(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-05
(54)【発明の名称】光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機
(51)【国際特許分類】
H04B 10/50 20130101AFI20240829BHJP
H04B 10/60 20130101ALI20240829BHJP
【FI】
H04B10/50
H04B10/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514724
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2021039059
(87)【国際公開番号】W WO2023067790
(87)【国際公開日】2023-04-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】ディアマドプロス ニコラオス パデレイモン
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AH01
5K102AH21
5K102AL18
5K102KA01
5K102KA39
5K102PB01
5K102PB18
5K102PH38
5K102RD26
(57)【要約】
本発明の光伝送システム(10)は、Nチャネルの第1の電気変調信号をNチャネルの光変調信号に変換して送信するN台の直接変調レーザと、Nチャネルの光変調信号を受信してNチャネルの第2の電気変調出力信号に変換するN台のフォトディテクタと、Nチャネルの第1の電気変調信号に対して等化処理を実行して、Nチャネルの第1の電気変調信号の間のクロストークを補償する第1のMIMO等化器(108)と、Nチャネルの第2の電気変調信号に対して等化処理を実行して、Nチャネルの第2の電気変調信号の間のクロストークを補償する第2のMIMO等化器(108)との少なくともいずれか一方を備え、等化処理にインパルス応答に基づくマトリックス係数を用いる。
これにより、本発明は、クロストークを低減でき、良好なBER特性が得られる光伝送システムを提供できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nチャネルの第1の電気変調信号をNチャネルの光変調信号に変換して送信するN台の直接変調レーザと、
前記Nチャネルの光変調信号を受信してNチャネルの第2の電気変調信号に変換するN台のフォトディテクタと、
前記Nチャネルの第1の電気変調信号に対して等化処理を実行して、前記Nチャネルの第1の電気変調信号の間のクロストークを補償する第1のMIMO等化器と、前記Nチャネルの第2の電気変調信号に対して等化処理を実行して、前記Nチャネルの第2の電気変調信号の間のクロストークを補償する第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方を備え、
前記等化処理に、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いる
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項2】
前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方のベクトルXと、前記等化処理された信号のベクトルYと、前記マトリックス係数Wとにより表される式(A)において、
実験的にベクトルXに対して測定されたベクトルYと、所望の出力信号ベクトルとの平均二乗誤差が最小になるように最適な前記マトリックス係数が学習される
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【数1】
【請求項3】
前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方のベクトルXと、前記等化処理された信号のベクトルYと、前記マトリックス係数Wとにより表される式(A)において、
式(B)を用いて算出された前記ベクトルXに対してシミュレーションされたベクトルYと、所望の出力信号ベクトルとの平均二乗誤差が最小になるように最適な前記マトリックス係数が学習される
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
【数2】
【数3】
【請求項4】
順に、前記N台の直接変調レーザを駆動するN台のRFドライバと、
前記N台の直接変調レーザと
を備える送信機と、
順に、前記N台のフォトディテクタと、
N台のAD変換器と、
前記第2のMIMO等化器と
を備える受信機と、
前記送信機と、前記受信機とを接続する通信路と
を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光伝送システム。
【請求項5】
順に、前記第1のMIMO等化器と、
N台のDA変換器と、
前記N台の直接変調レーザを駆動するN台のRFドライバと、
前記N台の直接変調レーザと
を備える送信機と、
前記N台のフォトディテクタを備える受信機と、
前記送信機と、前記受信機とを接続する通信路と
を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光伝送システム。
【請求項6】
少なくとも前記送信機と前記受信機とのいずれか一方が、PICに搭載される
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の光伝送システム。
【請求項7】
Nチャネルの第1の電気変調信号をNチャネルの光変調信号に変換して送信するN台の直接変調レーザと、
前記Nチャネルの光変調信号を受信してNチャネルの第2の電気変調信号に変換するN台のフォトディテクタと、
前記Nチャネルの第1の電気変調信号が入力する第1のMIMO等化器と前記Nチャネルの第2の電気変調信号が入力する第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方と
を用いる光伝送方法であって、
前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方に任意のマトリックス係数を設定するステップと、
