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特表2024-534046フロントエンド処理されたウェハの形状測定基準を用いて半導体ウェハを処理するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】フロントエンド処理されたウェハの形状測定基準を用いて半導体ウェハを処理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240910BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240910BHJP
   G01B 21/08 20060101ALI20240910BHJP
   G01B 21/20 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L21/66 P
H01L21/304 622S
G01B21/08
G01B21/20 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509126
(86)(22)【出願日】2022-08-09
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 US2022039785
(87)【国際公開番号】W WO2023022898
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/260,295
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,ヨン シン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,イェン-チュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヤウ-チン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジン ロゥ
(72)【発明者】
【氏名】リン,シャン-ホイ
【テーマコード(参考)】
2F069
4M106
5F057
【Fターム(参考)】
2F069AA46
2F069AA61
2F069BB15
2F069DD16
2F069DD19
2F069GG04
2F069GG06
2F069GG07
2F069HH30
2F069JJ07
2F069NN17
2F069NN26
4M106AA01
4M106CA24
4M106DJ19
4M106DJ20
4M106DJ27
5F057AA03
5F057BA12
5F057DA01
5F057GB02
5F057GB14
5F057GB16
(57)【要約】
半導体ウェハを処理する方法は、フロントエンド処理ツールにより処理された半導体ウェハの表面から測定データを取得することを含む。本方法は、測定データに基づいてウェハの中心平面を決定し、未加工形状プロファイルを生成し、理想形状プロファイルを生成することを含む。本方法は、未加工形状プロファイルおよび理想形状プロファイルに基づいてGapiプロファイルを生成し、Gapiプロファイルに基づいて半導体ウェハのGapi値を算出することをさらに含む。生成されたGapiプロファイルおよび/または算出されたGapi値は、フロントエンド処理ツールの調整および/または研磨用半導体ウェハの選別に用いられてもよい。システムは、少なくとも、フロントエンド処理ツール、平坦度検査ツール、およびコンピューティング装置を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハを処理する方法であって、
前記方法は、
フロントエンド処理ツールにより処理された第1半導体ウェハを提供し、
前記第1半導体ウェハの表面に沿った走査線から測定データを取得し、ここで、各走査線の前記測定データは、厚みプロファイルと表面プロファイルとを含み、
前記走査線の前記測定データに基づいて前記ウェハの中心平面を決定し、
各走査線に対して、前記走査線の前記測定データおよび前記ウェハの前記中心平面に基づいて、未加工形状プロファイルを生成し、
各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルの多項回帰に基づいて理想形状プロファイルを生成し、
各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルおよび前記理想形状プロファイルに基づいてGapiプロファイルを生成し、
前記走査線の前記Gapiプロファイルに基づいて前記第1半導体ウェハのGapi値を算出し、
前記第1半導体ウェハの前記Gapi値が予め決定された閾値内にあるか否かを判定し、
前記第1半導体ウェハの前記Gapi値が前記予め決定された閾値内にない場合、
前記第1半導体ウェハの前記走査線の前記Gapiプロファイルの少なくとも1つに基づいて前記フロントエンド処理ツールを調整し、
前記調整されたフロントエンド処理ツールを用いて第2半導体ウェハを処理し、
前記第1半導体ウェハの前記Gapi値が前記予め決定された閾値内にある場合、前記第1半導体ウェハを研磨用に選別する
ことを備える、方法。
【請求項2】
前記ウェハの前記中心平面を決定することは、前記走査線の前記測定データの回帰分析に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回帰分析は、最小二乗フィッティングを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各走査線の前記未加工形状プロファイルは、各走査線の前記理想形状プロファイルを生成する前に、移動平均により平滑化される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各走査線の前記理想形状プロファイルを生成することは、前記未加工形状プロファイルの二次多項回帰に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルと前記理想形状プロファイルとを比較することにより、差分形状プロファイルを生成し、
各走査線に対して、前記走査線の方向に沿った前記差分形状プロファイルの変動に基づいて重み付け形状プロファイルを生成する
ことをさらに備え、
各走査線の前記Gapiプロファイルは、前記差分形状プロファイルと前記重み付けプロファイルに基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記重み付け形状プロファイルは、前記差分形状プロファイルの形状変動および勾配変化の少なくとも1つに基づいて生成され、前記形状変動および前記勾配変化のそれぞれは、前記走査線の前記方向に沿って定義された移動ウィンドウ内で決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フロントエンド処理ツールは、ワイヤソー、ラッピングツール、および研削ツールから構成される群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1半導体ウェハの前記Gapi値は、前記Gapiプロファイルの二乗平均平方根値に基づいて算出される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記Gapi二乗平均平方根値に対する前記予め決定された閾値は、6以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2半導体ウェハは、前記第1半導体ウェハと同一のウェハである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
半導体ウェハを処理するためのシステムであって、
前記システムは、
半導体ウェハのフロントエンド処理のためのフロントエンド処理ツールと、
前記フロントエンド処理されたウェハの表面に沿った走査線から測定データを取得するための平坦度検査ツールと、ここで、各走査線の前記測定データは、厚みプロファイルと表面プロファイルとを含み、
前記平坦度検査ツールと、前記フロントエンド処理ツールとに接続されたコンピューティング装置と
を備え、
前記コンピューティング装置は、
前記平坦度検査ツールから前記走査線の前記測定データを受け取り、
前記走査線の前記測定データに基づいて前記ウェハの中心平面を決定し、
各走査線に対して、前記走査線の前記測定データおよび前記ウェハの前記中心平面に基づいて、未加工形状プロファイルを生成し、
各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルの多項回帰に基づいて理想形状プロファイルを生成し、
各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルおよび前記理想形状プロファイルに基づいてGapiプロファイルを生成し、
前記走査線の前記Gapiプロファイルに基づいて前記フロントエンド処理されたウェハのGapi値を算出し、
前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapi値が予め決定された閾値内にあるか否かを判定し、
前記第1半導体ウェハの前記Gapi値が前記予め決定された閾値内にない場合、前記走査線の前記Gapiプロファイルの少なくとも1つに基づいて前記フロントエンド処理ツールを修正する
ように構成されている、システム。
【請求項13】
前記コンピューティング装置は、前記ウェハの前記中心平面を、前記走査線の前記測定データの回帰分析に基づいて決定するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記回帰分析は、最小二乗フィッティングを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンピューティング装置は、各走査線の前記理想形状プロファイルを生成する前に、各走査線の前記未加工形状プロファイルを、移動平均により平滑化するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンピューティング装置は、前記未加工形状プロファイルの二次多項解析に基づいて、各走査線の前記理想形状プロファイルを生成するように構成されている請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記コンピューティング装置は、
各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルと前記理想形状プロファイルとを比較することにより、差分形状プロファイルを生成し、
各走査線に対して、前記走査線の方向に沿った前記差分形状プロファイルの変動に基づいて重み付け形状プロファイルを生成する
ようにさらに構成されており、
各走査線の前記Gapiプロファイルは、前記差分形状プロファイルと前記重み付けプロファイルに基づいて生成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記フロントエンド処理ツールは、ワイヤソー、ラッピングツール、および研削ツールから構成される群から選択される、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記コンピューティング装置は、前記Gapiプロファイルの二乗平均平方根値に基づいて前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapi値を算出するようにさらに構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記Gapi二乗平均平方根値に対する前記予め決定された閾値は、6以下である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
