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特表2024-531881均衡容量ターゲットを用いたオーバーレイ測定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】均衡容量ターゲットを用いたオーバーレイ測定
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504192
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2022069880
(87)【国際公開番号】W WO2023016749
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】21191161.5
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ペレマンズ,ヘンリカス,ペトラス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ゴリー,ブノワ,エルベ
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA11
4M106CA39
4M106DB05
4M106DJ20
(57)【要約】
基板のオーバーレイ測定値を決定する方法は、基板の電荷注入素子に電荷を注入することと、第1の素子ペアの第1のキャパシタンス及び第2の素子ペアの第2のキャパシタンスを決定することと、第1のキャパシタンス及び第2のキャパシタンスに基づいてキャパシタンス比を決定することと、を含む。オーバーレイ測定値は、不均衡を示し得るキャパシタンス比に基づいて決定され得る。
【選択図】 図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に荷電粒子ビームを投影する荷電粒子ビーム源と、
前記基板の電荷注入素子に電荷を注入することと、
前記基板の第1の素子ペアの第1のキャパシタンス及び第2の素子ペアの第2のキャパシタンスを決定することと、
前記第1のキャパシタンス及び前記第2のキャパシタンスに基づいてキャパシタンス比を決定することと、
前記キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することと、
を前記荷電粒子ビーム源に行わせる回路を有するコントローラと、
を備えた、荷電粒子ビームシステム。
【請求項2】
前記電荷注入素子に前記電荷を注入することが、前記電荷注入素子に前記荷電粒子ビームを照射することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、
前記電荷注入素子と第1の測定素子との間のキャパシタンスとして前記第1のキャパシタンスを決定することと、
前記電荷注入素子と第2の測定素子との間のキャパシタンスとして前記第2のキャパシタンスを決定することと、
を行う回路を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、
前記第1の測定素子の第1の電圧及び前記第2の測定素子の第2の電圧を決定するために、電圧コントラストイメージングを実行する回路を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラが、
前記第1のキャパシタンス及び前記第2のキャパシタンスに基づいて電圧比を決定する回路を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、
前記基板を表す比例係数を決定する回路を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、
前記比例係数に基づき、及び前記第1のキャパシタンス又は前記第2のキャパシタンスに基づいて、前記オーバーレイ測定値を決定する回路を有する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、
第1の測定素子のグレイレベルと第2の測定素子のグレイレベルとの間の差を決定する回路を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
基板の電荷注入素子に電荷を注入することと、
前記基板の第1の素子ペアの第1のキャパシタンス及び第2の素子ペアの第2のキャパシタンスを決定することと、
前記第1のキャパシタンス及び前記第2のキャパシタンスに基づいてキャパシタンス比を決定することと、
前記キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することと、
を含む方法を荷電粒子ビーム装置に実行させるように前記荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である命令の一セットを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
基板のオーバーレイ測定値を決定する方法であって、
前記基板の電荷注入素子に電荷を注入することと、
第1の素子ペアの第1のキャパシタンス及び第2の素子ペアの第2のキャパシタンスを決定することと、
前記第1のキャパシタンス及び前記第2のキャパシタンスに基づいてキャパシタンス比を決定することと、
前記キャパシタンス比に基づいて前記オーバーレイ測定値を決定することと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記電荷注入素子に前記電荷を注入することが、前記電荷注入素子に荷電粒子ビームを照射することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電荷注入素子と第1の測定素子との間のキャパシタンスとして前記第1のキャパシタンスを決定することと、
前記電荷注入素子と第2の測定素子との間のキャパシタンスとして前記第2のキャパシタンスを決定することと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の測定素子の第1の電圧及び前記第2の測定素子の第2の電圧を決定するために、電圧コントラストイメージングを実行することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のキャパシタンス及び前記第2のキャパシタンスに基づいて電圧比を決定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記基板を表す比例係数を決定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年8月12日に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる欧州特許出願第21191161.5号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002] 本明細書の記載は、荷電粒子ビーム検査に関し、より詳細には、荷電粒子ビームに基づく電圧コントラストを有する均衡容量ターゲットを用いてオーバーレイ測定を行うためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] チップ上の構造の相対的な変位を測定することは、半導体産業では一般的な作業である。電子回路は、正しく機能するチップを保証するために、ウェーハ上で、互いに非常に正確に積み重ねられるべきである多くの異なる層から構成され得る。層の配置は、専用のウェーハオーバーレイメトロロジシステムによってモニタリングされ得る。このようなシステムは、ウェーハ上の2つの機能層間の相対的変位(例えば、素子が変位したときの「オーバーレイ」又は「オーバーレイエラー」)を、両方の層に含まれる専用ターゲットを比較することによって測定することができる。リソグラフィプロセスでは、ターゲット又は他の構造のパラメータは、層をアライメントさせ、及びパターン形成されたフィーチャを正確に形成するためにフィードバック又はフィードフォワード制御を実行することができるように、モニタリングされ得る。
【0004】
[0004] オーバーレイターゲットは、ウェーハ中に、例えば絶縁体膜の下に埋設され得る。このようなターゲットの検査は、光学機器を用いた場合、困難な場合がある。オーバーレイを測定する他の方法は、様々な制約に直面し得る。さらに、オーバーレイは通常、パターン形成されたフィーチャの解像度(「at-resolution」)では測定されない(そのような測定が単純なものではないため)。その代わりに、必ずしも最終製品の高解像度フィーチャに似ているとは限らないかもしれない別のターゲットが通常使用される。オーバーレイ測定のためのシステム及び方法の改善が望まれている。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の実施形態は、荷電粒子ビームに基づいたオーバーレイ測定のためのシステム及び方法を提供する。一部の実施形態では、基板に対してオーバーレイ測定を実行するように構成された荷電粒子ビームシステムが提供され得る。基板のオーバーレイ測定値を決定する方法は、基板の電荷注入素子に電荷を注入することと、第1の素子ペアの第1のキャパシタンス及び第2の素子ペアの第2のキャパシタンスを決定することと、第1のキャパシタンス及び第2のキャパシタンスに基づいてキャパシタンス比を決定することと、を含み得る。本方法は、キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することをさらに含み得る。
【0006】
[0006] 一部の実施形態では、基板のオーバーレイ測定値を決定する方法は、基板の第1の素子ペアの第1のキャパシタンスに基づいて、第1の過渡特性を決定することと、基板の第2の素子ペアの第2のキャパシタンスに基づいて、第2の過渡特性を決定することと、第1の過渡特性及び第2の過渡特性に基づいてキャパシタンス比を決定することと、を含み得る。
【0007】
[0007] 一部の実施形態では、基板に対称に配置されるように構成された第1の素子、第2の素子、及び第3の素子を含み得る基板を帯電させるように構成された荷電粒子ビームデバイスであって、第1~第3の素子が導電性であり、第1の素子と第2の素子との間、及び第1の素子と第3の素子との間に容量結合が形成され、第1の素子、第2の素子、及び第3の素子のうちの少なくとも1つが荷電粒子ビームデバイスによって帯電され、それによって、オーバーレイ測定値の決定を可能にするように基板が構成され、第1~第3の素子が非対称になると、キャパシタンスの不均衡が形成されるように基板が構成される、荷電粒子ビームデバイスが提供され得る。
【0008】
[0008] 前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は共に、例示的且つ説明的なものに過ぎず、開示の実施形態を特許請求され得るとして限定するものではないことを理解されたい。
【0009】
[0009] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せて考慮される例示的な実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】[0010]本開示の実施形態と一致する、ウェーハ検査に使用され得る基板100を示す。
