(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ポリマー粒子を含むテクスチャ加工CMPパッド
(51)【国際特許分類】
B24B 37/26 20120101AFI20240910BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20240910BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B24B37/26
B24B37/24 B
B24B37/24 C
H01L21/304 622F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513994
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 US2022042461
(87)【国際公開番号】W WO2023034573
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500397411
【氏名又は名称】シーエムシー マテリアルズ リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マー, ルイ
(72)【発明者】
【氏名】リー, カイティン
(72)【発明者】
【氏名】リンジー, ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】キム, サンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ライ, サティシュ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AA09
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3C158EB29
5F057AA09
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5F057FA39
(57)【要約】
ポリマー体と、ポリマー体の本体内に埋め込まれた複数のポリマー粒子であって、複数のポリマー粒子の少なくとも一部がポリマー体の表面に少なくとも部分的に露出している、複数のポリマー粒子と、ポリマー体の表面にある複数の細孔とを含む、研磨部分を備える、化学機械研磨パッド。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー体と、
前記ポリマー体の本体内に埋め込まれた複数のポリマー粒子であって、前記複数のポリマー粒子の少なくとも一部が前記ポリマー体の表面に少なくとも部分的に露出している、複数のポリマー粒子と、
前記ポリマー体の前記表面にある複数の細孔と
を含む、研磨部分を備える、化学機械研磨パッド。
【請求項2】
前記ポリマー体内に埋め込まれた前記複数のポリマー粒子の濃度が、0.5重量%~40重量%の範囲内である、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
【請求項3】
前記ポリマー粒子が約10ナノメートル~約50マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
【請求項4】
前記ポリマー体がポリウレタンを含む、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
【請求項5】
前記ポリマー粒子がスチレンアクリロニトリルを含む、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
【請求項6】
前記研磨部分の多孔度が約10%~80%の範囲内にある、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
【請求項7】
研磨部分の弾性貯蔵率が、25℃で測定して約50MPa~約1000MPaの範囲内にある、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
【請求項8】
前記研磨部分の硬度が、ショアDスケールで約50~80の範囲内にある、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
【請求項9】
前記研磨部分に取り付けられたサブパッド部分をさらに備える、請求項1に記載の化学機械研磨パッド。
【請求項10】
研磨パッドを製造する方法であって、
プレポリマーを含む第1の混合物を調製することと、
ポリマー粒子を含む第1の硬化剤を調製または得ることと、
前記ポリマー粒子を含む前記第1の硬化剤を第2の硬化剤と組み合わせることによって、第2の混合物を調製することと、
前記第1の混合物と前記第2の混合物とを組み合わせることと、
前記組み合わされた第1の混合物および第2の混合物を型に移送することと、
前記型内で重合反応を開始して、前記化学機械研磨パッドの研磨部分のポリマー体を形成することと
を含む、方法。
【請求項11】
前記ポリマー粒子が約10ナノメートル~約50マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー粒子がスチレンアクリロニトリルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー体がポリウレタンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
プレポリマーと、
第1の硬化剤と、
ポリマー粒子と
を含む、請求項1に記載の研磨パッドを調製するための組成物。
【請求項15】
第2の硬化剤および1つまたは複数の充填剤の少なくとも1つをさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、化学機械平坦化に使用される研磨パッドに関し、より具体的には、ポリマー粒子を含むテクスチャ加工CMPパッドに関する。
【0002】
本開示の理解を助けるために、ここで添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】化学機械平坦化のための例示的なシステムの図である。
【
図2A】本開示の例示的なCMPパッドの図である。
【
図2B】
図2BのCMPパッドの表面の拡大ビューの図である。
【
図3】
