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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】靭帯修復の方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240829BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20240829BHJP
【FI】
A61B1/00 630
A61B34/20
A61B1/00 650
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509030
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 US2022041845
(87)【国際公開番号】W WO2023034194
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/239,006
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/239,018
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510059882
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・オルソペディクス・アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】519295384
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・アジア・パシフィク・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クイスト、ブライアン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ネトラヴァリ、ネイサン アニル
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン、マシュー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー、ギベオム
(72)【発明者】
【氏名】バレト、ジョアオ ペドロ デ アルメイダ
(72)【発明者】
【氏名】テイシェイラ、ルイ ジョルジュ メロ
(72)【発明者】
【氏名】ザマリパ、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】コーミエ、フィリップ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェズィルスキ、ラファル ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】リベイロ、ルイス カルロス フィアル テイシェイラ
(72)【発明者】
【氏名】ブリッジャース、マイケル デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ディ ステファノ、クレイグ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ブレイディ、アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】アナスタシアディス、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】デル リオ、リチャード アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA25
4C161CC06
4C161DD01
4C161FF02
4C161GG11
4C161JJ11
4C161LL01
(57)【要約】
靭帯修復。いくつかの例は、前十字靭帯(ACL)の修復などのコンピュータ誘導内視鏡靭帯修復において使用する光学機器を較正するための、方法および関連システムを対象としている。他の例は、靭帯修復時に、三次元骨モデルと、内視鏡を通して見ることができる骨と、の間における登録を検証するための、方法および関連システムを対象としている。なおも更なる例は、靭帯修復のためのトンネル計画を、術中で変更することを対象としている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡光学システムを較正するための方法であって、
内視鏡を較正アセンブリ内に配置することであり、この場合、前記較正アセンブリは、前記内視鏡を、前記較正アセンブリの内面上における較正ターゲットに対して、固定された関係性で保持することと、
手術コントローラによって、前記較正ターゲットの複数の画像を取り込むことであり、この場合、各画像は、カメラヘッドと前記内視鏡との間における独自の回転関係で取り込まれ、前記独自の回転関係は、前記内視鏡の長手方向中心軸線に対するものとされることと、
前記手術コントローラによって、前記較正ターゲットと前記カメラヘッドの取込アレイとの間の光学的歪みを特徴付ける特徴付け機能を作成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記内視鏡を前記較正アセンブリ内に配置することは、前記内視鏡の遠位端の視野方向が前記較正ターゲットに対して垂直であるようにして前記内視鏡を前記較正アセンブリ内に配置することを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内視鏡を前記較正アセンブリ内に配置することは、前記内視鏡の遠位端の視野方向が前記較正ターゲットに対して非垂直であるようにして前記内視鏡を前記較正アセンブリ内に配置することを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記内視鏡を前記較正アセンブリ内に配置することは、前記内視鏡の長手方向中心軸線が前記較正ターゲットの中心に対して交差するようにしてかつ前記内視鏡の遠位端の視野角が前記較正ターゲットに対して垂直であるようにして前記内視鏡を前記較正アセンブリ内に配置することを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記較正ターゲットと前記内視鏡の遠位端との間の内容積が水または生理食塩水によって充填されるよう、前記較正アセンブリの前記内容積の内部に水を入れることを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の画像を取り込むことは、
前記内視鏡と前記カメラヘッドの間における第一回転配向性で、前記較正ターゲットの第一画像を取り込むことと、
その後に、前記内視鏡と前記カメラヘッドとの間における第二回転配向性で、前記較正ターゲットの第二画像を取り込むことと、
その後に、前記内視鏡と前記カメラヘッドとの間における第三回転配向性で、前記較正ターゲットの第三画像を取り込むことと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の画像を取り込むことは、前記内視鏡と前記較正アセンブリとの間における固定された関係性で、前記較正ターゲットの前記複数の画像を取り込むことを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記特徴付け機能を作成することは、前記内視鏡を貫通した単一の光学経路を有した前記内視鏡によって、基準点マーカーの向きを決定するための較正を含む前記特徴付け機能を作成することを、さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
内視鏡光学システムを較正するための較正アセンブリであって、
内容積を規定している容器であり、前記内容積は、較正面を規定している、容器と、
前記較正面上に配置された較正ターゲットと、
前記容器の壁であり、前記容器内への開口部を規定しており、前記開口部は、前記較正ターゲットに対して交差する中心軸線を規定している、壁と、
前記開口部に関連した前記壁によって規定された軸線方向保持面であり、前記軸線方向保持面は、前記較正ターゲットから、前記開口部の前記中心軸線に沿って測定された所定距離のところに位置している、軸線方向保持面と、
前記壁に関連した回転保持面と、を含む、較正アセンブリ。
【請求項10】
前記回転保持面は、前記壁によって規定されたザグリ穴の内部に配置されたリッジをさらに含み、前記回転保持面は、前記リッジの反対側に位置した壁によって規定されている、請求項9に記載の較正アセンブリ。
【請求項11】
前記リッジは、前記開口部の前記中心軸線に対して平行である、請求項10に記載の較正アセンブリ。
【請求項12】
前記壁は、チャネルを規定する切欠をさらに含み、前記チャネルは、前記軸線方向保持面を形成する閉塞した底部と、前記回転保持面を形成する二つの側部と、開放した頂部と、を有している、請求項9に記載の較正アセンブリ。
【請求項13】
前記切欠の前記チャネルは、前記開口部の前記中心軸線に対して垂直である、請求項12に記載の較正アセンブリ。
【請求項14】
前記回転保持面は、内視鏡の光ポストを保持するように構成されたクリップを、さらに含む、請求項9に記載の較正アセンブリ。
【請求項15】
前記較正面は、平面状である、請求項9に記載の較正アセンブリ。
【請求項16】
前記較正面は、第一平面を規定する第一部分と、第二平面を規定する第二部分と、を規定しており、前記第一平面と前記第二平面とは、非平面状である、請求項9に記載の較正アセンブリ。
【請求項17】
前記容器の、前記開口部に関連した前記壁は、内部通路を規定するチューブをさらに含み、前記チューブは、前記容器から突出しており、前記内部通路は、前記容器の前記壁を貫通した前記開口部を規定している、請求項9に記載の較正アセンブリ。
【請求項18】
前記開口部の前記中心軸線は、前記較正ターゲットの中心に対して交差している、請求項9に記載の較正アセンブリ。
【請求項19】
前記開口部の前記中心軸線は、前記較正面に垂直なベクトルに対して鋭角を形成しており、前記鋭角は、非ゼロである、請求項9に記載の較正アセンブリ。
【請求項20】
内視鏡光学システムを較正するためのシステムであって、
内視鏡と、前記内視鏡に対して結合されたカメラヘッドと、を含む内視鏡システムであり、前記内視鏡は、長手方向中心軸線と、光ポストと、を規定している、内視鏡システムと、
較正アセンブリであり、
内容積を規定する容器と、
前記容器の内面上に規定された較正面と、
前記較正面上に配置された較正ターゲットと、
前記容器の前記壁を貫通した開口部と、を含む較正アセンブリと、を含み、前記内視鏡は、前記長手方向中心軸線が前記較正ターゲットに対して交差しているようにして、前記開口部を通して嵌め込まれており、
前記較正アセンブリは、前記内視鏡の遠位端を、前記較正ターゲットから所定距離のところに保持するように構成されており、
前記較正アセンブリは、前記内視鏡を、前記較正ターゲットに対して、固定された回転配向性で保持するように構成されている、システム。
【請求項21】
前記較正アセンブリは、前記壁によって規定されたザグリ穴の内部に配置されたリッジによって規定された一組の回転保持面をさらに含み、前記一組の回転保持面は、前記リッジの反対側に位置した壁によって規定されており、前記一組の回転保持面は、前記内視鏡を、前記較正ターゲットに対して、固定された回転配向性で保持している、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記較正アセンブリは、チャネルを規定する切欠をさらに含み、前記チャネルは、閉塞した底部と、開放した頂部と、を有しており、前記光ポストは、前記切欠の内部に配置されており、前記切欠は、前記内視鏡の前記遠位端を、前記較正ターゲットから前記所定距離のところに保持しており、前記切欠は、前記内視鏡を、前記較正ターゲットに対して、前記固定された回転配向性で保持している、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記較正アセンブリは、前記光ポストに対して結合されたクリップをさらに含み、前記クリップは、前記内視鏡を、前記較正ターゲットに対して、前記固定された回転配向性で保持している、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
前記内視鏡の前記遠位端と前記較正ターゲットとの間における前記内容積の内部に、水をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記水は、生理食塩水である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記較正面は、平面状である、請求項20に記載のシステム。
【請求項27】
前記較正面は、第一平面を規定する第一部分と、第二平面を規定する第二部分と、を規定しており、前記第一平面と前記第二平面とは、非平面状である、請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
前記較正アセンブリは、内部通路を規定するチューブをさらに含み、前記チューブは、前記容器から突出しており、前記内視鏡は、前記内視鏡の前記遠位端が前記容器の前記内容積の内部に位置するようにして、前記内部通路を通して嵌め込まれている、請求項20に記載のシステム。
【請求項29】
前記内視鏡の前記長手方向中心軸線は、前記較正ターゲットの中心に対して交差している、請求項20に記載のシステム。
【請求項30】
前記内視鏡の前記長手方向中心軸線は、前記較正面に垂直なベクトルに対して鋭角を形成しており、前記鋭角は、非ゼロである、請求項20に記載のシステム。
【請求項31】
術中方法であって、
手術コントローラによって、骨の三次元骨モデルを受領することと、
前記手術コントローラによって、手術手順時に内視鏡および付属カメラヘッドにより観察される骨の画像を受領することであり、前記骨の前記画像は、前記骨に対して結合された基準点の画像を含むものであることと、
前記手術コントローラによって、前記骨の前記画像内に示された前記骨の外面に関する複数の位置を受領することと、
前記手術コントローラによって、前記複数の位置を使用して、前記三次元骨モデルを前記骨に対して登録することと、
前記手術コントローラによって、前記ディスプレイデバイス上に、前記骨の前記画像上へと重ね合わされた前記三次元骨モデルの表現を表示することと、
前記手術コントローラによって、前記三次元骨モデルが前記骨の前記画像内で前記骨に対して適正に登録されたことを示す指示を受領することと、を含む、術中方法。
【請求項32】
骨の画像を受領することは、大腿骨の顆間陥凹の画像と脛骨の顆間リッジの画像とからなる群から選択される少なくとも一つを受領することを、さらに含む、請求項31に記載の術中方法。
【請求項33】
前記三次元骨モデルを受領することは、前記骨の術前画像のセグメント化によって構築された前記三次元骨モデルを受領することを、さらに含む、請求項31に記載の術中方法。
【請求項34】
前記骨の前記外面に関する前記複数の位置を受領することは、タッチプローブが前記複数の位置で前記骨に対して当接する際に、前記手術コントローラによって、前記タッチプローブの遠位先端の位置を追跡することを、さらに含む、請求項31に記載の術中方法。
【請求項35】
前記タッチプローブの前記遠位先端の位置を追跡することは、前記タッチプローブの外面上に配置された基準点を追跡することであり、前記基準点は、前記内視鏡および前記付属カメラヘッドによって観察された際の前記骨の前記画像内において見ることができるものであることと、立体カメラによって観察された際に前記タッチプローブに対して結合された基準点アレイを追跡することと、からなる群から選択される少なくとも一つを、さらに含む、請求項34に記載の術中方法。
【請求項36】
前記三次元骨モデルの前記表現を表示することは、前記ディスプレイデバイス上に示された前記骨の前記画像上へと、前記三次元骨モデルを代理するメッシュモデルを重ね合わせることを、さらに含む、請求項31に記載の術中方法。
【請求項37】
手術コントローラであって、
ディスプレイデバイスに対して結合されるように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサに対して結合されたメモリであり、前記プロセッサによって実行された時には、前記プロセッサに、
骨の三次元骨モデルを受領することと、
手術手順時に内視鏡と付属カメラヘッドとによって観察される骨の画像を受領することであり、前記骨の前記画像は、前記骨に対して結合された基準点の画像を含むものであることと、
前記骨の前記画像内に示された前記骨の外面に関する複数の位置を受領することと、
前記複数の位置を使用して、前記三次元骨モデルを前記骨に対して登録することと、
前記骨の画像上へと重ね合わされた前記三次元骨モデルの表現を表示することと、
前記三次元骨モデルが前記骨の前記画像内で前記骨に対して適正に登録されている指示を受領することと、を実行させる命令を格納したメモリと、を含む、手術コントローラ。
【請求項38】
前記手術コントローラが前記骨の画像を受領した時には、前記命令は、さらに、前記プロセッサに、大腿骨の顆間陥凹の画像と脛骨の顆間リッジの画像とからなる群から選択される少なくとも一つを受領させる、請求項37に記載の手術コントローラ。
【請求項39】
前記手術コントローラが前記三次元骨モデルを受領した時には、前記命令は、さらに、前記プロセッサに、前記骨の術前画像のセグメント化によって構築された前記三次元骨モデルを受領させる、請求項37に記載の手術コントローラ。
【請求項40】
前記手術コントローラが前記骨の前記外面に関する前記複数の位置を受領した時には、前記命令は、さらに、前記プロセッサに、タッチプローブが前記複数の位置で前記骨に対して当接した際における前記タッチプローブの遠位先端の位置を追跡させる、請求項37に記載の手術コントローラ。
【請求項41】
前記手術コントローラが前記タッチプローブの前記遠位先端の位置を追跡する時には、前記命令は、さらに、前記プロセッサに、前記タッチプローブの外面上に配置された基準点を追跡することであり、前記基準点は、前記内視鏡と前記付属カメラヘッドとによって観察された際の前記骨の前記画像内において見ることができるものであることと、立体カメラによって観察された際に前記タッチプローブに対して結合された基準点アレイを追跡することと、からなる群から選択される少なくとも一つを実行させる、請求項40に記載の手術コントローラ。
【請求項42】
前記手術コントローラが前記三次元骨モデルの前記表現を表示する時には、前記命令は、さらに、前記プロセッサに、前記三次元骨モデルを代理するメッシュモデルを前記骨の前記画像上へと重ね合わせることを実行させる、請求項37に記載の手術コントローラ。
【請求項43】
術中方法であって、
手術コントローラによって、ディスプレイデバイス上へと、靭帯修復のための計画されたトンネル経路を表示することであり、前記計画されたトンネル経路は、骨の少なくとも一部に対して示され、前記計画されたトンネル経路は、術前に選択されたものであることと、
前記手術コントローラによって、手術手順時に、修正済みトンネル入口位置を受領することと、
前記手術コントローラによって、手術手順時に、前記骨を貫通した修正済みトンネル経路を計算するとともに、前記ディスプレイデバイス上に、前記修正済みトンネル経路を表示することと、
前記手術コントローラによって、穿孔前に、前記修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線に対しての、ドリルワイヤのドリル軸線の、軸線方向での位置合わせを追跡することと、
前記手術コントローラによって、前記ディスプレイデバイス上に、前記ドリル軸線と前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線との相対位置を示すグラフィックを表示することと、を含む、術中方法。
【請求項44】
前記計画されたトンネル経路は、前十字靭帯(ACL)の修復のためのものである、請求項43に記載の術中方法。
【請求項45】
前記修正済みトンネル経路を計算した後に、前記方法は、
前記手術コントローラによって、前記計画されたトンネル経路と前記修正済みトンネル経路とのオーバーラップを示す値を決定することと、
前記手術コントローラによって、前記ディスプレイデバイス上に、前記計画されたトンネル経路と前記修正済みトンネル経路とのオーバーラップを示す前記値に関する視覚的表現を表示することと、をさらに含む、請求項43に記載の術中方法。
【請求項46】
前記手術コントローラによって、前記計画されたトンネル経路の計画されたトンネル入口と、前記修正済みトンネル経路の前記修正済みトンネル入口と、の間における入口位置オフセットを計算することと、
前記手術コントローラによって、前記計画されたトンネル経路の計画されたトンネル出口と、前記修正済みトンネル経路の修正済みトンネル出口と、の間における出口位置オフセットを計算することと、
前記手術コントローラによって、前記ディスプレイデバイス上に、前記入口位置オフセットおよび前記出口位置オフセットに関する視覚的表現を表示することと、をさらに含む、請求項43に記載の術中方法。
【請求項47】
前記手術コントローラによって、前記修正済みトンネル経路に関して後壁の破裂可能性を示す値を確認することと、
前記手術コントローラによって、前記ディスプレイデバイス上に、後壁の破裂可能性を示す前記値に関する視覚的表現を表示することと、をさらに含む、請求項43に記載の術中方法。
【請求項48】
後壁の破裂可能性を示す前記値を確認することは、前記修正済みトンネル経路と前記三次元骨モデルの外面との間の距離を測定することを、さらに含む、請求項47に記載の術中方法。
【請求項49】
