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特表2024-531244RTP温度制御システムのための高温測定誤差検出センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】RTP温度制御システムのための高温測定誤差検出センサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/26 20060101AFI20240822BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240822BHJP
   G01J 5/00 20220101ALI20240822BHJP
   G01J 5/90 20220101ALI20240822BHJP
【FI】
H01L21/26 T
H01L21/26 G
H01L21/66 T
G01J5/00 101C
G01J5/90
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508725
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 US2022036932
(87)【国際公開番号】W WO2023022817
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】17/403,693
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アダーホールド, ウルフギャング
(72)【発明者】
【氏名】ハウエルズ, サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ラモハン, アムリタ
(72)【発明者】
【氏名】グエン, フイ キュー.
【テーマコード(参考)】
2G066
4M106
【Fターム(参考)】
2G066AC01
2G066AC11
2G066BC15
2G066CB01
2G066CB03
4M106DH13
4M106DH14
4M106DJ17
4M106DJ19
4M106DJ20
(57)【要約】
本明細書で開示される実施形態は、パイロメーターの温度誤差を決定するための方法を含む。一実施形態では、本方法は、パイロメーターの第1のセンサで第1の信号を測定することと、パイロメーターの第2のセンサで第2の信号を測定することとを含む。一実施形態では、本方法は、第1の信号と第2の信号とからリフレクタプレートの反射率を決定することと、反射率を使用して温度誤差を決定することとをさらに含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイロメーターの温度誤差を決定するための方法であって、
前記パイロメーターの第1のセンサで第1の信号を測定することと、
前記パイロメーターの第2のセンサで第2の信号を測定することと、
前記第1の信号と前記第2の信号とからリフレクタプレートの反射率を決定することと、
前記反射率を使用して前記温度誤差を決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のセンサがエミソメータセンサであり、前記第2のセンサがメインセンサであり、前記エミソメータセンサからの前記第1の信号がIE信号であり、前記メインセンサからの前記第2の信号がIM信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リフレクタプレートの前記反射率が、前記IE信号と前記IM信号との比を使用して決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記温度誤差が、前記リフレクタプレートの元の状態と比較した前記リフレクタプレートの前記反射率の変化に比例する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記反射率の前記変化が、前記リフレクタプレート上の材料堆積の結果である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記反射率が、有効放射率を決定するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記有効放射率が、相対信号損失を決定するために使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記温度誤差を、物理ベースモデルによって提供された推定された温度誤差と比較すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記温度誤差は、前記温度誤差と前記推定された温度誤差との間の差の絶対値が所定のしきい値よりも小さいとき、将来の使用のために記憶される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記所定のしきい値が、前記温度誤差の10%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
処理ツールであって、
チャンバと、
前記チャンバ中の基板支持体と、
