(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン及び修飾アルコキシル化オリゴアミン
(51)【国際特許分類】
C11D 3/30 20060101AFI20240822BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20240822BHJP
C08G 65/332 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240822BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/66 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C11D3/30
C11D3/386
C08G65/332
A61K8/41
A61Q19/00
A61K8/66
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509336
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2022072993
(87)【国際公開番号】W WO2023021103
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テュルク,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダーミューレン,ギード
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
4J005
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD471
4C083AD472
4C083CC22
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE03
4H003AB03
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003DA01
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB13
4H003EC01
4H003FA04
4H003FA06
4H003FA28
4J005AA03
4J005BD02
4J005BD05
(57)【要約】
本発明は、工程a)~b)を含むプロセスによって得ることが可能な新規な修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン及び修飾アルコキシル化オリゴアミンに関する。工程a)によれば、こうした重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアルキレンイミン又は重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアミンをアルキレンオキシド(AO)と反応させて中間体(I)を得る。上記の中間体(I)を工程b)でラクトン及び/又はヒドロキシ炭酸と反応させて、本発明の新規な修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを得る。本発明は、更に、かかる修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを調製するためのこうしたプロセス、のみならず、例えば、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア生成物中でのかかる化合物の使用に関する。更に、本発明は、こうしたこれらの組成物又は生成物にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンであって、下記の工程a)~b):
a)i)重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の少なくとも1つのオリゴアルキレンイミン又は重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の少なくとも1つのオリゴアミンと、ii)少なくとも1つのアルキレンオキシド(AO)との反応であって、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基あたり少なくとも10モルのアルキレンオキシド(AO)が用いられて、中間体(I)を得る、反応と、
b)前記中間体(I)と、少なくとも1つのラクトン(LA)及び/又は少なくとも1つのハイドロックス炭酸(HA)との反応であって、((工程a)で用いられた))1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基あたり、少なくとも1.0モルのラクトン(LA)及び/又はヒドロキシ炭酸(HA)が用いられて、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを得る、反応と、
を含むプロセスによって得ることが可能な、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項2】
工程a)で用いられた、前記重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の少なくとも1つのオリゴアルキレンイミン又は前記重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の少なくとも1つのオリゴアミンが、一般式(I)に従って定義され、
【化1】
式中、前記変数はそれぞれ下記の通り定義され、
Rは、同一か又は異なる
i)直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
12アルキレンラジカル、又は
ii)以下の式(III)のエーテルアルキル単位であって:
【化2】
式中、前記変数はそれぞれ下記の通り定義され、
R
10、R
11、R
12は、同一か若しくは異なる、直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
6アルキレンラジカルを表し、
dは、0~6の範囲の値を有する整数である、
エーテルアルキル単位であるか、又は
iii)任意選択的に少なくとも1つのC
1~C
3アルキルで置換されたC
5~C
10シクロアルキレンラジカルを表し、
yは0~8の範囲の値を有する整数であり、
E
1は、同一か又は異なる
i)水素、又は、
ii)水素及び/若しくはC
1~C
18-アルキルを表し、
Bは、分枝によるオリゴアルキレンイミンの延長を表し、
zは0~8の範囲の値を有する整数であり、
y+zの和は、0~8の範囲、好ましくは0~7の範囲の値を有する整数であり、
好ましくは、Rは同一か又は異なる
i)直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
12アルキレンラジカルであって、より好ましくはRがエチレン、プロピレン、若しくはヘキサメチレンである、アルキレンラジカル、又は
ii)任意選択的に少なくとも1つのC
1~C
3アルキルで置換されたC
5~C
10シクロアルキレンラジカルであって、より好ましくは、Rが、少なくとも1つのメチル若しくはエチルで置換された少なくとも1つのC
6~C
7シクロアルキレンラジカルである、シクロアルキレンラジカルを表し、
好ましくは、E
1がH及び/又はメチルを表し、
より好ましくは、E
1がHを表す、
請求項1に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項3】
一般式(IIa)の少なくとも1つの残基を含有し、
【化3】
式中、前記変数はそれぞれ下記の通り定義され、
R
2は、水素であるか、又は非置換若しくは少なくとも一置換のC
1~C
22-アルキル、C
7~C
22-アラルキル、-(CO)-C
1~C
22-アルキル、-(CO)-C
2~C
30-アルケニル、及び/若しくは-(CO)-C
7~C
22-アラルキルの群から選択され、前記置換基は-COOH若しくはその塩から選択され、
R
3は、直鎖又は分枝鎖のC
1~C
22アルキレンラジカルを表し、
R
4はC
2~C
22-(1,2-アルキレン)ラジカルを表し、
mは、少なくとも1~20の値を有する整数であり、
pは、少なくとも10~100の値を有する整数であり、
好ましくは、一般式(IIa)内の前記変数は以下の通りに定義され、
R
2は、水素、C
1~C
4-アルキル、-(CO)-C
1~C
4-アルキルを表し、より好ましくは水素、メチル、エチル若しくは-(CO)-C
1~C
2-アルキルを表し、最も好ましくは水素を表し、並びに/又は、
R
3は、直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
10アルキレンラジカルを表し、より好ましくは直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
5アルキレンラジカルを表し、並びに/又は
R
4は、1,2-エチレン及び/若しくは1,2-プロピレン、より好ましくは1,2-エチレンを表し、並びに/又は
mは、1~15、より好ましくは1~10、最も好ましくは2~10の範囲の値を有する整数であり、並びに/又は
pは、10~50、より好ましくは15~40、最も好ましくは20~35の範囲の値を有する整数である、
請求項1又は2に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項4】
一般式(IIb)の少なくとも1つの残基を含有し、
【化4】
式中、前記変数は下記の通り定義され、
R
2は、水素であるか、又は非置換若しくは少なくとも一置換のC
1~C
22-アルキル、C
7~C
22-アラルキル、-(CO)-C
1~C
22-アルキル、-(CO)-C
2~C
30-アルケニル、及び/若しくは-(CO)-C
7~C
22-アラルキルの群から選択され、置換基は-COOH若しくはその塩から選択され、
R
4はC
2~C
22-(1,2-アルキレン)ラジカルを表し、
pは、少なくとも10~100の値を有する整数であり、
好ましくは、一般式(IIb)内の前記変数は以下の通りに定義され、
R
2は、水素、C
1~C
4-アルキル、-(CO)-C
1~C
4-アルキルを表し、好ましくは水素、メチル、エチル若しくは-(CO)-C
1~C
2-アルキルを表し、最も好ましくは水素を表し、並びに/又は、
R
4は、1,2-エチレン及び/若しくは1,2-プロピレン、より好ましくは1,2-エチレンを表し、並びに/又は
pは、10~50、より好ましくは15~40、最も好ましくは20~35の範囲の値を有する整数である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項5】
i)工程a)は水の不在下、及び/若しくは触媒の存在下で実施され、並びに/或いは
ii)工程a)は2工程反応として実施されて、第1の工程は水の存在下で実施され、第2の工程は、水なしであるが、触媒の存在下で実施され、並びに/或いは
iii)工程a)で用いられる前記アルキレンオキシド(AO)の50重量%超がエチレンオキシドをベースとし、並びに/或いは
iv)工程a)で用いられるオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンの重量平均分子量(Mw)が60~390g/モルの範囲内、好ましくは60~360g/モルの範囲内にあるか、或いは
v)工程a)で用いられるオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンの重量平均分子量(Mw)が100~200g/モルの範囲内にあるか、或いは
vi)工程a)で用いられるオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンの重量平均分子量(Mw)が250~350g/モルの範囲内にある、
請求項1~4のいずれか一項に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項6】
前記変数はそれぞれ下記の通り定義され、
Rはエチレン及び/又はプロピレン、好ましくはエチレンであり、
y+zの和は、1~8の範囲、好ましくは1~7の範囲の値を有する整数である、
請求項2~5のいずれか一項に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン。
【請求項7】
yは、0~8の範囲、好ましくは0~7の範囲の値を有する整数であり、
zは0であり、
E
1はH及び/又はメチルを表し、
Rは、同一か又は異なる、式(III)の直鎖又は分枝鎖のC
2~C
12アルキレンラジカル又はエーテルアルキル単位を表し、式中、
dは0~6であり、
R
10、R
11、R
12は、独立して、直鎖又は分枝鎖のC
3~C
4アルキレンラジカルから選択され、
好ましくは、Rは、同一か又は異なる、直鎖C
2及び/又はC
3アルキレンラジカルを表す、
請求項2~5のいずれか一項に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項8】
前記修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン中に存在する窒素原子の最大100%が更に四級化され、好ましくは、前記修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン中に存在する前記窒素原子の四級化の程度は、10%~95%の範囲内にある、請求項1~7のいずれか一項に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項9】
i)工程a)において、前記アルキレンオキシド(AO)は、少なくとも1つのC
2~C
22エポキシド、好ましくはエチレンオキシド及び/若しくはプロピレンオキシド、より好ましくはエチレンオキシドであり、
ii)工程b)において、前記ラクトン(LA)はカプロラクトン若しくはラクチドであり、並びに/又は
iii)工程b)において、前記ヒドロキシ炭酸(HA)は乳酸若しくはグリコール酸である、
請求項1~8のいずれか一項に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項10】
i)工程a)において、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基あたり10~100モル、好ましくは10~50モル、より好ましくは15~40モル、最も好ましくは20~35モルのアルキレンオキシド(AO)が用いられ、並びに/又は
ii)工程b)において、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基(工程a)で用いられた)あたり1.0~10モル、好ましくは1.0~6.0モル、より好ましくは2.0~4.0モルのラクトン(LA)、及び/若しくは1.0~20モル、好ましくは2.0~15モル、より好ましくは3.0~10モルのヒドロキシ炭酸(HA)が用いられる、
請求項1~9のいずれか一項に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項11】
i)工程a)において、前記アルキレンオキシド(AO)はエチレンオキシドであり、
ii)工程a)において、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基あたり10~100モル、好ましくは10~50モル、より好ましくは15~40モル、最も好ましくは20~35モルのアルキレンオキシド(AO)が用いられ、並びに/又は
iii)工程b)において、前記ラクトンはカプロラクトンであり、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基(工程a)で用いられた)あたり1.0~10モル、好ましくは1.0~6.0モル、より好ましくは2.0~4.0モルのカプロラクトンが用いられる、
請求項1~10のいずれか一項に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン。
【請求項12】
洗浄組成物中の、布地ケア及びホームケア生成物中の、化粧品配合物中の、原油エマルジョン破壊剤としての、インクジェットインク用顔料分散体中の、電気めっき用配合物中の、セメント系組成物中の、及び/又は農薬配合物用分散剤としての、請求項1~11のいずれか一項に記載の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンの使用。
【請求項13】
i)油性/脂肪性染みの除去の改善、並びに/又は
ii)粘土の除去、並びに/又は
iii)粒子状の染みの汚れの除去、並びに/又は
iv)汚れの分散及び/若しくは乳化、並びに/又は
v)後の再汚染の際の除去を改善するための処理表面の修飾、並びに/又は
vi)白色度の改善、並びに/又は
vii)リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、DNase、マンナナーゼ、キシラナーゼ、ディスパーシン、オキシドレダクターゼ、クチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼ、並びに上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせからなるリストから選択される、好ましくは、1つ以上のリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、及び上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせから選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくは、リパーゼから選択される少なくとも1つの酵素が存在する場合、追加的に、油性/脂肪性染み、食品の染みの除去、及び/若しくは複合染みの除去の改善
のための、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア生成物における、好ましくは洗浄組成物における、
最も好ましくは、
i)油性/脂肪性染みの除去の改善のための洗浄組成物
における、請求項12に記載の使用であって、
上記の選択肢i)~vii)のそれぞれが、好ましくは洗濯洗剤配合物及び/又は手動食器洗い用洗剤配合物で、より好ましくは液体洗濯洗剤配合物及び/又は液体手動食器用洗剤配合物で使用するためのものである、使用。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを含む、洗浄組成物、布地ケア及びホームケア生成物、業務用洗浄生成物、化粧品配合物、原油エマルジョン破壊剤、インクジェットインク用顔料分散体、電気めっき用配合物、セメント系組成物、及び/又は農薬配合物用分散剤、好ましくは、洗浄組成物、及び/又は布地ケア及びホームケア生成物、及び/又は業務用洗浄生成物請求項1~14のいずれか一項に記載の少なくとも1つの修飾アルコキシル化ポリアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化ポリアミンを含む、
好ましくは、請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを含む、洗浄組成物、及び/又は布地ケア及びホームケア生成物、及び/又は業務用洗浄生成物。
【請求項15】
i)油性/脂肪性染みの除去の改善、並びに/又は
ii)粘土の除去、並びに/又は
iii)粒子状の染みの汚れの除去、並びに/又は
iv)汚れの分散及び/若しくは乳化、並びに/又は
v)後の再汚染の際の除去を改善するための処理表面の修飾、並びに/又は
vi)白色度の改善、並びに/又は
vii)リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、DNase、マンナナーゼ、キシラナーゼ、ディスパーシン、オキシドレダクターゼ、クチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼ、並びに上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせからなるリストから選択される、好ましくは、1つ以上のリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、及び上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせから選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくは、リパーゼから選択される少なくとも1つの酵素が存在する場合、追加的に、油性/脂肪性染み、食品の染みの除去、及び/若しくは複合染みの除去の改善のための、
最も好ましくは、
i)油性/脂肪性染みの除去の改善
のための洗浄組成物における、
請求項14に記載の洗浄組成物であって、
上記の選択肢i)~vii)のそれぞれが、好ましくは、洗濯洗剤配合物及び/又は手動食器洗い用洗剤配合物で、より好ましくは、液体洗濯洗剤配合物、及び/又は液体手動食器用洗剤配合物、及び/又は固体若しくは液体自動食器洗い用配合物で使用するためのものである、洗浄組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工程a)~b)を含むプロセスによって得ることが可能な新規な修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン及び修飾アルコキシル化オリゴアミンに関する。工程a)によれば、こうした重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアルキレンイミン又は重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアミンをアルキレンオキシド(AO)と反応させて中間体(I)を得る。上記の中間体(I)を工程b)でラクトン及び/又はヒドロキシ炭酸と反応させて、本発明の新規な修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを得る。本発明は、更に、かかる修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを調製するためのこうしたプロセス、のみならず、例えば、洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア生成物中でのかかる化合物の使用に関する。更に、本発明は、こうしたこれらの組成物又は生成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動のために、冷水条件を改善することにより1回の水洗いあたりのCO2排出量を大きく低減させることが、今日の医薬品及び化粧品(D&C)業界の最も重要な目標の1つである。D&C業界のもう1つの重要な目標は、洗濯配合物のサステイナビリティを改善し、生態系における非分解性ポリマーの蓄積を回避するための、生分解性ポリマーに対するニーズである。特に油性及び脂肪性の染みの部類に対する冷水洗浄性能を改善するための技術的障害は極めて大きいが、両親媒性アルコキシル化ポリアミン、特にポリエチレンイミン(PEI)などのポリアルキレンイミンをベースとするものが、こうした条件下で油性/脂肪性の汚れの除去に貢献可能であることが、文献で既に知られている。しかしながら、現在知られているアルコキシル化ポリエチレンイミンは、もちろんのことながら、特に洗剤分野の多くのユーザによって求められており、また世界中のいくつかの国家及び地域の適用法によって今後要求されることになる28日間以内の定められた条件下では、いかなる有意な程度においても生分解性ではない。
