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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-10
(54)【発明の名称】均一なプラズマ線形イオン源
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240903BHJP
   H01J 27/16 20060101ALI20240903BHJP
   H01J 37/08 20060101ALI20240903BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H01J27/16
H01J37/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516435
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022041674
(87)【国際公開番号】W WO2023043600
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】17/476,200
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リハンスキー, アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】クルンチ, ピーター エフ.
(72)【発明者】
【氏名】アレン, アーネスト イー.
【テーマコード(参考)】
2G084
5C101
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084AA08
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB14
2G084CC13
2G084DD04
2G084DD12
2G084DD38
2G084DD67
2G084FF02
2G084HH19
2G084HH30
5C101DD03
5C101DD16
5C101DD23
5C101DD25
5C101DD26
5C101DD28
(57)【要約】
イオン源。イオン源は、プラズマを収容するためのプラズマチャンバと、プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を備える、抽出アセンブリとを含み得る。イオン源は、第1の軸に沿って、プラズマチャンバを通って延在する、アンテナアセンブリをさらに含み得る。アンテナアセンブリは、誘電体エンクロージャ、誘電体エンクロージャ内で第1の軸に沿って延在する、複数の導電性アンテナを含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを収容するためのプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を備える、抽出アセンブリと、
アンテナアセンブリであって、前記アンテナアセンブリが、第1の軸に沿って、前記プラズマチャンバを通って延在し、前記アンテナアセンブリが、
誘電体エンクロージャと、
前記誘電体エンクロージャ内で前記第1の軸に沿って延在する、複数の導電性アンテナと
を備える、アンテナアセンブリと
を備える、イオン源。
【請求項2】
前記少なくとも1つの抽出開孔が、第1の方向に沿って延ばされ、
前記複数の導電性アンテナが、前記第1の方向に対して垂直な、少なくとも第2の方向に沿って前記誘電体エンクロージャ内で互いに対して可動である、
請求項1に記載のイオン源。
【請求項3】
前記少なくとも1つの抽出開孔が、前記第1の方向に沿って延ばされた、複数の抽出開孔を含む、請求項2に記載のイオン源。
【請求項4】
前記抽出アセンブリが、第1の平面内に配設された、抽出板を備え、前記複数の導電性アンテナが、前記第1の平面に対して平行な、第2の平面内で、弓形形状を有する、請求項1に記載のイオン源。
【請求項5】
前記複数の導電性アンテナがアンテナのペアを含み、アンテナの前記ペアが、中間部分において互いにより近くに配設される、請求項4に記載のイオン源。
【請求項6】
前記複数の導電性アンテナがアンテナのペアを含み、アンテナの前記ペアが、アンテナの前記ペアのそれぞれの端において互いにより近くに配設される、請求項4に記載のイオン源。
【請求項7】
前記誘電体エンクロージャ内に配設された、強磁性インサートアセンブリをさらに備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項8】
複数の導電性アンテナがアンテナのペアを含み、前記強磁性インサートアセンブリが、アンテナの前記ペアの第1のアンテナとアンテナの前記ペアの第2のアンテナとの間に延在する、請求項7に記載のイオン源。
【請求項9】
前記誘電体エンクロージャ内で、前記複数の導電性アンテナのうちの少なくとも1つのアンテナを、複数のアンテナのうちの別のアンテナに対して移動させるために結合された、移動機構をさらに備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項10】
プラズマを収容するためのプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を備える、抽出アセンブリと、
