(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 2/46 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
C08F2/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510506
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2022072886
(87)【国際公開番号】W WO2023021051
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コッソイ,エリザヴェータ
(72)【発明者】
【氏名】ヤコビ,ラヴィト
(72)【発明者】
【氏名】アヴィフ,ヤロン
(72)【発明者】
【氏名】ザーバル,スザンナ
【テーマコード(参考)】
4J011
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011AC04
4J011FB01
4J011PA04
4J011PA09
4J011PA10
4J011PA36
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA12
4J011SA84
4J011UA01
4J011VA05
4J011WA10
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1の発光部を含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは官能基の1以上を有する該モノマー、より好ましくは前記モノマーは(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;
iii)抗酸化剤;および
iv)重合開始剤
を含む組成物であって、前記組成物は好ましくは光硬化性組成物からなる、前記組成物。
【請求項2】
該抗酸化剤の総量が、組成物の固体含量の総量に基づきは、1wt%より多い、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該重合開始剤の総量が、組成物の固体含量の総量に基づき、1wt%未満かつ0wt.%を上回る、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
抗酸化剤の総量の、重合開始剤の総量に対する比率が、1より大きくかつ100以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
該抗酸化剤が、ヒンダードアミン、好ましくは該ヒンダードアミンは、テトラメチルピペリジンまたはテトラメチルピペリジンの誘導体である、フェノール誘導体、好ましくは該フェノール誘導体は、4-メトキシフェノールまたは4-メトキシフェノールの誘導体である、キノン誘導体、チオール、および二重結合が共役した不飽和アルキル、好ましくは該二重結合が共役した不飽和アルキルは、レチノールまたはレチノールの誘導体である、からなる群の1以上のメンバーから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
該重合開始剤が、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、チオキサンテン-9-オン、カンファキノン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン、9-ビニルカルバゾールなどのカルバゾール、1,2-オクタンジオン1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2(o-ベンゾイルオキシム)、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、オキシムエステルからなる群の1以上のメンバーから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
反応性モノマーが、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーであり、より好ましくはそれが、ジ-メタクリラートモノマーまたはジ-アクリラートモノマー、トリ-メタクリラートモノマー、トリ-アクリラートモノマーであり、なおより好ましくはそれが、以下の化学式(II);
【化1】
によって表され、
X
3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基、またはアルコキシ基である;
R
5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
以下の化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマーおよび/または以下の化学式(III)によって表される(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物;
【化2】
式中
X
1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X
2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R
1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
【化3】
式中
R
9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化4】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
10は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化5】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
11は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化6】
によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R
8、R
8a、R
8b、およびR
8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、HまたはCH
3である;
ここでR
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR
9、R
10、およびR
11のうち2つは、(メタ)アクリル基であり、かつ他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基である、前記組成物。
【請求項8】
組成物の粘度が、室温にて35cP以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、組成物の総量に基づき溶媒を10wt%以下含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の反応性モノマーの1以上に由来するかまたは由来し得るポリマーと抗酸化剤とを含む、組成物。
【請求項11】
少なくとも以下のステップY1;
Y1)少なくとも1の発光部、反応性モノマー、抗酸化剤、および重合開始剤を混合することで、組成物を形成すること
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を製作するためのプロセス。
【請求項12】
少なくとも;
I)(メタ)アクリラートポリマー、好ましくはそれが、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物中の反応性モノマーおよび重合開始剤から得られるかまたは得ることができる;
ii)発光部;および
iii)抗酸化剤
を含有する、層。
【請求項13】
プロセスが、少なくとも以下のステップ;
I)請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を基体上へ提供すること、
II)組成物を硬化すること
を含む、請求項12に記載の層を製作するためのプロセス。
【請求項14】
請求項12に記載の層で一部または全部が満たされている第1画素(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを少なくとも含む、色変換デバイス(100)。
【請求項15】
光を調節するように構成されているか、または光を発するように構成されている、少なくとも1の機能媒体(320、420、520)と、請求項14に記載の色変換デバイス(100)とを含有する、光学デバイス(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、少なくとも1の発光部を含む組成物、組成物を製作するためのプロセス、組成物の使用、層、層を製作するためのプロセス、色変換デバイス、および少なくとも1の色変換デバイスを含有する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
WO 2017/054898 A1には、赤色放射型ナノ結晶、湿潤剤・分散剤、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、酸基を包含するアクリル単位およびシラン修飾アクリル単位を包含するアクリルポリマー混合物を含む組成物が記載されている。
WO 2019/002239 A1には、半電導性発光ナノ粒子、ポリマー、およびほぼ90cpの高粘度を有する1.4.シクロヘキサンジメタノール-モノアクリラートなどの(メタ)アクリラートを含む組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献
1.WO 2017/054898 A1
2.WO 2019/002239 A1
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要
しかしながら、本発明者らは、下に挙げられるとおりの、改善が所望される相当な問題が、依然として1以上存在することを新たに見出した:
組成物中の発光部の改善された均一な分散体、組成物中の散乱粒子の改善された均一な分散体、好ましくは発光粒子と散乱粒子との両方の改善された均一な分散体、より好ましくは発光部および/または散乱粒子の溶媒なしの改善された均一な分散体を実現すること;インクジェット印刷に好適なより低い粘度を有する組成物、好ましくは、高ロード(high loading)の発光部および/または散乱粒子で混合された場合であっても、なおもより好ましくは溶媒なしで、より低い粘度を保ち得る組成物;大面積に一様な印刷をするためにより小さい蒸気圧を有する組成物を提供すること;インクジェット印刷の最中/その後に、インクジェット印刷ノズル周囲に残渣がないまたは残基が低減されたことを実現する、新しい組成物を提供すること、組成物中の発光部の改善されたQYおよび/またはEQE、印刷後の発光部の改善されたQYおよび/またはEQEを実現すること;改善された熱安定性;印刷ノズルにて目詰まりのない印刷の容易性;組成物の取扱い容易性、改善された印刷特性;単純な製作プロセス;青色光の改善された吸光度;インクジェット印刷後の組成物から作られる層の改善された固体性;組成物中の光誘起重合最中の過剰のラジカルを低減/防止すること、および発光部の酸化損傷を低減/防止すること;重合を制御すること;組成物を低UV強度(例として2.3mW/cm2でのUV硬化)または高UV光強度(例として10秒、300mW/cm2でのUV硬化)のいずれかにて硬化した後に改善された光学性能(例として硬化組成物フィルムのより高いEQE値)を実現すること、好ましくは、組成物を高UV光強度にて硬化(例として10秒、300mW/cm2でのUV硬化)した後に改善された光学性能(例として硬化組成物フィルムのより高いEQE)および/または改善されたフィルム層状態を実現すること、好ましくはこれらを同時にを実現すること;高UV光強度での組成物の重合後の改善されたフィルム輝度、および硬化フィルムの長期耐久性。
【0005】
本発明者らは、上述の問題の1つ以上を解決することを目的とした。
そこで、少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは官能基の1以上を有する該モノマー、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;
iii)抗酸化剤;および
iv)重合開始剤、ならびに任意にv)散乱粒子の1以上、好ましくは散乱粒子の1以上が存在し、かつ該散乱粒子の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき、0.1wt%から99wt%までの範囲にあり、より好ましくは1wt%から20wt%までの範囲にあり、なおより好ましくは2wt%から10wt%までである、
を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる新規組成物が見出され、好ましくはこれは光硬化性組成物からなる。
【0006】
別の側面において、本発明は、少なくとも以下のステップY1;
Y1)少なくとも1の発光部、反応性モノマー、抗酸化剤、および重合開始剤を混合することで、本発明の組成物を形成すること
を含む、前記組成物を製作するためのプロセスに関する。
【0007】
別の側面において、本発明は、電子デバイス、光学デバイス、検知(sensing)デバイスにおける、または生物医学デバイス(biomedical device)における、または電子デバイス、検知デバイス、光学デバイス、もしくは生物医学デバイスを製作するための、本発明の組成物の使用に関する。
別の側面において、本発明は、本発明の組成物を含有する層に関する。
【0008】
別の側面において、本発明は、少なくとも
I)(メタ)アクリラートポリマー、好ましくはそれは、本発明の組成物中の反応性モノマーおよび重合開始剤から得られるかまたは得ることができる;