図2の例示的なCMPパッドを調製するための例示的な混合物を示すブロック図である。
【
図4】CMPパッドの研磨部分を調製し、研磨部分を有するCMPパッドを調製し、CMPパッドを使用するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図5】CMPパッド試料を調製するために使用される混合物に添加された共重合体ポリオール(CPP)硬化剤の量の関数としての平均硬度のプロットである。
【
図6A】試料を調製するために使用される混合物に含まれる異なる量のCPP硬化剤を使用して調製された試料の弾性率のプロットである。
【
図6B】異なる温度で試料を調製するために使用される混合物に含まれる異なる量のCPP硬化剤を使用して調製された試料の弾性率のプロットである。
【
図7A】従来のCMPパッドの表面のSEM画像である。
【
図7B】本開示に記載のCMPパッドの一例の表面のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示の実施形態の例示的な実施態様を以下に示すが、本開示は、現在知られているか否かにかかわらず、任意の数の技術を使用して実施することができることを最初に理解されたい。本開示は、以下に示す例示的な実施態様、図面、および技術に決して限定されるべきではない。さらに、図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0005】
集積回路は、典型的には、シリコンウェハ上に導電層、半導電層、および/または絶縁層を順次堆積することによって基板上に形成される。様々な製作プロセスは、基板上のこれらの層の少なくとも1つの平坦化を必要とする。例えば、特定の用途(例えば、パターン加工層のトレンチ内にビア、プラグ、およびラインを形成するための金属層の研磨)では、上にある層は、パターン化層の上面が露出するまで平坦化される。他の用途(例えば、フォトリソグラフィーのための誘電体層の平坦化)では、上にある層は、下にある層の上に所望の厚さが残るまで研磨される。化学機械平坦化(CMP)は、平坦化の1つの方法である。この平坦化方法は、典型的には、キャリアヘッドに基板を取り付けることを含む。基板の露出面は、典型的には、回転プラテン上の研磨パッドに対して配置される。キャリアヘッドは、回転研磨パッドに基板を押し付けるために、基板に制御可能な荷重(例えば、印加された力)を提供する。研磨中に研磨パッドの表面に、研磨粒子を含むスラリーなどの研磨液を配置することもできる。
【0006】
研磨パッドは、一般に、研磨中に研磨される表面に接触する研磨表面を含む。以前のCMPパッド研磨表面は、その寿命を通して不均一な研磨特性が課題となることがある。例えば、CMPパッドの寿命が長くなるにつれて材料除去速度が低下する場合、CMPプロセスを確実に実行することが困難になる可能性がある。研磨表面の特性の変化は、平坦化/研磨されているウェハからの一貫性のない材料除去速度など、変わりやすく制御が困難な研磨特性および対応する変わりやすく制御が困難なCMP結果を有するCMPパッドをもたらし得る。
【0007】
本開示は、CMPパッドの研磨表面の微細構造の特性の改善された制御が、より信頼性の高いCMP性能および改善されたCMP性能の両方を提供し得ることを認識する。例えば、本開示は、ポリマー粒子が上部研磨層に埋め込まれたCMPパッドが、長期間の使用によって研磨表面層が徐々に除去されるにつれて埋め込まれた粒子が露出するため、パッド材料の改善されたコンディショニング性およびより容易にリフレッシュされるパッド表面を容易にすることを認識する。これは、経時的なより一貫した表面テクスチャおよび対応するより一貫したCMP性能を容易にする。埋め込まれたポリマー粒子はまた、CMPパッド表面に露出したポリマー粒子に起因する突出した表面特徴およびCMPパッドの表面から除去されたポリマー粒子に起因する細孔状の表面特徴の両方を通じて、増加した研磨表面積を提供する(
図2Aおよび
図2Bならびに以下の対応する説明を参照されたい)。この増加した表面積および粗さは、CMP性能を改善する。
【0008】
化学機械平坦化システム
図1は、化学機械平坦化を実行するためのシステム100を示す。システム100は、プラテン102上に配置されるかまたは取り付けられるCMPパッド200(「研磨パッド」とも呼ばれ、
図2および以下の対応する説明も参照されたい)を含む。例えば、CMPパッド200をプラテン102に取り付けるために接着層(図示せず)が使用されてもよい。プラテン102は、一般に、化学機械平坦化中に回転することができる。ウェハ104(例えば、上述したように、導電層、半導電層、および/または絶縁層を有するかまたは有さないシリコンウェハ)は、回転可能なチャックのヘッド106に取り付けられる。ウェハ104は、減圧および/または可逆性接着剤(例えば、化学機械平坦化中にウェハ104を定位置に保持するが、化学機械平坦化後にウェハ104をヘッド106から取り外すことを可能にする接着剤)を使用して取り付けられてもよい。
図1に示すように、(例えば、ウェハ104の表面とCMPパッド200との間の接触を容易にするために)化学機械平坦化中にウェハ104に圧力を印加することができる。
【0009】
例示的なCMPパッド200が
図2Aおよび
図2Bに示され、以下により詳細に説明される。簡潔には、CMPパッド200は、一般に、円形または略円筒形の形状(すなわち、上面、底面、および湾曲した縁部を有する)を有する。CMPパッド200は、可撓性ポリウレタンまたは硬質ポリウレタンなどのポリウレタンを含んでもよい。例示的な研磨パッド200を調製するために使用される組成物および方法の例は、
図3および
図4に関して以下により詳細に説明される。CMPパッド200は、(例えば、システム100などのCMPシステムで使用されるように)任意の適切な厚さおよび任意の適切な直径を有することができる。例えば、CMPパッド200の厚さは、0.5ミリメートル(mm)未満または約0.5ミリメートル(mm)から5センチメートル(cm)を超える範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、CMPパッド200の厚さは、1mm~5mmの範囲内であり得る。研磨パッドの直径は、一般に、使用される研磨システム100のプラテン102の直径に一致するか、またはそれよりもわずかに小さくなるように選択される。CMPパッド200は、一般に、均一または略均一な厚さ(例えば、研磨パッドの半径方向範囲にわたって50%、25%、20%、10%、5%以下、またはそれ未満だけ変化する厚さ)を有する。
