(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂層を含む複合断熱材
(51)【国際特許分類】
F16L 59/02 20060101AFI20240903BHJP
C01B 33/16 20060101ALI20240903BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20240903BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240903BHJP
B32B 5/16 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
F16L59/02
C01B33/16
B32B5/18
B32B27/00 B
B32B5/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505610
(86)(22)【出願日】2023-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 KR2023007507
(87)【国際公開番号】W WO2024014707
(87)【国際公開日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0085835
(32)【優先日】2022-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ソン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キュン・シル・オ
【テーマコード(参考)】
3H036
4F100
4G072
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は、ブランケット用基材および前記ブランケット用基材の内部および表面に形成されたエアロゲルを含む2以上のブランケットと、前記2以上のブランケットの間に位置し、高吸水性樹脂粒子を含む高吸水性樹脂層とを含む複合断熱材を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランケット用基材および前記ブランケット用基材の内部および表面に形成されたエアロゲルを含む2以上のブランケットと、
前記2以上のブランケットの間に位置し、高吸水性樹脂粒子を含む高吸水性樹脂層とを含む、複合断熱材。
【請求項2】
前記ブランケットと前記高吸水性樹脂層が交互に積層される、請求項1に記載の複合断熱材。
【請求項3】
前記高吸水性樹脂層は、通気性受容体および前記通気性受容体に充填された前記高吸水性樹脂粒子を含む、請求項1に記載の複合断熱材。
【請求項4】
前記通気性受容体は、互いに交差する2以上の縫合線、前記縫合線によって区画された収容部を含み、
前記高吸水性樹脂粒子は、前記収容部に収容される、請求項3に記載の複合断熱材。
【請求項5】
前記高吸水性樹脂層の坪量は、0.08~0.31g/cm
2である、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合断熱材。
【請求項6】
前記2以上のブランケットの全厚に対する前記高吸水性樹脂層の全厚の比率は、0.025~0.1である、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合断熱材。
【請求項7】
前記エアロゲルは、表面に疎水性官能基を含む、請求項1に記載の複合断熱材。
【請求項8】
前記高吸水性樹脂粒子は、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含む、請求項1に記載の複合断熱材。
【請求項9】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸またはその塩を含む、請求項8に記載の複合断熱材。
【請求項10】
前記高吸水性樹脂粒子の粒径は、10~850μmである、請求項1に記載の複合断熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年7月12日付けの韓国特許出願第10-2022-0085835号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、複合断熱材に関し、より詳細には、断熱材であるブランケットの間に高吸水性樹脂層(SAP層)を含み、これによる断熱性能が向上した複合断熱材に関する。
【背景技術】
【0003】
エアロゲル(aerogel)は、90~99.9%程度の気孔率と1~100nmの範囲の気孔径を有する高多孔性物質であり、高い気孔率と比表面積、および、従来のスチロフォームの有機断熱材より低い熱伝導率を示すスーパー断熱性(super-insulation)を有することから高効率の断熱材の用途に用いられている。
【0004】
前記エアロゲルは、触媒化したゾルがブランケット用基材に含浸およびゲル化されて生成される。ここで、前記エアロゲル、例えば、シリカエアロゲルの場合、表面に存在する親水性のシラノール基によって大気中の水分がブランケットの表面に吸着し、内部に浸透することで、前記水分によってブランケットの熱伝導が高くなり、結局、断熱性能が低下する問題が発生した。
【0005】
上記問題を解決するために、エアロゲルの表面の親水性を疎水性に改質するが、この場合にも、長期的な水分にさらされる場合、依然として断熱性能が低下する問題が解決されなかった。
【0006】