半導体ウェハを処理する方法であって、
前記方法は、
フロントエンド処理ツールにより処理された第1半導体ウェハを提供し、
前記第1半導体ウェハのエッジプロファイルの測定データを取得し、
前記測定データに基づいてエッジプロファイル中心点を決定し、
前記測定データおよび前記エッジプロファイル中心点に基づいて未加工高さプロファイルを生成し、
前記未加工高さプロファイルの多項回帰に基づいて理想エッジプロファイルを生成し、
前記未加工高さプロファイルおよび前記理想エッジプロファイルに基づいて前記第1半導体ウェハのGapiエッジプロファイルを生成し、
前記Gapiエッジプロファイルに基づいて前記第1半導体ウェハのGapiエッジ値を算出し、
前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジ値が予め決定された閾値内にあるか否かを判定し、
前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジ値が前記予め決定された閾値内にない場合、
前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジプロファイルに基づいて前記フロントエンド処理ツールを調整し、
前記調整されたフロントエンド処理ツールを用いて第2半導体ウェハを処理し、
前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジ値が前記予め決定された閾値内にある場合、前記第1半導体ウェハを研磨用に選別する
ことを備える、方法。
【請求項22】
前記エッジプロファイル中心点を決定することは、単純化アルゴリズムを適用して、前記エッジプロファイル測定データを、3つの点を含む単純化された曲線に変換することを含み、
前記エッジプロファイル中心点は、前記3つの点の中央の点である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記単純化アルゴリズムは、反復端点フィットアルゴリズムである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記未加工高さプロファイルを生成することは、前記エッジプロファイル中心点の両側で同数の未加工高さ点を抽出することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記理想高さプロファイルを生成することは、前記未加工高さプロファイルの前記三次多項フィッティングに基づく、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記未加工高さプロファイルと前記理想高さプロファイルとを比較することにより、差分エッジプロファイルを生成し、
前記エッジプロファイルの方向に沿った前記差分エッジプロファイルの変動に基づいて重み付けプロファイルを生成する、
ことをさらに備え、
前記Gapiエッジプロファイルは、前記差分エッジプロファイルと前記重み付けプロファイルに基づいて生成される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記重み付けプロファイルは、前記差分エッジプロファイルの形状変動および勾配変化の少なくとも1つに基づいて生成され、前記形状変動および前記勾配変化のそれぞれは、前記エッジプロファイルの前記方向に沿って定義された移動ウィンドウ内で決定される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フロントエンド処理ツールは、ワイヤソー、ラッピングツール、および研削ツールから構成される群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジ値は、前記Gapiエッジプロファイルの二乗平均平方根値に基づいて算出される、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記Gapiエッジ二乗平均平方根値に対する前記予め決定された閾値は、10以下である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジ値は、前記Gapiエッジプロファイルの最大値に基づいて算出される、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記Gapiエッジ最大値に対する前記予め決定された閾値は、90以下である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2半導体ウェハは、前記第1半導体ウェハと同一のウェハである、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
半導体ウェハを処理するためのシステムであって、
前記システムは、
半導体ウェハのフロントエンド処理のためのフロントエンド処理ツールと、
前記フロントエンド処理されたウェハのエッジプロファイルの測定データを取得するための平坦度検査ツールと、
前記平坦度検査ツールと、前記フロントエンド処理ツールとに接続されたコンピューティング装置と
を備え、
前記コンピューティング装置は、
前記平坦度検査ツールから前記測定データを受け取り、
前記測定データに基づいてエッジプロファイル中心点を決定し、
前記測定データおよび前記エッジプロファイル中心点に基づいて、未加工高さプロファイルを生成し、
前記未加工高さプロファイルの多項回帰に基づいて理想エッジプロファイルを生成し、
前記未加工高さプロファイルおよび前記理想エッジプロファイルに基づいてGapiエッジプロファイルを生成し、
前記Gapiエッジプロファイルに基づいて前記フロントエンド処理されたウェハのGapiエッジ値を算出し、
前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapiエッジ値が予め決定された閾値内にあるか否かを判定し、
前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapiエッジ値が前記予め決定された閾値内にない場合、前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapiエッジプロファイルに基づいて前記フロントエンド処理ツールを修正する
ように構成されている、システム。
【請求項35】
前記コンピューティング装置は、反復端点フィットアルゴリズムを適用して、前記エッジプロファイル測定データを、3つの点を含む単純化された曲線に変換することにより、前記エッジプロファイル中心点を決定するように構成されており、
前記エッジプロファイル中心点は、前記3つの点の中央の点である、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記コンピューティング装置は、前記エッジプロファイル中心点の両側で同数の未加工高さ点を抽出することにより、未加工高さプロファイルを生成するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記コンピューティング装置は、前記未加工高さプロファイルの三次多項フィッティングに基づいて前記理想高さプロファイルを生成するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記コンピューティング装置は、
前記未加工高さプロファイルと前記理想高さプロファイルとを比較することにより、差分エッジプロファイルを生成し、
前記エッジプロファイルの方向に沿った前記差分エッジプロファイルの形状変動および勾配変化の少なくとも1つに基づいて重み付けプロファイルを生成し、ここで、前記形状変動および前記勾配変化のそれぞれは、前記エッジプロファイルの前記方向に沿って定義された移動ウィンドウ内で決定される
ようにさらに構成されており、
前記Gapiエッジプロファイルは、前記差分エッジプロファイルと前記重み付けプロファイルに基づいて生成される、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
前記コンピューティング装置は、前記Gapiエッジプロファイルの二乗平均平方根値に基づいて前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapiエッジ値を算出するように構成されており、
前記Gapiエッジ二乗平均平方根値に対する前記予め決定された閾値は、10以下である、請求項34に記載のシステム。
【請求項40】
前記コンピューティング装置は、前記Gapiエッジプロファイルの最大値に基づいて前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapiエッジ値を算出するように更に構成されており、
前記Gapiエッジ最大値に対する前記予め決定された閾値は、90以下である、請求項34に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年8月16日に出願された米国仮特許出願63/260295号に基づく優先権を主張する。なお、優先権の基礎とした出願の開示は、全体として参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、半導体ウェハの処理に関し、より詳細には、フロントエンド処理されたウェハの測定基準を用いて半導体ウェハを処理するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウェハは、通常、回路が印刷された集積回路(IC)チップの製造に使用される。回路は、多段階の製造処理においてウェハの表面上に小型化された同一集積回路(「ダイ(die)」)として印刷される。具体的には、処理は、電子ビームリソグラフィまたはフォトリソグラフィ処理ステップ(「リソグラフィ」)および化学的または物理的処理ステップ(例えば、化学機械研磨、エッチング、またはパッシベーション)の様々な段階を含む。各段階において、新たなパターン層がウェハの表面に追加されるか、既存の層が修正される。層の正確な位置合わせ(「重ね合わせ」)が、チップの最終性能にとって重要である。
【0004】
チップ製造業者は、重ね合わせ誤差を低減または排除し、各ウェハから最大数のチップを確実に製造するために、極めて平坦で平行な表面を有するウェハを必要とする。ウェハは、まず、適切な材料(例えば、シリコン)の単結晶インゴットから取得される。ウェハは、例えば、ワイヤソーを用いてインゴットから切り分けられてもよい。未加工ウェハの表面は、その後、研削ツール、ラッピングツール、またはエッチングツールなどの追加のフロントエンド処理ツールを用いて、予備的な平坦化およびエッチングが施される。面取りツールを用いてエッジが研削および/または丸められてもよい。表面は、その後、研磨されて、滑らかで高反射性の鏡面ウェハ表面が製造される。
【0005】
従来の計測ツールは、リソグラフィの前に、研磨されたウェハが形状(例えば、形状および/または平坦度)の仕様を満たすかを判定するために使用されることがある。形状は、チャックされていない状態でのウェハ形状の長波長成分であり、ウェハの中央面のベストフィット中央基準表面に対する偏差として定義される。これは、ベストフィット平面からの正負の最大偏差の和である曲がり、およびウェハの中心での表面とベストフィット平面との間の距離である反りなどの大域的なパラメータで特徴付けられる。平坦度は、基準平面に対するウェハ厚みの変動である。これは、理想的な平坦な後面からのウェハ厚みの最大変動(GBIR)などの大域的なパラメータ、またはサイトの平坦度、前面基準面、最小二乗基準平面、範囲(SFQR)などの局所的パラメータによって特徴付けられることができる。