【0010】
化学機械平坦化の前および/または間に、CMPパッド200の表面にスラリー108を提供することができる。スラリー108は、(例えば、ウェハ104の表面から酸化シリコン層を除去するために)平坦化されるウェハタイプおよび/または層材料の平坦化のための任意の適切なスラリーであってもよい。スラリー108は、一般に、研磨性および/または化学的に反応性の流体および粒子を含む。任意の適切なスラリー108を使用することができる。例えば、スラリー108は、平坦化される表面から除去される1つまたは複数の材料と反応することができる。
【0011】
コンディショナ110は、CMPパッド200の表面をコンディショニングするように構成されたデバイスである。コンディショナ110は、一般に、CMPパッド200の上部層(例えば、以下に説明される
図2Aおよび
図2Bの研磨部分または上部パッド202)に接触する表面を含み、CMPパッド200の上部層の一部を除去して、化学機械平坦化中のその性能を改善する。例えば、コンディショナ110は、CMPパッド200の表面を粗面化してもよい。本開示に記載されている上部層にポリマー粒子が埋め込まれた新しいCMPパッド200は、CMPプロセス中に上部層が除去されると埋め込まれた粒子が露出されるため、適切な表面テクスチャが一貫して維持されるので、以前のCMPパッドに必要とされたよりも少ない、コンディショナ110によるコンディショニングを必要とし得る。
【0012】
例示的な研磨パッド
図2Aおよび
図2Bは、断面側面から見た例示的なCMPパッド200を示す。例示的なCMPパッド200は、上部パッド202およびサブパッド214を含む。CMPパッド200は、一般に、円形または略円筒形の形状を有する。CMPパッド200の厚さは、約1mm~約10mm、またはそれ以上の範囲内など、任意の適切な値であってもよい。CMPパッド200の直径は、約500mm~約800mm、またはそれ以上の範囲内など、任意の適切な値であってもよい。CMPパッド200は、一般に、均一な厚さを有する。均一な厚さは、CMPパッド200の半径方向範囲にわたって50%、25%、20%、10%、5%以下、またはそれ未満だけ変化する厚さとして定義される。言い換えると、CMPパッド200の中心付近で測定された厚さは、CMPパッド200の縁部付近の厚さと略同じである。
【0013】
上部パッド202は、CMPパッド200の研磨部分であり、CMPプロセス中に平坦化/研磨される表面(例えば、上述した
図1のウェハ104の表面)と接触する。
図2Aの側面図に示すように、上部パッド202は、複数のポリマー粒子204が埋め込まれたポリマー体206を含む。ポリマー体206は、熱硬化性ポリウレタンなどのポリウレタン材料、または任意の他の適切な材料であってもよい。ポリマー粒子204は、任意の適切なポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子204は、ポリ(スチレン-アクリロニトリル)(SAN)を含む。ポリマー体206中のポリマー粒子204の濃度は、0.5重量%~40重量%(例えば、1重量%~30重量%、5重量%~25重量%)であってもよい。ポリマー粒子206は、10ナノメートル~約50マイクロメートル(例えば、50ナノメートル~20マイクロメートル、100ナノメートル~1000ナノメートル)の範囲内の直径を有する略球形の形状であってもよい。
【0014】
上部パッド202の表面212付近の
図2Bの拡大ビュー210に示すように、ポリマー粒子204の少なくとも一部は、ポリマー体206の表面212で少なくとも部分的に露出している。表面212はまた、ポリマー体206の表面に多数の細孔208を含む。細孔208は、ポリマー粒子204が表面212から除去されるときに(例えば、取り扱い、平坦化/研磨プロセス、および/または
図1のコンディショナ110によるコンディショニング中に)形成され得る。ポリマー粒子204の存在は、いくつかの技術的利点を提供する。例えば、表面212の粗さは、細孔208およびポリマー粒子204の両方の存在によって増加し得る(
図7Aおよび
図7Bならびに以下の対応する説明も参照されたい)。さらに、CMPパッド200の使用中、表面212の粗さは、材料が上部パッド202から除去されるときに比較的一貫した値に維持され得る。例えば、粗さは、上部パッド202の材料が除去されるときに比較的一定であり得るが、これは、上部パッド202の表面212からより深い位置にある細孔208および/またはポリマー粒子204が露出され得るからである。場合によっては、上部パッド202の弾性および/または他の機械的特性は、ポリマー粒子204の存在によって調整することができる(
図5、
図6Aおよび
図7Bならびに以下の対応する説明も参照されたい)。例えば、ポリマー粒子204の濃度および/またはサイズは、所与の用途のために(例えば、所与の材料の除去および/または平坦化/研磨のために)所望の弾性、硬度などを得るように選択することができる。
【0015】
上部パッド202の材料は、多孔質または非多孔質であってもよい。上部パッド202は、例えば、熱硬化性ポリウレタンフォームを形成することによって、ポリウレタン組成物中に充填剤材料(例えば、以下に
図3に関して説明されるポロゲン充填剤310)を含めることによって、またはポリウレタン組成物中に中空ミクロスフェア(例えば、以下に
図3に関して説明されるポリマーミクロスフェア充填剤310)を含めることによって調製することができる。上部パッド202の多孔質の実施形態は、例えば、約5~約60体積パーセント(例えば、約10~約50体積パーセント、約15~約50体積パーセント、または約20~約40体積パーセント)の範囲内の実質的に任意の適切な多孔度を有することができる。上部パッド202の非多孔質の実施形態は、一般に、約5体積パーセント未満の多孔度を有する。
【0016】
場合によっては、上部パッド202の表面212は、CMPプロセスを容易にするための溝または任意の他の適切な構造もしくはパターンを含むことができる。例えば、溝は、上部パッド202の表面212および平坦化されているウェハ104から離れるエッチングされた材料および/またはCMPプロセスの任意の他の生成物の輸送を容易にすることができる。上部パッド202は、任意の適切な厚さを有することができる。例えば、上部パッド202の厚さは、約0.2mm~約5mmの範囲内であってもよい。
