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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】プラズマ処理用電極誘電体ノズル
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240903BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H01L21/302 104H
H01L21/302 101E
H01L21/304 645C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512981
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022041883
(87)【国際公開番号】W WO2023034209
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/239,664
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンコーラ・ポール
(72)【発明者】
【氏名】スミス・ショーン・テイラー
(72)【発明者】
【氏名】崎山 幸紀
(72)【発明者】
【氏名】リーサー・カール・フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】リンガンパリ・ラムキシャン・ラオ
【テーマコード(参考)】
5F004
5F157
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB21
5F004BB22
5F004BB24
5F004BD01
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA26
5F004DB26
5F157AA12
5F157AA91
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157BG33
5F157BG36
5F157BG37
5F157BG72
5F157BG75
5F157CF46
5F157CF48
5F157DB18
(57)【要約】
【解決手段】ウエハのエッジ部に蓄積されたエッジビードを除去するためのシステムおよびデバイスは、プロセスチャンバ内で使用されるノズルの中央部に配設された第1の電極と、第1の電極を取り囲む誘電体材料内に埋め込まれた第2の電極とを含む。第1のチャネルが、第1の電極と誘電体材料との間に画定され、第1のガス源から第1のガスを受容するために使用される。第2のチャネルが、誘電体材料とノズルの外壁との間に画定され、第2のガスを受容するために使用される。RF電源が、第1のガスのプラズマラジカルを生成するために、電極にRF電力を供給するようにノズルに結合される。ノズルの底部の開口部が、ノズルの下方に位置決めされたウエハのエッジ部に向かって、プラズマラジカルの加圧流を供給するために使用される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを処理するために使用されるプロセスチャンバの上部に画定されたハウジング内に配設されたノズルであって、前記ノズルは、前記ウエハのエッジ部に蓄積されたエッジビードを除去するように構成され、
前記ノズルの本体の中央部に画定された第1の電極と、
前記本体内に前記第1の電極を取り囲むように配設された誘電体材料と、
前記第1の電極と前記誘電体材料との間に画定された第1のチャネルであって、前記第1のチャネルの第1の端部が、第1の入口を通じて第1のガス源に結合され、第1のガスを前記第1のチャネル内に受容し、前記第1のチャネルの底部に画定された第2の端部が、開口部を含む、第1のチャネルと、
前記誘電体材料内に埋め込まれた第2の電極と、
前記ノズルに結合され、前記第1の電極と前記第2の電極との間に画定された前記第1のチャネル内に受容された前記第1のガスのプラズマを生成するためにRF電力を供給するように構成された高周波(RF)電源と
を備え、
前記第1のチャネルの前記開口部は、動作中、前記プロセスチャンバの前記ノズルの下方に位置決めされた前記ウエハの前記エッジ部の一部に向かって、前記第1のチャネル内で生成された前記プラズマのラジカルの加圧流を供給するように構成される、ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のノズルであって、
前記誘電体材料と前記ノズルの外壁との間に画定された第2のチャネルをさらに含み、
前記第2のチャネルの第1の端部は、第2のガス源に結合された第2の入口に接続され、第2のガスを前記第2のチャネル内に受容し、前記第2のチャネルの第2の端部は、前記ノズルの底部に配設され、前記第1のチャネルの前記開口部に隣接し、前記第1のチャネルの前記開口部を取り囲むように配向された第2の開口部を含み、前記第2の開口部から流出する前記第2のガスが、前記第1のチャネルの前記開口部から流出する前記プラズマの前記ラジカルの周囲にシールドを形成する、ノズル。
【請求項3】
請求項2に記載のノズルであって、
前記第2のガスは、不活性ガスであり、前記不活性ガスは、アルゴンまたはヘリウムの一方である、ノズル。
【請求項4】
請求項1に記載のノズルであって、
前記第2の電極の少なくとも一部が、前記第1のチャネルの前記開口部に近接して配設される、ノズル。
【請求項5】
請求項1に記載のノズルであって、
前記第1の電極は整合ネットワークを介して前記RF電源に結合され、前記第2の電極は電気的に接地される、ノズル。
【請求項6】
請求項1に記載のノズルであって、
前記第1の電極は電気的に接地され、前記第2の電極は整合ネットワークを介して前記RF電源に結合される、ノズル。
【請求項7】
請求項1に記載のノズルであって、
前記第1の電極および前記第2の電極は、対応する整合ネットワークを介して前記RF電源に結合され、前記RF電源が、前記第1の電極と前記第2の電極との間でRF電力の入力の供給を切り替えるように構成された差動駆動装置に結合され、前記差動駆動装置は、絶縁変圧器である、ノズル。
【請求項8】
請求項1に記載のノズルであって、
前記誘電体材料の化学的および熱的特性が、前記第2の電極を画定するために使用される材料の化学的および熱的特性と一致する、ノズル。
【請求項9】
請求項1に記載のノズルであって、
前記誘電体材料の熱膨張係数が、前記第2の電極を画定するために使用される材料の熱膨張係数と一致する、ノズル。
【請求項10】
請求項1に記載のノズルであって、
前記第1および第2の電極は、タングステン、またはモリブデン、または白金のいずれか1つであり、
前記誘電体材料は、窒化アルミニウム、または酸窒化アルミニウム、または窒化ケイ素、または酸化アルミニウム、または酸化イットリウムのいずれか1つである、ノズル。
【請求項11】
請求項1に記載のノズルであって、
前記第1の電極内に画定された第1の冷却要素と、前記誘電体材料の外径に画定された第2の冷却要素とをさらに含み、前記第2の冷却要素が、前記第2の電極が配設される領域において前記誘電体材料の外側側壁の少なくとも一部を覆うように設計され、前記第1および第2の冷却要素は、水冷却またはコイル冷却用に構成される、ノズル。
【請求項12】
請求項11に記載のノズルであって、
前記誘電体材料と前記ノズルの外壁との間に画定された第2のチャネルの第2の開口部に近接する前記誘電体材料の底部に沿って前記外側側壁に画定された第3の冷却要素をさらに含み、前記第3の冷却要素は、水冷却またはコイル冷却用に設計される、ノズル。
【請求項13】
請求項1に記載のノズルであって、
前記第1のガスは、エッチャントガスとキャリアガスとの混合物を含み、前記エッチャントガスが、前記プラズマの前記ラジカルを生成するために使用され、前記エッチャントガスは、酸素である、ノズル。
【請求項14】
請求項1に記載のノズルであって、
前記ハウジングは、前記ノズルを含む複数のノズルを含み、前記複数のノズルは、円弧に沿って画定され、前記複数のノズルの各ノズルが、前記複数のノズルの隣接するノズルから所定の距離だけ離間し、
前記ハウジング内に画定された前記円弧のプロファイルが、前記エッジビードの除去のために受け取られた前記ウエハの前記エッジ部の一部のプロファイルと一致し、
前記複数のノズルによって同時に付与された前記プラズマの前記ラジカルは、前記ウエハの前記エッジ部の前記一部を覆う、ノズル。
【請求項15】
請求項1に記載のノズルであって、
前記ウエハは、前記プロセスチャンバ内に画定されたクランプチャック上に受け取られ、前記クランプチャックは、前記ウエハの前記エッジ部を前記ノズルの下方にもたらし得るように、x軸、y軸、およびz軸に沿って移動するように構成された可動ユニットであり、前記ノズルは、静止ユニットであり、前記クランプチャックは、静電チャックまたは真空チャックである、ノズル。
【請求項16】
請求項1に記載のノズルであって、
前記ウエハは、前記プロセスチャンバ内に画定されたクランプチャック上に受け取られ、前記クランプチャックは静止ユニットであり、前記ノズルは前記ウエハの前記エッジ部の全体に前記プラズマのラジカルを付与するように、軸に沿って移動するように構成された可動ユニットであり、前記クランプチャックは、静電チャックまたは真空チャックである、ノズル。
【請求項17】
請求項1に記載のノズルであって、
前記第1のガスは、エッチャントガスおよびキャリアガスを含み、前記エッチャントガスが、前記プラズマの前記ラジカルを生成するために使用される、ノズル。
