(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】集束粒子ビームを使用してサンプルの欠陥を修復するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/74 20120101AFI20240827BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20240827BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G03F1/74
H01J37/317 D
H01J37/305 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515350
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 EP2022075036
(87)【国際公開番号】W WO2023036895
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021210019.8
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】アウス ニコル
(72)【発明者】
【氏名】リノウ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】フェッティヒ ライナー
【テーマコード(参考)】
2H195
5C101
【Fターム(参考)】
2H195BD35
2H195BD36
2H195BE03
5C101AA31
5C101AA32
5C101BB01
5C101CC04
5C101CC17
5C101FF19
5C101FF22
5C101FF25
5C101FF27
5C101FF50
5C101GG04
5C101GG05
5C101GG13
5C101GG18
(57)【要約】
本発明は、集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための方法(1800)であって、(a)少なくとも1つの第1の局所的導電性犠牲層(400、500)をサンプル(205、300、1500)上に生成するステップ(1850)であり、第1の局所的導電性犠牲層(400、500)は、第1の部分(410、510)および少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)を有し、第1の部分(410、510)は、少なくとも1つの欠陥(320)に近接し、第1の部分(410、510)および少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)は、相互に導電接続されている(570、580)、ステップ(1850)と、(b)少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を第1の局所的導電性犠牲層(400、500)の少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)上に生成することにより、修復中の少なくとも1つの欠陥(320)に関して、集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するステップ(1860)とを含む、方法(1800)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための方法であって、
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)に関して、前記集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、前記少なくとも1つの欠陥(320)に近接して、前記サンプル(205、300、1500)上に少なくとも1つの第1の犠牲層(400、500)を生成するステップを含む、方法。
【請求項2】
集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための方法であって、
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)に関して、前記集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の導電性犠牲層を前記サンプル(205、300、1500)上に生成するステップを含む、方法。
【請求項3】
前記第1の犠牲層(400、500)が、第1の局所的導電性犠牲層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の導電性犠牲層が、第1の局所的導電性犠牲層を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記集束粒子ビーム(227)が、集束電子ビームを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの第1の基準マークを前記第1の犠牲層上に生成するステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の犠牲層(400、500)が、第1の部分(410、510)および少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)を有し、前記第1の部分(410、510)が、前記少なくとも1つの欠陥(320)に近接し、前記第1の部分(410、510)および前記少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)が、相互に導電接続されている(570、580)、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を前記第1の犠牲層(400、500)の前記少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)上に生成するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復前に、前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)と前記少なくとも1つの欠陥(320)との間の少なくとも1つの第1の基準距離(720、730、740、750)を決定するステップをさらに含む、請求項6または8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの欠陥(320)に対する前記第1の部分(410、510)の近接が、前記少なくとも1つの欠陥(320)の縁部(325)に対する前記第1の部分(410、510)の近接、前記第1の部分(410、510)による前記少なくとも1つの欠陥(320)の部分的被覆、および前記第1の部分(410、510)による前記少なくとも1つの欠陥(320)の完全被覆から成る群の少なくとも1つの要素を含む、請求項1または2に直接的または間接的に従属する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)が、前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を検出するための前記集束粒子ビーム(227)の少なくとも1つの走査領域(422、432、442、452、532、542、552、562)の全体に延びている、請求項8に記載の方法、あるいは、請求項8に直接的または間接的に従属する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するステップが、少なくとも1つの第1の前駆体ガスと組み合わせて前記集束粒子ビーム(227)により前記第1の犠牲層(400、500)を堆積させることを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を生成するステップが、少なくとも1つの第2の前駆体ガスと組み合わせて前記集束粒子ビーム(227)を使用して前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を堆積させることを含む、請求項6または8に記載の方法、あるいは、請求項6または8に直接的または間接的に従属する、請求項7および9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復前に、前記少なくとも1つの欠陥(320)を覆う前記第1の犠牲層(400、500)の前記第1の部分(410、510)の部分を除去するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの欠陥(320)が、過剰材料の欠陥を含み、前記方法が、前記第1の犠牲層(400、500、1510)を少なくとも部分的に通して、前記少なくとも1つの欠陥(320)を修復するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の犠牲層(400、500)の前記第1の部分(410、510)および前記少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)が、前記少なくとも1つの欠陥(320)を修復する動作によって、前記少なくとも1つの欠陥(320)を含む像断面が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下だけ歪むような横方向範囲を有する、請求項7または8に記載の方法、あるいは、請求項7または8に直接的または間接的に従属する、請求項9~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの欠陥(320)が、過剰材料の欠陥を含み、前記少なくとも1つの欠陥を修復する動作が、集束粒子ビーム(227)により誘起されるエッチングプロセスのエッチング速度が前記少なくとも1つの欠陥(320)および前記第1の部分(410、510)に対して実質的に同じとなるように、前記第1の犠牲層(400、500、1510)の前記第1の部分(410、510)、第2のエッチングガス、および/または少なくとも1つの添加ガスの材料組成を選択することを含む、請求項7または8に記載の方法、あるいは、請求項7または8に直接的または間接的に従属する、請求項9~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプル(205、300、1500)の欠陥マップを生成するために、前記集束粒子ビーム(227)で前記サンプル(205、300、1500)を走査することをさらに含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)を前記サンプル(205、300、1500)上に生成するステップと、前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)と前記第1の犠牲層(400、500)の生成前の前記少なくとも1つの欠陥(320)との間の少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)を決定するステップとをさらに含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの第2の犠牲層(330、350、360、380)を前記サンプル(205、300、1500)上に生成するステップと、前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)を前記少なくとも1つの第2の犠牲層(330、350、360、380)上に堆積させるステップと、前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、345、365、385)と前記第1の犠牲層(400、500)の生成前の前記少なくとも1つの欠陥(320)との間の前記少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)を決定するステップと、をさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)が、前記少なくとも1つの第1の基準距離(720、730、740、750)よりも大きい、請求項9に直接的または間接的に従属する、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成することと、前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)および前記少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)の使用により、前記少なくとも1つの欠陥(320)から、前記少なくとも1つの欠陥(320)を覆う前記第1の犠牲層(400、500)の前記第1の部分(410、510)の部分を除去することと、から成る群の少なくとも1つの要素を実行している間にドリフトを補正するステップをさらに含む、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスを使用して、前記サンプル(205、300、1500)から、前記第1の犠牲層(400、500)および前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を一体的に除去するステップをさらに含む、請求項6または8に記載の方法、あるいは、請求項6または8に直接的または間接的に従属する、請求項7および9~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスを使用して、前記サンプル(205、300、150000)から、前記第1の犠牲層(400、500)、前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)、および前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)を一体的に除去するステップをさらに含む、請求項6または8に直接的または間接的に従属する、請求項19~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載の方法ステップの実行をコンピュータシステム(240)に促す命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項26】
集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための装置(200)であって、
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)に関して、前記集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、前記少なくとも1つの欠陥(320)に近接して、前記サンプル(205、300、1500)上に少なくとも1つの第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段を備える、装置(200)。
【請求項27】
集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための装置(200)であって、
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)に関して、前記集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の導電性犠牲層を前記サンプル(205、300、1500)上に生成するための手段を備える、装置(200)。
【請求項28】
前記第1の犠牲層を生成するための手段が、第1の局所的導電性犠牲層を生成するための手段を含む、請求項26または27に記載の装置(200)。
【請求項29】
単段コンデンサシステム(218)を有する電子カラムをさらに備える、請求項26~28に記載の装置(200)。
【請求項30】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを3000eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項26~29のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項31】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを1500eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項26~29のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項32】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを1000eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項26~29のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項33】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを800eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項26~29のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項34】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを600eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項26~29のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項35】
前記装置(200)の前記集束粒子ビーム(227)の局所的処理エリアが、10nm未満の最小直径を有する、請求項26~34のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項36】
前記電子カラムの出口と前記サンプル(205、300、1500)との間の作動距離が、5mm未満である、請求項26~34のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項37】
前記電子カラムの出口と前記サンプル(205、300、1500)との間の作動距離が、4mm未満である、請求項26~34のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項38】
前記電子カラムの出口と前記サンプル(205、300、1500)との間の作動距離が、3mm未満である、請求項26~34のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項39】
前記電子カラムの出口と前記サンプル(205、300、1500)との間の作動距離が、2.5mm未満である、請求項26~34のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項40】
前記電子カラムが、一組の異なるアパーチャを使用するように構成されている、請求項26~39のいずれか1項に記載の装置(200)。
【請求項41】
前記一組のアパーチャのうちの1つのアパーチャを選択することにより、前記電子ビーム(227)のビーム電流を制御するように構成されている制御ユニット(245)をさらに備える、請求項40に記載の装置(200)。
【請求項42】
請求項1~24のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されている、請求項26~41のいずれか1項に記載の装置(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年9月10日にドイツ特許商標庁へ出願されたドイツ特許出願DE102021210019.8「Verfahren und Vorrichtung zum Reparieren eines Defekts einer Probe mit einem fokussierten Teilchenstrahl」(Method and apparatus for repairing a defect of a sample using a focused particle beam)の優先権を主張するものである。特許出願DE102021210019.8の全体を参照により本願に援用する。
【0002】
本発明は、集束粒子ビームを使用してサンプルの少なくとも1つの欠陥を修復するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電子機器における集積密度が高くなり続ける結果として、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)用のフォトリソグラフィマスクおよび/またはテンプレートでは、これまで以上に小さな構造要素をウェハのフォトレジスト層または基板もしくはウェハのポジに結像する(image)必要がある。これらの要件を満たすため、光リソグラフィの露光波長は、ますます短い波長へとシフトしている。現在は、フッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザが主として露光目的に使用されるが、これらのレーザは、193nmの波長で発光する。ウェハ露光プロセスの分解能を向上させるため、従来のバイナリフォトリソグラフィマスクのほか、さまざまな異型が開発されてきた。この点における例としては、透過率レベルが異なる位相シフトマスクもしくは交互位相シフトマスクならびに多重露光用マスクがある。多重露光の使用によって、分解能はさらに向上し得る。
【0004】
極紫外(EUV)スペクトル範囲(10nm~15nm)の波長を使用するリソグラフィシステムに関して、研究が集中的に行われている。現在、最初のメモリチップおよびロジック製品が市場に投入されているが、その生産においては、EUV技術における個々のマスクが既に使用されている。EUVリソグラフィ層の割合は、将来の製品において増加するであろう。
【0005】
構造要素の寸法が減少し続けていることを考慮すると、フォトリソグラフィマスク、フォトマスク、または単にマスクは必ずしも、ウェハ上に印刷可能または視覚化可能な欠陥を伴わずに生産できるわけではない。フォトマスクの視覚化可能または印刷可能な欠陥の密度は、構造寸法が小さくなるにつれて急激に高くなる。現在、EUVマスクは、利用される露光波長のため、欠陥数が最も多くなっている。欠陥スタンプまたはテンプレートの問題も同様に、ナノインプリントリソグラフィにおいてより深刻化している。これは主として、NILでは光リソグラフィと異なり、ウェハまたは一般的に基板上に配置されている構造化対象のポジに対して、欠陥スタンプまたはテンプレートがそれぞれの欠陥を1:1で転写するという状況に起因する。
【0006】
NIL用のフォトマスクおよび/またはテンプレートの生産には多大な費用がかかるため、欠陥マスクおよび/またはスタンプは常に、可能な限り修復される。マスクまたはスタンプの欠陥に関する2つの重要なグループとして、第一に暗欠陥(dark defects)がある。これらは、材料が存在するが、この材料はなくすべきである部位のことである。これらの欠陥は、好ましくは局所的エッチングプロセスによって過剰な材料を除去することにより修復される。
【0007】
第二に、いわゆる明欠陥(clear defects)が存在する。これらは、フォトマスク上の局所的な欠陥であり、ウェハステッパまたはウェハスキャナにおける露光に際して、同一の無欠陥基準位置よりも大きな光透過率を有する。修復プロセスの範囲内において、これらの欠陥は、マスクまたはスタンプ上で好適な光学特性を有する材料の局所的な堆積によって修正され得る。
【0008】
通常、マスクまたはスタンプの欠陥は、粒子ビーム誘起局所的エッチングプロセスおよび/または局所的堆積プロセスによって補正される。局所的な処理プロセスにおいては、さまざまな影響(たとえば、熱的および/または機械的ドリフト)によって、補正対象の要素と修復に用いられる粒子ビームとの間の位置シフトが生じ得る。さらに、修復目的で用いられる粒子ビームに対する欠陥の位置合わせに用いられるマイクロマニピュレータは、時間の経過とともに電気的または機械的ドリフトを有する。
【0009】
これらの影響を最小限に抑えるため、サンプル上の処理部位の近傍に基準構造または基準マークが適用され、一定間隔で走査される。基準位置に対して測定された基準マークの位置の逸脱は、粒子ビームのビーム位置の補正を目的に、サンプルの処理手順において使用される。これを「ドリフト補正」と称する。また、この目的に用いられる基準マークを当技術分野においては「DCマーク」と称する。
【0010】
米国特許第7018683号、欧州特許出願公開第1662538号、特開2003-007247号、米国特許出願公開第2007/0023689号、米国特許出願公開第2007/0073580号、米国特許第6740456(B2)号、米国特許出願公開第2010/0092876号、および米国特許第5504339号といった文献においては、基準マークの主題を検討している。
【0011】
