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特表2024-532107半導体ウエハのエッジ領域の放射加熱のための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】半導体ウエハのエッジ領域の放射加熱のための装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240829BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240829BHJP
   C30B 35/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/31 B
H01L21/68 R
C30B35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508709
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 US2022075035
(87)【国際公開番号】W WO2023023526
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/260,380
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カナカサバパシー・シヴァナンダ・クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】タッカー・ジェレミー・トッド
(72)【発明者】
【氏名】オン・セン
(72)【発明者】
【氏名】フバック・ジェローム・エス.
【テーマコード(参考)】
4G077
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077EG15
4G077EG16
4G077FE01
4G077FE11
5F045AA06
5F045AB39
5F045AC00
5F045AC07
5F045AC08
5F045AC09
5F045AC15
5F045AC16
5F045AD04
5F045AD05
5F045AD06
5F045AE17
5F045AE19
5F045AE21
5F045AE23
5F045AF03
5F045BB14
5F045DP03
5F045EB03
5F045EB08
5F045EC03
5F045EC09
5F045EE02
5F045EE04
5F045EE20
5F045EF05
5F045EG02
5F045EJ03
5F045EJ09
5F045EJ10
5F045EK07
5F045EK13
5F045EK17
5F045EK18
5F045EK22
5F045EK24
5F045EK30
5F045EM02
5F045EM05
5F045EN04
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA04
5F131CA12
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB78
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
5F131EB87
(57)【要約】
【解決手段】本明細書では、光学的手段を使用して半導体ウエハのエッジ加熱を行うための様々な装置およびシステムが提供される。そのようなシステムは、放射エネルギーを半導体ウエハのエッジ領域に向けることができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理用の基板支持体であって、前記基板支持体は、
ベースプレートであって、前記ベースプレートの上部にはウエハ支持エリアが存在し、前記ウエハ支持エリアは、前記ベースプレートの中心軸の周りに延びる外側境界を有し、ウエハを支持するように構成されるベースプレートと、
1つまたは複数の光源および1つまたは複数の発光面を有する光学式ウエハエッジ加熱ユニットであって、前記1つまたは複数の発光面は、
前記中心軸に沿って見た場合に前記外側境界を取り囲み、
前記中心軸に沿って見た場合に前記外側境界から半径方向外方に位置決めされ、
前記中心軸に垂直な軸に沿って見た場合にオフセット距離だけ前記外側境界の下に半径方向にオフセットして位置決めされ、
前記中心軸に平行な方向成分を有する方向に光を向ける
光学式ウエハエッジ加熱ユニットと
を備える、基板支持体。
【請求項2】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記1つまたは複数の光源は、複数の発光ダイオードであり、
各発光面は、対応する発光ダイオードの一部である、
基板支持体。
【請求項3】
請求項2に記載の基板支持体であって、
前記発光ダイオードは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である、基板支持体。
【請求項4】
請求項2に記載の基板支持体であって、
前記複数の発光ダイオードは、約300個未満の発光ダイオードを含む、基板支持体。
【請求項5】
請求項2に記載の基板支持体であって、
各発光ダイオードは、1,300ナノメートル(nm)以下の波長を有する光を放出するように構成される、基板支持体。
【請求項6】
請求項2に記載の基板支持体であって、
前記1つまたは複数の発光面の少なくとも1つは、前記中心軸に対して非平行な角度で配向される、基板支持体。
【請求項7】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記1つまたは複数の光源は、レーザ発光源であり、
各発光面は、光ファイバケーブルを介して前記レーザ発光源に接続されたレンズの一部である、
基板支持体。
【請求項8】
請求項7に記載の基板支持体であって、
各前記レーザ発光源は、1,300ナノメートル(nm)以下の波長を有する光を放出するように構成される、基板支持体。
【請求項9】
請求項7に記載の基板支持体であって、
前記1つまたは複数の発光面の少なくとも1つは、前記中心軸に対して非平行な角度で配向される、基板支持体。
【請求項10】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記ウエハは、ウエハ外径を有し、
前記ウエハ支持エリアの前記外側境界は、前記ウエハ外径よりも小さい、
基板支持体。
【請求項11】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記1つまたは複数の光源によって放出された光に対して透明な材料を含む1つまたは複数の窓をさらに備え、前記1つまたは複数の窓は、
前記1つまたは複数の発光面からの光が前記1つまたは複数の窓を通過するように前記1つまたは複数の発光面の上に位置決めされ、
前記ウエハ支持エリアと前記1つまたは複数の発光面との間の前記中心軸に沿って位置決めされる、
基板支持体。
【請求項12】
請求項11に記載の基板支持体であって、
前記基板支持体は、複数の窓を含む、基板支持体。
【請求項13】
請求項12に記載の基板支持体であって、
各窓は、前記1つまたは複数の発光面の各々に対応する、基板支持体。
【請求項14】
請求項11に記載の基板支持体であって、
前記基板支持体は、窓を1つだけ含む、基板支持体。
【請求項15】
請求項11に記載の基板支持体であって、
前記材料は、石英またはサファイアを含む、基板支持体。
【請求項16】
請求項1に記載の基板支持体であって、
1つまたは複数の冷却剤チャネルと、前記1つまたは複数の冷却剤チャネルに熱的に接続された円周方向冷却フィンとを含む能動冷却ユニットをさらに備え、前記円周方向冷却フィンは、
前記中心軸の周りに延び、
前記1つまたは複数の発光面から半径方向内方に位置決めされ、
4mm以下の半径方向距離だけ離れて前記外側境界から位置決めされる、
基板支持体。
【請求項17】
請求項16に記載の基板支持体であって、
前記ベースプレート内に位置決めされ、前記ウエハ支持エリア上のウエハを加熱するように構成された1つまたは複数の加熱ゾーンを有するウエハ加熱ユニットをさらに備え、
前記1つまたは複数の発光面は、前記1つまたは複数の加熱ゾーンから半径方向にオフセットされ、前記1つまたは複数の加熱ゾーンを取り囲み、
前記円周方向冷却フィンは、前記中心軸に沿って見た場合に前記1つまたは複数の加熱ゾーンの周りに延び、前記中心軸に沿って見た場合に前記1つまたは複数の加熱ゾーンと前記1つまたは複数の発光面との間に半径方向に介在される、
基板支持体。
【請求項18】
請求項17に記載の基板支持体であって、
前記円周方向冷却フィンと前記1つまたは複数の加熱ゾーンとの間に半径方向に介在される断熱体をさらに備える、基板支持体。
【請求項19】
請求項16に記載の基板支持体であって、
前記円周方向冷却フィンは、約4mm以下の半径方向厚さを有する、基板支持体。
【請求項20】
請求項16に記載の基板支持体であって、
前記円周方向冷却フィンは、内側半径および外側半径によって少なくとも部分的に画定される半径方向厚さを有し、
前記内側半径は、前記ウエハ支持エリアの前記外側境界から約4mm以下である、
基板支持体。
【請求項21】
請求項16に記載の基板支持体であって、
前記円周方向冷却フィンは、前記ウエハ支持エリアの前記外側境界に熱的に接続される、基板支持体。
【請求項22】
請求項16に記載の基板支持体であって、
前記冷却剤チャネルは、前記外側境界と前記1つまたは複数の発光面との間の前記中心軸に沿って位置決めされ、
前記冷却剤チャネルは、前記ベースプレートの一部内に位置決めされ、
1つまたは複数のポートが、前記ベースプレートの前記一部を通って延び、
前記1つまたは複数の発光面は、前記1つまたは複数の発光面からの光が前記1つまたは複数のポートを通過して前記ウエハに達するように前記1つまたは複数のポートに接続される、
基板支持体。
【請求項23】
請求項16に記載の基板支持体であって、
前記1つまたは複数の発光面は、前記外側境界と前記冷却剤チャネルとの間の前記中心軸に沿って位置決めされる、基板支持体。
【請求項24】
請求項16に記載の基板支持体であって、
前記円周方向冷却フィンおよび前記1つまたは複数の発光面の半径方向内方に位置決めされた断熱体をさらに備える、基板支持体。
【請求項25】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記オフセット距離は、非ゼロであり、10mm以下である、基板支持体。
【請求項26】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記1つまたは複数の光源は、白色光を放出するように構成される、基板支持体。
【請求項27】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記1つまたは複数の光源は、前記1つまたは複数の発光面を通して光を放出し、前記ウエハのエッジ領域を少なくとも80℃の温度に加熱するように構成される、基板支持体。
【請求項28】
請求項27に記載の基板支持体であって、
前記ウエハの前記エッジ領域は、3.5mm以下の半径方向厚さを有する、基板支持体。
【請求項29】
請求項27に記載の基板支持体であって、
前記温度は、少なくとも100℃である、基板支持体。
【請求項30】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記基板支持体は、静電チャックである、基板支持体。
【請求項31】
チャンバ内部を画定する処理チャンバと、
基板支持体であって、
ベースプレートであって、前記ベースプレートの上部にはウエハ支持エリアが存在し、前記ウエハ支持エリアは、前記ベースプレートの中心軸の周りに延びる外側境界を有し、ウエハを支持するように構成されるベースプレートと、
1つまたは複数の光源および1つまたは複数の発光面を有する光学式ウエハエッジ加熱ユニットであって、前記1つまたは複数の発光面は、
前記中心軸に平行に見た場合に前記外側境界を取り囲み、
前記中心軸に沿って見た場合に前記外側境界から半径方向外方に位置決めされ、
前記中心軸に垂直な軸に沿って見た場合にオフセット距離だけ前記外側境界の下に半径方向にオフセットして位置決めされ、
前記中心軸に平行な方向に光を向ける
光学式ウエハエッジ加熱ユニットと、
前記ベースプレート内に位置決めされ、前記ウエハ支持エリア上のウエハを加熱するように構成された1つまたは複数の加熱ゾーンを有する基板加熱ユニットであって、前記1つまたは複数の発光面は、前記1つまたは複数の加熱ゾーンから半径方向にオフセットされ、前記1つまたは複数の加熱ゾーンを取り囲む基板加熱ユニットと
を含む基板支持体と
を備える、装置。
【請求項32】
請求項31に記載の装置であって、
前記基板加熱ユニットに、第1の温度に前記ウエハ支持エリア上に位置決めされたウエハを維持させ、
前記第1の温度に前記ウエハを維持しながら、同時に前記光学式ウエハエッジ加熱ユニットに、前記第1の温度よりも高い第2の温度に前記ウエハのエッジ領域を維持させる
ように構成された命令を有するコントローラをさらに備える、装置。
【請求項33】
請求項31に記載の装置であって、
前記第1の温度は、約20℃~約120℃であり、前記第2の温度は、約40℃~約150℃である、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願の一部として、本明細書と同時に出願データシートが提出される。この同時出願された出願データシートに明記され、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
処理チャンバ内での堆積中、膜はウエハの前面だけでなく、ウエハの裏面上にも堆積され得る。例えば、凝縮プロセスを使用する堆積中、プロセスガスが凝縮して粒子を形成し、ウエハの前面および露出した裏面に堆積する場合がある。この裏面堆積物は、ウエハおよび他のウエハに対して様々な悪影響を引き起こす可能性がある。しかし、この裏面堆積物を除去することは実施が困難であり、既存の解決策はウエハに対して多数の不利益をもたらす可能性がある。
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載される主題の1つまたは複数の実施態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載される。他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。以下の非限定的な実施態様は、本開示の一部とみなされ、他の実施態様は、本開示の全体および添付の図面からも明らかになるであろう。
【0005】
いくつかの実施態様では、半導体処理用の基板支持体を提供することができる。基板支持体は、ベースプレートを含み、ベースプレートの上部にはウエハ支持エリアが存在し、ウエハ支持エリアは、ベースプレートの中心軸の周りに延びる外側境界を有し、ウエハを支持するように構成される。基板支持体はまた、1つまたは複数の光源および1つまたは複数の発光面を有する光学式ウエハエッジ加熱ユニットを含むことができ、1つまたは複数の発光面は、中心軸に沿って見た場合に外側境界を取り囲むことができ、中心軸に沿って見た場合に外側境界から半径方向外方に位置決めすることができ、中心軸に垂直な軸に沿って見た場合にオフセット距離だけ外側境界の下に半径方向にオフセットして位置決めすることができ、中心軸に平行な方向成分を有する方向に光を向けることができる。
【0006】
いくつかの実施態様では、1つまたは複数の光源は、複数の発光ダイオードであってもよく、各発光面は、対応する発光ダイオードの一部であってもよい。