したがって、ブランケットに水分が浸透した時にも、ブランケットの断熱性能の低下を最小化することができる方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景技術で言及した問題を解決するために、水分によって熱伝導が高くなる恐れがあるブランケットの間に高吸水性樹脂層を位置させ、断熱性能が改善した複合断熱材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、ブランケット用基材および前記ブランケット用基材の内部および表面に形成されたエアロゲルを含む2以上のブランケットと、前記2以上のブランケットの間に位置し、高吸水性樹脂粒子を含む高吸水性樹脂層とを含む複合断熱材を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の複合断熱材によると、ブランケットの間に位置した高吸水性樹脂層に含まれた高吸水性樹脂粒子は、大気中の水分を吸収する特性がある。このような特性により、ブランケットに浸透する大気中の水分を予め吸収して、断熱効果を極大化することができる。また、すでにブランケットに水分が浸透した場合であっても、これを吸収することで、複合断熱材自体の低い熱伝導度を維持することができる。
【0010】
また、高吸水性樹脂粒子は、水分を吸収すると膨潤する性質があるため、水分を吸収した後、膨潤し、ブランケットを水分から保護する機能を果たすことができる。このような特性は、水分が複合断熱材のより深い内部に移動することができないように防ぐ保護膜の役割を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による複合断熱材の横断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の説明および特許請求の範囲にて用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0013】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、本発明をより詳細に説明する。
【0014】
本発明の一実施形態による複合断熱材は、ブランケット用基材および前記ブランケット用基材の内部および表面に形成されたエアロゲルを含む2以上のブランケットと、前記2以上のブランケットの間に位置し、高吸水性樹脂粒子を含む高吸水性樹脂層とを含むことができる。
【0015】
前記2以上のブランケットにおいて、前記ブランケットに含まれるブランケット用基材は、ブランケットの断熱性を改善する面で、具体的には、多孔質(porous)の基材であることができる。前記ブランケット用基材が多孔質である場合に、ブランケット用基材の内部および表面にエアロゲルを形成させる触媒化したゾルがブランケット用基材の表面に続き内部まで浸透しやすい。したがって、前記ブランケット用基材の内部まで均一にエアロゲルが形成されることができ、これにより、ブランケットおよびこれを含む複合断熱材の断熱効果を極大化することができる。
【0016】
前記ブランケット用基材としては、フィルム、シート、網、繊維マトリックス、不織布体またはこれらの2層以上の積層体であることができる。また、用途に応じて、その表面に表面粗さが形成されたか、パターン化されたものであり得る。より具体的には、前記ブランケット用基材は、エアロゲルが挿入されやすい空隙を含むことで、断熱性能をより向上させることができる繊維マトリックスであることができる。
【0017】
具体的には、前記ブランケット用基材は、ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリアラミド、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはこれらの共重合体)、セルロース、カーボン、綿、毛、麻、不織布、ガラス繊維またはセラミックウールであることができる。より具体的には、本発明のブランケット用基材は、熱伝導度が低くて断熱素材に適するガラス繊維(glass felt、glass fiber)を含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態によるブランケットは、前記ブランケット用基材の内部および表面に形成されたエアロゲルを含むことができる。前記エアロゲルは、ブランケット用基材、すなわち、ガラス繊維からなる空隙に形成されることができ、前記空隙は、ガラス繊維の三次元マトリックス構造によって構成された空間であることができる。一方、ブランケット用基材の内部および表面に形成されたエアロゲルとは、前記ブランケット用基材と複合化したエアロゲルの集合体を意味し得る。具体的には、前記ブランケット用基材の表面に形成されたエアロゲルは、一部がブランケットの外表面に露出して大気などと接している状態を意味し、前記ブランケット用基材の内部に形成されたエアロゲルは、前記ブランケットの内部に存在して前記ブランケットの外表面に露出していないエアロゲルを意味し得る。
【0019】
さらに、前記ブランケット用基材の内部および表面に形成されたエアロゲルを含むブランケットは、触媒化したゾルをブランケット用基材に含浸し、ゲル化することで製造されることができる。
【0020】
先ず、前記触媒化したゾルは、塩基触媒とゾルを含むことができる。前記ゾルは、ゾル-ゲル反応で多孔性のゲルを形成する物質であり、無機ゾル、有機ゾルまたはこれらの組み合わせを含むことができる。具体的には、無機ゾルは、ジルコニア、酸化イットリウム、ハフニア、アルミナ、チタニア、セリア、シリカ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウムおよびこれらの組み合わせを含むことができ、有機ゾルは、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフルフラールアルコール、フェノールフルフリルアルコール、メラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミドおよびこれらの組み合わせを含むことができる。より具体的には、ブランケット用基材との優れた結合性を確保して、最終的に、低い熱伝導度を有するブランケットを完成するための面で、無機ゾルであるシリカゾルを含むことができる。
