(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(54)【発明の名称】多波長オゾン濃度センサ及びその使用法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/33 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01N21/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518824
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 US2022043179
(87)【国際公開番号】W WO2023048974
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508240030
【氏名又は名称】エムケーエス インストゥルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ザイヴェルト,ハインリヒ,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】グロイティル,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】レ ティク,クリスティアーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ブラマー,ウルリヒ,アルフレート
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC02
2G059EE01
2G059EE11
2G059GG01
2G059GG02
2G059GG08
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ17
2G059KK01
2G059KK02
2G059KK08
2G059KK09
2G059LL03
2G059MM01
(57)【要約】
本出願は、流体内のオゾン濃度を測定するための装置を開示しており、内部で少なくとも1つの通路を規定する導路を含んでおり、この導路は、これに選択的に塗布された少なくとも1つの反射コーティングを有していて、導路上で1つ以上の伝達領域を規定している。多波長光源システムは、第1の波長を有する少なくとも1つの光信号を導路内のオゾン流体を通るように方向付けるように構成される少なくとも1つの光源と、第2の波長帯を有する少なくとも1つのUV光信号をオゾン流体を通るように方向付けるように構成される少なくとも1つのUV光源とを有している。光信号及びUV光信号は、導路に塗布された反射コーティングからの少なくとも1つの反射を介して異なる光路に沿って導路を横断する。少なくとも1つの検出器が、導路上に形成された伝達領域の近くに配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体内のオゾン濃度を測定するための装置であって、
内部に少なくとも1つの通路を規定する導路であって、そこに選択的に塗布される少なくとも1つのコーティングを有し、前記導路上で1つ以上の伝達領域を規定する、導路と、
少なくとも1つの第1の波長域を有する少なくとも1つの光信号を前記導路内のオゾン流体を通るように方向付けるように構成される少なくとも1つの光源と、第2の波長域を有する少なくとも1つのUV光信号を前記オゾン流体を通るように方向付けるように構成される少なくとも1つのUV光源とを有する多波長光源システムであって、前記少なくとも1つの光信号及び前記少なくとも1つのUV光信号は、前記導路の前記少なくとも1つのコーティングからの少なくとも1つの反射を介して異なる光路に沿って前記導路を横断する、多波長光源システムと、
前記導路上に形成された少なくとも1つの伝達領域の近くに配置される少なくとも1つの検出器であって、オゾン流体内の前記オゾン濃度を測定するための前記少なくとも1つの光信号及び少なくとも1つのUV信号を検出するように構成される、少なくとも1つの検出器と
を備える装置。
【請求項2】
前記導路は、水晶、サファイア、アルミナ、炭化ケイ素、樹脂、ポリマ、フルオロポリマ、ポリテトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルコキシアルカンから構成される群から選択される少なくとも1つの材料から製造される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコーティングは、その上に入射する光信号を反射するように構成される少なくとも1つの反射コーティングを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコーティングは、その上に入射する光信号を散乱させて反射するように構成される1つ以上の散乱性の材料を内部に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光信号は、第1の光信号及び少なくとも1つの第2の光信号を含み、前記第1の光信号及び少なくとも前記第2の光信号は、約400nmから約650nmの波長域を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の光信号及び少なくとも1つの前記第2の光信号は、オゾンのシャピュイ電磁放射線吸収帯の波長域を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の光信号は、約590nmのピーク波長を有し、少なくとも1つの前記第2の光信号は、約470nmのピーク波長を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の光信号の前記波長域と前記少なくとも1つの第2の光信号の前記波長域とは重なる、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記UV光信号は、第1のUV光信号及び少なくとも1つの第2のUV光信号を含み、前記第1のUV光信号と前記少なくとも1つの第2のUV光信号は、約200nmから約400nmの波長域を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のUV光信号は、約200nmから約300nmの波長を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のUV光信号は、約265nmの波長を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第2のUV光信号は、約310nmの波長を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2のUV光信号は、約325nmの波長を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のUV光信号の波長は、オゾンの前記ハートレー電磁放射線吸収帯内の波長を有し、前記少なくとも1つの第2のUV光信号の波長は、オゾンの前記ハギンズ電磁放射線吸収帯内の波長を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のUV光信号及び前記第2のUV光信号のうちの少なくともいずれか一方は、約10Hzから約10000Hzまでのパルス繰り返し率を有するパルス光信号を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記多波長光源及び前記少なくとも1つの検出器のうちの少なくとも一方と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの検出器は、第1の検出器及び少なくとも1つの第2の検出器を備え、前記第1の検出器及び少なくとも1つの第2の検出器のうちの少なくとも一方は、前記少なくとも1つの光信号及び少なくとも1つのUV光信号のうちの少なくとも一方の強度を測定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
400nmから700nmの波長域内の前記少なくとも1つの光信号の強度を測定するように構成される第1の検出器と、
400nmから700nmの波長域内の前記少なくとも1つの光信号の強度を測定するように構成される少なくとも1つの第2の検出器と、
200nmから400nmの波長域内の前記少なくとも1つのUV光信号の強度を測定するように構成される少なくとも1つのUV検出器と
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の検出器及び前記少なくとも1つの第2の検出器のうちの少なくとも一方は、前記少なくとも1つの光信号を検出し、オゾン流体内の少なくとも1つの属性を測定するように構成され、
少なくとも1つのUV検出器は、前記少なくとも1つのUV光信号を検出し、オゾン流体内の少なくとも1つの属性を測定するように構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
流体内のオゾン濃度を測定するための方法であって、
