(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクスデバイス用のA-D-A’-D-Aタイプの光応答性非対称非フラーレン受容体
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20240903BHJP
H10K 30/60 20230101ALI20240903BHJP
H10K 30/30 20230101ALI20240903BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240903BHJP
【FI】
C07D519/00 CSP
H10K30/60
H10K30/30
H10K85/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506743
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2022072163
(87)【国際公開番号】W WO2023012365
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】マチェイチック,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヤコビ-グロス,ニール
【テーマコード(参考)】
3K107
5F149
【Fターム(参考)】
3K107EE68
5F149AB11
5F149BA09
5F149BB03
5F149CB05
5F149DA30
5F149LA01
5F149XA01
5F149XA43
5F149XA53
5F149XA61
(57)【要約】
式(I)の化合物であって、A
1は電子受容性基であり、D
1及びD
2は、各出現時に独立して、電子供与性基であり、A
1、A
2、及びA
3は、各々独立して電子受容性基であり、B
1及びB
2は、各出現時に独立して架橋基であり、x
1及びx
2は、各々独立して、0、1、2、又は3であり、y
1及びy
2は、各々独立して少なくとも1であり、z
1及びz
2は、各々独立して、0、1、2、又は3であり、(i)~(iv):(i)(D
1)y1と(D
2)y2とが異なる、(ii)A
2とA
3とが異なる、(iii)(B
1)x1と(B
1)x2とが異なる、及び(iv)(B
2)z1と(B
2)z2とが異なるうち少なくとも1つが該当する、化合物。前記式(I)の化合物は、有機光検出器の電子受容体として使用されてもよい。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
A
1は電子受容性基であり、
D
1及びD
2は、各出現時に独立して、電子供与性基であり、
A
1、A
2、及びA
3は、各々独立して電子受容性基であり、
B
1及びB
2は、各出現時に独立して架橋基であり、
x
1及びx
2は、各々独立して、0、1、2、又は3であり、
y
1及びy
2は、各々独立して少なくとも1であり、
z
1及びz
2は、各々独立して、0、1、2、又は3であり、
(i)~(iv)、
(i)(D
1)
y1と(D
2)
y2とが異なる、
(ii)A
2とA
3とが異なる、
(iii)(B
1)
x1と(B
1)
x2とが異なる、及び
(iv)(B
2)
z1と(B
2)
z2とが異なる、のうち少なくとも1つが該当する、化合物。
【請求項2】
D
1とD
2が異なる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(B
2)
z1と(B
2)
z2とが異なる、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
z
1とz
2が異なる、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
z
1及びz
2がそれぞれ1であり、(B
2)
z1のB
2は、(B
2)
z2のB
2と異なる、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
A
1は式(II)の基であり、
【化2】
式中、
Ar
1は芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、
Yは、O、S、NR
4又はR
1-C=C-R
1であり、式中、R
1は各出現時に独立してH又は置換基であり、2つの置換基R
1が結合して単環式環又は多環式環を形成してもよく、R
4はH又は置換基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記式(II)の基が、式(IIa)を有する、請求項6に記載の化合物、
【化3】
【請求項8】
前記式(II)の基が、式(IIb)を有する、請求項6に記載の化合物、
【化4】
【請求項9】
2つのR
1基が結合していない、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
各R
1が、H、F、CN、NO
2、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、CO、COO、NR
4、PR
4、又はSi(R
3)
2で置き換えられてもよく、1つ以上のH原子がFで置き換えられてもよいC
1~20アルキル、及び非置換であってもよく、又は1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールから独立して選択され、式中、R
3及びR
4は、各々独立してH又は置換基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
2つのR
1基が結合している、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
前記式(IIb)の化合物が、式(IIb-1)又は(IIb-2)を有し、
【化5】
式中、
Ar
2は、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている芳香族又はヘテロ芳香族基であり、
Xは、O、S、SO
2、NR
4、PR
4、C(R
3)
2、Si(R
3)
2C=O、C=S、及びC=C(R
5)
2から選択され、ここで、R
3及びR
4は、各出現時に独立して、H及び置換基から選択され、R
5は各出現時に独立して電子求引性基である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Ar
2が、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されているベンゼンである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
x
1及びx
2のうち少なくとも1つが少なくとも1であり、B
1は、各出現時に独立して、それぞれが非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されているビニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリーレンビニレン及びヘテロアリーレンビニレンから選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
z
1及びz
2のうち少なくとも1つが少なくとも1であり、B
2は、各出現時に独立して、それぞれが非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されているビニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリーレンビニレン及びヘテロアリーレンビニレンから選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
D
1及びD
2が、各々独立して式(VIIa)~(VIIp)の単位から選択され、
【化6】
式中、Y
Aは各出現時に独立してO、S、又はNR
55であり、Z
Aは各出現時にO、S、NR
55、又はC(R
54)
2であり、R
51、R
52、R
54、及びR
55は各出現時に独立してH又は置換基であり、R
53は各出現時に独立して置換基である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
