IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンの特許一覧

特表2024-534163太陽電池を接合するための導電性接着剤組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】太陽電池を接合するための導電性接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20240910BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240910BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20240910BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240910BHJP
   C09J 163/02 20060101ALI20240910BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240910BHJP
   H01B 1/24 20060101ALI20240910BHJP
   H01L 31/05 20140101ALI20240910BHJP
【FI】
C09J163/00
C09J11/04
C09J9/02
C09J11/08
C09J163/02
C09J11/06
H01B1/24 D
H01L31/04 570
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513083
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 CN2021115002
(87)【国際公開番号】W WO2023024071
(87)【国際公開日】2023-03-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン,シャシャ
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,ジービン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ドン,ボゥ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジュンシィ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,レイ
【テーマコード(参考)】
4J040
5F251
5G301
【Fターム(参考)】
4J040EC001
4J040FA132
4J040HA066
4J040HC23
4J040HD30
4J040HD36
4J040JB10
4J040KA03
4J040KA16
4J040KA24
4J040KA25
4J040KA29
4J040KA31
4J040KA35
4J040KA38
4J040LA09
4J040NA19
5F251EA19
5F251FA14
5F251FA15
5G301DA03
5G301DA57
5G301DD01
5G301DD03
5G301DE01
(57)【要約】
本発明は、(A)少なくとも1の非強化エポキシ樹脂、(B)任意に、少なくとも1の強化エポキシ樹脂、(C)少なくとも1のイミダゾール化合物、(D)少なくとも1の、イミダゾール化合物以外の潜在性アミン硬化剤、(E)少なくとも1の、20μm以下のD50粒度を有する銀フィラー、および(F)少なくとも1の、20~100μmのD50粒度を有する銀フィラーを含んでなる導電性接着剤組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1の非強化エポキシ樹脂、
(B)任意に、少なくとも1の強化エポキシ樹脂、
(C)少なくとも1のイミダゾール化合物、
(D)少なくとも1の、イミダゾール化合物以外の潜在性アミン硬化剤、
(E)少なくとも1の、20μm以下のD50粒度を有する銀フィラー、および
(F)少なくとも1の、20~100μmのD50粒度を有する銀フィラー
を含んでなる導電性接着剤組成物。
【請求項2】
成分(A)は、(メタ)アクリレート基を有しない非強化エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート基を含む非強化エポキシ樹脂、それらのハロゲン化物およびそれらの水素化物、並びに上記の組み合わせから選択され;好ましくは、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールS型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールZ型ジグリシジルエーテル、シクロペンタジエンエポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、それらのハロゲン化物およびそれらの水素化物、並びに上記の組み合わせから選択され;より好ましくは、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項3】
成分(B)は、コア-シェルゴム、液状ブタジエンゴム、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1の強化剤により強化された、少なくとも1の強化エポキシ樹脂である、請求項1または2に記載の導電性接着剤組成物。
【請求項4】
成分(C)は、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、およびそれらの組合せから選択される、請求項1~3のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項5】
成分(D)は、アミン化合物とエポキシ化合物、イソシアネート化合物および/または尿素化合物との反応生成物によって好ましくは得られたアミンアダクト潜在性アミン硬化剤;コア-シェル型潜在性アミン硬化剤;マスターバッチ型潜在性アミン硬化剤;およびそれらの組み合わせ、好ましくはコア-シェル型潜在性アミン硬化剤から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項6】
成分(E)は、好ましくは、9μm以下、より好ましくは1μm~9μmのD50粒度を有する、請求項1~5のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項7】
成分(F)は、好ましくは、20~70μm、より好ましくは20~50μmのD50粒度を有する、請求項1~6のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項8】
組成物は、(G)少なくとも1の、モノグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、およびそれらの組み合わせから選択されるエポキシ希釈剤を更に含む、請求項1~7のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項9】
組成物は、(H)少なくとも1の、カップリング剤、可塑剤、油、安定剤、酸化防止剤、防錆剤、キレート剤、顔料、染料、高分子添加剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、レオロジー調整剤、保湿剤、接着促進剤、分散剤、水、およびそれらの組み合わせから選択される添加剤を更に含む、請求項1~8のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項10】
成分(A)は、組成物の総重量に基づいて、5~30重量%、好ましくは12~20重量%の量で存在する、請求項1~9のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項11】
成分(B)は、組成物の総重量に基づいて、0~10重量%、好ましくは3~7重量%の量で存在する、請求項1~10のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項12】
成分(C)は、組成物の総重量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは1~3重量%の量で存在する、請求項1~11のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項13】
成分(D)は、組成物の総重量に基づいて、0.1~10重量%、より好ましくは1~7重量%の量で存在する、請求項1~12のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項14】
成分(E)は、組成物の総重量に基づいて、35~90重量%、より好ましくは40~80重量%の量で存在する、請求項1~13のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項15】