【0007】
いくつかの実施態様では、発光ダイオードは、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)であってもよい。
【0008】
いくつかの実施態様では、複数の発光ダイオードは、約300個未満の発光ダイオードを含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施態様では、各発光ダイオードは、1,300ナノメートル(nm)以下の波長を有する光を放出するように構成されてもよい。
【0010】
いくつかの実施態様では、1つまたは複数の発光面の少なくとも1つは、中心軸に対して非平行な角度で配向されてもよい。
【0011】
いくつかの実施態様では、1つまたは複数の光源は、レーザ発光源であってもよく、各発光面は、光ファイバケーブルを介してレーザ発光源に接続されたレンズの一部であってもよい。
【0012】
いくつかのそのような実施態様では、各レーザ発光源は、1,300ナノメートル(nm)以下の波長を有する光を放出するように構成されてもよい。
【0013】
いくつかの実施態様では、1つまたは複数の発光面の少なくとも1つは、中心軸に対して非平行な角度で配向されてもよい。
【0014】
いくつかの実施態様では、ウエハは、ウエハ外径を有してもよく、ウエハ支持エリアの外側境界は、ウエハ外径よりも小さくてもよい。
【0015】
いくつかの実施態様では、ウエハ支持体は、1つまたは複数の光源によって放出された光に対して透明な材料を含む1つまたは複数の窓をさらに含んでもよい。1つまたは複数の窓は、1つまたは複数の発光面からの光が1つまたは複数の窓を通過するように1つまたは複数の発光面の上に位置決めされ、ウエハ支持エリアと1つまたは複数の発光面との間の中心軸に沿って位置決めされてもよい。
【0016】
いくつかのそのような実施態様では、基板支持体は、複数の窓を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施態様では、各窓は、1つまたは複数の発光面の各々に対応してもよい。
【0018】
いくつかの実施態様では、基板支持体は、窓を1つだけ含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施態様では、材料は、石英またはサファイアであってもよい。
【0020】
いくつかの実施態様では、基板支持体は、1つまたは複数の冷却剤チャネルと、1つまたは複数の冷却剤チャネルに熱的に接続された円周方向冷却フィンとを含む能動冷却ユニットをさらに含んでもよい。円周方向冷却フィンは、中心軸の周りに延びてもよく、1つまたは複数の発光面から半径方向内方に位置決めされてもよく、4mm以下の半径方向距離だけ離れて外側境界から位置決めされてもよい。
【0021】
いくつかの実施態様では、基板支持体は、ベースプレート内に位置決めされ、ウエハ支持エリア上のウエハを加熱するように構成された1つまたは複数の加熱ゾーンを有するウエハ加熱ユニットをさらに含んでもよい。1つまたは複数の発光面は、1つまたは複数の加熱ゾーンから半径方向にオフセットされ、1つまたは複数の加熱ゾーンを取り囲んでもよく、円周方向冷却フィンは、中心軸に沿って見た場合に1つまたは複数の加熱ゾーンの周りに延びてもよく、中心軸に沿って見た場合に1つまたは複数の加熱ゾーンと1つまたは複数の発光面との間に半径方向に介在されてもよい。
【0022】
いくつかの実施態様では、ウエハ支持体は、円周方向冷却フィンと1つまたは複数の加熱ゾーンとの間に半径方向に介在される断熱体をさらに含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施態様では、円周方向冷却フィンは、約4mm以下の半径方向厚さを有してもよい。
【0024】
いくつかの実施態様では、円周方向冷却フィンは、内側半径および外側半径によって少なくとも部分的に画定される半径方向厚さを有してもよく、内側半径は、ウエハ支持エリアの外側境界から約4mm以下であってもよい。
【0025】
いくつかの実施態様では、円周方向冷却フィンは、ウエハ支持エリアの外側境界に熱的に接続されてもよい。
【0026】
いくつかの実施態様では、冷却剤チャネルは、外側境界と1つまたは複数の発光面との間の中心軸に沿って位置決めされてもよく、冷却剤チャネルは、ベースプレートの一部内に位置決めされてもよく、1つまたは複数のポートが、ベースプレートの一部を通って延びてもよく、1つまたは複数の発光面は、1つまたは複数の発光面からの光が1つまたは複数のポートを通過してウエハに達するように1つまたは複数のポートに接続されてもよい。
【0027】
いくつかの実施態様では、1つまたは複数の発光面は、外側境界と冷却剤チャネルとの間の中心軸に沿って位置決めされてもよい。
【0028】
いくつかの実施態様では、ウエハ支持体は、円周方向冷却フィンおよび1つまたは複数の発光面の半径方向内方に位置決めされた断熱体をさらに含んでもよい。
【0029】
いくつかの実施態様では、オフセット距離は、非ゼロであり、10mm以下であってもよい。
【0030】
いくつかの実施態様では、1つまたは複数の光源は、白色光を放出するように構成されてもよい。
【0031】
いくつかの実施態様では、1つまたは複数の光源は、1つまたは複数の発光面を通して光を放出し、ウエハのエッジ領域を少なくとも80℃の温度に加熱するように構成されてもよい。
【0032】
いくつかの実施態様では、ウエハのエッジ領域は、3.5mm以下の半径方向厚さを有してもよい。
【0033】
いくつかの実施態様では、温度は、少なくとも100℃であってもよい。
【0034】
いくつかの実施態様では、基板支持体は、静電チャックであってもよい。
【0035】
いくつかの実施態様では、チャンバ内部を画定する処理チャンバを含む装置を提供することができる。装置は、ベースプレートを含み、ベースプレートの上部にはウエハ支持エリアが存在する基板支持体をさらに含むことができ、ウエハ支持エリアは、ベースプレートの中心軸の周りに延びる外側境界を有し、ウエハを支持するように構成される。装置は、1つまたは複数の光源および1つまたは複数の発光面を有する光学式ウエハエッジ加熱ユニットをさらに含むことができる。1つまたは複数の発光面は、中心軸に平行に見た場合に外側境界を取り囲むことができ、中心軸に沿って見た場合に外側境界から半径方向外方に位置決めすることができ、中心軸に垂直な軸に沿って見た場合にオフセット距離だけ外側境界の下に半径方向にオフセットして位置決めすることができ、中心軸に平行な方向に光を向けることができる。装置は、ベースプレート内に位置決めされ、ウエハ支持エリア上のウエハを加熱するように構成された1つまたは複数の加熱ゾーンを有する基板加熱ユニットをさらに含むことができる。1つまたは複数の発光面は、1つまたは複数の加熱ゾーンから半径方向にオフセットされ、1つまたは複数の加熱ゾーンを取り囲むことができる。
【0036】
いくつかの実施態様では、装置は、基板加熱ユニットに、第1の温度にウエハ支持エリア上に位置決めされたウエハを維持させ、第1の温度にウエハを維持しながら、同時に光学式ウエハエッジ加熱ユニットに、第1の温度よりも高い第2の温度にウエハのエッジ領域を維持させるように構成された命令を有するコントローラをさらに含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施態様では、第1の温度は、約20℃~約120℃であってもよく、第2の温度は、約40℃~約150℃であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本明細書に開示される様々な実施態様は、添付の図面の図に限定としてではなく例として示されており、同様の参照番号は、同様の要素を指す。
【0039】
図1A図1Aは、開示された実施形態による基板支持体の等角図である。
【0040】
図1B図1Bは、図1Aの基板支持体の上面図である。
【0041】
図1C図1Cは、図1Aの基板支持体の断面側面図である。
【0042】
図1D図1Dは、ウエハを有する図1Cの基板支持体の側面図である。
【0043】
図1E図1Eは、図1Aの基板支持体および単一のレーザ源の断面側面図である。
【0044】
図1F図1Fは、図1Cの基板支持体の拡大部分を図示する図である。
【0045】
図1G図1Gは、追加の特徴を有する図1Cの断面側面図である。
【0046】
図1H図1Hは、図1Gの基板支持体の断面上面図である。
【0047】
図2A図2Aは、ウエハと共に図1Aの基板支持体の側面図を図示する図である。
【0048】
図2B図2Bは、図1Bの上面図である。
【0049】
図3図3は、開示された実施形態による別の基板支持体の断面側面図である。
【0050】
図4図4は、例示的なフォトレジスト膜堆積チャンバを図示する図である。
【0051】
図5図5は、様々な動作のフロー図である。
【0052】
図6図6は、凝縮ベースの堆積についての堆積速度および温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の説明では、提示された実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで実践することができる。他の例では、開示された実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作は詳細に説明されていない。開示された実施形態は、特定の実施形態と併せて説明されるが、特定の実施形態は、開示された実施形態を限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0054】
本出願では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「部分的に製作された集積回路」という用語は、互換的に使用され得る。当業者は、「部分的に製作された集積回路」という用語が、集積回路製作の多くの段階のいずれかにあるケイ素ウエハを指すことができることを理解するであろう。半導体デバイス業界で使用されるウエハまたは基板は、典型的には、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。半導体ウエハに加えて、開示された実施形態を利用することができる他のワークピースには、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、マイクロ機械デバイスなどの様々な物品が挙げられる。
【0055】
序論および背景
一部の半導体堆積プロセスでは、望ましくない裏面堆積物が発生する場合がある。これらの堆積プロセスは、プロセスガスがウエハに向かって流れ、凝縮して微粒子となり、その微粒子がウエハ表面上に進行してウエハ表面上に堆積する、凝縮ベースの堆積プロセスを含む。これらの堆積プロセスの一部の間、ウエハは、ウエハとESCとの間の相対移動を防止するためにウエハに対してクランプ力を及ぼす静電チャック(ESC)によって支持することが可能である。一部のESCまたは台座などの他のウエハ支持体は、ウエハよりも小さいサイズのウエハ支持エリアを有し、その結果、ウエハの円周方向エッジ領域がESCと接触せず、ウエハ裏面の円周方向領域が処理チャンバ環境に露出される。本明細書で使用される場合、基板支持体は、ESC(クランプ力を及ぼすように構成される)または台座を含む、ウエハまたは基板を支持するように構成されたこれらの様々なウエハ支持構造を包含する。凝縮ベースの堆積動作中、堆積材料は、この露出した裏面円周方向領域に流れて堆積する可能性がある。
【0056】
ウエハの裏面上への堆積は、多くの理由から望ましくない。例えば、凝縮ベースの堆積がウエハ上で実施され、裏面堆積物が生じた後、ウエハは、フロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)に移送され得る。多くのFOUPは、ウエハのエッジ領域に接触する構造を使用してウエハを保持および支持しており、これらの構造が裏面堆積物に接触して摩耗し、堆積物が剥離して同じFOUP内の他のウエハ上に進行する場合がある。さらに、FOUP支持構造の接触および摩耗によって除去された裏面堆積物の一部がFOUP内に残り、その後FOUPにロードされる他のウエハを汚染する可能性がある。
【0057】
多くの装置および技法は、この望ましくない裏面堆積物に適切に対処することができない。例えば、装置および技法は、この堆積を防止せず、かつ/または防止することができない。さらに、望ましくない材料が堆積した後、この望ましくない材料は湿式洗浄動作を使用して除去することができるが、これらの洗浄動作はスループットを低下させ、かつコストを増加させる可能性があり、実施するのが困難な場合がある。例えば、多くの湿式洗浄動作は堆積チャンバまたはツールに統合されておらず、むしろ、それらはウエハをかかる洗浄モジュールまたはツールに移送する必要がある別々のモジュールまたはツールである。この移送に伴うウエハの取り扱いによりウエハがさらに接触して摩耗し、それによって裏面材料が取り除かれ、さらなる汚染が引き起こされる可能性がある。洗浄モジュールまたは洗浄ツールを使用すると追加の移送および処理時間も必要となり、これらによりスループットが減少し、また、高価で動作および維持が困難であり得る複雑な液体貯蔵および送給システムを必要とする実質的な材料も必要となる。
【0058】
本発明者らは、凝縮ベースの堆積プロセス中における望ましくない裏面堆積物の発生を低減および/または防止する新規かつ固有の装置および技法を決定した。多くの凝縮ベースの堆積プロセスは温度に依存しており、したがって、その堆積速度が特定の温度以上ではゼロに近づくかゼロに達する可能性がある。凝縮ベースの堆積プロセス中、ウエハは、材料がウエハ上に堆積されるように所望の堆積速度を有する1つまたは複数の設定温度に維持される。本発明者らは、ウエハの露出した円周方向エッジ領域を、堆積速度がゼロまたはゼロに近い温度以上に加熱および維持することによって、材料の堆積を低減または防止することができると決定した。これにより、約0.5mm~5mmの半径方向厚さを有し得る円周方向エッジ領域と、ウエハの残りの内側領域との間に温度差が生じる。いくつかの実施態様では、内側領域は、例えば300mmウエハの場合のようにウエハの大部分であってもよく、この内側領域の半径は、例えば、約145mm-149mmであってもよい。円周方向エッジ領域は、内側領域の外側境界とウエハのエッジとの間のウエハの残りの部分であってもよい。
【0059】
本明細書で提供される装置は、1つまたは複数の光源、例えば複数の発光ダイオード、例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)によって放出される光、または光ファイバケーブルを介して1つまたは複数のレーザ源に接続されたレンズを通して放出されるレーザを使用して露出した円周方向エッジ領域を放射加熱することによって、ウエハの内側領域と円周方向エッジ領域との間にこの温度差を生じさせる。
【0060】
基板支持体
本開示の態様は、凝縮ベースの堆積プロセス中に望ましくない裏面堆積物を防止するためにウエハの円周方向エッジ領域を放射加熱するための装置に関する。前述したように、材料は、ウエハの温度が1つまたは複数の設定点温度に維持されている間にウエハの内側領域上に堆積され、これにより材料は特定の堆積速度でウエハの前面上に堆積される。堆積中、ウエハは、ESCまたは台座などのウエハ支持構造によって支持されてもよく、この構造は、ウエハの内側領域を加熱して所望の堆積速度が生じる設定点温度に維持するように構成された1つまたは複数の加熱ゾーンを有するウエハ加熱ユニットを有することができる。本明細書で使用される場合、基板支持体は、ESC(クランプ力を及ぼすように構成される)または台座を含む、ウエハまたは基板を支持するように構成されたこれらの様々なウエハ支持構造を包含する。ウエハの内側領域上へのこの堆積と同時に、円周方向エッジ領域は、円周方向エッジ領域における堆積の発生を低減または防止するために、堆積速度がゼロまたはゼロに近い温度などの設定点温度よりも高い温度に加熱されて維持されてもよい。