【0003】
国際公開第2015/028191号パンフレットは、5~18個のポリエチレンオキシド単位を含むポリエチレンオキシドの内側ブロックと、1~5個のポリアルキレンオキシド単位を含むポリアルキレンオキシドの中間ブロックと、2~14個のポリエチレンオキシド単位を含むポリエチレンオキシドの外側ブロックと、を有する水溶性アルコキシル化ポリアルキレンイミンに関する。中間ブロックは、ポリプロピレンオキシド単位、ポリブチレンオキシド単位、及び/又はポリペンチレンオキシド単位から形成される。更に、国際公開第2015/028191号パンフレットは、水溶性アルコキシル化ポリアミンに関する。国際公開第2015/028191号パンフレットは、アルキレンオキシドをベースとした断片、続いてラクトン及び/又はヒドロキシ炭酸をベースとした断片を有する任意の置換基を含有するアルコキシル化ポリアルキレンイミン又はアルコキシル化ポリアミンを一切開示していない。
【0004】
国際公開第2020/187648号パンフレットは、一般式(I)のポリアルコキシル化ポリアルキレンイミン又はアルコキシル化ポリアミンにも関する。当該明細書に記載される化合物は、例えば化粧品配合物内で採用され得る。しかしながら、国際公開第2020/187648号パンフレットの置換基は、ラクトン及び/又はヒドロキシ炭酸をベースとした断片を一切含まないため、国際公開第2020/187648号パンフレット内で開示される特定の化合物は、本発明の対応する化合物とは異なる。
【0005】
英国特許出願公開第A2562172号明細書は、その組成物が顔料分散体として採用される、一般式(I)の特定の官能化ポリアルキレンイミンポリマーに関する。英国特許出願公開第A2562172号明細書は、アルキレンオキシドをベースとした断片、続いてラクトン及び/又はヒドロキシ炭酸をベースとした断片を有する任意の置換基を含有するアルコキシル化ポリアルキレンイミン又はアルコキシル化ポリアミンを一切開示していない。
【0006】
国際公開第95/32272号パンフレットは、汚れ分散性能を強化するためのエトキシル化及び/又はプロポキシル化ポリアルキレンアミンポリマーであって、窒素あたり0.5~10の平均エトキシル化/プロポキシル化度を有する、ポリマーを説明している。
【0007】
欧州特許出願公開第A0759440号明細書は、ポリウレタンなどの化合物の末端基におけるホスホン化をベースとする固形分のための分散剤を開示している。こうしたポリウレタンは、アミンとアルキレンオキシド又はアルキレンカーボネートとの反応によって得られ、ここでは対応するアミンのNH官能基の50~100%がオキシレート化される。その後、対応する中間体(アミノアルコール)をヒドロキシカルボン酸又は二酸及びジオールと再び反応させてポリエステルを得るか、或いは、ジイソシアネートとの対応する反応を実施して、かかるポリウレタンを得る。その後の最後の反応工程で、第2の反応工程の様々な個々の中間体がホスホン化される。結果的に、欧州特許出願公開第A0759440号明細書は、下記で定義する工程a)~b)を含むプロセスによって得ることが可能な、本発明の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンを一切開示していない。
【0008】
国際公開第2020/83680号パンフレットは、エステル化ポリアルキレンイミンポリアルコキシレート、洗剤の一次洗濯及び洗浄力を向上させるためのその使用法、並びにこうしたポリアルキレンイミン誘導体を含有する洗浄剤を開示している。このポリマーは、ポリアルコキシル化ポリアルキレンイミンを、ヒドロキシル若しくはアミノアルキルカルボン酸、及び/又は反応性ヒドロキシル若しくはアミノアルキルカルボン酸誘導体と反応させることによって得ることが可能である。この化合物は、硬質表面の洗濯及び洗浄における脂肪性/油性汚れの除去を改善するのに用いられ得る。脂肪性/油性汚れの除去と組み合わせて、その他の汚れ、例えば粒子状の汚れの除去を改善するためのこれらの化合物の更なる使用法は開示されていない。国際公開第2020/83680号パンフレットはまた、こうした重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のアルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンを開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアルキレンイミン主鎖、又は重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアミン主鎖をベースとした新規な化合物を提供することにある。更に、これらの新規な化合物は、組成物内で用いられる場合に、その生分解性に関して有益な特性を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、下記の工程a)~b):
a)i)重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の少なくとも1つのオリゴアルキレンイミン又は重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の少なくとも1つのオリゴアミンとii)少なくとも1つのアルキレンオキシド(AO)との反応であって、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基あたり少なくとも10モルのアルキレンオキシド(AO)が用いられて中間体(I)が得られる、反応と、
b)中間体(I)と、少なくとも1つのラクトン(LA)及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ炭酸(HA)との反応であって、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基(工程a)で用いられた)あたり少なくとも1.0モルのラクトン(LA)及び/又はヒドロキシ炭酸(HA)が用いられて、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを得る、反応と、を含むプロセスによって得ることが可能な修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンによって達成される。
【0011】
本発明の修飾アルコキシル化化合物は、洗浄組成物中で用いられ得る。これらは、例えば脂肪及び/又は油の除去に関して、従来技術の対応するアルコキシル化化合物と比較して少なくとも匹敵する、且つ好ましくは更にはより改善された、上記の組成物の洗浄性能をもたらす。他にも、驚くべきことに、本発明の修飾アルコキシル化化合物は、組成物中、例えば、洗浄組成物中で用いられると、改善された生分解性をもたらすことが判明した。改善された洗浄性能及び/又は改善された生分解性は、特に、主鎖の重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンで見出された。
【0012】
本発明の修飾アルコキシル化化合物の利点は、本発明のプロセスの工程b)におけるラクトン又はヒドロキシ炭酸をベースとする疎水性ブロックの形成と組み合わせての、本発明のプロセスの工程a)における大量のアルキレンオキシド、特に親水性エチレンオキシドの使用に特に起因する、その両親媒性で見ることができる。本発明の化合物は、疎水性ブロック中のエステル結合に起因する良好な生分解性と、その両親媒性に起因する洗剤用途における優れた洗浄性とを組み合わせる。
【0013】
もう1つの利点は、本発明の化合物を含有する対応する洗剤配合物、例えば、好ましくは洗濯配合物及び手動食器洗い用配合物に重点を置き、液体洗濯及び液体手動食器洗い配合物に主な重点を置き、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、水、及び本発明の化合物を含有する液体洗濯配合物及び洗濯のための単一の単回用量に特に強い重点を置いた、少なくとも1つの界面活性剤及び本発明の化合物を含有する液体及び固体(粉末)配合物に見ることができる。
【0014】
本発明の目的において、表現/用語「修飾」とは、工程b)を実施することに起因する、本発明の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン(工程a)~b)を含むプロセスによって入手可能な)内におけるラクトン又はヒドロキシル炭酸をベースとする(主に)疎水性のポリエステルブロックの存在に関する。換言すると、つまり、工程a)で得られる(アルコキシル化)中間体(使用されるオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミン(主鎖)のアルコキシル化に起因する)は、工程b)において少なくとも1つのラクトン(LA)及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ炭酸(HA)で更に反応/修飾させられて、所望の修飾が得られる。このため、変数R3及びmによって表される式(IIa)の残基などのいくつかの残基の末梢部で、(主に)疎水性のポリエステルブロックを含む断片が得られる。(主に)疎水性のポリエステルブロックを含むこれらの断片は、両親媒性をもたらし、ひいては、洗剤用途における本発明のポリマーの優れた洗浄性をもたらす。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」、「本発明のポリマー(polymer of the invention)」、又は「本発明のポリマー(inventive polymer)」とは、下記、及び/又は添付の特許請求の範囲で説明される修飾アルコキシル化(オリゴ-)ポリアルキレンイミンを指す。
【0016】
本発明の目的において、例えば式(IIa)のラジカルR2に関して下記で定義されるC1~C22-アルキルなどの定義は、この置換基(ラジカル)が、1~22個の炭素原子を有するアルキルラジカルであることを意味する。アルキルラジカルは、直鎖若しくは分枝鎖状、又は任意選択的に環状のいずれかであってよい。環状構成要素及び直鎖構成要素の両方を有するアルキルラジカルも、同様にこの定義の範囲内にある。C1~C4-アルキルラジカルなどのその他のアルキルラジカルも同様である。アルキルラジカルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、sec-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、2-エチルヘキシル、tert-ブチル(tert-Bu/t-Bu)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、又はドデシルである。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「C2~C22-アルキレン」は、2、3、4、5、6、10、12、又は最大22個の炭素原子からなる飽和、二価、直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖を指し、例としては、エタン-1,2-ジイル(「エチレン」)、プロパン-1,3-ジイルプロパン-1,2-ジイル、2-メチルプロパン-1,2-ジイル、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ブタン-1,3-ジイル(=1-メチルプロパン-1,3-ジイル)、ブタン-1,2-ジイル(「1,2-ブチレン」)、ブタン-2,3-ジイル、2-メチル-ブタン-1,3-ジイル、3-メチル-ブタン-1,3-ジイル(=1,1-ジメチルプロパン-1,3-ジイル)、ペンタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル、ペンタン-2,5-ジイル、2-メチルペンタン-2,5-ジイル(=1,1-ジメチルブタン-1,3-ジイル)、及びヘキサン-1,6-ジイルが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「C5~C10-シクロアルキレン」は、5、6、7、8、9、又は10個の炭素原子からなる飽和二価炭化水素を指し、ここで炭素原子の対応する数のうち全て又は少なくとも一部が環(cycle)(環(ring))を形成する。対応する数の炭素原子のうち全てが環を形成するわけではない場合、こうして残る炭素原子(すなわち、環を形成しない炭素原子)は、対応するC5~C10-シクロアルキレンラジカルのメタン-1,1-ジイル(「メチレン」)断片又はエタン-1,2-ジイル(「エチレン」)断片を形成する。上記の対応するメチレン又はエチレン断片の2つの価のうち1つは、一般式(I)内の隣接する窒素原子に結合し、上記の断片のうち第2の価は、上記のC5~C10-シクロアルキレンラジカルの環状断片に結合する。
【0019】
換言すると、C5~C10-シクロアルキレンラジカルは、その環状断片に加えて、一般式(I)内で隣接する窒素原子に対するC5~C10-シクロアルキレンラジカルの環状断片の架橋又はリンカーを構成するいくつかの非環状断片も含み得る。こうした炭素リンカー原子の数は、通常は3以下、好ましくは1又は2である。例えば、C7-シクロアルキレンラジカルは、1つのC6環及び1つのC1リンカーを含み得る。
【0020】
それ自体の対応する炭化水素環は、非置換であってもよく、又はC1~C3-アルキルによる少なくとも一置換であってもよい。C5~C10シクロアルキレンラジカルの炭素原子の数を決定する上で、対応するC1~C3-アルキル置換基の炭素原子は考慮されないことに留意されたい。これとは対照的に、こうしたC5~C10シクロアルキレンラジカルの炭素原子の数は、いかなる置換基も用いず、環状断片の炭素原子、及び任意選択的に存在する炭素リンカー原子(メチレン又はエチレン断片)の数のみによって決定される。
【0021】
C5~C10-シクロアルキレンの例としては、シクロペンタン-1,2-ジイル、シクロヘキサン-1,2-ジイル、シクロヘキサン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル、3-(メタン-1,1-ジイル)-シクロヘキサン-1,3-ジイル、シクロヘプタン-1,3-ジイル、又はシクロオクタン-1,4-ジイルが挙げられ、上記のラジカルはそれぞれ、C1~C3-アルキルで少なくとも一置換され得る。
【0022】
対応するC5~C10-シクロアルキレンラジカルは、同じ環サイズを有する2つ以上の個別のシクロアルキレンラジカルの混合物として用いられることが好ましい。環のそれぞれ2又は4位でメチルと一置換されたシクロヘキサン-1,3-ジイルの混合物を用いることが特に好ましい。2つの化合物の比は、好ましくは95:5~75:25の範囲内、最も好ましくは約85:15(4-メチル対2-メチル)である。
【0023】
3-(メタン-1,1-ジイル)-シクロヘキサン-1,3-ジイルが、その環状断片に加えて非環状断片を有するC5~C10-シクロアルキレンラジカルの好ましい例である。この特定の事例では、非環状断片はC1リンカーであり、環状断片はC6環であり、C7シクロアルキレンラジカルをもたらす。3-(メタン-1,1-ジイル)-シクロヘキサン-1,3-ジイルは、少なくとも1つのC1~C3-アルキル、好ましくは3つのメチル基、特に3,5,5-トリメチルでも置換され得る。後者は、一般式(I)の主鎖として用いられ得るイソホロンジアミンの断片である。
【0024】
本発明の目的において、例えば式(IIa)中のラジカルR2に関して下記で定義される用語「アラルキル」又は「C7~C22-アラルキル」は、それぞれ、置換基(ラジカル)がアルキル置換基(「アルキル」)と結合した芳香族(「ar」)であることを意味する。芳香族「ar」部分は、単環式、二環式、又は任意選択的に多環式芳香族であってよい。多環式芳香族の場合、個別の環は、任意選択的に完全に又は部分的に飽和していてもよい。アリールの好ましい例は、フェニル、ナフチル、又はアントラシルであり、特にフェニルである。芳香族及びアルキル断片の炭素原子の合計は、7~22個の炭素原子を有するラジカルである。
【0025】
本明細書の以下で使用するとき、例えば、式(IIa)のラジカルR2に関する定義における用語「-(CO)-C1~C22-アルキル」は、この置換基が、上記で定義されるように1~22個の炭素原子を有するアルキルラジカルに結合したカルボニル基(CO)を含有することを意味する。アルキルラジカルは、直鎖若しくは分枝鎖状、又は任意選択的に環状のいずれかであってよい。環状構成要素及び直鎖構成要素の両方を有するアルキルラジカルも、同様にこの定義の範囲内にある。同じことが、上記で定義されるように炭素原子の合計が7~22個の芳香族及びアルキル断片を有するラジカルに結合したカルボニル基(CO)の点で、用語「-(CO)-C7~C22-アラルキル」の定義にも当てはまる。
【0026】
本発明の目的において、例えば、式(IIa)のラジカルR2の用語「-(CO)-C2~C30-アルケニル」の一部として下記で定義されるC2~C30-アルケニルなどの定義は、置換基(ラジカル)のこの部分が、2~30個の炭素原子を有するアルケニルラジカルであることを意味する。この炭素ラジカルは、好ましくは単不飽和であるが、任意選択的に、二重不飽和又は多重不飽和であってもよい。直鎖性、分枝鎖、及び環状成分に関しては、C1~C30-アルキルラジカルに関して上述されたことが同じく当てはまる。C2~C30-アルケニルは、本発明の目的において、好ましくは、ビニル、1-アリル、3-アリル、2-アリル、シス-又はトランス-2-ブテニル、ω-ブテニルである。次に、用語「-(CO)-C2~C30-アルケニル」は、上記で定義されるように2~30個の炭素原子を有するアルケニルラジカルに結合したカルボニル基(CO)を含有する置換基に関する。
【0027】
用語「非置換又は少なくとも一置換のC1~C22-アルキル、C7~C22-アラルキル、
- (CO)-C1~C22-アルキル、-(CO)-C2~C30-アルケニル、及び/又は-(CO)-C7~C22-アラルキル」(例えば、下記の式(IIa)のR2中で定義されるような)は、C1~C22-アルキル又は-(CO)-C7~C22-アラルキルなどの言及される/列挙されるラジカル(置換基)のそれぞれが、非置換であってもよく、又は少なくとも、(下記の)文脈で定義されるような特定の置換基による一置換であってもよいことを意味する。完全を期すため、当業者であれば、言及された置換基は、C1~C22-アルキル又は-(CO)-C7~C22-アラルキルなどの対応するラジカル(置換基)の水素原子に置き換わることは既知であることも示される。置換基が-COOH又はその塩から選択される場合、対応する塩は当業者に既知である。好ましくは、塩は、ナトリウム塩又はカリウム塩、特にナトリウム塩(-COONa)などのアルカリ塩から選択される。
【0028】
本発明に関連して、用語「オリゴアルキレンイミン」又は「オリゴアミン」は、本発明のプロセスの、遊離体として工程a)内で、又は工程b)内で得られるこうした対応する修飾アルコキシル化化合物の主鎖内で用いられるこうした化合物の重量平均分子量(Mw)に関して、対応する用語「ポリアルキレンイミン」及び「ポリアミン」と異なる。本発明に関連する「オリゴアルキレンイミン」及び「オリゴアミン」は、400g/モル未満の重量平均分子量(Mw)(アルコキシル化を一切考慮せず、その主鎖に関して)を有するが、本発明による対応する「ポリアルキレンイミン」及び「ポリアミン」は、400g/モル以上の重量平均分子量(Mw)(アルコキシル化を一切考慮せず、その主鎖に関して)を有する。
【0029】
更に、本発明に関連して、用語「オリゴアルキレンイミン」は、特に、本発明のプロセスの、遊離体として工程a)内で、又は工程b)内で得られるものなどの対応する修飾アルコキシル化化合物の主鎖内で用いられるこうした化合物の分枝に関して、対応する用語「オリゴアミン」と異なる。本発明に関連して、オリゴアミンは、その主鎖内に一級及び/又は二級アミノ部分を含有するものの、三級アミノ部分を含有しない(主に)直鎖状化合物(アルコキシル化を一切考慮せず、その主鎖に関して)であるが、対応するオリゴアルキレンイミンは、本発明によれば、(アルコキシル化を一切考慮せず、その主鎖に関して)一級及び/又は二級アミノ部分に加えて、オリゴマー主鎖(基本骨格)内で(直鎖状の)主鎖をいくつかの側鎖へと分枝させる三級アミノ部分を強制的に含有する(主に)分枝鎖状分子である。したがって、どちらも主鎖として、且つ修飾アルコキシル化化合物としてのオリゴアルキレンイミンは、一般式(I)の定義に該当する化合物であり、式中、zが少なくとも1の整数であり、且つ/又はyが少なくとも1の整数であり、変数(残基)E1のうち少なくとも1つがC1~C18-アルキルである。これとは対照的に、主鎖として、且つ修飾アルコキシル化化合物としての両方でのオリゴアミンは、化学式(I)の化合物であり、式中、zが0であり、E1が水素であるか、或いはz及びyの両方が0である。
【0030】
このため、本発明の重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン及び重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の修飾アルコキシル化オリゴアミンは、基本骨格(主鎖)を有し、該基本骨格(主鎖)は、アルキレンラジカルR(下記で定義する)によって連結され、ランダム配列で下記の部分の形態である、一級、二級、及び/又は三級アミン窒素原子を含む。
- 基本骨格の主鎖及び側鎖を終端させ、続いてその水素原子がアルキレンオキシ単位によって置換される、一級アミノ部分:
【化1】
- その水素原子が続いてアルキレンオキシ単位によって置換される、二級アミノ部分:
【化2】
- 主鎖及び側鎖を分枝させる三級アミノ部分:
【化3】
【0031】
完全を期すため、一般式(I)の化合物のオリゴアルキレンイミン主鎖の分枝を示す変数Bは、2倍、3倍、又は更にはより高い分枝度を含む、-[-NE1-R]y、H2N-R、又はこれらの組み合わせなどの少なくとも1つの更なるアミノ部分を含む少なくとも1つの断片を含有することが示される。C1~C18-アルキルを含む変数E1も、対応する主鎖の分枝、及び、このために、別の種類の三級アミノ部分をもたらすが、変数Bの定義とは対照的に、変数E1は任意の更なるアミノ部分を含有しないことに留意されたい。しかしながら、この三級アミノ部分のいずれも、オリゴアミン化合物の主鎖中に存在しない。分枝度は、例えば、NMRスペクトロスコピー、例えば1H-NMR、又は好ましくは13C-NMRによって決定され得る。
【0032】
対応する本発明の(修飾)アルコキシル化化合物を得るために、基本オリゴアルキレンイミン又はオリゴアミン骨格の一級及び/又は二級アミノ基の水素原子は、下記で定義される式(IIa)のものなどの置換基によって置換される。
【0033】
