(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】コーティング組成物、それを含む有機発光素子、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 50/12 20230101AFI20240827BHJP
H10K 71/12 20230101ALI20240827BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240827BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240827BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20240827BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20240827BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20240827BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20240827BHJP
H10K 71/40 20230101ALI20240827BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240827BHJP
H10K 101/30 20230101ALN20240827BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20240827BHJP
【FI】
H10K50/12
H10K71/12
H10K85/60
H10K59/10
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17 171
H10K50/17
H10K50/18
H10K71/40
C09K11/06 690
H10K101:30
H10K101:40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507929
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2023000803
(87)【国際公開番号】W WO2023136707
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0006600
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0006603
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンジュ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンイル・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジェチョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ス・フン・チョン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンウク・キム
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107CC07
3K107CC12
3K107CC22
3K107CC45
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD66
3K107DD68
3K107DD70
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD78
3K107FF05
3K107FF13
3K107FF14
3K107FF19
3K107GG06
3K107GG26
3K107GG28
(57)【要約】
本発明は、コーティング組成物、それを含む有機発光素子、およびその製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、下記化学式2で表される化合物および溶媒を含むコーティング組成物であって、
前記コーティング組成物は、有機発光素子の有機物層形成用である、コーティング組成物:
【化1】
前記化学式1および2において、
R1およびR2はそれぞれ重水素で置換または非置換のナフチル基であり、
R3は置換または非置換のナフチル基であり、
R4は-(L)
a-R41であり、
Lは置換または非置換のアリーレン基;あるいは置換または非置換のヘテロアリーレン基であり、
R41は置換または非置換のナフチル基であり、
aは1~7の整数であり、aが2以上の場合、2以上のLは互いに同一または異なり、
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、それぞれ1以上の重水素で置換される。
【請求項2】
前記Lは、置換または非置換の炭素数6~60のアリーレン基;あるいは置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の前記溶媒に対する溶解度がそれぞれ70%以上である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記化学式1で表される化合物は、下記化合物からなる群から選択されるいずれかである、請求項1に記載のコーティング組成物:
【化2】
前記化合物において、前記化合物は少なくとも1つの重水素で置換される。
【請求項5】
前記化学式2で表される化合物は、下記化合物からなる群から選択されるいずれかである、請求項1に記載のコーティング組成物:
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
前記化合物において、前記化合物は少なくとも1つの重水素で置換される。
【請求項6】
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、15:85~85:15の重量比で含まれる、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記有機物層は発光層である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の発光色の最大発光ピークは、それぞれ380nm~500nmである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、それぞれ少なくとも10%重水素化されている、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のHOMO level差またはLUMO level差は、0.1eV~5.0eVである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のガラス転移温度差は、3℃~30℃である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
異なる2以上のホスト物質および溶媒を含むコーティング組成物であって、
前記異なる2以上のホスト物質は、それぞれ1以上の重水素を含み、
前記異なる2以上のホスト物質の前記溶媒に対する溶解度がそれぞれ70%以上であり、
前記異なる2以上のホスト物質の発光色の最大発光ピークは、それぞれ380nm~500nmであり、
前記異なる2以上のホスト物質のうちいずれか1つのホスト物質は、前記異なる2以上のホスト物質100重量部に対して65重量部~85重量部含まれる、コーティング組成物。
【請求項13】
第1電極;第2電極;および前記第1電極および前記第2電極の間に設けられる少なくとも1層の有機物層を含み、
前記少なくとも1層の有機物層は発光層を含み、
前記発光層は、請求項1~12のいずれか一項に記載のコーティング組成物を含む、有機発光素子。
【請求項14】
前記少なくとも1層の有機物層は、正孔注入層;正孔輸送層;正孔注入および輸送層;電子注入層;電子輸送層;および電子注入および輸送層からなる群から選択される少なくとも1層の有機物層をさらに含む、請求項13に記載の有機発光素子。
【請求項15】
第1電極を準備する段階;
前記第1電極上に少なくとも1層の有機物層を形成する段階;および
前記少なくとも1層の有機物層上に第2電極を形成する段階
を含み、
前記少なくとも1層の有機物層を形成する段階は、請求項1~12のいずれか一項に記載のコーティング組成物を用いて前記有機物層を溶液工程で形成する段階を含む、有機発光素子の製造方法。
【請求項16】
前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成する段階は、
前記第1電極または前記少なくとも1層の有機物層上に前記コーティング組成物をコーティングする段階;および
前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥する段階、熱処理する段階または光処理する段階
を含む、請求項15に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項17】
前記熱処理する段階における熱処理温度は、80℃~250℃である、請求項16に記載の有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年1月17日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0006600号および韓国特許出願第10-2022-0006603号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、コーティング組成物、それを含む有機発光素子、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光現象は、特定の有機分子の内部プロセスによって電流が可視光に変換される例の一つである。有機発光現象の原理は以下のとおりである。アノードとカソードとの間に有機物層を位置させたときに両電極間に電流を流すと、カソードとアノードからそれぞれ電子と正孔が有機物層に注入される。有機物層に注入された電子と正孔は再結合して励起子(exciton)を形成し、この励起子が再び基底状態に落ちて光が出る。このような原理を利用する有機発光素子は、一般にカソードとアノードおよびその間に位置した有機物層、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電子輸送層から構成されることができる。
【0004】
従来、有機発光素子を製造するために蒸着工程を主に使用してきた。しかし、蒸着工程で有機発光素子を製造する際、材料の損失が多く発生するという問題点と大面積の素子を製造することが難しいという問題点があり、これを解決するために、溶液工程を用いた素子が開発されつつある。
