(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】有機化合物吸着剤およびそれを含む気体送風装置
(51)【国際特許分類】
B01J 20/22 20060101AFI20240827BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20240827BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B01J20/22 A
B01J20/28 Z
A61L9/01 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507171
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2022011852
(87)【国際公開番号】W WO2023033394
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0114705
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0091911
(32)【優先日】2022-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、キョ スン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ミン キ
(72)【発明者】
【氏名】リー、タエ ヒー
(72)【発明者】
【氏名】クォン、セ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ド ヨウン
(72)【発明者】
【氏名】シン、チャン フーン
【テーマコード(参考)】
4C180
4G066
【Fターム(参考)】
4C180BB08
4C180CC15
4C180EA02X
4C180EA03X
4C180EA06X
4C180EA07X
4C180EA13Y
4C180EA14Y
4C180EB05X
4C180EB15X
4G066AA04C
4G066AA05C
4G066AB07B
4G066AB12B
4G066AB13B
4G066AB24B
4G066AC11B
4G066BA20
4G066BA23
4G066BA26
4G066BA38
4G066CA02
4G066CA52
4G066DA01
4G066FA37
(57)【要約】
本発明は、金属有機構造体のBET比表面積が500m2/g以上であり、金属有機構造体の単位気孔内部の平均直径および単位気孔内部の平均直径との関係が数学式1を満たすことで、流速が1cm/sec以上の動的な気体流れにおいても揮発性有機化合物の吸着量および吸着速度を向上させることができるため、空気清浄機、空調機などの気体流れの環境で効率的に揮発性有機化合物を吸着することができる有機化合物吸着剤およびそれを含む気体送風装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオンと有機リガンドの結合構造による可変性気孔を含み、BET比表面積が500m
2/g以上であり、流速が1cm/sec以上の気体流れ下で下記数学式1を満たす金属有機構造体と、
前記金属有機構造体が担持された炭素系支持体と、
を含む、有機化合物吸着剤。
[数学式1]
0.4≦x(nm)/y(nm)≦1.0
前記数学式1中、
xは、X線回折分析法(X-ray diffraction)、気体吸着法(Gas Adsorption)、および水銀ポロシメータ(Mercury Porosimeter)のうちいずれか1つ以上の方法により測定された前記金属有機構造体の単位気孔入口の平均直径(nm)であり、
yは、X線回折分析法(X-ray diffraction)、気体吸着法(Gas Adsorption)、および水銀ポロシメータ(Mercury Porosimeter)のうちいずれか1つ以上の方法により測定された前記金属有機構造体の単位気孔内部の平均直径(nm)である。
【請求項2】
前記xは0.2nm以上1.4nm以下であり、
前記yは0.5nm以上2.2nm以下である、請求項1に記載の有機化合物吸着剤。
【請求項3】
前記xは0.35nm以上1.2nm以下であり、
前記yは0.7nm以上2.0nm以下である、請求項1に記載の有機化合物吸着剤。
【請求項4】
前記金属有機構造体は、下記数学式2により計算される除去速度定数値が0.03以上である、請求項1に記載の有機化合物吸着剤。
[数学式2]
C
t=C
i×e
-kt
前記数学式2中、
C
tは、t分経過後のホルムアルデヒドの濃度(μmol/mol)であり、
C
iは、初期ホルムアルデヒドの濃度(μmol/mol)であり、
kは、除去速度定数であり、
tは、経過時間(min)を意味する。
【請求項5】
