(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】リアクタフレームに嵌合された弾性物体を使用したプロセスガスの格納
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20240918BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/31 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512018
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 US2021047596
(87)【国際公開番号】W WO2023027706
(87)【国際公開日】2023-03-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】コー ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ザオ ライ
(72)【発明者】
【氏名】ラジャンナ マノハラ
(72)【発明者】
【氏名】スン グァンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ホ グァン ス
(72)【発明者】
【氏名】ス ゾンフイ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA05
4K030EA06
4K030FA03
4K030GA02
4K030KA02
4K030KA10
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(57)【要約】
堆積チャンバシステムは、リアクタインターフェースと、リアクタインターフェースに取り付けられたフローガイドと、基板を固定するようにリアクタインターフェースの下に配置されたリアクタフレームと、リアクタフレームに取り付けられた基部に対応する第1の端部、およびリアクタインターフェースとリアクタフレームとの間に圧縮力によってプロセスガス格納シールを形成するようにリアクタインターフェースの下に配置された圧縮体に対応する第2の端部を有する弾性物体とを含む。フローガイドは、リアクタに投入された基板に対して堆積プロセスを実行するためにプロセスガス流をリアクタ内へ案内するための上流フローガイド、または堆積プロセスを実行した後にリアクタの外へ残滓を案内するための下流フローガイドのうちの1つである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアクタインターフェースと、
前記リアクタインターフェースに取り付けられたフローガイドであって、リアクタ内に投入された基板に対して堆積プロセスを実行するためにプロセスガス流を前記リアクタ内へ案内するための上流フローガイド、または前記堆積プロセスを実行した後に前記リアクタの外へ残滓を案内するための下流フローガイドのうちの1つであるフローガイドと、
前記基板を固定するように前記リアクタインターフェースの下に配置されたリアクタフレームと、
前記リアクタフレームに取り付けられた基部に対応する第1の端部、および前記リアクタインターフェースと前記リアクタフレームとの間に圧縮力によってプロセスガス格納シールを形成するように前記リアクタインターフェースの下に配置された圧縮体に対応する第2の端部を有する弾性物体と
を備える、堆積チャンバシステム。
【請求項2】
前記リアクタフレームが、マスクフレームまたはシャドウフレームを備える、請求項1に記載の堆積チャンバシステム。
【請求項3】
前記堆積チャンバシステムが、
前記基板を前記リアクタ内へ投入する前に前記基板を受け取り、
前記堆積プロセスを実行するために前記基板を第1の位置よりも上の第2の位置まで前記リアクタ内に持ち上げ、
前記堆積プロセスを実行した後、前記基板を取り出すために前記第1の位置まで下げる
ためのサセプタをさらに備える、請求項1に記載の堆積チャンバシステム。
【請求項4】
カソードをさらに備え、前記圧縮力が、前記堆積プロセス中の前記基板と前記カソードとの間の標的間隔に対応し、前記標的間隔が、前記第2の位置を画定する、請求項1に記載の堆積チャンバ。
【請求項5】
前記圧縮力が、前記プロセスガス格納シールを形成するための最小圧縮力および前記弾性物体が耐えることができる最大圧縮力によって画定される力範囲内にあり、前記圧縮力が、前記堆積プロセスを実行するための標的圧縮力である、請求項1に記載の堆積チャンバシステム。
【請求項6】
前記圧縮体の形状寸法が、環状の断面形状、対称の二股の断面形状、またはヒレ状の断面形状を含む、請求項1に記載の堆積チャンバシステム。
【請求項7】
第2のリアクタインターフェースと、
前記第2のリアクタインターフェースに取り付けられた第2のフローガイドであって、前記下流フローガイドまたは前記上流フローガイドのうちの1つであり、前記リアクタフレームが、前記第2のリアクタインターフェースの下にさらに配置される、第2のフローガイドと、
前記リアクタフレームに取り付けられた第2の基部に対応する第1の端部、および前記リアクタインターフェースと前記リアクタフレームとの間に第2の圧縮力によって第2のプロセスガス格納シールを形成するように前記リアクタインターフェースの下に配置された第2の圧縮体に対応する第2の端部を有する第2の弾性物体と
をさらに備える、請求項1に記載の堆積チャンバシステム。
【請求項8】
前記第1の弾性物体および前記第2の弾性物体が、単一の弾性物体の一部分である、請求項7に記載の堆積チャンバシステム。
【請求項9】
前記堆積チャンバシステムが、原子層堆積(ALD)チャンバシステムを備える、請求項1に記載の堆積チャンバシステム。
【請求項10】
堆積チャンバシステム内に基板を固定するためのリアクタフレームと、
前記リアクタフレームに取り付けられた基部に対応する第1の端部、および前記リアクタフレームと前記リアクタフレームの上に配置されたリアクタインターフェースとの間に圧縮力によってプロセスガス格納シールを形成するための圧縮体に対応する第2の端部を有する弾性物体と