図1B】[0011]本開示の実施形態と一致する基板100の図式表現を示す。
図2A】[0012]本開示の実施形態と一致する、電圧比測定を実行するための回路200の図式表現である。
図2B】[0013]本開示の実施形態と一致する、回路を用いた電圧比測定のシミュレーション結果の図式表現である。
図3A】[0014]本開示の実施形態と一致する、ウェーハ検査に使用され得る基板を示す。
図3B】[0015]本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定を受ける構造の挙動の図式表現である。
図3C】[0015]本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定を受ける構造の挙動の図式表現である。
図3D】[0016]本開示の実施形態と一致する、ウェーハ検査に使用され得る基板を示す。
図4A】[0017]本開示の実施形態と一致する、較正に使用され得る例示的な格子を示す。
図4B】[0017]本開示の実施形態と一致する、較正に使用され得る例示的な格子を示す。
図4C】[0017]本開示の実施形態と一致する、較正に使用され得る例示的な格子を示す。
図4D】[0017]本開示の実施形態と一致する、較正に使用され得る例示的な格子を示す。
図5A】[0018]本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定のための基板のレイアウトの図式表現である。
図5B】[0018]本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定のための基板のレイアウトの図式表現である。
図6】[0019]本開示の実施形態と一致する面内ジオメトリを有する基板を示す。
図7】[0020]本開示の実施形態と一致する、角度を付けた構造を有する基板を示す。
図8】[0021]本開示の実施形態と一致する、誘電体部分を有する基板を示す。
図9】[0022]本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定値を決定する方法を示すフローチャートである。
図10】[0023]本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定値を決定する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0024] これより、図面に例が示される例示的な実施形態について詳細に言及する。以下の記載は、添付の図面を参照し、添付の図面では、異なる図面における同じ番号は、別段の表記のない限り、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致する全ての実装形態を表すものではない。代わりに、それらは、添付の特許請求の範囲に記載され得る主題に関連した態様と一致する装置、システム、及び方法の例にすぎない。
【0012】
[0025] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路から構築される。多くの回路は、同じシリコン片上に一緒に形成することができ、集積回路又はICと呼ばれる。技術の進歩により、これらの回路のサイズは劇的に小さくなり、基板上により多くの回路を収めることができるようになった。例えば、スマートフォンのICチップは、指の爪ほどの大きさでありながら、20億個を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の髪の毛の幅の1000分の1未満である。
【0013】
[0026] これらの極めて小さなICの製造は、複雑で、時間がかかり、高価なプロセスであり、多くの場合、数百もの個々の工程を伴う。たとえ1つの工程におけるエラーであっても、完成したICに欠陥が生じ、それが使い物にならなくなる可能性がある。したがって、製造プロセスの1つの目標は、そのような欠陥を回避して、そのプロセスで製造される機能ICの数を最大化すること、つまりプロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。
【0014】
[0027] 歩留まりを向上させる1つの要素は、チップ製造プロセスが十分な数の機能集積回路を製造していることを確実にするために、チップ製造プロセスをモニタリングすることである。プロセスをモニタリングする1つの方法は、チップ回路構造をその形成の様々な段階で検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して行うことができる。SEMは、これらの非常に小さな構造をイメージングする(事実上、構造の「写真」を撮る)ために使用することができる。この画像を用いて、構造が適切に形成されたかどうか、及びそれが適切な場所に形成されたかどうかを決定することができる。構造に欠陥があれば、欠陥が再び生じにくいようにプロセスを調整することができる。スループット(例えば、1時間当たりに処理されるサンプルの数)を向上させるためには、可能な限り迅速に検査を実施することが望ましい。
【0015】
[0028] 検査の一種には、オーバーレイ測定が含まれ得る。チップ内の様々な層における構造の位置は、構造が適切な場所で互いに積み重ねられていることを確実にするために、検査され得る。異なる層における構造間の相対的変位は、チップが適切に機能するために重要であり得るが、ウェーハの表面下に埋設された構造を測定することは困難である。オーバーレイ測定を行うための幾つかの技術には、光学メトロロジ、軟X線、及び電子ビームの直接スキャンが含まれ得る。しかしながら、各技術は、制約に直面する場合がある。例えば、光学メトロロジでは、現代の半導体製造プロセスのフィーチャサイズは、光学(例えば、可視光又は赤外線)メトロロジによる直接評価にとってはあまりにも小さすぎ、また、光学メトロロジターゲットのフットプリントは、所期のものよりも大きい。軟X線技術は、完全には成熟しておらず、そのような機器は大型である。電子ビームの直接スキャンは、ラステライズされたパターンでサンプル全体にわたってビームをトレースすることを伴い得るが、これは非常に時間がかかり、その信号対雑音比は、スキャン面積に比例する。
【0016】
[0029] 本開示の幾つかの実施形態は、キャパシタンスに基づいてオーバーレイ測定を実行するためのシステム及び方法を提供することができる。キャパシタンスとは、電荷を蓄積する構成要素の能力である。導電材料が、それらの間に絶縁材料を挟んで互いに近接して配置される場合、それらはキャパシタのように機能し得る。キャパシタンスを測定することは、ウェーハの表面層の下に埋設された構造の特性を決定するのに役立ち得る。オーバーレイ測定、例えば、ウェーハの異なる層に存在し得る構造の相対的変位は、キャパシタンスの変化を検出することによって決定され得る。キャパシタンスの変化は、電圧を検出することによって決定され得る。
【0017】
[0030] 一部の実施形態は、電圧コントラストイメージングと呼ばれるSEMイメージングの一種を使用することもできる。電圧コントラストイメージングでは、外部バイアスをデバイスに印加することができ、荷電粒子ビームを使用して、イメージングされたフィーチャにおけるコントラストの変動を分析することができる。例えば、第1の電子ビームによって幾つかの浮遊素子(帯電素子)のうちの1つに電荷が注入されてもよい。また、測定ビームが浮遊素子のうちの異なる1つ(ターゲット素子)に当てられてもよく、(例えば、SEM画像を生成することによって)ターゲット素子の画像が生成されてもよい。SEM画像において、周囲に対するフィーチャの明るさ(例えば、グレイスケールSEM画像におけるその「グレイレベル」)は、その電圧に対応し得る。電圧は、モデル化され得る関係によってキャパシタンスに対応し得る。したがって、電圧コントラスト技術によって測定されたフィーチャの電圧を使用して、キャパシタンス結果を決定することができ、キャパシタンス結果を使用して、オーバーレイ測定値を決定することができる。
【0018】
[0031] 一部の実施形態は、公称状態において均衡キャパシタンスを有する基板の構造を採用し得る。この構造は、互いに容量結合された浮遊素子を含み得る。素子間の相対寸法が(例えば、オーバーレイエラーにより)シフトすると、キャパシタンスに対応する変化が生じ得る。キャパシタンスの変化は、素子のうちの1つ又は複数の電圧を測定することによって決定され得る。電圧又はキャパシタンス比は、オーバーレイ測定値を決定するために使用され得る。例えば、均衡のとれた比率は、中央の素子が2つのサイド素子間の厳密な中点に位置するように素子がアライメントされていることを示し得る。したがって、中央の素子と一方のサイド素子との間のキャパシタンスは、中央の素子と他方のサイド素子との間のキャパシタンスと等しくなり得る。オーバーレイは、ゼロと決定され得る。一方、不均衡な比率は、素子が変位していることを示し得る。例えば、中央の素子が、一方のサイド素子に対して他方のサイド素子よりもより近い場合がある。一部の実施形態では、キャパシタンスは、導体間の静電力に正比例する場合があり、したがって、中央の素子とより近いサイド素子との間のキャパシタンスは、中央の素子とより遠いサイド素子との間のキャパシタンスよりも高くなる場合がある。不均衡なキャパシタンス比は、オーバーレイエラーを示し得る。
【0019】
[0032] 一部の実施形態では、基板の構造は、公称状態において所定の配置で設けられてもよい。例えば、構造は、所定の均衡又は対称性で設けられてもよい。構造は、構造が対称状態から逸脱したときにキャパシタンスの変化が検出可能であるように構成されてもよい。
【0020】
[0033] 一部の実施形態は、荷電粒子ビームを使用して、浮遊素子のうちの1つ(例えば、電荷注入素子)に電荷を注入することができる。電荷注入素子は、電圧コントラストイメージングを可能にするように帯電し得る。荷電粒子ビームを使用して、他の浮遊素子(例えば、測定素子)に対して電圧コントラストイメージングを実行することもできる。特定の測定素子の電圧が決定されてもよい。また、異なる素子の測定値を比較することにより、電圧比(例えば、均衡又は不均衡)が決定されてもよい。電圧不均衡は、構造の容量特性に比例し得る。測定された電圧に基づいて、オーバーレイ測定値が決定され得る(例えば、素子の変位)。
【0021】
[0034] 一部の実施形態は、専用の電荷注入素子を使用せずにオーバーレイを測定することができる。代わりに、荷電粒子ビームは、測定素子のプロービングのためだけに使用され得る。プロービング自体が、いくらかの帯電を生じさせる場合がある。素子のオーバーレイ測定値は、キャパシタンスの不均衡によって影響を受ける過渡的な帯電挙動に基づいて決定され得る。オーバーレイエラーにより、素子間でキャパシタンスの不均衡が生じ得る。例えば、中央の素子が一方のサイド素子に対して他方のサイド素子よりも近くなるように変位される場合がある。キャパシタンスは、素子間の間隔に応じて異なり得るため、一方の素子ペア間のキャパシタンスが他方のペアとは異なり得る。荷電粒子ビームが測定素子のプロービングを行うとき、検出特性は、素子の変位を表す不均衡を明らかにし得る。オーバーレイ測定値は、検出された均衡又は不均衡に基づき得る。