前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方を、前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方に入力して、Nチャネルの出力信号を実験的に測定するステップと、
式(A)において、前記測定された出力信号と所望の出力信号との平均二乗誤差が各チャネルで最小となるように、最適なマトリックス係数を決定するステップと
前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方で、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方に対して、前記最適なマトリックス係数を用いて等化処理を実行して、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方の信号間のクロストークを補償するステップと
を備える光伝送方法。
【数4】
【請求項8】
Nチャネルの第1の電気変調信号をNチャネルの光変調信号に変換して送信するN台の直接変調レーザと、
前記Nチャネルの光変調信号を受信してNチャネルの第2の電気変調信号に変換するN台のフォトディテクタと、
前記Nチャネルの第1の電気変調信号が入力する第1のMIMO等化器と前記Nチャネルの第2の電気変調信号が入力する第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方と
を用いる光伝送方法であって、
前記Nチャネルの光変調信号のベクトルを、式(B)により計算するステップと、
前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方の出力信号のベクトルを、式(A)により計算するステップと、
前記計算された出力信号のベクトルと、所望の出力信号ベクトルとの平均二乗誤差が最小になるように最適なマトリックス係数を決定するステップと、
前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方で、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方に対して、前記最適なマトリックス係数を用いて等化処理を実行して、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方の信号間のクロストークを補償するステップと
を備える光伝送方法。
【数5】
【数6】
【請求項9】
順に送信機と通信路と受信機とを備える光伝送システムにおいて、
前記受信機で前記通信路を介して受信されるNチャネルのアナログ光変調信号を送信する前記送信機であって、
Nチャネルのデジタル電気変調信号が入力されるMIMO等化器と
前記Nチャネルのデジタル電気変調信号をNチャネルのアナログ電気変調信号に変換するDA変換器と、
前記Nチャネルのアナログ電気変調信号が入力されるN台のRFドライバと、
前記N台のRFドライバに入力されるNチャネルのアナログ電気変調信号により駆動され、前記Nチャネルのアナログ光変調信号を出力するN台の直接変調レーザと
を備え、
前記MIMO等化器が、前記Nチャネルのデジタル電気変調信号に対して、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いて等化処理を実行して、前記Nチャネルの電気変調信号間のクロストークを補償する
ことを特徴とする送信機。
【請求項10】
順に送信機と通信路と受信機とを備える光伝送システムにおいて、
前記送信機から送信されるNチャネルのアナログ光変調信号を前記通信路を介して受信する前記受信機であって、
前記Nチャネルのアナログ光変調信号を受信して、Nチャネルのアナログ電気変調信号に変換するN台のフォトディテクタを有するフォトディテクタアレイと、
前記Nチャネルのアナログ電気変調信号をNチャネルのデジタル電気変調信号に変換するAD変換器と、
前記Nチャネルのデジタル電気変調信号が入力されるMIMO等化器と
を備え、
前記MIMO等化器が、前記Nチャネルのデジタル電気変調信号に対して、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いて等化処理を実行して、前記Nチャネルの電気変調信号間のクロストークを補償する
ことを特徴とする受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接変調レーザを用いた光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタおよびアクセスネットワークのインターネットトラフィックの増大が見込まれており、800-Gb/s又は1.6Tb/sのデータレートのイーサネット(登録商標)の実用化が期待されている。短距離通信においては、低コスト化、低消費電力化の観点から、強度変調直接検波(intensity-modulated direct-detected、IMDD)システムが注目されている。
【0003】
このIMDDシステムに用いられる光トランシーバは、低消費電力直接変調レーザ(directly-modulated laser、DML)が搭載され、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing、WDM)における複数の波長チャネル、又は空間多重分割(Space Division Multiplexing、SDM)システムにおける空間チャネルに対応する。WDM/SDMに対応する光トランシーバは、フォトニック集積回路(photonic integrated circuits/chip、PIC)を用い、同一PIC内にレーザ、変調器、フォトディテクタ等の部品が実装される。
【0004】
また、近年の標準化技術における変調フォーマットは、4値パルス振幅変調(PAM:Pulse-Amplitude Modulation)である。そこで、800-Gb/sや1.6Tb/sでWDM/SDMを実現するためには、8又は16チャネルそれぞれが50GBaud以上を有する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】N.P. Diamantopoulos, et al., “400-Gb/s DMT-SDM Transmission based on Membrane DML-Array-on-Silicon,” J. Lightw. Technol., vol. 37, no. 8, pp. 1805-1812, Apr. 2019.
