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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】プロセスキャリア
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H01L21/68 V
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518258
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 US2022044128
(87)【国際公開番号】W WO2023049117
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,038
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャイ, リム ジュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャブカ, マイケル シー.
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA10
5F131BA00
5F131BA18
5F131BA37
5F131CA12
5F131GA13
5F131GA22
5F131GA26
5F131GA33
5F131GA43
5F131GA53
5F131GA54
5F131GA62
5F131GA68
(57)【要約】
プロセスコンテナは、複数のスロットを画定するフランジを備える。フランジの少なくとも1つは、複数のフランジのうち先述の少なくとも1つによって画定された複数のスロットのうちの1つにディスクまたはウエハが挿入されるとディスクまたはウエハに接触するように構成された締付け具を含む。締付け具は、複数のフランジのうち先述の少なくとも1つから、複数のスロットのうち先述の1つに外向きに突き出ている。締付け具は、ディスクまたはウエハを複数のスロットのうち先述の1つに挿入する方向に沿って少なくとも1つの締付け具の断面厚さが増加する、テーパ状部分を含む。締付け具は、1つの連続する傾斜または曲部を含むことができる。締付け具は、面取り部を含むことができる。締付け具は、フランジから延びるにつれて接触面積が減少して移行が滑らかとなり、ディスクまたはウエハがプロセスコンテナに挿入されるか、そこから取り外されるか、またはその中での保管中に移動する際の擦れおよび付随する粒子排出を低減する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスキャリアであって、
前記プロセスキャリアの内部空間内に延びるとともに複数のスロットを画定する複数のフランジを備え、
前記複数のフランジのうち少なくとも1つが、前記複数のフランジのうち前記少なくとも1つによって画定された前記複数のスロットのうち1つにディスクまたはウエハが挿入されると前記ディスクまたはウエハに接触するように構成された締付け具を含み、
前記締付け具が、前記複数のフランジのうち前記少なくとも1つから前記複数のスロットのうち前記1つに外向きに突き出ており、
前記締付け具が、前記ディスクまたはウエハが前記複数のスロットのうち前記1つに挿入される方向に沿って少なくとも1つの前記締付け具の断面厚さが増加するテーパ状部分を含む、プロセスキャリア。
【請求項2】
前記締付け具が、前記複数のフランジのうち前記少なくとも1つと一体的に形成される、請求項1に記載のプロセスキャリア。
【請求項3】
前記スロットの少なくとも1つが、前記複数のフランジのうち2つによって画定され、前記複数のフランジのうち前記2つのそれぞれが前記締付け具を含む、請求項1または2に記載のプロセスキャリア。
【請求項4】
前記複数のフランジのそれぞれが、前記締付け具の少なくとも1つを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセスキャリア。
【請求項5】
前記テーパ状部分が、前記ウエハの挿入方向で前記締付け具の全長の少なくとも半分まで延びる、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセスキャリア。
【請求項6】
前記テーパ状部分が、前記複数のスロットのうち前記1つに面する側で凹状である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセスキャリア。
【請求項7】
前記締付け具が、前記締付け具の最大断面厚さを有する保持部分をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセスキャリア。
【請求項8】
前記保持部分が、前記ウエハの挿入方向で前記締付け具の全長の最大三分の一まで延びる、請求項7に記載のプロセスキャリア。