前記修正済みトンネル経路と前記三次元骨モデルの前記外面との間の前記距離を測定することは、前記修正済みトンネル経路と前記三次元骨モデルの前記外面との間における最短距離を測定することを、さらに含む、請求項48に記載の術中方法。
【請求項50】
前記計画されたトンネル経路を表示することは、大腿骨を貫通した前記計画されたトンネル経路と脛骨を貫通した前記計画されたトンネル経路とからなる群から選択される少なくとも一つを表示することを、さらに含む、請求項43に記載の術中方法。
【請求項51】
前記修正済みトンネル入口位置を受領することは、前記手術コントローラによって、大腿骨の顆間陥凹と脛骨の顆間リッジとからなる群から選択される少なくとも一つの内部に配置された前記修正済みトンネル入口位置を受領することを、さらに含む、請求項43に記載の術中方法。
【請求項52】
前記修正済みトンネル入口位置を受領することは、内視鏡および付属カメラヘッドによって手術部位内で見ることができる照準器の遠位先端の位置に基づいて受領することを、さらに含む、請求項43に記載の術中方法。
【請求項53】
前記軸線方向での位置合わせを追跡することは、前記ドリルワイヤが内部を通して嵌め込まれる照準器の、軸線方向での位置合わせを追跡することを、さらに含む、請求項43に記載の術中方法。
【請求項54】
前記照準器の軸線方向での位置合わせを追跡することは、
前記手術コントローラによって、内視鏡と付属カメラヘッドとによって画像を受領することであり、前記画像は、前記照準器の外面上に配置された基準点を含むものであることと、
前記手術コントローラによって、前記画像に基づいて、前記骨の外面の三次元モデルに対しての、前記照準器の、軸線方向での位置合わせを計算することと、をさらに含む、請求項53に記載の術中方法。
【請求項55】
前記手術コントローラによって、穿孔時に、前記ドリルワイヤの前記ドリル軸線を追跡することであり、前記穿孔により、中心軸線を有した貫通穴を形成することと、
前記手術コントローラによって、前記ディスプレイデバイス上に、前記貫通穴の前記中心軸線と前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線との間のオフセットを示す値を表示することと、をさらに含む、請求項43に記載の術中方法。
【請求項56】
前記ドリル軸線と前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線との相対位置を示す前記グラフィックを表示することは、
前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線を示すトンネル経路ターゲットを表示することと、
前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線に対しての、前記ドリルワイヤの前記遠位端の位置を示す遠位端ターゲットを表示することと、
前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線に対しての、前記ドリルワイヤの軸線方向での位置合わせにおける近位寄り端部の位置を示す近位端ターゲットを表示することと、をさらに含む、請求項43に記載の術中方法。
【請求項57】
手術コントローラであって、
ディスプレイデバイスに対して結合されるように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサに対して結合されたメモリであり、前記プロセッサによって実行された時には、前記プロセッサに、
手術手順時に、内視鏡と付属カメラヘッドとによって観察される脚の骨の画像を受領することと、
前記ディスプレイデバイス上に、前十字靭帯(ACL)の修復のための計画されたトンネル経路を表示することであり、前記計画されたトンネル経路を、前記脚の骨の少なくとも一部に対して示すことと、
修正済みトンネル入口位置を受領することと、
前記脚の骨を貫通した修正済みトンネル経路を計算することであり、前記修正済みトンネル経路は、長手方向中心軸線を有したものであることと、
前記ディスプレイデバイス上に、前記修正済みトンネル経路を表示することと、
前記長手方向中心軸線に対しての、ドリルワイヤのドリル軸線の、軸線方向での位置合わせを追跡することと、
前記ディスプレイデバイス上に、前記ドリル軸線と前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線との相対位置を示すグラフィックを表示することと、を実行させる命令を格納したメモリと、を含む、手術コントローラ。
【請求項58】
前記プロセッサが前記修正済みトンネル経路を計算した後に、前記命令は、前記プロセッサに、
前記計画されたトンネル経路と前記修正済みトンネル経路とのオーバーラップを示す値を決定することと、
前記ディスプレイデバイス上に、前記計画されたトンネル経路と前記修正済みトンネル経路とのオーバーラップを示す前記値に関する視覚的表現を表示することと、をさらに実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項59】
前記命令は、前記プロセッサに、
前記計画されたトンネル経路の計画されたトンネル入口と、前記修正済みトンネル経路の前記修正済みトンネル入口と、の間における入口位置オフセットを計算することと、
前記計画されたトンネル経路の計画されたトンネル出口と、前記修正済みトンネル経路の修正済みトンネル出口と、の間における出口位置オフセットを計算することと、
前記ディスプレイデバイス上に、前記入口位置オフセットおよび前記出口位置オフセットに関する視覚的表現を表示することと、をさらに実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項60】
前記命令は、前記プロセッサに、
前記修正済みトンネル経路に関して後壁の破裂可能性を示す値を確認することと、
前記ディスプレイデバイス上に、後壁の破裂可能性を示す前記値に関する視覚的表現を表示することと、をさらに実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項61】
前記プロセッサが、後壁の破裂可能性を示す前記値を確認する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記修正済みトンネル経路と前記三次元骨モデルの外面との間の距離を測定することを、さらに実行させる、請求項60に記載の手術コントローラ。
【請求項62】
前記プロセッサが前記修正済みトンネル経路と前記三次元骨モデルの前記外面との間の前記距離を測定する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記修正済みトンネル経路と前記三次元骨モデルの前記外面との間における最短距離を測定することを、さらに実行させる、請求項61に記載の手術コントローラ。
【請求項63】
前記プロセッサが前記計画されたトンネル経路を表示する時には、前記命令は、前記プロセッサに、大腿骨を貫通した前記計画されたトンネル経路と脛骨を貫通した前記計画されたトンネル経路とからなる群から選択される少なくとも一つを表示することを実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項64】
前記プロセッサが前記修正済みトンネル入口位置を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、大腿骨の顆間陥凹と脛骨の顆間リッジとからなる群から選択される少なくとも一つの内部に配置された前記修正済みトンネル入口位置を受領することを実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項65】
前記プロセッサが前記修正済みトンネル入口位置を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記内視鏡と前記付属カメラヘッドとによって観察される骨の前記画像内に見ることができる照準器の遠位先端の位置に基づいて受領することを、さらに実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項66】
前記プロセッサが前記軸線方向での位置合わせを追跡する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記ドリルワイヤが内部を通して嵌め込まれる照準器でありかつ前記内視鏡と前記付属カメラヘッドとによって観察される骨の前記画像内に見ることができる照準器の、前記軸線方向での位置合わせを追跡することを、さらに実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項67】
前記プロセッサが、前記内視鏡と前記付属カメラヘッドとによって観察される前記骨の画像を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記照準器の外面上に配置された基準点を含む画像を受領することを、さらに実行させ、
前記プロセッサが、前記照準器の前記軸線方向での位置合わせを追跡する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記基準点の向きに基づいて、前記骨の外面の三次元モデルに対しての、前記照準器の、前記軸線方向での位置合わせを計算することを、さらに実行させる、請求項66に記載の手術コントローラ。
【請求項68】
前記命令は、前記プロセッサに、
穿孔時に、前記ドリルワイヤの前記ドリル軸線を追跡することであり、前記穿孔により、中心軸線を有した貫通穴を形成することと、
前記ディスプレイデバイス上に、前記貫通穴の前記中心軸線と前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線との間のオフセットを示す値を表示することと、をさらに実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項69】
前記プロセッサが、前記ドリル軸線と前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線との相対位置を示す前記グラフィックを表示する時には、前記命令は、前記プロセッサに、
前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線を示すトンネル経路ターゲットを表示することと、
前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線に対しての、前記ドリルワイヤの前記遠位端の位置を示す遠位端ターゲットを表示することと、
前記修正済みトンネル経路の前記長手方向中心軸線に対しての、前記ドリルワイヤの前記軸線方向での位置合わせにおける近位寄り端部の位置を示す近位端ターゲットを表示することと、をさらに実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、「Methods and Systems of Ligament Repair」と題する2021年8月31日付けで出願された米国仮出願第63/239,006号明細書の優先権を主張するものであり、また、「Video Based Navigation Calibration Apparatus」と題する2021年8月31日付けで出願された米国仮出願第63/239,018号明細書の優先権を主張するものである。両方の仮出願は、以下で完全に複製されているかのようにして、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
前十字靭帯(ACL)は、大腿骨に対する脛骨の前方並進移動に対して抵抗するための、膝における主要な機械的拘束として機能する。同様に、後十字靭帯(PCL)は、大腿骨に対する脛骨の後方並進移動に対して抵抗するための、機械的拘束として機能する。これらの十字靭帯は、膝の安定性に大きく寄与しており、ACL損傷は、極めて一般的である。ACL損傷のほとんどは、靭帯の完全断裂である。
【0003】
ACL損傷は、若くて活動的な患者によく起こるので、活動復帰を可能とするために、ACLの再建が行われる。その目的は、膝の安定性を回復させることであるとともに、半月板および関節軟骨がさらに損傷してしまって変形性膝関節症となってしまう可能性を低減することである。再建は、代用移植片(例えば、膝蓋腱の中央3分の1からの、またはハムストリング腱からの、自家移植片)を配置することから構成され得る。移植片の両端は、大腿骨を通しておよび脛骨を通してそれぞれ準備されたそれぞれ対応したトンネル内へと配置される。移植片の両端は、干渉ネジを使用して、あるいは、米国マサチューセッツ州アンドーバー所在のSmith&Nephew社製のENDOBUTTON(登録商標)ブランドの固定デバイスなどの懸垂固定デバイスを使用して、取り付けられてもよい。
【0004】
ACL再建における一つの課題は、トンネルを設置すべき場所である。天然のACLは、2つの主要な束から構成されている、すなわち、前内側(AM)束と後外側(PL)束とから構成されている。多くの場合、手術の目的は、再建を解剖学的な位置に配置することであり、例えば、単一のトンネルを、天然ACLの取付部位のフットプリント内に配置することである。他の場合には、再建は、大腿骨と脛骨との両方に二つのトンネルを形成することで、二つの天然束を再建する試みを伴ってもよい。
【0005】
計画されたトンネル位置に対するトンネルの配置には、かなりのばらつきが存在する。計画されたトンネル位置に対する、実際のトンネル位置の誤差は、8.3ミリメートル(mm)~13.9ミリメートル(mm)であることが示されている。さらに、ACL再建における失敗率は、10%~15%の範囲であり、失敗の61%は、技術的エラーに起因している。技術的失敗の約80%は、大腿骨トンネルの位置不良であり、37%は、脛骨トンネルの位置不良である。
【発明の概要】
【0006】
靭帯修復。一例は、内視鏡光学システムを較正するための方法であり、本方法は、内視鏡を較正アセンブリ内に配置することであり、この場合、較正アセンブリは、内視鏡を、較正アセンブリの内面上における較正ターゲットに対して、固定された関係性で保持することと、手術コントローラによって、較正ターゲットの複数の画像を取り込むことであり、この場合、各画像は、カメラヘッドと内視鏡との間における独自の回転関係で取り込まれ、独自の回転関係は、内視鏡の長手方向中心軸線に対するものとされることと、手術コントローラによって、較正ターゲットとカメラヘッドの取込アレイとの間の光学的歪みを特徴付ける特徴付け機能を作成することと、を含む。
【0007】
内視鏡を較正するための例示的な方法では、内視鏡を較正アセンブリ内に配置することは、内視鏡の遠位端の視野方向が較正ターゲットに対して垂直であるようにして内視鏡を較正アセンブリ内に配置することを、さらに含んでもよい。内視鏡を較正するための例示的な方法では、内視鏡を較正アセンブリ内に配置することは、内視鏡の遠位端の視野方向が較正ターゲットに対して非垂直であるようにして内視鏡を較正アセンブリ内に配置することを、さらに含んでもよい。内視鏡を較正するための例示的な方法では、内視鏡を較正アセンブリ内に配置することは、内視鏡の長手方向中心軸線が較正ターゲットの中心に対して交差するようにしてかつ内視鏡の遠位端の視野角が較正ターゲットに対して垂直であるようにして内視鏡を較正アセンブリ内に配置することを、さらに含んでもよい。
【0008】
内視鏡を較正するための例示的な方法は、較正ターゲットと内視鏡の遠位端との間の内容積が水または生理食塩水によって充填されるよう、較正アセンブリの内容積の内部に水を入れることを、さらに含んでもよい。
【0009】
内視鏡を較正するための例示的な方法では、複数の画像を取り込むことは、内視鏡とカメラヘッドの間における第一回転配向性で、較正ターゲットの第一画像を取り込むことと、その後に、内視鏡とカメラヘッドとの間における第二回転配向性で、較正ターゲットの第二画像を取り込むことと、その後に、内視鏡とカメラヘッドとの間における第三回転配向性で、較正ターゲットの第三画像を取り込むことと、をさらに含んでもよい。
【0010】
内視鏡を較正するための例示的な方法では、複数の画像を取り込むことは、内視鏡と較正アセンブリとの間における固定された関係性で、較正ターゲットの複数の画像を取り込むことを、さらに含んでもよい。
【0011】
内視鏡を較正するための例示的な方法では、特徴付け機能を作成することは、内視鏡を貫通した単一の光学経路を有した内視鏡によって、基準点マーカーの向きを決定するための較正を含む特徴付け機能を作成することを、さらに含んでもよい。
【0012】
さらに別の例は、内視鏡光学システムを較正するための較正アセンブリであり、較正アセンブリは、内容積を規定している容器であり、内容積は、較正面を規定している、容器と、較正面上に配置された較正ターゲットと、容器の壁であり、容器内への開口部を規定しており、開口部は、較正ターゲットに対して交差する中心軸線を規定している、壁と、開口部に関連した壁によって規定された軸線方向保持面であり、軸線方向保持面は、較正ターゲットから、開口部の中心軸線に沿って測定された所定距離のところに位置している、軸線方向保持面と、壁に関連した回転保持面と、を含む。
【0013】
例示的な較正アセンブリでは、回転保持面は、壁によって規定されたザグリ穴の内部に配置されたリッジをさらに含んでもよく、回転保持面は、リッジの反対側に位置した壁によって規定されている。リッジは、開口部の中心軸線に対して平行であってもよい。
【0014】
例示的な較正アセンブリでは、壁は、チャネルを規定する切欠をさらに含んでもよく、チャネルは、軸線方向保持面を形成する閉塞した底部と、回転保持面を形成する二つの側部と、開放した頂部と、を有している。切欠のチャネルは、開口部の中心軸線に対して垂直であってもよい。
【0015】
例示的な較正アセンブリでは、回転保持面は、内視鏡の光ポストを保持するように構成されたクリップを、さらに含んでもよい。
【0016】
例示的な較正アセンブリでは、較正面は、平面状であってもよい。例示的な較正アセンブリでは、較正面は、第一平面を規定する第一部分と、第二平面を規定する第二部分と、を規定してもよく、第一平面と第二平面とは、非平面状である。
【0017】
例示的な較正アセンブリでは、容器の、開口部に関連した壁は、内部通路を規定するチューブをさらに含んでもよく、チューブは、容器から突出しており、内部通路は、容器の壁を貫通した開口部を規定している。
【0018】
例示的な較正アセンブリでは、開口部の中心軸線は、較正ターゲットの中心に対して交差してもよい。例示的な較正アセンブリでは、開口部の中心軸線は、較正面に垂直なベクトルに対して鋭角を形成してもよく、鋭角は、非ゼロである。
【0019】
さらに別の例は、内視鏡光学システムを較正するためのシステムであり、システムは、内視鏡と内視鏡に対して結合されたカメラヘッドとを含む内視鏡システムであり、内視鏡は、長手方向中心軸線と、光ポストと、を規定している、内視鏡システムと、較正アセンブリと、を含む。較正アセンブリは、内容積を規定する容器と、容器の内面上に規定された較正面と、較正面上に配置された較正ターゲットと、容器の壁を貫通した開口部と、を含む較正アセンブリと、を含んでもよく、内視鏡は、長手方向中心軸線が較正ターゲットに対して交差しているようにして、開口部を通して嵌め込まれている。較正アセンブリは、内視鏡の遠位端を、較正ターゲットから所定距離のところに保持するように構成されてもよく、較正アセンブリは、内視鏡を、較正ターゲットに対して、固定された回転配向性で保持するように構成されてもよい。
【0020】
内視鏡光学システムを較正するための例示的なシステムでは、較正アセンブリは、壁によって規定されたザグリ穴の内部に配置されたリッジによって規定された一組の回転保持面をさらに含んでもよく、一組の回転保持面は、リッジの反対側に位置した壁によって規定されており、一組の回転保持面は、内視鏡を、較正ターゲットに対して、固定された回転配向性で保持している。
【0021】
内視鏡光学システムを較正するための例示的なシステムでは、較正アセンブリは、チャネルを規定する切欠をさらに含んでもよく、チャネルは、閉塞した底部と、開放した頂部と、を有しており、光ポストは、切欠の内部に配置されており、切欠は、内視鏡の遠位端を、較正ターゲットから所定距離のところに保持しており、切欠は、内視鏡を、較正ターゲットに対して、固定された回転配向性で保持している。
【0022】
内視鏡光学システムを較正するための例示的なシステムでは、較正アセンブリは、光ポストに対して結合されたクリップをさらに含んでもよく、クリップは、内視鏡を、較正ターゲットに対して、固定された回転配向性で保持している。
【0023】
内視鏡光学システムを較正するための例示的なシステムは、内視鏡の遠位端と較正ターゲットとの間における内容積の内部に、水をさらに含んでもよい。水は、生理食塩水であってもよい。
【0024】
内視鏡光学システムを較正するための例示的なシステムでは、較正面は、平面状であってもよい。内視鏡光学システムを較正するための例示的なシステムでは、較正面は、第一平面を規定する第一部分と、第二平面を規定する第二部分と、を規定してもよく、第一平面と第二平面とは、非平面状である。
【0025】
内視鏡光学システムを較正するための例示的なシステムでは、較正アセンブリは、内部通路を規定するチューブをさらに含んでもよく、チューブは、容器から突出しており、内視鏡は、内視鏡の遠位端が容器の内容積の内部に位置するようにして、内部通路を通して嵌め込まれている。
【0026】
内視鏡光学システムを較正するための例示的なシステムでは、内視鏡の長手方向中心軸線は、較正ターゲットの中心に対して交差してもよい。内視鏡光学システムを較正するための例示的なシステムでは、内視鏡の長手方向中心軸線は、較正面に垂直なベクトルに対して鋭角を形成してもよく、鋭角は、非ゼロである。
【0027】
