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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】その中に製品が包装された容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20240905BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B65D77/06 A
B65D77/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501802
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022075885
(87)【国際公開番号】W WO2023046610
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198664.1
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】クルト ベルリ
(72)【発明者】
【氏名】レト コッホ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト クートリ
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA01
3E067BA04C
3E067BA12B
3E067EE21
3E067FA04
(57)【要約】
本発明は、その中に製品が包装された容器であって、底部(2)、側壁(3)、及びカバーを有する硬質の円筒形容器と、フレキシブルライナー(5)と、ライナーにより取り囲まれて容器内に配置されたペースト状製品(A)と、を含み、さらに、インサート(6)を含み、これは、底部の上に、かつライナー内に格納された製品の下に配置され、基底部より小さい実質的に円形の輪郭を有し、かつインサートと側壁との間にギャップができるような様式で底部において実質的に中心に配置されるインサートを含む容器に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器であって、製品がその中に包装されており、
前記容器は、
底部、側壁、及び蓋を有する硬質の円筒形容器と、
フレキシブルライナーと、
前記ライナー内に格納されておりかつ前記容器内に配置されたペースト状製品と、
を含み、
前記容器は、インサートをさらに有しており、このインサートは、前記底部の上に配置され、かつ前記ライナー内に格納された前記製品の下に配置されており、前記底部より小さい実質的に丸い円形の輪郭を有し、かつ、前記インサートと前記側壁との間に空間が存在するようにして、前記底部の上で実質的に中心になるように配置されることを特徴とする、容器。
【請求項2】
前記インサートは、前記容器に対して、前記空間が2~10cmとなるような寸法を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記インサートの高さは、前記容器の高さの1~6%であり、かつ/又は前記インサートの高さは、1~6cmである、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記インサートは、長方形又は台形又は多角形の断面を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記インサートは、実質的に円錐台の形状として、又は台座上の円錐台の形状として、又は丸みを帯びた若しくは面取りされた上縁部を有する円筒の形状として形成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記インサートは、少なくとも1つのスペーサを有し、これは、前記インサートと前記側壁との間の前記空間にまたがるように、寸法付けされかつ配置され、その結果として前記底部の上での前記インサートの位置が事前に規定されるようになっている、請求項1~5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記インサートは、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つのスペーサを有する、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記スペーサは、前記インサートより低い高さを有し、かつ/又は前記スペーサの高さは、前記インサートの高さの20~60%である、請求項6又は7に記載の容器。
【請求項9】
前記インサートは、発泡プラスチック材料から形成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
前記インサートは、一体部品として設計されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
前記インサートは、複数の部品で形成され、個々の部品は、特には同一設計である、請求項1~9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
前記製品は、1成分形接着剤又はシーラントであり、特には、ポリウレタン、シラン末端ポリマ、エポキシ、又はシリコーンをベースとする組成物である、請求項1~11のいずれか1項に記載の容器。
【請求項13】