【0022】
[0035] システムは、測定された不均衡が特定のずれ量に対応するように較正され得る。システムは、測定方法から変化に対する感度の切り離しを可能にし得る。例えば、オーバーレイを測定する比較方法において、感度は、オーバーレイを測定する場所及び方法に依存し得る。素子のある場所でオーバーレイを測定することは、同じ素子の異なる場所でオーバーレイを測定することとは異なり得る。比較方法は、感度と、使用される測定技術に対して実行可能な観察インターフェイスを生成する能力との間のトレードオフを必然的に伴い得る。しかしながら、本開示の一部の実施形態は、感度と観察インターフェイスの要件との間のトレードオフ関係を低減又は排除することができる。さらに、半導体デバイスにおけるフィーチャの解像度オーバーレイ測定(at-resolution overlay measurement)が可能にされ得る。
【0023】
[0036] 本開示の目的及び利点は、本明細書で述べる実施形態に記載されるような要素及び組み合わせによって実現され得る。しかしながら、本開示の実施形態は、そのような例示的な目的又は利点を達成するために必ずしも必要ではなく、一部の実施形態は、記載した目的又は利点を何れも達成しない場合がある。
【0024】
[0037] 本開示の範囲を限定することなく、一部の実施形態は、電子ビーム(「eビーム」)を利用するシステムにおけるシステム及び方法を提供するという文脈で説明される場合がある。しかしながら、本開示はそれに限定されない。他のタイプの荷電粒子ビームも同様に適用することができる。さらに、ウェーハ検査又はオーバーレイ測定のためのシステム及び方法は、光学イメージング、光子検出、X線検出、イオン検出などの他のイメージングシステムにおいて使用することができる。
【0025】
[0038] 本明細書において、特に別段の記載がない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除き、すべての可能な組み合わせを包含する。例えば、ある構成要素がA又はBを含むと記載されている場合、特に別段の記載がない限り、又は実行不可能でない限り、その構成要素は、A、又はB、又はA及びBを含み得る。第2の例として、ある構成要素がA、B、又はCを含むと記載されている場合、特に別段の記載がない限り、又は実行不可能でない限り、その構成要素は、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCを含み得る。「~の少なくとも1つ」などの表現は、必ずしもそれに続くリストの全体を修飾するとは限らず、また、必ずしもリストの各要素を修飾するとは限らないため、「A、B、及びCの少なくとも1つ」は、Aのうちの1つのみ、Bのうちの1つのみ、Cのうちの1つのみ、又はA、B、及びCの任意の組み合わせを含むものとして理解されるべきである。「A及びBのうちの1つ」又は「A及びBのうちの何れか1つ」という表現は、Aのうちの1つ、又はBのうちの1つを含む最も広い意味で解釈されるものとする。
【0026】
[0039] ここで、本開示の実施形態と一致する、ウェーハ検査に使用され得る基板100を示す図1Aを参照する。図1Aに示すように、基板100は、ベース層102の上に絶縁層101を含み得る。ベース層102は、シリコンを含んでもよく、絶縁層101は、酸化シリコンを含んでもよい。
【0027】
[0040] 基板100は、絶縁層101に形成された素子110、120、及び130を含み得る。素子110、120、及び130は、電線素子を含み得る。図1Aは、素子110、120、及び130の一部又は全部が互いに平行に紙面の内外に延びる基板100の断面を示し得る。素子110、120、及び130は、浮遊素子(例えば、それらは、他の素子に直接電気的に接続されていない)であってもよい。例えば、素子110、120、及び130は、効果的に接地されるほど長いのではなく、比較的短くてもよい。基板100は、接地素子G1及びG2を含み得る。接地素子G1及びG2は、接地に接続されてもよいし、又はそれら自体が効果的に接地として機能するように大きくてもよい。一部の実施形態では、接地素子G1及びG2は、より大きな接地面構造の一部であってもよい。
【0028】
[0041] 素子は、所定の設計に従って基板100に形成されてもよい。素子は、所定のサイズを有して、所定の場所に形成することができる。例えば、素子G1、G2、110、120、及び130の各々は、指定された幅、厚さ、及び材料の種類を有し得る。素子は、それぞれの軸を中心とするように形成されてもよい。例えば、接地素子G1は、軸141を中心とするように設計され、素子120は、軸121を中心とするように設計され、素子110は、軸111を中心とするように設計され、素子130は、軸131を中心とするように設計され、接地素子G2は、軸151を中心とするように設計される。
【0029】
[0042] 一部の実施形態では、素子は、少なくとも部分的に互いにオーバーラップする場合がある。例えば、図1Aに示すように、素子110は、素子120及び130と上下方向にオーバーラップし得る。基板100を平面視で見ると、素子110は、素子120及び130の少なくとも一部の上にかかり得る。一部の実施形態では、素子は、互いにオーバーラップしていない場合がある。
【0030】
[0043] 公称位置において、素子は互いに容量結合されてもよい。図1Aに示すように、素子110と素子120との間のキャパシタンスC1、素子120と接地素子G1との間のキャパシタンスC2、素子110と素子130との間のキャパシタンスC3、及び素子130と接地素子G2との間のキャパシタンスC4が存在し得る。基板100は、キャパシタンスC1及びC3が等しくなるように構成されてもよい。また、キャパシタンスC2及びC4が等しくてもよい。一部の実施形態では、キャパシタンスC1、C2、C3、及びC4が等しくてもよい。
【0031】
[0044] 公称状態において、キャパシタンスは、素子間でペアごとに均衡がとれていてもよい。例えば、素子G1、110、120、130、及びG2は、それぞれの軸において形成されてもよく、キャパシタンスC1、C2、C3、及びC4は、等しくてもよい。基板100は、所定の配置を有し得る。例えば、基板100は対称であってもよい。図1Aに示すように、基板100は、軸111に対して鏡面対称となるように設計されてもよい。キャパシタンスが公称配置において均衡がとれるように、他の種類の対称性が使用されてもよい。
【0032】
[0045] 図面は、特定の素子の電気的等価を示す場合があるが、所望の電気的挙動を達成するために、様々な構造又はジオメトリが使用され得ることが理解されるであろう。例えば、素子110及び120は、絶縁材料によって互いに分離されることによって、互いに容量結合されてもよいことが理解されるであろう。
【0033】
[0046] 図1Bは、本開示の実施形態と一致する基板100の図式表現を示す。
【0034】
[0047] 一部の実施形態では、素子110は、電荷注入素子を含み得る。素子110は、電圧コントラストイメージングを可能にするように外部バイアス(例えば、電荷)を受け取るように構成されてもよい。素子110は、荷電粒子ビーム(例えば、電子ビーム)からの照射を受け取るように構成されてもよい。図1Aに示すように、電子ビームEは、軸111とアライメントされ、基板100上に投影されてもよい。さらに、測定ビームM及びMは、それぞれ軸121及び軸131とアライメントされ、基板100上に投影されてもよい。基板100は、電圧比(例えば、電圧均衡又は不均衡)を測定するために、電圧コントラストイメージングシステムと共に使用されてもよい。
【0035】
[0048] 素子が(例えば、製造プロセスにおけるエラー、スケーリングエラーなどのために)その公称位置に対して変位すると、キャパシタンスの不均衡が生じ得る。例えば、図1Aに示すように、素子130は、Δx分だけ変位位置130’に変位する場合がある。素子130が接地素子G2に近づき、素子110から離れるにつれて、キャパシタンスC1、C2、C3、及びC4の値が変化し得る。
【0036】
[0049] オーバーレイ測定値は、キャパシタンスの不均衡から決定され得る。キャパシタンスは、電圧に関連し得る。例えば、一部の素子は、導体の自己容量を表すq=CVの基本的関係(式中、qは蓄積された電荷、Cはキャパシタンス、Vは絶縁体の電位差である)に従い得る。荷電粒子ビームシステム(例えば、SEMイメージングシステム)では、1つ又は複数の導電性素子が絶縁層を含むサンプル上に設けられ得る。荷電粒子ビームは、サンプル上のあるエリアのプロービングを行うことができ、そのエリアは帯電し得る。荷電粒子ビームがそのエリアを照射し、そのエリアから二次荷電粒子が放出されると、表面電位が生じ得る。一部の電荷はサンプル上に蓄積され得るが、一部の電荷は二次荷電粒子放出としてサンプルから放出される。表面電位は、サンプルの正味の電荷を表す場合があり、表面電位は、エリア内の素子のキャパシタンスに対応する場合がある。電圧コントラスト法は、既知の電荷量を誘導することを伴い得る。したがって、素子の測定電圧は、その素子と別の素子との間のキャパシタンスを表し得る。
【0037】
[0050] 測定方法は、荷電粒子ビームを使用して電圧コントラストイメージングを行うことを伴い得る。電圧コントラストは、基板100の様々な素子の電圧を測定するために使用することができる。荷電粒子ビームは、基板100の3つの異なる場所に投影されてもよい。一部の実施形態では、複数のビーム(例えば、マルチビーム装置のビームレット)が使用されてもよい。一部の実施形態では、基板100の異なる場所に異なる時点で投影される単一ビーム装置からのビームが使用されてもよい。
【0038】
[0051] 電子ビームE及び測定ビームM及びMは、異なる時点で基板100の異なる場所に投影される単一ビーム装置からの同一ビームであってもよい。一部の実施形態では、電子ビームE及び測定ビームM及びMは、マルチビーム装置の別々のビームレットであってもよい。ビームが基板100のある場所を照射すると、基板100の照射された場所から二次荷電粒子が発生する場合があり、検出器で収集され得る。検出された荷電粒子は、電圧コントラストイメージングに使用することができる。
【0039】
[0052] 特定の構造の挙動は、測定された電圧がオーバーレイ測定値に対応するようにモデル化することができる。図1Aに示す基板100の場合、キャパシタンスは、公称(例えば、対称)配置に対する変位の関数であってもよい。基板100は、以下の関係に従う場合があり、式中、ΔCはキャパシタンス不均衡であり、K’は比例係数であり、OVはオーバーレイ(例えば、公称配置に対する変位)である。
ΔC=K’OV (1)
【0040】
[0053] オーバーレイOVの0の値は、素子が適切にアライメントされ、オーバーレイエラーが存在しないことを示し得る。キャパシタンス不均衡ΔCの値も0である場合があり、これは、キャパシタンスの均衡がとれていることを示す。すなわち、キャパシタンス比は1対1であってもよい。一部の実施形態では、詳細な表現(例えば、特定の方程式)は、基板の詳細なジオメトリに依存し得る。基板は、公称位置において均衡のとれたジオメトリを有するように構成されてもよい。例えば、基板の一面上の導電素子は、基板の別の面上の導電素子と均衡がとれていてもよい。1つ又は複数の素子の位置のシフトは、逆の符号を持つキャパシタンスの変化に至る場合がある。
