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特表2024-532056鉱物材料の乾式粉砕、粉砕された鉱物材料、及びそれらの建設材料中での使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】鉱物材料の乾式粉砕、粉砕された鉱物材料、及びそれらの建設材料中での使用
(51)【国際特許分類】
   C04B 20/02 20060101AFI20240829BHJP
   C04B 14/28 20060101ALI20240829BHJP
   C04B 7/52 20060101ALI20240829BHJP
   C04B 28/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C04B20/02 Z
C04B14/28
C04B7/52
C04B28/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501515
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022065897
(87)【国際公開番号】W WO2023036480
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】21195310.4
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヘラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス ウンセルド
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA10
4G112PB08
(57)【要約】
本発明は、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕中における粉砕添加剤の使用であって、粉砕添加剤が、アルカノールアミン、グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、高吸収性ポリマー、又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする使用に関する。本発明は、上記添加剤を含む粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石、及び上記粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石のセメント及び/又は建設材料中での使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物材料、特に石灰石、の乾式粉砕中における、粉砕添加剤の使用であって、前記粉砕添加剤が、アルカノールアミン、グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、高吸収性ポリマー、又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする使用。
【請求項2】
前記粉砕添加剤が、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)を含み、又はN-メチルジエタノールアミン(MDEA)から本質的になることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記粉砕添加剤が、ジエチレングリコールを含み、又はジエチレングリコールから本質的になることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記粉砕添加剤が、グリセロールを含み、又はグリセロールから本質的になることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項5】
粉砕中に存在する水の量が、前記鉱物材料、特に石灰石の全乾燥重量に対して、10重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらにより好ましくは0.06重量%以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
粉砕前及び/又は粉砕中に、前記粉砕添加剤が、前記鉱物材料に、特に石灰石に、それぞれ、前記鉱物材料の全乾燥重量に対して、特に石灰石の全乾燥重量に対して、0.001~3重量%、好ましくは0.002~1重量%、より好ましくは0.01~0.5重量%の総量で加えられることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記粉砕が、アトリッションミル内又は圧縮グラインダー内、特にボールミル内、又は垂直ローラーミル内、又は高圧ローラーミル内で行われることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石であって、アルカノールアミン、グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、高吸収性ポリマー、又はそれらの混合物からなる群から選択される粉砕添加剤の存在下で、鉱物材料、特に石灰石を乾式粉砕することによって得られる、粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石。
【請求項9】
前記粉砕添加剤が、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジエチレングリコール、若しくはグリセロールを含み、又はN-メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジエチレングリコール、若しくはグリセロールから本質的になることを特徴とする、請求項8に記載の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石。
【請求項10】
建設材料、特にモルタル又はコンクリートであって、請求項8又は9に記載の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石を含む、建設材料、特にモルタル又はコンクリート。
【請求項11】
請求項10に記載の建設材料であって、
(それぞれ、前記建設材料の全乾燥質量を基準として)
(a)請求項8又は9に記載の1~99重量%の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石と;
(b)セメント、石こう、石灰、潜在水硬性結合材、ポゾラン、及びジオポリマーからなる群から好ましくは選択される、1~99重量%の少なくとも1つの無機結合材と;
(c)場合により15~85重量%の骨材と;
(d)場合により0.1~10重量%の少なくとも1つのさらなる添加剤と;
(e)場合により、0.1~0.8、好ましくは0.25~0.6、特に0.3~0.5の水:無機結合材の質量比をもたらす量の水と、
を含み、又はこれからなる、建設材料。
【請求項12】
CEM II/A-L、CEM II/A-LL、CEM II/B-L、CEM II/B-LL、及びCEM II/X-M(Y-L又はLL)の種類のセメントであって、Xは、A、B、又はCであってよく、Yは、規格EN 197-1に準拠したS、D、P、Q、V、W、Tの1つ以上であってよく、前記セメントが、請求項8又は9に記載の粉砕石灰石を含むことを特徴とするセメント。
【請求項13】
鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率を高める方法であって、
前記鉱物材料、特に石灰石を、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)を含み又はN-メチルジエタノールアミン(MDEA)から本質的になる粉砕添加剤とともに乾式粉砕すること、並びに、
粉砕前及び/又は粉砕中に、前記粉砕添加剤を、前記鉱物材料、特に石灰石に加えること、
を特徴とする、方法。
【請求項14】
セメント系材料の初期強度を高める方法であって、
前記方法は、粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石を前記セメント系材料に加えるステップを含み、
N-メチルジエタノールアミン(MDEA)を含み又はN-メチルジエタノールアミン(MDEA)から本質的になる粉砕添加剤を、前記鉱物材料、特に石灰石に、その粉砕前及び/又は粉砕中に、加えることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカノールアミン、グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、高吸収性ポリマー、又はそれらの混合物から選択される粉砕添加剤の存在下での鉱物材料の乾式粉砕に関する。本発明は、上記添加剤を含む粉砕された鉱物材料、及びそれらの建設材料における使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
