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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/00 20060101AFI20240903BHJP
   C08G 64/00 20060101ALI20240903BHJP
   C08G 64/30 20060101ALI20240903BHJP
   C08G 63/78 20060101ALI20240903BHJP
   C08G 75/26 20060101ALI20240903BHJP
   C08G 75/28 20060101ALI20240903BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20240903BHJP
   C07C 43/295 20060101ALI20240903BHJP
   C07C 43/253 20060101ALI20240903BHJP
   C07C 323/19 20060101ALI20240903BHJP
   C07D 235/14 20060101ALI20240903BHJP
   C07D 209/86 20060101ALI20240903BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20240903BHJP
   C07D 307/80 20060101ALI20240903BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
C08G63/00
C08G64/00
C08G64/30
C08G63/78
C08G75/26
C08G75/28
C07C43/23 C CSP
C07C43/295 D
C07C43/253
C07C323/19
C07D235/14
C07D209/86
C07D307/91
C07D307/80
G02B1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508551
(86)(22)【出願日】2023-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 KR2023009092
(87)【国際公開番号】W WO2024010276
(87)【国際公開日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0082386
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョンファ・ベク
(72)【発明者】
【氏名】ヒョナ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・スク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジェスン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンウ・ベク
(72)【発明者】
【氏名】スンミン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】スンムク・イ
【テーマコード(参考)】
4H006
4J029
4J030
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AB46
4H006BP30
4H006BP50
4H006BP60
4H006TB36
4H006TC09
4J029AA03
4J029AA09
4J029AB01
4J029AB04
4J029AB07
4J029AC01
4J029AD01
4J029AD07
4J029AD10
4J029AE04
4J029BB18
4J029BD08
4J029BF19
4J029BF20
4J029BH01
4J029BH02
4J029CB06A
4J029DA14
4J029DA16
4J029DB05
4J029DB06
4J029HA01
4J029HB05
4J029HC05A
4J030BA03
4J030BA43
4J030BA44
4J030BA48
4J030BB06
4J030BB14
(57)【要約】
本出願は、化学式1の単位を含む樹脂、その製造方法、それを含む樹脂組成物及び上記樹脂組成物を含む成形品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の単位を含む樹脂:
【化1】
前記化学式1において、
X1~X4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、O又はSであり、
R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;又は置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R101及びR102は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は、1又は2であり、前記r101が2の場合、2個の前記R101は互いに同一であるか異なっており、
r102は、1又は2であり、前記r102が2の場合、2個の前記R102は互いに同一であるか異なっており、
Laは、直接結合;又は-C(=O)-L’-であり、
L’は、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
m及びnは、それぞれ0又は1であり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式1-1のものである、請求項1に記載の樹脂:
【化2】
前記化学式1-1において、
*、La、R1~R6、m、n、及びX1~X4の定義は、前記化学式1で定義した通りである。
【請求項3】
前記化学式1は、下記化学式1-2~1-5のうちいずれか一つのものである、請求項1に記載の樹脂:
【化3】
前記化学式1-2~1-5において、
*、La、R1~R6及びX1~X4の定義は、前記化学式1で定義した通りである。
【請求項4】
前記X1~X4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、O;又はSであり、
前記R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、炭素数6~30の単環又は多環のアリールオキシ基、炭素数6~30の単環又は多環のアリール基、炭素数6~30の多環のヘテロアリール基、及びこれらの組み合わせのうち1以上で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環又は多環のアリール基;又は炭素数6~30の単環又は多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の多環のヘテロアリール基であり、
前記R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数2~30の直鎖又は分枝鎖のアルキレン基;又は炭素数6~30の単環又は多環のシクロアルキレン基であり、
前記R101及びR102は、水素であり、
前記Laは、直接結合;又は-C(=O)-L’-であり、
L’は、炭素数6~30の単環又は多環のアリーレン基である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項5】
重量平均分子量(Mw)が、10,000g/mol~200,000g/molである、請求項1に記載の樹脂。
【請求項6】
波長589nmで測定された屈折率が、1.68~1.76である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項7】
ガラス転移温度(Tg)が、150℃~300℃である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項8】
波長589nm、486nm、及び656nmで測定されたアッベ数が、5~20である、請求項1に記載の樹脂。
【請求項9】
下記化学式1aの化合物:
【化4】
前記化学式1aにおいて、
X1~X4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、O又はSであり、
R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;又は置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R101及びR102は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は、1又は2であり、前記r101が2の場合、2個の前記R101は互いに同一であるか異なっており、
r102は、1又は2であり、前記r102が2の場合、2個の前記R102は互いに同一であるか異なっており、
m及びnは、それぞれ0又は1である。
【請求項10】
前記化学式1aは、下記化合物の中から選択されるいずれか一つのものである、請求項9に記載の化合物:
【化5】
【請求項11】
下記化学式1aの化合物;及び
ポリエステル前駆体又はポリカーボネート前駆体を含む樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂の製造方法:
【化6】
前記化学式1aにおいて、
X1~X4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、O又はSであり、
R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;又は置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R101及びR102は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は、1又は2であり、前記r101が2の場合、2個の前記R101は互いに同一であるか異なっており、
r102は、1又は2であり、前記r102が2の場合、2個の前記R102は互いに同一であるか異なっており、
m及びnは、それぞれ0又は1である。
【請求項12】
