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特表2024-532329無脊椎有害生物防除のためのピラジン化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】無脊椎有害生物防除のためのピラジン化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20240829BHJP
   A61P 33/14 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20240829BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20240829BHJP
   A01N 43/653 20060101ALI20240829BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240829BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C07D401/14
A61P33/14
A61K31/497
C07D403/04 CSP
A01N43/653 A
A01P7/04
A01P7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513001
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2022072821
(87)【国際公開番号】W WO2023025617
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】21193535.8
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21193536.6
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21215019.7
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フヴィラー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ケルバー,カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ペドローニ,ジュリア
(72)【発明者】
【氏名】ギルベルク,エリク
【テーマコード(参考)】
4C086
4H011
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC60
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB37
4C086ZC61
4H011AC01
4H011AC04
4H011BB09
4H011DA13
4H011DD03
(57)【要約】
本発明は、式I
【化1】
(式中、変数は、本明細書で定義される意味を有する)の化合物、それを含む組成物、それを含む活性化合物の組み合わせ並びに生育している植物及び動物を無脊椎有害生物による攻撃又は寄生から保護するためのその使用、さらにそのような化合物を含む種子に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
(式中、
は、H、OH、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-アルコキシ、C~C-アルケニル、C~C-アルキニル、C~C-アルキル-C~C-シクロアルキル、C~C-アルキル-C~C-ハロシクロアルキル(これらの基は、非置換であるか、又は部分的に若しくは完全にR11
又はC(=N-R11)R12、C(O)R11aによって置換されている)であり;
11は、CN、NO、NR1213、C(O)NH、C(S)NH、C(O)OH、OR14、Si(CH;C~C-アルキル;C~C-ハロアルキル;C~C-アルケニル;C~C-ハロアルケニル;C~C-アルキニル;C~C-ハロアルキニル;C~C-シクロアルキル-C~C-アルキル(この環は、非置換であるか、又は1個若しくは2個のハロゲンによって置換されている);3員~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);5員又は6員ヘタリール、又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はR3aによって置換されている)であり;
は、ハロゲン、CN、NO、OH、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル、及びオキソであり;
11aは、NR1213、C(O)NH、C(S)NH、C(O)OH、OR14、Si(CH;C~C-ハロアルキル;C~C-アルケニル;C~C-ハロアルケニル;C~C-アルキニル;C~C-ハロアルキニル;C~C-シクロアルキル-C~C-アルキル(この環は、非置換であるか、又は1個若しくは2個のハロゲンによって置換されている);3員~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている)であり;
12、R13は、互いに独立して、H、C~C-アルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-アルキル、C(O)-C~C-ハロアルキル、C(O)-C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-ハロシクロアルキル、C(O)NR121131、S(O)m-C~C-ハロアルキル、S(O)m-C~C-シクロアルキル、S(O)m-C~C-ハロシクロアルキル;3員~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);5員若しくは6員ヘタリール又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はR3aによって置換されている)であるか;或いは
12及びR13は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3員、4員、5員、6員又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環を形成し、この複素環は、環員として、N、O及びS(O)から選択される1個又は2個のヘテロ原子又はヘテロ原子基をさらに含んでもよく、この複素環は、非置換であるか、又はRから選択される1個又は複数の置換基によって置換されており;
121及びR131は、互いに独立して、H、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ;C~C-アルキル-フェニル、C~C-アルキル-3~6員ヘタリール、フェニル、3~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);又は5員若しくは6員ヘタリール(これらの環は、非置換であるか、又はR3aによって置換されている)であるか;或いは
121及びR131は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~6員の飽和、部分的又は完全に不飽和複素環を形成し、この複素環は、N、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子環員をさらに含んでもよく、ここでSは酸化されていてもよく、この複素環は、非置換であるか、又はRによって置換されており;
mは、0、1又は2であり;
14は、H、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-シクロアルキル-C~C-アルキル、C~C-ハロシクロアルキル-C~C-アルキル、C(O)-C~C-アルキル、C(O)-C~C-ハロアルキル、C(O)-C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-ハロシクロアルキル、又は非置換であるか、若しくはR3aによって部分的若しくは完全に置換されているフェニルであり;
は、H、CN、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-アルケニル、C~C-アルキニルであり;
Xは、CH、CR、又はNであり;
は、ハロゲン、CN、NO、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、OR14、S(O)-R14(これらは非置換であるか、又はR3aによって置換されている)であり;
3aは、ハロゲン、CN、NO、OH、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキルであり;
nは、0、1、2又は3であり;
は、OR14、CN、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-アルケニル、C~C-ハロアルケニル、C~C-アルキニル(それぞれ、非置換であるか、又はR41によって部分的若しくは完全に置換されている);
S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル、NR1213、C(O)NR1213、C(O)OR14、3員~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);5員若しくは6員ヘタリール、又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって部分的に若しくは完全に置換されている)であり;
41は、H、OR15、NR1213、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-アルキル、C(O)-C~C-ハロアルキル、C(O)-C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-ハロシクロアルキル、C(O)NR121131
S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル;3員~6員ヘテロシクリル、5員若しくは6員ヘタリール、又はフェニルであり;
これらの非芳香族環状R41基は、非置換であるか、又は部分的に若しくは完全にRaによって置換されており;
芳香族R41基は、非置換であるか、又は部分的に若しくは完全にR3aによって置換されており;
15は、H、C~C-アルキル、又はC~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル(これらの炭素鎖は、非置換であるか、又はR11によって部分的若しくは完全に置換されている);又は3員~6員のヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);5員若しくは6員のヘタリール、又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はR3aによって部分的若しくは完全に置換されている)である)
の化合物、並びにそのN-オキシド、立体異性体及び農業的又は獣医学的に許容される塩。
【請求項2】
11が、CN、NO、NR1213、C(O)NH、C(S)NH、C(O)OH、OR14、Si(CH;C~C-アルキル;C~C-ハロアルキル;C~C-アルケニル;C~C-ハロアルケニル;C~C-アルキニル;C~C-ハロアルキニル;C~C-シクロアルキル-C~C-アルキル(この環は、非置換であるか、又は1個若しくは2個のハロゲンによって置換されている);3員~6員ヘテロシクリル、5員又は6員ヘタリール、又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はハロゲン、C~Cハロアルキル及び/若しくはCNによって置換されている)であり;
11aが、NR1213、C(O)NH、C(S)NH、C(O)OH、OR14、Si(CH;C~C-ハロアルキル;C~C-アルケニル;C~C-ハロアルケニル;C~C-アルキニル;C~C-ハロアルキニル;C~C-シクロアルキル-C~C-アルキル(この環は、非置換であるか、又は1個若しくは2個のハロゲンによって置換されている);3員~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はハロゲン、C~Cハロアルキル及び/若しくはCNによって置換されている)であり;
12、R13が、互いに独立して、H、C~C-アルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-アルキル、C(O)-C~C-ハロアルキル、C(O)-C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-ハロシクロアルキル、C(O)NR121131、S(O)m-C~C-ハロアルキル、S(O)m-C~C-シクロアルキル、S(O)m-C~C-ハロシクロアルキル;3員~6員ヘテロシクリル、5員若しくは6員ヘタリール又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はハロゲン、C~Cハロアルキル及び/若しくはCNによって置換されている)であり;
121及びR131が、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ;C~C-アルキル-フェニル、C~C-アルキル-3~6員ヘタリール、フェニル、3~6員ヘテロシクリル;又は5員若しくは6員ヘタリール(これらの環は、非置換であるか、又はハロゲン、C~Cハロアルキル及び/若しくはCNによって置換されている)であるか;或いは
121及びR131が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~6員の飽和、部分的又は完全に不飽和複素環を形成し、この複素環は、N、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子環員をさらに含んでもよく、ここでSは酸化されていてもよく、この複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、C~Cハロアルキル及び/若しくはCNによって置換されており;
14は、H、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-シクロアルキル-C~C-アルキル、C~C-ハロシクロアルキル-C~C-アルキル、C(O)-C~C-アルキル、C(O)-C~C-ハロアルキル、C(O)-C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-ハロシクロアルキル、又は非置換であるか、若しくはRによって部分的若しくは完全に置換されているフェニルであり;
は、H、CN、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-アルキニルであり;
は、H、OH、CN、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-アルケニル、C~C-ハロアルケニル、C~C-アルキニル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ(それぞれ、非置換であるか、又はR41によって部分的若しくは完全に置換されている)であり;
S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル、NR1213、C(O)NR1213、C(O)OR14、3員~6員ヘテロシクリル、5員若しくは6員ヘタリール、又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって部分的に若しくは完全に置換されている)であり;
41は、H、OR15、NR1213、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-アルキル、C(O)-C~C-ハロアルキル、C(O)-C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-ハロシクロアルキル、C(O)NR121131
S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル;3員~6員ヘテロシクリル、5員若しくは6員ヘタリール、又はフェニルであり;
これらの環状R41基は、非置換であるか、又は部分的に若しくは完全にハロゲン、C~C-ハロアルキル及び/若しくはCNによって置換されており;
15は、H、C~C-アルキル、又はC~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル(これらの炭素鎖は、非置換であるか、又はR11によって部分的若しくは完全に置換されている);又は3員~6員のヘテロシクリル、5員若しくは6員のヘタリール、又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって部分的若しくは完全に置換されている)である)
の請求項1に記載の式(I)の化合物、並びにそのN-オキシド、立体異性体及び農業的又は獣医学的に許容される塩。
【請求項3】
がHである、請求項1又は2に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
がCHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