【0005】
したがって、溶液工程用材料に対する開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、異なる2以上のブルーホスト物質を含む有機発光素子を提供することを目的とする。
本発明は、前述した有機発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物、下記化学式2で表される化合物および溶媒を含むコーティング組成物であって、
前記コーティング組成物は、有機発光素子の有機物層形成用であるコーティング組成物を提供する。
【化1】
前記化学式1および2において、
R1およびR2はそれぞれ重水素で置換されているかまたは非置換のナフチル基であり、
R3は置換または非置換のナフチル基であり、
R4は-(L)
a-R41であり、
Lは置換または非置換のアリーレン基;あるいは置換または非置換のヘテロアリーレン基であり、
R41は置換または非置換のナフチル基であり、
aは1~7の整数であり、aが2以上の場合、2以上のLは互いに同一または異なり、
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、1以上の重水素で置換されている。
【0008】
本発明の他の一実施態様は、異なる2以上のホスト物質および溶媒を含むコーティング組成物であって、
前記異なる2以上のホスト物質は、それぞれ1以上の重水素を含み、
前記異なる2以上のホスト物質の前記溶剤に対する溶解度がそれぞれ70%以上であり、
前記異なる2以上のホスト物質の発光色の最大発光ピークは、それぞれ380nm~500nmであり、
前記異なる2以上のホスト物質のうちいずれか1つのホスト物質は、前記異なる2以上のホスト物質100重量部に対して65重量部~85重量部含まれるコーティング組成物を提供する。
【0009】
本発明の他の一実施態様は、第1電極;第2電極;および前記第1電極および前記第2電極の間に設けられる少なくとも1層の有機物層を含み、
前記少なくとも1層の有機物層は発光層を含み、
前記発光層は、前述のコーティング組成物を含む有機発光素子を提供する。
【0010】
本発明の他の一実施態様は、第1電極を準備する段階;
前記第1電極上に少なくとも1層の有機物層を形成する段階;および
前記少なくとも1層の有機物層上に第2電極を形成する段階;を含み、
前記少なくとも1層の有機物層を形成する段階は、前述したコーティング組成物を用いて有機物層を溶液工程で形成する段階を含む有機発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る有機発光素子は、溶液工程で製造可能である。
【0012】
本発明に係る有機発光素子は、低い駆動電圧、高い効率および/または優れた寿命特性を有する素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1~
図3は、本発明のいくつかの実施態様による有機発光素子の構造を例示した図である。
【
図2】
図1~
図3は、本発明のいくつかの実施態様による有機発光素子の構造を例示した図である。
【
図3】
図1~
図3は、本発明のいくつかの実施態様による有機発光素子の構造を例示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1-1によるコーティング組成物1の溶解度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明において、ある部材(層)が他の部材(層)「上」に位置しているという場合、これはある部材(層)が他の部材に接している場合だけでなく、2つの部材(層)の間に別の部材(層)が存在する場合も含む。
【0016】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0017】
以下、本発明の置換基について詳細に説明する。
【0018】
本発明において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
【0019】
本発明における「置換または非置換の」という用語は、重水素、ハロゲン基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されているかまたは非置換であるか、前記例示の置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されているかまたは非置換であることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基はアリール基であってもよく、2つのフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0020】
また、本発明において「置換または非置換の」という用語は、重水素、ハロゲン基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数6~60のアリール基、および炭素数2~60のヘテロアリール基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されているかまたは非置換であるか、前記例示の置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されているかまたは非置換であることを意味する。
【0021】
本発明において、ハロゲン基はフルオロ基(-F)、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)またはヨード基(-I)である。
【0022】
本発明において、アルキル基は直鎖または分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であってもよい。一実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20、または1~10である。前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明において、シクロアルキル基の炭素数は特に限定されないが、3~60であってもよい。一実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30、または3~20である。前記シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明において、アリール基は単環式アリール基または多環式アリール基であってもよく、炭素数は特に限定されないが、6~60であってもよい。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~30;または6~20である。前記単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ペリレニル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明において、フルオレニル基は置換されてもよく、2つの置換基が互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。
【0026】
前記フルオレニル基が置換される場合、スピロフルオレニル基、9,9-ジメチルフルオレニル基およびジフェニルフルオレニル基などの置換されたフルオレニル基となり得る。ただし、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明において、ヘテロアリール基は、異種原子であり、N、O、P、S、SiおよびSeの少なくとも1つを含む芳香族環基であり、炭素数は特に限定されないが、2~60であってもよい。一実施態様によれば、前記ヘテロアリール基の炭素数は2~30である。前記ヘテロアリール基の例としては、ピリジン基、ピロール基、ピリミジン基、ピリダジン基、フラン基、チオフェン基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基などがあるが、これに限定されない。
【0028】
本発明において、前記アリーレン基は2価であることを除いては、前述のアリール基に関する説明が適用される。
【0029】
本発明において、前記ヘテロアリーレン基は2価であることを除いては、前述のヘテロアリール基に関する説明が適用される。
【0030】
本発明において、Tgはガラス転移温度を意味する。
【0031】
本発明において、Δ(x)は測定対象間のxの差を意味する。例えば、2つの物質に対するΔ(Tg)は、2つの物質間のTgの差を意味する。
【0032】
以下では、本発明の一実施態様によるコーティング組成物について説明する。
【0033】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物、下記化学式2で表される化合物および溶媒を含むコーティング組成物であって、前記コーティング組成物は、有機発光素子の有機物層形成用であるコーティング組成物を提供する。
【化2】
前記化学式1および2において、
R1およびR2はそれぞれ重水素で置換または非置換のナフチル基であり、
R3は置換または非置換のナフチル基であり、
R4は-(L)
a-R41であり、
Lは置換または非置換のアリーレン基;あるいは置換または非置換のヘテロアリーレン基であり、
R41は置換または非置換のナフチル基であり、
aは1~7の整数であり、aが2以上の場合、2以上のLは互いに同一または異なり、
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、1以上の重水素で置換される。
【0034】
本発明において、前記化学式1および2で表される化合物は構造が互いに異なる。
【0035】
本発明により、異なる構造の前記化学式1および2で表される化合物を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成する際に、熱処理する段階の熱処理温度を工程に合わせて調節することができる。具体的には、単独ホスト物質または単独ホスト物質を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成する際の熱処理温度は、前記単独ホスト物質のみに合った熱処理温度で進行しなければならず、当該熱処理温度より高い温度で熱処理されるなど、適正な熱処理温度の範囲を外れる場合には、ホスト物質または有機物層が結晶化するという欠点がある。これにより、熱処理する段階の熱処理温度を工程に合わせて柔軟に調整できないという欠点がある。一方、本発明によれば、異なる構造の前記化学式1および2で表される化合物を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成する際には、熱処理する段階の熱処理温度を工程に合わせて柔軟に調節することができる。例えば、前記化学式1および2で表される化合物を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成する際の熱処理温度を、レッドホスト物質を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成する際の熱処理温度あるいはグリーンホスト物質を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成する際の熱処理温度と類似に調節することができる。