基準構造または基準マークは、処理対象のサンプルの部位の近傍における材料の堆積によって生成されることが多い。可能な場合、基準マークは、当該基準マークがマスクの動作に干渉しないフォトマスク上の部位に適用される。一例として、これらは、バイナリフォトマスクの場合の吸収体パターンの要素である。パターン要素のサイズが小さくなる結果として、基準マークは、吸収体パターンの要素のサイズに達する寸法または場合によりサイズを超える寸法を有する。そして、この場合も常に、特定のマスク種別においては、処理プロセスの後に基準マークを除去する必要がある。一例として、これは、位相シフトマスクに当てはまる。同様に、NILにおける使用が意図される修復済みスタンプからも基準マークを除去する必要がある。
【0012】
本出願人の米国特許第9721754(B2)号は、基準マークを記載しており、その生産では、標準的なマスク洗浄プロセスによってマスクから除去し得る材料を使用する。ただし、このプロセスに適する材料は通例、処理プロセスの局所的エッチングプロセスに対する耐性が低い。この欠点のため、堆積した基準マークはマスクの処理プロセス中に著しく変化して、各基準マークの位置を決定し得る精度が大幅に低下する。
【0013】
独国特許出願公開第102018217025号は、粒子ビームによって基準マークを走査する際にサンプルを保護するため、犠牲層に対する基準マークの適用を記載している。
【0014】
論文"Metal assisted focused-ion beam nanopatterning", Nanotechnology, 27 (2016) 36LT01において、著者A.KannegullaおよびL.-J.Chengは、集束イオンビームのスパッタリング効果の結果としてNILスタンプの縁部が丸まってしまうことのないように、金属犠牲層の使用を記載している。
【0015】
上述の基準マークの変化の他にもさらなる問題が発生して、ドリフト補正の範囲内での機能が制限されたり、あるいは不可能になったりする可能性もある。局所的堆積プロセスの形態で実行される処理プロセスの範囲内で発生し得る問題として、明欠陥の補正に用いられる材料が堆積手順において欠陥の周りのサンプル上に意図せず堆積することがある。この欠陥の周りに堆積した材料をサンプルから除去するには、大きな困難を伴い得る。欠陥の補正に用いられる材料は、修復部位に永久的に付着するものだからである。修復対象の欠陥の周りに意図せず堆積した補正材料は、修復マスクまたは修復スタンプの動作挙動の劣化の原因となる。
【0016】
さらに、粒子ビーム誘起修復プロセスは、マスクまたはより一般的にサンプル中の電荷の生成および/または導入をもたらし得る。サンプルの静電帯電、特に、これに伴う静電ポテンシャルの不均一な分布は、処理対象の部位の結像および/または荷電粒子ビームを使用した基準マークの走査に際して歪みをもたらし、結果として、修復プロセスの品質の劣化につながる。
【0017】
したがって、本発明は、集束粒子ビームを使用してサンプルを修復する際の上述の困難を少なくとも部分的に回避し得る方法および装置を規定することを課題とする。
【発明の概要】
【0018】
本発明の第1の例示的な実施形態によれば、この課題は、請求項1に記載の方法および請求項26に記載の装置によって解決される。本発明の第2の例示的な実施形態によれば、この課題は、請求項2に記載の方法および装置請求項27に記載の装置によって解決される。
【0019】
一実施形態において、集束粒子ビーム(focused particle beam)を使用してサンプルの少なくとも1つの欠陥を修復する(repairing)ための方法は、少なくとも1つの欠陥の修復中に、少なくとも1つの欠陥に関して、集束粒子ビームのドリフトを補正するために、少なくとも1つの欠陥に近接して(adjacent)、サンプル上に少なくとも1つの第1の犠牲層を生成するステップを含む。
【0020】
粒子ビーム誘起エッチングプロセス(particle beam induced etching process)または粒子ビーム誘起堆積プロセス(particle beam induced deposition process)を使用したサンプルの修復プロセスにおいては、補正対象の欠陥に対して粒子ビームがドリフトする可能性がある。たとえば、ドリフトは、サンプルステージの熱的ドリフトによるものと考えられる。この集束電子ビームのドリフトの補正には、犠牲層が使用されるようになっていてもよい。欠陥に近接する犠牲層は、欠陥のすぐ近くにあってもよく、したがって、ドリフトの評価および/または補正のため、迅速にアクセス可能となり得る。具体的に、ドリフトの補正には、犠牲層と関連する構造が使用されるようになっていてもよい。たとえば、修復対象の欠陥に対する集束粒子ビームのドリフトを検出するために使用され得る基準マークが犠牲層上に堆積するようになっていてもよいが、これは必須ではない。犠牲層は、犠牲層上の基準マークの堆積に適するように生成され得る。
【0021】
別の実施形態において、集束粒子ビームを使用してサンプルの少なくとも1つの欠陥を修復するための方法は、少なくとも1つの欠陥の修復中に、少なくとも1つの欠陥に関して、集束粒子ビームのドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の導電性犠牲層をサンプル上に生成するステップを含む。
【0022】
修復の頻度が高いサンプルは、電気絶縁体であるか、または、半導体特性を有する程度のものである。前者のグループの例は、フォトマスクまたはNILスタンプの石英基板である。後者のグループの例は、ウェハ上に生成される集積回路(IC)である。粒子ビームは、サンプルおよび/または犠牲層の走査に際して、サンプルおよび/または犠牲層に電荷を生成し得る。このプロセスは、修復対象の欠陥の走査に際しても同様に発生し得る。結果として、欠陥の修復中は、サンプルの異なる局所的な帯電が生成され得る。ただし、導電性の犠牲層が局所的な帯電のバランスをとるため、集束粒子ビームは、犠牲層の走査に際して、同等の静電ポテンシャルを「見込む(see)」。このため、導電性犠牲層(electrically conductive sacrificial layer)は、サンプルの欠陥の修復プロセスにおいて、集束粒子ビームの位置決定の精度を向上させる。したがって、導電性犠牲層は、欠陥修復プロセス中の集束粒子ビームのドリフト補正を改善する。
【0023】
第1の犠牲層は、第1の導電性犠牲層および/または第1の局所的犠牲層(たとえば、第1の局所的導電性犠牲層)を含んでいてもよい。第1の導電性犠牲層は、第1の局所的導電性犠牲層(local, electrically conductive sacrificial layer)を含んでいてもよい。
【0024】
集束粒子ビームは、第1の局所的導電性犠牲層において、電荷を(排他的に)生成する。第1の犠牲層の導電性のため、生成された電荷は、第1の犠牲層全体で均一に分布し得る。その結果、荷電粒子ビームは、犠牲層および欠陥上またはその近くに配置され得る基準マークの走査に際して、実質的に同じ静電ポテンシャルを見込む。そして、欠陥および導電性犠牲層上を走査する際の荷電粒子ビームのさまざまな偏向、ひいては、たとえば導電性犠牲層および欠陥上に配置されている基準マークの像表現のさまざまな歪みが防止される。このため、ドリフト補正の品質が向上し得、したがって欠陥補正プロセスの品質が向上し得る。
【0025】
ここで、表現「実質的に(substantially)」は、本明細書の他の箇所と同様に、従来技術に係る計量を使用する場合の慣習的誤差限界内の測定変数の指定を表す。
【0026】
本願において、表現「局所的犠牲層(local sacrificial layer)」は、犠牲層がサンプル全体にわたっては延びていないことを意味する。むしろ、第1の犠牲層は、局所的粒子ビーム誘起堆積プロセスによって、欠陥の周り、または、欠陥上の全体もしくは一部とその周りに堆積し得る。一例として、局所的犠牲層の横方向範囲(lateral extents)としては、1mm未満、500μm未満、または100μm未満が可能である。
【0027】
集束粒子ビームは、集束電子ビームを含んでいてもよい。
【0028】
より一般的に、集束粒子ビームは、光子ビーム、電子ビーム、イオンビーム、原子ビーム、および分子ビームから成る群(group)の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。光子ビームは、紫外(UV)、深紫外(DUV)、または極紫外(EUV)波長範囲の光子ビームを含んでいてもよい。
【0029】
集束粒子ビームは、集束電子ビームおよび/または集束イオンビームを含むのが好ましい。電子ビームおよびイオンビームは、光子ビームよりもはるかに小さなスポットへと集束可能であるため、欠陥修復中の空間分解能を容易に高くすることができる。さらに、電子ビームおよびイオンビームは、原子ビームまたは分子ビームよりも容易に生成および結像可能である。
【0030】
集束粒子ビームによるサンプルの走査によって、サンプルの走査領域に損傷が生じる可能性がある。損傷の発生範囲は、粒子ビームの種類によって決まる。たとえば、イオンビーム、原子ビーム、または分子ビームは、質量の大きな粒子からサンプル格子への大規模な運動量移行の結果として、走査領域に大きな損傷を生じる。さらに、イオンビーム、原子ビーム、または分子ビームの粒子の一部がサンプル格子に取り込まれ、結果として、その特性(たとえば、その光学特性)が局所的に変化する。
【0031】
これに対して、電子ビームは、電子質量が小さいため、通常は、サンプルの走査領域にごくわずかな損傷しか生じない。結果として、欠陥の修復時に電子を使用すると、大きな副次的影響を伴わないサンプルの欠陥処理が容易になる。このため、原則として、集束粒子ビームにおいては、イオンの使用よりも電子の使用が好ましいものとする。
【0032】
上記規定の方法は、少なくとも1つの第1の基準マークを第1の犠牲層上に生成するステップをさらに含んでいてもよい。
【0033】
少なくとも1つの第1の基準マークを生成するステップは、少なくとも1つの欠陥の修復が少なくとも1つの第1の基準マークを実質的に変化させることのないように、少なくとも1つの欠陥からある距離で少なくとも1つの第1の基準マークを生成することを含んでいてもよい。
【0034】
欠陥修復プロセス中のドリフトの補正に使用され、修復対象の欠陥のごく近傍に適用される第1の基準マークは、修復プロセスによって変化する場合があるため、ドリフト補正の手段としての機能が損なわれる可能性がある。第一に、局所的堆積プロセス中に材料が堆積して第1の基準マークを構成し、第二に、エッチングプロセスの形態の修復プロセスによって、第1の基準マークの構造が変化する可能性がある。本願に記載の方法によれば、修復対象の欠陥からある距離での第1の基準マークの適用が可能となり、この距離では、修復プロセスが少なくとも1つの第1の基準マークを実質的に変化させることがない。
【0035】
少なくとも1つの第1の基準マークは、1nm~1000nm、好ましくは2nm~500nm、より好ましくは5nm~100nm、最も好ましくは10nm~50nmの横方向範囲を有していてもよい。さらに、基準マークの横方向範囲が走査型粒子顕微鏡の視野よりも大きくならないこと、という条件から、基準マークの最大範囲に関する別の要求も生じる。
【0036】
第1の犠牲層は、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分を有していてもよく、第1の部分は、少なくとも1つの欠陥に近接していてもよく、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分は、相互に導電接続されていてもよい。
【0037】
第1の導電性犠牲層においては、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分の両者が導電性である。第1の部分、少なくとも1つの第2の部分、および第1の部分と少なくとも1つの第2の部分との間の接続の導電率は、同じにすることも可能であるし、わずかに変化させることも可能である。本願において、用語「導電性(electrically conductive)」は、犠牲層の具体的な電気比抵抗が金属導体のオーダ、すなわち、ρ<1Ω・cmであることを表す。
【0038】
第1の部分は、少なくとも1つの欠陥の修復がサンプルに対して実質的に損傷を及ぼすことのないように、少なくとも1つの欠陥の周りの横方向範囲を有していてもよい。
【0039】
第1の犠牲層の第1の部分は、欠陥処理プロセス中または欠陥修復プロセス中の保護層を表す。後者は、第一に、修復対象の欠陥の寸法および修復に用いられる粒子ビームの焦点直径に対して、第二に、実行される欠陥修復の種類に対して適応され得る。上記背景において、表現「実質的に(substantially)」は、実施された修復プロセスの結果としてのサンプルの機能性の損害が欠陥修復後には立証され得ないことを意味する。
【0040】
欠陥の修復は、集束粒子ビームの視野内で実行されるのが好ましい。本実施形態は、修復プロセス中の第1の基準マークの走査を目的として、粒子ビームを提供する装置のパラメータを修正する必要がない点において都合が良い。これにより、ドリフトの考え得る最良の補正が可能となる。一例として、走査型粒子顕微鏡の視野には、1000μm×1000μm、好ましくは100μm×100μm、より好ましくは10μm×10μm、最も好ましくは6μm×6μmのエリアを含んでいてもよい。
【0041】
また、第1の犠牲層の横方向寸法は、集束粒子ビームの視野を超えることも可能である。一例として、これは、修復対象の欠陥が大きい場合に起こり得る。第1の部分は、少なくとも1つの欠陥の縁部(edge)の周りに、1nm~1000μm、好ましくは2nm~200μm、より好ましくは5nm~40μm、最も好ましくは10nm~10μmの範囲にわたって延びる横方向範囲を有していてもよい。
【0042】
第1の部分の厚さは、0.1nm~1000nm、好ましくは0.5nm~200nm、より好ましくは0.5nm~200nm、最も好ましくは2nm~50nmの範囲を有していてもよい。
【0043】
少なくとも1つの基準マークを生成するステップは、少なくとも1つの欠陥の修復がドリフトの補正に対して実質的に影響を及ぼすことのないように、少なくとも1つの欠陥からある距離で少なくとも1つの第1の基準マークを生成することを含んでいてもよい。
【0044】
この特徴により、処理プロセスにおいては、第1の基準マークの構造が実質的に不変となることが確保される。したがって、修復プロセス全体を通しての制限なく、第1の基準マークの機能が維持される。
【0045】
上記規定の方法は、少なくとも1つの欠陥の修復中に、少なくとも1つの欠陥のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の基準マークを第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分上に生成するステップをさらに含んでいてもよい。
【0046】
上記規定の方法は、少なくとも1つの欠陥の修復前に、少なくとも1つの第1の基準マークと少なくとも1つの欠陥との間の少なくとも1つの第1の基準距離(reference distance)を決定するステップをさらに含んでいてもよい。
【0047】
少なくとも1つの欠陥に対する第1の部分の近接(adjacency)は、少なくとも1つの欠陥の縁部に対する第1の部分の近接、第1の部分による少なくとも1つの欠陥の部分的被覆(partial coverage)、および第1の部分による少なくとも1つの欠陥の完全被覆(complete coverage)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0048】
修復プロセスの開始時に犠牲層が欠陥を縁取ることにより、少なくとも1つの第1の基準マークおよび修復対象の欠陥の走査に際しては、荷電粒子ビームが実質的に同じ静電ポテンシャルを「見込む」。さらに、第1の犠牲層が欠陥を縁取ることによって、修復プロセスの影響からサンプルを効果的に保護することができる。一例として、堆積材料が欠陥の周りで第1の犠牲層上に意図せず堆積する場合がある。さらに、サンプルの修復を目的として局所的エッチングプロセスが実行されている間は、修復対象の過剰材料(excess material)の欠陥を縁取る第1の犠牲層が欠陥の周りのサンプルの領域を保護する。
【0049】
修復プロセスが終了となったら、第1の犠牲層を当該第1の犠牲層上の堆積材料とともにサンプルから除去することができる。結果として、本発明に係る方法を実行することにより、実質的に残留物を伴わない欠陥の補正が容易になり、その結果、同時に、ドリフト補正の改善のほか、欠陥修復プロセスの品質の向上がさらに促進される。
【0050】
少なくとも1つの欠陥の縁部に対する第1の部分の近接は、少なくとも1つの欠陥の縁部全体に対する第1の部分の近接を含んでいてもよい。本実施形態は、特に、サンプル上の欠陥が孤立している場合に都合が良い。
【0051】
少なくとも1つの第2の部分は、少なくとも1つの第1の基準マークを検出するための集束粒子ビームの少なくとも1つの走査領域の全体に延びていてもよい。
【0052】
第1の犠牲層は、第1の部分の横方向範囲および少なくとも1つの第2の部分の数によって決まる横方向範囲を有していてもよい。
【0053】
第1の部分および少なくとも1つの第2の部分は、同一平面で相互接続されていてもよい。第1の部分と1つまたは複数の第2の部分との間の同一平面接続には、対応する第1の犠牲層を堆積させるための最大費用を必要とする。そしてこの場合も、大面積の第1の犠牲層の静電容量が大きいことから、欠陥修復中の少なくとも1つの基準マークの走査および/または集束粒子ビームによる帯電によっても、第1の犠牲層の静電ポテンシャルはわずかにしか変化しない。
【0054】
第1の部分と少なくとも1つの第2の部分との間の導電性接続は、0.1nm~1000μm、好ましくは20nm~100μm、より好ましくは30nm~10μm、最も好ましくは40nm~3μmの範囲の幅を有していてもよい。
【0055】
第1の部分と少なくとも1つの第2の部分との間の導電性接続の厚さは、0.1nm~1000nm、好ましくは0.5nm~200nm、より好ましくは1nm~100nm、最も好ましくは2nm~50nmの範囲を有していてもよい。
【0056】
導電性接続の形態の第1の部分および少なくとも1つの第2の部分の接続は、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分が異なるレベルである場合に都合が良いと考えられる。一例として、第1の部分がフォトマスクの基板上に配置され、少なくとも1つの第2の部分がフォトマスクのパターン要素上に配置されていてもよい。
【0057】
少なくとも1つの第2の部分は、少なくとも1つの第1の基準マークの検出を目的として、集束粒子ビームの少なくとも1つの走査領域の全体に延びていてもよい。
【0058】
少なくとも1つの第1の基準マークの位置を決定している間に、集束粒子ビームの粒子の少なくとも過半数が第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分に入射し得る。少なくとも1つの第2の部分の横方向範囲は、少なくとも1つの第1の基準マークを走査するための集束粒子ビームの走査領域を超えていてもよく、1.2倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは2倍、最も好ましくは3倍である。
【0059】
少なくとも1つの第1の基準マークの位置の決定を目的として集束粒子ビームが走査する走査領域よりも、少なくとも1つの第1の基準マークの周りの少なくとも1つの第2の部分の方が規定の倍率だけ大きいことにより確保されることは、欠陥に対する集束粒子ビームのドリフトが顕著な場合であっても、少なくとも1つの第1の基準マークの走査が第1の犠牲層上で実質的に完全に実行されることである。これにより、サンプルにおいて電荷担体が制御不能に局所的発生することはなくなる。
【0060】
サンプル上の直接的な堆積ではなく、少なくとも1つの第1の基準マークを第1の犠牲層に取り付けることによって、付加的な自由度が得られる。このため、サンプルの処理プロセスの終了時に、サンプルから容易かつ実質的に完全に除去し得るように第1の犠牲層を設計可能である。この制約がない場合は、第1の基準マークの位置の多重決定と、実質的に変化しないサンプルの1つまたは複数の拡張処理プロセスと、の両者に耐えるように少なくとも1つの第1の基準マークを設計可能である。
【0061】
一例として、堆積した第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分のエリアとしては、方形も可能であるし、矩形も可能である。横方向寸法は、矩形の短辺に関連する。少なくとも1つの第2の部分の面積は、少なくとも1本の集束粒子ビームの走査領域の面積に対して適応され得る。
【0062】
少なくとも1つの第2の部分の横方向範囲は、10nm~1000μm、好ましくは50nm~500μm、より好ましくは200nm~100μm、最も好ましくは500nm~50μmの範囲の横方向寸法を有していてもよい。
【0063】
少なくとも1つの第2の部分の厚さは、0.1nm~1000nm、好ましくは0.5nm~200nm、より好ましくは1nm~100nm、最も好ましくは2nm~50nmの範囲を有していてもよい。
【0064】
少なくとも1つの第1の犠牲層を生成するステップは、第1の前駆体ガスと組み合わせて集束粒子ビームにより第1の犠牲層を堆積させることを含んでいてもよい。集束粒子ビームは、電子ビームを含んでいてもよい。
【0065】
少なくとも1つの第1の前駆体ガスは、第1の犠牲層の第1の部分を堆積させるための少なくとも1つの第1の堆積ガスと、第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分を堆積させるための少なくとも1つの第2の堆積ガスと、第1の犠牲層の導電性接続を堆積させるための少なくとも1つの第3の堆積ガスと、を含んでいてもよい。少なくとも1つの第1の堆積ガス、少なくとも1つの第2の堆積ガス、および少なくとも1つの第3の堆積ガスは、単一の堆積ガスを含んでいてもよいし、2つの異なる堆積ガスを含んでいてもよいし、3つの異なる堆積ガスを含んでいてもよい。第1の部分、1つもしくは複数の第2の部分、ならびに導電性接続のさまざまな機能は、それぞれに適応された材料組成によって最適化され得る。
【0066】
少なくとも1つの第1の前駆体ガスは、添加ガス(additive gas)としてのモリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)および二酸化窒素(NO2)を含んでいてもよく、ならびに/または、第1の前駆体ガスは、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)を含んでいてもよい。
【0067】
少なくとも1つの第1の基準マークを生成するステップは、少なくとも1つの第2の前駆体ガスと組み合わせて集束粒子ビームを使用して少なくとも1つの第1の基準マークを堆積させることを含んでいてもよい。少なくとも1つの第1の基準マークを堆積させるための集束粒子ビームは、電子ビームを含んでいてもよい。
【0068】
第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークは、1つの粒子ビームまたは異なる粒子ビームを使用して堆積可能である。一例としては、第1の犠牲層が電子ビームを使用して堆積し、少なくとも1つの第2の基準マークがイオンビームを使用して堆積するようになっていてもよい。
【0069】
第1の犠牲層を堆積させるための少なくとも1つの第1の前駆体ガスは、金属アルキル、遷移元素アルキル、主族アルキル、金属カルボニル、遷移元素カルボニル、主族カルボニル、金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、主族アルコキシド、金属錯体、遷移元素錯体、主族錯体、および有機化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0070】
少なくとも1つの基準マークを堆積させるための少なくとも1つの第2の前駆体ガスは、金属アルキル、遷移元素アルキル、主族アルキル、金属カルボニル、遷移元素カルボニル、主族カルボニル、金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、主族アルコキシド、金属錯体、遷移元素錯体、主族錯体、および有機化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0071】
金属アルキル、遷移元素アルキル、および主族アルキルは、シクロペンタジエニル(Cp)トリメチル白金(CpPtMe3)、メチルシクロペンタジエニル(MeCp)トリメチル白金(MeCpPtMe3)、テトラメチルスズ(SnMe4)、トリメチルガリウム(GaMe2)、フェロセン(Co2Fe)、およびビスアリールクロム(Ar2Cr)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属カルボニル、遷移元素カルボニル、および主族カルボニルは、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)、トリルテニウムドデカカルボニル(Ru3(CO)12)、および鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、および主族アルコキシドは、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、Si(OC2H5)4)およびテトライソプロポキシチタン(Ti(OC3H7)4)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属ハロゲン化物、遷移元素ハロゲン化物、および主族ハロゲン化物は、六フッ化タングステン(WF6)、六塩化タングステン(WCl6)、六塩化チタン(TiCl6)、三塩化ホウ素(BCl3)、および四塩化ケイ素(SiCl4)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属錯体、遷移元素錯体、および主族錯体は、銅ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)(Cu(C5F6HO2)2)およびジメチルゴールドトリフルオロアセチルアセトナート(Me2Au(C5F3H4O2))から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。有機化合物は、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、真空ポンプ油の成分、および揮発性有機化合物からなる群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0072】