【0006】
既存のウェハ測定基準では、これらの測定は、製造処理の早い段階(第1のパターン層の間)での重ね合わせ誤差を予測するためのみに十分である。より多くの層がウェハ上に形成されると、弾性変形が生じ、ウェハの形状が変化することがある。重ね合わせ誤差は、ウェハの面内歪みおよび面外歪みにより特徴付けられることができる。パターン化ウェハ形状測定システム(KLAテンコール社により製造されたシステムなど)は、パターニングステップ間のこれらの歪みを測定し、重ね合わせ誤差を考慮するためにウェハ測定基準を提供することができる。しかしながら、これらの既存のシステムは、研磨された表面を必要とする高精度検査ツールを使用し、製造処理の少なくとも一部が開始された後に測定を行う。フロントエンド処理されたウェハの平坦度検査測定値を用いて、製造前のウェハ歪みの予測指標を提供する解決策は存在しない。
【0007】
この背景技術のセクションは、以下に説明および/またはクレームされる本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを意図している。この議論は、本開示の様々な態様をより理解するための背景情報を読者に提供する上で有用であると考えられる。したがって、これらの記述は、この観点で読まれるべきであり、先行技術を認めるものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、半導体ウェハを処理する方法は、フロントエンド処理ツールにより処理された第1半導体ウェハを提供し、前記第1半導体ウェハの表面に沿った走査線から測定データを取得することを含む。各走査線の前記測定データは、厚みプロファイルと表面プロファイルとを含む。本方法は、前記走査線の前記測定データに基づいて前記ウェハの中心平面を決定し、各走査線に対して、前記走査線の前記測定データおよび前記ウェハの前記中心平面に基づいて、未加工形状プロファイルを生成し、各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルの多項回帰に基づいて理想形状プロファイルを生成することを含む。本方法は、各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルおよび前記理想形状プロファイルに基づいてGapiプロファイルを生成し、前記走査線の前記Gapiプロファイルに基づいて前記第1半導体ウェハのGapi値を算出することをさらに含む。本方法は、前記第1半導体ウェハの前記Gapi値が予め決定された閾値内にあるか否かを判定することを含む。前記第1半導体ウェハの前記Gapi値が前記予め決定された閾値内にない場合、本方法は、記第1半導体ウェハの前記走査線の前記Gapiプロファイルの少なくとも1つに基づいて前記フロントエンド処理ツールを調整し、前記調整されたフロントエンド処理ツールを用いて第2半導体ウェハを処理することを含む。前記第1半導体ウェハの前記Gapi値が前記予め決定された閾値内にある場合、本方法は、前記第1半導体ウェハを研磨用に選別することを含む。
【0009】
他の態様では、半導体ウェハを処理するためのシステムは、半導体ウェハのフロントエンド処理のためのフロントエンド処理ツールと、前記フロントエンド処理されたウェハの表面に沿った走査線から測定データを取得するための平坦度検査ツールとを含む。各走査線の前記測定データは、厚みプロファイルと表面プロファイルとを含む。本システムは、前記平坦度検査ツールと、前記フロントエンド処理ツールとに接続されたコンピューティング装置を含む。前記コンピューティング装置は、前記平坦度検査ツールから前記走査線の前記測定データを受け取り、前記走査線の前記測定データに基づいて前記ウェハの中心平面を決定し、各走査線に対して、前記走査線の前記測定データおよび前記ウェハの前記中心平面に基づいて、未加工形状プロファイルを生成し、各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルの多項回帰に基づいて理想形状プロファイルを生成するように構成されている。前記コンピューティング装置は、各走査線に対して、前記未加工形状プロファイルおよび前記理想形状プロファイルに基づいてGapiプロファイルを生成し、前記走査線の前記Gapiプロファイルに基づいて前記フロントエンド処理されたウェハのGapi値を算出し、前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapi値が予め決定された閾値内にあるか否かを判定するように構成されている。前記コンピューティング装置は、前記第1半導体ウェハの前記Gapi値が前記予め決定された閾値内にない場合、前記走査線の前記Gapiプロファイルの少なくとも1つに基づいて前記フロントエンド処理ツールを修正するように構成されている。
【0010】
さらに他の態様では、半導体ウェハを処理する方法は、フロントエンド処理ツールにより処理された第1半導体ウェハを提供し、前記第1半導体ウェハのエッジプロファイルの測定データを取得することを含む。本方法は、前記測定データに基づいてエッジプロファイル中心点を決定し、前記測定データおよび前記エッジプロファイル中心点に基づいて未加工高さプロファイルを生成し、前記未加工高さプロファイルの多項回帰に基づいて理想エッジプロファイルを生成することを含む。本方法は、前記未加工高さプロファイルおよび前記理想エッジプロファイルに基づいて前記第1半導体ウェハのGapiエッジプロファイルを生成し、前記Gapiエッジプロファイルに基づいて前記第1半導体ウェハのGapiエッジ値を算出し、前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジ値が予め決定された閾値内にあるか否かを判定することを含む。前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジ値が前記予め決定された閾値内にない場合、本方法は、前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジプロファイルに基づいて前記フロントエンド処理ツールを調整し、前記調整されたフロントエンド処理ツールを用いて第2半導体ウェハを処理することを含む。前記第1半導体ウェハの前記Gapiエッジ値が前記予め決定された閾値内にある場合、本方法は、前記第1半導体ウェハを研磨用に選別することを含む。
【0011】
さらに他の態様では、半導体ウェハを処理するためのシステムは、半導体ウェハのフロントエンド処理のためのフロントエンド処理ツールと、前記フロントエンド処理されたウェハのエッジプロファイルの測定データを取得するための平坦度検査ツールとを含む。本システムは、前記平坦度検査ツールと、前記フロントエンド処理ツールとに接続されたコンピューティング装置を含む。前記コンピューティング装置は、前記平坦度検査ツールから前記測定データを受け取り、前記測定データに基づいてエッジプロファイル中心点を決定し、前記測定データおよび前記エッジプロファイル中心点に基づいて、未加工高さプロファイルを生成し、前記未加工高さプロファイルの多項回帰に基づいて理想エッジプロファイルを生成するように構成されている。前記コンピューティング装置は、前記未加工高さプロファイルおよび前記理想エッジプロファイルに基づいてGapiエッジプロファイルを生成し、前記Gapiエッジプロファイルに基づいて前記フロントエンド処理されたウェハのGapiエッジ値を算出し、前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapiエッジ値が予め決定された閾値内にあるか否かを判定するように構成されている。前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapiエッジ値が前記予め決定された閾値内にない場合、前記コンピューティング装置は、前記フロントエンド処理されたウェハの前記Gapiエッジプロファイルに基づいて前記フロントエンド処理ツールを修正するように構成されている。
【0012】
上述した態様に関連して記載された特徴には、様々な改良が存在する。同様に、更なる特徴が、上述した態様に組み込まれてもよい。これらの改良および追加の特徴は、個別に存在してもよく、任意の組み合わせで存在してもよい。例えば、図示された実施形態のいずれかに関連して後述される様々な特徴は、上述した態様のいずれかに、単独または任意の組み合わせで、組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、研磨されたウェハの形状測定基準を用いてウェハを処理するための方法の処理フローである。
図2図1は、本開示に従った、フロントエンド処理されたウェハの形状測定基準を用いてウェハを処理するための方法の処理フローである。
図3図3は、形状測定ツールによりフロントエンド処理されたウェハの形状測定データを取得するために使用される、フロントエンド処理されたウェハ表面上の4つの走査線の模式図である。
図4図4は、形状測定ツールによりフロントエンド処理されたウェハの形状測定データを取得するために使用される、フロントエンド処理されたウェハ表面上の8つの走査線の模式図である。
図5図5は、形状測定ツールによりフロントエンド処理されたウェハの形状測定データを取得するために使用される、フロントエンド処理されたウェハ表面上の螺旋状の走査の模式図である。
図6図6は、フロントエンド処理されたウェハの模式的な断面図である。
図7A図7aおよび図7bは、形状測定ツールおよび図3-5のウェハ表面走査により得られた測定データを用いて生成されたプロットの集合である。
図7B図7aおよび図7bは、形状測定ツールおよび図3-5のウェハ表面走査により得られた測定データを用いて生成されたプロットの集合である。
図8図8は、本開示に従った、フロントエンド処理されたウェハのGapi値を算出するための方法の処理フローである。
図9図9は、ウェハの未加工プロファイルを示す、フロントエンド処理されたウェハのコンターマップである。
図10図10は、ウェハのGapiプロファイルを示す、図9のフロントエンド処理されたウェハのコンターマップである。
図11図11は、ウェハの面内歪み(IPD)を示す、図9のフロントエンド処理されたウェハのコンターマップである。
図12図12は、フロントエンド処理されたウェハに対して算出されたGapi値と、ウェハに対して算出されたIPD二乗平均平方根値との間の相関関係を示すプロットである。
図13図13は、フロントエンド処理されたウェハの算出されたGapi値と、ウェハのバックエンド歩留まり率との間の関係を示す棒グラフである。
図14図14は、Gapi値に基づいてフロントエンド処理ツールを調整するための方法の処理フローである。
図15図15は、フロントエンド処理ツールを調整する前における、ウェハの未加工プロファイルを示す、フロントエンド処理されたウェハのコンターマップである。
図16図16は、形状測定ツールと走査線に沿ったウェハ表面走査により得られた図15のフロントエンド処理されたウェハの測定データを用いて生成されたプロットである。
図17図17は、ウェハのGapiプロファイルと、Gapiプロファイルから算出されたGapi値とを示す、図15のフロントエンド処理されたウェハのコンターマップである。
図18図18は、ウェハのIPDプロファイルと、IPDプロファイルから算出されたIPD二乗平均平方根値を示す、図15のフロントエンド処理されたウェハのコンターマップである。
図19図19は、フロントエンド処理ツールを調整した後における、ウェハの未加工プロファイルを示す、フロントエンド処理されたウェハのコンターマップである。
