(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】閉鎖処理設備および方法
(51)【国際特許分類】
B65B 7/28 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
B65B7/28 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508923
(86)(22)【出願日】2022-08-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2022072742
(87)【国際公開番号】W WO2023020978
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キャミッシュ, ニール ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ドレース, グイド
【テーマコード(参考)】
3E049
【Fターム(参考)】
3E049AA01
3E049AB02
3E049BA01
3E049BA03
3E049BA04
3E049CA01
3E049EC03
(57)【要約】
いくつかの容器(2)の開口部(25)を閉鎖するための閉鎖処理設備(1)は、いくつかのストッパ部材(3)と、容器ホルダ(4)と、補償構造(3、6)の組とを備える。ストッパ部材(3)の各々は、弾性材料で製作され、いくつかの容器(2)のうちの1つの容器の開口部(25)にはまり込むように構成されたプラグ部分(31)を有し、いくつかの容器(2)のうちの1つの容器の開口部(25)に隣接する境界面(24)に当接するように構成されたカバー部分(32)を有する。容器ホルダ(4)は、いくつかの容器(2)のうちの1つを所定の位置に受け入れるように各々が構成されたいくつかの容器座部(41)を有する。補償構造(3、6)の組の各々の補償構造は、容器製造寸法公差を補償するように構成される。補償構造(3、6)の組は、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様な補償構造(3、6)を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの容器(2)の開口部(25)を閉鎖するための閉鎖処理設備(1)であって、
いくつかのストッパ部材(3)と、容器ホルダ(4)と
を備えており、
前記いくつかのストッパ部材(3)の各々は、弾性材料で製作され、前記いくつかの容器(2)のうちの1つの容器の開口部(25)にはまり込むように構成されたプラグ部分(31)を有し、かつ前記いくつかの容器(2)のうちの前記1つの容器の前記開口部(25)に隣接する境界面(24)に当接するように構成されたカバー部分(32)を有し、
前記容器ホルダ(4)は、前記いくつかの容器(2)のうちの1つを所定の位置に受け入れるように各々が構成されたいくつかの容器座部(41)を有しており、
容器製造寸法公差を補償するように各々が構成された補償構造(3、6)の組であって、
前記補償構造(3、6)の組は、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様な補償構造(3、6)を含む、
補償構造(3、6)の組を備えることを特徴とする、閉鎖処理設備(1)。
【請求項2】
前記容器ホルダ(4)の前記いくつかの容器座部(41)は、第1の数の行と第2の数の列とからなる格子に配置されている、請求項1に記載の閉鎖処理設備(1)。
【請求項3】
前記いくつかのストッパ部材(3)のうちの1つのストッパ部材(3)を所定の位置に受け入れるように各々が構成されたいくつかのストッパ座部(51)を有するストッパホルダ(5)を備える、請求項1または2に記載の閉鎖処理設備(1)。
【請求項4】
前記ストッパホルダ(5)の前記いくつかのストッパ座部(51)は、前記容器ホルダ(4)の前記いくつかの容器座部(41)に対応して配置されている、請求項3に記載の閉鎖処理設備(1)。
【請求項5】
前記補償構造(3、6)の組は、前記いくつかのストッパ部材(3)によって具現化される、請求項1~4のいずれか一項に記載の閉鎖処理設備(1)。
【請求項6】
前記いくつかのストッパ部材(3)の各々の前記カバー部分(32)は、容器製造寸法公差を補償するように構成されたカバー厚さ(33)を有する、請求項5に記載の閉鎖処理設備(1)。
【請求項7】
前記いくつかのストッパ部材(3)は、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様なカバー厚さ(33)のカバー部分(32)を有するストッパ部材(3)を含む、請求項6に記載の閉鎖処理設備(1)。
【請求項8】
前記補償構造(3、6)の組は、前記容器ホルダ(4)の前記容器座部(41)のうちの1つに配置されるように各々が構成された容器座部インサート(6)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の閉鎖処理設備(1)。
【請求項9】
各々の容器座部インサート(6)は、容器製造寸法公差を補償するように構成されたインサート厚さ(64)を有する、請求項8に記載の閉鎖処理設備(1)。
【請求項10】
前記容器座部インサート(6)は、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様なインサート厚さ(64)を有する、請求項9に記載の閉鎖処理設備(1)。
【請求項11】
容器(2)の開口部(25)を閉鎖する方法であって、
開口部を各々が有しているいくつかの容器(2)を取得することと、
前記いくつかの容器(2)の各容器の寸法を測定して、前記いくつかの容器(2)の各々について容器製造寸法公差を決定することと、
弾性材料で製作され、前記いくつかの容器(2)のうちの1つの容器の開口部(25)にはまり込むように構成されたプラグ部分(31)および前記いくつかの容器(2)のうちの前記1つの容器の前記開口部(25)に隣接する境界面(24)に当接するように構成されたカバー部分(32)を各々が有しているいくつかのストッパ部材(3)を取得することと、