ii)発光部;
iii)抗酸化剤;および
任意にv)散乱粒子の1以上、好ましくは散乱粒子の1以上が存在し、および該散乱粒子の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき、0.1wt%から99wt%までの範囲にあり、より好ましくは1wt%から20wt%までの範囲にあり、なおより好ましくは2wt%から10wt%までである、
を含有するか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる層に関する。
【0009】
別の側面において、本発明は、本発明の層を製作するプロセスに関し、ここでプロセスは、少なくとも、以下のステップを含むか、本質的に前記ステップからなるか、または前記ステップからなる;
I)本発明の組成物を基体上へ提供すること、好ましくは、
II)組成物を硬化すること、好ましくは該硬化は、光照射および/または熱処理によって実施される。
別の側面において、本発明は、プロセスから得られるかまたは得ることができる層に関する。
【0010】
別の側面において、本発明はさらに、発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を少なくとも含む本発明の層で一部または全部が満たされている第1画素(161)と、ポリマー材料を少なくとも含むバンク(150)とを、少なくとも含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる色変換デバイス(100)に関し、好ましくは、色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
別の側面において、本発明はさらに、本発明の層または本発明のデバイス(100)を製作するための本発明の組成物の使用に関する。
【0011】
別の側面において、本発明は、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(320、420、520)と、本発明の色変換デバイス(100)とを含有する光学デバイス(300)に関する。
本発明のさらなる利点は、以下の詳細な記載から明白になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語の定義
本明細書において、記号、単位、略語、および用語は、別様に特定されない限り、以下の意味を有する。
【0013】
本明細書において、特に断りのない限り、単数形は、複数形を包含し、「1つ(one)」または「その(that)」は、「少なくとも1つの」を意味する。本明細書において、特に断りのない限り、概念の要素は、複数種によって表現され得、量(例えば、重量%またはmol%)が記載されているとき複数種の和を意味する。「および/または」は、すべての要素の組み合わせを包含し、また要素の単一使用も包含する。
【0014】
本明細書において、数字で表した範囲が、「まで(to)」または「~」を使用して指し示されているとき、両端点を包含し、その単位は共通している。例えば、5~25mol%は、5mol%以上かつ25mol%以下を意味する。
【0015】
本明細書において、炭化水素は、炭素および水素を包含し、任意に酸素または窒素も包含するものを意味する。ヒドロカルビル基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の炭化水素を意味する。本明細書において、脂肪族炭化水素は、線状の、分枝状の、または環状の脂肪族炭化水素を意味し、脂肪族炭化水素基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の脂肪族炭化水素を意味する。芳香族炭化水素は、任意に置換基として脂肪族炭化水素基を含むのみならず脂環と縮合されていてもよい芳香環を含む炭化水素を意味する。芳香族炭化水素基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の芳香族炭化水素を意味する。さらに、芳香環は、共役不飽和環構造を含む炭化水素を意味し、脂環は、環構造を有するが共役不飽和環構造を含まない炭化水素を意味する。
【0016】
本明細書において、アルキルは、線状または分枝状の飽和炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味し、線状アルキルおよび分枝状アルキルを包含しており、シクロアルキルは、環状構造を含む飽和の炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味し、任意に環状構造において側鎖として線状または分枝状のアルキルを包含する。
【0017】
本明細書において、アリールは、芳香族炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味する。アルキレンは、線状または分枝状の飽和炭化水素からいずれか2個の水素を除去することによって得られる基を意味する。アリーレンは、芳香族炭化水素からいずれか2個の水素を除去することによって得られる炭化水素基を意味する。
【0018】
本明細書において、ポリマーが複数のタイプの繰り返し単位を有するとき、これらの繰り返し単位は共重合する。これらの共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれか、またはこれらいずれの混合物である。
本発明に従うと、用語「(メタ)アクリラートポリマー」は、メタクリラートポリマー、アクリラートポリマー、またはメタクリラートポリマーとアクリラートポリマーとの組み合わせを意味する。
【0019】
用語「放射」は、原子および分子中の電子遷移による電磁波の放射を意味する。
本明細書において、セ氏は、温度単位として使用される。例えば、20度は、セ氏20度を意味する。
【0020】
本発明の詳細な記載
本発明に従うと、一側面において、組成物は、少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは官能基の1以上を有する該モノマー、より好ましくは前記モノマーは(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;
iii)抗酸化剤;および
iv)重合開始剤、ならびに任意にv)散乱粒子の1以上、好ましくは散乱粒子の1以上が存在し、および該散乱粒子の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき、0.1wt%から99wt%までの範囲にあり、より好ましくは1wt%から20wt%までの範囲にあり、なおより好ましくは2wt%から10wt%までである、
を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる。
【0021】
iii)抗酸化剤
本発明に従うと、組成物は、抗酸化剤を含む。本発明の好ましい態様において、該抗酸化剤の総量は、組成物中の光誘起重合最中の過剰のラジカルを低減/防止するとの観点および/または発光部の酸化損傷を低減/防止するとの観点から、組成物の固体含有の総量に基づき、1wt%より多く、好ましくは1.1wt%から10wt%まで、より好ましくは1.2wt%から5wt%まで、なおより好ましくは1.3wt%から3wt.%までの範囲にある。
【0022】
本発明の好ましい態様において、該抗酸化剤は、組成物中の光誘起重合最中の過剰のラジカルを効果的に低減/防止するとの観点、発光部の酸化損傷を低減/防止するとの観点、および/または組成物との良好な相溶性(とくに反応性モノマー、発光部、および重合開始剤との良好な相溶性)との観点から、ヒンダードアミン(例としてテトラメチルピペリジンおよび誘導体)、フェノール誘導体(例としてMEHQおよびその誘導体)、キノン誘導体、チオール、ならびに二重結合が共役した不飽和アルキル(例としてレチノールおよびその誘導体)からなる群の1以上のメンバーから選択され、好ましくはフェノール誘導体、より好ましくはヒンダードフェノールタイプの抗酸化剤である。
【0023】
また、上に指し示されるとおり抗酸化剤の量を制御することによって、ラジカル(ここで「過剰のラジカル」)の数が低減/防止され得ることも考えられる。そして、それによって重合条件(例として、重合スピード)を制御することが可能となり、本発明の組成物を高UV光強度にて硬化(例として、10秒、300mW/cm2でのUV硬化)した後に改善された光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE)および/または改善されたフィルム層状態に繋がる。
【0024】
iv)重合開始剤。
本発明に従うと、組成物は、重合開始剤を含む。本発明の好ましい態様において、該重合開始剤の総量は、重合を制御するとの観点、本発明の組成物を高UV光強度にて硬化(例として10秒、300mW/cm2でのUV硬化)した後に改善された光学性能(例として硬化組成物フィルムのより高いEQE)および/または改善されたフィルム層状態を実現するとの観点から、組成物の固体含有の総量に基づき、1wt%未満かつ0wt.%を上回り、好ましくは0.9wt.%から0.01wt.%まで、より好ましくは0.8から0.05wt%まで、なおより好ましくは0.7から0.1wt%までの範囲にある。
【0025】
本発明の好ましい態様において、該重合開始剤は、重合を制御するとの観点、および/または、本発明の組成物を高UV光強度にて硬化(例として10秒、300mW/cm2でのUV硬化)した後に、改善された光学性能(例として硬化組成物フィルムのより高いEQE)、改善されたフィルム層状態、および/または組成物との良好な相溶性(とくに反応性モノマー、発光部、および抗酸化剤との良好な相溶性)を実現するとの観点から、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、チオキサンテン-9-オン、カンファキノン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン、9-ビニルカルバゾールなどのカルバゾール、1,2-オクタンジオン1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2(o-ベンゾイルオキシム)、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、オキシムエステルからなる群の1以上のメンバーから選択され、好ましくはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドとエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナートとの混合物、およびそれらの組み合わせから選択され、より好ましくはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドである。
【0026】
- 抗酸化剤/重合開始剤の比率
本発明の好ましい態様において、抗酸化剤の総量の、重合開始剤の総量に対する質量比率は、1より大きくかつ100以下、好ましくは1.1から50まで、より好ましく1.2から30まで、なおより好ましくは1.5から6までの範囲にある。
【0027】
上述した好ましい範囲は、顕著な技術的効果に繋がることもあると考えられる:組成物中の光誘起重合最中の過剰のラジカルを低減/防止すること、および発光部の酸化損傷を低減/防止すること;ならびに重合を制御すること、および/または本発明の組成物を高UV光強度にて硬化(例として10秒、300mW/cm2でのUV硬化)した後に、改善された光学性能(例として硬化組成物フィルムのより高いEQE)および/または改善されたフィルム層状態を同時に実現すること。換言すれば、それは、高UV光強度での組成物の重合後に、硬化されたフィルムの改善されたフィルム輝度および長期耐久性に繋がり得ると考えられる。
【0028】
抗酸化剤/重合開始剤の比率を調整することによって、より好ましくは組成物の重合条件(例として、重合スピード)を制御することが可能となり、本発明の組成物を高UV光強度にて硬化(例として、10秒、300mW/cm2でのUV硬化)した後に、改善された光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE)および/または改善されたフィルム層状態に繋がると考えられる。
【0029】
i)反応性モノマー
より低い粘度は、インクジェット印刷に好適な低粘度組成物を作製するのに重要であると考えられる。したがって、室温にて35cP以下、好ましくは1cPから35cPまで、より好ましくは2cPから30cPまで、なおより好ましくは2cPから25cPまでの範囲にある粘度値を有する(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷用組成物を作製するのにとくに好適である。組成物においてこれらの(メタ)アクリラートモノマーを使用することによって、これを半電導性発光ナノ粒子などの別の材料と高ロード(high loading)で混合したとき、組成物は、インクジェット印刷に好適な範囲内のより低い粘度を依然として保ち得る。
【0030】
本発明の好ましい態様において、該反応性モノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様な(large area uniform)インクジェット印刷のために、80℃以上、好ましくは80℃から350℃まで、なおもより好ましくは85℃から200℃まで、さらにより好ましくは100℃から150℃までの範囲にある。
【0031】
ここで、用語「(メタ)アクリラート」は、アクリラートおよびメタクリラートの総称である。したがって、本発明に従うと、用語「(メタ)アクリラートモノマー」は、メタクリラートモノマーおよび/またはアクリラートモノマーを意味する。
本発明に従うと、該B.P.は、Science of Petroleum, Vol.II. p.1281 (1398)などに記載された方法といった、知られている方法によって見積もられ得る。
【0032】