アンテナアセンブリであって、前記アンテナアセンブリが、第1の軸に沿って、前記プラズマチャンバを通って延在し、前記アンテナアセンブリが、
誘電体エンクロージャと、
前記誘電体エンクロージャ内で前記第1の軸に沿って延在する、複数の導電性アンテナと
を備える、アンテナアセンブリと、
前記抽出アセンブリに隣接する、プロセスチャンバであって、前記第1の軸に対して垂直な、走査方向に沿って走査可能な、基板ステージを備える、プロセスチャンバと、
前記アンテナアセンブリに接続された、電力発生器と
を備える、処理システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの抽出開孔が、第1の方向に沿って延ばされ、前記複数の導電性アンテナが、前記第1の方向に対して垂直な、少なくとも第2の方向に沿って前記誘電体エンクロージャ内で互いに対して可動である、請求項10に記載の処理システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの抽出開孔が、前記第1の方向に沿って延ばされた、複数の抽出開孔を備える、請求項11に記載の処理システム。
【請求項13】
前記抽出アセンブリが、第1の平面内に配設された、抽出板を備え、前記複数の導電性アンテナが、前記第1の平面に対して平行な、第2の平面内で、弓形形状を有する、請求項10に記載の処理システム。
【請求項14】
前記複数の導電性アンテナがアンテナのペアを含み、アンテナの前記ペアが、中間部分において互いにより近くに配設される、請求項13に記載の処理システム。
【請求項15】
前記複数の導電性アンテナがアンテナのペアを含み、アンテナの前記ペアが、アンテナの前記ペアのそれぞれの端において互いにより近くに配設される、請求項13に記載の処理システム。
【請求項16】
前記誘電体エンクロージャ内に配設された、強磁性インサートアセンブリをさらに備える、請求項10に記載の処理システム。
【請求項17】
前記複数の導電性アンテナがアンテナのペアを含み、前記強磁性インサートアセンブリが、アンテナの前記ペアの第1のアンテナとアンテナの前記ペアの第2のアンテナとの間に延在する、請求項16に記載の処理システム。
【請求項18】
前記誘電体エンクロージャ内で、前記複数の導電性アンテナのうちの少なくとも1つのアンテナを、複数のアンテナのうちの別のアンテナに対して移動させるために結合された、移動機構をさらに備える、請求項10に記載の処理システム。
【請求項19】
誘導結合のイオン源のためのアンテナアセンブリであって、
第1の端部から第2の端部まで第1の方向に沿って延在する、誘電体エンクロージャと、
前記第1の端部から前記第2の端部まで、前記誘電体エンクロージャを通って延在する、第1の導電性アンテナと、
前記第1の端部から前記第2の端部まで、前記誘電体エンクロージャを通って延在する、第2の導電性アンテナと
を備え、
前記第1の導電性アンテナと前記第2の導電性アンテナとのうちの少なくとも1つが、前記第1の方向に対して垂直な、少なくとも第2の方向に沿って、前記誘電体エンクロージャ内で可動である、
アンテナアセンブリ。
【請求項20】
前記誘電体エンクロージャ内に配設された、強磁性インサートアセンブリをさらに備える、請求項19に記載のアンテナアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に援用される、2021年9月15日に出願された、「UNIFORM PLASMA LINEAR ION SOURCE」と題する米国非仮特許出願第17/476,200号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に処理装置に関し、より詳細には、プラズマベースイオン源に関する。
【背景技術】
【0003】
現代において、プラズマは、基板エッチング、層堆積、イオン注入、および他のプロセスなどの適用例のために、電子デバイスなど、基板を処理するために使用される。いくつかの処理装置が、基板処理のためのイオン源として働くプラズマを発生させる、プラズマチャンバを採用する。イオンビームが、抽出アセンブリを通して抽出され、隣接チャンバ中の基板に向けられ得る。このプラズマは、様々なやり方で発生させられ得る。
【0004】
様々な商業システムでは、アンテナが、誘電体窓に近接して、プラズマチャンバの外側に配設される。アンテナは、次いで、RF電力供給を使用して励起される。アンテナによって発生させられた電磁気のエネルギーは、次いで、誘電体窓を通過して、プラズマチャンバ内に配設されたフィードガスを励起する。この構成は、比較的単純な構造を提供し、プラズマチャンバ内で中央に配置され得る抽出開孔を通した抽出を使用して高電流イオンビームを発生させるのに好適な、高密度プラズマを発生させ得る。しかしながら、そのようなプラズマは、チャンバの中間において、ピークに達したプラズマ密度を有する傾向があり得、2つまたはそれ以上の開孔がプラズマチャンバの1つのエッジに沿って並列スロットとして配列される、多開孔、高電流イオンビームシステムにとって理想的でないことがある。
【0005】
