(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-20
(54)【発明の名称】膜質改善剤、それを用いた薄膜形成方法、及びそれから製造された半導体基板
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20240912BHJP
C23C 16/34 20060101ALI20240912BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/34
H01L21/285 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515697
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2022013587
(87)【国際公開番号】W WO2023038484
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0121705
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0146536
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】321001986
【氏名又は名称】ソウルブレイン シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,チャン ボン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ムン
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA13
4K030BA18
4K030BA38
4K030BB12
4K030CA04
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA06
4K030LA15
4M104BB02
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB13
4M104BB14
4M104BB16
4M104BB17
4M104BB18
4M104BB36
4M104DD43
4M104DD45
4M104GG16
4M104HH13
(57)【要約】
本発明は、膜質改善剤、それを用いた薄膜形成方法、及びそれから製造された半導体基板に関し、薄膜蒸着工程で所定の構造の膜質改善剤を利用して、副反応を抑制して薄膜成長率を適切に制御し、また、薄膜内の工程副生成物を除去することにより、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さ均一性が大幅に向上し、腐食や劣化が低減され、薄膜の結晶性向上による薄膜の電気的特性などが改善される効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1
【化1】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記R
1、R
2及びR
3は、独立して、炭素数1ないし3のアルキル基であり、前記R
1、R
2及びR
3のうち1つ以上は炭素数が2または3であり、前記Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)のうち1種以上である。)で表される化合物であることを特徴とする膜質改善剤。
【請求項2】
前記Xはフッ素、塩素または臭素であることを特徴とする請求項1に記載の膜質改善剤。
【請求項3】
前記Xはヨウ素であることを特徴とする請求項1に記載の膜質改善剤。
【請求項4】
前記R
1、R
2及びR
3のうちいずれか1つの炭素数は1であり、残り2つの炭素数は2または3であることを特徴とする請求項1に記載の膜質改善剤。
【請求項5】
前記化学式1で表される化合物は原子層蒸着(ALD)工程に用いられることを特徴とする請求項1に記載の膜質改善剤。
【請求項6】
下記の化学式1
【化2】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記R
1、R
2及びR
3は、独立して、炭素数1ないし3のアルキル基であり、前記R
1、R
2及びR
3のうち1つ以上は炭素数が2または3であり、前記Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)のうち1種以上である。)で表される膜質改善剤をALDチャンバ内に注入してローディング(loading)された基板の表面に吸着させる段階を含むことを特徴とする薄膜形成方法。
【請求項7】
i)前記膜質改善剤を気化してALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
ii)前記ALDチャンバ内部をパージガスで1次パージする段階;
iii)薄膜前駆体化合物を気化してALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
iv)前記ALDチャンバ内部をパージガスで2次パージする段階;
v)前記ALDチャンバ内部に反応ガスを供給する段階;及び
vi)前記ALDチャンバ内部をパージガスで3次パージする段階;を含むことを特徴とする請求項6に記載の薄膜形成方法。
【請求項8】
i)薄膜前駆体化合物を気化してALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
ii)前記ALDチャンバ内部をパージガスで1次パージする段階;
iii)前記膜質改善剤を気化してALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
iv)前記ALDチャンバ内部をパージガスで2次パージする段階;
v)前記ALDチャンバ内部に反応ガスを供給する段階;及び
vi)前記ALDチャンバ内部をパージガスで3次パージする段階;を含むことを特徴とする請求項6に記載の薄膜形成方法。
【請求項9】
前記ii)段階でALDチャンバ内部に投入されるパージガスの量は、前記i)段階で投入された膜質改善剤の体積を基準として10ないし100,000倍であることを特徴とする請求項7に記載の薄膜形成方法。
【請求項10】
前記iv)段階でALDチャンバ内部に投入されるパージガスの量は、前記iii)段階で投入された膜質改善剤の体積を基準として10ないし100,000倍であることを特徴とする請求項8に記載の薄膜形成方法。
【請求項11】
前記膜質改善剤及び薄膜前駆体化合物は、VFC方式、DLI方式またはLDS方式でALDチャンバ内に移送されることを特徴とする請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
【請求項12】
前記膜質改善剤と前記前駆体化合物のALDチャンバ内投入量(mg/cycle)の比は、1:1.5ないし1:20であることを特徴とする請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
【請求項13】
前記薄膜形成方法は、下記数式1で計算されるサイクル当たりの薄膜成長率(Å/Cycle)の減少率が-5%以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
[数式1]
サイクル当たりの薄膜成長率の減少率(%)=[(膜質改善剤を使用した場合のサイクル当たりの薄膜成長率-膜質改善剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率)/膜質改善剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率]×100
【請求項14】
前記薄膜形成方法は、SIMSに基づいて測定された、200サイクル後に形成された薄膜内残留ハロゲンの強さ(c/s)が10,000以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
