(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用電極及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20240905BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240905BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240905BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M4/139
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515924
(86)(22)【出願日】2023-03-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 KR2023003131
(87)【国際公開番号】W WO2023172048
(87)【国際公開日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0028612
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ジェ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ソン・シク・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ-ソン・イ
(72)【発明者】
【氏名】キル-アン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ヒョン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ソン-ファ・ジュン
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050CB08
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5H050CB12
5H050DA11
5H050DA18
5H050EA10
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5H050GA02
5H050GA10
5H050GA11
5H050GA22
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA12
(57)【要約】
本発明は、電極集電体と電極活物質層との接着力を強化することで、電極活物質層に架橋バインダーを含有させた場合であっても、電極活物質層が電極集電体から脱離することを防止できるリチウム二次電池用電極及びその製造方法を開示する。本発明によるリチウム二次電池用電極は、電極集電体と、前記電極集電体の少なくとも片面に位置し、第1のバインダー及び第1の導電材を含む接着促進層と、前記接着促進層の上面に位置し、電極活物質、第2の導電材、及び第2のバインダーを含む電極活物質層と、を含み、前記第1のバインダー及び第2のバインダーが、架橋構造を有するバインダー高分子を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極集電体と、
前記電極集電体の少なくとも片面に位置し、第1のバインダー及び第1の導電材を含む接着促進層と、
前記接着促進層の上面に位置し、電極活物質、第2の導電材、及び第2のバインダーを含む電極活物質層と、
を含み、
前記第1のバインダー及び前記第2のバインダーが、架橋構造のバインダー高分子を含み、
前記第1のバインダーと前記第2のバインダーとが、互いに化学結合を形成する、リチウム二次電池用電極。
【請求項2】
前記第1のバインダーが、第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項3】
前記第1の官能基含有重合体が、イソプレン単量体由来の繰り返し単位、ブタジエン単量体由来の繰り返し単位、シクロペンタジエン単量体由来の繰り返し単位、エチリデンノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、ビニルノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項4】
前記官能基が、カルボキシル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項5】
前記第1の架橋剤が、単官能性(メタ)アクリレート、二官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項6】
前記第1の架橋剤が、線状もしくは分岐状のアルキル(メタ)アクリレート、環状(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項7】
前記第1の架橋剤が、2-エチルヘキシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、n-ビニルカプロラクタム、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項8】
前記第1の官能基含有重合体と前記第1の架橋剤との重量比が、10:90~90:10である、請求項2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項9】
前記第1のバインダーが、アクリル変性ポリウレタン樹脂、アクリル変性ポリエチレングリコール樹脂、または両者の架橋生成物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項10】
前記第2のバインダーが、第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤との架橋生成物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項11】
前記第2の官能基含有重合体が、イソプレン単量体由来の繰り返し単位、ブタジエン単量体由来の繰り返し単位、シクロペンタジエン単量体由来の繰り返し単位、エチリデンノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、ビニルノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項10に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項12】
前記官能基が、カルボキシル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項10に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項13】
前記第2の架橋剤が、単官能性(メタ)アクリレート、二官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項10に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項14】
前記第2の架橋剤が、線状もしくは分岐状のアルキル(メタ)アクリレート、環状(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項10に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項15】
前記第2の架橋剤が、2-エチルヘキシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、n-ビニルカプロラクタム、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項10に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項16】
前記第2の官能基含有重合体と前記第2の架橋剤との重量比が、10:90~90:10である、請求項10に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項17】
前記第2のバインダーの含有量が、前記電極活物質層100重量%を基準として、1.5~3.5重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項18】
前記第1のバインダーの含有量が、前記接着促進層100重量%を基準として、2~70重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項19】
前記第1の導電材の含有量が、前記接着促進層100重量%を基準として、0.1~10重量%である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項20】
前記リチウム二次電池用電極が、正極である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項21】
(S1)第1の官能基含有重合体、第1の架橋剤、第1の光開始剤、及び第1の導電材を含む接着促進層形成用組成物を、電極集電体にコーティングし、乾燥して、接着促進層を形成するステップと、
(S2)前記接着促進層に紫外線を照射するステップと、
(S3)電極活物質、第2の導電材、第2の官能基含有重合体、第2の架橋剤、及び第2の光開始剤を含む電極活物質層形成用スラリーを、前記ステップ(S2)の結果物の上面にコーティングし、乾燥して、電極活物質層を形成するステップと、
(S4)前記ステップ(S3)の結果物に紫外線を照射するステップと、
を含む、リチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項22】
前記ステップ(S2)の結果による、前記第1の官能基含有重合体と前記第1の架橋剤との架橋生成物の架橋度が、10~80%である、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項23】
前記ステップ(S4)の結果物において接着促進層に含まれる架橋したバインダーの架橋度が、10~100%である、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項24】
前記ステップ(S3)が、
前記電極活物質層形成用スラリーを前記ステップ(S2)の結果物の上面にコーティングし、乾燥した後、紫外線を照射して、第1の電極活物質層を形成するステップと、
前記電極活物質層形成用スラリーを前記第1の電極活物質層上にコーティングし、乾燥して、第2の電極活物質層を形成するステップと、を含む、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項25】
前記第1の光開始剤が、タイプ1の光開始剤を含む、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項26】
前記第1の光開始剤が、タイプ2の光開始剤をさらに含む、請求項25に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項27】
前記第1の光開始剤が、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(Irgacure)819)、オキシド(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)(TPO)、マレイミド、2,4,5-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメチルオキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、プロパノン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オキシド、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-4’-(2-hydroxyethoxy)-2-methylpropiophenone)(イルガキュア2959)、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項28】
前記第1の光開始剤の含有量が、前記第1の官能基含有重合体及び前記第1の架橋剤の総重量100重量%を基準として、0.05~15重量%である、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項29】
前記第2の光開始剤が、タイプ1の光開始剤を含む、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項30】
前記第2の光開始剤が、タイプ2の光開始剤をさらに含む、請求項29に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項31】