400nmから700nmの波長を有する少なくとも1つの光信号を生成し、
200nmから400nmの波長を有する少なくとも1つのUV光信号を生成し、
導路上に形成された1つ以上の反射箇所を介して導路を横断するように前記少なくとも1つの光信号を方向付け、前記少なくとも1つの光信号は、前記導路を介して第1の光路に沿って横断し、
前記導路上に形成された1つ以上の反射箇所を介して導路を横断するように前記少なくとも1つのUV光信号を方向付け、前記少なくとも1つのUV光信号は、前記導路を介して第2の光路に沿って横断し、前記少なくとも1つの光信号の前記第1の光路と前記少なくとも1つのUV光信号の第2の光路とは、実質的に共有されておらず、
前記少なくとも1つの光信号及び前記少なくとも1つのUV光信号のうちの少なくとも一方がオゾン流体を横断した後に前記少なくとも1つの光信号及び前記少なくとも1つのUV光信号のうちの少なくとも一方を検知し、
検知された前記少なくとも1つの光信号及び前記少なくとも1つのUV光信号のうちの少なくとも一方に基づいて前記オゾン流体内の前記オゾン濃度を修正すること
を含む方法。
【請求項21】
前記オゾンの前記オゾン濃度は、前記少なくとも1つの光信号及び前記少なくとも1つのUV光信号のうちの少なくとも一方の検知される強度減少に基づいて修正される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの光信号は、約590nmのピーク波長を有する第1の光信号及び約470nmのピーク波長を有する少なくとも1つの第2の光信号を含んでおり、前記第1の光信号及び前記少なくとも1つの第2の光信号は、前記オゾン流体を通過する実質的に共有された光路に沿って方向付けられている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つのUV光信号は、約265nmのピーク波長を有する第1のUV光信号及び約325nmのピーク波長を有する少なくとも1つの第2のUV光信号を含んでおり、前記第1のUV光信号及び前記少なくとも1つの第2のUV光信号は、前記オゾン流体を通過する実質的に共有された光路に沿って方向付けられている、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの光信号及び前記少なくとも1つのUV光信号を生成し、前記少なくとも1つの光信号の強度と前記少なくとも1つのUV光信号の強度とを比較することによって、1つ以上の光源の性能をモニタリングすることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
第1のUV光信号及び少なくとも1つの第2のUV光信号を生成し、前記第1のUV光信号の強度と前記少なくとも1つの第2のUV光信号の強度とを比較することによって1つ以上の光源の性能をモニタリングすることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
流体内のオゾン濃度を測定するための装置であって、
内部に少なくとも1つの通路を規定する導路であって、そこに選択的に塗布される少なくとも1つのコーティングを有し、前記導路上で1つ以上の伝達領域を規定する、導路と、
前記導路の前記少なくとも1つの通路を光学的に通信する少なくとも1つの光源及び少なくとも1つのUV光源を有する多波長光源システムであって、第1のピーク波長を有する第1の光信号及び少なくとも1つの第2のピーク波長を有する少なくとも1つの第2の光信号を導路内のオゾン流体を通って放出するように構成され、少なくとも1つのUV光源は、第1のピークUV波長を有する第1のUV光信号及び少なくとも1つの第2のピークUV波長を有する少なくとも1つの第2のUV光信号を前記オゾン流体を通過して方向付けるように構成され、前記第1並びに第2の光信号及び前記第1並びに第2のUV光信号は、前記導路の前記少なくとも1つのコーティングからの少なくとも1つの反射を介して異なる光路に沿って導路を横断する、多波長光源システムと、
前記導路上に形成された前記少なくとも1つの伝達領域の近くに配置される少なくとも1つの検出器であって、オゾン流体内の前記オゾン濃度を測定するための前記少なくとも1つの光信号及び少なくとも1つのUV信号を検出するように構成される、少なくとも1つの検出器と
を備える装置。
【請求項27】
前記導路は、水晶、サファイア、アルミナ、炭化ケイ素、樹脂、ポリマ、フルオロポリマ、ポリテトラフルオロエチレン、及びパーフルオロアルコキシアルカンから構成される群から選択される少なくとも1つの材料から製造される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つのコーティングは、その上に入射する光信号を反射するように構成される少なくとも1つの反射コーティングを備える、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つのコーティングは、その上に入射する光信号を散乱させて反射するように構成される1つ以上の散乱性の材料をその中に含む、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記第1の光信号及び前記少なくとも第2の光信号は、約400nmから約650nmの波長域を有する、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記第1の光信号及び前記少なくとも第2の光信号は、オゾンのシャピュイ電磁放射線吸収帯の波長域を有する、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記第1の光信号は、約590nmのピーク波長を有し、前記少なくとも第2の光信号は、約470nmのピーク波長を有する、請求項26に記載の装置。
【請求項33】
前記第1の光信号の前記波長域と前記少なくとも第2の光信号の前記波長域とは重なる、請求項26に記載の装置。
【請求項34】
前記第1のUV光信号及び前記少なくとも1つの第2のUV光信号は、約200nmから約400nmの波長域を有する、請求項26に記載の装置。
【請求項35】
前記第1のUV光信号は、約200nmから約300nmの波長を有する、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記第1のUV光信号は、約265nmの波長を有する、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記少なくとも1つの第2のUV光信号は、約310nmの波長を有する、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
前記少なくとも1つの第2のUV光信号は、約325nmの波長を有する、請求項34に記載の装置。
【請求項39】
前記第1のUV光信号の波長は、オゾンのハートレー電磁放射線吸収帯内の波長を有し、前記少なくとも1つの第2のUV光信号の波長は、オゾンのハギンズ電磁放射線吸収帯内の波長を有する、請求項34に記載の装置。
【請求項40】
前記第1のUV光信号及び前記第2のUV光信号のうちの少なくとも一方は、約10Hzから約10000Hzまでのパルス繰り返し率を有するパルス光信号を有する、請求項26に記載の装置。
【請求項41】
前記多波長光源及び前記少なくとも1つの検出器のうちの少なくとも一方と通信する少なくとも1つのプロセッサをさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項42】
前記少なくとも1つの検出器は、第1の検出器及び少なくとも1つの第2の検出器を備え、前記第1の検出器及び少なくとも1つの第2の検出器のうちの少なくとも一方は、前記少なくとも1つの光信号及び少なくとも1つのUV光信号のうちの少なくとも一方の強度を測定するように構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項43】
400nmから700nmまでの波長域内の前記少なくとも1つの光信号の強度を測定するように構成される第1の検出器と、
400nmから700nmまでの波長域内の前記少なくとも1つの光信号の強度を測定するように構成される少なくとも1つの第2の検出器と、
200nmから400nmまでの波長域内の前記少なくとも1つのUV光信号の強度を測定するように構成される少なくとも1つのUV検出器と
をさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項44】
前記第1の検出器及び前記少なくとも1つの第2の検出器のうちの少なくとも一方は、前記少なくとも1つの光信号を検出し、オゾン流体内の少なくとも1つの属性を測定するように構成され、
少なくとも1つのUV検出器は、前記少なくとも1つのUV光信号を検出し、オゾン流体内の少なくとも1つの属性を測定するように構成される、請求項26に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
オゾン水は商業及び工業の幅広い用途に使用されている。例えば半導体製造産業においては、装置の製造過程において、オゾン水生成器によって製造されたオゾン濃度の正確な制御が非常に重要であり得る。