【0017】
サブパッド214は、上部パッド202に比較的圧縮可能な支持を提供することができる。サブパッド214は、熱硬化性ポリウレタンなどのポリウレタン材料であってもよい。サブパッド214は、任意の適切な厚さを有することができる。例えば、サブパッド204の厚さは、約0.2mm~約5mmの範囲内であってもよい。
【0018】
上部パッド202およびサブパッド214は、CMPパッド200を形成するために接着剤によって、または接着剤なしで一緒に保持され得る。例えば、接着剤を使用する場合、上部パッド202は、薄い接着層(例えば、テープ、膠などの感圧接着剤の層)によってサブパッド214に固定されてもよい。必要に応じて、他の接着剤がさらに使用されてもよく、代替的に使用されてもよい。例えば、接着剤はホットメルト接着剤であってもよく、または上部パッド202とサブパッド214との間に熱可塑性樹脂材料の薄層を積層することによって上部パッド202とサブパッド214とを接続してもよい。CMPを実行するために、プラテン接着剤を使用してCMPパッド200を
図1に示すプラテン102に固定することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、CMPパッド200は、より多くのまたはより少ない層を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、CMPパッド200は、サブパッド214を含まない。他の実施形態では、CMPパッド200は、
図2に示されていない追加の層を含むことができる。
【0020】
テクスチャ加工CMPパッド表面を調製するための組成物
図3は、
図2の上部パッド202およびCMPパッド200を調製するために使用される例示的な混合物300を示す。混合物300は、プレポリマー302と、ポリマー粒子306と混合され得る第1の硬化剤304と、第2の硬化剤308と、任意選択の充填剤310とを含む。
【0021】
プレポリマー302は、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーであってもよい。プレポリマー302は、多官能性芳香族イソシアネートとプレポリマーポリオールとを反応させることによって調製してもよい。多官能性芳香族イソシアネートの例としては、トルエンジイソシアント(toluene diisocyante)(TDI)化合物、例えば2,4-TDI、2,6-TDIおよびそれらの混合物;メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)化合物、例えば2,2’-MDI、2,4’-MDIおよび4,4’-MDI(当該技術分野では4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとも呼ばれる)、およびそれらの混合物;ナフタレン-1,5-ジイソシアネート;トリジンジイソシアネート;パラフェニレンジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート;ならびにそれらの混合物を挙げることができる。ポリオールプレポリマー302は、実質的に任意の適切なジオール、ポリオール、ポリオール-ジオール、ならびにそれらの共重合体および混合物を含み得る。例えば、ポリオールプレポリマー302は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)、エチレンオキシドキャップされたPTMEGまたはPPG、ポリカプロラクトン、エステル系ポリオール、例えばエチレンまたはブチレンアジペート、それらの共重合体およびそれらの混合物を含み得る。PTMEGおよびPPGなどの適切なポリオールは、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびそれらの混合物を含む低分子量ポリオールと混合され得ることが理解されよう。
【0022】
第1の硬化剤304は、共重合体ポリオール(CPP)硬化剤であってもよい。CPPは、フリーラジカル重合によってポリオール中で1つまたは複数の不飽和モノマーを重合することによって製造される。第1の硬化剤304は、ポリマー粒子306と混合される流体であってもよい。ポリマー粒子306は、
図2のポリマー粒子204と同じであってもよい。例えば、ポリマー粒子306は、ポリスチレン、共重合されたスチレンおよびアクリロニトリル、ポリウレタンまたはポリ尿素粒子などであってもよい。ポリマー粒子306は、一般に、CMPパッド200の上部パッド202内に(例えば、それらの元の形態で、または混合物300の他の成分302,308,310への曝露、熱への曝露、混合中の機械的力への曝露などによってCMPパッド200の形成中に変更されて)保持される。混合物300へのSANポリマー粒子306の添加は、第1の硬化剤304のみを使用して達成されるよりも硬く弾力性のあるCMPパッド200をもたらし得る。
【0023】
第1の硬化剤304中のポリマー粒子306(例えば、SANポリマー)の限定された溶解度は、ポリマー粒子306が第1の硬化剤304内に均一に分配されるような相分離をもたらす。重合中(
図4参照)、フリーラジカル開始剤は、ポリオール硬化剤304から水素を引き抜き、ポリオール鎖上にフリーラジカル部位を提供し得る。これにより、第1の硬化剤304中のポリマー粒子306が安定化する。第1の硬化剤304は、典型的にはビニルおよびヒドロキシル官能性を有するA-B官能性モノマーである、いわゆる「マクロマー」を含んでもよい。これらのマクロマーは、第1の硬化剤304中のポリマー粒子306の安定性を改善し、ポリマー粒子306の凝集を防止し得る。第1の硬化剤304中のポリマー粒子306の濃度(固形分パーセント)は、最大50重量%またはそれ以上であり得る。
【0024】