【請求項18】
装置フロントエンドモジュール(EFEM)と、1つまたは複数のロードロックと、真空搬送モジュールと、ウエハを処理するための複数のプロセスチャンバとを有するウエハ処理システムであって、前記複数のプロセスチャンバの1つのプロセスチャンバは、前記ウエハのエッジ部からエッジビードを除去するために使用され、
前記プロセスチャンバは、
前記プロセスチャンバの下部に画定され、処理のために受け取られた前記ウエハに支持面を提供するように構成されたクランプチャックと、
前記プロセスチャンバの上部に画定され、前記クランプチャックの上に配向されたハウジング内に配設されたノズルであって、
前記ノズルの本体の中央部に画定された第1の電極と、
前記本体内に前記第1の電極を取り囲むように配設された誘電体材料と、
前記第1の電極と前記誘電体材料との間に画定された第1のチャネルであって、前記第1のチャネルの第1の端部は、第1の入口を介して第1のガス源に結合され、第1のガスを前記第1のチャネル内に受容し、前記第1のチャネルの底部に画定された第2の端部は、開口部を含む、第1のチャネルと、
前記誘電体材料内に埋め込まれた第2の電極と、
前記ノズルに結合され、前記第1の電極と前記第2の電極との間に画定された前記第1のチャネル内に受容された前記第1のガスのプラズマを生成するためにRF電力を供給するように構成された高周波(RF)電源と
を含むノズルと
を備え、
前記第1のチャネルの前記開口部は、動作中、前記プロセスチャンバの前記ノズルの下方に位置決めされた前記ウエハの前記エッジ部に向かって、前記第1のチャネル内で生成された前記プラズマのラジカルの加圧流を供給するように構成される、ウエハ処理システム。
【請求項19】
請求項18に記載のウエハ処理システムであって、
前記プロセスチャンバは、前記ウエハ処理システムの前記1つまたは複数のロードロックの上に配設され、前記プロセスチャンバが、前記ウエハ処理システムの前記EFEM内に画定されたチャンバ開口部を通じてアクセスされ、前記チャンバ開口部は、絶縁バルブによって制御される、ウエハ処理システム。
【請求項20】
請求項18に記載のウエハ処理システムであって、
前記誘電体材料と前記ノズルの外壁との間に画定された第2のチャネルをさらに含み、
前記第2のチャネルの第1の端部は、第2のガス源に結合された第2の入口に接続され、第2のガスを前記第2のチャネル内に受容し、前記第2のチャネルの第2の端部は、前記ノズルの底部に配設され、前記第1のチャネルの前記開口部に隣接し、前記第1のチャネルの前記開口部を取り囲むように配向された第2の開口部を含み、前記第2の開口部から流出する前記第2のガスが、前記第1のチャネルの前記開口部から流出する前記プラズマの前記ラジカルの周囲にシールドを形成する、ウエハ処理システム。
【請求項21】
請求項18に記載のウエハ処理システムであって、
前記ノズルを備えた前記ハウジングは静止ユニットであり、前記クランプチャックは可動ユニットであり、前記クランプチャックが、動作中、その上部に受け取った前記ウエハの前記エッジ部を前記ハウジング内の前記ノズルの前記開口部の下に配向できるように、x軸、y軸、またはz軸に沿って移動するように構成され、前記クランプチャックは、静電チャックまたは真空チャックである、ウエハ処理システム。
【請求項22】
請求項18に記載のウエハ処理システムであって、
前記ノズルを備えた前記ハウジングは可動ユニットであり、前記クランプチャックは静止ユニットであり、前記ノズルを備えた前記ハウジングが、動作中、前記ノズルを前記ウエハのエッジ部の上方に位置決めできるように、x軸、y軸、またはz軸に沿って移動するように構成され、前記クランプチャックは、静電チャックまたは真空チャックである、ウエハ処理システム。
【請求項23】
請求項18に記載のウエハ処理システムであって、
前記RF電源は整合ネットワークを介して前記第1の電極に結合され、前記第2の電極は電気的に接地される、ウエハ処理システム。
【請求項24】
請求項18に記載のウエハ処理システムであって、
前記第1の電極は電気的に接地され、前記RF電源は整合ネットワークを介して前記第2の電極に結合される、ウエハ処理システム。
【請求項25】
請求項18に記載のウエハ処理システムであって、
前記RF電源は、整合ネットワークを介して前記第1の電極および前記第2の電極に結合され、前記RF電源に結合された差動駆動装置は、前記第1の電極と前記第2の電極との間でRF電力の入力の供給を切り替えるように構成され、前記差動駆動装置は、絶縁変圧器である、ウエハ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体ウエハ処理に関し、より詳細には、ウエハ処理システム内に受け取られた半導体ウエハのエッジビード除去に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な製作システムには、複数のクラスタツールアセンブリまたは処理ステーションが含まれる。半導体ウエハの製造プロセスで使用される各処理ステーションは、1つまたは複数のプロセスモジュールを含み、各プロセスモジュールが特定の製造動作を実行するために使用される。様々なプロセスモジュール内で実行される製造動作のいくつかには、プラズマを使用するエッチング動作、堆積動作、洗浄動作、リンス動作、乾燥動作等が含まれる。いくつかのプロセスモジュールは、ウエハの表面全体を処理するように設計され、いくつかの他のプロセスモジュールは、ウエハの中央部を処理するように設計されるが、さらに他のプロセスモジュールは、ウエハのエッジ部を処理するように設計される。概して、エッジ部の処理は、ウエハの外縁部に沿ってレジストの盛り上がりが発生する、エッジビードを除去するために行われる。レジストの盛り上がりは、スピンサイクル(例えば、スピンコーティング)中に発生する。エッジビードが速やかに除去されない場合、エッジビードは、その後のウエハ処理中に汚染を引き起こす可能性がある。
【0003】
エッジビード除去のための現在のアプローチは、プロセスチャンバ内を低圧に維持し、ウエハを高温に加熱することを含む。このアプローチでは、チャンバ圧力の循環時間、ウエハ加熱時間、エッチング時間、およびウエハ冷却時間が大幅にかかるため、スループットが制限され、必要なハードウェアが高額になる。鋼鉄を切断できるプラズマ直流(DC)アークベースのカッターは、アークがウエハを損傷する可能性があるため、ウエハ処理には適していない。さらに、DCアークプラズマに使用されるノズルは、金属製であり、使用中にすぐに劣化する。劣化による金属汚染は、半導体処理には適さない。
【0004】
本発明の実施形態は、このような背景において生じるものである。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、エッジビード除去プロセスを使用してウエハのエッジ部を処理するためのシステムおよび方法を含む。ノズルベースのプラズマ噴射をウエハの回転と共に使用して、ウエハの周縁部全体を処理する。プラズマノズルは、電力および高熱負荷をサポートできる高周波(RF)電力を動力源とする。設計上、RF電力は、ウエハにアークを供給しない。プラズマノズルは、一対のRF電極を含み、その間にラジカルを生成する。次に、ラジカルは、加圧噴射流によってウエハに向けられる。プラズマノズルの設計は、アーク放電および金属汚染を防ぐように、金属表面に誘電体バリアを使用する。さらに、このプラズマノズルの設計は、プラズマ化学との化学的適合性を提供する。この設計により、長寿命および高温動作を達成できる。プラズマノズルに使用される電極および誘電体材料は、熱膨張係数が一致するように設計される。誘電体材料(例えば、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化イットリウム等、セラミック)は、その望ましい絶縁破壊電圧、熱衝撃に対する高耐性、高い熱伝導性、および高温動作のために選択される。冷却要素をノズル内に組み込むことにより、高電力および長寿命運転が可能となる。
【0006】
このプラズマノズルの設計は、速い時定数の加熱および冷却を提供できる。比較的高圧のガスと共に使用される場合、この設計は、より低圧のプロセスで可能であるよりもより高い反応生成物の密度を提供する。このプラズマノズルの設計は、熱的または化学的に誘発される損傷がなくプラズマ内に高い電力密度をサポートできるため、(ウエハエッジ部で)高いエッチング速度を達成できる。このプラズマノズルのトポロジーは、従来技術と比較してハードウェアの大幅なコスト削減を提供する。
【0007】
一実施態様では、ノズルが、ウエハを処理するために使用されるプロセスチャンバの上部に画定されたハウジング内に配設され、ウエハのエッジ部に蓄積されたエッジビードを除去するために使用される。ノズルは、ノズルの本体の中央部に画定された第1の電極を含む。誘電体材料が、第1の電極と誘電体材料との間に画定された第1のチャネルを画定するように、本体内に第1の電極を取り囲むように配設される。第1のガス源に結合された第1の入口が、第1のガスを第1のチャネル内に供給するように構成される。第2の電極が、誘電体材料内に埋め込まれる。高周波(RF)電源が、ノズルに結合され、第1の電極と第2の電極との間に画定された第1のチャネル内に第1のガスのプラズマを生成するためにRF電力を供給するように構成される。開口部が、第1のチャネルの底部に画定される。開口部は、プロセスチャンバに配設されたノズルの下方で受け取られたウエハのエッジ部に向かって、第1のチャネルからプラズマのラジカルの加圧流を供給するように構成される。
【0008】