【0061】
上記のように、多くの凝縮ベースの堆積プロセスは、1つまたは複数の温度範囲でゼロまたはゼロに近い堆積速度を有し得る温度ベースの堆積プロセスである。この点よりも低い温度範囲では、堆積速度が正となり、材料の堆積を引き起こし得る。図6は、凝縮ベースの堆積についての堆積速度および温度を示すグラフを図示する。縦軸は堆積速度であり、横軸は温度であり、ここで分かるように、堆積速度はウエハの温度が上昇するにつれて減少する。温度T1-T2では、堆積速度は正であるが、温度T3以上では、堆積速度はゼロになる。温度と堆積との間のこの関係は、ウエハ上の望ましくない裏面堆積物を防止または低減するために使用される。特定の堆積プロセス化学作用の場合、円周方向エッジ領域は、堆積速度がゼロである関連するT3温度付近に、T3温度に、またはT3温度以上に加熱される。いくつかの実施態様では、T1およびT2は、約30℃~150℃の範囲であってもよく、T3は、約60℃~約200℃以上であってもよい。
【0062】
前述したように、本明細書の装置は、1つまたは複数の光源、例えば複数の発光ダイオード、例えば、複数のVCSELによって放出される光、または光ファイバケーブルを介して1つまたは複数のレーザ源に接続された複数のレンズを通して放出されるレーザを使用して露出した円周方向エッジ領域を放射加熱する。この円周方向エッジ領域を放射加熱することにより、ウエハのこのエリアを伝導加熱するよりも均一であり得るウエハ厚さを通る熱勾配が生成され、場合によっては、伝導加熱を使用すると、ウエハ上に1つまたは複数の望ましくない局所的なホットスポットが形成され、1つまたは複数の光源よりも上昇および下降に時間がかかる。
【0063】
1つまたは複数の光源は、ケイ素ウエハによって吸収され得る波長を有する光を放出するように構成される。ケイ素を加熱するには光の波長がケイ素によって少なくとも部分的に吸収されなければならないため、ケイ素を伴った使用放射ヒータは、ドープされているかドープされていないかにかかわらず、慎重な選択および構成が必要である。しかし、ケイ素は特定の波長のみを吸収し、一般的な放射ヒータで使用される赤外線などの多くの波長に対して透明である。ここで、1つまたは複数の光源によって放出される光は、ケイ素によって吸収されるように選択され、それによって光がケイ素を加熱することが可能になる。いくつかの実施態様では、円周方向エッジ領域を加熱するために1つまたは複数の光源によって放出される光のこれらの波長には、例えば、約400ナノメートル(nm)~約800nm、約200nm~約1,300nm、約500nm~約1,100nm、約800nm~約1,300nm、および約700nm~約1,000nmが挙げられる。例えば、ケイ素は、約800nmの波長を有する光をケイ素内の約1mmの深さまで吸収することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、装置は、基板支持体内の能動冷却ゾーンを使用して円周方向エッジ領域における熱エネルギーが内側領域に向かって伝導するのを防止することによって、内側領域と円周方向エッジ領域との間に温度差をさらに生じさせることができる。円周方向エッジ領域における高温、したがって上昇した熱エネルギーは内方に自然に放射するが、内側領域における追加の熱エネルギーが厳密かつ正確な温度制御のこの領域を妨害し、その領域内の堆積に悪影響を及ぼす可能性があるため、内側領域へのこの熱伝導は望ましくない。能動冷却ゾーンは、冷却剤チャネルに熱的に接続され、ウエハ加熱ユニットの1つまたは複数の加熱ゾーンの周りに延び、その外側に半径方向にオフセットされる円周方向冷却フィンを有する能動冷却ユニットによって可能にされ得る。円周方向冷却フィンは、熱障壁および熱交換器として作用し、円周方向エッジ領域からの熱は、円周方向冷却フィンおよび冷却剤チャネルに伝導され、それによってウエハから過剰な熱が除去される。いくつかの実施態様では、断熱体が円周方向冷却フィンとウエハ加熱ユニットの1つまたは複数の加熱ゾーンとの間に半径方向に介在され、円周方向冷却フィンによる内側領域からの望ましくない熱の除去を防止する。
【0065】
図1Aは、開示された実施形態による基板支持体の等角図を図示する。基板支持体100は、ベースプレート102を含み、ベースプレート102の上部にはウエハ支持エリア104が存在する。ウエハ支持エリア104は、その上に載置されたウエハを支持するように構成され、示すように、円形または実質的に円形(例えば、製造公差により円形の5%以内)であり得る外側境界106によって少なくとも部分的に画定される。場合によっては、ウエハ支持エリア104は、図1Aに示すように、平面を有してもよいが、いくつかの他の例では、ウエハ支持エリア104は、溝または円筒形の接触エリアなどの非平面トポグラフィを有する。
【0066】
多くの基板支持体では、ウエハ支持エリア104は、ウエハ支持エリア104が支持するウエハよりも小さい表面積および直径を有し、その結果、ウエハの円周方向エッジ領域が基板支持体と接触しないか、または基板支持体によって支持されないことになる。図2Aは、ウエハと共に図1Aの基板支持体の側面図を図示し、図2Bは、図1Bの上面図を図示する。図2Aでは、ウエハ108がウエハ支持エリア104上に位置決めされ、ウエハの表面積110および外径112は、ウエハ支持エリアの表面積114および外側境界106よりも大きく、その結果、ウエハ108の円周方向エッジ領域116がウエハ支持エリア104の外側境界106を越えて延び、基板支持体と接触しないか、または基板支持体によって支持されないことになる。したがって、ウエハの外径112または外側エッジは、ウエハ支持エリア104の外側境界106よりも基板支持体の中心軸111からさらに半径方向にオフセットされる。
【0067】
これらのウエハおよび基板支持体の幾何学的形状は、図1Bにさらに示されており、図1Bは、ウエハ支持エリアの上のウエハ108、およびウエハ108の下にあり、この図の角度からは見えないことを示すために破線で図示されているその境界106を示す。円周方向エッジ領域116もまた、陰影を付けて強調表示されている。見てわかるように、ウエハ108の外径112または外側エッジは、半径R1よりも小さい半径R2だけ中心軸111から半径方向にオフセットされたウエハ支持エリア104の外側境界106よりも基板支持体の中心軸111(図の中心にXとして示されている)からさらに遠い半径R1だけ半径方向にオフセットされる。中心軸111は、基板支持体100に沿って長手方向に延在していると考えられ得、ウエハ支持エリア104に垂直であり得る。いくつかの実施態様では、円周方向エッジ領域116は、約5mm~約0.5mm(例えば、約4mm、約3.5mm、約3mm、約2.5mm、約2mm、約1.5mm、または約1mmを含む)の半径方向厚さ117を有してもよい。
【0068】
図2Aおよび図2Bに示すように、ウエハ108のこの円周方向エッジ領域116は、基板支持体から張り出し、処理チャンバ環境に曝露されており、この領域におけるウエハ上に望ましくない裏面堆積物が生じる可能性がある。例えば、図2Aでは、プロセスガスおよび材料は、矢印120で示されるように、ウエハエッジ112の周りを流れ、円周方向エッジ領域116内のウエハ裏面118上に堆積する場合がある。この裏面堆積物を防止するために、本明細書で提供される基板支持体は、凝縮ベースの堆積が生じないか、または許容可能な低い速度で生じる温度または温度範囲までウエハの円周方向エッジ領域を放射加熱するように構成された光学式ウエハエッジ加熱ユニットを有し、 それによってこの望ましくない裏面堆積物を低減および/または防止する。光学式ウエハエッジ加熱ユニットは、個々の発光ダイオードまたはレーザ源などの1つまたは複数の光源から特定の波長の光を放出することによって放射加熱する。放出された光は、ウエハの円周方向エッジ領域上およびその周りに光を分配する1つまたは複数の発光面を通過する。いくつかの実施形態では、1つの発光面が存在してもよく、他の実施形態では、複数の発光面が存在してもよい。
【0069】
再び図1Aを参照すると、基板支持体100は、1つまたは複数の光源および複数の発光面を有する光学式ウエハエッジ加熱ユニット120を含む。発光面122は、その一部が識別されており、円形の面によって表されている。これらの表面は、光ファイバケーブルに接続されたレンズ、LEDの表面、VCSELの表面、および/またはLEDを覆う外表面(例えば、LEDの上のケースなど)など、光が通過する表面であってもよいことが理解されるであろう。図1Aの基板支持体の上面図を図示する図1Bでは、複数の発光面122がより目立つ。複数の発光面122は、基板支持体の中心軸111に沿って見た場合にベースプレート102の外側境界106の周りに延びて取り囲み、これらの発光面122はまた、中心軸111から半径方向外方に位置決めされ、したがって外側境界106よりも中心軸111からの半径方向距離が大きい。いくつかの実施形態では、発光面122の各々は、同じ、または実質的に同じ(例えば、10%以内)半径方向距離R3だけ中心軸111から半径方向にオフセットされ得る。この半径方向距離R3は、各発光面122の中心点または平均公称点から測定することが可能である。いくつかの他の実施態様では、少なくとも1つの発光面122は、1つまたは複数の他の発光面122とは異なる半径方向距離でオフセットされてもよい。
【0070】
発光面122はまた、基板支持体を側面から見た場合、例えば、中心軸111に垂直な軸に沿って見た場合にウエハ支持エリア104の下に垂直に位置決めされる。図1Cは、図1Aの基板支持体の断面側面図を図示する。ウエハ支持エリア104、その外側境界106、および2つの発光面122が図1Cにみられる。発光面122は、非ゼロ距離である第1のオフセット距離D1だけ外側境界106からオフセットされて外側境界106の下になるように、中心軸111に沿って位置決めされる。この第1のオフセット距離D1は、例えば、約0.5mm~約20mm、約1mm~約10mm、約3mm~約20mm、および約5mm~約10mmの範囲であってもよい。
【0071】
発光面122は、ウエハ支持エリア104上に位置決めされたウエハ(図1Cでは図示せず、図1Dを参照)の円周方向エッジ領域116の裏面118に光を向けるように位置決めおよび構成される。光は、異なる程度のコリメート光ならびに拡散光など、様々な方式で発光面122から放出されてもよい。コリメーションの程度は、例えば、レンズが使用されるかどうかおよび光源を含む、光学式ウエハエッジ加熱ユニットの異なる側面に基づいて変化し得る。例えば、VCSELなどのレーザダイオードは、レンズを通して放出されるガスまたは結晶レーザからのレーザ光よりもコリメートされていない光を有する。加えて、可視光を放出するLEDは、拡散光を放出してもよい。これにより、発光面122から放出される光は、少なくとも中心軸111に平行な方向成分を有する方向を含む、異なる方向成分を有し得る。例えば、図1Cでは、2つの例示的な光ビームが示されており、光ビーム126Aは中心軸111に平行なベクトルであり、光ビーム126Bは中心軸111に平行でないベクトルであるが、中心軸111に平行な第1の方向成分128Aと、中心軸111に垂直な第2の方向成分128Bとを有する。
【0072】
いくつかの実施態様では、発光面122は、ウエハ上に放出される重なり合う光ビームを生成するために、中心軸111に対して、および/または外側境界106に対して接線方向に角度を付けられてもよい。図1Cでは、この角度付けは、図のページに垂直な軸の周り、および中心軸111に垂直な別の軸の周りであり得る。
【0073】
図1Dは、ウエハを有する図1Cの基板支持体の側面図を図示し、光をウエハ上に向けるウエハエッジ加熱ユニットを示している。ここで、ウエハ108は、ウエハ支持エリア104上に位置決めされ、円周方向エッジ領域116は、外側境界を越えて延び、上述したように複数の発光面122の上に位置決めされているのが見られる。光学式ウエハエッジ加熱ユニット120は、光を発光面122を通して、または発光面122によって円周方向エッジ領域116上(ウエハ108の裏面118上を含む)に放出させ、円周方向エッジ領域116を加熱することが見られる。放出された光は、どのように光がウエハ108上に放出されて円周方向エッジ領域116を加熱し得るかについての非限定的な例を示すために、ビーム126Cおよび拡散光126Dとして示されている。
【0074】
前述のように、いくつかの実施態様では、光学式ウエハエッジ加熱ユニット120は、可視光を放出するLEDおよびVCSELなどのレーザを放出するLEDを含む発光ダイオード(LED)である複数の光源を有し得る。いくつかのそのような実施形態では、発光面122は、各発光面が対応する光源の一部であるように、LED光源の一部とみなすことができる。例えば、発光面は、光を放出するダイオードであってもよいし、VCSELの場合、発光面は、レーザが材料のスタック内、例えば、ミラーと酸化物層との間で生成されるためにVCSELの外表面であってもよい。いくつかの実施形態では、これらのLEDは、例えば、約400ナノメートル(nm)~約800nm、約800nm~約1,300nm、約200nm~約1,200nm、約500nm~約1,100nm、約800nm~約1,300nm、および約700nm~約1,000nmを含む波長を有する光を放出する。これらの波長はケイ素ウエハによって吸収され、それによってウエハを、例えば、少なくとも約80℃、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、約180℃、約190℃、および約200℃に加熱することができる。
【0075】
LEDを使用することによって、発光源および発光面はすべて、図1Cに示されるように光学式ウエハエッジ加熱ユニット120内に位置決めされ得る。ここで、発光源124が発光面122を含むボックスによって表されており、両方とも光学式ウエハエッジ加熱ユニット120のハウジング125内に含まれる。いくつかの実施態様では、これらの発光源124の各々は、それらの電力供給を簡素化して統一するために、直列に互いに電気的に接続され得る。いくつかの他の実施態様では、これらの発光源124のサブグループは、異なる電力供給方式、したがって光学式ウエハエッジ加熱ユニット120内に調整可能な加熱エリアを作り出す異なる加熱方式を容易にするために、互いに電気的に接続されてもよい。この調整機能により、ウエハの円周方向エッジ領域における温度プロファイルをより微調節することが可能になり得る。
【0076】
光学式ウエハエッジ加熱ユニットに含まれる光源の数は、変更することができる。いくつかの実施態様では、光源、例えば、LEDまたはVCSELの数は、例えば、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、または約500未満であってもよい。
【0077】
いくつかの実施態様では、光学式ウエハエッジ加熱ユニットの光源は、基板支持体が載置される処理チャンバの外側など、基板支持体から離れた単一のレーザ源であってもよい。単一のレーザ源は、レーザ源と基板支持体との間にまたがる複数の光ファイバケーブルに接続され得る。各光ファイバケーブルは、発光面となり得るレンズで終端し得る。図1Eは、図1Aの基板支持体および単一のレーザ源の断面側面図を図示する。見てわかるように、単一のレーザ源130は基板支持体100とは別々の構造であり、複数の光ファイバケーブル132に接続され、光ファイバケーブル132の各々は発光面122で終端し、そのうちの2つが示されており、レンズとみなすことができる。
