(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240912BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240912BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20240912BHJP
C08F 292/00 20060101ALI20240912BHJP
C08L 51/10 20060101ALI20240912BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240912BHJP
C08F 4/00 20060101ALN20240912BHJP
C08G 59/00 20060101ALN20240912BHJP
C08G 18/00 20060101ALN20240912BHJP
C08G 65/333 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C08L101/00
C08F2/44 B
C08F2/44 A
C08F20/00 510
C08F292/00
C08L51/10
G02B5/20
C08F4/00
C08G59/00
C08G18/00
C08G65/333
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514444
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2022074141
(87)【国際公開番号】W WO2023031238
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コッソイ,エリザヴェータ
(72)【発明者】
【氏名】ヤコビ,ラヴィト
(72)【発明者】
【氏名】アヴィフ,ヤロン
(72)【発明者】
【氏名】ザーバル,スザンナ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィディー,インバル
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー,インゴ
(72)【発明者】
【氏名】バーシュカ,ジュリアン
【テーマコード(参考)】
2H148
4J002
4J005
4J011
4J015
4J026
4J034
4J036
【Fターム(参考)】
2H148AA05
2H148AA07
2H148AA21
4J002AA001
4J002BG041
4J002BG051
4J002BG071
4J002BN191
4J002DB006
4J002FD096
4J002GP00
4J002GQ00
4J005AA04
4J005BB01
4J005BD00
4J011AA05
4J011AC04
4J011BA04
4J011PB22
4J011PB25
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA13
4J011QA22
4J011QB16
4J011SA84
4J011TA03
4J011TA06
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
4J015EA02
4J015EA03
4J026AC00
4J026BA27
4J026BA28
4J026BA29
4J026DB06
4J026DB30
4J026DB36
4J026FA05
4J026FA09
4J026GA02
4J034QB08
4J034QB11
4J034RA13
4J034RA14
4J036AA00
4J036FA01
4J036FA12
4J036HA02
4J036JA09
(57)【要約】
本発明は、少なくともマトリックス材料(110)および1以上の発光部(120)を含む層に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともマトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを含む層(100)であって、ここで層における発光部(120)の分布が、層厚の方向において同一ではない、前記層(100)。
【請求項2】
少なくともマトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを含有する層(100)であって、第1相(210)と第2相(220)とを含有しており、ここで該第1相(210)と該第2相(220)とが互いに異なり、および該第1相(210)が、該発光部(120)の複数の凝集体(211)と、第2相(220)より第1相(210)の方が単位体積あたりの濃度の高い発光部とを有する、前記層(100)。
【請求項3】
少なくともマトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを含有する層(100)であって、ここで層における発光部の総量に基づく30重量%以上の発光部(120)が、層の領域(160)に濃縮されており、およびここで該領域(160)が、層の厚さの25%以内の厚さを有する、前記層(100)。
【請求項4】
少なくともマトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを含有する層(100)であって、ここで層における発光部の総量に基づく41重量%以上の発光部(120)が、層の領域(160)に濃縮されており、およびここで該領域(160)が、層の厚さの40%以内の厚さを有する、前記層(100)。
【請求項5】
層(100)の層厚が、1から50μmまでの範囲にある、請求項1~4のいずれか一項に記載の層(100)。
【請求項6】
EQE値25%以上かつ50%未満を示す、請求項1~5のいずれか一項に記載の層(100)。
【請求項7】
少なくとも;
i)反応性モノマー;
ii)発光部;および任意に
iii)ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1の末端基を含む化学化合物
を含む組成物から、好ましくは光硬化性組成物から、作製される、請求項1~6のいずれか一項に記載の層(100)。
【請求項8】
組成物の反応性モノマーが、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーである、請求項7に記載の層(100)。
【請求項9】
組成物が、以下の化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマーおよび/または以下の化学式(III)によって表される(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む、請求項7または8に記載の層(100);
【化1】
式中
X
1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X
2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R
1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
【化2】
式中R
9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化3】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
10は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化4】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
11は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化5】
によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R
8、R
8a、R
8b、およびR
8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、H、CH
2CH
3、またはCH
3である;
ここでR
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR
9、R
10、およびR
11の2つは、(メタ)アクリル基であり、かつ他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基である。
【請求項10】
請求項1の発光部とは異なる別の発光部、散乱粒子、透明ポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および界面活性剤からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料を含む、請求項1~9のいずれか一項の層(100)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の層(100)を製作するプロセスであって、ここでプロセスが、少なくとも以下のステップを含む;
I)少なくとも;
i)反応性モノマー;
ii)発光部;および任意に
iii)ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1の末端基を含む化学化合物
を含む組成物を、好ましくは光硬化性組成物を、基体上へ提供すること、
II)組成物を硬化させること。
【請求項12】
請求項11に記載のプロセスから得られるかまたは得ることができる、層(100)。
【請求項13】
請求項1~10または12のいずれか一項に記載の層と、前記層上へ直接付着された別の1つの層(310)とを少なくとも含有する、多重層(300)。
【請求項14】
xi)請求項1~10および12のいずれか一項に記載の層(100)もしくは請求項13に記載の多重層(300)で一部または全部が満たされた画素、任意に、別の層(420)の1以上が、前記画素において層(100)の下および/または上に置かれている;ならびに
xii)ポリマー材料を少なくとも含むバンク(430)
を少なくとも含む、色変換デバイス(400)。
【請求項15】
光を変調するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(510)、および請求項14に記載の色変換デバイス(400)を含有する、光学デバイス(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、層、層を製作するプロセス、多重層、色変換デバイス、および少なくとも1つの色変換デバイスを含有する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
WO 2017/054898 A1には、赤色放射型ナノ結晶、湿潤剤・分散剤、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、酸基を包含するアクリル単位とシラン修飾アクリル単位とを包含するアクリルポリマー混合物を含む組成物が記載されている。
WO 2019/002239 A1には、半電導性発光ナノ粒子、ポリマー、およびほぼ90cpの高粘度を有する1.4.シクロヘキサンジメタノール-モノアクリラートなどの(メタ)アクリラートを含む組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献
1.WO 2017/054898 A1
2.WO 2019/002239 A1
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要
しかしながら、本発明者らは、下に挙げられるとおりの、改善が所望される相当な問題が、依然として1以上存在することを新たに見出している:
硬化組成物フィルムの改善された層輝度を実現すること、低UV強度(例として、2.3mW/cm2でのUV硬化)または高UV光強度(例として、300mW/cm2での10秒UV硬化)にて組成物を硬化させた後の、改善された光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE値)を実現すること、好ましくは、高UV光強度にて組成物を硬化(例として、300mW/cm2にて10秒UV硬化)した後の、改善された光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE)を、および/または改善された層の熱安定性、層の熱処理に続くEQE低下の緩和/防止などの改善されたフィルム層状態を実現すること、好ましくは、これらを同時に実現すること;高UV光強度にて組成物を重合させた後の、改善されたフィルム輝度、および硬化フィルムの長期耐久性を実現すること;硬化組成フィルム層からの光のピーク極大波長(PWL)の青色シフト、改善されたフィルム層のPWL値を実現すること、硬化組成フィルム層から放射される光のピーク極大波長の赤色シフトを低減/防止すること。
【0005】
本発明者らは、上述の問題の1以上を解決することを目的とした。
本発明者らは、驚くべきことに、上に記載の技術的問題のうちの1以上が、クレームに定義されるとおりの特色によって解決され得ることを見出している。
【0006】
つまり、マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含む新規な層(100)が見出されたが、ここで層における発光部(120)の分布は、層厚の方向において同一ではなく、好ましくは層における発光部(120)の濃度は、層厚の方向において変動し、より好ましくは層における発光部(120)の濃度は、層の片側の低濃度から、層の反対側の高濃度まで変動し、好ましくは該片側は、層の上側(140)または層の下側(150)である。
【0007】
別の側面において、本発明は、マトリックス材料(110)および1以上の発光部(120)を少なくとも含有する層(100)に関し、第1相(210)および第2相(220)を含有しており、ここで該第1相(210)と該第2相(220)とは互いに異なり、および該第1相(210)は、該発光部(120)の複数の凝集体(211)と、第2相(220)より第1相(210)の方が単位体積あたりの濃度の高い発光部とを有し、好ましくは該単位体積は1cm3であり、ここで層における第1相(210)の濃度は、層の片側の低濃度から層の反対側の高濃度まで変動するが、層における第2相(220)の濃度は逆に、層の片側の高濃度から層の反対側の低濃度まで変動し、好ましくは該方側は、層の上側(140)または層の下側(150)である。
【0008】
別の側面において、本発明は、マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含有する層(100)に関し、ここで層における発光部の総量に基づき、30wt%以上の発光部(120)が層の領域(160)に濃縮され(concentrated)、ここで該領域(160)は、層の厚さの25%以内の厚さを有する;好ましくは領域(160)は、層におけるいずれかの点に置かれ、より好ましくは該領域(160)は、層の底面(240)から層の頂面(230)までの層厚の25%以内にある層の底面(170)、または層厚の25%以内の厚さを有する層の中間部分(180)、または層の頂面(230)から層の底面(240)までの層厚の25%以内にある層の頂面(190)に置かれ、好ましくは領域(160)は、層の底側(170)または層の頂上側(190)に置かれ、好ましくは層における発光部の総量に基づき発光部の30wt%から70wt%までが領域(160)に濃縮され、より好ましくは40~60wt%である。
【0009】
