(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20240822BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K8/58
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512147
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2022069408
(87)【国際公開番号】W WO2023025452
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】102021209370.1
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】クルッパ,カロリン
(72)【発明者】
【氏名】レヒナー,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ノヴォトニィ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】マティアシク,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シェープゲンス,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】タイリ,アヴニ
(72)【発明者】
【氏名】ヤイザー,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC792
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD042
4C083AD282
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、以下の工程:
(1)ケラチン物質に剤(a)を適用する工程、ここで、前記剤(a)は、剤(a)の総重量に対して、(a1)10重量%未満の水、(a2)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および、(a3)少なくとも1つの発色性化合物を含む、
(2)剤(a)が付着した状態のケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は、(b1)水を含む、
(3)剤(a)と(b)の両剤をケラチン物質に作用させる工程、並びに、
(4)剤(a)と(b)の両剤をすすぐ工程
を所定の順序で含む方法、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、以下の工程:
(1)ケラチン物質に剤(a)を適用する工程、ここで、前記剤(a)は、剤(a)の総重量に対して、
(a1)10重量%未満の水、
(a2)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
(a3)少なくとも1つの発色性化合物、
を含む、
(2)剤(a)が付着した状態のケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は、
(b1)水
を含む、
(3)剤(a)と(b)の両剤をケラチン物質に作用させる工程、並びに、
(4)剤(a)と(b)の両剤をすすぐ工程
を所定の順序で含む方法。
【請求項2】
工程(1)において剤(a)は、タオルドライまたは乾燥したケラチン物質に適用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
剤(a)は、剤(a)の総重量に対して、0~7.5重量%、好ましくは0.0~5.0重量%、さらに好ましくは0.0~4.0重量%、非常に特に好ましくは0.1~2.5重量%の水(a1)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
剤(a)は、式(I)および/または(II):
式(I):
〔式中、
・R
1、R
2は、互いに独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・Lは直鎖または分岐の二価のC
1-C
20アルキレン基を表し、
・R
3、R
4は、互いに独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
・aは1~3の整数を表し、
・bは3-aの整数を表す〕
式(II):
〔式中、
・R
5、R
5’、R
5’’、R
6、R
6’およびR
6’’は、互いに独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、直鎖または分岐の二価のC
1-C
20アルキレン基を表し、
・R
7およびR
8は、互いに独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
2-C
6アルキル基、C
1-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基、または、式(III)の基:
(・cは1~3の整数を表し、
・dは3-cの整数を表し、
・c’は1~3の整数を表し、
・d’は3-c’の整数を表し、
・c’’は1~3の整数を表し、
・d’’は3-c’’の整数を表し、
・eは0若しくは1を表し、
・fは0若しくは1を表し、
・gは0若しくは1を表し、
・hは0若しくは1を表し、
ただし、官能基e、f、gおよびhの少なくとも1つは0と異なる)
を表す〕
で示される、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
剤(a)は、式(I):
〔式中、
・R
1、R
2はいずれも水素原子を表し、
・Lは、直鎖の二価C
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し、
・R
3、R
4は、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・aは数3を表し、
・bは数0を表す〕
で示される、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
剤(a)は、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール、
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール、
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール、
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン、
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または、
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール、
からなる群から選択される、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
剤(a)は、式(IV):
〔式中、
・R
9はC
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11はC
1-C
6アルキル基を表し、
・kは1~3の整数を表し、
・mは3-kの整数を表す〕
で示される、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
剤(a)は、
・メチルトリメトキシシラン、
・メチルトリエトキシシラン、
・エチルトリメトキシシラン、
・エチルトリエトキシシラン、
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン、
・ヘキシルトリエトキシシラン、
・オクチルトリメトキシシラン、
・オクチルトリエトキシシラン、
・ドデシルトリメトキシシラン、
・ドデシルトリエトキシシラン、
・オクタデシルトリメトキシシラン、および
・オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から選択される、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
剤(a)は、互いに構造的に異なる少なくとも2つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
剤(a)は、剤(a)の総重量に対して0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で、1以上の有機ケイ素化合物(a2)を含有することを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
剤(a)は、顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの発色性化合物(a3)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
剤(a)は、少なくとも1つの無機顔料、好ましくは、発色性の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫酸化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料の群から、および/または、少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された有色の雲母系顔料から選択される、少なくとも1つの発色性化合物(a3)を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
剤(a)は、少なくとも1つの有機顔料、好ましくは、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスナンバーがCl42090、CI69800、CI69825、CI73000、CI74100、CI74160の青色顔料、カラーインデックスナンバーがCI11680、CI11710、CI15985、CI19140、CI20040、CI21100、CI21108、CI47000、CI47005の黄色顔料、カラーインデックスナンバーがCI61565、CI61570、CI74260の緑色顔料、カラーインデックスナンバーがCI11725、CI15510、CI45370、CI71105の橙色顔料、カラーインデックスナンバーがCI12085、CI12120、CI12370、CI12420、CI12490、CI14700、CI15525、CI15580、CI15620、CI15630、CI15800、CI15850、CI15865、CI15880、CI17200、CI26100、CI45380、CI45410、CI58000、CI73360、CI73915および/またはCI75470の赤色顔料からなる群から選択される、少なくとも1つの発色性化合物(a3)を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
剤(a)は、ラメラ基材プレートに基づく顔料、レンチキュラー基材プレートに基づく顔料、および真空蒸着顔料の群からの1以上の発色性化合物(a3)を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
剤(a)は、ポリ-C
1-C
6アルキレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールからなる群からの、非常に特に好ましくはポリエチレングリコールである少なくとも1つの化粧品用担体(a4)を含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
剤(a)は、剤(a)の総重量に対して総量で、10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、さらに好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%の、1以上の化粧品担体(a4)の成分を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
剤(a)の塗布後10分以内、好ましくは5分以内に剤(b)を塗布することを特徴とする、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
(2)剤(a)が付着した状態のケラチン物質に剤(b)を塗布し、かつ、ケラチン物質上で剤(a)および(b)の両剤を手作業で混合することにより両剤の混合物を生成することを特徴とする、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
剤(b)が、剤(b)の総重量に対して10~100重量%、好ましくは30~99.5重量%、さらに好ましくは50~99重量%、非常に特に好ましくは80~99重量%の水を含むことを特徴とする、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
剤(b)が少なくとも1つの増粘剤を含むことを特徴とする、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
剤(a)中に含まれる有機ケイ素化合物(a2)の総量と剤(b)中に含まれる水(b1)の量との重量比、すなわち重量比(a2)/(b1)が、1:100~1:1、好ましくは1:70~1:2、より好ましくは1:70~1:5、非常に特に好ましくは1:70~1:10の値であることを特徴とする、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
(3)2つの剤(a)および(b)を、10秒~30分、好ましくは30秒~20分、より好ましくは1分~15分、最も好ましくは5分~10分の時間、ケラチン物質に一緒に作用させることを特徴とする、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
(4)剤(a)および(b)の両剤を流水で洗い流すことを特徴とする、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、2つの剤(a)および(b)の塗布を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色する方法である。剤(a)は、低含水であるか無水であり、少なくとも1つの有機ケイ素化合物と発色性化合物を含むことを特徴とする。最初に剤(a)がケラチン物質または毛髪に塗布される。その後、水を含む剤(b)を、剤(a)が付着した状態のケラチン物質または毛髪に加える。ここで、剤(b)に含まれる水は、剤(a)との接触時に対象とするケイ素化合物の加水分解をもたらす。2つの剤(a)と(b)を作用させた後、これらをともに洗い流す。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、特に毛髪の形状や色を変えることは、今日の化粧品の重要な分野である。髪色を変えるために、当業者は染色要件に応じてさまざまな染色システムを熟知している。酸化染料は通常、良好な堅牢性と良好な白髪隠し効果を有する永久的で強力な染色に使用される。そのような染料は、通常、酸化染料の前駆体および顕色成分として知られる発色成分を含み、例えば過酸化水素などの酸化剤の影響下でともに実際の染料を形成する。酸化染料は、非常に長持ちする着色仕上がりを特徴とする。
【0003】