本発明に従うと、化学式(I)または(II)によって表される、公的に入手可能なアクリラートおよび/またはメタクリラートのいずれのタイプも、好ましく使用され得る。
とくに第1の側面では、化学式(I)、(II)、および/または(III)によって表される、25℃にて25cP以下の粘度値を有する公的に入手可能なアクリラートおよび/またはメタクリラートのいずれのタイプも、好ましくは使用され得る。
【0033】
よって、本発明に従うと、組成物の反応性モノマーは、好ましくは、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーであり、より好ましくはそれは、ジ-メタクリラートモノマーまたはジ-アクリラートモノマー、トリ-メタクリラートモノマー、トリ-アクリラートモノマーであり、なおより好ましくはそれは、以下の化学式(II);
【化1】
X
3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、またはアルコキシ基である;
好ましくは、記号X
3は、
【化2】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
5への接続点を表す;
lは、0または1である;
R
5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
6は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、好ましくはR
6は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
7は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはR
7は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を相互に形成していてもよい、
によって表される。
【0034】
好ましい態様において、組成物は、以下の化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマーおよび/または以下の化学式(III)によって表される(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む;
【化3】
式中
X
1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X
2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R
1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
好ましくは、記号X
1は、
【化4】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の記号X
2への接続点を表す;
nは、0または1である;
好ましくは、記号X
2は、
【化5】
あり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の記号X
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
2への接続点を表す;
mは、0または1である;
好ましくは、少なくともmまたはnは、1である;
R
3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくはR
3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
4は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくはR
4は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する、直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルもしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を形成していてもよい;
【化6】
式中R
9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化7】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
10は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化8】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
11は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化9】
によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R
8、R
8a、R
8b、およびR
8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、HまたはCH
3である;
ここでR
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR
9、R
10、およびR
11の2つは、(メタ)アクリル基であり、かつ他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、好ましくは式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの電気伝導率(S/cm)は、1.0*10
-10以下、好ましくは5.0*10
-11以下、より好ましくは5.0*10
-11から1.0*10
-15までの範囲にあり、なおもより好ましくは5.0*10
-12から1.0*10
-15までの範囲にある。
【0035】
好ましい態様において、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに対する化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの混合比は、1:99から99:1まで(式(III):式(II))、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60までの範囲にあり、なおもより好ましくは、それは15:85から35:65までであり、好ましくは、化学式(III)、(II)によって表される、少なくとも精製された(メタ)アクリラートモノマーは、組成物中で使用され、より好ましくは化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、精製方法によって得られるかまたは得ることができる。
【0036】
好ましい態様において、化学式(I)および/または化学式(II)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、80℃以上であり、好ましくは80℃から350℃まで、なおもより好ましくは85℃から200℃まで、さらにより好ましくは100℃から150℃までの範囲にある。
本発明に従うと、好ましい態様において、組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1cPから35cPまで、より好ましくは2cPから30cPまで、なおもより好ましくは2cPから25cPまでの範囲にある。
本発明に従うと、該粘度は、振動型粘度計VM-10A(SEKONIC)によって室温にて測定され得る。https://www.sekonic.co.jp/english/product/viscometer/vm/vm_series.html
【0037】
- マトリックス材料としての、化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマー
さらにより好ましくは、式(I)の該R
3および式(I)のR
4は各々、互いに独立して、以下の基から選択される。
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【0038】
殊更好ましくは、式(I)の該R
3およびR
4は、出現毎に、独立してまたは異なって、以下の基から選択される。
【表B】
ここで「*」はR
3の場合、式の酸素原子への接続点または式のX
2への接続点を表し、およびここで「*」はR
4の場合、式の酸素原子への接続点または式のX
1への接続点を表す。
【0039】
さらにより好ましくは、該式(I)は、NDDA(ノナンジオールジアクリラート;BP:342℃)、HDDMA(ヘキサンジオールジメタクリラート;BP:307)、HDDA(ヘキサンジオールジアクリラート;BP:295℃)、またはDPGDA(BP:314℃)である。
【化10】
【0040】
- 化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマー
以下の化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマーは、式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの粘度よりはるかに小さい粘度値を示すと考えられる。よって、化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマーを化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーと組み合わせて使用することによって、滑らかなインクジェット印刷に所望されるはるかにより小さい粘度を有する組成物が、好ましくは外部量子効率(EQE)値を減少させずに、実現され得る。
【0041】
該組み合わせは、多量の別の材料(高ロードの半電導性発光ナノ粒子など)を含む低粘度組成物を実現し得ると考えられる。よって、これは組成物が別の材料を含むとき、インクジェット印刷にとくに好適である。
【0042】
さらにより好ましくは、式(II)の該R
7は、出現毎に、独立してまたは異なって、以下の基から選択されるが、ここで基は、R
aで置換され得、好ましくはR
aによって置換されていない。
【表C】
ここで「*」はlが1である場合、X
3のR
6への接続点を表し、およびそれはnが0である場合、式(II)のX
3の酸素原子への接続点を表す。
【0043】
さらにより好ましくは、該式(II)は、ラウリルメタクリラート(LM、粘度6cP、BP:142℃)またはラウリルアクリラート(LA、粘度:4.0cP、BP:313.2℃)である。
【0044】
化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの総量に対する、より多い量の化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、組成物の改善されたEQEに繋がり、化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの総量に対する化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの、50wt.%未満の混合重量比が、組成物の粘度、組成物のより良好なインク噴射特性の観点から好ましいと考えられる。
【0045】
好ましくは、シリカカラムを使用することによって精製された(メタ)アクリラートモノマーが使用される。
(メタ)アクリラートモノマーからのシリカカラム精製による不純物除去は、組成物中の半電導性発光ナノ粒子の改善されたQYに繋がると考えられる。
【0046】
- 化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマー
化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷後の組成物から後に作られるその固体性(solidity)を改善するのに有用であると考えられる。
本発明に従うと、以下の化学式(III)によって表される、公的に知られている(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷および架橋後の層の固体性を改善するのに使用され得る。
【0047】
極めて好ましくは、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)は、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーとして使用される。
本発明の好ましい態様において、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの量は、組成物中の(メタ)アクリラートモノマーの総量に基づき、0.001wt.%から25wt.%までの範囲にあり、より好ましくは0.1wt.%から15wt.%まで、なおもより好ましくは1wt.%から10wt.%までの範囲にある。
【0048】
好ましくは、シリカカラムを使用することによって精製された(メタ)アクリラートモノマーが使用される。
(メタ)アクリラートモノマーからのシリカカラム精製による不純物除去は、組成物中の半電導性発光ナノ粒子の改善されたQYに繋がると考えられる。
本発明に従うと、好ましくは組成物は、20%以上、好ましくは30%以上、なおより好ましくは33%以上および95%未満、なおより好ましくは33%以上および50%未満のEQE値を示すように構成されている。
【0049】
本発明に従うと、該EQEは、室温にて以下のEQE測定プロセスによって測定されるが、前記プロセスは、光ファイバーおよび分光計(Compass X,BWTEK)を介して連結された450nm励起光源を備えた積分球を使用することに基づいており、かつ参照として空気を使用して励起光の入射光子を検出する第1測定と、試料を通過した励起光源からの入射光子および試料もしくは試験セルから発せられた光子を検出する、積分球前に積分球の開口と光ファイバーの出口との間に置かれた試料または試験セルでの第2測定とからなるが、両ケースともに積分球を出た光子は分光計によって計数され、EQEおよびBLの算出は以下の方程式でなされ、かつ励起光および放射光の光子数は、以下の波長範囲にわたる積分によって算出される;
