(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】水溶性プロドラッグ、複合体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 491/22 20060101AFI20240903BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240903BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240903BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240903BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20240903BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240903BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20240903BHJP
C07K 5/083 20060101ALI20240903BHJP
C07K 5/06 20060101ALI20240903BHJP
C07K 5/062 20060101ALI20240903BHJP
C07K 5/103 20060101ALI20240903BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240903BHJP
C07C 271/06 20060101ALN20240903BHJP
【FI】
C07D491/22 CSP
A61K47/68
A61P35/00
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K38/05
A61K31/4745
A61K47/65
C07K5/083
C07K5/06
C07K5/062
C07K5/103
C07K16/28
C07C271/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505333
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 IL2022050782
(87)【国際公開番号】W WO2023007481
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507253749
【氏名又は名称】ラモット アット テル アビブ ユニバーシティ, リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャバット、ドロン
(72)【発明者】
【氏名】サッチ-ファイナロ、ロニット
(72)【発明者】
【氏名】スウィーネイ-ラシュ、スタンレイ
(72)【発明者】
【氏名】ドイチュ、カール
(72)【発明者】
【氏名】ベルガー、ニール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H006
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA12
4C076AA17
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA49
4C076AA53
4C076AA56
4C076AA72
4C076AA94
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB25
4C076BB27
4C076BB29
4C076BB31
4C076CC27
4C076CC41
4C076CC42
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA10
4C084BA14
4C084BA23
4C084BA41
4C084CA59
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA21
4C084MA22
4C084MA23
4C084MA28
4C084MA31
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4C084MA35
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA15
4C084ZB26
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG08
4C085GG10
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA17
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4C086MA31
4C086MA32
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA15
4C086ZB26
4H006AA01
4H006AB20
4H045AA10
4H045AA11
4H045BA11
4H045BA12
4H045BA13
4H045BA50
4H045BA51
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
本発明は、プロドラッグおよびその複合体、それらの使用、キットおよび医薬組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
R
1は、マレイミド、ブロモアセトアミド、テトラジン、アルキン、アミン部分またはそれらの任意の組み合わせを含む反応性部分であり;
R
2およびR
3は、同じかまたは異なる活性医薬成分部分であり;
R
4は、オリゴ-もしくはポリ-カルボン酸部分またはオリゴ-もしくはポリ-エチレングリコールまたはオリゴ-もしくはポリ-アルコールまたはオリゴ-もしくはポリ-ビニルアルコールまたはオリゴ-もしくはポリ-グリセロール部分を含み;そして
X
1は、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、オリゴ-もしくはポリペプチド部分、オリゴもしくはポリエチレングリコールまたはオリゴもしくはポリビニルアルコールまたはオリゴもしくはポリグリセロール部分である)
により表される化合物。
【請求項2】
R
1が、
【化2】
により表される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R
2が抗がん剤部分、免疫刺激剤部分または免疫抑制剤部分である請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
R
2が、エキサテカン、ベロテカン、カンプトテシン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはドキソルビシン部分である請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R
2が、エキサテカン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはベロテカン部分である請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R
3が抗がん剤部分、免疫刺激剤部分または免疫抑制剤部分である請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R
3が、エキサテカン、ベロテカン、カンプトテシン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはドキソルビシン部分である請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R
3が、エキサテカン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはベロテカン部分である請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R
2およびR
3が抗がん剤部分、免疫刺激剤部分または免疫抑制剤部分である請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R
2およびR
3が、各々独立してエキサテカン、ベロテカン、カンプトテシン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはドキソルビシン部分である請求項9記載の化合物。
【請求項11】
R
2およびR
3が、エキサテカン、アウリスタチンまたはベロテカン部分である請求項10記載の化合物。
【請求項12】
R
4が、
【化3】
により表される請求項1~11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
X
1が、-Val-Cit-、-Ala-Ala-、AAN、GGFG、-Val-Ala-または-Val-Arg-である請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
式1、17、18、19または20:
【化4】
(式中、TFAはトリフルオロ酢酸である)
の構造により表される請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
式(I(a)):
【化5】
(式中、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なる活性医薬成分部分であり;
R
4は、オリゴ-もしくはポリ-カルボン酸部分またはオリゴ-もしくはポリ-エチレングリコールまたはオリゴ-もしくはポリ-アルコールまたはオリゴ-もしくはポリ-ビニルアルコールまたはオリゴ-もしくはポリ-グリセロール部分を含み;そして
R
5は、抗体または抗原部分であり;
X
1は、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、オリゴ-もしくはポリペプチド部分、オリゴもしくはポリエチレングリコール、またはオリゴもしくはポリビニルアルコール、またはオリゴもしくはポリグリセロール部分であり;
X
2は、スクシンイミド、アセトアミド、ジヒドロピリダジン、アルケンまたはアミン部分またはそれらの任意の組み合わせを含むリンカーであり;そして
nは0.01~10の間の数である)
により表される複合体。
【請求項16】
R