を備える、装置。
【請求項11】
前記リアクタフレームが、マスクフレームまたはシャドウフレームを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記圧縮体の形状寸法が、環状の断面形状、対称の二股の断面形状、またはヒレ状の断面形状を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記堆積チャンバシステムが、原子層堆積(ALD)システムを備える、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記圧縮力が、前記堆積プロセス中の前記基板と前記堆積チャンバシステムのカソードとの間の標的間隔に対応し、前記標的間隔が、前記第2の位置を画定し、
前記圧縮力が、前記プロセスガス格納シールを形成するための最小圧縮力および前記弾性物体が耐えることができる最大圧縮力によって画定される力範囲内にあり、前記圧縮力が、前記堆積プロセスを実行するための標的圧縮力である、
請求項10に記載の装置。
【請求項15】
堆積チャンバシステムのリアクタフレームが分離位置にある間に、前記堆積チャンバシステムのサセプタ上に基板を配置することであって、前記基板が、前記サセプタ上で前記リアクタに対して第1の位置に配置される、配置することと、
係合されたリアクタフレームを取得するために、前記堆積チャンバシステムのリアクタ内へ前記基板を投入することと、
プロセスガス格納シールを形成するために、前記係合されたリアクタフレームと前記堆積チャンバシステムのリアクタインターフェースとの間で弾性物体が圧縮されるまで、前記サセプタを持ち上げることであって、前記サセプタが、前記基板と前記堆積チャンバシステムのカソードとの間の間隔に対応する、前記第1の位置よりも上の第2の位置まで持ち上げられ、前記弾性物体が、前記リアクタフレームに取り付けられた基部に対応する第1の端部と、圧縮体に対応する第2の端部とを有する、持ち上げることと
を含む、方法。
【請求項16】
前記堆積チャンバシステムが、原子層堆積(ALD)チャンバシステムを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板を前記サセプタ上に配置する前に、前記基板と前記カソードとの間の前記間隔を画定することをさらに含み、前記第2の位置が、前記間隔に対応する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記基板上に材料を堆積させるために堆積プロセスを実行することであって、前記堆積プロセスが実行されている間に、前記弾性物体が前記係合されたリアクタフレームと前記リアクタインターフェースとの間で圧縮されたままである、実行することと、
前記堆積プロセスを実行した後、前記リアクタから残滓を除去することと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記残滓が除去された後、前記堆積チャンバシステムから前記基板を取り出すことをさらに含み、前記基板を取り出すことが、前記サセプタを前記第2の位置から前記第1の位置まで下げることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の堆積プロセスとは異なる第2の堆積プロセスを実行するために、第2の基板と前記カソードとの間に第2の間隔を画定することと、
前記リアクタフレームが前記第1の位置にある間に、前記サセプタ上に前記第2の基板を配置することと、
第2の係合されたリアクタフレームを取得するために、前記リアクタ内へ前記第2の基板を投入することと、
第2のプロセスガス格納シールを形成するために、前記第2の係合されたリアクタフレームと前記リアクタインターフェースとの間で前記弾性物体が圧縮されるまで、前記サセプタを持ち上げることであって、前記サセプタが、前記基板と前記リアクタインターフェースとの間の前記第2の間隔に対応する、前記第1の位置よりも上の第3の位置まで持ち上げられる、持ち上げることと
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、電子デバイスの製造に関する。より詳細には、本明細書は、リアクタフレームに嵌合された弾性物体を使用したプロセスガスの格納に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス製造装置は、プロセスチャンバおよびロードロックチャンバなどの複数のチャンバを含むことができる。そのような電子デバイス製造装置は、移送チャンバ内で、複数のチャンバ間で基板を輸送するように構成されたロボット装置を用いることができる。いくつかの事例では、複数の基板がともに移送される。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態によれば、堆積チャンバシステムが提供される。堆積チャンバシステムは、リアクタインターフェースと、リアクタインターフェースに取り付けられたフローガイドと、基板を固定するようにリアクタインターフェースの下に配置されたリアクタフレームと、弾性物体と、リアクタフレームに取り付けられた基部に対応する第1の端部、およびリアクタインターフェースとリアクタフレームとの間に圧縮力によってプロセスガス格納シールを形成するようにリアクタインターフェースの下に位置する圧縮体に対応する第2の端部を有する弾性物体とを含む。フローガイドは、リアクタに投入された基板に対して堆積プロセスを実行するためにプロセスガス流をリアクタ内へ案内するための上流フローガイド、または堆積プロセスを実行した後にリアクタの外へ残滓を案内するための下流フローガイドのうちの1つである。
【0004】
別の実施形態によれば、装置が提供される。装置は、堆積チャンバシステム内で基板を固定するためのリアクタフレームと、リアクタフレームに取り付けられた基部に対応する第1の端部、およびリアクタフレームとリアクタフレームの上に配置されたリアクタインターフェースとの間に圧縮力によってプロセスガス格納シールを形成するための圧縮体に対応する第2の端部を有する弾性物体とを含む。