【0002】
オゾン水内のオゾン濃度は、しばしば吸収分光法によって測定される。光の紫外線(UV)帯と黄-赤色帯とがオゾンのあらゆる吸収特性によく適合するので好適である。水中のオゾン濃度を測定するための数々の装置及び方法が多少なりとも役立つことが証明されている一方で、数多くの短所も判明している。例えば、今日使用可能ないくつかのシステムは、水中のオゾン濃度を測定するために、同一光路に沿って伝播する複数帯域の可視光を利用している。(例えば約5ppmより低い)低オゾン濃度を含む正確な分析は、一部の用途においては有用であるが困難であることも分かっている。典型的には、オゾン濃度測定のプロセスには時間がかかり、誤差が生じやすく、さらに/あるいは不便である。さらに、光源によって出力された光信号の波長は、とりわけ紫外線や近紫外線の波長において、時間の経過とともにずれることがある。したがって、紫外線光源(例えば300nm)と黄-赤色光源(例えば584nm)との間の波長の大きな隔たりにより、ユーザは、紫外線光源に基づいた濃度測定の精度の変化を診断するすべがない。
【0003】
上記の観点から、オゾン水の正確なオゾン濃度測定を提供する装置に対する需要が引き続き存在している。
【発明の概要】
【0004】
概要
本出願は、多波長オゾン濃度センサの様々な実施形態とその使用法を開示している。より詳細には、本出願は、構成材料の異なる吸収帯内にある光の複数の波長を用いる装置を開示している。本出願は、オゾン流体内のオゾン濃度の測定に向けられたものであるが、当業者であれば、本出願が流体内の様々な組成の濃度を測定するために使用され得ることは分かるであろう。
【0005】
一実施形態においては、本出願は、流体内のオゾン濃度を測定するための装置に向けられたものであり、内部に少なくとも1つの通路を規定する導路を含んでいる。導路は、これに選択的に塗布された少なくとも1つのコーティングを有し得る。一実施形態においては、コーティングは反射コーティングを備えている。他の実施形態においては、コーティングは散乱コーティングを備えている。さらに、1つ以上の伝達領域が導路上に形成され得る。本装置は、第1の波長帯を有する少なくとも1つの光信号を導路内のオゾン流体を通るように方向付けるように構成される少なくとも1つの光源を有する多波長光源システムを含んでいる。さらに、本装置は、第2の波長帯を有する少なくとも1つのUV光信号をオゾン流体を通るように方向付けるように構成される少なくとも1つのUV光源を含んでいる。一実施形態においては、光信号及びUV光信号は、導路に塗布されたコーティングからの少なくとも1つの反射を介して異なる光路に沿って導路を横断する。さらに、本装置は、導路上に形成される伝達領域の近くに配置される少なくとも1つの検出器を含んでいる。使用中、検出器は光信号とUV信号とを検出するように構成され得るものであり、これによってオゾン流体内のオゾン濃度の測定が可能となる。
【0006】
他の実施形態においては、本出願は、流体内のオゾン濃度を測定する方法を開示しており、400nmから700nmの波長を有する少なくとも1つの光信号を生成するステップと、200nmから400nmの波長を有する少なくとも1つのUV光信号を生成するステップとを含んでいる。光信号は導路へと向けられ得るものであり、そして導路上に形成された1つ以上の反射箇所を介して導路を横断する。その結果、光信号は、導路を介して第1の光路に沿って横断する。さらに、UV光信号は導路へと向けられ得るものであり、そして導路上に形成された1つ以上の反射箇所を介して導路を横断する。UV光信号は、導路を介して第2の光路に沿って横断し、光信号の第1の光路とUV光信号の第2の光路とは実質的に共有されない。光信号及びUV光信号は、導路内のオゾン流体を横断した後に検知又は検出される。その後、オゾン流体内のオゾン濃度は、検知された光信号及び/又はUV光信号に基づいて調整され得る。
【0007】
さらに別の実施形態においては、本出願は、流体内のオゾン濃度を測定するための装置を開示しており、内部に少なくとも1つの通路を規定する導路を含んでいる。導路は、これに選択的に塗布された少なくとも1つの反射コーティング又は散乱コーティングを含んでいる。1つ以上の伝達領域が導路上に形成され得る。さらに、本装置は、導路の通路を光学的に通信する少なくとも1つの光源と少なくとも1つのUV光源とを有する多波長光源システムを含んでいる。一実施形態においては、多波長光源システムは、第1のピーク波長を有する第1の光信号及び少なくとも1つの第2のピーク波長を有する少なくとも1つの第2の光信号を導路内のオゾン流体を通って放出するように構成される。さらに、本明細書に開示される多波長光源は、第1のピークUV波長を有する第1のUV光信号と、少なくとも1つの第2のピークUV波長を有する少なくとも1つの第2のUV光信号とをオゾン流体を通過して方向付けるように構成された少なくとも1つのUV光源を含み、第1及び第2の光信号と第1及び第2のUV光信号とは、導路に塗布されたコーティングからの少なくとも1つの反射を介して異なる光路に沿って導路を横断する。さらに、本装置は、導路上に形成された伝達領域の近くに配置された少なくとも1つの検出器を含み、検出器は、オゾン流体内のオゾン濃度を測定するための光信号及びUV光信号を検出するように構成され得る。
【0008】
本明細書に述べた多波長濃度センサ及びその使用法のその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を考慮することでより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面の簡単な説明
本開示による多波長オゾン濃度センサの新規な態様は、以下の図面を考慮することにより一層明らかになるであろう。
【0010】
図1は、本発明の原理によって流体内のオゾン濃度を測定するための多波長オゾン濃度センサの一実施形態を示すブロック図である。
【0011】
図2は、本発明の原理によって流体内のオゾン濃度を測定するための多波長オゾン濃度センサの別の一実施形態を示すブロック図である。
【0012】
図3は、本発明の原理によって流体内のオゾン濃度を測定するための多波長オゾン濃度センサの別の一実施形態を示すブロック図である。
【0013】
図4は、多波長オゾン濃度センサを用いてオゾン濃度を測定する方法の実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本出願は多波長オゾン濃度センサを開示する。より詳細には、この多波長オゾン濃度センサは、オゾン水を中に受け容れるように構成された容器又は導路を通る複数の光路を使用する。オゾン水を通過する複数の光路に沿って横断する光の複数の波長が、導路又は容器内を流れる流体内のオゾン濃度又は成分を測定するために用いられ得る。さらに、本開示の多波長/多光路構造により、ユーザは、個別の光源の性能をモニタリングすることができ、さらに、システムの高度な正確性を維持するためにマルチプロセスのパラメータ解析を実行することができる。
【0015】
本詳細な説明の全体に亘り、種々の表現や語句が用いられる。「光信号」という語は、赤外線、可視光線、紫外線、及びX線放射線を含む電磁放射線を指す。「光信号」、「光」、及び「放射線」という語は、本開示においては区別せずに用いられる。「導路」は、その中に少なくとも1つの流体を含むように構成され、さらに/あるいはその中に1以上の流体を流すように構成される容器、パイプ、又は同様の物体を指す。「検出器」は、波長、成分濃度、強度、パワー、及び/又は光信号の繰り返し率を受け取って測定するように構成された光学放射検出器、波長検出器、又は光センサを指す。「光の帯域」は、ピーク周波数及び帯域幅、例えば光信号の最大値の半分の帯域幅と関連付けられる。
【0016】
図1は、多波長オゾン濃度センサの一実施形態を示している。図示されるように、装置10は、その中に少なくとも1つの流体を受け容れるように構成された少なくとも1つの通路14を規定する少なくとも1つの導路又は容器12を含んでいる。一実施形態においては、導路12の通路14は、その中に1つ以上の流体を流すように構成されている。導路12は様々な材料から製造され得る。例えば、一実施形態においては、導路12は透明な材料から製造される。必要に応じて、導路12は半透明さらに/あるいは不透明な材料から製造され得る。例示的な材料は、水晶、サファイア、アルミナ、炭化ケイ素、樹脂、ポリマ、フルオロポリマなど、及び/又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。特定の一実施形態においては、導路12はポリテトラフルオロエチレン及びパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)から製造される。さらに、導路12は、様々なサイズの長さ、外径、内径等で製造され得る。例えば、一実施形態においては、導路12は約20mmから約600mmの長さを有している。特定の一実施形態においては、導路12は約200mmの長さを有している。さらに、導路12の通路14は、様々なサイズの内径を有し得る。例えば、特定の一実施形態においては、内径は約15mmから約22mmであるが、当業者であれば導路12内に形成された通路14が所望の内径を有し得ることは理解できるであろう。
