(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】ビームラインイオン注入装置のための高速ビーム較正手順
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20240903BHJP
【FI】
H01J37/317 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508987
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022034676
(87)【国際公開番号】W WO2023022793
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ギャンメル, ジョージ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン, エリック ドナルド
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA25
5C101BB03
5C101EE42
5C101EE43
5C101EE45
5C101EE48
5C101EE49
5C101EE68
5C101GG15
5C101GG33
5C101HH54
5C101LL05
(57)【要約】
方法は、スポットイオンビームについてのスポットビームプロファイルを受け取ることと、スポットイオンビームについての線形被走査ビームプロファイルを受け取ることと、スポットビームプロファイルおよび線形被走査ビームプロファイルに基づいて、計算された較正スポットプロファイルを生成することと、計算された較正スポットプロファイルに基づいて、スポットイオンビームについての調整済み被走査プロファイルを実装することとを含む。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポットイオンビームについてのスポットビームプロファイルを受け取ることと、
前記スポットイオンビームについての線形被走査ビームプロファイルを受け取ることと、
前記スポットビームプロファイルおよび前記線形被走査ビームプロファイルに基づいて、計算された較正スポットプロファイルを生成することと、
前記計算された較正スポットプロファイルに基づいて、前記スポットイオンビームについての調整済み被走査プロファイルを実装することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記計算された較正スポットプロファイルを前記生成することが、前記スポットビームプロファイルに対して畳み込み演算を実行することによって、肥大スポットビームプロファイルを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算された較正スポットプロファイルを前記生成することが、前記スポットイオンビームを制御するために使用されるコントローラのドーズコントローラ遅延だけ前記肥大スポットビームプロファイルを調整することによって、遅延肥大スポットビームプロファイルを生成することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記計算された較正スポットプロファイルを前記生成することが、エリアスケールド遅延肥大スポットビームプロファイルを生成するために、前記遅延肥大スポットビームプロファイルにエリアスカラーを適用することをさらに含み、ここで、前記エリアスカラーが、理想的な較正スポットビームプロファイルと、前記線形被走査ビームプロファイルのエリアとの比から決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記計算された較正スポットプロファイルを前記生成することが、前記線形被走査ビームプロファイルを生成するために使用される検出器フィルタについてのフィルタ応答に基づいて、前記エリアスケールド遅延肥大スポットビームプロファイルにプロファイル速さ過渡応答係数を適用することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記スポットビームプロファイルが、非偏向静止スポットビームにわたって電流検出器を走査することによって測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記線形被走査ビームプロファイルが、一定の速度において、所定の水平走査距離にわたって前記スポットイオンビームを走査することによって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板に関してスポットイオンビームを走査するためのビームスキャナと、
前記スポットイオンビームの電流を測定するための検出器と、
コントローラおよびメモリを備えるビーム較正構成要素であって、前記メモリが、
前記スポットイオンビームについてのスポットビームプロファイルを受け取ることと、
前記スポットイオンビームの線形被走査ビームプロファイルを受け取ることと、
前記スポットビームプロファイルおよび前記線形被走査ビームプロファイルに基づいて、計算された較正スポットプロファイルを生成することと、
前記計算された較正スポットプロファイルに基づいて、前記スポットイオンビームについての調整済み被走査プロファイルを実装することと
を行うように前記コントローラ上で動作可能な較正ルーチンを備える、ビーム較正構成要素と
を備える、イオンビームの走査を制御するための装置。
【請求項9】
前記較正ルーチンが、前記スポットビームプロファイルに対して畳み込み演算を実行することによって肥大スポットビームプロファイルを生成することによって、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することを行うように前記コントローラ上で動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記較正ルーチンが、前記スポットイオンビームを制御するために使用されるドーズコントローラのドーズコントローラ遅延だけ前記肥大スポットビームプロファイルを調整することによって、遅延肥大スポットビームプロファイルを生成することをさらに行うことによって、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することを行うように前記コントローラ上で動作可能である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記較正ルーチンは、エリアスケールド遅延肥大スポットビームプロファイルを生成するために、前記遅延肥大スポットビームプロファイルにエリアスカラーを適用することをさらに行うことによって、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することであって、ここで、前記エリアスカラーが、理想的な較正スポットビームプロファイルと、前記線形被走査ビームプロファイルのエリアとの比から決定される、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することを行うように前記コントローラ上で動作可能である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記較正ルーチンが、前記線形被走査ビームプロファイルを生成するために使用される検出器フィルタについてのフィルタ応答に基づいて、前記エリアスケールド遅延肥大スポットビームプロファイルにプロファイル速さ過渡応答係数を適用することをさらに行うことによって、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することを行うように前記コントローラ上で動作可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記スポットビームプロファイルが、非偏向静止スポットビームにわたって電流検出器を走査することによって測定される、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記線形被走査ビームプロファイルが、一定の速度において、所定の水平走査距離にわたって前記スポットイオンビームを走査することによって生成される、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、前記非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体が命令を含み、前記命令がコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、
スポットイオンビームについてのスポットビームプロファイルを受け取ることと、
前記スポットイオンビームの線形被走査ビームプロファイルを受け取ることと、
前記スポットビームプロファイルおよび前記線形被走査ビームプロファイルに基づいて、計算された較正スポットプロファイルを生成することと、
前記計算された較正スポットプロファイルに基づいて、前記スポットイオンビームについての調整済み被走査プロファイルを実装することと
を行わせる、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項16】
前記命令が、前記スポットビームプロファイルに対して畳み込み演算を実行することによって肥大スポットビームプロファイルを生成することによって、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することを行うように前記コンピュータをさらに構成する、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項17】
