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特表2024-534762ウィンドウ要素における使用のためのスイッチング層
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】ウィンドウ要素における使用のためのスイッチング層
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/137 20060101AFI20240918BHJP
   C09K 19/60 20060101ALI20240918BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20240918BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20240918BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20240918BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20240918BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240918BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240918BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20240918BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20240918BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G02F1/137 500
C09K19/60 Z
C09K19/54 B
C09K19/12
C09K19/30
C09K19/34
C09K19/60 A
G02F1/13 500
B32B7/023
B32B9/00 Z
E06B9/24 C
G02F1/1347
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507139
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2022071775
(87)【国際公開番号】W WO2023012202
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】21190139.2
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユンゲ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】バイエル,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
4F100
4H127
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088GA02
2H088GA13
2H088GA17
2H088JA05
2H088JA06
2H088JA13
2H088KA06
2H088KA07
2H088KA21
2H088MA02
2H189AA23
2H189AA30
2H189JA05
2H189JA06
2H189JA08
2H189KA03
4F100AH03A
4F100AH03B
4F100AH07A
4F100AH07B
4F100AK49E
4F100AS00A
4F100AS00B
4F100AT00C
4F100AT00E
4F100BA02
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA13A
4F100CA13B
4F100CA30A
4F100CA30B
4F100EJ18E
4F100EJ25E
4F100EJ64E
4F100GB07
4F100GB31
4F100JD08A
4F100JD08B
4F100JD14A
4F100JD14B
4F100JG01D
4F100JG01E
4F100JN01C
4F100JN01E
4F100JN08
4F100JN10A
4F100JN10B
4F100JN18A
4F100JN18B
4H127BA01
4H127BB03
4H127BB04
4H127BD02
4H127BD07
4H127BD10
4H127BD16
4H127BE04
4H127BE05
4H127CM04
4H127CQ04
4H127CU01
4H127CU04
4H127CW01
4H127CW04
4H127CX01
4H127CX05
4H127EA03
4H127EA09
4H127EA10
(57)【要約】
本発明は、2つのスイッチング層を含むウィンドウ要素に関し、ここでスイッチング層は各々、1以上の二色性染料を含有する液晶媒体を含み、およびここで光学的状態の一方において、両スイッチング層はともに、ねじれまたは超ねじれネマティックの立体配置を有し、ここで2つのスイッチング層の一方のねじれの掌性または螺旋性は、他方のスイッチング層に対しその方向が正反対である。本発明は、ウィンドウ要素に使用される組成物に、ならびにエネルギーが節約されかつ快適さが改善された建物および乗り物への適用のためのウィンドウ要素の使用に、さらに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の通過を調節するための多層配置を含み、および明状態と暗状態とにおいて作動可能であってかつその間で電気的にスイッチ可能である、ウィンドウ要素であり、
ここで多層配置が、第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層を含み、前記層の各々は、1以上の二色性染料と任意に1以上のキラル化合物とを含む液晶媒体を含有しており、
ここで前記状態の一方において、第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層が、ねじれネマティックまたは超ねじれネマティックの立体配置を有し、ならびに
ここで第1および第2のスイッチ可能層の一方のねじれ方向が、時計回りであって、かつ他方のスイッチ可能層のねじれ方向が、反時計回りである、前記ウィンドウ要素。
【請求項2】
第1スイッチ可能層に含有される液晶媒体および第2スイッチ可能層に含有される液晶媒体は各々、キラルドーパントを、好ましくは0.01重量%~5重量%の濃度で含み、
ここで好ましくは、夫々のキラルドーパントは、互いに立体異性体、とりわけ鏡像異性体である、請求項1に記載のウィンドウ要素。
【請求項3】
第1および第2のスイッチ可能層の各々に対し、以下の関係性
d * Δn<3.0μm
ここでdは、スイッチ可能層の各々の夫々の厚さであり、およびΔnは、スイッチ可能層の各々に含有される液晶媒体夫々の光学異方性である、
が適用され、
ここで好ましくは、d * Δn<2.0μm、およびより好ましくは、d * Δn<1.5μmである、請求項1または2に記載のウィンドウ要素。
【請求項4】
第1スイッチ可能層のピッチの大きさが、第2スイッチ可能層のピッチの大きさと25%以下の差で、好ましくは10%以下の差で異なり、および
ここで最も好ましくは、第1スイッチ可能層のピッチの大きさが、第2スイッチ可能層のピッチの大きさと同じである、請求項1~3のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項5】
多層配置が、この順で
- 第1透明基材、
- 第1電極層、
- 第1配列層、
- 第1スイッチ可能層、
- 第2配列層、
- 第2電極層、
- 第2透明基材、
- 任意に、結合層、接着層、または積層した層、
- 第3透明基材、
- 第3電極層、
- 第3配列層、
- 第2スイッチ可能層、
- 第4配列層、
- 第4電極層、および
- 第4透明基材
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項6】
多層配置が、この順で
- 第1透明基材、
- 第1電極層、
- 第1配列層、
- 第1スイッチ可能層、
- 第2配列層、
- 第2電極層、
- 第2透明基材、
- 第3電極層、
- 第3配列層、
- 第2スイッチ可能層、
- 第4配列層、
- 第4電極層、および
- 第3透明基材
を含み、
ここで第2配列層および第2電極層が、第2透明基材の第1表面上に配備されており、ならびに
ここで第3電極層および第3配列層が、第2透明基材の第2表面上に配備されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項7】
第1、第2、第3、および第4の配列層が、ポリイミドを含み、好ましくはラビング処理されたポリイミドから作られており、ならびに
ここでより好ましくは、第2配列層および第3配列層のラビング方向が、互いに直交している、請求項5または6に記載のウィンドウ要素。
【請求項8】
第1スイッチ可能層に含有される液晶媒体および第2スイッチ可能層に含有される液晶媒体が各々、少なくとも80℃の透明点を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項9】
第1スイッチ可能層に含有される液晶媒体および第2スイッチ可能層に含有される液晶媒体の誘電異方性の絶対値が各々、2.5以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項10】
第1スイッチ可能層に含有される液晶媒体および第2スイッチ可能層に含有される液晶媒体が各々、媒体の含量全体に基づき、式I
【化1】
で表される1以上のメソゲン化合物の少なくとも15重量%を含有しており、式中
R1およびR2は、相互に独立して、F、Cl、CF3、OCF3、および1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキルまたはアルコキシあるいは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルケニルから選択される基を表すが、前記アルキル/アルコキシ/アルケニルは、非置換であるか、CNもしくはCF3によって単置換されているか、またはハロゲンによって単-もしくは多置換されており、ここで1以上のCH2基は、各ケースにおいて相互に独立して、酸素原子が相互に直接連結されないように-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-C≡C-、
【化2】
によって置き換えられていてもよく、
A11は、
【化3】
を表し、
nは、0または1を表し、ならびに
A21、A31、およびA41は、相互に独立して、
【化4】
を表すが、式中Lは、各々の出現の際、まったく同じかまたは異なるように、F、Cl、およびBrから選択されるハロゲン、またはメチルである、
請求項1~9のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項11】
第1スイッチ可能層に含有される液晶媒体および第2スイッチ可能層に含有される液晶媒体が各々、式IIおよびIII
【化5】
で表される化合物の群から選択される1以上のメソゲン化合物をさらに含み、式中
R3、R4、R5、およびR6は、相互に独立して、F、CF3、OCF3、CN、および1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキルまたはアルコキシあるいは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルケニルから選択される基を表すが、前記アルキル/アルコキシ/アルケニルは、非置換であるか、CNもしくはCF3によって単置換されているか、またはハロゲンによって単-もしくは多置換されており、ここで1以上のCH2基は、各ケースにおいて相互に独立して、酸素原子が相互に直接連結されないように-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-C≡C-、
【化6】
によって置き換えられていてもよく、
L1、L2、L3、L4、およびL5は、相互に独立して、HまたはFを表し、ならびに
L6およびL7は、相互に独立して、Hまたはメチルを表す、
請求項1~10のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項12】
第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層の厚さが各々、20μmまたはこれを下回り、好ましくは15μmまたはこれを下回り、およびとりわけ10μmまたはこれを下回る、請求項1~11のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項13】
1以上の二色性染料が、アゾ染料、アントラキノン、メチン化合物、アゾメチン化合物、メロシアニン化合物、ナフトキノン、テトラジン、ピロメテン染料、マロノニトリル染料、リレン、とりわけペリレンおよびテリレン、チアジアゾール染料、チエノチアジアゾール染料、ベンゾチアジアゾール、チアジアゾロキノキサリン、ピロメテン、およびジケトピロロピロールから、好ましくはアゾ染料、アントラキノン、ベンゾチアジアゾール、ジケトピロロピロール、リレン、およびチアジアゾロキノキサリンから、ならびにより好ましくはアゾ染料、ベンゾチアジアゾール、およびチアジアゾロキノキサリンから選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項14】
ウィンドウ要素が、偏光子を包含していない、請求項1~13のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項15】
暗状態にあるウィンドウ要素が、DIN EN410に従って決定される、10%未満の、好ましくは5%未満の、およびより好ましくは3%未満の、可視光線透過度を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のウィンドウ要素。
【請求項16】
建物または乗り物のウィンドウにおける、請求項1~15のいずれか一項に記載のウィンドウ要素の使用。
【請求項17】
- 少なくとも80℃の透明点を有し、かつ1以上の二色性染料とキラルドーパントの立体異性体、好ましくはR-異性体とを含む、第1液晶媒体、および
- 少なくとも80℃の透明点を有し、かつ1以上の二色性染料と該キラルドーパントの別の立体異性体、好ましくはS-異性体とを含む、第2液晶媒体
を含む、一組の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのスイッチング層を含むウィンドウ要素に関し、ここでスイッチング層は各々、1以上の二色性染料を含有する液晶媒体を含み、およびここで光学的状態の一方において、両スイッチング層はともに、ねじれまたは超ねじれネマティックの立体配置を有し、ここで2つのスイッチング層の一方のねじれの掌性または螺旋性は、他方のスイッチング層に対しその方向が正反対である。本発明は、ウィンドウ要素に使用される組成物に、ならびにエネルギーが節約されかつ快適さが改善された建物および乗り物への適用のためのウィンドウ要素の使用に、さらに関する。
【背景技術】
【0002】
光の透過を制御またはモジュレートするためのデバイスは、一般的にディスプレー用途に使用されているが、これらは、例として所謂スマートウィンドウ用途にも使用される場合がある。R.Baetensらは「Properties, requirements and possibilities of smart windows for dynamic daylight and solar energy control in buildings: A state-of-the-art review」,Solar Energy Materials & Solar Cells,94(2010),87~105頁において、種々のダイナミック(dynamic)スマートウィンドウを概説している。そこに記載のとおり、スマートウィンドウは、エレクトロクロミズムに基づくデバイス、液晶デバイス、および電気泳動デバイスまたは懸濁粒子デバイスなどの、光の透過率をモジュレートするための数種の技術を使用し得る。
【0003】
光シャッターおよび光強度モジュレーター、とりわけ液晶ベースの光モジュレーターは、建築の、自動車の、鉄道の、航空電子工学の、および船舶の用途へのスイッチ可能なウィンドウに使用されることもある。
【0004】
かかるデバイスにおいて、光の透過は可逆的に変化させることができ、ここで入射光の強度は和らげられるか(attenuated)、弱められるか(dimmed)、または薄い色がつけられてもよい(tinted)。よってこれらのデバイスは、明状態と暗状態とにおいて操作させることができ、明状態と暗状態との間で、すなわち相対的により高い光透過率の状態と相対的により低い光透過率の状態との間でスイッチさせることができる一方で、しかしながら、好ましくは(preferably)操作の異なる状態において散乱も霞みもほとんど呈さないかまたはまったく呈さない。
【0005】
液晶ベースのデバイスにおいて、異なる光学的状態間でのスイッチングがまた、熱的にも制御させることができる一方、そのデバイスが、電圧の印加によってスイッチングが制御される電気的スイッチングを使用して、異なる光学的状態を取り入れることも、多くのケースにおいて有利かつ好適に好ましい。かかる液晶ベースのデバイスは原則として、透過率の変化をもたらす電場を印加することによって2つの導電性電極間の液晶(LC)分子の配向の変化を採用する。