前記いくつかの容器(2)のうちの1つを所定の位置に受け入れるように各々が構成されたいくつかの容器座部(41)を有している容器ホルダ(4)を取得することと、
異なる容器製造寸法公差を補償するための多様な補償構造(3、6)を含んでいる補償構造(3、6)の組を取得することと、
前記いくつかの容器(2)の決定された前記容器製造寸法公差に基づいて、前記いくつかの容器(2)の容器ごとに、前記容器の前記決定された容器製造寸法公差を補償するために適した前記補償構造(3、6)の組のうちの補償構造を選択することと、
前記いくつかの容器(2)を前記容器ホルダ(4)の前記いくつかの容器座部(41)に配置することと、
前記いくつかの容器(2)の各々が、それぞれの前記決定された容器製造寸法公差を補償するために適する選択された前記補償構造(3、6)のうちの1つを備えることと、
前記ストッパ部材(3)のうちの1つの前記プラグ部分(31)をそれぞれの前記開口部(25)へとはまり込ませ、前記ストッパ部材(3)のうちの前記1つのストッパ部材(3)の前記カバー部分(32)を前記それぞれの開口部(25)に隣接する境界面(24)に当接させることによって、前記いくつかの容器(2)の前記開口部(25)の各々を閉鎖することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記いくつかの容器(2)の前記開口部(25)の各々を閉鎖することは、ケージ部材を前記いくつかの容器(2)の各々に取り付けて、前記いくつかのストッパ部材(3)を保持することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記いくつかの容器(2)の各々に前記選択された補償構造(3、6)のうちの1つを提供することは、いくつかのストッパ座部(51)を有するストッパホルダ(5)を取得し、前記選択された補償構造(3、6)を前記いくつかのストッパ座部(51)に配置することを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記補償構造(3、6)の組は、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様なカバー厚さ(33)を有する前記ストッパ部材(3)の前記カバー部分(32)によって具現化される、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記いくつかの容器(2)の容器ごとに、前記補償構造(3、6)の組のうちの補償構造を選択することは、前記いくつかの容器(2)の容器ごとに、それぞれの前記容器の前記決定された容器製造寸法公差を補償するために適したカバー厚さ(33)を有するカバー部分(32)を有する前記ストッパ部材(3)のうちのストッパ部材(3)を選択することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記補償構造(3、6)の組は、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様なインサート厚さ(64)を有する容器座部(41)インサートを備える、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記いくつかの容器(2)の容器ごとに、前記補償構造(3、6)の組のうちの補償構造を選択することは、前記いくつかの容器(2)の容器ごとに、前記それぞれの容器の前記決定された容器製造寸法公差を補償するために適したインサート厚さ(64)を有する前記容器座部(41)インサートのうちの容器座部(41)インサートを選択することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記いくつかの容器(2)の各々容器の寸法を測定することは、前記いくつかの容器(2)の各容器の寸法を光学的に測定することを含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の冒頭部分に記載の閉鎖処理設備に関し、より詳細には、容器の開口部を閉鎖する方法に関する。
【0002】
そのような閉鎖処理設備は、典型的には、複数のストッパ部材と容器ホルダとを備え、ストッパ部材の各々は、弾性材料で作られ、複数の容器のうちの1つの容器の開口部にはまり込むように構成されたプラグ部分を有し、かつ複数の容器のうちの1つの容器の開口部に隣接する境界面に当接するように構成されたカバー部分を有し、容器ホルダは、複数の容器のうちの1つの容器を所定の位置に受け入れるように各々が構成された複数の容器座部を有する。この種の閉鎖処理設備を、容器の開口部をぴったりと確実に閉鎖するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
化学または医薬の多数の用途において、原薬、化学物質、臨床試験の物質、などの液体物質が、バイアルまたはカートリッジなどの特定の容器にて用意される。これらの容器は、典型的には、中空の内部と、内部へのアクセスを可能する開口部とを有する。開口部は、典型的には、境界面によって囲まれ、あるいは境界付けられる。物質が容器の内部に入れられ、その後に開口部がぴったりと閉鎖される。
【0004】
容器を閉鎖するために、弾性ストッパを使用することが知られている。そのようなストッパは、開口部をぴったりと封止し、あるいは気密にさえ封止し得、さらには、針によってストッパを穿刺して、針を物質へと導入することによって、容器からの物質の取り出しを可能にし得る。
【0005】
典型的には、ストッパは、プラグ部分およびカバー部分を有する。プラグ部分は、開口部にぴったりとはまり込むような寸法とされ、カバー部分は、開口部の境界面に当接するように形作られる。より具体的には、ストッパは、カバー部分が境界面に押し付けられ、或る程度まで圧縮されて気密性を生じるように、開口部へと押し込まれる。多くの用途において必要とされるとおり、この種のストッパおよび容器は、容器の効率的かつ無菌の充てんおよび閉鎖を可能にする。
【0006】
上述のように、充てんおよび閉鎖後の容器の充分な気密性を達成するために、ストッパは、容器へと押し込まれなければならず、かつ/または容器の表面に押し付けられなければならない。ストッパをそのような圧縮状態に保持するために、典型的には、ストッパおよび開口部の上方および周囲に配置されるキャップまたはケージが使用される。例えば、或る程度まで形成された金属キャップを容器の頭部およびストッパのカバー部分の周りに圧着して、ストッパを容器に固定して押し付けることが知られている(圧着キャップ)。