EQE=光子[放射光]/光子[試料なしで適所にて測定された励起光];
BL=光子[試料ありで適所にて測定された励起光]/光子[試料なしで適所にて測定された励起光];
緑色発光部が使用された場合の放射光: 490nm~600nm、
赤色発光部が使用された場合の放射光: 580nm~780nm
励起光: 390nm~490nm。
【0050】
- 発光部(110)
本発明の好ましい態様において、該発光部は、有機および/または無機の発光材料であり、好ましくは、有機色素、無機リン光体(inorganic phosphor)、および/または量子材料などの半電導性発光ナノ粒子である。
本発明のいくつかの態様において、発光部(110)の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき、0.1wt.%から99wt.%までの範囲にあるか、または第1画素(161)の総量に基づき、好ましくは10wt.%から80wt.%まで、より好ましくは40wt.%から60wt.%までの範囲にある。
【0051】
- iii)半電導性発光ナノ粒子
本発明に従うと、用語「半導体」は、室温にて伝導体(銅など)の電気伝導率と絶縁体(ガラスなど)の電気伝導率との間の程度の電気伝導率を有する材料を意味する。好ましくは、半導体は、電気伝導率が温度とともに増加する材料である。
用語「ナノサイズ(の)」は、0.1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmの間にあるサイズを意味する。
【0052】
よって、本発明に従うと、「半電導性発光ナノ粒子」は、そのサイズが、0.1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmの間にあり、室温にて伝導体(銅など)の電気伝導率と絶縁体(ガラスなど)の電気伝導率との間の程度の電気伝導率を有する発光材料を意味するものと解釈され、好ましくは半導体は、電気伝導率が温度とともに増加し、かつサイズが0.1nmと150nmとの間、好ましくは0.5nm~150nm、より好ましくは1nm~50nmにある材料である。
【0053】
本発明に従うと、用語「サイズ」は、TEM画像において半電導性ナノサイズ発光粒子のポジティブコントラスト(dark contrast)特色のある平均面積に等しい面積の円の平均直径を意味する。
半電導性ナノサイズ発光粒子の平均直径は、Tecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeによって作成されたTEM画像中の100半電導性発光ナノ粒子に基づき算出される。
【0054】
本発明の好ましい態様において、本発明の半電導性発光ナノ粒子は、量子サイズの材料である。
本発明に従うと、用語「量子サイズ(の)」は、例えばISBN:978-3-662-44822-9に記載されるように量子閉じ込め効果を示し得る、配位子も別の表面修飾もない半電導性材料自体のサイズを意味する。
【0055】
例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeSおよびInPGa、InCdP、InPCdS、InPCdSe、InSb、AlAs、AlP、AlSb、Cu2S、Cu2Se、CuInS2、CuInSe2、Cu2(ZnSn)S4、Cu2(InGa)S4、TiO2の合金、ならびにこれらのいずれの組み合わせも使用され得る。
【0056】
本発明に従うと、該半電導性発光ナノ粒子は、コア-シェル構造を有していてもよい。該半電導性発光ナノ粒子がいずれのシェル層も有さないケースにおいて、そのとき用語「コア」は、半電導性発光ナノ粒子それ自体を意味する。
【0057】
本発明の好ましい態様において、半電導性材料(今後、半電導性発光ナノ粒子の「コア」)は、周期表の第13族の少なくとも1つの元素と周期表の第15族の1つの元素とを含み、好ましくは第13族の元素はInであり、かつ第15族の元素はPであり、より好ましくはコアは、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeS、およびInPGaからなる群から選択される。
【0058】
本発明に従うと、半電導性発光ナノ粒子のコアの形状のタイプ、および合成された半電導性発光ナノ粒子の形状は、具体的に限定されない。
例えば、球状に成形された、細長く成形された、星状に成形された、多面体状に成形された、ピラミッド状に成形された、四脚に成形された、4面体状に成形された、血小板状に成形された、円錐状に成形された、および不規則に成形されたコアおよび-または半電導性発光ナノ粒子が、合成され得る。
【0059】
本発明のいくつかの態様において、コアの平均直径は、1.5nmから3.5nmまでの範囲にある。
コアの平均直径は、各単一粒子の最長軸を測定することによりTecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeによって創作されたTEM画像中の100半電導性発光ナノ粒子に基づき算出される。
【0060】
本発明のいくつかの態様において、少なくとも1つのシェル層は、周期表の第12族の第1元素と周期表の第16族の第2元素とを含むかまたはこれらからなり、好ましくは、第1元素はZnであり、かつ第2元素はS、Se、またはTeである;好ましくは、該コア上を直接覆う第1シェル層は、周期表の第12族の第1元素と周期表の第16族の第2元素とを含むかまたはこれらからなり、好ましくは、第1元素はZnであり、かつ第2元素はS、Se、またはTeである。
【0061】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1つのシェル層(第1シェル層)は、以下の式(XI)によって表され、好ましくは、コアを直接覆うシェル層は、化学式(XI)によって表される;
ZnSxSeyTez -(XI)
式中0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくは、0≦x≦1、0≦y≦1、z=0、およびx+y=1、好ましくは、シェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezである。
【0062】
本発明のいくつかの態様において、該シェル層は、合金のシェル層または勾配のある(graded)シェル層であり、好ましくは、該勾配のあるシェル層は、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTez、より好ましくはZnSxSeyである。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子はさらに、該シェル層上の第2のシェル層を含み、好ましくは、第2のシェル層は、周期表の第12族の第3元素と周期表の第16族の第4元素とを含むかまたはこれらからなり、より好ましくは、第3元素はZnであり、かつ第4元素はS、Se、またはTeであるが、ただし第4元素と第2元素とは、同じではない。
【0063】
本発明の好ましい態様において、第2のシェル層は、以下の式(XI')、
ZnSxSeyTez -(XI')
によって表され、式中0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくは、シェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezであるが、ただしシェル層と第2のシェル層とは、同じではない。
【0064】
本発明のいくつかの態様において、該第2のシェル層は、合金のシェル層であり得る。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子はさらに、マルチシェル(multishell)として、第2のシェル層上へ1以上の追加のシェル層を含み得る。
本発明に従うと、用語「マルチシェル」は、3以上のシェル層からなる積み重ねシェル層を表す。
【0065】
例えば、シェル層として、CdS、CdZnS、CdS/ZnS、CdS、ZnS、ZnS/ZnSe、ZnSe/ZnS、またはこれらのいずれかの組み合わせが使用され得る。好ましくは、ZnS、ZnSe、またはZnSe/ZnS。
例えば、コア/シェル構造を有する半電導性発光材料として、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnS、InZnPS/ZnS、InZnPS/ZnSe、InZnPS/ZnSe/ZnS、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnS、またはこれらいずれかの組み合わせが、使用され得る。好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnSである。
【0066】
かかる半電導性発光ナノ粒子は、公的に入手可能であるか(例えば、Sigma Aldrichから)、および/または例えば、US 7,588,828 B、US 8,679,543 B、およびChem.Mater.2015,27,pp4893-4898に記載される方法で合成され得る。
本発明のいくつかの態様において、組成物は、2以上の半電導性発光ナノ粒子を含む。
【0067】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは10wt.%から70wt.%まで、より好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある。
【0068】
- 配位子
本発明のいくつかの態様において、任意に、発光部は、1以上の配位子によって直接上から覆われ得るか、または半電導性発光ナノ粒子の無機部分の最外表面が、配位子によって直接覆われ得る。選択肢として、配位子に覆われた半電導性発光ナノ粒子は、該半電導性発光ナノ粒子(単数または複数)を内部に有するポリマービーズを形成するポリマーによって上から覆われ(overcoated)得る。
【0069】
配位子として、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、およびトリブチルホスフィン(TBP)などの、ホスフィンならびにホスフィンオキシド;ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、およびヘキシルホスホン酸(HPA)などの、ホスホン酸;アミン、たとえば、オレイルアミン、ドデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオクタデシルアミン(ODA)、オレイルアミン(OLA)、1-オクタデセン(ODE)、ヘキサデカンチオールおよびヘキサンチオールなどのチオール;メルカプトプロピオン酸およびメルカプトウンデカン酸などの、メルカプトカルボン酸;オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの、カルボン酸;酢酸、分枝状のノナン酸、ポリエチレンイミン(PEI)、単官能PEGチオール(mPEG-チオール)またはmPEGチオールの誘導体、およびこれらのいずれかの組み合わせも使用され得る。
【0070】
かかる配位子の例は、例えば、国際特許出願公開第WO 2012/059931A号に記載されている。
【0071】
- 添加剤としての化学化合物
本発明の好ましい態様において、組成物は、以下の化学式(X
A)によって表されるをさらに含有していてもよい。
Z(-X)u-Y -(X
A)
式中
Zは、*-R
x1または
【化11】
であるが、ここで「*」は、式の記号Yへの接続点を表し、R
x1は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群の1以上のメンバーから選択される基であり、好ましくは該基は、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基、またはこれらのいずれの組み合わせであり、より好ましくはそれは、カルボキシル基またはチオール基である;および
R
x2は、ホスフィン 基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される基であり、好ましくは該基は、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基、またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくはそれは、カルボキシル基またはチオール基である;
Xは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくは、Yは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基である;
uは、0または1である;
Yは、炭素原子1~45個を有する不飽和の直鎖アルキル基、炭素原子3~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アルキル基、炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられている;炭素原子2~45個を有する直鎖アルケニル基、炭素原子3~45個を有する分枝鎖アルケニル基、炭素原子1~45個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖または分枝鎖のアルコキシル基、炭素原子4~45個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アリール-アルキル基、炭素原子6~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アリール-アルキル基、炭素原子5~45個を有する直鎖アリール-アルケニル基、炭素原子6~45個を有する分枝鎖アリール-アルケニル基、炭素原子5~45個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アリール-アルコキシル基、炭素原子5~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アリール-アルコキシル基、炭素原子4~45個を有する不飽和もしくは飽和のシクロ-アルキル基、炭素原子4~45個を有するシクロ-アルケニル基、炭素原子4~45個を有する不飽和もしくは飽和のシクロ-アルコキシル基から選択される;