前記基板支持体の下方のリフレクタと、
前記チャンバに結合された加熱ユニットであって、前記加熱ユニットが、前記基板支持体によって支持された基板を加熱するように構成された、加熱ユニットと、
前記リフレクタを貫通するパイロメーターであって、前記パイロメーターが、前記基板の温度を測定するように構成され、前記パイロメーターが、
光パイプと、
集束光学系と、
前記光パイプの上方の前記基板上の比較的小さいスポットから放出された光を検出するように構成された第1のセンサと、
前記第1のセンサよりも広い角度からの光を検出するように構成された第2のセンサと
を備える、パイロメーターと
を備える、処理ツール。
【請求項12】
前記第1のセンサが、垂直方向に配向され、前記第2のセンサが、水平方向に配向される、請求項11に記載の処理ツール。
【請求項13】
前記集束光学系が、前記垂直方向に配向された第1のセンサに、前記基板上の前記比較的小さいスポットから放出された前記光を向けるためのミラーを含む、請求項12に記載の処理ツール。
【請求項14】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサが、前記リフレクタの反射率の変化を検出するように構成された、請求項11に記載の処理ツール。
【請求項15】
前記処理ツールが急速熱処理(RTP)ツールである、請求項11に記載の処理ツール。
【請求項16】
複数のパイロメーター
をさらに備える、請求項11に記載の処理ツール。
【請求項17】
基板を処理するためのシステムであって、
チャンバと、
基板を支持するための基板ホルダと、
前記基板を加熱するための加熱要素と、
前記基板の下方のリフレクタプレートと、
前記リフレクタを貫き、前記基板の温度を測定するように構成されたパイロメーターであって、前記パイロメーターが、前記リフレクタプレート上の堆積から生じる温度誤差を検出するために使用されることが可能である、パイロメーターと
を備え、前記温度誤差を検出するための方法が、
前記パイロメーターの第1のセンサで第1の信号を測定することと、
前記パイロメーターの第2のセンサで第2の信号を測定することと、
前記第1の信号と前記第2の信号とから前記リフレクタプレートの反射率を決定することと、
前記反射率を使用して前記温度誤差を決定することと
を含む、システム。
【請求項18】
前記第1のセンサがエミソメータセンサであり、前記第2のセンサがメインセンサであり、前記エミソメータセンサからの前記第1の信号がIE信号であり、前記メインセンサからの前記第2の信号がIM信号である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記リフレクタプレートの前記反射率が、前記IE信号と前記IM信号との比を使用して決定される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記温度誤差が、前記リフレクタプレートの元の状態と比較した前記リフレクタプレートの前記反射率の変化に比例する、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月16日に出願された米国特許出願第17/403,693号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、半導体処理の分野に関し、詳細には、急速熱処理(RTP)温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
急速熱処理(RTP)システムは、基板とは反対側に加熱要素のアレイがある、チャンバを含む。ヒータは、基板上の処理条件を実行するために、基板の温度を急速に増加させる。加熱要素は、少なくとも部分的に、基板の下方のパイロメーターによって制御される。パイロメーターは、非接触温度測定ソリューションである。
【0004】
RTPシステムにおける処理中に、基板表面からの分子が、昇華し、チャンバ表面上に再堆積することがある。ウエハ放射を測定し、ウエハ温度を決定するためのパイロメーターのビューポートが、RTPシステムの使用中に徐々にコーティングされる。これは、温度誤差を生じ、温度誤差は、制御システムが仕様の範囲外で処理を駆動することを引き起こす。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で開示される実施形態は、パイロメーターの温度誤差を決定するための方法を含む。一実施形態では、本方法は、パイロメーターの第1のセンサで第1の信号を測定することと、パイロメーターの第2のセンサで第2の信号を測定することとを含む。一実施形態では、本方法は、第1の信号と第2の信号とからリフレクタプレート(reflector plate)の反射率(reflectivity)を決定することと、反射率を使用して温度誤差を決定することとをさらに含む。
【0006】
