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特表2024-532213光学部材及びこれを含む光学表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】光学部材及びこれを含む光学表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/14 20150101AFI20240829BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240829BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G02B1/14
C09D201/00
G09F9/00 313
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510445
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 KR2022011441
(87)【国際公開番号】W WO2023022410
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0109850
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パク,キョン ゴン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ソン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ジ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ホ
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジェ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,イル ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ,グァン ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ド ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ドン ミョン
【テーマコード(参考)】
2K009
4J038
5G435
【Fターム(参考)】
2K009AA15
2K009BB24
4J038CD102
4J038DL032
4J038FA111
4J038FA231
4J038FA281
4J038HA216
4J038HA446
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA08
4J038MA10
4J038MA14
4J038NA09
4J038NA11
4J038PB08
4J038PB09
4J038PC08
5G435AA01
5G435AA07
5G435BB05
5G435BB12
5G435GG43
5G435HH05
5G435HH18
5G435LL07
(57)【要約】
【課題】反復的にフォールディングが生じた場合にも、低い反発力によってポータブルディスプレイ装置に使用され得る光学部材を提供する。
【解決手段】光学部材は、支持層、及び前記支持層の一面に積層された光学機能性層を含み、前記光学機能性層は、傾斜面を有する溝を備えており、前記傾斜面には、前記光学機能性層の平坦部から延長された凸部が少なくとも1個以上形成されており、前記凸部は、その曲率半径が1mm以上である曲面で、前記傾斜面は、下記の数式1を満たす。
[数式1]
a≧b
(数式1において、aは、凸部が形成された傾斜面の幅で、bは、凸部が形成された傾斜面の高さである。)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層、及び前記支持層の一面に積層された光学機能性層を含み、
前記光学機能性層は、傾斜面を有する溝を備えており、
前記傾斜面には、前記光学機能性層の平坦部から延長された凸部が少なくとも1個以上形成されており、
前記凸部は、その曲率半径が1mm以上である曲面であり、
前記傾斜面は、下記の数式1を満たす、光学部材。
[数式1]
a≧b
(数式1において、
aは、前記凸部が形成された前記傾斜面の幅で、
bは、前記凸部が形成された前記傾斜面の高さである。)
【請求項2】
前記傾斜面には、前記凸部に連結された凹部がさらに備えられた、請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記凹部は、その曲率半径が1mm以上である曲面である、請求項2に記載の光学部材。
【請求項4】
前記bに対するaの比(a/b)は、1乃至100000である、請求項1に記載の光学部材。
【請求項5】
前記溝は、前記凹部に連結された第1面をさらに備えている、請求項2に記載の光学部材。
【請求項6】
前記溝の最大幅に対する前記第1面の幅の比率は、0超過0.5以下である、請求項5に記載の光学部材。
【請求項7】
前記平坦部と前記第1面とを連結した面と、前記傾斜面の底面とがなす角αは、0゜超過45゜以下である、請求項5に記載の光学部材。
【請求項8】
前記光学機能性層はハードコーティング層である、請求項1に記載の光学部材。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項の光学部材を含む、光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材及びこれを含む光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポータブルディスプレイ装置に対する関心が高まりながら、ポータブルディスプレイ装置内に含まれる各種光学素子にもフォールディング性が要求されている。そのため、ガラス板の代わりに、ポリイミド系フィルム又は超薄型ガラス板(ultra thin glass)をディスプレイ装置の最外郭に配置させることによってフォールディング性を提供している。
【0003】
しかし、ポリイミド系フィルム及び超薄型ガラス板は、外部衝撃や圧痕に脆弱であるという問題を有する。そのため、ポリイミド系フィルム又は超薄型ガラス板上にタッチペンを使用すると、衝撃や圧痕によってウィンドウ及びパネルに明点及びクラックなどの不良が発生し得る。よって、ポリイミド系フィルム又は超薄型ガラス板の上部面、すなわち、ディスプレイ装置の最外郭に光学部材を追加的に積層させることによって明点やクラックの発生を低下させている。
【0004】
光学部材にフォールディング性を付与するためには、光学部材を構成する複数個の層のうち最外郭層に溝を形成する方法が考慮されている。しかし、光学部材が視認側に配置されるので、溝が容易に視認され得るという問題がある。
【0005】
したがって、反復的にフォールディングが生じた場合にも、低い反発力によってフォールディング性に優れ、溝の視認の程度を最小化したり、溝が視認されることを防止し、衝撃や圧痕に対する抵抗性に優れた光学部材が必要である。
【0006】
本発明の背景技術は、韓国公開特許第10-2013-0010233号などに記述されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、反復的にフォールディングが生じた場合にも、低い反発力によってポータブルディスプレイ装置に使用され得る光学部材を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、溝の視認の程度を最小化したり、溝が視認されることを防止し、ディスプレイ装置の最外郭に適用可能な光学部材を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、衝撃や圧痕に対する抵抗性に優れた光学部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、光学部材である。
【0011】
1.光学部材は、支持層、及び支持層の一面に積層された光学機能性層を含み、光学機能性層は、傾斜面を有する溝を備えており、傾斜面には、光学機能性層の平坦部から延長された凸部が少なくとも1個以上形成されており、凸部は、その曲率半径が1mm以上である曲面で、傾斜面は、下記の数式1を満たす。