前記金属有機構造体のBET比表面積が800m
2/g以上である、請求項1に記載の有機化合物吸着剤。
【請求項6】
前記金属イオンは、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)、ニオビウム(Nb)、クロム(Cr)、銀(Ag)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、およびランタン系遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属のイオンである、請求項1に記載の有機化合物吸着剤。
【請求項7】
前記有機リガンドは、前記金属イオンと結合可能な官能基を2個以上含む、請求項1に記載の有機化合物吸着剤。
【請求項8】
前記有機リガンドは、イミダゾール(imidazole)、アルキルイミダゾール(alkylimidazole)、アルコキシイミダゾール(alkoxyimidazole)、テレフタル酸(terephthalic acid)、アミノテレフタル酸(aminoterephthalic acid)、トリメシン酸(trimesic acid)、フマル酸(fumaric acid)、およびマレイン酸(maleic acid)からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の有機化合物吸着剤。
【請求項9】
前記炭素系支持体は、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛、非晶質炭素、カーボンブラック、および活性炭からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の有機化合物吸着剤。
【請求項10】
前記有機化合物吸着剤は、前記金属有機構造体が前記炭素系支持体100重量部に対して3以上95以下の重量部で含まれる、請求項9に記載の有機化合物吸着剤。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の有機化合物吸着剤を含み、気体の流速が存在する、気体送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年08月30日付けの韓国特許出願第10-2021-0114705号および2022年07月25日付けの韓国特許出願第10-2022-0091911号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、有機化合物吸着剤およびそれを含む気体送風装置に関し、より詳細には、気体流れが動的な条件で揮発性有機化合物の吸着量および吸着速度を向上させることができる有機化合物吸着剤およびそれを含む気体送風装置に関する。
【背景技術】
【0003】
気体中には微細粉塵(PM10)、超微細粉塵(PM2.5)、有害ガス、雑菌、カビ、ウイルスなどの物質が浮遊しており、このような浮遊物は、疾病を誘発して健康に悪い影響を及ぼす。特に、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)は、大気汚染物質であって、発癌性を有する毒性化学物質として人体に非常に有害な影響を及ぼす。
【0004】
このような揮発性有機化合物を低減するために、空気清浄機、空気浄化フィルター、空調機などに活性炭が含まれた有機化合物吸着剤を用いたが、揮発性有機化合物のうちトルエンを除去するのに優れた効果を示すのに対し、ホルムアルデヒドおよびアンモニアを除去する性能が脆弱であるという問題があった。
【0005】
近年、多孔性の金属有機構造体であるMOF(Metal Organic Framework)は、揮発性有機化合物のうちホルムアルデヒドおよびアンモニアを除去する性能の向上が可能であることが報告されているが、空気清浄機または空調機のように気体流れが動的な条件では揮発性有機化合物を除去する性能が低下するという問題があった。これは、同一のMOFを用いても、それぞれのMOFは単位気孔入口の大きさ、単位気孔内部の大きさ、または気孔の形状が異なるところ、気孔内部に吸着する揮発性有機化合物の含量に差が発生し得、この差は気体流れが静的な条件よりは気体流れが動的な条件でさらに大きく発生するという問題があった。
したがって、気体流れが動的な条件でも多量の揮発性有機化合物を短時間で吸着可能な金属有機構造体の構造に関する研究が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、金属有機構造体の構造と揮発性有機化合物の吸着能との関連性があることに着目し、金属有機構造体のBET比表面積、金属有機構造体の単位気孔入口の平均直径範囲、および単位気孔内部の平均直径範囲を最適化することで、気体流れが動的な条件で気孔内部に吸着する揮発性有機化合物の吸着量および吸着速度が向上することができる有機化合物吸着剤およびそれを含む気体送風装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、有機化合物吸着剤および気体送風装置を提供する。