【0006】
原則として、数種のモードまたは立体配置が、かかる可逆的な透過の変化を提供するために採用されてもよい。ねじれネマティック(TN)、超ねじれネマティック(STN)、および垂直配列(VA)の液晶セルには、偏光子が光透過率を制御するために一般的に使用されている。二色性染料分子がドープされた液晶ホストをベースとするゲスト-ホスト液晶セルを使用することもまた、実行可能である。これらのゲスト-ホスト系は、光透過率を変更するいずれの偏光子もなく、使用され得る。しかしながら、いくつかの態様および用途において、ゲスト-ホスト液晶セルはまた、少なくとも1の偏光子と組み合わせても使用される。
【0007】
WO 2017/118465 A1は、二色性染料ドープ(-doped)液晶媒体を含有しかつスイッチング状態の一方においてねじれ立体配置を有するスイッチ可能層を含む、部屋への光の侵入を調節するためのデバイスを記載する。
【0008】
WO 2014/180525 A1は、光の通過を調節するためのデバイスを記載し、ここでデバイスは、2つのスイッチング層を含み、とりわけ所謂二重セル配置で提供され、およびここで2つのスイッチング層は各々、1以上の二色性染料を含有する液晶媒体を含む。それら態様の1つにおいて、スイッチング層は、ねじれ配置を有していてもよい。
【0009】
当該技術分野において、光の通過を調節するための、汎用性がありかつ適応性のあるデバイス、とりわけ効果的かつ効率的なスイッチング性能を与えるスイッチ可能なウィンドウに対するニーズが依然としてある。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の目的は、多層配置およびウィンドウ要素、とりわけ、建築の、自動車の、航空電子工学の、および船舶の用途へのスイッチ可能なウィンドウまたはスマートウィンドウにおける使用のための多層配置およびウィンドウ要素を提供することであり、前記多層配置およびウィンドウ要素は、外乱光の都合良い(favourable)制御を提供し得かつ操作最中の有利な性能を有し得、とりわけ電気光学的特徴の観点から利益を与え得る。有利なことにこれらのデバイスに有用である組成物を提供することがさらなる目的である。本発明のさらなる目的は、当業者にとって以下の詳細な記載から即座に明らかである。
【0011】
目的は、独立クレームに定義される主題によって解決される一方、好ましい態様は、夫々の従属クレームで表され、さらに下に記載される。
【0012】
本発明はとりわけ、主な側面、好ましい態様、および具体的な特色を包含する以下の事項を提供し、これらは夫々、単独でおよび組み合わせて、上の目的の解決に寄与し、結局は追加の利点を提供する。
【0013】
本発明の第1の側面は、光の通過を調節するための多層配置を含み、および明状態と暗状態とにおいて作動可能であってかつその間で電気的にスイッチ可能であるウィンドウ要素を提供し、ここで多層配置は、第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層を含み、前記層の各々は、1以上の二色性染料と任意に1以上のキラル化合物とを含む液晶媒体を含有しており、ここで前記状態の一方において、第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層は、ねじれネマティックまたは超ねじれネマティックの立体配置を有し、ならびにここで第1および第2のスイッチ可能層の一方のねじれ方向は、時計回りであって、かつ他方のスイッチ可能層のねじれ方向が、反時計回りである。
【0014】
本発明に従うと、2つのスイッチング層を含む有利な多層集合体が立体配置されており、ここでこれらの集合体は好都合には(favourably)、建築の、自動車の、航空電子工学の、および船舶の用途へのスイッチ可能なウィンドウに使用され得る。多層配置は、所望の場合に、明状態と暗状態との間のスイッチ能力(switchability)、とりわけ電気的スイッチ能力を担保させることによって光透過率の変化を提供することにおいて、殊更有用かつ効率的である。
【0015】
本発明において、ウィンドウ要素の層配置において2つのスイッチング層の組み合わせを提供することは、原則として、好都合には高い透過範囲、とりわけ光学的明状態と光学的暗状態との間の好適に大きな透過差異を与え得ることが認識された。加えて、スイッチング性能はさらに、スイッチング状態の一方において、好ましくは暗状態において、ねじれまたは超ねじれ立体配置を提供することによって都合良い影響が及ぼされ得ることも認識された。
【0016】
さらに、多層配置の各層は、例として不要な反射または不要な吸収を通した光学的損失を考慮すると、ウィンドウ要素の光学性能に影響を及ぼし得るかまたは影響を与え得ることがさらに認識された。したがって、デバイスの有効性および効率を維持するか、またはこれらを増強さえすることが所望される。
【0017】
驚くべきことに、効果的かつ効率的な光学性能、とりわけ電気光学性能を有する多層配置を含むウィンドウ要素が、正反対のキラリティーもしくは掌性を有するねじれまたは超ねじれ立体配置をもつ2つのスイッチング層を包含する、すなわち光学的状態の一方において、好ましくは暗状態において、スイッチング層の一方が右巻きのまたは夫々時計回りのねじれを呈するのに対し、他方のスイッチング層が左巻きのまたは夫々反時計回りのねじれを呈することによって得られ得ることが見出された。
【0018】
2つのスイッチング層が同じ掌性を有する、すなわち2つの層が両方とも時計回りのねじれを有するかまたは夫々2つの層が両方とも反時計回りのねじれを有するケールと比較して、驚くべきことに、数種の利益が、正反対のねじれ方向を有するスイッチング層を組み合わせている本発明に従うウィンドウ要素を提供することによって得られ得ることが見出された。
【0019】
とりわけ、本発明に従うウィンドウ要素は、光学的明状態と光学的暗状態との間のより大きな透過差異を達成し得、ここでとくに、透過がより一層小さいより効果的な暗状態が有利なことに、優れた明状態を維持しながら得ることができる。これは、それら状態の一方において最小限の光透過率しか許容しない(例として、非常に暗いもしくは黒い見え(appearance)を与える)ことが所望されているかまたは必要でさえある用途に殊更有用である。加えて、この規定はよって、好都合には、明状態と暗状態との間の改善されたコントラストを与え得る。さらにまた、本発明に従うウィンドウ要素は、所望されるコントラストと色の見えとの両方に関する視野角依存性の点で利益を与え得るが、ここで視野角に関しコントラストまたは色のアーチファクト(artefacts)の不要な角度依存性は、最小化され得るかまたは回避さえされ得る。これによって、コントラストおよび色度座標の一貫した設定がいともたやすくなり、例として湾曲した層および基材に対しても設計の選択肢が与えられる。さらにまた、本発明に従うウィンドウ要素は、ねじれの開始方向によって配列されたとき、日中の方向性のある太陽光を管理する点で利益を与え得る。
【0020】
理論によって拘束されることは望まないが、同じキラリティーまたは掌性の2つのスイッチング層が順次提供されており、かつ多層配置上への光の入射がこうして両スイッチング層を連続して通過したとき、所望または想定されるその光の光学的特徴は、例として、光の直線偏光した成分が意図せず転換されて、楕円偏光した成分または部分的にのみ偏光した成分になるという点で、影響を受けかつ影響を及ぼされると考えられるが、前記転換された成分は、結局はウィンドウ要素を抜け出る光の光学的特徴を損ね得るものであって、よって、例えば、透過特性、得ることができるコントラスト、および視野角依存性の点で、光学性能に影響を与える。光が、本発明に従い提供されるとおりの正反対のキラリティーまたは掌性を有する2つのスイッチング層を順々に通過するとき、光学的品質もしくは光学的特徴の不要なまたは意図しない損失は、最小化され得るかまたは回避さえされ得るとさらに考えられるが、ここで正反対の掌性を提供することによって、有利なことに、第2スイッチング層は、第1スイッチング層によって、ことによるとさらに先行する他の層によってもまた引き起こされる、不要な光学的効果またはアーチファクトを補償し得る。このように、明状態の透過率に関しては大きな透過範囲を有しつつ光透過率が減少した優れた暗状態を包含する光学性能の利益が得ることができる。
【0021】
本発明に従うウィンドウ要素は、立体配置および集合の容易さを考えると、簡便かつ確固たるプロセスにおいて提供され得る。
【0022】
本発明に従うウィンドウ要素はまた、好適な信頼性、耐久性、および安定性など、例として電気的破壊および光安定性、とりわけUV光安定性、ならびに好都合には低いスイッチング電圧および低いエネルギー消費に関するさらなる利益も与え得る。この点において、本発明に従うと、化学的特性、物理的特性、および電気光学特性が改善された液晶媒体は、好都合におよび有利なことに使用されてもよく、ここでその媒体はとりわけ、好適に高い透明点、好都合には高い電圧保持比(VHR)、良好な低温安定性、および保管に好適な安定性をもつ広い液晶相を有し得る。
【0023】
加えて、デバイスは、より大きなウィンドウに所望される大きなデバイス面積の至る所にもまた、高速の、効率的な、および一様なスイッチングを示し得る。
【0024】
本発明に従うウィンドウ要素は、光の通過を調節またはモジュレートするのに、とりわけ日光の通過を制御するのに有用である。ウィンドウ要素は、可逆的な光学遷移を経ることが可能であり、ここでかかるスイッチングは高速であり、典型的には1秒未満のオーダーである。好ましくは、デバイスは、電圧(electrical voltage)を印加することによって、状態間で便利にスイッチされ得る。
【0025】
さらにまた、ウィンドウ要素は、最小スペース要件で取り付けられ得、このことは、例として既存の天幕またはブラインドとの比較において、有意な利点を担保し得る。本発明に従うウィンドウ要素は、有利なことに、建物の外正面のウィンドウに採用されてもよいが、車、商用の乗り物、列車、航空機、船舶等々へもまた使用されてもよい。
【0026】
したがって、本発明の別の側面は、建物または乗り物のウィンドウにおける、本発明に従うウィンドウ要素の使用に関する。
【0027】
ウィンドウ要素は、とりわけ、点灯、冷却、および/または加熱に関してエネルギー節約を与えることによって、ならびに例として維持の点で、生活環にプラスの影響を与えつつ、加えて改善された熱的および視覚的快適さを提供することによって、建物および乗り物における持続可能なグレージング(glazing)用途に使用され得る。
【0028】
本発明のさらなる側面において、
- 少なくとも80℃の透明点を有し、かつ1以上の二色性染料とキラルドーパントの立体異性体、好ましくはR-異性体とを含む、第1液晶媒体、および
- 少なくとも80℃の透明点を有し、かつ1以上の二色性染料と該キラルドーパントの別の立体異性体、好ましくはS-異性体とを含む、第2液晶媒体
を含む、一組の組成物が提供される。
【0029】
2つの別々の組成物を包含するこれらの組または系は、有利なことに、ウィンドウ要素の2つのスイッチング層に夫々使用される材料として簡便なやり方で提供または供給され得る。
【0030】
本発明をそれらによって限定することなく、以下において本発明は側面、態様、および具体的な特色の詳細な記載によって説明され、具体的な態様はより詳細に記載される。
【0031】
用語「液晶」(LC)は本明細書において、好ましくは、いくつかの温度範囲において液晶中間相を有する材料または媒体に関する(温度転移型(thermotropic)LC)。それらは、メソゲン化合物を含有している。
【0032】
用語「メソゲン化合物」および「液晶化合物」は、1以上の棒状(calamitic)(ロッド(rod)型もしくはボード/ラス(lath)型)または円盤状(discotic)(円盤型)のメソゲン基、すなわち液晶相挙動または中間相挙動の誘導能のある基を含む化合物を意味する。
【0033】
LC化合物または材料およびメソゲン基を含むメソゲン化合物または材料は、液晶相それ自体を必ずしも呈さなくてもない。それらは、他の化合物との混合物においてのみ液晶相挙動を示すこともまた可能である。これは、低分子量の非反応性液晶化合物、反応性または重合性液晶化合物、および液晶ポリマーを包含する。
【0034】
棒状メソゲン化合物は大抵、互いに直接的にもしくは連結基を介して接続された1以上の芳香族のまたは非芳香族の環式の基からなるメソゲンのコアを含み、メソゲンのコアの端へ付着された末端基を任意に含み、およびメソゲンのコアの長手側へ付着された1以上の側基を任意に含み、ここでこれらの末端基および側基は大抵、例として、カルビル基もしくはヒドロカルビル基、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ等々といった極性基、または重合性基から選択される。
【0035】
簡素化のため、用語「液晶」または「液晶」材料もしくは媒体は、液晶の材料または媒体とメソゲンの材料または媒体(逆の場合も同じ)との両方に対して使用され、用語「メソゲン」は、材料のメソゲン基に対し使用される。
【0036】
用語「非メソゲン化合物または材料」は、上に定義されるとおりのメソゲン基は含有しない化合物または材料を意味する。
【0037】
用語「キラル(の)」は一般に、その鏡像と重ね合わせることができない物体を記載するために使用される。これに反して、「アキラル(の)」(非キラル(の))物体は、それらの鏡像と同一の物体である。本発明に従い好ましく使用される媒体は、キラリティーを呈する。これは、キラルのネマチック液晶としても知られているコレステリック液晶を提供することによって達成され得る。キラルのネマチック(の)およびコレステリック(の)という用語は、本明細書中、別様に明示的に述べられていない限り、同義的に使用される。
【0038】
本明細書中、1,4-シクロヘキシレン環および1,4-フェニレン環は、以下のとおりに描かれる:
【化1】
【化2】
【0039】
シクロヘキシレン環は、trans-1,4-シクロヘキシレン環である。
本明細書中、別様に明示的に述べられていない限り、すべての濃度は、重量パーセントで与えられ、夫々の完全混合物に関する。
【0040】
すべての温度は、百分度(セ氏、℃)で与えられ、温度差もすべて百分度で与えられる。すべての物理的特性および物理化学的または電気光学的パラメータは、別様に明示的に述べられていない限り、20℃の温度に対して決定され、与えられる。
【0041】
本発明の目的において、エネルギーという用語は、とりわけUV-A、VIS、およびNIRの領域における電磁放射線によるエネルギーを意味するものと解釈される。とりわけ、それは、ウィンドウに大抵使用される材料(例えば、ガラス)によって吸収されないかまたは無視できる程度にしか吸収されない、放射線によるエネルギーを意味するものと解釈される。本明細書中、UV-A領域は320nmから380nmまでの波長範囲を意味するものと解釈され、VIS領域は380nmから780nmまでの波長範囲を意味するものと解釈され、およびNIR領域は780nmから2500nmまでの波長範囲を意味するものと解釈される。
【0042】
光という用語はとりわけ、380nmから780nmまでの波長を有する電磁放射線を意味するものと解釈される。したがって、光の透過および散乱は好ましくは、380nmから780nmまでのスペクトル範囲にある電磁放射線の透過および散乱を指す。
【0043】
本明細書中、二色性染料は、吸収特性が光の偏光方向に対する化合物の配向に依存する光吸収化合物を意味するものと解釈される。本発明に従う二色性染料化合物は典型的には、細長い形状を有する、すなわち化合物は、空間的なある方向において、すなわちその縦軸に沿って、他の空間的な2つの方向においてより有意に長い。典型的には二色性染料は、光を吸収する目的でホスト液晶に溶解されており、ここで染料分子は、液晶とともに配列され、電場を印加した際に液晶分子とともに配向され得る。好ましくは、本明細書に使用される二色性染料は、可視波長範囲において吸収極大を有する。二色性染料は当業者に知られており、文献において、例としてLiquid Crystals: Applications and Uses,Volumes 1-3,edited by Birenda Bahadur,World Scientific,1992.Chapter 11: Dichroic Liquid Crystal Displaysにおいて十分記載されている。
【0044】
用語「フィルム」および「層」は、程度の差はあるが機械的安定性が顕著な、リジッドもしくはフレキシブルな自立式(self-supporting)または自立型(freestanding)のフィルムあるいは層を包含し、ならびにコーティングまたは層は支持基材上または2つの基材間にある。
【0045】
ウィンドウ要素は、好ましくはおよび好適には、ウィンドウの成分としておよび例えばさらなる付属品(fittings)と一緒に使用され、骨組み(framing)は、例として建物もしくは乗り物におけるおよびファサード(facades)としての、または内部パーティションにおける開口部に対し、ウィンドウを提供するために使用されてもよい。
【0046】
スイッチ可能層は、基材上または2つの基材間に配置され得る。スイッチ可能層は一般には、活性材料、すなわち光学的挙動、とりわけ層を通過する光の透過挙動に影響を及ぼす変化を可逆的に経り得る材料、かつ異なる光学的状態において作動可能であって、とりわけ電気的にスイッチ可能である材料を含有している。
【0047】