他の知られている手法では、2つのアンテナが、プラズマチャンバ内に配設され得、内部アンテナと呼ばれることがある。前の実施形態のように、RF電力供給が、内部アンテナに電気的に結合される。これらの内部アンテナは、各々、プラズマ内に延在する2つのアンテナ構造を形成するために、石英または別の誘電体材料であり得る、外側管を含む。導電性コイルが、外側管内に、および通常、外側管から離間して、配設される。RF電力供給は、コイルに電気的に結合され、このコイルは、電磁気のエネルギーを外側管を通して放出し、これは、プラズマチャンバ内でプラズマを発生させる。しかしながら、2つのアンテナ構造を使用して発生させられるプラズマは、プラズマチャンバ全体にわたって所望の均一性のものでないことがある。たとえば、プラズマ密度は、内部アンテナの近くでより大きくなり得、内部アンテナから離れた領域において低減され得る。
【0006】
このプラズマ不均一性は、抽出されるイオンビームに影響を及ぼし得る。たとえば、その幅にわたって一定のイオン密度を有するイオンビームを抽出するのではなく、イオンビームは、中心の近くでなど、第1の部分において、その端部においてなど、第2の部分よりも大きい、イオンの濃度を有し得る。
【0007】
この問題に対処するために、複数のアンテナ構造がプラズマ内で移動され得る手法が提案されている。しかしながら、そのような手法は、アンテナ構造を収容する誘電体外側管の移動を必要とする、ロバストであるとは言えない設計を提供し得る。その上、発生させられたプラズマ均一性は、依然として、多開孔処理システムのためのターゲットにされる均一性よりも低いことがある。
【0008】
これらおよび他の考慮事項に関して、本開示が提供される。
【発明の概要】
【0009】
様々な実施形態は、アンテナアセンブリと、イオン源と、処理装置とを対象とする。一実施形態では、イオン源が、プラズマを収容するためのプラズマチャンバと、プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を備える、抽出アセンブリとを含み得る。イオン源は、第1の軸に沿って、プラズマチャンバを通って延在する、アンテナアセンブリをさらに含み得る。アンテナアセンブリは、誘電体エンクロージャ、誘電体エンクロージャ内で第1の軸に沿って延在する、複数の導電性アンテナを含み得る。
【0010】
別の実施形態では、プラズマを収容するためのプラズマチャンバと、プラズマチャンバの側部に沿って配設され、少なくとも1つの抽出開孔を備える、抽出アセンブリとを含む、処理システムが提供される。処理システムは、第1の軸に沿って、プラズマチャンバを通って延在する、アンテナアセンブリをも含み得る。アンテナアセンブリは、誘電体エンクロージャと、誘電体エンクロージャ内で第1の軸に沿って延在する、複数の導電性アンテナとを含み得る。処理システムは、抽出アセンブリに隣接する、プロセスチャンバであって、第1の軸に対して垂直な、走査方向に沿って走査可能な、基板ステージを備える、プロセスチャンバをさらに含み得る。処理システムは、アンテナアセンブリに接続された、電力発生器をさらに含み得る。
【0011】
さらなる実施形態では、第1の端部から第2の端部まで第1の方向に沿って延在する、誘電体エンクロージャを含む、誘導結合のイオン源のためのアンテナアセンブリが提供される。アンテナアセンブリは、第1の端部から第2の端部まで、誘電体エンクロージャを通って延在する、第1の導電性アンテナと、第1の端部から第2の端部まで、誘電体エンクロージャを通って延在する、第2の導電性アンテナとを含み得る。そのようなものとして、第1の導電性アンテナと第2の導電性アンテナとのうちの少なくとも1つが、第1の方向に対して垂直な、少なくとも第2の方向に沿って、誘電体エンクロージャ内で可動であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態による、第1の構成における、例示的なシステムの端面図である。
図2A】本開示の実施形態による、第1の構成における、例示的なプラズマチャンバの端面図である。
図2B】本開示の実施形態による、抽出アセンブリの平面図である。
図2C図2Aの例示的なプラズマチャンバの側面図である。
図2D図2Aの例示的なプラズマチャンバの平面図である。
図2E】本開示の実施形態による、第2の構成における、図2Aの例示的なプラズマチャンバの端面図である。
図3A】知られているアンテナ構成を有する基準プラズマチャンバにおけるシミュレートされたプラズマ密度を示す複合図である。
図3B】本実施形態による、アンテナアセンブリを有するプラズマチャンバにおけるシミュレートされたプラズマ密度を示す複合図である。
図4A】本開示の一実施形態による、アンテナアセンブリのための誘電体エンクロージャの例示的な構造を提示する図である。
図4B】本開示の別の実施形態による、アンテナアセンブリのための誘電体エンクロージャの例示的な構造を提示する図である。
図4C】本開示のさらなる実施形態による、アンテナアセンブリのための誘電体エンクロージャの例示的な構造を提示する図である。
図4D】本開示の追加の実施形態による、アンテナアセンブリのための誘電体エンクロージャの例示的な構造を提示する図である。
図5】本開示の一実施形態による、アンテナアセンブリのための例示的なアンテナ構成の平面図である。
図6】本開示の別の実施形態による、アンテナアセンブリのための例示的なアンテナ構成の平面図である。
図7】本開示の別の実施形態による、例示的なアンテナアセンブリの端面図である。
図8】本開示の別の実施形態による、例示的なアンテナアセンブリの平面図である。