本発明に関連して、用語「オリゴアルキレンイミン主鎖」は、アルコキシル化されておらず、更に修飾されていない本発明の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミンの断片に関する。オリゴアルキレンイミン主鎖は、工程a)で最初に少なくとも1つのアルキレンオキシド(AO)と反応され、続いて(工程b)で)少なくとも1つのラクトン又はヒドロキシ炭酸と反応されて、本発明の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミンを得るための遊離体として、本発明で用いられる。こうしたオリゴアルキレンイミン(主鎖又は非アルコキシル化化合物)は、当業者に既知である。
【0034】
本発明に関連して、用語「オリゴアミン主鎖」は、アルコキシル化されておらず、更に修飾されていない本発明の修飾アルコキシル化オリゴアミンの断片に関する。オリゴアミン主鎖は、工程a)で最初に少なくとも1つのアルキレンオキシド(AO)と反応され、続いて(工程b)で)少なくとも1つのラクトン又はヒドロキシ炭酸と反応されて、本発明の修飾アルコキシル化オリゴアミンを得るための遊離体として、本発明で用いられる。こうしたオリゴアミン(主鎖又は非アルコキシル化化合物)は、当業者に既知である。
【0035】
本発明に関連して、用語「NH官能基」は下記の通り定義される:定義されている有機アミン、例えばBAPMA、N4-アミン、又は1,6-ヘキサメチレンジアミンなどのジ-及びオリゴアミンの場合、構造自体が、一級、二級、及び三級アミンの内容に関する情報を提供する。一級アミノ基(-NH2)は、2つのNH官能基を有し、二級アミノ基はNH官能基を1つのみ有し、三級アミノは、結果的に、反応性のNH官能基を有さない。上述したものなどの直鎖及び分枝鎖オリゴマー化生成物の場合、対応するオリゴマーは、一級及び二級及び三級アミノ基の混合物を含有し得る。一級、二級、及び三級アミノ基の厳密な分布は、Lukovkin G.M.,Pshezhetsky V.S.,Murtazaeva G.A.:Europ.Polymer Journal 1973,9,559-565及びSt.Pierre T.,Geckle M.:ACS Polym.Prep.1981,22,128-129で説明される通りに決定してもよく、或いは、DIN 16945に従った一級、二級、及び三級アミノ数の決定によって決定してもよい。ラクトン又はヒドロキシ炭酸及びアルキレンオキシドで修飾する場合、続いて、この情報を使用して、オリゴアルキレンイミン中のNH官能基の総量を計算し、これは、反応に用いられる修飾試薬の量の基準としての役割を果たす。
【0036】
本発明の目的において、例えば、一般式(IIa)の残基の変数m又はnなどの様々な反復単位の数に関して定義される用語「整数」は、その特定の残基の様々な反復単位のそれぞれの平均数に関し、すなわち、対応する合成/重合条件によって得られる全ての存在する一般式(IIa)の特定の残基のうち最も頻度の高い残基の様々な反復単位のそれぞれの数に関する。ポリマー組成物は、通常、個々のポリマーの統計的に分布した混合物、又は、例えば一般式(IIa)の個々の残基の統計的に分布した混合物をそれぞれ含有することは、当業者であれば明らかである。したがって、こうした一般式(IIa)の個々の残基の統計的に分布した混合物内で、こうした個々の残基が、上記の反復単位の数の点で異なり得ることは、当業者であれば明らかである。一般式(IIb)又は(IIc)の残基などの、本発明による任意の他の特定の残基についても同じことが言える。反復単位の平均数は、NMR及びGPCなどの分析手法によって決定可能である。好ましくは、本発明の実施形態では、一般式(IIa)の残基における変数m又はnなどの反復単位の平均数の決定は、13C-NMR分光法及び/又は1H-NMR分光法を用いて合成工程a)~b)のそれぞれの変換率を綿密にモニタリングすることによって実施される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を、以下の通りより詳細に説明する。
【0038】
本発明は、下記の工程a)~b)を含むプロセスによって得ることが可能な修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンに関する:
a)i)重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の少なくとも1つのオリゴアルキレンイミン又は重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の少なくとも1つのオリゴアミンとii)少なくとも1つのアルキレンオキシド(AO)との反応であって、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基あたり少なくとも10モルのアルキレンオキシド(AO)が用いられて、中間体(I)を得る、反応、
b)中間体(I)と、少なくとも1つのラクトン(LA)及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ炭酸(HA)との反応であって、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基(工程a)で用いられた)あたり少なくとも1.0モルのラクトン(LA)及び/又はヒドロキシ炭酸(HA)が用いられて、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを得る、反応。
【0039】
工程a)では、完全量の少なくとも1つのアルキレンオキシド(AO)を一度に添加することが可能であるが、少なくとも1つのアルキレンオキシド(AO)を、2回以上のバッチで、一部ずつバッチ式に添加することも可能である。
【0040】
工程a)で用いられる重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアルキレンイミン又は重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアミンは、当業者に既知の任意の化合物であってよい。
【0041】
重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアルキレンイミンの例は、重量平均分子量が400g/モル未満の定義されたN-アルキル置換有機アミン、例えば、国際公開第2017009220号パンフレットに記載されるN,N-ビス-(3-アミノプロピル)メチルアミン(略称「BAPMA」)並びに、こうしたアミンをモノマーとして含むオリゴマー化生成物である。完全を期すため、重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアルキレンイミンという用語は、上述されるように、2つの末端一級アミノ部分に加えて、1つのみの(三級)アミノ部分を含むイミンも包含することが示される。したがって、重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアルキレンイミンという用語は、少なくとも3つのアミノ部分を有するイミンを含む。
【0042】
重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアミンの例は、欧州特許第2961819B1号明細書及び国際公開第2014131649A1号パンフレットに記載されるように、重量平均分子量が400g/モル未満の定義された有機アミン、例えば1,2-エチレンジアミン(EDA)、1,3-プロピレンジアミン(PDA)、1,6-ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、N,N’-ビス-(3-アミノプロピル)-エチレンジアミン(N4-アミン)、エチレンイミンのオリゴマー、例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、及びテトラエチレンペンタミン(TEPA)、プロピレンイミンのオリゴマー、例えば、ジプロピレントリアミン(DPTA)、トリプロピレンテトラミン(TPTA)、及びテトラプロピレンペンタミン(TPPA)、並びにこうしたアミンをモノマーとして含むオリゴマー化生成物である。完全を期すため、重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアミンという用語は、上述されるように、一級アミノ部分を2つのみ有し、更なる二級部分を有さないアミンも含むことが示される。したがって、重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアミンという用語は、少なくとも2つのアミノ部分を有するアミンを含む。
【0043】
工程a)で用いられた重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の少なくとも1つのオリゴアルキレンイミン又は重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満のオリゴアミンが、一般式(I)に従って定義され、
【化4】
式中、変数はそれぞれ下記の通り定義され、
Rは同一か又は異なる
i)直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
12-アルキレンラジカル、又は
ii)以下の式(III)のエーテルアルキル単位であって:
【化5】
式中、変数はそれぞれ下記の通り定義され、
R
10、R
11、R
12は同一か若しくは異なる、直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
6-アルキレンラジカルを表し、
dは0~6の範囲の値を有する整数である、エーテルアルキル単位、又は
iii)任意選択的に少なくとも1つのC
1~C
3アルキルで置換されたC
5~C
10シクロアルキレンラジカルを表し、
yは0~8の範囲の値を有する整数であり、
E
1は同一か又は異なる
i)水素、又は、
ii)水素及び/若しくはC
1~C
18-アルキルを表し、
Bは、分枝によるオリゴアルキレンイミンの延長を表し、
zは0~8の範囲の値を有する整数であり、
y+zの和は、0~8の範囲、好ましくは0~7の範囲の値を有する整数であり、
好ましくは、Rは同一か又は異なる
i)直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
12-アルキレンラジカルであって、より好ましくはRがエチレン、プロピレン、若しくはヘキサメチレンである、アルキレンラジカル、又は
ii)任意選択的に少なくとも1つのC
1~C
3-アルキルで置換されたC
5~C
10-シクロアルキレンラジカルであって、より好ましくは、Rが、少なくとも1つのメチル若しくはエチルで置換された少なくとも1つのC
6~C
7-シクロアルキレンラジカルである、シクロアルキレンラジカルを表し、
好ましくは、E
1がH及び/又はメチルを表し、
より好ましくは、E
1がHを表すことが好ましい。
【0044】
完全を期すため、一般式(I)のオリゴアルキレンイミン化合物の分枝を示す変数Bは、2倍、3倍、又は更にはより高い分枝度を含む、-[-NE1-R]y、H2N-R、又はこれらの組み合わせなどの少なくとも1つの更なるアミノ部分を含む少なくとも1つの断片を含有することが示される。C1~C18-アルキルを含む変数E1も、対応する主鎖の分枝、及び、このために、(別の種類の)三級アミノ部分をもたらすが、変数Bの定義とは対照的に、変数E1は任意の更なるアミノ部分を含有しないことに留意されたい。しかしながら、言及された三級アミノ部分のいずれも、一般式(I)のオリゴアミン化合物中には存在しない。
【0045】
本発明の好ましい一実施形態では、工程a)で用いられるオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンの重量平均分子量(Mw)は、60~390g/モルの範囲内、好ましくは60~360g/モルの範囲内にある。
【0046】
本発明の別の好ましい実施形態では、工程a)で用いられるオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンの重量平均分子量(Mw)は100~200g/モルの範囲内にある。
【0047】
本発明の別の好ましい実施形態では、工程a)で用いられるオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンの重量平均分子量(Mw)は250~350g/モルの範囲内にある。
【0048】
完全を期すため、BAPMA及びHMDAなどの所定のポリアルキレンイミン及びポリアミン(単一化合物)が、本発明のプロセスの工程a)で出発物質として用いられる場合、重量平均分子量(Mw)は、数平均分子量(Mn)と同一であることが示される。したがって、Mw及びMnはそれらのモル質量と同一である。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンは、一般式(IIa)の少なくとも1つの残基を含有し、
【化6】
式中、変数はそれぞれ下記の通り定義され、
R
2は、水素であるか、又は非置換若しくは少なくとも一置換のC
1~C
22-アルキル、C
7~C
22-アラルキル、-(CO)-C
1~C
22-アルキル、-(CO)-C
2~C
30-アルケニル、及び/若しくは-(CO)-C
7~C
22-アラルキルの群から選択され、置換基は-COOH若しくはその塩から選択され、
R
3は、直鎖又は分枝鎖のC
1~C
22-アルキレンラジカルを表し、
R
4はC
2~C
22-(1,2-アルキレン)ラジカルを表し、
mは、少なくとも1~20の値を有する整数であり、
pは、少なくとも10~100の値を有する整数であり、
好ましくは、一般式(IIa)内の変数は以下の通りに定義され、
R
2は、水素、C
1~C
4-アルキル、-(CO)-C
1~C
4-アルキルを表し、より好ましくは水素、メチル、エチル若しくは-(CO)-C
1~C
2-アルキルを表し、最も好ましくは水素を表し、並びに/又は、
R
3は、直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
10-アルキレンラジカルを表し、より好ましくは直鎖若しくは分枝鎖のC
2~C
5-アルキレンラジカルを表し、並びに/又は
R
4は、1,2-エチレン及び/若しくは1,2-プロピレン、より好ましくは1,2-エチレンを表し、並びに/又は
mは、1~15、より好ましくは1~10、最も好ましくは2~10の範囲の値を有する整数であり、並びに/又は
pは、10~50、より好ましくは15~40、最も好ましくは20~35の範囲の値を有する整数である。
【0050】
本発明の別の実施形態では、上記の一般式(IIa)の少なくとも1つの残基の存在に加えて、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンは、一般式(IIb)の少なくとも1つの残基を含有し、
【化7】
式中、変数は下記の通り定義され:
R
2は、水素であるか、又は非置換若しくは少なくとも一置換のC
1~C
22-アルキル、C
7~C
22-アラルキル、-(CO)-C
1~C
22-アルキル、-(CO)-C
2~C
30-アルケニル、及び/若しくは-(CO)-C
7~C
22-アラルキルの群から選択され、置換基は-COOH若しくはその塩から選択され、
R
4はC
2~C
22-(1,2-アルキレン)ラジカルを表し、
pは、少なくとも10~100の値を有する整数であり、
好ましくは、一般式(IIb)内の変数は以下の通りに定義され、
R
2は、水素、C
1~C
4-アルキル、-(CO)-C
1~C
4-アルキルを表し、好ましくは水素、メチル、エチル若しくは-(CO)-C
1~C
2-アルキルを表し、最も好ましくは水素を表し、並びに/又は、
R
4は、1,2-エチレン及び/若しくは1,2-プロピレン、より好ましくは1,2-エチレンを表し、並びに/又は
pは、10~50、より好ましくは15~40、最も好ましくは20~35の範囲の値を有する整数である。
【0051】
本発明の別の実施形態では、
i)工程a)は水の不在下、及び/若しくは触媒の存在下で実施され、並びに/又は
ii)工程a)は2工程反応として実施されて、第1の工程は水の存在下で実施され、第2の工程は、水なしであるが、触媒の存在下で実施され、並びに/又は
iii)工程a)で用いられるアルキレンオキシド(AO)の50重量%超がエチレンオキシドをベースとし、並びに/又は
iv)工程a)で用いられるオリゴアルキレンイミン若しくはオリゴアミンの重量平均分子量(Mw)が60~390g/モルの範囲内、好ましくは60~360g/モルの範囲内にあるか、又は
v)工程a)で用いられるオリゴアルキレンイミン若しくはオリゴアミンの重量平均分子量(Mw)が100~200g/モルの範囲内にあるか、又は
vi)工程a)で用いられるオリゴアルキレンイミン若しくはオリゴアミンの重量平均分子量(Mw)が250~350g/モルの範囲内にある、ことが好ましい。
【0052】
当業者には、それぞれの重量平均分子量(MW)を決定/測定する方法は既知である。これは、例えばサイズ排除クロマトグラフィー(例えば光散乱法を組み合わせたGPCなど)によって実施可能である。好ましくは、(MW)値は以下の方法によって決定される:OECD TG 118(1996)、これは、詳細には、
OECD(1996),Test No.118:Determination of the Number-Average Molecular Weight and the Molecular Weight Distribution of Polymers using Gel Permeation Chromatography,OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,Section 1,OECD Publishing,Parisを意味し、インターネット上の、例えばhttps://doi.org/10.1787/9789264069848-enでも利用可能である。
【0053】
ポリアミン出発物質の分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定され得る。測定は、以下の3つのカラムの組み合わせで実施され得る:HFIP-LG Guard、PL HFIPGEL、及びPL HFIPGel。溶出は、ヘキサフルオロイソプロパノール及び0.05重量%のトリフルオロロ酢酸カリウム(Potassium trifluroroacetate)を用いて1mL/分の一定流速で実施され得る。射出される試料は、Millipore Millex FG(0.2μm)で事前濾過されてもよく、50μLが濃度1.5mg/mL(溶出液中で希釈)で射出され得る。流出物は、紫外検出器DRI Agilent 1100によってλ=230及び280nmでモニタリングすることができる。較正は、PMMA標準(PSS,Mainz,Germany)を用いて分子量800~2,200,000g/モルで実施することができる。較正範囲外の値は外挿することができる。
【0054】
修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン及び修飾アルコキシル化オリゴアミンの分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定され得る。測定は、溶出液としてヘキサフルオロイソプロパノール中0.05重量%のトリフルオロ酢酸カリウムを用いて、2つのカラムの組み合わせ(スチレン-ジビニルベンゼン及びポリエステルコポリマー、どちらも長さ25cm)で実施することができる。分子量は、較正のためのRI検出器及びPEO標準(Polymer Laboratories/Agilent,USA)を用いることによって得ることができる。更に、絶対モル質量は、多角光散乱法(MALLS)によって測定することができる。
【0055】
本発明の別の実施形態は、上記の(こうした)修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミンに関し、変数がそれぞれ下記の通り定義されることが好ましい:
Rはエチレン及び/又はプロピレン、好ましくはエチレンであり、
y+zの和は、1~8の範囲、好ましくは1~7の範囲の値を有する整数である。
【0056】
本発明の別の実施形態は、上記の(こうした)修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は(こうした)修飾アルコキシル化オリゴアミンに関し、変数がそれぞれ下記の通り定義されることが好ましい:
yは、0~8の範囲、好ましくは0~7の範囲の値を有する整数であり、
zは0であり、
E1はH及び/又はメチルを表し、
Rは、同一か又は異なる、式(III)の直鎖又は分枝鎖のC2~C12-アルキレンラジカル又はエーテルアルキル単位を表し、式中、
dは0~6であり、
R10、R11、R12は、独立して、直鎖又は分枝鎖のC3~C4アルキレンラジカルから選択され、
好ましくは、Rは、同一か又は異なる、直鎖C2及び/又はC3-アルキレンラジカルを表す。
【0057】
本発明の別の実施形態では、
i)工程a)において、アルキレンオキシド(AO)は、少なくとも1つのC2~C22-エポキシド、好ましくはエチレンオキシド及び/若しくはプロピレンオキシド、より好ましくはエチレンオキシドであり、並びに/又は
ii)工程b)において、ラクトン(LA)はカプロラクトン若しくはラクチドであり、並びに/又は
iii)工程b)において、ヒドロキシ炭酸(HA)は乳酸若しくはグリコール酸であることが好ましい。
【0058】
本発明の別の実施形態では、
i)工程a)において、1モルのオリゴアルキレンイミン若しくはオリゴアミンのNH官能基あたり10~100モル、好ましくは10~50モル、より好ましくは15~40モル、最も好ましくは20~35モルのアルキレンオキシド(AO)が用いられ、並びに/又は
ii)工程b)において、1モルのオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンのNH官能基(工程a)で用いられた)あたり1.0~10モル、好ましくは1.0~6.0モル、より好ましくは2.0~4.0モルのラクトン(LA)、及び/若しくは1.0~20モル、好ましくは2.0~15モル、より好ましくは3.0~10モルのヒドロキシ炭酸(HA)が用いられることが好ましい。
【0059】
本発明の別の実施形態では、
i)工程a)においてアルキレンオキシド(AO)はエチレンオキシドであり、
ii)工程a)において、1モルのオリゴアルキレンイミン若しくはオリゴアミンのNH官能基あたり10~100モル、好ましくは10~50モル、より好ましくは15~40モル、最も好ましくは20~35モルのアルキレンオキシド(AO)が用いられ、並びに/又は
iii)工程b)において、ラクトンはカプロラクトンであり、1モルのオリゴアルキレンイミン若しくはオリゴアミンのNH官能基(工程a)で用いられた)あたり1.0~10モル、好ましくは1.0~6.0モル、より好ましくは2.0~4.0モルのカプロラクトンが用いられることが好ましい。
【0060】
本発明の別の実施形態では、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン中に存在する窒素原子の最大100%が更に四級化され、好ましくは、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミン中に存在する窒素原子の四級化の程度は、10%~95%の範囲内にあることが好ましい。
【0061】