2が抗がん剤部分、免疫刺激剤部分または免疫抑制剤部分である請求項15記載の複合体。
【請求項17】
R
2が、エキサテカン、ベロテカン、カンプトテシン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはドキソルビシン部分である請求項16記載の複合体。
【請求項18】
R
2が、エキサテカン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはベロテカン部分である請求項17記載の複合体。
【請求項19】
R
3が抗がん剤部分、免疫刺激剤部分または免疫抑制剤部分である請求項15~18のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項20】
R
3が、エキサテカン、ベロテカン、カンプトテシン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはドキソルビシン部分である請求項19記載の複合体。
【請求項21】
R
3が、エキサテカン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはベロテカン部分である請求項20記載の複合体。
【請求項22】
R
2およびR
3が抗がん剤部分、免疫刺激剤部分または免疫抑制剤部分である請求項15~21のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項23】
R
2およびR
3が、各々独立してエキサテカン、ベロテカン、カンプトテシン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはドキソルビシン部分である請求項22記載の複合体。
【請求項24】
R
2およびR
3が、エキサテカン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはベロテカン部分である請求項23記載の複合体。
【請求項25】
R
4が、
【化6】
により表される請求項15~24のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項26】
X
1が、-Val-Cit-、-Ala-Ala-、AAN、GGFG、-Val-Ala-または-Val-Arg-である請求項15~25のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項27】
X
2が、
【化7】
により表される請求項15~26のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項28】
R
5が、抗EGFEまたは抗CD33抗体である請求項15~27のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項29】
R
5が、トラスツズマブまたはリツキシマブまたはCGKRK部分である請求項15~28のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項30】
R
5が、トラスツズマブ部分である請求項29記載の複合体。
【請求項31】
1(a)または2(a):
【化8】
の構造により表される請求項15~30のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項32】
R
5が、トラスツズマブ部分またはリツキシマブ部分である請求項31記載の複合体。
【請求項33】
R
5が、トラスツズマブ部分である請求項32記載の複合体。
【請求項34】
化合物21:
【化9】
の構造により表される請求項15~29のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項35】
薬物対抗体比(DAR)が0.5と200との間である請求項15~34のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項36】
nが0.1~1の間である請求項15~35のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項37】
がんの治療における使用のための請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、または請求項15~36のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項38】
がんが、乳がん、腎がん、脳腫瘍、皮膚がん、卵巣がん、肺がん、膵がん、結腸がん、頭頸部がん、前立腺がん、子宮内膜がん、肝臓がん、血液がん、胃がん、線維肉腫、骨腫瘍、骨肉腫または十二指腸がんである請求項37記載の化合物または複合体。
【請求項39】
i)請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物;および
ii)抗体または抗原
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロドラッグおよびその複合体、それらの使用、キットおよび医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
低分子またはバイオ医薬品を用いる標的治療は、過去10年でより注目を集めている。標的治療の1つの特別なクラスは、ADC(抗体薬物複合体)である。抗体薬物複合体(ADC)は、抗体の特異性を利用して強力な薬物の特定の組織への標的送達を得ることにより高い毒性を有する薬物の安全性を向上させる無比の機会を提示する。ADCの成功の多くは、抗体と治療ペイロードとの間のリンケージの設計における技術的進歩によるものである。
【0003】
選択的かつ強力なADCとなるためには、採用されるリンカー技術は3つの重要な特性:
(1)循環における高い安定性
(2)バイオコンジュゲーションの助けとなり、かつ不活性ADC凝集体の形成を回避する高い水溶性
(3)高い細胞毒性のペイロード-リンカー代謝物の効率的な放出
を目指さなければならない。
【0004】
開裂可能なリンカーは一般的に、その適用範囲のため非開裂リンカーより好ましいが、循環において不安定性になる可能性がより非常に高い。したがって、開裂可能なリンカーの成功は、循環状態と標的細胞状態を効果的に区別できる能力による。大きなIgG抗体は腫瘍への浸透性が低く、内在化、細胞内輸送および薬物放出の低効率と相まって、強力な細胞毒のがん細胞への送達を最大限にするロバストな開裂可能なリンカー手法が必要となる。
【0005】
ADCリンカーの安定性は、開裂可能なリンカー技術により定義されるのみならず、抗体上への結合部位によっても定義される。大きな抗体へのコンジュゲーションは、リンカーを化学的および酵素的トリガーにアクセスし難くし、それにより血漿安定性が高まり、かつ標的細胞放出速度が遅くなる。
【0006】
この効果は、部位選択的バイオコンジュゲーション技術を用いて溶媒にアクセスし難い部位にリンカー-ペイロードを結合させる場合にさらに増幅することができる。
【0007】
コンジュゲーション技術および開裂機序に関して多くの研究が行われてきたが、開裂部位ごとに複数の薬物を付加することについては、十分に研究されていない。低い効力の薬物がより高いDAR(薬物抗体比)を必要とすることを考慮すれば、そのようなモジュールの同定は、開裂段階ごとにより多くの薬物の放出を可能とできるため、有益である。
【発明の概要】
【0008】
1つの実施態様において、本発明は、式(I):
【化1】
(式中、
R
1は、反応性部分であり;
R
2およびR
3は、同じかまたは異なる活性医薬成分部分であり;
R
4は、親水性部分であり;そして
X
1は、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、オリゴ-もしくはポリペプチド部分、オリゴもしくはポリエチレングリコール部分、またはオリゴもしくはポリビニルアルコール部分、またはオリゴもしくはポリグリセロール部分である)
により表される化合物を提供する。
【0009】
1つのさらなる実施態様において、本発明は、式(I(a)):
【化2】
(式中、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なる活性医薬成分部分であり;
R
4は、親水性部分であり;
R
5は、抗体または抗原部分であり;
X
1は、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、オリゴ-もしくはポリペプチド部分、オリゴもしくはポリエチレングリコール部分、またはオリゴもしくはポリビニルアルコール部分、またはオリゴまたはポリグリセロール部分であり;
X
2はリンカーであり;そして
nは0.01~10の間の数である)
により表される複合体を提供する。
【0010】
1つのさらなる実施態様において、本発明は、がんの治療における使用のための、本明細書において上述した化合物または複合体を提供する。
【0011】
1つのさらなる実施態様において、本発明は、
i)本明細書において上述した化合物;および
ii)抗体または抗原
を含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明とみなされる主題は、明細書の結びの部分で特に指摘され、かつ明確に請求される。本発明は、しかしながら、その目的、特徴および利点とともに、組織および動作方法の両方に関し、添付の図面を読む際、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【0013】
【
図1A】種々の細胞生存アッセイに対する本発明の複合体の細胞毒性効果を示す(曝露時間:5日)。複合体の連続希釈法による120時間(5日間)の処置後のHCC1954の細胞生存率。データは、平均±SDを示し;2つの個別実験の代表である。
【
図1B】種々の細胞生存アッセイに対する本発明の複合体の細胞毒性効果を示す(曝露時間:5日)。複合体の連続希釈法による120時間(5日間)の処置後のMDA-MB-231細胞生存率。データは、平均±SDを示し;2つの個別実験の代表である。
【
図1C】種々の細胞生存アッセイに対する本発明の複合体の細胞毒性効果を示す(曝露時間:5日)。表はHCC1954細胞における種々の処置のIC
50を記載する。データは、平均±SDを示し;2つの個別実験の代表である。
【
図1D】種々の細胞生存アッセイに対する本発明の複合体の細胞毒性効果を示す(曝露時間:5日)。表はMDA-MB-231細胞における種々の処置のIC
50を記載する。データは、平均±SDを示し;2つの個別実験の代表である。
【