図9】本開示の別の実施形態による、別の例示的なアンテナアセンブリの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は、必ずしも一定の縮尺であるとは限らない。図面は、表現にすぎず、本開示の特定のパラメータを描くものではない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すものであり、したがって、範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面において、同様の番号付けは同様の要素を表す。
【0014】
次に、本開示による装置、システムおよび方法が、そのシステムおよび方法の実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、以下でより十分に説明される。システムおよび方法は、多くの異なる形態で具現され得、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。代わりに、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、システムおよび方法の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0015】
「上部」、「底部」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」、「横方向」および「縦方向」などの用語は、図において現れるような半導体製造デバイスの構成要素の形状寸法および配向に関して、これらの構成要素およびそれらの構成部品の相対配置および配向について説明するために本明細書で使用され得る。専門用語は、具体的に言及される単語、それらの派生語、および同様の意味の単語を含み得る。
【0016】
本明細書で使用される、単数形で具陳され、「a」または「an」という単語で始まる要素または動作は、潜在的に複数の要素または動作をも含むものとして理解されたい。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、具陳された特徴をも組み込む追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されるものではない。
【0017】
処理装置における、特に、コンパクトなイオンビーム処理装置における、改善されたプラズマ均一性のための手法が、本明細書で提供される。本実施形態は、イオンビームの抽出の点におけるプラズマ均一性が1つまたは複数の方向にわたって有用である適用例に好適であり得る。
【0018】
図1は、本開示の実施形態による、第1の構成における、例示的なシステムの端面図を示す。システムは、本明細書では処理システム100と呼ばれ、基板132のイオンビーム処理に好適である。システム100は、プラズマ106を収容するためのプラズマチャンバ102と、好適なガス種(gaseous specie)(別々に図示せず)がプラズマチャンバ102に供給されたとき、プラズマ106を発生させるために電力を供給するために結合された、電力発生器104とを含む。電力発生器104は、たとえば、RF電力発生器であり得る。
【0019】
基板132を処理するために、抽出アセンブリ120が、プラズマチャンバ102の側部に沿って提供され、抽出アセンブリ120は、イオンビーム134として示されている、対応するイオンビームを発生させる、少なくとも1つの抽出開孔を含む。図1の例では、説明の目的で、4つの抽出開孔が示されているが、任意の好適な数の抽出開孔が、本実施形態による抽出アセンブリ中に含まれ得る。
【0020】
処理システム100は、アンテナアセンブリ110をさらに含み、アンテナアセンブリ110は、第1の軸(この場合、図示の直交座標系のx軸)に沿って、プラズマチャンバ102を通って延在する。アンテナアセンブリ110の変形態のさらなる詳細が、以下で説明される、図2Cおよび図2Dに関して示されている。手短に言えば、アンテナアセンブリ110は、誘電体エンクロージャ114を含み、このエンクロージャは、誘電体窓として働く好適な絶縁材料(たとえば、石英)から形成され得る。アンテナアセンブリ110は、誘電体エンクロージャ114内で第1の軸(x軸)に沿って延在する、複数の導電性アンテナをさらに含み得る。図示の例では、複数の導電性アンテナは、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118とを含む。
【0021】
したがって、電力発生器104と、プラズマチャンバ102と、アンテナアセンブリ110と、抽出アセンブリ120とは、イオン源を構成し得、このイオン源は、基板132の処理のために少なくとも1つのイオンビームを発生させるために使用される。動作中、電力発生器104は、プラズマ106に対する第1のアンテナ116および第2のアンテナ118の誘導結合を通してなど、プラズマ106に電力供給するために、第1のアンテナ116および第2のアンテナ118に結合される。
【0022】
より詳細には、プロセスガスがプラズマチャンバ102に向けられたとき、プラズマ106がプラズマチャンバ102中で点火されるように、電力が、第1のアンテナ116および第2のアンテナ118に印加される。たとえば、図2Cおよび図2Dを参照すると、第1のアンテナ116および第2のアンテナ118は、プラズマチャンバ102の第1の側部150上で(直接、または回路要素を通して)接続され得、プラズマチャンバ102の第2の側部152上で電力発生器104に取り付けられ得る。
【0023】