(1)本発明は、金属イオンと有機リガンドの結合構造による可変性気孔を含み、BET比表面積が500m2/g以上であり、流速が1cm/sec以上の気体流れ下で下記数学式1を満たす金属有機構造体と、前記金属有機構造体が担持された炭素系支持体と、を含む、有機化合物吸着剤を提供する。
【0008】
[数学式1]
0.4≦x(nm)/y(nm)≦1.0
【0009】
前記数学式1中、
xは、X線回折分析法(X-ray diffraction)、気体吸着法(Gas Adsorption)、および水銀ポロシメータ(Mercury Porosimeter)のうちいずれか1つ以上の方法により測定された前記金属有機構造体の単位気孔入口の平均直径(nm)であり、
yは、X線回折分析法(X-ray diffraction)、気体吸着法(Gas Adsorption)、および水銀ポロシメータ(Mercury Porosimeter)のうちいずれか1つ以上の方法により測定された前記金属有機構造体の単位気孔内部の平均直径(nm)である。
【0010】
(2)本発明において、前記xは0.2nm以上1.4nm以下であり、前記yは0.5nm以上2.2nm以下である、前記(1)に記載の有機化合物吸着剤を提供する。
【0011】
(3)本発明において、前記xは0.35nm以上1.2nm以下であり、前記yは0.7nm以上2.0nm以下である、前記(1)または(2)に記載の有機化合物吸着剤を提供する。
【0012】
(4)本発明において、前記金属有機構造体は、下記数学式2により計算される除去速度定数値が0.03以上である、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の有機化合物吸着剤を提供する。
【0013】
[数学式2]
Ct=Ci×e-kt
【0014】
前記数学式2中、
Ctは、t分経過後のホルムアルデヒドの濃度であり、
Ciは、初期ホルムアルデヒドの濃度であり、
Kは、除去速度定数であり、
Tは、経過時間(min)を意味する。
【0015】
(5)本発明において、前記金属有機構造体のBET比表面積が800m2/g以上である、前記(1)~(4)のいずれか一項に記載の有機化合物吸着剤を提供する。
【0016】
(6)本発明において、前記金属イオンは、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)、ニオビウム(Nb)、クロム(Cr)、銀(Ag)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、およびランタン系遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属のイオンである、前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の有機化合物吸着剤を提供する。
【0017】
(7)本発明において、前記有機リガンドは、前記金属イオンと結合可能な官能基を2個以上含む、前記(1)~(6)のいずれか一項に記載の有機化合物吸着剤を提供する。
【0018】
(8)本発明において、前記有機リガンドは、イミダゾール(imidazole)、アルキルイミダゾール(alkylimidazole)、アルコキシイミダゾール(alkoxyimidazole)、テレフタル酸(terephthalic acid)、アミノテレフタル酸(aminoterephthalic acid)、トリメシン酸(trimesic acid)、フマル酸(fumaric acid)、およびマレイン酸(maleic acid)からなる群から選択される1種以上である、前記(1)~(7)のいずれか一項に記載の有機化合物吸着剤を提供する。
【0019】
(9)本発明において、前記炭素系支持体は、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛、非晶質炭素、カーボンブラック、および活性炭からなる群から選択される1種以上を含む、前記(1)~(8)のいずれか一項に記載の有機化合物吸着剤を提供する。
【0020】
(10)本発明において、前記吸着剤は、前記金属有機構造体が前記炭素系支持体100重量部に対して3以上95以下の重量部で含まれる、前記(1)~(9)のいずれか一項に記載の有機化合物吸着剤を提供する。
【0021】