【0021】
具体的には、前記シリカゾルは、シリカ前駆体、水および有機溶媒を混合して製造されることができ、前記シリカ前駆体は、ケイ素含有アルコキシド系化合物を含むことができる。具体的には、テトラメチルオルトシリケート(tetramethyl orthosilicate;TMOS)、テトラエチルオルトシリケート(tetraethyl orthosilicate;TEOS)、メチルトリエチルオルトシリケート(methyl triethyl orthosilicate)、ジメチルジエチルオルトシリケート(dimethyl diethyl orthosilicate)、テトラプロピルオルトシリケート(tetrapropyl orthosilicate)、テトライソプロピルオルトシリケート(tetraisopropyl orthosilicate)、テトラブチルオルトシリケート(tetrabutyl orthosilicate)、テトラセカンダリーブチルオルトシリケート(tetra secondary butyl orthosilicate)、テトラターシャリーブチルオルトシリケート(tetra tertiary butyl orthosilicate)、テトラヘキシルオルトシリケート(tetrahexyl orthosilicate)、テトラシクロヘキシルオルトシリケート(tetracyclohexyl orthosilicate)、テトラドデシルオルトシリケート(tetradodecyl orthosilicate)などのテトラアルキルシリケートを含むことができ、より具体的には、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含むことができる。
【0022】
前記シリカ前駆体はシリカゾル内に含まれるシリカ(SiO2)の含量が3重量%~30重量%になるようにする量で用いられることができる。前記シリカの含量が3重量%未満である場合、ブランケット用基材の内部および表面に形成されるエアロゲルが低すぎて、目的とする水準の断熱効果を期待することができない問題が発生し得、30重量%を超える場合、過剰なエアロゲルの形成によってブランケットの機械的物性、特に、柔軟性が低下する恐れがある。
【0023】
なお、前記シリカゾルは、有機溶媒および水を含むことができ、前記有機溶媒は、シリカ前駆体および水との相溶性の面で、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびブタノールのうち1以上であることができる。
【0024】
一方、前記触媒化したゾルに含まれる塩基触媒は、前記ゾルのpHを増加させて、後述するゲル化ステップでゲル化を促進する物質であり、前記塩基触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの無機塩基または水酸化アンモニウムなどの有機塩基であることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化アンモニウムまたはこれらの混合物であることができる。
【0025】
次に、前記触媒化したゾルをブランケット用基材に含浸させることができる。ここで、含浸とは、ブランケット用基材に流動性がある触媒化したゾルを投入することで行われ、これにより、ブランケット用基材の内部および表面の空隙に触媒化したゾルが浸透することを示すことができる。
【0026】
前記触媒化したシリカゾルがブランケット用基材に含浸してゲル化が生じ、これにより、湿潤ゲル-繊維複合体が得られる。前記ゲル化(gelation)とは、触媒化したゾルから網状構造を形成することであり得、前記網状構造(network structure)は、原子配列が1種あるいはそれ以上の種類からなっているある特定の多角形が連なった平面網状の構造または特定の多面体の頂点、角、面を共有して三次元骨格構造を形成している構造を示すことができる。
【0027】
前記ゲル化は、ブランケット用基材に触媒化したゾルを含浸した後、0.5時間~2.0時間放置することでゲル化を誘導することができ、20℃~50℃の温度範囲内で実施されることができ、好ましくは、常温で行われることができる。
【0028】
次に、湿潤ゲル-繊維複合体を適当な温度に放置し、化学的変化が完全に行われるように熟成することができ、熟成は、前記形成された網状構造をさらに強固に形成させることができて、ブランケットの断熱性を強化することができる。前記熟成は、30℃~70℃の温度で3時間~50時間放置して行うことができる。
【0029】
本発明の一実施形態によるブランケットは、ブランケット用基材に触媒化したゾルを含浸、ゲル化および熟成することで、ブランケット用基材の内部および表面にエアロゲルが形成されることができる。このように、ブランケット用基材の内部および表面に形成されたエアロゲルを乾燥した直後には、低い熱伝導率を維持する。しかし、前記エアロゲルは、エアロゲルの表面に存在する親水性官能基によって水分に対する脆弱性を示す。
【0030】
前記エアロゲルの表面に存在するヒドロキシ官能基、例えば、シリカエアロゲルの場合、シリカの表面に存在する親水性シラノール基(Si-OH)が大気中の水分を吸収して、熱伝導率が徐々に高くなる欠点がある。
【0031】
本発明のブランケットは、断熱材として用いられるため、上記のような欠点は致命的であり得る。したがって、低い熱伝導率を維持するために、エアロゲルの表面を疎水性に改質して、表面に存在する親水性官能基を疎水性官能基に置換する必要がある。
【0032】
