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特表2024-534158硬化性組成物、及びそれから形成される3D印刷物体、及びその形成方法
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  • 特表-硬化性組成物、及びそれから形成される3D印刷物体、及びその形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】硬化性組成物、及びそれから形成される3D印刷物体、及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/80 20060101AFI20240910BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20240910BHJP
   B29C 64/129 20170101ALI20240910BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240910BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240910BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20240910BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240910BHJP
【FI】
C08G18/80
C08G18/32 053
B29C64/129
B33Y80/00
B33Y70/00
B29C64/314
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513013
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2022071857
(87)【国際公開番号】W WO2023025554
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/114750
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ウェイ チョン
(72)【発明者】
【氏名】カイ,チー チョン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チョン シー
【テーマコード(参考)】
4F213
4J034
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AB04
4F213AB07
4F213AB11
4F213AB12
4F213AH59
4F213AH63
4F213AH66
4F213AH67
4F213AH70
4F213WA25
4F213WA54
4F213WA87
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
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4F213WL25
4J034CA15
4J034CB03
4J034CC03
4J034CC08
4J034CC09
4J034CC12
4J034CC23
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4J034LA23
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4J034QB14
4J034QB17
4J034RA02
4J034RA03
4J034RA06
4J034RA09
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、(A)少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;(B)少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;(C)少なくとも1種の反応性成分;及び(D)少なくとも1種の光開始剤を含む硬化性組成物;この組成物から3D印刷物体を形成する方法、及びそれから調製された3D印刷物体に関する。硬化性組成物は優れた長期安定性を示し、それから得られる3D印刷物体は良好な機械的特性を維持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)少なくとも1種の光開始剤
を含む硬化性組成物であって、
成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される、硬化性組成物。
【請求項2】
成分(A)を形成するためのジイソシアネートが、ジイソシアネートモノマー及び/又はジイソシアネートプレポリマーを含み、
前記ジイソシアネートモノマーが、脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、成分(A)を形成するためのジイソシアネートが、3~40個の炭素原子を有するジイソシアネートから選択され、より好ましくは、成分(A)を形成するためのジイソシアネートが、シクロヘキシル-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートからなる群から選択され;
前記ジイソシアネートプレポリマーが、ジイソシアネートモノマーとポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、又はジアミンとの反応から得られる、より好ましくはジイソシアネートモノマーとポリエーテルジオールとの反応から得られる、2つの遊離イソシアネート基を有するプレポリマーであり、2つの遊離イソシアネート基を有する好ましいジイソシアネートプレポリマーが、2つの遊離イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマー、2つの遊離イソシアネート基を有するポリウレアプレポリマー、及びそれらの組み合わせである、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
成分(B)を形成するためのジアミンが、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、脂肪族-芳香族ジアミン、脂環式-芳香族ジアミン、脂肪族-脂環式ジアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
好ましくは、成分(B)を形成するためのジアミンが、式NH-R-NH、NHR-R-NHR、NH-P-NH及びNHR-P-NHRのジアミンからなる群から選択され
(式中、ラジカルRは、3~40個の炭素原子、より好ましくは3~30個の炭素原子を有する、直鎖状又は環状の二価ヒドロカルビル、脂肪族又は芳香族の二価ヒドロカルビルであり、
Pは脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族-芳香族、脂環式-芳香族、脂肪族-脂環式のポリエステル部分、ポリエーテル部分、ポリウレタン部分、又はポリウレア部分、又はこれらの組み合わせであり、好ましくは、Pは脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族-芳香族、脂環式-芳香族、脂肪族-脂環式のポリエステル部分、ポリエーテル部分、又はポリウレタン部分であり、より好ましくは、Pは脂肪族のポリエステル部分、ポリエーテル部分、又はポリウレタン部分であり、
及びRは、互いに独立して、C~C10-アルキル、C~C20-アリール、C~C20-アリールアルキル、C~C20-アルキルアリール又はC~C20-シクロアルキルである)、
より好ましくは、成分(B)を形成するためのジアミンが、ブチレンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、フェニレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、NH-R-NH、NHR-R-NHR、NH-P-NH及びNHR-P-NHR(式中、RはC~C10-アルキレンであり、Pは脂肪族のポリエステル部分、ポリエーテル部分又はポリウレタン部分であり、R及びRは、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル及びブチルである)のジアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
反応性成分(C)が少なくとも1つの放射線硬化性官能基を含有し、好ましくは、前記放射線硬化性官能基が、エチレン性不飽和官能基、エポキシ基、又はそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、前記放射線硬化性官能基がエチレン性不飽和官能基であり、好ましくは反応性成分(C)が1~12個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~8個のエチレン性不飽和官能基を有する(メタ)アクリレートである、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記光開始剤が、フリーラジカル光開始剤及び/又はイオン性光開始剤、好ましくはフリーラジカル光開始剤である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
成分(A)の量が、組成物の総質量に基づいて、0.1~85質量%、好ましくは0.5~70質量%、より好ましくは1~60質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
成分(B)の量が、組成物の総質量に基づいて、0.1~85質量%、好ましくは0.5~70質量%、より好ましくは1~60質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
成分(C)の量が、組成物の総質量に基づいて、10~99質量%、好ましくは30~90質量%、より好ましくは35~90質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
成分(D)の量が、組成物の総質量に基づいて、0.1~10質量%、好ましくは0.1~8質量%、より好ましくは0.1~5質量%の範囲である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
成分(A)及び成分(B)を脱ブロック化した後、組成物におけるイソシアネート基のアミノ基に対するモル比が、1.3~0.7の範囲、好ましくは1.2~0.8の範囲、より好ましくは1.1~0.9の範囲である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記リガンドが、単座リガンド、例えばF、Cl、Br、I、CN、SCN、NCS、OH、ニトロ、NO 、CHCOO、SO 2-、S 2-及びカルボニル;二座リガンド、例えばエチレンジアミン、1,10-フェナントロリン(phen)、8-ヒドロキシキノリン、HN-CH-COO及びC 2-;多座リガンド、例えばジエチレントリアミン(DEN)、ニトリロ三酢酸(NTA)及びエチレンジアミン四酢酸から選択され、好ましくは、前記リガンドが、単座リガンドのF、Cl、Br、I、CN、SCN、NCS、OH、ニトロ、NO 、CHCOO、SO 2-、S 2-及びカルボニルから選択される、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
成分(E)の助剤、例えば界面活性剤、非反応性希釈剤、顔料、フィラー、染料、及び可塑剤を、好ましくは組成物の総質量に基づいて、0~60質量%、好ましくは0~50質量%、より好ましくは0~40質量%の範囲の量でさらに含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
新鮮に調製した状態から7日間保存した状態までの、DIN EN ISO 3219に従って23℃で測定した硬化性組成物の粘度の変化が10%未満、好ましくは8%未満である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