第2の硬化剤308は、ポリアミン硬化剤であってもよい。第2の硬化剤308は、例えばジアミンおよび他の多官能性アミンを含む実質的に任意の適切なポリアミンを含んでもよい。第2の硬化剤308は、低分子量ポリアミン硬化剤であってもよい。ジアミンの例としては、アニリンジアミン化合物、トルエンジアミン化合物、アミノベンゾエート化合物、およびそれらの混合物を挙げることができる。アニリンジアミン化合物の例としては、4,4-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MBCAまたはMOCA);4,4’-メチレン-ビス-o-クロロアニリン(MbOCA);4,4’-メチレン-ビス-(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)(MCDEA);4,4’-メチレン-ビス-アニリン;および1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタンが挙げられる。トルエンジアミン化合物の例としては、ジメチルチオトルエンジアミン;ジエチルトルエンジアミン;5-tert-ブチル-2,4-および3-tert-ブチル-2,6-トルエンジアミン;5-tert-アミル-2,4-および3-tert-アミル-2,6-トルエンジアミン;およびクロロトルエンジアミンが挙げられる。アミノベンゾエート化合物の例としては、トリメチレングリコールジ-p-アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシドジ-p-アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシドモノ-p-アミノベンゾエート;ポリプロピレンオキシドジ-p-アミノベンゾエート;およびポリプロピレンオキシドモノ-p-アミノベンゾエートが挙げられる。場合によっては、アニリンジアミン化合物、例えば4,4-メチレンビス(2クロロアニリン)、トルエンジアミン化合物、例えばジメチルチオトルエンジアミンが好ましい場合がある(ただし、開示される実施形態はこの点に関して限定されない)。
【0025】
任意選択の充填剤310は、一般に、混合物300の任意の追加の成分を含む。充填剤310は、上部パッド202に異なる物理的、機械的および/または化学的特性を提供することができる。充填剤310は、潤滑剤および/または多孔度形成剤、例えばミクロスフェアまたはガスを含んでもよい。例えば、充填剤310は、上部パッド202に細孔を形成するポロゲンを含むことができる。充填剤310は、研磨/平坦化される表面および/または研磨/平坦化される表面に塗布されたスラリーと反応する種を含むことができる。
【0026】
図2Aおよび
図2Bに示す上部パッド202は、鋳造、成形、コーティング、押出、印刷、焼結、噴霧などの実質的に任意の適切なパッド製造技術(例えば、以下に説明する
図4に示すように)を使用して混合物300から製作することができる。開示されたパッドの実施形態は、特定の製造技術に関して限定されない。例えば、上部パッド202は、様々な成形および鋳造技術のいずれかを使用して製作することができる。非限定的な例として、プレポリマー302および任意選択の充填剤310を含む混合物300の第1の部分312が調製されてもよく、混合物300の第2の部分314は、第1の硬化剤304をポリマー粒子306および第2の硬化剤308と組み合わせることによって調製されてもよい。2つの部分312,314は、個別に調製され、次いで、所定のブレンド比および/または温度で一緒にブレンドされてもよい。次いで、得られた混合物300を型に注入して、高温、例えば約60℃~約160℃に維持することができる。型は、任意選択で、閉鎖チャンバ内に配置され、注入されたブレンド内に閉じ込められた空気を排出するために減圧または圧力に曝されてもよい。所定時間(例えば、約10~約30分)後、上部パッド202を型から取り外し、次いで硬化させてもよい(例えば、約30℃~約100℃の範囲内の温度で約6~12時間)。
【0027】
CMPパッド200がサブパッド214を含む場合、適切なサブパッド214は、同様の成形プロセスまたは任意の他の適切なプロセスを使用して同時にまたは別個に調製され得る。上部パッド202は、CMPパッド200を調製するために、接着剤および/または熱の印加などの任意の適切な機構を使用してサブパッド214に取り付けられてもよい。
【0028】
テクスチャ加工CMPパッド表面を調製する方法
図4は、ポリマー粒子204が埋め込まれた上部パッド202と、この上部パッド202を含むCMPパッド200とを調製し、得られたCMPパッド200を使用するための例示的なプロセス400を示す。プロセス400は、
図3の第1の混合物部分312が調製されるステップ402で開始することができる。例えば、第1の混合物部分312は、プレポリマー302と任意選択の充填剤310とを組み合わせることによって調製されてもよい。ステップ404において、第2の混合物部分314が調製される。例えば、第2の混合物部分314は、第1の硬化剤304をポリマー粒子306および第2の硬化剤308と組み合わせることによって調製されてもよい。ステップ406において、第1の混合物部分312と第2の混合物部分314とを組み合わせて混合物300を調製する。いくつかの実施形態では、ステップ402,404および406は、混合物300を調製するために異なる順序および/または組み合わせで実行されてもよい。
【0029】
ステップ408において、ステップ406からの混合物300を使用して、上部パッド202が調製される。例えば、上部パッド202は、鋳造、成形、コーティング、押出、印刷、焼結、噴霧などを使用して調製することができる。例えば、混合物300を型に注入し、型内で重合反応を開始して、上部パッド202のポリマー体206を形成することができる。例えば、混合物300は、高温、例えば、約60℃~約160℃に維持されてもよい。型は、任意選択で、閉鎖チャンバ内に配置され、注入された混合物300内に閉じ込められた空気を排出するために減圧または圧力に曝されてもよい。所定時間(例えば、約10~約30分)後、上部パッド202を型から取り外し、次いで硬化させてもよい(例えば、約30℃~約100℃の範囲内の温度で約6~12時間)。
【0030】
ステップ410において、ステップ408からの上部パッド202は、サブパッド214と組み合わせることができる。サブパッド214は、上部パッド202を調製するために使用されるプロセスと同様または異なるプロセスを使用して調製することができる。一般に、サブパッド214は、鋳造、成形、コーティング、押出、印刷、焼結、噴霧などを使用して調製することができる。上部パッド202は、CMPパッド200を調製するために、接着剤および/または熱の印加などの任意の適切な機構を使用してサブパッド214に取り付けられてもよい。