前記命令が、前記スポットイオンビームを制御するために使用されるドーズコントローラのドーズコントローラ遅延だけ前記肥大スポットビームプロファイルを調整することによって、遅延肥大スポットビームプロファイルを生成することをさらに行うことによって、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することを行うように前記コンピュータをさらに構成する、請求項16に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項18】
前記命令が、エリアスケールド遅延肥大スポットビームプロファイルを生成するために、前記遅延肥大スポットビームプロファイルにエリアスカラーを適用することをさらに行うことによって、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することであって、ここで、前記エリアスカラーが、理想的な較正スポットビームプロファイルと、前記線形被走査ビームプロファイルのエリアとの比から決定される、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することを行うように前記コンピュータをさらに構成する、請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項19】
前記命令が、前記線形被走査ビームプロファイルを生成するために使用される検出器フィルタについてのフィルタ応答に基づいて、前記エリアスケールド遅延肥大スポットビームプロファイルにプロファイル速さ過渡応答係数を適用することをさらに行うことによって、前記計算された較正スポットプロファイルを生成することを行うように前記コンピュータをさらに構成する、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、「FAST BEAM CALIBRATION PROCEDURE FOR BEAMLINE ION IMPLANTER」と題する、2021年8月20日に出願された、米国仮特許出願第63/235,508号、および「FAST BEAM CALIBRATION PROCEDURE FOR BEAMLINE ION IMPLANTER」と題する、2022年3月21日に出願された、米国非仮特許出願第17/700,048号の優先権を主張し、これらの出願の内容全体は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本実施形態は、処理装置および方法に関し、より詳細には、イオン注入プロセスにおけるビーム電流を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、様々なタイプの処理装置が、イオンを用いて基板を処置または処理するために採用されている。半導体基板などの基板を処理するために、イオンが、基板上の層または特徴をエッチングするために使用され得る。イオンはまた、基板上に層または構造を堆積させるか、基板に核種を注入するか、または基板をアモルファス化するために使用され得る。また、基板の処理を制御するために、基板の処理を監視するための技法が開発されている。
【0004】
被走査スポットビームを使用する基板のイオン注入についての正確なドーズ制御を提供するために、ファラデーカップモニタなどの電流モニタが、基板にまたは基板の近くに設けられ得る。いくつかのイオン注入装置では、ファラデーカップは、イオン注入手順を較正するために、第1の方向に沿って往復して走査されるスポットビームをインターセプトするために、基板に隣接して設けられ得る。一般に、一連の基板(ウエハ)の注入中に、ビーム較正手順が、適切なイオンドーズがウエハにわたって提供されることを保証するようにイオンビームの走査を「チューニングする」ために、そのような電流モニタを使用して周期的に実行される。
【0005】
ウエハ面にわたる均一な電流密度を用いるそのような較正プロセスのために採用される「チューン」時間の量を低減することによってイオン注入機の生産性を増加させるための取り組みが常にある。被走査スポットビームのイオン注入を較正するための所与のチューニング動作において、「静止」スポットビームプロファイル(SpotBP)が、様々な被走査ビームプロファイル(ScannedBP)に加えて得られ、ここで、スポットビームが、所定の走査方向に沿って往復して迅速に走査される間、ビーム電流が測定される。様々なプロファイルの各々は、実行するために所与の所要時間を必要とする。たとえば、16個のSpotBPからなる平均的集合は、3秒の所要時間を必要とし得、単一の被走査ビームプロファイルは、12秒程度を必要とし得る。したがって、イオンビームのための合計較正時間は、少なくとも1つのSpotBPと少なくとも2つのScannedBPとを含んで、少なくとも27秒であり得る。その上、このシナリオにおけるイオンビームのための合計均一性チューニングまたは較正時間は、均一性チューニングが、27秒の較正時間を含み、加えて、追加の12秒を伴う、ScannedBPAdjustedと呼ばれる、較正の後の少なくとも1つの調整済み走査を含むので、少なくとも39秒を必要とし得る。所与のウエハ注入手順は、数秒の所要時間を必要とするにすぎないことがあり、したがって、25個のウエハからなるバッチの注入は、数分またはそれ以下を要するにすぎないことがあることに留意されたい。したがって、ビーム較正があらゆるウエハバッチの注入の前に実行されたとき、ビーム較正は、合計注入時間の大部分を構成し得、これにより、ウエハスループットを制限する。
【0006】
これらおよび他の考慮事項に関して、本改善が、必要とされていることがある。
【発明の概要】
【0007】
本実施形態は、改善されたスポットビーム較正を実装するための方法、物品、およびイオン注入装置に関する。一実施形態では、方法は、スポットイオンビームについてのスポットビームプロファイルを受け取ることと、スポットイオンビームについての線形被走査ビームプロファイルを受け取ることと、スポットビームプロファイルおよび線形被走査ビームプロファイルに基づいて、計算された較正スポットプロファイルを生成することと、計算された較正スポットプロファイルに基づいて、スポットイオンビームについての調整済み被走査プロファイルを実装することとを含み得る。
【0008】
別の実施形態では、イオンビームの走査を制御するための装置が提供される。装置は、基板に関してスポットイオンビームを走査するためのビームスキャナと、イオンビームの電流を測定するための検出器と、コントローラおよびメモリを備えるビーム較正構成要素とを含み得る。メモリは、較正ルーチンを含み得る。較正ルーチンは、スポットイオンビームについてのスポットビームプロファイルを受け取ることと、スポットイオンビームの線形被走査ビームプロファイルを受け取ることと、スポットビームプロファイルおよび線形被走査ビームプロファイルに基づいて、計算された較正スポットプロファイルを生成することと、計算された較正スポットプロファイルに基づいて、スポットイオンビームについての調整済み被走査プロファイルを実装することとを行うようにコントローラ上で動作可能であり得る。
【0009】
別の実施形態では、命令のセットを含む、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体が提供される。命令のセットは、コンピュータによって実行されると、コンピュータに、スポットイオンビームについてのスポットビームプロファイルを受け取ることと、スポットイオンビームの線形被走査ビームプロファイルを受け取ることと、スポットビームプロファイルおよび線形被走査ビームプロファイルに基づいて、計算された較正スポットプロファイルを生成することと、計算された較正スポットプロファイルに基づいて、スポットイオンビームについての調整済み被走査プロファイルを実装することとを行わせ得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】スポットビームイオン注入システムにおいて実装され得る基準イオンビーム較正のための基本構成要素を図示する図である。
【
図1B】本開示の実施形態による、スポットビームイオン注入システムにおいて実装され得るイオンビーム較正のための基本構成要素を図示する図である。
【
図1C】本開示の別の実施形態による、スポットビームイオン注入システムにおいて実装され得るイオンビーム較正のための基本構成要素を図示する図である。
【
図2A】本実施形態による、メニュー項目、およびスポットビームプロファイルに関連付けられた信号のグラフィカル表現を含む複合図示を示す図である。
【
図2B】メニュー項目、および予測較正スポットプロファイルに関連付けられた信号のグラフィカル表現を含む複合図示である。
【
図3】様々なスポットビーム較正および測定曲線の比較を示す図である。
【