図20図20は、形状測定ツールと走査線に沿ったウェハ表面走査により得られた図19のフロントエンド処理されたウェハの測定データを用いて生成されたプロットである。
図21図21は、ウェハのGapiプロファイルと、Gapiプロファイルから算出されたGapi値とを示す、図19のフロントエンド処理されたウェハのコンターマップである。
図22図22は、ウェハのIPDプロファイルと、IPDプロファイルから算出されたIPD二乗平均平方根値を示す、図19のフロントエンド処理されたウェハのコンターマップである。
図23図23は、本開示に従った、フロントエンド処理されたウェハのGapiエッジ値を算出するための方法の処理フローである。
図24図24は、フロントエンド処理されたウェハのエッジプロファイルのプロットである。
図25図25は、フロントエンド処理されたウェハのエッジプロファイルのプロットである。
図26図26は、フロントエンド処理されたウェハのエッジプロファイルのプロットである。
図27図27は、本開示に従った、フロントエンド処理されたウェハの形状測定基準を用いてウェハを処理するためのシステムの一例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的なシステムおよび方法は、半導体ウェハの測定データから生成および/または算出されたGapiウェハ形状測定基準を使用する。一般的に、および本開示の実施形態において、適切な半導体ウェハ(「ウェハ」または「シリコンウェハ」としても言及する場合がある)は、例えば、チョクラルスキー法またはフロートゾーン法により形成されたインゴットからウェハを切り分けることで得られる基板ウェハなどの単結晶シリコンウェハを含む。各半導体ウェハは、中心軸と、前面と、前面に平行な後面とを含む。表面および後面は、一般に中心軸に対して垂直である。表面および後面は、周縁により結合されている。半導体ウェハは、例えば、直径200mmのウェハ、直径300mmのウェハ、直径300mmを超えるウェハ、または直径450mmのウェハを含む、当業者が使用するために適した任意の直径であってもよい。
【0015】
Gapi測定基準は、面内歪み(IPD)予測指標として使用されてもよく、予測された面内歪みと、期待されるバックエンド歩留まりとの間の相関関係に基づいて半導体ウェハを選別するために使用されてもよい。Gapi測定基準は、好適には、フロントエンド処理された半導体ウェハの測定データから生成および/または算出されてもよいが、他の用途で使用されてもよい。Gapi測定基準は、フロントエンド処理ツールの調整に利用されてもよく、そうでなければ、さらなる処理に適用可能なGapi測定基準を有するウェハの選別に利用されてもよい。
【0016】
図1は、半導体ウェハを処理するための従来の一般的な処理フロー100を示す。ステップ102において、フロントエンド処理されたウェハがさらなる処理のために提供される。本明細書で使用される「フロントエンド処理された」とは、フロントエンド処理ツールにより処理されたウェハであり、例えば、半導体材料(例えば、シリコン)の単結晶インゴットから切り分けられたウェハを含む。フロントエンド処理されたウェハは、一方または両方の表面がエッチング、ラップ、または研磨されてもよく、および/またはエッジが丸められてもよい。フロントエンド処理ツールの例には、ワイヤソー、ラッピングツール、研削ツール、面取りツール、およびエッチングツールが含まれる。
【0017】
ステップ102で提供されたフロントエンド処理されたウェハの表面状態は、依然として比較的粗く、特に平坦な表面が求められるリソグラフィ処理に一般的に適していない。ステップ104では、フロントエンド処理されたウェハが研磨される。ステップ104での研磨操作は、中間研磨操作および/または仕上げ研磨操作であってもよい。中間研磨操作では、フロントエンド処理されたウェハの前面が研磨され、平坦度が向上され、取り扱い傷が除去される。仕上げ研磨操作では、ウェハの前面が仕上げ研磨され、前面から微細なまたは「マイクロ」傷が除去され、高反射率で損傷のないウェハの前面が製造される。本明細書で使用される「インプロセス(in-process)」は、中間研磨および/または仕上げ研磨された前面を有し、選択的には、以下に述べるように1または複数のパターニング処理ステップを経たウェハである。ステップ104での研磨の後、および選択的には追加のパターニング処理ステップの後、高精度検査ツール(例えば、KLA・テンコール社により製造されたWaferSight 2または2+ベアウェハ形状測定システム)が使用されて、インプロセスウェハの形状および平坦度、並びにナノトポグラフィなどの他のパラメータを決定されることがある。これらの測定値から、ステップ106において従来の測定基準を使用して、少なくとも最初のパターニングステップでの重ね合わせ誤差を予測してもよい。
【0018】
ステップ108では、リソグラフィおよび他の化学的および/または機械的処理(例えば、化学機械研磨、エッチング、パッシベーション、拡散など)を含む一連のパターニング処理ステップが実行されて、ウェハ上に集積回路(「ダイ」)が形成される。例えば、フォトマスクレジストパターン、酸化層、および金属層を含み得る様々な層がウェハに堆積される。表面上に形成された各層は、不均一な固有応力を有することがあり、その結果、ウェハ形状の弾性変形(例えば、IPD)を生じさせる。重ね合わせ誤差による製品歩留まりへの影響を軽減するために、ステップ106および108は、順次繰り返されてもよく、これにより、リソグラフィツールを調整することによってインプロセス重ね合わせ誤差が修正される。しかしながら、(10nm以下など)リソグラフィパターンの設計ルールが縮小し続けると、重ね合わせ誤差のインプロセス制御は、より困難になる。修正不可能な重ね合わせ誤差は、リソグラフィツールによって修正動作が取られない場合に発生する。その結果、ウェハグレーディングステップ110において、高品質のウェハのバックエンド歩留まりが低下する。
【0019】
図2を参照すると、重ね合わせおよび処理制御が改善された半導体ウェハを処理するための例示的かつ一般的なフロー200が示されている。処理100で上述したステップ102と類似のステップ202においてウェハが提供される。フロントエンド処理されたウェハのグレーディングがウェハのさらなる処理および/または製造の前に実行される追加の処理ステップ204がプロセス200に含まれる。例えば、フロントエンドウェハグレーディングステップ204は、ウェハ研磨ステップ208の前、および/またはパターニングおよび層形成ステップ212の前に実行されてもよい。ステップ204では、本明細書でより詳細に記載するGapi測定基準などのウェハ測定基準が、フロントエンド処理されたウェハの形状および/または平坦度に基づいて決定される。ウェハは、その後、この測定基準に基づいてステップ206において選別される。例えば、ウェハは、測定基準に基づいて望ましい仕様から外れていると判定され、ステップ206において、廃棄されるか、さらなるフロントエンド処理のために識別されてもよい。ウェハが望ましい仕様を満たすと判定された場合、ウェハは、例えば研磨ステップ208からさらに処理されてもよい。望ましい仕様は、例えば、相関するバックエンド歩留まりに基づく、ウェハ処理中の予測IPDの許容レベルであってもよい。
【0020】
プロセス200の1つの利点は、ウェハグレーディングが特定の不可逆の処理ステップが起こる前に実行されることである。ステップ206で選別された仕様外のウェハは、フロントエンド処理ツールを使用したさらなる処理により救済され、ウェハ測定基準を望ましい仕様内に収めてもよい。例えば、ラッピングまたは研削処理を、繰り返して、ウェハの形状および/または平坦度を調整してもよい。追加的に、ウェハ処理の早い段階で、仕様外ウェハを識別することにより、ウェハグレーディングステップ214において処理されたウェハのバックエンド歩留まりの向上を達成することができる。これにより、最終的に形成される高品質グレードのダイの量が増加し、製造中に発生する修正不可能な重ね合わせ誤差に関連するコストを削減することができる。また、さらに処理されるウェハが予測IPDについて入念に検査されているため、インプロセス重ね合わせ制御の必要性を低減または排除することができる。この点において、ステップ210での重ね合わせ制御およびステップ212でのウェハパターニングとの間のより効率的なシーケンシングが実現される。
【0021】
図3から図8を参照すると、フロントエンド処理されたウェハ300についてGapi測定基準を決定するための方法の例が記載されている。図8は、Gapi測定基準を決定するための処理フロー400を示している。ステップ402では、形状測定ツール(本明細書では平坦度検査ツールとしても言及される)が使用されて、フロントエンド処理されたウェハ300(図3から図6参照)から測定データが取得される。適切な形状測定ツールの例には、コベルコSBWシリーズツール、コベルコLGWシリーズツール、コベルコLSWシリーズツールが含まれる。形状測定ツールは、好適には、静電容量プローブまたは干渉計を使用して、ウェハ300の一方または両方の表面に沿った点の表面高さおよび厚みを含む、一方または両方の表面の測定データを取得する。一例では、形状測定ツールは、コベルコSBW-330ツールである。
【0022】
図3から図5に示すように、形状測定ツールは、ウェハ300(図3および図4)の表面304(例えば、前面)を横切って延びた直径線302(本明細書において走査線302または走査直径線302としても言及される)に沿って走査することにより、またはウェハ300の表面304の螺旋状の走査(図5)により、測定データを取得することができる。形状測定ツールは、4つの直径線302(図3に示す)または8つの直径線302(図4に示す)など、2以上の直径線302を走査することにより、測定データを取得してもよい。測定されるウェハ300は、チャックされていない(すなわち、自立している)状態であってもよい。
【0023】
形状測定ツールにより取得された測定データは、ウェハ300の表面プロファイルを含む。各表面プロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302に沿って配置された表面304(図6参照)上の点における表面高さを計測することにより、走査直径線302に沿って取得される。例えば、各表面プロファイルは、それぞれ対応する直径線302に沿った100を超える点、200を超える点、または290を超える点で測定された表面高さを含んでもよい。各点は、表面304の中心306からの距離(ミリメートル、mm)として測定される、表面304を横切って延びた直径線302に沿った位置を有する。各点で測定された表面高さは、H(x)として表され、ここで、nは、走査直径線を識別し、xは、走査直径線nに沿って測定されたウェハ300の中心306から点までの相対距離(mm)である。表面高さは、基準高さ、つまりHref=0からの距離として決定される。各直径線302に沿って走査することにより取得される表面プロファイルは、それぞれ対応する直径線302に沿った点で測定される表面高さの範囲を含む。一実施形態では、表面プロファイルは、ウェハ300の表面304(例えば、前面)のみに沿って直径線302を走査することにより取得される。他の実施形態では、表面プロファイルは、ウェハ300の表面304および表面308(すなわち、前面および後面)(図6に示す)の両方に沿って直径線302を走査することにより取得される。
【0024】