少なくとも1つの第1の基準マークを生成するステップは、第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分に少なくとも1つの窪みをエッチングすることを含んでいてもよい。少なくとも1つの窪みをエッチングすることは、少なくとも1つの第3の前駆体ガスと組み合わせて集束粒子ビームを使用して局所的エッチングプロセスを実行することを含んでいてもよい。集束粒子ビームは、電子ビームおよび/またはイオンビームを含んでいてもよい。
【0073】
少なくとも1つの第3の前駆体ガスは、少なくとも1つのエッチングガスを含んでいてもよい。少なくとも1つのエッチングガスは、ハロゲン含有化合物および酸素含有化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。ハロゲン含有化合物は、フッ素(F2)、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)、二フッ化キセノン(XeF2)、四フッ化ジキセノン(Xe2F4)、フッ化水素酸(HF)、ヨウ化水素(HI)、臭化水素(HBr)、塩化ニトロシル(NOCl)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、および三フッ化リン(PF3)からなる群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。酸素含有化合物は、酸素(O2)、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、過酸化水素(H2O2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、および硝酸(HNO3)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでもよい。
【0074】
少なくとも1つの第1の前駆体ガス、少なくとも1つの第2の前駆体ガス、および/または少なくとも1つの第3の前駆体ガスは、酸化剤、ハロゲン化物、および還元剤から成る群の少なくとも1つの添加ガスを含んでいてもよい。
【0075】
酸化剤は、酸素(O2)、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、過酸化水素(H2O2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、および硝酸(HNO3)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでもよい。ハロゲン化物は、塩素(Cl2)、塩酸(HCl)、二フッ化キセノン(XeF2)、フッ化水素酸(HF)、要素(I2)、ヨウ化水素(HI)、臭素(Br2)、臭化水素(HBr)、塩化ニトロシル(NOCl)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、および三フッ化リン(PF3)からなる群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。還元剤は、水素(H2)、アンモニア(NH3)、およびメタン(CH4)からなる群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0076】
第1の前駆体ガスがモリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)を含むこと、少なくとも1つの添加ガスが二酸化窒素(NO2)を含むこと、および/または、第2の前駆体ガスがテトラエチルオルトシリケート(Si(OC2H5)4)またはクロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)を含むことが可能である。
【0077】
少なくとも1つの欠陥を覆う第1の犠牲層の第1の部分を除去するステップが、少なくとも1つの第4の前駆体ガスを使用して粒子ビーム誘起エッチングプロセスを実行することを含んでいてもよい。少なくとも1つの第4の前駆体ガスは、少なくとも1つの第2のエッチングガスを含んでいてもよい。少なくとも1つの第2のエッチングガスは、上掲の第1のエッチングガスの群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。犠牲層の第1の部分を堆積させるための第1の堆積ガスは、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)およびモリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)のから成る群の要素を含んでいてもよく、犠牲層の第1の部分を除去するための少なくとも1つの第2のエッチングガスは、塩化ニトロシル(NOCl)自体または少なくとも1つの添加ガス(たとえば、水(H2O))との組み合わせを含んでいてもよい。
【0078】
少なくとも1つの第1の基準マークを第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分にエッチングするための前駆体ガスは、添加ガス(たとえば、酸素(O2)、水(H2O)、または塩素(Cl2)と組み合わせた二フッ化キセノン(XeF2)を含んでいてもよい。あるいは、たとえば塩化ニトロシル(NOCl)自体または添加ガス(たとえば、水(H2O))との組み合わせが第1の基準マークの生成に使用されるようになっていてもよい。
【0079】
上記規定の方法は、少なくとも1つの欠陥の修復前に、少なくとも1つの欠陥を覆う第1の犠牲層の第1の部分の部分を除去するステップをさらに含んでいてもよい。
【0080】
少なくとも1つの欠陥は、過剰材料の欠陥を含んでいてもよく、この方法は、第1の犠牲層を少なくとも部分的に通して、少なくとも1つの欠陥を修復するステップをさらに含んでいてもよい。
【0081】
修復対象の過剰材料の欠陥の全体にわたって一部または全部が延びている第1の犠牲層または第1の犠牲層の第1の部分は、たとえば局所的粒子ビーム誘起エッチングプロセスを使用して、サンプルから単一のプロセスステップにて除去されるようになっていてもよい。この場合、欠陥のエッチング速度(etching rates)と第1の犠牲層の第1の部分の材料のエッチング速度とが相互に大きく異なる場合は、エッチングガスおよび/または添加ガスがエッチングプロセスの進行に対して適応され得る。さらに、粒子ビームの他のビームパラメータおよび/または他のプロセスパラメータをエッチングプロセスの進行に対して適応させることも可能である。局所的エッチングプロセスの進行は、エッチングプロセス中に生成される後方散乱電子または二次電子を分析することにより決定され得る。この追加または代替として、除去材料は、たとえばSIMS(二次イオン質量分光)分析により分析され得る。このため、イオンビームが粒子ビームとして使用されるのが好ましい。さらに、エッチング速度は、犠牲層および除去対象の材料のエッチングプロセスの別々の最適化により校正され得る。一例として、これは、エッチングシーケンスの実行により実施され得る。
【0082】
第1の犠牲層の第1の部分および少なくとも1つの第2の部分は、少なくとも1つの欠陥を修復する動作(action)によって、少なくとも1つの欠陥を含む像断面(image section)が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下だけ歪むような横方向範囲を有していてもよい。集束粒子ビームによって欠陥を修復する動作により、導電性犠牲層が帯電する可能性がある。犠牲層が帯電すると、欠陥または欠陥残留物を含む像断面の歪みが生じ得る。像断面の歪みは、修復プロセスの開始前の像断面と関連する。
【0083】
犠牲層の帯電は、集束粒子ビームの結像パラメータに対して局所的な影響を及ぼす可能性があり、その結果、前記結像パラメータが局所的に変動する可能性がある。局所的な変化(たとえば、走査集束粒子ビームにより生成された像の倍率の局所的な変動)の結果、結像パラメータ(たとえば、倍率)が局所的にも変動していない像と比較して、像が歪む。
【0084】
第1の部分、少なくとも1つの第2の部分、および導電性接続は、金属、金属含有化合物、導電性セラミック、およびドープされた半導体化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含む材料組成(material composition)を有していてもよい。
【0085】
金属は、モリブデン、コバルト、クロム、ニオブ、タングステン、レニウム、ルテニウム、およびチタンから成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属含有化合物は、モリブデン合金、コバルト含有化合物、クロム含有化合物、ニオブ含有化合物、タングステン含有化合物、レニウム含有化合物、およびチタン含有化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属含有化合物は、窒素、酸素、フッ素、塩素、炭素、およびケイ素から成る群の元素を含んでいてもよい。ドープされた半導体化合物は、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、およびアンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。導電性セラミックは、ケイ化モリブデンを含んでいてもよい。
【0086】
第1の部分、少なくとも1つの第2の部分、および導電性接続は、異なる材料組成を有していてもよい。
【0087】
第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークは、異なる材料組成を有していてもよい。
【0088】
これにより、少なくとも1つの第1の基準マークの走査に際して、第1の基準マークのトポロジの差異のほか、第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分と少なくとも1つの第1の基準マークとの間に材料の差異も生じる。
【0089】
少なくとも1つの欠陥は、過剰材料の欠陥を含んでいてもよく、少なくとも1つの欠陥を修復する動作は、集束粒子ビームにより誘起されるエッチングプロセスのエッチング速度が少なくとも1つの欠陥および第1の部分に対して実質的に同じとなるように、第1の犠牲層の第1の部分、少なくとも1つの第2のエッチングガス、および/または少なくとも1つの添加ガスの材料組成を選択することを含んでいてもよい。
【0090】
この条件を満たすことによって、欠陥の局所的エッチングの場合に生じるエッチング領域の縁部における曲線の丸みを最小限に抑えることができる。さらに、欠陥補正の範囲内でのサンプルのアンダーエッチングを回避することができる。同時に、この条件を観測することによって、サンプルのエッチング領域の側壁を最大限に急峻化することが容易になる。
【0091】
サンプルは、リソグラフィサンプルを含んでいてもよい。リソグラフィサンプルは、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)用のフォトマスクおよびスタンプから成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。ただし、サンプルは、フォトマスク、NIL用スタンプ、集積回路(IC)、フォトニック集積回路(PIC)、マイクロシステム(MEMS(微小電気機械システム)もしくはMOEMS(微小光電気機械システム))、ならびにプリント配線板(PCB)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。集積回路および/またはフォトニック集積回路は、ウェハ上に配置されていてもよい。フォトマスクは、如何なる種類の透過型または反射型フォトマスク(たとえば、バイナリまたは位相シフトマスク)であってもよい。
【0092】
この方法は、少なくとも1つの欠陥の修復開始前に、少なくとも1つの第1の基準マークと少なくとも1つの欠陥との間の少なくとも1つの第1の基準距離を決定するステップをさらに含んでいてもよい。
【0093】
少なくとも1つの第1の基準距離を少なくとも1つの第1の基準マークと組み合わせて使用することにより、欠陥修復プロセスにおいて、集束粒子ビームに対する少なくとも1つの欠陥のドリフトを補正することができる。
【0094】
少なくとも1つの第1の基準マークは、1nm~1000nm、好ましくは2nm~500nm、より好ましくは5nm~200nm、最も好ましくは10nm~100nmの範囲の高さを有していてもよい。
【0095】
この方法は、集束粒子ビームでサンプルを走査することにより、サンプルの欠陥マップを生成するステップをさらに含んでいてもよい。
【0096】
サンプルを走査するステップは、集束粒子ビームを使用してサンプルの少なくとも1つの欠陥を走査することを含んでいてもよい。サンプルを走査するための集束粒子ビームは、第1の犠牲層の生成、少なくとも1つの第1の基準マークの生成、および/または局所的欠陥処理プロセスの開始に使用される粒子ビームを含んでいてもよい。ただし、サンプルの走査の範囲内においては、第1の粒子ビーム(たとえば、光子ビーム)を使用して少なくとも1つの欠陥を識別するとともに、第2の粒子ビーム(たとえば、電子ビーム)を使用して少なくとも1つの欠陥の修復形状の輪郭を検出することも可能である。
【0097】
上述の方法を実行する装置は、サンプル検査装置から、サンプルの少なくとも1つの欠陥の座標を受信するようにしてもよい。サンプルの欠陥マップには、サンプルの少なくとも1つの欠陥を含んでいてもよい。特に、欠陥マップは、少なくとも1つの欠陥を修復するための修復形状を含んでいてもよい。
【0098】
この方法は、少なくとも1つの第2の基準マークをサンプル上に生成するステップと、少なくとも1つの第2の基準マークと第1の犠牲層の生成前の少なくとも1つの欠陥との間の少なくとも1つの第2の基準距離を決定するステップと、をさらに含んでいてもよい。
【0099】
さらに、この方法は、少なくとも1つの第2の犠牲層をサンプル上に生成するステップと、少なくとも1つの第2の基準マークを少なくとも1つの第2の犠牲層上に堆積させるステップと、少なくとも1つの第2の基準マークと第1の犠牲層の生成開始前の少なくとも1つの欠陥との間の少なくとも1つの第2の基準距離を決定するステップと、を含んでいてもよい。
【0100】
少なくとも1つの第2の基準マークは、第1の犠牲層の堆積中のドリフトの補正に必要である。さらに、少なくとも1つの第2の基準マークは、少なくとも1つの欠陥を覆う第1の犠牲層の第1の部分の除去中のドリフトの補正に必要である。したがって、プロセス経済性の理由から、少なくとも1つの第2の犠牲層の堆積を省き、第2の基準マークをサンプルに直接適用するのが好都合となり得る。そしてこの場合も、少なくとも1つの第2の犠牲層の堆積によって付加的な自由度が得られ、これにより、サンプルからの少なくとも1つの第2の基準マークの除去を簡素化し得る。
【0101】
少なくとも1つの第2の基準距離は、少なくとも1つの第1の基準距離よりも大きくてもよい。
【0102】
少なくとも1つの第2の基準距離および少なくとも1つの第2の基準マークは、第1の犠牲層が堆積した状態で、集束粒子ビームと少なくとも1つの欠陥との間のドリフトの補正に必要である。したがって、少なくとも1つの第2の基準マークが第1の犠牲層により覆われていなければ非常に都合が良い。これにより、少なくとも1つの第2の基準マークの機能が確保される。
【0103】
さらに、この方法は、第1の犠牲層を生成することと、少なくとも1つの第2の基準マークおよび少なくとも1つの第2の基準距離の使用により、少なくとも1つの欠陥から、少なくとも1つの欠陥を覆う第1の犠牲層の第1の部分を除去することと、から成る群の少なくとも1つの要素を実行している間にドリフトを補正するステップを含んでいてもよい。
【0104】
プロセス処理の継続時間は、修復対象の欠陥に関して第1の犠牲層を可能な限り正確に堆積させることにより最適化され得る。一例として、欠陥を実質的に覆うことなく、その周りに第1の犠牲層を堆積可能であるなら、修復に先立って欠陥を露出させる目的で第1の犠牲層の第1の部分を除去するためのエッチングプロセスを省くことができる。
【0105】
この方法は、湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスの範囲内において、サンプルから、第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークを一体的に(jointly)除去するステップをさらに含んでいてもよい。
【0106】
ここに記載の方法の利点として、標準的な洗浄プロセスにより、サンプルから、少なくとも1つの第1の基準マークを第1の犠牲層とともに除去可能である。さらに、これらの方法によれば、欠陥処理プロセス中に第1の犠牲層がそのさまざまな機能を完全に果たし得るとともに、欠陥修復の終了時にサンプルから容易に除去され得るように、サンプルに対して第1の犠牲層の材料組成を一致させることが可能となる。
【0107】
さらに、この方法は、湿式化学的洗浄プロセス(wet chemical cleaning process)の範囲内において、サンプルから、第1の犠牲層、少なくとも1つの第1の基準マーク、および少なくとも1つの第2の基準マークを一体的に除去するステップを含んでいてもよい。
【0108】
この方法は、湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスの範囲内において、サンプルから、第1の犠牲層、少なくとも1つの第2の犠牲層、少なくとも1つの第1の基準マーク、および少なくとも1つの第2の基準マークを一体的に除去するステップを追加で含んでいてもよい。
【0109】
湿式化学的洗浄プロセスは、少なくとも1つの酸化ガスが溶解した水を使用して実行可能である。酸化ガスは、酸素(O2)、窒素(N2)、および水素(H2)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。さらに、水性洗浄溶液は、5未満、好ましくは3.5未満、より好ましくは2未満、最も好ましくは1未満のpH値を有し得る。
【0110】
機械的洗浄プロセスは、超音波および/または極超音波の適用を含んでいてもよい。また、洗浄対象のサンプルの領域への物理的な力の作用による洗浄も可能である。
【0111】
さらに、この方法は、集束粒子ビーム誘起エッチングプロセスによって、サンプルから、第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークを一体的に除去するステップを含んでいてもよい。さらに、粒子ビーム(たとえば、光子ビーム)を使用して第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークを除去することも考えられる。
【0112】
この方法は、集束粒子ビームにより誘起されるエッチングプロセスによって、サンプルから、第1の犠牲層、少なくとも1つの第1の基準マーク、および少なくとも1つの第2の基準マークを一体的に除去するステップを追加で含んでいてもよい。
【0113】
この方法は、集束粒子ビームにより誘起されるエッチングプロセスによって、サンプルから、第1の犠牲層、少なくとも1つの第2の犠牲層、少なくとも1つの第1の基準マーク、および少なくとも1つの第2の基準マークを一体的に除去するステップをさらに含んでいてもよい。
【0114】
集束粒子ビームにより誘起される局所的エッチングプロセスによって、第1の犠牲層および/または少なくとも1つの第2の犠牲層とともに、サンプルから、少なくとも1つの第1の基準マークおよび少なくとも1つの第2の基準マークを除去することも可能である。第1および/もしくは第2の基準マークならびに第1および/もしくは第2の犠牲層を除去するための集束粒子ビームとしては、基準マークおよび/または犠牲層の生成に使用される粒子ビームが可能である。さらに、集束粒子ビームとしては、欠陥処理の実行に使用される粒子ビームが可能である。犠牲層の材料組成は、単純な除去性(たとえば、局所的粒子ビーム誘起エッチングプロセスによる犠牲層の単純なエッチング性)の観点から選択され得る。犠牲層および基準マークの一体的除去に好ましい粒子ビームは、電子ビームを含む。
【0115】
本願に記載の方法の利点として、犠牲層および基準マークの両者を単一の装置を使用して生成可能であり、この装置は、少なくとも1つの欠陥の処理および関連する基準マークと併せた犠牲層の除去に同時に使用可能である。これは、欠陥修復プロセス全体において、装置の真空を破壊する必要がないことを意味する。
【0116】
サンプルは、上述の方法を使用して修復される少なくとも1つの欠陥を有していてもよい。
【0117】
コンピュータプログラムは、上記説明の方法ステップの実行をコンピュータシステムに促す(prompt)命令を含み得る。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納可能である。
【0118】
一実施形態において、集束粒子ビームを使用してサンプルの少なくとも1つの欠陥を修復するための装置(200)は、少なくとも1つの欠陥の修復中に、少なくとも1つの欠陥に関して、集束粒子ビームのドリフトを補正するために、少なくとも1つの欠陥に近接して、サンプル上に少なくとも1つの第1の犠牲層を生成するための手段を備える。
【0119】
別の実施形態において、集束粒子ビームを使用してサンプルの少なくとも1つの欠陥を修復するための装置は、少なくとも1つの欠陥の修復中に少なくとも1つの欠陥に関して、集束粒子ビームのドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の導電性犠牲層をサンプル上に生成するための手段を備える。
【0120】
第1の犠牲層を生成するための手段が、第1の局所的導電性犠牲層を生成するための手段を含む。
【0121】
この装置は、単段コンデンサシステム(single-stage condenser system)を有する電子カラム(electron column)をさらに備えていてもよい。
【0122】
第1の犠牲層を生成するための手段は、少なくとも1本の電子ビーム(at least one electron beam)を含んでいてもよく、この装置は、サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを3000eV未満として、電子ビームを直径2nm未満で集束させる(focus)ように構成されていてもよい。
【0123】
第1の犠牲層を生成するための手段は、少なくとも1本の電子ビームを含んでいてもよく、この装置は、サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを1500eV未満として、電子ビームを直径2nm未満で集束させるように構成されていてもよい。
【0124】
第1の犠牲層を生成するための手段は、少なくとも1本の電子ビームを含んでいてもよく、この装置は、サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを1000eV未満として、電子ビームを直径2nm未満で集束させるように構成されていてもよい。
【0125】
第1の犠牲層を生成するための手段は、少なくとも1本の電子ビームを含んでいてもよく、この装置は、サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを800eV未満として、電子ビームを直径2nm未満で集束させるように構成されていてもよい。
【0126】
第1の犠牲層を生成するための手段は、少なくとも1本の電子ビームを含んでいてもよく、この装置は、サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを600eV未満として、電子ビームを直径2nm未満で集束させるように構成されていてもよい。
【0127】
集束電子ビームの焦点直径の最小化には、局所的処理プロセスすなわちエッチングプロセスまたは堆積プロセスが作用する面積の縮小を伴う。最小焦点直径が2nm未満であれば、局所的処理エリアの最小直径が10nm未満になることが容易になる。さらに、少なくとも1つの基準マークの走査および少なくとも1つの欠陥の処理のための運動エネルギーが低い電子を使用する結果として、集束粒子ビームによるサンプルへの損傷を最小限に抑えることができる。
【0128】
この装置の集束粒子ビームの局所的処理エリアは、10nm未満の最小直径を有していてもよい。
【0129】
この装置の集束粒子ビームの局所的処理エリアは、5nm未満の最小直径を有していてもよい。
【0130】
この装置の集束粒子ビームの局所的処理エリアは、4nm未満の最小直径を有していてもよい。
【0131】
この装置の集束粒子ビームの局所的処理エリアは、3nm未満の最小直径を有していてもよい。
【0132】
この装置の集束粒子ビームの局所的処理エリアは、2.5nm未満の最小直径を有していてもよい。
【0133】