【請求項9】
前記テーパ状部分が前記保持部分に当たる曲面を含む、請求項7に記載のプロセスキャリア。
【請求項10】
前記締付け具が、前記プロセスキャリアの前記内部空間内の前記複数のフランジのうち前記1つの一端に向かって前記締付け具の片側に面取り部を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセスキャリア。
【請求項11】
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセスキャリア。
【請求項12】
全体的に前記PEEK材料である、請求項11に記載のプロセスキャリア。
【請求項13】
前記PEEK材料が、粉砕炭素繊維を含む複合材である、請求項11に記載のプロセスキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスクまたはウエハ用のプロセスキャリア、具体的にはディスクまたはウエハを固定するための締付け具を備えたプロセスキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクまたはウエハは、ディスクまたはウエハの輸送、保管、および加工のために、例えばディスクまたはウエハの製造中に、プロセスキャリアに保管することができる。ディスクまたはウエハは、スロットに保管することができる。スロットは、それらスロット内にディスクまたはウエハをさらに固定するための締付け具を含むことができる。これらの締付け具は、スロットから大きく突き出る傾向があり、ディスクまたはウエハが締付け具に接触しているときにディスクまたはウエハの位置を固定するための有効表面積を提供する。ディスクまたはウエハの挿入、保持、およびプロセスキャリアからの取外しの最中にディスクまたはウエハが締付け具に擦れると、プロセスキャリアに粒子状物質を排出させる擦れが生じるおそれがある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、ディスクまたはウエハ用のプロセスキャリア、具体的にはディスクまたはウエハを固定するための締付け具を備えたプロセスキャリアに関する。
【0004】
ディスクまたはウエハを保持する締付け具への滑らかな移行を提供し、締付け具が最大厚さに到達する点を低くすることによって、実施形態によるプロセスコンテナは、より小さくて緩やかな接触面積を使用しながら十分な保持を提供することができる。これにより、ディスクまたはウエハの挿入、保管、またはプロセスコンテナからの取外しに伴う粒子排出が低減する。
【0005】
一実施形態では、プロセスキャリアは、プロセスキャリアの内部空間内に延びる複数のフランジを備え、複数のフランジは複数のスロットを画定する。複数のフランジのうち少なくとも1つは、複数のフランジのうち先述の少なくとも1つによって画定された複数のスロットのうちの1つにディスクまたはウエハが挿入されるとディスクまたはウエハに接触するように構成された締付け具を含む。締付け具は、複数のフランジのうち先述の少なくとも1つから、複数のスロットのうち先述の1つに外向きに突き出ている。締付け具は、ディスクまたはウエハを複数のスロットのうち先述の1つに挿入する方向に沿って少なくとも1つの締付け具の断面厚さが増加する、テーパ状部分を含む。
【0006】
一実施形態では、締付け具は、複数のフランジのうち先述の少なくとも1つと一体的に形成される。
【0007】
一実施形態では、スロットの少なくとも1つは、複数のフランジのうち2つによって画定され、複数のフランジのうち2つのそれぞれは先述の締付け具を含む。
【0008】
一実施形態では、複数のフランジのそれぞれは、先述の締付け具の少なくとも1つを備える。
【0009】
一実施形態では、テーパ状部分は、ウエハの挿入方向で締付け具の全長の少なくとも半分まで延びる。
【0010】
一実施形態では、テーパ状部分は、複数のスロットのうち先述の1つに面する側で凹状である。
【0011】
一実施形態では、締付け具は、締付け具の最大断面厚さを有する保持部分をさらに備える。
【0012】
一実施形態では、保持部分は、ウエハの挿入方向で締付け具の全長の最大三分の一まで延びる。
【0013】
一実施形態では、プロセスキャリアは、テーパ状部分が保持部分に当たる曲面を含む。
【0014】
一実施形態では、締付け具は、プロセスキャリアの内部空間内の複数のフランジのうち先述の1つの一端に向かって締付け具の片側に面取り部を含む。
【0015】
一実施形態では、プロセスキャリアは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材料を含む。一実施形態では、プロセスキャリアは全体的にPEEK材料である。一実施形態では、PEEK材料は、粉砕炭素繊維を含む複合材である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態によるプロセスキャリアを示す図である。