図4】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図5A-5B】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図6A-6B】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図7A】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図7B】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図7C】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図7D】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図7E】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図8A】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図8B】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図8C】本開示の様々な実施形態による、スポットビームプロファイルの、予測較正スポットプロファイルへの変換に関与する動作を描く図である。
【
図9A】本開示の様々な実施形態による、ビームラインイオン注入装置のブロック形式での上面図を描く図である。
【
図9B】スポットビーム較正ルーチンを含むメモリの例示的なブロック図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本実施形態は、いくつかの実施形態が示されている、添付の図面を参照しながら以下でより十分に説明される。本開示の主題は、多くの異なる形態において具現され得、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。代わりに、これらの実施形態は、本開示が、周到で、完全なものになるように、および主題の範囲を当業者に十分に伝達するように提供される。図面中で、同様の番号は、全体にわたって同様の要素を指す。
【0012】
本明細書で説明される実施形態は、イオン注入装置のためのビーム較正、およびイオン注入スループットを改善するための新規の技法を提供する。
【0013】
本開示の様々な実施形態によれば、イオンビームチューニングまたはビームチューニングとも呼ばれる、イオンビーム較正のためのより迅速な手法が提供される。参考として、
図1Aは、スポットビームイオン注入システムにおいて実装され得るイオンビーム較正のための基本構成要素を図示し、ここで、イオン注入は、被走査スポットビームに基板を曝露することによって実行される。とりわけ、スポットビームは、たとえば、数kHz程度のレートにおいて所与のビーム走査軸に沿って基板にわたって往復して走査されるかまたはラスタ処理され得る。基板全体の曝露は、スポットビームがビーム走査軸に沿って迅速に走査される間の、ビーム走査軸に直交する軸など、所与の軸に沿ったはるかにより低速のレートにおける基板ステージの走査によって達成され得る。基板の曝露の前に、イオンビーム走査速度が、基板が均一なイオン密度に曝露されるように、ビーム走査軸にわたって調整された、被走査イオンビームを均一性チューニングルーチンが生成する。イオンビーム密度均一性要件のために、イオンビームチューニングは、基板のバッチ(たとえば、25個のウエハからなるバッチ)の各々が注入される前になど、定期的に、頻繁に実行され得る。所与のイオン種および注入条件の所与のセットを含む、所与の注入方策について、その実体がScannedBP
Adjustedと呼ばれることがある、この均一な密度の被走査ビームを生成するための所定の較正手順が、所与のウエハバッチが注入される前に実装され得る。以下の説明では、手順、ステップ、ルーチン、またはアルゴリズムなどは、動作または副動作と呼ばれることもある。
【0014】
図1Aにおいて、メニュー項目、および較正手順150Aを構成する一連の知られている動作に関連付けられた信号のグラフィカル表現を含む複合図示が示されている。y軸は、たとえば、測定ビーム電流、または代替的にスポットビームの走査速度を表し得る。x軸は、時間を表す。一連の基準動作は、番号Op1~Op9によって較正手順150A中に示されている。少なくとも動作Op1、Op3、Op5、Op6、Op7、Op8およびOp9を含む、
図1aの基準動作の選択されたサブセットグループが、本開示の実施形態に従って実行され得る。動作Op1~Op9を含む、
図1Aに示されている動作の全部の和は、基準較正手順を構成すると見なされ得る。
【0015】
動作Op1において、SpotBP手順が、均一性チューニングのために必要とされる2つのメトリック、すなわち、BeamCenterおよびHalfWidthを得るために実行される。これらのパラメータは、(静電的に)走査されるスポットビームが、折り返す前にどのくらい遠くにウエハの内部「右」側およびウエハの外部「左」側に走査されるかを決定するために使用される。水平走査「折り返し」位置が決定されると、較正手順150Aにおいて概説される標準的な較正手順は、較正手順の残りのためにSpotBP測定の(形状を含む)メトリックを採用しない。
【0016】
異なる実装形態では、SpotBP測定は、静止ビームにわたるセンサの相対的な走査によって、または遅いビーム走査レートにおける静止センサにわたるスポットビームの相対的な走査によって実行され得る。動作Op1aにおいて、スポットビームプロファイルが、非偏向静止スポットビームにわたってプロファイラファラデーカップセンサを走査することによって測定される。この動作は、約12秒かかり得、低速スポットプロファイルSpotBPSlowと呼ばれる。Op1bの動作において、プロファイラファラデーカップセンサは、0mmにあるウエハ面の中心に静止したままであり、スポットビームは、平均電流応答を得るために、16回など、数回プロファイラファラデーカップセンサにわたって掃引される。このビーム掃引応答が、時間領域電流応答から位置領域電流応答にトランスフォームされたとき、結果は、SpotBPSlowに密接に似ている。Op1bのこの動作は、高速スポットプロファイルSpotBPFastと呼ばれることがあり、約3秒を必要とし得る。CalBPPredictedを作成するためのこの方法は、スポットビームが、SpotBPSlowまたはSpotBPFastのいずれかを用いて測定されたと仮定する。簡略化の目的で、このスポットビーム測定は、CalBPPredictedを作成する方法を説明するとき、SpotBPSlowまたはSpotBPFastの代わりにSpotBPと呼ばれる。均一な電流ビーム密度の推定は、Op1aまたはOp1b中に計算され、較正手順150A、150Bおよび150Cの値151に示されているように更新される。(この151の均一な密度推定をもたらす)このSpotBPの総積分電流は、較正手順150Aにおいて使用されない。しかしながら、総積分電流は、後に説明される較正手順150bおよび150Cの実施形態において使用される。
【0017】
動作Op3において、被走査スポットビームの水平角および頂角が、測定され、チューニングされる。これらの角度測定は、動作Op4~Op9からなる均一性チューンルーチン動作では使用されない。
【0018】
動作Op5において、均一性チューンルーチンは、線形被走査ビームプロファイルScannedBPLinearの生成および測定で開始する。ScannedBPLinearは、一定の速度において(動作1において決定された)所定の水平走査距離にわたってスポットイオンビームを走査することによって生成される。スポットビームの走査速度は、曲線154aによって表されている。ScannedBPLinearのその後の測定は、示されているように、実行するのに約12秒かかり得る。得られた測定ビーム電流密度は、曲線154Bに示されている。図示されているように、走査速さ(曲線154a)は定数値にとどまっている一方で、タイムインターバル中に、測定スポットビーム電流は、異なる位置に対応する、ビーム密度のいくつかのゆらぎを呈する。このScannedBPLinearは、動作Op7においてディップ較正スポットプロファイルCalBPDipを得るために使用される。
【0019】
Op6を説明する前に、μ傾斜(マイクロ傾斜)の定義が与えられる。イオンビームは、静電走査がビームを折り返す前にビームがウエハのエッジおよびサイドファラデーを完全に越えることを保証する、所定の水平走査距離にわたって高周波(約1kHz)において水平方向に静電的に走査される。この水平走査距離は、ビーム幅など、数個のファクタによって決まり、一般に、300mmのウエハの場合、350mmと600mmとの間にある。ウエハ場所にわたってビーム密度不均一性を充填し、「平坦化する」ために、ビーム走査システムは、それぞれ、ビーム密度「バンプ」および「ディップ」を平らにするために、走査速さを速さアップおよびスローダウンすることが可能でなければならない。ビーム走査速さが、どこで変更され、どのくらい変更されるかを追跡するために、水平走査距離(たとえば、400mm)は、固定数の(たとえば、30個の)別個の速さ変更ステップに分割され、ここで、各ステップは、そのロケーションにおけるビームの所望の速度を指定する。この例では、各μ傾斜は、13.33mmの幅である(400mmの走査距離/30個の速さ変更ロケーション)。本明細書の残りについて、μ傾斜は、マイクロ傾斜またはu傾斜、傾斜ピッチまたは傾斜と呼ばれることがある。それを変換するビームスキャナ電子回路に送られたこの一連の30個のμ傾斜ビーム速度、水平走査距離にわたるイオンビームの単一の右から左への走査を構成する一連の静電走査速さ(正mm~負mm)。スキャナが逆方向に折り返したとき、スキャナは、左から右への走査速さが、右から左への走査速さと重なるように、このμ傾斜波形のミラーイメージを用いて走査する。μ傾斜速度変化が(この30ポイントアレイを持つ)スキャナシステムに送出されるときと、そのμ傾斜速さ変化が実際に起こるときとの間に「マッチング回路」電子遅延がある。この遅延、およびそれが実施形態にどのように影響を及ぼすかが、考慮に入れられ、後に説明される。