前記エアロゲルの表面を疎水性に改質するためには、極性溶媒および有機シラン化合物を含む表面改質剤を用いることができる。前記極性溶媒は、メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールであることができ、有機シラン化合物は、トリメチルクロロシラン(Trimethylchlorosilane、TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(hexamethyldisilazane、HMDS)、メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane、MTMS)、トリメチルエトキシシラン(trimethylethoxysilane、TMES)、エチルトリエトキシシラン(ethyltriethoxysilane、ETES)、またはフェニルトリエトキシシラン(phenyltriethoxysilane、PTES)であることができ、より具体的には、トリメチルエトキシシランまたはヘキサメチルジシラザンであることができる。
【0033】
このように、ブランケット用基材に含浸およびゲル化して形成されたエアロゲルが表面改質された後、乾燥されることで、前記エアロゲルは、表面に疎水性官能基を含むことができる。本発明の一実施形態によるシリカエアロゲルは、表面が疎水性官能基で置換されて優れた断熱性を有し、これを含むシリカエアロゲル含有ブランケットは、低い熱伝導度を確保することができる。
【0034】
しかし、このようにエアロゲルの表面を疎水性官能基で置換したにもかかわらず、結局、長期的な水分露出によってブランケットの熱伝導度が上昇し、断熱性能が低下し得る。したがって、後述するように、本発明の複合断熱材に高吸水性樹脂層を備えることで、水分による劣化、すなわち、エアロゲルの断熱性能の低下を防止する。
【0035】
一方、本発明の一実施形態によるブランケットは、一つのブランケット内の位置による熱伝導度の偏差が3.0mW/m・K以下であることを特徴とし、好ましくは2.0mW/m・K以下または1.0mW/m・K以下であることができる。ここで、前記差がなく0の値を有するもの、すなわち、ブランケット内の同じ熱伝導度を有するものも本発明の範囲に含まれることができる。
【0036】
また、前記ブランケットは、その厚さ偏差が1.5mm以下、1.2mm以下、0.7mm以下、好ましくは0.5mm以下であることができる。
【0037】
前記熱伝導度および厚さの偏差は、裁断したブランケットで示されることができる特徴であり、具体的には0.01m2~10.0m2の面積、より具体的には0.36m2~5.0m2の面積で、両端部から各30cm間隔の面積で測定した値の間の差であることができる。
【0038】
一例として、前記ブランケットの熱伝導度および厚さはブランケット内において所定のサイズを有する複数のサンプルを所定の間隔を置いて取得し、各サンプルに対して、NETZSCH社製のHFM 436 Lambda装備を用いて、常温(23±5℃)で熱伝導度を測定した。複数のサンプルで両端部から各30cm間隔の面積で測定された熱伝導度の値を比較して示すことができる。
【0039】
ここで、ブランケットでのサンプルの個数は、ブランケットの長さに応じて異なり得、一例として、2個~20個、3個~10個、3個~5個であることができる。
【0040】
また、本発明の一実施形態によると、前記ブランケットは、エアロゲルおよびブランケット用基材を含み、具体的には、ブランケット用基材の内部および表面にエアロゲルが形成されてもよく、またはブランケット用基材の内部および表面に多量のエアロゲル粒子が均一に形成されてもよい。
【0041】
前記ブランケットは、10mW/m・K~20mW/m・Kの改善した熱伝導度を有することができる。この範囲内で、ブランケットの断熱性を最大限に確保できる効果がある。前記の熱伝導度は、NETZSCH社製のHFM 436 Lambda装置を用いて、熱流速法(heat flow method)により常温(23±5℃)で測定した値である。
【0042】
本発明の一実施形態による複合断熱材に含まれたブランケットは、エアロゲルを含むことができ、例えば、シリカエアロゲルの場合、上述のように、表面に存在する親水性のシラノール基(Si-OH)が大気中の水分を吸収することで、熱伝導度が徐々に高くなる欠点がある。したがって、低い熱伝導度を維持するためには、エアロゲルの表面を疎水性に改質することが一般的である。
【0043】
上述のように、前記ブランケットは、このように低い熱伝導度を維持するために、表面が疎水性に改質されたシリカエアロゲルを含んでいるにもかかわらず、断熱効果を極大化することができない。疎水性処理をしたため、短時間で水分に露出する場合には大きい問題がない可能性があるが、長期的な水分露出による水分浸透が、結局、ブランケットの断熱性能を減少させるためである。結局、疎水性処理は水分に対する根本的な解決策にはなれない。
【0044】
したがって、本発明の一実施形態による複合断熱材は、前記ブランケットの間に高吸水性樹脂層を位置させ、大気中の水分およびブランケットに浸透した水分を前記高吸水性樹脂層に含まれた高吸水性樹脂粒子が吸収することができるようにする。前記高吸水性樹脂粒子は、粒子周辺の水分を吸収し、膨潤する性質があることから、複合断熱材の性能低下を最小化することができる。
【0045】
具体的には、前記高吸水性樹脂粒子は、少なくとも一部が中和した酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤の架橋重合体を含むことができる。ここで、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸またはその塩を含むことができる。例えば、前記水溶性エチレン系不飽和単量体としてアクリル酸およびまたはそのナトリウム塩などのアルカリ金属塩を用いる場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂粒子を得ることができる。
【0046】
