(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】多層極端紫外線リフレクタ
(51)【国際特許分類】
G03F 1/24 20120101AFI20240903BHJP
G03F 1/52 20120101ALI20240903BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F1/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515652
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022042304
(87)【国際公開番号】W WO2023038840
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ユーン, ヘルン ヤウ
(72)【発明者】
【氏名】ジンダル, ビブー
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BB25
2H195BB35
2H195BC04
2H195BC20
2H195BC24
2H195CA01
2H195CA16
2H195CA23
2H195CA24
(57)【要約】
極端紫外線(EUV)マスクブランク、EUVマスクブランクの形成方法、及びその製造システムが開示されている。EUVマスクブランクは、基板上に多層反射スタックを備える。多層反射スタックは、第1の膜、第2の膜、及び第3の膜を含む三層膜を含む。幾つかのEUVマスクブランクは、第1の膜、第2の膜、及び第3の膜のうちの1又は複数上に界面層を含む。本明細書に記載のEUVマスクブランクは、反射角の広い帯域幅にわたって低いZ
eff及び高い反射率を有し、これにより、特に高NAのEUVスキャナにおいてM3D効果を最小限に抑える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外線(EUV)マスクブランクであって、
基板上の多層反射スタックであって、シリコン(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)及びジルコニウム(Zr)で構成される群から選択される元素を含む第1の膜と、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)で構成される群から選択される元素を含む第2の膜と、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、マンガン(Mn)及びチタン(Ti)で構成される群から選択される金属を含む第3の膜とを含む三層膜を含む、多層反射スタック
を備える、EUVマスクブランク。
【請求項2】
前記第1の膜は、2.5nmから6.5nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のEUVマスクブランク。
【請求項3】
前記第2の膜及び前記第3の膜の各々は、0.5nmから2.5nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載のEUVマスクブランク。
【請求項4】
前記多層反射スタックは、前記第3の膜のない多層反射スタックよりも高い反射率を有する、請求項1に記載のEUVマスクブランク。
【請求項5】
前記多層反射スタックは、13.5nmの波長において約60%から約72%の範囲の反射率を有する、請求項4に記載のEUVマスクブランク。
【請求項6】
前記多層反射スタックは、前記第3の膜のない多層反射スタックよりも広い帯域幅を有する、請求項1に記載のEUVマスクブランク。
【請求項7】
前記多層反射スタックは、前記第3の膜のない多層反射スタックと比較して、低減された二重散乱効果を有する、請求項1に記載のEUVマスクブランク。
【請求項8】
前記多層反射スタックは、前記第3の膜のない多層反射スタックよりも低いZ効果(Z
eff)を有する、請求項1に記載のEUVマスクブランク。
【請求項9】
前記第1の膜、前記第2の膜及び前記第3の膜のうちの1又は複数上に界面層を更に備える、請求項1に記載のEUVマスクブランク。
【請求項10】
前記界面層は、窒化ケイ素(Si
xN
y)、炭化ケイ素(Si
xC
y)、窒化ホウ素(B
xN
y)、炭化ホウ素(B
xC
y)、窒化アルミニウム(Al
xN
y)、ケイ化アルミニウム(Al
xSi
y)、ケイ化モリブデン(Mo
xSi
y)、ケイ化ルテニウム(Ru
xSi
y)、窒化モリブデン(Mo
xN
y)、及び窒化ルテニウム(Ru
xN
y)のうちの1又は複数を含む、請求項9に記載のEUVマスクブランク。
【請求項11】
前記界面層は、0.5nmから1.5nmの範囲の厚さを有する、請求項9に記載のEUVマスクブランク。
【請求項12】
極端紫外線(EUV)マスクブランクであって、
基板上の多層反射スタックであって、シリコン(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)及びジルコニウム(Zr)で構成される群から選択される元素を含む第1の膜と、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)で構成される群から選択される元素を含む第2の膜と、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、マンガン(Mn)及びチタン(Ti)で構成される群から選択される金属を含む第3の膜とを含む三層膜を含む、多層反射スタックと、
前記第1の膜、前記第2の膜、及び前記第3の膜のうちの1又は複数上の界面層であって、窒化ケイ素(Si
xN
y)、炭化ケイ素(Si
xC
y)、窒化ホウ素(B
xN
y)、炭化ホウ素(B
xC
y)、窒化アルミニウム(Al
xN
y)、ケイ化アルミニウム(Al
xSi
y)、ケイ化モリブデン(Mo
xSi
y)、ケイ化ルテニウム(Ru
xSi
y)、窒化モリブデン(Mo
xN
y)、及び窒化ルテニウム(Ru
xN
y)のうちの1又は複数を含む、界面層と
を備える、EUVマスクブランク。
【請求項13】
前記第1の膜は、2.5nmから6.5nmの範囲の厚さを有する、請求項12に記載のEUVマスクブランク。
【請求項14】
前記第2の膜及び前記第3の膜の各々は、0.5nmから2.5nmの範囲の厚さを有する、請求項12に記載のEUVマスクブランク。
【請求項15】