バイアス電圧が、プラズマチャンバ102と、基板132、または基板ホルダ130(これらの構成要素はプロセスチャンバ108中に配設され得る)との間に、抽出電圧供給126によって印加されたとき、(1つまたは複数の)イオンビーム134が、抽出開孔122(図2Bも参照)を通して抽出され、基板132に向けられる。異なる実施形態では、抽出電圧供給126は、基板132とプラズマチャンバ102との間に、パルスDCバイアス電圧またはRFバイアス電圧を印加するように動作し得る。その上、いくつかの実施形態では、抽出アセンブリ120は、抽出開孔122を通して角度付きイオンビームを抽出するように、知られているプラズマ処理システムの場合のようにビームブロッカー(図示せず)を含み得、イオンビーム134は、基板法線(z軸)に対して非0入射角度を形成し得る。
【0024】
次に図2A図2C、および図2Dを参照すると、アンテナアセンブリ110を含む、プラズマチャンバ102の異なるビューが示されている。図2Aのビューでは、プラズマ106が存在するが、明快のために、プラズマ106は、図2Cおよび図2Dから省略される。図2Aに示されているように、プラズマ106は、誘電体エンクロージャ114の周りに延在する。一実装形態では、誘電体エンクロージャ114は、y方向に沿ってプラズマチャンバ102の中間に位置し得る。したがって、プラズマ106は、概して、誘電体エンクロージャ114の周りにy方向において対称的に延在し得る。図2Cおよび図2Dに示されているように、誘電体エンクロージャ114は、第1の端部160から第2の端部162まで、第1の側部150から第2の側部152まで完全に、延在し得る。したがって、アンテナアセンブリ110も、第1の側部150から第2の側部152までプラズマチャンバ102を通って完全に延在し得る。
【0025】
以下で説明する図3Bに関してより詳細に説明されるように、(少なくともy方向に関する)プラズマチャンバ102の中間における誘電体エンクロージャ114の存在は、プラズマ106の形状および分布を修正する傾向があり得る。たとえば、誘電体エンクロージャ114の存在は、プラズマ106の高密度領域を壁141および壁142に向かって外側に変位させる傾向があり得る。たとえば、誘電体エンクロージャ114の直径は、いくつかの非限定的な実施形態によれば、y方向に沿ったプラズマチャンバ102の幅の10%~50%に相当するものであり得る。その結果、プラズマの一部分を通常高密度なプラズマの中間領域から変位させることによって、y方向に沿ったプラズマ106の全体的均一性が改善され得る。
【0026】
本開示の様々な実施形態によれば、誘電体エンクロージャ114は、y軸に沿って、またはz軸に沿って、あるいは両方の軸に沿ってなど、プラズマチャンバ102内で可動であり得る。このようにして、プラズマ106の分布および均一性は調整され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、誘電体エンクロージャ内の複数のアンテナのうちの少なくとも1つのアンテナが、誘電体エンクロージャ114内で可動であり得る。言い換えれば、少なくとも1つのアンテナは、y軸に沿って、z軸に沿って、または両方の軸に沿ってのいずれかで、誘電体エンクロージャ114の壁に対して独立して可動であり得る。特定の実施形態では、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118の両方が、誘電体エンクロージャ114内で可動であり得る。別の言い方をすれば、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118とは、y軸に沿って、z軸に沿って、または両方の軸に沿ってのいずれかで、誘電体エンクロージャ114の壁に対して独立して可動であり得る。様々な実施形態では、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118とは、誘電体エンクロージャ114の壁に対して独立して可動であり得、y軸に沿って、z軸に沿って、またはその両方に沿ってのいずれかで、一方のアンテナが他方のアンテナに対して、独立して可動であり得る。
【0028】
一例として、図2Aでは、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118とは、誘電体エンクロージャ114のほぼ直径である、矢印dによって示されている程度まで、y軸に沿って誘電体エンクロージャ114内で可動であり得る。たとえば、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118とは、誘電体エンクロージャの対向する壁に向かって可動であり得、したがって、これは、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118との間の空間を増加させるか、または代替的に、図2Eの構成において示されているように、互いに極めて近接させられ得る。
【0029】
特定の実施形態では、アンテナアセンブリ110、または同様のアセンブリは、図1に示されているように、移動機構140に結合され得、移動機構140は、第1のアンテナ116、第2のアンテナ118、誘電体エンクロージャ114、またはこれらの要素の任意の組合せを、互いと協働して、または互いに対する相対的動きにおいて、移動させるために結合される。移動機構140は、いくつかの非限定的な実施形態によれば、たとえば、外部モーター、アクチュエータ、機械的レバー、スライド、または磁気構成要素であり得る。したがって、移動機構140は、プラズマチャンバ102内のアンテナアセンブリ110のこれらの構成要素の相対位置を操作するための好都合な手法を提供し得る。