セメントをベースとする建築材料、特にコンクリート又はモルタルは、結合材としてのセメント系材料に依拠している。セメント系結合材は、典型的には水硬性結合材であり、その最も多いものは、セメント、特に普通ポルトランドセメントである。しかし、セメント、特に普通ポルトランドセメントの使用は、高い環境フットプリントを有する。主要な理由の1つは、セメントの製造に関連する高CO放出である。したがって、建築材料から結合材としてのセメントの少なくとも一部を置き換えようと、多くの努力が行われている。
【0003】
可能性の1つは、セメントの代替物としてのセメント様の性質を有する材料、ポゾラン、潜在水硬性材料、及び/又は不活性材料の使用である。この種類の特に魅力的な材料の1つは、大量に天然に入手可能であるという理由で、石灰石である。
【0004】
石灰石は、例えば規格EN 197-1に準拠したCEM II/A、CEM II/B、及びCEM II/Cの種類のセメント中に補助的なセメント系材料として使用されることが知られている。石灰石は、CEM II/B-L及びCEM II/B-LLの種類のセメント中に最大35重量%で存在する。
【0005】
鉱物原材料、及びさらには石灰石原石は、典型的には、建設材料中での使用に適した粉末度を有する粉末製品を得るために、圧縮グラインダー又はアトリッションミル内で粉砕される必要がある。鉱物材料の粉砕が可能な方法は、垂直ローラーミル又はボールミルを使用することによる方法である。垂直ローラーミルでは、鉱物材料の粒子に対する圧縮力が回転シリンダーによって生じ、一方、ボールミルでは、粒子に対するボールの衝突によってそれらの粉砕が行われる。いずれの場合でも、規定された粉末度を有する粉末を得ることができる。粉砕は、乾燥状態、又は例えば鉱物材料を水中に懸濁させる湿潤状態で行うことができる。
【0006】
鉱物材料の乾式粉砕は、結果として粉砕された鉱物材料を、例えば乾燥モルタル中に配合する前にさらに乾燥させる必要がないので、湿式粉砕よりも有利な場合がある。
【0007】
粉砕プロセスの全体の効率を改善するために粉砕中に種々の粉砕添加剤を使用できることは、セメント及び別の鉱物材料の粉砕の分野において周知である。
【0008】
欧州特許第2132268号明細書には、粉砕添加剤としてのくし形ポリマーの存在下で、石灰石であってよい炭酸カルシウムを含む材料を乾式粉砕する方法が開示されている。
【0009】
欧州特許出願公開第2660217号明細書には、セメントクリンカー、ポゾラン、及び/又はセメント製造の原材料から選択される無機固体の粉砕が記載されており、カプロラクタム及びアミノカプロン酸を含む粉砕添加剤が使用される。
【0010】
しかし、粉砕効率、及び得られた粉砕材料の適合性は、依然として改善することができる。したがって、鉱物材料、特に石灰石の改善された粉砕方法が依然として必要とされている。特に、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕方法を提供することである。特に、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率が改善されるべきである。建設材料の製造に使用できる改善された粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石を提供することも、本発明の目的の1つである。最後に、本発明は、粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石を含む改善された建設材料の提供も目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決できることが分かった。
【0013】
特に、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕中に、アルカノールアミン、グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、高吸収性ポリマー、又はそれらの混合物から選択される粉砕添加剤を使用することよって、粉砕効率が改善され、これらの添加剤を含む改善された粉砕鉱物材料、特に石灰石が得られる。
【0014】
鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率は、上記添加剤を使用することによって改善することができる。特に、より高い粉末度を実現することができる。特に、上記添加剤の存在と同時に粉砕が行われた場合を、添加剤が存在しない場合と比較すると、粉砕鉱物材料、特に石灰石より広いBlaine表面及び/又は特定のふるい上のより少ないふるい残留物が得られる。或いは、上記添加剤が存在して粉砕が行われる場合を、添加剤が存在しない場合と比較すると、粉砕鉱物材料、特に石灰石の同じBlaine表面を、より短い粉砕時間で得ることができる。
【0015】
本発明による使用及び方法によって、連続粉砕プロセスにおける粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石の粒度分布を改善することもできる。この状況における粒度分布の改善は、特に非常に小さな粒子の減少である。
【0016】
さらに、粉砕工具(例えばボールミルのボール及び容器)に固着する粉砕鉱物材料、特に石灰石の量は、本発明の添加剤を使用する場合に大幅に減少する。
【0017】
驚くべきことに、本発明の粉砕添加剤の存在下で乾式粉砕された鉱物材料、特に石灰石を使用することで、上記鉱物材料、特に石灰石を含むセメント及び/又は建設材料の性能が、上記添加剤を使用せずに粉砕された鉱物材料、特に石灰石を含む同じセメント及び/又は建設材料と比較して改善されることも分かった。特に、本発明の粉砕添加剤の存在下で乾式粉砕された石灰石が使用される場合に、建設材料の初期強度が改善される。
【0018】
本発明の別の態様は、独立請求項の主題である。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書の状況において、磨砕及び粉砕という用語は、同じ意味を有し、交換可能である。
【0020】
第1の態様では、本発明は、鉱物材料の乾式粉砕中における粉砕添加剤の使用、特に石灰石の乾式粉砕中における粉砕添加剤の使用であって、粉砕添加剤が、アルカノールアミン、グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、高吸収性ポリマー、又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする使用に関する。
【0021】
本明細書の状況における鉱物材料は、あらゆる天然の岩漿岩、変成岩、又は堆積岩である。鉱物材料の例としては、砂岩、石灰石、泥灰岩、スリット(slit)、オイルシェール、花崗岩、スレート、大理石、片麻岩、長石、花崗岩、及び玄武岩が挙げられる。本明細書の状況では、鉱物材料は、セメント、スラグ、及び/又は粘度鉱物を含まない。
【0022】
本明細書の状況において特に好ましい鉱物材料は石灰石である。本明細書の状況において、石灰石は、主として炭酸カルシウムで構成される炭酸塩堆積岩に関連している。本明細書の状況では、石灰石という用語は、鉱物の方解石及びアラゴナイト、チョーク、並びに鉱物のドロマイトも含んでいる。したがって、ここで石灰石という用語は、CaCO及びCaMg(CO又はそれらの混合物を意味する。本明細書の状況における石灰石は、天然材料であり、不純物を含む場合がある。一般的な不純物は、例えば粘土鉱物である。しかし、本発明の石灰石は、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、さらにより好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも98重量%のCaCO及び/又はCaMg(COからなる(consists to)ことが好ましい。
【0023】
鉱物材料、特に石灰石の粒度は、例えば規格ASTM C136/C136Mに記載されるようなふるい分析によって分析することができる。この方法では、異なるメッシュサイズの多数のふるいに材料を通すことによって微細な粒子を、よりコース(course)の粒子から分離する。分析される材料は、水平運動、垂直運動、又は回転運動の1つ又は組み合わせを用いて、順次小さくなる一連のふるいを振動して通過する。結果として、特定のサイズのふるい上に維持される粒子のパーセント値が示される。
【0024】
