(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】均一性調整を含む多相回転クロスフローを備えたプラズマチャンバ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240829BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240829BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240829BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240829BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
H01L21/31 C
C23C16/455
H05H1/46 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510316
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 US2022038023
(87)【国際公開番号】W WO2023027843
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 大亮
(72)【発明者】
【氏名】竹下 健二
(72)【発明者】
【氏名】カルドゥッチ, ジェームズ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】リン, リー
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 光
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ, ケネス エス.
(72)【発明者】
【氏名】ライス, マイケル アール.
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
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(57)【要約】
プラズマ処理チャンバは、1つ以上の側壁を含み、側壁内の支持体面は、ワークピースを保持する。側壁の周囲には、個々のガスインジェクタのアレイが分散されている。チャンバからガスを排出するために、ポンプポートが側壁に沿って位置する。ワークピース上の材料のエッチング速度の均一性は、ワークピースにわたって1つ以上のガス流を注入するためにアレイガスインジェクタを使用すること、ワークピース上で材料をエッチングするために、隣接する個々のガスインジェクタの第1のセットから第1のガス流を注入すること、及び残りのガスインジェクタから第2のガス流を同時に注入することによって制御される。第2のガス流は、第1のガスを希釈して、より速いエッチング速度を有するワークピース上のエリアを減少させるか、又は追加のエッチャントとして作用して、より速いエッチング速度を有するワークピースのエリア内のエッチング速度を増加させるかのどちらかである。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバであって、
1つ以上の側壁と、
ワークピースを保持するための、前記1つ以上の側壁内の支持体と、
前記1つ以上の側壁の外周の周囲に分散された個々のガスインジェクタのアレイと、
前記プラズマ処理チャンバからガスを排出するための、前記1つ以上の側壁に沿った1つ以上のポンプポートと、
エッチング適用中に前記プラズマ処理チャンバを制御するように構成されたコントローラであって、前記ワークピース上の材料のエッチング速度の均一性は、
前記ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつ前記ワークピースの表面にわたって、1つ以上のガス流を注入するために、前記個々のガスインジェクタのアレイを使用することと、
前記ワークピース上で前記材料をエッチングするために、前記個々のガスインジェクタの隣接するものの第1のセットから第1のガス流を注入することと、
前記個々のガスインジェクタの残りのセットの少なくとも一部から第2のガス流を同時に注入することであって、i)前記第1のガスを希釈して、より速いエッチング速度を有する前記ワークピース上のエリアを減少させるために、又はii)追加のエッチャントとして作用して、前記より速いエッチング速度を有する前記ワークピースの前記エリア内の前記エッチング速度を増加させるために、前記第2のガス流が使用される、第2のガス流を同時に注入することとを行うことと
によって調整又は制御される、コントローラと
を備える、プラズマ処理チャンバ。
【請求項2】
前記第1のガス流が、エッチャントガスを含むプロセス混合ガスを含み、前記第2のガス流が、独立したガス注入(IGI)混合物を含む、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項3】
前記コントローラが、前記プロセス混合ガスのガス流注入角度又は前記IGI混合物のガス流注入角度を変化させて、前記エッチャントガスの濃度をそれぞれ増加又は減少させるように更に構成される、請求項2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項4】
前記プロセス混合ガス及び前記IGI混合物が、ガス流の回転を伴わずに1相の間に注入される、請求項2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項5】
前記プロセス混合ガス及び前記IGI混合物が、前記ワークピース上の半径方向のエッチング速度の均一性を実現するために、ガス流の回転を伴って多相の間に注入される、請求項2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項6】
前記プロセス混合ガスが、C
XF
Y、C
XH
YF
Z、及びC
XH
Yのうちの1つを含む、請求項2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項7】
前記IGI混合物が、He、Ne、Ar、Kr、Rn、N、又はXeを含む希釈ガスを含む、請求項2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項8】
前記IGI混合物が、O
X、N
2、SF
x、又はNF
xを含む洗浄ガスを含む、請求項2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項9】
前記個々のガスインジェクタのアレイが、前記1つ以上の側壁内の1つ以上の開口部内に位置する、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項10】
前記1つ以上のポンプポートの位置が、前記個々のガスインジェクタのアレイの位置から垂直方向にオフセットされている、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項11】
前記第1のガス流と前記第2のガス流とが、ガス流の回転を制御するためにオン/オフに切り替えられる、請求項1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項12】
前記第1のガス流と前記第2のガス流の少なくとも一方の流量に適用されるか、又は前記第1のポンプポートと前記第2のポンプポートの少なくとも一方によって生じる出口コンダクタンスに適用される変調関数を更に含む、請求項13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項13】
プラズマ処理チャンバであって、
1つ以上の側壁と、
ワークピースを保持するための、前記1つ以上の側壁内の支持体と、
前記1つ以上の側壁の外周の周囲に分散された個々のガスインジェクタのアレイと、
前記プラズマ処理チャンバからガスを排出するための、前記1つ以上の側壁に沿った1つ以上のポンプポートと、
エッチング適用中に前記プラズマ処理チャンバを制御するように構成されたコントローラであって、前記ワークピース上の材料のエッチング速度の均一性は、
前記ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつ前記ワークピースの表面にわたって、ガス流を注入するために、前記個々のガスインジェクタのアレイを使用することと、
ガス流注入の前に又はガス流注入の間に、前記個々のガスインジェクタの隣接するものの広いセットと、前記個々のガスインジェクタの隣接するものの狭いセットと、の間で選択することによって、前記ワークピースにわたってガス流注入角度を変化させることであって、前記個々のガスインジェクタの隣接するものの前記狭いセットを選択することが、前記ガス流注入角度を減少させる、前記ガス流注入角度を変化させることと
を行うことによって調整又は制御される、コントローラと
を備える、プラズマ処理チャンバ。
【請求項14】
前記個々のガスインジェクタのアレイが、前記個々のガスインジェクタの多数のものを各々が有している複数のガスインジェクタアレイを含み、隣接するガスインジェクタの選択されたセットが、ガスインジェクタアレイの特定のものからの前記個々のガスインジェクタを含む、請求項13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項15】
前記個々のガスインジェクタのアレイが、前記個々のガスインジェクタの多数のものを各々が有する複数のガスインジェクタアレイを含み、隣接するガスインジェクタの選択されたセットが、前記ガスインジェクタアレイの隣接するものからの前記個々のガスインジェクタを含む、請求項13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項16】
前記ガス流が第1のガス流を含み、前記コントローラが、前記個々のガスインジェクタの残りのセットの少なくとも一部から第2のガス流を同時に注入するように更に構成され、i)前記第1のガス流を希釈して、より速いエッチング速度を有する前記ワークピース上のエリアを減少させるために、又はii)追加のエッチャントとして作用し、前記より速いエッチング速度を有する前記ワークピースの前記エリア内の前記エッチング速度を増加させるために、前記第2のガス流が使用される、請求項13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項17】
前記ガス流注入角度を減少させることが、前記エッチング速度の均一性を増加させる、請求項13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項18】
前記個々のガスインジェクタのアレイが、前記1つ以上の側壁内の1つ以上の開口部内に位置する、請求項13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項19】
前記1つ以上のポンプポートの位置が、前記個々のガスインジェクタのアレイの位置から垂直方向にオフセットされている、請求項13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項20】
前記第1のガス流と前記第2のガス流とが、ガス流の回転を制御するためにオン/オフに切り替えられる、請求項13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項21】
前記第1のガス流と第2のガス流の少なくとも一方の流量に適用されるか、又は前記第1のポンプポートと第2のポンプポートの少なくとも一方によって生じる出口コンダクタンスに適用される変調関数を更に含む、請求項13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【請求項22】
プラズマ処理チャンバ内のワークピース上の材料のエッチング速度の均一性を制御する方法であって、
前記ワークピース上の材料をエッチングするために、個々のガスインジェクタの隣接するものの第1のセットから、前記ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつ前記ワークピースの表面にわたって、第1のガス流を注入することと、
前記個々のガスインジェクタの残りのセットの少なくとも一部から、前記ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつ前記ワークピースの表面にわたって、第2のガス流を同時に注入することであって、i)前記第1のガスを希釈して、より速いエッチング速度を有する前記ワークピース上のエリアを減少させるために、又はii)追加のエッチャントとして作用して、前記より速いエッチング速度を有する前記ワークピースの前記エリア内の前記エッチング速度を増加させるために、前記第2のガス流が使用される、第2のガス流を同時に注入することと
を含む、方法。
【請求項23】
前記第1のガス流と前記第2のガス流の注入を制御するために機械学習(ML)モデルに問い合わせることを更に含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月23日に出願された米国仮特許出願第63/236,166号の利益を主張する、2022年6月3日に出願された米国特許出願第17/831,781号の優先権を主張するものであり、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、半導体処理の分野に関し、特に、回転クロスフロー及び均一性調整を含むプラズマチャンバに関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマエッチング、堆積又は他の処理プロセスの間、半導体ウエハのようなワークピースが、密閉されたプラズマリアクタチャンバに挿入され、ウエハ上でチャンバ内にガスが注入され、その後チャンバからポンプで送られる。プラズマチャンバは、多くの場合、(1)平行板の容量結合プラズマ(CCP)ソース(一方の電極がプラズマに面する表面にワークピースを有し、他方の電極がプラズマに面する表面にガス入り口孔(シャワーヘッド)のアレイを有する)、又は(2)誘導結合プラズマ(ICP)又はマイクロ波源(ワークピースの概して反対側にありワークピースの方を向く高周波(RF)のウインドウ、及びウインドウ内若しくはウインドウ付近にガス入り口孔を備える)を含んでいる。
【0004】