【0017】
再び
図1を参照すると、少なくとも1つのコーティング16が、導路12の少なくとも一方の面に選択的に塗布され得るものであり、これによって導路12上に1つ以上の伝達領域18が形成される。図示した実施形態においては、コーティング16は導路12の外面に塗布されている。必要に応じて、コーティング16は通路14内の導路12の面に塗布され得る。一実施形態においては、コーティング16は、導路12の通路14を横断する光を反射するように構成され得る。必要に応じて、コーティング16は拡散反射を提供し得る。他の実施形態においては、コーティング16は実質的に白色の反射面を備え得る。さらに、コーティング16は、その上に入射する少なくとも1つの光信号を散乱させるように構成され得る。したがって、コーティング16は、その上、又はその中に、1つ以上の拡散性又は光散乱性の材料を含み得る。
【0018】
図1に図示されるように、装置10は、導路12の少なくとも一部の上又はその近くに配置された1つ以上の測定本体又は測定システム20を含み得る。一実施形態においては、測定本体20は、その中に導路12の少なくとも一部を受容するように構成された少なくとも1つの本体受容部22を含んでいる。本体受容部22内には、種々の部品、システム、サブシステムなどが配置され得る。図示した実施形態においては、少なくとも1つのプロセッサ又はプリント回路基板24(以下、回路基板24)が本体受容部22内又はその近くに配置され得る。回路基板24は、その上に種々の部品又はデバイスを含み得る。図示した実施形態においては、回路基板24は、少なくとも1つのコネクタ28を含む少なくとも1つの電力連結システム26を有し得る。その結果、回路基板24は、これに連結される1つ以上のシステム又はネットワークにデータを提供するように構成され得る。必要に応じて、回路基板24は、少なくとも1つのプロセッサ、ネットワーク、又はデバイスとワイヤレスで連結されるように構成され得る。様々な追加的な部品、システム、又はデバイスが、回路基板24上に含まれ、あるいは回路基板24と通信し得る。追加的なオプションのデバイスは、光センサ及び光検出器、光放射源、記憶装置、ワイヤレス通信装置、気泡検出器、流量検出器、温度センサ、圧力センサなどを含むが、これらに限定されない。
【0019】
再び
図1を参照すると、装置10は、回路基板24上に配置されるかあるいは回路基板24と通信する少なくとも1つの多波長光源システム30(以下、光源システム30)を含み得る。光源システム30は、それぞれが別々の波長帯を有する数個の光信号を出力するように構成され得る。一実施形態においては、光源システム30は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、ファイバレーザ、レーザなどの複数の発光デバイス(以下、エミッタ)を含み得る複数の光源を備えており、各エミッタは、別々の波長帯又は波長域内で少なくとも1つの光信号を出力するように構成されている。多波長光源システム30から放出される光信号は、連続波光信号、又はその代わりに、パルス光信号を含み得る。例えば、一実施形態においては、多波長光源30は、複数の光信号を種々の周波数及び/又は繰り返し率で、種々の波長で出力するように構成されている。一実施形態においては、パルス周波数は約10Hzから約10000Hz又は10000Hz超である。他の実施形態においては、パルス周波数は約100Hzから約1000Hzである。図示した実施形態においては、光源システム30は、少なくとも1つの光源本体32を含んでおり、光源本体32は、第1の光源34と、光源本体32に配置されるかあるいはこれと通信する少なくとも1つの第2の光源36とを有するが、当業者であれば、任意の数及び種類の光源又はエミッタが本システムとともに使用され得ることが理解できるであろう。さらに、光源システム30は必ずしも光源本体32に含まれている必要はない。
【0020】
図1に示す実施形態においては、第1の光源34は複数の光信号を出力し得るものであり、それぞれの光信号は別々の波長帯内にある。したがって、第1の光源34は、複数の光エミッタを含み得る。例えば、第1の光源34は、第1の波長帯を有する第1の光信号42及び第2の波長帯を有する少なくとも1つの第2の光信号を出力するように構成され得る。一実施形態においては、第1の光信号42は、約590nmのピーク波長を有する第1の波長帯を有する。必要に応じて、第1の波長帯域は、約570nmから約610nmまでである。同様に、第2の光信号44は、約470nmのピーク波長を有する少なくとも1つの第2の波長帯を有し得る。必要に応じて、第2の光信号44は、約370nmから約650nmまでの波長域を有し得る。したがって、一実施形態においては、第1の光信号42及び第2の光信号44は、共にオゾンのシャピュイ(Chappuis)電磁放射線吸収帯(以下、シャピュイ帯)内にある。必要に応じて、第1の光信号42及び第2の光信号44のうちの少なくとも一方は、必ずしもシャピュイ帯内になくてもよい。当業者であれば、第1の光信号42及び第2の光信号44の波長帯が重なる波長域を有するように構成され得ることは、理解できるであろう。波長域は、例えば584nmのような所望の波長において重なり得る。他の実施形態においては、第1の光信号42と第2の光信号44の波長帯は必ずしも重なる必要はない。
【0021】
図1に図示されるように、第1の光信号42及び第2の光信号44は、実質的に共有された光路に沿って導路12の通路14を横断し、少なくともその一部は、導路12の少なくとも一方の面に塗布されたコーティング16によって反射される。第1の検出器38は、導路12上に形成された少なくとも1つの伝達領域18を通過する第1の光信号42及び第2の光信号44の少なくとも一部を受信するように構成され得る。一実施形態においては、第1の検出器38は、第1の光信号42及び/又は第2の光信号44の様々な特性を測定しあるいは分析するように構成され得る。それらの特性はパワー、スペクトル密度、輝度、散乱、スペクトル分布などを含むが、これらに限定されない。一実施形態においては、第1の光信号42及び/又は第2の光信号44は、流れる流体中の少なくとも1つの成分を測定するために用いられ得る。必要に応じて、第1の検出器38は基準検出器として機能し得る。したがって、第1の検出器38は、1つ以上のフォトダイオード、光電子増倍管、その他の当該技術分野において知られる装置を備え得る。例えば、一実施形態においては、第1の検出器38は、第1の光信号42及び第2の光信号44及び/又は本装置10において使用される追加の光信号の強度を同時に又は順番に測定するように構成された複数のフォトダイオードを備え得る。使用中、測定される第1の光信号42の第1の波長帯の強度は、導路12の通路14内の流体(例えば脱イオン化オゾン水)内部の成分濃度などの少なくとも1つの光属性の測定を提供し得る。さらに、測定される第2の光信号44の第2の波長帯の強度は、特性測定の誤差補正を補助する基準信号を提供するように構成され得る。例えば、第1の光信号42の波長帯は、約200ppm超のオゾン濃度の測定又は検出を可能にするように選択され得る一方、第2の光信号44の波長帯は、約20ppmから約200ppmよりも高いオゾン濃度の測定又は検出を可能にするように選択され得る。さらに、光源システム30は、それぞれが第1の光信号42及び第2の光信号44のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの光特性を測定する複数の光センサを含み得る。
【0022】
図1を参照すると、第1の光信号42及び第2の光信号44の少なくとも一部は、導路12で内部反射し、導路12の少なくとも一方の面に塗布されたコーティング16での反射を繰り返して実質的に共有された光路に沿って導路12内に形成された通路14を横断し得る。そして、図示されるように、第1の光信号42及び第2の光信号44は、導路12上に形成された少なくとも1つの伝達領域18を通過する。測定本体20内又は測定本体20の近くに配置された少なくとも1つの第2の検出器40は、第1の光信号42及び第2の光信号44のうちの少なくとも一方を受信するように構成され得る。したがって、第2の検出器40は、導路12の通路14内を流れる流体又は物質を横断した後の第1の光信号42及び第2の光信号のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの光特性を測定するように構成され得る。一実施形態においては、第2の検出器40は、スペクトル強度、パワー、輝度、散乱、スペクトル分布などを含む様々な光特性を測定するために使用され得る。さらに、第2の検出器40は、導路12内を通って流れるか又は導路12内に含まれる流体内の成分濃度を測定するように構成され得る。したがって、第2の検出器40から受信されたデータは、第1の検出器38から受信されたデータと比較され得るものであり、これによってユーザは、光源34,36又は多波長光源システム30の光源34,36を構成するエミッタの老朽化の差異、気泡検出、散乱などのような任意の数のファクタを比較して分析することができる。
【0023】