或いは、鉱物材料、特に石灰石の粒度は、ISO 13320:2009に記載されるようなレーザー回折によって測定することができる。特に、Malvern Instruments GmbH(Germany)のHydro 2000G分散ユニットを備えたMastersizer 2000装置及びMastersizer 2000ソフトウェアが使用される。例えば、イソプロパノールが測定媒体として適切である。好ましくは、非球形又は不規則な粒子の粒度は、同じ体積の球の相当球直径によって表される。本発明全体にわたって、ある範囲の粒度が示される場合は常に、これらの粒度はレーザー回折によって測定された。それぞれの粒度分布で、本明細書において粒度に対して得られるこのような範囲の下限値はD10値を表し、一方、本明細書において粒度に対して得られるこのような範囲の上限値はD90値を表す。言い換えると、このような範囲の下限値は、すべての粒子の10%のみが下限粒度を有する粒度に相当し、一方、このような範囲の上限値は、すべての粒子の10%のみが上限粒度を有する粒度に対応する。平均粒度は、特にD50値に相当する(粒子の50%が特定の値よりも小さく、50%が対応してより大きい)。また、粒度Dxx(ここでxxは0~100の間の任意の数である)が示される場合は常に、このような粒度はレーザー回折によって測定された。
【0025】
鉱物材料、特に石灰石の粉末度の尺度の1つはBlaine表面である。Blaine表面は、規格EN 196-6に準拠して求めることができる。
【0026】
典型的には、乾式粉砕が行われる鉱物材料、特に石灰石は、不規則な形状及びサイズの粒子からなる。上記鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕を行う前に、鉱物材料、特に石灰石の大きな破片を破砕するステップを行うことができる。大きな破片は、100mmを超え最大数メートルのおおよその直径を有する石の破片であってよい。このようなビス(bis)破片の破砕は、例えばジョークラッシャー内で行うことができる。好ましくは、乾式粉砕前の鉱物材料、特に石灰石の粒度D90は100mm以下である。
【0027】
本明細書の状況において「乾式粉砕」という用語は、存在する水の含有量が少ない、又はより良好には本質的に水が存在しない場合の粉砕作業を意味する。水の少ない含有量は、それぞれの場合で鉱物材料、特に石灰石の全重量を基準として、鉱物材料、特に石灰石の粉砕中の水の含有量が、10重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、さらにより好ましくは0.06重量%以下であることを意味する。実施形態によると、鉱物材料、特に石灰石の全乾燥重量を基準として、粉砕中に存在する水の量は、10重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらにより好ましくは0.06重量%以下である。
【0028】
粉砕添加剤は、アルカノールアミン、グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、高吸収性ポリマー、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0029】
適切なアルカノールアミンは、好ましくは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン(TEA)、ジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)、エタノールジイソプロパノールアミン(EDIPA)、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、N-メチルジイソプロパノールアミン(MDIPA)、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン(THEED)、及びテトラヒドロキシイソプロピルエチレンジアミン(THIPD)、並びにこれらのアルカノールアミンの2つ以上の混合物からなる群から選択される。
【0030】
好ましいアルカノールアミンは、TIPA、MDIPA、MDEA、DEIPA、EDIPA、THEED、及びTHIPDであり、特に好ましいアルカノールアミンはMDEAである。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によると、粉砕添加剤はN-メチルジエタノールアミン(MDEA)を含む、又はN-メチルジエタノールアミン(MDEA)から本質的になる。
【0032】
適切なグリコールの例は、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、特に6つ以上のエチレン単位を有するポリエチレングリコール、例えばPEG 200、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びポリプロピレングリコールである。2つ以上の異なるグリコールの混合物、及び少なくとも1つのグリコールとグリセリンとの混合物を使用することもできる。
【0033】
「グリセロール」及び「グリセリン」という用語は、本発明全体にわたって同義語として使用される。特に「グリセロール」及び「グリセリン」という用語は、どちらもプロパン-1,2,3-トリオールを意味する。一実施形態では、グリセロールは、いわゆるバイオグリセリンであり、これは再生可能な原材料から製造することができる。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によると、粉砕添加剤はジエチレングリコールを含む、又はジエチレングリコールから本質的になる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によると、粉砕添加剤はグリセロールを含む、又はグリセロールから本質的になる。
【0036】
本発明の意味における「糖」は、アルデヒド基を有する炭水化物である。特に好ましい実施形態では、糖は単糖又は二糖のグループに属する。糖の例としては、グリセルアルデヒド、トレオース、エリトロース、キシロース、リキソース、リボース、アラビノース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース(tallose)、フルクトース、ソルボース、ラクトース、マルトース、スクロース、ラクツロース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、イソマルトース、パラチノース、マンノビオース、ラフィノース、及びキシロビオースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。糖は、例えば蒸留残渣、モラッセ(molasse)の形態で使用することもできる。
【0037】
本発明の状況において「糖酸」は、カルボキシル基を有する単糖である。これは、アルドン酸、ウルソン酸、ウロン酸、又はアルダル酸の種類のいずれかに属することができる。好ましくは、これはアルドン酸である。本発明に関連して有用な糖酸の例としては、グリセリン酸、キシロン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ノイラミン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、酒石酸、ムシル酸(mucilic acid)、及びサッカリン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。糖酸は、遊離酸の形態、又は塩としてのものであってよい。実施形態によると、糖酸の塩は、元素周期表のIa族、IIa族、Ib族、IIb族、IVb族、VIIIb族の金属との塩であってよい。好ましい糖酸の塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、コバルト、銅、又は亜鉛の塩である。リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどの一価の金属との塩が特に好ましい。
【0038】
「カルボン酸」という用語は、糖酸以外のカルボキシレート基を有するあらゆる有機分子を意味する。特に好ましいカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、乳酸、クエン酸、及び酒石酸である。カルボン酸は、遊離酸の形態又は塩の形態であってよい。実施形態によると、カルボン酸の塩は、元素周期表のIa族、IIa族、Ib族、IIb族、IVb族、VIIIb族の金属との塩であってよい。糖酸の好ましい塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、コバルト、銅、又は亜鉛の塩である。カルボン酸のカルシウム塩が特に好ましい。
【0039】