【0005】
さらに別の実施形態によれば、方法が提供される。方法は、堆積チャンバシステムのリアクタフレームが分離位置にある間に、堆積チャンバシステムのサセプタ上に基板を配置することを含む。基板は、サセプタ上でリアクタに対して第1の位置に配置される。方法は、係合されたリアクタフレームを取得するために、堆積チャンバシステムのリアクタ内へ基板を投入することと、プロセスガス格納シールを形成するために、係合されたリアクタフレームと堆積チャンバシステムのリアクタインターフェースとの間で弾性物体が圧縮されるまでサセプタを持ち上げることとをさらに含む。サセプタは、基板と堆積チャンバシステムのカソードとの間の間隔に対応する、第1の位置よりも上の第2の位置まで持ち上げられる。弾性物体は、リアクタフレームに取り付けられた基部に対応する第1の端部と、圧縮体に対応する第2の端部とを有する。
【0006】
本開示の態様および実施は、態様および実施について限定ではなく例として説明することが意図された後述の詳細な説明および添付の図面からより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】いくつかの実施形態による例示的な堆積チャンバシステムの断面図である。
【
図2A】いくつかの実施形態による堆積チャンバシステムの例示的な上流区間の断面図である。
【
図2B】いくつかの実施形態による
図2Aの上流区間の拡大図である。
【
図3】いくつかの実施形態による例示的な堆積チャンバシステムの断面図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による分離位置における堆積チャンバシステムの例示的な上流区間の断面図である。
【
図4B】いくつかの実施形態によるリアクタ投入中の堆積チャンバシステムの例示的な上流区間の断面図である。
【
図4C】いくつかの実施形態によるリアクタが封止されたときの堆積チャンバシステムの例示的な上流区間の断面図である。
【
図5】いくつかの実施形態による堆積チャンバシステムを実施する方法の流れ図である。
【
図6】いくつかの実施形態による堆積チャンバシステム内にプロセス格納シールを形成するために使用することができる弾性物体の例の断面図である。
【
図7】いくつかの実施形態による堆積チャンバ内で弾性物体を含むリアクタフレームを一体化してリアクタシールの形成を可能にする方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
原子層堆積(ALD)チャンバシステムなどの堆積チャンバシステムに対するリアクタ設計では、プロセスガスがリアクタから漏れ出して他の堆積チャンバシステム構成要素を損傷することを防止するために、プロセスガスを格納するための窓(「格納窓」)を利用する。ALD堆積チャンバシステムに対する典型的なリアクタ設計では、ガラス材料から形成された格納窓を利用する。ガラス材料は、温度衝撃に起因する破損を低減させるために、低い熱膨張などの好適な熱的特性を有することができる。好適なガラス材料の一例は、ホウケイ酸強化ガラス(たとえば、PYREX(登録商標))である。そのような材料から作られた格納窓は、たとえば破損、コスト、材料変形、および反応区間の電力損など、様々な問題を呈する可能性がある。加えて、そのような格納窓を実施するリアクタ設計は、ガス分布の問題(たとえば、凝縮のリスク)を有する複雑なガス流チャネルを含む可能性がある。さらに、リアクタのカソードとガラス材料から作られたリアクタ格納窓との間に、寄生プラズマが存在する可能性がある。
【0009】
本開示の態様および実施は、堆積チャンバシステム内で弾性物体を使用したプロセスガスの格納を実施することによって、既存の技術の上記その他の欠点に対処する。いくつかの実施形態では、堆積チャンバシステムは、ALDチャンバシステムである。いくつかの実施形態では、堆積チャンバシステムは、化学気相堆積(CVD)チャンバシステムである。1つまたは複数のタイプのプロセスガスの化学的特性に対する材料の腐食を防止するために、リアクタ内の露出面(たとえば、カソード)に保護コーティング(たとえば、耐プラズマ性コーティング)を施すことができる。たとえば、三塩化ホウ素(BCL3)の化学的特性のために、Y2O3のコーティングを施すことができる。
【0010】
リアクタフレームは、リアクタ内に基板を投入するときにサセプタ上に配置された基板を固定し、堆積プロセスの際は材料堆積(たとえば、膜堆積)境界を提供するように設計される。サセプタは、サセプタ上に配置された基板を特定の範囲内の温度まで加熱または冷却することができる材料を含む。サセプタ設計(たとえば、材料の選択)は、リアクタ動作温度に依存することができる。いくつかの実施形態では、リアクタフレームは、マスクフレームまたはシャドウフレームである。マスクフレームまたはシャドウフレームは、堆積プロセス中に基板を定位置で保持するように設計されており、基板上に膜堆積境界区域を画定するためのステンシルとして機能することができる。たとえば、マスクフレームは、携帯電話などのより小さい電子デバイスに対して使用することができ、シャドウフレームは、テレビジョンなどのより大きい電子デバイスに使用することができる。リアクタインターフェースは、プロセスガス流をリアクタの内外へ誘導するように、フローガイドに動作可能に結合される。
【0011】
弾性物体は、リアクタフレームとリアクタインターフェース(たとえば、リアクタリッド)との間にプロセスガス格納シールを形成して、リアクタから堆積チャンバシステムのうち保護されていない表面を有する(たとえば、保護コーティングのない)区域内へプロセスガスが漏れ出すことを防止する。たとえば、プロセスガスは、堆積プロセス中にリアクタ内へ導入されたプロセスガス流、および堆積プロセスから生じた残滓を含む可能性がある。残滓は、堆積プロセスの残留ガス(たとえば、未反応のガス)および/または副生成物を含む可能性がある。
【0012】
