(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】ハイブリッド高出力および広帯域可変インピーダンスモジュール
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240918BHJP
H03H 7/38 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H03H7/38 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504842
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 US2022039502
(87)【国際公開番号】W WO2023018603
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508240030
【氏名又は名称】エムケーエス インストゥルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リンネル・マルティネス
(72)【発明者】
【氏名】ディン-ヴォン・レ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ユルコフ
(72)【発明者】
【氏名】チェチョル・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・ラドムスキー
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084BB02
2G084BB05
2G084CC09
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC15
2G084CC17
2G084DD53
2G084DD57
2G084HH08
2G084HH19
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH23
2G084HH30
2G084HH43
2G084HH52
2G084HH53
(57)【要約】
電源システムは、RF発生器と、整合回路と、制御モジュールとを含む。整合回路は、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子とを含む。制御モジュールは、整合回路に結合され、発生器と負荷との間のインピーダンス整合を変化させるために機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを調整するための1つまたは複数の信号を生成するように構成される。他の例において、ハイブリッド可変インピーダンスモジュールは、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子と、制御モジュールとを含む。制御モジュールは、機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを調整するための1つまたは複数の信号を生成するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給するための電源システムであって、
RF信号を出力するように構成されたRF電源を含むRF発生器と、
前記RF発生器と前記負荷との間に結合された整合回路であって、前記整合回路が、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子とを含む、整合回路と、
前記整合回路に結合され、前記整合回路の入力側と前記RF発生器との間のインピーダンス整合を変化させるために前記機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは前記電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを調整するための1つまたは複数の信号を生成するように構成された制御モジュールと
を備える電源システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子が、容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、誘導性構成要素または容量性構成要素のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、スイッチングデバイスを含み、前記制御モジュールは、前記スイッチングデバイスが前記電気的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスを調整するための前記信号のうちの少なくとも1つを生成するように構成された、請求項1に記載の電源システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、1つまたは複数のバラクタを含み、前記制御モジュールが、バイアス電圧に基づいて前記1つまたは複数のバラクタのインピーダンスを調整するように構成された、請求項1に記載の電源システム。
【請求項5】
前記整合回路が、前記機械的可変インピーダンス素子または前記電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の電源システム。
【請求項6】
前記制御モジュールが、前記RF信号の周波数を変化させることによって、前記容量性構成要素または前記誘導性構成要素のインピーダンスを調整するように構成された、請求項5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子および前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、並列に結合された、請求項1に記載の電源システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子および前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、直列に結合された、請求項1に記載の電源システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子が、第1の機械的可変インピーダンス素子であり、前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、第1の電気的可変インピーダンス素子であり、前記整合回路が、第2の機械的可変インピーダンス素子と第2の電気的可変インピーダンス素子とを含み、前記制御モジュールが、前記第2の機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは前記第2の電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを調整するための1つまたは複数の信号を生成するように構成された、請求項1に記載の電源システム。
【請求項10】
少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と、
少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子と、
前記機械的可変インピーダンス素子または前記電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された制御モジュールであって、前記制御モジュールが、前記機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは前記電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを調整するための1つまたは複数の信号を生成するように構成された、制御モジュールと
を備えるハイブリッド可変インピーダンスモジュール。
【請求項11】
前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子および前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、並列に結合された、請求項10に記載のハイブリッド可変インピーダンスモジュール。
【請求項12】
前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子および前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、直列に結合された、請求項10に記載のハイブリッド可変インピーダンスモジュール。
【請求項13】
前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子が、容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のハイブリッド可変インピーダンスモジュール。
【請求項14】
前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、誘導性構成要素、容量性構成要素、またはバラクタのうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載のハイブリッド可変インピーダンスモジュール。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、スイッチングデバイスを含み、前記制御モジュールは、前記スイッチングデバイスが前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを調整するための前記信号のうちの少なくとも1つを生成するように構成された、請求項10に記載のハイブリッド可変インピーダンスモジュール。
【請求項16】
前記機械的可変インピーダンス素子または前記電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項10に記載のハイブリッド可変インピーダンスモジュール。
【請求項17】
請求項10に記載のハイブリッド可変インピーダンスモジュールを備える整合回路であって、前記整合回路が、RF電源と負荷との間を結合するように構成された、整合回路。
【請求項18】
前記機械的可変インピーダンス素子または前記電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項17に記載の整合回路。
【請求項19】
前記整合回路が、前記RF電源からRF信号を受信するように構成され、前記制御モジュールが、前記RF信号の周波数を変化させることによって前記容量性構成要素または前記誘導性構成要素のインピーダンスを調整するように構成された、請求項18に記載の整合回路。
【請求項20】
前記ハイブリッド可変インピーダンスモジュールが、第1のハイブリッド可変インピーダンスモジュールであり、前記整合回路が、前記第1のハイブリッド可変インピーダンスモジュールに結合された第2のハイブリッド可変インピーダンスモジュールをさらに備え、前記第2のハイブリッド可変インピーダンスモジュールが、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子とを含む、請求項17に記載の整合回路。
【請求項21】
命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、
整合回路において、RF電源からRF信号を受信することであって、前記整合回路が、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子とを含む、前記受信することと、
前記RF信号を受信したことに応答して、前記整合回路の入力側と前記整合回路に結合された負荷との間にインピーダンス整合が存在するかどうかを判定することと、
前記インピーダンス整合が存在しない場合、前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを変更することによって前記インピーダンス整合を達成するように前記整合回路のインピーダンスを調整することと
を含む、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記命令が、前記インピーダンス整合を達成するための前記整合回路のインピーダンスの変化を計算することをさらに含む、請求項21に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記命令が、前記インピーダンス整合を達成するための前記整合回路のインピーダンスの前記変化が前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の動作可能範囲内にあるかどうかを判定することをさらに含む、請求項22に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
前記インピーダンス整合を達成するために前記整合回路の前記インピーダンスを調整することが、前記インピーダンス整合を達成するための前記整合回路のインピーダンスの前記変化が前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の前記動作可能範囲内にあると判定したことに応答して、前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスを変更するのみであることを含む、請求項23に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記インピーダンス整合を達成するために前記整合回路の前記インピーダンスを調整することが、前記インピーダンス整合を達成するための前記整合回路のインピーダンスの前記変化が前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の前記動作可能範囲外にあると判定したことに応答して、前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスと前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスとを変更することを含む、請求項23に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記命令が、前記インピーダンス整合が存在する場合、前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の動作可能範囲内の最適化された位置において動作しているように、前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスを変更することをさらに含む、請求項21に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記命令が、前記インピーダンス整合が存在する場合、前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子が前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子の動作可能範囲内の最適化された位置において動作しているように、前記少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスを変更することをさらに含む、請求項26に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項28】