が、ハロゲン、CN、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロアルコキシ、非置換又は1個若しくは複数のCNによって置換されたC~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル、又は
S(O)-R14であり、R14が、R3aによって部分的に置換されたフェニルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
nが2であり、Rが3位及び5位にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
XがCHである、請求項1~6のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項8】
XがNである、請求項1~6のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項9】
が、H、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、CHC(O)NH-C~C-アルキル、S(O)-C~C-アルキル、又は非置換若しくは請求項5で定義される1個若しくは複数の基Rによって置換されたフェニルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項10】
主に異性体I.Aからなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
【化2】
【請求項11】
変数が、請求項1~10のいずれか一項に記載の式Iに関して定義される、式Intの中間体化合物。
【化3】
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物及び/又は少なくとも1つのその農業的若しくは獣医学的に許容される塩と、少なくとも1つの不活性液体及び/又は固体の農業的若しくは獣医学的に許容される担体とを含む農業用又は獣医学用組成物。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの不活性液体及び/又は固体の許容される担体と、必要に応じて少なくとも1つの界面活性剤とを含む、動物有害生物を駆除するための農業用組成物。
【請求項14】
無脊椎有害生物を駆除又は防除する方法であって、前記有害生物又はその食糧供給源、生息地若しくは繁殖地を、殺有害生物有効量の、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項15】
生育している植物を無脊椎有害生物による攻撃又は寄生から保護する方法であって、植物又は前記植物が生育している土壌若しくは水を、殺有害生物有効量の、請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物と接触させることを含む方法。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー若しくは塩を種子100kg当たり0.1g~10kgの量で含む種子。
【請求項17】
無脊椎有害生物による寄生又は感染に対して動物を処置又は保護する方法であって、前記動物を、殺有害生物有効量の、請求項1~10のいずれか一項に記載の式Iの少なくとも1つの化合物、その立体異性体及び/又は少なくとも1つのその獣医学的に許容される塩と接触させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)
【化1】
(式中、
は、H、OH、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-アルコキシ、C~C-アルケニル、C~C-アルキニル、C~C-アルキル-C~C-シクロアルキル、C~C-アルキル-C~C-ハロシクロアルキル(これらの基は、非置換であるか、又は部分的に若しくは完全にR11
又はC(=N-R11)R12、C(O)R11aによって置換されている)であり;
11は、CN、NO、NR1213、C(O)NH、C(S)NH、C(O)OH、OR14、Si(CH;C~C-アルキル;C~C-ハロアルキル;C~C-アルケニル;C~C-ハロアルケニル;C~C-アルキニル;C~C-ハロアルキニル;C~C-シクロアルキル-C~C-アルキル(この環は、非置換であるか、又は1個若しくは2個のハロゲンによって置換されている);3員~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);5員又は6員ヘタリール、又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はR3aによって置換されている)であり;
は、ハロゲン、CN、NO、OH、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル、及びオキソであり;
11aは、NR1213、C(O)NH、C(S)NH、C(O)OH、OR14、Si(CH;C~C-ハロアルキル;C~C-アルケニル;C~C-ハロアルケニル;C~C-アルキニル;C~C-ハロアルキニル;C~C-シクロアルキル-C~C-アルキル(この環は、非置換であるか、又は1個若しくは2個のハロゲンによって置換されている);3員~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている)であり;
12、R13は、互いに独立して、H、C~C-アルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-アルキル、C(O)-C~C-ハロアルキル、C(O)-C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-ハロシクロアルキル、C(O)NR121131、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル;3員~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);5員若しくは6員ヘタリール又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はR3aによって置換されている)であるか;或いは
12及びR13は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3員、4員、5員、6員又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環を形成し、この複素環は、環員として、N、O及びS(O)mから選択される1個又は2個のヘテロ原子又はヘテロ原子基をさらに含んでもよく、この複素環は、非置換であるか、又はRから選択される1個又は複数の置換基によって置換されており;
121及びR131は、互いに独立して、H、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ;C~C-アルキル-フェニル、C~C-アルキル-3~6員ヘタリール、フェニル、3~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);又は5員若しくは6員ヘタリール(これらの環は、非置換であるか、又はR3aによって置換されている)であるか;或いは
121及びR131は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~6員の飽和、部分的又は完全に不飽和複素環を形成し、この複素環は、N、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子環員をさらに含んでもよく、ここでSは酸化されていてもよく、この複素環は、非置換であるか、又はRによって置換されており;
mは、0、1又は2であり;
14は、H、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-シクロアルキル-C~C-アルキル、C~C-ハロシクロアルキル-C~C-アルキル、C(O)-C~C-アルキル、C(O)-C~C-ハロアルキル、C(O)-C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-ハロシクロアルキル、又は非置換であるか、若しくはR3aによって部分的若しくは完全に置換されているフェニルであり;
は、H、CN、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-アルケニル、C~C-アルキニルであり;
Xは、CH、CR、又はNであり;
は、ハロゲン、CN、NO、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、OR14、S(O)-R14(これらは非置換であるか、又はR3aによって置換されている)であり;
3aは、ハロゲン、CN、NO、OH、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、C~C-アルコキシ、C~C-ハロアルコキシ、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキルであり;
nは、0、1、2又は3であり;
は、OR14、CN、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、C~C-アルケニル、C~C-ハロアルケニル、C~C-アルキニル(それぞれ、非置換であるか、又はR41によって部分的若しくは完全に置換されている);
S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル、NR1213、C(O)NR1213、C(O)OR14、3員~6員ヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);5員若しくは6員ヘタリール、又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって部分的に若しくは完全に置換されている)であり;
41は、H、OR15、NR1213、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-アルキル、C(O)-C~C-ハロアルキル、C(O)-C~C-シクロアルキル、C(O)-C~C-ハロシクロアルキル、C(O)NR121131
S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル;3員~6員ヘテロシクリル、5員若しくは6員ヘタリール、又はフェニルであり;
これらの非芳香族環状R41基は、非置換であるか、又は部分的に若しくは完全にRaによって置換されており;
芳香族R41基は、非置換であるか、又は部分的に若しくは完全にR3aによって置換されており;
15は、H、C~C-アルキル、又はC~C-ハロアルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル(これらの炭素鎖は、非置換であるか、又はR11によって部分的若しくは完全に置換されている);又は3員~6員のヘテロシクリル(これらの環は、非置換であるか、又はRによって置換されている);5員若しくは6員のヘタリール、又はフェニル(これらの環は、非置換であるか、又はR3aによって部分的若しくは完全に置換されている)である)
の化合物、並びにそのN-オキシド、立体異性体及び農業的又は獣医学的に許容される塩に関する。
【0002】
本発明は、式Iの少なくとも1種の化合物、その立体異性体及び/又はその農業的に許容される塩と、少なくとも1種の液体及び/又は固体担体、特に少なくとも1種の不活性液体及び/又は固体の農業的に許容される担体とを含む農業用組成物も提供する。
【0003】
本発明は、式Iの少なくとも1種の化合物、その立体異性体及び/又はその獣医学的に許容される塩と、少なくとも1種の液体及び/又は固体担体、特に少なくとも1種の不活性獣医学的液体及び/又は固体の許容される担体とを含む獣医学用組成物も提供する。
【0004】
本発明は、無脊椎有害生物を防除する方法であって、有害生物、その食糧供給源、その生息地若しくはその繁殖地又は有害生物が生育しているか若しくは生育し得る栽培植物、植物繁殖材料(種子など)、土壌、領域、材料若しくは環境又は有害生物の攻撃若しくは寄生から保護されるべき材料、栽培植物、植物繁殖材料(種子など)、土壌、表面若しくは空間を、殺有害生物有効量の、本明細書で定義される式Iの化合物又はその塩で処理することを含む方法も提供する。
【0005】
本発明は、式Iの少なくとも1種の化合物及び/又はその農業的に許容される塩を含む植物繁殖材料、特に種子にも関する。
【0006】
さらに本発明は、寄生生物による寄生又は感染に対して動物を処置又は保護する方法であって、動物を、殺寄生生物有効量の式Iの化合物又はその獣医学的に許容される塩と接触させることを含む方法に関する。動物を本発明の化合物I、その塩又は獣医学用組成物とを接触させることは、動物にそれを適用又は投与することを意味する。
【背景技術】
【0007】
国際公開第2017/192385号パンフレット、国際公開第2020/070049号パンフレット、国際公開第2021/037614号パンフレット、国際公開第2021/122645号パンフレット、国際公開第2021/068179号パンフレット、及び国際公開第2021/069575号パンフレットには、構造的に近い関連活性化合物が記載されている。これらの化合物は、無脊椎有害生物を駆除するのに有用であると述べられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それにもかかわらず、無脊椎有害生物を駆除するための非常に効果的且つ汎用性の高い薬剤の必要性が依然として存在する。したがって、本発明の目的は、良好な殺有害生物活性を有し、多数の異なる無脊椎有害生物、特に防除が困難である昆虫などの有害生物に対して広い活性スペクトルを示す化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に示し、定義する式Iの化合物並びにそれらの立体異性体、塩、互変異性体及びN-オキシド、特にその農業的に許容される塩により、これらの目的を達成できることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0010】
化合物Iは、適切なアルキル化剤III(例えば、ハロゲン化アルキル)によって化合物IIをアルキル化することによって得ることができる。式III中、Rは、式Iにおけるような意味を有し、そしてYは、ハロゲン化物、好ましくはBr又はClなどの求核性脱離基である。アルキル化は、文献から公知の標準的な条件下で実行することができる。
【化2】
【0011】
この変換は、通常、不活性溶媒中、塩基の存在下、-10℃~+110℃、好ましくは0℃~25℃の温度で行われる[国際公開第2002100846号パンフレットを参照されたい]。
【0012】
出発物質は、一般に、等モル量で互いに反応する。収率に関して、IIに基づいて過剰のIIIを使用することが有利であり得る。
【0013】
化合物IIは、アミノ化合物IVとカルボン酸Vとの反応により得ることができる。
【化3】
【0014】
この変換は、通常、不活性溶媒中、塩基の存在下、-20℃~50℃、好ましくは0℃~25℃の温度で行われるか[A.El-Faham,Chem.Rev.2011,6557を参照されたい]、或いは、文献から公知の条件下でVから中間体アシルクロリドを調製することにより、2段階で、例えば、ジメチルホルムアミド中での塩化チオニル又は塩化オキサリルとの反応(Schaeferら,Organic Syntheses 1929,32を参照されたい)、次いで、塩基の存在下、任意選択的にSchotten-Baumann条件下でIVと反応させることにより行われる(Baumann,Chem.Ber.1886,3218)。適切なペプチドカップリング試薬は、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3’-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド、又はクロロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェートであり、これらは、一般的に、触媒的、化学量論的、過剰量の添加剤、例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザ-ベンゾトリアゾール、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、及び/又は1-メチルイミダゾールと一緒に使用される。
【0015】
適切な溶媒は、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン(DCM)若しくは1,2-ジクロロエタン、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)若しくは1,4-ジオキサン、又は高沸点溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)など、好ましくはDCM又はDMF、又は水性媒体である。
【0016】
適切な塩基は、一般に、無機化合物、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、例えば、LiOH、NaOH、KOH、又はCa(OH)、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、NaCO、KCO、又はCsCO、アルカリ金属重炭酸塩、例えば、NaHCO、又は有機塩基、例えば、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルピペリジン、又は塩基性芳香族環、例えば、ピリジン、2,4,6-コリジン、2,6-ルチジン、若しくは4-(ジメチルアミノ)ピリジン、又は二環式アミン、例えば、1,8-ジアザビシロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)、又は1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)である。