前記ポリエステル前駆体は、下記化学式Aであり、前記ポリカーボネート前駆体は、下記化学式Bである、請求項11に記載の樹脂の製造方法:
【化7】
前記化学式A及びBにおいて、
Ra1、Ra2、Rb1及びRb2は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;又は置換もしくは非置換のアリール基であり、
Ar1は、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
a1~a4は、それぞれ0又は1である。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂を含む樹脂組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の樹脂組成物を含む成形品。
【請求項15】
前記成形品は、光学部材である、請求項14に記載の成形品。
【請求項16】
前記成形品は、光学レンズである、請求項14に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年7月5日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0082386号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、樹脂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光学材料の屈折率が高ければ同一水準の補正を達成するのに要する光学レンズの厚さは薄くなる。これによって、光学材料の屈折率が高いほどより薄くて軽いレンズの製造が可能になって、レンズが使用される各種機器の小型化が可能となる。
【0004】
一般的に、光学材料の屈折率が高くなるとアッベ数(Abbe’s Number)が低くなるという問題があり、また光学材料としての使用のために、一定水準以上の透明性が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書の一実施態様は、新規な構造の樹脂及びその製造方法を提供しようとする。
【0006】
本明細書のまた別の実施態様は、新規な構造の樹脂を含む組成物及び上記樹脂組成物で製造された成形品を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1の単位を含む樹脂を提供する。
【化1】
上記化学式1において、
X1~X4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、O又はSであり、
R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;又は置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R101及びR102は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は、1又は2であり、上記r101が2の場合、上記2個のR101は互いに同一であるか異なっており、
r102は、1又は2であり、上記r102が2の場合、上記2個のR102は互いに同一であるか異なっており、
Laは、直接結合;又は-C(=O)-L’-であり、
L’は、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
m及びnは、それぞれ0又は1であり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味する。
【0008】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1aの化合物を提供する。
【化2】
上記化学式1aにおいて、
X1~X4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、O又はSであり、
R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;又は置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R101及びR102は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は、1又は2であり、上記r101が2の場合、上記2個のR101は互いに同一であるか異なっており、
r102は、1又は2であり、上記r102が2の場合、上記2個のR102は互いに同一であるか異なっており、
m及びnは、それぞれ0又は1である。
【0009】
本明細書のまた別の実施態様は、下記化学式1aの化合物;及びポリエステル前駆体又はポリカーボネート前駆体を含む樹脂製造用組成物を重合するステップを含む樹脂の製造方法を提供する。
【化3】
上記化学式1aにおいて、
X1~X4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、O又はSであり、
R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;又は置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R101及びR102は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は、1又は2であり、上記r101が2の場合、上記2個のR101は互いに同一であるか異なっており、
r102は、1又は2であり、上記r102が2の場合、上記2個のR102は互いに同一であるか異なっており、
m及びnは、それぞれ0又は1である。
【0010】
本明細書のまた別の実施態様は、上述した実施態様に係る樹脂を含む樹脂組成物を提供する。
【0011】
本明細書のまた別の実施態様は、上述した実施態様に係る樹脂を含む組成物を含む成形品を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書の一実施態様に係る樹脂は、高い屈折率及び高い透明性を有する。
【0013】
本明細書の一実施態様に係る樹脂を用いることにより、厚さの薄い優れた光学部材、光学レンズ、光学フィルム、光学薄膜、又は光学樹脂を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0015】
本明細書の一実施態様に係る化学式1の単位を含む樹脂は、ローレンツ・ローレンツの式(Lorentz-Lorenz’s formula)によって知られている分子構造と屈折率との関係式から、分子の電子密度を高め、分子体積を減らすことにより、分子から構成される物質の屈折率が高くなることが分かる。また、上記化学式1のコア構造がBPEF(2,2'-(((9H-fluorene-9,9-diyl)bis(4,1-phenylene))bis(oxy))bis(ethan-1-ol))であり、R1~R4に電子に富む置換基を導入して、上記化学式1の構造の電子密度を高めて、樹脂の屈折率をさらに向上させることができる。したがって、本明細書の一実施態様に係るポリカーボネート樹脂は、高い屈折率及び高い透明性を有し、これを用いた光学レンズ、光学フィルム、又は光学樹脂は、厚さが薄くて優れた光学特性を示すことができる。
【0016】
本発明の一実施態様において、上記化学式1の単位は、上記樹脂に1以上含まれることができ、2以上含まれる場合、各単位は、互いに同一であるか異なっている。
【0017】
本明細書の全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群より選択される一つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、上記構成要素からなる群より選択される一つ以上を含むことを意味する。
【0018】
本明細書において、置換基の例示は、以下で説明するが、これに限定されるものではない。
【0019】
本明細書において、
【化4】
は、連結される部位を意味する。
【0020】
本明細書において、上記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に換えられることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一であるか異なっていてもよい。
【0021】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;シアノ基;アルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;アルケニル基;アリールオキシ基;アリールチオ基;アルキルチオ基;シリル基;アリール基;芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環基;及びヘテロ環基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されたか、上記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、又はいずれの置換基も持たないことを意味する。
【0022】
本明細書において、2以上の置換基が連結されるということは、いずれか一つの置換基の水素が他の置換基と連結されたことを言う。例えば、2個の置換基が連結されることは、フェニル基とナフチル基とが連結されて、
【化5】
の置換基になることができる。また、3個の置換基が連結されることは、(置換基1)-(置換基2)-(置換基3)が連続して連結されることだけでなく、(置換基1)に(置換基2)及び(置換基3)が連結されることも含む。例えば、フェニル基、ナフチル基及びイソプロピル基が連結されて、
【化6】
の置換基になることができる。4以上の置換基が連結されることにも、上述した定義が同様に適用される。
【0023】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素がある。
【0024】