別の側面において、本発明は、マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含有する層(100)に関し、ここで層における発光部の総量に基づき41wt.%以上の発光部(120)が層の領域(160)に濃縮され、ここで該領域(160)は、層の厚さの40%以内の厚さを有する;好ましくは領域(160)は、層におけるいずれかの点に置かれ、より好ましくは該領域(160)は、層の底面(240)から層の頂面(230)までの層厚の40%以内にある層の底側(170)、層の頂面(230)から層の底面(240)までの層厚の40%以内にある層の頂上側(190)、または層厚の40%以内の厚さを有する層の中間部分(180)に置かれ、好ましくは、層の底面(170)または層の上面(190)に配置され、好ましくは領域(160)は、層の底側(170)にまたは層の頂上側(190)に置かれ、好ましくは層における発光部の総量に基づき発光部の45wt%から90wt%までが領域(160)に濃縮され、より好ましくは50wt%~85wt%、なおもより好ましくは65wt%から80wt%までである。
【0010】
別の側面において、本発明は、本発明の層(100)を製作するプロセスに関し、ここでプロセスは、少なくとも以下のステップを含む;
I)少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは該モノマーは、官能基の1以上を含有し、より好ましくは該モノマーは、(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;および任意に
iii)ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1つの末端基を含む化学化合物、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、一級アミン基、およびカルボキシル基であり、より好ましくは本発明において定義されるとおりのカルボキシル基である、
を含む組成物を、好ましくは光硬化性組成物を、基体上へ提供すること、
II)組成物を硬化させること、好ましくは該硬化は、光照射および/または熱処理によって実施され、より好ましくは該硬化は、光照射によって実施される。
【0011】
別の側面において、本発明は、本発明のプロセスから得られるか、または得ることができる層(100)に関する。
別の側面において、本発明は、少なくとも本発明の層と、本発明の層上へ直接付着された別の1つの層(310)とを含有する多重層(300)に関する。
【0012】
別の側面において、本発明はさらに、
xi)本発明の層(100)または本発明の多重層(300)で一部または全部が満たされた画素、好ましくは該画素は、第1画素(411)および/または第2画素(412)であり、任意に別の層(420)の1以上が画素における層(100)の下および/または上に置かれており、好ましくは該別の層(420)は、マトリックス材料(110)を含有しかつ発光部(120)を含有しない;ならびに
xii)ポリマー材料を少なくとも含むバンク(430)
を少なくとも含む色変換デバイス(400)に関し、好ましくは色変換デバイス(400)は、支持媒体(440)をさらに含有する。
【0013】
別の側面において、本発明はさらに、本発明の層または本発明のデバイス(100)を製作するための本発明の組成物の使用に関する。
別の側面において、本発明はさらにまた、光を変調するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1つの機能媒体(510)と、本発明の色変換デバイス(400)とを含有する光学デバイス(500)に関する。
本発明のさらなる利点は、以下の詳細な記載から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面の記載
【
図1A-B】
図1A:本発明の層(100)の一態様の概略の横断面図を示す。
図1B:本発明の層(100)の別の態様の概略の横断面図を示す。
【
図1C-D】
図1C:本発明の層(100)の別の態様の概略の横断面図を示す。
図1D:本発明の層(100)の別の態様の概略の横断面図を示す。
【0015】
【
図2A】
図2A:本発明の層(100)の一態様の概略の横断面図を示しており、該層(100)を使用することで実行可能な光学デバイスのセットアップを説明する。
【
図2B】
図2B:本発明の層(100)の別の態様の概略の横断面図を示しており、該層(100)を使用することで実行可能な光学デバイスのセットアップを説明する。
【0016】
【
図3】
図3:本発明の多重層(300)の一態様の概略の横断面図を示す。
【
図4】
図4:本発明の色変換デバイス(400)の一態様の概略の横断面図を示す。
【
図5A】
図5A:本発明の光学デバイス(500)の一態様の概略の横断面図を示す。
【
図5B】
図5B:本発明の光学デバイス(500)の一態様の概略の横断面図を示す。
【0017】
【
図6】
図6A:フィルムAの横断面SEM分析の結果を示す。
図6B:フィルムBの横断面SEM分析の結果を示す。
【
図7】
図7A:フィルムCの横断面SEM分析の結果を示す。
図7B:フィルムDの横断面SEM分析の結果を示す。
【0018】
【
図8】
図8A:フィルムEの横断面SEM解析の結果を示す。
図8B:フィルムFの横断面SEM分析の結果を示す。
【
図9】
図9A:2.3mW/cm
2にて10分間硬化させたフィルムAのSeプロファイルを示す。EDSラインスキャンの始点はシリコンウェハにあり、フィルムAの始点は0.88μmにある。
図9B:300mW/cm
2にて10秒間硬化させたフィルムBのSeプロファイルを示す。EDSラインスキャンの始点はシリコンウェハにあり、フィルムBの始点は0.38μmにある。
【0019】
図1A中の引用符号のリスト
100.層(硬化組成物フィルム)
110.マトリックス材料
120.発光部
130.光散乱粒子(任意)
140.上側
150.下側
【0020】
図1B中の引用符号のリスト
100.層(硬化組成物フィルム)
110.マトリックス材料
120.発光部
130.光散乱粒子(任意)
140.上側
150.下側
210.第1相
211.発光部の凝集体
220.第2相
【0021】
図1Cおよび1Dの引用符号のリスト
100.層(硬化組成物フィルム)
110.マトリックス材料
120.発光部
130.光散乱粒子(任意)
160.領域
170.底側
180.中間部分
190.頂上側
230.層の頂面
240.層の下面
【0022】
図2中の引用符号のリスト
100.層(硬化組成物フィルム)
110.マトリックス材料
120.発光部
130.光散乱粒子(任意)
160.領域
170.底側
180.中間部分
190.頂上側
230.層の頂面
240.層の下面
250.光変調/発光デバイス(例として、LCD、OLED)
251.光変調/発光層
252.光学層/基体
253.光学層/基体
254.光
260.光学層/基体
【0023】
図3中の引用符号のリスト
300.多重層
100.層(硬化組成物フィルム)
110.マトリックス材料
120.発光部
130.光散乱粒子(任意)
160.領域
170.底側
180.中間部分
190.頂上側
230.層の頂面
240.層の下面
310.別の層
【0024】
図4中の引用符号のリスト
400. 色変換デバイス
100R.赤色用の層(硬化組成物フィルム)
100G.緑色用の層(硬化組成物フィルム)
110. マトリックス材料
120R.赤色発光部
120G.緑色発光部
130. 光散乱粒子(任意)
160. 領域
411. 第1画素(赤色)
412. 第2画素(緑色)
413. 第3画素(青色)(任意)
420. 別の層
430. バンク
440. 光学層/基体
450R.赤色染料(任意)
450G.緑色染料(任意)
450B.青色染料(任意)
【0025】
図5中の引用符号のリスト
500. 光学デバイス
400. 色変換デバイス
100R.赤色用の層(硬化組成物フィルム)
100G.緑色用の層(硬化組成物フィルム)
110. マトリックス材料
120R.赤色発光部
120G.緑色発光部
130. 光散乱粒子(任意)
160. 領域
411. 第1画素(赤色)
412. 第2画素(緑色)
413. 第3画素(青色)
420. 別の層
430. バンク
440. 光学層/基体
450R.赤色染料(任意)
450G.緑色染料(任意)
450B.青色染料(任意)
510. 光変調/発光デバイス(例として、LCD/OLED)
511. TFT
512. 電極(例として、アノード)
513. 基体
514. 電極(例として、カソード)
515. 光変調/発光層(例として、LC層/OLED層(複数または単数))
516. 発光デバイス(520)からの光放射
520. 光学層/基体(任意)
530. 色フィルター(任意)
540. 光学層(例として、偏光子)(任意)
【発明を実施するための形態】
【0026】
用語の定義
本明細書において、記号、単位、略語、および用語は、別様に特定されない限り、以下の意味を有する。
本明細書において、別様に特に言及されない限り、単数形は、複数形を包含し、「1つ(one)」または「その(that)」は、「少なくとも1つの」を意味する。本明細書において、別様に特に言及されない限り、概念の要素は、複数の種によって表現され得、量(例えば、wt.%、質量%、またはmol%)が記載されているとき、複数の種の合計を意味する。「および/または」は、すべての要素の組み合わせを包含し、また要素の単一の使用も包含される。
本明細書において、数字で表した範囲が、「まで(to)」または「~」を使用して指し示されているとき、両端点を包含し、その単位は共通している。例えば、5~25mol%は、5mol%以上かつ25mol%以下を意味する。
【0027】
本明細書において、炭化水素は、炭素および水素を包含し、任意に酸素または窒素も包含するものを意味する。ヒドロカルビル基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の炭化水素を意味する。本明細書において、脂肪族炭化水素は、線状の、分枝状の、または環状の脂肪族炭化水素を意味し、脂肪族炭化水素基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の脂肪族炭化水素を意味する。芳香族炭化水素は、任意に置換基として脂肪族炭化水素基を含むのみならず脂環と縮合されていてもよい芳香環を含む炭化水素を意味する。芳香族炭化水素基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の芳香族炭化水素を意味する。さらに、芳香環は、共役不飽和環構造を含む炭化水素を意味し、脂環は、環構造を有するが共役不飽和環構造を含まない炭化水素を意味する。
【0028】
本明細書において、アルキルは、線状または分枝状の飽和炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味し、線状アルキルおよび分枝状アルキルを包含しており、シクロアルキルは、環状構造を含む飽和の炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味し、任意に環状構造において側鎖として線状または分枝状のアルキルを包含する。
【0029】
本明細書において、アリールは、芳香族炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味する。アルキレンは、線状または分枝状の飽和炭化水素からいずれか2個の水素を除去することによって得られる基を意味する。アリーレンは、芳香族炭化水素からいずれか2個の水素を除去することによって得られる炭化水素基を意味する。
【0030】
本明細書において、ポリマーが複数のタイプの繰り返し単位を有するとき、これらの繰り返し単位は共重合する。これらの共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれか、またはこれらいずれかの混合物である。
【0031】
本発明に従うと、用語「(メタ)アクリラートポリマー」は、メタクリラートポリマー、アクリラートポリマー、またはメタクリラートポリマーとアクリラートポリマーとの組み合わせを意味する。
用語「放射」は、原子中および分子中の電子遷移による電磁波の放射を意味する。
本明細書において、セ氏は、温度単位として使用される。例えば、20度は、セ氏20度を意味する。
【0032】
本発明の詳細な記載
本発明に従うと、一側面において、層(100)は、マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含むか、本質的にこれらかなるか、またはこれらかなり、ここで層における発光部(120)の分布は、層厚の方向において同一ではなく、好ましくは層における発光部(120)の濃度は、層厚の方向において変動し、より好ましくは層における発光部(120)の濃度は、層の片側の低濃度から層の反対側の高濃度まで変動し、好ましくは該片側は、層の上側(140)または層の下側(150)であり、より好ましくは該片側は、層の上側(140)であり、好ましくは層(100)は、第2の側面において下に記載のとおりの第1相(210)と第2相(220)とを含有し、および/または発光部の濃度は、第3および/または第4の側面において下に記載のとおりに定義される。
【0033】
本発明に従うと、別の(第2の)態様において、層(100)は、マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなり、第1相(210)と第2相(220)とを含有し、ここで該第1相(210)と該第2相(220)とは互いに異なっており、および該第1相(210)は、該発光部(120)の複数の凝集体(211)と、第2相(220)より第1相(210)の方が単位体積あたりの濃度の高い発光部とを有し、好ましくは該単位体積は1cm3であり、ここで層における第1相(210)の濃度は、層の片側の低濃度から層の反対側の高濃度まで変動するが、層における第2相(220)の濃度は逆に、層の片側の高濃度から層の反対側の低濃度まで変動し、好ましくは該片側は、層の上側(140)または下側(150)であり、より好ましくは該片側は、層の上側(140)であり、好ましくは発光部の濃度は、第3および/または第4の態様に記載のとおり追加して定義される。
【0034】
ここで、用語「層の下側(150)」は、層が該光変調デバイスまたは該発光デバイスを有する光学デバイスに包含されるとき、LCD/OLEDなどの光変調デバイスまたは発光デバイスに対面して設定されるように構成される層の側を意味する。
ここで、用語「層の上側(140)」は、上に記載のとおりの層の下側(150)とは正反対の層の側を意味する。
【0035】
本発明に従うと、別の(第3の)側面において、層(100)は、マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなり、ここで層における発光部の総量に基づき、30wt%以上の発光部(120)が層の領域(160)に濃縮され、ここで該領域(160)は、層の厚さの25%以内の厚さを有する;好ましくは領域(160)は、層におけるいずれかの点に置かれ、より好ましくは該領域(160)は、層の底面(240)から層の頂面(230)までの層厚の25%以内にある層の底面(170)、または層厚の25%以内の厚さを有する層の中間部分(180)、または層の頂面(230)から層の底面(240)までの層厚の25%以内にある層の頂面(190)に置かれ、好ましくは領域(160)は、層の底側(170)または層の頂上側に置かれ、好ましくは層における発光部の総量に基づき発光部の30wt%から70wt%までが領域(160)に濃縮され、より好ましくは40~60wt%であり、好ましくは発光部の濃度は、第4の側面において記載のとおりに追加して定義される。
【0036】