「高吸収性ポリマー」という用語は、多量の水を吸収できるポリマーを意味する。高吸収性ポリマーが水と接触すると、水分子がポリマーネットワークの空隙中に拡散し、ポリマー鎖を水和する。これによってポリマーは膨潤して、ポリマーゲルを形成する場合があり、又はゆっくりと溶解する場合がある。このステップは可逆的であるため、水を除去することによって高吸収性ポリマーはそれらの固体状態に再生することができる。水吸収特性は膨潤比によって示され、この膨潤比は、膨潤した高吸収性ポリマーの重量の、その乾燥状態の重量に対する比を意味する。膨潤比は、高吸収性ポリマーの分岐度、存在しうるあらゆる架橋、高吸収性ポリマーネットワークを形成するモノマーの化学構造、並びにpH、溶液のイオン濃度、及び温度などの外部要因の影響を受ける。水と相互作用する能力のため、高吸収性ポリマーはヒドロゲルとも呼ばれる。
【0040】
本発明の状況において有用な高吸収性ポリマーの例としては、天然ポリマー、例えばデンプン、セルロース、例えばセルロースエーテル、キトサン若しくはコラーゲン、アルギン酸塩、合成ポリマー、例えばポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(エチレングリコール)、若しくはポリ(エチレンオキシド)、又はイオン性合成ポリマー、例えばポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール(PVA)又はポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
本発明の状況において特に適切な高吸収性ポリマーは、イオン性高吸収性ポリマー、特に、アクリル酸で改質されたポリアクリルアミドをベースとするポリマーであり、これらは線状又は架橋構造のいずれかであってよい。
【0042】
粉砕添加剤として有用な流動化剤は、特に、ポリカルボキシレートエーテル及び/又はポリカルボキシレートエステル(PCE)である。
【0043】
本発明のPCEは、
(i)一般構造(I)
【化1】
の繰り返し単位Aと、
(ii)一般構造(II)
【化2】
の繰り返し単位Bとを含み、
ここで、
それぞれのRuは、独立して、水素又はメチル基を表し、
それぞれのRvは、独立して、水素又はCOOMを表し、Mは、独立して、H、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属であり、
m=0、1、2又は3であり、
p=0又は1であり、
それぞれのR1は、独立して-(CH2)z-[YO]n-R4であり、Yは、C2~C4アルキレンであり、R4は、H、C1~C20アルキル、-シクロヘキシル、-アルキルアリール、又は-N(-Ri)j-[(CH2)z-PO3M]3-jであり、z=0、1、2、3、又は4であり、n=2~350であり、j=0、1又は2であり、Riは、水素原子又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムイオンを表し、
PCE中の繰り返し単位A及びBは10:90~90:10の範囲内のA:Bのモル比を有する。
【0044】
好ましい一実施形態では、n=10~250、より好ましくは30~200、特に好ましくは35~200、特に40~110である。
【0045】
さらなる好ましい一実施形態では、z=0である。さらなる好ましい一実施形態では、z=4である。
【0046】
特に好ましい一実施形態では、PCEは、一般構造(I)の繰り返し単位Aと、一般構造(II)の繰り返し単位Bとを含み、A対Bのモル比は、20:80~80:20、より好ましくは30:70~80:20、特に35:65~75:25の範囲内である。
【0047】
PCEは、好ましくは1,000~1,000,000、より好ましくは1,500~500,000、最も好ましくは2,000~100,000、特に3,000~75,000、又は3,000~50,000g/molの範囲内の平均モル質量Mwを有する。モル質量Mwは、本明細書の場合、ポリエチレングリコール(PEG)を標準物質として用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求められる。この技術自体は当業者に周知である。
【0048】
本発明によるPCEは、ランダムコポリマー又は非ランダムコポリマーであってよい。非統計コポリマーは、特に交互コポリマー、又はブロックコポリマー若しくは勾配コポリマー、又はそれらの混合物である。
【0049】
実施形態によると、本発明の粉砕添加剤はN-メチルジエタノールアミン(MDEA)を含む。特に好ましい一実施形態によると、粉砕添加剤はN-メチルジエタノールアミン(MDEA)から本質的になる。しかし、粉砕添加剤は、溶媒中、特に水中のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)から本質的になることもできる。
【0050】
さらなる実施形態によると、本発明の粉砕添加剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、アルカノールアミン、グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、及び高吸収性ポリマーから選択される少なくとも1つのさらなる粉砕添加剤とを含む。本明細書の状況では、アルカノールアミンは、好ましくは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン(TEA)、ジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)、エタノールジイソプロパノールアミン(EDIPA)、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、N-メチルジイソプロパノールアミン(MDIPA)、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン(THEED)、及びテトラヒドロキシイソプロピルエチレンジアミン(THIPD)からなる群から選択される。グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、及び高吸収性ポリマーは、前述の通りである。
【0051】
実施形態によると、本発明の粉砕添加剤は、脱泡剤をさらに含むことができる。適切な脱泡剤の例は、鉱油若しくは植物油、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪酸、アルコキシル化脂肪アルコール、プロピレングリコール及び/又はブチレングリコールの単位を含むポリアルキレングリコール誘導体、アセチレン化合物、オルガノシリコーン化合物、及び有機リン酸エステルである。
【0052】
好ましくは、脱泡剤は、有機リン酸エステル、特にリン酸トリイソブチル(TiBP)又はリン酸トリブチル(TBP)である。
【0053】
例えば、本発明の粉砕添加剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、TEAと、場合により水とを含むことができる。MDEA対TEAの重量比は、好ましくは10:1~1:10の範囲内である。同様に3つ以上のアルカノールアミンを本発明の粉砕添加剤中で組み合わせることもできる。例えば、本発明の粉砕助剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、トリエタノールアミン(TEA)と、トリイソプロパノールアミン(TIPA)との混合物を含む、又はそれから本質になることができる。
【0054】
本発明の特に好ましい粉砕添加剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、ジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)と、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。MDEA:DEIPAの重量比は、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:1、特に2:1である。脱泡剤は、前述の通りであってよい。
【0055】
本発明の特に好ましい粉砕添加剤は、1質量部のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、0.5質量部のジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)と、0.01質量部の脱泡剤と、1質量部の水とからなる。脱泡剤は、前述の通りであってよい。
【0056】
本発明の別の特に好ましい粉砕添加剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、トリエタノールアミン(TEA)と、酢酸と、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。MDEA:TEAの重量比は、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:1、特に1.25:1である。脱泡剤は、前述の通りであってよい。
【0057】