上述した通り、本発明の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンは四級化されてもよい。好適な四級化度は、最大で100%、具体的には10~95%である。四級化は、好ましくは、C1~C22-アルキル基、C1~C4-アルキル基、及び/又はC7~C22-アラルキル基を導入することによって達成され、対応するハロゲン化アルキル及び硫酸ジアルキルと反応させることによる従来通りの方法で実施され得る。
【0062】
四級化は、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンを、これらが用いられる洗濯組成物などの特定の組成物に合わせて調整するのに、並びに、配合物のより良好な適合性及び/又は相安定性を達成するのに、有利であり得る。
【0063】
修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンの四級化は、好ましくは、例えばC1~C22アルキル、C1~C4-アルキル基、及び/又はC7~C22アラルキル、アリール、若しくはアルキルアリール基を導入することによって達成され、国際公開第09/060059号パンフレットで説明されるように、対応するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、及び硫酸ジアルキルと反応させることによる従来通りの方法で行われ得る。
【0064】
四級化は、例えば、アルコキシル化オリゴアミン又は修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミンを、アルキル化剤、例えばC1~C4-ハロゲン化アルキル、例えば臭化メチル、塩化メチル、塩化エチル、ヨウ化メチル、臭化n-ブチル、臭化イソプロピルと、又はハロゲン化アラルキル、例えば塩化ベンジル、臭化ベンジルと、又は塩基の存在下でジ-C1~C22-硫酸アルキルと、特に硫酸ジメチル又は硫酸ジエチルと、反応させることによって達成され得る。好適な塩基は、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0065】
アルキル化剤の量は、オリゴマー中でアミノ基が四級化する量、すなわち四級化部分の量を決定する。
【0066】
四級化部分の量は、非四級化アミンと四級化アミンとのアミン数の差から計算することができる。
【0067】
アミン数は、DIN1 6945に記載される方法に従って決定することができる。
【0068】
四級化は、溶媒を全く使わずに実施することができる。しかしながら、水、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンなどの溶媒又は希釈剤を用いてもよい。反応温度は、通常は10℃~150℃の範囲内であり、好ましくは50℃~100℃である。
【0069】
本発明の別の主題は、上記の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンを調製するためのプロセスである。以下で、工程a)~b)(上記)をより詳細に説明する。下記の情報は、対応するプロセスによって入手可能なこうした上記のポリマーにも適用される。このプロセス内で、重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の(こうした)オリゴアルキレンイミン又は重量平均分子量(Mw)が400g/モル未満の(こうした)オリゴアミンは、工程a)に従い、最初に少なくとも1つのアルキレンオキシド(AO)と反応させられ、続いて工程b)で、それぞれの中間体(I)が、少なくとも1つのラクトン及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ炭酸とを反応させられて、対応する修飾アルコキシル化化合物が得られる。工程a)で2つ以上のアルキレンオキシドが採用される場合、対応するアルコキシル化化合物は、対応するアルキレンオキシド断片のランダム配列又はブロック配列のいずれかを含有し得る。工程a)で2つ以上のアルキレンオキシドが採用される場合、採用されたAOの50重量%超がエチレンオキシド(EO)であることが更に好ましい。
【0070】
対応する各工程の変換率は、NMR分光法などの当業者に既知の方法に従って決定することができる。例えば、第1の反応工程、及び第2の反応工程のどちらも、13C-NMR分光法及び/又は1H-NMR分光法によってモニタリングすることができる。上述したように、こうした本発明の方法の第1の反応工程(工程a))(アルコキシル化、具体的にはエトキシル化)は、当業者に既知である。こうしたアルコキシル化(本発明の方法の第1の反応工程)は、互いに独立して1工程反応として実施されてもよく、或いはこうしたアルコキシル化が2つ以上の個別の工程へと分割されてもよい。
【0071】
本発明内では、対応する工程(アルコキシル化)が2工程反応として実施されることが好ましい。
【0072】
本発明の別の実施形態では、アルコキシル化工程a)は、一切の水の不在下であるが、触媒の存在下で単一工程反応として実施される。
【0073】
本発明の好ましい実施形態では、アルコキシル化工程a)は、少なくとも2工程で実施され、第1の工程は、一切の触媒の不在下であるが水の存在下で実施され、第2の(及び任意選択的にこれ以上の工程)は、触媒の存在下であるが水の不在下で実施される。
【0074】
水の不在とは、本発明では、残留する水のレベルが1重量%未満の水、好ましくは0.5重量%未満の水、より好ましくは0.25重量%未満の水と定義される。
【0075】
このアルコキシル化工程a)の少なくとも2工程反応の変形では、触媒は、好ましくは塩基性触媒である。好適な触媒の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウム、アルカリ金属アルコキシド、具体的にはナトリウム及びカリウムC1~C4-アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、及びカリウムtert-ブトキシド、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水素化物、例えば水素化ナトリウム及び水素化カルシウム、並びにアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムである。アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドが好ましく、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、及びカリウムtert-ブトキシドが特に好ましい。塩基の典型的な使用量は、オリゴアルキレンイミン又はオリゴアミン、ヒドロキシ炭酸、及びアルキレンオキシドの総量に基づいて0.05~10重量%、具体的には0.5~2重量%である。更に、触媒は、当業者に既知であり、例えば国際公開第01/083107号パンフレットで説明される多重金属シアン化物錯体(multimetal cyanide complex)、好ましくはDMC(二重金属シアン化物)触媒であってもよい。触媒が、モンモリロナイトなどのブレンステッド酸触媒、又は三フッ化ホウ素などのルイス酸触媒であることも可能である。
【0076】
アルコキシル化工程a)が少なくとも2工程で実施される場合、第1の工程は、一切の触媒の不在下であるが水の存在下で実施される。この手順では、オリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンの第1の初期アルコキシル化が実施される。この工程a)の第1の部分では、オリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンは、それぞれ1モルのNH部分又はNH官能基あたり約1モルのアルキレンオキシドに対応する、使用されるアルキレンオキシドの総量の一部のみと反応させられる。(工程a)の第1の部分の)この反応は、一般的には水溶液中に触媒の存在なしで、70~200℃、好ましくは80~160℃で、最大10バール、具体的には最大8バールの圧力下で行われる。工程a)のこの第1の部分の含水量は、1重量%超、好ましくは5重量%超、より好ましくは10重量%超である。
【0077】
全ての水の不在下でのアルコキシル化の触媒工程は、物質中(変形例a))又は有機溶媒中(変形例b))で行われ得る。以下で指定するプロセス条件は、アルコキシル化反応の両方の工程で使用することができる。
【0078】
変形例a)では、第1の工程で触媒の添加後に得られた初期アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンの水溶液を、最初に脱水する。これは、80~150℃に加熱し、30ミリバール未満の減圧下で水を留去することによる単純な方法で実行可能である。それに続くアルキレンオキシドとの反応は、典型的には70~200℃、好ましくは100~180℃で、及び最大10バール、具体的には最大8バールの圧力下で、並びに約100~160℃での約0.5~4時間の連続攪拌時間で実施され、それぞれの事例で一定圧力が続く。
【0079】
変形例b)に好適な反応媒体は、具体的には非極性及び極性の非プロトン性有機溶媒である。特に好適な非極性の非プロトン性溶媒の例としては、脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、及びキシレンが挙げられる。特に好適な極性の非プロトン性溶媒の例は、エーテル、具体的にはテトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドなどのN,N-ジアルキルアミド、並びにN-メチルピロリドンなどのN-アルキルラクタムである。当然ながら、これらの非プロトン性溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、キシレン及びトルエンである。
【0080】
変形例b)でも、第1の工程で、触媒及び溶媒を添加した後に得られる溶液は、最初に脱水されるが、これは有利には、好ましくは穏やかな窒素流によって補助しながら、120~180℃の温度で水を分離することによって行われる。これに続くアルキレンオキシドとの反応は、変形例a)にある通りに実施され得る。
【0081】
変形例a)では、アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はオリゴアミン(中間体(I))は、実質的にそのまま得られる。変形例b)では、有機溶媒が典型的には除去される。好ましくは、中間体(I)は、最終的には実質的に単離され、更に精製することなしに次の反応工程b)でそのまま使用される。本発明の一実施形態では、中間体(I)は、例えば、残留モノマーなどの揮発性有機化合物、及び/又は副生成物、例えば1,4-ジオキサンを減圧除去することによって、更なる使用の前に精製され得る。
【0082】
修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンを調製するための本発明の方法の第2の反応工程b)に関連して、工程a)で得られた対応する中間体(I)は、少なくとも1つのラクトン及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ炭酸と反応させられる。こうしたこの第2の反応工程は、当業者に既知である。
【0083】
好適なラクトン及び/又はヒドロキシ炭酸は、脂肪族、脂環式、又は芳香族であり得る。
【0084】
特に好適な芳香族ヒドロキシ炭酸は、ヒドロキシ置換安息香酸及びナフタレンカルボン酸、例えば、p-ヒドロキシエチル安息香酸及び2-ヒドロキシナフタレン-6-カルボン酸である。脂肪族ヒドロキシ炭酸、特にω位にヒドロキシル基を有するもの、及びこれらのラクトンが好ましい。一般には、脂肪族ヒドロキシ炭酸は、1~22のアルキレンラジカル、好ましくは2~10のアルキレンラジカル、より好ましくは2~5のアルキレンラジカルを有する。アルキレンラジカルは直鎖であっても分枝鎖であってもよい。言及され得る例は、グリコール酸、乳酸、及びそのラクチド、γ-ヒドロキシ酪酸及びγ-ブチロラクトン、δ-ヒドロキシ吉草酸並びにγ-及びδ-バレロラクトン、ε-ヒドロキシカプロン酸及びε-カプロラクトン、12-ヒドロキシステアリン酸及びリシノール酸、並びに混合物、特に天然の酸を含むものである。好ましくは、グリコール酸、乳酸、ε-カプロラクトン若しくはラクチド、又はこれらの混合物が用いられ、より更に好ましくはε-カプロラクトンが用いられる。
【0085】
この第2の反応工程b)では、反応温度が50~200℃の範囲内、より好ましくは70~180℃、最も好ましくは100~170℃の範囲内であることが好ましい。
【0086】
この第2の反応工程b)は、少なくとも1つの溶媒及び/又は少なくとも1つの触媒の存在下で実施され得る。好適な溶媒は、好ましくは、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、メチル-tertブチルエーテル又はジエチルエーテルから選択される。しかしながら、第2の反応工程b)では、対応する工程が、一切の溶媒なしに実施されることが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、触媒は、第2の反応工程b)で採用される。好ましい触媒は、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属アルコキシド、例えばKOMe及びNaOMe、又はスズ、チタン、又は亜鉛ベースの触媒、例えば、ジブチルスズジラウレート、オクタン酸スズ、チタンテトラブチレート、酢酸亜鉛、若しくはシュウ酸亜鉛から選択される。
【0087】
本発明のプロセスの第2の反応工程b)のエステル化は、一般的には、当業者に知られており、例えば、Houben-Weyl,Methoden der Organischen Chemie,4.Edition,volume XIV/2,pages 1 to 30(1963)及び独国特許第19529242号明細書に記載されている通りに実施することができる。したがって、アミノアルコール又はアミノエーテルアルコールとヒドロキシ炭酸とのエステル化は、通常は、80~250℃、好ましくは120~200℃で実施され得る。更に、上記のエステル化は、当業者に既知の従来のエステル化触媒、例えば有機金属塩又は酸、例えば、チタン(IV)ブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、酢酸亜鉛、又はp-トルエンスルホン酸の存在下(反応物の総量に対して一般に0.05~3重量%、好ましくは0.1~1重量%)であるが、同時に触媒なしで、不活性な有機溶媒、好ましくは水と共沸混合物を形成する溶媒の有無にかかわらず反応中に形成される水を除去して、実施することができる。酸ラクトン又はラクチドを使用する場合、付加反応又は重付加反応(「開環重合」)として起こるエステル化は、一般には、70~200℃、特に120~160℃の温度で実施することができ、好ましくはエステル化触媒の存在下でも実施することができ、例えば、ジブチルスズジラウレート、二酸化スズ、チタンテトラブチレートが有機溶媒の有無に関わらず採用され得る。ラクチド酸とのエステル化は、反応を完了するためにその後水が除去されるのであれば、水の存在下でも実施することができる。
【0088】
本発明の一実施形態では、最初に得られたポリエステルブロックの末端ヒドロキシ基は、本発明のプロセスの第2の反応工程b)内で、アルキル化試薬、例えばハロゲン化アルキル、並びに/又は炭酸及び/若しくは炭酸誘導体、例えば、炭酸無水物、炭酸エステル、若しくは炭酸ハロゲン化物と更に反応させられて、非置換又は少なくとも一置換のC1~C22-アルキル、C7~C22-アラルキル、-(CO)-C1~C22-アルキル、-(CO)-C2~C30-アルケニル、及び/又は-(CO)-C7~C22-アラルキルから選択される末端基R2を得て、ここで置換基は-COOH又はその塩から選択される。炭酸無水物、特にアルキル鎖置換コハク酸無水物が好ましく、その例はC6~C20置換コハク酸無水物である。市販の製品の例としては、Pentasize 8又はPentasize 68が挙げられる(それぞれC18アルケニルコハク酸無水物又はC16/C18アルケニルコハク酸無水物、Trigon Chemie GmbH製)。
【0089】
例えば、式(IIa)及び/又は式(IIb)によると、残基の量は、用いられる抽出物の化学量論、個々の工程内の反応温度、用いられる触媒の量及び/若しくは種類、並びに/又は選択される溶媒などのいくつかの因子によって制御可能である。本発明の好ましい実施形態では、一般式(IIa)の残基は、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は修飾アルコキシル化オリゴアミンの全残基の50%超を占める。
【0090】
本発明の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン及び修飾アルコキシル化オリゴアミンの分子量は、例えば、好ましくは多角レーザー光散乱(MALLS)検出器と組み合わせて、ヘキサフルオロイソプロパノール及び0.05%のトリフルオロ酢酸カリウム塩を溶媒として使用することによるゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって絶対重量平均分子量(Mw)を得ることで測定され得る。
【0091】
最終的に得られた本発明の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン及び修飾アルコキシル化オリゴアミンは、1000~50000g/モル、好ましくは1500~30000g/モル、より更に好ましくは2000~25000g/モルの重量平均分子量(GPCデータに基づき)を有する。本発明の好ましい実施形態では、修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン及び修飾アルコキシル化オリゴアミンは、2500~20000g/モルの重量平均分子量を有する。本発明との関係において、最終的に得られる修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン及び修飾アルコキシル化オリゴアミンは、したがって、本発明の「ポリマー」であると説明される。
【0092】
本発明の別の主題は、布地ケア及びホームケア生成物中の、化粧品配合物中の、原油エマルジョン破壊剤としての、インクジェットインク用顔料分散体中の、電気めっき用配合物中の、セメント系組成物中の、及び/又は農薬配合物用分散剤としての、好ましくは洗浄組成物、並びに/又は布地ケア及びホームケア生成物中、特に油性及び脂肪性の染みの除去を改善するための洗浄組成物中の、上記の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンの使用であり、ここで洗浄組成物は、好ましくは洗濯洗剤配合物及び/又は手動食器洗い用洗剤配合物であり、より好ましくは液体洗濯洗剤配合物及び/若しくは液体手動食器洗い用洗剤配合物、並びに/又は固体若しくは液体、好ましくは固体の自動食器洗い用配合物である。
【0093】
本発明の修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンは、化粧品配合物に、原油エマルジョン破壊剤として、インクジェットインク用顔料分散体中に、電気めっき用配合物、セメント系組成物中に、添加され得る。しかしながら、本発明の化合物は、水洗い又は洗浄組成物に添加(使用)されてもよい。
【0094】
したがって、本発明の別の主題は、上記で定義された少なくとも1つの修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンを含む、洗浄組成物、布地ケア及びホームケア生成物、業務用洗浄生成物、化粧品配合物、原油エマルジョン破壊剤、インクジェットインク用顔料分散体、電気めっき用配合物、セメント系組成物、並びに/又は農薬配合物用分散剤である。
【0095】
好ましくは、これは、好ましくは油性及び脂肪性の染みの除去を改善するための、上記で定義された少なくとも1つの修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又はアルコキシル化オリゴアミンを含む洗浄組成物並びに/又は布地ケア及びホームケア生成物、好ましくは洗濯洗剤配合物及び/又は手動食器洗い用洗剤配合物、より好ましくは液体洗濯洗剤配合物及び/又は液体手動食器洗い用洗剤配合物、並びに/又は固体若しくは液体、好ましくは固体の、自動食器洗い用配合物である。
【0096】
本発明の別の好ましい実施形態では、洗浄組成物は、粒子状の染み並びに/又は油性及び脂肪性の染みの汚れ除去のために、並びに、更には、好ましくは洗濯物ケアにおける白色度維持のために用いることができる。
【0097】
別の実施形態では、本発明の洗浄組成物は、硬材、タイル、セラミック、プラスチック、皮革、金属、ガラスなどの様々な表面の洗浄に使用することができる硬質表面洗浄組成物である。
【0098】
別の実施形態では、洗浄組成物は、シャンプー組成物、ボディウォッシュ配合物、液体又は固体せっけんなどのパーソナルケア及びペットケア組成物で使用するため設計される。
【0099】
更なる実施形態では、本発明は、本明細書で上述された本発明のポリマーを含む組成物も包含し、これは更に、好ましくは2-フェノキシエタノールからなる群から選択される本明細書の下記で開示する抗菌剤を更に含み、より好ましくは上記の抗菌剤を組成物の重量を基準に2ppm~5%の範囲の量で含み、更により好ましくは0.1~2%のフェノキシエタノールを含む。
【0100】
更なる実施形態では、本発明は、水性組成物を微生物の汚染又は増殖から保護する方法も包含し、かかる組成物は本明細書で上述した本発明のポリマーを含み、かかる組成物は好ましくは洗剤組成物であり、かかる方法は、本明細書の下記で開示される本開示の抗菌剤から選択される少なくとも1つの抗菌剤を添加することを含み、かかる抗菌剤は、好ましくは2-フェノキシエタノールである。
【0101】
更なる実施形態では、本発明は、組成物、好ましくは洗浄組成物、より好ましくは液体洗濯洗剤組成物又は液体手食器組成物(liquid hand dish composition)、更により好ましくは液体洗濯洗剤組成物、又は洗濯物に使用するための液体柔軟剤組成物も包含し、かかる組成物は本明細書で上述した本発明のポリマーを含み、かかる組成物は、4,4’-ジコロ(dichoro)2-ヒドロキシジフェニルエーテルを、それぞれ組成物の重量を基準に0.001~3%、好ましくは0.002~1%、より好ましくは0.01~0.6%の濃度で更に含む。
【0102】
更なる実施形態では、本発明は、布地を洗濯する方法、又は硬質表面を洗浄する方法も包含し、方法は、布地又は硬質表面を、洗浄組成物、より好ましくは液体洗濯洗剤組成物又は液体手食器組成物、更により好ましくは液体洗濯洗剤組成物、又は洗濯物に使用するための液体柔軟剤組成物で処理することを含み、かかる組成物は本明細書で上述した本発明のポリマーを含み、かかる組成物は、4,4’-ジコロ(dichoro)2-ヒドロキシジフェニルエーテルを更に含む。
【0103】
