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特表2024-531792イソキノリン化合物を含む殺有害生物混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】イソキノリン化合物を含む殺有害生物混合物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/80 20060101AFI20240822BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 43/78 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 53/06 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 53/08 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 43/36 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 45/00 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 37/22 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 43/50 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 43/88 20060101ALI20240822BHJP
   A01N 37/28 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A01N43/80 101
A01P7/04
A01N43/78 Z
A01N53/06 150
A01N53/08 125
A01N53/08 120
A01N43/40 101A
A01N43/36 Z
A01N45/00
A01N43/36 C
A01N37/22 101
A01N43/56 D
A01N43/56 C
A01N43/50 Z
A01N43/40 101C
A01N43/88 101
A01N37/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517074
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2022075211
(87)【国際公開番号】W WO2023046505
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198335.8
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ケルバー,カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ランゲヴァルト,ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC01
4H011BA06
4H011BB06
4H011BB09
4H011BB10
4H011BB15
(57)【要約】
殺有害生物混合物であって、活性化合物として、1)式I:[式中、Rは、CH-ピリミジン-2又はシクロプロピルである]の少なくとも1つのイソキノリン化合物Aと、2)エチプロール及びフィプロニル;アルファ-シペルメトリン、ビフェントリン、シフルトリン、エトフェンプロックス、ラムダ-シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、デルタメトリン;チアメトキサム、イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリド、チアクロプリド、ジノテフラン、ニテンピラム、スルホキサフロル、フルピラジフロン、トリフルメゾピリム;スピノサド、スピネトラム;アバメクチン、エマメクチンベンゾエート;ピリプロキシフェン;ピメトロジン、アフィドピロペン;クロルフェナピル;テフルベンズロン;ブプロフェジン;メトキシフェノジド;インドキサカルブ;スピロテトラマト、スピロピジオン、スピドキサマト;クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、シハロジアミド、シクラリニプロール、フルベンジアミド、テトラクロラントラニリプロール、テトラニリプロール;フロニカミド;ブロフラニリド;ジクロロメゾチアズ、ジムプロピリダズ、フルピリミン、及びオキサゾスルフィルから選択される少なくとも1つの更なる化合物Bと、を含む殺有害生物混合物;植物中及び植物上の昆虫、クモ形類、又は線虫などの無脊椎有害生物を駆除するための、並びに有害生物に寄生された植物などを保護するため、また、特に種子などの植物繁殖材料を保護するための方法並びにこれらの混合物の使用。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺有害生物混合物であって、活性成分として、
1)式I:
【化1】
[式中、
Rは、CH-ピリミジン-2又はシクロプロピルである]の少なくとも1つのイソキノリン化合物Aと;
B)
1)M.2 GABAゲートクロリドチャネル拮抗剤:エチプロール及びフィプロニル;
2)M.3 ピレスロイド:アルファ-シペルメトリン、ビフェントリン、シフルトリン、エトフェンプロックス、ラムダ-シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、及びデルタメトリン;
3)nAChR作動薬:チアメトキサム、イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリド、チアクロプリド、ジノテフラン、ニテンピラム、スルホキサフロル、フルピラジフロン、及びトリフルメゾピリム;
4)スピノシン:スピノサド及びスピネトラム;
5)M.6 アベルメクチン:アバメクチン、及びエマメクチンベンゾエート;
6)M.7 幼若ホルモンアナログピリプロキシフェン;
7)M.9 ピメトロジン及びアフィドピロペン;
8)M.13 プロトン勾配の破壊を介した酸化的リン酸化の脱共役剤:クロルフェナピル;
9)M.15キチン生合成0型の阻害剤:テフルベンズロン;
10)M.16キチン生合成1型の阻害剤:ブプロフェジン;
11)M.18 エクダイソン受容体作動薬:メトキシフェノジド;
12)M.22 電位依存性ナトリウムチャネル遮断薬:インドキサカルブ;
13)M.23 アセチルCoAカルボキシラーゼの阻害剤:スピロテトラマト、スピロピジオン、及びスピドキサマト;
14)M.28 ライアノジン受容体調節薬:クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、シハロジアミド、シクラリニプロール、フルベンジアミド、テトタクロラントラニリプロール、及びテトラニリプロール;
15)M.29:弦音器官調節剤:フロニカミド;
16)M.30:ブロフラニリド;
17)M.UN.作用機序未知:ジクロロメゾチアズ、ジムプロピリダズ、フルピリミン、及びオキサゾスルフィル;
から選択される少なくとも1つの更なる化合物Bと、を含み、
成分A及び成分Bが、1000:1~1:1000の重量比で存在する、殺有害生物混合物。
【請求項2】
化合物Aが、化合物I-1:
(I-1):5-[(5S)-5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]-N-(ピリミジン-2-イルメチル)イソキノリン-8-カルボキサミドである、請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
1つの化合物Aと、1つの化合物Bと、を含む請求項1又は2に記載の混合物。
【請求項4】
成分2)が、アルファ-シペルメトリン、ビフェントリン、シフルトリン、エトフェンプロックス、ラムダ-シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、及びデルタメトリンから選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項5】
成分2)が、アルファ-シペルメトリン、ビフェントリン、シフルトリン、及びラムダ-シハロトリンから選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項6】
成分2)が、チアメトキサム、イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリド、チアクロプリド、ジノテフラン、スルホキサフロル、フルピラジフロン、及びトリフルメゾピリムの化合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項7】
成分2)が、チアメトキサム、イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリド、チアクロプリド、及びトリフルメゾピリムの化合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項8】
成分2)が、スピノサド及びスピネトラムの化合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項9】
成分2)が、スピネトラムである、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項10】