【非特許文献2】N.P. Diamantopoulos, et al., “4×56-GBaud PAM-4 SDM Transmission Over 5.9-km 125-μm-Cladding MCF Using III-V-on-Si DMLs,” in Proc. Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC 2020), San Diego, CA, USA, 8 - 12 Mar. 2020, paper W1D.4.
【非特許文献3】T. Fujii, et al., “Multiwavelength membrane laser array using selective area growth on directly bonded InP on SiO2/Si,” Optica, vol. 7, no. 7, pp. 838-846, July 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PIC内に複数の部品を実装する場合に、クロストークが増加することが問題となる。クロストークにおいて、直接電流クロストークが比較的容易に耐性が得られる一方、高周波クロストークはPAM4変調の信号対干渉雑音比(signal-to-interference and noise ratio、SINR)に大きな影響を与える。その影響は、より高いデータレートで電子及び光電子部品の帯域制限がPAM4特性を劣化させるため重要になる。
【0008】
図7A-Dに、IMDDシステムにおける、Si上の低消費電力メンブレンDMLによる54GBaudのPAM4変調を示す(非特許文献1-3)。
図7A、Bそれぞれに、電気的なRFクロストークが無い場合と電気的なRFクロストークが-15dBである場合の直接変調信号のアイパターンを示す。直接変調信号は、Si上のメンブレンレーザによって13mAの電流で生成された。
【0009】
従来のDMLベースのPICを用いた測定によれば、RFクロストークは-15dB程度である(非特許文献1、2)。
図7A、Bに示すアイパターンのシミュレーション結果からわかるように、RFクロストークを仮定しない場合に比べて、RFクロストークが-15dBの場合にはPAM4特性は非常に大きく劣化する。
【0010】
従来のイーサネットの標準化において、FEC(Forward Error Correction)に要求されるビットエラーレート(BER、bit-error rate)は2.2E-4以下程度であり、フィードフォワード型等化器(feed-forward equalizer、FFE)も用いられる。
【0011】
図7Cに、電気的なRFクロストークが無い場合における等化器のタップ数に対するBERを示す。等化器のタップ数が4個以上で、BERは1e-6程度に減少する。このように、このDMLシステムにおいて、最適のFFEのタップ数は4個である。
【0012】
この4個のFFEタップを用いても、
図7Bに示すように、RFクロストークが-15dB場合には、BERが1.3E-2程度に劣化してFECしきい値のBER(2.2E-4)に達することができない。
【0013】
図7Dに、4個のタップを用いた場合におけるBERの電気的なRFクロストーク数依存性を示す。RFクロストークが-40dBから-10dBに変化するときにBERは劣化し、RFクロストークが-22dB以上でBERは1.0E-4以上である。
【0014】
このように、RFクロストークが増加すると、BER及びPAM4特性が劣化するので問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述したような課題を解決するために、本発明に係る光伝送システムは、Nチャネルの第1の電気変調信号をNチャネルの光変調信号に変換して送信するN台の直接変調レーザと、前記Nチャネルの光変調信号を受信してNチャネルの第2の電気変調信号に変換するN台のフォトディテクタと、前記Nチャネルの第1の電気変調信号に対して等化処理を実行して、前記Nチャネルの第1の電気変調信号の間のクロストークを補償する第1のMIMO等化器と、前記Nチャネルの第2の電気変調信号に対して等化処理を実行して、前記Nチャネルの第2の電気変調信号の間のクロストークを補償する第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方を備え、前記等化処理に、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る光伝送方法は、Nチャネルの第1の電気変調信号をNチャネルの光変調信号に変換して送信するN台の直接変調レーザと、前記Nチャネルの光変調信号を受信してNチャネルの第2の電気変調信号に変換するN台のフォトディテクタと、前記Nチャネルの第1の電気変調信号が入力する第1のMIMO等化器と前記Nチャネルの第2の電気変調信号が入力する第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方とを用いる光伝送方法であって、前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