前記第2の光開始剤が、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(Irgacure)819)、オキシド(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)(TPO)、マレイミド、2,4,5-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメチルオキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、プロパノン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オキシド、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-4’-(2-hydroxyethoxy)-2-methylpropiophenone)(イルガキュア2959)、またはこれらのうちの2種以上を含む、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項32】
前記第2の光開始剤の含有量が、前記第2の官能基含有重合体及び前記第2の架橋剤の総重量100重量%を基準として、0.05~20重量%である、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項33】
前記ステップ(S2)において、紫外線の照射光量が、10~2,000mJ/cm
2である、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項34】
前記ステップ(S4)において、紫外線の照射光量が、200~10,000mJ/cm
2である、請求項21に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
【請求項35】
請求項1から20のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用電極を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用電極及びその製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2022年3月7日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0028612号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、エネルギー貯蔵技術への関心が益々高まっている。携帯電話、カムコーダー及びノートパソコン、さらには電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡大しつつ、このような電子機器の電源として使用される電池の高エネルギー密度化に対する要求が高まっている。リチウム二次電池は、このような要求を最もよく満たすことができる電池であって、現在、これに関する研究が盛んに行われている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、一般に、リチウム金属酸化物からなる正極と、炭素材などからなる負極と、リチウム塩及び有機溶媒を含む電解液と、正極と負極との間に介在して両者を電気的に絶縁するセパレーターと、を含む。
【0005】
現在、正極のバインダーとしてポリ(フッ化ビニリデン)が広く使用されているが、ポリ(フッ化ビニリデン)をバインダーとして使用するためには、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を溶媒として使用する必要がある。しかし、N-メチル-2-ピロリドンは沸点が高く、乾燥工程が長くなるうえ、環境に有害であるため、回収するための設備構築にかなりの費用がかかるという問題がある。
【0006】
正極のバインダーとして架橋バインダーを使用すると、N-メチル-2-ピロリドンの代わりに他の溶媒を使用できるという利点がある。しかし、このような架橋バインダーは、ポリ(フッ化ビニリデン)レベルの分子量を持たない場合が多く、その結果、同じバインダー含有量のポリ(フッ化ビニリデン)に比べて電極活物質層と電極集電体との間の接着力が不足するという問題がある。
【0007】
そのため、正極のバインダーとしてポリ(フッ化ビニリデン)の代わりに架橋バインダーを使用しながら、電極活物質層と電極集電体との間の接着力が低下する問題を防止できる技術の必要性が高いのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、電極活物質層に架橋バインダーを含有させた場合であっても、電極活物質層と電極集電体との間の接着力が確保されるリチウム二次電池用電極、及びそれを備えたリチウム二次電池を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする他の課題は、電極活物質層に架橋バインダーを含有させた場合であっても、電極活物質層と電極集電体との間の接着力が確保されるリチウム二次電池用電極の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一側面によれば、下記の態様のリチウム二次電池用電極が提供される。
【0011】
第1の態様は、
電極集電体と、
前記電極集電体の少なくとも片面に位置し、第1のバインダー及び第1の導電材を含む接着促進層と、
前記接着促進層の上面に位置し、電極活物質、第2の導電材、及び第2のバインダーを含む電極活物質層と、
を含み、
前記第1のバインダー及び前記第2のバインダーが、架橋構造のバインダー高分子を含み、
前記第1のバインダーと前記第2のバインダーとが、互いに化学結合を形成することを特徴とする、リチウム二次電池用電極に関する。
【0012】
第2の態様は、第1の態様において、
前記第1のバインダーが、第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物を含み得る。
【0013】
第3の態様は、第2の態様において、
前記第1の官能基含有重合体が、イソプレン単量体由来の繰り返し単位、ブタジエン単量体由来の繰り返し単位、シクロペンタジエン単量体由来の繰り返し単位、エチリデンノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、ビニルノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0014】
第4の態様は、第2または第3の態様において、
前記官能基が、カルボキシル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0015】
第5の態様は、第2から第4の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1の架橋剤が、単官能性(メタ)アクリレート、二官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0016】
第6の態様は、第2から第5の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1の架橋剤が、線状または分岐状のアルキル(メタ)アクリレート、環状(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0017】
第7の態様は、第2から第6の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1の架橋剤が、2-エチルヘキシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、n-ビニルカプロラクタム、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0018】
第8の態様は、第2から第7の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1の官能基含有重合体と前記第1の架橋剤との重量比が、10:90~90:10であり得る。
【0019】
第9の態様は、第1から第8の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1のバインダーが、アクリル変性ポリウレタン樹脂、アクリル変性ポリエチレングリコール樹脂、または両者の架橋生成物を含み得る。
【0020】
第10の態様は、第1から第9の態様のいずれか1つの態様において、
前記第2のバインダーが、第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤との架橋生成物を含み得る。
【0021】
第11の態様は、第10の態様において、
前記第2の官能基含有重合体が、イソプレン単量体由来の繰り返し単位、ブタジエン単量体由来の繰り返し単位、シクロペンタジエン単量体由来の繰り返し単位、エチリデンノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、ビニルノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0022】
第12の態様は、第10または第11の態様において、
前記官能基が、カルボキシル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0023】
第13の態様は、第10から第12の態様のいずれか1つの態様において、
前記第2の架橋剤が、単官能性(メタ)アクリレート、二官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0024】
第14の態様は、第10から第13の態様のいずれか1つの態様において、
前記第2の架橋剤が、線状または分岐状のアルキル(メタ)アクリレート、環状(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0025】
第15の態様は、第10から第14の態様のいずれか1つの態様において、
前記第2の架橋剤が、2-エチルヘキシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、n-ビニルカプロラクタム、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、9-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0026】
第16の態様は、第10から第15の態様のいずれか1つの態様において、
前記第2の官能基含有重合体と前記第2の架橋剤との重量比が、10:90~90:10であり得る。
【0027】
第17の態様は、第1から第16の態様のいずれか1つの態様において、
前記第2のバインダーの含有量が、前記電極活物質層100重量%を基準として、1.5~3.5重量%であり得る。
【0028】
第18の態様は、第1から第17の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1のバインダーの含有量が、前記接着促進層100重量%を基準として、2~70重量%であり得る。
【0029】
第19の態様は、第1から第18の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1の導電材の含有量が、前記接着促進層100重量%を基準として、0.1~10重量%であり得る。
【0030】
第20の態様は、第1から第19の態様のいずれか1つの態様において、
前記リチウム二次電池用電極が、正極であり得る。
【0031】
上記の課題を解決するために、本発明の一側面によれば、下記の態様のリチウム二次電池用電極の製造方法が提供される。
【0032】
第21の態様は、
(S1)第1の官能基含有重合体、第1の架橋剤、第1の光開始剤、及び第1の導電材を含む接着促進層形成用組成物を、電極集電体にコーティングし、乾燥して、接着促進層を形成するステップと、
(S2)前記接着促進層に紫外線を照射するステップと、
(S3)電極活物質、第2の導電材、第2の官能基含有重合体、第2の架橋剤、及び第2の光開始剤を含む電極活物質層形成用スラリーを、前記ステップ(S2)の結果物の上面にコーティングし、乾燥して、電極活物質層を形成するステップと、
(S4)前記ステップ(S3)の結果物に紫外線を照射するステップと、
を含むことを特徴とする、リチウム二次電池用電極の製造方法に関する。
【0033】
第22の態様は、第21の態様において、
前記ステップ(S2)の結果による、前記第1の官能基含有重合体と前記第1の架橋剤との架橋生成物の架橋度が、10~80%であり得る。
【0034】
第23の態様は、第21または第22の態様において、
前記ステップ(S4)の結果物において接着促進層に含まれる架橋したバインダーの架橋度が、10~100%であり得る。
【0035】
第24の態様は、第21から第23の態様のいずれか1つの態様において、
前記ステップ(S3)が、
前記電極活物質層形成用スラリーを前記ステップ(S2)の結果物の上面にコーティングし、乾燥した後、紫外線を照射して、第1の電極活物質層を形成するステップと、
前記電極活物質層形成用スラリーを前記第1の電極活物質層上にコーティングし、乾燥して、第2の電極活物質層を形成するステップと、を含み得る。
【0036】
第25の態様は、第21から第24の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1の光開始剤が、タイプ1の光開始剤を含み得る。
【0037】
第26の態様は、第25の態様において、
前記第1の光開始剤が、タイプ2の光開始剤をさらに含み得る。
【0038】