直接染料を使用する場合、既に完全に形成された染料が染毛剤から毛髪繊維に拡散する。酸化的毛髪着色剤と比較して、直接染料で得られる着色は、耐久性が低く、より速く洗い流される。直接染料による着色は通常5~20回の洗髪にわたって毛髪に残存する。
【0004】
毛髪および/または皮膚の色を短期的に変えるために、着色顔料の使用は既知である。着色顔料は一般に不溶性の染色物質を意味すると理解されている。これらは、染色調製物中に小粒子の形態で存在し、毛髪繊維および/または皮膚表面に外側から沈着するだけにすぎない。したがって、通常、界面活性剤含有洗浄剤で数回洗うことによって、残留物なしで再び除去することができる。このタイプのさまざまな製品は、ヘアマスカラという名称で市場において入手可能である。
【0005】
ユーザーが特に長持ちする着色を望む場合、これまでは酸化的染毛剤の使用が唯一の選択肢であった。しかし、幾多の最適化の試みにもかかわらず、酸化的染毛剤では不快なアンモニア臭やアミン臭を完全に回避することができない。酸化染料の使用に伴う毛髪のダメージも、やはりユーザーの毛髪に悪影響を及ぼす。そのため、代替となる高性能の染料と染色方法の探求は、現在進行中の課題である。特に、発色性化合物がフィルムに一体化され、毛髪繊維の表面に付着し、使用者の要求に応じて、残留することなく、また、元の髪色を変えることなく、再び除去することができる着色システムに焦点が当てられている。
【0006】
EP 2168633 B1は、顔料を使用して、長期間色持ちする染毛剤を製造するという課題に取り組んでいる。この文献は、顔料、有機ケイ素化合物、フィルム顕色ポリマー、溶剤を組み合わせて毛髪に使用すると、特に摩擦やシャンプーに耐性のある染料を製造できることを教示する。
【0007】
EP 2168633 B1で使用されているアルコキシシランの大きな利点は、この化合物クラスの高い反応性が、非常に迅速なコーティングを可能にすることである。そのため、数分という非常に短い塗布時間でも、極めて良好な染色結果を得ることができる。しかし、これらの利点に加えて、アルコキシシランの高い反応性はいくつかの欠点も伴う。
【0008】
染料に使用される有機ケイ素化合物は、水の存在下で加水分解またはオリゴマー化および/またはポリマー化を起こす反応性の高い化合物である。ユーザーが許容できる時間内に着色剤を塗布できるように、オリゴマー化またはポリマー化の速度を調整することが重要である。
【0009】
それらの高い反応性により、有機アルコキシシランは多量の水とともに調製することはできない。なぜなら、多量の水が直ちに加水分解とそれに続く重合を開始するからである。アルコキシシランを水性媒体中で保存している間に起こる重合は、水性製剤の増粘またはゲル化として現れる。その結果、製剤は高粘度、ゲル状、またはゼラチン状となり、もはやケラチン物質に均一に塗布できなくなる。さらに、アルコキシシランを多量の水の存在下で保存すると、それらの反応性が失われ、ケラチン物質上に耐性のある均一な被膜をもはや形成することはできない。しかし、特に染色法の場合、均一な被膜の形成は特に重要である。
【0010】
これらの理由から、有機アルコキシシランは無水または低水の環境で保管し、対応する調製物は別の容器で調製する必要がある。アルコキシシランを含む低含水調製物は、「シランブレンド」とも呼ばれ得る。
【0011】
ケラチン物質に塗布するために、ユーザーはこのシランブレンドを即用の混合物に移し、コーティングの形成を開始させなければならない。本発明につながる作業として、シランブレンドを異なる処方で混合し、これらのブレンドの性能特性に関する試験がなされた。試験シリーズにおいて、シランブレンドと水とを含むキャリア製剤から、高い含水率を有する塗布混合物を製造し、これらを毛髪の束に塗布した。この塗布方法において、シランのオリゴマー化またはポリマー化が、まだ毛髪に塗布していない適用混合物中の水と接触した時点で直接始まった。着色結果は、ユーザーの技量と、適用混合物を毛髪に塗布するスピードに強く依存することがわかった。その結果、特に、塗布に時間がかかったり、未経験で初回のユーザーであったり、染色すべき部分の面積が広かったりした場合、毛髪が非常に不均一に染まったり、特定の部分だけ十分に染まらなかったりした。
【0012】
したがって、重合速度、すなわちケラチン物質上に被膜が形成される速度を使用条件に最適に適合させることには、依然として大きな課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本出願の課題は、有機アルコキシシランの重合速度を使用条件、特にヒト頭部への使用中の一般的な条件に適合させることができる、ケラチン物質を処理する方法を見出すことであった。言い換えると、染色に適した均一な着色膜を再現性よく形成でき、その結果、ユーザーの頭部全体が均一に着色される方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、この課題は、ケラチン物質または毛髪に2つの剤(a)および(b)を連続的に塗布する方法でケラチン物質を処理すると、完全に達成できることが見出された。剤(a)は、1以上のアルコキシシランと、さらに少なくとも1つの発色性化合物を含む、低含水調製物である。低い含水率のため、剤(a)のアルコキシシランのオリゴマー化またはポリマー化は起こらないか、または非常に限られた程度でしか起こらない。この水分量が低く、染料を含む剤(a)をケラチン物質に塗布する。
【0016】
続く工程において、剤(b)を、剤(a)が付着した状態のケラチン物質の当該箇所に塗布する。剤(b)は、必須成分として規定量の水を含む。ケラチン物質への剤(b)の塗布により、2つの剤(a)と(b)とが互いに混合されるが、これは、例えば、2つの剤が付着したケラチン物質を強く擦ったり、揉みこんだりすることによって支持できる。剤(b)の塗布によって剤(a)中に存在するアルコキシシランが規定量の水と接触するため、シランのオリゴマー化/ポリマー化は、着色膜が形成されるべきケラチン物質または毛髪上の部位にシランが既に位置している時点でのみ開始される。
【0017】
本発明の第一の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、以下の工程:
(1)ケラチン物質に剤(a)を適用する工程、ここで、前記剤(a)は、剤(a)の総重量に対して、
(a1)10重量%未満の水、
(a2)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
(a3)少なくとも1つの発色性化合物、
を含む、
(2)剤(a)が付着した状態のケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は、
(b1)水
を含む、
(3)剤(a)と(b)の両剤をケラチン物質に作用させる工程、並びに、
(4)剤(a)と(b)の両剤をすすぐ工程
を所定の順序で含む方法である。
【0018】
この新規な方法をヒトの毛髪に使用した場合に、強い発色と非常に優れた堅牢度によっても特徴づけられる、再現性のある均一な着色結果を得ることが可能であることが示されている。ここで特に有利なのは、着色結果が、ユーザーが着色に要した時間に左右されないことだった。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<ケラチン物質>
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、指の爪および/または足の爪)を意味すると理解される。さらに、羊毛、毛皮、羽毛もケラチン物質の定義に含まれる。
【0020】
ケラチン物質は、好ましくはヒトの毛髪、ヒトの皮膚、ヒトの爪、特に指の爪と足の爪であると理解される。ケラチン物質は、特に好ましくはヒトの毛髪を意味すると理解される。
【0021】
<ケラチン物質の染色>
本発明に関して、「着色方法」なる語句は、ケラチン物質上に着色被膜を生成するすべての着色方法に関する。この着色被膜は、ケラチン物質表面への沈着として化粧的に適しており、この被膜に組み込み得るすべての発色性化合物により作製することができる。このような発色性化合物は、例えば顔料および直接染料であり、特に好ましくは顔料である。
【0022】
記載された方法の範囲内で、剤(a)および(b)はケラチン物質、特にヒトの毛髪に順次適用される。剤(a)および(b)は、それぞれ即用剤である。2つの剤(a)および(b)は互いに異なる。
【0023】
<工程(1)、ケラチン物質に剤(a)を適用する>
本発明の方法の工程(1)においては、剤(a)をケラチン物質、特にヒトの毛髪に使用する。
【0024】
ここで、剤(a)の使用は、例えば、手袋をはめた手、ブラシ、アプリケーターボトル、またはアプリケーターを使って、剤(a)をケラチン物質(または毛髪)に分配する、または分配して揉みこむことによって行われる。この時点で、ケラチン物質または毛髪は、好ましくはタオルドライまたは乾燥状態である。
【0025】
乾燥したケラチン物質、特に乾燥した毛髪とは、着色方法の前に(すなわち、着色方法の3時間前まで)直接付加処理を受けておらず、また、水もしくは水/シャンプーで湿らされていない物質のことである。
【0026】
タオルドライされたケラチン質材料、特にタオルドライされた毛髪は、カラーリング工程開始前に最大30分以内、好ましくは15分以内に水で濡らされ、または洗浄され、その後約30秒間タオルでこすり乾燥させた材料/毛髪として定められる。
【0027】
例:ユーザーは、約35℃に加熱した流水で毛髪を完全に飽和させることにより、蛇口下で毛髪を完全に濡らす。その後、ユーザーは乾いたタオルで30秒間毛髪を乾燥させる。
【0028】
タオルドライされた毛髪は、もはや滴るほど濡れていないこと、すなわち、毛髪の表面にもはや水分の多くの部分がないことを特徴とする。それにもかかわらず、毛髪は、毛髪繊維内に存在する水分子に起因する残留水分をまだ有しており、それによって毛髪繊維は膨潤している。タオルドライしたケラチン物質、特にタオルドライした毛髪に剤(a)を塗布することが非常に特に好ましい。タオルドライした毛髪に存在する少量の水分は、多すぎる水分によって顕著なオリゴマー化やポリマー化を開始することなく、剤(a)の塗布と分散を容易にする。
【0029】
さらなる実施形態に関して、本発明の方法は、工程(1)において剤(a)をタオルドライまたは乾燥したケラチン物質に、非常に特に好ましくはタオルドライしたケラチン物質に塗布することを特徴とする。
【0030】
さらなる実施形態において、本発明の方法は、工程(1)において剤(a)をタオルドライしたまたは乾燥したヒトの毛髪に、非常に特に好ましくはタオルドライしたヒトの毛髪に塗布することを特徴とする。
【0031】
ケラチン物質または毛髪に塗布した後、剤(a)を揉みこんでもよい。揉みこみは、例えば、手袋をはめた手で毛髪を機械的に揉んだり擦ったりすることによって行うことができる。
【0032】
<剤(a)>
剤(a)は即用剤である。剤(a)は、剤(a)の総重量に対して、10重量%未満の水(a1)と、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)と、少なくとも1つの発色性化合物(a3)とを含むことを特徴とする。
【0033】
剤(a)は、液体、ゲルまたはクリームの形態であり得る。したがって、剤(a)は、例えば、クリーム、エマルション、ゲル、あるいは界面活性剤含有発泡溶液の形態で存在でき、これらは10重量%未満の水を含む。
【0034】
<剤(a)中の水分量(a1)>
剤(a)の総重量に対して、水の含有量は10重量%未満である。これにより、剤(a)は適用時間全体にわたって安定であり、シランの早すぎる望ましくないオリゴマー化またはポリマー化を十分な程度にまで回避できる。剤の安定性が10重量%までの水分量ですでに確保されている場合であっても、安定性および色強度をさらに最適化するためには、剤(a)の水分量を10重量%未満の値に調整することが好ましいことが判明した。このようにして、剤(a)中の水分量が、剤(a)の総重量に対して0~7.5重量%、好ましくは0.0~5.0重量%、さらに好ましくは0.0~4.0重量%、非常に特に好ましくは0~2.5重量%の場合に、特に良好な結果が得られた。
【0035】
さらに非常に特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して0~7.5重量%、好ましくは0.0~5.0重量%、さらに好ましくは0.0~4.0重量%、非常に特に好ましくは0~2.5重量%の水(a1)を含有することを特徴とする。
【0036】
水が0~2.5重量%の範囲とは、剤に含まれる水ができるだけ少ないか、さもなければ、場合によっては剤(a)に含まれるさらなる成分によって剤(a)に導入される水の量が2.5重量%を超えないことを意味する。
【0037】
<剤(a)中のシランの群からの有機ケイ素化合物(a2)>
【0038】
本発明に必須の第2成分(a2)として、剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含有する。
【0039】
特に好ましくは、剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0040】
剤(a)中に含まれるこれらの有機ケイ素化合物(a1)または有機シランは反応性化合物である。
【0041】
有機ケイ素化合物は、オルガノシリコン化合物とも呼ばれ、ケイ素-炭素(Si-C)の直接結合を有するか、炭素が酸素、窒素若しくは硫黄原子を介してケイ素原子に結合している化合物である。本発明による有機ケイ素化合物は、1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、特に好ましくは1個または2個のケイ素原子を含む。
【0042】
IUPACの規則によれば、名称「シラン」は、ケイ素骨格と水素に基づく化学化合物の物質群を示す。有機シランの場合、水素原子は、(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基によって完全にまたは部分的に置換されている。有機シランにおいて、水素原子のいくつかをヒドロキシル基で置き換えることもできる。
【0043】
特に好ましい実施形態において、方法は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択され、1分子当たり1以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含有する剤(a)をケラチン物質に使用することを特徴とする。
【0044】
非常に特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択され、1分子当たり1以上の塩基性化学官能基、および、ヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む、少なくとも1つの第一の有機ケイ素化合物(a1)を含有する剤(a)をケラチン物質に使用することを特徴とする。
【0045】
この塩基性基または塩基性化学官能基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基またはトリアルキルアミノ基であってよく、好ましくはリンカーを介してケイ素原子に結合している。好ましくは、塩基性基は、アミノ基、C1-C6アルキルアミノ基またはジ(C1-C6)アルキルアミノ基である。
【0046】
加水分解性基は、好ましくはC1-C6アルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合して存在することが好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基である場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは構造単位R’R’’R’’’Si-O-CH2-CH3を含む。R’、R’’およびR’’’官能基は、ケイ素原子の残りの3つの自由原子価を表す。