本発明に従うスイッチングは、とりわけ電気的スイッチングを意味する。電気的スイッチングは典型的には、基材、例としてガラス基材またはプラスチック基材を電極とともに提供することによって達成され得る。ある態様において、電気伝導(electrically conductive)層は基材上に提供され、ここで導電(conductive)層は、透明導電性材料、例として透明導電性の酸化物、好ましくはインジウムスズ酸化物(ITO)もしくはSnO2:F、とりわけITO、または導電性ポリマー、または薄く透明な金属層および/もしくは金属酸化物層、例えば銀を含むか、あるいはこれらから形成される。電気伝導層は好ましくは、電気的接続部とともに提供される。電圧は、好ましくはバッテリー、再充電可能なバッテリー、スーパーキャパシタ、または外部の電流供給源によって、より好ましくは外部の電流供給源によって供給される。
【0048】
多層配置、とりわけ入射光を受ける第1層の表面から始まりこの光が連続してすべての層を通過するように積み重ねられた複数の層を含む、本発明に従うウィンドウ要素が提供される。
【0049】
ウィンドウ要素は、明状態と暗状態とにおいて作動可能であって、かつ明状態と暗状態との間で電気的にスイッチ可能であり、ここで前記状態の一方において、第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層は、ねじれネマティックまたは超ねじれネマティックの立体配置を有する。スイッチ可能層は、暗状態においてねじれネマティックまたは超ねじれネマティックの立体配置を呈することが好ましい。このケースにおいて、両スイッチング層の液晶媒体に含有される二色性化合物は、デバイスを通して光を相当程度吸収しよって光透過率を効果的に和らげ得るように、ねじれて配向される。
【0050】
本発明に従って提供されるとおりのねじれネマティックまたは超ねじれネマティックの立体配置は、所謂ねじれネマティック(TN)モード、所謂超ねじれネマティック(STN)モードを、また垂直配列-超ねじれネマティック(VA-STN)モードなどの反転モードも、包含し得る。
ウィンドウ要素のスイッチングは好ましくは、2進状態間のスイッチングを指す。
【0051】
本発明に従うと、スイッチ可能層を含むウィンドウ要素は、光学的明状態と光学的暗状態との間でスイッチ可能である。この点において、明状態は、暗状態と比較してより大きな光透過度を有する。明状態と暗状態との両方とも、好ましくは非散乱または実質的に非散乱である。
【0052】
明状態において、本発明に従うスイッチ可能層を含むウィンドウ要素は好ましくは、DIN EN410に従って決定される、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、なおより好ましくは少なくとも45%の可視光線透過度を有する。
【0053】
暗状態において、本発明に従うスイッチ可能層を含むウィンドウ要素は好ましくは、DIN EN410に従って決定される、10%未満、より好ましくは5%未満、なおより好ましくは3%未満の可視光線透過度を有する。好ましい態様において、暗状態において、スイッチ可能層を含むウィンドウ要素は、DIN EN410に従って決定される、1%から5%までの範囲の、より好ましくは2%から8%までの範囲の可視光線透過度を有する。
【0054】
しかしながら、スイッチ可能層、多層配置、およびウィンドウ要素にとって、さらなるスイッチング状態、とりわけ中間状態を有することもまた実行可能である。
【0055】
都合良い光学異方性に加えて、本発明に従うスイッチ可能層に含まれる液晶媒体は、有利なことに、好都合には高い電圧保持比(VHR)を、良好な光安定性および好適に高い透明点と組み合わせて呈し得る。
【0056】
好ましくは、第1スイッチ可能層に含有される液晶媒体および第2スイッチ可能層に含有される液晶媒体は各々、80℃以上、より好ましくは90℃以上、なおより好ましくは100℃以上、とりわけ115℃以上の透明点を有する。媒体は各々、80℃から170℃まで、より好ましくは100℃から150℃までの範囲において透明点を有することが好ましい。
【0057】
すべての物理的な特性および物理化学的または電気光学的パラメータは、一般に知られている方法によって、とりわけ「Merck Liquid Crystals,Physical Properties of Liquid Crystals」,Status Nov.1997,Merck KGaA,Germanyに従って決定される。
【0058】
透明点、とりわけネマチック相またはキラルのネマチック相もしくはコレステリック相の夫々と等方性の相との間の相転移温度は、例としてメトラー(Mettler)オーブンまたは偏光顕微鏡下でのホットステージを使用する、一般的に知られている方法によって測定、決定され得る。本発明に従う透明点は好ましくは、メトラーオーブンを使用して決定される。
【0059】
定義されるとおりの高い透明点は、多層配置および多層配置を含むデバイスの性能ならびに信頼性の点で有益であり得る。とりわけ媒体は、好適に広い温度範囲にわたり、また高温にても、その機能特性を維持し得る。これは、日光の通過を調節するためのウィンドウ要素における使用に、とくにウィンドウ要素が日光による直接的なまたは持続的な照射へ晒されているときに、殊更有利であり得る。高い透明点は、液晶ホスト分子、ゆえに二色性染料ゲスト分子の典型的な動作温度での好都合に高い秩序度(これはスイッチング状態間で得ることができるコントラストを増大させ得る)へも寄与し得る。
【0060】
好ましくは、第1スイッチ可能層のピッチの大きさは、第2スイッチ可能層のピッチの大きさと、25%以下の差で、より好ましくは10%以下の差で異なる。第1スイッチ可能層のピッチの大きさは、第2スイッチ可能層のピッチの大きさと同じかまたは実質的に同じであることが殊更好ましい。
【0061】
同様のまたは同じピッチの大きさの規定は、好都合には、層における不要な光学的アーチファクトを効率的に補償すること、よってスイッチ可能なウィンドウ要素の有利な電気光学的特徴を得ることへ寄与し得る。
【0062】
ピッチは本明細書中、コレステリックの螺旋のピッチpを意味し、ここでピッチpは、キラルLCまたはコレステリックLCの配向軸(導波器(director))が2π回転を経るための距離である。
【0063】
ピッチは好ましくは、選択反射極大波長λmaxのNIR分光測定から、とりわけ20℃にて決定される。ピッチpは、λmaxの測定値から方程式λmax = n(λmax) * pを使用して決定され、式中n(λmax)は、λmaxでの屈折率である。
【0064】
とりわけ20℃にて、螺旋誘起力(helical twisting power)HTPを測定し、決定されたピッチを確認するために、当該技術分野において知られているウェッジセル(wedge cell)方法を使用することもまた実行可能である。
目下提供されるとおりのコレステリックのまたはキラルのネマチック媒体は好ましくは、相対的に長いピッチ、とりわけ780nmより大きいブラッグ(Bragg)型反射与えるピッチを有し、すなわちコレステリック媒体による可視光の反射は、好都合には回避または排除される。
【0065】
螺旋の回転方向、すなわちねじれ方向は、時計回り、すなわち右巻きであってもよく、または夫々反時計回り、すなわち左巻きであってもよい。
2つのスイッチ可能層を順次通過する入射光の経路に関し、夫々の掌性および螺旋形のねじれまたはねじ様の旋回が存在する。
【0066】
本発明に従う、第1スイッチ可能層のキラルのまたはコレステリックの螺旋は、第2スイッチ可能層のコレステリックの螺旋に関して正反対の掌性を呈する。
第1スイッチ可能層に含有される液晶媒体および第2スイッチ可能層に含有される液晶媒体の誘電異方性の絶対値は各々、2.5以上、より好ましくは3.0以上であることが好ましい。
【0067】
上および下にて、Δεは誘電異方性を表し、ここでΔε=ε|| -εである。誘電異方性Δεは、20℃および1kHzにて決定される。
【0068】
好ましい態様において、本発明に従う第1および第2スイッチ可能層に含まれる液晶媒体は、正の誘電異方性を有する。このケースにおいて、好ましいのは、3から45までの範囲にある、より好ましくは5から30までの範囲にある誘電異方性Δεを有する液晶混合物である。
【0069】
代替態様において、しかしながら、負の誘電異方性を有するLC媒体を提供することもまた実行可能である。このケースにおいて、好ましいのは、-6から-3までの範囲にある誘電異方性Δεを有する液晶混合物である。
第1および第2スイッチ可能層に含有される本発明に従う液晶媒体は各々、1以上の多色性染料、とりわけ1以上の二色性染料を含有する。
【0070】
液晶媒体に任意に使用される二色性染料(単数または複数)の吸収極大は、具体的に限定されないが、黄色領域(Y)、マゼンタ色領域(M)、またはシアン色領域(C)において吸収極大を有することが好ましい。本発明の液晶媒体に好ましく使用される二色性染料は、単一の化合物または複数の染料の組み合わせであってもよい。数種の染料が混合されているとき、Y領域、M領域、およびC領域の夫々において吸収極大を有する二色性染料の混合物を使用することが好ましい。二色性染料は、当業者に知られており、例えばCowling,Stephen J.,Liquid Crystal Dyes,in: Handbook of Liquid Crystals,Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.KGaA(2014)において概説されている。黄色染料、マゼンタ色染料、およびシアン色染料を混合することによって全色を表示する方法は「Colour Chemistry」(Sumio Tokita,Maruzen Company,Limited,1982による)に具体的に記載されている。黄色領域は430~490nmの範囲、マゼンタ色領域は500~580nmの範囲、およびシアン色領域は600~700nmの範囲にある。
【0071】
二色性染料に使用される発色団は、具体的に限定されないが、アゾ染料、アズレン染料、アントラキノン染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ベンゾチアゾール染料、ベンゾチアジアゾール染料、チアジアゾロキノキサリン染料、ジチオベンゾキノン、ペリレン染料、メロシアニン染料、アゾメチン染料、フタロペリレン染料、インジゴ染料、アズレン染料、ジオキサジン染料、テトラジン染料、ポリチオフェン染料、ナフト(naphth)イミダゾ-4,9-ジオン染料、およびフェノキサジン染料を使用することが好ましい。
【0072】
液晶媒体は各々、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の異なる二色性染料、殊更好ましくは2または3つの二色性染料を含む。
本発明に従う好ましい染料は、アゾ染料、ペリレン染料、アントラキノン染料、ベンゾチアゾール染料、およびベンゾチアジアゾール染料、より好ましくはアゾ染料およびベンゾチアジアゾール染料、およびとりわけベンゾチアジアゾール染料である。
【0073】
アゾ染料は、モノアゾ染料、ビスアゾ染料、トリスアゾ染料、テトラキスアゾ染料、およびペンタキスアゾ染料などのいずれかの個数のアゾ基を、好ましくはモノアゾ染料、ビスアゾ染料、およびトリスアゾ染料を含有していていもよい。
アゾ染料に含有される環状構造は好ましくは、アリール基および/またはヘテロアリール基である。
【0074】
好ましいアリール基は、例えば、親構造のベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオレン、インデン等々に由来する。
【0075】
好ましいヘテロアリール基は、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジンなどの6員環、もしくはインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフト(naphth)イミダゾール、フェナントル(phenanthr)イミダゾール、ピリジ(pyrid)イミダゾール、ピリジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトキサゾール、アントロ(anthr)オキサゾール、フェナントルオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ジヒドロチエノ[3,4-b]-1,4-ダイオキシン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェンなどの縮合基、またはこれらの基の組み合わせである。
【0076】
アリール基およびヘテロアリール基はまた、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、フッ素、フルオロアルキルによっても置換されていてよく、またはさらなるアリール基もしくはヘテロアリール基によって置換されていてもよい。
【0077】
好ましい態様において、液晶媒体は、式染料-1、染料-2、および染料-3で表される化合物の群から選択される1以上の二色性染料を含む:
【化3】
【0078】
加えてまたは代替的に、上に記載の染料と等価な効果を有することが知られている染料の他のタイプもまた、好ましくは使用されてもよい。
【0079】
1以上の二色性染料の各々は、好ましくは、媒体全体の全重量に基づき0.005重量%~12.5重量%、より好ましくは0.01重量%~10重量%、なおより好ましくは0.025重量%~7.5重量%、さらになおより好ましくは0.05重量%~5重量%、なお一層より好ましくは0.1重量%~2.5重量%、殊更好ましくは0.25重量%~1重量%の割合で夫々の液晶媒体に存在する。
【0080】
好ましくは、1以上の二色性染料は、0.01重量%~30重量%、より好ましくは0.025重量%~25重量%、なおより好ましくは0.05重量%~15重量%、なお一層より好ましくは0.1重量%~10重量%、殊更好ましくは0.5重量%~5重量%の範囲にある総濃度で夫々の全液晶媒体に存在する。
【0081】
染料(単数または複数)の濃度は好ましくは、得られるモジュレーション材料の適切な性能がとりわけ所望される色および/または調光効果の点で確保されるように選ばれる。
【0082】
ある態様において、媒体または夫々のスイッチ可能層に任意に含有される二色性染料の吸収スペクトルは好ましくは、目への黒色の印象が生じるように相互に補完する。好ましくは2以上の、より好ましくは3以上の二色性染料が、好ましくは可視スペクトルの大部分を占めるために、液晶媒体において使用される。目には黒色または灰色に見える染料の混合物が調製され得る正確なやり方は、当該技術分野において知られており、例えば、M.Richter,Einfuehrung in die Farbmetrik[Introduction to Colorimetry],2nd Edition,1981,ISBN 3 11-008209-8,Walter de Gruyter & Coに記載されている。
【0083】
別の態様において、異なる色、例として赤色、緑色、または青色の設定が実施される。
【0084】
染料の混合物の色の場所(location)の設定は、比色分析の分野において記載されている。この目的で、個々の染料のスペクトルは、スペクトル全体を与えるようにランベルト-ベールの法則を考慮して算出され、比色分析の規則に従い、対応する色の場所および関連照明下での輝度値(例えば、昼光に対する発光体D65)へ変換される。白色点の位置は、夫々の発光体、例えばD65によって固定され、表において、例えば上の参照において引用される。異なる色の場所は、様々な染料の割合を変化させることによって設定され得る。
【0085】
好ましくは、二色性化合物は、液晶媒体において溶液で存在する。
二色性化合物は好ましくは、とりわけ光のVIS領域および/またはNIR領域において、高い二色比、都合の良い色純度、および大きな消衰係数、加えて好適な耐光性および液晶媒体における好適な可溶性を呈する。
【0086】
好ましい態様において、LC媒体中の二色性化合物は、合計して全可視スペクトルを占める吸収を有する。このようにして、中間色(colour-neutral)または黒い見えが得られることもある。かかる中間色の見えは、色のアーチファクトまたは残留色が最小化または回避されるべき用途において、例としてあるスマートウィンドウ用途において、好都合であり得る。
【0087】
1以上の近赤外染料を組成物中に包含することが有利であり得ることが、さらに見出された。この規定は好都合には、不要な色のアーチファクト(例として、赤色発光)が回避または少なくとも実質的に低減され得るように、可視スペクトルにおける残留蛍光を最小化または回避さえするすることへ寄与し得る。
【0088】
殊更好ましい態様において、ウィンドウ要素のLC媒体は、少なくとも1の紫色染料、少なくとも1の青色染料、少なくとも1の黄色染料、少なくとも1の赤色染料、および少なくとも1の近赤外染料を含む。
二色性化合物は好ましくは、正の二色性染料、すなわち正の度合いの異方性Rを有する染料である。
【0089】
異方性Rの度合いは、染料を含むLC混合物について、光の偏光の方向と比べて分子の平行配列および垂直配列の消衰係数の値から決定される。
本発明に従う異方性Rの度合いは好ましくは、0.4より大きい、より好ましくは0.6より大きい、なおより好ましくは0.7より大きい、とりわけ0.8より大きい。
【0090】
吸収は好ましくは、光の偏光方向が二色性化合物の最長の分子伸長の方向に平行であるとき極大に達し、それは好ましくは、光の偏光方向が二色性化合物の最長の分子伸長の方向に垂直であるとき極小に達する。
【0091】
ある態様において、二色性染料は、好ましくはB.Bahadur,Liquid Crystals - Applications and Uses,Vol.3,1992,World Scientific Publishing,Section 11.2.1において指し示される染料クラスから、殊更好ましくは本明細書に存在する表において与えられる明示化合物から選択される。