【0030】
誘電体エンクロージャ114内の第1のアンテナ116と第2のアンテナ118との相対移動を提供することによって、プラズマ106の分布および密度は、好都合に操作され得る。この点をさらに示すために、図3Aは、知られているアンテナ構成を有する基準プラズマチャンバにおけるシミュレートされたプラズマ密度を示す複合図を提供し、図3Bは、本実施形態による、アンテナアセンブリを有するプラズマチャンバにおけるシミュレートされたプラズマ密度を示す複合図を提供する。図3Aの図では、外部アンテナアセンブリ304が、プラズマチャンバ302を円周方向に囲んで、その中にプラズマ306を発生させる。プラズマチャンバ302は、y-z平面に沿った断面図で示されているプラズマ306の画像に重ね合わされ、プラズマ密度は、異なるシェーディングによって示されている。図示のように、密度は、プラズマチャンバ302の最外側エッジ上の3E14/cm範囲から、プラズマチャンバ302の中心における中間E17/cmまで、変動する。
【0031】
図3Bの図では、アンテナアセンブリ110が、概して上記で説明されたように、プラズマチャンバ102内に配設される。プラズマチャンバ102は、y-z平面に沿った断面図で示されているプラズマ106の画像に重ね合わされ、プラズマ密度は、異なるシェーディングによって示されている。図示のように、プラズマ106の大部分の密度は、E16/cm範囲からE17/cm範囲まで変動し、プラズマ密度は、概して、プラズマチャンバ102の下側部分に向かってより高くなる。
【0032】
基板処理についての均一性懸念とより密接な関係があるのは、プラズマチャンバの下側エッジに沿ったy方向に沿ったプラズマ密度の均一性が、図3Bの例において改善されることである。より詳細には、図3Aの例では、Y軸に沿った、イオンビーム抽出が行われるところの均一性は、18.5%であり、図3Bでは、イオンビーム抽出が行われるところのy軸に沿った均一性は、1%であり、ここで、均一性は、(最大抽出電流値-最小抽出電流値)/平均抽出電流値として表される。
【0033】
図3Bを詳細に参照すると、この複合図は、本実施形態によって与えられるいくつかの特徴をハイライトする。この例では、誘電体エンクロージャ114の直径は約7cmであり、これは、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118との相対変位に適応するための大きいボリュームを与える。この相対移動は、誘電体エンクロージャ114の外側に配設されたプラズマ106に対する第1のアンテナ116および/または第2のアンテナ118の誘導結合を変調する能力を可能にし、したがって、プラズマ106の密度および分布を操作するための好都合な様式を提供する。図示される特定の例では、アンテナは、約5cmだけ互いに横方向に変位される。他の実施形態では、ガス種、プラズマ出力(plasma power)、および他のファクタに応じて、アンテナの相対位置は、それに応じてプラズマ密度均一性を調整するように、z軸に沿って、互いにより近くに、または異なる位置において、アンテナを配置することなど、変化され得る。
【0034】
再び図1を参照すると、基板132にわたる均一なイオンビーム処理が必要とされる適用例では、動作中、(1つまたは複数の)抽出開孔122は、図示のようにX方向に沿って基板132の全体をカバーする程度までなど、x軸に沿って延ばされ得る。たとえば、いくつかの非限定的な実施形態では、(1つまたは複数の)抽出開孔は、y方向に沿った数ミリメートルから数センチメートル程度の幅を有し、数十センチメートルのx方向に沿った長さを有し得る。数十センチメートルの直径を有する半導体ウエハなど、基板全体をカバーするために、基板ホルダ130は、抽出開孔122がy方向において基板132の全体にわたって走査され得るように、Y軸に沿って走査され、したがって、これは、基板132の全体をイオンビーム134に露出させ得る。
【0035】
基板132に印加されるビーム電流を増加させるために、複数の抽出開孔122が、本開示の実施形態によるプラズマチャンバ102において提供される。したがって、基板132に向けられるビーム電流は、個々の抽出開孔を通して向けられるビーム電流の和に等しくなる。ビーム電流がx軸にわたって均一である状況では、たとえば、点P1から点P2まで抽出アセンブリ全体の下で基板132の全体を走査することによって、基板132は、均一なイオン線量に露出されることになることに留意されたい。この結果は、図3Aの場合のように、プラズマ密度がy方向に沿って不均一であり、異なるビーム電流が、異なる抽出開孔から基板132に作用することを生じる、状況でも当てはまる。異なるビーム電流を有する異なる開孔に露出されるときに基板132にわたるビーム線量が均一であることになる理由は、ビーム電流がX方向において均一であるからである。その上、y方向に沿った基板132の各点が同じ開孔に連続して露出され、これは、すべての開孔への露出の後の基板132のどんな領域にも作用する総イオン線量が同じになることを生じる。したがって、多抽出開孔プラズマチャンバに露出された走査された基板における線量均一性を達成するために、x方向に沿ったプラズマ密度は均一であるべきであり、y方向に沿ったものは原則として均一である必要はない。