新鮮に調製した状態から14日間保存した状態までの、DIN EN ISO 3219に従って23℃で測定した硬化性組成物の粘度の変化が10%未満、好ましくは6%未満である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の硬化性組成物を使用することを含む、3D印刷物体を形成する方法。
【請求項16】
以下の工程:
(i)組成物を層の形態で適用し、適用された組成物を放射線により層ごとに硬化させて、中間3D印刷物体を形成する工程;
(ii)放射線によって中間3D印刷物体全体を硬化させて、硬化した3D印刷物体を形成する工程;及び
(iii)硬化した3D印刷物体全体を熱硬化させて、最終的な3D印刷物体を形成する工程
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程(i)において、ステレオリソグラフィー、フォトポリマージェッティング、デジタルライトプロセッシング、又はLCD技術を使用して、中間3D印刷物体を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記放射線がUV放射線である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項1に記載の組成物から形成されるか、又は請求項15に記載の方法によって得られる、3D印刷物体。
【請求項20】
前記3D印刷物体が、靴底、アウターウェア、布、履物、玩具、マット、タイヤ、ホース、手袋、シール、補聴器などの医療器具、及び歯科部品を含む、請求項19に記載の3D印刷物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元(以下「3D」という)印刷用の組成物に関する。特に、本発明は、3D印刷用の二重硬化性組成物に関する。本発明はさらに、該組成物を用いて3D印刷物体を形成する方法、及びそれから形成された3D印刷物体に関する。
【背景技術】
【0002】
ステレオリソグラフィー(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、フォトポリマージェッティング(PPJ)などの3D印刷技術は、ラピッドプロトタイピング、補聴器の製造、及び歯科用部品の製造など、多くの用途で使用されている。フォトポリマーは、SLA、DLP、PPJなどの技術により、UV又は可視光線によって引き起こされる光開始重合によって3D印刷することができる。
【0003】
3D印刷物体を得るために、アクリレート又はエポキシは、従来から使用されている放射線硬化性材料の主要なクラスの1つである。アシレート又はエポキシの光開始重合は、3D印刷物体の3D印刷プロセス中に起こる。しかし、ポリアクリレート又はポリエポキシドは、良好な機械的特性、例えば良好な弾性率又は靭性を達成することができない。
【0004】
ウレタン結合又はウレア結合を導入することは、印刷物体の特性を向上させる良い方法である。一般に、ウレタン/ウレア結合は、ウレタン/ウレアをベースとするアクリレート又はエポキシを使用することにより導入される。しかしながら、得られるオリゴマーは、通常、粘度が高いため、反応性希釈剤を導入して粘度を下げる必要がある。反応性希釈剤を導入すると、最終的なネットワーク中のウレタン/ウレア結合が希釈されるため、印刷物体の特性が犠牲になる。
【0005】
近年、印刷工程中にポリアクリレートネットワークを構築し、後処理中にポリウレタン/ウレアネットワークを構築する二重硬化メカニズによってポリウレタン/ウレアを導入することが報告されている。しかし、これらの二重硬化樹脂は、樹脂の安定性が悪く、2成分システムとして保存する必要がある。
【0006】
したがって、SLA、DLP、PPJなどの技術による3D印刷プロセスを成功させ、同時に良好な機械的特性をもたらす、長期安定性を有する二重硬化性組成物を提供することが強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート及び少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミンを含む硬化性組成物を提供することであり、ここで、非反応性ブロック化ジアミンは、ジアミンをリガンドでブロック化することによって形成される。この硬化性組成物は、二重硬化メカニズによって硬化可能であり、優れた長期安定性を示し、それから得られる3D印刷物体は良好な機械的特性を維持する。
【0008】
本発明の別の目的は、本発明の硬化性組成物から形成された3D印刷物体を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、本発明の硬化性組成物を使用して3D印刷物体を形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、上記の目的は以下の実施形態によって達成できることが判明した。
【0011】
1.(A)少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)少なくとも1種の光開始剤
を含む硬化性組成物であって、
成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される、硬化性組成物。
【0012】
2.成分(A)を形成するためのジイソシアネートが、ジイソシアネートモノマー及び/又はジイソシアネートプレポリマーを含み、
前記ジイソシアネートモノマーが、脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくは、成分(A)を形成するためのジイソシアネートが、3~40個の炭素原子を有するジイソシアネートから選択され、より好ましくは、成分(A)を形成するためのジイソシアネートが、シクロヘキシル-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートからなる群から選択され;
前記ジイソシアネートプレポリマーが、ジイソシアネートモノマーとポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、又はジアミンとの反応から得られる、より好ましくはジイソシアネートモノマーとポリエーテルジオールとの反応から得られる2つの遊離イソシアネート基を有するプレポリマーであり、2つの遊離イソシアネート基を有する好ましいジイソシアネートプレポリマーが、2つの遊離イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマー、2つの遊離イソシアネート基を有するポリウレアプレポリマー、及びそれらの組み合わせである、実施形態1に記載の硬化性組成物。
【0013】
3.成分(B)を形成するためのジアミンが、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、脂肪族-芳香族ジアミン、脂環式-芳香族ジアミン、脂肪族-脂環式ジアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
好ましくは、成分(B)を形成するためのジアミンが、式NH-R-NH、NHR-R-NHR、NH-P-NH及びNHR-P-NHRのジアミンからなる群から選択され
(式中、ラジカルRは、3~40個の炭素原子、より好ましくは3~30個の炭素原子を有する、直鎖状又は環状の二価ヒドロカルビル、脂肪族又は芳香族の二価ヒドロカルビルであり、
Pは脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族-芳香族、脂環式-芳香族、脂肪族-脂環式のポリエステル部分、ポリエーテル部分、ポリウレタン部分、又はポリウレア部分、又はこれらの組み合わせであり、好ましくは、Pは脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族-芳香族、脂環式-芳香族、脂肪族-脂環式のポリエステル部分、ポリエーテル部分、又はポリウレタン部分であり、より好ましくは、Pは脂肪族のポリエステル部分、ポリエーテル部分、又はポリウレタン部分であり、
及びRは、互いに独立して、C~C10-アルキル、C~C20-アリール、C~C20-アリールアルキル、C~C20-アルキルアリール又はC~C20-シクロアルキルである)、
より好ましくは、成分(B)を形成するためのジアミンが、ブチレンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、フェニレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、NH-R-NH、NHR-R-NHR、NH-P-NH及びNHR-P-NHR(式中、RはC~C10-アルキレンであり、Pは脂肪族のポリエステル部分、ポリエーテル部分又はポリウレタン部分であり、R及びRは、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル及びブチルである)のジアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1又は2に記載の硬化性組成物。
【0014】
4.反応性成分(C)が少なくとも1つの放射線硬化性官能基を含有し、好ましくは、前記放射線硬化性官能基が、エチレン性不飽和官能基、エポキシ基、又はそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、前記放射線硬化性官能基がエチレン性不飽和官能基であり、好ましくは反応性成分(C)が1~12個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~8個のエチレン性不飽和官能基を有する(メタ)アクリレートである、実施形態1から3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0015】
5.前記光開始剤が、フリーラジカル光開始剤及び/又はイオン性光開始剤、好ましくはフリーラジカル光開始剤である、実施形態1から4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0016】
6.成分(A)の量が、組成物の総質量に基づいて、0.1~85質量%、好ましくは0.5~70質量%、より好ましくは1~60質量%の範囲である、実施形態1から5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0017】
7.成分(B)の量が、組成物の総質量に基づいて、0.1~85質量%、好ましくは0.5~70質量%、より好ましくは1~60質量%の範囲である、実施形態1から6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0018】
8.成分(C)の量が、組成物の総質量に基づいて、10~99質量%、好ましくは30~90質量%、より好ましくは35~90質量%の範囲である、実施形態1から7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0019】
9.成分(D)の量が、組成物の総質量に基づいて、0.1~10質量%、好ましくは0.1~8質量%、より好ましくは0.1~5質量%の範囲である、実施形態1から8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0020】
10.成分(A)及び成分(B)を脱ブロック化した後、組成物におけるイソシアネート基のアミノ基に対するモル比が、1.3~0.7の範囲、好ましくは1.2~0.8の範囲、より好ましくは1.1~0.9の範囲である、実施形態1から9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0021】
11.前記リガンドが、単座リガンド、例えばF、Cl、Br、I、CN、SCN、NCS、OH、ニトロ、NO 、CHCOO、SO 2-、S 2-及びカルボニル;二座リガンド、例えばエチレンジアミン、1,10-フェナントロリン(phen)、8-ヒドロキシキノリン、HN-CH-COO及びC 2-;多座リガンド、例えばジエチレントリアミン(DEN)、ニトリロ三酢酸(NTA)及びエチレンジアミン四酢酸から選択され、好ましくは、前記リガンドが、単座リガンドのF、Cl、Br、I、CN、SCN、NCS、OH、ニトロ、NO 、CHCOO、SO 2-、S 2-及びカルボニルから選択される、実施形態1から10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0022】