【0017】
特にトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及びNaOHが好ましい。
【0018】
塩基は、一般に、化学量論的量又は過剰量で使用されるが、ただし、触媒量、又は適切な場合には溶媒として使用することもできる。
【0019】
出発物質は、一般に、等モル量で互いに反応する。収率に関して、Vに基づいて過剰のIVを使用することが有利であり得る。
【0020】
化合物IVは、化合物VIの還元アミノ化により得ることができる。
【化4】
【0021】
この変換は、通常、一般にアルコール及び/又は水性媒体中、そして試薬及び還元剤の存在下、0℃~130℃、好ましくは20℃~70℃の温度で行われる[国際公開第2021037614号パンフレットを参照されたい]。適切な溶媒は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、又は水であり、好ましくはメタノールである。上記の溶媒の混合物を使用することも可能である。適切な試薬は、酢酸アンモニウム(NHAc)、ギ酸アンモニウム、NHOH、NHCl、又はアンモニアである。適切な還元剤は、NaBHCN、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、又はNaBHである。
【0022】
酢酸アンモニウム及びNaBHCNがそれぞれ好ましい。
【0023】
化合物VIは、VIIと、VIIIのようなアルコキシアルケニルスタンナンとのStilleカップリング、次いで得られたエノールエーテル部分のケトンVIへの加水分解からなる2段階シーケンスで化合物VIIから得ることができる。
【化5】
【0024】
Stilleカップリング反応は、通常、50℃~150℃、好ましくは70℃~120℃の温度で、不活性溶媒中、1種若しくは複数の触媒の存在下、任意選択的に1種若しくは複数の添加剤及び塩基の存在下で行われる[H.Lin et al.,Bioorg Med Chem Lett 2010,679を参照のこと]。適切な溶媒は、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、o-、m-、p-キシレン及びメシチレン、又はエーテル、例えば、THF及び1,4-ジオキサンであり、好ましくはトルエン又は1,4-ジオキサンである。上記の溶媒の混合物を使用することも可能である。
【0025】
適切な触媒は、パラジウム錯体、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、パラジウムジアセテート、ジクロロ-ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム、好ましくは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。さらなる適切な任意選択的な触媒は、ジシクロヘキシル[2’,4’,6’-トリス(プロパン-2-イル)[1,1’-ビフェニル]-2-イル]ホスフィン又はトリフェニルホスフィンなどの一般的な配位子である。適切な添加剤は、一般に、無機化合物、例えば、フッ化セシウム及びヨウ化第一銅である。出発物質は、一般に、等モル量で互いに反応する。収率に関して、VIIに基づいて過剰のVIIIを使用することが有利であり得る。
【0026】
加水分解は通常、-20℃~40℃、好ましくは0℃~25℃の温度で、0.5M~3Mの濃度のHCl水を含み、任意選択的にアセトニトリル、アセトン、THF若しくはメタノールなどの有機溶媒を含む、水性酸性媒体中で行われる(H.Lin et al.、Bioorg Med Chem Lett2010、679を参照のこと)。
【0027】
化合物VIIは、トリアゾールIXから得ることができる。式X中、基Zは、脱離基、例えば、I、Br及びClなどのハロゲン化物、又はトリフラート若しくはメシラートなどのスルホネートである。
【化6】
【0028】
この変換は、通常、不活性溶媒中、塩基の存在下、0℃~100℃、好ましくは10℃~60℃の温度で行われる[J.Bradshaw et al.,J.Heterocycl.Chem.1986,361を参照されたい]。適切な溶媒は、ハロゲン化炭化水素、例えば、DCM、1,2-ジクロロエタン又はクロロホルム、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、又はTHF、ニトリル、例えば、アセトニトリル又はプロピオニトリル、アルコール、例えば、メタノール又はエタノール、及び極性非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、DMF、又はジメチルアセトアミド(DMA)、好ましくはアセトニトリルである。上記の溶媒の混合物を使用することも可能である。
【0029】
適切な塩基は、一般に、無機化合物、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水素化物、例えば、NaH、KH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩、例えば、NaCO、KCO、又はCsCO、アルカリ金属重炭酸塩、例えば、NaHCO、又は有機塩基、例えば、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンである。KCOが好ましい。塩基は、一般に、等モル量で使用されるが、ただし、過剰に又は適切な場合には溶媒として使用することもできる。
【0030】
出発物質は、一般に、等モル量で互いに反応する。収率に関して、IXに基づいて過剰のXを使用することが有利であり得る。
【0031】
トリアゾールIXは、化合物XIから、溶媒として酢酸(AcOH)中、任意選択的に共溶媒としてアルコール、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、又はエーテル、例えば、1,4-ジオキサンを用い、25℃~110℃の温度で、1当量~1.5当量のヒドラジン水和物XIIと反応させることにより得られることが文献から知られている(Lin et al,J.Org.Chem.1979,4160;Wrobleskiら,J.Med.Chem.2019,8973を参照されたい)。或いは、化合物VIIは、RNH-NH型の置換ヒドラジンとの反応により、化合物XIから直接得ることができる。
【化7】
【0032】
化合物XIは、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMFDMA)との反応により、市販品として入手可能な3-クロロピラジン-2-カルボキサミド(XII)から得ることができる。
【化8】
【0033】
この変換は、通常、不活性溶媒中、0℃~100℃、好ましくは25℃~90℃の温度で、1.5~3当量のDMFDMAを用いて行われる[Linら、J.Org.Chem.1979,4160;Wrobleskiら,J.Med.Chem.2019,8973を参照されたい]。適切な溶媒は、ハロゲン化炭化水素、例えば、DCM及び1,2-ジクロロエタン、エーテル、例えば、THF、芳香族溶媒、例えば、トルエン、及極性アプロティック溶媒、例えば、DMSOであり、好ましくはDCMである。
【0034】
出発物質は、一般に、等モル量で互いに反応する。収率に関して、XIIに基づいて過剰のDMFDMAを使用することが有利であり得る。
【0035】
さらに、化合物Iは、4-メトキシベンジル-(PMB-)置換化合物I(R=PMB)、又はPMB基がトリアゾール環の3個の窒素原子のいずれか1個に結合しているそのような化合物Iの位置異性体から、例えば、国際公開第2011076725号パンフレットに記載されているように、TFAなどの酸を用いた処理によるPMB基の除去、次いで化合物IXからの化合物VIIの合成に関して上記したような試薬及び反応条件を用いた中間体(Int)の反応を含む2段階シーケンスで得ることができる。中間体化合物(Int)は新規である。式(Int)中の変数は、式Iに関して定義した通りである。
【化9】
【0036】
反応混合物は、通例の方法で、例えば、水と混合し、適切な有機溶媒によって抽出し、相を分離して、適切な場合には粗生成物をクロマトグラフィー精製することによって仕上げられる。中間体及び最終生成物のいくつかは、無色又はわずかに茶色がかった粘稠性の油の形態で得られ、これは、減圧下及び適度に上げられた温度で揮発性成分から精製されるか又はそれらを除去される。中間体及び最終生成物が固体として得られる場合、精製は、再結晶化又は温浸によって実行することもできる。
【0037】
個々の化合物Iが上に記載の経路によって得ることができない場合、それらは、他の化合物Iの誘導体化によって調製することができる。
【0038】
しかしながら、合成が異性体の混合物を生じる場合、一部の場合には個々の異性体が使用のための後処理又は適用時に(例えば、光、酸又は塩基の作用下で)相互変換する場合があるため、一般に、分離は、必ずしも必要であるとは限らない。そのような変換は、使用後、例えば植物の処理、処理された植物又は防除される有害生物で生じる場合もある。
【0039】
上記の変数の定義において言及されている有機部分の群は、ハロゲンという用語と同様に、その群の個々の構成要素を個々に列挙したリストの総称である。接頭辞C~Cは、各場合において、その基に可能な炭素原子数を示す。
【0040】
基によって「部分的に又は完全に置換されている」という用語は、一般に、その基が同じ又は異なる基で置換されていることを意味する。
【0041】
「ハロゲン」という用語は、それぞれの場合では、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素、特にフッ素、塩素又は臭素を意味する。
【0042】
本明細書において且つアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル及びアルコキシアルキルのアルキル部分において使用される「アルキル」という用語は、各々の場合、通常、1~10個の炭素原子、頻繁には1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝のアルキル基を示す。アルキル基の例は、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(n-Pr)、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2メチルブチル、3メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチル-プロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチル-プロピル及び1-エチル-2-メチルプロピルである。
【0043】
本明細書において且つハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ハロアルキルチオ、ハロアルキルスルホニル、ハロアルキルスルフィニル、ハロアルコキシ及びハロアルコキシアルキルのハロアルキル部分において使用される「ハロアルキル」という用語は、各々の場合、この基の水素原子がハロゲン原子で部分的に又は完全に置換されている、通常、1~10個の炭素原子、頻繁には1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝のアルキル基を示す。好ましいハロアルキル部分は、C~Cハロアルキルから、より好ましくはC~Cハロアルキル又はC~Cハロアルキルから、特にフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC~Cフルオロアルキルから選択される。
【0044】
本明細書において使用される「アルコキシ」という用語は、各々の場合、酸素原子を介して結合している、通常、1~10個の炭素原子、頻繁には1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝のアルキル基を示す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブチルオキシ、2-ブチルオキシ、イソ-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ等である。
【0045】
本明細書において使用される「アルコキシアルキル」という用語は、1個の炭素原子が上記で定義した、通常、1~4個、好ましくは1個又は2個の炭素原子を含むアルコキシ基を有する、通常、1~10個、頻繁には1~4個、好ましくは1~2個の炭素原子を含むアルキルを示す。例は、CHOCH、CH-OC、2-(メトキシ)エチル及び2-(エトキシ)エチルである。
【0046】
本明細書において使用される「ハロアルコキシ」という用語は、各々の場合、この基の水素原子がハロゲン原子、特にフッ素原子で部分的に又は完全に置換されている、1~10個の炭素原子、頻繁には1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝のアルコキシ基を示す。好ましいハロアルコキシ部分としては、C~Cハロアルコキシ、特にフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1フルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2,2ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2-クロロ-2-フルオロエトキシ、2-クロロ-2,2-ジフルオロ-エトキシ、2,2ジクロロ-2-フルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ等のC~Cフルオロアルコキシが挙げられる。
【0047】
本明細書で使用される「アルキルチオ」(アルキルスルファニル:S-アルキル)」という用語は、硫黄原子を介して結合している1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子(=C~C-アルキルチオ)、さらに好ましくは1~3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状飽和アルキル基を指す。
【0048】
本明細書で使用される「ハロアルキルチオ」という用語は、水素原子がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素によって部分的又は完全に置換されている上記のアルキルチオ基を指す。
【0049】
「アルキルスルフィニル」(アルキルスルホキシル:S(=O)-アルキル)という用語は、アルキル基の任意の位置でスルフィニル基の硫黄原子を介して結合した1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子(=C~C-アルキルスルフィニル)、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状飽和アルキル基(上記の通り)を指す。
【0050】
本明細書において使用される「ハロアルキルスルフィニル」という用語は、水素原子がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で部分的に又は完全に置換されている、上記のアルキルスルフィニル基を示す。
【0051】
本明細書において使用される「アルキルスルホニル」(S(=O)-アルキル)という用語は、アルキル基の任意の位置において、スルホニル基の硫黄原子を介して結合している、1~10個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子(=C~C-アルキルスルホニル)、好ましくは1~3個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝状飽和アルキル基を示す。
【0052】
本明細書において使用される「ハロアルキルスルホニル」という用語は、水素原子がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で部分的に又は完全に置換されている、上記のアルキルスルホニル基を示す。
【0053】
「アルキルカルボニル」という用語は、カルボニル基(C=O)の炭素原子を介して分子の残部に結合している、上記で定義されるようなアルキル基を指す。
【0054】
「ハロアルキルカルボニル」という用語は、水素原子がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で部分的に又は完全に置換されている、上記のアルキルカルボニル基を示す。
【0055】
「アルコキシカルボニル」という用語は、酸素原子を介して分子の残部に結合している、上記で定義したアルキルカルボニル基を示す。
【0056】
「ハロアルコキシカルボニル」という用語は、水素原子がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素で部分的に又は完全に置換されている、上記のアルコキシカルボニル基を示す。
【0057】