【0036】
また、本発明に係る前記化学式1および2で表される化合物を含むコーティング組成物を用いて有機物層または有機発光素子を製造する際に、前記化学式1および2で表される化合物の重量部の割合を柔軟に調節することができる。これにより、前記化学式1および2で表される化合物を含むコーティング組成物を用いて有機物層または有機発光素子を製造する場合、有機物層または有機発光素子に含まれる化合物の割合を調節して膜特性改善、最大吸収波長の任意調節、輝度改善などが可能であり、前述したように工程内の必要な熱処理温度を任意に調節できるという利点がある。
【0037】
さらに、本発明により、異なる構造の2つのホスト物質を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成すると、素子特性である駆動電圧、効率および/または寿命特性が向上することが期待できる。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記異なる構造の2つのホスト物質は、前記化学式1で表される化合物および化学式2で表される化合物である。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記R1およびR2はそれぞれ重水素で置換または非置換のナフチル基である。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記Lは置換または非置換のアリーレン基;あるいは置換または非置換のヘテロアリーレン基である。
【0041】
本発明の一実施態様によれば、前記Lは、置換または非置換の炭素数6~60のアリーレン基;あるいは置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基である。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記Lは重水素で置換されているかまたは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または重水素で置換されているかまたは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基である。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記Lは置換または非置換のフェニレン基;置換または非置換のナフチレン基;置換または非置換の二価のアントラセン基;置換または非置換の二価のフルオレニル基;置換または非置換の二価のジベンゾフラン基;あるいは置換または非置換の二価のジベンゾチオフェン基である。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記Lは重水素で置換されているかまたは非置換のフェニレン基;重水素で置換されているかまたは非置換のナフチレン基;重水素で置換されているかまたは非置換の二価のアントラセン基;重水素で置換されているかまたは非置換の二価のフルオレニル基;重水素で置換されているかまたは非置換の二価のジベンゾフラン基;または重水素で置換されているかまたは非置換の二価のジベンゾチオフェン基である。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記R41は、置換または非置換のナフチル基である。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記R41は、重水素、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロアリール基からなる群から選択されるいずれか1つ以上の置換基で置換されているかまたは非置換のナフチル基である。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記R41は、重水素、置換または非置換のアリール基、および置換または非置換のヘテロアリール基からなる群から選択されるいずれか1つ以上の置換基で置換されているかまたは非置換のナフチル基である。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記R41は、重水素、アリール基、およびヘテロアリール基からなる群から選択されるいずれか1つ以上の置換基で置換されているかまたは非置換のナフチル基である。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記R41は、重水素で置換されているかまたは非置換のナフチル基である。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記R41は、置換または非置換のヘテロアリール基で置換されているかまたは非置換のナフチル基である。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記R41は、置換または非置換のジベンゾフラン基で置換されているかまたは非置換のナフチル基である。
【0052】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物は、以下の化合物からなる群から選択されるいずれかである。
【化3】
【0053】
前記化合物において、前記化合物は少なくとも1つの重水素で置換される。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2で表される化合物は、以下の化合物からなる群から選択されるいずれかである。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
前記化合物において、前記化合物は少なくとも1つの重水素で置換される。
【0059】
本明細書において、化合物が少なくとも1つの重水素で置換されるとは、少なくとも1つの水素(「H」)が重水素(「D」)で置き換えられることを意味する。例えば、下記化合物a-1が1以上の重水素で置換される場合、下記化合物a-2またはa-3で表され得る。
【0060】
【0061】
前記化学式a-2において、z1およびz4はそれぞれ0~7の整数であり、z2は0~8の整数であり、z3は0~4の整数であり、z1+z2+z3+z4は1~26の整数である。
【0062】
本明細書において、Dxはx個の重水素(D)で置換されることを意味し、Dx~yはx個~y個の重水素で置換されることを意味する。例えば、前記化学式a-3におけるD1~26は、1~26個の重水素で置換されたことを意味する。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は少なくとも10%重水素化される。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも一つは、20%以上重水素化される。他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも一つは、30%以上重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも一つは、40%以上重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも一つは、50%以上重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも一つは、60%以上重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも一つは、70%以上重水素化される。また他の一実施態において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも一つは、80%以上重水素化される。さらに他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも一つは、90%以上重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のうち少なくとも1つは100%重水素化される。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物はそれぞれ10%~100%重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物はそれぞれ20%~100%重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物はそれぞれ30%~100%重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物はそれぞれ40%~100%重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物はそれぞれ50%~100%重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物はそれぞれ60%~100%重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物はそれぞれ70%~100%重水素化される。さらに他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物はそれぞれ80%~100%重水素化される。また他の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物はそれぞれ90%~100%重水素化される。
【0066】
本発明において、用語「重水素化された」は、少なくとも1つの水素(「H」)が重水素(「D」)で置き換えられていることを意味することである。重水素された化合物において、重水素は自然存在比のレベルの少なくとも100倍で存在する。一部の実施態様において、前記化合物は少なくとも10%重水素化される。「%重水素化された」または「%重水素化」という用語は、プロトン+重水素の和に対する重水素の比を意味し、百分率として表される。
【0067】
本発明において、重水素化された物質は、重水素化された前駆体材料を使用するのと類似な方法で、またはより一般的には、ルイス酸H/D交換触媒、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、アルミニウムトリクロライドまたはエチルアルミニウムジクロライドの存在下で、重水素化されていない物質を重水素化された溶媒、例えばベンゼン-d6で処理することによって製造することができる。
【0068】