成分(F)は、組成物の総重量に基づいて、0.1~10重量%、より好ましくは1~10重量%の量で存在する、請求項1~14のいずれかに記載の導電性接着剤組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載の導電性接着剤組成物の硬化物。
【請求項17】
間隔をおいて配置された2つの基材を含む接合アセンブリであって、各基材は、内向きの表面と外向きの表面とを有し、2つの基材のそれぞれの内向きの表面の間に、請求項16に記載の硬化物によって導電性結合が形成されている、接合アセンブリ。
【請求項18】
少なくとも2つの光起電力セルの間を接合する請求項1~15のいずれかに記載の導電性接着剤組成物を有する屋根板パターンに、直列接続された少なくとも2つの光起電力セルのストリングを含む、光起電力モジュール。
【請求項19】
(1)平面上に第一光起電力セルを供給すること;
(2)第一光起電力セルのフロントバスバー上に、請求項1~15のいずれかに記載の導電性接着剤組成物を適用すること;
(3)第二光起電力セルのリアバスバーが、間を接合する前記導電性接着剤組成物を有する第一光起電力セルのフロントバスバーと接触するように、第二光起電力セルを一部重なるように供給すること;および
(4)前記導電性接着剤組成物を硬化させること
を含む、2つの光起電力セルを相互に接続する方法。
【請求項20】
光起電力モジュールまたはソーラーパネルの製造における、請求項1~15のいずれかに記載の導電性接着剤組成物または請求項16に記載の硬化物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を接合するための導電性接着剤組成物、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽電池または光起電力(PV)電池は、光起電力効果によって光のエネルギーを直接電気に変換する電気デバイスである。太陽電池は、個々の太陽電池により供給される電圧を高めるために、(ソーラーパネルとしても知られている)PVモジュールの構成要素となっている。
【0003】
典型的な従来のPVモジュールでは、PVセルは導電性リボンを介して直列または並列に電気的に接続され、PVストリングアレイを形成している。これらのPVセルを接続する一般的な方法は、タブ付けおよびストリンギングと称されるはんだ付けプロセスである。PVストリングアレイが形成されると、個々のPVストリングのリボンがモジュールバスバーによって接続されて回路が確立され、PVモジュールの電気回路が完成する。
【0004】
屋根板化PVモジュールの場合、1つのPVセルが部分的に別のPVセルに重なっている。屋根板化の過程で、PVセルのリアバスバー接触領域は、他のPVセルのフロントバスバー接触領域と接触する。このステップを複数回繰り返すことで、互いに接続されて電気的接続が確立されるPVストリングを形成できる。
【0005】
PVセルの重ね合わせ工程は、PVセルのバスバーを直接重ね合わせて電気的接続を確立することで可能になるが、この方法の欠点は、これらのセルが組み立て工程または組み立て後の工程で位置ずれを起こしやすいことである。これらのPVセルの位置が適当に固定されない場合、装置の振動、真空ピックアップ工程、または完成品の信頼性試験段階のいずれで引き起こされたかに関係なく、いかなる外力の影響も、PVセル組み立ての位置決めに大きな影響を与え得る。場合によっては、機械的にも電気的にも信頼性の高い接続を実現するために、バスバー間に導電性接着剤が導入されている。
【0006】
これらの導電性接着剤材料は通常、導電性フィラーを使用して製造されている。PVセルを接合する材料としての導電性接着剤は、機械的ストレスを克服するという特長を有する。
【0007】
先行技術には、PVセルに使用できPVモジュールを形成できる、様々な種類の導電性接着剤が記載されている。これらの導電性接着剤の多くは、エポキシ系またはシリコーン系の接着剤である。しかし、重複領域は例えば幅1.0mm以下とますます小さくなる傾向にあり、従来技術に記載されている接着剤は、硬化時に所望の電気的特性を得ることはできるものの、PVセルのバスバー間に導入すると、重複領域からはみ出す傾向にあるという限界がある。これは、PVセルの短絡、ホットスポット故障、およびその他の信頼性の問題を招く。先行技術に記載されているこのようなはみ出し問題の解決法は、主に、ステンシル設計の最適化、より小さなノズルの使用等のような、印刷または分配技術の開発に焦点が当てられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記に鑑み、硬化時に良好な体積抵抗および接触抵抗を示しつつも、屋根板化過程では、PVセルが小さくなっても重複部分からはみ出さない導電性接着剤組成物が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の実施形態によれば、
(A)少なくとも1の非強化エポキシ樹脂、
(B)任意に、少なくとも1の強化エポキシ樹脂、
(C)少なくとも1のイミダゾール化合物、
(D)少なくとも1の、イミダゾール化合物以外の潜在性アミン硬化剤、
(E)少なくとも1の、20μm以下のD50粒度を有する銀フィラー、および
(F)少なくとも1の、20~100μmのD50粒度を有する銀フィラー
を含んでなる導電性接着剤組成物が開示される。
【0010】
本発明の第二の実施形態によれば、本発明の導電性接着剤組成物の硬化物が提供される。
【0011】
本発明の第三の実施形態によれば、間隔をおいて配置された2つの基材を含む接合アセンブリであって、各基材は、内向きの表面と外向きの表面とを有し、2つの基材のそれぞれの内向きの表面の間に、本発明の導電性接着剤組成物の硬化物によって導電性結合が形成されている、接合アセンブリが提供される。
【0012】
本発明の第四の実施形態によれば、少なくとも2つのPVセルの間を接合する本発明の導電性接着剤組成物を有する屋根板パターンに、直列接続された少なくとも2つのPVセルのストリングを含む、PVモジュールが提供される。
【0013】
本発明の第五の実施形態によれば、
(1)平面上に第一PVセルを供給すること;
(2)第一PVセルのフロントバスバー上に、本発明の導電性接着剤組成物を適用すること;
(3)第二PVセルのリアバスバーが、間を接合する前記導電性接着剤組成物を有する第一PVセルのフロントバスバーと接触するように、第二PVセルを一部重なるように供給すること;および
(4)前記導電性接着剤組成物を硬化させること
を含む、2つのPVセルを相互に接続する方法が提供される。
【0014】
本発明の第六の実施形態によれば、光起電力モジュールまたはソーラーパネルの製造における、本発明の導電性接着剤組成物または本発明の硬化物の使用が提供される。
【0015】
主題の他の特徴および実施形態については、以下で更に詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
当業者であれば、本発明は例示的な実施形態の説明のみであり、本発明のより広範な実施形態を限定することを意図したものではないことを理解するであろう。説明された各実施形態は、明確に逆のことが記載されていない限り、他の実施形態と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると記載された特徴は、好ましいまたは有利であると記載された他の1以上の特徴と組み合わせることができる。
【0017】
本明細書では、特に記載のない限り、使用される用語は下記定義に従って解釈される。
【0018】
特に記載のない限り、本明細書において、「a」、「an」および「the」という用語は、単数および複数の対象を含む。
【0019】
「光起電力」または略してPVという用語は、光起電力効果を示す半導体材料を用いて光を電気に変換することを意味し得る。光起電力セルおよび光起電力モジュールは、太陽電池および太陽電池モジュールとも称し得る。
【0020】
「光起電力セル」または略して「PVセル」という用語は、光を電気に変換する光起電力効果を示す半導体材料を意味し得る。光起電力セルはまた、太陽電池を意味し得る。
【0021】
「光起電力モジュール」または略して「PVモジュール」という用語は、相互接続されたPVセルを構成し得、太陽電気を生じるアセンブリに封入される。光起電力モジュールはまた、太陽電池モジュールまたはソーラーパネルを意味し得る。
【0022】
「屋根板化されたもの」という用語は、一緒に屋根板化された光起電力セルを意味し得る。「屋根板化されたもの」は、他のPVセルと部分的に重なっているPVセルを指すこともある。屋根板化過程で、PVセルのバックバスバー接触領域は、他のPVセルのフロントバスバー接触領域と接触する。
【0023】
「ストリング」という用語は、PVセルのチェーンまたはストリングを形成するために直列に接続された2つ以上の光起電力セルを意味し得る。
【0024】
「バスバー」という用語は、PVセルのフロントおよびリアに印刷される導電性要素または電極を意味し得る。バスバーの目的は、PVセルが入射光子から生成する直流電流を伝導することである。バスバーは、グリッドフィンガー、隣接するPVセルおよび/または外部回路からの電流を伝導するために使用される。
【0025】
本明細書で使用される用語「含んでなり」および「含む」は、「包含し」、「包含する」または「含有し」、「含有する」と同義であり、包含的またはオープンエンドであり、追加の記載されていない部材、要素またはプロセスステップを排除しない。