【0092】
好ましい態様において、二色性染料は、アゾ染料、アントラキノン、メチン化合物、アゾメチン化合物、メロシアニン化合物、ナフトキノン、テトラジン、ピロメテン染料、マロノニトリル染料、リレン、とりわけペリレンおよびテリレン、チアジアゾール染料、チエノチアジアゾール染料、ベンゾチアジアゾール、チアジアゾロキノキサリン、ピロメテン、ならびにジケトピロロピロールから選択される。殊更好ましいのは、アゾ化合物、アントラキノン、ベンゾチアジアゾール、とりわけWO 2014/187529に記載のとおりのもの、ジケトピロロピロール、とりわけWO 2015/090497に記載のとおりのもの、リレン、とりわけWO 2014/090373に記載のとおりのもの、およびチアジアゾロキノキサリン誘導体、とりわけWO 2016/177449に記載のとおりのものである。二色性染料は、アゾ染料、ベンゾチアジアゾール、および/またはチアジアゾロキノキサリンから選択されることが殊更好ましい。
【0093】
LC媒体に存在していてもよい、殊更好ましい二色性染料の例は、下に示される
【化4】
【0094】
【化5】
【0095】
【化6】
【0096】
【化7】
【0097】
本発明に従う第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層に含まれるとおりの液晶媒体は、媒体の含量全体に基づき、少なくとも15重量%の式I
【化8】
で表される1以上のメソゲン化合物を含有するのが殊更好ましく、式中
R1およびR2は、、相互に独立して、F、Cl、CF3、OCF3、および1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキルまたはアルコキシあるいは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルケニルから選択される基を表し、前記アルキル/アルコキシ/アルケニルは、非置換であるか、CNもしくはCF3によって単置換されているか、またはハロゲンによって単-もしくは多置換されており、ならびにここで1以上のCH2基は、各ケースにおいて相互に独立して、酸素原子が相互に直接連結されないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-C≡C-、
【化9】
によって置き換えられていてもよく、
A11は、
【化10】
を表し、
nは、0または1を表し、ならびに
A21、A31、およびA41は、相互に独立して、
【化11】
を表し、式中Lは、各々の出現の際、まったく同じにまたは異なるように、F、Cl、およびBrから選択されるハロゲン、またはメチルである。
【0098】
ある態様において、液晶媒体は各々、上および下に表されるとおりの式Iで表される1以上の化合物を、媒体の含量全体に基づき、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、とりわけ少なくとも35重量%の量で含有している。
【0099】
ある態様において、式Iで表される1以上の化合物は、夫々の媒体において、媒体の含量全体に基づき、15重量%から75重量%まで、より好ましくは20重量%から65重量%まで、なおより好ましくは20重量%から55重量%まで、とりわけ25重量%から50重量%までの範囲にある量で含有されている。
【0100】
第1および第2スイッチ可能層中の培地は各々よって好ましくは、式Iで表される少なくとも1の化合物を含む。多くのケースにおいて、しかしながら、式Iで表される2、3以上の化合物が夫々の媒体に含有されていることが有益であって好ましいこともある。
【0101】
好ましくは、基A11は、式Iにおいて定義されるとおり、
【化12】
を表す。
【0102】
別の態様において、nは、式Iにおいて定義されるとおり、0を表す。
好ましい態様において、式Iで表される1以上の化合物は、式Ia、Ib、およびIc
【化13】
【化14】
で表される化合物から、より好ましくは式IaおよびIbで表される化合物から選択され、式中
R1およびR2は、相互に独立して、F、Cl、CF3、OCF3、および1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキルまたはアルコキシあるいは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルケニルから選択される基を表し、前記アルキル/アルコキシ/アルケニルは、非置換であるか、CNもしくはCF3によって単置換されているか、またはハロゲンによって単-もしくは多置換されており、ならびにここで1以上のCH2基は、各ケースにおいて相互に独立して、酸素原子が相互に直接連結されないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-C≡C-によって置き換えられていてもよく、好ましくは、F、CF3、OCF3、1~9個の炭素原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルコキシ、または2~9個の炭素原子を有するアルケニルから選択される基を表し、ならびに
Lは、各々の出現の際、まったく同じにまたは異なって、H、またはF、Cl、およびBrから、好ましくはFおよびClから選択されるハロゲンであり、より好ましくは各々の出現の際、まったく同じにまたは異なって、HまたはFである。
【0103】
式Iで表される化合物のフェニレン環が置換されているケースにおいて、置換基(単数または複数)はFであること、さらにまた末端の基R1およびR2はClを含有していないことが殊更好ましい。
【0104】
好ましい態様において、媒体に包含されるCl含有化合物の量は限定されており、媒体の含量全体に基づき、好ましくは55重量%以下に、より好ましくは40重量%以下に、なおより好ましくは25重量%以下に限定されている。殊更好ましい態様において、液晶媒体は、Clを含有しない化合物を含有する。
【0105】
結果的に、上述および下述のとおりの式Iで表される化合物からなるLC媒体の成分においてCl含有化合物の量を、媒体に含まれる式Iで表される化合物の含量全体に基づき、好ましくは55重量%以下に、より好ましくは40重量%以下に、なおより好ましくは25重量%以下に限定することもまた、好ましい。殊更好ましい態様において、式Iで表される1以上の化合物は、Clを含有しない化合物から選択される。
【0106】
式Iに従う環A21、A31、およびA41の少なくとも1つは、少なくとも1つのF置換基を有することがさらにまた殊更好ましい。式Iに従う環A21、A31、およびA41は一緒に、少なくとも2つのF置換基を有することがさらにまた殊更好ましい。
【0107】
ある態様において、媒体におけるCN含有化合物の使用は好ましくは、好ましくは75重量%以下に、より好ましくは50重量%以下に、なおより好ましくは25重量%以下に、とりわけ15重量%以下に限定されており、具体的な態様においては完全に回避されている。
【0108】
式Iで表される1以上の化合物に加えて、第1スイッチング層における液晶媒体は好ましくは、1以上のさらなるメソゲン化合物を含有する。媒体の都合良い特性、例として良好なVHRおよび都合良い安定性へ寄与するまたはこれを維持するという観点から、これらの追加の化合物もまた加えられることが好ましい。
【0109】
好ましくは、本発明に従う第1および第2スイッチ可能層に含まれる液晶媒体は、好ましくは式Iで表される1以上の化合物に加えて、式IIおよびIII
【化15】
で表される化合物の群から選択される1以上のメソゲン化合物を包含し、式中
R3、R4、R5、およびR6は、相互に独立して、F、CF3、OCF3、CN、および1~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキルまたはアルコキシあるいは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルケニルから選択される基を表し、前記アルキル/アルコキシ/アルケニルは、非置換であるか、CNもしくはCF3によって単置換されているか、またはハロゲンによって単-もしくは多置換されており、ならびにここで1以上のCH2基は、各ケースにおいて相互に独立して、酸素原子が相互に直接連結されないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-C≡C-、
【化16】
によって置き換えられていてもよく、
L1、L2、L3、L4、およびL5は、相互に独立して、HまたはFを表し、ならびに
L6およびL7は、相互に独立して、Hまたはメチルを表す。
【0110】
ある態様において、液晶媒体は各々、式IIで表される1以上のメソゲン化合物を含む。
別の態様において、液晶媒体は各々、式IIIで表される1以上のメソゲン化合物を含む。
【0111】
夫々の媒体は、媒体の含量全体に基づき、少なくとも15重量%の式Iで表される1以上のメソゲン化合物と、式IIおよびIIIで表される化合物の群から選択される1以上のメソゲン化合物とを含有することが好ましい。
夫々の媒体は、上述のとおりの式Iで表される1以上の化合物、式IIで表される1以上の化合物、および式IIIで表される1以上の化合物を含むことが殊更好ましい。
【0112】
好ましくは、第1および第2スイッチ可能層における液晶媒体は、式IV
【化17】
で表される1以上の化合物をさらに含み、式中
R7は、1~15個の炭素原子、好ましくは1~7個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキルまたはアルコキシ、あるいは2~15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルケニルを表し、これらは、非置換であるか、CNもしくはCF3によって単置換されているか、またはハロゲンによって単-もしくは多置換されており、ならびにここで1以上のCH2基は、各ケースにおいて相互に独立して、酸素原子が相互に直接連結されないように、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、または-C≡C-によって置き換えられていてもよく、
iは、0、1、または2であり、
L6およびL7は、相互に独立して、HまたはFであり、ならびに
X1は、F、CF3、OCF3、またはCNを表す。
【0113】
式IIで表される化合物は好ましくは、夫々の媒体において、1重量%から45重量%まで、より好ましくは5重量%から25重量%までの合計濃度で使用される。
式IIIで表される化合物は好ましくは、夫々の媒体において、1重量%から45重量%まで、より好ましくは5重量%から25重量%までの合計濃度で使用される。
【0114】
式IVで表される化合物は好ましくは、夫々の媒体において、1重量%から45重量%まで、より好ましくは5重量%から25重量%までの合計濃度で使用される。
媒体は、上述および下述のとおりの式Iで表される1以上の化合物、式IIで表される1以上の化合物、式IIIで表される1以上の化合物、および式IVで表される1以上の化合物を含むことが殊更好ましい。
【0115】
殊更好ましい態様において、式Iで表される1以上の化合物の1以上は、式I-1およびI-2
【化18】
で表される化合物から選択され、式中
R1およびR2は、上の式Iaについて定義されたとおりであり、ならびに
Lは、各々の出現の際、まったく同じにまたは異なって、HまたはFである。
【0116】
任意に、媒体は、物理的特性を調整するためにさらなる液晶化合物を含んでいてもよい。かかる化合物は、当該分野において知られている。媒体においてこれらの任意にさらに包含される液晶化合物の濃度は、好ましくは0重量%から30重量%まで、より好ましくは0.1重量%から20重量%まで、最も好ましくは1重量%から15重量%までである。
【0117】
ある態様において、夫々の液晶媒体は本発明に従い使用されるとき、好ましくは、式CY、PY、およびAC
【化19】
【化20】
で表される化合物の群から選択される1以上の化合物を含み、式中
aは、1または2を表し、
bは、0または1を表し、
cは、0、1または2を表し、
dは、0または1を表し、
【化21】
は、
【化22】
を表し、ならびに
【化23】
は、
【化24】
を表し、
【化25】
は、
【化26】
を表し、
R1、R2、RAC1、およびRAC2は各々、相互に独立して、1~12個のC原子を有するアルキルを表し、ここで加えて、1つまたは2つの非隣接CH2基は、O原子が相互に直接連結されないように、
【化27】
-O-、-CH=CH-、-CO-、-OCO-、または-COO-によって置き換えられていてもよく、好ましくは、1~6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、
Zx、Zy、およびZACは各々、相互に独立して、-CH2CH2-、-CH=CH-、-CF2O-、-OCF2-、-CH2O-、-OCH2-、-CO-O-、-O-CO-、-C2F4-、-CF=CF-、-CH=CH-CH2O-、または単結合、好ましくは単結合を表し、ならびに
L1~4は各々、相互に独立して、F、Cl、CN、OCF3、CF3、CH3、CH2F、またはCHF2、好ましくはFを表す。
【0118】
好ましくは、L1およびL2の両方ともFを表すか、またはL1およびL2の一方がFを表しかつ他方がClを表し、ならびにL3およびL4の両方ともFを表すか、またはL3およびL4の一方がFを表しかつ他方がClを表す。
【0119】
液晶媒体は本発明に従い使用されるとき、式CY、PY、およびACで表される化合物から選択される1以上の化合物を、媒体の含量全体に基づき、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも25重量%、なおより好ましくは少なくとも30重量%、一層より好ましくは少なくとも35重量%、さらにより好ましくは少なくとも40重量%、殊更好ましくは少なくとも50重量%の量で含有することが殊更好ましい。
【0120】
式ACで表される化合物は好ましくは、以下の式:
【化28】
で表される化合物の群から選択され、式中R3およびR4は、上述のとおりのRAC1およびRAC2の意味を有する。
【0121】
液晶媒体は本発明に従い使用されるとき、さらなる添加剤を通例の濃度で含有していてもよい。これらのさらなる構成物質の合計濃度は、合計した混合物に基づき、0%~10%、好ましくは0.1%~6%の範囲にある。各々使用される個々の化合物の濃度は、好ましくは0.1%~3%の範囲にある。本明細書中、液晶媒体の液晶成分および化合物の濃度の値および範囲について、これらのおよび同様の添加剤の濃度は考慮に入れない。別様に明示的に指し示されていない限り、これはまた、混合物において任意に使用される二色性染料の濃度についても適用でき、ホスト混合物の成分の化合物夫々の濃度が特定されているときはカウントされない。夫々の添加剤の濃度は常に、最終ドープ混合物に対する所定の相対値である。
【0122】
本明細書中、別様に明示的に述べられていない限り、すべての濃度は、重量パーセントで与えられる。
【0123】
液晶媒体は本発明に従い使用されるとき、数種の化合物、好ましくは3~30種の、より好ましくは4~20種の、最も好ましくは4~16種の化合物からなる。これらの化合物は、従来のやり方で混合される。原則として、より少ない量で使用される、必要量の化合物は、より多い量で使用される化合物に溶解されている。温度が、より高い濃度で使用される化合物の透明点を上回るケースにおいて、溶解プロセスの完了を観察することは殊更容易である。しかしながら、他の従来のやり方によって、例として、所謂プレ(pre-)混合物(これは例として、化合物の相同のもしくは共晶の混合物であり得る)を使用して、または所謂マルチボトル(multi-bottle)系(この構成物質は、混合物自体をすぐに使える)を使用して、媒体を調製することもまた実行可能である。
【0124】
上および下に記載のメソゲン化合物またはそれらの混合物の多くは、市販されている。これらの化合物は、知られているか、または文献において(例えば、Houben-Weyl,Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry],Georg-Thieme-Verlag,Stuttgartなどの標準的な著作物において)記載されるとおりそれ自体が知られている方法によって、正確に言うと知られている反応条件下であって該反応に好適な反応条件下で調製され得るか、のいずれかである。ここで、それ自体は知られているバリアントの使用もまたなされてもよいが、ここではより詳細には言及されていない。本発明に従う媒体は、従来のやり方それ自体で調製される。一般に成分は、相互に、好ましくは高温にて、溶解されている。好適な添加剤または物質は、液晶相の誘電異方性、粘度、および/または配列を修飾するために加えられ得る。
【0125】
媒体は、安定剤、抗酸化剤、フリーラジカル捕捉剤、連鎖移動剤、例としてチオエーテル、および/または可塑剤などの慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0126】
用語「アルキル」は本発明に従うと、好ましくは、1~7個の炭素原子を有する直鎖および分枝状のアルキル基、殊更直鎖の基メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびへプチルを網羅する。2~5個の炭素原子を有する基は、一般に好ましい。
【0127】
アルコキシは、直鎖または分枝状であり得、直鎖であって1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個の炭素原子を有することが好ましく、結果的に好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、またはヘプトキシである。