成分2)が、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、及びテトラニリプロールの化合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項11】
成分2)が、クロラントラニリプロール、及びシアントラニリプロールの化合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項12】
成分2)が、フィプロニル、スピネトラム、クロルフェナピル、テフルベンズロン、メトキシフェノジド、インドキサカルブ、スピロテトラマト、ブロフラニリド、及びジムプロピリダズの化合物から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項13】
前記化合物A及び前記活性化合物Bを、25:1~1:25の重量比で含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の殺有害生物混合物と、少なくとも1つの不活性液体及び/又は固体担体と、を含む組成物。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の殺有害生物混合物と、少なくとも1つの不活性液体及び/又は固体の許容される担体と、必要に応じて少なくとも1つの界面活性剤と、を含む動物有害生物を駆除するための農業用組成物。
【請求項16】
無脊椎有害生物を駆除又は防除するための方法であって、前記有害生物又はその食餌供給源、生息地若しくは繁殖地を、殺有害生物有効量の、請求項1~13のいずれか1項に記載の殺有害生物混合物と接触させることを含む方法。
【請求項17】
生育中植物又は植物繁殖材料を無脊椎有害生物による攻撃又は寄生から保護するための方法であって、植物、植物繁殖材料、又は前記植物が生育している土壌若しくは水を、殺有害生物有効量の、請求項1~13のいずれか1項に記載の殺有害生物混合物と接触させることを含む方法。
【請求項18】
生育中植物又は植物繁殖材料を無脊椎有害生物による攻撃又は寄生から保護するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の殺有害生物混合物の使用。
【請求項19】
動物内及び動物上の寄生生物を駆除するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の殺有害生物混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺有害生物混合物であって、活性化合物として、少なくとも1つのイソキノリン化合物と、少なくとも1つの更なる殺有害生物剤と、を含む殺有害生物混合物に関する。更に、本発明は、上記混合物を施用する方法に関する。
【0002】
したがって、本発明は、殺有害生物混合物であって、活性化合物として、
A)式I:
【化1】
[式中、
Rは、CH-ピリミジン-2又はシクロプロピルである]の化合物から選択される少なくとも1つのイソキノリン化合物Aと;
B)
1)M.2 GABAゲートクロリドチャネル拮抗剤:エチプロール及びフィプロニル;
2)M.3 ピレスロイド:アルファ-シペルメトリン、ビフェントリン、シフルトリン、エトフェンプロックス、ラムダ-シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、及びデルタメトリン;
3)nAChR作動薬:チアメトキサム、イミダクロプリド、クロチアニジン、アセタミプリド、チアクロプリド、ジノテフラン、ニテンピラム、スルホキサフロル、フルピラジフロン、及びトリフルメゾピリム;
4)スピノシン:スピノサド及びスピネトラム;
5)M.6 アベルメクチン:アバメクチン、及びエマメクチンベンゾエート;
6)M.7 幼若ホルモンアナログピリプロキシフェン;
7)M.9 ピメトロジン及びアフィドピロペン;
8)M.13 プロトン勾配の破壊を介した酸化的リン酸化の脱共役剤:クロルフェナピル;
9)M.15 キチン生合成0型の阻害剤:テフルベンズロン;
10)M.16 キチン生合成1型の阻害剤:ブプロフェジン;
11)M.18 エクダイソン受容体作動薬:メトキシフェノジド;
12)M.22 電位依存性ナトリウムチャネル遮断薬:インドキサカルブ;
13)M.23 アセチルCoAカルボキシラーゼの阻害剤:スピロテトラマト、スピロピジオン、及びスピドキサマト;
14)M.28 ライアノジン受容体調節薬:クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、シハロジアミド、シクラリニプロール、フルベンジアミド、テトタクロラントラニリプロール、及びテトラニリプロール;
15)M.29:弦音器官調節剤:フロニカミド;
16)M.30:ブロフラニリド;
17)M.UN.作用機序未知:ジクロロメゾチアズ、ジムプロピリダズ、フルピリミン、及びオキサゾスルフィル;
から選択される少なくとも1つの更なる化合物Bと、を含み、
成分A及び成分Bが、1000:1~1:1000の重量比で存在する、殺有害生物混合物に関する。
【0003】
有害生物防除の分野において生じる1つの典型的な問題は、有効な有害生物防除を依然として可能にしながら、好ましくない環境的又は毒物学的影響を低減又は回避するために有効成分の投与量率を低減する必要性にある。遭遇する別の問題は、広域スペクトルの有害生物に対して有効な利用可能な有害生物防除剤を入手する必要性に関するものである。
【0004】
殺有害生物剤の使用に関する別の困難は、個々の殺有害生物化合物を繰り返し独占的に施用すると、多くの場合、問題の活性化合物に対して自然又は適応した抵抗性を獲得した有害生物が急速に選択されることである。したがって、抵抗性を予防又は克服するのに役立つ有害生物防除剤が必要とされている。
【0005】
国際公開第2020/055955号パンフレットは、式Iのイソオキサゾリン化合物について記載している。これらの化合物は、無脊椎有害生物を駆除するのに有用であると述べられている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、投与量率の低減、活性スペクトルの増強、又はノックダウン活性と長期防除若しくは抵抗性管理との組み合わせなど、議論されている問題の少なくとも1つを解決する殺有害生物混合物及び/又は化合物を提供することである。
【0007】
これらの目的のうちの少なくとも1つは、最初に定義した活性化合物の組み合わせによって達成されるということが見出された。
【0008】
更に、1つ以上の活性化合物A及び1つ以上の活性化合物Bを同時に、即ち共同若しくは別々に施用すること、又は1つ以上の活性化合物A及び1つ以上の活性化合物Bを連続施用することにより、個々の化合物で可能である防除率と比較して有害生物の防除を強化することができることもまた見出された。
【0009】
更に、本発明は、
- 本明細書に定義される殺有害生物混合物と、少なくとも1つの不活性液体及び/又は固体の許容される担体と、を含む組成物;
- 本明細書に定義される殺有害生物混合物と、少なくとも1つの不活性液体及び/又は固体の許容される担体と、を含む農業用組成物;
- 無脊椎有害生物を駆除又は防除するための方法であって、上記有害生物又はその食餌供給源、生息地、繁殖地を、殺有害生物有効量の、本明細書に定義される殺有害生物混合物と接触させることを含む方法;
- 植物を無脊椎有害生物による攻撃又は寄生から保護する方法であって、植物、植物繁殖材料、又は植物が生育している土壌若しくは水を、殺有害生物有効量の、本明細書に定義される殺有害生物混合物と接触させることを含む方法;
- 種子100kg当たり0.1g~10kgの量の本明細書に定義される殺有害生物混合物を含む植物繁殖材料;
- 植物繁殖材料を保護するための方法であって、植物繁殖材料を、植物繁殖材料100kg当たり0.1g~10kgの量の、本明細書に定義される殺有害生物混合物と接触させることを含む方法;
- 生育中植物又は植物繁殖材料を無脊椎有害生物による攻撃又は寄生から保護するための、本明細書に定義される殺有害生物混合物の使用;
- 植物病原性有害真菌を防除するための方法であって、真菌、その生息地又は真菌の攻撃から保護すべき植物、土壌又は種子を、本明細書に定義される少なくとも1つの化合物Aと、本明細書に定義される少なくとも1つの特定の化合物Bと、を含む有効量の殺有害生物混合物で処理する方法;
- 植物を植物病原性有害真菌から保護するための方法であって、真菌、その生息地又は真菌の攻撃から保護すべき植物、土壌又は種子を、本明細書に定義される少なくとも1つの化合物Aと、本明細書に定義される少なくとも1つの特定の化合物Bと、を含む有効量の殺有害生物混合物で処理する方法;
- 動物を寄生生物による寄生及び感染から保護するための方法であって、動物に、寄生生物に有効な量の、本明細書に定義される殺有害生物混合物を投与することを含む方法;
- 寄生生物により寄生された及び感染した動物を処置するための方法であって、動物に、本明細書に定義される寄生生物に有効な量の殺有害生物混合物をそれを必要とする動物に投与することを含む方法;並びに
- 動物内及び動物上の寄生生物を駆除するための、本明細書に定義される殺有害生物混合物の使用
に関する。
【0010】
本発明による混合物は、少なくとも1つの化合物Aと、少なくとも1つの化合物Bと、の物理的混合物であってもよい。したがって、本発明はまた、少なくとも1つの化合物Aと、少なくとも1つの化合物Bと、を含む混合物を提供する。しかしながら、組成物はまた、少なくとも1つの化合物Aと少なくとも1つの化合物Bとの任意の組み合わせであってもよく、化合物A及びBが同じ製剤中に一緒に存在する必要はない。
【0011】
