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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】感熱性組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/90 20060101AFI20240905BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240905BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240905BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K8/90
A61K8/37
A61K8/06
A61Q19/00
A61K8/31
A61K8/81
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514716
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2022074206
(87)【国際公開番号】W WO2023036666
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/117193
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,ジー フイ
(72)【発明者】
【氏名】リアオ,ラン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA161
4C083AA162
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC172
4C083AC331
4C083AC332
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD051
4C083AD052
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD352
4C083CC01
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE07
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、i)ポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックとポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含む水溶性ブロックコポリマーと、(ii)特に化粧品有効成分の送達のための、少なくとも1つのエステル系軟化剤及び/又はアルカン系軟化剤とを含む感熱性組成物、並びにその調製方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックと、ポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含む水溶性ブロックコポリマーと、(b)少なくとも1つのエステル系軟化剤及び/又はアルカン系軟化剤と、(c)少なくとも1つの乳化剤と、を含み、5~40℃、好ましくは6~40℃、より好ましくは15~40℃のテクスチャー転移温度を有する感熱性組成物。
【請求項2】
前記ブロックコポリマーは、式-[CHCHO]-のポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックと、式-[CHCH(CH)O]-のポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックと、を含み、a及びbは、それぞれ独立して、10~160の数を表す、請求項1に記載の感熱性組成物。
【請求項3】
前記ブロックコポリマーは、以下の一般式:
【化1】
(式中、aは、40~160、好ましくは50~150、より好ましくは55~145の数を表し、bは、30~80、好ましくは35~70、より好ましくは40~60の数を表す)によって表されるトリブロックEO-PO-EOコポリマーである、請求項1又は2に記載の感熱性組成物。
【請求項4】
前記感熱性組成物は、前記感熱性組成物の総重量に基づいて、5重量%以上、好ましくは5~20重量%、より好ましくは6~18重量%、最も好ましくは7~15重量%、特に8~13重量%の成分(a)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の感熱性組成物。
【請求項5】
エステルは、少なくとも1つの酸と少なくとも1つのアルコールから形成され、前記個々の酸と前記個々のアルコールの炭素原子の総数は、42以下、好ましくは28以下、より好ましくは22以下であり、前記個々の酸と前記個々のアルコールの炭素原子の数の差の絶対値は、15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の感熱性組成物。
【請求項6】
前記酸部位は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、少なくとも3つのカルボキシル基を含むポリカルボン酸、又は炭酸から誘導される、請求項5に記載の感熱性組成物。
【請求項7】
前記モノカルボン酸は、飽和モノカルボン酸、好ましくは、カプロン酸、イソヘプタン酸、4-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、4,5-ジメチルヘキサン酸、2-ヘプチルヘプタン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、カプリル酸、イソオクタン酸、ノナン酸、イソノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、不飽和モノカルボン酸、好ましくは、カプロレイン酸、オブツシル酸、ウンデシレン酸、ドデシレン酸、リンデル酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、並びに芳香族モノカルボン酸、好ましくは、安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、4-tert-ブチル-安息香酸、より好ましくは、2-エチルヘキサン酸、カプリル酸、イソオクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソヘプタン酸、イソノナン酸、ノナン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、コシン酸又はこれらの組み合わせである、請求項6に記載の感熱性組成物。
【請求項8】
前記ジカルボン酸は、デカン二酸、ドデカン二酸、スベリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸又はこれらの組み合わせである、請求項6に記載の感熱性組成物。
【請求項9】
前記アルコール部位は、モノアルコール、ジオール、又はポリオールから誘導される、請求項5~8のいずれか一項に記載の感熱性組成物。
【請求項10】
前記モノアルコールは、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、イソオクタノール、n-ノナノール、イソノナノール、n-ドデカノール、n-トリデカノール、n-テトラデカノール、n-ペンタデカノール、セテアリルアルコール、オレイン酸アルコール、オクチルドデカノール、デシルアルコール、又はこれらの組み合わせである、請求項9に記載の感熱性組成物。
【請求項11】
前記ジオールは、非分岐又は分岐脂肪族C-C-アルカンジオール、好ましくは非分岐又は分岐C2--アルカンジオール、より好ましくは、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又はこれらのジオールの混合物である、請求項9に記載の感熱性組成物。
【請求項12】
前記ポリオールは、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセロール、又はジトリメチロールプロパンである、請求項9に記載の感熱性組成物。
【請求項13】
前記アルカンは、直鎖アルカン、パラフィン油、及び水素化ポリイソブテンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1~12のいずれか一項に記載の感熱性組成物。
【請求項14】
前記感熱性組成物は、前記感熱性組成物の総重量に基づいて、0超~60重量%、好ましくは4~55重量%、より好ましくは5~50重量%、最も好ましくは10~45重量%、特に25~45重量%の成分(b)を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の感熱性組成物。
【請求項15】
成分(a)及び(b)の重量%での量は、以下の式:(a)+(b)/9≧11.5、好ましくは25.0≧(a)+(b)/9≧11.5、より好ましくは15.0≧(a)+(b)/9≧11.5を満たす、請求項1~14のいずれか一項に記載の感熱性組成物。
【請求項16】