【0078】
図1Eの光学式ウエハエッジ加熱ユニット用の単一レーザ源130に接続される発光面、例えば、レンズの数は、変更することができる。いくつかの実施態様では、発光面、例えば、レンズの数は、例えば、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、または約500未満であってもよい。これは、1つの発光面を含んでもよい。
【0079】
これらの実施形態のいくつかでは、光ファイバケーブルに接続された発光面122は、図1Cに図示されるように、中心軸に対して垂直な角度で配向されてもよい。いくつかの他の実施形態では、発光面122は、鋭角または鈍角など、中心軸111に対しての非垂直の角度で配向されてもよい。
【0080】
LEDと同様に、レーザ源130は、例えば、約400ナノメートル(nm)~約800nm、約200nm~約1,200nm、約800nm~約1,300nm、約500nm~約1,100nm、および約700nm~約1,000nmを含む波長を有するレーザ光を放出する。これらの波長はケイ素ウエハによって吸収され、それによってウエハを、例えば、少なくとも約80℃、約100℃、約110℃、約120℃、約130℃、約140℃、約150℃、約160℃、約170℃、約180℃、約190℃、または約200℃に加熱することができる。
【0081】
処理チャンバで使用される一部のプロセスガスおよび/または洗浄ガスは、1つまたは複数の光源および/または発光面に有害である可能性があるため、いくつかの実施態様では、窓を使用して1つまたは複数の光源および/または発光面を覆い、これらのガスから保護することができる。窓は、例えば、約400nm-1500nmの範囲の波長を有する光を含む、1つまたは複数の光源によって放出される光の波長に対して透明な材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、この材料は、石英、サファイア、サファイアコーティングを施した石英、またはフッ化カルシウム(CaF)であってもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、基板支持体は、複数の発光面の上に位置決めされた単一の窓を有してもよい。図1Bを参照すると、基板支持体100は、破線の内側境界131および外側境界133を有する陰影として表される環状のリング形状を有する窓134を含む。見てわかるように、窓134は、中心軸111の周りに延び、発光面122を覆う。窓134の内側境界131の内側半径R4は、発光面122の半径R3よりも小さくてもよく、窓134の外側境界133の半径R5は、半径R3よりも大きくてもよい。窓および基板支持体の他の特徴が、図1Cの基板支持体の拡大部分を図示する図1Fにさらに示されている。ここで見てわかるように、窓は、外側境界106と発光面122との間の中心軸111に沿って位置決めされるように、発光面122の上にある。加えて、窓134は、中心軸111に平行な距離D2だけ外側境界106からオフセットされており、この距離は、外側境界106からの発光面122のオフセット距離D1よりも小さい。
【0083】
いくつかの実施形態では、基板支持体は、1つまたは複数の発光面の上に位置決めされた複数の窓を有し得る。これは、例えば、各々が中心軸の周りに部分的に延びる複数の環状扇形部分を含むことができる。窓には、例えば、正方形、円形、長円形、楕円形、または他の幾何学的形状の窓も挙げられ得る。場合によっては、基板支持体は、各窓が1つの発光面に対応するように、すなわち、各発光面がそれ自体の対応する窓を有するように、発光面の数に対応する多数の窓を有してもよい。光ファイバケーブルおよびレーザ源に接続されたレンズを有するいくつかの実施形態では、レンズ自体が窓であってもよく、したがって、石英、サファイア、サファイアコーティングを施した石英、またはフッ化カルシウム(CaF)など、1つまたは複数の光源によって放出される光の波長に対して透明な材料で構成され得る。いくつかの実施態様では、窓の厚さは、例えば、約0.5mm~約15mm、または約1mm~10mmであってもよい。
【0084】
基板支持体の1つまたは複数の窓はまた、発光面の周りに1つまたは複数のプレナム容積を形成して処理チャンバ環境から発光面を流体的に隔離するために、基板支持体(光学式ウエハエッジ加熱ユニットを含む)に接続されてもよい。これは、1つまたは複数の窓と共に、密閉されたプレナム容積を形成するハウジング125または他の構造内に発光面を位置決めすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、アルゴン、窒素、またはヘリウムなどの不活性ガスであり得る冷却流体などの流体を、このプレナム容積内に流すことが可能である。この流体は、光学式ウエハエッジ加熱ユニットの温度を制御するために使用され得る。基板支持体は、プレナム容積内にこのガスを流すための1つまたは複数の入口および1つまたは複数の出口を有してもよい。1つまたは複数の入口は、チャンバの外側の不活性ガス源に流体的に接続され、基板支持体内に少なくとも部分的に通され得る貫通流体導管を含み得る。1つまたは複数の出口は、チャンバの外側の排気または他の環境に流体的に接続され、また、台座内に延在する貫通流体導管とすることが可能である。
【0085】
本明細書で提供される基板支持体はまた、他の温度制御要素を含むことができる。例えば、前述のように、円周方向エッジ領域と、堆積が行われることが意図されるウエハの内側領域との間に温度差を生じさせることが望ましいが、光学式ウエハエッジ加熱は円周方向エッジ領域を内側領域よりも高温に加熱するため、エッジ領域における追加された熱エネルギーは内側領域へと半径方向内方に自然に伝導され得る。この内方への熱伝導は、堆積プロセスのための内側領域の正確な温度制御に影響を及ぼし、それによってウエハの不均一性が増大するなど堆積に悪影響を及ぼす場合があるため、望ましくない。したがって、基板支持体は、円周方向エッジ領域における追加された熱エネルギーを除去するサーマルブレークまたはヒートシンクを形成する能動冷却ユニットを含み得る。能動冷却ユニットは、冷却剤チャネルと、中心軸の周りに延び、複数の発光面から半径方向内方にあり、冷却器に熱的に接続される、基板支持体のベースプレートにおける円周方向冷却フィンとを含むことができる。
【0086】
図1Gは、追加の特徴を有する図1Cの断面側面図を図示する。ここで、基板支持体100は、破線形状内に包含された能動冷却ユニット136を有し、ハウジング142内の1つまたは複数の冷却チャネル140に熱的に接続された(例えば、金属または金属合金などの熱伝導性材料に物理的に接続されるか、または熱伝導性材料を介して接続された)円周方向冷却フィン138を含む。円周方向冷却フィン138は、複数の発光面122よりも中心軸111に近くなるように、発光面122から半径方向内方に位置決めされ、場合によっては、円周方向冷却フィン138は、図1Gにも示されているように光学式ウエハエッジ加熱ユニット120の半径方向内方にあってもよい。冷却チャネル140は、約-20℃などの低温に冷却される水などの熱伝達流体を受け取るように構成される。これは、基板支持体が位置する処理チャンバの外側にあるチラーまたは冷却器に冷却チャネル140を流体的に接続することを含むことができる。冷却チャネル140を有するハウジング142は、円周方向冷却フィン138に熱的に接続され、それにより円周方向冷却フィン138によって受け取られた熱を基板支持体100から除去するために、円周方向冷却フィン138と冷却チャネル140との間に熱経路が存在するようになる。
【0087】
円周方向冷却フィン138は比較的小さい半径方向厚さを有し、加熱された円周方向エッジ領域に近づくように基板支持体の外側境界の近くに位置決めされ得る。円周方向冷却フィン138をそのように構成および位置決めすることにより、堆積が行われるウエハのエリアが外側境界106に近くなり、したがってより大きくすることが可能になり、これにより有利には、堆積およびデバイス形成のためのより多くのエリアが提供され、それによってウエハの歩留まりが増加する。したがって、いくつかの実施態様では、円周方向冷却フィン138の半径方向厚さ144は、約4mm、約3mm、約2mm、または約1mm以下であってもよい。いくつかの実施形態では、円周方向冷却フィン138は、例えば、約4mm、約3mm、約2mm、約1mm、約0.5mm、または約0.25mm以下であり得る外側境界106からの半径方向距離内に位置決めされてもよい。
【0088】
基板支持体および円周方向冷却フィンの構成は、図1Gの基板支持体の断面上面図を図示する図1Hにさらに示されている。光学式ウエハエッジ加熱ユニット120および発光面122は、基板支持体100の外側境界106の外側に半径方向にオフセットされ、その周りに延びているのが見られ、明確にするために、外側境界106は太線で図示されている。クロスハッチングで図示される円周方向冷却フィン138もまた、基板支持体100の中心軸111の周りに延びて取り囲み、外側境界106から中心軸111に向かって半径方向内方に位置決めされているのが見られる。円周方向冷却フィン138は、内側半径R6を有する内側境界141と、外側半径R7を有する外側境界143とを有し、これらは共に円周方向冷却フィン138の半径方向厚さ144を少なくとも部分的に画定する。
【0089】
図1Hに示されるように、いくつかの実施態様では、円周方向冷却フィン138は、外側境界106の半径R2が円周方向冷却フィン138の外側半径R7よりも大きくなるように、外側境界106から半径方向にオフセットされてもよい。いくつかの他の実施態様では、円周方向冷却フィン138は、例えば、基板支持体の外部構造の一部である円周方向冷却フィン138を含み得る外側境界106と重なってもよい。円周方向冷却フィン138の半径方向内方の基板支持体100のエリアは、堆積が生じるウエハのエリアであってもよい。基板支持体の影付きの円形エリア146によって表されるこの内方エリアは、1つまたは複数の加熱ゾーンを有するウエハ加熱ユニットを使用して、その上に位置決めされたウエハを円周方向エッジ領域とは異なる温度に加熱することが可能である。
【0090】
前述のように、堆積が生じるエリアを拡大するために、円周方向冷却フィン138の半径方向厚さを低減することが望ましい。したがって、いくつかの実施態様では、円周方向冷却フィン138の半径方向厚さ144は、例えば、約4mm、約3mm、約2mm、または約1mm以下であってもよい。さらに、外側境界106と重なることを含めて、外側境界106の近くに円周方向冷却フィン138を位置決めすることが有利であり得る。いくつかのそのような実施形態では、図1Hに示すように、円周方向冷却フィン138の内側半径R6は、中心軸111に垂直な、例えば、約4mm、約3mm、約2mm、または約1mm未満の半径方向距離RD1だけ外側境界106から半径方向にオフセットされ得る。この距離により能動冷却ゾーンを円周方向環状領域に近づけることが可能になり、これは、堆積温度まで加熱されて堆積に使用され得る円周方向冷却フィン138から半径方向内方に向かってウエハの残りの領域を拡大し、それによってウエハの歩留まりを増加させるため、望ましいものである。
【0091】
再び図1Gを参照すると、処理中にウエハの温度を制御するための熱制御システムとみなされ得るウエハ加熱ユニット148を含む、基板支持体100の追加の特徴が示されている。図1Gでは、ウエハ加熱ユニット148は、互いに同心でクランプ電極152の下に位置決めされた3つの環状抵抗ヒータトレース150a、150b、および150cを特徴とするマルチゾーン熱制御システムである。中心の抵抗ヒータトレース150a、150b、および150cは、いくつかの実施態様では、概して円形のエリアを満たすことができ、各抵抗ヒータトレース150a、150b、および150cは、対応する環状領域内で概して蛇行状のあるいは曲がりくねった経路を辿ることができる。各抵抗ヒータトレース150a、150b、および150cは、個々に制御して基板支持体内に様々な半径方向加熱プロファイルを提供することができ、そのような3ゾーン加熱システムは、例えば、場合によっては±0.5℃の温度均一性を有するようにウエハを維持するように制御され得る。基板支持体100は3ゾーン加熱システムを特徴とするが、他の実施態様では、3ゾーンよりも多いまたは少ないゾーンを有するシングルゾーンまたはマルチゾーン加熱システムを使用することが可能である。
【0092】
図1Gに示すように、いくつかの実施態様では、ウエハ加熱ユニット148は、光学式ウエハエッジ加熱ユニット120から分離されている。ウエハ加熱ユニット148は、基板支持ベースプレートの内側に位置決めされているのが見られるが、発光面122は、ウエハ加熱ユニット148の1つまたは複数の加熱ゾーンから半径方向にオフセットされ、1つまたは複数の加熱ゾーンを取り囲んでいる。円周方向冷却フィン138もまた、ウエハ加熱ユニット148と発光面122との間に、中心軸111に対して半径方向に介在される。
【0093】
いくつかの実施態様では、例えば、ウエハ加熱ユニット148の温度制御機構は、抵抗加熱トレースの代わりにヒートポンプを使用することができる。例えば、いくつかの実施態様では、抵抗ヒータトレースは、その一方の側から他方の側に熱を「ポンプ」するように制御され得るペルチェ接合または他の同様のデバイスによって置き換えられるか、または増強されてもよい。そのような機構は、例えば、ウエハ支持エリア104(したがってウエハ)から熱を取り出し、熱をベースプレート102および熱交換通路154に向けるために使用され得、それによって所望に応じてウエハをより迅速かつより効果的に加熱または冷却することを可能にする。
【0094】
基板支持体100はまた、ベースプレート102全体に概して分散して配置される1つまたは複数の熱交換通路154を含み得る熱分散または冷却システム153を含むことができ、例えば、熱交換通路154は、ベースプレート102の中心の周りで蛇行状、円形のスイッチバック状、または螺旋状のパターンを辿ることが可能である。使用中に熱交換媒体、例えば、水または不活性フッ素化液体を、熱交換通路154を通して循環させることができる。熱交換媒体の流量および温度は、ベースプレート102内で特定の加熱または冷却挙動をもたらすように外部から制御され得る。
【0095】
いくつかの実施態様では、冷却システム153が基板支持ベースプレート102の内側領域146、例えば、堆積が生じるウエハの内側部分と、能動冷却ユニット136の両方に対する冷却システムとして作用することは実現可能ではない場合がある。前述したように、円周方向エッジ領域とウエハの内側領域との間にウエハ温度差を生じさせるために、いくつかの実施態様では、このエッジ領域における過剰な熱を除去するように構成された温度を使用してウエハの円周方向領域を能動的に冷却することによって、円周方向エッジ領域における追加の熱を除去する。対照的に、冷却システム153は、冷却を行い、円周方向エッジ領域の温度よりも低いウエハ加熱ユニット148の温度の温度制御を行うように構成される。このため、処理動作中、冷却システム153は、ウエハ加熱ユニット148の温度を冷却し、したがって、円周方向エッジ領域における熱および熱エネルギーよりも少ない所望の量の熱および熱エネルギーをウエハ加熱ユニット148から除去するように構成される。したがって、冷却システム153は、ウエハの内側部分よりも高温である円周方向エッジ領域から十分な熱を除去することができない可能性がある。