少なくとも1つの化合物A及び少なくとも1つの化合物Bが同じ製剤中に一緒に存在しない、本発明による組成物又は本発明に従って使用される組成物の例は、コンビパックである。コンビパックでは、コンビパックの2つ以上の成分は別々に包装されている、つまり、一緒に事前配合されていない。そのようなものであるため、コンビパックは、バイアル、缶、ボトル、パウチ、バッグ、又はキャニスターなどの1つ以上の別個の容器を含み、各容器には農薬組成物の別個の成分が入っている。一例は、二成分コンビパックである。したがって、本発明はまた、順次、少なくとも1つの化合物Aと、液体若しくは固体担体と、適切であれば、少なくとも1つの界面活性剤及び/又は少なくとも1つの慣例的な助剤と、を含む第1成分と、順次、少なくとも1つの化合物Bと、液体若しくは固体担体と、適切であれば、少なくとも1つの界面活性剤及び/又は少なくとも1つの慣例的な助剤と、を含む第2成分と、を含む2成分コンビパックに関する。更なる詳細、例えば、好適な液体及び固体担体、界面活性剤、並びに慣例的な助剤を下記に記載する。
【0012】
少なくとも1つの化合物Aを少なくとも1つの化合物Bと「組み合わせて」使用する「組み合わせた」使用は、一方では、少なくとも1つの化合物Aと少なくとも1つの化合物Bの物理的混合物を使用することとして理解することができる。他方では、組み合わせた使用は、少なくとも1つの化合物Aと少なくとも1つの化合物Bを別々に、しかし所望の効果が生じるように互いに十分に短い時間内で使用することからなってもよい。組み合わせて使用する場合の更なる詳細な説明は、以下の明細書中に見出すことができる。
【0013】
用語「無脊椎有害生物」(動物有害生物とも呼ばれる)は、本明細書で使用する場合、植物を攻撃し、これにより攻撃を受けた植物への実質的な被害を引き起こす恐れのある動物集団、例えば昆虫、クモ形類及び線虫、並びに動物、特に哺乳動物又は鳥などの温血動物、又は爬虫類、両生類又は魚類などの他の高等動物に寄生し、それによって寄生した動物に実質的な損傷を引き起こし得る外部寄生虫を包含する。
【0014】
「本発明による化合物」又は「式Iの化合物」又は「化合物A」という用語には、本明細書に定義される化合物、並びにその立体異性体、塩、互変異性体、又はN-オキシドも含まれる。「本発明の化合物」という用語は、「本発明による化合物」という用語と同等であると理解されるべきであり、したがって、この用語には、その立体異性体、塩、互変異性体、又はN-オキシドも含まれる。
【0015】
「立体異性体」という用語は、エナンチオマーはジアステレオマーなどの光学異性体(後者は分子内に1つ以上のキラリティ中心があることにより存在する)と幾何異性体(シス/トランス異性体)の両方を包含する。
【0016】
本発明の化合物は、非晶質であってもよく、又は安定性などの異なる巨視的特性を有し得るか、若しくは活性などの異なる生物学的特性を示し得る1つ以上の異なる結晶状態(多形)で存在してもよい。本発明は、式Iの非晶質及び結晶質の化合物の両方、それぞれの化合物Iの異なる結晶状態の混合物、並びにそれらの非晶質塩又は結晶質塩を含む。
【0017】
式Iの化合物の塩は、好ましくは農業的及び獣医学的に許容される塩である。それらは、通例の方法で、例えば、式Iの化合物が塩基性官能基を有する場合には、化合物を当該アニオンの酸と反応させることによって、又は式Iの酸性化合物を好適な塩基と反応させることによって、形成することができる。
【0018】
好適な農業的に許容される塩は、とりわけ、カチオンの塩又は酸の酸付加塩であって、そのカチオン及びアニオンがそれぞれ本発明による化合物の作用に一切の悪影響を及ぼさないものである。好適なカチオンは、特に、アルカリ金属(好ましくはリチウム、ナトリウム、及びカリウム)のイオン、アルカリ土類金属(好ましくはカルシウム、マグネシウム、及びバリウム)のイオン、並びに遷移金属(好ましくはマンガン、銅、亜鉛、及び鉄)のイオン、並びに更に、アンモニウム(NH )及び置換アンモニウムであって、その水素原子の1~4つがC~C-アルキル、C~C-ヒドロキシアルキル、C~C-アルコキシ、C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、フェニル、又はベンジルで置き換えられている置換アンモニウムである。置換アンモニウムイオンの例には、メチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルアンモニウム、ビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、及びベンジル-トリエチルアンモニウム、更に、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、好ましくはトリ(C~C-アルキル)スルホニウム、及びスルホキソニウムイオン、好ましくはトリ(C~C-アルキル)スルホキソニウムが含まれる。
【0019】
有用な酸付加塩のアニオンは主に、塩化物、臭化物、フッ化物、硫酸水素、硫酸、リン酸二水素、リン酸水素、リン酸、硝酸、炭酸水素、炭酸、ヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロリン酸、安息香酸、及びC~C-アルカン酸のアニオン、好ましくはギ酸、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸である。これらは、式Iの化合物を、対応するアニオンの酸、好ましくは塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸又は硝酸と反応させることによって形成することができる。
【0020】
上の可変要素の定義において述べた有機部分は、ハロゲンという用語と同様に、その群の個々の構成員を個々に列挙したリストの総称である。接頭辞C~Cは、各場合において、その基に可能な炭素原子数を表している。
【0021】
市販の更なる化合物Bは、The Pesticide Manual,18th Edition,British Crop Protection Council(2018)among other publications,and its online database https://www.bcpc.org/product/bcpc-online-pesticide-manual-latest-versionに見出され得る。
【0022】
少なくとも1つの化合物I及び少なくとも1つの化合物Bを同時に、すなわち一緒に若しくは別々に施用すること、又は少なくとも1つの式Iの化合物及び少なくとも1つの化合物Bを連続施用することにより、個々の化合物単独よりも動物有害生物のより良好な防除が可能になることを見出した(相乗混合物)。
【0023】
式Iの化合物は、特定の殺虫活性化合物用の共力剤として使用することができる。式Iの化合物を少なくとも1つの活性化合物Bと同時に、すなわち一緒に又は別々に施用することにより、殺虫活性は超相加的に増加する。
【0024】
式Iの化合物は、生物活性が異なり得る異なる結晶変態で存在し得る。
【0025】
本発明の一実施形態は、成分Aが、化合物I-1及びI-2:
(I-1):5-[(5S)-5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]-N-(ピリミジン-2-イルメチル)イソキノリン-8-カルボキサミド、及び
(I-2):N-シクロプロピル-5-[(5S)-5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソオキサゾール-3-イル]イソキノリン-8-カルボキサミドから選択される殺有害生物混合物に関する。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態は、成分Aが、化合物I-1である殺有害生物混合物に関する。
【0027】
本発明の好ましい実施形態は、成分A及び成分Bが、20:1~1:500、好ましくは10:1~1:100、より好ましくは10:1~1:50、より好ましくは10:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する殺有害生物混合物に関する。
【0028】
本発明の特定の態様は、A、B、C、D、E、F、G、H、J、K、L、M、N、O、及びPの殺有害生物混合物のうちのいずれか1つである:
【0029】
殺有害生物混合物Aは、活性成分として、
A1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
A2)
1a)エチプロール、及び
1b)フィプロニルから選択されるGABAゲートクロリドチャネル拮抗剤と、
を含み、
成分A1)及び成分A2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは50:1~1:50、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分A1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分A2である。
【0030】
好ましい実施形態は、化合物A2が1bであり、特に1:1~1:50の混合比の混合物である。
【0031】
殺有害生物混合物Bは、活性成分として
B1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
B2)
2a)アルファ-シペルメトリン、
2b)ビフェントリン、
2c)シフルトリン、
2d)エトフェンプロックス、
2e)ラムダ-シハロトリン、
2f)ガンマ-シハロトリン、及び
2g)デルタメトリンから選択されるピレスロイドと、を含み、