本発明において、「重水素化率」または「重水素置換率」は、核磁気共鳴光法(1H NMR)、TLC/MS(Thin-Layer Chromatography/Mass Spectrometry)、またはGC/MS(Gas Chromatography/Mass Spectrometry)などの公知の方法で確認することができる。
【0069】
前記のように、水素の位置に重水素が置換される場合、化合物の化学的性質はほとんど変化しない。ただし、重水素は水素の2倍の原子量を有しているため、重水素化された化合物の物理的性質は変化する。例えば、重水素化された化合物はその振動エネルギー準位が低くなり、振動エネルギー準位の低下は、分子間ファンデルワールス力の減少や分子間振動による衝突に起因する量子効率の低下を防止することができる。したがって、重水素化された化合物を含む素子は効率および寿命が改善する。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は15:85~85:15の重量比で含まれる。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物が65:35~85:15の重量比、または15:85~35:65の重量比で含まれる。
【0072】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、65:35~85:15の重量比で含まれる。
【0073】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、15:85~35:65の重量比で含まれる。
【0074】
本発明の好ましい一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物は、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物を合わせた重量部を100重量部としたとき、15重量部~35重量部、または65重量部~85重量部含まれる。具体的な一例として、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、15:85~35:65の重量比、または65:35~85:15で含まれる。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、前記化学式1で表される化合物を、前記化学式2で表される化合物より多く含む。
【0076】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、化学式2で表される前記化合物を、前記化学式1で表される化合物より多く含む。
【0077】
前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物を前述した含量比で含む素子は、長寿命の効果を有する。一方、重量比が前記範囲を外れる場合の有機発光素子はその寿命が減少する。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物または前記化学式2で表される化合物の発光色の最大発光ピークは、それぞれ380nm~500nmである。
【0079】
本発明の好ましい一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の発光色の最大発光ピークはそれぞれ380nm~500nmである。
【0080】
本発明において、最大発光ピークが380nm~500nmであるとは、最大高さを有する発光ピークが380nm~500nm内に存在することを意味する。
【0081】
本発明において、最大発光ピークが380nm~500nmである発光色は青色である。
【0082】
本発明において、前記最大発光ピークを測定するために用いた測定装備は、JASCO FP-8600蛍光分光光度計などであってもよい。具体的な一例として、トルエンを溶媒として測定する物質(化合物、コーティング組成物、有機物層の一部および/または素子の一部など)を溶解して蛍光測定用試料を用意し、試料溶液を石英セルに入れた後、蛍光測定装備を用いて室温(約300K)で蛍光強度および最大発光ピークを測定することができる。ただし、最大発光ピークを測定するための測定装備および測定条件は、当業界の技術者により適宜変更することができる。
【0083】
本発明において、ピーク(peak)とは、グラフにおける勾配の符号が変わる地点をいう。
【0084】
本発明において、ピークの高さは、循環電圧電流度において当該ピークの電流値からベースラインの電流値を引いた値をいう。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の前記溶媒に対する溶解度はそれぞれ70%以上である。
【0086】
前記溶解度に関して、本発明の一実施態様によるコーティング組成物は、有機発光素子の単層または多層の有機物層を溶液工程を通じて形成する際に用いられるため、インク安定性などが重要な要因である。具体的には、塗布組成物に含まれる物質の溶媒への溶解度に応じて、溶液工程用有機発光素子に用いることができるか否かが決定される。本発明の一実施態様によるコーティング組成物に含まれる前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の溶媒への溶解度がそれぞれ70%以上である場合、溶液工程を介して有機発光素子の単層または多層の有機物層を形成することができる。一方、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の溶媒への溶解度がそれぞれ70%未満の場合、溶液が濁る(hazy)ことにより、溶液工程用有機発光素子の製造に使用できないか、使用されても長期安定性が著しく低下する。
【0087】
本発明において、前記溶解度は10℃~30℃で測定することができる。好ましい一実施態様によれば、前記溶解度は15℃~26℃で測定することができる。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記溶媒は、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン(Isophorone)、テトラロン(Tetralone)、デカロン(Decalone)、アセチルアセトン(Acetylacetone)などのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2-ヘキサンジオールなどの多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;およびN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;テトラリンなどの溶媒が例示されるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明の一実施態様によれば、前記溶媒は1種単独で用いてもよいし、異なる2以上の溶媒を混合して使用してもよい。
【0090】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、有機発光素子の有機物層形成用である。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、有機発光素子の単層または多層の有機物層形成用である。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、有機発光素子の単層の有機物層形成用である。
【0093】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は、有機発光素子の多層の有機物層形成用である。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記有機物層は発光層である。すなわち、前記コーティング組成物は発光層形成用である。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のHOMO levelの差またはLUMO levelの差は、0.1eV~5.0eVである。具体的には、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のHOMO levelの差またはLUMO levelの差は、0.1eV~4.0eV、または0.1eV~3.0eVである。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のHOMO levelの差は、0.1eV~5.0eV、0.1eV~4.0eV、または0.1eV~3.0eVである。
【0097】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のLUMO levelの差は、0.1eV~5.0eV、0.1eV~4.0eV、または0.1eV~3.0eVである。
【0098】
本発明において、エネルギー準位はエネルギーの大きさを意味するものである。したがって、真空準位からマイナス(-)方向にエネルギー準位が表示される場合でも、エネルギー準位は当該エネルギー値の絶対値を意味すると解釈される。例えば、HOMO level(HOMOエネルギー準位)とは、真空準位から最高被占軌道(highest occupied molecular orbital)までの距離を意味する。また、LUMO level(LUMOエネルギー準位)とは、真空準位から;最低空軌道(lowest unoccupied molecular orbital)までの距離を意味する。
【0099】
本発明において、前記HOMO levelの差およびLUMO levelの差は絶対値で表した。例えば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のHOMO levelの差は、|化学式1で表される化合物のHOMO level-化学式2で表される化合物のHOMO level|であり、この値が0.1eV~5.0eVである。
【0100】
本発明において発光層をホスト-ゲストシステム(host-guest system)で構成する場合、ホスト物質のHOMO levelとLUMO levelでそれぞれ正孔および電子が注入され、ランジェバン型(Langevin type)の再結合をしてホスト物質に先に励起子が生成され、エネルギー転移を介してドーパント物質に順次励起子が形成され、最終的にドーパント物質から発光することができる。このとき、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のHOMO levelの差またはLUMO levelの差が前述の範囲内である場合、素子の発光に寄与して優れた発光効率を有する。
【0101】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のガラス転移温度(Tg)の差は3℃~30℃である。具体的には、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物間のTgの差は、4℃~30℃、4℃~28℃、または4℃~10℃である。