形状測定ツールにより取得された測定データは、ウェハ300の厚みプロファイルを含む。各厚みプロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302に沿った点で厚みを測定することにより走査直径線302に沿って取得される。各直径線302に沿った各点での厚みは、当該点と、ウェハ300の他の表面308上での同一の位置での対応する点との間の距離として測定される。したがって、厚みは、表面304上の点の表面高さH(x)と、表面308上の対応する点の表面高さとにより決定することができる。直径線302に沿った各点での厚みは、T(x)として表されてもよく、ここで、nは、走査直径線を識別し、xは、走査直径線nに沿って測定されたウェハ300の中心306からの点の相対距離(mm)である。各直径線302に沿って走査することにより取得された厚みプロファイルは、それぞれ対応する直径線302に沿った点で測定された厚み値の範囲を含む。
【0025】
図8を参照すると、ステップ404では、ウェハ300の中心平面CP(図6に示す)が、直径線302に沿って走査することにより取得された厚みプロファイルと表面プロファイルとに基づいて決定される。中心平面CPは、ウェハ300の厚み平面TP(図6に示す)に基づいてもよい。厚み平面TPは、ウェハ300の前面304と後面308との間に位置している。一例では、厚み平面TPは、走査直径線302に沿った各点において、表面高さH(x)に厚みT(x)の2分の1を加えたものとしてマッピングされる。この点に関して、厚み平面TPは、ウェハ300の表面304,308に沿った走査線302のそれぞれの測定点に対応する点を含む。中心平面CPは、最小二乗ベストフィット、移動平均、または多項フィットにより、厚み平面TPに沿った点の回帰分析に基づいて決定されてもよい。一例の実施形態では、中心平面CPは、厚み平面TPに沿った点の最小二乗ベストフィットにより決定される。
【0026】
図6は、前面304および後面308を有するフロントエンド処理され、走査されたウェハ300の、直径線302の1つに沿った模式的な断面図である。ウェハ300の表面プロファイルおよび厚みプロファイルを含む測定データが、前面304を横切って、および選択的に後面308を横切って延びた走査直径線302(図3および図4に示す)に沿った点での表面高さH(x)と厚みT(x)を測定することにより取得されてもよい。各点での厚みT(x)は、前面304上の点と、後面308上の対応する点との間の距離である。ウェハ300の厚み平面TPは、各点での表面高さH(x)と厚みT(x)とに基づいて決定されることができる。ウェハ300の中心平面CPは、上述したように、厚み平面TPに沿った点の回帰分析により決定される。図6に示す図は、参照のみのためのものであり、測定されたウェハ上の点での表面高さまたは厚みを原寸大で描写することを意図したものではない。
【0027】
図8を再度参照すると、ステップ406では、各走査直径線302に沿って、ウェハ300の未加工形状プロファイルが生成される。各未加工形状プロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302に沿った表面プロファイルおよび厚みプロファイルを含む取得された測定データと、ウェハ300の決定された中心平面CPとに基づいて生成される。各未加工形状プロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302に沿った各走査点で算出された未加工形状値を含む。未加工形状は、各点での表面高さH(x)および厚みT(x)と、中心平面CP上の同一の位置での対応する点の高さとの関数として算出される。一例では、未加工形状RSは、以下の式により各点で算出される。
RS(x)=H(x)+0.5*(T(x)-CP(x))
ここで、nは、走査直径線を識別し、xは、走査直径線nに沿って測定されたウェハ300の中心306からの点の相対距離(mm)であり、H(x)は、走査直径線nに沿ったxでの点の測定された表面高さであり、T(x)は、走査直径線nに沿ったxでの点の測定された厚みであり、CP(x)は、走査直径線nに沿ったxでの点に対応する中心平面上の点の高さである。
【0028】
いくつかの実施形態では、未加工形状プロファイルは、移動平均により平滑化されてもよい。例えば、定義されたウィンドウが、未加工形状プロファイルについて、それぞれ対応する走査直径線302に沿った方向に設定されてもよい。ウィンドウは、10mm未満、5mm未満、または3mmのサイズを有してもよい。ウィンドウ内の点の未加工形状の移動平均は、各ウィンドウについて算出される。各ウィンドウ内の点の未加工形状は、その後、ウィンドウの算出された移動平均として設定される。
【0029】
ステップ408では、各走査直径線302に沿って、ウェハ300の理想形状プロファイルが生成される。各理想形状プロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302に対して生成された未加工形状プロファイルの多項回帰に基づいて生成される。一例では、各理想形状プロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302に沿った点で算出された未加工形状値の二次多項フィッティングに基づいて生成される。各理想形状プロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302に沿った各走査点で算出された理想形状値を含む。一例では、理想形状ISは、以下の式により各点で算出される。
IS(x)=a*(RS(x))+b*(RS(x))+c
ここで、nは、走査直径線を識別し、xは、走査直径線nに沿って測定されたウェハ300の中心306からの点の相対距離(mm)であり、RS(x)は、xにおいて走査直径線nについて生成された未加工形状値であり、aおよびbは、多項係数であり、cは、多項フィット解析により決定される誤差である。多項フィット解析は、例えば、PythonのNumPy(すなわち、np.polyfit曲線フィッティング関数)を用いて実行される。
【0030】
ステップ410では、各走査直径線302に沿って、ウェハ300のGapiプロファイルが生成される。各Gapiプロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302について生成された理想形状プロファイルと未加工形状プロファイルとに基づいて生成されてもよい。一例では、各Gapiプロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302に対して差分形状プロファイルを生成することで生成される。各差分形状プロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302に沿った点で算出された差分形状値を含む。各差分形状は、それぞれ対応する走査直径線302に沿った各点での理想形状と未加工形状とを比較することにより、算出されてもよい。一例では、差分形状DSは、以下の式により各点で算出される。
DS(x)=IS(x)-RS(x)
ここで、nは、走査直径線を識別し、xは、走査直径線nに沿って測定されたウェハ300の中心306からの点の相対距離(mm)であり、RS(x)は、xにおいて走査直径線nについて生成された未加工形状値であり、IS(x)は、xにおいて走査直径線nについて生成された理想形状値である。差分形状プロファイルは、生成された未加工形状プロファイルのそれぞれのそれぞれ対応する理想高さプロファイルからの偏差を定量化することによって、各走査直径線302についてのウェハ形状および平坦度を記述することができる。いくつかの実施形態では、各Gapiプロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302について生成された差分形状プロファイルのみに基づいて生成される。
【0031】
各Gapiプロファイルは、それぞれ対応する走査直径線302について生成された差分形状プロファイルと、差分形状プロファイルに適用される重み付け係数とに基づいてもよい。重み付け係数は、処理中のウェハの変形(例えば、IPD歪み)に大きな影響を及ぼす差分形状プロファイルの特定の変動(例えば、形状変動および勾配変化)を考慮するために適用(例えば、差分形状値と乗算)されてもよい。差分形状プロファイル変動は、それぞれ対応する走査直径線302の方向に沿って定義された移動ウィンドウ内の差分形状値に基づいて、標準変動、分散、または範囲として定量化されてもよい。閾値は、重み付け係数を適用する前に許容される変動量について予め決定されてもよい。例えば、定義されたウィンドウ内の差分形状値に基づいて決定された差分形状プロファイル変動(例えば、形状変動または勾配変化)が予め決定された閾値を上回る場合、重み付け係数は、定義されたウィンドウ内の各差分形状値に適用されてもよい。
【0032】
重み付け係数は、それぞれ対応する走査直径線302の方向に沿って定義された移動ウィンドウ内の面積変動に基づいて適用されてもよい。比較的狭い(例えば、20mm未満の)ウィンドウ内での高い面積変動は、ウェハがそのウィンドウ内において高いチャッキング圧力の影響を受けやすくなるため、ウェハの歪みを生じさせることがある。面積変動は、例えば、定義されたウィンドウ内での差分形状プロファイルの面積の標準変動、分散、または範囲として定量化されてもよい。定義されたウィンドウは、例えば、20mm未満、15mm未満、または11mmの大きさを有してもよい。重み付け係数は、ウィンドウ内の差分形状プロファイルの面積変動が予め決定された閾値を上回る場合、ウィンドウ内の差分形状値に適用されてもよい。一例の実施形態では、面積変動は、標準変動として定量化されており、閾値は、0.3以上、0.4以上、または0.5以上である。重み付け係数は、これらの実施形態において、標準変動自体であってもよい。従って、一例では、定義されたウィンドウにおける標準偏差が0.4以上である場合、0.4の重み付け係数が適用され、定義されたウィンドウにおける標準偏差が0.4未満である場合、重み付け係数が適用されない(すなわち、重み付け係数はゼロである)。
【0033】
重み付け係数は、それぞれ対応する走査直径線302の方向に沿って定義された移動ウィンドウ内の差分形状プロファイルの勾配変化に基づいて適用されてもよい。比較的狭い(例えば、10mm未満の)ウィンドウ内のウェハ表面プロファイルの大きな転換点は、ウェハがそのウィンドウ内において高いチャッキング圧力の影響を受けやすくなるため、ウェハの歪みを生じさせることがある。差分形状プロファイルの勾配変化は、例えば、方向と、2つの隣接する定義されたウィンドウでの勾配量とを比較することにより、定量化されてもよい。隣接して定義されたウィンドウのそれぞれは、例えば、20mm未満、10mm未満、または5mmの大きさを有してもよい。重み付け係数は、勾配変化が予め決定された閾値の外側である場合、定義されたウィンドウ内の差分形状値に適用される。一実施形態では、勾配は、勾配を乗算することにより、比較され、閾値は、-0.3未満、-0.35未満、-0.4未満、-0.45未満、-0.5未満、または-0.5未満の負の値(勾配変化を表す)である。重み付け係数は、これらの実施形態において、1を超えて3まで、または1.1から2まで、または1.2から1.4まで、または1.3であってもよい。重み付け係数は、閾値が満たされない場合、1に設定されてもよい。従って、一例では、勾配変化が-0.4未満に決定された場合、1.3の重み付け係数が適用され、勾配変化が-0.4未満でないと決定された場合、1の重み付け係数が適用される。
【0034】
定義されたウィンドウ内の差分形状プロファイルの面積変動および勾配変化の両方は、Gapiプロファイルを生成するときに差分形状プロファイルに適用される重み付け係数を決定するために使用されてもよい。これらの実施形態において、適用される(例えば、適切なウィンドウ内の差分形状値に乗算される)重み付け係数は、面積変動および勾配変化について決定された重み付け係数を乗算することにより決定されてもよい。例えば、定義されたウィンドウ内でそれぞれ対応する走査直径線302について算出された差分形状値に適用される各重み付け係数SW(x)は、以下の式により算出されてもよい。