【0026】
本明細書で使用する「室温」という用語は、約20℃~約25℃、好ましくは約25℃の温度を指す。
【0027】
本明細書で使用する「基材」という用語は、好ましくは、電極の内向きの表面が本発明の接着剤の硬化物と接触している電極を意味する。
【0028】
本明細書で使用する「表面積」という用語は、表面の粗さは無視された、表面の巨視的寸法に基づく総表面積を意味する。
【0029】
特に記載のない限り、数値の終点の記載は、記載された終点に加えて、各範囲に含まれる全ての数値および分数を含む。
【0030】
本明細書で引用するすべての参照は、その全てを引用してここに組み込む。
【0031】
特に記載のない限り、技術用語および科学用語を包含する、本発明で使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0032】
一実施形態では、本発明は一般に、
(A)少なくとも1の非強化エポキシ樹脂、
(B)任意に、少なくとも1の強化エポキシ樹脂、
(C)少なくとも1のイミダゾール化合物、
(D)少なくとも1の、イミダゾール化合物以外の潜在性アミン硬化剤、
(E)少なくとも1の、20μm以下のD50粒度を有する銀フィラー、および
(F)少なくとも1の、20~100μmのD50粒度を有する銀フィラー
を含んでなる導電性接着剤組成物を対象とする。
【0033】
(A)非強化エポキシ樹脂
本発明において、導電性接着剤組成物は、(A)少なくとも1の非強化エポキシ樹脂を含む。
【0034】
本明細書で使用する「非強化エポキシ樹脂」という用語は、物理的または化学的な強化処理が施されていないものと理解される。
【0035】
いくつかの実施形態では、非強化エポキシ樹脂は、(メタ)アクリレート基を有しない非強化エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート基を含む非強化エポキシ樹脂、それらのハロゲン化物およびそれらの水素化物、並びに上記の組み合わせから選択され得る。
【0036】
(メタ)アクリレート基を有しない非強化エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールS型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールZ型ジグリシジルエーテル、シクロペンタジエンエポキシ樹脂、それらのハロゲン化物およびそれらの水素化物、並びに上記の組み合わせ、好ましくは、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル、およびそれらの組み合わせが包含される。
【0037】
(メタ)アクリレート基を含む非強化エポキシ樹脂の例には、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、それらのハロゲン化物およびそれらの水素化物、並びに上記の組み合わせ、好ましくはグリシジル(メタ)アクリレートが包含される。
【0038】
好ましい実施形態において、成分(A)は、(メタ)アクリレート基を有しない少なくとも1の非強化エポキシ樹脂と(メタ)アクリレート基を含む少なくとも1の非強化エポキシ樹脂との組み合わせであり、好ましくは、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテルおよびグリシジル(メタ)アクリレートの組み合わせである。
【0039】
好ましい実施形態において、成分(A)は、1000~30,000g/molの分子量を有する少なくとも1の非強化エポキシ樹脂、より好ましくは8000~30,000g/molの分子量を有する少なくとも1の非強化エポキシ樹脂と100~1000g/molの分子量を有する少なくとも1の非強化エポキシ樹脂との組み合わせである。硬化すると、8000~30,000g/molの分子量を有する非強化エポキシ樹脂は、100~1000g/molの分子量を有する非強化エポキシ樹脂を包み、樹脂が基材上に流出するのを防ぐ。これは、製造工程におけるいわゆる「ブリード」を効果的に減少させ、硬化接着剤組成物の外観を改善し得る。
【0040】
非強化エポキシ樹脂の市販品の例には、Epon 828、Epon 826、Epon 862(全てHexion Co., Ltd.から)、DER 331、DER 383、DER 332、DER 330-EL、DER 331-EL、DER 354、DER 321、DER 324、DER 29、DER 353(全てDow Chemical Co., Ltd.から)、JER YX8000、JER RXE21、JER YL 6753、JER YL6800、JER YL980、JER 825、JER 630(全てジャパンエポキシレジン株式会社より)、EP 4300E、Epichlon 830、Epichlon 830S、Epichlon 835、Epichlon EXA-830CRP、Epichlon EXA-830LVP、Epichlon EXA-835LV(全てDIC株式会社より)、Epotohto ZX 1059(新日鐵化学株式会社より)およびMARPROOF G-0150M(NOF Corporationより)が包含される。
【0041】
本発明において、成分(A)は、組成物の総重量に基づいて、5~30重量%、好ましくは12~20重量%の量で存在してよい。
【0042】
(B)強化エポキシ樹脂
本発明において、導電性接着剤組成物は任意に(A)少なくとも1の強化エポキシ樹脂を含んでよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明で使用される強化エポキシ樹脂は、コア-シェルゴム、液状ブタジエンゴム、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1の強化剤により強化されたエポキシ樹脂であり得る。
【0044】
本明細書で使用する用語「強化エポキシ樹脂」とは、物理的または化学的メカニズムのいずれかに基づく強化剤により強化変性または処理されたエポキシ樹脂を意味する。強化エポキシ樹脂を生成するため、物理的手法により、強化剤を、エポキシ樹脂マトリックス中で物理的に予備分散してよい。一方、化学的メカニズムによる場合は、強化剤は、エポキシ樹脂マトリックスに対して実質的に反応型および反応性であり、従って、強化エポキシ樹脂を生成できる。好ましくは、本発明で使用される強化エポキシ樹脂は、強化剤により変性された2以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂である。
【0045】
2以上のグリシジル基を有する前記エポキシ樹脂の適当な例は、二官能、三官能または四官能エポキシ樹脂、好ましくは二官能エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテルおよびビスフェノールF型ジグリシジルエーテルである。前記エポキシ樹脂を強化するために使用される強化剤は、コア-シェルゴム粒子(物理的手法)または液状ブタジエンゴム(化学的手法)およびそれらの組み合わせであってよい。
【0046】
一実施形態では、エポキシ樹脂を強化するために使用される強化剤は、コア-シェルゴム(CSR)粒子である。CSR粒子は、好ましくは10nm~300nm、より好ましくは50nm~200nmのD50粒度を有する。ここで、「D50粒度」とは、レーザー拡散粒度分析器を用いた測定により得られた体積基準粒度分布曲線におけるメディアン径を表す。CSR粒子は、エラストマーまたはゴム特性を有する、即ち、約0℃未満、好ましくは約-30℃未満のガラス転移温度を有する高分子材料で構成されたソフトコアを有し得、前記コアは、非エラストマー高分子材料(即ち、常温より高いガラス転移温度、例えば約50℃より高いガラス転移温度を有する熱可塑性または熱硬化性/架橋ポリマー)で構成された硬質シェルにより囲まれている。
【0047】
前記CRS粒子の具体的な例は、好適に高いガラス転移温度を有する(メタ)アクリレート(例えば、メチルメタクリレート)、ビニル芳香族モノマー(例えばスチレン)、ビニルシアニド(例えばアクリロニトリル)、不飽和酸および無水物(例えばアクリル酸)、(メタ)アクリルアミド等の1以上のモノマーのポリマーまたはコポリマーで構成されたシェルにより囲まれた、(例えば、ブタジエンまたはイソプレンのホモポリマー、ブタジエンまたはイソプレンとビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリレート等の1以上のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマー等の)ジエンホモポリマーまたはコポリマーで構成されたコアである。シェルに使用されるポリマーまたはコポリマーは、(例えば、二価金属カチオンの塩を形成することによって)金属カルボキシレート形成を介してイオン的に架橋される酸基を有していてもよい。シェルポリマーまたはコポリマーは、1分子あたり2以上の二重結合を有するモノマーによって共有結合的に架橋されることもある。他のエラストマー性ポリマーもまた、ポリブチルアクリレートまたはポリシロキサンエラストマー(例えば、ポリジメチルシロキサン、特に架橋ポリジメチルシロキサン)を含むコアに好適に使用され得る。粒子は2より多い層で構成されていてもよい(例えば、1のエラストマー材料の中心コアを異なるエラストマー材料の第2のコアが取り囲んでいてもよいし、コアを異なる組成の2つのシェルが取り囲んでいてもよいし、粒子がソフトコア/ハードシェル/ソフトシェル/ハードシェルの構造を有していてもよい)。典型的には、コアは粒子の約50~約95重量%を占め、シェルは粒子の約5~50重量%を占める。CSR粒子の具体的な例は、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)である。CSR粒子は、Kane Ace MXの商品名で株式会社カネカから入手可能な粒子のように、液状樹脂マトリックス系に予備分散されていてよい。