成分B1)及び成分B2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分B1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分B2である。
【0032】
好ましい混合物Bは、表Bで列挙される組み合わせである。
【0033】
【表1】
【0034】
特に好ましい実施形態は、化合物B2が、2a、2b、2e、2f、及び2gから選択され、特に1:1~1.100の混合比の混合物である。
【0035】
殺有害生物混合物Cは、活性成分として
C1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
C2)
3a)チアメトキサム、
3b)イミダクロプリド、
3c)クロチアニジン、
3d)アセタミプリド、
3e)チアクロプリド、
3f)ジノテフラン、
3g)ニテンピラム、
3h)スルホキサフロル、
3i)フルピラジフロン、
3j)トリフルメゾピリムから選択されるnAChR作動薬と、を含み、
成分C1)及び成分C2)は、1000:1~1:1000、好ましくは500:1~1:500、より好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分C1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分C2である。
【0036】
好ましい混合物Cは、表Cで列挙される組み合わせである。
【0037】
【表2】
【0038】
特に好ましい実施形態は、化合物C2が、3a、3b、3c、3d、3e、3f、及び3hから選択され、特に10:1~1:500の混合比の混合物である。
【0039】
殺有害生物混合物Dは、活性成分として、
D1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
D2)
4a)スピノサド、及び
4b)スピネトラムから選択されるスピノシンと、を含み、
成分D1)及び成分D2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分D1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分D2である。
【0040】
混合物Dは、表Dで列挙される組み合わせである。
【0041】
【表3】
【0042】
混合物Dは、特に1:1~1:25の混合比の本発明の特に好ましい実施形態である。
【0043】
殺有害生物混合物Eは、活性成分として、
E1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
E2)M.6
5a)アバメクチン、及び
5b)エマメクチンベンゾエートから選択されるアベルメクチンと、
を含み、
成分E1)及び成分E2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分E1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分E2である。
【0044】
混合物Eは、表Eで列挙される組み合わせである。
【0045】
【表4】
【0046】
混合物Eは、本発明の特に好ましい実施形態である。
【0047】
殺有害生物混合物Fは、活性成分として、
F1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
F2)
6a)アフィドピロペン、及び
6b)ピリプロキシフェンから選択される化合物と、
を含み、
成分F1)及び成分F2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分F1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分F2である。
【0048】
混合物Fは、表Fで列挙される組み合わせである。
【0049】
【表5】
【0050】
特に好ましい実施形態は、化合物F2が6aである混合物である。
【0051】
殺有害生物混合物Gは、活性成分として、
G1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
G2)クロルフェナピルと、
を含み、
成分G1)及び成分G2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰成分までのG1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分G2である。
【0052】
混合物Gは、特に1:1~1:10の混合比の本発明の好ましい実施形態である。
【0053】
殺有害生物混合物Hは、活性成分として、
H1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
H2)テフルベンズロンと、
を含み、
成分H1)及び成分H2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分H1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分H2である。
【0054】
混合物Hは、本発明の好ましい実施形態である。
【0055】
殺有害生物混合物Jは、活性成分として、
J1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
J2)メトキシフェノジドと、
を含み、
成分J1)及び成分J2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分J1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分J2である。
【0056】
混合物Jは、特に1:1~1:25の混合比の本発明の好ましい実施形態である。
【0057】
殺有害生物混合物Kは、活性成分として、
K1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
K2)インドキサカルブと、
を含み、
成分K1)及び成分K2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分K1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分K2である。
【0058】
混合物Kは、特に20:1~1:10の混合比の本発明の好ましい実施形態である。
【0059】
殺有害生物混合物Lは、活性成分として、
L1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
L2)
13a)スピロテトラマト、
13b)スピロピジオン、及び
13c)スピドキサマトから選択されるアセチルCoAカルボキシラーゼの阻害剤と、
を含み、
成分L1)及び成分L2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分L1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分L2である。
【0060】
混合物Lは、表Lで列挙される組み合わせである。
【0061】
【表6】
【0062】
混合物Lは、特に1:1~1:400の混合比の本発明の特に好ましい実施形態である。
【0063】
殺有害生物混合物Mは、活性成分として、
M1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
M2)
14a)フルベンジアミド、
14b)クロラントラニリプロール、
14c)シアントラニリプロール、
14d)テトラニリプロール、
14e)テトラクロラントラニリプロール、
14f)シクラリニプロール、
14g)シハロジアミド、
から選択されるリアノジン受容体調節因子と、を含み、
成分M1)及び成分M2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分M1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分M2である。
【0064】
好ましい混合物Mは、表Mで列挙される組み合わせである。
【0065】
【表7】
【0066】
特に好ましい実施形態は、化合物C2が、14b及び14cから選択され、特に1:1~1:50の混合比の混合物である。
【0067】
殺有害生物混合物Nは、活性成分として、
N1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
N2)フロニカミドと、
を含み、
成分N1)及び成分N2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分N1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分N2である。
【0068】
混合物Nは、本発明の好ましい実施形態である。
【0069】
殺有害生物混合物Oは、活性成分として、
O1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
O2)ブロフラニリドと、
を含み、
成分O1)及び成分O2)は、1000:1~1:1000、好ましくは100:1~1:100、より好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分O1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分O2である。
【0070】