【0036】
しかしながら、プラズマ密度がy方向に沿って不均一である、図3Aの知られているデバイスなどの状況では、異なる抽出開孔から抽出されたイオンビームは、異なるビーム電流のほかにさらなる形で、互いに異なり得る。本発明者は、様々な抽出開孔アセンブリにおいて、イオンの角度、および抽出されるイオンビームの平均入射角度が、プラズマチャンバにおけるプラズマ密度に比例することに気づいた。抽出開孔において現れるプラズマメニスカスの形状はプラズマ密度に依存し、したがって、プラズマメニスカスにわたってプラズマ106から出るイオンビームの平均角度、ならびに入射角度の範囲(角度拡散)は、プラズマ密度により変動する。したがって、図3Aの場合のような不均一なプラズマチャンバでは、多抽出開孔抽出板が、いくつかの抽出開孔を比較的より低いプラズマ密度の外側位置に配置し得、イオンビームの入射角度は、プラズマチャンバの高密度領域の中間領域中に位置する抽出開孔を通して抽出されるイオンビームの入射角度とは異なる。図3Bの実施形態は、Y方向に沿った1%の均一なプラズマ密度を提供することによって、プラズマ密度およびメニスカス形状が、Y軸に沿った位置の関数としてほぼ一定であるので、増加されたビーム電流、ならびに異なる開孔を通して基板132に当たるイオンのより均一な入射角度の両方を可能にする。
【0037】
本開示のさらなる実施形態によれば、アンテナアセンブリの誘電体エンクロージャの形状は、プラズマチャンバ内のプラズマ密度をさらに修正するために修正され得る。図4Aは、本開示の一実施形態による、アンテナアセンブリのための誘電体エンクロージャの例示的な構造を提示する。この実施形態では、誘電体エンクロージャ114Aは、円形シリンダーの形状を有する。図4Bは、本開示の別の実施形態による、アンテナアセンブリのための誘電体エンクロージャ114Bの例示的な構造を提示する。この実施形態では、誘電体エンクロージャ114Bは、Y方向に沿って延ばされた、楕円断面をもつシリンダーの形状を有し、この延ばすことは、Y方向におけるプラズマ均一性を調整するために有用であり得る。
【0038】
図4Cは、本開示のさらなる実施形態による、アンテナアセンブリのための誘電体エンクロージャの例示的な構造を提示する。この実施形態では、誘電体エンクロージャ114Cは、X方向とY方向の両方において、プラズマチャンバの壁の近くでプラズマ密度を増加させるために楕円体形状を有する。図4Dは、本開示の追加の実施形態による、アンテナアセンブリのための誘電体エンクロージャの例示的な構造を提示する。この実施形態では、誘電体エンクロージャ114Dは、プラズマチャンバの中央領域においてより高いプラズマ密度を作り出すために二重球体形状/逆楕円体(inverted ellipsoid)形状を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、導電性アンテナのペアが、誘電体エンクロージャ内に配列され得、アンテナのペアは、中間部分において互いにより近くに配設される。この点を示すために、図5は、本開示の一実施形態による、アンテナアセンブリのための例示的なアンテナ構成の平面図を提示する。アンテナアセンブリ500が誘電体エンクロージャ502を含む、プラズマチャンバ102の一実施形態が示されている。誘電体エンクロージャ502は、図示のようにX方向に沿って延在し、壁を有して、延ばされ得る。導電性アンテナのペアが、弓形形状を有する、アンテナ504およびアンテナ506として示されており、導電性アンテナのペアは、X-Y平面において湾曲され、したがって、そのペアは、導電性アンテナのペアのそれぞれの端において、互いにより近くに配設され、これは、Y軸に沿って延在するプラズマチャンバ102の壁の近くの領域において、互いにより近くに配設されることを意味する。別の言い方をすれば、導電性アンテナのペアは、中間領域において互いからより遠くに離れて配設され、これは、導電性アンテナのペアが、誘電体エンクロージャ502の壁により近くなり、したがって、プラズマ510により近くなることを生じる。したがって、この構成は、x軸に沿ったプラズマチャンバの中間領域においてプラズマ密度を増加させる傾向があり得る。
【0040】
図6は、本開示の別の実施形態による、アンテナアセンブリのための例示的なアンテナ構成の平面図を提示する。
【0041】
アンテナアセンブリ600が誘電体エンクロージャ602を含む、プラズマチャンバ102の一実施形態が示されている。誘電体エンクロージャ602は、図示のようにX方向に沿って延在し、壁を有して、延ばされ得る。導電性アンテナのペアが、アンテナ604およびアンテナ606として示されており、導電性アンテナのペアは、X-Y平面において湾曲され、したがって、そのペアは、導電性アンテナのペアの中間領域において、互いにより近くに配設され、これは、Y軸に沿って延在するプラズマチャンバ102の中間領域において、互いにより近くに配設されることを意味する。別の言い方をすれば、導電性アンテナのペアは、中間領域において、誘電体エンクロージャ602の壁からより遠くに離れて、したがって、プラズマ610からより遠くに離れて、配設される。したがって、この構成は、プラズマチャンバ102の端部壁に向かって、プラズマ密度を増加させる傾向があり得、これは、Y軸に沿って延在する壁の近くで、プラズマ密度を増加させる傾向があり得ることを意味する。本開示の様々な実施形態によれば、図5または図6に示されている構成のアンテナは、x軸を中心として回転可能であり得、したがって、x軸に沿った2つの異なるアンテナ間の相対近接度が容易に変化され得る。たとえば、図5および図6の異なる構成は、x軸を中心とする、同じ湾曲したアンテナの相互回転によって達成され得る。