【請求項15】
前記反応ガスは、還元剤、窒化剤または酸化剤であることを特徴とする請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
【請求項16】
請求項6による薄膜形成方法で製造されることを特徴とする半導体基板。
【請求項17】
前記薄膜は、厚さが30nm以下であり、薄膜厚さ10nm基準の比抵抗値が10ないし400μΩ・cmであり、ハロゲン含量が1,000ppm以下であり、段差被覆率が80%以上であることを特徴とする請求項16に記載の半導体基板。
【請求項18】
前記薄膜は、チタニウム窒化膜を含むことを特徴とする請求項16に記載の半導体基板。
【請求項19】
前記薄膜は、2層または3層の多層構造であることを特徴とする請求項16に記載の半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜質改善剤、それを用いた薄膜形成方法、及びそれから製造された半導体基板に関し、より詳細には、副反応を抑制して薄膜内の不純物濃度を減少させながら薄膜の腐食や劣化を防いで薄膜の電気的特性を向上させ、薄膜の成長速度が制御されて複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さ均一性を大幅に向上させる、膜質改善剤、それを用いた薄膜形成方法、及びそれから製造された半導体基板に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリー及び非メモリー半導体素子の集積度は日々増加しており、その構造が次第に複雑になるに伴い、様々な薄膜を基板に蒸着させるにあたっての段差被覆性(step coverage)の重要性が次第に増大している。
【0003】
前記半導体用薄膜は、窒化金属、酸化金属、珪化金属などからなる。前記窒化金属薄膜としては、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ジルコニウム(ZrN)などがあり、前記薄膜は、一般的に、ドーピングされた半導体のシリコン層と、層間配線材料として用いられるアルミニウム(Al)、銅(Cu)などとの拡散防止膜(diffusion barrier)として用いられる。但し、タングステン(W)薄膜を基板に蒸着する際には、接着層(adhesion layer)として用いられる。
【0004】
基板に蒸着された薄膜が、優れたものであって、均一な物性を得るためには、形成された薄膜の高い段差被覆性が必須である。したがって、気相反応を主に活用するCVD(chemical vapor deposition)工程よりも、表面反応を活用するALD(atomic layer deposition)工程が好まれるが、所望の水準のstep coverageの実現には、依然として及ばない。
【0005】
さらに、段差被覆性を向上させるための方法として、薄膜の成長速度を遅くする方法などが提案されたが、薄膜の成長速度を遅くするために蒸着温度を減少させる場合、薄膜内の炭素や塩素のような不純物の残留量が増加し、膜質が大幅に劣化する問題が発生する。
【0006】
また、前記窒化金属の中で代表的な窒化チタン(TiN)を蒸着させるために用いられる四塩化チタン(TiCl4)の場合、製造された薄膜内に塩化物といった工程副生成物が残留するようになり、周辺のアルミニウムなどの金属の腐食を誘発し、また、非揮発性の副生成物が生成され、膜質の劣化を招く。
【0007】
したがって、複雑な構造の薄膜形成が可能であり、副生成物の残留量が低く、層間配線材料を腐食させない薄膜形成方法、及びそれから製造された半導体基板などを開発することが必要とされているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2006-0037241号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、副反応を抑制して薄膜成長率を適切に低下させ、薄膜内の工程副生成物を除去することにより、腐食や劣化を防止し、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さ均一性を大幅に向上させる薄膜形成用成長抑制剤、それを用いた薄膜形成方法、及びそれから製造された半導体基板を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は薄膜の結晶性を改善させることによって、薄膜の密度及び電気的特性を改善させることを目的とする。
【0011】
本発明の前記目的及び他の目的は、下記に説明する本発明によって、すべて達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は下記の化学式1
【0013】
【化1】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記R
1、R
2及びR
3は、独立して、炭素数1ないし3のアルキル基であり、前記R
1、R
2及びR
3のうち1つ以上は炭素数が2または3であり、前記Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)のうち1種以上である。)で表される化合物である膜質改善剤を提供する。
【0014】
また、本発明は、前記膜質改善剤をALDチャンバ内に注入してローディング(loading)された基板の表面に吸着させる段階を含む薄膜形成方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記薄膜形成方法で製造された半導体基板を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薄膜形成時、工程副生成物が減少し、段差被覆性と薄膜密度を改善させる所定の構造の薄膜形成用膜質改善剤を提供することができ、ひいてはそれを用いた薄膜形成方法、及びそれから製造された半導体基板を提供する効果がある。
【0017】
また、本発明によれば、薄膜の結晶性を改善させることによって、薄膜の密度及び電気的特性を改善させることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明の実施例1ないし2及び比較例1ないし4による成膜工程の平均成長速度を示すグラフである。
【
図2】
図2は本発明の実施例1ないし2及び比較例1ないし4によって製造された薄膜の電気抵抗特性(比抵抗)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本記載の膜質改善剤、それを用いた薄膜形成方法、及びそれから製造された半導体基板について詳細に説明する。
【0020】
本発明者らは、ALDチャンバ内部にローディングされた基板の表面に薄膜前駆体化合物を吸着させる前に、所定の構造を有するハロゲン置換分岐状化合物を先に吸着させる場合、蒸着後に形成される薄膜の成長率が大幅に低くなって段差被覆性が大幅に向上し、工程副生成物として残留していたハロゲン化物が大幅に減少するということを確認した。また、ALDチャンバ内部にローディングされた基板の表面に薄膜前駆体化合物を先に吸着させ、所定の構造を有するハロゲン置換分岐状化合物を吸着させた場合には、前述とは反対に、蒸着後に形成される薄膜の成長率が増加し、工程副生成物として残留していたハロゲン化物が大幅に減少し、薄膜の密度、比抵抗などが大幅に改善されるという結果を確認し、これに基づいてさらに研究に邁進することで本発明を完成するに至った。
【0021】
本発明の膜質改善剤は、下記の化学式1
【0022】
【化2】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記R
1、R
2及びR
3は、独立して、炭素数1ないし3のアルキル基であり、前記R
1、R
2及びR