【0020】
動作Op6において、被走査ビームの速度が、ウエハ面の中心において約10~15mmの距離(μ傾斜幅)にわたって2xだけ増加される間(曲線156a)、別の被走査プロファイル(曲線156b)が取られる。言い換えれば、走査長さ(約合計400mm)の小さい部分にわたって、スポットビーム走査は、2倍だけ故意に加速される。この動作は、ディップ較正被走査プロファイルScannedBPDipと呼ばれることがあり、同様に、実行するのに約12秒かかり得る。
【0021】
動作Op7において、いわゆるディップ較正スポットプロファイルCalBPDipは、ScannedBPLinear(曲線154b)からScannedBPDip(曲線156b)を減じることによって作成される。これに基づいて、均一性チューンルーチンは、スポットビーム走査速さが特定の距離(μ傾斜幅)にわたって2xだけ増加されたときに生じる、故意に減少されたビーム密度の効果を得た。この情報は、ウエハの注入が開始する前に、必要とされる全体的に均一なビーム密度を生成するために均一性チューンルーチンが必要とする情報の中央ピースである。均一性チューンルーチンは、今や、均一な密度の被走査イオンビームを作成するために、ビーム密度ディップを「充填」し、ビーム密度バンプを「平らにする」ために、スポットビームが走査されているときにスポットビームの速さをどのくらい変更するべきかを「知っている」。
【0022】
動作Op8において、第1の調整済み被走査プロファイルScannedBP
Adjustedが取られる(曲線158b)。この動作は、被走査スポットビームの速さが、イオンビーム電流密度をウエハ面にわたって均一にするために、水平スポットビーム走査距離にわたってどのように変動されるべきであるかに関する(曲線158a)、チューニングルーチンにおける第1の推定の結果である。ScannedBP
Adjusted動作は、スポットビームに均一な走査速度(曲線154a)を適用するのではなく、曲線158Aによって示されているようにスポットビーム走査速度を調整することを伴うことに留意されたい。したがって、スポットビームの走査速さパターンは、ScannedBP
Linearを用いる動作Op5において測定されたビーム電流の不均一性について調整するための正しい補償を提供すべきである。同時に、ビーム電流密度は、曲線158bによって示されているように測定される。明らかなように、動作Op8において、さらに平らにされる必要がある、ビーム電流密度のいくつかの「ディップ」および「バンプ」が依然としてある。動作Op9におけるビームチューニングルーチンは、ビーム密度(曲線V160b)のこれらの残留した変動を平らにするために、被走査ビーム速さ(曲線V160a)の変動を微調整し、結果が、第2のOp9 ScannedBP
Adjustedにおいて測定される。各ScannedBP
Adjustedは、最初に、走査速さに対する調整を伴った被走査ビーム波形を生成することと、次いで、水平ビーム走査軸に沿った測定電流密度が、均一性「平坦度」規格に合格したことを確認するために、ファラデー検出器の機械的な左から右への走査を用いて、得られたビーム密度を測定することとを伴う。全体的な均一性が、許容できる均一性シグマを下回るとき、均一性チューンルーチンは完了しており、ウエハ注入が開始され得る。
図1Aにおいて、動作Op8は、単一のインスタンス(Op9)において繰り返され、その結果、許容できるビーム均一性と見なされ得るものを生じるものとして示されている。各被走査プロファイル測定の計算されたシグマ値の変化が、ライン161への更新において示されている。これは、測定シグマ値であり、測定シグマ値は、ウエハ注入がスタートすることができる前に、測定シグマ値が限度を下回るかどうかを確かめるために、各ScannedBP
Adjustedの後に規格限度と比較される。
【0023】
本開示の様々な実施形態では、
図1Aで概説されたビーム較正ルーチンは、とりわけ、較正手順150A(
図1A)の約12秒のScannedBP
Dip動作Op6を省略する能力をもたらす(較正手順150b、
図1Bに示されている)追加の新規の動作を実行することによって、修正され得る。その結果、予測較正スポットプロファイル(PCSP)ルーチンと本明細書では呼ばれる、較正ルーチンを使用して、全体的な較正時間は、
図1Bの較正手順150Bの例を使用すると、著しく、最高で約12秒だけ低減され得る。例として、本実施形態の(較正手順150Bによって概説された)修正された較正ルーチンにおいて、上記で概説された動作Op1は、依然として、被走査ビームの水平走査距離および折り返し位置を決定するために、ビーム中心およびHalfWidthを測定するために、実行される。しかしながら、CalBP
Predictedを得、PSCPルーチンのためのScannedBP
Dipをスキップするために、このスポットプロファイルSpotBPの形状および積分電流(エリア)は、後続する動作においても使用される。水平および垂直ビーム角を測定および調整するための動作Op3は、一般に、上記で説明されたPCSPルーチンにおいても実行される。動作Op3の後に、PCSPルーチンの均一性チューン部分は、
図1Bに関して上記で説明された動作Op5(ScannedBP
Linear)の実行で始まる。
【0024】
図1Aの例とは異なり、動作Op6 ScannedBP
Dipは、
図1BのPCSPルーチンでは省略され、較正時間のほぼ12秒を節約する。この時間節約は、チューニングルーチン全体における約13%の改善に対応し得る。本実施形態による手法では、動作Op7の修正バージョンにおいて、調整済み波形が、以下で詳述される予測較正スポットプロファイルCalBP
Predictedを利用することによって作成される。このScannedBP
Dipはスキップされるので、μ傾斜幅(約10~15mm)にわたって2xだけビーム速度を増加させることの測定された効果は、未知である。
【0025】
2Xだけビーム速度を増加させることの効果を直接的に測定しないことを補償するために、たとえば、PCSPルーチンは、CalBPPredictedを作成し、そのプロファイルは、CalBPDipが何であったのかの正確な予測を提供する。本開示の様々な実施形態によれば、PCSPルーチンは、以下の測定値の大部分またはすべてに基づく。PCSPルーチンの一部を形成し得る測定値のリスティングが、これらの測定値において使用されるパラメータについてのいくつかの非限定的な範囲とともに、以下に提供される。
●静止SpotBP形状(HalfWidth)、中心および積分電流(エリア)
●μ傾斜幅(たとえば、10~15mm)の幅および位置
●HorizontalScanDistance(たとえば、400mm~600mm)
●ビーム走査時間(たとえば、400μ秒~2,000μ秒)
●機械的プロファイラの速さ(たとえば、32mm/秒または96mm/秒)
●μ傾斜速さ変化についてのドーズコントローラマッチング回路遅延(たとえば、6μ秒)
【0026】
このCalBP
Predictedの作成は、較正手順150B(
図1B)のOp2において行われ、以下で説明される。これらの測定値のすべては、PCSPの均一性チューンルーチン部分が開始する前に収集されることに留意されたい。それゆえ、本開示の実施形態によれば、PCSP均一性較正は、ScannedBP
Linear(動作Op5)が完了した直後に、第1のScannedBP
Adjustedで開始することができる。
【0027】
CalBP
PredictedおよびScannedBP
Linearが得られた後、1つまたは複数のScannedBP
Adjustedが、標準的な均一性チューニングの動作Op8およびOp9において説明されたように取られる。
図1Aにおいて概説された追加のOp6 ScannedBP
Dipを用いて作成されたOp7 CalBP
Dipを使用する代わりに、PCSP均一性ルーチンは、ScannedBP
Dipにわたってスキップし、スポットビームが、ウエハ面にわたって均一なビーム密度を達成するために走査されるときにスポットビームの速度に必要な変更を行うために、(較正手順150BのOp1、Op2、Op3、Op5、Op8およびOp9を含む)
図1Bにおいて概説されたCalBP
Predictedを使用する。
【0028】
上述の実施形態は、初めての実装など、新しい方策が実装されているときのスポットビーム走査較正のための手順をハイライトすることに留意されたい。これらのシナリオでは、上記で概括的に説明された、一般的な動作Op1~Op9を含む動作および副動作が、実装される。とりわけ、真新しい方策のための最初の被走査プロファイルは、常に、
図1Aおよび
図1Bにおいて上記で説明されたScannedBP
Linearとして実装され得る。本開示の様々な実施形態によれば、方策がチューンアップされる(上記で説明された較正が実行される)と、方策は、将来の使用のために方策にμ傾斜(曲線160A)ビーム速度波形をセーブする。(動作Op9において反映された)均一なビーム密度を達成したこれらのμ傾斜は、別個のμ傾斜の(たとえば、30から100にわたる)アレイとして方策に保存され得る。これらのμ傾斜は、ビーム密度を均一にするためにどのビーム走査速さ変更をウエハ面に沿った特定のロケーションにおいて適用すべきかを、イオンビーム制御システムに伝える。
【0029】