方に任意のマトリックス係数を設定するステップと、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方を、前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方に入力して、Nチャネルの出力信号を実験的に測定するステップと、式(A)において、前記測定された出力信号と所望の出力信号との平均二乗誤差が各チャネルで最小となるように、最適なマトリックス係数を決定するステップと前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方で、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方に対して、前記最適なマトリックス係数を用いて等化処理を実行して、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方の信号間のクロストークを補償するステップとを備える。
【0017】
また、本発明に係る光伝送方法は、Nチャネルの第1の電気変調信号をNチャネルの光変調信号に変換して送信するN台の直接変調レーザと、前記Nチャネルの光変調信号を受信してNチャネルの第2の電気変調信号に変換するN台のフォトディテクタと、前記Nチャネルの第1の電気変調信号が入力する第1のMIMO等化器と前記Nチャネルの第2の電気変調信号が入力する第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方とを用いる光伝送方法であって、前記Nチャネルの光変調信号のベクトルを、式(B)により計算するステップと、前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方の出力信号のベクトルを、式(A)により計算するステップと、前記計算された出力信号のベクトルと、所望の出力信号ベクトルとの平均二乗誤差が最小になるように最適なマトリックス係数を決定するステップと、前記第1のMIMO等化器と前記第2のMIMO等化器との少なくともいずれか一方で、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方に対して、前記最適なマトリックス係数を用いて等化処理を実行して、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号との少なくともいずれか一方の信号間のクロストークを補償するステップとを備える。
【0018】
【0019】
また、本発明に係る受信機は、順に送信機と通信路と受信機とを備える光伝送システムにおいて、前記受信機で前記通信路を介して受信されるNチャネルのアナログ光変調信号を送信する前記送信機であって、Nチャネルのデジタル電気変調信号が入力されるMIMO等化器と前記Nチャネルのデジタル電気変調信号をNチャネルのアナログ電気変調信号に変換するDA変換器と、前記Nチャネルのアナログ電気変調信号が入力されるN台のRFドライバと、前記N台のRFドライバに入力されるNチャネルのアナログ電気変調信号により駆動され、前記Nチャネルのアナログ光変調信号を出力するN台の直接変調レーザとを備え、前記MIMO等化器が、前記Nチャネルのデジタル電気変調信号に対して、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いて等化処理を実行して、前記Nチャネルの電気変調信号間のクロストークを補償することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る受信機は、順に送信機と通信路と受信機とを備える光伝送システムにおいて、前記送信機で、RFドライバに入力されるNチャネルのアナログ電気変調信号によりN台の直接変調レーザが駆動されNチャネルのアナログ光変調信号が送信され、前記Nチャネルのアナログ光変調信号が前記通信路を介して入力される前記受信機であって、前記Nチャネルのアナログ光変調信号を受信して、Nチャネルのアナログ電気変調信号に変換するN台のフォトディテクタを有するフォトディテクタアレイと、前記Nチャネルのアナログ電気変調信号をNチャネルのデジタル電気変調信号に変換するAD変換器と、前記Nチャネルのデジタル電気変調信号が入力されるMIMO等化器とを備え、前記MIMO等化器が、前記Nチャネルのデジタル電気変調信号に対して、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いて等化処理を実行して、前記Nチャネルの電気変調信号間のクロストークを補償することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、クロストークを低減でき、良好なBER特性が得られる光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光伝送システムの効果を説明するための図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の第1の実施の形態に係る光伝送システムの効果を説明するための図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の第1の実施の形態に係る光伝送システムの効果を説明するための図である。