混合物Oは、特に1:1~1:250の混合比の本発明の好ましい実施形態である。
【0071】
殺有害生物混合物Pは、活性成分として、
P1)少なくとも1つの式Iの化合物と、
P2)
17a)ジクロロメゾチアズ、
17b)ジムプロピリダズ、
17c)フルピリミン、及び
17d)オキサゾスルフィルから選択される作用機序未知の化合物と、
を含み、
成分P1)及び成分P2)は、1000:1~1:1000、好ましくは25:1~1:25、特に10:1~1:10の総重量比で存在する。上述の比において、一実施形態は、比が1:1から過剰までの成分P1に関し;別の実施形態では、比が1:1から過剰までの成分P2である。
【0072】
混合物Pは、表Pで列挙される組み合わせである。
【0073】
【表8】
【0074】
特に好ましい実施形態は、化合物P2が、17a及び17bから選択され、特に5:1~1:2の混合比の混合物である。
【0075】
式Iの化合物と化合物Bの二成分混合物は、本発明の好ましい一実施形態である。
【0076】
本発明は、助剤と、本発明の混合物と、を含む農薬組成物にも関する。
【0077】
農薬組成物は、殺有害生物有効量の本発明の混合物を含む。
【0078】
化合物Iは、通例のタイプの農薬組成物、例えば、液剤、乳剤、懸濁剤、粉剤、散剤、ペースト剤、顆粒剤、圧縮剤、カプセル剤、及びそれらの混合物に変換することができる。組成物のタイプの例は、懸濁剤(例えば、SC、OD、FS)、乳化性濃縮物(例えば、EC)、乳剤(例えば、EW、EO、ES、ME)、カプセル剤(例えば、CS、ZC)、ペースト剤、パスティーユ、水和剤又は粉剤(例えば、WP、SP、WS、DP、DS)、圧縮剤(例えば、BR、TB、DT)、顆粒剤(例えば、WG、SG、GR、FG、GG、MG)、殺虫性物品(例えば、LN)、並びに植物繁殖材料(例えば、種子)の処置のためのゲル製剤(例えば、GF)である。これら及び更なる組成物のタイプは、“Catalogue of pesticide formulation types and international coding system”,Technical Monograph No.2,6th Ed.May 2008,CropLife Internationalに定義されている。組成物は、公知の方法、例えば、Mollet and Grubemann,Formulation technology,Wiley VCH,Weinheim,2001;又はKnowles,New developments in crop protection product formulation,Agrow Reports DS243,T&F Informa,London,2005によって記載されている方法により調製される。
【0079】
好適な助剤は、溶媒、液体担体、固体担体又は充填剤、界面活性剤、分散剤、乳化剤、湿潤剤、補助剤、可溶化剤、浸透促進剤、保護コロイド、接着剤、増粘剤、保湿剤、撥水剤、誘引剤、摂餌刺激物質、相溶化剤、殺細菌剤、凍結防止剤、消泡剤、着色剤、粘着性付与剤、及び結合剤である。
【0080】
好適な溶媒及び液体担体は、水及び有機溶媒である。好適な固体担体又は充填剤は、鉱物土類である。
【0081】
好適な界面活性剤は、界面活性化合物、例えばアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性界面活性剤、ブロックポリマー、ポリ電解質である。このような界面活性剤は、乳化剤(emusifier)、分散剤、可溶化剤、湿潤剤、浸透促進剤、保護コロイド、又は補助剤として使用され得る。界面活性剤は、McCutcheon’s,Vol.1:Emulsifiers & Detergents,McCutcheon’s Directories,Glen Rock,USA,2008(International or North American Ed.)に列挙されている。好適なアニオン性界面活性剤は、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、カルボキシレートのアルカリ塩、アルカリ土類塩、又はアンモニウム塩である。好適な非イオン性界面活性剤は、アルコキシレート、N-置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖型界面活性剤、ポリマー系界面活性剤である。好適なカチオン性界面活性剤は、第四級界面活性剤である。
【0082】
農薬組成物は、一般に、0.01~95重量%、好ましくは0.1~90重量%、最も好ましくは0.5~75重量%の活性物質を含む。活性物質は、90%~100%、好ましくは95%~100%の純度で用いられる。
【0083】
様々なタイプの油、湿潤剤、補助剤、又は肥料を、活性物質又はそれらを含む組成物にプレミックスとして添加することができ、又は適切な場合は使用直前になってから添加することができる(タンクミックス)。これらの薬剤は、本発明による組成物と、1:100~100:1の重量比で混合することができる。
【0084】
使用者は、本発明による組成物を、通常、予備計量装置(predosage device)、背負い式噴霧器、噴霧タンク、噴霧航空機、又は灌漑システムから施用する。通常、農薬組成物は、水、緩衝液、及び/又は更なる助剤を用いて所望の施用濃度になるように構成され、このようにして、本発明による即時使用可能な噴霧液又は農薬組成物が得られる。通常、農業的に有用な面積1ヘクタール当たり20~2000リットルの即時使用可能な噴霧液が施用される。
【0085】
本発明の混合物は、動物有害生物による攻撃又は寄生から作物、植物、植物繁殖材料、例えば種子、又は植物が成長している土壌若しくは水を保護するための使用に適している。したがって、本発明はまた、植物を保護する方法であって、動物有害生物による攻撃又は寄生から保護すべき作物、植物、植物繁殖材料(例えば種子)、又は植物が生育している土壌若しくは水を、殺有害生物有効量の本発明の混合物と接触させることを含む、方法に関する。
【0086】
本発明の混合物はまた、動物有害生物を駆除又は防除する際の使用にも好適である。したがって、本発明はまた、動物有害生物を駆除又は防除する方法であって、動物有害生物、それらの生息地、繁殖地、若しくは食餌供給源、又は動物有害生物が生育している若しくは生育し得る、作物、植物、植物繁殖材料(例えば種子)、若しくは土壌、若しくは領域、材料若しくは環境を、殺有害生物有効量の本発明の混合物と接触させることを含む、方法に関する。
【0087】
本発明の混合物は、接触及び摂取の両方を通じて、卵、幼虫、蛹、及び成虫などの任意の及び全ての発育段階に有効である。
【0088】
本発明の混合物は、それ自体で、又はそれらを含む組成物の形態で施用することができる。
【0089】
施用は、作物、植物、植物繁殖材料の有害生物による寄生の前及び後の両方で行うことができる。
【0090】
「接触させる」という用語には、直接接触(化合物/組成物を動物有害生物又は植物上に直接施用する)及び間接接触(化合物/組成物を居所に施用する)の両方が含まれる。
【0091】
「動物有害生物」という用語には、節足動物、腹足類、及び線虫が含まれる。本発明による好ましい動物有害生物は、節足動物、好ましくは昆虫及びクモ類、特に昆虫である。
【0092】
「植物」という用語には、穀類、例えば、デュラム及び他のコムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、オートムギ、イネ、又はトウモロコシ(飼料用トウモロコシ及びシュガートウモロコシ/スウィートコーン及びフィールドコーン);ビート、例えば、テンサイ又は飼料用ビート;果実、例えば、仁果類、核果類、又はソフトフルーツ類、例えば、リンゴ、セイヨウナシ、プラム、モモ、ネクタリン、アーモンド、サクランボ、パパイヤ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、又はグーズベリー;マメ科植物、例えば、マメ、ヒラマメ、エンドウマメ、アルファルファ、又はダイズ;油脂植物、例えば、ナタネ(rapeseed)(セイヨウアブラナ(oilseed rape))、アブラナ(turnip rape)、カラシナ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、カカオマメ、トウゴマ、アブラヤシ、ラッカセイ、又はダイズ;ウリ科植物、例えば、カボチャ(squash)、カボチャ(pumpkin)、キュウリ、又はメロン;繊維植物、例えば、ワタ、アマ、アサ、又はジュート;柑橘類果実、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、又はマンダリン;野菜、例えば、ナス、ホウレンソウ、レタス(例えばアイスバーグレタス)、チコリ、キャベツ、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、ニンニク、リーキ、トマト、ジャガイモ、ウリ科植物、又はアマトウガラシ;クスノキ科植物、例えば、アボカド、シナモン、又はカンファー;エネルギー植物及び原料植物、例えば、コーン、ダイズ、ナタネ、サトウキビ、又はアブラヤシ;タバコ;堅果類、例えば、クルミ;ピスタチオ;コーヒー;茶;バナナ;つる植物;ホップ;スウィートリーフ(ステビア);天然ゴム植物、又は観賞植物及び森林植物、低木、広葉樹又は常緑樹、ユーカリ;芝(turf);芝生(lawn);イネ科草本が含まれる。好ましい植物としては、ジャガイモ、テンサイ、タバコ、コムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、イネ、コーン、ワタ、ダイズ、ナタネ、マメ科植物、ヒマワリ、コーヒー、若しくはサトウキビ;果実;つる植物;観賞植物;又は野菜、例えば、キュウリ、トマト、マメ、若しくはカボチャ(squash)が挙げられる。