いくつかの実施形態では、弾性物体は、弾性物体の基部に対応する第1の端部と、弾性物体の圧縮体に対応する第2の端部とを有する。第1の端部は、リアクタフレームに取り付けられており(たとえば、嵌合)、したがってリアクタインターフェースは、弾性物体の第2の端部に接触して、弾性物体の圧縮時にリアクタフレームとリアクタインターフェースとの間にプロセスガス格納シールを形成する。圧縮体は、堆積チャンバシステムのうちリアクタ内へプロセスガス流を導入するために使用される上流区間、および/または堆積チャンバシステムのうち残滓を除去するために使用される下流区間において、リアクタフレームとリアクタインターフェースとの間にプロセスガス格納シールを形成することができる。圧縮体は、リアクタフレームおよびリアクタインターフェースへの潜在的な損傷を低減または除去しながら、プロセスガスの格納を可能にするように、好適な形状寸法および/または好適な材料特性を有する弾性材料を含むことができる。
【0013】
たとえば、弾性物体は、上流区間内の第1の弾性物体部分と、下流区間内の第2の弾性物体部分とを含むことができ、したがって第1および第2の弾性物体部分は、連続する弾性材料から画定される。いくつかの実施形態では、第1および第2の弾性物体部分は、それぞれ上流区間および下流区間内の弾性材料の個別の部分である。
【0014】
ガラス材料から形成されたプロセスガス格納窓を使用する場合、本明細書に記載するタイプのリアクタフレーム(たとえば、マスクフレームまたはシャドウフレーム)は、典型的には、ALD堆積チャンバシステム内で使用されない。したがって、本明細書に記載する弾性物体を使用することで、そのようなリアクタフレームをALD堆積チャンバシステム内で使用して、基板処理を改善することが可能になる。
【0015】
本開示の態様および実施により、他の手法に比べて技術的な利点が得られる。たとえば、プロセスガスの格納のための弾性物体(たとえば、低圧縮弾性物体)を使用することで、プロセスガス格納窓を使用した場合と比べて、プロセスチャンバのサイズの犠牲および/または設置区域の増大なく、改善されたガス流分布を可能にすることができる。改善されたガス流分布の結果、改善された膜均一性およびインシトゥ洗浄速度を得ることができる。また、プロセスガス格納窓の使用をなくすことで、弾性物体は、リアクタ内への簡略化されたガス分布チャネルを可能にし、ガス流を改善し、凝縮および/または気相反応のリスクを低減させることができる。
【0016】
弾性物体を使用することで、可変のまたは動的なプロセス間隔の能力をさらに可能にすることができ、基板とリアクタインターフェースとの間のプロセス間隔は、リアクタフレームとリアクタインターフェースとの間の弾性物体の圧縮によって生成される圧縮力に関係する(たとえば、圧縮が大きければ大きいほど、より小さいプロセス間隔に対応することができる)。たとえば、プロセスガス格納シールをもたらすための最小圧縮力に対応する第1の閾値力と、弾性物体が破損せず耐えることができる最大圧縮力に対応する第2の閾値力とが存在しうる。それに応じて、圧縮力は第1の閾値力と第2の閾値力との間の範囲とすることができるため、プロセス間隔も同様に、第1の閾値力に対応するプロセス間隔と第2の閾値力に対応するプロセス間隔との間の範囲とすることができる。閾値力および/またはプロセス間隔は、使用されるプロセス方策のタイプに応じて変動する可能性がある。
【0017】
弾性物体を使用することで、低減された質量を有する簡略化されたリアクタフレーム設計を可能にすることができ、それによってロボット(たとえば、真空ロボット)が堆積チャンバシステムからリアクタフレームをより容易に取り外すことを可能にすることができる。弾性物体を使用することで、より多くの電力を反応区間内へ誘導し、堆積チャンバシステムのカソードに伴う寄生プラズマを低減させることができる。
【0018】
図1は、いくつかの実施形態による堆積チャンバシステム100の断面図である。いくつかの実施形態では、示されているように、堆積チャンバシステム100は、ALDチャンバシステムを含む。しかし、堆積チャンバシステム100は、本明細書に記載する実施形態による任意の好適な堆積チャンバを含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、堆積チャンバシステム100は、CVDチャンバシステムを含む。
【0019】
示されているように、システム100は、サセプタ110と、カソード120と、サセプタ110とカソード120との間のリアクタ区域130とを含む。サセプタ110は、基板(
図1には示されていない)を受け取り、堆積プロセスを実行するために基板をリアクタ区域130内に持ち上げ、処理中にリアクタ区域130内で基板を維持するように構成される。サセプタ110は、基板を所望の処理温度まで加熱および/または冷却することができる好適な材料から作ることができる。サセプタ110のための好適な材料の例には、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼、およびセラミックが含まれる。いくつかの実施形態では、サセプタ110は、セラミック材料を含む。たとえば、サセプタ110は、炭化ケイ素(SiC)材料を含むことができる。サセプタ110には、処理中にサセプタ110を保護するための保護コーティングを設けることができる。いくつかの実施形態では、保護コーティングは、耐プラズマ性コーティングである。たとえば、保護コーティングは、Y
2O
3または他の類似の材料を含むことができる。使用することができる耐プラズマ性コーティングの他の例には、Er
2O
3、Y
3Al
5O
12(YAG)、Er
3Al
5O
12(EAG)、Y2O3およびZrO2を含む組成物(たとえば、Y2O3-ZrO2固溶体)、Y2O3、Al2O3、およびZrO2を含む組成物(たとえば、Y
4Al
2O
9およびY
2O
3-ZrO
2の固溶体を含む組成物)、Y-O-F(たとえば、Y
5O
4F
7)、YF
3などが含まれる。コーティングは、ALD、CVD、物理的気相堆積(PVD)、イオン支援堆積(IAD)などの視線方向または非視線方向の堆積プロセスによって堆積させられたものとすることができる。
【0020】