第27の態様は、第21から第26の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1の光開始剤が、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(Irgacure)819)、オキシド(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)(TPO)、マレイミド、2,4,5-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメチルオキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、プロパノン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オキシド、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-4’-(2-hydroxyethoxy)-2-methylpropiophenone)(イルガキュア)2959)、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0039】
第28の態様は、第21から第27の態様のいずれか1つの態様において、
前記第1の光開始剤の含有量が、前記第1の官能基含有重合体及び前記第1の架橋剤の総重量100重量%を基準として、0.05~15重量%であり得る。
【0040】
第29の態様は、第21から第28の態様のいずれか1つの態様において、
前記第2の光開始剤が、タイプ1の光開始剤を含み得る。
【0041】
第30の態様は、第29の態様において、
前記第2の光開始剤が、タイプ2の光開始剤をさらに含み得る。
【0042】
第31の態様は、第21から第30の態様のいずれか1つの態様において、
前記第2の光開始剤が、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(Irgacure)819)、オキシド(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)(TPO)、マレイミド、2,4,5-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメチルオキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、プロパノン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オキシド、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-4’-(2-hydroxyethoxy)-2-methylpropiophenone)(イルガキュア)2959)、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0043】
第32の態様は、第21から第31の態様のいずれか1つの態様において、
前記第2の光開始剤の含有量が、前記第2の官能基含有重合体及び前記第2の架橋剤の総重量100重量%を基準として、0.05~20重量%であり得る。
【0044】
第33の態様は、第21から第32の態様のいずれか1つの態様において、
前記ステップ(S2)において、紫外線の照射光量が、10~2,000mJ/cm2であり得る。
【0045】
第34の態様は、第21から第33の態様のいずれか1つの態様において、
前記ステップ(S4)において、紫外線の照射光量が、200~10,000mJ/cm2であり得る。
【0046】
上記の課題を解決するために、本発明の一側面によれば、下記の態様のリチウム二次電池が提供される。
【0047】
第35の態様は、
第1から第20の態様のいずれか1つの態様に記載のリチウム二次電池用電極を含むことを特徴とする、リチウム二次電池に関する。
【発明の効果】
【0048】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極は、電極活物質層に架橋バインダーを含有させることにより、N-メチル-2-ピロリドン以外の溶媒を使用することができる。
【0049】
また、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極は、電極活物質層に架橋バインダーを含有させることにより、従来のバインダーに比べて電解液膨潤性が低いため、サイクル特性または電池の安全性を向上させることができる。
【0050】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極は、電極集電体と電極活物質層との間に、架橋バインダー及び導電材を含む接着促進層を含むことにより、電極活物質層に架橋バインダーを含有させた場合であっても、電極活物質層と電極集電体との間の接着力を向上させることができる。また、同時に電極の導電性(電気伝導性)を効果的に維持することができる。
【0051】
本明細書に添付される図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の内容とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割のためのものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極の概略図である。
【
図2】実施例2で製造された電極において、接着促進層内の第1のバインダーと電極活物質層の第2のバインダーとの間に化学結合が存在することを、赤外線分光装置(Agilent製Cary 630 FT-IR)を用いて確認した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されるものである。
【0054】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0055】
以下の発明の詳細な説明で使用される特定の用語は、便宜上のものであり、限定するためのものではない。本明細書の全体において、「片面(一方の面)」または「上面」という用語は、参照されている図面における位置及び方位を示し、限定的であってはならない。これらの用語は、上記に列挙された単語、その派生語及び類似の意味の単語を含む。
【0056】
本明細書の全体において、ある層が他の層の「片面(一方の面)」または「上面」に位置していると言うとき、これは、ある層が他の層の片面の表面(一方の表面)に接している場合だけでなく、前記2つの層の間に他の層が存在する場合も含むことを意味する。
【0057】
本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別するために使用されるものであり、各構成要素が前記用語によって限定されるものではない。
【0058】
本発明の一側面に係るリチウム二次電池用電極は、
電極集電体と、
前記電極集電体の少なくとも片面に位置し、第1のバインダー及び第1の導電材を含む接着促進層と、
前記接着促進層の上面に位置し、電極活物質、第2の導電材、及び第2のバインダーを含む電極活物質層と、
を含み、
前記第1のバインダー及び第2のバインダーは、架橋構造を有するバインダー高分子を含み、
前記第1のバインダーと第2のバインダーとは、互いに化学結合を形成することを特徴とする。
【0059】
図1は、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極を示す図である。
【0060】
図1を参照すると、リチウム二次電池用電極1は、電極集電体10を備える。
【0061】
本発明の一実施形態において、前記電極集電体10は、正極集電体または負極集電体であり得る。
【0062】
前記正極集電体は、電池に化学的変化を引き起こさずに導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ステンレススチール;アルミニウム;ニッケル;チタン;焼成炭素;またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。
【0063】
前記負極集電体は、電池に化学的変化を引き起こさないながらも導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、銅;ステンレススチール;アルミニウム;ニッケル;チタン;焼成炭素;銅やステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの;またはアルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。
【0064】
本発明の一実施形態において、前記電極集電体10は、正極活物質又は負極活物質の接着力を高めるために、その表面に微細な凹凸を有することができる。
【0065】
本発明の一実施形態において、前記電極集電体10の厚さは、3~500μmであり得る。
【0066】
図1を参照すると、リチウム二次電池用電極1は、前記電極集電体10の少なくとも片面に接着促進層20を備える。前記接着促進層20は、第1のバインダー及び第1の導電材を含む。
【0067】
接着促進層20は、電極集電体10と後述する電極活物質層との接着力を向上させるためのものであり、接着促進層20に含まれる第1のバインダーは、電極集電体10と電極活物質層との接着力を向上させるとともに、電池の安定性を満足しなければならない。
【0068】
前記第1のバインダーは、電極集電体10と後述する電極活物質層との間の接着力を確保することができる。特に、前記第1のバインダーは、架橋構造を有するバインダー高分子を含むため、後述する第2のバインダーとの親和性が高く、安定した構造を形成することができ、電極集電体10と電極活物質層との間の接着力を向上させることができる。これにより、後述する電極活物質層が接着力のやや弱い架橋構造を有するバインダー高分子を含んでいても、電極活物質層が電極集電体から脱離する現象を防止することができ、電池の安定性を確保することができる。
【0069】
本発明の一実施形態において、前記第1のバインダーは、第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物を含み得る。前記第1の官能基含有重合体の官能基と第1の架橋剤との反応の結果として、第1のバインダーは架橋構造を有することができる。
【0070】
本発明の一実施形態において、前記第1の官能基含有重合体は、イソプレン単量体由来の繰り返し単位、ブタジエン単量体由来の繰り返し単位、シクロペンタジエン単量体由来の繰り返し単位、エチリデンノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、ビニルノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0071】
本発明の一実施形態において、前記第1の官能基含有重合体に含まれる官能基は、カルボキシル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。前記第1の官能基含有重合体が前記官能基を含むことにより、接着促進層20の電極集電体10への接着力をより容易に向上させることができ、かつ、第1の官能基含有重合体の架橋性をより容易に向上させることができる。
【0072】
本発明の一実施形態において、前記第1の官能基含有重合体は、クラリー社(Kurary,Co.,Ltd.)から入手可能なUC-102、UC-105、UC-203、LBR352、LBR361、及びL-SBR-841グレード;サルトマー社(Sartomer Co.,Inc.)から入手可能なCN301、CN303、及びCN307;またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0073】
本発明の一実施形態において、前記第1の官能基含有重合体の重量平均分子量は、1,000~60,000g/mol、または2,000~50,000g/mol、または3,000~40,000g/molであり得る。前記第1の官能基含有重合体の重量平均分子量が前記範囲を満足する場合、架橋後の第1のバインダーの重量平均分子量は、電極集電体10と電極活物質層との間の接着強度を確保しやすいレベルに容易に形成され得る。
【0074】
前記第1の官能基含有重合体の重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)を用いて、以下の条件下で測定したものであり得る。
-カラム:東ソー(TOSOH)社「HLC-8321 GPC/HT」
-溶媒:トリクロロベンゼン(TCB:Trichlorobenzene)+0.04%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT:butylated hydroxytoluene)(0.1%のCaCl2で乾燥後)
-流速:1.0ml/分
-試料濃度:1.5mg/ml
-注入量:300μL
-カラム温度:160℃
-検出器(Detector):屈折率(RI)検出器
-標準(Standard):ポリスチレン(3次関数で補正)。
【0075】
本発明の一実施形態において、前記第1の架橋剤は、単官能性(メタ)アクリレート、二官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0076】
前記「単官能性アクリレート」とは、1つのアクリレート基のみを含むものを意味する。
【0077】
「二官能性アクリレート」とは、2つのアクリレート基を含むものを意味する。
【0078】
「多官能性アクリレート」とは、3つ以上のアクリレート基を含むものを意味する。
【0079】
前記二官能性または多官能性のアクリレートとしては、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等が挙げられる。