(11)本発明は、前記(1)~(10)のいずれか一項に記載の有機化合物吸着剤を含み、気体の流速が存在する、気体送風装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、金属有機構造体のBET比表面積が500m2/g以上であり、金属有機構造体の単位気孔内部の平均直径および単位気孔内部の平均直径との関係が数学式1を満たすことで、流速が1cm/sec以上の動的な気体流れにおいても揮発性有機化合物の吸着量および吸着速度を向上させることができるため、空気清浄機、空調機などの気体の流速が存在する環境で効率的に揮発性有機化合物を吸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の有機化合物吸着剤の揮発性有機化合物の除去性能を評価するための測定装置の模式図である。
【
図2】前記測定装置を介して時間に応じた本発明の有機化合物吸着剤のホルムアルデヒド減少量を示したグラフである。
【
図3】視覚化プログラム(Mercury)により実施例1の金属有機構造体の結晶構造を視覚化したイメージを示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書および特許請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0025】
本発明において、直径は、金属有機構造体の単位気孔の断面をなす円形、楕円形、または多角形における互いに異なる2点を繋ぐ直線のうち最長直線の長さと定義することができる。
【0026】
また、本発明において、平均直径は、X線回折分析法(X-ray diffraction)、気体吸着法(Gas Adsorption)、および水銀ポロシメータ(Mercury Porosimeter)のうちいずれか1つ以上の方法を用いて測定した直径分布から体積累積量の50%以上に該当する直径と定義することができる。
また、本発明において、単位気孔内部の平均直径は、金属有機構造体の単位気孔内部の平均深さを意味し得る。
【0027】
金属有機構造体は、MOF(Metal-organic framework)と称され、金属イオンまたはイオン群(cluster)がリンカーとして作用する有機リガンドにより連結され、一次、二次、または三次構造のネットワークを形成した結晶性有機-無機ハイブリッド物質である。
【0028】
このような金属有機構造体は、電磁波と帯電体間の相互作用を用いて反応物を加熱するマイクロ波(Microwave)加熱合成、Zn、Cuなどの金属カチオン物質と1,3,5-H3BTC、H2BDC(OH)2などのリンカーを組み合わせた後に溶媒熱を用いる電気化学的合成、または分子内結合を破壊させた後に化学的変換工程を用いて機械化学的に合成する方法などにより製造されてもよい。
【0029】
また、金属有機構造体表面の官能基を調節するかまたは気孔の大きさを微細に変化させることができるため、生医学分野で薬物送達システムとしても使用可能であり、金属有機構造体は、金属イオンまたはイオン群を含んでいるところ、触媒反応、嫌気性オレフィン酸化反応、オレフィンのエポキシ化反応、フリーデル-クラフツベンジル化反応などにおける不均一触媒としても使用可能である。
【0030】
特に、金属有機構造体は、骨格中に空いた空間が存在する多孔性構造を有する。このような金属有機構造体の多孔性構造により、金属有機構造体は、気体貯蔵容量が高く、緩やかな条件で気体を可逆的に吸着または脱着することができるため、水素、メタン、二酸化炭素などの気体を貯蔵する分野で使用可能であり、ガス混合物から特定のガスを選択的に分離することも可能である。
【0031】
また、このような金属有機構造体の多孔性構造により、金属有機構造体は、多様な有機化合物に対して吸着性を有し、特にVOC(Volatile Organic Compounds)と称される揮発性有機化合物に対して優れた吸着性を示す。前記揮発性有機化合物は、大気中に蒸発されやすい液体または気体状の有機化合物の総称であり、大気汚染物質であって、発癌性を有する毒性化学物質として光化学オキシダントの前駆物質でもある。排出源に応じて自然的に排出される化合物と人為的に排出される化合物があり、特に問題になるものは、ホルムアルデヒド、アンモニアのような化合物であり、金属有機構造体が含まれた有機化合物吸着剤は、従来の広く用いられていたゼオライトや活性炭と比べて、揮発性有機化合物に対して優れた吸着性を示す。
【0032】
一般的に、多孔性の金属有機構造体の構造は、単位気孔入口の平均直径よりも単位気孔内部の平均直径が大きい形状を有することができる。これにより、金属有機構造体の気孔内に入ってきた揮発性有機化合物分子は、再脱着せずに気孔内部に吸着することができる。また、静的な気体流れの環境では、金属有機構造体の単位気孔内部の平均直径を増加させることで、気孔内部に揮発性有機化合物を吸着可能な空間が増加することにより、揮発性有機化合物を吸着する量を向上させることができる。
【0033】