前記感熱性組成物は、前記感熱性組成物の総重量に基づいて、5重量%以上、好ましくは5~20重量%、より好ましくは6~18重量%、最も好ましくは7~15重量%、特に8~13重量%の成分(a)、及び、0超~60重量%、好ましくは4~55重量%、より好ましくは5~50重量%、最も好ましくは10~45重量%、特に25~45重量%の成分(b)を含み、成分(a)及び(b)の重量%での量は、以下の式:(a)+(b)/9≧11.5、好ましくは25.0≧(a)+(b)/9≧11.5、より好ましくは15.0≧(a)+(b)/9≧11.5を満たす、請求項1~15のいずれか一項に記載の感熱性組成物。
【請求項17】
前記乳化剤は、非イオン性乳化剤とアニオン性乳化剤とを含み、及び/又は、前記感熱性組成物は、前記感熱性組成物の総重量に基づいて、0.1~30重量%、好ましくは0.5~25重量%、より好ましくは1~20重量%、最も好ましくは2~15重量%、特に3~10重量%の前記乳化剤を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の感熱性組成物。
【請求項18】
前記感熱性組成物の成分を混合することを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の感熱性組成物を調製するための方法。
【請求項19】
化粧品有効成分の送達システムとしての請求項1~17のいずれか一項に記載の感熱性組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に化粧品有効成分を送達するための感熱性組成物、及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品用途における感熱性システムは、例えば、テクスチャーの変換、活発な(smart)粘度制御、能動的な放出制御、熱によるSPFの向上、フィルムの形成、及び均一な粉末の分布など、多くの独自の利点をもたらすことができる。
【0003】
ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの水溶性ブロックコポリマーは、感熱性挙動を有する古典的な一連の材料である。
【0004】
現在、感熱性挙動を有するこれらの材料の主な用途は、パーソナルケア及び医薬分野における可溶化及び能動的な放出制御である。いくつかの従来技術は、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの水溶性ブロックコポリマーを含むヒドロゲル組成物にも焦点を当てており、これらは、室温以下で液体状態であり、続いて、塗布後に体温まで温められるとゲル形態に変化する。
【0005】
米国特許第4188373A号明細書では、水性医薬組成物におけるポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの非イオン性ブロックコポリマーの使用を開示している。これらの系では、ポリマーの濃度が調整されて、望ましいゾルゲル転移温度が得られる。
【0006】
米国特許第8865143B号明細書では、約4~50℃の温度範囲でゲル形態を有する、逆熱可逆性ヒドロゲル組成物を開示している。
【0007】
しかしながら、エマルジョン系におけるポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの水溶性ブロックコポリマーの感熱性用途は、市場では依然としてまれである。ゲルタイプの様式では、通常、感熱性挙動を実現するために、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの高レベルの水溶性ブロックコポリマーが必要であるが、これは、不快な感覚、コストの上昇、及び配合の適合性の低下につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、組成物中のポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの水溶性ブロックコポリマーの含有量を減らしながら、期待される感熱性挙動を得るために特定の軟化剤(emollient)を選択することによって最適化された配合系を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、(a)ポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックと、ポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含む水溶性ブロックコポリマーと、(b)少なくとも1つのエステル系軟化剤及び/又はアルカン系軟化剤と、(c)少なくとも1つの乳化剤と、を含む、5~40℃のテクスチャー転移温度を有する感熱性組成物によって達成できることが見出された。
【0010】
特に、本発明は、以下の態様に関する。
【0011】
第1の態様では、本発明は、(a)ポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックと、ポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含む水溶性ブロックコポリマーと、(b)少なくとも1つのエステル系軟化剤及び/又はアルカン系軟化剤と、(c)少なくとも1つの乳化剤と、を含む、5~40℃のテクスチャー転移温度を有する感熱性組成物を提供する。
【0012】
第2の態様では、本発明は、感熱性組成物の成分を混合することを含む、本発明による感熱性組成物を調製するための方法を提供する。
【0013】
第3の態様では、本発明は、化粧品有効成分の送達システムとしての本発明による感熱性組成物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明はここで、以下に詳細に説明される。本発明は、多くの異なった方法で具体化することができ且つ本明細書に示される実施形態に限定されるとして解釈されないと理解されるべきである。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。
【0015】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、複数の指示物を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」等は、「含む(contain)」、「含む(containing)」等と互いに交換可能に使用され、非限定的な、開いた方法で解釈されるべきである。即ち、例えば、更なる成分又は要素が存在していることができる。「からなる(consists of)」又は「本質的に~からなる(consists essentially of)」等の表現は、「含む(comprises)」等に包含され得る。
【0017】
本発明の第1の態様は、(a)ポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックと、ポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含む水溶性ブロックコポリマーと、(b)少なくとも1つのエステル系軟化剤及び/又はアルカン系軟化剤と、(c)少なくとも1つの乳化剤と、を含む、5~40℃のテクスチャー転移温度を有する感熱性組成物を提供する。特に、例えば、テクスチャー転移は、液体テクスチャーから半固体又は固体テクスチャーへの転移である。より具体的には、例えば、テクスチャーの転移は、ローション又は流動するエマルジョンのテクスチャーからクリームのテクスチャーへの転移である。
【0018】
好ましくは、本発明による感熱性組成物は、6~40℃、例えば、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、より好ましくは15~40℃のテクスチャー転移(例えば、ローションからクリームへ)温度を有する。
【0019】
水溶性ブロックコポリマー(a)
本発明に関連して、感熱性組成物は、成分(a)としてポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックと、ポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含む水溶性ブロックコポリマーを含む。
【0020】
「ポリエチレンオキシド」、「PEO」、「EO」、「ポリエチレングリコール」、及び「PEG」という用語は、本発明を説明するために互換的に使用され、以下の化学構造:
【化1】
(式中、aは、モノマー繰り返し単位の平均数を表す整数である)によって表されるエチレンオキシドの合成ポリマーを指す。
「ポリプロピレンオキシド」、「PPO」、「PO」、「ポリプロピレングリコール」、及び「PPG」という用語は、本発明を説明するために互換的に使用され、以下の化学構造:
【化2】
(式中、bは、モノマー繰り返し単位の平均数を表す整数である)によって表されるプロピレンオキシドの合成ポリマーを指す。
【0021】
ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーは、分子量は様々であり、直鎖マルチブロックコポリマー、側鎖グラフトブロックコポリマー、及び超分岐型ブロックコポリマーから星型ブロックコポリマーまでに渡る様々なタイプの、ポリエチレンオキシドブロック(式1)とポリプロピレンオキシドブロック(式2)の合成コポリマーを指す。ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーは、様々なタイプの末端修飾された鎖延長型ブロックコポリマーも含む。