前記命令が、前記インピーダンス整合が存在する場合、前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の動作可能範囲内の最適化された位置において動作しているように、前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスを変更することをさらに含む、請求項21に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、スイッチングデバイスを含み、前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスを変更することが、前記電気的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスを変更するために前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の前記スイッチングデバイスを制御することを含む、請求項21に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、1つまたは複数のバラクタを含み、前記少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスを変更することが、前記電気的可変インピーダンス素子の前記インピーダンスを変更するために前記1つまたは複数のバラクタに印加されるバイアス電圧を調整することを含む、請求項21に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項31】
前記整合回路が、前記機械的可変インピーダンス素子または前記電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項32】
前記整合回路の前記インピーダンスを調整することが、前記容量性構成要素または前記誘導性構成要素のインピーダンスを調整するために前記RF信号の周波数を変化させることを含む、請求項31に記載の、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年7月26日に出願した米国特許出願第17/873,624号の優先権を主張し、2021年8月11日に出願した米国仮出願第63/231,861号の利益を主張するものである。上記の出願の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、インピーダンスモジュール、およびインピーダンスモジュールの制御に関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマ処理は、半導体製造において頻繁に使用される。プラズマ処理において、イオンは、基板の表面から材料をエッチングするため、または基板の表面に材料を堆積するために、電場によって加速される。1つの基本的な実装形態において、電場は、電力送達システムのそれぞれの無線周波数(RF)発生器または直流(DC)発生器によって生成されたRF電力信号またはDC電力信号に基づいて生成される。発生器によって生成された電力信号は、プラズマエッチングを効果的に実行するために正確に制御されなければならない。
【0004】
いくつかの例において、電力送達システムは、発電機とプラズマ負荷との間に配置された整合回路を含む。整合回路は、発電機とプラズマ負荷との間のインピーダンス不整合を低減し得る。整合回路は、そのキャパシタンスを変化させるために機械的に作動される真空可変キャパシタ(VVC)、またはソリッドステート電子可変キャパシタを含んでもよい。
【0005】
ここで提供される背景説明は、本開示の内容を一般的に提示する目的のためのものである。この背景セクションにおいて説明されている範囲までの現在名前が挙げられている発明者の業績、ならびに出願時に従来技術として適格ではない可能性がある本明細書の態様は、本開示に対する従来技術として明示的にも暗黙的にも認められない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つまたは複数のコンピュータのシステムは、動作中にシステムに動作を実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せをシステムにインストールすることによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成されることが可能である。1つまたは複数のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されると装置に動作を実行させる命令を含むことによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成されることが可能である。本開示の一態様によれば、電源システムは、RF発生器と、整合回路と、制御モジュールとを含む。RF発生器は、RF信号を出力するように構成されたRF電源を含む。整合回路は、RF発生器と負荷との間に結合される。整合回路は、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子とを含む。制御モジュールは、整合回路に結合され、整合回路の入力側と負荷との間のインピーダンス整合を変化させるために機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを調整するための1つまたは複数の信号を生成するように構成される。この態様の他の実施形態は、各々が方法の動作を実行するように構成された、対応するコンピュータシステム、装置、および1つまたは複数のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含む。
【0007】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子が、容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、誘導性構成要素または容量性構成要素のうちの少なくとも1つを含む電源システム。少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、スイッチングデバイスを含み、制御モジュールは、スイッチングデバイスが電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを調整するための信号のうちの少なくとも1つを生成するように構成される。少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、1つまたは複数のバラクタを含み、制御モジュールは、バイアス電圧に基づいて1つまたは複数のバラクタのインピーダンスを調整するように構成される。整合回路は、機械的可変インピーダンス素子または電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含む。制御モジュールは、RF信号の周波数を変化させることによって、容量性構成要素または誘導性構成要素のインピーダンスを調整するように構成される。少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子および少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、並列に結合される。少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子および少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、直列に結合される。少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子は、第1の機械的可変インピーダンス素子であり、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、第1の電気的可変インピーダンス素子であり、整合回路は、第2の機械的可変インピーダンス素子と第2の電気的可変インピーダンス素子とを含み、制御モジュールは、第2の機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは第2の電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを調整するための1つまたは複数の信号を生成するように構成される。説明した技法の実装形態は、ハードウェア、方法もしくはプロセス、またはコンピュータがアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含んでもよい。
【0008】
本開示の別の態様によれば、ハイブリッド可変インピーダンスモジュールは、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子と、機械的可変インピーダンス素子または電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された制御モジュールとを含む。制御モジュールは、機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを調整するための1つまたは複数の信号を生成するように構成される。説明した技法の実装形態は、ハードウェア、方法もしくはプロセス、またはコンピュータがアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含んでもよい。
【0009】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子および少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が、並列に結合されたハイブリッド可変インピーダンスモジュール。少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子および少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、直列に結合される。少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子は、容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含む。少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、誘導性構成要素、容量性構成要素、またはバラクタのうちの少なくとも1つを含む。少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、スイッチングデバイスを含み、制御モジュールは、スイッチングデバイスが少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを調整するための信号のうちの少なくとも1つを生成するように構成される。ハイブリッド可変インピーダンスモジュールは、機械的可変インピーダンス素子または電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含んでもよい。整合回路は、RF電源と負荷との間を結合するように構成される。整合回路は、機械的可変インピーダンス素子または電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含んでもよい。整合回路は、RF電源からRF信号を受信するように構成され、制御モジュールは、RF信号の周波数を変化させることによって容量性構成要素または誘導性構成要素のインピーダンスを調整するように構成される。ハイブリッド可変インピーダンスモジュールは、第1のハイブリッド可変インピーダンスモジュールであり、整合回路は、第1のハイブリッド可変インピーダンスモジュールに結合された第2のハイブリッド可変インピーダンスモジュールをさらに含んでもよく、第2のハイブリッド可変インピーダンスモジュールは、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子とを含む。説明した技法の実装形態は、ハードウェア、方法もしくはプロセス、またはコンピュータがアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含んでもよい。
【0010】
本開示の別の態様によれば、命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。命令は、整合回路において、RF電源からRF信号を受信することを含む。整合回路は、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子と少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子とを含む。命令は、RF信号を受信したことに応答して、整合回路の入力側と整合回路に結合された負荷との間にインピーダンス整合が存在するかどうかを判定することと、インピーダンス整合が存在しない場合、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスまたは少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスのうちの少なくとも1つを変更することによってインピーダンス整合を達成するように整合回路のインピーダンスを調整することとをさらに含む。
【0011】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、インピーダンス整合を達成するための整合回路のインピーダンスの変化を計算することを含んでもよい。命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、インピーダンス整合を達成するための整合回路のインピーダンスの変化が少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の動作可能範囲内にあるかどうかを判定することを含んでもよい。インピーダンス整合を達成するために整合回路のインピーダンスを調整することは、インピーダンス整合を達成するための整合回路のインピーダンスの変化が少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の動作可能範囲内にあると判定したことに応答して、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを変更することのみを含む。インピーダンス整合を達成するために整合回路のインピーダンスを調整することは、インピーダンス整合を達成するための整合回路のインピーダンスの変化が少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の動作可能範囲外にあると判定したことに応答して、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスと少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスとを変更することを含む。命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体は、インピーダンス整合が存在する場合、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の動作可能範囲内の最適化された位置において動作しているように、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを変更することを含んでもよい。