【0102】
前記Tgの差は絶対値で表した。例えば、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物のガラス転移温度(Tg)の差は、|化学式1で表される化合物のTg-化学式2で表される化合物のTg|であり、その値は4℃~30℃である。
【0103】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1および2で表される化合物はそれぞれホストとして使用される。具体的には、前記化学式1および2で表される化合物は、それぞれ発光ホストとして用いられる。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は発光ドーパントをさらに含んでもよい。
前記発光ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などがある。具体的には、芳香族アミン誘導体としては、置換または非置換のアリールアミン基を有する縮合芳香族環誘導体として、アリールアミン基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどがある。また、スチリルアミン化合物は、置換または非置換のアリールアミンに少なくとも1つのアリールビニル基が置換されている化合物であり、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基およびアリールアミン基からなる群から1または2以上選択される置換基が置換しているかまたは非置換である。具体的には、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどがあるが、これらに限定されない。また、金属錯体としてはイリジウム錯体、白金錯体などがあるが、これに限定されるものではない。
【0105】
前記発光ドーパント材料は、発光ホスト物質100重量部に対して0.5重量部~20重量部、0.7重量部~10重量部、または0.8重量部~5重量部で含まれ得る。
【0106】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は液状であってもよい。
【0107】
本発明の他の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は光硬化性基および/または熱硬化性基を含む単分子;または熱によるポリマー形成が可能な末端基を含む単分子をさらに含む。前記のように光硬化性基および/または熱硬化性基を含む単分子;または熱によるポリマー形成が可能な末端基を含む単分子の分子量は、3,000g/mol以下の化合物であってもよいが、前記例示した分子量に限定されるものではない。
【0108】
前記光硬化性基および/または熱硬化性基を含む単分子;または熱によるポリマー形成が可能な末端基を含む単分子は、フェニル、ビフェニル、フルオレン、ナフタレンなどのアリール;アリールアミン;またはフルオレンに光硬化性基および/または熱硬化性基または熱によるポリマー形成が可能な末端基が置換された単分子を意味することができる。
【0109】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物の粘度は室温で2cP~15cPである。前記粘度を満たす場合、素子の製造に容易である。具体的には、有機発光素子内に有機物層を形成するとき、均一な膜を形成することができる。
【0110】
本発明の一実施態様は、異なる2以上のホスト物質および溶媒を含むコーティング組成物であって、
前記異なる2以上のホスト物質は、それぞれ1以上の重水素を含み、
前記異なる2以上のホスト物質の前記溶剤に対する溶解度がそれぞれ70%以上であり、
前記異なる2以上のホスト物質の発光色の最大発光ピークは、それぞれ380nm~500nmであり、
前記異なる2以上のホスト物質のうちいずれか1つのホスト物質は、前記異なる2以上のホスト物質100重量部に対して65重量部~85重量部含まれるコーティング組成物を提供する。
【0111】
本発明の一実施態様によれば、前記異なる2以上のホスト物質は、前述の化学式1で表される化合物および化学式2で表される化合物を含む。
【0112】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物は異なる2つのホスト物質を含む。
【0113】
前記コーティング組成物において、溶解度および発光ピークに関する説明は前述のとおりである。
【0114】
以下では、本発明の一実施態様による有機発光素子について説明する。
【0115】
本発明の一実施態様は、第1電極;第2電極;および前記第1電極および前記第2電極の間に設けられる少なくとも1層の有機物層を含み、前記少なくとも1層の有機物層は発光層を含み、前記発光層は前記コーティング組成物を含む有機発光素子を提供する。
【0116】
前記のような本発明の一実施態様による有機発光素子は、高い電荷再結合(charge recombination)確率を有することにより、優れた発光効率を期待することができる。また、異なる2以上のブルーホスト物質を含むことにより、工程温度の確保に有利であるという利点がある。
【0117】
本発明の一実施態様によれば、前記異なる2以上のブルーホスト物質は、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物を含む。
【0118】
本明細書において、前記コーティング組成物を含むとは、前記コーティング組成物または前記コーティング組成物の硬化物を含むことを意味する。
【0119】
本明細書において、前記発光層が前記コーティング組成物を含むとは、前記発光層が前記コーティング組成物を用いて形成されることを意味する。
【0120】
以下では、前述した有機発光素子に含まれる有機物層の種類を具体的に説明する。
【0121】
前記少なくとも1層の有機物層は、例えば、正孔注入層;正孔輸送層;正孔注入および輸送層;電子遮断層;発光層;正孔遮断層;電子輸送層;電子注入層;および電子注入および輸送層などからなる群から選択される1層またはそれ以上の層を含む。ここで、正孔注入および輸送層は、正孔注入と正孔輸送を同時に行う層を意味する。なお、電子注入および輸送層は、電子注入と電子輸送を同時に行う層を意味する。しかし、前記群をなす有機物層は一例に過ぎず、少なくとも1層の有機物層が前述の例に限定されるものではない。また、前記少なくとも1層の有機物層は、必要に応じて、同じ役割を果たす層を2層以上含んでもよい。一例による有機発光素子は、第1発光層および第2発光層を含む。ただし、前記の例に限定されるものではない。
【0122】
本発明の一実施態様によれば、前記少なくとも1層の有機物層は発光層を含む。一例として、前記発光層は前述のコーティング組成物を含む。
【0123】
本発明の一実施態様によれば、前記少なくとも1層の有機物層は、発光層の他にも少なくとも1層の有機物層をさらに含む。
【0124】
本発明の一実施態様によれば、前記少なくとも1層の有機物層は、発光層の他に、正孔注入層;正孔輸送層;正孔注入および輸送層;電子注入層;電子輸送層;および電子注入および輸送層からなる群から選択される少なくとも1層の有機物層をさらに含む。
【0125】
本発明の一実施態様によれば、前記少なくとも1層の有機物層は、発光層の他に、正孔注入層;正孔輸送層;および正孔注入および輸送層からなる群から選択される少なくとも1つの有機物層をさらに含む。
【0126】
本発明の一実施態様によれば、前記少なくとも1層の有機物層は、発光層以外に第1有機物層をさらに含む。
【0127】
本発明の一実施態様によれば、前記第1有機物層は、正孔注入層;正孔輸送層;および正孔注入および輸送層からなる群から選択される少なくとも1層の有機物層である。
【0128】
本発明の一実施態様によれば、前記少なくとも1層の有機物層は、発光層の他に、電子注入層;電子輸送層;および電子注入および輸送層からなる群から選択される少なくとも1層の有機物層をさらに含む。
【0129】
本発明の一実施態様によれば、前記少なくとも1層の有機物層は、発光層に加えて第2有機物層をさらに含む。
【0130】
本発明の一実施態様によれば、前記第2有機物層は、電子注入層;電子輸送層;および電子注入および輸送層からなる群から選択される少なくとも1層の有機物層である。
【0131】
本発明の一実施態様によれば、前記少なくとも1層の有機物層は、第1有機物層および第2有機物層をさらに含み、
前記第1有機物層は、前記第1電極および前記発光層の間に設けられ、
前記第2有機物層は、前記第2電極および前記発光層の間に設けられ、
前記第1有機物層は、正孔注入層;正孔輸送層;および正孔注入および輸送層からなる群から選択される少なくとも1層の有機物層であり、
前記第2有機物層は、電子注入層;電子輸送層;および電子注入および輸送層からなる群から選択される少なくとも1層の有機物層である。
【0132】
以下では、前記有機物層およびそれを含む有機発光素子の積層構造について具体的に説明する。
【0133】
本発明の一実施態様による有機発光素子の有機物層は単層構造である。例えば、前記単層構造の有機物層は、有機発光素子の第1電極および第2電極の間に設けられ、前記有機物層は前述のコーティング組成物を含む。具体的な一実施態様によれば、前記単層構造からなる有機物層は発光層であり、このとき前記発光層は前述したコーティング組成物を含む。
【0134】
本発明の他の一実施態様による有機発光素子の有機物層は、2層以上の有機物層が積層された多層構造である。例えば、前記多層構造の有機物層は、前記有機発光素子の第1電極および第2電極の間に設けられる。
【0135】
本発明の一実施態様によれば、前記多層構造の有機物層は、発光層および発光層以外の有機物層を含む。一例として、前記発光層は、第1電極および第2電極の間に設けられ、前記発光層以外の有機物層は、第1電極および発光層の間に設けられる。他の一例として、前記発光層は、第1電極および第2電極の間に設けられ、前記発光層以外の有機物層は、発光層および第2電極の間に設けられる。また他の一例として、前記発光層は、第1電極および第2電極の間に設けられ、前記発光層以外のいずれかの有機物層は、第1電極および発光層の間に設けられ、前記発光層以外の他のいずれかの有機物層は、発光層および第2電極の間に設けられる。ただし、前記構成は例示に過ぎず、前記構成に限定されるものではない。また、前記発光層以外の有機物層は、例えば、正孔注入および輸送層、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、正孔遮断層、電子輸送層、電子注入層、電子注入および輸送層などからなる群から選択される少なくとも1層の層であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0136】