また、本発明においては、洗浄組成物が、(上記の少なくとも1つの修飾アルコキシル化オリゴアルキレンイミン又は少なくとも1つのアルコキシル化オリゴアミンの他に)追加で好ましくは1つ以上のリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、DNase、マンナナーゼ、キシラナーゼ、ディスパーシン、オキシドレダクターゼ、クチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼ、並びに上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせから選択される、好ましくは1つ以上のリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、及び上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせから選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくは、リパーゼから選択される少なくとも1つの酵素を含むことも好ましい。
【0104】
好ましくは、こうした本発明の洗浄組成物は、布地ケア及びホームケア生成物又は業務用(I&I)洗浄生成物、好ましくは布地ケア及びホームケア生成物、より好ましくは、少なくとも1つの本発明のポリマーを含み、任意選択的に少なくとも1つの界面活性剤又は界面活性剤系を更に含んで、改善された汚れの除去、分散、及び/若しくは乳化、並びに/又は処理された表面の改質、及び/若しくは処理された表面の白色度維持を提供する、洗濯洗剤又は手動食器洗い用洗剤である。
【0105】
本明細書に記載される少なくとも1つの本発明のポリマーは、上記の本発明の洗浄組成物中に、かかる組成物の総重量に対して0.1~10、好ましくは約0.25%~5%、より好ましくは約0.5%~約3%、最も好ましくは約1%~約3%の濃度で存在し、かかる洗浄組成物は、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を更に含んでもよく、好ましくはこれを更に含む。
【0106】
更により好ましくは、少なくとも1つの本発明のポリマーを含み、任意選択的に少なくとも1つの界面活性剤又は界面活性剤系を更に含む本発明の洗浄組成物は、洗濯及び手動食器洗い用途の中で一次洗浄(すなわち、染みの除去)を目的とするものであり、更により具体的には、布地及び食器上のものなどの油性及び脂肪性の染みの除去を目的とするものであり、且つ、リパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、DNase、マンナナーゼ、キシラナーゼ、ディスパーシン、オキシドレダクターゼ、クチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼ、並びに上記のタイプの酵素うち少なくとも2つの組み合わせからなるリストから選択される、好ましくは1つ以上のリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、及び上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせから選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくは、リパーゼから選択される少なくとも1つの酵素を追加で含み得る。
【0107】
1つの好ましい実施形態では、本発明の洗浄組成物は、液体又は固体洗濯洗剤組成物である。
【0108】
別の好ましい実施形態では、本発明の洗浄組成物は、手動又は自動食器洗い用の液体又は固体(例えば、粉末又は錠剤/単位用量)洗剤組成物、好ましくは液体手動食器洗い用洗剤組成物、並びに/又は固体若しくは液体の自動食器洗い用配合物である。
【0109】
一実施形態では、本発明の本発明のポリマーは、一次界面活性剤としてC10~C15アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、及び、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性、若しくはその他のアニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される、1つ以上の追加の界面活性剤を含む界面活性剤系を含む洗浄組成物で用いることができる。
【0110】
更なる実施形態では、本発明の本発明のポリマーは、一次界面活性剤として1~5のエトキシ単位を含むC8~C18の直鎖又は分枝鎖アルキルエーテル硫酸塩、及び、非イオン性、カチオン性、両性、双性イオン性、若しくはその他のアニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される、1つ以上の追加の界面活性剤を含む、任意の種類の洗濯洗剤などの洗浄組成物で用いることができる。
【0111】
更なる実施形態では、本発明の本発明のポリマーは、一次界面活性剤として5~10のエトキシ単位を含むC12~C18のアルキルエトキシレート界面活性剤、及び、アニオン性、カチオン性、両性、双性イオン性、若しくはその他の非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される、1つ以上の追加の界面活性剤を含む、任意の種類の洗濯洗剤などの洗浄組成物で用いることができる。
【0112】
本発明の一実施形態では、本発明のポリマーは、好ましくは洗濯又は食器洗い配合物、より好ましくは、それぞれが少なくとも1つの界面活性剤、好ましくは少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を更に含む液体洗濯又は手動食器洗い用配合物などの、洗浄組成物の一構成要素である。
【0113】
これらの実施形態における追加の界面活性剤の選択は、用途及び望まれる効果によって決まり得る。
【0114】
本明細書で使用する場合、特許請求の範囲又は実施形態で使用される場合の冠詞「a」及び「an」は、特許請求又は説明されているものの1つ以上を意味すると理解される。本明細書で使用するとき、用語「含む(複数可)」は非限定的であることを意味し、したがって当該語の後に続いて言及される特定の項目を超えるものを包含する。
【0115】
本開示の組成物は、本開示の成分を、「含む」(すなわち、その他の成分を含有する)、「から本質的になる」(言及される成分を主に含むか又はほぼそれのみを含み、極めて微量の他の成分を主に不純物としてのみ含む)、又は「からなる」(すなわち、言及される成分のみを含有し、それに加えて技術環境中では回避不可能な不純物のみを含み得、好ましくは該成分のみを含む)ことができる。
【0116】
同様に、用語「~を実質的に含有しない(substantially free of …)」又は「~実質的に含まない(substantially free from …)」又は「~を本質的に(含有しない/含まない)」を本明細書で用いてもよく、これは、指定された材料が、組成物の一部を形成するために意図的に組成物に添加されたものではない極めて最小量であるか、或いは、好ましくは、分析によって検出可能なレベルでは存在しないことを意味する。それによって、意図的に包含される他の材料のうちの1つに指定された材料が不純物としてのみ存在する組成物を包含することが意図される。指定された材料は、存在する場合、組成物の1重量%未満、又は更には0.1重量%未満、又はなお更には0.01重量%未満、又は更には0重量%のレベルで存在し得る。
【0117】
用語「約」は、本明細書で使用するとき、例えば「約X%」などと言及されるまさにその数「X」と、X(この計算でXは100%とする)から±5%の偏差、好ましくは±2%の偏差、より好ましくは±1%の偏差、更により好ましくは±0.5%の偏差、及びより小さな変動を含む、Xのわずかな変動と、を包含する。当然ながら、所与の値X自体が既に「100%」(例えば純度などに関して)である場合、用語「約」は、明らかに「100」よりも小さい偏差のみを意味することができ、したがってそれのみを意味する。
【0118】
別途記載のない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0119】
本明細書における全ての温度は、特に断りのない限り、摂氏(℃)を単位とする。特に断りのない限り、本明細書における全ての測定は、20℃の大気圧下で実施される。本開示の全ての実施形態では、全ての百分率は、特に別段の記載がない限りは全組成物の重量を基準とする。特に別段の記載がない限り、全ての比は重量比である。
【0120】
洗浄組成物、配合物、及びそれらの成分の説明
語句「洗浄組成物」とは、本明細書で使用するとき、汚れた材料の洗浄用に設計された組成物及び配合物を含む。こうした組成物及び配合物としては、任意の種類の汚れた材料又は表面を洗浄するために設計されたものが挙げられる。
【0121】
「業務用洗浄」用組成物としては、タイル、カーペット、PVC面、木製面、金属面、ラッカー塗装面を含む任意の種類の表面用硬質表面洗浄剤など、任意の種類の汚れた材料又は面の洗浄に使用するためのものなどの、業務用洗浄で使用するために設計された洗浄組成物が挙げられる。
【0122】
「布地ケア及びホームケア用組成物」としては、洗濯洗浄組成物及び洗剤、布地柔軟化組成物、布地改良組成物、布地フレッシュニング組成物、洗濯物用前洗い剤、洗濯物用前処理剤、洗濯物用添加剤、噴霧生成物、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯物すすぎ添加剤、水洗い添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン掛け補助剤、食器洗い組成物、硬質表面洗浄組成物、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織布シート上又はその中に含まれる洗剤、並びに、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなり得、また本明細書の下記で組成物を説明する際に詳述される他の好適な形態が挙げられるがこれらに限定されない洗浄組成物及び配合物が挙げられる。かかる組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用されてもよく、或いは、洗濯作業のすすぎ又は水洗いサイクル中、好ましくは洗濯又は食器洗い作業の水洗いサイクル中に、本明細書の下記で本発明のポリマー及びかかるポリマーを含む組成物の用法及び用途を説明する際に詳細に説明される通りに添加されてもよい。
【0123】
本発明の洗浄組成物は、任意の形態、すなわち、液体;粉末、顆粒、粒塊、ペースト、錠剤、パウチ、バー、ゲルなどの固体;エマルジョン;二区画又は多区画容器中で送達される種類;単一相又は多相単位用量;噴霧又は発泡体洗剤;ウェットタイプ拭取り繊維(即ち、Mackey,et alの米国特許第6,121,165号明細書に記載されているものなどの不織布材料と組み合わせた洗浄組成物);ユーザ又は消費者により水で活性化される乾燥拭取り繊維(即ち、Fowlerらの米国特許第5,980,931号明細書に記載されているものなどの不織布材料と組み合わせた洗浄組成物);及び他の均質、不均質、又は単一相若しくは多相の洗浄生成物の形態であってよい。
【0124】
本発明の液体洗浄組成物は、好ましくは50~10000mPa*sの粘度を有し、液体手動食器洗い洗浄組成物(又は液体手動「食器洗い組成物」)は、20 1/s及び20℃で、好ましくは100~10000mPa*s、より好ましくは200~5000mPa*s、最も好ましくは500~3000mPa*sの粘度を有し、液体洗濯洗浄組成物は、20 1/s及び20℃で、好ましくは50~3000mPa*s、より好ましくは100~1500mPa*s、最も好ましくは200~1000mPa*sの粘度を有する。
【0125】
本発明の液体洗浄組成物は、任意の好適なpH値を有し得る。好ましくは、組成物のpHは4~14に調整される。より好ましくは、組成物は、6~13、更に好ましくは6~10、最も好ましくは7~9のpHを有する。組成物のpHは、当該技術分野において既知のpH調整成分を使用して調整することができ、これは、脱塩水中で生成物の濃度を10重量%として、25℃で測定される。例えば、NaOHを使用することができ、実際のNaOHの重量%を変化させて、所望のpH、例えばpH8.0になるまで調整することができる。本発明の一実施形態では、アミン、好ましくはアルカノールアミン、より好ましくはトリエタノールアミンを使用することによってpHが>7に調整される。
【0126】
布地ケア及びホームケア生成物、並びに業務用洗浄配合物など、より具体的には洗濯及び手動食器洗い用洗剤などの洗浄組成物は、当業者に既知である。それぞれの用途に関連する当業者に既知の任意の組成物などは、特にこうした組成物がその使用分野で用いられる場合、少なくとも1つの本発明のポリマー、好ましくはこうした組成物内で特定の性質を発現させるのに好適な量の少なくとも1つのポリマーを含めることによって、本発明との関係で用いることができる。
【0127】
洗剤配合物、特に液体洗剤配合物、好ましくは濃縮液体洗剤配合物、又は洗濯用の単一の単回用量用の添加剤としての本発明のポリマーの使用も、本発明の一態様である。
【0128】
本発明の洗浄組成物は、補助洗浄添加剤(本明細書では「補助剤」と省略されもする)を含有してもよく、好ましくはこれを含有し、こうした補助剤は、好ましくは上記で定義された界面活性剤系に追加される。
【0129】
好適な補助洗浄添加剤としては、ビルダー、コビルダー、構造化剤又は増粘剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、高分子汚れ遊離剤、高分子分散剤などの分散剤、高分子油脂洗浄剤、可溶化剤、キレート剤、酵素、酵素安定化系、漂白化合物、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、光沢剤、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、色調剤、移染防止剤、キレート剤、泡促進剤類、泡抑制剤(消泡剤)、色スペックル、銀ケア、変色防止剤及び/又は耐食剤、アルカリ性供給源、pH調整剤、pH緩衝剤、ヒドロトロープ、スクラブ粒子、抗菌剤、酸化防止剤、柔軟剤、担体、加工助剤、プロ香料、並びに香料が挙げられる。
【0130】
液体洗浄組成物は、追加で、レオロジー調整/変性剤、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚若返り活性物質、及び溶媒のうち少なくとも1つを含んでもよく、好ましくはそれを含む。
【0131】
固体組成物は、追加で、充填剤、ブリーチ、漂白活性化剤、及び触媒材料のうち少なくとも1つを含んでもよく、好ましくはこれを含む。
【0132】
こうした洗浄補助剤の好適な例及び使用レベルは、国際公開第99/05242号パンフレット、米国特許第5,576,282号明細書、同第6,306,812B1号明細書、及び同第6,326,348B1号明細書に見出される。
【0133】
当業者は、洗浄性界面活性剤は、汚れた材料に対して、洗浄、染み除去、又は洗濯効果を提供する任意の界面活性剤又は界面活性剤の混合物を包含することを理解するであろう。
【0134】
したがって、布地ケア及びホームケア生成物、並びに業務用洗浄用配合物など、より具体的には洗濯及び手動食器洗い用洗剤などの本発明の洗浄組成物は、上記で説明され、下記でより詳細に説明されるものとして、好ましくは界面活性剤系、及びより好ましくは更に補助剤を、追加で含む。
【0135】
界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択される、1つの界面活性剤、又は界面活性剤の組み合わせから構成され得る。当業者は、洗剤用の界面活性剤系は、汚れた材料に対して、洗浄、染み除去、又は洗濯効果を提供する任意の界面活性剤又は界面活性剤の混合物を包含することを理解するであろう。
【0136】
本発明の洗浄組成物は、好ましくは、所望の洗浄性質を提供するのに十分な量で界面活性剤系を含む。いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、組成物の約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を含む。その他の実施形態では、液体洗浄組成物は、組成物の約2重量%~約60重量%の界面活性剤系を含む。更なる実施形態では、洗浄組成物は、組成物の約5重量%~約30重量%の界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択される洗浄性界面活性剤を含み得る。
【0137】
(a)洗濯組成物
洗濯配合物において、アニオン性界面活性剤は、通常はこうした配合物内で圧倒的に最大の界面活性剤の割合に寄与する。したがって、好ましくは、洗濯で使用するための本発明の洗浄組成物は、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤と、任意選択的に、更に、本明細書に記載される界面活性剤クラスのいずれかから、好ましくは非イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤及び/又は双性イオン性界面活性剤及び/又はカチオン性界面活性剤から選択される界面活性剤と、を含む。
【0138】
本明細書で有用な複数の界面活性剤の組み合わせにも用いられ得るアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、C9~C20の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、C10~C20の一級の分枝鎖及びランダムアルキル硫酸塩(AS);C10~C18の二級(2,3)アルキル硫酸塩;式中xが1~30であるC10~C18のアルキルアルコキシ硫酸塩(AExS);1~5のエトキシ単位を含むC10~C18のアルキルアルコキシカルボン酸塩;米国特許第6,020,303号明細書及び同第6,060,443号明細書に記載される中鎖分枝アルキル硫酸塩;米国特許第6,008,181号明細書及び同第6,020,303号明細書に記載される中鎖分枝鎖アルキルアルコキシ硫酸塩;国際公開第99/05243号パンフレット、同第99/05242号パンフレット、及び同第99/05244号パンフレットに記載される修飾アルキルベンゼンスルホン酸塩(MLAS);メチルエステルスルホン酸塩(MES);並びにα-オレフィンスルホン酸塩(AOSが挙げられる。
【0139】
好適なアニオン性界面活性剤の好ましい例は、C8~C12-アルキル硫酸塩の、C12~C18-脂肪族アルコールエーテル硫酸塩の、C12~C18-脂肪族アルコールポリエーテル硫酸塩の、エトキシル化C4~C12-アルキルフェノール(エトキシル化:3~50モルのエチレンオキシド/モル)の硫酸半エステルの、C12~C18-アルキルスルホン酸の、C12~C18スルホ脂肪酸アルキルエステルの、例えば、C12~C18スルホ脂肪酸メチルエステルの、C10~C18-アルキルアリールスルホン酸の、好ましくはn-C10~C18アルキルベンゼンスルホン酸の、C10~C18アルキルアルコキシカルボン酸塩の、並びに例えばC8~C24-カルボン酸などのセッケンの、アルカリ金属及びアンモニウム塩である。上記の化合物のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0140】
本発明の一実施形態では、アニオン性界面活性剤は、n-C10~C18-アルキルベンゼンスルホン酸から、及び、本発明に関連して、具体的にはエトキシル化C12~C18-アルカノール(エトキシル化:1~50モルのエチレンオキシド/モル)の、好ましくはn-C12~C18-アルカノールの硫酸半エステルである、脂肪族アルコールポリエーテル硫酸塩から選択される。
【0141】
本発明の一実施形態では、分枝鎖(すなわち合成)C11~C18-アルカノール(エトキシル化:1~50モルのエチレンオキシド/モル)から誘導されたアルコールポリエーテル硫酸塩も用いられ得る。
【0142】
好ましくは、C12~C18-脂肪族アルコールに基づく、又は分枝鎖(すなわち合成)C11~C18-アルコールに基づく、どちらの種類のアルコキシル化アルキル硫酸塩のアルコキシル化基もエトキシル化基であり、アルコキシル化アルキル硫酸塩のいずれかの平均エトキシル化度は、1~5、好ましくは1~3である。
【0143】
好ましくは、本発明の洗濯洗剤配合物は、その他の構成要素並びに水及び/又は溶媒を含む特定の組成物の全体に基づき、少なくとも1重量%~50重量%の、好ましくは約2重量%以上~約30重量%以下の範囲の、より好ましくは3重量%以上~25重量%以下の範囲の、最も好ましくは5重量%以上~25重量%以下の範囲の、上記の1つ以上のアニオン性界面活性剤を含む。
【0144】
本発明の好ましい実施形態では、アニオン性界面活性剤は、C10~C15直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩、1~5のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエーテル硫酸塩、及びC10~C18アルキル硫酸塩から選択される。
【0145】
2つ以上のその他の界面活性剤の組み合わせで用いられ得る非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:C8~C18アルキルエトキシレート、例えば、ShellからのNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤;BASFからのPLURONIC(登録商標)としてのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルコキシレート;米国特許第6,153,577号明細書、同第6,020,303号明細書、及び同第6,093,856号明細書で論じられるC14~C22中鎖分枝鎖アルキルアルコキシレート(BAEx)(式中xは1~30である);1986年1月26日発行のLlenadoの米国特許第4,565,647号明細書で論じられるアルキル多糖;特に、米国特許第4,483,780号明細書及び同第4,483,779号明細書で論じられるアルキルポリグリコシド;米国特許第5,332,528号明細書で論じられるポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びに米国特許第6,482,994号明細書及び国際公開第01/42408号パンフレットで論じられるエーテル末端保護ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤。
【0146】
非イオン性界面活性剤の好ましい例は、特に、アルコキシル化アルコール及びアルコキシル化脂肪族アルコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの二元及び多元ブロックコポリマー、並びにソルビタンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの反応生成物、更には、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド(グルカミド)である。(追加の)両性界面活性剤の例は、いわゆるアミンオキシドである。
【0147】
アルコキシル化アルコール及びアルコキシル化脂肪族アルコールの好ましい例は、例えば、一般式(A)の化合物であり、
【化8】
式中、変数は下記の通り定義され:
R
1は、直鎖C
1~C
10-アルキルから選択され、好ましくはエチル、特に好ましくはメチルであり、
R
2は、C
8~C