本開示の実施形態によれば、イオンビーム注入方策が(注入手順の直後に、またはその後の週になど)再ダウンロードされるとき、較正ルーチンは、当該のイオンビーム注入方策が、一般に上述の手順に従って、前に較正されたことを自動的に認識する。これらの実施形態では、新たに(較正手順150bの)動作Op1、Op2、Op3、Op5、Op8およびOp9(ならびにその中の副動作)のすべてを実装する代わりに、前の較正が当該の方策に対して実行されたという認識が、
図1Cの較正手順150Cに示されている動作(Op1、Op2、Op3、Op4、Op8、Op9)の一層より速いセットを実行するように較正ルーチンをトリガする。たとえば、前の(初期)スポットビーム走査較正中に得られたμ傾斜を無視し、新しい一定の速度ScannedBP
Linear(動作Op5)でゼロからスタートするのではなく、較正ルーチンは、以下で説明されるように、代わりにScannedBP
Recipe(動作Op4)を実装する。
【0030】
ScannedBPRecipeを作成するために、較正ルーチンは、ダウンロードされたμ傾斜アレイ(たとえば、30~100μ傾斜)(曲線152a)を取り出し、それに応じてスポットビームの走査を始動し、次いで、プロファイルファラデー検出器など、プロファイル検出器を用いてその被走査スポットビームの機械的プロファイル(曲線152b)を実装する。この動作は、同じく、12秒など、数秒を消費する。被走査スポットビームが、最後のスポットビーム較正が実行されてから著しくは変化していない場合、方策からのμ傾斜は、依然として、均一性規格限度を下回るビーム密度(曲線152b)を生成し得る。そうである場合、被走査ビームプロファイルをこれ以上作る必要はなく、当該の方策を使用するウエハイオン注入が、開始または再開し得る。
【0031】
その上、(動作Op4として実装される)ScannedBPRecipeが、規格を上回るが、「それほど悪く」ないビーム密度均一性をもたらす場合、PCSPルーチンは、依然として、(ゼロからスタートする)ScannedBPLinear曲線の代わりにScannedBPRecipe曲線を使用する、低減された較正動作を始動し得る。
【0032】
規格を上回るどの結果が許容できるまたは「それほど悪くない」かの決定は、以下の考慮事項に従って行われ得る。しばしば、均一性ビーム密度シグマ規格は、0.3%~0.5%に設定され得る(「シグマ」は、(ファラデーカップ検出器など、機械的に走査されたプロファイル検出器によって測定された)ウエハ面にわたる測定ビーム密度の「平坦度」の統計的測定値である)。これにより、一実施形態では、シグマが、規格を上回る0.5%未満である場合、ScannedBPRecipe(曲線152b)が使用され得る。一方、シグマが、規格限度を上回る0.5%を超える場合、ScannedBPRecipeは無視され、スポットビーム較正ルーチンは、ScannedBPLinearを使用してゼロからスタートする。
【0033】
要約すれば、本開示の実施形態によれば、スポットビーム較正ルーチンがScannedBP
Recipeを実装するとき、較正手順150Cにおける動作(Op5、Op6およびOp7)は、すべて、低減されたスポットビーム較正ルーチンの実施中に省略され得る。動作Op5、Op6、およびOp7のこの省略は、上記の例を使用すると、24秒など、かなりの較正時間を節約する。これにより、低減されたスポットビーム較正ルーチンは、以下の動作順序、すなわち、Op1、Op2、Op3、Op4、Op8、Op9の順序で進展し得る。CalBP
Predictedは、動作Op1と動作Op4との間のどこででも作成され得るので、ルーチンは、直ちに調整を行い、それらを測定する(動作Op8)ことをスタートすることができる。
図1C中に示されている較正手順150Cは、本開示の実施形態による、較正手順の実装形態の違いをハイライトする。基本較正は、示されている動作Op1~Op9を実装し得、新しい方策のためのPCSPルーチンの第1の実装形態では、その後の実装は、Op4 ScannedBP
Recipeを使用するが、動作Op5、Op6およびOp7は省略され得る。
【0034】
本実施形態のPCSP手法の目標は、均一性チューニング収束ルーチンのために使用されるCalBP
Predictedに、測定実体(SpotBP)を変換することである。以下の動作は、SpotBP(
図2A)とCalBP
Dip(
図2B)との間の主要な違いをハイライトする。SpotBPからCalBP
Dipへの変換は、これらの違いのすべてを予測しなければならない。このCalBP
Predictedの全体的な形状は、CalBP
Predictedが、それの被走査速度が約10~15mmの距離にわたって2xだけ増加されるときのSpotBP形状の畳み込みであるので、SpotBPの形状に強く似ていることになる。
【0035】
次に
図2Aを参照すると、メニュー項目、およびSpotBPに関連付けられた信号のグラフィカル表現を含む複合図示が示されている。
図2Bも参照すると、メニュー項目、およびCalBP
Dipに関連付けられた信号のグラフィカル表現を含む複合図示が示されている。これらのグラフにおいて、x軸は、ウエハ面に沿った位置をプロットし、y軸は、ビーム電流をプロットする。これらの場合、ビーム電流は、0mmにあるウエハ中心の近くでピーク形状を呈する。考慮に入れるべき第1の違いは、2つの形状の大きさの違いである。SpotBPは、4e
-5のピークを有するのに対して、7.4e
-7AのCalBP
Dipピークは、そのピークがこのビーム電流全体のうちの小さい部分を捕捉するにすぎないので、はるかにより小さい。この大きさ変換のための必要なスカラーを生成することは、後で解説される。
【0036】
第2の主要な違いは、2つの異なるスポットプロファイルの幅である。CalBPDipは、プロファイルが、水平走査中の約10~15mmの2x速さアップ距離にわたるSpotBP形状の畳み込みの結果であるので、より広い幅を有する。理論的には、CalBPDip幅は、2x速さアップ距離が非常に小さい距離である場合、SpotBP幅と同等である。第3の主要な違いは、スポットプロファイルの水平中心の違いである。CalBPDip中心は、被走査ビームが、CalBPDipを作成するために使用される「ディップ」をもたらす2xだけ加速される、μ傾斜のロケーションに応じてSpotBP中心の右または左にシフトされる。10~15mmの2x速さアップロケーションが、0mmを中心として対称的であった場合、CalBPDip中心は、SpotBP中心に極めて近くなる。
【0037】
図3は、標準的な測定CalBP
Dip(曲線306)(動作Op7、
図1も参照されたい)と、予測CalBP
Predicted(曲線308)との比較を示す。曲線302は、(一定のビーム速さにおける)ScannedBP
Linearである(動作Op5、
図1Aも参照されたい)。曲線304は、ScannedBP
Dipである(0mmにある1つのμ傾斜にわたって2xだけ速さアップする)(動作Op6、
図1も参照されたい)。測定CalBP
Dipは、ScannedBP
LinearからScannedBP
Dipを減じた結果である。わかるように、測定CalBP
Dipおよび予測CalBP
Predicted(曲線306および曲線308)は、互いに密接に重なり、その密接した対応は、(後で説明される)計算方法が、CalBP
Dipが何であったかを正確に予測することができることを実証する。
【0038】
本開示の実施形態によれば、
図3中の予測CalBP
Predicted(曲線308)は、一般に、以下のシーケンスにおいて解説されるように導出される。
a)既存の手法において、上述のように、SpotBPを測定した後の、均一な被走査ビームをセットアップする際の次の副動作は、ScannedBP
Linearを記録することであり、その後にScannedBP
Dipが続き、ここで、ScannedBP
Dipは、規定されたピッチ間隔にわたって1つのμ傾斜を増加させることによって得られる。μ傾斜は、被走査ビーム速さが、ウエハ面の中央部に意図的なビーム密度「ディップ」を作成するために2xに増加される、(通常、0mmの近くにセンタリングされた)約10~15mmの小さい距離である。
b)これらの2つのプロファイルの間の違いは、CalBP
Dipである。
c)しかしながら、このCalBP
Predictedは、実際は、(測定)SpotBPならびに摂動された傾斜の振幅およびロケーションから予測され得る。したがって、実際のScannedBP
Dipを記録することは、CalBP
Predictedを決定するために必要とされない。そうではなく、CalBP
Predictedは、約10~15mmのμ傾斜速さ変更距離にわたるSpotBPの畳み込みとして得られ得る。
【0039】
本開示の様々な実施形態によれば、
図4~
図8Cは、SpotBPの、CalBP
Predictedへの変換に関与する動作(および副動作)をハイライトする。このSpotBPからCalBP
Predictedへの変換のための副動作4~27(SO4~SO27)は、すべて、Op2算出において完了され、実行するのに合計で1秒の何分の1かを消費するにすぎない。
図4を参照すると、一連の曲線が示されており、ここで、曲線402は、SpotBPを表し、曲線404は、「理想的な」較正スポットビームプロファイルCalBP
Idealを表し、曲線406は、実際の較正スポットプロファイルCalBP
Dipを表す。プロファイルは、ウエハ面に沿った位置(図中の水平軸を意味するx軸)に応じた電流(垂直軸を意味するy軸)として示されている。SpotBPについての電流スケール(左y軸)は、CalBP
Idealについての、および実際のCalBP
Dipについての電流スケール(右y軸)よりもほぼ2桁大きいことに留意されたい。SpotBPに関するCalBP