前記フレキシブルライナーは、箔又はフィルムとして形成されており、特にアルミニウム箔として又はポリエチレンフィルムとして形成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の容器。
【請求項14】
前記容器は、金属シートから形成されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の容器。
【請求項15】
前記容器の容積は、50~500lである、請求項1~14のいずれか1項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その中に製品が包装された容器に関する。特に、本発明は、その中にペースト状の製品が包装された硬質円筒形容器に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な利用分野で、製品はドラム缶形の容器で包装される。特に、接着剤やシーラント等のペースト状の製品は典型的に、金属薄板製のドラム缶の中のフィルム層で包装される。製品は多くの場合、これらのドラム缶の上部からポンプにより取り出され、その際、漏斗状のプレートが内容物を圧迫し、製品がポンプまで押し上げられ、そこから引き続き輸送されることが可能となる。
【0003】
しかしながら、このプロセスでは、容器中には製品の残留量が必ず残り、ポンプで輸送できなくなる。システムに応じて、この残留量は5~10リットル(200リットル缶の場合)であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、容器内に包装された製品の使用時の利用率を高めることのできる解決策を提供することである。特に、それ以上輸送できない残留量をできるだけ低く保つべきであり、そのような包装製品の経済性と環境両立性を改善すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、その中に製品が包装された容器であって、底部、側壁、及び蓋を有する硬質円筒形容器と、フレキシブルライナーと、ライナー内に格納されて容器内に配置されたペースト状製品と、を含み、容器は、さらに、底部の上に配置されかつライナー内に格納された製品の下に配置されるインサート(挿入体)を含み、このインサートは、底部より小さい、実質的に丸い円形の輪郭を有しており、インサートと側壁との間に空間ができるように、底部の上で実質的に中心になるように配置される、容器、を提供することによって達成される。
【0006】
試験において、汲み上げ中に利用率が限定的となるのは、その大部分が、ポンプのプレートがその下降移動中に折り畳まれたライナーによって止まることによるものであるとの知見を得た。特に、プラスチックフィルムで製作されたライナーの場合、容器の側壁に沿って圧縮されるライナーが、容器の底部に向かって移動するポンプにとって克服しがたい抵抗力を生じさせるリスクがある。
【0007】
本発明によれば、ここでこの知見を利用して、圧縮されたライナーを押し込むことのできる空間がインサートにより提供されるようにする。インサートは中心領域において容器の有効底部を上昇させ(周辺領域では上昇させない)、それによってポンプは、圧縮されたライナーにより停止させられる前に、より多くの材料を絞り出すことが可能となる。
【0008】
さらに、この効果はインサートの形状と大きさを調整することによって最適化できることも実証された。このような最適化されたインサートは、特に特許請求の範囲の従属項の主題である。
【0009】
このインサートをできるだけ容易且つ費用効果の高い方法で製作することにより、本発明の経済及び環境面をさらに改善できる。このようなインサートの使用は、高価な、及び/又はリサイクルが難しい製品の場合に特に有利である。
【0010】
本発明の中核をなす概念は、このような容器の内容物を排出する既知のプロセスを、この排出プロセス又は機器(例えば、ポンプ)を変更せずに最適化することである。変更するのではなく、本発明によれば、内容物排出プロセスを最適化するためにインサートをさらに含む容器が提供される。このようにして、顧客は機器にもプロセスにも調整や変更を加える必要がない。
【0011】
ある例示的実施形態において、インサートは容器に対して、空間が2~10cm、好ましくは3~9cm、特に好ましくは3~8cmとなるような寸法を有する。
【0012】
ある例示的実施形態において、インサートの高さは容器の高さの1~6%、好ましくは1.5~4%である。
【0013】
ある例示的実施形態において、インサートの高さは1~6cm、好ましくは1.5~4cmである。
【0014】
ある例示的実施形態において、インサートは長方形又は台形又は多角形の断面を有する。
【0015】
ある例示的実施形態において、インサートは実質的に円錐台形として、又は台座の上の円錐台形として、又はアールの付けられた、若しくは面取りされた上縁部を有する円筒形として形成される。
【0016】
ある例示的実施形態において、インサートは少なくとも2つのスペーサを有し、これらは、インサートと側壁との間の空間にまたがり、その結果として底部の上のインサートの位置を事前に規定するような大きさとされ、そのように配置される。
【0017】
ある例示的実施形態において、インサートは少なくとも3つ又は少なくとも4つのスペーサを有する。
【0018】
ある例示的実施形態において、インサートは、インサートと側壁との間の空間にまたがり、その結果として底部の上のインサートの位置を事前に特定するような大きさであり、そのように配置されるスペーサとして、一周するリングを有する。
【0019】