本明細書で開示される実施形態は、温度誤差を検出することができるパイロメーターをもつ処理ツールをも含み得る。一実施形態では、処理ツールが、チャンバと、チャンバ中の基板支持体と、基板支持体の下方のリフレクタとを備える。一実施形態では、加熱ユニットがチャンバに結合され、加熱ユニットは、基板支持体によって支持された基板を加熱するように構成される。一実施形態では、本処理ツールは、リフレクタを貫通するパイロメーターをさらに備え、パイロメーターは、基板の温度を測定するように構成される。一実施形態では、パイロメーターは、光パイプと、集束光学系と、光パイプの上方の基板上の比較的小さいスポットから放出された光を検出するように構成された第1のセンサと、第1のセンサよりも広い角度からの光を検出するように構成された第2のセンサとを備える。
【0007】
本明細書で開示される実施形態は、温度誤差を検出することができるパイロメーターをもつシステムをも含み得る。一実施形態では、基板を処理するためのシステムが、チャンバと、基板を支持するための基板ホルダと、基板を加熱するための加熱要素と、基板の下方のリフレクタプレートと、リフレクタを貫き、基板の温度を測定するように構成されたパイロメーターとを備える。一実施形態では、パイロメーターは、リフレクタプレート上の堆積から生じる温度誤差を検出するために使用されることが可能である。一実施形態では、温度誤差を検出するための方法が、パイロメーターの第1のセンサで第1の信号を測定することと、パイロメーターの第2のセンサで第2の信号を測定することと、第1の信号と第2の信号とからリフレクタプレートの反射率を決定することと、反射率を使用して温度誤差を決定することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による、急速熱処理(RTP)システムの断面図である。
図2】一実施形態による、RTPシステムにおけるデュアルチャネルパイロメーターの概略図である。
図3】一実施形態による、RTPシステムにおけるパイロメーターの温度誤差を決定するためのプロセスの流れ図である。
図4A】一実施形態による、有効放射率対リフレクタプレート反射率のグラフである。
図4B】一実施形態による、相対信号損失対基板放射率のグラフである。
図4C】一実施形態による、温度誤差対基板温度のグラフである。
図5】一実施形態による、パイロメーターによって提供された温度誤差を、熱的モデルによって提供された温度誤差と比較するためのプロセスの流れ図である。
図6】本開示の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
急速熱処理(RTP)温度制御システムが、本明細書で説明される。以下の説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。これらの具体的な詳細なしに本開示の実施形態が実践され得ることは、当業者に明らかであろう。他の事例では、よく知られている態様は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、詳細に説明されない。さらに、図に示されている様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らないことを理解されたい。
【0010】
上述のように、RTPシステムの内部表面(たとえば、リフレクタプレートまたは石英窓)上の物質の再堆積が、パイロメーターによって行われる温度測定において誤差を生じる。さらに、表面の他の変化(たとえば、化学反応または他の損傷)も、パイロメーターによって行われる温度測定において誤差を生じ得る。したがって、基板の温度は、潜在的に仕様の範囲外に移され、基板の損傷を生じ、いくつかの事例では、潜在的に、基板を廃棄する必要を生じることがある。したがって、本明細書で開示される実施形態は、パイロメーターの読取値における温度誤差を検出するためのシステムおよびプロセスを含む。したがって、基板の真の温度が、決定され、所与の仕様内に入るように制御され得る。
【0011】
一実施形態では、温度誤差計算は、デュアルチャネルパイロメーターの使用によって実施される。第1のチャネルが、基板上の小さいスポットから放出された光を検出するエミソメータ(emissometer)センサである。第1のチャネルからの読取値は、IEとして示され得る。第2のチャネルが、より広い角度からの放射の範囲を検出するメインセンサである。メインチャネル放射の大部分は、パイロメーターロケーションの周りのエリアの複数の反射から生じる。多くの反射により、基板は、本質的に、反射率(reflectance)Rが本質的に1に等しい、仮想ブロック体(virtual block body)になる。第2のチャネルからの読取値は、IMとして示され得る。次いで、IE/IMの比が、基板の下方の反射プレート(reflective plate)の反射率を決定するために使用され得る。反射率の減少は、温度誤差に比例する。温度誤差の比例値から温度誤差の実際の値に移すために、一連のチャートが使用される。デュアルチャネルパイロメーターを使用して反射率における見込みを見つけることに加えて、反射率の変化が、レーザベースシステムを使用して決定され得る。たとえば、処理ツールが、反射率の変化を検出するために、表面(たとえば、リフレクタプレート)を調べるために使用されるレーザ源を含み得る。
【0012】