上記の軸対称ガス流の手法では、圧力及び濃度勾配により、ワークピースの中心からエッジまでの処理に差異が生じる。更に、高密度プラズマへの接近や高電界による破壊により、異質な(extraneous)プラズマがガス入り口孔に形成され、時間の経過とともに不均一性が変化する可能性がある。より具体的には、ガス入り口孔は通常、ケイ素又は炭化ケイ素などの材料の板に形成される。孔のエッジに高エネルギーのイオンが衝突すると、孔は時間と共に変形又は切開(deform or facet)されうる。変形した孔は、次いで、板を破壊する高強度のプラズマを発生させ、ある程度の時間(例えば600時間)後にシャワーヘッドの交換が必要となる。用途によっては、半導体ウエハのコストの約15ドルがシャワーヘッドのコストだけに割り当てられることもある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、1つ以上の側壁を含むプラズマ処理チャンバを含む。1つ以上の側壁内の支持面は、ワークピースを保持する。個々のガスインジェクタのアレイは、1つ以上の側壁の外周周囲に分散されている。プラズマ処理チャンバからガスを排出するための1つ以上のポンプポートが、1つ以上の側壁に沿って位置する。コントローラは、エッチング適用中にプラズマ処理チャンバを制御するように構成される。ワークピース上の材料のエッチング速度の均一性は、i)ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、1つ以上のガス流を注入するために、個々のガスインジェクタのアレイを使用すること、ii)ワークピース上で材料をエッチングするために、個々のガスインジェクタの隣接するものの第1のセットから第1のガス流を注入すること、及びiii)個々のガスインジェクタの少なくとも残りのセットから第2のガス流を同時に注入することによって、調整又は制御される。実施形態によれば、第2のガス流は、i)第1のガスを希釈して、より速いエッチング速度を有するワークピース上のエリアを減少させるために、又はii)追加のエッチャントとして作用して、より速いエッチング速度を有するワークピースのエリア内のエッチング速度を増加させるために、使用される。
【0006】
本明細書に開示される実施形態は、1つ以上の側壁を含むプラズマ処理チャンバを更に含む。1つ以上の側壁内の支持面は、ワークピースを保持する。個々のガスインジェクタのアレイは、1つ以上の側壁の外周周囲に分散されている。プラズマ処理チャンバからガスを排出するための1つ以上のポンプポートが、1つ以上の側壁に沿って位置する。コントローラは、エッチング適用中にプラズマ処理チャンバを制御するように構成される。ワークピース上の材料のエッチング速度の均一性は、i)ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、ガス流を注入するために、個々のガスインジェクタのアレイを使用すること、及びii)ガス流注入の前に又はガス流注入の間に、個々のガスインジェクタの隣接するものの広いセットと、個々のガスインジェクタの隣接するものの狭いセットと、の間で選択することによって、ワークピースにわたってガス流注入角度を変化させることであって、個々のガスインジェクタの隣接するものの狭いセットを選択することが、ガス流注入角度を減少させる、前記ガス流注入角度を変化させることとを行うことによって調整又は制御される。
【0007】
本明細書に開示される実施形態は、プラズマ処理チャンバ内のワークピース上の材料のエッチング速度の均一性を制御する方法を含む。本方法は、ワークピース上の材料をエッチングするために、個々のガスインジェクタの隣接するものの第1のセットから、ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、第1のガス流を注入することを含む。本方法は、個々のガスインジェクタの残りのセットの少なくとも一部から、ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、第2のガス流を同時に注入することであって、i)第1のガスを希釈して、より速いエッチング速度を有するワークピース上のエリアを減少させるために、又はii)追加のエッチャントとして作用して、より速いエッチング速度を有するワークピースのエリア内のエッチング速度を増加させるために、第2のガス流が使用される、第2のガス流を同時に注入することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】1つの実施形態による多相回転クロスフロー動作を有するプラズマ処理チャンバの上面図を示す図である。
【
図1B】異なる実施形態におけるプラズマ処理チャンバの断面図を示す。
【
図1C】異なる実施形態におけるプラズマ処理チャンバの断面図を示す。
【
図2A】1つの実施形態による3相回転クロスフロープラズマ処理チャンバの斜視半透明図の概略図である。
【
図2B】別の実施形態による、3相回転クロスフロープラズマ処理チャンバの上面図の概略図である。
【
図2C】プラズマ処理チャンバによって実行される3相回転クロスフロー動作のタイミング図を示す。
【
図2D】実施形態による、上方にガス供給システムを示す、チャンバリッド上部の斜視図を示す。
【
図2E】実施形態によるプラズマチャンバの斜視断面図を示す。
【
図2F】実施形態による、ポンプポートが形成される真空チャンバの斜視断面図を示す。
【
図2G】実施形態による、ポンプポートが形成される真空チャンバの斜視断面図を示す。
【
図2H】実施形態による、ポンプポートが形成される真空チャンバの斜視断面図を示す。
【
図2I】1つの実施形態による、3相回転クロスフローを有する例示的な誘導結合プラズマ(ICP)チャンバの斜視半透明図を示す図である。
【
図2J】1つの実施形態による、3相回転クロスフローを有する例示的な誘導結合プラズマ(ICP)チャンバの斜視半透明図を示す図である。
【
図2K】1つの実施形態による、3相回転クロスフローを有する例示的な誘導結合プラズマ(ICP)チャンバの斜視半透明図を示す図である。
【
図3A】実施形態による、4相回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバの上面図を示す図である。
【
図3B】実施形態による4相回転クロスフロー動作を説明する図である。
【
図3C】開示された実施形態の更なる態様による、反対側のサイドポートポンピングによる意図的な不均一な中心及びエッジガス注入を伴う4相回転クロスフロー動作を示す図である。
【
図3D】開示された実施形態の更なる態様による、反対側のサイドポートポンピングによる意図的な不均一な中心及びエッジガス注入を伴う4相回転クロスフロー動作を示す図である。
【
図3E】実施形態による、ガス流の少なくとも一部が、ワークピースにわたって100%のクロスフローではなく、ワークピースの側面に迂回される、多相回転クロスフロー動作のうちの1相(single phase)を説明する図である。
【
図3F】実施形態による、より小さな幅のポンプポイントを用いてガス流がワークピースにわたって方向付けられる多相サイクルのうちの1相の図である。
【
図3G】ワークピースにわたってガス流注入角度を変化させるエッチング速度均一性調整の第1の態様による、4相回転クロスフローの図である。
【
図3H】プロセス混合ガス及び独立したガス注入(IGI)混合物を注入するエッチング速度均一性調整の第2の態様を示す、多相サイクルのうちの1相を示す図である。
【
図3I】プロセス混合ガス及び独立したガス注入(IGI)混合物を注入するエッチング速度均一性調整の第2の態様を示す、多相サイクルのうちの1相を示す図である。
【
図3J】プロセス混合ガス及び独立したガス注入(IGI)混合物を注入するエッチング速度均一性調整の第2の態様を示す、多相サイクルのうちの1相を示す図である。
【
図3K】プロセス混合ガス及び独立したガス注入(IGI)混合物を注入するエッチング速度均一性調整の第2の態様を示す、多相サイクルのうちの1相を示す図である。
【
図3L】ワークピース上の半径方向のエッチング速度均一性を実現するために、多数のガスフローの位相又は回転の結果を示す図である。
【
図4A】実施形態による、60°ごとに時間で描写された3相回転クロスフローにおける回転ガス流の上面図を示す図である。
【
図4B】実施形態による、60°ごとに時間で描写された3相回転クロスフローにおける回転ガス流の上面図を示す図である。
【
図4C】実施形態による、60°ごとに時間で描写された3相回転クロスフローにおける回転ガス流の上面図を示す図である。
【
図5】実施形態による、回転ガスクロスフローを含むプラズマ処理チャンバによって処理されうる積層メモリデバイスを含むウエハの一部の断面図を示す。
【
図6】ここで
図6を参照すると、実施形態による、機械学習(ML)モデルを利用した処理ツールのブロック図が示される。
【
図7A】実施形態による、MLモデルを生成するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図7B】実施形態による、MLモデルを生成するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図8】実施形態による、示されたMLモデルを用いてプロセスレシピを開発するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図9】実施形態による、処理ツールのベースライン化するためのプロセスを示すフロー図を示す。
【
図10】実施形態による、本明細書に記載される方法のいずれか1つ以上をマシンに実行させるための命令セットが実行されうるコンピュータシステムの例示的な形態におけるマシンの図式的表示である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示される実施形態は、回転変調クロスフローと均一性調整を有するプラズマチャンバに関する。以下の説明では、本開示の実施形態を十分に理解するために、多数の具体的な詳細が示される。当業者であれば、本開示の実施形態は、これらの具体的な詳細がなくても実施できることは明らかであろう。他の例では、集積回路製造などの周知の態様は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないよう、詳細には説明しない。更に、図に示す様々な実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。
【0010】
従来のプラズマチャンバ(すなわち、CCP又はICP)は、通常、ワークピースの真上又はワークピースの外周に対称に通常位置するガス入り口孔から、ワークピース上に線対称にガスを注入する。上記のように、軸対称のガス流により圧力及び濃度勾配が生じ、ガス孔の入り口が破損して、ワークピースに不均一性が生じる可能性がある。つまり、高密度で高い|E|のプラズマ領域のガス孔で摩耗が発生するため、孔の形状寸法が変化し、プラズマが浸透するにつれて、孔が孔付近の局所的なプラズマ特性を変化させる可能性がある。更に、形状寸法が変化した結果、局所的なガス流量及び速度が変化することがある。そのため、シャワーヘッドを比較的頻繁に交換する必要があり、ワークピースのコストが上昇する。
【0011】
従って、本明細書に開示される実施形態は、エッチング、堆積又は他の材料処理のための多相回転変調ガスクロスフローを有するプラズマチャンバ(例えば、CCP又はICP)を対象とする。プラズマ処理チャンバは、側壁に沿って2つ以上のガスインジェクタと2つ以上のポンプポートを含む。第1の位相では、ガスインジェクタの1つにより、ガス流が、ワークピース又はデバイスの表面に概して平行かつその表面にわたって一方向になり、ガスは次に、ポンプポートを介してポンプで送り出される。第2の位相では、別のガスインジェクタを使ってガス流を回転させ、ガス流を、ワークピースの表面に概して平行にかつその表面にわたって別の方向にし、そこで次に、ガスを別のポンプポートを介してポンプで送り出す。別の実施形態では、回転ガス流を変調するために、ガスインジェクタに接続されたガス入り口バルブ及び/又はポンプポートに接続されたスロットルバルブが使用されうる。
【0012】
回転する変調ガスクロスフローを備えたプラズマ処理チャンバにより、高密度の|E|プラズマ領域においてシャワーヘッド(及びガス入り口孔)が必要とされなくなる。よって、プラズマ不均一性の原因が阻止される。開示された実施形態により、高密度プラズマへの近接又は高電界による破壊によってガス孔内にプラズマが形成され、不均一性及びプラズマ特性が経時的に変化することが防止される。開示された実施形態により、中心からエッジへの処理の差の原因となる高い中心からエッジへの圧力及び濃度勾配が回避される。プラズマの不均一性を最小化するために、プラズマ空間にわたって圧力分布が調整されうる。更に、開示された実施形態は、均一な反応物及び副生成物を除去するために、ガス流速の低い滞留領域(すなわち、ワークピースの中心)を排除する。
【0013】
図1A~1Cは、多相回転クロスフロー動作を有するプラズマリアクタのプラズマ処理チャンバの実施形態を示す図である。
図1Aは、1つの実施形態による多相回転クロスフロー動作を有するプラズマ処理チャンバの上面図を示す図である。
図1B及び
図1Cは、異なる実施形態におけるプラズマ処理チャンバの断面図を示す。
【0014】
図1A及び
図1Bの両方を参照すると、プラズマ処理チャンバ100Aは、処理用のワークピース116(例えば、半導体ウエハ)を保持するために、その中に支持面114を有する1つ以上のチャンバ側壁112を含む。プラズマ処理チャンバ100は、チャンバ内にガスを分配することにより、エッチング、堆積、表面処理、材料変更(material modification)など、ワークピース116に対して様々な処理を実行するために使用されうる。例えば、プラズマ処理チャンバ100Aは、プラズマエッチングチャンバ、プラズマ励起化学気相堆積チャンバ、物理気相堆積チャンバ、イオン注入チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、原子層エッチング(ALE)チャンバ、又は様々なデバイスを製造するための他の適切な真空処理チャンバを含みうるが、これらに限定されない。
【0015】
図示された1つの実施形態では、1つ以上の側壁112が、ワークピース116(例えば、ウエハ又は基板)が処理される処理領域110を取り囲んでいる。図示された例では、プラズマ処理チャンバ100Aは、単一の円筒形側壁112をもたらす軸対称形状(例えば、円筒形)で示されている。しかしながら、他の実施形態では、プラズマ処理チャンバ100Aは、楕円形のよう任意の他の形状を有してもよく、この場合も単一の側壁112となり、又は正方形若しくは長方形などの形状を有していてもよく、この場合、プラズマ処理チャンバ100Aは、4つの側壁を有することになろう。
【0016】
開示された実施形態によれば、プラズマ処理チャンバ100は、少なくとも2つのガスインジェクタ118A及び118B(集合的にガスインジェクタ118と称される)と、概して1つ以上の側壁112に沿って位置する少なくとも2つのポンプポート120A及び120B(まとめてポンプポート120と称される)とを含む。1つの実施形態では、ガスインジェクタは側壁112のライナを貫通する開口部内に形成される。プラズマ処理チャンバ100Aは、ガスインジェクタ118及びポンプポート120を使用して、ガス流124をワークピース116にわたって側方に回転させ、多相回転クロスフロー動作を提供するように構成されうる。1つの実施形態では、多相回転クロスフロー動作は、少なくとも2相サイクルを含み、3相サイクル、4相サイクルなどを含んでもよい。この際に、各相ガスは、プラズマ処理チャンバ100Aの一方の側から注入され、概ね反対側からポンプで送り出される。本明細書で使用される場合、「概して1つ以上の側壁に沿って位置する(located generally along the sidewall(s))」という用語は、ガスインジェクタ118及び/又はポンプポート120のいずれかが、側壁に位置していても、側壁に水平に当接若しくは隣接して位置していてもよく、又はチャンバリッドの外周領域若しくはチャンバ底部の外周領域に位置していてもよいことを説明することを意図している。