【0012】
[数式1]
a≧b
(数式1において、
aは、凸部が形成された傾斜面の幅で、
bは、凸部が形成された傾斜面の高さである。)
【0013】
2.1において、傾斜面には、凸部に接続された凹部がさらに備えられてもよい。
【0014】
3.1-2において、凹部は、その曲率半径が1mm以上である曲面であってもよい。
【0015】
4.1-3において、bに対するaの比(a/b)は、1乃至100000であってもよい。
【0016】
5.1-4において、溝は、凹部に接続された第1面をさらに備えることができる。
【0017】
6.1-5において、溝の最大幅に対する第1面の幅の比率は、0超過0.5以下であってもよい。
【0018】
7.1-6において、平坦部と第1面とを接続した面と、傾斜面の底面とがなす角αは、0゜超過45゜以下であってもよい。
【0019】
8.1-7において、光学機能性層はハードコーティング層であってもよい。
【0020】
光学表示装置は、本発明の光学部材を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、反復的にフォールディングが生じた場合にも、低い反発力によってポータブルディスプレイ装置に適用され得る光学部材を提供することができる。
【0022】
本発明は、溝の視認の程度を最小化したり、溝が視認されることを防止し、ディスプレイ装置の最外郭に適用可能な光学部材を提供することができる。
【0023】
本発明は、衝撃や圧痕に対する抵抗性に優れる光学部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る光学部材の斜視図である。
図2図1の光学部材のうち光学機能性層の一部を拡大した断面図である。
図3】本明細書における曲率半径を説明する概念図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る光学部材の一断面図である。
図5】本発明の更に他の実施形態に係る光学部材の一断面図である。
図6】比較例1(図6(A))及び比較例2(図6(B))の光学部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面及び実施例を参考にして、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明を詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態に実施可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0026】
図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては、同一の名称を使用する。図面において、各構成要素の長さ及び大きさは、本発明を説明するためのものであり、本発明が図面に記載された各構成要素の長さ及び大きさに限定されることはない。
【0027】
本明細書において、「上部」と「下部」は、図面を基準にして定義したものであり、見る視点によって、「上部」が「下部」に変更されてもよく、「下部」が「上部」に変更されてもよい。
【0028】
本明細書において、支持層の「ヤング率」は、支持層に対してASTM D638によってType V試験片上で評価され、25℃及び100mm/minの速度でUTM設備(Instron社)を用いて引張テスト実験を通じて評価された値である。
【0029】
本明細書において、支持層の「貯蔵モジュラス」は、支持層に対して動的機械分析機であるDMA(dynamic mechanical analyzer)装備を用いて測定され、引張テストモード(Tension test mode)、1Hzの周波数及び2℃/minの昇温速度で-70℃乃至120℃まで昇温しながら測定されており、このうち-20℃及び85℃での値を意味する。
【0030】
本明細書において、粘着層の「貯蔵モジュラス」は、動的粘弾性測定装置であるARESG2(TA社)を用いてせん断速度(shear rate)を0.1rad/secから100rad/secに高めながら、ストレイン(strain) 1%のオートストレイン(auto strain)条件で測定された値である。貯蔵モジュラスは、-20℃から90℃まで5℃/分の昇温速度で昇温しながら測定される。貯蔵モジュラスを測定するとき、試験片は、厚さ50μmの粘着層を500μmの厚さで積層し、直径が8mmである穿孔機で積層物を穿孔することによって製造される。
【0031】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを意味し得る。
【0032】
本明細書において、数値範囲の記載時、「X乃至Y」は、「X以上Y以下(X≦かつ≦Y)」を意味する。
【0033】
本発明は、反復的にフォールディングが生じた場合にも、低い反発力によってポータブルディスプレイ装置に適用可能であり、下記で詳述する溝の視認の程度を最小化したり、溝が視認されることを防止し、ディスプレイ装置の最外郭に使用することができ、衝撃や圧痕に対する抵抗性に優れた光学部材を提供する。
【0034】
一実施形態において、光学部材は、光学表示装置のうち視認側に配置されてもよい。具体的には、光学部材は、光学機能性層が最外郭層に配置されるように光学表示装置のうち視認側に配置されてもよい。
【0035】
光学部材は、支持層、及び支持層の一面に積層された光学機能性層を含み、光学機能性層は、傾斜面を有する溝を備えており、傾斜面には、光学機能性層の平坦部から延長された凸部が少なくとも1個以上形成されており、凸部は、その曲率半径が1mm以上である曲面で、傾斜面は、下記の数式1を満たす。
【0036】
[数式1]
a≧b
(数式1において、
aは、凸部が形成された傾斜面の幅で、
bは、凸部が形成された傾斜面の高さである。)
【0037】
以下、本発明の一実施形態に係る光学部材を、図1図2及び図3を参照して説明する。
【0038】
図1を参照すると、光学部材は、支持層(200)、及び支持層(200)の上部面に積層された光学機能性層(100)を含むことができる。
【0039】
[支持層]
支持層(200)は、光学機能性層(100)を支持することができる。
【0040】
支持層(200)は、光学的に透明な樹脂を含む組成物で形成されたフィルム又はコーティング層を含むことができる。例えば、支持層は、トリアセチルセルロース(TAC)などを含むセルロース系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどを含むポリエステル系、環状ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、ポリアリレート系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、及びポリウレタン系のうち一つ以上の樹脂で形成されてもよい。
【0041】
一実施形態において、支持層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどを含むポリエステル系フィルム、好ましくは、PETフィルムであってもよい。PETフィルムは、光学部材に光透過性を提供することができる。
【0042】
他の実施形態において、支持層は、ポリウレタン系樹脂フィルムであってもよい。ポリウレタン系樹脂フィルムは、光学部材の耐衝撃性及び低温と高温での屈曲信頼性を改善し、圧痕に対する抵抗性を改善することを促進することができる。
【0043】
ポリウレタン系樹脂は、2官能以上の多官能性ポリオール及び2官能以上の多官能性イソシアネートから製造されてもよい。ポリオールは、芳香族系ポリオール、脂肪族系ポリオール、及び脂環族系ポリオールのうち一つ以上を含むことができる。多官能性イソシアネートは、任意の脂肪族、脂環族又は芳香族イソシアネートを含むことができる。ポリウレタン系樹脂は、当業者に知られている通常の方法で製造されてもよい。
【0044】
ポリウレタン系樹脂フィルムは、ポリウレタン系樹脂を用いて溶融押出方式によって製造した熱可塑性ポリウレタン系樹脂フィルム、又は溶液キャスティング方法によって製造したキャスティングポリウレタン系樹脂フィルムを含むことができる。キャスティングポリウレタン系樹脂フィルムは、熱可塑性ポリウレタン系樹脂フィルムに比べて、光を照射したとき、縞模様、ゲル及び/又は不透明などが全く発生しないので、光学部材の外観を改善するという点で優れる。