本明細書において、上記アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、炭素数は、特に限定されないが、1~30であることが好ましい。具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~30であることが好ましく、具体的に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0026】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖又は環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、3,3-ジメチルブチルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、ベンジルオキシ基、p-メチルベンジルオキシ基などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、アルケニル基は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、炭素数は、特に限定されないが、2~30であることが好ましい。具体的な例としては、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましく、上記アリール基は、単環式又は多環式であってもよい。
【0029】
上記アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は、特に限定されないが、炭素数6~50であることが好ましい。具体的に、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0030】
上記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は、特に限定されないが、炭素数10~50であることが好ましい。具体的に、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、ピレン基、フェナレン基、ペリレン基、クリセン基、フルオレン基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、上記フルオレン基は、置換されることができ、隣接する基同士が互いに結合して環を形成することができる。
上記フルオレン基が置換される場合、
【化7】
などがあるが、これに限定されない。
【0032】
本明細書において、「隣接する」基は、該当置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、該当置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、又は該当置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環でオルト(ortho)位に置換された2個の置換基及び脂肪族環で同一の炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接する」基と解釈されることができる。
【0033】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素ではない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的に、上記異種原子は、O、N、Se及びSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。炭素数は、特に限定されないが、炭素数2~30であることが好ましく、上記ヘテロアリール基は、単環式又は多環式であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジン基、ピリダジン基、ピラジン基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、フタラジン基、ピリドピリミジン基、ピリドピラジン基、ピラジノピラジン基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、フェナントリジン基(phenanthridine)、フェナントロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾール基、チアジアゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾシロール基、フェノキサチン基(phenoxathiine)、フェノキサジン基(phenoxazine)、フェノチアジン基(phenothiazine)、ジヒドロインデノカルバゾール基、スピロフルオレンザンテン基、スピロフルオレンチオキサンテン基、テトラヒドロナフトチオフェン基、テトラヒドロナフトフラン基、テトラヒドロベンゾチオフェン基、及びテトラヒドロベンゾフラン基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0034】
本明細書において、上記シリル基は、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルアリールシリル基;ヘテロアリールシリル基などであってもよい。上記アルキルシリル基中のアルキル基は、上述したアルキル基の例示が適用されることができ、上記アリールシリル基中のアリール基は、上述したアリール基の例示が適用されることができ、上記アルキルアリールシリル基中のアルキル基及びアリール基は、上記アルキル基及びアリール基の例示が適用されることができ、上記ヘテロアリールシリル基中のヘテロアリール基は、上記ヘテロアリール基の例示が適用されることができる。
【0035】
本明細書において、炭化水素環基は、芳香族炭化水素環基、脂肪族炭化水素環基、又は芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環基であってもよく、上記シクロアルキル基、アリール基、及びこれらの組み合わせの例示の中から選択されることができ、上記炭化水素環基は、フェニル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]オクチル基、テトラヒドロナフタレン基、テトラヒドロアントラセン基、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-メタノナフタレン基、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-エタノナフタレン基、スピロシクロペンタンフルオレン基、スピロアダマンタンフルオレン基、及びスピロシクロヘキサンフルオレン基などがあるが、これにのみ限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、ヘテロ環基は、炭素ではない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的に、上記異種原子は、O、N、Se及びSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。上記ヘテロ環基は、単環又は多環であってもよく、芳香族ヘテロ環基;脂肪族ヘテロ環基;芳香族ヘテロ環と脂肪族ヘテロ環との縮合環基;脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環及び芳香族ヘテロ環の縮合環基、又は脂肪族炭化水素環、芳香族炭化水素環及び脂肪族ヘテロ環の縮合環基であってもよく、上記芳香族ヘテロ環基は、上記ヘテロアリール基の例示の中から選択されることができる。
【0037】
本明細書において、脂肪族ヘテロ環基とは、ヘテロ原子のうち1個以上を含む脂肪族環基を意味する。脂肪族ヘテロ環基は、単結合の脂肪族環基、多重結合を含む脂肪族環基、又は単結合と多重結合とを含む環が縮合された形態の脂肪族環基をいずれも含む。脂肪族ヘテロ環の例としては、エポキシ基、オキシラン基(oxirane)、テトラヒドロフラン基、1,4-ジオキサン基(1,4-dioxane)、ピロリジン基、ピペリジン基、モルホリン基(morpholine)、オキセパン基、アゾカン基、チオカン基、テトラヒドロナフトチオフェン基、テトラヒドロナフトフラン基、テトラヒドロベンゾチオフェン基、及びテトラヒドロベンゾフラン基などがあるが、これに限定されない。
【0038】
本明細書において、アリールオキシ基は、-ORoで表されることができ、上記Roは、上述したアリール基に関する説明が適用される。
【0039】
本明細書において、アリールチオ基は、-SRs1で表されることができ、上記Rs1は、上述したアリール基に関する説明が適用される。
【0040】
本明細書において、アルキルチオ基は、-SRs2で表されることができ、上記Rs2は、上述したアルキル基に関する説明が適用される。
【0041】
本明細書において、アルキレン基は、アルキル基に結合位置が二つあるもの、すなわち2価基を意味する。これらはそれぞれ2価基であることを除き、上述したアルキル基の説明が適用されることができる。
【0042】
本明細書において、シクロアルキレン基は、シクロアルキル基に結合位置が二つあるもの、すなわち2価基を意味する。これらはそれぞれ2価基であることを除き、上述したシクロアルキル基の説明が適用されることができる。
【0043】
本明細書において、2価の芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環基は、芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環基に結合位置が二つあるもの、すなわち2価基を意味する。これらはそれぞれ2価基であることを除き、上述した芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環との縮合環基の説明が適用されることができる。
【0044】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が二つあるもの、すなわち2価基を意味する。これらはそれぞれ2価基であることを除き、上述したアリール基の説明が適用されることができる。
【0045】
本明細書において、水素は、水素、重水素、又は三重水素である。
【0046】
本明細書の一実施態様において、上記化学式1中の置換基が表示されない部分は、水素、重水素、又は三重水素が置換されたことを意味することができる。
【0047】
以下、本発明の好ましい実施態様を詳しく説明する。ところが、本発明の実施態様は、種々の形態に変形されることができ、本発明の範囲が、以下で説明する実施態様に限定されない。