本発明の別の特に好ましい粉砕添加剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、トリエタノールアミン(TEA)と、ジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)と、場合により水と、場合により脱泡剤とからなる。MDEA:TEA:DEIPAの重量比は、好ましくは10~0.1:1:0.1~10である。脱泡剤が存在する場合、これは、前述の通りであってよい。
【0058】
本発明の特に好ましい粉砕添加剤は、1質量部のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、0.8質量部のトリエタノールアミン(TEA)と、0.1質量部の酢酸と、0.01質量部の脱泡剤と、0.5質量部の水とからなる。脱泡剤は、前述の通りであってよい。
【0059】
本発明の粉砕添加剤は、1成分又は多成分の組成物の形態であってよい。多成分組成物において、粉砕添加剤の複数の成分は、少なくとも2つの空間的に離れたレセプタブル(receptable)中に保管される。本明細書の状況では、1成分の粉砕添加剤を使用することが一般に好ましい。
【0060】
実施形態によると、粉砕添加剤は、それぞれの場合で鉱物材料、特に石灰石の全乾燥重量を基準として、0.001~3重量%の間、好ましくは0.002~1重量%の間、より好ましくは0.01~0.5重量%の間の総量で、粉砕前及び/又は粉砕中に鉱物材料、特に石灰石に加えられる。
【0061】
微粉及び/又は粉末状材料は、粉砕中に粉砕ゾーンから除去されることが好ましい。これによって粉砕効率が高まる。この除去は、好ましくは、例えば粉砕ゾーンに空気を吹き込むことによって連続的に行われる。
【0062】
本発明の方法は、粉砕鉱物材料、特に石灰石を粒度により分離するステップをさらに含むことができる。実施形態によると、少なくともあらかじめ規定されたカットオフ粒度の粒度を有する粉砕鉱物材料、特に石灰石を回収するため、及び/又はあらかじめ規定されたカットオフ粒度未満の粒度を有する粉砕鉱物材料、特に石灰石を回収するために、あらかじめ規定されたカットオフ粒度において分離が行われる。さらなる実施形態によると、粉砕鉱物材料、特に石灰石を異なる粒度の複数の分画に分離することも可能である。
【0063】
実施形態によると、分離は、濾過、ふるい分け、沈降、密度分離、例えばサイクロンにおける風によるふるい分け、及び/又は遠心分離によって行われる。
【0064】
本発明の方法は、バッチプロセス又は連続プロセスで行うことができる。本発明の実施に有用な設備、特にグラインダー及びミルは、特に限定されず、それ自体は周知のものである。実施形態によると、粉砕は、アトリッションミル内又は圧縮グラインダー内、特にボールミル内、又は垂直ローラーミル内、又は高圧ローラーミル内で行われる。しかし、例えばハンマーミル、ペブルミル、コーンミル、Eミル、又はジョークラッシャーなどの別の種類のミルも同様に適切となる。
【0065】
実施形態によると、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕は、0.5~100mmの間の直径の鋼球を用いたボールミル内で行われる。石灰石:鋼球の重量比は、1:10~20:1の間である。乾式粉砕の時間は、1分~3時間の間、好ましくは5分~1時間の間、特に10~30分の間で変動させることができる。
【0066】
第2の態様では、本発明は、アルカノールアミン、グリコール、グリセロール、糖、糖酸、カルボン酸若しくはそれらの塩、流動化剤、高吸収性ポリマー、又はそれらの混合物からなる粉砕添加剤の選択された形態の群の存在下での鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕によって得られる粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石に関する。
【0067】
好ましいモノとして前述したすべての特徴及び実施形態は、粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石にも関連するものと理解すべきである。
【0068】
したがって、幾つかの実施形態では、本発明は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジエチレングリコール、又はグリセロールを含む、又はそれらから本質的になる粉砕添加剤の存在下で鉱物材料、特に石灰石を乾式粉砕することによって得られる粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石に関する。
【0069】
例えば、本発明は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)と、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる粉砕助剤の存在下で鉱物材料、特に石灰石を乾式粉砕することによって得られる粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石に関する。MDEA:DEIPAの重量比は、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:1、特に2:1である。
【0070】
例えば、本発明は、1質量部のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、0.5質量部のジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)と、0.01質量部の脱泡剤と、1質量部の水とからなる粉砕助剤の存在下で鉱物材料、特に石灰石を乾式粉砕することによって得られる粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石に関する。
【0071】
例えば、本発明は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、トリエタノールアミン(TEA)と、酢酸と、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる粉砕助剤の存在下で鉱物材料、特に石灰石を乾式粉砕することによって得られる粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石に関する。MDEA:TEAの重量比は、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:1、特に1.25:1である。
【0072】
例えば、本発明は、1質量部のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、0.8質量部のトリエタノールアミン(TEA)と、0.1質量部の酢酸と、0.01質量部の脱泡剤と、0.5質量部の水とからなる粉砕助剤の存在下で鉱物材料、特に石灰石を乾式粉砕することによって得られる粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石に関する。
【0073】
例えば、本発明は、ジエチレングリコールと、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる粉砕助剤の存在下で鉱物材料、特に石灰石を乾式粉砕することによって得られる粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石に関する。
【0074】
例えば、本発明は、グリセロールと、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる粉砕助剤の存在下で鉱物材料、特に石灰石を乾式粉砕することによって得られる粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石に関する。
【0075】
これらの例における脱泡剤は、前述のあらゆる脱泡剤であってよい。
【0076】
前述の説明のようにして得られた粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石は、粉砕前の鉱物材料、特に石灰石よりも広いBlaine表面を有することが好ましい。特に、Blaine表面は、10%を超え、好ましくは50%を超え、特に100%を超えて増加する。
【0077】
実施形態によると、本発明の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石は、2000~12000cm/g、好ましくは3000~10000cm/g、より好ましくは4000~9000cm/g、特に6000~8000cm/gのBlaine表面を有する。
【0078】