さらに別の例は、術中方法であり、手術コントローラによって、骨の三次元骨モデルを受領することと、手術コントローラによって、手術手順時に内視鏡および付属カメラヘッドにより観察される骨の画像を受領することであり、骨の画像は、骨に対して結合された基準点の画像を含むものであることと、手術コントローラによって、骨の画像内に示された骨の外面に関する複数の位置を受領することと、手術コントローラによって、複数の位置を使用して、三次元骨モデルを骨に対して登録することと、手術コントローラによって、ディスプレイデバイス上に、骨の画像上へと重ね合わされた三次元骨モデルの表現を表示することと、手術コントローラによって、三次元骨モデルが骨の画像内で骨に対して適正に登録されたことを示す指示を受領することと、を含む。
【0028】
例示的な術中方法では、骨の画像を受領することは、大腿骨の顆間陥凹の画像と脛骨の顆間リッジの画像とからなる群から選択される少なくとも一つを受領することを、さらに含んでもよい。例示的な術中方法では、三次元骨モデルを受領することは、骨の術前画像のセグメント化によって構築された三次元骨モデルを受領することを、さらに含んでもよい。
【0029】
例示的な術中方法では、骨の外面に関する複数の位置を受領することは、タッチプローブが複数の位置で骨に対して当接する際に、手術コントローラによって、タッチプローブの遠位先端の位置を追跡することを、さらに含んでもよい。タッチプローブの遠位先端の位置を追跡することは、タッチプローブの外面上に配置された基準点を追跡することであり、基準点は、内視鏡および付属カメラヘッドによって観察された際の骨の画像内において見ることができるものであることと、立体カメラによって観察された際にタッチプローブに対して結合された基準点アレイを追跡することと、からなる群から選択される少なくとも一つを、さらに含んでもよい。
【0030】
例示的な術中方法では、三次元骨モデルの表現を表示することは、ディスプレイデバイス上に示された骨の画像上へと、三次元骨モデルを代理するメッシュモデルを重ね合わせることを、さらに含んでもよい。
【0031】
別の例は、手術コントローラであり、手術コントローラは、ディスプレイデバイスに対して結合されるように構成されたプロセッサと、プロセッサに対して結合されたメモリと、を含む。メモリは、プロセッサによって実行された時には、プロセッサに、骨の三次元骨モデルを受領することと、手術手順時に内視鏡と付属カメラヘッドとによって観察される骨の画像を受領することであり、骨の画像は、骨に対して結合された基準点の画像を含むものであることと、骨の画像内に示された骨の外面に関する複数の位置を受領することと、複数の位置を使用して、三次元骨モデルを骨に対して登録することと、骨の画像上へと重ね合わされた三次元骨モデルの表現を表示することと、三次元骨モデルが骨の画像内で骨に対して適正に登録されている指示を受領することと、を実行させる命令を格納している。
【0032】
例示的な手術コントローラでは、手術コントローラが骨の画像を受領した時には、命令は、さらに、プロセッサに、大腿骨の顆間陥凹の画像と脛骨の顆間リッジの画像とからなる群から選択される少なくとも一つを受領させてもよい。例示的な手術コントローラでは、手術コントローラが三次元骨モデルを受領した時には、命令は、さらに、プロセッサに、骨の術前画像のセグメント化によって構築された三次元骨モデルを受領させてもよい。例示的な手術コントローラでは、手術コントローラが骨の外面に関する複数の位置を受領した時には、命令は、さらに、プロセッサに、タッチプローブが複数の位置で骨に対して当接した際におけるタッチプローブの遠位先端の位置を追跡させてもよい。例示的な手術コントローラでは、手術コントローラがタッチプローブの遠位先端の位置を追跡する時には、命令は、さらに、プロセッサに、タッチプローブの外面上に配置された基準点を追跡することであり、基準点は、内視鏡と付属カメラヘッドとによって観察された際の骨の画像内において見ることができるものであることと、立体カメラによって観察された際にタッチプローブに対して結合された基準点アレイを追跡することと、からなる群から選択される少なくとも一つを実行させてもよい。
【0033】
例示的な手術コントローラでは、手術コントローラが三次元骨モデルの表現を表示する時には、命令は、さらに、プロセッサに、三次元骨モデルを代理するメッシュモデルを骨の画像上へと重ね合わせることを実行させてもよい。
【0034】
さらに別の例は、術中方法であり、手術コントローラによって、ディスプレイデバイス上へと、靭帯修復のための計画されたトンネル経路を表示することであり、計画されたトンネル経路は、骨の少なくとも一部に対して示され、計画されたトンネル経路は、術前に選択されたものであることと、手術コントローラによって、手術手順時に、修正済みトンネル入口位置を受領することと、手術コントローラによって、手術手順時に、骨を貫通した修正済みトンネル経路を計算するとともに、ディスプレイデバイス上に、修正済みトンネル経路を表示することと、手術コントローラによって、穿孔前に、修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線に対しての、ドリルワイヤのドリル軸線の、軸線方向での位置合わせを追跡することと、手術コントローラによって、ディスプレイデバイス上に、ドリル軸線と修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線との相対位置を示すグラフィックを表示することと、を含む。
【0035】
術中方法では、計画されたトンネル経路は、前十字靭帯(ACL)の修復のためのものであってもよい。
【0036】
術中方法では、修正済みトンネル経路を計算した後に、本方法は、手術コントローラによって、計画されたトンネル経路と修正済みトンネル経路とのオーバーラップを示す値を決定することと、手術コントローラによって、ディスプレイデバイス上に、計画されたトンネル経路と修正済みトンネル経路とのオーバーラップを示す値に関する視覚的表現を表示することと、をさらに含んでもよい。
【0037】
術中方法は、手術コントローラによって、計画されたトンネル経路の計画されたトンネル入口と、修正済みトンネル経路の修正済みトンネル入口と、の間における入口位置オフセットを計算することと、手術コントローラによって、計画されたトンネル経路の計画されたトンネル出口と、修正済みトンネル経路の修正済みトンネル出口と、の間における出口位置オフセットを計算することと、手術コントローラによって、ディスプレイデバイス上に、入口位置オフセットおよび出口位置オフセットに関する視覚的表現を表示することと、をさらに含んでもよい。
【0038】
術中方法は、手術コントローラによって、修正済みトンネル経路に関して後壁の破裂可能性を示す値を確認することと、手術コントローラによって、ディスプレイデバイス上に、後壁の破裂可能性を示す値に関する視覚的表現を表示することと、をさらに含んでもよい。術中方法では、後壁の破裂可能性を示す値を確認することは、修正済みトンネル経路と三次元骨モデルの外面との間の距離を測定することを、さらに含んでもよい。修正済みトンネル経路と三次元骨モデルの外面との間の距離を測定することは、修正済みトンネル経路と三次元骨モデルの外面との間における最短距離を測定することを、さらに含んでもよい。
【0039】
術中方法では、計画されたトンネル経路を表示することは、大腿骨を貫通した計画されたトンネル経路と脛骨を貫通した計画されたトンネル経路とからなる群から選択される少なくとも一つを表示することを、さらに含んでもよい。
【0040】
術中方法では、修正済みトンネル入口位置を受領することは、手術コントローラによって、大腿骨の顆間陥凹と脛骨の顆間リッジとからなる群から選択される少なくとも一つの内部に配置された修正済みトンネル入口位置を受領することを、さらに含んでもよい。
【0041】
術中方法では、修正済みトンネル入口位置を受領することは、内視鏡および付属カメラヘッドによって手術部位内で見ることができる照準器の遠位先端の位置に基づいて受領することを、さらに含んでもよい。
【0042】
術中方法では、軸線方向での位置合わせを追跡することは、ドリルワイヤが内部を通して嵌め込まれる照準器の、軸線方向での位置合わせを追跡することを、さらに含んでもよい。
【0043】
術中方法では、照準器の軸線方向での位置合わせを追跡することは、手術コントローラによって、内視鏡と付属カメラヘッドとによって画像を受領することであり、画像は、照準器の外面上に配置された基準点を含むものであることと、手術コントローラによって、画像に基づいて、骨の外面の三次元モデルに対しての、照準器の、軸線方向での位置合わせを計算することと、をさらに含んでもよい。
【0044】
術中方法は、手術コントローラによって、穿孔時に、ドリルワイヤのドリル軸を追跡することであり、穿孔により、中心軸線を有した貫通穴を形成することと、手術コントローラによって、ディスプレイデバイス上に、貫通穴の中心軸線と修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線との間のオフセットを示す値を表示することと、をさらに含んでもよい。
【0045】
術中方法では、ドリル軸線と修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線との相対位置を示すグラフィックを表示することは、修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線を示すトンネル経路ターゲットを表示することと、修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線に対しての、ドリルワイヤの遠位端の位置を示す遠位端ターゲットを表示することと、修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線に対しての、ドリルワイヤの軸線方向での位置合わせにおける近位寄り端部の位置を示す近位端ターゲットを表示することと、をさらに含んでもよい。
【0046】
さらに別の例は、手術コントローラであり、手術コントローラは、ディスプレイデバイスに対して結合されるように構成されたプロセッサと、プロセッサに対して結合されたメモリと、を含む。メモリは、プロセッサによって実行された時には、プロセッサに、手術手順時に、内視鏡と付属カメラヘッドとによって観察される脚の骨の画像を受領することと、ディスプレイデバイス上に、前十字靭帯(ACL)の修復のための計画されたトンネル経路を表示することであり、計画されたトンネル経路を、脚の骨の少なくとも一部に対して示すことと、修正済みトンネル入口位置を受領することと、脚の骨を貫通した修正済みトンネル経路を計算することであり、修正済みトンネル経路は、長手方向中心軸線を有したものであることと、ディスプレイデバイス上に、修正済みトンネル経路を表示することと、長手方向中心軸線に対しての、ドリルワイヤのドリル軸線の、軸線方向での位置合わせを追跡することと、ディスプレイデバイス上に、ドリル軸線と修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線との相対位置を示すグラフィックを表示することと、を実行させる命令を格納している。
【0047】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが修正済みトンネル経路を計算した後に、命令は、プロセッサに、計画されたトンネル経路と修正済みトンネル経路とのオーバーラップを示す値を決定することと、ディスプレイデバイス上に、計画されたトンネル経路と修正済みトンネル経路とのオーバーラップを示す値に関する視覚的表現を表示することと、をさらに実行させてもよい。
【0048】
例示的な手術コントローラでは、命令は、プロセッサに、計画されたトンネル経路の計画されたトンネル入口と、修正済みトンネル経路の修正済みトンネル入口と、の間における入口位置オフセットを計算することと、計画されたトンネル経路の計画されたトンネル出口と、修正済みトンネル経路の修正済みトンネル出口と、の間における出口位置オフセットを計算することと、ディスプレイデバイス上に、入口位置オフセットおよび出口位置オフセットに関する視覚的表現を表示することと、をさらに実行させてもよい。
【0049】
例示的な手術コントローラでは、命令は、プロセッサに、修正済みトンネル経路に関して後壁の破裂可能性を示す値を確認することと、ディスプレイデバイス上に、後壁の破裂可能性を示す値に関する視覚的表現を表示することと、をさらに実行させてもよい。例示的な手術コントローラでは、プロセッサが、後壁の破裂可能性を示す値を確認する時には、命令は、プロセッサに、修正済みトンネル経路と三次元骨モデルの外面との間の距離を測定することを、さらに実行させてもよい。例示的な手術コントローラでは、プロセッサが修正済みトンネル経路と三次元骨モデルの外面との間の距離を測定する時には、命令は、プロセッサに、修正済みトンネル経路と三次元骨モデルの外面との間における最短距離を測定することを、さらに実行させてもよい。
【0050】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが計画されたトンネル経路を表示する時には、命令は、プロセッサに、大腿骨を貫通した計画されたトンネル経路と脛骨を貫通した計画されたトンネル経路とからなる群から選択される少なくとも一つを表示することを実行させてもよい。
【0051】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが修正済みトンネル入口位置を受領する時には、命令は、プロセッサに、大腿骨の顆間陥凹と脛骨の顆間リッジとからなる群から選択される少なくとも一つの内部に配置された修正済みトンネル入口位置を受領することを実行させてもよい。
【0052】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが修正済みトンネル入口位置を受領する時には、命令は、プロセッサに、内視鏡と付属カメラヘッドとによって観察される骨の画像内に見ることができる照準器の遠位先端の位置に基づいて受領することを、さらに実行させてもよい。
【0053】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが軸線方向での位置合わせを追跡する時には、命令は、プロセッサに、ドリルワイヤが内部を通して嵌め込まれる照準器でありかつ内視鏡と付属カメラヘッドとによって観察される骨の画像内に見ることができる照準器の、軸線方向での位置合わせを追跡することを、さらに実行させてもよい。例示的な手術コントローラでは、プロセッサが、内視鏡と付属カメラヘッドとによって観察される骨の画像を受領する時には、命令は、プロセッサに、照準器の外面上に配置された基準点を含む画像を受領することを、さらに実行させてもよく、また、プロセッサが、照準器の軸線方向での位置合わせを追跡する時には、命令は、プロセッサに、基準点の向きに基づいて、骨の外面の三次元モデルに対しての、照準器の、軸線方向での位置合わせを計算することを、さらに実行させてもよい。
【0054】
例示的な手術コントローラでは、命令は、プロセッサに、穿孔時に、ドリルワイヤのドリル軸を追跡することであり、穿孔により、中心軸線を有した貫通穴を形成することと、ディスプレイデバイス上に、貫通穴の中心軸線と修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線との間のオフセットを示す値を表示することと、をさらに実行させてもよい。
【0055】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが、ドリル軸線と修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線との相対位置を示すグラフィックを表示する時には、命令は、プロセッサに、修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線を示すトンネル経路ターゲットを表示することと、修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線に対しての、ドリルワイヤの遠位端の位置を示す遠位端ターゲットを表示することと、修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線に対しての、ドリルワイヤの軸線方向での位置合わせにおける近位寄り端部の位置を示す近位端ターゲットを表示することと、をさらに実行させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
例示的な実施形態に関する詳細な説明のために、次に、添付図面を参照する。
【0057】
図1図1は、膝蓋骨を除去した状態で、右膝に関する、前方からの図すなわち正面図を示している。
【0058】
図2図2は、右膝に関する、後方からの図すなわち背面図を示している。
【0059】
図3図3は、大腿骨に関する、下方からの、顆間陥凹を覗き込んだ図を示している。
【0060】
図4図4は、少なくともいくつかの実施形態による手術システムを示している。
【0061】
図5図5は、少なくともいくつかの実施形態による、手術部位に関する概念図を示しており、手術部位内の様々な対象物が追跡されている。
【0062】
図6図6は、少なくともいくつかの実施形態による較正アセンブリに関する分解斜視図を示している。
【0063】
図7図7は、少なくともいくつかの実施形態による例示的な較正アセンブリに関する平面図を示している。
【0064】
図8図8は、少なくともいくつかの実施形態による、較正アセンブリと関節鏡とに関する断面図を示している。
【0065】
図9A図9Aは、少なくともいくつかの実施形態による較正アセンブリに関する斜視図を示している。
【0066】
図9B図9Bは、少なくともいくつかの実施形態による較正アセンブリに関する斜視図を示している。
【0067】
図9C図9Cは、少なくともいくつかの実施形態による、較正アセンブリおよび関節鏡に関する断面図を示している。
【0068】
図9D図9Dは、少なくともいくつかの実施形態による較正アセンブリの一部に関する、斜視による切断図を示している。
【0069】
図10図10は、少なくともいくつかの実施形態による、例示的なビデオディスプレイであって、大腿骨の一部を示しているとともに、内部に骨基準点を見ることができる。
【0070】
図11図11は、少なくともいくつかの実施形態による、例示的なビデオディスプレイであって、登録手順時における大腿骨および骨基準点の一部を示している。
【0071】
図12図12は、少なくともいくつかの実施形態による、登録手順時における例示的なビデオディスプレイであって、大腿骨の一部、骨基準点、および、三次元骨モデルの重ね合わせ表示、を示している。
【0072】
図13図13は、少なくともいくつかの実施形態による、例示的なビデオディスプレイであって、トンネル経路に関する術中の変更を示している。
【0073】
図14図14は、少なくともいくつかの実施形態による、例示的なビデオディスプレイであって、トンネル経路に関する術中変更計画を示している。
【0074】
図15図15は、少なくともいくつかの実施形態による、例示的なビデオディスプレイであって、パイロットトンネルの配置に関するコンピュータ案内を示している。
【0075】
図16図16は、少なくともいくつかの実施形態による、例示的なビデオディスプレイであって、修正済みトンネル経路に対するパイロットトンネル経路の術中分析を示している。
【0076】
図17図17は、少なくともいくつかの実施形態による、内視鏡光学システムを較正するための方法を示している。
【0077】
図18図18は、少なくともいくつかの実施形態による、三次元骨モデルの登録に関して術中検証するための方法を示している。
【0078】
図19図19は、少なくともいくつかの実施形態による、術中トンネル経路変更を実装するための方法を示している。
【0079】
図20図20は、少なくともいくつかの実施形態によるコンピュータシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0080】
定義
様々な用語は、特定のシステム構成要素を指すために使用されている。異なる企業は、一つの構成要素を異なる名称で参照する場合があるけれども、この文書は、名称は異なるが機能は異ならない構成要素どうしを区別することを意図していない。以下の議論および特許請求の範囲では、「含む」および「備える」という用語は、制限のない態様で使用されているため、「~を含むが、これらに限定されない」を意味すると解釈されるべきである。また、「結合する(couple)」または「結合する(couples)」という用語は、間接的な接続または直接的な接続のいずれかを意味することを意図している。よって、第一デバイスが第二デバイスに対して結合される場合、その接続は、直接的な接続によるものであってもよく、または、他のデバイスや他の接続を介した間接的な接続であってもよい。
【0081】
「~位置を受領する」とは、座標空間(例えば、内視鏡の視野における座標空間)内における骨上の位置を示したデータを受領することを意味するものとする。よって、例示的なシステムおよび方法は、三次元座標空間内におけるトンネル入口点の提案位置を示しているデータである「修正済みトンネル入口位置を受領」してもよい。他の例示的なシステムおよび方法は、骨を三次元骨モデルに対して登録することの一部として、骨の外面の位置を示しているデータである「骨上の複数の位置を受領」してもよい。
【0082】
内視鏡を貫通した「単一の光学経路」を有した内視鏡とは、その内視鏡が、内視鏡の集光端で眼間距離の分だけ離間された二つの別個の光学経路を有した立体内視鏡ではないことを意味するものとする。内視鏡が、単一の光学経路を形成している二つ以上の光学部材(例えば、ガラスロッド、光ファイバ)を有していることは、単一の光学経路としての立場を否定するものではない。