Dipのウエハ面に沿った相対位置のシフティングの程度は、説明の明快のために誇張されている。これにより、
図4は、後続する図における(SO1によって表される)様々な副動作の結果の概要を提示する。
【0040】
図5Aは、SpotBP(曲線402)が、大きさが正規化されたとき、CalBP
Ideal(曲線404)に、より密接に似ている形状(曲線501)を有するいわゆる肥大スポットプロファイルSpotBP
Fatに、副動作を用いてどのくらい「肥大」化されるべきであるかの定性図示(その図示はSO2とラベル付けされている)を示す。同じく、SpotBP(曲線402)およびSpotBP
Fat(曲線501)についての電流値は、電流値およびCalBP
Ideal(曲線404)に関してほぼ2桁、より高く、ここで、後者のプロファイルは、右方Y軸によって表されている。
【0041】
次に
図5Bを参照すると、最左スライスにSpotBP(曲線402)の鳥瞰図(V3)が示されており、ここで、SpotBPは、6mmの中心位置を有する。ウエハ面の方向は、この図において垂直軸にシフトされており、ここで、SpotBP中心の位置は、この垂直軸に沿って指し示されていることに留意されたい。
【0042】
とりわけ、
図5Bの動作は、SpotBP
Fat(曲線501)を作成するための畳み込みルーチンを用いたSpotBPの肥大化を図示する。副動作SO11において、ルーチンは、知られている均一性較正手順のためのものを考慮に入れ、CalBP
Dipは、最初に、所定の距離(たとえば、9.32mm)(μ傾斜幅)にわたって2xだけ被走査ビーム速さを増加させ、次いで、前に得られた(一定の走査速さの)ScannedBP
Linearからこの「ディップ」ScannedBP
Dipの被走査プロファイルを減じることによって作成された。スポットビーム走査のこの9.32mm/2x速さアップは、一般に、0mmにあるウエハ中心位置を中心として厳密に対称的には実行されない。これにより、実際のスタートおよびエンド位置(この例では、-2.23mmおよび7.09mm)が、同様に、考慮に入れられなければならない。
【0043】
その上、実際のスポットビーム走査では、ビームは、左から右におよび右から左に往復して走査され、走査が、ウエハ面に沿ってビームを走査するために行われることを意味する(
図5B中のy軸。これにより、このコンテキストにおける「右から左」または「左から右」という用語は、
図5B、また、後続する
図6Bに示されているように、下から上または上から下によって表されることが理解されよう)。この理想的な場合において、副動作SO4は、スポットビームが右から左に走査するときとまったく同じスポットにおいてスポットビームが左から右に走査するときの、9.32mm 2x速さアップを仮定する。注:
図6Aおよび
図6Bは、この仮定が一般に真ではないことを示すが、さしあたって、この理想的な例が仮定される。
【0044】
SpotBP(曲線402)が、左(負mm)から右(正mm)に進む9.32mmにわたる2x速さアップ中にどのくらい「肥大化される」かをシミュレートするために、副動作SO6において、SpotBPは、0mmのSpotBPについての非偏向ロケーションが、-2.23mmにおいて起こる走査速さアップの始まりと並ぶように、後方にシフトされる。
【0045】
その後の副動作SO7において、この高速プロファイル形状が、(末尾において小さい丸め誤差を持つ)9.32mmの距離にわたって好適な増分(示されている例では、0.1mmの増分)で段があるように、2次元(2D)アレイは充填される。
【0046】
後続の副動作SO8において、SpotBPが、右(正mm)から左(負mm)に進む9.32mmにわたる2x速さアップ中にどのくらい「肥大化される」かをシミュレートするために、高速プロファイルは、0mmのSpotBPについての非偏向ロケーションが、7.09mmにおける走査速さアップの終わりと並ぶように、副動作SO8において前方にシフトされる。
【0047】
副動作SO9において、2Dアレイは、このSpotBP形状が、(末尾において小さい丸め誤差を持つ)9.32mmの距離にわたって0.1mmの増分または他の好適な増分で段があるので、充填し続ける。
【0048】
この接合部において、2Dアレイは、0.01mmの増分で左から右に進む多くのSpotBP(
図5Bの例では、932個のSpotBP)、ならびに右から左に進む多くのSpotBP(
図5Bの例では、932個のSpotBP)で充填された。副動作SO10において、すべてのプロファイル(特定の例では、1864個のプロファイル)からの電流が、
図5Bの最右ストリップの影付き部分に示されているSpotBP
Fat(曲線501)を作成するために、0.01mmの増分において合計され、次いで、1,864で除算される。この「肥大化された」SpotBP
Fatは、元のSpotBP(曲線402)と同じ量のエリア(スポット電流)を含んでいるように正規化された。
【0049】
図5Aにおいて副動作SO11によって示されているように、このSpotBP
Fat(曲線501)は、依然として、CalBP
Ideal(曲線404)の幅に一致しないことに留意されたい。本開示の実施形態によれば、別の「肥大化」ファクタが、
図6Aおよび
図6Bにおいて詳述されているように、曲線404を生成するために適用され得る。
【0050】
次に
図6Aおよび
図6Bを参照すると、SpotBP
Fatをさらに肥大化させるために適用され得る副動作がさらに示されている。
図6Aに要約されているように、(副動作SO12としてまとめて示されている)これらの副動作が完了された後、遅延肥大スポットビームプロファイルSpotBP
FatDelay(曲線601)が、曲線404 CalBP
Idealの幅に、より密接に一致するように作成されていることになる。特に
図6Aに示されているように、SpotBP
FatDelayプロファイル(曲線601)の電流スケール(左y軸)は、SpotBP(曲線402)についての電流スケールと同じである。
【0051】
次に
図6Bを参照すると、走査制御に検出可能なラグを導入し得る制御遅延を考慮するために採用され得る、一連のさらなる副動作が図示されている。副動作SO13において、(副動作SO6において指定されたように)-2.23mmにシフトバックされたSpotBPで2Dアレイをスタートする代わりに、(ドーズコントローラマッチング回路と呼ばれる)コントローラ回路において引き起こされる遅延をより正確に考慮するために、SpotBPは、実際に、わずかにさらに右(より正)にスタートするようにシフトされ得る。同じく、ウエハ面に関する左右の用語法は、
図6Bのビューにおける上下方向にマッピングする。既存のイオン注入装置において、ドーズコントローラが水平走査中に古い走査速度から新しい走査速度に切り替わるとき、マイクロ秒程度、示されている例では6μ秒、の固有の遅延(ドーズコントローラ遅延)を含むドーズコントローラ電子回路が使用され得る。この6μ秒の遅延は、スポットビームがどのくらい早く走査しているかに比例する、スポットビームの実際の応答の水平(ウエハ面、
図6Bにおいて垂直方向に示されている)シフトをもたらす。
【0052】
副動作S14において、ドーズコントローラマッチング回路に基づくμ傾斜(ビーム速度)変更における水平(ウエハ面)シフトが決定される。このシフトは、マッチング回路遅延(mm)=[マッチング回路遅延(6uSec)/BeamSweepTime]/HorizontalScanDistance、と決定され得る。6.4μ秒の「マッチ回路」遅延(ビーム走査速度の変更(μ傾斜)を要求することからμ傾斜ビーム走査速度変更が実際に起こるときまでの時間)は、SpotBPFatDelay(曲線601)を拡大する効果を有し、ここでは、SpotBPFatDelay計算に含まれる。様々な実施形態では、このシフトは、ビームの掃引時間、およびスポットビームを走査するために採用された水平走査距離に応じて、約1mmから約8mmまでの範囲をスパンする値であり得る。
【0053】
副動作SO15において、SpotBPが、左(負mm)から右(正mm)に進む9.32mmにわたる2x速さアップ中にどのくらい「肥大化される」かをシミュレートするために、高速プロファイルは、0mmの非偏向ロケーションが、-2.23mm、プラス、その遅延が
図6Bの例では2.5mmである、マッチング回路遅延における速さアップの始まりと並ぶように、後方にシフトされる。このマッチング回路遅延部分は、より大きい走査矩形に隣接する、より小さい矩形として図式的に示されている。
【0054】
後続の副動作SO16において、2Dアレイは、このSpotBP形状が、(末尾において小さい丸め誤差を持つ)9.32mmなど、好適な距離にわたって、0.1mmの増分など、好適な増分で段があるように充填される。
【0055】
副動作SO17において、高速プロファイルが、右(正mm)から左(負mm)に進む9.32mmにわたる2x速さアップ中にどのくらい「肥大化される」かをシミュレートするために、高速プロファイルは、0mmの非偏向ロケーションが、7.09mm、マイナス、示されている例における2.5mmなど、マッチング回路遅延における速さアップの終わりと並ぶように、前方にシフトされる。
【0056】
副動作SO18において、2Dアレイは、このSpotBP形状が、(末尾において小さい丸め誤差を持つ)9.32mmなど、好適な距離にわたって、0.1mmの増分など、好適な増分で段があるように充填し続ける。
【0057】
この接合部において、
図6Bの例では、2Dアレイは、0.01mmの増分で左から右に進む932個のSpotBPと、右から左に進む932個のSpotBPとを用いて充填された。動作SO19において、すべての1,864個のプロファイルからの電流が、(