【0048】
本明細書の一実施態様によれば、上記化学式1の単位は、上記樹脂に1以上含まれることができ、2以上含まれる場合、各単位は、互いに同一であるか異なっている。
【0049】
本明細書の一実施態様によれば、上記R101は、水素である。
【0050】
本明細書の一実施態様によれば、上記R102は、水素である。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、上記化学式1は、下記化学式1-1である。
【化8】
上記化学式1-1において、
*、La、R1~R6、m、n、及びX1~X4の定義は、上記化学式1で定義した通りである。
【0052】
本明細書の一実施態様によれば、上記化学式1は、下記化学式1-2~1-5のうちいずれか一つである。
【化9】
上記化学式1-2~1-5において、
*、La、R1~R6、m、n、及びX1~X4の定義は、上記化学式1で定義した通りである。
【0053】
本明細書の一実施態様によれば、上記X1~X4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、O;又はSであり、
上記R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、炭素数6~30の単環又は多環のアリールオキシ基、炭素数6~30の単環又は多環のアリール基、炭素数6~30の多環のヘテロアリール基、及びこれらの組み合わせのうち1以上で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環又は多環のアリール基;又は炭素数6~30の単環又は多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の多環のヘテロアリール基であり、
上記R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数2~30の直鎖又は分枝鎖のアルキレン基;又は炭素数6~30の単環又は多環のシクロアルキレン基であり、
上記R101及びR102は、水素であり、
上記Laは、直接結合;又は-C(=O)-L’-であり、
L’は、炭素数6~30の単環又は多環のアリーレン基である。
【0054】
本明細書の一実施態様によれば、上記R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、下記構造のうちいずれか一つである。
【化10】
【0055】
上記構造において、
Y1及びY2は、それぞれ独立して、O又はSであり、
G1~G8のいずれか一つは、上記化学式1に結合される部位であり、G1~G8のうち上記化学式1に結合されない残りは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭化水素環基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
G9~G16のいずれか一つは、上記化学式1に結合される部位であり、G9~G16のうち上記化学式1に結合されない残りは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭化水素環基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
G17~G26のいずれか一つは、上記化学式1に結合される部位であり、G17~G26のうち上記化学式1に結合されない残りは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭化水素環基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
G27~G38のいずれか一つは、上記化学式1に結合される部位であり、G27~G38のうち上記化学式1に結合されない残りは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭化水素環基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
G39~G46のいずれか一つは、上記化学式1に結合される部位であり、G39~G46のうち上記化学式1に結合されない残りは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭化水素環基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
G47~G52のいずれか一つは、上記化学式1に結合される部位であり、G47~G52のうち上記化学式1に結合されない残りは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭化水素環基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
G53~G59のいずれか一つは、上記化学式1に結合される部位であり、G53~G59のうち上記化学式1に結合されない残りは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭化水素環基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
G60~G67のいずれか一つは、上記化学式1に結合される部位であり、G60~G67のうち上記化学式1に結合されない残りは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭化水素環基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基であり、
G68~G76のいずれか一つは、上記化学式1に結合される部位であり、G68~G76のうち上記化学式1に結合されない残りは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換の炭化水素環基;又は置換もしくは非置換のヘテロ環基である。
【0056】
本明細書の一実施態様によれば、上記X1~X4は、Oである。
本明細書の一実施態様によれば、上記X1~X4は、Sである。
【0057】
本明細書の一実施態様によれば、上記X1及びX2は、Sであり、X3及びX4は、Oである。
本明細書の一実施態様によれば、上記X1及びX2は、Oであり、X3及びX4は、Sである。
【0058】
本明細書の一実施態様によれば、上記X1は、Oである。
本明細書の一実施態様によれば、上記X2は、Oである。
本明細書の一実施態様によれば、上記X3は、Oである。
本明細書の一実施態様によれば、上記X4は、Oである。
【0059】
本明細書の一実施態様によれば、上記X1は、Sである。
本明細書の一実施態様によれば、上記X2は、Sである。
本明細書の一実施態様によれば、上記X3は、Sである。
本明細書の一実施態様によれば、上記X4は、Sである。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、上記R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、炭素数6~30の単環又は多環のアリールオキシ基、炭素数6~30の単環又は多環のアリール基、炭素数6~30の多環のヘテロアリール基、及びこれらの組み合わせのうち1以上で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環又は多環のアリール基;又は炭素数6~30の単環又は多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の多環のヘテロアリール基である。
【0061】
本明細書の一実施態様によれば、上記R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数6~30の単環又は多環のアリールオキシ基、炭素数6~30の単環又は多環のアリール基、炭素数6~30の多環のヘテロアリール基、及びこれらの組み合わせのうち1以上で置換されたフェニル基;炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルコキシ基、又は炭素数6~30の単環又は多環のアリール基で置換もしくは非置換のナフチル基;炭素数6~30の単環又は多環のアリール基で置換もしくは非置換のカルバゾール基;ベンゾフラン基;又はジベンゾフラン基である。
【0062】
本明細書の一実施態様によれば、上記R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、フェノキシ基、ナフチル基、フェニル基、イミダゾール基、カルバゾール基、及びこれらの組み合わせのうち1以上で置換されたフェニル基;メチル基、メトキシ基、又はフェニル基で置換もしくは非置換のナフチル基;フェニル基で置換もしくは非置換のカルバゾール基;ベンゾフラン基;又はジベンゾフラン基である。
【0063】
本明細書の一実施態様によれば、上記R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、フェノキシ基、ナフチル基、フェニル基で置換されたイミダゾール基、又はカルバゾール基で置換されたフェニル基;メチル基、メトキシ基、又はフェニル基で置換もしくは非置換のナフチル基;フェニル基で置換されたカルバゾール基;ベンゾフラン基;又はジベンゾフラン基である。
【0064】
本明細書の一実施態様によれば、上記R1~R4は、互いに同一である。
【0065】
本明細書の一実施態様によれば、上記R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数2~30の直鎖又は分枝鎖のアルキレン基;又は炭素数6~30の単環又は多環のシクロアルキレン基である。
【0066】
本明細書の一実施態様によれば、上記R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、炭素数2~10の直鎖又は分枝鎖のアルキレン基;又は炭素数6~10の単環又は多環のシクロアルキレン基である。
【0067】
本明細書の一実施態様によれば、上記R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、エチレン基;イソプロピレン基;イソブチレン基;又はシクロヘキシレン基である。
【0068】
本明細書の一実施態様によれば、上記R5及びR6は、互いに同一である。