【0083】
「貫通穴」とは、根底をなすデバイスを貫通した開口部または通路を意味するものとする。しかしながら、「貫通穴」という用語は、何らかの形成方法を暗示するものとして解釈されてはならない。よって、貫通穴は、穿孔、穴開け、レーザー穿孔、鋳造、などの、任意の適切な手法で形成されてもよい。
【0084】
「ザグリ穴」とは、根底をなすデバイス内への開口部または通路を意味するものとする。ザグリ穴が、他の開口部(例えば、貫通穴)に対して交差する場合、ザグリ穴は、それにより、内部での肩部を規定してもよい。しかしながら、「ザグリ穴」という用語は、何らかの形成方法を暗示するものとして解釈されてはならない。ザグリ穴は、穿孔、穴開け、レーザー穿孔、鋳造、などの、任意の適切な手法で形成されてもよい。
【0085】
以下の議論は、本発明の様々な実施形態を対象としている。これら実施形態における一つまたは複数の実施形態が好ましい場合があるけれども、開示する実施形態は、特許請求の範囲を含めた本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、また、他の態様で使用されるべきではない。加えて、当業者であれば、以下の説明が広範な応用を有していること、また、任意の実施形態に関する議論が、その実施形態に関する例示に過ぎないことを意味しており、特許請求の範囲を含めた本開示の範囲が、その実施形態に限定されることを暗示することを意図するものではないことは、理解されよう。
【0086】
様々な例は、靭帯の再建および修復に関する方法ならびにシステムを対象としている。靭帯の修復(例えば、前十字靭帯(ACL)の修復)は、関節鏡下で行われてもよく、コンピュータによって支援されてもよい。いくつかの例は、関節鏡と付属カメラヘッドとを含む内視鏡光学システムを較正するための、方法およびシステムを含む。この較正は、関節鏡と付属カメラヘッドとによって作成された画像が、関節鏡を通して見える骨に対して骨モデルを登録するためなどのように、手術部位内の様々な対象物の位置を骨モデルに関して追跡するためなどのように、および/または、術中にトンネルの位置を更新するためなどのように、関節鏡下での修復において使用され得るよう、光学経路内に存在する光学的歪みを考慮するためのものである。他の例は、関節鏡を通して見える骨に対する三次元骨モデルの登録を検証することを含む。さらに他の例は、靭帯修復のためにトンネル経路を術中に変更することと、その後、修正済みトンネル経路に沿ってトンネルを形成することと、を含む。
【0087】
様々な例は、ACL修復の文脈で開発されたものであり、よって、以下の議論は、開発された文脈に基づいている。しかしながら、この技術は、内側側副靭帯の修復、外側側副靭帯の修復、および後十字靭帯の修復、などの多くのタイプの靭帯修復に対して応用可能である。その上、様々な例示的な方法およびシステムは、また、股関節唇、肩、または半月板根の再取付などの、軟組織を再取付するためのアンカーを、計画したり配置したりするためにも使用することができる。よって、本明細書および開発文脈は、本教示の適用可能性を制限するものとして解釈されてはならない。読者を方向付けるため、本明細書では、まず膝について説明する。
【0088】
図1は、膝蓋骨を除去した状態で、右膝に関する、前方からの図すなわち正面図を示している。特に、図1で見ることができるものは、外側顆すなわち側方顆102と内側顆すなわち中央顆104とを含めた大腿骨100の下側部分である。大腿骨100と顆102、104とは、脛骨粗面108とゲルディ結節110とを含めた脛骨106に対して、動作関係とされている。大腿骨顆102、104と脛骨106との間には、側方半月板112と中央半月板114とが配置されている。図1の図示では、また、大腿骨陥凹の外側から脛骨106の内側へと延びたACL116などの、いくつかの靭帯を見ることができる。反対に、後十字靭帯118は、大腿骨陥凹の内側から脛骨106へと延びている。また、腓骨120と、特に符号が付されていないいくつかの追加的な靭帯を見ることができる。
【0089】
図2は、右膝に関する、後方からの図すなわち背面図を示している。特に、図2で見ることができるものは、側方顆102と中央顆104とを含めた大腿骨100の下側部分である。大腿骨100と大腿骨顆102、104とは、この場合にも、脛骨106に対して動作関係とされており、大腿骨顆102、104と脛骨106との間には、側方半月板112と中央半月板114とが配置されている。図2は、さらに、大腿骨陥凹の外側から脛骨106の内側へと延びたACL116を示しているけれども、脛骨106に対する取付点は、見ることができない。後十字靭帯118は、大腿骨陥凹の内側から脛骨106へと延びているけれども、大腿骨100に対する取付点は、見ることができない。この場合にも、特に符号が付されていないいくつかの追加的な靭帯が、示されている。
【0090】
ACL損傷で最も多いものは、靭帯の完全断裂である。処置は、代用移植片(例えば、膝蓋腱、大腿四頭筋腱、またはハムストリングス腱、のいずれかからの、自家移植片)を配置することにより、ACLを再建することを伴う。移植片は、大腿骨100内に準備された、および脛骨106内に準備された、トンネルの内部に配置される。ACL修復に関する現在の標準的な治療法は、移植片に関するトンネル入口点が天然のACLの解剖学的な取付位置であるようにして、トンネルを配置することである。天然のACLの取付位置への、このようなトンネル配置により、天然の膝の運動学的特性を再現することが試みられている。関節鏡視下での手術では、脛骨106を貫通したトンネルの位置は、特に膝を曲げたり屈曲させたりした時に、比較的到達しやすい。しかしながら、大腿骨100を貫通したトンネルは、顆間陥凹の内部に存在している。患者の体格に応じて、また、皮膚を貫通したポートでありかつそこを通して様々な器具が膝内へと挿入されるポートの位置を外科医がどのように選択したかに応じて、大腿骨100に対する天然ACLの取付位置へと到達することが困難な場合があり得る。
【0091】
図3は、大腿骨に関する、下方からの、顆間陥凹を覗き込んだ図を示している。特に図3で見ることができるものは、側方顆102と中央顆104とである。大腿骨顆部102、104の間に規定されているものは、大腿骨陥凹200である。大腿骨トンネルは、大腿骨陥凹200内に内側開口部202を規定してもよく、内側開口部202は、側方顆102に対して近接しているとともに、大腿骨陥凹200の後方部分へと変位している。大腿骨トンネルは、大腿骨100を貫通して延びているとともに、大腿骨100の外面すなわち側方面上に、外側開口部を形成している(外側開口部は、図3では見ることができない)。図3は、初期的なトンネルすなわちパイロット穴を形成するために使用され得る例示的なドリルワイヤ204を示している。外科医が、計画されたトンネル経路に対してパイロット穴が厳密に位置合わせされていることを確認した後には、ドリルワイヤ204をガイドとして使用し得る別の器具(例えば、リーマ)を使用して穿孔またはリーマ加工を行うことにより、大腿骨トンネルが形成される。場合によっては、骨内へと延びる移植片の幅を収容するために、顆間陥凹側において、ソケットまたはザグリ穴が形成され、そのザグリ穴は、また、ドリルワイヤ204をガイドとして使用し得る別の器具(例えば、リーマ)を使用して形成されてもよい。
【0092】
トンネルの穿孔は、どちらの向きから行われてもよい。大腿骨トンネルを再び例として考えると、トンネルは、大腿骨100の外側部分すなわち側方部分から、大腿骨陥凹200に向けて、さらに大腿骨陥凹200内へと、穿孔されてもよく、これは、「アウトサイドイン」手順と称される。反対に、例示的な大腿骨トンネルは、大腿骨陥凹200の内部から、大腿骨100の側方部分に向けて、さらに側方部分へと、穿孔されてもよく、これは、「インサイドアウト」手順と称される。後述する様々な例は、アウトサイドインに対しても、また、インサイドアウトに対しても、同等に適用することができる。アウトサイドイン手順では、追加的に、外側部分上にドリルワイヤを保持するとともに膝内部の内部開口部の予想トンネル位置を物理的に示すようなデバイスが使用されてもよい。しかしながら、アウトサイドイン手順のためのデバイスは、関節鏡視下手順では使用が困難であるため、多くの関節鏡視下修復では、インサイドアウト手順が使用される。よって、後述する更なる例は、インサイドアウト手順に基づくものであるけれども、これを限定として解釈してはならない。次に、本明細書では、例示的な手術システムの説明に移る。
【0093】
図4は、少なくともいくつかの実施形態による手術システム(正確な縮尺ではない)を示している。特に、例示的な手術システム400は、タワーまたはデバイスカート402と、例示的な機械的切除器具404と、例示的なプラズマベースの焼灼器具(以下では、単に、焼灼器具406)と、関節鏡408と付属カメラヘッド410とからなる例示的な形態とされた内視鏡と、を含む。内視鏡408は、光が供給される光接続部分すなわち光ポスト420を規定しており、光は、内視鏡408の内部へと送られて、内視鏡408の遠位端のところで、手術野を照明する。デバイスカート402は、内視鏡光源およびビデオコントローラ418と一緒に、カメラ412(立体視カメラとして例示的に示されている)と、ディスプレイデバイス414と、切除コントローラ416と、カメラコントロールユニット(CCU)と、を含んでもよい。例示的な場合には、CCUおよびビデオコントローラ418は、関節鏡408の光ポスト420に対して光を供給するとともに、カメラヘッド410から受領した画像を表示する。例示的な場合には、CCUおよびビデオコントローラ418は、また、関節鏡およびカメラヘッドの較正、ディスプレイデバイス414上への計画されたトンネル経路の表示、修正済みトンネル入口位置の受領、修正済みトンネル経路の計算、ならびに、修正済みトンネル経路と計画されたトンネル経路との間の関係を示す様々なパラメータの計算および表示、などの、様々な追加的な態様を実装する。よって、以下では、CCUおよびビデオコントローラは、手術コントローラ418と称される。しかしながら、他の場合には、CCUおよびビデオコントローラは、術中変化の態様を処理するコントローラとは、別体とされた別個のシステムであり得るけれども、それでもなお、別個のデバイスは、動作可能に結合されることとなる。
【0094】
例示的なデバイスカート402は、ポンプコントローラ422(例えば、シングルまたはデュアルの蠕動ポンプ)をさらに含む。機械的切除器具404と焼灼器具406との流体接続は、図面を過度に複雑化しないよう、示されていない。同様に、ポンプコントローラ422と患者との間の流体接続は、図面を過度に複雑化しないよう、示されていない。例示的なシステムでは、機械的切除器具404と焼灼器具406の両方が、二重機能コントローラをなす切除コントローラ416に対して、結合されている。しかしながら、他の場合には、焼灼コントローラとは別体とされて別個とされた機械的切除コントローラが設けられてもよい。デバイスカート402に関連した例示的なデバイスおよびコントローラは、単なる例示であり、他の例は、真空ポンプ、患者位置決めシステム、様々な器具を保持するロボットアーム、超音波切断デバイスおよび関連コントローラ、患者位置決めコントローラ、ならびにロボット手術システム、を含む。
【0095】
図4は、例示的なACL修復時に存在し得る追加的な器具をさらに示している。特に、図4は、例示的なガイドワイヤまたはドリルワイヤ424と、照準器426と、を示している。ドリルワイヤ424は、骨を貫通した初期的トンネルすなわちパイロットトンネルを形成するために使用されてもよい。場合によっては、ドリルワイヤの直径は、約2.4ミリメートル(mm)であり得るけれども、ドリルワイヤ424に関して、より大きな直径やより小さな直径が使用されてもよい。例示的なドリルワイヤ424は、両端部が拡大部分によって示されており、一方の拡大部分は、ドリルワイヤ242の遠位端上における切断部材を示しており、別の拡大部分は、ドリルのチャックに対する結合のためのコネクタを示している。外科医がパイロットトンネルを穿孔した後には、外科医および/または手術コントローラ418(以下でさらに説明する)は、パイロットトンネルが、計画されたトンネル経路に対して一致しているかまたはほぼ一致しているかを評価してもよい。パイロットトンネルが充分であると見なされる場合には、ドリルワイヤ424は、トンネルのための全直径の貫通穴を形成するためのガイドとして使用されてもよく、場合によっては、また、移植片を収容するために顆間陥凹に関連したザグリ穴を形成するためのガイドとして使用されてもよい。場合によっては、パイロットトンネルを形成する時にドリルワイヤが単独で使用され得るけれども、さらに他の場合には、外科医は、照準器426を使用することにより、設計されたトンネル入口位置へと、ドリルワイヤ424を誘導して配置することを補助してもよい。
【0096】
図4は、また、例示的なシステムが較正アセンブリ428を含み得ることを示している。以下でより詳細に説明するように、較正アセンブリ428は、関節鏡408および付属カメラヘッド410を介して手術コントローラ418が受領した画像内における光学的歪みを検出するために使用されてもよい。ドリルワイヤ424によって穿孔するためのドリルなどの、トンネルの貫通穴態様およびザグリ穴態様を形成するための様々なリーマなどの、ならびに、移植片を縫合して所定位置にアンカー止めするための様々なツールなどの、追加的なツールおよび追加的な器具が存在することとなる。図面をさらに複雑化しないよう、これらの追加的なツールおよび器具は、示されていない。
【0097】
次に、本明細書では、例示的なACL修復のためのワークフローの説明に移る。ワークフローは、概念的に、術前計画と術中修復とに分類されてもよい。術中修復ワークフローは、概念的に、光学システムの較正と、モデルの登録と、術中トンネル経路計画と、術中トンネル形成と、術中トンネル配置解析と、にさらに分類されてもよい。それぞれについて、順番に取り上げる。
【0098】
計画
【0099】
様々な例によれば、ACL修復は、大腿骨の下側部分、脛骨の上側部分、および関節軟骨、などの関連した解剖学的構造を含めて、患者の膝の画像化(例えば、X線画像化、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像化(MRI))から開始される。以下の説明では、MRIを想定しているけれども、この場合もやはり、多くの異なるタイプの画像化が使用されてもよい。MRI画像化は、画像スライスからセグメント化することができ、これにより、解剖学的構造の体積モデルまたは三次元モデルが作成される。三次元モデルを作成するために、現在利用可能なまたは後に開発されることとなる任意の適切なセグメント化技法が使用されてもよい。より具体的にはACL修復の例に関して、具体的には大腿骨を貫通したトンネル経路の選択に関して、大腿骨顆を含めた大腿骨下側部分に関する三次元骨モデルが作成される。
【0100】
三次元骨モデルを使用して、トンネルの端部を規定するような骨開口部の位置も含めて、大腿骨を貫通した計画されたトンネル経路を選択することを含む手術計画が作成される。例示的なインサイドアウト修復の場合、大腿骨陥凹内の開口部は、穿孔に関する入口位置であり、大腿骨側面上の開口部が出口である。アウトサイドイン修復の場合には、穿孔に関する入口と出口とが入れ替わる。それでもなお、インサイドアウト修復を仮定すると、入口位置は、大腿骨陥凹内の大腿骨に対する天然ACLの取付位置に対して、同じであるようにまたはそれに近い位置であるように、選択されてもよい。場合によっては、大腿骨陥凹内における入口位置の選択には、X線透視画像上に配置されたベルナール&ヘルテルの四分円またはグリッドを使用することが含まれてもよい、あるいは、三次元骨モデルから作成された模擬X線透視画像上にベルナール&ヘルテル四分円を配置することが含まれてもよい。ベルナール&ヘルテル四分円の使用に基づき、トンネルの入口位置が選択される。インサイドアウト修復の場合には、出口位置の選択は、それほど制限されることがなく、それは、トンネルの、出口位置に近接した部分が、移植片用アンカーの配置のために使用されるからだけでなく、出口位置が、大腿骨のほぼ中央(前方から後方にかけてと考えられる)にあるため、出口位置のところにおける骨壁の厚さの問題があまり気にならないからである。場合によっては、脛骨の近位端に関する三次元骨モデルも、また、作成され、外科医は、同様に脛骨を貫通した計画されたトンネル経路(単数または複数)を選択してもよい。
【0101】
計画の結果は、大腿骨の遠位端に関する三次元骨モデルと、脛骨の近位端に関する三次元骨モデルと、大腿骨を貫通した入口位置および出口位置、ひいては大腿骨の計画されたトンネル経路と、脛骨を貫通した入口位置および出口位置、ひいては脛骨の計画されたトンネル経路と、を含んでもよい。トンネル貫通穴の直径、トンネルザグリ穴の直径および深さ、所望の修復後屈曲、ならびに同種のもの、などの他の手術パラメータも、また、計画時に選択され得るけれども、それらの追加的な手術パラメータは、明細書を過度に複雑化しないよう、省略されている。
【0102】
術中修復
【0103】
次に、本明細書では、術中の態様の説明に移る。術中態様は、様々な修復を行うために手術システムを設定するためのステップおよび手順を含む。しかしながら、術中態様のいくつか(例えば、光学システムの較正)は、患者の皮膚を通して何らかのポートまたは切開口が形成される前に、実際には、患者が手術室内へと運び込まれる前に、行われ得ることに留意されたい。それでもなお、このようなステップおよび手順は、手術設定内で実際の修復を行うために使用される手術器械および器具を使用して行われるため、術中と見なされてもよい。
【0104】
例示的なACL修復は、関節鏡下で行われるものであり、また、手術部位内における関節鏡操縦のために手術コントローラ418が使用されるという意味においてコンピュータ支援型である。より詳細には、例示的なシステムでは、手術コントローラ418は、関節鏡の視野における三次元座標空間内での骨の位置などの、および、関節鏡の視野における三次元座標空間内での様々な器具(例えば、ドリルワイヤ424、照準器426)の位置などの、手術部位内での様々な対象物の位置を追跡することにより、靭帯修復時にコンピュータ支援を提供する。本明細書では、そのような追跡技法に関する簡単な説明に移る。
【0105】
図5は、手術部位の概念図であって、手術部位内には、様々な対象物が存在している。特に、図5で見ることができるものは、関節鏡408の遠位端と、骨500の一部(例えば、大腿骨)と、手術部位内での骨基準点502と、タッチプローブ504と、プローブ基準点506と、である。それぞれを順番に取り上げる。
【0106】
関節鏡408の遠位端は、光ポスト420(図4)を介して受領した可視光によって手術部位を照明するように、設計されて構築されている。図5の例では、照明は、矢印508で図示されている。手術部位に対して供給された照明は、手術部位内の様々な対象物および組織によって反射され、遠位端へと戻ってきた反射光は、関節鏡408内へと入射するとともに、関節鏡408内の光学チャネルに沿って伝播し、最終的には、カメラヘッド410(図4)内の取込アレイ上へと入射する。カメラヘッド410内の取込アレイによって検出された画像は、手術コントローラ418(図4)に対して電子的に送信されて、ディスプレイデバイス414(図4)上に表示される。例示的なシステムによれば、関節鏡408は、単一の光学経路が二つ以上の光学部材(例えば、ガラスロッド、光ファイバ)から構築され得るにもかかわらず、手術部位の画像を取り込むための、関節鏡を通しての単一の光学経路を有している。すなわち、例示的なシステムおよび方法では、関節鏡408とカメラヘッド410と手術コントローラ418とによって提供されるコンピュータ支援操縦では、遠位端内視鏡のところで眼間距離の分だけ離間した二つの別個の光学経路を有した立体内視鏡ではない関節鏡408が設けられている。
【0107】
手術手順時には、外科医は、計画された手術手順に関して有益な視野方向を有した関節鏡を選択する。視野方向とは、内視鏡の視野における外側エッジすなわち周縁エッジが形成する角度の中心に位置した直線を指す。いくつかの関節鏡に関する視野方向は、関節鏡の長手方向中心軸線に対して位置合わせされており、そのような関節鏡は、「0度」関節鏡と称される(例えば、視野方向と関節鏡の長手方向中心軸線との間の角度は、0度である)。他の関節鏡における視野方向は、関節鏡の長手方向中心軸線に対して、非ゼロ角度を形成する。例えば、30°の関節鏡の場合、視野方向は、関節鏡の長手方向中心軸線に対して、30°の角度を形成し、この角度は、関節鏡の遠位端を超えて鈍角として測定される。ACL修復における多くの場合には、外科医は、患者の皮膚を通して形成されるポートの位置に基づいて、30°関節鏡または45°関節鏡を選択する。図5の例では、関節鏡408の視野角510は、関節鏡408の長手方向中心軸線512に対して、非ゼロ角度を形成している。
【0108】
なおも図5を参照すると、関節鏡408の視野内には、骨基準点502、タッチプローブ504、およびプローブ基準点506と一緒に、骨500の一部が存在している。骨基準点502は、上面上に配置されたパターンを有した平面部材として示されているけれども、骨基準点502に関する他の形状が使用されてもよい(例えば、ブロックの各面上にパターンを有した正方形のブロック)。骨基準点502は、任意の適切な形態(例えば、ネジなどの締結部材)で骨500に対して取り付けられてもよい。骨基準点のパターンは、関節鏡408の視野における三次元座標空間内での骨基準点502の向きに関する情報を提供するように設計されている。より詳細には、パターンは、骨基準点502の向きが、ひいては、下に位置した骨500の向きが、関節鏡408および付属カメラヘッド410(図4)が取り込む画像から決定され得るように、選択されている。
【0109】