実施形態によると、粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石は、25%以下の45μmふるい上残留物及び/又は45%以下、好ましくは35%以下の32μmふるい上残留物を特徴とする。
【0079】
実施形態によると、粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石は、0.4~1000μm、好ましくは1~500μm、特に2~63μmの粒度D50を特徴とする。
【0080】
第3の態様では、本発明は、前述の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石を含む建設材料、特にモルタル又はコンクリートに関する。
【0081】
本発明の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石は、結合材の一部として及び/又は骨材として建設材料中に使用される。好ましくは、本発明の建設材料は、少なくとも1つの無機結合材、及び場合によりさらなる骨材をさらに含む。好ましくは、少なくとも1つの無機結合材は、セメント、石こう、石灰、潜在水硬性結合材、ポゾラン、及びジオポリマーからなる群から選択される。セメントは、特に、規格EN 197-1に記載のようなポルトランドセメント、規格EN 14647に記載のようなアルミン酸カルシウムセメント、及び/又はスルホアルミン酸カルシウムセメントであってよい。「石こう」という用語は、種々の形態のCaSO、特にCaSO硬石こう、CaSOα-及びβ-半水和物、並びにCaSO二水和物を含むことを意味する。「石灰」という用語は、規格EN 459-1:2015に記載されるような天然水硬性石灰、配合石灰、水硬性石灰、及び空気石灰を含むことを意味する。ポゾラン及び潜在水硬性材料は、好ましくは、粘土、焼成粘土、特にメタカオリン、キルンダスト、マイクロシリカ、フライアッシュ、ゼオライト、もみ殻灰、高炉スラグ、燃焼オイルシェール、及び天然ポゾラン、例えば軽石及びトラッスからなる群から選択される。ジオポリマーはアルモケイ酸ポリマーである。ジオポリマーの特定の例の1つは、水ガラスを用いて活性化させた炉スラグである。
【0082】
本明細書の状況における建設材料は、さらなる骨材を場合により含む。骨材は、水硬性結合材の水和反応において非反応性であるあらゆる材料であってよい。骨材は、典型的には建設材料に使用されるあらゆる骨材であってよい。典型的な骨材は、例えば岩石、砕石、砂利、砂、特に珪砂、川砂、及び/又は砕砂、スラグ、再生コンクリート、ガラス、膨張ガラス、中空ガラスビーズ、ガラスセラミックス、火山岩、軽石、パーライト、バーミキュライト、採石場廃棄物、未加工の、焼成した、若しくは溶融させた土若しくは粘土、磁器、電気融合若しくは焼結させた研磨剤、焼成支持体、シリカキセロゲルである。骨材は、細骨材又はフィラーであってもよい。本発明に有用な骨材は、典型的にはそのような骨材で生じるあらゆる形状及びサイズを有することができる。特に好ましい骨材の1つは砂である。砂は、微粉砕された岩石又は鉱物粒子で構成される天然粒状材料である。これは種々の形態及びサイズで入手可能である。適切な砂の例は、珪砂、川砂、又は破砕骨材である。適切な砂は、例えば規格のASTM C778又はEN 196-1に記載されている。
【0083】
実施形態によると、骨材は、以下の(i)~(v)の1つ以上であってもよい:
(i)好ましくは植物起源であるバイオソース材料、より好ましくはセルロース及び/又はリグニンから本質的に構成される植物起源のバイオソース材料、特に、アサ、アマ、穀物わら、オートムギ、イネ、ナタネ、トウモロコシ、モロコシ、アマ、ススキ属、もみ殻、サトウキビ、ヒマワリ、ケナフ、ココヤシ、オリーブストーン(olive stone)、タケ、木材、又はそれらの混合物を含む又はそれらからなる群から選択されるバイオソース材料。実施形態によると、植物起源のバイオソース材料は、好ましくは繊維、小繊維、ダスト、粉末、削りくず、髄、特にヒマワリの髄、トウモロコシ、ナタネ、及びそれらの混合物から選択される画定された形態を有する。
(ii)好ましくは、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック、エラストマー、ゴム、織物繊維、ガラス繊維若しくは炭素繊維で強化されたプラスチック材料を含む又はそれらからなる群から選択される合成非鉱物材料。合成非鉱物材料は、充填剤を含む場合も又は含まない場合もある。
(iii)廃棄コンクリート、モルタル、れんが、天然石、アスファルト、タイル、タイリング、気泡コンクリート、クリンカー、スクラップ金属を含む又はそれらからなる群から好ましくは選択される土木工学的構造物又は建造物の破壊により得られる無機の性質の骨材。
(iv)工業製品、特に再利用が困難な複合材料、特に再利用絶縁材料の再利用によって得られる有機の性質の骨材。特に好ましい例は、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール樹脂、木材絶縁材料、及びそれらの混合物である。
(v)スラグ、特に粉砕された粒状高炉スラグ若しくは塩基性酸素スラグ、使用済み鋳物砂、触媒担体、バイヤー法脱ソーダ(de-soding)処理担体、クリンカー骨材、掘削スラッジの処理で得られるフィラー、下水スラッジ、スラリー、廃棄紙、紙焼却灰、家庭廃棄物焼却灰などの通常は埋め立て用である無害の粒状材料。
【0084】
最も好ましくは、骨材は粒状形態である。
【0085】
場合により、本発明の建設材料は、可塑剤、流動化剤、収縮低減剤、空気連行剤、脱気剤、安定剤、粘度調整剤、減水剤、促進剤、遅延剤、耐水剤、強度増加添加剤、繊維、発泡剤、脱泡剤、再分散可能なポリマー粉末、クロメート遅延剤、顔料、及び鋼不動態化剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる添加剤をさらに含むことができる。
【0086】
本発明の建設材料は乾燥状態であってよい。典型的には、乾燥建設材料は粉末の形態である。乾燥建設材料は、特に乾燥モルタル又は乾燥コンクリートであってよい。乾燥建設材料は、それぞれの場合で乾燥建設材料中に存在する結合材の全重量を基準として、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、特に1重量%以下の含水量を有する。
【0087】
本発明の建設材料は、湿潤状態であってもよい。典型的には、湿潤建設材料は、水中のスラリーの形態である。湿潤建設材料は、特に水と混合された乾燥モルタル又は乾燥コンクリートであってよい。湿潤建設材料は、好ましくは0.1~0.8、好ましくは0.25~0.6、特に0.3~0.5の間の水:無機結合材の質量比を有する。
【0088】
本発明の建設材料は、硬化状態であってもよい。本発明の乾燥建設材料の硬化は、水を加えた時に開始する。硬化することによって、建設材料はその最終強度を獲得する。硬化建設材料は、あらゆる所望の形状を有することができる。硬化建設材料は、建造物、又は建造物の一部であってよい。
【0089】
特に、建設材料は、乾燥コンクリート又は乾燥モルタルであってよい。
【0090】
本発明の建設材料は、(それぞれの場合で建設材料の全乾燥質量を基準とする)
a)1~99重量%の前述の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石と;
b)1~99重量%の、好ましくはセメント、石こう、石灰、潜在水硬性結合材、ポゾラン、及びジオポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの無機結合材と;
c)場合により15~85重量%の骨材と;
d)場合により0.1~10重量%の少なくとも1つのさらなる添加剤と;
e)場合により、0.1~0.8、好ましくは0.25~0.6、特に0.3~0.5の間の水:無機結合材の質量比をもたらす量の水と、
を含む、又はそれらからなる。
【0091】
実施形態によると、本発明の建設材料は、(それぞれの場合で建設材料の全乾燥質量を基準とする)
a)5~75重量%、好ましくは6~20重量%又は25~75重量%の前述の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石と;
b)1~75重量%、好ましくは5~50重量%の、好ましくはセメント、石こう、石灰、潜在水硬性結合材、ポゾラン、及びジオポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの無機結合材と;
c)15~85重量%の骨材と;
d)場合により0.1~10重量%の少なくとも1つのさらなる添加剤と;
e)場合により、0.1~0.8、好ましくは0.25~0.6、特に0.3~0.5の間の水:無機結合材の質量比をもたらす量の水と、
を含む。
【0092】
さらなる実施形態によると、本発明の建設材料は、(それぞれの場合で建設材料の全乾燥質量を基準とする)
a)5~75重量%、好ましくは6~20重量%又は25~75重量%の前述の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石と;