図6Bの最右ストリップの影付き部分において示されており、
図6Bにおいて曲線601として示されている)SpotBP
FatDelayプロファイルを作成するために、0.01mmの増分において合計され、次いで、1,864で除算される。この「肥大化された」SpotBP
FatDelayは、SpotBPと同じ量のエリア(スポット電流)を含んでいるように正規化された。その上、このSpotBP
FatDelayは、マッチング回路遅延をも含み、それにより、SpotBP
FatDelayは、CalBP
Ideal(曲線404)の幅に、より密接に一致する。
【0058】
この接合部において、SpotBP
FatDelay(曲線601)幅は、幅がCalBP
Ideal(曲線404)に対して密接に一致するように、計算された。
図7Aを参照すると、動作SO20において、エリアスカラーが、CalBP
Ideal(曲線404)と同じ高さを有するCalBP
FatDelayArea(曲線702)形状を作成するために適用される。このスカラーが適用された後、(CalBP
FatDelayArea(曲線702)によって表されている)予測Calスポット形状は、
図7Aに示されているように、同じ垂直電流軸を使用すると、CalBP
Ideal(曲線404)上に密接に重畳するはずである。
【0059】
図7Bは、このエリアスカラーが以下の様式、すなわち、スカラー=[μ傾斜幅]/HorizontalScanDistance/2でSpotBP
FatDelay(曲線601)アレイ中の各電流要素を乗算することによって適用される、副動作SO21を描く。このスカラーは、
図7Cに示されているように、スポットビームが後続のステップにおいて走査されるとき、スポットビームの密度がどのくらい変化するかを追跡することによって幾何学的に解説され得る。
【0060】
図7Cは、基板710の上面図、ならびに基板710のウエハ面(x軸または水平軸)に沿った位置に応じたビーム電流(Yまたは垂直軸)を示すグラフを描く複合図示である。x軸に沿ったmm単位のスケールは、基板710、ならびにウエハ面またはx軸に沿った水平位置に応じた電流として示されている、(
図7CのSpotBPが曲線402に対応することを示すために、参照番号「402」が使用されている)SpotBPの描写について同じあることに留意されたい。示されている例では、基板710は、300mmのウエハであり、ここで、ビューV22は、シェーディングで元のSpotBP(「402」)を示し、基板710に対するSpotBP(「402」)の水平位置を示す。
【0061】
次に
図7Dを参照すると、基板710の平面図を含む別の複合図示が示されている。このビューにおけるスポットビームについてのウエハ面に沿った走査方向も、図において右から左である。例示的な走査ルーチンの走査距離が、両方向矢印によって示されており、示されているように、300mmのウエハを処置するために426mmであり得る。
図7Dでは、副動作SO23において、ビーム密度は、スポットビームが426mmのHorizontalScanDistanceにわたって走査されるとき、理想的な「矩形」で広げられる。線形被走査プロファイル(矩形740)の総エリアは、SpotBPエリア(エリア730、
図7Cを参照されたい)=2.99e-3(A x mm)と同じである。被走査BP
Linearピークは、SpotBPエリア(エリア730)/被走査距離(426mm)=7.02e-6(A)に等しいことに留意されたい。
【0062】
次に
図7Eを参照すると、この図は、CalBP
IdealエリアとScannedBP
Linearエリア全体との比が計算される、副動作24の構成要素を図式的に図示する。スポットビーム走査レートが16mmのμ傾斜距離にわたって2xだけ速さアップされたときのScannedBP
LinearにおけるCalBP
Ideal「ディップ」の相対的なエリアが、矩形750として示されている(この例では、2x速さアップμ傾斜幅は、0mmを中心として対称的であり、-8mmから8mmまで延びている)。スポットビーム走査レートが、2xだけ速さアップされたとき、ビームの密度は、1/2だけ低減されるので、「ディップ」の高さは、線形被走査プロファイル高さの1/2の高さである。「ディップ」矩形の幅は、16mmである。副動作SO24において、これらの矩形寸法を使用すると、矩形750に対応するCalBP
Ideal「Dip」エリアと、ScannedBP
Linearエリア全体との比=CalBP
Ideal(エリア比)=[μ傾斜幅/HorizontalScanDistance]/2=[16mm/426mm]/2=0.0188である。CalBP
Ideal「Dip」エリアは、(そのエリアが総積分SpotBP電流である)総ScannedBP
Linearエリア全体の1.88%にすぎない。
【0063】
次に
図8Aを参照すると、位置に応じたビーム電流を示す一連の曲線が示されており、ここで、エリアスケールド遅延肥大スポットビームプロファイルCalBP
FatDelayArea(曲線702)が作成されており、そのプロファイルは、「理想的な」CalBP
Ideal(曲線404)に対して極めて密接に一致する。この接合部まで、較正ルーチンは、「理想的な」CalBP
Ideal(曲線404)を指している。このCalBP
Ideal形状は、ファラデーカップなどのセンサが、(線形被走査プロファイルおよびディップ被走査プロファイルを得るために)極めて低速の速さで被走査スポットビームにわたってプロファイルされたとき、達成され得る。CalBP
Idealの理想的な形状を改変する係数は、プロファイル速さ過渡応答と呼ばれる。本開示の様々な実施形態によれば、較正スポットプロファイルCalBP
Predictedの予測は、この過渡応答を考慮に入れ得る。
【0064】
ビーム制御システムが、(ScannedBPLinear、ScannedBPDipおよびScannedBPAdjustedの集合について行われるように)可動プロファイラファラデーカップなど、電流検出器を使用してウエハ面にわたって被走査スポットビーム電流密度を測定するとき、検出器からの検出された信号は、ハイ速さ静電走査によって作成された高周波雑音を除去および平均化するためのローパスフィルタなど、検出器フィルタによってフィルタ処理される(被走査スポットビームの走査レートは、たいてい、数キロヘルツの範囲内にあることを想起されたい)。現在のイオンビーム制御システムにおいて、ローパスフィルタは、3Hzの一極ローパスフィルタであり得る。フィルタのフィルタ応答は、低速の過渡応答であるので、ローパスフィルタは、機械的プロファイル速さに従ってCalBPIdealをフィルタ処理する。ScannedBPDip中の「ディップ」は、プロファイラがウエハ面にわたって左(負)から右(正)に進行するように測定される。例示の目的で、プロファイラファラデーカップ検出器が極めて低速(約4mm/sec)で移動するように設定された場合、ファラデーカップ検出器電子回路中の3Hzフィルタの過渡応答は、ファラデーカップがビーム密度の2x低減(ディップ)にわたって通過するとき、充電および放電するための時間を有する。このファラデーが低速で移動する状況は、副動作SO26によって示されているように、「理想」較正スポットプロファイルCalBPIdeal(曲線404)に近接して作成する。
【0065】
しかしながら、4mm/秒でプロファイルされる単一の被走査ビームをプロファイルすることは、プロファイルを完成するのにほぼ8x、より長く時間がかかり(96秒対12秒)、その状況は、較正時間の許容できない増加を引き起こす。約12秒の、プロファイルを収集するための目標所要時間を達成するために、プロファイラ検出器速度は、32mm/秒に設定される。プロファイラ検出器の速度が32mm/秒に速さアップされたとき、プロファイラ検出器は、ビーム電流の2x低減(ディップ)によってより急速に掃引されるので、3Hzフィルタの過渡応答は、ビーム電流の変化についていけないことがある。それゆえ、副動作27において、32mm/秒のプロファイル速さに基づくプロファイル速さ過渡応答係数が、最終CalBPPredicted(曲線802)を作成するために、CalBPIdeal(曲線404)に適用される。プロファイラ検出器は、左から右に移動するときにビーム電流を測定するので、この曲線は、この例では、電流の大きさが低減され、ウエハ面に沿って水平方向に伸張され、右にシフトされる。この最終CalBPPredicted(曲線802)は、元のCalBPDip(曲線406)に極めて密接に重なるはずである。
【0066】
図8Bを参照すると、CalBP
Predicted(曲線802)を最終的に生成するために、CalBP
FatDelayArea(曲線702)に(副動作SO28によって指し示されているように)適用されるべきであるファラデーカップフィルタ過渡応答が概略的に示されている。この例は、プロファイラファラデーカップ走査速度が、4mm/秒の理想的な速さから32mm/秒の実際的な速さに速さアップされると仮定する。他の実施形態によれば、プロファイラ検出器速さは、一層より速い96mm/秒に設定され得ることに留意されたい。そのような場合において、副動作SO28は、さらに、CalBP
Predicted(曲線802)の大きさを低下させ、幅を伸張し、
図8A中のさらに右にCalBP
Predicted(曲線802)の位置をシフトする。
【0067】
図8Cは、連続するScannedBP
LinearおよびScannedBP
Dipプロファイルのプロファイル検出器速さを増加させることの効果、ならびにそれらの得られた較正スポットプロファイルCalBP