前記多層反射スタックは、13.5nmの波長において約60%から約72%の範囲の反射率を有する、請求項12に記載のEUVマスクブランク。
【請求項16】
前記多層反射スタックは、前記第3の膜のない多層反射スタックよりも広い帯域幅を有する、請求項12に記載のEUVマスクブランク。
【請求項17】
前記多層反射スタックは、前記第3の膜のない多層反射スタックと比較して、低減された二重散乱効果を有する、請求項12に記載のEUVマスクブランク。
【請求項18】
前記多層反射スタックは、前記第3の膜のない多層反射スタックよりも低いZ効果(Z
eff)を有する、請求項12に記載のEUVマスクブランク。
【請求項19】
前記界面層は、0.5nmから1.5nmの範囲の厚さを有する、請求項12に記載のEUVマスクブランク。
【請求項20】
前記EUVマスクブランクは、高開口数(高NA)EUVスキャナで使用するように構成されている、請求項12に記載のEUVマスクブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、極端紫外線リソグラフィに関する。より詳細には、本開示は、三層膜を有する多層反射スタックを備える極端紫外線マスクブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]極端紫外線(EUV)リソグラフィは、0.0135ミクロン以下の最小フィーチャーサイズの半導体デバイスの製造に使用される。一連のミラー又はレンズ素子、及び非反射吸収マスクパターンでコーティングされた反射素子又はマスクブランクを使用することにより、パターニングされた光がレジストコーティングされた半導体基板上に反射される。
【0003】
[0003]極端紫外線リソグラフィシステムのレンズ素子及びマスクブランクは、モリブデン及びシリコン等の材料の反射多層コーティングでコーティングされる。
図1は、EUVマスクブランクから形成され、基板14上に反射多層スタック12を含み、ブラッグ干渉によってマスクされていない部分でEUV放射線を反射する従来のEUV反射マスク10を示している。従来のEUV反射マスク10のマスク(非反射)領域16は、バッファ層18及び吸収層20をエッチングすることによって形成される。キャッピング層22が反射多層スタック12の上に形成され、エッチングプロセス中に反射多層スタック12を保護する。エッチングされたマスクブランクは、(非反射)領域16と反射領域24とを有する。
【0004】
[0004]多層リフレクタの有効ミラー面は、Z効果(Zeff)として知られる多層膜スタックへの光の侵入のために、吸収体から離れた距離にある。Zeffは反射光の位相変化を引き起こし、パターニングされた吸収体上でのEUV光の二重回折を引き起こす。二重回折の結果、リフレクタの開口数(NA)内に追加の回折光が入り込み、非テレセントリック性、フォーカスによるエッジ配置エラー、フィーチャーによるベストフォーカス変動、フェージングによるコントラスト低下等、マスク3D(M3D)効果と呼ばれる現象が発生する。
【0005】
[0005]従って、特に高NAのEUVスキャナ用に、M3D効果を最小化する、反射角の広い帯域幅にわたって低いZeffであり、高い反射率を有する多層反射スタックを有するEUVマスクブランクを提供する必要がある。更に、多層反射スタックは、粗さ、均一性、応力、熱安定性を含むEUVマスクブランクのその他の要件も満たさなければならない。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の1又は複数の実施形態は、基板上に多層反射スタックを備える極端紫外線(EUV)マスクブランクを対象とする。多層反射スタックは、シリコン(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)及びジルコニウム(Zr)で構成される群から選択される元素を含む第1の膜と、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)で構成される群から選択される元素を含む第2の膜と、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、マンガン(Mn)及びチタン(Ti)で構成される群から選択される金属を含む第3の膜とを含む三層膜を含む。
【0007】
[0007]追加の実施形態は、基板上に多層反射スタックを備える極端紫外線(EUV)マスクブランクを対象とする。多層反射スタックは、シリコン(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)及びジルコニウム(Zr)で構成される群から選択される元素を含む第1の膜と、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)で構成される群から選択される元素を含む第2の膜と、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、マンガン(Mn)及びチタン(Ti)で構成される群から選択される金属を含む第3の膜とを含む三層膜を含む。EUVマスクブランクは更に、第1の膜、第2の膜及び第3の膜のうちの1又は複数上に界面層を備える。界面層は、窒化ケイ素(SixNy)、炭化ケイ素(SixCy)、窒化ホウ素(BxNy)、炭化ホウ素(BxCy)、窒化アルミニウム(AlxNy)、ケイ化アルミニウム(AlxSiy)、ケイ化モリブデン(MoxSiy)、ケイ化ルテニウム(RuxSiy)、窒化モリブデン(MoxNy)、及び窒化ルテニウム(RuxNy)のうちの1又は複数を含む。
【0008】
[0008]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を示すものに過ぎず、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】従来の吸収体を採用した背景技術のEUV反射マスクを示す概略図である。
【
図2】極端紫外線リソグラフィシステムの実施形態を示す概略図である。
【
図3】極端紫外線反射素子製造システムの実施形態を示す図である。
【
図4】三層膜を含む多層反射スタックを有するEUVマスクブランク等の極端紫外線反射素子の実施形態を示す図である。
【
図5】三層膜の各膜間に界面層を有する
図4のEUVマスクブランクを示す図である。
【