【0017】
ワークピース116にわたるガス流の側方への回転は、ガス速度と圧力勾配の制御を改善し、ウエハ全体及びウエハからウエハへの良好なプロセスの均一性をもたらす。
【0018】
図1Bを参照すると、プラズマ処理チャンバ100Aは、側壁112を覆うチャンバリッド104を更に含む。支持ペデスタル108は、ワークピース116が載置される支持面114を含みうる。実施形態では、支持ペデスタル108及び支持面114は固定され、回転不可能であり、そこに貼付されたワークピース116は処理中に回転しない。実施形態では、ワークピース116は支持面114に静電的に貼付される。別の実施形態では、支持体面114は、プラズマ間隙調整又はウエハ移送のために軸方向に移動可能である。プラズマ処理チャンバ100A内の処理領域110は、チャンバリッド104、支持ペデスタル108(及び支持面114)、並びに側壁112の間のエリアによって画定される。側壁112の下にはチャンバフロア106があり、チャンバフロア106は処理領域110の下にある。支持ペデスタル108は、チャンバリッド104の下、かつチャンバ床106の上にあり、側壁112によって取り囲まれている。実施形態では、チャンバリッド104と支持面114とは、約25mm~200mmの距離、分離されうる。実施形態において、プラズマ処理チャンバ100Aは、上部電極105がワークピース116の上方にある平行板容量結合プラズマ(CCP)プロセスチャンバである。底部電極は、支持面114の下の支持ペデスタル108内の位置113に含まれる。1つの実施形態では、上部電極105は、200~10000ワットの範囲の電力を含む、40~200MHzの範囲の周波数を有するRF源に接続される。1つの実施形態では、下部電極は接地に接続される。ウエハの上方、かつ2つの電極の間にプラズマが発生する。1つの実施形態では、ワークピース116は、支持面114内又は支持面114の下にある1つ以上のクランプ電極によって、支持面114に静電クランプされる。実施形態において、ワークピース116は、処理中の追加のプラズマ制御のために、バイアス電極に(例えば、0.1~20MHzの範囲の低RF周波数で)接続される。生成されたプラズマは、第1の電極105への電力をパルス状することにより、処理中にパルス化されうる。
【0019】
実施形態では、ワークピース116は、半導体製造環境において一般的に使用される任意の基板を含みうる。例えば、ワークピースは半導体ウエハを含みうる。実施形態では、半導体材料は、ケイ素又はIII-V族半導体材料を含みうるが、これらに限定されない。半導体ウエハは、いくつかの実施形態では、半導体オンインシュレータ(SOI)基板であってもよい。通常、半導体ウエハは標準的な寸法(例えば、200mm、300mm、450mmなど)を有する。しかしながら、ワークピース116は任意の寸法を有しうることを理解されたい。実施形態はまた、ガラス又はセラミック材料などの非半導体材料を含むワークピースを含んでもよい。実施形態では、ワークピース116は、半導体処理機器を用いて製造された回路又は他の構造を含みうる。更に別の実施形態では、ワークピース116は、レチクル又は他のリソグラフィマスクオブジェクトを含みうる。
【0020】
図1A及び
図1Bは、2相サイクル回転クロスフロー動作の例を示している。第1の位相において、ガスインジェクタ118Aは、ワークピース116の表面に対して概ね平行に、かつワークピース116の表面にわたって第1の方向に第1のガス流124Aを注入し、ガス流124Aをポンプで送り出すために、ガスインジェクタ118Aの概ね反対側の1つ以上の側壁112に沿って反対側にあるポンプポート120Aを有している。第2の位相において、ガスインジェクタ118Bは、ワークピース116の表面に対して概ね平行に、かつワークピース116の表面にわたって第2の方向に第2のガス流124Bを注入し、ガス流124Bをポンプで送り出すために、ガスインジェクタ118Bの概ね反対側の1つ以上の側壁112に沿って反対側にあるポンプポート120Bを有している。実施形態では、第2のガス流124Bの方向は、第1のガス流124Aの方向とは異なる。1つの実施形態では、概ね平行とは約0°~15°以内を意味し、概ね反対側とは約0°~30°以内を意味する。
【0021】
したがって、ガスインジェクタ118Aと反対側のポンプポート120Aが1つのガスインジェクタ・ポンプポートペアを形成する一方で、ガスインジェクタ118Bと反対側のポンプポート120Bは第2のガスインジェクタ・ポンプポートペアを形成する。1つの実施形態では、ガスインジェクタ118A及び118Bの各々は、
図1Aに示されるように、個々のガスインジェクタのアレイを含みうる。代替的な実施形態では、ガスインジェクタ118A及び118Bの各々は、単一のベントガスインジェクタのみを含む。いくつかの実施形態では、ガスインジェクタ118Aは個々のガスインジェクタのアレイを含み、ガスインジェクタ118Bは単一のベントガスインジェクタであるか、又はその逆である。
【0022】
図1Aに示すように、ワークピース116の配向に概ね平行な水平面に沿って、各ガスインジェクタ・ポンプポートペア(すなわち、ガスインジェクタと反対側のポンプポート)は、プラズマ処理チャンバ100Aの側壁112に沿って対称的に位置する。任意の数のガスインジェクタ118及びポンプポート120が提供されうる。概して、1つのガスインジェクタ・ポンプポートペアは、合計360度をインジェクタ・ポンプポートペアの数で除算したものに等しい角度だけ、隣接するインジェクタ・ポンプポートペアの位置からオフセットされ、ガスの分布が確実に等しくなりうる。例えば、2つのインジェクタ・ポンプポートペアがある場合、インジェクタ・ポンプポートペアは互いに180°(360°/2)オフセされる。インジェクタ・ポンプポートペアが3つある場合、インジェクタ・ポンプポートペアは120°オフセットされる(
図2A及び
図2B)。いくつかの実施形態では、示されているように、ガスインジェクタのスパンは、対応するポンプポートのスパンよりも小さい。他の実施形態では、ガスインジェクタのスパンは、対応するポンプポートのスパンと同じである。他の実施形態では、ガスインジェクタのスパンは、対応するポンプポートのスパンよりも大きい。ガスは、孔、スロットなど様々な形状寸法のガスインジェクタ開口部から注入することができ、異なるガスインジェクタは、同じ又は異なる形状寸法及びサイズを有することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、ガスインジェクタ118及びポンプポート120の数は等しいが、他の実施形態では、ガスインジェクタ118及びポンプポート120の数は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、単一のポンプポートが、描かれているように、対応するガスインジェクタと関連している。他の実施形態では、ポンプポートのアレイは、対応するガスインジェクタと関連付けられている。
【0024】
図1Bに示すように、ガスインジェクタ118は、処理領域110内の側壁112の開口部内に位置する。例えば、開口部は側壁112のライナ内に配置しうる。実施形態では、側壁112の開口部は、チャンバリッド104と基板支持ペデスタル108との間の垂直方向の位置にある。図示された実施形態では、側壁112の開口部は、チャンバリッド104の底部に隣接している。
【0025】
支持ペデスタル108の配向に概ね平行な垂直面に沿って、ポンプポート120の位置は、1つの実施形態では、チャンバリッド104の底部と支持ペデスタル108の上部との間の距離にほぼ等しい距離だけ、ガスインジェクタ118の位置から垂直にオフセットされうる。この実施形態では、ポンプポート120は、側壁112と支持ペデスタル108との間、かつチャンバ床106の上方の空洞に位置しうる。別の実施形態では、ポンプポート120は、チャンバリッド104とチャンバ床106との間のどこであっても側壁112の追加の開口部内に位置しうる。別の実施形態では、ガスは、チャンバリッドの外周領域から注入され、及び/又は、チャンバ底部の外周領域からポンプで送り込まれ、ワークピース処理領域上を、なおもワークピースに対して実質的に平行に流れうる。
【0026】
上述したように、開示された実施形態のプラズマ処理チャンバ100Aは、概して平行に、かつワークピース116にわたってガスを注入する。これは、CCPソースリアクタにおける「シャワーヘッド」電極からの典型的な軸対称トップダウンガス流注入と対照的であり、かつICP又はマイクロ波ソースリアクタにおける中心軸近傍のノズルアレイからの放射状外向き/下向きガス注入と対照的である。加えて、実施形態では、ワークピースの外周に軸対称に位置するポンプポート又はポンピングプレナムの代わりに、ガスは、注入側とは概して反対側のワークピースの側から優先的にポンプで送り出される。
【0027】
実施形態では、各クロスフロー相のガス流124は、ガス流の回転を制御するためにオン/オフに切り替え可能である。別の実施形態では、ガス流124のオン/オフを切り替える代わりに、変調関数が、ガスインジェクタ118からのガス流124の流量、及び/又はポンプポート120によって生じる出口コンダクタンス(又は圧力)に適用されてもよく、開閉状態を近似するか、又は正弦波などの変調関数(modulating function)を使用して状態間でランプする(ramp)。
図1Bに示されるように、第1及び第2のガス流124A及び124Bの一方又は両方の流量は、それぞれガスインジェクタ118A及び118Bに接続される1つ以上のガス入り口バルブ122A及び122B(例えば、圧電バルブ)を使用して変調されうる。実施形態では、ガス入り口バルブ122A及び122Bは、単一種類のガス、又は異なる種類の混合ガスが、各回転位相の間に処理領域110に注入されうるように、1つ以上のガス源126に接続される。1つの実施形態では、ガスインジェクタ118によって一定の合計ガス流が印加され、完全なサイクルでワークピース116の異なる側面にわたってガス流を円滑にかつ順次、注入することができ、その後、必要に応じてこれが繰り返されうる。
【0028】
加えて、いくつかの実施形態では、ポンプポート120の1つ以上が変調されうる。例えば、ポンプポートのコンダクタンス(圧力)は、ポンプポート120A及び120B上の個々の圧力制御バルブ127A及び127Bを用いて変調されうる。また、ポンプポート120A及び120Bが、ガスを排出するために1つ以上のポンプ132に接続されていることも示されている。図示された例では、ポンプポート120Aの圧力制御バルブ127Aが閉位置にあり、その一方で、圧力制御バルブ127Bは、第1のガス流124Aを排出するために開位置に示されている。圧力制御バルブ127A及び127Bは、コンダクタンス又は圧力の2つの状態の間で滑らかに作動させることができ、その後、ガスインジェクタ118A及び118Bと同様の順序で循環される。1つの実施形態では、圧力制御バルブ127Aと127Bはスロットルバルブを含む。
【0029】
プラズマチャンバ100Aは、様々な種類のプロセスガスを注入しうる。例示的なプロセスガスは、以下のもの、即ち、i)C4F8、C4F6、C3F6、CH2F2、C3H2F4のうちの1つ以上を含む誘電体エッチングするガス、ii)CH4、C2H2のうちの1つ以上を含む堆積ガス、iii)Ar、N2、O2、He、Kr、Xe、COSのうちの1つ以上を含む、エッチング又は堆積のいずれかのための共流(co-flow)用の追加ガス、iv)SiCl4、SiCH2Cl2のうちの1つ以上を含む半導体材料エッチング堆積ガス、v)BH3、AlH3、GaH3、NH3のうちの1つ以上を含む水素化物系堆積ガス、vi)SiCl4、SiCH2Cl2、O2のうちの1つ以上を含む酸化物材料エッチング堆積ガス、及びvii)NH3、N2、Arのうちの1つ以上を含むアニーリングガスを含みうる。
【0030】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理チャンバ100Aは、ガス流、速度、圧力、温度などを含むモニタプロセスチャンバ条件を高感度かつリアルタイムでモニタするためのセンサ131及びシステムを更に含みうる。特定の実施形態は、セラミック基板、又はガラス基板若しくはシリコン基板若しくはフレキシブル基板などの基板上に、容量性壁センサ、オンチップ若しくはオフチップ熱センサ、圧力センサ、及び/又は統合センサ(容量性センサ及び熱センサ)を含みうる。いくつかの実施形態では、センサがチャンバ全体に分散され、チャンバ条件をさまざまな場所でモニタし、それをエッチング速度、エッチング不均一性、粒子発生、プロセスドリフト、圧力均一性などの全体的なプロセス性能に相関させることができる。1つの実施形態では、処理中のガス流(例えば、回転速度、均一性、速度)に関するデータを提供するために、複数の又はアレイの圧力センサがチャンバ全体に分布されうる。
【0031】
図1Bは更に、プラズマ処理チャンバ100Aがコントローラ140に接続され、このコントローラがユーザインターフェース142に接続されうることを示している。いくつかの実施形態では、コントローラは、プラズマ処理チャンバ100Aの動作を制御するために、ガス入り口バルブ122、圧力制御バルブ127、ガス源126、ポンプ132、及びセンサ131に接続されうる。ユーザは、ユーザインターフェース142からコントローラ140を通してプラズマ処理チャンバ100Aのプロセスパラメータ及びモニタ動作を設定しうる。
【0032】
プラズマ処理チャンバの多相アーキテクチャは、多くの異なる構成オプションを可能にする。例えば、
図1Cは、サイドツーサイド(side-to-side)のガス流を提供する1つ以上のペアのガスインジェクタ118とポンプポート120に加えて、トップダウン(top-down)のガス流を含む実施形態における、プラズマ処理チャンバ100Bの断面図を示す。この実施形態では、チャンバリッド104は、シャワーヘッドプレート128と共に構成されうる(
図1Bのコントローラ及びUIは、簡略化する目的で図示されていない)。シャワーヘッドプレート128は、ガスインジェクタ118A及び118Bによって分配されるガスと共に処理領域110内にガスを分配するための中央マニホールド129及び1つ以上の外側マニホールド130を有しうる。シャワーヘッドプレート128を使用すると、追加のガスが垂直の速度成分でチャンバ内に導入されうる。しかし、ガスインジェクタ118Aによる一方の側からのガスの注入と、ポンプポート120Bによるワークピース116の他方側へのポンプでの送り出しにより、概して、ワークピース116の大部分にわたるガス速度の水平方向構成要素が生じる。同様に、ポンプポート120は、側壁112上、又はチャンバの上面もしくは下面にありうるが、概して、注入側の向かい側にある。従って、垂直方向には排出ガスの速度成分が存在しうるが、ガス速度は、概して水平であり、ワークピース116の上方の領域ではワークピース116に平行である。
【0033】
図2A~2Cは、1つの実施形態による3相回転クロスフロー動作を有するプラズマリアクタのプラズマ処理チャンバを示す図である。