【0007】
大規模または工業規模において、とりわけバイアルなどの容器およびストッパは、所定のサイズの寸法とされることが多い。このように、標準的な設備による自動処理を効率的に実現することができる。さらに、閉鎖処置において複数の容器を処理するために、容器は、ネストなどの容器ホルダに用意されることが多い。例えば、国際公開第2015/023924号パンフレットが、ネストに配置された容器を充てんするための方法であって、容器を閉じるステップを含む方法を記載している。
【0008】
閉鎖処置において複数の容器を一般的に処理するために、それぞれの複数のストッパは、容器の開口部への押し込みおよび開口部の境界面への押し付けによって、容器に自動的に取り付けられる。しかしながら、容器は、典型的には、高さに関してかなりの公差を有するため、容器の端部が異なる高さに位置する可能性がある。したがって、ストッパを容器の開口部へと自動的にもたらすとき、典型的には、ストッパの均一な処理または移動が不可能であり、あるいは、ストッパを境界面へと押し付けるときに均一な圧力の達成を保証することが不可能である。むしろ、個々の容器の各々の高さを測定し、次いで、個々のストッパの各々を、関連する容器の所与の高さに対応して、個別に移動させて押し付ける必要がある。とくには、容器を迅速に閉じる必要がある場合に、ストッパのこのような個別の提供は、面倒かつ非効率的である。
【0009】
したがって、複数の容器をそれぞれの複数のストッパで効率的に閉鎖することを可能にする閉鎖処理設備および方法であって、ストッパに加えられる所定の圧力を正確に保証することができる閉鎖処理装置および方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0010】
発明の開示
本発明によれば、この必要性は、独立請求項1の特徴によって定義される閉鎖処理設備、および独立請求項11の特徴によって定義される方法によって解決される。好ましい実施形態が、従属請求項の主題である。
【0011】
一態様において、本発明は、いくつかの容器の開口部を閉鎖するための閉鎖処理設備である。容器は、カートリッジなど、医薬または化学の研究、開発、または製造において使用される容器であってよく、あるいは、とくにはバイアルであってよい。
【0012】
本明細書において使用されるとき、「バイアル」という用語は、文言どおりの意味でのバイアル、すなわち液体、粉末状、またはカプセル化された形態の医薬品あるいは薬剤または薬物を貯蔵するためにしばしば使用される比較的小型の容器または瓶に関係することができる。バイアルは、ガラス、あるいは例えばポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー、または環状オレフィンポリマーなどのプラスチック、などの滅菌可能な材料で作られてよい。
【0013】
閉鎖処理設備は、いくつかのストッパ部材と、容器ホルダと、補償構造の組とを備える。いくつかのストッパ部材の各々は、弾性材料で製作され、いくつかの容器のうちの1つの容器の開口部にはまり込むように構成されたプラグ部分を有し、かついくつかの容器のうちの1つの容器の開口部に隣接する境界面に当接するように構成されたカバー部分を有する。
【0014】
この関連および以下の説明の文脈において、「部材」という用語は、単一ピースのユニットに関係することができる。そのような単一ピースのユニットは、例えば異なる材料で作られた複数のピースまたは部品を互いに固定し、単一の材料で作られたモノリシックな要素に固定し、あるいは透明な基材を覆って不透明なポリマーを成形し、あるいはその反対など、製造プロセスにおいて化学的または物理的に接合された1つ以上の材料で作られたモノリシックな要素に固定することによって、具現化可能である。
【0015】
ストッパ部材に関連する「弾性」という用語は、ストッパ部材を構成する材料の特性に関係することができる。より具体的には、そのような材料特性は、弾塑性であってよく、とくには圧縮性であってよい。典型的には、弾性は、力または衝撃によって初期形状から変形し、力または衝撃が消えたときに初期形状に復帰する能力に関係する。これにより、弾性は、初期形状への部分的な復帰も含んでもよく、通常は、かなりの程度までの初期形状への復帰が必要である。
【0016】
好都合には、ストッパ部材の材料は、ストッパ部材の滅菌および無菌状態の維持を可能にする。ストッパ部材は、ワンピースとして、すなわちモノリシックな要素として具現化されてよい。プラグ部分は、開口部の形状に一致するように基本的に円柱状であってよい。カバー部分を境界面に当接させることができるように、カバー部分は、典型的には、プラグ部分の上方で横方向または径方向に突出する。カバー部分は、おおむねディスク状であってよい。
【0017】
容器ホルダは、いくつかの容器のうちの1つの容器を所定の位置に受け入れるように各々が構成されたいくつかの容器座部を有する。後述される容器ホルダの容器座部およびストッパホルダのストッパ座部に関連して使用されるとき、「位置」という用語は、それぞれ容器またはストッパ部材の場所および向きに関係し得る。とくには、容器座部は、好都合には、容器を所定の場所および所定の向きに配置することによって、容器を所定の位置に受け入れるように具現化され、ストッパ座部は、好都合には、ストッパ部材を所定の場所および所定の向きに配置することによって、ストッパ部材を所定の位置に受け入れるように具現化される。
【0018】
補償構造の組の各々の補償構造は、容器製造寸法公差を補償するように構成される。補償構造の組は、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様な補償構造を含む。
【0019】
