(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン及び無機UV遮蔽剤を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20240905BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20240905BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20240905BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/27
A61K8/29
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515040
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022074670
(87)【国際公開番号】W WO2023036749
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソーン,ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,スタニスロー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC332
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC532
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD092
4C083AD202
4C083AD222
4C083AD352
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD21
4C083DD23
4C083DD30
4C083DD32
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
本出願は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(bis-ethylhexyloxyphenol methoxyphenyl triazine))と;
(ii)二酸化チタンと;
(iii)酸化亜鉛と;
を含み、
前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(diethylamino hydroxybenzoyl hexyl benzoate))、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項2】
前記二酸化チタンは、数平均一次粒子径が1000nm未満であり、及び/又は
前記酸化亜鉛は、数平均一次粒子径が1000nm未満である、請求項1に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項3】
前記二酸化チタンは被覆されており、及び/又は
前記酸化亜鉛は無被覆であるか若しくは被覆されている、請求項1又は2に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項4】
二酸化チタン及び酸化亜鉛の合計対前記ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの重量比は、1:1~20:1の範囲にあり、並びに/又は
前記二酸化チタン対前記酸化亜鉛の重量比は、4:1~1:3の範囲、好ましくは3:1~1:2の範囲、より好ましくは5:2~1:1の範囲、特に2:1~6:5の範囲にあり、並びに/又は
二酸化チタン及び酸化亜鉛を、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、1~35重量%の量で含み、並びに/又は
UV遮蔽剤を、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、合計5~40重量%含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項5】
前記ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)は油相に添加される、請求項1~4のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項6】
前記日焼け止め若しくはデイリーケア組成物は、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を含むか、又は
前記日焼け止め若しくはデイリーケア組成物は、更なる異なるUV遮蔽剤を含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の日焼け止め若しくはデイリーケア組成物。
【請求項7】
前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ベンゾトリアゾリルドデシルpクレゾール、エチルヘキシルメトキシクリレン、ポリエステル-8、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、トリメトキシベンジリデンペンタンジオン、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、縮合環シアノアクリレート誘導体、ポリエステル-25及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項8】
それぞれ前記日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を、1~10重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを、2~20重量%の量と;
(iii)酸化亜鉛を、1~20重量%の量と;
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項9】
SPFが15を超えるか若しくはSPFが50を超えるか若しくはSPFが90を超え、及び/又は光安定性が85%を超える、請求項1~8のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め若しくはデイリーケア組成物よりも高いSPF値を有し、前記比較用日焼け止め若しくはデイリーケア組成物は、前記異なるUV遮蔽剤、好ましくは前記異なるUV広帯域遮蔽剤と、前記二酸化チタン及び前記酸化亜鉛とを、請求項1に記載の日焼け止め若しくはデイリーケア組成物と等量含み、並びに/又はビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め若しくはデイリーケア組成物よりも高い光安定性を有し、前記比較用日焼け止め若しくはデイリーケア組成物は、前記異なるUV遮蔽剤、好ましくは前記異なるUV広帯域遮蔽剤と、前記二酸化チタン及び前記酸化亜鉛とを、請求項1に記載の日焼け止め若しくはデイリーケア組成物と等量含む、日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項11】
ビス-エチルヘキシルメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の光安定性を向上させ、並びに/又はべたつきを低減し、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色を低減し、並びに/又は光沢を低減し、並びに/又は製剤の黄色化を低減し、並びに/又は耐水性を改善し、並びに/又は皮膜の均質性を改善し、並びに/又は微生物叢との適合性を改善する方法であって、
前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含まない、方法。
【請求項12】
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
(iii)酸化亜鉛と;
を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル(オクチサレート)、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート(Homosalate))、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(ethylhexyl methoxycinnamate))、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン(octocrylene))及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3(benzophenone-3))を含まず、無機UV遮蔽剤である(ii)二酸化チタン又は(iii)酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されている、日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項13】
前記二酸化チタンの数平均一次粒子径は1000nm未満であり、及び/又は前記酸化亜鉛の数平均一次粒子径は1000nm未満である、請求項12に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項14】
前記二酸化チタンは被覆されており、及び/又は前記酸化亜鉛は無被覆であるか若しくは被覆されている、請求項12又は13に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項15】
二酸化チタン及び酸化亜鉛の合計対前記ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの重量比は、1:1~20:1の範囲にあり、並びに/又は
前記二酸化チタン対前記酸化亜鉛の重量比は、4:1~1:3の範囲、好ましくは3:1~1:2の範囲、より好ましくは5:2~1:1の範囲、特に2:1~6:5の範囲にあり、並びに/又は
二酸化チタン及び酸化亜鉛を、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、1~35重量%の量で含み、並びに/又は
UV遮蔽剤を、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、合計5~40重量%含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項16】
前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を含むか、又は前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、更なる異なるUV遮蔽剤を含まない、請求項12~15のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項17】
前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ベンゾトリアゾリルドデシルpクレゾール、エチルヘキシルメトキシクリレン、ポリエステル-8、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、トリメトキシベンジリデンペンタンジオン、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、縮合環シアノアクリレート誘導体、ポリエステル-25及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項18】
それぞれ前記日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を、1~10重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを、2~20重量%の量と;
(iii)酸化亜鉛を、1~20重量%の量と;
を含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項19】
SPFが15を超えるか若しくはSPFが50を超えるか若しくはSPFが90を超え、及び/又は光安定性が85%を超える、請求項12~18のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項20】
請求項12~19のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め若しくはデイリーケア組成物よりも高いSPF値を有し、前記比較用日焼け止め若しくはデイリーケア組成物は、前記異なるUV遮蔽剤、好ましくは前記異なるUV広帯域遮蔽剤と、前記二酸化チタン及び前記酸化亜鉛とを、請求項12に記載の日焼け止め若しくはデイリーケア組成物と等量含み、並びに/又は
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め若しくはデイリーケア組成物よりも高い光安定性を有し、前記比較用日焼け止め若しくはデイリーケア組成物は、前記異なるUV遮蔽剤、好ましくは前記異なるUV広帯域遮蔽剤と、前記二酸化チタン及び前記酸化亜鉛とを、請求項12に記載の日焼け止め若しくはデイリーケア組成物と等量含む、日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【請求項21】
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の、光安定性を向上させる、並びに/又はべたつきを低減する、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色を低減する、並びに/又は光沢を低減する、並びに/又は製剤の黄色化を低減する、並びに/又は耐水性を改善する、並びに/又は皮膜の均質性を改善する、並びに/又は微生物叢との適合性を改善する方法であって、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されている、方法。
【請求項22】
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
を含むデイリーケア組成物の日焼け止めであって、
前記デイリーケア組成物の日焼け止めは、更なる追加のUV遮蔽剤を含まない、デイリーケア組成物の日焼け止め。
【請求項23】
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)酸化亜鉛と;
を含むデイリーケア組成物の日焼け止めであって、
前記デイリーケア組成物の日焼け止めは、更なる追加のUV遮蔽剤を含まない、デイリーケア組成物の日焼け止め。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(bis-ethylhexyloxyphenol methoxyphenyl triazine)、別名BEMT、ベモトリジノールとしても知られる)、二酸化チタン(TiO2)及び酸化亜鉛(ZnO)を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外放射はヒトの皮膚に有害な影響を与える。紫外放射は、皮膚のサンバーンという急性作用だけでなく、皮膚がんのリスクを高めることも知られている。更に、UV-A光及びUV-B光への長時間曝露は皮膚に光毒性及び光アレルギー反応を引き起こす可能性があり、皮膚の老化を加速する可能性がある。
【0003】
ヒトの皮膚を紫外放射から保護するための、UV-A遮蔽剤、UV-B遮蔽剤及び広帯域遮蔽剤(broadband filter)を含む様々な日光防御用UV遮蔽剤(UV吸収剤とも称される)が存在する。日焼け止め又はデイリーケア組成物にはこれらの遮蔽剤が添加されている。UV遮蔽剤は、有機又は無機の微粒子状又は非微粒子状化合物のいずれかであり、これらは全てUV光領域において高い吸収効率を持つ。概して紫外光は、UV-A放射及びUV-B放射に分けることができる。UV遮蔽剤は、吸収極大の位置に応じて、UV-A遮蔽剤及びUV-B遮蔽剤に分けられる。UV遮蔽剤がUV-A光及びUV-B光の両方を吸収する場合は、広帯域吸収剤と称される。広帯域UV遮蔽剤はUVA放射及びUVB放射を防御するため、日焼け止め又はデイリーケア組成物にはこのような種類のUV遮蔽剤を添加することが好ましい。しかしながら、効率的且つ安全にUVを防御する改善された製剤が依然として求められている。特に効率的なUV遮蔽剤含有組成物はSPF値が高いものであり、一方、特に安全性の高いUV遮蔽剤含有組成物は、任意の潜在的アレルギー反応のリスクが最小限に抑えられるよう、UV遮蔽剤を可能な限り少量で含むものである。更に、特に効率的なUV遮蔽剤は、光安定性も示すものである。光に不安定なUV遮蔽剤混合物は、皮膚刺激などの有害作用及び日焼け止め剤の不安定化を招き得る未知の光分解生成物又はフリーラジカルを生成する可能性があるため、UV遮蔽剤系は光分解しないものであることが必要である。
【0004】
消費者の要求に関して言えば、べたつきが低減されており、適用した後の白色化作用が低減されており、並びに洗浄前及び/又は後の布地の着色(staining)が低減されている日焼け止め又はデイリーケア組成物が好まれるようである。これに加えて、市販されている主要な製品は、たとえ現行の基準に従うUVB及びUVA防御力の両方を備えているものであっても、耐水性を改善することが求められている。典型的には、使用者がUV防御を必要とするのは、水泳又は夏季の(発汗する)屋外活動時であるため、耐水性は最終消費者にとって重要な性能の指標であるが、それを達成するのは依然として困難である。
【0005】
これに適した広帯域UV遮蔽剤の1種が、式(1)を有するビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、BEMT)である。
【化1】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こうした背景から、効率的に日光防御を行い、防御性能並びに製品の適用時及び適用後における使いやすさに関する消費者の要求を満たす、普段使い用の日焼け止め又はデイリーケア組成物が求められ続けている。特に本発明の目的は、効率が高く、且つ光安定性を有する日焼け止め又はデイリーケア組成物を提供することにあった。本発明の更なる目的は、防御性能並びに製品の適用時及び適用後における使いやすさに関する消費者の要求を完全に満たす、効率が高く且つ安全性の高い日焼け止め又はデイリーケア組成物を提供することにあった。更に本発明の目的は、議論の対象になっている特定のUV遮蔽剤を含まない日焼け止め又はデイリーケア組成物を提供することにあった。特に本発明の目的は、耐水性が改善された日焼け止め又はデイリーケア組成物を提供することにあった。更に本発明の目的は、微生物叢に影響を与えない(microbiome friendly)日焼け止め又はデイリーケア組成物を提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、これらの目的の少なくとも1つは、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物によって達成できることが見出された。
【0008】
特に本出願の発明者らは、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物が、効率が高く且つ安全性の高いUV-A及びUV-B防御を、例えば、量が低減されたUV遮蔽剤で提供することを見出した。更に本出願の発明者らは、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物が、べたつきが低減されており、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色が低減されており、並びに/又は製剤の黄色化が低減されており、並びに/又は(適用した製剤の)光沢(テカり(shininess)とも称する)が低減されており、並びに/又は皮膜の均質性が改善されていることから、使用者にとって特に使いやすいことを見出した。これに加えて、本出願の発明者らは、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物は、議論の対象になっている特定のUV遮蔽剤、即ち、オクトクリレン、オキシベンゾン-3、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル及びホモサレートを含まないにも拘らず、この組成物が効率的なUV-A及びUV-B防御を提供することを見出した。