本明細書において使用される「アルケニル」という用語は、各々の場合、通常、2~10個、頻繁には2~6個、好ましくは2~4個の炭素原子を有する単不飽和炭化水素基、例えばビニル、アリル(2-プロペン-1-イル)、1-プロペン-1-イル、2-プロペン-2-イル、メタリル(2-メチルプロパ-2-エン-1-イル)、2-ブテン-1-イル、3-ブテン-1-イル、2-ペンテン-1-イル、3-ペンテン-1-イル、4-ペンテン-1-イル、1-メチルブタ-2-エン-1-イル、2-エチルプロパ-2-エン-1-イル等を示す。
【0058】
本明細書において使用される「ハロアルケニル」という用語は、水素原子がハロゲン原子で部分的に又は完全に置換されている、上記で定義したアルケニル基を示す。
【0059】
本明細書において使用される「アルキニル」という用語は、各々の場合、通常、2~10個、頻繁には2~6個、好ましくは2~4個の炭素原子を有する単不飽和炭化水素基、例えばエチニル、プロパルギル(2-プロピン-1-イル)、1-プロピン-1-イル、1-メチルプロパ-2-イン-1-イル)、2-ブチン-1-イル、3-ブチン-1-イル、1-ペンチン-1-イル、3-ペンチン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、1-メチルブタ-2-イン-1-イル、1-エチルプロパ-2-イン-1-イル等を示す。
【0060】
本明細書において使用される「ハロアルキニル」という用語は、水素原子がハロゲン原子で部分的に又は完全に置換されている、上記で定義したアルキニル基を示す。
【0061】
本明細書において且つシクロアルコキシ及びシクロアルキルチオのシクロアルキル部分において使用される「シクロアルキル」という用語は、各々の場合、通常、3~10個又は3~6個の炭素原子を有する単環式脂環式基、例えばシクロプロピル(cC)、シクロブチル(cC)、シクロペンチル(cC)、シクロヘキシル(cC11)、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシル又はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを示す。
【0062】
本明細書において且つハロシクロアルコキシ及びハロシクロアルキルチオのハロシクロアルキル部分において使用される「ハロシクロアルキル」という用語は、各々の場合、水素原子の少なくとも1個、例えば1、2、3、4又は5個がハロゲン、特にフッ素又は塩素で置換されている、通常、3~10個のC原子又は3~6個のC原子を有する、単環式脂環式基を示す。例は、1-及び2-フルオロシクロプロピル、1,2-、2,2-及び2,3-ジフルオロシクロプロピル、1,2,2-トリフルオロシクロプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル、1-及び2-クロロシクロプロピル、1,2-、2,2-及び2,3-ジクロロシクロプロピル、1,2,2-トリクロロシクロプロピル、2,2,3,3-テトラクロロシクロプロピル、1-,2-及び3-フルオロシクロペンチル、1,2-、2,2-、2,3-、3,3-、3,4-、2,5-ジフルオロシクロペンチル、1-,2-及び3-クロロシクロペンチル、1,2-、2,2-、2,3-、3,3-、3,4-、2,5-ジクロロシクロペンチル等である。
【0063】
本明細書において且つシクロアルケニルオキシ及びシクロアルケニルチオのシクロアルケニル部分において使用される「シクロアルケニル」という用語は、各々の場合、通常3~10個、例えば、3若しくは4個又は5~10個の炭素原子、好ましくは3~8個の炭素原子を有する、単環式又は二環式、好ましくは単環式単不飽和非芳香族基を示す。例は、シクロペンテン-1-イル及びシクロヘキセン-1-イルである。
【0064】
本明細書において且つハロシクロアルケニルオキシ及びハロシクロアルケニルチオのハロシクロアルケニル部分において使用される「ハロシクロアルケニル」という用語は、各々の場合、水素原子の少なくとも1個、例えば1、2、3、4又は5個がハロゲン、特にフッ素又は塩素で置換されている、通常、3~10個、例えば3つ若しくは4つ又は5~10個の炭素原子、好ましくは3~8個の炭素原子を有する、単環式単不飽和非芳香族基を示す。例は、3,3-ジフルオロシクロプロペン-1-イル及び3,3-ジクロロシクロプロペン-1-イルである。
【0065】
「シクロアルケニルアルキル」という用語は、アルキル基、例えばC~Cアルキル基又はC~Cアルキル基、特にメチル基(=シクロアルケニルメチル)を介して分子の残部に結合している、上に定義したシクロアルケニル基を示す。
【0066】
「炭素環」又は「カルボシクリル」という用語は、3~12個、好ましくは3~8個又は5~8個、より好ましくは5個又は6個の炭素原子を含む、一般に3~12員、好ましくは3~8員又は5~8員、より好ましくは5又は6員の単環式非芳香族環を含む。好ましくは、「炭素環」という用語は、上に定義したシクロアルキル及びシクロアルケニル基を網羅する。
【0067】
「複素環」又は「ヘテロシクリル」という用語は、一般に、3~12員、好ましくは3~6員、特に6員の単環式複素環式非芳香族基を含む。複素環式非芳香族基は、通常、N、O、及びSから選択される1、2、3、4、又は5つ、好ましくは1、2、又は3つのヘテロ原子を環員として含み、環員としてのS原子は、S、SO、又はSOとして存在してもよい。5員又は6員の複素環式基の例には、飽和又は不飽和の非芳香族複素環式環、例えば、オキシラニル、オキセタニル、チエタニル、チエタニル-S-オキシド(oxid)(S-オキソチエタニル)、チエタニル-S-ジオキシド(dioxid)(S-ジオキソチエタニル)、ピロリジニル、ピロリニル、ピラゾリニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、1,3-ジオキソラニル、チオラニル、S-オキソチオラニル、S-ジオキソチオラニル、ジヒドロチエニル、S-オキソジヒドロチエニル、S-ジオキソジヒドロチエニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、オキサチオラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、1,3-及び1,4-ジオキサニル、チオピラニル、S.オキソチオピラニル、S-ジオキソチオピラニル、ジヒドロチオピラニル、S-オキソジヒドロチオピラニル、S-ジオキソジヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、S-オキソテトラヒドロチオピラニル、S-ジオキソテトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、S-オキソチオモルホリニル、S-ジオキソチオモルホリニル、チアジニルなどが含まれる。環員として1又は2つのカルボニル基も含む複素環の例は、ピロリジン-2-オニル、ピロリジン-2,5-ジオニル、イミダゾリジン-2-オニル、オキサゾリジン-2-オニル、チアゾリジン-2-オニル等も含む。
【0068】
「ヘタリール」という用語は、N、O及びSから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を環員として含む単環式5員又は6員複素芳香族基を含む。5又は6員複素芳香族基の例としては、ピリジル、即ち、2-、3-又は4-ピリジル、ピリミジニル、即ち、2-、4-又は5-ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、即ち、3-又は4-ピリダジニル、チエニル、即ち、2-又は3-チエニル、フリル、即ち、2-又は3-フリル、ピロリル、即ち、2-又は3-ピロリル、オキサゾリル、即ち、2-、3-又は5-オキサゾリル、イソオキサゾリル、即ち、3-、4-又は5-イソオキサゾリル、チアゾリル、即ち、2-、3-又は5-チアゾリル、イソチアゾリル、即ち、3-、4-又は5-イソチアゾリル、ピラゾリル、即ち、1-、3-、4-又は5-ピラゾリル、即ち、1-、2-、4-又は5-イミダゾリル、オキサジアゾリル、例えば、2-又は5-[1,3,4]オキサジアゾリル、4-又は5-(1,2,3-オキサジアゾール)イル、3-又は5-(1,2,4-オキサジアゾール)イル、2-又は5-(1,3,4-チアジアゾール)イル、チアジアゾリル、例えば2-又は5-(1,3,4-チアジアゾール)イル、4-又は5-(1,2,3-チアジアゾール)イル、3-又は5-(1,2,4-チアジアゾール)イル、トリアゾリル、例えば1H-、2H-又は3H-1,2,3-トリアゾール-4-イル、2H-トリアゾール-3-イル、1H-、2H-又は4H-1,2,4-トリアゾリル及びテトラゾリル、即ち、1H-又は2H-テトラゾリルが挙げられる。「ヘタリール」という用語には、N、O及びSから選択される1、2又は3個のヘテロ原子を環員として含む二環式の8~10員複素芳香族基も含まれ、5又は6員の複素芳香族環がフェニル環又は5若しくは6員の複素芳香族基に縮合している。フェニル環又は5員若しくは6員の複素芳香族基に縮合している5員又は6員の複素芳香族環の例としては、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジニル、キノリニル、イソキノリニル、プリニル、1,8-ナフチリジル、プテリジル、ピリド[3,2-d]ピリミジル、又はピリドイミダゾリルなどが挙げられる。これらの縮合ヘタリール基は、5若しくは6員の複素芳香族環の任意の環原子又は縮合フェニル部分の炭素原子を介して分子の残部に結合し得る。
【0069】
「ヘテロシクリルアルキル」及び「ヘタリールアルキル」という用語は、それぞれC~Cアルキル基又はC~Cアルキル基、特にメチル基(=それぞれヘテロシクリルメチル又はヘタリールメチル)を介して分子の残部に結合している、上記で定義したヘテロシクリル又はヘタリールを指す。
【0070】
「アリールアルキル」及び「フェニルアルキル」という用語は、それぞれC~Cアルキル基又はC~Cアルキル基、特にメチル基(=アリールメチル又はフェニルメチル)を介して分子の残部に結合している、上記で定義したアリール及びフェニルを指し、例には、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、2-フェノキシエチル等が含まれる。
【0071】
「アルキレン」、「シクロアルキレン」、「ヘテロシクロアルキレン」、「アルケニレン」、「シクロアルケニレン」、「ヘテロシクロアルケニレン」及び「アルキニレン」という用語は、それぞれの基の2個の原子を介して、好ましくは2個の炭素原子を介して、それらが分子の2個の部分間のリンカーとなるように分子の残部に結合している、上記で定義したアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル及びアルキニルを指す。
【0072】
特定の実施形態において、式Iの化合物の変数は、以下の意味を有し、これらの意味は、単独で及び相互に組み合わせて式Iの化合物の特定の実施形態である。
【0073】
殺有害生物方法及び殺虫適用目的での使用のための本発明の実施形態及び好ましい化合物を以下の段落で概説する。
【0074】
変数に関して、中間体の特に好ましい実施形態は、式Iの化合物の実施形態に対応する。
【0075】
好ましい実施形態において、化合物Iは、化合物I.A及びI.Bの混合物の形態で存在し、窒素原子の近くの炭素原子のS配置を有する化合物I.Aは、化合物I.A及びI.Bの総重量に基づいて50重量%超の量、特に少なくとも70重量%、より具体的には少なくとも85重量%、具体的には少なくとも90重量%の量で存在する。
【化10】
【0076】
本発明の1つの特に好ましい実施形態において、方法は、植物、その一部、その植物繁殖材料、有害生物、その食糧供給源、生息地又は繁殖地を殺有害生物有効量の式I.Aの化合物と接触させるステップを含む。
【0077】
好ましくは、Rは、H、C~C-アルキル、C~C-アルキニル、C~C-シクロアルキル、又はC~C-アルキル-C~C-シクロアルキルである。
【0078】
好ましくは、RはCHである。
【0079】
Xは、好ましくはCH又はCR、特にCHである。そのような化合物は、式I.1に相当する。
【化11】
【0080】
別の実施形態において、XはNである。そのような化合物は式I.2に相当する。
【化12】
【0081】
は、好ましくは、ハロゲン、CN、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロアルコキシ、非置換又は1個若しくは複数のCNによって置換されたC~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキルである。Rの指数mは、好ましくは2である。指数nは、好ましくは2である。
【0082】
別の実施形態において、Rは、好ましくは、ハロゲン、CN、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロアルコキシ、非置換又は1個若しくは複数のR3aによって置換されたC~C-シクロアルキルであり、ここでR3aは、好ましくは、CN、OH、C~C-アルコキシである。Rの指数mは、好ましくは2である。指数nは、好ましくは2である。
【0083】
別の実施形態において、Rは、好ましくは、3位と5位との間に存在する。
【0084】
別の実施形態において、Rは、好ましくは、ハロゲン、CN、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロアルコキシ、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、S(O)-C~C-アルキル、S(O)-C~C-ハロアルキル、S(O)-C~C-シクロアルキル、S(O)-C~C-ハロシクロアルキル、又はS(O)-R14であり、ここでR14は、R3aによって部分的に置換されているフェニルである。
【0085】
式I化合物の別の実施形態において、Rは、ハロゲン、CN、NO、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-ハロシクロアルキル、OR14、S(O)-R14であり;ここで環は、非置換であるか、又はR11によって置換されている。
【0086】
は、好ましくは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、C~C-アルコキシ-C~C-アルキル、CHC(O)NH-C~C-アルキル、S(O)-C~C-アルキル、或いは非置換であるか、又は1個若しくは複数の基Rによって置換されたフェニルである。
【0087】
特に、それらの使用の観点から、以下の表に編集された式Iの化合物が好ましく、これらの化合物は、それぞれ、式I.1*及びI.2*に対応する。表中の置換基に関して記載されている基のそれぞれは、さらにそれ自体、それが記載される組み合わせから独立して、対象の置換基の特に好ましい態様である。
【化13】
【0088】
表1
がCNであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0089】
表2
がCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0090】
表3
がCであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0091】
表4
がCHCHCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0092】
表5
がCH(CHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0093】
表6
がcCであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0094】
表7
がCHCFであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0095】
表8
がCHOCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0096】
表9
がC(=O)NHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0097】
表10
がC(=O)NHCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0098】
表11
がC(=O)NHCであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0099】
表12
がC(=O)N(CHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0100】
表13
がC(=O)N(CH)Cであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0101】
表14
がC(=O)OCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0102】
表15
がC(=O)OCであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0103】
表16
がCHC(=O)NHCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0104】
表17
が4,5-ジヒドロオキサゾル-2-イルであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0105】
表18
がSOCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0106】
表19
がSOであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.1*の化合物。