ただし、空気清浄機、空調機などの動的な気体流れの環境では、金属有機構造体の単位気孔内部の平均直径を増加させても、速い気体流れにより、揮発性有機化合物が気孔内部に入ることができないという問題がある。また、揮発性有機化合物が気孔内部に入るようにするために単位気孔入口の平均直径を増加させる場合、気孔内部に吸着した揮発性有機化合物が再脱着するという問題がある。したがって、揮発性有機化合物を吸着するために有機化合物吸着剤に金属有機構造体を含んでも、気体流れが動的な条件で揮発性有機化合物を吸着する量または吸着する速度が低下する問題が発生するところ、気体流れが動的な条件である空気清浄機または空調機への適用に問題がある。
【0034】
本発明者らは、従来の揮発性有機化合物を吸着するために用いられていた金属有機構造体が空気清浄機、空調機などの気体流れの環境に適用される場合、揮発性有機化合物を吸着する量と吸着する速度が低下する問題を解決するために研究を重ねた結果、金属有機構造体のBET比表面積が500m2/g以上であり、金属有機構造体の単位気孔内部の平均直径および単位気孔内部の平均直径との関係が特定の条件を満たす場合、流速が1cm/sec以上の動的な気体、例えば、空気流れにおいても揮発性有機化合物の吸着量および吸着速度の向上が可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0035】
本発明は、金属イオンと有機リガンドの結合構造による可変性気孔を含み、BET比表面積が500m2/g以上であり、流速が1cm/sec以上の気体流れ下で下記数学式1を満たす金属有機構造体と、前記金属有機構造体が担持された炭素系支持体と、を含む、有機化合物吸着剤を提供する。
【0036】
[数学式1]
0.4≦x(nm)/y(nm)≦1.0
【0037】
前記数学式1中、xは、X線回折分析法(X-ray diffraction)、気体吸着法(Gas Adsorption)、および水銀ポロシメータ(Mercury Porosimeter)のうちいずれか1つ以上の方法により測定された前記金属有機構造体の単位気孔入口の平均直径(nm)であり、yは、X線回折分析法(X-ray diffraction)、気体吸着法(Gas Adsorption)、および水銀ポロシメータ(Mercury Porosimeter)のうちいずれか1つ以上の方法により測定された前記金属有機構造体の単位気孔内部の平均直径(nm)である。
【0038】
本発明の金属有機構造体は、金属イオンと有機リガンドの結合構造による可変性気孔を含む。前記可変性気孔は、気孔の直径が固定されず、特定の環境に応じて気孔の直径が変更されることを意味し得る。具体的に、金属有機構造体を構成する有機リガンドは、室温で固定されず、金属イオンと結合している軸に沿って回転している特徴を有することができるため、有機リガンドの回転に応じて金属有機構造体の形状、金属有機構造体の単位気孔入口の平均直径、および単位気孔内部の平均直径が変化し得る。特に、金属有機構造体が、周辺気体流れが特定の流速を有する動的な条件に置かれる場合、金属有機構造体の単位気孔入口の平均直径および単位気孔内部の平均直径が変化し得る。
【0039】
前記数学式1中、金属有機構造体の単位気孔入口の平均直径/単位気孔内部の平均直径値(x/y)は0.4以上、0.45以上、0.5以上、0.53以上、0.55以上、0.58以上、1.0以下、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下であってもよい。
【0040】
前記数学式1中、金属有機構造体の単位気孔入口の平均直径(nm)/単位気孔内部の平均直径(nm)が前記数値範囲の下限から外れる場合、金属有機構造体が流速を有する気体に含まれている揮発性有機化合物を吸着するために必要な時間よりも金属有機構造体と揮発性有機化合物が接触する時間が短いため、金属有機構造体が揮発性有機化合物を吸着する効果が著しく低下し得る。
【0041】
また、前記数学式1中、金属有機構造体の単位気孔入口の平均直径(nm)/単位気孔内部の平均直径(nm)が前記数値範囲の上限から外れる場合、金属有機構造体の気孔内に吸着した揮発性有機化合物が金属有機構造体の気孔入口を介して抜け出やすいため、金属有機構造体から揮発性有機化合物が再脱着する割合が著しく増加する問題が発生し得る。また、本発明の金属有機構造体は、BET比表面積が500m2/g以上、800m2/g以上、1,000m2/g以上、1,500m2/g以上であってもよい。
【0042】
また、前記数学式1中、xは0.2nm以上1.4nm以下であり、yは0.5nm以上2.2nm以下であってもよい。より具体的に、前記数学式1中、xは0.2nm以上、0.25nm以上、0.3nm以上、0.35nm以上、0.4nm以上、1.4nm以下、1.3nm以下、1.2nm以下であってもよい。また、前記数学式1中、yは0.5nm以上、0.6nm以上、0.7nm以上、2.2nm以下、2.1nm以下、2.0nm以下であってもよい。
【0043】