【0041】
[0054] 図1Aに破線で示すように、素子は公称位置からΔx分だけ変位する場合がある。Δxの値は、オーバーレイOVに対応し得る。上部構造に対する下部構造のシフトに関して、キャパシタンスは以下のように変化し得る。
【数1】
【0042】
[0055] 4つの公称キャパシタンスがすべて等しい場合、以下の関係が使用され得る。式中、Vdiffは、電圧コントラストイメージングを実行することにより決定可能であり得る電位差である。
【数2】
【0043】
[0056] 一部の実施形態では、Vdiffはまた、グレイ値の差に対応し得る。基板100を電圧コントラスト法で使用して、第1の電子ビームを通して素子110に電荷が注入されてもよい。その結果生じる、素子120及び130の電圧は、電圧コントラストを用いて測定することができる。
【0044】
[0057] 図1Aに示す配置では、素子110、G1、及びG2に対して素子120及び130が一緒にシフトすることにより、キャパシタンスの変化がもたらされる場合があり、キャパシタンスブリッジの形態が生じ得る。一次近似を用いて、一方向のシフトは、C2及びC3を減少させながらC1及びC4を増加させる。反対方向へのシフトは、逆の効果をもたらす。キャパシタンスの変化の結果として、測定される電圧は、素子間の相対シフトに比例して変化する。
【0045】
[0058] 図1Aに示すように、素子110はある層に形成されてもよく、素子120及び130は別の層に形成される。接地素子G1及びG2は、素子110と同じ層に形成されてもよい。さらなるバリエーションには、接地素子G1及びG2を異なる平面に形成すること、素子G1、G2、110、120、及び130のすべてを単一層又は異なる層に形成すること、素子120及び130を上層に形成し、素子110を下層に形成すること、並びに他の任意の配列が含まれ得る。素子G1、G2、及び110は、1つのステップで製造されてもよく、素子120及び130は、第2のステップで製造され、又はその逆であってもよい。一部の実施形態では、接地素子は、素子110に接続されてもよい。例えば、素子110の下方に接地素子が設けられてもよい。
【0046】
[0059] 図2Aは、本開示の実施形態と一致する、電圧比測定を実行するための回路200の図式表現である。図2Bは、回路200を用いた電圧比測定のシミュレーション結果を表し得る。図2Bのグラフにおいて、横軸は時間を表し、縦軸は電圧を表す。
【0047】
[0060] 図2Aに示すように、指定の電流を有する電荷注入ビームを使用することができる。サンプルの表面から荷電粒子が放出されることにより、いくらかの電流が失われる場合がある。システムを流れる正味電流は、値Iで表され得る。電荷注入ビームは、基板100の素子110に当てられる、図1Aに示すビームEに対応し得る。電荷は、時点Tから注入され得、時点Tまで続き得る。測定電圧は、C1とC2との間、及びC3とC4との間で(例えば、それぞれ素子120及び130において)測定され得る。図2Bに示すように、電圧V及びVは異なり、電圧の不均衡、ひいてはキャパシタンスの不均衡を示している。不均衡は、基板100及び特定の測定条件に対応するモデルに従って定量的に決定することができる。不均衡に基づいて、オーバーレイ測定値が決定され得る。Vdiffは、電圧差V-Vに等しいものとして決定され得る。
【0048】
[0061] モデルは、実験などの較正によって、又はシミュレーションによって決定されてもよい。一部の実施形態では、モデルは、線形応答領域を包含し得る。例えば、図2Bに示すように、測定電圧(及びそれらの差)は、時点Tと時点Tとの間の時間と共に、ほぼ線形に増加し得る。時間は、現在のドーズに対応し得る。ドーズと測定された電圧差を相関させる比例係数が求められ得る。オーバーレイは、測定された電圧差及び比例係数に基づいて決定され得る。一部の実施形態では、測定挙動が完全には線形でない場合がある。しかしながら、例えば、少なくともある範囲にわたって挙動をモデル化する係数が決定されてもよい。この係数は、挙動が実質的に線形である範囲に対応し得る。
【0049】
[0062] 一部の実施形態では、モデルは、漏れ電流を考慮に入れることができる。例えば、一部の構造は、測定された電圧V及びVに影響を与え得る漏れ電流を示す場合がある。さらに、Vが測定された地点から(レジスタによって表され得る)接地までの漏れ経路、及びVが測定された地点から(レジスタによって表され得る)接地までの漏れ経路が提供され得る。このような漏れ経路は、振幅の減少及び帯電状態に達した後の電圧バイアスの急激な低下の影響を引き起こし得る。影響は、電荷が測定部分から漏れる速度に依存し得る。
【0050】
[0063] ここで、本開示の実施形態と一致する、ウェーハ検査に使用され得る基板300を示す図3Aを参照する。基板300は、特定の相違点を除き、基板100と同様であってもよい。例えば、接地面は、ベース層302の単一の平面によって表されてもよい。さらに、浮動素子の配置は変更されてもよい。
【0051】
[0064] 図3Aに示すように、基板300は、ベース層302の上に絶縁層301を含み得る。基板300は、絶縁層101に形成された素子310、320、及び330を含み得る。素子310、320、及び330は、電線素子(例えば、導電線)を含み得る。素子310、320、及び330の一部又は全部は、紙面内外に互いに平行に延び得る。
【0052】
[0065] 素子310、320、及び330は、互いに容量結合されてもよい。素子310と素子320との間にはキャパシタンスC1が存在し得る。素子310と素子330との間には、キャパシタンスC2が存在し得る。さらに、接地面と素子320及び330の各々との間には、キャパシタンスC3が存在し得る。接地面と素子310との間には、キャパシタンスC4が存在し得る。
【0053】
[0066] 素子320及び330は、荷電粒子ビームからの照射を受け取るように構成されてもよい。図3Aに示すように、測定ビームM及びMは、それぞれ軸321及び軸331とアライメントされ、基板300上に投影されてもよい。基板300は、電圧比を測定するために、電圧コントラストイメージングシステムと共に使用されてもよい。図1Aとは異なり、図3Aでは、電荷注入素子の励起に使用される電子ビームEは存在しない。
【0054】
[0067] 一部の実施形態では、基板300は、以下の条件を満たすように構成されてもよい:C1>>C3。また、以下の条件が満たされてもよい:C2>>C3。従って、C3は無視されるほど小さくなり得る。C4についても同様であってもよい。
【0055】
[0068] 基板を含む構造の挙動は、測定された電圧がオーバーレイ測定値に対応するようにモデル化され得る。図3Aに示す基板300の場合、キャパシタンスは、公称(例えば、対称又は均衡)配置に対する変位の関数であってもよい。
【0056】
[0069] 測定ビームM1及びM2による素子320及び330の測定電圧の差は、キャパシタンスC1とC2との間の差に関連し得る。キャパシタンスの差は、オーバーレイに関連し得る。オーバーレイ測定値を決定する方法は、第1及び第2の素子の電圧を測定することと、比キャパシタンスを決定することと、を含み得る。
【0057】
[0070] 方程式(1)~(6)のような関係の場合、比例係数は、例えば、実験的に、又はシミュレーションにより決定することができる。比例係数は、観察下の構造に関する情報、電圧コントラストイメージングシステムの動作条件、又はオーバーレイの測定に関連する他のパラメータに基づいてもよい。
【0058】
[0071] 図3B及び図3Cは、本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定を受ける構造の挙動の図式表現である。図3Bでは、横軸は電荷密度を表し、縦軸は表面電位を表し得る。電荷密度は、基板300上の素子に適用される測定ドーズに対応し得る。図3Bのグラフは、測定ビームM及びMを当てることによる基板300の測定挙動を表し得る。グラフに示される曲線は、オーバーレイエラーが生じた場合(例えば、素子の配置が対称などの所定の配置から逸脱する)、互いに異なり得る。例えば、素子310が軸311に対して変位した場合(図3Aを参照)、曲線は異なり得る。素子310は、変位Δx分だけ軸311からシフトされ得る。素子310は、素子320から離れて、素子330に近づく場合があり、キャパシタンスC1及びC2の値が変化し得る。例えば、キャパシタンスが小さくなると、キャパシタンスが大きい場合よりも帯電が速くなり得る。曲線325は、測定ビームMを使用した素子320の測定された表面電位を表し、曲線335は、測定ビームMを使用した素子330の測定された表面電位を表し得る。矢印341は、キャパシタンスの増加傾向を表す。曲線325は小さなキャパシタンスを表し、曲線335は大きなキャパシタンスを表し得る。複数の素子ペア間のキャパシタンスが等しい場合(例えば、C1=C2の場合、キャパシタンス比が1対1であることも意味する)、曲線325及び335は、互いにオーバーラップし得る。オーバーラップする曲線は、オーバーレイエラーが存在しないこと(例えば、構造が対称配置で形成されていること)を示し得る。
【0059】
[0072] 図3Cは、基板300上の測定ビームM及びMを使用した測定結果から収集された別の形態のデータを表し得る。図3Cにおいて、横軸は電荷密度を表し、縦軸は検出器で検出された二次荷電粒子電流を一次ビーム電流で割った値を表し得る。縦軸は、電圧コントラストによってイメージングされたフィーチャのグレイレベルに対応し得る。電荷密度は、測定ドーズに対応し得る。
【0060】
[0073] 図3Bと同様に、オーバーレイエラーが発生した場合、図3Cの曲線は異なり得る。図3Cにおいて、曲線327は、測定ビームMを使用した素子320の測定されたグレイ値を表し、曲線337は、測定ビームMを使用した、素子330の測定された表面電位を表し得る。矢印341は、キャパシタンスの減少傾向を表す。曲線327は小さなキャパシタンスを表し、曲線337は大きなキャパシタンスを表し得る。複数の素子ペア間のキャパシタンスが等しい場合(例えば、C1=C2の場合)、曲線327及び337は、互いにオーバーラップし得る。オーバーラップする曲線は、オーバーレイエラーが存在しないこと(例えば、構造が対称配置で形成されていること)を示し得る。
【0061】
[0074] 図3B及び図3Cに示すように、測定された素子間の差異が示される測定ドーズ量の範囲が存在し得る。例えば、図3Bに示すように、曲線325及び曲線335の値が互いに異なる、第1の測定ドーズQと第2の測定ドーズQとの間の範囲が存在し得る。曲線325及び曲線335の値は、帯電が継続するにつれて収束し得る。キャパシタンス不均衡の過渡的挙動を明らかにすることができる最適なドーズ量範囲を決定することができる。構造が所定の配置(例えば、対称)にある場合、表面電位又はグレイレベルの測定値は、過渡的挙動の領域であっても、素子間で同じであり得る。しかしながら、構造が(例えば、オーバーレイエラーにより)所定の配置から逸脱すると、表面電位又はグレイレベルの測定値は、過渡的挙動の領域において、素子によって異なり得る。