その他にも、前記水溶性エチレン系不飽和単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタアクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性単量体とその塩;(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有単量体;および(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体とその四級化物からなる群から選択されたいずれか1種以上を含むことができる。
【0047】
一方、前記高吸水性樹脂粒子は、内部架橋剤によって架橋された架橋重合体を含むことができる。前記内部架橋剤は、上記の水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合を架橋させて重合させる役割を果たすことができる。
【0048】
前記内部架橋剤としては、フリーラジカル重合(Free-Radical Polymerization;FRP)反応によって架橋反応が行われる(メタ)アクリレート系化合物であることができる。具体的には、前記内部架橋剤は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上の化合物であることができる。より具体的には、中でも、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートであることができる。
【0049】
本発明の架橋重合体は、水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含む組成物の重合反応により製造されることができ、ここで、前記組成物で内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して、0.01~5重量部であることができる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して、0.01重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部、または0.2重量部以上であり、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、または0.5重量部以下であることができる。前記内部架橋剤の含量が低すぎる場合、架橋が十分に行われず、適正水準以上の強度の実現が難しく、上部内部架橋剤の含量が高すぎる場合、内部架橋密度が高くなって所望の保水能の実現が難しい。
【0050】
なお、本発明の高吸水性樹脂粒子は、表面に表面架橋層を含むことができる。ここで、前記表面架橋層は、表面架橋剤から架橋されることができ、前記表面架橋剤は、多価エポキシ化合物を含み、前記多価エポキシ化合物は、多価アルコールのグリシジルエーテル化合物であることができる。
【0051】
具体的には、前記表面架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethyleneglycol diglycidyl ether)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(diethyleneglycol diglycidyl ether)、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル(triethyleneglycol diglycidyl ether)、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル(tetraethyleneglycol diglycidyl ether)、グリセリンポリグリシジルエーテル(glycerin polyglycidyl ether)、およびソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitol polyglycidyl ether)からなる群から選択される1種以上の多価エポキシ化合物を含むことができる。
【0052】
前記表面架橋剤は、後述するベース樹脂100重量部に対して、約0.001~約5重量部であることができる。具体的には、前記表面架橋剤は、前記ベース樹脂100重量部に対して、約0.005重量部以上、約0.01重量部以上、約0.05重量部以上であり、約4重量部以下、約2重量部以下、または約1重量部以下であることができる。前記表面架橋剤の含量が低すぎる場合、表面架橋層の架橋密度が低すぎて、加圧下、吸収能などの吸収特性が低下し得、前記表面架橋剤の含量が高すぎる場合、過剰な表面架橋反応が行われて、高吸水性樹脂粒子の再湿潤現象の抑制が難しい。
【0053】
一方、本発明の複合断熱材に含まれた高吸水性樹脂粒子の粒径(D50)は、10~850μmであることができる。通常、高吸水性樹脂粒子の粒径が150μm以下である場合は、微粉、および150μm超850μm以下である場合は、正常粒子に分級される。ここで、一般的に、正常粒子を主に製品化するのに対し、本発明での複合断熱材は、水分を吸収し、自ら膨潤する高吸水性樹脂粒子の特性を用いることから、粒径のサイズとは無関係である。したがって、本発明の前記高吸水性樹脂粒子は、正常粒子の他にも、微粉粒子をさらに含むことができる。前記粒径は、レーザ回折法(laser diffraction method)を用いて測定されることができる。
【0054】
前記高吸水性樹脂粒子を製造するための方法を段階的に説明すると、以下のとおりである。まず、組成物の重合反応を行う。前記組成物は、前述の水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤、そして重合開始剤を含むことができ、必要に応じて、さらに、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤の添加剤を含むことができる。