b)1~75重量%、好ましくは5~50重量%の、好ましくはセメント、石こう、石灰、潜在水硬性結合材、ポゾラン、及びジオポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの無機結合材と;
c)15~85重量%の骨材と;
d)場合により0.1~10重量%の少なくとも1つのさらなる添加剤と;
e)場合により、0.1~0.8、好ましくは0.25~0.6、特に0.3~0.5の間の水:無機結合材の質量比をもたらす量の水と、
からなる。
【0093】
さらなる実施形態によると、本発明の建設材料は、(それぞれの場合で建設材料の全乾燥質量を基準とする)
a)5~75重量%、好ましくは6~20重量%又は25~75重量%の前述の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石と;
b)1~75重量%、好ましくは5~50重量%のポルトランドセメントと;
c)15~85重量%の骨材と;
d)場合により0.1~10重量%の少なくとも1つのさらなる添加剤と;
e)場合により、0.1~0.8、好ましくは0.25~0.6、特に0.3~0.5の間の水:無機結合材の質量比を実現するための量の水と、
を含む。
【0094】
本発明の粉砕石灰石は、CEM II/A-L、CEM II/A-LL、CEM II/B-L、CEM II/B-LL及びCEM II/X-M(Y-L又はLL)の種類のセメントの製造に使用することもでき、一方、Xは、A、B、又はCであってよく、Yは、規格EN 197-1に準拠したS、D、P、Q、V、W、Tの1つ以上であってよい。本発明の粉砕石灰石は、ポルトランドセメントクリンカーと混合又は相互粉砕されて、これらのセメントのいずれかが製造される。CEM II/A-L、CEM II/A-LL、CEM II/B-L、及びCEM II/B-LL、及びCEM II/X-M(Y-L又はLL)の種類のセメント(一方、Xは、A、B、又はCであってよく、Yは、規格EN 197-1に準拠したS、D、P、Q、V、W、Tの1つ以上であってよい)であって、本発明の粉砕石灰石を含むセメントは、改善された圧縮強度の発生を示す。したがって、本発明は、CEM II/A-L、CEM II/A-LL、CEM II/B-L、及びCEM II/B-LL、及びCEM II/X-M(Y-L又はLL)の種類のセメント(一方、Xは、A、B、又はCであってよく、Yは、規格EN 197-1に準拠したS、D、P、Q、V、W、Tの1つ以上であってよい)であって、前記セメントが本発明による粉砕石灰石を含むことを特徴とするセメントにも関する。本発明は、CEM II/A-L、CEM II/A-LL、CEM II/B-L、及びCEM II/B-LL、及びCEM II/X-M(Y-L又はLL)の種類のセメント(一方、Xは、A、B、又はCであってよく、Yは、規格EN 197-1に準拠したS、D、P、Q、V、W、Tの1つ以上であってよい)の製造方法であって、前記方法が、ポルトランドセメントクリンカーと本発明の粉砕石灰石とを混合又は相互粉砕するステップを含むことを特徴とする方法にも関する。
【0095】
第4の態様では、本発明は、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率を高める方法であって、鉱物材料、特に石灰石が、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジエチレングリコール、又はグリセロールを含む、又はこれらから本質的になる粉砕添加剤とともに乾式粉砕されることと、粉砕前及び/又は粉砕中に粉砕添加剤が鉱物材料、特に石灰石に加えられることとを特徴とする方法に関する。
【0096】
乾式粉砕効率の増加は、例えば、粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石の特定のBlaine表面を得るために必要な粉砕時間が短くなることである。Blaine表面は前述のように測定することができる。乾式粉砕効率の増加は、例えば、粉砕中及び粉砕後のミルの部品に材料が固着する量が少なくなることでもある。
【0097】
例えば、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率を高める方法に使用される粉砕添加剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、ジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)と、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。MDEA:DEIPAの重量比は、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:1、特に2:1である。
【0098】
例えば、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率を高める方法に使用される粉砕添加剤は、1質量部のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、0.5質量部のジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)と、0.01質量部の脱泡剤と、1質量部の水とからなる。
【0099】
例えば、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率を高める方法に使用される粉砕添加剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、トリエタノールアミン(TEA)と、酢酸と、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。MDEA:TEAの重量比は、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:1、特に1.25:1である。
【0100】
例えば、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率を高める方法に使用される粉砕添加剤は、1質量部のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、0.8質量部のトリエタノールアミン(TEA)と、0.1質量部の酢酸と、0.01質量部の脱泡剤と、0.5質量部の水とからなる。
【0101】
例えば、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率を高める方法に使用される粉砕添加剤は、ジエチレングリコール、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。
【0102】
例えば、鉱物材料、特に石灰石の乾式粉砕の効率を高める方法に使用される粉砕添加剤は、グリセロール、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。
【0103】
これらの実施例における脱泡剤は、前述のあらゆる脱泡剤であってよい。
【0104】
第5の態様では、本発明は、セメント系材料の初期強度を増加させる方法であって、粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石を前記セメント系材料に加えるステップを含み、その粉砕前及び/又は粉砕中にN-メチルジエタノールアミン(MDEA)を含む、又はN-メチルジエタノールアミン(MDEA)から本質的になる粉砕添加剤が前記鉱物材料、特に石灰石に加えられることを特徴とする方法に関する。乾式粉砕後に、粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石から粉砕添加剤を完全に抽出するステップは存在しない。
【0105】
例えば、セメント系材料の初期強度を増加させる方法に使用される粉砕添加剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、ジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)と、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。MDEA:DEIPAの重量比は、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:1、特に2:1である。
【0106】
例えば、セメント系材料の初期強度を増加させる方法に使用される粉砕添加剤は、1質量部のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、0.5質量部のジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)と、0.01質量部の脱泡剤と、1質量部の水とからなる。