【0107】
表20
がCNであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0108】
表21
がCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0109】
表22
がCであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0110】
表23
がCHCHCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0111】
表24
がCH(CHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0112】
表25
がcCであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0113】
表26
がCHCFであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0114】
表27
がCHOCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0115】
表28
がC(=O)NHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0116】
表29
がC(=O)NHCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0117】
表30
がC(=O)NHCであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0118】
表31
がC(=O)N(CHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0119】
表32
がC(=O)N(CH)Cであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0120】
表33
がC(=O)OCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0121】
表34
がC(=O)OCであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0122】
表35
がCHC(=O)NHCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0123】
表36
が4,5-ジヒドロオキサゾル-2-イルであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0124】
表37
がSOCHであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0125】
表38
がSOであり、且つ化合物に関するR及び(Rの組み合わせが、それぞれ場合、表Aの1行に対応する、式I.2*の化合物。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
【表3】
【0129】
【表4】
【0130】
【表5】
【0131】
【表6】
【0132】
「本発明の化合物」という用語は、式Iの化合物又は「化合物I」を指し、それらの塩、互変異性体、立体異性体及びN-オキシドを含む。
【0133】
本発明は、助剤及び少なくとも1種の化合物Iを含む農薬組成物にも関する。
【0134】
農薬組成物は、殺有害生物有効量の化合物Iを含む。
【0135】
農薬組成物は、殺有害生物有効量の化合物Iを含む。
【0136】
化合物Iは、例えば、液剤、エマルション剤、懸濁剤、粉剤、散剤、ペースト剤、粒剤、圧縮剤、カプセル剤及びそれらの混合物など、従来の型の農薬組成物に転換可能である。組成物のタイプの例は、懸濁剤(例えば、SC、OD、FS)、乳化性濃縮物(例えば、EC)、乳剤(例えば、EW、EO、ES、ME)、カプセル剤(例えば、CS、ZC)、ペースト剤、パスティーユ、水和剤又は粉剤(例えば、WP、SP、WS、DP、DS)、圧縮剤(例えば、BR、TB、DT)、顆粒剤(例えば、WG、SG、GR、FG、GG、MG)、殺虫性物品(例えば、LN)、並びに植物繁殖材料(例えば、種子)の処置のためのゲル製剤(例えば、GF)である。これら及び更なる組成物のタイプは、“Catalogue of pesticide formulation types and international coding system”,Technical Monograph No.2,6th Ed.May 2008,CropLife Internationalに定義されている。
【0137】
適切な助剤は、溶媒、液体担体、固体担体又は充填剤、界面活性剤、分散剤、乳化剤、湿潤剤、補助剤、可溶化剤、浸透促進剤、保護コロイド、付着剤、増粘剤、保湿剤、忌避剤、誘引剤、摂餌刺激物質、相溶化剤、殺菌剤、凍結防止剤、消泡剤、着色剤、粘着付与剤及び結合剤である。
【0138】
好適な溶媒及び液体担体は、水及び有機溶媒である。好適な固体担体又は充填剤は、鉱物である。
【0139】
好適な界面活性剤は、界面活性化合物、例えばアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性界面活性剤、ブロックポリマー、ポリ電解質である。このような界面活性剤は、乳化剤、分散剤、可溶化剤、湿潤剤、浸透促進剤、保護コロイド又はアジュバントとして使用することができる。界面活性剤は、McCutcheon’s,Vol.1:Emulsifiers&Detergents,McCutcheon’s Directories,Glen Rock,USA,2008(国際版又は北米版)に列挙されている。好適なアニオン性界面活性剤は、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、カルボキシレートのアルカリ塩、アルカリ土類塩又はアンモニウム塩である。好適なノニオン性界面活性剤は、アルコキシレート、N-置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖をベースとする界面活性剤、ポリマー性界面活性剤である。適切なカチオン性界面活性剤は、第四級界面活性剤である。
【0140】
農薬組成物は、一般に、0.01~95重量%、好ましくは0.1~90重量%、最も好ましくは0.5~75重量%の活性物質を含む。活性物質は、90%~100%、好ましくは95%~100%の純度で使用される。
【0141】
多様な種類の油、湿潤剤、アジュバント又は肥料を、プレミックスとして又は適切な場合には使用直前に(タンク混合)、活性物質又はそれらを含む組成物に添加することができる。これらの薬剤は、本発明による組成物と1:100~100:1の重量比で混合可能である。
【0142】
使用者は、通常、プレ投与装置、背負い型噴霧器、噴霧タンク噴霧飛行機又は灌漑システムから本発明による組成物を適用する。通常、農薬組成物は、水、緩衝剤、及び/又はさらなる補助剤を用いて所望の適用濃度にされ、こうしてレディートゥーユーズスプレー液又は本発明による農薬組成物を得ることができる。通常、農業用地1ヘクタール当たり20~2000リットルのレディトゥユーズ噴霧液が適用される。
【0143】
化合物Iは、作物、植物、植物繁殖材料(例えば種子)、又は植物が生育している土壌若しくは水を、動物有害生物による攻撃又は寄生から保護する際の使用に適している。したがって、本発明は、動物有害生物による攻撃又は寄生から保護すべき作物、植物、植物繁殖材料、例えば種子又は植物が生育している土壌若しくは水を、殺有害生物有効量の化合物Iと接触させることを含む、植物を保護する方法にも関する。
【0144】
化合物Iは、動物有害生物を駆除又は防除するための使用にも好適である。したがって、本発明は、動物有害生物、それらの生息地、繁殖場所若しくは食糧供給源又は作物、植物、植物繁殖材料、例えば種子又は動物有害生物が生育しているか若しくは生育し得る土壌若しくは領域、材料若しくは環境を殺有害生物有効量の化合物Iと接触させることを含む、動物有害生物を駆除又は防除する方法にも関する。
【0145】
化合物Iは、接触及び摂取の両方を通じて、卵、幼虫、蛹、及び成虫などの任意の及び全ての発育段階に有効である。
【0146】
化合物Iは、それ自体で、又はそれらを含む組成物の形態で施用することができる。
【0147】
施用は、作物、植物、植物繁殖材料の有害生物による寄生の前及び後の両方で行うことができる。
【0148】
「接触させる」という用語には、直接接触(化合物/組成物を動物有害生物又は植物上に直接施用する)及び間接接触(化合物/組成物を居所に施用する)の両方が含まれる。
【0149】
「動物有害生物」という用語には、節足動物、腹足類、及び線虫が含まれる。本発明による好ましい動物有害生物は、節足動物、好ましくは昆虫及びクモ類、特に昆虫である。
【0150】
「植物」という用語には、穀類、例えば、デュラム及び他のコムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、オートムギ、イネ、又はトウモロコシ(飼料用トウモロコシ及びシュガートウモロコシ/スウィートコーン及びフィールドコーン);ビート、例えば、テンサイ又は飼料用ビート;果実、例えば、仁果類、核果類、又はソフトフルーツ類、例えば、リンゴ、セイヨウナシ、プラム、モモ、ネクタリン、アーモンド、サクランボ、パパイヤ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー、又はグーズベリー;マメ科植物、例えば、マメ、ヒラマメ、エンドウマメ、アルファルファ、又はダイズ;油脂植物、例えば、ナタネ(rapeseed)(セイヨウアブラナ(oilseed rape))、アブラナ(turnip rape)、カラシナ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、カカオマメ、トウゴマ、アブラヤシ、ラッカセイ、又はダイズ;ウリ科植物、例えば、カボチャ(squash)、カボチャ(pumpkin)、キュウリ、又はメロン;繊維植物、例えば、ワタ、アマ、アサ、又はジュート;柑橘類果実、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、又はマンダリン;野菜、例えば、ナス、ホウレンソウ、レタス(例えばアイスバーグレタス)、チコリ、キャベツ、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、ニンニク、リーキ、トマト、ジャガイモ、ウリ科植物、又はアマトウガラシ;クスノキ科植物、例えば、アボカド、シナモン、又はカンファー;エネルギー植物及び原料植物、例えば、コーン、ダイズ、ナタネ、サトウキビ、又はアブラヤシ;タバコ;堅果類、例えば、クルミ;ピスタチオ;コーヒー;茶;バナナ;つる植物;ホップ;スウィートリーフ(ステビア);天然ゴム植物、又は観賞植物及び森林植物、低木、広葉樹又は常緑樹、ユーカリ;芝(turf);芝生(lawn);イネ科草本が含まれる。好ましい植物としては、ジャガイモサトウダイコン、タバコ、コムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、イネ、コーン、綿花、ダイズ、ナタネ、マメ科植物、ヒマワリ、コーヒー若しくはサトウキビ;果物;つる植物、観賞用のもの;又は野菜、例えばキュウリ、トマト、マメ若しくはカボチャが挙げられる。
【0151】
「種子」という用語は、種子及び植物繁殖体(真正種子、種子の小片、吸枝、球茎、球根、果実、塊茎、穀粒、挿し木、切断された苗条を含む)を包含し、好ましくは真正種子を意味する。
【0152】
「殺有害生物有効量」は、生育に対する観察可能な効果(標的生物の壊死、死滅、妨害、予防、及び除去、破壊、又は別様での標的生物の出現及び活性の漸減に関する効果を含む)を得るために必要とされる活性成分の量を意味する。殺有害生物有効量は、本発明で使用される様々な化合物/組成物に応じて異なり得る。組成物の殺有害生物有効量は、一般的条件(例えば、所望の殺有害生物効果及び持続時間、天候、標的種、居所、施用様式)によっても変化する。
【0153】
作物植物を(例えば葉面施用により)処置する際に使用する場合、本発明の活性成分の施用量は1ヘクタール当たり0.0001g~4000g、例えば、1ヘクタール当たり1g~2kg、又は1ヘクタール当たり1g~750g、望ましくは1ヘクタール当たり1g~100gの範囲であり得る。
【0154】
化合物Iはまた、非作物昆虫有害生物に対する使用にも適している。前記非作物有害生物に対する使用の場合、化合物Iは、餌組成物、ゲル、一般的な昆虫用スプレー、エアロゾルとして、超微量施用及び蚊帳(含浸又は表面への施用)として使用され得る。
【0155】
「非作物昆虫有害生物」という用語は、非作物標的に特に関連する有害生物、例えば、アリ、シロアリ、スズメバチ、ハエ、マダニ、カ、トコジラミ、コオロギ、又はゴキブリ、例えば、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、イエバエ(Musca domestica)、コクヌストモドキ属種(Tribolium spp.);シロアリ、例えば、レチクリテルメス・フラビペス(Reticulitermes flavipes)、イエシロアリ(Coptotermes formosanus);ゴキブリ、例えば、ブラテラ・ゲルマニカ(Blatella germanica)、ワモンゴキブリ(Periplaneta Americana);アリ、例えば、ヒアリ(Solenopsis invicta)、アルゼンチンアリ(Linepithema humile)、及びカンポノツス・ペンシルバニクス(Camponotus pennsylvanicus)を指す。
【0156】
餌は、液体、固体、又は半固体の調製物(例えば、ゲル)であり得る。餌組成物中で使用する場合、活性成分の典型的な含有量は、活性化合物の0.001重量%~15重量%、望ましくは0.001重量%~5重量%である。
【0157】
化合物I及びその組成物は、木製材料(例えば、木、板塀、枕木、骨組み、芸術的人工物など)及び建築物のみならず、建設材料、家具、皮革、繊維、ビニル製品、電線及びケーブルなどを、アリ、シロアリ、及び/又は木材若しくは布地を破壊する甲虫から保護するために、並びに、アリ及びシロアリが作物又はヒトに損害を与えることを抑制するために(例えば、有害生物が家屋及び公共施設に侵入した場合、又は庭、果樹園、若しくは公園に営巣した場合)、使用することができる。
【0158】
材料の保護における慣用的な適用量は、例えば、処理材料1mあたり0.001g~2000g又は0.01g~1000gの活性化合物であり、望ましくは1mあたり0.1g~50gである。
【0159】
材料の含浸に使用する殺虫剤組成物は、典型的には0.001~95重量%、好ましくは0.1~45重量%、より好ましくは1~25重量%の少なくとも1種の忌避剤及び/又は殺虫剤を含有する。
【0160】
本発明の化合物は、動物有害生物、例えば頚吻(Auchenorrhyncha)亜目の昆虫、例えば、アムラスカ・ビグトゥラ(Amrasca biguttula)、エンポアスカ属種(Empoasca spp.)、ネフォテティクス・ヴィレセンス(Nephotettix virescens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)、マハナルバ属種(Mahanarva spp.)、ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、ミカンキジラミ(Diaphorina citri);
鱗翅目(Lepidoptera)、例えば、ヘリコベルパ属種(Helicoverpa spp.)、ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens)、ロベシア・ボトラナ(Lobesia botrana)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)、コナガ(Plutella xylostella)、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)、イッテンオオメイガ(Scirpophaga incertulas)、スポドプテラ属種(Spodoptera spp.)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)、トマトキバガ(Tuta absoluta)、クナファロクロシス・メディアリス(Cnaphalocrocis medialis)、コドリンガ(Cydia pomonella)、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、アンチカルシア・ゲマタリス(Anticarsia gemmatalis)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、クリソデイキス・インクルデンス(Chrysodeixis includens);
半翅類昆虫、例えば、メクラカメムシ属種(Lygus spp.)、カメムシ、例えば、ユースキストゥス属種(Euschistus spp.)、クサギカメムシ(Halyomorpha halys)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、ピエゾドルス・ギルディニ(Piezodorus guildinii)、ディケロプス・フルカタス(Dichelops furcatus);