A
2及びA
3のうち少なくとも1つが非芳香族炭素-炭素二重結合を含み、前記炭素-炭素二重結合の炭素原子が、D
1若しくはD
2に、又は存在する場合はB
2に直接結合している、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
A
2及びA
3が、各々独立して式(IIIa)~(IIIq)の基から選択され、
【化7】
式中、
Uは、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されており、1つ以上の更なる環に縮合され得る5又は6員環であり、
R
10はH又は置換基であり、
JはO又はSであり、
R
13は各出現時において、置換基であり、
R
15は各出現時に独立してH又は置換基であり、
R
16は置換基であり、
Ar
6は、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている5員のヘテロ芳香族基であり、
T
1、T
2、及びT
3は、各々独立して、1つ以上の更なる環に縮合され得るアリール又はヘテロアリール環を表し、T
1、T
2、及びT
3のそれぞれは独立して非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換され、
Ar
8は、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されており、且つB
2の芳香族C原子及びB
2のホウ素置換基に結合した縮合ヘテロ芳香族基である、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
A
2及びA
3のうち少なくとも1つが式(IIIa-1)の基であり、
【化8】
式中、
各X
1~X
4は、独立して、CR
12又はNであり、式中、R
12は各出現時においてHであるか、又はC
1~20ヒドロカルビル及び電子求引性基から選択される置換基である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が900nmを超える吸収ピークを有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
電子供与性材料及び電子受容性材料を含む組成物であって、前記電子受容性材料が、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物である、組成物。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物又は組成物を含む活性層を含む、有機電子デバイス。
【請求項23】
前記有機電子デバイスは、アノードとカソードとの間に配置されたバルクヘテロ接合層を含む有機光応答性デバイスであり、前記バルクヘテロ接合層は、請求項21に記載の組成物を含む、請求項22に記載の有機電子デバイス。
【請求項24】
前記有機光応答性デバイスは、有機光検出器である、請求項23に記載の有機電子デバイス。
【請求項25】
光源と、請求項24に記載の有機光検出器とを含む光センサであって、前記光センサは、前記光源から放出された光を検出するように構成されている、光センサ。
【請求項26】
前記光源が、900nmを超えるピーク波長を有する光を放出する、請求項25に記載の光センサ。
【請求項27】
1つ以上の溶媒中に溶解又は分散された請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物又は組成物を含む、配合物。
【請求項28】
前記活性層の形成が、表面上への請求項27に記載の配合物の堆積と、前記1つ以上の溶媒の蒸発と、を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の有機電子デバイスを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示の実施形態は、電子受容性化合物に関し、より具体的には、限定するものではないが、電子受容性単位及び電子供与性単位を含有する化合物に関し、該化合物は光応答性デバイスにおける電子受容性材料としての使用に好適である。
【0002】
電子受容性非フラーレン化合物は既知である。
【0003】
米国特許出願公開20200328357号明細書は、アルキルチエニル単位及びアルコキシチエニル単位を含む2つの異なるπ架橋を有する非対称A-D’-D-D’’-A非フラーレン受容体を開示している。
【0004】
国際公開第2020182174号パンフレットは、電子供与性部分と電子求引性部分とが共役構造に沿って交互に配置された供与体-受容体(D-A)構造を有する、バイオイメージング用途の蛍光化合物を開示している。
【0005】
Zhang et al,“Non-Fullerene Acceptors with an Optical Response over 1000 nm toward Efficient Organic Solar Cells”,ACS Appl.Mater.Interfaces 2021,13,43,51279-51288は、π架橋単位及び様々な末端基を備えたNFAを開示している。
【0006】
Kang et al,“Push-Pull Type Non-Fullerene Acceptors for Polymer Solar Cells: Effect of the Donor Core”,ACS Appl.Mater.Interfaces 2017,9,29,24771-24777は、太陽電池用の非フラーレン受容体を開示している。
【0007】
Li et al,“Asymmetric A-D-π-A-type nonfullerene small molecule acceptors for efficient organic solar cells” J.Mater.Chem.A,2019,7,19348-19354は、A-D-π-A構造を備えた非対称の非フラーレン小分子受容体TTPT-T-2Fを開示している。
【発明の概要】
【0008】
【0009】
A1は電子受容性基である。
【0010】
D1及びD2は、各出現時に独立して、電子供与性基である。
【0011】
A1、A2、及びA3は、各々独立して電子受容性基である。
【0012】
B1及びB2は、各出現時に独立して架橋基である。
【0013】
x1及びx2は、各々独立して、0、1、2、又は3である。
【0014】
y1及びy2は、各々独立して少なくとも1である。
【0015】
z1及びz2は、各々独立して、0、1、2、又は3である。
【0016】
(i)~(iv)のうち少なくとも1つが適用される。
【0017】
(D1)y1と(D2)y2とが異なる、
【0018】
A2とA3とが異なる、
【0019】
(B1)x1と(B1)x2とが異なる、及び
【0020】
(B2)z1と(B2)z2とが異なる。
【0021】
本開示は、電子供与性材料及び電子受容性材料を含む組成物を提供し、電子受容性材料は本明細書に記載の化合物である。
【0022】
本開示は、本明細書に記載される化合物又は組成物を含む活性層を備える、有機電子デバイスを提供する。
【0023】
本開示は、光源と、本明細書に記載の有機光検出器とを含む光センサを提供し、光センサは、光源から放出された光を検出するように構成される。
【0024】
本開示は、1つ以上の溶媒に溶解又は分散された、本明細書に記載の化合物又は組成物を含む配合物を提供する。
【0025】
本開示は、本明細書に記載の有機電子デバイスを形成する方法を提供し、活性層の形成は、表面上への本明細書に記載の配合物の堆積と、1つ以上の溶媒の蒸発と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
開示される技術及び添付の図面は、開示される技術のいくつかの実装形態を説明する。
【
図1】いくつかの実施形態による有機光応答性デバイスを示す。 図面は、縮尺通りには描かれておらず、様々な視点及び見方を有する。図面は、いくつかの実装形態及び実施例である。加えて、いくつかの構成要素及び/又は操作は、本開示の技術の実施形態のうちいくつかの実施形態の説明を目的として、異なるブロックに分離されてもよく、又は単一のブロックに組み合わされてもよい。更に、技術は、様々な修正及び代替形態に適用可能であるが、具体的な実施形態は、例として図面に示されており、以下に詳細に記載される。しかしながら、意図は、記載の特定の実装形態に技術を限定することではない。対照的に、当該技術は、添付の特許請求の範囲によって定義される当該技術の範囲内にある全ての修正物、同等物、及び代替物を網羅することが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