電子カラムは、一組の異なるアパーチャを使用するように構成されていてもよい。
【0134】
この装置は、一組のアパーチャのうちの1つを選択することにより、電子ビームのビーム電流を制御するように構成されている制御装置を備えていてもよい。この装置は、第1の基準距離および/または第2の基準距離を決定するように構成されている制御装置を備えていてもよい。さらに、制御装置は、この装置の如何なるパラメータの変更もなく、少なくとも1つの欠陥の処理および少なくとも1つの第1の基準マークの走査が実行され得るように、少なくとも1つの第1の基準マークと少なくとも1つの欠陥との間の距離を規定するように構成可能である。さらに、制御装置は、1つまたは複数の第1の基準マークを生成すべきサンプル上の1つまたは複数の部位を決定するように構成可能である。集束粒子ビームの焦点直径を把握することにより、この装置の制御装置は、第1の基準マークのサイズを決定することができる。第1および第2の基準マークのサイズは、第一に基準マークの面積を含み、第二に高さを含む。
【0135】
この装置は、上述の方法の方法ステップを実行するように構成可能である。また、この装置は、コンピュータシステムとして設計可能であり、前述のコンピュータプログラムを含むことができる。
【0136】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、上記課題は、実施形態1に記載の方法および実施形態19に記載の装置によって解決される。実施形態1において、集束粒子ビームを使用してサンプルの少なくとも1つの欠陥を修復するための方法は、(a)少なくとも1つの第1の局所的導電性犠牲層をサンプル上に生成するステップであり、第1の局所的導電性犠牲層が、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分を有し、第1の部分が、少なくとも1つの欠陥に近接し、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分が、相互に導電接続されている、ステップと、(b)少なくとも1つの欠陥の修復中、少なくとも1つの欠陥に関して、集束粒子ビームのドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の基準マークを第1の局所的導電性犠牲層の少なくとも1つの第2の部分上に生成するステップと、を含む。
【0137】
修復の頻度が高いサンプルは、電気絶縁体であるか、または、半導体特性を有する程度のものである。前者のグループの例は、フォトマスクまたはNILスタンプの石英基板である。後者のグループの例は、ウェハ上に生成される集積回路(IC)である。粒子ビームは、基準マークの走査に際して、サンプルに電荷を生成し得る。このプロセスは、修復対象の欠陥の走査に際しても同様に発生し得る。結果として、ドリフト補正により実行される欠陥の修復中は、サンプルの局所的な帯電が異なり得る。
【0138】
本発明に係る方法の実行に際して、集束粒子ビームは、第1の局所的導電性犠牲層において、電荷を(排他的に)生成する。第1の犠牲層の導電性のため、生成された電荷は、第1の犠牲層全体で均一に分布し得る。その結果、荷電粒子ビームは、基準マークおよび欠陥の走査に際して、実質的に同じ静電ポテンシャルを見込む。そして、欠陥および基準マーク上を走査する際の荷電粒子ビームのさまざまな偏向、ひいては、基準マークおよび欠陥の像表現のさまざまな歪みが防止される。これにより、ドリフト補正の品質ひいては欠陥補正プロセスの品質が向上し得る。
【0139】
ここで、表現「実質的に(substantially)」は、本明細書の他の箇所と同様に、従来技術に係る計量を使用する場合の慣習的誤差限界内の測定変数の指定を表す。
【0140】
本願において、表現「局所的犠牲層(local sacrificial layer)」は、犠牲層がサンプル全体にわたっては延びていないことを意味する。むしろ、第1の犠牲層は、局所的粒子ビーム誘起堆積プロセスによって、欠陥の周り、または、欠陥上の全体もしくは一部とその周りに堆積し得る。一例として、局所的犠牲層の横方向範囲としては、1mm未満、500μm未満、または100μm未満が可能である。
【0141】
第1の導電性犠牲層においては、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分の両者が導電性である。第1の部分、少なくとも1つの第2の部分、および第1の部分と少なくとも1つの第2の部分との間の接続の導電率は、同じにすることも可能であるし、わずかに変化させることも可能である。本願において、用語「導電性(electrically conductive)」は、犠牲層の具体的な電気比抵抗が金属導体のオーダ、すなわち、ρ<1Ω・cmであることを表す。
【0142】
少なくとも1つの欠陥に対する第1の部分の近接は、少なくとも1つの欠陥の縁部に対する第1の部分の近接、第1の部分による少なくとも1つの欠陥の部分的被覆、および第1の部分による少なくとも1つの欠陥の完全被覆から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0143】
修復プロセスの開始時に犠牲層が欠陥を縁取ることにより、少なくとも1つの第1の基準マークおよび修復対象の欠陥の走査に際しては、荷電粒子ビームが実質的に同じ静電ポテンシャルを「見込む」。さらに、第1の犠牲層が欠陥を縁取ることによって、修復プロセスの影響からサンプルを効果的に保護することができる。一例として、堆積材料が欠陥の周りで第1の犠牲層上に意図せず堆積する場合がある。さらに、サンプルの修復を目的として局所的エッチングプロセスが実行されている間は、修復対象の過剰材料の欠陥を縁取る第1の犠牲層が欠陥の周りのサンプルの領域を保護する。
【0144】
修復プロセスが終了となったら、第1の犠牲層を当該第1の犠牲層上の堆積材料とともにサンプルから除去することができる。結果として、本発明に係る方法を実行することにより、実質的に残留物を伴わない欠陥の補正が容易になり、その結果、同時に、ドリフト補正の改善のほか、欠陥修復プロセスの品質の向上がさらに促進される。
【0145】
少なくとも1つの欠陥の縁部に対する第1の部分の近接は、少なくとも1つの欠陥の縁部全体に対する第1の部分の近接を含んでいてもよい。本実施形態は、特に、サンプル上の欠陥が孤立している場合に都合が良い。
【0146】
この方法は、少なくとも1つの欠陥の修復が開始される前に、少なくとも1つの第1の基準マークと少なくとも1つの欠陥との間の少なくとも1つの第1の基準距離を決定するステップをさらに含んでいてもよい。
【0147】
少なくとも1つの第1の基準距離を少なくとも1つの第1の基準マークと組み合わせて使用することにより、欠陥修復プロセスにおいて、集束粒子ビームに対する少なくとも1つの欠陥のドリフトを補正することができる。
【0148】
第1の部分は、少なくとも1つの欠陥の修復がサンプルに対して実質的に損傷を及ぼすことのないように、少なくとも1つの欠陥の周りの横方向範囲を有していてもよい。
【0149】
第1の犠牲層の第1の部分は、欠陥処理プロセス中または欠陥修復プロセス中の保護層を表す。後者は、第一に、修復対象の欠陥の寸法および修復に使用される粒子ビームの焦点直径に対して、第二に、実行される欠陥修復の種類に対して適応され得る。上記の文脈において、表現「実質的に(substantially)」は、実施された修復プロセスの結果としてのサンプルの機能性の損害が欠陥修復後には立証され得ないことを意味する。
【0150】
欠陥の修復は、集束粒子ビームの視野内で実行されるのが好ましい。本実施形態は、修復プロセス中の第1の基準マークの走査を目的として、粒子ビームを提供する装置のパラメータを修正する必要がない点において都合が良い。これにより、ドリフトの考え得る最良の補正が可能となる。一例として、走査型粒子顕微鏡の視野には、1000μm×1000μm、好ましくは100μm×100μm、より好ましくは10μm×10μm、最も好ましくは6μm×6μmのエリアを含んでいてもよい。
【0151】
また、第1の犠牲層の横方向寸法は、集束粒子ビームの視野を超えることも可能である。一例として、これは、修復対象の欠陥が大きい場合に起こり得る。第1の部分は、少なくとも1つの欠陥の縁部の周りに、1nm~1000μm、好ましくは2nm~200μm、より好ましくは5nm~40μm、最も好ましくは10nm~10μmの範囲にわたって延びる横方向範囲を有していてもよい。
【0152】
第1の部分の厚さは、0.1nm~1000nm、好ましくは0.5nm~200nm、より好ましくは0.5nm~200nm、最も好ましくは2nm~50nmの範囲を有していてもよい。
【0153】
少なくとも1つの基準マークを生成するステップは、少なくとも1つの欠陥の修復がドリフトの補正に対して実質的に影響を及ぼすことのないように、少なくとも1つの欠陥からある距離で少なくとも1つの第1の基準マークを生成することを含んでいてもよい。
【0154】
この特徴により、処理プロセスにおいては、第1の基準マークの構造が実質的に不変となることが確保される。したがって、修復プロセス全体を通しての制限なく、第1の基準マークの機能が維持される。
【0155】
少なくとも1つの第1の基準マークを生成するステップは、少なくとも1つの欠陥の修復が少なくとも1つの第1の基準マークを実質的に変化させることのないように、少なくとも1つの欠陥からある距離で少なくとも1つの第1の基準マークを生成することを含んでいてもよい。
【0156】
欠陥修復プロセス中のドリフトの補正に使用され、修復対象の欠陥のごく近傍に適用される第1の基準マークは、修復プロセスによって変化する場合があるため、ドリフト補正の手段としての機能が損なわれる可能性がある。第一に、局所的堆積プロセス中に材料が第1の修復マーク上に堆積し、第二に、エッチングプロセスの形態の修復プロセスによって、第1の基準マークの構造が変化する可能性がある。本願に記載の方法によれば、修復対象の欠陥からある距離での第1の基準マークの適用が可能となり、この距離では、修復プロセスが少なくとも1つの第1の基準マークを実質的に変化させることがない。
【0157】
少なくとも1つの第1の基準マークは、1nm~1000nm、好ましくは2nm~500nm、より好ましくは5nm~100nm、最も好ましくは10nm~50nmの横方向範囲を有していてもよい。さらに、基準マークの横方向範囲が走査型粒子顕微鏡の視野よりも大きくならないこと、という条件から、基準マークの最大範囲に関する別の要求も生じる。
【0158】
少なくとも1つの第1の基準マークは、1nm~1000nm、好ましくは2nm~500nm、より好ましくは5nm~200nm、最も好ましくは10nm~100nmの範囲の高さを有していてもよい。
【0159】
第1の犠牲層は、第1の部分の横方向範囲および少なくとも1つの第2の部分の数によって決まる横方向範囲を有していてもよい。
【0160】
第1の部分および少なくとも1つの第2の部分は、同一平面で相互接続されていてもよい。第1の部分と1つまたは複数の第2の部分との間の同一平面接続には、対応する第1の犠牲層を堆積させるための最大費用を必要とする。そしてこの場合も、大面積の第1の犠牲層の静電容量が大きいことから、欠陥修復中の少なくとも1つの基準マークの走査および/または集束粒子ビームによる帯電によっても、第1の犠牲層の静電ポテンシャルはわずかにしか変化しない。
【0161】
第1の部分と少なくとも1つの第2の部分との間の導電性接続は、0.1nm~1000μm、好ましくは20nm~100μm、より好ましくは30nm~10μm、最も好ましくは40nm~3μmの範囲の幅を有していてもよい。
【0162】
第1の部分と少なくとも1つの第2の部分との間の導電性接続の厚さは、0.1nm~1000nm、好ましくは0.5nm~200nm、より好ましくは1nm~100nm、最も好ましくは2nm~50nmの範囲を有していてもよい。
【0163】
導電性接続の形態の第1の部分および少なくとも1つの第2の部分の接続は、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分が異なるレベルである場合に都合が良いと考えられる。一例として、第1の部分がフォトマスクの基板上に配置され、少なくとも1つの第2の部分がフォトマスクのパターン要素上に配置されていてもよい。
【0164】
集束粒子ビームは、光子ビーム、電子ビーム、イオンビーム、原子ビーム、および分子ビームから成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。光子ビームは、紫外(UV)、深紫外(DUV)、または極紫外(EUV)波長範囲の光子ビームを含んでいてもよい。
【0165】
集束粒子ビームは、集束電子ビームおよび/または集束イオンビームを含むのが好ましい。電子ビームおよびイオンビームは、光子ビームよりもはるかに小さなスポットへと集束可能であるため、欠陥修復中の空間分解能を容易に高くすることができる。さらに、電子ビームおよびイオンビームは、原子ビームまたは分子ビームよりも容易に生成および結像可能である。
【0166】
集束粒子ビームによるサンプルの走査によって、サンプルの走査領域に損傷が生じる可能性がある。損傷の発生範囲は、粒子ビームの種類によって決まる。たとえば、イオンビーム、原子ビーム、または分子ビームは、質量の大きな粒子からサンプル格子への大規模な運動量移行の結果として、走査領域に大きな損傷を生じる。さらに、イオンビーム、原子ビーム、または分子ビームの粒子の一部がサンプル格子に取り込まれ、結果として、その特性(たとえば、その光学特性)が局所的に変化する。
【0167】
これに対して、電子ビームは、電子質量が小さいため、通常は、サンプルの走査領域にごくわずかな損傷しか生じない。結果として、欠陥の修復時に電子を使用すると、大きな副次的影響を伴わないサンプルの欠陥処理が容易になる。このため、原則として、集束粒子ビームにおいては、イオンの使用よりも電子の使用が好ましいものとする。
【0168】
少なくとも1つの第2の部分は、少なくとも1つの第1の基準マークを検出するための集束粒子ビームの少なくとも1つの走査領域の全体に延びていてもよい。
【0169】
少なくとも1つの第1の基準マークの位置を決定している間に、集束粒子ビームの粒子の少なくとも過半数が第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分に入射し得る。少なくとも1つの第2の部分の横方向範囲は、少なくとも1つの第1の基準マークを走査するための集束粒子ビームの走査領域を超えていてもよく、1.2倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは2倍、最も好ましくは3倍である。
【0170】
少なくとも1つの第1の基準マークの位置の決定を目的として集束粒子ビームが走査する走査領域よりも、少なくとも1つの第1の基準マークの周りの少なくとも1つの第2の部分の方が規定の倍率だけ大きいことにより確保されることは、欠陥に対する集束粒子ビームのドリフトが顕著な場合であっても、少なくとも1つの第1の基準マークの走査が第1の犠牲層上で実質的に完全に実行されることである。これにより、サンプルにおいて電荷担体が制御不能に局所的発生することはなくなる。
【0171】
サンプル上の直接的な堆積ではなく、少なくとも1つの第1の基準マークを第1の犠牲層に取り付けることによって、付加的な自由度が得られる。このため、サンプルの処理プロセスの終了時に、サンプルから容易かつ実質的に完全に除去し得るように第1の犠牲層を設計可能である。この制約がない場合は、第1の基準マークの位置の多重決定と、実質的に変化しないサンプルの1つまたは複数の拡張処理プロセスと、の両者に耐えるように少なくとも1つの第1の基準マークを設計可能である。
【0172】
一例として、堆積した第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分のエリアとしては、方形も可能であるし、矩形も可能である。横方向寸法は、矩形の短辺に関連する。少なくとも1つの第2の部分の面積は、少なくとも1本の集束粒子ビームの走査領域の面積に対して適応され得る。
【0173】
少なくとも1つの第2の部分の横方向範囲は、10nm~1000μm、好ましくは50nm~500μm、より好ましくは200nm~100μm、最も好ましくは500nm~50μmの範囲の横方向寸法を有していてもよい。
【0174】
少なくとも1つの第2の部分の厚さは、0.1nm~1000nm、好ましくは0.5nm~200nm、より好ましくは1nm~100nm、最も好ましくは2nm~50nmの範囲を有していてもよい。
【0175】
第1の犠牲層を生成するステップは、少なくとも1つの第1の前駆体ガスと組み合わせて集束粒子ビームにより第1の犠牲層を堆積させることを含んでいてもよい。集束粒子ビームは、電子ビームを含んでいてもよい。
【0176】
少なくとも1つの第1の前駆体ガスは、第1の犠牲層の第1の部分を堆積させるための少なくとも1つの第1の堆積ガスと、第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分を堆積させるための少なくとも1つの第2の堆積ガスと、第1の犠牲層の導電性接続を堆積させるための少なくとも1つの第3の堆積ガスと、を含んでいてもよい。少なくとも1つの第1の堆積ガス、少なくとも1つの第2の堆積ガス、および少なくとも1つの第3の堆積ガスは、単一の堆積ガスを含んでいてもよいし、2つの異なる堆積ガスを含んでいてもよいし、3つの異なる堆積ガスを含んでいてもよい。第1の部分、1つもしくは複数の第2の部分、ならびに導電性接続のさまざまな機能は、それぞれに適応された材料組成によって最適化され得る。
【0177】
少なくとも1つの第1の前駆体ガスは、添加ガスとしてのモリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)および二酸化窒素(NO2)を含んでいてもよく、ならびに/または、第1の前駆体ガスは、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)を含んでいてもよい。
【0178】
少なくとも1つの第1の基準マークを生成するステップは、少なくとも1つの第2の前駆体ガスと組み合わせて集束粒子ビームを使用して少なくとも1つの第1の基準マークを堆積させることを含んでいてもよい。少なくとも1つの第1の基準マークを堆積させるための集束粒子ビームは、電子ビームを含んでいてもよい。
【0179】
第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークは、1つの粒子ビームまたは異なる粒子ビームを使用して堆積可能である。一例としては、第1の犠牲層が電子ビームを使用して堆積し、少なくとも1つの第2の基準マークがイオンビームを使用して堆積するようになっていてもよい。
【0180】
第1の犠牲層を堆積させるための少なくとも1つの第1の前駆体ガスは、金属アルキル、遷移元素アルキル、主族アルキル、金属カルボニル、遷移元素カルボニル、主族カルボニル、金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、主族アルコキシド、金属錯体、遷移元素錯体、主族錯体、および有機化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0181】
少なくとも1つの基準マークを堆積させるための少なくとも1つの第2の前駆体ガスは、金属アルキル、遷移元素アルキル、主族アルキル、金属カルボニル、遷移元素カルボニル、主族カルボニル、金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、主族アルコキシド、金属錯体、遷移元素錯体、主族錯体、および有機化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0182】
金属アルキル、遷移元素アルキル、および主族アルキルは、シクロペンタジエニル(Cp)トリメチル白金(CpPtMe3)、メチルシクロペンタジエニル(MeCp)トリメチル白金(MeCpPtMe3)、テトラメチルスズ(SnMe4)、トリメチルガリウム(GaMe2)、フェロセン(Co2Fe)、およびビスアリールクロム(Ar2Cr)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属カルボニル、遷移元素カルボニル、および主族カルボニルは、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)、トリルテニウムドデカカルボニル(Ru3(CO)12)、および鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、および主族アルコキシドは、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、Si(OC2H5)4)およびテトライソプロポキシチタン(Ti(OC3H7)4)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属ハロゲン化物、遷移元素ハロゲン化物、および主族ハロゲン化物は、六フッ化タングステン(WF6)、六塩化タングステン(WCl6)、六塩化チタン(TiCl6)、三塩化ホウ素(BCl3)、および四塩化ケイ素(SiCl4)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属錯体、遷移元素錯体、および主族錯体は、銅ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)(Cu(C5F6HO2)2)およびジメチルゴールドトリフルオロアセチルアセトナート(Me2Au(C5F3H4O2))から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。有機化合物は、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、真空ポンプ油の成分、および揮発性有機化合物からなる群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0183】
少なくとも1つの第1の基準マークを生成するステップは、第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分に少なくとも1つの窪みをエッチングすることを含んでいてもよい。少なくとも1つの窪みをエッチングすることは、少なくとも1つの第3の前駆体ガスと組み合わせて集束粒子ビームを使用して局所的エッチングプロセスを実行することを含んでいてもよい。集束粒子ビームは、電子ビームおよび/またはイオンビームを含んでいてもよい。
【0184】
少なくとも1つの第3の前駆体ガスは、少なくとも1つのエッチングガスを含んでいてもよい。少なくとも1つのエッチングガスは、ハロゲン含有化合物および酸素含有化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。ハロゲン含有化合物は、フッ素(F2)、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)、二フッ化キセノン(XeF2)、四フッ化ジキセノン(Xe2F4)、フッ化水素酸(HF)、ヨウ化水素(HI)、臭化水素(HBr)、塩化ニトロシル(NOCl)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、および三フッ化リン(PF3)からなる群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。酸素含有化合物は、酸素(O2)、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、過酸化水素(H2O2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、および硝酸(HNO3)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでもよい。
【0185】
少なくとも1つの第1の前駆体ガス、少なくとも1つの第2の前駆体ガス、および/または少なくとも1つの第3の前駆体ガスは、酸化剤、ハロゲン化物、および還元剤から成る群の少なくとも1つの添加ガスを含んでいてもよい。
【0186】
酸化剤は、酸素(O2)、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、過酸化水素(H2O2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、および硝酸(HNO3)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでもよい。ハロゲン化物は、塩素(Cl2)、塩酸(HCl)、二フッ化キセノン(XeF2)、フッ化水素酸(HF)、要素(I2)、ヨウ化水素(HI)、臭素(Br2)、臭化水素(HBr)、塩化ニトロシル(NOCl)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、および三フッ化リン(PF3)からなる群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。還元剤は、水素(H2)、アンモニア(NH3)、およびメタン(CH4)からなる群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。
【0187】
第1の前駆体ガスがモリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)を含むことが可能であり、少なくとも1つの添加ガスが二酸化窒素(NO2)を含むことが可能であり、および/または、第2の前駆体ガスがテトラエチルオルトシリケート(Si(OC2H5)4)またはクロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)を含むことが可能である。