図1に示されるように、第1の光源34と同様、第2の光源36は、実質的に共有された光路に沿って複数の光信号を放出するように構成され得る。図示されるように、第2の光源36から放出される光信号は、第1の光源34から放出される光信号とは異なる光路に沿って導路12の通路14を横断する。一実施形態においては、第2の光源36は、1以上の紫外線(以下、UV)光信号を出力するように構成された1つ以上のエミッタを備えている。図示した実施形態においては、第2の光源36は、第1のUV光信号52及び少なくとも1つの第2のUV光信号54を放出する。一実施形態においては、第1のUV光信号52が約265nmのピーク波長を有する一方、第2のUV光信号54は約325nmのピーク波長を有し得る。当業者であれば、第1のUV信号52及び第2のUV信号54が約150nmから約400nmまでの波長を有し得ることは理解できるであろう。例えば、第1のUV光信号52は、約200nmから約310nmまでのオゾンのハートレー電磁放射線吸収帯(以下、ハートレー帯)の範囲内の波長域を有し得る。他の実施形態においては、第2のUV信号54は、約320nmから約360nmまでのオゾンのハギンズ電磁放射線吸収帯(以下、ハギンズ帯)の範囲内の波長域を有し得る。LED、レーザダイオード、ファイバレーザ、その他の当該技術におけるUV装置を含む様々なUV光源が本装置10と共に使用し得るが、UV光源はこれらに限られるものではない。
【0024】
再び
図1を参照すると、第2の光源36から放出される第1のUV光信号52及び第2のUV光信号54は、第1の光源34から放出される光信号42,44とは異なる光路に沿って導路12の通路14を横断する。第1のUV信号52及び第2のUV信号54は、導路12の表面に塗布されたコーティング16によって反射される。第1の光信号52及び第2のUV光信号54は、導路12上に形成された少なくとも1つの伝達領域18を通って、回路基板24と、あるいは回路基板24上の種々の部品と連結されているか又はそれらと通信する少なくとも1つのUV検出器50へと伝達され得る。図示した実施形態においては、UV検出器50は測定本体20内に配置されているが、当業者であれば検出器50が導路12に近い任意の箇所に配置されてもよいことは理解できるであろう。UV検出器50は、第2の光源36から1つ以上のUV光信号を受信し、受信した1つ以上のUV光信号を分析するように構成され得る。例えば、UV検出器50は複数の光検出器又はセンサから形成され得るものであり、各センサは、所望の波長域内においてUV光信号52,54のうちの少なくとも一方を分析するように構成されている。例えば、UV検出器50の一部は、約240nmから約280nmまでにおいてUV光信号52,54のうちの少なくとも一方を分析するように構成され得る一方で、UV検出器50の別の一部は、約270nmから約325nmまでにおいてUV光信号52,54のうちの少なくとも一方を分析するように構成され得る。いくつもの波長域がUV検出器50によって分析され得る。一実施形態においては、UV検出器50の種々の部分の波長感度域は重なり得る。別の一実施形態においては、UV検出器50の種々の部分の波長感度域は、必ずしも重なる必要はない。しかしながら、当業者であれば、様々なデバイスがUV検出器50を構成するために使用され得ることは理解できるであろう。一実施形態においては、使用中、第1のUV光信号52の波長帯(例えばハートレー帯)は、約0.02ppmから約2ppmより高いオゾン濃度の測定又は検出を可能にするように選択され得る一方、第2の光信号54の波長帯(ハギンズ帯)は、約2ppmから約20ppmより高いオゾン濃度の測定又は検出を可能にするように選択され得る。
【0025】
さらに、
図1に示されるように、装置10は任意の数の追加的なセンサ、検出器、又は他の部品を含み得る。図示した実施形態においては、装置10は第1のオプションセンサ60及び第2のオプションセンサ62を含んでいるが、任意の数のセンサが測定本体20内に含まれてよく、あるいはそれらが本装置と共に使用され得ることは当業者であれば理解できるであろう。例えば、第1のオプションセンサ60は、導路12の通路14を通って流れる少なくとも1つの流体の圧力を測定するように構成された圧力センサを備え得る。さらに、第2のオプションセンサ62は、導路12の通路14を通って流れる少なくとも1つの流体の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサを備え得る。
【0026】
図2は、多波長オゾン濃度センサの別の実施形態を示している。図示した実施形態においては、装置110は、その中に少なくとも1つの流体を受け容れるように構成された少なくとも1つの通路114を規定する少なくとも1つの導路又は容器112を含み得る。例示的な流体は、例えば脱イオン化オゾン水を含むが、当業者であれば、様々な流体がこの装置110と共に使用し得ることは理解できるであろう。図示されるように、導路112の通路114は、その中に1以上の流体を流すように構成され得る。上述の実施形態と同様に、導路112は様々な材料から製造され得る。例えば、一実施形態においては、導路112は透明な材料から製造される。必要に応じて、導路112は、半透明さらに/あるいは不透明な材料から製造され得る。例示的な材料は、水晶、サファイア、アルミナ、炭化ケイ素、樹脂、ポリマ、フルオロポリマなど、及び/又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。特定の一実施形態においては、導路112はポリテトラフルオロエチレン及びパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)から製造されるが、当業者であれば、導路112が様々な材料から製造され得ることは理解できるであろう。さらに、導路112は、様々なサイズの長さ、外径、内径等で製造され得る。例えば、一実施形態においては、導路112は約20mmから約600mmの長さを有している。特定の一実施形態においては、導路112は約200mmの長さを有している。さらに、導路112の通路114は、様々なサイズの内径を有し得る。例えば、特定の一実施形態においては、内径は約15mmから約22mmであるが、当業者であれば導路112内に形成された通路114が所望の内径を有し得ることは理解できるであろう。
【0027】
再び
図2を参照すると、少なくとも1つのコーティング116が導路12の少なくとも一方の面に選択的に塗布され得るものであり、これによって導路112の面上に1以上の伝達領域118が形成される。図示した実施形態においては、コーティング116は導路112の外面に塗布されているが、当業者であれば、コーティング116が通路114内の導路112の面に塗布され得ることは理解できるであろう。一実施形態においては、コーティング116は、導路112の通路114を横断する少なくとも1つの光信号の少なくとも一部を反射するように構成され得る。必要に応じて、コーティング116は拡散反射を提供し得る。他の実施形態においては、コーティング116は実質的に白色の反射面を備え得る。さらに、コーティング116は、その上に入射する光を散乱させるように構成され得る。したがって、コーティング116は、その上に、又はその中に、1以上の拡散性又は光散乱性の材料、要素、及び/又は特徴部を含み得る。
【0028】
図2に示されるように、装置110は、導路112の少なくとも一部の上又はその近くに配置された1つ以上の測定本体又は測定システム120を含み得る。上述の実施形態と同様に、測定本体120は、その中に導路112の一部を受容するように構成された少なくとも1つの本体受容部122を含み得る。本体受容部122内には、種々の部品、システム、サブシステムなどが配置され得る。図示した実施形態においては、少なくとも1つのプロセッサ又はプリント回路基板124(以下、回路基板124)が本体受容部122内又はその近くに配置され得る。回路基板124は、その上に種々の部品又はデバイスを含み得る。図示した実施形態においては、回路基板124は、少なくとも1つのコネクタ128を含む少なくとも1つの電力連結システム126を有し得る。必要に応じて、回路基板124は、これに連結される1つ以上のシステム又はネットワークにデータを提供するように構成され得る。必要に応じて、回路基板124は、少なくとも1つのプロセッサ、ネットワーク、又はデバイスとワイヤレスで連結されるように構成され得る。様々な追加的な部品、システム、又はデバイスが、回路基板124上に含まれ、あるいは回路基板124と通信し得る。追加的なオプションのデバイスは、光センサ及び光検出器、光放射源、記憶装置、ワイヤレス通信装置、気泡検出器、流量検出器、温度センサ、圧力センサなどを含むが、これらに限定されない。
【0029】
再び