一実施態様では、誘電体材料は、誘電体材料とノズルの外壁との間に第2のチャネルを画定するように、ノズルの本体に配設される。第2のガス源に結合された第2の入口が、第1の端部で第2のガスを第2のチャネルに供給するように構成され、第2のチャネルの第2の端部が、第1のチャネルの開口部に近接して配設される。第2のガスは、第1のチャネルの開口部を通じて供給されたプラズマのラジカルを運ぶキャリアガスとして機能する。
【0009】
一実施態様では、第2のガスは、不活性ガスである。不活性ガスは、アルゴンまたはヘリウムのいずれかである。
【0010】
一実施態様では、第2の電極は、第1のチャネルの開口部に近接して配設される。
【0011】
一実施態様では、第1の電極は整合ネットワークを介してRF電源に結合され、第2の電極は電気的に接地される。
【0012】
一実施態様では、第1の電極は電気的に接地され、第2の電極は整合ネットワークを介してRF電源に結合される。
【0013】
一実施態様では、第1の電極および第2の電極は、対応する整合ネットワークを介してRF電源に結合される。RF電源は、第1の電極と第2の電極との間でRF電力の供給を切り替えるように構成される。
【0014】
一実施態様では、誘電体材料の化学的および熱的特性が、第1の電極および第2の電極を画定するために使用される材料と実質的に同様である。
【0015】
一実施態様では、誘電体材料の熱膨張係数が、第1の電極および第2の電極に使用される材料の熱膨張係数と実質的に同様である。
【0016】
一実施態様では、誘電体材料は窒化アルミニウム、または酸窒化アルミニウム、または窒化ケイ素、または酸化アルミニウム、または酸化イットリウムのいずれか1つであり、第1および第2の電極はタングステン、または白金、またはモリブデンのいずれか1つから構成される。
【0017】
一実施態様では、ノズルは、誘電体材料の外径に画定された冷却要素を含む。冷却要素は、第2の電極が配設される領域において誘電体材料の外側側壁の少なくとも一部を覆うように設計される。冷却要素は、冷却剤を流すためのチャネルのネットワークを含む。
【0018】
一実施態様では、ノズルは、誘電体材料の底部に沿って外側側壁に画定された第2の冷却要素を含む。第2の冷却要素は、誘電体材料とノズルの外壁との間に画定された第2のチャネルの第2の開口部に近接して配設される。第2の冷却要素は、冷却剤を流すためのチャネルのネットワークを含む。
【0019】
一実施態様では、第1のガスは、エッチャントガスとキャリアガスとの混合物を含む。エッチャントガスは、プラズマのラジカルを生成するために使用される。エッチャントガスは、酸素である。
【0020】
一実施態様では、ノズルは、一組のノズルを含む。一組のノズルは、ハウジング内に画定された円弧に沿って画定される。各ノズルは、一組の隣接するノズルから所定の距離だけ離間している。円弧は、ハウジング内に画定され、エッジビードの除去のために受け取られたウエハのエッジ部のプロファイルと一致する。
【0021】
一実施態様では、ウエハは、プロセスチャンバ内に画定されたチャック上に受け取られる。チャックは、動作中、ウエハのエッジ部をノズルの下方にもたらし得るように、x軸、y軸、およびz軸に沿って移動するように構成される。
【0022】
一実施態様では、装置フロントエンドモジュールと、1つまたは複数のロードロックと、真空搬送モジュールと、ウエハを処理するための複数のプロセスチャンバとを有するウエハ処理システムを開示する。複数のプロセスチャンバの1つのプロセスチャンバは、ウエハのエッジ部からのエッジビードの除去のために使用される。プロセスチャンバは、プロセスチャンバの下部に画定されたクランプチャックを含む。クランプチャックは、処理のために受け取られたウエハに支持面を提供するように構成され、x軸、y軸、およびz軸に沿って移動するように構成される。ノズルが、プロセスチャンバの上部に画定されたノズルハウジング内に配設される。ノズルハウジングは、クランプチャックの上に配向される。ノズルは、ノズルの本体の中央部に画定された第1の電極を含む。誘電体材料が、第1の電極と誘電体材料との間に第1のチャネルを画定するように、本体内で第1の電極を取り囲むように配設される。第1のガス源に結合された第1の入口が、第1のチャネル内に第1のガスを供給するように構成される。第2の電極が、誘電体材料内に埋め込まれる。RF電源が、ノズルに結合され、第1の電極と第2の電極との間に画定された第1のチャネル内に第1のガスのプラズマを生成するためにRF電力を供給するように構成される。
【0023】
一実施態様では、プロセスチャンバは、ウエハ処理システムのロードロックの上に配設される。プロセスチャンバは、ウエハ処理システムのEFEMに向かって画定されたチャンバ開口部を通じてアクセスされる。チャンバ開口部は、EFEM内に画定された絶縁バルブによって制御される。
【0024】
一実施態様では、誘電体材料は、誘電体材料とノズルの外壁との間に第2のチャネルを画定するように、ノズルの本体に配設される。第2のガス源に結合された第2の入口が、第1の端部で第2のガスを第2のチャネル内に供給するように構成される。第2のチャネルの第2の端部が、第1のチャネルの開口部に近接して配設される。第2のガスは、第1のチャネルの開口部を通じて供給されたプラズマのラジカルを運ぶキャリアガスとして機能する。
【0025】
一実施態様では、クランプチャックは可動ユニットであり、ノズルを備えたハウジングは静止ユニットである。クランプチャックは、動作中、その上部に受け取ったウエハのエッジ部がハウジング内のノズルの開口部の下に移動できるように、x軸、y軸、またはz軸に沿って移動するように構成される。
【0026】
一実施態様では、RF電源は整合ネットワークを介して第1の電極に結合され、第2の電極は電気的に接地される。
【0027】
一実施態様では、RF電源は整合ネットワークを介して第2の電極に結合され、第1の電極は電気的に接地される。
【0028】
一実施態様では、RF電源は、第1の電極および第2の電極のそれぞれ1つに結合される。RF電源からのRF電力は、第1の電極と第2の電極との間で切り替えられる。
【0029】
電極の一方が誘電体材料に埋め込まれた二重電極を備えたノズルの設計の利点は、金属表面への誘電体バリアを使用して、アーク放電を防止し、金属汚染を防止することにある。このノズルの設計により、長寿命動作および高温動作を達成できる。さらに、電極および誘電体材料の熱膨張係数(CTE)が一致する材料を選択することにより、エッジビードを効果的に除去するために、ウエハエッジ部へ高電力密度のプラズマを付与しやすくなる。誘電体材料のCTEと電極材料のCTEとを一致させることにより、破損またはクラックの可能性が防止または大幅に低減される。また、CTE、熱伝導率、および熱容量が一致することにより、電極の放熱がしやすくなり、熱衝撃が最小限に抑えられる。誘電体材料(例えば、酸窒化アルミニウム、または窒化アルミニウム、または窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなど、セラミック)は、それらの望ましい絶縁破壊電圧、熱衝撃に対する高耐性、高い熱伝導性、望ましい熱容量、および高温動作のために選択される。さらに、ノズルに配設された冷却要素は、高電力および長寿命動作の助けとなる。プラズマ噴射とウエハの回転またはノズルヘッドの回転とを組み合わせることにより、ウエハの周縁部全体が確実に処理される。その他の利点としては、エッジビード除去に要する時間が速いことと、加熱および冷却が一定であることと、比較的高圧のガスと併用する場合、このノズルの設計が低圧プロセスで可能である場合よりもより高い反応生成物の密度を提供することが挙げられる。このノズルの設計に含まれるプラズマ噴射のトポロジーにより、熱的または化学的に誘発される損傷を実質的に防止しながら、簡素化されたハードウェアが必要とされるため、ハードウェアの実質的なコスト削減となる。
【0030】
これらおよび他の利点については後述するが、明細書、図面、および特許請求の範囲を読めば当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、一実施態様に従って、複数の処理ステーションと、インバウンドロードロックと、アウトバウンドロードロックと、噴射式エッジビード除去(EBR)プロセスチャンバとを備えたマルチステーション処理ツールが、ウエハのエッジ部からのエッジビード除去のために採用される半導体処理システムを簡略化したブロック図を示す。
【0032】
図2A-1】図2A-1は、一実施態様に従って、単一のノズルヘッドが、エッジビード除去のために採用されるEBRシステム内に受け取られるウエハを簡略化した俯瞰図を示す。
【0033】
図2A-2】図2A-2は、一実施態様に従って、エッジビード除去のためにEBRプロセスチャンバ内に受け取られたウエハのエッジ部の上に位置決めされたノズルハウジング内に受容されたノズルヘッドを簡略化した側面図を示す。
【0034】
図2B-1】図2B-1は、代替の実施態様に従って、複数のノズルヘッドがエッジビード除去のために採用されるEBRシステム内に受け取られたウエハを簡略化した俯瞰図を示す。
【0035】
図2B-2】図2B-2は、代替の実施態様に従って、エッジビード除去のためにEBRプロセスチャンバ内に受け取られたウエハのエッジ部の上に位置決めされたノズルハウジング内に受容された複数のノズルヘッドを簡略化した側面図を示す。
【0036】
図3図3は、一実施態様に従って、ノズルヘッドがウエハのエッジ部からエッジビードを除去するために採用されるEBRプロセスモジュール(本明細書では、「噴射式EBRシステム」または単に「EBRシステム」とも呼ばれる)を簡略化した描写を示す。
【0037】