【0096】
例えば、ウエハ加熱ユニット148は、ウエハを50℃に加熱することができ、冷却システム153は、この温度を維持するためにウエハ加熱ユニット148を冷却するように構成される。ウエハの内側部分が50℃である一方、光学式ウエハエッジ加熱ユニットは、ウエハの円周方向エッジ領域を75℃に加熱することができる。能動冷却ユニット136は、ウエハを75℃から50℃に冷却するように構成され、一方、冷却システム153は、50℃未満を維持するためにウエハ加熱ユニット148を冷却するように構成される。このため、冷却システム153は、円周方向エッジ領域を75℃から50℃に適切に冷却するために十分な熱を除去することができない場合がある。
【0097】
いくつかの実施態様では、ウエハ加熱システムから能動冷却ユニットを熱的に隔離するために、円周方向冷却フィンとウエハ加熱システムとの間に断熱体を含めることが有利であり得る。前述したように、ウエハ加熱システムは、堆積中にウエハを正確に、的確に、かつ均一に加熱するために使用され、円周方向冷却フィンは、ウエハ加熱システムから熱を除去し、ウエハ上の所望の温度プロファイルおよびその結果として生じる堆積に悪影響を及ぼす可能性がある。再び図1Gを参照すると、基板支持体100は、円周方向冷却フィン138とウエハ加熱ユニット148との間に、中心軸111に対して半径方向に介在される断熱体156を含む。図1Hもまた、この断熱体156を図示する。いくつかの実施形態では、断熱体はエアギャップであってもよいが、場合によっては、酸化アルミニウムなどのセラミック、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマー、シリコーンゴムなどのエラストマー、エアロゲル、または石英であってもよい。
【0098】
図1Gでは、基板支持体100はまた、静電クランプ電極システムを含み、これは、基板をウエハ支持エリア104に対して引き寄せさせる、ウエハ支持エリア104上に位置決めされたウエハ内に電荷を生成するために使用され得る1つまたは複数のクランプ電極152を有し得る。場合によっては、双極静電クランプシステムを提供する2つのクランプ電極が存在し、他の実施態様では、単極静電クランプシステムを提供するために単一のクランプ電極のみが使用され得る。
【0099】
能動冷却ユニットおよび光学式ウエハエッジ加熱ユニットの構成は、実施態様に応じて異なり得る。図1Fに示すように、複数の発光面122を含む光学式ウエハエッジ加熱ユニット120は、能動冷却ユニット136の冷却チャネル140を有するハウジング142の上に位置決めされる。そのような実施形態では、複数の発光面122は、ウエハ支持エリア104と冷却チャネル140との間に介在される中心軸111に沿って位置決めされる。
【0100】
いくつかの他の実施形態では、複数の発光面は、冷却チャネルを有するハウジングの下に位置決めされ、ハウジング内の1つまたは複数のポートを通じて光をウエハ上に放出するように構成され得る。図3は、開示された実施形態による別の基板支持体の断面側面図を図示する。ここで、基板支持体300は、記載された相違点を除いて、上で提供されたものと同様に、または同じに構成され得る。図3の基板支持体300は、中心軸311の周りに延び、中心軸311に沿った図1Gの円周方向冷却フィン138の高さH1よりも小さい高さH2を有する円周方向冷却フィン338を備えた能動冷却ユニット336を含む。より短い円周方向冷却フィン338は、光学式ウエハエッジ加熱ユニット320よりもウエハ支持エリア304の近くに冷却チャネル340を有するハウジング342を位置決めすることによって可能になる。いくつかの実施態様では、能動冷却ユニット336のこの位置決めおよび構成は、基板支持体300のベースプレート302の冷却を少なくすることが有利であり、それによって基板支持体の残りの部分に対するその熱影響を減少させることができ、また、ハウジング342とウエハ支持エリア304との間の熱経路により、ウエハ支持エリア304上で所望の温度を達成するために使用されるか必要となる冷却を少なくすることができる。
【0101】
さらに図3では、複数の発光面322を含む光学式ウエハエッジ加熱ユニット320は、能動冷却ユニット336の下に位置決めされる。これにより、冷却剤チャネル340およびハウジング342が、外側境界306と光ウエハエッジ加熱ユニット320および複数の発光面322との間の中心軸311に沿って位置決めされることになる。この位置決めを可能にするために、能動冷却ユニット336は、複数の発光面322によって放出された光がハウジング342を通過してウエハ上に達することができるように構成される。図3に示すように、ハウジング342は、穴、スロット、または他の開口部などの1つまたは複数のポート358を含み、これらを通って複数の発光面322からの光がウエハ支持エリア304上に位置決めされたウエハに達することが可能になる。1つまたは複数のポート358は、光326などの発光面322を通過する光が、ウエハ支持エリア304上のウエハに達するために1つまたは複数のポート358を通過するように発光面322に接続される。
【0102】
いくつかの実施態様では、上記と同様に、1つまたは複数のポート358は、プロセスガスから1つまたは複数のポート158および/または発光面322を保護するために、その上および/または内部に位置決めされた窓334を有し得る。窓334は、発光面322からの光に対して透明であること、様々な方式で光を導くレンズを有すること、および石英またはサファイアなどの材料で作製されることを含めて、上述のように構成することができる。図3では、窓360がポート358の端に示されている。
【0103】
本明細書に記載の基板支持体の特徴は、1つまたは複数のクランプ電極を有する静電チャック(ESC)、またはクランプ電極を有さない台座など、基板を支持するために使用される任意の構造に適用可能である。
【0104】
装置および堆積技法
本明細書で提供される基板支持体は、様々な堆積処理チャンバおよび技法の一部として使用することができる。一部のそのような処理は、極端紫外線(EUV)リソグラフィである。EUVリソグラフィは、下層のエッチングに使用するマスクを形成するためにパターニングされたEUVレジストを利用する。EUVレジストは、液体ベースのスピンオン技法によって得られるポリマーベースの化学増幅レジスト(CAR)であってもよい。
【0105】
「湿式」膜形成技法の一形態であるスピンオン技法は、ターンテーブル上に平坦な基板を載置し、基板の中心にある量の液膜成分を堆積させ、その後一般に高速で、例えば、30~60秒間毎秒20~80回転で基板を回転させて非常に均一な厚さの膜を発生させることを伴う。ディップコーティングは、基板をその主面が垂直方向に平行になるように配向し、次いで液膜成分の浴に浸漬し、その後引き上げる別のタイプの湿式膜形成技法である。しかし、液体成分の使用のため、「湿式」膜形成技法は、非平坦な基板、例えば、その露出した上面にエッチングされた既存のフィーチャパターンを有する基板のコーティングにはあまり適していない場合がある。例えば、基板が平坦でない場合、例えば、コーティングされる表面にパターニングされた既存のフィーチャを有する場合、液体成分はそれらのフィーチャを埋める傾向があり、基板の非フィーチャ部分と基板のフィーチャ部分との間の膜厚が変化することになる(堆積膜の最上面は公称上は平坦で均一であるが、堆積膜の深さは下にあるフィーチャの存在により変化する可能性がある)。
【0106】
気相堆積技法とも呼ばれる乾式堆積技法、ならびに他の同様の技法は、対照的に、気相反応剤として膜成分を基板に送給し、そこで概して共形で均一な厚さの層として基板の露出面上に凝縮または吸着する。その結果、堆積膜層の厚さは、基板のフィーチャ領域であるか非フィーチャ領域であるかに関係なく、基板全体にわたって概して均一なままとなり得る。そのような堆積技法は、場合によっては、ターゲット基板上に膜成分の凝縮が存在するとしても、「湿式」技法とみなされないことを理解されたい。本明細書で説明されるような乾式堆積プロセスについての別の重要な利点は、そのようなプロセスが様々な異なる温度および圧力環境で実施され得、多くの場合、大気圧以下の条件で実施されることである。これにより、湿式堆積プロセスを使用して同等の膜を発生させるのに必要な量よりも、所与のフォトレジスト膜を発生させるために使用される反応剤の量をはるかに少なくすることが可能である。これは、湿式堆積技法を使用して同等の膜を提供するよりも、そのような膜を提供するための材料コストを削減する。乾式堆積プロセスはまた、フォトレジスト層を塗布した後に基板を乾燥させる必要がほとんどまたは全くないことから、製造される基板をより速い速度で後続の処理段階に向けて準備することができるため、スループットペナルティも低下する。
【0107】
金属酸化物含有膜は、真空環境におけるEUV露光によって直接(すなわち、別々のフォトレジストを使用せずに)パターニングすることができ、30nm未満のパターニング解像度を提供する。一般に、パターニングは、EUV放射線でEUVレジストを露光してレジスト内にフォトパターンを形成し、続いて現像してフォトパターンに従ってレジストの一部を除去することでマスクを形成することを伴う。次いで、マスクは後続の処理動作、例えば、エッチングプロセスで使用されてもよい。
【0108】
直接フォトパターニング可能なEUVレジストは、有機成分内に混合された金属および/または金属酸化物で構成され得るか、またはそれらを含有し得る。金属/金属酸化物含有材料は、EUV光子の吸収を強化し、二次電子を生成し、かつ/または下にある膜スタックおよびデバイス層に対して高いエッチング選択性を示すことができるという点で、非常に有望である。
【0109】
EUV感受性金属または金属酸化物含有膜は、基板上に乾式堆積され得る。本開示による適切な組成物、材料、および乾式堆積処理動作のいくつかの特性が説明されており、本開示に適用可能なこれらの方法および材料の開示について参照により本明細書に組み込まれる。そのような方法には、重合有機金属材料が気相で発生され、基板上に堆積される方法が挙げられる。特に、半導体基板の表面上にEUVパターニング可能な薄膜を作製する方法は、有機金属前駆体の蒸気流を逆反応剤(counter-reactant)の蒸気流と混合し、重合有機金属材料を形成することと、有機金属ポリマー様材料を半導体基板の表面上に堆積することとを含むことができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の有機金属前駆体が蒸気流に含まれる。いくつかの実施形態では、2つ以上の逆反応剤が蒸気流に含まれる。いくつかの実施形態では、混合および堆積動作は、連続化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)プロセス、またはCVD成分を伴うALD、例えば金属前駆体および逆反応剤が時間または時空間のいずれかで分離される不連続なALD様プロセスで実施され、例えば、一部のALDタイプのプロセスでは、1つまたは複数の有機金属前駆体を基板上に流し、次いで基板を別の処理ステーションまたは別の処理チャンバに移動させ、そこで1つまたは複数の逆反応剤を基板上に流すことができる。本明細書における単に「反応剤」への言及は、有機金属前駆体と逆反応剤の両方を指すことを意図しており、例えば、「反応剤の同時の流れ」は、有機金属前駆体と逆反応剤の同時の流れを指すことが理解されるであろう。
【0110】
堆積に続いて、EUVパターニング可能な薄膜は、典型的には比較的高真空下で、ウエハ上にパターニングされるフィーチャを有する光学マスクを通過するEUV光のビームに薄膜を有するウエハを露光し、その後、真空からウエハを取り出し、任意選択で大気中において露光後ベークを実施することによってパターニングされる。露光により、膜がEUV光に露光されていない1つまたは複数の未露光領域を含むように、1つまたは複数の露光領域が生じる。コーティングされた基板をさらに処理することにより、露光領域および未露光領域における化学的および物理的差異を利用することが可能である。
【0111】
基板は、フォトリソグラフィ処理、特に集積回路および他の半導体ベースのデバイスの生産に適した任意の材料構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、そのような基板は、ケイ素ウエハであってもよい。その上にフィーチャが作成されている基板(「下にあるフィーチャ」)は、不規則な表面トポグラフィを有してもよい(本明細書で言及される場合、「表面」とは、本開示の膜が堆積される表面、または処理中にEUVに露光される表面である)。そのような下にあるフィーチャは、本開示の方法を実行する前の処理中に材料が(例えば、エッチングによって)除去された領域、または材料が(例えば、堆積によって)追加された領域を含み得る。そのような事前処理は、本開示の方法、または2つ以上のフィーチャの層が基板上に形成される反復プロセスにおける他の処理方法を含んでもよい。
【0112】
前述したように、EUV感受性薄膜を基板上に堆積させ、マスク層を形成することができる。そのようなEUV感受性膜は、後続のEUVリソグラフィおよび処理のためのレジストとして機能することができ、EUVに露光されると、低密度M-OHリッチ材料中の金属原子に結合した嵩高いペンダント置換基の喪失などの変化を受ける材料を含み、これにより、より高密度のM-O-M結合金属酸化物材料への架橋が可能になり、ここで、Mは、高いEUV吸収断面積を有する金属である。EUVパターニングを通じて、未露光エリアと比較して物理的または化学的性質が変化した膜のエリアが形成される。これらの性質は、未露光エリアもしくは露光エリアのいずれかを溶解するため、または露光エリアもしくは未露光エリアのいずれかに対して材料を選択的に堆積するためなど、後続の処理で利用され得る。いくつかの実施形態では、未露光膜は、そのような後続の処理が実施される条件下で、露光膜よりも疎水性の表面を有する。例えば、材料の除去は、膜の化学組成、密度、および架橋の違いを活用することによって実施されてもよい。除去は、以下にさらに説明するように、湿式処理または乾式処理によって行うことが可能である。
【0113】
薄膜は、様々な実施形態において、有機金属材料、例えばSnOxを含む有機スズ材料、または他の金属酸化物材料/部分である。有機金属化合物は、有機金属前駆体と逆反応剤の気相反応で作製され得る。様々な実施形態において、有機金属化合物は、嵩高いアルキル基またはフルオロアルキルを有する有機金属前駆体の特定の組み合わせを逆反応剤と混合し、気相中でその混合物を重合させて基板上に堆積する低密度のEUV感受性材料を発生させることによって形成される。
【0114】
様々な実施形態において、有機金属前駆体は、気相反応に耐えることができる各金属原子上に少なくとも1つのアルキル基を含み得るが、金属原子に配位した他のリガンドまたはイオンは、逆反応剤によって置き換えることができる。有機金属前駆体は、式Mabcの有機金属前駆体を含み、ここで、Mは、高いEUV吸収断面積を有する金属であり、Rは、Cn2n+1などのアルキルであり、好ましくはn≧3であり、Lは、逆反応剤と反応するリガンド、イオン、または他の部分であり、a≧1、b≧1、およびc≧1である。
【0115】