図2Aは、3相回転クロスフロープラズマ処理チャンバの斜視半透明図の概略図である。
図2Bは、別の実施形態による、3相回転クロスフロープラズマ処理チャンバの上面図の概略図である。
【0034】
図2Aを参照すると、3相回転クロスフロー動作を有するプラズマ処理チャンバ200Aは、チャンバ200がワークピース216を取り囲む側壁212を含むという点で、
図1A~1Cに関して示された実施形態に類似している。しかしながら、2つのガスインジェクタ218A及び218B並びに2つの反対側にあるポンプポート220A及び220Bに加えて、プラズマ処理チャンバ200は、ガス流をポンプで送り出すために側壁212の概ね反対側に位置するガスインジェクタ218C及び反対側のポンプポート220Cを更に含む。ガスインジェクタ218Aと反対側のポンプポート220Aが、1つのガスインジェクタ・ポンプポートペアを形成する。ガスインジェクタ218Bと反対側のポンプポート220Bが、第2のガスインジェクタ・ポンプポートペアを形成する。そして、ガスインジェクタ218Cと反対側のポンプポート220Cが、第3のガスインジェクタ・ポンプポートペアを形成する。(ガスインジェクタ218A~218Cは、まとめてガスインジェクタ218と称され、ポンプポート220A~220Cは、まとめてポンプポート220と称される)。
【0035】
この実施形態では、ガスインジェクタ218は各々、図示されたように、側壁212内の単一のベントとして構成される。1つの実施形態では、図示されたように、ガスインジェクタ218は、プラズマ処理チャンバ200の中心軸に関して対称に配置され、ポンプポート220は、プラズマ処理チャンバ200の中心軸に関して対称に配置される。3つのインジェクタ・ポンプポートペアを含む3相回転クロスフローの実施形態では、インジェクタ・ポンプポートペアは互いに120°(360°/3)だけオフセットされる。より具体的には、ガスインジェクタ218は互いから約120°のところに位置し、ポンプポート220は互いから120°のところに位置する。ポンプポート220は、間隔をあけて配置されたガスインジェクタ218の間で側方に配置されるとともに、ガスインジェクタ218から垂直にオフセットされている。
【0036】
図2Bは、ガスインジェクタアレイ218Dと称される個々のガスインジェクタのアレイを含むプラズマ処理チャンバ200Bの上面図を示す。ここで、個々のガスインジェクタは、側壁212の外周周囲に分散されている。また、ポンプポート120ごとに1つずつ、3つのガス入り口バルブ122A~122C、及び3つの圧力制御バルブ127A~127Cが示されている(
図1B参照)。ガスインジェクタアレイ218内のより小さい個々のガスインジェクタのセット(図示されるように、4つのインジェクタなど)は、ガス入り口バルブ122A~122Cのうちの単一のバルブによって変調されて、ワークピース216にわたって様々な方向のガス流を形成しうる。次いで、ガス流は、調節ガス入り口バルブ122A~122Cから概ね反対側の圧力制御バルブ127A~127Cの対応するバルブによって制御されるポンプポートの1つによって送り出される。この場合、実施形態では、ガスインジェクタのスパンは、対応するポンプポートのスパンよりも大きく、その結果、比較的狭いポンプポートにいくらか収束した流れ(例えば、流れ299)が生じる。
【0037】
図2Cは、プラズマ処理装置チャンバ200Bにより実行される3相回転クロスフロー動作のためのタイミング図を更に詳細に示している。タイミング図は、3つのガス入り口バルブ122(GV1、GV2、GV3)と、3つの圧力制御バルブ127(PV1、PV2、PV3)が存在することを想定している。X軸は時間を表し、Y軸は、i)底部の列で開いているガスバルブの割合、中央の列で閉じているポンプポートの割合、及び最上列でバラトロン(マノメータ)により測定されたチャンバ圧力を表す。
【0038】
コントローラは、プラズマ処理チャンバ200に接続され、ガス入り口バルブ122A~122C及び圧力制御バルブ127A~127Cを制御するように構成されうる。コントローラは、GV1を100%まで全開にし、GV2とGV3を例えば約2~5%で部分的に開くことにより第1の位相を開始する。第1の位相では、PV1は開放されるが、PV2とPV3は閉鎖され、チャンバ圧力は1mTと500mTとの間にある。
【0039】
GV1は第1の位相と第2の位相との間の移行部付近で閉じ始め、GV2を100%まで全開にすることでガス流の方向を回転させ、第2の位相を開始する。GV1とGV3は、約2~5%で部分的に開いている。第2の位相の間、コントローラは、PV2を開き、PV1とPV3を閉じたままにする。チャンバ圧力は、いくつかの実施形態では、1mTと500mTとの間、他の実施形態では、10mTと200mTとの間に維持しうる。
【0040】
第2の位相と第3の位相との間の移行部付近で、GV2がランプダウンされ、GV3を100%に開くことによってガス流の方向が回転され、第3の位相が開始される。GV1とGV2は、約2~5%で部分的に開いている。第3の位相の間、コントローラは、PV3を開き、PV1とPV2を閉じたままにする。これで3相サイクルが完了し、必要に応じて繰り返えされうる。図示したように、3つのガス流位相において、比較的一定のチャンバ圧力が保持される。1つの実施形態では、GV1、GV2、GV3を順次開閉することで、ウエハの回転を模倣しうる回転ガス流が効果的に作り出される。1つの実施形態では、ガス流の単一の全回転は、およそ100ミリ秒から10秒の範囲の速度で実行される。
【0041】
ガス流の位相とサイクルとの間には、様々な変化が生じうる。つまり、プラズマ処理チャンバの動作を制御する各パラメータは、位相やサイクルにわたって変化しうる。例えば、全サイクルを完了する時間は、様々なサイクルにわたって同じであっても異なっていてもよい。ある位相を完了する時間は、1サイクルの中で同じであっても異なっていてもよく、様々なサイクルにわたって同じであっても異なっていてもよい。ガス流の回転方向(例えば、時計回り、反時計回り)は、サイクルの位相内で同じであっても異なっていてもよく、非連続的であってもよく、サイクルにわたって同じであっても異なっていてもよい。ガス流の速度は、サイクルの位相内で同じであっても異なっていてもよく、サイクルにわたって同じであっても異なっていてもよい。ガスバルブの開放率(%)、及びガスバルブが開放されている時間は、サイクルの位相内で同じであっても異なっていてもよく、又はサイクル全体にわたって同じであっても異なっていてもよい。圧力制御バルブの開放率(%)、及び圧力制御バルブが開放されている時間は、サイクルの位相内で同じであっても異なっていてもよく、又はサイクル全体にわたって同じであっても異なっていてもよい。例えば、実施形態では、回転はプロセスの第1の部分に対してある速度で実行され、次にプロセスの第2の部分に対して第2の速度まで減速される。実施形態では、回転はプロセスの第1の部分に対してある速度で実行され、その後プロセスの第2の部分に対して第2の速度まで加速される。実施形態では、回転は、単一の回転サイクルの第1の部分では速く、回転の第2の部分では遅くなる。実施形態では、単一の回転サイクルの第1の部分では回転が遅く、回転の第2の部分では加速される。単一のサイクル内又はサイクル間で回転速度を変えることによって、プロセスの不均一性が補償されうる。他の実施形態では、方向は、サイクル内、サイクル間、又はサイクルのセット間で、時計回りと反時計回りの間で変更される。同様に、実施形態では、第1の位相と、第2の位相と、第3の位相との間のガス流量は、サイクル内、サイクル間、又はサイクルのセット間で変更されうる。
【0042】
図2Dは、チャンバリッド104の上部の斜視図を示し、その上方にガス供給システムが示されている。1つの実施形態では、ガス供給システム225は、ガス入り口バルブ122のアレイを含み、ガス入り口バルブ122の各々は、チャンバリッド104の外周周囲の上方に位置し、対称的に配置される。図示された実施形態では、ガス供給システム225は、6つのガス入り口バルブ122を含むが、具体的な数は、例えば、2つ以上など、変化しうる。ガス入り口バルブ122の各々の上側は、スポーク及びハブ形成に配置されたガスラインアセンブリ250に接続されうる。ここで、ハブは、
図1B及び
図1Cに示されるガス源126に接続される。ガス入り口バルブ122の底側は、再帰的ガスライン252のそれぞれのセットに接続されうる。再帰的ガスライン252の各セットは、1つ以上のガスインジェクタ118に接続されうる。図示された特定の実施形態では、各々のガスインジェクタ118に接続された4つの入り口を備えた6セットの再帰的ガスライン252があり、合計24の入り口がある。
【0043】
実施形態において、ガス入り口バルブ122は、ガスの点灯若しくはアーク放電につながる又はRF整合制御の追従を困難にする過度の圧力スパイクを伴わずに、高速応答を許容するアナログ可変コンダクタンス高速ガスバルブを含みうる。ガス入り口バルブの特定の例は、市販のSwagelok eDEバルブ及びFujikin Piezoバルブを含む。Swagelok eDEバルブの開閉時間は15~20ミリ秒でありうる。また、大気/真空の密閉に良好であり、寿命は4000万サイクルである。Fujikin Piezoバルブは比例流を有し、開閉時間は10ミリ秒であり、使用によっては4000万サイクルをはるかに超える寿命を有しうる。どちらも上流圧力400Tで最大2.5slmのガス流を供給しうる。
【0044】
図2Eはプラズマチャンバの斜視断面図を示す。この図は、再帰的ガスライン252とガスインジェクタ118との間の接続を示している。また、1つの実施形態では、側壁112が、外側側壁112Aと内側側壁112B(又はライナ)とを含み、ガスインジェクタが、外側側壁112Aと内側側壁112Bとの間の空間内に形成され、ガスが、内側側壁112Bの開口部を通って再帰的ガスライン252から注入されることが示されている。
【0045】
図2F~2Hは、ポンプポート120が形成される真空チャンバの斜視図と断面図である。実施形態では、真空チャンバ275は、ポンプ132(
図1B及び
図1C)によって制御される動的真空下にある。1つの実施形態では、真空圧は1mTから500mTの範囲にありうる。1つの実施形態では、チャンバ床106は、上部チャンバ床106Aと下部チャンバ床106Bとを含む。ポンプポート120は、上部チャンバ床106Aと下部チャンバ床106Bとの間の真空チャンバ275内の空洞内に形成される。ポンプポート120はまた、支持ペデスタル108を中心に対称に配置される。
【0046】
アクチュエータ277は、各ポンプポート120を制御するために圧力制御バルブ127に接続される。
図2Hは、ポンプポート120が、各ポンプポート120の空洞内で対応する圧力制御バルブ229を昇降させるアクチュエータ277の1つによって開閉されることを示している。
図2Fが、1つの実施形態において、圧力制御バルブ229が、関連するポートを密閉するための単一の一体型本体を含みうることを示す一方で、
図2Gは、別の実施形態において、圧力制御バルブ229が、対応するアクチュエータ277によって各々が制御される、1つ以上の隣接するセクション(この場合2つ)に分割されうることを示す。実施形態では、
図2Hを参照すると、左側の圧力制御バルブ127は下向き(開)であり、右側の圧力制御バルブ127は上向き(閉)である。
図2F及び
図2Gでは、すべての圧力制御バルブが閉位置にあることが示されている。
【0047】
図2I~
図2Kは、1つの実施形態による3相回転クロスフローを有する例示的な誘導結合プラズマ(ICP)チャンバの斜視半透明図を示す図である。
図2Iに示すように、ICPプラズマチャンバ280は、チャンバリッド(図示せず)に隣接する平面のマルチスパイラルコイルの形態の電極282を含む。電極282は、RF駆動されるポスト286を含み、最大半径に沿って3つの接地端284を含みうる。
図2Jは、チャンバリッドの外周周囲に対称的に配置されたガスインジェクタ288を示す。1つの実施形態では、ガスインジェクタ288は、その間に60°幅の空間を有する60°幅の入り口を含みうる。
図2Kは、チャンバ底部の外周周囲に対称的に配置されたポンプポート290を示し、各ポンプポートは、ガスインジェクタ288の1つの180°正反対側に位置する。
【0048】
図3A~
図3Fは、1つの実施形態による4相回転クロスフロー動作を有するプラズマ処理チャンバの上面図を示す図である。
図3Aは、4つの側壁312を有する正方形の形状を有しうるプラズマ処理チャンバ300を示す図である。4つの側壁312の各々は、4つのガスインジェクタアレイ318A~318Dのうちの1つと、4つの反対側にあるポンプポート320A~320Dのうちの1つを含む。
【0049】
図3Bは、4相回転クロスフロー動作を説明する図である。4相サイクルで、4つの側壁312の各々からガスが注入され、反対側からポンプで送り出される。各ポンプポート320A~320Dのコンダクタンスは、高速の個別スロットルバルブで変調できる。第1の位相は左から右への第1のガス流を示す。フェイズ2は、上部から底部への第2のガス流までの時計回りの回転を示す。位相3は、右から左への第3のガス流までの時計回りの回転を示す。そして位相4は、底部から上部への第4のガス流までの時計回りの回転を示す。1つの実施形態では、各位相は用途に応じて約0.5秒から2秒続くことがある。
【0050】
図3C及び
図3Dは、開示された実施形態の更なる態様による、反対側にあるサイドポートポンピングによる意図的に不均一な中心及びエッジガス注入を伴う4相回転クロスフロー動作を示す図である。この実施形態では、ガスインジェクタアレイ318A~318Dの各々における個々のガスインジェクタは、オン/オフに切り替えられうるか、又はガス入り口バルブ122によって制御される変調された流量を有しうる。
図3Cは、中心からエッジへのガス流の4相の例を示す。ここで、各相において、ガスインジェクタアレイ318A~318Dの各々の個々のガスインジェクタの中心のガスインジェクタから注入されるガス流は、ガスインジェクタアレイ318A~318Dのエッジのガスインジェクタに対してより大きな流量を有している。
図3Dは、エッジから中心へのガス流の4相の例を示している。ガスインジェクタアレイ318A~318Dの各々における個々のガスインジェクタのエッジのガスインジェクタから注入されるガス流は、ガスインジェクタアレイ318A~318Dにおける中心のガスインジェクタに対してより大きな流量を有している。開示された実施形態のこのような不均一な中心及びエッジガス注入は、ワークピースプロセスの均一性を制御するために、意図的に変更され、経時的に制御されうる。1つの実施形態では、1サイクル中、サイクル間、又はサイクルのセット間で、ガスインジェクタの1つ以上の相対的な中心の流れとエッジの流れが変更される。
【0051】
図3Eは、多相(例えば4相)回転クロスフロー動作のうちの1相を示す図であり、ガス流の少なくとも一部は、ワークピースにわたった100%のクロスフローではなく、ワークピースの側面に迂回される。この極端なケースでは、反対側のポンプポートは閉じられ、その一方で、サイドポンプポートは開いており、ワークピースの中心にわたってガス流と速度を最小にする。このプロセスは、均一性を制御するために使用されうる。実施形態では、