12.成分(E)の助剤、例えば界面活性剤、非反応性希釈剤、顔料、フィラー、染料、及び可塑剤を、好ましくは組成物の総質量に基づいて、0~60質量%、好ましくは0~50質量%、より好ましくは0~40質量%の範囲の量でさらに含む、実施形態1から11のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0023】
13.新鮮に調製した状態から7日間保存した状態までの、DIN EN ISO 3219に従って23℃で測定した硬化性組成物の粘度の変化が10%未満、好ましくは8%未満である、実施形態1から12のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0024】
14.新鮮に調製した状態から14日間保存した状態までの、DIN EN ISO 3219に従って23℃で測定した硬化性組成物の粘度の変化が10%未満、好ましくは6%未満である、実施形態1から13のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【0025】
15.実施形態1から14のいずれか一項に記載の硬化性組成物を使用することを含む、3D印刷物体を形成する方法。
【0026】
16.以下の工程:
(i)組成物を層の形態で適用し、適用された組成物を放射線により層ごとに硬化させて、中間3D印刷物体を形成する工程;
(ii)放射線によって中間3D印刷物体全体を硬化させて、硬化した3D印刷物体を形成する工程;及び
(iii)硬化した3D印刷物体全体を熱硬化させて、最終的な3D印刷物体を形成する工程
を含む、実施形態15に記載の方法。
【0027】
17.工程(i)において、ステレオリソグラフィー、フォトポリマージェッティング、デジタルライトプロセッシング、又はLCD技術を使用して、中間3D印刷物体を形成する、実施形態16に記載の方法。
【0028】
18.前記放射線がUV放射線である、実施形態16又は17に記載の方法。
【0029】
19.実施形態1から14のいずれか一項に記載の組成物から形成されるか、又は実施形態15から18のいずれか一項に記載の方法によって得られる、3D印刷物体。
【0030】
20.前記3D印刷物体が、靴底、アウターウェア、布、履物、玩具、マット、タイヤ、ホース、手袋、シール、補聴器などの医療器具、及び歯科部品を含む、実施形態19に記載の3D印刷物体。
【0031】
本発明の硬化性組成物は、二重硬化メカニズによって硬化可能であり、優れた長期安定性を示し、それから得られる3D印刷物体は良好な機械的特性を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施例で用いた繰返し引張試験における無負荷曲線下の面積及び負荷曲線下の面積を示す模式図である。
図2図2は、実施例A1の3D印刷物体の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書で使用される以下の用語は、別段に明記しない限り、それらに付与された以下の意味を有する。
【0034】
冠詞「a」、「an」、「the」は、当該冠詞に続く用語で指定される1つ以上の種を意味する。
【0035】
本開示の文脈では、特徴について言及された任意の具体的な値(端点としての範囲に言及された具体的な値を含む)を再結合して、新たな範囲を形成することができる。
【0036】
本発明のさらなる実施形態は、特許請求の範囲、明細書、実施例及び図面から識別可能である。本発明の主題の前述の特徴及び本明細書においてさらに説明される特徴は、示された特定の組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく他の組み合わせでも利用可能であることが理解されるであろう。
【0037】
硬化性組成物
本発明の1つの態様は、以下の成分:
(A)少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)少なくとも1種の光開始剤
を含む硬化性組成物に関し、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0038】
ジイソシアネート(A)
本発明の硬化性組成物は、成分(A)として少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネートを含む。
【0039】
本発明の成分(A)を形成するのに好適なジイソシアネートは、イソシアネート基が炭化水素ラジカルに結合しているものだけでなく、イソシアネート基が、例えばエステル基、エーテル基などの一部として、酸素又は窒素などのヘテロ原子を含むラジカルに結合しているもの、及びこれらの組み合わせを含む、1個の分子あたり2個のイソシアネート基を有する任意の有機化合物から選択することができる。
【0040】
本発明の成分(A)を形成するのに好適なジイソシアネートは、ジイソシアネートモノマーおよび/またはジイソシアネートプレポリマーを含む、脂肪族ジイソシアネート、又は芳香族脂肪族ジイソシアネート、又は脂環式ジイソシアネート、又は芳香族ジイソシアネートであってもよい。
【0041】
例えば、ジイソシアネートは、3~40個の炭素原子を含有してもよく、異なる実施形態において、ジイソシアネートは、4~20個、5~24個、又は6~18個の炭素原子を含有してもよい。特定の実施形態において、ジイソシアネートは対称の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートである。
【0042】
好適なジイソシアネートモノマーの非限定的な例としては、脂肪族ジイソシアネート、例えばトリメチレン-1,3-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート、例えば1,4-、1,3-又は1,2-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’-又は2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)-メタン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3-又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4-又は2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン;及び芳香族ジイソシアネート、例えば2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート及びそれらの異性体混合物、m-又はp-キシリレンジイソシアネート、2,4’-又は4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの異性体混合物、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、1-クロロ-2,4-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、3-メチルジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン又はジフェニルエーテル4,4’-ジイソシアネート;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0043】
好ましくは、ジイソシアネートモノマーは、シクロヘキシル-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0044】
本発明において、本発明の成分(A)を形成するのに好適なジイソシアネートは、ジイソシアネートプレポリマーも含む。「ジイソシアネートプレポリマー」という用語は、2つの遊離イソシアネート基を有するプレポリマーを意味する。
【0045】
本発明に適したジイソシアネートプレポリマーは、イソシアネート成分のNCO官能基を活性水素含有材料と、例えば30~200℃、好ましくは約50~180℃の温度で反応させて、2個の遊離イソシアネート基を有するイソシアネート末端プレポリマーを与えることによって得ることができる。例えば、本発明に適したジイソシアネートプレポリマーは、少なくとも1種のジイソシアネートモノマーを少なくとも1種のジオール又はジアミンと反応させることによって製造されるジイソシアネートオリゴマーを含む。ジイソシアネートモノマーは、上記のものから選択することができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、活性水素含有材料は、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、及びジアミンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、活性水素含有材料は、ポリエーテルジオールである。いくつかの実施形態において、活性水素含有材料は、ポリエステルジオールである。いくつかの実施形態において、活性水素含有材料は、1種以上のポリエステルジオールと1種以上のポリエーテルジオールとの混合物である。
【0047】
例えば、本発明に適したジイソシアネートプレポリマーは、ポリエステルジオールをベースとするジイソシアネートプレポリマー、ポリエーテルジオールをベースとするジイソシアネートプレポリマー、ポリカーボネートジオールをベースとするジイソシアネートプレポリマー、及びジアミンをベースとするジイソシアネートプレポリマーであってもよい。
【0048】
ポリエステルジオールは、好ましくは酸単位とアルコール単位を交互に含む。酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、無水フタル酸、フタル酸、又は上記酸及び/又は無水物の混合物を使用することが好ましい。使用されるアルコール成分としては、エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1-4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、又は上記アルコールの混合物が挙げられる。
【0049】
ポリエーテルジオールとしては、エチレンオキシド単位とプロピレンオキシド単位の繰り返しから作られる、好ましくは35~100モル%のプロピレンオキシド単位の割合、特に好ましくは50~100モル%のプロピレンオキシド単位の割合を有するポリエーテルジオールが好ましい。これらは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダムコポリマー、グラフト化コポリマー、交互コポリマー又はブロックコポリマーであり得る。好適なポリエーテルジオールは、ポリテトラヒドロフランであってもよい。
【0050】
好適なポリカーボネートジオールは、ジオール、例えば1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール又はテトラエチレングリコールを、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネート、又はホスゲンと反応させることによって得られる生成物を含むことができる。
【0051】
好適なジアミンとしては、例えば、ジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノヘキサン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン、IPDA)、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ヒドラジン水和物が挙げられる。
【0052】
2個の遊離イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマー、2個の遊離イソシアネート基を有するポリウレアプレポリマー、及びこれらの組み合わせも、本発明において好適なジイソシアネートとして使用することができる。
【0053】
本発明において、成分(A)は、ジイソシアネートをブロック化剤でブロック化することにより形成される。「非反応性ブロック化ジイソシアネート」とは、構造中に放射線硬化性基が存在しないため、放射線硬化条件下ではブロック化ジイソシアネートが硬化しないことを意味する。
【0054】
非反応性ブロック化ジイソシアネートは、熱によって脱ブロック化した後、1個の分子あたり2個の遊離イソシアネート基を放出する。通常、脱ブロック化とは、60~200℃などの高温(脱ブロック化温度と呼ばれる)にさらすことを意味する。脱ブロック化温度は、触媒、脱ブロック化剤、溶媒などによって制御することができる。その後、遊離NCO基は活性水素と反応してポリマーネットワークを形成する。