様々な実施形態において、Mは、1・107cm2/mol以上の原子吸収断面積を有する。Mは、例えば、スズ、ビスマス、アンチモン、テルル、またはそれらの2つ以上の組み合わせなどの材料であってもよい。いくつかの実施形態では、Mは、スズである。Rは、例えば、式Cnx2n+1を有するようにフッ素化されてもよい。様々な実施形態において、Rは、少なくとも1つのベータ水素またはベータフッ素を有する。例えば、Rは、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、i-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、t-ペンチル、sec-ペンチル、またはそれらの2つ以上の混合物であってもよい。Lは、アミン(ジアルキルアミノ基またはモンアルキルアミノ基など)、アルコキシ基、カルボキシレート、ハロゲン、またはそれらの2つ以上の混合物である部分など、逆反応剤によって容易に置換されてM-OH部分を生成する任意の部分であってもよい。
【0116】
有機金属前駆体は、多種多様な候補金属有機前駆体のいずれかであってもよい。例えば、Mがスズである場合、そのような前駆体は、t-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、n-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、sec-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、n-プロピルトリス(ジエチルアミノ)スズ、および類似のアルキル(トリス)(t-ブトキシ)スズ化合物、例えばt-ブチルトリス(t-ブトキシ)スズを含む。いくつかの実施形態では、有機金属前駆体は、部分的にフッ素化されてもよい。
【0117】
逆反応剤は、化学結合を介して少なくとも2つの金属原子を連結するように、反応性部分、リガンド、またはイオン(例えば、上記の式1のL)を置き換える能力を有するように選択されてもよい。逆反応剤には、水、過酸化物(例えば、過酸化水素)、ジヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコール、フッ素化ジヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコール、フッ素化グリコール、および他のヒドロキシル部分源が挙げられ得る。様々な実施形態において、逆反応剤は、隣接する金属原子間に酸素ブリッジを形成することによって有機金属前駆体と反応する。他の潜在的な逆反応剤には、硫黄ブリッジを介して金属原子を架橋することができる硫化水素および二硫化水素が挙げられる。
【0118】
薄膜は、有機金属前駆体および逆反応剤に加えて、膜の化学的もしくは物理的性質を修正し、例えばEUVに対する膜の感度を修正し、またはエッチング耐性を高める任意選択の材料を含んでもよい。そのような任意選択の材料は、例えば、基板上への膜の堆積前、膜の堆積後、またはその両方における気相形成中のドーピングによって導入され得る。いくつかの実施形態では、穏やかな遠隔H2プラズマを導入して一部のSn-L結合をSn-Hで置き換えることができ、これによりEUV下でのレジストの反応性を高めることができる。
【0119】
様々な実施形態において、EUVパターニング可能な膜は、当技術分野で知られている気相堆積機器およびプロセスを使用して基板上に堆積されてもよい。そのようなプロセスでは、重合有機金属材料は、気相で、または基板の表面上にin situで形成され得る。基板上にそのような重合有機金属材料を形成するための適切なプロセスは、例えば、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、またはCVD成分を伴うALD、例えば金属前駆体および逆反応剤が時間または時空間のいずれかで分離される不連続なALD様プロセスを使用して材料を堆積することを含む。
【0120】
一般に、方法は、有機金属前駆体の蒸気流を逆反応剤の蒸気流と混合し、重合有機金属材料を形成することと、次に有機金属材料を半導体基板の表面上に堆積することとを含むことができる。当業者には理解されるように、プロセスの混合および堆積の態様は、実質的に連続的なプロセスにおいて同時であってもよい。
【0121】
例示的な連続CVDプロセスでは、別々の入口経路において、有機金属前駆体および逆反応剤源の2つ以上のガス流をCVD装置の堆積チャンバに導入することができ、そこでガス流は気相中で混合および反応し、凝集ポリマー材料を形成することができる(例えば、金属-酸素-金属結合形成を介して)。この流れは、例えば、別々の注入入口を使用して、またはデュアルプレナムシャワーヘッドを介して堆積チャンバに別々に導入され得る。装置は、有機金属前駆体および逆反応剤の流れが堆積チャンバ内で混合され、有機金属前駆体および逆反応剤が反応して重合有機金属材料を形成することができるように構成され得る。本技術の機構、機能、または有用性を限定するものではないが、このような気相反応からの生成物は、金属原子が逆反応剤によって架橋されるにつれて分子量が重くなり、その後凝縮するかあるいは基板上に堆積すると考えられる。様々な実施形態において、嵩高いアルキル基の立体障害により、密に詰まったネットワークの形成が防止され、多孔質の低密度膜がもたらされる。
【0122】
CVDプロセスは、一般に、10ミリTorr~10Torrなどの減圧で実行される。いくつかの実施形態では、プロセスは、0.5~2Torrで実行される。基板の温度は、反応剤流の温度以下に保たれることが好ましい。例えば、基板温度は、0℃~250℃、または周囲温度(例えば、23℃)~150℃であってもよい。様々なプロセスにおいて、基板上への重合有機金属材料の堆積は、表面温度に反比例する速度で行われ得る。
【0123】
基板の表面上に形成されるEUVパターニング可能な膜の厚さは、表面特性、使用される材料、堆積期間、および処理条件に応じて変化し得る。様々な実施形態において、膜厚は0.5nm~100nmの範囲であり得、レジスト膜の全体の吸収は30%以下(例えば、10%以下、または5%以下)であり得、それによりレジスト膜の底部におけるレジスト材料が十分に露光される。いくつかの実施形態では、膜厚は、10~20nmである。本開示の機構、機能、または有用性を限定するものではないが、当技術分野の湿式スピンコーティングプロセスとは異なり、本開示のプロセスは、基板の表面接着性質に対する制限が少なく、したがってより幅広い種類の基板に適用することができると考えられる。さらに、上述したように、堆積された膜は、表面フィーチャに厳密に適合し、そのようなフィーチャを「埋める」かあるいは平坦化することなく、下にあるフィーチャを有する基板などの基板の上にマスクを形成する際に利点を提供する。
【0124】
堆積された膜は、例えば、スキャナまたは他のリソグラフィフォトパターン転写ツールを使用して、膜の1つまたは複数の領域をEUV光に露光することによってパターニングされ得る。本明細書で有用なEUVデバイスおよび撮像方法は、当技術分野で知られている方法を含む。特に、上述したように、EUVパターニングにより生成される膜の露光エリアは、膜の未露光エリアと比較して物理的または化学的性質が変化する可能性がある。例えば、露光エリアでは、金属-炭素結合の切断は、ベータ水素化物の脱離を介して起こり、反応性でアクセス可能な金属水素化物官能基を残し、これは金属-酸素ブリッジを介して水酸化物および架橋金属酸化物部分に変換され得、これらを使用してネガ型レジストとして、またはハードマスクに対するテンプレートとして化学コントラストを生成することができる。一般に、アルキル基中のベータHの数が多いほど、膜の感度がより高くなる。露光に続いて、膜は、金属酸化物膜のさらなる架橋を引き起こすために、例えば、150~250℃の温度でベークすることが可能である。露光エリアと未露光エリアとの間の性質の違いは、未露光エリアを溶解するか、または露光エリア上に材料を堆積するなど、後続の処理で利用され得る。
【0125】
そのような乾式現像プロセスは、穏やかなプラズマ(高圧、低電力)または熱プロセスのいずれかを使用することによって行うことができ、そのいずれも、HBrまたはHClなどのハロゲン化水素乾式現像化学物質を流しながら実施することができる。いくつかの実施形態では、ハロゲン化水素は、未露光材料を迅速に除去することができ、その後、プラズマベースのエッチングプロセス、例えば従来のエッチングプロセスを後で適用することによって下にある基板層に転写することができる露出膜のパターンを残すことが可能である。
【0126】
適切なプラズマベースの乾式現像プロセスは、変圧器結合プラズマ(TCP)、誘導結合プラズマ(ICP)、または容量結合プラズマ(CCP)プロセスの使用を含むことができ、当技術分野で知られている機器および技法を使用して実施することができる。例えば、プラズマベースの現像プロセスは、>5mT(例えば、>15mT)の圧力、<1000W(例えば、<500W)の電力レベルで実行されてもよい。温度は、0~300℃(例えば、30~120℃)、流量100~1000標準立方センチメートル毎分(sccm)、例えば、約500sccm、1~3000秒(例えば、10~600秒)であり得る。
【0127】
熱現像プロセスでは、基板は、乾式現像化学物質に曝露することができる。そのような熱現像プロセスを実施するための適切なチャンバは、真空ライン、乾式現像化学物質ガスをチャンバに供給する1つまたは複数の乾式現像化学物質ガスライン、およびチャンバの温度制御を可能にするヒータを含み得る。いくつかの実施形態では、チャンバ内部は、有機ポリマーまたは無機コーティングなどの耐食性膜でコーティングされてもよい。1つのそのようなコーティングは、ポリテトラフルオロエテン((PTFE)、例えば、テフロン(商標))である。そのような材料は本開示の熱プロセスで使用することができるが、そのようなコーティングは、プラズマ曝露による除去の危険性のため、プラズマベースのプロセスには適切ではない場合がある。
【0128】
現在のEUVレジストコーティング技術は、典型的には、大気環境、例えば、典型的な大気圧で塗布されるスピンオンフォトレジストを使用する。この技法は、一般に、雰囲気の制御または影響を考慮せず、単一の化学混合物のみを膜スタック全体に適用することのみを可能にする。スピンオン技法はまた、膜が形成される非平坦な表面を有する基板に対して均一なフォトレジスト層の厚さを提供しない。
【0129】
前述したように、乾式堆積技法を使用して、既存のフィーチャを有する基板に関して湿式堆積技法が被る厚さの不均一性の問題を被らないフォトレジスト層を作成することができる。そのような乾式堆積技法は、フォトレジスト膜堆積チャンバを使用して実施することができる。例示的なフォトレジスト膜堆積チャンバが、図4に図示されている。
【0130】
図4では、蓋408を含む処理チャンバ402を有する装置401が図示されている。処理チャンバ402は、処理チャンバ402の壁の1つを通るウエハ移送通路404を含んでもよく、ウエハ移送通路404は、基板422が通過して処理チャンバ402の内部に入ることができるようなサイズであり、そこで基板422は、基板支持体100または300を含む、上記の本明細書に記載の基板支持体のいずれかであり得る基板支持体400上に載置され得る。ウエハ移送通路404は、ウエハ移送通路を密閉または開放するように動作することができるゲート弁406または同様のドア機構を有してもよく、それによって処理チャンバ402内の環境をゲート弁406の反対側の環境から隔離することが可能である。例えば、処理チャンバ402には、隣り合う移送チャンバに位置するウエハハンドリングロボットを介して基板422が提供されてもよい。そのような移送チャンバは、例えば、その周囲に配置された複数の処理チャンバ402を有し得、そのような各処理チャンバ402は、対応するゲート弁406を介して移送チャンバと接続される。
【0131】
前述のように、ウエハ支持体424は、例えば、図1A図1Gおよび図3の基板支持体を含む、本明細書で提供される基板支持体のいずれかであってもよい。図4は、図1Cの基板支持体400を示し、例えば、光学式ウエハエッジ加熱ユニット120およびウエハ支持エリア104を含む。図4には図示されていないが、基板支持体400はまた、上記で本明細書に記載の能動冷却ユニット136および/またはウエハ加熱ユニット148を含んでもよい。
【0132】
基板支持体400は、例えば、ウエハ支持コラム444と接続され、かつウエハ支持コラム444によって支持されるウエハ支持ハウジング442によって支持され得る。ウエハ支持コラム444は、例えば、ケーブリング、流体流導管、および他の機器をベースプレート基板支持体400の下面に通すための配線通路448の他の通過路を有してもよい。例えば、図4には示されていないが、電力を光学式ウエハエッジ加熱ユニット120、能動冷却ユニット136、およびウエハ加熱ユニット148に供給するためのケーブリングは、電力をクランプ電極に供給するためのケーブリングと同様に、配線通路448を介して通されてもよい。過度の乱雑さを避けるために、そのようなケーブルおよび導管は図4には図示されていないが、それでもなお存在することを理解されたい。
【0133】
図4の装置401はまた、可動支持をウエハ支持コラム444に提供することができる基板支持Zアクチュエータ446を含む。ウエハ支持Zアクチュエータ446を作動させ、ウエハ支持コラム444、およびそれによって支持される基板支持体400を、処理チャンバ402の反応空間420内で、例えば、最大数インチだけ垂直に上下に移動させることができる。これを行う際、基板422とシャワーヘッド410の下面との間のギャップ距離Xは、様々なプロセス条件に応じて調節され得る。
【0134】
装置401はまた、処理中および処理終了後に処理チャンバ402からプロセスガスを除去するためのシステムを含むことができる。例えば、処理チャンバ402は、ウエハ支持コラム444を取り囲む環状プレナム456を含んでもよい。環状プレナム456は、次に、例えば、装置401の下の下地床の下に位置し得るような、真空ポンプと接続され得る真空フォアライン452と流体的に接続することができる。レギュレータ弁454が、真空フォアライン452と処理チャンバ402との間に設けられ、真空フォアライン452への流れを制御するために作動させることができる。いくつかの実施態様では、環状プレナム456への流れをウエハ支持コラム444の周囲にさらに均一に分散させる役割を果たし得るバッフル450、例えば、環状プレートまたは他の構造を設け、基板422を横切って流れる反応剤において流れの不均一性が発生する可能性を低減することができる。
【0135】
シャワーヘッド410は、示すように、デュアルプレナムシャワーヘッド410であり、第1の入口416を介してプロセスガスが供給される第1のプレナム412と、第2の入口418を介してプロセスガスが供給される第2のプレナム414とを含む。シャワーヘッド410は、いくつかの実施態様では、3つ以上のプレナムを有してもよいが、有機金属前駆体および逆反応剤を処理チャンバ402の反応空間420に放出する前に有機金属前駆体と逆反応剤との間の分離を維持するために、2つのプレナムが一般に最小限必要である。各プレナムは、シャワーヘッド410のフェースプレート(フェースプレートは、最下部のプレナムと反応空間420との間に介在されるシャワーヘッド410の部分である)を通して、それぞれのプレナムを反応空間420と流体的に接続する対応するガス分配ポートのセットを有してもよい。
【0136】
シャワーヘッド410の第1の入口416および第2の入口418には、ガス供給システムを介して処理ガスを供給することができ、ガス供給システムは、本明細書で前述したように、1つまたは複数の有機金属前駆体および1つまたは複数の逆反応剤を提供するように構成され得る。
【0137】
しかし、図示の装置401は、複数の有機金属前駆体および複数の逆反応剤を提供するように構成される。例えば、第1の弁マニホールド468aが有機金属前駆体を第1の入口416に提供するように構成され得、第2の弁マニホールド468bが逆反応剤を第2の入口418に提供するように構成され得る。