図2】ディスクを収容する図1のプロセスキャリアの断面図を示す。
図3】一実施形態によるプロセスキャリア内の締付け具の正面図を示す。
図4図3の締付け具の側面図を示す。
図5】複数の締付け具を備えたプロセスキャリアの断面の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、ディスクもしくはディスクまたはウエハ用のプロセスキャリア、具体的にはディスクまたはウエハを固定するための締付け具を備えたプロセスキャリアに関する。
【0018】
図1は、一実施形態によるプロセスキャリアを示す。プロセスキャリア100は、内部空間を画定するキャリア本体102を備える。キャリア本体102は、第1の側壁104と、第2の側壁106と、端壁108とを備える。第1の側壁104および第2の側壁106からは複数のフランジ110が延びており、フランジ110は内部空間内に突き出ている。フランジ110は、それぞれがディスクまたはウエハ114を収容可能なスロット112を画定する。フランジ110の少なくとも一部は、1つまたは複数の締付け具116を備える。
【0019】
プロセスキャリア100は、ディスクまたはウエハ114のうち1つまたは複数に対するキャリアである。プロセスキャリア100は、ディスクまたはウエハ114の輸送、保管、および/または加工に使用することができる。ディスクまたはウエハ114は、半導体やハードディスクドライブコンポーネントなどのあらゆる好適なウエハとすることができる。一実施形態では、ディスクまたはウエハ114は、ハードディスクドライブ記憶ディスクとすることができる。プロセスキャリア100は、ディスクまたはウエハ114の平面が略垂直方向に配向されるよう、ディスクまたはウエハ114のそれぞれを保持するように構成することができるが、ディスクまたはウェージャ114に対するスロット112のサイズ調整や製造公差などに起因して、完全な垂直から幾分ずれが生じ得ることが理解される。
【0020】
キャリア本体102は、プロセスキャリア100を画定する。プロセスキャリア100は、ディスクまたはウエハに接触して、ディスクまたはウエハに供されるあらゆる好適な加工を受けるのに適したあらゆる材料とすることができる。実施形態では、キャリア本体102はポリマー材料を含むことができる。一実施形態では、キャリア本体102は、ポリ-エーテル-エーテル-ケトン(PEEK)材料を含むことができる。一実施形態では、キャリア本体102は、全体的にPEEK材料で作製される。一実施形態では、キャリア本体102は、非限定的な例として粉砕炭素繊維などの繊維材料を含んだ複合材とすることができる。キャリア本体102は、所定数のディスクまたはウエハ114を収納可能な内部空間を画定するように成形され得る。内部空間は、第1の側壁104、第2の側壁106、および端壁108によって少なくとも部分的に画定することができる。キャリア本体102はさらに、ディスクまたはウエハ114の加工に使用される保管コンテナおよび/または1つもしくは複数の加工ツール内に配置されるように構成することができる。
【0021】
フランジ110は、キャリア本体102の側壁104、106から内向きに延びる。フランジ110は、水平方向Hにおいてキャリア本体102内の内部空間内に部分的に延びる。フランジ110はそれぞれ、キャリア本体102の垂直方向で、フランジが延びているキャリア本体102の各側壁104、106に沿っても延在する。フランジ110は、対向する第1の側壁104および第2の側壁106上の対応位置にフランジ110があるように、キャリア本体102の長手方向Lに沿って分布している。スロット112はフランジ110によって画定される。スロット112のそれぞれは、ディスクまたはウエハ114のうち一方を収納できるようなサイズとされる。スロット112はそれぞれ、キャリア本体102の対向する側壁104、106のそれぞれの上で一対の隣接するフランジ110によって画定することができる。
【0022】
ディスクまたはウエハ114は、プロセスキャリア100に保管され得るあらゆる好適なディスクまたはウエハとすることができる。ディスクまたはウエハ114は、非限定的な例として、基板、半導体ディスクまたはウエハ、ハードディスクドライブ用のディスクなどとすることができる。ディスクまたはウエハ114は、かかるディスクまたはウエハの保管、加工、または輸送のあらゆる好適な段階でプロセスキャリア100内に配置することができる。一実施形態では、ディスクまたはウエハ114は、ハードディスクドライブ用のディスクである。キャリア本体102によって画定される内部空間のサイズおよび形状、ならびにフランジ110および締付け具116の分布およびサイズによって画定されるスロット112のサイズは、ディスクまたはウエハをスロット112に挿入してその中に保持できるようなものとすることができる。
【0023】