【0080】
本発明の一実施形態において、前記第1の架橋剤は、線状または分岐状のアルキル(メタ)アクリレート、環状(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0081】
例えば、前記線状のアクリレートとしては、アルキルアクリレートが挙げられる。前記分岐状アクリレートとしては、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート、イソステアリルアクリレート等の分岐状アルキルアクリレートが挙げられる。前記環状アクリレートとしては、ジシクロペンタニルアクリレート、n-ビニルカプロラクタム等が挙げられる。前記芳香族アクリレートとしては、フェノキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0082】
本発明の一実施形態において、前記第1の架橋剤は、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0083】
本発明の一実施形態において、前記第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との重量比は、10:90~90:10、または20:80~80:20、または30:70~70:30であり得る。前記第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との重量比が前記範囲を満足する場合、第1のバインダーが適切な物性及び架橋密度を有しやすくなり、圧延性能の確保にさらに有利であり得る。
【0084】
本発明の一実施形態において、前記第1のバインダーの架橋度は、10~100%、または50~100%、または10~95%であり得る。前記第1のバインダーの架橋度が前記範囲を満足する場合、接着促進層20の安定性を確保しつつ、電極活物質層との優れた接着力をより容易に確保することができる。
【0085】
前記第1のバインダーの架橋度は、赤外分光法(IR:IR spectroscopy)を用いて測定することができる。第1のバインダーの架橋度は、架橋前のC=C二重結合のピーク面積と架橋後のC=C二重結合のピーク面積との比によって測定することができる。
【0086】
本発明の一実施形態において、前記第1のバインダーの含有量は、前記接着促進層20の100重量%を基準として、2~70重量%、または10~70重量%、または20~60重量%であり得る。前記第1のバインダーの含有量が前記範囲を満足する場合、電極集電体10と後述する電極活物質層との間の十分な接着力を容易に確保することができる。
【0087】
本発明の一実施形態において、前記第1のバインダーが第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物である場合、それは後述する第2のバインダーと同種の材料であってもよいし、異種の材料であってもよい。
【0088】
本発明の一実施形態において、前記第1のバインダーは、アクリル変性ポリウレタン樹脂、アクリル変性ポリエチレングリコール樹脂、または両者の架橋生成物を含み得る。
【0089】
本発明の一実施形態において、前記アクリル変性ポリウレタン樹脂は、下記化学式1及び2の少なくとも一方の化合物を含み得る:
【化1】
前記化学式1及び2において、nは1~30、または3~25、または5~20の整数、または8の整数であり、mは1~1,000、または3~500、または5~100、または7~50、または10~30、または20の整数であり得る。
【0090】
前記アクリル変性ポリエチレングリコール樹脂は、下記化学式3~8のうちの少なくとも1つの化合物を含み得る:
【化2】
前記化学式3~8において、qは10~1000の整数、または50~500、または100~350、または150~250の整数、または200であり得る。
【0091】
本発明の一態様において、前記アクリル変性ポリエチレングリコール樹脂は、ヒドロキシ基またはシアノ基を有する(メタ)アクリレート系化合物、または(メタ)アクリロイルクロライドとポリエチレングリコール系化合物との反応生成物;またはヒドロキシ基またはシアノ基を有する(メタ)アクリレート系化合物、または(メタ)アクリロイルクロライドと、ポリエチレングリコール系化合物と、ジイソシアネート系化合物との反応生成物;であり得る。
【0092】
具体的には、前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート系化合物としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられ、前記シアノ基を有する(メタ)アクリレート系化合物としては、2-イソシアナトエチルアクリレート、2-イソシアネトエチルメタアクリレートが挙げられ、前記(メタ)アクリロイルクロライドとしては、アクリロイルクロライド、メタアクリロイルクロライドが挙げられる。
【0093】
前記ジイソシアネート系化合物としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0094】
前記ポリエチレングリコール系化合物としては、-(CH-CH22-O)n-の繰り返し単位を有し、末端に少なくとも1つのOH基を有する化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。ここで、nは1~1,000の整数、または50~500の整数であり得る。
【0095】
前記ポリエチレングリコール系化合物の一例としては、
【化3】
が挙げられる。ここで、qは10~1000の整数、または50~500、または100~350、または150~250の整数、または200であり得る。
【0096】
前記第1の導電材は、電池に化学的変化を引き起こさずに導電性を有するものであって、前記第1のバインダーと混合されて電極活物質層と電極集電体10との間を電気的に接続して導電性を維持する成分であれば特に限定されない。
【0097】
本発明の一実施形態において、前記第1の導電材は、天然黒鉛、人工黒鉛等を含む黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラック等を含むカーボンブラック;炭素繊維または金属繊維等を含む導電性繊維;単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等を含むカーボンナノチューブ;フッ化炭素;アルミニウム粉末、ニッケル粉末等を含む金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウム等を含む導電性ウイスキー;酸化チタン等を含む導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体等を含む導電性素材;またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0098】
本発明の一実施形態において、前記第1の導電材は、後述する第2の導電材と同種の材料であってもよいし、異種の材料であってもよい。
【0099】
本発明の一実施形態において、前記第1の導電材は、電極集電体10と接する接着促進層20の下面から、後述する電極活物質層と接する接着促進層20の上面まで、一定の濃度勾配を形成することができる。前記第1の導電材が前述のように一定の濃度勾配を形成していると、接着促進層20内に導電性パスを形成することができ、電極の電気伝導性を効果的に維持しやすくなり得る。
【0100】
本発明の一実施形態において、前記第1の導電材の含有量は、前記接着促進層20の100重量%を基準として、0.1~10重量%、または0.3~8重量%であり得る。前記第1の導電材の含有量が前記範囲を満足する場合、電極の電気伝導性を低下させることなく、電極活物質層と電極集電体10との間の接着力をより容易に確保することができる。
【0101】
本発明の一実施形態において、前記接着促進層20の厚さは、0.1~50μm、または0.1~10μm、または0.1~5μmであり得る。前記接着促進層20の厚さが前記範囲を満足する場合、電極集電体10と電極活物質層との間の十分な接着力を容易に確保することができるとともに、電極の電気的性能が劣化したり、体積が大きくなったりする問題を防止することができる。
【0102】
図1を参照すると、リチウム二次電池用電極1は、前記接着促進層20の上面に電極活物質層30を備える。前記電極活物質層30は、電極活物質、第2の導電材、及び第2のバインダーを含む。
【0103】
本発明の一実施形態において、前記電極活物質は、正極活物質または負極活物質であり得る。
【0104】
前記正極活物質としては、リチウム二次電池に使用される一般的な活物質、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)等の層状化合物や一種以上の遷移金属で置換されている化合物;化学式Li1+xMn2-xO4(ここで、x=0~0.33)で表されるLiMnO4、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2等のリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O5、LiV3O4、V2O5、Cu2V2O7等のバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01~0.3)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-xMxO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01~0.1)またはLi2Mn3MO5(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZn)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;Liの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されているLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2)、リン酸鉄リチウム化合物(LiFePO4)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(Li[Ni.Co.Al]O2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)、またはリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(Li[Ni.Mn.Co]O2)、リチウムニッケルコバルトマンガンアルミニウム酸化物(Li[Ni.Co.Mn.Al]O2)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0105】
前記負極活物質としては、リチウム二次電池に使用される一般的な活物質、例えば、リチウム金属またはリチウム合金、炭素、石油コークス(petroleum coke)、活性炭(activated carbon)、グラファイト(graphite、黒鉛)またはその他の炭素類などのようなリチウム吸着物質などが使用できる。
【0106】
本発明の一実施形態において、前記電極活物質の含有量は、電極活物質層30の100重量%を基準として、80~99重量%、90~99重量%、または90~98.5重量%であり得る。前記電極活物質の含有量が前記範囲を満足する場合、電極の初期容量を十分確保することができるとともに、電極活物質層30と電極集電体10との間の接着力をより容易に確保することができる。
【0107】
本発明の一実施形態において、前記第2の導電材は、電池に化学的変化を引き起こさずに導電性を有するものであり、電極活物質間、または電極活物質層30と電極集電体10間などを電気的に接続して導電性を維持する成分であれば特に限定されない。
【0108】
本発明の一実施形態において、前記第2の導電材は、天然黒鉛又は人造黒鉛等を含む黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラック等を含むカーボンブラック;炭素繊維又は金属繊維等を含む導電性繊維;単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等を含むカーボンナノチューブ;フッ化炭素;アルミニウム粉末又はニッケル粉末を含む金属粉末;酸化亜鉛又はチタン酸カリウムを含む導電性ウイスキー;酸化チタンを含む導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体を含む導電性素材;またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0109】
本発明の一実施形態において、前記第2の導電材の含有量は、前記電極活物質層30の100重量%を基準として、0.1~5重量%、0.3~4重量%、または0.4~3重量%であり得る。前記第2の導電材の含有量が前記範囲を満足する場合、電極の電気伝導性を低下させることなく、電極活物質層30と電極集電体10との間の接着力をより容易に確保することができる。
【0110】
前記第2のバインダーは、電極活物質と第2磁性材料等との結合、電極活物質と電極集電体との結合を補助する成分であり、架橋構造を有する。
【0111】