「容器製造寸法公差」という用語は、容器の設計と製造から実際にもたらされる容器との間のずれに関する。多くの場合、容器は、業界規格に従って製造される。したがって、典型的には、そのような規格が公差限界を提供し、公差限界の範囲内で容器を製造しなければならない。例えば、ISO 8362という業界規格が、注射容器、とくにはバイアルの形状および寸法を規定しており、公差も規定されている。例えば、バイアルの全高の製造公差は、+/-0.5mmと規定されている。例えば、製造寸法公差は、容器の高さの公差、すなわち製造された容器の高さと、例えば規格に従って意図される容器の高さとの間の偏差に関係し得る。これに加え、あるいは代えて、製造寸法公差は、容器の特徴の寸法および/または容器の特徴間の距離に関係することができる。例えば、容器の閉鎖にとくに関連する容器の特徴として、容器を閉鎖するためにキャップまたは蓋がクリップ係止される容器の頭部の下面の正確な位置、あるいは容器を閉鎖するときに同様の機能を有する容器の頭部の溝を挙げてもよい。
【0020】
容器、ストッパ部材、容器座部、およびストッパ座部に関する「いくつかの」という用語は、それぞれ1つ以上の容器、ストッパ部材、容器座部、またはストッパ座部に関係し得る。しかしながら、本発明は、この用語がそれぞれ複数の容器、ストッパ部材、容器座部、またはストッパ座部に関係する場合にとくに有用であってよく、「複数」という用語が代わりに使用可能である。
【0021】
多様な補償構造は、少なくとも2つ、好都合にはさらに多数の異なる種類の補償構造を含む。とくには、各々の種類の補償構造を、特定の製造寸法公差または特定の範囲の製造寸法公差を補償するように設計することができる。それにより、製造寸法公差を補償するために、多種多様な異なる補償構造を具現化することができる。例えば、補償構造を、正確な高さに関係なくすべての容器が同じ垂直位置にて終わるように、容器を適切な位置にクランプするように具現化することができる。あるいは、とくには、補償構造を、以下でさらに詳細に説明されるように、下方および/または上方から高さの製造公差を補償するように配置することができる。
【0022】
補償構造の組を提供することにより、閉鎖処理設備は、各々の容器の個々のずれを効率的に補償することを可能にする。より具体的には、各々の容器について、それぞれの製造寸法公差を補償できるように適切な補償構造を選択して使用することができる。このようにして、効率的なやり方で容器を閉鎖するときにストッパ部材から容器へと均一な圧力が加えられるようにすることができる。これにより、すべての容器について密封の閉鎖を確実に生じさせることができ、容器の損傷を防止することができる。
【0023】
好ましくは、容器ホルダのいくつかの容器座部は、第1の数の行と第2の数の列とからなる格子に配置される。そのような容器ホルダを、ネストと呼んでもよい。容器座部を整然とした様相にて配置することにより、容器を効率的に処理することができ、とくには自動的に処理または閉鎖することができる。
【0024】
好ましくは、閉鎖処理設備は、いくつかのストッパ部材のうちの1つのストッパ部材を所定の位置に受け入れるように各々が構成されたいくつかのストッパ座部を有するストッパホルダを備える。このようなストッパホルダは、いくつかのストッパ部材の効率的な取り扱いおよび処理を可能にする。
【0025】
ストッパホルダのいくつかのストッパ座部は、好ましくは、容器ホルダのいくつかの容器座部に対応して配置される。これにより、ストッパホルダおよび容器ホルダが互いに適切に位置合わせされたときに、ストッパ座部を、とくには、容器座部に隣接して位置させることによって、容器座部に対応して配置することができる。例えば、ストッパ座部を、容器座部と同じ第1の数の行と第2の数の列とからなる格子に配置することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、補償構造は、容器の高さの製造公差を上方から、または上から下へと補償するように構成される。例えば、補償構造を、容器とストッパとカバーとからなる集合体の垂直方向における上端がすべての容器についてほぼ同じになるように、特定の厚さのカバーとして配置することができる。
【0027】
好ましくは、補償構造の組は、いくつかのストッパ部材によって具現化される。これにより、「・・・によって具現化される」という用語は、「・・・にて実現される」と同等であってよい。とくには、ストッパ部材を特定のやり方で形成し、あるいはストッパ部材に適切な手段を備えることにより、補償構造をストッパ部材によって具現化することができる。これにより、ストッパは、上方から、または上から下への容器の効率的な高さ公差補償を確立させ得る。
【0028】
これにより、いくつかのストッパ部材の各々のカバー部分は、好ましくは、容器製造寸法公差を補償するように構成されたカバー厚さを有する。このように、各々の容器について、適切なカバー厚さを有するストッパ部材を、すべての容器とストッパ部材との組み合わせがほぼ同じ垂直位置において終わるように、選択することができる。したがって、均一な圧力をすべてのストッパ部材に一度に効率的に加えることができ、従来からのツールによる効率的な閉鎖が可能になる。
【0029】
さらに、いくつかのストッパ部材は、好ましくは、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様なカバー厚さのカバー部分を有するストッパ部材を含む。したがって、補償構造の組を、ストッパ部材に多様な厚さのカバー部分を設けることによって実現することができる。このように、各々の容器の寸法公差を、すべての容器がそれぞれの適切なストッパ部材と合わせてほぼ同じ高さになるように補償することができる。このように、均一な圧力を効率的に加えることができ、したがって関係するすべての容器において同じ気密性を達成することができる。
【0030】
他の実施形態において、補償構造は、容器の高さの製造公差を下方から、または下から上へと補償するように構成される。例えば、補償構造を、すべての容器とストッパとの集合体の垂直方向における上端がすべての容器についてほぼ同じになるように、さまざまな特定の厚さの容器座部の底部として配置することができる。
【0031】
好ましくは、補償構造の組は、容器ホルダの容器座部のうちの1つの容器座部に配置されるように各々が構成された容器座部インサートを備える。各々の容器座部インサートは、容器ホルダの容器座部のうちの1つの容器座部に配置されると、容器座部インサートが配置された容器座部に受け入れられる容器の底部の位置、とくには垂直方向における位置を定める。容器座部インサートは、寸法公差を効率的に補償できるように、各々のバイアルの垂直位置を調整することを可能にする。これにより、座部インサートは、下方から、または下から上への容器の効率的な高さ公差補償を確立させ得る。