プローブ基準点506は、タッチプローブ504に対して取り付けられた平面部材として示されている。以下でさらに説明するように、タッチプローブ504は、三次元骨モデルに対する骨500の登録の一部として、骨500の面を「ペイント」するために使用されてもよく、また、タッチプローブ504は、トンネル経路が術中に変更された場合に、変更後のトンネル入口位置を示すためにも使用されてもよい。プローブ基準点506は、上面上に配置されたパターンを有した平面部材として示されているけれども、プローブ基準点506に関する他の形状が使用されてもよい(例えば、タッチプローブ504を取り囲む正方形のブロックでありかつブロックの各面上にパターンを有した正方形のブロック)。プローブ基準点506のパターンは、関節鏡408の視野における三次元座標空間内でのプローブ基準点506の向きに関する情報を提供するように設計されている。より詳細には、パターンは、プローブ基準点506の向きが、ひいてはタッチプローブ504のポイントの位置が、関節鏡408および付属カメラヘッド410(図4)が取り込む画像から決定され得るように、選択されている。
【0110】
関節鏡408の視野内に位置した、ドリルワイヤ424(図4)および照準器426(図4)などの他の器具も、また、基準点を有し得るけれども、追加的な器具は、図面を過度に複雑化しないよう、示されていない。その上、関節鏡408による視野に基づく位置の追跡に加えて、またはそれに代えて、一つまたは複数の器具における遠位端の位置が、他の方法およびシステムによって追跡されてもよい。例えば、手術部位から剛直に延びたデバイス(例えば、照準器426(図4))の場合、位置は、照準器に対して結合された光学アレイによって追跡され得るとともに、立体カメラなどのカメラ412(図4)によって見られることができる。その後、三次元座標空間内でのカメラ412の位置が、例示的な関節鏡の視野における三次元座標空間へと変換され、これにより、手術部位内での遠位端の位置が決定される。
【0111】
関節鏡408および付属カメラヘッド410が取り込む画像は、様々な形態で光学的歪みを受ける。例えば、関節鏡408の遠位端と手術部位内の骨500との間における視野は、関節を膨張させるために使用された体液および生理食塩水などの液体によって充填されている。多くの関節鏡は、遠位端のところに、視野を広げる一つまたは複数のレンズを有しており、視野を広げた時には、取込画像内に「魚眼」効果が生じる。さらに、関節鏡内の光学部材(例えば、ロッドレンズ)は、製造プロセスおよび/または組立プロセスに固有の光学収差を有する可能性がある。なおもさらに、カメラヘッド410は、受領した画像を取込アレイ上へと集束させるための様々な光学部材を有し得るものであり、様々な光学部材は、製造プロセスおよび/または組立プロセスに固有の収差を有する可能性がある。
【0112】
-光学システムの較正
【0113】
例示的なシステムでは、各手術手順で使用する前に、内視鏡光学システムは、様々な光学的歪みを考慮して較正される。特に、様々な実施形態は、内視鏡光学システムを較正するためのシステムを含む。再び図4を参照すると、例示的なシステムは、手術コントローラ418と、関節鏡408と、カメラヘッド410と、較正アセンブリ428と、を含む。特に、較正は、関節鏡408を、較正アセンブリ428内に配置することを含んでもよい。較正アセンブリ428は、関節鏡408を、較正アセンブリ428の内面上の較正ターゲットに対して、固定された関係性で保持する。関節鏡408の遠位端が、較正アセンブリ428内に配置された後に、例示的な方法は、較正ターゲットに関する複数の画像を取り込むことを含み、各画像は、カメラヘッド410と関節鏡408との間における固有の回転関係で取り込まれ、固有の回転関係は、関節鏡408の長手方向中心軸線に対するものとされる。複数の画像を使用して、例示的な手術コントローラ418は、カメラヘッド410内の較正ターゲットと取込アレイとの間の光学的歪みを特徴付ける特徴付け機能を作成する。特徴付け機能は、関節鏡408および付属カメラヘッド410によって手術部位内で見ることができる基準点マーカー(例えば、骨基準点502、プローブ基準点506)の向きを決定するための較正を含んでもよい。次に、本明細書では、例示的な較正アセンブリ428のより詳細な説明に移る。
【0114】
図6は、例示的な較正アセンブリの分解斜視図を示している。特に、図6は、関節鏡408(カメラヘッドなし)と、例示的な較正アセンブリ600と、を示している。較正アセンブリ600は、上側ハウジング602と、下側ハウジング604と、を含む。較正アセンブリ600の底部から上向きに、下側ハウジング604は、較正面606を規定している。よって、下側ハウジング604が上側ハウジング602に対して結合された時には、較正面606は、較正アセンブリが規定する内容積の内面上に配置される。較正面606上には、較正ターゲット608が配置されている。図6の例では、較正ターゲット608は、チェッカーボードパターンとして示されているけれども、独特の特徴を有した任意の適切なパターンが、較正ターゲット608として使用されてもよい。
【0115】
組み立てられた時には、下側ハウジング604は、締結部材610などによって、上側ハウジング602に対して結合される。関節鏡408の較正に使用するに際して、較正アセンブリ600の内容積は、生理食塩水などの水によって充填される。水密シールを形成するために、例示的なOリング612が、上側ハウジング602と下側ハウジング604との間に配置される。しかしながら、他の場合には、Oリングが省略されてもよく、上側ハウジング602と下側ハウジング604との間の接続は、他の手法(例えば、摩擦嵌合、摩擦溶接)によってシールされてもよい。さらに他の場合には、上側ハウジング602および下側ハウジング604は、一体部品であってもよく、このため、締結部材またはOリングが使用されることはない。
【0116】
例示的な上側ハウジング602は、筐体すなわち容器614と、シリンダすなわちチューブ616と、を規定している。容器614は、下側ハウジング604と一緒に、較正面606と較正ターゲット608とが内部に存在している内容積を規定している。チューブ616は、容器614に対して結合された近位端618と、遠位端620と、を有している。図示のように、チューブ616は、容器614から突出している。チューブ616は、遠位端620から近位端618へと延びた貫通穴を規定している。貫通穴は、容器614の内容積に対して流体結合しており、よって、容器614内への開口部を規定している。貫通穴は、長手方向中心軸線624を、さらに規定している。チューブの遠位端620は、フランジ622を規定している。フランジ622は、いくつかの機能を実行する特徴を規定している。まず、フランジ622は、関節鏡408が長手方向中心軸線624に沿ってチューブ616内へと嵌め込まれた時に、関節鏡408の遠位端を、較正アセンブリ600の内面上に規定された較正ターゲット608から、所定距離のところに保持するという特徴を規定している。さらに、例示的なフランジ622は、関節鏡408を、較正アセンブリ600および較正ターゲット608に対して、固定された回転配向性で保持するという特徴を規定している。関節鏡408を、較正ターゲット608から所定距離のところに保持するという機能を実行するための、および、関節鏡408を、較正アセンブリ600に対して、固定された回転配向性で保持するという機能を実行するための、様々な例示的な特徴について、以下でより詳細に説明する。
【0117】
なおも図6を参照すると、関節鏡408が、較正のために、例示的なチューブ616内へと嵌め込まれた時には、関節鏡408の遠位端と容器614の内容積内の較正ターゲット608との間における容積は、使用事例をより良好に表現するために、生理食塩水などの水によって充填される。その目的のために、例示的な容器614は、容器614の壁を貫通して形成されているとともに内容積に対して流体結合された開口部すなわちポート626を、さらに規定している。較正の目的のために、水が、ポート626を通して注入されてもよい。場合によっては、ポート626は、コネクタまたはニップル628に対して、関連付けられる。ニップル628は、ポート626に対して結合(例えば、圧入、螺着接続)されるものであり、ニップル628は、内容積に対して水を供給するための接続部(例えば、ルアー接続部)を提供し得るだけでなく、内容積から水が漏れてしまうことを低減または防止するための逆止弁としての機能を果たしてもよい。関節鏡408およびカメラヘッド410(図4)の較正という目的のために、関節鏡408の遠位端と較正ターゲット608との間における容積内の空気を置換するのに充分に水が内容積に対して供給されることに、留意されたい。さらに水を追加することで、水の上面が上昇して、チューブ616内へと入り得るけれども、較正アセンブリ600の全体を、水によって「充填する」必要はない。
【0118】
図7は、例示的な較正アセンブリ600の平面図を示している。特に、図7で見ることができるものは、容器614と、チューブ616と、チューブ616の遠位端620上のフランジ622と、である。図7においてより明瞭に示されているものは、フランジ622によって規定されているような、関節鏡408の保持を補助するための例示的な特徴である。特に、フランジ622は、例示的な円形断面形状を有したザグリ穴700を規定している。よって、ザグリ穴700は、チューブ616の貫通穴702の内径よりも大きな内径を規定している。図示の例では、貫通穴702の長手方向中心軸線624は、ザグリ穴700の中心軸線に対して同軸的である。しかしながら、他の場合には、関節鏡における各特徴の配置に応じて、また、ザグリ穴の断面形状に応じて、中心軸線どうしの位置合わせは、相違してもよい。ザグリ穴700の内径寸法と貫通穴702の内径寸法との違いにより、肩部領域704が形成されている。関節鏡408(図6)が、チューブ616内へと嵌め込まれた時には、関節鏡408の特徴が肩部領域704に対して当接することにより、関節鏡408の遠位端が、較正ターゲット608(図6)から所定距離のところに保持される。このため、肩部領域704は、軸線方向保持面(軸線方向における位置を保持する面)であると考えられ得る。
【0119】
例示的なザグリ穴700は、ザグリ穴700の内面上に、リッジ706をさらに規定している。リッジ706は、頂面と二つの側面とを規定しているとともに、リッジ706は、ザグリ穴700内へと内向きに突出しており、さらに、リッジ706は、長手方向中心軸線624に対して平行に延びている。例示的なリッジ706は、特に反対側に位置した二つの側面は、一組の回転保持面(回転配向を保持する面)を規定している。特に、リッジ706は、関節鏡の対応した切欠の内部に収まるように設計されて構築されている。関節鏡408(図6)が、チューブ616内へと嵌め込まれた時には、例示的なシステムでは、関節鏡408の切欠が、リッジ706上をスライドし、切欠の側壁が、回転保持面に対して当接する。これにより、較正アセンブリ600は、特にリッジによって規定された回転保持面は、関節鏡を、較正ターゲット608(図6)に対して、固定された回転配向性で保持する。
【0120】
例示的な回転保持面を規定しているリッジ706は、関節鏡408(図6)の対応した切欠に対して係合するように設計されて構築されている。しかしながら、回転保持面は、関節鏡408の対応した特徴に基づき、任意の適切な形態をとってもよい。例えば、関節鏡408が、切欠ではなくリッジを規定している場合には、ザグリ穴700に対応した特徴は、フランジ622内への切欠であってもよく、その場合、切欠の側壁が回転保持面を形成することとなる。関節鏡の遠位端を、較正ターゲット608(図6)から所定距離のところに保持することと、関節鏡を、較正ターゲット608に対して、固定された回転配向性で保持することと、の両方の機能を含めた、他の回転保持機能および他の回転保持面については、以下で提示する。
【0121】
図8は、例示的な較正アセンブリと、較正アセンブリ内へと嵌め込まれた関節鏡と、に関する断面図を示している。特に、図8は、図面を過度に複雑化しないよう、関節鏡408の断面を簡略化して示しており、関節鏡408の内部部品は、省略されている。その上、図8は、例示的な較正アセンブリ600の断面を示しており、例示的な較正アセンブリ600は、上側ハウジング602と、下側ハウジング604と、Oリング612と、単一の締結部材610と、を含む(断面を作成するための切断面に基づく)。図8においてより明瞭に示されているものは、容器614と下側ハウジング604の内面(例えば、較正面606)とによって規定された内容積800である。較正ターゲット608(図6)は、図8の図では、見ることができない。
【0122】
図示した例示的な較正アセンブリ600では、較正面606は、平面である。非平面も、また、使用されることができ、使用される場合には、非平面の形状が、較正手順時に考慮される。例示的なシステムでは、関節鏡408の長手方向中心軸線624は、較正面606に対して交差しており、よって、較正ターゲット608(図6)に対して交差している。場合によっては、長手方向中心軸線624は、較正面に垂直なベクトルに対して鋭角を形成するものの、ここでは、較正面に垂直なベクトルは、図面をさらに複雑化しないよう、図示されていない。場合によっては、長手方向中心軸線624は、較正ターゲット608の中心のところで、較正ターゲット608に対して交差する。他の場合には、図示のように、長手方向中心軸線624の交点は、較正ターゲット608の内部に位置するものの、較正ターゲットの中心には位置していない。いずれにせよ、関節鏡408とカメラヘッド410(図4)とは、較正ターゲット608の画像を取り込むことができる。
【0123】
上述したように、各関節鏡は、特定の視野方向を有するように設計されて構築されており、視野方向は、長手方向中心軸線624に対する角度として定量化され、角度は、関節鏡408の遠位端を超えて測定される。図8では、視野方向802は、較正面606に向けられている、よって較正ターゲット608(図6)に向けられている。図8の具体的な例では、視野方向802は、較正面606に対して、よって較正ターゲット608に対して、垂直である。視野方向802と較正面606との関係は、視野方向802の形成を補助するような、関節鏡408の遠位端上における切断角度によって、少なくとも部分的に設定される。関節鏡408の遠位端上における切断角度は、関節鏡408の残部に対して、固定された回転関係を有しているため、視野方向802の向きは、フランジ622が規定する回転保持面の位置によって制御される。図8の断面図では、回転保持面を、見ることができないけれども、リッジ706は、例示的な関節鏡408の対応した切欠804の一部と一緒に、見ることができる。
【0124】
なおも図8を参照すると、断面図内に見ることができるものは、肩部領域704である。関節鏡408が、図示のように較正アセンブリ600内へと嵌め込まれた時には、関節鏡408の対応した特徴が、肩部領域704に対して接触するまたは当接する。肩部領域704に対して、関節鏡408の対応した特徴が当接することにより、較正アセンブリ600内へと関節鏡408が嵌め込まれ得る距離が、制限される。よって、関節鏡408の特徴と肩部領域704との組合せにより、関節鏡408の遠位端は、較正面606から所定距離のところに、よって較正ターゲット608(図6)から所定距離のところに、保持される。ここまで説明した例では、関節鏡408の光ポスト806が、較正アセンブリ600に対して接触していないことに、留意されたい。
【0125】
図9Aは、別の例示的な較正アセンブリに関する斜視図を示している。特に、図9Aの較正アセンブリ600は、下側ハウジング900と、上側ハウジング902と、を含む。図9Aでは見ることができないけれども、下側ハウジング900は、較正ターゲットを有した較正面を規定している。上側ハウジング902は、容器904とチューブ906とを規定している。上記と同様に、容器904は、下側ハウジング900と一緒に、内容積を規定している。さらに上記と同様に、チューブ906は、容器904内の内容積に対して流体結合された貫通穴を規定している。図9Aの例示的な較正アセンブリ600は、チューブ906の遠位端上に、フランジ908をさらに規定している。
【0126】
容器904に対しての、および下側ハウジング900に対しての、チューブ906の配置は、図6の較正アセンブリ600とは、相違している。特に、図9Aの例では、チューブ906の貫通穴の長手方向中心軸線は、チューブ906の長手方向中心軸線が較正面に対してよって較正ターゲットに対して垂直であるようにして、較正ターゲット(見ることができない)に対して交差するように設計されて構築されている。なおもより詳細には、図9Aの例示的な配置では、チューブ906の貫通穴の長手方向中心軸線は、較正ターゲットの中心に対して交差しているけれども、中心以外での交差も想定される。チューブ906および容器904の配置により、図9Aの例示的な較正アセンブリ600は、ゼロ度という視野角を有した関節鏡を較正するために設計されて構築されてもよい。
【0127】
図9Aは、関節鏡の遠位端を、較正ターゲットから所定距離のところに保持するための、さらに、関節鏡を、較正ターゲットに対しての、固定された回転配向性で保持するための、別の機構をさらに示している。特に、例示的なフランジ908は、軸線方向における保持(例えば、関節鏡の長手方向中心軸線に沿った、および/またはチューブ906の貫通穴に沿った、軸線方向における保持)と、回転保持面と、の両方を提供する特徴を規定している。なおもより詳細には、例示的なフランジ908は、切欠910を規定している。切欠910は、閉塞した底壁と開放した頂壁と二つの側壁とを有したチャネルを規定している。切欠910によって形成されたチャネルは、フランジ908を横断しており、図示の例では、切欠の方向に形成されたチャネル線は、チューブ906の貫通穴の長手方向中心軸線に対して交差している。場合によっては(具体的には、図示していない)、チャネル線は、チューブ906の貫通穴の長手方向中心軸線に対して垂直である。
【0128】
使用時には、関節鏡408(図4)は、チューブ906内へと嵌め込まれ、光ポスト420(図4)は、切欠910内に配置される。切欠910の側壁は、関節鏡を、較正アセンブリ600に対して、固定された回転配向性で保持する。その上、側壁は(切欠が矩形の場合には、側壁に加えて、底壁も)、関節鏡の遠位端を、較正ターゲットから所定距離のところに保持する。よって、切欠910は、軸線方向保持面と回転保持面との両方と考えられ得る。
【0129】
図9Aにおいてさらに見ることができるものは、サイトゲージ912である。上側ハウジング902を形成している材料が、サイトゲージ以外は不透明である限りにおいて、例示的なサイトゲージ912は、透き通った材料からまたは透明な材料から構築されることで、較正アセンブリ600内における空気と水との界面の高さをユーザが見ることを可能とし、これにより、較正アセンブリ600内の水の深さをユーザが決定することを可能とする。外科医は、設定手順時にサイトゲージを使用することにより、水位が関節鏡の遠位端よりも上にあることを確保するなどのように、充分な水が容器904に対して供給されていることを確保することができる。
【0130】
よって、図9Aは、容器904および下側ハウジング900に対しての、チューブ906の代替可能な構成、関節鏡を、固定された回転配向性で保持するための回転保持特徴に関する代替可能な構成、関節鏡の遠位端を、較正ターゲットから所定距離のところに保持するための軸線方向保持特徴に関する代替可能な構成、ならびに、例示的なサイトゲージを含めた、いくつかの代替可能な構成を示している。しかしながら、これらの特徴が、図9Aの較正アセンブリ600に限定されないことに、留意されたい。ここまでの較正アセンブリの理解により、当業者であれば、様々な特徴どうしが、所望に応じて混合されたり適応されたりされ得ることを、認識されよう。例えば、軸線方向保持機能と回転保持機能との二重の役割を形成している切欠910は、図6図7、および図8におけるチューブおよび容器の構成と一緒に、使用することができる。反対に、図6図7、および図8における較正アセンブリのフランジ622は、図9Aにおける較正アセンブリのフランジとして、使用されてもよい。同様に、サイトゲージは、図6図7、および図8における較正アセンブリ600に実装することができ、充填機構は、図9Aにおける較正アセンブリに実装することができる。
【0131】
図9Bは、別の例示的な較正アセンブリに関する斜視図を示している。特に、図9Bの較正アセンブリ600は、外側ハウジング920と、図9Bでは見ることができない下側ハウジングと、を含む。以下でさらに説明するように、下側ハウジングは、較正ターゲットを有した較正面を、規定しているまたは支持している。外側ハウジング920は、容器922とチューブ924とを規定している。上記と同様に、容器922は、下側ハウジングと一緒に、内容積を規定している。さらに上記と同様に、チューブ924は、容器922内の内容積に対して流体結合された貫通穴を規定している。図9Bの例示的な較正アセンブリ600は、チューブ924の遠位端のところに配置された、光ポスト用のスナップまたはクリップ926を、さらに規定している。
【0132】
図9Bの例では、チューブ924の貫通穴の長手方向中心軸線は、チューブ924の長手方向中心軸線が較正面に対してよって較正ターゲットに対して鋭角を形成するようにして、較正ターゲット(見ることができない)に対して交差するように設計されて構築されている。チューブ924および容器922の配置により、図9Bの例示的な較正アセンブリ600は、非ゼロ度という視野角を有した関節鏡を較正するために設計されて構築されてもよい。その上、図9Bの較正アセンブリ600は、例えば使用のためにまたは後の再使用のためにテーブル上に置かれた時に、より安定であり得る。
【0133】