電極活物質は、高温にさらされる場合、電解液と副反応を起こしてガスを発生させるなどの問題がある。架橋構造を有する第2のバインダーが電極活物質層に含まれる場合、前記第2のバインダーは、従来の電極用バインダーに比べて電解液膨潤特性が低いため、第2のバインダーが電極活物質層を保護する役割を果たすことができる。これにより、電解液と電極活物質との副反応を低減することができ、サイクル特性または電池の安全性を向上させることができる。
【0112】
本発明の一実施形態において、前記第2のバインダーは、第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤との架橋生成物を含み得る。前記第2の官能基含有重合体の官能基と第2の架橋剤との反応の結果として、第2のバインダーは架橋構造を有することができる。
【0113】
本発明の一実施形態において、前記第2の官能基含有重合体は、イソプレン単量体由来の繰り返し単位、ブタジエン単量体由来の繰り返し単位、シクロペンタジエン単量体由来の繰り返し単位、エチリデンノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、ビニルノルボルネン単量体由来の繰り返し単位、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0114】
本発明の一実施形態において、前記第2の官能基含有重合体に含まれる官能基は、カルボキシル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。前記第2の官能基含有重合体が前記官能基を含む場合、電極活物質層30の電極集電体10への接着力をより容易に向上させることができ、かつ、第2の官能基含有重合体の架橋性をより容易に向上させることができる。
【0115】
本発明の一実施形態において、前記第2の官能基含有重合体は、クラリー社(Kurary,Co.,Ltd.)から入手可能なUC-102、UC-105、UC-203、LBR352、LBR361、及びL-SBR-841グレード;サルトマー社(Sartomer Co.,Inc.)から入手可能なCN301、CN303、及びCN307;またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0116】
本発明の一実施形態において、前記第2の官能基含有重合体の重量平均分子量は、1,000~60,000g/mol、または2,000~50,000g/mol、または3,000~40,000g/molであり得る。前記第2の官能基含有重合体の重量平均分子量が前記範囲を満足する場合、架橋後の第2のバインダーの重量平均分子量は、電極集電体10と電極活物質層30との間の接着強度を確保しやすいレベルに容易に形成され得る。
【0117】
前記第2の官能基含有重合体の重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)を用いて、以下の条件で測定したものであり得る:
-カラム:東ソー社(TOSOH)「HLC-8321 GPC/HT」
-溶媒:トリクロロベンゼン(TCB:Trichlorobenzene)+0.04%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT:butylated hydroxytoluene)(0.1%のCaCl2で乾燥後)
-流速:1.0ml/分
-試料濃度:1.5mg/ml
-注入量:300μL
-カラム温度:160℃
-検出器(Detector):屈折率(RI)検出器
-標準(Standard):ポリスチレン(3次関数で補正)。
【0118】
本発明の一実施形態において、前記第2の架橋剤は、単官能性(メタ)アクリレート、二官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0119】
前記「単官能性アクリレート」とは、1つのアクリレート基のみを含むものを意味する。
【0120】
「二官能性アクリレート」とは、2つのアクリレート基を含むものを意味する。
【0121】
「多官能性アクリレート」とは、3つ以上のアクリレート基を含むものを意味する。
【0122】
前記二官能性または多官能性のアクリレートとしては、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート等が挙げられる。
【0123】
本発明の一実施形態において、前記第2の架橋剤は、線状または分岐状のアルキル(メタ)アクリレート、環状(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0124】
例えば、前記線状のアクリレートとしては、アルキルアクリレートが挙げられる。前記分岐状アクリレートとしては、例えば、2-エチルヘキシルアクリレート、イソステアリルアクリレート等の分岐状アルキルアクリレートが挙げられる。前記環状アクリレートとしては、ジシクロペンタニルアクリレート、n-ビニルカプロラクタム等が挙げられる。前記芳香族アクリレートとしては、フェノキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0125】
本発明の一実施形態において、前記第2の架橋剤は、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0126】
本発明の一実施形態において、前記第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤との重量比は、10:90~90:10、または20:80~80:20、または30:70~70:30であり得る。前記第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤との重量比が前記範囲を満足する場合、第2のバインダーが適切な物性及び架橋密度を有しやすくなり、圧延性能の確保にさらに有利であり得る。
【0127】
本発明の一実施形態において、前記第2のバインダーの架橋度は、20~100%、または50~100%、または60~100%であり得る。前記第2のバインダーの架橋度が前記範囲を満足する場合、第2のバインダーに残存する二重結合の含有量が低くなり、電池の安定性確保にさらに有利であり得る。
【0128】
前記第2のバインダーの架橋度は、赤外分光法(IR;IR spectroscopy)を用いて測定することができる。第2のバインダーの架橋度は、架橋前のC=C二重結合のピーク面積と架橋後のC=C二重結合のピーク面積との比によって測定することができる。
【0129】
本発明の一実施形態において、前記第2のバインダーの含有量は、前記電極活物質層30の100重量%を基準として、1.5~3.5重量%、または1.5~2.0重量%であり得る。前記第2のバインダーの含有量が前記範囲を満足する場合、電極の初期容量を十分確保することができるとともに、電極活物質層30と電極集電体10との間の接着力をより容易に確保することができる。
【0130】
本発明の一実施形態において、前記電極活物質層30の厚さは、10~200μmであり得る。
【0131】
本発明において、前記第1のバインダーと第2のバインダーとは化学結合を形成する。例えば、前記第1のバインダーと第2のバインダーとが互いに架橋し得る。前記第1のバインダーと第2のバインダーとが化学結合を形成することにより、電極活物質層30と電極集電体10との間の接着力をより容易に向上させることができる。
【0132】
前記第1のバインダーと第2のバインダーとの間にこのような化学結合が存在することは、前記電極から電極活物質層を除去して接着促進層を露出させた後、赤外分光法(IR:IR spectroscopy)により確認することができ、接着促進層における第1のバインダーの炭素-炭素二重結合(C=C)のピーク(ピーク位置:1633cm-1)が減少していることがわかる。すなわち、これは、接着促進層に含まれる第1のバインダーに存在する二重結合が、電極活物質層の第2のバインダーと化学結合、具体的には架橋を形成した結果、第1のバインダーの炭素-炭素二重結合(C=C)のIRピークが大きく減少するためである。
【0133】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極は、接着促進層に架橋構造のバインダーを含む第1のバインダーを含有させることにより、架橋構造のバインダーを含む第2のバインダーを電極活物質層に含有させた場合であっても、電極活物質層と電極集電体間の十分な接着力を確保することができる。
【0134】
本発明の一実施形態において、電極活物質層と電極集電体との間の接着力は、10gf以上であり得る。
【0135】
前記電極活物質層と電極集電体との間の接着力は、電極集電体を電極活物質層から剥離する際の90°剥離強度から測定することができる。例えば、電極をスライドガラスに貼り付けて固定した後、25℃で150mm/分の速度で電極集電体を電極活物質層から剥離したときの強度から測定することができる。前記電極集電体に対する電極活物質層の接着力は、剥離強度測定装置(UTA-500N)で測定することができる。
【0136】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極は、以下の方法で製造することができるが、これに限定されない。
【0137】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極の製造方法は、
(S1)第1の官能基含有重合体、第1の架橋剤、第1の光開始剤、及び第1の導電材を含む接着促進層形成用組成物を、電極集電体にコーティングし、乾燥して、接着促進層を形成するステップと、
(S2)前記接着促進層に紫外線を照射するステップと、
(S3)電極活物質、第2の導電材、第2の官能基含有重合体、第2の架橋剤、及び第2の光開始剤を含む電極活物質層形成用スラリーを、前記ステップ(S2)の結果物の上面にコーティングし、乾燥して、電極活物質層を形成するステップと、
(S4)前記ステップ(S3)の結果物に紫外線を照射するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0138】
以下、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極の製造方法について主要な部分を中心に説明する。
【0139】
まず、第1の官能基含有重合体、第1の架橋剤、第1の光開始剤、及び第1の導電材を含む接着促進層形成用組成物を、電極集電体にコーティングし、乾燥して、接着促進層を形成する(S1)。
【0140】
前記第1の官能基含有重合体、第1の架橋剤、及び第1の導電材については、前述の内容を参照する。
【0141】
前記第1の光開始剤は、第1の官能基含有重合体及び第1の架橋剤を架橋させる。
【0142】
本発明の一実施形態において、前記第1の光開始剤は、タイプ1の光開始剤を含み得る。例えば、前記第1の光開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(Irgacure)819)、オキシド(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)(TPO)、マレイミド、2,4,5-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメチルオキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、プロパノン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オキシド、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-4’-(2-hydroxyethoxy)-2-methylpropiophenone)(イルガキュア(Irgacure)2959)、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0143】
本発明の一実施形態において、前記第1の光開始剤は、タイプ1の光開始剤に加えて、タイプ2の光開始剤をさらに含み得る。タイプ2の光開始剤をさらに含む場合、架橋効率をさらに高めることができる。前記タイプ2の光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、カンファーキノン、ミヒラーケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン、ベンジルジメチルケタール、2-ベンジル-2-N,N,-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-メルカプトベンゾキサゾール、カンファーキノン、2-ヒドロキシ-2-ケチル-1-(4-t-ブチル)フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパノン、チオキサントン、チオキサントン誘導体、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0144】