22-アルキル、例えば、n-C
8H
17、n-C
10H
21、n-C
12H
25、n-C
14H
29、n-C
16H
33又はn-C
18H
37から選択され、
R
3は、C
1~C
10-アルキル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル又はイソデシルから選択され、
m及びnは、0~300の範囲にあり、n及びmの合計は少なくとも1である。好ましくは、mは1~100の範囲内であり、nは0~30の範囲内である。
【0148】
本明細書では、一般式(A)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであってよく、ブロックコポリマーが好ましい。
【0149】
アルコキシル化アルコール及びアルコキシル化脂肪族アルコールのその他の好ましい例は、例えば、一般式(B)の化合物であり、
【化9】
式中、変数は下記の通り定義され:
R
1は、同一であるか又は異なり、直鎖C
1~C
4-アルキルから選択され、好ましくは、それぞれの場合において同一であり、エチル、特に好ましくはメチルであり、
R
4は、C
6~C
20-アルキル、特にn-C
8H
17、n-C
10H
21、n-C
12H
25、n-C
14H
29、n-C
16H
33、n-C
18H
37から選択され、
aは、0~6の範囲、好ましくは1~6の範囲の数であり、
bは、0~20の範囲、好ましくは4~20の範囲の数であり、
dは、4~25の範囲の数である。
【0150】
好ましくは、a及びbのうち少なくとも1つは0を超える。
【0151】
本明細書では、一般式(B)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであってよく、ブロックコポリマーが好ましい。
【0152】
更に好適な非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなる二元及び多元ブロックコポリマーから選択される。更に好適な非イオン性界面活性剤は、エトキシル化又はプロポキシル化ソルビタンエステルから選択される。アルキルフェノールエトキシレート又はアルキルポリグリコシド又はポリヒドロキシ脂肪酸アミド(グルカミド)も同様に好適である。好適な更なる非イオン性界面活性剤の概説は、欧州特許出願公開第A0851023号明細書及び独国特許出願公開第A19819187号明細書で見ることができる。
【0153】
2つ以上の異なる非イオン性界面活性剤の混合物も、当然ながら存在し得る。
【0154】
本発明の好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、C12/14及びC16/18脂肪族アルコールアルコキシレート(alkoholalkoxylates)、C13/15オキソアルコールアルコキシレート、C13-アルコールアルコキシレート、及び2-プロピルヘプチルアルコールアルコキシレートから選択され、これらはそれぞれ、3~15のエトキシ単位、好ましくは5~10のエトキシ単位、又は1~3のプロポキシ単位及び2~15のエトキシ単位を含む。
【0155】
2つ以上のその他の界面活性剤の組み合わせでも用いられ得る両性界面活性剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:約8~約18の炭素原子からなる1つのアルキル部分と、約1~約3の炭素原子を含有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分からなる群から選択される2つの部分とを含む水溶性アミンオキシド、並びに約10~約18の炭素原子からなる1つのアルキル部分と、約1~約3の炭素原子を含有するアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分からなる群から選択される部分とを含む水溶性スルホキシド。国際公開第01/32816号パンフレット、米国特許第4,681,704号明細書、及び米国特許第4,133,779号明細書を参照されたい。好適な界面活性剤としては、いわゆるアミンオキシド、例えばラウリルジメチルアミンオキシド(「ラウラミンオキシド」)が挙げられる。
【0156】
両性界面活性剤の好ましい例は、アミンオキシドである。好ましいアミンオキシドは、アルキルジメチルアミンオキシド又はアルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、より好ましくはアルキルジメチルアミンオキシド、特にココジメチルアミノオキシドである。アミンオキシドは、直鎖又は中鎖分枝鎖アルキル部分を有し得る。典型的な直鎖アミンオキシドとしては、1個のR1=C8~18アルキル部分と、C1~C3アルキル基及びC1~C3ヒドロキシアルキル基からなる群から選択される2個のR2及びR3部分とを含む水溶性アミンオキシドが挙げられる。好ましくは、アミンオキシドは以下の式を特徴とし:
R1-N(R2)(R3)-O
式中、R1は、C8~18アルキルであり、R2及びR3は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、及び3-ヒドロキシプロピルからなる群から選択される。直鎖アミンオキシド界面活性剤としては、特に、直鎖C10~C18アルキルジメチルアミンオキシド及び直鎖C8~C12アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが挙げられ得る。好ましいアミンオキシドとしては、直鎖C10、直鎖C10~C12及び直鎖C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドが挙げられる。本明細書において使用される「中鎖分枝鎖」は、アミンオキシドが、n1個の炭素原子を有する1つのアルキル部分を有し、このアルキル部分上に、n2個の炭素原子を有する1つのアルキル分枝を有することを意味する。このアルキル分枝は、アルキル部分の窒素に対するα炭素上に位置する。アミンオキシドのこの種の分枝は当該技術分野において内部アミンオキシドとしても知られている。n1及びn2の炭素原子数の総和は10~24、好ましくは12~20、より好ましくは10~16である。1つのアルキル部分の炭素原子数(n1)は、この1つのアルキル部分と1つのアルキル分枝が対称となるように、1つのアルキル分枝の炭素原子数(n2)とほぼ等しくなることが必要である。本明細書において使用される「対称」は、本明細書において使用する中鎖分枝鎖アミンオキシドの少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%~100重量%において、炭素原子数(n1-n2)が5以下、好ましくは4以下、最も好ましくは0~4であることを意味する。アミンオキシドは、C1~C3アルキル、C1~C3ヒドロキシアルキル基、又は平均約1~約3個のエチレンオキシド基を含むポリエチレンオキシド基から独立に選択される2つの部分を更に含む。好ましくは、この2つの部分は、C1~C3アルキルから選択され、より好ましくは、両方ともC1アルキルである。
【0157】
本発明の好ましい実施形態では、両性界面活性剤は、C8~C18アルキル-ジメチルアミンオキシド及びC8~C18アルキル-ジ(ヒドロキシエチル)アミンオキシドから選択される。
【0158】
洗浄組成物は、2つ以上のその他の界面活性剤の組み合わせにも用いられ得る双性イオン性界面活性剤も含有し得る。
【0159】
好適な双性イオン性界面活性剤としては、ベタイン類、例えばアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミダゾリニウムベタイン(amidazoliniumbetaine)、スルホベタイン(INCIスルタイン)、及びホスホベタインが挙げられる。好適なベタイン及びスルホベタインの例は、以下の通りである(INCIに従い指定される):アーモンドアミドプロピルベタイン、アプリコットアミドプロピルベタイン、アボカドアミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、ベヘナミドプロピルベタイン、ベヘニルベタイン、キャノーラミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、カルニチン、セチルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタイン、ココヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココスルタイン、デシルベタイン、ジヒドロキシエチルオレイルグリシネート、ジヒドロキシエチルソイグリシネート、ジヒドロキシエチルステアリルグリシネート、ジヒドロキシエチルタローグリシネート、ジメチコーンプロピルPG-ベタイン、エルカミドプロピルヒドロキシスルタイン、水素添加タローベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、ミルクアミドプロピルベタイン、ミンクアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、ミリスチルベタイン、オレアミドプロピルベタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレイルベタイン、オリーブアミドプロピルベタイン、ヤシアミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、パルミトイルカルニチン、ヤシ核脂肪酸アミドプロピルベタイン、ポリテトラフルオロエチレンアセトキシプロピルベタイン、リシノールアミドプロピルベタイン、セサミドプロピルベタイン、ソイアミドプロピルベタイン、ステアルアミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、タローアミドプロピルベタイン、タローアミドプロピルヒドロキシスルタイン、タローベタイン、タロージヒドロキシエチルベタイン、ウンデシレンアミドプロピルベタイン、及び小麦胚芽アミドプロピルベタイン。
【0160】
好ましいベタインは、例えばC12~C18-アルキルベタイン及びスルホベタインである。双性イオン性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン界面活性剤であり、より好ましくはココアミドプロピルベタイン界面活性剤である。
【0161】
2つ以上のその他の界面活性剤の組み合わせで用いられ得るカチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、最大26個の炭素原子を有し得る四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、これとしては、米国特許第6,136,769号明細書で論じられるアルコキシル化四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;米国特許第6,004,922号明細書で論じられるジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;国際公開第98/35002号パンフレット、同第98/35003号パンフレット、同第98/35004号パンフレット、同第98/35005号パンフレット、及び同第98/35006号パンフレットで論じられるポリアミンカチオン性界面活性剤;米国特許第4,228,042号明細書、同第4,239,660号明細書、同第4,260,529号明細書、及び同第6,022,844号明細書で論じられるカチオン性エステル界面活性剤、並びに米国特許第6,221,825号明細書及び国際公開第00/47708号パンフレットで論じられるアミノ界面活性剤類、特に、アミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0162】
本発明の組成物は、少なくとも1つのビルダーを含み得る。本発明との関係において、ビルダーと、別の箇所で「コビルダー」と称される構成要素との間で区別はなされない。ビルダーの例は、本明細書で以下錯化剤とも称される錯化剤、イオン交換化合物、及び沈殿剤である。ビルダーは、クエン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ホスホン酸塩、アミノカルボン酸塩、及びポリカルボン酸塩から選択される。
【0163】
本発明との関係において、クエン酸塩という用語は、モノ及びジアルカリ金属塩、特にクエン酸のモノナトリウム塩、好ましくは三ナトリウム塩、クエン酸のアンモニウム塩又は置換アンモニウム塩、並びにクエン酸を含む。サイトレートは、無水化合物として又は水和物として、例えば、クエン酸ナトリウム二水和物として使用することができる。サイトレートの量は、クエン酸三ナトリウム無水物を基準として算出する。
【0164】
ホスフェートという用語は、メタリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム及びポリリン酸塩、例えば、トリポリリン酸ナトリウムを含む。しかしながら、好ましくは、本発明による組成物は、ホスフェート及びポリホスフェートを含まず、これにはハイドロジェンホスフェート(hydrogenphosphate)が包含され、例えば、リン酸三ナトリウム、トリポリリン酸五ナトリウム及びメタリン酸六ナトリウムを含まない(「ホスフェートフリー」)。リン酸塩及びポリリン酸塩との関係において、「~を含まない」とは、本発明との関連においては、リン酸塩及びポリリン酸塩の含有量が、合計で、重量測定によって測定して各組成の10ppm~0.2重量%の範囲内であると意味するものと理解されたい。
【0165】
炭酸塩という用語は、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素塩を含み、ナトリウム塩が好ましい。特にNa2CO3が好ましい。
【0166】
ホスホン酸塩の例は、ヒドロキシアルカンホスホン酸塩及びアミノアルカンホスホン酸塩である。ヒドロキシアルカンホスホン酸塩の中でも、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸塩(HEDP)が、ビルダーとして特に重要である。これは、好ましくはナトリウム塩として用いられ、ジナトリウム塩は中性であり、テトラナトリウム塩はアルカリ性である(pH9)。好適なアミノアルカンホスホン酸塩は、好ましくはエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸塩(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸塩(DTPMP)、及びこれらの高級同族体である。これらは、好ましくは中性反応ナトリウム塩の形態で、例えば、EDTMPのヘキサナトリウム塩、又はDTPMPのヘプタ及びオクタナトリウム塩として用いられる。
【0167】
アミノカルボン酸塩及びポリカルボン酸塩の例は、ニトリロトリアセテート、エチレンジアミンテトラアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、プロピレンジアミンテトラ酢酸、エタノール-ジグリシン、メチルグリシンジアセテート、及びグルタミンジアセテートである。アミノカルボン酸塩及びポリカルボン酸塩という用語は、これらの対応する非置換又は置換アンモニウム塩、及びナトリウム塩などのアルカリ金属塩、特に対応する完全中和化合物のアルカリ金属塩も含む。
【0168】
本発明との関連において、ケイ酸塩は、特に二ケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸ナトリウム、例えばゼオライト及び層状ケイ酸塩などのアルモケイ酸塩(alumosilicate)、特に式α-Na2Si2O5、β-Na2Si2O5、及びδ-Na2Si2O5のものを含む。
【0169】
本発明の組成物は、上記で述べられていない材料から選択される1つ以上のビルダーを含み得る。ビルダーの例は、α-ヒドロキシプロピオン酸及び酸化デンプンである。
【0170】
本発明の一実施形態では、ビルダーはポリカルボン酸塩から選択される。用語「ポリカルボン酸塩」は、コハク酸、C2~C16-アルキルジサクシネート、C2~C16-アルケニルジサクシネート、エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸、酒石酸二酢酸塩、アルカリ金属マロン酸塩、酒石酸モノ酢酸塩、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、及びシクロペンタンテトラカルボン酸などの、非重合性のポリカルボン酸塩を含む。
【0171】
オリゴマー又はポリマー性のポリカルボン酸塩は、例えば、ポリアスパラギン酸、又は、具体的には(メタ)アクリル酸ホモポリマー若しくは(メタ)アクリル酸コポリマーのアルカリ金属塩である。
【0172】
好適なコモノマーは、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、及びシトラコン酸などのモノエチレン性不飽和ジカルボン酸である。好適なポリマーは、具体的には、好ましくは、重量平均分子量Mwを2000~40000g/モル、好ましくは2000~10000g/モル、特に3000~8000g/モルの範囲で有する、ポリアクリル酸である。更に好適なコポリマー性ポリカルボン酸塩は、具体的には、アクリル酸とメタクリル酸とのもの、並びにアクリル酸又はメタクリル酸とマレイン酸及び/又はフマル酸とのものである。
【0173】
モノエチレン性不飽和C3~C10-モノ若しくはC4~C10-ジカルボン酸又はその無水物、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、及びシトラコン酸からなる群からの少なくとも1つのモノマーと、以下で列挙する少なくとも1つの親水性又は疎水性改質コモノマーとのコポリマーを用いることも可能である。
【0174】
好適な疎水性コモノマーは、例えば、イソブテン、ジイソブテン、ブテン、ペンテン、ヘキセン及びスチレン、例えば1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン、及び1-ヘキサコセン、C22-α-オレフィン、C20~C24-α-オレフィンと平均で1分子当たり12~100の炭素原子を有するポリイソブテンとの混合物などの10個以上の炭素原子を有するオレフィン又はこれらの混合物である。
【0175】
好適な親水性コモノマーは、スルホネート又はホスホネート基を有するモノマー、及びヒドロキシル官能基又はアルキレンオキシド基を有する非イオン性モノマーである。例として、アリルアルコール、イソプレノール、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(プロピレンオキシド-コ-エチレンオキシド)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、及びエトキシポリ(プロピレンオキシド-コ-エチレンオキシド)(メタ)アクリレートを挙げることができる。本明細書では、ポリアルキレングリコールは、1分子当たり3~50、具体的には5~40、特に10~30のアルキレンオキシド単位を含み得る。
【0176】
本明細書で特に好ましいスルホン酸基含有モノマーは、1-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピルアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、3-スルホプロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及びこれらのナトリウム、カリウム、又はアンモニウム塩などの上記酸の塩である。
【0177】
特に好ましいホスホン酸基含有モノマーは、ビニルホスホン酸及びその塩である。
【0178】
更に、両性ポリマーは、ビルダーとしても使用され得る。
【0179】
本発明の組成物は、特に固体配合物の場合、例えば、合計で0.1~70重量%、好ましくは10~50重量%、好ましくは最大20重量%のビルダー(複数可)を含み得る。本発明の液体配合物は、好ましくは0.1~8重量%の範囲内のビルダーを含む。
【0180】
本発明の配合物は、1つ以上のアルカリ担体を含み得る。アルカリ担体は、例えば、アルカリ性のpHが望まれる場合、少なくとも9のpHを確保する。例えば、上記のアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、及びアルカリ金属メタケイ酸塩、並びに、追加的に、アルカリ金属水酸化物が好適である。いずれの場合でも、好ましいアルカリ金属は、カリウムであり、ナトリウムが特に好ましい。本発明の一実施形態では、アミン、好ましくはアルカノールアミン、より好ましくはトリエタノールアミンを使用することによってpHが>7に調整される。
【0181】
本発明の一実施形態では、本発明の洗濯配合物は、追加的に少なくとも1つの酵素を含む。
【0182】
有用な酵素は、例えば、リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、DNases、マンナナーゼ、キシラナーゼ、ディスパーシン、オキシドレダクターゼ、クチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼ、並びに上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせから選択され、好ましくは、1つ以上のリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、及び上記の種類のうち少なくとも2つの組み合わせから選択される1つ以上のヒドロラーゼ、より好ましくは、リパーゼから選択される少なくとも1つの酵素である。
【0183】
こうした酵素は、有効量の洗浄を提供するのに十分なレベルで組み込まれ得る。好ましい量は、本発明の洗剤組成物の0.001重量%~5重量%の範囲の活性酵素である。酵素と共に、例えばカルシウムイオン、ホウ酸、ボロン酸、プロピレングリコール、及び短鎖カルボン酸などの酵素安定化系も使用され得る。本発明の文脈において、短鎖カルボン酸は、1分子当たり1~3個の炭素原子を含むモノカルボン酸、及び1分子当たり2~6個の炭素原子を含むジカルボン酸から選択される。好ましい例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、HOOC(CH2)3COOH、アジピン酸及び上に述べたものの少なくとも2種の混合物に加えて、それぞれのナトリウム及びカリウム塩である。
【0184】
本発明の組成物は、1種以上の漂白剤(ブリーチ)を含んでもよい。
【0185】
好ましいブリーチは、無水の又は例えば一水和物として若しくは四水和物としての若しくはいわゆる二水和物の過ホウ酸ナトリウム、無水の又は例えば一水和物としての過炭酸ナトリウム、及び過硫酸ナトリウムから選択され、この「過硫酸塩(persulfate)」という用語は、各場合において、過酸H2SO5の塩に加えてペルオキソ二硫酸塩も含む。
【0186】
これに関連して、いずれの場合でも、アルカリ金属塩は、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属過ホウ酸水素塩、及びアルカリ金属過硫酸水素塩でもあり得る。しかしながら、いずれの場合でもジアルカリ金属塩が好ましい。
【0187】