【0128】
用語「アルケニル」は本発明に従うと、好ましくは、2~7個の炭素原子を有する直鎖および分枝状のアルケニル基、とりわけ直鎖の基を網羅する。殊更好ましいアルケニル基は、C2-C7-1E-アルケニル、C4-C7-3E-アルケニル、C5-C7-4E-アルケニル、C6-C7-5E-アルケニル、およびC7-6E-アルケニル、とりわけC2-C7-1E-アルケニル、C4-C7-3E-アルケニル、およびC5-C7-4E-アルケニルである。好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E-プロペニル、1E-ブテニル、1E-ペンテニル、1E-ヘキセニル、1E-ヘプテニル、3-ブテニル、3E-ペンテニル、3E-ヘキセニル、3E-ヘプテニル、4-ペンテニル、4Z-ヘキセニル、4E-ヘキセニル、4Z-ヘプテニル、5-ヘキセニル、および6-ヘプテニルである。最大5個までの炭素原子を有する基は、一般に好ましい。
【0129】
フッ素化されたアルキルまたはアルコキシは、好ましくは、CF3、OCF3、CFH2、OCFH2、CF2H、OCF2H、C2F5、OC2F5、CFHCF3、CFHCF2H、CFHCFH2、CH2CF3、CH2CF2H、CH2CFH2、CF2CF2H、CF2CFH2、OCFHCF3、OCFHCF2H、OCFHCFH2、OCH2CF3、OCH2CF2H、OCH2CFH2、OCF2CF2H、OCF2CFH2、C3F7、またはOC3F7、とりわけCF3、OCF3、CF2H、OCF2H、C2F5、OC2F5、CFHCF3、CFHCF2H、CFHCFH2、CF2CF2H、CF2CFH2、OCFHCF3、OCFHCF2H、OCFHCFH2、OCF2CF2H、OCF2CFH2、C3F7、またはOC3F7、殊更好ましくはOCF3またはOCF2Hを含む。フルオロアルキルは好ましい態様において、末端フッ素をもつ直鎖の基、すなわちフルオロメチル、2-フルオロエチル、3-フルオロプロピル、4-フルオロブチル、5-フルオロペンチル、6-フルオロヘキシル、および7-フルオロへプチルを網羅する。しかしながら、フッ素の他の位置も除外はされない。
【0130】
オキサアルキルは好ましくは、式CnH2n+1-O-(CH2)mで表される直鎖の基を網羅し、ここでnおよびmは各々、相互に独立して、1から6までである。好ましくは、n=1、およびmは1~6である。
【0131】
オキサアルキルは好ましくは、直鎖の2-オキサプロピル(=メトキシメチル)、2-(=エトキシメチル)もしくは3-オキサブチル(=2-メトキシエチル)、2-、3-もしくは4-オキサペンチル、2-、3-、4-もしくは5-オキサヘキシル、2-、3-、4-、5-もしくは6-オキサへプチル、2-、3-、4-、5-、6-もしくは7-オキサオクチル、2-、3-、4-、5-、6-、7-もしくは8-オキサノニル、または2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-もしくは9-オキサデシルである。
ハロゲンは、好ましくはFまたはCl、とりわけFである。
【0132】
上に言及される基の1つが、1つのCH2基が-CH=CH-によって置き換えられているアルキル基である場合、これは直鎖または分枝状であり得る。それは好ましくは、直鎖であって、かつ2~10個の炭素原子を有する。結果的にそれは、とりわけビニル、プロパ-1-またはプロパ-2-エニル、ブタ-1-、-2-またはブタ-3-エニル、ペンタ-1-、-2-、-3-またはペンタ-4-エニル、ヘキサ-1-、-2-、-3-、-4-またはヘキサ-5-エニル、へプタ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-またはへプタ-6-エニル、オクタ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-またはオクタ-7-エニル、ノナ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-、-7-またはノナ-8-エニル、デカ-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-、-7-、-8-またはデカ-9-エニルである。
【0133】
上に言及される基の1つが、1つのCH2基が-O-によって置き換えられておりかつ1つが-CO-によって置き換えられているアルキル基である場合、これらは好ましくは、隣接している。これらはよって、アシルオキシ基-CO-O-またはオキシカルボニル基-O-CO-を含有する。これらは好ましくは、直鎖であって、かつ2~6個の炭素原子を有する。
【0134】
それらは結果的に、とりわけアセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2-アセチルオキシエチル、2-プロピオニルオキシエチル、2-ブチリルオキシエチル、3-アセチルオキシプロピル、3-プロピオニルオキシプロピル、4-アセチルオキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2-(メトキシカルボニル)エチル、2-(エトキシカルボニル)エチル、2-(プロポキシカルボニル)エチル、3-(メトキシカルボニル)プロピル、3-(エトキシカルボニル)プロピルまたは4-(メトキシカルボニル)ブチルである。
【0135】
上に言及される基の1つが、1つのCH2基が非置換のまたは置換された-CH=CH-によって置き換えられており、かつ隣接するCH2基がCO、CO-O、またはO-COによって置き換えられているアルキル基である場合、これは直鎖または分枝状であり得る。それは好ましくは、直鎖であって、かつ4~13個の炭素原子を有する。結果的に、それは、とりわけアクリロイルオキシメチル、2-アクリロイルオキシエチル、3-アクリロイルオキシプロピル、4-アクリロイルオキシブチル、5-アクリロイルオキシペンチル、6-アクリロイルオキシヘキシル、7-アクリロイルオキシへプチル、8-アクリロイルオキシオクチル、9-アクリロイルオキシノニル、10-アクリロイルオキシデシル、メタクリロイルオキシメチル、2-メタクリロイルオキシエチル、3-メタクリロイルオキシプロピル、4-メタクリロイルオキシブチル、5-メタクリロイルオキシペンチル、6-メタクリロイルオキシヘキシル、7-メタクリロイルオキシへプチル、8-メタクリロイルオキシオクチル、または9-メタクリロイルオキシノニルである。
【0136】
上に言及される基の1つが、CNもしくはCF3によって単置換されているアルキル基またはアルケニル基である場合、この基は、好ましくは直鎖である。CNまたはCF3による置換は、いずれの位置でもある。
【0137】
上に言及される基の1つが、少なくともハロゲンによって単置換されているアルキル基またはアルケニル基である場合、この基は、好ましくは直鎖であり、ハロゲンは、好ましくはFまたはCl、より好ましくはFである。多置換のケースにおいて、ハロゲンは、好ましくはFである。その結果得られる基はまた、全フッ素置換された基も包含する。単置換のケースにおいて、フルオロまたはクロロ置換基は、いずれの所望の位置でもあり得るが、好ましくはω位置にある。
【0138】
分枝状の基を含有する化合物は、いくつかの従来の液晶基材におけるより良好な可溶性のせいで時折重要なこともある。しかしながら、それらは、光学活性がある場合、キラルドーパントとして殊更好適である。
【0139】
このタイプの分枝状の基は一般に、1以下の鎖の分枝を含有する。好ましい分枝状の基は、イソプロピル、2-ブチル(=1-メチルプロピル)、イソブチル(=2-メチルプロピル)、2-メチルブチル、イソペンチル(=3-メチルブチル)、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、イソプロポキシ、2-メチルプロポキシ、2-メチルブトキシ、3-メチルブトキシ、2-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、2-エチルヘキソキシ、1-メチルヘキソキシ、または1-メチルヘプトキシである。
【0140】
上に言及される基の1つが、2以上のCH2基が-O-および/または-CO-O-によって置き換えられているアルキル基である場合、これは直鎖または分枝状であり得る。それは好ましくは、分枝状であって、かつ3~12個の炭素原子を有する。結果的にそれは、とりわけビスカルボキシメチル、2,2-ビスカルボキシエチル、3,3-ビスカルボキシプロピル、4,4-ビスカルボキシブチル、5,5-ビスカルボキシペンチル、6,6-ビスカルボキシヘキシル、7,7-ビスカルボキシへプチル、8,8-ビスカルボキシオクチル、9,9-ビスカルボキシノニル、10,10-ビスカルボキシデシル、ビス(メトキシカルボニル)メチル、2,2-ビス(メトキシカルボニル)エチル、3,3-ビス(メトキシカルボニル)プロピル、4,4-ビス(メトキシカルボニル)ブチル、5,5-ビス(メトキシカルボニル)ペンチル、6,6-ビス(メトキシカルボニル)ヘキシル、7,7-ビス(メトキシカルボニル)へプチル、8,8-ビス(メトキシカルボニル)オクチル、ビス(エトキシカルボニル)メチル、2,2-ビス(エトキシカルボニル)エチル、3,3-ビス(エトキシカルボニル)プロピル、4,4-ビス(エトキシカルボニル)ブチル、または5,5-ビス(エトキシカルボニル)ペンチルである。
【0141】
第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層は各々、20μmまたはこれを下回り、好ましくは15μmまたはこれを下回り、とりわけ10μmまたはこれを下回ることが好ましい。驚くべきことに、好都合な光学性能はまた、とくに層厚が相対的に小さいケースにおいても得られることがあり、とりわけ暗状態において効率的な調光を与える。第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層は、同じ厚さを有することが殊更好ましく、同じ層厚が、同じピッチの大きさと組み合わせて設定されることがなおより好ましい。この規定は、好都合には、光学的アーチファクトの効率的な補償の達成に貢献し得る
【0142】
ある態様において、本発明に従うスイッチ可能層は好ましくは、本明細書中dとしても表され、1μmから30μmまで、より好ましくは2μmから25μmまで、なおより好ましくは3μmから18μmまで、とりわけ4μmから12μmまでの範囲にある厚さを有する。
【0143】
スイッチ可能層の適切な厚さを維持するために、スペーサーは、スイッチ可能層のセルギャップ内に包含されていてもよい。典型的にはスペーサーは、直径がセルギャップの範囲にある球状の形状を有する。例えば、ポリマーまたはガラスから作られた、直径が予め決められた球状の形状を有する非導電性スペーサーが使用されてもよい。いくつかの態様において、粘着性スペーサー、すなわち表面へより良好に接着するいくつかの固有の接着特徴を有するスペーサーを提供することは有用であり得る。例として望ましくない光の漏出を回避または最小化するために、黒色スペーサーを使用することもまた有用であり得る。いくつかの態様において、黒色および粘着性のスペーサーを使用することがとくに有益であり得る。代替的に、セル厚は、他の好適な手段によって、例としてカラムスペーサーを使用することによって、設定または維持されてもよい。カラムスペーサーはまた、区画を与えるようにも形成されてよく、よって任意に、自由にカット可能な(free-cuttable)構造を可能にさせる。いくつかの態様において、スイッチング層はよって、例として長方形のまたはハニカムの構造を使用して、各々液晶媒体を含有する隔離区画を含んでいてもよい。
【0144】
第1および第2スイッチ可能層における液晶媒体は好ましくは、好適な光学異方性Δnを呈し、これはまた、複屈折としても知られている。好ましい態様において、第1および第2スイッチ可能層に含まれる液晶媒体は、0.03から0.30まで、より好ましくは0.04から0.20まで、なおより好ましくは0.05から0.13までの範囲にある、20℃および589nmにて決定される光学異方性Δnを呈する。
【0145】
上および下において、Dnは、光学異方性を表し、ここでΔn = ne - no、および光学異方性Dnは、20℃および589.3nmの波長にて決定される。
【0146】
第1および第2スイッチ可能層の各々に対し、以下の関係性
d * Δn<3.0μm
ここでdは、各スイッチング層の夫々の厚さであり、ならびにΔnは、各スイッチング層に含有される液晶媒体夫々の光学異方性、とりわけ589.3nmおよび20℃にて決定される前記光学異方性である、
が適用されるのが殊更好ましい。
【0147】
驚くべきことに、産物の層厚および光学異方性に対して定義されるとおりに上限を設定することによって、優れた暗状態が得られつつ、加えて大きなスイッチング範囲が提供されることに都合良く貢献し得ることが見出された。
第1および第2スイッチ可能層の各々について、d * Δn<2.0μm、とりわけd * Δn<1.5μmがさらにより好ましい。
【0148】
さらなる態様において、第1および第2スイッチ可能層は、両層夫々についてd * Δnが3.0μm以上、例えば3.0μmから7.0μmまでの範囲にあるように提供される。より大きな層厚に対してはまた、例えば不要なセル厚もしくはギャップバリエーションもしくはセル基材の欠陥もしくはガラス波形などの不規則性に関するデバイスの相違またはずれを、例として補償あるいは軽減することによって、さらなる性能利益も得られ得ることが見出された。
【0149】
2つの液晶ベースのスイッチング層、とりわけ所謂染料ドープまたはゲスト-ホスト液晶スイッチング層を包含するウィンドウ要素が、光強度の全体的な低減を所望または要求される場合に産生するために、すなわち霞みは最小化または回避さえされ続けながら光を軽減または光を調光するためのスイッチング能力を与えるために、提供される。
【0150】
スイッチ可能なウィンドウ要素はこのように、少なくとも2つのスイッチ可能層を含む層構造を有し、ここで第1および第2スイッチ可能層は各々、1以上の二色性染料を含み、好ましくは同じ染料(単数または複数)を含有する。ウィンドウ要素は、配列層およびそのタイプならびに液晶材料が任意に提供されて、種々のやり方で、とりわけ電極の立体配置の点で配置および立体配置され得、しかしながらここでウィンドウ要素は、多層配置において光を調光するためのスイッチング能力および透過率の全体的な変化を与えるように提供される。
【0151】
とりわけ、第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層は、所謂セルにおいて個別にまたは個々に提供され得、これは次いで、とりわけ例として積層または接着剤を使用する結合によって、所謂二重セルとして組み合わされて立体配置される。このケースにおいて、各セルは2つの基材を含む。代替的に、第1および第2スイッチ可能層は、積み重ねられて提供されてもよく、ここで両スイッチ可能層はともに、スイッチ可能層間に配置された共通の基材を共有する。
【0152】
したがって、ある態様において、ウィンドウ要素の多層配置は、この順で
- 第1透明基材、
- 第1電極層、
- 第1配列層、
- 第1スイッチ可能層、
- 第2配列層、
- 第2電極層、
- 第2透明基材、
- 任意に、結合層、接着層、または積層した層、
- 第3透明基材、
- 第3電極層、
- 第3配列層、
- 第2スイッチ可能層、
- 第4配列層、
- 第4電極層、および
- 第4透明基材
を含む。
【0153】
この態様において、2つのスイッチ可能な光学セルは組み合わされて、所謂二重セルを形成するが、ここで二重セルは、正反対のねじれ方向を呈するねじれまたは超ねじれスイッチング層を有する。
【0154】
結合層、接着層、または積層した層の提供は好ましく、改善された機械的安定性を与え、屈折率を好適に調和することによって、あり得る光学的損失を減少させる。電極層は、好ましくはおよび有利には、透明導電層として配置される。
【0155】
このケースにおいて、第1スイッチング層および第2スイッチング層は各々、好ましくは透明導電層として配置された電極を夫々支持する2つの各透明基材間に差し込まれており、ここで好ましくは、透明導電層は夫々、酸化ケイ素または窒化ケイ素の層などの2つの透明誘電体層間に包埋されており、およびここでスイッチング層と直接接触する配列層が、さらに提供される。
【0156】
代替態様において、ウィンドウ要素の多層配置は、この順で
- 第1透明基材、
- 第1電極層、
- 第1配列層、
- 第1スイッチ可能層、
- 第2配列層、
- 第2電極層、
- 第2透明基材、
- 第3電極層、
- 第3配列層、
- 第2スイッチ可能層、
- 第4配列層、
- 第4電極層、および
- 第3透明基材
を含み、ここで第2配列層および第2電極層は、第2透明基材の第1表面上に配備または配置され、ならびにここで第3電極層および第3配列層は、第2透明基材の第2表面に配備または配置される。
【0157】
上に記載のとおりのスイッチ可能な光学セルは、電気的にスイッチ可能であり、ここで電場の存在下またはその夫々の不在下において、スイッチ可能層は、ねじれ立体配置または超ねじれ立体配置を有し、ここでとりわけ暗状態において、スイッチ可能層材料は、ねじれネマティック相または夫々超ねじれネマティック相を呈する。
【0158】
配列層または配向層、例としてポリイミド(PI)から作らているものは、基材上に提供されることが好ましい。電気的導電層および配列層は、基材上に一緒に提供されることが殊更好ましい。このケースにおいて、配向層または配列層は、配列層がLC媒体と接触するように導電層の最上部上に提供される。配列層、好ましくはポリイミド層は、とりわけ界面にて、液晶媒体の分子の均一配向もしくは平面配向または代替的にホモトロピック配向を提供するように、配置されてもよい。