図6】マルチカソード物理堆積チャンバの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0015]本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明で示す構造又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行されることが可能である。
【0011】
[0016]本明細書で使用する「水平」という用語は、その配向にかかわらず、マスクブランクの平面又は表面に平行な面として定義される。用語「垂直」は、先ほど定義した水平に垂直な方向を指す。「上方(above)」、「下方(below)」、「底部(bottom)」、「上部(top)」、「側面(side)」(「側壁」のように)、「上の(higher)」、「下の(lower)」、「上方の(upper)」、「上の(over)」、「下方の(under)」等の用語は、図に示すように、水平面に対して定義される。用語「上に(on)」は、要素間に直接的な接触があることを示す。用語「直接上に(directly on)」は、介在する要素がなく、要素間に直接接触があることを示す。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」等の用語は、基板表面と反応する任意のガス種を指すために互換的に使用される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、用語「反射多層スタック」、「多層反射スタック」、「反射層の多層スタック」は、EUVマスクブランクのような反射素子を指すために互換的に使用される。
【0012】
[0017]当業者には、プロセス領域を説明するための「第1」及び「第2」のような序数の使用が、処理チャンバ内の特定の位置、又は処理チャンバ内の暴露の順序を意味するものではないことが理解されよう。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「基板」は、プロセスが作用する表面、又は表面の一部を指す。また、基板への言及は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、基板の一部のみを指す場合があることが当業者には理解されよう。更に、基板への堆積への言及は、ベア基板と、その上に1又は複数の膜又はフィーチャーが堆積又は形成された基板の両方を意味する。
【0013】
[0018]ここで、極端紫外線リソグラフィシステム100の例示的な実施形態を示す
図2を参照する。極端紫外線リソグラフィシステム100は、極端紫外光112を生成するための極端紫外光源102と、一組の反射素子と、ターゲットウエハ110とを含む。反射素子には、コンデンサ104、EUV反射マスク106、光学縮小アセンブリ108、マスクブランク、ミラー、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0014】
[0019]極端紫外光源102は、極端紫外光112を生成する。極端紫外光112は、5から50ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する電磁放射線である。例えば、極端紫外光源102は、レーザ、レーザ生成プラズマ、放電生成プラズマ、自由電子レーザ、シンクロトロン放射、又はそれらの組み合わせを含む。極端紫外光源102は、ある波長範囲にわたる広帯域の極端紫外線を生成する。例えば、極端紫外光源102は、5から50nmの範囲の波長を有する極端紫外光112を生成する。1又は複数の実施形態では、極端紫外光源102は、狭い帯域幅を有する極端紫外光112を生成する。例えば、極端紫外光源102は、13.5nmの極端紫外光112を生成する。波長ピークの中心は、13.5nmである。
【0015】
[0020]集光器104は、極端紫外光112を反射及び集光するための光学ユニットである。集光器104は、EUV反射マスク106を照らすために、極端紫外光源102からの極端紫外光112を反射及び集光する。集光器104を単一の素子として示したが、幾つかの実施形態における集光器104は、極端紫外光112を反射及び集光するために、凹面鏡、凸面鏡、平面鏡、又はそれらの組み合わせ等の1又は複数の反射素子を含むことを理解されたい。例えば、図示の実施形態における集光器104は、単一の凹面鏡、又は凸面、凹面、及び平坦な光学素子を有する光学アセンブリである。
【0016】
[0021]EUV反射マスク106は、マスクパターン114を有する極端紫外線反射素子である。EUV反射マスク106は、ターゲットウエハ110上に形成されるべき回路レイアウトを形成するためのリソグラフィパターンを形成する。EUV反射マスク106は、極端紫外光112を反射する。マスクパターン114は、回路レイアウトの一部を画定する。
【0017】
[0022]光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の像を縮小するための光学ユニットである。EUV反射マスク106からの極端紫外光112の反射は、光学縮小アセンブリ108によって縮小され、ターゲットウエハ110に反射される。幾つかの実施形態の光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の像のサイズを縮小するためのミラー及び他の光学素子を含む。例えば、幾つかの実施形態の光学縮小アセンブリ108は、極端紫外光112を反射及び集光するための凹面鏡を含む。
【0018】
[0023]光学縮小アセンブリ108は、ターゲットウエハ110上のマスクパターン114の像のサイズを縮小する。例えば、マスクパターン114は、光学縮小アセンブリ108によってターゲットウエハ110上に4:1の比率で結像され、マスクパターン114によって表される回路をターゲットウエハ110上に形成する。極端紫外光112は、EUV反射マスク106をターゲットウエハ110と同期して走査し、ターゲットウエハ110上にマスクパターン114を形成する。
【0019】
[0024]ここで、極端紫外線反射素子製造システム200の実施形態を示す
図3を参照する。極端紫外線反射素子は、EUVマスクブランク204、極端紫外線ミラー205、又はEUV反射マスク106等の他の反射素子を含む。極端紫外線反射素子製造システム200は、
図2の極端紫外光112を反射するマスクブランク、ミラー、又は他の素子を製造する。極端紫外線反射素子製造システム200は、ソース基板203に薄いコーティングを施すことによって反射素子を製造する。
【0020】
[0025]EUVマスクブランク204は、