締付け具116は、フランジ110上に位置付けられる。締付け具116は、締付け具116が対応のスロット112の中に接触保持ディスクまたはウエハ114を設けるように、フランジ110からスロット112まで外向きに突き出ている。締付け具116は、ディスクまたはウエハ114がスロット112内に保持されているときにディスクまたはウエハ114がより垂直配向に近づいて保持されるのを確実とするために使用することができる。
【0024】
締付け具116は、フランジ110の表面から、ディスクまたはウエハ114に接触する締付け具116の表面への移行が滑らかとなるように構成することができる。一実施形態では、締付け具116の一端におけるフランジ100の表面と締付け具116の表面との間の角度は、30度未満である。一実施形態では、締付け具116の一端におけるフランジ100の表面と締付け具116の表面との間の角度は、15度未満である。一実施形態では、締付け具116の一端におけるフランジ100の表面と締付け具116の表面との間の角度は、2度~5度の間である。一実施形態では、締付け具116の表面およびフランジ110の表面は、締付け具116がフランジ110から延びるように連続する曲面または傾斜面を形成することができる。一実施形態では、締付け具は、対応するフランジ110から外向きに延びるように直線傾斜を有することができる。一実施形態では、締付け具は、対応するフランジ110から外向きに延びるように凸曲部を含むことができる。一実施形態では、締付け具は、対応するフランジ110から外向きに延びるように凹曲部を含むことができる。
【0025】
締付け具116は、ディスクまたはウエハ114を保持するためにディスクまたはウエハに接触する締付け具116の一部が、キャリア本体102の底部に近接して位置付けられるように構成することができる。一実施形態では、締付け具116は、フランジ110から現れる締付け具116の起点から、フランジ110および締付け具116がキャリア本体102に当たる場所までの距離の半分を超える点において、最大厚さに達することができる。一実施形態では、締付け具116は、フランジ110から現れる締付け具116の起点から、フランジ110および締付け具116がキャリア本体102に当たる場所までの距離の四分の三を超える点において、最大厚さに達することができる。締付け具116は、締付け具116およびフランジ110がキャリア本体102の内部空間内に延びる傾斜縁部をさらに含むことができる。一実施形態では、締付け具116はフランジ110と一体的に形成される。一実施形態では、締付け具116は、フランジ110上にオーバーモールドされるか、またはそれに接合され得る。
【0026】
図2は、ディスクまたはウエハ114を収容する図1のプロセスキャリアの断面図を示す。本図では、プロセスキャリア100のキャリア本体102の水平方向に断面が取られている。フランジ110および締付け具116は、見る側に最も近いスロット112で確認することができ、スロット112は、フランジ110/締付け具116と図2の断面図が取られる切断線との間に形成される。ディスクまたはウエハ114は、スロット112に挿入される。ディスクまたはウエハ114がスロット112に完全に挿入されると、ディスクまたはウエハ114は、接触部分112において締付け具116に接触することができる。接触部分112は、プロセスコンテナ100内でディスクまたはウエハ114の垂直配向を維持するためにディスクまたはウエハ114を機械的に支持することができる。接触部分112は、スロット112の反対側を形成するフランジ110などの別のフランジ、またはその他のフランジ上に設けられる別の締付け具に対して、ディスクまたはウエハを保持することができる。
【0027】
図3は、一実施形態によるプロセスキャリア内の締付け具の正面図を示す。締付け具200は、フランジ202上に設けられる。締付け具200は、移行領域204および接触領域206を含む。締付け具200は、傾斜縁部208をさらに含む。
【0028】
フランジ202は、上述されるとともに図1および図2に示されるプロセスキャリア100などのプロセスキャリア内の内部空間内に延びるフランジである。フランジ202は、プロセスキャリア100内でスロットを少なくとも部分的に画定するように構成される。スロットは、上述されるとともに図1および図2に示されるディスクまたはウエハ114などのディスクまたはウエハを保持するために使用することができる。締付け具200は、フランジ202からフランジ202によって画定されたスロットのうち1つの中に外向きに延びており、締付け具200の厚さによって、ウエハに接触してそれを保持するようにスロットが挟持される。図3の正面図では、締付け具200は、フランジ202の表面に対して見る側に向かって延びる。一実施形態では、締付け具200はフランジ202と一体的に形成される。一実施形態では、締付け具200は、フランジ202上にオーバーモールドされるか、またはそれに接合され得る。
【0029】
