記基板に関して前記アライメントデータの前記移動平均を更新することを備える、条項33から39のいずれかに記載の方法。
41.前記移動平均は、指数加重移動平均である、条項33から40のいずれかに記載の方法。
42.前記系統的成分を個別にモデル化することは、現在の製造連での以前のすべての基板の前記系統的成分をモデル化するために使用されたものと同じアライメントレシピに従って、前記系統的成分をモデル化することを備える、条項32から41のいずれかに記載の方法。
43.前記個別にモデル化するステップからのモデル成分を、基板のプロセス補正を決定するためにリソグラフィ装置に転送することを備える、条項32から42のいずれかに記載の方法。
44.前記アライメントデータを取得するために前記基板を測定することを備える、先行する条項のいずれかに記載の方法。
45.適切な装置上で実行されるとき条項1から44のいずれかに記載の方法を実行するように動作可能なプログラム命令を備えるコンピュータプログラム。
46.条項45に記載のコンピュータプログラムを備える非一時的なコンピュータプログラムキャリア。
47.条項46に記載の非一時的なコンピュータプログラムキャリアと、前記非一時的なコンピュータプログラムキャリア上に備えられたコンピュータプログラムを実行するように動作可能なプロセッサと、を備える処理装置。
48.アライメントセンサと、パターニングデバイスを支持するためのパターニングデバイス支持体と、基板を支持するための基板支持体と、条項47に記載の処理装置と、を備えるリソグラフィ装置。
49.前記アライメントセンサは、前記アライメントデータを取得するために前記基板を測定するように動作可能である、条項48に記載のリソグラフィ装置。
50.決定されたプロセス補正を、前記パターニングデバイス支持体および/または基板支持体の制御のために使用するように動作可能である、条項48または49に記載のリソグラフィ装置。
【0103】
上記では本発明の特定の実施形態を説明したが、本発明は、説明したものとは異なる方式で実施されうることが理解される。上述の説明は例示であり、限定を意図しない。よって、後述の特許請求の範囲から逸脱することなく既述の本発明に変更を加えることができるということは、関連技術の当業者には明らかなことである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィプロセスで露光される基板に関して基板領域にわたるアライメントデータをモデル化する方法であって、
前記基板に関してアライメントデータを取得することと、
前記アライメントデータを、異なる基板間で相対的に安定な系統的成分と、異なる基板間で相対的に安定でない非系統的成分とに分離することと、
前記系統的成分と前記非系統的成分とを個別にモデル化することと、
モデル化された系統的成分とモデル化された非系統的成分とに基づいて、前記基板についてプロセス補正を決定することと、を備える方法。
【請求項2】
前記分離するステップは、以前の複数の基板のアライメントデータに基づくフィードバックループによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィードバックループは、前記アライメントデータの前記系統的成分のフィードバックを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分離するステップは、以前の複数の基板のアライメントデータの移動平均を減算することによって実施される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
以前の複数の基板のアライメントデータから前記移動平均を決定することを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記移動平均を決定するステップは、
前記以前の基板の各々からのアライメントデータそれぞれに準備モデルをフィッティングすることと、
フィッティングされた準備モデルを対応するアライメントデータから減算して準備モデル残差を残すことと、
前記準備モデル残差の移動平均として前記移動平均を決定することと、を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記準備モデルは、線形モデルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記準備モデルは、4パラメータモデルである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記移動平均は、測定放射波長、測定放射偏光、回折次数、方向、チャック、露光レシピ、および測定レイアウトのうちの1つ又は複数ごとに決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
各ウェーハおよび/またはウェーハのロットのリソグラフィ露光後に、前記基板に関して前記アライメントデータの前記移動平均を更新することを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記移動平均は、指数加重移動平均である、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記基板上のアライメントマークごとの移動変動尺度を決定することをさらに備える、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記アライメントデータからオーバーレイフィードバック情報を減算することをさらに備える、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記基板またはその領域にわたる前記非系統的成分の前記モデル化のスケールされた残差から変動尺度を決定することをさらに備える、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項15】
適切な装置上で実行されるとき請求項1からのいずれかに記載の方法を実行するように動作可能なプログラム命令を備えるコンピュータプログラム。
【国際調査報告】