【0022】
特に興味深い本発明の水溶性ブロックコポリマーは、式-[CHCHO]-のポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックと、式-[CHCH(CH)O]-のポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含むブロックコポリマーであり、式中、aは、約10~160、好ましくは約40~160、より好ましくは約50~150、最も好ましくは約55~145の数を表し、bは、約10~160、好ましくは約30~80、より好ましくは約35~70、最も好ましくは約40~60の数を表す。
【0023】
本発明のポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックとポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含む例示的な水溶性ブロックコポリマーは、BASF Corporation,Mount Olive,N.J.のポロクサマーとしても知られているPLURONIC(登録商標)という商標名で市販されているトリブロックコポリマーである。一般式HO-(EO)(PO)(EO)-Hを有する好ましいポロクサマーポリマーは、それぞれ、aの平均値は、約101、bの平均値は、約56である、PLURONIC(登録商標)F127(ポロクサマー407としても知られている)であり、aの平均値は、約141、bの平均値は、約44である、PLURONIC(登録商標)F108(ポロクサマー338としても知られている)である。
【0024】
本発明のポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックとポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含む他の例示的な水溶性ブロックコポリマーは、一般式HO-[(PO)(EO)(PO)[(EO)(PO)-Hを有する直鎖マルチブロックコポリマーであり、式中、(EO)は、ポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)又は(PO)は、ポリプロピレンオキシドブロックであり、a、b、及びcはそれぞれ、約10~160の数を表し、mは、0より大きい整数値である。
【0025】
本発明の他の水溶性マルチブロックコポリマーは、式{[A(EO)(PO)(EO)]E}の鎖延長型、超分岐型、又は星型ブロックコポリマーであり、式中、(EO)は、ポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)は、ポリプロピレンオキシドブロックであり、Aは、モノマー繰り返し単位であり、Eは、鎖延長剤又は架橋剤であり、nは、0~50の範囲の整数であり、好ましくは1~20(非生分解性材料の場合は0~20)、更により好ましくは2~16(非生分解性材料の場合は0~16)であり、mは、ポリマー分子中の繰り返し単位の数であり、2以上(実用的な制限内で、約100,000以上まで)、好ましくは約2~約500、より好ましくは約3~100の範囲の整数である。従って、nが0である場合、本発明は、構造{[(EO)(PO)(EO)]E}のポリマーを企図する。
【0026】
本発明の他の水溶性ブロックコポリマーは、一般式R-G-(EO)(PO)(EO)-G-Rの末端修飾されたブロックコポリマーであり、式中、(EO)は、ポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)は、ポリプロピレンオキシドブロックであり、Gは、C-C、C-O、C(O)NH、S-C、C(O)-O、及びSi-Oからなる群から選択され、Rは、C-C36の範囲のアルキル鎖長を有するアルキル又はアリールアルキルであり、aは、50~150の範囲の整数であり、bは、35~70の範囲の整数である。
【0027】
例示的な水溶性ブロックコポリマーは、ポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックとポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックとを含むアルキル又はアリールアルキル末端修飾剤ブロックコポリマーであり、これらは、末端アルキル基又はアリールアルキル基とのアルコール縮合反応の生成物である。アルキル基は、ブチル、ヘキシルなどの疎水性を有していなければならない。アルキルポロクサマーは、一般式R-[(EO)(PO)(EO)-R’を有し得、式中、(EO)は、ポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)は、ポリプロピレンオキシドブロックであり、R及びR’は、C-C36の範囲のアルキル鎖長を有するアルキル及びアリールアルキルなどの非極性基であり、mは、1~10の範囲の整数である。
【0028】
本発明の他の例示的な水溶性ブロックコポリマーは、ポリエチレンオキシドの少なくとも2つのブロックとポリプロピレンオキシドの少なくとも1つのブロックのグラフト化側鎖を含む、一般式[A(EO)(PO)(EO)を有するグラフト化ブロックコポリマーであり、式中、(EO)は、ポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)は、ポリプロピレンオキシドブロックであり、a及びbは、それぞれ独立して、約10~150の数を表す。Aは、ビニル、エステル、アミド、イミド、エーテル、シロキサン結合などからなるコポリマーの主鎖のモノマー繰り返し単位であり、mは、ポリマー分子中の繰り返し単位の数であり、2以上の整数である。
【0029】
本発明の他の水溶性マルチブロックコポリマーは、式{[A(EO)(PO)(EO)]E}のポリエステル鎖延長型ブロックコポリマーであり、式中、(EO)は、ポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)は、ポリプロピレンオキシドブロックであり、Aは、モノマー繰り返し単位であり、(EO)は、ポリエチレンオキシドブロックであり、(PO)は、先に定義されたポリプロピレンオキシドブロックであり、Eは、鎖延長剤又は架橋剤であり、nは、0~50、好ましくは1~20(非生分解性材料の場合は0~20)、更により好ましくは2~16(非生分解性材料の場合は0~16)の範囲の整数であり、mは、ポリマー分子内の繰り返し単位の数であり、2以上(実用的な制限内で、約100,000以上まで)、好ましくは約2~約500、より好ましくは約3~100の範囲の整数である。従って、nが0である場合、本発明は、構造{[(EO)(PO)(EO)]E}のポリマーを企図する。
【0030】
モノマー繰り返し単位は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸又は関連するエステル、ラクトン、二量体エステル、炭酸、無水物、ジオキサノン、アミド、又は関連するモノマーから誘導されることができ、好ましくは、脂肪族α-ヒドロキシカルボン酸又は関連するエステルから誘導されることができ、このような単位は、以下から誘導される:例えば、乳酸、ラクチド、グリコール酸、グリコリド、又は関連する脂肪族ヒドロキシルカルボン酸、エステル(ラクトン)、ダイマー酸、又は例えば、β-プロピオラクトン、ε-カプロラクトン、δ-グルタロラクトン、δ-バレロラクトン、β-ブチロラクトン、ピバロラクトン、α,α-ジエチルプロピオラクトン、炭酸エチレン、炭酸トリメチレン、γ-ブチロラクトン、p-ジオキサノン、1,4-ジオキセパン-2-オン、3-メチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン、3,3-ジメチル-1-4-ジオキサン-2,5-ジオンなどの関連化合物、α-ヒドロキシ酪酸、α-ヒドロキシ吉草酸、α-ヒドロキシイソ吉草酸、α-ヒドロキシカプロン酸、α-ヒドロキシ-α-エチル酪酸、α-ヒドロキシイソカプロン酸、α-ヒドロキシ-α-メチル吉草酸、α-ヒドロキシヘプタン酸、α-ヒドロキシステアリン酸、α-ヒドロキシリグノセリン酸、サリチル酸及びこれらの混合物の環状エステルなど。本発明では、α-ヒドロキシ酸及びこれらの対応する環状二量体エステル、特にラクチド、グリコリド、及びカプロラクトンの使用が好ましい。本発明による記載されたモノマーのいくつかを使用する際、生成されるモノマー単位は、特にエステル基ではないが、カーボネート基(ポリカーボネート)、アミノ酸(ポリアミドを生成する)などの基、及び上述のモノマーから誘導される又は求核基及び求電子基を含み重合可能な関連する基を含み得ることに留意されたい。ポリエステルという用語は、上記モノマーの全てから誘導されるポリマーを包含し、実際にエステル単位を生成するポリマーが好ましいことが理解されるであろう。
【0031】
「ポリ(ヒドロキシカルボン酸)」又は「ポリ(α-ヒドロキシカルボン酸)」という用語は、本発明に従って使用される{[A(BCB)A]E}マルチブロックの特定のポリエステルAブロックを説明するために使用される用語であり、この場合、Aは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸又は関連するエステル又は二量体エステルから誘導されるポリマーポリエステル単位であり、本明細書に記載されているその他多数の中で、好ましくは、例えば、乳酸、ラクチド、グリコール酸、グリコリドなどの、脂肪族α-ヒドロキシカルボン酸、又は環状二量体エステルを含む関連するエステル、或いは例えば、ε-カプロラクトン、δ-グルタロラクトン、δ-バレロラクトン、γ-ブチロラクトン及びこれらの混合物などの、関連する脂肪族ヒドロキシカルボン酸又はエステル(ラクトン)から誘導される。 本発明では、α-ヒドロキシ酸及びこれらの対応する環状二量体エステル、特にラクチド及びグリコリドの使用が好ましい。