図2を参照すると、装置110は、回路基板124上に配置されるかあるいは回路基板124と通信する少なくとも1つの多波長光源システム130(以下、光源システム30)を含み得る。光源システム130は、それぞれが個別の別々の波長帯を有する数個の光信号を出力するように構成され得る。一実施形態においては、光源システム130は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、ファイバレーザ、レーザなどの複数の発光デバイス(以下、エミッタ)を含み得る複数の光源を備えており、各エミッタは、別々の波長帯又は波長域内で少なくとも1つの光信号を出力するように構成されている。上述の実施形態と同様に、多波長光源システム130から放出される光信号は、連続波光信号、又はその代わりに、様々なパルス周波数でのパルス光信号を含み得る。図示した実施形態においては、光源システム130は、少なくとも1つの光源本体132を含んでおり、この光源本体132は、第1の光源134と、光源本体132上に配置されるかあるいはこれと通信する少なくとも1つの第1のUV光源136aを有するが、当業者であれば、任意の数及び種類のエミッタが本システムと共に使用され得ることは理解できるであろう。さらに、光源システム130は必ずしも光源本体132に含まれている必要はない。
【0030】
図2に示されるように、上述の実施形態と同様に、第1の光源134は複数の光信号を出力し得るものであり、それぞれの光信号は別々の波長帯内にある。したがって、第1の光源34は、複数の光エミッタを含み得る。例えば、第1の源134は、第1の波長帯を有する第1の光信号142及び第2の波長帯を有する少なくとも1つの第2の光信号144を出力するように構成され得る。上述の実施形態と同様に、第1の波長帯及び第2の波長帯の第1の光信号142及び第2の光信号144は、それぞれ、両方ともシャピュイ帯内にあり得る。例えば、第1の光信号142が約590nmのピーク波長を有し得る一方で、第2の光信号144は約470nmのピーク波長を有し得る。あるいは、第1の波長帯及び第2の波長帯の第1の光信号142及び第2の光信号144のうちの少なくとも一方は、それぞれ、必ずしもシャピュイ帯内になくてもよい。当業者であれば、第1の光信号142及び第2の光信号144の波長帯は、重なる波長域を有するように構成され得ることは理解できるであろう。波長域は、例えば584nmのような所望の波長において重なり得る。他の実施形態においては、第1の光信号142と第2の光信号144の波長帯は必ずしも重なる必要はない。
【0031】
図2に示されるように、第1の光信号142及び第2の光信号144は、実質的に共有された光路に沿って導路112の通路114を横断し、少なくともその一部は、導路112の少なくとも一方の面に塗布されたコーティング116によって反射される。第1の検出器138は、導路112内に形成された少なくとも1つの伝達領域118を通過する第1の光信号142及び第2の光信号144の少なくとも一部を受信するように構成され得る。一実施形態においては、第1の検出器138は、第1の光信号142及び/又は第2の光信号144の様々な特性を測定しあるいは分析するように構成され得る。それらの特性はパワー、スペクトル密度、成分濃度、輝度、散乱、スペクトル分布などを含むが、これらに限定されない。必要に応じて、第1の検出器138は基準検出器として機能し得る。したがって、第1の検出器138は、フォトダイオード、光電子増倍管、その他の当該技術分野において知られる装置の1つ以上を備え得る。さらに、光源システム130は、それぞれが第1の光信号142及び第2の光信号144のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの光を測定する複数の光センサを備え得る。例えば、一実施形態においては、第1の検出器138は、第1の光信号142及び第2の光信号144及び/又は本装置110において使用される任意の追加の光信号の強度を同時に又は順番に測定する複数のフォトダイオードを備え得る。使用中、装置110において使用される複数の波長を統合することによって、ユーザは流体(例えば脱イオン化オゾン水)中のオゾン濃度測定の幅を広げることができる。例えば、第1の光信号142の波長帯(シャピュイ帯)は、約200ppm超のオゾン濃度の測定又は検出を可能にするように選択され得る一方、第2の光信号144の波長帯(シャピュイ帯)は、20ppmから約200ppmよりも高いオゾン濃度の測定又は検出を可能にするように選択され得る。
【0032】
図2を参照すると、第1の光信号142及び第2の光信号144の少なくとも一部は、導路112で内部で反射し、導路112の少なくとも一方の面に塗布されたコーティング116での反射を繰り返して実質的に共有された光路に沿って導路112内に形成された通路114を横断し得る。そして、図示されるように、第1の光信号142及び第2の光信号144は、導路112上に形成された少なくとも1つの伝達領域118を通過し得る。測定本体120内又は測定本体120の近くに配置された少なくとも1つの第2の検出器140は、第1の光信号142及び第2の光信号144のうちの少なくとも一方を受信するように構成され得る。したがって、第2の検出器140は、112の通路114内を流れる流体又は物質を横断した後の第1の光信号142及び第2の光信号144のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの光特性を測定するように構成され得る。一実施形態においては、第2の検出器140は、スペクトル強度、パワー、輝度、散乱、スペクトル分布、流体の成分濃度などを含む様々な光特性を測定するために使用され得る。したがって、第2の検出器140から受信されたデータは、第1の検出器138から受信されたデータと共に、光源134,136a、又は多波長光源システム130の光源134、136aを構成するエミッタの老朽化の差異、気泡検出、散乱、流体中の成分濃度などのような任意の数のファクタを比較して分析するために使用され得る。
【0033】
図2に示されるように、第1の光源134と同様、第1のUV光源136aは、実質的に共有された光路に沿って1つ以上のUV光信号を放出するように構成され得る。図示した実施形態においては、第1のUV光源136aは、2つのUV光信号152,154を放出するように示されているが、当業者であれば、第1のUV光源136aが単一のUV光信号を放出し得ることは理解できるであろう。図示されるように、第1のUV光源136aから放出される光信号152,154は、第1の光源134から放出される光信号142,144とは異なる光路に沿って導路112の通路114を横断する。一実施形態においては、第1のUV光源136aは、1つ以上の紫外線(以下、UV)光信号を出力するように構成された1つ以上のエミッタを備えている。図示した実施形態においては、第1のUV光源136は、第1のUV光信号152及び少なくとも1つの第2のUV光信号154を放出する。一実施形態においては、第1のUV光信号152は約265nmのピーク波長を有する。さらに、第2のUV光信号154は約325nmのピーク波長を有し得る。必要に応じて、第1のUV光源136aは、任意の帯域のUV波長でのUV光信号を放出し得る。例えば、第1のUV光信号152は、ハギンズ帯の範囲内の波長を有し得る一方、第2のUV光信号154は、ハートレー帯の範囲内の波長を有し得る。必要に応じて、第1のUV光信号152及び第2のUV光信号154の両方の波長帯は、いずれもハートレー帯内にあってよい。あるいは、第1のUV光信号152及び第2のUV光信号154の両方の波長帯は、いずれもハギンズ帯内にあってよい。LED、レーザダイオード、ファイバレーザ、及びその他の当該技術におけるUV装置を含むあらゆる種類の光源を本装置110と共に使用し得るが、UV光源はこれらに限られるものではない。
【0034】
再び
図2を参照すると、第1のUV光源136aから放出される第1のUV光信号152及び第2のUV光信号154は、第1の光源134によって放出される光信号142,144とは異なる光路に沿って導路112の通路114を横断する。第1のUV信号152及び第2のUV信号154は、導路112の表面に塗布されたコーティング116によって反射される。第1のUV光信号152及び第2のUV光信号154は、導路12上に形成された少なくとも1つの伝達領域18を通って、回路基板124と、あるいは回路基板124上の種々の部品と連結されているかあるいはそれらと通信する少なくとも1つのUV検出器150へと伝達され得る。当業者であれば、図示した実施形態において、UV検出器150が導路112に近いどの箇所に配置されていてもよいことは理解できるであろう。UV検出器150は、第1のUV光源136aから受信される1つ以上のUV光信号を分析するように構成され得る。例えば、UV検出器150は複数の光検出器又は光センサから形成され得るものであり、各センサは、所望の波長域内における光信号152,154のうちの少なくとも一方を分析するように構成されている。例えば、UV検出器150の一部は、200nmから約300nmまでにおける光信号152,154のうちの少なくとも一方を分析するように構成され得る一方、UV検出器150の別の一部は、300nmから約360nmまでにおける光信号152,154のうちの少なくとも一方を分析するように構成され得る。任意の数の波長域がUV検出器150によって分析され得る。別の一実施形態においては、UV検出器150の種々の部分の波長感度域は重なり得る。他の実施形態においては、UV検出器150の種々の部分の波長感度域は、必ずしも重なる必要はない。しかしながら、当業者であれば、様々なデバイスがUV検出器150を構成するために使用され得ることは理解できるであろう。