【0045】
支持層、好ましくは、ポリウレタン系フィルムは、25℃でのヤング率が80MPa乃至500MPa、具体的には、80MPa、90MPa、100MPa、110MPa、120MPa、130MPa、140MPa、150MPa、160MPa、170MPa、180MPa、190MPa、200MPa、210MPa、220MPa、230MPa、240MPa、250MPa、260MPa、270MPa、280MPa、290MPa、300MPa、310MPa、320MPa、330MPa、340MPa、350MPa、360MPa、370MPa、380MPa、390MPa、400MPa、410MPa、420MPa、430MPa、440MPa、450MPa、460MPa、470MPa、480MPa、490MPa、500MPa、好ましくは、80MPa乃至300MPa、さらに好ましくは、100MPa乃至200MPaになってもよい。上記範囲で、耐衝撃性、及び低温と高温での屈曲信頼性を改善することを促進することができる。
【0046】
支持層、好ましくは、ポリウレタン系フィルムは、-20℃で測定された貯蔵モジュラスが900MPa乃至1500MPa、具体的には、900MPa、950MPa、1000MPa、1050MPa、1100MPa、1150MPa、1200MPa、1250MPa、1300MPa、1350MPa、1400MPa、1450MPa、1500MPa、具体的には、900MPa乃至1200MPaになってもよい。上記範囲で、フィルム製造工程が容易になり、低温でのフォールディング信頼性が良好になるという効果を奏し得る。
【0047】
支持層、例えば、ポリウレタン系フィルムは、85℃で測定された貯蔵モジュラスが15MPa乃至100MPa、具体的には、15MPa、20MPa、25MPa、30MPa、35MPa、40MPa、45MPa、50MPa、55MPa、60MPa、65MPa、70MPa、75MPa、80MPa、85MPa、90MPa、95MPa、100MPa、好ましくは、50MPa乃至90MPaになってもよい。上記範囲で、フィルム製造工程が容易になり、高温及び/又は高温高湿などの高温条件で屈曲信頼性が良好になるという効果を奏し得る。
【0048】
支持層の上述したヤング率及び貯蔵モジュラスの調節は、支持層を形成する樹脂を製造するとき、樹脂を構成する単量体の比率を調節したり、樹脂の分子量を調節することによって行われ得る。
【0049】
支持層(200)は、その厚さが10μm乃至200μm、具体的には、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、好ましくは、50μm乃至100μmになってもよい。上記範囲で、耐衝撃性及び屈曲信頼性を改善し、薄型の光学部材を提供することを促進することができる。
【0050】
[光学機能性層]
光学機能性層(100)は、支持層(200)の上部面に積層され、反復的にフォールディングが生じた場合にも、低い反発力によってポータブルディスプレイ装置に適用可能であり、下記で詳述する溝の視認の程度を最小化したり、溝が視認されることを防止し、衝撃及び圧痕に対する抵抗性に優れた光学部材を提供する。
【0051】
光学機能性層(100)は、その屈折率が1.40乃至1.75、具体的には、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.65、1.70、1.75、好ましくは、1.45乃至1.65になってもよい。上記範囲で、下記で説明する溝の視認の程度を最小化することを促進することができる。
【0052】
光学機能性層(100)は、平坦部(112)及び溝(120)を備えている。
【0053】
一実施形態において、光学機能性層(100)は、溝(120)と、溝(120)の一側末端から延長されて形成された平坦部(112)と、溝(120)の他の一側末端から延長されて形成された平坦部(112)とを備えている。
【0054】
平坦部(112)は、溝(120)に接続され、光学機能性層の最上部面を形成する面であってもよい。平坦部(112)は、好ましくは、第1面(111)に比べて高いので、光学部材における衝撃及び圧痕に対する抵抗性を改善することを促進することができる。
【0055】
平坦部(112)は、その高さ(H2)が10μm乃至1000μm、具体的には、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm、220μm、230μm、240μm、250μm、300μm、310μm、320μm、330μm、340μm、350μm、360μm、370μm、380μm、390μm、400μm、410μm、420μm、430μm、440μm、450μm、460μm、470μm、480μm、490μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1000μm、例えば、10μm乃至500μm、30μm乃至100μmになってもよい。上記範囲で、衝撃及び圧痕特性の改善効果を提供することができる。
【0056】
図1に示したように、溝(120)は、ストライプ型で形成されてもよい。「ストライプ型」は、溝(120)が長さ方向(図2では、溝(130)の幅方向を示したものである。)に長く延長されて形成されたことを意味する。
【0057】
図2を参照すると、溝(120)は、傾斜面(113)と、傾斜面(113)に接続された第1面(111)とを備えている。溝(120)は、光学機能性層(100)の平坦部(112)から延長され、陰刻パターンで形成された部分である。
【0058】
傾斜面(113)には、平坦部(112)から延長された凸部(114)が少なくとも1個以上形成されている。凸部(114)は、光学機能性層(100)側から溝(120)に向かって凸状に形成されている。平坦部(112)と凸部(114)は、平坦部(112)から直接接続されて形成されており、凸部(114)は、平坦部(112)から延長された曲面である。
【0059】
凸部(114)は曲面で、その曲率半径が1mm以上であり、傾斜面(113)は、下記の数式1を満たす。
【0060】
[数式1]
a≧b
(数式1において、
aは、凸部が形成された傾斜面の幅で、
bは、凸部が形成された傾斜面の高さである。)
【0061】
本発明者は、凸部(114)の曲率半径が1mm以上で、傾斜面が数式1を満たす場合、反復的にフォールディングが生じたとしても、低い反発力によってポータブルディスプレイ装置に適用可能であり、溝の視認の程度を最小化したり、溝が視認されることを防止できることを確認した。
【0062】
具体的には、凸部(114)は、その曲率半径R1が1mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、100mm、105mm、110mm、115mm、120mm、125mm、130mm、135mm、140mm、145mm、150mm、155mm、160mm、165mm、170mm、175mm、180mm、185mm、190mm、195mm、200mm、好ましくは、10mm以上、さらに好ましくは、50mm乃至200mmになってもよい。上記範囲で、本発明の効果を容易に実施することができ、圧痕に対する抵抗性を改善しやすい機能性層を容易に設計することができる。
【0063】
a、bのそれぞれの値は、数式1を満たす範囲で調節されてもよい。
【0064】