【0188】
上述の方法は、少なくとも1つの欠陥の修復前に、少なくとも1つの欠陥を覆う第1の犠牲層の第1の部分の部分を除去するステップをさらに含んでいてもよい。
【0189】
少なくとも1つの欠陥を覆う第1の犠牲層の第1の部分を除去するステップが、少なくとも1つの第4の前駆体ガスを使用して粒子ビーム誘起エッチングプロセスを実行することを含んでいてもよい。少なくとも1つの第4の前駆体ガスは、少なくとも1つの第2のエッチングガスを含んでいてもよい。少なくとも1つの第2のエッチングガスは、上掲の第1のエッチングガスの群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。犠牲層の第1の部分を堆積させるための第1の堆積ガスは、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)およびモリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)のから成る群の要素を含んでいてもよく、犠牲層の第1の部分を除去するための少なくとも1つの第2のエッチングガスは、塩化ニトロシル(NOCl)自体または少なくとも1つの添加ガス(たとえば、水(H2O))との組み合わせを含んでいてもよい。
【0190】
少なくとも1つの第1の基準マークを第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分にエッチングするための前駆体ガスは、添加ガス(たとえば、酸素(O2)、水(H2O)、または塩素(Cl2)と組み合わせた二フッ化キセノン(XeF2)を含んでいてもよい。あるいは、たとえば塩化ニトロシル(NOCl)自体または添加ガス(たとえば、水(H2O))との組み合わせが第1の基準マークの生成に使用されるようになっていてもよい。
【0191】
少なくとも1つの欠陥は、過剰材料の欠陥を含んでいてもよく、この方法は、第1の犠牲層を少なくとも部分的に通して、少なくとも1つの欠陥を修復するステップをさらに含んでいてもよい。
【0192】
修復対象の過剰材料の欠陥の全体にわたって一部または全部が延びている第1の犠牲層または第1の犠牲層の第1の部分は、たとえば局所的粒子ビーム誘起エッチングプロセスを使用して、サンプルから単一のプロセスステップにて除去されるようになっていてもよい。この場合、欠陥のエッチング速度と第1の犠牲層の第1の部分の材料のエッチング速度とが相互に大きく異なる場合は、エッチングガスおよび/または添加ガスがエッチングプロセスの進行に対して適応され得る。さらに、粒子ビームの他のビームパラメータおよび/または他のプロセスパラメータをエッチングプロセスの進行に対して適応させることも可能である。局所的エッチングプロセスの進行は、エッチングプロセス中に生成される後方散乱電子または二次電子を分析することにより決定され得る。この追加または代替として、除去材料は、たとえばSIMS(二次イオン質量分光)分析により分析され得る。このため、イオンビームが粒子ビームとして使用されるのが好ましい。さらに、エッチング速度は、犠牲層および除去対象の材料のエッチングプロセスの別々の最適化により校正され得る。一例として、これは、エッチングシーケンスの実行により実施され得る。
【0193】
第1の犠牲層の第1の部分および少なくとも1つの第2の部分は、少なくとも1つの欠陥を修復する動作によって、少なくとも1つの欠陥を含む像断面が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下だけ歪むような横方向範囲を有していてもよい。集束粒子ビームによって欠陥を修復する動作により、導電性犠牲層が帯電する可能性がある。犠牲層が帯電すると、欠陥または欠陥残留物を含む像断面の歪みが生じ得る。像断面の歪みは、修復プロセスの開始前の像断面と関連する。
【0194】
犠牲層の帯電は、集束粒子ビームの結像パラメータに対して局所的な影響を及ぼす可能性があり、その結果、前記結像パラメータが局所的に変動する可能性がある。局所的な変化(たとえば、走査集束粒子ビームにより生成された像の倍率の局所的な変動)の結果、結像パラメータ(たとえば、倍率)が局所的にも変動していない像と比較して、像が歪む。
【0195】
第1の部分、少なくとも1つの第2の部分、および導電性接続は、金属、金属含有化合物、導電性セラミック、およびドープされた半導体化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含む材料組成を有していてもよい。
【0196】
金属は、モリブデン、コバルト、クロム、ニオブ、タングステン、レニウム、ルテニウム、およびチタンから成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属含有化合物は、モリブデン合金、コバルト含有化合物、クロム含有化合物、ニオブ含有化合物、タングステン含有化合物、レニウム含有化合物、およびチタン含有化合物から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。金属含有化合物は、窒素、酸素、フッ素、塩素、炭素、およびケイ素から成る群の元素を含んでいてもよい。ドープされた半導体化合物は、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、およびアンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。導電性セラミックは、ケイ化モリブデンを含んでいてもよい。
【0197】
第1の部分、少なくとも1つの第2の部分、および導電性接続は、異なる材料組成を有していてもよい。
【0198】
第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークは、異なる材料組成を有していてもよい。
【0199】
これにより、少なくとも1つの第1の基準マークの走査に際して、第1の基準マークのトポロジの差異のほか、第1の犠牲層の少なくとも1つの第2の部分と少なくとも1つの第1の基準マークとの間に材料の差異も生じる。
【0200】
少なくとも1つの欠陥は、過剰材料の欠陥を含んでいてもよく、少なくとも1つの欠陥を修復する動作は、集束粒子ビームにより誘起されるエッチングプロセスのエッチング速度が少なくとも1つの欠陥および第1の部分に対して実質的に同じとなるように、第1の犠牲層の第1の部分、少なくとも1つの第2のエッチングガス、および/または少なくとも1つの添加ガスの材料組成を選択することを含んでいてもよい。
【0201】
この条件を満たすことによって、欠陥の局所的エッチングの場合に生じるエッチング領域の縁部における曲線の丸みを最小限に抑えることができる。さらに、欠陥補正の範囲内でのサンプルのアンダーエッチングを回避することができる。同時に、この条件を観測することによって、サンプルのエッチング領域の側壁を最大限に急峻化することが容易になる。
【0202】
サンプルは、リソグラフィサンプルを含んでいてもよい。リソグラフィサンプルは、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)用のフォトマスクおよびスタンプから成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。ただし、サンプルは、フォトマスク、NIL用スタンプ、集積回路(IC)、フォトニック集積回路(PIC)、マイクロシステム(MEMS(微小電気機械システム)もしくはMOEMS(微小光電気機械システム))、ならびにプリント配線板(PCB)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。集積回路および/またはフォトニック集積回路は、ウェハ上に配置されていてもよい。フォトマスクは、如何なる種類の透過型または反射型フォトマスク(たとえば、バイナリまたは位相シフトマスク)であってもよい。
【0203】
この方法は、集束粒子ビームでサンプルを走査することにより、サンプルの欠陥マップを生成するステップをさらに含んでいてもよい。
【0204】
サンプルを走査するステップは、集束粒子ビームを使用してサンプルの少なくとも1つの欠陥を走査することを含んでいてもよい。サンプルを走査するための集束粒子ビームは、第1の犠牲層の生成、少なくとも1つの第1の基準マークの生成、および/または局所的欠陥処理プロセスの開始に使用される粒子ビームを含んでいてもよい。ただし、サンプルの走査の範囲内においては、第1の粒子ビーム(たとえば、光子ビーム)を使用して少なくとも1つの欠陥を識別するとともに、第2の粒子ビーム(たとえば、電子ビーム)を使用して少なくとも1つの欠陥の修復形状の輪郭を検出することも可能である。
【0205】
上述の方法を実行する装置は、サンプル検査装置から、サンプルの少なくとも1つの欠陥の座標を受信するようにしてもよい。サンプルの欠陥マップには、サンプルの少なくとも1つの欠陥を含んでいてもよい。特に、欠陥マップは、少なくとも1つの欠陥を修復するための修復形状を含んでいてもよい。
【0206】
この方法は、少なくとも1つの第2の基準マークをサンプル上に生成するステップと、少なくとも1つの第2の基準マークと第1の犠牲層の生成開始前の少なくとも1つの欠陥との間の少なくとも1つの第2の基準距離を決定するステップと、をさらに含んでいてもよい。
【0207】
さらに、この方法は、少なくとも1つの第2の犠牲層をサンプル上に生成するステップと、少なくとも1つの第2の基準マークを少なくとも1つの第2の犠牲層上に堆積させるステップと、少なくとも1つの第2の基準マークと第1の犠牲層の生成開始前の少なくとも1つの欠陥との間の少なくとも1つの第2の基準距離を決定するステップと、を含んでいてもよい。
【0208】
少なくとも1つの第2の基準マークは、第1の犠牲層の堆積中のドリフトの補正に必要である。さらに、少なくとも1つの第2の基準マークは、少なくとも1つの欠陥を覆う第1の犠牲層の第1の部分の除去中のドリフトの補正に必要である。したがって、プロセス経済性の理由から、少なくとも1つの第2の犠牲層の堆積を省き、第2の基準マークをサンプルに直接適用するのが好都合となり得る。そしてこの場合も、少なくとも1つの第2の犠牲層の堆積によって付加的な自由度が得られ、これにより、サンプルからの少なくとも1つの第2の基準マークの除去を簡素化し得る。
【0209】
少なくとも1つの第2の基準距離は、少なくとも1つの第1の基準距離よりも大きくてもよい。
【0210】
少なくとも1つの第2の基準距離および少なくとも1つの第2の基準マークは、第1の犠牲層が堆積した状態で、集束粒子ビームと少なくとも1つの欠陥との間のドリフトの補正に必要である。したがって、少なくとも1つの第2の基準マークが第1の犠牲層により覆われていなければ非常に都合が良い。これにより、少なくとも1つの第2の基準マークの機能が確保される。
【0211】
さらに、この方法は、第1の犠牲層を生成することと、少なくとも1つの第2の基準マークおよび少なくとも1つの第2の基準距離の使用により、少なくとも1つの欠陥から、少なくとも1つの欠陥を覆う第1の犠牲層の第1の部分を除去することと、から成る群の少なくとも1つの要素を実行している間にドリフトを補正するステップを含んでいてもよい。
【0212】
プロセス処理の継続時間は、修復対象の欠陥に関して第1の犠牲層を可能な限り正確に堆積させることにより最適化され得る。一例として、欠陥を実質的に覆うことなく、その周りに第1の犠牲層を堆積可能であるなら、修復に先立って欠陥を露出させる目的で第1の犠牲層の第1の部分を除去するためのエッチングプロセスを省くことができる。
【0213】
この方法は、湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスの範囲内において、サンプルから、第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークを一体的に除去するステップをさらに含んでいてもよい。
【0214】
ここに記載の方法の利点として、標準的な洗浄プロセスにより、サンプルから、少なくとも1つの第1の基準マークを第1の犠牲層とともに除去可能である。さらに、この方法によれば、欠陥処理プロセス中に第1の犠牲層がそのさまざまな機能を完全に果たし得るとともに、欠陥修復の終了時にサンプルから容易に除去され得るように、サンプルに対して第1の犠牲層の材料組成を一致させることが可能となる。
【0215】
さらに、この方法は、湿式化学的洗浄プロセスの範囲内において、サンプルから、第1の犠牲層、少なくとも1つの基準マーク、および少なくとも1つの第1の基準マークを一体的に除去するステップを含んでいてもよい。
【0216】
この方法は、湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスの範囲内において、サンプルから、第1の犠牲層、少なくとも1つの第2の犠牲層、少なくとも1つの第1の基準マーク、および少なくとも1つの第2の基準マークを一体的に除去するステップを追加で含んでいてもよい。
【0217】
湿式化学的洗浄プロセスは、少なくとも1つの酸化ガスが溶解した水を使用して実行可能である。酸化ガスは、酸素(O2)、窒素(N2)、および水素(H2)から成る群の少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。さらに、水性洗浄溶液は、5未満、好ましくは3.5未満、より好ましくは2未満、最も好ましくは1未満のpH値を有し得る。
【0218】
機械的洗浄プロセスは、超音波および/または極超音波の適用を含んでいてもよい。また、洗浄対象のサンプルの領域への物理的な力の作用による洗浄も可能である。
【0219】
さらに、この方法は、集束粒子ビーム誘起エッチングプロセスによって、サンプルから、第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークを一体的に除去するステップを含んでいてもよい。さらに、粒子ビーム(たとえば、光子ビーム)を使用して第1の犠牲層および少なくとも1つの第1の基準マークを除去することも考えられる。
【0220】
この方法は、集束粒子ビームにより誘起されるエッチングプロセスによって、サンプルから、第1の犠牲層、少なくとも1つの第1の基準マーク、および少なくとも1つの第2の基準マークを一体的に除去するステップを追加で含んでいてもよい。
【0221】
この方法は、集束粒子ビームにより誘起されるエッチングプロセスによって、サンプルから、第1の犠牲層、少なくとも1つの第2の犠牲層、少なくとも1つの第1の基準マーク、および少なくとも1つの第2の基準マークを一体的に除去するステップをさらに含んでいてもよい。
【0222】
集束粒子ビームにより誘起される局所的エッチングプロセスによって、第1の犠牲層および/または少なくとも1つの第2の犠牲層とともに、サンプルから、少なくとも1つの第1の基準マークおよび少なくとも1つの第2の基準マークを除去することも可能である。第1および/もしくは第2の基準マークならびに第1および/もしくは第2の犠牲層を除去するための集束粒子ビームとしては、基準マークおよび/または犠牲層の生成に使用される粒子ビームが可能である。さらに、集束粒子ビームとしては、欠陥処理の実行に使用される粒子ビームが可能である。犠牲層の材料組成は、単純な除去性(たとえば、局所的粒子ビーム誘起エッチングプロセスによる犠牲層の単純なエッチング性)の観点から選択され得る。犠牲層および基準マークの一体的除去に好ましい粒子ビームは、電子ビームを含む。
【0223】
本願に記載の方法の利点として、犠牲層および基準マークの両者を単一の装置を使用して生成可能であり、この装置は、少なくとも1つの欠陥の処理および関連する基準マークと併せた犠牲層の除去に同時に使用可能である。これは、欠陥修復プロセス全体において、装置の真空を破壊する必要がないことを意味する。
【0224】
サンプルは、上述の方法を使用して修復される少なくとも1つの欠陥を有していてもよい。
【0225】
コンピュータプログラムは、上記説明の方法ステップの実行をコンピュータシステムに促す命令を含み得る。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納可能である。
【0226】
実施形態19において、集束粒子ビームを使用してサンプルの少なくとも1つの欠陥を修復するための装置は、(a)少なくとも1つの第1の局所的導電性犠牲層をサンプル上に生成するための手段であり、第1の局所的導電性犠牲層が、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分を有し、第1の部分が、少なくとも1つの欠陥に近接し、第1の部分および少なくとも1つの第2の部分が、相互に導電接続されている、手段と、(b)修復中の少なくとも1つの欠陥に関して、集束粒子ビームのドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の基準マークを第1の局所的導電性犠牲層の少なくとも1つの第2の部分上に生成するための手段と、を備える。
【0227】
第1の犠牲層を生成するための手段は、少なくとも1本の電子ビームを含むことができ、この装置は、サンプルに衝突する電子の運動エネルギーが3000eV未満、好ましくは2000eV未満、より好ましくは1000eV未満、最も好ましくは600eV未満である場合に、電子ビームを直径2nm未満で集束させるように構成可能である。
【0228】
集束電子ビームの焦点直径の最小化には、局所的処理プロセスすなわちエッチングプロセスまたは堆積プロセスが作用する面積の縮小を伴う。最小焦点直径が2nm未満であれば、局所的処理エリアの最小直径が10nm未満になる。さらに、少なくとも1つの基準マークの走査および少なくとも1つの欠陥の処理のための運動エネルギーが低い電子を使用する結果として、集束粒子ビームによるサンプルへの損傷を最小限に抑えることができる。
【0229】
この装置は、上述の方法の方法ステップを実行するように構成可能である。また、この装置は、コンピュータシステムとして設計可能であり、前述のコンピュータプログラムを含むことができる。
【0230】
この装置は、単段コンデンサシステムを有する電子カラムを備えていてもよい。さらに、電子カラムは、一組の異なる絞りを使用するように構成されていてもよい。ビーム電流は、絞りの選択により制御され得る。単段コンデンサシステムは、低運動エネルギーの電子を小さなスポットに集束させるように構成されていてもよい。電子カラムの出力とサンプルとの間の作動距離としては、5mm未満、好ましくは4mm未満、より好ましくは3mm未満、最も好ましくは2.5mm未満が可能である。
【0231】
この装置は、第1の基準距離および/または第2の基準距離を決定するように構成されている制御装置を備え得る。さらに、制御装置は、この装置の如何なるパラメータの変更もなく、少なくとも1つの欠陥の処理および少なくとも1つの第1の基準マークの走査が実行され得るように、少なくとも1つの第1の基準マークと少なくとも1つの欠陥との間の距離を規定するように構成可能である。さらに、制御装置は、1つまたは複数の第1の基準マークを生成すべきサンプル上の1つまたは複数の部位を決定するように構成可能である。集束粒子ビームの焦点直径を把握することにより、この装置の制御装置は、第1の基準マークのサイズを決定することができる。第1および第2の基準マークのサイズは、第一に基準マークの面積を含み、第二に高さを含む。
【0232】
以下の詳細な説明では、図面を参照して、本発明の現時点で好ましい例示的な実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【
図1a】従来技術に係る、粒子ビーム誘起エッチングプロセスの形態のサンプルの局所的欠陥処理プロセスの模式断面図である。
【
図1b】
図1aの欠陥処理プロセスの結果を再現する図である。
【
図2】サンプルの欠陥の高精度修復に使用可能な装置のいくつかの重要な構成要素を表す模式ブロック図である。
【
図3a】欠陥、4つの第2の犠牲層、集束粒子ビームの走査領域が関連付けられている4つの第2の基準マーク、および第2の基準マークと欠陥との間の4つの第2の基準距離を示すフォトマスクの基板の断面を表す模式平面図である。
【
図3b】基準マークがフォトマスクの基板またはパターン要素上に直接堆積している、
図3aの改良を示す図である。
【
図4】欠陥を覆う第1の部分と、4つの第1の基準マークが生成されている第2の部分と、を有する第1の犠牲層の第1の例示的な実施形態が堆積した、
図3aの断面を再現する図である。
【
図5】欠陥およびその周囲を覆う第1の部分と、第1の基準マークがそれぞれ堆積した4つの第2の部分と、を有する第1の犠牲層の第2の例示的な実施形態が堆積した、
図3aの断面を再現する図である。
【
図6】局所的粒子ビーム誘起エッチングプロセスを第1の犠牲層の第1の部分に対して実行することにより欠陥を露出させた後の
図5を再現する図である。
【
図7】第1の基準マークと明瞭化対象の欠陥との間の第1の基準距離を追加した、
図6を再現する図である。
【
図8】欠陥処理プロセスの終了時の
図7を表す図である。
【
図9】関連する4つの第1および4つの第2の基準マークとともに第1の犠牲層および4つの第2の犠牲層を除去した後の
図3aの修復断面を示す図である。
【
図10】粒子ビーム誘起エッチングプロセスが実行される第1の厚い犠牲層を伴うナノインプリントリソグラフィ用のスタンプの断面を示す図である。
【
図12】
図10および
図11に記載の粒子ビーム誘起エッチングプロセスならびに犠牲層を伴わない比較プロセスに関して、エッチング深さの関数としての公称深さの10%に対応する深さにおいて生成された窪みの幅または直径に関連する測定データを示す図である。
【
図13】エッチングされた窪みの直径を公称エッチング深さの50%で測定した、
図12を再現する図である。
【
図14】
図10および
図11のエッチングプロセスならびに犠牲層を伴わない比較プロセスの側壁角に関連する測定データを示す図である。
【
図15】犠牲層を通じたNILスタンプの粒子ビーム誘起エッチングプロセスであって、スタンプの材料よりも大きな速度で犠牲層がエッチングされる、プロセスの結果を示す図である。
【
図16】犠牲層のエッチング速度がスタンプの材料のエッチング速度よりも小さい、
図15を繰り返す図である。
【
図17】犠牲層およびスタンプのエッチング速度が実質的に同じである、
図15を繰り返す図である。
【
図18】サンプルの少なくとも1つの欠陥を修復するための方法のフローチャートを再現する図である。
【発明を実施するための形態】
【0234】
以下、サンプルを修復するための本発明に係る方法および本発明に係る装置の現時点で好ましい実施形態を説明する。この方法は、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)用のフォトマスクおよびスタンプを参照して記載する。さらに、NIL用のフォトリソグラフィマスクまたはテンプレートの欠陥修復に使用し得る改良された走査型電子顕微鏡の例を使用して、本発明に係る装置を説明する。
【0235】
ただし、本発明に係る方法および本発明に係る装置は、後述の例に限定されない。当業者であれば、局所的堆積プロセスおよび/またはエッチングプロセスを開始するためのエネルギー源として、論じられた走査型電子顕微鏡の代わりに、たとえば集束イオンビームおよび/または集束光子ビームを使用する任意の走査型粒子顕微鏡を採用可能であることが難なく認識されよう。さらに、本発明に係る方法は、例として以下に論じるフォトマスクおよびNILスタンプの形態のサンプルの使用に限定されない。むしろ、上記第3項に例示として掲載した任意のサンプルの実施形態の修復に使用可能である。
【0236】
図1aは、従来技術に係る、サンプル100の欠陥120の修復プロセスの模式断面図である。
図1aに示す例において、サンプル100は、不十分な窪みのエッチングが意図されるウェハ100を含む。すなわち、サンプル100は、過剰材料の欠陥120を有する。窪みを生成するためのエッチングプロセス中のサンプル100に対する集束粒子ビーム130のドリフトを制御する目的で、2つの基準マーク160がサンプル100上に堆積している。粒子ビーム130による基準マーク160の走査時に生じる損傷に対してサンプル100を保護するため、基準マーク160は、犠牲層140上に堆積している。当技術分野においては、基準マーク160をDC(ドリフト補正)マークと称する。
【0237】
粒子ビームを使用したサンプル100の走査に際しては、静電ポテンシャルφ1を生じる電荷がサンプル100の表面上に生成され得る。同様に、粒子ビーム130を使用した基準マーク160の走査に際しては、犠牲層140の帯電φ2を生じる得る電荷が犠牲層140に生成または注入され得る。犠牲層140が帯電すると、サンプル100走査時の荷電粒子ビーム130(たとえば、電子ビーム130)の第1の偏向と、犠牲層140または基準マーク160走査時の前記ビームの第2の偏向と、が生じる。
【0238】
集束粒子ビーム130を使用した欠陥120の走査時および欠陥120の補正を目的とした粒子ビーム誘起エッチングプロセスの実行時には、サンプル100の局所的帯電φ2の問題も同様に発生する。通常、犠牲層140の帯電φ2は、サンプル100の局所的帯電φ1とは異なる。したがって、欠陥120の領域におけるサンプル100の走査時には、基準マーク160の検出を目的とした犠牲層140の走査時と異なるように荷電粒子ビーム130が偏向する。
【0239】
図1bは、
図1aの欠陥修復プロセスの結果を模式的に示している。第一に、欠陥補正のために実行された粒子ビーム誘起局所的エッチングプロセスの欠陥120の周りの縁部170に対する作用によって、修復された欠陥120の周りのサンプル100の縁部170が丸み180を帯びている。第二に、欠陥修復により生成された側壁角190は、90°の規定側壁角と大幅に異なる。