図2A】種々の細胞生存アッセイに対する本発明の複合体の細胞毒性効果を示す(曝露時間:6日)。トラスツヅマブ、エキサテカン、またはTrans-Exa-1の連続希釈法による144時間(6日間)の処置後のHCC1954細胞の生存率。データは、平均±SDを示し;3つの個別実験の代表である。
【
図2B】種々の細胞生存アッセイに対する本発明の複合体の細胞毒性効果を示す(曝露時間:6日)。トラスツヅマブ、エキサテカン、またはTrans-Exa-1の連続希釈法による144時間(6日間)の処置後のJIMT-1細胞の生存率。データは、平均±SDを示し;3つの個別実験の代表である。
【
図2C】種々の細胞生存アッセイに対する本発明の複合体の細胞毒性効果を示す(曝露時間:6日)。トラスツヅマブ、エキサテカン、またはTrans-Exa-1の連続希釈法による144時間(6日間)の処置後のMDA-MB-468細胞の生存率。データは、平均±SDを示し;3つの個別実験の代表である。
【
図2D】種々の細胞生存アッセイに対する本発明の複合体の細胞毒性効果を示す(曝露時間:6日)。表は種々の処置のIC
50を記載しており、最初の2行はIC50値であり、「Tras-Exa/Exa倍率変化(fold change)」は、Tras-Exaをexa値で割った値であり、「-」、「+」および「++」は、文献に見られるher2レベルを示し、それぞれ、検出されない、低レベルおよび高レベルを示す(例えば、Yang, L.; Li, Y.; Bhattacharya, A.; Zhang, Y. S. A recombinant human protein targeting HER2 overcomes drug resistance in HER2-positive breast cancer. Sci. Transl. Med. 2019, 11, 11に記載されたような相対レベル)。データは、平均±SDを示し;3つの個別実験の代表である。
【
図3A】トラスツヅマブ系ADCが腫瘍成長の用量依存的阻害を誘導することを示す。10mg/kgの濃度でのトラスツヅマブ系ADCの単回静脈内注射後のHCC1954腫瘍の成長曲線(n=9マウス/群)。データは、平均±s.e.m.として示す。
【
図3B】トラスツヅマブ系ADCが腫瘍成長の用量依存的阻害を誘導することを示す。3mg/kgの濃度でのトラスツヅマブ系ADCの単回静脈内注射後のHCC1954腫瘍の成長曲線(n=9マウス/群)。データは、平均±s.e.m.として示す。
【
図3C】トラスツヅマブ系ADCが腫瘍成長の用量依存的阻害を誘導することを示す。1mg/kgの濃度でのトラスツヅマブ系ADCの単回静脈内注射後のHCC1954腫瘍の成長曲線(n=9マウス/群)。データは、平均±s.e.m.として示す。
【
図3D】トラスツヅマブ系ADCが腫瘍成長の用量依存的阻害を誘導することを示す。体重変化は、腫瘍細胞接種の日からのパーセント変化として表される。データは、平均±s.e.m.として示す。
【
図4A】トラスツヅマブ系ADCが用量依存的様式でマウスの生存を延長することを示す。10mg/kgの濃度でのトラスツヅマブ系ADCの単回静脈内注射で治療したHCC1954腫瘍担持SCIDマウスのカプラン-マイヤー全生存曲線(n=9マウス/群)。
【
図4B】トラスツヅマブ系ADCが用量依存的様式でマウスの生存を延長することを示す。3mg/kgの濃度でのトラスツヅマブ系ADCの単回静脈内注射で治療したHCC1954腫瘍担持SCIDマウスのカプラン-マイヤー全生存曲線(n=9マウス/群)。
【
図4C】トラスツヅマブ系ADCが用量依存的様式でマウスの生存を延長することを示す。1mg/kgの濃度でのトラスツヅマブ系ADCの単回静脈内注射で治療したHCC1954腫瘍担持SCIDマウスのカプラン-マイヤー全生存曲線(n=9マウス/群)。
【
図4D】トラスツヅマブ系ADCが用量依存的様式でマウスの生存を延長することを示す。死までの生存期間メジアンと個々の時点。破線は試験の事前に定義された終点(152日)を示す。
【0014】
説明を単純かつ明確にするために、図面に示される要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことが理解されるであろう。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確化のために他の要素と比較して誇張されている場合がある。さらに、適切と考えられる場合には、参照番号は、対応する要素または類似の要素を示すために図面間で繰り返されていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明において、多数の具体的詳細が本発明の完全な理解を提供するために説明される。しかしながら、本発明がこれらの具体的詳細でなくとも実施し得るということが当業者によって理解されるであろう。他の例において、周知の方法、手順および構成要素は、本発明を分かりにくくしないように詳細には説明されていない。
【0016】
プロドラッグ
1つの実施態様において、本発明は、式(I):
【化3】
(式中、
R
1は、反応性部分であり;
R
2およびR
3は、同じかまたは異なる活性医薬成分部分であり;
R
4は、親水性部分であり;そして
X
1は、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、オリゴ-もしくはポリペプチド部分、オリゴもしくはポリエチレングリコール部分、またはオリゴもしくはポリビニルアルコール部分、またはオリゴもしくはポリグリセロール部分である)
により表される化合物を提供する。
【0017】
1つの実施態様において、R
1は反応性部分である。別の実施態様において、本発明の文脈における「反応性部分」は、1つの官能基または(同一または異なる)複数の官能基を含有し得る化学的部分(例えば、アルケン基)として定義され、ここで、そのような官能基の少なくとも1つは、当該部分と抗体または抗原とを結合させるために抗体または抗原と反応または相互作用することができる。いくつかの他の実施態様においては、抗体または抗原由来のCysのチオールまたはLysのアミンが、この部分と1,4(マイケル)付加で反応する。別の実施態様においては、R
1は、ジヒドロピリダジンマレイミド、ブロモアセトアミン、テトラジン、アルキンもしくはアミン部分またはそれらの組み合わせを含む。別の実施態様においては、R
1はアルキン部分を含む。別の実施態様においては、R
1は、制約されたアルキン(constrained alkyne)部分を含む。別の実施態様においては、R
1はシクロアルキン部分を含む。別の実施態様において、シクロオクチン部分の非限定的な例は、ジベンゾシクロオクチン(DBCO)、ビシクロ[6.1.0]ノニン(BCN)およびビアリールアザシクロオクチノン(BARAC)部分を含む。別の実施態様において、R
1は、
【化4】
により表される。
【0018】
1つの実施態様において、式(I)のR2は、抗がん剤、免疫刺激剤(免疫-腫瘍学用)、または免疫抑制剤(例えば、免疫学用ステロイド)である。1つのさらなる実施態様において、R2は、免疫学、免疫-腫瘍学、がん関連疾患および/または障害の治療、または免疫系の欠損/機能不全の治療において使用される薬剤である。他の実施態様において、がんと関連/関係付けられる病状/障害、および/または免疫系の欠損/機能不全は、次の非限定的な例:自己免疫疾患、関節炎、異所性皮膚炎、クローン病、大腸炎、IBD、線維症、乾癬、紅斑性狼瘡(Lupus)、多発性硬化症、神経変性病(パーキンソン病、アルツハイマー病、ALS、重症筋無力症、グレーブス病、強直性線維症)、および呼吸器系疾患(COPD、喘息)の少なくとも1つを含む。別の実施態様においては、R2は、エキサテカン、ベロテカン、カンプトテシン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはドキソルビシン部分である。別の実施態様においては、R2は、エキサテカン、アウリスタチンまたはベロテカンである。
【0019】
1つの実施態様において、式(I)のR3は、抗がん剤、免疫刺激剤(免疫-腫瘍学用)、または免疫抑制剤(例えば、免疫学用ステロイド)である。1つのさらなる実施態様において、R3は、免疫学、免疫-腫瘍学、がん関連疾患および/または障害の治療、または免疫系の欠損/機能不全の治療において使用される薬剤である。他の実施態様において、がんと関連/関係付けられる病状/障害、および/または免疫系の欠損/機能不全は、次の非限定的な例:自己免疫疾患、関節炎、異所性皮膚炎、クローン病、大腸炎、IBD、線維症、乾癬、紅斑性狼瘡(Lupus)、多発性硬化症、神経変性病(パーキンソン病、アルツハイマー病、ALS、重症筋無力症、グレーブス病、強直性線維症)、および呼吸器系疾患(COPD、喘息)の少なくとも1つを含む。別の実施態様においては、R3は、エキサテカン、ベロテカン、カンプトテシン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはドキソルビシン部分である。別の実施態様においては、R3は、エキサテカン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはベロテカンである。
【0020】
1つの実施態様において、式(I)のR2およびR3は、抗がん剤、免疫刺激剤(免疫-腫瘍学用)、または免疫抑制剤(例えば、ステロイド)、または免疫学、免疫-腫瘍学、がん関連疾患および/または障害の治療、または免疫系の欠損/機能不全の治療において使用される薬剤であって、該がんと関連/関係付けられる病状/障害、および/または免疫系の欠損/機能不全は、本明細書に上述した通りである(R2および/またはR3の実施態様を参照)。別の実施態様において、R2およびR3は、それぞれ独立して、エキサテカン、ベロテカン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、カンプトテシンまたはドキソルビシン部分である。別の実施態様においては、R2およびR3は、それぞれ独立して、エキサテカン、アウリスタチン、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはベロテカン部分である。別の実施態様においては、R2およびR3は、それぞれ独立して、エキサテカン部分である。別の実施態様においては、R2およびR3は、それぞれ独立して、ベロテカン部分である。
【0021】
1つの実施態様において、式(I)のR
4は、オリゴ-もしくはポリ-カルボン酸部分、またはオリゴ-もしくはポリ-エチレングリコール部分、またはオリゴ-もしくはポリ-アルコール部分、またはオリゴ-もしくはポリ-ビニルアルコール部分、またはオリゴ-もしくはポリ-グリセロール部分を含む。別の実施態様において、R