上述した範囲を満たす金属有機構造体の気孔の直径は、分子量の大きい揮発性有機化合物を吸着する性能が低下せず、かつ、吸着した揮発性有機化合物が再脱着する割合を減少させることで、流速が1cm/sec以上の動的な気体流れにおける揮発性有機化合物の吸着量のみならず吸着速度も向上することができる。
【0044】
本発明の一実施形態によると、本発明の有機化合物吸着剤は、前記金属有機構造体が、下記数学式2により計算される除去速度定数値が0.03以上である、有機化合物吸着剤であってもよい。
【0045】
[数学式2]
Ct=Ci×e-kt
【0046】
前記数学式2中、
Ctは、t分経過後の対象有機化合物の濃度(μmol/mol)であり、Ciは、初期対象有機化合物の濃度(μmol/mol)であり、kは、除去速度定数であり、tは、経過時間(min)を意味する。
【0047】
前記対象有機化合物は、ホルムアルデヒドまたはアンモニアであってもよく、具体的にはホルムアルデヒドであってもよい。前記除去速度定数kは、tとInCtに対する線形回帰分析から得ることができる。前記除去速度定数kの値は、有機化合物吸着剤の吸着量および吸着速度の性能を確認可能な指標であり、前記除去速度定数kの値が前記数値範囲である0.03以上を満たす場合、動的な気体流れにおける揮発性有機化合物を吸着する最適な吸着量および吸着速度を実現することができる。
【0048】
一方、本発明の金属有機構造体は、金属イオンと有機リガンドの結合構造で構成され、金属イオンは、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)、ニオビウム(Nb)、クロム(Cr)、銀(Ag)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、およびランタン系遷移金属からなる群から選択される1種以上の金属のイオンであってもよい。
【0049】
また、有機リガンドは、前記金属イオンと結合可能な官能基を2個以上含んでもよく、一例として、窒素(N)、酸素(O)、または硫黄(S)を含有する官能基を含む化合物であってもよく、具体的に、イミダゾール(imidazole)、アルキルイミダゾール(alkylimidazole)、アルコキシイミダゾール(alkoxyimidazole)、テレフタル酸(terephthalic acid)、アミノテレフタル酸(aminoterephthalic acid)、トリメシン酸(trimesic acid)、フマル酸(fumaric acid)、およびマレイン酸(maleic acid)からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0050】
また、本発明の金属有機構造体は、MIL(Materials Institute Lavoisier)系金属有機構造体であってもよく、好ましくは、チタン系(Ti)金属を含むMIL-125(Ti)であってもよい。
【0051】
また、本発明の金属有機構造体は、相対湿度100%以下で測定された水分吸着量が40wt%以下であってもよい。具体的に、本発明の金属有機構造体の相対湿度100%以下で測定された水分吸着量は40wt%以下、30wt%以下、20wt%以下、10wt%以下であってもよい。
【0052】
本発明の一実施形態によると、前記金属有機構造体が支持体に担持されたものを含む有機化合物吸着剤を提供する。前記支持体は、炭素系支持体であってもよく、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛、非晶質炭素、カーボンブラック、および活性炭からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。また、金属有機ナノ構造体の揮発性有機化合物のうちトルエンの吸着性能が相対的に劣ることを考慮し、トルエンの吸着性能に優れた活性炭を用いることが好ましい。
【0053】
また、前記金属有機構造体は、前記支持体100重量部に対して3~95重量部、30~95重量部、50~90重量部、または50~80重量部で含まれてもよい。上述した範囲を満たすことで、脱臭性を低下させず、かつ、外部気体により金属有機構造体が脱着する現象を低減できるという効果がある。
【0054】
前記金属有機構造体は、粉末、顆粒、またはコーティングなどの形態で炭素系支持体上に担持されるかまたは炭素系支持体間に担持されてもよい。また、前記有機化合物吸着剤は、金属有機構造体を不織布状の炭素系支持体間に充填して製造されてもよく、前記炭素系支持体は、メッシュ(mesh)状に形成されてもよく、前記炭素系支持体は、金属有機構造体が有機化合物吸着剤の外部に抜け出るのを防止するために、必要に応じて適した大きさのメッシュ状に調節されてもよい。前記炭素系支持体をメッシュ状に形成する場合、前記炭素系支持体のメッシュ直径は160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下であってもよい。前記有機化合物吸着剤は、吸湿剤または脱臭剤であってもよい。