アザミウマ類、例えば、フランクリニエラ属種(Frankliniella spp.)、アザミウマ属種(Thrips spp.)、ディクロモスリップス・コルベッティ(Dichromothrips corbettii);
アブラムシ類、例えば、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pisum)、ワタアブラムシ属種(Aphis spp.)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ロパロシプム属種(Rhopalosiphum spp.)、スキザフィス・グラミナム(Schizaphis graminum)、ソラマメヒゲナガアブラムシ(Megoura viciae);
コナジラミ類、例えば、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ベミシア属種(Bemisia spp.);
鞘翅目(Coleoptera)、例えば、フィロトレタ属種(Phyllotreta spp.)、メラノツス属種(Melanotus spp.)、メリゲテス・アエネウス(Meligethes aeneus)、レプチノタルサ・デセムリネアタ(Leptinotarsa decimlineata)、セウトロヒンチュス属種(Ceutorhynchus spp.)、ジアブロチカ属種(Diabrotica spp.)、アントノムス・グランジス(Anthonomus grandis)、アトマリア・リネアリア(Atomaria linearia)、アグリオテス属種(Agriotes spp.)、エピラクナ属種(Epilachna spp.);
ハエ類、例えば、デリア属種(Delia spp.)、セラティティス・カピターテ(Ceratitis capitate)、バクトロセラ属種(Bactrocera spp.)、リリオミザ属種(Liriomyza spp.);
蚊(双翅目(Diptera))、例えば、アエデス・アエジプティ(Aedes aegypti)、A.アルボピクタス(A.albopictus)、A.ベキサンス(A.vexans)、アナストレファ・ルデンス(Anastrepha ludens)、アノフェレス・マクリペンニス(Anopheles maculipennis)、A.クルシアンス(A.crucians)、A.アルビマヌス(A.albimanus)、A.ガンビエ(A.gambiae)、A.フレエボルニ(A.freeborni)、A.ロイコスフィルス(A.leucosphyrus)、A.ミニムス(A.minimus)、A.クアドリマクラツス(A.quadrimaculatus);
カイガラムシ上科(Coccoidea)、例えば、アオニディエラ・アウランティア(Aonidiella aurantia)、フェリシア・ビルゲート(Ferrisia virgate);
蛛形綱(Arachnida)の節足動物(anthropod)(ダニ類)、例えば、ムギダニ(Penthaleus major)、ナミハダニ属種(Tetranychus spp.);
センチュウ(Nematodes)、例えば、ヘテロデラ・グルシネス(Heterodera glycines)、メロイドギネ属種(Meloidogyne sp.)、プラチレンクス属種(Pratylenchus spp.)、カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)を効率的に駆除するために特に適している。
【0161】
化合物Iは、寄生生物による寄生又は感染に対する動物の処置又は保護での使用に好適である。したがって、本発明は、寄生生物による寄生又は感染に対して動物を処置又は保護するための医薬の製造のための、本発明の化合物の使用にも関する。さらに、本発明は、寄生生物による寄生及び感染に対して動物を処置又は保護する方法であって、動物に殺寄生生物有効量の化合物Iを経口的、局所的又は非経口的に投与又は適用することを含む方法に関する。
【0162】
本発明は、寄生生物による寄生及び感染に対して動物を処置又は保護するための、本発明の化合物の非治療的使用にも関する。さらに、本発明は、寄生生物による寄生及び感染に対して動物を処置又は保護する非治療的方法であって、生息場所に殺寄生生物有効量の化合物Iを適用することを含む方法に関する。
【0163】
本発明の化合物は、動物の中及び上の寄生生物を駆除又は防除するための使用にさらに好適である。さらに、本発明は、動物の中及び上の寄生生物を駆除又は防除する方法であって、寄生生物を殺寄生生物有効量の化合物Iと接触させることを含む方法に関する。
【0164】
本発明は、寄生生物を防除又は駆除するための、化合物Iの非治療的使用にも関する。さらに、本発明は、寄生生物を駆除又は防除する非治療的方法であって、生息場所に殺寄生生物有効量の化合物Iを適用することを含む方法に関する。
【0165】
化合物Iは、接触(土壌、ガラス、壁、蚊帳、カーペット、ブランケット、又は動物の部分を介する)及び摂取(例えば、餌)の両方を通じて有効であり得る。さらに、化合物Iは、任意の及び全ての発育段階に対して施用することができる。
【0166】
化合物Iは、それ自体で、又はそれらを含む組成物の形態で施用することができる。
【0167】
「居所」という用語は、寄生生物が生育しているか又は生育し得る動物外部の生息地、食餌供給源、繁殖地、領域、物質、又は環境を意味する。
【0168】
本明細書で使用される場合、「寄生生物」という用語には、内部寄生生物及び外部寄生生物が含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、内部寄生生物が好ましい場合がある。他の実施形態では、外部寄生生物が好ましい場合がある。温血動物及び魚類への寄生は、シラミ、ハジラミ、マダニ、ハナウマバエ、シラミバエ、サシバエ、キンバエ、ハエ、ハエウジ症のハエの幼虫、ツツガムシ、ブヨ、カ及びノミを含む。
【0169】
本発明の化合物は、以下の寄生生物:トコジラミ(Cimex lectularius)、クリイロコイタマダニ(Rhipicephalus sanguineus)及びネコノミ(Ctenocephalides felis)を駆除するのに特に有用である。
【0170】
明細書で使用される場合、用語「動物」は、温血動物(ヒトを含む)及び魚類を含む。哺乳動物、例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ラクダ、シカ、ウマ、ブタ、家禽類、ウサギ、ヤギ、イヌ及びネコ、水牛、ロバ、ダマジカ及びトナカイ、さらに毛皮動物では例えばミンク、チンチラ及びアライグマ、鳥類、例えば雌鳥、ガチョウ、シチメンチョウ及びアヒル並びに魚類、例えば淡水魚及び塩水魚、例えばマス、コイ及びウナギが好ましい。飼育動物、例えばイヌ又はネコが特に好ましい。
【0171】
化合物Iは、1日当たり0.5mg/kg~100mg/kg、好ましくは1日当たり1mg/kg~50mg/kgの総量で施用され得る。
【0172】
温血動物への経口投与の場合、化合物Iは、動物飼料、動物飼料プレミックス、動物飼料濃縮物、丸剤、液剤、ペースト剤、懸濁剤、水薬、ゲル剤、錠剤、ボーラス剤、及びカプセル剤として製剤化され得る。経口投与の場合、選択される剤形で、1日当たり、動物の体重1kg当たり0.01mg~100mg、好ましくは1日当たり、動物の体重1kg当たり0.5mg~100mgの化合物Iが動物に提供されるべきである。
【0173】
或いは、化合物Iは、非経口的に(例えば、反芻胃内注射、筋肉内注射、静脈内注射、又は皮下注射によって)動物に投与され得る。化合物Iは、皮下注射用に生理学的に許容される担体中に分散又は溶解され得る。或いは、化合物Iは、皮下投与用にインプラント中に製剤化され得る。さらに、化合物Iは、動物に経皮投与することができる。非経口投与の場合、選択される剤形で、1日当たり、動物の体重1kg当たり0.01mg~100mgの化合物Iが動物に提供されるべきである。
【0174】
化合物Iはまた、ディップ剤、粉剤、散剤、首輪剤、メダル剤、スプレー剤、シャンプー剤、スポットオン製剤及びポアオン製剤の形態で、また軟膏又は水中油型乳剤若しくは油中水型乳剤で、動物に局所施用され得る。局所施用の場合、ディップ剤及びスプレー剤は、通常、0.5ppm~5,000ppm、好ましくは1ppm~3,000ppmの化合物Iを含有する。加えて、化合物Iは、動物、特に四肢動物(例えば、ウシ及びヒツジ)の耳標として製剤化され得る。
【0175】
経口液剤は直接投与される。
【0176】
皮膚に使用する液剤は、滴下されるか、塗り広げられるか、擦り込まれるか、振りかけられるか、又は噴霧される。
【0177】
ゲル剤は、皮膚に塗布若しくは塗り広げられるか、又は体腔内に導入される。
【0178】
ポアオン製剤は、皮膚の限定された領域にかけられるか又は噴霧され、活性化合物が皮膚に浸透して全身的に作用する。ポアオン製剤は、活性化合物を好適な皮膚適合性溶媒又は溶媒混合物に溶解するか、懸濁するか又は乳化することによって調製される。
【0179】
乳剤は、経口的に、経皮的に、又は注射剤として投与され得る。
【0180】
懸濁剤は、経口的に又は局所的/経皮的に投与され得る。
【0181】
半固体調製物は、経口的に又は局所的/経皮的に投与され得る。
【0182】
固体調製物の製造については、活性化合物を好適な賦形剤と混合し、適切な場合は助剤を添加して、所望の形状とする。
【0183】
本発明において使用され得る組成物は、一般に、約0.001~95%の化合物Iを含み得る。
【0184】
レディートゥーユーズ調製物は、寄生生物(好ましくは外部寄生生物)に対して作用する化合物を、10ppm~80重量%、好ましくは0.1~65重量%、より好ましくは1~50重量%、最も好ましくは5~40重量%の濃度で含有する。
【0185】
使用前に希釈される調製物は、外部寄生生物に対して作用する化合物を、0.5~90重量%、好ましくは1~50重量%の濃度で含有する。
【0186】
さらに、この調製物は、内部寄生生物に対して作用する式Iの化合物を、10ppm~2重量%、好ましくは0.05~0.9重量%、極めて特に好ましくは0.005~0.25重量%の濃度で含む。
【0187】
本発明の化合物を放出する固体製剤は、3週間の間に、処置される動物の体重1kg当たり10mg~300mg、好ましくは20mg~200mg、最も好ましくは25mg~160mgの総量で施用され得る。
【実施例
【0188】
A.調製例
化合物は、融点決定、NMR分光法、或いはHPLC分析(HPLC-MS=高速液体クロマトグラフィー結合質量分析法)又はLC分析(LC-MS=液体クロマトグラフィー結合質量分析法)と組み合わせた質量分析(MS)によって決定される質量電荷比([m/z])及び保持時間(RT;[分])によって特徴付けられた。
【0189】
方法A:HPLC:Shimadzu Nexera UHPLC + Shimadzu LCMS-2020,ESI;カラム:Phenomenex Kinetex 1.7μm XB-C18 100A,2.1×50mm;移動相:A:水+0.1%TFA;B:ACN;温度:60℃;勾配:1.5分で5%Bから100%B;100%Bで0.25分;流量:1.51分で0.8mL/分から1.0mL/分;MS:ESIポジティブ;質量範囲(m/z):100~700。
【0190】
方法B:LC:Shimadzu LC-30AD,ESI;カラム:Kinetex EVO C18.5μm 2.1×30mm;移動相:A:水+0.04%TFA;B:ACN+0.02%TFA;温度:40℃;勾配:2.5分で5%Bから100%B;0.02分で100%Bから5%B;0.5分間5%B;流量:0.8mL/分;MS:ESIポジティブ;質量範囲:100~2000。
【0191】
方法C:HPLC/MS:Agilent 1260 HPLC MSD:6125Bシングル四重極MSD;カラム:Luna C18 2.0×50mm 5μm;移動相:A:水中0.04%TFA;B:ACN中0.02%TFA;温度:40℃;勾配:0.4分間5%B;2.6分で5%Bから95%B;1分間95%B;0.01分で95%Bから5%B;0.5分間5%B;流量:1.0mL/分;MS:ES-APIポジティブ;質量範囲:100~1000。
【0192】
実施例1:3-ブロモ-N-[1-[3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド[I1-1]の調製
ステップ1:(N)-3-クロロ-N-(ジメチルアミノメチレン)ピラジン-2-カルボキサミドの合成
DCM(30mL)中の3-クロロピラジン-2-カルボキサミド(3g、0.0191mol)の溶液に、20℃でDMF-ジメチルアセタール(4.5g、0.0382mol)を添加した。混合物を50℃で2時間撹拌し、LCMSによって反応が完了したことが示された。反応混合物を濃縮し、白色固体として表題化合物(3g、収率:粗製)を得た。これは、次のステップで直接使用された。
【0193】
ステップ2:2-クロロ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジンの合成
1,4-ジオキサン(30mL)中の(N)-3-クロロ-N-(ジメチルアミノメチレン)ピラジン-2-カルボキサミド(3g、0.0141mol)の溶液に、20℃でNHNHxHO(1.4g、0.0283mol)及びAcOH(30mL)を添加した。混合物を80℃で2時間撹拌し、LCMSによって反応が完了したことが示された。反応混合物を濃縮し、黄色固体として粗2-クロロ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン(3g、粗製)を得た。特性評価のために少量が結晶化された。
H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=8.64(m,2H),8.80(d,1H).
【0194】
ステップ3:2-クロロ-3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジンの合成
MeCN(80mL)中の2-クロロ-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン(1.6g、0.0088mol)の混合物に、20℃で2,2,2-トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート(2.45g、0.0106mol)及びKCO(2.276g、0.0176mol)を添加した。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。LCMSによって70%の生成物が示された。反応混合物をHO(20mL)でクエンチし、EtOAc(3×80mL)で抽出し、分離した有機層をブライン(20mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(PE:EtOAc=100:0勾配から20:80)で精製し、2-クロロ-3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン(0.600g、収率:26%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ=5.24(q,2H),8.17(s,1H),8.57(d,1H),8.64(d,1H).
【0195】
ステップ4:2-(1-エトキシビニル)-3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジンの合成
トルエン(100mL)中の2-クロロ-3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン(3.8g、0.0144mol)の溶液に、25℃でトリブチル(1-エトキシビニル)スタンナン(5.21g、0.0144mol)及びPd(PPhCl(1g)を添加した。反応混合物を110℃で12時間撹拌した。LCMSによって反応が完了したことが示された。反応混合物を室温まで冷却した後、飽和KF水(150mL)を反応混合物に添加し、さらに30分間撹拌した。混合物をセライトパッドで濾過し、濾液をEtOAc(3×50mL)で抽出した。分離した有機相をブライン(60mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(PE:EtOAc=100:0から10:90への勾配)で精製し、表題化合物(3.1g、収率:72%)を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ=1.01(t,3H),3.78(q,2H),4.49(d,1H),4.84-4.88(m,1H),4.89-4.94(m,2H),8.30(s,1H),8.61(m,2H).
【0196】
ステップ5:1-[3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノンの合成
THF(30mL)中の2-(1-エトキシビニル)-3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン(3.1g、0.0103mol)の溶液に、25℃でHCl水(2M、30mL)を滴下した。混合物を25℃で16時間撹拌した。LCMSによって、反応が完了したことが示された。反応混合物をHO(50mL)で希釈し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。分離した有機相をブライン(40mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮して表題化合物(2.9g、粗製)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=2.70(s,3H),4.97(q,2H),8.69(s,2H),8.80(br s,1H).