【
図3C】
図3Cは、本発明の第1の実施の形態に係る光伝送システムの効果を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【
図7A】
図7Aは、従来の光伝送システムの動作を説明するための図である。
【
図7B】
図7Bは、従来の光伝送システムの動作を説明するための図である。
【
図7C】
図7Cは、従来の光伝送システムの動作を説明するための図である。
【
図7D】
図7Dは、従来の光伝送システムの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機について、
図1~
図3Cを参照して説明する。
【0024】
<光伝送システムの構成>
本実施の形態に係る光伝送システム10は、
図1に示すように、直接変調レーザ(DML)ベースの送信機(Tx)101と、直接検波ベースの受信機(Rx)102と、送信機101と受信機102とを繋ぐ通信路105とを備える。光伝送システム10において、送信機101にはアナログ電気変調信号1_1が入力され、受信機102からデジタル電気変調信号2_1が出力される。
【0025】
送信機101は、入力側から順に、駆動装置103と、レーザアレイ104を備える。駆動装置103は、複数(N台)のRFドライバを備える。レーザアレイ104は、複数(N台)のDMLを備える。RFドライバはRF電気信号でDMLを駆動し、DMLでは出力光がRF信号により直接変調され、電気変調信号を光変調信号に変換する。
【0026】
通信路105は、光ファイバ、空気などの自由空間、またはPICの光導波路である。
【0027】
受信機102は、通信路105と接続する側から順に、フォトディテクタ(Photodetector、PD)アレイ106と、AD(Analog-to-Digital)変換器107と、MIMO(Multiple Input, Multiple Output)等化器108とを備える。
【0028】
PDアレイ106は、複数(N台)のPDを備え、アナログ光変調信号をアナログ電気変調信号に変換する。
【0029】
AD変換器107は、複数(N台)であり、アナログ電気変調信号をデジタル電気変調信号に変換する。
【0030】
MIMO等化器108は、この光伝送システム10における特徴的な部品であり、レーザアレイ104とPDアレイ106と駆動装置103それぞれにおいて隣接するチャネルによるRFクロストークを補償するために用いられる。
【0031】
光伝送システム10では、送信機101における駆動装置103のN台のRFドライバに入力されたNチャネルのアナログ電気変調信号によりレーザアレイ104のN台のDMLが直接変調される。レーザアレイ104からNチャネルのアナログ光変調信号が送信され、通信路105を伝搬して、受信機102におけるPDアレイ106のN台のPDで受信される。PDアレイ106で受信されたNチャネルのアナログ光変調信号はNチャネルのアナログ電気変調信号に変換され、N台のAD変換器107によってデジタル電気変調信号に変換される。Nチャネルのデジタル電気変調信号はMIMO等化器108に入力され、等化処理を施され出力される。
【0032】
ここで、MIMO等化器108により、Nチャネルの変調信号間で生じるRFクロストークを補償する。
【0033】
また、複数(Nチャネル)の信号が4チャネルの場合には、DMLとPDとRFドライバとAD変換器107はそれぞれ4台搭載される。また、8チャネルの信号に対してそれぞれの部品は8台、16チャネルの信号に対してそれぞれの部品は16台搭載される。
【0034】
<MIMO等化器の動作>
本実施の形態に係る光伝送システム10におけるMIMO等化器108の動作を以下に説明する。
【0035】
MIMO等化器108における入力RF信号をベクトルX、出力RF信号をベクトルYとすると、これらの関係は式(1)で表される。
【0036】
【0037】
ここで、WはMIMO等化器108の重みマトリックスであり、DML伝送システムにおけるMIMO等化器108のインパルス応答の逆数である。
【0038】
MIMO等化器108において、チャネル数がNch、各チャネルのタップ数がNtapsであると仮定する。
【0039】
【0040】
マトリックスの係数(重み)Wは、Yと既知のターゲット信号との間の平均二乗誤差(means squared error、MSE)が最小となるように学習される。
【0041】
この学習において、Back-to-backの光学系での実験的に取得された測定値を用いて学習される。ここで、Back-to-backとは、伝送路を省いた、送信機101と受信機102を直接接続した実験用の構成である。
【0042】
例えば、実験的に得られるクロストークを含むNチャネルの信号X1を、マトリックスの係数(重み)WをW1に設定したMIMO等化器108に入力して、NチャネルのMIMO等化器108の出力信号Y1を測定する。このNチャネルの測定された出力信号Y1と所望の出力信号(すなわちクロストークの影響が抑制された出力信号)Y0とのMSEが各チャネルで最小となるように、最適なマトリックス係数Woptを決定する。