【0009】
したがって、第1の態様Aによれば、本発明は、日焼け止め又はデイリーケア組成物であって:
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
(iii)酸化亜鉛と;
を含み、
この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCI:エチルヘキシルトリアゾン(ethylhexyl triazone)、別名オクチルトリアゾン、EHTとしても知られる)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(diethylamino hydroxybenzoyl hexyl benzoate)、別名DHHB)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCI:メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(Methylene Bis-Benzotriazolyl Tetramethylbutylphenol)、別名ビスオクトリゾール、MBBTとしても知られる)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(ethylhexyl methoxycinnamate)、別名エトキシル化ケイ皮酸オクチル、オクチノキサートとしてもOMCとしても知られる)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(別名アボベンゾン、BMDBMとしても知られる)を含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【0010】
以下に、上述の日焼け止め又はデイリーケア組成物の好ましい実施形態を更に詳細に説明する。それぞれの好ましい実施形態は、それ自体のみならず、他の好ましい実施形態との組合せも好ましいことを理解すべきである。
【0011】
第1の態様の好ましい実施形態A1において、二酸化チタンの数平均一次粒子径は、1000nm未満、好ましくは100nm未満、特に50nm未満である。
【0012】
第1の態様の好ましい実施形態A2において、酸化亜鉛の数平均一次粒子径は、1000nm未満、好ましくは200nm未満、特に150nm未満である。
【0013】
第1の態様の好ましい実施形態A3において、二酸化チタンは被覆されており、好ましくは、二酸化チタンは、好ましくは、アミノ酸、ミツロウ、脂肪酸、脂肪アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄又はアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン又はアルミニウムの)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、シリカ及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を用いて、化学的、電気的、機械化学的及び/又は機械的性質を有する1つ又は複数の表面処理が施された、被覆されている顔料である二酸化チタンであり、より好ましくは、酸化チタンは、水酸化アルミニウム、ステアリン酸、及びこれらの混合物で被覆されている。更なる好ましい実施形態において、酸化チタンは、シリカ、ジメチコン及びこれらの混合物で被覆されている。
【0014】
第1の態様の好ましい実施形態A4において、酸化亜鉛は、無被覆であるか又は被覆されており、好ましくは、酸化亜鉛は、酸化アルミニウム(Al2O3)、水酸化アルミニウムAI(OH)3、酸化アルミニウム水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウム(NaPO3)、メタリン酸ナトリウム(NaPO3)n、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化鉄(Fe2O3)及びこれらの混合物からなる群から選択される無機表面被覆;又は植物性若しくは動物性ステアリン酸アルミニウム、脂肪酸、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、シメチコン、トリエトキシカプリリルシラン、オクチルトリメトキシシラン及びこれらの混合物からなる群から選択される有機表面被覆;又は無機表面被覆と有機表面被覆との混合物、より好ましくはトリエトキシカプリリルシランで被覆されている。
【0015】
第1の態様の好ましい実施形態A5において、二酸化チタン及び酸化亜鉛の合計対ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの重量比は、1:1~20:1の範囲、好ましくは1:1~12:1の範囲、特に2:1~6:1の範囲にあり、並びに/又は
二酸化チタン対酸化亜鉛の重量比は、4:1~1:3の範囲、好ましくは3:1~1:2の範囲、より好ましくは5:2~1:1の範囲、特に2:1~6:5の範囲にある。
【0016】
第1の態様の好ましい実施形態A6において、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)は油相に添加される。
【0017】
第1の態様の好ましい実施形態A7において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を含む。
【0018】
第1の態様の好ましい実施形態A8において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、更なる異なるUV遮蔽剤を含まない。
【0019】
第1の態様の好ましい実施形態A9において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ベンゾトリアゾリルドデシルpクレゾール、エチルヘキシルメトキシクリレン、ポリエステル-8、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、トリメトキシベンジリデンペンタンジオン、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、縮合環シアノアクリレート誘導体、ポリエステル-25(polyester-25)及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0020】
第1の態様の好ましい実施形態A10において、二酸化チタン及び酸化亜鉛は、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総量を基準として、1~35重量%、好ましくは5~25重量%、特に8~20重量%の量で含まれる。
【0021】
第1の態様の好ましい実施形態A11において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として:
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を1~10重量%、好ましくは1.5~6重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを2~20重量%、好ましくは4~15重量%の量と;
(iii)酸化亜鉛を1~20重量%、好ましくは3~15重量%の量と;
を含む。
【0022】
第1の態様の好ましい実施形態A12において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、UV遮蔽剤を、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、合計して5~40重量%、好ましくは9~30重量%、特に9~20重量%含む。
【0023】
第1の態様の好ましい実施形態A13において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、SPFが15超、好ましくは30超又はSPFが50超、好ましくは60超又はSPFが90超、好ましくは100超である。
【0024】
第1の態様の好ましい実施形態A14において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりもSPF値が高く、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤、二酸化チタン及び酸化亜鉛を、実施形態A~A13による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量で含む。
【0025】
第1の態様の好ましい実施形態A15において、日焼け止め又はデイリーケア組成物の光安定性は、85%を超え、好ましくは90%を超え、特に95%を超える。
【0026】
第1の態様の好ましい実施形態A16において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも光安定性が高く、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤、二酸化チタン及び酸化亜鉛を、実施形態A~A15による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量で含む。
【0027】
第2の態様Bにおいて、本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物、好ましくは態様A及びその全ての実施形態による日焼け止め又はデイリーケア組成物の、光安定性を向上させる、並びに/又はべたつきを低減する、並びに/又は耐水性を改善する、並びに/又は皮膜の均質性を改善する、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色を低減する、並びに/又は光沢を低減する、並びに/又は製剤の黄色化を低減する、並びに/又は微生物叢、好ましくはヒトの皮膚の微生物叢との適合性を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含まない、方法に関する。
【0028】
これに関連して、本発明はまた、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物中における使用であって、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物、好ましくは態様A及びその全ての実施形態による前記日焼け止め又はデイリーケア組成物の、光安定性を向上させるため、並びに/又はべたつきを低減するため、並びに/又は耐水性を改善するため、並びに/又は皮膜の均質性を改善するため、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色を低減するため、並びに/又は光沢を低減するため、並びに/又は製剤の黄色化を低減するため、並びに/又は微生物叢、好ましくはヒトの皮膚の微生物叢との適合性を改善するための使用にも関する。
【0029】
第3の態様において、本発明は:
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
(iii)酸化亜鉛と;
を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル(別名オクチサレート、EHSとしても知られる)、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン(octocrylene)、別名OCR)、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート(Homosalate)、別名サリチル酸ホモメンチル、HMSとしても知られる)、サリチル酸ブチルオクチル及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3(benzophenone-3)、別名オキシベンゾン、B3としても知られる)を含まず、無機UV遮蔽剤である(ii)二酸化チタン又は(iii)酸化亜鉛の少なくとも1種は被覆されている、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【0030】
第3の態様の好ましい実施形態C1において、二酸化チタンの数平均一次粒子径は、1000nm未満、好ましくは100nm未満、特に50nm未満である。
【0031】
第3の態様の好ましい実施形態C2において、酸化亜鉛の数平均一次粒子径は、1000nm未満、好ましくは200nm未満、特に150nm未満である。
【0032】
第3の態様の好ましい実施形態C3において、二酸化チタンは被覆されており、好ましくは、二酸化チタンは、好ましくは、アミノ酸、ミツロウ、脂肪酸、脂肪アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄又はアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン又はアルミニウムの)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、シリカ及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を用いて、化学的、電気的、機械化学的及び/又は機械的性質を有する1つ又は複数の表面処理が施された、被覆されている顔料である二酸化チタンであり、より好ましくは、酸化チタンは、水酸化アルミニウム、ステアリン酸、及びこれらの混合物で被覆されている。更なる好ましい実施形態において、酸化チタンは、シリカ、ジメチコン及びこれらの混合物で被覆されている。
【0033】
第3の態様の好ましい実施形態C4において、酸化亜鉛は、無被覆であるか又は被覆されており、好ましくは、酸化亜鉛は、酸化アルミニウム(Al2O3)、水酸化アルミニウムAI(OH)3、酸化アルミニウム水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウム(NaPO3)、メタリン酸ナトリウム(NaPO3)n、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化鉄(Fe2O3)及びこれらの混合物からなる群から選択される無機表面被覆;又は植物性若しくは動物性ステアリン酸アルミニウム、脂肪酸、ジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、シメチコン、トリエトキシカプリリルシラン、オクチルトリメトキシシラン及びこれらの混合物からなる群から選択される有機表面被覆;又は無機表面被覆と有機表面被覆との混合物、より好ましくはトリエトキシカプリリルシランで被覆されている。
【0034】
第3の態様の好ましい実施形態C5において、二酸化チタン及び酸化亜鉛の合計対ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの重量比は、1:1~20:1の範囲、好ましくは1:1~12:1の範囲、特に2:1~6:1の範囲にあり、並びに/又は
二酸化チタン対酸化亜鉛の重量比は、4:1~1:3の範囲、好ましくは3:1~1:2の範囲、より好ましくは5:2~1:1の範囲、特に2:1~6:5の範囲にある。
【0035】
第3の態様の好ましい実施形態C6において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を含み、好ましくは、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤対ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)の重量比は、1超:1~30:1である。
【0036】
第3の態様の好ましい実施形態C7において、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)であり、好ましくは、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)対ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)の重量比は、1超:1~30:1である。
【0037】
第3の態様の好ましい実施形態C8において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、更なる異なるUV遮蔽剤を含まない。
【0038】
第3の態様の好ましい実施形態C9において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ベンゾトリアゾリルドデシルpクレゾール、エチルヘキシルメトキシクリレン、ポリエステル-8、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、トリメトキシベンジリデンペンタンジオン、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、縮合環シアノアクリレート誘導体、ポリエステル-25及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0039】
第3の態様の好ましい実施形態C10において、二酸化チタン及び酸化亜鉛は、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総量を基準として、1~35重量%、好ましくは5~25重量%、特に8~20重量%の量で含まれる。
【0040】
第3の態様の好ましい実施形態C11において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として:
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を1~10重量%、好ましくは1.5~6重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを2~20重量%、好ましくは4~15重量%の量と;
(iii)酸化亜鉛を1~20重量%、好ましくは3~15重量%の量と;
を含む。
【0041】
第3の態様の好ましい実施形態C12において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、UV遮蔽剤を、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、合計して5~40重量%、好ましくは9~30重量%、特に9~20重量%含む。
【0042】
第3の態様の好ましい実施形態C13において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、SPFが15超、好ましくは30超又はSPFが50超、好ましくは60超又はSPFが90超、好ましくは100超である。
【0043】
第3の態様の好ましい実施形態C14において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりもSPF値が高く、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤、二酸化チタン及び酸化亜鉛を、実施形態C~C13による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量で含む。
【0044】
第3の態様の好ましい実施形態C15において、日焼け止め又はデイリーケア組成物の光安定性は、85%を超え、好ましくは90%を超え、特に95%を超える。
【0045】