【0032】
これにより、各々の容器座部インサートは、好ましくは、容器製造寸法公差、とくには高さの製造公差を補償するように構成されたインサート厚さを有する。インサート厚さによって、容器インサートが配置された容器座部に収容された容器の底部の位置、とくには垂直位置が効率的に定められ得る。より具体的には、容器座部インサートのインサート厚さが大きいほど、該当の容器が、容器の高さまたは垂直方向における端部を調整することができるように、垂直方向に大きく持ち上げられる。このように、各々の容器について適切なインサート厚さを有する容器座部インサートを選択することによって、容器ホルダ内のすべての容器が本質的に同一の垂直レベルで終わることを達成することができる。
【0033】
さらに、容器座部インサートは、好ましくは、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様なインサート厚さを有する。そのような座部インサートは、最終的にすべての容器が本質的に同一の垂直位置にて終わるように、各々の容器について適切な座部インサートを効率的に選択することを可能にする。
【0034】
同様に、補償構造の組は、ストッパホルダのストッパ座部のうちの1つのストッパ座部に配置されるように各々が構成されたストッパ座部インサートを備えてもよい。そのようなストッパ座部インサートは、容器座部インサートの代わりに設けられても、容器座部インサートに加えて設けられてもよい。このように、容器座部インサートによって全高の公差を補償するようにバイアル位置を変更することに加えて、ストッパ座部インサートは、ストッパおよび/またはクリップ機構の位置の変更を可能にし得る。
【0035】
各々のストッパ座部インサートは、容器製造寸法公差、とくにはクリップ機構または他の寸法公差を補償するように構成されたインサート厚さを有してもよい。さらに、ストッパ座部インサートは、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様なインサート厚さを有してもよい。
【0036】
別の態様において、本発明は、容器の開口部を閉鎖する方法である。本方法は、開口部を各々が有しているいくつかの容器を取得するステップと、いくつかの容器の各容器の寸法を測定して、いくつかの容器の各々について容器製造寸法公差を決定するステップと、弾性材料で製作され、いくつかの容器のうちの1つの容器の開口部にはまり込むように構成されたプラグ部分およびいくつかの容器のうちの1つの容器の開口部に隣接する境界面に当接するように構成されたカバー部分を各々が有しているいくつかのストッパ部材を取得するステップと、いくつかの容器のうちの1つの容器を所定の位置に受け入れるように各々が構成されたいくつかの容器座部を有している容器ホルダを取得するステップと、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様な補償構造を含んでいる補償構造の組を取得するステップと、いくつかの容器の決定された容器製造寸法公差に基づいて、いくつかの容器の容器ごとに、容器の決定された容器製造寸法公差を補償するために適した補償構造の組のうちの補償構造を選択するステップと、いくつかの容器を容器ホルダのいくつかの容器座部に配置するステップと、いくつかの容器の各々が、それぞれの決定された容器製造寸法公差を補償するために適する選択された補償構造のうちの1つの補償構造を備えるステップと、ストッパ部材のうちの1つのストッパ部材のプラグ部分をそれぞれの開口部へとはまり込ませ、ストッパ部材のうちの1つのストッパ部材のカバー部分をそれぞれの開口部に隣接する境界面に当接させることによって、いくつかの容器の開口部の各々を閉鎖することと、を含む。
【0037】
上記に列挙された本発明による方法のステップおよび以下に列挙される好ましいさらなるステップの順序は、それらのステップの列挙の順序に拘束されない。むしろ、本方法は、異なる順序で実行することも可能である。とくには、列挙されたステップは、本明細書における列挙および説明の順序で実行される必要はないが、そのような順序で実行されてもよい。例えば、容器の寸法を測定するステップを、容器を容器座部に配置するステップよりも後に実行することが、たとえ逆の順序が上記で列挙されていても可能である。
【0038】
好都合には、本方法は、本発明による閉鎖処理設備または本明細書に開示されるその任意の好ましい実施形態によって実施される。
【0039】
容器の寸法を測定することにより、関係する製造寸法公差を効率的かつ正確に決定することができる。このように、容器ごとに個別に適切な補償構造を選択することができる。次いで、個々の補償構造をそれぞれの容器に提供することができ、いくつかの容器を効率的にさらに処理することができ、例えば一度に閉じることができる。このように、容器の効率的、迅速、かつ正確な密封閉鎖を実行することができる。
【0040】
本発明による方法および以下で説明されるその好ましい実施形態は、上述した閉鎖処理設備および上述したその好ましい実施形態に関連して説明した効果および利益を、効率的に達成することを可能にする。
【0041】
好ましくは、いくつかの容器の開口部の各々を閉鎖するステップは、いくつかの容器の各々にケージ部材を取り付けて、いくつかのストッパ部材を保持することを含む。ケージ部材によって、ストッパ部材を容器に固定することができ、ストッパ部材を圧縮状態または押された状態に保持することができる。これにより、比較的長い期間にわたって閉鎖の気密性を保証することが可能になる。
【0042】
充分な機密性を達成するために適したストッパ部材のカバー部分に加えられる力は、ストッパ部材および他の構成要素の材料特性および形状に応じて、約10ニュートン(N)~約100Nの範囲内であってよい。例えば、約15Nであってよい。このようにして、ストッパ部材と容器との間の適切な密着を達成および維持することができるように、ストッパ部材を圧縮することができる。
【0043】