本発明の配合物は、1つ以上の漂白触媒を含み得る。漂白触媒は、オキサジリジニウム系漂白触媒、漂白増進性遷移金属塩、又は、例えばマンガン-、鉄-、コバルト-、ルテニウム-、若しくはモリブデン-サレン錯体若しくはカルボニル錯体などの遷移金属錯体から選択され得る。窒素含有の三脚型配位子とマンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタニウム、バナジウム及び銅との錯体、並びにコバルト-、鉄-、銅-、及びルテニウム-アミン錯体も漂白触媒として使用され得る。
【0188】
本発明の配合物は、例えばテトラアセチルエチレンジアミン、テトラアセチルメチレンジアミン、テトラアセチルグリコールウリル、テトラアセチルヘキシレンジアミン、n-ノナノイル若しくはイソノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩などのアシル化フェノールスルホン酸塩、N-メチルモルホリニウム-アセトニトリル塩(「MMA塩」)、トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩、例えばN-ノナノイルスクシンイミドなどのN-アシルイミン、1,5-ジアセチル-2,2-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(「DADHT」)、又はニトリルクアット(トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩)などの1つ以上の漂白活性化剤を含み得る。
【0189】
本発明の配合物は、1つ以上の腐食阻害剤を含み得る。本発明の場合では、これは、金属の腐食を阻害する化合物を含むものと理解される。好適な腐食阻害剤の例として、トリアゾール、特にベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾール、及び例えばヒドロキノン、ピロカテコール、ヒドロキシヒドロキノン、没食子酸、フロログルシノール又はピロガロールなどのフェノール誘導体が挙げられる。
【0190】
本発明の一実施形態では、本発明に記載の配合物は、合計で0.1~1.5重量%の範囲の腐食阻害剤を含む。
【0191】
本発明の配合物は、更に洗浄ポリマー及び/又は汚れ遊離ポリマーも含んでよい。
【0192】
追加の洗浄ポリマーとしては、非限定的に、「多官能性ポリエチレンイミン」(例えばBASFのSokalan(登録商標)HP20)、及び/又は「多官能性ジアミン」(例えばBASFのSokalan(登録商標)HP96)が挙げられ得る。こうした多官能性ポリエチレンイミンは、典型的には、重量平均分子量Mwが3000~250000g/モル、好ましくは5000~200000g/モル、より好ましくは8000~100000g/モル、より好ましくは8000~50000g/モル、より好ましくは10000~30000g/モル、最も好ましくは10000~20000g/モルの範囲のエトキシル化ポリエチレンイミンである。好適な多官能性ポリエチレンイミンは、エチレンオキシド側鎖を、材料の総重量を基準として、80重量%~99重量%、好ましくは85重量%~99重量%、より好ましくは90重量%~98重量%、最も好ましくは93重量%~97重量%、又は94重量%~96重量%有する。エトキシル化ポリエチレンイミンは、典型的にはポリエチレンイミンコア及びポリエチレンオキシドシェルをベースとする。好適なポリエチレンイミンコア分子は、重量平均分子量Mwが500~5000g/モルの範囲のポリエチレンイミンである。好ましくは500~1000g/モルの分子量が用いられ、600~800g/モルのMwが更により好ましい。そして、エトキシル化ポリマーは、NH官能基あたりで平均5~50個、好ましくは10~35個、更により好ましくは20~35個のエチレンオキシド(EO)単位を有する。
【0193】
好適な多官能性ジアミンは、典型的にはエトキシル化C2~C12アルキレンジアミンであり、好ましくは、更に四級化され、任意選択的に硫酸化されたヘキサメチレンジアミンである。典型的な多官能性ジアミンは、重量平均分子量Mwを、2000~10000g/モル、より好ましくは3000~8000g/モル、最も好ましくは4000~6000g/モルの範囲で有する。本発明の好ましい実施形態では、NH官能基あたり平均で10~50、好ましくは15~40、更により好ましくは20~30のエチレンオキシド(EO)基を含有し、好ましくは2つのカチオン性アンモニウム基及び2つのアニオン性硫酸基を有する、更に四級化及び硫酸化されたエトキシル化ヘキサメチレンジアミンが用いられ得る。
【0194】
本発明の好ましい実施形態では、洗浄組成物は、洗濯洗剤の洗浄性能を改善する、例えば、好ましくは染み除去能力、特にポリエステル布地上の粒子状の染みの一次洗浄力を改善するために、少なくとも1つの多官能性ポリエチレンイミン及び/又は少なくとも1つの多官能性ジアミンを含有し得る。上記の説明による多官能性ポリエチレンイミン若しくは多官能性ジアミン、又はこれらの混合物は、その他の構成要素並びに水及び/又は溶媒を含む特定の組成物の全体に基づいて、一般には0.05~15重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.25~5重量%、更には2重量%までの低い量で、洗濯洗剤及び洗浄組成物に添加され得る。
【0195】
したがって、本発明の一態様は、(i)少なくとも1つの本発明のポリマーと、(ii)多官能性ポリエチレンイミン及び多官能性ジアミン並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物と、を含む、洗濯洗剤組成物、具体的には液体洗濯洗剤である。
【0196】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つの本発明のポリマーと、(ii)多官能性ポリエチレンイミン及び多官能性ジアミン並びにこれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物との比は、10:1~1:10、好ましくは5:1~1:5、より好ましくは3:1~1:3である。
【0197】
本発明のポリマーを含む洗濯配合物は、少なくとも1つの抗菌剤も含み得る。
【0198】
洗浄組成物、並びに布地ケア及びホームケア生成物、具体的には洗濯配合物に関して特に高い関心が払われるものは、以下の抗菌剤及び/又は保存剤のうちのいずれかである。
4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(別名:5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール、ジクロサン、DCPP)、Tinosan(登録商標)HP100(1,2-プロピレングリコール中30重量%のDCPP);2-フェノキシエタノール(別名:フェノキシエタノール、メチルフェニルグリコール、フェノキセトール、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2-(フェノキシ)エタノール、2-フェノキシ-1-エタノール);2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(別名:2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、ブロノポール);グルタルアルデヒド(別名:1-5-ペンタンジアール、ペンタン-1,5-ジアール、グルタラール、グルタルジアルデヒド);グリオキサール(別名:エタンジアール、オキシアルデヒド、1,2-エタンジアール);5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(別名:5-ブロモ-5-ニトロ-m-ジオキサン、Bronidox(登録商標));フェノキシプロパノール(別名:プロピレングリコールフェニルエーテル、フェノキシイソプロパノール1-フェノキシ-2-プロパノール、2-フェノキシ-1-プロパノール);グルコプロタミン(化学的記載:グルタミン酸とアルキルプロピレンジアミンとの反応生成物、別名:グルコプロタミン50);シクロヘキシルヒドロキシルジアゼニウム-1-オキシド、カリウム塩(別名:N-シクロヘキシル-ジアゼニウムジオキシド、カリウムHDO、Xyligene);ギ酸(別名:メタン酸、Protectol(登録商標)FM、Protectol(登録商標)FM75、Protectol(登録商標)FM85、Protectol(登録商標)FM99、Lutensol(登録商標)FM)及びその塩、例えば、ギ酸ナトリウム(sodium formiate));テトラヒドロ-3,5-ジメチル-1,3,5-チアジアジン-2-チオン(別名:3,5-ジメチル-1,3-5-チアジアジン-2-チオン、ダゾメット;2,4-ジクロロベンジルアルコール(別名:ジクロロベンジルアルコール、2,4-ジクロロ-ベンゼンメタノール、(2,4-ジクロロ-フェニル)-メタノール、DCBA);1-プロパノール(別名:n-プロパノール、プロパン-1-オール、n-プロピルアルコール;1,3,5-トリス-(2-ヒドロキシエチル)-ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(別名:ヘキシヒドロトリアジン(Hexyhydrotriazine)、トリス(ヒドロエチル)-ヘキシヒドロトリアジン、ヘキシヒドロ-1,3-5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン、2,2’,2’’-(ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-1,3,5-トリイル)トリエタノール;2-ブチル-ベンゾ[d]イソチアゾール-3-オン(「BBIT」);2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「MIT」);2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「OIT」);5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「CIT」又は「CMIT」);5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「CMIT」)と2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「MIT」)との混合物(CMIT/MITの混合物);1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(「BIT」);ヘキサ-2,4-ジエン酸(慣用名「ソルビン酸」)及びその塩、例えばソルビン酸カルシウム、ソルビン酸ナトリウム;カリウム(E,E)-ヘキサ-2,4-ジエノアート(ソルビン酸カリウム);乳酸及びその塩;L-(+)-乳酸;特に乳酸ナトリウム;安息香酸及び安息香酸の塩、例えば安息香酸ナトリウム、安息香酸アンモニウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、MEA-安息香酸塩、安息香酸カリウム;サリチル酸及びその塩、例えばサリチル酸カルシウム、サリチル酸マグネシウム、MEA-サリチル酸塩、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、TEAサリチル酸塩;塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、サッカリン酸ベンザルコニウム;ジデシルジメチル塩化アンモニウム(「DDAC」);N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン(「ジアミン」);過酢酸;過酸化水素。
【0199】
少なくとも1つの抗菌剤又は保存剤は、組成物の総重量に対して0.001~10%の濃度で本発明の組成物に添加され得る。
【0200】
抗菌剤は、2-フェノキシエタノール(CAS番号122-99-6、例えば、BASFから入手可能なProtectol(登録商標)PE)及び4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(CAS:3380-30-1)、並びにこれらの組み合わせからなるリストから選択することができる。
【0201】
4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルは、溶液として、例えば、1,2-プロピレングリコール中30重量%の4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルの溶液、例えば、BASFから入手可能なTinosan(登録商標)HP100として使用することができる。
【0202】
本発明の洗濯配合物は、上の一覧からの少なくとも1つの抗菌剤及び/若しくはこれらの組み合わせ、並びに/又はこの一覧に記載されていない少なくとも1つの更なる抗菌剤との組み合わせを含むことができる。
【0203】
抗菌剤は、本発明の洗濯配合物に、組成物の総重量に対して0.0001重量%~10重量%の濃度で添加することができる。
【0204】
好ましくは、この配合物は、0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~2重量%の濃度の2-フェノキシエタノール、及び/又は0.001重量%~1重量%、より好ましくは0.002重量%~0.6重量%(全ての場合で、組成物の総重量に対する)の濃度の4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含む。
【0205】
本発明の配合物は、水、及び/又は追加の有機溶媒、例えばエタノール又はプロピレングリコールも含み得る。
【0206】
更なる任意選択的成分は、粘度調整剤、カチオン性界面活性剤、発泡増進剤又は発泡低減剤、香料、染料、蛍光増白剤、及び移染防止剤であり得るが、これらに限定されない。
【0207】
(b)食器洗い組成物
本発明の別の態様は、上記の少なくとも1つの本発明のポリマーを含む食器洗い組成物でもある。
【0208】
したがって、本発明の一態様は、手動又は自動食器洗い用途などの食器洗い用途における上記の本発明のポリマーの使用でもある。
【0209】
本発明の食器洗い組成物は、液体、半液体、クリーム、ローション、ゲル、又は固体組成物の形態であってもよく、固体の実施形態は、例えば粉末及び錠剤を包含する。液体組成物は、典型的には手動食器洗い用途に好適であり、一方で、固体配合物及びパウチ配合物(パウチは液体成分に加えて固体も含有し得る)は、典型的には自動食器洗い組成物に好適であるが、世界の一部の地域では、液体自動食器洗い組成物も用いられているため、当然ながら、これも用語「食器洗い組成物」に包含される。
【0210】
食器洗い組成物は、飲料用及びその他のグラス、ビーカー、皿、並びに深鍋及び平鍋などの調理器具、並びにフォーク、スプーン、ナイフなどといったカトラリーなどの、食器類並びに金属及びガラス面への直接的又は間接的塗布を目的としている。
【0211】
食器類、金属、及び/又はガラス表面を洗浄する本発明の方法は、好ましくは液状の食器洗い洗浄組成物を、直接的、又は洗浄器具を用いて表面に塗布する(すなわち、未希釈形態で)工程を含む。組成物は、塗布の(直)前に大規模な希釈を行うことなく、直接処理対象の表面に、且つ/又は布巾、スポンジ、若しくは食器ブラシなどといった洗浄用具若しくは器具に塗布される。洗浄用具又は器具は、組成物が送達される前又は後に湿っていることが好ましい。本発明の方法では、組成物は希釈形態で適用されてもよい。
【0212】
未希釈及び希釈の塗布の両方が、優れた洗浄性能を生じさせる。すなわち、少なくとも1つの本発明のポリマーを含む本発明の配合物は、優秀な脱脂性能を示す。本発明のポリマーの存在によって、食器類、金属及び/又はガラス表面から脂肪及び/又は油性の汚れを除去する労力は、使用される界面活性剤のレベルが従来の組成物におけるものより低い場合であっても低減される。
【0213】
好ましくは、本組成物は、優れた油脂洗浄(脱脂)性能、長期間持続する泡、及び/又は低温に曝露された場合の粘度調整の改善を提供するように配合され、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つ全ての性能が、本発明の食器洗い組成物に存在する。任意選択的な(好ましくは存在する)本発明の手動食器洗い組成物の更なる利点としては、汚れの除去、光沢、及び/又は手の保護が挙げられ、より好ましくは少なくとも2つ、最も好ましくは3つ全ての更なる利点が、本発明の食器洗い組成物に存在する。
【0214】
本発明の一実施形態では、本発明のポリマーは、少なくとも1つの界面活性剤、好ましくは少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を追加的に含む、手動食器洗い用配合物の一構成要素である。
【0215】
本発明の別の実施形態では、本発明のポリマーは、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤、並びに好ましくは両性界面活性剤及び/又は双性イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つのその他の界面活性剤を追加的に含む、手動食器洗い用配合物の一構成要素である。本発明の好ましい実施形態では、手動食器洗い用配合物は、洗剤組成物の発泡、洗浄力、及び/又は低刺激性を促進するために、少なくとも1つの両性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド、若しくは少なくとも1つの双性イオン性界面活性剤、好ましくはベタイン、又はこれらの混合物を含有する。
【0216】
好適なアニオン性界面活性剤の例は、洗濯組成物に関して上記で既に説明されている。
【0217】
食器洗い組成物に好ましいアニオン性界面活性剤は、C10~C15直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、1~5個のエトキシ単位を有するC10~C18アルキルエーテル硫酸塩、及びC10~C18アルキル硫酸塩から選択される。
【0218】
好ましくは、本発明の手動食器洗い用洗剤配合物は、上記の1種類以上のアニオン性界面活性剤を、他の成分並びに水及び/又は溶媒を含む具体的な組成物全体を基準として、少なくとも1重量%~50重量%、好ましくは約3重量%以上~約35重量%以下の範囲、より好ましくは5重量%以上~30重量%以下の範囲、最も好ましくは5重量%以上~20重量%以下の範囲で含む。
【0219】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1つの両性界面活性剤を含み得る。
【0220】
食器洗い組成物に好適な両性界面活性剤の例は、洗濯組成物に関して既に上記で説明した。
【0221】
食器洗い組成物に好ましい両性界面活性剤は、C8~C18アルキル-ジメチルアミンオキシド及びC8~C18アルキル-ジ(ヒドロキシエチル)アミンオキシドから選択される。
【0222】
本発明の手動食器洗い用洗剤組成物は、好ましくは、両性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド界面活性剤を、組成物の1重量%~15重量%、好ましくは2重量%~12重量%、より好ましくは3重量%~10重量%含む。好ましくは、本発明の組成物は、アニオン性界面活性剤とアルキルジメチルアミンオキシドとの混合物を、約10:1未満、より好ましくは約8:1未満、より好ましくは約5:1~約2:1の重量比で含む。
【0223】
両性界面活性剤を添加することにより、食器洗い組成物中に良好な発泡性を提供する。
【0224】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1つの双性イオン性界面活性剤を含み得る。
【0225】
食器洗い組成物に好適な双性イオン性界面活性剤の例は、洗濯組成物に関して既に上記で説明した。
【0226】
食器洗い組成物に好ましい双性イオン性界面活性剤は、ベタイン界面活性剤から、より好ましくはココアミドプロピルベタイン界面活性剤から選択される。
【0227】
本発明の好ましい実施形態では、双性イオン性界面活性剤はコカミドプロピルベタインである。
【0228】
本発明の手動食器洗い用洗剤は、任意選択的に、双性イオン性界面活性剤、好ましくはベタイン界面活性剤を、組成物の1重量%~15重量%、好ましくは2重量%~12重量%、より好ましくは3重量%~10重量%含む。
【0229】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含み得る。
【0230】
食器洗い組成物に好適なカチオン性界面活性剤の例は、洗濯組成物に関して既に上記で説明した。
【0231】
カチオン性界面活性剤が組成物中に存在する場合、これは有効量で存在し、より好ましくは、組成物の0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~2重量%存在する。
【0232】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0233】
食器洗い組成物に好適な非イオン性界面活性剤の例は、洗濯組成物に関して既に上記で説明した。
【0234】
好ましい非イオン性界面活性剤は、ゲルベアルコールと、アルコール1モル当たり2~18モル、好ましくは2~15モル、より好ましくは5~12モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。本明細書での使用に好適なその他の好ましい非イオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、アルキルポリグルコシド、及び脂肪酸グルカミドが挙げられる。
【0235】
本発明の手動食器洗剤組成物は、組成物の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.3重量%~5重量%、より好ましくは0.4重量%~2重量%の、平均アルコキシル化度が2~6、好ましくは3~5の直鎖又は分枝鎖C10アルコキシル化非イオン性界面活性剤を含み得る。好ましくは、直鎖又は分枝鎖C10アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、平均エトキシル化度が2~6、好ましくは3~5の分枝鎖C10エトキシル化非イオン性界面活性剤である。好ましくは、組成物は、分枝鎖C10エトキシル化非イオン性界面活性剤を、直鎖又は分枝鎖C10アルコキシル化非イオン性界面活性剤全体の60重量%~100重量%、好ましくは80重量%~100重量%、より好ましくは100重量%含む。直鎖又は分枝鎖C10アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、好ましくは、平均エトキシル化度が3~5の2-プロピルヘプチルエトキシル化非イオン性界面活性剤である。平均エトキシル化度が4の好適な2-プロピルヘプチルエトキシル化非イオン性界面活性剤は、BASF SE(Ludwigshafen,Germany)から市販されるLutensol(登録商標)XP40である。平均エトキシル化度が3~5の2-プロピルヘプチルエトキシル化非イオン性界面活性剤を使用すると、発泡レベルの改善及び長期間持続する泡がもたらされる。
【0236】