命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体は、インピーダンス整合が存在する場合、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子が少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子の動作可能範囲内の最適化された位置において動作しているように、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子のインピーダンスを変更することを含んでもよい。命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体は、インピーダンス整合が存在する場合、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子が少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子の動作可能範囲内の最適化された位置において動作しているように、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを変更することを含んでもよい。少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、スイッチングデバイスを含み、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを変更することは、電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを変更するために少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のスイッチングデバイスを制御することを含む。少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子は、1つまたは複数のバラクタを含み、少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを変更することは、電気的可変インピーダンス素子のインピーダンスを変更するために1つまたは複数のバラクタに印加されるバイアス電圧を調整することを含む。整合回路は、機械的可変インピーダンス素子または電気的可変インピーダンス素子のうちの少なくとも1つに結合された容量性構成要素または誘導性構成要素のうちの少なくとも1つを含む。整合回路のインピーダンスを調整することは、容量性構成要素または誘導性構成要素のインピーダンスを調整するためにRF信号の周波数を変化させることを含む。説明した技法の実装形態は、ハードウェア、方法もしくはプロセス、またはコンピュータがアクセス可能な媒体上のコンピュータソフトウェアを含んでもよい。
【0012】
本開示のさらなる適用可能な領域は、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0013】
本開示は、詳細な説明および添付図面からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の様々な実施形態に従って配置された複数の電源を有する電力送達システムの概略図である。
【
図2】RF信号の波形とRF信号を変調するパルスの波形とを示す図である。
【
図3】本開示の様々な実施形態による、並列に結合された機械的可変インピーダンス素子(mVIE)と電気的可変インピーダンス素子(eVIE)とを有するハイブリッド可変インピーダンスモジュール(hVIM)の概略図である。
【
図4】本開示の様々な実施形態による、直列に結合されたmVIEとeVIEとを有するhVIMの概略図である。
【
図5】本開示の様々な実施形態による、離散的な容量調整を行うためのスイッチングキャパシタを有するmVIEとeVIEとを含むhVIMの概略図である。
【
図6】本開示の様々な実施形態による、連続的な容量調整を行うためのバラクタを有するmVIEとeVIEとを含むVIMの概略図である。
【
図7】本開示の様々な実施形態による、位相スイッチインピーダンス変調(PSIM)を用いるスイッチングキャパシタを有するmVIEとeVIEとを含むhVIMの概略図である。
【
図8】本開示の様々な実施形態による、
図3の2つのhVIMを有する整合回路を有する電力送達システムの概略図である。
【
図9】本開示の様々な実施形態による、
図3の2つのhVIMを有する整合回路と変圧器とを有する電力送達システムの概略図である。
【
図10】本開示の様々な実施形態による、周波数調整と併せてhVIMを用いて実装された整合回路を有する電力送達システムの概略図である。
【
図11】本開示の様々な実施形態による、mVIEとeVIEとの間の電力負荷分散のプロットを示す図である。
【
図12】本開示の様々な実施形態による、mVIEとeVIEとを制御するための機能制御ブロック図である。
【
図13】本開示の様々な実施形態による、mVIEとeVIEとを制御するためのPIコントローラを有する制御ループの機能ブロック図である。
【
図14】様々な実施形態に従って配置された例示的な制御モジュールの機能ブロック図である。
【
図15】本開示の原理に従って配置されたモードベースのインピーダンス制御を実行するための制御システムの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面において、参照番号は、同様のおよび/または同一の要素を識別するために再利用され得る。
【0016】
電力システムは、DCもしくはRF発電機またはDCもしくはRF発生器と、整合回路と、負荷(固定または可変インピーダンスを有するプロセスチャンバ、プラズマチャンバ、またはリアクタなどの)とを含んでもよい。発電機は、DCまたはRF電力信号を生成し、それは、整合回路またはインピーダンス最適化コントローラもしくは回路によって受信される。整合回路またはインピーダンス最適化コントローラもしくは回路は、整合回路の負荷インピーダンスを、発電機と整合回路との間の送電線の特性インピーダンスに変換させる。インピーダンス整合は、負荷に転送される電力量を(「順方向電力」)を最大化し、負荷から発電機に反射される電力量(「逆方向電力」または「反射電力」)を最小化するのに役立つ。プラズマに送達される正味の電力は、「送達電力」と呼ばれ、送達電力=順方向電力‐反射電力として計算される。整合回路の入力インピーダンスが送電線および発生器の特性インピーダンスと一致する場合、順方向電力および送達電力は、最大化され得、逆方向電力は、最小化され得る。
【0017】
電源または電力供給の分野において、典型的には、電力信号を負荷に印加する2つの手法が存在する。第1のより伝統的な手法は、連続電力信号を負荷に印加することである。連続モードまたは連続波モードにおいて、連続電力信号は、典型的には、電源によって負荷に連続的に出力される一定のDC電力信号または正弦波RF電力信号である。連続モード手法において、電力信号は、一定のDC出力または正弦波出力を想定しており、電力信号の振幅および/または(RF電力信号の)周波数は、負荷に印加される出力電力を変化させるために変更されることが可能である。
【0018】
電力信号を負荷に印加する第2の手法は、連続RF信号を負荷に印加するのではなく、RF信号をパルス化することを伴う。パルス動作モードにおいて、RF信号は、変調された電力信号に関するエンベロープを定義するために、変調信号によって変調される。RF信号は、例えば、正弦波RF信号または他の時変信号であり得る。負荷に送達される電力は、典型的には、変調信号を変化させることによって変更される。
【0019】
典型的な電源構成において、負荷に印加される出力電力は、順方向電力および反射電力、または負荷に印加されるRF信号の電圧および電流を測定するセンサを使用することによって決定される。これらの信号のいずれかのセットは、制御ループにおいて分析される。分析は、典型的には、負荷に印加される電力を変化させるために電源の出力を調整するために使用される電力値を決定する。負荷がプロセスチャンバまたは他の非線形負荷もしくは時変負荷である電力送達システムにおいて、印加される電力は、部分的に負荷のインピーダンスの関数であるので、負荷のインピーダンスを変化させることは、負荷に印加される電力の対応する変化を引き起こす。
【0020】
様々なデバイスの製造が、製造プロセスを制御するために負荷への電力の導入に依存するシステムにおいて、電力は、典型的には、2つの構成のうちの1つにおいて送達される。第1の構成において、電力は、負荷に容量結合される。そのようなシステムは、容量結合プラズマ(CCP)システムと呼ばれる。第2の構成において、電力は、負荷に誘導結合される。そのようなシステムは、典型的には、誘導結合プラズマ(ICP)システムと呼ばれる。プラズマへの電力結合は、マイクロ波周波数における波動結合によっても達成されることが可能である。そのような手法は、典型的には、電子サイクロトロン共鳴(ECR: Electron Cyclotron Resonance)またはマイクロ波源を使用する。ヘリコン源は、波結合源の他の形態であり、典型的には、従来のICPおよびCCPシステムのものと同様のRF周波数において動作する。電力送達システムは、負荷の1つまたは複数の電極に印加される少なくとも1つのバイアス電力および/またはソース電力を含んでもよい。ソース電力は、典型的には、プラズマを生成して、プラズマ密度を制御し、バイアス電力は、シースの形成においてイオンを変調する。バイアスおよびソースは、様々な設計上の考慮事項に従って、同じ電極を共有してもよく、または別々の電極を使用してもよい。
【0021】
電力送達システムが、プロセスチャンバまたはプラズマチャンバなどの時変負荷または非線形負荷を駆動する場合、バルクプラズマまたはプラズマシースによって吸収される電力は、ある範囲のイオンエネルギーを有するイオン密度を結果として生じる。イオンエネルギーの1つの特徴的な尺度は、イオンエネルギー分布関数(IEDF)である。イオンエネルギー分布関数(IEDF)は、バイアス電力を用いて制御されることが可能である。複数のRF電力信号が負荷に印加されるシステムに関するIEDFを制御する1つの方法は、振幅、周波数、および位相によって関連付けられた複数のRF信号を変化させることによって生じる。複数のRF電力信号の相対的な振幅、周波数、および位相はまた、フーリエ級数と関連する係数とによって関連付けられてもよい。複数のRF電力信号の間の周波数は、ロックされてもよく、複数のRF信号間の相対位相も、ロックされてもよい。そのようなシステムの例は、すべての本出願の譲受人に譲渡され、参照により本出願に組み込まれる米国特許第7,602,127号、米国特許第8,110,991号、および米国特許第8,395,322号を参照して見出されることが可能である。
【0022】
時変負荷または非線形負荷は、様々な用途において存在し得る。1つの用途において、プラズマ処理システムは、プラズマの生成および制御のための構成要素も含んでもよい。1つのそのような構成要素は、プラズマチャンバまたはリアクタなどのプロセスチャンバとして実装された非線形負荷である。例として、薄膜製造用などのプラズマ処理システムにおいて利用される典型的なプラズマチャンバまたはリアクタは、二重電源システムを利用することができる。1つの発電機(ソース)は、プラズマの生成を制御し、発電機(バイアス)は、イオンエネルギーを制御する。二重電源システムの例は、上記で参照された米国特許第7,602,127号、米国特許第8,110,991号、および米国特許第8,395,322号において記載されているシステムを含む。上記で参照された特許において記載されている二重電源システムは、イオン密度と、その対応するイオンエネルギー分布関数(IEDF)とを制御する目的のための電源動作を適応させるために閉ループ制御システムを必要とする。
【0023】
プラズマを生成するために使用され得るような、プロセスチャンバを制御するための複数の手法が存在する。例えば、RF電力送達システムにおいて、同じまたはほぼ同じ周波数において動作する複数の駆動RF信号の位相および周波数は、プラズマ生成を制御するために使用され得る。RF駆動プラズマ源について、プラズマシースダイナミクスに影響を与える周期波形、および対応するエネルギーは、一般的に知られており、周期波形の周波数と関連する位相相互作用とによって制御される。RF電力送達システムにおける他の手法は、二重周波数制御を伴う。すなわち、異なる周波数において動作する2つのRF周波数源は、イオン密度および電子密度の実質的に独立した制御を提供するために、プラズマチャンバに電力を供給するために使用される。
【0024】
他の手法は、プラズマチャンバを駆動するために、広帯域RF電源を利用する。広帯域手法は、特定の課題を提示する。1つの課題は、電力を電極に結合することである。第2の課題は、所望のIEDFに関する実際のシース電圧に対する生成波形の伝達関数が、材料表面の相互作用をサポートするために広いプロセス空間に対して定式化されなければならないことである。誘導結合プラズマシステムにおける1つの応答的手法において、ソース電極に印加される電力を制御することは、プラズマ密度を制御する一方、バイアス電極に印加される電力を制御することは、エッチング速度制御を提供するためにIEDFを制御するためにイオンを変調する。ソース電極およびバイアス電極の制御を使用することによって、エッチング速度は、イオンの密度およびエネルギーを介して制御される。
【0025】
集積回路およびデバイスの製造が進化し続けるにつれて、製造のためのプロセスを制御するための電力要件も進化し続けている。例えば、メモリデバイスの製造では、バイアス電力に関する要件は、増加し続けている。増加された電力は、より速い表面相互作用のためのより高いエネルギーのイオンを生成し、それによって、イオンのエッチング速度と方向性とを増加させる。RFシステムにおいて、増加されたバイアス電流には、ときには、プラズマチャンバ内に作成されるプラズマシースに結合されるバイアス電力源の数の増加とともに、より低いバイアス周波数の要件が伴う。より低いバイアス周波数における電力増加、および増加したバイアス電力源の数は、シース変調からの相互変調歪み(IMD)放射を結果として生じる。IMD放射は、プラズマ生成が発生するソースによって送達される電力を大幅に減少させる可能性がある。本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる、2020年11月3日に発行され、Pulse Synchronization by Monitoring Power in Another Frequency Bandと題された米国特許第10,821,542号は、他の周波数帯域における電力を監視することによるパルス同期の方法を記載している。参照された米国特許出願において、第2のRF発生器のパルス化は、第2のRF発生器において第1のRF発生器のパルス化を検出することに従って制御され、それによって、2つのRF発生器間のパルス化を同期させる。
【0026】
RFパルスプラズマ処理の下でプラズマ負荷の安定性を改善する従来の方法は、各パルスの開始時の短時間の間に、指令されたよりも大幅に高い電力を出力するRF発生器に依存する。他の従来の方法は、パルスの開始時の改善された電力送達と、パルスの定常状態部分中のより高い反射電力との間のトレードオフに依存する。これは、典型的には、パルスの開始時にRF発生器と負荷との間のインピーダンス整合を改善するために、整合回路(本明細書では整合回路とも呼ばれる)を配置することによって達成される。そのようなシナリオにおいて、整合回路は、典型的には、例えば、最大数10kW以上などの高電力レベルを扱うことができ得る1つまたは複数の真空可変キャパシタ(VVC)を含む。そうすることによって、インピーダンス整合は、パルスの定常部分中は最適ではない場合があり、したがって、反射電力の増加が存在する場合がある。最近、ソリッドステート電子可変キャパシタ(eVC)ベースのインピーダンス整合回路で大幅な発展がなされた。パルス化用途は、これらの整合回路の高速調整速度によるパルス間の改善された安定性の恩恵を受けているが、eVCの性質により、電力処理能力は、多くの産業用途および半導体用途では制限される。例えば、従来のeVCベースの整合回路は、より低電力の動作(例えば、典型的には3.0kW未満)に制限される。