図2のEUV反射マスク106を形成するための多層構造である。EUVマスクブランク204は、半導体製造技術を用いて形成される。EUV反射マスク106は、エッチング及び他のプロセスによってEUVマスクブランク204上に形成された
図2のマスクパターン114を有する。極端紫外線ミラー205は、極端紫外光の範囲で反射する多層構造である。極端紫外線ミラー205は、半導体製造技術を用いて形成される。EUVマスクブランク204及び極端紫外線ミラー205は、幾つかの実施形態では、各要素上に形成された層に関しては類似の構造であるが、極端紫外線ミラー205はマスクパターン114を有していない。
【0021】
[0026]反射素子は、極端紫外光112の効率的なリフレクタである。実施形態では、EUVマスクブランク204及び極端紫外線ミラー205は、60%を超える極端紫外線反射率を有する。反射素子は、極端紫外光112の60%を超えて反射すれば効率的である。極端紫外線反射素子製造システム200は、ソース基板203がロードされ、反射素子がアンロードされるウエハローディング及びキャリアハンドリングシステム202を含む。大気ハンドリングシステム206は、ウエハハンドリング真空チャンバ208へのアクセスを提供する。ウエハローディング及びキャリアハンドリングシステム202には、基板輸送ボックス、ロードロック、及びシステム内で基板を大気から真空に移送するための他の構成要素が含まれる。EUVマスクブランク204が非常に小さいスケールのデバイスを形成するのに使用されるため、ソース基板203及びEUVマスクブランク204は、汚染及びその他の欠陥を防止するために真空システムで処理される。
【0022】
[0027]ウエハハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバ、第1の真空チャンバ210及び第2の真空チャンバ212を含む。第1の真空チャンバ210は第1のウエハハンドリングシステム214を含み、第2の真空チャンバ212は第2のウエハハンドリングシステム216を含む。2つの真空チャンバを有するウエハハンドリング真空チャンバ208を説明したが、システムは任意の数の真空チャンバを有していてよいことを理解されたい。
【0023】
[0028]ウエハハンドリング真空チャンバ208は、他の様々なシステムを取り付けるための複数のポートをその周辺部に有する。第1の真空チャンバ210は、ガス抜きシステム218、第1の物理気相堆積システム220、第2の物理気相堆積システム222、及び前洗浄システム224を有する。ガス抜きシステム218は、基板から水分を熱的に脱離させるためのものである。前洗浄システム224は、ウエハ、マスクブランク、ミラー、又はその他の光学部品の表面を洗浄するためのものである。
【0024】
[0029]第1の物理気相堆積システム220及び第2の物理気相堆積システム222等の物理気相堆積システムは、幾つかの実施形態では、ソース基板203上に導電性材料の薄膜を形成するために使用される。例えば、幾つかの実施形態の物理気相堆積システムには、マグネトロンスパッタリングシステム、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザ堆積、カソードアーク堆積、又はそれらの組み合わせ等の真空堆積システムが含まれる。マグネトロンスパッタリングシステム等の物理気相堆積システムは、ソース基板203上にシリコン、金属、合金、化合物、又はそれらの組み合わせの層を含む薄い層を形成する。
【0025】
[0030]1又は複数の実施形態では、物理気相堆積システムは、反射層、キャッピング層、及び吸収体層を形成する。例えば、物理気相堆積システムは、シリコン、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、タンタル、窒化物、化合物、又はそれらの組み合わせの層を形成するように構成される。1又は複数の実施形態によれば、物理気相堆積システムは、
図4及び
図5に関して説明したように、シリコン(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)及びジルコニウム(Zr)を含む第1の膜と、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)で構成される群から選択される元素を含む第2の膜と、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、マンガン(Mn)及びチタン(Ti)で構成される群から選択される金属を含む第3の膜の層を形成するように構成される。幾つかの化合物を酸化物として記載したが、化合物は、酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、又はそれらの組み合わせを含むことを理解されたい。
【0026】
[0031]第2の真空チャンバ212は、第2の真空チャンバ212に接続された第1のマルチカソード源226、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232を有する。例えば、幾つかの実施形態の化学気相堆積システム228は、流動性化学気相堆積システム(FCVD)、プラズマ化学気相堆積システム(CVD)、エアロゾルCVD、ホットフィラメントCVDシステム、又は同様のシステムを含む。別の実施例では、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232は、極端紫外線反射素子製造システム200とは別のシステムにある。
【0027】
[0032]化学気相堆積システム228は、ソース基板203上に材料の薄膜を形成する。例えば、化学気相堆積システム228は、単結晶層、多結晶層、アモルファス層、エピタキシャル層、又はそれらの組み合わせを含む材料の層をソース基板203上に形成するために使用される。化学気相堆積システム228は、シリコン、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、炭素、タングステン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属、合金、及び化学気相堆積に適した他の材料の層を形成する。例えば、化学気相堆積システムは平坦化層を形成する。
【0028】