【0138】
この例では、第1の弁マニホールド468aは、例えば、複数の弁A1~A5を含む。弁A2は、例えば、第1の気化器472aと流体的に接続された1つのポート、バイパスライン470aと流体的に接続された別のポート、および別の3方弁A3上のポートと流体的に接続された第3のポートを有する三方弁であってもよい。同様に、弁A4は、第2の気化器472bと流体的に接続された1つのポート、バイパスライン470aと流体的に接続された別のポート、および別の3方弁A5上のポートと流体的に接続された第3のポートを有する別の三方弁であってもよい。弁A5上の他のポートの1つは、第1の入口416と流体的に接続され得、弁A5上の残りのポートは、弁A3上の残りのポートの1つと流体的に接続され得る。次に、弁A3上の残りのポートは、弁A1と流体的に接続され得、弁A1は、弁A3とパージガス源474、例えば、窒素、アルゴン、または他の適切な不活性ガス(有機金属前駆体および/または逆反応剤に関する)源との間に流体的に介在することができる。
【0139】
本開示の目的のために、「流体的に接続された」という用語は、「電気的に接続された」という用語が互いに接続されて電気接続を形成する構成要素に関して使用される方法と同様に、流体接続を形成するために互いに接続され得る容積、プレナム、穴などに関して使用される。「流体的に介在された」という用語は、使用される場合、少なくとも2つの他の構成要素、容積、プレナム、または穴と流体的に接続された構成要素、容積、プレナム、または穴を指すために使用され得、それによりそれらの他の構成要素、容積、プレナム、または穴の1つからそれらの構成要素、容積、プレナム、または穴の他のまたは別のものに流れる流体は、それらの構成要素、容積、プレナム、または穴の他のまたは別のものに達する前に最初に「流体的に介在された」構成要素を通って流れる。例えば、ポンプがリザーバと出口との間に流体的に介在される場合、リザーバから出口に流れた流体は、出口に達する前に最初にポンプを通って流れる。
【0140】
第1の弁マニホールド468aは、例えば、気化器472aおよび472bの一方または両方からの蒸気を処理チャンバ402に流すか、または第1のバイパスライン470aを通して真空フォアライン452に流すように制御可能とすることができる。第1の弁マニホールド468aはまた、パージガスをパージガス源474から第1の入口416に流すように制御可能であってもよい。
【0141】
例えば、蒸気を第1の気化器472aから反応空間420に流すために、弁A2を作動させ、第1の気化器472aからの蒸気を最初に第1のバイパスライン470aに流すことができる。この流れは、蒸気の流れが定常状態の流れ条件に達するのに十分な期間にわたって維持され得る。十分な時間が経過した後(または流量計(使用される場合)が流量が安定していることを示した後)、弁A2、A3、およびA5を作動させ、第1の気化器472aからの蒸気流を第1の入口に向けることができる。弁A4およびA5を用いた同様の動作を実施し、蒸気を第2の気化器472bから第1の入口416に送給することが可能である。場合によっては、パージガス源474からのパージガスを第1の入口416に流すように弁A1、A3、およびA5を作動させることによって、第1のプレナム412から蒸気のうちの1つをパージすることが望ましい場合がある。いくつかの追加の実施態様では、パージガスからのガスを第1の入口416に流すのと並行して、気化器472aまたは472bのうちの1つから蒸気を同時に流すことが望ましい場合がある。そのような実施態様は、かかる蒸気に含まれる反応剤の濃度を希釈するために使用されてもよい。
【0142】
第2の弁マニホールド468bを同様の方式で、例えば、弁B1~B5を制御することによって制御し、蒸気を気化器472cおよび472dから第2の入口418または第2のバイパスライン470bに供給することができることが理解されるであろう。第1の入口416および第2の入口418への有機金属前駆体と逆反応剤の両方の流れを制御するための弁を含む単一の一体マニホールドを含む、異なるマニホールド配置も同様に利用することができることがさらに理解されるであろう。
【0143】
前述したように、いくつかの装置401は、より少ない数の蒸気源、例えば、2つの気化器472のみを特徴とすることができ、その場合弁マニホールド468は、より少ない数の弁、例えば、弁A1~A3のみを有するように修正されてもよい。
【0144】
上述したように、有機金属前駆体および逆反応剤を使用してフォトレジスト膜の乾式堆積を行うために使用され得る装置401などの装置は、処理チャンバ402内で特定の温度プロファイルを維持するように構成され得る。特に、そのような装置401は、有機金属前駆体および逆反応剤と直接接触する装置401のほとんどの機器よりも低い温度、例えば、少なくとも25℃~50°低い温度に基板を維持するように構成され得る。加えて、有機金属前駆体および逆反応剤と直接接触する装置401の機器の温度は、そのような機器の表面上での気化した反応剤の凝縮が阻止されるのに十分に高い高温レベルに保つことができる。同時に、基板温度は、基板上での反応剤の凝縮、または少なくとも堆積を促進するレベルに制御することが可能である。上述したように、装置401はまた、基板の円周方向エッジ領域における堆積を防止または低減するために、基板の円周方向エッジ領域を基板の内側領域よりも高い温度に加熱するように構成される。
【0145】
そのような温度制御を提供するために、様々な加熱システムが装置401に含まれてもよい。例えば、処理チャンバ402は、カートリッジヒータ458を受け入れるためのレセプタクルを有してもよく、例えば、概して円筒形の内部容積を有するが、正方形または長方形の外部形状を有する処理チャンバ402の場合、カートリッジヒータ458を受け入れるための垂直穴をチャンバ402のハウジングの四隅に開けることが可能である。いくつかの実施態様では、シャワーヘッド410は、シャワーヘッド410の露出した上面全体にわたって熱を加えてシャワーヘッド温度を高く保つために使用され得るヒータブランケット460で覆うことができる。気化した反応剤を気化器472からシャワーヘッド410に導くために使用される様々なガスラインを加熱することもまた、有益であり得る。例えば、抵抗ヒータテープをかかるガスラインの周りに巻き付け、それらを高温に加熱するために使用することが可能である。図4に示すように、バイパスライン470を含め、有機金属前駆体または逆反応剤が通って流れる可能性のあるガスラインのすべては、加熱されているものとして示されている。唯一の例外は、弁マニホールド468から第1の入口416および第2の入口418へのガスラインであり、これは非常に短く、シャワーヘッド410によって間接的に加熱され得る。もちろん、所望に応じて、これらのガスラインであっても積極的に加熱することができる。いくつかの実施態様では、ヒータをゲート弁406に近接して設け、熱をゲート弁にも提供することが可能である。
【0146】
装置401の様々な動作システムは、コントローラ484によって制御することができ、コントローラ484は、互いに動作可能に接続され、装置401の様々なシステムおよびサブシステムと通信可能に接続されてこれらのシステムに対する制御機能を提供する1つまたは複数のプロセッサ486および1つまたは複数のメモリデバイス488を含み得る。例えば、コントローラ484は、弁A1~A5およびB1~B5、様々なヒータ458、460、気化器472、レギュレータ弁454、ゲート弁406、ウエハ支持Zアクチュエータなどを制御するように構成することができる。
【0147】
コントローラ484はまた、上述したように、基板支持体400上のウエハにウエハの円周方向ウエハエッジ領域と内側領域との間に温度差を生じさせるために、光学式ウエハエッジ加熱ユニット、能動冷却器、およびウエハ加熱ユニットを制御するように構成されてもよい。これは、例えば、光学式ウエハエッジ加熱ユニットに光を放出させてウエハの円周方向ウエハエッジ領域を第2の温度に加熱し、ウエハ加熱ユニットに内側領域を第2の温度よりも低い第1の温度に加熱させることを含むことができる。前述のように、第1の温度は約40℃~100℃であってもよいが、円周方向エッジ領域の温度はこの温度よりも高く、例えば約60℃~150℃以上である。コントローラは、円周方向冷却フィンを第1の温度よりも低い第3の温度、例えば約20℃または約20℃~約100℃に冷却するように能動冷却ユニットを制御するようにさらに構成される。
【0148】
コントローラ484は、例えば、コンピュータ実行可能命令の実行を介して、装置401に上記の開示と一致する様々な動作を実施させるように構成され得る。図5は、装置401の場面で実施され得る様々な動作、ならびに装置401で処理された基板上で実施され得る後続の動作のフロー図を図示する。
【0149】
ブロック502において、例えば、コントローラ484は装置401を制御し、基板422が処理チャンバ402に提供され、その中に載置されるようにすることができる。例えば、ゲート弁406を開状態に作動するように制御しながら、基板422をウエハ移送通路404に通過させるようにウエハハンドリングロボットを制御(または要求)することができる。基板支持体400は、例えば、ウエハ支持Zアクチュエータ446を介して、基板422を受け入れる適切な高さに位置決めされるように制御され得、基板422は、ウエハハンドリングロボットによって基板支持体400の上に(そしてその中心に)位置決めされ得る。基板支持体400の一部であるリフトピン(図示せず)を基板支持体400から垂直に延出させてウエハハンドリングロボットのエンドエフェクタから基板を持ち上げ、ウエハハンドリングロボットを処理チャンバ402から後退させてゲート弁406を閉じることが可能であり、それによって処理チャンバ402を密閉することができる。同時に、リフトピンを基板支持体400内に後退させ、基板422を基板支持体400上に下降させることができる。
【0150】
基板422がブロック502でロードされると、ウエハ加熱ユニットは、ブロック504において基板422が所望の温度に達するように制御することができ、これは、本明細書に記載のように、エッジ領域における堆積を防止または低減するために、内側領域を第2の温度に加熱し、円周方向エッジ領域を第2の温度よりも高い第1の温度に加熱することを含んでもよい。このような制御はまた、例えば、クランプ電極を作動させて基板422を基板支持体400に静電クランプし、かつ不活性ガス流を基板支持体400のガスポート482に提供し、そのようなガスを基板422と基板支持体400との間の裏面ギャップ478に流すことを含んでもよい。例えば、コントローラ484は、処理チャンバ402、蓋408、およびシャワーヘッド410の内壁面の温度を80℃~120℃、例えば、100℃に維持するために、装置401の様々なヒータシステムを制御することができる。同時に、コントローラ484は、基板422の内側領域が約40℃~100℃の温度に達してその温度を維持するようにウエハ加熱ユニットを制御し、かつウエハの円周方向エッジ領域をより高温、例えば約60℃~150℃以上に加熱するように光学式ウエハエッジ加熱ユニットを制御することが可能である。
【0151】
ブロック506において、乾式堆積プロセスで使用されるガスを供給する気化器472からのガスの流れは、例えば、弁A1~A5およびB1~B5を選択的に作動させてガス流をこれらの気化器472からバイパスライン470へ、そして真空フォアライン452へ迂回させることによって開始され、定常状態に達することが可能になり得る。選択された気化器からの流量が定常状態に達すると、この技法は、ブロック508またはブロック512のいずれかに進むことができる。
【0152】
ブロック508および512は、基板422上にEUV感受性フォトレジストを乾式堆積する2つの代替のアプローチを表す。どちらのアプローチも、必要に応じて代替的に使用することができることが理解されるであろう。ブロック508のアプローチにおいて、コントローラは、有機金属前駆体および対応する逆反応剤をそれぞれの気化器472から、シャワーヘッド410のそれぞれのプレナムを通して反応空間420に所与の期間にわたって同時に分配させるように構成され得る。ブロック510において、有機金属前駆体および対応する逆反応剤の所望の期間が経過したかどうか(またはそのような反応剤の所望の量が分配されたかどうか)が決定され得る。そうでない場合、この技法はブロック508に戻り、さらなる反応剤の分配を行うことが可能である。そうである場合、この技法はブロック516に進み、そこで基板422を処理チャンバ402から取り出し、例えば、洗浄ステーションまたは他の装置に移送することが可能である。乾式堆積プロセスは、少なくともブロック508および510で堆積されるEUV感受性フォトレジスト層に関して、処理チャンバ402から基板422を除去する前に本質的に完了することが理解されるであろう。図5の技法の後続の部分は、必要に応じて、他の機器内で行われ、かつ/または他のコントローラによって指示されてもよい。ブロック508および510の技法は、CVDプロセスと同様に、反応剤がすべて所与の期間または所与の量で反応空間420に同時に流されるため、連続CVD技法と呼ばれることがある。
【0153】
ブロック512の代替のアプローチにおいて、装置401の弁制御を作動させて有機金属前駆体と対応する逆反応剤の流れを交互にすることができ、例えば、最初にシャワーヘッド410を通して有機金属前駆体を流し、次に有機金属前駆体の流れを止めてシャワーヘッド410を通して逆反応剤の流れを開始することが可能である。いくつかの実施態様では、パージガスは、各反応剤の流れの間でシャワーヘッド410を通して流されてもよい。これらの交互の流れは、所望に応じて、1回以上繰り返すことができる。例えば、ブロック514において、所望の数の交互流サイクルが実施されたかどうかについて決定を行うことができ、そうでない場合、この技法はブロック512に戻り、さらなるそのようなフローサイクルを実施することが可能である。そうである場合、この技法はブロック516に進むことが可能である。この代替のアプローチは、2つの異なる前駆体が堆積チャンバに交互に流される原子層堆積技法とある程度同様である。前述の同時フロー技法と同様に、交互フロー技法の終了時、すなわち、ブロック514の後かつブロック516の前に、乾式堆積プロセスは、少なくともブロック512および514で堆積されるEUV感受性フォトレジスト層に関して、処理チャンバ402から基板422を除去する前に本質的に完了する。
【0154】
そのような技法の様々な順列および変形が実践されてもよいことが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施態様では、異なる有機金属前駆体および/または逆反応剤が、EUV感受性フォトレジスト層堆積プロセスの異なる段階中に使用されてもよい。1つのそのような例では、より高いEUV感受性を有する第1の有機金属前駆体を最初に基板全体に流し、EUV感受性フォトレジスト層の第1の副層を形成することができる。次に、第2の有機金属前駆体(第1とは異なる)を基板全体に流し、第1の副層の上に第2の副層を形成することができる。このプロセスは、任意の数の異なる有機金属前駆体(および/または逆反応剤)に対して繰り返すことが可能である。このような構成により、EUV感受性フォトレジスト層を異なるタイプの材料のハイブリッドにすることができる。所望に応じて、有機金属前駆体は、異なるEUV感度を有する副層を発生させるように選択されてもよく、例えば、第1の副層は、第2の副層よりも高いEUV感度を有する副層を生成する有機金属前駆体を使用して作製され得る。これは、例えば、堆積されたEUV感受性フォトレジスト膜がEUV露光を受ける際の電位勾配効果を相殺するのを助ける場合がある。例えば、堆積されたEUV感受性フォトレジスト膜がEUV光に露光されると、そのような光は、フォトレジスト膜の露光エリアに物理的または化学的変化を引き起こし、この変化はその後、露光後プロセス、例えば、現像プロセスで利用することができる。しかし、そのような物理的または化学的変化は、EUV放射線の強度に依存する可能性がある。EUV放射線は、フォトレジスト膜の上側副層によるエネルギーの一部の吸収によりフォトレジスト膜への侵入深さが増加する関数として強度が減少する傾向があるため、フォトレジスト膜における下側副層についての露光強度は、上側副層における露光強度よりも低くてもよい。その結果、厚さ全体にわたって同じ材料で作製されたフォトレジスト膜において、EUV露光プロセスを通じて生成される物理的または化学的変化の量は、膜深さの関数として変化し得る。いくつかのそのような場合には、かかる露光の期間もこの変動に影響を及ぼす場合がある。