【0055】
ブロック化剤とは、イソシアネート基をブロック化された(キャップされた又は保護された)イソシアネート基に変換する化合物を意味し、その後、脱ブロック化温度未満では、遊離イソシアネート基の通常の反応を示さない。NCO基に対する好適なブロック化剤の例には、オキシム、フェノール、イミダゾール、ピラゾール、ピラゾリノン、トリアゾール、ジケトピペラジン、カプロラクタム、マロン酸エステル、又はZ.W.Wicksによる刊行物、Prog.Org.Coat.3(1975)73-99及びProg.Org.Coat.Coat 9(1981),3-28、D.A.Wicks及びZ.W.Wicksによる刊行物、Prog.Org.Coat.36(1999),148-172及びProg.Org.Coat.41(2001),1-83、及びHouben-Weyl,Methoden der Organischen Chemie,Vol.XIV/2,61 ff.Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1963で特定されている化合物が含まれる。
【0056】
例えば、成分(A)を形成するための好適なブロック化剤は、オキシム、例えばメチルエチルケトオキシム又はジメチルケトオキシム;ラクタム、例えばカプロラクタム、ピペリドン、ケトピロリジン、又はラウリルラクタム、好ましくはε-カプロラクタム;ジケトン、例えばアセト酢酸ジエステル、イミダゾール、例えばイミダゾール又は2-エチルイミダゾール、又はフェノール化合物、例えばm-クレゾールからなる群から選択されてもよい。
【0057】
成分(A)の量は、本発明の組成物の総質量に基づいて、0.1~85質量%の範囲、例えば0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、1.0質量%、5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、85質量%、好ましくは0.5~70質量%、又は5~65質量%、又は10~60質量%、又は15~55質量%、又は1~70質量%、1~60質量%、5~55質量%、10~50質量%であることができる。
【0058】
本発明の非反応性ブロック化ジイソシアネートとしての非限定的な例としては、BL-16(メチルエチルケトンオキシム(MEKO)でブロック化された、TDI/ポリエーテル、Lanxess製);及びBLM-500(MEKOでブロック化された、LF MDI/ポリエーテル、Lanxess製)が挙げられる。
【0059】
ジアミン(B)
本発明の硬化性組成物は、成分(B)として少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミンを含む。
【0060】
本発明の成分(B)を形成するのに好適なジアミンは、アミノ基が炭化水素ラジカルに結合しているものだけでなく、アミノ基が、例えばエステル基、エーテル基などの一部として、酸素又は窒素などのヘテロ原子を含むラジカルに結合しているもの、及びこれらの組み合わせを含む、1個の分子あたり2個のアミノ基を有する任意の有機化合物から選択することができる。
【0061】
本発明の成分(B)を形成するのに好適なジアミンのアミノ基は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基であってもよい。
【0062】
本発明の成分(B)を形成するのに好適なジアミンは、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、脂肪族-芳香族ジアミン、脂環式-芳香族ジアミン、脂肪族-脂環式ジアミン及びそれらの組み合わせであってもよい。
【0063】
本発明に好適なジアミンは、式NH-R-NH又はNHR-R-NHRのものであってよく、式中、ラジカルRは、3~40個の炭素原子、より好ましくは3~30個の炭素原子を有する、直鎖状又は環状の二価ヒドロカルビル、脂肪族又は芳香族の二価ヒドロカルビルであり;R及びRは、互いに独立して、C~C10-アルキル、C~C20-アリール、C~C20-アリールアルキル、C~C20-アルキルアリール又はC~C20-シクロアルキルである。
【0064】
好ましいジアミンの例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン(1,2-ジアミノプロパン及び1,3-ジアミノプロパン)、テトラメチレンジアミン(1,4-ジアミノブタン)、1,5-ジアミノペンタン、1,3-ジアミノ-2,2-ジエチルプロパン、1,3-ビス(メチルアミノ)プロパン、ヘキサメチレンジアミン(1,6-ジアミノヘキサン)、ヘプタンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、フェニレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジフェニルスルホン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、3-(プロピルアミノ)プロピルアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、イソホロンジアミン(IPDA)、3(又は4),8(又は9)-ビス(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン異性体混合物、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタメチレンジアミン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-アミノプロピルシクロヘキシルアミン、3(4)-アミノメチル-1-メチルシクロヘキシルアミン、1,4-ジアミノ-4-メチルペンタン、アミン末端ポリオキシアルキレンポリオール(いわゆるJeffamines)又はアミン末端ポリテトラメチレングリコール、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0065】
ブチレンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、フェニレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン;NHR-R-NHR(式中、RはC~C10-アルキレンであり、R及びRは、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル及びブチルである)のジアミン;及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるジアミンが好ましい。
【0066】
本発明において、本発明の成分(B)を形成するのに好適なジアミンとして、2つの1級アミノ基又は2級アミノ基を有するジアミンプレポリマーを使用することもできる。例えば、ジアミンプレポリマーは、NH-P-NH又はNHR-P-NHRの式を有することができ、式中、Pは脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族-芳香族、脂環式-芳香族、脂肪族-脂環式のポリエステル部分、ポリエーテル部分、ポリウレタン部分、又はポリウレア部分、又はこれらの組み合わせであり、好ましくは、Pは脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族-芳香族、脂環式-芳香族、脂肪族-脂環式のポリエステル部分、ポリエーテル部分、又はポリウレタン部分であり、より好ましくは、Pは脂肪族のポリエステル部分、ポリエーテル部分、又はポリウレタン部分であり、R及びRは上記と同じ定義を有する。
【0067】
本発明において、成分(B)は、ジアミンをリガンドでブロック化することによって形成される。「非反応性ブロック化ジアミン」という用語は、ブロック化ジアミンが放射線硬化条件下で反応しないことを意味する。
【0068】
本発明のためのリガンドの選択に制限はない。リガンドは、実用的な用途に応じて当業者が選択することができる。一般的には、配位子の例には、単座リガンド、例えばF、Cl、Br、I、CN、SCN、NCS、OH、ニトロ、NO 、CHCOO、SO 2-、S 2-及びカルボニル;二座リガンド、例えばエチレンジアミン、1,10-フェナントロリン(phen)、8-ヒドロキシキノリン、HN-CH-COO及びC 2-;多座リガンド、例えばジエチレントリアミン(DEN)、ニトリロ三酢酸(NTA)及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が含まれる。
【0069】
本発明の非反応性ブロック化ジアミンは、脱ブロック化した後、1個の分子あたり2個の遊離アミノ基(1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含む)を放出する。
【0070】
成分(B)の量は、本発明の組成物の総質量に基づいて、0.1~85質量%の範囲、例えば0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、1.0質量%、5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%、85質量%、好ましくは0.5~70質量%、又は5~65質量%、又は10~60質量%、又は15~55質量%、又は1~70質量%、1~60質量%、5~55質量%、10~50質量%であることができる。
【0071】
好ましくは、本発明の硬化性組成物において、成分(B)の量は、成分(A)及び成分(B)を脱ブロック化した後、組成物におけるイソシアネート基のアミノ基に対するモル比が1.3~0.7の範囲、好ましくは1.2~0.8の範囲、より好ましくは1.1~0.9の範囲であるように選択される。
【0072】
本発明の非反応性ブロック化ジアミンとしての非限定的な例としては、Xylink 311(4,4’-ジアミノジフェニルメタンとNaClとの錯体、Suzhou Xiangyuan New Material Co.,Jiangsu,China製);及びDuracure C3(アジピン酸ジオクチルに分散した約44%のMDA-NaCl塩、Lanxessから市販されている)を挙げることができる。
【0073】
反応性成分(C)
本発明の硬化性組成物は、成分(C)として少なくとも1種の反応性成分を含む。本発明において、反応性成分(C)としては、一般に3D印刷に使用可能な反応性成分を使用することができる。本発明の反応性成分(C)は、少なくとも1つの放射線硬化性官能基を含有する。
【0074】
本発明の実施形態において、本発明の反応性成分(C)は、少なくとも1つの放射線硬化性官能基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーを含む。
【0075】
本発明の反応性成分(C)の放射線硬化性官能基は、エチレン性不飽和官能基、エポキシ基、又はそれらの混合物からなる群から選択することができる。例えば、反応性成分(C)として好適な少なくとも1つの放射線硬化性官能基を含有するモノマー及び/又はオリゴマーの少なくとも1つの放射線硬化性官能基は、エチレン性不飽和官能基、エポキシ基、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0076】
好ましくは、反応性成分(C)中の放射線硬化性官能基の数は、反応性成分(C)の1個の分子当たり、1~12個、好ましくは1~10個、例えば1~8個の範囲である。
【0077】
少なくとも1つのエポキシ基を含有する反応性成分(C)としての非限定的な例としては、エポキシ化オレフィン、芳香族グリシジルエーテル、脂肪族グリシジルエーテル、又はそれらの組み合わせ、好ましくは芳香族又は脂肪族グリシジルエーテルを挙げることができる。
【0078】
可能なエポキシ化オレフィンの例には、エポキシ化C~C10-オレフィン、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2-ブテンオキシド、ビニロキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンが含まれ、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニロキシラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はエピクロロヒドリンが特に好ましく、エチレンオキシド及びエピクロロヒドリンが非常に特に好ましい。