3のうち1つ以上は炭素数が2または3であり、前記Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)のうち1種以上である。)で表される化合物であることを特徴とし、このような場合に薄膜形成時の副反応を抑制され、薄膜成長率が調節されて、薄膜内の工程副生成物による腐食や劣化が低減され、薄膜の結晶性が向上し、また、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さ均一性を大幅に向上させるという効果がある。
【0023】
前記化学式1において、前記Aは炭素またはケイ素であり、好ましくは炭素である。
【0024】
前記R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素数1ないし3のアルキル基であり、これらのうち少なくとも1つ以上は炭素数が2または3である。好ましい一例として、前記R1、R2及びR3のうちいずれか1つの炭素数は1であり、残り2つの炭素数は2または3、より好ましくは前記R1、R2及びR3のうちいずれか1つの炭素数は1であり、残り2つの炭素数は2であり、この範囲内で工程副生成物の減少効果が大きく、段差被覆性に優れ、薄膜密度の向上効果及び薄膜の電気的特性がより優れるという利点がある。
【0025】
前記化学式1において、Xはハロゲン元素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素であることができ、より好ましくは塩素または臭素であることができ、この範囲内で工程副生成物の減少及び段差被覆性の改善効果がさらに優れるという利点がある。また、前記Xは、一例としてフッ素であることができ、この場合、高温蒸着が要求される工程により適するという利点がある。
【0026】
前記化学式1において、Xは他の好ましい一例として、ヨウ素であることができ、この範囲内で薄膜結晶性が改善し、副反応を抑制して工程副生成物の減少効果がさらに優れるという利点がある。
【0027】
前記化学式1で表される化合物は、ハロゲン置換された三級アルキル化合物であり、具体的な例として、2-クロロ-2メチルブタン、2-クロロ-2メチルペンタン、3-クロロ-3メチルペンタン、3-クロロ-3メチルヘキサン、3-クロロ-3エチルペンタン、3-クロロ-3エチルヘキサン、4-クロロ-4メチルヘプタン、4-クロロ-4エチルヘプタン、4-クロロ-4プロピルヘプタン、2-ブロモ-2メチルブタン、2-ブロモ-2メチルペンタン、3-ブロモ-3メチルペンタン、3-ブロモ-3メチルヘキサン、3-ブロモ-3エチルペンタン、3-ブロモ-3エチルヘキサン、4-ブロモ-4メチルヘプタン、4-ブロモ-4エチルヘプタン、4-ブロモ-4プロピルヘプタン、2-ヨード-2メチルブタン、2-ヨード-2メチルペンタン、3-ヨード-3メチルペンタン、3-ヨード-3メチルヘキサン、3-ヨード-3エチルペンタン、3-ヨード-3エチルヘキサン、4-ヨード-4メチルヘプタン、4-ヨード-4エチルヘプタン、4-ヨード-4プロピルヘプタン、2-フルオロ-2メチルブタン、2-フルオロ-2メチルペンタン、3-フルオロ-3メチルペンタン、3-フルオロ-3メチルヘキサン、3-フルオロ-3エチルペンタン、3-フルオロ-3エチルヘキサン、4-フルオロ-4メチルヘプタン、4-フルオロ-4エチルヘプタン、4-フルオロ-4プロピルヘプタンからなる群から選択される1種以上であり、好ましくは2-クロロ-2メチルブタン及び3-クロロ-3メチルペンタンからなる群から選択される1種以上であり、この場合、工程副生成物の除去効果が大きく、段差被覆性の改善及び膜質の改善の効果が優れている。
【0028】
前記化学式1で表される化合物は、好ましくは原子層蒸着(ALD)工程に用いられるものであり、この場合、薄膜前駆体化合物の吸着を妨げずに膜質改善剤として基板の表面を効果的に保護(protection)し、工程副生成物を効果的に除去する利点がある。
【0029】
前記化学式1で表される化合物は、好ましくは常温(22℃)において液体であり、密度が0.8ないし2.5g/cm3または0.8ないし1.5g/cm3であり、蒸気圧(20℃)が0.1ないし300mmHgまたは1ないし300mmHgであり、水における溶解度(25℃)が200mg/L以下であることができ、この範囲内で段差被覆性、薄膜の厚さ均一性及び膜質の改善に優れた効果がある。
【0030】
より好ましくは前記化学式1で表される化合物は、密度が0.75ないし2.0g/cm3または0.8ないし1.3g/cm3であり、蒸気圧(20℃)が1ないし260mmHgで、水における溶解度(25℃)が160mg/L以下であることができ、この範囲内で段差被覆性、薄膜の厚さ均一性及び膜質の改善に優れた効果がある。
【0031】
本発明の薄膜形成方法は、下記の化学式1
【0032】
【化3】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記R
1、R
2及びR
3は、独立して、炭素数1ないし3のアルキル基であり、前記R
1、R
2及びR
3のうち1つ以上は炭素数が2または3であり、前記Xはフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)のうち1種以上である。)で表される膜質改善剤をALDチャンバ内に注入してローディング(loading)された基板の表面に吸着させる段階を含むことを特徴とし、このような場合に薄膜形成時の副反応を抑制して薄膜成長率を調節することができ、これにより薄膜内の工程副生成物が低減されて腐食や劣化が低減され、薄膜の結晶性が向上し、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の電気的特性を大幅に向上させる効果がある。
【0033】
前記膜質改善剤を基板の表面に吸着させる段階は、基板の表面に膜質改善剤の供給時間(Feeding Time)がサイクル当たり、好ましくは0.01ないし5秒、より好ましくは0.02ないし3秒、さらに好ましくは0.04ないし2秒、より一層好ましくは0.05ないし1秒であり、この範囲内で薄膜成長率が低く、段差被覆性及び経済性に優れるという利点がある。
【0034】
本記載における膜質改善剤の供給時間(Feeding Time)は、チャンバの体積15ないし20L及び流量0.5ないし5mg/sを基準とし、より具体的には、チャンバの体積18L及び流量1ないし2mg/sを基準とする。
【0035】
前記薄膜形成方法は、好ましい一実施例として、i)前記膜質改善剤を気化してALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;ii)前記ALDチャンバ内部をパージガスで1次パージする段階;iii)薄膜前駆体化合物を気化してALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;iv)前記ALDチャンバ内部をパージガスで2次パージする段階;v)前記ALDチャンバ内部に反応ガスを供給する段階;及びvi)前記ALDチャンバ内部をパージガスで3次パージする段階;を含み得る。この時、前記i)段階ないしvi)段階を単位サイクル(cycle)として目的とする厚さの薄膜を得るまで前記サイクルを繰り返して行ってもよく、このように一サイクル内において本発明の膜質改善剤を薄膜前駆体化合物よりも先に投入して基板に吸着させる場合、高温で蒸着しても薄膜成長率を適切に低下させることができ、生成される工程副生成物が効果的に除去されて薄膜の比抵抗が減少し、段差被覆性が大幅に向上する利点がある。
【0036】