第3の態様の好ましい実施形態C16において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも光安定性が高く、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤、二酸化チタン及び酸化亜鉛を、実施形態C~C15による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量で含む。
【0046】
第3の態様の好ましい実施形態C17において、二酸化チタン対酸化亜鉛の重量比は、4:1~1:3の範囲、好ましくは3:1~1:2の範囲、より好ましくは5:2~1:1の範囲、特に2:1~6:5の範囲にある。
【0047】
第4の態様Dにおいて、本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することにより、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物、好ましくは態様C及びその全ての実施形態による日焼け止め又はデイリーケア組成物の、光安定性を向上させる、並びに/又はべたつきを低減する、並びに/又は耐水性を改善する、並びに/又は皮膜の均質性を改善する、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色を低減する、並びに/又は光沢を低減する、並びに/又は製剤の黄色化を低減する、並びに/又は微生物叢、好ましくはヒトの皮膚の微生物叢との適合性を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛の少なくとも1種は被覆されている、方法に関する。
【0048】
これに関連して、本発明はまた、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物中における使用であって、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物、好ましくは態様C及びその全ての実施形態による前記日焼け止め又はデイリーケア組成物の、光安定性を向上させるため、並びに/又はべたつきを低減するため、並びに/又は耐水性を改善するため、並びに/又は皮膜の均質性を改善するため、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色を低減するため、並びに/又は光沢を低減するため、並びに/又は製剤の黄色化を低減するため、並びに/又は微生物叢、好ましくはヒトの皮膚の微生物叢との適合性を改善するための使用にも関する。
【0049】
第5の態様Eにおいて、本発明は:
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
を含むデイリーケア組成物の日焼け止めであって、
更なる追加のUV遮蔽剤を含まない、デイリーケア組成物の日焼け止めに関する。
【0050】
第5の態様の好ましい実施形態E1において、デイリーケア組成物の日焼け止めは、それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として:
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を1~10重量%、好ましくは1.5~6重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを2~30重量%、好ましくは4~15重量%の量と;
を含む。
【0051】
第6の態様Fにおいて、本発明は:
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)酸化亜鉛と;
を含むデイリーケア組成物の日焼け止めであって、
更なる追加のUV遮蔽剤を含まない、デイリーケア組成物の日焼け止めに関する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、サンスクリーンシミュレーターオンラインツール(sunscreen simulator online tool)(https://www.sunscreensimulator.basf.com/)から得られた、紅斑形成に関連する290~320nmの領域の、1重量%のBEMT又は1重量%のオキシベンゾン-3(B3)又は1.75重量%のB3に対応する3つの吸収スペクトルを示すものである。B3は、BEMTと同様、親油性UV遮蔽剤である。
【
図2】
図2は、皮膜均質性の評価に用いたグレイ値(又は明度)分布の例を示すものである。分布曲線の内側の半値半幅(HWHM)に相当する水平方向の線を、塗布された日焼け止め剤の皮膜均質性を定義するための評価基準として使用した。
【
図3】
図3は、本発明製剤1、比較用製剤1及び比較用製剤2のべたつき(力(Force)(mN単位))を示すものである。
【
図4】
図4は、本発明製剤7及び比較用製剤10のべたつき(力(mN単位))を示すものである。
【
図5】
図5は、本発明製剤10及び比較用製剤13のべたつき(力(mN単位))を示すものである。
【
図6】
図6は、本発明製剤12及び比較用製剤15の光沢を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する前に、本発明を理解するために重要な定義を示す。
【0054】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、それぞれの複数形も包含する。本発明に関連して、「約」及び「およそ」という用語は、対象とする特徴の技術的効果が依然として確保されると当業者が認識するであろう精度の幅を指す。この用語は、典型的には、示された数値から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、更に好ましくは±5%のずれを表す。「含む(comprising)」という用語は、非限定的であることを理解すべきである。本発明の目的に関する「からなる(consisting of)」という用語は、「含む(comprising of)」という用語の好ましい実施形態であると見なされる。以下、ある群が少なくともある決まった数の実施形態を含むと定義されている場合、これは、これらの実施形態のみからなる好ましい群も包含することを意味する。更に、本明細書及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」及びこれに類する用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続した順番又は時系列順を説明するものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であることと、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は図示する順序以外の順序で実施することが可能であることとが理解されるべきである。「第1」、「第2」、「第3」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」等の用語が方法若しくは使用又はアッセイの工程に関する場合、本出願で別段の指定がない限り、本明細書で前述又は後述するように、この工程間に時間を置かないか、又は時間間隔の一貫性がなく、即ち、この工程は、同時に実施され得るか、又はこのような工程間に数秒間、数分間、数時間、数日間、数週間、数ヶ月間若しくは更に数年間の時間間隔があり得る。本明細書に記載される特定の方法、手順、試薬等は、変更される可能性があるため、本発明は、それらに限定されないことを理解すべきである。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を記載する目的のみに使用され、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。他に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術及び科学用語は、当業者が一般に理解する意味と同義である。
【0055】
本明細書において使用される「含まない(does not comprise)(free of)」という用語は、本発明の組成物が、特定の化合物を含まない又は集合的な用語の下に組み合わせられた群であってもよい特定の化合物群を含まない、という文脈においては、組成物が、組成物の総重量を基準として、0.8重量%を超える量の前記化合物又は化合物群を含まないことを意味する。更に本発明による組成物は、前記化合物又は化合物群を0.5重量%を超える量で含まないことが好ましく、好ましくは、組成物は、前記化合物又は化合物群を全く含まない。
【0056】
組成物及びその中に含まれる成分の重量パーセントに言及する場合、本発明によれば、成分全体の量は、100%を超えない(丸めを考慮して±1%)ことを理解すべきである。
【0057】
「日焼け止め組成物」又は「日焼け止め剤」という用語は、紫外放射の特定の部分を吸収し、更に反射及び散乱もさせ得る任意の局所用製品を指す。したがって、「日焼け止め組成物」という用語は、日焼け止め組成物を包含するのみならず、UVを防御する任意の化粧用組成物も包含することを理解すべきである。「局所用製品」という用語は、皮膚に適用される製品を指し、例えば、スプレー、ローション、クリーム、オイル、フォーム、パウダー又はゲルを指し得る。本発明によれば、日焼け止め組成物は、1種又は複数種の活性剤、例えば、有機及び無機UV遮蔽剤並びに他の成分又は添加剤、例えば、乳化剤、エモリエント剤、粘度調整剤、安定剤、防腐剤又は香料を含み得る。
【0058】
好適な無機UV遮蔽剤として、二酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化セリウムを挙げることができる。
【0059】
「デイリーケア組成物」という用語は、紫外放射のある特定の部分を吸収し、更に反射及び散乱もさせ得る、ヒトの身体、例えば、顔又は身体用の日常ケア製品として使用される任意の局所用製品を指す。デイリーケア組成物は、1種又は複数種の活性剤、例えば、有機及び/又は無機UV遮蔽剤並びに他の成分又は添加剤、例えば、乳化剤、エモリエント剤、粘度調整剤、安定剤、防腐剤又は香料を含み得る。本発明による好適なデイリーケア組成物は、例えば、洗い流さないタイプの顔及び身体ケア製品である。
【0060】
顔及び身体に好適な洗い流さないタイプの製品は、例えば、日焼け止め組成物、装飾用製剤及びスキンケア製剤である。
【0061】
好適な装飾用製剤は、例えば、口紅、マニキュア液、アイシャドー、マスカラ、乾燥又は湿潤メークアップ化粧料(make-up)、頬紅、おしろい(powder)、除毛剤及び日焼け用ローションである。
【0062】
好適なスキンケア製剤は、例えば、保湿、肌質改善(refining)及びリフトアップ製剤である。言及したデイリーケア組成物は、クリーム、軟膏、ペースト、フォーム、ゲル、ローション、パウダー、メークアップ化粧料、スプレー、スティック又はエアゾールの形態とすることができる。
【0063】
本明細書において使用される「UV遮蔽剤」又は「紫外線遮蔽剤」という用語は、日光による紫外放射を吸収することができ、更には反射及び散乱もし得る有機又は無機化合物を指す。UV遮蔽剤は、そのUV防御曲線に応じて、UV-A、UV-B又は広帯域遮蔽剤に分類することができる。特に、有機UV遮蔽剤は、ベンゾフェノン、例えば、オキシベンゾン-3(オキシベンゾン)、ベンゾフェノン-4、オキシベンゾン-5、カンフル、例えば、ベンジリデンカンファ誘導体、アントラニル酸系化合物(anthranilic)、PABA(4-アミノ安息香酸)、例えば、PABA及びエチルPABA及びエチルジヒドロキシプロピルPABA及びPEG-25 PABA、β,β-ジフェニルアクリレート、ケイ皮酸(特に、ケイ皮酸エステル)、例えば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル及びメトキシケイ皮酸イソアミル及びメトキシケイ皮酸DEA及びメトキシケイ皮酸イソプロピル、ジベンゾイルメタン、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及びイソプロピルジベンゾイルメタン、ベンズイミダゾール、例えば、フェニルベンズイミダゾール誘導体、サリチル酸(特に、サリチル酸エステル)、例えば、サリチル酸エチルヘキシル(オクチサレート)及びサリチル酸ホモメンチル(ホモサレート)及びサリチル酸フェニル及びサリチル酸ブチルオクチル及びサリチル酸TEA、トリアジン、例えば、ジエチルヘキシルブタミドトリアジン(diethylhexyl butamido triazine)及びエチルヘキシルトリアゾン、アミノベンゾフェノン、ベンゾオキサゾール並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物をベースとする部分を含み得る。更に、UV遮蔽剤という用語は、欧州議会及び欧州理事会の規則(EC)No 1223/2009の附属書VI(2020年12月3日版)(https://www.legislation.gov.uk/eur/2009/1223/annex/VI)のリストに記載されている物質と理解することができる。
【0064】
水溶性UV遮蔽剤の水中溶解度は、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%である。
【0065】
油溶性UV遮蔽剤の、一般的な化粧用油、例えば、安息香酸アルキル(C12~C15)、アジピン酸ジブチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、セバシン酸ジイソプロピル、安息香酸フェネチル又は炭酸ジカプリリルへの溶解度は、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも7重量%である。
【0066】
「安息香酸アルキル(C12~C15)」という用語は、安息香酸とC12~C15アルキル鎖を含む脂肪アルコールとのエステルを指す。C12~C15アルキル鎖とは、C12、C13、C14又はC15の鎖長を有するアルキル鎖と定義される。
【0067】
「エモリエント剤」という用語は、皮膚を保護、保湿及び潤滑するために使用される、化粧用の特定の油に関連する。エモリエント剤という用語は、ラテン語の「mollire(柔らかくする)」に由来している。概して、エモリエント剤は、皮膚に閉塞性の被覆を形成することによって水分の蒸発を防ぐものである。これらは、その極性指数(polarity index)に応じて異なる群に分けることができる。
【0068】
「敏感な皮膚」という用語は、天然のバリア機能が弱まっており、誘発因子(trigger)によって破壊されている皮膚を指す。誘発因子は、例えば、寒い天候、極端に高温の水、日焼け止め又はデイリーケア組成物に含まれることがある要注意(critical)成分であり得る。
【0069】
本明細書において使用される「紫外線防御指数(SPF)」という用語は、日焼け止め組成物が皮膚を主にUV-B放射からどの程度保護するかを表すものである。具体的には、この指数は、未処置の皮膚と比較して、保護された皮膚にどれだけ長い時間サンバーンを起こさせることなく日光に曝露することができるかを表している。例えば、本来であれば日光下で10分間でサンバーンが現れるヒトの皮膚に、SPF15の日焼け止め組成物を均等に塗布した場合、この日焼け止め剤によって、当業者は15倍長い時間日光下に留まることが可能になる。換言すれば、SPF15とは、日焼け止め剤を、厚みが1平方センチメートルあたり2ミリグラム(mg/cm2)となる用量で均等に塗布したと仮定した場合に、皮膚に到達するであろうサンバーンを生じさせる(burning)紫外放射が1/15になることを意味する。
【0070】
「広帯域(broadband)」防御(広域スペクトル(broad-spectrum)又は広域防御(broad protection)とも呼ばれる)の定義は、「臨界波長」に基づく。広帯域を網羅するためには、UV-B及びUV-A防御を提供しなければならない。米国の要件によれば、広域スペクトル防御を達成するためには臨界波長が少なくとも370nmであることが必要である。更に欧州委員会は、全ての日焼け止め又は化粧用組成物が、表示されている紫外線防御指数(SPF)の少なくとも3分の1のUV-A防御指数を有するべきであると勧告しており、例えば、日焼け止め組成物のSPFが30である場合、UVA防御指数は少なくとも10でなければならない。
【0071】
「臨界波長」という用語は、紫外線防御曲線(波長に対する防御率(%))下の面積が、UV領域(290~400nm)の曲線下の総面積の90%を占めるところに位置する波長と定義されている。例えば、臨界波長が370nmであるとは、日焼け止め組成物による防御が、UV-Bの波長、即ち、290~320nmの波長に限定されず、波長370nmにおいてUV領域の防御曲線下の総面積の90%に達するという形で、370nmにまで及ぶことを表している。
【0072】
「投与」という用語は、日焼け止め又はデイリーケア組成物をヒトの皮膚に塗布することを指す。
【0073】
以下に、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する好ましい実施形態に加えてその使用についても説明する。本発明の好ましい実施形態は、単独でも互いに組み合わせても好ましいことを理解すべきである。
【0074】
上に示したように、本発明は、一実施形態において、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
(iii)酸化亜鉛と;
を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含まない、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【0075】
したがって、これに関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物が1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(INCI:t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(butyl methoxydibenzoylmethane)、別名アボベンゾン)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、別名オクチノキサート)を含まないことを理解すべきである。
【0076】
一般に、アボベンゾンをオクチノキサートと混合することは、この組合せが非常に光不安定性が高いという理由から、避けるべきである。
【0077】
上に示したように、本発明は、更なる実施形態において:
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
(iii)酸化亜鉛と;
を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(オクチノキサート)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である(ii)二酸化チタン又は(iii)酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されている、日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。
【0078】
本発明に関しては、以下に示す日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する好ましい実施形態が適している。
【0079】
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)は親油性であり、典型的には、固体として又は溶解形態などの幾つかの形態で提供することができる。BASF SEからのTinosorb S又はDSMからのParsol Shieldは固体として提供されており、効果を発揮させるためには、これを製剤の油相に溶解させる必要がある。油溶性BEMT遮蔽剤を水相溶性及び水分散性にすることを目的として、BEMTを、ポリマーマトリックス中に、例えば、PMMA中(例えば、BASF SEからTinosorb S Aquaの商品名で上市されている製品)、(アクリレーツ/メタクリル酸アルキル(C12-22))コポリマー中(BASF SEからのTinosorb S Lite Aqua)に封入することもでき、又はBEMTをシリカビーズ中(例えば、SunjinからSunsil-Sの商品名で上市されている製品)に封入することもできる。