【0043】
この最適なマトリックス係数WoptをMIMO等化器108に設定することにより、所望の出力信号Y0と同等の信号、すなわちクロストークの影響が抑制された信号が出力される。
【0044】
このように、本実施の形態に係る光伝送システム10におけるMIMO等化器108は、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いて等化処理を実行して、複数(Nチャネル)の信号間のクロストークを補償する。
【0045】
<効果>
本実施の形態に係る光伝送システム10の効果を実証するために、DMLベースの送信機101に基づきシミュレーションを行った。シミュレーションでは、
図2に示すDMLの典型的な電気-光(EO)応答を仮定した。DMLはSi上のメンブレンレーザであり、13mAのバイアス電流、20GHzで-3dB帯域幅で動作する。
【0046】
図3Aに、MIMO等化器のタップ数N
tapsに対する54GBaudのPAM4信号のBER特性のシミュレーション結果を示す。ここで、RFクロストークは-15dBである。
【0047】
BERはタップ数の増加にともない減少する。タップ数が1個から3個のときに、BERは2e-1から4e-2程度であり、上述のクロストークが無い場合(
図7C)と同等の値である。このように、光伝送システム10において、クロストークが低減される。
【0048】
さらに、タップ数が4個に増加するとき、BERは著しく減少する。BERは、4個のタップで3e-4程度に減少し、8個のタップで1e-4以下に減少する。このように、光伝送システム10において良好なBER特性が得られる。
【0049】
図3B、Cそれぞれに、タップ数N
tapsが4個と8個の場合における54GBaudのPAM4信号のアイパターンとBERを示す。
【0050】
タップ数N
tapsが4個の場合、クロストークがある場合(
図7B)に比べて、良好なアイパターンが得られる。また、タップ数N
tapsが8個の場合、BERが6.1E-5であり、イーサネットリンクのFECしきい値以下に低減される。
【0051】
このように、光伝送システム10において、少なくとも1個のタップ数を有するMIMO等化器により、クロストークを低減でき、良好なBER特性が得られる。また、MIMO等化器のタップ数は4個以上であることが望ましく、顕著にクロストークを低減でき、良好なBER特性が得られる。
【0052】
本実施の形態に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機によれば、MIMO等化器によりクロストークを低減でき、良好なBER特性が得られる。
【0053】
また、2km程度までの短距離通信で400Gb/s以上の信号を低消費電力で確実に伝送できる。
【0054】
とくに、本実施の形態に係る光伝送システムにおける送信機および受信機をフォトニック集積回路又はチップ(PIC)に搭載する場合に、短距離通信で400Gb/s以上の信号を低消費電力で確実に伝送できる。ここで、送信機と受信機とのいずれか一方をPICに搭載してもよい。
【0055】
<変形例1>
本発明の第1の実施の形態の変形例1に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機について、
図4を参照して説明する。
【0056】
本変形例1に係る光伝送システム20は、
図4に示すように、DMLベースの送信機(Tx)と、直接検波ベースの受信機(Rx)と、送信機201と受信機202とを繋ぐ通信路205とを備える。光伝送システム20において、送信機201にはデジタル電気変調信号が入力され、受信機202からデジタル電気変調信号が出力される。
【0057】
送信機201は、入力側から順に、DA(Digital-to-Analog)変換器とRFドライバと、レーザアレイ204を備える。受信機202は、通信路205と接続する側から順に、PDアレイ206と、AD変換器207と、MIMO等化器208とを備える。その他の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0058】
光伝送システム20では、送信機201のN台のDA変換器209に入力されたNチャネルのデジタル電気変調信号がNチャネルのアナログ電気変調信号に変換され、N台のRFドライバに入力される。以下、第1の実施の形態と同様に、レーザアレイ204からNチャネルのアナログ光変調信号が送信され、通信路205を伝搬する。引き続き、受信機202におけるPDアレイ206で受信され、Nチャネルのアナログ電気変調信号に変換され、MIMO等化器208で等化処理を施され、デジタル電気変調信号が出力される。ここで、MIMO等化器208により、Nチャネルの変調信号間で生じるRFクロストークを補償する。
【0059】
本変形例に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機によれば、第1の実施の形態と同様に、MIMO等化器によりクロストークを低減でき、良好なBER特性が得られる。