好ましい他の実施例として、前記薄膜形成方法は、i)薄膜前駆体化合物を気化してALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;ii)前記ALDチャンバ内部をパージガスで1次パージする段階;iii)前記膜質改善剤を気化してALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;iv)前記ALDチャンバ内部をパージガスで2次パージする段階;v)前記ALDチャンバ内部に反応ガスを供給する段階;及びvi)前記ALDチャンバ内部をパージガスで3次パージする段階;を含み得る。この時、前記i)段階ないしvi)段階を単位サイクルとして目的とする厚さの薄膜を得るまで前記サイクルを繰り返して行ってもよく、このように一サイクル内において本発明の膜質改善剤を薄膜前駆体化合物よりも後で投入して基板に吸着させる場合、薄膜成長率が高くなり、薄膜の密度及び結晶性が高くなって薄膜の比抵抗が減少し、電気的特性が大幅に向上する利点がある。
【0037】
本発明の薄膜形成方法は、好ましい一例として、一サイクル内において本発明の膜質改善剤を薄膜前駆体化合物よりも先に供給して基板に吸着させることができ、この場合、高温で薄膜を蒸着させても薄膜成長率を適切に減少させることによって、工程副生成物が大幅に減少し、段差被覆性を大幅に向上することができ、薄膜の結成性が増加して薄膜の比抵抗を減少させることができ、アスペクト比が大きい半導体素子に適用しても薄膜の厚さ均一度が大幅に向上して半導体素子の信頼性を確保する利点がある。
【0038】
前記薄膜形成方法は、一例として、前記膜質改善剤を薄膜前駆体化合物の蒸着前または後に蒸着させる場合、必要に応じて、単位サイクルを1ないし99,999回繰り返して行ってもよく、好ましくは単位サイクルを10ないし10,000回、より好ましくは50ないし5,000回、より一層好ましくは100ないし2,000回繰り返して行ってもよく、この範囲内で目的とする薄膜の厚さを得ながら本発明において達成しようとする効果を充分に得ることができる。
【0039】
基板上に前記膜質改善剤を先に吸着させた後に前記薄膜前駆体化合物を吸着させる場合、または前記薄膜前駆体化合物を先に吸着させた後に前記膜質改善剤を吸着させる場合、前記未吸着膜質改善剤をパージする段階において前記ALDチャンバ内部に投入されるパージガスの量は、前記未吸着膜質改善剤を除去するのに充分な量であれば特に制限されないが、一例として10ないし100,000倍であることができ、好ましくは50ないし50,000倍、より好ましくは100ないし10,000倍であることができ、この範囲内で未吸着膜質改善剤を充分に除去して薄膜が均一に形成され、膜質の劣化を防止することができる。ここで、前記パージガス及び膜質改善剤の投入量は、それぞれ一サイクルを基準とし、前記膜質改善剤の体積は気化した膜質改善剤の体積を意味する。
【0040】
具体的な一例として、前記膜質改善剤を流速1.66mL/s、及び注入時間0.5secで注入(1サイクル当たり)し、未吸着膜質改善剤をパージする段階においてパージガスを流量166.6mL/s、及び注入時間3secで注入(1サイクル当たり)する場合、パージガスの注入量は膜質改善剤の注入量の602倍である。
【0041】
また、前記未吸着薄膜前駆体化合物をパージする段階において前記ALDチャンバ内部に投入されるパージガスの量は、前記未吸着薄膜前駆体化合物を除去するのに充分な量であれば特に制限されないが、一例として前記ALDチャンバ内部に投入された薄膜前駆体化合物の体積を基準として10ないし10,000倍であることができ、好ましくは50ないし50,000倍、より好ましくは100ないし10,000倍であることができ、この範囲内で未吸着薄膜前駆体化合物を充分に除去して薄膜が均一に形成されて膜質の劣化を防止することができる。ここで、前記パージガス及び薄膜前駆体化合物の投入量はそれぞれ一サイクルを基準とし、前記薄膜前駆体化合物の体積は気化した薄膜前駆体化合物の体積を意味する。
【0042】
また、前記反応ガス供給段階の直後に行うパージ段階において前記ALDチャンバ内部に投入されるパージガスの量は、一例として前記ALDチャンバ内部に投入された反応ガスの体積を基準として10ないし10,000倍であることができ、好ましくは50ないし50,000倍、より好ましくは100ないし10,000倍であることができ、この範囲内で所望の効果を充分に得ることができる。ここで、前記パージガス及び反応ガスの投入量は、それぞれ一サイクルを基準とする。
【0043】
前記膜質改善剤及び薄膜前駆体化合物は、好ましくはVFC方式、DLI方式またはLDS方式でALDチャンバ内に移送されることができ、より好ましくはLDS方式でALDチャンバ内に移送される。
【0044】
前記膜質改善剤と前記前駆体化合物のALDチャンバ内投入量(mg/cycle)の比は、好ましくは1:1.5ないし1:20であることができ、より好ましくは1:2ないし1:15であり、さらに好ましくは1:2ないし1:12であり、より一層好ましくは1:2.5ないし1:10であり、この範囲内で段差被覆性の向上効果及び工程副生成物の低減効果が大きい。
【0045】
前記薄膜前駆体化合物は、通常ALD(原子層蒸着方法)に用いられる薄膜前駆体化合物であれば特に制限されないが、好ましくは金属膜前駆体化合物、金属酸化膜前駆体化合物、金属窒化膜前駆体化合物及びシリコン窒化膜前駆体化合物からなる群から選択される1種以上を含むことができ、前記金属は、好ましくはタングステン、コバルト、クロム、アルミニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、ゲルマニウム、ランタン族元素、アクチニウム 族元素、ガリウム、タンタル、ジルコニウム、ルテニウム、銅、チタン、ニッケル、イリジウム、及びモリブデンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0046】
前記金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体及び金属窒化膜前駆体は、それぞれ一例として、金属ハライド、金属アルコキシド、アルキル金属化合物、金属アミノ化合物、金属カルボニル化合物、及び置換または非置換シクロペンタジエニル金属化合物などからなる群から選択される1種以上であることができるが、これに制限されるものではない。
【0047】
具体的な例として、前記金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体及び金属窒化膜前駆体は、それぞれテトラクロロチタン(tetrachlorotitanium)、テトラクロロジャマニウム(tetrachlorogemanium)、テトラクロロチン(tetrchlorotin)、トリス(イソプロピル)エチルメチルアミノゲルマニウム(tris(isopropyl)ethylmethylaminogermanium)、テトラエロキシゲルマニウム(tetraethoxylgermanium)、テトラメチルチン(tetramethyltin)、テトラエチルチン(tetraethyltin)、ビスアセチルアセトネートチン(bisacetylacetonatetin)、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum)、テトラキス(ジメチルアミノ)ゲルマニウム(tetrakis(dimethylamino)germanium)、ビス(n-ブチルアミノ)ゲルマニウム(bis(n-butylamino)germanium)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チン(tetrakis(ethylmethylamino)tin)、テトラキス(ジメチルアミノ)チン(tetrakis(dimethylamino)tin)、CO2(CO)8(dicobalt octacarbonyl)、Cp2Co(biscyclopentadienylcobalt)、Co(CO)3(NO)(cobalt tricarbonyl nitrosyl)、及びCpCo(CO)2(cabalt dicarbonyl cyclopentadienyl)などからなる群から選択される1種以上であることができるが、これに制限されるものではない。
【0048】