【0093】
「種子」という用語は、種子及び植物繁殖体(真正種子、種子の小片、吸枝、球茎、球根、果実、塊茎、穀粒、挿し木、切断された苗条を含む)を包含し、好ましくは真正種子を意味する。
【0094】
「殺有害生物有効量」は、生育に対する観察可能な効果(標的生物の壊死、死滅、妨害、予防、及び除去、破壊、又は別様での標的生物の出現及び活性の漸減に関する効果を含む)を得るために必要とされる活性成分の量を意味する。殺有害生物有効量は、本発明で使用される様々な化合物/組成物に応じて異なり得る。組成物の殺有害生物有効量は、一般的条件(例えば、所望の殺有害生物効果及び持続時間、天候、標的種、居所、施用様式)によっても変化する。
【0095】
作物植物を(例えば葉面施用により)処置する際に使用する場合、本発明の活性成分の施用量は1ヘクタール当たり0.0001g~4000g、例えば、1ヘクタール当たり1g~2kg、又は1ヘクタール当たり1g~750g、望ましくは1ヘクタール当たり1g~100gの範囲であり得る。
【0096】
本発明の混合物はまた、非作物昆虫有害生物に対する使用にも適している。上記非作物有害生物に対する使用の場合、化合物Iは、餌組成物、ゲル、一般的な昆虫用スプレー、エアロゾルとして、超微量施用及び蚊帳(含浸又は表面への施用)として使用され得る。
【0097】
「非作物昆虫有害生物」という用語は、非作物標的に特に関連する有害生物、例えば、アリ、シロアリ、スズメバチ、ハエ、マダニ、カ、トコジラミ、コオロギ、又はゴキブリ、例えば、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、イエバエ(Musca domestica)、コクヌストモドキ属種(Tribolium spp.);シロアリ、例えば、レチクリテルメス・フラビペス(Reticulitermes flavipes)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus);ゴキブリ、例えば、ブラテラ・ゲルマニカ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta Americana);アリ、例えば、ヒアリ(Solenopsis invicta)、アルゼンチンアリ(Linepithema humile)、及びカンポノツス・ペンシルバニクス(Camponotus pennsylvanicus)を指す。
【0098】
餌は、液体、固体、又は半固体の調製物(例えば、ゲル)であり得る。餌組成物中で使用する場合、活性成分の典型的な含有量は、活性化合物の0.001重量%~15重量%、望ましくは0.001重量%~5重量%である。
【0099】
本発明の混合物及びその組成物は、木質材料、例えば、樹木、板塀、枕木、額縁、芸術品など、並びに建築物のみならず、建築材料、家具、皮革、繊維、ビニール製品、電線及びケーブルなどをアリ、シロアリ、及び/又は木材若しくは繊維を破壊する甲虫から保護するため、並びにアリ及びシロアリが作物又は人間に害を与えないように防除するため(例えば、有害生物が家屋及び公共施設に侵入する場合、又は庭、果樹園若しくは公園に営巣する場合)に使用することができる。
【0100】
材料を保護する際の通例の施用量は、例えば、処置される材料1m当たり、活性化合物0.001g~2000g、又は0.01g~1000gであり、望ましくは1m当たり0.1g~50gである。
【0101】
材料の含浸に使用するための殺虫組成物は、典型的には0.001~95重量%、好ましくは0.1~45重量%、より好ましくは1~25重量%の少なくとも1種の忌避剤及び/又は殺虫剤を含有する。
【0102】
本発明の混合物は、動物有害生物、例えば、以下を含む節足動物及び線虫を効果的に駆除するのに特に好適である:
頚吻(Auchenorrhyncha)亜目の昆虫、例えば、アムラスカ・ビグトゥラ(Amrasca biguttula)、エンポアスカ属種(Empoasca spp.)、ネフォテティクス・ヴィレセンス(Nephotettix virescens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、マハナルバ属種(Mahanarva spp.)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、マハナルバ・フィムブリオラタ(Mahanarva fimbriolata)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、ミカンキジラミ(Diaphorina citri);
鱗翅目(Lepidoptera)、例えば、ディアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis)、ヘリコベルパ属種(Helicoverpa spp.)、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)、ロベシア・ボトラナ(Lobesia botrana)、マンドゥカ セクスタ(Manduca sexta)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)、コナガ(Plutella xylostella)、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)、イッテンオオメイガ(Scirpophaga incertulas)、セサミア属種(Sesamia sp.)、スポドプテラ属種(Spodoptera spp.)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)、トマトキバガ(Tuta absoluta)、クナファロクロシス・メディアリス(Cnaphalocrocis medialis)、コドリンガ(Cydia pomonella)、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、アンチカルシア・ゲマタリス(Anticarsia gemmatalis)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、クリソデイキス・インクルデンス(Chrysodeixis includens);
半翅類昆虫、例えば、メクラカメムシ属種(Lygus spp.)、カメムシ、例えば、ユースキストゥス属種(Euschistus spp.)、クサギカメムシ(Halyomorpha halys)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、ピエゾドルス・ギルディニ(Piezodorus guildinii)、ディケロプス・フルカタス(Dichelops furcatus);
アザミウマ類、例えば、フランクリニエラ属種(Frankliniella spp.)、アザミウマ属種(Thrips spp.)、ディクロモスリップス・コルベッティ(Dichromothrips corbettii);
アブラムシ類、例えば、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)、ワタアブラムシ属種(Aphis spp.)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae)、ロパロシプム属種(Rhopalosiphum spp.)、スキザフィス・グラミナム(Schizaphis graminum)、ソラマメヒゲナガアブラムシ(Megoura viciae);
コナジラミ類、例えば、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ベミシア属種(Bemisia spp.);
鞘翅目(Coleoptera)、例えばアトマリア・リネアリア(Atomaria linearia)、フィロトレタ属種(Phyllotreta spp.)、メラノタス属種(Melanotus spp.)、メリゲテス・アエネウス(Meligethes aeneus)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decimlineata)、シュートリンクス属種(Ceutorhynchus spp.)、ジアブロティカ属種(Diabrotica spp.)、アンソノムス・グランディス(Anthonomus grandis)、アトマリア・リネアリア(Atomaria linearia)、アグリオテス属種(Agriotes spp.)、エピラクナ属種(Epilachna spp.);ヒポテネムス・ハムペイ(Hypothenemus hampei);イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus);メラノタス属種(Melanotus spp.);キンケクチブトゾウムシ(Otiorhynchus sulcatus);オーレマ属種(Oulema spp.);フィロトレタ属種(Phyllotreta spp.); マメコガネ(Popillia japonica);プシリオデス・クリソセファラ(Psylliodes chrysocephala);
ハエ、例えば、デリア属種(Delia spp.)、セラチチス・カピタタ(Ceratitis capitata)、バクトロセラ属種(Bactrocera spp.)、リリオミザ属種(Liriomyza spp.);ヘシアンバエ(Mayetiola destructor);ラゴレチス属種(Rhagoletis spp.)