【0031】
ステップ412において、ステップ410から得られたCMPパッド200は、例えば、
図1に関して上述したように、平坦化/研磨プロセスに使用することができる。
図2を参照すると、研磨/平坦化プロセスが実行されるとき、埋め込まれたポリマー粒子204が表面212で露出して、露出したポリマー粒子204および/または細孔208を形成するので、比較的一定の表面粗さが維持され、その結果、CMP結果が改善され、より一貫したものとなる。
【0032】
実施形態
(1)実施形態(1)では、
ポリマー体と、
ポリマー体の本体内に埋め込まれた複数のポリマー粒子であって、複数のポリマー粒子の少なくとも一部がポリマー体の表面に少なくとも部分的に露出している、複数のポリマー粒子と、
ポリマー体の表面にある複数の細孔と
を含む、研磨部分を備える、化学機械研磨パッドが提示される。
【0033】
(2)実施形態(2)では、ポリマー体内に埋め込まれた複数のポリマー粒子の濃度が、0.5重量%~40重量%の範囲内である、実施形態(1)に記載の化学機械研磨パッドが提示される。
【0034】
(3)実施形態(3)では、ポリマー粒子が約10ナノメートル~約50マイクロメートルの平均サイズを有する、実施形態(1)または(2)に記載の化学機械研磨パッドが提示される。
【0035】
(4)実施形態(4)では、ポリマー体がポリウレタンを含む、実施形態(1)~(3)のいずれか1つに記載の化学機械研磨パッドが提示される。
【0036】
(5)実施形態(5)では、ポリマー粒子がスチレンアクリロニトリルを含む、実施形態(1)~(4)のいずれか1つに記載の化学機械研磨パッドが提示される。
【0037】
(6)実施形態(6)では、研磨部分の多孔度が約10%~80%の範囲内にある、実施形態(1)~(5)のいずれか1つに記載の化学機械研磨パッドが提示される。
【0038】
(7)実施形態(7)では、研磨部分の弾性貯蔵率が、25℃で測定して約50MPa~約1000MPaの範囲内にある、実施形態(1)~(6)のいずれか1つに記載の化学機械研磨パッドが提示される。
【0039】
(8)実施形態(8)では、研磨部分の硬度が、ショアDスケールで約50~80の範囲内にある、実施形態(1)~(7)のいずれか1つに記載の化学機械研磨パッドが提示される。
【0040】
(9)実施形態(9)では、研磨部分に取り付けられたサブパッド部分をさらに備える、実施形態(1)~(8)のいずれか1つに記載の化学機械研磨パッドが提示される。
【0041】
(10)実施形態(10)では、実施形態(1)~(9)のいずれか1つに記載の化学機械研磨パッドの研磨部分を製造する方法が提示される。
【0042】
(11)実施形態(11)では、
プレポリマーを含む第1の混合物を調製することと、
ポリマー粒子を含む第1の硬化剤を調製または得ることと、
ポリマー粒子を含む第1の硬化剤を第2の硬化剤と組み合わせることによって、第2の混合物を調製することと、
第1の混合物と第2の混合物とを組み合わせることと、
組み合わされた第1の混合物および第2の混合物を型に移送することと、
型内で重合反応を開始して、化学機械研磨パッドの研磨部分のポリマー体を形成することと
をさらに含む、実施形態(10)に記載の方法が提示される。
【0043】
(12)実施形態(12)では、実施形態(1)~(9)のいずれか1つに記載の化学機械研磨パッドを調製するための組成物が提示される。
【0044】
(13)実施形態(13)では、
プレポリマーと、
第1の硬化剤と、
ポリマー粒子と
を含む、実施形態(12)に記載の組成物が提示される。
【0045】
(14)実施形態(14)では、第2の硬化剤および/または任意選択で1つまたは複数の充填剤をさらに含む、実施形態(13)に記載の組成物が提示される。
【0046】
例示的な実験例
機械的特性試験のための試料の調製
本開示の例示的な試験試料(例えば、上述のCMPパッド200)を調製するための例示的な手順を以下に説明する。固体または多孔質試料の第1のセットを、厚さ80ミルの9インチ正方形型を用いた圧縮成形によって調製した。充填剤を含まないプレポリマーと、第1のCPP硬化剤と、第2の硬化剤(この例では、ジメチルチオトルエンジアミン)の混合物を予熱した型に注入し、260°Fで10分間圧縮成形した。次いで、予備硬化した試料を型から解放し、通気オーブンで200°Fの温度で12時間硬化させた。次いで、試料を小片に切断して、さらなる表面処理を行わずに様々な機械的特性試験を実行した。
【0047】
平坦化試験のためのCMPパッドの調製
本開示の例示的なCMPパッド(例えば、上述のCMPパッド200)を調製するための別の例示的な手順を以下に説明する。平坦化試験に使用したCMPパッドは、成形システムを使用してバッチ方式で調製した。プレポリマーを最初に充填剤と混合し、次いで第2の硬化剤およびポリマー粒子を含む(または対照として含まない)CPP硬化剤と混合した。次いで、混合物を成形システムの別々のタンクに移送し、予熱した。最終混合物を直径30インチの型のベース上に分注した。次いで、CMPパッドを260°Fで10分間減圧下で型内に放置した。分注された成分の数、成形時間、圧力、型設計、および/または基準温度は、特定の試験された組成物間で変化した。
【0048】
次いで、得られたCMPパッドを型から解放し、通気オーブン内で230°Fで16時間硬化させた。硬化したパッドを試験に使用した。機械的試験のために、溝をCNCフライス加工によって除去した。平坦化研磨試験のために、溝を付けた側面の微細な正面フライス加工によって、パッドを裏面から65ミルまで薄くした。正面フライス加工した上部パッドにサブパッドおよびプラテン接着剤を積層し、必要に応じて特定の研磨プロセスを観察するために窓を設置した。実験例におけるすべてのCMPパッドは、同じ上部パッド厚さ、サブパッド、およびプラテン接着剤を使用した。
【0049】
機械的試験
硬度:ASTM 2240およびISO 868に記載の手順に従って、標準デュロメータ硬さ試験を使用して、25℃で様々な試験試料の硬度(ショアD硬度)を測定した。
【0050】
密度:様々な調製された試料の密度を、比重瓶を使用して測定した。試験のために試料を直径1インチの円に切断した。試験中、試料が湿潤比重瓶中のイソプロピルアルコールを変位させ、見かけ密度を重量法によって決定した。
【0051】