【0027】
パルスの開始時またはプラズマ点火イベントにおけるRF発生器と負荷との間の不整合に応じて、RF発生器からの必要な電力は、その能力の範囲外になる場合がある。これは、RF発生器がその定常状態の限界を超えて動作することを結果として生じ、より高い発生器の故障率、より狭いプロセスウィンドウ、およびプロセス依存の整合回路の位置決めにつながる場合がある。パルスの開始時の不整合を最小化するために整合回路の位置を最適化する場合、最適な位置を取得するために各プロセスまたはプロセスステップが特徴付けられる必要がある。これは、プロセスおよびシステム状態の変化が最特徴化を引き起こす場合があるので、手間がかかる可能性がある。ソリッドステートベースの整合回路では、制御ループの相互作用および制限された電力処理能力などの問題が、多くの統合およびプロセスウィンドウの問題を引き起こす可能性がある。
【0028】
したがって、今日の処理機器において典型的に遭遇する高電力レベルを迅速に調整および処理することができる整合回路を有することが望まれる。本発明者らは、整合回路において従来のeVCまたはVVC調整素子の代わりに使用されることが可能なハイブリッド調整が、整合回路およびシステム全体の性能および動作ウィンドウを改善し得ることを認識した。しかしながら、明らかなように、ハイブリッド調整モジュールは、整合回路内での使用に限定されず、高電力、高速の可変インピーダンスデバイスを必要とする任意の状況にその使用が拡張されることが可能である。
【0029】
様々な実施形態において、ハイブリッド調整モジュールは、拡張された電力処理能力および高速インピーダンス制御を有するハイブリッド可変インピーダンスモジュール(hVIM)であり得る。hVIMは、少なくとも1つの機械的可変インピーダンス素子(mVIE)と少なくとも1つの電気的可変インピーダンス素子(eVIE)とを含む。動作中、制御は、所望の全体的なhVIMインピーダンスを達成するために、mVIEおよびeVIEのインピーダンス設定値を決定する。
【0030】
VVC、可変インダクタ(VI)などのmVIEは、高い電力処理能力と、広いRF範囲と、RF整合回路業界において証明された信頼性とを有する。しかしながら、インピーダンス設定値の変更に対するmVIEの応答は、遅い場合がある。mVIEの制限された設定値帯域幅は、その機械的に制御/作動されるインピーダンスの性質から生じる。一方、eVCなどのeVIEは、可動構成要素を持たず、電気信号に基づいて作動される。そのような電気信号は、機械的作動と比較してより高速の作動を提供する。したがって、eVIEは、インピーダンス設定値の変更に迅速に応答し得る。しかしながら、場合によっては、eVIEは、mVIEと比較した場合、制限された電圧および/または電流処理能力を有する場合がある。
【0031】
本明細書で説明されるそれらの相補的なインピーダンス素子を有するhVIMは、mVIEによって提供されるより高い電力動作と、eVIEによって提供される高速応答とを提供する。例えば、インピーダンス不整合は、負荷および/またはRF発生器のインピーダンスが急速に変化する場合があるので、プラズマ点火イベント中、またはパルスの開始時に最大になる場合がある。そのようなイベントが発生すると、hVIMのeVIEおよびmVIEは、それらのインピーダンスを変更するために両方とも調整され得る。そのようなシナリオにおいて、eVIEは、mVIEよりも迅速にインピーダンス変化に応答することができる。したがって、eVIEが電力要件を処理することができる場合、eVIEは、hVIMインピーダンスの一部に寄与し得る。より遅く反応するmVIEが定常状態まで立ち上がることができると、mVIEは、hVIMインピーダンスの大部分に寄与し得、eVIEは、残りを提供し得る。
【0032】
様々な実装形態において、インピーダンス不整合は、パルス内の状態間の変化中にも発生する場合がある。そのようなイベントが発生すると、eVIEは、インピーダンスのそのような変化に迅速に応答するように調整され得る。この間、mVIEは、その定常状態において動作し、hVIMインピーダンスの大部分に寄与していてもよく、一方、eVIEは、残りを提供し得る。
【0033】
様々な実施形態において、mVIEおよびeVIEの制御は、多数の動作モードを用い得る。例えば、ある動作モードにおいて、コントローラは、mVIEによって決定された動作点を中心にほぼ対称的なeVIEの動作のインピーダンス範囲を可能にすることができる。別の動作モードにおいて、eVIEの動作の範囲は、高速の非対称インピーダンス変動に対応するなどのために、mVIEによって決定された動作点のいずれかの側に偏る場合がある。したがって、コントローラは、mVIEを所望の動作点に調整し、次いで、必要に応じてhVIMインピーダンスを微調整するためにeVIEを迅速に調整し得る。
【0034】
図1は、電源システム110を示す。電源システム110は、電源とも呼ばれる一対のRF発生器112a、112bと、整合回路118a、118bと、プラズマチャンバ、プロセスチャンバなどであり得る、非線形負荷などの負荷132とを含む。様々な実施形態において、RF発生器112aは、ソースRF発生器または電源と呼ばれ、整合回路118aは、ソース整合回路と呼ばれる。また、様々な実施形態において、RF発生器112bは、バイアスRF発生器または電源と呼ばれ、整合回路118bは、バイアス整合回路と呼ばれる。構成要素は、下付き文字またはプライム記号なしの参照番号を使用して、個別にまたは集合的に参照されることが可能であることが理解されよう。
【0035】
様々な実施形態において、ソースRF発生器112aは、整合回路118b、発生器112bから制御信号130を受信するか、またはバイアスRF発生器112bから制御信号130'を受信する。より詳細に説明されるように、制御信号130または130'は、バイアスRF発生器112bの1つまたは複数の動作特性またはパラメータを示す、ソースRF発生器112aへの入力信号を表す。様々な実施形態において、同期バイアス検出器134は、整合回路118bから負荷132に出力されるRF信号を感知し、同期またはトリガ信号130をソースRF発生器112aに出力する。様々な実施形態において、トリガ信号130ではなく、同期またはトリガ信号130'は、バイアスRF発生器112bからソースRF発生器112aに出力され得る。トリガまたは同期信号130、130'間の差は、整合回路への入力信号と整合回路からの出力信号との間の位相を調整することができる整合回路118bの効果から結果として生じ得る。信号130、130'は、様々な実施形態において、バイアスRF発生器112bによって引き起こされる負荷132のインピーダンスにおける周期的変動に対処するための予測応答性を可能にするバイアスRF発生器112bの動作に関する情報を含む。制御信号130または130'が存在しない場合、RF発生器112a、112bは、自律的に動作する。
【0036】
RF発生器112a、112bは、それぞれのRF電源または増幅器114a、114bと、RFセンサ116a、116bと、プロセッサ、コントローラ、または制御モジュール120a、120bとを含む。RF電源114a、114bは、それぞれのセンサ116a、116bに出力されるそれぞれのRF電力信号122a、122bを生成する。センサ116a、116bは、RF電源114a、114bの出力を受信し、それぞれのRF出力信号、またはRF電力信号f1、f2を生成する。センサ116a、116bは、負荷132から感知された様々なパラメータに従って変化する信号も出力する。センサ116a、116bは、それぞれのRF発生器112a、112b内に示されているが、RFセンサ116a、116bは、RF発電機112a、112bの外部に配置されることが可能である。そのような外部感知は、RF発生機の出力において、RF発生器と負荷との間に配置されたインピーダンス整合デバイスの入力において、またはインピーダンス整合デバイスの出力(インピーダンス整合デバイス内を含む)と負荷との間に発生することができる。
【0037】
センサ116a、116bは、様々な動作パラメータを検出し、信号XおよびYを出力する。センサ116a、116bは、電圧センサ、電流センサ、および/または方向性結合器センサを含んでもよい。センサ116a、116bは、(i)電圧Vおよび電流I、ならびに/または(ii)それぞれの電力増幅器114a、114bおよび/もしくはRF発生器112a、112bから出力される順方向電力PFWD、およびそれぞれの整合回路118a、118b、もしくはそれぞれのセンサ116a、116bに接続された負荷132から受信される逆方向もしくは反射電力PREVを検出し得る。電圧V、電流I、順方向電力PFWD、および逆方向電力PREVは、それぞれの電源114a、114bに関連付けられた実際の電圧、電流、順方向電力、および逆方向電力のスケーリング、フィルタリング、またはスケーリングおよびフィルタリングされたバージョンであってもよい。センサ116a、116bは、アナログセンサ、デジタルセンサ、またはそれらの組合せであり得る。デジタル実装形態において、センサ116a、116bは、アナログ-デジタル(A/D)コンバータと、対応するサンプリングレートを有する信号サンプリング構成要素とを含んでもよい。信号XおよびYは、電圧Vおよび電流I、または順方向(またはソース)電力PFWDおよび逆方向(または反射)電力PREVのいずれかを表すことができる。
【0038】
センサ116a、116bは、それぞれのコントローラまたは電力制御モジュール120a、120bによって受信されるセンサ信号X、Yを生成する。電力制御モジュール120a、120bは、それぞれのX、Y信号124a、126a、および124b、126bを処理し、それぞれの電源114a、114bへ1つまたは複数のフィードフォワードまたはフィードバック制御信号128a、128bを生成する。電源114a、114bは、受信された1つまたは複数のフィードバックまたはフィードフォワード制御信号に基づいてRF電力信号122a、122bを調整する。様々な実施形態において、電力制御モジュール120a、120bは、それぞれ、それぞれの制御信号を介して整合回路118a、118bを制御してもよい。電力制御モジュール120a、120bは、少なくとも、比例積分微分(PID)コントローラもしくはそのサブセット、および/または直接デジタル合成(DDS)構成要素、および/またはモジュールに関連して以下で説明される様々な構成要素のいずれかを含んでもよい。
【0039】
様々な実施形態において、電力制御モジュール120a、120bは、PIDコントローラまたはそのサブセットであり、機能、プロセス、プロセッサ、またはサブモジュールを含んでもよい。制御信号128a、128bは、駆動信号であってもよく、DCオフセットまたはレール電圧、電圧または電流の大きさ、周波数、および位相成分を含んでもよい。様々な実施形態において、フィードバック制御信号128a、128bは、1つまたは複数の制御ループへの入力として使用されることが可能である。様々な実施形態において、複数の制御ループは、RF駆動用およびレール電圧用の比例積分微分(PID)制御ループを含むことができる。様々な実施形態において、制御信号128a、128bは、多入力多出力(MIMO)制御方式において使用されることが可能である。MIMO制御方式の一例は、2020年1月28日に発行され、Pulsed Bidirectional Radio Frequency Source/Loadと題され、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,546,724号を参照して見出されることが可能である。他の実施形態において、信号128a、128bは、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,049,857号において記載されているようなフィードフォワード制御を提供することができる。
【0040】
様々な実施形態において、電源システム110は、プロセッサまたは制御モジュールとも呼ばれるコントローラ120'を含むことができる。コントローラ120'は、RF発生器112a、112bのいずれかまたは両方の外部に配置されてもよく、外部または共通コントローラ120'と呼ばれてもよい。様々な実施形態において、コントローラ120'は、コントローラ120a、120bの一方または両方に関して本明細書で説明される1つまたは複数の機能、プロセス、またはアルゴリズムを実装してもよい。したがって、コントローラ120'は、コントローラ120'とRF発生器112a、112bとの間で必要に応じてデータおよび制御信号の交換を可能にする一対のそれぞれのリンク136、138を介して、それぞれのRF発生器112a、112bと通信する。様々な実施形態について、コントローラ120a、120b、120'は、RF発生器112a、112bとともに、分散的かつ協調的に分析および制御を提供することができる。様々な他の実施形態において、コントローラ120'は、RF発生器112a、112bの制御を提供することができ、それぞれのローカルコントローラ120a、120bの必要性を排除する。
【0041】
様々な実施形態において、RF電源114a、センサ116a、コントローラ120a、および整合回路118aは、ソースRF電源114a、ソースセンサ116a、ソースコントローラ120a、およびソース整合回路118aと呼ばれる場合がある。同様に、様々な実施形態において、RF電源114b、センサ116b、コントローラ120b、および整合回路118bは、バイアスRF電源114b、バイアスセンサ116b、バイアスコントローラ120b、およびバイアス整合回路118bと呼ばれる場合がある。様々な実施形態において、上記で説明されているように、ソース用語は、プラズマを生成するRF発生器を指し、バイアス用語は、プラズマイオンエネルギー分布関数(IEDF)を調整するRF発生器を指す。様々な実施形態において、ソースRF電源およびバイアスRF電源は、異なる周波数において動作する。様々な実施形態において、ソースRF電源は、バイアスRF電源よりも高い周波数において動作する。様々な他の実施形態において、ソースRF電源およびバイアスRF電源は、同じ周波数または実質的に同じ周波数において動作する。
【0042】
様々な実施形態によれば、ソースRF発生器112aおよびバイアスRF発生器112bは、外部と通信するための複数のポートを含む。ソースRF発生器122aは、パルス同期出力ポート140と、デジタル通信ポート142と、RF出力ポート144と、制御信号ポート160とを含む。バイアスRF発生器112bは、RF入力ポート148と、デジタル通信ポート150と、パルス同期入力ポート152とを含む。パルス同期出力ポート140は、バイアスRF発生器112bのパルス同期入力ポート152にパルス同期信号154を出力する。ソースRF発生器112aのデジタル通信ポート142およびバイアスRF発生器112bのデジタル通信ポート150は、デジタル通信リンク156を介して通信する。ソースRF発生器112aの制御信号ポート160は、制御信号130および/または130'を受信する。RF出力ポート144は、RF入力ポート148に入力されるRF制御信号158を生成する。様々な実施形態において、RF制御信号158は、ソースRF発生器112aを制御するRF制御信号と実質的に同じである。様々な他の実施形態において、RF制御信号158は、ソースRF発生器112aを制御するRF制御信号と同じであるが、バイアスRF発生器112bによって生成される要求された位相シフトに従って、ソースRF発生器112b内で位相シフトされる。したがって、様々な実施形態において、ソースRF発生器112aおよびバイアスRF発生器112bは、実質的に同一のRF制御信号によって、または所定の量だけ位相シフトされた実質的に同一のRF制御信号によって駆動される。