4は、
【化5】
により表される。
【0022】
1つの実施態様において、式(I)のX1は、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、オリゴ-もしくはポリペプチド部分、またはオリゴ-もしくはポリ-エチレングリコール部分、またはオリゴ-もしくはポリ-ビニルアルコール部分、またはオリゴ-もしくはポリ-グリセロール部分である。別の実施態様において、X1は、任意のアミノ酸:天然、非天然(人工)、飽和もしくは不飽和、またはそれらの組み合わせを任意の順番/配列で含む、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、オリゴ-またはポリペプチドである。1つの他の実施態様において、X1は、CGKRK、-Val-Cit-、-Ala-Ala-、AAN、GGFG、Val-Arg-もしくはVal-Alaまたはそれらの任意の組み合わせである。1つの他の実施態様において、X1は、-Val-Cit-、-Ala-Ala-、AAN、GGFG、-Val-Arg-または-Val-Ala-、またはそれらの任意の組み合わせである。別の実施態様において、X1は、非限定的な例としてカテプシンBおよびレグマインを含む、具体的なプロテアーゼにより切断可能な配列(例えば、Ala-Ala)を含む。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0023】
1つの実施態様において、式(I)の化合物は、式1、17、18、19または20:
【化6】
(式中、TFAはトリフルオロ酢酸である)
の構造により表される。
【0024】
いくつかの実施態様において、式(I)の化合物は、抗体または抗原と、抗体または抗原の関連する部分(moiety)/一部(portions)/官能基/アミノ酸と反応するおよび/または相互作用するR1を介して結合されるプロドラッグであり、この反応の生成物が、本明細書において続くセクションにおいて、例えば、式(I(a))、1(a)、2(a)および/または化合物21により以下に表される複合体である。1つの具体的な実施態様において、抗体または抗原のリジンまたはシステインが、マイケル付加を経てマレイミド部分であるR1に反応する。1つのさらなる実施態様において、R1は、アジド-チロシンなどの人工アミノ酸と、またはアルキンと反応し、上記複合体を生成する。別の実施態様において、抗体/抗原は、式(I)の化合物と反応し、次いでそれが当該化合物のいくつかの部分(例えば、いくつかのペプチド認識モチーフ/トリガー)と相互作用し、相互作用が、その化合物が共有結合的に負荷された薬物を放出するトリガーとなる可能性がある。1つの実施態様において、抗体はトラスツズマブまたはリツキシマブである。
【0025】
プロドラッグと抗体または抗原との複合体
1つの実施態様において、本発明は、式(I(a)):
【化7】
(式中、
R
5は抗体または抗原部分であり;
X
2はリンカーであり;
nは0.01~10の間の数であり;
そして
R
2~R
4およびX
1は、本明細書に上述されている)
により表される複合体を提供する。
【0026】
1つの実施態様において、本発明は、プロドラッグまたは式(I)の化合物を抗体または抗原と反応させることにより製造される、式(I(a))により表される複合体を提供し、式のすべての定義および構造は、本明細書において、上述または後述される。
【0027】
いくつかの実施態様において、抗原/抗体部分(R
5)と式(I(a))のその他の部分との間の結合は、共有結合であってもよく、非共有結合であってもよい。用語「非共有結合」は、本発明の意義の範囲内で、当該技術分野において知られているように、ファンデルワールス/相互作用/ロンドン分散力、水素結合、ハロゲン結合、パイ-パイ(π-π)相互作用、イオン結合(例えば、R
5の抗体または抗原とX
1のペプチド部分との間の塩橋)等の任意の非共有相互作用/結合をいう。いくつかの実施態様において、R
5は、その1つよりも多くの位置で式(I(a))のその他の部分と、各位置において同一または異なる相互作用/結合でつながる。1つの具体的な実施態様において、R
5は、式(I(a))のその他の部分である1つまたは複数の化合物に共有結合によりつながり、また共有結合点と比較して異なる位置で、そのような1つまたは複数の化合物と非共有結合でもつながる/相互作用する。1つの実施態様において、「式(I(a))のその他の部分」は、
【化8】
(式中、縮れた(curly)結合はR
5(示さず)への結合を示す)をいう。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0028】
1つの実施態様において、式(I(a))のX
2は、スクシンイミド、アセトアミド、ジヒドロピリダジン、アルケンもしくはアミン部分、またはそれらの任意の組み合わせを含む。別の実施態様において、X
2は、アルケン部分を含む。別の実施態様において、X
2は、制約されたアルケン部分を含む。別の実施態様において、X
2は
【化9】
により表される。
【0029】
いくつかの実施態様において、nは0.01~10の間である。1つの実施態様において、nは0.01~1の間である。別の実施態様において、nは0.01~2の間である。別の実施態様において、nは0.01~5の間である。別の実施態様において、nは0.05~1の間である。別の実施態様において、nは0.05~2の間である。別の実施態様において、nは0.1~1の間である。別の実施態様において、nは0.1~2の間である。別の実施態様において、nは0.5~1の間である。別の実施態様において、nは0.01~0.5の間である。別の実施態様において、nは0.1~0.5の間である。別の実施態様において、nは0.5~2の間である。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0030】
1つの実施態様において、式(I(a))のR5は、抗体または抗原である。別の実施態様において、R5は、腫瘍を標的とする抗体である。別の実施態様において、R5は、免疫細胞特異的抗原である。他の実施態様において、R5は、抗EGFRまたは抗CD33抗体である。別の実施態様において、R5の抗体は、モデル抗体または抗体を「刺激する」部分/フラグメントであり、そのようなモデル/部分/フラグメントは、とりわけCGKRKペプチドにより代表される。別の実施態様において、R5は、CEACAMファミリー、葉酸受容体、ER、PR、ノッチ受容体、ノッチリガンド、PSMA、グリピカン-3、メソテリン、MET、EGFR、Erb2、EpCAM、NCAM、エフリンA4、IGF-1R、FAP、Ly6E、カドヘリンファミリー、VEGFR-2、RNF43、MUCファミリー、PD-1、PD-L1、FAK、CCR2、CCR4、CXCR1、CXCR2、ネクチン-4、トランスフェリン、TIM-1、LAG-3、Axl、CTLA-4、4-1BB、MART-1、TIGIT、SLAMF6、CX40、トラスツヅマブまたはリツキシマブのいずれか1つである。別の実施態様において、R5は、トラスツヅマブまたはリツキシマブまたはCGKRK部分である。別の実施態様において、R5はトラスツヅマブ部分である。別の実施態様において、R5は、リツキシマブ部分である。別の実施態様において、R5はCGKRK部分である。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0031】
1つの実施態様において、式(I(a))の化合物は、式1(a)または2(a):
【化10】
(式中、R
5は本明細書において上述した通りである)
の構造により表される。
【0032】
1つの実施態様において、式(I(a))の化合物は、化合物21:
【化11】
の構造により表される。
【0033】
いくつかの実施態様において、例えば式(I)または1、17、18、19もしくは20の構造により表される化合物は、「プロドラッグ」とも称され、抗体または抗原と結合し、複合体を生成することができる。用語「複合体」は、本発明の文脈において、「抗体薬物複合体」(ADC)と置換可能に称され得る。
【0034】
提案される放出の機序
いくつかの実施態様において、いかなる機序や理論にも拘束されることなく、薬物は、共有結合された複合体から、後に付加的な反応のカスケードを導くプロテアーゼおよび/またはヒドラ―ゼおよび/または他の酵素との反応を経て放出される。1つの実施態様において、本機序/カスケードの例は、以下に続くもの(カテプシンBは提示されたプロテアーゼである)において示されている。
スキーム1:薬物放出機序の例
【化12】
【0035】
それにより、上記スキームにおけるペプチドまたはR5の任意の他の実行可能な抗体/抗原は、所望の(生物学的)部位への複合体の標的化送達を利用可能とし、いくつかのトリガー、例えば上記に例示したようなヒドロラーゼ/プロテアーゼとの反応などにより活性化される。
【0036】
プロドラッグ、抗体または抗原および/またはそれらの複合体を含む医薬組成物
1つの実施態様において、本発明は、治療的に有効な量のプロドラッグまたは本明細書において上述したようなその複合体、および任意には少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤を含む医薬組成物に関する。他の実施態様において、組成物は、プロドラッグと抗体または抗原の組み合わせ、および少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤を含む。別の実施態様において、医薬組成物は、本技術分野において周知の、錠剤(例えばフィルムコーティング錠を含む)、粉末、顆粒、カプセル(軟カプセルを含む)、口腔内崩壊錠、ピル、ペレット、トローチ剤、サシェ、カシェー、パッチ、エリキシル剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、溶液剤、シロップ、エアロゾル、軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、座剤、滅菌注射溶液、滅菌包装粉末剤、および徐放性製剤からなる群より選択される形態である。別の実施態様において、組成物は、固体状態の組成物(例えば、錠剤、ピル、カプセル、ペレット、顆粒剤、粉末剤など)である。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0037】