別段文脈が明らかに要求しない限り、明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの単語は、排他的又は徹底的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるものとする。更に、「ここに」、「上に」、「下に」、及び同様の意味を持つ単語は、本出願で用いられる場合、本出願の特定の部分ではなく、本出願全体を指す。文脈が許す場合、単数又は複数を用いる詳細な説明における単語は、それぞれ、複数又は単数も含み得る。2つ以上の項目の一覧に関連する「又は」という単語は、その単語の以下の解釈の全て、つまり、一覧内の項目のうちのいずれか、一覧内の項目の全て、及び一覧内の項目の任意の組み合わせを網羅する。本出願で使用される場合、別の層の「上方の」層への言及は、層が直接接触し得るか、又は1つ以上の介在層が存在し得ることを意味する。本出願で使用される場合、別の層の「上の」層への言及は、層が直接接触していることを意味する。特定原子への言及は、特に明記しない限り、その原子の任意の同位体を含む。
【0028】
本明細書に提供される当該技術の教示は、必ずしも以下に記載のシステムではなく、他のシステムに適用されてもよい。以下に説明する様々な実施例の要素及び動作を組み合わせて、当該技術の更なる実装形態を提供することができる。当該技術のいくつかの代替的な実装形態は、以下に記述されるそれらの実装形態に対する追加の要素を含み得るだけでなく、より少ない要素もまた含み得る。
【0029】
以下の詳細な説明を考慮に入れて、これら及び他の変更が、当該技術に対して行われ得る。本説明は当該技術の特定の例を説明し、考えられる最良の方法を説明するが、説明がどれほど詳細に見えても、当該技術は多くの方法で実施され得る。上に記述されるように、技術のある特定の特色又は態様を記載する場合に使用される特定の用語は、その用語に関連する技術の任意の特定の特徴、特色、又は態様に制限されるように、その用語が本明細書で再定義されることを意味するものと解釈されるべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、発明を実施するための形態の項でそのような用語を別段明示的に定義しない限り、技術を本明細書に開示の特定の実施例に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、当該技術の実際の範囲は、開示された例だけでなく、特許請求の範囲に基づく当該技術を実施又は実装する全ての同等な方法を包含する。
【0030】
クレームの数を低減するために、当該技術の特定の態様は、特定のクレームの形態で以下に提示されるが、本出願者は、任意の数のクレームの形態における当該技術の様々な態様を企図する。
【0031】
以下の説明では、説明の目的で、開示される当該技術の実装形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、開示される当該技術の実施形態が、これらの具体的な詳細の一部なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0032】
本明細書に記載される式(I)の化合物は、光応答性デバイス、好ましくは光検出器のバルクヘテロ接合層に提供されてもよく、バルクヘテロ接合層は、アノードとカソードとの間に配置される。
【0033】
バルクヘテロ接合層は、本明細書に記載の電子供与性材料及び式(I)の電子受容性化合物を含むか又はそれらからなる。
【0034】
いくつかの実施形態では、バルクヘテロ接合層は、2つ以上の受容性材料及び/又は2つ以上の電子受容性材料を含有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、電子供与性材料(複数可)対電子受容性材料(複数可)の重量は、約1:0.5~約1:2、好ましくは約1:1.1~約1:2である。
【0036】
好ましくは、電子供与性材料は、電子受容性材料とのII型界面を有し、すなわち、電子供与性材料は、電子受容性材料の対応するHOMO準位及びLUMO準位よりも浅いHOMO及びLUMOを有する。好ましくは、式(I)又は(X)の化合物は、電子供与性材料のHOMOよりも少なくとも0.05eV深い、任意選択的に少なくとも0.10eV深いHOMO準位を有する。
【0037】
任意選択的に、電子供与性材料のHOMO準位と式(I)又は(X)の電子受容性化合物のLUMO準位との間のギャップは、1.4eV未満である。
【0038】
特に明記しない限り、本明細書に記載される材料のHOMO準位及びLUMO準位は、方形波ボルタンメトリー(SWV)によって測定されたものである。
【0039】
SWVにおいて、作用電極と基準電極との間の電位を時間的に直線的に掃引させながら、作用電極における電流が測定される。順方向パルスと逆方向パルスとの間の差電流は、電位の関数としてプロットされて、ボルタモグラムが得られる。測定は、CHI 660Dポテンシオスタットを用いることができる。
【0040】
SWVによってHOMO又はLUMOエネルギーレベルを測定する装置は、アセトニトリル中の0.1Mの三級ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを含有するセル、直径3mmのガラス状炭素作用電極、白金対電極、及び漏れのないAg/AgCl基準電極を備え得る。
【0041】
フェロセンは、計算目的のために実験の終了時に既存のセルに直接添加し、フェロセン対Ag/AgClの酸化及び還元のために環状ボルタメトリー(CV)を使用して電位を判定する。
【0042】
試料をトルエンに溶解し(3mg/ml)、ガラス状炭素作用電極上で直接3000rpmで回転させる。
【0043】
LUMO=4.8-Eフェロセン(ピークツーピーク平均)-試料のE還元(ピーク最大)。
【0044】
HOMO=4.8-Eフェロセン(ピークツーピーク平均)+試料のE酸化(ピーク最大)。
【0045】
典型的なSWV実験は、15Hzの周波数、25mVの振幅、および0.004Vの増分ステップで実行する。結果は、HOMOデータ及びLUMOデータの両方について新たにスピンされた3つの膜試料から計算する。
【0046】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、900nm超、任意選択的に1000nm超の吸収ピークを有する。
【0047】
特に明記しない限り、本明細書に記載される材料の吸収スペクトルは、Cary 5000 UV-VIS-NIR分光計を使用して測定される。測定は、データ分解能を最適に制御するために可変スリット幅(0.01nmまで)を有する拡張測光範囲用のPbSmart NIR検出器を使用して175nm~3300nmで行った。
【0048】
吸収データは、溶液試料を透過した放射線の強度を測定することによって得られる。吸収強度は、吸収スペクトルを生成するために入射波長に対してプロットされる。吸収率を測定するための方法は、石英キュベット中の15mg/mlの溶液を測定することと、溶媒のみを含有するキュベットと比較することとを含み得る。
【0049】
特に明記しない限り、本明細書で提供される吸収データは、トルエン溶液中で測定されたものである。
【0050】
いくつかの実施形態では、電子受容性化合物は、式(I)を有し、
【化2】
【0051】
D1及びD2は、各出現時に独立して、電子供与性基である。
【0052】
A1、A2、及びA3は、各々独立して電子受容性基である。
【0053】
B1及びB2は、各出現時に独立して架橋基である。
【0054】
x1及びx2は、各々独立して、0、1、2、又は3であり、好ましくは0又は1である。
【0055】
y1及びy2は、各々独立して少なくとも1、好ましくは1、2又は3、より好ましくは1である。
【0056】
z1及びz2は、各々独立して、0、1、2、又は3であり、好ましくは0又は1である。
【0057】