SW(x)=(SV(x)+1)*(SC(x))
ここで、nは、走査直径線を識別し、xは、走査直径線nに沿って測定されたウェハ300の中心306からの点の相対距離(mm)であり、SV(x)は、xでの点が適切なウィンドウ内にある場合の標準変動に基づいて適用される重み付け係数であり、SC(x)は、xでの点が適切なウィンドウ内にある場合の勾配変化に基づいて適用される重み付け係数である。この例では、SC(x)は、1(重み付け係数が適用されない場合のデフォルト)、または1より大きい(すなわち、決定された重み付け係数)のいずれかである。
【0035】
図7aおよび図7bを参照すると、本開示に従った形状測定ツールにより(例えば、図3から図5に示す走査線に沿ってウェハ300の表面304を走査することにより)、取得された測定データを使用して生成されたプロットの集合の例が示されている。走査プロファイルは、(図7aおよび図7bにおいて線:0から線:7として示される)8つの直径線に沿ってフロントエンド処理されたウェハ表面を走査することにより取得された。未加工形状プロファイルおよび理想形状プロファイルが各走査直径線に対して生成され、各プロットで示されている。各直径線についての差分形状プロファイル(図示せず)が、上述したように、未加工形状プロファイルおよび理想形状プロファイルに基づいて生成された。重み付け係数が、この例では、定義されたウィンドウ内の差分形状プロファイルの形状偏差および/または勾配変化に基づいて決定された。各直径線についてのGapiプロファイル(形状差分*形状重み付け)が、適切なウィンドウでの差分形状値に重み付け係数を適用することにより生成された。
【0036】
図8に戻って参照すると、ステップ412では、ウェハのGapi値が、走査直径線302について生成されたGapiプロファイルに基づいて算出される。Gapi値は、理想的な平面に対するウェハの平坦度および/または形状の全体的な変動を記述するために使用できる大域的な測定基準である。Gapi値は、Gapiプロファイルに基づいて、例えば、Gapiプロファイルに含まれる値の二乗平均平方根値として算出されることができる。そのため、Gapi値は、本明細書において「Gapi二乗平均平方根」または「Gapi rms」として言及されることがある。
【0037】
図9から図12を参照すると、フロントエンド処理されたウェハについて算出されたGapi値が、(KLAテンコール社によって製造されたWaferSight PWGtプラットフォームなどの)パターン化ウェハ形状(PWG)計測システムにより提供されるIPD予測指標とよい相関関係を有することが示されている。PWG計測システムは、(KLAテンコール社によって製造されたWaferSight2または2+ベアウェハ計測システムなどの)高精度検査ツールから取得された未加工PWGデータを使用して、ウェハ形状の変化に基づいてインプロセス歪みを評価し、重ね合わせ誤差を予測する。図9は、フロントエンド処理されたウェハの未加工の局所的な形状の特徴のコンターマップを示す。図10および図11に示すように、フロントエンド処理されたウェハについて生成されたGapiプロファイルのコンターマップ(図10)、およびインプロセスウェハデータに基づいてPWG計測システムを使用して生成されたIPDマップ(図11)は、IPDがフロントエンド処理されたウェハについて生成されたGapiプロファイルに基づいて予測され得ることを示している。より具体的には、(Gapi値が4.324である)図10のウェハの生成されたGapiプロファイルの特徴は、計算されたIPDサイト二乗平均平方根測定基準および(図9に示す局所的な形状の特徴を有する)同一のウェハの図11のIPDマップとよく相関しており、IPD測定基準とIPDマップとは、最終研磨ステップの後に決定される。図12は、Gapiプロファイルの算出された(いずれも局所的な値の二乗平均平方根として取得される)大域的な測定基準と、IPD値とが強い相関関係を有しており、様々なウェハ形状で0.7より大きいR値を有することを示している。
【0038】
図13を参照すると、フロントエンド処理されたウェハのGapi値は、高品質のウェハのバックエンド歩留まりを予測するために使用されてもよい。図13のグラフは、4以下のGapi値、特に3.6以下のGapi値、より特に3.2以下のGapi値では、50%を超える高いバックエンド歩留まりを得ることができることを示している。バックエンド歩留まり率は、ウェハグレーディングから、または(研磨後ウェハのIPD測定基準に基づく歩留まり率などの)インプロセスウェハ歪みに基づくウェハ測定基準からの経験的データにより取得されてもよい。本開示によるGapi測定基準は、インプロセスウェハ測定基準と強い相関関係を有しているため、インプロセスウェハ測定基準に相関する予測バックエンド歩留まり率は、同様に、それぞれ対応するGapi測定基準に相関することが想定される。フロントエンド処理されたウェハは、ウェハの算出されたGapi値が予め決定された閾値を満たさない場合、(プロセス200のステップ206などで)選別されてもよい。閾値は、(例えば、50%より高い、60%より高い、または70%より高い)高いバックエンド歩留まり率と相関するGapi値に設定されてもよい。この点に関して、バックエンド歩留まりの向上、重ね合わせ誤差制御の必要性の低減、および低品質ウェハの救済などの利点を達成することができる。
【0039】
図14を参照すると、算出されたGapi値に基づいてフロントエンド処理ツールを調整するための一例の処理フロー500が示されている。ステップ502では、ウェハがフロントエンド処理ツール(例えば、図27に示すフロントエンド処理ツール702)により処理される。例えば、ウェハは、ワイヤソーを用いて、半導体材料(例えば、シリコン)の単結晶インゴットから切り分けられてもよい。ウェハは、また、ラッピングツールまたは研削ツールなどのフロントエンド処理ツールを用いて望ましい厚みにされてもよい。
【0040】
ステップ504では、フロントエンド処理(例えば、ワイヤソー処理、ラップ処理、および/または研削処理)されたウェハのGapi値が、本開示に従って(例えば、図8に示す処理400により)算出される。ステップ506では、Gapi値が予め決定された閾値と比較される。予め決定された閾値は、Gapi値をバックエンド歩留まり率と相関させる過去のデータに基づいてもよい。例えば、閾値は、50%より高いバックエンド歩留まり率に相関するGapi値に設定されてもよい。一例の実施形態では、閾値は、図13のグラフに示されるデータに基づいて設定される。いくつかの実施形態では、Gapi値の予め決定された閾値は、6未満、5.5未満、5未満、4.5未満、例えば4未満、または3.5未満である。Gapi値が予め決定された閾値内にある(例えば、5以下などの閾値Gapi値以下)場合、フロントエンド処理されたウェハは、ステップ508での研磨用に選別される。
【0041】
Gapi値が予め決定された閾値内にない(例えば閾値Gapi値より大きい)場合、ウェハは、研磨用に選別されなくてもよい。ステップ510では、フロントエンド処理されたウェハのGapi値が予め決定された閾値内にないと判定された後に、フロントエンド処理ツールの1つまたは複数が、調整(例えば、調整および/または修正)されてもよい。1または複数のフロントエンド処理ツールは、予め決定された閾値の外側のGapi値を有するウェハのGapiプロファイルの少なくとも1つに基づいて調整されてもよい。
【0042】
プロセス500のステップ510を拡張して、図15から図22を追加的に参照する。図15から図18は、(この例の実施形態では、処理フロー500のステップ506についての予め決定された閾値内にない(例えば予め決定された閾値より大きい))Gapi値が5.41であるフロントエンド処理されたウェハの、未加工の局所的な形状特徴のコンターマップ(図15)、単一の走査直径線についての未加工形状プロファイル、理想形状プロファイル、およびGapiプロファイルのプロットのチャート(図16)、Gapiプロファイルのコンター図(図17)、およびIPDコンターマップ(図18)を示している。従って、図15から図18のフロントエンド処理されたウェハは、ステップ508での研磨用に選別されない。
【0043】
ステップ510では、1または複数のフロントエンド処理ツールが、図16に示すGapiプロファイルなど、図17に示すGapi値を算出するために使用されたGapiプロファイルの少なくとも1つに基づいて調整(例えば、修正および/または調整)されてもよい。この例の実施形態では、ワイヤソーがウェハの少なくとも1つのGapiプロファイルに基づいて調整されてもよい。図16のGapiプロファイルプロットは、ワイヤソーの切断方向に平行な(または、実質的に平行な)ウェハの直径線(すなわち線:5)のGapiプロファイルを示している。Gapiプロファイルの比較的高いGapi値が、図16に示すように、走査直径線の方向において直径線に沿った、ウェハの径方向エッジに近い距離にある特定の点に位置することが観察される。この観察に基づいて、ワイヤソーは、これらの点における高い変動を修正するように調整されてもよい。例えば、ウェハの径方向エッジに近いこれらの高い変動点に対応する位置でのスラリー温度またはベアリング温度の値を調整して、ウェハが単結晶インゴットから切り分けられるときにワイヤの出入口においてより滑らかなウェハ形状が得られる。
【0044】
ステップ512では、調整されたフロントエンド処理ツールが、その後第2のフロントエンド処理されたウェハを提供するために使用される。図19から図22は、フロントエンド処理ツールが図15から図18からの観察に基づいて調整された後の第2フロントエンド処理されたウェハの、未加工の局所的な形状特徴のコンターマップ(図19)、単一の走査直径線についての未加工形状プロファイル、理想形状プロファイル、およびGapiプロファイルのプロットのチャート(図20)、Gapiプロファイルのコンターマップ(図21)、およびIPDコンターマップ(図22)を示す。図19から図22に示すように、フロントエンド処理ツールの調整により、第2のフロントエンド処理されたウェハでは、Gapiプロファイルが改善し(径方向縁部で変動が少ない)、Gapi値が低下し(3.42)、IPD二乗平均平方根値(16.45)が低下した。調整ステップ後に提供された第2のフロントエンド処理されたウェハは、フロントエンド処理ステップを繰り返すことにより救済された、ステップ502で処理されたウェハと同一のウェハであってもよい。調整されたフロントエンド処理ツールで処理された第2のフロントエンド処理されたウェハは、異なるウェハであってもよい。
【0045】
処理500の1つの利点は、ウェハ処理の早い段階(例えば、研磨前)に生成および/または算出された測定基準を用いて、フロントエンド処理ツールの調整および/または修正をより迅速かつ効率的に行うことができることである。製造中のウェハの変形を予測するために使用される既存の測定基準は、ウェハの高品質な形状および/または平坦度のデータを取得するために、ウェハが研磨されることを必要とする。フロントエンドツール(例えば、ワイヤソー、ラッピングツール、または研削ツール)での処理異常は、フロントエンド処理されたウェハが研磨されるまで識別することができない。一般的に、フロントエンド処理からウェハの研磨までには、非常に長い時間(数時間、数日、数週間)がかかる。その間に、大量のウェハがフロントエンド処理ツールにより処理される場合があり、従って、初期ウェハが研磨され走査されるまで識別されない表面変動と許容できないGapi値の危険性がある。この点に関して、処理500は、フロントエンド処理での処理異常の早期検出を提供することにより大幅な改善を提供することができ、処理異常はフロントエンド処理ツールを調整することにより修正され、これにより影響を受けるウェハを少なくすることができる。