図9Bは、関節鏡の遠位端を、較正ターゲットから所定距離のところに保持するための、さらに、関節鏡を、較正ターゲットに対して、固定された回転配向性で保持するための、別の機構を、さらに示している。特に、例示的なクリップ926は、軸線方向における保持(例えば、関節鏡の長手方向中心軸線に沿った、および/またはチューブ924の貫通穴に沿った、軸線方向における保持)と、回転保持面と、の両方を提供する特徴を規定している。なおもより詳細には、例示的なクリップ926は、第一壁すなわち第一アーム930と、第二壁すなわち第二アーム932と、を規定しているけれども、アーム930、932は、一体的に形成された構成要素であってもよい。アーム930、932は、光ポスト420(図4)に対して相補的であるような内面934を規定している。特に、内面934は、チューブ924の長手方向中心軸線624に対して交差する中心軸線936を有した半円形の面を規定している。例示的な場合には、中心軸線936は、長手方向中心軸線624に対して垂直である。例示的なアーム930は、内面934によって規定された容積内へと光ポスト420を案内する外面(図9Bでは、見ることができない)を有したスライド部材938を、規定している。その上、アーム932は、内面934によって規定された容積内へと光ポスト420を案内する外面942を有したスライド部材/解放部材940を、規定している。関節鏡408(図4)を、図9Bの較正アセンブリ600内へと設置する時には、関節鏡408の長尺シャフトを、チューブ924内へと嵌め込む際に、光ポスト420が、スライド部材938の外面に対して、およびスライド部材/解放部材940の外面942に対して、当接する。さらに圧力を印加することにより、アーム930、932を、わずかに撓ませて開口させることができ、これにより、光ポスト420を、クリップ926内へと、スナップ止めまたはクリップ止めすることができる。よって、クリップ926は、関節鏡408を、較正アセンブリ600に対して、固定された回転配向性で保持し、さらに、クリップ926は、関節鏡408の遠位端を、較正ターゲットから所定距離のところに保持する。よって、クリップ926は、軸線方向保持面および回転保持面と考えられ得る。
【0134】
図9Cは、較正アセンブリと関節鏡とに関する断面図を示している。特に、図9Cは、関節鏡408を、簡略化した形態で示している。その上、図9Cは、例示的な較正アセンブリ600の断面を示しており、例示的な較正アセンブリ600は、外側ハウジング920と、較正面946と較正ターゲット948とを規定している下側ハウジング944と、任意選択的な反射面950と、を含む。例示的な外側ハウジング920は、容器922およびチューブ924をなす部分だけでなく、使用時と使用どうしの間との両方において、図9Cの較正アセンブリ600を水平面上に静置させ得るスタンド952をも、規定している。この例では、下側ハウジング944は、外側ハウジング920に対して結合されているとともに、界面点954のところにおいて、下側ハウジング944を外側ハウジング920に対して摩擦溶接することなどのような任意の適切な形態で、密封されている。図9Cにおいてより明瞭に示されているものは、外側ハウジング920の容器922と内面(例えば、較正面946)とによって規定された内容積956である。較正ターゲットのパターンは、図9Cの図では、見ることができない。一例では、較正ターゲット948は、較正パターンを作成するためのレーザーマーキングを可能とするように特に選択されたポリマーとされ、その後、較正ターゲット948は、較正面946上に配置されるとともに、他の構造部品によって所定位置に保持される。他の場合には、較正ターゲットは、予め印刷された可撓性材料とされてもよく、下側ハウジングが残りの構成要素に対して組み立てられる前に、較正面946に対して結合される(例えば、接着される)。
【0135】
図9Cの例示的な較正アセンブリ600では、較正面946は、平面である。非平面も、また、使用されることができ、使用される場合には、非平面の形状が、較正手順時に考慮される。例示的なシステムでは、関節鏡408の長手方向中心軸線624は、較正面946に対して交差しており、よって、較正ターゲットに対して交差している。場合によっては、長手方向中心軸線624は、較正面に垂直なベクトルに対して鋭角を形成するものの、ここでは、較正面に垂直なベクトルは、図面をさらに複雑化しないよう、図示されていない。場合によっては、長手方向中心軸線624は、較正ターゲット948の中心のところで、較正ターゲット948に対して交差する。他の場合には、図示のように、長手方向中心軸線624の交点は、較正ターゲット948の内部に位置するものの、較正ターゲットの中心には位置していない。いずれにせよ、関節鏡408とカメラヘッド410(図4)とは、較正ターゲット948の画像を取り込むことができる。
【0136】
上述したように、各関節鏡は、特定の視野方向を有するように設計されて構築されており、視野方向は、長手方向中心軸線624に対する角度として定量化され、角度は、関節鏡408の遠位端を超えて測定される。図9Cでは、視野方向(具体的には、図示されていない)は、較正面948に向けられている、よって較正ターゲット948に向けられている。図9Cの具体的な例では、視野方向は、較正面946に対して、よって較正ターゲット948に対して、垂直であってもよい。視野方向と較正面946との関係は、視野方向の形成を補助するような、関節鏡408の遠位端上における切断角度によって、少なくとも部分的に設定される。関節鏡408の遠位端上における切断角度は、関節鏡408の残部(例えば、光ポスト420)に対して、固定された回転関係を有しているため、視野方向の向きは、クリップ926が規定する回転保持面の位置によって制御される。図9Cの断面図では、回転保持面は、見ることができない。
【0137】
なおも図9Cを参照すると、関節鏡408が、図示のように、図9Cの較正アセンブリ600内へと嵌め込まれた時には、光ポスト420が、クリップ926の内面に対して、接触するまたは当接する。光ポスト420がクリップ926に対して当接することにより、較正アセンブリ600内へと関節鏡408が嵌め込まれる距離が、制限される。その上、光ポスト420に対してクリップ926が実装する回転保持機能は、視野方向を、較正ターゲット928に対して、配向させて保持する。例示的な較正アセンブリ600は、チューブ924から内容積956への移行部のところに、ネックまたはフランジ958をさらに規定している。フランジ958は、関節鏡408の外面に対して滑り嵌めを形成するような直径を規定している。すなわち、チューブ924の内面の大部分は、関節鏡408の外径(例えば、1mm~5mm)よりも大きな内径を有しているけれども、フランジ958の位置における内径は、関節鏡408がフランジを通して嵌め込まれ得る程度に、かつ、関節鏡408の遠位端を較正ターゲット948に対して固定位置に保持する程度に、小さなものとされている。一例では、フランジ958の内径は、関節鏡の、フランジを通して嵌め込まれる部分の外径と比較して、0.1mm~0.5mmの分だけ大きなものとされてもよい。関節鏡が変位させた内容積956内の流体に関する通気経路を有する目的で、図9Cの例示的な較正アセンブリは、また、通気開口部960を含む。
【0138】
よって、図9A図9B、および図9Cは、容器および下側ハウジングに対しての、チューブに関する代替可能な構成、ならびに、関節鏡を、固定された回転配向性で保持するための、軸線方向位置に関する保持特徴と回転配向に関する保持特徴とのための代替可能な構成を含めて、いくつかの代替可能な構成を示している。しかしながら、これらの特徴が、図9A図9B、および図9Cにおける較正アセンブリ600に限定されないことに、留意されたい。ここまでの較正アセンブリの理解により、当業者であれば、様々な特徴どうしが、所望に応じて混合されたり適応されたりされ得ることを、認識されよう。例えば、クリップ926は、図6図7図8、および図9Aにおける較正アセンブリと一緒に、使用されてもよい。反対に、図6図7、および図8における較正アセンブリのフランジ622は、図9Bおよび図9Cにおける較正アセンブリのフランジとして、使用されてもよい。同様に、図9Aにおけるサイトゲージは、図6図7、および図8における較正アセンブリ600に、あるいは、図9Bおよび図9Cにおける較正アセンブリに、実装することができ、図6図7、および図8における充填機構は、図9A図9B、および図9Cにおける較正アセンブリに実装することができる。
【0139】
図6図7図8図9A図9B、および図9Cにおける較正ターゲットは、すべて、平面状であるとして示されている。しかしながら、他の場合には、較正ターゲットの形状が事前に既知である限りにおいて、較正ターゲットは、平面状である必要はない。図9Dは、例示的な較正アセンブリ600の一部に関する、斜視による切断図を示している。特に、図9Dで見ることができるものは、下側ハウジング944および例示的な較正ターゲット948がなす部分を示すために切り取られた容器922である。しかしながら、この場合、較正ターゲット948は、第一平面を規定する第一部分962と、第二平面を規定する第二部分964と、を規定しており、第一平面と第二平面とは、較正ターゲットがなす面上において鋭角を形成している(例えば、V字形状)。図9Dには、実際の較正パターンは、示されていないけれども、実際の較正パターンは、任意の適切な形状を、または任意の適切な一連の形状を、とってもよい。図9Dの図は、外側ハウジング920が例示的な較正ターゲット948を所定位置に保持する肩部領域966を規定し得ることを、より明瞭に示している。さらに、図9Dは、容器922の内面から反射面(例えば、図9Cの反射面950)が省略された例を、示している。図9Dの較正ターゲット948は、較正ターゲットがなす面上においてそれらの間に鋭角を規定する二つの平面を示しているけれども、他の場合には、較正ターゲットは、第一平面を規定する第一部分と、第二平面を規定する第二部分と、を有してもよく、第一平面と第二平面とは、較正ターゲットがなす面上において鈍角を形成する(例えば、逆V字形状)。なおも更なる場合には、較正ターゲットは、任意の適切な配置とされた三つ以上の平面を含んでもよい。
【0140】
較正アセンブリの使用に関する説明へと進む前に、いくつかのポイントについて順に説明する。図6図7図8図9A図9B図9C、および図9Dは、いくつかの例を示しているけれども、水を保持するとともに較正ターゲットを含有し得る任意の容器(例えば、箱、パウチ、またはバッグ)が、較正アセンブリとして使用されてもよい。次に、本明細書では、較正手順の一部としての、較正アセンブリの例示的な使用の説明に移る。
【0141】
図4に戻ると、較正手順の一環としての動作時には、カメラヘッド410が、関節鏡408に対して取り付けられる。カメラヘッド410は、手術コントローラ418に対して通信可能に結合されており、関節鏡408の光ポストは、手術コントローラ418の光出力ポートに対して光学的に結合されている。関節鏡408は、較正アセンブリ428内へと嵌め込まれる。水が、較正アセンブリ428の内容積内へと配置され、較正ターゲットと関節鏡408の遠位端との間における空気が、置換される。次いで、外科医は、手術コントローラ418と対話することなどにより(例えば、手術コントローラ418に対して通信可能に結合されたタブレットタイプの携帯型電子デバイスを介して)、較正手順を起動してもよい。較正手順が開始された後には、例示的な較正は、較正ターゲットの複数の画像を取り込むことを含んでもよく、この場合、各画像は、カメラヘッド410と関節鏡408との間における独特の回転関係で取り込まれ、独特の回転関係は、関節鏡408の長手方向中心軸線に対するものとされる。より詳細には、複数の画像を取り込むことは、関節鏡408とカメラヘッド410との間における第一回転配向性で、カメラヘッド410の取込アレイを介して手術コントローラ418によって、較正ターゲットの第一画像を取り込むことと、その後、較正アセンブリに対する固定された回転配向性に関節鏡408が維持されたままで、カメラヘッド410を関節鏡408に対して相対的に回転駆動することなどにより、関節鏡408とカメラヘッド410との間における第二回転配向性で、較正ターゲットの第二画像を取り込むことと、その後、カメラヘッド410を関節鏡408に対して再び回転駆動することなどにより、関節鏡408とカメラヘッド410との間における第三回転配向性で、較正ターゲットの第三画像を取り込むことと、を含んでもよい。一例では、三つの画像が使用される時には、カメラヘッド410は、各画像取込どうしの間において、120度にわたって回転駆動されてもよい。より多くの画像を取り込むべき場合には、各画像取込どうしの間におけるカメラヘッド410の回転駆動量は、相応に減少されることとなる。
【0142】
取り込まれた画像に基づいて、手術コントローラ418は、較正ターゲットとカメラヘッド410の取込アレイとの間における光学的歪みを特徴付ける特徴付け機能を計算してもよい。歪みは、カメラヘッド410の光学系(例えば、集束アセンブリ)内に導入される歪みを含むだけでなく、関節鏡408を通して光学経路に関連するあらゆる光学的歪みまでも含み、さらに、水によって導入されるあらゆる光学的歪み(例えば、この場合にも、手術部位内の状況を模倣する)までも含む。なおもさらに、手術コントローラ418は、取り込まれた画像を使用することにより、この場合には関節鏡を通しての単一の光学経路を有した関節鏡408を介して基準点マーカーの向きを決定するための較正として、特徴付け機能を作成してもよい。次に、本明細書では、骨モデルの登録と、その登録に関する人間参加型の検証と、の説明に移る。
【0143】
-モデルの登録、および、人間参加型の登録検証
【0144】
術中手順における次の例示的なステップは、骨モデル(単数または複数)の登録である。つまり、計画段階時には、大腿骨の下側部分、脛骨の上側部分、および関節軟骨、などの関連解剖学的構造を含めて、膝の画像診断(例えば、MRI)が行われる。画像は、解剖学的構造の体積モデルまたは三次元モデルが作成されるよう、セグメント化することができる。より具体的にはACL修復の例に関して、具体的には大腿骨を貫通したトンネル経路の選択に関して、計画時点で、大腿骨下側部分に関する三次元骨モデルが作成される。
【0145】
術中修復時には、三次元骨モデルが、手術コントローラ418に対して提供される。再びACL修復の例を使用して、具体的には大腿骨を貫通したトンネル経路のためのコンピュータ支援操縦を使用して、大腿骨下側部分の三次元骨モデルが、手術コントローラ418に対して提供される。よって、手術コントローラ418は、三次元骨モデルを受領するとともに、患者の皮膚を通したポートを介して関節鏡408が膝内へと挿入されたものと仮定し、手術コントローラ418は、さらに、大腿骨のビデオ画像を受領する。三次元骨モデルを、関節鏡408およびカメラヘッド410を介して受領した画像に対して関連付ける目的で、手術コントローラ418は、三次元骨モデルを、関節鏡408およびカメラヘッド410を介して受領した大腿骨の画像に対して、登録する。
【0146】
例示的な方法によれば、基準点マーカーまたは骨基準点(例えば、図5の骨基準点502)が、大腿骨に対して取り付けられる。骨基準点の配置は、骨基準点が、関節鏡408の視野内に位置しているものの、側方顆を貫通した予想されるトンネル入口/出口から離間した位置に位置しているようなものとする。より詳細には、例示的な場合には、骨基準点は、側方顆を貫通したトンネルの予想位置よりも上でまたは上方で、顆間陥凹内に配置される。
【0147】
図10は、例示的なビデオディスプレイであって、大腿骨の一部と、骨基準点と、を示している。ディスプレイは、例えば、デバイスカート402(図4)に関連したような、または任意の他の適切な位置におけるような、ディスプレイデバイス414(図4)上に示されてもよい。特に、図10で見ることができるものは、大腿骨陥凹すなわち顆間陥凹1000と、側方顆の一部1002と、中央顆の一部1004と、例示的な骨基準点1006と、である。骨基準点1006は、立方体部材を含む基準点とされている。立方体部材における六つの外面のうち、底面は、取付特徴(例えば、ネジ)に対して関連している。底面は、骨基準点1006が所定位置に固定された時には、骨に対して近接または当接するこれにより、これにより、関節鏡408(図4)の視野では見えなくなる。底面とは反対側に位置した外面には、配置前に骨基準点1006を保持するために使用されるような、および、下に位置した骨に対して骨基準点1006を取り付けるために使用されるような、配置機能を含む。立方体部材における残りの四つの外面(残りの面の二つだけを見ることができる)に関して、これら四つの外面のそれぞれは、上面上に機械可読パターンを有しており、場合によっては、各機械可読パターンは、独自のものとされる。配置後には、骨基準点1006は、関節鏡408の位置が骨基準点1006に対して移動されて変更されたとしても、関節鏡408の視野内で、骨の外面上の固定位置を表している。初期的には、三次元骨モデルに対する骨基準点1006の位置は、手術コントローラ418には未知であるため、三次元骨モデルを登録することが必要とされる。
【0148】
ビデオ画像内で見ることができる骨を、三次元骨モデルに対して、関連付けるまたは登録する目的で、骨の外面に関する複数の位置が、手術コントローラ418(図4)に対して提供され、手術コントローラ418(図4)は、それらを受領する。例えば、外科医は、タッチプローブ504(図5)を使用して、複数の位置に対して触れてもよい。上述したように、タッチプローブ504は、関節鏡408(図4)およびカメラヘッド410(図4)が取り込むビデオ画像内で見ることができるプローブ基準点506(図5)を含む。タッチプローブ504の遠位端とプローブ基準点506との間の物理的関係は、手術コントローラ418によって既知であるため、外科医が骨の外面上における複数の位置のそれぞれに対して触れた際には、手術コントローラ418は、骨基準点1006に対しての、骨の外面における追加的な「既知の」位置を取得する。タッチプローブ504が比較的硬くて曲がらない器具であることを考慮すると、他の例では、タッチプローブ504の追跡は、手術部位の外側に位置したかつ手術部位の内側でタッチプローブ504の一部に対して取り付けられた光学的反射性アレイの光学的追跡(例えば、カメラ412(図4)による追跡)によるものであってもよい。
【0149】
場合によっては、特に骨の外面の一部が視界に曝されている時には、骨の外面に関する複数の位置を受領することは、外科医が骨の外面を「ペイント」することを伴ってもよい。「ペイント」とは、色または顔料の適用を伴わない技術用語であるけれども、それに代えて、タッチプローブ504の遠位端が骨に対して触れた時のタッチプローブ504の動きを意味する。
【0150】
図11は、例示的なビデオディスプレイであって、登録手順時における大腿骨の一部と骨基準点を示している。ディスプレイは、例えば、デバイスカート402(図4)に関連したような、または任意の他の適切な位置におけるような、ディスプレイデバイス414(図4)上に示されてもよい。特に、図11のディスプレイのメイン部分で見ることができるものは、顆間陥凹1000と、側方顆の一部1002と、中央顆の一部1004と、例示的な骨基準点1006と、である。例示的なディスプレイにおける右上コーナーに示されているものは、骨の描写であり、この骨の描写は、三次元骨モデルから作成された骨のレンダリング1100であってもよい。レンダリング1100上に示されているものは、推奨領域1102であり、推奨領域1102とは、登録プロセスの一部としてペイントされるべき骨面の一部である。例示的なディスプレイにおける右下コーナーに示されているものは、骨の描写であり、この骨の描写も、また、三次元骨モデルから作成された骨のレンダリング1104であってもよい。レンダリング1104上に示されているものは、登録プロセスの一部として骨の外面上の位置に対して関連付けられた骨モデルの複数の位置1106である。例示的なディスプレイの右下コーナーにさらに示されているものは、進捗インジケータ1108であり、この進捗インジケータ1108は、骨上の位置を提供したり受領したりすることの進行状況を示している。例示的な進捗インジケータ1108は、水平方向バーであって、受領した位置の数に比例した長さを有している。例示的な場合には、進捗インジケータ1108は、左の固定位置から右に向けて長さが成長していくまたは延びていくけれども、進行状況を示す任意の適切なグラフィック表示または数値表示が使用されてもよい(例えば、0%~100%)。
【0151】
メイン表示と右下のレンダリングとの両方を参照すると、外科医が、関節鏡408(図4)およびカメラヘッド410(図4)が取り込んだ画像内で、骨の外面に対して触れたおよび/またはペイントした際には、手術コントローラ418(図4)は、骨上の位置を受領するとともに、各位置を、メイン表示内にドットまたは位置1106として表示し、さらに、右下コーナーに示すレンダリング内に表示する。より具体的には、例示的な手術コントローラ418は、関節鏡408およびカメラヘッド410が取り込んだ画像の表示上に、受領した位置1106の表示を重ね合わせるとともに、図示の例示的な場合には、骨モデルのレンダリング1104上にも、受領した位置1106の表示を重ね合わせる。その上、受領した位置1106の数が増加した際には、手術コントローラ418は、また、進捗インジケータ1108を更新する。
【0152】
なおも図11を参照すると、外科医の勤勉さにもかかわらず、外科医によるタッチプローブ504(図5)の動きに基づいて手術コントローラ418(図4)が受領した位置のすべてが、骨面上における有効な位置となるわけではない。図11の例では、外科医が、タッチプローブ504を、側方顆1002の内面から中央顆1004の内面へと移動させた際には、手術コントローラ418は、タッチプローブ504の遠位端が骨に対して接触していない関節鏡視野の三次元座標空間内の位置を表すと思われる複数の位置1110を受領した。それにもかかわらず、右下コーナーに示すように、これらの位置1110は、骨の外面上の位置に、誤って帰属する可能性がある。このため、三次元骨モデルを、関節鏡視野内の三次元座標空間で見ることができる骨に対して関連付けることは、必ずしも完全な決定手順ではないこととなる。いくつかの受領した位置は、相関において無視される必要があり得るものであり、使用されるべきいくつかの受領した位置は、無視される可能性があり、無視されるべき他の受領した位置は、それにもかかわらず使用される可能性があり、その結果、三次元骨モデルと、骨基準点1006によってアンカー止めされた画像内で見ることができる骨と、の間における相関が不正確となり得る。次に、本明細書では、人間参加型の登録検証の説明に移る。