また別の実施形態では、同様のプロセスが、チャンバから加熱要素を分離する石英窓上のコーティングを検出するために利用され得る。基板が除去されて、パイロメーターは、石英窓の温度を検出することができる。石英窓のデュアルチャネル調査が、石英窓上のコーティングの存在を決定するために使用され得、これは、ツール中の基板の処理を変えることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、温度誤差は、人工知能(AI)または機械学習(ML)のコンテキストにおいて使用され得る。たとえば、測定された温度誤差は、物理モデルで計算された温度誤差と比較され得る。測定された温度誤差と計算された温度誤差とが互いに比較的近い場合、物理モデルは、真として受け入れられる。測定された温度誤差と計算された温度誤差との間により大きい差がある場合、物理モデルは再調整され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、反射率の変化はまた、洗浄終点を検出するために、洗浄処理において使用され得る。たとえば、プラズマエッチングプロセスが、内部表面上のコーティングを除去するために使用され得る。コーティングが除去されるにつれて、反射率が変化することになる。反射率値が、知られているレベル(すなわち、コーティングされていない状態にあるリフレクタの知られている反射率)に戻ったとき、洗浄処理が完了したと決定され得る。
【0015】
次に図1を参照すると、一実施形態による、RTPツール100の断面図が示されている。一実施形態では、RTPツールはチャンバ110を備える。加熱要素105が、チャンバ110の上方に提供される。加熱要素105は、窓106によってチャンバ110から分離され得る。単一のデバイスとして示されているが、加熱要素105は、複数の個別の加熱要素を備え得る。たとえば、複数の加熱ランプが、チャンバ110の上部にわたって提供され得る。
【0016】
一実施形態では、基板115が、チャンバ110中の支持体116によって支持され得る。基板115は、半導体製造プロセスに特有の任意のタイプの基板であり得る。たとえば、基板115は、シリコンウエハなど、ウエハであり得る。他の実施形態では、基板115は、非円形フォームファクタをもつガラス基板であり得る。たとえば、基板115は、いくつかの実施形態では、矩形形状を有し得る。一実施形態では、支持体116は、リフレクタプレート121の上方に基板115を上げ得る。支持体116はまた、いくつかの実施形態では、基板115を回転させるように構成され得る。
【0017】
一実施形態では、リフレクタプレート121は、ベース122の上に提供され得る。複数のパイロメーター125が、ベース122およびリフレクタプレート121を貫通し得る。一実施形態では、パイロメーター125の上部部分が、図1に示されている。特に、パイロメーター125の光パイプ部分が示されている。パイロメーター125の追加の光学系およびセンサは、図1に示されておらず、図2に関して以下でより詳細に説明される。
【0018】
一実施形態では、パイロメーター125は、基板115を所望の温度において維持するために、制御システムにおいて使用される。たとえば、パイロメーター125は、入力としてパイロメーター125から温度情報をとり、出力として加熱要素105に制御エフォートを提供する、コントローラに結合され得る。以下でより詳細に説明されるように、パイロメーター125は、デュアルチャネルパイロメーターであり得る。デュアルチャネルパイロメーター125の使用は、以下でより詳細に説明されるように、温度誤差が計算されることを可能にする。
【0019】
次に図2を参照すると、一実施形態による、パイロメーター225の断面図が示されている。示されているように、パイロメーター225は、光パイプ231を含む。光パイプ231は、ベース(図示せず)およびリフレクタプレート221を貫通する。光パイプ231は、異なるエリアからの光を取り込む。入力光の第1の部分が、IEと称される。IE光は、光パイプ231の直接上の基板215からのものである。入力光の第2の部分が、IMと称される。IM光は、光パイプ231に達する前に、基板215とリフレクタ221との間で複数回反射される。
【0020】
一実施形態では、パイロメーター225は、第1の光学領域232をさらに備える。第1の光学領域232は、入射光がフィルタ235に達する前に、入射光をコリメートする。第2の光学領域233が、フィルタ235の後に提供される。第2の光学領域233は、コンセントレータである。第2の光学領域233におけるコンセントレータは、第1のセンサ236に光を集束させる。第1のセンサ236は、IM光を受信し、IMセンサ236と呼ばれることがある。リフレクタ234も、第2の光学領域233において提供され得る。リフレクタ234は、パイロメーター225の中央に配向され、第2のセンサ237にIE光を反射する。第2のセンサ237は、IEセンサ237と呼ばれることがある。一実施形態では、IMセンサ236およびIEセンサ237は、光検出器である。すなわち、IM光およびIE光の光子が、いずれかの光源の強度を決定するために使用され得る電流を誘起する。IMセンサ236およびIEセンサ237は、パイロメーターエレクトロニクス238に電気的に結合され得る。パイロメーターエレクトロニクス238は、以下でより詳細に説明されるように、温度誤差を決定するための1つまたは複数のプロセスを実行するために使用され得る。
【0021】