【0046】
図23から図26を参照して、フロントエンド処理されたウェハについてGapiエッジ測定基準を決定するための方法を説明する。本開示に従って使用されるGapi測定基準に加えて、Gapiエッジ測定基準が、ウェハエッジプロファイルを特徴付けるために使用されてもよい。ウェハエッジ状態は、エッジダイの歩留まりに重大な影響を与えることが知られている。例えば、それぞれがエッジダイの歩留まりに悪影響を及ぼす、フィルム層の剥離(すなわち、層間剥離)、粒子汚染、およびフォトレジストオフセット誤差に関連する問題は、ウェハエッジの欠陥から生じることが知られている。本開示に従ったGapiエッジ測定基準を使用することで、十分に滑らかなエッジを有するウェハを製造することを保証することができ、従って、Gapi測定基準に関して上述したように、バックエンド歩留まりにおいて同様に改善を提供することができる。
【0047】
図23では、フロントエンド処理されたウェハのGapiエッジ値を算出するための処理600が示されている。ステップ602では、フロントエンド処理されたウェハのエッジプロファイルの測定データが取得される。例えば、エッジプロファイルデータは、(ザイゴ、オリンパス、またはキーエンスにより製造される顕微鏡などの)コヒーレンス走査干渉顕微鏡、共焦点レーザ走査顕微鏡、またはレーザ走査顕微鏡などの市販の3D顕微鏡を使用して取得されてもよい。測定されたウェハは、チャックされていない(すなわち、自立している)状態であってもよい。
【0048】
ステップ604では、単純化アルゴリズムが使用されて、エッジプロファイルに含まれる点の集合を減らすことにより、エッジプロファイルデータが単純化された曲線に変換される。例えば、エッジプロファイルデータの単純化された曲線は、Ramer-Douglas-Peuckerアルゴリズム(すなわち、反復端点フィットアルゴリズム)に基づいて生成されてもよい。この例では、エッジプロファイルを構成する点の量は、当業者に理解されるように、Ramer-Douglas-Peuckerアルゴリズムで使用されるイプシロン(ε)パラメータを調整することで設定することができる。一実施形態では、曲線の数が3つの点に減るように、εが調整される。プロファイル中心点は、単純化された曲線上の中央の点として決定される。例えば、プロファイル中心点は、一実施形態における単純化された曲線上の3つの点の中央として決定される。
【0049】
ステップ606では、中心化された未加工高さプロファイルが、ステップ602で取得されたエッジプロファイルデータと、ステップ604で決定されたプロファイル中心点に基づいて生成される。未加工高さプロファイルは、プロファイル中心点に基づいてエッジプロファイルから抽出される。例えば、エッジプロファイル中心点から+/-N(点の数)の位置にある未加工高さ点が抽出される。Nは、フロント点またはテール点をスクリーンアウトするように調整される。例えば、Nは、200点より多く400点より少なくてもよく、300点より多く375点より少なくてもよく、または350点であってもよい。プロファイル中心点の両側で抽出された未加工点の数は、同一の値Nであるため、エッジプロファイル中心点は、(図24から図26に示すように)曲線の転換点となる。
【0050】
ステップ608では、理想エッジプロファイルが、中心化された未加工高さプロファイルに基づいて生成される。理想エッジプロファイルは、中心化された未加工高さプロファイルの多項回帰に基づいて生成されてもよい。一例では、理想高さプロファイルは、中心化された未加工高さプロファイルに含まれる点の未加工高さ値の三次多項フィッティングに基づいて算出される理想エッジ値を含む。各理想エッジ値は、例示的な以下の式で表すことができる。
IE(x)=a*(RH(x))+b*(RH(x))+c*(RH(x))+d
ここで、xは、基準点x=0から中心化されたエッジプロファイル方向に沿った相対距離であり、RH(x)は、xでの中心化された未加工高さエッジプロファイルの未加工高さ値であり、a、b、およびcは、多項係数であり、dは、多項フィット解析で決定される誤差である。多項フィット解析は、例えば、PythonのNumPy(すなわち、np.polyfit曲線フィッティング関数)を使用して実行される。
【0051】
ステップ610では、Gapiエッジプロファイルが、ウェハについて生成される。Gapiエッジプロファイルは、理想エッジプロファイルと中心化された未加工高さプロファイルに基づいて生成されてもよい。一例の実施形態では、Gapiプロファイルは、差分エッジプロファイルを生成することにより生成される。差分エッジプロファイルは、中心化された未加工高さプロファイルに沿った各点において理想エッジ値と未加工高さ値とを比較することにより算出され得る差分エッジ値を含む。例えば、差分エッジプロファイルは、以下の式により表すことができる。
DE(x)=IE(x)-RH(x)
ここで、xは、基準点x=0から中心化されたエッジプロファイル方向に沿った相対距離であり、RH(x)は、xでの中心化された未加工高さエッジプロファイルの未加工高さ値であり、IE(x)は、xでの理想エッジプロファイルの理想エッジ値である。差分エッジプロファイルは、理想エッジプロファイルからの中心化された未加工高さプロファイルの偏差を定量化することにより、ウェハのウェハエッジ状態を記述することができる。いくつかの実施形態では、Gapiエッジプロファイルは、差分エッジプロファイルのみに基づいて生成される。
【0052】
Gapiエッジプロファイルは、生成された差分エッジプロファイルと、差分エッジプロファイルに適用される重み付け係数とに基づいてもよい。重み付け係数は、処理中のウェハの変形(例えば、IPD歪み)に大きな影響を及ぼし得る差分エッジプロファイルの特定の変動(例えば、形状変動および勾配変化)を考慮するために適用(例えば、差分エッジ値と乗算)されてもよい。差分エッジプロファイル変動は、中心化されたエッジプロファイル方向に沿って定義された移動ウィンドウ内の差分エッジプロファイルに基づいて、標準変動、分散、または範囲として定量化されてもよい。閾値は、重み付け係数を適用する前に許容される差分エッジプロファイルの変動または勾配変化の量について予め決定されてもよい。例えば、定義されたウィンドウ内の差分エッジ値に基づいて決定された変動変化が予め決定された閾値を上回る場合、重み付け係数は、定義されたウィンドウ内の各差分エッジ値に適用されてもよい。
【0053】
重み付け係数は、中心化されたエッジプロファイル方向に沿って定義されたウィンドウ内の面積変動に基づいて適用されてもよい。比較的狭い(例えば、20点未満の)ウィンドウ内のエッジプロファイルの高い面積変動は、ウェハがそのウィンドウ内において高いチャッキング圧力の影響を受けやすくなるため、ウェハ歪みを生じさせることがある。面積変動は、例えば、定義されたウィンドウ内での差分エッジプロファイルの面積の標準変動、分散、または範囲として定量化されてもよい。定義されたウィンドウは、例えば、20点未満、15点未満、または11点の大きさを有してもよい。重み付け係数は、ウィンドウでの差分エッジプロファイルの面積変動が予め決定された閾値を上回る場合、ウィンドウ内の差分エッジ値に適用される。一例の実施形態では、面積変動は、標準変動として定量化されており、閾値は、800nm以上、900nm以上、または1000nm以上、1100nm以上、または1200nm以上である。これらの実施形態における重み付け係数は、標準変動自体を閾値で割ることにより算出されてもよい。従って、一例では、標準変動(SV)が定義されたウィンドウで1000nm以上である場合、(SV/1000)の重み付け係数が適用され、標準変動が定義されたウィンドウで1000nm未満の場合、重み付け係数は適用されない(すなわち、重み付け係数はゼロである)。
【0054】
重み付け係数は、中心化されたエッジプロファイルの方向に沿って定義されたウィンドウ内の差分エッジプロファイルの勾配変化に基づいて適用されてもよい。比較的狭い(例えば、70点未満の)ウィンドウの大きさに沿ったウェハエッジプロファイルの大きな転換点は、ウェハがそのウィンドウにおいて高いチャッキング圧力の影響を受けやすくなるため、ウェハの歪みを生じさせることがある。差分エッジプロファイルの勾配変化は、例えば、方向と、2つの隣接する定義されたウィンドウでの勾配量とを比較することにより、定量化されてもよい。隣接して定義されたウィンドウのそれぞれは、例えば、50点未満、40点未満、または33点の大きさを有してもよい。重み付け係数は、勾配変化が予め決定された閾値の外側である場合、定義されたウィンドウ内の差分エッジ値に適用される。一例の実施形態では、勾配は、勾配を乗算することにより、比較され、閾値は、-0.3未満、-0.35未満、-0.4未満、-0.45未満、-0.5未満、または-0.55未満の負の値(勾配変化を表す)である。重み付け係数は、これらの実施形態において、3から9まで、または4から8まで、または6であってもよい。重み付け係数は、閾値が満たされない場合、1に設定されてもよい。従って、一例では、勾配変化が-0.45未満に決定された場合、6の重み付け係数が適用され、勾配変化が-0.45未満でないと決定された場合、1の重み付け係数が適用される。
【0055】
定義されたウィンドウ内の差分エッジプロファイルの面積変動および勾配変化の両方は、Gapiエッジプロファイルを生成するときに差分エッジプロファイルに適用される重み付け係数を決定するために使用されてもよい。これらの実施形態において、適用される(例えば、適切なウィンドウ内の差分エッジ値に乗算される)重み付け係数は、面積変動および勾配変化について決定された重み付け係数を乗算することにより決定されてもよい。例えば、定義されたウィンドウ内で差分エッジ値に適用される各重み付け係数SWは、以下の式により算出されてもよい。
SW(x)=(SV(x)/1000+1)*(SC(x))
ここで、xは、基準点x=0から中心化されたエッジプロファイルの方向に沿った相対距離であり、SV(x)は、xでの点が適切なウィンドウ内にある場合に差分エッジプロファイルの標準変動に基づいて適用される重み付け係数であり、SC(x)は、xでの点が適切なウィンドウ内にある場合に差分エッジプロファイルの勾配変化に基づいて適用される重み付け係数である。この例では、SC(x)は、1(重み付け係数が適用されない場合のデフォルト)、または1より大きい(すなわち、決定された重み付け係数)のいずれかである。
【0056】
図24から図26を参照すると、処理600に従って生成されたプロットの集合の一例が示されている。特に、最も悪いエッジプロファイルを有するウェハエッジ、悪いエッジプロファイルを有するウェハエッジ、および理想エッジプロファイルを有するウェハエッジのそれぞれのGapiエッジプロットが示されている。各ウェハエッジのエッジプロファイルの測定データは、(ステップ602で上述した顕微鏡などの)市販の3D顕微鏡を用いて取得された。中心化された未加工高さプロファイルと、各ウェハエッジについて生成された理想エッジプロファイルとが、各プロットにおいて示されている。各ウェハエッジについての差分エッジプロファイル(図示せず)は、中心化された未加工高さプロファイルと理想エッジプロファイルとに基づいて生成された。上述したように、重み付け係数は、本例では、定義されたウィンドウ内の各ウェハエッジの差分エッジプロファイルでの形状変動および/または勾配変化に基づいて決定された。各ウェハエッジについてのGapiエッジプロファイル(エッジ差分*エッジ重み付け係数)は、重み付け係数を適切なウィンドウでの差分エッジ値に適用することにより生成された。