【0048】
強化エポキシ樹脂の適当な市販品の例には、MX 120(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX 125(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX 153(約33重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX 154(約40重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX 156(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX 130(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールFエポキシ)、MX 135(約25重量%のCSRを含む液状ビスフェノールFエポキシ)、MX 257(約37重量%のCSRを含む液状ビスフェノールAエポキシ)、MX 416およびMX 451(約25重量%のCSRを含む液状多官能エポキシ)、MX 215(約25重量%のCSRを含むエポキシ化フェノールノボラック)、並びにMX 551(約25重量%のCSRを含む脂環式エポキシ)(全て株式会社カネカから)が包含される。
【0049】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂を強化するのに使用される強化剤は液状ブタジエンゴムであり得る。前記液状ブタジエンゴムは、ブタジエン若しくはイソブタジエンに由来する反復単位を含むホモポリマーまたはコポリマー、またはブタジエン若しくはイソブタジエンとアクリレートおよび/またはアクリロニトリルとのコポリマー、例えば液状ブタジエンアクリロニトリルゴムを有し得る。本発明の強化エポキシ樹脂における強化剤として使用される液状ブタジエンゴムは、反応性末端基を含み得、例えば、アミノ末端液状ニトリルゴム(ATBN)またはカルボキシレート末端液状アクリロニトリルゴムゴム(CTBN)または遊離エポキシ若しくはメタクリレート末端基含有液状ゴム等である。液状ブタジエンゴムは、例えばCVC Thermoset(米国)からHYPOX-Rの商品名で商業的に入手できる。
【0050】
本発明において、成分(B)は、組成物の総重量に基づいて、0~10重量%、好ましくは3~7重量%の量で存在し得る。
【0051】
(C)イミダゾール化合物
本発明において、導電性接着剤組成物は、促進剤として、(C)少なくとも1のイミダゾール化合物を含む。
【0052】
本発明において使用されるイミダゾール化合物の例には、限定されるものではないが、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾールおよびそれらの組み合わせが包含される。
【0053】
イミダゾール化合物は、単独でまたは2以上を組み合わせて使用され得る。
【0054】
本発明において促進剤として使用される前記イミダゾール化合物の市販品の例には、Evonikから入手可能なIMICURE EMI-24硬化剤、四国化成株式会社から入手可能なCUREZOL 2P4MZおよびCurezol 2P4MHZ PWが包含される。
【0055】
本発明において、成分(C)は、組成物の総重量に基づいて、0.1~5重量%、好ましくは1~3重量%の量で存在し得る。
【0056】
(D)イミダゾール化合物以外の潜在性アミン硬化剤
本発明において、導電性接着剤組成物は、(D)少なくとも1の、イミダゾール化合物以外の潜在性アミン硬化剤を含む。
【0057】
本明細書で使用する「潜在性硬化剤」は、室温でゆっくりとバリアから放出または拡散される硬化剤を意味する。硬化剤の放出または拡散は、例えば、温度上昇、放射線照射または力によって加速され得る。
【0058】
本発明の導電性接着剤組成物におけるイミダゾール化合物とイミダゾール化合物以外の潜在性アミン硬化剤(D)との組み合わせの使用は、前記組成物が速い硬化速度を示し、良好な導電性相互接続を形成できるため有利である。
【0059】
イミダゾール化合物以外の潜在性アミン硬化剤の例には、限定されるものではないが、アミンアダクト潜在性硬化剤(好ましくはアミン化合物とエポキシ化合物、イソシアネート化合物および/または尿素化合物との反応生成物によって得られたもの)、コア-シェル型潜在性アミン硬化剤、マスターバッチ型潜在性アミン硬化剤、およびそれらの組み合わせ、好ましくはコア-シェル型潜在性アミン硬化剤が包含され得る。
【0060】
アミンアダクト潜在性硬化剤(アミン-エポキシ-アダクト型潜在性硬化剤)を製造するための原料の1つとして使用されるエポキシ化合物の例には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコールおよびレゾルシノール等の多価フェノールまたはグリセリンおよびポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピクロロヒドリンとの反応により得られたポリグリシジルエーテル;p-ヒドロキシ安息香酸および3-ヒドロキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応により得られたグリシジルエーテルエステル;フタル酸およびテレフタル酸等の多価カルボン酸とエピクロロヒドリンとの反応により得られたポリグリシジルエステル;4,4’-ジアミノジフェニルメタン、m-アミノフェノール等とエピクロロヒドリンとの反応により得られたグリシジルアミン化合物が包含され得る。別の例には、エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂およびエポキシ化ポリオレフィン等の多官能エポキシ化合物、並びにブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルおよびグリシジルメタクリレート等の単官能エポキシ化合物が包含され得る。しかし、本発明で使用されるアミンアダクト潜在性硬化剤の製造のための原料の1つとして用いる前記エポキシ化合物は、これらの例に限定されない。
【0061】
アミンアダクト潜在性硬化剤の製造のための別の原料として使用されるアミン化合物は、分子内にエポキシ基と付加反応を起こし得る活性水素を1個以上有し、分子内に第1級アミノ基、第2級アミノ基および第3級アミノ基から選択される官能基を1個以上有する化合物であり得る。そのようなアミン化合物の例を以下に示す。その例には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n-プロピルアミン、2-ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミンおよび4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂肪族アミン;4,4’-ジアミノジフェニルメタンおよび2-メチルアニリン等の芳香族アミン化合物;2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾリン、2,4-ジメチルイミダゾリン、ピペリジンおよびピペラジン等の窒素原子含有複素環化合物等が包含され得る。しかし、本発明で使用されるアミンアダクト潜在性硬化剤の製造のための原料として用いる前記アミン化合物は、これらの例に限定されない。
【0062】