【0047】
本発明による非常に特に好ましい方法は、剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とし、ここで、前記有機ケイ素化合物は、好ましくは、1分子当たり1以上の塩基性化学官能基および1以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0048】
剤(a)が、式(I)および/または式(II)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む場合に、非常に優れた結果を得ることが可能であった。
【0049】
式(I)および(II)の化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0050】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が、式(I)および/または式(II):
式(I):
〔式中、
・R
1、R
2は、互いに独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・Lは直鎖または分岐の二価のC
1-C
20アルキレン基を表し、
・R
3、R
4は、互いに独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
・aは1~3の整数を表し、
・bは3-aの整数である〕
式(II):
〔式中、
・R
5、R
5’、R
5’’ R
6、R
6’およびR
6’’は、互いに独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、直鎖または分岐の二価のC
1-C
20アルキレン基を表し、
・R
7およびR
8は、互いに独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシ-C
2-C
6アルキル基、C
1-C
6アルケニル基、アミノ-C
1-C
6アルキル基、または、式(III)の基:
(・cは1~3の整数を表し、
・dは3-cの整数を表し、
・c’は1~3の整数を表し、
・d’は3-c’の整数を表し、
・c’’は1~3の整数を表し、
・d’’は3-c’’の整数を表し、
・eは0若しくは1を表し、
・fは0若しくは1を表し、
・gは0若しくは1を表し、
・hは0若しくは1を表し、
・ただし、e、f、gおよびhのうちの少なくとも1つは0と異なる)
を表す〕
で示される、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0051】
式(I)および(II)で示される化合物中の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5’、R5’’、R6、R6’、R6’’、R7、R8、L、A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’を以下で例示により説明する。
【0052】
C1-C6アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシル基である。プロピル、エチル、メチルが好ましいアルキル基である。C2-C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニル、およびイソブテニルであり、好ましいC2-C6アルケニル基はビニルおよびアリルである。ヒドロキシ-C1-C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり、2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノ-C1-C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖二価C1-C20アルキレン基の例は、例えば、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)、およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)である。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。C原子3個の鎖長を超えて、二価アルキレン基も分岐し得る。分岐C3-C20の二価アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0053】
式(I):
の有機ケイ素化合物において、官能基R
1およびR
2は、互いに独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表す。非常に特に好ましくは、基R
1およびR
2は水素原子を表す。
【0054】
有機ケイ素化合物の中央部分は、直鎖または分岐の二価C1-C20アルキレン基を表す構造単位またはリンカー-L-である。
【0055】
二価のC1-C20アルキレン基は、代替的に、二価または二重結合のC1-C20アルキレン基とも呼ばれ得、これは、各基Lが2つの結合に関与し得ることを意味する。1つの結合はアミノ基R1R2NからリンカーLへの結合であり、2つ目の結合はリンカーLとケイ素原子との結合である。
【0056】
好ましくは、-L-が直鎖状二価C1-C20アルキレン基を表す。よりこのましくは-L-が直鎖状二価C1-C6アルキレン基を表す。特に好ましくは-L-が、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。非常に特に好ましくは、Lがプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0057】
直鎖プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)は、代替的にプロパン-1,3-ジイル基とも呼ばれ得る。
【0058】
式(I):
の有機ケイ素化合物は、それぞれ、ケイ素含有基-Si(OR
3)
a(R
4)
bを一つの末端に有する。
【0059】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bでは、官能基R3は水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、官能基R4はC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、官能基R3およびR4は、互いに独立してメチル基またはエチル基を表す。
【0060】
この場合、aは1~3の整数を表し、bは3-aの整数を表す。aが数3を表す場合、bは0である。aが数2を表す場合、bは1となる。aが数1を表す場合、bは2となる。
【0061】
剤(a)が、官能基R3、R4が互いに独立してメチル基またはエチル基を表す、式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含む場合に、特に耐性のある被膜を得ることができた。
【0062】
ヒト毛髪を着色する方法が使用される場合、剤(a)が官能基R3、R4が互いに独立してメチル基またはエチル基を表す少なくとも1つの式(I)の有機ケイ素化合物(a2)を含む場合に、最良の洗浄堅牢性を有する着色を得ることが可能であった。
【0063】
さらに、剤(a)が、官能基aが数3を表す式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合に、最良の洗浄堅牢性を有する着色を得ることができた。この場合、基bは数0を表す。
【0064】
別の好ましい実施形態において、剤(a)は、式中、
・R3、R4が、互いに独立してメチル基またはエチル基を表し、
・aが数3を表し、
・bが数0を表す、
式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0065】
別の好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が式(I):
〔式中、
・R
1、R
2は、いずれも水素原子を表し、
・Lは、直鎖の二価C
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し、
・R
3は、水素原子、メチル基またはエチル基を表し、
・R
4は、メチル基またはエチル基を表し、
・aは数3を表し、
・bは数0を表す〕
で示される、少なくとも1つの第一の有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0066】
本発明による問題を解決するのに特によく適した式(I)の有機ケイ素化合物は以下のものである。
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または、
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【0067】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0068】
上記式(I)の有機ケイ素化合物は市販されている。
【0069】
例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランはSigma-Aldrichから購入することができる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもまた、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0070】
別の実施形態において、剤は、式(II):
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含む。
【0071】
式(II)の有機ケイ素化合物は、それぞれケイ素含有基(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)c’をそれらの両端に有する。
【0072】
式(II)の分子の中央部分に位置するのは、基-(A)e-、および-[NR7-(A’)]f-、および-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-である。ここで、官能基e、f、gおよびhのぞれぞれは互いに独立して、0または1の数を表す。但し、官能基e、f、gおよびhのうち少なくとも1つは0と異なる。言い換えると、式(II)の有機ケイ素化合物は、-(A)-、および-[NR7-(A’)]-、および-[O-(A’’)]-および-[NR8-(A’’’)]-からなる群からの少なくとも1つの基を含む。
【0073】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-およびSi(R6’)d’(OR5’)c’において、官能基R5、R5’、R5’’は、それぞれ互いに独立して、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。官能基R6、R6’およびR6’’は、それぞれ互いに独立して、C1-C6アルキル基を表す。
【0074】
ここで、cは1~3の整数であり、dは3-cの整数である。cが数3を表す場合、dは0に等しい。cが数2を表す場合、dは1に等しい。cが数1を表す場合、dは2に等しい。
【0075】
同様に、c’は1~3の整数、d’は3-cの整数を表す。c’が数3を表す場合、d’は0に等しい。c’が数2を表す場合、dは1に等しい。c’が数1を表す場合、d’は2に等しい。
【0076】
基cおよびc’がともに数3を表す場合、最高の安定性を有する被膜、または、最良の洗浄堅牢性を有する染色が得られた。この場合、dとd’はともに数0を表す。
【0077】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が式(II):
〔式中、
・R
5およびR
5’は、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・cおよびc’は、いずれも数3を表し、
・dおよびd’は、いずれも数0を表す〕
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0078】
cおよびc’がいずれも数3を表し、dおよびd’がいずれも数0である場合、本発明の有機ケイ素化合物は、式(IIa):
に相当する。
【0079】
官能基e、f、gおよびhは、互いに独立して、0または1の数を表し得る。e、f、gおよびhの官能基のうち少なくとも1つは0とは異なる。したがって、略称e、f、gおよびhは、-(A)e-、-[NR7-(A’)]f-、-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-のうちのどの基が式(II)の有機ケイ素化合物の中央部分に存在するかを決める。
【0080】
これに関連して、ある特定の基の存在は、洗浄堅牢性が増すという点で特に有利であることがわかった。官能基e、f、gおよびhのうち少なくとも2つが数1を表すとき、特に良好な結果を得ることができた。非常に特に好ましいeおよびfはともに数1を表す。さらに非常に特に好ましくは、gおよびhはともに数0を表す。
【0081】
eおよびfがともに数1を表し、gおよびhがともに数0を表すとき、本発明における有機ケイ素化合物は、式(IIb):
に相当する。
【0082】
官能基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、直鎖または分岐の二価C1-C20アルキレン基を表す。好ましくは、官能基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、直鎖または分岐の二価C1-C20アルキレン基を表す。より好ましくは、官能基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、直鎖二価C1-C6アルキレン基を表す。特に好ましくは、官能基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。非常に特に好ましくは、官能基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0083】
二価のC1-C20アルキレン基は、代替的に、二価または二重結合のC1-C20アルキレン基とも称され、これは、各基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’が2つの結合に関与できることを意味する。
【0084】
直鎖プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)は、代替的にプロパン-1,3-ジイル基とも呼ばれ得る。
【0085】
基fが数1を表すとき、式(II)の有機ケイ素化合物は構造基-[NR7-(A’)]-を含む。
【0086】
官能基hが数1を表すとき、式(II)の有機ケイ素化合物は構造基-[NR8-(A’’’)]-を含む。
【0087】
これに関して、R
7およびR
8は、互いに独立して、水素、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシ-C
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノ-C
1-C