図3Eに示すこのような迂回ガス流は、プロセスの全体、又はサイクルの一部のみ、又はプロセススキームにおけるサイクルの1セット又はより小さいセットに使用される。実施形態では、迂回されたガス流は、チャンバの周囲で1サイクル又は何サイクルも回転される。
【0052】
図3Fは、多相サイクルのうちの1相の図であり、ガス流は、より小さな幅のポンプポイントを使用してワークピースにわたって方向付けられる。
図3Cのように、各ガスインジェクタアレイの個々のガスインジェクタの中心のガスインジェクタからのガス流は、ガスインジェクタアレイのエッジのガスインジェクタに対して流量が大きく、反対側のポンプポートは開いており、その一方で、他のポートは閉じている。更なる実施形態では、上記実施形態と比較して幅の小さいポンプポートにより、ガス流が、ワークピースの中心領域にわたることになる。この実施形態では、典型的な300mmウエハチャンバの場合、より小さいポンプポートは、幅3.5インチ×(1/複数)×(14インチ)の長さの中心ライン半径方向のアーク長の寸法を有しうる。その一方で、より大きい単一ポンプポートは、幅3.5インチ×長さ14インチの長さの中心ライン半径方向のアーク長の寸法を有しうる。概して、ポンプポートは、プロセス用途のフローコンダクタンスに適した寸法又はサイズを有するべきであり、その一方で、チャンバのガス入り口側からポンプポート側まで、ウエハ上の均一な「クロスフロー」を促進するのに十分な狭いポート幅の開口部を有するべきである。
【0053】
エッチング速度均一性調整のための多相回転クロスフロー
回転変調クロスフローを使用すると、チャンバの外周境界からプロセス均一性の制御が可能になりうる。この調整能力により、形状寸法の不連続性(つまり、ガス注入孔)を導入することなく、外周境界において及び高密度プラズマ領域の外側でのガス注入及び/又はポンピングを制御入力として使用して、露出したプラズマに面する表面、すなわち、ガス孔又はガスノズルを備えた電極/シャワーヘッド、のエッチング、磨耗、又はコーティングによるドリフトや時間の経過による変化を最小限に抑えつつ、均一なプラズマの形成が可能になる。
【0054】
開示された実施形態のエッチング速度均一性の調整は、2つの態様を含む。
図3Gに示すように、エッチング速度の均一性を調整する第1の態様は、ワークピースにわたってガス流注入角度を変化させることを含む。
【0055】
エッチング速度の均一性調整の第2の態様は、単独で又は第1の態様と組み合わせて使用することができ、プロセス混合ガスと独立したガス注入(IGI)混合物とをワークピースにわたって同時に注入することを含み、IGI混合物は、
図3H~
図3Kに示すように、より速いエッチング速度を有するワークピースのエリアを増加又は減少させるガスカーテンとして使用される。
【0056】
図3Gを参照すると、ワークピースにわたってガス流注入角度を変化させるエッチング速度均一性調整の第1の態様による4相回転クロスフローが示されている。この例では、側壁が円筒形であり、明瞭にするためにポンプポートが示されていないことを除いて、
図3Aに示される実施形態と同様に、プラズマ処理チャンバは、ワークピース316を取り囲む側壁の外周周囲に分散された個々のガスインジェクタを含む1つ以上のガスインジェクタアレイ318を含む。図示された例では、3つのガスインジェクタアレイ318が示されている。位相1では、ガス流324は、1セットの矢印で示すように、ワークピース316に向かって上部から注入され、ワークピース316から離れる方に向かう別の1セットの矢印で示すように、反対側からポンプで送り出される。
【0057】
この実施形態では、ガスインジェクタアレイ318の各々における個々のガスインジェクタは、オン/オフ切り替えられうるか、又はガス入り口バルブ122(
図2B)によって制御されるは変調された流量を有し、ワークピース316にわたってガス流注入角度を変更する。コントローラ140(
図1B)は、ガス流324を注入するために使用される隣接する個々のガスインジェクタの数を変更することによって、ガス流注入角度を位相ごとに変更するように構成されうる。ガス流注入の前、間、又は後に、コントローラ140は、隣接する個々のガスインジェクタの広いセット又は隣接する個々のガスインジェクタの狭いセットの間での選択が可能である。隣接する個々のガスインジェクタの広いセット(すなわち、インジェクタの数が多いセット)を選択すると、ガス流の注入角度が大きくなる。隣接する個々のガスインジェクタの狭いセット(すなわち、インジェクタの数が少ないセット)を選択すると、ガス流注入角度が小さくなる。更に、隣接するガスインジェクタのセットは、図示されるように、単一のガスインジェクタアレイ318からの個々のガスインジェクタ、又は隣接するガスインジェクタアレイ318からの個々のガスインジェクタを含みうる。
【0058】
図3Gの例では、ガス流316の注入角度は、ある位相から次の位相へと減少している。第1の位相でのガス流注入角度は、比較的広く、例えば約116°である。第2の位相でのガス流注入角度は、約79°まで減少する。第3の位相でのガス流注入角度は、約42°まで減少する。そして、第4の位相のガス流の注入角度は、6°という比較的狭い注入角度まで減少する。
【0059】
ある相から次の相へとガス流の注入角度を増減させることで、異なる流量を有する相が提供でき、ワークピース上のエッチング速度の均一性が変化する。開示された実施形態のこのような不均一なガス流注入角度は、ワークピースプロセスの均一性を制御するために、意図的に変更され、経時的に制御されうる。一例として、ガス流注入角度を小さくすることで、エッチング速度の均一性を高めうる。1つの実施形態では、1つの位相又はサイクルの間、位相又はサイクルの間、又はサイクルのセットの間で、ガスインジェクタの1つ以上のガス流注入角度が変更されうる。
【0060】
図3H~
図3Kを参照すると、エッチング速度均一性調整の第2の態様に従って、プロセス混合ガスと独立したガス注入(IGI)混合物との両方が注入される多相サイクルのうちの1相を示す図が示されている。
図3Gに示される実施形態と同様に、プラズマ処理チャンバは、ワークピース316を取り囲む側壁の外周周囲に分散された個々のガスインジェクタを含む1つ以上のガスインジェクタアレイ318を含む。コントローラ140(
図1Bに示される)は、エッチング適用中にプラズマ処理チャンバを制御するように構成されうる。ここで、ワークピース316上の材料のエッチング速度均一性及び限界寸法均一性(CDU)は、ワークピース316の表面に概ね平行な方向に、かつワークピース316の表面にわたって、1つ以上のガス流を注入するために、ガスインジェクタアレイ318を使用することによって、調整又は制御される。
【0061】
各クロスフロー相は、エッチャントガスなどのプロセス混合ガス324A又は324Bと、IGI混合物326A又は326Bとを含むガス流を注入しうる。開示された実施形態によれば、IGI混合物326Aは、プロセス混合ガス324Aに対する希釈ブースターとして作用するガスカーテンとして使用され、IGI混合物326Bは、プロセス混合ガス324Bに対するエッチャント濃度比ブースターとして作用するガスカーテンとして使用される。
【0062】
図3H及び
図3Iは、最も速いエッチング速度を有するワークピース316上のエリアを低減するために、プロセス混合ガス324に対する希釈ブースターとして作用するガスカーテンとしてのIGI混合物326Aの使用を示す。
図3Hは、動作中、プロセス混合ガス324Aを含む第1のガス流が、個々のガスインジェクタのサブセットからワークピース316にわたって注入され、反対側からポンプで送り出されることを示している。同時に、IGI混合物326Aを含む第2のガス流が、残りの個々のガスインジェクタの少なくとも一部からワークピース316にわたって注入される。一例では、第1のガス流又はプロセス混合ガス324Aは、ベースラインガスを含み、第2のガス流又はIGI混合物326Aはクリプトン(Kr)ガスカーテンを含みうる。プロセス混合ガス324Aを注入するために使用されない個々のガスインジェクタのすべて又はほんの一部が、IGI混合物326Aを注入するために使用されうる。また、代替的な実施形態では、プロセス混合ガスとIGI混合物は、同時にではなく、重なる時間に注入されてもよい。
【0063】
図3Iは、プロセス混合ガス324Aがエッチャントガスを含む場合に、プロセス混合ガス324Aがワークピース316の一部のみの上に集中するため、ワークピース316のエッチング速度が異なることを示している。最も速いエッチング速度が、ガス流源に隣接するワークピース316のエッジに沿ったエリア328Aで発生する一方で、最も低いエッチング速度は、IGI混合物326Aによって覆われたワークピース316の残りのエッジエリアに沿ったエリア330Aで発生する。IGI混合物326Bはプロセス混合ガス324Aを希釈するので、希釈されたエッチャントは、最も速いエッチング速度を有するワークピースのエリア328Aを減少させる。したがって、ワークピース316の半径方向の均一性は、エッジスロープロファイルになる。IGI混合物326Bを注入し、IGI混合物326Bの希釈効果を増加又は減少させるために使用されるガスインジェクタの数を変更することによって、より速いエッチング速度のエリア328Aが、それぞれ更に減少又は増加されうる。
【0064】
図3Jは、最も速いエッチング速度を有するワークピースのエリアを増加させるために、プロセス混合ガス324Bのエッチャント濃度ブースターとして作用するガスカーテンとしてIGI混合物326Bを使用することを示している。動作中、プロセス混合ガス324Bを含む第1のガス流は、個々のガスインジェクタのサブセットからワークピース316にわたって注入され、反対側からポンプで送り出される。同時に、IGI混合物326Bを含む第2のガス流が、個々のガスインジェクタの残りのものからワークピース316にわたって注入される。個々のガスインジェクタの残りのすべて又は一部のみが、IGI混合物326Bを注入するために使用されうる。一例として、第1のガス流又はプロセス混合ガス324Bがベースラインガスを含みうる一方で、第2のガス流又はIGI混合ガス326Bは、C
3F
6/O
2ガスカーテンを含みうる。
【0065】
図3Kは、最も速いエッチング速度328Bが、ガス流源に隣接するワークピース316のエッジに沿ったエリア328Bで生じる一方で、最も低いエッチング速度が、IGI混合物326Bによって覆われたワークピース316の残りのエッジに沿ったエリア330Bで生じることを示している。IGI混合物326Bはプロセス混合ガス324Bを濃縮するので、追加のエッチャントは、最も速いエッチング速度を有するワークピース316のエリア328Bを増加させる。こうして、半径方向の均一性がエッジの高速プロファイルとなる。
【0066】
図3H~
図3Kは、第1のガス流又はプロセス混合ガス324A若しくは324Bのガス流注入角度及び/又は第2のガス流又はIGI混合ガス330A及び330Bのガス流注入角度を変化させることによって(例えば、使用するガスインジェクタの数を変化させることによって)、最も速いエッチング速度のエリアをそれぞれ増加又は減少させるために、エッチャント濃度が増加又は減少されうる。
図3H~3Kは、プロセス混合ガスとIGI混合物が回転せずに1相の間に注入されることを示している。
【0067】
図3Lは、ワークピース上の半径方向のエッチング速度の均一性を達成するために、複数のガス流位相又は回転の結果を示す図である。複数のガス流位相又は回転(例えば、3回の120°回転を)の間にプロセス混合ガスとIGI混合物の同時注入を繰り返すことにより、より速いエッチング速度とより遅いエッチング速度との間の差は、図示するように、ワークピース上の半径方向のエッチング速度の均一性を達成しうる。
【0068】
実施形態において、プロセス混合ガス324A及び324Bは、エッチャントガス又は堆積ガスを含みうる。エッチャントガスの例は、CXFY(C3F6、C4F6、C4F8、C5F8など)、CXHYFZ(CHF3、CH2F2、C3H2F4など)、フッ素リッチガス(NF3、SF6など)、CXHY(CH4、C2H2など)を含みうる。
【0069】
プロセス混合ガス324A及び324B又はIGI混合物326A及び326Bは、希釈剤、不活性ガス又は洗浄ガスを含みうる。希釈ガスの例は、He、Ne、Ar、Kr、Rn、N、及びXeを含みうる。洗浄ガスの例は、OX、N2、SFx、NFxなどを含みうる。プラズマエッチングの技術分野でよく知られているように、概して、炭素対フッ素比率及び水素対フッ素比率が高いほど、表面の堆積確率が増加し、比率が低いほど、表面のエッチング確率が増加する傾向にある。すなわち、炭素対フッ素比率が高い(例えば1/1)、又は水素/フッ素比が高い(例えば3/1)ガス(CH3Fなど)は、概して、より堆積ガスとして作用し、その一方で、炭素対フッ素比が低い(例えば1/3)、又は水素/フッ素比が低い(例えば1/3)ガス(CHF3など)は、よりエッチングガスとして作用する。誘電体エッチング/堆積ガスは、プラズマ(存在する他のガスとそれらの濃度、バルクプラズマ中の電子密度と電子エネルギー分布、表面におけるイオンエネルギー分布)及び表面条件(温度と材料組成)に応じて、エッチャントガス又は堆積(重合)ガスとして作用することができる。
【0070】
開示された実施形態のこれらの態様の利点は、以下を含む。(1)クロスフローガス流は、シャワーヘッドを使用する場合よりも、ワークピースのエッジに沿って少なくとも2倍、中心部では最大5倍速い水平流速を有している。(2)クロスフロー設計は、ワークピース上のあらゆる場所で、いつでも1を上回るペクレ数を維持することができる。即ち、移流輸送によりプラズマ下での再解離を最小限に抑えることができる。(3)クロスフロー動作では、フッ化炭素とエッチング副生成物の全体的な密度がより均一であるため、プラズマ(シース)の均一性が向上する。
【0071】
図4A~4Cは、60°ごとに時間でプロットした3相回転クロスフローにおける回転ガス流の上面図を示す図である。矢印は速度の大きさを示すベクトル、等高線は圧力勾配を表す。0°、60°、120°、180°、240°、300°におけるガス流のスナップショットが示される。
図4Cのグラフは、ガスインジェクタとポンプポートの圧力が経時的に、3相にわたって比較的一定であることを示している。
図4A~4Cに示した例示的な工程は、プロセスの均一性を最大化するために、繰り返しサイクルにわたって、個別に又はより高い可能性では組み合わせて使用されうる。
【0072】
反応性イオンエッチング
例示的な応用として、プラズマ処理チャンバは、半導体製造の間、精密な反応性イオンエッチングを実行するために使用されうる。
【0073】
図5は、1つの実施形態による回転ガスクロスフローを有するプラズマ処理チャンバによって処理された積層メモリデバイスを含むウエハの一部の断面図を示す。1つの実施形態では、製造中の積層メモリデバイスの中間構造が示される。1つの実施形態では、中間構造400は3D-NAND構造を備え、基板402、基板402上の交互層スタック404、交互層スタック404上の層間誘電体(ILD)層406、及びILD層406上のマスク層408を含む。交互層スタック404は、交互配置された絶縁体層404A及び404B(例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素など)を含みうる。ILD層406の例は、スピンオングラス、SOC、アモルファスカーボン(a-C)、アモルファスシリコン(a-Si)、金属ハードマスク(W、WBCなど)、及びSiONを含みうる。