【0057】
図23に戻って参照すると、ステップ412では、ウェハのGapiエッジ値が、ウェハエッジのGapiエッジプロファイルに基づいて算出される。Gapiエッジ値は、理想的な平面に対するウェハエッジプロファイルの全体的な変動を記述するために使用できる大域的な測定基準である。一例の実施形態では、Gapi値エッジは、Gapiエッジプロファイルに基づいて、例えば、Gapiエッジプロファイルを構成する値の二乗平均平方根値(「Gapiエッジ二乗平均平方根」または「Gapiエッジ rms」としても言及される)として算出されることができる。他の例の実施形態では、Gapiエッジ値は、Gapiエッジプロファイルの最大エッジ値(「Gapiエッジ最大値」または「Gapiエッジ最大」としても言及される)として算出される。
【0058】
図24から図26に示すように、Gapiエッジプロファイルの二乗平均平方根値および/または最大値として算出されたGapiエッジ値は、ウェハエッジプロファイルを記述することができる。例えば、良好なエッジプロファイルは、予め決定された閾値(例えば、90未満のGapiエッジ最大および/または10未満のGapiエッジ rms)内のGapiエッジ値を有するとして特徴付けられ得る。予め決定された閾値は、上述したように、Gapiエッジプロファイルとバックエンド歩留まり率との相関関係などにより、決定されてもよい。いくつかの例では、Gapiエッジプロファイルの二乗平均平方根として算出されたGapiエッジ値についての予め決定された閾値は、10未満、9未満、8未満、7未満、6未満、5未満、4未満、または3未満であってもよい。いくつかの実施形態では、Gapiエッジプロファイルの最大値として算出されたGapiエッジ値についての予め決定された閾値は、90未満、80未満、70未満、60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、または10未満であってもよい。
【0059】
図14を再度参照すると、フロントエンド処理ツールを調整するための処理フロー500は、本明細書で説明したように算出されたGapiエッジ値を用いて、フロントエンド処理ツールを調整することを含んでもよい。ステップ502では、上述したように、第1のウェハがフロントエンド処理ツール(例えば、図27に示すフロントエンド処理ツール702)により処理される。ステップ504では、第1のフロントエンド処理されたウェハのGapiエッジ値が、(例えば、図23に示す処理600により)本開示に従って算出される。ステップ506では、Gapiエッジ値は、予め決定された閾値と比較される。Gapiエッジ値が予め決定された閾値内にある(例えば、90以下などのGapiエッジ最大値の閾値以下、または10以下などのGapiエッジ rmsの閾値以下である)場合、第1のフロントエンド処理されたウェハは、ステップ508での研磨用に選別される。Gapiエッジ値が、予め決定された閾値内にない(例えば、Gapiエッジ最大値またはGapiエッジrms値の閾値より大きい)場合、第1のウェハは、研磨用に選別されなくてもよい。ステップ510では、フロントエンド処理ツールの1つまたは複数は、第1のフロントエンド処理されたウェハのGapiエッジ値が予め決定された閾値内にないと判定された後、調整(例えば、調整および/または修正)されてもよい。1または複数のフロントエンド処理ツールは、予め決定された閾値外のGapiエッジ値を有するウェハのGapiエッジプロファイルに基づいて、調整されてもよい。ステップ512では、調整されたフロントエンド処理ツールは、第1のフロントエンド処理されたウェハと同一のウェハであってもよく、異なるウェハであってもよい第2のフロントエンド処理されたウェハを提供するために使用される。
【0060】
図27を参照すると、本開示に従ったフロントエンド処理されたウェハの形状測定基準を用いてウェハを処理するためのシステム700のブロック図が示されている。システム700は、フロントエンド処理ツール702と、平坦度検査ツール704と、フロントエンド処理ツール702および/または平坦度検査ツール704と、接続または通信可能に結合されたコンピューティング装置706とを含む。
【0061】
フロントエンド処理ツール702は、本開示に従ってフロントエンド処理されたウェハを提供するように構成された任意の機械加工ツールであってもよい。一例の実施形態では、フロントエンド処理ツール702は、ワイヤソーである。他の実施形態では、フロントエンド処理ツール702は、研削ツール、ラッピングツール、面取りツール、またはエッチングツールであってもよい。
【0062】
平坦度検査ツール704は、フロントエンド処理されたウェハから測定データを取得するように構成されたウェハ形状測定ツールである。例えば、平坦度検査ツール704は、静電容量プローブまたは干渉計を用いて、(例えば、ウェハ300上の図3および図4に示す走査直径線または図5に示す螺旋状走査により)フロントエンド処理されたウェハの表面を走査することにより、測定データを取得してもよい。ウェハの片側または両側の表面を走査することにより取得された測定データは、ウェハの表面プロファイルデータおよび厚みプロファイルデータを含む。一例では、平坦度検査ツール704は、コベルコSBW-330ツールである。平坦度検査ツール704は、図3から図5に関して、詳細に上述した形状測定ツールと同一の機能を有してもよい。他の例では、平坦度検査ツール704は、ウェハのエッジプロファイルの測定データを取得する。この例では、平坦度検査ツール704は、ウェハのエッジプロファイルデータを取得することに適した、例えば、コヒーレンス走査干渉顕微鏡、共焦点レーザ顕微鏡、レーザ走査顕微鏡などの市販の3D顕微鏡であってもよい。
【0063】
コンピューティング装置706は、命令を実行するためのプロセッサ708を含む。いくつかの実施形態では、実行可能な命令は、メモリ領域710に格納されている。プロセッサ708は、1または複数の処理ユニット(例えば、マルチコア構成)を含んでもよい。メモリ領域710は、実行可能な命令および/またはデータなどの情報の格納および読み取りを可能にする任意の装置である。メモリ領域710は、1または複数のコンピュータ可読記憶装置、または、一時的および非一時的なコンピュータ可読媒体を含む他のコンピュータ可読媒体を含んでもよい。
【0064】
コンピューティング装置706は、ユーザ(例えば、ウェハのエンドユーザ、品質管理担当者など)に情報を示すための少なくとも1つのメディア出力コンポーネント712を含む。メディア出力コンポーネント712は、情報をユーザに伝達することができる任意のコンポーネントである。いくつかの実施形態では、メディア出力コンポーネント712は、ビデオアダプタおよび/またはオーディオアダプタなどの出力アダプタを含む。出力アダプタは、プロセッサ708に動作可能に接続されており、ディスプレイ装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機LED(OLED)ディスプレイ、陰極線管(CRT)、または「電子インク」ディスプレイ)、またはオーディオ出力装置(例えば、スピーカまたはヘッドホン)などの出力装置に動作可能に接続されている。いくつかの実施形態では、上記ディスプレイ装置および/またはオーディオ装置の少なくとも1つがメディア出力コンポーネント712に含まれている。
【0065】
いくつかの実施形態では、コンピューティング装置706は、ユーザからの入力を受け入れるための入力装置714を含む。入力装置714は、例えば、キーボード、ポインティング装置、マウス、スタイラス、タッチパネル(例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、またはオーディオ入力装置を含んでもよい。タッチスクリーンなどの単一のコンポーネントは、メディア出力コンポーネント712の出力装置と、入力装置714との両方として機能してもよい。
【0066】
コンピューティング装置706は、1または複数の遠隔装置と通信可能に接続されることができる通信インターフェイス716を含んでもよい。通信インターフェイス716は、例えば、携帯電話ネットワーク(例えば、Global System for Mobile communications(GMS)、3G、4G、またはブルートゥース(登録商標))または他のモバイルデータネットワーク(例えば、Worldwide Interoperability for Microwave Access(WIMAX))で使用するための有線もしくは無線のネットワークアダプタ、または無線データ受信機を含んでもよい。
【0067】
メモリ領域710には、例えば、平坦度検査ツール704から入力を受信して、処理し、平坦度検査ツール704から受信した処理された入力に基づいて、フロントエンド処理ツール702を修正するためのプロセッサ実行可能な命令が格納されている。例えば、メモリ領域710は、それぞれが詳細に上述された、図8に示す処理400、図14に示す処理500、および/または図23に示す処理600をプロセッサ708に実行させる命令を格納してもよい。
【0068】
メモリ領域710は、プロセッサ実行可能な命令および/またはデータの格納および/または読み出しに適した任意のコンピュータ動作ハードウェアを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。メモリ領域710は、動的RAM(DRAM)または静的RAM(SRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、および不揮発性RAM(NVRAM)を含んでもよい。また、メモリ領域710は、安価なディスクのredundant array of inexpensive disks(RAID)構成のハードディスクまたはソリッドステートディスクなどの複数の記憶装置を含んでもよい。メモリ領域710は、ストレージエリアネットワーク(SAN)および/またはネットワーク接続記憶装置(NAS)システムを含んでもよい。いくつかの実施形態では、メモリ領域710は、コンピューティング装置706に統合されたメモリを含んでもよい。例えば、コンピューティング装置706は、メモリ領域710として、1または複数のハードディスクドライブを含んでもよい。メモリ領域710は、コンピューティング装置706の外部にあり、複数のコンピューティング装置によりアクセスされ得るメモリを含んでもよい。上述のメモリの種類は、例示的なものであり、従って、プロセッサ実行可能な命令および/またはデータの格納に使用可能なメモリの種類を限定するものではない。
【0069】
本開示または本開示の実施形態の要素を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「前記(the)」、および「前記(said)」は、要素が1以上存在することを意味することを意図している。用語「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味している。
【0070】
本開示の範囲から逸脱することなく、上述の構造および方法において、様々な変更が可能であるため、上述の説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、限定的な意味ではなく例示として解釈されることが意図されている。
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図7A
図7B
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【国際調査報告】