-(B1)x1-(D1)y1-(B2)z1-A2は、-(B1)x2-(D2)y2-(B2)z2-A3とは異なる。こうした化合物は、本明細書の以下では「非対称」化合物として記載される。
【0058】
(i)~(iv)のうち少なくとも1つが適用される。
【0059】
(i)(D1)y1と(D2)y2とが異なる、
【0060】
(ii)A2とA3とが異なる、
【0061】
(iii)(B1)x1と(B1)x2とが異なる、及び
【0062】
(iv)(B2)z1と(B2)z2とが異なる。
【0063】
いくつかの好ましい実施形態では、D1とD2とは異なり、y1とy2とは同じか又は異なる。
【0064】
いくつかの好ましい実施形態では、y1とy2とは異なり、D1とD2とは同じか又は異なる。
【0065】
(B1)x1と(B1)x2とが異なる場合、x1及びx2が同じであって、この場合、(B1)x1のB1が(B1)x2のB1と異なるか、或いは、x1及びx2が異なり、好ましくはx1が1であり、x2が0であって、この場合、(B1)x1のB1が、(B1)x2のB1とは異なるか、のいずれかである。好ましくは、x1及びx2はそれぞれ0である。
【0066】
いくつかの好ましい実施形態では、(B2)z1は(B2)z2とは異なる。これらの実施形態によれば、z1及びz2が同じであって、この場合、(B2)z1のB2が、(B2)z2のB2と異なるか、或いは、z1及びz2が異なり、好ましくはz1が1であり、z2が0であって、この場合、(B2)z1のB2が、(B2)z2のB2と異なるか、のいずれかである。
【0067】
任意選択的に、(B2)z1のB2は任意で置換される単環式芳香族又はヘテロ芳香族基であり、(B2)z2のB2は縮合芳香族又はヘテロ芳香族基である。
【0068】
D1とD2との差異、A2とA3との差異、B1基間の差異、及びB2基間の差異は、それぞれの場合で、環構造の差異及び/又は環の置換基の差異であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、式(I)の-(B1)x1-(D1)y1-(B2)z1-A2と-(B1)x2-(D2)y2-(B2)z2-A3との間の差異は1つのみである。
【0070】
いくつかの実施形態では、式(I)の-(B1)x1-(D1)y1-(B2)z1-A2と-(B1)x2-(D2)y2-(B2)z2-A3との間の差異は2つ以上である。好ましい実施形態では、y1とy2とは両方とも1であり、D1とD2とは異なり、(B2)z1は(B2)z2と異なる。
【0071】
電子受容性基A1、A2、及びA3のそれぞれは、電子供与性基D1又はD2のいずれかのLUMOよりも深い(すなわち、真空から遠い)、好ましくは少なくとも1eV深い、最低空分子軌道(LUMO)準位を有する。電子受容性基及び電子供与性基のLUMO準位は、隣接する基への各結合が水素原子への結合で置き換えられる、これらの基のLUMO準位をモデル化することによって判定され得る。モデル化は、B3LYP(汎関数)及びLACVP*(基底関数系)を有するGaussian09を使用して、Gaussianから入手可能なGaussian09ソフトウェアを使用して実施されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、式(I)のA
1は、式(II)の基であり、
【化3】
【0073】
式中、
【0074】
Ar1は芳香族基又はヘテロ芳香族基であり、
【0075】
Yは、O、S、NR4又はR1-C=C-R1であり、ここで、R1は各出現時に独立してH又は置換基であり、2つの置換基R1が結合して単環式環又は多環式環を形成してもよく、R4はH又は置換基である。
【0076】
受容体単位A1
【0077】
Ar1が式(II)の基である場合、Ar1は、非置換であるか、又は1つ以上のR2基で置換された単環式又は多環式のヘテロ芳香族基であり得、ここでR2は各出現時に独立して置換基である。
【0078】
好ましいR2基は以下から選択される
【0079】
F、
【0080】
CN、
【0081】
NO2、
【0082】
C1~20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7で置き換えられていてもよく、R7はC1~12ヒドロカルビル、COO、又はCOであり、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)、
【0083】
非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換された芳香族又はヘテロ芳香族基、好ましくはフェニル、及び
【化4】
【0084】
【0085】
から選択される基であって、
【0086】
式中、Z40、Z41、Z42、及びZ43は各々独立してCR13又はNであり、R13は各出現時にH又は置換基、好ましくはC1~20ヒドロカルビル基であり、Y40及びY41は各々独立してO、S、NX71(式中、X71はCN又はCOOR40である)、又はCX60X61(式中、X60及びX61は独立してCN、CF3、又はCOOR40である)であり、W40及びW41は各々独立してO、S、NX71、又はCX60X61(式中、X60及びX61は独立してCN、CF3、又はCOOR40である)であり、R40は各出現時にH又は置換基、好ましくはH又はC1~20ヒドロカルビル基である、基。芳香族又はヘテロ芳香族基R2の例示的な置換基は、F、CN、NO2、及びC1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、またアルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)である。
【0087】
本明細書の任意の箇所に記載されるR7は、例えばC1~12アルキル、非置換フェニル、又は1つ以上のC1~6アルキル基で置換されたフェニルであってもよい。
【0088】
本明細書の任意の箇所に記載されるアルキル基のC原子が別の原子又は基と置き換えられる場合、置き換えられたC原子は、アルキル基の末端C原子又は非末端C原子であり得る。
【0089】
本明細書の任意の箇所で使用されるアルキル基の「非末端C原子」とは、n-アルキル鎖の末端のメチル基のC原子又は分岐アルキル鎖の末端のメチル基のC原子以外のC原子を意味する。
【0090】
本明細書の任意の箇所に記載される基の末端C原子が置き換えられる場合、得られる基は対カチオン、例えばアンモニウム又は金属対カチオン、好ましくはアンモニウム又はアルカリ金属カチオンを含むアニオン性基であり得る。
【0091】
本明細書の任意の箇所に記載される別の原子又は基で置き換えられるアルキル置換基のC原子は、好ましくは非末端C原子であり、得られる置換基は好ましくは非イオン性である。
【0092】
例示的な単環式ヘテロ芳香族基Ar1は、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、及び非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている1,4-ジアジンである。チアジアゾールが特に好ましい。
【0093】
例示的な多環式ヘテロ芳香族基Ar
1は、式(V)の基であり、
【化6】
【0094】
X1及びX2は各々独立してN及びCR3から選択され、ここで、R3はH又は置換基であり、任意選択的にH又は上記の置換基R2である。
【0095】
X3、X4、X5、及びX6は各々独立してN及びCR3から選択されるが、X3、X4、X5、及びX6のうち少なくとも1つがCR3であることを条件とする。
【0096】
Zは、O、S、SO2、NR4、PR4、C(R3)2、Si(R3)2C=O、C=S、及びC=C(R5)2から選択され、ここで、R3は上記のとおりであり、R4はH又は置換基であり、R5は各出現時で電子求引性基である。
【0097】
任意選択的に、本明細書の任意のか御に記載される任意のNR4又はPR4の各R4は、Hと、C1~20アルキル(ここで、N又はPに結合したC原子以外の1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)と、非置換であるか、又は1つ以上の置換基、任意選択的に1つ以上のC1~12アルキル基(ここで、該アルキルの1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)で置換されたフェニルと、から独立して選択される。
【0098】