カソード120は、本明細書に記載する実施形態による任意の好適な導電性材料を含むことができる。たとえば、カソード120は、アルミニウム(Al)を含むことができる。カソード120には、処理中にカソード120を保護するための保護コーティングを設けることができる。いくつかの実施形態では、保護コーティングは、耐プラズマ性コーティングである。たとえば、保護コーティングは、Y2O3または他の類似の材料を含むことができる。本明細書に論じる他の耐プラズマ性コーティングのいずれかを、カソード120をコーティングするために使用することもできる。
【0021】
示されているように、システム100は、上流区間140および下流区間150をさらに含む。上流区間140がシステム100の左側に示されており、下流区間150がシステム100の右側に示されているが、そのような配置は限定と見なされるべきではない。
【0022】
上流区間140は、堆積プロセスのためにシステム100のリアクタに入る上流からのプロセスガス流を支持して流し込むように設計される。たとえば、プロセスガス流は、堆積プロセスを実行するためにリアクタ内へ導入されるガスを含むことができる。プロセスガス流は、プラズマと組み合わせることができる(たとえば、プラズマ強化堆積プロセス)。たとえば、プロセスガスを使用してリアクタ内にプラズマを形成することができ、または遠隔プラズマを形成し、プロセスガスとともにリアクタ内へ送達することができる。下流区間150は、堆積プロセスの残滓をリアクタから除去または排出するように設計されており、残滓は、残留ガス(たとえば、未反応のガス)および/または副生成物を含む可能性がある。本明細書でさらに詳細に記載するように、上流区間140および/または下流区間150内に弾性物体を含むことができ、それによってプロセスガスが漏れ出てシステム100の他の構成要素を損傷することを防止するためのそれぞれのプロセスガスシールを形成することができる。いくつかの実施形態では、単一の弾性物体(たとえば、弾性物体から形成されたOリング)によって、上流区間140および下流区間150の両方を覆うことができる。下流区間150に関するさらなる詳細は、
図2A~
図2Bを参照して以下で説明する。
【0023】
図2Aおよび
図2Bは、いくつかの実施形態による堆積チャンバシステムの例示的な上流区間200の断面図である。上流区間200は、
図1を参照して上述した上流区間140とすることができる。上流区間が示されているが、堆積チャンバシステムの下流区間(たとえば、
図1を参照して上述した下流区間150)が、構成要素の類似の配置を有することもできる。
【0024】
示されているように、上流区間200は、
図1のサセプタ支持構成要素105の一部分、サセプタ110の一部分、カソード120の一部分、およびリアクタ区域130の一部分を含む。上流区間200は、フローガイド210、第1の絶縁体220、第2の絶縁体230、リアクタインターフェース(たとえば、リアクタリッド)240、リアクタフレーム250、弾性物体260、および緩衝構成要素270をさらに含む。下流の上流(たとえば、
図1の下流区間150)もまた、類似のフローガイド、第1の絶縁体、第2の絶縁体、リアクタインターフェース、リアクタフレーム250、弾性物体、および緩衝構成要素を含むことができる。
【0025】
フローガイド210およびリアクタインターフェース240は集合的に、プロセスガス流をリアクタ区域130内へ導入するための経路215を提供する。以下でさらに詳細に記載するように、弾性物体260は、プロセスガス流の漏れまたは流出を防止するプロセスガス格納シールを形成し、それにより堆積チャンバシステムの他の構成要素を潜在的な損傷から保護することができる。
【0026】
第1の絶縁体220および第2の絶縁体230は、カソード120からのアークの発生を防止するために、カソード120およびリアクタインターフェース240に接触するように配置される。第1の絶縁体220および第2の絶縁体230は、異なる特性を有する異なる材料を含むことができる。たとえば、第2の絶縁体230は、その場所に起因する溶解を受けにくい材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の絶縁体220は、非粘着性の材料を含む。たとえば、非粘着性の材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または他の好適な非粘着性の材料とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の絶縁体240は、セラミック材料を含む。
【0027】
リアクタフレーム250は、リアクタ区域130内に基板115を投入するとき、サセプタ110上に配置された基板115を固定するように設計される。リアクタフレーム250は、本明細書に記載する実施形態による任意の好適なリアクタフレームとすることができる。いくつかの実施形態では、リアクタフレーム250は、マスクフレームまたはシャドウフレームである。基板115は、正方形もしくは長方形の形状を有してもよく、または円盤の形状もしくは他の多角形の形状などの他の形状を有してもよい。基板115は、たとえば、半導体(たとえば、半導体ウエハ)、ガラスもしくはセラミック体(たとえば、ガラスもしくはセラミック片)、金属体、または何らかの他のタイプの材料から構成することができる。
【0028】
弾性物体260は、弾性物体260の基部262に対応する第1の端部と、弾性物体260の圧縮体264に対応する第2の端部とを有する。弾性物体260は、弾性物体260の圧縮時にリアクタインターフェース240とリアクタフレーム250との間にプロセスガス格納シールを形成するように設計される。示されているように、基部262はリアクタフレーム250に嵌合(たとえば、挿入)され、したがって圧縮体264は、リアクタインターフェース240に接触してプロセスガス格納シールを形成するように構成される。
【0029】