【0043】
図2は、
図1の負荷132などの負荷に電力を送達するためのパルス動作モードを説明するための電圧対時間のプロットを示す。
図2において、RF信号210は、パルス212によって変調される。パルス212の期間または領域214において示されているように、パルス212がオンであるとき、RF発生器112は、RF信号210を出力する。逆に、パルス212の期間または領域216の間、パルス212は、オフであり、RF発生器112は、RF信号210を出力しない。パルス信号212は、一定のデューティサイクルまたは可変のデューティサイクルにおいて繰り返すことができる。さらに、パルス信号212は、
図2に示されているように方形波として具体化される必要はない。さらに、パルス212は、振幅および持続時間が変化する複数のオン領域およびオフ領域を有することができる。複数の領域は、一定のまたは可変の期間内で繰り返してもよい。
【0044】
図3~
図7は、
図1の整合回路118a、118bなどの整合回路のためのハイブリッド可変インピーダンスモジュール(hVIM)の様々な実施形態を示す。各hVIMは、本明細書ではモジュールまたはハイブリッド可変インピーダンス回路と呼ばれる場合がある。
図3~
図7に示されているように、各hVIMまたはモジュールは、mVIEとeVIEとを含む。
図3~
図7の各モジュールは、1つのmVIEと1つのeVIEとを含むものとして示されているが、モジュールの任意の1つは、モジュールの所望の可変インピーダンス範囲を達成するために、2つ以上のmVIEおよび/または2つ以上のeVIEを含んでもよいことは明らかであろう。
【0045】
追加的に、様々な実施形態において、
図3~
図7の各モジュールは、mVIEおよびeVIEに加えて、1つまたは複数の固定回路構成要素を含み得る。これは、モジュールの所望の可変インピーダンス範囲を達成するのに役立ち得る。そのような固定回路構成要素は、例えば、容量性構成要素および/または誘導性構成要素などの1つまたは複数の固定インピーダンス構成要素を含み得る。
【0046】
図3~
図7において、mVIEおよびmVIEは、1つまたは複数の容量性構成要素を含むものとして示されている。例えば、各mVIEは、
図3~
図7に示されているようにVCCを含み得る。各mVIEは、1つのVCCのみを含むものとして示されているが、必要に応じて、複数のVCC、および/またはそのインピーダンスを変更するために機械的に作動される別の適切な可変インピーダンス構成要素が用いられ得ることは明らかであろう。
【0047】
追加的に、各eVIEは、
図3~7に示されているようにeVC、またはそのインピーダンスを変更するために電気的に作動される別の適切な可変インピーダンス構成要素を含み得る。様々な例示的なeVIEアーキテクチャが
図3~
図7に示されている。例えば、各eVIEは、1つまたは複数のスイッチドキャパシタ、位相スイッチインピーダンス変調(PSIM)を実装するキャパシタ、バラクタ、またはそれらの任意の組合せを含み得る。したがって、eVIEアーキテクチャは、1つまたは複数のキャパシタと、トランジスタ(例えば、FET、IGBT、BJTなど)、ダイオード(例えば、PINダイオードなど)などの1つまたは複数のスイッチングデバイスとの組合せを含み得る。各eVIEは、特定の数のキャパシタおよび/またはスイッチングデバイスを含むものとして示されているが、必要に応じて、より多くのまたはより少ないキャパシタおよび/またはスイッチングデバイスが用いられ得ることは明らかであろう。
【0048】
様々な実施形態において、スイッチングデバイスは、キャパシタ(例えば、固定キャパシタ)をモジュールの残りの部分に接続または切断するオン/オフスイッチとして機能することができる。PSIMが用いられる実施形態において、スイッチングデバイスは、固定キャパシタと並列に接続され得、実効キャパシタンスは、RFサイクルごとにオン/オフを切り替えることによって制御される。そのような実施形態において、eVIEの実効キャパシタンスは、RFサイクル中の並列スイッチングデバイスのデューティサイクルによって制御され得る。
【0049】
様々な実施形態において、
図3~
図7のmVIEおよび/またはeVIEのうちのいずれか1つは、それらのインダクタンス(およびインピーダンス)を変更するように機械的または電気的に作動される1つまたは複数の可変誘導性構成要素を含み得る。
【0050】
図3~
図7に示されているように、各モジュール(hVIM)または回路は、RF入力とRF出力または接地(または別の適切な基準)との間に結合される。RF入力、RF出力、および接地は、
図3~
図7において、それぞれ、RF IN、RF OUT、GNDとして示されている。そのような例において、RF入力は、
図1のRF発生器112aまたは112bなどのRF発生器から受信されたRF出力信号(またはRF電力信号)を表し得る。追加的に、RF出力は、
図1の負荷132などの負荷に提供されるRF出力信号(またはRF電力信号)を表し得る。様々な実施形態において、各モジュールは、RF入力とRF出力との間に結合された直列レッグを表す回路の一部(または全体)であり得る。他の実施形態において、各モジュールは、RF入力と接地との間に結合されたシャントレッグまたは負荷レッグを表す回路の一部(または全体)であり得る。
【0051】
例えば、
図3は、mVIE302とeVIE304とを含むモジュール300を示す。図示のように、mVIE302およびeVIE304は、並列に結合される。例えば、mVIE302およびeVIE304の入力側は、互いに結合され、mVIE302およびeVIE304の出力側は、互いに結合される。mVIE302およびeVIE304の入力側は、(例えば、直接、または1つもしくは複数の構成要素を介して間接的に)RF入力に結合され、mVIE302およびeVIE304の出力側は、(例えば、直接、または1つもしくは複数の構成要素を介して間接的に)RF出力または接地に結合される。
【0052】
図3の例において、mVIE302および/またはeVIE304は、本明細書で説明されるようにmVIE302のインピーダンスおよび/またはeVIE304のインピーダンスが調整されるように制御され得る。結果として、整合回路の入力側におけるインピーダンスと負荷のインピーダンスとの間の不整合が減少され得る(時には最小化または排除される)。
【0053】
図4は、mVIE402とeVIE404とを含むモジュール400を示す。図示のように、mVIE402およびeVIE404は、直列に結合される。例えば、mVIE402の入力側は、(直接または間接的に)RF入力に結合され、mVIE402の出力側は、(直接または間接的に)eVIE404の入力側に結合され、eVIE404の出力側は、(直接または間接的に)RF出力または接地に結合される。
【0054】
図4の例において、mVIE402および/またはeVIE404は、
図3のmVIE302および/またはeVIE304と同様の方法で制御され得る。例えば、本明細書で説明されるように、mVIE402および/またはeVIE404は、整合回路の入力側におけるインピーダンスと負荷のインピーダンスとの間の不整合を減少させる(時には最少化または排除する)ために、mVIE302のインピーダンスおよび/またはeVIE304のインピーダンスを所望のように調整させるように制御され得る。
【0055】
図5は、並列に結合されたmVIE502とeVIE504とを含むモジュール500を示す。図示のように、eVIE504は、複数の固定キャパシタ506a、506b...506nと、複数のスイッチングデバイス508a、508b...508nとを含む。具体的には、各固定キャパシタ506a、506b...506nは、eVIE504のレッグ510a、510b...510nを形成するために、それぞれのスイッチングデバイス508a、508b...508nに直列に結合される。図示のように、eVIE504のレッグ510a、510b...510nは、並列に結合される。
【0056】
図5において、mVIE502および/またはeVIE504は、
図3のmVIE302および/またはeVIE304と同様の方法で制御され得る。例えば、本明細書で説明されるように、mVIE502および/またはeVIE504は、mVIE502のインピーダンスおよび/またはeVIE504のインピーダンスを所望のように調整させるように制御され得る。例えば、各スイッチングデバイス508a、508b...508nは、そのそれぞれの固定キャパシタを接続または切断し、個別のキャパシタンスを提供するためにオンまたはオフになるように制御され得る。結果として、eVIE504のインピーダンスは、スイッチングデバイス508a、508b...508nがオン(閉)またはオフ(開)にされると変化し得る。そのような実施形態において、eVIE504のキャパシタンスは、閉状態にあるスイッチングデバイス508a、508b...508nの数の関数と考えられ得る。
【0057】
図6は、並列に結合されたmVIE602とeVIE604とを含むモジュール600を示す。図示のように、eVIE604は、センタータップバイアスを有する複数のバラクタを含む。バラクタは、アノード接続されたダイオード(例えば、ピンダイオード)606a、608a、606b、608b...606n、608nと、ダイオード606a、608a、606b、608b...606n、608nのカソードに結合されたキャパシタ(Cblk1、Cblk2)622、624とによって表される。
【0058】
図6のバラクタは、電圧制御キャパシタとして機能する。例えば、各ダイオード606a、608a、606b、608b...606n、608nのキャパシタンスは、印加電圧の関数として変化し得る。具体的には、
図6では、ダイオード606a、608a、606b、608b...606n、608nのキャパシタンスは、スケーリング抵抗器610、612、614とインダクタ616、618、620とを介してダイオード606a、608a、606b、608b...606n、608nに印加されるバイアス電圧Vbiasの関数として変化する。これは、バイアス電圧Vbiasが印加および/または調整されるにつれて、連続的なキャパシタンス調整を提供し得る。そのような実施形態において、eVIE604のキャパシタンスは、バイアス電圧Vbiasの関数と考えられ得る。
【0059】
図6のバラクタは、センタータップバイアス構成を有するものとして示されているが、他の適切な構成が用いられ得ることは明らかであろう。例えば、eVIE604(または本明細書で開示されている任意の他のeVIE)は、1つまたは複数のバックツーバックバラクタを含み得る。様々な実施形態において、eVIE604は、アノード接続ダイオードを有するバックツーバックダイオードバラクタを含み得る。そのような例において、バックツーバックダイオードバラクタは、ダイオード、インダクタ、および少なくとも1つのキャパシタによって表され得る。ダイオードおよびインダクタは、DCバイアス電圧端子と基準端子(または接地)との間に直列に接続され得る。ダイオードのアノードは、互いに接続される。他の実施形態において、eVIE604は、カソード接続ダイオードを有するバックツーバックダイオードバラクタを含み得る。このバラクタ構成は、アノード接続ダイオードを有するバックツーバックダイオードバラクタと同様であり得るが、ダイオードのカソードが互いに接続される。
【0060】
図7は、並列に結合されたmVIE702とeVIE704とを含むモジュール700を示す。図示のように、eVIE704は、キャパシタ706とスイッチングデバイス708とを含む。
【0061】
モジュール700は、PSIMを用いる。例えば、スイッチングデバイス708は、RF動作周波数においてスイッチングされ、キャパシタ706のインピーダンスを効果的に変調し得る。この変調は、スイッチングデバイス708の位相およびデューティサイクルを適切に調整することによって制御される。したがって、eVIE704のキャパシタンスは、スイッチングデバイス708の位相およびデューティサイクルの関数と考えられ得る。
【0062】
図8~
図10は、電源システムの様々な実施形態を示す。各システムは、一般に、RF電源812と、整合回路800、900、1000と、負荷832とを含む。各整合回路800、900、1000は、本明細書で説明されるように、その調整可能な構成要素にhVIMを利用する。様々な実施形態においてRF電源812は、
図1のRF発生器112aおよび/または112bと同様であり得る。負荷832は、
図8~
図10においてプラズマチャンバとして示されているが、他の適切な負荷(例えば、高電力負荷、線形または非線形に変化する負荷など)が用いられ得ることは明らかであろう。
【0063】
図8~
図10において、各hVIMは、内蔵または外部コントローラを有し得る。様々な実施形態において、各コントローラは、hVIM内の調整可能な構成要素(例えば、インピーダンス可変素子)のインピーダンス設定値を駆動および/または確立する役割を担い得る。各hVIMコントローラへの入力は、所望のインピーダンス値のデジタルまたはアナログ表現、所望の増分インピーダンス変化のデジタルまたはアナログ表現などであり得る。この入力は、整合回路コントローラまたは別の監視コントローラから来得る。
【0064】
図8において、整合回路800は、
図3の2つのhVIM300と、hVIM300間に結合されたインダクタ(L1)802と、制御モジュール820とを含む。各hVIM300は、
図3のmVIE302とeVIE304とを含む。一方の(例えば、第1の)hVIM300は、RF入力(例えば、RF電源812)と接地との間に結合され、他方の(例えば、第2の)hVIM300は、RF入力とRF出力(例えば、負荷832)との間に結合される。
【0065】
図示のように、制御モジュール820は、整合回路コントローラ830と、整合回路コントローラ830と通信する2つのhVIMコントローラ824、828とを含む。整合回路コントローラ830は、感知された電圧、電流などを表す1つまたは複数の入力信号836を受信し、感知された電圧、電流などに基づいて、信号856、860を、それぞれhVIMコントローラ824、828に出力する。出力信号856、860は、所望のインピーダンス値、所望の増分インピーダンス変化などのデジタルまたはアナログ表現であり得る。hVIMコントローラ824は、第1のhVIM300内のmVIE302およびeVIE304のインピーダンス設定値を(例えば、信号840、844を介して)駆動および/または確立し、hVIMコントローラ828は、第2のhVIM300内のmVIE302およびeVIE304のインピーダンス設定値を(例えば、信号848、852を介して)駆動および/または確立する。
【0066】
図8に示されているように、整合回路コントローラ830およびhVIMコントローラ824、828は、制御モジュール820の一部であるものとして示されている。様々な実施形態において、hVIMコントローラ824、828は、整合回路コントローラ830の外部にある分散コントローラであり得る。他の実施形態において、hVIMコントローラ824、828および整合回路コントローラ830は、単一のコントローラに結合され得る。
【0067】
図9において、整合回路900は、
図3の2つのhVIM300と、インダクタ(L1)904と、変圧器(T1)902と、
図8のコントローラ824、828、830とを含む。インダクタ(L1)904は、hVIM300間に結合され、変圧器(T1)902は、インダクタ(L1)904と負荷832との間に結合される。図示のように、第1のhVIM300は、RF入力(例えば、RF電源812)と接地との間に結合され、第2のhVIM300は、(変圧器(T1)902を介して)RF入力と接地との間に結合される。コントローラ824、828、830は、