【0080】
本発明の好ましい実施態様において、二酸化チタンはナノ材料である。これに関連して、「ナノ材料」という用語は、欧州委員会の勧告2011/696/EUに従うものであることを理解すべきである。したがって、ナノ材料において、強凝集体(aggregate)又は弱凝集体(agglomerate)の構成粒子を含めた、個数基準の粒子径分布に基づく50%の粒子は、100nmよりも小さい。本発明の他の好ましい実施態様において、二酸化チタンは非ナノ材料である。したがって、非ナノ材料は、個数基準の粒子径分布に基づく50%超の粒子が、100nmよりも大きい。
【0081】
本発明の好ましい実施形態において、二酸化チタンの数平均一次粒子径は、1000nm未満、より好ましくは100nm未満、特に50nm未満である。更に好ましくは、二酸化チタンの数平均一次粒子径は、0.1~1000nm未満、より好ましくは1~100nm、特に2~50nmである。前記二酸化チタン粒子の数平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡法(TEM)などの当該技術分野において知られている方法により測定することができる。
【0082】
本発明の好ましい実施形態において、酸化亜鉛の数平均一次粒子径は、1000nm未満、より好ましくは200nm未満、特に150nm未満である。更に好ましくは、酸化亜鉛の数平均一次粒子径は、0.1~1000nm未満、より好ましくは1~200nm、特に5~150nmである。前記酸化亜鉛粒子の数平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡法(TEM)などの当該技術分野において知られている方法により測定することができる。
【0083】
好ましくは、二酸化チタンの数平均一次粒子径は、100nm未満、より好ましくは50nm未満であり、酸化亜鉛の数平均一次粒子径は、200nm未満、より好ましくは150nm未満である。
【0084】
本発明の好ましい実施形態においては、無機UV遮蔽剤である(ii)二酸化チタン又は(iii)酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されている。
【0085】
本発明の好ましい実施態様においては、二酸化チタンが被覆されている。無被覆の二酸化チタンは光触媒性を有するため、日焼け止め剤には避けるべきである。好ましくは、二酸化チタンは、好ましくは、アミノ酸、ミツロウ、脂肪酸、脂肪アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸(ステアリン酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄又はアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン又はアルミニウムの)、ポリエチレン、シリコーン(ジメチコン、シクロメチコン、ポリシリコーン、シメチコン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー及び/又はシクロペンタシロキサンなど)、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、シリカ及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物を用いて、化学的、電気的、機械化学的及び/又は機械的性質を有する1つ又は複数の表面処理が施された、被覆されている顔料である二酸化チタンであり、より好ましくは、酸化チタンは、水酸化アルミニウム、ステアリン酸及びこれらの混合物で被覆されている。
【0086】
好ましくは、被覆された二酸化チタン顔料は、以下に示すもので被覆された酸化チタンである:
- シリカで被覆、例えば、lkeda社からの製品であるSunveil、Merck社からの製品であるEusolex T-AVO及びSunjin社からの製品であるSunsil TIN 50;
- シリカ及び酸化鉄で被覆、例えば、lkeda社からの製品であるSunveil F;
- シリカ及びアルミナで被覆、例えば、Tayca社からの製品であるMicrotitanium Dioxide MT 500 SA及びMicrotitanium Dioxide MT 100 SA並びにCroda社からの製品であるTioveil;
- アルミナで被覆、例えば、lshihara社からの製品であるタイペーク TTO-55(B)及びタイペーク TTO-55(A)並びにSachtleben Pigments社からの製品であるUVT 14/4;
- ステアリン酸及び水酸化アルミニウムで被覆、例えば、Tayca社からの製品であるMicrotitanium Dioxide MT 100 TV、MT 100 TX、MT 100 Z、MT-01及びMT 900Z;
- ステアリン酸及びアルミナで被覆、例えば、Crodaからの製品であるSolaveil XT-300-LQ;
- ステアリン酸アルミニウム及びアルミナで被覆、例えば、Croda社からの製品であるSolaveil CT-10 W、Solaveil
CT 100-LQ、Solaveil CT 200-LQ及びSolaveil CT-300 LQ;
- シリカ、アルミナ及びアルギン酸で被覆、例えば、Tayca社からの製品であるMT-100 AQ;
- アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆、例えば、Tayca社からの製品であるMicrotitanium Dioxide MT 100 S;
- 酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆、例えば、Tayca社からの製品であるMicrotitanium Dioxide MT 100 F;
- シリカ及びアルミナで被覆、シリコーンで処理、例えば、Tayca社からの製品であるMicrotitanium Dioxide MT 600 SAS、Microtitanium Dioxide MT 500 SAS又はMicrotitanium Dioxide MT 100 SAS;
- シリカ、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆、シリコーンで処理、例えば、Titan Kogyo社からの製品であるSTT-30-DS;
- シリカ及びシリコーンで被覆、例えば、Sachtleben Pigments社からの製品であるUV-Titan X 195及びDSM Nutritional Products社からの製品であるParsol TX;
- シリカ及びリン酸セチルで被覆、例えば、Merckからの製品であるEusolex T-easy;
- アルミナ及びシリコーンで被覆、例えば、lshihara社からの製品であるタイペーク TTO-55(S)又はSachtleben Pigments社からの製品であるUV Titan M 262(ジメチコンを含む);Merckからの製品であるEusolex T- 2000(シメチコンを含む);
- アルミナ及びグリセリンで被覆、例えば、製品UV-Titan M212;
- アルミナ及びトリエトキシカプリリルシランで被覆、例えば、製品Uv Titan M765;
- トリエタノールアミンで被覆、例えば、Titan Kogyo社からの製品であるSTT-65-S;
- ステアリン酸で被覆、例えば、lshihara社からの製品であるタイペーク TTO-55(C);
- ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆、例えば、Tayca社からの製品であるMicrotitanium Dioxide MT 150 W;
- シリコーン、例えば、トリメトキシカプリリルシラン又はシメチコンで被覆;
- オクチルトリメチルシランで被覆、特に、Degussa Silices社からT 805の商品名で販売されているもの;
- ポリジメチルシロキサンで被覆、特に、Cardre社から70250 Cardre UF TiO2SI3の商品名で販売されているもの;
- ポリジメチルハイドロジェンシロキサンで処理されたアナターゼ/ルチル型TiO2、特に、Color Techniques社からMicrotitanium Dioxide USP Grade Hydrophobieの商品名で販売されているもの。
【0087】
少なくとも1種の遷移金属、例えば、鉄、亜鉛又はマンガン、より詳細にはマンガンがドーピングされた二酸化チタン顔料も挙げることができる。好ましくは、前記ドーピングされた顔料は、油性分散液の形態にある。油性分散液中に存在する油は、好ましくは、カプリン/カプリル酸のトリグリセリドなどのトリグリセリドから選択される。
【0088】
本発明の好ましい実施態様において、酸化亜鉛は無被覆であるか又は被覆されている。好ましくは、酸化亜鉛は、無機及び/又は有機表面被覆で被覆されている。
【0089】
本発明の好ましい実施形態において、酸化亜鉛は、酸化アルミニウム(Al2O3)、水酸化アルミニウムAI(OH)3、酸化アルミニウム水和物(別名アルミナ、例えば、CAS番号:1333-84-2)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(NaPO3)、メタリン酸ナトリウム(NaPO3)n、二酸化ケイ素(SiO2)(別名シリカ、例えばCAS番号:7631-86-9)、酸化鉄(Fe2O3)及びこれらの混合物からなる群から選択される無機表面被覆で被覆されている。無機表面被覆は、単独で、組合せで、及び/又は有機表面被覆との組合せで存在することができることを理解すべきである。
【0090】
本発明の好ましい実施形態において、酸化亜鉛は、植物性又は動物性ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸又はラウリン酸などの脂肪酸、ジメチルポリシロキサン(別名ジメチコン)、メチルポリシロキサン(メチコン)、シメチコン(平均鎖長がジメチルシロキサン単位約200~約350個であるジメチルポリシロキサンとシリカゲルとの混合物)、トリエトキシカプリリルシラン、オクチルトリメトキシシラン及びこれらの混合物からなる群から選択される有機表面被覆で被覆されている。これらの有機表面被覆は、単独で、組合せで、及び/又は無機表面被覆との組合せで存在することができることを理解すべきである。好ましくは、本発明による酸化亜鉛は、無被覆であるか又はジメチコン、メチコン若しくはトリエトキシカプリリルシランで被覆されており、最も好ましくは、本発明による酸化亜鉛は、トリエトキシカプリリルシランで表面処理されている。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、二酸化チタン及び酸化亜鉛の合計対ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの重量比は、1:1~20:1の範囲、好ましくは1:1~12:1の範囲、特に2:1~6:1の範囲にある。
【0092】
本発明の好ましい実施形態において、二酸化チタン対酸化亜鉛の重量比は、4:1~1:3の範囲、好ましくは3:1~1:2の範囲、より好ましくは5:2~1:1の範囲、特に2:1~6:5の範囲にある。
【0093】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)及び/又は2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まない。
【0094】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を含む。
【0095】
好ましくは、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤対ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)の重量比は、1超:1~30:1、好ましくは2:1~20:1、特に3:1~10:1である。
【0096】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を、最大20重量%、好ましくは最大15重量%、より好ましくは最大10重量%、更に好ましくは最大5重量%、一層好ましくは最大2重量%、特に最大1重量%の量で含む。本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を、0~20重量%、好ましくは0~15重量%、より好ましくは0~10重量%、更に好ましくは0~5重量%、一層好ましくは0~2重量%、特に0~1重量%の量で含む。
【0097】
少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤は、当該技術分野において知られている有機又は無機UV遮蔽剤などの任意のUV遮蔽剤とすることができる。
【0098】
好適な更なる異なる無機UV遮蔽剤としては、酸化セリウムを挙げることができる。
【0099】
有機UV遮蔽剤としては、UVA、UVB及び/又は異なる広帯域UV遮蔽剤を適用することができる。これに関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物中には、明示的に否認されていない限り、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を存在させることができることを理解すべきである。好適なUVA遮蔽剤は、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸2Na、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(INCI:t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、アボベンゾンとしても知られる)、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。好適なUVB遮蔽剤は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCI:エチルヘキシルトリアゾン)、4,4’-[[6-[[4-[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]フェニル]アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル]ジイミノ]ビス-安息香酸-ビス(2-エチルヘキシル)エステル(INCI:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Diethylhexyl Butamido Triazone))、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)、オクチサレート及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。好適な異なる広帯域UV遮蔽剤は、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-[(2-エチルヘキシルオキシ)メチル]-4-メチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-[2-メチル-3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]-1-ジシロキサニル]プロピル]フェノール(INCI:ドロメトリゾールトリシロキサン(drometrizole trisiloxane))、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCI:メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)、フェニレンビス-ジフェニルトリアジン、オキシベンゾン-3及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0100】
好ましい実施形態において、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤は、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)、オクトクリレンとオクチノキサートとの組合せ及びオクトクリレンとアボベンゾンとの組合せからなる群から選択される。
【0101】
本発明の他の好ましい実施形態において、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤は、エチルヘキシルトリアゾン、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](INCI:メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤対ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)の重量比は、1超:1~30:1好ましくは2:1~20:1、特に3:1~10:1である。
【0102】
本発明の他の好ましい実施形態において、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)であり、好ましくは、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)対ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)の重量比は、1超:1~30:1、好ましくは2:1~20:1、特に3:1~10:1である。
【0103】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)を含み、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)対ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)の重量比は、1超:1~30:1、好ましくは2:1~20:1、特に3:1~10:1である。
【0104】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、二酸化チタン及び酸化亜鉛以外に、好ましくは欧州議会及び欧州理事会の規則(EC)No 1223/2009の附属書VI(2020年12月3日版)に規定されている、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を、20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、一層好ましくは2重量%以下、特に1重量%以下で含む。これに関連して、本明細書において使用される「少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤」という用語は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、二酸化チタン及び酸化亜鉛とは異なる、好ましくは欧州議会及び欧州理事会の規則(EC)No 1223/2009の附属書VI(2020年12月3日版)に規定されている1種、2種又はそれを超えるUV遮蔽剤を含むことを理解すべきである。したがって、好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含み、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、二酸化チタン及び酸化亜鉛以外に、好ましくは欧州議会及び欧州理事会の規則(EC)No 1223/2009の附属書VI(2020年12月3日版)に規定されている、少なくとも1種の更なる異なるUVを、0~20重量%、好ましくは0~15重量%、より好ましくは0~10重量%、更に好ましくは0~5重量%、一層好ましくは0~2重量%、特に0~1重量%のみ含む。
【0105】