本発明に従うと、別の(第4の)側面において、層(100)は、マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなり、ここで層における発光部の総量に基づき、41wt%以上の発光部(120)が層の領域(160)に濃縮され、ここで該領域(160)は、層の層厚の40%以内の厚さを有する;好ましくは領域(160)は、層におけるいずれかの点に置かれ、より好ましくは該領域(160)は、層の底面(240)から層の頂面(230)までの層厚の40%以内にある層の底面(170)、または層厚の25%以内の厚さを有する層の中間部分(180)、層の頂面(230)から層の底面(240)までの層厚の40%以内にある層の頂上側(190)、または層厚の40%以内の厚さを有する層の中間部分(180)に置かれ、好ましくは領域(160)は、層の底側(170)または層の頂上側(190)に置かれ、好ましくは層における発光部の総量に基づき発光部の45wt%から90wt%までが領域(160)に濃縮され、より好ましくは50~80wt%であり、好ましくは発光部の濃度は、第3の側面において記載のとおりに追加して定義される。
【0037】
ここで、用語「層の底面(240)」は、層が該光変調デバイスまたは該発光デバイスを有する光学デバイスに包含されるとき、LCD/OLEDなどの光変調デバイスまたは発光デバイスに対面して設定されるように構成される層の表面を意味する。
ここで、用語「層の頂面(230)」は、上に定義されるとおりの層の底面(240)とは正反対の層の表面を意味する。
【0038】
本発明の好ましい態様において、層(100)の層厚は、改善される処理能力、容易な製作、フィルム製作に使用される材料のより低い消費、および改善されるフィルムの光学特性の観点から、1から50μmまで、好ましくは3~30、より好ましくは6~20、さらにまた好ましくは8~15μmの範囲にある。
【0039】
本発明の好ましい態様において、層は、複数の発光部(120)を含有し、クレームされるフィルム構造/フィルム形態の実現、フィルムのより高いEQE、とくに層厚が小さくなるほど改善されたEQE、上述の側面において記載されたとおりのフィルムにおける発光部の最適な分散性の観点から、好ましくは発光部の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、より好ましくは10wt.%から70wt.%まで、なおもより好ましくは15wt.%から60wt.%までの範囲にある。
【0040】
本発明の好ましい態様において、層は、25%以上、好ましくは30%以上かつ50%未満のEQE値を示すように構成されている。とくに、層は、上の側面に記載のとおりのフィルム構造/フィルム形態を有しており、上記のとおりの改善されたEQE値を実現する。
【0041】
- マトリックス材料(110)
本発明に従うと、マトリックス材料(110)は、光学的に透明な無機材料または有機材料を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。好ましくはそれは、無機ポリマーの1以上、有機ポリマーの1以上、または無機ポリマーの1以上と有機ポリマーの1以上との混合物である。
【0042】
より好ましい態様において、マトリックス材料(110)は、(メタ)アクリラートポリマーを含有するか、本質的にこれからなるか、またはこれからなり、好ましくはそれは、メタクリレートポリマー、アクリラートポリマー、またはそれらの組み合わせであり、より好ましくはそれは、より低温の製作プロセスの実現、発光部のプロセス損傷からの回避、発光部およびそれらの配位子との良好な相溶性の観点からアクリラートポリマーである。
【0043】
本発明のいくつかの態様において、該マトリックス材料(110)は、組成物の反応性モノマーからこれを硬化させることによって得られるか、または得ることができる。
【0044】
好ましくは該組成物は、少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは該モノマーは、官能基の1以上を含有し、より好ましくは該モノマーは、(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;および任意に
iii)ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1つの末端基を含む化学化合物、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、一級アミン基、およびカルボキシル基であり、より好ましくはカルボキシル基である、
を含む。
【0045】
好ましくは該マトリックス材料(110)は、少なくとも1つのジ-アクリラートモノマーを含有する組成物から得られるかまたは得ることができ、殊更好ましくは該マトリックス材料(110)は、少なくとも1つのジ-アクリラートモノマーおよびモノ-アクリラートモノマーを含有する組成物から得られるかまたは得ることができ、好ましくは該組成物は、感光性組成物である。組成物から、とくに反応性モノマーから作製されたマトリックス材料(110)は、フィルム形態を実現し得、フィルムのより高いEQEを実現し得ると考えられる。
【0046】
したがって、本発明のいくつかの態様において、少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは該モノマーは、官能基の1以上を含有し、より好ましくは該モノマーは、(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;および任意に
iii)ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1つの末端基を含む化学化合物、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、およびカルボキシル基であり、より好ましくはカルボキシル基である、
を含む組成物から、好ましくは光硬化性組成物から、作製される。好ましくは該層は、組成物を硬化させることによって組成物から作製される。好ましくは組成物は、UV照射または熱処理により硬化させ、より好ましくは組成物は、UV照射により硬化させ、本発明のフィルムを得る。
【0047】
組成物から、とくに反応性モノマーから作製されたマトリックス材料(110)は、フィルム形態を実現し得、フィルムのより高いEQEおよび/またはフィルムから放射される光のピーク極大光波長の青色シフトを実現すると考えられている。
【0048】
- 発光部(120)
本発明の好ましい態様において、該発光部は、有機および/または無機の発光材料であり、好ましくは有機染料、無機リン光体(inorganic phosphor)、および/または量子材料などの半電導性発光ナノ粒子である。
【0049】
本発明のいくつかの態様において、発光部(120)の総量は、組成物/フィルムの総量に基づき、または画素の総量に基づき、0.1wt.%から99wt.%までの範囲にあり、好ましくは該画素は、第1画素(411)および/または第2画素(412)であり、好ましくは10wt.%から80wt.%まで、より好ましくは40wt.%から60wt.%までである。
【0050】
- 半電導性発光ナノ粒子
本発明に従うと、用語「半導体」は、室温にて伝導体(銅など)の電気伝導率と絶縁体(ガラスなど)の電気伝導率との間の程度の電気伝導率を有する材料を意味する。好ましくは、半導体は、電気伝導率が温度とともに増加する材料である。
用語「ナノサイズ(の)」は、0.1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmの間にあるサイズを意味する。
【0051】
よって、本発明に従うと、「半電導性発光ナノ粒子」は、そのサイズが、0.1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmの間にあり、室温にて伝導体(銅など)の電気伝導率と絶縁体(ガラスなど)の電気伝導率との間の程度の電気伝導率を有する発光材料を意味するものと解釈され、好ましくは半導体は、電気伝導率が温度とともに増加し、かつサイズが0.1nmと150nmとの間、好ましくは0.5nm~150nm、より好ましくは1nm~50nmにある材料である。
【0052】
本発明に従うと、用語「サイズ」は、半電導性ナノサイズ発光ナノ粒子のTEM画像においてポジティブコントラスト(dark contrast)特色のある平均面積に等しい面積の円の平均直径を意味する。
半電導性ナノサイズ発光粒子の平均直径は、Tecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeによって作成されたTEM画像中の100半電導性発光ナノ粒子に基づき算出される。
【0053】
本発明の好ましい態様において、本発明の半電導性発光ナノ粒子は、量子サイズの材料である。
本発明に従うと、用語「量子サイズ(の)」は、例えばISBN:978-3-662-44822-9に記載されるように量子閉じ込め効果を示し得る、配位子も別の表面修飾もない半電導性材料自体のサイズを意味する。
【0054】
例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeSおよびInPGa、InCdP、InPCdS、InPCdSe、InSb、AlAs、AlP、AlSb、Cu2S、Cu2Se、CuInS2、CuInSe2、Cu2(ZnSn)S4、Cu2(InGa)S4、TiO2の合金、ならびにこれらのいずれの組み合わせも使用され得る。
【0055】
本発明の好ましい態様において、第1の半電導性材料は、周期表の第13族の少なくとも1つの元素と周期表の第15族の1つの元素とを含み、好ましくは第13族の元素はInであり、かつ第15族の元素はPであり、より好ましくは第1の半電導性材料は、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeS、およびInPGaからなる群から選択される。
【0056】
本発明に従うと、半電導性発光ナノ粒子のコアの形状のタイプ、および合成された半電導性発光ナノ粒子の形状は、具体的に限定されない。
例えば、球状に成形された、細長く成形された、星状に成形された、多面体状に成形された、ピラミッド状に成形された、四足類状に成形された、4面体状に成形された、血小板状に成形された、円錐状に成形された、および不規則に成形されたコアおよび-または半電導性発光ナノ粒子が、合成され得る。
【0057】
本発明のいくつかの態様において、コアの平均サイズは、1.5nmから3.5nmまでの範囲にある。
コアの平均直径は、各単一粒子の最長軸を測定することによりTecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeによって作成されたTEM画像中の100半電導性発光ナノ粒子に基づき算出される。
【0058】
本発明のいくつかの態様において、少なくとも1つのシェル層は、周期表の第12族の第1元素と周期表の第16族の第2元素とを含むかまたはこれらからなり、好ましくは、第1元素はZnであり、かつ第2元素はS、Se、またはTeである;好ましくは、該コア上を直接覆う第1シェル層は、周期表の第12族の第1元素と周期表の第16族の第2元素とを含むかまたはこれらからなり、好ましくは、第1元素はZnであり、かつ第2元素はS、Se、またはTeである。
【0059】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1つのシェル層(第1シェル層)は、以下の式(XI)によって表され、好ましくはコアを直接覆うシェル層は、化学式(XI)によって表される;
ZnSxSeyTez -(XI)
式中0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくは0≦x≦1、0≦y≦1、z=0、およびx+y=1、好ましくはシェル層は、ZnSe、ZnS、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezである。
【0060】
本発明のいくつかの態様において、該シェル層は、合金のシェル層または勾配のある(graded)シェル層であり、好ましくは該勾配のあるシェル層は、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTez、より好ましくはZnSxSeyである。
【0061】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子はさらに、該シェル層上に第2シェル層を含み、好ましくは第2のシェル層は、周期表の第12族の第3元素と周期表の第16族の第4元素とを含むかまたはこれらからなり、より好ましくは第3元素はZnであり、かつ第4元素はS、Se、またはTeであるが、ただし第4元素と第2元素とは同じではない。
【0062】
本発明の好ましい態様において、第2シェル層は、以下の式(XI')
ZnSxSeyTez -(XI')
によって表され、式中0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくはシェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezであるが、ただしシェル層と第2シェル層とは同じではない。
【0063】
本発明のいくつかの態様において、該第2シェル層は、合金のシェル層であり得る。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子はさらに、マルチシェル(multishell)として、第2シェル層上へ1以上の追加のシェル層を含み得る。
【0064】
本発明に従うと、用語「マルチシェル」は、3以上のシェル層からなる積み重ねシェル層を表す。
例えば、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnS、InZnPS/ZnS、InZnPS ZnSe、InZnPS/ZnSe/ZnS、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnS、またはこれらいずれかの組み合わせが、使用され得る。好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnSである。
【0065】
かかる半電導性発光ナノ粒子は、公的に入手可能であるか(例えば、Sigma Aldrichから)、および/または例えば、US 7,588,828 B、US 8,679,543 B、およびChem.Mater.2015,27,pp4893-4898に記載される方法で合成され得る。
【0066】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、2以上の半電導性発光ナノ粒子を含む。
本発明のいくつかの態様において、層は、複数の発光部を含む。
本発明のいくつかの態様において、層中の発光部の総量は、層の総量に基づき、0.1wt%から90wt%まで、好ましくは10wt%から70wt%まで、より好ましくは30wt%から60wt%までの範囲にある。
【0067】
- 配位子
本発明のいくつかの態様において、任意に、発光部は、1以上の配位子によって直接上から覆われ得るか、または半電導性発光ナノ粒子の無機部分の最外表面が、配位子によって直接覆われ得る。選択肢として、配位子に覆われた半電導性発光ナノ粒子は、該半電導性発光ナノ粒子(単数または複数)を内部に有するポリマービーズを形成するポリマーによって上から覆われ(overcoated)得る。
【0068】
配位子として、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、およびトリブチルホスフィン(TBP)などの、ホスフィンならびにホスフィンオキシド;ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、およびヘキシルホスホン酸(HPA)などの、ホスホン酸;アミン、たとえば、オレイルアミン、ドデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオクタデシルアミン(ODA)、オレイルアミン(OLA)、1-オクタデセン(ODE)、ヘキサデカンチオール、ドデカンチオール、およびヘキサンチオールなどのチオール;メルカプトプロピオン酸およびメルカプトウンデカン酸などの、メルカプトカルボン酸;オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの、カルボン酸;酢酸、分枝状ノナン酸、ポリエチレンイミン(PEI)、単官能ポリエチレングリコール(PEG)チオール(mPEG-チオール)またはmPEGチオールの誘導体、PEGカルボン酸塩(PEG carboxylate)、およびこれらのいずれかの組み合わせも使用され得る。