【0055】
前記組成物は重合反応により含水ゲル重合体を形成することができる。前記含水ゲル重合体を乾燥および粉砕するステップにおいて、乾燥効率を高めるために、含水ゲル重合体を乾燥する前に粗粉砕する工程を含むことができる。前記のように、粗粉砕工程を経るか、あるいは粗粉砕工程を経ていない重合直後の含水ゲル重合体に対して乾燥を行う。その後、前記乾燥ステップを経て得られた乾燥した重合体を粉砕し、ベース樹脂を製造するステップが行われることができる。
【0056】
次に、表面架橋剤の存在下で、前記ベース樹脂の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する表面架橋結合反応ステップが行われる。一般的に、表面架橋剤は、ベース樹脂の表面に塗布される。したがって、前記表面架橋結合反応は、ベース樹脂の表面上で行われ、これは、粒子の内部には実質的に影響を及ぼすことなく、ベース樹脂の表面上での架橋結合性を改善する。したがって、表面架橋結合したベース樹脂は、内部でよりも表面付近でさらに高い架橋結合度を有する。表面架橋剤が添加されたベース樹脂を加熱することで、表面架橋結合反応および乾燥が同時に行われることができる。
【0057】
前記表面架橋の後、表面架橋層が形成されたベース樹脂を分級するステップが後続することができる。前記ベース樹脂を粉砕および分級などの工程により高吸水性樹脂粒子に完成することができる。その後、前記高吸水性樹脂粒子を粒径に応じて分類し、使用目的による適切な粒径の高吸水性樹脂粒子を製品化することができる。
【0058】
前記高吸水性樹脂粒子は、EDANA法WSP 241.3に準じて測定した保水能(CRC)が24g/g以上、または25g/g以上、または26g/g以上であり、40g/g以下、38g/g以下、または36g/g以下の範囲を有することができる。
【0059】
また、前記高吸水性樹脂粒子は、EDANA法WSP 242.3に準じて測定した0.7psiでの加圧吸収能(AUP)が18g/g以上、または20g/g以上または22g/g以上であり、27g/g以下、または25g/g以下であることができる。
【0060】
前記高吸水性樹脂層に含まれた高吸水性樹脂粒子は、基本的に大気中の水分を吸収する特性があることから、ブランケットに浸透する大気中の水分を予め吸収することができる。また、前記ブランケットにすでに浸透した水分も高吸水性樹脂粒子に吸収されることで、複合断熱材の断熱性能の低下を最小化することができる。
【0061】
本発明の一実施形態による複合断熱材について詳細に説明するために、以下、
図1の(a)および(b)を参照すると、前記複合断熱材1は、ブランケット2の間に前記高吸水性樹脂層3とブランケット2が交互に積層される構造であることができる。
図1(a)の場合は、前記ブランケット2の間に高吸水性樹脂層3が一つとして積層された複合断熱材1であり、
図1の(b)場合は、前記ブランケット2の間に交互に高吸水性樹脂層3、ブランケット2、および高吸水性樹脂層3が順に積層される構造であり、前記高吸水性樹脂層3が2個として積層された複合断熱材1である。すなわち、前記複合断熱材1において断熱材の役割をするブランケット2の1面以上は、高吸水性樹脂層3と当接し得るが、前記高吸水性樹脂層3に含まれた高吸水性樹脂粒子は、自重で最大50倍に該当する水分を吸収することができる特性がある。したがって、断熱材であるブランケット2内の水分を最小化するために卓越した役割を果たす。また、高吸水性樹脂粒子が水分を吸収しても、前記水分吸収による前記複合断熱材1の熱伝導度の低下が大きくないことができる。すなわち、高吸水性樹脂粒子の良好な吸湿特性によって、水分によるブランケット2の熱伝導度の増加の抑制が可能であり、吸湿された高吸水性樹脂層3による熱伝導度の増加の程度が大きくないことから、複合断熱材1自体の水分による熱伝導度の増加が防止され、これにより、良好な断熱性能の維持が可能である。
【0062】
本発明の複合断熱材1は、以下、
図1の(a)および(b)を参照すると、高吸水性樹脂層3は、前記2以上のブランケット2の間に位置することができる。前記高吸水性樹脂層3は、前記ブランケット2上に形成されたコーティング層であることができ、高吸水性樹脂粒子が通気性受容体に充填された充填層であることができる。具体的には、本発明の一実施形態による高吸水性樹脂層3は、通気性受容体および前記通気性受容体に充填された前記高吸水性樹脂粒子を含むことができる。
【0063】
前記コーティング層の場合、前記高吸水性樹脂粒子を分散溶媒およびバインダーと攪拌および混合して準備されるコーティング液を前記ブランケット2上に塗布して乾燥することで形成されることができる。
【0064】
前記充填層の場合、別の通気性受容体に前記高吸水性樹脂粒子を充填させ、前記通気性受容体を密封した後、前記2以上のブランケット2の間に載置し押圧して形成されることができる。
【0065】
具体的には、前記高吸水性樹脂粒子は、粉末の形態で存在することから、ダストのように飛び散る特性がある。前記高吸水性樹脂層3をバインダーとともにコーティング層として適用する場合であっても、複合断熱材の表面の一部高吸水性樹脂粒子の相互間の接着力が弱くなることによって前記高吸水性樹脂粒子が別に離れて飛び散る可能性があるため、前記高吸水性樹脂層3は、充填層の形態で適用されることが好ましい。
【0066】
したがって、前記通気性受容体は、前記高吸水性樹脂粒子が通過することなく、水分および空気が通過する網状の構造体であることができる。ここで、前記通気性受容体としては、ナイロン、ガラス繊維(glass fiber)/ポリエチレン(Polyethylene;PE)、不織布素材および生分解素材(例えば、Poly Lactic Acid;PLA)を含むことができる。
【0067】