[0033]第1のウエハハンドリングシステム214は、連続真空中で大気ハンドリングシステム206と第1の真空チャンバ210の周辺部の様々なシステムとの間でソース基板203を移動させることができる。第2のウエハハンドリングシステム216は、ソース基板203を連続真空中に維持しながら、第2の真空チャンバ212の周りでソース基板203を移動させることができる。極端紫外線反射素子製造システム200は、ソース基板203とEUVマスクブランク204とを、連続真空中で第1のウエハハンドリングシステム214と第2のウエハハンドリングシステム216との間で移送する。
【0029】
[0034]本開示の幾つかの実施形態は、極端紫外線(EUV)マスクブランクを形成する方法を提供する。本方法は、基板上に多層反射スタックを形成することを含む。1又は複数の実施形態では、多層反射スタックは、第1の膜、第2の膜、及び第3の膜を含む三層膜を備える。幾つかの方法は更に、第1の膜、第2の膜、及び第3の膜のうちの1又は複数上に界面層を形成することを含む。幾つかの方法は、多層反射スタック上にキャッピング層を形成し、キャッピング層上に吸収体層を形成することを含む。極端紫外線(EUV)マスクブランクを形成する方法は、
図4及び
図5のうちの1又は複数に図示したEUVマスクブランクの実施形態を参照して説明することができる。
図5は、多層反射スタック380を有する極端紫外線反射素子400を形成するために1又は複数の界面層325、335、345を更に含む、
図4の極端紫外線反射素子300の実施形態を示している。
【0030】
[0035]ここで、
図3のEUVマスクブランク204又は
図3の極端紫外線ミラー205等の極端紫外線反射素子300の実施形態を示す
図4を参照する。EUVマスクブランク204及び極端紫外線ミラー205は、
図2の極端紫外光112を反射するための構造である。EUVマスクブランク204は、
図2に示すEUV反射マスク106を形成するために用いられる。
【0031】
[0036]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、EUVマスクブランク204の用語は、簡略化のために、極端紫外線ミラー205の用語と互換的に使用される。1又は複数の実施形態では、EUVマスクブランク204は、
図2のマスクパターン114を形成することに加えて、吸収体層380が追加された極端紫外線ミラー205の構成要素を含む。
【0032】
[0037]EUVマスクブランク204は、マスクパターン114を有するEUV反射マスク106を形成するために使用される光学的に平坦な構造である。1又は複数の実施形態では、EUVマスクブランク204の反射面は、
図2の極端紫外光112等の入射光を反射するための平坦な焦点面を形成する。
【0033】
[0038]極端紫外線反射素子300は、基板310と、基板310上の多層反射スタック370とを含む。多層反射スタック370は、第1の膜320、第2の膜330、及び第3の膜340を含む三層膜を備える。1又は複数の実施形態では、極端紫外線ミラー205は、
図2の集光器104又は
図2の光学縮小アセンブリ108で使用するための反射構造を形成するために使用される。
図4に示す実施形態は、基板310と、基板310上の多層反射スタック370とを有する極端紫外線反射素子300を含み、多層反射スタック370は、第1の膜320、第2の膜330及び第3の膜340を含む三層膜と、多層反射スタック370上のキャッピング層350と、キャッピング層350上の吸収体層360とを備える。
【0034】
[0039]基板310は、極端紫外線反射素子300に構造的支持を与えるための要素である。1又は複数の実施形態では、基板310は、温度変化時の安定性を提供するために、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料から作られる。1又は複数の実施形態では、基板310は、機械的サイクル、熱サイクル、結晶形成、又はそれらの組み合わせに対する安定性等の特性を有する。1又は複数の実施形態に係る基板310は、シリコン、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、又はそれらの組み合わせ等の材料から形成される。
【0035】
[0040]ほとんどの材料は極端紫外線波長で光を吸収するため、使用される光学素子は、他のリソグラフィシステムで使用されるような透過型の代わりに反射型である。多層反射スタック370は、異なる光学特性を有する材料の交互の薄層を有することによって反射構造を形成し、ブラッグリフレクタ又はミラーを作製する。
【0036】
[0041]1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370は、極端紫外光112に対して反射性を有する構造である。1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370は、第1の膜320、第2の膜330、及び第3の膜340を有する三層膜を含む複数の交互の層群を備える。第1の膜320、第2の膜330及び第3の膜340は様々な構造を有していてよい。実施形態では、第1の膜320、第2の膜330及び第3の膜340の各々は、単層、多層、分割層構造、不均一構造、又はそれらの組み合わせで形成される。
【0037】
[0042]1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370の第1の膜320、第2の膜330、及び第3の膜340は、反射群を形成する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「反射群」及び「複数の交互の膜群」及び「複数の交互の層群」は、1又は複数の反射層を指すために互換的に使用され得る。非限定的な実施形態では、多層反射スタック370は、20から60の範囲の反射群、合計最大180の反射層を含む。別の非限定的な実施形態では、多層反射スタック370は、20の反射群、合計60の反射層を含む。別の非限定的な実施形態では、多層反射スタック370は、10の反射群、合計30の反射層を含む。
【0038】
[0043]多層反射スタック370は、様々な方法で形成される。実施形態では、第1の膜320、第2の膜330、及び第3の膜340は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザ堆積、カソードアーク堆積、又はそれらの組み合わせで形成される。
【0039】