【0060】
<変形例2>
本発明の第1の実施の形態の変形例2に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機について、
図5を参照して説明する。
【0061】
本実施の形態の変形例2に係る光伝送システム30は、
図5に示すように、DMLベースの送信機(Tx)と、直接検波ベースの受信機(Rx)と、送信機301と受信機302とを繋ぐ通信路305とを備える。光伝送システム30において、送信機301にはデジタル電気変調信号が入力され、受信機302からデジタル電気変調信号が出力される。
【0062】
送信機301は、入力側から順に、MIMO等化器308と、DA変換器309と、RFドライバと、レーザアレイ304とを備える。受信機302は、通信路305と接続する側から順に、PDアレイ306と、AD変換器307とを備える。その他の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0063】
光伝送システム30では、送信機301のMIMO等化器308に入力されたNチャネルのデジタル電気変調信号が等化処理を施され、N台のDA変換器309に入力される。引き続き、N台のDA変換器309でNチャネルのアナログ電気変調信号に変換され、N台のRFドライバに入力される。N台のRFドライバに駆動されたレーザアレイ304からNチャネルのアナログ光変調信号が送信され、通信路305を伝搬して、受信機302におけるPDアレイ306で受信され、AD変換器307によりNチャネルのデジタル電気変調信号に変換され出力される。ここで、MIMO等化器308により、Nチャネルの変調信号間で生じるRFクロストークを補償する。
【0064】
本変形例に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機によれば、第1の実施の形態と同様に、MIMO等化器によりクロストークを低減でき、良好なBER特性が得られる。
【0065】
<変形例3>
本発明の第1の実施の形態の変形例3に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機について、
図6を参照して説明する。
【0066】
本実施の形態の変形例3に係る光伝送システム40は、
図6に示すように、DMLベースの送信機(Tx)と、直接検波ベースの受信機(Rx)と、送信機401と受信機402とを繋ぐ通信路405とを備える。光伝送システム40において、送信機401にはデジタル電気変調信号が入力され、受信機402からアナログ電気変調信号が出力される。
【0067】
送信機401は、入力側から順に、MIMO等化器408と、DA変換器409と、RFドライバと、レーザアレイ404とを備える。受信機402は、PDアレイ406を備える。受信機402においてPDアレイ406の後段にAD変換器を備えず、出力がアナログ電気変調信号である点が変形例2と異なる。それ以外の構成、動作は、変形例2と同じである。
【0068】
本変形例に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機によれば、第1の実施の形態と同様に、MIMO等化器によりクロストークを低減でき、良好なBER特性が得られる。
【0069】
このように、本実施の形態およびその変形例に係る光伝送システムは、N台の直接変調レーザと、N台のフォトディテクタと、MIMO等化器とを備える。ここで、N台の直接変調レーザが、Nチャネルの電気変調信号(第1の電気変調信号)をNチャネルの光変調信号に変換して送信する。N台のフォトディテクタが、Nチャネルの光変調信号を受信してNチャネルの電気変調信号(第2の電気変調信号)に変換する。MIMO等化器が、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号とのいずれか一方に対して、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いて等化処理を実行する。これにより、Nチャネルの第1の電気変調信号とNチャネルの第2の電気変調信号とのいずれか一方の信号間のクロストークを補償する。
【0070】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機について説明する。
【0071】
<光伝送システムの構成>
本実施の形態に係る光伝送システムは、
図1に示すように、DMLベースの送信機(Tx)と、直接検波ベースの受信機(Rx)と、TxとRxとを繋ぐ通信路とを備え、第1の実施の形態と同じ構成である。
【0072】
<MIMO等化器の動作>
本実施の形態に係る光伝送システムにおけるMIMO等化器は、第1の実施の形態と同様に、式(1)に示すように、ベクトルXのRF信号が入力されるとき、ベクトルYのRF信号が出力する。マトリックスWの係数は、学習アルゴリズムに基づき、Yと既知のターゲット信号との間のMSEを最小限にすることにより学習される。
【0073】