本発明の一実施形態によると、前記通気性受容体は、互いに交差する2以上の縫合線、前記縫合線によって区画された収容部を含み、高吸水性樹脂粒子は、前記収容部に収容されることができる。前記縫合線は、通気性受容体を交差して横切って縫合する線であり、前記縫合線が生成されることで、高吸水性樹脂粒子が収容され得る空間である収容部が生成される。前記収容部は、通気性受容体を平面から見た時に、多数の正方形または長方形の形態をなすことができる。
【0068】
前記通気性受容体に縫合線および収容部なしに高吸水性樹脂粒子を充填すると、通気性受容体内の高吸水性樹脂粒子が通気性受容体の面積内に不均一に充填された状態を引き起こし得る。例えば、前記板状の前記複合断熱材を縦に立てて断熱材として適用する場合、重力によって前記高吸水性樹脂粒子が下方に密集するため、高吸水性樹脂粒子の不均一な分布が発生し得る。したがって、互いに交差する2以上の縫合線を介して収容部の区画を形成し、前記収容部に高吸水性樹脂粒子を充填することで、前記複合断熱材が立てられて縦に適用される場合にも、高吸水性樹脂粒子が前記通気性受容体内に均一に収容された状態を図ることができる。
【0069】
本発明の一実施形態によると、高吸水性樹脂層の坪量は、0.08~0.31g/cm2であることができ、より具体的には0.15~0.25g/cm2であることができる。前記坪量は、高吸水性樹脂層の面積に対して前記高吸水性樹脂層に含まれた高吸水性樹脂粒子の全質量に対する比率を意味する。したがって、高吸水性樹脂層の面積に応じて高吸水性樹脂粒子の質量を前記範囲内で前記高吸水性樹脂層に含ませることが、高吸水性樹脂層の吸湿性能を極大化することができる。
【0070】
具体的には、前記坪量が0.08g/cm2以上である場合に、前記高吸水性樹脂層が複合断熱材内のブランケットに浸透した水分および大気中に浸透する水分を適切に吸収して、複合断熱材自体の湿度または含水率を下げる効果がある。これにより、水分雰囲気下での複合断熱材の断熱性能の低下を防止することができる。
【0071】
前記坪量が0.31g/cm2以下である場合に、例えば、高吸水性樹脂層が過剰な比重もしくは厚さで形成されることに伴う複合断熱材全体の断熱性能の低下を防止することができる。
【0072】
一方、本発明の高吸水性樹脂層に含まれる高吸水性樹脂粒子は、水分を吸収すると膨潤する特性がある。すなわち、離隔していた前記高吸水性樹脂粒子が周辺の水分および複合断熱材に浸透した水分を吸収しながら膨潤し、保護膜を形成することができる。前記保護膜は、浸透した水分が複合断熱材の表面に続きさらに深い内部に移動することができないように防ぐ役割を果たすことができる。なお、外部衝撃から複合断熱材の破損を防ぐ緩衝効果およびブランケットの破損による水分の浸透を防ぐ役割も果たすことができる。かりに、前記ブランケットが破損しても前記保護膜によって水分がブランケットに過剰に浸透することを防ぐことができる。
【0073】
本発明の一実施形態によると、2以上のブランケットの全厚に対する前記高吸水性樹脂層の厚さの比率は、0.025~0.1であることができる。前記厚さの比率が0.1超である場合、高吸水性樹脂層の過剰に膨潤して厚く形成されることで、複合断熱材の断熱効果が低くなり得、かえって複合断熱材自体の水分過多による熱伝導度の低下が引き起こされ得る。なお、厚さの比率が0.025未満である場合、多少薄い高吸水性樹脂層によってブランケットの断熱に悪影響を及ぼす水分を吸収して、複合断熱材の断熱効果を維持しようとする高吸水性樹脂層の効果があまりない可能性がある。
【0074】
前記2以上のブランケットの全厚に対する前記高吸水性樹脂層の全厚の比率は、例えば、2個のブランケットの間に1個の高吸水性樹脂層が位置する場合、2個のブランケット厚さの総和に対する高吸水性樹脂層の厚さの比率を意味し得る。ここで、前記厚さは、バーニアキャリパーにより測定することができる。
【0075】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは通常の技術者にとって明白であり、これにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
【0076】
実施例
実施例1
(1)ブランケットの製造
テトラエチルオルトシリケート(TEOS)と水を1:4のモル比で混合し、TEOSと1:5の重量比を有するエタノールを添加してシリカゾルを製造し、前記シリカゾルに塩基触媒を投入して、触媒化したゾルを製造した。
【0077】
前記触媒化したゾルが満たされた反応器に、ブランケット用基材としてガラス繊維を入れてシリカゾルをブランケット用基材に含浸させ、1時間常温で放置してゲル化して湿潤ゲル-繊維複合体を得た後、温度を60℃に昇温させてから24時間放置して熟成を行った。
【0078】
次に、表面改質剤としてエタノール(含水率8重量%)にトリメチルエトキシシランが40体積%になるように希釈した溶液を準備する。前記表面改質剤を反応器に投入し、60℃で24時間疎水性処理を行って、疎水性官能基が付与されたエアロゲルをブランケット用基材の内部および表面に形成した。
【0079】
最後に、150℃および常圧の条件で、1時間オーブン乾燥して、厚さが10mmである板状のブランケットを製造した。
【0080】
(2)高吸水性樹脂粒子の製造
攪拌機、温度計を取り付けた3Lガラス容器に、アクリル酸100g(1.388mol)、内部架橋剤であるポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)0.26g、重合開始剤である光重合開始剤ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド0.008gおよび熱重合開始剤である過硫酸ナトリウム0.20g、32%の苛性ソーダ溶液123.5gを常温で固形分含量が45.0重量%になるように水とともに混合して、組成物を製造した。
【0081】