【0055】
また、本発明の他の実施形態によると、前記有機化合物吸着剤を含み、気体の流速が存在する、気体送風装置を提供する。具体的に、前記気体送風装置は、気体の流速が存在する製品のうち有機化合物吸着剤が必要な物品に制限なく使用可能であり、例えば、空気清浄機、空調機などの多様な製品に適用可能である。
【0056】
以下、具体的な実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本明細書を例示するためのものであって、これにより本明細書の範囲が限定されるものではない。
【0057】
実施例および比較例
実施例1
3.0gのテレフタル酸をジメチルホルムアミド60mlに溶かした後、無水メタノール3ml、チタンイソプロポキシド3mlを混合した。この混合物を200mlのテフロン(登録商標)容器に移した後、ステンレススチールオートクレーブに入れた後、150℃、24時間加熱した。室温に冷却後、形成された白色固体をフィルター方法を用いて得た後、DMF 20mlで1回、メタノール40mlで3回洗浄した後、100℃の真空オーブンで乾燥し、金属有機構造体を得た。
【0058】
実施例2
3.15gの四塩化ジルコニウムと2.45gの2-アミノテレフタル酸をジメチルホルムアミド519mlに溶かした後、オーブンで撹拌せず、120℃、6時間加熱した。室温に冷却後、形成された淡黄色固体をフィルター方法を用いて得た後、DMF 100mlで1回、メタノール100mlで3回洗浄した後、120℃の真空オーブンで乾燥し、金属有機構造体を得た。
【0059】
実施例3
8.1gのフマル酸と23gの二塩化ジルコニウムオキソ八水和物をジメチルホルムアミド3,500mlとギ酸530mlの混合溶媒に溶かした後、オーブンで撹拌せず、120℃、24時間加熱した。室温に冷却後、形成された淡い白色固体をフィルター方法を用いて得た後、DMF 200mlで1回、メタノール1000mlで3回洗浄した後、150℃の真空オーブンで乾燥し、金属有機構造体を得た。
【0060】
比較例1
3.5gの四塩化ジルコニウムと2.5gのテレフタル酸をジメチルホルムアミド155mlに溶かした後、1.5mlの36%塩酸水溶液を混合した。オーブンで撹拌せず、120℃、24時間加熱した。室温に冷却後、形成された白色固体をフィルター方法を用いて得た後、DMF 100mlで1回、メタノール100mlで3回洗浄した後、120℃の真空オーブンで乾燥し、金属有機構造体を得た。
【0061】
比較例2
30mlの蒸留水に5.94gの硝酸亜鉛六水和物を溶かして溶液1を製造し、3.28gの2-メチルイミダゾールと50mlのトリエチルアミン、37.6gのアンモニア飽和水溶液を混合して溶液2を製造した。前記溶液1と溶液2を混合して室温で10分間撹拌した後、形成された白色固体を遠心分離を用いて得た。前記白色固体をDMF 100mlで1回、メタノール100mlで3回洗浄した後、120℃の真空オーブンで乾燥し、金属有機構造体を得た。
【0062】
比較例3
4.75gの硝酸マグネシウム六水和物と11.6gの2,6-ジヒドロキシテレフタル酸を440mlのジメチルホルムアミドに溶かした。この溶液に30mlのエタノールと30mlの水溶液を混合した後、125℃のオーブンで15時間加熱した。室温に冷却後、形成された濃黄色固体をフィルターを用いて得た後、DMF 200mlで1回、メタノール100mlで3回洗浄した後、120℃の真空オーブンで乾燥し、金属有機構造体を得た。
【0063】
実験例
実験例1
前記実施例および比較例の金属有機構造体に対し、下記方法で単位気孔入口の平均直径および単位気孔内部の平均直径、BET比表面積、VOC除去性能を測定し、測定結果を下記表1に示した。また、VOC除去性能を測定した後、実施例および比較例の除去性能を比較するために、CADR(Clean Air Delivery Rate)と除去速度定数を計算して下記表1に示した。
【0064】
1)単位気孔入口および気孔内部の平均直径の測定:X線回折分析法(XRD装置および条件:Bruker SMART Apex Diffactometer、Mo Kα radiation、0.71073A波長、30秒/frame、Angle 0-180 deg)により測定された金属有機構造体の単結晶構造ファイル(CIF:Crystal Information File)を視覚化プログラム(Mercury)により金属有機構造体の結晶構造を視覚化し、各実施例および比較例の合成有無を確認した。その後、CSD(Cambridge Structural Database)に収録している単結晶構造を用いて、金属有機構造体の単位気孔入口を構成する原子のうち最も遠く離れている2個の原子の中心距離を測定して単位気孔入口の平均直径を測定した。また、単位気孔内部の平均直径の測定方法は、金属有機構造体の単位気孔内部を構成する原子のうち最も遠く離れている2個の原子の中心距離を測定することを除いては、前記単位気孔入口の平均直径の測定方法と同様の方法で単位気孔内部の平均直径を測定した。