【0197】
ステップ6:1-[3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタンアミンの合成
MeOH(50mL)中の1-[3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノン(1.3g、4.79mmol)の溶液に、20℃でNHOAc(3.69g、48mmol)、NaBHCN(602mg、9.59mmol)を添加し、反応混合物を16時間撹拌した。TLC(DCM:MeOH=10:1)によって、反応が完了したことが示された。反応混合物を濃縮し、HO(50mL)でクエンチし、NaOH水を用いてpHを約10に調整した。混合物をDCM/iPrOH(3/1、3×20mL)で抽出し、組み合わせた有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮して、粗製1-[3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタンアミン(500mg、粗製)を得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0198】
ステップ7:3-ブロモ-N-[1-[3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミドの合成
MeCN(10mL)中の3-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)安息香酸(0.494g、0.00184mol)の溶液に、20℃でN,N,N’,N’-テトラメチルクロロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(0.773g、0.00276mol)、N-メチルイミダゾール(0.453g、0.0055mol)及び1-[3-[1-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタンアミン(0.5g、0.00184mol)を添加した。混合物を20℃で1時間撹拌した。LCMSによって、反応が完了したことが示された。反応混合物をHO(10mL)でクエンチし、EtOAc(3×30mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をPrep-HPLC(NHHCO)で精製し、表題化合物(I1-1、0.375g、収率:39%)を白色固体として得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=1.63(d,3H),4.98(m,2H),5.23(quin,1H),7.84(br d,1H),7.90(s,1H),8.02(s,1H),8.15(s,1H),8.43(s,1H),8.67(d,1H),8.74(d,1H).
LCMS(方法B):(所望の質量:m/z=523;観測された質量:m/z=523.525)。
【0199】
実施例2:2,6-ジクロロ-N-[1-[3-(1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]ピリジン-4-カルボキサミド[I2-1]の調製
ステップ1:2-クロロ-3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジンの調製
1,4-ジオキサン(840mL)中の3-クロロ-N-(ジメチルアミノメチレン)ピラジン-2-カルボキサミド(84g、376.2mmol)の溶液に、15℃で[(4-メトキシフェニル)メチルアミノ]アンモニウムクロリド(142g、752.4mmol)を添加し、30分間撹拌した。酢酸(840mL)を添加し、混合物を15℃でさらに2時間撹拌した。その後、反応混合物を80℃まで加熱し、16時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。反応物を水(600mL)でクエンチした。得られた混合物をEtOAc(3×1L)で抽出した。組み合わせた有機相をブライン(300mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラム(EtOAc)で精製し、2-クロロ-3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン及び2-クロロ-3-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジンの混合物(66g粗製)を黄色油状物として得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=8.62(d,J=2.38Hz,1H),8.48(d,J=2.38Hz,1H),8.08(s,1H),7.06(d,J=8.66Hz,2H),6.75-6.80(m,2H),5.45(s,2H),3.75(s,3H).
【0200】
ステップ2:1-[3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノンの調製:DMF中の2-クロロ-3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン及び2-クロロ-3-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン(66g、218.7mmol)の混合物の溶液に、15℃でPd(PPhCl(15.3g、21.87mmol)及びトリブチル(1-エトキシビニル)スタンナン(18.5g、328.1mmol)を添加した。反応混合物を100℃まで加熱し、16時間撹拌した。TCL(EtOAc)によって、反応が完了したことが示された。反応混合物をKF(水溶液、飽和、1L)中に注ぎ入れ、2.5時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液をEtOAc(3×1L)で抽出した。組み合わせた有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラム(EtOAc)で精製し、1-[3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エテノン及び1-[3-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノンの混合物(57g粗製)を黄色固体として得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=8.75(d,J=2.38,1H),8.66(d,J=2.50Hz,1H),7.96(s,1H),7.18-7.24(m,2H),6.78-6.86(m,2H),5.60(s,2H),3.77(s,3H),2.72(s,3H).
【0201】
ステップ3:1-[3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エタノンの調製:TFA(57ml)中の1-[3-[1-(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノン及び1-[3-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノン(5.7g、18.43mmol)の溶液を80℃で16時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。混合物を減圧下濃縮し、カラム(EtOAc:EtOH=3:1)で精製して、1-[3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エタノン(3.4g、粗製)を淡黄色固体として得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=8.81(d,J=2.50Hz,1H),8.71(d,J=2.50Hz,1H),8.46(br s,1H),2.69(s,3H).
【0202】
ステップ4:1-[3-[1-(4-ニトロフェニル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エテノンの調製:DMF中の1-[3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エタノン(3g、15.86mmol)の溶液に、0℃でNaH(571mg、23.79mmol)を添加した。DMF(10mL)中の1-フルオロ-4-ニトロ-ベンゼン(2.91g、20.62mmol)の溶液を添加した。反応混合物を15℃で16時間撹拌した。TLC(EtOAc:EtOH=3:1)によって、反応が完了したことが示された。混合物を水(120mL)でクエンチし、EtOAc(3×80mL)で抽出した。組み合わせた有機相をブライン(3×80mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラム(EtOAc:EtOH=3:1)で精製し、1-[3-[1-(4-ニトロフェニル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノン(4.5g、収率91.5%)を黄色固体として得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=8.83(d,J=2.38Hz,1H),8.79(s,1H),8.69(d,J=2.38Hz,1H),8.40-8.45(m,2H),7.96-8.00(m,2H),2.80(s,3H).
【0203】
ステップ5:1-[3-[1-(4-アミノフェニル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノンの調製:MeOH(45ml)中の1-[3-[1-(4-ニトロフェニル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノン(4.4g、14.18mmol)の溶液に、15℃でSnCl(8.067g、42.54mmol)を添加した。反応混合物を80℃まで加熱し、3時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。混合物を濃縮し、水(20ml)でクエンチした。pHをNaOH(水溶液、2N)でpH約9まで調整し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。組み合わせた有機相をブライン(20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラム(EtOAc:EtOH=3:1)で精製し、1-[3-[1-(4-アミノフェニル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノン(750mg、収率19%)を黄色固体として得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ=9.15(s,1H),8.89(d,J=2.50Hz,1H),8.76(d,J=2.50Hz,1H),7.46-7.54(m,2H),6.66-6.72(m,2H),5.49(s,2H),2.64(s,3H).
【0204】
ステップ6:1-[3-(1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エタノンの調製:DMF(8mL)中の1-[3-[1-(4-アミノフェニル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノン(720mg、2.57mmol)の溶液に、15℃でNaNO(355mg、5.14mmol)及びEtO・BF(725mg、5.14mmol)を添加した。反応混合物を50℃まで加熱し、16時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。混合物を水(30mL)でクエンチし、EtOAc(3×20mL)で抽出した。組み合わせた有機相をブライン(3×20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラム(EtOAc)で精製し、1-[3-(1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エテノン(480mg、収率70%)を黄色固体として得た。
H-NMR(400MHz,MeOH-d):δ=9.18(s,1H),8.84(d,J=2.26Hz,1H),8.74(d,J=2.26Hz,1H),7.86(d,J=8.16Hz,2H),7.58(t,J=7.78Hz,2H),7.44-7.50(m,1H),2.74(s,3H).
【0205】
ステップ7:1-[3-(1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エタンアミンの調製:MeOH(30mL)中の1-[3-(1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エテノン(450mg、1.70mmol)の溶液に、15℃でMeOH中のNH(7M、6mL)及びNHOAc(1.308g、17.0mmol)を添加した。反応混合物を3時間撹拌した。その後、混合物を50℃まで加熱し、16時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。混合物を水(90mL)でクエンチし、EtOAc(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、1-[3-(1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エタンアミン(400mg、粗製)を黄色固体として得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ=9.51(s,1H),8.73-8.79(m,1H),8.68(d,J=2.25Hz,1H),7.94-7.98(m,2H),7.62(t,J=7.94Hz,2H),7.47(t,J=7.38Hz,1H),4.77(q,J=6.63Hz,1H),3.10-3.47(m,2H),1.38(d,J=6.63Hz,3H).
【0206】
ステップ8:2,6-ジクロロ-N-[1-[3-(1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]ピリジン-4-カルボキサミド[I2-1]の調製:ACN(4mL)中の1-[3-(1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エタンアミン(433mg、2.53mmol)の溶液に、15℃でNMI(370mg、4.506mmol)及びTCFH(631mg、2.253mmol)を添加した。ACN(4mL)中の2,6-ジクロロピリジン-4-カルボン酸(400mg、1.502mmol)の溶液を添加した。混合物を15℃で16時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。混合物を減圧下濃縮し、prep-HPLC(NHHCO)で精製して、2,6-ジクロロ-N-[1-[3-(1-フェニル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]ピリジン-4-カルボキサミド(I2-1、102mg、収率15%)を黄色固体として得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=8.74-8.81(m,2H),8.67(d,J=2.26Hz,1H),7.99(br d,J=7.65Hz,1H),7.82(d,J=7.65Hz,2H),7.65(s,2H),7.59(t,J=7.84Hz,2H),7.45-7.51(m,1H),6.54-6.64(m,1H),1.68(d,J=6.53Hz,3H).
【0207】
実施例3:3-クロロ-N-[1-[3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド[I1-4]の調製
ステップ1:1-[3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタンアミンの調製
MeOH(1L)中の1-[3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノン及び1-[3-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタノン(10g、32.4mmol)の溶液に、15℃でMeOH中のNH(7M、100mL)及びNHOAc(25g、324mmol)を添加した。反応混合物を30分間撹拌した。その後、混合物を50℃まで加熱し、16時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。反応混合物を減圧下で濃縮し、HPLCで精製して、1-[3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタンアミン及び1-[3-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタンアミンの混合物(10g、収率50%)を黄色油状物として得た。
【0208】
ステップ2:3-クロロ-N-[1-[3-[1-(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(I1-4)の調製
DMF(50mL)中の3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)安息香酸(10.8g、48.3mmol)の溶液に、N雰囲気下0℃でTEA(6.5g、64.4mmol)及びHATU(18.4g、48.4mmol)を添加した。反応混合物をこの温度で30分間撹拌した。DMF(10mL)中の1-[3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタンアミン及び1-[3-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エタンアミン(8g、32.2mmol)の混合物を反応混合物に添加し、15℃で16時間撹拌した。TLC(EtOAc:EtOH=3:1)によって、反応が完了したことが示された。反応物をNHCl(水溶液、50mL)でクエンチし、EtOAc(3×50mL)で抽出した。組み合わせた有機相をブライン(3×50mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラム(EtOAc:EtOH=3:1)で精製し、3-クロロ-N-[1-[3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(I1-4、3g、収率18.1%)を黄色油状物として得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=8.71(d,J=2.38Hz,1H),8.62(d,J=2.38Hz,1H),8.14(s,1H),7.96-8.04(m,3H),7.74(s,1H),7.35(d,J=8.66Hz,2H),6.94(d,J=8.66Hz,2H),6.47-6.57(m,1H),5.43(s,2H),3.83(s,3H),1.60(d,J=6.65Hz,3H).
【0209】
実施例4:3-クロロ-N-[1-[3-[1-[(2,2-ジクロロシクロプロピル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド[I1-14]の調製
ステップ1:3-クロロ-N-[1-[3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド[INT]の調製
TFA(10mL)中の3-クロロ-N-[1-[3-[1-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド及び3-クロロ-N-[1-[3-[2-[(4-メトキシフェニル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミドの混合物(11g、21.3mmol)の混合物の溶液を80℃まで加熱し、16時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。反応混合物を減圧下で濃縮し、カラム(EtOAc:EtOH=3:1)で精製して、3-クロロ-N-[1-[3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(6g、収率71.4%)を灰色固体として得た。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ=8.69(d,J=2.25Hz,1H),8.65(d,J=2.25Hz,1H),8.37(s,1H),8.25(br dd,J=7.00,1.88HZ,1H),8.03(s,1H),7.99(s,1H),7.75(s,1H),6.51-6.61(m,1H)1.68(d,J=6.75Hz,3H).