【0062】
[0075] 図3Dは、本開示の実施形態と一致する、ウェーハ検査に使用され得る別の例示的な基板300Aを示す。基板300Aは、特定の相違点を除き、基板300と同様であってもよい。例えば、1つの上側素子及び2つの下側素子が存在してもよい。
【0063】
[0076] 基板300及び300Aはそれぞれ、所定の配置を有し得る。例えば、公称状態において、軸311に対して鏡面対称であってもよい。構造が所定の配置から逸脱すると(例えば、素子310、320、及び330のうちの1つ又は複数が左又は右にシフトすると)、キャパシタンスの不均衡が検出可能となり得る。測定されたキャパシタンス(例えば、電圧コントラストイメージングによって決定される)に基づいて、オーバーレイ測定値が決定され得る。
【0064】
[0077] 一部の実施形態では、構造の測定値とオーバーレイ測定値との間の対応が決定され得る。測定された電圧差とオーバーレイ(例えば、変位Δx又はOV)との間の関連性は、構造内の様々な素子のキャパシタンス(例えば、C1、C2、C3)及び比例定数に依存し得る。一部の実施形態では、比例定数が計算されてもよい。一部の実施形態では、較正法が使用されてもよい。図3Dに示され得るような基板300Aについて、Vdiffは、M1から検出された電圧とM2から検出された電圧との間の電圧差として決定され得る。
【0065】
[0078] ここで、本開示の実施形態と一致する、較正に使用され得る例示的な格子を示す図4A~4Dを参照する。図4A及び図4Bに示すように、オーバーレイは、入射ビームI及び結果ビーム(resultant beam)I-1及びI+1を使用して測定され得る。一部の実施形態では、光ビームを採用する光学的方法が使用されてもよい。オーバーレイエラーが存在しない場合、I-1及びI+1の測定強度は等しくなり得る。図4Aは、OV=0及びA=I+1-I-1=0の状況を示しており、OVはオーバーレイであり、Aは荷電粒子ビームに基づく測定値である。入射ビームIは、第1の層構造401及び第2の層構造402を含む格子構造400A上に投影され得る。第1の層構造401及び第2の層構造402は、互いに正確に積み重ねられており、オーバーレイエラーは存在しない。格子構造400Aとの相互作用の結果として、強度が等しい結果ビームI-1及びI+1が生成される。
【0066】
[0079] 一方、オーバーレイエラーが存在する場合(例えば、格子が互いに正確に積み重ねられていない場合)、入射ビームが格子と異なる相互作用をする場合があり、結果ビームが非対称に生成され得る。図4Bは、OV≠0及びA=I+1-I-1=K×OVの状況を示しており、式中、OVはオーバーレイであり、Aは荷電粒子ビームに基づく測定値であり、Kは比例係数である。入射ビームIは、第1の層構造401及び第2の層構造402を含む格子構造400B上に投影され得る。第1の層構造401及び第2の層構造402は、互いにオフセットしている。したがって、オーバーレイエラーが存在する。格子構造400Bとの相互作用の結果として、強度が等しくない結果ビームI-1及びI+1が生成される。
【0067】
[0080] キャパシタンスの不均衡に基づく方法では、未知のアプリオリ比例係数Kが存在し得る。係数Kは、例えば、システムの特性及び測定条件に基づいてモデル化され得る。
【0068】
[0081] プロセス依存の比例係数Kを除去するために、二重バイアスのオーバーレイ測定が使用され得る。係数Kは、組み込みであるが反対のバイアスdを有する2つのオーバーレイターゲットに対する複合測定を使用することによって抽出されてもよい。反対のバイアスを有する2つのターゲットは、オーバーレイ値及び比例係数Kの抽出を可能にし得る。オーバーレイ測定システムを較正する方法は、反対のバイアスを有する2つのターゲットを使用することを含み得る。この方法は、第1のターゲットの第1の測定結果及び第2のターゲットの第2の測定値を用いてオーバーレイを決定することを含み得る。バイアスは予め既知であってもよい。
【0069】
[0082] 図4Cは、第1の方向にバイアスされた第1の格子410を示す。図4Cに示すように、第1の層構造401は、正のバイアスdだけ第2の層構造402からオフセットされている。図4Cは、OV=d及びA=K(OV+d)の状況を示している。一方、図4Dは、第1の方向とは反対の方向にバイアスされた第2の格子420を示す。図4Dに示すように、第1の層構造401は、負のバイアス-dだけ第2の層構造402からオフセットされている。図4Dは、OV=-d及びA=K(OV-d)の状況を示している。第1の格子410及び第2の格子420を用いて、比例係数Kに依存することなくオーバーレイを測定することができる。例えば、第1の格子410及び第2の格子420からの測定値を組み合わせると、以下の関係を見出すことができる。
【数3】
【0070】
[0083] 上記から、バイアスdは、マスクウェーハによって決定することができる。さらに、Aの値(例えば、A及びA)は、メトロロジツールによって正確に測定することができる。「A」は、電圧コントラストイメージング結果、グレイレベルなどの測定結果を表し得る。
【0071】
[0084] 一部の実施形態では、オーバーレイは、図4C及び図4Dに示されるように、符号がオーバーレイターゲットの組み込みバイアスdの方向に関連する、以下のような方程式に従って電圧不均衡から決定され得る。
【数4】
【0072】
[0085] 一部の実施形態では、オーバーレイは、2つの測定値(1つは第1のバイアスを有し、もう1つは反対のバイアスを有する)を用いて測定することができる。バイアスは、予め既知であってもよい。測定値をオーバーレイに相関させるための比例係数への依存をなくすように、2つの測定値が組み合わせられてもよい。例えば、検出器で収集された荷電粒子の強度の測定値は、オーバーレイの値を得るために既知のバイアス項と共に直接使用されてもよい。
【0073】
[0086] 一部の実施形態では、基板における素子のレイアウトを最適化することができる。最適化は、帯電効率又は測定効率のために行われ得る。例えば、電子ビームスキャンとの互換性を高めるために、帯電スキャンの場所と測定スキャンの場所とを分離するようにターゲットのジオメトリが最適化されてもよい。本明細書では「スキャン」について説明するが、荷電粒子ビームがサンプルの表面を常に移動する必要はないことが理解されるであろう。一部の実施形態では、荷電粒子ビームは、1つ又は複数の特定の場所に投影することができ、使用されないときにはオフにする(例えば、サンプルから離れてブランクにする)ことができる。基板の素子に対するドーズ量は、素子上の荷電粒子ビームの滞留時間によって決定され得る。
【0074】
[0087] 基板を帯電させるように構成された荷電粒子ビームデバイスを提供することができる。基板は、基板において対称に配置されるように構成された第1の素子、第2の素子、及び第3の素子を含み得る。例えば、図1Aに示すように、第1の素子(110)、第2の素子(120)、及び第3の素子(130)を有する基板100が提供されてもよい。また、図3Aに示すように、第1の素子(310)、第2の素子(320)、及び第3の素子(330)を有する基板300が提供されてもよい。素子は、鏡面対称性を有するなどにより、対称的に配置されてもよい。一部の実施形態では、対称性はまた、図7に示されるような別のタイプの均衡配置を有することによって達成されてもよい。
【0075】
[0088] 第1の素子と第2の素子との間、及び第1の素子と第3の素子との間には、容量結合が形成されてもよい。例えば、図1Aに示すように、素子110と素子120との間にキャパシタンスC1が存在し、素子110と素子130との間にキャパシタンスC2が存在してもよい。また、図3Aに示すように、素子310と素子320との間にキャパシタンスC1が存在してもよく、素子310と素子330との間にキャパシタンスC2が存在してもよい。
【0076】
[0089] 基板は、第1の素子、第2の素子、及び第3の素子のうちの少なくとも1つが荷電粒子ビームデバイスによって帯電され、それによってオーバーレイ測定値の決定を可能にするように構成されてもよい。例えば、図1Aに示すように、素子110は、ビームEによって帯電されてもよい。ビームEは、荷電粒子ビームデバイスの荷電粒子ビーム源によって生成され得る。荷電粒子ビームデバイスは、単一ビーム装置又はマルチビーム装置を含み得る。また、図3Aに示すように、素子320又は素子330は、それぞれ測定ビームM1及びM2によって帯電されてもよい。基板は、第1~第3の素子が非対称になると、キャパシタンスの不均衡が形成されるように構成されてもよい。オーバーレイは、キャパシタンスの不均衡によって決定され得る。
【0077】
[0090] 荷電粒子ビーム源は、基板から放出された二次荷電粒子を収集するように構成された検出器を含み得る。二次荷電粒子は、荷電粒子ビーム源のビームの照射によって基板から放出され得る二次電子又は後方散乱電子を含み得る。二次荷電粒子は、第1~第3の素子のうち、第1の素子ペアと第2の素子ペアとの間のキャパシタンス比を示し得る。荷電粒子ビーム源は、キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定するように構成された電子制御装置(ECU)も含み得る。電子制御装置は、メモリ及びプロセッサを含み得る。
【0078】
[0091] ここで、本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定のための基板のレイアウトの図式表現である図5A及び図5Bを参照する。図5Aは、図1Aに示される基板100の平面図を表し得る。図5Bは、図3Aに示される基板300の平面図を表し得る。
【0079】
[0092] 図5Aに示すように、電荷注入領域510、相互作用領域520、及び測定領域530が存在し得る。領域510、520、及び530は、基板100の上面図の一部であり得る。電荷注入領域510は、下に素子110が位置する基板の部分を荷電粒子ビームが照射し得る場所を指定し得る。荷電粒子ビームは、スキャン経路515をたどり得る。荷電粒子ビームは基板と相互作用し、電荷が素子110に注入され得る。相互作用領域520において、素子110、120、130、G1、及びG2は、容量結合によって互いに相互作用し得る。測定領域530は、下に素子120及び130が位置する基板の部分に荷電粒子ビームを照射し得る場所を指定し得る。荷電粒子ビームは、スキャン経路535をたどり得る。測定領域530で使用される荷電粒子ビームは、電荷注入領域510で使用されるものと同じであってもよい。荷電粒子ビームは、異なる時点で異なる場所を照射することができる。測定領域530への照射は、基板の電圧コントラストイメージングの実行と同時であってもよい。電圧は、特定の素子(例えば、素子120又は素子130の電圧測定)について読み取られ、単一のスキャンインタイムと相関してもよい。荷電粒子ビームのビーム電流は、その用途に応じて調整することができる。一部の実施形態では、複数の荷電粒子ビームが使用されてもよい。例えば、素子110、120、及び130の各々への照射を一度に行うように、マルチビームシステムのビームレットが基板上に投影されてもよい。