したがって、本発明の一態様は、手動食器洗い用洗剤組成物、具体的には、(i)少なくとも1つの本発明のポリマーと、(ii)平均エトキシル化度が3~5の、少なくとも1つの更なる2-プロピルヘプチルエトキシル化非イオン性界面活性剤と、を含む、液体手動食器洗い用洗剤組成物である。
【0237】
本発明の食器洗い組成物は、液体手動食器洗い用洗剤組成物と水との相溶性を確保するために、有効量の少なくとも1つのヒドロトロープを含み得る。
【0238】
本明細書で使用するのに好適なヒドロトロープとしては、アニオン性ヒドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム、及びクメンスルホン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物、並びに米国特許第3,915,903号明細書に開示される関連する化合物が挙げられる。
【0239】
本発明の液体手動食器洗い用洗剤組成物は、典型的には、ヒドロトロープ又はその混合物を、液体洗剤組成物全体の0.1重量%~15重量%、好ましくは液体手動食器洗い組成物全体の1重量%~10重量%、最も好ましくは2重量%~5重量%含む。
【0240】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1つの有機溶媒を含み得る。
【0241】
有機溶媒の例は、C4~C14エーテル及びジエーテル、グリコール、アルコキシル化グリコール、C6~C16グリコールエーテル、アルコキシル化芳香族アルコール、芳香族アルコール、脂肪族分枝鎖アルコール、アルコキシル化脂肪族分枝鎖アルコール、アルコキシル化直鎖C1~C5アルコール、直鎖C1~C5アルコール、アミン、C8~C14アルキル及びシクロアルキル炭化水素及びハロ炭化水素、並びにこれらの混合物である。
【0242】
存在する場合、液体食器洗い組成物は、液体洗剤組成物の0.01重量%~20重量%、好ましくは0.5重量%~15重量%、より好ましくは1重量%~10重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の溶媒を含有する。これらの溶媒は、水などの水性液状担体と組み合わせて使用されてもよく、或いはこれらはいかなる水性液状担体も存在することなしに使用されてもよい。溶媒系がより高い場合、粘度の絶対値は低下し得るが、粘度プロファイルに極大点が存在する。
【0243】
本明細書の食器洗い組成物は、更に、その他の必須及び任意成分が溶解、分散、又は懸濁している、水を含む水性液状担体を30重量%~90重量%含み得る。より好ましくは、本発明の組成物は、45重量%~85重量%、更に好ましくは60重量%~80重量%の水性液状担体を含む。しかしながら、水性液状担体は、室温(25℃)で液体であるか又は液状担体に溶解し、不活性充填剤の機能以外の何らかの機能も果たすことができる他の材料を含むことができる。
【0244】
本発明の食器洗い組成物は、少なくとも1つの電解質を含み得る。
【0245】
好適な電解質は、好ましくは無機塩から選択され、更により好ましくは一価の塩から選択され、最も好ましくは塩化ナトリウムである。
【0246】
本発明による液体手動食器洗い組成物は、電解質を、組成物の0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~2重量%含むことができる。
【0247】
本発明のポリマーを含む手動食器洗い用配合物は、少なくとも1つの抗菌剤も含み得る。
【0248】
食器洗い組成物に好適な抗菌剤の例は、洗濯組成物に関して既に上記で説明した。
【0249】
抗菌剤は、本発明の手動食器洗い組成物に、組成物の総重量に対して0.0001重量%~10重量%の濃度で添加することができる。好ましくは、この配合物は、0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~2重量%の濃度の2-フェノキシエタノール、及び/又は0.001重量%~1重量%、より好ましくは0.002重量%~0.6重量%(全ての場合で、組成物の総重量に対する)の濃度の4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含む。
【0250】
更なる追加の成分は、限定されないが、コンディショニングポリマー、洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、汚れ凝集ポリマー、レオロジー改質ポリマー、酵素、構造化剤、ビルダー、キレート剤、環状ジアミン、構造化剤、皮膚軟化剤、保湿剤、皮膚若返り活性物質、カルボン酸、スクラブ粒子、漂白剤及び漂白活性化剤、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、ビーズ、真珠光沢粒子、マイクロカプセル、抗菌剤、NaOHを含むpH調整剤、並びにモノエタノールアミンなどのアルカノールアミン、並びに緩衝化手段などである。
【0251】
(c)一般的な洗浄組成物及び配合物
本章で開示する液体配合物は、言及された他の全ての成分に加えて、0~2%、好ましくは約1%の2-フェノキシエタノールを含み得る。
【0252】
上記及び下記で開示される液体配合物は、言及された他の全ての成分に加えて、0~0.2%、好ましくは約0.15%の4,4’-ジコロ(dichoro)2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含み得る。漂白剤無添加固体洗濯組成物は、言及された他の全ての成分に加えて、0~0.2%、好ましくは約0.15%の4,4’-ジコロ(dichoro)2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含み得る。
【0253】
本章で開示される配合物は、言及された他の全ての成分に加えて、本明細書の上記で開示されるものから選択される1種類以上の酵素、より好ましくはプロテアーゼ及び/又はアミラーゼを含んでもよく、更により好ましくは、プロテアーゼは、欧州特許第1921147B1号明細書の配列番号22に対して少なくとも90%の配列同一性を有し、アミノ酸置換R101E(BPN’ナンバリングによる)を有するプロテアーゼであり、アミラーゼは、国際公開第2021032881A1号パンフレットの配列番号54に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミラーゼであり、かかる酵素(複数可)は、好ましくは、組成物の重量を基準に、約0.00001重量%~約5重量%、好ましくは約0.00001重量%~約2重量%、より好ましくは約0.0001重量%~約1重量%、又は更により好ましくは約0.001重量%~約0.5重量%の酵素タンパク質のレベルで配合物中に存在する。
【0254】
表中の組成物を含む下記で示される組成物は、世界の様々な地域及び国家で典型的に採用される典型的な洗浄条件に関連づけられる典型的な組成物と対応する特定の種類の一般的洗浄組成物を開示する。少なくとも1つの本発明のポリマーは、本明細書に概説されるように好適な量でこうした配合物(複数可)に添加され得る。
【0255】
示される組成物が、本発明のポリマーを含まない場合、かかる組成物は、比較実施例の組成物である。示される組成物が、本発明のポリマーを、特に本明細書で好ましい範囲、より好ましい範囲などとして記載される量で含む場合、かかる組成物は、本発明の範囲に該当するものとみなされる。
【0256】
好ましい実施形態では、本発明のポリマーが洗濯洗剤中で用いられる。
【0257】
本発明の液体洗濯洗剤は、
0.05~20%の少なくとも1つの本発明のポリマー、
1~50%の界面活性剤、
0.1~40%のビルダー、コビルダー、及び/又はキレート剤、
0.1~50%の他の補助剤、
合計を100%にするための水
からなる。
【0258】
好ましい本発明の液体洗濯洗剤は、
0.2~6%の少なくとも1つの本発明のポリマー、
5~40%の、C10~C15-LAS及び1~5のエトキシ単位を含むC10~C18-アルキルエーテル硫酸塩から選択されるアニオン性界面活性剤、
1.5~10%の、3~10のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエトキシレートから選択される非イオン性界面活性剤、
2~20%の、C10~C18脂肪酸、ジ-及びトリトリカルボン酸、ヒドロキシ-ジ-及びヒドロキシトリカルボン酸、並びにポリカルボン酸から選択される可溶性有機ビルダー/コビルダー、
0.05~5%の、洗剤用途に好適な少なくとも1つの酵素及び好ましくは更に酵素安定化系を含有する酵素系、
0.5~20%の、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、又はプロピレングリクロル(propylenglyclol)から選択されるモノ又はジオール、
0.1~20%のその他の補助剤、
合計を100%するための水
からなる。
【0259】
本発明の固体洗濯洗剤(例えば粉末、顆粒、又は錠剤など)は、
0.05~20%の少なくとも1つの本発明のポリマー、
1~50%の界面活性剤、
0.1~80%のビルダー、コビルダー、及び/又はキレート剤、
0~50%の充填剤、
0~40%の漂白活性物質、
0.1~30%のその他の補助剤及び/又は水
からなり、
成分の合計は100%になる。
【0260】
好ましい本発明の固体洗濯洗剤は、
0.2~6%の少なくとも1つの本発明のポリマー、
5~30%の、C10~C15-LAS、C10~C18アルキル硫酸塩、及び1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18-アルキルエーテル硫酸塩から選択されるアニオン性界面活性剤、
1.5~7.5%の、3~10のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエトキシレートから選択される非イオン性界面活性剤、
5~50%の、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ゼオライト、可溶性ケイ酸塩、硫酸ナトリウムから選択される無機ビルダー、
0.5~15%の、C10~C18脂肪酸、ジ-及びトリカルボン酸、ヒドロキシジ-及びヒドロキシトリカルボン酸、並びにポリカルボン酸から選択されるコビルダー、
0,1~5%の、洗剤用途に好適な少なくとも1つの酵素及び好ましくは更に酵素安定化系を含有する酵素系、
0.5~20%の、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、又はプロピレングリクロル(propylenglyclol)から選択されるモノ又はジオール、
0.1~20%のその他の補助剤、
合計を100%にするための水
からなる。
【0261】
好ましい実施形態では、本発明のポリマーが手動食器洗い用洗剤中で用いられる。
【0262】
本発明の液体手動食器洗い用洗剤は、
0.05~10%の少なくとも1つの本発明のポリマー、
1~50%の界面活性剤、
0.1~50%の他の補助剤、
合計を100%にするための水
からなる。
【0263】
好ましい本発明の液体手動食器洗い用洗剤は、
0.2~5%の少なくとも1つの本発明のポリマー、
5~40%の、C10~C15-LAS、1~5個のエトキシ単位を含むC10~C18アルキルエーテル硫酸塩、及びC10~C18アルキル硫酸塩から選択されるアニオン性界面活性剤、
2~10%のコカミドプロピルベタイン、
0~10%のラウラミンオキシド、
0~2%の、非イオン性界面活性剤、好ましくはC10-ゲルベアルコールアルコキシレート、
0~5%の酵素、好ましくはアミラーゼ、及び好ましくは更に酵素安定化系、
0.5~20%の、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、又はプロピレングリクロル(propylenglyclol)から選択されるモノ又はジオール、
0.1~20%のその他の補助剤、
合計を100%するための水
からなる。
【0264】
本発明の修飾アルコキシル化ポリアルキレンイミンは生分解性であり、特に、洗浄配合物は、典型的に約7以上のpHを有し、更に、酵素(洗浄組成物によって除去されるべき染み及び汚れの中に存在する油脂、タンパク質、多糖類などの生分解性物質を分解するためにかかる洗浄配合物中に含まれる)も含む場合が多いため、これらの本発明の生分解性ポリマーの配合にあたっては、何らかの考慮が必要である。かかる好適な配合物は、原則的には既知であり、これらとしては、固体状の配合物(ここでは、酵素及びポリマーが、コーティング、又はこれらを混合された個別の粒子中に添加することによって分離され得る)、並びに液状及び半液状の配合物(ここでは、ポリマー及び酵素を、マルチチャンバーパウチ、又は様々なチャンバーを有するボトルの様々なコンパートメントなどの異なるコンパートメント中で配合することによりこれらが分離され得、これらのコンパートメントから液体が同時に所定の量で注がれて、各チャンバーの各コンポーネントの個別の使用時点ごとに正しい量が適用されることが確実となる)が挙げられる。かかるマルチコンパートメントパウチ及びボトルなども当業者に既知である。
【0265】
以下の表は、世界の様々な地域及び国家で典型的に採用されている典型的な洗浄条件と関連する典型的な組成物に対応する特定の種類の一般的な洗浄組成物を示す。少なくとも1つの本発明のポリマーは、本明細書に概説されるように好適な量でこうした配合物(複数可)に添加され得る。
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
【0271】
【実施例】
【0272】
下記の実施例は、本発明の範囲を限定することなく本発明を更に例示する。
【0273】
例えば式(IIa)のものなどの残基で置換されるオリゴアルキレンイミン又はオリゴアミンの量及び種類、並びに/又は任意選択的に水素の存在は、Lukovkin G.M.,Pshezhetsky V.S.,Murtazaeva G.A.:Europ.Polymer Journal 1973,9,559-565及びSt.Pierre T.,Geckle M.:ACS Polym.Prep.1981,22,128-129でポリエチレンイミンに関して説明されるように、13C-NMR中の一級、二級、及び三級アミノ基を同定することによって決定されてもよく、或いは、DIN 16945に従った一級、二級、及び三級アミノ数の決定によって決定してもよい。
【0274】
13C-NMRスペクトルは、室温でBruker AV-401機器を用いて、CDCl3中で記録する。1H-NMRスペクトルは、室温でBruker AV-401機器を用いて、CDCl3又はCD3OD中で記録する。
【0275】
けん化価は、DIN EN ISO 3657:2013に従って測定する。
【0276】
本開示全体を通して記載された特定の実施形態は、本発明の一部として本発明に包含され、特定の実施形態の「任意選択的な」、「好ましい」、「より好ましい」、「更により好ましい」、又は「最も好ましい」(或いは「好ましくは(preferably)」などの)選択肢として本明細書に開示される様々な更なる選択肢は個別に独立して選択され(但し、その特徴の性質のためにかかる独立した選択が可能であるか、或いはかかる独立した選択が明示的に除外されていない場合に限る)、続いて他の実施形態のうちいずれかにおいて組み合わせられることができ(他のかかる選択肢及び選好もまた個別に独立して選択され得る場合であるが、その特徴の性質のためにかかる独立した選択が可能であるか、或いはかかる独立した選択が明示的に除外されていない場合に限る)あらゆるこうした可能な組み合わせは、個別の実施形態として本発明の一部として含まれる。
【0277】
合成実施例:
1)本発明の化合物の合成
1.1)オリゴアミン
トリプロピレンテトラミン(TPTA)(Mw:188.31g/モル)は、BASF SE(Ludwigshafen,Germany)から市販されており、トリエチレンテトラミン(TETA)(Mw:146.24g/モル)は、Huntsman Chemical Corp.(Salt Lake City,USA)から市販されている。
【0278】
1.2)本発明の及び比較実施例のポリマーの合成
本発明の実施例1:
修飾エトキシル化トリプロピレンテトラミン[「mod-ethoxy-TPTA」](P.1)の合成
工程1a(TPTA+0.8EO/NH)
2Lのオートクレーブに、110gのTPTA及び10gの水を投入した。反応容器を窒素で3回パージしてから100℃に加熱した。20.5gのエチレンオキシドを6時間以内に添加した。反応を完了するため、反応混合物を100℃で3時間後反応させた。続いて揮発性化合物を減圧下で除去した。粘性の黄色油(127.8g)が得られた。
【0279】
工程1b(TPTA+0.8EO/NH+19.2EO/NH)
105gの既に得た生成物を、鋼鉄製圧力反応容器に充填し、2.8gのカリウムメトキシド(32.5重量%溶液)を添加した。水及びメタノールを90℃の減圧下で除去した。反応容器を窒素でパージして空気を除去し、窒素圧を1バールに設定した。反応容器を120℃に加熱し、10時間以内に397gのエチレンオキシドを反応容器に投入した。混合物を3時間後反応させた。揮発性化合物を真空下で除去し、498gのエトキシル化中間体(I1.1)を、暗黄色の粘性油として得た。
【0280】
工程2(TPTA+20EO/NH+3CL/NH)
200の既に得た中間体(I1.1)を電子レンジ中50℃で溶解させ、続いて、N2注入口、温度計、攪拌棒、及び蒸留ブリッジを備えた500mLの4口丸底フラスコに添加した。118gのε-カプロラクトンを、窒素雰囲気下で攪拌しながら滴下漏斗から反応混合物へとゆっくり添加した。投入の終了時に、1.6gのスズ(II)2-エチルヘキサノエート(トルエン中1重量%)を、使い捨てシリンジから添加した。続いて、反応混合物を150℃に加熱し、24時間攪拌した。300gの生成物(P.1)を、黄色の蝋状物質として得た。
【0281】
本発明の実施例2:
修飾エトキシル化トリエチレンテトラミン[「mod-ethoxy-TETA」](P.2)の合成
工程1a(TETA+0.8EO/NH)
2Lのオートクレーブに、130gのTETA及び13gの水を投入した。反応容器を窒素で3回パージしてから100℃に加熱した。31.3gのエチレンオキシドを6時間以内に添加した。反応を完了するため、反応混合物を100℃で3時間後反応させた。続いて揮発性化合物を減圧下で除去した。粘性の黄色油(159g)が得られた。
【0282】
工程1b(TETA+0.8EO/NH+19.2EO/NH)
125gの既に得た生成物を、鋼鉄製圧力反応容器に充填し、4.2gのカリウムメトキシド(32.5重量%溶液)を添加した。水及びメタノールを80℃の減圧下で除去した。反応容器を窒素でパージして空気を除去し、窒素圧を1バールに設定した。反応容器を120℃に加熱し、10時間以内に580gのエチレンオキシドを反応容器に投入した。混合物を3時間後反応させた。揮発性化合物を真空下で除去し、697gのエトキシル化中間体(I1.2)を、暗黄色の粘性油として得た。
【0283】
工程2(TETA+20EO/NH+3CL/NH)
178の既に得た中間体(I1.2)を電子レンジ中50℃で溶解させ、続いて、N2注入口、温度計、攪拌棒、及び蒸留ブリッジを備えた500mLの4口丸底フラスコに添加した。81.6gのε-カプロラクトンを、窒素雰囲気下で攪拌しながら滴下漏斗から反応混合物へとゆっくり添加した。投入の終了時に、1.3gのスズ(II)2-エチルヘキサノエート(トルエン中1重量%)を、使い捨てシリンジから添加した。続いて、反応混合物を150℃に加熱し、24時間攪拌した。235gの生成物(P.2)を、黄色の蝋状物質として得た。
【0284】
比較実施例1:
エトキシル化及びプロポキシル化ポリエチレンイミン(PEI)(CP.1)の合成
エトキシル化及びプロポキシル化されたポリエチレンイミン(Mw 600g/モル)(PEI 600+24 EO/NH+16 PO/NH)
合成は、欧州特許第2209837B1号明細書の実施例1に記載される通りに実施した。
【0285】
3 適用実験
油性/脂肪性染みに対する一次洗浄性能
一次洗浄力を決定するために、コットン、ポリコットン、及びポリエステル布地(CFT,Vlaardingen,The Netherlands)上の16種類の異なる油性/脂肪性染みに対する洗浄性能を、反射率計(Datacolor SF600 plus)を用いて洗浄後の染みと汚れていない白色布地との色差(ΔE)を決定することによって測定した。16種類の異なる円形の油性/脂肪性染み(口紅、化粧品、牛脂、フライ油脂、焦げたバター、ヤシ油、皮脂BEY、皮脂Tefo、襟染み;全て異なる布地上)を含む各実験を6回反復し、得られたデータを用いて平均ΔE値を計算した。
【0286】
これらのΔE値を使用して、各個別の染みに関するいわゆる「標準化洗浄性能」(ΔΔE)を計算した。「標準化洗浄性能」(ΔΔE)とは、本発明又は比較実施例のポリマーをそれぞれ含む洗濯洗剤と、本発明又は比較実施例のポリマーをそれぞれ含まない洗濯洗剤との性能差である。
【0287】
表5は洗濯洗剤の組成を示し、表6は洗浄試験条件を示し、表7は、得られた標準化洗浄性能を要約する。表7に示す標準化洗浄性能は、16種類の染み全ての標準化洗浄性能の合計である。ΔE値の合計が大きいほど、洗浄性能に対する本発明又は比較実施例のポリマーそれぞれの正の寄与が大きい。
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
試験結果:
測定値の誤差は、+/-10ΔΔE単位である。したがって、10超の任意の値(ΔΔE合計)は、対応するポリマーが、対応する洗剤配合物の全体的洗浄性能に対する方向性且つ可視の寄与を示すことを意味し、20超の任意の値(ΔΔE合計)は、対応するポリマーが、全体的洗浄性能に対する著しい寄与さえも示す、すなわち、対応するポリマーが配合物の著しい改善をもたらすことを意味する。
【0292】
生分解データ:
排水中の生分解を、OECD301Fマノメーター呼吸計測法を用いて3重に試験した。OECD301Fは、酸素消費量を測定することによって試料の生分解を測定する好気性検査である。測定された体積の培地に対して、公称で炭素の唯一の供給源である100mg/Lの試験物質を、接種材料(30mg/L、Mannheimの廃水処理プラントから採取した曝気汚泥)と共に添加する。これを、一定温度(20℃又は25℃)の密閉したフラスコ内で28日間攪拌する。OxiTop(登録商標)C(Xylem 35 Analytics Germany Sales GmbH&Co KG)を使用して装置内圧力の変化を測定することによって、酸素消費量を決定する。放出された二酸化炭素は、水酸化ナトリウム溶液中に吸収される。硝化作用による酸素の使用を防ぐために、硝化阻害剤をフラスコに添加する。試験物質の生分解中に微生物個体群によって取り込まれる酸素量(並行して実施されるブランク接種材料による取り込みに対して補正される)を、ThOD(理論酸素要求量、化合物の元素分析によって測定される)のパーセンテージとして表す。陽性対照のグルコース/グルコサミンを、各キャビネットの試験試料と共に実施する。
【0293】
【0294】
試験結果:
本発明のポリマーP.1及びP.2のみが、28日後のOECD301F試験で有意な生分解特性(>10%)を示す。したがって、本発明の材料(ポリマーP.1及びP.2)のみが、洗浄性能(すなわち、配合物の可視的な改善)と生分解性との良好な組み合わせを示す。
o=<10%
+=10~20%
++=20~50%
+++=>50%
【国際調査報告】