【0032】
好ましい一実施形態では、本発明の水溶性ブロックコポリマーは、以下の一般式:
【化3】
(式中、aは、40~160、好ましくは50~150、より好ましくは55~145の数を表し、bは、30~80、好ましくは35~70、より好ましくは40~60の数を表す)によって表されることができるトリブロックEO-PO-EOコポリマーである。
【0033】
好ましくは、本発明による感熱性組成物は、感熱性組成物の総重量に基づいて、5重量%以上、好ましくは5~20重量%、より好ましくは6~18重量%、最も好ましくは7~15重量%、特に8~13重量%の成分(a)を含むことができる。
【0034】
エステル/アルカン系軟化剤(b)
本発明に関連して、感熱性組成物は、成分(b)として少なくとも1つのエステル系軟化剤及び/又はアルカン系軟化剤を含む。
【0035】
本明細書で使用される「軟化剤」という用語は、皮膚の保護だけでなく、乾燥の予防又は軽減にも有用な材料を指す。
【0036】
エステル系軟化剤では、エステルは、少なくとも1つの酸と少なくとも1つのアルコールから形成され、個々の酸と個々のアルコールの炭素原子の総数は、42以下、好ましくは28以下、好ましくは22以下であり、個々の酸と個々のアルコールの炭素原子の数の差の絶対値は、15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。
【0037】
エステルにおいて、酸部位は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、少なくとも3つのカルボキシル基を含むポリカルボン酸、又は炭酸から誘導されることができる。
【0038】
モノカルボン酸は、5~26の炭素原子、好ましくは6~22の炭素原子、より好ましくは6~18の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、或いは更には芳香族、直鎖、又は分岐であり得る。
【0039】
使用できるモノカルボン酸の中では、単独又は混合で以下のものを挙げることができる:
飽和モノカルボン酸、例えば、カプロン酸、イソヘプタン酸、4-エチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、4,5-ジメチルヘキサン酸、2-ヘプチルヘプタン酸、3,5,5-トリメチルヘキサン酸、カプリル酸、イソオクタン酸、ノナン酸、イソノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、コシン酸など、及び
不飽和モノカルボン酸、例えば、カプロレイン酸、オブツシル酸、ウンデシレン酸、ドデシレン酸、リンデル酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、エルカ酸など、及び芳香族モノカルボン酸、安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、4-tert-ブチル-安息香酸など。
【0040】
好ましくは、以下のものを使用できる:2-エチルヘキサン酸、カプリル酸、イソオクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソヘプタン酸、イソノナン酸、ノナン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、コシン酸、安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、又はこれらの組み合わせ。
【0041】
ジカルボン酸は、5~15の炭素原子、好ましくは6~12の炭素原子、より好ましくは6~10の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、或いは更には芳香族、直鎖又は分岐であり得る。
【0042】
好ましくは、前記ジカルボン酸は、脂肪族であり、5~15の炭素原子、好ましくは6~12の炭素原子、より好ましくは6~10の炭素原子を含む。
【0043】
使用できるジカルボン酸の中では、単独又は混合で以下のものを挙げることができる:
デカン二酸、ドデカン二酸、スベリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸。
【0044】
ポリカルボン酸は、少なくとも3つのカルボキシル基、好ましくは3~4のカルボキシル基、より好ましくは3つのカルボキシル基を含む、飽和又は不飽和、或いは更には芳香族、直鎖又は分岐であり得る。
【0045】
前記ポリカルボン酸は、5~15の炭素原子、好ましくは6~12の炭素原子、より好ましくは6~10の炭素原子を含むことができる。
【0046】
好ましくは、前記ポリカルボン酸は、脂肪族であり、5~15の炭素原子、好ましくは6~12の炭素原子、より好ましくは6~10の炭素原子を含む。好ましくは、前述のポリカルボン酸は、3つのカルボキシル基を含む。
【0047】
使用できるポリカルボン酸の中では、単独又は混合で以下のものを挙げることができる:
トリメリット酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸などのトリカルボン酸、並びに
ブタンテトラカルボン酸及びピロメリット酸などのテトラカルボン酸。
エステルでは、アルコール部位は、モノアルコール、ジオール、又はポリオールから誘導されることができる。
【0048】
モノアルコールは、非分岐又は分岐脂肪族C-C25-アルコール、好ましくはC-C22-アルコール、より好ましくはC4-20-アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、イソペンタノール、tert-ペンタノール、n-ヘキサノール、メチル-2-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-エチルヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、イソオクタノール、2-エチルヘキサノール、n-ノナノール、イソノナノール、2-プロピルヘキサノール、n-デカノール、イソデカノール、2-プロピルヘプタノール、n-ウンデカノール、n-ドデカノール、n-トリデカノール、n-テトラデカノール、n-ペンタデカノール、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0049】
好ましいモノアルコールは、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、イソオクタノール、n-ノナノール、イソノナノール、n-ドデカノール、n-トリデカノール、n-テトラデカノール、n-ペンタデカノール、セテアリルアルコール、オレイン酸アルコール、オクチルドデカノール、デシルアルコール、又はこれらの組み合わせである。
【0050】
ジオールは、非分岐又は分岐脂肪族C-C-アルカンジオール、より好ましくは非分岐又は分岐C-C-アルカンジオール、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又はこれらのジオールの混合物であり得る。より具体的には、一般式(I)のポリエステル可塑剤の調製に使用されるジオールは、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、又はこれらの混合物である。
【0051】
ポリオールは、非分岐又は分岐脂肪族であり、3~4のヒドロキシル基を含む。
【0052】
好ましくは、前記ポリオールは、3~15の炭素原子、好ましくは3~12、より好ましくは4~10の炭素原子を含む。
【0053】
使用できるポリオールの中では、単独又は混合で以下のものを挙げることができる:
トリオール、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、及び
テトラオール、例えば、ペンタエリスリトール(テトラメチロールメタン)、エリスリトール、ジグリセロール、又はジトリメチロールプロパン。
【0054】
好ましい一実施形態では、エステルは、カプリル酸、イソノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、アジピン酸、炭酸、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの酸、及びn-ブタノール、n-ヘキサノール、n-オクタノール、イソノナノール、n-ドデカノール、n-トリデカノール、n-テトラデカノール、n-ペンタデカノール、グリセロール、ペンタエリスリトール、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのアルコールから形成される。
【0055】