【0159】
ある態様において、ラビング処理された(rubbed)ポリイミドは、所謂ねじれネマティック(TN)幾何学的形状で使用されるとき、方向に差異を、とりわけ90°またはおよそ90°の方向で差異を有する両基材上に使用される。いくつかの態様において、所謂プレチルト(pre-tilt)角は、所望のとおりに設定され得られ得る。TN立体配置において、ねじれ角は、典型的には90°またはおよそ90°である。代替的に、立体配置は、超ねじれネマティック(STN)立体配置で設定され得るが、ここでねじれ角は90°を超え、典型的には90°超えから270°まで及ぶ。しかしながら、本STN立体配置はまた、270°を超えるねじれ角を呈することも実行可能である。このSTN立体配置にとって、ねじれ角は、180°またはおよそ180°であることが殊更好ましい。
【0160】
第1および第2スイッチ可能層にとって好ましい立体配置は、TN立体配置、STN立体配置、垂直配列-ねじれネマティック(VA-TN)立体配置、および垂直配列-超ねじれネマティック(VA-STN)立体配置である。この点において、TNおよびVA-TNにとってねじれ角は、0°超から90°を包含するまでに及んでもよく、STNおよびVA-STNにとってねじれ角は、90°を超える。
【0161】
好ましくは、第1、第2、第3、および第4の配列層は、ポリイミドを含み、好ましくは、ラビング処理されたポリイミドから作られている。
【0162】
とくにTN立体配置にとって、第2配列層および第3配列層のラビング方向は、互いに直交することが殊更好ましい。この規定は、好都合には、光の平行偏光成分と垂直偏光成分との両方を和らげる、全体的に最適化された効率または少なくとも増大した効率へ寄与し得る。
【0163】
代替的に、第2配列層のラビング方向と第3配列層のラビング方向との間の角度は、90°とは異なる(例として、0°により近い角度、とりわけ0°)こともまた、しかしながら実行可能である。
【0164】
不動態化層または障壁層を基材上に提供することもまた実行可能であるが、代替的に配列層に加えて、例として酸化ケイ素または窒化ケイ素を含む不動態化層、好ましくは酸化ケイ素または窒化ケイ素からなる不動態化層を提供することもまた実行可能である。不動態化層と配列層との両方とも基材上に提供されるケースにおいて、これらは、配列層が最上位になるように、すなわちはLC媒体と接触するように配置される。
【0165】
第1スイッチ可能層に含有される液晶媒体および第2スイッチ可能層は各々、1以上のキラル化合物を含むことが好ましい。液晶媒体は、よって好ましくは、コレステリックのまたはキラルネマチックの媒体である。
配列層の提供に加えて、キラル化合物は、スイッチ可能層において所望されるねじれをならびに所望されるねじれ方向を確実に設定することへ寄与し得る。
【0166】
第1スイッチ可能層に含有される液晶媒体および第2スイッチ可能層に含有される液晶媒体は各々、キラルドーパント、好ましくは相対的に高い螺旋誘起力(HTP)、例として中位~高いHTPを有するキラルドーパントを含むことが殊更好ましい。この規定は、キラル化合物(単数または複数)の低濃度での媒体への添加を可能にする。
【0167】
第1および第2スイッチ可能層の各々に含有される液晶媒体は、キラルドーパントを、0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.03重量%から2.50重量%まで、なおより好ましくは0.05重量%から1.00重量%までの濃度で含むことが好ましい。
【0168】
本発明に従うと、第1および第2スイッチ可能層におけるねじれ方向は、互いに正反対である。キラル化合物は、結果的に、層の一方のねじれが時計回りに設定され、かつ他方の層のねじれが反時計回りに設定されるように選ばれる。
【0169】
好ましい態様において、2つのスイッチ可能層に使用される夫々のキラルドーパントは、互いの立体異性体、とりわけ鏡像異性体である。殊更好ましい態様において、2つのスイッチ可能層は夫々、キラルドーパントのR-異性体およびS-異性体を含有する。好適なまたは対応する鏡像異性体を使用することもまた、実行可能である。媒体に使用される各異性体のドーパント濃度は夫々同じであることが殊更好ましい。この規定は、両液晶媒体の調製を、これらがキラルドーパントのキラリティー、すなわち異性体または鏡像異性体の形態を除いて同一であってもよい点で容易にし得る。対応する異性体または鏡像異性体を同じ濃度で使用することはまた、好都合には、不要な光学的アーチファクトの効果的かつ効率的な補償の達成にも貢献し得る。
【0170】
この点において、2つのスイッチ可能層は、同じ厚さを有することが、ならびに2つの媒体は、同じ二色性染料を、好ましくは同じ濃度で含有し、および同じキラルドーパントの鏡像異性体を、好ましくは同じ濃度で含有することが、殊更好ましい。
【0171】
キラルのまたはコレステリックの媒体は、例えばネマチックLC媒体を高いねじれ力を有するキラルドーパントでドープすることによって、調製され得る。誘導されたコレステリック螺旋のピッチpは次いで、キラルドーパントの濃度cおよび螺旋誘起力HTPによって、方程式(1):
p = (HTP c)-1 (1)
に従い与えられる。
【0172】
例えば、個々のドーパントのHTPの温度依存性を補償するため、よって螺旋ピッチの小さい温度依存性を達成するため、2以上のドーパントを使用することもまた実行可能である。合計のHTP(HTP合計)については、こうしておよそ方程式(2):
HTP合計 = Σi ci HTPi (2)
が成り立ち、式中ciは、個々のドーパントの各濃度であり、およびHTPiは、個々のドーパントの各々の螺旋誘起力である。
【0173】
第1および第2スイッチ可能層における液晶媒体は好ましくは、1以上のキラル化合物およびとりわけキラルドーパントを含有している。キラルドーパントは好ましくは、HTPの高い絶対値を有し、一般に、相対的に低い濃度でメソゲンベースの混合物へ、また染料ドープ混合物へも、加えられ得、アキラル成分において良好な可溶性を有する。2以上のキラル化合物が採用される場合、それらは、同じ方向または正反対の方向の回転、および同じ温度依存性または正反対の温度依存性のねじれを有していてもよい。
【0174】
好ましくは、第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層に含まれる液晶媒体に含有される1以上のキラル化合物は夫々、好ましくはMerck KGaAからの商用の液晶混合物MLC-6828において、5μm-1以上の、より好ましくは10μm-1以上の、なおより好ましくは15μm-1以上の螺旋誘起力の絶対値を有している。殊更好ましいのは、好ましくはMerck KGaAからの商用の液晶混合物MLC-6828において、20μm-1以上の、より好ましくは40μm-1以上の、なおより好ましくは60μm-1以上の、最も好ましくは80μm-1以上~260μm-1以下の範囲にある螺旋誘起力(HTP)の絶対値を有するキラル化合物である。
【0175】
ある態様において、1以上のキラル化合物は、媒体の含量全体に基づき、2重量%以下の、より好ましくは1重量%以下の量で、液晶媒体に含有されている。
【0176】
本発明の好ましい態様において、キラル成分は、すべてが同じ兆候のHTPを有する2以上のキラル化合物からなる。個々の化合物のHTPの温度依存性は、高くてもよく、または低くてもよい。媒体のピッチの温度依存性は、HTPの異なる温度依存性を有する化合物を対応する比率で混合することによって補償され得る。
【0177】
好適なキラルドーパントは当該技術分野において知られており、それらのいくつかは、例えば、コレステリルノナノアート、R/S-811、R/S-1011、R/S-2011、R/S-3011、R/S-4011、R/S-5011、B(OC)2C*H-C-3、またはCB15(すべてMerck KGaA,Darmstadt,Germany)など、市販されている。
【0178】
殊更好適なキラルドーパントは、1以上のキラルラジカルおよび1以上のメソゲン基を、またはメソゲン基をキラルラジカルとともに形成する1以上の芳香族基もしくは脂環式基を含有する化合物である。
【0179】
好適なキラルラジカルは、例えば、キラルの分枝状炭化水素ラジカル、キラルのエタンジオール、ビナフトール、またはジオキソラン、さらにまた、糖誘導体、糖アルコール、糖酸、乳酸、キラルの置換グリコール、ステロイド誘導体、テルペン誘導体、アミノ酸、もしくは少数の、好ましくは1~5個のアミノ酸の配列からなる群から選択される一価または多価のキラルラジカルである。
【0180】
好ましいキラルラジカルは、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、アラビノース、およびデキストロースなどの、糖誘導体;例えば、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール、またはそれらのアンヒドロ誘導体、とりわけ、ジアンヒドロソルビド(1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-ソルビド、イソソルビド)、ジアンヒドロマンニトール(イソソルビトール)、またはジアンヒドロイジトール(イソイジトール)などのジアンヒドロヘキシトールなどの、糖アルコール;例えば、グルコン酸、グロン酸、およびケトグロン酸などの、糖酸;例えば、モノ-もしくはオリゴエチレングリコールまたはプロピレングリコールなどの、キラルの置換グリコールラジカル、ここで1以上のCH2基は、アルキルまたはアルコキシによって置換されている;例えば、アラニン、バリン、フェニルグリシン、もしくはフェニルアラニンなどのアミノ酸、また2個から5個までのこれらのアミノ酸の配列;例えば、コレステリルまたはコール酸のラジカルなどの、ステロイド誘導体;例えば、メンチル、ネオメンチル、カンフィル(campheyl)、パイニル(pineyl)、テルピニル(terpineyl)、イソロンジフォリル(isolongifolyl)、フェンキル(fenchyl)、カレイル(carreyl)、ミルセニル(myrthenyl)、ノピル(nopyl)、ゲラニイル(geraniyl)、リナロイル(linaloyl)、ネリル(neryl)、シトロネリル(citronellyl)、またはジヒドロシトロネリル(dihydrocitronellyl)などの、テルペン誘導体である。
【0181】
好適なキラルラジカルおよびメソゲンのキラル化合物は、例えば、DE 34 25 503、DE 35 34 777、DE 35 34 778、DE 35 34 779およびDE 35 34 780、DE 43 42 280、EP 01 038 941、およびDE 195 41 820に記載されている。
本発明に従って使用される好ましいキラル化合物は、化合物の以下の群から選択される。
【0182】
ある態様において、好ましいのは、以下の式A-I~A-IIIで表される化合物からなる群から選択されるドーパントである:
【化29】
【化30】
式中
Ra11およびRa12は、相互に独立して、2個から9個までの、好ましくは最大7個までの炭素原子を有するアルキル、オキサアルキル、またはアルケニルであり、ならびにRa11は、代替的に、1個から9個までの炭素原子を有するメチルまたはアルコキシであり、好ましくはその両方が、アルキル、好ましくはn-アルキルであり、
Ra21およびRa22は、相互に独立して、1個から9個までの、好ましくは最大7個までの炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ、2個から9個までの、好ましくは最大7個までの炭素原子を有するオキサアルキル、アルケニル、またはアルケニルオキシであり、好ましくはその両方が、アルキル、好ましくはn-アルキルであり、
Ra31およびRa32は、相互に独立して、2個から9個までの、好ましくは最大7個までの炭素原子を有するアルキル、オキサアルキル、またはアルケニルであり、およびRa11は、代替的に、1個から9個までの炭素原子を有するメチルまたはアルコキシであり、好ましくはその両方が、アルキル、好ましくはn-アルキルである。
【0183】
殊更好ましいのは、以下の式で表される化合物からなる群から選択されるキラルドーパントである:
【化31】
【化32】
【0184】
さらに好ましいドーパントは、以下の式A-IV
【化33】
で表されるイソソルビド、イソマンニトール、またはイソイジトールの誘導体であって、前記基において、
【化34】
は、
【化35】
であり、好ましくはジアンヒドロソルビトールであり、
および、例えばジフェニルエタンジオール(ヒドロベンゾイン)などのキラルのエタンジオール、とりわけ以下の式A-V
【化36】
で表されるメソゲンのヒドロベンゾイン誘導体(示されていないが、(R,S)、(S,R)、(R,R)、および(S,S)エナンチオマーを包含する)であって、
式中
【化37】
は各々、相互に独立して、1,4-フェニレン(これはまた、Lによっても単-、二-、もしくは三置換されていてもよい)、または1,4-シクロヘキシレンであり、
Lは、H、F、Cl、CN、または任意にハロゲン化され、1~7個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、もしくはアルコキシカルボニルオキシであり、
cは、0または1であり、
Z0は、-COO-、-OCO-、-CH2CH2-、または単結合であり、および
R0は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、またはアルキルカルボニルオキシである。
【0185】
式A-IVで表される化合物は、WO 98/00428に記載されている。式A-Vで表される化合物は、GB-A-2,328,207に記載されている。
【0186】
別の態様において、殊更好ましいキラルドーパントは、キラルのビナフチル誘導体、WO 02/94805に記載のとおりのキラルのビナフチル誘導体、キラルのビナフトールアセタール誘導体、WO 02/34739に記載のとおりのキラルのビナフトールアセタール誘導体、キラルのTADDOL誘導体、WO 02/06265に記載のとおりのキラルのTADDOL誘導体、ならびに少なくとも1のフッ素化された架橋基と末端または中央のキラル基とを有するキラルドーパント、WO 02/06196およびWO 02/06195に記載のとおりの前記キラルドーパントである。
【0187】
殊更好ましいのは、式A-VI
【化38】
で表されるキラル化合物であり、式中
X1、X2、Y1、およびY2は各々、相互に独立して、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF5、1個から25個までの炭素原子を有する直鎖もしくは分枝のアルキル(これは、F、Cl、Br、I、もしくはCNによって単置換または多置換されていてもよく、および前記アルキルにおいて、加えて、1以上の非隣接CH2基は各々、相互に独立して、O原子および/またはS原子が相互に直接結合されないように、-O-、-S-、-NH-、NR0-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-、または-C≡C-によって置き換えられていてもよい)、重合性基、または最大20個までの炭素原子を有するシクロアルキルもしくはアリール(これらは任意に、ハロゲン、好ましくはFによって、もしくは重合性基によって、単置換または多置換されていてもよい)であり、
x1およびx2は各々、相互に独立して、0、1、または2であり、
y1およびy2は各々、相互に独立して、0、1、2、3、または4であり、
B1およびB2は各々、相互に独立して、芳香族の、または部分的もしくは全体的に飽和の脂肪族の6員環(前記6員環において、1以上のCH基は、N原子によって置き換えられていてもよく、ならびに1以上の非隣接CH2基は、Oおよび/またはSによって置き換えられていてもよい)であり、
W1およびW2は各々、相互に独立して、-Z1-A1-(Z2-A2)m-Rであり、および2つのうち一方は、代替的にR1またはA3であるが、両方とも同時にHではないか、あるいは
【化39】
は、
【化40】
であるか、または
【化41】
であり、
U1およびU2は各々、相互に独立して、CH2、O、S、CO、またはCSであり、
V1およびV2は各々、相互に独立して、(CH2)nであり、ここでnは、0、1、2、3、4、または5であり、およびここで1以上の非隣接CH2基は、Oおよび/またはSによって置き換えられていてもよく、ならびにV1とV2との一方、および
【化42】
が、
【化43】
であるケースにおいては両方が、単結合であり、
Z1およびZ2は各々、相互に独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-CO-NR0-、-NR0-CO-、-O-CH2-、-CH2-O-、-S-CH2-、-CH2-S-、-CF2-O-、-O-CF2-、-CF2-S-、-S-CF2-、-CH2-CH2-、-CF2-CH2-、-CH2-CF2-、-CF2-CF2-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-CH=CH-、-CF=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、これらの基の2つの組み合わせであり、ここで2個のO原子および/またはS原子および/またはN原子は、相互に直接結合されておらず、好ましくは-CH=CH-COO-または-COO-CH=CH-または単結合であり、