好ましくは、各R5は、CN、COOR40、又はCX60X61であり、ここで、X60及びX61は独立してCN、CF3、又はCOOR40であり、R40は、各出現時でH又は置換基、好ましくはH又はC1~20ヒドロカルビル基である。
【0099】
式(II)のA
1基は、好ましくは式(IIa)及び(IIb)の基から選択される。
【化7】
【0100】
式(IIb)の化合物の場合、2つのR1基は結合していてもよく、結合していなくてもよい。
【0101】
好ましくは、2つのR1基が結合していない場合、各R1は、H、F、CN、NO2、C1~20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、CO、COO、NR4、PR4、又はSi(R3)2で置き換えられていてもよく、式中、R3及びR4は上記のとおりであり、1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)、及び非置換であっても1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール、好ましくはフェニルから独立して選択される。アリール又はヘテロアリール基の置換基は、F、CN、NO2、及びC1~20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、CO、COOで置き換えられていてもよく、1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)のうちの1つ以上から選択されてもよい。
【0102】
好ましくは、2つのR
1基が結合している場合、式(IIb)の基は式(IIb-1)又は(IIb-2)を有し、
【化8】
【0103】
Ar2は、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている芳香族又はヘテロ芳香族基、好ましくはベンゼンである。Ar2は、上記のように非置換であってもよく、又は1つ以上の置換基R2で置換されていてもよい。
【0104】
Xは、O、S、SO2、NR4、PR4、C(R3)2、Si(R3)2C=O、C=S、及びC=C(R5)2から選択され、ここで、R3、R4、及びR5は上記のとおりである。
【0105】
式(II)の例示的な電子受容性基としては、限定されないが以下が挙げられ、
【化9】
【0106】
式中、Ak1はC1~20アルキル基である。
【0107】
式(II)以外の二価の電子受容性基は、式(IVa)~(IVj)から任意に選択され
【化10】
【0108】
R23は、各出現時で、置換基、任意選択的にC1~12アルキル(ここで、Z1に結合したC原子以外の1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOと置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)である。
【0109】
R
25は、各出現時に独立して、H、F、CN、NO
2、C
1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR
7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)、非置換であるか、又はF及びC
1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR
7、COO、又はCOで置き換えられていてもよい)から選択される1つ以上の置換基で置換される芳香族基、任意選択的にフェニル、又は
【化11】
【0110】
【0111】
から選択される基であって、
【0112】
式中、Z40、Z41、Z42、及びZ43は、各々独立して、CR13又はNであり、R13は、各出現時で、H又は置換基、好ましくはC1~20ヒドロカルビル基であり、
【0113】
Y40及びY41は各々独立してO、S、NX71(ここで、X71はCN若しくはCOOR40である)、又はCX60X61(ここで、X60及びX61は独立してCN、CF3、又はCOOR40である)であり、
【0114】
W40及びW41は各々独立してO、S、NX71(式中、X71はCN若しくはCOOR40である)、又はCX60X61(式中、X60及びX61は独立してCN、CF3、又はCOOR40である)であり、
【0115】
R40は、各出現において、H又は置換基、好ましくはH又はC1~20ヒドロカルビル基である。
【0116】
Z1は、N又はPである。
【0117】
T1、T2、及びT3は各々独立して1つ以上の更なる環に縮合され得るアリール又はヘテロアリール環、任意選択的にベンゼンを表す。T1、T2、及びT3の置換基は、存在する場合、任意選択的に、R25の非H基から選択される。
【0118】
各出現におけるR12は、置換基、好ましくは、C1~20ヒドロカルビル基である。
【0119】
Ar5は、非置換であってもよく、又は1つ以上の置換基、任意選択的にR25から選択される1つ以上の非H基で置換されてもよい、アリーレン基又はヘテロアリーレン基、任意選択的に、チオフェン、フルオレン、又はフェニレンである。
【0120】
電子受容性基A2、A3
【0121】
一価の受容体基A2及びA3は、当業者に既知の任意のこのような単位から各々独立して選択され得る。A2及びA3は同じでも異なっていてもよく、好ましくは異なる。
【0122】
例示的な一価の受容体単位としては、式(IIIa)~(IIIq)の単位が挙げられるが、これらに限定されず
【化13】
【0123】
Uは、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されており、1つ以上の更なる環に縮合され得る5又は6員環である。
【0124】
式(IIIe)のN原子は非置換であっても置換されていてもよい。
【0125】
R10は、H又は置換基、好ましくは、C1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)、及び非置換であるか、又はF及びC1~12アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換され、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよい芳香族基、任意選択的にフェニルからなる群から選択される置換基である。
【0126】
好ましくは、R10はHである。
【0127】
Jは、O又はS、好ましくはOである。
【0128】
R13は、各出現時で、置換基、任意選択的にC1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOと置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)である。
【0129】
R
15は、各出現時に独立してH、F、C
1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR
7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)、非置換であるか、又はF及びC
1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR
7、COO、又はCOで置き換えられていてもよい)から選択される1つ以上の置換基で置換される芳香族基Ar
2、任意選択的にフェニル、又は
【化14】
から選択される基である。
【0130】
R16は、H、又は置換基、好ましくは、
【0131】
-(Ar
3)
w(式中、Ar
3は、各出現時に独立して、非置換又は置換アリール又はヘテロアリール基、好ましくはチオフェンであり、wは、1、2、又は3である)、
【化15】
【0132】
及び
【0133】
C1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)から選択される置換基である。
【0134】
Ar6は、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている、5員ヘテロ芳香族基、好ましくはチオフェン又はフランである。
【0135】
Ar3及びAr6の置換基は、存在する場合、任意選択で、C1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)から選択される。