【0042】
本実施形態に従ってプラズマ密度をさらに操作するために、アンテナアセンブリが、誘電体エンクロージャ内に配設された、強磁性インサートを含み得る。図7は、本開示の別の実施形態による、例示的なアンテナアセンブリの端面図を提示する。この例では、アンテナアセンブリ710が、図1および図2A図2Dに関して概して上記で説明されたように、プラズマチャンバ102内でx軸に沿って延在して、提供される。第1のアンテナ116およびアンテナ118に加えて、アンテナアセンブリ710は、誘電体エンクロージャ114内に配設された、強磁性インサートアセンブリ712を含む。強磁性インサートアセンブリ712は、ただ1つの強磁性インサートを含み得るか、または本開示の異なる実施形態による複数の強磁性インサートを含み得る。図7に示されている実施形態では、強磁性インサートアセンブリ712は、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118との間に配設され、したがって、第1のアンテナ116と第2のアンテナ118との間の結合を低減し得る。この低減された結合は、動作中、プラズマチャンバ102の効率を増加させることになる。
【0043】
図8は、本開示の別の実施形態による、例示的なアンテナアセンブリの上面横断平面図を提示する。この例では、アンテナアセンブリ710Aは、強磁性インサートアセンブリが第1のアンテナ116と第2のアンテナ118との間に配設された、図7に関して概して説明されたようなものであり得る。この例では、強磁性インサートアセンブリ712Aが、x軸に沿って誘電体エンクロージャ114の全体に沿って第1のアンテナ116と第2のアンテナ118との間の結合をブロックするように、誘電体エンクロージャ114全体にわたってX軸に沿って延在する、ただ1つの部片を含む。
【0044】
図9は、本開示の別の実施形態による、別の例示的なアンテナアセンブリの上面横断平面図を提示する。この例では、アンテナアセンブリ910は、中間部分におけるプラズマ906との誘導結合を低減するために、第1のアンテナ116および第2のアンテナ118の中間部分を囲む強磁性シリンダーとして整形された、強磁性インサート912を含む。このようにして、(x方向における)プラズマチャンバ102の中心Cにおけるプラズマ発生は低減され、エッジO(y軸壁)の近くのプラズマ発生は増加される。図示の例では、エッジOにおけるプラズマ密度は、中心Cにおけるプラズマ密度よりも大きいことも大きくないこともある。特に、第1のアンテナ116および第2のアンテナ118からの誘導結合が強磁性シリンダーによってブロックされるが、プラズマは依然として中心Cにおいて形成することになる。一例では、中心Cにおける導電性アンテナからのプラズマ形成は、エッジOにおけるプラズマ形成に対して密度が低減されて、通常ならば発生するであろう中心Cにおける増加されたプラズマ密度を抑え、これが、x方向に沿ったより均一なプラズマ密度につながり得る。
【0045】
その上、強磁性インサート912を使用してx方向に沿ってプラズマ密度を調整することに加えて、図9の実施形態では、第1のアンテナ116および第2のアンテナ118は、y方向に沿ってプラズマ密度均一性を調整するために、「d」によって示されている範囲内でy軸に沿って可動である。
【0046】
上述の実施形態は、誘電体エンクロージャの配置および形状、アンテナの配置、ならびに単一の大きい誘電体エンクロージャ内の強磁性インサートの配置を調整することによって、プラズマ均一性を改善する能力を強調したことに留意されたい。ただし、同じ実施形態は、ターゲットにされる不均一なプラズマ密度が基板処理のために有用である場合、同じ構成要素の調整によってプラズマ不均一性を調節する能力を提供する。
【0047】
上記に鑑みて、本開示は、少なくとも以下の利点を提供する。第1の利点として、本実施形態は、保守または配置目的のために、単一の、大きい誘電体エンクロージャ内の導電性アンテナへの簡単なアクセスを提供する。第2の利点として、プラズマチャンバ内のプラズマ密度の調節は、誘電体エンクロージャ内の導電性アンテナの位置に対する簡単な調整を提供することによって可能にされる。さらに、さらなる利点は、プラズマチャンバ内のアンテナアセンブリの配置によって与えられるプラズマチャンバの低減された設置面積である。別の利点は、さらなるプラズマ密度調節のために誘電体エンクロージャ内の強磁性構成要素の構成を容易に配置および調整する能力である。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態が本明細書で説明されたが、本開示は、当技術分野が許容する限りにおいて範囲が広く、本明細書は同様に読まれ得るので、本開示はそれらの実施形態に限定されない。したがって、上記の説明は、限定するものとして解釈されるべきでない。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および趣旨内で他の修正を想定するであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】