好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、ホモサレート、サリチル酸グリコール及びサリチル酸フェニルなどのサリチル酸エステルから誘導されたUV遮蔽剤を、20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、一層好ましくは2重量%、特に1重量%以下で含む。特に、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エステル由来のUV遮蔽剤を含まない。
【0106】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、更なる異なるUV遮蔽剤を含まない(即ち、好ましくは欧州議会及び欧州理事会の規則(EC)No 1223/2009の附属書VI(2020年12月3日版)に規定されている、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、二酸化チタン及び酸化亜鉛とは異なる、更なる異なるUV遮蔽剤を含まない)。
【0107】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1,1’-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン)を含まない。
【0108】
本発明の好ましい実施形態において、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは水相に添加される。
【0109】
本発明の他の好ましい実施形態において、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは油相に添加される。
【0110】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ベンゾトリアゾリルドデシルpクレゾール、エチルヘキシルメトキシクリレン、ポリエステル-8、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、トリメトキシベンジリデンペンタンジオン、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、縮合環シアノアクリレート誘導体、ポリエステル-25及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。
【0111】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、無機UV遮蔽剤を、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総量を基準として、1~35重量%、好ましくは5~25重量%、特に8~20重量%の量で含む。
【0112】
好ましくは、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、二酸化チタン及び酸化亜鉛を、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、1~35重量%、好ましくは5~25重量%、特に8~20重量%の量で含む。
【0113】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を1~10重量%、好ましくは1.5~6重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを2~20重量%、好ましくは4~15重量%の量と;
(iii)酸化亜鉛を1~20重量%、好ましくは3~15重量%の量と;
を含む。
【0114】
本発明の他の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を1~8重量%、好ましくは2~6重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを2~15重量%、好ましくは4~10重量%の量と;
(iii)酸化亜鉛を1~15重量%、好ましくは3~8重量%の量と;
を含む。
【0115】
本発明の他の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を1~8重量%、好ましくは2~6重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを5~20重量%、好ましくは10~15重量%の量と;
(iii)酸化亜鉛を5~20重量%、好ましくは7~15重量%の量と;
を含む。
【0116】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、UV遮蔽剤を、合計して5~40重量%、好ましくは8~35重量%、より好ましくは9~30重量%又は9~35重量%、更に好ましくは9~25重量%、特に9~20重量%含む。
【0117】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物のSPFは、15を超え、好ましくは30を超える。本発明の他の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物のSPFは50を超え、好ましくは60を超える。本発明の他の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物のSPFは90を超え、好ましくは100を超える。SPFは、当該技術分野において知られている方法に従い決定することができる。好ましくは、SPFは、in vivoで又はin vitroで測定される。好ましくは、SPFは、実施例に開示する「プレート法(plate method)」に従い決定される。
【0118】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくはUVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤又は異なるUV広帯域遮蔽剤、特に、異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも高いSPF値を有し、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくはUVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤又は異なるUV広帯域遮蔽剤、特に、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。SPFは、当該技術分野において知られている方法に従い決定することができる。好ましくは、SPFは、in vivoで又はin vitroで測定される。好ましくは、SPFは、実施例に開示する「プレート法」に従い決定される。これに関連して、及び以下の比較に関連して、比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、BEMTに替えて、UVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤又は異なるUV広帯域遮蔽剤を含み得ることを理解すべきである。
【0119】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりもべたつきが低減しており、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。
【0120】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも皮膜の均質性が向上しており、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。
【0121】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも洗浄前及び/又は後の布地の着色が低減されており、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。
【0122】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも耐水性が向上しており、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。好ましくは、耐水性は、実施例に開示する「溶液法(solution method)」に従い決定される。
【0123】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物の光安定性は、85%を超え、好ましくは90%を超え、特に95%を超える。好ましくは、日焼け止め又はデイリーケア組成物の、10MED、20MED及び/又は50MED後の光安定性は、85%を超え、好ましくは90%を超え、特に95%を超える。好ましくは、光安定性は、実施例に従い決定される。
【0124】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも光安定性、好ましくは50MED後の光安定性が高く、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。好ましくは、光安定性は、実施例に従い決定される。
【0125】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも製剤の黄色化が低減されており、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。
【0126】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン以外に、追加の異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA、UVB又は異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較して、製剤の黄色化が低減されており、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、二酸化チタン、酸化亜鉛及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。
【0127】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも光沢が低減されており、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。
【0128】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン以外に、追加の異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA、UVB又は異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも光沢が低減されており、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、二酸化チタン、酸化亜鉛及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。
【0129】
本発明の好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン以外に、追加の異なるUV遮蔽剤(例えば、サリチル酸ブチルオクチル)、好ましくは、UVA、UVB又は異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも砂付着性が低減されており、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、二酸化チタン、酸化亜鉛及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含むものである。
【0130】
本発明の特に好ましい実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、十分なSPF、光安定性、低減されたべたつき、改善された耐水性、改善された皮膜均質性、低減された洗浄前及び/若しくは後の布地の着色、低減された製剤の黄色化、低減された光沢並びに改善された微生物叢、好ましくはヒトの皮膚微生物叢との適合性を示す。
【0131】
上に述べたように、本発明は、第2の態様において、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の光安定性を向上させる、並びに/又はべたつきを低減する、並びに/又は耐水性を改善する、並びに/又は皮膜の均質性を改善する、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色を低減する、並びに/又は製剤の黄色化を低減する、並びに/又は光沢を低減する、並びに/又は微生物叢、好ましくはヒトの皮膚の微生物叢との適合性を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含まない方法に関する。
【0132】
これに関連して、本発明による方法は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤又は異なるUV広帯域遮蔽剤、特に、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量で含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較して、光安定性を向上させることを理解すべきである。同様に、そのべたつき、耐水性、洗浄前及び/若しくは後の布地の着色、皮膜の均質性並びに/又は微生物叢、好ましくはヒトの皮膚の微生物叢との適合性についても、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤又は異なるUV広帯域遮蔽剤、特に、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量で含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較することにより、評価を行う。更に、本発明による方法は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤又は異なるUV広帯域遮蔽剤、特に、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量で含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較して、製剤の黄色化を低減し、及び/又は光沢を低減することができる。これに加えて又はこれに替えて、製剤の黄色化及び/又は光沢を、二酸化チタン、酸化亜鉛及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含み、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン以外に、追加の異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA、UVB又は異なるUV広帯域遮蔽剤を更に含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較して、評価することができる。
【0133】
換言すれば、本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の光安定性を向上させる方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含まず、この光安定性の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0134】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシヘノール(ethylhexyloxyhenol)メトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物のべたつきを低減する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含まず、このべたつきの比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0135】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の耐水性を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含ます、この耐水性の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0136】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の皮膜の均質性を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含まず、この皮膜の均質性の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0137】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の洗浄前及び/又は後(洗浄性)の布地の着色を低減する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオエ(dioe)(アボベンゾン)を含まず、この洗浄前及び/又は後の布地の着色の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0138】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の光沢を低減する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオエ(dioe)(アボベンゾン)を含まず、この光沢の比較は、好ましくは、二酸化チタン、酸化亜鉛及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含み、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン以外に、追加の異なるUV遮蔽剤、好ましくはUVA、UVB又は異なるUV広帯域遮蔽剤を更に含む、比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0139】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の製剤の黄色化を低減する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオエ(dioe)(アボベンゾン)を含まず、この製剤の黄色化の比較は、好ましくは、二酸化チタン、酸化亜鉛及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含み、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン以外に、追加の異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA、UVB又は異なるUV広帯域遮蔽剤を更に含む、比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0140】
好ましくは、本発明の日焼け止め又はデイリーケア組成物の製剤の黄色化及び/又は光沢及び/又は砂付着性は、サリチル酸ブチルオクチルなどのUV遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較して、低減されている。