[0044]例示的な実施形態では、多層反射スタック370は、マグネトロンスパッタリング等の物理気相堆積技術を用いて形成される。実施形態では、多層反射スタック370の第1の膜320、第2の膜330、及び第3の膜340は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清浄な界面を含むマグネトロンスパッタリング技術によって形成される特性を有する。実施形態では、多層反射スタック370の第1の膜320、第2の膜330、及び第3の膜340は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清浄な界面を含む物理気相堆積によって形成される特性を有する。
【0040】
[0045]実施形態では、第1の膜320、第2の膜330、及び第3の膜340の各々は、極端紫外光112に対して異種の光学定数を有する。交互の層は、交互の層の厚さの周期が極端紫外光112の波長の1/2である場合に、共鳴反射率を提供する。実施形態では、波長13nmの極端紫外光112に対して、第1の膜320、第2の膜330、及び第3の膜340の各厚さは約4.33nmである。提供されたサイズ及び寸法は、典型的な素子に対する通常の工学公差内であることを理解されたい。
【0041】
[0046]物理気相堆積技術を使用して形成された多層反射スタック370の層の物理的寸法は、反射率を高めるように精密に制御される。層の厚さは、極端紫外線反射素子の反射率のピーク波長を決定する。層の厚さが不適切な場合、所望の波長13.5nmにおける反射率が低下する。
【0042】
[0047]1又は複数の実施形態では、第1の膜320は、シリコン(Si)、ホウ素(B)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)及びジルコニウム(Zr)で構成される群から選択される元素を含む。1又は複数の実施形態では、第1の膜320は、2.5nmから6.5nmの範囲、3.0nmから5nmの範囲、又は3.5nmから4.5nmの範囲の厚さを有する。
【0043】
[0048]1又は複数の実施形態では、第2の膜330は、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)及び金(Au)で構成される群から選択される元素を含む。1又は複数の実施形態では、第2の膜330は、0.5nmから2.5nmの範囲、0.5nmから2.0nmの範囲、又は0.5nmから1.5nmの範囲の厚さを有する。
【0044】
[0049]1又は複数の実施形態では、第3の膜340は、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、及びチタン(Ti)で構成される群から選択される金属を含む。1又は複数の実施形態では、第3の膜340は、0.5nmから2.5nmの範囲、0.5nmから2.0nmの範囲、又は0.5nmから1.5nmの範囲の厚さを有する。1又は複数の実施形態では、第2の膜330及び第3の膜340は同じ厚さを有する。1又は複数の実施形態では、第2の膜330及び第3の膜340は異なる厚さを有する。
【0045】
[0050]1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370は、第3の膜340のない多層反射スタックよりも高い反射率を有する。1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370は、少なくとも約62%の反射率を有する。1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370は、13.5nmの波長において約60%から約72%の範囲の反射率を有する。1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370は、波長13.5nmにおいて約62%から約70%の範囲、又は約62%から約66%の範囲の反射率を有する。1又は複数の実施形態では、第3の膜340のない多層反射スタックは、約60%未満の反射率を有する。
【0046】
[0051]1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370は、第3の膜340のない多層反射スタックよりも広い帯域幅を有する。1又は複数の実施形態では、帯域幅は、2つの隣接する50%エッジ点間の距離、すなわち、波長の関数としての反射率スペクトルの半値全幅(FWHM)で測定される。1又は複数の実施形態では、第3の膜340を有する多層反射スタック370のFWHMは、0.75nmから0.85nmの範囲にある。1又は複数の実施形態では、第3の膜340のない多層反射スタックのFWHMは0.55nmから0.70nmの範囲にある。
【0047】
[0052]1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370は、第3の膜340のない多層反射スタックと比較して、低減された二重散乱効果を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「二重回折効果」、「二重散乱効果」及び「マスク3D(M3D)効果」は、Z効果(Zeff)を指すために互換的に使用され得る。
【0048】
[0053]1又は複数の実施形態では、多層反射スタック370は、第3の膜340のない多層反射スタックよりも低いZ効果(Zeff)を有する。1又は複数の実施形態では、Zeffは、吸収体層からの距離を指す。1又は複数の実施形態では、Zeffが低いとは、吸収体層からの距離が相対的に短いことを意味する。したがって、パターニングされたEUVマスクブランクにおける多層反射面と吸収体層との間の距離も相対的に短くなる。より低いZeffを得ることにより、二重散乱効果が低減され、リソグラフィの歩留まりが向上することが有利に見出されている。1又は複数の実施形態では、吸収体層360は、多層反射スタック370上にある、又は直接多層反射スタック370上にある。1又は複数の実施形態では、吸収体層360が多層反射スタック370上にある又は直接多層反射スタック370上にあるとき、Zeffは30nmから45nmの範囲にある。1又は複数の実施形態では、第3の膜340のない多層反射スタックにおけるZeffは、50nmから60nmの範囲にある。
【0049】
[0054]
図4及び
図5を参照すると、キャッピング層350は、洗浄中の浸食に抵抗するのに十分な硬度を有する様々な材料から形成される。一実施形態では、ルテニウム(Ru)が、良好なエッチング停止であり、動作条件下で比較的不活性であるため、キャッピング層材料として使用される。しかしながら、幾つかの実施形態では、他の材料がキャッピング層350を形成するために使用されることを理解されたい。1又は複数の実施形態では、キャッピング層350は、2nmから5nmの範囲、2.5nmから4nmの範囲、又は2.5nmから3nmの範囲の厚さを有する。