【0079】
芳香族グリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、フェノール/ジシクロペンタジエンのアルキル化生成物、例えば2,5-ビス[(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]オクタヒドロ-4,7-メタノ-5H-インデン(CAS番号[13446-85-0])、トリス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]メタン異性体(CAS番号[66072-39-7])、フェノールベースエポキシノボラック(CAS番号[9003-35-4])、クレゾールベースエポキシノボラック(CAS番号[37382-79-9])が挙げられる。
【0080】
脂肪族グリシジルエーテルの例には、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,1,2,2-テトラキス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エタン(CAS番号[27043-37-4])、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル(α,ω-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ポリ(オキシプロピレン)、CAS番号[16096-30-3])、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、CAS番号[13410-58-7])が含まれる。
【0081】
より好ましくは、本発明の反応性成分(C)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有する。
【0082】
本発明の実施形態において、エチレン性不飽和官能基は、炭素-炭素不飽和結合、例えば以下の官能基に見られるものを含有する:アリル、ビニル、アクリレート、メタクリレート、アクリロキシ、メタクリロキシ、アクリルアミド、メタクリルアミド、アセチレニル、マレイミドなど;好ましくは、エチレン性不飽和官能基は炭素-炭素不飽和二重結合を含有する。
【0083】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の反応性成分(C)は、エチレン性不飽和官能基及び/又はエポキシ基に加えて、ウレタン基、エーテル基、エステル基、カーボネート基、及びそれらの任意の組み合わせを含有する。
【0084】
本発明の反応性成分(C)として、少なくとも1つの放射線硬化性官能基を含有するオリゴマーは、例えば、任意に連結基(linking group)を介してエチレン性不飽和官能基に結合されたコア構造を含有するオリゴマーを含む。連結基は、エーテル、エステル、アミド、ウレタン、カーボネート、又はカーボネート基であり得る。いくつかの態様において、連結基はエチレン性不飽和官能基の一部であり、例えばアクリロキシ基又はアクリルアミド基である。コア基は、アルキル(直鎖及び分岐鎖アルキル基)、アリール(例えばフェニル)、ポリエーテル、ポリエステル、シロキサン、ウレタン、又は他のコア構造及びそれらのオリゴマーであり得る。好適なエチレン性不飽和官能基は、炭素-炭素二重結合を含有する基、例えば、メタクリレート基、アクリレート基、ビニルエーテル基、アリルエーテル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態において、好適なオリゴマーは、単官能及び/又は多官能アクリレート、例えばモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、又はより多官能のもの、又はそれらの組み合わせを含む。任意に、オリゴマーは、3D印刷用の放射線硬化性組成物の硬化性、柔軟性及び/又は追加の特性をさらに改善するために、シロキサン骨格を含むことができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの放射線硬化性官能基を含有するオリゴマーは、以下のクラスから選択することができる:ウレタン(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するウレタンベースオリゴマー)、ポリエーテル(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するポリエーテルベースオリゴマー)、ポリエステル(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するポリエステルベースオリゴマー)、ポリカーボネート(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するポリカーボネートベースオリゴマー)、ポリエステルカーボネート(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するポリエステルカーボネートベースオリゴマー)、エポキシ(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するエポキシベースオリゴマー)、シリコーン(すなわち、エチレン性不飽和官能基を含有するシリコーンベースオリゴマー)又はそれらの任意の組み合わせ。好ましくは、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するオリゴマーは、以下のクラスから選択することができる:ウレタンベースオリゴマー、エポキシベースオリゴマー、ポリエステルベースオリゴマー、ポリエーテルベースオリゴマー、ポリエーテルウレタンベースオリゴマー、ポリエステルウレタンベースオリゴマー又はシリコーンベースオリゴマー、及びそれらの任意の組み合わせ。
【0086】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するオリゴマーは、ウレタン繰り返し単位と、1つ、2つ以上のエチレン性不飽和官能基、例えば炭素-炭素不飽和二重結合を含有するもの、例えば(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基及びビニル基とを含むウレタンベースオリゴマーを含む。好ましくは、オリゴマーは、オリゴマー分子の主鎖内に少なくとも1つのウレタン結合(例えば、1つ、2つ以上のウレタン結合)、及びオリゴマー分子にペンダントしている少なくとも1つのアクリレート及び/又はメタクリレート官能基(例えば、1つ、2つ以上のアクリレート及び/又はメタクリレート官能基)を含有する。いくつかの実施形態において、脂肪族、脂環式、又は脂肪族と脂環式混合のウレタン繰り返し単位が好適である。ウレタンは、典型的には、ジイソシアネートとジオールとの縮合によって調製される。繰り返し単位当たり少なくとも2つのウレタン部分を有する脂肪族ウレタンが有用である。さらに、ウレタンを調製するために使用されるジイソシアネート及びジオールは、同一であっても異なっていてもよい二価の脂肪族基を含む。
【0087】
一実施形態において、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するオリゴマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するポリエステルウレタンベースオリゴマー又はポリエーテルウレタンベースオリゴマーを含む。エチレン性不飽和官能基は、炭素-炭素不飽和二重結合を含有するもの、例えばアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、アリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基などであることができ、好ましくはアクリレート基及びメタクリレート基である。
【0088】
好適なウレタンベースオリゴマーは当該技術分野で知られており、多くの異なる手順によって容易に合成することができる。例えば、多官能アルコールをポリイソシアネート(好ましくは、化学量論的過剰のポリイソシアネート)と反応させて、NCO末端プレオリゴマーを形成し、これをその後、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー、例えばヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートと反応させることができる。多官能アルコールは、1個の分子当たり2個以上のOH基を含有するあらゆる化合物であり得、モノマーポリオール(例えば、グリコール)、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどであってもよい。本発明の一実施形態におけるウレタンベースオリゴマーは、(メタ)アクリレート官能基を含有する脂肪族ウレタンベースオリゴマーである。
【0089】
好適なポリエーテル又はポリエステルウレタンベースオリゴマーは、脂肪族又は芳香族ポリエーテル又はポリエステルポリオールと、(メタ)アクリレート基などのエチレン性不飽和官能基を含有するモノマーで官能基化された脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートとの反応生成物を含む。好ましい実施形態において、ポリエーテル及びポリエステルは、それぞれ脂肪族ポリエーテル及びポリエステルである。好ましい実施形態において、ポリエーテル及びポリエステルウレタンベースオリゴマーは、脂肪族ポリエーテル及びポリエステルウレタンベースオリゴマーであり、(メタ)アクリレート基を含む。
【0090】
一実施形態において、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含むオリゴマーの60℃における粘度は、DIN EN ISO 3219に従って測定され、200~200000cPの範囲、例えば500cP、800cP、1000cP、2000cP、3000cP、4000cP、5000cP、6000cP、7000cP、8000cP、10000cP、20000cP、30000cP、40000cP、50000cP、60000cP、70000cP、80000cP、90000cP、95000cP、好ましくは500~60000cP、例えば1000~50000cP、2000~40000cP、3000~20000cP、4000~15000cP、又は20000cP~60000cPであることができる。
【0091】
モノマーは組成物の粘度を下げることができる。モノマーは、単官能又は多官能(二官能、三官能など)であり得る。一実施形態において、モノマーは、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、20個以下の炭素原子を有するビニル芳香族物質、20個以下の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、3~8個の炭素原子を有するα,β-不飽和カルボン酸及びそれらの無水物、及びビニル置換複素環からなる群から選択することができる。
【0092】
本開示の文脈において、「(メタ)アクリレートモノマー」という用語は、(メタ)アクリレート部分を含むモノマーを意味する。(メタ)アクリレート部分の構造は以下の通りである:
【化1】
(式中、RはH又はメチルである)。
【0093】
(メタ)アクリレートモノマーは、単官能又は多官能(例えば二官能、三官能)の(メタ)アクリレートモノマーであり得る。例示的な(メタ)アクリレートモノマーとしては、C~C20アルキル(メタ)アクリレート、C~C10ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C~C10シクロアルキル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、2-(2-エトキシ)エチルアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチルアクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0094】
~C20アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-セチル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びイソステアリル(メタ)アクリレート(ISTA)が挙げられる。C~C18アルキル(メタ)アクリレート、特にC~C16アルキル(メタ)アクリレート又はC~C12アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0095】