図4図4は、一実施態様に従って、EBRシステムに採用され、ウエハのエッジ部からエッジビードを除去するために使用されるノズルヘッド(本明細書では、「ノズル」とも呼ばれる)を拡大した断面側面図を示す。
【0038】
図4A図4Aは、一実施態様に従って、第2のガスによって遮断された第1のガスのプラズマラジカルを集中的に付与し、エッジ部からエッジビードを除去中のウエハの拡大図を示す。
【0039】
図5A図5Aは、一実施態様に従って、ノズルヘッドがウエハのエッジ部からエッジビードを除去するために採用されるEBRシステムの別の図を示す。
図5B図5Bは、一実施態様に従って、ノズルヘッドがウエハのエッジ部からエッジビードを除去するために採用されるEBRシステムの別の図を示す。
図5C図5Cは、一実施態様に従って、ノズルヘッドがウエハのエッジ部からエッジビードを除去するために採用されるEBRシステムの別の図を示す。
【0040】
図6A図6Aは、別の実施態様に従って、EBRシステムに採用されたノズルヘッドの変形例を示す。
図6B図6Bは、別の実施態様に従って、EBRシステムに採用されたノズルヘッドの変形例を示す。
図6C図6Cは、別の実施態様に従って、EBRシステムに採用されたノズルヘッドの変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明では、本発明の特徴の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細の一部または全てがなくても実施され得ることが明らかであろう。他の例では、周知のプロセス動作は、本発明を不必要に不明瞭にしないために、詳細には説明されていない。
【0042】
本開示の実施形態は、ウエハのエッジ部からエッジビードを除去するために使用される処理ツール内のプロセスチャンバ内で使用されるノズルヘッドの詳細を提供する。広義では、ノズルヘッド(以下、単に「ノズル」と呼ばれる)は、プロセスチャンバの上部(「上側ハウジング部」とも呼ばれる)に配設されたノズルハウジング内に画定される。プロセスチャンバの下部(「下側ハウジング部」とも呼ばれる)は、ノズルを効率的に機能させるための構成要素を含んでもよい。構成要素は、エッジビード除去に使用されるプラズマを生成するためのプロセスガスを供給する信号を提供する、コントローラに結合されてもよい。一例では、ノズルハウジングの上側ハウジング部および/または下側ハウジング部は、プロセスチャンバ内に画定された支持柱に結合されてもよい。別の例では、ノズルハウジングの上側ハウジング部および/または下側ハウジング部は、プロセスチャンバの側壁に結合されてもよい。ノズルは、一対の電極を含み、一対のうち第1の電極はノズルの中央部に配設され、一対のうち第2の電極は第1の電極を取り囲む誘電体材料に埋め込まれる。誘電体材料は、第1の電極と誘電体材料との間に第1のチャネルを生成し、誘電体材料とノズルの外壁との間に第2のチャネルを生成するように、第1の電極を取り囲むように画定される。第1のチャネルは、第1の入口を通じて、第1のガス源から第1のガスを受容するように構成される。第2のチャネルは、第2の入口を通じて第2のガス源から第2のガスを受容するように構成される。
【0043】
高周波(RF)電源は、第1の電極または第2の電極にRF電力を供給するように、ノズルに結合される。RF電力は、第1のチャネル内に第1のガスのプラズマのラジカルを生成するために使用される。次に、ラジカルは、ノズルの底部に画定された第1の開口部(すなわち、第1の出口)を通って第1のチャネルから運ばれる。第2のガスは、ノズルの底部に画定された第2の開口部(すなわち、第2の出口)を通って第2のチャネルから流出する。第2の開口部は、第2のチャネルから流出する第2のガスが第1の開口部から流出するプラズマのラジカルを取り囲み、プラズマラジカルの加圧噴射流を生成してエッチング速度を高めるために、第1の開口部に隣接するように画定される。第2のガスは、ノズルの下方で受け取られたウエハのエッジ部にラジカルを集中的に付与するようにシールドとして機能する。さらに、第2のガスシールドは、空気中での再結合および他の反応の発生を防ぎ、プラズマラジカルの分散を防止する。
【0044】
誘電体材料は、金属表面に対するバリアとして機能し、RF電力を印加する場合でもアーク放電、および金属汚染を防止する。誘電体材料と第1および第2の電極とに使用される材料は、熱膨張係数(CTE)が一致し、高温動作に耐え得るように選択される。電極および誘電体材料のCTEを一致させることにより、電極のクラックが防止され、これにより確実に高温動作時の長寿命が保証される。誘電体材料は、熱衝撃に対する高耐性、高い熱伝導性、望ましい熱容量、および高温動作のために選択される。さらに、ノズルに冷却要素を組み込むことにより、長寿命を延長できる。
【0045】
上記実施態様の一般的な理解と共に、次に、様々な具体的な詳細を様々な図面を参照して説明する。
【0046】
図1は、マルチステーションウエハ処理システムが採用されるウエハ処理システム100の上面図を簡略化したブロック図を示す。ウエハ処理システムは、より大きなシステム、例えば、製造設備の一部であってもよく、複数のこのようなウエハ処理システムが採用されてもよいし、ウエハ処理システムが他のウエハ処理システムと共に採用されてもよい。ウエハ処理システム100は、装置フロントエンドモジュール(EFEM、またはその他の場合、本明細書では、大気搬送モジュール(ATM)と呼ばれる)など、複数のモジュール104と、1つまたは複数のロードロック108と、真空搬送モジュール(VTM)102と、1つまたは複数のプロセスモジュール106とを含む。処理用のウエハは、ロードポート113で受け取られるウエハステーション(図示せず)からウエハ処理システム100内にもたらされる。図1に示すウエハ処理システム100は、一対のロードポート113を示している。ただし、ロードポート113の数は、より少ないか、またはより多いことも想定され得る。ロードポート113で受け取られたウエハステーションへのアクセスは、EFEM104に画定された開口部に配設された絶縁バルブによって提供される。EFEM104のロボット105のエンドエフェクタを使用して、ウエハステーションからウエハを取り出し、ロードロック108およびVTM102を介してプロセスモジュールにウエハを搬送する。一実施態様では、一対のロードロック108は、インバウンドロードロック108aとアウトバウンドロードロック108bとを含む。インバウンドロードロック108aはVTM102を介してウエハステーションからプロセスモジュールに未処理のウエハを搬送するために使用され、アウトバウンドロードロック108bは、プロセスモジュール106からEFEM104を介してロードポート113で受け取られるウエハステーションに処理済みのウエハを搬送するために使用されてもよい。一実施態様では、ウエハ処理システムは、ウエハエッジ部からのエッジビードの除去のためのエッジビード除去プロセスモジュールと係合するように構成される容量結合プラズマ(CCP)プロセスチャンバであるプロセスチャンバを含む。
【0047】
EFEM104は、大気状態に維持される。ロードロック108は、ウエハの搬送に必要な状態に応じて、大気状態または真空状態のいずれかに維持できる。各ロードロック108は、第1の側に画定された第1の開口部と第2の側に画定された第2の開口部とを含み、真空ポンプ(図示せず)に接続される。ロードロック108の第1の側はEFEM104に連結され、第2の側はVTM102に連結される。第1の絶縁バルブが第1の開口部を介してロードロック108の内部へのアクセスを提供するために係合され、第2の絶縁バルブが第2の開口部を介してロードロック108へのアクセスを提供するために係合される。プロセスモジュールに向けて、ウエハステーションからロードロック108内に堆積されるウエハを搬送する際、第1の絶縁バルブは第1の開口部が開いたままであるように係合解除され、第2の絶縁バルブは第2の開口部が閉じた状態を保つように係合される。この時、ロードロック108は、大気状態で動作している。EFEM104のロボット105は、ウエハをウエハステーションから取り出し、ウエハをロードロック108に移動させる。ウエハがロードロック108に入ると、第1および第2の絶縁バルブは共に係合され、第1および第2の開口部を閉鎖位置に維持する。ロードロック108に接続された真空ポンプは、ロードロック108を真空状態にポンプダウンを行う。ロードロック108が真空状態になると、ロードロック108の第2の絶縁バルブは、第2の開口部を開いた状態に保つように係合解除され、一方で、第1の絶縁バルブは、第1の開口部を閉じた状態に保つように係合され続ける。VTM102に配設された第2のロボット(図示せず)を使用して、ロードロック108からウエハを取り出し、処理のためにプロセスモジュールの1つに移動させる。VTM102およびプロセスモジュールは共に、真空に維持される。VTM102の第2のロボットは、ウエハを1つのプロセスモジュールから別のプロセスモジュールへ、ならびにロードロック108とプロセスモジュールとの間で移動させるために使用される。
【0048】
インバウンドロードロック108aおよびアウトバウンドロードロック108bが存在する一実施態様では、ウエハは、ウエハステーションからEFEM104およびインバウンドロードロック108aを通じてプロセスモジュール内に移動し、プロセスモジュールからアウトバウンドロードロック108bを通じてウエハステーションに戻る。代替の実施態様では、一対のロードロック108の両方のロードロックを使用して、ウエハをプロセスモジュールとウエハステーションとの間で搬送する。さらに別の実施態様では、一対のロードロック108の第1のロードロックを使用して、ウエハをウエハステーションとプロセスモジュールとの間で搬送し、一対のロードロック108の第2のロードロックを使用して、消耗部品を消耗部品ステーションとプロセスモジュールとの間で搬送してもよい。