【0069】
本明細書の一実施態様によれば、上記R101及びR102は、水素である。
【0070】
本明細書の一実施態様によれば、上記Laは、直接結合;又は-C(=O)-L’-である。
本明細書の一実施態様によれば、上記Laは、直接結合である。
本明細書の一実施態様によれば、上記Laは、-C(=O)-L’-である。
【0071】
本明細書の一実施態様によれば、上記L’は、炭素数6~30の単環又は多環のアリーレン基である。
本明細書の一実施態様によれば、上記L’は、炭素数6~10の単環又は多環のアリーレン基である。
本明細書の一実施態様によれば、上記L’は、フェニレン基である。
【0072】
本明細書の一実施態様によれば、上記樹脂は、末端基として-OH;-SH;-COCH;又は-OCを有することができる。
【0073】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂の重量平均分子量は、10,000g/mol~200,000g/molであり、好ましくは15,000g/mol~100,000g/mol、より好ましくは20,000g/mol~50,000g/mol、又は25,000g/mol~40,000g/molである。
【0074】
上記樹脂が上述した重量平均分子量の範囲を満足する場合、上記樹脂は最適な流動性と加工性を有することができる。
【0075】
本発明の一実施態様において、上記樹脂の数平均分子量は、10,000g/mol~100,000g/molであり、10,000g/mol~50,000g/mol、10,000g/mol~30,000g/mol、又は11,000g/mol~28,000g/mol、好ましくは12,000g/mol~25,000g/molである。
【0076】
本明細書において、樹脂及びその製造に使用されるオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、Agilent 1200 seriesを用いて、ポリスチレン標準(PS standard)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatograph;GPC)で測定することができる。具体的には、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用いてAgilent 1200 series機器を用いて測定することができ、このとき、測定温度は40℃であり、使用溶媒はテトラヒドロフラン(THF)であり、流速は1mL/minである。樹脂又はオリゴマーのサンプルは、それぞれ10mg/10mLの濃度に調剤した後、10μLの量で供給し、ポリスチレン標準を用いて形成された検量線を用いて重量平均分子量(Mw)値を誘導する。このとき、ポリスチレン標準品の分子量(g/mol)は、2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を使用する。
【0077】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂のガラス転移温度(Tg)は、150℃~300℃であってもよい。好ましくは160℃~290℃、170℃~280℃、170℃~270℃、又は162℃~235℃であってもよい。
【0078】
上記樹脂が上記ガラス転移温度の範囲を満足する場合、耐熱性及び射出性に優れ、上述した範囲とは異なるガラス転移温度を有する樹脂と混合して樹脂組成物を製造するとき、ガラス転移温度の調節が容易であって、本明細書において目的とする物性を満足させることができる。
【0079】
上記ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。具体的に、上記ガラス転移温度は、5.5mg~8.5mgの上記樹脂試料を窒素雰囲気下に270℃まで加熱した後、冷却後、二回目の加熱時に10℃/minの昇温速度で加熱してスキャンして得たグラフから測定することができる。
【0080】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂の波長589nmで測定された屈折率が、1.68~1.76である。上記屈折率は、好ましくは1.685~1.755であってもよい。上記樹脂が上記屈折率を満足する場合、これを光学レンズのような成形品に適用するとき、薄くて軽い光学レンズの製造が可能である。
【0081】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂の波長486、589及び656nmで測定及び計算されたアッベ数は、5~20であってもよい。好ましくは12.1~17.6であり、より好ましくは10.5~15.5であってもよい。上記樹脂が上記アッベ数の範囲を満足する場合、上記樹脂を光学レンズのような成形品に適用するとき、分散が少なく、鮮明度が高くなる効果がある。
【0082】
上記アッベ数は、具体的に、20℃でD(589nm)、F(486nm)、C(656nm)波長での屈折率(n,n,n)をそれぞれ測定して、下記計算式によってアッベ数を得ることができる。
アッベ数=(n-1)/(n-n
【0083】
上記屈折率及びアッベ数の測定は、上記樹脂を溶媒に溶解して製造した溶液をシリコンウエハにスピンコーティング(spin-coating)で塗布して製造された膜から行われることができ、塗布された膜を20℃でエリプソメーター(ellipsometer)を用いて光の波長による結果値を得て測定することができる。上記スピンコーティングによる塗布は、150rpm~300rpmの回転速度で行われることができ、上記塗布された膜の厚さは、5μm~20μmであってもよい。上記シリコンウエハは、特に制限されず、本明細書に係る樹脂組成物の屈折率及びアッベ数を測定できるものであれば、適宜採用されることができる。上記溶媒は、ジメチルアセトアミド又は1,2-ジクロロベンゼンであってもよく、上記溶液は、溶液の総重量を基準に上記樹脂試料を10重量%で溶解して製造することができる。
【0084】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1aの化合物を提供する。
【化11】
上記化学式1aにおいて、
X1~X4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、O又はSであり、
R1~R4は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R5及びR6は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;又は置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R101及びR102は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は、1又は2であり、上記r101が2の場合、上記2個のR101は互いに同一であるか異なっており、
r102は、1又は2であり、上記r102が2の場合、上記2個のR102は互いに同一であるか異なっており、
m及びnは、それぞれ0又は1である。
【0085】
本明細書の一実施態様によれば、上記化学式1aは、下記化学式1a-1である。
【化12】
上記化学式1a-1において、X1~X4、R1~R6、m及びnの定義は、上記化学式1aで定義した通りである。
【0086】
本明細書の一実施態様によれば、上記化学式1aは、下記化学式1a-2~1a-5のうちいずれか一つである。
【化13】
【0087】
上記化学式1a-2~1a-5において、X1~X4、R1~R6、m及びnの定義は、上記化学式1aで定義した通りである。
【0088】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1aの化合物;及びポリエステル前駆体又はポリカーボネート前駆体を含む樹脂製造用組成物を重合するステップを含む上記樹脂の製造方法を提供する。
【化14】
【0089】
上記化学式1aにおいて、X1~X4、R1~R6、R101、R102、r101、r102、m及びnの定義は、上記化学式1aで定義した通りである。
【0090】
上記化学式1aの化合物を含む場合、重合が容易であり、置換基によって多様な範囲の屈折率、又は高い屈折率を有し、広い範囲のガラス転移温度を有する。
【0091】
上記樹脂製造用組成物は、溶媒をさらに含むことができる。
【0092】
上記溶媒は、例えば、ジフェニルエーテル、ジメチルアセトアミド又はメタノールであってもよいが、これに限定されず、当技術分野で適用されるものが適宜採用されることができる。
【0093】
上記溶媒は、上記樹脂製造用組成物100重量部に対して、5重量部~60重量部で含まれることができる。
【0094】
上記溶媒は、上記樹脂製造用組成物100重量部に対して、好ましくは5重量部~50重量部、7重量部~45重量部又は8重量部~40重量部で含まれることができる。
【0095】
本明細書の一実施態様によれば、上記化学式1aを2以上含むことができる。上記2以上の化学式1aは、互いに同一であるか異なっている。
【0096】
本明細書の一実施態様において、上記化学式1aの化合物は、下記化合物のうちいずれか一つであってもよいが、これに限定されるものではない。
【化15】
【0097】
本明細書の一実施態様において、上記化学式1aの化合物は、上記樹脂製造用組成物100重量部に対して、1重量部~100重量部、又は1重量部~99重量部で含まれることができる。
【0098】
より具体的には、上記化学式1aの化合物は、上記樹脂製造用組成物100重量部に対し、好ましくは1重量部~60重量部、1重量部~50重量部、1重量部~40重量部、1重量部~30重量部、1重量部~20重量部、又は1重量部~10重量部で含まれることができる。
【0099】
本明細書の一実施態様において、上記ポリエステル前駆体又はポリカーボネート前駆体は、上記樹脂製造用組成物100重量部に対して、1重量部~60重量部で含まれることができる。
【0100】
上記ポリエステル前駆体又はポリカーボネート前駆体は、上記樹脂製造用組成物100重量部に対して、好ましくは1重量部~60重量部、1重量部~55重量部、1重量部~50重量部、1重量部~45重量部、又は1重量部~40重量部で含まれることができる。
【0101】
本明細書の一実施態様によれば、上記ポリエステル前駆体は、下記化学式Aであり、上記ポリカーボネート前駆体は、下記化学式Bである。