ケージ部材を、とくには形状保持材料で製作することができる。この文脈において使用されるとき、「形状保持」という用語は、力が加えられていないときに自身の形態を維持することができる材料または構造に関係する。とくには、形状保持材料は、寸法的に安定であってよい。典型的には、形状保持材料は、比較的堅固である。とくに、ケージ部材の材料は、ストッパ部材の材料よりも堅固であってよい。また、形状保持材料は、好都合には、特定の程度までの変形を許容するように充分に弾性的である。そのような形状保持材料は、プラスチック、あるいは、とくには鋼またはステンレス鋼などの金属であってよい。
【0044】
さらに、ケージ部材は、それぞれの容器の対応する構造に係合するように構成されたロック構造と、蓋部分と、蓋部分とロック構造との間の中間部分とを有することができる。ロック構造が対応する構造に係合すると、ケージ部材は、典型的には、容器にロックまたは固定される。
【0045】
容器の対応する構造は、容器の外面に設けられた溝または同様のくぼみであってよい。例えば、容器が、本体と、首部と、容器の開口部を備える頭部とを有する場合、溝を頭部の周囲に設けることができる。また、対応する構造は、頭部から首部への移行部などの容器の外形であってよい。
【0046】
対応する構造との係合を、例えば、対応する構造とのクリップ係止によって実施することができる。本明細書において使用されるとき、「クリップ係止」という用語は、対応する構造またはその背後へのスナップ嵌合、あるいは同様の機構に関係する。一般に、そのようなクリップ係止は、典型的には、ケージ部材および容器などの2つの要素を移動させて合わせるときに、ケージ部材などの一方の要素が弾性変形または位置ずれし、その後に2つの要素が適切に位置すると、一方の要素が第2の要素の構造の背後に再び弾性変形することを含む。より具体的には、このようなクリップ係止を可能にするために、ケージ部材を弾性変形させ、あるいは屈曲させることができる。
【0047】
好ましくは、いくつかの容器の各々が選択された補償構造のうちの1つの補償構造を備えるステップは、いくつかのストッパ座部を有するストッパホルダを取得し、選択された補償構造をストッパ座部に配置することを含む。
【0048】
好ましくは、補償構造の組は、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様なカバー厚さを有するストッパ部材のカバー部分によって具現化される。
【0049】
これにより、いくつかの容器の容器ごとに、補償構造の組のうちの補償構造を選択するステップは、好ましくは、いくつかの容器の容器ごとに、それぞれの容器の決定された容器製造寸法公差を補償するために適したカバー厚さを有するカバー部分を有するストッパ部材のうちのストッパ部材を選択することを含む。
【0050】
好ましくは、補償構造の組は、異なる容器製造寸法公差を補償するための多様なインサート厚さを有する容器座部インサートを備える。
【0051】
これにより、いくつかの容器の容器ごとに、補償構造の組のうちの補償構造を選択するステップは、好ましくは、いくつかの容器の容器ごとに、それぞれの容器の決定された容器製造寸法公差を補償するために適したインサート厚さを有する容器座部インサートのうちの容器座部インサートを選択することを含む。
【0052】
好ましくは、いくつかの容器の各容器の寸法を測定することは、いくつかの容器の各容器の寸法を光学的に測定することを含む。光学的測定は、例えば、スキャナなどによって効率的に実施することができる。このような光学的測定は、容器の高さの効率的かつ正確な測定を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明による閉鎖処理設備および本発明による方法を、例示的な実施形態によって、添付の図面を参照して、以下でさらに詳細に説明する。
【
図1】本発明による閉鎖処理設備の一実施形態の切断側面図を示している。
【
図2】
図1の閉鎖処理設備によって閉鎖される容器の一実施形態としてのバイアルの側面図を示している。
【
図3】
図1の閉鎖処理設備の第1組の補償構造の側面図を示している。
【
図4】
図1の閉鎖処理設備の第2組の補償構造の容器座部インサートの斜視図を示している。
【
図5】
図4の容器座部インサートの切断斜視図を示している。
【
図6】
図4の容器座部インサートに配置された
図2のバイアルの側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施形態の説明
以下の説明において、特定の用語は、便宜上使用され、本発明を限定することを意図していない。「右(right)」、「左(left)」、「上(up)」、「下(down)」、「下方(under)」、および「上方(above)」という用語は、図における方向を指す。用語の使用は、明示的に言及された用語と、それらの派生語および同様の意味を有する用語とを含む。また、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」、などの空間的に相対的な用語が、図に示された或る要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を説明するために使用されることがある。これらの空間的に相対的な用語は、図に示された位置および向きに加えて、使用中または動作中の装置のさまざまな位置および向きも包含するように意図される。例えば、図中の装置が逆さまにされる場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」または「上方」になると考えられる。したがって、「下方」という例示的な用語は、上方および下方の両方の位置および向きを包含することができる。装置は、他の方向に向けられてもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈されてもよい。同様に、種々の軸に沿った移動および種々の軸を中心とする移動の説明は、空間における装置のさまざまな位置および向きを含む。
【0055】