一実施形態において、aは、1μm超過100000μm以下、具体的には、5μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1000μm、1500μm、2000μm、2500μm、3000μm、3500μm、4000μm、4500μm、5000μm、5500μm、6000μm、6500μm、7000μm、7500μm、8000μm、8500μm、9000μm、9500μm、10000μm、10500μm、11000μm、11500μm、12000μm、12500μm、13000μm、13500μm、14000μm、14500μm、15000μm、15500μm、16000μm、16500μm、17000μm、17500μm、18000μm、18500μm、19000μm、19500μm、20000μm、20500μm、21000μm、21500μm、22000μm、22500μm、23000μm、23500μm、24000μm、24500μm、25000μm、25500μm、26000μm、26500μm、27000μm、27500μm、28000μm、28500μm、29000μm、29500μm、30000μm、35000μm、40000μm、45000μm、50000μm、55000μm、60000μm、65000μm、70000μm、75000μm、80000μm、85000μm、90000μm、95000μm、100000μm、例えば、10μm乃至70000μm、さらに具体的には、1000μm乃至30000μmで、bは、1μm乃至300μm、具体的には、1μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm、220μm、230μm、240μm、250μm、260μm、270μm、280μm、290μm、300μm、例えば、10μm乃至200μmになってもよい。上記範囲で、本発明の効果を容易に実施することができ、光学機能性層の製造を容易にすることができる。
【0065】
bに対するaの比(a/b)は、1乃至100000、具体的には、1、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、650、700、750、800、850、900、950、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10000、15000、20000、25000、30000、35000、40000、45000、50000、55000、60000、65000、70000、75000、80000、85000、90000、95000、100000、好ましくは、1乃至7000、さらに好ましくは、10乃至2000になってもよい。上記範囲で、フォールディングに対する反発力も低下させ、圧痕に対する抵抗性も確保することができる。
【0066】
傾斜面(113)には、凸部(114)に接続された凹部(115)がさらに備えられてもよい。
【0067】
凹部(115)は、溝(120)側から光学機能性層(130)側に向かって凸状に形成されている。
【0068】
凹部(115)は曲面で、その曲率半径R2が1mm以上になってもよい。上記範囲で、反復的にフォールディングが生じた場合にも、低い反発力によってポータブルディスプレイ装置に適用可能であり、溝の視認の程度を最小化することができる。
【0069】
具体的には、凹部(115)は、その曲率半径R2が1mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、100mm、105mm、110mm、115mm、120mm、125mm、130mm、135mm、140mm、145mm、150mm、155mm、160mm、165mm、170mm、175mm、180mm、185mm、190mm、195mm、200mmになってもよく、好ましくは、10mm以上、さらに好ましくは、50mm乃至200mmになってもよい。上記範囲で、本発明の効果を容易に実施することができ、圧痕に対する抵抗性を改善しやすい光学機能性層を容易に設計することができる。
【0070】
図3を参照すると、曲率半径(R1、R2)は、凸部(114)の曲面を円の一部として有する仮想の円(114a)、及び凹部(115)の曲面を円の一部として有する仮想の円(115a)のそれぞれの半径を意味する。本発明者は、フォールディング時の反発力を改善し、光学部材が視認側に配置される場合、溝の視認の程度を低下させるための方法に対して研究した結果、凸部及び凹部を単純に曲面として設計するよりは、凸部及び凹部の曲率半径が1mm以上である曲面として設計することによって、上述した効果が得られることを確認した。
【0071】
凹部(113)の高さ(H3)は、光学部材のフォールディング時におけるフォールディングの程度によって調節され得る。例えば、凹部(113)の高さ(H3)は、1μm乃至300μm、具体的には、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、105μm、110μm、115μm、120μm、125μm、130μm、135μm、140μm、145μm、150μm、155μm、160μm、165μm、170μm、175μm、180μm、185μm、190μm、195μm、200μm、205μm、210μm、215μm、220μm、225μm、230μm、235μm、240μm、245μm、250μm、255μm、260μm、265μm、270μm、275μm、280μm、285μm、290μm、295μm、300μm、例えば、10μm乃至200μmになってもよい。上記範囲で、第1凸部(113)を容易に実施することができる。
【0072】
凸部(114)の最大幅(W2)及び高さ(H4)は、光学部材のフォールディング時におけるフォールディングの程度によって調節され得る。
【0073】
例えば、凸部(114)の最大幅(W2)は、1μm乃至100000μm、具体的には、5μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1000μm、1500μm、2000μm、2500μm、3000μm、3500μm、4000μm、4500μm、5000μm、5500μm、6000μm、6500μm、7000μm、7500μm、8000μm、8500μm、9000μm、9500μm、10000μm、10500μm、11000μm、11500μm、12000μm、12500μm、13000μm、13500μm、14000μm、14500μm、15000μm、15500μm、16000μm、16500μm、17000μm、17500μm、18000μm、18500μm、19000μm、19500μm、20000μm、20500μm、21000μm、21500μm、22000μm、22500μm、23000μm、23500μm、24000μm、24500μm、25000μm、25500μm、26000μm、26500μm、27000μm、27500μm、28000μm、28500μm、29000μm、29500μm、30000μm、35000μm、40000μm、45000μm、50000μm、55000μm、60000μm、65000μm、70000μm、75000μm、80000μm、85000μm、90000μm、95000μm、10000μm、例えば、10μm乃至70000μmになってもよい。上記範囲で、第2凸部(114)を容易に実施することができる。
【0074】
凸部(114)の高さ(H4)は、1μm乃至300μm、具体的には、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、105μm、110μm、115μm、120μm、125μm、130μm、135μm、140μm、145μm、150μm、155μm、160μm、165μm、170μm、175μm、180μm、185μm、190μm、195μm、200μm、205μm、210μm、215μm、220μm、225μm、230μm、235μm、240μm、245μm、250μm、255μm、260μm、265μm、270μm、275μm、280μm、285μm、290μm、295μm、300μm、例えば、10μm乃至200μmになってもよい。上記範囲で、第2凸部を容易に具現することができる。
【0075】
溝(130)は、凹部に接続された第1面(111)をさらに備えている。
【0076】
第1面(111)は、光学部材のフォールディング時、反発力を低下させることを促進することができる。すなわち、図1のように、フォールディング軸10を中心に光学機能性層(100)側にフォールディングしたときの反発力を低下させることができる。
【0077】
第1面(111)は、溝(130)の最下部面をなすことができる。第1面(111)は、平坦面又は非平坦面になってもよい。非平坦面は曲面であり、凸曲面又は凹曲面になってもよい。好ましくは、第1面(111)は、平坦面になることによって光学機能性層(100)の製造を容易にし、光学機能性層の上部面に積層され得る他の光学部材の積層を容易にするという効果を提供することができる。
【0078】