いくつかの実施態様において、本発明の文脈において使用され得る薬学的に許容され得る担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤は、界面活性剤、潤滑剤、結合剤、フィラー、圧縮助剤、崩壊剤、水溶性ポリマー、無機塩、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、酸味剤、泡立ち剤および香味剤(flavoring)を含むが、それらに限定されるものではない。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0038】
いくつかの実施態様において、本発明の範囲内で適切な担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤の非限定的具体例には、例えば、ラクトース、D-マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶性セルロース、軽質無水ケイ酸および酸化チタンなどが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な界面活性剤には、例えば、レシチンおよびホスファチジルコリンが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切
な潤滑剤には、例えば、ステアリン酸マグネシウム、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルクおよびステアリン酸が挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な結合剤には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶性セルロース、a-デンプン、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム粉末、ゼラチン、プルランおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な崩壊剤には、例えば、架橋されたポビドン(ポリビニルピロリドン(PVPP)などの任意の架橋された1-エテニル-2-ピロリドンホモポリマーおよび1-ビニル-2-ピロリドンホモポリマー)、架橋されたカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、コーンスターチなどが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な水溶性ポリマーには、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、グァーガムなどが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な無機塩には、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩などが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。特別な実施態様は、マグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩を含む。ナトリウムの塩基性無機塩には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。カリウムの塩基性無機塩には、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。マグネシウムの塩基性無機塩には、例えば、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、水酸化アルミナマグネシウムなどが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。カルシウムの塩基性無機塩には、例えば、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0039】
適切な防腐剤には、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸、およびソルビン酸などが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な抗酸化剤には、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸およびα-トコフェロールなどが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な着色剤には、例えば、Food Color Yellow No.5、Food Color Red No.2およびFood Color Blue No.2などの食品色素などが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な甘味剤には、例えば、グリシルレチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアおよびタウマチンなどが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な酸味剤には、例えば、クエン酸(クエン酸無水物)、酒石酸およびリンゴ酸などが挙げられる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。適切な泡立ち剤には、例えば、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。適切な風味剤には、例えば、レモン、ライム、オレンジ、メントールおよびストロベリーなどを含む、合成物質または天然物質が含まれる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0040】
1つの実施態様において、本発明の化合物(プロドラッグおよび/またはその複合体)は、医学的治療のための医薬品(pharmaceuticals)として有用である。本発明は、したがって、本明細書に開示されるプロドラッグまたはその複合体、またはプロドラッグおよび抗体または抗原の組み合わせ、および少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本発明の化合物は、経口または非経口で安全に投与することができる。投与経路は、経口、局所、皮下、腹腔内、直腸、静脈内、動脈内、経皮、筋肉内、局所および経鼻が挙げられるが、これらに限定されるものではない。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。投与のさらなる経路は、粘膜の、鼻の、非経口の(parenteral)、胃腸の、髄腔内、子宮内、眼球内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、大脳内、眼の、口の、硬膜外および舌下が挙げられるが、これらに限定されるものではない。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0041】
別の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物の錠剤および他の固形剤形は、任意には、本技術分野において周知の腸溶コーティングや他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを伴い保管または製造することができる。それらは、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な割合でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクスなどを用い、そこに含まれる活性成分の徐放または制御放出を提供するように製剤化することもできる。活性成分は、妥当な場合、上記賦形剤の1つまたは複数と共にマイクロカプセル化形態とすることもできる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0042】
プロドラッグおよび複合体の使用
1つの実施態様において、本発明は、がんまたは関連疾患/病状を治療する方法であって、それを必要とする対象に、プロドラッグ(例えば、式(I)の化合物)、その複合体(例えば、式(I(a))の化合物)、またはプロドラッグと抗体または抗原との組み合わせ、またはプロドラッグ/複合体/組み合わせと少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、がんまたは関連疾患/病状を治療する方法であって、それを必要とする対象に、複合体(例えば、式(I(a))の化合物)、またはプロドラッグ(例えば、式(I)の化合物)と抗体または抗原との組み合わせ、または複合体/組み合わせと少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤を含む医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。1つの実施態様において、その方法は、免疫学的方法である。別の実施態様において、その方法は免疫-腫瘍学的方法である。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0043】
1つの実施態様において、本発明は、免疫系の欠損/機能不全と関係付けられる病状および/または疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、プロドラッグ(例えば、式(I)の化合物)、その複合体(例えば、式(I(a))の化合物)、またはプロドラッグと抗体または抗原との組み合わせ、またはプロドラッグ/複合体/組み合わせと少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤とを含む医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、がんまたは関連疾患/病状を治療する方法であって、それを必要とする対象に、複合体(例えば、式(I(a))の化合物)、またはプロドラッグ(例えば、式(I)の化合物)と抗体または抗原との組み合わせ、または複合体/組み合わせと少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤とを含む医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。他の実施態様において、その方法は、免疫学的方法である。別の実施態様において、その方法は免疫-腫瘍学的方法である。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0044】