次に図3を参照すると、一実施形態による、パイロメーターの温度誤差を決定するためのプロセス370の流れ図が示されている。一実施形態では、プロセス370は、図1および図2に関して上記で説明されたRTPツールなど、RTPツール上で実行され得る。特定の実施形態では、RTPツールは、IE信号とIM信号との検出を可能にするデュアルチャネルパイロメーターを含む。
【0022】
一実施形態では、プロセス370は、パイロメーターの第1のセンサで第1の信号を測定することを含む、処理371から始まり得る。一実施形態では、第1の信号はIE信号であり得、第1のセンサはIEセンサであり得る。一実施形態では、IE信号は、パイロメーター中のリフレクタを使用してIEセンサにルーティングされ得る。リフレクタは、上記でより詳細に説明されたリフレクタ234と同様であり得る。したがって、IE信号は、光パイプの直接上方からの光であり得る。一実施形態では、IEの値は、式1によって提供される。式1では、εは基板の放射率であり、σはステファン-ボルツマン定数であり、Tは温度である。
IE~ε・σ・T 式1
【0023】
一実施形態では、プロセス370は、パイロメーターの第2のセンサで第2の信号を測定することを含む、処理372を続け得る。一実施形態では、第2の信号はIM信号であり得、第2のセンサはIMセンサであり得る。IM信号は、光パイプの上の広い角度から取得され得る。一実施形態では、IMの値は、式2によって提供される。式2では、εは基板の放射率であり、σはステファン-ボルツマン定数であり、Tは温度であり、Rは反射プレートの反射率である。
【0024】
2つの別個の処理であるものとして説明されるが、処理371と処理372とは同時に行われ得ることを諒解されたい。すなわち、IM値とIE値とは、実質的に同じ時間に取得され得る。しかしながら、IM値とIE値とは、いくつかの実施形態では、異なる時間に取得され得ることを諒解されたい。
【0025】
一実施形態では、プロセス370は、第1の信号と第2の信号とからリフレクタプレートの反射率を決定することを含む、処理373を続ける。特に、反射率Rは、IEのIMに対する比をとることによって取得され得る。IEのIMに対する比は、式3において提供される。
【0026】
式3は、反射率Rを孤立させるために、式4に再整理され得る。
【0027】
反射率Rは、式5に示されているように、吸収係数αを見つけるために使用され得、ここで、Rは、反射プレートの元の反射率である。吸収係数αは、複数の基板の処理中の反射プレートの変化による損失に比例する。吸収係数αは、相対温度誤差を提供するために使用され得る。しかしながら、実施形態は、実際の温度誤差を計算する能力をも含み得ることを諒解されたい。したがって、温度の真値が、RTPツールを制御するために使用され得る。
【0028】
一実施形態では、プロセス370は、反射率を使用して温度誤差を決定することを含む、処理374を続ける。一実施形態では、生成され得る一連のチャートは、実際の温度誤差が決定されることを可能にする。たとえば、図4A図4Cにおいて提供されるものと同様のチャートが使用され得る。次に図4Aを参照すると、一実施形態による、ウエハ放射率の範囲についての、リフレクタプレート反射率対有効放射率のグラフが示されている。一実施形態では、有効放射率Eeffは、式6によって提供される。グラフによって示されるように、Rの値が1に近づくにつれて、有効放射率Eeffも1に進む。そのような事例では、システムは、真の黒体としてモデル化される。
IM~Eeff 式7
【0029】
信号は、式7において表されるように、有効放射率Eeffに比例する。特に、相対信号損失の導関数が、式8によって提供される。式8は、リフレクタプレート反射率の範囲についての、ウエハ放射率対反射率変化当たりの相対信号損失のグラフを示す、図4Bにおいてグラフィカルに提供される。たとえば、0.7の放射率Eをもつ基板について、相対信号損失は0.4である。信号損失が反射率変化当たりのものであるので、反射率Rの1%変化が、0.4%放射損失を生じる。しかしながら、他の損失も含まれ得ることを諒解されたい。たとえば、光パイプ表面からの吸収による損失も、放射損失に追加され得る。たとえば、光パイプコーティングは、追加の1.0%放射損失を生じ、-1.4%の総放射変化となり得る。
【0030】
相対信号損失から温度誤差の実際の値に移すために、図4C中のグラフが使用される。図4Cは、パーセンテージパイロメーター電流誤差当たりの温度誤差対基板の温度を示すチャートである。たとえば、1100℃の基板温度において、温度誤差は1.2K/%である。上記で説明された事例では、総損失は-1.4%である。これは、1.2K/%×-1.4%=-1.7Kに等しい、温度誤差を生じる。
【0031】
そのようなプロセスの使用は、所定のしきい値内に処理条件を保つために、RTPツールの加熱ユニットの制御において有用である、温度誤差を決定するために使用され得る。制御アプリケーションに加えて、温度オフセットが、RTPツールとともに連動して実行される1つまたは複数のモデルを検証するために使用され得る。たとえば、機械学習および/または人工知能モデルの正確さが、温度オフセットを決定するためのプロセスを使用して確認され得る。そのようなプロセス流れの一例が、図5において提供される。
【0032】