6アルキル基または式(III):
の基を表す。
【0088】
最も好ましくは、官能基R7およびR8は、互いに独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0089】
官能基fが数1を表し、官能基hが数0を表す場合、本発明による有機ケイ素化合物は、基[NR7-(A’)]を含むが、基-[NR8-(A’’’)]を含まない。基R7が式(III)の基を表す場合、剤(a)は3つの反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0090】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が式(II):
〔式中、
・eおよびfはともに数1を表し、
・gおよびhはともに数0を表し、
・AおよびA’は、互いに独立して、直鎖二価のC
1-C
6アルキレン基を表し、
・R
7は水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す〕
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0091】
別の好ましい実施形態において、本方法は剤(a)が、式中、
・eおよびfがともに数1を表し、
・gおよびhがともに数0を表し、
・AおよびA’が互いに独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2)を表し、
・R7が水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す、式(II)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むこと特徴とする。
【0092】
本発明による課題を解決するのに好適な式(II)で示される有機ケイ素化合物は、以下である。
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【0093】
上記の式(II)の有機ケイ素化合物は市販されている。
【0094】
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、例えばSigma-Aldrichから購入することができる。
【0095】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えば、Sigma-Aldrichから購入することができる。
【0096】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別称ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンと呼ばれ、例えば、Sigma-AldrichチまたはFluorochemから購入することができる。
【0097】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入することができる。
【0098】
別の好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール、
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール、
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0099】
さらなる染色試験において、本方法においてケラチン物質に塗布される剤(a)が、式(IV):
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含む場合に非常に有利であることも見出された。
【0100】
式(IV)の化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は1分子あたり1以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0101】
式(IV):
〔式中、
・R
9はC
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11はC
1-C
6アルキル基を表し、
・kは1~3の整数を表し、
・mは3-kの整数を表す〕
で示される有機ケイ素化合物はまた、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランと呼ばれることもある。
【0102】
さらなる実施形態において、本発明の方法は剤(a)が、式(IV):
〔式中、
・R
9はC
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11はC
1-C
6アルキル基を表し、
・kは1~3の整数を表し、
・mは3-kの整数を表す〕
で示される少なくとも1つの第一の有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0103】
さらなる非常に特に好ましい実施形態において、本発明の方法は剤(a)が、前記有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
〔式中、
・R
9はC
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11はC
1-C
6アルキル基を表し、
・kは1~3の整数を表し、
・mは3-kの整数を表す〕
で示される少なくとも1つの第一のさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0104】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は剤(a)が、式(II)で示される有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
〔式中、
・R
9はC
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11はC
1-C
6アルキル基を表し、
・kは1~3の整数を表し、
・mは3-kの整数を表す〕
で示される少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0105】
別の好ましい実施形態において、本方法は剤(a)が、式(I)および/または式(II)で示される有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
〔式中、
・R
9はC
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11はC
1-C
6アルキル基を表し、
・kは1~3の整数を表し、
・mは3-kの整数を表す〕
で示される少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0106】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、官能基R9はC1-C18アルキル基を表す。このC1-C18アルキル基は飽和しており、直鎖であっても分岐状であってもよい。好ましくは、R9は直鎖C1-C18アルキル基を表す。好ましくは、R9はメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基またはn-オクタデシル基を表す。特に好ましくは、R9はメチル基、エチル基、n-へキシル基またはn-オクチル基を表す。
【0107】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、官能基R10は水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R10はメチル基またはエチル基を表す。
【0108】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、官能基R11はC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R11はメチル基またはエチル基を表す。
【0109】
さらに、kは1~3の整数を表し、mは3-kの整数を表す。kが数3を表す場合、mは0に等しい。kが数2を表す場合、mは1に等しい。kが数1を表す場合、mは2に等しい。
【0110】
官能基kが数3を表す式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含有する剤(a)を本方法において用いた場合に、特に安定的な被膜、すなわち良好な洗浄堅牢性を有する染色が得られた。この場合、官能基mは数0を表す。
【0111】
本発明による課題を解決するのに特によく適した式(IV)の有機ケイ素化合物は以下である。
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・n-ヘキシルトリメトキシシラン
・n-ヘキシルトリエトキシシラン
・n-オクチルトリメトキシシラン
・n-オクチルトリエメトキシシラン
・n-ドデシルトリメトキシシラン、および/または、
・n-ドデシルトリエトキシシラン
n-オクタデシルトリメトキシシラン、および/またはn-オクタデシルトリエトキシシラン
【0112】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン、
・ドデシルトリエトキシシラン、
・オクタデシルトリメトキシシラン、および/または
・オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から選択される、式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0113】
上記の有機ケイ素化合物は反応性化合物である。これに関して、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の、1以上の有機ケイ素化合物(a2)を含むと好ましいことが見出されている。
【0114】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の、1以上の有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0115】
特に良好な染色結果を得るために、剤(a)中で式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物を特定の範囲の量で使用することが特に有利である。特に好ましくは、剤(a)は、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の、式(I)および/または(II)で示される1以上の有機ケイ素化合物(a2)を含む。
【0116】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の式(I)および/または(II)で示される1以上の有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0117】
さらに、式(IV)の有機ケイ素化合物が剤(a)中に特定の範囲の量で存在することが非常に特に好ましいことが見出されている。特に好ましくは、剤(a)は、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは4~9重量%の、式(IV)で示される1以上の有機ケイ素化合物(a2)を含む。
【0118】
別の好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは3.2~10重量%の、式(IV)で示される1以上の有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0119】
本発明に至る研究の過程で、剤(a)が互いに構造的に異なる2つの有機ケイ素化合物を含む場合に、特に安定で均一な被膜がケラチン物質上に得られることが見出された。
【0120】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、互いに構造的に異なる少なくとも2つの有機ケイ素化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0121】
好ましい実施形態において、本方法は、式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物および式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む剤(a)をケラチン物質に塗布することを特徴とする。
【0122】
明示的に非常に特に好ましい実施形態において、本方法は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの式(I)で示される有機ケイ素化合物を含み、さらに、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの式(IV)で示される有機ケイ素化合物を含む、剤(a)をケラチン物質に塗布することを特徴とする。
【0123】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、以下を含むことを特徴とする:
・0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される、少なくとも1つの第1の有機ケイ素化合物(a2)、並びに、
・3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第2の有機ケイ素化合物(a2)。
【0124】
この実施形態において、剤(a)は、第一の群の1以上の有機ケイ素化合物を、総量で0.5~3重量%含有する。この第一の群の有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される。
【0125】
この実施形態において、剤(a)は、第二の群の1以上の有機ケイ素化合物を、総量で3.2~10重量%含有する。この第二の群の有機ケイ素化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0126】
<有機ケイ素化合物(a2)のオリゴマーおよび/または縮合生成物>
【0127】
ケイ素原子を1個、2個または3個有するシランからなる群からの上記有機ケイ素化合物(a2)では、少量の水の添加でさえ、加水分解、またはオリゴマー化および/もしくはポリマー化(重合)をもたらす。オリゴマー化またはポリマー化の程度は、ここではシランまたはシラン(a2)と接触する水の量に依存する。本発明による方法の目的は、着色皮膜の形成、すなわち、剤(a)がケラチン物質上に既に位置している場合にのみ、方法の工程(2)でシラン(a2)に由来する最終的な重合が生じること、である。それにもかかわらず、シラン(a2)の高い反応性に起因して、剤(a)を塗布する前にオリゴマー化または予備縮合が既に起こっており、シラン(a2)は剤(a)中で既にオリゴマー化しているか、または既に小部分で重合している可能性がある。
【0128】
このため、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシラン(a2)と、そのオリゴマーおよび/または縮合生成物の両方を、剤(a)に含有させることができる。したがって、本発明によれば、「1個、2個、または3個のケイ素原子を有するシラン(a2)」という語句は、その加水分解生成物、オリゴマー、および/または縮合生成物も含む。
【0129】