好ましくは、該基は、炭素原子1~45個を有する不飽和の直鎖アルキル基、炭素原子3~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アルキル基、炭素原子2~45個を有する直鎖アルケニル基、炭素原子3~45個を有する分枝鎖アルケニル基、炭素原子1~45個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖または分枝鎖のアルコキシル基、炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基から選択され、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられている;
より好ましくは、それは、炭素原子3~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アルキル基または炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基から選択され、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられている;
好ましくは、アルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個までの範囲にあり、
さらにより好ましくは、それは、炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基であり、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられている;
好ましくは、該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは2つの炭素-炭素二重結合を含有しており、
該アルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基、は、任意に、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、Yは、直鎖または分枝のアルキル基であり、
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルもしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;また、2以上の隣接する置換基R
aはここで、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系も形成していてもよい;
【0072】
Yが、炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基であるケースにおいて、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられており、好ましくは、uは、1であり、およびYは、以下の式、
*-[CH(R
1)-CH(R
2)-Q]
x-R
3
によって表され、式中R
1は、H、または炭素原子1~5個を有するアルキル基であり、好ましくは、該アルキル基は、メチル基である;R
2は、H、または炭素原子1~5個を有するアルキル基であり、好ましくは、該アルキル基は、メチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子であり、好ましくは、Qは、酸素原子である;R
3は、Hまたはメチル基である、xは、整数であり、好ましくは、xは、1から300まで、より好ましくは2から200まで、なおもより好ましくは4から100までの範囲にあり、ここで「*」は、式の記号Xへの接続点を表す;あるいは
*-[(CHR
1)
n-Q)]
x-R
3
によって表され、式中nは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、R
1は、Hまたはメチル基であり、R
3は、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくはnは、2であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300まで、より好ましくは2から200まで、なおもより好ましくは4から100までの範囲にあり、ここで「*」は、式の記号Xへの接続点を表し、ならびに
好ましくはここでZは、1個もしくは2個のS原子を含む付着基を表すか、またはZは、カルボキシル基であり、好ましくはZは、
【化12】
であり、より好ましくは、
【化13】
であり、ここで「#」は、基Xへの接続点を表し、および「*」は、発光部の表面への接続点を表す。
【0073】
結果的に、該化学化合物の重量比は、組成物の粘度/可溶性を制御することが極めて好ましいと考えられる。そして、組成物の粘度の増大を防止すること、および/または長期保管における組成物中の光ルミネセンス部分の良好な可溶性を保つことが、極めて好ましい。
【0074】
かかる化学化合物として、上に記載の条件を満足する公的に知られている化合物が好ましくは使用され得る。例えば、mPEG-SH、エライジン酸、イソステアリン酸、リノール酸がより好ましくは使用され得る。
【0075】
- 組成物の他の因子
本発明に従うと、好ましい態様において、組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1cPから35cPまで、より好ましくは2cPから30cPまで、なおもより好ましくは2cPから25cPまでの範囲にある。
【0076】
本発明の好ましい態様において、組成物は、組成物の総量に基づき、溶媒を10wt%以下、より好ましくは5wt%以下含み、より好ましくは、組成物は、無溶媒の組成物であり、好ましくは、組成物は、以下からなる群の1以上のメンバーから選択される以下の溶媒のいずれか1つを含まない:エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどの、エチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどの、ジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの、プロピレングリコールモノアルキルエーテル;酢酸メチルセロソルブおよび酢酸エチルセロソルブなどの、エチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどの、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどの、ケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリエチエングリコール、およびグリセリンなどの、アルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナート、および乳酸エチルなどの、エステル;ならびにガンマ-ブチロ-ラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、たとえば、1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、3-メチルビフェニル、4-メチルビフェニル、およびジクロロベンゼンなどの、塩素化炭化水素、好ましくは、該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルである。
【0077】
組成物中10wt%未満の溶媒は、改善されたインク噴射に繋がり、溶媒の蒸発後の同じ画素上への2回以上のインク噴射を回避し得ると考えられる。
本発明に従うと、ノズルにていずれの目詰まりも引き起こすことなく、および/または半電導性発光ナノ粒子の分散性が良好であり、および/または散乱粒子の分散性が良好である、一様性が改善された大面積のインクジェット印刷を実現するために、いずれの溶媒も加えないことが望ましい。
【0078】
本発明に従うと、好ましくは組成物は、以下;
iii)本発明の発光部とは異なる、別の発光部(好ましくは該発光部は、配位子を含み、より好ましくは該発光部は、炭素原子2~25個を有するアルキルタイプの配位子を含む);
iv)本発明の(メタ)アクリラートモノマーとは異なる(メタ)アクリラートモノマー;
v)散乱粒子、ならびに
vi)光学的に透明のポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤
からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料をさらに含む。
【0079】
本発明のいくつかの態様において、好ましくは本発明の組成物は、
v)散乱粒子;および
vii)少なくとも1のポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマー
を含む;ここでポリマーは、少なくとも、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくはポリマーは、三級アミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
【0080】
本発明に従うと、ポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマーは、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせをを含む少なくとも繰り返し単位A含む。
【0081】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子のコアの表面、または1以上のシェル層の最外表面は、ポリマーによって一部または全部が上から覆われ得る。
例えばThomas Nann, Chem. Commun.,2005,1735-1736,DOI:10.1039/b-414807jに記載の、配位子交換方法を使用することによって、ポリマーは、半電導性発光ナノ粒子のコア表面またはコアの最外表面上へ導入され得る。
【0082】
本発明に従うと、いくつかの態様において、該ポリマーの含量は、半電導性発光ナノ粒子の総重量に関し、1%から500重量%までの範囲にあり、より好ましくは20%から350重量%まで、なおもより好ましくは50%から200重量%までの範囲にある。
本発明の好ましい態様において、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、200g/molから30,000g/molまで、好ましくは250g/molから2,000/molまで、より好ましくは400g/molから1,000g/molまでの範囲にある。
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対しGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
【0083】
ポリマーとして、非極性および/または低極性の有機溶媒に溶解され得る市販の湿潤・分散添加剤が、好ましく使用され得る。たとえば、BYK-111、BYK-LPN6919、BYK-103、BYK-P104、BYK-163([商標]、BYK com.から)、TERPLUS MD1000シリーズ、たとえば、MD1000、MD1100([商標]、Otsuka Chemicalから)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアミン(Sigma-Ald 767565[商標]、Sigma Aldrichから)、ポリエステルビス-MPAデンドロン、32ヒドロキシル、1チオール、(Sigma-Ald 767115[商標]、Sigma Aldrichから)、LIPONOL DA-T/25(Lion Specialty Chemicals Co.から)、カルボキシメチルセルロース(Polyscience等々から)、「Marc Thiry et.al.,ACSNANO,American Chemical society,Vol.5,No.6,pp4965-4973,2011」、「Kimihiro Susumu,et.al.,J.Am.Chem.Soc.2011,133,pp9480-9496」に開示された別の湿潤・分散添加剤である。
【0084】
よって、本発明のいくつかの態様において、組成物は、化学式(I)で表される少なくとも(メタ)アクリラートモノマーと、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、ポリマーであって該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマーとを含み、ここで化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1~50:40:10、好ましくは15:82:3から30:60:10までの範囲にある。
【0085】
本発明のいくつかの態様において、組成物は少なくとも、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマー、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー、およびポリマーであって該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマーを含み、ここで化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1~50:40:10、好ましくは15:82:3から30:60:10までの範囲にある。