【0240】
後述の装置200は、
図1bと比較して、修復プロセスを実行した結果の改善が可能である。
図2は、サンプル205の分析および/または修復に使用可能な装置200の必須構成要素を模式的に示している。サンプル205は、如何なる微細構造コンポーネントまたは構造部であってもよい。一例として、サンプル205は、NIL用の透過型フォトマスク、反射型フォトマスク、またはテンプレートを含んでいてもよい。さらに、装置200は、たとえば集積回路(IC)、微視的システム(MEMS、MOEMS)、および/またはフォトニック集積回路(PIC)の分析および/または修復に用いられるようになっていてもよい。以下に説明する例において、サンプル205は、フォトリソグラフィマスクまたはNILスタンプである。
【0241】
図2の例示的な装置200は、改良された走査型電子顕微鏡(SEM)である。電子銃215が電子ビーム227を生成すると、ビーム成形素子220およびビーム偏向素子225によって、サンプルステージ210上に配置されているサンプル205へと集束電子ビーム227として案内される。
【0242】
ビーム成形素子220は、単段コンデンサシステム218を具備する。単段コンデンサシステム218は、サンプル205上のスポット径が非常に小さな(D<2nm)集束電子ビーム227のサンプル205上での生成を容易化すると同時に、サンプル205上での電子ビーム227の電子の運動エネルギーを低くする(E<1keV)。SEMは、小さなスポット径をサンプル205上に生成するため、サンプル205からの作動距離が短い。作動距離は、3mm未満の寸法を有していてもよい。低エネルギー電子は、非常に高い空間分解能での実質的に損傷のないサンプル205の処理を容易化する。ただし、電子ビーム227の電子の運動エネルギーが低いことから、サンプル100の帯電φ2および/または犠牲層160の帯電φ1により、電子ビームは不要な偏向の影響を特に受けやすくなる。この問題は、以下の図面に記載の措置により回避される。
【0243】
さらに、ビーム成形素子220は、一組の異なる絞りを具備する。電子ビーム227のビーム電流は、適当な絞りの選択により制御される。
【0244】
サンプルステージ210は、マイクロマニピュレータ(
図2には示さず)を有しており、これによって、サンプル205上の欠陥部位120をサンプル205上の電子ビーム229の入射点の直下に移動可能となる。また、電子ビーム227の焦点がサンプル205の表面上となるように、サンプルステージ210を高さ方向すなわち電子ビーム227のビーム方向に変位可能である(同様に、
図2には示さず)。さらに、サンプルステージ210は、サンプル205を規定温度にして保つことができる温度設定および温度制御のための装置を備え得る(
図2には示さず)。
【0245】
図2の装置200は、サンプル205上の局所的化学反応を開始するためのエネルギー源215として、電子ビーム227を使用する。上記説明の通り、サンプル205の表面に入射する電子は、それぞれの運動エネルギーが広いエネルギー範囲にわたって変動する場合であっても、たとえばイオンビームと比較して、サンプル205への損傷が少なくなる。ただし、ここに提示の装置200および方法は、電子ビーム227の使用に限定されない。むしろ、サンプル205の表面上の電子ビーム227の入射点229において前駆体ガスの化学反応を局所的にもたらし得る任意の所望の粒子ビーム227を使用可能である。代替的な粒子ビームの例は、イオンビーム、原子ビーム、分子ビーム、および/または光子ビームである。さらに、2つ以上の粒子ビームを並行して使用することができる。特に、電子ビーム227および光子ビームをエネルギー源215として同時に使用することができる(
図2には示さず)。
【0246】
電子ビーム227は、サンプル205(たとえば、フォトマスク)、特に、フォトマスクのサンプル205の欠陥部位120の像の記録に使用可能である。後方散乱電子および/または二次電子を検出するための検出器230がサンプル205の表面輪郭および/または組成に比例する信号を供給する。
【0247】
制御装置245によってサンプル205の全体で電子ビーム227を走査することにより、装置200のコンピュータシステム240がサンプル205の像を生成することができる。制御装置245は、
図2に示すように、コンピュータシステム240の一部であってもよいし、別個のユニットとして実行されていてもよい(
図2には示さず)。コンピュータシステム240は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせにて実現され、検出器230の測定データからの像の抽出を可能にするアルゴリズムを含み得る。そして、コンピュータシステム240の画面(
図2には示さず)が算出像を表し得る。さらに、コンピュータシステム240は、検出器230の測定データおよび/または算出像を格納することができる。また、コンピュータシステム240の制御ユニット245は、電子銃215、ビーム結像およびビーム成形素子220および225、ならびに単段コンデンサシステム218を制御するようにしてもよい。制御装置245の制御信号は、マイクロマニピュレータ(
図2には示さず)によるサンプルステージ210の移動をさらに制御し得る。
【0248】
装置200は、第2の検出器235を備えていてもよい。第2の検出器235は、サンプル205により放出される二次電子のエネルギー分布の検出に使用可能である。このため、検出器235によれば、局所的エッチングプロセスにおいてサンプル205から除去される材料の組成を分析可能となる。代替実施形態において、検出器235は、SIMS(二次イオン質量分光)検出器を含み得る。
【0249】
サンプル205に入射する電子ビーム227(または一般的に、集束粒子ビーム227)は、サンプル205を帯電させ得る。結果として、電子ビーム227が偏向し得、欠陥120の記録時および/または修復時の空間分解能が低下し得る。さらに、電子ビーム227による分析および/または修復対象のサンプル205の領域に対するサンプル205の位置合わせに使用されるマイクロマニピュレータがドリフトの影響を受ける可能性がある。サンプル205の局所的帯電および/または熱的ドリフトの影響を抑えるため、装置200は、犠牲層140および基準マーク160をサンプル205に適用するための供給コンテナを備えることにより、分析中すなわちサンプル205を修復する検査および/または動作において、上述の不都合な影響を大幅に回避することができる。
【0250】
装置200は、犠牲層140の堆積を目的として第1の前駆体ガスを貯蔵する第1のコンテナ250を備える。このため、第1のコンテナは、たとえば金属カルボニル(たとえば、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6))を貯蔵していてもよい。
【0251】
第2の供給コンテナ255は、基準マーク160の生成に使用可能な第2の前駆体ガスを貯蔵していてもよい。一例として、第2の前駆体ガスは、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS、Si(OC2H5)4)またはクロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)を貯蔵していてもよい。代替実施形態において、第2の供給コンテナ255は、第1の犠牲層の第2の部分における局所的窪みの形態の第1の基準マークの生成を促進する第1のエッチングガスの形態の第2の前駆体ガスを貯蔵していてもよい。さらに、第1のエッチングガスは、修復対象の欠陥を覆う第1の犠牲層の部分の除去に使用可能である。第1のエッチングガスは、添加ガス(たとえば、酸素(O2)または塩素(Cl2))と組み合わせた二フッ化キセノン(XeF2)を含んでいてもよい。あるいは、第1のエッチングガスは、塩化ニトロシル(NOCl)を含んでいてもよい。
【0252】
第3の供給コンテナ260は、添加ガス(たとえば、ハロゲン化物(たとえば、塩素(Cl2))、還元剤(たとえば、アンモニア(NH3))、または酸化剤(たとえば、二酸化窒素(NO2)または水(H2O)))を貯蔵していてもよい。添加ガスの使用によって、犠牲層140の堆積および/または基準マーク160の生成を補助することができる。さらに、第3のガス貯蔵ユニット260の添加ガスの使用によって、第1の犠牲層の生成後に欠陥を露出させることができる。犠牲層の堆積に二酸化窒素(NO2)の添加ガスを使用すること、および/または、エッチングプロセスの実行に水(H2O)の添加ガスを使用することが好ましい。
【0253】
サンプルステージ210上に配置されているサンプル205を処理するため、すなわち、前記サンプルの欠陥120を修復するため、装置200は、少なくとも第3および第4の前駆体ガス用の少なくとも3つの供給コンテナを備える。
図2の例示的な装置200において、第4のコンテナ265に貯蔵されている第3の前駆体ガスは、3つの異なる処理ガスを含んでいてもよい。これらは、第1の犠牲層の、第1の部分、少なくとも1つの第2の部分、および第1の部分と少なくとも1つの第2の部分との間の導電性接続の堆積に使用可能である。
【0254】
さらに、第4の供給コンテナ265は、別の堆積ガスの形態の第3の前駆体ガスを貯蔵していてもよい。これを使用することにより、電子ビーム誘起堆積(EBID)プロセスによって、不十分な材料をサンプル205上に堆積させる。たとえば犠牲層140の材料とは異なり、第4の供給コンテナから堆積させる材料は、サンプル205に対する非常に優れた付着性を示し、その物理的および光学的特性を可能な限り再現するものとする。一例として、第4の供給コンテナ265には、主族アルコキシド(たとえば、TEOS)または金属カルボニル(たとえば、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)もしくはクロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)が貯蔵され得る。
【0255】
第5の供給コンテナ270は、第2のエッチングガスの形態の第4の前駆体ガスを貯蔵していてもよい。第5の供給コンテナ270の第2のエッチングガスの使用により、局所的電子ビーム誘起エッチング(EBIE)プロセスによって、サンプル205から過剰材料を除去することができる。使用頻度が高いエッチングガスの一例は、二フッ化キセノン(XeF2)である。欠陥がエッチング困難な材料を含む場合、第2のエッチングガスは、塩化ニトロシル(NOCl)を含んでいてもよい。
【0256】
第6の供給コンテナ275は、別の前駆体ガス(たとえば、別の堆積ガスまたは第3のエッチングガス)を貯蔵することができる。別の実施形態において、第6の供給コンテナは、第2の添加ガスを貯蔵していてもよい。
【0257】
図2の例示的な装置200において、各供給コンテナ250、255、260、265、270、275は、単位時間当たりに供給される対応するガスの絶対値、すなわち、電子ビーム227の入射部位におけるガス体積流量をモニタリングまたは制御するため、それぞれの制御弁251、256、261、266、271、276を有する。制御弁251、256、261、266、271、および276は、コンピュータシステム240の制御ユニット245により制御およびモニタリングされる。このため、処理位置229に供給されるガスの分圧比を広範囲に設定することができる。
【0258】
さらに、例示的な装置200において、各供給コンテナ250、255、260、265、270、275は、サンプル205上の電子ビーム227の入射点の近傍にてノズルで終端するそれぞれのガス供給ラインシステム252、257、262、267、272、277を有する。代替実施形態(
図2には示さず)においては、ガス供給ラインシステムの使用によって、共通流中の複数またはすべての処理ガスをサンプル205の表面上に運ぶ。
【0259】
図2に示す例において、弁251、256、261、266、271、276は、対応するコンテナ250、255、260、265、270、275の近傍に配置されている。代替構成において、制御弁251、256、261、266、271、276は、対応するノズル(
図2には示さず)の近傍に組み込み可能である。
図2に示す実例とは異なり、現時点では優先されないものの、コンテナ250、255、260、265、270、275に貯蔵されているガスのうちの1つまたは複数を装置200の真空チャンバ202の下部において非指向的に供給することも可能である。この場合、装置200は、当該装置200の上部における極端に低圧の真空を防止するため、電子ビーム227を供給する当該装置200の下側反応空間202と上部との間において、絞り(
図2には示さず)を組み込む必要がある。
【0260】
供給コンテナ250、255、260、265、270、および275はそれぞれ、対応する供給コンテナの冷却および加熱の両者を可能にするそれぞれの温度設定要素および温度制御要素を有していてもよい。これにより、堆積ガス、添加ガス、およびエッチングガスをそれぞれの最適な温度で貯蔵および提供可能となる(
図2には示さず)。さらに、前駆体が固体または液体の場合は、1つまたは複数の供給コンテナにおける温度によって、1つまたは複数の前駆体ガスの蒸気圧を調節可能である。また、質量流量コントローラ(MFC)によって、ガス状前駆体のガス体積流量を制御可能である。
【0261】
さらに、各供給システム252、257、262、267、172、および277は、サンプル205上の電子ビーム227の入射点において、すべてのプロセスガスをそれぞれの最適な処理温度で供給するため、それぞれの温度設定要素および温度制御要素を備えていてもよい(同様に、
図2には示さず)。コンピュータシステム240の制御装置245は、供給コンテナ250、255、260、265、270、275およびガス供給ラインシステム252、257、262、267、272、277の両者の温度設定要素および温度制御要素を制御可能であるとともに、1つまたは複数のMFCを通るガス体積流量を調節可能である。
【0262】
図2の装置200は、反応チャンバ202において必要な真空を生成して維持するためのポンプシステムを備える(
図2には示さず)。制御弁251、256、261、266、271、276を閉じた状態で、装置200の反応チャンバ202においては、10
-6mbar以下の残留ガス圧が実現される。ポンプシステムは、電子ビーム227を供給するための装置200の上部およびサンプル205を伴うサンプルステージ210を備えた反応チャンバ202を含む下部について、別個のポンプシステムを含んでいてもよい。さらに、装置200は、電子ビーム227の処理点229の近傍において、サンプル205の表面における規定の局所的圧力条件を規定するための吸引抽出装置を備え得る(
図2には示さず)。付加的な吸引抽出装置の使用により、局所的粒子ビーム誘起プロセスでは必要とされない堆積ガス、添加ガス、およびエッチングガスの1つまたは複数の揮発性反応生成物のサンプル205上および/または反応チャンバ202中の堆積を大略防止することができる。1つもしくは複数のポンプシステムならびに付加的な吸引抽出装置の機能についても同様に、コンピュータシステム240の制御装置245によって制御および/またはモニタリング可能である。
【0263】
制御装置245、コンピュータシステム240、またはコンピュータシステム240の専用コンポーネントによって、識別される欠陥120に対する1つまたは複数の基準マーク160のサイズを決定することができる。基準マーク160のサイズには、その面積および高さの両方の決定を含む。さらに、制御装置245、コンピュータシステム240、またはコンピュータシステム240の特定コンポーネントの使用によって、基準マーク160の位置の走査に使用される電子ビーム227の走査領域を決定することができる。制御装置245および/またはコンピュータシステム240は、これを把握することにより、犠牲層130のサイズを決定することができる。
【0264】
制御装置245は通常、分析および/または修復プロセス中のサンプル205と粒子ビーム227との間のドリフトを考慮するため、走査領域のエリアのサイズの2倍となるように、犠牲層140のエリアを選択する。さらに、サンプル205の材料組成を把握することにより、制御装置245は、1つまたは複数の犠牲層140を堆積させるための前駆体ガスを選択することができる。さらに、制御装置245は、1つまたは複数の基準マーク160を犠牲層140上に堆積させるための1つもしくは複数の前駆体ガスならびに任意選択としての添加ガスを選択することができる。犠牲層140および基準マーク160の材料組成を好適に選択することによって、犠牲層140の背景に対する基準マーク160の視認性を最適化することができる。
【0265】
また、基準マーク160の場合と同様に、犠牲層140のサイズには、犠牲層140の横方向寸法のほか、その厚さも含む。これは、粒子ビーム227の規定数の走査手順に耐えるように設計されている。さらに、犠牲層140の厚さは、ごく近傍で実行される修復プロセスの成分が犠牲層140を破壊することなく犠牲層140上に堆積し得るように選択される。最後に、犠牲層140の材料組成は、洗浄プロセス(たとえば、湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセス)によってサンプル205から除去され得るように選択される。
【0266】
図2の下側の部分画像は、1つもしくは複数の犠牲層140ならびに1つもしくは複数の基準マーク160が堆積する装置200内の処理手順の前、最中、および/または終了後のサンプル205の洗浄に使用される洗浄液295を有する洗浄装置290を示している。犠牲層140および基準マーク160は、従来の洗浄プロセスにおいてサンプル205から一体的に除去される。洗浄装置290は、洗浄液295の超音波および/または極超音波励起の生成が可能な1つもしくは複数の超音波源ならびに/または複数の極超音波源(
図2には示さず)を備えていてもよい。さらに、洗浄装置290は、紫外(UV)および/または赤外(IR)スペクトル範囲で発光し、洗浄プロセスの補助として使用可能な1つまたは複数の光源を備えていてもよい。
【0267】
図3aは、フォトマスク300の基板310上の断面305の平面図である。マスク300の断面305には、基板310のパターン要素315および欠陥320を含む。
図3aに示す例において、基板310は、不足材料の欠陥320を有するが、これは、粒子ビーム誘起処理プロセスを使用した修復が意図される。ただし、欠陥320としては、過剰材料の欠陥も可能である。処理プロセス中の粒子ビームまたは電子ビーム227のドリフトの補償を可能にするため、断面305には、4つの第2の基準マーク335、355、365、385を含む。後続の例と同様に、基準マーク335、355、365、および385は、
図3aに示す例において、円筒形状を有する。基準マーク335、355、365、および385は、直径が50nm、高さが100nmであってもよい。
【0268】
第2の基準マーク335、355、365、および385は、第2の犠牲層330、350、370、380上に堆積している。この場合は、2つの第2の犠牲層330および360がマスク300のパターン要素315上に堆積し、2つの第2の犠牲層350および380がマスク300の基板310上に堆積している。第2の犠牲層330、350、370、380は、欠陥320の修復後、たとえば標準的なマスク洗浄プロセスによってマスク300から容易に除去可能となるような材料または材料組成により製造されていてもよい。一例としては、第2の犠牲層330、350、370、および380を堆積させるための前駆体ガスとして、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)を使用可能である。
【0269】
第2の基準マーク335、355、365、385は、別の前駆体ガスまたは第2の前駆体ガスによって、犠牲層330、350、360、380上に堆積しているのが好ましい。第2の前駆体ガスの例としては、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)およびテトラエチルオルトシリケート(TEOS、Si(OC2H5)4)が挙げられる。第2の犠牲層330、350、360、380および第2の基準マーク335、355、365、385は、異なる材料により製造するのが好都合である。結果として、荷電粒子ビーム227を使用して第2の基準マーク335、355、365、385を走査する際には、トポロジの差異のほか、材料の差異が存在する。これにより、第2の基準マーク335、355、365、385の位置を決定するのが容易になる。
【0270】
図3aにおいて、破線の矩形は、第2の基準マーク335、355、365、385の位置の決定を目的として粒子ビーム227により走査される走査領域332、352、362、および382を規定している。
図3aにおいて、4つの両矢印は、欠陥320と基準マーク335、355、365、385との間の第2の基準距離340、345、370、390を示している。
図3aの例示は、欠陥320の処理プロセスの一部においてドリフトを補償するための4つの第2の基準マーク335、355、365、および385を再現している。ドリフトの補償には、第2の基準マーク335、355、365、385のうちの1つおよび基準距離340、345、370、390のうちの1つで十分である。
【0271】
以下に説明する通り、4つの第2の基準距離340、345、370、および390ならびに4つの第2の基準マーク335、355、365、385は、欠陥320の修復を目的として第1の犠牲層を堆積させている間のドリフトの補償に使用される。さらに、ドリフトを補償するための第2の基準マーク335、355、365、385は、エッチングによって欠陥320から犠牲層を除去するための局所的エッチングプロセスにおいても使用可能である。したがって、第2の基準マーク335、355、365、385は、修復対象の欠陥に関して犠牲層をパターン化する間の第1の犠牲層の配置およびドリフトの補償にしか役立たない。ただし、実際の欠陥修復中のドリフトの補償には使用されない。
【0272】
第1の犠牲層の配置に関する要求は、実際の欠陥修復の場合の要求と比較して少ない。したがって、プロセス経済性の理由から、第2の基準マーク335、355、365、および385をフォトマスク300上に直接堆積させるのが好都合と考えられる。この改良を
図3bに示す。
【0273】
図4は、
図3aのマスク断面305の欠陥320の全体および周囲に第1の犠牲層400を適用する第1の例示的な実施形態を示している。第1の犠牲層400は、フォトマスク310の基板310上に全体が堆積している。犠牲層400の第1の部分410は、欠陥320を完全に覆い、欠陥320の周囲に延びている。一改良において、犠牲層400の第1の部分410は、欠陥320の一部のみを覆っていてもよい(
図4には示さず)。別の好適な改良において、第1の犠牲層400またはその第1の部分410は、当該第1の犠牲層400の第1の部分410が可能な限り完全に欠陥320を縁取るように、マスク300の基板310上に堆積している(同様に、
図4には示さず)。ここに述べた2つの改良によって、欠陥320の修復プロセスが簡素化され得る。上記説明の通り、第2の基準マーク335、355、365、385は、ドリフトの補償ひいては欠陥320に関する第1の犠牲層の正確な堆積に使用可能である。
【0274】
図4に示す例示的な実施形態において、第1の犠牲層400の第1の部分410および第2の部分420は、同一平面で相互接続されている。第1の犠牲層400の第2の部分420の角部の領域では、4つの第1の基準マーク425、435、445、455が第1の犠牲層400の第2の部分420上に堆積している。
図4においては、第1の基準マーク425、435、445、455の位置の決定を目的として集束粒子ビーム(たとえば、電子ビーム227)が走査する走査領域422、432、442、452を破線の矩形422、432、442、452で示している。
【0275】
図5は、マスク300の欠陥320上およびその周囲に堆積している第1の犠牲層500の第2の例示的な実施形態を示している。
図5の例においては、第1の犠牲層500の第1の部分510が同様に欠陥320を完全に覆い、また、付加的に欠陥320の縁部を越えて延びている。さらに、第1の犠牲層500は、第1の第2部分530、第2の第2部分540、第3の第2部分550、および第4の第2部分560を備える。犠牲層500の第2の第2部分540および第3の第2部分550は、マスク300の基板310上に堆積するとともに、第1の部分510と重なり合っている。第1の第2部分530および第4の第2部分560は、マスク300のパターン要素315上に堆積するとともに、導電性ウェブ570および580または導電性接続570および580によって、第1の犠牲層500の第1の部分510に接続されている。第1の犠牲層500の第1の部分510のサイズは、欠陥320のサイズおよび欠陥320の修復に使用される粒子ビーム227の焦点直径によって決まる。
【0276】
第1の犠牲層500の第2の例示的な実施形態は、第1の犠牲層が設計され得る柔軟性を示している。第2の部分の一部がパターン要素315上に配置されていることにより、欠陥修復により生じる考えられるマスクへの損傷を最小限に抑えることができる。さらに、基準マーク535、565の位置を決定する目的で集束粒子ビーム227がパターン要素315の縁部全体を走査する必要性を回避することができる。結果として、基準マーク535、565の位置の決定精度が最適化され得る。
【0277】