図8に関して上記で説明したのと同様の方法で機能する。
【0068】
図9の変圧器(T1)902は、多くの目的を果たし得る。例えば、変圧器(T1)902は、第2のhVIM300を直列モジュール(例えば、
図8の第2のhVIM300)からシャントモデルに効果的に変換する。追加的に、変圧器(T1)902は、絶縁を提供し、第2のhVIM300に印加される電圧を低減する。
【0069】
図10において、整合回路1000は、
図3のhVIM300と、インダクタ(L1)1004と、キャパシタ(C1)1002と、
図8のhVIMコントローラ824と、整合回路コントローラ1030とを含む。hVIM300は、RF入力(例えば、
図8のRF電源812)と接地との間に結合される。hVIM300(例えば、mVIE302およびeVIE304)は、
図8に関して上記で説明したのと同様の方法でそのインピーダンスを調整するように制御され得る。
【0070】
インダクタ(L1)1004およびキャパシタ(C1)1002は、RF入力とRF出力(例えば、負荷832)との間に直列に結合される。様々な実施形態において、インダクタ(L1)1004およびキャパシタ(C1)1002の組合せは、hVIMのeVIEを形成し得る。他の実施形態において、eVIEは、インダクタ(L1)1004およびキャパシタ(C1)1002に結合され得、eVIE、インダクタ(L1)1004、およびキャパシタ(C1)1002の組合せは、hVIMを形成し得る。
【0071】
様々な実施形態において、インダクタ(L1)1004およびキャパシタ(C1)1002は、RF電源812によって出力されるRF信号の周波数がRF電源812と負荷832との間のインピーダンス整合を対応して変化させるように変化する周波数調整を表す。例えば、
図10において、インダクタ(L1)が1004およびキャパシタ(C1)1002は、線1008によって示されるように、RF信号の周波数を変化させることの正味の効果を表す等価回路であり得る。したがって、様々な実施形態において、RF信号の周波数を変化させることは、インダクタ(L1)1004の誘導値および/またはキャパシタ(C1)1002の容量値を変更することと等価であり得る。
【0072】
追加的に、整合回路コントローラ1030は、様々な実施形態において周波数調整をもたらすために、
図1のRF発生器112aなどのRF発生器に所望の周波数を示し得る。例えば、整合回路コントローラ1030は、RF電源812の周波数を変化させるための制御信号を生成し得る。所望の周波数は、例えば、整合回路1000の入力における感知された電圧、電流などに基づいて決定され得る。
【0073】
様々な実施形態において、電圧フィードバックセンサおよび/または電流フィードバックセンサも、
図8~
図10に示す各eVIEなどの各eVIEに対して実装され得る。そのような例において、hVIMコントローラ(例えば、
図8~
図10のhVIMコントローラ824、828)は、動作中にeVIEの範囲をその安全動作領域(SOA)内に制限し得る。様々な実施形態において、hVIMコントローラおよび/または整合コントローラ(例えば、
図8~
図10の整合コントローラ830、1030)は、所与の用途または動作モードについて電力処理ヘッドルームとインピーダンス範囲との間の最良のトレードオフを決定するために、この感知された情報を使用し得る。
【0074】
さらに、本明細書で開示されるhVIM構成のうちのいくつかは、様々な実施形態において電流共有モジュールおよび/または電圧共有モジュールとして実装され得る。例えば、
図3のhVIM300は、電流共有モジュールとして実装され得、
図4のhVIM400は、電圧共有モジュールとして実装され得る。具体的には、
図3に示されているように、mVIE302およびeVIE304は、互いに並列に電気的に結合される。したがって、hVIM300を通過する電流は、mVIE302およびeVIE304間で共有または分割される。
図4において、hVIM400のmVIE402およびeVIE404は、互いに直列に電気的に結合される。したがって、
図4において、hVIM400にわたる電圧は、mVIE402とeVIE404との間で共有または分割される。電流または電圧を共有または分割する程度は、hVIM構成内のmVIEおよびeVIEの相対インピーダンスによって決定される。そのような電流および電圧分割hVIM構成は、非常に高出力の連続波(CW)および準CW用途において望ましい場合がある。そのような例において、電流の大部分が通過するか、または電圧がmVIEにわたって現れるように、mVIEおよびeVIEのインピーダンスを設定するためにアルゴリズムまたはユーザ入力が用いられ得る。結果として、mVIEは、mVIEとeVIEとの間で共有される電力フローの大部分を処理する。
【0075】
図11は、
図3~
図10に示されているhVIMのうちの任意の1つなどのhVIMのmVIEとeVIEとの間の電力負荷分散のプロットを示す。例えば、
図11のプロットは、それぞれのmVIEおよびeVIEの電力処理能力を示す。
【0076】
例えば、負荷インピーダンスが印加電力、周波数、または他のプロセス条件によって変化するプラズマ用途において、整合回路内のhVIMは、最適な電力送達とシステムの安定性とを維持するために調整される必要がある場合がある。所望のRF電力がパルス内の低電力状態と高電力状態との間で変化する場合、コントローラ(例えば、
図8~
図10のhVIMコントローラ824、整合コントローラ830、1030など)は、mVIEが電力フローの大部分を処理しており、一方eVIEが様々な電力状態間の高速遷移を可能にするために使用されるようにmVIEとeVIEとを制御するように構成されることが可能である。
【0077】
例えば、
図11に示されているように、mVIEは、領域1104によって示されるように、電力フローの大部分を処理する。
図8~
図10の整合コントローラ830、1030などのコントローラは、mVIEによって処理される電力量を決定するために使用され得る。この電力量は、
図11において線1110によって表される。様々な実施形態において、線1110は、mVIEの定常状態動作点(例えば、最適化された位置)を定義し得る。追加的に、eVIEは、領域1108によって示されるように、(パルスがオンの時の)パルス内の低電力状態と高電力状態との間の電力の高速遷移または過渡を処理する。
図11において、高電力状態は、領域1112によって表され、低電力状態は、領域1116によって表されている。様々な実施形態において、線1110は、(例えば、mVIEを制御することによって)eVIE動作範囲の中心に選択的に配置され得、またはeVIE動作範囲の片側に偏り得る。いくつかの実施形態において、eVIE動作範囲の中心、またはeVIE動作範囲の別の位置(例えば、片側に偏った)は、eVIEの最適化された位置を表し得る。
【0078】
図12は、
図3~
図10に示されているhVIMのいずれか1つなどのhVIMのmVIEおよびeVIEを制御するためのhVIMコントローラ1200の一例を示す。図示のように、hVIMコントローラ1200は、複合フィルタ1204と、mVIEコントローラ1212と、eVIEコントローラ1214と、加算器1234とを含む。mVIEコントローラ1212は、誤差検出器1218とmVIEサーボ機構(サーボ)1222とを含み、eVIEコントローラ1214は、誤差検出器1226とeVIEサーボ機構(サーボ)1230とを含む。様々な実施形態において、mVIEコントローラ1212および/またはeVIEコントローラ1214は、PIコントローラ、PIDコントローラなどを用いて実装され得る。
【0079】
図12に示すように、所望のインピーダンスプロファイルが、パルス化エンベロープに従って複合フィルタ1204によって受信される。例えば、パルス化RFプラズマレシピにおいて、典型的には、電力、ガス、圧力などのレシピパラメータ変化により、負荷インピーダンスがパルス状態とともに変化する。この変化する負荷インピーダンス(例えば、パルスの開始時およびパルス内の段階中)は、複合フィルタ1204に提供される所望のインピーダンスプロファイル内に示される。
【0080】
フィルタ1204は、ローパス構造とハイパス構造とを含む。受信されたインピーダンスプロファイルに基づいて、ローパス構造は、誤差検出器1218にmVIE設定値を提供し、ハイパス構造は、(オプションの遅延1208を介して)誤差検出器1226にeVIE設定値を提供する。変化するmVIE設定値およびeVIE設定値は、
図12において例示的なmVIEプロファイルおよびeVIEプロファイルによって示されている。
【0081】
mVIEコントローラ1212において、誤差検出器1218は、受信されたmVIE設定値とmVIEサーボ1222の出力とを比較し、mVIEサーボ1222に誤差信号を提供する。同様に、eVIEコントローラ1214において、誤差検出器1226は、受信されたeVIE設定値とeVIEサーボ1230の出力とを比較し、eVIEサーボ1230に誤差信号を提供する。次いで、mVIEサーボ1222およびeVIEサーボ1230は、受信された誤差信号に基づいて出力信号を生成する。mVIEサーボ1222の出力信号およびeVIEサーボ1230の出力信号は、本明細書で説明されるように、それぞれmVIEのインピーダンスおよびeVIEのインピーダンスを動的に調整するために、mVIEアクチュエータおよびeVIEアクチュエータに提供される。図示のように、mVIEサーボ1222の出力およびeVIEサーボ1230の出力は、加算器1234において結合されると、所望のインピーダンスプロファイルを生成する。
【0082】
様々な実施形態において、ハイパス構造は、上記で説明したように、遅延1208を介して誤差検出器1226にeVIE設定値を提供し得る。これは、mVIEがその定常状態に達するまで、eVIEがそのインピーダンスを調整するのを遅らせ、高電力レベルからeVIEを保護し得る。
【0083】
プラズマ負荷用途においてhVIMコントローラ1200を用いることによって、負荷インピーダンスにおける変化が適切に補償され得る。例えば、プラズマ点火時に、eVIEは、全体のインピーダンス変化要求を迅速に補正しようとし得るが、より低速のmVIEが応答し始めると、eVIEの偏位は、低減される。最終的に、mVIEは、定常状態の動作点に達し、eVIEは、主に、パルスがオンの時のパルス内の状態間のインピーダンス変化のみを補償する。
【0084】
図13は、
図3~
図10に示されているhVIMのうちのいずれか1つなどのhVIMのeVIEアクチュエータ1344およびmVIEアクチュエータ1348を制御するための例示的な制御ループ1300を示す。図示のように、制御ループ1300は、eVIEコントローラ1304とmVIEコントローラ1308とを含む。
図13において、eVIEコントローラ1304およびmVIEコントローラ1308は、PIコントローラである。他の様々な実施形態において、eVIEコントローラ1304および/またはmVIEコントローラ1308は、PIDコントローラなどの別の適切なコントローラを用いて実装され得る。
【0085】
図示のように、eVIEコントローラ1304は、誤差検出器1306と、加算器1310、1314と、クランプ1320とを含む。誤差検出器1306は、目標インピーダンスと実際のインピーダンスとを表す信号1324、1328を受信する。様々な実施形態において、目標インピーダンスは、eVIEが定常状態(例えば、eVIEの最適化された位置)において動作するインピーダンス値に設定され得る。誤差検出器1306は、信号1324、1328を比較し、誤差信号を出力する。誤差信号は、eVIEコントローラ1304の比例ループ1312および積分ループ1316を通過する。
【0086】
比例ループ1312において、誤差信号には、比例ゲインPeが乗算される。次いで、結果として生じる修正された誤差信号は、加算器1314に提供される。
【0087】
積分ループ1316において、誤差信号には、積分ゲインIeが乗算され、結果として生じる修正された誤差信号は、加算器1310に提供される。加算器1310は、修正された誤差信号と、クランプ1320の出力信号とを加算する。様々な実施形態において、クランプ1320の出力信号は、
図13に示されているように、遅延Z
-1を通過し得る。
【0088】
クランプ1320は、加算器1310の出力と、積分器の最大値および最小値とを受信する。様々な実施形態において、積分器の最大値および最小値は、eVIEに安全な動作条件を提供するために、eVIEパラメータに基づいて選択される。例えば、クランプ1320は、積分器の最大値および最小値に基づいてeVIEの(正方向と負方向の両方の)変化率を制限するスルーレートリミッタとして機能し得る。これは、例えば、積分ゲインIeが高くなったときに有利である場合がある。クランプ1320は、加算器1314に信号を出力し、加算器1314は、比例ループ1312からの修正された誤差信号と、積分ループ1316からのクランプ1320の出力信号とを加算する。加算器1314の出力は、本明細書で説明されるように、eVIEのインピーダンスを調整するためにeVIEアクチュエータ1344に提供される。
【0089】
図13に示されているように、mVIEコントローラ1308は、誤差検出器1318と、最大識別子ブロック1334と、加算器1330、1338と、クランプ1340とを含む。誤差検出器1318は、eVIEコントローラ1304からの加算器1314の出力信号と、eVIE目標インピーダンスを表す信号1332とを受信する。様々な実施形態において、mVIEコントローラ1308のeVIE目標インピーダンスは、eVIEコントローラ1304の目標インピーダンスと同じであっても、異なっていてもよい。
【0090】
誤差検出器1318は、eVIEコントローラ1304からの加算器1314の出力信号と信号1332とを比較し、誤差信号を出力する。そのような信号を比較することによって、誤差検出器1318によって生成された誤差信号は、eVIEの動作範囲の中央部分に入る最小の誤差値を有し得る。これは、例えば、より遅いmVIEアクチュエータ1348がより速いeVIEアクチュエータ1344をその目標位置に維持することを可能にし得る。
【0091】
誤差検出器1318からの誤差信号は、最大識別子ブロック1334に渡される。最大識別子ブロック1334は、誤差信号と、eVIE誤差クランプ1336からの信号とを受信し、これらの信号に基づいて信号を出力する。様々な実施形態において、eVIE誤差クランプ1336は、eVIEに基づいてmVIEの(一方向の)変化率を制限するスルーレートリミッタとして機能し得る。最大識別子ブロック1334の出力信号は、mVIEコントローラ1308の比例ループ1322および積分ループ1326を通過する。
【0092】
比例ループ1322において、最大識別子ブロック1334の出力信号には、比例ゲインPmが乗算される。結果として生じる修正された信号は、次いで、加算器1330に提供される。
【0093】
積分ループ1326において、最大識別子ブロック1334の出力信号には、積分ゲインImが乗算され、結果として生じる修正された信号は、加算器1338に提供される。加算器1338は、修正された信号とクランプ1340の出力信号とを加算する。様々な実施形態において、クランプ1340の出力信号は、
図13に示されているように、遅延Z
-1を通過し得る。
【0094】