他の実施態様において、がんと関連/関係付けられる病状および/または疾患および/または免疫系の欠損/機能不全は、次の非限定的な例:自己免疫疾患、関節炎、異所性皮膚炎、クローン病、大腸炎、IBD、線維症、乾癬、紅斑性狼瘡(Lupus)、多発性硬化症、神経変性病(パーキンソン病、アルツハイマー病、ALS、重症筋無力症、グレーブス病、強直性線維症)、および呼吸器系疾患(COPD、喘息)の少なくとも1つを含む。1つの実施態様においては、本発明は、それを必要とする対象に、
a)プロドラッグ(例えば、式(I)の化合物);および
b)抗体または抗原
を投与すること;または
プロドラッグと抗体または抗原との複合体を投与すること
を含む、がんを治療する方法を提供する。
【0045】
いくつかの実施態様においては、がんは、乳がん、腎がん、脳腫瘍、皮膚がん、卵巣がん、肺がん、膵がん、結腸がん、頭頸部がん、前立腺がん、子宮内膜がん、肝臓がん、血液がん、胃がん、線維肉腫、骨腫瘍/骨肉腫または十二指腸がんである。1つの実施態様において、がんは乳がんである。別の実施態様において、プロドラッグ(式(I)の化合物)と抗体または抗原との投与は、追ってまたは同時に行われる。各可能性は本発明の個別の実施態様を表す。
【0046】
いくつかの実施態様においては、対象は哺乳類、好ましくはヒトである。
【0047】
いくつかの実施態様においては、本発明は、上記方法の実施態様のなかで説明されるように、がん、またはがんに関連/関係付けられる病状および/または疾患の治療および/または免疫系の欠損/機能不全の治療に使用するための、プロドラッグ(例えば式(I)の化合物)、その複合体(例えば式(I(a))の化合物)またはプロドラッグと抗体もしくは抗原との組み合わせ、またはそのプロドラッグ/複合体/組み合わせと少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体、希釈剤、ビヒクルまたは賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0048】
1つの実施態様において、本発明は、
i)本明細書において上述したプロドラッグ(例えば式(I)の化合物);および
ii)抗体または抗原
を含むキットを提供する。
【0049】
他の実施態様においては、キットは使用説明書を含む。
【0050】
定義
本明細書において、本明細書において使用される場合、用語「治療的に有効な量」は、対象への単回用量投与または複数回用量投与の際、対象に治療効果をもたらすのに有効である薬剤の量を示すと定義される。追加的な実施態様においては、本発明の結晶形が前述の疾患または障害を治療するための医薬の製造のために使用される。
【0051】
本明細書において、本明細書において使用される場合、医学的処置については、用語「治療する(treating)」は、対象における病状、疾患または障害の、その出現/特定後の、医学的ケアまたはその軽減、またはその抑制もしくは予防を示すと定義される。
【0052】
本明細書において、用語「DAR」または「薬物抗体比(Drug-Antibody Ratio)」は、抗体または抗原1当量あたりの薬物当量の数に等しいと定義される。1つの実施態様において、DARは0.5と200との間である。別の実施態様において、DARは0.5と50との間である。別の実施態様において、DARは0.5と20との間である。別の実施態様において、DARは0.5と10との間である。別の実施態様において、DARは0.5と5との間である。別の実施態様において、DARは1と10との間である。別の実施態様において、DARは1と20との間である。別の実施態様において、DARは1と50との間である。別の実施態様において、DARは1と100との間である。別の実施態様において、DARは1と200との間である。別の実施態様において、DARは5と10との間である。別の実施態様において、DARは5と20との間である。別の実施態様において、DARは5と50との間である。別の実施態様において、DARは10と20との間である。別の実施態様において、DARは20と50との間である。別の実施態様において、DARは50と100との間である。別の実施態様において、DARは50と200との間である。別の実施態様において、DARは100と200との間である。いくつかの実施態様において、DARは、明示的に言及されている(例えば、実施例4の表1)。他の実施態様において、DARは、式(I(a))の意味の範囲内で「n」を介して計算することができる。当該計算に関する2、3の例を以下に示す。ここで、本発明の化合物/複合体、すなわち式(I(a))については、R5に結合した化合物ごとに、2つの異なるまたは同じ薬物/API部分R2およびR3が存在するということが知られている。
- n=1、R5に結合している1化合物に2つの薬物部分、DARは2/1または2。
- n=0.5、R5に結合している1化合物に2つの薬物部分、DARは2/0.5または4。
- n=0.33、R5に結合している1化合物に2つの薬物部分、DARは2/0.33または6。
【実施例】
【0053】
実施例1:化合物1の合成
スキーム2:化合物1の全合成
【化13】
【0054】
実験手順
【化14】
化合物4:化合物2(E. Danieli, D. Shabat, Bioorg. Med. Chem. 2007, 15, 7318-7324; R. J. Amir, E. Danieli, D. Shabat, Chem. - A Eur. J. 2007, 13, 812-821; および A. Gopin, S. Ebner, B. Attali, D. Shabat, Bioconjug. Chem. 2006, 17, 1432-1440参照)(1.07g、2.32mmol)を乾燥DMF(5mL)にアルゴン雰囲気下で溶解し、0℃に冷却した。水素化ナトリウム(97mg、2.44mmol)を加え、反応を室温まで温めた。室温で15分間撹拌した後、化合物3(M. E. Roth-Konforti, C. R. Bauer, D. Shabat, Angew. Chemie Int. Ed. 2017, 56, 15633-15638)(1.65g、2.32mmol)を加え、反応をTLC(MeOH:EtOAc 5:95)でモニターした。完了したら反応をEtOAc(20mL)およびNH
4Cl(10mL)で希釈した。次いで二相混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出し、ブライン(20mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧下でエバポレートした。粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題の化合物4(1.61g、67%)をオフホワイトの固体として得た。MS(ES+)m/z C
57H
78N
6O
9Si
2に対する計算値:1046.5、[M+2H]
+に対する実測値:1048.9。
【0055】
【化15】
化合物6:化合物4(1.2g、1.15mmol)をDMF(6mL)に溶解し、ジエチルアミン(2mL)を加えた。反応をTLCでモニターした。出発物質が消失したら溶媒およびジエチルアミンを減圧下で除去した。生成物を真空下で乾燥し、次の反応のために直接用いた。
【0056】
粗物質をDMF(5mL)に溶解し、化合物5(327mg、1.15mmol)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌し、反応をTLCでモニターした。完了したら溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題の化合物6(630mg、2工程に対して55%)をオフホワイトの固体として得た。MS(ES+)m/z C50H79N7O10Si2に対する計算値:993.5、[M+2H]+に対する実測値:995.0。
【0057】
【化16】
化合物7:化合物6(625mg、0.63mmol)をMeOH(4mL)に溶解し、4-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA、12mg、0.063mmol)を加えた。反応をTLCでモニターした。完了したら反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、飽和NaHCO
3(5mL)を加えた。次いで二相混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出し、ブライン(20mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、減圧下でエバポレートした。粗生成物を乾燥THF/DMSO溶媒系(8mL、THF:DMSO 10:1)に溶解し、次いでDIPEA(0.45mL、2.52mmol)および4-DMAP(4mg、0.03mmol)を加えた。混合物を0℃まで冷却した。4-ニトロフェニルクロロホルメート(PNP-Cl、317mg、1.58mmol)をその後分割して加え、反応をRTで2時間撹拌した。反応の進行をTLCでモニターした。完了したら溶液を直接シリカゲル上に充填し、生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して化合物7(289mg、2工程に対して42%)をオフホワイトの固体として得た。MS(ES+)m/z C
52H
57N
9O
18に対する計算値:1095.4、[M+2H]
+に対する実測値:1096.9。分析RP-HPLC:カラムC18 5μ、250×4.6mm。溶離液:ACN/H
2O(TFA0.1%のH
2O)。方法:30~100%ACN勾配。化合物7に対するt
R:15.1分。
【0058】
【化17】
化合物8:化合物7(80mg、0.07mmol)を乾燥DMF(2mL)にRTで溶解した。メシル酸エキサテカン(77mg、0.14mmol)を加え、次いでEt
3N(60μL、0.44mmol)を加えた。反応混合物を2日間撹拌し、反応の進行をRP-HPLCでモニターした。出発物質が消失したら生成物を、MeOH(5mL)を加えて沈殿させた。沈殿をろ過し、EtOAcで繰り返し洗浄し、真空下で乾燥して化合物8(76mg、62%)を黄色固体として得た。MS(ES+)m/z C
88H
91F
2N
13O
20に対する計算値:1687.6、[M+2H]
+に対する実測値:845.5。分析RP-HPLC:カラムC18 5μ、250×4.6mm。溶離液:ACN/H