【0035】
再び
図2を参照すると、装置110は、様々な波長帯で1つ以上のUV信号156をUV検出器150へと出力するように構成された少なくとも1つの第2のUV光源136bを含み得る。例えば、第2のUV光源136bは、ハートレー帯内で少なくとも1つのUV信号156を放出するように構成され得る。他の実施形態においては、第2のUV光源136bは、ハギンズ帯内で少なくとも1つのUV信号156を放出するように構成され得る。必要に応じて、第2のUV光源136bは、約300nmから約330nmまでの波長帯を有する少なくとも1つのUV信号156を放出するように構成され得る。図示した実施形態においては、第2のUV光源136bは、単一のUV信号156をUV検出器150へと出力するように示されているが、当業者であれば、任意の数の波長帯における任意の数のUV信号が第2のUV光源136bから放出され得ることは理解できるであろう。さらに、UV信号156は、光信号142,144とは異なる光路に沿って導路112を横断するように示されているが、当業者であれば、UV信号156は、信号142,144と同じ光路に沿って導路112を横断してもよいことは理解できるであろう。第2のUV光源136bは、1つ以上の紫外線(以下、UV)光信号を出力するように構成された1つ以上のエミッタを備え得る。一実施形態においては、UV信号156は、UV光信号152,154のうちの少なくとも一方の波長域と同じかあるいはそれと重なる波長域を有するが、UV信号156の波長域は、UV光信号152,154のうちの少なくとも一方の波長域と必ずしも重なる必要はない。LED、レーザダイオード、ファイバレーザ、及びその他の当該技術におけるUV装置を含むあらゆる種類の光源が第2のUV光源136bを構成するために用いられ得るが、UV光源はこれらに限られない。
【0036】
再び
図2を参照すると、第2のUV光源信号156は、第1の光源134によって放出される光信号142,144とは異なる光路に沿って導路112の通路114を横断し、UV検出器150上に入射する。繰り返しになるが、UV検出器150は、第2のUV光源136bから1つ以上のUV光信号を受信し、受信した1つ以上のUV光信号を分析するように構成され得る。一実施形態においては、UV検出器150は、UV光信号152,154,156のうちの少なくとも1つを分析するように構成され得る。例えば、UV検出器150は、UV光信号152,154,156のパワー、スペクトル密度、輝度、散乱、スペクトル分布、通路114内の流体の成分濃度などを含む様々な特性を測定又は分析するように構成され得るものであり、測定又は分析される特性は上記に限られない。したがって、UV検出器150は、フォトダイオード、光電子増倍管、その他の当該技術において知られる装置1つ以上を備え得る。さらに、UV検出器150は、UV光信号152,154,156のうちの少なくとも1つと、それ以外のUV光信号152,154,156のうちの1つとを比較するように構成され得る。一実施形態においては、第1のUV光信号152の波長帯(ハートレー帯)は、約0.02ppmから約2ppmのオゾン濃度の測定又は検出を可能にするように選択され得る一方、第2の光信号154の波長帯(ハギンズ帯)は、約2ppmから約20ppmより高いオゾン濃度の測定又は検出を可能にするように選択され得る。さらに、第3のUV光信号156の波長帯は、ハートレー帯とハギンズ帯との間の波長におけるオゾン濃度測定を可能にするために、約300nmから約330nmに亘るように選択され得る。
【0037】
さらに、
図2に示されるように、装置110は任意の数の追加的なセンサ、検出器、又はその他の部品を含み得る。上述の実施形態と同様に、装置110は第1のオプションセンサ160及び第2のオプションセンサ162を含み得るものであり、又は任意の数のセンサが測定本体120内に含まれ得るかあるいは本装置110と共に使用され得る。例えば、第1のオプションセンサ160は、導路112の通路114を通って流れる少なくとも1つの流体の圧力を測定するように構成された圧力センサを備え得る。さらに、第2のオプションセンサ162は、導路112の通路114を通って流れる少なくとも1つの流体の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサを備え得る。
【0038】
図3は、多波長オゾン濃度センサのさらに別の実施形態を示している。この実施形態においては、装置210は、400nmから約700nmの波長を有する1つ以上の光信号と、約100nmから約400nmの波長を有する1つ以上のUV光信号とを出力するように構成された少なくとも1つの多波長光源を含んでいる。上述の実施形態と同様に、装置210は、その中に少なくとも1つの流体を受け容れるように構成された少なくとも1つの通路214を規定する少なくとも1つの導路又は容器212を含んでいる。例示的な流体は、例えば脱イオン化オゾン水を含むが、当業者であれば、様々な流体が本装置210と共に使用され得ることは理解できるであろう。図示されるように、導路212の通路214は、その中に1つ以上の流体を流すように構成され得る。導路212は、半透明及び/又は不透明な材料、水晶、サファイア、アルミナ、炭化ケイ素、樹脂、ポリマ、フルオロポリマ、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)など及び/又はそれらの組み合わせといった様々な材料から製造され得るものであるが、材料は上記に限定されない。さらに、導路212は、様々なサイズの長さ、外径、内径等で製造され得る。例えば、一実施形態においては、導路212は約20mmから約600mmの長さを有している。特定の一実施形態においては、導路212は約200mmの長さを有している。さらに、導路212の通路214は、様々なサイズの内径を有し得る。例えば、特定の一実施形態においては、内径は約15mmから約22mmであるが、当業者であれば導路212内に形成された通路214が所望の内径を有し得ることは理解できるであろう。
【0039】
再び
図3を参照すると、上述の実施形態と同様に、少なくとも1つのコーティング216が、導路212の少なくとも1つの面に選択的に塗布され得るものであり、これによって導路212上に1つ以上の伝達領域218が形成される。図示した実施形態においては、コーティング216は導路212の外面に塗布されるが、当業者であれば、コーティング216が通路214内の導路212の面に塗布され得ることは理解できるであろう。一実施形態においては、コーティング216は、導路212の通路214を横断する光の少なくとも一部を反射するように構成され得る。必要に応じて、コーティング216は拡散反射を提供し得る。他の実施形態においては、コーティング216は実質的に白色の反射面を備え得る。さらに、コーティング216は、その上に入射する光を散乱させるように構成され得る。したがって、コーティング216は、その上、又はその中に、1つ以上拡散性又は光散乱性の材料、要素、及び/又は特徴部を含み得る。
【0040】
図3に示されるように、装置210は、導路212の少なくとも一部に配置されるか、あるいは導路212の少なくとも一部に近い箇所に配置され得る少なくとも1つの本体受容部222を内部で規定する1つ以上の測定本体又は測定システム220を含み得る。上述の実施形態と同様に、測定本体220は、内部に少なくとも導路212の一部を受容するように構成され得る。本体受容部222内には、種々の部品、システム、サブシステムなどが配置され得るものであり、少なくとも1つのプロセッサ又はプリント回路基板224(以下、回路基板224)が含まれる。回路基板224は、その上に種々の部品又はデバイスを含み得る。図示した実施形態においては、回路基板224は、少なくとも1つのコネクタ228を含む少なくとも1つの電力連結システム226を有し得る。必要に応じて、回路基板224は、これに連結される1つ以上のシステム又はネットワークにデータを提供するように構成され得る。必要に応じて、回路基板224は、少なくとも1つのプロセッサ、ネットワーク、又はデバイスとワイヤレスで連結されるように構成され得る。様々な追加的な部品、システム、又はデバイスが、回路基板224上に含まれ、あるいは回路基板224と通信し得る。追加的なオプションのデバイスは、光センサ及び光検出器、光放射源、記憶装置、ワイヤレス通信装置、気泡検出器、流量検出器、温度センサ、圧力センサなどを含むが、これらに限定されない。
【0041】
再び