そのような化合物の例には、分子内に第3級アミノ基を有する第1級または第2級アミン、例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、N-メチルピペラジン等のアミン化合物、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールおよび2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物が包含され得る。更なる例には、分子内に第3級アミノ基を有するアルコール、フェノール、チオール、カルボン酸、ヒドラジド等、例えば、2-ジメチルアミノエタノール、1-メチル-2-ジメチルアミノエタノール、1-フェノキシメチル-2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、1-ブトキシメチル-2-ジメチルアミノエタノール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)-2-フェニルイミダゾリン、1-(2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル)-2-メチルイミダゾリン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N-ヒドロキシエチルモルホリン、2-ジメチルアミノエタンチオール、2-メルカプトピリジン、2-ベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-メルカプトピリジン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、N,N-ジメチルグリシン、ニコチン酸、イソニコチン酸、ピコリン酸、N,N-ジメチルグリシンヒドラジド、N,N-ジメチルプロピオン酸ヒドラジド、ニコチン酸ヒドラジドおよびイソニコチン酸ヒドラジドが包含され得る。しかし、本発明における潜在性アミン硬化剤を製造するための原料として用いる分子内に第3級アミノ基を有する前記化合物は、これらの例に限定されない。
【0063】
アミンアダクト潜在性硬化剤の別の原料として使用されるイソシアネート化合物の例には、限定されるものではないが、n-ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネートおよびベンジルイソシアネート等の単官能イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネートおよびビシクロヘプタントリイソシアネート等の多官能イソシアネート化合物が包含される。また、これらの多官能イソシアネート化合物と活性水素化合物との反応によって得られた、末端にイソシアネート基を有する化合物を使用することができる。そのような末端にイソシアネート基を有する化合物の例には、トルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応により得られた、末端にイソシアネート基を有するアダクト化合物、およびトルエンジイソシアネートとペンタエリスリトールとの反応により得られた、末端にイソシアネート基を有するアダクト化合物が包含される。しかし、本発明のアミンアダクト潜在性硬化剤の製造のための原料として使用される、末端にイソシアネート基を有する前記化合物は、これらの例に限定されない。
【0064】
アミンアダクト潜在性硬化剤を製造するための原料として使用される尿素化合物の例には、限定されるものではないが、尿素、リン酸尿素、シュウ酸尿素、酢酸尿素、ジアセチル尿素、ジベンゾイル尿素およびトリメチル尿素が包含される。
【0065】
前記アミンアダクト潜在性硬化剤の市販品の例には、Ajicure PN-H、Ajicure PN-40およびAjicure PN-50(味の素ファインテクノ株式会社から入手可能)、Hardener X-3661 SおよびHardener X-3670S(A.C.R. Co., Ltdから入手可能)、EH-5011SおよびEH5057P(Adekaから入手可能)、Ancamine 2014FGおよび2337S(Evonikから入手可能)、FXR-1121(株式会社T&K Tokaから入手可能)、Fujicure FXE-1000およびFujicure FXR-1030(株式会社T&K Tokaから入手可能)が包含される。
【0066】
また、コア-シェル型潜在性アミン硬化剤は、表面上に(アダクト等の)変性品のシェルを形成するための、カルボン酸化合物およびスルホン酸化合物等の酸化合物、イソシアネート化合物またはエポキシ化合物を用いたアミンアダクト潜在性硬化剤表面の更なる処理により得られる。また、マスターバッチ型潜在性アミン硬化剤は、エポキシ樹脂と混合された状態でのコア-シェル型潜在性硬化剤である。
【0067】
前記コア-シェル型潜在性アミン硬化剤およびマスターバッチ型潜在性アミン硬化剤の市販品の例には、Ajicure PN-23 J(味の素ファインテクノ株式会社から入手可能)、Fujicure FXR 1081(株式会社T&K Tokaから入手可能)、Novacure HX-3722(旭化成エポキシ株式会社から入手可能)、Novacure HX-3742(旭化成エポキシ株式会社から入手可能)、Novacure HX-3613(旭化成エポキシ株式会社から入手可能)が包含される。
【0068】
好ましい実施形態では、2種より多い潜在性アミン硬化剤を組み合わせて使用してよい。
【0069】
本発明において、成分(D)は、組成物の総重量に基づいて、0.1~10重量%、より好ましくは1~7重量%の量で存在し得る。
【0070】
(E)20μm以下のD50粒度を有する銀フィラー
本発明において、導電性接着剤組成物は、導電性フィラーとして、(E)少なくとも1の20μm以下のD50粒度を有する銀フィラーを含む。
【0071】
本明細書で使用する「D50粒度」は、レーザー拡散粒度分析器を用いた、好ましくはMicrotrac Retsch GmbHから入手可能なMicrotrac S3500を用いた測定により得られた体積基準粒度分布曲線におけるメディアン径を表す。この技術では、懸濁液またはエマルション中の粒子径を、フラウンホーファー理論またはミー理論のいずれかを応用し、レーザービームの回折を用いて測定する。本発明では、ミー理論または非球状粒子用の修正ミー理論が適用され、平均粒度またはD50値は、入射レーザービームに対して0.02~135度の角度での散乱測定値に関する。
【0072】
好ましい実施形態において、銀フィラーは、9μm以下、より好ましくは1~9μmのD50粒度を有する。本発明の導電性接着剤組成物において導電性フィラーとして、上記範囲のD50粒度を有する銀フィラーを用いると、前記粒子が、2つの基材の間に安定した信頼性の高い電気的相互接続を形成することを可能にするため有利である。
【0073】
好ましい実施形態において、本発明の導電性接着剤組成物に使用される成分(E)は、形状がフレークである粒子を含む。そのような形状を有する成分(E)は、フィラー間で高い接触面積を有し、これは、硬化物における空隙を低減し得る。銀フィラーの形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察から分析した形状であり、SEMの観察装置としてPhilips XL30を使用できる。フレーク状銀フィラーの例には、板状、皿状、うろこ状および薄片状と称される形状の粒子が包含される。フレーク状銀フィラーが互いに接触すると、粒状銀フィラーが互いに接触した場合と比べて接触面積が大きくなる。従って、形状がフレーク状である成分(E)を含む本発明の導電性接着剤組成物を硬化させると、成分(E)の密度は高くなり、その結果、本発明の導電性接着剤組成物の硬化物の導電性は向上する。
【0074】
20μm以下のD50粒度を有する銀フィラーは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用され得る。形状が異なるかまたは寸法が異なる、10μm以下のD50粒度を有する銀フィラーの組み合わせは、硬化物の多孔度を低減し得る。好ましい実施形態では、本発明の導電性接着剤組成物において、1~9μmのD50粒度を有するフレーク状銀フィラーと1~5μmのD50粒度を有するフレーク状銀フィラーとの混合物を使用する。
【0075】
いくつかの実施形態では、本発明の導電性接着剤組成物を調製するために、2~15g/cm、より好ましくは3~7.5g/cmのタップ密度を有する成分(E)を使用してよい。
【0076】
タップ密度は、ISO 3953:1993に準じて測定される。規定された方法の原理は、タッピング装置によって容器内の特定量の粉末を、粉末の体積がそれ以上減少しなくなるまでタッピングすることである。粉末の質量を試験後の体積で割ると、タップ密度が得られる。
【0077】
本発明の導電性接着剤組成物において使用される20μm以下のD50粒度を有する銀フィラーは、還元法、粉砕法、電解法、アトマイズ法または熱処理法等の公知の方法によって製造できる。
【0078】
本発明では、市販されている、20μm以下のD50粒度を有する銀フィラーを使用することができる。その例には、TC-505C(株式会社徳力科学研究所から入手可能)、FA-SAB 238(Dowaハイテック株式会社から入手可能)、KP 60(Ames Goldsmithから入手可能)およびSA-0201(Metalorから入手可能)が包含される。
【0079】
本発明において、成分(E)は、組成物の総重量に基づいて、35~90重量%、より好ましくは40~80重量%の量で存在し得る。本発明の組成物においてそのような範囲の量で成分(E)を用いると、前記導電性接着剤組成物の硬化物は、良好な導電性を有することができる。
【0080】
(F)20~100μmのD50粒度を有する銀フィラー
本発明において、本発明の導電性接着剤組成物は、(F)少なくとも1の20~100μmのD50粒度を有する銀フィラーを含む。これは、「スペーサー」の役割を果たし、屋根板化過程における2つのバスバー表面間での圧縮の結果として接着剤がPVモジュールの重複領域からはみ出すことを抑制する。
【0081】