一般に、有機発光素子において、正孔注入層、正孔輸送層または電子遮断層は、アノードおよび発光層の間に設けられる。具体的な例として、正孔注入層はアノード上部に設けられ、正孔輸送層は正孔注入層上部に設けられ、電子遮断層は正孔注入層上部に設けられるが、前記の例に限定されない。
【0137】
また、一般に有機発光素子において電子注入層、電子輸送層または正孔遮断層は、カソードおよび発光層の間に設けられる。具体的な例として、正孔遮断層は発光層上部に設けられ、電子輸送層は正孔遮断層上部に設けられ、電子注入層は電子輸送層上部に設けられるが、前記例示に限定されない。
【0138】
本発明の一実施態様による有機発光素子に含まれた多層構造の有機物層は、発光層;および正孔注入および輸送層、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、正孔遮断層、電子輸送層、電子注入層、および電子注入および輸送層からなる群から選択される少なくとも1層の第1’有機物層を含み、前記発光層は第1電極および第2電極の間に設けられ、前記少なくとも1層の第1’有機物層は前記発光層および前記第1電極の間、または発光層および第2電極の間に設けられる。
【0139】
本発明の一実施態様による有機発光素子に含まれた多層構造の有機物層は、発光層;正孔注入層、正孔輸送層および電子遮断層からなる群から選択される少なくとも1層の第1’有機物層;および電子注入層、電子輸送層および正孔遮断層からなる群から選択される少なくとも1層の第2’有機物層を含み、前記発光層は、第1電極および第2電極の間に設けられ、前記少なくとも1層の第1’有機物層は第1電極および発光層の間に設けられ、前記少なくとも1層の第2’有機物層は第2電極および発光層の間に設けられる。
【0140】
本発明の一実施態様によれば、前記第1電極はアノードであり、第2電極はカソードである。
【0141】
本発明の他の一実施態様によれば、前記第1電極はカソードであり、第2電極はアノードである。
【0142】
本発明の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、基板上にアノード、少なくとも1層の有機物層およびカソードが順次積層された正方向構造(normal type)の有機発光素子であってもよい。
【0143】
本発明の他の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、基板上にカソード、少なくとも1層の有機物層、およびアノードが順次積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であってもよい。
【0144】
例えば、本明細書の有機発光素子の構造は、
図1~
図3に示すような構造を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0145】
図1は、第1電極(このとき、アノード)201、発光層501および第2電極(このとき、カソード)801からなる有機発光素子の例を示すものである。
【0146】
図2は、基板101、アノード201、正孔注入層301、正孔輸送層401、発光層501、電子輸送層601、電子注入層701およびカソード801からなる有機発光素子の例を示すものである。
【0147】
図3は、基板101、アノード201、正孔注入層301、正孔輸送層401、発光層501、電子輸送層601、電子注入層701、カソード801およびキャップピング層901からなる有機発光素子の例を示すものである。
【0148】
図1~
図3の発光層501は、前記異なる2つのホスト物質(前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物)および溶媒を含むコーティング組成物を含むか、前記コーティング組成物を使用して形成されてもよい。
【0149】
前記のように、単層または多層構造の有機物層を有する有機発光素子は、例えば以下のような積層構造を有することができるが、これに限定されるものではない。
(1)アノード/正孔輸送層/発光層/カソード
(2)アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/カソード
(3)アノード/正孔注入層/正孔バッファ層/正孔輸送層/発光層/カソード
(4)アノード/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/カソード
(5)アノード/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(6)アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/カソード
(7)アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(8)アノード/正孔注入層/正孔バッファ層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/カソード
(9)アノード/正孔注入層/正孔バッファ層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(10)アノード/正孔輸送層/電子遮断層/発光層/電子輸送層/カソード
(11)アノード/正孔輸送層/電子遮断層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(12)アノード/正孔注入層/正孔輸送層/電子遮断層/発光層/電子輸送層/カソード
(13)アノード/正孔注入層/正孔輸送層/電子遮断層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(14)アノード/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/電子輸送層/カソード
(15)アノード/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(16)アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/電子輸送層/カソード
(17)アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/電子輸送層/電子注入層/カソード
(18)アノード/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/電子輸送層/電子注入層/カソード/キャッピング層
(19)アノード/正孔注入層/第1正孔輸送層/第2正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/電子輸送層/電子注入層/カソード/キャッピング層
【0150】
前記構成において、「正孔注入層/正孔輸送層」は「正孔注入および輸送層」に置き換えることができる。また、「電子輸送層/電子注入層」は「電子注入および輸送層」に置き換えることができる。
【0151】
本発明の一実施態様による有機発光素子において、前記化学式1で表される化合物、前記化学式2で表される化合物および前記溶媒に関する説明は、コーティング組成物において前述されたのと同様である。例えば、前記ホスト物質(化学式1で表される化合物および化学式2で表される化合物)の溶解度、前記ホスト物質の発光色の最大発光ピーク、重量比、重水素化率、HOMO level差、LUMO level差およびTg差に関しては、前述の説明を適用することができる。
【0152】
以下では、前述したアノード、カソードおよび具体的な有機物層の材料について詳細に説明する。
【0153】
前記アノード物質としては、通常、有機物層への正孔注入が円滑になるように仕事関数の大きい物質が好ましい。例えば、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはそれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbなどの金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらに限定されない。
【0154】
前記カソード物質としては、通常、有機物層への電子注入が容易になるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。例えば、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、および鉛などの金属またはそれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alなどの多層構造物質などがあるが、これに限定されるものではない。
【0155】
本発明の一実施態様によれば、前記アノードおよび/またはカソードは、それぞれITO/Ag/ITOの積層構造を有する三重層から構成されてもよい。このとき、第1電極および/または第2電極が多重層で構成されると、信号遅延(RC delay)による電圧降下を最小化することができる。これにより、発光素子に所望の電圧を効果的に伝達することができる。
【0156】
前記カソード上にさらに電極を保護するためのキャッピング層(capping layer、CPL)を形成することができ、前記キャッピング層物質は当技術分野で使用される材料を適切に使用することができる。
【0157】
前記発光層はホスト材料および/またはドーパント材料を含んでもよい。
【0158】
前記ホスト材料としては、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などがある。具体的には、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これに限定されるものではない。
【0159】
本発明の一実施態様によれば、前記ホスト材料としては、前述したホスト材料の中から選択される2以上のホスト物質を混合して使用することができる。具体的には、アントラセン誘導体が使用され得る。より具体的には、ホスト材料として、前記化学式1の化合物および化学式2の化合物を混合して用いることができる。
【0160】
前記ドーパント材料としては、コーティング組成物で例示した説明を適用することができる。
【0161】
前記正孔注入層は、電極から正孔を受け取る層である。正孔注入物質は、正孔を輸送する能力を有し、アノードから正孔受け取り効果および発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有するのが好ましい。また、発光層で生成された励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を防止する能力に優れた物質が好ましい。また、薄膜形成能力に優れた物質が好ましい。また、正孔注入物質のHOMOがアノード物質の仕事関数と周辺の有機物層のHOMOとの間であるのが好ましい。正孔注入物質の具体例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物;ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物;キナクリドン(quinacridone)系の有機物;ペリレン(perylene)系の有機物;アントラキノン、ポリアニリンなどのポリチオフェン系の導電性高分子;イッテルビウム(Yb);ジスプロシウム(Dy)などがあるが、これに限定されるものではない。