前記ベンゾフェノン誘導体は、例えば、ヒドロキシアセトフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシ-ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-(4-メチルチオフェニル)-ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシ-ベンゾフェノン、メチル-2-ベンゾイルベンゾエート、4-(2-ヒドロキシエチルチオ)-ベンゾフェノン、4-(4-トリルチオ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N,N-トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-プロパンアミニウムクロライド一水和物、4-ヒドロキシベンゾフェノン、4-(13-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキサトリデシル)-ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニル)オキシ]エチル-ベンゼンメタンアミニウムクロライド等を含み得るが、これらに限定されない。
【0145】
前記チオキサントン誘導体は、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-メトキシカルボニルチオキサントン、2-エトキシカルボニルチオキサントン、3-(2-メトキシエトキシカルボニル)-チオキサントン、4-ブトキシカルボニル-チオキサントン、3-ブトキシカルボニル-7-メチルチオキサントン、1-シアノ-3-クロロチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-クロロチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-エトキシチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-アミノチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-フェニルスルフリルチオキサントン、3,4-ジ[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-(1-メチル-1-モルホリノ-エチル)-チオキサントン、2-メチル-6-ジメトキシメチル-チオキサントン、2-メチル-6-(1,1-ジメトキシ-ベンジル)-チオキサントン、2-モルホリノメチルチオキサントン、2-メチル-6-モルホリノメチル-チオキサントン、N-アリルチオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、N-オクチルチオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-チオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、1-フェノキシチオキサントン、6-エトキシカルボニル-2-メトキシチオキサントン、6-エトキシカルボニル-2-メチルチオキサントン、チオキサントン-2-ポリエチレングリコールエステル、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロライド等を含み得るが、これらに限定されない。
【0146】
前記第1の光開始剤の含有量は、前記第1の官能基含有重合体及び第1の架橋剤の総重量100重量%を基準として、0.05~15重量%、または0.1~10重量%、または0.1~8重量%であり得る。前記第1の光開始剤の含有量が前記範囲を満足する場合、架橋反応が十分に行われて所望の架橋度をより容易に確保することができる。
【0147】
本発明の一実施形態において、前記接着促進層形成用組成物は、分散媒に第1の導電材を添加して予備分散(preliminary dispersion)させ、第1の官能基含有重合体及び第1の架橋剤を添加し、混合することにより製造することができる。
【0148】
前記分散媒は、第1の光開始剤及び第1の架橋剤を溶解でき、第1の導電材を分散させることができるものであれば特に限定されない。前記分散媒は、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n-プロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類;プロピルアセテート;N-メチル-2-ピロリドン;ジメチルホルムアミド;ジメチルアセトアミド;水;またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0149】
本発明の一実施形態において、前記接着促進層形成用組成物は、分散剤をさらに含み得る。前記分散剤は、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース(Hydroxy ethyl cellulose、HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxy propyl cellulose、HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethylhydroxy ethyl cellulose、EHEC)、メチルセルロース(methyl cellulose、MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(carboxymethyl cellulose、CMC)、ヒドロキシアルキルメチルセルロース(hydroxyalkyl methyl cellulose)、シアノエチレンポリビニルアルコール、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0150】
前記接着促進層形成用組成物を電極集電体上にコーティングする方法としては、当該技術分野で通用する一般的な方法を使用することができ、例えば、スプレーコーティング法などを使用することができる。
【0151】
本発明の一実施形態において、前記乾燥は、電極製造時における通常の乾燥方法によることができる。例えば、前記乾燥は、30℃~100℃、または40℃~80℃で行うことができる。また、前記乾燥は、3~45秒、または5~40秒間、空気により行うことができる。
【0152】
次に、前記接着促進層に紫外線を照射する(S2)。前記接着促進層に紫外線を照射することにより、前記第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤とを架橋させることができる。
【0153】
本発明の一実施形態において、前記ステップ(S2)における紫外線の照射光量は、10~2000mJ/cm2、または30~2000mJ/cm2、または50~1500mJ/cm2であり得る。前記ステップ(S2)における紫外線の照射光量が10~2000mJ/cm2である場合、第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物の架橋度を10~80%に容易に調整することができる。
【0154】
本発明の一実施形態において、前記接着促進層に紫外線を照射することによる第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物の架橋度は、10~80%、または30~100%、または40~100%、または40~95%であり得る。
【0155】
特に、第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物は、半架橋の形態であり得る。例えば、第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物の架橋度は、10%~80%、または50%~70%であり得る。第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物が半架橋の形態である場合、接着促進層内でバインダーが流動したり変形したりすることを防止することができる一方で、第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物中に二重結合が残存して、後述する第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤との架橋生成物と化学結合を形成することができ、それにより電極活物質層と電極集電体との間の接着力がさらに向上し得る。
【0156】
次に、電極活物質、第2の導電材、第2の官能基含有重合体、第2の架橋剤、及び第2の光開始剤を含む電極活物質層形成用スラリーを、前記ステップ(S2)の結果物の上面にコーティングし、乾燥して、電極活物質層を形成する(S3)。
【0157】
前記電極活物質、第2の導電材、第2の官能基含有重合体、及び第2の架橋剤については前述の内容を参照する。
【0158】
前記第2の光開始剤は、第2の官能基含有重合体及び第2の架橋剤を架橋させる。
【0159】
本発明の一実施形態において、前記第2の光開始剤は、タイプ1の光開始剤を含み得る。例えば、前記第2の光開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(Irgacure)819)、オキシド(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)(TPO)、マレイミド、2,4,5-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメチルオキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、プロパノン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、オキシド、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-4’-(2-hydroxyethoxy)-2-methylpropiophenone)(イルガキュア(Irgacure)2959)、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0160】
本発明の一実施形態において、前記第2の光開始剤は、タイプ1光開始剤に加えて、タイプ2の光開始剤をさらに含み得る。タイプ2の光開始剤をさらに含む場合、架橋効率をさらに高めることができる。前記タイプ2の光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、カンファーキノン、ミヒラーケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)ケトン、ベンジルジメチルケタール、2-ベンジル-2-N,N,-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-メルカプトベンゾキサゾール、カンファーキノン、2-ヒドロキシ-2-ケチル-1-(4-t-ブチル)フェニルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパノン、チオキサントン、チオキサントン誘導体、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0161】
前記ベンゾフェノン誘導体としては、例えば、ヒドロキシアセトフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシ-ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-(4-メチルチオフェニル)-ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシ-ベンゾフェノン、メチル-2-ベンゾイルベンゾエート、4-(2-ヒドロキシエチルチオ)-ベンゾフェノン、4-(4-トリルチオ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N,N-トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-プロパンアミニウムクロライド一水和物、4-ヒドロキシベンゾフェノン、4-(13-アクリロイル-1,4,7,10,13-ペンタオキサトリデシル)-ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニル)オキシ]エチル-ベンゼンメタンアミニウムクロライド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
前記チオキサントン誘導体としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-ドデシルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-メトキシカルボニルチオキサントン、2-エトキシカルボニルチオキサントン、3-(2-メトキシエトキシカルボニル)-チオキサントン、4-ブトキシカルボニル-チオキサントン、3-ブトキシカルボニル-7-メチルチオキサントン、1-シアノ-3-クロロチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-クロロチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-エトキシチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-アミノチオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-フェニルスルフリルチオキサントン、3,4-ジ[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1-エトキシカルボニル-3-(1-メチル-1-モルホリノ-エチル)-チオキサントン、2-メチル-6-ジメトキシメチル-チオキサントン、2-メチル-6-(1,1-ジメトキシ-ベンジル)-チオキサントン、2-モルホリノメチルチオキサントン、2-メチル-6-モルホリノメチル-チオキサントン、N-アリルチオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、N-オクチルチオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、N-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-チオキサントン-3,4-ジカルボキシイミド、1-フェノキシチオキサントン、6-エトキシカルボニル-2-メトキシチオキサントン、6-エトキシカルボニル-2-メチルチオキサントン、チオキサントン-2-ポリエチレングリコールエステル、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イルオキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミニウムクロライド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