締付け具200は、フランジ202の一部においてフランジ202からプロセスキャリアの底部に向かって延びる。締付け具200は、一端においてプロセスキャリアの上部に向かう移行領域204を備える。移行領域204は、締付け具200のテーパ状部分とすることができる。締付け具200の厚さは、垂直方向で移行領域204の長さにわたって、すなわち、プロセスコンテナの上部から、プロセスコンテナの壁に当たるフランジ202の底部に移動するにつれて増加する。移行領域204は、締付け具200がフランジ202から突き出ると、フランジ202の表面から締付け具200の表面までの滑らかな移行を提供する。移行領域204は、直線勾配または曲部を含むことができる。締付け具200の厚さは、フランジ202に当たる移行領域204の一端から、移行領域204が接触領域206に当たる場所に移動するときに増加することができる。移行領域204は、締付け具200を含むスロットに挿入するようにディスクまたはウエハをガイドすることができる。
【0030】
接触領域206は、締付け具200の最大厚さを有する少なくとも一部と、最大厚さを有する先述の部分よりもプロセスコンテナの底部に近い締付け具200のいずれかの部分とを含む、締付け具200の一部である。一実施形態では、接触領域206の表面の少なくとも一部は、フランジ202の表面と平行である。接触領域206がフランジ202から突き出る程度は、締付け具200の全長、およびフランジ202の表面と移行領域204との間の角度に基づくことができる。接触領域206は、ディスクまたはウエハに接触して、フランジ202自体と比べて傾きを少なくしてディスクまたはウエハを固定するように構成される。傾斜の低減の程度は、あらゆる好適で許容可能な傾斜、例えば、特定のプロセスにまたは特定のツールの使用時に許容される傾斜の程度となるように選択することができる。一実施形態では、接触領域206は、移行領域204から、上述されるとともに図1および図2に示されるキャリア本体102の側壁104、106など、プロセスキャリア本体の側壁および/または底壁まで延びる。接触領域206は、プロセスキャリアの底部に最も近い締付け具200の端部を構成することができる。一実施形態では、接触領域206は一定の厚さを有する。一実施形態では、移行領域204と接触領域206との間の接合点における表面は、連続曲部である。一実施形態では、接触領域206の表面に当たる移行領域204の表面は、所定の角度を形成する。一実施形態では、移行領域204が接触領域206に当たると、アールが形成される。
【0031】
締付け具200において、接触領域206は、フランジ202に沿って締付け具200の全長の一部のみを形成することができる。一実施形態では、接触領域206は、締付け具200の全長の半分未満の長さである。一実施形態では、接触領域206は、締付け具200の全長の四分の一未満の長さである。接触領域206は、フランジ202および締付け具200によって少なくとも部分的に画定されたスロットにディスクまたはウエハが完全に挿入されると、締付け具200とディスクまたはウエハとの間の接触面積を減少させるように成形かつサイズ調整することができる。接触領域206上での締付け具200とディスクまたはウエハとの間の接触面積の大きさは、ディスクまたはウエハがプロセスキャリア内にあるときに許容されるディスクまたはウエハの垂直からのずれ量に基づき選択することができる。
【0032】
移行領域204および接触領域206の一方または両方に、傾斜縁部208を設けることができる。傾斜縁部208は、プロセスキャリアの内部空間に向かうフランジ202の側に向かって締付け具200の片側に設けることができる。締付け具200の厚さは、プロセスキャリアの内部空間に向かって水平方向に移動するときに傾斜縁部208にわたって減少し得る。傾斜縁部208は、直線縁部、凹曲部、または凸曲部を含むことができる。傾斜縁部208は、円形ウエハなどのウエハの湾曲端の一部を受けて、ディスクまたはウエハを締付け具200の接触領域206によって固定できるようにディスクまたはウエハの湾曲端をフランジ202によって画定されたスロットにガイドすることのできる滑らかな移行を提供するように構成することができる。
【0033】
図4は、図3の締付け具の側面図を示す。図4の側面図で確認できるように、締付け具200は、フランジ202から、フランジ202と、別の締付け具(図示せず)を備えることができる別のフランジ(図示せず)との間に画定されたスロット内に外向きに延びる。締付け具200は、スロットの上部からスロットの底部に向かって移動すると、フランジ200の厚さを効果的に増加させる。図4の側面図において、傾斜縁部208は、移行領域204および接触領域206のそれぞれの上に確認できる。さらに、移行領域204にわたる締付け具200の厚さの増加を、図4の側面図で確認できる。一実施形態では、図4に示されるように、フランジ202、移行領域204、および接触領域206は、曲部を含むことができるが、移行領域204、接触領域206、またはフランジ202から移行領域204までもしくは移行領域204から接触領域206までの移行において角部または縁部を含まない連続面となるように構成することができる。