【0065】
図3は、視覚化プログラム(Mercury)により実施例1の金属有機構造体の結晶構造を視覚化したイメージを示したものである。前記
図3を参照すると、前記イメージは、前記視覚化プログラムにより金属有機構造体の結晶構造(チタン原子100、炭素原子200、および酸素原子300を含む構造)を繰り返し撮影し、前記金属有機構造体の結晶構造を構成する原子の平均位置を示したものである。
【0066】
2)BET比表面積の測定:BEL Japan社のBELSORP-max IIを用いて、低温窒素吸着法により表面積を測定した。各金属有機構造体を真空中で120℃に12時間加熱し、金属有機構造体に含まれている水分と残留溶媒を除去した。真空乾燥された金属有機構造体を液体窒素で冷却された状態で窒素気体の吸着曲線を測定した後、吸着曲線を用いてBET法で表面積を測定した。
【0067】
3)VOC除去性能の測定:金属有機構造体のVOC除去性能は、
図1に示された測定装置を用いて測定した。
図1は、本発明の有機化合物吸着剤の揮発性有機化合物の除去性能を評価するための測定装置の模式図である。
【0068】
外部ボンベに貯蔵された30~50ppm濃度のホルムアルデヒドおよび窒素混合気体を混合タンク10に注入した後、窒素を追加して混合タンク内のホルムアルデヒドの濃度を10ppmに希釈させた。10ppm濃度が安定化された後、ホルムアルデヒドは、粉末状態の金属有機構造体(有機化合物吸着剤30)が入っているホルダー20に注入された。ホルダーに注入されるホルムアルデヒド気体はポンプ50を用いて分当たりに3Lの量で注入され、前記ホルダー20の体積は約39cm
3であり、前記金属有機構造体を通過する流速は76.4cm/minに測定された。注入されたホルムアルデヒドは、試料を通過しつつ、吸着現象により除去されることでホルムアルデヒドの濃度が減少し、測定器(VOC濃度測定器40)を用いてホルムアルデヒドの濃度を測定し、時間別のホルムアルデヒドの濃度変化を記録した。これにより、各金属有機構造体の時間別のホルムアルデヒド減少グラフを
図2に示した。
【0069】
4)除去速度定数kおよびCADRの計算:除去速度定数kは、下記数学式2により計算し、CADRは、下記数学式3により計算することができる。前記CADRは、空気清浄機の性能評価に用いられる指標であり、単位面積および単位時間当たりに浄化可能な空気量を示す。
【0070】
[数学式2]
Ct=Ci×e-kt
【0071】
前記数学式2中、
Ctは、t分経過後の対象有機化合物の濃度(μmol/mol)であり、Ciは、初期対象有機化合物の濃度(μmol/mol)であり、kは、除去速度定数であり、tは、経過時間(min)を意味する。
【0072】
[数学式3]
CADR=-(V/t)×(ln(Ct2/Ci2)-ln(Ct1/Ci1))
【0073】
前記数学式3中、
CADRは、浄化能力(m3/min)であり、Vは、試験チャンバーの体積(m3)であり、Tは、運転減少時の測定時間(min)であり、Ci1は、自然減少時の測定開始点t=0での粒子の濃度(個/cm3)であり、Ci2は、運転減少時の測定開始点t=0での粒子の濃度(個/cm3)であり、Ct1は、自然減少時の測定時間t分での粒子の濃度(個/cm3)であり、Ct2は、運転減少時の測定時間t分での粒子の濃度(個/cm3)である。
【0074】
【0075】
図2は、前記評価装置を介して時間に応じた本発明の有機化合物吸着剤のホルムアルデヒド減少量を示したグラフである。前記表1および
図2を参照すると、実施例1~3は、金属有機構造体の単位気孔の入口および内部の平均直径と前記数学式1を満たし、さらにはBET比表面積が500m
2/g以上であるため、除去速度定数k値が0.03以上と高いことが分かる。これに対し、比較例1および2は、BET比表面積が1000m
2/g以上であるとしても、前記気孔入口および気孔内部の平均直径と前記数学式1を満たさないため、相対的に除去速度定数値が0.03未満と低いことが分かる。また、比較例3は、数学式1を満たしてもBET比表面積値が500m
2/g未満に該当し、除去速度定数値が著しく低いことが分かる。これにより、本願発明のように金属有機構造体の気孔の入口および内部の平均直径値と数学式1の数値範囲を満たすとともに、BET比表面積値が500m
2/g以上である場合に、最も効率的な吸着量および吸着速度を有する金属有機構造体が得られ、それを含む有機化合物吸着剤が得られることを確認することができる。
【符号の説明】
【0076】
10:混合タンク
20:ホルダー
30:有機化合物吸着剤
40:VOC濃度測定器
50:ポンプ
100:チタン原子
200:炭素原子
300:酸素原子
【国際調査報告】