次に、前記組成物を幅10cm、長さ2mのベルトが10cm/minの速度で回転するコンベアベルト上に供給した。ここで、重合反応は、光源が備えられたコンベアベルト上で20分間行われ、これにより、含水率が45重量%である含水ゲル重合体を得た。
【0082】
次に、前記含水ゲル重合体を300μm~5000μmの粒径を有する粒子になるように、ミートチョッパを用いて粉砕した。その後、前記粉砕物をAir-flowオーブンを用いて、185℃のホットエア(hot air)で30分間乾燥した。前記粉砕、乾燥および分級を経てベース樹脂を得た。
【0083】
前記ベース樹脂100gに、水、メタノールおよび表面架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテルを混合した表面架橋溶液を投入した後、198℃で表面架橋結合反応を行った。そして、これを粉砕および分級して、粒径10~850μmの高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0084】
(3)高吸水性樹脂層の製造
前記高吸水性樹脂粒子の製造において製造された10gの高吸水性樹脂粒子を64cm2(長さ8cm×幅8cm)の面積を有する板状の通気性受容体に充填した後、これを水平にしてから、充填された高吸水性樹脂粒子を均一に分布させた。その後、前記通気性受容体の長さ方向に1個の縫合線および幅方向に1個の縫合線で縫合し、これらの縫合線が交差することで、4個の収容部が区画されるようにした。このような縫合線が生成されることで区画された多数の収容部に高吸水性樹脂粒子が均一に収容された状態であり、坪量が0.16g/cm2であり、厚さが1mmである高吸水性樹脂層を製造した。
【0085】
(4)複合断熱材の製造
前記ブランケットの製造によって準備された10mmの厚さおよび144cm2(長さ12cm×幅12cm)の面積の板状のブランケット上に前記高吸水性樹脂層を積層させた。前記積層された高吸水性樹脂層上に前記ブランケットと同じブランケットを積層させた後、押圧することで、前記ブランケットと高吸水性樹脂層を接着させた。このようにして、前記2個のブランケットの間に高吸水性樹脂層の厚さが1mmであり、0.16g/cm2の坪量で位置させた。したがって、2個のブランケットの全厚に対する前記高吸水性樹脂層の全厚の比率が0.05である複合断熱材を製造した。
【0086】
実施例2
前記実施例1で用いられた高吸水性樹脂層に充填された高吸水性樹脂粒子の量が20gであり、前記高吸水性樹脂層の坪量が0.31g/cm2である以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて複合断熱材を製造した。
【0087】
実施例3
前記実施例1で、高吸水性樹脂粒子を板状の通気性受容体に充填した後、互いに交差する2以上の縫合線を形成していない以外は、すなわち、別の収容部を区画していない以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて複合断熱材を製造した。
【0088】
実施例4
前記実施例1で用いられた高吸水性樹脂層に充填された高吸水性樹脂粒子の量が3gであり、前記高吸水性樹脂層の坪量が0.05g/cm2である以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて複合断熱材を製造した。
【0089】
実施例5
前記実施例1で用いられた高吸水性樹脂層に充填された高吸水性樹脂粒子の量が25gであり、前記高吸水性樹脂層の坪量が0.39g/cm2である以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて複合断熱材を製造した。
【0090】
比較例
比較例1
前記実施例1で高吸水性樹脂層を用いておらず、厚さが20mmである単層のブランケットを用いた以外は、前記実施例1と同じ方法を用いて複合断熱材を製造した。
【0091】
実験例
前記実施例1~5、および比較例1で製造した複合断熱材に対して、以下のような方法で熱伝導度を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0092】
【0093】
前記実施例1~5、および比較例1で製造した複合断熱材のサンプルを準備し、前記サンプルの重量をAND WBA-6200 High-precision Balance(0.01g-6200g)を介して測定した。また、前記サンプルの常温(23±5℃)で、熱伝導度は、NETZSCH社製のHFM 436 Lambda装置を用いて測定した。
【0094】
その後、前記複合断熱材のサンプルを恒温恒湿器に投入して、温度80℃および湿度95%の条件下で吸湿させる。このように吸湿された状態のサンプルの重量と熱伝導度を上述の方法のように測定した。
【0095】
前記表1と同様、実施例もしくは比較例の複合断熱材の吸湿前の熱伝導度はいずれも同一であるが、吸湿条件にさらされた後は、実験例1~5の熱伝導度が低いため、断熱性能が優秀に維持されたことを確認することができた。したがって、高吸水性樹脂層の存在が複合断熱材の断熱性能を極大化できることを確認することができた。なお、前記高吸水性樹脂層の吸湿特性により、複合断熱材内のブランケットに浸透される水分を最小化できることを確認することができた。
【0096】
また、実験例6、7は比較例1から製造された複合断熱材として、高吸水性樹脂層を備えていない複合断熱材に対して、恒温恒湿器に同じ条件で吸湿させた場合(実験例6)、および前記複合断熱材を25℃の恒温槽に浸したまま水面上に浮上しないように分銅を載せて固定した場合(実験例7)において、断熱効果である熱伝導度を測定した結果を示す。前記実験例6および7は、吸湿前に比べて熱伝導度が44%および196%増加し、高吸水性樹脂層が存在する実験例1に比べて確実に低下した断熱能力を確認することができた。
【国際調査報告】