弾性率:動的機械分析(DMA)を使用して、様々な試料の弾性貯蔵率(E’)を温度の関数として測定した。硬化した試料を6mm×30mmの長方形切片に切断し、引張クランプに取り付けた。各試料の物理的寸法は、DMAの前にマイクロメータを使用して測定した。DMA試験は、周波数1Hz、振幅30ミクロン、および-50℃から180℃までの5℃/分の温度勾配速度を有する標準的な多周波数制御歪み引張モードで、空気を流しながら乾燥条件下で行った。DMA測定は、ASTM D4065に従って行った。
【0052】
表面粗さ:三次元(3D)測定のために構成されたデジタル光学顕微鏡(Alicona製のIF(InfiniteFocus)-Measure)を使用して、研磨後のパッド表面粗さを得た。以下の表1に示す表面粗さデータ)は、CMPパッド試料の中心、中央および縁部付近の異なる位置での9つの測定値からの平均である。Saは、測定領域の平均表面粗さであり、Spkは、コア材料の上方のピーク部の平均高さであり、Svkは、コア材料の下方の谷部の平均深さである。
【0053】
試料パッド1内の埋め込まれたポリマー粒子は、CMPパッドの表面に露出したポリマー粒子に起因する突出した表面特徴およびCMPパッドの表面から除去されたポリマー粒子に起因する細孔状の表面特徴の両方によって、対照パッドの表面粗さよりも増加した表面粗さを有していた。対照パッドと比較して、試料パッド1では、より高い隆起高さ(Spk)およびより深い谷高さ(Svk)を有する表面粗さ(Sa)の増加が観察された。試料パッド1の増加した表面粗さは、パッドをより硬い材料を使用して調製する必要なく、(以下に示すように)改善された除去速度を提供することができる。
【0054】
表1:対照CMPパッドおよび試料パッド1の表面粗さ値
【0055】
異なる混合物組成物から調製された例示的なCMPパッドの機械的特性
表2は、以下の
図5、
図6Aおよび
図6Bに関して説明するように、機械的試験のために調製された様々な試料のリストを示す。表2は、CMPパッド200の試料を調製するために使用される混合物300を調製するために使用される硬化剤304およびポリマー粒子306の特性を示す。表2において、OH#は、(例えば、
図3の成分304中の)材料の質量当たりのヒドロキシル基の密度を指し、粒子含有量は、CPP硬化剤(例えば、
図3の成分304)中のSANポリマー粒子(例えば、
図3の成分306)の質量百分率を指し、公称官能価は、CPP硬化剤の各分子上の官能基の数を指し、粘度25C/40Cは、25℃および40℃でのCPP硬化剤とSAN粒子との混合物の粘度(測定した場合)を指す。試料1は、ヒドロキシル価30.0±2.0mgKOH/gを有する高分子量反応性ポリオール中に分散した10% SAN粒子を有するポリエーテルポリオールである。試料2は、ポリ尿素充填ポリエーテルポリオールである。試料3、4および5は、共重合されたスチレンおよびアクリロニトリルの分散SAN粒子を含有するグラフトポリエーテルポリオールの異なる配合物である。
【0056】
表2:異なる試験試料中のCPP硬化剤およびSAN粒子の特性
【0057】
異なる濃度のCPP硬化剤(例えば、
図3の成分304)およびSAN粒子(例えば、
図3の成分306)を用いて調製した表2の試料の平均硬度を
図5に示す。CPP硬化剤の量が増加するにつれて、硬度は低下する。異なる濃度のCPP硬化剤(例えば、
図3の第1の硬化剤304)を用いて調製した表2の試料の弾性貯蔵率(E’)を
図6Aおよび
図6Bに示す。
図6Aは、25℃における弾性貯蔵率の値を示し、
図6Bは、50℃における弾性貯蔵率の値を示す。硬度と同様に、CPP硬化剤の量が増加するにつれて、弾性貯蔵率は低下する。硬度または弾性率の変化の影響は、本明細書に記載の粒子(例えば、
図3の成分306)含有量の範囲を決定する際に認識する必要がある。
【0058】
図5、
図6Aおよび
図6Bに示すように、SAN粒子(例えば、混合物300の成分306)の量が増加するとき、試料3および試料4の場合のように、CPP硬化剤濃度の増加に伴って、硬度および弾性貯蔵率の両方で、観察される変化はより小さくなる。これは、より高い硬度および弾性貯蔵率が好ましい場合に有益であり得る。場合によっては、CPP硬化剤(例えば、
図3の成分304)の濃度および/またはSAN粒子(例えば、
図3の成分306)の濃度を調整することによって、(例えば、所与の研磨/平坦化用途に望ましい特性を得るために)弾性貯蔵率および/または硬度を調整することが可能および/または有利であり得る。場合によっては、研磨部分の弾性貯蔵率は、25℃で測定して約20MPa~約1500MPa、例えば25℃で測定して50MPa~約1000MPaの範囲内である。さらに、場合によっては、弾性貯蔵率は、50℃で測定して約20MPa~約400MPaの範囲内、例えば50℃で25MPa~約35MPaである。
【0059】
表面テクスチャに対するSAN粒子の効果
CMPパッドの表面テクスチャに対するCPP硬化剤(例えば、
図3の成分304)およびSAN粒子(例えば、
図3の成分306)の使用の効果を観察するために、
図7Aおよび
図7Bに示すように、一連の試料をコンディショニングし、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して画像化した。
図7AのSEM画像は、コンディショニング後に細孔を欠き、限定された表面テクスチャを有する従来のCMPパッドを示す。比較すると、SAN粒子(試料4のCPP 5mol%、SAN粒子6.2重量%)を有するCPP硬化剤を使用した場合、
図7Bに示すように、表面は、サブミクロンからミクロンサイズの細孔を有する目に見えるほどに増加した粗さを有する。
図7BのSEM画像は、
図2に示す表面212に対応し、表面212の粒子204と除去された粒子204に起因する細孔208との両方によって粗さの増加がもたらされている。さらなる試験はまた、CPP硬化剤およびSAN粒子を使用して達成された表面粗さの増加および多孔度は、CPPおよびSAN粒子の両方の組み合わせの結果であり、CPP硬化剤単独の添加によって達成されなかったことを確認した。
【0060】
化学機械平坦化性能