【0074】
マスク層408は、集積回路のパターンを定義し、後続のパターニングステップにおけるウエハからの材料の堆積又は除去をガイドするパターンを有しうる。この例では、反応性イオンエッチングがプラズマ処理チャンバによって実行され、マスク層408内の開口部の一部の間の材料を除去して、ILD層406及び交互層スタック404を通って基板402に至る開口部410を形成する。ここで、開口部410と金属層404Aとの交差部が、最終的にメモリセルを形成しうる。プラズマ処理チャンバ(上述された)により注入されたガス流は、エッチング深さの均一性と、開口部410のアスペクト比(深さ対幅)の均一性との両方を制御するようにカスタマイズすることができる。1つの実施形態では、1つ以上の開口部410は、ILD層406を通る第1のアスペクト比と、交互層スタック404を通る第2のアスペクト比とを有するようにエッチングされうる。実施形態において、開口部410の1つ以上は、図示されるように、交互層スタック404を通って、ボーイング(bowing)と称される、変化するアスペクト比を有しうる。1つの実施形態では、開口部410は、8-1、9-1又は10-1を超える高いアスペクト比を有するようにエッチングされうる。実施形態では、1つ以上の開口部410はまた、変化するエッチング深さを有しうる。
【0075】
実施形態において、3D-NANDイオンエッチング用途は、上述のピラーエッチング、スリットエッチング、周囲コンタクトエッチング(peri contact etch)、階段コンタクトエッチング(staircase contact etch)、セルコンタクト-1エッチング(cell contact-1 etch)、及びセルコンタクト-1エッチング(cell contact-1 etch)を含みうる。実施形態では、アスペクト比、エッチング深さ、及びボーイング特性は、以下に説明するように、機械学習モデルによってモニタされるパラメータでありうる。
【0076】
多相回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバを制御するための機械学習(ML)モデルの使用
ワークピース(例えば、ウエハ)上に所望の結果をもたらすように上述のプラズマ処理チャンバを構成するには、個別に制御可能な多くの異なる処理パラメータ(すなわち、ノブ)の複雑な組み合わせを含むプロセスレシピが必要である。実施例は、ガス流混合物、ガス圧力(ミリトル)、ガス流ランプ開放時間(ミリ秒)、ガス流時間(ミリ秒)、ガス流ランプ閉鎖時間(ミリ秒)などを含む。
【0077】
大量生産(HVM)のプロセスレシピを開発するために、プロセスエンジニアは自身の経験と専門知識を頼りに、ウエハ上で望ましい結果の大まかな近似値を提供しうるベースラインレシピを特定する。次いで、ノブがどのように相互作用するかを特定するために、1セットのウエハ(又はクーポン)の処理に依存する実験計画(DoE)が、ベースラインレシピを中心に生成される。ベースラインレシピを更に改良するために、DoEの結果がプロセスエンジニアによって解釈されうる。また、ウエハ上の所望の結果に収束させるために、追加のDoEが実行されることもある。このような反復的なプロセスには、時間とリソースを要する。
【0078】
更に、最終的な処理レシピが開発されると、異なるウエハに対してプロセスを何度も繰り返す間にチャンバドリフトが発生し、ウエハ上の結果が変化する可能性がある。チャンバドリフトは、チャンバの消耗部分の侵食、構成要素(センサ、ランプなど)の劣化、表面への副生成物膜の堆積などの結果でありうる。従って、大規模なレシピ開発プロセスの後にさえ、更なる調整が必要となる。
【0079】
その結果、レシピ開発とチャンバのベースライン化には時間とリソースを要する。特に、所与のプロセスを調整し最適化するために利用可能なプロセス空間は非常に大きく、任意の合理的な時間枠内でプロセス空間全体を経験的に探索することは事実上不可能である。更に、処理パラメータ間の相互作用と、それらがプロセスの性能に与える影響のため、一度に1つの処理パラメータを手動でスキャンすることによって、複数の処理パラメータの同時変化の複合効果を予測することは極めて困難である。
【0080】
開示された実施形態の第2の態様は、多相回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバを制御するために1つ以上の機械学習(ML)モデルを利用する半導体製造ツールを備える。MLモデルは、プロセスレシピの開発、及び/又はデバイス若しくはワークピースの処理に使用されうる。MLモデルは、入力された処理パラメータをデバイスの出力に結合しうる。
【0081】
実施形態では、処理を制御する方法は、ガス流の回転のタイミングを制御するためにMLモデルに問い合わせることを含む。実施形態では、半導体製造プロセスレシピを開発するための方法は、1つ以上のデバイス結果を選択することと、多相回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバによって処理されるときにデバイス結果を取得するのに適したプロセスレシピの推奨を取得するためにMLモデルに問い合わせることとを含む。これは、フィードフォワードプロセス調整と称されうる。実施形態において、本方法は、MLモデルによって推奨されるプロセスレシピを検証するために、ウエハのセットに対して実験計画(DoE)を実行することを更に含みうる。DoEの測定値は、フィードバックプロセス調整のために、取得され、将来のウエハ用のプロセスレシピを変更するために使用されうる。
【0082】
更に、MLモデルは、チャンバ内でのウエハ処理中にツール上の性能が利用可能になると更新され、その後、プロセス推奨事項を更新し、又は積極的にレシピを変更しうる。これは「オンザフライ(on the fly)」又はリアルタイムのプロセス調整と称されうる。
【0083】
レシピの変更は、例えば、ウエハの上部をエッチングするときはガス流の回転周波数を上げ、下部に達する際には回転周波数を下げる、又はその逆など、ステップ内でのレシピの修正を含みうる。別の例は、
図5の積層メモリデバイスの処理時にエッチングの深さをガス流回転の最初と最後でわずかに異ならせるなど、更新された機械学習モデルが単一の回転の範囲内で入力パラメータを修正することである。更新されたMLモデルは、チャンバドリフトの正確な追跡を提供可能にし、物理的なウエハの大規模なDoEを用いることなく、又はプロセスエンジニアの経験と知識だけに頼らずに、プロセスレシピの修正を可能にする。
【0084】
したがって、本明細書で開示する実施形態は、大規模な実験計画(DoE)において物理的ウエハを処理する必要なく、プロセス空間全体に問い合わせを行うためにMLモデルの使用を活用する。したがって、レシピ開発に費やす時間とリソースを大幅に削減することができる。
【0085】
MLモデルは、統計モデルと物理的モデルの組み合わせから生成されたプロセス空間のモデルでありうる。本明細書で使用される際に、「プロセス空間」とは、処理パラメータをウエハ上の1つ以上のデバイス結果にマッピングする多次元プロセス空間を指す場合がある。処理パラメータは、ノブと呼ばれることもあり、プロセスを制御するために制御されうる変数である。例えば、ノブ又は処理パラメータは、温度、RFソース電力、バイアス電力、ガス圧力(ミリトル)、ガス流ランプ開放時間(ミリ秒)、ガス流時間(ミリ秒)、ガス流ランプ閉鎖時間(ミリ秒)、様々なガスインジェクタでのガス流量(gas flow fraction)、様々なインジェクタでのガス組成、様々なインジェクタに向かうガス流量、ガス流回転周波数、ガス流組成周波数、ガス流速/速度(圧力勾配)、ガス流方向、ガス回転位相、電子/プラズマ密度、プラズマ密度勾配、電子温度、イオン電流密度、プラズマ電位、シース電界、電位、シース電界傾斜角、シース電界z成分、質量分率、フラックス、ワークピースへのイオン電流密度の任意の組み合わせを含みうるが、これらに限定されない。
【0086】
デバイスの結果は、処理後のウエハ上のフィーチャの測定可能な特性を指す場合がある。例えば、選択されたデバイスの結果は、フィーチャプロファイル、層の厚さ、厚さの均一性、層の材料組成、組成の均一性、多孔性、膜応力、設備内のチャンバにわたったプロセスの均一性(例えば、チャンバ整合)、ウエハ間の均一性、異なるウエハロット間の均一性などの任意の組み合わせを含みうる。エッチングプロセスの間、選択されたデバイスの結果は、更に、エッチング速度、エッチング又は均一性の中心対エッジ(etch or uniformity center-to-edge)、エッチング速度の均一性方位角(azimuthal)、エッチングフィーチャの均一性(概して、上部対底部の限界寸法(CD)によって記述される)、傾斜、弓形、及びマスクの残りなどの任意の組み合わせを含みうる。つまり、デバイスの結果は、単一ウエハ上の結果に限定されない。プロセス空間の各ポイントは、処理パラメータ値のセットと、処理パラメータのセットによって生成されるデバイスの1つ以上の結果の表示でありうる。
【0087】
実施形態では、MLモデルの統計モデルは、プロセス空間の一部を追加する(populate)ために、実際のウエハのDoEを使用して構築されうる。次に、プロセス空間の残りの部分を外挿するために、アルゴリズムが使用されうる。物理的モデルは、処理チャンバ内で発生する現実世界の物理的及び化学的相互作用に基づいている。物理的モデルを生成するために、様々な処理パラメータの範囲にわたる処理チャンバ内の物理的及び化学的相互作用のシミュレーションが使用されうる。実施形態では、MLモデルを提供するために、物理的モデルが統計モデルと統合される。例えば、物理的モデルは、統計モデルのあらゆる間隙を充填するため、及び/又は、外挿されたデータ点を検証するために使用されうる。
【0088】
次に
図6を参照すると、実施形態による、MLモデルを利用した処理ツール600のブロック図が示されている。処理ツール600は、上述のプラズマ処理チャンバに対応するツールハードウェア640、機械学習モデルサーバ620、フロントエンドサーバ660、及び制御サーバ650を含む。
【0089】
実施形態では、MLモデルサーバ620は、統計モデル625と物理的モデル627を含みうる。統計モデル625及び物理的モデル627は、統計モデル625及び物理的モデル627を構築及び/又は更新するために使用される入力データ(例えば、センサデータ、モデルデータ、計測学データなど)を格納するためのデータベース630に通信可能に接続されうる。
【0090】
実施形態では、統計モデル625は物理的DoEから生成され、補間を使用して拡張プロセス空間モデルを提供しうる。処理される物理的なウエハは、処理パラメータを特定のデバイス結果にマッピングするために使用されうる。物理的DoEはまた、異なる処理パラメータ間の相互作用を特定するために使用されてもよい。物理的なウエハのためのデータ(計測学データ、センサデータ、プロセスパラメータデータなど)が提供された後に、プロセス空間の間隙を充填するために補間が使用される。実施形態では、計測学データなどのデータは、データリンク(例えば、有線又は無線のデータリンク)によってMLモデルサーバ620と通信可能に接続される外部ツールを使用して、取得されうる。アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、ディープラーニング、又は回帰分析のために使用される他の既知の技法(例えば、線形、部分最小二乗、ガウス、多項式、回帰用の畳み込みニューラルネットワーク、回帰ツリーなど)を含みうるが、これらに限定されない。
【0091】
実施形態では、統計モデル625は、処理ツールと併用するために販売又はライセンス供与されるモジュールとして提供されうる。すなわち、統計モデル625用の物理的DoEは、処理ツールの製造者によって実行されうる。他の実施形態では、統計モデル625は、現場で物理的DoEを実行することによって生成されうる。更に別の実施形態では、一般的な統計モデル625がツール製造業者から提供され、その後の物理的DoEが現場で実行され、調査対象の特定の処理ツールをより忠実にモデル化するために統計モデル625の較正を提供しうる。
【0092】
実施形態では、物理的モデル627は、現実世界の物理学と化学の関係を用いて生成されうる。例えば、物理的モデルを構築するために、処理チャンバ内の様々な相互作用に関する物理・化学方程式が使用されうる。物理的モデル627はまた、物理的モデル627の精度を高めるために、チャンバ形状寸法又は他のチャンバ構成を利用しうる。物理的モデル627は、複数の異なる処理パラメータにわたる処理ツール内の物理的及び化学的相互作用のシミュレーションの結果でありうる。物理的モデル627は、処理ツールと併用するために販売又はライセンス供与されるモジュールでありうる。
【0093】
実施形態では、物理的モデル627と統計モデル625は、(矢印で示すように)互いに参照可能でありうる。2つのモデル627と625の相互参照により、各モデルの検証、及び個々のモデルのあらゆる間隙の充填が許容される。実施形態では、より堅牢なMLモデルを提供するために、物理的モデル627と統計モデル625が組み合わされうる。
【0094】
図示されるように、MLモデルサーバ620は、処理ツール600と統合されうる。例えば、MLモデルサーバ620は、矢印で示すように、ネットワーク接続によってフロントエンドサーバ660と通信可能に接続されうる。しかし、他の実施形態では、MLモデルサーバ620は、処理ツール600の外部にあってもよい。例えば、MLモデルサーバ620は、外部ネットワークなどを通して処理ツール600と通信可能に接続されうる。
【0095】
実施形態では、フロントエンドサーバ660は、MLモデルサーバ620用のユーザインターフェース665を含みうる。ユーザインターフェース665は、プロセスエンジニアがMLモデリングを利用するためのインターフェースを提供し、これは、レシピ開発又はチャンバベースライニングなどの様々な動作を実行することを目的としている。1つの実施形態では、ユーザインターフェース665は、
図1Bのユーザインターフェース142に対応しうる。
【0096】
コントロールサーバ650は、スマートモニタリング及び制御ブロック655を含みうる。スマートモニタリング及び制御ブロック655は、処理ツール600の診断及び他のモニタリングを提供するためのモジュールを含みうる。モジュールは、ヘルスチェック、センサドリフト、欠陥回復、漏水検出などが含まれうるが、これらに限定されない。スマートモニタリング及び制御ブロック655は、ツールハードウェア640に実装された様々なセンサからのデータを入力として受信しうる。センサは、ツール600の動作を可能にするために半導体製造ツール600に一般的に存在する標準的なセンサ647を含みうる。センサは、ツール600内に追加されるモデリングセンサ645も含みうる。モデリングセンサ645は、高度に詳細なMLモデルの構築に必要な追加情報を提供する。例えば、モデリングセンサは、仮想センサ及び/又は目撃センサを含みうる。仮想センサは、2つ以上の物理的センサから得られたデータを利用し、物理的センサだけでは得られない追加のセンサデータを提供するために、内挿及び/又は外挿を実施しうる。特定の例では、仮想センサは、ガスカートリッジのような処理ツールの一部を通る流量を計算するために、上流圧力センサと下流圧力センサを利用しうる。概して、モデリングセンサは、圧力センサ、温度センサ、ガス濃度センサなど、あらゆるタイプのセンサを含みうるが、これらに限定されない。実施形態では、スマートモニタリング及び制御ブロック655は、MLモデルサーバ620によって使用されるデータを提供しうる。他の実施形態では、様々なモデリングセンサ645からの出力データは、MLモデルサーバ620に直接提供されうる。1つの実施形態では、制御サーバ650は、