第1面(111)は、その高さ(H1)が0μm超過200μm以下、例えば、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、105μm、110μm、115μm、120μm、125μm、130μm、135μm、140μm、145μm、150μm、155μm、160μm、165μm、170μm、175μm、180μm、185μm、190μm、195μm、200μm、例えば、1μm乃至50μmになってもよい。上記範囲で、反発力を低下させ、フォールディング特性を向上させるという効果を奏し得る。
【0079】
第1面(111)は、その最大幅(W1)が0μm乃至50000μm、具体的には、5μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1000μm、1500μm、2000μm、2500μm、3000μm、3500μm、4000μm、4500μm、5000μm、5500μm、6000μm、6500μm、7000μm、7500μm、8000μm、8500μm、9000μm、9500μm、10000μm、10500μm、11000μm、11500μm、12000μm、12500μm、13000μm、13500μm、14000μm、14500μm、15000μm、15500μm、16000μm、16500μm、17000μm、17500μm、18000μm、18500μm、19000μm、19500μm、20000μm、20500μm、21000μm、21500μm、22000μm、22500μm、23000μm、23500μm、24000μm、24500μm、25000μm、25500μm、26000μm、26500μm、27000μm、27500μm、28000μm、28500μm、29000μm、29500μm、30000μm、35000μm、40000μm、45000μm、50000μm、例えば、1μm乃至30000μm、好ましくは、5000μm乃至25000μmになってもよい。上記範囲で、衝撃及び圧痕特性の改善効果を奏し得る。
【0080】
平坦部(112)と第1面(111)とを接続した面(図2で点線で表示される)と、傾斜面(113)の底面とがなす角(α)は、0゜超過45゜以下になってもよい。上記範囲で、数式1を満たすことが容易になり得る。角(α)は、具体的には、1゜、2゜、3゜、4゜、5゜、6゜、7゜、8゜、9゜、10゜、11゜、12゜、13゜、14゜、15゜、16゜、17゜、18゜、19゜、20゜、21゜、22゜、23゜、24゜、25゜、26゜、27゜、28゜、29゜、30゜、31゜、32゜、33゜、34゜、35゜、36゜、37゜、38゜、39゜、40゜、41゜、42゜、43゜、44゜、45゜、例えば、0゜乃至10゜になってもよい。
【0081】
溝(120)は、光学部材を光学表示装置に適用したとき、フォールディング部位に配置されてもよい。よって、溝(120)は、フォールディング部位の個数によって光学機能性層に1個以上形成され得る。
【0082】
溝(120)の最大幅(W3)に対する第1面(111)の幅(W1)の比率は、0超過1未満、具体的には、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、0.99、例えば、0超過0.5以下、さらに具体的には、0超過0.3になってもよい。上記範囲で、フォールディング効果を奏し得る。
【0083】
溝(120)は、その最大幅(W3)が2μm乃至200000μm、具体的には、2μm、50μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、1000μm、1500μm、2000μm、2500μm、3000μm、3500μm、4000μm、4500μm、5000μm、5500μm、6000μm、6500μm、7000μm、7500μm、8000μm、8500μm、9000μm、9500μm、10000μm、10500μm、11000μm、11500μm、12000μm、12500μm、13000μm、13500μm、14000μm、14500μm、15000μm、15500μm、16000μm、16500μm、17000μm、17500μm、18000μm、18500μm、19000μm、19500μm、20000μm、20500μm、21000μm、21500μm、22000μm、22500μm、23000μm、23500μm、24000μm、24500μm、25000μm、25500μm、26000μm、26500μm、27000μm、27500μm、28000μm、28500μm、29000μm、29500μm、30000μm、35000μm、40000μm、45000μm、50000μm、55000μm、60000μm、65000μm、70000μm、75000μm、80000μm、85000μm、90000μm、95000μm、100000μm、105000μm、110000μm、115000μm、120000μm、125000μm、130000μm、135000μm、140000μm、145000μm、150000μm、155000μm、160000μm、165000μm、170000μm、175000μm、180000μm、185000μm、190000μm、195000μm、200000μm、具体的には、50μm乃至100000μm、さらに具体的には、10000μm乃至50000μmになってもよい。上記範囲で、フォールディング効果を奏し得る。
【0084】
溝(120)は、図1及び図2に示したように、空のスペースになってもよい。しかし、溝(130)は、粘着剤又は所定の屈折率を有する樹脂で充填されてもよい。
【0085】
溝(120)は、その両側が第1面(111)の中心線を基準にして対称であってもよく、非対称であってもよい。これは、光学表示装置に光学部材を適用したとき、フォールディング部位の位置及びフォールディング部位の幅によって選択され得る。
【0086】
光学機能性層(100)は、上述したフォールディングに対する反発力を低下させ、溝の視認を低下させ、圧痕に対する抵抗性を高めること以外に、光学部材に追加的な機能を提供することができる。
【0087】
一実施形態において、光学機能性層は、ハードコーティング、アンチグレア(眩しさ防止)、耐指紋性、反射防止、低反射、防眩、防汚、拡散、屈折などの機能のうち1種以上を提供することができる。好ましくは、光学機能性層は、ハードコーティング層になることによって、光学部材を視認側に適用したとき、圧痕を改善し、耐衝撃性を改善することを容易にすることができる。そこで、以下では、機能性層がハードコーティング層である場合に対して説明する。
【0088】
ハードコーティング層は、(メタ)アクリル系、ウレタン系、ウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ系、シリコーン系などで形成されるコーティング層用組成物で形成されてもよい。一実施形態において、ハードコーティング層は、ウレタン(メタ)アクリレート系コーティング層になることによって、耐衝撃性及び圧痕に対する抵抗性を高めることができる。
【0089】
ハードコーティング層は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、(メタ)アクリレート系モノマー、無機粒子及び開始剤を含むウレタン(メタ)アクリレート系ハードコーティング層用組成物で形成されてもよい。
【0090】
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、多官能のポリオール、多官能のイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の重合によって製造されてもよい。多官能のポリオールは、上述した多官能のポリオールを含むことができ、多官能のイソシアネート化合物は、上述した多官能のイソシアネート化合物を含むことができる。水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、クロロヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどを含み得るが、これに限定されない。
【0091】