圧縮体264は、リアクタフレームおよび/またはリアクタインターフェースを損傷することなくプロセスガス格納シールを形成するのに好適な材料特性(たとえば、体積弾性率、ヤング率、圧縮強度、ポアソン比、硬度)を有する圧縮材料から構成することができる。より具体的には、圧縮体264は、堆積チャンバシステムの構成要素(たとえば、サセプタ110および/またはリアクタフレーム250)への損傷を引き起こさない力閾値を下回る好適に低い圧縮力を提供する材料特性を有する圧縮材料から構成することができる。さらに、圧縮体264の破損を防止するために、プロセスガス格納シールの形成中にリアクタフレーム250に接触したときの圧縮体264の圧縮距離は、好適な範囲内に入るべきである。いくつかの実施形態では、圧縮距離は、約4ミリメートル(mm)未満である。たとえば、圧縮距離は、約2mm~約3mmとすることができる。圧縮体は、圧縮体がリアクタフレームとリアクタインターフェースとの間の距離範囲(たとえば、±2mmの範囲内)にわたって力閾値よりも小さい力を維持しながらシールを形成することを可能にする材料および/または形状寸法を有することができる。したがって、圧縮体は、リアクタフレームとリアクタインターフェースとの間の距離の範囲内で、好適な力を維持することができる。
【0030】
カソード120と基板115との間の間隔は、特定の堆積プロセス向けに画定することができる。たとえば、間隔は、約12mmとすることができる。弾性物体260を使用することで、カソード120と基板115との間で可変の間隔を使用して、異なる堆積プロセスに対応することを可能にすることができる。
【0031】
環境条件(たとえば、高温および/または高圧)は材料特性に影響を及ぼす可能性があるため、圧縮材料は、様々な環境でその特性および完全性を維持するように選択することができる。たとえば、圧縮体264は説明的に、弾性ポリマー(エラストマ)または弾性もしくはゴム様の特性を有する他の材料から形成することができる。より具体的には、圧縮体264は、場合により極端な環境条件に対する安定性がより大きいため、飽和エラストマを含むことができる。いくつかの実施形態では、圧縮体264とリアクタフレーム250および/またはリアクタリッド240との間の摩擦の結果、圧縮体264をリアクタフレーム250および/またはリアクタリッド240に対してさらに固定することができるほぼ水平の力を得ることができ、それによってプロセス格納シールを改善することができる。飽和エラストマの例には、それだけに限定されるものではないが、シリコーン(SI、Q、VMQ)、フルオロシリコーン(FVMQ)、フルオロエラストマ(たとえば、FKMおよびテトラフルオロエチレンプロピレン(TFE/P))、およびパーフルオロエラストマ(FFKM)が含まれる。一実施形態では、圧縮材料は、ペルフルオロポリマー(PFP)および/またはポリイミドを含み、それにより高温でその材料特性を保持することができ、プラズマ環境への露出によって引き起こされる浸食または腐食に対する耐性を有することができる。圧縮材料に使用することができる材料のいくつかの例には、Dupont(商標)のECCtreme(商標)、DupontのKALREZ(登録商標)(たとえば、KALREZ8900)、およびDaikin(登録商標)のDUPRA(商標)が含まれる。
【0032】
いくつかの実施形態では、この説明的な例に示されているように、基部262および圧縮体264は同じ材料から形成されており、したがって弾性物体260はモノリシック構造である。しかし、基部262および圧縮体264は各々、異なる材料から形成することもできる。
【0033】
形状寸法に関しては、示されているように、基部262は、弾性物体260をリアクタフレーム250に固定する台形の断面形状を有することができ、圧縮体264は、環状の断面形状を含むことができる(たとえば、中空円形の断面を有する)。たとえば、圧縮体は、弾性のOリング(「Oリング」)とすることができる。別の例として、圧縮体は、弾性のワッシャ(「ワッシャ」)を含むことができる。しかし、基部262および圧縮体264は、プロセスガスがリアクタフレームとリアクタインターフェースとの間でリアクタから堆積チャンバシステムの他の区域内へ流出することを防止するプロセスガス格納シールを形成することができる任意の好適な形状寸法を含むことができる。弾性物体260の形状に関するさらなる詳細は、
図6を参照して示されている。
【0034】
図3は、いくつかの実施形態による堆積チャンバシステム300の断面図である。いくつかの実施形態では、示されているように、堆積チャンバシステム300は、ALDチャンバシステムを含む。しかし、堆積チャンバシステム300は、本明細書に記載する実施形態による任意の好適な堆積チャンバを含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態では、堆積チャンバシステム300は、CVDチャンバシステムを含む。
【0035】
示されているように、システム300は、サセプタ支持構成要素305と、サセプタ310と、基板315と、カソード320と、サセプタ310とカソード320との間のリアクタ区域330とを含む。サセプタ支持構成要素305、サセプタ310、基板315、カソード320、およびリアクタ区域330は、
図1を参照して上述したサセプタ110、基板115、カソード120、およびリアクタ区域130にそれぞれ類似している。
【0036】
システム100は、上流区間340および下流区間350をさらに含む。上流区間340がシステム100の右側に示されており、下流区間350がシステム300の左側に示されているが、そのような配置は限定と見なされるべきではない。
【0037】
図1~
図2Bを参照して上述した上流区間140および下流区間150と同様に、上流区間340は、堆積プロセスのためにシステム300のリアクタに入る上流のプロセスガス流を支持するように設計され、下流区間350は、堆積プロセスの残滓をリアクタから除去または排出するように設計される。
図4A~
図4Cを参照して以下でさらに詳細に記載するように、上流区間340および下流区間350内に弾性物体を含むことができ、それによりプロセスガスが漏れ出てシステム300の他の構成要素を損傷することを防止するためのそれぞれのプロセスガスシールを形成する。たとえば、上流区間340および/または下流区間350内で弾性物体を使用することで、粒子蓄積のリスクがより低いリアクタの内外への簡略化されたプロセスガス流経路を提供する幾何形状を有するそれぞれのフローガイドの実施を可能にすることができる。上流区間340の観点からのシステムの動作に関するさらなる詳細は、