図1Bのコントローラ140に対応しうる。
【0097】
次に
図7Aを参照すると、実施形態による、MLモデルを生成するためのプロセスを示すフロー図が示されている。実施形態では、モデリングDoE715からの入力は統計モデルエンジン724に入力される。モデリングDoE715は、多数の物理的ウエハの処理を含みうる。DoE715は、統計モデルエンジン724に供給される様々なデータソースを含みうる。例えば、ウエハの処理中又は処理後に取得された計測データ716は、統計モデルエンジン724に提供されうる。更に、処理ツール内のセンサからのセンサデータ217は、統計モデルエンジン724に提供されうる。プロセスパラメータ718(すなわち、ウエハの処理中の様々なプロセスパラメータの値)はまた、統計モデルエンジン724に提供されうる。
【0098】
実施形態では、統計モデルエンジン724は、様々なデータソースを分析し、統計モデル725を出力するのに適したハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装されうる。統計モデルエンジン724は、物理的なDoEデータのみから利用できるよりも大きなプロセス空間を補間するために、ニューラルネットワークに基づく機械学習、又は回帰分析に使用される任意の他の既知の技法(例えば、線形、部分最小二乗、ガウス、多項式、回帰のための畳み込みニューラルネットワーク、回帰トレスなど)を利用しうる。
【0099】
実施形態では、物理的モデル727を生成するために、物理的モデルエンジン726が使用される。実施形態では、物理的モデルエンジン726は、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装されうる。物理的モデルエンジン726は、チャンバ構成及び現実世界の物理・化学方程式を入力とする。物理的モデルエンジン726は、物理的モデル727を構築するために、複数の異なる処理パラメータにわたって、処理ツール内の物理的及び化学的相互作用のシミュレーションを実施しうる。このように、処理ツール内の物理的及び/又は化学的反応を修正する処理パラメータに対する変更は、期待されるデバイスの結果にマッピングされうる。
【0100】
実施形態では、統計モデル725と物理的モデル727は、MLモデル728を生成するための入力として使用される。例えば、統計モデル725と物理的モデル727は、MLモデルエンジン729に対する入力でありうる。MLモデルエンジン729は、物理的モデル727と統計モデル725を処理し、MLモデル728を出力する。いくつかの実施形態では、物理的モデル727は、測定できないいくつかの物理的測定値を導出するために使用されうる。物理的モデル727の出力は、統計モデルへの追加入力として考慮されうる。このような状況では、MLモデルエンジン729は、物理的モデル727からの情報を統計モデル725に追加して、MLモデル728を提供する。したがって、MLモデル728は、2つのモデル725及び727がプロセス空間内の個々の点の検証に使用されることを許容し、所定の処理ツールに個別に調整することができる、より完全なプロセス空間を提供する。しかし、いくつかの実施形態では、物理的モデル727及び統計モデル725は、出力によっては、スタンドアロンモデル(standalone model)でありうる。すなわち、いくつかの実施形態では、統計モデル725と物理的モデル727は、MLモデルにマージされない場合がある。
【0101】
実施形態では、MLモデルはまた、統計モデル725の別のインスタンスとみなされうる。例えば、
図7Bでは、物理的モデルエンジン726によって出力された物理的モデル727が、統計モデルエンジン724の入力として使用されうる。したがって、統計モデルエンジン724は、物理的モデル727からの情報を含む統計モデル725を生成するために、追加入力を有している。特に、統計モデルエンジン724は、物理的モデル727からのデータを既に含んでいてもよく、MLモデルを生成するためにMLモデルエンジンを使用することが、すべての実施形態において必要ではないこともある。
【0102】
次に
図8を参照すると、実施形態に従って、MLモデルを使用してプロセスレシピを開発するためのプロセス870を示すフロー図が示されている。ターゲットのプロセスレシピは、ウエハ上で望ましいデバイスの結果をもたらすプロセスパラメータのセットを有するプロセスレシピである。実施形態では、プロセス870は、所望のデバイスの結果を決定することを含む工程871から開始しうる。実施形態では、デバイスの結果は、ウエハデバイス寸法、材料組成物などにありうる。例えば、デバイスの結果は、
図5に示す積層メモリデバイスの層の厚さ、ウエハにわたった厚さの均一性、層の材料組成、又は材料組成の均一性を含みうる。
【0103】
実施形態では、プロセス870は、処理パラメータのセットを選択するためにMLモデルに問い合わせることを含む工程872を継続しうる。実施形態では、MLモデルは、統計モデルと物理的モデルの組み合わせから生成されたプロセス空間のモデルでありうる。統計モデルは、上述のように実際のウエハのDoEを用いて生成されうる。物理的モデルは、現実世界の物理学及び化学方程式に基づくことがある。例えば、物理的モデルは、複数の異なる処理パラメータにわたる処理ツール内の物理的及び化学的相互作用のシミュレーションから生成されうる。実施形態では、MLモデルは、処理ツールが利用可能なプロセス空間全体をカバーしうる。
【0104】
MLモデルは、プロセスエンジニアの経験と知識だけに頼ることなく、安定したプロセスレシピを特定できるようにする。その代わりに、ターゲットのデバイスの結果に厳密に整合するデバイス結果をもたらすと期待されるベースラインレシピが、MLモデルのプロセス空間から選択可能である。
【0105】
実施形態では、プロセス870は、モデル推奨を検証するために小さなDoEを実行することを含む工程873に継続しうる。MLモデルの精度が高いため、モデルの推奨を検証するために必要なのは、小さなDoE(例えば、20以下のウエハ)だけでありうる。実施形態では、DoEはプロセスのエンジニアにより設計されうる。別の実施形態では、MLモデルを使用してDoEが設計されうる。
【0106】
実施形態では、プロセス870は、DoEウエハ結果を1つ以上の計測ツールで測定することを含む工程874で継続しうる。計測データは、ウエハ上でターゲットのデバイスの結果が達成されたことを検証するために使用することができる。
【0107】
実施形態では、プロセス870は、所望のデバイスの結果が達成されたか否かを判定することを含む工程875で継続しうる。所望のデバイスの結果が得られた場合、プロセスは工程876に進み、プロセスは完了する。望ましい結果が得られなかった場合、プロセスは工程872を繰り返しうる又は工程872にフィードバックしうる。実施形態では、MLモデルを更新するために、小さなDoEからのデータがMLモデルにフィードバックされうる。例えば、プロセスが反復的に工程872に戻る場合、次に工程873で実行されるDoEは、前のサイクルで実行されたDoEから学習された追加的な知識に基づいて、MLモデルが(例えば、特定のプロセス又はプラズマチャンバに対して)不足している場所の知識に基づいて設計されうる。更新されたMLモデルは、次いで、第2のベースラインレシピを提供するために問い合わせされうる。このようにして、第1の反復がうまくいかなかった場合でも、プロセスは、大規模なDoE及び無駄なリソースを必要とすることなく、なおも適切なレシピに迅速に収束しうる。
【0108】
次に
図9を参照すると、実施形態に従って、処理ツールをベースライン化するためのプロセス980を示すフロー図が示されている。実施形態では、ベースラインプロセスは、処理ツール内でのウエハの処理中のチャンバドリフトを考慮するのに有益でありうる。実施形態では、ベースラインプロセスは、任意の所望の周波数で実施されうる。例えば、プロセス980は、ロットごと、計画保守(PM)イベントごと、又は処理されたウエハのデバイス結果が指定範囲外である場合に実施されうる。
【0109】
実施形態では、プロセス980は、チャンバ性能をベースライン化するために外部計測を用いてウエハの限定的なDoEを実行することを含む工程981で開始しうる。実施形態では、限定されたDoEは、20以下のウエハを含みうる。限定されたDoEは、ベースラインとして記録のプロセスレシピを利用しうる。外部計測は、処理されたウエハのデバイス結果を決定するのに適した任意の計測を含みうる。例えば、酸化プロセスの場合、ウエハ全体の膜の厚さと厚さの均一性を調査するために、エリプソメトリが使用されうる。
【0110】
実施形態では、プロセス980は、デバイスの結果及び他の計測データをMLモデルに追加することを含む工程982で継続しうる。MLモデルに追加された追加データは、較正データセットと称されうる。較正データセットは、MLモデルが処理ツールの現在の条件をより正確に反映するように、MLモデルを更新するために使用される。例えば、プロセス580は、特定のチャンバ条件を考慮するためにモデル予測を調整することを含む工程583を含みうる。つまり、MLモデルのプロセス空間は、調査対象の処理ツールの条件により厳密に整合するように更新される。
【0111】
実施形態では、MLモデルは、統計モデルと物理的モデルの組み合わせから生成されたプロセス空間のモデルでありうる。統計モデルは、上述のように実際のウエハのDoEを用いて生成されうる。物理的モデルは、現実世界の物理学及び化学方程式に基づくことがある。例えば、物理的モデルは、複数の異なる処理パラメータにわたる回転クロスフローを有するプラズマ処理チャンバのような処理ツール内の物理的及び化学的相互作用のシミュレーションから生成されうる。実施形態では、MLモデルは、処理ツールが利用可能なプロセス空間全体をカバーしうる。
【0112】
実施形態では、プロセス980は、チャンバ内で引き続き処理されるウエハの所望のウエハ結果を達成するために最適化されたプロセスパラメータを予測することを含む工程984で継続しうる。最適化されたプロセスパラメータは、較正データセットを含むようにMLモデルが更新された後に選択されうる。従って、新しいプロセスレシピは、チャンバ条件の変更にもかかわらず、ターゲットの値により厳密に整合されたウエハ結果をもたらすウエハパラメータを提供する。このように、チャンバドリフトは、厳しいプロセスウィンドウを維持し、均一性、繰り返し精度、及び歩留まりを向上させるために、モニタ及び考慮されうる。更に、チャンバドリフトを考慮して処理レシピを正確に調整できるため、ツールの予定外のダウンタイムが削減される。更に、PMが発生した場合には、回復時間を短縮し、ツールの使用を高めるために、プロセス980が実施されうる。
【0113】
実施形態では、MLモデルは更に、チャンバドリフトを考慮した処理レシピの連続的な(又はほぼ連続的な)修正を提供するために使用されうる。例えば、デバイスウエハの処理中に得られたウエハ及びプロセスデータが取得され、MLモデルの更新するために使用されうる。つまり、較正データセットを提供するために専用のDoEが必要とされなくてもよい。デバイスウエハからのウエハデータは、すべてのウエハについて、又は処理中のウエハのサブセットについて取得されうる。
【0114】
このような実施形態は、処理ツールのMLモデルを提供することを含みうる。MLモデルは、上述のMLモデルと同様の統計モデルと物理的モデルを含みうる。実施形態では、プロセスは、第1のウエハを処理するために処理ツール内でレシピが実行されることから開始しうる。第1のウエハを処理した後、第1のウエハからのウエハデータと、レシピの実行に関する処理ツールからのプロセスデータが取得されうる。実施形態では、ウエハデータは、厚さ、厚さ均一性、及びプロファイルなどの計測データを含みうるが、これらに限定されない。実施形態において、プロセスデータは、処理ツール内のセンサから得られたデータ及び/又はツール構成情報を含みうる。実施形態では、ウエハデータとプロセスデータは、更新されたMLモデルを生成するためにMLモデルに提供される。実施形態では、更新されたMLモデルは、処理ツール内のチャンバドリフトを考慮した修正レシピを生成するために使用される。実施形態は、次に、第2のウエハを処理するために、処理ツール内で修正されたレシピを実行することを含みうる。単一の第1のウエハを処理することについて上述したが、更新されたMLモデルが生成される前に、複数の第1のウエハが処理されてもよいことを理解されたい。このような実施形態では、更新されたMLモデルを生成するために、ウエハデータとプロセスデータの複数のセットが使用されうる。
【0115】
図10は、本明細書に記載される方法のいずれか1つ以上をマシンに実行させるための命令セットが実行されうるコンピュータシステム1000の例示的な形態におけるマシンの図式的表現を示す。代替実施形態では、マシンは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネット内の他のマシンに結合(例えば、ネットワーク接続)されうる。マシンは、クライアント-サーバネットワーク環境においてはサーバ若しくはクライアントマシンの役割で、又は、ピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境においてはピアマシンとして、動作しうる。マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はそのマシンが実行すべきアクションを指定する指定する(順次の又はその他の)命令セットを実行可能な任意のマシンでありうる。更に、単一のマシンのみを図示しているが、「マシン(machine)」という語は、本明細書に記載の方法のうちの任意の1つ以上を実行するために、命令のセット(又は複数のセット)を個別に又は連携的に実行する、マシン(コンピュータなど)の任意の集合体を含むとも解釈されよう。
【0116】
例示的なコンピュータシステム1000は、バス1030を介して互いに通信する、プロセッサ1002、メインメモリ1004(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)又はランバスDRAM(RDRAM)といったダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、スタティックメモリ1006(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)、及び二次記憶装置1018(データ記憶デバイスなど)を含む。
【0117】