クランプ1340は、加算器の出力と、積分器の最大値および最小値とを受信する。mVIEコントローラ1308のクランプ1340は、eVIEコントローラ1304のクランプ1320と同様の方法で機能する。例えば、積分器の最大値および最小値は、mVIEに安全な動作条件(例えば、制限された変化率)を提供するために、mVIEパラメータに基づいて選択される。クランプ1340は、加算器1330に信号を出力し、加算器1330は、比例ループ1322からの修正された信号と、積分ループ1326からのクランプ1340の出力信号とを加算する。加算器1330の出力は、本明細書で説明されるように、mVIEのインピーダンスを調整するためにmVIEアクチュエータ1348に提供される。
【0095】
図14は、前の図の様々な構成要素を組み込む。
図14の制御モジュール1400は、発電モジュールセクションと、インピーダンス整合モジュールセクションとを含み得る。発電モジュールセクションは、RF振幅制御モジュール1404とRF周波数制御モジュール1408とを含む。RF振幅制御モジュール1404は、再生モジュール1416と、振幅調整モジュール1420と、振幅更新モジュール1424とを含む。RF周波数制御モジュール1408は、再生モジュール1428と、周波数調整モジュール1432と、周波数更新モジュール1436とを含む。インピーダンス整合モジュールセクションは、mVIE調整モジュール1440とeVIE調整モジュール1444とを有するインピーダンス整合モジュール1412を含む。様々な実施形態において、制御モジュール1400は、モジュールまたはモジュールセクション1400、1404、1408、1412、1416、1420、1424、1428、1432、1436、1440、および1444に関連付けられたコードを実行する1つまたは複数のプロセッサを含む。少なくともモジュールセクションまたはモジュール1400、1412、1440、および1444の動作については、
図15の例示的な方法に関して以下で説明される。
【0096】
本明細書で説明されるコントローラおよびモジュールのさらに定義された構造について、以下で提供される
図15のフローチャートと、以下で提供される「モジュール」という用語の定義を参照されたい。本明細書で開示されるシステムは、
図1、
図8~
図10、および
図12~
図13に示されている多数の方法、例、および様々な制御システム方法を使用して動作され得る。以下の動作は、主に
図8の実装形態に関して説明されるが、動作は、本開示の他の実装形態に適用するために容易に変更され得る。動作は、繰り返し実行されてもよい。以下の動作は、順次に実行されるものとして主に示され、説明されているが、以下の動作のうちの1つまたは複数は、他の動作のうちの1つまたは複数が実行されている間に実行されてもよい。
【0097】
図15は、例えば、
図8の電力送達システムのための、モードベースのインピーダンス制御を実行するための制御システムのフローチャートを示す。制御を開始し、ブロック1502に進む。ブロック1502において、制御は、整合回路のhVIM(例えば、
図8の整合回路800の第1のhVIE300など)内のmVIE(例えば、mVIE302)およびeVIE(例えば、eVIE304)の初期プリセット位置を決定する。次いで、制御は、初期プリセット位置をブロック1506に出力する。ブロック1506において、制御は、パルス(例えば、RF発生器によって提供されるRF信号を変調するために使用されるパルス)がオンであるかどうかを決定する。そうである場合、制御は、ブロック1510に進み、そうでない場合、制御は、ブロック1506に戻る。
【0098】
ブロック1510において、制御は、1つまたは複数のフィードバック電圧信号またはフィードバック電流信号によって整合条件を計算する。様々な実施形態において、整合条件は、最小反射電力を提供する最適周波数に基づいて見出され得る。最小反射電力は、測定された複素反射係数ガンマの最小の大きさ|Γ|によって示され得る。ブロック1510は、整合条件をブロック1514に出力する。
【0099】
ブロック1514において、制御は、整合回路(または場合によってはhVIM)の入力側と送電線および発生器の特性インピーダンスとの間にインピーダンス整合が存在するかどうかを判定する。そうである場合、制御は、任意で、ブロック1518に進み、そうでない場合、制御は、ブロック1522に進む。ブロック1518において、制御は、hVIMのmVIEとeVIEの両方が最適化された位置にあるかどうかを判定する。そうでない場合、mVIEのインピーダンスおよびeVIEのインピーダンスは、整合回路(またはhVIM)の合計インピーダンスを変更せずに維持しながら、mVIEとeVIEの両方をそれらの最適化された位置に(例えば、mVIEおよびeVIEの定常状態動作に)配置するように調整される。
【0100】
例えば、ブロック1510において、整合状態が達成、決定などをされた後(例えば、送電線および発生器の特性インピーダンスに対する変換された負荷インピーダンスの定在波比(SWR)が1.05などの特定の値未満である)、hVIMの合計インピーダンスを変更せずに維持しながら、mVIEとeVIEの両方の作業位置をそれらの最適化された位置に再配置するために、最適化位置決め機能が作動され得る。例えば、整合状態において、eVIEがその範囲の境界近くで動作している場合、最適化位置決め機能は、(例えば、eVIEのインピーダンスを変更することによって)eVIEをその範囲の中央に再位置決めし、同時に、SWR/整合状態が変更されないことを保証するために、(例えば、mVIEのインピーダンスを変更することによって)mVIEを新しい位置に移動させる。言い換えれば、全体的なhVIMインピーダンスは、変化しない。
【0101】
次いで、制御は、ブロック1510に戻る。ブロック1522において、制御は、インピーダンス整合を達成するために必要なインピーダンスの変化(ΔZ)を計算する。ブロック1522は、インピーダンスの変化(ΔZ)をブロック1526に出力する。ブロック15256において、インピーダンスの変化(ΔZ)がeVIEの範囲外であるかどうかを判定する。そうである場合、制御は、ブロック1530に進み、そうでない場合、制御は、ブロック1534に進む。
【0102】
1530において、制御は、mVIEとeVIEの両方を調整する。様々な実施形態において、ブロック1526において必要なインピーダンスの変化(ΔZ)がeVIEの範囲外である場合、mVIEとeVIEの両方のインピーダンスを調整し、整合状態を達成するために、mVIEとeVIEの両方に変更が行われる。そのようなシナリオにおいて、eVIEは、mVIEよりも高速であるので、eVIEは、整合速度を向上させるために、eVIEは、その境界または限界において(例えば、最小/最大キャパシタンス/インピーダンス値において)動作するように調整され得る。残りのインピーダンスは、mVIEによってゆっくりと補償される。このシナリオ(例えば、制御ループ)は、ブロック1526において必要なインピーダンスの変化(ΔZ)がeVIEの範囲内になるまで機能する。
【0103】
1534において、制御は、eVIEのみを調整する。例えば、ブロック1526において必要なインピーダンスの変化(ΔZ)がeVIEの範囲内である場合、インピーダンスを調整し、整合状態を達成するために、eVIEのみに変更が行われる。そのようなシナリオにおいて、必要なインピーダンスの変化(ΔZ)は、より速く応答するeVIEによって完全に制御される。
【0104】
ブロック1530においてmVIEとeVIEの両方に調整が行われた後、またはブロック1534においてeVIEのみに調整が行われた後、制御は、ブロック1538に進む。ブロック1538において、制御は、そのインピーダンス整合プロセスを停止するかどうか、またはパルスがオフであるかどうかを決定する。いずれの条件にもNOの場合、制御は、ブロック1510(上記で説明した)に戻る。いずれかの条件が存在する場合、制御は、終了する。
【0105】
本明細書では、例えば、モードベースのインピーダンス制御を実行するためのコントローラの具体的な実装形態について説明されているが、任意の適切な制御実装形態が用いられ得ることは明らかあろう。例えば、様々な実施形態において、本明細書で開示されるコントローラのうちのいずれか1つは、多入力多出力(MIMO)制御システム、単入力単出力(SISO)制御システムなどを実装し得る。追加的に、様々な実施形態において、本明細書で開示されるコントローラのうちのいずれか1つは、人工知能(AI)制御技法、機械学習(ML)技法などを実装し得る。
【0106】
本明細書で説明されるhVIMおよび関連する制御技法のうちのいずれか1つを用いることは、結果として様々な利点を生じ得る。例えば、hVIMおよび関連する制御技法は、全体的に広範な電力処理、調整範囲、および調整速度を有する調整可能なモジュールを可能にするために、eVIEWの高帯域幅の利点と、mVIEの高電力処理および広いインピーダンス範囲能力とを組み合わせる。追加的に、様々な実施形態において、hVIMおよび関連する制御技法は、整合回路調整素子を非常に速い応答時間を有するhVIMで置き換えることによって、RF給電電極プラズマシースの形成および発展を改善し得る。さらに、様々な実施形態において、hVIMおよび関連する制御技法は、整合回路の一部として使用される場合、定常状態または過渡動作の下での負荷に対するRFパルス動作中の最大電力送達を可能にし得る。さらに、様々な実施形態において、hVIMおよび関連する制御技法は、過渡状況下でのRF発生器および/または電源システムに対するストレスを最小化すること、発生器制御ダイナミクスに対する非線形プラズマ負荷の影響を最小化すること、パルス間安定性を改善することなどをし得る。
【0107】
本明細書で説明されるhVIMおよび関連する制御技法は、多数の用途において用いられ得る。様々な実施形態において、hVIMおよび関連する制御技法は、プラズマ負荷用途における整合回路において用いられ得る。例えば、高出力および挟パルスRFレシピを用いるプラズマエッチングおよび堆積用途は、整合回路において見られる典型的な調整可能キャパシタまたはインダクタの代わりにhVIMを使用することから大きな利益を得るだろう。
【0108】
hVIMおよび関連する制御技法は、本明細書で説明されるように整合回路において用いられ得るが、hVIMは、可変インピーダンス素子、高電力、変化する(例えば、非線形)負荷を有する用途など、任意の適切な用途において用いられ得ることは明らかであろう。例えば、様々な実施形態において、hVIMは、低電力原子層エッチング(ALE)用途において用いられ得る。そのようなシナリオにおいて、イオンエネルギーが非常に明確に定義される必要があるので、ALE用途は、高速整合から大きな利益を得るであろう。高速調整整合は、パルスエッジにおける電力オーバシュートを防止することができ、電力がその定常状態値に迅速に到達することを可能にし、したがって、全体的により広く、より明確に定義されたプロセスウィンドウ(例えば、より短いパルス、より高いパルスレート)を可能にする。
【0109】
追加的に、様々な実施形態において、hVIMは、多周波数システムにおいて用いられ得る。そのようなシナリオにおいて。多周波数システムは、プラズマ内で混合する複数の周波数から発生し、より高い動作電力において非常に有害になる相互変調歪み(IMD)を軽減することによって、hVIMの使用から大きい利益を得るであろう。典型的には、この配置におけるより高い周波数の発生器は、より低い周波数の発生器の周波数においてインピーダンス変化を経験する。典型的なmVIEベースの整合回路は、これを補償するのに十分なほど高速に調整することができず、eVIEに基づく整合回路は、より高い電力の動作を処理することができない。高速eVIEを用いれば、高周波発生器がほぼ完全な整合を経験するように、低周波サイクル中に調整することができる可能性がある。
【0110】
さらに、様々な実施形態において、hVIMは、通信用途において用いられ得る。例えば、hVIMは、無線送信機用のアンテナチューナとともに使用され得る。
【0111】
さらに、様々な実施形態において、hVIMは、様々な高出力パルス用途において用いられ得る。例えば、用途は、eVIEの電流能力を超える場合がある非常に高出力のパルス状態を有し得る。hVIMを実装することによって、高出力状態は、mVIE構成要素によってサポートされ得、同時に、高速eVIE構成要素によって提供されるすべての状態にわたって調整することができる。
【0112】
前述の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その用途、または使用を制限することを決して意図されていない。本開示の広範な教示は、様々な形態において実装されることが可能である。したがって、本開示は、特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると、他の変更が明らかになるので、本開示の真の範囲は、そのように限定されるべきではない。明細書および特許請求の範囲において、方法内の1つまたは複数のステップは、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよい。同様に、非一時的コンピュータ可読媒体内に記憶された1つまたは複数の命令は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよい。別段の指示がない限り、命令または方法ステップの番号付けまたは他のラベル付けは、便宜的な参照のために行われており、固定された順序を示すためではない。
【0113】
さらに、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして上記で説明されているが、本開示の任意の実施形態に関して説明されているこれらの特徴のうちの任意の1つまたは複数は、その組合せが明示的に説明されていない場合であっても、他の実施形態のうちのいずれかの特徴において実装されるかつ/またはそれと組み合わされることが可能である。言い換えれば、説明されている実施形態は、相互に排他的ではなく、1つまたは複数の実施形態の互いの順列は、本開示の範囲内にとどまる。
【0114】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間など)の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「~に接して」、「~の上部に」、「上」、「下」、および「配置された」を含む様々な用語を使用して説明されている。「直接」であると明示的に説明されていない限り、第1の要素と第2の要素との間の関係が上記の開示において説明されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在する要素が存在しない直接的な関係であることが可能であるが、第1の要素と第2の要素との間に1つまたは複数の介在する要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係でもあることも可能である。
【0115】
「A、B、およびCの少なくとも1つ」という語句は、非排他的論理ORを使用して論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「少なくとも1つのA、少なくとも1つのB、および少なくとも1つのC」を意味すると解釈されるべきではない。「セット」という用語は、空のセットを必ずしも除外せず、言い換えれば、いくつかの状況において、「セット」はゼロの要素を有する場合がある。「空ではない」セットと言う用語は、空のセットの除外を示すために使用され得、言い換えれば、空ではないセットは、常に1つまたは複数の要素を有する。「サブセット」という用語は、必ずしも適切なサブセットを必要とするわけではない。言い換えれば、第1のセットの「サブセット」は、第1のセットと同一の広がりを有してもよい(等しくてもよい)。さらに、「サブセット」という用語は、必ずしも空のセットを除外するものではなく、いくつかの状況において、「サブセット」は、ゼロの要素を有する場合がある。
【0116】