【0080】
[0093] 相互作用領域520は、容量結合を形成するための素子を含み得る。素子は、相互作用領域520において互いにオーバーラップしてもよい。図5Aにおいて、接地素子G1及びG2は、それぞれ素子120及び130と共に、キャパシタンスC2及びC4(図1Aを参照)を形成するために使用されてもよい。図5Bにおいて、接地面は、素子310、320、及び330のすべての下にある下層のベース層(例えば、シリコン)によって形成されてもよい。
【0081】
[0094] 一部の実施形態では、電荷注入領域は省かれてもよい。図5Bは、相互作用領域520及び測定領域530を示す。一部の実施形態では、荷電粒子ビームは、ある領域にわたってスキャンすることができ、ビームが特定の素子の上に投影された時間(例えば、滞留時間)によって電流ドーズ量が決定されてもよい。ドーズ量は、例えば、スキャン速度又はビーム電流を調整することによって調整されてもよい。一部の実施形態では、荷電粒子ビームは特定の場所に誘導され、移動することなくその場所を照射してもよい。例えば、図5Bに示すように、第1の測定点P1及び第2の測定点P2が存在してもよい。荷電粒子ビームは、点P1及び点P2にのみ投影されることによって基板を照射するために使用されてもよい。一部の実施形態では、異なる点を照射するために別々の荷電粒子ビームが使用されてもよい。
【0082】
[0095] 一部の実施形態では、注入領域510、相互作用領域520、又は測定領域530は、基板の平面視において互いに物理的に間隔をあけて配置されてもよい。フットプリント(例えば、相互作用フットプリント及び測定フットプリント)間の分離は、さらなる最適化及びカスタマイゼーションなどの利点を可能にし得る。例えば、オーバーレイ感度を提供する素子(例えば、素子110、120、130、G1、G2、310、320、又は330)は、基板の注入部分又は測定部分とは別に設計されてもよい。このような素子は、電気的に結合されてもよい。このように、様々なセクションのフットプリントは、特定の用途の具体的なニーズに合わせて最適化することができる。
【0083】
[0096] 測定領域530と相互作用領域520との間の分離は、相互作用領域520の最適化を可能にし得る。相互作用領域520は、必ずしもオーバーレイに関連しない場合がある基準を含む様々な基準に従って最適化され得る。最適化は、幾何学的パラメータ又は電気的パラメータに基づいてもよい。基準には、ラインエッジラフネス、クリティカルディメンジョン、又は漏れ電流が含まれ得る。一方、基板の入力部及び出力部(例えば、注入領域510及び測定領域530)は、オーバーレイのためのキャパシタンスの不均衡の測定をサポートするための数個の基準しか必要としない場合があり、他の基準に基づいて基板の他の部分を最適化するための実質的な柔軟性が残される。さらに、一部の実施形態では、注入領域510及び測定領域530は、異なる層に位置することができ、それによって、柔軟性及びカスタマイズ性がさらに高まる。例えば、注入領域510又は測定領域530を基板の異なる層に移動させるために金属ビアが設けられてもよい。
【0084】
[0097] 一部の実施形態では、オーバーレイ測定は、上に適合する構造を有するターゲットに対して実行され得る。ターゲットには、オーバーレイ、アライメント、クリティカルディメンジョン、又は任意の測定に使用される専用ターゲットが含まれ得る。一部の実施形態では、ターゲットは必ずしも専用ターゲットとして使用されることを意図した構造である必要はない。ターゲットは、ICチップの機能構成要素の一部である構造を含み得る。
【0085】
[0098] オーバーレイ測定に使用することができる構造のバリエーションには、様々な層の素子、面内ジオメトリ、又は角度の付いた構造が含まれ得る。さらに、非常に多数の素子が設けられてもよい。また、誘電体の材料の厚さ又は誘電率の変化を測定するために、測定値が使用されてもよい。
【0086】
[0099] 例えば、図1Aを参照して上述したように、電荷注入素子を上側の層に設けるのではなく、電荷注入素子は異なる層に設けられてもよい。例えば、電荷注入素子は、下側の層に設けられてもよい。測定素子は、電荷注入素子の上に設けられてもよい。一部の実施形態では、測定素子は、電荷注入素子に対して並べて設けられてもよい。さらに、図1Aは5つの素子(例えば、素子110、120、130、並びに接地素子G1及びG2)を示しているが、他の数の素子が使用されてもよい。例えば、接地素子と他の構造との間に、追加の電荷注入素子及び測定素子を介在させてもよい。
【0087】
[00100] インターディジットの変形形態を使用することもできる。素子は、長手方向を有し得るラインを含み得る。長手方向は必ずしも直線でなくてもよいが、ラインは、長手方向に沿い得る。例えば、配線経路は、蛇行していてもよい。それでもなお、複数の素子は、長手方向に沿った様々な位置で互いに平行のままであってもよい。任意の所与の断面において、例えば、素子は、公称間隔を維持するように構成されてもよい。
【0088】
[00101] 図6は、本開示の実施形態と一致する面内ジオメトリを有する基板600を示す。基板600は、電荷注入素子として機能し得る素子610を含み得る。基板600は、測定素子として機能し得る素子620及び630も含み得る。さらに、基板600は、接地素子G1及びG2を含み得る。素子間のキャパシタンスは、横方向に形成されてもよい。図6は、z方向及びx方向の例示的な座標軸を示す。z方向は、基板600の厚さ方向であってもよい。x方向及びy方向は、横(水平)方向であってもよい。
【0089】
[00102] オーバーレイ測定の実行は、素子620及び630の電圧コントラストを測定することを伴い得る。図6に公称的に示されるような所定の配置からの逸脱は、素子620及び630の電圧を測定することによって検出可能なキャパシタンスの不均衡をもたらし得る。基板600の公称状態は、(例えば、x方向に沿って)左右対称性を有し得る。対称軸は、素子610の中点と交差するz方向の線であってもよい。
【0090】
[00103] 図7は、本開示の実施形態と一致する、角度を付けた構造を有する基板700を示す。基板700は、素子710、720、及び730を含み得る。素子720及び730は、測定素子として機能し得る。基板700の所定の配置は、図7に示す配置であってもよい。所定の配置は、回転対称性を含み得る。素子710は、公称的に軸711とアライメントされてもよい。素子710は、素子720及び730に対して所定のオーバーラップを有するように構成されてもよい。素子720とのオーバーラップ量は、素子730とのオーバーラップ量に等しくてもよい。
【0091】
[00104] 基板700の配置において、素子710と素子720との間のキャパシタンス(例えば、C1)及び素子710と素子730との間のキャパシタンス(例えば、C2)は、素子間の幾何学的なオーバーラップに比例し得る。公称配置では、C2に対するC1の比は、1対1であってもよい。素子710がその公称位置から逸脱すると、素子710と素子720との間のオーバーラップ量は、素子710と素子730との間のオーバーラップ量とは逆に変化し得る。オーバーラップ量が変化すると、キャパシタンスの不均衡が生じ得る。オーバーレイは、キャパシタンス比(例えば、均衡又は不均衡)から決定されてもよい。
【0092】
[00105] 素子710は、軸711に沿って平行移動することによって、その公称位置から逸脱し得る。軸711に沿った平行移動により、素子710及び720との異なるオーバーラップ量がもたらされ得る。一部の実施形態では、素子710は、x方向にシフトし得る。y方向に沿った素子710のシフトにより、オーバーラップ量の違いは必ずしも生じない。基板700は、素子710のx方向へのシフトに対して感度が高い場合があるが、y方向には全く感度が高くない場合がある。素子720及び730が非常に長い場合、平行移動は、y方向に不変であり得る。
【0093】
[00106] 接地素子は、素子720及び730の隣に設けられてもよいし、又は基板700のベース層に設けられてもよい。
【0094】
[00107] 図8は、本開示の実施形態と一致する、誘電体部分を有する基板800を示す。基板800は、素子810、820、及び830と、接地素子G1及びG2とを含み得る。また、素子間に誘電体構造が設けられてもよい。誘電体構造は、導電素子を互いに分離するラインを含み得る。誘電体構造は、リソエッチングリソエッチング(LELE)プロセス、ダブルパターニング、又は任意の適切な製造プロセスによって形成されてもよい。基板800は、誘電体構造が所定の幅(例えば、幅w1、w2、w3、及びw4)を有して形成されるように構成されてもよい。基板800は、所定の配置を有するように構成されてもよい。基板800は、左右鏡面対称性を有していてもよい。誘電体構造の特性が非対称に変化すると、素子810、820、830、G1、及びG2間のキャパシタンスが変化し得る。例えば、幅w1、w2、w3、又はw4が非対称に変化すると、キャパシタンスの不均衡が生じる。さらに、誘電体構造の誘電率が非対称に変化すると、キャパシタンスの不均衡が生じる。キャパシタンスの不均衡は、測定電圧から検出可能であり得る。例えば、素子820及び830の電圧を測定し、キャパシタンスの不均衡を決定することができる。キャパシタンスの不均衡は、誘電体構造に関する情報を明らかにするために使用されてもよい。さらに、素子810、820、及び830に関する非対称な変化も、キャパシタンスの不均衡を通じて検出可能であり得る。
【0095】
[00108] 一部の実施形態では、キャパシタンス比(例えば、均衡若しくは不均衡)を決定する方法、又はオーバーレイ測定値を決定する方法が提供され得る。ここで、本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定値を決定する第1の方法を示す図9を参照する。
【0096】
[00109] 図9に示すように、方法900は、基板の素子に電荷を注入するステップ910から開始することができる。ステップ910は、電荷注入素子に電荷を注入することを含み得る。ステップ910は、電子ビームなどの荷電粒子ビームで素子を照射することを含み得る。ステップ910は、図1Aに示すように、素子110にビームEを照射することを含み得る。
【0097】
[00110] 方法900は、第1の素子ペアの第1のキャパシタンスを決定するステップ920を含み得る。第1の素子ペアは、ステップ910において電荷が注入された素子と、第1の測定素子などの別の素子とを含み得る。第1のキャパシタンスを決定することは、ステップ910において電荷が注入された素子とは別個の素子に対して電圧コントラストイメージングを実行することを含み得る。電圧コントラストイメージングを実行することは、ステップ910において使用されたものと同じ又は異なる荷電粒子ビームを使用することを含み得る。第1のキャパシタンスを決定することは、第1の測定素子の電圧を測定することを含み得る。ステップ920は、図1Aに示すように、ビームMで素子120を照射すること、又はビームMで素子130を照射することを含み得る。図2Bに示すように、V又はVなどの照射された素子の電圧が決定され得る。
【0098】