前記シリコン窒化膜前駆体は、一例としてSiH4、SiCl4、SiF4、SiCl2H2、Si2Cl6、TEOS、DIPAS、BTBAS、(NH2)Si(NHMe)3、(NH2)Si(NHEt)3、(NH2)Si(NHnPr)3、(NH2)Si(NHiPr)3、(NH2)Si(NHnBu)3、(NH2)Si(NHiBu)3、(NH2)Si(NHtBu)3、(NMe2)Si(NHMe)3、(NMe2)Si(NHEt)3、(NMe2)Si(NHnPr)3、(NMe2)Si(NHiPr)3、(NMe2)Si(NHnBu)3、(NMe2)Si(NHiBu)3、(NMe2)Si(NHtBu)3、(NEt2)Si(NHMe)3、(NEt2)Si(NHEt)3、(NEt2)Si(NHnPr)3、(NEt2)Si(NHiPr)3、(NEt2)Si(NHnBu)3、(NEt2)Si(NHiBu)3、(NEt2)Si(NHtBu)3、(NnPr2)Si(NHMe)3、(NnPr2)Si(NHEt)3、(NnPr2)Si(NHnPr)3、(NnPr2)Si(NHiPr)3、(NnPr2)Si(NHnBu)3、(NnPr2)Si(NHiBu)3、(NnPr2)Si(NHtBu)3、(NiPr2)Si(NHMe)3、(NiPr2)Si(NHEt)3、(NiPr2)Si(NHnPr)3、(NiPr2)Si(NHiPr)3、(NiPr2)Si(NHnBu)3、(NiPr2)Si(NHiBu)3、(NiPr2)Si(NHtBu)3、(NnBu2)Si(NHMe)3、(NnBu2)Si(NHEt)3、(NnBu2)Si(NHnPr)3、(NnBu2)Si(NHiPr)3、(NnBu2)Si(NHnBu)3、(NnBu2)Si(NHiBu)3、(NnBu2)Si(NHtBu)3、(NiBu2)Si(NHMe)3、(NiBu2)Si(NHEt)3、(NiBu2)Si(NHnPr)3、(NiBu2)Si(NHiPr)3、(NiBu2)Si(NHnBu)3、(NiBu2)Si(NHiBu)3、(NiBu2)Si(NHtBu)3、(NtBu2)Si(NHMe)3、(NtBu2)Si(NHEt)3、(NtBu2)Si(NHnPr)3、(NtBu2)Si(NHiPr)3、(NtBu2)Si(NHnBu)3、(NtBu2)Si(NHiBu)3、(NtBu2)Si(NHtBu)3、(NH2)2Si(NHMe)2、(NH2)2Si(NHEt)2、(NH2)2Si(NHnPr)2、(NH2)2Si(NHiPr)2、(NH2)2Si(NHnBu)2、(NH2)2Si(NHiBu)2、(NH2)2Si(NHtBu)2、(NMe2)2Si(NHMe)2、(NMe2)2Si(NHEt)2、(NMe2)2Si(NHnPr)2、(NMe2)2Si(NHiPr)2、(NMe2)2Si(NHnBu)2、(NMe2)2Si(NHiBu)2、(NMe2)2Si(NHtBu)2、(NEt2)2Si(NHMe)2、(NEt2)2Si(NHEt)2、(NEt2)2Si(NHnPr)2、(NEt2)2Si(NHiPr)2、(NEt2)2Si(NHnBu)2、(NEt2)2Si(NHiBu)2、(NEt2)2Si(NHtBu)2、(NnPr2)2Si(NHMe)2、(NnPr2)2Si(NHEt)2、(NnPr2)2Si(NHnPr)2、(NnPr2)2Si(NHiPr)2、(NnPr2)2Si(NHnBu)2、(NnPr2)2Si(NHiBu)2、(NnPr2)2Si(NHtBu)2、(NiPr2)2Si(NHMe)2、(NiPr2)2Si(NHEt)2、(NiPr2)2Si(NHnPr)2、(NiPr2)2Si(NHiPr)2、(NiPr2)2Si(NHnBu)2、(NiPr2)2Si(NHiBu)2、
(NiPr2)2Si(NHtBu)2、(NnBu2)2Si(NHMe)2、(NnBu2)2Si(NHEt)2、(NnBu2)2Si(NHnPr)2、(NnBu2)2Si(NHiPr)2、(NnBu2)2Si(NHnBu)2、(NnBu2)2Si(NHiBu)2、(NnBu2)2Si(NHtBu)2、(NiBu2)2Si(NHMe)2、(NiBu2)2Si(NHEt)2、(NiBu2)2Si(NHnPr)2、(NiBu2)2Si(NHiPr)2、(NiBu2)2Si(NHnBu)2、(NiBu2)2Si(NHiBu)2、(NiBu2)2Si(NHtBu)2、(NtBu2)2Si(NHMe)2、(NtBu2)2Si(NHEt)2、(NtBu2)2Si(NHnPr)2、(NtBu2)2Si(NHiPr)2、(NtBu2)2Si(NHnBu)2、(NtBu2)2Si(NHiBu)2、(NtBu2)2Si(NHtBu)2、Si(HNCH2CH2NH)2、Si(MeNCH2CH2NMe)2,Si(EtNCH2CH2NEt)2、Si(nPrNCH2CH2NnPr)2、Si(iPrNCH2CH2NiPr)2、Si(nBuNCH2CH2NnBu)2、Si(iBuNCH2CH2NiBu)2、Si(tBuNCH2CH2NtBu)2、Si(HNCHCHNH)2、Si(MeNCHCHNMe)2、Si(EtNCHCHNEt)2、Si(nPrNCHCHNnPr)2、Si(iPrNCHCHNiPr)2、Si(nBuNCHCHNnBu)2、Si(iBuNCHCHNiBu)2、Si(tBuNCHCHNtBu)2、(HNCHCHNH)Si(HNCH2CH2NH)、(MeNCHCHNMe)Si(MeNCH2CH2NMe)、(EtNCHCHNEt)Si(EtNCH2CH2NEt)、(nPrNCHCHNnPr)Si(nPrNCH2CH2NnPr)、(iPrNCHCHNiPr)Si(iPrNCH2CH2NiPr)、(nBuNCHCHNnBu)Si(nBuNCH2CH2NnBu)、(iBuNCHCHNiBu)Si(iBuNCH2CH2NiBu)、(tBuNCHCHNtBu)Si(tBuNCH2CH2NtBu)、(NHtBu)2Si(HNCH2CH2NH)、(NHtBu)2Si(MeNCH2CH2NMe)、(NHtBu)2Si(EtNCH2CH2NEt)、(NHtBu)2Si(nPrNCH2CH2NnPr)、(NHtBu)2Si(iPrNCH2CH2NiPr)、(NHtBu)2Si(nBuNCH2CH2NnBu)、(NHtBu)2Si(iBuNCH2CH2NiBu)、(NHtBu)2Si(tBuNCH2CH2NtBu)、(NHtBu)2Si(HNCHCHNH)、(NHtBu)2Si(MeNCHCHNMe)、(NHtBu)2Si(EtNCHCHNEt)、(NHtBu)2Si(nPrNCHCHNnPr)、(NHtBu)2Si(iPrNCHCHNiPr)、(NHtBu)2Si(nBuNCHCHNnBu)、(NHtBu)2Si(iBuNCHCHNiBu)、(NHtBu)2Si(tBuNCHCHNtBu)、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHMe)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHEt)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHnPr)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHiPr)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHnBu)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHiBu)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHtBu)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHMe)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHEt)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHnPr)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHiPr)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHnBu)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHiBu)2、及び(iPrNCHCHNiPr)Si(NHtBu)2からなる群から選択される1種以上であることができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