Dipの概要V29を示す。とりわけ、同じホウ素220kVビームについての異なるプロファイル速さにおける一連の較正スポットプロファイルCalBP
Dip。ScannedBP
LinearおよびScannedBP
Dipを収集するために8mm/秒のプロファイラ検出器速さに基づいて得られた左端の最も高いCalスポットプロファイルCalBP
Dip、ここで、(CalBP
Dip=ScannedBP
Linear-ScannedBP
Dip)。プロファイラがこの例において128mm/秒で移動されたとき、最も短く、最も右方向にシフトされたCalBP
Dipが測定された、被走査プロファイルフィルタ処理はオフにされる。本開示の実施形態によれば、この過渡応答は、それゆえ、プロファイラ検出器の速さに応じてモデル化される。
【0068】
図9Aは、本開示の様々な実施形態による、イオン注入装置100として示されている、ビームラインイオン注入装置のブロック形式での上面図を描く。イオン注入装置100は、イオンビーム104を生成するように構成されたイオン源102を含む。イオンビーム104は、X方向などの方向に沿って走査されるスポットビームとして提供され得る。本明細書で使用される取り決めにおいて、Z方向は、イオンビーム104の中央光線軌道に平行な軸の方向を指す。これにより、Z方向ならびにX方向の絶対方向は、示されているイオン注入装置100内の異なる点において変動し得、ここで、X方向はZ方向に対して直角である。イオンビーム104は、基板ステージ114上に配設された基板116に衝突する前に、分析磁石106、質量分解スリット108、およびコリメータ112を通過し得る。基板ステージ114は、いくつかの実施形態では、少なくともY方向に沿って基板116を走査するように構成され得る。
図1に示されている例では、イオン注入装置100は、ビームスキャナ110を含む。イオンビーム104がスポットビームとして提供されたとき、ビームスキャナ110は、X方向に沿ってイオンビーム104を走査し、被走査イオンビームであって、同じくX方向に沿って基板において走査される被走査イオンビームをもたらし得る。得られた被走査スポットビームの幅は、基板116の幅Wに相当し得る。
【0069】
様々な非限定的な実施形態では、イオン注入装置100は、一価イオンの場合の1keV~300keVの注入エネルギー範囲に対応する、1kV~300kVの電圧範囲など、「低」エネルギーまたは「中間」エネルギーイオン注入のためのイオンビームを送出するように構成され得る。以下で論じられるように、基板116に提供されるイオンビームの走査は、被走査イオンビームを使用する基板イオン注入の前に、較正測定値に応じて調整され得る。
【0070】
イオン注入装置100は、基板116に提供されるビーム電流を監視するための、閉ループ電流検出器、とりわけ閉ループファラデー電流検出器(CLF)など、電流検出器118をさらに含む。電流検出器118は、イオンビーム104をインターセプトするように配設され、上記で論じられた様々な較正動作中にイオンビーム104のビーム電流を記録するように構成され得る。
【0071】
イオン注入装置100は、ビーム較正構成要素120をも含む。ビーム較正構成要素120は、ビームスキャナ110ならびに電流検出器118に結合され得る。ビーム較正構成要素120は、較正手順の結果としてより均一なイオン注入を基板116に提供するために、イオンビーム104の走査を調整するための1つまたは複数の構成要素に結合され得る。ビーム較正構成要素120は、上述の例において説明されたように、較正されたスポットプロファイルCalBPPredictedを予測するために、様々なビーム測定値の適用に基づいて較正されたスポットプロファイルCalBPPredictedを決定するための、およびこれらの測定値に基づいてルーチンの適用を決定するための論理を含み得る。論理は、さらに、CalBPPredictedに基づいて、イオンビーム104の走査を調整するための調整信号を生成し得る。いくつかの事例では、ビーム較正構成要素120の論理は、ソフトウェアとハードウェアとの組合せまたはファームウェアで実装され得る。いくつかの例では、ビーム較正構成要素120は、コントローラ120-A、およびCalBPPredictedの決定に基づいてイオンビーム104の走査を調整するための命令を実行するためのソフトウェアに結合されたメモリ120-Bなど、回路構成を含み得る。実施形態は、このコンテキストにおいて限定されない。
【0072】
図9Bを参照すると、スポットビーム較正ルーチン902を含むメモリ120-Bのブロック図が示されている。スポット較正ルーチン902は、上記で概括的に説明された動作Op1、Op3、Op5、Op8、およびOp9、とりわけ、副動作SO4-SO31を含む、上述の動作を実装するための命令を記憶し得る。スポットビーム較正ルーチン902のこれらの動作は、スタンドアロン形態の、またはコントローラ120-Aなどの電子処理回路構成に常駐する、のいずれかの論理によって実装され得る。
【0073】
図10は、本開示の実施形態による、プロセスフロー1000を図示する。ブロック1010において、スポットビームプロファイルSpotBPが、スポットイオンビームについて受け取られる。一実施形態では、SpotBPは、非偏向静止スポットビームにわたってプロファイラファラデーカップ検出器を走査することによって測定される。別の実施形態では、SpotBPは、プロファイラファラデーカップセンサが、0mmにあるウエハ面の中心において静止したままであり、スポットビームが、数回プロファイラファラデーカップセンサにわたって掃引されるとき、得られる。
【0074】
ブロック1020において、計算されたCalBP
Predictedが、
図4~
図8Cに関して概括的に説明された、いわゆる予測較正スポットプロファイルPCSPルーチンを実装することによって決定され得る。とりわけ、PCSPルーチン、ならびに上述のルーチンのうちのいずれかは、コンピュータの構成要素による命令としての実行のために、メモリまたはメモリユニットなど、コンピュータ可読媒体に記憶され得る。これらの命令は、電子処理回路構成を使用して実装され得、その回路構成は、コントローラ、プロセッサ、または電子プロセッサと呼ばれることがある。とりわけ、PCSPルーチンは、たとえば、
図4~
図8Cにおいて詳述された動作を実行するために、1つまたは複数の電子プロセッサで具現されたコントローラを使用して実装され得る。
【0075】
特定の実施形態では、PCSPルーチンは、以下を含み得る。
【0076】
SpotBP形状および位置、
【0077】
水平ビーム走査距離、
【0078】
ビーム密度「ディップ」を作成するために一般的に使用されるμ傾斜のサイズおよび位置、
【0079】
ビーム走査電子回路におけるマッチング回路遅延、
【0080】
プロファイラファラデー電子回路および機械的運動速度によるフィルタ過渡応答アーティファクト。
【0081】
前に述べられたように、副動作4-27(
図4~
図8C)は、計算する、CalBP
Predictedは、すべて、Op2算出において完成され、合計で1秒の何分の1かを消費するにすぎない。
【0082】
ブロック1030において、線形被走査ビームプロファイルScannedBPLinearが受け取られる。ScannedBPLinearは、ブロック1010のスポットイオンビームが、一定の速度で所定の水平走査距離にわたって走査される間に電流が測定されたとき、生成され得る。スポットビームの走査速度は、曲線404によって表されている。このScannedBPLinearは、実行するのに、約12秒など、数秒かかり得る。
【0083】
ブロック1040において、スポットビームが、ウエハ面にわたって均一なビーム密度を達成するために走査されるとき、スポットビームの速度に対して必要な変更を行うために、ScannedBPLinearおよびCalBPPredictedに基づいて、調整済み被走査プロファイルScannedBPAdjustedが、スポットビームのために取られる。
【0084】
本実施形態は、少なくとも以下の利点を提供する。第1の利点として、上記で列挙された動作に従うことによって、SpotBPは、ディップ較正スポットプロファイルCalBPDipの形状、サイズおよび位置を正確に予測する(CalBPPredicted)ために使用され得る。第2の利点として、ディップ較正被走査プロファイル(ScannedBPScanned)を実行する必要性をなくすことによって、この手法は、中間電流イオン注入装置のビームチューン時間が近づいたとき、最高13%の著しいチューン時間改善をもたらす。
【0085】
本開示は、本明細書で説明された特定の実施形態によって範囲を限定されるべきではない。実際、本明細書で説明されたものに加えて、本開示の他の様々な実施形態および本開示に対する変更形態が、上記の説明および添付の図面から当業者には明らかであろう。これにより、そのような他の実施形態および変更形態は、本開示の範囲内に入ることが意図される。その上、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実装形態のコンテキストにおいて本明細書で説明されたが、当業者は、有用性がそれに限定されず、本開示が任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実装され得ることを認識するであろう。これにより、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書で説明される本開示の全幅および趣旨に鑑みて解釈されるべきである。
【国際調査報告】