【化16】
上記化学式A及びBにおいて、
Ra1、Ra2、Rb1及びRb2は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;又は置換もしくは非置換のアリール基であり、
Ar1は、置換もしくは非置換のアリーレン基であり、
a1~a4は、それぞれ0又は1である。
【0102】
本明細書の一実施態様によれば、上記Ra1、Ra2、Rb1及びRb2は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、ハロゲン基;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルキル基;又は置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環又は多環のアリール基である。
【0103】
本明細書の一実施態様によれば、上記Ra1、Ra2、Rb1及びRb2は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、ハロゲン基;置換もしくは非置換の炭素数1~20の直鎖又は分枝鎖のアルキル基;又は置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環又は多環のアリール基である。
【0104】
本明細書の一実施態様によれば、上記Ra1、Ra2、Rb1及びRb2は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、ハロゲン基;ヒドロキシ基で置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルキル基;又は炭素数6~30の単環又は多環のアリール基である。
【0105】
本明細書の一実施態様によれば、上記Ra1、Ra2、Rb1及びRb2は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、ハロゲン基;ヒドロキシ基で置換もしくは非置換の炭素数1~20の直鎖又は分枝鎖のアルキル基;又は炭素数6~20の単環又は多環のアリール基である。
【0106】
本明細書の一実施態様によれば、上記Ra1、Ra2、Rb1及びRb2は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、-Cl;メチル基;ヒドロキシ基で置換もしくは非置換のエチル基;n-プロピル基;n-ブチル基;又はフェニル基である。
【0107】
本明細書の一実施態様において、Ra1及びRa2は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、-Cl;又はヒドロキシ基で置換されたエチル基である。
【0108】
本明細書の一実施態様において、Ra1及びRa2は、-Clである。
【0109】
本明細書の一実施態様において、Ra1及びRa2は、メチル基である。
【0110】
本明細書の一実施態様において、Ra1及びRa2は、ヒドロキシ基で置換されたエチル基である。
【0111】
本明細書の一実施態様によれば、上記Rb1及びRb2は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、-Cl;メチル基;エチル基;n-プロピル基;n-ブチル基;又はフェニル基である。
【0112】
本発明の一実施態様において、Ar1は、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリーレン基である。
【0113】
本発明の一実施態様において、Ar1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基である。
【0114】
本発明の一実施態様において、Ar1は、置換もしくは非置換の炭素数6~12のアリーレン基である。
【0115】
本発明の一実施態様において、Ar1は、置換もしくは非置換のフェニレン基である。
【0116】
本発明の一実施態様において、Ar1は、フェニレン基である。
【0117】
本明細書の一実施態様によれば、上記化学式Aは、下記化合物である。
【化17】
【0118】
本明細書の一実施態様によれば、上記化学式Bは、下記化合物の中から選択されるいずれか一つである。
【化18】
【0119】
上記ポリカーボネート前駆体は、必要によって追加の共単量体を連結する役割をするものであって、上記化学式Bの化合物以外に適用できる他の具体的な例としては、ホスゲン、トリホスゲン、ジホスゲン、ブロモホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート又はビスハロホルメートなどが挙げられ、これらのうちいずれか一つ又は二つ以上の混合物を使用することができる。
【0120】
上記化学式1aの化合物と上記化学式Aのポリエステル前駆体又は上記化学式Bのポリカーボネート前駆体を重合することで、上述した化学式1の単位に形成されることができる。
【0121】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂は、上記化学式1aの化合物と上記化学式Aのポリエステル前駆体から重合されることが好ましい。
【0122】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂は、上記化学式1aの化合物と上記化学式Bのポリカーボネート前駆体から重合されることが好ましい。
【0123】
上記化学式1aの化合物は、上記化学式1の単位を含む樹脂を構成する全体単量体100モル部に対し、1モル部~100モル部、又は1モル部~99モル部で使用されることができる。
【0124】
上記化学式Aのポリエステル前駆体又は上記化学式Bのポリカーボネート前駆体は、上記樹脂を構成する上記化学式1aの化合物の全体単量体100モル部に対し、50モル部~150モル部で使用されることができる。
【0125】
本明細書に係る樹脂の重合は、当技術分野に知られている方法が用いられることができる。
【0126】
上記重合は、溶融重縮合法で行うことが好ましい。
【0127】
上記溶融重縮合法は、上記樹脂製造用組成物を使用して、必要によって触媒をさらに適用することができ、加熱下で、追加で常圧又は減圧下で、エステル交換反応によって副生成物を除去しながら溶融重縮合を行うものであってもよい。上記触媒は、当技術分野に一般的に適用される物質が採用されることができる。
【0128】
具体的に、上記溶融重縮合法は、上記化学式1aの化合物;及び上記ポリエステル前駆体又はポリカーボネート前駆体を反応容器中で溶融後、副生する化合物を滞留させた状態で、反応を実施することが好ましい。
【0129】
上記副生する化合物を滞留させるために、反応装置を閉塞するか、減圧するか加圧するなど圧力を制御することができる。
【0130】
この工程の反応時間は、20分以上600分以下であり、好ましくは40分以上450分以下、より好ましくは60分以上300分以下である。
【0131】
このとき、副生する化合物を生成後に直ちに留去すれば、最終的に得られる樹脂は高分子量体の含有量が少ない。しかしながら、副生する化合物を反応容器中に一定時間滞留させれば、最終的に得られる樹脂は高分子量体の含有量が多いものが得られる。
【0132】
上記溶融重縮合法は、連続式で実施しても良く、またバッチ式で実施しても良い。反応を実施するのに使用される反応装置は、アンカー型撹拌翼、マックスブレンド撹拌翼、ヘリカルリボン型撹拌翼などを装備した縦型であってもよく、パドル翼、格子翼、メガネ翼などを装備した横型であってもよく、スクリューを装備した押出機型であってもよい。また、重合物の粘度を勘案してこれらの反応装置を適宜組み合わせた反応装置を使用することが好ましく実施される。
【0133】
本明細書に使用される樹脂の製造方法では、重合反応の終了後、熱安定性及び加水分解安定性を維持するために、触媒を除去又は失活させてもよい。当技術分野で公知となっている酸性物質の添加による触媒の失活を実施する方法を好ましく実施することができる。
【0134】
上記酸性物質としては、例えば、安息香酸ブチルなどのエステル類、p-トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸類;p-トルエンスルホン酸ブチル、p-トルエンスルホン酸ヘキシルなどの芳香族スルホン酸エステル類;亜リン酸、リン酸、ホスホン酸などのリン酸類;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn-プロピル、亜リン酸ジn-ブチル、亜リン酸ジn-ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチルなどの亜リン酸エステル類;リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチルなどのリン酸エステル類;ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸などのホスホン酸類;フェニルホスホン酸ジエチルなどのホスホン酸エステル類;トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンなどのホスフィン類;ホウ酸、フェニルホウ酸などのホウ酸類;ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などの芳香族スルホン酸塩類;ステアリン酸クロリド、塩化ベンゾイル、p-トルエンスルホン酸クロリドなどの有機ハロゲン化物;ジメチル硫酸などのアルキル硫酸;塩化ベンジルなどの有機ハロゲン化物などが好ましく使用される。
【0135】
上記酸性物質は、上記触媒100モル部に対して、0.1モル部~5モル部、好ましくは0.1モル部~1モル部で使用されることができる。
【0136】
上記酸性物質が0.1モル部未満であれば、失活効果が不十分になって好ましくない。また、5モル部超過であれば、樹脂の耐熱性が低下し、成形品が着色しやすくなるので、好ましくない。
【0137】
触媒失活後、樹脂中の低沸点化合物を、0.1mmHg~1mmHgの圧力、200℃~350℃の温度で脱揮工程をさらに行うことができる。この工程には、パドル翼、格子翼、メガネ翼など、表面更新能に優れた撹拌翼を備えた横型装置、あるいは薄膜蒸発機が好ましく使用される。
【0138】