特に好ましい一実施形態では、エステルは、アジピン酸ジブチル、ラウリン酸ヘキシル、C12-15-アルキル安息香酸、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリエチルヘキサノイン、炭酸ジカプリリル、イソノナン酸イソノニル、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0056】
アルカン系軟化剤としては、直鎖アルカン、パラフィン油、及び水素化ポリイソブテンからなる群から選択される少なくとも1つが本発明に適している。
【0057】
本発明に適したアルカンの例として、n-ヘプタン(C)、n-オクタン(C)、n-ノナン(C)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)及びn-テトラデカン(C14)、n-ペンタデカン(C15)及びこれらの混合物を挙げることができる。特定の一実施形態によれば、直鎖アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、及びn-ペンタデカン、並びにこれらの混合物から選択される。
【0058】
好ましい一実施形態によれば、n-ウンデカン(C1 1)とn-トリデカン(C13)の混合物(BASFのCETIOL(登録商標)ULTIMATEとして市販されている)を挙げることができる。
【0059】
本発明によれば、使用され得る本発明による有利なパラフィン油は、Mercur VaselineのMerkur white oil Pharma 40、Shell & DEA Oilの、Shell Ondina 917、Shell Ondina 927、Shell Oil 4222、Shell Ondina 933、Pionier 6301 S、Pionier 2071(Hansen & Rosenthal)である。
【0060】
本発明によれば、使用され得る本発明による有利な水素化ポリイソブテンは、BASFから市販されているLUVITOL(登録商標)LITE EMである。
【0061】
好ましくは、本発明による感熱性組成物は、感熱性組成物の総重量に基づいて、0超~60重量%、好ましくは4~55重量%、より好ましくは5~50重量%、最も好ましくは10~45重量%、特に25~45重量%の成分(b)を含むことができる。
【0062】
一実施形態では、成分(a)及び(b)の重量%での量は、以下の式:(a)+(b)/9≧11.5、好ましくは25.0≧(a)+(b)/9≧11.5、より好ましくは15.0≧(a)+(b)/9≧11.5を満たす。
【0063】
1つの好ましい実施形態では、本発明による感熱性組成物は、感熱性組成物の総重量に基づいて、5重量%以上、好ましくは5~20重量%、より好ましくは6~18重量%、最も好ましくは7~15重量%、特に8~13重量%の成分(a)、及び、0超~60重量%、好ましくは4~55重量%、より好ましくは5~50重量%、最も好ましくは10~45重量%、特に25~45重量%の成分(b)を含み得、成分(a)及び(b)の重量%での量は、以下の式:(a)+(b)/9≧11.5、好ましくは25.0≧(a)+(b)/9≧11.5、より好ましくは15.0≧(a)+(b)/9≧11.5を満たす。
【0064】
乳化剤(c)
本発明に関連して、感熱性組成物は、成分(c)として少なくとも1つの乳化剤を含む。
【0065】
化粧品用途又はパーソナルケア用途において任意の従来使用されている乳化剤を、本組成物に使用することができる。
【0066】
乳化剤は、例えば、以下を含み得る:
カルボン酸及びその塩:ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムのアルカリ性石鹸、カルシウム又はマグネシウムの金属石鹸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸などの有機系石鹸。アルキルホスフェート又はリン酸エステル、酸ホスフェート、ジエタノールアミンホスフェート、カリウムセチルホスフェート。エトキシル化カルボン酸又はポリエチレングリコールエステル、PEG-nアシル酸。アルキル基において、8~22の炭素原子を有する直鎖脂肪アルコール、12~22の炭素原子を有する脂肪酸との及び8~15の炭素原子を有するアルキルフェノールとの分岐した2~30モルのエチレンオキシド及び/又は0~5モルのプロピレンオキシド。ベヘネス-n(例えば、ベヘネス-25(Eumulgin(登録商標)BA25))、ラウレス-n、セテアレス-n、ステアレス-n、オレス-nなどの脂肪アルコールポリグリコールエーテル。PEG-nステアリン酸、PEG-nオレイン酸、PEG-nココ酸などの脂肪酸ポリグリコールエーテル。モノグリセリド及びポリオールエステル。1~30モルのエチレンオキシドとポリオールとの付加生成物のC12-C22脂肪酸モノエステル及びジエステル。モノステアレートグリセロール、ジイソステアロイルポリグリセリル-3-ジイソステアレート、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、トリグリセリルジイソステアレート、ポリグリセリル-2-セスキイソステアレート、ポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート、又はポリグリセリルダイマーレートなどの脂肪酸及びポリグリセロールエステル。複数のこれらの物質の部類からの化合物の混合物も適している。モノステアレートジエチレングリコールなどの脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸及びポリエチレングリコールエステル、スクロエステルなどの脂肪酸及びサッカロースエステル(例えば、スクロースポリステアレート(Emulgade(登録商標)Sucro))、グリセロール及びスクロースエステル、例えば、スクログリセリド。ソルビトール及びソルビタン、6~22の炭素原子を有する飽和及び不飽和脂肪酸のソルビタンモノエステル及びジエステル、並びにエチレンオキシド付加生成物。ポリソルベート-nシリーズ、セスキイソステアリン酸、ソルビタン、PEG-(6)-イソステアリン酸ソルビタン、PEG-(10)-ラウリン酸ソルビタン、PEG-17-ジオレイン酸ソルビタンなどのソルビタンエステル。グルコース誘導体、C-C22アルキルモノグリコシド及びオリゴグリコシド、並びにグルコースが糖成分として好ましいエトキシル化類似体。セスキステアリン酸メチルグルセス-20、ステアリン酸ソルビタン/スクロースココエート、セスキステアリン酸メチルグルコース、セテアリルアルコール/セテアリルグルコシドなどのO/W乳化剤。ジオレイン酸メチルグルコース/イソステアリン酸メチルグルコースなどのW/O乳化剤。硫酸塩及びスルホン化誘導体、ジアルキルスルホスクシナート、ジオクチルスクシナート、アルキルラウリルスルホネート、直鎖スルホン化パラフィン、スルホン化テトラプロプリンスルホネート、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム及びエタノールアミン、ラウイルエーテルスルフェート、ラウレス硫酸ナトリウム、スルホスクシネート、イソチオン酸アセチル、硫酸アルカノールアミド、タウリン、メチルタウリン、イミダゾールスルフェート、ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマー及び誘導体、ジメチコン、コポリオール、シリコーンポリエチレンオキシドコポリマー、シリコーングリコールコポリマー、プロポキシル化又はPOE-nエーテル(メロキサポール)、分子内に少なくとも1つの4級アンモニウム基と少なくとも1つのカルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有する両性イオン界面活性剤。特に適した両性イオン乳化剤は、それぞれアルキル基又はアシル基に8~18の炭素原子を有する、グリシン酸N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム、グリシン酸ココアルキルジメチルアンモニウム、グリシン酸N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム、グリシン酸ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウム及び2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリンなどのベタインであり、又グリシン酸ココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチル、N-アルキルベタイン、N-アルキルアミノベタイン、アルキルイミダゾリン、アルキルペプチド、リポアミノ酸、自己乳化性基剤、及びK.F.DePolo,A short textbook of cosmetology,Chapter 8,Table 8-7,p250-251に記載されている化合物である。
【0067】
一実施形態では、乳化剤は、例えば、非イオン性乳化剤、例えば、
(1)アルキル基において、8~40の炭素を含む直鎖脂肪アルコール、12~40の炭素を含む脂肪酸、及び8~15の炭素を含むアルキルフェノールに、2~50モルのエチレンオキシド及び/又は1~20モルのプロピレンオキシドを添加した生成物、
(2)グリセロールに1~50モルのエチレンオキシドを添加した生成物のC12-18脂肪酸モノエステル及びジエステル、
(3)6~22の炭素原子を含む飽和及び不飽和脂肪酸のソルビタンモノエステル及びジエステル、並びにこれらのエチレンオキシド付加物、