ある例示的実施形態において、一周するリングとインサートは一体に、及び/又は同じ材料で形成される。
【0020】
ある例示的実施形態において、1つ又は複数のスペーサは、インサートより低い高さ、特にインサートの高さの半分未満の高さを有し、及び/又は特に、スペーサの高さはインサートの高さの20~60%である。
【0021】
ある例示的実施形態において、インサートは発泡プラスチック材料から形成される。
【0022】
ある例示的実施形態において、インサートは一体部品として設計される。
【0023】
ある代替的実施形態において、インサートは複数の部品で形成され、個々の部品は特に同じ設計である。
【0024】
ある例示的実施形態において、製品は1成分形接着剤又はシーラント、特にポリウレタン、シラン末端ポリマ、エポキシ、又はシリコーンをベースとする組成物である。
【0025】
ある例示的実施形態において、フレキシブルライナーはフォイル(箔)/フィルムとして、特にアルミニウムフォイル(アルミニウム箔)として、又はポリエチレンフィルムとして形成される。
【0026】
ある例示的実施形態において、容器は金属薄板(金属シート)から形成される。
【0027】
ある例示的実施形態において、容器の容積は50~500l、好ましくは100~300lである。
【0028】
次に、本発明の詳細及び利点を例示的実施形態により、また概略図を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1a】先行技術による、その中に製品が包装された容器の概略図を示す。
図1b】その中に製品が包装され、インサートを備える容器の概略図を示す。
図2a】先行技術による、その中に製品が包装された容器の、製品がポンプにより取り出されているときの概略図を示す。
図2b】その中に製品が包装され、インサートを備える容器の、製品がポンプにより取り出されているときの概略図を示す。
図3a-5b】各種のインサートの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1aに、先行技術による、その中に製品Aが包装されている容器1が示されている。容器1は円筒形であり、底部2、側壁3、及び蓋4を有する。製品Aはさらに、ライナー5の中に格納される。
【0031】
変わって図2bには、その中に製品Aが包装されている容器1が示されているが、この容器1はさらにインサート6を含む。このインサート6は、容器1の底部2の上の、ライナー5に格納された製品Aの下に配置される。ここで、インサート6の直径は容器1の底部2より小さい。インサート6は実質的に底部2の中心に配置されているため、インサート6の周囲には側壁3から間隔9が空いている。インサート6はさらに、高さ10を有する。
【0032】
図2aに、先行技術による、ポンプ7により取り出されているときの、その中に製品Aが包装されている容器1が示されている。取り出し中、ライナー5が製品Aの上部でカットされ、取り出し装置(その全体は図示せず)の従動プレート8が今度は製品Aを圧迫し、それによって製品Aは-重力に反して-ポンプ7に向かって圧搾される。すると、ポンプ7は製品Aを引き続き、例えば塗布ロボット(図示せず)の方向へと輸送する。
【0033】
ライナー5内の製品Aを漸進的に圧縮することにより、ライナー5はそれぞれ側壁3の隣でひだ状に折り畳まれる。ある地点からライナー5のこれらのひだによって製品Aがそれ以上圧縮されなくなるが、これは、さらに圧縮すると、ひだによる過剰な抵抗が生じるからである。これによって製品Aを完全に輸送しきる(すなわち、空になるまで排出する、又は消費する)前に取り出しプロセスが止まってしまう。
【0034】
変わって図2bには、ポンプ7により取り出されているときの、その中に製品Aが包装された容器1が示されている。しかしながら、ここでは容器1はさらにインサート6を含み、これは容器1の底部2の上に配置されている。インサート6を底部2の上の中心に配置することにより、ライナー5のひだはインサート2と側壁3との間の領域の中へと少なくとも部分的に逃げることができる。その結果、図2aに示されるような、インサート6を持たない場合より、全体としてより多くの製品Aを輸送することができる。
【0035】
図3a~5bにはインサート6の各種の例示的実施形態が、各々、空間図と断面図で示されている。
【0036】
第一の例示的なインサート6は図3a及び3bに示されている。このインサート6は、実質的に長方形の断面を有する。さらに、このインサート6は複数の部品で形成され、4つの同じ部品を使って1つのインサート6が形成される。このインサート6はスペーサを持たない。
【0037】
図4a及び4bに第二の例示的なインサート6が示されている。このインサート6は実質的に台形の断面を有する。さらに、このインサート6は複数の部品で形成され、4つの同じ部品を使って1つのインサート6が形成される。このインサート6は4つのスペーサ12を有し、各部品が1つのスペーサ12を有する。
【0038】
図5a及び5bに第三の例示的なインサート6が示されている。このインサート6は実質的に長方形の断面を有する。さらに、このインサート6は一体部品で形成される。このインサート6は、インサート6の周囲の一周するリングとして形成される。
【符号の説明】
【0039】
1 容器
2 底部
3 側壁
4 蓋
5 ライナー
6 インサート
7 ポンプ
8 従動プレート
9 間隔
10 インサートの高さ
11 インサートの直径
12 スペーサ
A 製品
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
【国際調査報告】