【0086】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、本発明の組成物の(メタ)アクリラートモノマーに由来するかもしくは由来し得るポリマーを少なくとも含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる。
本発明の好ましい態様において、該ポリマーは、組成物中のすべての(メタ)アクリラートモノマー、例えば、化学式(I)で表される少なくとも(メタ)アクリラートモノマーおよび/または化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに由来するかあるいは由来し得る。
【0087】
v)散乱粒子
本発明に従うと、散乱粒子として、SiO2、SnO2、CuO、CoO、Al2O3、TiO2、Fe2O3、Y2O3、ZnO、ZnS、MgOなどの、公的に知られている小粒子の無機オキシド;重合ポリスチレン、重合PMMAなどの、有機粒子;中空シリカなどの無機中空オキシド、またはこれらいずれの組み合わせ;も、得られるフィルムにおいて散乱特性をさらに増強させるために、任意に使用され得る。散乱粒子の量は、層の固体含量の総量に基づき、好ましくは8から0wt%までの範囲にあり、より好ましくは6から0wt%までの範囲にある。
【0088】
本発明に従うと、透明のポリマーとして、例えばWO 2016/134820Aに記載の、光学デバイスに好適な多種多様の公的に知られている透明のポリマーが、好ましく使用され得る。
本発明に従うと、用語「透明の」は、光学媒体に使用される厚さにて、かつ光学媒体の操作最中に使用される波長または波長の範囲にて、少なくともほぼ60%の入射光の透過を意味する。好ましくは、それは70%超、より好ましくは75%超、最も好ましくは80%超である。
【0089】
本発明に従うと、用語「ポリマー」は、繰り返し単位を有し、かつ重量平均分子量(Mw)1000g/mol以上を有する材料を意味する。
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対してGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
本発明のいくつかの態様において、透明のポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上っかつ250℃以下である。
【0090】
Tgは、Rickey J Seyler, Assignment of the Glass Transition, ASTM publication code number (PCN) 04-012490-50に記載されるように、示唆走査熱量測定において観察される熱容量の変化に基づき測定される。
例えば、透明のマトリックス材料用の透明のポリマーとして、ポリ(メタ)アクリラート、エポキシ、ポリウレタン、ポリシロキサンが、好ましく使用され得る。
【0091】
本発明の好ましい態様において、透明のマトリックス材料としてのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から300,000g/molまで、より好ましくは10,000から250,000g/molまでの範囲にある。
本発明に従うと、公的に知られている抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤が、WO 2016/134820Aに記載のように、好ましく使用され得る。
【0092】
本発明に従うと、一側面において、組成物は、本発明の組成物の反応性モノマーの1以上に由来するかまたは由来し得るポリマーと、抗酸化剤と、任意に散乱粒子の1以上とを含み、
好ましくはそれは、本発明の組成物を硬化することによって得られるかまたは得ることができる。
【0093】
- 組成物の使用
別の側面において、本発明は、電子デバイス、光学デバイス、検知デバイスにおける、または生物医学デバイスにおける、または電子デバイス、検知デバイス、光学デバイス、もしくは生物医学デバイスを製作するための、本発明の組成物の使用に関する。
【0094】
- 組成物を含有する層および層を製作するプロセス
別の側面において、本発明は、本発明の組成物を含有する層に関する。
別の側面において、本発明は、少なくとも以下のステップY1;
Y1)少なくとも1の 発光部、反応性モノマー、抗酸化剤、および重合開始剤を混合することで、組成物を形成すること
を含む、本発明の組成物を製作するためのプロセスに関する。
【0095】
別の側面において、本発明は、少なくとも;
I)(メタ)アクリラートポリマー、好ましくはそれは、本発明の組成物中の反応性モノマーから得られるかまたは得ることができる;
II)発光部;および
iii)抗酸化剤;ならびに
任意にv)散乱粒子の1以上、好ましくは散乱粒子の1以上が存在しており、かつ該散乱粒子の総量は、組成物の固体含有の総量に基づき、0.1wt%から99wt%までの範囲にあり、より好ましくは1wt%から20wt%までの範囲にあり、なおより好ましくは2wt%から10wt%までである、
を含有するか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる層に関する。
【0096】
「反応性モノマー」、「発光部」、および「化学化合物」などの組成のより多くの詳細は、「反応性モノマー」、「発光部」、および「化学化合物」の節など上に記載されている。
「追加材料」の節に記載のとおりの追加の添加剤も混合され得る。
【0097】
好ましい態様において、層の層厚は、1から50umまで、好ましくは5から30まで、より好ましくは8から20まで、さらにより好ましくは10から15umまでの範囲にある。
好ましい態様において、層は、25%以上、好ましくは30%以上および95%未満、なおより好ましくは33%以上および50%未満のEQE値を示すように構成されている。
【0098】
別の側面において、本発明は、本発明の層を製作するプロセスに関し、ここでプロセスは、少なくとも、以下のステップを含むか、本質的に前記ステップからなるか、または前記ステップからなる;
I)本発明の組成物を基体上へ提供すること、好ましくは、
II)組成物を硬化すること、好ましくは、該硬化は、光照射および/または熱処理によって実施される。
別の側面において、本発明は、プロセスから得られるかまたは得ることができる層に関する。
【0099】
- 色変換デバイス(100)
発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を少なくとも含む請求項20~22および24のいずれか一項に記載の層で一部または全部が満たされている第1画素(161)と、ポリマー材料を少なくとも含むバンク(150)とを少なくとも含む色変換デバイス(100)であって、好ましくは、色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
【0100】
- 第1画素(161)
本発明に従うと、該第1画素(161)は、少なくとも発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を含む。好ましい態様において、第1画素(161)は、少なくとも1のアクリラートモノマーを少なくとも1の発光部(110)とともに含有する本発明の組成物を硬化することによって得られるかまたは得ることができる固体層であり、好ましくは、該硬化は、光照射による光硬化、熱硬化、または光硬化と熱硬化との組み合わせである。
本発明のいくつかの態様において、画素(161)の層厚は、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲にある。
【0101】
本発明のいくつかの態様において、色変換デバイス(100)はさらに、第2画素(162)を含有し、好ましくは、デバイス(100)は、少なくとも該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)を含有し、より好ましくは、該第1画素(161)は赤色画素であり、第2画素(162)は緑色画素であり、および第3画素(163)は青色画素であり、なおもより好ましくは、第1画素(161)は赤色発光部(110R)を含有し、第2の色画素(162)は緑色発光部(110G)を含有し、および第3画素(163)はいずれの発光部も含有しない。
【0102】
いくつかの態様において、少なくとも1の画素(160)は加えて、マトリックス材料(120)中に少なくとも1の光散乱粒子(130)を含み、好ましくは、画素(160)は、複数の光散乱粒子(130)を含有する。
本発明のいくつかの態様において、該第1画素(161)は、励起光によって照射されたときに赤色を発するように構成されている1の画素または2以上のサブ画素(sub-pixels)からなり、より好ましくは、該サブ画素は、同じ発光部(110)を含有する。
【0103】
- マトリックス材料(120)
好ましい態様において、マトリックス材料(120)は、(メタ)アクリラートポリマー、好ましくはメタクリラートポリマー、アクリラートポリマー、またはこれらの組み合わせ、より好ましくはアクリラートポリマーを含有し、なおもより好ましくは、該マトリックス材料(120)は、少なくとも1のアクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、さらにより好ましくは、該マトリックス材料(120)は、少なくとも1のジ-アクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、殊更好ましくは、該マトリックス材料(120)は、少なくとも1のジ-アクリラートモノマーおよびモノ-アクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、好ましくは、該組成物は、感光性組成物である。
【0104】
- バンク(150)
本発明のいくつかの態様において、バンク(150)の高さは、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは1から25μmまで、さらにより好ましくは5から20μmまでの範囲にある。
本発明の好ましい態様において、バンク(150)は、該第1画素(161)の面積を決定するように構成されており、少なくとも一部のバンク(150)は、少なくとも一部の第1画素(161)へ直接接触しており、好ましくは、バンク(150)の該第2ポリマーは、第1画素(161)の少なくとも一部の第1ポリマーへ直接接触している。
【0105】
より好ましくは、該バンク(150)は、フォトリソグラフィによりパターン化されており、該第1画素(161)は、バンク(150)によって囲まれており、好ましくは、該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)はすべて、フォトリソグラフィによりパターン化されたバンク(150)によって囲まれている。
【0106】
別の側面において、本発明はさらに、本発明の方法から得ることができるかまたは得られる色変換デバイス(100)に関する。
別の側面において、本発明はさらに、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の少なくとも1の機能媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300)における、本発明の色変換デバイス(100)の使用に関する。
【0107】
さらに、別の側面において、本発明はさらに、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の少なくとも1の機能媒体(320、420、520)と、本発明の色変換デバイス(100)とを含有する光学デバイス(300)に関する。
【0108】
好ましい態様
1.少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは官能基の1以上を有する該モノマー、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;
iii)抗酸化剤;および
iv)重合開始剤、ならびに任意にv)散乱粒子の1以上、好ましくは散乱粒子の1以上が存在し、かつ該散乱粒子の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき、0.1wt%から99wt%までの範囲にあり、より好ましくは1wt%から20wt%までの範囲にあり、なおより好ましくは2wt%から10wt%までである、
を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる組成物、好ましくはこれは光硬化性組成物からなる。
【0109】
2.該抗酸化剤の総量は、組成物の固体含有の総量に基づき、1wt%より多く、好ましくは1.1wt%から10wt%まで、より好ましくは1.2wt%から5wt%まで、なおより好ましくは1.3wt%から3wt.%までの範囲にある、態様1の組成物。
【0110】
3.該重合開始剤の総量は、組成物の固体含有の総量に基づき、1wt%未満かつ0wt.%を上回り、好ましくは0.9wt.%から0.01wt.%まで、より好ましくは0.8から0.05wt%まで、なおより好ましくは0.7から0.1wt%までの範囲にある、態様1または2の組成物。
【0111】
4.抗酸化剤の総量の、重合開始剤の総量に対する比率は、1より大きくかつ100以下であり、好ましくは1.1から50まで、より好ましくは1.2から30まで、なおより好ましくは1.5から6までの範囲にある、態様1~3のいずれか1つの組成物。
【0112】
5.該抗酸化剤は、ヒンダードアミン(好ましくは該ヒンダードアミンは、テトラメチルピペリジンまたはテトラメチルピペリジンの誘導体である)、フェノール誘導体(好ましくは該フェノール誘導体は、MEHQ(ヒドロキノンモノメチルエーテル、4-ヒドロキシアニソール、4-メトキシフェノール)またはMEHQの誘導体である)、キノン誘導体、チオール、および二重結合が共役した不飽和アルキル(好ましくは該二重結合が共役した不飽和アルキルは、レチノールまたはレチノールの誘導体である)からなる群の1以上のメンバーから選択される、態様1~4のいずれか1つの組成物。