【0069】
かかる配位子の例は、例えば、国際特許出願公開第WO 2012/059931A号に記載されている。
【0070】
i)反応性モノマー
より低い粘度は、インクジェット印刷に好適な低粘度組成物を作製するのに重要であると考えられる。したがって、室温にて粘度値35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは2から25cPまでの範囲を有する(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷用の組成物を作製するのにとくに好適である。組成物においてこれらの(メタ)アクリラートモノマーを使用することによって、これを半電導性発光ナノ粒子などの別の材料と高ロード(high loading)で混合したとき、組成物は、インクジェット印刷に好適な範囲内のより低い粘度を依然として保ち得る。
【0071】
本発明の好ましい態様において、該反応性モノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様な(large area uniform)インクジェット印刷のために、80℃以上、好ましくは80℃から400℃まで、なおもより好ましくは85℃から375℃まで、さらにより好ましくは90℃から350℃までの範囲にある。
【0072】
ここで、用語「(メタ)アクリラート」は、アクリラートおよびメタクリラートの総称である。したがって、本発明に従うと、用語「(メタ)アクリラートモノマー」は、メタクリラートモノマーおよび/またはアクリラートモノマーを意味する。
本発明に従うと、該B.P.は、Science of Petroleum,Vol.II.p.1281(1398)などに記載された方法といった、知られている方法によって見積もられ得る。
【0073】
本発明に従うと、化学式(I)または(II)によって表される、公的に入手可能なアクリラートおよび/またはメタクリラートのいずれのタイプも、好ましく使用され得る。
とくに第1の側面では、化学式(I)、(II)、および/または(III)によって表される、25℃にて25cP以下の粘度値を有する公的に入手可能なアクリラートおよび/またはメタクリラートのいずれのタイプも、好ましく使用され得る。
【0074】
よって、本発明に従うと、組成物の反応性モノマーは、好ましくはモノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーであり、より好ましくはそれは、ジ-メタクリラートモノマーまたはジ-アクリラートモノマー、トリ-メタクリラートモノマー、トリ-アクリラートモノマーであり、なおもより好ましくはそれは、以下の化学式(II);
【化1】
によって表され、
X
3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、またはアルコキシ基である;
好ましくは記号X
3は、
【化2】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
5への接続点を表す;
lは、0または1である;
R
5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
6は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、好ましくはR
6は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
7は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル鎖またはアルコキシル鎖であり、好ましくはR
7は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル鎖またはアルコキシル鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を相互に形成していてもよい。
【0075】
好ましい態様において、組成物は、以下の化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマーおよび/または以下の化学式(III)によって表される(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む;
【化3】
式中
X
1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X
2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R
1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
好ましくは記号X
1は、
【化4】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の記号X
2への接続点を表す;
nは、0または1である;
好ましくは記号X
2は、
【化5】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の記号X
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
2への接続点を表す;
mは、0または1である;
好ましくは、少なくともmまたはnは、1である;
R
3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、あるいは3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくはR
3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
4は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、あるいは3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくはR
4は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキルもしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香環の系も形成していてもよい;
【化6】
式中R
9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化7】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
10は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化8】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
11は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化9】
によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R
8、R
8a、R
8b、およびR
8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、H、CH
2CH
3、またはCH
3である;
ここでR
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR
9、R
10、およびR
11の2つは、(メタ)アクリル基であり、かつ他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、好ましくは式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの電気伝導率(S/cm)は、1.0*10
-10以下、好ましくは5.0*10
-11以下、より好ましくは5.0*10
-11から1.0*10
-15までの範囲にあり、なおもより好ましくは5.0*10
-12から1.0*10
-15までの範囲にある。
【0076】
好ましい態様において、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに対する化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの混合比は、1:99から99:1まで(式(III):式(II))、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60までの範囲にあり、なおもより好ましくは、それは15:85から35:65までであり、好ましくは、化学式(III)、(II)によって表される、少なくとも精製された(メタ)アクリラートモノマーは、組成物中で使用され、より好ましくは化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、精製方法によって得られるかまたは得ることができる。
【0077】
好ましい態様において、該化学式(I)および/または化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様なインクジェット印刷のために、80℃以上、好ましくは80℃から400℃まで、なおもより好ましくは85℃から375℃まで、さらにより好ましくは100℃から350℃までの範囲にある。
【0078】
本発明の好ましい態様において、組成物の粘度は、25℃にて35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは2から25cPまでの範囲にある。
本発明に従うと、該粘度は、室温にてレオメータKinexus Ultra+(Netzsch)によって測定され得る。
https://www.netzsch-thermal-analysis.com/en/products-solutions/rheology/kinexus-ultra/
【0079】
- マトリックス材料としての、化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマー
さらにまた好ましくは、該式(I)のR
3および式(I)のR
4は各々、互いに独立して、以下の群から選択される。
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【0080】
殊更好ましくは式(I)の該R
3およびR
4は、出現毎に、独立してまたは異なって、以下の基から選択される。
【表B】
ここで「*」は、R
3の場合、式の酸素原子への接続点または式のX
2への接続点を表し、およびここで「*」は、R
4の場合、式の酸素原子への接続点または式のX
1への接続点を表す。
【0081】
さらにまた好ましくは該式(I)は、NDDA(ノナンジオールジアクリラート;BP:342℃)、HDDMA(ヘキサンジオールジメタクリラート;BP:307)、HDDA(ヘキサンジオールジアクリラート;BP:295℃)、またはDPGDA(BP:314℃)である。
【化10】
【0082】
- 化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマー
以下の化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマーは、式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの粘度よりはるかに小さい粘度値を示すと考えられる。よって、化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマーを化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーと組み合わせて使用することによって、滑らかなインクジェット印刷に所望されるはるかにより小さい粘度を有する組成物が、好ましくは外部量子効率(EQE)値を減少させずに、実現され得る。
【0083】
該組み合わせは、多量の別の材料(高ロードの半電導性発光ナノ粒子など)を含む低粘度組成物を実現し得ると考えられる。よってこれは、組成物が別の材料を含むとき、インクジェット印刷にとくに好適である。
【0084】
さらにまた好ましくは該式(II)のR
7は、出現毎に、独立してまたは異なって、以下の基から選択される。
【表C】
ここで「*」は、lが1である場合、X
3のR
6への接続点を表し、およびそれは、nが0である場合、式(II)のX
3の酸素原子への接続点を表す。
【0085】
さらにまた好ましくは、該式(II)は、ラウリルメタクリラート(LM、粘度6cP、BP:142℃)またはラウリルアクリラート(LA、粘度:4.0cP、BP:313.2℃)である。
【0086】
化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの総量に対してより多い量の化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、組成物の改善されたEQEに繋がり、化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの総量に対する化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの、50wt.%未満の混合重量比が、組成物の粘度、組成物のより良好なインク噴射特性の観点から好ましいと考えられる。
【0087】
好ましくは、シリカカラムを使用することによって精製された(メタ)アクリラートモノマーが使用される。
(メタ)アクリラートモノマーからのシリカカラム精製による不純物除去は、組成物中の半電導性発光ナノ粒子の改善されたQYに繋がると考えられる。
【0088】
- 化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマー
化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷後の組成物から後に作られる固体性(solidity)を改善するのに有用であると考えられる。
本発明に従うと、以下の化学式(III)によって表される、公的に知られている(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷および架橋後の層の固体性を改善するのに使用され得る。
極めて好ましくはトリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)が、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーとして使用される。
【0089】
本発明の好ましい態様において、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの量は、組成物中の(メタ)アクリラートモノマーの総量に基づき、0.001wt.%から25wt.%までの範囲にあり、より好ましくは0.1wt.%から15wt.%まで、なおもより好ましくは1wt.%から10wt.%まで、さらにより好ましくは3から7wt%までの範囲にある。
【0090】
好ましくは、シリカカラムを使用することによって精製された(メタ)アクリラートモノマーが使用される。
(メタ)アクリラートモノマーからのシリカカラム精製による不純物除去は、組成物中の半電導性発光ナノ粒子の改善されたQYに繋がると考えられる。
本発明に従うと、好ましくは組成物は、EQE値20%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは33%以上かつ50%未満を示すように構成されている。
【0091】