さまざまな態様および例示的な実施形態の図および説明における繰り返しを回避するために、多くの特徴が多くの態様および実施形態に共通であることを理解されたい。或る態様が説明または図から省略されていても、それは、その態様がその態様を組み込んだ実施形態から欠落していることを意味するものではない。むしろ、その態様は、分かりやすくする目的および冗長な説明を回避する目的で、省略されているかもしれない。この文脈において、以下が本明細書の残りの部分に適用される:図面を分かりやすくするために、或る図が、明細書の直接の関連部分においては説明されていない参照符号を含む場合、明細書の先行または後続の部分が参照される。さらに、明確にするために、図面において部品のすべての特徴には参照符号が付されていない場合、同じ部品を示す他の図面が参照される。2つ以上の図における同様の番号は、同じ要素または類似の要素を表している。
【0056】
図1が、本発明による閉鎖処理設備1の一実施形態を示している。閉鎖処理設備1は、容器座部としての複数のバイアル座部41を有する容器ホルダとしてのバイアルホルダ4と、複数のストッパ座部51を有するストッパホルダ5とを備える。バイアル座部41は、9個の容器座部41を各々が有する10個の直線状の行にて規則的に配置されている。
図1には、バイアル座部41の1つの行が示されている。これに対応して、ストッパ座部51が、1つのストッパ座部51が1つのバイアル座部41に隣接するように、9個のストッパ座部を各々が有する10個の行にて配置される。より具体的には、ストッパホルダ4が容器ホルダ5上に適切に配置されたとき、各々のバイアル座部41の上部にストッパ座部51が位置する。
【0057】
ストッパ座部51の各々は、ストッパ部材としてのストッパ3と、ケージ部材としてのクリップケージ7とを保持する。ストッパ3は、弾性材料で一体的に作られる。各々のストッパ3は、プラグ部分31と、プラグ部分31から径方向に突出するカバー部分32とを有する。クリップケージ7は、ステンレス鋼など、剛体であるが或る程度まで弾性的な金属材料で製作される。あるいは、クリップケージ7は、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリオキシメチレン(POM)などの弾性プラスチックで作られてもよい。
【0058】
バイアルホルダ4のバイアル座部41の各々は、容器としてのプラスチックまたはガラスバイアル2を受け入れる。
図2において最も良好に見て取ることができるように、各々のバイアル2は、中空の内部231を有する本体23と、頭部21へと移行する首部22とを有する。さらに、各々のバイアル2は、頭部ヘッド21に、本体23の内部231へのアクセスを可能にする円形または筒状の開口部25を有する。開口部25に隣接する境界面24が、平坦な上向きの表面として設計されている。バイアル2の下端と、上端、すなわち境界面24との間の距離が、バイアル2の高さ26を定める。バイアル2は、+/-0.5mmという全高の公差を許容する規格に従って製造される。
【0059】
図1に戻ると、特定の量の物質を内部231に充てんし、バイアル2の内部の物質を凍結乾燥させた後に、バイアル2を閉鎖するために、ストッパ3のプラグ部分31が、バイアル2の開口部25へと上方から下方に送られる。これにより、プラグ部分31が開口部25にぴったりとはまり込み、カバー部分32が境界面24に当接するように構成されている。より具体的には、プラグ部分31は、開口部25へと押し込まれたときに径方向に圧縮されることにより、バイアル2の開口部25を密封するように寸法付けられている。気密性をさらに高めるために、カバー部分32は、バイアル2の境界面24に押し付けられて圧縮される。次いで、カバー部分32は、クリップケージ7をバイアル2の頭部21に留めることによって、このような圧縮状態に保持される。
【0060】
バイアル2の閉鎖を提供するために、ストッパホルダ5の各々のストッパ座部51は、ストッパ座部51に受け入れられたそれぞれのクリップケージ7およびストッパ3へのアクセスを可能にするボア52を備える。例えば旧式の設備を使用する自動プロセスにおいては、すべてのクリップケージ7およびストッパ3が、適切なツールによってボア52を介して均一にアクセスおよび処理される。しかしながら、各々のバイアル2の高さの製造公差ゆえに、そのような均一な処理では、通常は、ストッパ3に加わる力が不均一となり、結果として、ストッパ3のカバー部分32の不均一な圧縮により、閉鎖の気密性のレベルおよび品質が低下する可能性がある。
【0061】
バイアル2の高さの製造公差に影響されずに、閉鎖の気密性を改善するために、閉鎖処理設備1は、2組の補償構造を備え、それらの各々またはそれらの組み合わせが、ストッパ3の不均一な圧縮の解消または低減に適している。
【0062】
補償構造の第1の組が、
図3に示されている。これは、ストッパ3によって具現化される。基本的に、各々のストッパ3のカバー部分31は、カバー厚さ33を有する。補償構造の組は、関連するバイアル2の特定の高さの製造公差を補償するように構成された異なるカバー厚さ33’、33’’、33’’’をそれぞれ有する3種類のストッパ3’、3’’、3’’’を備える。したがって、3種類のタイプのストッパ部材3’、3’’、3’’’は、異なる容器の高さの製造公差を補償するために、多様なカバー厚さ33’、33’’、33’’’を有するカバー部分31’、31’’、31’’’を有する。より具体的には、第1の種類のストッパ3’は、第1のカバー厚さ33’を有するカバー部31’を有し、第2の種類のストッパ3’’は、第2のカバー厚さ33’’を有するカバー部31’’を有し、第3の種類のストッパ3’’’は、第3のカバー厚さ33’’’を有するカバー部31’’’を有する。第1のカバー厚さ33’は、第3のカバー厚さ33’’’よりも小さい第2のカバー厚さ33’’よりも小さい。
【0063】
図4が、閉鎖処理設備1の第2組の補償構造の1つの例示的な部品を示している。補償構造の第2の組は、容器ホルダ4の容器座部41のうちの1つの容器座部に配置されるように構成された容器座部インサート6を備える。各々の座部インサート6は、正方形のベースプレートを備え、ベースプレートは、ベースプレートから上方に延びる4つの側方の取り付けクリップ63を備える。座部インサート6は、バイアルホルダ4のバイアル座部41のうちの1つのバイアル座部に設置される。各々のバイアル座部41は、座部インサート6の取り付けクリップ63に対応する4つの相手方突起411を有する。より具体的には、座部インサート6は、取り付けクリップ63を相手方突起411に係合させることによってバイアル座部41に取り付けられる。