図3を参照すると、装置210は、回路基板224上に配置されるかあるいは回路基板224と通信する少なくとも1つの多波長光源システム230(以下、光源システム230)を含み得る。光源システム230は、それぞれが別々の波長帯を有する数個の光信号を出力するように構成され得る。図示した実施形態においては、光源システム230は、約400nmから700nmの間の波長を有する少なくとも1つの光信号と、約200nmから約400nmの間の波長を有する少なくとも1つのUV光信号を出力するように構成され得る。したがって、光源システム230は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、ファイバレーザ、レーザなどの複数の発光デバイス(以下、エミッタ)から構成され得るものであり、各エミッタは、別々の波長帯又は波長域を有する少なくとも1つの光信号を出力するように構成される。図示した実施形態においては、光源システム230は、少なくとも1つの光源本体232を含んでおり、光源本体232は、この光源本体232上に配置されるかあるいはこの光源本体232と通信する少なくとも1つの多波長エミッタ234を有するが、当業者であれば、任意の数及び種類のエミッタが本システムと共に使用され得ることは理解できるであろう。さらに、光源システム230は必ずしも光源本体232に含まれている必要はない。
【0042】
図3に示されるように、光源システム230は、約350nmから約650nmまでの範囲内で別々の波長を有する1つ以上の可視光信号242を出力するように構成され得る。例えば、可視光信号242は約590nmのピーク波長を有し得る。必要に応じて、可視光信号242は約470nmの別のピーク波長を有し得る。さらに、可視光信号242は、約400nmから約700nmまでの広いスペクトル分布を有する白色の光信号を含み得る。さらに、光源システム230は、約200nmから約400nmの範囲内で別々の波長を有する1つ以上のUV光信号252を出力するように構成され得る。例えば、UV光信号242は約265nmのピーク波長を有し得る。さらに、UV光信号252は、約288nm、300nm、310nm、325nm、又は任意の所望のUV波長の追加的な波長ピークを有している。したがって、UV光信号は、ハートレー帯及びハギンズ帯内の約200nmから約400nmまでの複数のピークを有し得る。一実施形態においては、可視光242及びUV光252のうちの少なくともいずれか1つは、少なくとも1つのパルス光信号を含み得る。他の実施形態においては、UV光252内の可視光242のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの連続波光信号を含み得る。
【0043】
図3に示されるように、可視光信号242及びUV光信号252は、異なる光路に沿って導路212の通路214を横断し、それぞれの少なくとも一部は、導路212の少なくとも一方の面に塗布されたコーティング216によって反射される。第1の多波長検出器238は、導路212内に形成された少なくとも1つの伝達領域218を通過する可視光信号242及びUV光信号252のうちのいずれか一方の少なくとも一部を受信するように構成され得る。一実施形態においては、第1の検出器238は、可視光信号242及びUV光信号252の様々な特性を測定しあるいは分析するように構成され得る。それらの特性はパワー、スペクトル密度、輝度、散乱、スペクトル分布などを含むが、これらに限定されない。必要に応じて、第1の検出器238は基準検出器238として機能し得る。したがって、第1の検出器238は、フォトダイオード、光電子増倍管、その他の当該技術分野において知られる装置の1つ以上を備え得る。さらに、光源システム230は、それぞれが、可視光信号242及びUV光信号252のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの光特性を測定する複数の光センサを備え得る。使用中、可視光信号242及びUV光信号252の測定された強度又はスペクトル分布は、導路212の通路214内の流体(例えば脱イオン化オゾン水)内の成分濃度のような少なくとも1つの光属性の測定を提供し得る。
【0044】
図3を参照すると、少なくとも第2の多波長検出器240は、第1の多波長検出器238の下流側に配置され得るものであり、導路212上に形成された伝達領域218を通過する可視光信号242及びUV光信号252の様々な特性を測定し又は分析するように構成され得る。例えば、第2の検出器240はパワー、スペクトル密度、輝度、散乱、スペクトル分布、流体内の成分濃度などを測定するように構成され得るものであり、測定又は分析される特性は上記に限定されない。したがって、第1の検出器238と同様に、第2の検出器240はフォトダイオード、光電子増倍管、その他の当該技術において知られる装置の1つ以上を備え得る。特定の一実施形態においては、第1の検出器238及び第2の検出器240のうちの少なくとも一方は、ニューポート社によって製造されたOptoflash(商標)分光計エンジンを備え得る。上述の実施形態と同様に、第1の検出器238及び第2の検出器240によって、ユーザは可視光信号242及びUV光信号252の少なくとも1つの光特性を比較することができる。上述の実施形態と同様に、第1の検出器238及び第2の検出器240は、可視光信号242及びUV光信号252を測定するように構成され得る。例えば、第1の検出器238及び第2の検出器240のうちの少なくとも一方は、約400nmから約700nmまで(例えばシャピュイ帯内)の可視光信号242の強度を測定するように構成され得ると同時に、約200nmから約400nm(例えばハートレー帯及び/又はハギンズ帯)のUV光信号252の強度も測定する。したがって、装置210は、流体内のオゾンの成分濃度を、約400nmから約700nmまでの波長(シャピュイ帯波長)を利用して約20ppmから200ppmまで又はそれ以上の範囲から、約300nmから約400nmまでの波長(ハギンズ帯波長)を利用して約2ppmから約20ppmまでの比較的低濃度まで、さらに約200nmから約300nmまでの波長(ハートレー帯波長)を利用して約0.02ppmから約2ppmまでの低濃度を、単一の装置210を使用して測定することができ得る。
【0045】
さらに、
図3に示されるように、装置110は任意の数の追加的なセンサ、検出器、その他の部品を含み得る。上述の実施形態と同様に、装置210は第1のオプションセンサ260及び第2のオプションセンサ262を含み得るものであり、又は任意の数のセンサが測定本体220内に含まれ得るかあるいは本装置210と共に使用され得る。例えば、第1のオプションセンサ260は、導路212の通路214を通って流れる少なくとも1つの流体の圧力を測定するように構成された圧力センサを備え得る。さらに、第2のオプションセンサ162は、導路212の通路214を通って流れる少なくとも1つの流体の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサを備え得る。
【0046】
本出願はまた、流体内のオゾン濃度を測定する方法に係るものでもある。
図4に示されるように、方法200は、例えば、
図1~3に示した装置及びシステムを使用して実施され得る。より詳細には、方法300は、約400nmから約700nmまでの波長を有する少なくとも1つの光信号を生成することを含んでいる(ステップ310)。上述の通り、波長は、約400nmから約700nmまで又はオゾンのシャピュイ電磁放射線吸収帯内にある。さらに、方法300は、約200nmから約400nmまでの波長を有する少なくとも1つのUV光信号を生成することを含んでいる(ステップ320)。上述の通り、波長は約200nmから400nmまで又はオゾンのハートレー電磁放射線吸収帯(約200nmから約310nm)及びオゾンのハギンズ電磁放射線吸収帯(約300nmから約400nm)にある。その後、方法300は、1つ以上の光信号及び1つ以上のUV光信号のオゾン流体を通って光路に沿って方向付けることを含む(ステップ330)。その後、
図4に示されるように、本方法は、1つ以上の光信号及び1つ以上のUV光信号のうちの少なくともいずれか一方の特性に基づいてオゾン流体内のオゾン濃度を測定することを含む(ステップ340)。必要に応じて、
図4のステップ350において示されるように、オゾン流体内のオゾン濃度は、1つ以上の光信号及び1つ以上のUV光信号のうちの少なくとも一方の検出された特性に基づいて修正され得る。さらに、方法300は、必要に応じて、ユーザがUV光信号の中への1つ以上の光信号のうちの少なくとも1つを生成し、1つ以上のUV光信号内の1つ以上の光信号の他の光特性の強度をカバーする1つ以上の光源の性能をモニタリングすることを可能にする(ステップ360)。例えば、流体内のオゾン濃度を修正するステップ(ステップ350)は、オゾンによる吸収に関連する1つ以上の要因に関連する1つ以上の光信号及び1つ以上の光信号のうちの少なくとも一方の強度減少に起因する測定された濃度に関する誤差を修正することを含み得る。オゾンによる吸収以外に関する例示的な誤差には、流体内の気泡、流体内の不純物、導路内の反射性の変化、導路の機械的寸法の変化、光信号及びUV光信号を生成する光源の波長のずれなどが含まれるが、これらに限定されない。したがって、
図4のステップ360において示されるように、ユーザは、様々な波長におけるオゾンの吸収特性を比較することによって複数の光源のうちの1つ以上の光源の性能をモニタリングすることができる。
【0047】
本明細書に開示された実施形態は本発明の原理を説明するためのものである。他の改良を用いることができ、そのような改良は本発明の範囲内に属する。したがって、本出願に開示されている装置は、本明細書にまさに示され述べられているものに限られるものではない。
【国際調査報告】