(4)アルキル基において8~22の炭素原子を含むアルキルモノグリコシド及びオリゴグリコシド、及びこれらのエトキシル化類似体、
(5)ヒマシ油及び/又は水素化ヒマシ油に7~60モルのエチレンオキシドを添加した生成物、
(6)ポリオールエステル、及び特に、ポリグリセロールエステル、例えば、ポリオールポリ-12-ヒドロキシステアレート、ポリグリセロールポリリシノレート、ポリグリセリル-4-ラウレート、ポリグリセロールジイソステアレート又はポリグリセロールダイマーレートなど、これらの部類のいくつかからの化合物の混合物も適している、
(7)ヒマシ油及び/又は水素化ヒマシ油に2~15モルのエチレンオキシドを添加した生成物、
(8)直鎖、分岐、不飽和又は飽和のC6-22脂肪酸、リシノール酸及び12-ヒドロキシステアリン酸及びポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)及びポリグルコシド(例えば、セルロース)又は混合エステル、並びにスクロース脂肪酸ポリエステル(例えば、C8-20、又はC12-C18、又はC14-18脂肪酸でエステル化されたスクロース)、例えばスクロースポリステアレート(BASFからEmulgade(登録商標)SUCROとして市販されている)に基づいた部分エステル、
(9)ポリシロキサン/ポリアルキルポリエーテルコポリマー又は対応する誘導体、並びに
(10)ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸及び脂肪アルコールの混合エステル、及び/又は6~22の炭素原子を含む脂肪酸の混合エステル、メチルグルコース及びポリオール、好ましくはグリセロール又はポリグリセロールなどを含み得る。
【0068】
一実施形態では、乳化剤は、例えば、PEG-2ステアリン酸SE、グリセリルステアリン酸SE、ステアリン酸プロピレングリコールなどのアニオン性乳化剤を含み得る。セテアリルアルコール及びセテアリル硫酸ナトリウム、セテアリルアルコール及びラウリル硫酸ナトリウム、トリラネス-4ホスフェート及びステアリン酸グリコール及びPEG-2ステアリン酸、ステアリン酸グリセリル及びラウリル硫酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム(例えば、Eumulgin(登録商標)SG)などのアニオン酸塩基。セテアリルアルコール及び臭化セトリモニウムなどのカチオン酸塩基。
【0069】
好ましい一実施形態では、組成物は、少なくとも1つの非イオン性乳化剤を含み、この場合、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化非イオン性界面活性剤又は非アルコキシル化非イオン性界面活性剤であり得る。好ましくは、アルキオキシル化非イオン性界面活性剤は、C12-C24脂肪酸エトキシレート、より好ましくはC16-C22脂肪酸エトキシレートであり、この場合、非アルコキシル化非イオン性乳化剤は、スクロース脂肪酸エステルである。
【0070】
より好ましい一実施形態では、組成物は、少なくとも1つのアニオン性乳化剤と、少なくとも1つの非イオン性乳化剤とを含み、この場合、少なくとも1つのアニオン性乳化剤は、N-アシルアミノ酸系界面活性剤である。N-アシルアミノ酸系界面活性剤の例としては、N-アシル化アラニン、N-アシルグルタミン酸、N-アクリルグリシン、N-アクリル化サルコシン、及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。特に、アミノ酸系界面活性剤は、C-C16アシルサルコシン酸、C-C16アシルグルタミン酸、C8-16アシルグリシン酸、又はこれらの組み合わせであり得る。C-C16アシルサルコシン酸、C-C16アシルグルタミン酸、及び/又はC8-16アシルグリシン酸は、それぞれ、アミノ酸サルコシン、グルタミン、又はグリシン、及び対応するC-C16脂肪酸に由来するアニオン性界面活性剤である。適切なC8-16アシルサルコシン酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム(C8-16アシルサルコシン酸ナトリウムの混合物である)、ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸アンモニウム、ココイルサルコシン酸アンモニウム、イソプロピルラウロイルサルコシン酸、ココイルサルコシン酸カリウム、ラウロイルサルコシン酸カリウム、及びこれらの組み合わせ、適切なC-C16グルタミン酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム(C8-16アシルグルタミン酸ナトリウムの混合物である)、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸アンモニウム、ココイルグルタミン酸アンモニウム、イソプロピルラウロイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、及びこれらの組み合わせ、適切なC-C16アシルグリシン酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ラウロイルグリシン酸ナトリウム、ココイルグリシン酸ナトリウム(C8-16アシルグリシン酸ナトリウムの混合物である)、ミリストイルグリシン酸ナトリウム、ラウロイルグリシン酸アンモニウム、ココイルグリシン酸アンモニウム、イソプロピルラウロイルグリシン酸、ココイルグリシン酸カリウム、ラウロイルグリシン酸カリウム、及びこれらの組み合わせ。1つ以上のC-C16アシルサルコシン酸、C8-16アシルグルタミン酸、及び/又はC-C16アシルグリシン酸も使用され得る。
【0071】
好ましくは、本発明による感熱性組成物は、感熱性組成物の総重量に基づいて、0.1~30重量%、好ましくは0.5~25重量%、より好ましくは1~20重量%、最も好ましくは2~15重量%、特に3~10重量%の乳化剤を含み得る。
【0072】
他の好ましい実施形態では、本発明による感熱性組成物は、以下の他の成分を更に含む。
【0073】
増粘剤
本発明による感熱性組成物に適した増粘剤は、多糖、好ましくは、キサンタンガム(例えば、Rheocare(登録商標)XGN(BASFから市販))、グアーガム、寒天、アルギン酸又はチロース、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシアルキルセルロースであり、この場合、アルキルは、C1--アルキルであり、特にヒドロキシエチルセルロース、好ましくはNatrosol(商標)商標、特に好ましくはHerkules IncorporatedのNatrosol(商標)250(CAS-番号9004-62-0)、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシカルボキシメチルセルロース、デンプン、好ましくは商標National 465、Purity W又はデンプン B990、及び又脂肪酸の比較的高い分子量のポリエチレングリコールモノエステル及びジエステル、脂肪アルコール、モノグリセリド及び脂肪酸である。
【0074】
適切な増粘剤はまた、ポリアクリレート、架橋ポリアクリル酸及びその誘導体、例えば、Tinovis(登録商標)CD、及びRheocare(登録商標)TTA(BASFから市販)、Carbopol(登録商標)(Lubrizolから市販)、Ultrez(登録商標)(Lubrizolから市販)、Luvigel(登録商標)EM(BASFから市販)、Cosmedia(登録商標)SP(BASFから市販)、Tinovis(登録商標)GTC UP(BASFから市販)、Capigel(登録商標)98(Seppicから市販)、Synthalene(登録商標)(Sigmaから市販)、Rohm and HaasのAculyn(登録商標)グレード、例えば、Aculyn(登録商標)22(ステアリル基を有するアクリレートとメタクリル酸エトキシレートのコポリマー(20エチレンオキシド(EO)単位))及びAculyn(登録商標)28(ベヘニル基を有するアクリレートとメタクリル酸エトキシレートのコポリマー(25EO単位))である。
【0075】
更に、適切な増粘剤は、例えば、エアゾールグレード(親水性シリカ)、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン、エトキシル化脂肪酸グリセリド、脂肪酸とポリオールとのエステル、例えば、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパンなど、狭い同族体分布を備えた脂肪アルコールエトキシレート、又はアルキルオリゴグルコシド、及び又塩化ナトリウム及び塩化アンモニウムなどの電解質である。
【0076】
増粘剤は、その種類に応じて、当技術分野における従来の量で存在し得る。当業者であれば、本発明に適切な増粘剤及び量を選択することができるであろう。
【0077】
本発明に関連して、増粘剤は、感熱性組成物の総重量に基づいて、0.01~3重量%、好ましくは0.05~2.0重量%、より好ましくは0.2~1.0重量%の量で存在し得る。
【0078】
防腐剤
本発明による感熱性組成物は、有利には、1つ以上の防腐剤を含むことができる。
【0079】