好ましい実施形態において、成分(F)は、20~70μm、より好ましくは20~50μmのD50粒度を有する少なくとも1の銀フィラーであり得る。そのような範囲のD50粒度を有する銀フィラーを使用すると、硬化した際、それを含まない導電性接着剤組成物と比べて小さい接着剤幅を達成できる。
【0082】
好ましい実施形態において、導電性接着剤組成物で使用される成分(F)は、形状が球状である、20~100μmのD50粒度を有する銀フィラーを含む。銀フィラーの形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察から分析された形状であり、SEMの観察装置としてPhilips XL30を使用できる。20~100μmのD50粒度を有する球状銀フィラーは、PVセルの2つのバスバー間で「柱」として機能し、屋根板化過程に2つのバスバー表面間で圧縮された結果、本発明の接着剤組成物がPVセルの重複領域からはみ出すのを防ぐことができる。
【0083】
成分(F)を調製するための、普遍的に適用されてきた多くの物理的および化学的手法、例えば、粉砕、アトマイズ、熱分解、電気化学的プロセスおよび化学還元プロセス等が存在する。アトマイズを例にとると、これは、分散および凝固のために高速流体を用いて溶融銀を粉末化するプロセスである。粉末の形状は、アトマイズされた銀の表面張力およびアトマイズ条件によって、球状、粒状、結節状または不規則であり得る。
【0084】
別の実施形態では、2~15g/cm、より好ましくは5~8g/cmのタップ密度を有する成分(F)を、本発明の導電性接着剤組成物の調製に使用できる。
【0085】
本発明では、20~100μmのD50粒度を有する市販の銀フィラーを使用できる。その例には、Silver Powder 81-636、Silver Powder 81-451およびSilver Powder 81-330(Technic Incから入手可能)が包含される。
【0086】
本発明において、成分(F)は、組成物の総重量に基づいて、0.1~10重量%、より好ましくは1~10重量%、更により好ましくは1~5重量%の量で存在し得る。
【0087】
好ましい実施形態では、導電性接着剤組成物は、成分(E)または(F)とは異なるD50粒度を有する銀フィラーを含まない。より好ましい実施形態では、導電性接着剤組成物は、100μmより大きいD50粒度を有する銀フィラーを含まない。
【0088】
(G)エポキシ希釈剤
本発明において、本発明の導電性接着剤組成物は、任意に、(G)少なくとも1のエポキシ希釈剤、好ましくはグリシジルエーテルベース希釈剤を含んでよい。
【0089】
エポキシ希釈剤の適当な例は、モノグリシジルエーテル、例えば、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、脂肪族モノグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン;ジグリシジルエーテル、例えば、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサン-ジメタノール、レゾルシノールのジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジペンテンのトリグリシジルエーテル、およびシクロヘキサンジメタノールのジビニルエーテル;並びにトリ-またはテトラ-グリシジルエーテル、例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、およびペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルである。
【0090】
適当な市販のエポキシ希釈剤は、例えば、NC-513、Lite 2513HP(共にCardolite Corporationから入手可能)、ADEKA ED-502S、ED-509、ED-529、ED-506、ED-503、ED523T、ED-505、ED-505R、ED-507およびED-509E(全て株式会社アデカから入手可能)、DY-C、DY-D、DY-E、DY-F、DY-H、DY-K、DY-L、DY-P、DY-T、DY 3601およびDY-CNO(全てHuntsman Corporationから入手可能)、Heloxy modifier 48、Heloxy modified 62および Heloxy modified 65(全てHexion Corporationから入手可能)およびVikolox 14(Arkemaから入手可能)の商品名で市販されているものである。
【0091】
本発明において、成分(G)は、組成物の総重量に基づいて、0~20重量%、より好ましくは7~15重量%の量で存在し得る。
【0092】
(H)添加剤
別の実施形態では、本発明の導電性接着剤組成物は、1種以上の添加剤を更に含み、その例には、カップリング剤、可塑剤、油、安定剤、酸化防止剤、防錆剤、キレート剤、顔料、染料、高分子添加剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、レオロジー調整剤、保湿剤、接着促進剤、分散剤、水、およびそれらの組み合わせが包含される。
【0093】
使用する場合、添加剤は所望の特性を提供するのに十分な量で使用する。少なくとも1種の添加剤は、本発明の接着剤組成物中に、組成物の総重量に基づいて、0.05~10重量%、好ましくは0.1~5重量%、より好ましくは0.1~1重量%の範囲の量で存在し得る。
【0094】
組成物
特に好ましい実施形態では、導電性接着剤組成物は、組成物の総重量に基づいて、
(A)5~30重量%、好ましくは12~20重量%の少なくとも1の非強化エポキシ樹脂、
(B)0~10重量%、好ましくは3~7重量%の少なくとも1の強化エポキシ樹脂、
(C)0.1~5重量%、好ましくは1~3重量%の少なくとも1のイミダゾール化合物、
(D)0.1~10重量%、より好ましくは1~7重量%のイミダゾール化合物以外の潜在性アミン硬化剤、
(E)35~90重量%、より好ましくは40~80重量%の少なくとも1の20μm以下のD50粒度を有する銀フィラー、
(F)0.1~10重量%、より好ましくは1~10重量%、更により好ましくは1~5重量%の少なくとも1の20~100μmのD50粒度を有する銀フィラー、
(G)0~20重量%、より好ましくは7~15重量%のエポキシ希釈剤、および
(H)0.1~5重量%、より好ましくは0.1~1重量%の添加剤
を含む。
【0095】
導電性接着剤組成物の調製方法
本発明の導電性接着剤組成物は、組成物を得るために、成分(A)~(H)の全てを混合し、該混合物を均一に撹拌することにより室温で調製できる。
【0096】
好ましい実施形態において、導電性接着剤組成物は、下記工程により調製できる:
工程(1):成分(G)が存在する場合、成分(G)と成分(A)とを混合して均一な混合物を得る、
工程(2):成分(B)が存在する場合、工程(1)で得た混合物に成分(B)を加え、ロールミキサーにより混合する、
工程(3):成分(C)および成分(D)を加えて、更に混合する、
工程(4):成分(E)および続いて成分(F)を加えて、ロールミキサーにより混合する、および
工程(5):任意の添加剤が存在する場合、添加剤を加えて最後に混合する。
【0097】
これらの混合、撹拌、分散等のための装置は特に限定されない。自動乳鉢、ヘンシェルミキサー、三本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等の、撹拌機およびヒーターを備えたものを用いることができる。また、これらの装置を適宜組み合わせて使用してよい。導電性接着剤の調製方法は、前記成分が均一に混合された組成物が得られる限り、特に限定されない。
【0098】
硬化プロファイルおよび硬化物
本発明の別の対象は、本発明の導電性接着剤組成物の硬化物である。本発明の導電性接着剤組成物は、50~250℃の範囲、好ましくは70~220℃の範囲、より好ましくは100~220℃の範囲の温度にて0.1秒~180分で硬化され得る。
【0099】
好ましい実施形態では、本発明の導電性接着剤組成物は、120~220℃にて60分未満、好ましくは10分未満、より好ましくは1分未満で硬化され得る。本発明の導電性接着剤組成物の硬化は、例えばIRランプまたは従来の加熱技術を用いた、組成物の加熱により実施できる。
【0100】
理解されるように、各導電性接着剤組成物の時間および温度硬化プロファイルは異なり得、特に工業的な製造工程に適した硬化プロファイルを提供するために、様々な組成を設計することができる。
【0101】
接合アセンブリ、PVモジュール、および2つの屋根板化PVセルの相互接続法
本発明の第三の対象は、間隔をおいて配置された2つの基材を含む接合アセンブリであって、各基材は、内向きの表面と外向きの表面とを有し、2つの基材のそれぞれの内向きの表面の間に、本発明の導電性接着剤組成物の硬化物によって導電性結合が形成されている、接合アセンブリである。
【0102】
本明細書で使用する用語「基材」は、好ましくは、PVセルの電極またはバスバーを指し、バスバーの内向き表面は、本発明の導電性接着剤の硬化物によって接合されて互いに接触している。
【0103】