次に図5を参照すると、一実施形態による、モデルを検証するためのプロセス580の流れ図が示されている。一実施形態では、検証されているモデルは、物理ベースモデルである。物理ベースモデルは、様々な処理条件の結果をチャート化するために、物理的パラメータおよび物理ベース現象を使用する。物理ベースモデルの目標は、チャンバ内の実際の処理にできるだけ近づけることである。物理ベースモデルは、RTPツールなどの処理ツールを制御するための機械学習または人工知能アルゴリズムの一部として使用され得る。
【0033】
一実施形態では、プロセス580は、レシピを実行することを含む、処理581から始まり得る。レシピは、基板を処理するために、または計画された保守(PM)を実装するために、好適な任意のレシピであり得る。いくつかの実施形態では、レシピは、物理ベースモデルを再検証するために、PMの最後に行われ得る。
【0034】
一実施形態では、プロセス580は、2つの並列処理に分岐する。一実施形態では、第1の分岐は、ブロック583においてセンサ情報を取得することを含み、第2の分岐は、ブロック582において物理モデル予測を取得することを含む。センサ情報ブロック583は、パイロメーターの温度誤差を決定するために、上記でより詳細に説明されたプロセスと同様のプロセスを含み得る。たとえば、デュアルチャネルパイロメーターが、IM値およびIE値と、反射プレートの対応する反射率とを見つけるために使用され得る。次いで、反射率は、パイロメーターの実際の温度誤差を生成するために使用され得る。第2の分岐上で、レシピのパラメータ、ツール設定、および他の適切なツール情報(たとえば、履歴データなど)を前提として、物理モデルが、基板の真の温度が何であるかと考えるかを決定するために、物理モデルが照会される。
【0035】
次いで、プロセス580は、センサ情報をモデル予測と比較することを含む、処理584に進む。センサ情報は、レシピ中の基板の真の温度(すなわち、測定された温度+温度誤差)を提供することになり、モデル予測は、レシピ中の基板のモデル化された温度を提供する。一実施形態では、真の温度およびモデル化された温度は、プロセス中の単一の温度点であり得る。他の実施形態では、真の温度およびモデル化された温度は、基板の表面にわたる温度マップであり得る。温度マップは、レシピ中の単一の時点におけるものであり得るか、またはレシピ中の複数の時間における温度マップを含み得る。
【0036】
一実施形態では、決定ブロック584は、真の温度とモデル化された温度とがマッチしているのかマッチしていないのかを決定する。マッチした温度は、互いにあるしきい値内にある、2つの温度を指し得る。たとえば、真の温度は、モデル化された温度が真の温度の90%から110%の間にある場合、モデル化された温度にマッチすると見なされ得る。他の実施形態では、モデル化された温度は、モデル化された温度が真の温度の99%から101%の間にある場合、真の温度にマッチすると見なされる。
【0037】
一実施形態では、温度がマッチであるとき、ブロック585において、温度に対する補正が受け入れられる。すなわち、物理モデルは受け入れられ、プロセスは、レシピを実行することにループバックし得る。同じレシピが実行され得るか、または異なるレシピが実行され得る。たとえば、後続のレシピは、生産基板のためのレシピであり得る。
【0038】
一実施形態では、温度がマッチしないとき、プロセス580は、プロセスを停止することと、モニタ実行を要求することとを含む、ブロック586に進む。一実施形態では、モニタ実行は、ブロック582において使用された物理ベースモデルを再較正するための方法であり得る。一実施形態では、プロセス580は、次いで、計測データをモニタすることを含む、処理587に続く。計測データは、ブロック581において初期レシピで処理された基板上で実施される物理計測であり得る。他の実施形態では、仮想計測が実施され得る。仮想計測は、処理ツールにおける1つまたは複数のセンサ出力から導出される、計測を指し得る。たとえば、温度誤差計算は、物理ベースモデルを改良するために使用され得る仮想計測の一例であり得る。
【0039】
一実施形態では、プロセス580は、ブロック588において、物理モデルを調整することをさらに続け得る。物理モデルを調整することは、RTPツールにおいて所与のプロセスをより正確にマッピングするために、物理モデルに様々な計測入力を適用することを含み得る。一実施形態では、調整は、オフラインで実施され得る。他の実施形態では、機械学習または人工知能アルゴリズムが、物理モデルを自動調整するために使用され得る。
【0040】
一実施形態では、プロセス580は、調整されたオフセットを更新することと、物理モデルのための基準をリセットすることとを含む、処理589をさらに続け得る。モデルが調整プロセスに従ってリセットされた後に、プロセスは、ブロック581においてレシピを繰り返すことによって続き得る。次いで、プロセスは、何度でもプロセスループに従って続き得る。
【0041】