図4A~
図4Cを参照して以下に説明する。
【0038】
図4A~
図4Cは、いくつかの実施形態による堆積チャンバの上流区間400のプロセスの流れを示す。ここで、上流区間400は、
図3を参照して上述した上流区間340に対応することができる。たとえば、示されているように、上流区間400は、サセプタ支持構成要素305、サセプタ310、基板315、カソード320、およびリアクタ区域330の一部分を含むことができる。上流区間400は、フローガイド410、第1の絶縁体420、第2の絶縁体430、リアクタインターフェース440、リアクタフレーム450、および弾性物体460をさらに含むことができ、弾性物体460は、基部462に対応する第1の端部と、圧縮体464に対応する第2の端部とを有する。さらに示されているように、フローガイド410およびリアクタインターフェース440は集合的に、プロセスガス流をリアクタ区域330内へ導入するための経路415を提供する。以下でさらに詳細に記載するように、弾性物体460は、プロセスガス流の漏れを防止するプロセスガス格納シールを形成し、それによって堆積チャンバシステムの他の構成要素を潜在的な損傷から保護する。さらに示されているように、上流区間400は、リアクタフレーム450の一端を支持するように構成されたリアクタフレーム支持構造470をさらに含むことができる。下流区間(たとえば、
図3の下流区間350)もまた、類似のフローガイド、第1の絶縁体、第2の絶縁体、リアクタインターフェース、リアクタフレーム450、弾性物体、およびリアクタフレーム支持構造を含むことができる。
【0039】
図4Aは、いくつかの実施形態による分離位置における堆積チャンバシステムの例示的な上流区間の断面図である。より具体的には、基板315は、サセプタ310上へ投入されているが、リアクタ内へはまだ投入されていない。
【0040】
図4Bは、いくつかの実施形態によるリアクタ投入中の堆積チャンバシステムの例示的な上流区間の断面図である。より具体的には、基板315は、リアクタフレーム450に接触するように、サセプタ310によって持ち上げられる。リアクタフレーム450は、リアクタ内にある間に基板315を固定するように機能する。
【0041】
図4Cは、いくつかの実施形態によるリアクタが封止されてプロセスガス格納シール475を形成するときの堆積チャンバシステムの例示的な上流区間の断面図である。より具体的には、堆積プロセスが実行され、プロセスガス流480をリアクタ内へ導入することによって、材料(たとえば、膜)を基板315上に堆積させる。加えて、堆積プロセス(たとえば、プラズマ強化ALD)を支援するために、リアクタ内へプラズマ490を導入することができる。
【0042】
図5は、いくつかの実施形態による堆積チャンバシステムを実施するための方法500の流れ図を示す。いくつかの実施形態では、堆積チャンバシステムは、原子層堆積(ALD)システムを含む。
【0043】
ブロック502で、基板と堆積チャンバシステムのカソードとの間の間隔が画定される。間隔は、基板に対して堆積プロセスが実行されるように判定することができる。たとえば、間隔は、堆積チャンバシステムによって支持される可能な間隔範囲内の標的間隔とすることができる。
【0044】
ブロック504で、堆積チャンバシステムのリアクタフレームが分離位置にある間に、堆積チャンバシステムのサセプタ上に基板が配置される。たとえば、基板は、ロボットを使用してサセプタ上に配置することができる。サセプタは、リアクタに対して第1の位置に配置することができる。
【0045】
ブロック506で、係合されたリアクタフレームを取得するために、堆積チャンバシステムのリアクタ内へ基板を投入する。この時間中、サセプタはリアクタフレームに接触している。
【0046】
ブロック508で、間隔に対応するプロセスガス格納シールを形成するために、係合されたリアクタフレームと堆積チャンバシステムのリアクタインターフェースとの間で弾性物体が圧縮されるまで、間隔を考慮してサセプタを持ち上げる。弾性物体は、リアクタフレームに取り付けられた基部に対応する第1の端部と、圧縮体に対応する第2の端部とを有することができる。
【0047】
サセプタは、サセプタが基板とカソードとの間の間隔に対応する第2の位置にくるまで、係合されたリアクタフレームを持ち上げ、第2の位置は、係合されたリアクタフレームが圧縮体に十分に接触してプロセスガス格納シールを形成する第1の位置から、ある程度垂直方向の距離をあけた位置である。第2の位置と圧縮時に弾性物体によって生成される圧縮力との間には、相関が存在する。したがって、第2の位置が基板とカソードとの間の間隔に対応するため、基板とカソードとの間の間隔を使用して、圧縮力を標的圧縮力として画定することができる。標的圧縮力は、プロセスガス格納シールをもたらすための最小圧縮力に対応する第1の閾値力、および弾性物体が破損または劣化せず耐えることができる最大圧縮力に対応する第2の閾値力を下回ることができる。
【0048】
ブロック510で、堆積プロセスを実行して、基板上に材料を堆積させる。堆積プロセスは、リアクタ内へプロセスガス流を導入することによって実行することができる。たとえば、プロセスガス流は、下流リアクタインターフェースに取り付けられた下流フローガイドを使用して、リアクタ内へ導入することができる。堆積プロセスが実行されている間、少なくとも1つの弾性物体は、係合されたリアクタフレームと少なくとも1つのリアクタインターフェースとの間で圧縮されたままであり、それによってプロセスガスが堆積チャンバシステムの他の区域内へ流出することを防止する。
【0049】