図において、矢尻によって示される矢印の方向は、一般に、例示に重要な情報(データまたは命令など)の流れを示す。例えば、要素Aおよび要素Bが様々な情報を交換するが、要素Aから要素Bに送信される情報が例示に関連しているとき、矢印は、要素Aから要素Bを指し得る。この一方向矢印は、他の情報が要素Bから要素Aに送信されないことを意味しない。さらに、要素Aから要素Bに送信される情報について、要素Bは、その情報に対する要求または受信確認を要素Aに送信してもよい。
【0117】
以下の定義を含む本出願において、「モジュール」という用語は、「コントローラ」という用語または「回路」という用語に置き換えられることが可能である。本出願において、「コントローラ」という用語は、「モジュール」という用語に置き換えられることが可能である。「モジュール」という用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル、アナログ、もしくはアナログ/デジタル混合ディスクリート回路、デジタル、アナログ、もしくはアナログ/デジタル混合集積回路、組合せ論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コードを実行するプロセッサハードウェア(共有、専用、またはグループ)、プロセッサハードウェアによって実行されるコードを記憶するメモリハードウェア(共有、専用、またはグループ)、説明した機能を提供する他の適切なハードウェア構成要素、または、システムオンチップにおけるなど、上記のうちのいくつかもしくはすべての組合せを指すか、その一部であるか、またはそれを含み得る。
【0118】
モジュールは、1つまたは複数のインターフェース回路を含み得る。いくつかの例において、インターフェース回路は、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)に接続する有線インターフェースまたはワイヤレスインターフェースを実装し得る。LANの例は、米国電気電子学会(IEEE)規格802.11-2020(WIFIワイヤレスネットワーキング規格としても知られる)、およびIEEE規格802.3-2018(イーサネット有線ネットワーキング規格としても知られる)である。WPANの例は、IEEE規格802.15.4(ZigBee(登録商標)AllianceからのZIGBEE規格を含む)、およびBluetooth(登録商標)分科会(SIG)から、BLUETOOTHワイヤレスネットワーキング規格(Bluetooth SIGからのコア仕様バージョン3.0、4.0、4.1、4.2、5.0、および5.1を含む)である。
【0119】
モジュールは、インターフェース回路を使用して他のモジュールと通信し得る。モジュールは、本開示では他のモジュールと論理的に直接通信するものとして示され得るが、様々な実装形態において、モジュールは、実際には通信システムを介して通信し得る。通信システムは、ハブ、スイッチ、ルータ、およびゲートウェイなどの物理的および/または仮想的ネットワーキング機器を含む。いくつかの実装形態において、通信システムは、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)に接続するか、またはそれを横断する。例えば、通信システムは、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS:Multiprotocol Label Switching)と仮想プライベートネットワーク(VPN)とを含む技術を使用して、インターネットまたはポイントツーポイント専用回線を介して互いに接続された複数のLANを含んでもよい。
【0120】
様々な実装形態において、モジュールの機能は、通信システムを介して接続された複数のモジュール間で分散されてもよい。例えば、複数のモジュールは、負荷分散システムによって分散された同じ機能を実装してもよい。さらなる例において、モジュールの機能は、サーバ(リモートまたはクラウドとしても知られる)モジュールとクライアント(またはユーザ)モジュールとの間で分割されてもよい。例えば、クライアントモジュールは、クライアントデバイス上で実行され、サーバモジュールとネットワーク通信するネイティブアプリケーションまたはウェブアプリケーションを含んでもよい。
【0121】
モジュールのいくつかまたはすべてのハードウェア機能は、IEEE規格1364-2005(一般に「Verilog」と呼ばれる)およびIEEE規格1076-2008(一般に「VHDL」と呼ばれる)などの、ハードウェア記述用の言語を使用して定義されてもよい。ハードウェア記述言語は、ハードウェア回路を製造および/またはプログラムするために使用されてもよい。いくつかの実装形態において、モジュールのいくつかまたはすべての機能は、以下で説明されているコードと、ハードウェア記述の両方を包含するIEEE1666-2005(一般に「SystemC」と呼ばれる)などの言語によって定義されてもよい。
【0122】
上記で使用されるコードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはマイクロコードを含み得、プログラム、ルーチン、関数、クラス、データ構造、および/またはオブジェクトを指し得る。共有プロセッサハードウェアは、複数のモジュールからのいくつかのまたはすべてのコードを実行する単一のマイクロプロセッサを包含する。グループプロセッサハードウェアは、追加のマイクロプロセッサと組み合わせて、1つまたは複数のモジュールからのいくつかのまたはすべてのコードを実行するマイクロプロセッサを包含する。複数のマイクロプロセッサへの言及は、個別のダイ上の複数のマイクロプロセッサ、単一のダイ上の複数のマイクロプロセッサ、単一のマイクロプロセッサの複数のコア、単一のマイクロプロセッサの複数のスレッド、または上記の組合せを包含する。
【0123】
メモリハードウェアはまた、データをコードと一緒に、またはコードとは別に記憶し得る。共有メモリハードウェアは、複数のモジュールからのいくつかまたはすべてのコードを記憶する単一のメモリデバイスを包含する。共有メモリハードウェアの一例は、複数のモジュールからのコードを記憶し得るマイクロプロセッサダイ上またはその近くのレベル1キャッシュであり得る。共有メモリハードウェアの別の例は、複数のモジュールからのコードを記憶し得るソリッドステートドライブ(SSD)などの永続ストレージであり得る。グループメモリハードウェアは、他のメモリデバイスと組み合わせて、1つまたは複数のモジュールからのいくつかまたはすべてのコードを記憶するメモリデバイスを包含する。グループメモリハードウェアの一例は、複数の物理的デバイスにわたって特定のモジュールのコードを記憶し得るストレージエリアネットワーク(SAN)である。グループメモリハードウェアの別の例は、組合せにおいて特定のモジュールのコードを記憶するサーバのセットの各々のランダムアクセスメモリである。
【0124】
メモリハードウェアという用語は、コンピュータ可読媒体という用語のサブセットである。本明細書で使用されるコンピュータ可読媒体という用語は、媒体(搬送波上など)を介して伝播する一時的な電気信号または電磁信号を包含せず、したがって、コンピュータ可読媒体という用語は、有形で非一時的と見なされる。非一時的コンピュータ可読媒体の非限定的な例は、不揮発性メモリデバイス(フラッシュメモリデバイス、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリデバイス、またはマスク読み取り専用メモリデバイスなど)、揮発性メモリデバイス(スタティックランダムアクセスメモリデバイスまたはダイナミックランダムアクセスメモリデバイスなど)、磁気記憶媒体(アナログもしくはデジタル磁気テープまたはハードディスクドライブなど)、および光記憶媒体(CD、DVD、またはBlu-rayディスクなど)である。
【0125】
本出願で説明されている装置および方法は、コンピュータプログラムにおいて具体化された1つまたは複数の特定の機能を実行するように汎用コンピュータを構成することによって作成される専用コンピュータによって部分的または完全に実装され得る。そのような装置および方法は、コンピュータ化された装置およびコンピュータ化された方法として説明される場合がある。上記で説明されている機能的ブロックおよびフローチャート要素は、熟練した技術者またはプログラマの日常的な作業によってコンピュータプログラムに変換されることが可能なソフトウェア仕様として機能する。
【0126】
コンピュータプログラムは、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶されたプロセッサ実行可能命令を含む。コンピュータプログラムは、記憶されたデータも含むか、またはそれに依存し得る。コンピュータプログラムは、専用コンピュータのハードウェアと相互作用する基本入力/出力システム(BIOS)、専用コンピュータの特定のデバイスと相互作用するデバイスドライバ、1つまたは複数のオペレーティングシステム、ユーザアプリケーション、バックグラウンドサービス、バックグラウンドアプリケーションなどを包含し得る。
【0127】
コンピュータプログラムは、(i)HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)、XML(拡張マークアップ言語)、またはJSON(JavaScript Object Notation)などの解析されるべき記述テキスト、(ii)アセンブリコード、(iii)コンピュータによってソースコードから生成されたオブジェクトコード、(iv)インタープリタによって実行するためのソースコード、(v)ジャストインタイムコンパイラによってコンパイルおよび実行するためのソースコードなどを含み得る。例としてのみ、ソースコードは、C、C++、C#、Objective-C、Swift、Haskell、Go、SQL、R、Lisp、Java(登録商標)、Fortran、Perl、Pascal、Curl、OCaml、Javascript(登録商標)、HTML5 (Hypertext Markup Language 5th revision)、Ada、ASP(Active Server Pages)、PHP(PHP:Hypertext Preprocessor)、Scala、Eiffel、Smalltalk、Erlang、Ruby、Flash(登録商標)、Visual Basic(登録商標)、Lua、MATLAB(登録商標)、SIMULINK(登録商標)、およびPython(登録商標)を含む言語からの構文を使用して記述され得る。
【符号の説明】
【0128】
110 電源システム
112 RF発生器
112a RF発生器、ソースRF発生器、RF発電機
112b RF発生器、バイアスRF発生器、RF発電機
114a RF電源または増幅器、RF電源、電源、ソースRF電源
114b RF電源または増幅器、RF電源、電源、バイアスRF電源
116a RFセンサ、センサ、ソースセンサ
116b RFセンサ、センサ、バイアスセンサ
118a 整合回路、ソース整合回路、整合回路
118b 整合回路、バイアス整合回路、整合回路
120' コントローラ、外部または共通コントローラ
120a プロセッサ、コントローラ、または制御モジュール、コントローラまたは電力制御モジュール、電力制御モジュール、ローカルコントローラ、ソースコントローラ
120b プロセッサ、コントローラ、または制御モジュール、コントローラまたは電力制御モジュール、電力制御モジュール、ローカルコントローラ、バイアスコントローラ
122a RF電力信号
122b RF電力信号
124a X信号
124b X信号
126a Y信号
126b Y信号
128a フィードフォワードおよび/またはフィードバック制御信号、制御信号、フィードバック制御信号、信号
128b フィードフォワードおよび/またはフィードバック制御信号、制御信号、フィードバック制御信号、信号
130 制御信号、同期またはトリガ信号、トリガ信号、トリガまたは同期信号、信号
130' 制御信号、同期またはトリガ信号、トリガまたは同期信号、信号
132 負荷
134 同期バイアス検出器
136 リンク
138 リンク
140 パルス同期出力ポート
142 デジタル通信ポート
144 RF出力ポート
148 RF入力ポート
150 デジタル通信ポート
152 パルス同期入力ポート
154 パルス同期信号
156 デジタル通信リンク
158 RF制御信号
160 制御信号ポート
210 RF信号
212 パルス、パルス信号
214 期間または領域
216 期間または領域
300 モジュール、hVIM
302 mVIE
304 eVIE 400 モジュール、hVIM
402 mVIE
404 eVIE
502 mVIE
504 eVIE
506a、506b...506n 固定キャパシタ
508a、508b...508n スイッチングデバイス
510a、510b...510n レッグ
600 モジュール
602 mVIE
604 eVIE
606a、608a、606b、608b...606n、608n ダイオード
610 スケーリング抵抗器
612 スケーリング抵抗器
614 スケーリング抵抗器
616 インダクタ
618 インダクタ
620 インダクタ
622 キャパシタ
624 キャパシタ
700 モジュール
702 mVIE
704 eVIE
706 キャパシタ
708 スイッチングデバイス
800 整合回路
802 インダクタ(L1)
812 RF電源
820 制御モジュール
824 hVIMコントローラ、コントローラ
828 hVIMコントローラ、コントローラ
830 整合回路コントローラ、コントローラ、整合コントローラ
832 負荷
836 入力信号
840 信号
844 信号
848 信号
852 信号
856 信号、出力信号
860 信号、出力信号
900 整合回路
902 変圧器(T1)
904 インダクタ(L1)
1000 整合回路
1002 キャパシタ(C1)
1004 インダクタ(L1)
1008 線
1022 インダクタL2、インダクタ
1024 ダイオード
1026 スイッチ
1028 フィルタキャパシタCO
1030 整合回路コントローラ、整合コントローラ
1104 領域
1108 領域
1110 線
1112 領域
1116 領域
1200 hVIMコントローラ
1204 複合フィルタ、フィルタ
1208 遅延
1212 mVIEコントローラ
1214 eVIEコントローラ
1218 誤差検出器
1222 mVIEサーボ機構(サーボ)、mVIEサーボ
1226 誤差検出器
1230 eVIEサーボ機構(サーボ)、eVIEサーボ
1234 加算器
1300 制御ループ
1304 eVIEコントローラ
1306 誤差検出器
1308 mVIEコントローラ
1310 加算器
1312 比例ループ
1314 加算器
1316 積分ループ
1318 誤差検出器
1320 クランプ
1322 比例ループ
1324 信号
1326 積分ループ
1328 信号
1330 加算器
1332 信号
1334 最大識別子ブロック
1336 eVIE誤差クランプ
1338 加算器
1340 クランプ
1344 eVIEアクチュエータ
1348 mVIEアクチュエータ
1400 制御モジュール、モジュールセクションまたはモジュール
1404 RF振幅制御モジュール
1408 RF周波数制御モジュール
1412 インピーダンス整合モジュール、モジュールセクションまたはモジュール
1416 再生モジュール
1420 振幅調整モジュール
1424 振幅更新モジュール
1428 再生モジュール
1432 周波数調整モジュール
1436 周波数更新モジュール
1440 mVIE調整モジュール、モジュールセクションまたはモジュール
1444 eVIE調整モジュール、モジュールセクションまたはモジュール
【国際調査報告】