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、1種のみを含むこともでき、伸率や重量平均分子量が互いに異なる2種以上のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの混合物を含むこともできる。例えば、混合物は、第1ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及び第2ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含むことができる。
【0092】
第1ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは7官能乃至10官能であり、重量平均分子量が1000g/mol以上4000g/mol未満、伸率が1%以上15%未満になってもよい。好ましくは、第1ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、9官能乃至10官能の(メタ)アクリレート系であり、重量平均分子量が1500g/mol乃至2500g/mol、伸率が5%乃至10%になってもよい。上記範囲で、光学部材の耐衝撃性、耐スクラッチ性、及び屈曲性の改善を促進することができる。
【0093】
第2ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは4官能乃至6官能であり、重量平均分子量が4000g/mol乃至8000g/mol、伸率が15%乃至25%になってもよい。好ましくは、第2ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、5官能乃至6官能で、重量平均分子量が4000g/mol乃至6000g/mol、伸率が15%乃至20%になってもよい。上記範囲で、薄型のハードコーティング層においても、上述した耐衝撃性、耐スクラッチ性、及びフォールディング性を良好にすることができ、ストレッチング効果をさらに奏し得る。
【0094】
固形分基準に、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、(メタ)アクリレート系モノマー及び無機粒子の合計100重量部に対して、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが40重量部乃至80重量部で含まれてもよい。上記範囲で、光学部材の耐衝撃性及び耐スクラッチ性に優れ、フォールディング性を高めることができる。本明細書において、「固形分基準」は、ハードコーティング層用組成物中の溶剤を除外した残り全体を意味する。
【0095】
(メタ)アクリレート系モノマーは、2官能乃至6官能の(メタ)アクリレート系モノマーであり、第1ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、第2ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーと共に硬化され、ハードコーティング層の硬度を高めることができる。
【0096】
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリルオキシエチルイソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレート又は9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又はトリス(メタ)アクリルオキシエチルイソシアヌレートなどの3官能(メタ)アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート又はペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能(メタ)アクリレート;及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能型アクリレートなどを挙げることができるが、これに限定されない。好ましくは、(メタ)アクリレートモノマーは、3官能乃至4官能であり、架橋密度の調節による耐衝撃性及び耐スクラッチ性の改善効果をさらに奏し得る。
【0097】
(メタ)アクリレート系モノマーは、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、(メタ)アクリレート系モノマー及び無機粒子の合計100重量部に対して、1重量部乃至30重量部、例えば、5重量部乃至20重量部、5重量部乃至15重量部で含まれてもよい。上記範囲で、薄型のハードコーティング層においても、上述した耐衝撃性、耐スクラッチ性、及びフォールディング性を改善することができる。
【0098】
無機粒子は、ハードコーティング層に含まれ、表面保護フィルムの耐磨耗性及び耐スクラッチ性を向上させる機能をすることができる。無機粒子は、シリカ、アルミナ、及びジルコニア粒子のうち1種以上を含むことができる。無機粒子は、その平均粒径(D50)が200nm以下、具体的には、0nm超過200nm、さらに具体的には、5nm以上100nm以下である粒子を含むことができる。上記範囲で、ハードコーティング層のヘイズを高めることなく、耐スクラッチ性を良好にすることができる。
【0099】
無機粒子は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、(メタ)アクリレート系モノマー及び無機粒子の合計100重量部に対して、0.01重量部乃至10重量部、例えば、1重量部乃至4重量部で含まれてもよい。上記範囲で、薄型のハードコーティング層においても、上述した耐衝撃性、耐スクラッチ性、及びフォールディング性を改善することができる。
【0100】
開始剤は、光開始剤、及び熱開始剤のうち1種以上を含むことができる。好ましくは、開始剤は、光開始剤を含むことによって、ハードコーティング層用組成物の硬化時における硬化収縮を遮断し、その結果、ハードコーティング層の表面均一性を確保することができる。
【0101】
開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンジルケタールタイプの化合物やこれらの混合物が使用されてもよいが、これに限定されることはない。
【0102】
開始剤は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、(メタ)アクリレート系モノマー及び無機粒子の合計100重量部に対して0.01重量部乃至10重量部、具体的には、1重量部乃至5重量部で含まれてもよい。上記範囲で、硬化反応を完全に行うことができ、残量の開始剤によって透過率が低下することを防止することができ、気泡の発生を低下させることができ、優れた反応性を有することができる。
【0103】
ハードコーティング層用組成物は、フッ素系添加剤、及びシリコーン系添加剤のうち1種以上をさらに含むことができる。
【0104】
フッ素系添加剤は、ハードコーティング層の表面特性、特に、ハードコーティング層のスリップ性を改善し、耐磨耗性を良好にするものとして当業者に知られている通常のフッ素系添加剤を含むことができる。フッ素系添加剤は、フッ素変性(メタ)アクリレート、及びフッ素変性シロキサン化合物のうち1種以上を含むことができる。
【0105】
フッ素系添加剤は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、(メタ)アクリレート系モノマー及び無機粒子の合計100重量部に対して0.01重量部乃至5重量部、具体的には、0.1重量部乃至2重量部で含まれてもよい。上記範囲で、他の成分に影響を与えることなく、ハードコーティング層の表面特性を改善することができる。
【0106】
シリコーン系添加剤は、ハードコーティング層の表面特性を改善するものとして当業者に知られている通常のシリコーン系添加剤を含むことができる。例えば、シリコーン系添加剤は、ポリエーテル変性アクリル系ポリジメチルシロキサンなどを含み得るが、これに制限されない。
【0107】
シリコーン系添加剤は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、(メタ)アクリレート系モノマー及び無機粒子の合計100重量部に対して0.01重量部乃至5重量部、具体的には、0.1重量部乃至2重量部、0.1重量部乃至1重量部で含まれてもよい。上記範囲で、他の成分に影響を与えることなく、ハードコーティング層の表面特性を改善することができる。
【0108】