【0107】
例えば、セメント系材料の初期強度を増加させる方法に使用される粉砕添加剤は、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、トリエタノールアミン(TEA)と、酢酸と、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。MDEA:TEAの重量比は、好ましくは10:1~1:10、より好ましくは5:1~1:1、特に1.25:1である。
【0108】
例えば、セメント系材料の初期強度を増加させる方法に使用される粉砕添加剤は、1質量部のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と、0.8質量部のトリエタノールアミン(TEA)と、0.1質量部の酢酸と、0.01質量部の脱泡剤と、0.5質量部の水とからなる。
【0109】
例えば、セメント系材料の初期強度を増加させる方法に使用される粉砕添加剤は、ジエチレングリコールと、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。
【0110】
例えば、セメント系材料の初期強度を増加させる方法に使用される粉砕添加剤は、グリセロールと、場合により脱泡剤と、場合により水とからなる。
【0111】
これらの実施例における脱泡剤は、前述のあらゆる脱泡剤であってよい。
【0112】
初期強度は、硬化から7日以下の後、好ましくは硬化から1日後、2日後、及び/又は3日後の、建設材料の圧縮強度及び/又は曲げ強度に関連する。圧縮強度は、規格EN 12190に準拠して4×4×16cmの角柱上で測定することができる。曲げ強度は、規格EN 196-1に準拠して40×40×160mmの角柱上で測定することができる。
【0113】
特に、本発明の粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石を含む建設材料の初期強度は、同じ建設材料であるが、同じBlaine表面及び/又は粒度を有し、本発明の添加剤を添加せずに粉砕された粉砕鉱物材料、特に粉砕石灰石を含む建設材料よりも改善される。
【実施例
【0114】
以下の実施例において:
- 石灰石1又は石灰石2をそれぞれ使用した。石灰石1は、100mmの粒度D90、及び約3のモース硬度を有する。石灰石2は、100mmの粒度D90、及び約4のモース硬度を有する。石灰石は、ふるい分けして使用され、例えば粉砕前に乾燥は行わなかった。
- 使用したN-メチルジエタノールアミン(MDEA)は、>99%の純度のものをSigma-Aldrichより購入した
- 使用したトリエタノールアミン(TEA)は、98%の純度のものをSigma-Aldrichより購入した
- 使用したトリイソプロパノールアミン(TIPA)は、95%の純度のものをSigma-Aldrichより購入した
- 使用したジエチレングリコール(DEG)は、99%の純度のものをSigma-Aldrichより購入した
- 使用したグリセリンは、>99.5%の純度のものをSigma-Aldrichより購入した
- 圧縮強度は、規格EN 196-1:2016に準拠して40×40×160mmの角柱上で測定した。
- Blaine表面は、規格EN 196-6:2010に準拠して測定した。
- ふるい残留物は、規格ASTM C136/C136Mに準拠して32μmふるい上で測定した。このふるい上に維持される材料の量は、粉砕された材料の全重量を基準とした重量%の単位で報告される。
【0115】
実施例1
40gの石灰石1をボールミル中に投入した。直径100mm鋼球260gを加えた。次に表1中に示されるようなそれぞれの粉砕助剤を、石灰石の重量を基準として0.02重量%の量で加えた。次に、表1中に示される時間で粉砕を行った。この時間の後、Blaine表面及びふるい残留物の分析のための試料を採取した。
【0116】
以下の表1に結果の概要を示す。実施例1-1は本発明によらない比較例である。実施例1-2及び1-3は本発明によるものである。
【0117】
【表1】
【0118】
表1の結果から分かるように、石灰石の粉砕中のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)の使用は、粉末度の増加に有効である。このことは、同じ時間で、MDEAを有する石灰石の粉砕を、MDEAを有しない石灰石の粉砕と比較した場合の、Blaine表面の増加及びふるい残留物32μmの減少によって分かる(参照1-1及び1-2)。MDEAを加えない石灰石の粉砕と比較して、MDEAを加えた場合に、特定の粉末度の石灰石粉末を得るための粉砕時間を短縮できることも分かる(参照1-1及び1-3)。
【0119】
実施例2
実施例1-1及び1-3で得た粉砕石灰石を用いて水硬性結合材を調製した。水硬性結合材は、65重量%の粉砕セメントクリンカー(95重量%のポルトランドセメントクリンカー及び5重量%の硫酸塩担体からなる)、20重量%の粉砕粒状高炉スラグ、及び15重量%の実施例1-1若しくは1-3のそれぞれの粉砕石灰石を視覚的に均一になるまで激しく混合することによって得た。粉砕セメントクリンカーと粉砕粒状高炉スラグとの両方は、Blaine表面が4000~4500cm/gであった。
【0120】
規格EN 196-1:2016に準拠してこれらの結合材を用いてモルタルを調製した。450gのそれぞれの水硬性結合材と225gの水とをミキサー内に量り取り、低速で混合した。30秒にわたる初期混合時間の後、1350gの砂を加えた。次に混合速度を増加させ、さらに30秒間混合を続けた。次にミキサーを停止し、形成されたペーストをかき落とした。90秒後、高速で混合を再開しさらに60秒間混合した。
【0121】
表2に示される時間の後、圧縮強度を測定した。
【0122】
以下の表2に結果の概要を示す。実施例2-1は本発明によらない比較例である。実施例2-2は本発明によるものである。
【0123】
【表2】
【0124】
表2の結果から分かるように、粉砕中にMDEAを加えた石灰石を使用すると、MDEAを有しない石灰石の使用と比較して、すべての時間で圧縮強度が増加したモルタルが得られる。
【0125】
実施例3
40gの石灰石2をボールミル内に投入した。直径100mmの鋼球260gを加えた。次に、表3に示されるそれぞれの粉砕助剤を、石灰石の重量に対して0.01重量%の量で加えた。次に粉砕を4分間行った。この時間の後、Blaine表面及びふるい残留物の分析のための試料を採取した。
【0126】
以下の表3に結果の概要を示す。実施例3-1は本発明によらない比較例である。実施例3-2~3-6は本発明によるものである。
【0127】
【表3】
【0128】
表3の結果から分かるように、石灰石の粉砕中にMDEA、TEA、TIPA、DEG、及びグリセリンのいずれかを使用することは、粉末度の増加に有効である。これは、同じ時間でのMDEAを有しない石灰石の粉砕と比較した、MDEA、TEA、TIPA、DEG、及びグリセリンのいずれかを有する石灰石を粉砕する場合の、Blaine表面の増加及びふるい残留物32μmの減少によって分かる。N-メチルジエタノールアミン(MDEA)は、粉砕中に石灰石の粉末度を増加させるのに特に有効であることも分かる(参照3-2対3-3~3-6)。
【0129】
実施例4
実施例3-1~3-6で得た粉砕石灰石を用いて水硬性結合材を調製した。水硬性結合材は、65重量%の粉砕セメントクリンカー(95重量%のポルトランドセメントクリンカー及び5重量%の硫酸塩担体からなる)、20重量%の粉砕粒状高炉スラグ、及び15重量%の実施例3-1~3-6のそれぞれの粉砕石灰石を視覚的に均一になるまで激しく混合することによって得た。粉砕セメントクリンカーと粉砕粒状高炉スラグとの両方は、Blaine表面が3500~4000cm/gであった。
【0130】
規格EN 196-1:2016に準拠してこれらの結合材を用いてモルタルを調製した。450gのそれぞれの水硬性結合材と225gの水とをミキサー内に量り取り、低速で混合した。30秒にわたる30秒の初期混合時間の後、1350gの砂を加えた。次に混合速度を増加させ、さらに30秒間混合を続けた。次にミキサーを停止し、形成されたペーストをかき落とした。90秒後、高速で混合を再開しさらに60秒間混合した。
【0131】
表4に示される時間の後、圧縮強度を測定した。
【0132】
以下の表2に結果の概要を示す。実施例2-1は本発明によらない比較例である。実施例2-2は本発明によるものである。
【0133】
【表4】
【0134】
表4の結果から分かるように、粉砕中にMDEA、TEA、TIPA、DEG、及びグリセリンのいずれかを加えた石灰石を使用すると、MDEA、TEA、TIPA、DEG、及びグリセリンのいずれも有しない石灰石の使用と比較して、早期圧縮強度の増加したモルタルが得られる。
【国際調査報告】