【0049】
一実施態様では、VTM102を介してアクセスされるプロセスモジュール106の1つは、複数の処理ステーションを含み得る。一例では、プロセスモジュールは、4つの処理ステーション106-1から106-4を含み得る。処理ステーション106-1から106-4は、リフト機構226を使用してアクセスされる。リフト機構は、一実施態様では、回転機構に取り付けられるスパイダーフォークを含む。一実施態様では、回転機構は、スピンドルモーター(図示せず)によって作動されるスピンドルである。スピンドルはプロセスモジュールの中央部に配設され、様々な処理ステーションのスパイダーフォークがスピンドルに接続される。一実施態様では、ウエハはキャリアプレート(図示せず)上に受け取られ、ウエハを備えたキャリアプレートはプロセスモジュールに画定された処理ステーション106の台座(図示せず)上に支持され、一対のスパイダーフォークを使用して、ウエハを備えたキャリアプレートを台座上で昇降させる。一実施態様では、プロセスモジュールに係合され得るスパイダーフォークの対の数は、プロセスモジュールに配設された処理ステーションの数に依存する。図1は、ウエハ処理システム100のプロセスモジュールが4つの処理ステーション(106-1から106-4)と、4つの異なるウエハを1つのプロセスステーションから次のプロセスステーションに移動させるための4組のスパイダーフォークとを含むような一実施態様の下側ハウジング部の上面図を示す。ウエハを備えたキャリアプレートの持ち上げは、(a)キャリアプレートを支持するように、一対のスパイダーフォークをキャリアプレートの外側下面の下方に移動させ、(b)リフトピン制御を使用してリフトピンを係合させ、ウエハを備えたキャリアプレートを台座から持ち上げ、(c)リフトピンを係合解除して、リフトピンハウジング内に収納し、(d)スピンドルを使用してキャリアプレートを次の処理ステーション上に画定された次の台座に回転させることによって行われる。ウエハ処理システム100の種々の構成要素は、コントローラ(図示せず)に接続される。コントローラは、ウエハステーションからプロセスモジュールへのウエハの移動、およびプロセスモジュール内の処理ステーションへのウエハの移動を調整するように、様々な構成要素に適切な信号を生成する。
【0050】
代替の実施態様では、ウエハは、台座上に直接受け取られ、リフト機構を使用して台座から持ち上げられ、台座上に降され、回転機構を使用して1つのプロセスステーションから次のプロセスステーションに回転される。代替の実施態様(図示せず)では、スパイダーフォークの代わりに、キャリアパドルまたはキャリアブレード(図示せず)を使用して、キャリアプレート上に受け取られたウエハを1つのプロセスステーションから次のプロセスステーションに移動させてもよい。様々な実施態様は、リフト機構の一部としてスパイダーフォークまたはキャリアパドル/ブレードの使用に限定されず、他のタイプのリフト機構を係合させてもよい。
【0051】
図1に示す実施態様はVTM102を介してアクセス可能な4つの処理ステーションを備えた単一のプロセスモジュールを示しているが、実際には、VTM102を介してアクセス可能な複数のプロセスモジュールが存在し得ることに留意されたい。プロセスモジュールは、マルチステーションプロセスモジュールであってもよいし、シングルステーションプロセスモジュールであってもよい。
【0052】
EFEM104、VTM102、ロードロック、およびプロセスモジュールに加えて、ウエハ処理システム100は、ウエハエッジ部からエッジビードを除去するための噴射式エッジビード除去(EBR)システム(または本明細書では、単に「EBRシステム」と呼ばれる)125を含む。一実施態様では、EBRシステム125は、EFEM104のロードロック(単数または複数)108と同じ側に配設される。一実施態様では、EBRシステム125は、ロードロック(単数または複数)108の上に配設され、追加により生じるフットプリントを最小限に抑える。ウエハ処理システム100が2つのロードロック(すなわち、インバウンド/アウトバウンドロードロック、またはウエハステーションとプロセスモジュールとの間でウエハを移動させることと同じ機能を実行する2つのロードロック、またはウエハを移動させる機能および消耗部品を移動させる機能の2つの異なる機能を実行する2つのロードロック)を含む。一実施態様では、EBRシステム125は、ロードロック108の一方の上(例えば、インバウンドロードロック108aの上またはアウトバウンドロードロック108bの上のいずれか)に配設されてもよいし、両方のロードロック(例えば、インバウンドおよびアウトバウンドロードロック108a、108b)の上に配設されてもよい。図1は、インバウンドおよびアウトバウンドロードロック(108a、108b)が、ロードポート113が配設される側とは反対側にあるEFEM104の側に配設され、EBRシステム125が、両方のロードロック(例えば、インバウンドおよびアウトバウンドロードロック108a、108b)の一部を覆って配設されるウエハ処理システム100の一実施態様を示す。
【0053】
EBRシステム125は、既存のウエハ処理システムのロードロック(単数または複数)の上に容易に積み重ねることができ、追加のフットプリントを残さないように、十分に小型かつ軽量に設計される。EBRシステム125へのアクセスは、EBRシステム125が結合されるEFEM104の側にある開口部を通じて提供され、開口部は絶縁バルブを使用して動作される。ウエハ処理システム100におけるEBRシステム125のこの位置は、VTM102側に、ウエハに追加の処理を実行するための別のプロセスモジュールを画定するための空きスペースを確保する。この実施態様では、EBRシステム125は、大気圧環境に維持される。ウエハ処理システム100のこの設計により、ウエハをウエハステーションからEFEM104を通じてプロセスモジュールのいずれか、およびEBRシステム125に移動可能であり、ウエハのこのような移動はEFEM104のロボット105を使用して支援される。
【0054】
別の実施態様では、EBRシステム125は、EBRシステム125に真空ポンプを追加することによって、真空にポンプダウンされてもよい。この実施態様では、EBRシステム125は、EBRシステム125を大気圧超、大気圧、および真空中で動作し得るという点で、ロードロック108と同様の方法で機能してもよい。代替の実施態様では、EBRシステム125は、真空に維持され、VTM102を介してアクセス可能であってもよい。一実施態様では、EBRシステム125は、VTM102を取り囲むプロセスモジュールの1つとして画定されてもよく、この場合、ウエハを処理するために利用可能なプロセスモジュールが1つ少なくなる。代替の実施態様では、EBRシステム125は、ウエハ処理システム100に配設されたロードロック108a、108bのいずれか一方(インバウンドロードロック108aまたはアウトバウンドロードロック108b)、またはその両方の上に配設されてもよく、EBRシステム125へのアクセスはVTM102の開口部を通じて提供される。種々のプロセスモジュールにおいて全ての処理が行われた後、VTMロボットを使用して、エッジビード除去のためにウエハをEBRシステム125に移動させてもよい。その後、処理および洗浄されたウエハは、アウトバウンドロードロック108bとEFEM104とを介して、ロードポート113で受け取られたウエハステーションに戻される。さらに別の実施態様では、EBRシステム125は、VTM102の周囲のスペースを取らないように、プロセスモジュールの1つの上に配設されてもよい。
【0055】
EBRシステム125は、ウエハを受け取り、支持するチャックと、エッジビード除去中にウエハエッジ部に向かってプラズマラジカルの加圧噴射を供給する1つまたは複数のノズル130を備えたノズルハウジング126とを含む。EBRシステム125の構成要素の詳細については、図2A-1から図6Cを参照して説明する。チャックおよびノズルハウジングに加えて、EBRシステム125は、ウエハエッジ部から放出されたラジカルおよび残留物を速やかに除去するために排気装置(図示せず)を含む。残留物およびラジカルの迅速な除去により、確実に残留物がウエハ表面を汚染せず、ラジカルがウエハ表面に形成されたデバイスを損傷しないようになる。ノズルを備えたEBRシステム125により、ウエハエッジ部からのエッジビードのエッチング速度を大幅に改善しながら、ハードウェアの変更を最小限に抑えることが可能である。
【0056】
図2A-1は、一実施態様において、エッジビード除去のためのEBRシステム125内へのウエハの移動を示す。前述のように、EBRシステム125は、チャック120と、ノズル130が配設されたノズルハウジング126とを含む。ノズルは、ウエハエッジ部におけるエッジビード除去のために、エッチャントガスの加圧プラズマラジカルを供給するように構成される。ウエハは、例えば、EFEM104のロボットのエンドエフェクタによってEBRシステム125内に移動する。チャック120は、ウエハを受け取る支持面を提供し、プラズマラジカルを付与するために、ノズルハウジング126のノズル130の下にウエハのエッジ部をもたらすように、x軸、y軸、およびz軸に沿って移動するように構成される。この実施態様では、ノズルを備えたノズルハウジングは、静止している。ノズル130は、高周波(RF)電力を印加して、ノズル130内に受容されたエッチャントガスのプラズマを生成するように構成される。その後、プラズマのラジカルは、キャリアガスによって高圧でノズルから運ばれ、ノズル130の下方に位置決めされたウエハ101のエッジ部に付与する。ウエハ101を備えたチャック120は、エッジビードを効果的にエッチングするために、ウエハのエッジ部の様々な部分をプラズマラジカルに曝露させるように、x軸に沿って回転する。