~C10ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばC~Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、又は3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0096】
~C10シクロアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレートを挙げることができる。
【0097】
多官能(メタ)アクリレートモノマーの例としては、多官能アルコールの(メタ)アクリル酸エステル及び特にアクリル酸エステル、特にヒドロキシル基以外の官能基を持たないか、持つとしてもエーテル基を含むものを挙げることができる。このようなアルコールの例としては、例えば、二官能アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びより高い縮合度を有する対応物、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなど、1,2-、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、アルコキシル化フェノール化合物、例えばエトキシル化及び/又はプロポキシル化ビスフェノール、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキサンジメタノール、3以上の官能価を有するアルコール、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、及び対応するアルコキシル化、特にエトキシル化及び/又はプロポキシル化アルコールが挙げられる。
【0098】
本開示の文脈において、「(メタ)アクリルアミドモノマー」という用語は、(メタ)アクリルアミド部分を含むモノマーを意味する。(メタ)アクリルアミド部分の構造は以下の通りである:CH=CR-CO-N、式中、Rは水素又はメチルである。(メタ)アクリルアミドモノマーの具体例としては、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N-(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド、N,N’-メチレンビスメタクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)メタクリルアミド、N-(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド及びN,N-ジエチルメタクリルアミドが挙げられる。(メタ)アクリルアミドモノマーは、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0099】
20個以下の炭素原子を有するビニル芳香族物質の例としては、例えば、スチレン及びC~C-アルキル置換スチレン、例えばビニルトルエン、p-tert-ブチルスチレン及びα-メチルスチレンを挙げることができる。
【0100】
20個以下の炭素原子(例えば2~20個又は8~18個の炭素原子)を有するカルボン酸のビニルエステルの例としては、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び酢酸ビニルを挙げることができる。
【0101】
3~8個の炭素原子を有するα,β-不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸又はメタクリル酸を挙げることができる。
【0102】
ビニル置換複素環の例としては、モノビニル置換複素環(ここで、複素環は、2~7個の炭素原子、及びN、O及びSから選択される1~4個(好ましくは1又は2個)のヘテロ原子を含有する5~8員環である)、例えばビニルピリジン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルモルホリン-2-オン、N-ビニルカプロラクタム及び1-ビニルイミダゾール、ビニルアルキルオキサゾリジノン、例えばビニルメチルオキサゾリジノンを挙げることができる。
【0103】
好ましいモノマーは、(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、20個以下の炭素原子を有するビニル芳香族物質、及びビニル置換複素環である。
【0104】
好ましい実施形態において、本発明の反応性成分(C)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基を含有するオリゴマーとモノマーの両方を含む。オリゴマーとモノマーの質量比は、10:1~1:10、好ましくは8:1~1:8、又は5:1~1:5、又は3:1~1:5、又は1:1~1:4の範囲であり得る。
【0105】
反応性成分(C)の量は、本発明の組成物の総質量に基づいて、10~99質量%の範囲、例えば20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、70質量%、80質量%、85質量%、90質量%、92質量%、95質量%、96質量%、98質量%、99質量%、好ましくは10~99質量%、又は12~99質量%、又は20~99質量%、又は24~99質量%、又は25~99質量%、30~99質量%、35~99質量%、20~90質量%、25~90質量%、30~90質量%、35~90質量%、20~80質量%、25~80質量%、30~80質量%、35~80質量%、20~70質量%、25~70質量%、30~70質量%、35~70質量%である。一般に、反応性成分(C)の量は、粘度などに対する要求が異なる3D印刷機に依存する。
【0106】
光開始剤(D)
本発明の硬化性組成物は、成分(D)として少なくとも1種の光開始剤を含む。例えば、光開始剤成分(D)は、少なくとも1種のフリーラジカル光開始剤及び/又は少なくとも1種のイオン性光開始剤、好ましくは少なくとも1種(例えば1種又は2種)のフリーラジカル光開始剤を含んでもよい。3D印刷用組成物に使用するために当該技術分野で公知の全ての光開始剤を使用することが可能であり、例えば、SLA、DLP又はPPJプロセスに適した当該技術分野で公知の光開始剤を使用することが可能である。
【0107】
本発明のための光開始剤の例として、「Advances in Polymer Science」,第14巻,Springer Berlin 1974又はK.K.Dietliker,Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coatings,Inks and Paints,第3巻;Photo-initiators for Free Radical and Cationic Polymerization,P.K.T.Oldring(Ed.),SITA Technology Ltd,Londonで言及されているものを使用することが可能である。
【0108】
好適な例としては、ホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルアリールケトン、チオキサントン、アントラキノン、アセトフェノン、ベンゾイン及びベンゾインエーテル、ケタール、イミダゾール又はフェニルグリオキシル酸、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0109】
ホスフィンオキシドとしては、例えば、モノアシル-又はビスアシルホスフィンオキシド、例えばEP-A 7 508、EP-A 57 474、DE-A 196 18 720、EP-A 495 751又はEP-A 615 980に記載されているIrgacure(登録商標)819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド)、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(Lucirin(登録商標)TPO)、エチル2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート又はビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドが挙げられ;
ベンゾフェノンとしては、例えば、ベンゾフェノン、4-アミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o-メトキシベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4-ジメチルベンゾフェノン、4-イソプロピルベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、2,2’-ジクロロベンゾフェノン、4-メトキシベンゾフェノン、4-プロポキシベンゾフェノン又は4-ブトキシベンゾフェノンが挙げられ;
α-ヒドロキシアルキルアリールケトンとしては、例えば、1-ベンゾイルシクロヘキサン-1-オール(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン)、1-ヒドロキシアセトフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、又は共重合形態の2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペン-2-イルフェニル)プロパン-1-オンを含むポリマー(Esacure(登録商標)KIP 150)が挙げられ;
キサントン及びチオキサントンとしては、例えば、10-チオキサンテノン、チオキサンテノン-9-オン、キサンテン-9-オン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン又はクロロキサンテノンが挙げられ;
アントラキノンとしては、例えば、β-メチルアントラキノン、tert-ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズ[デ]アントラセン-7-オン、ベンズ[a]アントラセン-7,12-ジオン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン又は2-アミルアントラキノンが挙げられ;
アセトフェノンとしては、例えば、アセトフェノン、アセトナフトキノン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α-フェニルブチロフェノン、p-モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4-モルホリノベンゾフェノン、p-ジアセチルベンゼン、4’-メトキシアセトフェノン、α-テトラロン、9-アセチルフェナントレン、2-アセチルフェナントレン、3-アセチルフェナントレン、3-アセチルインドール、9-フルオレノン、1-インダノン、1,3,4-トリアセチルベンゼン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-2-オン又は2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オンが挙げられ;
ベンゾイン及びベンゾインエーテルとしては、例えば、4-モルホリノデオキシベンゾイン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインテトラヒドロピラニルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル又は7H-ベンゾインメチルエーテルが挙げられ;そして
ケタールとしては、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、2,2-ジエトキシアセトフェノン、又はベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタールが挙げられる。
【0110】
フェニルグリオキシル酸は、例えばDE-A 198 26 712、DE-A 199 13 353又はWO 98/33761に記載されている。
【0111】