ハードコーティング層は、ハードコーティング層に追加的な機能を付与するために、当業者に知られている通常の添加剤をさらに含むことができる。添加剤は、酸化防止剤、安定化剤、界面活性剤、顔料、帯電防止剤、レベリング剤などを含み得るが、これに制限されない。
【0109】
光学機能性層(100)は、支持層(200)の上部面に機能性層形成用組成物、例えば、ハードコーティング層用組成物を所定の厚さで塗布した後、溝を形成できる陽刻パターンを印加して硬化させることによって形成され得る。他の方法として、機能性層(100)は、支持層(200)の上部面に機能性層形成用組成物、例えば、ハードコーティング層用組成物を所定の厚さで塗布して硬化させた後、レーザーなどで溝を掘ることによって形成され得る。
【0110】
以下、図4を参照して、本発明の他の実施形態に係る光学部材を説明する。
【0111】
図4を参照すると、光学部材は、支持層(200)、光学機能性層(100)及び粘着層(300)を含むことができる。支持層(200)の上部面に光学機能性層(100)が積層され、支持層(200)の下部面に粘着層(300)が積層されてもよい。図4の光学部材は、支持層(200)の下部面に粘着層(300)がさらに形成された点を除いては、図1の光学部材と実質的に同一である。
【0112】
粘着層(300)は、光学部材を被着体などに粘着させる機能をすることができる。「被着体」は、光学表示装置内に含まれる光学素子であり、例えば、ウィンドウフィルム、ウィンドウフィルム用基材フィルム、カバーガラスなどを含み得るが、これに制限されない。一実施形態において、被着体は、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリイミド系フィルムなどを含むプラスチックフィルム、超薄型ガラス板(ultra thin glass、UTG)などを含むガラス板などになってもよい。
【0113】
粘着層(300)は、その厚さが5μm乃至200μm、具体的には、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μm、105μm、110μm、115μm、120μm、125μm、130μm、135μm、140μm、145μm、150μm、155μm、160μm、165μm、170μm、175μm、180μm、185μm、190μm、195μm、200μm、例えば、10μm乃至100μmになってもよい。上記範囲で、粘着層(300)を光学部材に適用可能であり、支持層を光学素子に安定的に粘着させることができる。
【0114】
粘着層(300)は、(メタ)アクリレート系、ウレタン系、ウレタン(メタ)アクリレート系、シリコーン系、エポキシ系などの当業者にとって通常の粘着層を含むことができる。粘着層は、粘着層用組成物を光硬化、熱硬化又は光硬化と熱硬化との組み合わせ方法によって形成されてもよい。光硬化及び熱硬化は、それぞれ当業者に知られている通常の方法によって行われてもよい。しかし、粘着層(300)は、耐衝撃性及び/又はフォールディング信頼性に優れた粘着層になることによって、本発明の光学部材の効果を高めることができる。
【0115】
粘着層300は、25℃での貯蔵モジュラスが10kPa乃至500kPa、具体的には、10kPa乃至300kPa、10kPa乃至200kPa、10kPa乃至150kPaになってもよい。上記範囲で、屈曲信頼性を改善し、支持層に対する接着力を維持することができる。
【0116】
粘着層(300)は、その屈折率が1.45乃至1.65、具体的には、1.45乃至1.55になってもよい。上記範囲で、支持層に比べて適正な屈折率を有し、優れた外観を確保することを促進することができる。
【0117】
一実施形態において、粘着層は、(メタ)アクリル系共重合体のための単量体混合物及び開始剤を含む粘着層用組成物で形成された(メタ)アクリル系粘着層を含むことができる。
【0118】
単量体混合物は、水酸基含有(メタ)アクリレート、アルキル基含有(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを有する単量体、プロピレンオキシドを有する単量体、アミン基を有する単量体、アルコキシ基を有する単量体、リン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、フェニル基を有する単量体、シラン基を有する単量体、カルボン酸基を有する単量体、及びアミド基含有(メタ)アクリレートのうち一つ以上を含むことができる。
【0119】
粘着層(300)のガラス転移温度は、-10℃以下、例えば、-90℃乃至-20℃になってもよい。上記範囲で、低温でのフォールディング信頼性の改善効果を奏し得る。
【0120】
粘着層(300)は、PETフィルムに対する剥離強度が400gf/inch以上、例えば、500gf/inch乃至1200gf/inchになってもよい。上記範囲で、界面間で粘着力を十分に維持するという効果を奏し得る。
【0121】
粒子は、粘着層にさらに含まれ、表面保護フィルムの低温及び/又は高温での屈曲性を良好にしたり、表面保護フィルムの著しい耐衝撃性の改善を促進することができる。粘着層は、有機粒子、及び無機粒子のうち1種以上を含むことができる。
【0122】
有機粒子は、高温での粘着層のモジュラスを制御し、粘着層において高温で剥離及び/又は浮き上がり及び/又は気泡が発生しないようにし、高温での信頼性をさらに高めることができる。有機ナノ粒子は、ガラス転移温度が高いので、粘着層の高温でのモジュラスを高めることができる。
【0123】
有機粒子は、その平均粒径が10nm乃至400nm、具体的には、10nm乃至300nm、さらに具体的には、30nm乃至280nm、さらに具体的には、50nm乃至280nmである有機ナノ粒子になってもよい。上記範囲で、粘着層のフォールディングに影響を与えることなく、可視光領域での全光線透過率が90%以上であり、粘着層の透明度が良好になり得る。
【0124】
有機粒子には、コア-シェル型を始めとして、ビード(bead)型などの単純ナノ粒子なども含まれ得るが、これに限定されない。好ましくは、コア-シェル型の有機粒子の場合、本発明の低温及び高温での屈曲信頼性を改善することができる。コアとシェルは、下記の数式2を満たすことができる。すなわち、コアとシェルがいずれも有機物質で形成される粒子であってもよい。上記のような粒子形態を有する場合、粘着層のフォールディング性が良く、弾性及び柔軟性のバランス物性に効果を奏し得る。
【0125】
[数式2]
Tg(c)<Tg(s)
(数式2において、Tg(c)は、コアのガラス転移温度(単位:℃)で、Tg(s)は、シェルのガラス転移温度(単位:℃)である。)
【0126】
コアのガラス転移温度は、-150℃乃至10℃、具体的には、-150℃乃至-5℃、さらに具体的には、-150℃乃至-20℃になってもよい。上記範囲で、粘着層の低温及び/又は常温での粘弾性効果を奏し得る。コアは、上記ガラス転移温度を有するポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン及びポリブタジエンのうち1種以上を含むことができる。ポリアルキル(メタ)アクリレートは、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリエチルヘキシルアクリレート、ポリエチルヘキシルメタクリレート、及びポリシロキサンのうち一つ以上を含むことができ、必ずしもこれに限定されない。
【0127】
シェルのガラス転移温度は、15℃乃至150℃、具体的には、35℃乃至150℃、さらに具体的には、50℃乃至140℃になってもよい。上記範囲で、(メタ)アクリル系共重合体中の有機ナノ粒子の分散性が優秀になり得る。シェルは、上記ガラス転移温度を有するポリアルキルメタクリレートを含むことができる。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート及びポリシクロヘキシルメタクリレートのうち一つ以上を含むことができ、必ずしもこれに限定されない。
【0128】
コアは、有機粒子中に、30重量%乃至99重量%、具体的には、40重量%乃至95重量%、さらに具体的には、50重量%乃至90重量%で含まれてもよい。上記範囲で、広い温度範囲での粘着層のフォールディング性を改善することができる。シェルは、有機粒子中に、1重量%乃至70重量%、具体的には、5重量%乃至60重量%、さらに具体的には、10重量%乃至50重量%で含まれてもよい。上記範囲で、広い温度範囲での粘着層のフォールディング性を改善することができる。