LCMS(方法B):(所望の質量:m/z=396.0;観測された質量:m/z=397.0)
【0210】
ステップ2:3-クロロ-N-[1-[3-[1-[(2,2-ジクロロシクロプロピル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド[I1-14]の調製
トルエン(10mL)中の3-クロロ-N-[1-[3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(500mg、1.26mmol)に、20℃で(2,2-ジクロロシクロプロピル)メタノール(354mg、2.5mmol)及び(トリブチルホスホラニリデン)アセトニトリル(600mg、2.5mmol)を添加した。反応混合物を130℃まで加熱し、12時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。混合物を減圧下で濃縮し、prep-HPLC(TFA)で精製して、3-クロロ-N-[1-[3-[1-[(2,2-ジクロロシクロプロピル)メチル]-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(I1-14、80mg、収率12%)を黄色シロップとして得た。
H-NMR(400MHz,CHCl-d):δ=8.72(d,1H),8.71(d,1H),8.50(s,1H),8.01-7.96(m,3H),7.72(s,1H),6.54-6.51(M,1H),4.63-4.57(m,1H),4.52-4.46(m,1H),2.34-2.2.30(m,1H),1.89-1.87(m,1H),1.63(d,3H),,1.54-1.49(m,1H).
【0211】
実施例5:3-クロロ-N-[1-[3-[1-(3,3-ジクロロアリル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド[I1-11]の調製
ACN(20mL)中の3-クロロ-N-[1-[3-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(1g、2.52mmol)の溶液に、20℃で1,1,3-トリクロロプロプ-1-エン(367mg、5.04mmol)及びKCO(696mg、5.04mmol)を添加した。反応混合物を50℃まで加熱し、12時間撹拌した。LC-MSによって、反応が完了したことが示された。反応物を水(20mL)でクエンチし、EtOAc(3×8mL)で抽出した。組み合わせた有機相をブライン(4×20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をprep-HPLC(TFA)で精製し、3-クロロ-N-[1-[3-[1-(3,3-ジクロロアリル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピラジン-2-イル]エチル]-5-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(I1-11、200mg、収率16%)を黄色固体として得た。
H-NMR(400MHz,MeOH-d):δ=8.66-8.70(m,2H),8.63(d,J=2.13Hz,1H),8.10(s,1H),8.07(s,1H),7.87(s,1H),6.43(t,J=6.9Hz,1H),6.25(q,J=6.88Hz,1H),5.14(d,H=6.9Hz,2H),1.68(d,J=6.88Hz,3H).
【0212】
実施例6:3-クロロ-N-[1-[3-(1-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]-N-メチル-5-メチルスルホニル-ベンズアミド[I1-5]の調製
DMF(5mL)中の3-クロロ-N-[1-[3-(1-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]-5-メチルスルホニル-ベンズアミド(I1-7,300mg、0.67mmol)の溶液に、0℃でNaH(24mg、1mmol)を数回に分けて添加した。反応混合物を30分間撹拌した。MeI(73mg、0.52mmol)を添加し、混合物を15℃で16時間撹拌した。TLC(EtOAc:EtOH=3:1)によって、反応が完了したことが示された。反応を水(15mL)でクエンチし、EtOAc(3×10mL)で抽出した。組み合わせた有機相をブライン(3×10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をprep-HPLC(NHHCO)で精製し、3-クロロ-N-[1-[3-(1-イソプロピル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)ピラジン-2-イル]エチル]-N-メチル-5-メチルスルホニル-ベンズアミド(I1-5、280mg、収率90%)を白色固体として得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d):δ=8.70(d,J=2.32Hz,1H),8.67(d,J=2.20Hz,1H),8.54(br s,1H),7.91(br s,1H),7.55(br s,2H),5.99-6.31(m,1H),4.63(sept,J=6.7Hz 1H),3.22(s,3H),2.87-3.04(m,3H),1.62(d,J=6.97Hz,3H),1.48(d,J=6.72Hz,6H).
【0213】
出発物質を適切に変更して、合成の説明で記載された手順を使用し、さらなる化合物Iを得た。この方法で得られた化合物を物理的データと共に以下の表に列挙する。
【0214】
【表7】
【0215】
【表8】
【0216】
生物学的実施例
特に指定のない限り、試験溶液を以下の通りに調製した:
【0217】
活性化合物を蒸留水:アセトンの1:1(体積:体積)の混合物中に所望の濃度で溶解させた。試験溶液は使用日に調製した。
【0218】
本発明の式Iの化合物の活性は、以下の生物学的試験において実証及び評価することが可能である。
【0219】
B.1 モモアカアブラムシ(Green Peach Aphid)(マイザス・ペルシカエ(Myzus persicae))
浸透性(systemic)の手段を通じてモモアカアブラムシ(マイザス・ペルシカエ(Myzus persicae))の防除を評価するために、人工膜下の液体人工餌を含有する96ウエルマイクロタイタープレートから試験ユニットを構成した。
【0220】
化合物を75%v/v水及び25%v/vDMSOを含有する溶液を使用して調合した。様々な濃度の配合された化合物を2回反復で特注のピペッターを使用してアブラムシ餌中に移した。
【0221】
適用後、5~8匹の成虫アブラムシをマイクロタイタープレートウエル内の人工膜上に置いた。次に処置したアブラムシ餌をアブラムシに吸わせ、約23±1℃及び約50±5%の相対湿度で3日間インキュベートした。次にアブラムシ死亡率及び繁殖を目視で評価した。
【0222】
本試験では、化合物I1-1、I1-2、I1-3、I1-5、I1-6、I1-7、I1-8、I1-9、I1-10、I1-12、I1-13、I1-14、I-15及びI2-1は、それぞれ2500ppmで未処理対照と比較して少なくとも75%の死亡率を示した。
【0223】
B.2 ニセアメリカタバコガ(Tobacco budworm)(ヘリオティス・ヴィレセンス(Heliothis virescens))
ニセアメリカタバコガ(Tobacco budworm)(ニセアメリカタバコガ(Heliothis virescens))の防除を評価するために、昆虫餌及びニセアメリカタバコガ(H.virescens)の卵15~25個を含有する96ウェルマイクロタイタープレートで試験ユニットを構成した。
【0224】
化合物を75%v/v水及び25%v/vDMSOを含有する溶液を使用して調合した。様々な濃度の配合された化合物を2回反復で特注のマイクロアトマイザーを使用して昆虫餌上に10μl噴霧した。
【0225】
適用後、マイクロタイタープレートを約28±1℃及び約80±5%相対湿度で5日間インキュベートした。次に卵及び幼虫の死亡数(死亡率)を目視で評価した。
【0226】
本試験では、化合物I1-1、I1-2、I1-3、I1-8、I1-9、I1-11、I1-12、I1-13及びI1-14は、それぞれ2500ppmで未処理対照と比較して少なくとも75%の死亡率を示した。
【0227】
B.3 ワタミハナゾウムシ(Boll weevil)(アンソノムス・グランディス(Anthonomus grandis))
ワタミゾウムシ(メキシコワタミゾウムシ(Anthonomus grandis))の防除を評価するために、昆虫餌及びメキシコワタミゾウムシ(A.grandis)の卵5~10個を含有する96ウェルマイクロタイタープレートで試験ユニットを構成した。
【0228】
化合物を75%v/v水及び25%v/vDMSOを含有する溶液を使用して調合した。様々な濃度の配合された化合物を2回反復で特注のマイクロアトマイザーを使用して昆虫餌上に5μl噴霧した。
【0229】
適用後、マイクロタイタープレートを約25±1℃及び約75±5%相対湿度で5日間インキュベートした。次に卵及び幼虫の死亡数(死亡率)を目視で評価した。
【0230】
本試験では、化合物I1-1、I1-2、I1-3、I1-4、I1-5、I1-6、I1-7、I1-8、I1-9、I1-10、I1-11、I1-12、I1-13、I1-14、I-15及びI2-1は、それぞれ2500ppmで未処理対照と比較して少なくとも75%の死亡率を示した。
【0231】
B.4.ヨトウガ(Southern armyworm)((スポドプテラ・エリダニアSpodoptera eridania))2齢幼虫
活性化合物を、テカンリキッドハンドラーにより、チューブ中で供給する10,000ppmの溶液として、100%シクロヘキサノン中で製剤化した。10,000ppmの溶液を100%シクロヘキサノン中に連続的に希釈し、中間溶液を作製した。これらを、最終的な希釈をテカンにより50%アセトン:50%水(v/v)で最終希釈して10又は20mlガラスバイアルに入れる、ストック溶液として機能させた。非イオン性界面活性剤(Kinetic(登録商標))を、0.01%(v/v)の量で溶液に含めた。次いで、バイアルを、植物/昆虫への適用のための噴霧ノズルを備える自動静電噴霧器に挿入した。ライマメ植物(シエヴァ(Sieva)変種)を鉢に2本育て、第1本葉ステージで処理のために選択した。試験溶液を噴霧スプレーノズルを備えた自動化静電植物噴霧器によって葉上に噴霧した。植物を噴霧器ドラフトチャンバー中で乾燥させ、次に、噴霧器から取り出した。各鉢をジッパーが付いた穴あきプラスチックバッグに入れた。約10~11匹のヨトウガ(armyworm)の幼虫をバッグに入れ、バッグをジッパーで閉じた。試験植物は、蛍光照明(14:10 光:の光周期)への直接曝露を避けながら、約25℃、相対湿度約20~40%の生育室中で試験植物を4日間維持した。処置の4日後に、死亡率及び摂食量の低減を未処置対照植物と比較して評価した。
【0232】
本試験では、化合物I1-1、I1-2、I1-3、I1-4、I1-5、I1-6、I1-7、I1-8、I1-10、I1-12、I1-13及びI1-14は、それぞれ300ppmで未処理対照と比較して少なくとも75%の死亡率を示した。
【0233】
B.5 ネッタイシマカ(Yellow fever mosquito)(アエデス・アエギプチ(Aedes aegypti))
黄熱病蚊(ネッタイシマカ(Aedes aegypti))の防除を評価するために、ウェル当たり200μlの水道水及び孵化したばかりのネッタイシマカ(A.aegypti)の幼虫5~15匹を含有する96ウェルマイクロタイタープレートで試験ユニットを構成した。
【0234】
75%(v/v)の水及び25%(v/v)のDMSOを含有する溶液を使用して、活性化合物を製剤化した。様々な濃度の製剤化した化合物又は混合物を2回反復で特注のマイクロアトマイザーを使用して昆虫餌上に2.5μL噴霧した。
【0235】
施用後、28+1℃、80+5%RHでマイクロタイタープレートを2日間インキュベートした。次に、幼虫の死亡率を視覚的に評価した。
【0236】
本試験では、化合物I1-1、I1-2、I1-3、I1-5、I1-6、I1-7、I1-8、I1-9、I1-10、I1-11、I1-12、I1-13、I1-14、I-15及びI2-1は、それぞれ2500ppmで未処理対照と比較して少なくとも75%の死亡率を示した。
【0237】
C-結合トリアゾールを有する本発明による化合物の、N-結合トリアゾールを有する従来技術から公知の構造的に近い化合物以上の有益な活性は、以下の比較実験により実証された:
【0238】
B.6 ANAPCO(ランのアザミウマ類;ディクロモスリップス・コルベッティ(Dichromothrips corbettii))
バイオアッセイのために使用されるディクロモスリップス・コルベッティ(Dichromothrips corbettii)成虫を、実験室条件下で継続的に維持されたコロニーから入手する。試験目的で、試験化合物をアセトン:水(体積:体積)の1:1混合物で希釈し、0.01%v/vの割合でKineticをプラスした。
【0239】
各化合物のアザミウマの効力は、花浸漬技術を使用して評価する。各ランの花びらを処理溶液に浸し、ペトリ皿で乾燥させる。処理した花びらを、約20匹のアザミウマ成虫と共に、個別の再封可能なプラスチックの中に入れる。アッセイ中、全ての試験アリーナは、暗所条件及び約28℃の温度に保持する。死亡率を処理の72時間後に記録する。
【0240】
B.7 APHICR(マメクロアブラムシ(Black bean aphid);マメアブラムシ(Aphis craccivora))
活性化合物を、蒸留水:アセトンの1:1(体積:体積)混合物に所望の濃度で溶解させる。界面活性剤(Kinetic)を0.01%(vol/vol)の割合で添加する。試験溶液は使用日に調製する。
【0241】
鉢植え(コルド(Kord)の伝統的なスクエアポット サイズ3インチ及び深さ2.5インチ)の低木マメ植物は、先端の尖った鉗子を用いて葉頂を取り除き、子葉のみを残してクリーニングする。噴霧の24時間前に、植物に約30個の混合ステージのアブラムシコロニーを接種する。DeVilbiss手動噴霧器(20~30psi)を用いて、鉢植えのマメ植物に試験溶液を噴霧する。処理した植物を実験室で約1時間空気乾燥させた後、27℃、50%RH及び72時間の光条件に維持された保持室内に置く。切断した円形の濾紙の切れ込みに、処理したマメ植物の茎を差し込み、落下したアブラムシの死骸を受け止める。72時間後に個体数の減少(死亡率)を評価する。
【0242】
以下の表は、無処置の対照と比較した死亡率%を示している。
【0243】
【表9】
【国際調査報告】