【0162】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取り、発光層まで正孔を輸送する層であり、単層または2層以上の多層構造であってもよい。正孔輸送物質としては、アノードや正孔注入層から正孔を受け取り、発光層に移すことができる物質であり、正孔に対する移動性の大きい物質が好ましい。
【0163】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取り、発光層まで電子を輸送する層である。電子輸送物質としては、カソードから電子がうまく注入されて発光層に移すことのできる物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好ましい。具体的な例としては、8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alq3を含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン-金属錯体などがあるが、これに限定されるものではない。電子輸送層は、従来技術に従って使用されたように、任意の所望のカソード物質と共に使用することができる。特に、適切なカソード材料は低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が続く通常の物質である。具体的には、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウムおよびサマリウムなどがあり、各場合、アルミニウム層またはシルバー層が続く。
【0164】
前記電子注入層は、電極から電子を受け取る層である。電子注入物質としては、電子を輸送する能力に優れ、カソードからの電子受取効果、発光層または発光材料に対して優れた電子注入効果を有するのが好ましい。また、発光層で生成された励起子が正孔注入層に移動することを防止し、薄膜形成能力に優れた物質が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、プレオレニリデンメタン、アントロンなどとその誘導体、金属錯体化合物および含窒素五員環誘導体などがあるが、これに限定されるものではない。前記金属錯体化合物としては、8-ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(2-ナフトラート)ガリウムなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0165】
前記電子遮断層は、電子注入層から注入された電子が発光層を通過して正孔注入層に進入するのを防ぎ、素子の寿命または効率を向上させることができる層である。前記電子遮断物質としては、公知の電子遮断物質を用いることができる。
【0166】
前記正孔遮断層は正孔のカソードへの到達を阻止する層であり、一般に電子注入層と同じ条件で形成されることができる。前記正孔遮断層物質としては、具体的には、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体(aluminum complex)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0167】
前記正孔注入および輸送層は、前述した正孔注入層および正孔輸送層の材料を含んでもよい。
【0168】
前記電子注入および輸送層は、前述した電子注入層および電子輸送層の材料を含んでもよい。
【0169】
前記有機発光素子が複数の有機物層を含む場合、前記有機物層は同じ物質または異なる物質で形成されてもよい。
【0170】
本発明に係る有機発光素子は、使用される材料に応じて、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0171】
以下では、本発明の一実施態様による有機発光素子の製造方法を提供する。
【0172】
本発明の一実施態様は、有機発光素子の有機物層の少なくとも1層が前述のコーティング組成物を用いて形成される有機発光素子の製造方法を提供する。
【0173】
具体的には、本発明の一実施態様は、第1電極を準備する段階;前記第1電極上に少なくとも1層の有機物層を形成する段階;および前記少なくとも1層の有機物層上に第2電極を形成する段階を含み、前記少なくとも1層の有機物層を形成する段階は、前記コーティング組成物を用いて有機物層を溶液工程にて形成する段階を含む有機発光素子の製造方法を提供する。
【0174】
本発明の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、少なくとも1層の有機物層が前述のコーティング組成物から形成されることを除いて、当技術分野で知られている材料と方法で製造されることができる。具体的には、前記有機発光素子は、発光層が前述のコーティング組成物から形成されることを除いて、当技術分野で知られている材料と方法で製造されてもよい。
【0175】
本発明の一実施態様によるコーティング組成物は、溶液塗布法により有機発光素子を製造することができ、素子の大面積化が可能である。
【0176】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物を用いて少なくとも1層の有機物層を形成する段階は、スピンコーティング方法を利用する。
【0177】
本発明の他の一実施態様によれば、前記コーティング組成物を用いて少なくとも1層の有機物層を形成する段階は印刷法を用いる。
【0178】
本発明の一実施態様によれば、前記印刷法は、例えば、インクジェットプリンティング、ノズルプリンティング、オフセットプリンティング、転写プリンティング、またはスクリーンプリンティングなどがあるが、前記の印刷法に限定されない。
【0179】
本発明の一実施態様によるコーティング組成物は、構造的な特性から溶液工程が好適であり、印刷法により形成することができるため、素子の製造時に時間およびコスト的に経済的な効果がある。
【0180】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物を用いて有機物層を形成する段階は、前記第1電極または少なくとも1層の有機物層上に前記コーティング組成物をコーティングする段階;および前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥する段階、熱処理する段階または光処理する段階を含む。
【0181】
本発明の一実施態様によれば、前記コーティング組成物を用いて少なくとも1層の有機物層を形成する段階は、前記第1電極または少なくとも1層の有機物層上にコーティング組成物をコーティングする段階;および前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥する段階、熱処理する段階、および/または光処理する段階を含む。好ましくは、前記コーティング組成物を使用して少なくとも1層の有機物層を形成する段階は、前記少なくとも1層の有機物層上にコーティング組成物をコーティングする段階;および前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥する段階または熱処理する段階を含む。一例として、前記コーティング組成物を用いて少なくとも1層の有機物層を形成する段階は、前記第1電極または前記少なくとも1層の有機物層上にコーティング組成物をコーティングする段階;および前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥する段階を含む。他の一例として、前記コーティング組成物を使用して少なくとも1層の有機物層を形成する段階は、前記第1電極または前記少なくとも1層の有機物層上にコーティング組成物をコーティングする段階;および前記コーティングされたコーティング組成物を熱処理する段階を含む。また他の例として、前記コーティング組成物を使用して少なくとも1層の有機物層を形成する段階は、前記少なくとも1層の有機物層上にコーティング組成物をコーティングする段階;前記コーティングされたコーティング組成物を乾燥する段階;および熱処理する段階を含む。
【0182】
本発明の一実施態様によれば、前記熱処理段階は熱処理によって行われることができ、前記熱処理段階における熱処理温度は80℃~250℃;80℃以上200℃未満;100℃~170℃;または120℃~160℃であってもよい。
【0183】
本発明の一実施態様によれば、前記熱処理する段階における熱処理時間は1分~2時間であり、一実施態様によれば1分~1時間であり、他の一実施態様において、5分~1時間であってもよい。好ましい一例として、前記熱処理する段階における熱処理時間は5分~30分である。
【0184】
前記コーティング組成物を用いて形成された少なくとも1層の有機物層を形成する段階において、前記熱処理段階または光処理段階を含みながら、前記コーティング組成物が光硬化性基および/または熱硬化性基を含む単分子;または熱によるポリマー形成が可能な末端基を含む単分子をさらに含む場合には、コーティング組成物に含まれた構成要素間の架橋を形成して薄膜化された構造が含まれた有機物層を提供することができる。このとき、前記コーティング組成物を用いて形成された有機物層の表面上に他の層を積層する際、溶媒によって溶解されたり、形態学的に影響を受けたり分解されたりすることを防止することができる。したがって、前記製造方法により有機物層が形成された場合には、溶媒に対する抵抗性が増加し、溶液蒸着および架橋方法を繰り返し行って多層を形成することができ、安定性が増加して素子の寿命特性を増加させることができる。
【0185】
本発明の一実施態様は、前述のコーティング組成物を含むか、前述のコーティング組成物を用いて形成された有機物層を含む有機発光素子を含む電子素子を提供する。
【0186】
前記電子素子は、半導体素子の層間絶縁膜、カラーフィルタ、ブラックマトリックス、オーバーコート、カラムスペーサ、パッシベーション膜、バッファコート膜、多層プリント基板用絶縁膜、フレキシブル銅被覆板のカバーコート、バッファコート膜、多層プリント基板用絶縁膜ソルダーレジスト膜、OLEDの絶縁膜、液晶表示素子の薄膜トランジスタの保護膜、有機EL素子の電極保護膜および半導体保護膜、OLED絶縁膜、LCD絶縁膜、半導体絶縁膜、太陽光モジュール、タッチパネル、ディスプレイパネルなどのディスプレイ装置などを全て含むものであってもよいが、これに限定されるのではない。
【実施例】