【0057】
図2A-2は、ウエハ101のエッジビード除去に使用されるEBRシステム125のノズルハウジングを簡略化した側面図を示す。ノズル130は、第1のガスを受容するための第1のガス源と、第2のガスを受容するための第2のガス源とに結合される。第1のガスはエッチャントガス(例えば、酸素)を含み、第2のガスは不活性ガスである。ノズル130は、RF電力をエッチャントガスに印加して、プラズマを生成するように、RF電源に接続された一対の電極を含む。エッチャントガスに加えて、第1のガスは、キャリアガスを含み得る。キャリアガスは、ノズル130の下に受容されるウエハエッジ部に向かって、ノズル130からプラズマラジカルを押し出す。第1のガスのキャリアガスは、不活性ガスであり、第2のガスに含まれる不活性ガスと同じであっても異なっていてもよい。第2のガスは、ノズルから出るプラズマラジカルに摂動を与えるのではなく、プラズマラジカルを包囲するように、ノズルから真下に向けられる。第2のガスがプラズマラジカルのシールドとして機能することにより、プラズマラジカルの再結合または分散を防ぐと同時に、確実にウエハエッジ部にわたってラジカルを集中的に付与できるようになる。
【0058】
第3のガス源からの第3のガスは、第3の入口137からノズルハウジング126内のノズル130に隣接して画定された第3のチャネル内に供給される。第3の開口部は、エッジビード除去のためにウエハがノズルハウジングの下に受け取られる際に、ウエハの内側領域を覆うように、ノズルハウジング126に画定される。第3のガスにより加わる力は、プラズマラジカルを内側領域からウエハのエッジ部に向けるのに十分であるように定められる。ただし、プラズマラジカルがウエハエッジ部から早期に押し出されないように定められる。第3のガスは、不活性ガスであってよく、第1のガスおよび/または第2のガスの不活性ガスと同じであっても異なっていてもよい。ウエハが回転すると、ウエハエッジ部の様々な部分がプラズマラジカルに曝露される。ウエハエッジ部に付与された加圧プラズマラジカルは、エッジビードをウエハエッジ部から放出するように作用する。エッジビードおよびプラズマラジカルから放出された残留物は、ウエハ表面への汚染または損傷を防止するように、排気装置を使用してEBRシステム125から速やかに除去される。図2A-1および図2A-2に示す実施態様では、ノズルハウジング126は、単一のノズル130を含むように示されている。
【0059】
図2B-1および図2B-2は、一実施態様において、複数のノズル130’が配設されるノズルハウジング126’を簡略化したブロック図を示す。図2B-1は俯瞰図を示し、図2B-2はEBRシステム125’内に配設されたノズルハウジング126’の側面図を示す。複数のノズル(130’から130’-5)は、円弧127に沿ってノズルハウジング126’内に配置され、各ノズル130’は隣接するノズル130’から所定の距離だけ離間する。円弧127は、ウエハエッジ部がノズルハウジング126’のノズル130’の下にもたらされる際に、プラズマラジカルが同時に複数のノズル130’からウエハエッジ部に向かって流出し、ウエハエッジ部のエッジビードの放出に向けて機能するように、ウエハ101のエッジ部の輪郭と一致するように定められる。一実施態様では、隣接するノズル130の任意の対の間の所定の離間距離は、約5mmから約50mmの間である。一実施態様では、一組の5つのノズル130’が、ノズルハウジング126’内に画定された円弧127’に沿って配設される。ノズル130’の各々は、図2A-1および図2A-2に示したノズル130と同様の構造であり、プラズマラジカルを生成するために第1のガスに含まれるエッチャントガスにRF電力を印加できるように、第1の入口を通じて第1のガス源に、第2の入口を通じて第2のガスに、および整合ネットワークを通じてRF電源に接続される。さらに、図2A-1および図2A-2に示した実施態様と同様に、第3のガス源に結合された第3の入口137は、ノズルハウジング126’内のノズル130’に隣接して画定された第3のチャネル内に第3のガスを供給するように構成される。第3のガスは、エッジビード除去中にウエハがノズルハウジング126’の下に位置決めされる際に、ウエハの内側領域を覆うように、ノズルハウジング126’に画定された第3の開口部を通じて供給される。
【0060】
図3は、一実施態様において、EBRシステム125を簡略化したブロック図を示し、EBRシステム125内に受け取られたウエハ101のウエハエッジ部からエッジビードを除去中に使用されるEBRシステム125の様々な構成要素を示す。EBRシステム125は、この実施態様では、図2A-1および図2A-2を参照して説明した単一のノズルの実施態様に関連する。ただし、エッジビード除去プロセスを改善するために、ノズルハウジング126内に複数のノズル130を含むように容易に拡張可能である。EBRシステム125は、クランプチャック(または単に「チャック」と呼ばれる)120と、ノズルハウジング126とを含む。さらに、EBRシステム125は、EBRシステム125にて実行されるエッジビード除去動作中に、ウエハエッジ部から放出されたプラズマラジカルおよび残留物を速やかに除去するための排気装置(図示せず)を含む。一実施態様では、チャック120は、ウエハを所定の位置に受け取り、保持するように構成され、また、x軸、y軸、および/またはz軸に沿って移動するように構成される静電チャックである。別の実施態様では、チャック120は、ウエハを所定の位置に受け取り、保持するように構成され、また、x軸、y軸、および/またはz軸に沿って移動するように構成される真空チャックである。ウエハは、絶縁バルブ141によって動作される開口部140を介してEBRシステム125内に移動する。ウエハは、EFEM104のロボット105のエンドエフェクタを使用してEBRシステム125内に移動する。EBRシステム125は、大気状態で動作されている。
【0061】
絶縁バルブ141は、最初はEBRシステム125へのアクセスを提供する係合解除状態である。ウエハ101がチャック120上に移動すると、絶縁バルブ141は、開口部を閉じるために係合される。ロードポート113の絶縁バルブと、EFEM104と、EFEM104のロボット105と、ロードロック108と、VTM102と、VTMのロボットと、VTM102を介してアクセスされるプロセスモジュールと、EBR125の種々の構成要素(例えば、絶縁バルブ、チャック120、およびノズルハウジング126)とを含むウエハ処理システム100の種々の構成要素は全て、様々なプロセスモジュール、EBRシステム125、VTM102、EFEM104、ロードロック108へのウエハ101の搬入出、およびエッジビード除去プロセスを含む様々なプロセスの起動を調整するコントローラ(図示せず)に接続される。EBRシステム125は、チャック120と、ノズルハウジング126が統合されたノズルユニット128とを含む。一実施態様では、チャック120は可動ユニットであり、ノズルユニット128に配設されたノズルハウジング126は静止している。この実施態様では、ウエハ101をその上部に受け取るチャック120は、ウエハ101のエッジ部をノズルハウジング126のノズル(単数または複数)130の下にもたらすために、x軸および/またはy軸に沿って移動する。ノズルユニット128は、上側ハウジング部128aと下側ハウジング部128bとを含む。上側ハウジング部128aは、ノズル(単数または複数)130が内部に画定されたノズルハウジング126を含む。上側ハウジング部128aは、エッジビード除去のために受け取られたウエハ101の一部を収容するための間隙が間に存在するように、下側ハウジング部128bの上に配設される。間隙の大きさは、ウエハ101が間隙に受け取られたとき、ウエハ101のどの部分もノズルユニット128の上側ハウジング部128aまたは下側ハウジング部128bのいずれの表面にも接触しないように定められる。これにより、ウエハが水平軸の周りを自由に回転し、ウエハエッジ部の様々な部分を露出することにより、プラズマラジカルを集中的に付与できるようになる。一実施態様では、上側ハウジング部128aと下側ハウジング部128bとの間の間隙は、約0.8mmから約2mmの間に定められる。この実施態様では、ノズルユニット128の下側ハウジング部128bは、EBRシステム125のプロセスチャンバの側壁および/または底部に結合されてもよく、上側ハウジング部128aの一部は、EBRシステム125のプロセスチャンバの側壁に取り付けられてもよく、上側ハウジング部128aの残りの部分は、ノズル130を備えたノズルハウジング126がチャック120の上を移動して、ノズル(単数または複数)130をウエハエッジ部の上に位置決めできるように、x軸、y軸、および/またはz軸に沿って移動するように設計されてもよい。
【0062】