【0050】
[0055]1又は複数の実施形態では、より硬い材料で形成された多層反射スタック370の上にキャッピング層350を形成すると、反射率が向上する。幾つかの実施形態では、反射率の向上は、低粗度層、層間の清浄な界面、改良された層材料、又はそれらの組み合わせを使用して達成される。
【0051】
[0056]1又は複数の実施形態では、キャッピング層350は、極端紫外光112の透過を可能にする保護層である。1又は複数の実施形態では、キャッピング層350は、多層反射スタック370上に直接形成される。1又は複数の実施形態では、キャッピング層350は、汚染物質及び機械的損傷から多層反射スタック370を保護する。一実施形態では、多層反射スタック370は、酸素、炭素、炭化水素、又はそれらの組み合わせによる汚染に敏感である。実施形態に係るキャッピング層350は、汚染物質と相互作用してそれらを中和する。
【0052】
[0057]1又は複数の実施形態では、キャッピング層350は、極端紫外光112に対して透明である光学的に均一な構造である。極端紫外光112は、キャッピング層350を通過して多層反射スタック370で反射する。1又は複数の実施形態では、キャッピング層350は、1%から2%の全反射率損失を有する。1又は複数の実施形態では、異なる材料の各々は、厚さに応じて異なる反射率損失を有するが、それらのすべては、1%から2%の範囲内にあるであろう。
【0053】
[0058]1又は複数の実施形態では、キャッピング層350は、滑らかな表面を有する。例えば、幾つかの実施形態におけるキャッピング層350の表面は、0.2nmRMS(二乗平均平方根測定値)未満の粗さを有する。別の例では、キャッピング層350の表面は、1/100nm及び1/1μmの範囲の長さに対して0.08nmRMSの粗さを有する。RMSの粗さは、測定される範囲によって異なる。100nmから1μmの特定の範囲では、粗さは0.08nm以下である。
【0054】
[0059]キャッピング層350は、様々な方法によって形成される。実施形態では、キャッピング層350は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、イオンビーム堆積、電子ビーム蒸着、高周波(RF)スパッタリング、原子層堆積(ALD)、パルスレーザ堆積、カソードアーク堆積、又はそれらの組合せを用いて、多層反射スタック370上に形成される又は多層反射スタック370上に直接形成される。1又は複数の実施形態では、キャッピング層350は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清浄な界面を含む、マグネトロンスパッタリング技術によって形成される物理的特性を有する。実施形態では、キャッピング層350は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間の清浄な界面を含む、物理気相堆積によって形成される物理的特性を有する。1又は複数の実施形態では、キャッピング層350は、本明細書に記載の方法のいずれかを使用して、多層反射スタック370上に形成される又は多層反射スタック370上に直接形成される。
【0055】
[0060]再び
図4及び
図5を参照すると、吸収体層360が、キャッピング層350上に形成されている又はキャッピング層350上に直接形成されている。1又は複数の実施形態では、吸収体層360は、多層反射スタック370上にある又は直接その上にある。吸収体層360は、極端紫外光112を吸収する層である。吸収体層360は、極端紫外光112を反射しない領域を提供することによってEUV反射マスク106上にパターンを形成するために使用される。1又は複数の実施形態に係る吸収体層360は、極端紫外光112の特定の周波数、例えば、約13.5nmに対して高い吸収係数を有する材料を含む。実施形態では、吸収体層360は、キャッピング層350上に直接形成され、吸収体層360は、EUV反射マスク106のパターンを形成するためにフォトリソグラフィプロセスを用いてエッチングされる。
【0056】
[0061]1又は複数の実施形態によれば、キャッピング層350の上に吸収体層360を形成することにより、EUV反射マスク106の信頼性が向上する。キャッピング層360は、吸収体層360のエッチング停止層として機能する。
図2のマスクパターン114が吸収体層360にエッチングされると、吸収体層360の下のキャッピング層350がエッチング作用を停止して多層反射スタック370を保護する。1又は複数の実施形態では、吸収体層360は、キャッピング層350に対してエッチング選択性がある。幾つかの実施形態では、キャッピング層350はルテニウムを含み、吸収体層360はルテニウムに対してエッチング選択性がある。
【0057】
[0062]1又は複数の実施形態では、吸収体層360は、約180度から約220度の範囲の位相シフトを提供する、0.92未満の「n」値を有する。約0.92未満の「n」値は、規格化画像対数傾斜(NILS)を改善し、3D効果を緩和する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する「正規化画像対数勾配(NILS)」とは、空間画像のリソグラフィ品質を記述するメトリックを指す。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する「n」又は「n値」は、屈折率を指す。屈折率は、ある媒体から別の媒体へ通過する際の光線の屈曲の測定値である。低い「n」値はNILSを改善し、3D効果を緩和する。
【0058】
[0063]実施形態では、吸収体層360は、約50nm未満、約45nm未満、約40nm未満、約35nm未満、約30nm未満、約25nm未満、約20nm未満、約15nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約1nm未満、又は約0.5nm未満を含む、約55nm未満の厚さを有する。他の実施形態では、吸収体層360は、約1nmから約54nm、1nmから約50nm、及び15nmから約50nmの範囲を含む、約0.5nmから約55nmの範囲の厚さを有する。
【0059】