同様に使用できる光開始剤は、例えばベンズアルデヒド、メチルエチルケトン、1-ナフトアルデヒド、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン又は2,3-ブタンジオンである。
【0112】
光重合開始剤の適切な混合物を使用することもできる。典型的な混合物としては、例えば以下が挙げられる:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オンと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの混合物;ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンの混合物;ベンゾフェノンと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの混合物;ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの混合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドと2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンの混合物;2,4,6-トリメチルベンゾフェノンと4-メチルベンゾフェノンの混合物;又は2,4,6-トリメチルベンゾフェノンと、4-メチルベンゾフェノンと、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドとの混合物。
【0113】
光開始剤(D)の量は、本発明の組成物の総質量に基づいて、0.1~10質量%の範囲、例えば0.2質量%、0.5質量%、0.8質量%、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、8質量%、又は10質量%、好ましくは0.1~8質量%又は0.1~5質量%の範囲であることができる。
【0114】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)0.1~85質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)0.1~85質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)10~99質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~10質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0115】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)0.1~85質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)0.1~85質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)10~99質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~8質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0116】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)0.1~85質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)0.1~85質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)10~99質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~5質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0117】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)0.5~65質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)0.5~65質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)30~90質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~10質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0118】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)0.5~65質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)0.5~65質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)30~90質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~8質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0119】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)0.5~65質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)0.5~65質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)30~90質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~5質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0120】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)1~60質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)1~60質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)35~90質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~10質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0121】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)1~60質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)1~60質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)35~90質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~8質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0122】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)1~60質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)1~60質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)35~90質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~5質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0123】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)5~55質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)5~55質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)30~70質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~10質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0124】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)5~55質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)5~55質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)30~70質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~8質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0125】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)5~55質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)5~55質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)30~70質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~5質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0126】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)10~50質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)10~50質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)35~70質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~10質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0127】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)10~50質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)10~50質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)35~70質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~8質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0128】
一実施形態において、本発明の硬化性組成物は、以下の成分:
(A)10~50質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジイソシアネート;
(B)10~50質量%の少なくとも1種の非反応性ブロック化ジアミン;
(C)35~70質量%の少なくとも1種の反応性成分;及び
(D)0.1~5質量%の少なくとも1種の光開始剤、
を含み、
ここで、成分(B)が、ジアミンをリガンドでブロック化することにより形成される。
【0129】
成分(E)
実用化のために、任意に、本発明の硬化性組成物は、成分(E)として助剤をさらに含んでもよい。
【0130】
助剤としての好ましい例としては、界面活性剤、希釈剤、難燃剤、核剤、滑剤、染料、顔料、触媒、UV吸収剤及び安定剤、例えば酸化、加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、無機及び/又は有機フィラー、補強材及び可塑剤を挙げることができる。加水分解防止剤としては、オリゴマー及び/又はポリマーの脂肪族又は芳香族カルボジイミドが好ましい。エージング及び有害な環境影響に対して本発明の硬化した材料を安定化させるために、好ましい実施形態では安定剤がシステムに添加される。
【0131】