本発明に従うと、該EQEは、室温にて以下のEQE測定プロセスによって測定されるが、前記プロセスは、光ファイバーおよび分光計(Compass X,BWTEK)を介して連結された450nm励起光源を備えた積分球を使用することに基づいており、かつ参照として空気を使用して励起光の入射光子を検出する第1測定と、試料を通過した励起光源からの入射光子および試料もしくは試験セルから発せられた光子を検出する、積分球前に積分球の開口と光ファイバーの出口との間に置かれた試料または試験セルでの第2測定とからなるが、両ケースともに積分球を出た光子は分光計によって計数され、EQEおよびBLの算出は以下の方程式でなされ、かつ励起光および放射光の光子数は、以下の波長範囲にわたる積分によって算出される;
EQE=光子[放射光]/光子[試料なしで適所にて測定された励起光];
BL=光子[試料ありで適所にて測定された励起光]/光子[試料なしで適所にて測定された励起光];
緑色発光部が使用された場合の放射光:490nm~600nm、
赤色発光部が使用された場合の放射光:560nm~780nm
励起光:390nm~490nm。
【0092】
- 添加物としての化学化合物
本発明の好ましい態様において、組成物および該組成物から作製された結果得られる層(100)は、以下の化学式(X
A)または化学式(I
A)によって表される化学化合物をさらに含有していてもよい。
Z(-X)u-Y -(X
A)
式中
Zは、*-R
x1または
【化11】
であり、ここで「*」は、式の記号Yへの接続点を表し、Rx1は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群の1以上のメンバーから選択される基であり、好ましくは該基は、ホスホナート基、チオール基、一級アミン基、カルボキシル基、またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくはそれは、カルボキシル基である;および
R
x2は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される基であり、好ましくは該基は、ホスホナート基、チオール基、一級アミン基、カルボキシル基、またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくはそれは、カルボキシル基である;
Xは、単結合、1~15個の炭素原子を有するアルキレン基、または1~15個の炭素原子を有するアルケニレン基、または1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基であり、好ましくはYは、1~15個の炭素原子を有する(ポリ)アルコキシレン基である;
uは、0または1である;
Yは、炭素原子1~45個を有する不飽和の直鎖アルキル基、炭素原子3~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アルキル基、炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられている;炭素原子2~45個を有する直鎖アルケニル基、炭素原子3~45個を有する分枝鎖アルケニル基、炭素原子1~45個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖または分枝鎖のアルコキシル基、炭素原子4~45個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アリール-アルキル基、炭素原子6~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アリール-アルキル基、炭素原子5~45個を有する直鎖アリール-アルケニル基、炭素原子6~45個を有する分枝鎖アリール-アルケニル基、炭素原子5~45個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アリール-アルコキシル基、炭素原子5~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アリール-アルコキシル基、炭素原子4~45個を有する不飽和もしくは飽和のシクロ-アルキル基、炭素原子4~45個を有するシクロ-アルケニル基、炭素原子4~45個を有する不飽和もしくは飽和のシクロ-アルコキシル基から選択される;
好ましくは該基は、炭素原子1~45個を有する不飽和の直鎖アルキル基、炭素原子3~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アルキル基、炭素原子2~45個を有する直鎖アルケニル基、炭素原子3~45個を有する分枝鎖アルケニル基、炭素原子1~45個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖または分枝鎖のアルコキシル基、炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基から選択され、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられている;
より好ましくは、それは、炭素原子3~45個を有する不飽和もしくは飽和の分枝鎖アルキル基または炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基から選択され、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられている;
好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個までの範囲にあり、
さらにまた好ましくはそれは、炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基であり、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられている;
好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは2つの炭素-炭素二重結合を含有しており、
該アルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基は、1以上のラジカルR
aによって任意に置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくはYは、直鎖または分枝のアルキル基であり、
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキルもしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香環の系も形成していてもよい;
Yが、炭素原子1~80個、好ましくは8~70個、より好ましくは12~60個を有する不飽和もしくは飽和の直鎖アルキル基であるケースにおいて、ここで1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子、C=O、C=S、C=Se、C=NH、SiH
2、SO、SO
2、OS、またはCONHによって置き換えられており、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくは1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられており、好ましくはuは、1であり、およびYは、以下の式
*-[CH(R
1)-CH(R
2)-Q]
x-R
3
式中R
1は、H、または炭素原子1~5個を有するアルキル基であり、好ましくは該アルキル基は、メチル基である;R
2は、H、または炭素原子1~5個を有するアルキル基であり、好ましくは該アルキル基は、メチル基であり、Qは、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子である;R
3は、Hまたはメチル基であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300まで、より好ましくは2から200まで、なおもより好ましくは4から100までの範囲にあり、ここで「*」は、式の記号Xへの接続点を表す;
あるいは
*-[(CHR
1)
n-Q)]
x-R
3
式中nは、2または3であり、Qは、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子であり、好ましくはQは、酸素原子であり、R
1は、Hまたはメチル基であり、R
3は、Hまたはメチル基であり、nは、1~5、好ましくは1~3であり、より好ましくは、nは、2であり、xは、整数であり、好ましくはxは、1から300まで、より好ましくは2から200まで、なおもより好ましくは4から100までの範囲にあり、ここで「*」は、式の記号Xへの接続点を表す、
によって表され、ならびに
好ましくはここでZは、1個もしくは2個のS原子を含む付着基を表すか、またはZは、カルボキシル基であり、好ましくはZは、
【化12】
であり、より好ましくは
【化13】
であり、ここで「#」は、基Xへの接続点を表し、および「*」は、発光部の表面への接続点を表す。
【0093】
結果的に、該化学化合物の重量比は、組成物の粘度/可溶性を制御することが極めて好ましいと考えられる。そして、組成物の粘度の増大を防止すること、および/または長期保管における組成物中の光ルミネセンス部分の良好な可溶性を保つことが、極めて好ましい。
かかる化学化合物として、上に記載の条件を満足する公知化合物が、好ましく使用され得る。例えば、mPEG-SH、エライジン酸、イソステアリン酸、リノール酸が、より好ましく使用され得る。
【0094】
いくつかの態様において、上に指し示されるとおり、化学化合物は、以下の化学式(I
A)によって表され得る;
【化14】
によって表され得、式中
記号X
aは、
【化15】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I
A)の末端基への接続点を表す;
1≦l
a≦20、1≦n
a≦10、好ましくは2≦l
a≦15、1≦n
a≦3、より好ましくは3≦l
a≦8、n
aは、1または2である;
R
aは、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり、好ましくはR
aは、水素原子またはメチル基である;
R
bは、1~25個の炭素原子を有するの不飽和もしくは飽和の直鎖状アルキレン基、または3~25個の炭素原子を有する不飽和もしくは飽和の分岐状アルキレン基であり、好ましくはR
bは、3~15個の炭素原子、より好ましくは3~10個の炭素原子、なおもより好ましくは3~5個の炭素原子を有する不飽和もしくは飽和の直鎖状または分枝状のアルキレン基であり、
ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
iC=CR
i、C≡C、Si(Ri)
2、Ge(R
i)
2、Sn(R
i)
2、O、C=O、C=S、C=Se、C=NR
i、P(=O)(R
i)、SO、SO
2、NR
i、OS、またはCONR
iによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;好ましくはR
bの1以上の非隣接CH
2基は、酸素原子によって置き換えられている;
R
cは、1~25個の炭素原子を有する不飽和もしくは飽和の直鎖状または分枝状のアルキレン鎖であり、好ましくはR
cは、2~15個の炭素原子、より好ましくは2~6個の炭素原子を有する不飽和もしくは飽和の直鎖状または分枝状のアルキレン鎖であり、
ここでR
cの1以上の非隣接CH
2基は、R
iC=CR
i、C≡C、Si(Ri)
2、Ge(R
i)
2、Sn(R
i)
2、O、C=O、C=S、C=Se、C=NR
i、P(=O)(R
i)、SO、SO
2、NR
i、OS、またはCONR
iによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;より好ましくはR
cは、以下の化学式
【化16】
によって表され、ここで式の左側にある「*」は、式(I
A)のR
bへの接続点を表し、および式の右側にある「*」は、式(I
A)のR
dへの接続点を表す;
R
eは、2~15個の炭素原子、より好ましくは2~5個の炭素原子を有する不飽和もしくは飽和の直鎖状または分枝状のアルキレンであり、
ここでR
cの1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(Ri)
2、Ge(R
i)
2、Sn(R
i)
2、O、C=O、C=S、C=Se、C=NR
i、P(=O)(R
i)、SO、SO
2、NR
i、OS、またはCONR
iによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
iは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を相互に形成していてもよい;
R
dは、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される末端基であり、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、一級アミン基、およびカルボキシル基であり、より好ましくはカルボキシル基である。
【0095】
このような化学式(I
A)によって表されるかかる化学化合物として、以下の化学化合物およびその誘導体が好ましく使用され得る。
【化17】
n=1~15、m=2~15、
R
aは、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基であり、好ましくはR
aは、水素原子またはメチル基である;
R
dは、ホスフィン基、ホスフィンオキサイド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸であり、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、一級アミン基、またはカルボキシル基であり、より好ましくはカルボキシル基である。
【0096】
【化18】
n、m、およびR
aは、上に定義されるとおりである。
【化19】
n、m、およびR
aは、上に定義されるとおりである。
【化20】
n=1~15
【化21】
n=1~15
【化22】
n=1~15
【化23】
n=1~15
【化24】
n=1~15
【化25】
n=1~15
【化26】
n=1~15
【化27】
n=1~15
【化28】
n=1~15
【化29】
n=1~15
【化30】
化合物L1
【0097】
化学化合物の製作プロセスは具体的には限定されない。
公知のプロセスが好ましく使用され得る。
例えば、化学化合物L1の製作プロセスとして、以下のプロセスが使用され得る。
【0098】
化学化合物L1の調製
反応物:
【表D-1】
【表D-2】
【化31】
【0099】
光の不在下、撹拌子を備えた1L三径丸底フラスコ中へ、柔らかい加熱マントルおよび熱電対内、冷却器(5℃)循環、Ar下:無水トルエン(520mL)中のポリ(プロピレングリコール)アクリラート(10.20gr)、BHT(46mg)、無水コハク酸(2.56gr)、およびDMAP(0.13gr)を一緒に撹拌する。反応物を終夜アルゴン下還流(111℃)まで加熱する。
【0100】
翌日、混合物をRTまで冷却し、蒸留水で、次いでブラインで抽出する。有機相をMgSO4上で乾燥させ濾紙を介して濾過し、次いで揮発性物質を減圧下Rotavap上で除去する。
残渣を、シリカゲル(200~425メッシュ)クロマトグラフィーを使用し、CHCI3とこれに続くCHCl3/CH3OH(97/3)で精製する。画分を収集し、揮発性物質を除去する。各画分を1H NMRおよびDOSYによって分析する。次いで化合物L1が得られる。
【0101】
試料重量:
外観: 無色透明の液体
試料の保管: 周囲雰囲気下4℃にて保つ。
【0102】
- 組成物の他の因子
本発明に従うと、好ましい態様において、組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは2から25cPまでの範囲にある。
【0103】