【0187】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は様々な異なる形態に変更することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施態様に限定されるものと解釈されない。本発明の実施例は、当技術分野において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0188】
<化合物の製造例>
製造例1.化合物Dの製造
【化8】
【0189】
9-bromo-10-(naphthalen-2-yl)anthracene(20g、52.2mmol)と(4-(naphthalen-1-yl)phenyl)boronic acid(14.2g、57.4mmol)をtetrahydrofuran溶媒200mLに入れ、昇温して撹拌した。Potassium carbonate(14.4g、104.3mmol)水溶液を加えた後、蒸留が始まると、tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)(1.81g、1.56mmol)を加え、さらに3時間撹拌した。反応終了後、濾過した後、EtOHスラリー蒸留により[化合物D-1](23g、87%yield)を得た。Inertな環境で、[化合物D-1]をBenzene-d6に溶かした後、trichlorobenzeneを一緒に2時間撹拌した。D2O quenchingを介して反応を終了して[化合物D]を得た。
【0190】
前記[化合物D]のTgは131℃であり、前記[化合物D]のHOMO levelおよびLUMO levelはそれぞれ-5.89eVおよび-2.92eVである。前記反応式において、Dnはn個の重水素(D)で置換されることを意味し、例えば、D7は7個の重水素で置換されていることを意味する。
[M+H]+=533
【0191】
【0192】
前記製造例1において、(4-(naphthalen-1-yl)phenyl)boronic acidの代わりにnaphthalen-1-ylboronic acidを用いたことを除いて、製造例1と同様の方法で[化合物E]を製造した。
【0193】
[化合物E]のTgは126℃であり、前記[化合物E]のHOMO levelおよびLUMO levelはそれぞれ-6.00eVおよび-3.05eVである。前記反応式において、Dnはn個の重水素(D)で置換されていることを意味し、例えば、D7は7個の重水素で置換されていることを意味する。
[M+H]+=453
【0194】
*前記化合物DおよびEの間のTg差の絶対値/HOMO level差の絶対値/LUMO level差の絶対値
△(Tg):5℃
△(HOMO level):0.11eV
△(LUMO level):0.13eV
【0195】
実施例1-1
下記化合物Dおよび下記化合物Eを7:3の重量比で混合し、これに溶媒のシクロヘキサノンを加えてコーティング組成物1を製造した。前記製造されたコーティング組成物1において、前記化合物Dおよび前記化合物Eが溶媒のシクロヘキサノンに溶解される程度を写真で測定した。
図4には、本願実施例1-1において、前記化合物Dおよび前記化合物Eが溶媒のシクロヘキサノンに溶解される程度を測定した写真を示した。
【化10】
図4により、前記化合物Dおよび前記化合物Eは、溶媒であるシクロヘキサノンに対する優れた溶解度(70%以上の溶解度)を示し、コーティング組成物1が混濁しないことが確認できる。これにより、前記コーティング組成物1の安定性に優れることが確認できる。
【0196】
<素子製造例>
アノードとして、ITO(indium tin oxide)/Ag/ITOをそれぞれ100Å、1200Å、80Åの厚さで薄膜コーティングしたガラス基板を、洗剤を溶かした蒸留水に入れ、超音波で洗浄した。この時、洗剤としてはフィッシャー社(Fischer Co.)製品を使用し、蒸留水としてはミリポア社(Millipore Co.)製品のフィルター(Filter)で2次ろ過した蒸留水を使用した。30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返して超音波洗浄を10分間進行した。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピルの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた後、前記基板を10分間ホットプレート(Hot plate)でベーキング(baking)した後、グローブボックスに基板を輸送した。
【0197】
前記アノード上に下記化合物Aと下記化合物Bとを8:2の重量比で含む2.5wt%シクロヘキサノンの混合物でHole injection layer(HIL)溶液をスピンコーティング(2500rpm)し、230℃で30分間熱処理(硬化)して50nmの厚さで正孔注入層(HIL)を形成した。その後、下記化合物Cを2.1%w/Vトルエン溶媒でHole transport layer(HTL)溶液を製造し、スピンコーティングによりHIL上に100nmの厚さで正孔輸送層(Hole transport layer、HTL)を形成した。
【0198】
次に、前記正孔輸送層上に40nm厚さの発光層(Emission layer、EML)を形成するが、このとき、2つのブルーホストである下記の化合物Dおよび下記の化合物Eを7:3の重量比で混合し、これにブルードーパント化合物Fを2w%の割合でシクロヘキサノンに混合してEmission layer(EML)コーティング組成物を製造し、前記コーティング組成物をスピンコーティングした後、150℃ホットプレート(hot plate)で10分間熱処理して40nm厚さの発光層を製作した。前記発光層上に下記化合物Gを真空蒸着して厚さ20nmの電子輸送層を形成した。前記電子輸送層上に順次Ybを蒸着し、厚さ1nmの電子注入層とAg:Mgをそれぞれ9:1の割合で13nm蒸着してカソードを形成し、その上に最後に下記の化合物Hを適用して70nmの厚さでキャッピング層(capping layer)を形成した。
【0199】
前記の過程で有機物の蒸着速度は0.4Å/sec~1.0Å/secを維持し、電子注入層は0.1Å/sec、カソードは2Å/secの蒸着速度を維持し、蒸着時の真空度は2×108torr~5×10-6torrを維持した。
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
実施例2-1.
前記素子製造例で製造した有機発光素子を10mA/cm2の電流密度で駆動電圧、発光効率、外部量子効率(external quantum efficiency)および寿命を測定した結果を下記表1に示した。T95は、輝度が初期輝度(1000nit)から95%に減少するのにかかる時間(hr)を意味する。
【0204】
実施例2-2および比較例2-1~比較例2-4.
発光層の製造に用いられるEmission layer(EML)コーティング組成物に含まれる前記化合物Dおよび前記化合物Eの代わりに下記表1に記載の化合物を用いたことを除いては、前記実施例2-1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0205】
比較例2-3および2-4で用いた化合物D-1およびE-1はそれぞれ下記のとおりである。
【化14】
【0206】
前記各実施例または比較例で製造した有機発光素子を10mA/cm2の電流密度で駆動電圧、発光効率、外部量子効率(external quantum efficiency)および寿命を測定した結果を下記表1に示した。
【0207】
【0208】
前記表1に示すように、本発明により異なる2つのホスト物質を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成した実施例2-1および実施例2-2は、比較例2-1~2-6に対比して駆動電圧が減少し、効率および寿命特性が向上することが確認できる。
【0209】
具体的には、実施例2-1および2-2は、重水素で置換された異なる2つのブルーホスト物質を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成することにより、重水素で置換されていない異なる2つのブルーホスト物質を含むコーティング組成物を用いる場合(比較例2-1および2-2)よりも駆動電圧が減少し、効率および寿命特性が向上することが確認できる。
【0210】
また、比較例2-3~比較例2-6は、異なる2つのブルーホスト物質を含まず、単独のブルーホスト物質を含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成し、駆動電圧、効率および/または寿命特性が劣化することが確認できる。特に、比較例2-3および2-5では、化合物Eまたは化合物E-1のみ含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成したが、有機物層が結晶化して電圧、効率および寿命特性が測定できない程度、素子特性が非常に劣化することが確認できる。また、比較例2-4および2-6では、化合物Dまたは化合物D-1のみを含むコーティング組成物を用いて有機物層を形成したが、駆動電圧上昇および効率低下の欠点があり、特に寿命特性が非常に劣化することが確認できる。
【符号の説明】
【0211】
101 ・・・基板
201 ・・・アノード
301 ・・・正孔注入層
401 ・・・正孔輸送層
501 ・・・発光層
601 ・・・電子輸送層
701 ・・・電子注入層
801 ・・・カソード
901 ・・・キャッピング層
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
前記化学式2で表される化合物は、下記化合物からなる群から選択されるいずれかである、請求項1に記載のコーティング組成物:
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
前記化合物において、前記化合物は少なくとも1つの重水素で置換される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0204
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0204】
実施例2-2および比較例2-1~比較例2-6.
発光層の製造に用いられるEmission layer(EML)コーティング組成物に含まれる前記化合物Dおよび前記化合物Eの代わりに下記表1に記載の化合物を用いたことを除いては、前記実施例2-1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0205
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0205】
比較例
2-1、2-2、2-5、及び2-6で用いた化合物D-1およびE-1はそれぞれ下記のとおりである。
【化13】
【国際調査報告】