対応する加水分解のオリゴマーおよび/または縮合生成物は、例えば以下の化合物である。この場合、縮合生成物は最大オリゴマー化合物を表すが、ポリマーではない。
【0130】
式(S-I)のC
1-C
6アルコキシシランの水による加水分解(3-アミノプロピルトリエトキシシランの例を用いた反応スキーム):
【0131】
使用する水の量に応じて、加水分解反応を、使用するC
1-C
6アルコキシシラン1つにつき複数回行うこともできる:
または
【0132】
式(S-IV)のC
1-C
6アルコキシシランの水による加水分解(メチルトリメトキシシランの例を用いた反応スキーム):
【0133】
使用する水の量に応じて、加水分解反応を、使用するC
1-C
6アルコキシシラン1つにつき複数回行うこともできる:
または
【0134】
可能な縮合反応は、例えば以下である((3-アミノプロピル)トリエトキシシランとメチルトリメトキシシランの混合物に基づいて示す):
および/または
および/または
および/または
および/または
および/または
および/または
【0135】
例として挙げた上記の反応スキームでは、それぞれ二量体を形成する縮合を示しているが、いくつかのシラン原子を有するオリゴマーへのさらなる縮合も可能であり、また好ましい。
【0136】
縮合生成物とは、1分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2つの有機ケイ素化合物の、水の除去および/またはアルカノールの除去による反応によって形成される生成物を意味すると理解される。縮合生成物は、例えば二量体だけでなく、三量体やオリゴマーでもよく、縮合生成物はモノマーと平衡状態にある。加水分解で使用または消費される水の量によって、モノマー有機ケイ素化合物と縮合生成物の平衡は変化する。
【0137】
式(I)および/または(II)および/または(IV)の有機ケイ素化合物を本方法に使用する場合、非常に特に良好な結果を得ることができた。すでに上述したように、加水分解/縮合は水分がわずかにある場合にすでに起こっているため、この実施形態の有機ケイ素化合物(I)および/または(II)および/または(IV)の加水分解および/または縮合生成物も含まれる。
【0138】
<剤(a)中の発色性化合物(a3)>
剤(a)は、本発明に必須の第3の成分として、少なくとも1つの発色性化合物を含む。シラン(a2)の重合によって生成される皮膜の形成において、発色性化合物は保持され、そのようにしてケラチン表面に固定される。そのような発色性化合物は、非常に特に好ましくは顔料および/または直接染料であり、非常に特に好ましくは顔料である。
【0139】
さらに特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの発色性化合物(a3)を含むことを特徴とする。
【0140】
さらなる特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が少なくとも1つの顔料(a3)を含むことを特徴とする。
【0141】
本発明の意味において顔料とは、25℃における水への溶解度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、さらに好ましくは0.05g/L未満である発色性化合物を意味すると理解される。水への溶解度は、例えば、以下に示す方法により測定できる。ビーカーで0.5gの顔料を秤量する。撹拌バーを加える。次いで、1リットルの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラーで撹拌しながら25℃で1時間加熱する。この時間の経過後、混合物中に顔料の未溶解成分がまだ目視される場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。微細に分散して存在する顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を目視で評価できない場合は、混合物をろ過する。ろ紙上に未溶解顔料の一部が残留する場合、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0142】
適当な顔料は、無機由来および/または有機由来であり得る
【0143】
好ましい実施形態において、本方法は、無機顔料および/または有機顔料の群からの少なくとも1つの発色性化合物(a3)を含むことを特徴とする。
【0144】
好ましい顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然由来の無機顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンバー、緑土、焼成シエナまたはグラファイトから製造できる。さらに、黒色顔料、例えば黒色酸化鉄、有色顔料、例えばウルトラマリンまたは赤色酸化鉄、および、蛍光顔料または燐光顔料を、無機着色顔料として使用できる。
【0145】
有色の金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩が特に適している。特に好ましい染色顔料は、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI 77491)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、紺青(フェロシアン化鉄、CI 77510)および/またはカルミン(コチニール)である。
【0146】
同様に特に好ましい顔料は、有色真珠光沢顔料である。これらは、通常、雲母系であり、1以上の金属酸化物で被覆されてよい。雲母は層状ケイ酸塩である。これらのケイ酸塩の最も重要な代表例は、白雲母、金雲母、ソーダ雲母、黒雲母、リシア雲母およびマーガライトである。金属酸化物との組み合わせで真珠光沢顔料を製造するために、雲母、主に白雲母または金雲母を金属酸化物で被覆する。
【0147】
従って、好ましい方法は、剤(a)が、好ましくは有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、および/または、少なくとも1つの金属酸化物および/または金属オキシ塩化物で被覆された雲母系の着色顔料から選択される、少なくとも1つの無機顔料(a3)を含むことを特徴とする。
【0148】
合成雲母系の好適な顔料は、例えばMerck社のTimiron(登録商標)SynWhite Satinである。
【0149】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)および/または剤(b)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、酸化クロム(CI 77288)および/または紺青(フェロシアン化鉄、CI 77510)からなる群からの、1以上の金属酸化物で被覆した天然または合成雲母に基づく顔料から選択される顔料の群からの少なくとも1つの発色性化合物を含むことを特徴とする。
【0150】
他の適切な顔料は、金属酸化物で被覆された板状のホウケイ酸塩に基づく。これらは、例えば、酸化スズ、酸化鉄、二酸化ケイ素および/または二酸化チタンで被覆される。このようなホウケイ酸塩系の顔料は、例えば、Eckart社のMIRAGEやBASF SE社のReflecksという名称で入手できる。
【0151】
特に適当な顔料の例は、例えば、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)、Sensient社からAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)またはSynCrystal、BASF SE社からFlamenco(登録商標)、Cellini(登録商標)、Cloisonne(登録商標)、Duocrome(登録商標)、Gemtone(登録商標)、Timica(登録商標)、MultiReflections、Chione、およびサンスター社からSunshine(登録商標)の商品名の下、商業的に入手可能である。
【0152】
商品名がColorona(登録商標)である非常に特に好ましい着色顔料は、例えば以下である:
Colorona Copper,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Copper Fine,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄),アルミナ
Colorona Patina Silver,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄),CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY,Merck,CI 77891(二酸化チタン),雲母,CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン),CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue,Merck,雲母,二酸化チタン,フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon,Merck,CI 77491(酸化鉄),雲母
Colorona Aborigine Amber,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄),CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue,Merck,CI 77499(酸化鉄),雲母
Colorona Patagonian Purple,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄),CI 77891(二酸化チタン),CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄),CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet,Merck,CI 77491(二酸化チタン),雲母,CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red,Merck,雲母,二酸化チタン(CI 77891),D&C RED NO.30(CI 73360)
Colorona Majestic Green,Merck,CI 77891(二酸化チタン),雲母,CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue,Merck,雲母,二酸化チタン(CI 77891),フェロシアン化鉄(CI 77510)
Colorona Red Gold,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン),CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25,Merck,雲母,二酸化チタン(CI 77891),酸化鉄(CI 77491)
Colorona Carmine Red,Merck,雲母,二酸化チタン,カーマイン
Colorona Blackstar Green,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン),CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine,Merck,CI 77491(酸化鉄),雲母
Colorona Sienna,Merck,雲母,CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン),シリカ,CI 77491(酸化鉄),酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29,Merck,雲母,二酸化チタン,酸化鉄,雲母,CI 77891,CI 77491(EU)
Colorona Mica Black,Merck,CI 77499(酸化鉄),雲母,CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン),CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold,Merck,雲母,CI 77499(酸化鉄)
Colorona(登録商標) SynCopper,Merck,合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄
Colorona(登録商標) SynBronze,Merck,合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄。
【0153】
商品名がXirona(登録商標)である他の特に好ましい顔料は、例えば以下である:
Xirona(登録商標)Golden Sky,Merck,シリカ,CI 77891(二酸化チタン),酸化スズ
Xirona(登録商標)Caribbean Blue,Merck,雲母,CI 77891(二酸化チタン),シリカ,酸化スズ
Xirona(登録商標)Kiwi Rose,Merck,シリカ,CI 77891(二酸化チタン),酸化スズ
Xirona(登録商標)Magic Mauve,Merck,シリカ,CI 77891(二酸化チタン),酸化スズ
Xirona(登録商標)Le Rouge,Merck,酸化鉄(および)シリカ。
【0154】
加えて、商品名がUnipure(登録商標)である特に好ましい顔料は、例えば以下である:
Unipure Red LC 381 EM,Sensient CI 77491(酸化鉄),シリカ
Unipure Black LC 989 EM,Sensient,CI 77499(酸化鉄),シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM,Sensient,CI 77492(酸化鉄),シリカ。
【0155】
また、商品名がFlamenco(登録商標)である非常に特に好ましい染色顔料は、例えば、以下である:
Flamenco(登録商標)Summit Turquoise T30D、BASF、二酸化チタン(および)雲母
Flamenco(登録商標)Super Violet 530Z、BASF、雲母(および)二酸化チタン。
【0156】
別の実施形態において、本方法において剤(a)および/または剤(b)は、有機顔料の群からの1以上の発色性化合物を含んでもよい。
【0157】
本発明における有機顔料は、例えばニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インディゴ、チオインディゴ、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物の群から選択されてよい、相応に不溶性の有機染料またはカラーワニスである。
【0158】
特に好適な有機顔料の例は、例えば、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料である。
【0159】
別の特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、好ましくはカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、および、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料からなる群から選択される、少なくとも1つの有機顔料(a3)を含む。