前記nPrはn-プロピルを意味し、iPrはiso-プロピルを意味し、nBuはn-ブチルを、iBuはiso-ブチルを、tBuはtert-ブチルを意味する。
【0050】
前記薄膜前駆体化合物は、好ましい一実施例として、TiCl4、(Ti(CpMe5)(OMe)3)、Ti(CpMe3)(OMe)3、Ti(OMe)4、Ti(OEt)4、Ti(OtBu)4、Ti(CpMe)(OiPr)3、TTIP(Ti(OiPr)4、TDMAT(Ti(NMe2)4)、Ti(CpMe){N(Me2)3}からなる群から選択される1種以上を含むことができ、この場合、本発明において達成しようとする効果を充分に得ることができる。
【0051】
前記テトラハロゲン化チタンは、薄膜形成用組成物の金属前駆体として用いられることができる。前記テトラハロゲン化チタンは、一例として、TiF4、TiCl4、TiBr4及びTiI4からなる群から選択される少なくともいずれか1つであることができ、例えばTiCl4であることが経済性の側面で好ましいが、これに限定されるものではない。
【0052】
一例として、前記テトラハロゲン化チタンは、熱安定性に優れ、常温で分解されずに液体状態で存在するため、ALD(原子層蒸着方法)の前駆体として用いて薄膜を蒸着させるのに有用に使用することができる。
【0053】
前記薄膜前駆体化合物は、一例として非極性溶媒と混合してチャンバ内に投入することができ、この場合、薄膜前駆体化合物の粘度や蒸気圧を容易に調節できる利点がある。
【0054】
前記非極性溶媒は、好ましくはアルカン及びシクロアルカンからなる群から選択される1種以上であることができ、このような場合、反応性及び溶解度が低く、水分管理が容易な有機溶媒を含みつつも、薄膜形成時に蒸着温度が上昇しても段差被覆性(step coverage)が向上するという利点がある。
【0055】
より好ましい例として、前記非極性溶媒は、C1ないしC10のアルカン(alkane)、またはC3ないしC10のシクロアルカン(cycloalkane)を含むことができ、好ましくはC3ないしC10のシクロアルカン(cycloalkane)であり、この場合、反応性及び溶解度が低く水分管理が容易であるという利点がある。
【0056】
本記載において、C1、C3などは炭素数を意味する。
【0057】
前記シクロアルカンは、好ましくはC3ないしC10のモノシクロアルカンであることができ、前記モノシクロアルカンのうち、シクロペンタン(cyclopentane)が常温において液体であって最も蒸気圧が高くて気相蒸着工程にて好ましいが、これに限定されるものではない。
【0058】
前記非極性溶媒は、一例として水における溶解度(25℃)が200mg/L以下、好ましくは50ないし200mg/L、より好ましくは135ないし175mg/Lであり、この範囲内で薄膜前駆体化合物に対する反応性が低く、水分管理が容易であるという利点がある。
【0059】
本記載における溶解度は、本発明が属する技術分野で通常用いられる測定方法や基準によるのであれば特に制限されず、一例として、飽和溶液をHPLC法で測定することができる。
【0060】
前記非極性溶媒は、好ましくは薄膜前駆体化合物及び非極性溶媒を合わせた総重量に対して5ないし95重量%を含むことができ、より好ましくは10ないし90重量%を含むことができ、さらに好ましくは40ないし90重量%を含むことができ、最も好ましくは70ないし90重量%を含むことができる。
【0061】
万一前記非極性溶媒の含量が前記上限値を超過して投入されると、不純物を誘発して抵抗と薄膜内の不純物の数値が増加し、前記有機溶媒の含量が前記下限値未満に投入される場合は、溶媒添加による段差被覆性の向上効果、及び塩素(Cl)イオンなどの不純物の低減効果が少ないという短所がある。
【0062】
前記薄膜形成方法は、一例として、下記数式1で計算されるサイクル当たりの薄膜成長率(Å/Cycle)の減少率が-5%以下であり、好ましくは-10%以下、より好ましくは-20%以下であり、さらに好ましくは-30%以下、より一層好ましくは-40%以下、最も好ましくは-45%以下であり、この範囲内で段差被覆性及び膜の厚さ均一性が優れている。
【0063】
[数式1]
サイクル当たりの薄膜成長率の減少率(%)=[(膜質改善剤を使用した場合のサイクル当たりの薄膜成長率-膜質改善剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率)/膜質改善剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率]×100
【0064】
前記数式1において、膜質改善剤を使用した場合及び使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率は、それぞれサイクル当たりの薄膜蒸着厚さ(Å/Cycle)、すなわち、蒸着速度を意味し、前記蒸着速度は、一例としてEllipsometeryで薄膜の最終厚さを測定した後、総サイクル回数で割って平均蒸着速度で求めることができる。
【0065】
前記数式1において、「膜質改善剤を使用しなかった場合」は、薄膜蒸着工程において基板上に薄膜前駆体化合物のみを吸着させて薄膜を製造する場合を意味し、具体的な例としては、前記薄膜形成方法において膜質改善剤を吸着させる段階、及び未吸着膜質改善剤をパージする段階を省略して薄膜を形成した場合を指す。
【0066】
前記薄膜形成方法は、SIMSに基づいて測定された、薄膜厚さ100Å基準薄膜内の残留ハロゲンの強さ(c/s)が好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは50,000以下、より一層好ましくは10,000以下であることができ、好ましい一実施例として、5,000以下、より好ましくは1,000ないし4,000、より一層好ましくは1,000ないし3,800であることができ、このような範囲内で腐食及び劣化が防止される効果が優れている。
【0067】
本記載におけるパージは、好ましくは1,000ないし50,000sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)、より好ましくは2,000ないし30,000sccm、さらに好ましくは2,500ないし15,000sccmであり、この範囲内でサイクル当たりの薄膜成長率が適切に制御され、単一原子層(atomic mono-layer)、あるいはこれに近く蒸着がなされて膜質側面で有利な利点がある。
【0068】
前記ALD(原子層蒸着工程)は、高いアスペクト比が要求される集積回路(IC:Integrated Circuit)の製作において非常に有利であり、特に自己制限的な薄膜成長メカニズムによる、優れた段差塗布性(conformality)、均一な被覆性(uniformity)、及び精密な厚さ制御などの利点がある。
【0069】
前記薄膜形成方法は、一例として50ないし800℃の範囲の蒸着温度で実施することができ、好ましくは300ないし700℃範囲の蒸着温度で、より好ましくは400ないし650℃範囲の蒸着温度で実施でき、さらに好ましくは400ないし600℃の範囲の蒸着温度で実施でき、より一層好ましくは450ないし600℃の範囲の蒸着温度で実施できるが、この範囲内でALD工程特性を実現しつつ優れた膜質の薄膜に成長させるという効果がある。
【0070】