本発明の好ましい態様において、組成物は、組成物の総量に基づき、溶媒を10wt%以下、より好ましくは5wt%以下含み、より好ましくは組成物は、無溶媒の組成物であり、好ましくは組成物は、以下からなる群の1以上のメンバーから選択される以下の溶媒のいずれか1つを含まない: エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどの、エチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどの、ジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの、プロピレングリコールモノアルキルエーテル;酢酸メチルセロソルブおよび酢酸エチルセロソルブなどの、エチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどの、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどの、ケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリエチエングリコール、およびグリセリンなどの、アルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナート、および乳酸エチルなどの、エステル;ならびにガンマ-ブチロ-ラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、たとえば、1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、3-メチルビフェニル、4-メチルビフェニル、およびジクロロベンゼンなどの、塩素化炭化水素、好ましくは、該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルである。
【0104】
組成物中10wt%未満の溶媒は、改善されたインク噴射に繋がり、溶媒の蒸発後の同じ画素上への2回以上のインク噴射を回避し得ると考えられる。
本発明に従うと、ノズルにていずれの目詰まりも引き起こすことなく、および/または半電導性発光ナノ粒子の分散性が良好であり、および/または散乱粒子の分散性が良好である、一様性が改善された大面積のインクジェット印刷を実現するために、いずれの溶媒も加えないことが望ましい。
【0105】
本発明に従うと、好ましくは組成物は、次からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料をさらに含む;
請求項1の発光部とは異なる別の発光部、好ましくは該発光部は、配位子を含み、より好ましくは該発光部は、炭素原子2~25個を有するアルキルタイプまたはアルケニルタイプの配位子を含み、散乱粒子、透明ポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャ―、光開始剤、および界面活性剤。
【0106】
本発明のいくつかの態様において、好ましくは本発明の組成物は、
v)散乱粒子;および
vii)少なくとも1のポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている、該ポリマー
を含む;ここでポリマーは、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを少なくとも含み、好ましくはポリマーは、三級アミン基、ヒドロキシル基、シラン基、カルボキシル基、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
【0107】
本発明に従うと、ポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマーは、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを含む少なくとも繰り返し単位A含む。
【0108】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子のコアの表面、または1以上のシェル層の最外表面は、ポリマーによって一部または全部が上から覆われ得る。
例えばThomas Nann,Chem.Commun.,2005,1735-1736,DOI:10.1039/b-414807jに記載の、配位子交換方法を使用することによって、ポリマーは、半電導性発光ナノ粒子のコア表面またはコアの最外表面上へ導入され得る。
【0109】
本発明に従うと、いくつかの態様において、該ポリマーの含量は、散乱粒子の総重量に関し、1%から500重量%までの範囲にあり、より好ましくは20%から350重量%まで、なおもより好ましくは50%から200重量%までの範囲にある。
【0110】
本発明の好ましい態様において、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、200g/molから30,000g/molまで、好ましくは250g/molから2,000g/molまで、より好ましくは400g/molから1,000g/molまでの範囲にある。
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対してGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
【0111】
ポリマーとして、非極性および/または低極性の有機溶媒に溶解され得る市販の湿潤・分散添加剤が、好ましく使用され得る。たとえば、BYK-111、BYK-LPN6919、BYK-103、BYK-P104、BYK-163([商標]、BYK com.から)、TERPLUS MD1000シリーズ、例えば、MD1000、MD1100([商標]、Otsuka Chemicalから)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアミン(Sigma-Aldrich 767565[商標]、Sigma Aldrichから)、ポリエステルビス-MPAデンドロン、32ヒドロキシル、1チオール、(Sigma-Aldrich 767115[商標]、Sigma Aldrichから)、LIPONOL DA-T/25(Lion Specialty Chemicals Co.から)、カルボキシメチルセルロース(Polyscience等々から)、「Marc Thiry et.al.,ACSNANO,American Chemical society,Vol.5,No.6,pp4965-4973,2011」、「Kimihiro Susumu,et.al.,J.Am.Chem.Soc.2011,133,pp9480-9496」に開示された別の湿潤・分散添加剤である。
【0112】
v)散乱粒子
本発明に従うと、散乱粒子として、SiO2、SnO2、CuO、CoO、Al2O3、TiO2、Fe2O3、Y2O3、ZnO、ZnS、MgOなどの、公知小粒子の無機オキシド;重合ポリスチレン、重合PMMAなどの、有機粒子;中空シリカなどの無機中空オキシド、またはこれらいずれの組み合わせ;も使用され得る。散乱粒子の量は、層の含量の総量に基づき、好ましくは10wt%以下、好ましくは8から0wt%までの範囲にあり、より好ましくは6から0wt%までの範囲にある。
【0113】
本発明に従うと、透明のポリマーとして、例えばWO 2016/134820Aに記載の、光学デバイスに好適な多種多様の公知の透明ポリマーが、好ましく使用され得る。
本発明に従うと、用語「透明の」は、光学媒体に使用される厚さにて、かつ光学媒体の操作最中に使用される波長または波長の範囲にて、少なくともほぼ60%の入射光の透過を意味する。好ましくはそれは、70%超、より好ましくは75%超、最も好ましくは80%超である。
【0114】
本発明に従うと、用語「ポリマー」は、繰り返し単位を有し、かつ重量平均分子量(Mw)400g/mol以上を有し、より好ましくは400g/molから1,000,000g/molまでの範囲にある材料を意味する。
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対してGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
【0115】
本発明のいくつかの態様において、透明のポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上かつ250℃以下である。
Tgは、Rickey J Seyler,Assignment of the Glass Transition,ASTM publication code number(PCN)04-012490-50に記載されるように、示唆走査熱量測定において観察される熱容量の変化に基づき測定される。
【0116】
例えば、透明マトリックス材料用の透明ポリマーとして、ポリ(メタ)アクリラート、エポキシ、ポリウレタン、ポリシロキサンが、好ましく使用され得る。
本発明の好ましい態様において、透明マトリックス材料としてのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から300,000g/molまで、より好ましくは10,000から250,000g/molまでの範囲にある。
本発明に従うと、公知の抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤が、WO 2016/134820Aに記載のように、好ましく使用され得る。
【0117】
- 抗酸化剤
本発明に従うと、組成物は抗酸化剤を含む。本発明の好ましい態様において、該抗酸化剤の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき、光誘起重合最中の組成物中の過剰なラジカルの低減/防止と発光部の酸化損傷の低減/防止との観点から、0.1wt%超、好ましくは0.1wt%から10wt%までの範囲にあり、より好ましくは0.2wt%から5wt%までであり、なおもより好ましくは0.3wt%から3wt.%までである。
【0118】
本発明の好ましい態様において、該抗酸化剤は、光誘起重合最中の組成物中の過剰なラジカルの効果的な低減/防止、発光部の酸化損傷の低減/防止、および/または組成物との良好な相溶性(とくに反応性モノマー、発光部、および重合開始剤との良好な相溶性)の観点から、ヒンダードアミン(例として、テトラメチルピペリジンおよび誘導体)、フェノール誘導体(例として、MEHQおよびその誘導体)、キノン誘導体、チオール、および二重結合が共役した不飽和アルキル(例として、レチノールおよびその誘導体)からなる群の1以上のメンバーから選択され、好ましくはフェノール誘導体であり、より好ましくはヒンダードフェノールタイプの抗酸化剤である。
【0119】
また、上に指し示されるとおりの抗酸化剤の量を制御することによって、ラジカル(ここで「過剰なラジカル」)の数は、低減/防止され得るとも考えられる。そしてそれによって、重合条件(例として、重合スピード)を制御することが可能となり、高UV光強度にて本発明の組成物を硬化(例として、300mW/cm2にて10秒UV硬化)した後に、改善された光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE)をおよび/または改善されたフィルム層状態(例として、改善された層の熱安定性、層の熱処理に続くEQE低下の緩和/防止)に繋がる。
【0120】
- 重合開始剤。
本発明に従うと、組成物は重合開始剤を含む。本発明の好ましい態様において、該重合開始剤の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき、重合の制御、本発明の組成物を高UV光強度にて硬化(例として、300mW/cm2での10秒間UV硬化)した後に改善された光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE)および/または改善されたフィルム層状態の実現の観点から、10wt%未満かつ0wt.%を上回り、好ましくは5wt.%から0.01wt.%までの範囲にあり、より好ましくは3から0.1wt%までであり、なおもより好ましくは2から0.1wt%までである。
【0121】
本発明の好ましい態様において、該重合開始剤は、重合の制御、および/または本発明の組成物を高UV光強度で硬化(例として、300mW/cm2での10秒UV硬化)した後に改善される光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE)、改善されるフィルム層状態、および/または組成物との良好な相溶性(とくに反応性モノマー、発光部、および抗酸化剤との良好な相溶性)の観点から、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、チオキサンテン-9-オン、カンファーキノン、1-フェニル-1,2-プロパンジオン、9-ビニルカルバゾールなどのカルバゾール、1,2-オクタンジオン1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2(o-ベンゾイルオキシム)、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、オキシムエステルからなる群の1以上のメンバーから選択され、好ましくはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドとエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナートとの混合物、およびこれらの組み合わせから選択され、より好ましくはビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドである。
【0122】
- 抗酸化剤/重合開始剤の比率
本発明の好ましい態様において、重合開始剤の総量に対する抗酸化剤の総量の比は、0.1超かつ100以下であり、好ましくは0.2から50まで、より好ましくは0.3から30まで、さらに好ましくは0.4から6までの範囲にある。
【0123】
上述の好ましい範囲は、著しい技術的効果に繋がることもあると考えられる:光誘起重合最中の組成物中の過剰なラジカルを低減/防止すること、および発光部の酸化損傷を低減/防止すること;ならびに重合を制御すること、および/または本発明の組成物を高UV光強度にて硬化(300mW/cm2での10秒UV硬化)した後に改善される光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE)、および/または同時に改善されるフィルム層状態(例として、改善される層の熱安定性、層の熱処理に続くEQE低下の緩和/防止)を実現すること。換言すれば、それは、高UV光強度にて組成物を重合した後に改善されたフィルム輝度の向上および硬化フィルムの長期耐久性に繋がることもあると考えられる。
【0124】
抗酸化剤/重合開始剤の比率を調整することによって、組成物の重合条件(例として、重合スピード)をより好ましく制御することが可能となり、本発明の組成物を高UV光強度にて硬化(例として、300mW/cm2での10秒UV硬化)させた後に改善される光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE)および/または改善されるフィルム層状態に繋がると考えられる。
【0125】
- 層(100)を製作するためのプロセス
別の側面において、本発明は、本発明の層(100)を製作するためのプロセスに関し、ここでプロセスは、少なくとも以下のステップを含む;
I)少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは該モノマーは、官能基の1以上を含有し、より好ましくは該モノマーは、(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;および任意に
iii)ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1つの末端基を含む化学化合物、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、一級アミン基、およびカルボキシル基であり、より好ましくは本発明において定義されるとおりのカルボキシル基である、