【0155】
しかし、異なる副層に対して異なる材料を利用するようにフォトレジスト膜を調整することによって、感光性膜の厚さ全体にわたって生じる物理的または化学的変化の変動を低減することが可能であり得る。例えば、下部副層が上部副層よりもEUV露光に対してより敏感な材料で作製される場合、これは、その下部副層が経験するEUV露光強度の低下を補償するのを助けることができる。
【0156】
そのような調整技法は、スループットと品質の両方の点で、EUV処理の場面において大きな利点を有し得ることが理解されるであろう。例えば、単一材料フォトレジスト膜の最下副層を、その/またはそれらの副層に所望のレベルの化学的または物理的変化を引き起こすのに十分な量のEUVに露光するために、上側副層において同じレベルの化学的または物理的変化を達成するのに必要な期間よりもはるかに長い時間、感光性膜を露光し続ける必要がある場合がある。この追加の露光時間は、例えば、別の基板上でEUV露光を実施するために使用される場合があり、すなわち、スループットの低下をもたらす。EUV処理機器のコストが非常に高いこと(例えば、EUVスキャナのコストは1億ドル以上(米国)のオーダーとなる可能性がある)を考慮すると、EUVスキャナへの投資収益率を最大化するために、EUVスキャン動作についての処理時間を最小限に抑えることが非常に望ましい)。
【0157】
露光時間が長くなると、EUV露光プロセスを通じて感光性膜に転写されるフォトパターンの品質が減少する可能性もある。EUV処理に頼ることを必要とするナノメートルスケールのフィーチャサイズの場合、基板に対するEUVマスク(基板上に所望のフォトパターンを発生させるためにEUV光が導かれるマスク)の最も小さな移動でさえ、フィーチャサイズの点で重要になり得る。例えば、幅30nmのフィーチャの場合、露光プロセス中に基板に対してEUVマスクが5nmシフトすると、フィーチャの全深さ幅が約15%減少する可能性がある。EUVスキャナはそのような事態が発生する可能性を最小限に抑えるように設計されているが、所与の基板に対する露光プロセスが長くかかるほど、そのような移動に遭遇するリスクが大きくなる(または、より可能性が高いほど、より低い規模の移動に遭遇するリスクが大きくなり、その移動は、個々の移動よりも集合的に悪影響が増大する)。
【0158】
本明細書で説明される技法を使用してそのようなフォトレジスト膜の材料構成を調整することにより、例えば、スループットを増加させ、より高品質のフォトパターンを得る可能性を高める露光時間の短縮が可能になり得ることが容易に明らかであろう。乾式堆積フォトレジスト膜の共形的な性質もまた、比較的均一な膜厚により総膜厚の変動が生じてEUV露光時間の増加が必要となるシナリオを回避するため、そのようなスループットの向上の達成に貢献する。
【0159】
前述のように、そのようなEUV感受性フォトレジスト膜の湿式堆積は、湿式堆積されたEUV感受性フォトレジスト膜の異なる副層に対して異なる材料を使用することができないため、一般に調整された膜堆積には適していない。さらに、湿式堆積技法は、本質的に共形的ではない。したがって、本明細書で説明される乾式堆積技法および機器は、同様の化学物質を使用する湿式堆積技法および機器と比較して大幅な改善をもたらす。
【0160】
上述の装置で実践することができる乾式堆積技法の別の例は、異なる有機金属副層が異なる乾式堆積プロセスを使用して基板422上に堆積されるものである。例えば、ブロック512および514の技法を使用して、基板422上に第1のEUV感受性フォトレジスト材料の薄い副層を堆積することができ、これは、例えば、続いて塗布される第2の異なるEUV感受性フォトレジスト材料の副層を発生させるために使用される反応剤の吸着または凝縮を強化することが可能である。この意味で、第1のフォトレジスト材料は、第2のフォトレジスト材料の接着を強化する「シード副層」として使用され得る。そのような実施態様では、シード副層に対して、より容易に制御してより薄い副層を発生させることができるブロック512および514の技法を使用し、その後、ブロック508および510の技法に切り替えることが好ましい場合があり、この技法は、第2のEUV感受性フォトレジストのより厚い副層を提供するために使用され得る、より高いがそれほど細かく制御することができない堆積速度を提供し得る。
【0161】
EUV感受性フォトレジスト膜が基板422上に堆積されると、基板422は、上記のように、追加の動作のために1つまたは複数の後続の処理チャンバまたはツールに移送され得る。図5の残りのブロックは、1つのそのような実施態様に対するかかる追加の動作を要約するが、他の実施態様は、他の動作または他の動作順序を伴う場合がある。
【0162】
例えば、ブロック508/510および/または512/514の乾式堆積プロセスの完了に続いて、基板422は、ブロック516で洗浄ステーションに移送され得、ブロック518において、例えば、基板422上で裏面および/またはベベル洗浄動作を実施するように制御され得る。そのような堆積後洗浄に続いて、基板は、ブロック520においてEUVスキャナシステムまたは同様のフォトリソグラフィツールに移送することができる。ブロック522において、EUVスキャナは、基板422の様々な部分がEUV放射線に露光されるか、またはそのような露光から遮られるようにするパターンマスクを使用してフォトパターンを基板に適用するように制御され得る。露光プロセスは、基板422上のフォトレジスト膜の露光領域において所望の程度のEUV露光を達成するために必要な限り継続することが可能である。
【0163】
十分なEUV露光がEUVスキャナによって基板422に提供された後、基板422は、ブロック524において乾式現像チャンバに移送され、その後、熱またはプラズマベースの現像プロセスなどの乾式現像プロセスに供されてもよい。そのような現像プロセス中、基板422のEUV露光部分および基板422の非露光部分の一方または他方が、現像プロセス、例えば、前述した乾式現像プロセスを使用して除去され、基板422上に所望のフィーチャマスクをもたらすことができる。
【0164】
フィーチャマスクが基板422上に形成された後、基板422は、乾式現像チャンバから取り出され、ブロック528においてプロセスチャンバ、例えば、堆積チャンバまたはエッチングチャンバに提供され得る。ブロック530において、パターンEUV感受性フォトレジスト膜を使用して提供されたフィーチャマスクを使用して、適切な半導体処理動作、例えば、エッチングプロセスまたは堆積プロセスが実施され得る。
【0165】
いくつかの実施態様では、コントローラは、より大きなシステムの一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理機器を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの送給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作設定、特定のシステムに接続または連動するツールおよび他の移送ツールに対するウエハの搬入と搬出、および/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0166】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施態様では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0167】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0168】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0169】
上記のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0170】
本明細書で説明される乾式堆積技法の場面における「膜」、「フォトレジスト膜」、「堆積層」、「副層」などへの言及は、そのように明示的に示されていない場合であっても、EUV感受性フォトレジスト膜を含むことを意図していることが一般に理解されるであろう。
【0171】
装置の様々な構成要素を様々な適切な材料で作製することができることもまた、理解されるであろう。例えば、前述したように、基板支持体の上部プレートはセラミック材料から作製されてもよく、これは、内部に埋め込まれたクランプ電極(ならびに内部に埋め込まれた抵抗ヒータ要素)を電気的に絶縁し、またその下に位置するベースプレートを保護する役割を果たし得る。所望に応じて、上側エッジリングおよび下側エッジリングも同様にセラミック材料で作製することができる。処理チャンバ自体、シャワーヘッド、基板支持体のベースプレート、およびウエハ支持ハウジングなどの他の構造は、アルミニウム合金などの材料で作製されてもよく、場合によっては、陽極酸化されるか、あるいは保護コーティングでコーティングされてもよい。アルミニウムなどの材料は、機械加工が比較的安価であり、適切にコーティングされた場合に良好な耐薬品性を提供し、かつ優れた熱伝導性能を提供し、したがって所望の動作温度まで容易に加熱することが可能である。
【0172】
本開示は、EUVリソグラフィによって例示されるリソグラフィパターニング技法および材料に関するが、他の次世代リソグラフィ技法にも適用可能であることも理解されたい。現在使用および開発されている標準的な13.5nmのEUV波長を含むEUVに加えて、そのようなリソグラフィに最も関連する放射線源は、一般に248nmまたは193nmのエキシマレーザ源の使用を指すDUV(深UV)、正式にはX線範囲のより低いエネルギー範囲のEUVを含むX線、ならびに広いエネルギー範囲をカバーすることができるeビームである。特定の方法は、半導体基板および最終的な半導体デバイスで使用される特定の材料および用途に依存し得る。したがって、本出願に記載の方法は、本技術で使用され得る方法および材料の単なる例示にすぎない。
【0173】
「1つまたは複数の<項目>の各<項目>のための」、「1つまたは複数の<項目>の各<項目>」などの語句は、本明細書で使用される場合、単一項目群と複数項目群の両方を含むと理解されるべきであり、すなわち、「各…のための」という語句は、プログラミング言語で、参照される項目の母集団の各項目を参照するために使用されるという意味で使用されることを理解されたい。例えば、参照される項目の母集団が単一項目である場合、「各」はその単一項目のみを参照し(「each」の辞書定義はしばしば「2つ以上のもののうちの1つ1つ」を指す用語を定義するという事実にもかかわらず)、それらの項目の少なくとも2つがなければならないことを意味するものではない。同様に、「セット」または「サブセット」という用語は、それ自体、複数の項目を必然的に包含するものと見なされるべきではなく、セットまたはサブセットは、(文脈が別段のことを指示しない限り)1つの部材のみまたは複数の部材を包含することができることが理解されるであろう。また、「集合的」という用語は、同様に、1つの群だけでなく複数の群を指すために使用され得ることも理解されたい。したがって、例えば、集合的に1つまたは複数のサブ項目を含む1つまたは複数の項目がある場合、これは、単一のサブ項目を含む単一の項目、複数のサブ項目を含む単一の項目、各々が単一のサブ項目を含む複数の項目、および各々が複数のサブ項目を含む複数の項目、ならびに他の順列および組み合わせ、例えば、そのような例のハイブリッドを含む。
【0174】
本明細書に記載の例および実施形態は、例示のみを目的としており、当業者にはこれに照らして様々な修正または変更が示唆されることが理解されるであろう。明確にするために様々な詳細が省略されているが、様々な設計の代替案を実装することが可能である。したがって、本例は、限定的なものではなく例示的なものであるとみなされるべきであり、本開示は、本明細書に述べられる詳細に限定されるものではなく、本開示の範囲内で修正することができる。
【0175】
上記の開示は、複数の特定の例示的な実施態様に焦点を当てているが、説明された例のみに限定されるものではなく、同様の変形および機構にも同じく適用され得ることが理解されるべきであり、そのような同様の変形および機構もまた、本開示の範囲内にあるとみなされる。
【0176】
同様に、動作が特定の順序で図面に図示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序もしくは連続した順序で実施されること、またはすべての例示された動作が実施されることを必要とするものとして理解されるべきではない。さらに、図面は、フロー図の形式でもう1つの例示的なプロセスを概略的に図示する場合がある。しかし、図示されていない他の動作は、概略的に示されている例示的なプロセスに組み込むことができる。例えば、1つまたは複数の追加の動作は、示されている動作のいずれかの前、後、同時に、または間に実施することができる。特定の状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利な場合がある。さらに、上述の実施態様における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施態様においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明されるプログラム構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合することも、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化することもできることを理解されたい。加えて、他の実施態様もまた、以下の特許請求の範囲に含まれる。場合によっては、特許請求の範囲に記載されたアクションは、異なる順序で実施されても望ましい結果を達成することができる。
【0177】
本明細書における「実質的に」という用語は、特に指定しない限り、参照値の5%以内を意味する。例えば、実質的に垂直とは、平行の+/-5%以内を意味する。「実質的に」という用語は、本明細書では、測定および関係の正確さが意図され得るものの、正確さが製造上の不完全性および公差のために常に達成されるかまたは達成可能であるとは限らないことを示すために使用され得る。例えば、2つの別々のフィーチャを同じサイズ(例えば、2つの穴)を有するように製造することが意図される場合があるが、様々な製造上の不完全性により、これらのフィーチャはほぼ同じサイズであるが、正確には同じではないサイズになる場合がある。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】