【0153】
図12は、登録手順時における例示的なビデオディスプレイであって、大腿骨の一部と、骨基準点と、三次元骨モデルの重ね合わせ表示と、を示している。ディスプレイは、例えば、デバイスカート402(図4)に関連したような、または任意の他の適切な位置におけるような、ディスプレイデバイス414(図4)上に示されてもよい。三次元骨モデルと、画像内で見ることができる骨と、の間における潜在的に無効な登録に対処する目的で、例示的な方法およびシステムでは、ビデオ画像内で見ることができる骨と、三次元骨モデルと、の間における初期的登録が、人間参加型のプロセスを使用して検証される。より詳細には、例示的な場合には、画像内で見ることができる骨の外面における複数の位置を受領するとともに三次元骨モデルに対する初期的登録を実行した後に、手術コントローラ418は、三次元骨モデルの表現を、ビデオ画像内で見ることができる骨の部分上へと重ね合わせて表示し、その表示および重ね合わせは、ディスプレイデバイス414上で、または他の適切な位置で、行われる。すなわち、例示的な手術コントローラ418は、関節鏡408およびカメラヘッド410が取り込んだ画像の表示上に、三次元骨モデルの表現を重ね合わせ(例えば、ポリゴンメッシュ、またはメッシュモデル、によって)、この場合、三次元骨モデルの回転位置合わせおよび並進位置合わせは、骨基準点1006によってアンカー止めされた際にビデオ画像内で見ることができる骨に対して相関する。
【0154】
次に、外科医は、三次元骨モデルの重ね合わせ表示を、ビデオ画像で見ることができる下に位置した骨に対して、視覚的に調査することにより、登録プロセスが適正であるかどうかを決定する。より詳細には、外科医は、三次元骨モデルの重ね合わせ表示を、ビデオ画像で見ることができる骨部分に対して、視覚的に比較することにより、三次元骨モデルが、ビデオ画像で見ることができる骨に対して充分に一致するかどうかを決定する。登録プロセス自体と同様に、登録に関する人間参加型の検証は、非決定性の操作である。三次元骨モデルと、ビデオ画像で見ることができる骨と、の間におけるわずかな差異は、許容され得るけれども、それでもなお、三次元骨モデルが、トンネル経路(例えば、ここでは、大腿骨トンネル経路)の配置の誘導を補助するために信頼性高く使用され得るという意味で、あるいは、三次元骨モデルが、計画されたトンネル経路を術中に変更する際に外科医を支援するために信頼性高く使用され得るという意味で、登録プロセスは、適正であると考えられ得る。そのような場合、外科医は、手術コントローラ418に対して、ビデオ画像内で見ることができる骨に対して三次元骨モデルが適正に登録されたことを示す指示を、提供してもよく、よって、手術コントローラ418は、そのような指示を受領してもよい。
【0155】
他方、三次元骨モデルの重ね合わせが、ビデオ画像内で見ることができる骨に対して、位置ズレを示す場合には、外科医は、手術コントローラ418に対して、骨の外面に関する複数の位置を提供することなどにより、また、手術コントローラ418がそれを再び受領することなどにより、登録プロセスを再始動することを選択してもよい。その場合、手術コントローラ418は、新たに登録手順を実行してもよい。他の場合には、外科医は、骨の外面上に、追加的な位置を提供することを選択してもよく、その場合、手術コントローラ418は、受領済みの元々の位置と、重ね合わせ処理後に受領した追加的な位置と、の両方を使用して、登録手順を実行してもよい。このプロセスは、外科医が登録を承認するまで、繰り返される。次に、本明細書では、術中のトンネル経路計画の説明に移る。
【0156】
-トンネル経路計画
【0157】
三次元骨モデルを使用して、トンネルの両端部を規定するような骨内への開口部の位置を含めて、骨を貫通した計画されたトンネル経路を含む手術計画が、作成される。しかしながら、場合によっては、外科医は、計画されたトンネル経路を使用しないことを選択してもよく、よって、計画された入口位置、計画された出口位置、またはその両方を、使用しないことを選択してもよい。そのような選択は、いくつかの理由のいずれかに基づくことができる。例えば、術中では、外科医が、計画されたトンネル経路に関する入口位置に対して、アクセスし得ない場合があり、そのため、入口位置を移動させて、充分なアクセスを確保する必要があり得る。別の例として、術中手順時に、外科医は、計画されたトンネルの入口位置が、大腿骨に対する天然ACLの取付位置に対して、位置ズレしていることを決定する場合がある。なおもさらに、術中手順時に、外科医は、トンネルの入口位置が、大腿骨の後壁に対して近すぎて、時に「後壁破裂」と称されるような骨欠けの可能性が高くなることを決定する場合がある。トンネル経路を変更することを選択した理由にかかわらず、例示的なシステムでは、手術コントローラ418は、外科医が、術中に、修正済みトンネル入口を、修正済みたトンネル出口(必要な場合)を、よって骨を貫通した修正済みトンネル経路を、選択することを可能とする。
【0158】
図13は、少なくともいくつかの実施形態による、例示的なビデオディスプレイであって、トンネル経路に対する術中変更を示している。ディスプレイは、例えば、デバイスカート402(図4)に関連したような、または任意の他の適切な位置におけるような、ディスプレイデバイス414(図4)上に示されてもよい。特に、図13は、関節鏡408(図4)が取り込んだビデオ画像内における骨の一部を、三次元骨モデルのメッシュモデルに対して、および、計画されたトンネル入口1302と計画されたトンネル出口1304とを含む選択された計画されたトンネル経路1300に対して、重ね合わせて示している。しかしながら、様々な理由のために、外科医は、トンネルの入口位置および/またはトンネルの出口位置を、よって計画されたトンネル経路を、変更することを選択してもよい。よって、外科医は、手術コントローラ418(図4)に対して、修正済みトンネル入口位置を、または単に修正済みトンネル入口1306を、提供してもよく、よって、手術コントローラ418は、それを受領してもよい。修正済みトンネル入口1306を提供することは、外科医が、タッチプローブ504(図5)または照準器426(図4)などの追跡ツールを使用して、ビデオ画像内に示された骨上の提案位置へと触れることを、含んでもよい。場合によっては、外科医は、ビデオ画像に示された骨に関して外科医が見たものだけに基づいて、修正済みトンネル入口1306を選択してもよい。より具体的な例として、外科医は、照準器426が到達し得る位置に基づいて、修正済みトンネル入口1306を選択して提供してもよい。なおもさらに他の場合には、手術コントローラ418は、三次元骨モデルから模擬透視画像を生成し得るとともに、模擬透視画像上にベルナール&ヘルテルの四分円またはグリッドを投影してもよい。その後、外科医は、ベルナール&ヘルテル四分円によって提供される追加的な案内を使用して、修正済みトンネル入口1306を選択してもよい。
【0159】
図14は、例示的なビデオディスプレイであって、トンネル経路に対する変更計画を示している。ディスプレイは、例えば、デバイスカート402(図4)に関連したような、または任意の他の適切な位置におけるような、ディスプレイデバイス414(図4)上に示されてもよい。特に、図14は、左半分において、関節鏡408(図4)が取り込んだビデオ画像内における骨の一部を、三次元骨モデルのメッシュモデルに対して、および、以前に選択された計画されたトンネル経路1300の描写に対して、重ね合わせて示している。右側では、図14は、ベルナール&ヘルテル四分円1402がその上に重ね合わされた例示的な仮想透視画像1400を示しており、仮想透視画像は、三次元骨モデルを部分的に透明な形態でレンダリングすることによって作成されたものである。代替的には、仮想透視画像1400は、中央位置から側方に向けて見た三次元骨モデルの断面レンダリングとして作成されてもよく、断面のための切断平面は、顆間陥凹の中央を通過している。
【0160】
図14に図示した例示的なシステムおよび方法では、修正済みトンネル入口1306の選択は、仮想透視画像1400によって、およびベルナール&ヘルテル四分円1402によって、誘導および/または情報提供されてもよい。特に、修正済みトンネル入口1306に関して提案された位置は、ビデオ画像内の骨上への重ね合わせとして、ディスプレイの左半分内に表示され得るとともに、同時に、ベルナール&ヘルテル四分円1402内で、右半分上に表示されてもよい。例えば、外科医は、タッチプローブ504(図5)または照準器426(図4)を使用して、提案された修正済みトンネル入口1306を提供してもよい。タッチプローブ504が使用されていると仮定して説明を続けると、外科医が関節鏡408(図4)の視野内でタッチプローブ504を動かした際には、修正済みトンネル入口1306の位置が、ビデオ画像内の骨との関係で見ることができるだけでなく、修正済みトンネル入口1306の位置が、ベルナール&ヘルテル四分円1402上に表示される。よって、外科医は、ビデオ画像内で見ることができる組織および構造に基づいて、ならびにベルナール&ヘルテル四分円1402に対する位置によって提供される追加的な情報に基づいて、修正済みトンネル入口1306を選択してもよい。最終的な修正済み入口位置1306は、タッチプローブの遠位端が所望の位置に当接した状態で所定時間にわたってタッチプローブ504を滞留させることなどの任意の適切な形態で、手術コントローラ418に対して伝達されてもよい、あるいは、最終的な選択は、他の形態(例えば、キーボード、携帯タブレットデバイス、または音声コマンド、に対する相互作用)で伝達されてもよい。
【0161】
図13へと戻る。多くの場合、修正済みトンネル経路の作成は、修正済みトンネル入口1306を選択することを含み、トンネル出口位置などのトンネルに関する他の特徴は、変更されないままとされる。しかしながら、場合によっては、図13に示すように、外科医は、トンネル入口位置とトンネル出口位置との両方を変更してもよい。よって、なおもさらに更なる例では、外科医は、手術コントローラ418(図4)に対して、修正済みトンネル出口位置を、または単に修正済みトンネル出口1308を、提供してもよく、よって、手術コントローラ418は、それを受領してもよい。修正済みトンネル出口1308を提供することは、外科医が、タッチプローブ504(図5)などの追跡ツールを使用して、ビデオ画像内に示された骨上の提案位置に対して触れることを含んでもよい。様々な例では、修正済みトンネル入口1306を使用して、および任意選択的に修正済みトンネル出口1308を使用して、手術コントローラは、患者の骨を貫通した修正済みトンネル経路1310を計算するとともに、図13に示すように、ディスプレイデバイス上に修正済みトンネル経路1310を表示する。
【0162】
さらに、例示的な場合には、手術コントローラ418(図4)は、外科医に対して、計画されたトンネル経路1300と修正済みトンネル経路1310との間の関係に関する情報を提供する。特に、図13の例示的なビデオディスプレイは、右下コーナーに、新たに作成された修正済みトンネル経路130の実行可能性を外科医が評価することを補助する様々なパラメータを、さらに含む。例えば、手術コントローラ418は、計画されたトンネル経路1300と修正済みトンネル経路1310とのオーバーラップを示す値を計算して提供してもよく、手術コントローラ418は、オーバーラップを示す値に関する視覚的表現を表示してもよい。図13の例では、オーバーラップを示す値に関する視覚的表現は、パーセントで示された数値(例えば、ここでは、3%)である。パーセントとしてのオーバーラップは、100%というオーバーラップの場合には修正済みトンネル経路と計画されたトンネル経路とが同じとなるため、概念的には、0%から、100%よりもわずかに低い程度までにわたって、広がってもよい。場合によっては、手術コントローラ418は、予想されるトンネル直径を考慮して、オーバーラップを示す値を、パーセントとして計算する。計画されたトンネル経路1300のいずれかの部分が、修正済みトンネル経路1310のいずれかの部分に対して交差する場合には、その交差は、オーバーラップと見なされる。他の場合には、オーバーラップは、計画されたパイロットトンネルと修正済みパイロットトンネルとに関して、計算されてもよい。図13における例示的な計画されたトンネル経路1300と修正済みトンネル経路1310とは、図13の図において視認可能かつ区別可能であるように充分に分離されているように選択されているけれども、実際には、計画されたトンネル経路1300と修正済みトンネル経路1310との間における位置変化は、わずかのものであり得るため、トンネル経路の予想直径を考慮して、有意なオーバーラップを有する場合がある。
【0163】
計画されたトンネル経路1300および修正済みトンネル経路1310に関して外科医に対して提供される情報についてなおも考慮すると、なおも更なる例では、手術コントローラ418(図4)は、計画されたトンネル入口1302と修正済みトンネル入口1306との間における入口位置オフセットを計算して提供してもよく、手術コントローラ418は、そのオフセットに関する視覚的表現を表示してもよい。図13の例では、オフセットに関する視覚的表現は、測定単位(例えば、ミリメートル)で示された数値である。手術コントローラ418は、また、計画されたトンネル出口1304と修正済みトンネル出口1308との間における出口位置オフセットを計算して提供してもよく、手術コントローラ418は、測定単位で、オフセットに関する視覚的表現を表示してもよい。図13の例では、入口オフセットは、9mmとして示されており、出口オフセットは、17mmとして示されている。再度、図13における例示的な計画されたトンネル経路1300と修正済みトンネル経路1310とは、図13の図において視認可能かつ区別可能であるように充分に分離されているように選択されているけれども、実際には、計画されたトンネル経路1300と修正済みトンネル経路1310との間における位置変化は、わずかのものであり得るため、より小さなオフセットを有する可能性がある。多くの場合、修正済みトンネル出口は、計画されたトンネル出口と同じであり、そのような場合には、出口オフセットは、ゼロとなる。
【0164】
計画されたトンネル経路1300と修正済みトンネル経路1310とに関して外科医に対して提供される情報についてなおも考慮すると、なおも更なる例では、手術コントローラ418(図4)は、後壁破裂を示す値を計算して提供してもよい。図13における後壁破裂を示す値は、二つの例示的な態様を有している、すなわち、量子化された破裂可能性(例えば、低、中、および高)と、後壁の破裂可能性を示す数値と、を有している。例示的な場合には、後壁破裂の可能性を示す数値は、手術コントローラ418が計算したような、修正済みトンネル経路1310の予想外径と、三次元骨モデルにおける骨の外面と、の間の距離であってもよい。なおもより詳細には、例示的な場合には、後壁破裂を示す数値は、修正済みトンネル経路の予想内径と、三次元骨モデルの外面と、の間における計算された最短距離である。場合によっては、量子化された破裂可能性は、後壁の破裂可能性を示す数値に関連するものであり、例えば、「低」という破裂可能性は、修正済みトンネル経路の予想内径と三次元骨モデルの外面との間の最短距離が8mm以上である時に表示されてもよく、「中」という破裂可能性は、修正済みトンネル経路の予想内径と三次元骨モデルの外面との間の最短距離が4mm~8mmである時に表示されてもよく、「高」という破裂可能性は、修正済みトンネル経路の内径と三次元骨モデルの外面との間の最短距離が4mm以下である時に表示されてもよい。多くの場合、骨を貫通したトンネル経路は、トンネルの顆間陥凹側に関連したザグリ穴を有するけれども、ザグリ穴の態様は、図13には示されていない。トンネルのザグリ穴部分は、出口位置近傍におけるトンネルと比較して、より大きな内径を有し得るものであり、例示的な場合には、手術コントローラ418は、後壁の破裂可能性を示す値を計算する時には、ザグリ穴の予想内径を考慮する。
【0165】
計画されたトンネル経路1300と修正済みトンネル経路1310との間の関係に関して外科医に対して提供された正確な情報にかかわらず、外科医が、提供された情報に基づいてそのように選択した場合には、修正済みトンネル経路1310が、廃棄されてもよく、修正済みトンネル入口の選択が、新たに開始されてもよい。本明細書では、外科医が修正済みトンネル経路1310を選択して使用することを仮定して説明を続けるけれども、すべての場合において、修正済みトンネル経路1310が選択される必要はなく、このため、修正済みトンネル経路1310に基づく継続的な説明を、限定事項として解釈してはならない。次に、本明細書では、様々な例によるトンネルの形成に関する説明に移る。
【0166】
-トンネルの形成
【0167】
修正済みトンネル経路1310が選択されると、例示的な方法における次のステップは、実際にトンネルを形成することである。ほとんどの場合、トンネルの形成は、多段階プロセスであって、ドリルワイヤ(例えば、ドリルワイヤ424(図4))を使用して初期的トンネルすなわちパイロットトンネルを穿孔することと、その後、ドリルワイヤを、一つまたは複数のリーマのためのガイドワイヤとして使用することにより、パイロットトンネルの直径を増大させて、骨を貫通した全直径の実際のトンネルを形成することと、を伴う。場合によっては、実際のトンネルは、自家移植片の幅を収容するために、顆間陥凹に関連したザグリ穴を有しており、そのような場合、追加的なリーマが、ザグリ穴を形成するために使用されてもよい。
【0168】
図15は、例示的なビデオディスプレイであって、パイロットトンネルの配置に関するコンピュータ案内を示している。ディスプレイは、例えば、デバイスカート402(図4)に関連したような、または任意の他の適切な位置におけるような、ディスプレイデバイス414(図4)上に示されてもよい。特に、図15は、ディスプレイのメイン部分において、関節鏡408(図4)が取り込んだビデオ画像内における骨の一部を、三次元骨モデルのメッシュモデルに対して、修正済みトンネル経路1310の描写に対して、および、例示的な照準器426の遠位端の描写に対して、重ね合わせて示している。右下コーナーにおいて、図15は、照準器426の長手方向中心軸線(この長手方向中心軸線は、ドリルワイヤ424(図4)に関するドリル軸線に対して対応している)と修正済みトンネル経路1310の長手方向中心軸線との相対位置を示す例示的なグラフィック1500を示している。
【0169】
最初に照準器426を参照すると、関節鏡408(図4)が取り込んだ図において見ることができる照準器426の部分は、貫通穴を有したチューブを含み、チューブおよび貫通穴は、長手方向中心軸線を規定している。例示的な場合には、外科医は、照準器426を使用することで、ドリルワイヤ424(図4)を保持して誘導する。ドリルワイヤ424が、約2.4mmの程度の外径を有し得ることから、照準器426は、照準器426の長手方向中心軸線がドリルワイヤ424の長手方向中心軸線に対して同軸的となるよう、ドリルワイヤに対する滑り嵌めを形成するような内径を有するように選択される。その上、関節鏡が取り込んだビデオ画像内で見ることができる照準器426の部分は、照準器基準点1502を含む。ビデオ画像に基づいて、手術コントローラ418は、照準器基準点1502を「見る」ことができ、よって、照準器426の遠位端の位置と、照準器426およびドリルワイヤ424の長手方向中心軸線の向きと、の両方を計算することができ、このため、位置および向きは、関節鏡408が取り込んだ視野の三次元座標空間内で、既知となる。
【0170】
照準器426の初期的な配置時には、外科医は、ビデオ画像内で照準器426と修正済みトンネル経路1310との相対位置を見ることに頼ってもよい。しかしながら、修正済みトンネル入口1306に対して照準器426を精細に位置合わせする場合、また、修正済みトンネル経路1310の長手方向中心軸線に対して照準器426の長手方向中心軸線を位置合わせする場合、例示的な場合には、外科医は、手術コントローラ418(図4)が生成して表示するグラフィック1500に頼ってもよい。特に、例示的なシステムによれば、手術コントローラ418は、関節鏡408(図4)およびカメラヘッド410(図4)が取り込んだビデオ画像を受領していることにより、修正済みトンネル入口1306に対する照準器426の遠位端の位置を追跡するとともに、ディスプレイデバイス上に、修正済みトンネル入口1306と照準器426の遠位端との相対位置を示すグラフィック1500を、表示する。
【0171】