前記薄膜形成方法は、一例として0.01ないし20Torrの範囲の蒸着圧力で実施することができ、好ましくは0.1ないし20Torrの範囲の蒸着圧力で、より好ましくは0.1ないし10Torrの範囲の蒸着圧力で、最も好ましくは1ないし7Torrの範囲の蒸着圧力で実施するが、この範囲内で均一な厚さの薄膜を得る効果がある。
【0071】
本記載において、蒸着温度及び蒸着圧力は、蒸着チャンバ内に形成される温度及び圧力として測定するか、蒸着チャンバ内の基板に加えられる温度及び圧力として測定し得る。
【0072】
前記薄膜形成方法は、好ましくは、前記膜質改善剤をチャンバ内に投入する前に、チャンバ内の温度を蒸着温度に昇温する段階;及び/または、前記膜質改善剤をチャンバ内に投入する前に、チャンバ内に不活性気体を注入してパージする段階を含み得る。
【0073】
また、本発明は、前記薄膜製造方法を実現することができる薄膜製造装置として、ALDチャンバ、膜質改善剤を気化する第1気化器、気化された膜質改善剤をALDチャンバ内に移送する第1移送手段、薄膜前駆体を気化する第2気化器、及び気化された薄膜前駆体をALDチャンバ内に移送する第2移送手段を含む薄膜製造装置を含み得る。ここで気化器及び移送手段は、本発明が属する技術分野で通常用いられる気化器及び移送手段であれば特に制限されない。
【0074】
具体的な例として、前記薄膜形成方法について説明すると、
まず、上部に薄膜が形成される基板を原子層蒸着が可能な蒸着チャンバ内に位置させる。
【0075】
前記基板は、シリコン基板、シリコンオキシドなどの半導体基板を含み得る。
【0076】
前記基板は、その上部に導電層または絶縁層がさらに形成され得る。
【0077】
前記蒸着チャンバ内に位置させた基板上に薄膜を蒸着するために、上述した膜質改善剤と、薄膜前駆体化合物、またはこれと非極性溶媒の混合物をそれぞれ準備する。
【0078】
その後、準備された膜質改善剤を気化器内に注入した後、蒸気相に変化させて蒸着チャンバに伝達して基板上に吸着させ、パージ(purging)して未吸着の膜質改善剤を除去する。
【0079】
次に、準備された薄膜前駆体化合物、またはこれと非極性溶媒の混合物(薄膜形成用組成物)を気化器内に注入した後、蒸気相に変化させて蒸着チャンバに伝達して基板上に吸着させ、未吸着の薄膜前駆体化合物/薄膜形成用組成物をパージ(purging)させる。
【0080】
本記載において、前記膜質改善剤を基板上に吸着させた後、パージして未吸着膜質改善剤を除去させる工程;及び薄膜前駆体化合物を基板上に吸着させてパージして未吸着薄膜前駆体化合物を除去させる工程;は必要に応じて順序を変えて実施することができる。
【0081】
本記載において、膜質改善剤及び薄膜前駆体化合物(薄膜形成用組成物)などを蒸着チャンバに伝達する方式は、一例として気相流量制御(Mass Flow Controller;MFC)方法を活用して揮発した気体を移送する方式(Vapor Flow Control;VFC)、または液体相流量制御(Liquid Mass FlowController;LMFC)方法を活用して液体を移送する方式(Liquid Delivery System;LDS)を使用することができ、好ましくはLDS方式を用いるものである。
【0082】
ここで、膜質改善剤及び薄膜前駆体化合物などを基板上に移動させるためのキャリアガスまたは希釈ガスとしては、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)からなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合気体を用い得るが、制限されるものではない。
【0083】
本記載におけるパージガスとしては、一例として不活性ガスを用いることができ、好ましくは前記キャリアガスまたは希釈ガスを用いることができる。
【0084】
次に、反応ガスを供給する。前記反応ガスとしては、本発明が属する技術分野で通常用いられる反応ガスであれば特に制限されず、好ましくは還元剤、窒化剤または酸化剤を含み得る。前記還元剤と、基板に吸着された薄膜前駆体化合物とが反応して金属薄膜が形成され、前記窒化剤による場合は金属窒化物薄膜が形成され、前記酸化剤による場合は金属酸化物薄膜が形成される。
【0085】
好ましくは、前記還元剤はアンモニアガス(NH3)または水素ガス(H2)であることができ、前記窒化剤は窒素ガス(N2)、ヒドラジンガス(N2H4)、または窒素ガス及び水素ガスの混合物であることができ、前記酸化剤はH2O、H2O2、O2、O3及びN2Oからなる群から選択される1種以上であることができる。
【0086】
次に、不活性ガスを用いて、反応していない残留反応ガスをパージする。これにより、過剰量の反応ガスだけでなく、生成した副生成物も一緒に除去することができる。
【0087】
上記のように、前記薄膜形成方法は、一例として膜質改善剤を基板上に吸着させる段階、未吸着の膜質改善剤をパージする段階、薄膜前駆体化合物/薄膜形成用組成物を基板上に吸着させる段階、未吸着の薄膜前駆体化合物/薄膜形成用組成物をパージする段階、反応ガスを供給する段階、残留反応ガスをパージする段階を単位サイクルとして、所望の厚さの薄膜を形成するために前記単位サイクルを繰り返すことができる。
【0088】
前記薄膜形成方法は、他の一例として薄膜前駆体化合物/薄膜形成用組成物を基板上に吸着させる段階、未吸着の薄膜前駆体化合物/薄膜形成用組成物をパージする段階、膜質改善剤を基板上に吸着させる段階、未吸着の膜質改善剤をパージする段階、反応ガスを供給する段階、残留反応ガスをパージする段階を単位サイクルとして、所望の厚さの薄膜を形成するために前記単位サイクルを繰り返すことができる。
【0089】
前記単位サイクルは、一例として1ないし99,999回、好ましくは10ないし1,000回、より好ましくは50ないし5,000回、より一層好ましくは100ないし2,000回繰り返すことができ、この範囲内で目的とする薄膜特性が良好に発現されるという効果がある。
【0090】
本発明はまた、半導体基板を提供し、前記半導体基板は、本記載の薄膜形成方法で製造されることを特徴としており、このような場合、薄膜の段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さ均一性が大幅に優れ、薄膜の密度及び電気的特性が優れる効果がある。
【0091】
前記製造された薄膜は、好ましくは厚さが30nm以下であり、薄膜厚さ10nm基準の比抵抗値が15ないし400μΩ・cmであり、ハロゲン含量が10,000ppm以下であり、段差被覆率が80%以上であり、この範囲内で拡散防止膜としての性能に優れ、金属配線材料の腐食が低減されるという効果があるが、これに限定するものではない。
【0092】
前記薄膜は、厚さが一例として1ないし30nm、好ましくは2ないし27nm、より好ましくは3ないし25nm、さらに好ましくは5ないし23nmであることができ、この範囲内で薄膜特性に優れるという効果がある。
【0093】
前記薄膜は一例として薄膜厚さ10nm基準の比抵抗値が10ないし400μΩ・cm、好ましくは15ないし300μΩ・cm、より好ましくは20ないし290μΩ・cm、より一層好ましくは25ないし280μΩ・cmであることができ、この範囲内で薄膜特性に優れるという効果がある。
【0094】
前記薄膜は、ハロゲン含量が好ましくは1,000ppm以下または1ないし1,000ppm、さらに好ましくは5ないし500ppm、より一層好ましくは10ないし100ppmであることができ、この範囲内で薄膜特性が優れつつも金属配線材料の腐食が低減されるという効果がある。ここで、前記薄膜に残留するハロゲンは、一例としてCl2、Cl、またはCl-であることができ、薄膜内のハロゲン残留量が低いほど膜質が優れ好ましい。
【0095】
前記薄膜は、一例として段差被覆率が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上であり、この範囲内で複雑な構造の薄膜でも容易に基板に蒸着させることができ、次世代半導体装置に適用可能であるという利点がある。