本発明の文脈における有利な防腐剤は、例えば、ホルムアルデヒド供与体(例えば、Glydant(登録商標)(Lonzaから市販)の商標名で市販されている、例えば、DMDMヒダントインなど)、ブチルカルバミン酸ヨードプロピル(例えば、Glycacil-L(登録商標)、Glycacil-S(登録商標)(Lonzaから市販)、Dekaben(登録商標)LMB(Jan Dekkerから市販))、パラベン(例えば、メチル、エチル、プロピル及び/又はブチルパラベンなどのp-ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル)、デヒドロ酢酸(Euxyl(登録商標)K702(Schuelke&Mayrから市販)、フェノキシエタノール、エタノール、安息香酸、又はこれらの組み合わせである。いわゆる防腐助剤、例えば、オクトキシグリセロール、グリシン、大豆なども有利に使用される。
【0080】
また、ジブロモジシアノブタン(2-ブロモ-2-ブロモメチルグルタロジニトリル)、フェノキシエタノール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、イミダゾリジン尿素、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-クロロアセトアミド、ベンジルアルコール、サリチル酸及びサリチル酸塩などの、化粧品で慣例的な防腐剤又は防腐助剤も有利である。
【0081】
防腐剤は、感熱性組成物の総重量に基づいて、0.01~5重量%、好ましくは0.1~2重量%、より好ましくは0.2~1重量%の量で存在し得る。
【0082】
香油
適切な場合には、本発明による感熱性組成物は、香油を含むことができる。香油としては、例えば、天然香料と合成香料の混合物を挙げることができる。天然香料は、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎及び葉類(ゼラニウム、パチョリ、プチグレイン)、果実(アニス、コリアンダー、キャラウェイ、ジュニパー)、果実の皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(メース、アンジェリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、カルマス)、樹木(パインウッド、サンダルウッド、グアヤックウッド、シダーウッド、ローズウッド)、ハーブ及び草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針葉樹及び枝類(スプルース、モミ、マツ、ドワーフパイン)、樹脂及びバルサム(ガルバナム、エレミ、ベンゾエ、ミルラ、オリバナム、オポポナクス)からの抽出物である。例えば、ジャコウネコ及びカストリウムなどの動物原料も適している。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、及び炭化水素タイプの生成物である。エステルタイプの香料化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシン酸、アリルシクロヘキシルプロピオン酸、スチラリルプロピオン酸及びベンジルサリチル酸である。エーテルとしては、例えば、ベンジルエチルエーテルが挙げられ、アルデヒドとしては、例えば、8~18の炭素を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアル及びブルジョナートが挙げられ、ケトンとしては、例えば、イオノン、cc-イソメチルイオン(cc-isomethylion)及びメチルセドリルケトンが挙げられ、アルコールとしては、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール及びテリオネオールが挙げられ、炭化水素としては、主にテルペン及びバルサムが挙げられる。しかしながら、一緒に心地よい香りを生み出す、異なる香料の混合物を使用することが好ましい。主にアロマ成分として使用される揮発性の低いエッセンシャルオイルは、例えば、セージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、シナノキの花油、ジュニパーベリー油、ベチバー油、オリバナム油、ガルバナム油、ラボラナム油及びラバンジン油などの香油としても適している。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアル、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、Boisambrene(登録商標)Forte、アンブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデリス、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、グリコール酸アリルアミル、シクロベルタール、ラバンジン油、クラリセージ油、β-ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチル酸、Vertofix(登録商標)Coeur、iso E-Super(登録商標)、Fixolide(登録商標)NP、エバーニル、イラルデインガンマ、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキサイド、ロミラット、イロチル及びフロラマットを単独又は混合物で使用することが好ましい。
【0083】
香油は、従来の量で感熱性組成物に存在し得る。
【0084】
有効成分
様々な溶解度の有効成分を本発明による感熱性組成物に均一に組み込むことができることが見出された。
【0085】
本発明によれば、特に本発明による感熱性組成物が内因性及び/又は外因性の老化の症状の治療及び予防並びに又皮膚に対する紫外線の有害な影響の治療及び予防に役立つ場合、有効成分は、NOシンターゼ阻害剤の群から有利に選択することができる。好ましいNOシンターゼ阻害剤は、ニトロアルギニンである。
【0086】
更に、有効成分は、カテキン及びカテキンの胆汁酸エステル、並びにカテキン又はカテキンの胆汁酸エステルを含有する植物又は植物の一部からの水性抽出物又は有機抽出物、例えば、ツバキ(Theaceae)科の植物、特にチャノキ(Camellia sinensis)(緑茶)種の葉などからなる群から有利に選択される。これらの典型的な成分(例えば、ポリフェノール又はカテキン、カフェイン、ビタミン、糖、ミネラル、アミノ酸、脂質)が特に有利である。
【0087】
カテキンは、水素化フラボン又はアントシアニジンとみなされる化合物の群であり、「カテキン」(カテコール、3,3’,4’,5,7-フラバンペンタオール、2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)クロマン)-3,5,7-トリオール)の誘導体である。エピカテキン((2R,3R)-3,3’,4’,5,7-フラバンペンタオール)も、本発明の文脈内で有利な有効成分である。
【0088】
また、カテキンを含有する植物抽出物、特に緑茶の抽出物、例えば、ツバキ種(Camellia spec.species)の植物の葉からの抽出物も有利であり、更に特に、茶品種、チャノキ(Camellia sinenis)、アッサムチャ(C.assamica)、ターリエンシス(C.taliensis)、及びイナワジエンシス(C.inawadiensis)、及びこれらと、例えばヤブツバキ(Camellia japonica)との交配種も有利である。
【0089】
好ましい有効成分はまた、(-)-カテキン、(+)-カテキン、(-)-カテキンガレート、(-)-ガロカテキンガレート、(+)-エピカテキン、(-)-エピカテキン、(-)-エピカテキンガレート、(-)-エピガロカテキン、(-)-エピガイロカテキンガレートからなる群のポリフェノール及びカテキンである。
【0090】
フラボン及びその誘導体(多くの場合に、集合的に「フラボン」とも呼ばれる)も、本発明の文脈内で有利な有効成分である。
【0091】
更に好ましい有効成分は、セリコシド、ピリドキソール、ビタミンK、ビオチン及び芳香物質、ビサボロール(ビサボロールrac.(BASFから市販))、トコフェロール(Covi-ox(登録商標)T-50C(BASFから市販))、パルミチン酸レチニル(Vitamin A-Palmitate Care(BASFから市販))、レチノール(レチノール50C(BASFから市販))、シザンドラ・キネンシス(Schizandra Chinensis)果実抽出物(Sqisandryl(登録商標)LS9905(BASFから市販))である。
【0092】
更にまた、有効成分は、親水性有効成分の群、特に以下の群から選択されることが非常に有利であり得る:
乳酸又はサリチル酸などのα-ヒドロキシ酸及びその塩、例えば、乳酸Na、乳酸Ca、乳酸TEA、尿素、アラントイン、セリン、ソルビトール、乳タンパク質、パンテノール、キトサン、グリセリン及びグリセリルグルコシド(例えば、Hydagen(登録商標)Aquaporin(BASFから市販))、又はこれらの組み合わせなど。
【0093】
本発明による感熱性組成物に使用できる特定の有効成分及び有効成分の組み合わせのリストは、当然ながら、限定することを意図したものではない。有効成分は、個別に使用することも、相互に任意に組み合わせて使用することもできる。
【0094】
有効成分は、そのタイプに応じて、当技術分野における従来の量で本発明による感熱性組成物に存在することができる。当業者であれば、本発明に適切な有効成分及び量を選択することができるであろう。
【0095】