本実施の形態では、学習において、RFクロストークを含むシミュレーションが用いられる。
【0074】
このシミュレーションにおいて、初めに、クロストークを含むDMLの出力をNチャネルの信号ベクトルX1として計算する。
【0075】
ここで、DMLの出力は、1つのチャネルから隣接するチャネルへの漏れバイアス電流を介して、隣接するレーザ間のクロストークを考慮してシミュレーションされる。この数値シミュレーションにおいて、式(2)で表されるキャリア密度のレート方程式を用いる。
【0076】
【0077】
ここで、tは時間、NはDMLのキャリア密度、ηiは量子効率、qは電荷密度、VはDMLの活性層の体積である。また、IとIXTは、それぞれ印加信号とクロストークの瞬間電流である。R(N)はキャリアの再結合因子、Gは利得、Sは光子密度である。
【0078】
また、I(t)の計算において、ロールオフ係数が0.1であるルート・レイズド・コサイン(root-raised cosine、RRC)・フィルタによって成形される54GBaudのPAM4信号を仮定した。
【0079】
次に、マトリックス係数WをW1に設定して、式(1)より、計算された信号ベクトルX1を用いて、MIMO等化器の出力としてNチャネルの信号ベクトルY1を計算する。
【0080】
最後に、計算された信号ベクトルY1と所望の出力信号ベクトル(すなわちクロストークの影響が抑制された出力信号のベクトル)Y0とのMSEが各チャネルで最小となるように、最適なマトリックス係数Woptを決定する。
【0081】
この最適なマトリックス係数WoptをMIMO等化器に設定することにより、所望の出力信号Y0と同等の信号、すなわちクロストークの影響が抑制された信号が出力される。
【0082】
このように、本実施の形態に係る光伝送システムにおけるMIMO等化器では、シミュレーションにより得られる、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いて等化処理を実行する。
【0083】
本実施の形態に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機によれば、第1の実施の形態と同様に、MIMO等化器によりクロストークを低減でき、良好なBER特性が得られる。
【0084】
本実施の形態に係る光伝送システムでは、第1の実施の形態と同じ構成を用いたが、第1の実施の形態の変形例1~3と同じ構成を用いてもよい。
【0085】
このように、本実施の形態に係る光伝送システムは、N台の直接変調レーザと、N台のフォトディテクタと、MIMO等化器とを備える。ここで、N台の直接変調レーザが、Nチャネルの電気変調信号(第1の電気変調信号)をNチャネルの光変調信号に変換して送信する。N台のフォトディテクタが、Nチャネルの光変調信号を受信してNチャネルの電気変調信号(第2の電気変調信号)に変換する。MIMO等化器が、前記Nチャネルの第1の電気変調信号と前記Nチャネルの第2の電気変調信号とのいずれか一方に対して、インパルス応答に基づくマトリックス係数を用いて等化処理を実行する。これにより、Nチャネルの第1の電気変調信号とNチャネルの第2の電気変調信号とのいずれか一方の信号間のクロストークを補償する。
【0086】
本発明の実施の形態に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機によれば、デジタル信号にもアナログ信号にも対応できる。
【0087】
本発明の実施の形態に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機では、実験的に取得された測定値およびシミュレーションを用いて学習する例を示したが、これに限らず、等化器に関する既知の学習アルゴリズムを用いて学習してもよい。
【0088】
本発明の実施の形態に係る光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機では、MIMO等化器を送信機と受信機とのいずれか一方に備え、第1の電気変調信号と第2の電気変調信号とのいずれか一方に対して等化処理を実行する例を示したが、これに限らず、MIMO等化器を送信機と受信機との両方に備え、第1の電気変調信号と第2の電気変調信号との両方に対して等化処理を実行してもよい。
【0089】
本発明の実施の形態では、光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機の構成などにおいて、各構成部の構造、寸法、材料等の一例を示したが、これに限らない。光伝送システムの機能を発揮し効果を奏するものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、光伝送システム、光伝送方法、送信機および受信機に関するものであり、データセンタ等における短距離通信に適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 光伝送システム
101 送信機
102 受信機
103 駆動装置
104 レーザアレイ
105 通信路
106 フォトディテクタアレイ
107 AD変換器
108 MIMO等化器
【国際調査報告】