界面活性剤としては、表面活性化合物、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性界面活性剤、及びそれらの混合物が挙げられる。このような界面活性剤は、例えば分散剤、可溶化剤などとして使用することができる。界面活性剤の例は、McCutcheon’s,Vol.1:Emulsifiers&Detergents,McCutcheon’s Directories,Glen Rock,USA,2008(International Ed.又はNorth American Ed.)に記載されている。好適なアニオン性界面活性剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムのスルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、及びそれらの混合物であってもよい。好適な非イオン性界面活性剤は、アルコキシレート、N-置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖ベース界面活性剤、ポリマー界面活性剤、及びこれらの混合物であってもよい。好適なカチオン性界面活性剤は、4級界面活性剤、例えば、1つ又は2つの疎水基を有する4級アンモニウム化合物、又は長鎖の1級アミンの塩であってもよい。好適な両性界面活性剤は、アルキルベタイン及びイミダゾリンであってもよい。
【0132】
本発明において好適な希釈剤は、例えば、(ビ)シクロ脂肪族物質、例えばシクロヘキサン及びそのアルキル化誘導体、及びデカヒドロナフタレン、環状スルホキシド、例えばスルホラン、窒素複素環、例えばピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、キナルジン及びN-メチルピロリドン、及びカルボキサミド、例えばN,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジメチルアセトアミドを含む。
【0133】
本発明の組成物が使用中に熱酸化損傷に曝される場合、好ましい実施形態では、酸化防止剤が添加される。フェノール酸化防止剤が好ましい。BASF SEからのIrganox(登録商標)1010のようなフェノール酸化防止剤は、Plastics Additive Handbook,第5版,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001,98-107頁,116頁及び121頁に記載されている。
【0134】
本発明の組成物がUV光に曝される場合、好ましくはUV吸収剤でさらに安定化される。UV吸収剤は、一般に、高エネルギーのUV光を吸収し、エネルギーを放散する分子として知られている。工業的に採用されている慣用のUV吸収剤は、例えば、桂皮酸エステル、ジフェニルシアンアクリレート、ホルムアミジン、ベンジリデンマロネート、ジアリールブタジエン、トリアジン及びベンゾトリアゾールの群に属する。市販のUV吸収剤の例は、Plastics Additive Handbook,第5版,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001,116-122頁に見出すことができる。
【0135】
上記の助剤に関するさらなる詳細は、専門文献、例えばPlastics Additive Handbook,第5版,H.Zweifel編,Hanser Publishers,Munich,2001に見出すことができる。
【0136】
可塑剤は、ポリマーのガラス転移温度(Tg)を下げるために使用することができる。可塑剤は、ポリマーの鎖の間に埋め込まれて鎖の間隔を広げ(「自由体積」を増加させ)、その結果、ポリマーのガラス転移温度を下げ、ポリマーを柔らかくすることによって機能する。可塑剤は、本発明において当業者が実際の用途に応じて選択することができる。例示的な可塑剤としては、ポリカルボン酸及びそのエステル、エポキシ化植物油;スルホンアミド、有機ホスフェート、グリコール/ポリエーテル及びそれらの誘導体、ポリマー可塑剤、生分解性可塑剤などが挙げられる。例えば、可塑剤は、シクロヘキサンジカルボン酸及びそのエステル、好ましくは1,2-シクロヘキサンジカルボン酸のエステル、より好ましくは1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(例えば、BASF SEからのHexamoll(登録商標)DINCH)からなる群から選択することができる。
【0137】
存在する場合、本発明の硬化性組成物中の成分(E)の量は、本発明の組成物の総質量に基づいて、0~60質量%の範囲、例えば5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、50質量%、60質量%、好ましくは0~50質量%、又は0~40質量%、又は0~30質量%であってよい。
【0138】
組成物の調製
本発明の1つの態様は、組成物の成分を混合することを含む、3D印刷用の本発明の硬化性組成物を調製する方法に関する。
【0139】
本発明の一実施形態によれば、混合は室温で撹拌しながら行うことができる。混合時間及び攪拌速度は、全成分が均一に混合される限り、特に制限されない。具体的な実施形態では、混合は1000~3000RPM、好ましくは1500~2500RPMで5~60分間、より好ましくは6~30分間行うことができる。
【0140】
本発明の硬化性組成物は、優れた長期安定性を示す。本発明のいくつかの実施形態において、新鮮に調製した状態から7日間保存した状態までの、DIN EN ISO 3219に従って23℃で測定した硬化性組成物の粘度の変化は、10%未満、好ましくは8%未満、例エバ1~7%の範囲であり得る。本発明のいくつかの実施形態において、新鮮に調製した状態から14日間保存した状態までの、DIN EN ISO 3219に従って23℃で測定した硬化性組成物の粘度の変化は、10%未満、好ましくは6%未満、例えば0.1~5.5%の範囲であり得る。
【0141】
3D印刷物体及びその調製
本発明の1つの態様は、本発明の硬化性組成物を使用することを含む、3D印刷物体を形成する方法に関する。
【0142】
本発明の一実施形態において、3D印刷物体を形成する方法は、以下の工程を含む:
(i)組成物を層の形態で適用し、適用された組成物を放射線により層ごとに硬化させて、中間3D印刷物体を形成する工程;
(ii)放射線によって中間3D印刷物体全体を硬化させて、硬化した3D印刷物体を形成する工程;及び
(iii)硬化した3D印刷物体全体を熱硬化させて、最終的な3D印刷物体を形成する工程。
【0143】
本発明によれば、工程(i)及び(ii)における硬化時間は、当業者によって実用化に従ってそれぞれ決定されてもよい。例えば、方法の工程(i)において、各層の硬化時間は、0.5~15秒、例えば1~10秒であってもよい。
【0144】
方法の工程(ii)において、中間3D印刷物体全体の硬化時間は、10分~500分の範囲、例えば20分、30分、40分、60分、80分、100分、120分、180分、250分、300分、400分、好ましくは10分~250分であってよい。
【0145】
工程(i)又は工程(ii)中の温度には特に制限はない。具体的には、使用する材料及び3D印刷機に応じて温度を選択してもよい。
【0146】
本発明の3D印刷物体を形成する方法の工程(iii)は、60~180℃、好ましくは80~150℃、より好ましくは100~140℃の温度で、例えば1時間~48時間、例えば2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、28時間、32時間、36時間、40時間、44時間、48時間、好ましくは4時間~36時間、6時間~36時間、8時間~36時間、10時間~24時間、12時間~24時間、12時間~20時間、16時間~36時間、20時間~36時間、24時間~36時間、28時間~36時間行われてもよい。工程(iii)中の温度は、必要に応じて変更することができる。例えば、本発明の実施形態において、本発明の3D印刷物体を形成する方法の工程(iii)を2段階で行われてもよく、第1段階が80℃の温度で1時間行われ、第2段階が130℃の温度で12時間行われる。
【0147】
本発明の3D印刷物体を形成する方法の工程(i)及び(ii)で使用される放射線は、実際の3D印刷用途に応じて当業者が採用することができる。例えば、放射線は、重合反応又は架橋反応を開始するのに十分なエネルギーを有する化学線であってもよい。化学線としては、α線、γ線、紫外線(UV放射線)、可視光線、及び電子線を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、UV放射線及び電子線、特にUV放射線が好ましい。
【0148】
具体的な実施形態において、照射光の波長は350~480nmの範囲、例えば365nm、385nm、395nm、405nm、420nm、440nm、460nm、480nmであり得る。
【0149】
ステレオリソグラフィー(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、フォトポリマージェッティング(PPJ)、LCD技術、又は当業者に公知の他の技術を、本発明の3D印刷物体を形成する方法の工程(i)に採用することができる。好ましくは、複雑な形状の硬化した3D物体の製造は、例えば、長年知られているステレオリソグラフィーによって行われる。この技術では、2つの工程(1)及び(2)を交互に繰り返すことにより、放射線硬化性組成物から所望の形状の物品が構築される。工程(1)において、放射線硬化性組成物の層(その1つの境界は組成物の表面である)が、形成されるべき成形品の所望の断面積に対応する表面領域内で、適切な画像化放射線、好ましくはコンピュータ制御走査レーザービームからの画像化放射線の助けを借りて硬化され、工程(2)において、硬化された層が放射線硬化性組成物の新しい層で覆われ、工程(1)及び(2)の一連が、所望の形状が完成するまでしばしば繰り返される。
【0150】
本発明はさらに、本発明の硬化性組成物から形成された、又は本発明の方法によって得られた3D印刷物体に関する。
【0151】
3D印刷物体の非限定的な例としては、靴底、アウターウェア、布、履物、玩具、マット、タイヤ、ホース、手袋、シール、補聴器などの医療器具、及び歯科部品が挙げられる。
【実施例
【0152】
本発明は、以下の非限定的な実施例を考慮することにより、より良く理解されるであろう。
【0153】
材料と略語
【0154】
【表1】
【0155】
方法
(1)硬度
ASTM D2240-15に従って、ASKER DUROMETER(TYPE A)を用いて、硬度を決定した。
【0156】
(2)エネルギーリターン(繰返し引張試験)
ISO 527-5:2009に従って、Stable Micro Systems Texture Analyser(TA-HD plus)を用いて、エネルギーリターンを測定し、ここで、以下のパラメーターを使用した:試験前速度:60.0mm/分;試験速度(荷重):100.2mm/分;試験後速度(無負荷):100.2mm/分;ひずみ:50%;サイクル数:6。
【0157】
負荷曲線と無負荷曲線下の面積によって、エネルギーリターンを計算した:
エネルギーリターン=(無荷曲線下の面積)/(負荷曲線下の面積)*100
図1では、エネルギーリターン=B/(A+B)*100%であり、ここで、Bは無負荷曲線下の面積を表し、A+Bは負荷曲線下の面積を表す。
【0158】
(3)粘度
DIN EN ISO 3219に従って、23℃で測定した。
【0159】
実施例A1、B1、B2、C1、B0-1、B0-2、C0
1.硬化性組成物の調製
表1に示す量の全ての成分をプラスチックバイアルに添加し、2000RPMでのスピードミキサーにより25℃で10分間混合することにより、実施例A1、B1、B2、C1、B0-1、B0-2、C0の硬化性組成物を調製した。表1の量は質量部で提供した。
【0160】
2.3D印刷物体の調製
すべての硬化性組成物をそれぞれMiicraft DLP 3Dで印刷し、UV照射と熱処理による後処理を行い、3D印刷物体を得た。詳細なプロセス条件を表2に示している。
【0161】
実施例A1で得られた3D印刷物体の写真を図2に示している。
【0162】
3.試験
各硬化性組成物について、新鮮に調製した組成物の粘度、調製から7日後の組成物の粘度、調製から14日後の組成物の粘度を試験した。
【0163】
各3D印刷物体については、硬度(ショアA)及びエネルギーリターンを試験した。
【0164】
結果を表1に示している。
【0165】
【表2】
【0166】
【表3】
図1
図2
【国際調査報告】