別の実施態様では、チャック120は静止ユニットであってもよく、ノズルユニット128のノズルハウジング126は可動ユニットであってもよい。この実施態様では、ノズルハウジング126は、チャック120上に受け取られたウエハ101の上にノズル130をもたらすように、x軸、y軸、およびz軸を移動するように構成されてもよい。一実施態様では、ノズル130がウエハ101のエッジ部の上に位置決めされると、ノズルハウジング126は、ノズル130がウエハエッジ部の円周の全体を覆うことができるように、x軸、y軸の周りを回転するように構成される。一実施態様では、ノズルユニット128は、ノズルハウジング126とともに上側ハウジング部128aのみを含み得る。ノズルハウジング126の一部はEBRシステム125のプロセスチャンバの側壁に取り付けられてもよく、残りの部分はx、y、z軸を移動するように構成されてもよい。代替の実施態様では、チャック120およびノズルユニット128のノズルハウジング126は両方とも、可動ユニットとして設計されてもよい。この実施態様では、ノズルハウジング126は、チャック120上に受け取られたウエハ101のエッジ部の一部の上にノズル130を位置決めするように移動可能である。ノズル130がウエハエッジ部の上に位置決めされると、チャック120は、ノズル130がウエハエッジ部の円周の全体を覆うことができるように、水平軸の周りを回転するように構成される。EBRシステム125は、ウエハエッジ部から放出された残留物およびプラズマラジカルを速やかに除去するための排気装置(図示せず)を含む。
【0063】
図4は、一実施態様において、ウエハのエッジ部からエッジビードを除去するためのEBRシステム125に使用されるノズル130を拡大した、垂直断面図を示す。ノズル130は、中央部に画定された第1の電極133を含む。誘電体材料138が、第1の電極133と誘電体材料138との間に第1のチャネル135が画定されるように、第1の電極133を取り囲むように配設される。第1のチャネル135は、第1の端部において画定された第1の入口131を介して第1のガス源(図示せず)に接続され、ノズル130の底部に画定された第2の端部において第1の開口部142に接続される。第1のチャネル135は、第1の入口131を通じて第1のガス源から第1のガスを受容するように構成される。第1のガスは、酸素など、エッチャントガスと、アルゴンまたはヘリウムなど、不活性ガスとの混合物であってもよい。エッチャントガスはプラズマを生成するために使用され、不活性ガスはエッチャントガスのプラズマラジカルを第1の開口部142を通じて運ぶために使用される。第2の電極134が、誘電体材料138内に埋め込まれ、第1の電極133を取り囲む。誘電体材料138は、RF電力が印加されるとき、アーク放電と金属汚染とを防止するように、金属表面に対するバリアとして機能する。
【0064】
ノズル130内に配設された誘電体材料138は、誘電体材料138とノズル139の外壁との間に第2のチャネル136をさらに画定する。第2のチャネル136は、第1の端部において画定された第2の入口132を介して第2のガス源に結合され、第2のガスを受容し、第2の開口部143が、ノズル130の底部に画定された第2の端部において画定される。第2の開口部143は、第1の開口部142に隣接して画定され、第1の開口部142を取り囲む。第2の開口部143は、単一の開口部であってもよいし、第1の開口部142を取り囲む複数の開口部であってもよい。第2のガスは、例えば、アルゴン、ヘリウム等、不活性ガスである。第2のチャネル136は第2のガスのための別個のガス経路を生成し、ノズル130の底部の第2の開口部143は第1の開口部142を流通するプラズマラジカルに摂動を与えることなく、第2のガスが真っ直ぐ下に流れるようにする。第2の開口部143を出る第2のガスは、プラズマラジカルとキャリアガスとの混合物を包囲することによって、第1の開口部142を出るキャリアガスと混合されたプラズマラジカルに対するシールドとして機能する。
【0065】
図4Aは、シールドガスで取り囲まれたプラズマラジカルがウエハ101のエッジ部に向けられている図を示す。シールドガスにより、プラズマラジカルの分散または周囲の空気との再結合が防止され、プラズマラジカルをウエハエッジ部101-eに集中的に付与できるようになる。ウエハが水平軸の周りを回転すると、ウエハエッジ部101-eの様々な部分がプラズマラジカルに曝露されることにより、ウエハエッジ部101-eに蓄積したエッジビードを効果的に除去するように機能する。ノズルハウジング126内のノズル130に隣接して画定された第3のチャネルに受容された第3のガスは、第3の開口部を通じてウエハ101の表面にわたって供給される。第3のガスは、ウエハエッジ部101-eが確実にプラズマラジカルに十分に曝露されるように、プラズマラジカルをウエハエッジ部101-eの上に維持するのに十分な力で供給される。
【0066】
図4を参照すると、一実施態様では、第2の電極134は、第2の電極134が中央部に配設された第1の電極133と平行に配向されるように、誘電体材料138に埋め込まれる。代替の実施態様では、誘電体材料138に埋め込まれた第2の電極134は、第1の電極133に対して垂直な方向に配向される。さらに別の実施態様では、第2の電極134は、誘電体材料138の輪郭に沿う形状であり、第1の電極133と平行になるように配向される。向きに関係なく、第2の電極134は、第1の電極133から所定の距離だけ離間して配設され、所定の距離は、第1のチャネル135内に受容された第1のガスのプラズマを生成できるように決定される。一実施態様では、第1の電極133は、金属製である。別の実施態様では、第1の電極133および第2の電極134は、同じ材料から構成される。代替の実施態様では、第1の電極133は、第2の電極134とは異なる材料で構成される。
【0067】
第2の電極134に使用される材料は、高温に耐えるように選択される。一実施態様では、第2の電極134に使用される材料は、第2の電極134が埋め込まれる誘電体材料138のCTEに一致する熱膨張係数(CTE)を有するように選択される。一実施態様では、第1および第2の電極133、134はタングステン、モリブデン、または白金のいずれか1つから構成され、誘電体材料138は窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、または酸化イットリウムのいずれか1つから構成される。一実施態様では、誘電体材料138および/または第1の電極133は、1つまたは複数の冷却要素を使用して冷却される。一実施態様では、冷却要素は、第2の電極に近接する領域に配設される。冷却要素の詳細については、図6A図6Cを参照して説明する。
【0068】
一実施態様では、ノズル130の中央部に配設された第1の電極133は高周波(RF)電源に結合され、第2の電極134は整合ネットワークを介して接地される。代替の実施態様では、第1の電極133は接地され、第2の電極134は整合ネットワークを介してRF電源に結合される。さらに別の実施態様では、第1の電極133および第2の電極134は、整合ネットワークを介してRF電源に結合される。この実施態様では、第1の電極133も第2の電極134も接地されていない。差動電圧が、第1の電極133および第2の電極134に印加される。例えば、入力電圧が2Vの場合、第1の電極に印加される電圧は+Vとなり、第2の電極に印加される電圧は-Vとなる(すなわち、各電極には、入力電圧の半分の電圧が印加される)。差動駆動装置が、RF電源(図示せず)に結合され、2つの電極(第1の電極133、第2の電極134)間でRF電力の入力を切り替えるために使用される。一実施態様では、差動駆動装置は、差動電圧を供給するために使用される二次巻線を備えた絶縁変圧器であってもよい。
【0069】
一実施態様では、第1のガスは、エッチャントガスとキャリアガスとの混合物を含む。一実施態様では、エッチャントガスは酸素であり、キャリアガスはアルゴン(すなわち、不活性ガス)である。別の実施態様では、エッチャントガスは酸素であり、キャリアガスはヘリウム(すなわち、不活性ガス)である。前述のエッチャントガスおよびキャリアガスの例は単なる例として提供されており、制限的なものと見なされるべきではないことに留意されたい。除去の対象となるエッジビードの膜(すなわち、残留物)の種類に応じて、キャリアガスはアルゴンまたはヘリウムなどの任意の安定した、不活性ガスであってもよく、エッチャントガスはフッ素、塩素、またはいくつかの他のハロゲン、または水素であってもよい。
【0070】
一実施態様では、高精度のエッジビード除去を達成するために、高密度のプラズマラジカルをウエハエッジ部に供給するように、ノズルのトポロジーが定められる。一実施態様では、第1のガス中のエッチャントガスの流量は毎分100標準立方センチメートル(sccm)から約300sccmの間に定められ、キャリアガス流の流量は約1000sccmから30,000sccmの間に定められる。
【0071】
ノズルのトポロジーは、最小限のハードウェアを含む単純なプロセスチャンバを使用して、ウエハエッジ部からエッジビードを除去する効率的かつ効果的な方法を提供する。プラズマは遠隔で生成され、ウエハエッジ部に供給される。ウエハエッジ部に付与される第1および第2のガスに追加して、第3のガスをノズルに隣接して画定された第3のチャネルから供給してもよい。第3のガスは、第2のガスに包まれた第1のガスをウエハの中央部からウエハエッジ部に向かって押し出すガスカーテンとして機能し、ウエハエッジ部へのプラズマラジカルの集中的な付与を提供する。単純な設計により、プロセスチャンバが軽量かつ小型に保たれ、既存の他のモジュール(例えば、ロードロック)上にプロセスチャンバの積み重ねが可能となり、追加のフットプリントを残さない。
【0072】