【0034】
図5は、複数の締付け具を備えたプロセスキャリアの断面の斜視図を示す。図5のフランジ202のそれぞれは、少なくとも1つの締付け具200を備え、各締付け具200は、上述されるとともに図3および図4にも示される移行領域204、接触領域206、および傾斜縁部208を含む。
【0035】
態様
態様1.プロセスキャリアであって、
プロセスキャリアの内部空間内に延びるとともに複数のスロットを画定する複数のフランジを備え、
複数のフランジのうち少なくとも1つが、複数のフランジのうち先述の少なくとも1つによって画定された複数のスロットのうち1つにディスクまたはウエハが挿入されるとディスクまたはウエハに接触するように構成された締付け具を含み、
締付け具が、複数のフランジのうち先述の少なくとも1つから複数のスロットのうち先述の1つに外向きに突き出ており、
締付け具が、ディスクまたはウエハが複数のスロットのうち先述の1つに挿入される方向に沿って少なくとも1つの締付け具の断面厚さが増加するテーパ状部分を含む、プロセスキャリア。
【0036】
態様2.締付け具が複数のフランジのうち先述の少なくとも1つと一体的に形成される、態様1によるプロセスキャリア。
【0037】
態様3.スロットの少なくとも1つが、複数のフランジのうち2つによって画定され、複数のフランジのうち2つのそれぞれが先述の締付け具を含む、態様1~2のいずれかによるプロセスキャリア。
【0038】
態様4.複数のフランジのそれぞれが、先述の締付け具の少なくとも1つを備える、態様1~3のいずれかによるプロセスキャリア。
【0039】
態様5.テーパ状部分が、ウエハの挿入方向で締付け具の全長の少なくとも半分まで延びる、態様1~4のいずれかによるプロセスキャリア。
【0040】
態様6.テーパ状部分が、複数のスロットのうち先述の1つに面する側で凹状である、態様1~5のいずれかによるプロセスキャリア。
【0041】
態様7.締付け具が、締付け具の最大断面厚さを有する保持部分をさらに含む、態様1~6のいずれかによるプロセスキャリア。
【0042】
態様8.保持部分が、ウエハの挿入方向で締付け具の全長の最大三分の一まで延びる、態様7によるプロセスキャリア。
【0043】
態様9.テーパ状部分が保持部分に当たる曲面を含む、態様7~8のいずれかによるプロセスキャリア。
【0044】
態様10.締付け具が、プロセスキャリアの内部空間内の複数のフランジのうち先述の1つの一端に向かって締付け具の片側に面取り部を含む、態様1~9のいずれかによるプロセスキャリア。
【0045】
態様11.ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材料を含む、態様1~10のいずれかによるプロセスキャリア。
【0046】
態様12.全体的にPEEK材料である、態様11によるプロセスキャリア。
【0047】
態様13.PEEK材料が、粉砕炭素繊維を含む複合材である、態様11によるプロセスキャリア。
【0048】
本出願で開示される例は、すべての点で例示的であって、限定的ではないと考慮されたい。本発明の範囲は、前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と等価な意味および範囲内でのすべての変更は、特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスキャリアであって、
前記プロセスキャリアの内部空間内に延びるとともに複数のスロットを画定する複数のフランジを備え、
前記複数のフランジのうち少なくとも1つが、前記複数のフランジのうち前記少なくとも1つによって画定された前記複数のスロットのうち1つにディスクまたはウエハが挿入されると前記ディスクまたはウエハに接触するように構成された締付け具を含み、
前記締付け具が、前記複数のフランジのうち前記少なくとも1つから前記複数のスロットのうち前記1つに外向きに突き出ており、
前記締付け具が、前記ディスクまたはウエハが前記複数のスロットのうち前記1つに挿入される方向に沿って少なくとも1つの前記締付け具の断面厚さが増加するテーパ状部分を含む、プロセスキャリア。
【請求項2】
前記締付け具が、前記複数のフランジのうち前記少なくとも1つと一体的に形成される、請求項1に記載のプロセスキャリア。
【請求項3】
前記スロットの少なくとも1つが、前記複数のフランジのうち2つによって画定され、前記複数のフランジのうち前記2つのそれぞれが前記締付け具を含む、請求項1または2に記載のプロセスキャリア。
【請求項4】
前記締付け具が、前記締付け具の最大断面厚さを有する保持部分をさらに含む、請求項1または2に記載のプロセスキャリア。
【請求項5】
前記テーパ状部分が前記保持部分に当たる曲面を含む、請求項に記載のプロセスキャリア。
【国際調査報告】