【0136】
T1、T2、及びT3は、各々独立して、上記したとおりである。
【0137】
Ar8は、非置換であるか、又は1つ以上の置換基、任意選択的に1つ以上の非H置換基R10で置換されており、且つB2の芳香族C原子及びB2のホウ素置換基に結合した縮合ヘテロ芳香族基である。
【0138】
好ましい基A2及びA3は、D1若しくはD2、又は存在する場合はB2に直接結合した非芳香族炭素-炭素結合を有する基である。
【0139】
好ましくは、A
2及びA
3のうち少なくとも1つ、好ましくはA
2及びA
3の両方が、式(IIIa-1)の基を有し、
【化16】
【0140】
式中、
【0141】
R10が、上述したとおりであり、
【0142】
各X7~X10は、独立して、CR12又はNであり、式中、R12は各出現時でHであるか、又はC1~20ヒドロカルビル及び電子求引性基から選択される置換基である。好ましくは、電子求引性基はF、Cl、Br又はCNであり、より好ましくはF、Cl又はCNであり、
【0143】
X60及びX61は独立してCN、CF3又はCOOR40であり、ここで、R40は各出現時でH又は置換基、好ましくはH又はC1~20ヒドロカルビル基である。好ましくは、X60及びX61はそれぞれCNである。
【0144】
C1~20ヒドロカルビル基R12は、C1~20アルキル、非置換フェニル、及び1つ以上のC1~12アルキル基で置換されたフェニルから選択され得る。
【0145】
式(IIId)の例示的な基としては、以下が挙げられる、
【化17】
【0146】
式(IIIe)の例示的な基としては、以下が挙げられる、
【化18】
【0147】
式(IIIq)の例示的な基は以下である、
【化19】
【0148】
式(IIIg)の例示的な基は以下である、
【化20】
【0149】
式(IIIj)の例示的な基は以下であり、
【化21】
【0150】
式中、Akは、C1~12アルキレン鎖(1つ以上のC原子が、O、S、NR7、CO、又はCOOにより置き換えられていてもよい)であり、Anは、アニオン、任意選択的に-SO3
-であり、各ベンゼン環は、独立して、非置換であるか、又はR10に関して記載されている置換基から選択される1つ以上の置換基で置換されている。
【0151】
式(IIIm)の例示的な基は、以下である、
【化22】
【0152】
式(IIIn)の例示的な基は以下である、
【化23】
【0153】
式(IIIo)の基は、-B(R14)2で置換された架橋基B2に直接結合し、ここで、R14は各出現時で置換基、任意選択的にC1~20ヒドロカルビル基であり、→は、R3又はR6のホウ素原子-B(R14)2への結合であり、---は、B2への結合である。
【0154】
任意選択的に、R14は、C1~12アルキル、非置換フェニル、及び1つ以上のC1~12アルキル基で置換されたフェニルから選択される。
【0155】
式(IIIo)の基、B2基、及びB2のB(R14)2置換基は、共に結合して5又は6員環を形成してもよい。
【0156】
任意選択的に、式(IIIo)の基は以下から選択される、
【化24】
【0157】
架橋単位
【0158】
架橋単位B1及びB2は、好ましくは、それぞれが、非置換であってもよく、又は1つ以上の置換基で置換されていてもよい、ビニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アリーレンビニレン及びヘテロアリーレンビニレンからそれぞれ選択され、ここで、アリーレン基及びヘテロアリーレン基は単環式基又は二環式基である。
【0159】
任意選択的に、B
1及びB
2は、式(VIa)~(VIn)の単位から選択され、
【化25】
【0160】
式中、YAは、O、S、又はNR55であり、ここで、R55はH又は置換基であり、R8は各出現時に独立して、H、又は置換基、好ましくはH、又はF、CN、NO2、C1~20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)、非置換であるか、若しくは1つ以上の置換基で置換されたフェニル、並びに-B(R14)2(ここで、R14は各出現時で置換基、任意選択的にC1~20ヒドロカルビル基である)から選択される置換基である。式(VIa)、(VIb)及び(VIc)のR8基は、結合して、二環式環、例えばチエノピラジンを形成してもよい。
【0161】
R8は、好ましくは、H、C1~20アルキル、又はC1~19アルコキシである。
【0162】
電子供与性基D1及びD2
【0163】
電子供与性基は、好ましくは縮合芳香族又はヘテロ芳香族基であり、より好ましくは、3つ以上の環を含有する縮合ヘテロ芳香族基である。特に好ましい電子供与性基は、縮合チオフェン環又はフラン環、任意選択的に、チオフェン環又はフラン環、並びにベンゼン、シクロペンタジエン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、及びピペリジン環から選択される1つ以上の環を含む縮合環を含み、上記の環のそれぞれは、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている。
【0164】
例示的な電子供与性基D
1及びD
2としては、式(VIIa)~(VIIp)の基が挙げられ、
【化26】
【0165】
式中、YAは各出現時に独立してO、S、又はNR55であり、ZAは各出現時でO、CO、S、NR55、又はC(R54)2であり、R51、R52、R54、及びR55は各出現時に独立してH又は置換基であり、R53は各出現時に独立して置換基である。
【0166】
任意選択的に、R51及びR52は、各出現時に独立して、H、F、C1~20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)、及び非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換された芳香族又はヘテロ芳香族基Ar3から選択される。
【0167】
いくつかの実施形態では、Ar3は、芳香族基、例えばフェニルであり得る。
【0168】
Ar3の1つ以上の置換基は、存在する場合、C1~12アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)から選択されてもよい。
【0169】
好ましくは、各R54は、
【0170】
H、
【0171】
F、
【0172】
直鎖状、分岐状、又は環状C1~20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、CO、又はCOOによって置き換えられていてもよく、ここで、R7はC1~12ヒドロカルビルであり、C1~20アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)、及び
【0173】
式(Ak)u-(Ar7)vの基(ここで、Akは、C1~20アルキレン鎖(1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、CO、又はCOOにより置き換えられていてもよい)であり、uは、0又は1であり、Ar7は、各出現時に独立して、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換された芳香族又はヘテロ芳香族基であり、vは少なくとも1であり、任意選択的に1、2、又は3である)からなる群から選択される。
【0174】
Ar7の置換基は、存在する場合、好ましくは、F、Cl、NO2、CN、及びC1~20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、CO、又はCOOで置き換えられていてもよく、1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)から選択される。好ましくは、Ar7はフェニルである。
【0175】
好ましくは、各R51はHである。
【0176】
任意選択的に、R53は、各出現時に独立して、C1~20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)、及び、非置換であるか、又は1つ以上の置換基、任意選択的に1つ以上のC1~12アルキル基(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)で置換されたフェニルから選択される。