いくつかの実施態様では、ノズルハウジング126内に「n」個のノズル(ここで、「n」は整数である)が存在し、プラズマラジカルを同時に供給して、ウエハエッジ部のより広い領域を覆ってもよい。いくつかの実施態様では、ノズルハウジングは、互いに近接して配設され、ノズルハウジング126内に画定された円弧に沿って配設された3個または5個または7個または9個のノズルを含み得る。円弧は、基板のエッジ部の曲率に一致するように定められる。本明細書では、ノズルを使用するEBRシステムを参照して様々な実施態様を説明してきたが、実施態様は、ノズルが動作するEBRシステムに限定されず、他の非ノズルツール/部品もエッジビード除去のために係合されてもよい。
【0073】
図5A図5Cは、1つの例示的な実施態様において、ノズルハウジング126のノズル130の下に受け取られたウエハ101のウエハエッジ部101-eを示すEBRシステム125の別のプロファイルの図を示す。図5Aはウエハがノズル130の下の位置に移動しているときの正面透視図を示し、図5Bは側面透視図を示し、図5CはEBRシステム125内のノズルハウジング126のノズル130の下の位置にウエハ101を有する全側面透視図を示す。ウエハは、チャック(例えば、静電チャックまたは真空チャック(図5A図5Cには図示せず))の支持面(例えば、ステージの上面)上に受け取られ、ノズルハウジング126のノズル130の下の位置に移動する。EBRシステム125のノズルユニット128の上側ハウジング部128aと下側ハウジング部128bとの間のノズルハウジング126の間隙は、上側および下側ハウジング部128a、128bのいかなる表面または部分にも接触することなく、ウエハエッジ部101-eを挿入するのに十分である。図5A図5Cは、一実施態様において、EBRシステム125内に配設されたノズルユニット128の上側ハウジング部および下側ハウジング部(128a、128b)の両方が、EBRシステム125のプロセスチャンバの側壁に取り付けられていることを示す。ノズルハウジング126は、上側ハウジング部128aに画定される。この実施態様では、ノズルハウジング126は静止していてもよく、ウエハを受け取るチャックは可動ユニットであってもよい。代替の実施態様では、チャックは静止ユニットであってもよく、ノズル130を備えたノズルハウジング126は可動ユニットであってもよい。この実施態様では、ノズル130を備えたノズルハウジング126は、ノズル130から出るプラズマラジカルがウエハのエッジ部を洗浄できるように、ウエハの円周の周囲を移動するように構成される。一実施態様では、チャック120上に画定されたウエハ支持体とノズルハウジング126のノズル(単数または複数)130との間の間隙(単数または複数)、およびウエハのエッジ部に対するノズル(単数または複数)130の位置を測定するために、センサが、ノズルハウジング、またはEBRシステム125のプロセスチャンバの上側ハウジング部、または下側ハウジング部に供給されてもよい。測定は、リアルタイムで行われる。ノズルハウジング126(ノズルハウジング126が可動ユニットである場合)またはチャック(チャックが可動ユニットである場合)の位置決めは、エッジビード除去動作のためにノズル130をウエハのエッジ部分の上に位置決めするように、リアルタイムで制御される。
【0074】
図6A図6Cは、いくつかの実施態様において、使用寿命を改善し、エッジビード除去のための高電力動作を可能にするために1つまたは複数の冷却要素を採用するノズルハウジング内のノズル130の一部を示す。図6Aは、一実施態様において、ノズルをノズルハウジング126にクランプするために使用されるクランプ面147の上方に画定された第1の冷却要素144を示す。1つまたは複数のOリング溝がノズル130に提供され、Oリング溝の中にOリングが受容されることにより、ノズル130をノズルハウジング126内にぴったりと収めることができる。図6A図6Cに示す実施態様では、第1のOリング溝が第1の冷却要素144の上方に画定され、第2のOリング溝が第1の冷却要素144の下方、および第1の冷却要素144とクランプ面147との間に画定される。第2の冷却要素145が、第2の電極134が埋め込まれる誘電体材料138の領域を取り囲むように、誘電体材料138の外径の側方に画定される。一実施態様では、第2の電極134の第1の端部が、誘電体材料138の内半径から距離「d1」にあるように画定され、内半径は、ノズル130の第1の開口部142(図4に示す)に隣接するように画定される。一実施態様では、距離d1は、約0.1mmから約1.0mmの間であるように定められる。一実施態様では、第2の冷却要素145は、第2の電極134の第2の端部から距離「d2」に配設される。一実施態様では、離間距離d2は、約0.1mmから約1.0mmの間であるように定められてもよい。一実施態様では、第2の電極134は、第2の電極134の底面が誘電体材料138の底面から高さ「h1」に画定されるように配設される。一実施態様では、高さh1は、約0.1mmから約1.0mmの間であるように定められてもよい。図6Aに示す実施態様では、第2の電極134は、第1の電極133の底部の輪郭と一致する輪郭を有するように定められ、第1の電極133の底部と平行になるように誘電体材料138内に配設される。第1および第2の冷却要素144、145に加えて、ノズルは、第1の電極内に組み込まれる中央冷却要素(図示せず)を含み得る。
【0075】
図6Bは、一実施態様において、誘電体材料138に埋め込まれた第2の電極134’の代替形状を示す。この実施態様では、第2の電極134’は、直線トポロジーを有し、第1の電極133の底部と平行になるように、誘電体材料138内に配設される。図6Aに示す実施態様と同様に、第2の電極134の第1の端部は誘電体材料138の内半径から距離d1に画定され、第2の冷却要素145は第2の電極134の第2の端部から距離d2にあるように、誘電体材料138の外径の側方に画定される。さらに、第2の電極134’をRF電力に接続するために、電気接点が、クランプ面147’に提供される。この実施態様では、第1の電極133は、接地されてもよい。
【0076】
図6Cは、図6Bに示したノズルの別の実施態様を示す。この実施態様では、ノズルに画定された種々の構成要素に加えて、ノズルは、誘電体材料138の底側に沿って配設された第3の冷却要素146を含み得る。第2の電極134’は、図6Bに示したものと同様の形状であり、同様の向きで配設される。第1、第2、および第3の冷却要素144、145、146は、水冷または蒸発流体冷却用に構成されてもよい。第1の電極133は、中央部に配設され、図6Aに示すように、真っ直ぐな角度のエッジ部、または図6Bおよび図6Cに示すように、丸みを帯びたエッジ部を有するプロファイルを有してもよい。さらに、第1の電極134の幅は、ノズル130の幅に基づいてもよく、より狭くても広くてもよい。
【0077】
本明細書にて説明する様々な実施態様は、RF電力を動力源とし、したがって電力負荷および高熱負荷をサポートするように設計された二重電極を備えたノズルを提供する。高電力および高熱負荷があっても、アークがウエハに供給されない。その代わり、プラズマラジカルが、2つのRF電極間で生成され、加圧噴射流によってウエハエッジ部に向けられる。この設計では、アーク放電と金属汚染とを防ぐために誘電体バリアが使用される。プラズマ化学との化学的適合性が達成される。誘電体材料および電極材料は、高温動作を維持し、ノズル開口部を通じて高圧で付与できる高密度プラズマラジカルを供給するように選択される。誘電体材料のCTEと一致するCTEを有する材料を第2の電極に選択することによって、誘電体材料に埋め込まれた第2の電極への損傷が最小化または排除される。誘電体材料は、セラミックであり、その望ましい耐圧、熱衝撃に対する高耐性、高い熱伝導性、望ましい熱容量、および高温動作のために選択される。ノズルの電力供給能力、ひいては使用寿命を延ばすように、冷却要素が表面を冷却するために提供される。ノズルベースのEBRシステムを使用する様々な利点は、ウエハエッジ部を洗浄するための、高速時間、一定の加熱および冷却であり、比較的高圧のガスと共に使用する場合、より高い反応生成物の密度が可能である。また、ノズルのプラズマ噴射のトポロジーは、ハードウェアの大幅なコスト削減を提供し、熱的または化学的に誘発される損傷を与えることなく、プラズマ内への高電力密度をサポートすることによって、高いエッチング速度を達成できる。
【0078】
様々な実施態様の前述の説明は、例示および説明の目的で提供されている。それは、網羅的であること、または本発明を限定することを意図するものではない。特定の実施態様の個々の要素または特徴は一般に、その特定の実施態様に限定されるものではなく、適用可能な場合には、特に図示または記載されていなくても置き換え可能であり、選択された実施態様において使用可能である。また、同様に、様々な方法で変化させてもよい。そのような変形は、本発明からの逸脱と見なされるものではなく、全てのそのような変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0079】
前述の実施形態は、理解を明確にする目的で、ある程度詳細に説明しているが、添付の特許請求の範囲の範囲内で特定の変更および修正を実施できることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、例示的なものであって制限的なものではないと考えられ、本実施形態は、本明細書で与えられた詳細に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲およびそれらの等価物の範囲内で修正されてもよい。
図1
図2A-1】
図2A-2】
図2B-1】
図2B-2】
図3
図4
図4A
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
【国際調査報告】