ブロック512で、堆積プロセスが実行された後、リアクタから残滓が除去される。残滓は、残留プロセスガス(たとえば、未反応のプロセスガス)および/または堆積プロセスの副生成物を含む可能性がある。たとえば、残滓は、堆積プロセスが実行された後、下流リアクタインターフェースに取り付けられた下流フローガイドを使用して、リアクタから除去することができる。残滓がリアクタから除去されている間、弾性物体は、係合されたリアクタフレームとリアクタインターフェースとの間で圧縮されたままであり、それによって残滓が堆積チャンバシステムの他の区域内へ流出することを防止する。
【0050】
ブロック514で、残滓が除去された後、堆積チャンバシステムから基板が取り出される。基板を取り出すことは、サセプタが第1の位置に戻るまでサセプタを下げることと、サセプタが第1の位置に戻った後、ロボットを使用して基板を取り出すこととを含むことができる。たとえば、ロボットは、真空ロボットとすることができる。サセプタを下げることによって、弾性物体が減圧され、それによってプロセスガス格納シールを破壊する。
【0051】
方法500を繰り返して、別の基板上に材料を堆積させることができる。たとえば、異なる堆積プロセスを使用して、方法500を繰り返して、別の基板上に材料を堆積させることができる。異なる堆積プロセスは、基板とカソードとの間で画定された、前述の堆積プロセスとは異なる第2の間隔で実行することができる。したがって、第2の間隔は、前述の標的圧縮力とは異なるがやはり第1の閾値力および第2の閾値力によって画定された範囲内にある第2の標的圧縮力を実現することができる。ブロック502~514に関するさらなる詳細は、
図1~
図4Cを参照して上述した。
【0052】
図6は、いくつかの実施形態による堆積チャンバシステム内にプロセス格納シールを形成するために使用することができる例示的な弾性物体の断面図の
図600である。一例として、弾性物体610は、台形の断面形状を有する基部612と、環状の断面形状を有する圧縮体614(たとえば、Oリング)とを含むことができる。代替実施形態では、基部612は、方形の形状、円形の形状、または何らかの他の形状を有することもできる。別の例として、弾性物体620は、台形の断面形状を有する基部622と、対称の二股の断面形状を有する圧縮体624とを含むことができる。代替実施形態では、基部622は、方形の形状、円形の形状、または何らかの他の形状を有することができる。別の例として、弾性物体630は、集合的にヒレ状の断面形状を形成する基部632および圧縮体634を有することができる。代替実施形態では、基部632は、方形の形状、円形の形状、または何らかの他の形状を有することができる。
図6に示す弾性物体610~630は純粋に例示であり、堆積チャンバシステム(たとえば、ALDチャンバシステム)でプロセスガス格納シールを形成することができる他の好適な弾性物体形状が企図されることを理解および認識されたい。
【0053】
図7は、いくつかの実施形態による堆積チャンバ内に弾性物体を含むリアクタフレームを一体化してリアクタシールの形成を可能にする方法700の流れ図を示す。
【0054】
ブロック702で、弾性物体の第1の端部に嵌合するための場所を有する基部リアクタフレーム構成要素を受け取る。
【0055】
ブロック704で、リアクタフレームを形成するために、弾性物体の第1の端部を基部リアクタフレーム構成要素に嵌合する。
【0056】
ブロック706で、堆積チャンバシステム内にリアクタフレームを一体化する。
【0057】
上記の説明は、本発明のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、特有のシステム、構成要素、方法の例などの多数の特有の詳細を記載する。しかし、本発明の少なくともいくつかの実施形態は、これらの特有の詳細がなくても実施することができることが、当業者には明らかである。他の事例では、本発明を不必要にあいまいにすることを回避するために、よく知られている構成要素または方法は詳細に記載されておらず、または簡単なブロック図の形式で提示されている。したがって、記載する特有の詳細は単なる例示である。特定の実施は、これらの例示的な詳細から変動することがあり、それでもなお本発明の範囲内に入ることが企図される。
【0058】
本明細書全体にわたって、「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」の参照は、その実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたって様々な配置における「一実施形態では(in one embodiment)」または「実施形態では(in an embodiment)」という表現は、必ずしも同じ実施形態を参照するとは限らない。加えて、「または(or)」という用語は、排他的な「または(or)」ではなく包含的な「または(or)」を意味することが意図される。「約(about)」または「ほぼ(approximately)」という用語が本明細書で使用されるとき、これは提示する公称値が±10%の範囲内で正確であることを意味することが意図される。
【0059】
本明細書における方法の動作は、特定の順序で図示および説明されているが、各方法の動作の順序を変更することもでき、したがって特定の動作を逆の順序で実行することができ、または特定の動作を少なくとも部分的に他の動作と同時に実行することができる。別の実施形態では、別個の動作の命令または下位動作を断続的および/または交互に行うこともできる。
【0060】
上記の説明は、制限ではなく説明であることが意図されることを理解されたい。当業者であれば、上記の説明を読んで理解すれば、多くの他の実施例が明らかになる。本開示は特有の例について説明するが、本開示のシステムおよび方法は、本明細書に記載する例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内で修正を加えて実施することができることが認識されよう。それに応じて、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく説明的な意味で見なされるべきである。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が与えられる均等物の完全な範囲とともに、判定されるべきである。
【国際調査報告】