本明細書の樹脂は、異物含有量が最大限少ないことが好ましく、溶融原料の濾過、触媒液の濾過などが好ましく実施される。
【0139】
上記濾過に使用されるフィルターのメッシュは、5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。また、生成される樹脂のポリマーフィルターによる濾過が好ましく実施される。上記ポリマーフィルターのメッシュは、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。また、樹脂ペレットを採取する工程は、低ダスト環境でなければならず、クラス6以下であることが好ましく、より好ましくはクラス5以下である。
【0140】
また、上記樹脂を含む成形品の成形方法としては、射出成形の他に、圧縮成形、鋳型、ロール加工、押出成形、延伸などが例示されるが、これに限定されない。
【0141】
本明細書のまた別の実施態様は、上述した実施態様に係る樹脂を含む樹脂組成物を提供する。
【0142】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂は、上記樹脂組成物100重量部を基準に1重量部~80重量部で含まれることができる。
【0143】
本明細書の一実施態様において、上記樹脂組成物は、溶媒をさらに含むことができる。上記溶媒は、例えば、ジメチルアセトアミド又は1,2-ジクロロベンゼンであってもよい。
【0144】
上記溶媒は、上記樹脂組成物100重量部を基準に20重量部~99重量部で含まれることができる。
【0145】
上記樹脂組成物は、上記化学式1aの化合物の他に追加の単量体をさらに含むことができる。上記追加の単量体は、特に制限されず、上記樹脂組成物の主な物性を変化させない範囲でポリエステル又はポリカーボネート関連の当技術分野で一般的に適用される単量体が適宜採用されることができる。上記追加の単量体は、上記化学式1の単位を含む樹脂を構成する全体単量体100モル部に対し、1モル部~50モル部で使用されることができる。
【0146】
上記樹脂組成物は、上記化学式1の単位を含む樹脂の他に、必要によって添加剤、例えば酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料及び染料からなる群より選択された1種以上をさらに含むことができる。
【0147】
上記添加剤は、上記樹脂組成物100重量部を基準に1重量部~99重量部で含まれることができる。
【0148】
上記酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料又は染料の種類は、特に限定されず、当技術分野で適用されるものが適宜採用されることができる。
【0149】
本明細書のまた別の実施態様は、上述した実施態様に係る樹脂組成物を含む成形品を提供する。
【0150】
本明細書の一実施態様において、上記成形品は、上記樹脂組成物又はその硬化物から製造されることができる。
【0151】
上記成形品の製造方法の一例として、上記化学式1の単位を含む樹脂と上記添加剤とをミキサを用いてよく混合した後、押出器で押出成形してペレットに製造し、上記ペレットを乾燥させた後、射出成形機で射出するステップを含むことができる。
【0152】
本明細書の一実施態様において、上記成形品は、光学部材である。
【0153】
本明細書の一実施態様において、上記成形品は、光学レンズである。
【0154】
本明細書の一実施態様に係る光学レンズは、屈折率が高くて薄い厚さの光学レンズを実現することができる。
【0155】
上記光学レンズは、上記樹脂を用いて製造されるものであって、厚さが薄く、高屈折率及び高透明性を有し、好ましくはカメラに適用されることができる。
【実施例
【0156】
以下、実施例を通じて、本明細書をより詳細に例示する。
【0157】
1.モノマー(Monomer)1の合成
【化19】
【0158】
1)化合物1-Cの合成
化合物1-A 24.1g(68.9mmol、1.0eq)、化合物1-B 51.51g(289.4mmol、4.2eq)をテトラヒドロフラン(THF)200gに溶解して、常温で25時間の間撹拌した。その後、真空濃縮して溶媒を完全に除去した後、ジクロロメタン(DCM)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空濃縮した。得られた固体を酢酸エチル(EA)とジクロロメタン(DCM)を通じてカラムクロマトグラフィーして精製後、n-ヘキサン(n-Hex)で沈殿して白色固体である化合物1-Cを27g得た。
【0159】
2)化合物1-Eの合成
化合物1-C 67.5g(79mmol、1.0eq)及び化合物1-D 56.06g(326mmol、4.12eq)を510gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解して、80℃のオイルバス(oil bath)で30分間撹拌した。KCO 56.86g(411mmol、5.20eq)を489mLの水に溶解後、その溶液の内部温度を50℃以上で維持しながら10分間滴下した。Pd(t-BuP)触媒0.20g(0.4mmol、0.005eq)を内部温度60℃で投入した。1時間撹拌後、酢酸エチル(EA)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空濃縮した。n-ヘキサン(n-Hex)とジクロロメタン(DCM)を通じてカラムクロマトグラフィーして精製後、n-ヘキサン(n-Hex)で沈殿して白色固体である化合物1-Eを45g得た。
【0160】
3)モノマー(Monomer)1の合成
化合物1-E 156.5g(183mmol、1.0eq)、化合物1-F 48.57g(552mmol、3.0eq)、KCO 20.33g(147mmol、0.80eq)をジメチルアセトアミド(DMAc)400gに溶解し、120℃のオイルバス(oil bath)で2時間の間撹拌した。冷却後、水を投入して固体を析出後、濾過した。得られた固体を酢酸エチル(EA)とジクロロメタン(DCM)を通じてカラムクロマトグラフィーして精製後、n-ヘキサン(n-Hex)で沈殿して白色固体である化合物モノマー(Monomer)1を104g得た。
MS:[M+H]=942
【0161】
2.モノマー(Monomer)2の合成
【化20】
化合物1-Dの代わりに2-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)2を得た。
MS:[M+H]=942
【0162】
3.モノマー(Monomer)3の合成
【化21】
化合物1-Dの代わりに3-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)3を得た。
MS:[M+H]=1247
【0163】
4.モノマー(Monomer)4の合成
【化22】
化合物1-Dの代わりに4-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)4を得た。
MS:[M+H]=1062
【0164】
5.モノマー(Monomer)5の合成
【化23】
化合物1-Dの代わりに5-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)5を得た。
MS:[M+H]=998
【0165】
6.モノマー(Monomer)6の合成
【化24】
化合物1-Dの代わりに6-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)6を得た。
MS:[M+H]=998
【0166】
7.モノマー(Monomer)7の合成
【化25】
化合物1-Dの代わりに7-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)7を得た。
MS:[M+H]=1246
【0167】
8.モノマー(Monomer)8の合成
【化26】
化合物1-Dの代わりに8-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)8を得た。
MS:[M+H]=1110
【0168】
9.モノマー(Monomer)9の合成
【化27】
化合物1-Dの代わりに9-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)9を得た。
MS:[M+H]=1246
【0169】
10.モノマー(Monomer)10の合成
【化28】
化合物1-Dの代わりに10-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)10を得た。
MS:[M+H]=1246
【0170】
11.モノマー(Monomer)11の合成
【化29】
化合物1-Dの代わりに11-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)11を得た。
MS:[M+H]=1510
【0171】
12.モノマー(Monomer)12の合成
【化30】
化合物1-Dの代わりに12-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)12を得た。
MS:[M+H]=1402
【0172】
13.モノマー(Monomer)13の合成
【化31】
化合物1-Dの代わりに13-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)13を得た。
MS:[M+H]=1402
【0173】
14.モノマー(Monomer)14の合成
【化32】
化合物1-Dの代わりに14-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)14を得た。
MS:[M+H]=902
【0174】
15.モノマー(Monomer)15の合成
【化33】
化合物1-Dの代わりに15-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)15を得た。
MS:[M+H]=1102
【0175】
16.モノマー(Monomer)16の合成
【化34】
化合物1-Fの代わりに16-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)16を得た。
MS:[M+H]=970
【0176】
17.モノマー(Monomer)17の合成
【化35】