カイガラムシ(Coccoidea)、例えばアオニディエラ・オーランティ(Aonidiella aurantia)、フタスジコナカイガラムシ(Ferrisia virgate);コックス属種(Coccus spp.);クアドラスピジオツス・ペルニシオスス(Quadraspidiotus perniciosus)
蛛形綱(Arachnida)の節足動物(anthropod)(ダニ類)、例えば、ムギダニ(Penthaleus major)、パノニクス属種(Panonychus spp.);ナミハダニ属種(Tetranychus spp.);
線虫、例えば、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)、メロイドギネ属種(Meloidogyne spp.)、ネグサレセンチュウ属種(Pratylenchus spp.)、セノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)。
【0103】
本発明の混合物は、寄生生物による寄生又は感染に対して動物を処置又は保護する際の使用に適している。したがって、本発明はまた、寄生生物による寄生又は感染に対して動物を処置又は保護するための医薬を製造するための本発明の化合物の使用に関する。更に、本発明は、寄生生物による寄生及び感染に対して動物を処置又は保護する方法であって、動物に殺寄生生物有効量の化合物Iを経口的、局所的又は非経口的に投与又は施用することを含む方法に関する。
【0104】
本発明はまた、寄生生物による寄生及び感染に対して動物を処置又は保護するための本発明の化合物の非治療的使用に関する。更に、本発明は、寄生生物による寄生又は感染に対して動物を処置又は保護する非治療的方法であって、殺寄生生物有効量の本発明の混合物を居所に施用することを含む、方法に関する。
【0105】
本発明の混合物は更に、動物内及び動物上の寄生生物を駆除又は防除する際の使用に適している。更に、本発明は、動物内及び動物上の寄生生物を駆除又は防除する方法であって、寄生生物に有効な量の本発明の混合物に寄生生物を接触させることを含む、方法に関する。
【0106】
本発明はまた、寄生生物を防除又は駆除するための本発明の混合物の非治療的使用に関する。更に、本発明は、寄生生物を駆除又は防除する非治療的方法であって、殺寄生生物有効量の本発明の混合物を居所に施用することを含む、方法に関する。
【0107】
本発明の混合物は、接触(土壌、ガラス、壁、蚊帳、カーペット、ブランケット、又は動物の部分を介する)及び摂取(例えば、餌)の両方を通じて有効であり得る。更に、化合物Iは、任意の及び全ての発育段階に対して施用することができる。
【0108】
本発明の混合物は、それ自体で、又はそれらを含む組成物の形態で施用することができる。
【0109】
「居所」という用語は、寄生生物が生育しているか又は生育し得る動物外部の生息地、食餌供給源、繁殖地、領域、物質、又は環境を意味する。
【0110】
本明細書で使用される場合、「寄生生物」という用語には、内部寄生生物及び外部寄生生物が含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、内部寄生生物が好ましい場合がある。他の実施形態では、外部寄生生物が好ましい場合がある。温血動物及び魚類への寄生は、シラミ、ハジラミ、マダニ、ハナウマバエ(nasal bot)、シラミバエ、サシバエ、イエバエ(muscoid fly)、ハエ、ハエウジ症のハエの幼虫(myiasitic fly larvae)、ツツガムシ、ブユ、カ、及びノミを含む。
【0111】
本発明の混合物は、以下の寄生生物:トコジラミ(Cimex lectularius)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)、及びネコノミ(Ctenocephalides felis)の駆除にとりわけ有用である。
【0112】
本明細書で使用される場合、「動物」という用語には、温血動物(ヒトを含む)及び魚類が含まれる。好ましいのは、哺乳動物、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ(swine)、ラクダ、シカ、ウマ、ブタ(pig)、家禽類、ウサギ、ヤギ、イヌ、及びネコ、スイギュウ、ロバ、ダマジカ、及びトナカイ、更に毛皮動物では、例えば、ミンク、チンチラ、及びアライグマ、鳥類、例えば、メンドリ、ガチョウ、シチメンチョウ及びアヒル、並びに魚類、例えば、淡水魚及び海水魚、例えば、マス、コイ、及びウナギである。特に好ましいのは、イヌ又はネコなどの家畜である。
【0113】
本発明の混合物は、1日当たり0.5mg/kg~100mg/kg、好ましくは1日当たり1mg/kg~50mg/kgの総量で施用され得る。
【0114】
温血動物への経口投与の場合、化合物Iは、動物飼料、動物飼料プレミックス、動物飼料濃縮物、丸剤、液剤、ペースト剤、懸濁剤、水薬、ゲル剤、錠剤、ボーラス剤、及びカプセル剤として製剤化され得る。経口投与の場合、選択される剤形で、1日当たり、動物の体重1kg当たり0.01mg~100mgの本発明の混合物、好ましくは1日当たり、動物の体重1kg当たり0.5mg~100mgが動物に提供されるべきである。
【0115】
或いは、本発明の混合物は、非経口的に(例えば、反芻胃内注射、筋肉内注射、静脈内注射、又は皮下注射によって)動物に投与され得る。化合物Iは、皮下注射用に生理学的に許容される担体中に分散又は溶解され得る。或いは、本発明の混合物は、皮下投与用にインプラント中に製剤化され得る。加えて、本発明の混合物は、動物に経皮投与され得る。非経口投与の場合、選択される剤形で、1日当たり、動物の体重1kg当たり0.01mg/kg~100mg/kgの本発明の混合物が動物に提供されるべきである。
【0116】
本発明の混合物はまた、ディップ剤、粉剤、散剤、首輪剤、メダル剤、スプレー剤、シャンプー剤、スポットオン製剤及びポアオン製剤の形態で、また軟膏又は水中油型乳剤若しくは油中水型乳剤で、動物に局所施用され得る。局所施用の場合、ディップ剤及びスプレー剤は、通常、0.5ppm~5,000ppm、好ましくは1ppm~3,000ppmの化合物Iを含有する。加えて、本発明の混合物は、動物、特に四肢動物(例えば、ウシ及びヒツジ)の耳標として製剤化され得る。
【0117】
経口液剤は直接投与される。
【0118】
皮膚に使用する液剤は、滴下されるか、塗り広げられるか、擦り込まれるか、振りかけられるか、又は噴霧される。
【0119】
ゲル剤は、皮膚に塗布若しくは塗り広げられるか、又は体腔内に導入される。
【0120】
ポアオン製剤は、皮膚の限定された領域にかけられるか又は噴霧され、活性化合物が皮膚に浸透して全身的に作用する。ポアオン製剤は、好適な皮膚適合性溶媒又は溶媒混合物に活性化合物を溶解させるか、懸濁させるか、又は乳化させることにより調製される。
【0121】
乳剤は、経口的に、経皮的に、又は注射剤として投与され得る。
【0122】
懸濁剤は、経口的に又は局所的/経皮的に投与され得る。
【0123】
半固体調製物は、経口的に又は局所的/経皮的に投与され得る。
【0124】
固体調製物の製造については、活性化合物を好適な賦形剤と混合し、適切な場合は助剤を添加して、所望の形状とする。
【0125】
本発明において使用され得る組成物は、一般に、約0.001~95%の混合物を含み得る。
【0126】
即時使用可能調製物は、寄生生物(好ましくは外部寄生生物)に対して作用する化合物を、10ppm~80重量%、好ましくは0.1~65重量%、より好ましくは1~50重量%、最も好ましくは5~40重量%の濃度で含有する。
【0127】