[0064]ここで、第1の膜320、第2の膜330、第3の膜340、及びキャッピング層350の各々の間に界面層325、335、345を有し、キャッピング層350上に吸収体層360を有する極端紫外線反射素子400を示す
図5を参照する。1又は複数の実施形態では、多層反射スタック380は、第1の膜320、第2の膜330、及び第3の膜340のうちの1又は複数の上に界面層325、335、345を備える。
【0060】
[0065]1又は複数の実施形態では、界面層325、335、345は同じである。1又は複数の実施形態では、界面層325、335、345の各々は異なっている。1又は複数の実施形態では、界面層325、335、345は、窒化ケイ素(SixNy)、炭化ケイ素(SixCy)、窒化ホウ素(BxNy)、炭化ホウ素(BxCy)、窒化アルミニウム(AlxNy)、ケイ化アルミニウム(AlxSiy)、ケイ化モリブデン(MoxSiy)、ケイ化ルテニウム(RuxSiy)、窒化モリブデン(MoxNy)、及び窒化ルテニウム(RuxNy)のうちの1又は複数を含む。1又は複数の実施形態では、少なくとも1つの界面層325、335、345は、0.5nmから1.5nmの範囲、0.5nmから1.2nmの範囲、又は0.8nmから1.2nmの範囲の厚さを有する。
【0061】
[0066]本明細書に記載のEUVマスクブランクは、高開口数(高NA)EUVスキャナで使用するように構成され得ることが有利に見出されている。理論に拘束されるつもりはないが、典型的なEUVスキャナは0.33NAレンズを含むが、「高NA」EUVスキャナは0.55NAレンズを含む。高NAのEUVスキャナは、0.33NAレンズを含むスキャナで発生するマスク分割を有利に回避し、マスク分割における累積エッジ配置エラー(EPE)を排除し、プロセスの複雑性を低減し、コストを削減する。マスク分割における累積EPEが排除されると、EUVリソグラフィステップの歩留まりが高くなる。
【0062】
[0067]本明細書に記載のEUVマスクブランクは、低いZ
effと、反射角の広い帯域幅にわたって高い反射率を有し、M3D効果を最小限に抑えることが発見されている。M3D効果の低減は、
図2に示すタイプのEUVリソグラフィシステムで使用される場合に歩留まりを増加させると考えられる。本開示の実施形態は、反射率の増加により高いスループットを有するEUVマスクブランクを有利に提供する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する「スループット」とは、単位時間当たりの処理サンプル数を指す。
【0063】
[0068]ここで、実施形態に係るマルチカソード源チャンバ600の上部を示す
図6を参照する。マルチカソードチャンバ600は、上部アダプタ604によってキャッピングされた円筒形本体部分602を有するベース構造601を含む。上部アダプタ604には、上部アダプタ604の周りに位置決めされたカソード源606、608、610、612、及び614等の多数のカソード源が設けられる。1又は複数の実施形態に係るカソード源606、608、610、612、及び614は、三層膜、界面層、キャッピング層、及び吸収体層を含む多層反射スタックを形成するために、本明細書に記載の異なる材料を含む。
【0064】
[0069]幾つかの実施形態では、マルチカソード源チャンバ600は、
図3に示すシステムの一部である。実施形態では、極端紫外線(EUV)マスクブランク製造システムは、真空を生成するための基板ハンドリング真空チャンバと、真空内で、基板ハンドリング真空チャンバにロードされた基板を輸送するための基板ハンドリングプラットフォームと、複数のサブチャンバであって、三層膜と、三層膜の1又は複数の膜間のオプションの界面層と、多層反射スタック上のキャッピング層と、キャッピング層上の吸収体層とを含む多層反射スタックを基板上に含むEUVマスクブランクを形成するために基板ハンドリングプラットフォームによってアクセスされる複数のサブチャンバとを備える。本システムは、
図4又は
図5に関して示し、
図4~
図5に関して記載したEUVマスクブランクに関して記載した特性のいずれかを有するEUVマスクブランクを製造するために使用される。
【0065】
[0070]プロセスは、概して、プロセッサによって実行されると、プロセスチャンバに本開示のプロセスを実行させるソフトウェアルーチンとしてメモリに記憶され得る。ソフトウェアルーチンはまた、プロセッサによって制御されるハードウェアから遠隔に位置する第2のプロセッサ(図示せず)によって記憶及び/又は実行され得る。本開示の方法の一部又は全部はまた、ハードウェアにおいて実行され得る。このように、プロセスは、ソフトウェアにおいて実装され、コンピュータシステムを使用して実行され得る、ハードウェアにおいて、例えば、特定用途向け集積回路又は他のタイプのハードウェア実装態様として実行され得る、又はソフトウェア及びハードウェアの組み合わせとして実行され得る。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、プロセスが実行されるようにチャンバの動作を制御する特定目的のコンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0066】
[0071]本明細書全体で言及する、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1又は複数の実施形態」、又は「実施形態」は、その実施形態に関連して記載する特定の特徴、構造、材料、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な箇所における「1又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「実施形態では」等の句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることが可能である。
【0067】
[0072]本明細書の開示を、特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、これらの実施形態は単なる例示であることを理解されたい。当業者には、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に様々な修正及び変更を加えることができることが明らかとなる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内にある修正及び変更を含むことを意図する。
【国際調査報告】