【0177】
好ましくは、本明細書の任意の箇所に記載されるR55は、H又はC1~30ヒドロカルビル基である。
【0178】
好ましくは、D
1及びD
2は、各々独立して式(VIIa)の基である。式(VIIa)の例示的な基としては、非限定的に以下が挙げられ、
【化27】
【0179】
式中、Hcは、各出現時に独立して、C1~20ヒドロカルビル基、例えば、C1~20アルキル、非置換アリール、又は1つ以上のC1~12アルキル基で置換されたアリールである。アリール基は、好ましくはフェニルである。
【0180】
いくつかの実施形態では、y1及びy2はそれぞれ1である。
【0181】
いくつかの実施形態では、y
1及びy
2のうちの少なくとも1つは、1を超える。これらの実施形態では、D
1基及び/又はD
2基の鎖はそれぞれ、任意の配向で連結され得る。例えば、D
1が式(VIIa)の基であり、y
1が2である場合、-[D
1]
y1-は、以下のいずれかから選択され得る、
【化28】
【0182】
電子供与性材料
【0183】
本明細書に記載のバルクヘテロ接合層は、電子供与性材料と、本明細書に記載の式(I)又は(X)の化合物とを含む。
【0184】
例示的な供与体材料は、例えば、国際公開第2013051676号パンフレットに開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0185】
電子供与性材料は、非ポリマー材料であってもポリマー材料であってもよい。
【0186】
好ましい実施形態では、電子供与性材料は、有機共役ポリマーであり、該有機共役ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマー(交互コポリマー、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーを含む)であり得る。共役ポリマーは、好ましくは、電子供与性繰り返し単位と電子受容繰り返し単位とを交互に含む供与体-受容体ポリマーである。
【0187】
好ましいのは、非結晶性又は半結晶性共役有機ポリマーである。
【0188】
更に好ましくは、電子供与性ポリマーは、低バンドギャップ、典型的には2.5eVと1.5eVとの間、好ましくは2.3eVと1.8eVとの間の共役有機ポリマーである。任意選択的に、電子供与性ポリマーは、真空準位から5.5eV以下のHOMO準位を有する。任意選択的に、電子供与性ポリマーは、真空準位から少なくとも4.1eVのHOMO準位を有する。例示的な電子供与性ポリマーとしては、ポリアセン、ポリアニリン、ポリアズレン、ポリベンゾフラン、ポリフルオレン、ポリフラン、ポリインデノフルオレン、ポリインドール、ポリフェニレン、ポリピラゾリン、ポリピレン、ポリピリダジン、ポリピリジン、ポリトリアリルアミン、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリ(3-置換チオフェン)、ポリ(3,4-二置換チオフェン)、ポリセレノフェン、ポリ(3-置換セレノフェン)、ポリ(3,4-二置換セレノフェン)、ポリ(ビスチオフェン)、ポリ(テルチオフェン)、ポリ(ビスセレノフェン)、ポリ(テルセレノフェン)、ポリチエノ[2,3-b]チオフェン、ポリチエノ[3,2-b]チオフェン、ポリベンゾチオフェン、ポリベンゾ[1,2-b:4,5-b’ジチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリ(一置換ピロール)、ポリ(3,4-二置換ピロール)、ポリ-1,3,4-オキサジアゾール、ポリイソチアナフテン、これらの誘導体及びコポリマーを含む共役炭化水素又は複素環式ポリマーから選択されるポリマーが言及され得る。
【0189】
供与体ポリマーの好ましい例は、各々が置換されてもよいポリフルオレンとポリチオフェンとのコポリマー、並びに各々が置換されていてもよいベンゾチアジアゾール系及びチオフェン系の繰り返し単位を含むポリマーである。
【0190】
特に好ましい供与体ポリマーは、ポリマーの繰り返し単位として提供される供与体単位(VIIa)を含み、最も好ましくは電子受容性繰り返し単位、例えばポリマー繰り返し単位として提供される本明細書に記載の二価の電子受容性単位を有する。
【0191】
追加の電子受容性材料
【0192】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の式(I)又は(X)の化合物は、バルクヘテロ接合層の唯一の電子受容性材料である。
【0193】
いくつかの実施形態では、バルクヘテロ接合層は、式(I)又は(X)の化合物、及び1つ以上の更なる電子受容性材料を含有する。1つ以上の更なる電子受容性材料は、非フラーレン受容体及びフラーレンから選択され得る。
【0194】
非フラーレン受容体は、例えば、Cheng et.al.,“Next-generation organic photovoltaics based on non-fullerene acceptors”,Nature Photonics volume 12,pages 131-142(2018)(その内容が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されており、これとしては、限定するものではないが、PDI、ITIC、ITIC、IEICO、及びこれらの誘導体、例えばITIC-4F及びIEICO-4Fなどのこれらのフッ素化誘導体が挙げられる。
【0195】
例示的なフラーレン電子受容性化合物は、C60、C70、C76、C78、及びC84フラーレン又はこれらの誘導体であり、これとしては、限定するものでないが、フェニル-C61-酪酸メチルエステル(C60PCBM)を含むPCBMタイプフラーレン誘導体、TCBMタイプフラーレン誘導体(例えばトリル-C61-酪酸メチルエステル(C60TCBM))、及びThCBMタイプフラーレン誘導体(例えばチエニル-C61-酪酸メチルエステル(C60ThCBM))が挙げられる。
【0196】
フラーレン誘導体は、式(V)を有してもよく、
【化29】
【0197】
式中、Aは、フラーレンのC-C基と共に、非置換であってもよく、又は1つ以上の置換基で置換されていてもよい単環式基又は縮合環基を形成する。
【0198】
例示的なフラーレン誘導体としては、式(Va)、(Vb)、及び(Vc)が挙げられ、
【化30】
【0199】
式中、R20~R32は、各々独立してH又は置換基である。
【0200】
置換基R20~R32は、任意選択的に且つ各出現時に独立して、非置換であっても1つ以上の置換基で置換されていてもよいアリール又はヘテロアリール、任意選択的にフェニル、及びC1~20アルキル(ここで、1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、CO、又はCOOで置き換えられていてもよく、1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)からなる群から選択される。
【0201】
アリール又はヘテロアリールの置換基は、存在する場合、任意選択的に、C1~12アルキル(1つ以上の非隣接C原子が、O、S、NR7、CO、又はCOOで置き換えられていてもよく、1つ以上のH原子がFで置き換えられていてもよい)から選択される。
【0202】
配合物
【0203】
バルクヘテロ接合層は、熱蒸発及び溶液堆積法を含むがこれらに限定されない、任意のプロセスによって形成され得る。
【0204】
好ましくは、バルクヘテロ接合層は、電子供与性材料(複数可)、電子受容性材料(複数可)、及び溶媒又は2つ以上の溶媒の混合物に溶解又は分散されたバルクヘテロ接合層の他の任意の成分を含む配合物を堆積させることによって形成される。配合物は、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、及びフレキソ印刷を含むが、これらに限定されない任意のコーティング又は印刷方法によって堆積されてもよい。
【0205】
配合物の1つ以上の溶媒は、任意選択的に、塩素、C1~10アルキル及びC1~10アルコキシ(2つ以上の置換基が連結されて、非置換であってもよく、又は1つ以上のC1~6アルキル基で置換されていてもよい環を形成することができる)、任意選択的に、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、アニソール、インダン、及びそのアルキル置換誘導体、並びにテトラリン及びそのアルキル置換誘導体から選択される1つ以上の置換基で置換されたベンゼンを含むか、又はこれからなり得る。