【0141】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の微生物叢との適合性を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、4,4’,4”-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸-トリス(2-エチルヘキシル)エステル(オクチルトリアゾン)、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(INCI:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及び2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール](ビスオクトリゾール)及びサリチル酸ブチルオクチルを含まず、この日焼け止め又はデイリーケア組成物が(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(オクチノキサート)を更に含む場合、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物は、1-(4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル)-3-(4-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン(アボベンゾン)を含まず、この微生物叢との適合性の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0142】
上に述べたように、本発明は、第4の態様において、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の光安定性を向上させる、並びに/又はべたつきを低減する、並びに/又は耐水性を改善する、並びに/又は皮膜の均質性を改善する、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色を低減する、並びに/又は製剤の黄色化を低減する、並びに/又は光沢を低減する、並びに/又は微生物叢との適合性を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されている、方法に関する。
【0143】
これに関連して、本発明による方法は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤又は異なるUV広帯域遮蔽剤、特に、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較して、光安定性を向上させることを理解すべきである。同様に、べたつき、耐水性、洗浄前及び/若しくは後の布地の着色、皮膜の均質性、並びに/又は微生物叢との適合性についても、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤又は異なるUV広帯域遮蔽剤、特に、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較することにより、評価を行う。更に、本発明による方法は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA遮蔽剤、UVB遮蔽剤又は異なるUV広帯域遮蔽剤、特に、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較して、製剤の黄色化を低減し、並びに/又は光沢及び/若しくは砂接着性を低減することができる。これに加えて、製剤の黄色化及び/又は光沢及び/又は砂付着性を、二酸化チタン、酸化亜鉛及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含み、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン以外に、追加の異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA、UVB又は異なるUV広帯域遮蔽剤を更に含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較して、評価することができる。
【0144】
換言すれば、本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の光安定性を向上させる方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されており、この光安定性の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0145】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物のべたつきを低減する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されており、このべたつきの比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0146】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の耐水性を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されており、この耐水性の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0147】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の皮膜の均質性を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されており、この皮膜の均質性の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0148】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の洗浄前及び/後の布地の着色を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されており、この洗浄前及び/後の布地の着色の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0149】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の光沢を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されており、この光沢の比較は、好ましくは、二酸化チタン、酸化亜鉛及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含み、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン以外に、追加の異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA、UVB又は異なるUV広帯域遮蔽剤を更に含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0150】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の製剤の黄色化を改善する方法であって、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されており、この製剤の黄色化の比較は、好ましくは、二酸化チタン、酸化亜鉛及びビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含み、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン以外に、追加の異なるUV遮蔽剤、好ましくは、UVA、UVB又は異なるUV広帯域遮蔽剤を更に含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0151】
好ましくは、本発明の日焼け止め又はデイリーケア組成物の製剤の黄色化及び/又は光沢は、サリチル酸ブチルオクチルなどのUV遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物と比較して、低減されている。
【0152】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の微生物叢との適合性を改善する方法に関し、この日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸エチルヘキシル、2-ヒドロキシ安息香酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(INCI:ホモサレート)、サリチル酸ブチルオクチル、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)及び2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まず、無機UV遮蔽剤である二酸化チタン又は酸化亜鉛のうちの少なくとも1種は被覆されており、この微生物叢との適合性の比較は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンに替えて、異なるUV遮蔽剤、好ましくは、異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、本発明による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物に対するものである、方法に関する。
【0153】
上述の日焼け止め又はデイリーケア組成物の実施形態は、第2及び第4の態様にも適用できることを理解すべきである。
【0154】
更に本発明は、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物中における使用であって、前記日焼け止め又はデイリーケア組成物、好ましくは本発明による組成物の、光安定性を向上させるため、並びに/又はべたつきを低減するため、並びに/又は耐水性を改善するため、並びに/又は洗浄前及び/若しくは後の布地の着色を低減するため、並びに/又は製剤の黄色化を低減するため、並びに/又は光沢を低減するため、並びに/又は砂付着性を低減するため、並びに/又は皮膜の均質性を改善するため、並びに/又は微生物叢、好ましくはヒトの皮膚の微生物叢との適合性を改善するための使用にも関する。
【0155】
日焼け止め又はデイリーケア組成物の上述の実施形態は、使用の態様にも適用できることを理解すべきである。
【0156】
上に示したように、本発明は、第5の態様において、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
を含むデイリーケア組成物の日焼け止めであって、
更なる追加のUV遮蔽剤を含まない、デイリーケア組成物の日焼け止めに関する。
【0157】
好ましい実施形態において、デイリーケア組成物の日焼け止めは、二酸化チタンを、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、6.5~25.0重量%、好ましくは6.5~20.0重量%、より好ましくは7.0~14.0重量%、特に7.0~12.0重量%の量で含む。
【0158】
好ましい実施形態において、デイリーケア組成物の日焼け止めは、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を、1.0~10.0重量%、好ましくは1.0~7.0重量%、より好ましくは1.5~5.0重量%、特に1.5~2.5重量%の量で含む。
【0159】
本発明の第5の態様の好ましい実施形態において、デイリーケア組成物の日焼け止めは、それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を1~10重量%、好ましくは1.5~6重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを2~30重量%、好ましくは4~15重量%の量と;
を含む。
【0160】
本発明の第5の態様の好ましい実施形態において、デイリーケア組成物の日焼け止めは、それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を1.0~7.0重量%、好ましくは1.5~2.5重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを6.5~25.0重量%、好ましくは7.0~12.0重量%の量と;
を含む。
【0161】
本発明の第5の態様によるデイリーケア組成物の日焼け止めは、特に微生物叢に有益である。
【0162】
日焼け止め又はデイリーケア組成物の上述の実施形態は、酸化亜鉛に関する実施形態を除いて第5の態様にも適用できることと、これは本発明の第5の態様ではないが、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、任意選択的に少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を含むことができることと、を理解すべきである。
【0163】
更に本発明は、第6の態様において、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)酸化亜鉛と;
を含むデイリーケア組成物の日焼け止めであって、
更なる追加のUV遮蔽剤を含まない、デイリーケア組成物の日焼け止めに関する。
【0164】
本発明の第6の態様の好ましい実施形態において、デイリーケア組成物の日焼け止めは、それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を、1~10重量%、好ましくは1.5~6重量%、特に1.5~2.5重量%の量と;
(ii)酸化亜鉛を、2~30重量%、好ましくは4~15重量%、特に4~12重量%の量と;
を含む。
【0165】
日焼け止め又はデイリーケア組成物の上述の実施形態は、二酸化チタンに関する実施形態を除いて第6の態様にも適用できることと、これは本発明の第6の態様ではないが、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、任意選択的に少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を含むことができることとを理解すべきである。
【0166】
上の実施形態に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、紫外放射から皮膚を保護するのに特に適していることを理解すべきである。
【0167】
したがって、更に本発明は、ヒトの皮膚の紫外放射からの保護に使用するための、本明細書においてより詳細に定義する日焼け止め又はデイリーケア組成物に関する。更に本発明は、本明細書においてより詳細に定義する日焼け止め又はデイリーケア組成物を投与することにより、ヒトの皮膚を紫外放射から保護する方法に関する。
【0168】
上述の日焼け止め又はデイリーケア組成物の実施形態は、使用及び投与方法にも適用できることを理解すべきである。
【0169】
更に、上の実施形態に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の添加剤を含み得ることを理解すべきである。
【0170】
一実施形態において、少なくとも1種の添加剤は、乳化剤、エモリエント剤、粘度調節剤(増粘剤)、感触向上剤(sensory enhancer)、補助剤、防腐剤、香料及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0171】
好ましい乳化剤としては:
- グルコース誘導体、例えば、セテアリルグルコシド、アラキジルグルコシド、ラウリルグルコシド、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、セスキステアリン酸メチルグルコース;
- スクロース誘導体、例えば、ポリステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース;
- ソルビトール誘導体;
- 脂肪酸のグリセリド、例えば、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル;
- グルマチン酸(glumatic acid)誘導体、例えば、ステアロイルグルタミン酸Na;
- スルホコハク酸誘導体、例えば、スルホコハク酸セテアリル2Na;
- リン酸誘導体、例えば、セチルリン酸K;
- ポリグリセリルの脂肪酸エステル、例えば、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2;
- オキシアルケニル化有機変性シリコーン/ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテル共重合体及び誘導体;
が挙げられる。
【0172】
好ましいエモリエント剤としては、
- 直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪アルコールとのエステル、例えば、カプリル酸プロピルヘプチル、カプリル酸ヤシ油アルキル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル;
- 芳香族カルボン酸と直鎖又は分岐脂肪アルコールとのエステル、例えば、安息香酸アルキル(C12~C15)、安息香酸エチルヘキシル、安息香酸フェネチル;
- 直鎖又は分岐アルコールとジカルボン酸とのエステル、例えば、アジピン酸ジブチル、炭酸ジカプリリル、セバシン酸ジイソプロピル;
- ヒドロキシカルボン酸と直鎖又は分岐脂肪アルコールとのエステル;
- 直鎖又は分岐脂肪酸と多価アルコールとのエステル、例えば、ジ(カプリル/カプリン酸)ブチレングリコール;
- C6~C18脂肪酸をベースとするモノ-、ジ-、トリ-グリセリド、例えば、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ココグリセリル;
- ゲルベアルコール、例えば、オクチルドデシノール(octyldodecynol);
- 炭化水素、例えば、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワレン、イソヘキサデカン;
- エーテル、例えば、ジカプリリルエーテル;
- シリコーン誘導体(有機変性ポリシロキサン)、例えば、ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン;
が挙げられる。
【0173】
好ましい増粘剤としては、
- 脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール;
- 脂肪酸、例えば、ステアリン酸;
- 脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸ミリスチル;
- ワックス、例えば、ミツロウ、カルナウバロウ、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オゾセライト(ozocerite);
- 多糖類又は誘導体、例えば、キサンタンガム、グアーガム、寒天(agar gum)、アルギン酸塩、ジェランガム、カラゲーナン(carraghenan);
- ポリアクリル酸エステル又は網目状(reticulated)アクリル酸の単独重合体又はポリアクリルアミド、例えば、カルボマー、アクリレートコポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10~C30))クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー;
- ケイ酸塩(silicate)誘導体、例えば、ケイ酸マグネシウム;
- セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース;
が挙げられる。
【0174】
好ましい感触向上剤としては、
- ポリアミド誘導体、例えば、ナイロン-12;
- ポリメタクリル酸メチル;
- シリカ;
- マイカ;
- ポリメチルシルセスキオキサン;
- ポリエチレン;