2O(TFA0.1%のH
2O)。方法:30~100%ACN勾配。化合物8に対するt
R:11.2分。
【0059】
【化18】
化合物10:化合物8(65mg、0.04mmol)およびアジド9(86mg、0.2mmol)を、溶媒系DMSO/H
2O(10:1、2mL)に溶解し、その後CuSO
4・5H
2O(5mg、0.02mmol)およびアスコルビン酸ナトリウム(3.2mg、0.03mmol)を加えた。溶液をアルゴンで30分脱気し、その後室温で撹拌した。30分撹拌後、反応の進行をRP-HPLCでモニターした。完了したら生成物を逆相分取HPLC(30~100%の0.1%TFAを有する水中ACN、20分)により単離して化合物10(64mg、79%)を黄色固体として得た。MS(ES+)m/z C
103H
112F
2N
18O
30に対する計算値:2119.9、[M/2+H]
+に対する実測値:1061.4。分析RP-HPLC:カラムC18 5μ、250×4.6mm。溶離液:ACN/H
2O(TFA0.1%のH
2O)。方法:30~100%ACN勾配。化合物10に対するt
R:10.7分。
【0060】
【化19】
化合物11:化合物10(52mg、0.025mmol)をアルゴン下でDMF(2mL)に溶解し、次いでPd(PPh
3)
4(15mg、0.012)および1,3-ジメチルバルビツール酸(8.0mg、0.05mmol)を加えた。混合物をアルゴン下、45℃で撹拌し、反応の進行をRP-HPLCでモニターした。30分後、HPLCクロマトグラムは、約50%の変換が生じたことを示す。それにより、Pd(PPh
3)
4および1,3-ジメチルバルビツール酸のもう1つのバッチを加えた。2時間後反応が完了したら、生成物を逆相分取HPLC(0.1%TFAを有する水での10~90%ACN、20分)により単離し、化合物11(30mg、61%)を黄色固体として得た。MS(ES+)m/z C
99H
108F
2N
18O
28に対する計算値:2035.7、[M/2+H]
+に対する実測値:1019.2。分析RP-HPLC:カラムC18 5μ、250×4.6mm。溶離液:ACN/H
2O(TFA0.1%のH
2O)。方法:10~90%ACN勾配。化合物11に対するt
R:12.3分。
【0061】
【化20】
化合物1:化合物11(25mg、0.012mmol)および化合物12(4mg、0.014mmol)を乾燥DMF(1.5mL)に溶解した。Et
3Nを加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。RP-HPLCでモニターすることにより完了したら、生成物を逆相分取HPLC(0.1%TFAを有する水での10~90%ACN、20分)により精製し、最終的なプロドラッグ1(19mg、71%)を黄色固体として得た。MS(ES+)m/z C
106H
113F
2N
19O
31に対する計算値:2186.79、[M/2+H]
+に対する実測値:1094.8。分析RP-HPLC:カラムC18 5μ、250×4.6mm。溶離液:ACN/H
2O(TFA0.1%のH
2O)。方法:10~90%ACN勾配。プロドラッグ1に対するt
R:13.2分。
【0062】
スキーム3:化合物4の合成
【化21】
化合物4:化合物13(P. D. Jeffrey, S. W. McCombie, J. Org. Chem. 1982, 47, 587-590)(750mg、4.0mmol)をDCM(8mL)に溶解し、0℃まで冷却した。N-ヒドロキシスクシンイミド(692mg、6.0mmol)を加え、次いでN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(908mg、4.4mmol)を加えた。反応を室温まで温め、撹拌を4時間続けた。完了したら混濁混合物をろ過し、DCMで洗浄した。合わせた有機溶液を濃縮し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物4(1.08g、95%)を白色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 5.95-5.85 (m, 1H), 5.28 (dd, J = 17.2, 1.1 Hz, 1H), 5.19 (dd, J = 10.4, 1.1 Hz, 1H), 4.54 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 3.28 (q, J = 6.5 Hz, 2H), 2.82 (s, 4H), 2.66 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.99-1.92(m, 2H)。MS(ES+)m/z C
12H
16N
2O
6に対する計算値:284.1、[M+H]
+に対する実測値:285.3。
【0063】
スキーム4:化合物9の合成
【化22】
化合物16:化合物16は、文献の手順(E. Roussakis, Z. Li, N. H. Nowell, A. J. Nichols, C. L. Evans, Angew. Chemie Int. Ed. 2015, 54, 14728-14731)にしたがい製造した。L-アジドグルタミン酸14(J. Bachl, J. Mayr, F. J. Sayago, C. Cativiela, D. Diaz Diaz, Chem. Commun. 2015, 51, 5294-5297)(222mg、1.3mmol)をアルゴン雰囲気下で乾燥DMF(10mL)に溶解した。HBTU(1.23g、3.25mmol)をその溶液に加え、混合物を5分間室温で撹拌した。DIPEA(2.30mL、13.0mmol)をその溶液に一度に加え、直後にL-グルタミン酸ジターシャリーブチルエステル15(760mg、2.6mmol)を加えた。反応混合物を一晩撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物16(597mg、14に対して71%)をゴム状の液体として得た。MS(ES+)m/z C
31H
53N
5O
10に対する計算値:655.4、[M+H]
+に対する実測値:656.7。
【0064】
【化23】
化合物9:化合物16(550mg、mmol)をDCM(3mL)に溶解し、TFA(3mL)を加えた。反応を一晩撹拌した。TLCでモニターすることにより完了したら、溶媒およびTFAを減圧下で除去した。生成物の形成をMSにより確認し、粗物質をクリック反応に直接用いた。MS(ES+)m/z C
15H
21N
5O
10に対する計算値:431.1、[M+H]
+に対する実測値:432.3。
【0065】
実施例2:化合物20の合成
スキーム5:化合物20の全合成
【化24】
化合物20は上記スキームにしたがい合成した。
【0066】
実施例3:化合物21の合成
スキーム6:化合物21の全合成
【化25】
化合物21は上記スキームにしたがい合成し、質量分析により確認した。
【0067】
実施例4:トラスツヅマブ-エキサテカン/ベロテカン複合体は、HER2-陽性HCC1954細胞の増殖を阻害する
材料および方法
細胞株
HCC1954およびMDA-MB-468ヒト乳がん細胞を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、マナッサス、バージニア州、米国)から入手した。HCC1954細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS)、100 IU/mL ペニシリン、100 μg/mL ストレプトマイシン、12.5 U/mL ナイスタチン、2mM L-グルタミンおよび100 μg/mL ピルビン酸ナトリウムを追加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。MDA-MB-468細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS)、100 IU/mL ペニシリン、100 μg/mL ストレプトマイシン、12.5 U/mL ナイスタチン、2mM L-グルタミンを追加したRPMIで培養した。細胞は、5%CO2において37℃で増殖された。
【0068】
細胞生存率アッセイ
ヒト乳がんHCC1954およびMDA-MB231細胞は、24ウェル培養プレート上に播種され(それぞれ、5,000細胞/ウェルおよび10,000細胞/ウェル)、24時間インキュベートされた。その後、細胞を、フリーのまたはトラスツヅマブと結合された、エキサテカンまたはベロテカンの連続希釈にさらした。細胞生存率は、MTT(3μg/mL、シグマ社)を用いて続く5~6日間のインキュベーションで評価した。MTT吸光度は、SpectraMax M5eマルチ検出リーダーを用いて570nmで測定した。
【0069】
結果
トラスツヅマブ-エキサテカン/ベロテカン複合体は、HER2-陽性HCC1954細胞の増殖を阻害する
エキサテカンまたはベロテカンに結合されたトラスツヅマブの数個のバッチは、ITLから得た(表1)。異なる複合体は、2種類のヒト乳がん細胞株、HCC1954(HER2-陽性)およびMDA-MB-468(HER2-陰性)細胞の増殖に対する、フリー薬と比較したそれらの阻害効果について評価された。ベロテカンおよびエキサテカンは試験した両細胞株において同様のIC
50値を示した(HCC1954において7および10nM;MDA-MB-468において5および2.5nM)。しかしながら、HCC1954細胞において、複合体の細胞毒性がフリー薬のものと似通っている(Trans-Bel PPB-4435は別として)のに対し、MDA-MB-468細胞においては、複合体は僅かに活性が低かった。トラスツヅマブは、両細胞株の増殖に対して阻害効果を示さなかった(
図1A~1D)。
【0070】
【0071】
Trans-Exa-1は、その増強された細胞毒性のため、さらなる評価について選択された。細胞の複合体への曝露時間の増加が、フリーのエキサテカンと比較して活性を増強する結果となるかどうかを評価するために、細胞をさらに24時間(合計6日間)薬物にさらした。また、HER2陽性細胞における複合体の利点をさらに証明するために、別のHER2+乳がん細胞株、JIMT-1を評価した。先の実験との相関関係において、HCC1954細胞は、MDA-MB-468と比較してTras-Exa-1に有意により敏感であった。Tras-Exa-1は、JIMT-1細胞において、フリーのエキサテカンと比較したいかなる利点も示さなかった(
図2A~2D)。
【0072】