上記化合物1-Eの合成は、上記モノマー(Monomer)1の製造方法と同一である。
化合物1-E 78.2g(91.5mmol、1.0eq)、化合物17-A 17.32g(192mmol、2.1eq)、PPh 50.36g(192mmol、2.1eq)をテトラヒドロフラン(THF)2,000gに溶解し、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(diisopropyl azodicarboxylate)38.82g(192mmol、2.1eq)を70分間投入した。投入後、常温で12時間の間撹拌した。真空濃縮して溶媒を除去した後、ジクロロメタン(DCM)/HOで水洗して有機層を分離し、溶媒を真空濃縮した。その後、酢酸エチル(EA)とジクロロメタン(DCM)を通じてカラムクロマトグラフィーして精製後、n-ヘキサン(n-Hex)で沈殿して白色固体であるモノマー(Monomer)17を55g得た。
MS:[M+H]=998
【0177】
18.モノマー(Monomer)18の合成
【化36】
上記化合物1-Eの合成は、上記モノマー(Monomer)1の製造方法と同一である。
化合物1-E 78.2g(91.5mmol、1.0eq)をテトラヒドロフラン(THF)500g、t-BuOH 500gに溶解して、KOtBu 21.56g(192mmol、2.1eq)を投入した。投入後、化合物18-A 18.84g(192mmol、2.0eq)をゆっくり投入した。その後昇温して、還流(reflux)状態で72時間の間撹拌した。冷却後、濃縮を進行した後、酢酸エチル(EA)とジクロロメタン(DCM)を通じてカラムクロマトグラフィーして精製後、 n-ヘキサン(n-Hex)で沈殿して白色固体であるモノマー(Monomer)18を48g得た。
MS:[M+H]=1050
【0178】
19.モノマー(Monomer)19の合成
【化37】
化合物17-Aの代わりに19-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)17の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)19を得た。
MS:[M+H]=1050
【0179】
20.モノマー(Monomer)20の合成
【化38】
化合物17-Aの代わりに20-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)17の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)20を得た。
MS:[M+H]=1050
【0180】
21.モノマー(Monomer)21の合成
【化39】
化合物1-Aの代わりに21-Aを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、モノマー(Monomer)21を得た。
MS:[M+H]=974
【0181】
22.モノマー(Monomer)C1の合成
【化40】
モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、比較例C1を得た。
MS:[M+H]=438
【0182】
23.モノマー(Monomer)C2の合成
【化41】
化合物1-Aの代わりに1-C2、化合物1-Dの代わりにフェニルボロン酸(phenylboronic acid)を使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、比較例C2を得た。
MS:[M+H]=590
【0183】
24.モノマー(Monomer)C3の合成
【化42】
化合物1-Aの代わりに1-C2を使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、比較例C3を得た。
MS:[M+H]=690
【0184】
25.モノマー(Monomer)C4の合成
【化43】
化合物1-Aの代わりに1-C3、1-Dの代わりに1-Gを使用したこと以外は、モノマー(Monomer)1の合成と同様の方法を通じて、比較例C4を得た。
MS:[M+H]=590
【0185】
ポリエステル樹脂1の製造
【化44】
モノマー(Monomer)1 1.67g(1.77mmol、1.0eq)、テレフタロイルクロリド(Terephthaloyl Chloride)0.36g(1.77mmol、1.0eq)をジフェニルエーテル(Diphenyl Ether(DPE))4.1gに溶解して、180℃のオイルバス(oil bath)で6時間反応した。反応が進行されながら塩酸(HCl)ガスが発生し、これを除去するために窒素置換、塩酸ガス捕集装置を設置した。反応後、100℃に冷却して15gのジメチルアセトアミド(DMAc)を投入し、メタノール(Methyl alcohol)を通じて沈殿して樹脂1を製造した。
【0186】
ポリエステル樹脂2~21の製造
モノマー(Monomer)1の代わりにモノマー(Monomer)2~21をそれぞれ使用したこと以外は、ポリエステル樹脂1の製造方法と同様の方法で、ポリエステル樹脂2~21を製造した。
【0187】
比較例樹脂PE1~PE4の製造
モノマー(Monomer)1の代わりにモノマー(Monomer)C1~C4をそれぞれ使用したこと以外は、ポリエステル樹脂1の製造方法と同様の方法で、比較例樹脂PE1~PE4を製造した。
【0188】
ポリカーボネート樹脂1の製造
【化45】
原料として、モノマー(Monomer)1 282.9g(0.3mol、1eq)、ジフェニルカーボネート(以下「DPC」と略す場合がある)67.5g(0.315mol、1.05eq)、及び炭酸水素ナトリウム0.37mg(4.4×10-6mol、0.000015eq)を反応器に入れて溶融して、250℃で5時間反応した。反応が進行されながらフェノール(Phenol)が副生成物として発生し、これを除去するために減圧度を最大1Torrまで調節した。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで常圧雰囲気をつくって、重合された高分子溶融樹脂を取り出し、これによりポリカーボネート樹脂1を得た。
【0189】
ポリカーボネート樹脂2~21の製造
モノマー(Monomer)1の代わりにモノマー(Monomer)2~21をそれぞれ使用したこと以外は、ポリカーボネート樹脂1の製造方法と同様の方法で、ポリカーボネート樹脂2~21を製造した。
【0190】
比較例樹脂PC1~PC4の製造
モノマー(Monomer)1の代わりにモノマー(Monomer)C1~C4をそれぞれ使用したこと以外は、ポリカーボネート樹脂1の製造方法と同様の方法で、比較例樹脂PC1~PC4を製造した。
【0191】
実験例
重合した樹脂試料の分子量及び分子量分布をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を通じて確認し、熱的特性を調べるために示差走査熱量計(DSC)を用いてサーモグラム(thermogram)を得た。屈折率及びアッベ数を測定するために、製膜後、エリプソメーター(ellipsometer)を用いて光の波長による結果値を得た。
【0192】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を通じた分子量は、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran(THF、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)で安定化))を溶媒として使用し、樹脂試料をテトラヒドロフランに1.0mg/1mlの濃度で溶解させてシリンジフィルター(syringe filter)で濾過してつくった溶液を注入して、40℃で測定して結果を得、これを下記表1及び表2に記載した。Waters RI detectorを使用し、カラム(column)は、Agilent PLgel MIXED-B 2個を使用した。
【0193】
樹脂のガラス転移温度(Tg)を調べるために示差走査熱量計(DSC)で測定した。5.5mg~8.5mgの樹脂試料をNflow下に270℃まで加熱してから、冷却後、二回目の加熱時に10℃/minの昇温速度で加熱してスキャンして得たグラフ上でガラス転移温度(Tg)を求め、これを下記表1及び表2に記載した。
【0194】
樹脂の屈折率及びアッベ数を測定するために、重合して得た樹脂パウダー試料を溶媒ジメチルアセトアミドに高分子溶液の総重量を基準に10重量%で溶解して製造した高分子溶液をシリコンウエハにスピンコーティング(spin-coating)で220rpmの回転速度で塗布して、厚さ20μmに製膜後、20℃でエリプソメーター(ellipsometer)を用いて光の波長による結果値を得、これを下記表1及び表2に記載した。具体的に、屈折率は、波長589nmで測定したものであり、アッベ数は、D(589nm)、F(486nm)、C(656nm)波長での屈折率(n,n,n)をそれぞれ測定して、下記計算式によってアッベ数を得た。
アッベ数=(n-1)/(n-n
【0195】
【表1】
【0196】
【表2】
【0197】
上記表1及び表2において、Mnは、数平均分子量、Mwは、重量平均分子量を意味し、屈折率は、波長589nmで測定した値である。
【0198】
上記表1及び表2によれば、実施例1-1~1-21、及び2-1~2-21の樹脂は、本明細書の一実施態様に係る化学式1の単位を含み、特に、フルオレンコア構造にアリール基又はヘテロアリール基のように電子に富むR1~R4の置換基で置換される場合、フルオレンコア構造の電子密度を高めることで、屈折率を向上させることができる。
【0199】
これに対し、比較例1-1~1-4、及び2-1~2-4に係る樹脂は、フルオレンコア構造のベンゼン環に電子に富む置換基が不足であるため、本明細書の実施例1-1~1-21、及び2-1~2-21の樹脂よりも屈折率が低いことが確認できる。
【0200】
本発明の実施態様に係る樹脂を光学レンズのような成形品に適切に適用するためには、高い屈折率が優先的に要求され、比較例1-1~1-4、及び2-1~2-4の場合、実施例1-1~1-21、及び2-1~2-21よりもアッベ数が高くても、屈折率が非常に低いので、実施例1-1~1-21、及び2-1~2-21は、比較例1-1~1-4、及び2-1~2-4よりも光学材料としてより優れることが確認できた。
【国際調査報告】