- デンプン誘導体、例えば、オクテニルコハク酸デンプンAl;
- ジメチコン誘導体;
- 窒化ホウ素;
- (HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー;
が挙げられる。
【0175】
好ましいヒューメクタント(humectant)としては:
- 1,2ペンタンジオール;
- 1,2ヘキサンジオール;
- 1,2オクタンジオール;
- 1,2デカンジオール;
- 2-メチル-1,3-プロパンジオール;
が挙げられる。
【0176】
好ましい補助剤としては、
- トコフェロール誘導体;
- レチノール誘導体;
- アスコルビン酸誘導体;
- ビサボロール;
- アラントイン;
- パンテノール;
- キレート剤(EDTA、EDDS、EGTA、フィチン酸、ピロクトンオラミン);
- エチルヘキシルグリセリン;
- ヒドロキシアセトフェノン;
- カプリルヒドロキシミン酸(caprylhydroxymic acid);
- 噴射剤、例えば、プロパン、ブタン、イソブテン、ジメチルエーテル;
- スチレン/PVP又はスチレン/アクリルアミド共重合体;
- 昆虫忌避剤、例えば、ブチルアセチルアミノプロピオン酸エステル;
が挙げられる。
【0177】
好ましい防腐剤としては、
- ベンジルアルコール;
- ジンゲロン;
が挙げられる。
【0178】
好ましい香料は、リモネン、シトラール、リナロール、α-イソメチルイオノン、ゲラノオール、シトロネロール、2-イソブチル-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン、酢酸2-tert-ペンチルシクロヘキシル、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、7-アセチル-1,1,3,4,4,6-ヘキサメチルテトラリン、アジピン酸ジエステル、α-アミルシンナムアルデヒド、α-メチルイオノン、アミルC(amyl C)、ブチルフェニルメーチルプロピオナール(butylphenylmehtylpropional)、シンナマール、サリチル酸アミル、アミルシンナミルアルコール、アニスアルコール、ベンゾイン、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ベルガモット油、ビターオレンジ油、ブチルフェニルメチルプロピオアール(butylphenylmethylpropioal)、ショウズク種子油、セドロール、シンナマール、シンナミルアルコール、メチルクロトン酸シトロネリル、レモン油、クマリン、コハク酸ジエチル、エチルリナロール、オイゲノール、エベルニアフルフラセアエキス、ツノマタゴケエキス、ファレンソール(farensol)、グアヤックウッド油、ヘキシルシンナマル、ヘキシルカリチレート(hexylcalicylate)、ヒドロキシシトロネラール、ラベンダー油、レモン油、酢酸リナリル、マンダリンオレンジ油、PCAメンチル、メチルヘプテノン、ニクズク核油、ローズマリー油、オレンジ果皮油、テルピネオール、トンカビーン油、クエン酸トリエチル、バニリン及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0179】
上述の好ましい実施形態に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物が2種以上の添加剤を含む場合、上に定義した添加剤の組合せも本発明の一部であることを理解すべきである。
【0180】
上述の好ましい及び特に好ましい実施形態に関連して、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、更に水を含むことができることを理解すべきである。
【0181】
日焼け止め又はデイリーケア組成物中に水が存在する場合、好ましくは、組成物の総重量を基準として、5重量%を超える量で存在することを理解すべきである。更に、日焼け止め又はデイリーケア組成物中に水が存在する場合、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、水中油型エマルジョン(O/Wエマルジョン)、油中水型エマルジョン(W/Oエマルジョン)、ゲルクリーム又はゲル中油型組成物(oil in gel)となり得ることを理解すべきである。
【0182】
本発明の一実施形態において、日焼け止め又はデイリーケア組成物は、様々な形態、例えば、ゲル、クリーム、オイル、ローション、スティック又は噴霧可能な製品の形態で提供することができる。
【0183】
上に概説した成分は、特に敏感な皮膚に適している。
【0184】
本発明は、更に以下の項目に関する:
1.日焼け止め又はデイリーケア組成物であって、
(i)ビス-エチルヘキシルメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
(iii)酸化亜鉛と;
を含む、日焼け止め又はデイリーケア組成物。
2.二酸化チタンは、数平均一次粒子径が1000nm未満である、項目1に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
3.酸化亜鉛は、数平均一次粒子径が1000nm未満である、項目1又は2に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
4.二酸化チタンは被覆されている、項目1~3のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
5.酸化亜鉛は無被覆であるか又は被覆されている、項目1~4のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
6.二酸化チタン及び酸化亜鉛の合計対ビス-エチルヘキシルメトキシフェニルトリアジンの重量比は、1:1~20:1の範囲にある、項目1~5のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
7.日焼け止め又はデイリーケア組成物は、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(INCI:オクトクリレン)、(RS)-2-エチルヘキシル(2E)-3-(4-メトキシフェニル)プロパ-2-エノアート(INCI:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)及び/又は2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(INCI:オキシベンゾン-3)を含まない、項目1~6のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
8.日焼け止め又はデイリーケア組成物は、少なくとも1種の更なる異なるUV遮蔽剤を含む、項目1~7のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
9.日焼け止め又はデイリーケア組成物は、更なる異なるUV遮蔽剤を含まない、項目1~7のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
10.日焼け止め又はデイリーケア組成物は、サリチル酸ブチルオクチル、ベンゾトリアゾリルドデシルpクレゾール、エチルヘキシルメトキシクリレン、ポリエステル-8、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、トリメトキシベンジリデンペンタンジオン、ナフタリンジカルボン酸ジエチルヘキシル、縮合環シアノアクリレート誘導体、ポリエステル-25及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、項目1~9のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
11.二酸化チタン及び酸化亜鉛を、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、1~35重量%の量で含む、項目1~10のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
12.それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を、1~10重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを、2~20重量%の量と;
(iii)酸化亜鉛を、1~20重量%の量と;
を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
13.日焼け止め又はデイリーケア組成物は、UV遮蔽剤を、日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、合計5~40重量%含む、項目1~12のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
14.SPFが15を超えるか又はSPFが50を超えるか又はSPFが90を超える、項目1~13のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
15.ビス-エチルヘキシルメトキシフェニルトリアジンに替えて異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりもSPF値が高く、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、項目1のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む、項目1~14のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
16.光安定性が85%を超える、項目1~15のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
17.ビス-エチルヘキシルメトキシフェニルトリアジンに替えて異なるUV広帯域遮蔽剤を含む比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物よりも光安定性が高く、この比較用日焼け止め又はデイリーケア組成物は、この異なるUV広帯域遮蔽剤と、二酸化チタン及び酸化亜鉛とを、項目1による日焼け止め又はデイリーケア組成物と等量含む、項目1~16のいずれか一項に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
18.ビス-エチルヘキシルメトキシフェニルトリアジンを適用することによって、二酸化チタン及び酸化亜鉛を含む日焼け止め又はデイリーケア組成物の光安定性を向上させ、及び/又はべたつきを低減し、及び/又は耐水性を改善し、及び/又は皮膜の均質性を改善し、及び/又は微生物叢との適合性を改善する方法。
19.(i)ビス-エチルヘキシルメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)と;
(ii)二酸化チタンと;
を含むデイリーケア組成物の日焼け止めであって、
更なる追加のUV遮蔽剤を含まない、デイリーケア組成物の日焼け止め。
20.それぞれ日焼け止め又はデイリーケア組成物の総重量を基準として、
(i)ビス-エチルヘキシルメトキシフェニルトリアジン(INCI:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)を1~10重量%の量と;
(ii)二酸化チタンを2~30重量%の量と;
を含む、項目19に記載の日焼け止め又はデイリーケア組成物。
【0185】
本発明を以下の実施例により更に例示する。
【実施例】
【0186】
方法
SPF in vitro(プレート法)
Helioscreen,Parisからの粗面化基板であるSB6 PMMAプレート(粗さ4~5μm、面積4.8×4.8cm)上に展延した日焼け止め試料の薄膜を通過するUVの透過率の評価に基づき、SPF in vitroを求めた。被験日焼け止め製剤をPMMAプレート上に1.2mg/cm2の量で塗布した。1種類の製剤につき3枚のプレートを用いて、プレート1枚につき5回の測定を行った。製剤は、できる限り均等になるように手で満遍なく広げた。製剤を塗布したプレートは、測定を行う前に室温の暗所に30分間保管した。
【0187】
Labsphere社製UV Transmittance Analyzer UV 2000Sを用いて290~400nmのin vitro透過率を1nm間隔で測定した。SPF in vitro値は以下の式を用いて算出した:
【数1】
(式中、
s
er(λ)=紅斑作用スペクトル
S(λ)=分光放射照度
T(λ)=光線透過率の測定値)。
【0188】
更に、ISO 24443に準拠し、Helioscreen,Parisからの粗面化基板であるSB6 PMMAプレート(粗さ4~5μm、面積4.8×4.8cm)上に展延した日焼け止め試料の薄膜を通過するUVの透過率を評価することに基づき、UVA-PF in vitroを求めた。被験日焼け止め製剤をPMMAプレート上に1.2mg/cm2の量で塗布した。1種類の製剤につき3枚のプレートを用いて、プレート1枚につき5回の測定を行った。製剤は、できる限り均等になるように手で満遍なく広げた。製剤を塗布したプレートは、測定を行う前に室温の暗所に30分間保管した。
【0189】
測定:
ステップ1
UV照射を行う前に、Labsphere社製UV Transmittance Analyzer UV 2000Sを用いて290~400nmのin vitro透過率を1nm間隔で測定した。初期のUV透過スペクトルを取得し、照射前のSPF in vitro値を算出した(全15回分(3枚のプレート1枚につき5回測定)の数値の平均SPF)。
【0190】
ステップ2
ISO 24443に記載されている係数「c」を用いて初期UVスペクトルの数値補正を行い、照射前のUVA-PF in vitroを算出した。
【0191】
ステップ3
Atlas Suntest CPS+ Solar simulatorによる製剤へのUV照射量を、ISO 24443に記載されているUV Dose Dとして算出した。
【0192】
ステップ4
UV曝露後のin vitro透過率を測定し、照射後のUV透過スペクトルを取得した。照射後のin vitro SPF値を決定した(3枚のプレートを1枚につき5回測定することにより得られた15個の数値の平均値)。
【0193】
ステップ5
照射後のUVスペクトルの数値補正を、同じ係数「c」(ステップ2で決定)を用いて実施した。UV曝露後のUVA-PF in vitroを算出した。
【0194】
SPF(in vivo)
紫外線に対する皮膚の紅斑反応を用いる規格ISO24444:2019に準拠してSPF in vivoを測定した。SPF in vivoは、被験日焼け止め製品をヒト被験者の皮膚に塗布した場合及び塗布しなかった場合の、最小紅斑反応を誘発するために必要なエネルギーから算出される比率である。
【0195】
白色化のデルタL
白色化は、CIELAB色空間又はLab系から得られる、知覚明度を表す、黒色の値を0、白色の値を100と定めたパラメータLの測定に基づく。
【0196】
被験日焼け止め製剤をSB6 PMMAプレート(粗さ4~5μm、面積4.8×4.8cm)上に1.2mg/cm2の量で塗布した。1種類の製剤につき3枚のプレートを用いて、プレート1枚につき4回の測定を行った。製剤は、できる限り均等になるように手で満遍なく広げた。製剤を塗布したプレートは、測定を行う前に室温の暗所に30分間保管した。グリセリンを塗布したブランクプレート及び被験製剤を塗布したサンプルプレートの明度Lを拡散反射分光計(remission spectrometer)(Datacolor SF400、光源D65、観察者10°)を用いて測定した。
【0197】
明暗のパラメータの変化はΔLに反映され、それぞれ黒色背景上におけるサンプルプレートとブランクプレートとの差として算出される。ΔLが大きいほどサンプルの明度が高く、したがって白色化作用が強く、ΔLが小さいほど透明度が高い(白色化が少ない)。
【0198】
べたつき
肉厚が約146μmであり、粗さRaがヒトの皮膚と同等であるコラーゲン生物基質(biomatrix)薄膜に皮膚代替物の役割をさせた。コラーゲン生物基質薄膜表面の5×6cmの範囲に被験日焼け止め剤2mg/cm2を合成毛ブラシで塗布した。このコラーゲン膜基材を36℃に維持された試料台に両面粘着テープを使用して固定した。
【0199】
試料台をテクスチャーアナライザー(TA.XT plusC)に設置し、日焼け止め剤で覆われた皮膚代替物の表面からシリコーン試験片(ヒトの指を模擬)を引き上げて表面から離れるまでに必要な力(mN単位)を測定した。
【0200】
この力を10秒間隔で20回測定した。各製剤ごとに5回測定を行った。この力の測定値はべたつきに関連しており;製剤のべたつきが大きいほど、日焼け止め剤が塗布された表面からシリコーン試験片を引き剥がすのに必要な力の測定値が高く;それとは逆に、力の測定値が低いほど、製剤のべたつきが小さい。
【0201】
t=0における初期値は、対照である未処理のコラーゲン膜の測定値に相当し、これを100に設定する。
【0202】
皮膜の均質性
被験日焼け止め剤2μl/cm2を、ボランティアの前腕の皮膚の約5×5cmの範囲に10秒間、手の指で広げながら塗布した。1種類の製剤につき12人のボランティアで試験した。
【0203】
360nmにピークを持つ紫外線高感度カメラを低強度の紫外光を放出する改良されたフラッシュガンと併用して、皮膚の日焼け止め剤で覆われた範囲の交差偏光を用いた紫外線画像を取得した。
【0204】
得られた写真から、更に評価を行うために、塗布範囲中央部の直径4cmの円形部分を切り取った。次いで、この円形画像をそれぞれ処理し、紫外光の空間的反射を表すグレイ値の分布をヒストグラムの形で求めた。得られた分布のベル曲線から、塗布した日焼け止め剤薄膜の均質性に関する情報が得られる。実際は、分布が狭いほど塗布された日焼け止め剤薄膜の均質性が高い。皮膜の均質性を表す値を得るために、各曲線の半値半幅値(HWHM)を求めた(
図2参照)。HWHMが小さいほど、塗布された日焼け止め剤薄膜の均質性が高い。
【0205】
微生物との適合性を評価するための抗菌作用
微生物との適合性を評価するために、ヒトの皮膚の細菌叢に典型的な代表的な菌であるスタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis、表皮ブドウ球菌)(DSM 1798)の懸濁液を使用して抗菌作用を試験した。
【0206】
t=0hにおいて、各被験試料を、塩化ナトリウム中にスタフィロコッカス・エピデルミディス(S.epidermidis)を含む菌液で汚染し、均質化する。試料を試験期間である24時間の間36℃で保管する。
【0207】
様々な時点で試料を採取し、微生物を計数する。試料の採取間隔ごとに、各試料から100μlを中和剤含有トリプトンソイ寒天プレートの表面に広げる。更に、各試料を中和剤で1:10に希釈して15~30分間不活性化した後、生理食塩水で更に1:10に希釈する。両方の希釈液の分取液も同様に、中和剤不含トリプトンソイ寒天プレートの表面に広げる。試験中の細菌増殖条件が十分であること確認するために、塩化ナトリウム中にスタフィロコッカス・エピデルミディス(S.epidermidis)を含む対照についても同じ手順を実施する。
【0208】
寒天プレートを36℃で2日間インキュベートした後、計数可能な寒天プレートのそれぞれのコロニー形成単位(cfu)を計数し、希釈段階及び寒天表面に広げた試料の量を考慮してcfu/mlの総数を決定する。
【0209】
各試料の0hの値については、スタフィロコッカス・エピデルミディス(S.epidermidis)を一晩培養した後の細胞数及び試料の接種に使用した希釈率を考慮した計算のみで決定する。
【0210】
耐水性のin vitro溶液法
Sohn et al.“In vitro water resistance testing using SPF simulation based in spectroscopic analysis of rinsed sunscreen”,Int J Cosmet Sci (2018)1-9に従う「溶液法」により、M14 EMAプレートを使用してin vitro耐水性を決定した。