[00111] 方法900は、第2の素子ペアの第2のキャパシタンスを決定するステップ930を含み得る。第2の素子ペアは、ステップ910において電荷が注入された素子と、第2の測定素子などの別の素子とを含み得る。第2のキャパシタンスを決定することは、ステップ910において電荷が注入された素子とは別個であり、及びステップ920において測定された素子とは別個の素子に対して電圧コントラストイメージングを実行することを含み得る。ステップ930は、図1Aに示すように、素子120又は素子130の他方にビーム(例えば、ビームM又はビームM)を照射することを含み得る。図2Bに示すように、V又はVの他方などの照射された素子の電圧が決定され得る。他のキャパシタンスのさらなる決定も行われ得る(第1の測定素子と接地との間のキャパシタンスの決定、及び第2の測定素子と接地との間のキャパシタンスの決定など)。
【0099】
[00112] 方法900は、決定された第1及び第2のキャパシタンスに基づいてキャパシタンス比を決定するステップ940を含み得る。ステップ940は、第1の測定素子の電圧と第2の測定素子の電圧との間の電圧比を決定することを含み得る。ステップ940は、検査下の基板を表す比例係数と、基板を表すキャパシタンス値とに基づいて電圧比を決定することを含み得る。基板は、素子間に公称キャパシタンスを有するように構成されてもよく、基板を表すキャパシタンス値は、公称値を含み得る。比例係数は、較正によって決定されてもよい。比例係数は、図4A~4Dに関して上述したようなバイアス法を用いて決定されてもよい。
【0100】
[00113] ステップ940は、キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することを含み得る。オーバーレイ測定値は、基板の公称配置に対する素子のシフトに対応し得る。キャパシタンス比は、キャパシタンスの不均衡を含み得る。ステップ940は、キャパシタンスの不均衡に基づいて、Δxなどのオーバーレイエラーを決定することを含み得る。
【0101】
[00114] ここで、本開示の実施形態と一致する、オーバーレイ測定値を決定する第2の方法を示す図10を参照する。図10に示すように、方法1000は、第1の素子ペアのキャパシタンスに基づいて第1の過渡特性を決定するステップ1010から開始することができる。第1の素子ペアは、中央の素子と、第1の測定素子などの別の素子とを含み得る。例えば、図3A又は図3Bに示すように、中央の素子は、素子310を含んでもよく、他方の素子は、素子320又は素子330を含んでもよい。第1の過渡特性を決定することは、第1の測定素子の表面電位を決定することを含み得る。第1の過渡特性を決定することは、第1の測定素子のグレイレベルを決定することを含み得る。第1の過渡特性は、例えば、図3B及び図3Cを参照して上述したように、キャパシタンスの不均衡が観察可能であり得る測定ドーズ量の範囲内で決定され得る。ステップ1010は、第1の測定素子に対して電圧コントラストイメージングを実行することを含み得る。第1の過渡特性を決定することは、第1の測定素子の電圧を測定することを含み得る。ステップ1010は、図3A又は図3Bに示すように、素子320にビームMを照射すること、又は素子330にビームMを照射することを含み得る。
【0102】
[00115] 方法1000は、第2の素子ペアのキャパシタンスに基づいて第2の過渡特性を決定するステップ1020を含み得る。第2の素子ペアは、中央の素子と、第2の測定素子などの別の素子とを含み得る。ステップ1020は、第2の測定素子に対して電圧コントラストイメージングを実行することを含み得る。電圧コントラストイメージングを実行することは、ステップ1010において使用されたものと同じ又は異なる荷電粒子ビームを使用することを含み得る。ステップ1020は、図3A又は図3Bに示すように、素子320又は素子330の他方にビーム(例えば、ビームM又はビームM)を照射することを含み得る。第1の過渡特性及び第2の過渡特性は、素子間にキャパシタンスの不均衡が存在する場合に互いに異なり得る。例えば、中央の素子が公称位置に対して変位している場合(例えば、中央の素子が、第1の測定素子及び第2の測定素子から等距離になく、第1の測定素子又は第2の測定素子に近い)、第1の過渡特性及び第2の過渡特性は、キャパシタンスの不均衡が観察可能であり得る測定ドーズ量の範囲において互いに異なり得る。もちろん、(例えば、中央の素子が公称位置に対して変位していない場合に)キャパシタンスの均衡も見出され得る。容量比の決定は、オーバーレイを決定するために使用され得る。中央の素子と第1の測定素子との間のキャパシタンスが決定されてもよい。また、中央の素子と第2の測定素子との間のキャパシタンスが決定されてもよい。他のキャパシタンスのさらなる決定も実行され得る(中央の素子と接地との間のキャパシタンスを決定すること、第1の測定素子と接地との間のキャパシタンスを決定すること、及び第2の測定素子と接地との間のキャパシタンスを決定することなど)。
【0103】
[00116] 方法1000は、決定された第1及び第2の過渡特性に基づいてキャパシタンス比を決定するステップ1030を含み得る。キャパシタンス比は、キャパシタンスの不均衡を含み得る。ステップ1030は、第1の過渡特性及び第2の過渡特性が異なる場合にオーバーレイエラーが存在すると決定することを含み得る。ステップ1030は、Δxなどのオーバーレイエラーを決定することを含み得る。
【0104】
[00117] 本開示の実施形態と一致する他の方法には、較正の方法、比例定数を決定する方法、オーバーレイ測定のための構造をモデル化する方法、オーバーレイ測定を実行するための最適なドーズ量範囲を決定する方法、荷電粒子ビームデバイスを用いて基板を帯電させる方法、及びオーバーレイターゲットを製造する方法などが含まれ得る。
【0105】
[00118] 図9若しくは図10の例示的なフローチャート又は本開示の実施形態と一致する他の方法に従ってオーバーレイ測定を実行するためのコントローラ(例えば、荷電粒子ビーム装置を制御するように構成された中央処理装置又は電子制御装置)のプロセッサのための命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体が提供され得る。例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶された命令は、方法900又は1000を部分的又は全体的に実行するためのコントローラの回路によって実行され得る。非一時的な媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ、又は任意の他の磁気データストレージ媒体、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、任意の他の光学データストレージ媒体、穴のパターンを有する任意の物理的媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、及び消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、FLASH-EPROM、又は任意の他のフラッシュメモリ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、キャッシュ、レジスタ、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、及びこれらのネットワークバージョンが含まれる。
【0106】
[00119] 図中のブロック図は、本開示の様々な例示的実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータハードウェア又はソフトウェア製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示すことができる。この点で、概略図の各ブロックは、電子回路などのハードウェアを使用して実装され得る特定の算術演算処理又は論理演算処理を表し得る。ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を含むコードのモジュール、セグメント、又は部分も表し得る。幾つかの代替実装形態では、ブロックに示された機能は、図に記された順序とは異なって生じ得ることを理解されたい。例えば、連続して示された2つのブロックが実質的に同時に実行若しくは実装されてもよく、又は時に、関与する機能性に応じて2つのブロックが逆の順序で実行されてもよい。また、幾つかのブロックは省略されてもよい。ブロック図の各ブロック、及びブロックの組み合わせは、指定された機能若しくは行為を実行する特殊用途のハードウェアベースのシステムによって、又は特殊用途のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせによって実装され得ることも理解されたい。
【0107】
[00120] 実施形態は、以下の条項を用いてさらに説明することができる。
1.基板のオーバーレイ測定値を決定する方法であって、
基板の電荷注入素子に電荷を注入することと、
第1の素子ペアの第1のキャパシタンス及び第2の素子ペアの第2のキャパシタンスを決定することと、
第1のキャパシタンス及び第2のキャパシタンスに基づいてキャパシタンス比を決定することと、
キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することと、
を含む、方法。
2.電荷注入素子に電荷を注入することが、電荷注入素子に荷電粒子ビームを照射することを含む、条項1に記載の方法。
3.電荷注入素子と第1の測定素子との間のキャパシタンスとして第1のキャパシタンスを決定することと、
電荷注入素子と第2の測定素子との間のキャパシタンスとして第2のキャパシタンスを決定することと、
をさらに含む、条項1又は2に記載の方法。
4.第1の測定素子の第1の電圧及び第2の測定素子の第2の電圧を決定するために、電圧コントラストイメージングを実行することをさらに含む、条項3に記載の方法。
5.第1のキャパシタンス及び第2のキャパシタンスに基づいて電圧比を決定することをさらに含む、条項1~4の何れか一項に記載の方法。
6.基板を表す比例係数を決定することをさらに含む、条項1~5の何れか一項に記載の方法。
7.比例係数に基づき、及び第1のキャパシタンス又は第2のキャパシタンスに基づいて、オーバーレイ測定値を決定することをさらに含む、条項6に記載の方法。
8.第1の測定素子のグレイレベルと第2の測定素子のグレイレベルとの間の差を決定することをさらに含む、条項1に記載の方法。
9.基板のオーバーレイ測定値を決定する方法であって、
基板の第1の素子ペアの第1のキャパシタンスに基づいて、第1の過渡特性を決定することと、
基板の第2の素子ペアの第2のキャパシタンスに基づいて、第2の過渡特性を決定することと、
第1の過渡特性及び第2の過渡特性に基づいてキャパシタンス比を決定することと、
キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することと、
を含む、方法。
10.第1の測定素子の表面電位と第2の測定素子の表面電位との間の差を決定することをさらに含む、条項9に記載の方法。