本発明による感熱性組成物に使用できる特定の更なる有効成分は、独国特許出願公開第10318526A1号明細書の12~17ページに記載されており、この時点でその全体が参照される。
【0096】
更なる有効薬剤(benefit agent)
本発明の組成物は、ケアされる基材への、例えば、肌へのプラスの及び/又は有益な効果を提供することができる1つ以上の有効薬剤を更に含み得る。当業者であれば、化粧品組成物を配合する技術における一般知識及びそれに関連する膨大な文献に従って、適用の目的のために適切なこのような任意の成分を選択することができる。
【0097】
一実施形態では、本発明による感熱性組成物は、コンディショナー、皮膚コンディショナーなど、例えば、ビタミンB複合体などのビタミン又はその誘導体などの1つ以上の有効薬剤を更に含み、例えば、チアミン、ニコチン酸、ビオチン、パントテン酸、コリン、リボフラビン、ビタミンB6、ビタミンB12、ピリドキシン、イノシトール、カルニチン、ビタミンA、C、D、E、K及びこれらの誘導体、例えば、ビタミンAパルミテートなど、及びプロビタミン、例えば、パンテノール(プロビタミンB5)、パンテノールトリアセテート及びこれらの混合物など、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、天然又は合成の研磨剤、染料、ヘアカラー剤、脱色剤、毛髪脱色剤、紫外線吸収剤、例えば、ベンゾフェノン、ボルネロン、PABA(パラアミノ安息香酸)、ブチルPABA、塩化シンナミドプロピルトリメチルアンモニウム、二ナトリウムジスチリルビフェニル ジスルホネート、カリウムメトキシシンナメートなど、抗UV剤、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルメトキシシンナネート、オキシベンゾン、オクトクリレン、オクチルサリチル酸、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、エチルヒドロキシプロピルアミノベンゾエート、メンチルアントラニレート、アミノ安息香酸、シノキセート、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、グリセリルアミノベンゾエート、二酸化チタン、酸化亜鉛、オキシベンゾン、オクチルジメチルPABA(パジメートO)、赤色ワセリンなど、抗菌薬、抗菌剤、例えば、バシトラシン、エリスロマイシン、トリクロサン、ネオマイシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、塩化ベンゼトニウム、フェノール、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、トリクロカルバン(TCC)、クロルヘキシジングルコネート(CHG)、ジンクピリチオン、硫化セレンなど、抗真菌剤、メラニン調節剤、日焼け促進剤、色素沈着剤、例えば、レチノールなどのレチノイドなど、コウジ酸及びその誘導体、例えば、コウジ酸ジパルミテート、ヒドロキノン及びその誘導体、例えば、アルブチン、トランセキサム酸など、ビタミン、例えば、ナイアシン、ビタミンC及びその誘導体など、アゼライン酸、プラセチア、甘草、カモミール及び緑茶などの抽出物、この場合、レチノール、コウジ酸、及びヒドロキノンが好ましく、美白剤、例えば、ハイドロキノン、カテコール及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体など、ジヒドロキシアセトンなどの皮膚着色剤、脂肪調整剤、体重減少剤、抗ニキビ剤、抗脂漏剤、抗老化剤、抗シワ剤、角質溶解剤、抗炎症剤、抗ニキビ剤、例えば、トレチノイン、イソトレチノイン、モトレチニド、アダパレン、タザロテン、アゼライン酸、レチノール、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、テトラサイクリン及びその異性体などの抗生物質、エリスロマイシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ヘットプロフェンなどの抗炎症剤、アルヌス、アルニカ、アルテミシア・カピラリス(artemisia capillaris)、サイシン、カレンデュラ、カモミール、ニジウム、コンフリー、フェンネル、galla rhois、サンザシ、ホウトゥイニア、オトギリソウ、ナツメ、キウイ、カンゾウ、モクレン、オリーブ、ペパーミント、フィロデンドロン、サルビア、ササアルボマルギナタなどの植物抽出物、ケトコナゾール及びエルビオールなどのイミダゾール、清涼剤、瘢痕形成剤、血管保護剤、亜鉛、錫、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム及びジルコニウムなどの重金属から形成されるピリチオン塩などの、フケ(フケ防止剤)、脂漏性皮膚炎、又は乾癬の削減のための薬剤、例えば亜鉛ピリチオンなど、スルホン化頁岩油などの頁岩油及びその誘導体、硫化セレン、硫黄、サリチル酸、コールタール、ポビドンヨード、イミダゾール、例えば、ケトコナゾール、ジクロロフェニルイミダゾロジオキサラン、クロトリマゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール、クリンバゾール、チオコナゾール、スルコナゾール、ブトコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾレニトリット及び任意の可能な立体異性体及びこれらの誘導体、例えば、アントラリン、ピロクトンオラミン(オクトピロックス)、硫化セレン、シクロピロックスオラミン、ビタミンD類似体などの抗乾癬剤、例えば、カルシポトリオール、カルシトリオール、及びタカレイトロール、ビタミンA類似体、例えば、ビタミンAパルミテート、レチノイド、レチノール、及びレチノイン酸を含むビタミンAのエステルなど、コルチコステロイド、例えば、ヒドロコルチゾン、クロベタゾン、ブチレート、クロベタゾールプロピオネートなど、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムクロロヒドレートなどの制汗剤又はデオドラント剤、免疫調節剤、栄養剤、脱毛剤、例えば、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸マグネシウム、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸ストロンチウムなど、脱毛対策剤、パーマネントウェーブ用還元剤、反射剤(reflectant)、例えば、マイカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム、ジオレイン酸グリコール、ジステアリン酸グリコール、シリカ、フルオロケイ酸ナトリウムマグネシウム、精油及び香料などが挙げられる。
【0098】
言うまでもなく、本発明による感熱性組成物は、化粧品として又は皮膚科学的に許容できる必要があり、即ち、非毒性の生理学的に許容される媒体を含む必要があり、皮膚に適用できる必要がある。本発明の目的上、「化粧品として許容できる」という表現は、心地よい外観、匂い、感触及び/又は味覚の組成物を意味する。
【0099】
本発明による感熱性組成物のpHは、従来、例えば4.0~7.0、好ましくは4.5~6.5、より好ましくは6.0~6.5に調整されることができる。
【0100】
第2の態様では、本発明は、感熱性組成物の成分を混合することを含む、本発明による感熱性組成物を調製するための方法を提供する。
【0101】
第3の態様では、本発明は、化粧品有効成分の送達システムとしての本発明による感熱性組成物の使用を提供する。
【0102】
本発明による感熱性組成物は、組成物中のポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの水溶性ブロックコポリマーの含有量を少なくしても、期待した感熱挙動を得ることができることが判明した。
【実施例
【0103】
本発明の態様は、以下の実施例によって更に十分に例示されるが、これらは本発明の特定の態様を例示するために記載されており、これらに限定されるものと解釈されるべきではない。
【0104】
材料:
表1に示す材料が使用される。
【0105】
【表1】
【0106】
本発明による感熱性組成物の調製:
本発明による感熱性組成物は、以下の通り調製され、材料の重量パーセントは、以下の表2~5に示される:
1.(a)ブロックコポリマーと水を75~85℃で均一になるまで撹拌する、
2.撹拌しながら増粘剤を添加する、
3.(c)乳化剤を(b)エステル/アルカン相又は水相に添加して均一な混合物を得る、
4.(b)エステル/アルカンを75~85℃に加熱する、
5.撹拌しながら、水相を(b)エステル/アルカンに添加する、
6.数分間均一化する、
7.撹拌しながら50℃未満に冷却し、防腐剤を添加してpHを6~7に調整する。
【0107】
テクスチャー転移温度の評価方法:
1.平衡試験の前に、試料を60mlのプラスチックボトルに入れ、4℃で冷蔵庫にて少なくとも24時間冷却する、
2.試料を水浴に入れる。
3.水浴を4から40℃までゆっくりと加熱し、試料をゆっくりと撹拌し、試料が流動するローションからクリームに変化する(反転下で流動しない)時の温度を転移温度として記録する。
【0108】
結果を下記の表2~5に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【国際調査報告】