使用前に希釈される調製物は、外部寄生生物に対して作用する化合物を、0.5~90重量%、好ましくは1~50重量%の濃度で含有する。
【0128】
更に、この調製物は、内部寄生生物に対して作用する式Iの化合物を、10ppm~2重量%、好ましくは0.05~0.9重量%、極めて特に好ましくは0.005~0.25重量%の濃度で含む。
【0129】
本発明の化合物を放出する固体製剤は、3週間の間に、処置される動物の体重1kg当たり10mg~300mg、好ましくは20mg~200mg、最も好ましくは25mg~160mgの総量で施用され得る。
【実施例
【0130】
本発明の生物学的実施例
次に、本発明を以下の実施例により更に詳細に説明する。
相乗効果は、2つ以上の化合物を組み合わせた効果が、各化合物の個別の効果の総和よりも大きい場合の相互作用として説明することができる。コルビー(Colby)の式を使用して、2つの混合パートナー(X及びY)間の防除率に関する相乗効果の存在を算出することができる(Colby,S.R.,1967,Calculating Synergistic and Antagonistic Responses in Herbicide Combinations,Weeds,15,20-22):
【数1】
【0131】
観察された組み合わせ防除効果が、予想される組み合わせ防除効果(E)よりも大きい場合、そのとき組み合わせ効果は相乗的である。
【0132】
下記の試験は、特定の有害生物に対する本発明の化合物、混合物、又は組成物の防除の有効性を実証する。しかしながら、化合物、混合物、又は組成物によって得られる有害生物防除保護は、これらの種に限定されない。特定の場合には、本発明の化合物と他の無脊椎有害生物防除化合物又は薬剤との組み合わせは、特定の重要な無脊椎有害生物に対する相乗効果を示すことが見出される。
【0133】
混合物又は組成物間の相乗効果又は拮抗作用の分析は、コルビーの式を使用して決定した。
【0134】
試験1
ニセアメリカタバコガ(Tobacco budworm)(ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens))の防除を評価するために、昆虫餌及びニセアメリカタバコガ(H.virescens)の卵15~25個を含有する96ウェルマイクロタイタープレートで試験ユニットを構成した。
【0135】
化合物又は混合物を75%水及び25%DMSOを含有する溶液を使用して製剤化した。様々な濃度の製剤化された化合物を2回反復で特注のマイクロアトマイザーを使用して昆虫餌上に10μL噴霧した。
【0136】
この試験における実験用混合物について、同一体積のそれぞれ所望の濃度の混合パートナーの両方を一緒に混合した。
【0137】
施用後、マイクロタイタープレートを約28±1℃及び約80±5%の相対湿度で5日間インキュベートした。次に卵及び幼虫の死亡率を目視で評価した。試験した混合物について、結果を表1.1~1.7に列挙しており、ここでは、コルビーの式による相乗防除効果を示す。
【0138】
【表9】
【0139】
【表10】
【0140】
【表11】
【0141】
【表12】
【0142】
【表13】
【0143】
【表14】
【0144】
【表15】
【0145】
試験2
黄熱病蚊(ネッタイシマカ(Aedes aegypti))の防除を評価するために、ウェル当たり200μlの水道水及び孵化したばかりのネッタイシマカ(A.aegypti)の幼虫5~15匹を含有する96ウェルマイクロタイタープレートで試験ユニットを構成した。
【0146】
化合物又は混合物を75%水及び25%DMSOを含有する溶液を使用して製剤化した。様々な濃度の製剤化した化合物又は混合物を2回反復で特注のマイクロアトマイザーを使用して昆虫餌上に2.5μL噴霧した。
【0147】
この試験における実験用混合物について同一体積のそれぞれ所望の濃度の混合パートナーの両方を一緒に混合した。
【0148】
施用後、マイクロタイタープレートを、28±1℃、80±5%のRHで2日間インキュベートした。次に、幼虫の死亡率を視覚的に評価した。試験した混合物について、結果を表2.1~2.11に列挙しており、ここでは、コルビーの式による相乗防除効果を示す。
【0149】
【表16】
【0150】
【表17】
【0151】
【表18】
【0152】
【表19】
【0153】
【表20】
【0154】
【表21】
【0155】
【表22】
【0156】
【表23】
【0157】
【表24】
【0158】
【表25】
【0159】
【表26】
【0160】
試験3
浸透性(systemic)の手段を通じてモモアカアブラムシ(マイザス・ペルシカエ(Myzus persicae))の防除を評価するために、人工膜下の液体人工餌を含有する96ウェルマイクロタイタープレートから試験ユニットを構成した。
【0161】
化合物又は混合物を75%水及び25%DMSOを含有する溶液を使用して製剤化した。様々な濃度の製剤化化合物又は混合物を2回反復で特注のピペッターを使用してアブラムシ餌中に移した。
【0162】
この試験における実験用混合物について同一体積のそれぞれ所望の濃度の混合パートナーの両方を一緒に混合した。
【0163】
施用後、5~8匹の成虫アブラムシをマイクロタイタープレートウエル内の人工膜上に置いた。次いで、アブラムシに処理したアブラムシ餌を吸わせ、23±1℃、50±5%のRHで3日間インキュベートした。次いで、アブラムシ死亡率及び繁殖を目視で評価した。試験した混合物について、結果を表3.1~3.3に列挙しており、ここでは、コルビーの式による相乗防除効果を示す。
【0164】
【表27】
【0165】
【表28】
【0166】
【表29】
【0167】
試験4
ワタミゾウムシ(メキシコワタミゾウムシ(Anthonomus grandis))の防除を評価するために、昆虫餌及びメキシコワタミゾウムシ(A.grandis)の卵20~30個を含有する24ウェルマイクロタイタープレートで試験ユニットを構成した。
【0168】
化合物又は混合物を75%水及び25%DMSOを含有する溶液を使用して製剤化した。様々な濃度の製剤化した化合物又は混合物を2回反復で特注のマイクロアトマイザーを使用して昆虫餌上に20μL噴霧した。
【0169】
この試験における実験用混合物について同一体積のそれぞれ所望の濃度の混合パートナーの両方を一緒に混合した。
【0170】
施用後、マイクロタイタープレートを、23±1℃、50±5%のRHで5日間インキュベートした。次に、卵及び幼虫の死亡率を視覚的に評価した。試験した混合物について、結果を表4.1~4.4に列挙しており、ここでは、コルビーの式による相乗防除効果を示す。
【0171】
【表30】
【0172】
【表31】
【0173】
【表32】
【0174】
【表33】
【0175】
試験5
ニセアメリカタバコガ(Tobacco budworm)(コナガ(Plutella xylostella))の防除を評価するために、昆虫餌及びコナガ(P.xylostella)の卵15~25個を含有する96ウェルマイクロタイタープレートで試験ユニットを構成した。
【0176】
化合物又は混合物を75%水及び25%DMSOを含有する溶液を使用して製剤化した。様々な濃度の配合された化合物を2回反復で特注のマイクロアトマイザーを使用して昆虫餌上に5μL噴霧した。
【0177】
この試験における実験用混合物について同一体積のそれぞれ所望の濃度の混合パートナーの両方を一緒に混合した。
【0178】
施用後、マイクロタイタープレートを、28±1℃、80±5%のRHで5日間インキュベートした。次に、卵及び幼虫の死亡率を視覚的に評価した。試験した混合物について、結果を表5に列挙する。
【0179】
【表34】
【国際調査報告】