【0113】
6.該重合開始剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、チオキサンテン-9-オン、カンファキノン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン、9-ビニルカルバゾールなどのカルバゾール、1,2-オクタンジオン1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2(o-ベンゾイルオキシム)、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、オキシムエステルからなる群の1以上のメンバーから選択され、好ましくはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドとエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナートとの混合物、およびそれらの組み合わせから選択され、より好ましくはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドである、態様1~5のいずれか1つの組成物。
【0114】
7.反応性モノマーは、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーであり、より好ましくはそれは、ジ-メタクリラートモノマーまたはジ-アクリラートモノマー、トリ-メタクリラートモノマー、トリ-アクリラートモノマーであり、なおもより好ましくはそれは、以下の化学式(II);
【化14】
によって表される;
X
3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、またはアルコキシ基である;
好ましくは、記号X
3は、
【化15】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
5への接続点を表す;
lは、0または1である;
R
5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
6は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、好ましくはR
6は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
7は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはR
7は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を相互に形成していてもよい、態様1~6のいずれか1つの組成物。
【0115】
8.以下の化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマーおよび/または化学式(III)によって表される(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む、態様1~7のいずれか1つの組成物;
【化16】
式中
X
1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X
2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R
1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
好ましくは、記号X
1は、
【化17】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の記号X
2への接続点を表す;
nは、0または1である;
好ましくは、記号X
2は、
【化18】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の記号X
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
2への接続点を表す;
mは、0または1である;
好ましくは、少なくともmまたはnは、1である;
R
3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくは、R
3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
4は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくは、R
4は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する、直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を形成していてもよい;
【化19】
式中R
9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化20】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
10は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化21】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
11は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化22】
によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R
8、R
8a、R
8b、およびR
8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、HまたはCH
3である;
ここでR
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR
9、R
10、およびR
11の2つは、(メタ)アクリル基であり、かつ他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、好ましくは式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの電気伝導率(S/cm)は、1.0*10
-10以下、好ましくは5.0*10
-11以下、より好ましくは5.0*10
-11から1.0*10
-15までの範囲にあり、なおもより好ましくは5.0*10
-12から1.0*10
-15までの範囲にある。
【0116】
9.化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは組成物中にあり、かつ化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに対する化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの混合比は、1:99から99:1まで(式(I):式(II))、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60までの範囲にあり、なおもより好ましくは、それは15:85から35:65までであり、好ましくは、化学式(I)、(II)によって表される、少なくとも精製された(メタ)アクリラートモノマーは、組成物中で使用され、より好ましくは化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、精製方法によって得られるかまたは得ることができる、態様1~8のいずれか1つの組成物。
【0117】
10.化学式(I)および/または化学式(II)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様なインクジェット印刷のために、80℃以上であり、好ましくは80℃から350℃まで、なおもより好ましくは85℃から200℃まで、さらにより好ましくは100℃から150℃までの範囲にある、態様1~9のいずれか1つの組成物。
【0118】
11.該発光部は、有機発光材料および/または無機発光材料であり、好ましくはそれは無機発光部であり、より好ましくはそれは無機リン光体または量子材料である無機発光部であり、好ましくは該発光部は発光部の最外表面上へ付着された配位子を含有し、より好ましくは該配位子は、少なくとも1の、直鎖もしくは分枝鎖の炭素原子1~45個を有するアルキル基、直鎖もしくは分枝鎖の炭素原子1~45個を有するアルケニル基、または直鎖もしくは分枝鎖の炭素原子1~45個を有するアルコキシル基を含む、態様1~10のいずれか1つの組成物。
【0119】
12.発光部の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは10wt.%から70wt.%まで、より好ましくは15wt.%から50wt.%までの範囲にある、態様1~11のいずれか1つの組成物。
【0120】
13.組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは2から25cPまでの範囲にある、請求項1~12のいずれか1つの組成物。
【0121】
14.態様1~13のいずれか1つの組成物であって、
iii)態様1に記載の発光部とは異なる別の発光部(好ましくは、該発光部は、配位子を含み、より好ましくは、該発光部は、2~25個の炭素原子を有するアルキルタイプの配位子を含む);
iv)態様8の(メタ)アクリラートモノマーとは異なる(メタ)アクリラートモノマー;
v)散乱粒子、および
vi)光学的に透明のポリマー、態様1の抗酸化剤とは異なる第2の抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、態様1の光開始剤とは異なる第2の光開始剤、および/または界面活性剤
からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料を含む。
【0122】
15.態様1~14のいずれか1つの組成物であって、
v)散乱粒子;および
vii)少なくとも1のポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成される該ポリマー
を含む;ここでポリマーは、少なくとも、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくはポリマーは、三級アミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
【0123】
16.組成物は、20%以上、好ましくは30%以上、なお好ましくは33%以上かつ95%未満、なおより好ましくは33%以上かつ50%未満のEQE値を示すように構成されている、態様1~15のいずれか1つの組成物。
【0124】
17.組成物の総量に基づき、溶媒を10wt%以下、より好ましくは5wt%以下含み、より好ましくは組成物は、無溶媒の組成物であり、好ましくは組成物は、以下からなる群の1以上のメンバーから選択される以下の溶媒のいずれか1つを含まない:エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどの、エチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどの、ジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの、プロピレングリコールモノアルキルエーテル;酢酸メチルセロソルブおよび酢酸エチルセロソルブなどの、エチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどの、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどの、ケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリエチエングリコール、およびグリセリンなどの、アルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナート、および乳酸エチルなどの、エステル;ならびにガンマ-ブチロ-ラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、たとえば、1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、3-メチルビフェニル、4-メチルビフェニル、およびジクロロベンゼンなどの、塩素化炭化水素、好ましくは該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルである、態様1~16のいずれか1つの組成物。
【0125】
18.少なくとも、化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、およびポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成される該ポリマーとを含み、ここで化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1~50:40:10、好ましくは15:82:3から30:60:10までの範囲にある、態様1~17のいずれか1つの組成物。
【0126】
19.少なくとも、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、ポリマーであって該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマーとを含み、ここで化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー:ポリマーの混合比率は、10:89:1~50:40:10、好ましくは15:82:3から30:60:10までの範囲にある、態様1~17のいずれか1つの組成物。
【0127】