【0211】
M14 EMAプレートは、エチレン/メタクリル酸共重合体をベースとするものであり、寸法は5cm×5cmである。これらの条件は、製剤の耐水性をin vitroで決定するための現時点で最も十分な手法であると理解されている。
【0212】
各プレートに2mg/cm2(プレート1枚あたり製剤50mgに相当)の量を塗布した。日焼け止め剤1種類につき計4枚のプレートを準備した。日焼け止め剤を塗布した後に15分間平衡化させてから、4枚のプレートのうち2枚を水浴に浸漬した。残りの2枚のプレートは暗所の周囲温度下に維持した。
【0213】
水浸漬条件
日焼け止め剤で被覆したプレートを、Tesa Hook&Loopテープの帯状体を組み合わせて(system of strips)、1000mLビーカー(直径10cm)の縁部に、規定の高さになるように取り付けた。ビーカーに蒸留水500mLを入れ、温度を30℃±2℃に制御した。取り付けたプレートから等距離に配置した3枚羽根のプロペラ型撹拌機を使用して速度300rpmで水を20分間撹拌した。その後、ビーカーを空にしてプレートを取り出し、周囲温度で30分間乾燥させてから次に進んだ。
【0214】
分光測定及び耐水性値の決定
浸漬後、4枚のプレート(2枚は水浸あり、2枚は水浸なし)をそれぞれ別々のビーカーに入れ、THF/エタノール/ニュートロールTE(50:48:2)から構成される溶媒混合物20mLを使用して洗浄した。日焼け止め剤をプレートから回収するために、各プレートをピンセットで溶媒がかからないように保持しながら、パスツールピペットを使用して同じ溶媒で10回濯ぐことにより、残留している日焼け止め剤を基板プレートから目視上完全に除去した。溶媒/製剤溶液を希釈(1:40希釈)し、1cmの石英キュベットに満たし、Lambda 20装置を使用して290~400nmのUV分光測定を5nm間隔で実施した。結果は吸光度データArs(λ)の形で出力され、これを用いて、この目的のために開発された計算方法によって、対応するin silico SPF値を求める。水浸漬していない2枚のプレートに対応する吸光度データから静置(static)in silico SPFを得、一方、水浸漬した2枚のプレートのデータとして、湿潤(wet)in silico SPF(「水浸漬後のSPF in vitro」値に相当)を得た。水に浸漬した又はしなかった基板プレートを洗浄することにより得られる各日焼け止め剤溶液のUV透過率を測定することにより、耐水性の保持率を推定した。
【0215】
静置in silico及び湿潤in silico SPFの決定に異なるプレートを使用しているため、%WRRは、次式に示すように、湿潤in silico SPFの平均値及び静置in silico SPFの平均値の比から算出する:
【数2】
【0216】
耐水性(in vivo、40分間)
水浸漬手順に関しては規格ISO1627:2020に準拠し、耐水性(%)に関しては規格ISO18861:2020に準拠し、SPF in vivoを測定した。耐水性(%)は、水に浸漬しない条件(静置SPF)及び水浸漬条件(水浸後SPF)で測定されたSPF in vivoから算出する。耐水性の決定に使用したSPF in vivoは規格ISO24444:2019に準拠して測定した。
【0217】
40分間の耐水性試験を行う場合は、製品で処理した皮膚をISO 16217:2020に記載されている手順に準拠し、以下の浸漬及び休止順序に従い水に浸漬する:
- 全期間にわたり、水を循環させながら被験者を20分間水に浸ける;
- 乾燥時間を5分間~20分間とし、浸漬期間の合間にタオルで拭いてはならない。
【0218】
40分間の耐水性を求めるために、この順序を2回繰り返す。
【0219】
次いで、各被験者の個々の耐水率(%WRi)の値を次式に従い算出する:
%WR SPF/SPF i iwr is=(-1)(-1)×100 (1)
ここで、SPFは水浸前の各個人のSPF;MEDisp/MEDisuであり;SPFiwrは、水浸後の各個人のSPF;MEDiwrp/MEDiwruである。どちらも同じ被験者で測定する。
【0220】
次いで、製品の耐水率(%WR)の平均値を「n」人の各個人の%WR値(%WRi)の算術平均として表す。
【0221】
洗浄前及び/若しくは後の布地の着色のデルタb*
布地の着色は、国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage)(CIE)LAB色空間のパラメータbの測定に基づく。製剤による布地の着色を求めるため、織布上の製剤のシミと織布のみの色差を測定する。同様に、布地の着色を低減する能力に関する洗浄作用、即ち洗浄性を決定するために、洗浄後の色差も評価することができる。色差は絶対色座標で示され、デルタΔと称することができる。まず、2つの試料の色を測定する。次いで、得られた測色値であるCIE L*a*b座標を用いて差を算出することができる;L*は明度を表し、a*は赤色/緑色座標であり、b*は黄色/青色座標である。2つの試料の総合色差はΔE*で表される:
ΔE*=[ΔL*2+Δa*2+Δb*2]1/2
【0222】
日焼け止め組成物のシミの色は典型的には黄色であるため、日焼け止め組成物のシミの視感はΔb*で表され、したがって、本発明の目的に関するΔE*は、Δb*と等しいと考えられる。本発明者らは、本発明による日焼け止め製剤に起因する布地の着色を決定する目的にΔb*値を用いた。Δb*(試料1のb*-試料2のb*)は黄色味及び青色味の差である(+はより黄色味が強く、-はより青色味が強い)。この色差が小さいほど、布地の着色が少ない。更に、洗浄性を決定するために、1回洗浄後のΔb*値を測定した。洗浄前の値と比較した洗浄後の色差が小さいほど、布地の着色が低減されている、即ち、織布からの日焼け止め組成物の洗浄性が良好である。
【0223】
測定は、分光光度計により、以下の機器を使用して実施した:拡散反射分光計Datacolor SF 400(光源D65、観察者10°)。日焼け止め組成物を、希釈された混合物の総重量を基準として10重量%の濃度になるように水で希釈した。希釈した混合物300mg(15mg/cm2)を白色の織布(白色度をWG170±10、洗浄後はWG190±10に調整)に塗布した。洗浄性を決定するために、Henkelから入手したPersil Universal Gel(シミ上に3g)を使用し、温度を40℃として20分間洗濯機で洗浄サイクルを実施した。織布はそれぞれ別々に洗浄した。
【0224】
製剤の色(黄色化)
バルクの製剤の色の評価及び対応する黄色の色調は、CIELAB色空間又はLab系によるパラメータbの測定に基づく。パラメータbは黄色/青色座標を表すものである(+はより黄色味が強く、-はより青色味が強い)。測定は、分光光度計により、以下の機器を使用して実施した:拡散反射分光計Datacolor SF400(光源D65、観察者10°)。透明なペトリ皿(直径58mm、高さ15mm)に製剤を気泡が入らないように均一に満たした。ペトリ皿の表面の異なる位置で4回測定を行った。
【0225】
光沢
肉厚が約146μmであり、粗さRaがヒトの皮膚と同等であるコラーゲン生物基質(CBM)薄膜に皮膚代替物の役割をさせた。CBMを5×5cmのシートに切断し、プラスチック製カードの中央に両面接着テープで貼り付ける。次いで、貼り付けたCBMをエタノールに浸した化粧用ティッシュペーパーで拭く。被験製剤2mg/cm2をコラーゲン生物基質薄膜表面の5×5cmの範囲に合成毛ブラシで塗布し、カードをデジタルカメラ(「Canon S12」(ISO-80、f値:F/1.8、シャッター速度:1/60秒)の下に曲率を0.75~0.85として配置した。直線偏光フィルタを備える、温白色光を放出する円形のLEDパネルライトを測定範囲の約40cm上方に取り付ける。測定範囲の約15cm上方にデジタルカメラを三脚で固定する。90°切り替え可能な直線偏光フィルタをレンズの前に取り付ける。この構成により交差及び平行偏光の画像を撮影する手段が得られる。交差偏光の画像には、プローブの色の情報が含まれ、平行偏光の画像には、同じプローブの色に加えて光沢の情報が含まれる。画像データを互いに特定的に差し引くことにより、被験プローブの光沢のみを含む画像を得ることができる。次いで、結果として得られた差分画像を、プローブの光沢強度に関連するグレイ値(平均グレイ値が高いほど光沢強度が高い)の分布を生成する画像処理ソフトウェアImage Jを用いて評価する。被験製剤を塗布していないコラーゲン生物基質(CBM)の光沢強度の値を、基準点として0に設定する。被験製剤の光沢強度を基準点(製剤なしのCBM)からの変化として示す。
【0226】
製剤
【0227】
【0228】
本発明製剤1、本発明製剤4及び比較用製剤1~比較用製剤3を以下のように製造した:TiO2及びZnOを除くA部を撹拌しながら80℃に加熱した。A部が均質になったらTiO2及びZnO(存在する場合)を加え、ultra turrax装置を用いて、TiO2及びZnO(存在する場合)が十分に分散し、この部分が均質になるまで均質化した。
【0229】
B部を撹拌しながら80℃に加熱し、A部に撹拌しながら加えた後、ultra turrax装置で均質化した。
【0230】
この製剤を撹拌しながら室温に冷却した。
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
本発明製剤2、比較用製剤4~比較用製剤6、本発明製剤5~本発明製剤7、比較用製剤9、比較用製剤10、比較用製剤11及び比較用製剤12を以下のように製造した:TiO2及びZnOを除くA部を撹拌しながら80℃に加熱した。A部が均質になったらTiO2及びZnO(存在する場合)を加え、ultra turrax装置を用いて、TiO2及びZnO(存在する場合)が十分に分散し、この部分が均質になるまで均質化した。
【0235】
B部を撹拌しながら80℃に加熱し、A部をB部に撹拌しながら加えた後、ultra turrax装置で均質化した。
【0236】
この製剤を撹拌しながら室温に冷却した。存在する場合は、次いでC部を加えた。
【0237】
【0238】
【0239】
本発明製剤10、本発明製剤11、本発明製剤12、比較用製剤13、比較用製剤14及び比較用製剤15を以下のように製造した:TiO2及びZnOを除くA1部を撹拌しながら80℃に加熱した。A1部が均質になったらTiO2及びZnOを加え、ultra turrax装置を用いて、TiO2及びZnOが十分に分散し、この部分が均質になるまで均質化した。次いでA2部(存在する場合)をA1に加えた。B部を撹拌しながら80℃に加熱し、A1部(/A2、存在する場合)をB部に撹拌しながら加えた後、ultra turrax装置で均質化した。この製剤を撹拌しながら室温に冷却した。
【0240】
【0241】
本発明製剤8及び本発明製剤9を以下のように製造した:TiO2及びZnOを除くA部を撹拌しながら80℃に加熱した。A部が均質になったらTiO2及びZnOを加え、ultra turrax装置を用いて、TiO2及びZnOが十分に分散し、この部分が均質になるまで均質化した。
【0242】
B部を撹拌しながら80℃に加熱し、A部をB部に撹拌しながら加えた後、ultra turrax装置で均質化した。
【0243】
この製剤を撹拌しながら室温に冷却した。
【0244】
【0245】
本発明製剤3及び比較用製剤7を以下のように製造した:TiO2及びZnOを除くA部を撹拌しながら80℃に加熱した。A部が均質になったらTiO2及びZnOを加え、TiO2及びZnOが十分に分散し、この部分が均質になるまで撹拌しながら均質化した。
【0246】
B部を70℃で撹拌しながら加え、均質になったらC部を撹拌しながら加えた。D部を加え、製剤を撹拌した。この製剤を70℃で最終容器に充填した。
【0247】
【0248】
製剤A~Fを以下のように製造した:製剤C及びDの場合は、酸化亜鉛又は二酸化チタンを除くA部の成分を秤量し、A部を磁気撹拌しながら80℃に加熱した。製剤C及びDの場合は、Aの温度が80℃になったら酸化亜鉛又は二酸化チタンを加え、Ultra Turrax型装置で均質化した。
【0249】
キサンタンガムを除くB部の成分を秤量し、次いでB部が均質になったらキサンタンガムを撹拌しながら加え、80℃に加熱し、均質化した。Ultra Turraxで均質化しながらB部にC部を加えた。
【0250】
更にUltra Turraxで均質化しながらA部をB/C部に加えた。
【0251】
製剤を連続撹拌しながら冷却し、pHを水酸化ナトリウム溶液で>6.00に調整した。
【0252】
実施例1-水/油型製剤のSPF
水/油型製剤である本発明製剤1、本発明製剤4及び比較用製剤1~比較用製剤3を製造し、SPF in vitro値を測定して比較した。表5から分かるように、TiO2、ZnO及びBEMTを含む本発明製剤1は、UV遮蔽剤の総量が比較品2より少なくても、SPF値が同等であるか又は高くなる場合さえある。有機BEMTを加えることにより、UV遮蔽剤の総濃度がより低くても、より高い性能を得ることが可能になった。TiO2及びBEMTのみを含む本発明製剤4は、例えば、比較用製剤2と比較すると、UV遮蔽剤の総含有量が半分になっても、SPF値が高くなった。
【0253】
広帯域遮蔽剤B3はBEMTよりも効率が低いことが知られている(
図1参照)。
図1は、2種類の親油性広帯域遮蔽剤であるBEMT及びB3に関するものであり、BEMTを1重量%、B3を1重量%及びB3を1.75重量%とした場合の、サンスクリーンシミュレーター(https://sunscreensimulator.basf.com/Sunscreen_Simulator/computation)から得られたスペクトルを示している。このシミュレーションは追加のUV遮蔽剤を含まない。ここに示した290~320nmのUVB領域の吸光度は、SPF値に関するUV遮蔽剤の効率に言及する際に一般に使用されるものである。
図1のシミュレーションから分かるように、1%のB3の吸光度は、等量(1%)のBEMTの吸光度よりも低い。1重量%のBEMTと同等又はそれよりも僅かに高い吸光度を達成するためには、B3は1.75重量%必要である。しかしながら、たとえ製剤中のB3の量を1.75倍に増加しても(比較品3)、SPFは依然として、BEMTをそれよりも少ない量で含む発明品1よりも低い。
【0254】
【0255】
実施例2-油/水型製剤のSPF及び白色化
油/水型製剤である本発明製剤2、本発明製剤5、本発明製剤6、本発明製剤7、比較用製剤4、比較用製剤5及び比較用製剤9を製造し、SPF in vitro値を測定して比較した。表6aから分かるように、TiO2、ZnO及びBEMTを含む本発明製剤2は、UV遮蔽剤の総量が比較品4又は比較品5より少なくても、SPF値がより高い。
【0256】
更に、発明品2及び比較品5のin vivo及びin vitro SPF値を比較した。表6aから分かるように、TiO2、ZnO及びBEMTを含む本発明製剤2は、UV遮蔽剤の総量が比較品5より少なくても、in vivo及びin vitro SPF値がより高い。更に、発明品2及び比較品4のSPF in vitro値を比較した。表6aから分かるように、発明品2は、必要とされる広帯域UV遮蔽剤がより少なくても、SPF値がより高い。水相中にBEMTを含む発明品6は、比較品4及び比較品5と比較して、UV遮蔽剤の総量が少なくても、SPF in vitroがより高い。TiO2及びBEMTのみを含む本発明製剤5は、比較品4及び比較品5と比較して、UV遮蔽剤の総含有量が少なくても、SPF値がより高い。
【0257】
表6aは、TiO2、ZnO及びBEMTを含む発明品7が、比較品9と比較して、UV遮蔽剤の総含有量が少なくても、SPF値がより高いことを更に示している。
【0258】
更に、発明品2及び比較品5の白色化の値を比較すると、本発明製剤2の方が白色化の値が低かった。
【0259】
【0260】
【0261】
更に、本発明製剤8及び本発明製剤9のSPF in vitro値を決定した。これを表6cに示す。
【0262】
【0263】
実施例3-棒状製剤のSPF
棒状の本発明製剤3、比較用製剤7のSPF in vitro値を比較した。表7から分かるように、TiO2、ZnO及びBEMTを含む本発明製剤3の方がSPF値が高い。
【0264】
【0265】
実施例4-耐水性
本発明製剤1、比較用製剤2及び比較用製剤3を製造後、in vitro耐水性を上に概説したように決定した。表8aから分かるように、TiO2、ZnO及びBEMTを含む本発明製剤1の耐水性が最も高い。
【0266】
【0267】
本発明製剤2及び比較用製剤5のin vivo耐水性を上に概説したように決定した。表8bから分かるように、TiO2、ZnO及びBEMTを含む本発明製剤2の耐水性が最も高い。
【0268】
【0269】
実施例5-べたつき
水/油型製剤である発明品1、比較品1及び比較品2及び油/水型製剤である発明品7、発明品10、比較品10及び比較品13を製造した後、べたつきを上に概説した方法に従い評価した。油中水型製剤に関する
図3及び水中油型製剤に関する
図4及び
図5から分かるように、TiO2、ZnO及びBEMTを含む本発明製剤1、本発明製剤7及び本発明製剤10のべたつきが最も小さい。
【0270】
実施例6-皮膜均質性
中程度のSPFが予想される油/水型製剤である発明品2、発明品5、発明品6、比較品5、比較品6及び高SPFが予想される油/水型製剤である発明品7及び比較品9、比較品10及び比較品11及び高SPFが予想される水/油型製剤である発明品4及び比較品2を製造した後、皮膜均質性を上に概説した方法に従い決定した。表9a~9cから分かるように、本発明製剤(例えば、発明品2(
図2も参照されたい)、発明品4、発明品5、発明品6及び発明品7)は、概して、最も狭い半値半幅(HWHM)値を示す。つまり、発明品2、発明品4、発明品6、発明品7及び発明品11は皮膜の均質性が最も高い。
【0271】
特に、発明品2、発明品5及び発明品6を、比較品5及び比較品6と比較すると、中程度のSPF値を有するO/W型製剤に関しては、本発明製剤が最も狭いHWHM値を示すことが分かる。
【0272】
発明品7を比較品9、比較品10及び比較品11と比較すると、高SPFを有するO/W型製剤に関しては、本発明製剤は、より狭いHWHMを示すことが分かる。
【0273】
発明品4を比較品2と比較すると、高SPFを有するW/O型製剤に関しては、本発明製剤は、より狭いHWHMを示すことが分かる。
【0274】
【0275】
【0276】
【0277】
実施例7-微生物との適合性を評価するための抗菌作用
製剤A~Fの微生物との適合性を評価するための抗菌作用の評価を上に概説した方法に従い実施した。表10から分かるように、製剤Bは製剤Cよりも抗菌作用が低く、ヒトの皮膚の微生物叢に与える影響がより小さい。更に表10は、BEMTを含む製剤BがOMC又はOCRを含む製剤E及びFよりもヒトの皮膚の微生物叢に与える影響が小さいことを示している。
【0278】
【0279】
実施例8-光安定性
幾つかの製剤の光安定性を製造後に試験した。
【0280】
本発明製剤1~3、比較用製剤1、比較用製剤4及び比較用製剤7を粗面化した石英プレート上に塗布した(2μl/cm2)。Atlas CPS装置を使用してプレートに照射した。各照射条件ごとに計4枚のプレートを準備した。50MED(最小紅斑線量)を照射した後、各プレートをテトラヒドロフランで洗い流した。UV遮蔽剤の回収率を求めるために更に洗液をHPLCで分析した。その値を表11に示す。
【0281】
【0282】
実施例9-洗浄前及び/又は後の布地の着色に関するデルタb*
2種類の製剤を製造した後、洗浄前及び後の布地の着色を測定した。
【0283】
表12から分かるように、発明品7は比較品12よりも着色が低減されている。
【0284】
【0285】
この値は1枚の織布片あたり4回の測定を行った、2枚の織布片の平均値である。
【0286】
実施例10-製剤の色(黄色化)
2種類の製剤を製造した後、黄色の色調を測定した。b値が正であることは黄色の色調が存在することを示唆しており、b値が高いほど製剤の黄色の色調が高い。表13から分かるように、本発明製剤11は、比較用製剤14よりも製剤の黄色味が低い。
【0287】
【0288】
この値は4回の測定の平均値である。
【0289】
実施例11-製剤の光沢
2種類の製剤を製造した後、光沢を測定した。
図6から分かるように、発明品12は比較品15よりも光沢が低い。
【国際調査報告】