【0160】
また、有機顔料はカラーワニスであってもよい。本発明の意味において用語カラーワニスは、吸収された染料の層を含む粒子を意味し、粒子と染料とからなるユニットは上記条件下で不溶性である。粒子は、例えば無機物質であってもよく、これらはアルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムまたはアルミニウムであり得る。
【0161】
例えば、アリザリンカラーワニスをカラーワニスとして使用できる。
【0162】
ケラチン物質の染色のために、特定の形状の顔料も使用され得る。例えば、層状および/またはレンズ状(レンチキュラー)の、小基板プレートに基づく顔料を使用できる。さらに、真空金属化顔料を含む小基板プレートに基づく染色も可能である。
【0163】
別の実施形態において、本発明による方法は、剤(a)が、ラメラ基板プレートに基づく顔料、レンズ状基板プレートに基づく顔料、および真空金属化顔料の群からの1以上の発色性化合物(a3)も含むことを特徴とし得る。
【0164】
このタイプの基板プレートは、最大で50nm、好ましくは30nm未満、特に好ましくは最大で25nm、例えば最大で20nmの平均厚さを有する。基板プレートの平均厚さは、少なくとも1nm、好ましくは少なくとも2.5nm、特に好ましくは5nm、例えば少なくとも10nmである。基板プレートの厚さの好ましい範囲は、2.5~50nm、5~50nm、10~50nm、2.5~30nm、5~30nm、10~30nm、2.5~25nm、5~25nm、10~25nm、2.5~20nm、5~20nmおよび10~20nmである。好ましくは、各小基板プレートは、可能な限り均一な厚さを有する。
【0165】
小基板プレートの厚さが薄いことにより、顔料は特に高い隠蔽力を有する。
【0166】
基板プレートはモノリシック構造である。本明細書におけるモノリシックとは、構造変化が小基板プレート内で発生し得るが、破壊、層化、または介在物のない単一の閉ざされたユニットから構成されることを意味する。小基板プレートは、好ましくは均一に構造化されている、すなわち、小プレート内に濃度勾配は生じない。特に、小基板プレートは層状に構成されておらず、それらに粒子分布を有しない。
【0167】
小基板プレートのサイズは、各用途、特にケラチン物質に対する所望の効果に適合され得る。基本的に、基板プレートは、約2~200μm、特に約5~100μmの平均最大直径を有する。
【0168】
好ましい実施態様において、平均サイズと平均厚さとの比で表される形状因子(アスペクト比)は、少なくとも80、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも500、特に好ましくは750を超える。コーティングされていない基板プレートの平均サイズは、コーティングされていない基板プレートのd50値を意味すると理解される。特に明記されていない限り、d50値は、キクセル湿式分散を備えたSympatec Helos型の装置を用いて測定された。サンプルを準備するために、分析するサンプルをイソプロパノールに3分間予備分散させた。
【0169】
小基板プレートは、プレート形状にし得る任意の材料から構成できる。
【0170】
それらは天然由来であってもよく、合成的に生成されてもよい。小基板プレートを構成し得る材料は、例えば、金属および金属合金、金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、無機化合物および雲母および(半)貴石などの鉱物、ならびにプラスチックである。好ましくは、基板プレートは金属(合金)から作製される。
【0171】
金属真珠光沢顔料に適したいかなる金属も、金属として使用できる。そのような金属は、とりわけ、鉄およびスチール、並びに、例えばプラチナ、亜鉛、クロム、モリブデンおよびケイ素などのすべての耐空気性および耐水性(半)金属、並びに、アルミニウム青銅や真ちゅうなどのそれらの合金が含まれる。好ましい金属は、アルミニウム、銅、銀、および金である。
【0172】
好ましい小基板プレートは、小アルミニウムプレートおよび小真ちゅうプレートであり、アルミニウムの小基板プレートが特に好ましい。
【0173】
層状基板プレートは、不規則な構造のエッジが特徴であり、その外観から「コーンフレーク」とも呼ばれる。
【0174】
それらの不規則な構造のために、層状小基板プレートに基づく顔料は、高い割合の散乱光を生じる。さらに、層状小基板プレートに基づく顔料は、ケラチン物質の既存の色を完全に覆うわけではなく、例えば、自然な灰色化に類似した効果を達成できる。
【0175】
レンズ状(=レンズ型)の小基板プレートは、実質的に丸いエッジを有し、その外観から「シルバーダラー」とも呼ばれる。それらの規則的な構造により、反射光の割合は、ンズ状の小基板プレートに基づく顔料の場合に優位になる。
【0176】
真空金属化顔料(VMP)は、例えば、金属、金属合金または金属酸化物を対応する被覆フィルムから放出することによって得ることができる。それらは、5~50nmの範囲の基板プレートの特に薄い厚さと、反射率が増加した特に滑らかな表面によって特徴付けられる。真空で金属化された顔料を含む小基板プレートは、本発明の文脈においては、VMP基板プレートとも呼ばれる。アルミニウムのVMP基板プレートは、例えば、金属化フィルムからアルミニウムを放出することによって得ることができる。
【0177】
金属または金属合金製の小基板プレートは、例えば、陽極酸化(酸化物層)またはクロメート処理によって不動態化できる。
【0178】
コーティングされていない層状、レンズ状、および/または、VPM基板プレート、特に金属または金属合金で作られたものは、入射光を高度に反射し、明暗フロップをつくる。これらは、剤(a)への使用が特に好ましいことが証明されている。
【0179】
層状小基板プレートに基づく適切な顔料には、例えば、Eckart製のVISIONAIREシリーズの顔料が含まれる。
【0180】
レンズ状小基板プレートに基づく顔料は、例えば、Schlenk Metallic PigmentsGmbH社からAlegrace(登録商標)Gorgeousの名称で入手し得る。
【0181】
真空金属化顔料を含む小基板プレートに基づく顔料は、例えば、Schlenk Metlic Pigment GmbH社から、Alegleaces(登録商標)MevelousまたはAllegrace(登録商標)Aurousの名称で入手し得る。
【0182】
さらなる実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、0.001~20重量%、特に0.05~5重量%の総量で、1以上の顔料を含有することを特徴とする。
【0183】
本方法で使用される剤(a)は、発色性化合物として、1以上の直接染料を含んでもよい。直接染料は毛髪に直接付着する染料で、色を形成するための酸化プロセスは必要ない。直接染料は、通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン、トリアリールメタン染料またはインドフェノールである。
【0184】
本発明の意味において、直接染料は、25℃で0.5g/Lより大きい水への溶解度(760mmHg)を有し、したがって顔料とはみなされない。本発明の意味において、直接染料は、25℃で1g/Lより大きい水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0185】
直接染料は、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料および非イオン性直接染料に分類できる。
【0186】
さらに好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が、発色性化合物(a3)として、少なくとも1つのアニオン性、カチオン性および/または非イオン性の直接染料をさらに含むことを特徴とする。
【0187】
好ましいカチオン性直接染料としては、例えば、Basic Blue 7、Basic Blue 26、Basic Violet 2、Basic Violet 14、Basic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 16、Basic Blue 347(Cationic Blue 347 / Dystar)、HC Blue No. 16、Basic Blue 99、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87、Basic Orange 31、Basic Red 51 Basic Red 76が挙げられる。
【0188】
特に、非イオン性直接染料としては、例えば、非イオン性ニトロ染料およびキノン染料ならびに天然アゾ染料を使用できる。適当な非イオン性直接染料は、以下の国際名称または商品名で知られるものである:HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、HC Orange 1、Disperse Orange 3、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、HC Red BN、HC Blue 2、HC Blue 11、HC Blue 12、Disperse Blue 3、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Black 9、および1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2’-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸および2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール。
【0189】
アニオン性直接染料は、酸性染料とも呼ばれる。酸性染料は、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)および/または1つのスルホン酸基(-SO3H)を有する直接染料であると理解される。pH値により、カルボン酸またはスルホン酸基のプロトン化形態(-COOH、-SO3H)は、それらの脱プロトン化形態(-COO-、-SO3
-存在)と平衡状態で存在する。pHの低下に伴い、プロトン化形態の割合は増加する。直接染料がその塩の形態として使用される場合、カルボン酸基またはスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、電気的中性を維持するために、対応する化学量論的に同等のカチオンで中和される。酸性染料は、それらのナトリウム塩および/またはそれらのカリウム塩の形態でも使用され得る。
【0190】
本発明の意味において、酸性染料は、25℃で0.5g/Lより大きい水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料としてみなされない。好ましくは、本発明の意味において、酸性染料は、25℃で1g/Lより大きい水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0191】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)またはアルミニウム塩は、しばしば対応するアルカリ塩よりも低い溶解度を有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L未満(25℃、760mmHg)の場合、それらは直接染料の定義に含まれない。
【0192】
酸性染料の必須の特徴は、アニオン電荷を形成するそれらの能力であり、これを担うカルボン酸基またはスルホン酸基は通常、様々な発色団系に結合している。適当な発色団系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の構造にみられる。
【0193】
例えば、好適な酸性染料として、1以上の化合物が以下の群から選択され得る:Acid Yellow 1(D&C Yellow 7、Citronin A、Ext. D&C Yellow No.7、Japan Yellow 403、CI 10316、COLIPA n°B001)、Acid Yellow 3(COLIPA n°:C54、D&C Yellow N°10、Quinoline Yellow、E104、Food Yellow 13)、Acid Yellow 9(CI 13015)、Acid Yellow 17(CI 18965)、Acid Yellow 23(COLIPA n°C 29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovit Tartrazine 85 E 102(BASF)、Tartrazine、Food Yellow 4、Japan Yellow 4、FD&C Yellow No. 5)、Acid Yellow 36(CI 13065)、Acid Yellow 121(CI 18690)、Acid Orange 6(CI 14270)、Acid Orange 7(2-Naphthol orange、Orange II、CI 15510、D&C Orange 4、COLIPA n°C015)、Acid Orange 10(CI 16230;Orange G ナトリウム塩)、Acid Orange 11(CI 45370)、Acid Orange 15(CI 50120)、Acid Orange 20(CI 14600)、Acid Orange 24(BROWN 1;CI 20170;KATSU201;ナトリウム塩不含有;Brown No.201;RESORCIN BROWN;ACID ORANGE 24;Japan Brown 201;D & C Brown No.1)、Acid Red 14(C.I.14720)、Acid Red 18(E124、Red 18;CI 16255)、Acid Red 27(E 123、CI 16185、C-Rot 46、Echtrot D、FD&C Red Nr.2、Food Red 9、Naphtholrot S)、Acid Red 33(Red 33、Fuchsia Red、D&C Red 33、CI 17200)、Acid Red 35(CI C.I.18065)、Acid Red 51(CI 45430、Pyrosin B、Tetraiodfluorescein、Eosin J、Iodeosin)、Acid Red 52(CI 45100、Food Red 106、Solar Rhodamine B、Acid Rhodamine B、Red n°106 Pontacyl Brilliant Pink)、Acid Red 73(CI 27290)、Acid Red 87(Eosin、CI 45380)、Acid Red 92(COLIPA n°C 53、CI 45410)、Acid Red 95(CI 45425、Erythtosine,Simacid Erythrosine Y)、Acid Red 184(CI 15685)、Acid Red 195、Acid Violet 43(Jarocol Violet 43、Ext.D&C Violet n°2、C.I. 60730、COLIPA n°C063)、Acid Violet 49(CI 42640)、Acid Violet 50(CI 50325)、Acid Blue 1(Patent Blue、CI 42045)、Acid Blue 3(Patent Blau V、CI 42051)、Acid Blue 7(CI 42080)、Acid Blue 104(CI 42735)、Acid Blue 9(E 133、Patentblau AE、Amido blue AE、Erioglaucin A、CI 42090、C.I.Food Blue 2)、Acid Blue 62(CI 62045)、Acid Blue 74(E 132、CI 73015)、Acid Blue 80(CI 61585)、Acid Green 3(CI 42085、Foodgreen1)、Acid Green 5(CI 42095)、Acid Green 9(CI 42100)、Acid Green 22(C.I.42170)、Acid Green 25(CI 61570、Japan Green 201、D&C Green No.5)、Acid Green 50(Brilliant Acid Green BS、CI 44090、Acid Brilliant Green BS、E 142)、Acid Black 1(Black n°401、Naphthalene Black 10B、Amido Black 10B、CI 20 470、COLIPA n°B15)、Acid Black 52(CI 15711)、Food Yellow 8(CI 14270)、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2および/またはD&C Brown 1。