プロセッサ1002は、マイクロプロセッサや中央処理装置などといった1つ以上の汎用処理デバイスを表わしている。より詳細には、プロセッサ1002は、複雑命令セット演算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、その他の命令セットを実装するプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサでありうる。プロセッサ1002は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどといった、1つ以上の特殊用途処理デバイスでもありうる。プロセッサ1002は、本明細市書に記載の工程を実行するための処理ロジック1026を実行するように設定される。
【0118】
コンピュータシステム1000は、ネットワークインターフェースデバイス1008を更に含みうる。コンピュータシステム1000はまた、ビデオディスプレイユニット1010(液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又は陰極線管(CRT)など)、英数字入力デバイス1012(例えばキーボード)、カーソル制御デバイス1014(例えばマウス)、及び信号生成デバイス1016(例えばスピーカー)を含みうる。
【0119】
二次メモリ1018は、本明細書に記載の方法又は機能のうちの1つ以上の任意ものを具現化する、1つ以上の命令セット(例えば、ソフトウェア1022)が記憶されている、マシンアクセス可能記憶媒体(又はより具体的には、コンピュータ可読記憶媒体)1032を含みうる。ソフトウェア1022は、それがコンピュータシステム1000によって実行されている間、メインメモリ1004及び/又はプロセッサ1002の中に、完全に又は少なくとも部分的に常駐してもよく、メインメモリ1004及びプロセッサ1002もまた、マシン可読記憶媒体を構成する。ソフトウェア1022は更に、ネットワークインターフェースデバイス1008を介して、ネットワーク1020上で送受信されうる。
【0120】
例示的な実施形態では、マシンアクセス可能記憶媒体1032を単一の媒体として示しているが、「マシン可読記憶媒体(machine-readable storage medium)」という語は、1つ以上の命令セットを記憶している単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース若しくは分散データベース、並びに/又は、関連キャッシュ及びサーバ)を含むと解釈すべきである。「マシン可読記憶媒体」という語は、マシンによって実行される命令のセットを記憶又は符号化することが可能であり、かつ、マシンに、本開示の方法のうちの1つ以上の任意のものを実施させる、任意の媒体を含むとも解釈すべきである。したがって、「マシン可読記憶媒体」という語は、ソリッドステートメモリと、光媒体及び磁気媒体とを含むがこれらに限定されないと、解釈すべきである。
【0121】
本開示の実施形態によれば、マシンアクセス可能記憶媒体には、データ処理システムに、MLモデルからの洞察(insight)を使用してウエハを処理する方法、及び/又はMLモデルを更新若しくは構築する方法を実行させる命令が記憶されている。
【0122】
回転変調クロスフローを有するプラズマチャンバの実施形態が開示されている。
【0123】
実施形態1 プラズマ処理チャンバは、1つ以上の側壁を含む。1つ以上の側壁内の支持面は、ワークピースを保持する。個々のガスインジェクタのアレイは、1つ以上の側壁の外周周囲に分散されている。プラズマ処理チャンバからガスを排出するための1つ以上のポンプポートが、1つ以上の側壁に沿って位置する。コントローラは、エッチング適用中にプラズマ処理チャンバを制御するように構成される。ワークピース上の材料のエッチング速度の均一性は、i)ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、1つ以上のガス流を注入するために、個々のガスインジェクタのアレイを使用すること、ii)ワークピース上で材料をエッチングするために、個々のガスインジェクタの隣接するものの第1のセットから第1のガス流を注入すること、及びiii)個々のガスインジェクタの少なくとも残りのセットから第2のガス流を同時に注入することによって、調整又は制御される。実施形態によれば、第2のガス流は、i)第1のガスを希釈して、より速いエッチング速度を有するワークピース上のエリアを減少させるために、又はii)追加のエッチャントとして作用して、より速いエッチング速度を有するワークピースのエリア内のエッチング速度を増加させるために、使用される。
【0124】
実施形態2 第1のガス流が、エッチャントガスを含むプロセス混合ガスを含み、第2のガス流が、独立したガス注入(IGI)混合物を含む、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0125】
実施形態3 コントローラが、プロセス混合ガスのガス流注入角度又はIGI混合物のガス流注入角度を変化させて、エッチャントガスの濃度をそれぞれ増加又は減少させるように更に構成される、実施形態2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0126】
実施形態4 プロセス混合ガス及びIGI混合物が、ガス流の回転を伴わずに1相の間に注入される、実施形態2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0127】
実施形態5 プロセス混合ガス及びIGI混合物が、ワークピース上の半径方向のエッチング速度の均一性を実現するために、ガス流の回転を伴う多相の間に注入される、実施形態2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0128】
実施形態6 プロセス混合ガスが、CXFY、CXHYFZ、及びCXHYうちの1つを含む、実施形態2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0129】
実施形態7 IGI混合物が、He、Ne、Ar、Kr、Rn、N、又はXeを含む希釈ガスを含む、実施形態2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0130】
実施形態8 IGI混合物が、OX、N2、SFx、又はNFxを含む洗浄ガスを含む、実施形態2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0131】
実施形態9 個々のガスインジェクタのアレイが、1つ以上の側壁内の1つ以上の開口部内に位置する、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0132】
実施形態10 1つ以上のポンプポートの位置が、個々のガスインジェクタのアレイの位置から垂直方向にオフセットされている、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
実施形態11 第1のガス流と第2のガス流とが、ガス流の回転を制御するためにオン/オフに切り替えられる、実施形態1に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0133】
実施形態12 第1のガス流と第2のガス流の少なくとも一方の流量に適用されるか、又は第1のポンプポートと第2のポンプポートの少なくとも一方によって生じる出口コンダクタンスに適用される変調関数を更に含む、実施形態2に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0134】
実施形態13 プラズマ処理チャンバは、1つ以上の側壁を含む。1つ以上の側壁内の支持面は、ワークピースを保持する。個々のガスインジェクタのアレイは、1つ以上の側壁の外周周囲に分散されている。プラズマ処理チャンバからガスを排出するための1つ以上のポンプポートが、1つ以上の側壁に沿って位置する。コントローラは、エッチング適用中にプラズマ処理チャンバを制御するように構成される。ワークピース上の材料のエッチング速度の均一性は、i)ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、ガス流を注入するために、個々のガスインジェクタのアレイを使用すること、及びii)ガス流注入の前に又はガス流注入の間に、個々のガスインジェクタの隣接するものの広いセットと、個々のガスインジェクタの隣接するものの狭いセットと、の間で選択することによって、ワークピースにわたってガス流注入角度を変化させることであって、個々のガスインジェクタの隣接するものの狭いセットを選択することが、ガス流注入角度を減少させる、前記ガス流注入角度を変化させることとを行うことによって調整又は制御される。
【0135】
実施形態14 個々のガスインジェクタのアレイが、個々のガスインジェクタの多数のものを各々が有している複数のガスインジェクタアレイを含み、隣接するガスインジェクタの選択されたセットが、ガスインジェクタアレイの特定のものからの個々のガスインジェクタを含む、実施形態13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0136】
実施形態15 個々のガスインジェクタのアレイが、個々のガスインジェクタの多数のものを各々が有する複数のガスインジェクタアレイを含み、隣接するガスインジェクタの選択されたセットが、ガスインジェクタアレイの隣接するものからの個々のガスインジェクタを含む、実施形態13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0137】
実施形態16 ガス流が第1のガス流を含み、コントローラが、個々のガスインジェクタの残りのセットの少なくとも一部から第2のガス流を同時に注入するように更に構成され、i)第1のガス流を希釈して、より速いエッチング速度を有するワークピース上のエリアを減少させるために、又はii)追加のエッチャントとして作用し、より速いエッチング速度を有するワークピースのエリア内のエッチング速度を増加させるために、第2のガス流が使用される、実施形態13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0138】
実施形態17 ガス流注入角度を減少させることが、エッチング速度の均一性を増加させる、実施形態13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0139】
実施形態18 個々のガスインジェクタのアレイが、1つ以上の側壁内の1つ以上の開口部内に位置する、実施形態13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0140】
実施形態19 1つ以上のポンプポートの位置が、個々のガスインジェクタのアレイの位置から垂直方向にオフセットされている、実施形態13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0141】
実施形態20 第1のガス流と第2のガス流とが、ガス流の回転を制御するためにオン/オフに切り替えられる、実施形態13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0142】
実施形態21 第1のガス流と第2のガス流の少なくとも一方の流量に適用されるか、又は第1のポンプポートと第2のポンプポートの少なくとも一方によって生じる出口コンダクタンスに適用される変調関数を更に含む、実施形態13に記載のプラズマ処理チャンバ。
【0143】
実施形態21 本明細書に開示される実施形態は、プラズマ処理チャンバ内のワークピース上の材料のエッチング速度の均一性を制御する方法を含む。本方法は、ワークピース上の材料をエッチングするために、個々のガスインジェクタの隣接するものの第1のセットから、ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、第1のガス流を注入することを含む。本方法は、個々のガスインジェクタの残りのセットの少なくとも一部から、ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、第2のガス流を同時に注入することであって、i)第1のガスを希釈して、より速いエッチング速度を有するワークピース上のエリアを減少させるために、又はii)追加のエッチャントとして作用して、より速いエッチング速度を有するワークピースのエリア内のエッチング速度を増加させるために、第2のガス流が使用される、第2のガス流を同時に注入することを含む。
【0144】
実施形態23 第1のガス流と第2のガス流のタイミングを制御するために機械学習(ML)モデルに問い合わせることを更に含む、実施形態21に記載の方法。
【0145】
実施形態24 本明細書で開示される実施形態は、プラズマ処理チャンバ内で回転ガスクロスフローを実行する方法と、ソフトウェア命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体とを含む。本ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行されると、i)ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、1つ以上のガス流を注入するために、個々のガスインジェクタのアレイを使用するステップ、ii)ワークピース上で材料をエッチングするために、個々のガスインジェクタの隣接するものの第1のセットから第1のガス流を注入するステップ、及びiii)個々のガスインジェクタの少なくとも残りのセットから第2のガス流を同時に注入するステップを実行することによって、プロセッサが、プラズマ処理チャンバ内のガスクロスフローを回転させるようにする。実施形態によれば、第2のガス流は、i)第1のガスを希釈して、より速いエッチング速度を有するワークピース上のエリアを減少させるために、又はii)追加のエッチャントとして作用して、より速いエッチング速度を有するワークピースのエリア内のエッチング速度を増加させるために、使用される。
【0146】
実施形態25 本明細書で開示される実施形態は、プラズマ処理チャンバ内で回転ガスクロスフローを実行する方法と、ソフトウェア命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読媒体とを含む。本ソフトウェア命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサによって実行されると、i)ワークピースの表面に概ね平行な方向に、かつワークピースの表面にわたって、ガス流を注入するために、個々のガスインジェクタのアレイを使用するステップ、及びii)ガス流注入の前に又はガス流注入の間に、個々のガスインジェクタの隣接するものの広いセットと、個々のガスインジェクタの隣接するものの狭いセットと、の間で選択することによって、ワークピースにわたってガス流注入角度を変化させるステップを実行することによって、プロセッサが、プラズマ処理チャンバ内のガスクロスフローを回転させるようにする。この際、個々のガスインジェクタの隣接するものの狭いセットを選択することが、ガス流注入角度を減少させる。
【国際調査報告】