基板の少なくとも1つは、金属から、例えば、金属焼成ペースト、アルミニウム、スズ、モリブデン、銀、並びに酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛等の導電性金属酸化物等から選択することができる。別の適当な金属には、銅、金、パラジウム、白金、アルミニウム、インジウム、銀コート銅、銀コートアルミニウム、スズおよびスズコート銅が包含される。好ましくは、両方の基材が、前記材料の1つから選択される。
【0104】
本発明の第四の対象によれば、少なくとも2つのPVセルの間を接合する本発明の導電性接着剤組成物を有する屋根板パターンに、直列接続された少なくとも2つのPVセルのストリングを含む、PVモジュールが提供される。
【0105】
本発明の第五の対象によれば、
工程(1)平面上に第一PVセルを供給すること;
工程(2)第一PVセルのフロントバスバー上に、本発明の導電性接着剤組成物を適用すること;
工程(3)第二PVセルのリアバスバーが、間を接合する前記導電性接着剤組成物を有する第一PVセルのフロントバスバーと接触するように、第二PVセルを一部重なるように供給すること;および
工程(4)前記導電性接着剤組成物を硬化させること
を含む、2つのPVセルを相互に接続する方法が提供される。
【0106】
いくつかの実施形態では、相互に接続する方法は、限定されるものではないが、
1)PVセルの間の接続を確立すること;
2)屋根板化PVストリングの間の接続を確立すること;
3)PVセルと他の成分の間の接続を確立すること;
4)屋根板化PVモジュール内で外部回路との接続を確立すること
を含む。
【0107】
本発明の相互接続法は、人による手動操作、独立型装置、全自動装置または任意のそれらの組み合わせにより実施できる。
【0108】
本発明の導電性接着剤組成物を硬化させると、導電性接着剤組成物は、重複領域のみに含まれる。重複領域の幅は、好ましくは0.1mm~1.0mmである。
【0109】
本発明の導電性接着剤は、例えば、自動細線分注、ジェット分注、スロットダイ塗布、ロール塗布、グラビア塗布、転写塗布、パターン塗布、スクリーン印刷、スプレー塗布、フィラメント塗布、押出し、エアナイフ、トレイリングブレード、ブラッシング、ディッピング、ドクターブレード、オフセットグラビア塗布、ロトグラビア塗布およびそれらの組み合わせ等を包含する任意の適当な適用方法を用いて、基材に適用できる。導電性接着剤は、単層または多層およびそれらを組み合わせた連続または不連続のコーティングとして、適用され得る。
【0110】
本発明の第六の対象は、PVモジュールまたはソーラーパネルの製造における、本発明の導電性接着剤組成物または本発明の硬化物の使用である。
【実施例
【0111】
実施例
以下の実施例は、当業者が本発明をよりよく理解し、実施するのを助けることが意図されたものである。本発明の範囲は、実施例によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって規定されている。全ての部およびパーセントは、特に記載のない限り重量に基づく。
【0112】
原料:
Epotohto ZX 1059は、新日鐵化学株式会社から入手可能な、組成物の総重量に基づいて50重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂と50重量%のビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合物である。
MARPROOF G-0150Mは、NOF Corporationから入手可能な(メタ)アクリレート基含有エポキシ樹脂である。
Kane Ace MX 135は、株式会社カネカから入手可能な、約25重量%のコアシェルゴムによって強化されたビスフェノールF型エポキシ樹脂である。
ADEKA ED-509Eは、株式会社アデカから入手可能なエポキシ希釈剤である。
Vikolox 14は、Arkemaから入手可能なエポキシ希釈剤である。
CUREZOL 2P4MZは、四国化成株式会社から入手可能なイミダゾール硬化剤である。
Curezol 2P4MHZ PWは、四国化成株式会社2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールである。
Ajicure PN-Hは、味の素ファインテクノ株式会社から入手可能なアミンアダクト潜在性硬化剤である。
Ajicure PN-23 Jは、味の素ファインテクノ株式会社から入手可能な微粉砕アミンアダクト潜在性硬化剤である。
Silquest A-187は、Momentive Performance Materialsから入手可能なシラン樹脂である。
KP 60は、Ames Goldsmithから入手可能な、9μmのD50を有する銀フィラーである。
SA-0201は、Metalorから入手可能な、2.7μmのD50を有する銀フィラーである。
Silver Powder 81-636は、Technic Incから入手可能な、22.7μmのD50を有する銀フィラーである。
Silver Powder 81-451は、Technic Incから入手可能な、39.9μmのD50を有する銀フィラーである。
Silver Powder 81-330は、Technic Incから入手可能な、48.1μmのD50を有する銀フィラーである。
【0113】
調製方法:
実施例1(Ex.1)
固体樹脂がエポキシ希釈剤に完全に溶解するまで、ホットプレート上、80℃、250rpmで、6.304gのGlycirol ED 509 Eおよび3.152gのMARPROOF G-0150Mを混合した。次いで、5.516gのKane AceTM MX 135および3.6248gのVikolox 14を加え、後に使用するために10分間混合した(混合物A)。4.728gのEpotohto ZX 1059、1.182gのCUREZOL 2P4MZおよび0.394gのCurezol 2P4MHZ PWを、後に使用するために、ロスミキサーによって5分間、三本ロールミルによって2回予備混合した(混合物B)。別個に、9.456gのEpotohto ZX 1059、3.94gのAjicure PN-Hおよび0.788gのAjicure PN-23 Jを、後に使用するために同様に予備混合した(混合物C)。混合物A、混合物Bおよび混合物Cをロスミキサーによって更に5分間混合した。次いで、得られた混合物に29.55gのSA 0201を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、29.55gのKP 60を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。続いて、1.5gのSilver Powder 81-636を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、0.3152gのSilquest A-187を加え、ロスミキサーによって5分間混合した。最後に、最終混合物を、脱気しながらロスミキサーによって40分間混合し、組成物を得た。
【0114】
実施例2(Ex.2)
固体樹脂がエポキシ希釈剤に完全に溶解するまで、ホットプレート上、80℃、250rpmで、6.24gのGlycirol ED 509 Eおよび3.12gのMARPROOF G-0150Mを混合した。次いで、5.46gのKane AceTM MX 135および3.588gのVikolox 14を加え、後に使用するために10分間混合した(混合物A)。4.632gのEpotohto ZX 1059、1.17gのCUREZOL 2P4MZおよび0.39gのCurezol 2P4MHZ PWを、後に使用するために、ロスミキサーによって5分間、三本ロールミルによって2回予備混合した(混合物B)。別個に、9.264gのEpotohto ZX 1059、3.9gのAjicure PN-Hおよび0.78gのAjicure PN-23 Jを、後に使用するために同様に予備混合した(混合物C)。混合物A、混合物Bおよび混合物Cをロスミキサーによって更に5分間混合した。次いで、得られた混合物に29.25gのSA 0201を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、29.25gのKP 60を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。続いて、2.5gのSilver Powder 81-636を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、0.312gのSilquest A-187を加え、ロスミキサーによって5分間混合した。最後に、最終混合物を、脱気しながらロスミキサーによって40分間混合し、組成物を得た。
【0115】
実施例3(Ex.3)