【0206】
配合物は、2つ以上の溶媒の混合物、好ましくは、上述したように1つ以上の置換基により置換された少なくとも1つのベンゼンと、1つ以上の更なる溶媒とを含む混合物を含んでもよい。1つ以上の更なる溶媒は、エステル、任意選択的にアルキル又はアルキル若しくはアリールカルボン酸のアリールエステル、任意選択的にC1~10アルキルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、又はジメトキシベンゼンから選択されてもよい。好ましい実施形態では、トリメチルベンゼンとベンジルベンゾエートとの混合物を溶媒として使用する。他の好ましい実施形態では、トリメチルベンゼン及びジメトキシベンゼンの混合物を溶媒として使用する。
【0207】
配合物は、電子受容性材料、電子供与性材料、及び1つ以上の溶媒に加えて、更なる成分を含んでもよい。そのような成分の例として、接着剤、消泡剤、脱気剤、粘度増強剤、希釈剤、補助剤、流動性向上剤着色剤、染料又は顔料、増感剤、安定剤、ナノ粒子、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、及び阻害剤が言及され得る。
【0208】
有機電子デバイス
【0209】
本明細書に記載されるポリマー又は組成物は、有機電子デバイスの活性層として提供され得る。好ましい実施形態では、有機光応答性デバイス、より好ましくは有機光検出器のバルクヘテロ接合層は、本明細書に記載される組成物を含む。
【0210】
図1は本開示のいくつかの実施形態による有機光応答性デバイスを示す。有機光応答性デバイスは、カソード103と、アノード107と、アノードとカソードとの間に配置されたバルクヘテロ接合層105と、を備える。有機光応答性デバイスは、基板101、任意選択的にガラス又はプラスチック基板上に支持され得る。
【0211】
アノード及びカソードの各々は、独立して、単一の導電層であってもよく、又は複数の層を含んでもよい。
【0212】
アノード及びカソードのうちの少なくとも一方は、デバイスに入射する光がバルクヘテロ接合層に到達できるように透明である。いくつかの実施形態では、アノード及びカソードの両方が透明である。透明電極の透過率は、有機光検出器と共に使用するための光源の放出波長に従って選択され得る。
【0213】
図1は、カソードが基板とアノードとの間に配置される構成を示す。他の実施形態では、アノードは、カソードと基板との間に配置され得る。
【0214】
有機光応答性デバイスは、
図1に示すアノード、カソード、及びバルクヘテロ接合層以外の層を備え得る。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は、アノードとバルクヘテロ接合層との間に配置される。いくつかの実施形態では、電子輸送層は、カソードとバルクヘテロ接合層との間に配置される。いくつかの実施形態では、仕事関数修正層は、バルクヘテロ接合層とアノードとの間、及び/又はバルクヘテロ接合層とカソードとの間に配置される。
【0215】
OPDの面積は、約3cm2未満、約2cm2未満、約1cm2未満、約0.75cm2未満、約0.5cm2未満、又は約0.25cm2未満であり得る。任意選択的に、各OPDは、OPDアレイの一部であってよく、各OPDは、本明細書に記載される面積、任意選択的に1mm2未満、任意選択的に0.5ミクロン2~900ミクロン2の範囲の面積を有するアレイの画素である。
【0216】
基板は、ガラス又はプラスチック基板であってもよいが、これらに限定されない。基板は、無機半導体であり得る。いくつかの実施形態では、基板は、シリコンであり得る。例えば、基板は、シリコンのウエハであり得る。使用時に、入射光が基板及び基板によって支持された電極を通って透過される場合、基板は透明である。
【0217】
バルクヘテロ接合層は、本明細書に記載されるポリマーと電子受容性化合物とを含有する。バルクヘテロ接合層は、これらの材料からなってもよく、或いは1つ以上の更なる材料、例えば、1つ以上の更なる電子供与性材料及び/又は1つ以上の更なる電子受容性化合物を含んでもよい。
【0218】
用途
【0219】
回路は、デバイス及び/又は光電流を測定するように構成されたデバイスに逆バイアスを印加するための電圧源に接続されたOPDを含み得る。光検出器に印加される電圧は可変であり得る。いくつかの実施形態では、光検出器は、使用時に連続的にバイアスがかけられてもよい。
【0220】
いくつかの実施形態では、光検出器システムは、本明細書に記載される複数の光検出器、例えば、カメラのイメージセンサを含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、センサは、本明細書に記載されるOPDと、光源とを含んでいてもよく、ここでOPDは、光源から放出された光を受け取るように構成されている。いくつかの実施形態では、光源は、少なくとも900nm又は少なくとも1000nm、任意選択的に1000~1500nmの範囲のピーク波長を有する。
【0222】
本発明者らは、式(I)の電子受容性単位を含む材料が、より長い波長、特に1300~1400nmの光の検出に使用され得ることを見出した。
【0223】
いくつかの実施形態では、光源からの光は、OPDに到達する前に変更されても変更されなくてもよい。例えば、光は、OPDに到達する前に、反射、フィルタリング、ダウンコンバート、又はアップコンバートされてもよい。
【0224】
本明細書に記載される有機光応答性デバイスは、有機光起電デバイス又は有機光検出器であってもよい。本明細書に記載される有機光検出器は、周囲光の存在及び/又は明るさの検出を含むがこれらに限定されない広範囲の用途で、並びに有機光検出器及び光源を含むセンサで使用されてもよい。光検出器は、光源から放出された光が、光検出器に入射し、光の波長及び/又は輝度の変化が、例えば、対象物、例えば、光源と有機光検出器との間の光路に配置された試料中の標的材料からの光の吸収、反射、及び/又はその放出に起因して検出され得るように、構成されてもよい。サンプルは、非生物学的サンプル、例えば、水サンプル、又はヒト若しくは動物対象から採取された生物学的サンプルであってもよい。センサは、ガスセンサ、バイオセンサ、X線撮像デバイス、カメラ撮像センサなどの撮像センサ、モーションセンサ(例えば、セキュリティ用途で使用するための)、近接センサ、又は指紋センサであってもよいが、これらに限定されない。1D又は2D光センサアレイは、画像センサ内に、本明細書に記載される複数の光検出器を備え得る。光検出器は、光源による照射時に光を放出するか、又は光源による照射時に光を放出する発光タグに結合される、標的分析物から放出された光を検出するように構成されてもよい。光検出器は、標的分析物又はそれに結合された発光タグによって放出された光の波長を検出するように構成されてもよい。
【実施例】
【0225】
化合物実施例1
【0226】
以下の反応スキームに従って、化合物実施例1を調製した、
【化31】
【0227】
モデル化データ
【0228】
これらの実施例に記載される全てのモデル化は、B3LYP(汎関数)を有するGaussian09を使用して、Gaussianから入手可能なGaussian09ソフトウェアを使用して実施した。
【0229】
HOMO及びLUMO準位を、個々の供与体及び受容体単位に関してモデル化した。結果を表2~4に示す。
表1
【表1】
表2
【表2】
表3
【表3-1】
【表3-2】
【0230】
受容体単位A1は、真空準位から少なくとも2.9eV又は少なくとも3.0eVのモデル化LUMOを有することが好ましい。
【0231】
HOMO及びLUMO準位を、式(I)の非対称化合物及び比較の対称化合物に関してモデル化した。結果を表4~8に示し、ここで、S1fは、S1からの遷移の振動子強度に対応し(吸収強度を予測する)、Eoptはモデル化された光学ギャップである。
【0232】
表4-D
1とD
2とが異なる化合物。
【表4】
表5:z
1が1であり、z
2が0である化合物
【表5-1】
【表5-2】
表6:様々なB
2基
【表6】
表7:D
1とD
2とが異なり、z
1は1であり、z
2は0である
【表7】
表8:D
1とD2とが異なり、B
2が異なる
【表8】
【国際調査報告】