【0064】
各々の座部インサートのベースプレートは、中央に、バイアル2のうちの1つのバイアルを支持するように構成された円形のバイアル支え62を備える。バイアル支え62の周囲において、4つのクランプフィンガ61が、ベースプレートから上方に延びている。
図5において最も良好に見て取ることができるように、バイアル支え62は、インサート厚さ64を定める。補償構造の第2の組は、異なる容器の高さの製造公差を補償するために、多様なインサート厚さ64を有する座部インサート6を備える。
【0065】
図6には、バイアル2のうちの1つのバイアルが、バイアル座部41に受け入れられて図示されている。バイアル2は、バイアル座部41に取り付けられた座部インサート6のバイアル支え62上に配置され、クランプフィンガ61が、バイアル2の本体23を保持する。これにより、座部インサート6は、バイアル2の底部の位置、とくには垂直位置を定める。より具体的には、インサート厚さ64が、バイアル2の垂直位置を決定し、すなわちインサート厚さ64が大きいほど、バイアル2は、上端または境界面24の垂直位置を定めるように垂直方向により大きく持ち上げられる。
【0066】
閉鎖処理設備1は、本発明による方法の実施形態において使用される場合に、とくに効率的であり得る。例えば、本発明によれば、閉鎖処理設備を、以下のように使用することができる。
【0067】
複数のバイアル2が取得され、各々のバイアルが、個々の高さを測定するために走査される。このように、各々のバイアル2について、その容器製造の高さの公差が決定される。決定された高さの製造公差に基づいて、第1組の補償構造のストッパ3のうちの1つのストッパと、第2組の補償構造の座部インサート6のうちの1つの座部インサートとの組み合わせが、個々のバイアル2の各々の高さの製造公差を特定的に選択された組み合わせによって正確に補償できるように、各々のバイアル2について選択され、各々のバイアル2に関連付けられる。
【0068】
次いで、バイアルホルダ4のバイアル座部41およびストッパホルダ5のストッパ座部51に、各々のバイアル2に関連付けられた組み合わせが対応するバイアル座部41およびストッパ座部51に配置されるように、座部インサート6とストッパ3との組み合わせが装てんされる。次いで、各々のバイアル2が、関連する座部インサート6のバイアル支え62上に配置されるように、関連するバイアル座部41に設置される。
【0069】
ストッパホルダ5は、各々のバイアル2の開口部25に関連するストッパ3が隣接するように、バイアルホルダ4の上部に配置される。例えば充てんおよび/または凍結乾燥によってバイアルまたはその内容物を処理した後に、バイアル2は、関連するストッパ3のプラグ部分31を開口部25にはめ込み、関連するストッパ3のカバー部分31をバイアル2の境界面24に押し付けることによって、一斉に閉鎖される。より具体的には、ストッパ3は、クリップケージ7を均一な圧力でバイアル2の頭部21にクリップ係止することによって、バイアル4へともたらされ、押し付けられる。
【0070】
各々のバイアル2がストッパ3およびバイアルインサート6の個別の組み合わせを備えることにより、ストッパ3の均一かつ正確な予め定められた圧縮をもたらすことができる。このように、バイアル2を閉じるときに適切かつ正確な気密性を達成できるように、バイアル2の高さの製造公差をすべて効率的に補償することができる。
【0071】
本発明の態様および実施形態を例示する本明細書および添付の図面を、保護される発明を定義する特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。換言すると、本発明を図面および以上の説明において詳細に例示および説明してきたが、そのような例示および説明は、限定ではなく、例示または典型であると考えられるべきである。本明細書および特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな機械的、組成的、構造的、電気的、および動作的変更が行われ得る。いくつかの場合に、本発明を不明瞭にしてしまわないように、周知の回路、構造、および技術は詳細には示されていない。したがって、以下の特許請求の範囲の範囲および趣旨の範囲内で、当業者であれば変更および修正を行い得ることを、理解できるであろう。とくには、本発明は、上記および下記の異なる実施形態からの特徴の任意の組み合わせを有するさらなる実施形態を包含する。
【0072】
さらに、本開示は、以上の説明または以下の説明において説明されていないかもしれないが、個別に図中に示されたすべてのさらなる特徴を包含する。また、図面および明細書に記載された実施形態の個々の代替形態およびそれらの特徴の個々の代替形態が、本発明の主題または開示された主題から放棄される可能性がある。本開示は、特許請求の範囲または例示的な実施形態において定義された特徴からなる主題、ならびにそれらの特徴を備える主題を含む。
【0073】
さらに、特許請求の範囲において、「・・・を備える(comprising)」という語は、他の要素または工程を除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。単一のユニットまたは工程が、特許請求の範囲に記載のいくつかの特徴の機能を果たしてもよい。たとえ特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されていても、これらの手段の組み合わせを好都合に使用することができないという意味ではない。属性または値に関連する「略」、「約」、「およそ」、などの用語は、とくには、まさにその属性または正確にその値も定めている。所与の数値または範囲の文脈における「約」という用語は、例えば、所与の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内である値または範囲を指す。結合し、あるいは接続されると記載された構成要素は、電気的または機械的に直接結合しても、1つ以上の中間の構成要素を介して間接的に結合してもよい。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】