図6は、機械に本明細書で説明される方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実行させるための命令のセットが実行され得る、コンピュータシステム600の例示的な形態の機械の図式表現を示す。代替実施形態では、機械は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、またはインターネット中で他の機械に接続され(たとえば、ネットワーク化され)得る。機械は、クライアントサーバネットワーク環境ではサーバまたはクライアントマシンとして、あるいはピアツーピア(または分散型)ネットワーク環境ではピアマシンとして動作し得る。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、セルラー電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいはその機械によってとられるべきアクションを指定する命令のセット(連続したまたはそれ以外)を実行することが可能な任意の機械であり得る。さらに、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語はまた、本明細書で説明される方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実行するために命令のセット(または複数のセット)を個々にまたは一緒に実行する、機械(たとえば、コンピュータ)の任意の集合を含むと解釈されるものとする。
【0042】
例示的なコンピュータシステム600は、バス630を介して互いと通信する、プロセッサ602と、メインメモリ604(たとえば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはRambus DRAM(RDRAM)など)と、スタティックメモリ606(たとえば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)と、2次メモリ618(たとえば、データストレージデバイス)とを含む。
【0043】
プロセッサ602は、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなど、1つまたは複数の汎用処理装置を表す。より詳細には、プロセッサ602は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組合せを実装するプロセッサであり得る。プロセッサ602はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなど、1つまたは複数の専用処理デバイスであり得る。プロセッサ602は、本明細書で説明される動作を実施するための処理ロジック626を実行するように構成される。
【0044】
コンピュータシステム600は、ネットワークインターフェースデバイス608をさらに含み得る。コンピュータシステム600は、ビデオディスプレイユニット610(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、または陰極線管(CRT))と、英数字入力デバイス612(たとえば、キーボード)と、カーソル制御デバイス614(たとえば、マウス)と、信号生成デバイス616(たとえば、スピーカー)とをも含み得る。
【0045】
2次メモリ618は、本明細書で説明される方法論または機能のうちのいずれか1つまたは複数を具体化する命令の1つまたは複数のセット(たとえば、ソフトウェア622)が記憶された機械アクセス可能ストレージ媒体(またはより詳細には、コンピュータ可読ストレージ媒体)631を含み得る。ソフトウェア622はまた、コンピュータシステム600によるソフトウェア622の実行中に、メインメモリ604内におよび/またはプロセッサ602内に完全にまたは少なくとも部分的に存在し得、メインメモリ604およびプロセッサ602は、機械可読ストレージ媒体をも構成する。ソフトウェア622は、さらに、ネットワークインターフェースデバイス608を介してネットワーク661上で送信または受信され得る。
【0046】
機械アクセス可能ストレージ媒体631は、例示的な実施形態において単一の媒体であることが示されているが、「機械可読ストレージ媒体」という用語は、命令の1つまたは複数のセットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中型または分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むと解釈されるものとする。「機械可読ストレージ媒体」という用語はまた、機械による実行のための命令のセットを記憶または符号化することが可能であり、機械に本開示の方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実施させる、任意の媒体を含むと解釈されるものとする。「機械可読ストレージ媒体」という用語は、したがって、限定はしないが、ソリッドステートメモリと、光および磁気媒体とを含むと解釈されるものとする。
【0047】
本開示の一実施形態によれば、機械アクセス可能ストレージ媒体は命令を記憶しており、命令は、データ処理システムに、デュアルチャネルパイロメーターの温度誤差を検出する方法を実施させる。
【0048】
したがって、デュアルチャネルパイロメーターの温度誤差を測定するための方法が開示された。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
【国際調査報告】