【0194】
例えば、アニオン性直接染料の水溶性は、以下の方法で測定できる。例えば、0.1gのアニオン性直接染料をビーカーに添加する。撹拌子を加える。次いで、100mlの水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で25℃に加熱する。混合物を60分間撹拌する。次いで、水性混合物を目視で評価する。未溶解残留物がまだ存在する場合、例えば10mL刻みで、水の量を増やす。使用した染料の量が完全に溶解するまで水を加える。染料の強度が高いために、染料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解染料の一部がろ紙上に残留する場合は、より多くの水を用いて溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン性直接染料が25℃で100mLの水に溶解した場合、その染料の溶解度は1g/Lである。
【0195】
Acid Yellow 1は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、少なくとも40g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
【0196】
Acid Yellow 3は、2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸およびジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、20g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
【0197】
Acid Yellow 9は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より大きい。
【0198】
Acid Yellow 23は、4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃の水に容易に溶解できる。
【0199】
Acid Orange 7は、4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。その水への溶解度は、7g/L(25℃)より大きい。
【0200】
Acid Red 18は、7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホネートの三ナトリウム塩であり、20重量%より大きい非常に高い水溶性を有する。
【0201】
Acid Red 33は、5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホネートの二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2.5g/L(25℃)である。
【0202】
Acid Red 92は、3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より大きい。
【0203】
Acid Blue 9は、2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホネートの二ナトリウム塩であり、20重量%(25℃)より大きい水への溶解度を有する。
【0204】
直接染料、特にアニオン性直接染料は、所望の着色強度に応じて、剤(a)中に異なる量で使用できる。剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、総量で0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の1以上の直接染料(a3)を含む場合に良好な結果が得られた。
【0205】
<剤(a)中の化粧品媒体(a4)>
剤(a)は、特に好ましくは化粧品用担体中に有機シラン(a2)および発色性化合物(a3)を含む。剤(a)は低含水か無水であるため、この化粧品用担体は水ではない。特に好適な化粧品用担体は、例えば、ポリ-C1-C6アルキレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノール、およびベンジルアルコールの群からの化合物である。ここでは、ポリ-C1-C6アルキレングリコール、特にポリエチレングリコールが特に優れた適性を有する。
【0206】
さらなる特に好ましい実施形態の範囲内において、本発明による方法は、剤(a)が、ポリ-C1-C6アルキレングリコール、1、2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールからなる群からの、非常に特に好ましくはポリエチレングリコールである少なくとも1つの化粧品用担体(a4)を含む。。
【0207】
あるいは、1,2-プロピレングリコールは1,2-プロパンジオールとしても使用され、CAS番号57-55-6[(RS)-1,2-ジヒドロキシプロパン]、4254-14-2[(R)-1,2-ジヒドロキシプロパン]、4254-153[(S)-1,2-ジヒドロキシプロパン]を有する。エチレングリコールは1,2-エタンジオールとも呼ばれ、CAS番号は107-21-1である。グリセロールは1,2,3-プロパントリオールとも呼ばれ、CAS番号は56-81-5である。フェノキシエタノールはCAS番号122-99-6である。
【0208】
上記の溶媒はすべて、AldrichやFlukaなどの様々な化学薬品メーカーから市販されている。
【0209】
特に適した溶液は、式(AG)のアルキレングリコールである。
[式中、
xは、1~10,000の整数、好ましくは2~800の整数、さらに好ましくは3~600の整数、さらに好ましくは3~400の整数、非常に特に好ましくは4~200の整数を表す。]
【0210】
従って、さらなる非常に特に好ましい実施態様において、本発明の方法は、剤(a)が式(AG)で示される1以上のアルキレングリコール(a4)を含むことを特徴とする。
[式中、
xは、1~10,000の整数、好ましくは2~800の整数、さらに好ましくは3~600の整数、さらに好ましくは3~400の整数、非常に特に好ましくは4~200の整数を表す。]
【0211】
式(AG)のアルキレングリコールは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するプロトン性物質であり、その繰り返し単位-CH2-CH2-O-に基づいて、xが少なくとも2の値を表す場合、ポリアルキレングリコールまたはポリエチレングリコールとも呼ばれる。式(AG)のアルキレングリコールにおいて、xは1~10,000の整数を表す。本発明に至る研究の中で、これらのポリエチレングリコールが、一方では着色剤の堅牢度特性を改善し、他方では剤の粘度を最適に調整するため、特に優れた適性を示すことが見出された。
【0212】
ポリエチレングリコールはそれらの鎖長により、液体または固体の水溶性ポリマーである。分子量が200g/mol~400g/molのポリエチレングリコールは、室温で不揮発性の液体である。PEG 600の融点は17~22℃であり、ペースト状稠度である。分子量が3,000g/molを超えるPEGは固形物質であり、フレークや粉末として市販されている。
【0213】
とりわけ、低分子量のアルキレングリコール(またはポリエチレングリコール)の使用は、本発明による目的を達成するのに適していることが証明されている。本発明の意味において、低分子量のアルキレングリコール(またはポリエチレングリコール)の場合、xは1~100の整数、好ましくは1~80の整数、さらに好ましくは2~60の整数、さらに好ましくは3~40の整数、さらに好ましくは4~20の整数、非常に特に好ましくは6~15の整数を表す。
【0214】
さらに非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、式(AG-1)で示される少なくとも1つのアルキレングリコール(a4)を含むことを特徴とする。
[式中、
x1は、1~100の整数、好ましくは1~80の整数、さらに好ましくは2~60の整数、さらに好ましくは3~40の整数、さらに好ましくは4~20の整数、非常に特に好ましくは6~15の整数を表す。]
【0215】
特に好ましい低分子量ポリエチレングリコールは、例えばPEG 8である。PEG-8は、平均8個のエチレングリコール単位(x1=8)からなり、平均分子量は400g/molで、CAS番号は25322-68-3である。PEG-8はPEG400としても知られ、例えばAPS社から市販されている。
【0216】
さらに適切な低分子量ポリエチレングリコールは、例えばPEG-6、PEG-7、PEG-9、およびPEG-10である。
【0217】
別の好適なポリエチレングリコールは、例えばPEG-32である。PEG-32は、32個のエチレングリコール単位(x1=32)からなり、平均分子量は1,500g/molで、CAS番号は25322-68-3である。PEG-32はPEG1500でもあり、例えばClariant社から市販されている。
【0218】
さらに、高分子量ポリエチレングリコールの使用も、本発明による目的を達成するのに適していることが証明されている。
【0219】
本発明の意味において、高分子量ポリエチレングリコールは、式(AG-2)で表すことができ、指数x2は101~10000の整数を表す。
【0220】
非常に特に好適な高分子量ポリエチレングリコールでは、x2は101~1,000の整数、好ましくは105~800の整数、さらに好ましくは107~600の整数、さらに好ましくは109~400の整数、非常に特に好ましくは110~200の整数を表す。
【0221】
さらに非常に特に好ましい実施形態において、本発明における剤は、式(AG-2)の少なくとも1つのアルキレングリコール(a4)を含むことを特徴とする。
[式中、
x2は、101~1,000の整数、好ましくは105~800の整数、さらに好ましくは107~600の整数、さらに好ましくは109~400の整数、非常に特に好ましくは110~200の整数を表す。]
【0222】
特に好適な高分子量ポリエチレングリコールは、例えば、National Starch社(中国)から市販されているPEG 6000である。PEG 6000の分子量は6,000~7,500g/molであり、x2値は136~171に相当する。
【0223】
別の好適なポリエチレングリコールはPEG 12000であり、これは例えばCG Chemikalien社からポリエチレングリコール12000S(またはPEG 12000S)という商品名で市販されている。PEG12000の分子量は10,500~15,000g/molと特定されており、これは238~341のx2値に相当する。
【0224】
別の好適なポリエチレングリコールはPEG 20000であり、Clariant社から商品名「Polyglycol 20000P」または代替名「PEG-350」で市販されている。PEG 20000について、平均分子量が20,000g/molに特定される場合、これはx2値454に相当する。
【0225】
好ましくは、剤(a)は先に記載した化粧品用担体(a4)を、剤(a)の総重量に対して総量で、10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、さらに好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%含有する。
【0226】
さらなる非常に特に好ましい実施形態の範囲内において、本発明の方法は、剤(a)が1以上の化粧品用担体(a4)の成分を、剤(a)の総重量に対して総量で、10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、さらに好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%含むことを特徴とする。
【0227】
さらなる特に好ましい実施形態の範囲内において、本発明のる方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、ポリ-C1-C6アルキレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノール、およびベンジルアルコールからなる群から選択される1以上の成分(a4)を総量で10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、さらに好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%含むことを特徴とする。
【0228】
さらなる、明示的に非常に特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、さらに好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%の総量で、式(AG)で示される1以上のアルキレングリコール(a4)を含むことを特徴とする。
【0229】
(a1)、(a2)、(a3)、場合によっては(a4)の群から、剤(a)中に存在するすべての成分の合計は100重量%以下であると理解される。さらに任意成分を使用する場合は、前述の成分の合計が100重量%未満になるように、対応する程度まで低減される。
【0230】
<工程(2)、ケラチン物質に剤(b)を塗布する>
本発明による方法の第2工程では、剤(b)を、剤(a)が付着した状態のケラチン物質または毛髪に適用する。工程(2)は工程(1)の後、すなわち、剤(a)がケラチン物質に完全に塗布された後に剤(b)が塗布される。2つの剤(a)と剤(b)の連続的な塗布は、1時間以内、好ましくは30分以内に行われる。剤(b)は、特に好ましくは、ケラチン物質に剤(a)を塗布した後、10分以内、非常に特に好ましくは5分以内に塗布される。10分以内の剤(b)の塗布とは、ケラチン物質への剤(a)の塗布が完了してから10分以内の時間内に剤(b)の塗布を開始することを意味する。
【0231】
さらなる特に好ましい実施形態において、本発明による方法は、剤(a)の塗布後、10分以内、好ましくは5分以内に剤(b)を塗布することを特徴とする。
【0232】