を含む組成物を、好ましくは光硬化性組成物を、基体上へ提供すること、
II)組成物を硬化させること、好ましくは該硬化は、光照射および/または熱処理によって実施され、より好ましくは該硬化は、光照射によって実施される。
【0126】
別の側面において、本発明は、プロセスから得られるかまたは得ることができる層に関する。
【0127】
- 多重層(300)
別の側面において、本発明は、本発明の層と別の層(310)の1以上とを少なくとも含有する多重層(300)に関し、ここで該別の層の少なくとも1つは層上へ直接付着されている。好ましくは該別の層は光学層であり、より好ましくは該別の層はマトリックス材料(110)を含有し、なおもより好ましくは該別の層はいずれの発光部(120)も含有しない。
【0128】
- 色変換デバイス(400)
発光部(120)を含有するマトリックス材料(110)を少なくとも含む本発明の層で一部または全部が満たされた画素と、ポリマー材料を少なくとも含むバンク(150)とを少なくとも含む色変換デバイス(400)であって、好ましくは該画素は、第1画素(411)および/または第2画素(412)であり、好ましくは色変換デバイス(100)はさらに支持媒体(170)を含有する。
【0129】
- 画素
本発明に従うと、該画素は、本発明の層(100)もしくは本発明の多重層(300)で一部または全部が満たされており、好ましくは該画素は、第1画素(411)および/または第2画素(412)であり、任意に、別の層(420)の1以上が、画素における層(100)の下および/または上に置かれており、好ましくは該別の層(420)は、マトリックス材料(110)を含有しており、かつ発光部(120)を含有していない。いくつかの態様において、画素は、バンクによって定義された/囲まれた区域である。
本発明のいくつかの態様において、画素(411)の層厚は、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲にある。
【0130】
本発明のいくつかの態様において、色変換デバイス(400)は、第1画素(412)と第2画素(412)とを含有し、好ましくはデバイス(400)は、該第1画素(411)、第2画素(412)、および第3画素(413)を少なくとも含有し、より好ましくは該第1画素(411)は赤色画素であり、第2画素(412)は緑色画素であり、および第3画素(413)は青色画素であり、なおもより好ましくは第1画素(411)は赤色発光部(120R)を含有し、第2の色画素(412)は緑色発光部(120G)を含有し、および第3画素(413)はいずれの発光部も含有しない。
【0131】
いくつかの態様において、少なくとも1つの画素(411、412、および/または413)は、マトリックス材料(110)において少なくとも1つの光散乱粒子(130)を追加して含み、好ましくは画素(411、412、および/または413)は、複数の光散乱粒子(130)を含有しており、より好ましくはすべての画素(411)、(412)、および(413)は、複数の光散乱粒子を含有している。
本発明のいくつかの態様において、該第1画素(411)は、励起光によって照射されたときに赤色を発するように構成されている1つの画素または2つ以上のサブ画素(sub-pixels)からなり、より好ましくは、該サブ画素は、同じ発光部(120)を含有する。
【0132】
- マトリックス材料(110)
好ましい態様において、マトリックス材料(110)は、(メタ)アクリラートポリマー、好ましくはメタクリラートポリマー、アクリラートポリマー、またはこれらの組み合わせ、より好ましくはアクリラートポリマーを含有し、なおもより好ましくは、該マトリックス材料(110)は、少なくとも1のアクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、さらにより好ましくは、該マトリックス材料(110)は、少なくとも1のジ-アクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、殊更好ましくは、該マトリックス材料(110)は、少なくとも1のジ-アクリラートモノマーおよびモノ-アクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、好ましくは、該組成物は、感光性組成物である。
【0133】
- バンク(430)
本発明のいくつかの態様において、バンク(430)の高さは、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは1から25μmまで、さらにより好ましくは5から20μmまでの範囲にある。
本発明の好ましい態様において、バンク(430)は、該画素の領域を決定するように構成され、バンク(430)の少なくとも一部は、画素の少なくとも一部へ直接接触しており、好ましくはバンク(430)の該第2ポリマーは、画素の第1ポリマーの少なくとも一部へ直接接触しており、好ましくは該画素は、第1画素(411)および/または第2画素(412)である。
【0134】
より好ましくは、該バンク(430)は、フォトリソグラフィによりパターン化されており、該第1画素(411)は、バンク(430)によって囲まれており、好ましくは、該第1画素(411)、第2画素(412)、および第3画素(413)はすべて、フォトリソグラフィによりパターン化されたバンク(430)によって囲まれている。
【0135】
別の側面において、本発明はさらに、本発明のプロセスから得ることができるかまたは得られる色変換デバイス(400)に関する。
本発明に従うと、用語「バンク」は、JP 2021-075660 A、WO 2017-138607 A1、JP 2018-203599 Aに記載されるような画素区域を定義する光学デバイスに使用される黒色マトリックスを意味する。
【0136】
本発明に従うと、該バンクは、WO 2021/018927 A1に記載されるような公知技術を使用して作製され得る。
別の側面において、本発明はさらに、光を変調するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の少なくとも1の機能媒体(510)を含有する光学デバイス(500)における、本発明の色変換デバイス(100)の使用に関する。
【0137】
さらに、別の側面において、本発明はさらに、光を変調するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の少なくとも1の機能媒体(510)と、本発明の色変換デバイス(400)とを含有する光学デバイス(500)に関する。
【0138】
本発明のいくつかの態様において、光学デバイスは、液晶表示デバイス(LCD)、有機発光ダイオード表示デバイス(OLED)、光学ディスプレー用バックライトユニット、発光ダイオードデバイス(LED)、微小電気機械システム(下文にて「MEMS」)、エレクトロウェッティングディスプレー、または電気泳動ディスプレー、照明デバイス、および/または太陽電池であり得る。
好ましくは光学デバイスは、LCDまたはOLEDであり、より好ましくはOLEDである。
【0139】
好ましい態様
1.層(100)は、マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含む層(100)であって、ここで層における発光部(120)の分布は、層厚の方向において同一ではなく、好ましくは層における発光部(120)の濃度は、層厚の方向において変動し、より好ましくは層における発光部(120)の濃度は、層の片側の低濃度から層の反対側の高濃度まで変動し、好ましくは該片側は、層の上側(140)または層の下側(150)であり、より好ましくは該片側は、層の上側(140)であり、好ましくは層(100)は、態様2において記載のとおりの第1相(210)と第2相(220)とを含有し、および/または発光部の濃度は、態様3および/または4において記載のとおりに定義される。
【0140】
2.マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含有する層(100)であって、第1相(210)と第2相(220)とを含有しており、ここで該第1相(210)と該第2相(220)とは互いに異なっており、および該第1相(210)は、該発光部(120)の複数の凝集体(211)と、第2相(220)より第1相(210)の方が単位体積あたりの濃度の高い発光部とを有し、好ましくは該単位体積は1cm3であり、ここで層における第1相(210)の濃度は、層の片側の低濃度から層の反対側の高濃度まで変動するが、層における第2相(220)の濃度は逆に、層の片側の高濃度から層の反対側の低濃度まで変動し、好ましくは該片側は、層の上側(140)または下側(150)であり、より好ましくは該片側は、層の上側(140)であり、好ましくは発光部の濃度は、第3および/または第4の態様に記載のとおり追加して定義される。
【0141】
3.マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含有する層(100)であって、ここで層における発光部の総量に基づき、30wt%以上の発光部(120)が層の領域(160)に濃縮され、ここで該領域(160)は、層の厚さの25%以内の厚さを有する;好ましくは領域(160)は、層におけるいずれかの点に置かれ、より好ましくは該領域(160)は、層の底面から層の頂面までの層厚の25%以内にある層の底面(170)、または層厚の25%以内の厚さを有する層の中間部分(180)、または層の頂面(230)から層の底面(240)までの層厚の25%以内にある層の頂面(190)に置かれ、好ましくは領域(160)は、層の底側(170)に置かれ、好ましくは層における発光部の総量に基づき発光部の30wt%から70wt%までが領域(160)に濃縮され、より好ましくは40~60wt%であり、好ましくは発光部の濃度は態様4に記載のとおり追加して定義される。
【0142】
4.マトリックス材料(110)と1以上の発光部(120)とを少なくとも含有する層(100)であって、ここで層における発光部の総量に基づき41wt.%以上の発光部(120)が層の領域(160)に濃縮され、ここで該領域(160)は、層の厚さの40%以内の厚さを有する;好ましくは領域(160)は、層におけるいずれかの点に置かれ、より好ましくは該領域(160)は、層の底面(240)から層の頂面(230)までの層厚の40%以内にある層の底側(170)、層の頂面(230)から層の底面(240)までの層厚の40%以内にある層の頂上側(190)、または層厚の40%以内の厚さを有する層の中間部分(180)に置かれ、好ましくは領域(160)は、層の底側(170)に置かれ、好ましくは層における発光部の総量に基づき発光部の45wt%から90wt%までが領域(160)に濃縮され、より好ましくは50wt%~85wt%、なおもより好ましくは65wt%から80wt%までであり、好ましくは発光部の濃度は態様3に記載のとおり追加して定義される。
【0143】
5.層(100)の層厚は、1から50umまで、好ましくは3~30、より好ましくは6~20、さらにより好ましくは8~15umの範囲にある、態様1~4のいずれか1つの層(100)。
【0144】
6.複数の発光部(120)を含有しており、好ましくは発光部の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、より好ましくは10wt.%から70wt.%まで、なおもより好ましくは15wt.%から60wt.%までの範囲にある、態様1~5のいずれか1つの層(100)。
【0145】
7.EQE値25%以上、好ましくは30%以上かつ95%未満を示す、態様1~6のいずれか1つの層(100)。
【0146】
8.少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは該モノマーは、官能基の1以上を含有し、より好ましくは該モノマーは、(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;および任意に
iii)ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1つの末端基を含む化学化合物、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、およびカルボキシル基であり、より好ましくはカルボキシル基である、
を含む組成物から、好ましくは光硬化性組成物から、作製される、態様1~7のいずれか1つの層(100)。
【0147】
9.態様8の層(100)であって、ここで組成物の反応性モノマーは、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーであり、より好ましくはそれは、ジ-メタクリラートモノマーまたはジ-アクリラートモノマー、トリ-メタクリラートモノマー、トリ-アクリラートモノマーであり、なおもより好ましくはそれは、以下の化学式(II);
【化32】
によって表され、
X
3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、またはアルコキシ基である;
好ましくは記号X
3は、
【化33】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
5への接続点を表す;
lは、0または1である;
R
5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
6は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、好ましくはR
6は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
7は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル鎖またはアルコキシル鎖であり、好ましくはR
7は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル鎖またはアルコキシル鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を相互に形成していてもよい。
【0148】
10.組成物は、以下の化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマーおよび/または以下の化学式(III)によって表される(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む、態様8または9の層(100);
【化34】
式中
X
1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X
2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R
1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
好ましくは記号X
1は、
【化35】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の記号X
2への接続点を表す;
nは、0または1である;
好ましくは記号X
2は、
【化36】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の記号X
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
2への接続点を表す;
mは、0または1である;
好ましくは、少なくともmまたはnは、1である;
R
3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、あるいは3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくはR
3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