特に、例示的なディスプレイの右下コーナーには、修正済みトンネル入口1306を表すトンネル経路ターゲット1504を含むグラフィック1500が表示されており、トンネル経路ターゲット1504は、延長長さの十字線として例示的に示されている。さらに、例示的なグラフィック1500内には、照準器426の遠位端の位置を表す遠位端ターゲット1506が表示されており、遠位端ターゲット1506は、より小さな円内に埋め込まれた十字線として例示的に示されている。例示的なシステムおよび方法では、手術コントローラ418は、トンネル経路ターゲット1504を、ディスプレイデバイス上の固定位置に表示するとともに、遠位端ターゲット1506を、可変位置に表示し、これにより、照準器426の遠位端と修正済みトンネル入口1306との相対位置を図示する。図15の例示的なビデオディスプレイは、120センチメートル以上のサイズ(例えば、対角線で測定される)を有したディスプレイデバイス上に表示され得るけれども、照準器426の遠位端と修正済みトンネル入口1306との間の相対間隔は、わずか数センチメートルであり得る。よって、トンネル経路ターゲット1504および遠位端ターゲット1506が示す相対位置は、外科医に対して拡大された視覚的フィードバックを提供するための倍率を含んでもよい。外科医の目標は、ドリルワイヤ424(図4)を使用してパイロットトンネルの穿孔を開始する前に、遠位端ターゲット1506を、トンネル経路ターゲット1504に対して、位置合わせして配置することである。ドリルワイヤ424は、位置合わせプロセス時に照準器426の内部に配置されてもよい、あるいは、外科医は、ドリルワイヤ424を照準器426内へと嵌め込む前に、照準器426を位置合わせしてもよい。
【0172】
パイロットトンネルの穿孔のために照準器426を配置する時に、外科医が考慮すべき少なくとも二つの位置合わせが存在する、すなわち、1)実際のトンネル入口位置を、修正済みトンネル入口1306に対して、近接させることまたは位置合わせすること、2)パイロットトンネルの長手方向中心軸線を、修正済みトンネル経路1310の長手方向中心軸線に対して、近接させることまたは同軸的とすること。遠位端ターゲット1506を、トンネル経路ターゲット1504に対して緊密に位置合わせすることは、位置合わせに関する第一の考慮事項に対処するだけである。遠位端ターゲット1506は、トンネル経路ターゲット1504に対して厳密に位置合わせされ得るけれども、パイロットトンネルが穿孔される場合には、トンネルの方向は、修正済みトンネル経路1310と大幅に相違する可能性がある。更なる例に従ってより良好な軸線の位置合わせを可能とする目的で、手術コントローラ418は、なおも関節鏡408(図4)およびカメラヘッド410(図4)が取り込んだビデオ画像を受領していることにより、修正済みトンネル経路1310の長手方向中心軸線に対する照準器426の長手方向中心軸線の位置を追跡するとともに、ディスプレイデバイス上に、中心軸線どうしの相対的な向きを示すグラフィックを表示する。
【0173】
再び右下コーナーにおけるグラフィック1500を参照すると、例示的なシステムおよび方法では、手術コントローラ418(図4)は、さらに、照準器426の近位部分を代理する近位端ターゲット1508を生成および表示しており、近位端ターゲット1508は、より大きな円内に埋め込まれた部分的な十字として例示的に示されている。例示的なシステムおよび方法では、手術コントローラ418は、近位端ターゲット1508を、遠位端ターゲット1506に対して、可変位置に表示することで、修正済みトンネル経路1310の長手方向中心軸線に対する照準器426の長手方向中心軸線の向きを示している。すなわち、グラフィック1500内では、修正済みトンネル経路1310の長手方向中心軸線は、ディスプレイデバイス414(図4)の前面に対して垂直であるとともに、トンネル経路ターゲット1504の交差点または中心に配置されていると考えられ得る。照準器426の長手方向中心軸線は、近位端ターゲット1508および遠位端ターゲット1506の中心どうしの間を延びた直線であると考えられ得る。外科医の目標は、近位端ターゲット1508を、遠位端ターゲット1506に対して位置合わせすることであり、さらに、位置合わせさせた十字線1508/1506を、トンネル入口ターゲット1504に対して位置合わせすることである。すべての十字線が位置合わせされた時には、照準器426の長手方向中心軸線と、照準器426内のドリルワイヤ424(図4)と、修正済みトンネル経路1310とは、同軸的とされることとなる。
【0174】
図15および図1500に関する議論は、パイロット穴を穿孔する前に、ドリルワイヤ424(図4)の位置を特定するために照準器426を使用することを仮定している。位置合わせプロセス時にドリルワイヤが照準器426内に配置されるかどうかにかかわらず、照準器426の長手方向中心軸線は、それでもなお、パイロットトンネルの穿孔が開始された後における予想ドリル軸線を表している。他の場合には、照準器426が省略されてもよく、ドリルワイヤ424自体が追跡されてもよい。すなわち、ドリルワイヤ424は、手術コントローラ418がドリルワイヤ424の遠位端の位置とドリルワイヤの長手方向中心軸線の向き(手術部位内の骨に対して少なくとも近接している)とをそれに基づいて決定し得る一つまたは複数の機械可読パターンを有したワイヤ基準点を、含んでもよい。よって、穿孔前にドリルワイヤの配置および配向を可能とする機構として照準器426の使用を仮定したここまでの議論は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
【0175】
照準器426が修正済みトンネル経路1310に対して位置合わせされた後には、パイロットトンネルの穿孔が開始される。ドリルワイヤ424(図4)が、まだ照準器426内へと嵌め込まれていない場合には、外科医は、ドリルワイヤ424を、照準器426内へと嵌め込まむ。穿孔は、外科医が、照準器426を、グラフィック1500で示すような所望の向きで保持することと、外部ドリルアセンブリなどによって、ドリルワイヤ424に回転エネルギーを付与することと、を伴ってもよい。ドリルワイヤが骨内へと進入した後には、ドリルワイヤ424は、直線的に骨を通して穿孔し、最終的には、骨から反対側へと出る。インサイドアウト手順の場合、ドリルワイヤは、また、脚の外側部分上へと、皮膚からも出る。ドリルワイヤ424がパイロットトンネルを完成させた後には、照準器426は、なおもドリルワイヤ424上に嵌め込まれたままであり、修正済みトンネル経路1310に対するパイロットトンネルの配置が、分析され得る。
【0176】
-トンネル配置の分析
【0177】
例示的な方法およびシステムによれば、リーマ(単数または複数)を使用して骨を貫通した全直径トンネルを形成する前に、手術コントローラ418(図4)は、パイロットトンネルと修正済みトンネル経路1310との間の関係に関する情報を、外科医に対して提供することで、外科医が、骨を貫通した実際のトンネルを形成するに際して、パイロットトンネルをガイドとして使用すべきかどうかを決定することを、可能としてもよい。
【0178】
図16は、例示的なビデオディスプレイであって、修正済みトンネル経路に対してのパイロットトンネル経路に関する術中分析を示している。ディスプレイは、例えば、デバイスカート402(図4)に関連したような、または任意の他の適切な位置におけるような、ディスプレイデバイス414(図4)上に示されてもよい。特に、図16は、関節鏡408(図4)が取り込んだビデオ画像内における骨の一部を、三次元骨モデルのメッシュモデルに対して、修正済みトンネル入口1306および修正済みトンネル出口1308を含む修正済みトンネル経路1310に対して、ならびに、パイロットトンネルの、取り込まれて計算された長手方向中心軸線1600を示す重ね合わせに対して、重ね合わせて示している。パイロットトンネルの入口は、実際には見ることができるものであり得るけれども、図面をさらに複雑化しないよう、図16には図示されていない。図16の例示的なビデオディスプレイは、さらに、右下コーナーにおいて、修正済みトンネル経路1310に対するパイロットトンネルの実行可能性を外科医が評価することを補助する様々なパラメータを含む。例えば、手術コントローラ418は、修正済みトンネル経路1310に対するパイロットトンネルの経路に沿ったトンネルのオーバーラップを示す値を、計算して提供してもよく、手術コントローラ418は、オーバーラップを示すその値に関する視覚的表現を、表示してもよい。図16の例では、オーバーラップを示す値に関する視覚的表現は、パーセントで示された数値(例えば、ここでは、97%)である。パーセントとしてのオーバーラップは、概念的に、0%~100%の範囲に広がってもよく、この場合、0%は、完全な失敗であり、100%は、パイロットトンネルの長手方向中心軸線1600が修正済みトンネル経路1310の長手方向中心軸線に対して同軸的であることを意味する。上記と同様に、手術コントローラ418は、予想トンネル直径を考慮して、オーバーラップを示す値をパーセントとして計算し、予想トンネル直径のいずれかの部分が修正済みトンネル経路1310のいずれかの部分に対して交差している場合には、その交差は、オーバーラップと見なされる。代替的には、手術コントローラ418は、パイロットトンネルと、修正済みトンネル経路1310を決定することとなるパイロットトンネルと、に基づいて、オーバーラップを示す値を計算してもよい。
【0179】
パイロットトンネルおよび修正済みトンネル経路1310に沿った予想トンネルの関係に関して外科医に対して提供された情報をなおも考慮すると、なおも更なる例では、手術コントローラ418(図4)は、パイロットトンネルと修正済みトンネル入口1306との間における入口位置オフセットを計算して提供してもよく、手術コントローラ418は、オフセットに関する視覚的表現を表示してもよい。図16の例では、オフセットに関する視覚的表現は、測定単位で示された数値である。手術コントローラ418は、また、パイロットトンネルと修正済みトンネル出口1308との間における出口位置オフセットを計算して提供してもよく、手術コントローラ418は、オフセットに関する視覚的表現を測定単位で表示してもよい。図16の例では、入口オフセットは、2mmとして示されており、出口オフセットは、3mmとして示されている。2mmおよび3mmというオフセットの例は、外科医が、穿孔開始時に、所望の位置で照準器426(図4)を正確に保持できなかったこと、および/または、外科医が、照準器426の長手方向中心軸線を、修正済みトンネル経路1310の長手方向中心軸線に対して同軸的に保持できなかったことを、示し得る。それでもなお、2mmまたは3mmというオフセットは、8.3mm~13.9mmという程度の関連技術によるトンネル配置誤差を考慮すると、充分であり得る。
【0180】
修正済みトンネル経路1310に対するパイロットトンネルに関して外科医に対して提供された情報をなおも考慮すると、さらに更なる例では、手術コントローラ418(図4)は、後壁破裂を示す値を計算して提供してもよい。修正済みトンネル経路1310を作成するための術中変更に関する場合と同様に、図16の後壁破裂を示す値は、二つの例示的な態様を有している、すなわち、量子化された破裂可能性(例えば、低、中、および高)と、後壁の破裂可能性を示す数値と、を有している。後壁破裂の可能性を示す数値は、この場合にも、パイロットトンネルに沿って形成されるトンネルの予想外径と、三次元骨モデルにおける骨の外面と、の間の距離として、手術コントローラ418によって計算された距離であってもよい。なおもより詳細には、例示的な場合には、後壁の破裂可能性を示す数値は、パイロットトンネルに沿って形成されるトンネルの予想内径と、三次元骨モデルの外面と、の間における最短距離として計算される。この場合にも、量子化された破裂可能性は、後壁の破裂可能性を示す数値に関連するものであってもよく、例えば、「低」という破裂可能性は、パイロットトンネルに沿って形成されるトンネルの予想内径と三次元骨モデルの外面との間の最短距離が8mm以上である時に表示されてもよく、「中」という破裂可能性は、その最短距離が4mm~8mmである時に表示されてもよく、「高」という破裂可能性は、その最短距離が4mm以下である時に表示されてもよい。
【0181】
パイロットトンネルに沿って形成されるトンネルの予想内径と修正済みトンネル経路1310との間の関係に関して外科医に対して提供された正確な情報にかかわらず、外科医が、提供された情報に基づいてそのように選択した場合には、パイロットトンネルが、放棄されてもよく、上述した手順を使用して、新たなパイロットトンネルが穿孔されてもよい。二本目以降のパイロットトンネルが、外科医の承認を得た場合には、例示的な方法は、リーマ(単数または複数)を使用することへと進み、大腿骨の顆間側上におけるザグリ穴を含めて、トンネル経路に沿って骨を貫通した全直径トンネルを形成する。
【0182】
ソフトウェアおよびハードウェア
【0183】
図17は、少なくともいくつかの実施形態による、関節鏡および付属カメラヘッドなどの内視鏡光学システムを較正するための方法を示している。特に、本方法は、開始され(ブロック1700)、内視鏡を較正アセンブリ内に配置することであり、この場合、較正アセンブリは、内視鏡を、較正アセンブリの内面上における較正ターゲットに対して、固定された関係性で保持すること(ブロック1702)と、較正ターゲットの複数の画像を取り込むことであり、この場合、各画像は、カメラヘッドと内視鏡との間における独自の回転関係で取り込まれ、独自の回転関係は、内視鏡の長手方向中心軸線に対するものとされること(ブロック1704)と、較正ターゲットとカメラヘッドの取込アレイとの間の光学的歪みを特徴付ける特徴付け機能を作成すること(ブロック1706)と、を含む。その後、例示的な方法は、終了する(ブロック1708)。例示的な方法の一部は、手術コントローラ418(図4)などのコンピュータシステムのプロセッサによって実行されるコンピュータ命令によって実装されてもよい。
【0184】
図18は、少なくともいくつかの実施形態による、三次元骨モデルの登録を術中検証するための方法を示している。特に、本方法は、開始され(ブロック1800)、骨の三次元骨モデルを受領すること(ブロック1802)と、手術手順時に内視鏡および付属カメラヘッドにより観察される骨の画像を受領することであり、骨の画像は、骨に対して結合された基準点の画像を含むものであること(ブロック1804)と、骨の画像内に示された骨の外面に関する複数の位置を受領すること(ブロック1806)と、複数の位置を使用して、三次元骨モデルを骨に対して登録すること(ブロック1808)と、ディスプレイデバイス上に、骨の画像上へと重ね合わされた三次元骨モデルの表現を表示すること(ブロック1810)と、三次元骨モデルが骨の画像内で骨に対して適正に登録されたことを示す指示を受領すること(ブロック1812)と、を含む。その後、本方法は、終了する(ブロック1812)。例示的な方法は、手術コントローラ418(図4)などのコンピュータシステムのプロセッサによって実行されるコンピュータ命令によって実装されてもよい。
【0185】
図19は、少なくともいくつかの実施形態による、術中でトンネル経路変更を実装するための方法を示している。特に、本方法は、開始され(ブロック1900)、ディスプレイデバイス上に、靭帯修復のための計画されたトンネル経路を表示することであり、計画されたトンネル経路は、脚の骨の少なくとも一部に対して示され、計画されたトンネル経路は、術前に選択されたものであること(ブロック1902)と、手術手順時に、修正済みトンネル入口位置を受領すること(ブロック1904)と、手術手順時に、患者の脚の骨を貫通した修正済みトンネル経路を計算するとともに、ディスプレイデバイス上に、修正済みトンネル経路を表示すること(ブロック1906)と、穿孔前に、修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線に対しての、ドリルワイヤのドリル軸線の、軸線方向での位置合わせを追跡すること(ブロック1908)と、ディスプレイデバイス上に、ドリル軸線と修正済みトンネル経路の長手方向中心軸線との相対位置を示すグラフィックを表示すること(ブロック1910)と、を含む。その後、本方法は、終了する(ブロック1912)。例示的な方法は、手術コントローラ418(図4)などのコンピュータシステムのプロセッサによって実行されるコンピュータ命令によって実装されてもよい。
【0186】
図20は、例示的なコンピュータシステム2000を示している。一例では、コンピュータシステム2000は、手術コントローラ418、手術室内のタブレットデバイス、または、本明細書で説明する任意のもしくはすべての様々な方法を実装する任意の他のシステム、に対応してもよい。コンピュータシステム2000は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、および/またはエクストラネット(例えば、デバイスカート402ネットワーク)、または特定の時には、インターネット(例えば、手術手順で使用されていない時)内で、他のコンピュータシステムに対して接続(例えば、ネットワーク接続)されてもよい。コンピュータシステム2000は、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、あるいは、そのデバイスによって実行されるべきアクションを指定する一連の命令(シーケンシャルまたはその他)を実行可能な任意のデバイス、であってもよい。さらに、単一のコンピュータシステムのみが図示されているけれども、「コンピュータ」という用語は、また、本明細書で説明する任意の一つもしくは複数の方法を実行するための一組の(または、複数組の)命令を個別的にまたは共同で実行する複数のコンピュータからなる任意の集合体も含むように解釈されるものとする。
【0187】
コンピュータシステム2000は、処理デバイス2002と、メインメモリ2004(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)などの動的ランダムアクセスメモリ(DRAM))と、静的メモリ2006(例えば、フラッシュメモリ、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM))と、データストレージデバイス2008と、を含み、これらは、バス2010を介して互いに通信する。
【0188】
処理デバイス2002は、マイクロプロセッサ、中央処理装置、もしくは同種のものなどの、一つまたは複数の汎用処理デバイスを表している。より詳細には、処理デバイス2002は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または、他の命令セットを実装するプロセッサ、もしくは命令セットの組合せを実装するプロセッサ、であってもよい。処理デバイス2002は、また、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、もしくは同種のものなどの、一つまたは複数の特定用途向け処理デバイスであってもよい。処理デバイス2002は、本明細書で説明する任意の動作およびステップを実行するための命令を実行するように構成されている。特定の命令によってプログラムされた後には、処理デバイス2002は、ひいてはコンピュータシステム2000の全体は、手術コントローラ418などの特定用途向けデバイスとなる。
【0189】
コンピュータシステム2000は、任意の適切なネットワーク(例えば、デバイスカート402ネットワーク)と通信するためのネットワークインターフェースデバイス2012を、さらに含んでもよい。コンピュータシステム2000は、また、ビデオディスプレイ2014(例えば、ディスプレイデバイス414)と、一つまたは複数の入力デバイス2016(例えば、マイクロフォン、キーボード、および/またはマウス)と、一つまたは複数のスピーカ2018と、を含んでもよい。一つの例示的な例では、ビデオディスプレイ2014および入力デバイス(単数または複数)2016は、単一の構成要素またはデバイス(例えば、LCDタッチスクリーン)内へと、組み合わせられてもよい。
【0190】
データストレージデバイス2008は、本明細書で説明する方法論もしくは機能の任意の一つまたは複数を具現化する命令2022(例えば、本明細書で図示して説明する任意のデバイスおよび/または構成要素によって実行される任意の方法と任意の機能とを実装する命令2022)が格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体2020を含んでもよい。命令2022は、また、コンピュータシステム2000によるその実行時に、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ2004内におよび/または処理デバイス2002内に、存在してもよい。よって、メインメモリ2004および処理デバイス2002も、また、コンピュータ可読媒体を構成している。特定の場合には、命令2022は、ネットワークインターフェースデバイス2012を介して、ネットワーク上で、さらに送信または受信されてもよい。
【0191】
コンピュータ可読ストレージ媒体2020は、例示した例では、単一の媒体であるように示されているけれども、「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、一つもしくは複数の命令セットを格納した単一のまたは複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型のデータベース、および/または、関連したキャッシュやサーバ)を含むように解釈されるものとする。また、「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、機械による実行のための命令セットを、また、本開示における任意の一つまたは複数の方法論を機械に実行させる命令セットを、格納したり符号化したりまたは担持したりし得る任意の媒体を含むように解釈されるものとする。したがって、「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、ソリッドステートメモリ、光学媒体、および磁気媒体を含むがこれらに限定されないように、解釈されるものとする。
【0192】
上記の議論は、本発明の原理および様々な実施形態を例示であることを意味している。上記の開示が充分に理解されれば、当業者には、数多くの変形および改変が明らかとなるであろう。以下の特許請求の範囲が、すべてのそのような変形および改変を包含するものと解釈されることが、意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】