剤(b)を塗布することにより、剤(a)と剤(b)の混合物が、剤(a)が付着したケラチン物質の箇所に生成される。剤(b)は規定量の水(b1)を含み、その結果、ケラチン物質(a2)上に存在するシランがオリゴマー化または重合反応を起こし、着色皮膜が形成される。従って、本発明の方法においては、着色すべきケラチン物質のすべての部位に剤(a)と(b)の混合物を形成することが不可欠である。
【0233】
剤(a)と(b)を混合することにより、2つの剤が乳化され、シラン(a2)と重合を開始する量の水(b1)が互いに直接接触する。混合は、例えば、手袋をはめた手で2つの剤をケラチン物質に揉みこむまたは作用させることによって、手動で行うことができる。
【0234】
さらなる特に好ましい実施形態において、本発明による方法は、
(2)剤(a)が付着した状態のケラチン物質に剤(b)を塗布し、2つの剤(a)と(b)を手動で混合することにより、ケラチン物質上に2つの剤(a)と(b)の混合物を生成する、ことを特徴とする。
【0235】
剤(b)に含まれる水が重合を開始する。この目的のため、特に好ましくは、剤(b)中の水分量を一定の値に設定する。これに関して、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して10~100重量%、好ましくは30~99.5重量%、さらに好ましくは50~99重量%、非常に特に好ましくは80~99重量%の水を有すると特に有利であることが見出された。
【0236】
さらなる特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して、10~100重量%、好ましくは30~99.5重量%、さらに好ましくは50~99重量%、非常に特に好ましくは80~99重量%の水を含むことを特徴とする。
【0237】
<剤(b)中の増粘剤>
剤(a)と(b)の十分に高い混和性を確保し、塗布後に剤(b)がケラチン物質や毛髪から垂れ落ちないようにするために、剤(b)はさらに増粘剤を含んでいてもよい。
【0238】
さらなる特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(b)が少なくとも1つの増粘剤を含むことを特徴とする。
【0239】
好適な増粘剤としては、例えば、化学修飾セルロース、例えば、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、スルホエチルセルロース、カルボキシメチルスルホエチルセルロース、ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース、ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、メチルスルホエチルセルロース、および/またはエチルスルホエチルセルロースなどが挙げられる。
【0240】
好ましい実施形態において、ケラチン物質を着色する方法は、剤(b)が、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、スルホエチルセルロース、カルボキシメチルスルホエチルセルロース、ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース、ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、メチルスルホエチルセルロース、エチルスルホエチルセルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される増粘剤をさらに含むことを特徴とする
【0241】
特に好適な増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびそれらの混合物から選択される。
【0242】
さらなる適切な増粘剤には、ガラクトマンナンが含まれる。好ましいガラクトマンナンには、INCI名称がCyamopsis tetragonolobaガム(グアーガム)であるガラクトマンナン、INCI名称がCeratonia siliqua(キャロブ)ガム(ローカストビーンガム)であるガラクトマンナン、INCI名称がCassiaガムであるガラクトマンナン、およびINCI名称がCaesalpinia Spinosaガム(タラガム)であるガラクトマンナンが含まれる。
【0243】
従って、ケラチン物質を着色する方法は、剤(b)が、INCI名称Cyamopsis tetragonoloba Gum(グアーガム)であるガラクトマンナン、INCI名称がCeratonia Siliqua(キャロブ)ガム(ローカストビーンガム)であるガラクトマンナン、INCI名称がCassiaガムであるガラクトマンナン、およびINCI名称がCaesalpinia Spinosaガム(タラガム)であるガラクトマンナンからなる群から選択される少なくとも1つのガラクトマンナンをさらに含むことが特に好ましい。特に好ましい実施形態において、ガラクトマンナンは、INCI名称がCaesalpinia Spinosaガム(タラガム)であるガラクトマンナンを含む。
【0244】
増粘剤の量は、いずれの場合も、剤(b)の総量に対して、好ましくは0.1~10重量%である。
【0245】
<剤(a)および(b)のさらなる成分>
上記の剤(a)および(b)は、さらに1つ以上の任意成分を含んでいてよい。
【0246】
剤(a)において任意に使用し得る化粧品成分は、剤にさらなるプラスの特性を付与するための、すべての適切な成分であり得る。例えば、非イオン性、カチオン性、アニオン性、または双性イオン/両性界面活性剤の群からの表面活性性を有する1以上の化合物を、剤(a)および/または(b)にさらに含有させることができる。
【0247】
剤はまた、他の有効成分、助剤および添加剤、例えば溶剤、脂肪成分、例えばC8-C30脂肪酸トリグリセリド、C8-C30脂肪酸モノグリセリド、C8-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素;グルコース、マレイン酸および乳酸などの構造化剤、リン脂質、例えばレシチンおよびセファリンなどのヘアコンディショニング化合物;香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン、繊維構造改質剤、特に単糖、二糖およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、果糖およびラクトース;剤を着色するための染料;ピロクトンオラミン、亜鉛オマジンおよびクリンバゾールなどの抗フケ活性成分;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物性および/または植物性タンパク質加水分解物、ならびにそれらの脂肪酸縮合物の形態、または任意にアニオン性もしくはカチオン性変性誘導体;植物系油、光安定剤および紫外線遮断剤;パンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびそれらの塩、ビサボロールなどの活性成分;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボン、フラボノールなど;セラミドまたは擬セラミド;ビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体;植物抽出物;脂肪アルコール、ミツロウ、モンタンワックス、パラフィンなどの脂肪およびワックス類;グリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、炭酸塩、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、第一、第二、第三リン酸塩などの膨潤剤および浸透剤;ラテックス、スチレン/PVP、スチレン/アクリルアミドコポリマーなどの不透明化剤;エチレングリコールモノ-およびジステアレート、並びにPEG-3-ジステアレートなどの真珠光沢剤;プロパン-ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2および空気などの推進剤、を含んでいてよい。
【0248】
これらの追加物質の選択は、剤の所望の特性に応じて当業者によって行われる。他の任意成分および当該成分の採用量に関しては、当業者に公知の参照ブックが明示的に参照される。追加の活性成分および助剤は、本発明の調製物において、それぞれの場合においてその剤の総重量に基づき、好ましくは0.0001~25重量%、特に0.0005~15重量%の量で用いられる。
【0249】
<工程(3)、剤(a)と(b)の両方をケラチン物質に作用させる>
剤(a)と(b)を互いに混合した後、その混合物を、両剤の混合物が付着しているケラチン物質のすべての部分に作用させる。
【0250】
2つの剤(a)および(b)の混合により、剤(a)に含まれるシラン(a2)は、剤(b)に含まれる規定量の水(b1)と接触し、シラン(a2)の加水分解およびオリゴマー化または重合が開始される。このようにして、両剤(a)と(b)の混合物で湿潤されたケラチン物質の正確な位置に、コーティングまたは皮膜が形成される。加水分解または重合の程度および速度は、ここでは毛髪上のシランの量(a2)と水の量(b1)との比率によって決定される。(a2)と(b1)の量的比、すなわち量的比(a2)/(b)1)が小さいほど、一定量のシランに対して利用可能な水の量が多くなり、重合がより速く、より広範囲に進行する。量的比率(a2)/(b1)は、ケラチン物質または毛髪にそれぞれ適用される両剤(a)および(b)の量によって決定される。さらなる要因は、剤(a)中のシラン(a2)濃度と剤(b)中の水濃度である。これに関連して、剤(a)中に存在する有機ケイ素化合物(a2)の総量と、剤(b)中に含まれる水(b1)の量との重量比、すなわち、(a2)/(b1)の重量比が、1:100~1:1、好ましくは1:70~1:2、より好ましくは1:70~1:5、極めて特に好ましくは1:70~1:10である場合、オリゴマー化または重合が、適用に最適な速度に調整され得ることが見出された。
【0251】
換言すれば、剤(a)および(b)の量、ならびに2つの剤中のシラン(a2)および水(b1)の濃度の両方が、シラン(a2)および水(b1)がケラチン物質上に1:100~1:1、好ましくは1:70~1:2、より好ましくは1:70~1:5、非常に特に好ましくは1:70~1:10である場合に、ケラチン物質上に特に均一で耐性のある被膜を生成できた。
【0252】
ここで、重量比(a2)/(b1)が1:70~1:10とは、剤(a)に由来するシラン類(a2)の総量に対して、剤(b)に由来する水(b1)が10倍~70倍の過剰重量となるように適用されることを意味する。
【0253】
<例>
40gの剤(a)を被験者の毛髪に塗布し、剤(a)を毛髪全体に短時間揉みこむ。
【0254】
剤(a)は以下を含む。
1.0重量%の水(a1)(または水と酸の混合物、または水とアルカリ溶液の混合物)、
3.0重量%の3-(アミノプロピル)トリエトキシシラン(a2)、
6.0重量%のメチルトリエトキシシラン(a2)、
1.0重量%の顔料(例えば、Unipure Red LC3079)、
89重量%のポリエチレングリコール(例えばPEG-8)。
【0255】
剤(a)に含まれるシラン(a2)の総量は3.6g、すなわち1.2gの3-(アミノプロピル)-トリエトキシシランおよび2.4gのメチルトリエトキシシランである。
【0256】
剤(a)を塗布した後、100gの剤(b)を塗布する。剤(b)は、含水量99重量%の増粘水溶液である。剤(b)も同様に、被験者の頭部全体に均一に分布している。
【0257】
剤(b)の塗布後、毛髪を指で1分間強く揉みこみ、剤(a)と剤(b)とを互いに完全に混合させる。
【0258】
剤(b)には99gの水(b1)が存在する。
【0259】
なお、剤(a)に含まれる有機ケイ素化合物(a2)の合計量と剤(b)に含まれる水(b1)の量との重量比、すなわち重量比(a2)/(b1)は、3.6:99=1:27.5である。
【0260】
明示的に非常に特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤(a)中に含まれる有機ケイ素化合物(a2)の総量と、剤(b)中に含まれる水(b1)の量との重量比、すなわち重量比(a2)/(b1)が、1:100~1:1、好ましくは1:70~1:2、より好ましくは1:70~1:5、非常に特に好ましくは1:70~1:10の値であることを特徴とする。
【0261】
2つの剤(a)と剤(b)とを混合した後、両剤を混合物のかたちでケラチン物質に作用させる。好ましくは、剤(a)および(b)の両方を、ケラチン物質、特にヒトの毛髪に、10秒~30分、好ましくは30秒~20分、より好ましくは1分~15分、最も好ましくは5分~10分間一緒に作用させる。
【0262】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による方法は、
(2)2つの剤(a)および(b)を10秒~30分間、好ましくは30秒~20分間、より好ましくは1分~15分間、最も好ましくは5分~10分間、ケラチン物質に一緒に作用させること、を特徴とする。
【0263】
<工程(4)、剤(a)および(b)の両剤をすすぎ流す>
この発明につながる実験は、本方法の工程(3)における暴露時間の経過後、特に高い均一性によって区別される着色被膜が形成されることを示している。全頭塗布の形態で毛髪に使用すると、頭髪全体を均一な着色結果で着色できた。2つの剤(a)および(b)の作用後、それらをケラチン物質から再びすすぎ流すか、毛髪からすすぎ流す。
【0264】
したがって、本発明による方法の工程(4)は、剤(a)と(b)の両方をすすぐことを含む。2つの剤(a)および(b)は、好ましくは流水ですすぎ流す。
【0265】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は、
(3)剤(a)および(b)の両剤を流水ですすぎ流すこと、を特徴とする。
【実施例】
【0266】
以下の調製物を調製した(特に断りのない限り、数値はすべて重量%である)。
【0267】
【0268】
【0269】
5束の毛髪(カーリング・ナチュラル・ホワイト)を流水で湿らせ、ハンドタオルで30秒間こすり乾かした。次いで、タオルドライしたすべての毛束に剤(a)を塗布した(毛束1つあたり0.4gの剤(a))。剤(a)を30秒間、全毛束に揉みこんだ。その直後、毛束に剤(b)を塗布した(毛束1つあたり1.0gの剤(b))。各毛束を30秒間揉みこみ、剤(a)および剤(b)の混合物を形成した。
【0270】
0.036gのシラン(a2)が毛髪に適用された。
【0271】
0.99gの水(b1)が毛髪に適用された。
【0272】
重量比(a2)/(b1)は、0.036:0.99=1:27.5であった。
【0273】
剤(a)および(b)の混合物を5分間、毛束に作用させた。その後、毛束を流水で洗い流し、乾燥させた。均一で強い着色が得られた。この方法において、5つすべての毛束が同じ赤色を呈し、同じように高い色彩強度を有していた。
【0274】
<比較>
5つの毛束(カーリング・ナチュラル・ホワイト)を流水で湿らせ、ハンドタオルで30秒間こすり乾かした。次いで、40gの剤(a)を100gの剤(b)と混合した。この混合液を5つの毛束に塗布した(それぞれの場合、毛束1つあたり1.4gの塗布混合液)。毛束をそれぞれ30秒間揉みこんだ。その後、塗布混合物を全ての毛束にそれぞれ5分間作用させた。その後、毛束を流水で洗い流し、乾燥させた。全ての毛束は赤く染色された。しかし、剤(a)と(b)の混合物により最初に着色された毛束は、最後に処理された毛束よりも高い色強度を有していた。
【国際調査報告】