犠牲層500の4つの第2の部分530、540、550、560のそれぞれには、それぞれ、第1の基準マーク535、545、555、565が堆積している。さらに、第1の犠牲層500の第2の部分530、540、550、560には、第1の基準マーク535、545、555、565を検出するための集束粒子ビームの走査領域532、542、552、562がプロットされている。第1の犠牲層500の4つの第2の部分530、540、550、560のエリアは、欠陥320を修復するための集束粒子ビーム227のドリフトが比較的大きい場合であっても、集束粒子ビーム227が第1の犠牲層の第2の部分530、540、550、560の全体のみを走査するように寸法規定されている。結果として、第1の犠牲層500の制御不可能な局所的帯電を確実に回避可能となる。基準マーク425、435、445、455、535、545、555、および565は、直径が50nm、高さが100nmであってもよい。
【0278】
第1の犠牲層400、500は、導電性材料の組成を有する。一例として、犠牲層400、500は、前駆体ガス(たとえば、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6))に添加ガス(たとえば、酸化剤)を任意選択として添加した状態で局所的粒子ビーム誘起堆積プロセスを実行することにより、マスク300の基板310上またはマスク300のパターン要素315上に堆積していてもよい。当然のことながら、第1の導電性犠牲層400、500の堆積には、別の材料(たとえば、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6))も使用可能である。
【0279】
図4の第1の犠牲層400の場合、第1の部分410および第2の部分420は、同じ材料組成を有する。
図5の第1の犠牲層500の場合も同様に、第1の部分510、4つの第2の部分530、540、550、560、および2つの導電性接続570、580が単一の前駆体ガスにより堆積したものであってもよい。ただし、異なる前駆体ガスによっても同様に、第1の部分510、第2の部分530、540、550、560、および導電性接続をマスク300の基板310上またはパターン要素315上に堆積させることができる。
【0280】
第1の犠牲層400、500のエリアを可能な限り大きく寸法規定するのが好都合である。結果として、欠陥320の除去および/または欠陥の修復の範囲内において第1の基準マーク530、540、550、560を走査する際の帯電が生成され大きなエリアに分散し得る。その結果、生成された帯電では、第1の犠牲層400、500の静電ポテンシャルがわずかにしか変化しない。ただし、特に重要なのは、静電ポテンシャルが第1の犠牲層400、500の全体で均一または均質に変化することである。これは、第1の基準マーク535、545、555、565の走査、第1の部分410、510のエッチング、および欠陥320の処理に際して、集束粒子ビーム227が実質的に同じ静電ポテンシャルを見込むため、どこでも同じ偏向になることを意味する。
【0281】
犠牲層400、500の第1の部分410、510の厚さは、第1の部分410、510が基本的に損傷を受けることなく欠陥320の処理プロセスに耐えるように選択される。第1の犠牲層400、500の第2の部分420または第2の部分420、530、540、550、560の厚さは、第1の基準マーク425、435、445、455、535、545、555、565を複数回数または多数回数走査した結果としても、第2の部分420または第2の部分420、530、540、550、560が実質的に変化しないように設計される。装置200の制御装置245および/またはコンピュータシステム240は、欠陥320および集束粒子ビーム227を把握することにより、犠牲層400、500の第1の部分410、510ならびに/または第2の部分420もしくは第2の部分530、540、550、560の厚さを決定することができる。
【0282】
また、第2の犠牲層330、350、360、380および第2の基準マーク335、355、365、385の背景において上述した通り、犠牲層400、500の第2の部分420または第2の部分530、540、550、560は、第1の基準マーク425、435、445、455、535、545、555、565が当該第2の部分420または第2の部分530、540、550、560と異なる材料組成を有する場合にも都合が良い。トポロジの差異とともに材料の差異が生じると、第1の基準マーク425、435、445、455、535、545、555、565の検出が容易になる。
【0283】
図4および
図5に基づいて説明した第1の犠牲層400、500の堆積の後は、
図4および
図5において第1の部分410、510により完全に覆われた欠陥320を露出させる。通常、これは、局所的粒子ビーム誘起エッチングプロセスにより実行される。この目的に使用されるエッチングガスおよび付加的に必要となる添加ガスは、第1の犠牲層400、500の第1の部分410、510の材料組成に基づいて選択される。使用する1つまたは複数の前駆体ガスの選択は、制御装置245および/またはコンピュータシステム240により対応可能である。考え得るエッチングガスには、二フッ化キセノン(XeF
2)自体または水(H
2O)との組み合わせを含む。第1の犠牲層400、500の第1の部分410、510が必須成分としてクロムを含む場合は、欠陥320を除去するための局所粒子ビーム誘起エッチングプロセスにおける前駆体ガスとして、水(H
2O)と組み合わせた塩化ニトロシル(NOCl)を使用することができる。
【0284】
欠陥に対する集束粒子ビーム227のドリフトは、第2の基準距離340、345、370、390および第2の基準マーク335、355、365、385によって補償される。このため、局所的エッチングプロセスが規則的または不規則な時間間隔で中断され、装置200の集束粒子ビーム227が第2の犠牲層330、350、360、380の全体を走査することにより、第2の基準マーク335、355、365、385の位置を決定する。制御装置245および/またはコンピュータシステム240は、測定データから、ドリフトの発生を判定して補正する。
【0285】
図3aに示す欠陥320は、フォトマスク300の基板310の不足材料の欠陥である。欠陥320が過剰材料の欠陥である場合は、欠陥の除去および欠陥のエッチングを単一のプロセスステップで実行することができる。局所的エッチングプロセスの第1の部分のドリフトは、第2の基準マーク335、355、365、385によって補正される。実際の欠陥がエッチングされる範囲内での局所的エッチングプロセスの第2の部分のドリフトは、第1の基準マーク425、435、445、455、535、545、555、565によって補正される。検出された後方散乱電子および/または二次電子のスペクトルに基づいて、装置200は、エッチングされているのが第1の犠牲層400、500の第1の部分410、510であるか欠陥320であるかを認識することができる。必要に応じて、エッチングガスまたはエッチングガスと添加ガスとの組み合わせをエッチングプログレスに対して調整することができる。
【0286】
図4および
図5の例において、犠牲層400、500は、欠陥320を完全に覆っている。欠陥320(基板材料不足の欠陥)の処理に先立って、欠陥320から、欠陥320を覆う第1の犠牲層400、500の第1の部分410、510の部分を除去する必要がある。したがって、第1の犠牲層400、500の第1の部分410、510が欠陥全体を覆っていなければ都合が良い(
図4および
図5には示さず)。第1の部分410、510が欠陥320の一部にしか延びていない場合は、実際の欠陥修復に先立って欠陥320から除去する必要がある材料が少なくなる。考え得る最良の場合において、第1の犠牲層400、500の第1の部分410、510は、欠陥320の縁部325の全体にわたって延びている。結果として、犠牲層400、500の第1の部分410、510のエッチングステップの経済性を高めることができる。上記説明の通り、第2の基準マーク335、355、365、および385の使用によって堆積手順中にドリフトを補正することにより、犠牲層400、500の第1の部分410、510を正確に堆積可能となる。
【0287】
第1の基準マーク525、535、545、555と除去される欠陥320との間の基準距離720、730、740、750は依然として、実際の欠陥処理プロセスの開始前に決定される。
図7においては、基準距離720、730、740、750を再現している。それ以外について、
図7は
図6に対応する。基準距離720、730、740、750の決定は、集束粒子ビーム227を使用して欠陥320および第1の基準マーク525、535、545、555を走査することにより実行可能である。装置200の制御装置245および/またはコンピュータシステム240は、測定データから基準距離720、730、740、750を決定することができる。
【0288】
ここで、粒子ビーム誘起堆積プロセスによる欠陥320の処理中に第1の基準マーク425、435、445、455、535、545、555、565および第1の基準距離720、730、740、750を使用することにより、修復対象の欠陥320に対して、集束粒子ビーム227のドリフトを補正することができる。このため、局所的堆積プロセスが規則的または不規則な時間間隔で中断され、第1の基準マーク535、545、555、565が集束粒子ビーム227を使用して走査される。制御装置245および/またはコンピュータシステム240は、このように測定データから、ドリフトの発生を判定して補正することができる。欠陥320をマスク300の基板310の材料で充填するには、ケイ素含有前駆体ガス(たとえば、テトラエチルオルトシリケート(TEOS、Si(OC2H5)4))を使用可能である。
【0289】
図6および
図7に示すように、犠牲層400、500の第1の部分410、510は、欠陥320の全周に延びている。結果として、犠牲層400、500の第1の部分410、510は、欠陥320のごく近傍で発生する局所的堆積プロセスの影響から、欠陥を囲むフォトマスク300の基板310を効果的に保護することができる。
図8は、欠陥320の修復プロセスの終了後のマスク断面305を示している。欠陥320は、基板材料800の堆積によって完全に除去されている。ただし、局所堆積プロセスによって、欠陥320の周りの第1の犠牲層400、500の第1の部分410、510にも基板材料800が堆積してしまっており、これは望ましくない。これを
図8の参照記号850で示す。
【0290】
図9は、第2の犠牲層330、350、360、380の除去後の
図3aのフォトリソグラフィマスク300の断面305のSEM像を再現しており、第2の基準マーク335、355、365、385および第1の犠牲層400、500が対応する第1の基準マーク425、435、445、455、535、545、555、565と関連付けられている。洗浄装置290の洗浄液295による残留物を実質的に伴わずに、基準マーク335、355、365、385、425、435、445、455、535、545、555、565が配置されている犠牲層330、350、360、380、400、500と、犠牲層500の第1の部分510の縁部領域850の基板材料800と、がフォトマスク300から除去されている。記載の方法の大きな利点として、欠陥補正プロセスの終了後に、標準的な洗浄プロセス(たとえば、従来のマスク洗浄)によって、サンプル205に堆積した補助構造をサンプル205から除去することができる。
【0291】
ただし、局所的粒子ビーム誘起エッチングプロセスによって、マスク300から、基準マーク335、355、365、385、425、435、445、455、535、545、555、565が配置されている犠牲層330、350、360、380、400、500の一部または全部を除去することも可能である。この手順は、堆積した補助構造が干渉する可能性のあるサンプル205からの1つまたは複数の別の欠陥の除去が意図される場合に好都合となり得る。装置200においては、真空の破壊を伴って装置200からサンプル205を取り外す必要なく、代替的な除去を実行可能である。
【0292】
図10の画像1095は、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)用スタンプ1000の断面の記録を示している。後続の
図11の画像1195と同様に、
図10の画像1095の記録は、高角環状暗視野(HAADF)によって記録された走査型透過電子顕微鏡(STEM)の記録を再現している。
【0293】
周期的な間隔または不規則な間隔でNILスタンプ1000に窪み1010をエッチングすることが意図される。エッチングプロセスは、
図2に基づいて記載の装置200を使用して実行される。これは、EBIEプロセスが実行されることを意味する。局所的エッチングプロセス中にスタンプ1000を保護するため、処理対象のスタンプ100の領域すなわち窪み1020の生成が意図される領域のエリア全体にわたって、「硬質マスク」の形態の犠牲層1010が堆積している。犠牲層1010は、前駆体ガスを使用するEBIDプロセスによって、スタンプ1000上に堆積している。
図10および
図11の例においては、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)
6)前駆体ガスが使用される。画像1095は、厚い犠牲層1010を有する。厚い犠牲層1010は、厚さが100nmのオーダであってもよい。
【0294】
図10および
図11に記載の例において、窪み1020は、犠牲層1010を通ってエッチングされている。犠牲層1010は、エッチングプロセスにおいて、生成対象の窪み1020の周りのスタンプ1000の表面1030を効果的に保護する機能を有する。さらに、犠牲層1010は、NILスタンプ1000の表面1030のエッチングに際して発生する縁部の丸み1040を最小限に抑えることが意図される。さらに、犠牲層1010の目的として、エッチングされる窪み1020がスタンプ1000の表面1030に関して、直角に可能な限り近い側壁角1050を有するように、生成される窪み1020の側壁角1050を最大化する。
【0295】
図11の画像1195は、
図10の画像1095を再現しているが、両者の差異として、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)
6)前駆体ガスに基づいて堆積した犠牲層1120の方がより小さな厚さを有する。一例として、
図11の犠牲層1110の厚さは、
図10の犠牲層1010の厚さの略半分であってもよい。
【0296】
図12~
図14の画像1200、1300、および1400は、
図10および
図11に示すNILスタンプ1000および1100の窪み1020、1120の測定データを示している。薄い犠牲層1110を通してエッチングされた窪み1120の測定データは、画像1200~1400の文字(b)により示される。厚い犠牲層1010を通してエッチングされた薄層1020の測定データは、画像1200~1400の文字(c)により表される。比較を目的として、保護犠牲層1010、1110を前もって適用することなく、NILスタンプに対して、窪み1020、1120を生成するためのエッチングプロセスを実行した。以下の画像1200~1400において、このエッチングプロセスの測定データは、文字(a)により表示される。
【0297】
図12の画像1200は、生成された窪み1020、1120の幅をエッチング深さの関数として示している。
図12に示す測定データにおいて、エッチングされた窪み1020、1120の幅または直径は、規定のエッチング深さの10%に対応する深さで測定されている。NILスタンプ1000、1100が犠牲層1010、1110により覆われない範囲内でのエッチングとの比較において、保護犠牲層1010、1110なくエッチングされた窪みは、非常に大きな直径(a)を有する。
【0298】
図13の画像1300は、エッチングされた窪み1020、1120の測定データを再現しており、窪み1020、1120の幅または直径は、公称エッチング深さの50%に対応する深さで測定されたものである。50%の深さであっても、犠牲層1010、1110なく生成された窪み1020、1120は依然として、犠牲層1010、1110を通してエッチングされた窪み1020、1120よりも大きな直径を有する。ただし、画像1200および1300の比較から、これらの差異は、表面1030、1130からの距離の増加とともに小さくなることが明らかである。
【0299】
図14の画像1400は、上述の3つの測定データセットについて測定された側壁角を生成された窪み1020、1120の関数として表している。犠牲層1010、1110が適用されていると、犠牲層1010、1110の保護なく実行されたEBIEプロセスと比較して、エッチングされた窪み1020、1120の側壁角が大きくなる。
【0300】
図15~
図17の画像1595、1695、および1795は、EBIEプロセスによってNILスタンプに窪みを生成するための
図10および
図11に示すエッチングプロセスの拡大断面を示している。EBIEプロセスは、エッチングガスおよび任意選択としての添加ガスと組み合わせた装置200の集束粒子ビーム227により実行される。上記説明の通り、集束粒子ビーム227の好ましい粒子は、電子である。
【0301】
窪み1520、1620、1720のエッチングに先立って、窪み1520、1620、1720の製造が意図される部分の表面1530上に犠牲層1510が堆積している。これは、
図10および
図11の例において説明したようなエッチングプロセスが犠牲層1510を通して実行されることを意味する。犠牲層1510としては、
図10および
図11の犠牲層1010、1110の一方が可能である。当然のことながら、犠牲層1510の堆積を目的として、異なる前駆体ガス(たとえば、異なる金属カルボニル(たとえば、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)
6)))を使用可能である。
【0302】
図15の画像1595は、NILスタンプ1500の材料よりも高速に犠牲層1510をエッチングするエッチングガス、2つ以上のエッチングガスの組み合わせ、またはエッチングガスおよび添加ガスを使用したエッチングプロセスの結果を示している。犠牲層1510のエッチング速度が大きい結果として、犠牲層1510は、エッチング継続時間が長くなるにつれて、計画された窪み1520の縁部からさらに後退する。プロセスにおいて解放されるスタンプ1500の表面1530は、保護なしのEBIEプロセスの別の影響を受ける。窪み1520に沿う表面1530の縁部は、粒子ビーム誘起エッチングプロセスの結果として大きな丸み1540を帯びる。さらに、EBIEプロセスでは、側壁角1550が90°よりもはるかに小さな漏斗状構造の窪み1520が生成される傾向にある。
【0303】
図16の画像1695は、犠牲層1010の材料よりも高速にスタンプ1500の材料をエッチングしたEBIEプロセスの結果を示している。粒子ビーム誘起エッチングプロセスによって犠牲層1510に開口が生じると、前記プロセスは、犠牲層1510内よりもスタンプ1500内で高速に進行する。これにより、犠牲層1510のアンダーエッチング1640が生成されて望ましくない。さらに、窪み1620の側壁角1650は、スタンプ1500の表面1530に関して規定された直角から大幅に逸脱する。全体として、生成された窪み1620は、規定の円筒形状から大きく逸脱している。
【0304】
図17の画像1795は、エッチングガスが犠牲層1510の材料およびNILスタンプ1500の材料を同じ速度でエッチングするEBIEプロセスの完了後の窪み1720を示している。表面1530から窪み1720への遷移における縁部の丸み1740は、犠牲層1510およびスタンプ1500の均一なエッチングによって最小限に抑えられている。さらに、犠牲層1510およびスタンプ1500を同じ速度でエッチングするEBIEプロセスによって、側壁角1750は最大限に大きくなる。
【0305】
したがって、犠牲層1510を通して粒子ビーム誘起エッチングプロセスを実行する場合は、犠牲層1510およびサンプル205、300、1500に対して同じエッチング速度の条件が満たされるようにEBIEプロセスを設計するのが特に好都合である。これは、エッチングガスを所与として、犠牲層1510に対する好適な材料の選択によって実現され得る。犠牲層1510の材料を所与として、犠牲層1510およびサンプル205、300、1500を実質的に同じ速度でエッチングするエッチングガス、さまざまなエッチングガスの組み合わせ、ならびに/またはエッチングガスおよび少なくとも1つの添加ガスを選択することができる。犠牲層1510の材料およびエッチングガスの両者を選択可能であれば特に都合が良い。
【0306】
最後に、
図18は、本願に記載のようなサンプル205、300、1500の欠陥320を修復するための方法のフローチャート1800を示している。この方法は、ステップ1810で開始となる。最初のステップ1820においては、集束粒子ビーム227を使用してサンプル205、300、1500の欠陥マップを決定する。欠陥マップは、少なくとも1つの欠陥320を含む。装置200の集束粒子ビーム227を使用することにより、サンプル205、300、1500の少なくとも1つの欠陥320を走査可能である。装置200の制御装置245および/またはコンピュータシステム240は、集束粒子ビーム227により生成された測定データから、サンプル205、300、1500の欠陥マップを決定することができる。
【0307】
次のステップ1830においては、少なくとも1つの第2の局所的犠牲層330、350、370、380をサンプル205、300、1500上に生成する。少なくとも1つの第2の局所的犠牲層330、350、370、380は、装置200によりEBIDプロセスを実行することによって、サンプル205、300、1500上に堆積可能である。
【0308】
その後、ステップ1840においては、少なくとも1つの第2の基準マーク335、355、365、385を少なくとも1つの第2の局所的犠牲層330、350、360、380上に生成する。少なくとも1つの第2の基準マーク335、355、365、385は、少なくとも1つの第1の基準マーク425、435、445、455、535、545、555、565より、少なくとも1つの欠陥320からの距離が長い。少なくとも1つの第2の基準マーク335、355、365、385は、装置200により粒子ビーム誘起堆積プロセスを実行することによって生成可能である。
【0309】
ステップ1820、1830、および1840は、サンプル205、300、1500の少なくとも1つの欠陥320を修復するための方法の任意選択的なステップである。したがって、
図18においては、これらのステップを破線の縁部で表している。
【0310】
ステップ1850においては、第1の部分410、510および少なくとも1つの第2の部分420、530、540、550、560を有する少なくとも1つの第1の局所的導電性犠牲層400、500を生成する。第1の部分410、510は、少なくとも1つの欠陥320に近接し、第1の部分410、510および少なくとも1つの第2の部分420、530、540、550、560は、相互に導電接続されている。装置200は、EBIDプロセスを実行することにより、第1の局所的導電性犠牲層400、500をサンプル205、300、1500上に生成可能である。
【0311】
次のステップ1860においては、少なくとも1つの欠陥320の修復中に、少なくとも1つの欠陥320に関して、集束粒子ビーム227のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の基準マーク425、435、445、455、535、545、555、565を第1の局所的導電性犠牲層400、500の少なくとも1つの第2の部分420、530、540、550、560上に生成する。このプロセスステップは、少なくとも1つの前駆体ガスと組み合わせて装置200の集束粒子ビーム227により実行可能である。最後に、この方法は、ステップ1870において終了となる。
【0312】
以下、本発明の理解を促進するため、他の実施形態を説明する。
【0313】
1.集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための方法(1800)であって、
a.少なくとも1つの第1の局所的導電性犠牲層(400、500)をサンプル(205、300、1500)上に生成するステップ(1850)であり、第1の局所的導電性犠牲層(400、500)が、第1の部分(410、510)および少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)を有し、第1の部分(410、510)が、少なくとも1つの欠陥(320)に近接し、第1の部分(410、510)および少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)が、相互に導電接続されている(570、580)、ステップ(1850)と、
b.少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、少なくとも1つの欠陥(320)に関して、集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を第1の局所的導電性犠牲層(400、500)の少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)上に生成するステップ(1860)と、
を含む、方法(1800)。
【0314】
2.少なくとも1つの欠陥(320)に対する第1の部分(410、510)の近接が、少なくとも1つの欠陥(320)の縁部(325)に対する第1の部分(410、510)の近接、第1の部分(410、510)による少なくとも1つの欠陥(320)の部分的被覆、および第1の部分(410、510)による少なくとも1つの欠陥(320)の完全被覆から成る群の少なくとも1つの要素を含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0315】