11.第1の測定素子のグレイレベルと第2の測定素子のグレイレベルとの間の差を決定することをさらに含む、条項9に記載の方法。
12.第1の素子ペアが、中央の素子と第1の測定素子とを含み、第2の素子ペアが、中央の素子と第2の測定素子とを含む、条項10又は11に記載の方法。
13.電圧コントラストイメージングを実行することをさらに含む、条項9~12の何れか一項に記載の方法。
14.第1のキャパシタンス又は第2のキャパシタンスを決定することをさらに含む、条項9~13の何れか一項に記載の方法。
15.第1の過渡特性及び第2の過渡特性が、所定の測定ドーズ量の範囲内で決定される、条項9~14の何れか一項に記載の方法。
16.基板を帯電させるように構成された荷電粒子ビームデバイスであって、デバイスが、
基板に対称に配置されるように構成された第1の素子、第2の素子、及び第3の素子のうちの少なくとも1つを照射するように構成された荷電粒子ビーム源であって、第1~第3の素子が導電性である、荷電粒子ビーム源と、
第1~第3の素子のうちの第1の素子ペアと第2の素子ペアとの間のキャパシタンス比を示す、基板から放出された二次荷電粒子を収集するように構成された検出器と、
キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定するように構成された電子制御装置と、
を備えた、デバイス。
17.第1の素子が第1の層に形成され、第2の素子及び第3の素子が第2の層に形成される、条項16に記載のデバイス。
18.第1の層が第2の層の上にある、条項16に記載のデバイス。
19.第1の層が第2の層の下にある、条項16に記載のデバイス。
20.第1の素子が第1のプロセスステップで形成され、第2の素子及び第3の素子が第2のプロセスステップで形成される、条項17に記載のデバイス。
21.第1の素子が第1のプロセスステップで形成され、第2の素子が第2のプロセスステップで形成され、第3の素子が第3のプロセスステップで形成される、条項17に記載のデバイス。
22.第1の素子、第2の素子、及び第3の素子が1つの層に形成される、条項16、20、及び21の何れか一項に記載のデバイス。
23.荷電粒子ビーム源が、複数の電子ビームレットを生成するように構成される、条項16~22の何れか一項に記載のデバイス。
24.第1~第3の素子が、互いに実質的に平行な電線を含む、条項16~23の何れか一項に記載のデバイス。
25.基板の電荷注入素子に電荷を注入することと、
基板の第1の素子ペアの第1のキャパシタンス及び第2の素子ペアの第2のキャパシタンスを決定することと、
第1のキャパシタンス及び第2のキャパシタンスに基づいてキャパシタンス比を決定することと、
キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することと、
を含む方法を荷電粒子ビーム装置に実行させるように、荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である命令の一セットを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体。
26.電荷注入素子に電荷を注入することが、電荷注入素子に荷電粒子ビームを照射することを含む、条項25に記載の媒体。
27.命令の一セットが、
電荷注入素子と第1の測定素子との間のキャパシタンスとして第1のキャパシタンスを決定することと、
電荷注入素子と第2の測定素子との間のキャパシタンスとして第2のキャパシタンスを決定することと、
を荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項25又は26に記載の媒体。
28.命令の一セットが、
第1の測定素子の第1の電圧及び第2の測定素子の第2の電圧を決定するために、電圧コントラストイメージングを実行することを荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項27に記載の媒体。
29.命令の一セットが、
第1のキャパシタンス及び第2のキャパシタンスに基づいて電圧比を決定することを荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項25~28の何れか一項に記載の媒体。
30.命令の一セットが、
基板を表す比例係数を決定することを荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項25~29の何れか一項に記載の媒体。
31.命令の一セットが、
比例係数に基づき、及び第1のキャパシタンス又は第2のキャパシタンスに基づいて、オーバーレイ測定値を決定することを荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項30に記載の媒体。
32.命令の一セットが、
第1の測定素子のグレイレベルと第2の測定素子のグレイレベルとの間の差を決定することを荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項25に記載の媒体。
33.基板上に荷電粒子ビームを投影するように構成された荷電粒子ビーム源と、
基板の電荷注入素子に電荷を注入することと、
基板の第1の素子ペアの第1のキャパシタンス及び第2の素子ペアの第2のキャパシタンスを決定することと、
第1のキャパシタンス及び第2のキャパシタンスに基づいてキャパシタンス比を決定することと、
キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することと、
を荷電粒子ビーム源に行わせるように構成された回路を有するコントローラと、
を備えた、荷電粒子ビームシステム。
34.電荷注入素子に電荷を注入することが、電荷注入素子に荷電粒子ビームを照射することを含む、条項33に記載のシステム。
35.コントローラが、
電荷注入素子と第1の測定素子との間のキャパシタンスとして第1のキャパシタンスを決定することと、
電荷注入素子と第2の測定素子との間のキャパシタンスとして第2のキャパシタンスを決定することと、
を行うように構成された回路を有する、条項33又は34に記載のシステム。
36.コントローラが、
第1の測定素子の第1の電圧及び第2の測定素子の第2の電圧を決定するために、電圧コントラストイメージングを実行するように構成された回路を有する、条項35に記載のシステム。
37.コントローラが、
第1のキャパシタンス及び第2のキャパシタンスに基づいて電圧比を決定するように構成された回路を有する、条項33~35の何れか一項に記載のシステム。
38.コントローラが、
基板を表す比例係数を決定するように構成された回路を有する、条項33~37の何れか一項に記載のシステム。
39.コントローラが、
比例係数に基づき、及び第1のキャパシタンス又は第2のキャパシタンスに基づいて、オーバーレイ測定値を決定するように構成された回路を有する、条項38に記載のシステム。
40.コントローラが、
第1の測定素子のグレイレベルと第2の測定素子のグレイレベルとの間の差を決定するように構成された回路を有する、条項33に記載のシステム。
41.基板の第1の素子ペアの第1のキャパシタンスに基づいて、第1の過渡特性を決定することと、
基板の第2の素子ペアの第2のキャパシタンスに基づいて、第2の過渡特性を決定することと、
第1の過渡特性及び第2の過渡特性に基づいてキャパシタンス比を決定することと、
キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することと、
を含む方法を荷電粒子ビーム装置に実行させるように、荷電粒子ビーム装置の1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である命令の一セットを記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体。
42.命令の一セットが、
第1の測定素子の表面電位と第2の測定素子の表面電位との間の差を決定することを荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項41に記載の媒体。
43.命令の一セットが、
第1の測定素子のグレイレベルと第2の測定素子のグレイレベルとの間の差を決定することを荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項41に記載の媒体。
44.第1の素子ペアが、中央の素子と第1の測定素子とを含み、第2の素子ペアが、中央の素子と第2の測定素子とを含む、条項41~43の何れか一項に記載の媒体。
45.命令の一セットが、
電圧コントラストイメージングを実行することを荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項41~44の何れか一項に記載の媒体。
46.命令の一セットが、
第1のキャパシタンス又は第2のキャパシタンスを決定することを荷電粒子ビーム装置に行わせるように実行可能である、条項41~45の何れか一項に記載の媒体。
47.第1の過渡特性及び第2の過渡特性が、所定の測定ドーズ量の範囲内で決定される、条項41~46の何れか一項に記載の媒体。
48.基板上に荷電粒子ビームを投影するように構成された荷電粒子ビーム源と、
基板の第1の測定素子及び第2の測定素子上に荷電粒子ビームを投影することと、
基板の第1の素子ペアの第1のキャパシタンスに基づいて、第1の過渡特性を決定することと、
基板の第2の素子ペアの第2のキャパシタンスに基づいて、第2の過渡特性を決定することと、
第1の過渡特性及び第2の過渡特性に基づいてキャパシタンス比を決定することと、
キャパシタンス比に基づいてオーバーレイ測定値を決定することと、
を荷電粒子ビーム源に行わせるように構成された回路を有するコントローラと、
を備えた、荷電粒子ビームシステム。
49.コントローラが、
第1の測定素子の表面電位と第2の測定素子の表面電位との間の差を決定するように構成された回路を有する、条項48に記載のシステム。
50.コントローラが、
第1の測定素子のグレイレベルと第2の測定素子のグレイレベルとの間の差を決定するように構成された回路を有する、条項48に記載のシステム。
51.第1の素子ペアが、中央の素子と第1の測定素子とを含み、第2の素子ペアが、中央の素子と第2の測定素子とを含む、条項48~50の何れか一項に記載のシステム。
52.コントローラが、
電圧コントラストイメージングを実行するように構成された回路を有する、条項48~51の何れか一項に記載のシステム。
53.コントローラが、
第1のキャパシタンス又は第2のキャパシタンスを決定するように構成された回路を有する、条項48~52の何れか一項に記載のシステム。
54.第1の過渡特性及び第2の過渡特性が、所定の測定ドーズ量の範囲内で決定される、条項48~53の何れか一項に記載のシステム。
【0108】
[00121] 本開示の実施形態は、上記に記載し、添付図面に図示した正確な構築に限定されるものではなく、その範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が成され得ることが理解されるであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】