【0096】
前記製造された薄膜は、一例としてチタニウム窒化膜(TixNy、ここで0<x≦1.2、0<y≦1.2、好ましくは0.8≦x≦1、0.8≦y≦1、より好ましくはそれぞれ1であることができる)、及びチタン酸化膜(TiO2)からなる群から1種または2種含むことができ、好ましくはチタニウム窒化膜を含むことができ、この場合、半導体素子の拡散防止膜、エッチング停止膜、または配線(electrode)に特に適するという利点がある。
【0097】
前記薄膜は、一例として必要に応じて、2層または3層の多層構造であることができる。前記2層構造の多層膜は、具体的な一例として下層膜-中層膜構造であることができる。前記3層構造の多層膜は、具体的な一例として下層膜-中層膜-上層膜構造であることができる。
【0098】
前記下層膜は、一例としてSi、SiO2、MgO、Al2O3、CaO、ZrSiO4、ZrO2、HfSiO4、Y2O3、HfO2、LaLuO2、Si3N4、SrO、La2O3、Ta2O5、BaO、TiO2からなる群から選択される1種以上を含み得る。
【0099】
前記中層膜は、一例としてTixNy、好ましくはTNを含み得る。
【0100】
前記上層膜は、一例としてW、Moからなる群から選択される1種以上を含み得る。
【0101】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例及び図面を提示するが、下記実施例及び図面は本発明を例示するのみであり、本発明の範囲及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明白であり、このような変形及び修正が添付された特許請求の範囲に属することも当然である。
【0102】
[実施例]
<実施例1ないし2及び比較例1ないし4>
膜質改善剤として下記表1に記載された化合物と、薄膜前駆体化合物としてのTiCl4をそれぞれ準備した。準備された膜質改善剤をキャニスターに入れて、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて、0.05g/minの流速で150℃に加熱された気化器に供給した。気化器にて蒸気相に気化された膜質改善剤を、1秒間、基板がローディングされた蒸着チャンバに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給して、アルゴンパージを実施した。この時、反応チャンバ内の圧力は2.5Torrに制御した。次に準備されたTiCl4を別途のキャニスターに入れて、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて、0.05g/minの流速で150℃に加熱された別途の気化器に供給した。気化器にて蒸気相に気化されたTiCl4を、1秒間、蒸着チャンバに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給してアルゴンパージを実施した。この時、反応チャンバ内の圧力は2.5Torrに制御した。次に、反応性ガスとしてアンモニア1000sccmを3秒間、前記反応チャンバに投入した後、3秒間アルゴンパージを実施した。この時、金属薄膜が形成される基板を460℃に加熱した。このような工程を200ないし400回繰り返して10nm厚さの自己-制限原子層であるTiN薄膜を形成した。
【0103】
但し、比較例1では膜質改善剤の吸着段階、及び膜質改善剤の吸着後の未吸着膜質改善剤を除去するためのパージ段階を省略した。
【0104】
【0105】
[実施例]
1)蒸着評価(平均蒸着速度及び薄膜成長率の減少率)
製造された薄膜に対して、光の偏光特性を用いて薄膜の厚さや屈折率などの光学的特性を測定することができる装置である エリプソメトリー(Ellipsometer)で測定した薄膜の厚さをサイクル回数で割り、1サイクル当たりに蒸着される薄膜の厚さを計算して蒸着速度を評価し、その結果を下記表2及び
図1に示した。
【0106】
また、前記測定されたサイクル当たりの蒸着速度値を下記数式1aに代入してサイクル当たりの薄膜成長率の減少率を計算し、その結果を下記表2に示した。
【0107】
[数式1a]
サイクル当たりの薄膜成長率の減少率(%)=[(膜質改善剤を使用した場合のサイクル当たりの薄膜成長率-比較例1のサイクル当たりの薄膜成長率)/比較例1のサイクル当たりの薄膜サイクル当たりの薄膜成長率]×100
前記数式1aにおいて、膜質改善剤を使用した場合及び使用しなかった場合の(比較例1)サイクル当たりの薄膜成長率は、サイクル当たりの薄膜蒸着厚さ(Å/cycle)を意味し、前記サイクル当たりの薄膜蒸着厚さは、前記測定された薄膜厚さを総サイクル回数で割って求めた平均蒸着速度値である。
【0108】
2)薄膜抵抗評価(比抵抗)
製造された薄膜の表面抵抗を四探針法(four-pointprobe)方式で測定して面抵抗を求めた後、前記薄膜の厚さ値から比抵抗値を算出した。
【0109】
【0110】
前記表2及び下記
図1、
図2に示したように、本発明の2-Chloro-2-methylbutane及び3-Chloro-3-methylpentaneを膜質改善剤として用いた実施例1及び2は、膜質改善剤を用いなかった比較例1に比べて蒸着速度が20ないし23%減少し、比抵抗は24ないし56μΩ・cm程度減少して表れ、薄膜成長速度が適切に制御されて電気的特性が向上したことを確認することができた。
【0111】
一方、膜質改善剤としてTert-ブチルハロゲン化化合物を用いた比較例2の場合、蒸着速度は低く表れたが、比抵抗が290μΩ・cmを超過し、膜質改善剤として1,2,3-Trichloropropaneを用いた比較例3の場合には、蒸着速度が最も低く表れたが、比抵抗値が爆発的に増加し、薄膜の電気的特性の改善効果がないことを確認することができた。比較例4の場合には比較例1に比べて蒸着速度や比抵抗値が減少せず、膜質の改善効果が全くないことを確認することができた。
【0112】
3)不純物の低減特性
製造された薄膜の不純物、すなわち工程副生成物の低減特性を比較するために、Cl及びC元素に対してSIMS分析を行い、その結果を下記表3に示した。
【0113】
4)薄膜密度
製造された薄膜に対して、X線反射測定(XRR)分析に基づいて薄膜密度を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0114】
【0115】
前記表3に示したように、本発明に係る膜質改善剤を用いた実施例1及び2は、膜質改善剤を用いなかった比較例1に比べてCl及びC強度が共に減少して不純物の低減特性が優れていることを確認することができた。特に、比較例1の場合、薄膜蒸着工程において炭素含有化合物を全く投入しなかったので、理論上炭素が検出されてはならないが、薄膜前駆体化合物、パージガス及び反応ガスに含まれた微量のCO及び/またはCO2に起因したと思われる炭素が検出されることを確認することができるが、本発明の実施例1、2では薄膜蒸着時、炭化水素化合物である膜質改善剤を投入したにもかかわらず、比較例1に比べて炭素強度が減少したことを確認することができ、これは本発明の膜質改善剤が、不純物の低減特性が優れていることを意味する。
【0116】
一方、薄膜密度について考察すると、実施例1及び2の薄膜密度が比較例1に比べて高く表れた。これは本発明の膜質改善剤によって薄膜密度が増加して高いアスペクト比が要求される基板に適用しても電気的特性が優れており、また拡散防止膜やエッチング停止膜に適用する場合、barrier特性が優れていることを示している。
【0117】
一方、比較例2は、本発明の膜質改善剤と類似する構造の化合物を投入したが、実施例1及び2に比べて不純物の強度が高く表れ、薄膜密度の改善効果もないことが明らかとなった。比較例3及び4の場合には、比較例1に比べて不純物の強度が過度に高く表れ、膜質の改善効果がないことを確認することができた。
【国際調査報告】