A1、A2、およびA3は各々、相互に独立して、1,4-フェニレン(ここで1つもしくは2つの非隣接CH基は、Nによって置き換えられていてもよい)、1,4-シクロヘキシレン(ここで1つもしくは2つの非隣接CH2基は、Oおよび/またはSによって置き換えられていてもよい)、1,3-ジオキソラン-4,5-ジイル、1,4-シクロヘキセニレン、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル、または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイルであり、ここでこれらの基の各々は、Lによって単置換または多置換されていてもよく、および加えてA1は、単結合であり、
Lは、ハロゲン原子、好ましくはF、CN、NO2、1~7個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、またはアルコキシカルボニルオキシであり、ここで1個以上のH原子は、FまたはClによって置き換えられていてもよく、
mは、各ケースにおいて、独立して、0、1、2、または3であり、ならびに
RおよびR1は各々、相互に独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、SCN、SF5、夫々1個もしくは3個から25個までの炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキル(これは任意に、F、Cl、Br、I、もしくはCNによって単置換または多置換されていてもよく、およびここで1以上の非隣接CH2基は、-O-、-S-、-NH-、-NR0-、-CO-、-COO-、-OCO-、-O-COO-、-S-CO-、-CO-S-、-CH=CH-、または-C≡C-によって置き換えられていてもよいが、ここで2つのO原子および/またはS原子は、相互に直接結合されない)、あるいは重合性基である。
【0188】
殊更好ましいのは、式A-VI-1
【化44】
で表されるキラルのビナフチル誘導体、とりわけ以下の式A-VI-1a~A-VI-1c:
【化45】
から選択されるものであり、ここでBおよびZ0は、式A-IVについて定義されるとおりであり、ならびにZ0はより好ましくは、-OCO-または単結合であり、
R0は、式A-IVについて定義されるとおりであるか、またはH、または1個から4個までの炭素原子を有するアルキルであり、ならびに
bは、0、1、または2である。
【0189】
殊更好ましいのは、さらにまた式A-VI-2
【化46】
で表されるキラルのビナフチル誘導体、とりわけ以下の式A-VI-2a~A-VI-2f:
【化47】
【化48】
から選択されるものであり、ここでR0は、式A-VIについて定義されるとおりであり、およびXは、H、F、Cl、CN、またはR0、好ましくはFである。
【0190】
殊更好ましい態様において、第1および第2スイッチ可能層の一方に含有される液晶媒体は、化合物R-5011を含み、ならびに他方のスイッチ可能層に含有される液晶媒体は、化合物S-5011を含み、両方とも下の表Fに示される。R-5011およびS-5011は夫々、媒体に含有されるキラル化合物のみであることが殊更好ましい。
【0191】
殊更好ましい別の態様において、第1および第2スイッチ可能層の一方に含有される液晶媒体は、化合物S-811を含み、ならびに他方のスイッチ可能層に含有される液晶媒体は、化合物R-811を含み、両方とも下の表Fに示される。S-811およびR-811は夫々、媒体に含有されるキラル化合物のみであることが殊更好ましい。
【0192】
ある態様において、第1および第2スイッチ可能層の各々に対し、以下の関係性
p * Δn<20.0μm
を適用することが好ましく、ここでpは、スイッチング層各々の夫々のピッチであり、およびΔnは、スイッチング層の各々に含有される液晶媒体夫々の光学異方性、とりわけ589.3nmおよび20℃にて決定される前記光学異方性である。第1および第2スイッチ可能層の各々について、p * Δn<15.0μm、一層より好ましくはp * Δn<10.0μm、とりわけp * Δn<5.0μmがさらにより好ましい。
【0193】
スイッチング層に含有されるLC媒体は、好ましくはおよび好都合には、高い信頼性および高い電気抵抗率を呈する。LC媒体はまた、好ましくはおよび好都合には、高い電圧保持比(VHR)も呈し、S.Matsumoto et al.,Liquid Crystals 5,1320(1989); K.Niwa et al.,Proc.SID Conference,San Francisco,June 1984,p.304(1984); T.Jacob and U.Finkenzeller in "Merck Liquid Crystals - Physical Properties of Liquid Crystals",1997を見よ。本発明に従うLC媒体のVHRは、好ましくは≧85%、より好ましくは≧90%、なおより好ましくは≧95%、殊更好ましくは≧98%である。別様に記載されていない限り、VHRの測定は、T.Jacob,U.Finkenzeller in "Merck Liquid Crystals - Physical Properties of Liquid Crystals",1997に記載のとおりに実行される。
【0194】
好ましい態様において、ウィンドウ要素は、偏光子を包含しない。いずれの偏光子も使用しない場合でさえ、好都合な電気光学性能、例としてスイッチングコントラストおよび透過軽減に関する電気光学性能が、とりわけ2つのスイッチング層、および染料ドープLC材料、およびとりわけ目下定義されるとおりの1以上の二色性染料を提供することによって見出された。
【0195】
ゲスト-ホスト混合物、とりわけネマチックホスト混合物のためのLCホスト媒体は、第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層において使用されるとき、同じであってもまたは異なっていてもよい。しかしながら、ゲスト-ホスト混合物のためのLCホスト媒体は、第1スイッチ可能層および第2スイッチ可能層に使用されるとき、材料提供が簡素化されることを考慮すると同じであることが好ましい。同じく、同じ二色性染料を、好ましくは同じ濃度で使用することが好ましい。
【0196】
原則として、スイッチ要素における使用のための好適なホスト混合物は、従来のVA、TN、STN、VA-STN、IPS、またはFFSのディスプレーにおける使用に好適な、誘電的に負のまたは正のいずれかのLC混合物である。
【0197】
好適なLC混合物は、当該技術分野において知られており、文献に記載されている。負の誘電異方性を有するVAディスプレーのためのLC媒体は、例えばEP 1 378 557 A1に記載されている。
LCDディスプレー、とくにIPSディスプレーに好適な正の誘電異方性を有する好適なLC混合物は、例えば、JP 07-181 439(A)、EP 0 667 555、EP 0 673 986、DE 195 09 410、DE 195 28 106、DE 195 28 107、WO 96/23 851、WO 96/28 521、およびWO2012/079676から知られている。
【0198】
負のまたは正の誘電異方性を有する本発明に従う液晶媒体の好ましい態様は、下に指し示されている。
【0199】
本発明の好ましい態様において、ウィンドウ要素のスイッチング層に使用されるLC媒体は、誘電異方性が正のLCホスト混合物を含有する。結果的に、さらに好ましい態様において、本発明に従うメソゲン媒体は、以下の事項a)およびb)から選択される成分を含む:
a)下述のとおりの式IIA~VIIIで表される、とりわけ式IIAおよびIIIA
【化49】
式中
R20は各々、まったく同じにまたは異なって、1~15個のC原子を有する、ハロゲン化されたもしくは非置換のアルキルまたはアルコキシのラジカルを表し、ここで加えて、これらのラジカル中の1以上のCH2基は各々、相互に独立して、O原子が相互に直接連結されないように-C≡C-、-CF2O-、-CH=CH-、
【化50】
-O-、-CO-O-、または-O-CO-によって置き換えられていてもよく、
X20は各々、まったく同じにまたは異なって、F、Cl、CN、SF5、SCN、NCS、ハロゲン化アルキルラジカル、ハロゲン化アルケニルラジカル、ハロゲン化アルコキシラジカル、またはハロゲン化アルケニルオキシラジカルを表し、各々は最大6個までのC原子を有し、ならびに
Y20~24は各々、まったく同じにまたは異なって、HまたはFを表す;
【化51】
は各々、相互に独立して、
【化52】
を表す、
で表される化合物の群から選択される1以上の化合物を含む、メソゲン媒体。
【0200】
式IIAで表される化合物は、好ましくは、以下の式:
【化53】
【化54】
から選択され、式中R20およびX20は、上に指し示される意味を有する。
【0201】
R20は好ましくは、1~6個のC原子を有するアルキルを表す。X20は好ましくは、Fを表す。殊更好ましいのは、式IIAaおよびIIAbで表される化合物、とりわけ式IIAaおよびIIAbで表される化合物であって、式中Xは、Fを表す。
【0202】
式IIIAで表される化合物は、好ましくは、以下の式:
【化55】
【化56】
から選択され、式中R20およびX20は、上に指し示される意味を有する。
【0203】
R20は好ましくは、1~6個のC原子を有するアルキルを表す。X20は好ましくは、Fを表す。殊更好ましいのは、式IIIAaおよびIIIAeで表される化合物、とりわけ式IIIAaで表される化合物である。
【0204】
さらなる態様において、液晶媒体は、式IIIA-1-b~IIIA-1-h
【化57】
【化58】
で表される化合物から選択される1以上の化合物を含み、式中R2は、式IIIAにおいて与えられるとおりのR20の意味を有する。
【0205】
b)代替的にまたは加えて、以下の式:
【化59】
【化60】
式中
R20、X20、およびY20~23は、上に指し示される意味を有し、ならびに
Z20は、-C2H4-、-(CH2)4-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C2F4-、-CH2CF2-、-CF2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-COO-、または-OCF2-を表し、また式VおよびVIにおいては単結合も表し、また式VおよびVIIIにおいては-CF2O-も表し、
rは、0または1を表し、および
sは、0または1を表す、
から選択される1以上の化合物を含む、メソゲン媒体;
【0206】
- 式IVAで表される化合物は、好ましくは、以下の式:
【化61】
から選択され、式中R20およびX20は、上に指し示される意味を有する。
R20は好ましくは、1~6個のC原子を有するアルキルを表す。X20は好ましくは、F、CN、またはOCF3を、さらにまたOCF=CF2またはClを表す。
【0207】
- 式Vで表される化合物は、好ましくは、以下の式:
【化62】
【化63】
から選択され、式中R20およびX20は、上に指し示される意味を有する。
R20は好ましくは、1~6個のC原子を有するアルキルを表す。X20は好ましくは、FおよびOCF3を、さらにまたOCHF2、CF3、OCF=CF2およびOCH=CF2を表す。
【0208】
- 式VIで表される化合物は、好ましくは、以下の式:
【化64】
から選択され、式中R20およびX20は、上に指し示される意味を有する。
R20は好ましくは、1~6個のC原子を有するアルキルを表す。X20は好ましくは、Fを、さらにまたOCF3、CF3、CF=CF2、OCHF2、およびOCH=CF2を表す;
【0209】
- 式VIIで表される化合物は、好ましくは、以下の式:
【化65】
【化66】
から選択され、式中R20およびX20は、上に指し示される意味を有する。
R20は好ましくは、1~6個のC原子を有するアルキルを表す。X20は好ましくは、Fを、さらにまたOCF3、OCHF2、およびOCH=CF2を表す。
【0210】
液晶媒体は加えて、好適な添加剤および補助材料、例として安定剤および消光剤を包含し得る。
液晶媒体は第1および第2スイッチ可能層に使用されるとき、何らの重合性化合物、とりわけ何らの重合性メソゲン化合物も含有しないことが好ましい。
【0211】
本発明に従うLC媒体は、従来のやり方それ自体で調製される。一般に、成分は相互に、好ましくは高温にて、溶解される。混合は好ましくは、不活性ガス下で、例えば窒素またはアルゴン下で、実行される。任意の染料が続いて、好ましくは高温にて、より好ましくは40℃を上回る温度にて、殊更好ましくは50℃を上回る温度にて、加えられる。一般に、より少ない量で使用される、所望される量の成分は、主な構成物質を組成する成分に溶解されている。有機溶媒中に、例えばアセトン、トルエン、クロロホルム、またはメタノール中に成分の溶液を混合して、混合後、例えば蒸留によって、再度溶媒を除去することもまた実行可能である。
【0212】
ウィンドウ要素は好ましくは、0.5m2より大きい、より好ましくは1m2より大きい、なおより好ましくは3m2より大きいサイズを有する。ある態様において、ウィンドウ要素は、0.10m2~10m2の範囲にある、より好ましくは0.5m2~10m2の範囲にある面積を有する。
【0213】
本発明に従うウィンドウ要素は、光がこれを通過できる。それは好都合には、ウィンドウ、絶縁グレージング単位を包含するグレージング単位、ファサード要素、間仕切り、分割壁等に使用され得、これらに包含され得る。それは、要望に応じて異なるスイッチング状態を、所望の際はこうして防幻制御を提供する要素として、それらに使用され得る。
【0214】
スイッチ可能なデバイスとしてのウィンドウ要素は、外部空間から内部空間中への、例として、家屋、オフィスビル、もしくは商業目的で使用される建物などの建物の、または乗り物の内部中への光の通過を調節あるいはモジュレートするために使用され得る。ウィンドウ要素はまた、とりわけ種々の機能的エリアまたは部屋を分離する構造要素において、内部空間から別の内部空間中への光の通過を調節またはモジュレートするためにも使用され得る。
【0215】
ウィンドウ要素は、またウィンドウ要素を包含する全体としてのウィンドウも、好ましくは、いずれの光源も含まない。よって、ウィンドウを通過するいずれの光も、太陽または家庭用照明装置などの外部光源に、とりわけ太陽に由来する。
【0216】
本発明に従うと、スイッチ可能層およびウィンドウ要素の状態は、電極を用いて印加される電場を使用して制御される。電極は好ましくは、コーティングの形態で基材上に配置される透明電極である。コーティングは一般的に、基材側またはスイッチング層に面する表面へ適用されている。
【0217】
好ましくは電極は、連続するように、パターン化および/または構造化されていない。よって、スイッチ可能な全エリアは、電場を印加することによって同時に対処されスイッチされる。代替の態様において、電極は、電場を印加することによって他のエリアから独立してスイッチされてもよい個々に対処可能なエリアを形成するようにパターン化されていてもよい。このケースにおいて、電極は好ましくは、2~500の独立に対処可能なエリアが存在するようにパターン化されている。かかるパターンは、例として、デバイスエリアにわたって透過勾配を生成するのに有用なこともある。
【0218】
好ましくは、電子的駆動を容易にするため、第1および第2スイッチ可能層をスイッチするスイッチング電圧は、調和され得る。好都合には、比較的低いスイッチング電圧が有用かつ効果的なこともあり、ここで好ましくは48V以下のスイッチング電圧が使用される。
【0219】
ウィンドウ要素において、好ましくは光の通過を制御および調節するウィンドウ要素を包含するウィンドウにおいて、スイッチ可能層および任意のさらなる層は、例として積層または接着剤の使用によって、好適に配置されて結合されていてもよいが、例えば1以上の介在する基材もしくはシート、窓枠(panes)、またはパネルを使用することによって、分離されていてもよく、ここで任意に窓枠は、真空またはガス充填空間によってさらに分離されていてもよい。
【0220】
ある態様において、多層配置は、絶縁グレージング単位で集合させられており、ここで層はなかでも、真空またはガス充填空間によって分離されており、およびここで任意に基材またはキャリア窓枠(carrier panes)の1以上、とりわけ1以上のグレージングシートは、低放射率(low-e)コーティングを有する。積層した材料または接着材料は、例として、イオノプラスト(ionoplast)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、もしくはポリウレタン、例として熱可塑性ポリウレタン(TPU)、または光学的に透明な接着剤を包含していてもよい。
【0221】
本発明に従うスイッチ可能層は、基材間、とりわけ透明基材間に配置され得る。基材は、ガラスまたはポリマーを含んでいてもよく、好ましくはガラスまたはポリマーからなっていてもよい。
【0222】
好適なガラス材料は、例えば、フロートガラスまたはダウンドロー(downdraw)ガラスを包含する。ガラスはまた、焼き戻し(tempering)、強化(toughening)、および/またはコーティングもしくはスパッタリングといった事前処理ステップへも供されていてもよい。ガラスは、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、またはアルミノけい酸ガラスであり得る。ある態様において、無アルカリガラスまたは化学強化ガラスが使用される。好適な無アルカリガラスは、ガラスのレシピ(recipe)において低アルカリ含量を有するかもしくは何らもアルカリ含量すら有さない、ホウケイ酸ガラスまたはアルミノけい酸ガラスを包含する。かかるガラスは、例えば、CorningからEagle 2000ガラスまたはEAGLE XGスリムガラスとの商品名で、SchottからAF32またはBOROFLOATとの商品名で利用可能である。好適な化学強化ガラスは、例えば、CorningからGorillaとの商品名で、Asahi Glass Corporation(AGC)からDragontrailとの商品名で利用可能である。