固体樹脂がエポキシ希釈剤に完全に溶解するまで、ホットプレート上、80℃、250rpmで、6.176gのGlycirol ED 509 Eおよび3.088gのMARPROOF G-0150Mを混合した。次いで、5.404gのKane AceTM MX 135および3.5512gのVikolox 14を加え、後に使用するために10分間混合した(混合物A)。4.68gのEpotohto ZX 1059、1.158gのCUREZOL 2P4MZおよび0.386gのCurezol 2P4MHZ PWを、後に使用するために、ロスミキサーによって5分間、三本ロールミルによって2回予備混合した(混合物B)。別個に、9.36gのEpotohto ZX 1059、3.86gのAjicure PN-Hおよび0.772gのAjicure PN-23 Jを、後に使用するために同様に予備混合した(混合物C)。混合物A、混合物Bおよび混合物Cをロスミキサーによって更に5分間混合した。次いで、得られた混合物に28.95gのSA 0201を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、28.95gのKP 60を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。続いて、3.5gのSilver Powder 81-636を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、0.3088gのSilquest A-187を加え、ロスミキサーによって5分間混合した。最後に、最終混合物を、脱気しながらロスミキサーによって40分間混合し、組成物を得た。
【0116】
実施例4(Ex.4)
固体樹脂がエポキシ希釈剤に完全に溶解するまで、ホットプレート上、80℃、250rpmで、6.24gのGlycirol ED 509 Eおよび3.12gのMARPROOF G-0150Mを混合した。次いで、5.46gのKane AceTM MX 135および3.588gのVikolox 14を加え、後に使用するために10分間混合した(混合物A)。4.68gのEpotohto ZX 1059、1.17gのCUREZOL 2P4MZおよび0.39gのCurezol 2P4MHZ PWを、後に使用するために、ロスミキサーによって5分間、三本ロールミルによって2回予備混合した(混合物B)。別個に、9.36gのEpotohto ZX 1059、3.9gのAjicure PN-Hおよび0.78gのAjicure PN-23 Jを、後に使用するために同様に予備混合した(混合物C)。混合物A、混合物Bおよび混合物Cをロスミキサーによって更に5分間混合した。次いで、得られた混合物に29.25gのSA 0201を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、29.25gのKP 60を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。続いて、2.5gのSilver Powder 81-451を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、0.312gのSilquest A-187を加え、ロスミキサーによって5分間混合した。最後に、最終混合物を、脱気しながらロスミキサーによって40分間混合し、組成物を得た。
【0117】
実施例5(Ex.5)
固体樹脂がエポキシ希釈剤に完全に溶解するまで、ホットプレート上、80℃、250rpmで、6.24gのGlycirol ED 509 Eおよび3.12gのMARPROOF G-0150Mを混合した。次いで、5.46gのKane AceTM MX 135および3.588gのVikolox 14を加え、後に使用するために10分間混合した(混合物A)。4.8gのEpotohto ZX 1059、1.17gのCUREZOL 2P4MZおよび0.39gのCurezol 2P4MHZ PWを、後に使用するために、ロスミキサーによって5分間、三本ロールミルによって2回予備混合した(混合物B)。別個に、9.6gのEpotohto ZX 1059、3.9gのAjicure PN-Hおよび0.78gのAjicure PN-23 Jを、後に使用するために同様に予備混合した(混合物C)。混合物A、混合物Bおよび混合物Cをロスミキサーによって更に5分間混合した。次いで、得られた混合物に29.25gのSA 0201を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、29.25gのKP 60を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。続いて、2.5gのSilver Powder 81-330を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、0.312gのSilquest A-187を加え、ロスミキサーによって5分間混合した。最後に、最終混合物を、脱気しながらロスミキサーによって40分間混合し、組成物を得た。
【0118】
比較例1(CE.1)
固体樹脂がエポキシ希釈剤に完全に溶解するまで、ホットプレート上、80℃、250rpmで、6.4gのGlycirol ED 509 Eおよび3.2gのMARPROOF G-0150Mを混合した。次いで、5.6gのKane AceTM MX 135および3.68gのVikolox 14を加え、後に使用するために10分間混合した(混合物A)。4.8gのEpotohto ZX 1059、1.2gのCUREZOL 2P4MZおよび0.4gのCurezol 2P4MHZ PWを、後に使用するために、ロスミキサーによって5分間、三本ロールミルによって2回予備混合した(混合物B)。別個に、9.6gのEpotohto ZX 1059、4gのAjicure PN-Hおよび0.8gのAjicure PN-23 Jを、後に使用するために同様に予備混合した(混合物C)。混合物A、混合物Bおよび混合物Cをロスミキサーによって更に5分間混合した。次いで、得られた混合物に30gのSA 0201を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。その後、30gのKP 60を加え、ロスミキサーによって10分間混合した。続いて、0.2gのSilquest A-187を加え、ロスミキサーによって5分間混合した。最後に、最終混合物を、脱気しながらロスミキサーによって40分間混合し、組成物を得た。
【0119】
試験方法:
体積抵抗率
体積抵抗率を下記のように測定した:調製した組成物のアリコートをスライドガラスの表面に適用して、長さ約5cm、幅2.5mm、厚さ約30~40ミクロンの寸法のストリップを作製し、その後オーブンにて150℃で15分間加熱して硬化させた。ガラス板は、測定前に室温に冷却した。5cmのストリップを通して電流(I)を流しながら5cmのストリップに沿って電圧(V)の降下を測定することによって、抵抗を測定した(R=V/I)。3つのストリップを調製し、抵抗および寸法を測定した。各ストリップについて、下記式:
Rv=(R(w)(t)/L)
[式中、Rはオームメーターまたは同等の抵抗測定器を用いて測定した試料の電気抵抗(単位:Ω)であり、wおよびtは試料の幅および厚さ(単位:cm)であり、Lは抵抗測定器の導体間の距離(単位:cm)である]
を用いて体積抵抗率(Rv)を計算した。体積抵抗率の単位は、Ω・cmである。5E-03未満の体積抵抗率を許容可能と見なす。
【0120】
接触抵抗
調製した組成物のアリコートと銀の間の電気的接触抵抗を、下記のように測定した:2枚の銀板の抵抗を事前に測定し、R銀1とR銀2として記録した。調製した組成物のアリコートは、銀試験板の長さにわたってストリップを与えており、その組成物の上に別の銀試験板を被せた。次いで、試料を150℃のオーブンで20分間硬化させた。硬化および20℃への冷却後、50対の電極間の電気的接触抵抗を測定した。2枚の銀板間の抵抗をRとして記録した。下記式:
Rc=S×(R-R銀1-R銀2-VRa)/2
[式中、Sは銀板と組成物の間の接触面積であり、R銀1およびR銀2は2枚の銀板の抵抗であり、VRaは組成物の体積抵抗率である]
を用いて、接触抵抗Rcを計算した。平均接触抵抗(算術平均)をmΩ・cm単位で報告した。0.1mΩ・cm未満の平均接触抵抗を許容可能と見なす。
【0121】
接着剤幅およびはみ出し試験
実施例および比較例の各組成物を、幅200ミクロン、厚さ100ミクロンのステンシルを用いて、PVセルのフロントバスバーの表面および別のPVセルのリアバスバーの表面に印刷した。2つのPVセルを、屋根板マシーンを介して、1.0mmの重複領域幅で接合し、PVモジュールを作製した。次いで、PVモジュールを180℃で30秒間加熱し、実施例および比較例の接着剤組成物を硬化させた。各組成物の硬化接着剤の幅を、X線を用いて測定し、記録した。硬化接着剤が1.0mm幅の重複領域から確実にはみ出さないようにするには、硬化接着剤の幅は0.85mm未満でなければならない。従って、0.85mmより大きい硬化接着剤幅を、はみ出し試験「不合格」と記録した。
【0122】
試験結果を表1に示す。
【表1】
【0123】
表1から分かるように、本発明の導電性接着剤組成物は、硬化時に、はみ出し試験に合格し、良好な体積抵抗および接触抵抗を示した一方で、比較例の導電性接着剤組成物は、はみ出し試験に合格しなかった。
【0124】
いくつかの好ましい実施形態を説明したが、上記の教示に照らして、多くの修正および変更が可能であり得る。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、具体的に説明した以外の方法で実施できることが理解される。
【国際調査報告】