【0129】
有機粒子は、単量体混合物100重量部に対して0重量部乃至20重量部、具体的には、0.1重量部乃至20重量部、0.5重量部乃至10重量部、0.5重量部乃至8重量部で含まれてもよい。上記範囲で、高温での粘着層のモジュラスを高くし、粘着層の常温及び高温でのフォールディング性を良好にし、粘着層の低温及び/又は常温での粘弾性を良好にすることができる。
【0130】
無機粒子は、無機材料によって形成された粒子であり、表面保護フィルムの耐衝撃性を改善することを促進することができる。無機粒子としては、例えば、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物、チタン酸バリウムなどの金属チタン酸塩、硫化物、セレン化物、テルル化物などを挙げることができる。好ましくは、無機粒子としてシリカを含むことによって耐衝撃性の改善効果があり、粘着層を構成する粘着樹脂と無機粒子との間の屈折率の差を低下させ、粘着フィルムのヘイズ上昇を防止することができる。
【0131】
無機粒子は、有機粒子に比べて平均粒径が低い粒子を含むことができる。これを通じて、本発明の効果をより容易に実施することができる。無機粒子はナノ粒子であり、その平均粒径(D50)が10nm乃至200nm、具体的には、10nm乃至150nm、さらに具体的には、10nm乃至100nmである粒子になってもよい。上記範囲で、表面保護フィルムのフォールディングに影響を与えることなく、耐衝撃性の向上効果を有することができ、可視光領域での全光線透過率が90%以上、ヘイズが1%未満であり、粘着層の透明度が良好になり得る。
【0132】
無機粒子は、水酸基含有(メタ)アクリレート及び共単量体を含む単量体混合物100重量部に対して0重量部乃至20重量部、具体的には、0.1重量部乃至20重量部、0.5重量部乃至10重量部、0.5重量部乃至8重量部で含まれてもよい。上記範囲で、表面保護フィルムの屈曲性に影響を与えないと共に、表面保護フィルムの耐衝撃性を著しく改善することができる。
【0133】
開始剤は、上記ハードコーティング層用組成物で説明した開始剤と実質的にほぼ同一である。
【0134】
開始剤は、水酸基含有(メタ)アクリレート及び共単量体を含む単量体混合物100重量部に対して0.001重量部乃至10重量部、具体的には、0.001重量部乃至5重量部で含まれてもよい。上記範囲で、粘着層を形成し、表面保護フィルムの光透明性低下を防止することができる。
【0135】
粘着剤組成物は、架橋剤、及びシランカップリング剤をさらに含むことができる。架橋剤は、2官能乃至6官能の(メタ)アクリレート系光硬化性単量体を含むことができる。これらに対する詳細な内容は、当業者に知られている通りである。
【0136】
本実施形態に係る光学部材は、2層以上の機能性層が順次積層されたものであってもよい。
【0137】
以下、図5を参照して、本発明の更に他の実施形態に係る光学部材を説明する。
【0138】
図5を参照すると、光学部材は、図4で説明した光学部材が2層積層されたものであってもよい。すなわち、光学部材は、粘着層(300)、支持層(200)、光学機能性層(100)、粘着層(300)、支持層(200)、及び光学機能性層(100)が順次積層された構造を有することができる。
【0139】
[光学表示装置]
本発明に係る光学表示装置は、本発明に係る光学部材を含む。一実施形態において、光学部材は、光学表示装置の視認側に配置されてもよい。
【0140】
光学表示装置は、有機発光表示装置などの発光表示装置、液晶表示装置などを含むことができる。光学表示装置は、ポータブル表示装置になってもよいが、これに限定されない。
【実施例
【0141】
以下、本発明の好適な実施例を通じて、本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであり、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈することはできない。
【0142】
実施例1
支持層としてのPET(厚さ:50μm、TU-94、SKC)の上部面にハードコーティング層用組成物(DS200EJ、SEKONIX Co.,Ltd.、無溶剤タイプ)をパターンコーティングしながら300mJ/cmの光量を照射し、図2に示すと共に、下記の表1で説明したハードコーティング層を有する光学部材を製造した。
【0143】
実施例2乃至実施例5
実施例1におけるハードコーティング層の構成を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で光学部材を製造した。
【0144】
比較例1
実施例1におけるハードコーティング層の構成を下記の表2のように変更し、支持層(1)上に図6(A)の断面[平面と、平面に接続される他の平面とからなる]を有する機能性層(2)を形成した点を除いては、実施例1と同一の方法で光学部材を製造した。
【0145】
比較例2
実施例1におけるハードコーティング層の構成を下記の表2のように変更し、支持層(1)上に図6(B)の断面[曲面であったり、全体が凹曲面である]を有する機能性層(2)を形成した点を除いては、実施例1と同一の方法で光学部材を製造した。
【0146】
比較例3及び比較例4
実施例1におけるハードコーティング層の構成を下記の表1のように変更したことを除いては、実施例1と同一の方法で光学部材を製造した。
【0147】
下記の表1に実施例及び比較例のハードコーティング層の構成を示した。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【0150】
実施例及び比較例で製造した光学部材に対して下記の項目を評価し、その結果を下記の表3に示した。
【0151】
(1)フォールディング信頼性:PETフィルム(厚さ:50μm、TU-94、SKC)/粘着層/PETフィルム(厚さ:50μm、TU-94、SKC)/粘着層/PETフィルム(厚さ:50μm、TU-94、SKC)が順次積層された試験片上に粘着層を貼り合わせ、粘着層に実施例及び比較例で製造した光学部材を積層させ、フォールディング信頼性を評価するための試験片を製造した。このとき、試験片では、溝を最外郭に配置させた。粘着層としては、いずれもアクリル系粘着層を使用した。25℃で72時間にわたってエージングさせた後、溝をフォールディング軸として手動で折り畳んだり広げることを20回繰り返した。溝にクラック及び/又は剥離などが発生するかどうかを評価した。クラック及び/又は剥離などが発生しなかった場合は「○」、クラック及び/又は剥離などが少しでも発生した場合は「X」と評価した。
【0152】
(2)溝の視認有無:フォルダブルモジュール上に粘着層を貼り合わせ、粘着層に実施例及び比較例で製造した光学部材を積層させ、モジュール駆動後の溝の視認有無を肉眼で評価した。溝が視認されなかった場合は「X」、溝が少しでも視認された場合は「○」と評価した。
【0153】
(3)衝撃及び圧痕に対する抵抗性:実施例及び比較例で製造された光学部材を、ハードコーティング層が最外郭に配置されるようにガラス板上に置いた。直径が0.7mmで、断面が円であるペンをハードコーティング層の溝内に垂直方向に落下させた。ハードコーティング層及び支持層に圧痕及び/又は打痕が発生するかどうかを3D顕微鏡で確認した。ハードコーティング層及び支持層に圧痕及び/又は打痕が発生した最初の高さを測定した。該当の高さが高いほど、衝撃及び圧痕に対する抵抗性に優れることを意味する。該当の高さが10cm以上である場合は「○」、 該当の高さが10cm未満である場合は「X」と評価した。
【0154】
【表3】
【0155】
表3のように、本発明に係る光学部材は、反復的にフォールディングが生じた場合にも、低い反発力によってポータブルディスプレイ装置に適用可能であり、溝の視認の程度を最小化したり、溝が視認されることを防止し、ディスプレイ装置の最外郭に適用することができ、衝撃や圧痕に対する抵抗性に優れていた。
【0156】
その一方で、本発明の構成を満たさない比較例の光学部材は、本発明の効果を提供することができなかった。
【0157】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものとみなすことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】