本発明の一実施形態において、前記第2の光開始剤の含有量は、前記第1の光開始剤の含有量よりも多くてもよい。電極活物質層の厚さが接着促進層の厚さよりもより厚い場合、第2の光開始剤の含有量は、第1の光開始剤の含有量よりも多くてもよい。
【0164】
前記第2の光開始剤の含有量は、前記第2の官能基含有重合体及び第2の架橋剤の総重量100重量%を基準として、0.05~20重量%、または0.07~10重量%、または0.1~5重量%であり得る。前記第2の光開始剤の含有量が前記範囲を満足する場合、架橋反応が十分に行われて所望の架橋度をより容易に確保することができる。
【0165】
本発明の一実施形態において、前記電極活物質層形成用スラリーは、分散媒に第2の導電材を添加して予備分散させ、電極活物質、第2の官能基含有重合体及び第2の架橋剤を添加し、混合することにより製造することができる。
【0166】
前記分散媒は、第2の光開始剤及び第2の架橋剤を溶解でき、第2の導電材を分散させることができるものであれば特に限定されない。前記分散媒は、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n-プロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類;プロピルアセテート;N-メチル-2-ピロリドン;ジメチルホルムアミド;ジメチルアセトアミド;水;またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0167】
本発明の一実施形態において、前記電極活物質層形成用スラリーは、分散剤をさらに含み得る。前記分散剤は、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース(Hydroxy ethyl cellulose、HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxy propyl cellulose、HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(ethylhydroxy ethyl cellulose、EHEC)、メチルセルロース(methyl cellulose、MC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(carboxymethyl cellulose、CMC)、ヒドロキシアルキルメチルセルロース(hydroxyalkyl methyl cellulose)、シアノエチレンポリビニルアルコール、またはこれらのうちの2種以上を含み得る。
【0168】
本発明の一実施形態において、前記ステップ(S3)は、前記電極活物質層形成用スラリーを、前記ステップ(S2)の結果物の上面にコーティングし、乾燥した後、紫外線を照射して、第1の電極活物質層を形成するステップと、前記電極活物質層形成用スラリーを、前記第1の電極活物質層上にコーティングし、乾燥して、第2の電極活物質層を形成するステップと、を含み得る。
【0169】
電極活物質層形成用スラリーを一度にコーティングして紫外線を照射すると、接着促進層と接する電極活物質層界面付近まで紫外線が良好に到達しない場合があるので、接着促進層と接する電極活物質層界面付近では第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤とが良好に架橋しない場合がある。
【0170】
電極活物質層形成用スラリーを接着促進層の上面にコーティングし、乾燥した後、紫外線を照射して、第1の電極活物質層を形成した後、電極活物質形成用スラリーを、前記第1の電極活物質層上に再度コーティングし、乾燥すれば、接着促進層と接する電極活物質層界面付近でも第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤とが容易に架橋し得る。
【0171】
本発明の一実施形態において、前記第1の電極活物質層を形成するための電極活物質層形成用スラリーのローディング量は、2~7mAh/cm2、または2.5~6mAh/cm2であり得る。前記電極活物質層形成用スラリーのローディング量が前記範囲を満足する場合、接着促進層と接する第1の電極活物質層界面付近にも紫外線が良好に到達できるので、接着促進層と接する電極活物質層界面付近でも第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤とがより容易に架橋し得る。
【0172】
前記電極活物質層形成用スラリーをコーティングする方法としては、当該技術分野で通用する一般的な方法を使用することができ、例えば、スプレーコーティング法などを使用することができる。
【0173】
本発明の一実施形態において、前記乾燥は、電極製造時における通常の乾燥方法によることができる。例えば、前記乾燥は、30℃~100℃、または40℃~80℃で行うことができる。また、前記乾燥は、3~45秒、または5~40秒間、空気により行うことができる。
【0174】
次に、前記ステップ(S3)の結果物に紫外線を照射する(S4)。前記電極活物質層に紫外線を照射することにより、前記第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤とを架橋させることができる。
【0175】
本発明の一実施形態において、前記ステップ(S4)における紫外線の照射光量は、200~10,000mJ/cm2、または500~8,000mJ/cm2であり得る。
【0176】
本発明の一実施形態において、電極活物質層に紫外線を照射することにより、接着促進層の前述の第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物と、電極活物質層の第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤との架橋生成物とは、互いに化学結合を形成することができる。例えば、第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との架橋生成物と、電極活物質層の第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤との架橋生成物とは、互いに架橋することができる。この場合、電極活物質層と電極集電体との間の接着力をさらに向上させることができる。
【0177】
本発明の一実施形態において、前記ステップ(S4)の結果物において、前記接着促進層に含まれる架橋したバインダーの架橋度は、10~100%、または50~100%、または10~95%であり得る。前記バインダーの架橋度が前記範囲を満足する場合、接着促進層の安定性を確保しつつ、電極活物質層との優れた接着力をより容易に確保することができる。
【0178】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電極を、セパレーター(分離膜)とともに用いてリチウム二次電池を製造することができる。
【0179】
前記リチウム二次電池は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、またはリチウムイオンポリマー二次電池などを含み得る。
【0180】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池に適用されるセパレーターは、特に限定されず、多孔性高分子基材のみで構成されてもよく、または、多孔性高分子基材と;前記多孔性高分子基材の少なくとも片面に形成され、多数の無機物粒子と、バインダー高分子とを含む有機無機複合多孔性層と;を含んで構成されてもよい。前記セパレーターは、前記正極と負極との間に介在し、正極と負極との間を絶縁する役割を果たす。
【0181】
前記多孔性高分子基材は、当該分野で通常使われる多孔性高分子基材であればいずれも使用可能である。例えば、前記多孔性高分子基材としては、ポリオレフィン系多孔性高分子膜(membrane)または不織布を使用することができるが、これに特に限定されるものではない。
【0182】
前記ポリオレフィン系多孔性高分子膜としては、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子、またはこれらのうちの2つ以上で形成した膜(membrane)が挙げられる。
【0183】
前記不織布としては、ポリオレフィン系不織布の他、例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキシド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalene)、またはこれらのうちの2種以上から形成された不織布が挙げられる。不織布の構造は、長繊維から構成されたスパンボンド不織布またはメルトブローン不織布であり得る。
【0184】
前記多孔性高分子基材の厚さは特に限定されないが、3μm~50μm、または3μm~15μmであり得る。多孔性高分子基材に存在する気孔径及び気孔率もまた特に限定されないが、それぞれ0.01μm~50μm及び10%~95%であり得る。
【0185】
本発明の一実施形態において、前記無機物粒子は、電気化学的に安定である限り特に限定されない。すなわち、本発明で使用できる無機物粒子は、適用される電池の動作電圧範囲(例えば、Li/Li+を基準として0~5V)において酸化反応及び/又は還元反応を起こさないものであれば、特に限定されない。前記無機物粒子は、誘電率定数が5以上または10以上の高誘電率無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子、またはこれらのうちの2種類以上を含み得る。誘電率定数が5以上の無機物粒子としては、BaTiO3、BaSO4、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiyO3(PLZT、ここで、0<x<1、0<y<1である)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3(PMN-PT)、ハフニア(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、Mg(OH)2、NiO、CaO、ZnO、ZrO2、Y2O3、SiO2、Al2O3、γ-AlOOH、Al(OH)3、SiC、TiO2,またはこれらのうちの2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されない。
【0186】
本発明の一実施形態において、前記無機物粒子の粒径は特に限定されないが、均一な厚さの有機無機複合多孔性層を形成するために、かつ適切な空隙率を有するために、0.01~10μm、または0.05~1.0μmの範囲の平均粒径を有することができる。この場合、前記無機物粒子の平均粒径は、一般的な粒度分布計によって分級後の粒子の粒度分布を測定し、その測定結果に基づいて算出される小粒径側からの積算値50%の粒度(D50)を意味する。このような粒度分布は、レーザー回折分析法により測定することができる。
【0187】
本発明の一実施形態において、前記セパレーターに含まれるバインダー高分子は、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF:Polyvinylidenefluoride、ポリビニリデンフルオライド)、ポリ(フッ化ビニリデン)-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-hexafluoropropylene)、ポリ(フッ化ビニリデン)-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-co-trichloroethylene)、ポリ(フッ化ビニリデン)-クロロトリフルオロエチレン(polyvinylidene fluoride-co-chlorotrifluoroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethyl cellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体(acrylonitrile-styrene-butadiene copolymer)、ポリイミド(polyimide)、またはこれらのうちの2種以上を含み得るが、これらに限定されない。