3.少なくとも1つの欠陥(320)の修復が開始される前に、少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)と少なくとも1つの欠陥(320)との間の少なくとも1つの第1の基準距離(720、730、740、750)を決定するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0316】
4.少なくとも1つの第2の部分(430、530、540、550、560)が、少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を検出するための集束粒子ビーム(227)の少なくとも1つの走査領域(422、432、442、452、532、542、552、562)の全体に延びている、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0317】
5.第1の局所的導電性犠牲層(400、500)を生成するステップが、少なくとも1つの第1の前駆体ガスと組み合わせて集束粒子ビーム(227)により第1の局所的導電性犠牲層(400、500)を堆積させることを含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0318】
6.少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を生成するステップが、少なくとも1つの第2の前駆体ガスと組み合わせて集束粒子ビーム(227)を使用して少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を堆積させることを含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0319】
7.少なくとも1つの欠陥(320)が修復される前に、少なくとも1つの欠陥(320)を覆う第1の犠牲層(400、500)の第1の部分(410、510)の部分を除去するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0320】
8.少なくとも1つの欠陥(320)が、過剰材料の欠陥を含み、当該方法(1800)が、第1の犠牲層(400、500、1510)を少なくとも部分的に通して、少なくとも1つの欠陥(320)を修復するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0321】
9.第1の犠牲層(400、500)の第1の部分(410、510)および少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)が、少なくとも1つの欠陥(320)を修復する動作によって、少なくとも1つの欠陥(320)を含む像断面が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下だけ歪むような横方向範囲を有する、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0322】
10.少なくとも1つの欠陥(320)が、過剰材料の欠陥を含み、少なくとも1つの欠陥を修復する動作が、集束粒子ビームにより誘起されるエッチングプロセスのエッチング速度が少なくとも1つの欠陥(320)および第1の部分(410、510)に対して実質的に同じとなるように、第1の犠牲層(400、500、1510)の第1の部分(410、510)、第2のエッチングガス、および/または少なくとも1つの添加ガスの材料組成を選択することを含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0323】
11.集束粒子ビーム(227)でサンプル(205、300、1500)を走査することにより、サンプル(205、300、1500)の欠陥マップを生成するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0324】
12.少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)をサンプル(205、300、1500)上に生成するステップと、少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)と第1の犠牲層(400、500)の生成開始前の少なくとも1つの欠陥(320)との間の少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)を決定するステップと、をさらに含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0325】
13.少なくとも1つの第2の犠牲層(330、350、360、380)をサンプル(205、300、1500)上に生成するステップと、少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)を少なくとも1つの第2の犠牲層(330、350、360、380)上に堆積させるステップと、少なくとも1つの第2の基準マーク(335、345、365、385)と第1の犠牲層(400、500)の生成開始前の少なくとも1つの欠陥(320)との間の少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)を決定するステップと、をさらに含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0326】
14.少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)が、少なくとも1つの第1の基準距離(720、730、740、750)よりも大きい、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0327】
15.第1の犠牲層(400、500)を生成することと、少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)および少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)の使用により、少なくとも1つの欠陥(320)から、少なくとも1つの欠陥(320)を覆う第1の犠牲層(400、500)の第1の部分(410、510)の部分を除去することと、から成る群の少なくとも1つの要素を実行している間にドリフトを補正するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0328】
16.湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスの範囲内において、サンプル(205、300、1500)から、第1の犠牲層(400、500)および少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を一体的に除去するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0329】
17.湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスの範囲内において、サンプル(205、300、150000)から、第1の犠牲層(400、500)、少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)、および少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)を一体的に除去するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法(1800)。
【0330】
18.実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法ステップの実行をコンピュータシステム(240)に指示する命令を含むコンピュータプログラム。
【0331】
19.集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための装置(200)であって、
a.少なくとも1つの第1の局所的導電性犠牲層(400、500)をサンプル(205、300、1500)上に生成するための手段であり、第1の局所的導電性犠牲層(400、500)が、第1の部分(410、510)および少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)を有し、第1の部分(410、510)が、少なくとも1つの欠陥(320)に近接し、第1の部分(410、510)および少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)が、相互に導電接続されている、手段と、
b.少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、少なくとも1つの欠陥(320)に関して、集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を第1の局所的導電性犠牲層(400、500)の少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)上に生成するための手段と、
を備える、装置(200)。
【0332】
20.第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、当該装置(200)が、サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーが3000eV未満、好ましくは1500eV未満、より好ましくは1000eV未満、さらに好ましくは800eV未満、最も好ましくは600eV未満である場合に、電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、実施形態19に記載の装置(200)。
【0333】
21.実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法を実行するように構成されている、実施形態19に記載の装置(200)。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための方法であって、
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)に関して、前記集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、前記少なくとも1つの欠陥(320)に近接して、前記サンプル(205、300、1500)上に少なくとも1つの第1の犠牲層(400、500)を生成するステップを含む、方法。
【請求項2】
集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための方法であって、
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)に関して、前記集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の導電性犠牲層を前記サンプル(205、300、1500)上に生成するステップを含む、方法。
【請求項3】
前記第1の犠牲層(400、500)が、第1の局所的導電性犠牲層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の導電性犠牲層が、第1の局所的導電性犠牲層を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記集束粒子ビーム(227)が、集束電子ビームを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの第1の基準マークを前記第1の犠牲層上に生成するステップをさらに含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の犠牲層(400、500)が、第1の部分(410、510)および少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)を有し、前記第1の部分(410、510)が、前記少なくとも1つの欠陥(320)に近接し、前記第1の部分(410、510)および前記少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)が、相互に導電接続されている(570、580)、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を前記第1の犠牲層(400、500)の前記少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)上に生成するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復前に、前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)と前記少なくとも1つの欠陥(320)との間の少なくとも1つの第1の基準距離(720、730、740、750)を決定するステップをさらに含む、請求項6
に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの欠陥(320)に対する前記第1の部分(410、510)の近接が、前記少なくとも1つの欠陥(320)の縁部(325)に対する前記第1の部分(410、510)の近接、前記第1の部分(410、510)による前記少なくとも1つの欠陥(320)の部分的被覆、および前記第1の部分(410、510)による前記少なくとも1つの欠陥(320)の完全被覆から成る群の少なくとも1つの要素を含む、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)が、前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を検出するための前記集束粒子ビーム(227)の少なくとも1つの走査領域(422、432、442、452、532、542、552、562)の全体に延びている、請求項8に記載の方法
。
【請求項12】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するステップが、少なくとも1つの第1の前駆体ガスと組み合わせて前記集束粒子ビーム(227)により前記第1の犠牲層(400、500)を堆積させることを含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を生成するステップが、少なくとも1つの第2の前駆体ガスと組み合わせて前記集束粒子ビーム(227)を使用して前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を堆積させることを含む、請求項6
に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復前に、前記少なくとも1つの欠陥(320)を覆う前記第1の犠牲層(400、500)の前記第1の部分(410、510)の部分を除去するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの欠陥(320)が、過剰材料の欠陥を含み、前記方法が、前記第1の犠牲層(400、500、1510)を少なくとも部分的に通して、前記少なくとも1つの欠陥(320)を修復するステップをさらに含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の犠牲層(400、500)の前記第1の部分(410、510)および前記少なくとも1つの第2の部分(420、530、540、550、560)が、前記少なくとも1つの欠陥(320)を修復する動作によって、前記少なくとも1つの欠陥(320)を含む像断面が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下だけ歪むような横方向範囲を有する、請求項7
に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの欠陥(320)が、過剰材料の欠陥を含み、前記少なくとも1つの欠陥を修復する動作が、集束粒子ビーム(227)により誘起されるエッチングプロセスのエッチング速度が前記少なくとも1つの欠陥(320)および前記第1の部分(410、510)に対して実質的に同じとなるように、前記第1の犠牲層(400、500、1510)の前記第1の部分(410、510)、第2のエッチングガス、および/または少なくとも1つの添加ガスの材料組成を選択することを含む、請求項7
に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプル(205、300、1500)の欠陥マップを生成するために、前記集束粒子ビーム(227)で前記サンプル(205、300、1500)を走査することをさらに含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)を前記サンプル(205、300、1500)上に生成するステップと、前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)と前記第1の犠牲層(400、500)の生成前の前記少なくとも1つの欠陥(320)との間の少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)を決定するステップとをさらに含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの第2の犠牲層(330、350、360、380)を前記サンプル(205、300、1500)上に生成するステップと、前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)を前記少なくとも1つの第2の犠牲層(330、350、360、380)上に堆積させるステップと、前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、345、365、385)と前記第1の犠牲層(400、500)の生成前の前記少なくとも1つの欠陥(320)との間の前記少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)を決定するステップと、をさらに含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)が、前記少なくとも1つの第1の基準距離(720、730、740、750)よりも大きい、請求項9に直接的または間接的に従属する、請求項19
に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成することと、前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)および前記少なくとも1つの第2の基準距離(340、345、370、390)の使用により、前記少なくとも1つの欠陥(320)から、前記少なくとも1つの欠陥(320)を覆う前記第1の犠牲層(400、500)の前記第1の部分(410、510)の部分を除去することと、から成る群の少なくとも1つの要素を実行している間にドリフトを補正するステップをさらに含む、請求項19
に記載の方法。
【請求項23】
湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスを使用して、前記サンプル(205、300、1500)から、前記第1の犠牲層(400、500)および前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)を一体的に除去するステップをさらに含む、請求項6
に記載の方法。
【請求項24】
湿式化学的洗浄プロセスおよび/または機械的洗浄プロセスを使用して、前記サンプル(205、300、150000)から、前記第1の犠牲層(400、500)、前記少なくとも1つの第1の基準マーク(425、435、445、455、535、545、555、565)、および前記少なくとも1つの第2の基準マーク(335、355、365、385)を一体的に除去するステップをさらに含む、請求項6
に直接的または間接的に従属する、請求項19
に記載の方法。
【請求項25】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法ステップの実行をコンピュータシステム(240)に促す命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項26】
集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための装置(200)であって、
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)に関して、前記集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、前記少なくとも1つの欠陥(320)に近接して、前記サンプル(205、300、1500)上に少なくとも1つの第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段を備える、装置(200)。
【請求項27】
集束粒子ビーム(227)を使用してサンプル(205、300、1500)の少なくとも1つの欠陥(320)を修復するための装置(200)であって、
前記少なくとも1つの欠陥(320)の修復中に、前記少なくとも1つの欠陥(320)に関して、前記集束粒子ビーム(227)のドリフトを補正するために、少なくとも1つの第1の導電性犠牲層を前記サンプル(205、300、1500)上に生成するための手段を備える、装置(200)。
【請求項28】
前記第1の犠牲層を生成するための手段が、第1の局所的導電性犠牲層を生成するための手段を含む、請求項26または27に記載の装置(200)。
【請求項29】
単段コンデンサシステム(218)を有する電子カラムをさらに備える、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項30】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを3000eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項31】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを1500eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項32】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを1000eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項33】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを800eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項34】
前記第1の犠牲層(400、500)を生成するための手段が、少なくとも1本の電子ビーム(227)を含み、前記装置(200)が、前記サンプル(205、300、1500)に衝突する電子の運動エネルギーを600eV未満として、前記電子ビーム(227)を直径2nm未満で集束させるように構成されている、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項35】
前記装置(200)の前記集束粒子ビーム(227)の局所的処理エリアが、10nm未満の最小直径を有する、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項36】
前記電子カラムの出口と前記サンプル(205、300、1500)との間の作動距離が、5mm未満である、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項37】
前記電子カラムの出口と前記サンプル(205、300、1500)との間の作動距離が、4mm未満である、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項38】
前記電子カラムの出口と前記サンプル(205、300、1500)との間の作動距離が、3mm未満である、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項39】
前記電子カラムの出口と前記サンプル(205、300、1500)との間の作動距離が、2.5mm未満である、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項40】
前記電子カラムが、一組の異なるアパーチャを使用するように構成されている、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【請求項41】
前記一組のアパーチャのうちの1つのアパーチャを選択することにより、前記電子ビーム(227)のビーム電流を制御するように構成されている制御ユニット(245)をさらに備える、請求項40に記載の装置(200)。
【請求項42】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されている、請求項
26または27に記載の装置(200)。
【国際調査報告】