実施例5:市販のEnhertu(登録商標)と比較したトラスツヅマブ-エキサテカン/ベロテカン複合体腫瘍成長
材料および方法
細胞株
HCC1954ヒト乳がん細胞を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC、マナッサス、バージニア州、米国)から入手した。細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS)、100 IU/mL ペニシリン、100 μg/mL ストレプトマイシン、12.5 U/mL ナイスタチン、2mM L-グルタミンおよび100 μg/mL ピルビン酸ナトリウムを追加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。細胞は、5%CO2において37℃で増殖された。
【0073】
in vivo試験
すべての動物はテルアビブ大学・スペシフィック・パソゲン・フリー(SPF)動物施設で飼育された。実験は、テルアビブ大学の動物実験委員会(the animal care and use committee)(IACUC)により承認され(承認番号01-19-088)、NIHガイドラインに従って行われた。
【0074】
HCC1954細胞(1×106)を6週齢の雌性の重症複合免疫不全(SCID)マウスの乳房脂肪体に注射した。腫瘍の成長をカルパスでモニターし、体積を0.52×幅×長さ2として定義した。腫瘍体積がおおよそ95mm3に達したら、マウスを複数の群に無作為化し(n=9)、3つの異なる濃度(1、3または10mg/kg)で、トラスツヅマブ-デルクステカン(Enhertu(登録商標);DAR=8)、トラスツヅマブ-エキサテカン(Tras-Exa;DAR=4)またはトラスツヅマブ-ベロテカン(Tras-Bel;DAR=4)の単回用量で静脈内に注射した。対照として、マウスを、10mg/kgのリツキシマブ-デルクステカン(Ritux-DXd;DAR=8)またはビヒクル対照(10mM ヒスチジン、3%トレハロース、100mM NaCl、pH5.5)のいずれかで治療した。すべての治療は、200μl/20gマウスの容量で投与された。腫瘍体積が1000mm3に達した場合、腫瘍が壊死および潰瘍となった場合またはマウスがその体重を15%減少した場合にマウスを安楽死させた。
【0075】
統計分析
データは、特段の断りがなければ、平均±標準偏差(SEM)として表される。全生存率における統計学的有意性は、Graphpad Prism 9ソフトウェアを用いたログランク(Mantel-Cox)試験で決定された。統計学的有意差はp<0.05として定義された。
【0076】
結果
エキサテカンに結合されたトラスツズマブ系抗体薬物複合体(ADC)(「Tras-Exa」;DAR=4)またはベロテカンに結合されたトラスツズマブ系抗体薬物複合体(ADC)(「Tras-Bel」;DAR=4)を、それらのin vivo抗腫瘍効果について評価した。このため、HCC1954(HER2+)ヒト乳がん異種移植片担持マウスが、3つの濃度(1、3および10mg/kg)でTras-ExaまたはTras-Belの単回投与で治療され、腫瘍の成長および生存をモニターした。我々のADCの治療効果は、それもまた3つの濃度(1、3および10mg/kg)で投与された商業的に入手可能なEnhertu(登録商標)(Tras-デルクステカン;DAR=8)と、最高用量10mg/kgでのみ投与されたリツキシマブ-デルクステカン(「Ritux-DXd」;DAR=8)の同位体対照と比較された。追加の対照群はビヒクルで治療された。腫瘍成長の用量依存的阻害が観察され、最も強力な抗腫瘍効果は、3つのトラスツズマブ系ADCの10mg/kgで観察された(
図3A~3C)。興味深いことに、Tras-ExaまたはEnhertu(登録商標)の最高濃度(10mg/kg)での単回投与は完全な腫瘍退縮をもたらした。逆に、Tras-Bel治療マウス(10mg/kg)の9匹中4匹(44%)は、治療後60日でぶり返した(
図3A)。さらに、中程度の抗腫瘍活性が全てのADCについて3mg/kgで観察され、Enhertu(登録商標)は、さまざまなADCの中でより強力な腫瘍成長阻害を示した(
図3B)。全体として、Tras-ExaおよびEnhertu(登録商標)は、Tras-BelADCと比較して3および10mg/kgで優れた抗腫瘍活性を示したが、これら2つのADCの間の効果には、両濃度において有意差はなかった。対照的に、最も低い用量(1mg/kg)での治療は、いずれのADCにおいても対照と比較して腫瘍成長に影響を与えなかった(
図3C)。
【0077】
注目すべきは、治療後、ビヒクルおよび同位体対照を含めたすべての実験群のマウスは、一時的な体重減少を示し、5日後に回復した(
図3D)。全体としては、我々のトラスツズマブ系ADCならびにEnhertu(登録商標)は、ビヒクルまたは同位体対照と同様に、評価されたすべての濃度で良好に耐え、試験の間にわたり最終的な正の体重増加を伴った(
図3D)。
【0078】
上述のデータと一致して、カプラン-マイヤー分析は評価された種々のADCの用量依存的生存利益を示した。試験の終了時(152日目)には、10mg/kgのTras-ExaまたはEnhertu(登録商標)で治療したマウスの100%と、同濃度のTras-Belで治療したマウスの89%が生存していたが;一方で109日(ビヒクル)および116日(Ritux-DXd)を超えて生存していた対照治療マウスはいなかった(
図4Aおよび4D)。さらに、3mg/kgでの治療は、Tras-Exa(116日)またはEnhertu(登録商標)(137日)で治療したマウスのメジアン生存期間を、ビヒクル対照(60日)およびRitux-DXd(71日)と比較して有意に延長させた(
図4B、4Dおよび表2)。Tras-Bel(3mg/kg)は、84日のメジアン生存期間で、対照と比較してマウスの生存に有意な効果はなかった(
図4Bおよび4Dならびに表2)。1mg/kgの最も低い投与量では、いずれのADCも、ビヒクルおよび同位体対照と比較して何の治療効果も示さなかった(
図4Cおよび4Dならびに表2)。
【0079】
【0080】
実施例6:抗体コンジュゲーション技術
トランスグルタミナーゼによる連結は、野生型微生物トランスグルタミナーゼ(Zedira社、ドイツより購入したWTトランスグルタミナーゼ)を用いて、Dickgiesser et al., Bioconjugate Chem. (2020), vol. 31(4), p. 1070-1076にも説明されている手順に従い、標準的な方法によりトランスツズマブの軽鎖に実施された。この目的のために、150mM NaCl、25mM Tris(pH8.0)を有する緩衝液中で1当量の抗体をそれぞれのペイロード(結合部位の数に応じて、抗体の濃度の10倍または20倍過剰)の溶液および6U/mlのトランスグルタミナーゼと混合した。混合物を37℃および450rpmでサーモミキサー中で16時間インキュベートした。
【0081】
マレイミド化学による連結のため、PBS(pH7.4)中のそれぞれの抗体成分の5mg/mL溶液を調製した(~33μM抗体)。抗体を、TCEP((トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン);所望のDARに依存して抗体成分のTCEPに対する比1:2~1:6;TCEPは2mM原液、pH7.0で使用した)でまたはいくつかの場合はDTT(ジチオスレイトール;20mM)で還元した。37℃の水浴中、0.5~2時間(活性化すべきシステインの数による)のインキュベーション後、反応を室温まで冷却させた。溶液を、Sephadex G25カラム上でコンジュゲーション緩衝液(10mM リン酸ナトリウム、pH6.0、2Mm EDTA、N2脱気)に脱塩し、コンジュゲーション緩衝液中、0.2mg/mLの抗体濃度に調整した。コンジュゲーションは、還元された抗体を適切なマレイミド活性化リンカーペイロード構築物の溶液に適切な比率(例えば、DAR=4について抗体対リンカーペイロード構築物比1:4~1:8;例えば、DAR=8について抗体対リンカーペイロード構築物比1:20)で加えることにより開始された。反応を、22℃でゆっくりと揺動(rocking)させながら1時間インキュベートし、その後、コンジュゲーションをLCMSにより確認した。必要に応じ、所望のDARに達するまで反応を続けた。
【0082】
結合された試料を、15PHE(フェニル)カラム(GEヘルスケア)またはHiTrap HPまたはFFブチルセファロースカラム(GEヘルスケア)上で疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により精製した。溶出画分を濃縮し、緩衝液をPBS pH7.4または10mM リン酸カリウム、200mM NaCl、10mM ヒスチジン、50mM トレハロース、pH7.0に交換した。各調製されたADCの同定と純度はLC-MSおよびSDS-PAGEにより確認された。各調製されたADCのDARは、HIC(疎水性相互作用クロマトグラフィー)データおよび質量分析データから計算、確認された。
【0083】
各調製されたADCの安定性は、凍結解凍実験により調べられた。具体的には、ヒスチジン緩衝液中のADCを液体窒素で-80℃まで急速冷凍し(shock-frozen)、この温度で数週間、最大数か月保管した。試料を、完全に解凍してしまうまで室温に置いた後、資料をSE-HPLC(サイズ排除高速液体クロマトグラフィー)分析にかけ、化合物の分解を調べ、そして解凍したADCの活性を検討した。具体的には、オクテット結合アッセイにより標的抗原結合を調べ、そしてペイロード-介在細胞毒性を、陽性および陰性細胞株上で細胞力価グローアッセイによりテストした。凍結解凍ADCについての結果は、対応する凍結解凍をしていないADCと比較された。各ケースにおいて、溶解性タグを有するADCが、この凍結解凍手順において安定であることが分かった。
【0084】
エンドトキシンはPTS(ポータブルテストシステム)カートリッジ法(Nexgen)により、製造業者の取扱説明書にしたがい、標準条件下で測定された。各調製されたADCについて、エンドトキシンレベルは<5.0エンドトキシン単位(EU)/mgであったことが分かった。
【0085】
本発明の特定の実施態様が解説および説明されたが、本発明は、本明細書に記載されたその実施態様に限定されるものではないことが明らかである。多数の修飾、変更、バリエーション、置換物および等価物は、添付の特許請求の範囲により説明されるように本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者に明らかであろう。
【国際調査報告】