【0223】
好適な重合性材料は、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、COP(環状オレフィンポリマー)、またはTAC(トリアセチルセルロース)を包含する。
殊更好ましい態様において、ガラス基材が使用される。代替態様において、プラスチック基材が使用される。
【0224】
好ましくは配列層は、本発明に従うデバイスに使用され、ここで配列層は、この目的で当業者に知られているいずれの所望される層でもあり得る。好ましいのは、ポリイミド層、殊更好ましくはラビング処理されたポリイミドを含む層である。ある態様において、平面配列が提供され、ここでより好ましくは、わずかなプレチルト角が設定されていてもよい。代替態様において、ホモトロピック配列が提供され、ここでより好ましくは、高いプレチルト角が設定されている。
【0225】
好ましい態様において、本発明に従うデバイスは、ウィンドウの構成物質、より好ましくは少なくとも1のガラス表面を含むウィンドウ成分、殊更好ましくは絶縁グレージング単位の成分である。
【0226】
ウィンドウ要素は、例として光学的に透明な接着剤を使用する、例えば積層または糊付け(gluing)によって、好ましくは窓枠またはグレージング単位への積層によって、好適にウィンドウ中へ組み込まれていてもよい。
ある態様において、ウィンドウ要素は、とりわけまたウィンドウのみも、第1および第2スイッチ可能層をスイッチ可能層として含む。
【0227】
代替態様において、第1および第2スイッチ可能層に加えて、多層配置はまた、1以上のさらなるスイッチ可能層も含んでいてよい。具体的な態様において、多層配置は、第3スイッチ可能層を含有し、ここで第3スイッチ可能層は、光学的に透明な状態と散乱状態との間でスイッチ可能である。このケースにおいて、散乱タイプのこのスイッチ可能層は、所謂ポリマー安定化コレステリックテクスチャー(polymer stabilized cholesteric texture)(PSCT)を有する液晶媒体を含有することが好ましい。
【0228】
ウィンドウはここで、骨組み(frame)および少なくとも1の基材または窓枠、例としてこの骨組みによって取り囲まれているプラスチック基材またはガラス窓枠を含む、建物、車、商用の乗り物、ボート、列車、航空機等における、とりわけ構造体を意味するものと解釈される。好ましい態様において、とりわけ建築用途にとって、ウィンドウは好ましくは、断熱骨組みおよび2以上のガラス窓枠、すなわち複数窓枠(multipane)絶縁ガラスを含む。
【0229】
好ましい態様に従って、本発明に従うデバイスは、例として積層によって、殊更好ましくは複数窓枠絶縁ガラスの2つのガラス窓枠間の合間に、ウィンドウのガラス表面へ直接適用される。
【0230】
本発明に従うウィンドウ要素、またはウィンドウ要素がスイッチ可能なグレージング単位、とりわけ絶縁グレージング単位として組み込まれ得る(例として、配置され得る)ウィンドウは好ましくは、UV光を遮断する1以上の層を含む。とりわけ、ウィンドウ要素は好ましくは、350nm未満の波長、好ましくは360nm未満まで及ぶ波長、殊更好ましくは380nm未満さえまで及ぶ波長を有する光の通過を許容しないか、または前記光の通過を極めて小さい割合まででしか許容しない、1以上の層を含む。加えて、低放射率(low-e)コーティングは好ましくは、シートの1以上へ適用されてもよい。
【0231】
ウィンドウ、とりわけウィンドウ要素はまた、1以上の抗反射層またはコーティングも包含していてよい。
積層した層が存在するケースにおいて、UVを遮断する積層した層が使用されるのが好ましく、ここで好ましくは積層品(laminate)は、光源に面する。
【0232】
ウィンドウは、建物、容器、乗り物、または別の実質的に密閉された空間の一部であり得る。外部空間からの強い日射および/または強く変動する日射へ供される内部空間のためのウィンドウ要素の使用は、殊更好ましい。
【0233】
本発明において、とくに以下の例において、メソゲン化合物の構造は、また頭文字とも呼ばれる略語を用いて指し示される。これらの頭文字において、化学式は、下の表A~Cを使用して以下のとおりに略される。すべての基CnH2n+1、CmH2m+1、およびClH2l+1、またはCnH2n-1、CmH2m-1およびClH2l-1は、直鎖のアルキルまたはアルケニル、好ましくは1-E-アルケニルを表し、各々は、n個、m個、およびl個のC原子を夫々有する。表Aは、化合物のコア構造の環要素に使用されるコードを列挙するのに対し、表Bは、連結基を示す。表Cは、左手または右手の端基のコードの意味を与える。頭文字は、任意の連結基をもつ環要素のコード、これに続き最初のハイフン、左手端基のコード、2番目のハイフン、および右手端基のコードから構成される。表Dは、化合物の例示構造と、それら夫々の略語と一緒に示す。
【0234】
表A: 環要素
【表A-1】
【0235】
【表A-2】
【0236】
【表A-3】
【0237】
表B: 連結基
【表B】
【0238】
表C: 端基
【表C-1】
【0239】
【表C-2】
式中nおよびmは各々、整数を表し、ならびに3つのドット「...」は、この表からの他の略語に対する代用語である。
【0240】
以下の表は、例示構造をそれら夫々の略語と一緒に示す。これらは、略語のルールの意味を説明するために示される。それらはさらにまた、好ましく使用されてもよい化合物を代表する。
【0241】
表D: 例示構造
【表D-1】
【0242】
【表D-2】
【0243】
【表D-3】
【0244】
【表D-4】
【0245】
【表D-5】
【0246】
【表D-6】
【0247】
【表D-7】
【0248】
【表D-8】
【0249】
【表D-9】
【0250】
【表D-10】
【0251】
【表D-11】
【0252】
【表D-12】
【0253】
【表D-13】
【0254】
【表D-14】
【0255】
【表D-15】
【0256】
【表D-16】
【0257】
【表D-17】
式中n、m、およびlは好ましくは、相互に独立して、1~9、より好ましくは1~7を表す。
【0258】
以下の表は、本発明に従う媒体において安定剤として使用され得る例示化合物を示す。
表E
表Eは、本発明に従うLC媒体へ加えられ得る実行可能な安定剤を示し、ここでnは、1から12までの整数、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、または8を表す。
【表E-1】
【0259】
【表E-2】
【0260】
【表E-3】
【0261】
【表E-4】
【0262】
【表E-5】
【0263】
【表E-6】
【0264】
LC媒体は好ましくは、0~10重量%、とりわけ1ppm~5重量%、殊更好ましくは1ppm~1重量%の安定剤を含む。
【0265】
下の表Fは、本発明に従うメソゲン媒体においてキラルドーパントとして好ましく使用され得る例示化合物を示す。
表F
【表F-1】
【0266】
【表F-2】
【0267】
【表F-3】
【0268】
本発明の好ましい態様において、メソゲン媒体は、表Fに示される化合物から選択される1以上の化合物を含む。
【0269】
本発明に従うメソゲン媒体は好ましくは、上の表D~Fに示される化合物から選択される、2以上の、好ましくは4以上の化合物を含む。
ある態様において、本発明に従うLC媒体は好ましくは、表Dに示される3以上の、より好ましくは5以上の化合物を含む。
【0270】
本発明に従う液晶媒体は、表Dの化合物の群から選択される、好ましくは4以上の、より好ましくは6以上の、なおより好ましくは7以上の、殊更好ましくは8以上の化合物、好ましくは表Dの式の群から選択される3以上の異なる式で表される化合物を含む。媒体は加えて、表Eの式の群から選択される1、2以上の化合物を含有することが殊更好ましい。
【0271】
以下の例は、本発明のただ単なる例示であって、これらはいずれにしても本発明の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。例およびそれらの修飾または他の等価物は、本開示に照らせば当業者に明らかとなるであろう。
【0272】
しかしながら、以下に示される物理的な特性および組成物は、どのような特性が達成され得るか、およびどのような範囲において修飾され得るかを例示する。とくに、好ましく達成され得る様々な特性の組み合わせは、このように十分に定義される。
【0273】

例において、
Voは、閾値電圧、容量性(capacitive)[V]を20℃にて表し、
neは、異常光(extraordinary)屈折率を20℃および589nmにて表し、
noは、通常光(ordinary)屈折率を20℃および589nmにて表し、
Δnは、光学異方性を20℃および589nmにて表し、
ε|| は、導波器に対して平行な誘電率を20℃および1kHzにて表し、
εは、導波器に対して垂直な誘電率を20℃および1kHzにて表し、
Δεは、誘電異方性を20℃および1kHzにて表し、
cl.p.、T(N,I)は、透明点[℃]を表し、
γ1は、20℃[mPa・s]にて測定される回転粘度を表し、磁場における回転法によって決定され、
K1は、弾性定数、「拡がり(splay)」変形を20℃[pN]にて表し、
K2は、弾性定数、「ねじれ(twist)」変形を20℃[pN]にて表し、
K3は、弾性定数、「曲がり(bend)」変形を20℃[pN]にて表す。
【0274】
本発明に係る用語「閾値電圧」は、別様に明示的に指し示されていない限り、容量性閾値(V0)に関する。例において、一般的に通例であるとおり、光学的閾値はまた、10%の相対コントラスト(V10)についても指し示され得る。
液晶混合物および複合系は、以下に与えられるとおりの組成物および特性で実現される。それらの特性および光学性能を調べる。
【0275】
参考例1
液晶ベースの混合物B-1を調製し、その一般的な物理的特性に関して特徴付け、以下の表に指し示されるとおりの組成および特性を有する。
【表1】
【0276】
参考例2
液晶ベースの混合物B-2を調製し、その一般的な物理的特性に関して特徴付け、以下の表に指し示されるとおりの組成および特性を有する。
【表2】
【0277】
ホスト混合物H-2は、99.97%の混合物B-2を0.03%の式
【化67】
で表される化合物と混合することによって調製し、前記化合物を以下においてST-1と称することとする。
【0278】
比較例1
混合物M-1は、参考例1に記載のとおりの95.935%の混合物B-1を、上の参考例2に示されるとおりの0.050%の化合物ST-1、Merck KGaA,Darmstadt,Germanyから利用可能であって上の表Fに示される0.070%のキラルドーパントS-811、0.408%の式DD-1
【化68】
で表される化合物、0.837%の式DD-2
【化69】
で表される化合物、0.707%の式DD-3
【化70】
で表される化合物、0.589%の式DD-4
【化71】
で表される化合物、および1.404%の式DD-5
【化72】
で表される化合物と混合することによって調製する。
【0279】
混合物M-1を、2つのガラス基材(無アルカリガラス、0.7mm厚)を各々有する2つのTNセル中へ、ITO電極(シート抵抗100オーム/スクエア)ならびにポリイミド配列層(Japan Synthetic RubberからのAL-1054、平面の、TN、90°ねじれ)とともに充填し、ここでセルギャップは7.8μmであり、充填口を密封する。電気配線を、はんだ付けによってセルへ適用する。
両TNセルはともに、反時計回りのねじれを有する。
【0280】
2つの染料ドープTNセルを、光学的に透明な接着剤を使用して二重セル中へ順次配置する。
2つのスイッチ可能層を有する、得られた二重セルは、6.5%透過の暗状態および45.5%透過の明状態を呈する。
【0281】
例1
混合物M-2を比較例1に記載のとおりの混合物M-1に従って調製するが、ここでS-811の代わりに、Merck KGaA,Darmstadt,Germanyから利用可能であって上の表Fに示される0.070%のキラルドーパントR-811を使用する。
比較例1に記載の混合物M-1を、比較例1に従ってTNセル1中へ充填する。
TNセル1は、反時計回りのねじれを有する。
【0282】
混合物M-2を、2つの無アルカリガラス基材(0.7mm厚)を有するTNセル2中へ、ITO電極(シート抵抗100オーム/スクエア)ならびにポリイミド配列層(Japan Synthetic RubberからのAL-1054、平面の、時計回りのTN)とともに充填し、ここでセルギャップは7.8μmである。
TNセル2は、時計回りのねじれを有する。
2つの染料ドープTNセル1および2を、光学的に透明な接着剤を使用して二重セル中へ順次配置する。
【0283】
2つのスイッチ可能層を有する、得られた二重セルは、5.4%透過の暗状態および45.5%透過の明状態を呈する。
第2スイッチ可能層のねじれ方向を除けば同じ比較例1の二重セルと比較すると、ねじれ方向が正反対の2つの光学セルを有する二重セルは、改善された暗状態を呈する。
二重セルはまた、広範な視野角へのコントラストおよび色度座標に関して優れた挙動も呈する。
【0284】
比較例2
混合物M-3を、参考例1に記載のとおりの96.005%の混合物B-1を、上の参考例2に示されるとおりの0.050%の化合物ST-1、0.537%のキラルドーパントS-811、比較例1に示されるとおりの0.408%の式DD-1で表される化合物、比較例1に示されるとおりの0.837%の式DD-2で表される化合物、比較例1に示されるとおりの0.707%の式DD-3で表される化合物、比較例1に示されるとおりの0.589%の式DD-4で表される化合物、および比較例1に示されるとおりの1.404%の式DD-5で表される化合物と混合することによって調製する。
混合物M-3を、2つのガラス基材を各々有する2つのSTNセル(180°ねじれ)中へ、ITO電極ならびにポリイミド配列層とともに充填し、ここでセルギャップは7.7μmである。
【0285】
両STNセルはともに、反時計回りねじれを有する。
2つの染料ドープTNセルを、光学的に透明な接着剤を使用して二重セル中へ順次配置する。
2つのスイッチ可能層を有する、得られた二重セルは、8.3%透過の暗状態および47.1%透過の明状態を呈する。
【0286】
例2
混合物M-4を比較例2に記載のとおりの混合物M-3に従って調製するが、ここでS-811の代わりに、0.537%のキラルドーパントR-811を使用する。
比較例2に記載の混合物M-3を、STNセル1(180°ねじれ、セルギャップ7.7μm)中へ充填する。
【0287】
STNセル1は、反時計回りのねじれを有する。
混合物M-4を、STNセル2(180°ねじれ、セルギャップ7.7μm)中へ充填する。
STNセル2は、時計回りのねじれを有する。
【0288】
2つの染料ドープTNセル1および2を、光学的に透明な接着剤を使用して二重セル中へ順次配置する。
2つのスイッチ可能層を有する、得られた二重セルは、5.4%透過の暗状態および47.1%透過の明状態を呈する。
【0289】
第2スイッチ可能層のねじれ方向を除けば同じ比較例2の二重セルと比較すると、ねじれ方向が正反対の2つの光学セルを有する二重セルは、改善された暗状態を呈する。
二重セルはまた、広範な視野角へのコントラストおよび色度座標に関して優れた挙動も呈する。
【0290】
例3
混合物M-5を、参考例2に記載のとおりの90.128%の混合物H-2を、1.160%の式DD-1で表される化合物、1.919%の式DD-2で表される化合物、1.800%の式DD-3で表される化合物、0.853%の式DD-4で表される化合物、0.730%の式DD-5で表される化合物、1.300%の式DD-6
【化73】
で表される化合物、および2.110%の式DD-7
【化74】
で表される化合物と混合することによって調製する。
【0291】
混合物M-5-1を、99.236%の混合物M-5を0.764%のキラルドーパントS-811と混合することによって調製する。
混合物M-5-2を、99.236%の混合物M-5を0.764%のキラルドーパントR-811と混合することによって調製する。
【0292】
混合物M-5-1をVA-STN二重セルの第1スイッチ可能層中へ充填し、混合物M-5-2を同二重セルの第2スイッチ可能層中へ充填する。二重セルは、優れた暗状態、好都合な透過範囲、および優れた視野角性能を呈する。
【0293】
例4
混合物M-6-1を、参考例1に記載のとおりの98.877%の混合物B-1を、Merck KGaA,Darmstadt,Germanyから利用可能であって上の表Fに示される0.470%のキラルドーパントR-5011、0.129%の式DD-8
【化75】
で表される化合物、0.244%の式DD-9
【化76】
で表される化合物、および0.280%の式DD-10
【化77】
で表される化合物と混合することによって調製する。
【0294】
混合物M-6-2を混合物M-6-1に従って調製するが、ここでR-5011の代わりに、Merck KGaA,Darmstadt,Germanyから利用可能であって上の表Fに示されるキラルドーパントS-5011を使用する。
一連の混合物M-6-1およびM-6-2を、2つの光学セルを含む層配置を含むウィンドウ要素において使用するが、ここでM-6-1を第1セルのスイッチ可能層において使用し、M-6-2を第2セルのスイッチ可能層において使用する。
【国際調査報告】