4は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、あるいは3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくはR
4は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキルもしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香環の系も形成していてもよい;
【化37】
式中R
9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化38】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
10は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化39】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
11は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化40】
によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R
8、R
8a、R
8b、およびR
8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、H、CH
2CH
3、またはCH
3である;
ここでR
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR
9、R
10、およびR
11の2つは、(メタ)アクリル基であり、かつ他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、好ましくは式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの電気伝導率(S/cm)は、1.0*10
-10以下、好ましくは5.0*10
-11以下、より好ましくは5.0*10
-11から1.0*10
-15までの範囲にあり、なおもより好ましくは5.0*10
-12から1.0*10
-15までの範囲にある。
【0149】
11.化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは組成物中にあり、かつ化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに対する化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの混合比は、1:99から99:1まで(式(I):式(II))、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60までの範囲にあり、なおもより好ましくはそれは15:85から35:65までであり、好ましくは化学式(I)、(II)によって表される少なくとも精製された(メタ)アクリラートモノマーは、組成物中で使用され、より好ましくは化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、精製方法によって得られるかまたは得ることができる、態様8~10のいずれか1つの層(100)。
【0150】
12.該発光部は、有機発光部および/または無機発光部であり、好ましくは無機発光部であり、より好ましくは無機発光部は、無機リン光体または量子材料であり、好ましくは該発光部は、発光部の最外表面上へ付着した配位子を含有し、より好ましくは該配位子は、請求項8における化学化合物であるか、および/または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基の少なくとも1つである、態様1~11のいずれか1つの層(100)。
【0151】
13.請求項1の発光部とは異なる別の発光部、好ましくは該発光部は、配位子を含み、より好ましくは該発光部は、炭素原子2~25個を有するアルキルタイプの配位子を含む;散乱粒子、透明ポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャ―、光開始剤、および界面活性剤
からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料を含む、態様1~12のいずれか1つの層(100)。
【0152】
14.v)散乱粒子;および
vii)少なくとも1のポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている、該ポリマー
を含む;ここでポリマーは、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基、またはそれらの組み合わせを少なくとも含み、好ましくはポリマーは、三級アミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、シラン基、カルボキシル基、またはホスファート基を含む、態様1~13のいずれか1つの層(100)。
【0153】
15.態様1~14のいずれか1つの層(100)を製作するプロセスであって、ここでプロセスが、少なくとも以下のステップを含む;
I)少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは該モノマーは、官能基の1以上を含有し、より好ましくは該モノマーは、(メタ)アクリラートモノマーである;
ii)発光部;および任意に
iii)態様8~14のいずれか1つに定義されるとおりの、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン基、一級アミン基、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1つの末端基を含む化学化合物、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、一級アミン基、およびカルボキシル基であり、より好ましくはカルボキシル基である、
を含む組成物を、好ましくは光硬化性組成物を、基体上へ提供すること、
II)組成物を硬化させること、好ましくは該硬化は、光照射および/または熱処理によって実施され、より好ましくは該硬化は、光照射によって実施される。
【0154】
16.態様15のプロセスから得られるかまたは得ることができる、層(100)。
【0155】
17.態様1~14,16のいずれか1つの層と、前記層上へ直接付着された別の1つの層(310)とを、少なくとも含有する、多重層(300)。
【0156】
18.xi)態様1~14および16のいずれか1つの層(100)もしくは態様17の多重層(300)で一部また全部が満たされた画素、好ましくは該画素は、第1画素(411)および/または第2画素(412)であり、任意に、別の層(420)の1以上が、画素における層(100)の下および/または上に置かれており、好ましくは該別の層(420)は、マトリックス材料(110)を含有しており、かつ発光部(120)を含有していない;ならびに
xii)少なくともポリマー材料を含むバンク(430)
を少なくとも含む色変換デバイス(400)であって、好ましくは色変換デバイス(400)は、支持媒体(440)をさらに含有する。
【0157】
19.バンク(430)の高さは、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは1から25μmまで、さらにより好ましくは5から20μmまでの範囲にある、態様18のデバイス(400)。
【0158】
20.画素(411)の層厚は、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲にある、態様18または19のデバイス(400)。
【0159】
21.光を変調するように構成されているか、または光を発するように構成されている、少なくとも1つの機能媒体(510)と、態様18~20のいずれか1つの色変換デバイス(400)とを含有する、光学デバイス(500)。
【0160】
本発明の技術的効果
本発明は、以下の技術的効果の1以上を提供する:
硬化組成物フィルムの改善された層輝度を実現すること、低UV強度(例として、2.3mW/cm2でのUV硬化)または高UV光強度(例として、300mW/cm2での10秒UV硬化)にて組成物を硬化させた後の、改善された光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE値)を実現すること、好ましくは、高UV光強度にて組成物を硬化(例として、300mW/cm2にて10秒UV硬化)した後の、改善された光学性能(例として、硬化組成物フィルムのより高いEQE)を、および/または改善された層の熱安定性、層の熱処理に続くEQE低下の緩和/防止などの改善されたフィルム層状態を実現すること、好ましくは、これらを同時に実現すること;高UV光強度にて組成物を重合させた後の、改善されたフィルム輝度、および硬化フィルムの長期耐久性を実現すること;硬化組成フィルム層からの光のピーク極大波長(PWL)の青色シフト、改善されたフィルム層のPWL値を実現すること、硬化組成フィルム層から放射される光のピーク極大波長の赤色シフトを低減/防止すること。
【0161】
下の実施例は、本発明の記載、ならびにそれらの製作の詳細な記載を提供する。しかしながら、本発明は、実施例に限定される必要はない。
【0162】
実施例
LA: ラウリルアクリラート
HDDA: 1,6-ヘキサンジオールジアクリラート
【化41】
化合物L1
AO: 抗酸化剤
PI: 重合開始剤
wt%: 組成物中の総量
【0163】
実施例1:
3g オクタンに分散した22.5mgのオレイン酸とZnSe/ZnS二重シェル層を有する450mgのInPベースの緑色QDとを、40度Cにて2時間、不活性雰囲気下で加熱する。次いで、385mgのLA、96mgのHDDA、PIとして10mgのフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad(商標)819)、AOとして5mgのIrganox(商標)1010を加える。混合物を10分間撹拌したままにする。揮発性物質を減圧下で除去し、30mg TiO2を加える。次いでQDインク組成物1が得られる。
【0164】
厚さが10μmのフィルムAおよびフィルムBを、QDインク組成物1を使用して製作する。フィルムAおよびBを、シリコンウェハ上へのインクのバーコーティング(bar coating)によって調製する。次いで、フィルムAをアルゴン下2.3mW/cm2にて10分間硬化させ、フィルムBをアルゴン下で300mW/cm2にて10秒間硬化させる。得られたフィルムAおよびフィルムBのFIB薄片(lamella cuts)をSEMによって分析する。
【0165】
図6a、
図6b。実施例1に記載のQDインク組成物1から製作されたフィルムAおよびB
a)2.3mW/cm
2にて10分間硬化させたフィルムA。SEM画像。
b)300mW/cm
2にて10秒間硬化させたフィルムB。SEM画像。
【0166】
実施例2:
22mgのリノール酸、3.4g オクタンに分散したZnSe/ZnS二重シェル層を有する500mgのInPベースの緑色QD、および1.7gのトルエンを、周囲温度にて2時間、不活性雰囲気下で撹拌する。次いで、323mgのLA、81mgのHDDA、PIとして5mgのフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad(商標)819)、AOとして20mgのIrganox(商標)1010を加える。混合物を10分間撹拌したままにする。揮発性物質を減圧下で除去し、50mg TiO2を加える。次いでQDインク組成物2が得られる。
【0167】
厚さが10μmのフィルムCおよびフィルムDを、QDインク組成物2を使用して製作する。フィルムCおよびDを、シリコンウェハ上へのインクのバーコーティングによって調製する。次いで、フィルムCをアルゴン下2.3mW/cm2にて10分間硬化させ、フィルムDをアルゴン下300mW/cm2にて10秒間硬化させる。得られたフィルムCおよびフィルムDのFIB薄片をSEMによって分析する。
【0168】
図7a、7b。実施例2に記載のQDインク組成物2から製作されたフィルムCおよびD。
a)2.3mW/cm
2にて10分間硬化させたフィルムC。SEM画像。
b)300mW/cm
2にて10秒間硬化させたフィルムD。SEM画像。
【0169】
実施例3:
102mgの化合物L1、7g オクタンに分散したZnSe/ZnS二重シェル層を有する948mgのInPベースの緑色QD、および3.6g THFを、40度Cにて2時間、不活性雰囲気下で撹拌する。次いで、620mgのLA、163mgのHDDA、PIとして20mgのフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad(商標)819)、AOとして10mgのIrganox(商標)1010を加える。混合物を10分間撹拌したままにする。揮発性物質を減圧下で除去し、100mg TiO2を加える。
【0170】
厚さが10μmのフィルムEおよびフィルムFを、QDインク組成物2を使用して製作する。フィルムEおよびFを、シリコンウェハ上へのインクのバーコーティングによって調製する。次いで、フィルムEをアルゴン下2.3mW/cm2にて10分間硬化させ、フィルムFをアルゴン下300mW/cm2にて10秒間硬化させる。得られたフィルムEおよびフィルムFのFIB薄片をSEMによって分析する。
【0171】
図8a、8b。実施例3に記載のQDインク組成物3から製作されたフィルムEおよびF。
a)2.3mW/cm
2にて10分間硬化させたフィルムE。SEM画像。
b)300mW/cm
2にて10秒間硬化させたフィルムF。SEM画像。
【0172】
実施例4:EQE測定
実施例1~3に記載のQDインクの性能の評価を実施するため、10μmフィルムを、ガラスサンドイッチ試験セルをQDインク組成物で満たすことによって製作する。フィルムA、C、およびEを作製するため、ガラスセル内部のQDインク組成物をアルゴン下2.3mW/cm2にて10分間硬化させる。フィルムB、D、およびFを作製するため、ガラスセル内部のQDインク組成物をアルゴン下300mW/cm2にて10秒間硬化させる。
【0173】
フィルムA~FのEQE測定は、光ファイバーによる励起光を備えた積分球(CWL:450nm)および分光計(Compass X,BWTEK)を使用することによって実行する。励起光の光子を検出するため、室温での空気を参照として使用する。
【0174】
テストセルから積分球へ向かって発光する光子数は、室温にて分光計によって計数する。
EQEは、以下の算出方法によって算出される。
EQE=光子[放射光]/光子[試料なしで適所にて測定された励起光]
【0175】
算出のための波長範囲
励起: 390nm~490nm
放射: [緑色]490~600nm
【0176】
【0177】
実施例5:フィルム中のQDの分布の評価:
QDの%をフィルム厚の%で見積もるため、フィルム厚の%によって限定されたセレンプロファイル下の積分面積を、EDSラインスキャンによる全フィルム厚にわたるセレンプロファイル下の積分面積によって除する。
【0178】
EDSラインスキャンの始点はシリコンウェハ(フィルムの下面の下)にあり、EDSラインスキャンの終点はフィルムの上面の上にある。
実施例に開示の発光部(QD)の組成のためにセレンを選ぶ。フィルムの輝度に対するフィルム形態の開示された効果は、実施例に開示の発光部の組成によって限定されないものとする。
【0179】
図9A: 2.3mW/cm
2にて10分間硬化させたフィルムAのSeプロファイルを示す。
図9Bは、300mW/cm
2にて10秒間硬化させたフィルムBのSeプロファイルを示す。
【0180】
表2:実施例1に記載のインクから作製されたフィルムにおけるQDの分布。厚さゼロは、シリコンウェハにて定義される。
【表2】
【国際調査報告】