例示的なCMPパッドの性能を、タングステンスラリー(CMC Materials製のW8900)を使用して評価した。例示的なCMPパッドを、Reflexion LK CMPポリッシャ(Applied Materialsから入手可能)と、(1)化学蒸着を使用して堆積された6000オングストローム(Å)の平坦なタングステン膜を有する「6kブランケットウェハ」;(2)特殊なパターン化表面上に堆積された2000Åの2000Åタングステン膜を有する「2k 854パターンウェハ」試料;および(3)特殊なパターン化表面上に堆積された2000Åの5000Åタングステン膜を有する「5k 854パターン」試料を含む、Silybタングステンウェハとを使用して評価した。CMP性能を評価するための別の例は、酸化物表面のCMPのための誘電体スラリー(CMC Materials製のD9228)を使用した。試験した酸化物表面は、化学蒸着を使用してオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)から堆積させた20000Åの酸化シリカを有するブランケット酸化物ウェハであった。
【0061】
試料パッド1と呼ばれるCMPパッドは、トルエンジイソシアネート(TDI)およびNCO価10.18のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)に基づくポリウレタンプレポリマー、SAN粒子を含有するCPP硬化剤、ジメチルチオトルエンジアミンの第2の硬化剤、および充填剤を使用して調製した(試料4)。配合物は、66部のプレポリマー、14.5部のCPP硬化剤、16.5部の第2の硬化剤、および3部の細孔充填剤を含有していた。パッド試料1は、ポリマー粒子が埋め込まれていないCMPパッドと同様の硬度および密度を有し、これを除去速度研究の対照として使用した。表3は、対照CMPパッドの性能と比較したタングステン除去についての試料パッド1の性能を示す。試料パッド1は、ブランケットタングステンウェハおよび2つの異なる厚さのパターン化ウェハに対して、ディッシングおよび浸食に関して性能を犠牲にすることなく、改善されたタングステン除去速度(RR)を示した。
【0062】
表3:本発明のCMPパッド(パッド試料1)および対照CMPパッドを使用した例示的なタングステン除去速度(RR)の結果。
【0063】
以下の表4の例に示すように、酸化物層の除去について同様の性能の改善が観察され、これは、対照ならびにCPP硬化剤を含まない他の試料(対照2および対照3)と比較した、パッド試料1の酸化物除去速度を示す。通常、より高い酸化物除去速度の駆動因子であると考えられる硬度および多孔度について、対照2および対照3よりも低い硬度および多孔度(より高い密度)を有する場合でも、パッド試料1は、試験した他の試料のいずれよりも高い酸化物除去速度(RR)を有する。
【0064】
表4:本発明のCMPパッド(パッド試料1および異なる対照CMPパッド)を使用した例示的な酸化物除去速度の結果。
【0065】
本明細書に記載のシステム、装置、および方法に対して修正、追加、または省略を行うことができる。システムおよび装置の構成要素は、統合または分離されてもよい。さらに、システムおよび装置の動作は、より多くの、より少ない、または他の構成要素によって実行されてもよい。本方法は、より多くの、より少ない、または他のステップを含むことができる。さらに、ステップは、任意の適切な順序で実行されてもよい。さらに、システムおよび装置の動作は、任意の適切な論理を使用して実行することができる。本明細書で使用される場合、「各」は、セットの各部材またはセットのサブセットの各部材を指す。
【0066】
本明細書では、「または」は、明確に別途指示されていない限り、または文脈によって別途指示されていない限り、包括的であり、排他的ではない。したがって、本明細書では、「AまたはB」は、明確に別途指示されていない限り、または文脈によって別途指示されていない限り、「A、B、またはその両方」を意味する。さらに、「および」は、明確に別途指示されていない限り、または文脈によって別途指示されていない限り、共同および個別の両方である。したがって、本明細書では、「AおよびB」は、明確に別途指示されていない限り、または文脈によって別途指示されていない限り、「共同でまたは個別に、AおよびB」を意味する。
【0067】
本開示の範囲は、当業者が理解するであろう、本明細書で説明または示される例示的な実施形態に対するすべての変更、置換、変形、改変、および修正を包含する。本開示の範囲は、本明細書で説明または示される例示的な実施形態に限定されない。さらに、本開示は、本明細書のそれぞれの実施形態を、特定の構成要素、要素、特徴、機能、動作、またはステップを含むものとして説明し、示すが、これらの実施形態のいずれも、当業者が理解するであろう、本明細書のどこかに説明または示される構成要素、要素、特徴、機能、動作、またはステップのいずれかの任意の組み合わせまたは置換を含み得る。さらに、特定の機能を実行するように適応されるか、配置されるか、実行することが可能であるか、実行するように構成されるか、実行することが可能にされるか、実行するように動作可能であるか、または実行するように動作する、装置またはシステムあるいは装置またはシステムの構成要素に対する添付の特許請求の範囲における参照は、その装置、システム、または構成要素が、そのように適応されるか、配置されるか、可能であるか、構成されるか、可能にされるか、動作可能であるか、または動作する限り、その装置、システム、構成要素またはその特定の機能が、アクティブにされるか、オンにされるか、またはロック解除されるか否かにかかわらず、その装置、システム、構成要素を包含する。さらに、本開示は、特定の実施形態を、特定の利点を提供するものとして説明するかまたは示すが、特定の実施形態は、これらの利点のいずれをも提供しないか、いくつかを提供するか、またはすべてを提供し得る。
【0068】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書に別途指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」という用語は、別途明記されていない限り、非限定的な用語(すなわち、「限定されないが、」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別途指示がない限り、範囲内に含まれる各別個の値を個別に参照する簡略方法として役立つことを意図しているにすぎず、各別個の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をよりよく説明することを意図しており、特許請求の範囲を限定するものではない。
【国際調査報告】