【0188】
本発明の一実施形態において、前記セパレーターに含まれる無機物粒子とバインダー高分子との含有比は、20:80~99.9:0.1、50:50~99.5:0.5、または70:30~80:20であり得る。前記無機物粒子とバインダー高分子との含有比が前記範囲である場合、無機物粒子間の接着力を十分に確保しつつも、無機物粒子間に形成される空隙を十分に確保することができる。
【0189】
本発明の一実施形態において、前記有機無機複合多孔性層は、前記無機物粒子が充填されて互いに接触した状態で、前記バインダー高分子によって互いに結着し、これにより、無機物粒子間にインタースティシャルボリューム(interstitial volumes)が形成され、前記無機物粒子間のインタースティシャルボリュームが空隙となって気孔を形成する構造を備え得る。
【0190】
本発明の一実施形態において、前記リチウム二次電池は電解液を含み、前記電解液は、有機溶媒とリチウム塩とを含み得る。また、前記電解液として、有機固体電解質または無機固体電解質などを使用することができる。
【0191】
前記有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イビダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用できる。
【0192】
前記リチウム塩は、前記有機溶媒に溶解しやすいものであり、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4-フェニルホウ酸リチウム、イミドなどが使用できる。
【0193】
また、前記電解液に、充放電特性、難燃性等を改善するために、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウム等を添加することもできる。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレン等のハロゲン含有溶媒をさらに含めることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭素ガスをさらに含めることもできる。
【0194】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリジン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリ(フッ化ビニリデン)、イオン性解離基を含む重合体などが使用し得る。
【0195】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li3N、LiI、Li5NI2、Li3N-LiI-LiOH、LiSiO4、LiSiO4-LiI-LiOH、Li2SiS3、Li4SiO4、Li4SiO4-LiI-LiOH、Li3PO4-Li2S-SiS2等のLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使用できる。
【0196】
前記電解液注入は、最終製品の製造工程及び要求物性に応じて、電池製造工程中の適切なステップで行うことができる。すなわち、電池組立前または電池組立の最終ステップなどで適用できる。
【0197】
前記リチウム二次電池の外形には、特に限定されないが、缶を使用した円筒型、角型、パウチ(pouch)型またはコイン(coin)型などがある。
【0198】
以下、本発明の理解を助けるために、実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は、様々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下の実施例に限定されるものと解釈されるべきではない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例】
【0199】
実施例1
プロピルアセテートとn-プロピルアルコールとを60:40で混合した分散媒98.3gに、第1の導電材としての多層カーボンナノチューブ(MWCNT)1.5g、分散剤としてのポリビニルピロリドン(分子量40,000)0.3gを投入した後、これをプラネタリーミキサー(planetary mixer)で予備分散させ、高圧分散機を用いて第1の導電材予備分散液を製造した。
【0200】
前記製造した第1の導電材予備分散液に、第1の官能基含有重合体としてのUC-102Mを1g、第1の架橋剤としての1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(SR262)を0.9g、第1の光開始剤としてのイルガキュア(Irgacure)819を0.1g投入した後、プラネタリーミキサー(planetary mixer)でこれを混合して接着促進層形成用組成物を製造した。これをアルミニウム箔(厚さ20μm)に、接着促進層の乾燥後、厚さ0.5μmになるようにコーティングして乾燥した。これに紫外線50mJ/cm2を照射することで、接着促進層に含まれる第1の官能基含有重合体と第1の架橋剤との間の架橋生成物の架橋度が50%になるようにした。
【0201】
プロピルアセテートとn-プロピルアルコールを60:40で混合した分散媒98.2gに、第2の導電材としての多層カーボンナノチューブ(MWCNT)1.5g、分散剤としてのポリビニルピロリドン(分子量40,000)0.3gを投入した後、プラネタリーミキサー(planetary mixer)でこれを予備分散させ、高圧分散機を用いて第2の導電材予備分散液を製造した。
【0202】
前記製造した第2の導電材予備分散液に、正極活物質としてのNCMA(Li[Ni.Co.Mn.Al]O2)を96.2g投入し、第2の官能基含有重合体としてのUC-102Mを1g、第2の架橋剤としての1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(SR262)を0.9g、第2の光開始剤としてのイルガキュア(Irgacure)819を0.1g投入して、NCMA:第2の導電材:第2の官能基含有重合体と第2の架橋剤の混合物の重量比(分散剤を除く)を96.2:1.5:2.0とした。その後、これをプラネタリーミキサー(planetary mixer)で混合して、電極活物質層形成用スラリーを製造した。
【0203】
前記製造した電極活物質層形成用スラリーを前記接着促進層の上面にコーティングし、乾燥した後、紫外線8,000mJ/cm2を照射して、リチウム二次電池用電極を製造した。
【0204】
実施例2
プロピルアセテートとn-プロピルアルコールを60:40で混合した分散媒98.3gに、第1の導電材としての多層カーボンナノチューブ(MWCNT)1.5g、分散剤としてのポリビニルピロリドン(分子量40,000)0.3gを投入した後、これをプラネタリーミキサー(planetary mixer)で予備分散させ、高圧分散機を用いて第1の導電材予備分散液を製造した。
【0205】
前記製造した第1の導電材予備分散液に、下記化学式1で表されるアクリル変性ポリウレタン樹脂(重量平均分子量:110,000)を1.2g、下記化学式3で表されるアクリル変性ポリエチレングリコール樹脂(重量平均分子量:10,000)を1.1g、光開始剤としてのイルガキュア(Irgacure)819を0.2g使用した以外は、実施例1と同様にして、接着促進層形成用組成物を製造し、集電体上に接着促進層を形成した。
【化4】
前記化学式1において、nは8(5~20)であり、mは20(10~30)である。
【化5】
前記化学式3において、qは200(150~250)である。
【0206】
その後、前記製造された接着促進層が形成された集電体を用いたことを除いては、実施例1と同様にして、電極活物質層形成用スラリーを製造し、これを前記接着促進層の上面にコーティングし、乾燥した後、紫外線8000mJ/cm2を照射して、リチウム二次電池用電極を製造した。
【0207】
比較例1
プロピルアセテートとn-プロピルアルコールを60:40で混合した分散媒98.3gに、導電材としての単層カーボンナノチューブ(MWCNT)1.5g、分散剤としてのポリビニルピロリドン(分子量40,000)0.3gを投入した後、これをプラネタリーミキサー(planetary mixer)で予備分散させ、高圧分散機を用いて導電材予備分散液を製造した。
【0208】
前記製造した導電材予備分散液に、正極活物質としてのNCMA(Li[Ni.Co.Mn.Al]O2)を96.2g投入し、官能基含有重合体としてのUC-102Mを1g、架橋剤としての1,12-ドデカンジオールジメタクリレート(SR262)を0.9g、光開始剤としてのイルガキュア(Irgacure)819を0.1g投入して、NCMA:導電材:官能基含有重合体と架橋剤の混合物の重量比を96.5:1.5:2.0とした。その後、これをプラネタリーミキサー(planetary mixer)で混合して、電極活物質層形成用スラリーを製造した。
【0209】
前記製造した電極活物質層形成用スラリーをアルミニウム箔(厚さ20μm)にコーティングし、乾燥した後、紫外線8000mJ/cm2を照射して、リチウム二次電池用電極を製造した。
【0210】
比較例2
NCMA:導電材:官能基含有重合体と第2の架橋剤の混合物の重量比を94.5:1.5:4.0とした以外は、比較例1と同様にして、リチウム二次電池用電極を製造した。
【0211】
比較例3
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に、正極活物質としてのNCMA(Li[Ni.Co.Mn.Al]O2)、導電材としての単層カーボンナノチューブ(MWCNT)1.5g、バインダーとしてのポリ(フッ化ビニリデン)を、96.5:1.5:2.0の重量比で投入した後、混合して、電極活物質層形成用スラリーを製造した。
【0212】
前記製造した電極活物質層形成用スラリーをアルミニウム箔(厚さ20μm)にコーティングし、乾燥して、リチウム二次電池用電極を製造した。
【0213】
評価例:第1のバインダーと第2のバインダーとの化学結合を確認
実施例2で製造された電極において、接着促進層内の第1のバインダーと電極活物質層の第2のバインダーとの化学結合の存在を、赤外線分光装置(Agilent製Cary 630 FT-IR)を用いて確認し、その結果を
図2に示した。
【0214】
図2を参照すると、本評価のために、実施例2に従って集電体上に接着促進層を形成し、紫外線を照射した後、前記紫外線が照射された接着促進層の上面に、電極活物質層形成用スラリーをコーティングし、乾燥して電極活物質層を形成し、ここに照射される紫外線の光量を0mJ/cm
2、4200mJ/cm
2、8000mJ/cm
2と変化させることで、最終的に電極3種を準備した。
【0215】
その後、準備した各電極から電極活物質層を片面テープで除去して接着促進層を露出させたサンプルを準備し、このサンプルについて、赤外線分光装置(Agilent製Cary 630 FT-IR)を用いて、接着促進層に含まれる第1のバインダーの炭素-炭素二重結合(C=C)のピークである1633cm-1におけるピークの変化を観察した。最初の紫外線の光量が0mJ/cm2である場合には、炭素-炭素二重結合(C=C)のピークが明瞭に確認されたが、紫外線の光量が増加して8000mJ/cm2である場合には、二重結合(C=C)のピークが著しく減少したことがわかった。このことから、実施例2において接着促進層の上面に電極活物質層を形成した直後(紫外線照射前)と比較して、電極活物質層を形成した後に、実施例2と同様に8000mJ/cm2の紫外線照射をした場合には、二重結合(C=C)のピークが著しく減少したことがわかり、このことから、接着促進層の第1のバインダーの二重結合が消失し、第2のバインダーとの化学結合が生じたことが確認できた。
【0216】
評価例:電極の接着力及び初期容量の測定
実施例1~2及び比較例1~3で製造したリチウム二次電池用電極の厚さ、電極活物質層と電極集電体との間の接着力、及び初期容量を測定し、下記表1に示した。
【0217】
電極活物質層と電極集電体との間の接着力は、電極をスライドガラスに貼り付けて固定した後、剥離強度測定装置(UTA-500N)を用いて、電極集電体を、25℃で1.0mm/秒の速度で180°の角度で電極活物質層から剥離したときの強度から測定した。
【0218】
電極の初期容量は、セル製造後、25℃、0.1Cで充放電し、2.5Vから4.25Vまで充放電しながら測定した。
【0219】
【0220】
前記表1からわかるように、実施例1及び2では、架橋バインダーを含む接着促進層を備えているので、電極活物質層に架橋バインダーを含有させても、N-メチル-2-ピロリドンを溶媒として使用して製造した従来例のリチウム二次電池用電極とほぼ同様の電極活物質層と電極集電体との間の接着力及び初期容量レベルを有することが確認できた。一方、比較例1では、接着促進層を備えていないため、電極活物質層に架橋バインダーを含有させると、電極活物質層と電極集電体との間の接着力を十分に確保できないことが確認できた。
【0221】
比較例2では、電極活物質層に架橋バインダーを過剰に含有させると、電極活物質層と電極集電体との接着力を十分に確保できず、むしろ初期容量の低下を招くことが確認できた。
【0222】
比較例3では、接着促進層を備えることなく電極活物質層に非架橋バインダーを含有させた場合、電極活物質層と電極集電体との間の接着力を十分に確保できないことが確認された。
【符号の説明】
【0223】
1 リチウム二次電池用電極
10 電極集電体
20 接着促進層
30 電極活物質層
【国際調査報告】