20.態様1~19のいずれか1つの組成物の反応性モノマーの1以上に由来するかもしくは由来し得るポリマーと、抗酸化剤と、任意に散乱粒子の1以上とを含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる組成物であって、
好ましくはそれは、態様1~19のいずれか1つの組成物を硬化することによって得られるかまたは得ることができる。
【0128】
21.少なくとも以下のステップY1;
Y1)少なくとも1の発光部、反応性モノマー、抗酸化剤、および重合開始剤を混合することで、組成物を形成すること
を含むか、本質的にこれからなるか、またはこれからなる、態様1~19のいずれか1つの組成物を製作するためのプロセス。
【0129】
22.電子デバイス、光学デバイス、検知デバイスにおける、または生物医学デバイスにおける、または電子デバイス、検知デバイス、光学デバイス、もしくは生物医学デバイスを製作するための、先行する態様のいずれか1つの組成物の使用。
【0130】
23.態様20の組成物を含有するか、本質的にこれからなるか、またはこれからなる、層。
【0131】
24.少なくとも;
I)(メタ)アクリラートポリマー、好ましくはそれは、態様1~19のいずれか1つの組成物中の反応性モノマーおよび重合開始剤から得られるかまたは得ることができる;
ii)発光部;および
iii)抗酸化剤;ならびに
任意にv)散乱粒子の1以上、好ましくは散乱粒子の1以上が存在しており、かつ該散乱粒子の総量は、組成物の固体含有の総量に基づき、10wt%以下、より好ましくは8から0wt%までの範囲にあり、なおより好ましくは6から0wt%までの範囲にある、
を含有するか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる、層。
【0132】
25.層の層厚は、1から50umまでの範囲にあり、好ましくは5~15、より好ましくは8~15、さらにより好ましくは8~12umである、態様23または24の層。
【0133】
26.25%以上、好ましくは30%以上かつ95%未満、なおより好ましくは33%以上かつ50%未満のEQE値を示すように構成されている、態様23~25、27のいずれか1つの層。
【0134】
27.態様23~26のいずれか1つの層を製作するプロセスであって、プロセスは、少なくとも以下のステップ;
I)態様1~19のいずれか1つの組成物を基体上へ提供すること、
II)組成物を硬化すること、好ましくは該硬化は、光照射および/または熱処置によって実施される、
を含む。
【0135】
28.態様27のプロセスに由来するかまたはそれから得ることができる、層。
【0136】
29.発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を少なくとも含む態様23~26および28のいずれか1つの層で一部もしくは全部が満たされている第1画素(161)と、ポリマー材料を少なくとも含むバンク(150)とを少なくとも含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる色変換デバイス(100)であって、好ましくは、色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
【0137】
30.バンク(150)の高さは、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは1から25μmまで、さらにより好ましくは5から20μmまでの範囲にある、態様29のデバイス(100)。
【0138】
31.画素(161)の層厚は、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲にある、態様29または30のデバイス(100)。
【0139】
32.態様23~26、28のいずれか1つの層または態様29~301のいずれか1つのデバイス(100)を製作するための、態様1~19のいずれか1つの組成物の使用。
【0140】
33.光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(320、420、520)、および態様29~31のいずれか1つの色変換デバイス(100)を含有する、光学デバイス(300)。
【0141】
本発明の技術的効果
本発明は、以下の技術効果の1以上を提供する: 組成物中の発光部の改善された均一な分散体、組成物中の散乱粒子の改善された均一な分散体、好ましくは発光粒子と散乱粒子との両方の改善された均一な分散体、より好ましくは発光部および/または散乱粒子の溶媒なしの改善された均一な分散体を実現すること;インクジェット印刷に好適なより低い粘度を有する組成物、好ましくは、高ロード(高い loading)の発光部および/または散乱粒子で混合された場合であっても、なおもより好ましくは溶媒なしで、より低い粘度を保ち得る組成物;大面積に一様な印刷をするためにより小さい蒸気圧を有する組成物を提供すること;インクジェット印刷の最中/その後に、インクジェット印刷ノズル周囲に残渣がないまたは残基が低減されたことを実現する、新しい組成物を提供すること、組成物中の発光部の改善されたQYおよび/またはEQE、印刷後の発光部の改善されたQYおよび/またはEQEを実現すること;改善された熱安定性;印刷ノズルにて目詰まりのない印刷の容易性;組成物の取扱い容易性、改善された印刷特性;単純な製作プロセス;青色光の改善された吸光度;インクジェット印刷後の組成物から作られる層の改善された固体性;組成物中の光誘起重合最中の過剰のラジカルを低減/防止すること、および発光部の酸化損傷を低減/防止すること;重合を制御すること;組成物を低UV強度(例として2.3mW/cm2でのUV硬化)または高UV光強度(例として10秒、300mW/cm2でのUV硬化)のいずれかにて硬化した後に改善された光学性能(例として硬化組成物フィルムのより高いEQE値)を実現すること、好ましくは、組成物を高UV光強度にて硬化(例として10秒、300mW/cm2でのUV硬化)した後に改善された光学性能(例として硬化組成物フィルムのより高いEQE)および/または改善されたフィルム層状態を実現すること、好ましくはこれらを同時にを実現すること;高UV光強度での組成物の重合後の改善されたフィルム輝度、および硬化フィルムの長期耐久性。
【0142】
下の実施例は、本発明の記載、ならびにそれらの製作の詳細な記載を提供する。しかしながら、本発明は、実施例に限定される必要はない。
【0143】
実施例
LA: ラウリルアクリラート
HDDA: 1,6-ヘキサンジオールジアクリラート
AO: 抗酸化剤
PI: 重合開始剤
wt%: 組成物中の総量
【0144】
ラウリルアクリラート(LA)中のTiO
2
ストックの調製
n-オクタン中15.79gのTiO2を、ガラスフラスコ中の38.00gのLAと混合し混合物中のn-オクタンをロータリーエバポレーターによって真空下40度Cにて蒸発させる。こうしてLA中20wt.%のTiO2ストックを得た。
【0145】
比較例1:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する45wt%のInPベースの緑色QD、2.25wt%のオレイン酸、1wt%のフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irga(商標)819)、0.5wt%のIrganox(商標)1010、およびLA:HDDA重量比率が8:2であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0146】
実施例1:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する45wt%のInPベースの緑色QD、2.25wt%のオレイン酸、0.1wt%のIrga(商標)819、2wt%のIrganox(商標)1010、およびLA:HDDA重量比率が8:2であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0147】
比較例2:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する45wt%のInPベースの緑色QD、2.25wt%のオレイン酸、1wt%のIrga(商標)819、0.5wt%のIrganox(商標)1010、5wt% TiO2、およびLA:HDDA重量比率が8:2であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0148】
実施例2:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する45wt%のInPベースの緑色QD、2.25wt%のオレイン酸、0.1wt%のIrga(商標)819、2wt%のIrganox(商標)1010、5wt% TiO2、およびLA:HDDA重量比率が8:2であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0149】
比較例3:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する50wt%のInPベースの緑色QD、2.5wt%のリノール酸、0.9wt%のIrga(商標)819、0.5wt%のIrganox(商標)010、5wt% TiO2、およびLA:HDDA重量比率が8:2であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0150】
実施例3:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する50wt%のInPベースの緑色QD、2.5wt%のリノール酸、0.5wt%のIrga(商標)819、2wt%のIrganox(商標)1010、5wt% TiO2、およびLA:HDDA重量比率が8:2であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0151】
比較例4:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する50wt%のInPベースの緑色QD、2.5wt%のリノール酸、1wt%のIrga(商標)819、0.5wt%のIrganox(商標)1010、およびLA:HDDA重量比率が75:25であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0152】
実施例4:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する50wt%のInPベースの緑色QD、2.5wt%のリノール酸、0.5wt%のIrga(商標)819、2wt%のIrganox(商標)1010、およびLA:HDDA重量比率が75:25であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0153】
比較例5:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する40wt%のInPベースの赤色QD、5wt%のmPEG350-SH、1wt%のIrga(商標)819、0.5wt%のIrganox(商標)010、およびLA:HDDA重量比率が8:2であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0154】
実施例5:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する40wt%のInPベースの赤色QD、5wt%のmPEG350-SH、0.5wt%のIrga(商標)819、2wt%のIrganox(商標)1010、およびLA:HDDA重量比率が8:2であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0155】
実施例6:
ZnSe/ZnS二重シェル層を有する40wt%のInPベースの赤色QD、5wt%のリノール酸、0.5wt%のIrga(商標)819、1.5wt%のIrganox(商標)1010、およびLA:HDDA重量比率が8:2であるときのLA:HDDAのモノマー混合物から構成されるインク。
【0156】
実施例7: 試験セルの製作およびEQEの測定
実施例1において得られたQDインクを、10μmギャップのある同じ2つの試験セル中へ注入して、W.E.1の2つの試験セルを得る。
実施例2~3および比較例において得られたQDインクを、各々独立して、injected into 10μmギャップのある試験セル中へ注入し、W.E.2~3の試験セル(n=2)およびC.E.1~3の試験セル(n=2)を得る。
次いで、得られたW.E.1~3およびC.E.1~3の6つ試験セルを、以下の条件でUV光照射を適用することによって硬化し、試験セル中で硬化されたインクを作製する。
●UV強度: 300mW/cm2
●光源: 395nm LED(ピーク光波長: 395nm)
●Ar条件下
●硬化時間: 10秒
【0157】
上に記載のと同じやり方において、得られたW.E.1~3およびC.E.1~3の他の6つの試験セルを、以下の条件でUV光照射を適用することによって硬化し、試験セル中で硬化されたインクを作製する。
●UV強度: 2.3mW/cm2
●光源: 395nm LED(ピーク光波長: 395nm)
●Ar条件下
●硬化時間: 10秒
【0158】
EQE測定は、光ファイバーによる励起光(CWL: 450nm)および分光計(Compass X,BWTEK)を備えた積分球を使用することによって実行する。励起光の光子を検出するため、室温での空気を参照として使用する。
試験セルから積分球へ向かう光放射の光子数は、分光計によって室温にて計数する。
EQEは、以下の算出方法によって算出する。
EQE = 光子[放射光]/光子[励起光]
【0159】
算出のための波長範囲
励起: 390nm~490nm
放射: [緑色] 490~600nm
放射: [赤色] 580nm~780nm
【0160】
次の表1は測定の結果を示す。
表1:
【表1-1】
【表1-2】
【国際調査報告】